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2011年11月22日 第6回国立病院・労災病院等の在り方を考える検討会議事録

労働基準局労災補償部労災管理課

○日時

平成23年11月22日 13:00~15:00


○場所

中央合同庁舎5号館 12階 専用第14会議室


○議題

1 論点・課題の整理
2 その他

○議事

○相川座長 それでは、皆さんおそろいのようでございますので、ただいまから第6回「国立病院・労災病院等の在り方」を考える検討会を開催いたします。委員の皆さまにおかれましては、大変お忙しい中ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。本日は、新谷委員、夏目委員が欠席となっております。
 本日の議事は、お手元の議事次第にあるとおりです。1.論点・課題の整理、2.その他についてご審議をいただきたいと思います。
 まず、議題に入る前に、事務局から独立行政法人改革に関する分科会、これは本検討会とかなり関係があるわけですけれども、その状況と前回の宿題事項について、資料の説明をお願いいたします。
○片岡国立病院課長 国立病院課長でございます。まず、行政刷新会議の独立行政法人改革分科会の今の状況について、資料1に沿ってご説明します。まず、今の流れですが、行政刷新会議において、独立行政法人の制度・組織の見直しに係る検討を行うため、分科会が設置されています。9月21日に第1回分科会が開催され、その後、それぞれ分科会にワーキンググループを設けて、3グループに分かれて、それぞれ個別にヒアリング等を行ってきております。それが10月中、一部の法人については11月初旬まで続きまして、第8回分科会でヒアリングの状況を報告して、これから分科会において議論がされるという状況になっております。
 個別にご説明いたしますと、2頁が行政刷新会議の下に作られた、分科会の設置規定です。3頁が分科会の委員で、4頁が最初の分科会で今後のスケジュールという形で9月21日に示されたもので、現在は11月ですので制度・組織の見直し案の検討で、12月に分科会としての見直し案を取りまとめて刷新会議に報告をするというスケジュールを念頭に置いて作業が進められていると聞いています。5頁は、分科会にそれぞれ3つのワーキンググループが設置されたというお話をしましたが、厚生労働省は第2ワーキンググループになっております。
 6頁が第2ワーキンググループの委員の方々が厚労省担当ということで、ヒアリング等を実施されました。
 7頁は、2回目のワーキンググループのヒアリングの際に、国立病院機構から提出された資料で、今の独法制度の枠組の中でどのようなことについて、いろいろな活動を行う上で支障が生じているのか、より機能を発揮するためには、どのような枠組がいいのかという観点から、国立病院機構が作って説明したペーパーです。
 8頁が第4回のヒアリングにおいて、これは厚生労働省から国立病院、労災病院、それぞれに相談して作成したもので、これは医療関係の法人について、今後どのような法人制度の枠組がいいのかということで、説明したときのペーパーです。ヒアリングチームからのオーダーで、社会医療法人、日赤、国立大学法人との違いがわかるような形で、こういうフォーマットでやってほしいということでしたので、このような説明をしております。黄色のところ、医療関係法人のところで、例えば目標・評価については、備考欄の注記の字が小さいのですが「新しい法人における目標管理制度の具体的な内容については、医療政策との関連、あるいは独立採算を基本としていること、法人の自主性、自立性等の観点から、具体的には今後検討」ということなのですが、中期目標、あるいは中期計画、年度計画、このような仕組みで引き続き何らかの公的な医療の維持等を担保し、実現していく方法がいいのではないかということです。
 会計基準については、病院会計準則を基本とし、それから国立病院機構からも主張がありました給与関係ですが、3つ目の○で「理事、監事及び職員に対する報酬等の支給基準は、公務員準拠ではなく、法人の実積、病院関係の給与動向に適合したものとする」ということで、公務員準拠ではないということにしてはどうかということです。それから、病院事業の特性に鑑み、総人件費規制の適用除外とするということです。
 その下の予算ですが、診療事業については、国からの運営費交付金は交付せず、診療報酬等の収入と、政策医療を実施する民間医療機関に交付される国や自治体からの助成金等をもって充てることを原則とするという仕組みです。病院事業の利益剰余金については、事業の特性に応じた利益処分手続き・基準を設定すべきではないかというような主張をさせていただいたところです。
 このようなヒアリングを受けて、9頁、10頁になりますが、これが現段階での直近の11月15日に開かれた、第8回分科会において、法人の事務・事業の特性に応じた類型に係る議論の整理として、これまでそれぞれ3つのワーキンググループのヒアリング等を経て、このような形で整理したらどうかということで、独法改革分科会に提出された資料です。その中の関係部分を抜粋したもので、?の4つ目のパラグラフで、「これらを踏まえ、法人の事務・事業の目的、特性、財源等を踏まえて最も適切なガバナンスを実現するため、制度設計の骨子で整理した新たな法人の基本的な内容(性格)を示した上で、それぞれの特性に応じ、以下のように第3回分科会で整理した法人の事務・事業の内容に応じて法人を分類し、これに即した制度・組織改革の内容を取りまとめることが適当である。【法人の事務・事業の内容に応じた分類】、医療関係の業務を主な事務・事業とする法人」とされています。医療関係法人として1つだけ例示を挙げておりますが、このほかにも研究開発法人や資金管理法人とか、11法人の類型が示されています。
 国立病院、あるいは労災病院が該当するとされている医療関係法人についてはどうかということなのですが、10頁をご覧ください。それについては、他の法制度の下で事務・事業の内容に応じた個別のガバナンスを講じる法人として整理してはどうかという議論になっています。医療関係法人等については、「医療法のガバナンスを活用し、自己収入の増加に努めつつ、自律的な業務運営を図っていくことを基本とすることが適切である。その場合、難病対策等、国が責任を持って維持すべき政策医療分野における適切な対応を確保し、これに必要な国の支援の在り方に留意する。相当程度の自己収入があり、国民の生命に直結する業務を実施する法人については、国の事務と強い関連があることから、主務大臣のガバナンスを強化しつつ、一定の経営の自律性を確保した適切な法人形態を検討すべきである」ということで、「医療関係法人等」の少し前のパラグラフで、「以下のような法人については、新たな法人制度として位置付けるのではなく、より適切な別の法体系の下に位置付けることが望ましいという議論・指摘がなされている」ということで、独立行政法人とは別の体系で位置付けることが適当ではないかというヒアリングの結果を踏まえた独法改革分科会における、いまの議論のベースとなっている考え方です。
 以上が、独法改革分科会の状況ですが、この検討会とこの独法改革分科会の関係は、結局はそれぞれで議論するということになろうかと思います。独法改革分科会では、そもそも法人の廃止、民営化、類似性の高い業務を行っている法人について、業務の統合ということも議論されておりまして、国立病院、労災病院の統合再編に関する議論についても、独法分科会のヒアリングで聞かれております。当方からは、我々の検討会での検討状況、あるいは今後の予定等を説明しています。ある意味では重なることがありますが、本検討会では、当初の検討会の目的通り議論いただければと思っておりますし、また独法改革の部会の審議状況については、その都度、説明させていただきたいと思います。事務局からの説明は以上です。
○相川座長 ありがとうございました。ただいまご説明がありましたが、この分科会に関しては、私どもの行っている検討会が分科会の意見にそのまま縛られるということではなく、我々検討会では、独自に意見を出してよろしいということでありますけれども、ただいまの説明に関して、あるいは資料に関して、皆さまからご意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
○渡辺委員 いまの課長の説明に対して質問ですが、9頁から10頁の行政刷新会議分科会のこれまでの議論について、ちょっとわかりにくいのは、9頁の真ん中から下は医療関係法人等、11法人について述べられたものなのですかということ。要するに、他の11法人のうち10は別として、医療関係の法人について、ずっと9頁から10頁に関して述べられたものかどうかというのがわかりにくいのですが、それが1点。
 それから、10頁でこれもそうなのだけれども、黒塗りになったところの、「具体的な対応」の「他の法制度の下で」というところは、これも医療関係法人のことを言っているのかどうなのか。新たな医療法人制度として位置付けるのではなく、より適切な別の法体系の下に位置づけることとなっていますが、新たな法人制度というのは、先ほどA3の資料の厚労省が出した新たな法人のことを言っているのか、ちょっとそれがわかりにくいのですが、そこを説明いただけますか。
○片岡国立病院課長 この9頁、10頁の資料は、基本的には全ての法人について言っている資料のうち、医療関係のところを抜粋したもので、わかりにくくなっている点、申し訳ございません。まず、繰り返しになりますが、9頁の真ん中、1.の上に、医療関係の業務を主な内容とする法人類型を1つしか書いていないのですけれども、実はここに、それ以外に10法人類型ありまして、計11法人類型あります。1.の「新たな法人制度に位置付ける法人の考え方」の【視点1】については、全て11類型法人についての視点です。
○渡辺委員 これは、11類型すべて。
○片岡国立病院課長 まず、どういう法体系がいいのかというのを議論しましょうとなっています。次、?になりまして、では個別について、その検討結果どうですかということで、10頁、1.の他の法制度の下で事務・事業の内容に応じた個別のガバナンスを講じる法人の中に医療関係法人もありますが、実はそれ以外にもここには金融関係法人とか、資金管理法人とか、11の中で3つないし4つあります。
○渡辺委員 いくつかあるよ、医療も入っているよということですね。
○片岡国立病院課長 入っています。それが、別体系で、整理したらどうかということになっております。
○渡辺委員 しかし、新たな法人制度として位置付けるのではなくてというのは、厚労省の資料にあった新法人ということを意味しているのかどうか。
