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2011年12月16日 障害年金の認定(関節の機能等)に関する専門家会合(第1回)議事録

○日時

平成23年12月16日(金)10:00~12:00


○場所

経済産業省別館10階各省庁共用1020号会議室


○出席者

委員

池田修一委員 伊藤康夫委員 岩谷力委員
土肥徳秀委員 飛松好子委員

○議題

(1) 年金制度の概要
(2) 関節の機能等に係る障害認定について
(3) その他

○議事

○(事務局) 定刻になりましたので、ただいまより障害年金の認定(関節の機能等)に関する専門家会合を開催いたします。
 本日は、大変お忙しい中、この会合にお越しいただきまして、まことにありがとうございます。
 本会合の座長が決まるまでの間、事務局のほうで進行役を務めさせていただきます。私は、年金局事業管理課給付事業室で室長補佐をしております杵渕と申します。よろしくお願いいたします。
 今回は、初の会合でございますので、本来であれば皆様に参集のお願いをした大臣官房年金管理審議官からごあいさつさせていただくところですが、本日、所用により出席できなくなってしまいました。
 そこで、まことに恐縮ではございますが、年金局事業管理課給付事業室長の新からごあいさつをさせていただきたいと思います。
○(新給付事業室長) 給付事業室長の新でございます。よろしくお願いいたします。
 審議官の今別府が、きょう、党の関係の用で、どうしても参ることができませんので、お許しをいただきましてごあいさつさせていただきます。
 先生方におかれましては、平素から厚生労働行政に多大なご協力を賜りまして、ありがとうございます。また、このたびは本会合の委員をお引き受けくださいまして、心から御礼を申し上げます。
 ご案内のとおりでございますが、障害年金の制度は障害者の方々の生活を支える大きな重要な柱となっております。この制度を適正、公平に運営していくためには、障害年金を認定する際の判断基準の見直しが大変重要となってくると考えておりまして、厚生労働省といたしましても、この基準を順次見直してまいりたいと考えております。
 今回、先生方にお集まりをいただきましたのは、障害年金の認定のうち、関節の機能等について、新しい医学的知見等からの表現の明確化等をお願いしたいという趣旨でございます。
 本会合におきましては、先生方の専門的な知見に基づきまして、どうか忌憚のないご意見あるいは活発なご議論をお願い申し上げまして、簡単ではございますが、私からのごあいさつとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○(事務局) 続きまして、委員の皆様をご紹介いたします。
 資料1のほうに委員名簿を添付させていただいておりますので、お名前のみの紹介とさせていただきます。
 五十音順で、池田委員でございます。
○(池田委員) よろしくお願いいたします。
○(事務局) 伊藤委員でございます。
○(伊藤委員) よろしくお願いします。
○(事務局) 岩谷委員でございます。
○(岩谷委員) よろしくお願いします。
○(事務局) 土肥委員でございます。
○(土肥委員) よろしくお願いします。
○(事務局) 飛松委員でございます。
○(飛松委員) 飛松でございます。
○(事務局) 以上が委員の皆様方です。
 続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。
 ただいまあいさつを申し上げました事業管理課給付事業室長の新でございます。
○(新給付事業室長) よろしくお願いいたします。
○(事務局) 医療専門官の荒木でございます。
○(荒木医療専門官) よろしくお願いいたします。
○(事務局) 障害認定企画専門官の小杉でございます。
○(小杉障害認定企画専門官) よろしくお願いいたします。
○(事務局) 障害給付専門官の渡邊でございます。
○(渡邊障害給付専門官) よろしくお願いいたします。
○(事務局) また、事務局側といたしまして、障害年金の認定を行っている日本年金機構の海老原年金給付部長。
○(海老原年金給付部長) 海老原でございます。よろしくお願いします。
○(事務局) 郡山障害年金業務部長が出席してございます。
○(郡山障害年金業務部長) よろしくお願いいたします。
○(事務局) 以上、よろしくお願いいたします。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。
 お手元の議事次第のもと、資料1といたしまして「委員名簿」、資料2は「障害年金制度の概要」、資料3は「見直しにあたっての課題と論点」、それから資料4は「国民年金・厚生年金保険障害認定基準〔事務局見直し案(たたき台)〕」、以上の資料のほか、参考資料をお配りしております。お手元にございますでしょうか、不足がありましたらお申し出いただければと思います。
 それから、この会合の運営につきまして、少し説明をさせていただきます。
 本会合は、個人に関する情報を保護する必要がある場合などを除き公開とさせていただきます。したがいまして、会合の内容は厚生労働省のホームページに議事録として掲載される予定でございますので、あらかじめご了承くださいますようお願いいたします。
 続きまして、本会合の座長をお選びいただきたいと存じます。
 互選ということにしておりますので、どなたかご推薦いただけますでしょうか。
 ○○委員、どうぞ。
○(○○委員) 僣越ながら、○○先生にお願いしたいと思います。
○(事務局) 皆さん、よろしゅうございますでしょうか。
 〔「異議なし」の声あり〕
○(事務局) 特に異議もないようですので、○○委員にお願いすることとさせていただきたいと思います。
 それでは、座長から一言ごあいさつをお願いします。
○(座長) おはようございます。○○でございます。
 皆様、お集まりいただきまして、ありがとうございます。私、座長を仰せつかりましたので、一生懸命この問題について皆さんと審議してまいりたいと思います。
 私も、障害認定基準では身体障害者手帳の障害認定基準などについて、ここ何年間か取り組んできました。こういう制度は昔につくられたものでありまして、認定の基準は、時代によってどんどん変わっていくものであります。
 例えば、いい例が医療の進歩で、今までとてもそんなことは考えられなかったような障害があらわれてきたり、以前はもっと重症であった障害が、今は軽症化しているなどにより、いろいろな問題が生じています。身体障害者手帳の認定基準についても、いろいろなところから、いろいろご意見をいただいているわけであります。それらのご指摘やご意見をうけて、制度を適宜、変えていくということは、いろんな点で、難しい点があるということも承知しております。特に、社会の発展によって、障害に対する理念、どこまで障害を公的に保障するか、制度としてどのように設計するかなど、非常に大きな問題に直面しております。
 今回のご議論も、そのような延長上にあるものというふうに理解しておりまして、制度を改めるということは、ステークホルダーの方もいろいろいらっしゃいますので、なかなか一筋縄ではいかないところがあるということも知っております。
 ですから、バランスがとれて、そしてなおかつ心が通った制度に少しずつ変えていくということが重要だというふうに思っておりますので、どうぞ委員の皆様方にはよろしくお願いいたします。
○(事務局) ありがとうございました。
 それでは、以後の進行を座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○(座長) それでは、議事に入らせていただきます。
 本日の議事につきましては、議事次第がございますので、この内容に沿って、まずは「障害年金制度の概要説明」を事務局からお願いいたします。