○片岡国立病院課長 厚労省では、独法の枠組がどうなるかわかりませんので、独法の枠組の中で病院類型というやり方もあると思いますし、独法から離れた枠組もあるかと思います。うちの資料としては、必ず別体系でやれということを言っているわけではないのですが、要するに、いまの独法制度では、いろいろ不都合があり、あまり機能を発揮する上で適切でないところがあると思いましたので、それについては、新しく今後考える上ではこういう枠組にしてほしいということを説明いたしました。まだ議論の途中ですが、独法分科会の中で我々の要望などを聞いた上で、これは独法ではなくて、別の体系がいいのではないかという整理をしたということです。
○渡辺委員 ここで新たな法人制度というのは、独法の枠組ということ、このA3判のものは。
○片岡国立病院課長 新たな法人制度は、独法の枠組ということです。医療関係法人についての独法分科会の整理は、独法ではなくて別の法体系でということです。
○渡辺委員 A3の厚労省の資料にあるのは、独法の枠組ということですね。
○片岡国立病院課長 言いたかったのは、こういう制度にしてほしいということでして、当方では、独法がどう動くかわかりませんので、独法の中の1類型なのか、あるいは独法から離れるのか、それは特に我々からどういう形か見えていませんので、どれがいいのかというのは言っていません。いまの独法制度の中ではこういう不都合があるので、これは直してほしいという主張をしたということです。
○渡辺委員 行政刷新会議のほうは、要するに全く別なもので。
○片岡国立病院課長 我々の話をいろいろ聞いた上で、「それだと別の制度のほうがすっきりするでしょうね」というのが、いまの議論の流れということです。
○渡辺委員 とりあえず、わかりました。
○相川座長 管理室長、何かありますか、追加で。
○宇口国立病院機構管理室長 1点補足ですけれども、課長の言うとおりなのですが、行政刷新会議に対して、厚生労働省、例えば医政局とか労災管理課の立場で、制度の内か外かの議論は、なかなか、いまの段階では申し上げにくい。というのは、もう釈迦に説法ですが、独法制度自体は総務省の所管であり、財源論が当然、お金の話が付いてまいりますので、財務省に全然図られていないという段階ですから、我々は使い勝手が悪い部分、例えば利益処分の話とか、人件費のところで医療職は難渋しているということを、新たな制度では、そういうところが改善されるような法人制度をお願いしますということを申し上げまして、行政刷新会議の事務局としては、いまから意見が出た後に、各省、所管省庁も含めて、制度省庁とか、財政当局に対しても、意見を具申するという形になるという流れですので、運用で新たに我々が描いている法人ができるのか、それとも独法の制度の外の枠組でやるかというのは、こういう分科会で今後決まりますけれども、我々が言っているいまの問題点というのは、課長が説明したとおり、ずっと国病の評価委員会でも出ている、そういったところを申し上げている。だから、あとどうなるかは、また霞が関全体で決めていくというのと、政治のご判断という形です。
○相川座長 よろしいですか。
○工藤委員 いまの渡辺委員の質問とも関連するのですけれども、この10月11日の第2回ワーキンググループのヒアリングで出された国立病院機構の提案、これは非常にすっきりわかりやすく書いてあるのですけれども、その後の第4回ワーキンググループのヒアリングで、厚生労働省が提出された資料は、ほぼ整合していると考えてよろしいのでしょうか。それから、最終的に11月15日、先日の会議があったわけですね。ここで出されたものは、こういったもの全体を踏まえて出されたものということでしょうか。
○相川座長 これは、管理室長から。
○宇口国立病院機構管理室長 7頁のほうの資料ですけれども、これは右肩のクレジットを見ていただければわかるとおり、国立病院機構の作成でして、矢崎理事長から、国立病院機構の立場からすると、こういう法人に見直していただければということで、出された資料であります。それと、先ほどのA3版の8頁の黄色で塗った新法人という制度の比較表ですけれども、これは国立病院課と労災管理課が共同して作ったものでありますから、厳密に言うと、これと一致しているかどうかというのは、正直、若干ニュアンス的なところで違うところがあるというのは事実であります。それは、やはり制度を所管している所管課の立場と、矢崎理事長がお考えになっている立場の違いというのは、若干あるというのは事実でございます。
○相川座長 よろしいですか。いまの第4回の、大きな用紙、黄色いところ、これに関しては分科会のほうでは個々のことを検討された、あるいは新法人の1つの提案に関して、特別にこれが反対とか、何か議論はされたのでしょうか。
○片岡国立病院課長 分科会といいますか、ヒアリングのチームの中ではいろいろ検討はされています。
○相川座長 失礼しました。ヒアリングでした。ヒアリングとしては、これを大体よしとしているのでしょうか。
○片岡国立病院課長 考え方は理解できますというような方向です。
○相川座長 それを分科会には報告しているのですか。
○片岡国立病院課長 ワーキンググループが分科会に何らかの形で報告はされているのですが、それは資料という形では出ておりませんが、その報告を踏まえて、いま9頁、10頁にあるこの考え方が出てきたのではないかと思っております。
○相川座長 なるほど。そうしますと、概ね、この黄色い部分ということに関しては、ワーキンググループ及び分科会としては、特段の異論はないということですか。
○片岡国立病院課長 異論なくということです。
○相川座長 私どもの検討会がこれに縛られることはないのですけれども、そういうことだということで理解をお願いします。そのほかに、いかがでしょうか。
○高橋委員 経団連推薦委員の高橋です。病院機構からのプレゼンテーションの資料の7項の下のほうに、脱公務員化というのがあります。そこに、矢印の先に民間との人事交流や事業協力の拡大とありますが、これはいまのステータスである公務員というものから脱却したいということなのでしょうか。そして、その理由は、公務員型による派遣・兼業の制限ですとか、あるいは人件費の裁量性を向上するためと読み取れてしまうのですが、そういう背景でこういう文言が出てきたと理解してよろしいでしょうか。この2点について、教えていただきたいと思います。
○宇口国立病院機構管理室長 これは、国立病院機構の資料ですから、あまり所管課がご説明するのはいかがかとは思いますが、本省が仕切っている検討会ですので。多分、国立病院機構のほうの法人の立場からすると、公務員型を選択するか、非公務員型を選択するかということであれば、病院事業ということで考えた場合、非公務員型を選択したほうが業務遂行上、そちらの方がいいのではないかと。これは、例えば、常勤の雇用形態であっても、有期雇用というのが非公務員化の場合はできるとか、臨床研究とかという分野での民間とのコラボレーション、連携の際も、純粋公務員型よりも、非公務員型の方が余地が出てくるのではないかとか、色々あります。
 それから、冒頭にありましたように、公務員型ということになりますと、本当に役所で勤めている国家公務員と同じ国家公務員ということになりますので、公務員準拠の給与ではなくて、民間医療機関の相場、動向、あとは法人の実積でお給料を決めていきたいというのが、矢崎理事長の強い主張の1つでございましたので、それ以外にもあるのかわかりませんけれども、そういった面で、こういう表現になっているのではないかと。
○相川座長 そういう説明でよろしいですか。ほかにいかがでしょう。よろしいですか。それでは、この分科会及びワーキンググループの資料の説明がありましたように、これらを踏まえて、私どもの検討会でも、これから在り方を検討していくということになると思いますが、よろしいでしょうか。それでは、ご意見ないようですので、資料1の独立行政法人改革に関する分科会への状況に関しては、以上とさせていただきます。
 続きまして、資料2、いろいろ宿題をいただいた第5回の検討会宿題事項について、ご説明いたします。よろしくお願いします。
○木暮労災管理課長 労災管理課長の木暮です。3頁は、前回北海道視察の関係資料をお出ししたところ、質問をいただきました。これはあくまでも美唄にある北海道中央労災病院せき損センターと、じん肺関係で岩見沢にある病院の個別の実態から計算したものを、参考としてお出ししたという位置付けですが、より詳細に、どういう計算をしたのかというものです。せき損医療と一般患者との比較について、看護必要度評価表というもので実際に入院されている患者の方の点数を付けていき、どのくらい看護必要度に差があるのかを出したものです。3頁が総括のグラフで、4頁がそれに活用した評価表です。5頁は土・日も同じマンパワーで負担が大きいという話。6頁は同じせき損患者でも重度の方、軽度の方といらっしゃいますので、それについて平成21年4月に入院されていた方の実態として、この数字になるということです。7頁はそれに応じた診療報酬、これも具体的にそのときに入院されていた患者についてのもので、これをどこまで一般的なところまでの射程にするかは、またちょっと別の話かと思います。いずれにしても美唄におけるあるときの患者の実態について、ご紹介があったということです。
 8頁はじん肺関係です。これは、岩見沢の平成22年度の入院単価の実績としてこのようになっているということです。9頁に非常に細かな計算がありますが、これも個別の病院のケースで、特に岩見沢の場合は内科の病棟のほうが、病床が多かったりするので、ほかのと比較で若干光熱費が、じん肺患者のほうが多くなったりしておりますが、それはあくまでも個別の事情によるものです。収益については対症療法が多くて、入院基本料も低いということですが、費用についても診療行為や必要労力が少ないため、一般的に費用が低いと。両方とも低いという実態ですが、いろいろ計算すると採算制については悪いという実態にあるという実例です。
 10頁以下は労働者健康福祉機構におけるせき損患者数を延べ患者数で示したもので、道央せき損という美唄においては、せき損患者のシェアが3割、右下の吉備高原にある医療リハ、福岡の飯塚のせき損センターにおいては、それぞれせき損患者の割合が4割以上になっています。ほかは非常に少ない所とある程度多い所があるということです。
 11頁は労災病院におけるじん肺患者の受入状況、新規労災患者という形で見て全国シェアを見たものです。右側の参考欄が労災認定のときの新規患者、左の新規労災患者数は病院に実際に来られた患者で、右下の総括のところを見るとわかりますが、労災病院が設置されていない県を除いて6分の1、オールジャパンでも8分の1から7分の1の間ぐらいの新規労災患者を労災病院グループで診ているということです。
 12頁からは国立病院機構におけるせき損患者の延べ数ですが、右下の村山医療センターにおいては、せき損患者のシェアがだいたい3割弱で、ほかはそこまでの高い数字はないということです。