○(事務局) それでは、お手元にございます資料2、「障害年金制度の概要」についてご説明いたします。
 障害年金とは、年金制度に加入している被保険者や被保険者であった方が病気やけがで日常生活に支障を来している場合などに、所得保障を行う制度です。
 厚生労働省は、自営業や学生などが加入する国民年金と、サラリーマン等が加入する厚生年金保険を所管しており、これらの被保険者等に、老齢、障害、遺族年金の給付を行っております。
 国民年金から支給する年金を基礎年金、厚生年金保険から支給する年金を厚生年金といいます。基礎年金については、すべての国民共通の年金としていることから、厚生年金の被保険者のほか、公務員や学校の先生などが加入する共済組合の組合員も国民年金にあわせて加入する仕組みとなっております。したがって、一定の要件を満たせば、厚生年金と基礎年金、または共済年金と基礎年金が給付されます。
 それでは、まず障害基礎年金についてご説明いたします。
 最初の障害基礎年金のところをごらんください。1番、障害基礎年金の支給要件です。
 障害基礎年金は、国民年金の被保険者、または被保険者であった方で60歳以上65歳未満で日本国内にお住まいの方が、病気やけがで受診した日、これを初診日といいますが、この初診日から1年6カ月たった日あるいは1年6カ月経過していない場合でも症状が固定した日、これを障害認定日といいますが、この日において1級または2級の障害の状態にある方に支給されます。
 ただし、障害の状態が1級または2級の障害の状態にあっても、次のいずれかの納付要件を満たしていなければ障害基礎年金は支給されません。
 1つ目が、マル1の初診日の属する月の前々月までに保険料を納付しなければならない期間の3分の2以上の保険料納付または保険料免除期間があること、いわゆる3分の2要件です。
 2つ目は、マル2の初診日の属する月の前々月までの1年間に未納がないこと、すなわち納付すべき保険料があった場合には、未納がないことが条件となります。これが直近1年の納付要件でございます。
 マル1またはマル2の要件を満たして初めて障害基礎年金が支給されます。これが支給要件ですが、二十歳前に既に障害の状態にある方には例外規定が設けられております。
 次の2番、二十歳前に初診日がある場合です。障害基礎年金は、被保険者が保険料を納付している間に、病気やけがで収入を得られなくなった場合の所得保障であることは既にご説明いたしましたが、国民年金に強制加入する前に、既に障害の状態にある方については、障害基礎年金を支給することになっています。これを二十歳前障害と呼んでおりますが、通常の障害基礎年金は、国民年金の加入と保険料納付及び障害の状態、これらの3つを要件としておりますが、二十歳前障害については、対象の障害の初診日が二十歳前であり、障害認定日において障害等級に該当することが要件となっておりまして、国民年金の加入中であることや、保険料納付の要件はございません。
 ただし、本人が保険料納付をしていないことから、下の注意書きにありますとおり、所得制限が設けられておりまして、本人の所得が多いときは、年金の全部または一部が支給停止になることとなっております。
 いずれかの要件で障害基礎年金を受給することができた場合には、障害の程度により支給される年金額が異なります。
 3番の年金額のところでございますが、平成23年度の金額を表示しております。年金額については、物価の変動などにより変わりまして、障害基礎年金の年金額のベースは老齢基礎年金の満額の金額です。40年間保険料を納付した場合に、満額の老齢基礎年金を受給することができますが、2級の障害の場合にこの満額の金額が支給されます。現在は、年額78万8,900円、月額6万5,741円になります。
 1級の障害については、2級の障害の額に1.25倍した額と定められておりますので、年額98万6,100円、月額8万2,175円が支給されます。また、障害基礎年金を受ける方に18歳未満の子があるときは、子の加算として、第1子、第2子は年額22万7,000円、第3子以降は年額7万5,600円が基本の年金額に加算されます。
 以上が障害基礎年金の支給要件と年金額でございます。
 1枚めくっていただきまして裏側になります。
 次に、障害厚生年金についてご説明いたします。
 障害厚生年金は、厚生年金保険の加入期間中に初診日のある病気やけがにより障害の状態となった方に支給されます。
 厚生年金保険の被保険者は、国民年金にも加入しておりますので、納付要件は障害基礎年金と同様です。障害厚生年金については、障害の等級が1級から3級まであり、3級は厚生年金の独自給付になります。その他、年金を受けるほどの障害の状態ではないですが、障害の状態が残ったときは、一時金として障害手当金が支給されます。
 支給される年金の額ですが、2の年金額に記載されておりますように、2級の障害の場合が報酬比例相当額、1級の障害の場合は報酬比例相当額の1.25倍の金額が支給されます。
 ここで言う報酬比例相当額とは、請求者の厚生年金被保険者期間中の給与の金額を平均したものに、一定の料率と被保険者月数を掛けて算出するもので、給与の額に応じて納めた保険料が異なりますので、これらを給付に反映させたものが報酬比例部分です。
 また、1級と2級については、厚生年金保険の加入者は国民年金にも加入していることから、基礎年金もあわせて支給されます。3級については、厚生年金保険独自の給付ですので、報酬比例相当額のみが支給されます。
 次のページに移っていただきまして、次に障害等級の例でございますが、先に下の(注)の「障害等級の考え方」からご説明いたします。
 障害等級1級から障害手当金までの各等級の障害の状態を示したものを記載しておりますが、例えば1級の「日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度の障害」などが具体的にどのような状態であるかといいますと、これは、ちょっとまた資料が移るんですけれども、お手元にあります参考1の資料、一番分厚い資料なんですけれども、そこの3ページをごらんください。3ページといっても5枚ぐらいめくるんですけれども、ここに、各等級の障害の程度として、1級は日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものとなっておりまして、これは、他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度のものをいいます。
 例えば、身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできない。家庭内の生活で言えば、活動の範囲がおおむね就床室内に限られるもの、病院内の生活で言えば、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるものをいいます。
 2級は、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものをいいます。これは、必ずしも他人の助けを借りる必要はないですが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度のものをいいます。
 例えば、家庭内の極めて温和な活動はできるが、それ以上の活動はできない。活動の範囲がおおむね家屋内に限られるものであり、病院内の生活で言えば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるものとなっております。
 続きまして、3級は、労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものをいいます。
 さらに、(4)障害手当金でございますが、労働が制限を受けるか、または労働に制限を加えることを必要とする程度のものとなっております。
 この障害の程度の基本として、障害基礎年金、障害厚生年金の障害の等級や障害の状態が国民年金法施行令別表と厚生年金保険法施行令別表第1及び第2に定められております。それは何のことかといいますと、今、見られている参考1の資料の一番後ろのページを見てください。105ページから107ページがそれに当たります。
 ごらんのとおり、目、耳、肢体、体幹機能、精神など、それぞれの部位ごとの障害の状態が等級別に記載されております。これを見ながら障害等級に当てはまるかどうか判断してまいります。
 もう一度、恐れ入ります、最初の資料2の先ほど見ていた障害等級の例のところに戻っていただきたいのですが、肢体の障害を例にご説明しますと、1級は、両下肢の機能に著しい障害を有するものとなっており、これは、歩く、立ち上がるなどの日常生活における動作がすべてできない場合に当たります。2級は、一下肢の機能に著しい障害を有するものとなっており、一下肢の3大関節のうち、2関節の筋力が著減または消失の場合などです。
 また、障害厚生年金のみにある3級については、一下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃している場合などでございます。
 これで大まかに障害年金の各等級の程度はおわかりいただけたと思います。
 以上、簡単でございますが、障害年金制度の概要の説明を終わります。
○(座長) ありがとうございます。何か委員の皆様方、ご質問ございませんでしょうか。いかがでしょうか。
 私は、身体障害手帳と対比させての確認でありますけれども、資料2の最後のページの両下肢の機能に著しい障害を有するものというのは、移動能力、移動ということ以外に、何か概念的にはあるのでしょうか。例えば、今、歩けないと言いましたよね。自分では歩けないということを両下肢の機能の著しい障害ということに、ほぼイコールというふうに考えているのでしょうか。それ以外に、何か機能の著しい障害に当たる動作の問題というのが何かあるでしょうか。
○(事務局) 現行の1級のほうでは、歩く以外に、立ち上がる、階段をおりる、登る、あるいは片足で立つという日常生活における動作をもって判定することとなっておりまして、それ以外といいますと特には……。
○(座長) そこの確認です。
○(事務局) 今の肢体の機能のところなんですが、著しい障害に関しては、要は日常生活の中でどういう機能の不具合があるかという見方をしています。
 逆に、それ以外のところについては、2級以降は機能に障害を有するとかというふうに言っていますが、そこについては、それぞれの関節の可動域とか、そういったもので見ていますので、今の認定基準の中では、その機能に関するところの判定の仕方が、日常生活で見るものと、それから可動域とか、そういったもので見るものというふうに、今は別々になっている部分があって、そこが、今、本来は全体で見るべきじゃないかというのが我々の中で今思っているところではあります。
○(座長) これが、すぐにダブルスタンダードみたいな話になってしまって、都合のいいときにこっち、都合のいいときにこっちということになるおそれがありましょう。両下肢の機能というものに、平地の歩行、階段歩行、それから起き上がり、立ち上がりなどの動作のどこまでが含まれるのでしょうか。階段がない生活はあり得るわけですから、それは、日常生活上、不便さということになります。それは環境によって随分影響を受けてくるわけですから、この場合は、平地は歩けるけれども、階段は登れないといったら、1級になるのですかという質問ですが、いかがでしょうか。
○(事務局) 今の認定基準の中では、動作を幾つか示していますので、その動作の幾つかが全部できなければ著しいというような判断をしているところです。
 その動作についても、当然、上肢、下肢によっても主要な動作が違いますので、どの程度、日常生活に支障があるとかいうのを幾つかの動作から判断させていただいていますので、それが、今の実際に例示しているもので、本当にいいのかどうかというところはございますので、そこも先生方のご議論になるところかなと思っています。
○(座長) もう一つは、診断書と、それから最終的な認定の基準、要するに等級認定についてですが、医者が診断書を書き、等級認定は行政的にというか制度的に判断されるのですね。
○(事務局) はい。できるだけそこの日常生活のところを判断するように、今の年金の診断書も、裏面にそういったところを比較的細かく書いていただけるようにはしてございます。
 今回、改正に当たっても、そこのところは重要視したいと考えていますので、先生方にまた後ほど診断書のこともご相談させていただくということです。
○(座長) そのあたりも確認事項として重要と思います。
 よろしいですか、ほかに質問はございませんか。
 もう一つ、こっちの参考資料の1のほうの3ページの、1級のところに、他人の介助を受けなければ、ほとんど自分の用を弁ずることができないということと、例えば身の回りのことをかろうじてできるが、それ以上の活動はできないということとが書いてあるのですけど、これはちょっと次元の違う話だと思うんです。
 介助と、辛うじてできるということとは、どういうふうに関係をつけているのか、どういうふうにやっているのですか。それをちょっと教えていただきたいのです。
○(事務局) 大変難しいところなんですが、実は、外部障害と内部障害では、恐らく日常生活のこういった支障度も違うと思うのですが、もともと年金自体が、すべの障害をこういう1級、2級、3級という形の大きな枠で日常生活の支障度を書いているものですから、多分この書かれている中身によっては、その日常生活として外部障害にはそぐわないようなところがあるのではないかと思うのですが、基本的にこの制度をつくって、認定基準をつくったときには、おそらく十分な補助具がないとき、今の方は、いろいろな補助用具を使って、日常生活ができちゃう人もいらっしゃいますので、そういったものが全くないとしたら、どのぐらい日常生活に支障があるのかというところで判断をするように、この障害の程度がつくられていますので、身の回りのことが辛うじてできるかというのは、そういった補装具とか、そういうものがなくて、自分でどの程度できるかということなので、私たちのこの解釈の中では、ほとんど全介助を要するような方が1級というふうに判断して、今、認定の先生方もご判断いただいていると思います。
○(座長) よろしいでしょうか。これが結構後でいろいろと問題になる。
 それから、身の回りのことが辛うじてできるがという、その意味するところは、内部障害の場合には、介助というものが、必ずしも介助が必要かどうかということを問うことじゃなくて、心臓の機能が非常に落ちていて、また肺の機能が非常に落ちていて、それでなかなか自分の基本的なADL動作がやることは困難だと、そういうふうに解釈すればよろしいわけですね。
○(事務局) はい、そうです。
○(座長) よろしいですか。
 それでは、続きまして現行の関節の機能等に係る障害認定の説明について、これを事務局にお願いいたします。
○(事務局) それでは、「現行の関節の機能等に係る障害認定の説明」について説明します。
 今もごらんになっていますが、お手元の参考資料1、国民年金・厚生年金保険障害認定基準をごらんください。
 これが、現在、使用している障害認定基準となっておりまして、この障害認定基準の位置づけとしましては、国民年金法、厚生年金保険法にて障害の等級を定めています。その下に、先ほど説明いたしました、一番後ろにくっついていた国民年金法施行令別表、厚生年金保険法施行令別表第1、第2があります。ただ、それだけでは実際に障害等級を決定するのは難しいので、具体的な例示などでわかりやすく説明したものが障害認定基準です。