○片岡国立病院課長 続きまして、16頁以降を説明いたします。まず17頁は、厚生労働省独立行政法人・公益法人整理合理化委員会の報告書で記載された中核的病院についてです。この報告書の中で「8つの中核的な病院については、政策医療を担うものとしての位置付けは理解できるが、それ以外の病院については公的病院としての存在理由が明確に説明されなかった」という文章があります。その中の「8つの中核的な病院とは何でしょうか」というご質問が前回ありまして、それで資料等から確認しました、その8つの中核的な病院とその政策医療分野です。
 次の18頁以降は、国立病院・労災病院の連携関係のご質問をいただきまして、19頁以降から、近設7病院の主な診療機能等、それぞれ両院の診療機能、両院の役割分担、診療連携の現状ということで、近設7病院について整理しております。例えば表の見方として、青森労災病院は労災で、八戸病院は国立病院ですが、主な診療機能として指定の状況を受けているものでは、労災病院であれば八戸圏域広域支援リハセンター、二次救急医療機関です。国立八戸病院は重心を中心的に行っておりますので、重症心身障害医療、リハビリテーション等です。両院の役割分担は、それぞれ得意とするところに紹介をしているということです。診療連携の現状についても、リハビリテーション適用患者を青森労災病院から八戸病院に、逆に内科系、整形外科系等の患者は八戸病院から青森労災病院に紹介しているという状況です。次の東北労災病院と仙台医療センターについても、それぞれの診療機能の得意分野で役割分担を行っており、特にこの両院については、診療連携の現状である大腿骨骨折と脳卒中の地域連携クリティカルパスに、両院が参加して連携を行っていることが特徴的です。
 20頁は旭労災病院と東尾張病院です。これもそれぞれ紹介・逆紹介等を行っておりますが、そのほかに診療連携の現状の2つ目の、東尾張病院が旭労災病院に対して医師の派遣、平成18年12月から医師1名を週2回派遣。旭労災病院の精神科臨床研修を東尾張病院で実施しております。次の大阪労災病院と近畿中央胸部疾患センターもそれぞれ専門がはっきりして、紹介・逆紹介等を行っておりますが、それ以外の特徴として、診療連携の現状の2つ目の機器の共同利用を通じた肺がんの地域連携クリティカルパスの作成・運用。それから近畿中央胸部疾患センターが大阪労災病院に対して医師を派遣、大阪労災病院が逆に近畿中央胸部疾患センターに対して医師を派遣。さらに、アスベスト関連疾患も含めた呼吸器疾患の診断精度の向上を図るために、大阪労災病院から近畿中央胸部疾患センターに呼吸器疾患の画像診断のチェックを依頼しているという、このような連携も行っております。
 21頁は山陰労災病院と米子医療センターについて、それぞれの中心的な診療機能の患者さんを紹介・逆紹介をすることに加え、がんの患者さんの地域連携クリティカルパスを共同で実施しています。中国労災病院と呉医療センターについても、それぞれ得意とするところの患者さんのそれぞれの紹介・逆紹介と。22頁の九州労災病院と小倉医療センターについても同様の診療連携を図っております。
 23頁は前回のご質問の中で、労災病院の医学研究に関する国立病院との連携の状況、それから今後の将来の連携についてということですが、現在の連携について、アスベスト分野のみ実績はありますが、国立病院機構所属の研究者が共同研究者として研究に参画して、症例の提供等を行っております。将来についてはアスベスト分野のみならず、13分野の医学研究テーマについて、それぞれがアスベストと同じように、共同研究者として研究に参加して、国立病院機構の症例登録システムを利用し、主任研究者に対して、症例の提供等を実施していくことが検討されます。
 24頁は国立病院と労災病院の全体組織といいますか、法人としての統合のメリット・デメリットを整理してほしいということで整理したもので、メリットとしては統合による本部管理部門のスリム化が可能、病院間の診療連携がよりスムーズになる、研究分野において、臨床例、職歴調査等のデータ量を増加させることにより、疾病研究に有益に活用できるということがメリットとして考えられます。一方、デメリットについては、内容的にはデメリットといいますか、実現に向けてハードルが高い、困難性があるというようなことになっておりますが、国立病院職員と労災病院職員の給与等が異なる、黒字の国立病院の方が赤字の労災病院よりも給与が安いという実態があります。それと厚生年金と共済年金の違いもあります。そのようなことから労働条件などの統一化に向けた労使間の調整に時間を要し、解決するには時間を要するのではないかと考えております。さらにデメリットとして、両法人の目標と到達状況、経営改善の状況等が異なっている中で、統合により、国立病院の黒字が労災病院の赤字病院を消すことのモラルハザードとしてどう考えるのかというようなことが1つのデメリットとして考えられるということです。
○木暮労災管理課長 続きまして労災病院の経営状況などについてご質問がありました。26頁の繰越欠損金が371億円あるということですが、これをどう考えるかということです。これは若干臨時・特殊な要因によるものもある程度あるということを、申し上げたいと思っております。独立行政法人に移行する際に、赤字は0でスタートするということで制度を設計をしました。0でスタートしたわけですが、実は1年後に減価償却について計算をし直したら、140億円分減価償却しなければいけないものがあったということで、0からスタートするはずが、-140億円でスタートする事態に立ち至ったということです。繰越欠損金371億円のうち140億というのはそういうことですので、これは日々の病院の運営によって生じた赤字ではない部分で、こういうのが入ってきてしまっているということです。
 次に廃止病院の関係では、独法に移行する直前に廃止病院を決定して公表したところ、急速に医者が辞めていき、例えば筑豊労災病院のように黒字だった病院まで、大幅の赤字になってしまうというようなことがありました。その赤字が71億円と書いていますが、これ全部がそうだと主張したいわけではなくて、ある程度、そういう廃止病院の始末に伴う部分があったということです。
 それからこれは何度も説明いたしますが、厚生年金基金の運用の問題で、別に臨時・特殊だと言いたいわけではなくて、こういう部分があるということで、繰越欠損金の371億円のうちある程度大きく目立つものを拾っております。27頁ですが、そうは申しましても労災病院における当期損益については改善をしてきているということで、これは以前、似たような資料をお出ししておりますが、改善してきていることを、前より若干細かく数字を出してお示ししております。
 28頁は労災病院のキャッシュベースの状況ですが、単純に収入、支出の額を書いておりまして、その差額をお示しております。したがって現金預金については毎年プラスで出ており、1,100億円以上積み上がっているということで、財政投融資も使わず、銀行からの借入もなしに新たな投資をし、運営をしているということです。
 29頁は労災病院の投資です。独法移行に伴って、国の補助金は原則廃止ということにしましたが、平成20年度までは経過的に施設整備費補助金の投入をしておりました。やはり、労災病院の問題と申しますか、特別会計の問題と申しますか、国が予算を付けて箱物を付けるということで、過剰投資になりがちであったり、あるいは施設整備そのものが贅沢になりがちであるという批判もあったわけですが、ここでは仮に医業収入に対する減価償却費の割合をお示ししておりますが、労災病院においては、平成16年度9.4%、平成17年度9.8%と非常に高い投資を行ってきたということで、こういうものが1つの赤字要因になっていたわけです。しかしながら、これについても改善の努力を重ねてきまして、平成20年度に国の予算投入を止めて、対平成16年度比は3割程度の減価償却費の割合を減少しているということで、これについては、今後も引き続き投資規模について適切な経営判断が行われて、あるいはその投資の内容についても、民間の病院なども見ながら適切に行われるようにということで、指導をしていくということです。
 30頁は厚生年金基金のご質問で、これは独法そのもので運用しているわけではないので、直接細かなところまで指図できるわけではありませんが、労働関係法人厚生年金基金関係の資産運用実績について、お示しております。平成19年度、20年度はリーマンショックでマイナスになっていますけれども、平成22年度時点になっても平成17、18年度ぐらいの運用資産額を下回っているということで、ご承知のように今年度、平成23年度もかなり厳しい資産運用実績が見込まれるということでして、これについては、経営の重要な課題として取り組むべきと我々も思っていますし、法人のほうもそのように認識しているということでした。
 31頁は労災病院の政策医療として新たに取り組むべき課題ですが、メンタルヘルス、過労死、治療と就労の両立支援、せき損、じん肺、アスベスト関連疾患というようなものを中心に、山の高い低いを考えながら減り張りをつけた研究をやっていきたいということです。その際、病職歴データベースについても広く活用していきたいと考えております。
 32頁以下は労災医療に精通した医師の養成の関係です。これは対外部医師で表を出しておりますが、アスベスト関連疾病の技術研修とか、じん肺関係、その他、こういう実績があることを資料でお出ししております。以上でございます。
○相川座長 ありがとうございました。ただいま宿題事項についてのそれぞれの説明をいただきましたので、これから皆さまからご意見をいただきたいと思います。できれば1頁に書いてある4つの〈 〉に分かれていますが、最初の〈病院視察報告書関係〉の1頁から15頁について、まずご意見をいただき、その次、次々といきたいと思いますが、関連があれば〈 〉を越えてもご意見をいただきたいと思います。まず1頁から15頁について何かご意見、ご質問等ありますか。
 それぞれご質問を出した方、あるいは今日ご欠席の方もあるかと思います。また北海道中央労災病院のせき損センターに関しては、視察をいただいた委員の方もいらっしゃると思います。
○工藤委員 8頁の北海道中央労災病院のじん肺医療のところですけれども、あのときに説明を受けたと思うのですが、じん肺内科は呼吸器科をやっているわけではなくて、じん肺だけの単価が、これは出来高だと思いますが、1日当たり29,520円と、そういう理解でよろしいのですね。
○木暮労災管理課長 はい、そうです。
○工藤委員 こちらの内科は呼吸器が中心ですか、そのほかの呼吸器ですか。この単価が31,000円というのは一般病院の内科に比べてかなり低いですね。ちなみに、それが中央病院はすべて呼吸器だと思いますけれど、その単価に比べても低いのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○木暮労災管理課長 もちろん内科の中でも消化器科というのは別途分けておりますので、ほかのじん肺以外の呼吸器などの割合も実態として呼吸器に強いということもあって、多いという可能性が考えられますが、ここにデータはありませんけれども、そういうこともあろうかと思います。