 1枚めくっていただきまして、目次をごらんいただきたいんですけれども、真ん中の「第3 障害認定に当たっての基準」から、「第1章 障害等級認定基準」とありまして、第1節からずっと書いてあるんですけれども、第1節は「眼の障害」、第2節は「聴覚の障害」というふうに、障害の部位ごとに、全部で、19の節で構成されております。 
 今回、検討の見直しをいたします関節の機能等については、「第7節 肢体の障害」にありまして、15ページをごらんください。
 まず肢体の障害というのは、大きく4つに区分されておりまして、1つは「上肢の障害」、ほかに「下肢の障害」、「体幹・脊柱の機能の障害」、「肢体の機能の障害」と4つに区分されております。そのうち、「上肢の障害」、「下肢の障害」、「体幹・脊柱の機能の障害」は、腕、足、背骨、それぞれに区分して障害の状態を定めています。
 「上肢の障害」、「下肢の障害」、「体幹・脊柱の機能の障害」については、主として関節の可動域や筋力の障害を評価し、肢体の機能の障害は、脳血管障害や脊髄損傷などにより、四肢の広範囲に及ぶ多発性障害の場合に使用する基準となっております。これは、関節個々の障害の状態を判断するよりも、身体機能の障害を総合的に認定したほうが合理的であるという考えから、主に日常生活における動作で認定する形になっております。
 それでは、まず第1の「上肢の障害」から説明いたします。
 先ほど説明いたしました認定基準の国民年金法施行令別表、厚生年金保険法施行令別表の第1、第2のうち、上肢に関するものがここに抜粋して記載されております。しかし、この施行令別表に規定する障害の状態だけでは、個々に異なる障害の状態を各等級に当てはめていくことは難しいので、具体的な説明が必要であることから、ページを1枚めくっていただきまして、17ページの2の認定要領にて、認定基準に示した具体的な障害の状態を細かく規定しております。
 「上肢の障害」は、障害の性質により「機能障害」、「欠損障害」、「変形障害」の3つに区分されております。今回の改正では、「欠損障害」、「変形障害」につきましては、特段、変更する予定はございませんので、「機能障害」のみ簡単にご説明させていただきます。
 「機能障害」は、日常生活における動作や関節可動域、筋力の状態によって障害の程度がどの程度なのかを判断します。
 最初の2の(1)機能障害のアの一上肢の機能に著しい障害を有するものとは、片腕の肩、ひじ、手の3つの関節のうち、2関節以上が不良肢位で強直しているもの、あるいは関節の他動可動域が、健康な側の腕と比べて2分の1以下に制限され、かつ筋力が半減以下のもの、または筋力が著減または消失しているものと、この3つのうちどれかに該当していれば2級と認定されます。
 次のイの両上肢の用を全く廃した場合ですが、両上肢の用を全く廃した状態であれば、関節可動域の筋力などの規定ではなく、日常生活における動作で判断することとしております。
 (ア)から(カ)までの動作が補助用具をつけない状態で全くできない場合において1級となります。
 次のウ、エ、オの部分でございますが、関節可動域の制限についての規定でして、関節可動域の測定が、まず自動可動域、自分で動かすことのできるものとなっておりまして、障害のあるほうの腕が、健康なほうの腕と比べて制限の範囲が2分の1以下であるものを、関節の用を廃したもの、3分の2以下であるものを、関節に著しい機能障害を残すもの、5分の4以下であるものを、関節に機能障害を残すものと定義しております。
 次の18ページの一番上のクにつきましては、これは指の障害について定義しております。(2)と(3)、欠損障害、変形障害ですので、説明を割愛させていただきます。
 (4)以降につきましては、関節可動域の測定方法や障害の認定する時期あるいは人工関節を入れたときの認定など、特記すべきことを記載しております。
 また、もう一度、ページをめくっていただきまして、20ページの「下肢の障害」でございますが、ここの「下肢の障害」は、基本的には上肢の障害と同じです。「機能障害」、「欠損障害」、「変形障害」と同じように分かれておりまして、さらに下肢独特の「短縮障害」があります。この説明につきましては、上肢の規定と全く同様ですので、ここは省略させていただきます。
 続きまして、2枚めくっていただきまして24ページ、「第3 体幹・脊柱の機能の障害」のところを説明いたします。
 「体幹・脊柱の機能の障害」は、体幹の機能の障害と脊柱の機能の障害に分かれています。体幹の機能の障害は、アは、体幹の障害のため座ることのできない程度または立ち上がることができない程度の障害を1級と規定し、イは歩くことのできない程度の障害を2級と規定しております。
 ページを移りまして(2)脊柱の機能の障害は、さらに荷重機能障害と運動機能障害に分かれておりまして、荷重機能障害は日常生活における動作、運動機能障害は関節可動域にて認定しております。例えば脊柱の自動可動域が参考可動域の2分の1以下に制限されたものは3級と認定しております。
 続きまして、もう一ページめくっていただきまして、「第4 肢体の機能の障害」について説明いたします。
 この項目は、先ほどもちょっと触れましたけれども、脳血管障害や脊髄損傷などの多発性障害の場合に使用する基準です。障害の範囲が広範囲に起こっているときは、個々の障害よりも身体の機能を総合的に評価したほうがよいという観点から、関節可動域、筋力、日常生活動作等の身体機能を総合的に認定し、障害等級を決定することとしております。
 具体的には、27ページの上の表のところなんですけれども、四肢、一上肢及び一下肢、両上肢、一上肢、両下肢、一下肢のそれぞれの障害の状態に応じて、障害の程度を決定します。
 その表の中に、用を全く廃したものですとか、機能に相当程度の障害を残すものとかありますけれども、それは、次のまた28ページの(4)のところで説明がございまして、「用を全く廃したもの」とは、日常生活動作のすべてが「一人で全くできない場合」又はこれに近い状態をいい、「機能に相当程度の障害を残すもの」とは、日常生活動作の多くが「一人で全くできない場合」又は日常生活動作のほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」をいう。
 「機能障害を残すもの」とは、日常生活動作の一部が「一人で全くできない場合」又はほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」と規定しております。これらの規定を参考に、障害等級を決定しております。
 以上、簡単でございますが、現行の認定基準の説明を終わらせていただきます。
○(座長) ありがとうございました。
 ご質問はございませんでしょうか、いかがでしょうか。
 大体、確認事項と思いますけれども、よろしいでしょうか。17ページのところで、また細かなことを言って恐縮ですが、(1)のイの「両上肢の用を全く廃した場合には」といって、「次のような動作を行うことが全くできないものである」という記載があります。全くできないというのは、時間的な要素はどれぐらい考慮しているのでしょうか。例えば頸椎損傷の人というのは、車いすからベッドに移るのに何とか頑張ればできますが、日常的な実用性にはほとんどないという状況があります。全くできないということは、どこをもって全くできないと、時間的には頑張って頑張ればできるということだってあり得るわけですが、どこをもって全くできないと判断しておられるのでしょうか。
○(事務局) 実際そこまでの明確な規定はないんですよ。
○(座長) 規定上は多分ないと思うのです。ですから、どのように判断されているのですか。
○(事務局) 実際のところは、作成医の先生方のご判断にお任せしております。
 今、一番最後の参考で、診断書の様式をおつけしているのですけれども、そこにもここと同じような書きぶりしかしていませんので、できる、できないのニュアンスについては、実際のところは、主治医の先生が診断書を書くに当たって、その方の動作を診ていただいて、できる、できないと判断していただいているというのが現実でございます。
○(座長) はい、ありがとうございます。○○先生、どうですか。
○(○○委員) 意見はありません。
○(座長) 現実的にそういうことはあるのですよね。障害者の自立という話をしているときに、自分で何でもできるようにすることが大事だといわれ、そういう訓練をしますが、それが必ずしも日常生活上実用的かどうかは問題があります。ベッドからトイレに行って、トイレで用を足してくるのに何時間もかかるんだったら、全くできないと判断することだって現実にはあると思うのです。実際には頸椎損傷の人でトイレに行って2時間も座っているという人もいますし、全くできないということを、どこで判断するのかという判断基準が、今なければないということを確認したかったのです。そういうことが起こっているということも現実です。
 全くできないというのは、時間的な要素を入れずに、今は入ってないということの確認だけです。
 もう一つは、これも、文章上の問題、18ページの(5)関節可動域の評価については、「各関節の最も主要な運動を重視し」と、最も主要な運動というのは、大体、基準があるのですか。
○(事務局) 現行の基準では、特に規定がなく、先生方にお任せしますので、今回、新たに定義をして、その定義の内容が、妥当であるかどうか、先生方にご意見をいただきたいというふうに考えております。
○(座長) ありがとうございました。
 それから、19ページの(10)のアですけれども、「一上肢の3大関節のうち、1関節又は2関節に人工骨頭又は人工関節をそう入置換したもの又は両上肢の3大関節のうち,1関節にそれぞれ人工骨頭又は人工関節をそう入したものは、3級と認定する」と書いてあります。これは要するにこう解釈していいかどうかの話ですけれども、一側でも2関節以上、または両側でも2関節以上に、人工関節、人工骨頭が入っていたら3級にするというふうに解釈するのですか。
○(事務局) そうですね。片足に1つまたは2つ、あるいは両足に1つずつ入っていた場合は3級と認定する。
○(座長) 一側下肢の3大関節のうち1関節または2関節にとありますが、これは1関節でもいいということになるわけですよね。
○(事務局) そうです。
○(座長) そうすると、両上肢の3大関節のうち1関節にというと、これは……。
○(事務局) 両腕に1つずつということですね。
○(座長) それは2つということですよね。
○(事務局) はい。
○(座長) 何かそれは、何となく量的な関係からいうとおかしいのではないかと思います。ちょっと理解しにくいところですけど、片方の関節、片方の上肢であれば、とにかく1つでも入っていたら3級という意味なんですか。
○(事務局) そうですね。1つでも入れば、まず3級というふうに認定されます。
○(座長) 2つ入っても3級ですね。
○(事務局) そうです。
○(座長) 両側に入っていても3級ですね。
○(事務局) 両足に1つずつ、合計2個でも3級となります。
○(座長) 一側に2つ入っていても……。
○(事務局) 3級です。
○(座長) 1つ入っていても2つ入っていても3級ですね。
○(事務局) 3級です。
○(座長) よろしいでしょうか。それが今の規定だそうです。
○(○○委員) 十数年前に全国の認定医の会議というのが開かれまして、運用上、両側2関節ずつ、合計4関節、人工関節が入っている場合は2級とするという、おおよそのコンセンサスが得られているとのお話はありました。
○(座長) つまりこれは、実際は障害等級認定の話ですから、医師の診断書のレベルとは違うレベルの話です。患者さんたちが、先生、等級を高くしてくださいと言われることがあります。あたかもその医者が等級を決めているかのように、お考えになる方が多いのです。本当は、医者は診断書を書く、最終的に等級を決めるのは、行政的な判断によって決められる仕組みとなっているのです。そういうことを確認したかったのです。
○(○○委員) 認定医をさせていただいているわけですけれども、その場合、単に何関節に人工関節が入っているかだけではなくて、例えば1関節であっても、いわゆる緩みなどが生じて、支持性がほとんどない場合、その場合などは、日常生活動作のこちらのところに△×なり×なりが記載してありますので、あるいは筋力のところが記載してありますので、そうしたものも勘案しながら認定しております。
 ですから、こちらのほうでは、わかりやすく何関節は記載してあるんですが、実際、認定上は、そういう総合的に判断しているというのが実態だと思います。
○(座長) ありがとうございます。
 それから、もう一つ、これも確認です。228ページの(4)のアのところに、「用を全く廃したもの」とは、「日常生活動作のすべてが」と書いてありますが、日常生活動作のすべてというのは、これは、(3)アとイとウ、この項目をすべてと言って解釈していいですか。
○(事務局) それぞれです。上肢の障害の方であれば、上肢の機能がどうかというところで見ますので、当然、下肢は動くわけですから、日常生活動作と言っているこの(3)と(4)で総合的に見ることになるのですけれども、それぞれ上肢であれば上肢、下肢であれば下肢の機能の日常生活動作のアからオというのができるかどうか、上肢であればアからカができるかどうかというところの判断になります。
○(座長) それは、書式上の問題になるわけですけれども、要するに肢体の機能の場合には、これが書いてあるわけですよね。
○(事務局) そうです。
○(座長) 肢体の機能を評価する場合には、これだけのことを対象とするという、そういう意味ですよね。
○(事務局) そうですね。大前提は、日常生活が全く用を弁ずると言っていますけれども、それは内部疾患とかも含めて大きな枠で言っていますので、実際に細かく見ていくときには、こちらの肢体の場合であれば、肢体の機能の日常生活動作で判断をするということになります。
○(座長) 要するに上肢の機能があって、下肢の機能があって、肢体があるわけですから、肢体の機能の障害として判定する場合には、その場合の日常生活動作のすべてというのは、これがすべてという意味ですね。
○(事務局) はい、そういうことです。
○(座長) そういうことですね。そこの確認です。
 よろしいでしょうか。
 それでは、「見直しにあたっての課題等について」説明をいただきたいと思います。事務局、お願いします。
○(事務局) 「見直しにあたっての課題等について」は、資料3の「見直しにあたっての課題と論点」と資料4の「国民年金・厚生年金保険障害認定基準〔事務局見直し案(たたき台)〕」でご説明させていただきます。
 それでは、まず資料3の「見直しにあたっての課題と論点」についてご説明させていただきます。それでは、始めます。
 最初に1、「第1 上肢の障害」、「第2 下肢の障害」における上(下)肢の3大関節に係る機能障害についてをご説明いたします。
 現行の認定基準においては、上肢の障害と下肢の障害では、両上肢・両下肢の機能障害について、障害の状態を判断する規定は1級の規定しかなく、2級及び3級の規定はございません。2級と3級は、一上肢、一下肢ごとの規定となっておりまして、これについては、先ほど説明いたしました、また参考資料1なんですけれども、ここの20ページをごらんください。
 20ページ、施行令別表の箇所を抜粋した表でございますが、まず1級については、1級の上のほう、「両下肢の機能に著しい障害を有するもの」、これは、1級は両下肢の規定です。
 次、2級なんですけれども、2級は、2級の真ん中、「一下肢の機能に著しい障害を有するもの」、3級については、一番上です、「一下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの」と、一下肢の障害が規定されているのがわかると思います。