○相川座長 よろしいですか。
○工藤委員 はい、わかりました。
○相川座長 そうすると、その内科というのは、じん肺内科、消化器内科、消化器科には消化器系の外科も含んでいる可能性もありますね。いずれにせよ、消化器科、循環器科を除く内科と。主に呼吸器の内科が多いという理解でよろしいでしょうか。
 そのほかにいかがでしょうか。
○高橋委員 8頁のところの、いま出ていたじん肺関係ですが、ここに大きいキャプションが出ていまして、1人当たりの収入単価が低く、収入面で不採算とあります。次も診療単価が低いために必要な費用を補えず、採算性が悪いというデータですが、じん肺はそもそも職業性のオキュペーショナルなもので、しかも不可逆性であると、治らないために経過観察と対症療法で対応するということのようですね。これを治すというときに、今回我々が議論をしているような病院の在り方ということのアプローチで解決がつくものなのか、むしろこういう問題は過去の負債みたいな症例が多いと思いますので、単価を改定するとか、あるいは労災としての本来の機能として補填するという、そういう考えを選択したほうがいいような気がするのですが、このような議論はいままでどこかでされた経過はないのでしょうか。
○相川座長 課長、何かご意見がありますか。あとほかに委員のご意見も聞きたいと思います。
○木暮労災管理課長 もちろんじん肺というものはいわゆる対症療法が多くて、そのうち多く占めるのは酸素吸入をするという形ですので、当然、酸素吸入に伴う検査の費用そのものはある程度の収益があるので、この程度の赤字で済んでいるということですが、逆にそういう分野に医療資源をあまりたくさん投入するというのは、全体の観点から見ればどういうことかという意見もあるというように思います。
○相川座長 ただ、いまお話がありました1日当たりの単価がすべての診療科の中でいちばん低いと。たしかに在日数は非常に長くて、病床の稼働率には貢献しているのでしょうが、このじん肺内科はおそらく赤字、不採算ということですね。いまの高橋委員のご意見では、これはどのようにして面倒をみるかというか、不採算部門に対してどのようなことをするかというご意見だったと思いますが、いかがでしょうか。診療単価を上げるというと、中医協とかそういう所になるのでしょうか。そこに意見を出すということですが、そのほかに政策医療としての考え方からどうするかということもあろうかと思います。
○工藤委員 一般に呼吸器系の医療は非常に単価が低いです。これは1つの問題点としてあります。呼吸不全で酸素を吸っているだけというのは、いまはほとんど在宅酸素療法に移行していますので、やはり何らかの人工呼吸器を付けることが必要な人はもちろん慢性呼吸不全の急性の悪化とか、じん肺症に伴う肺がんなどもここに入っているかもしれません。じん肺で肺がんが合併する場合も大変多いので。そういう患者さんが多ければ、もう少し単価が上がるかと思います。いずれにしても、単価が低くてしかも在日数は長いというようなことだと思います。非常に慢性的な状態で入っていると。
○相川座長 これは1つの労災病院の政策医療として、収支に関してこういう側面があることはわかったわけですが、具体的にじん肺の患者さんは、これから減っていくということでよろしいのですね。
○木暮労災管理課長 じん肺そのものは。
○相川座長 新規患者数に関しては。
○木暮労災管理課長 新規についてはですね。
○相川座長 そうですね。そうすると新たな問題がないかぎり、将来的には患者さんの数は減っていくということですね。
○工藤委員 しかし、高齢化が同時に進行していますので、入院の患者さんはすぐに減少するというようにはいかないだろうと思います。
○相川座長 アスベストによる疾患も、新たにこの診療科が担当するようにもなるでしょうか。これをどのような方策で医療費というか、不採算部門を補うかということはここで決めるというより、またこの次の会議体でも検討させていただくということでよろしいですか。そのほかに第1の〈病院視察報告書関係〉のところはよろしいでしょうか。
 では第2の〈 〉の16頁から17頁について、何かご意見ありますでしょうか。「8つの中核的な病院」のご質問に対して、これはこれでご理解いただいたということでよろしいですか。質問された方は今日は来ていませんか。
○工藤委員 それは私ですが、よくわかりました。
○相川座長 それでは次の〈国立病院・労災病院の連携関係〉ということで、18頁から24頁の、まずは近設の7病院というか7ペア14病院の主な診療機能が説明されております。指定の状況なども入っておりますが、この辺のところは第1、2回などの会議で資料が出てきまして、少しは検討されたとこですけれど、このような距離的に近いという労災病院と国立病院をどのようにするかということも、これは1つ、本検討会での意見を出していかなければいけないことかと思います。この資料を見ていかがでしょうか。質問、ご意見があるでしょうか。
○渡辺委員 24頁で国立病院と労災病院の統合メリット・デメリットというのはわかりやすい表ということなのですが、確認ですが、そもそもこの検討会をつくるに当たっては厚労省の整理合理化委員会は、とにかく統合ということを言っているのですが、それは本部機構の統合だけを言っているのか、143の国立病院、それと30の労災病院そのものを統合と言うのか、その辺の確認をしておきたいのです。どなたか教えてもらえますか。
 つまり逆にいうと、この24頁の表は機構本部の統合ということを前提に、各病院は連携すると、そういうように受け止められる表になっているので、ちょっと確認しておきたいのですが。
○相川座長 機構本部に限っての統合というようには、文章にはなかったと思います。考え方としては、そういうこともあり得ますね。
○渡辺委員 私もそう思います。
○宇口国立病院機構管理室長 前回のときに社会保険病院、全社連とか厚生団の分とかも含めて、あと公的病院全体の中のというような議論の中にあったと思います。本日欠席の新谷先生からも、社会保険病院とか厚生年金病院を議論しなくていいのかと、ただ、それは議員立法で動いている最中で受け皿もまだ定まっていませんから、まずは国立病院と労災病院ということですので、両病院の組織全体を統合して1つの法人にしてはどうかというようなイメージで、まず1つあるというのもありますし、個々の病院の数についても統合というニュアンスにも受けとれますけれども、前回の委員会自体は公的病院全体を幅広く捉えたような言いぶりであったのかと思います。
 ただ、その真意というか正確なところは1つずつ点検していった場合に、どこまでが思惑としてあったのかというところは、よく見えないところも正直ありますので、その辺は1回目、2回目、3回目の入口のところで座長のほうに交通整理をしていただき、まずは国立病院の枠組、それから労災病院の枠組というネットワークとか、この政策医療のセーフティーネットということを統合するのが国民のためにいいのかどうかというような議論でいかがかということで、この議論をいままでやってきていただいているという認識で、事務局サイドは把握している次第です。
○相川座長 よろしいですか、いまので答えになったかどうか、なかなか難しいと思います。
○渡辺委員 室長の答弁のお気持ちもわかりますが、人によっては、これはそもそも143と30から削れるところは一緒になっちゃえと、病院そのものが、というように考えていると。このメンバーという意味ではなくて、仕分け人も含めてですが、そういう人がいることも事実なので。そうすると我々としても別の議論というか、きちんとやっておかないと、ただ、整理合理化で病院という医療事業を単純に一緒に選択と集中ではないけれども、一緒にすればいいということでもないわけですね。
○相川座長 そうですね。
○渡辺委員 だからその辺のところを、役所側というよりも検討会としてきちんと出す必要があるのかと思います。
○相川座長 ありがとうございます。いまの室長から説明がありましたけれども、この検討会でいくつか説明できた段階で、いきなりすべての病院を統合ということは、将来の視野としてはあるとは思いますけれども、現時点でこの検討会に与えられた職務は、これをどのような形で、国立病院機構と労災病院の両方のものを有効に活用して、かつ効率化して、あるいは経営を改善する方向として、どのような方策があるのかと、それには、どのような在り方をそれぞれの病院に方針を示させるのかと、そんなスタイルでいままではやってきて、それぞれの病院の問題点というか、機能そのようなものを分析してきたと思います。12月に向けて、あるいは1月になるかもしれませんけれども、中間報告の段階でもいきなり統合をして、この病院とこの病院は統合しようというようなところまでの検討、あるいは分析には至ってないと思いますが、さし当たって、この近隣7ペア、こういうものがあるということはよく認識しておいて、場合によっては、ここでいくつか整理統合という言葉がよろしいでしょうか、あるいはそのような方向を示唆するものもあるというようなことを、報告書の中に書き入れられるかもしれません。そのようなことでこの資料が出ているわけですけれども、具体的に、ちょっと各論になりますが、19頁の青森労災と八戸病院、距離が何キロとか何百メートルとかというのは、それほど大きな要因ではないかと思いますが、一部の病院は同じ敷地の中にあるというのもありましたか、どれでしたか。
○宇口国立病院機構管理室長 大阪労災病院と近畿中央胸部医療センターです。
○相川座長 そうでしたね。だけどこれはかなり機能が違いますね。
○宇口国立病院機構管理室長 はい。
○相川座長 そうですね、正式には、結核で、胸部ですね。
○工藤委員 よろしいですか、前回の議論もそうだと思いますが、144病院と30病院のすべてを対象に統廃合に関する議論をするということではないということは確認したと思います。また、部分的にそういう試みをするにせよ、片方は公務員で、片方は非公務員というような前提をクリアしていかないと、次のステップにも入れないのではないかと思うのです。ただ、ある程度、期が熟しているような立地条件にあるようなところは、ある種の特区のような形で、サンプル的に試みを進めて、そこで何が起こってくるか、労災病院と国立病院機構が一緒になったときにどういうことが起こってくるかということを検証してみるという、考えがあってもいいのではないかと思います。もしそういうことであれば、一例ですが、大阪労災病院と近畿中央胸部疾患センターは全く違う分野でやっているので、相互に補完できるということになります。そういう事例はあり得るのかなというように思います。