 また、もう一度、資料3のほうに戻っていただきまして、判定方法なんですけれども、1級は日常生活における動作による方法で、2級と3級は関節の動く範囲や筋力の状態による方法となっておりまして、認定方法が異なっています。このため、両下肢に機能障害を持つ方を認定する際に、ちょっと苦慮しているところでございますが、一つの例として、1枚めくっていただいて、次のページの資料3の参考1をごらんください。
 一番左の枠、「2 認定要領」(11)3級の規定のところでございますが、片足に人工骨頭または人工関節を1つか2つ、または両足に1つずつそう入置換した場合の障害等級は、原則3級となっております。しかし、そう入置換しても状態が悪い場合は、「一下肢の用を全く廃したもの」、いわゆる2級以上に該当した場合は、さらに上位等級に認定するとの規定がありまして、すみません、真ん中の(1)機能障害の上位等級(2級)の規定のところでございますが、片足の1関節または2関節に機能障害がある場合の2級の規定はあるんですけれども、両足の規定はありません。
 両足の規定は何かというと、一番右の枠、1級相当の障害の状態に関する規定しかありませんで、その下のほうのアスタリスクで、太字で書かれておりますように、日常生活における動作で判定しておりますが、その左側、真ん中の枠の下のアスタリスクで、太字で書かれている2級以下は片足の関節の動く範囲や筋力の状態で判定しております。
 このため、両足にそう入置換しても状態が悪い場合の2級の判定は、「第2 下肢の障害」ではなく、「第4 肢体の機能の障害」、これは先ほど多発性障害の場合に使用する基準でございますが、その下にあるアスタリスクの太字にありますが、日常生活における動作の障害を重視する規定がございますので、そこを類推適用しております。
 何でこのように判定したかといいますと、変形性股関節症で両足に人工関節を装着したケースにおいて、障害の程度で争われた裁判がありまして、「第2 下肢の障害」に両下肢の2級に関する規定がないからといって、片足ごとに認定するのではなく、片足のみに障害がある場合と両足に障害がある場合とでは日常生活の支障の度合いが異なるのだから、両足の障害がある場合は「第4 肢体の機能の障害」を使って判断するべきではないかという判決が出されたからです。そのため、現在はこういうケースでは第4の肢体の機能の障害を使用して認定しております。
 しかしながら、私どもは、その判決は両足の障害の程度について、2級に関する規定がなかったがために、そのように判決されたと考えて、類推適用して第4肢体の機能の障害を代用するのではなく、やはりこれは下肢の基準にきちっと設けるのが望ましいと考えました。
 資料3の1にまた戻っていただきまして、1の2つ目の丸の矢印の下にありますように、1級は日常生活で、2級と3級は関節可動域や筋力で評価していた両足と両腕の3大関節については、1級から3級までの各障害等級の判定を「関節の動く範囲や筋力の状態」と、「日常生活における動作」も考慮した方法に変更しようと考えております。この変更した内容が妥当であるかどうかを先生方にご議論いただきたいと存じます。
 続きまして、2番の「第7節/肢体の障害」における障害の区分けについてご説明いたします。
 先ほどもご説明いたしましたが、「第7節 肢体の障害」というのが、「上肢の障害」、「下肢の障害」、「体幹・脊柱の障害」、「肢体の機能の障害」の4つに区分されております。
 このうち、例えば片足の機能障害で言えば、「下肢の障害」と「肢体の機能の障害」にそれぞれ規定があり、上肢の障害にも同じことが言えます。同じ部位であっても2つの基準があります。
 また、両手、両足については、「第1 上肢の障害」「第2 下肢の障害」における上肢・下肢の3大関節に係る機能障害についてで若干ご説明いたしましたが、両上肢の障害、両下肢の障害には、2級と3級については規定がないため、「第4 肢体の機能の障害」を類推適用しているという状況です。
 具体的には、2枚目ほどめくっていただきまして、資料3の参考2をごらんください。
 左側が現行の認定の図でございますが、片腕、片足については、Ⓐ「第1 上肢の障害」「第2 下肢の障害」に、まず関節の動く範囲や筋力の状態で判定する方法がございます。Ⓑ「第4 肢体の機能の障害」には日常生活における動作の障害を重視して判定する方法があります。Ⓒの両腕と両足については、先ほどご説明したとおり、類推適用している。
 このとおり、Ⓐ、Ⓑ二通りの判断基準が存在している部分と、Ⓒの類推適用している部分がございますので、ここを整理して、障害の範囲が両腕と片腕の場合は「上肢の障害」で、障害の範囲が、両足、片足の場合は「下肢の障害」で認定することとして、「第4 肢体の機能の障害」は、障害の範囲が、両腕、両足または片腕、片足など広範囲にわたる場合に評価するということに整理しました。
 これにより、「第4 肢体の機能の障害」にある両腕と片腕の部位、両足と片足の部位の規定をそれぞれ「第1 上肢の障害」、「第2 下肢の障害」へ引っ越しさせた形にしようとしております。
 ここで、もう一度、資料3の2のほうに戻っていただきまして、一番下の部分の矢印の下にあるように、そのように整理した考え方が妥当であるかどうか、先生方にご意見を伺いたいというふうに考えております。
 次に、まためくっていただきまして、資料3の裏面をごらんください。
 3番の「関節可動域の測定方法と評価について」ご説明いたします。「第1 上肢の障害」、「第2 下肢の障害」、「第3 体幹・脊柱の機能の障害」において、関節可動域の測定方法は、原則として他動運動によると示しています。
 しかし、関節の障害のある状態の説明においては、先ほどちょっと説明したとおり、自動運動により関節可動域を評価する表記となっております。
 これは、また資料が飛んで申しわけないんですけれども、また2ページめくっていただきまして、資料3の参考3をごらんください。
 認定基準の中では、関節可動域の測定方法は、別紙「肢体の障害関係の測定方法」によると規定しておりますが、その別紙においては、日本整形外科学会と日本リハビリテーション医学会が制定する別添「関節可動域表示ならびに測定方法」によることとするとあり、これは原則として他動運動による測定値を表記するとされています。
 しかしながら、関節の動きを評価する際には、障害のある関節と健康なほうの関節を自動運動による測定で評価しておりますので、今回これを他動運動による測定に整理することといたしました。この「関節可動域表示ならびに測定方法」は、平成7年2月に自動運動による測定値から他動運動による測定値に変更されておりまして、労災の基準は、それにあわせて平成12年に、関節可動域の測定につきましては自動可動域から他動可動域に変えておりますが、年金は、平成14年に改正する機会があったんですが、何も変更されることなく現在に至っております。
 また、もう一度、資料3の裏面の3の(1)に戻っていただきまして、自動から他動に変えるわけなんですけれども、その場合、先ほど関節の可動域の制限の際に、2分の1、3分の2、5分の4というふうに制限の範囲を申し上げました。これを自動から他動に変えた場合にも、このままでいいのかどうかというのをご議論いただきたいと考えております。
 また、先ほど座長のほうからご指摘がありましたけれども、関節可動域を評価する際に、最も主要な動きを重視し、ほかの運動は参考にするとありながら、主要な動きは何なのか定義されておりませんでした。今回、見直しにおいて主要な動きを定義する予定でございますので、その内容が妥当であるかどうかもご意見をいただきたいと考えております。
 ここで、ちょっと注意点でございますが、今回の見直しに当たっては、先ほどの認定基準、施行令別表の改正は予定しておりません。したがって、現行の基準をいかに適正に運営していくかとの趣旨で、見直しを行っておりますので、障害の程度の変更は伴わない、行うものではないということを申し添えます。
 これで「見直しにあたっての課題と論点」の説明を終わらせていただきますが、またもう一度、資料3の表に戻っていただきまして、2番の「第7節/肢体の障害」における障害の区分けについての部分でございますが、この項目が実は今回の改正の根幹の部分でありまして、この区分けがあって、この一番の「第1 上肢の障害」、「第2 下肢の障害」における上(下)肢の3大関節に係る機能障害についての見直しを図れるものとなっております。
 なので、まず最初にもう一度飛んで申しわけないですけど、2枚めくっていただきまして、資料3の参考2、「第7節/肢体の障害」における障害の区分けにつきましては、このような形に整理するということでいかがでしょうか。
○(座長) どうですか。今ご説明いただいたわけですけれども、何か質問はございますでしょうか、いかがですか。
○(○○委員) 細かいことですが、資料3の参考1の表記のことですが、読み上げ上、片足は「カタアシ」と発音するのが適切かと思いますが、表記上は一下肢、両下肢とした方がいいかと思います。
○(事務局) 説明では片腕とか片足とか申し上げましたけども、もちろん認定基準は、両下肢、一下肢というふうに、記載する所存です。
○(○○委員) この参考資料は公開されるんですよね。
○(事務局) されます。
○(○○委員) それでは、このアスタリスクの片足、両足は足部を意味しますので、一下肢、両下肢としていただいたほうがよろしいのではないでしょうか。
○(事務局) はい。
○(座長) ありがとうございます。
 ほかにございませんでしょうか。よろしゅうございますか、参考2のところでは、概念上このようにまとめたら、こういう表示がされるということでありまして、正式に現行のこの表があるんですか。その現行という上肢の障害、A、B、C、これはないですよね、こういう表は。この表はあるんですか、どこか規定の中に。
○(事務局) 現行の基準の中にはないです。
○(座長) ないですよね。ですから、この表というか、この枠組みはあくまでも概念的にこういうものにするという意味であります。
 肢体の機能の障害は、日常生活動作の不自由さによって判断する。それと、日常生活活動の不自由さを証明する身体的な機能の異常がある場合、これをもって、肢体の機能の障害の障害程度を含むとすると、そういうことでありますし、上肢の障害、下肢の障害、体幹・脊柱の機能の障害は、その肢体の各関節の動き、または筋力の程度と、それから日常生活活動への不自由さの程度の両方をもって等級判定すると、そういうことですよね。
 これは極めてリーズナブルな話と思います。よろしいでしょうか。
 それから、もう一つ、これも確認で、参考資料のところの61年3月に、原則、関節の自動可動域の制限によると書いてありますけど、この61年3月の原則、右側、これはどういう意味ですか。
○(事務局) 今の新年金法が61年4月からスタートしたときに、それまでの厚生年金と国民年金の基準を合わせたものです。そのときに自動という整理をしております。
○(座長) じゃ、厚生年金とその……。
○(事務局) 国民年金を別々の年金として支給していたものが、一つの年金という形に、61年4月に基礎年金制度を導入された際になりましたので、そこで……。
○(座長) そういう意味ですね。
○(事務局) そこで基準をつくり直しております。
○(座長) ありがとうございます。
 よろしいですか、次にこのような区分けですね。論点2の「第7節/肢体の障害」における障害の区分け、つまり参考2というような仕組みにするということについては、これはよろしゅうございますでしょうか。特にリーズナブルな話だと思いますけれども、ご異議ございませんでしょうか、よろしいですか。これはそういうことをお認めいただくということでさせていただきます。
 この論点の整理が終わりましたので、その他の質問、よろしいですね。
 その次に、では資料4について、たたき台としての見直し案を作成させていただいておりますので、引き続き説明をしてください。
○(事務局) 資料4につきましては、資料3の「見直しに当たっての課題と論点」を踏まえて、あらかじめ事務局で認定現場の意見を整理して、たたき台として見直し案をご用意いたしました。
 委員の皆様には、これから議論していただくに当たって、認定基準のイメージや見直ししたいと考えている部分をご理解いただければと存じます。
 それでは、資料4「国民年金・厚生年金保険障害認定基準〔事務局見直し案(たたき台)〕」についてご説明させていただきます。
 このたたき台は、厚生労働省において検討すべきと判断したものや、日本年金機構で認定に携わる先生方あるいは事務担当者からの意見、要望を整理して、どのような点を見直すのかなど日本年金機構と議論してまいりました。その上で、日本年金機構において、現場の業務に沿った内容であるかなどを整理したものです。
 なお、次回の会合で、これらの変更についての趣旨をご説明いたしますので、確認したい項目ごとにご意見をいただいて、内容を決めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 先ほど「見直しにあたっての課題と論点」をご説明いたしましたが、まずは障害の区分の整理の関係で、「第4 肢体の機能の障害」、資料4の14ページからご説明させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 では、14ページの部分でございますが、ここは、先ほど「見直しにあたっての課題と論点」の2の「第7節/肢体の機能の障害」における障害の区分けについて、肢体の機能の障害にある両腕と片腕の規定は「第1 上肢の障害」へ、両足と片足の障害は「第2 下肢の障害」へ移したと説明いたしました。そのため、1の認定基準の表から障害手当金の部分を削除しております。これは、障害手当金というのは、一上肢、一下肢の規定しかないので削除したということです。
 また、下にいきまして2の認定要領(1)のところでございますが、ここは、「第4 肢体の機能の障害」の要件の定義で、どこの規定で認定するのか区分けを整理しましたので、次のように書きぶりを改めました。
 肢体の障害が上肢及び下肢などの広範囲にわたる障害(脳血管障害、脊髄損傷等の脊髄の器質障害、進行性筋ジストロフィー等)の場合には、本節「第1 上肢の障害」「第2 下肢の障害」及び「第3 体幹・脊柱の機能の障害」に示したそれぞれの認定基準と認定要領によらず、「第4 肢体の機能の障害」として関節可動域、運動筋力、日常生活における動作の身体機能を総合的に認定するとしております。
 続きまして、(2)ですが、ここは「日常生活動作」を「日常生活における動作」に変更したのみです。
 次、15ページに移っていただきまして、上のほうに「障害の程度」と「障害の状態」の表がございますが、先ほどご説明したとおり、両上肢、一上肢、両下肢、一下肢の規定はそれぞれ引っ越しをしたということでございますので、その規定を削除しております。
 また、表の下に注意書きを加えまして、肢体の機能の障害が両上肢、一上肢、両下肢、一下肢、体幹及び脊柱の範囲内に限られている場合には、それぞれの認定基準と認定要領によって認定することと追記をしております。
 続きまして、(3)でございますが、ここでの「日常生活動作」は「日常生活における動作」という文言に変更し、ウの「下肢の機能」の日常生活における動作のところでございますが、項目の順番をかえて、歩くという部分を屋内と屋外に分けました。片足で立つ、歩く(屋内)、歩く(屋外)、立ち上がる、階段を登る、階段を降りると変更しております。
 また、なお書き以降の手指の機能と上肢の機能とは、切り離して評価することなく云々というこの文言でございますが、これは、新たに追加したものではなくて、次の裏側の16ページの右側の(5)から移してきたものでございます。
 続きまして、(4)のところでございますが、ここも、「日常生活動作」を「日常生活における動作」としたものです。