○相川座長 ありがとうございます。これは非常に大切なご提案なので、この検討会として、そのようなモデルケースとか、あるいは特区ということもあり得るという提案ですね。そういうことを我々としても、もう少し踏み込んで検討するかどうか。今はたまたま大阪労災と近畿中央胸部疾患センターが例に出ましたけれども、これを特定するかしないかは別としても、いくつかあり得るのだと。あるいはそれを特区のような形でやってみることもいいのではないかというご提案かと思いますが、この件に関して委員の方々、どうでしょうか。
○相澤委員 全体の統合に入るとしてもその前に、お見合いといったことが必要だと思います。どういうふうに2つの機構が機構が違うか、考え方が違うかというのは、実際にやってみないとわからないところがあると思いますから、連携なり統合する協定を結んで、兄弟病院でもいいですけれども、人事交流や共同購入、あるいは運営上の業務提携のようなものを結んでやってみて、それで問題点を出すということが必要だと思います。そうすることにより良いところも出てくると思いますので、それを見るというひとつの方法もあると思います。
○相川座長 ひとつのステップとして、あるいは病院のペアなり病院群でということですか。
○相澤委員 はい。
○相川座長 よろしいでしょうか。そのようなご意見もあります。この検討会としてはそのようなことを示唆するというか、そのような提案をするということです。岩村先生、どうでしょうか。
○岩村委員 例えば、いまおっしゃったように機材の共同購入というのはあると思います。ただ、現状だとそもそも法人が違うとかいうのがあって、共同購入というのは非常にやりにくいというのが実際ではないかと思います。それともう1つは、実際にいまある国立病院と労災病院を統合するという話になって、現実にそれをやろうとすると地域の医療体制にも大きな影響を及ぼす可能性があり、それをあまり具体的にこの場で議論できるかというと、私はそれはちょっと難しいのではないかと思っております。将来の方向性としてどういうことが考えられて、課題としてどういうものがあるかということの洗い出しはできるのだろうと思いますが、そこからさらに踏み込んでということになると、いま、いろいろご示唆があったようなものについても、実際上は結構クリアしなければいけないところが多いのかなという気はいたします。
 あと難しいのは、ある部分を取ってみてそういう試みをやるとしても、この後、国立病院機構のほうがどうなるかわかりませんが、労働条件が違うというのは非常に難しい話です。私なども労働法をやっているものですからわかるのですが、合併したときの労働条件の調整というのは非常に大変で、下手すると労使紛争になります。逆に言うと病院であまり労使紛争は起きないほうが望ましいので、やるなというわけではありませんが、そういう点についてもある程度きちっと考えた上で、道筋といったものを考えていく必要があるだろうという気がします。あまり具体論に踏み込むと、この検討会でやるのは難しいところが多すぎるのかなという気はいたします。もちろん、将来の方向性としてどういう課題があって、そういうことについて検討していき、最終的に国立病院と労災病院の双方を合わせたところでの相乗効果のようなもので、全体として政策医療を含めたより良い医療が提供されるということであれば、それはもちろん考えていくべきだと思っていますが、なかなか具体論までということになると、ちょっと難しいかなという気がいたします。
○相川座長 そのようなご意見でございます。このテーマに関しては、ほかにいかがでしょうか。高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 これをまとめていただきたいとお願いした経過がありますので、確認も含めてお聞きします。24頁のメリットについてです。いま議論になっていた特区構想とか、いろいろな阻害要因があるとか、いろいろな議論がこういう観点から出てくるのだと思います。例えば統合しなくても、メリットというのが共同運用するような形で生まれてきますが、ここに出ている以外のメリットというのは、いま岩村委員が言われた共同購入とか、あとは厚生施設の共同利用として子どもを預ける所とか、医療廃棄物の処理、システムの共同運用など、いろいろな形のメリットがあると思います。民間企業が統合するときなどはそういうことを、一言で言えばスケールメリットを期待します。他に管理部門のスリム化を目指すというのが一般的ですが、そういうことをもうちょっと洗い出して、先ほど提言があったような形で検証してみるのも、1つのアプローチとしては有効と思われます。そのぐらいの提言はできるかなと思います。
○相川座長 そのような意見もございますが、ほかの方々、いかがでしょうか。データの共有とかも含めて、あと委員として私から質問ですが、労働条件が異なっているということですけれども、例えば医師あるいは看護師が元の所に籍を置きながら1年未満の期間出向して、そちらでの診療なり研修なりを受ける。あるいは一時的に看護師が足りない病院に対して、ある程度看護師が余っている病院から、元に籍を置いて、給料も元からもらい、年金も元のまま出向扱いということは、人事上、可能なのでしょうか。いかがですか。
○宇口国立病院機構管理室長 出向というか、そういう形までいってしまうと職場が相手側に行ってしまうことになりますが、いま座長がおっしゃった研修ということで半年とか1年間ぐらい、例えば村山のせき損チームが美唄に行くとか、交流をするための相互の行き来も研修ということであれば制度的には可能です。
○相川座長 研修って、働いてはいけないですか。
○宇口国立病院機構管理室長 当然、医療職ですから相手の現場で仕事をすることが、スキルアップのための研修ということですけれども。
○相川座長 かなり現実的な話として、例えば、現在看護師が7対1、10対1、13対1などとなっていますね。1つの病院単位で考えると数人足りないことがあって、なかなか看護師が集まらないから10対1も取れない所について、例えば、近隣の病院でかなり余っている所ですね、8対1か7.5対1位になっている所から出向して研修とか、あるいはそれに含めて単に看護師を補充するだけではなくて、それに伴って、出先の病院でいろいろなことを学んでくることも含めた人事交流ということは、労働条件を大きく変えなくても本人が了解すれば可能ということですかね。
○宇口国立病院機構管理室長 両法人ごとにナースがいま大変厳しい状況ですから、余っている病院があるかどうかまではよくわかりませんけれども、相川先生がおっしゃっている研修ということでの交流であれば、それは可能ではないかという気はします。
○岩村委員 ただ、看護師の場合だと2交替か3交替かで全然違うので、3交替の人が2交替の所に行くのはたぶん不可能です。
○相川座長 研修の名の下に看護師の数を補充するというのは、よくないことかもしれませんが、7対1、10対1、13対1というのはそこで正数で切れていますので、例えば8対1とか7.5対1になっているけれど、いまは10対1しか申請できない施設も多少あるわけです。そういうところで短期的に看護師の補充をする。いま岩村先生がおっしゃったように、夜勤の回数とか2交替、3交替などいろいろ細かい問題はあるとしても、考え方としてそういう連携というのはできないことはない。
○宇口国立病院機構管理室長 国立病院機構内でも、いまは同じ法人の中ですけれども、144も病院がございますから、中で隣同士と言っても結構距離がある病院もありますが、そういう所に研修という名目で、いま座長がおっしゃっているようなナースをヘルプするということは実はあります。岩村先生がおっしゃったように、国立病院機構の中でも2交替の病院もあれば3交替をやっている病院もあって、病院ごとに手当など細かいところまでいくと異なってくるのですが、そういったときにはたぶん研修とか、本当に1年、2年を決めて行くということであれば、身分上、A病院からB病院に人事異動という形になりますけれども、そこまでせずにやっているケースも実は中ではあります。
○相川座長 それが労災と国立の。
○宇口国立病院機構管理室長 それを先ほどの委員のご議論ではないですが、垣根を越えてやるということは全くできないということではなくて、可能性としては両法人が話し合ってできる余地はあるのではないかということです。
○相川座長 労災病院についてどうですか。かなり各論に入ってきますけれども。
○木暮労災管理課長 それは個別のケースによりますけれども、一定の場合を想定すれば、全くできないというわけではないかなとは思っています。
○相川座長 全くできないことではないとしても、かなり難しそうですね。
○岩村委員 特に国立病院はいまのところ公務員型なので、そうすると勤務条件の問題というのは非常に大きな問題として関わってしまうのです。行った先のほうが労働条件の面で、例えば1日の勤務時間が交替制の関係で長いということになると、本来的には元の所に籍が残っているので、元の所の勤務時間しかたぶん働けないはずになってしまい、交替の途中で帰らなくてはいけないとか、建前を言っていくとそういうことになってしまいます。純粋の民間同士であれば、そこは賃金で調整するのですが、公務員型だと難しいだろうと思います。
○松尾大臣官房参事官 補足ですが、制度が国家公務員型と非公務員型で全く違います。公務員型の機構は、いま宇口室長が申したとおり研修名目で動けるのですが、労災のほうは非公務員ですから在籍出向とか転籍出向という制度はあるのですけれども、労働条件を提示して職員が「ノー」と言えば行けないので、そこがだいぶ難しくなると思います。
○相川座長 了解しました。座長がかなり各論の質問をしまして失礼しました。そのほかにいかがでしょうか。
○渡辺委員 24頁で、そもそも本部であろうが何であろうが、とにかく統合しろという意見というのがこのきっかけですけれども、簡単に言えば、要するに無駄をなくせということでしょう。天下りをなくせと、無駄をなくして効率化しろということでしょう。ところが、いまお話を伺っていてもそうですし、国立病院でも私はそういった意味で経験しましたけれども、統合のデメリットのほうも相当ある。そのデメリットをあえてはっきり言わせてもらうと、こういう書き方でもいいですが、特に医療事業のデメリットというのは労働条件もそうですけれども、無理矢理143と30を近いから一緒にするとか、そういうときに発生するデメリットを、医療というのはまさに現場だし地域なのだから、そういったことをもっと具体的にわかりやすく出していただきたいなという気がしました。
○相川座長 24頁については更に細かく踏み込んで、患者さんの視点も含めてもう少しということで、よろしいですか。そのほかによろしいでしょうか。そうしますと、その次が労災病院関係の25から36です。ここに関しましては、いろいろな欠損金とかありましたけれども、いかがでしょうか。渡辺先生、どうぞ。
○渡辺委員 前も何度も言いましたけれども、機構の厚生年金基金について26頁で、これまでの過去の話ですが、基金の運用欠損金56億円ですね。これは前にも木暮課長に言ったのですが、未だに予定利率は5.5%でしょう。今時、民間の優良企業だって予定利率5.5%なんてほとんどなくて、2%台からいいとこ3%台です。そこで機構だけが5.5%でやっていれば、当然、このぐらいの欠損金が出るのは当たり前です。さらに30頁の表を見ると、運用資産額が1,000億円を超えているわけです。当たり前の話で、1,000億円を超えて1%で10億円ですから、従業員に5.5%保証しておいて、運用益が-1.37%だったら6%以上、つまり単純計算しても60億円の差損が出るわけです。そういった意味では今時5.5%というような、あえて言えば非常に優遇されたところにいるものだから、また批判の対象になってしまうので、是非、この部分については改善を求めたいと思います。
 もう1点だけ、30頁の表でリーマンショック以降、マイナス運用になったというのはわかるのですが、21年度が20.61%というものすごいプラスですね。前年度の-19.53%というのはリーマンショックでわかるのですが、21年度がいきなり20%というものすごいプラスで、望ましいことですけれども、この理由は何ですか。わかる範囲で教えてください。
○木暮労災管理課長 これは、まさにリーマンショックの後、元に戻ったものもあるということです。一定のものは外国株式を運用していて、そのまま持っていて下がったけれども、また上がったものもあるということです。
○渡辺委員 22年度はポートフォリオは変えていないのですか。細かいことはいいのですが、全体の運用資産の配分は。
○木暮労災管理課長 少なくとも大きくは変えていないと聞いています。
○渡辺委員 それで、いきなり-1.37%。
○相川座長 よろしいですか。
○岩村委員 私も同じことを思っています。この30頁の表を見ると、各年度の運用利回りがそれぞれ出ていて、高いところもあると、いま渡辺委員が言及されたように20年度の-19.53%というのもあって、結局、ここに出ている6年だけを平均してみても1.89%なのです。ですから予定の運用利回りの5.5%を、はるかに割り込んだ水準になってしまっている。厚生労働省所管の労働関係の法人だからしようがないのかなとは思いますが、今時、厚生年金基金を抱えておく必要があるのかという気もします。解散できないような事情のあるところが、いま厚生年金基金として残っていて、ほかのはみんな確定給付なり確定拠出に移行してしまっていると思います。そうすると免除保険料率のところがどうなるとか、いろいろ動きがあるので単純ではないのですが、例えば代行を返上して確定給付で、かつ経理側の負担で経営不安を引き起こさないような形での制度選択をするというのは、十分に合理的な経営判断としてあり得ると思います。例えば代行返上すると言ったときに、どのくらいの返上額になるのか。国に返さなければいけないお金ですね、その辺を聞かせていただけるとありがたいのですが。
○相川座長 この辺は、福祉機構としては検討しているのでしょう。
○木暮労災管理課長 一応、確定拠出へ移行するということでのシミュレーションで申し上げますと。
○渡辺委員 確定拠出ですか。
○木暮労災管理課長 確定拠出です。確定拠出へ移行した場合で、もちろん解散してしまうという場合には、解散時の特別掛金367億円というのがかかるというシミュレーションになっていますが、そこまでいかなくて任意脱退して新たに創設した確定拠出で将来期間分から実施するとした場合には、脱退時の特別掛金は194億円必要であるということになっています。もちろん一時に194億円払うほうが、かえって安いという考え方もあるでしょうけれども、そういうことも含めて計算してシミュレーションすることは、機構のほうで開始していると聞いています。
○渡辺委員 何で確定拠出に決めてということですか。岩村先生がおっしゃったように、例えば代行返上して確定給付という選択肢もあるわけでしょう。何で確定拠出を前提になさるのか素朴な疑問です。
○木暮労災管理課長 これは、シミュレーションをいくつかしているうちの1つをご紹介したということです。別にどれがということを決めているわけではありません。
○渡辺委員 一般的には、厚年基金を代行返上して解散した場合、確定給付に移行するのが普通です。素朴な疑問と言ったのは、いきなり何で確定拠出を1つの例として、ここでお示しになるのか疑問だということです。
○相川座長 確定給付のシミュレーションのある程度のデータというのは、お持ちですか。
○木暮労災管理課長 いまは手元にないです。
○相川座長 次回に出していただきますけれども、いずれにせよ、この厚生年金基金に関しても検討が必要であるということでは、この検討会としてよろしいでしょうか。
○渡辺委員 お願いします。
○相川座長 そのほかに、いかがでしょうか。キャッシュとしてはずいぶん持っているのですね。質問ですが、29頁の円柱グラフの赤の施設整備費補助金は、実際に機器や建物にそれぞれ使われていたのですか。
○木暮労災管理課長 平成16年度から平成20年度のところは、基本的に建物に対する補助金です。
○相川座長 なるほど、施設整備ですね。
○木暮労災管理課長 機器に対するものについては、その前に廃止されていました。
○相川座長 そうすると、例えば平成20年度の83億円というのも建物に対する補助金であったと。
○木暮労災管理課長 そういうことです。
○相川座長 それで減価償却にも使われたということですね。
○木暮労災管理課長 はい。
○相川座長 それがなくなって翌年度は、今までの自己資金の73億円から平成21年度は79億円、つまり6億円分は自分でやったということで、よろしいですね。
○木暮労災管理課長 はい。
○相川座長 83億円の分が急に6億円でやらざるを得なかったと、そういう理解でよろしいですか。新たに建物を建てていたというところもあったのですか。
○木暮労災管理課長 建物は、基本的に自己資金は、例えば平成20年度で言うと18億円しか使っていませんので。
○相川座長 グリーンと間違えました。失礼しました。18億円が67億円、そうするとここで約50億円ですか。83億円がなくなった分、50億円自己資金でやったと。緑と青を読み間違えました。それで頑張っているということですね。いかがでしょうか。よろしいですか。いま、いくつかご意見をいただきましたので、この労災病院に関するところでも病院関係のところでも、よろしいでしょうか。あと医師の養成などをしているということもありました。ご意見がないようなので、資料2の第5回検討会宿題事項については以上とさせていただきます。この中でいくつかご意見も出ましたので、この次に対応させていただくということです。残りの時間で資料3のこれまでの議論を踏まえた検討すべき事項について、ご説明いただきます。
○片岡国立病院課長 資料3についてご説明いたします。資料3は2頁になっていますが、1頁が国立病院、労災病院の存在意義・役割、2頁が今後の在り方ということで整理しています。1頁の国立病院、労災病院の存在意義・役割の中の1つ目の○ですが、政策医療を提供する病院、公的な病院としての存在意義についてどう考えるか。その存在意義として、国の政策目標の下、結核、重症心身障害、筋ジストロフィー及び石綿関連疾患など、採算面から民間病院では必ずしも提供されないおそれのある医療の提供等が挙げられるのではないか。また公的な病院としての存在意義として、民間病院では困難なこともある医師の養成、救急医療の提供、臨床研究を含めた治験などが挙げられるのではないか。
 2つ目の○ですが、一般医療を提供する病院としての存在意義についてです。政策医療だけでなく、一般医療の提供、地域医療への貢献などについても、自治体病院等への影響も勘案しつつ、力を入れる必要があるのではないか。
 3つ目の○ですが、政策医療を行うに当たっての役割についてどう考えるか。政策医療そのものの提供に加え、臨床データを活用した調査研究に基づく政策医療に係る診療指針等、例えばモデル予防法やモデル医療技術の開発、全国斉一的な労災認定の審査方法の確立等を民間病院等に対して発信することなどが挙げられるのではないか。
 4つ目の○ですが、国立病院、労災病院それぞれの個別病院の特徴を発信していくべきではないか。情報発信ということですが、国立病院、労災病院が近接する場合等において、効率的に医療を受けられるよう、相互の特徴的な機能について患者が情報を得られる仕組みがあると良いのではないか、ということです。
 2頁ですが、国立病院、労災病院の今後の在り方ということで、3点整理しています。1つ目が今後の方向性についてです。長期的には統合もあり得るが、それまでには個別に抱える経営問題の解決や両法人の労働条件の統一化等いくつものステップが必要であり、現時点では両病院間の連携をいかに強めるかを議論すべきではないか。
 2つ目は政策医療の在り方についてです。政策医療の定義、範囲についてどう考えるか。救急医療、メンタルヘルス等を含め、幅広く捉える必要があるのではないか。政策医療と一般医療の関係についてどう考えるか。政策医療に係る質の維持・向上のため、また、政策医療に係る赤字補填のためにも一般医療は重要ではないか。一般医療で政策医療の赤字を補填するという構造をどう考えるか。政策医療は政策医療で成り立つよう国からの補助があって然るべきではないか。
 3つ目は連携の在り方についてです。メリットがあると考えられる部分、例えば診療情報の収集・共有、共同研究、IT関係のネット共有、医療機器等の共同購入などについて連携を進めてはどうか。他機関、例えば産業医科大学などとの連携についてどう考えるか。国立病院、労災病院間での人事交流についてどう考えるか。疾病に応じてお互いに患者を紹介する等の連携を進めてはどうか。以上です。
○相川座長 ということですが、これについて、これからご意見を伺い、また議論を進めたいと思います。その前に本日欠席ですが、新谷委員からご意見をいただいていますので、管理課長、よろしいですか。簡単に新谷委員のご意見をご紹介いただいて、その後、議論をしたいと思います。説明してください。
○木暮労災管理課長 文書で意見をいただいておりますので、読み上げさせていただきます。1.基本的な考え方。(1)国立病院、労災病院は、民間では提供できない高度・専門的な機能・役割、現在担っている政策医療を継続的に提供すべきである。(2)国立病院、労災病院は、双方の連携を強化するのみならず、民間病院との連携も強化し、日本の医療水準の向上・発展に寄与すべきである。(3)国立病院、労災病院は、地域医療計画上の位置付け、医療圏ごとの医療資源に着目し医療提供すべきであるが、地域医療間の格差、医療の過疎化等に配慮すべきである。2.これまでの議論を踏まえた検討すべき事項。(1)国立病院、労災病院の存在意義・役割。国立病院、労災病院は、「政策医療の提供」「医師の養成、救急医療の提供、臨床研究の治験」等民間病院では困難な機能・役割を継続的に提供すべきである。臨床データを活用した政策医療に係る診療指針等を民間病院に対し発信することは重要であり、民間病院の医療技術の向上に資することが必要である。(2)国立病院、労災病院の今後の在り方。?今後の方向性について。経営課題、双方の法人の労働条件の相違などの課題があることは理解するものの、本検討会では中長期における大きな方向性を示し、それに向けた課題・アクションプランを作ることが必要である。?政策医療の在り方について。政策医療の定義、範囲について、透明性を確保した上での検討が必要である。これまでに蓄積のない医療分野を強化する際には、既に積極的に取り組んでいる医療機関との連携・統合などを視野に入れた検討が必要である。一般診療の収益を充てて、政策医療の赤字を補填するという考え方は、政策医療の不安定性と一般医療の軽視に繋がりかねず、望ましい在り方ではない。将来的には政策医療については公費を負担する考えで対応すべきであり、公費を拠出する以上は国民に見える形でPDCAサイクルを回すべきである。?連携の在り方について。医療提供体制の在り方として、医療機関の機能別分化を進めると共に、連携を強化すべきであると考える。患者の紹介や逆紹介については、国立病院・労災病院間に限った取り組みでなく、地域医療における連携体制の在り方として検討すべきである。労災病院が政策的医療として掲げている「治療と就労の両立支援」は、国立病院でも取り組めるテーマであり、お互いのネットワークを活かしながら更に連携を図ることが可能である。
○相川座長 というようなご意見です。工藤委員、ありがとうございました。
                (工藤委員早退)
○相川座長 このことについて議論したいと思います。ご質問、ご意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。渡辺委員、どうぞ。
○渡辺委員 この資料3の特に2頁の政策医療と一般医療の関係について、どう考えるかというのは重要で、新谷委員のご意見にも含まれていましたけれども、一般医療で赤字補填するというのは表現的にあるのかもしれませんが、例えば先ほどの行政刷新会議の資料の10頁にもはっきり書いているとおり、これを意識するかどうかは別として、10頁のいちばん下のパラグラフの医療関係法人等には「自己収入の増加に努めつつ」とはっきり書いてあって、私はこれは賛成です。国立病院機構もそうだと思いますし、自治体病院のことも前回、私は触れましたが、国公立あるいは公的病院は政策医療だけやっていればいいんだと、民間ができないことをやっていればいいんだというのは、ちょっと私は極論だと思います。住民の立場あるいは患者の立場からすると、公的病院が一般医療をやってくれること、救急医療、急性期を含めてやることを住民も望んでいることは、データはないにしても明らかだと思います。そういった意味から一般医療も放棄すべきではないし、政策医療だけに特化して、それを公的な財源で賄うという考え方は私は反対です。一般医療をやって住民の要望にも応え、なおかつ赤字も補填するという考え方は両立すると思います。そういうことは独法であろうと他の法人であろうと、自ら収入を得てきちんと政策医療というか、民間がやらないこともやるというのは、本来の国公立病院の在り方ではないかと私は考えています。とりあえず以上です。
○相川座長 これも、この在り方の基本に関することなので、いまの渡辺先生のご意見に関して皆さんのご意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○岩村委員 私も、いまの渡辺委員のお考えとほぼ同じで、国立病院や労災病院は政策医療だけやっていればいいんだということになると、実際には医師なり看護師の技能の維持とか向上ということも、たぶんできなくなってしまうということもあり、やはり一般医療というのはきちっとやっていただく。そしてまた地域医療の中で然るべき役割を果たしていただくということが、当該地域にとっても、また広い意味での医療政策にとっても重要なのではないかと思っています。
 政策医療というところになると、公費で補助するということも場合によっては必要だと私も思いますが、他方で税金を投入するということになれば、最近の言い方で言えば目的をきちっと明確にして、できるだけ効率的にということになるので、そういう意味でも各病院においては、一般医療についてきちっと経営努力していただいて、なお、それで足りない部分について公費を投入していくというほうが、より議論として公費投入の説得性が増すのかなという感じを私は持っています。
○相川座長 という意見ですが、ほかの委員の方々、いかがでしょうか。いまの岩村先生の補填に関しては、最初からすべて補填ということではなくて、一般医療でもそれをやりつつ、どうしてもこのぐらい足りないということになったら、それに対してはほかのということ。
○岩村委員 そこのところの仕分けは非常に難しいのですが、最初から国の補助ありきという議論をすると、いまの財政状況の中でなかなかそれは通らないところがあるので、自助努力できちっとやっていますと。しかし、どうしてもこれだけコストがかかってしまって、それを一般医療で補っていくのは限界があるというところが、ポイントなのではないかという気はいたします。
○相川座長 政策医療の中でも、例えば結核のように一般の感染症と結核は何が違うのかというところもあるし、じん肺のように労働に関係して起きた疾患に対する政策医療がありますね。先ほどちょっと意見が出たのですが、例えば結核のようなところは診療報酬をもうちょっと上げるとか、その一部は税金が来ているわけですけれども、そういうような対策もあるのかなと思います。必ずしも簡単に補填というところにジャンプしないでということです。
○岩村委員 おっしゃるところは、そうなのでしょうけれども、なかなか全体としてみんなお金がない中でということになってしまうので、その中でどういうふうに考えるかということだと思います。
○相川座長 部長さん、何かございますか。
○鈴木労災補償部長 政策医療と一般的に言われる中でもいくつか分かれて、特に先進的なものとセーフティネットの大きく2つに分かれています。先進的なものでも研究的なのは研究費、あるいはどうしても必要であれば公費でというのもあります。高度医療については、なるべく均てん化するために診療報酬で評価していただくということで、これは公費をあまり注ぎ込む要素はないと思いますね、移行期は別ですけれども。それからセーフティネットでも2つあって、重症心身障害児病棟のようにほぼ満床の場合は必要な労力、人件費ですね、それと必要な薬剤がかかっているので、そういうものは以前、包括点数になってペイできるようにというか、ほぼ収支トントンというようなことができました。ただ、結核病棟は、例えば40床とか構えて人を配置していても埋まらないというのがあるのです。地域の事情で集約できないというのがあって、そういう場合には労力が空振りになっているところがあり、これは単価を上げようとしても診療報酬の考え方からして無理があるのです。50床の所に25人しかいないから単価を倍にしてくれと言われても、基本的な考え方として無理だと思いますので、そういうあたりは公的機関としてのセーフティネットの役割として、ある程度、一般診療費で賄えない部分は公費を注ぎ込むというのは、社会的使命としてあるのかなと思います。大きくそういうふうに分かれると思います。
○相川座長 ということでございます。ほかにいかがでしょうか。2頁の真ん中の○のところ以外でも、ご意見をいただきたいと思います。
○高橋委員 いまの2頁の真ん中の延長でもう1つあります。政策医療に係る赤字補填のために一般医療は重要だということで、政策医療を担いながら赤字補填を自分の稼ぎで面倒を見ると読めます。言わば、ボランタリーな部分が出てくるのですが、その3行下に、国からの補助があって然るべきではないかという考えも示されています。これは時系列的に、一般的にそういうことでやっておいて、補償額が明確になったら国からの補助を入れればいいのか。それとも最初から医療政策というものをきちんと特定して、補助は民間やほかの自治体病院とは違って切り分けて考える、そういうスタンスで考えていくのかということとで違います。いま事務局が腹案バッテリーとして考えていることがありましたら、ご紹介いただきたいと思います。
○相川座長 まずそこのところ、事務局としてどうですか。真ん中の・を見ると、一般医療で儲けて、政策医療の赤字補填をしてはどうかというスタンスにも読めますよね。だから、いま言ったように政策医療自身がいろいろな形の政策医療があるし、もう1つは、政策医療のスキルの維持や医師のスキルの維持ということもあって、一般医療は重要だということもある。この「赤字補填のためにも」というところが強調されているようですが、室長、どうですか。
○宇口国立病院機構管理室長 冒頭、ご報告したとおり、現在の独法分科会を含む改革の中でも運営費交付金という形で、独立行政法人は一項一目の予算ということで一般財源から頂戴しているのですが、この交付金が入るがために国民に対しての説明という形になってきますので、国立病院機構、労災双方でありますけれども、逆の意味で難しいところもある。診療部分に運営費交付金が充たっているということになると、民間イコールフッティングの観点ということになるのですが、我々所管サイドからすると、政策医療に公費が入って然るべきではないかということをいろいろ説明しても、なかなか棲み分けというのが難しい。先ほどの結核みたいなわかりやすい例もないわけではないのですが、だからといって1病棟だけの本当の赤字部分というのを、きれいに積算できるかというのは、1回目、2回目のときにもございましたように、病院全体のチームワークで仕事をしているために、部門別の原価計算まではなかなか難しいというのがあります。
 ですから交付金というものから、ひとつのご意見というか示唆ですけれども、病院事業というのは独法制度から一歩踏み出した、新しい枠組で作ったらどうかというご意見が分科会でも出ているのです。その背景にあるのは運営費交付金というお金ではなくて、きちっと内訳が付いたような予算、一般財源の補填に移行してはどうかという考えもあるのではないかということで、いま高橋先生がご指摘になった点は、方向性として普通の不採算のところは一般医療で頑張ってやりますけれども、先ほどのお話のように国の委託を受けて実施する政策医療の部分については、それなりの財源措置が必要ではないか。もし、これがうまく完成して、国民に対してきちっと説明さえすれば、きれいな形はきれいな形なのですが、いま運営費交付金は、そういうピンポイントだけでは説明できない仕組みになっているところが問題になっていて、そういう議論は独法分科会の中でもされているのではないかと思います。
○相川座長 ということですが、どうでしょう。
○高橋委員 例えば労災病院ですと、財源は国からと言いながら労災特別会計から出ています。したがって、産業界の議論では、そういう産業界特有のオキュペーショナルな問題については、ある程度補填というか、リーズナブルなお金の使い方をしてもらっていいのではないかという意見があります。自分のところで稼いでそれを転用して独立採算でやるというのも、1つの方向性としてあると思いますが、いきなりそれを両組織にお願いするというのは、ちょっと無理がある感じがしました。今後どうあるべきか私も考えてみたいと思います。
 もう1つ、その下にある連携の在り方の中の3行目で、「産業医科大学などとの連携について」とあります。産業界から見ていると、既に産業医科大学は「産業」と付いていますので、特に労災病院とは、いろいろな形の連携が進んでいると思っていたのですが、これから考えると読めます。現状では特に何もしていないと理解してよろしいのでしょうか。
○木暮労災管理課長 何もしていないということではなくて、いわゆる個人プレー的要素がかなり大きいので、もうちょっと組織立って考えようという趣旨です。
○相川座長 研究とか資料の交換、データベースということで、労災の予防とか労災の診断対象ということなのでしょうかね、1つには。
○木暮労災管理課長 そうですね。もうちょっと連携を密にしてシステマティックにやっていったほうが、日本全体のためになるのかなということです。
○相川座長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。渡辺委員、どうぞ。
○渡辺委員 前も私は言ったのですが、自治体病院との比較というか参考というか、自治体病院も同じように効率が悪いから地方独法にしろと。そうしたら、ご案内のとおり総務省は2007年に改革ガイドラインを出して、赤字のところは駄目だよと言った。ちょっと調べてみたら、市町村合併ということもあって、自治体病院が2006年8月に1,051あったのが、2010年8月、つまり丸4年経って938に減ったと。これは総務省の指導もあったのだろうけれども、確かに合併によって要らないと、あるいは県立病院と市民病院が近くにあったら一緒にしろとか、そういうような現場も見てきたわけです。1,051あったのが4年間で938ということは、あまり減ってないという印象もあるので、これまた逆に言えば地元住民から、どうしてもなくさないでくれということがあったと思います。
 私はこの検討会に出させていただいて、自治体病院のこの数年間の動きが脳裏にちらちらするのですが、そういった意味で住民サイドからすると医療機関、特に公的医療機関が経営の問題だけで赤字になって統廃合ということで、銚子市民もいい例ですね。あれによって千葉の旭のほうに行かなければならなくなって、歩いて行けたのがバスで40分かかるといった現場の声もある。もちろん現場の声を重視して赤字でもいいということにならないけれども、是非、そういう視点を失わないでいただきたいと思います。何か効率化だけで統廃合するのはどうなのか。本部は効率化するのが当然だけれども、医療現場という意味では自治体病院にも影響するし、自治体病院からも学ぶ点はあると思います。感想めいた話で恐縮ですが、以上です。
○相川座長 1頁の2つ目の○の1ポツのところにも、「地域医療への貢献などについても、自治体病院等への影響も勘案しつつ」とあって、そういうご発言だったかと思います。そういう方向でよろしいですか。そのほかにいかがでしょうか。山田委員、どうぞ。
○山田委員 皆さんのお話を伺っていて、大体、そういう方向で私はいいと思っていますが、一般医療は当然、国病も労災病院もしっかりやっていただいて、政策医療に関する赤字については、そちらから回すというのが原則的に考えられることだろうと思います。ただ、ひとつ思ったのは、先ほどいただいた資料2の9頁のところでじん肺の例だけですけれども、一般医療とじん肺の中で収益が非常に低い部分というのは、いわゆる入院基本料のところが非常に低いと。それは在院日数が長いためだと書いて説明が付いていましたので、こういうところは診療報酬の扱いを変えることによって、補填ができるのではないかと思ったのですが、診療報酬を変えるのもなかなか難しいというお話ですので、そうなると国からの補填ということは、当然、やってもらわなければいけないだろうと思っています。
 それから先ほど発言しなかったのですが、国立病院機構、労災病院個々の病院の統合というのは、地域医療の中で考えていくべき問題であり、この2つの機構だけの問題ではなくて、そのほかの病院を全部含めた形で統合というのは考えていくべきだろうと思います。近くにあるから統合を検討していくという問題ではないのではないかと思います。それだけ一言追加させていただきます。
○相川座長 近くの病院に関しては、1回目、2回目で指摘が出たので、こういうのもあるということを少し具体化したのですが、これがあるから統合しろという意味ではなくて、むしろこの2つの病院もそれぞれの機能を果たしているので、すぐ統合、合併ということではないというニュアンスも含めて、ご意見をいただいたわけです。ほかにいかがでしょうか。時間もだんだん迫ってまいりましたが、これから2回ほどの委員会で中間報告を出していく予定になっています。先ほどいただいたいくつかのご意見についても検討すべき事項の中には入れておきますが、先ほどの国立病院、労災病院間の人事交流というのは、2頁の下から2行目に書いてありますけれども、なかなか難しそうですね。これは何か方策はないのですかね。岩村先生、難しいですか。
○岩村委員 そういう意味では冒頭にご説明になった、国立病院機構について医療法の適用のある形での法人形態にして、非公務員化するということになると、人事制度については非常にフリーハンドが大きくなりますので、かなりいろいろなことができるようになる。例えば地方公共団体の病院、先ほどお話が出た公立病院との人事交流というのも、向こうさんの問題もありますが、やりやすくなるのかどうか。その辺はいかがなのでしょうか。向こうが公務員だと、またちょっと難しいとは思いますが。
○松尾大臣官房参事官 こちらが公務員の場合は、地方公務員と同じだと思いますが、実は人事交流をすると退職金の通算規定が常に付いて回ります。向こうの受け手のほうに退職金の通算規定があれば、そのまま異動して戻って来ても退職金は通算されますけれども、そういうのが自治体によって違うので、そういうことを調べながら人事交流をしていかないといけない。ただ、通常の場合は県庁とか市町村であれば人事交流できるのですが、医療機関になるとまた就業規則が違いますので。
○相川座長 ほかにいかがでしょうか。渡辺委員、どうぞ。
○渡辺委員 2頁のところで、先ほど岩村先生がご指摘なさったけれども、政策医療だけやっていると例えば若い医師がそこで研修しようとしても、なかなかできないというのは相川先生も十分ご承知のとおりです。そこで一般医療というものを若い医師がやりながら、政策医療を学んでいくわけでしょうから、そういった研修や医師の養成ということをやる上で一般医療が重要であることを、ここで書く必要があるのではないかと思いました。
○相川座長 それは前に私も意見を出させていただきましたが、医師の養成のためには政策医療だけでなく一般医療、これは患者さんのサービスということも含めてですけれども、医師養成にも重要であるということです。そのほかに相澤先生、どうぞ。
○相澤委員 人事交流とか業務提携というのはなかなか難しいとは思います。最後の○の1つ目の・にありますように、診療情報の収集や共同研究と言っても実行はなかなか難しいので、例えば職業災害などに関する労災病院の学会がありますから、国立病院の学会があるかどうか知りませんけれども、そういう所と共同でやるとか、政策医療についてどういうふうにするかディスカッションする場をつくるとか、あるいは共同研究をやるとか、そういった出会いの場を作ることも1つの提案させていただきたいと思います。
○相川座長 情報交換ですね。前にも言ったかもしれませんが、例えばせき損に関して国立病院の村山はずいぶんやっているわけで、また労災病院でもそれなりにやっているということですから、例えばせき損のデータベースなどを国立と労災の両方の病院で共有して、学会でも出すけれども、お互いに共有することによって更に診断、治療、予防に関する研究を進めるということも、連継としてはあり得るかなと思っています。あとは先生がおっしゃったように同じ学会などの出会いの場ということですね。よろしいでしょうか。ほかにいかがですか。大体議論も煮詰まってきたようですけれども、そのほかによろしいでしょうか。連携あるいは統合というのはなかなか難しいという理解ですけれども、それなりに改善をするということはわかりました。またここには書いてありませんが、先ほどご指摘のあった厚生年金基金のことも意見は大体収束したと思いますが、そういう意見もあるということで検討会の報告書に入れるかどうかは別として、この時点では認識しておきたいと思います。よろしいですか。定刻が近づいてきましたが、いかがですか。本日の議論としてはこれでよろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、本検討会のこれからのことについてお話したいのですが、次回の第7回に関しては論点、課題の整理について再度議論を行った上で、次々回、第8回において今後の方向性の整理、報告書の取りまとめを行いたいということで進めたいと思います。10月に視察があったのですが、開催できず、スケジュールが後ろ倒しになっていますので、1カ月ほど後ろ倒しになるかと思いますが、第7回を12月中に日程調整させていただいて開催し、第8回は1月に開催して、先ほどの報告書の取りまとめをしたいと事務局とも相談して考えているところですが、このような方針でよろしいでしょうか。先生方、大変お忙しいお仕事をお持ちなので、また日程調整をすぐに開始させていただきたいと思います。それでは事務局から何かありますか。
○木暮労災管理課長 次回の日程については、またご連絡を申し上げます。
○相川座長 よろしいでしょうか。それでは委員の方々、本日はお忙しいところ活発なご意見をいただきました。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局国立病院課国立病院機構管理室
 運営管理係 尾崎・荒井(内線2635)
労働基準局労災補償部労災管理課
 企画調整係 飯田・松本(内線5437)
(代表)03(5253)1111

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