 以上が「第4 肢体の機能の障害」の変更点でございます。
 次に、7ページの「第2 下肢の障害」をご説明いたします。
 まず、最初にお断りしておきたいのが、「第1 上肢の障害」と「第2 下肢の障害」は、認定基準の構成がほとんど同じでございますので、変更点については、「第2 下肢の障害」を説明して、「第1 上肢の障害」は省略させていただきます。
 7ページ、「第2 下肢の障害」の「1 認定基準」の左側をごらんください。事務局見直し案(たたき台)のほうです。
 まず、認定基準の表の2級の4つ目のほうに、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする云々と記載してありますが、これをまず追加しております。
 次、3級につきましても、上から5つ目、身体の機能に労働が著しい制限を受ける云々という項目を追加、及び一番下の障害手当金のところでございますが、6つ目、下線の引いてある部分、身体の機能に、労働が制限を受けるか云々という項目をそれぞれ追加しました。
 これは、先ほどの「見直しの課題と論点」の2の障害の区分けの部分の説明で、「肢体の機能の障害」にあった両上肢、一上肢、両下肢、一下肢の規定をそれぞれ「上肢の障害」、「下肢の障害」へ引っ越し、移したと申し上げましたので、もう一度、14ページの「第4 肢体の機能の障害」のほうをみていただきたいんですけれども、その14ページの「1 認定基準」右側の2級、3級、障害手当金の障害状態の表、ここに書いてある文言を引っ越しで移したということでございます。そのため、下肢の障害の認定基準の表の2級、3級、障害手当金の最後に追記をしたということでございます。
 次に、8ページのほうに移っていただきまして、先ほども何度か申し上げましたけれども、現行の基準では、1級は両下肢の日常生活の規定しかなく、2級及び3級は、一下肢の関節可動域、筋力による規定しかありません。
 「見直しにあたっての課題と論点」の説明にて、これを改めて、1級から3級について、それぞれ両下肢の機能障害の規定を設けたというふうにご説明いたしました。その最初は、まず最初の2の認定要領(1)のアでございます。
 「両下肢の機能に著しい障害を有するもの」として、両下肢の3大関節中それぞれ2関節以上が、例えば不良肢位で強直しているもの、あるいは関節の他動可動域が、別紙「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減、もしくは筋力が著減又は消失していれば1級に相当すると。ただし、両下肢にそれぞれの膝関節のみが100度屈位の強直である場合のように、両下肢の3大関節中単にそれぞれ1関節の用を全く廃するにすぎない場合であっても、その両下肢を歩行時に使用することができない場合には、「両下肢の用を全く廃したもの」と認定する。
 なお、認定に当たっては、一下肢のみに障害がある場合に比して日常生活における動作に制約が加わることから、その動作を考慮して総合的に判断すると変更しております。
 次のイでございますが、これはすぐ右側のアの「一下肢の機能に著しい障害を残すもの」の字句を修正したのみです。
  また、右側のただし書きの下線の引いてある部分、「一側下肢長が他側下肢長の4分の1以上短縮している場合」というのは、これは短縮に関する内容でございますので、短縮障害の欄に移動させております。
 次のウでございますが、これは両下肢の2級の規定です。先ほども説明しましたが、「第4 肢体の機能の障害」から引っ越したものです。この身体の機能云々というかぎ括弧の中身と、あと少し進んで「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」、これが「第4 肢体の機能の障害」から移行したものです。
 「第4 肢体の機能の障害」では、日常生活における動作を重視して判定することとなっておりますが、「第2 下肢の障害」に引っ越したことから、括弧書きに関節の動く範囲や筋力の状態を明記しております。例えば以降の文章のことです。
 なお書き以降につきましては、上記のアで説明しましたとおり、両下肢については同様に規定をしております。
 次のエでございますが、これは、資料3でご説明したとおり、単に「自動可動域」を「他動可動域」に変更しただけです。
 次のオでございますが、ここも「自動可動域」を「他動可動域」に変更しておりまして、ページがかわって9ページのほうでございますが、「同程度の障害を残すもの」として、例えば、常時ではないが、固定装具を必要とする程度の動揺関節と習慣性脱臼をいうと例示を追加しております。
 さらに(注)、これは右側のオから来ているものなんですけれども、「自動可動域」を「他動可動域」に変更しまして、さらに同程度の障害を残すものとして固定装具を必要としない程度の動揺関節と習慣性脱臼と変更し、これに該当する場合は、第2章「併合等認定基準(併合判定参考表の12号)」に留意することと追加しております。
 次のカの「足趾の用を廃したもの」の説明ですが、これも右側のカの(イ)の「自動可動域」を「他動可動域」に変更しただけです。
 次のキでございますが、これは3級の規定として追加しました。
 ウと同様に「身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか」云々と、その後の「両下肢に機能障害」を残すもの、これが「第4 肢体の機能の障害」にある例示から引っ越しをさせたものです。このキの3級の規定は、一下肢の規定と両下肢の規定、両方ありますが、一下肢の規定につきましては、これはもともとありまして、ページをめくっていただきまして、11ページの右側の真ん中よりちょっと下の(10)から移したものです。
 すみません。もう一度また9ページに戻っていただきまして、キの両下肢の規定はウと同様に「関節の動く範囲や筋力の状態」を明記しております。
 なお書き以降については、上記アで説明いたしましたとおり、両下肢については同様の規定となっております。
 次のク、人工骨頭または人工関節をそう入置換した場合の規定です。これは、またもう一度めくっていただきまして、11ページの右側の一番下の(11)を移してきたものです。
 9ページに戻っていただきまして、(ア)は、最初の4行は字句の修正のみ、ただし書き以降は2級以上への規定となっております。このうち両下肢についての規定は新たに追加しております。
 続きまして、クの(イ)でございますが、ここは、単なる字句の修正で、「起算して」を追加したのみです。
 続きまして、次のケでございますが、一下肢の障害手当金相当の規定として追加をしたものです。先ほど説明いたしましたウとキ同様に「身体の機能に、労働の制限を受けるか」云々の中身と、一下肢に機能障害を残すもの、これが、「第4 肢体の機能の障害」から引っ越してきたものです。ここでも、例えば以降でございますが、関節の筋力について明記しております。
 次に、コの部分でございますが、これは日常生活おける動作を表示したものです。これらは先ほどの「第4 肢体の機能の障害」の(3)ウと同様に整理したものです。
 ページをめくっていただきまして10ページ、(2)と(3)の欠損障害、変形障害は、単なる字句の修正でして、内容は変わっておりませんので、そのまま次の説明に移らせていただきます。
 (4)の短縮障害につきましても、先ほど(1)のアのただし書きから短縮障害へ移しましたと申し上げました。それによって引っ越しをしてきただけですので、ここも説明は省略させていただきます。
 続きまして、(5)の関節可動域の測定方法等ですが、また11ページに移らせていただきまして、アの部分で、各関節の主要な運動を追加しました。股関節は屈曲・伸展、膝関節も屈曲・伸展、足関節は底屈・背屈、足指は屈曲・伸展としております。
 次の1つ飛ばしてウでございますが、これは、関節可動域の評価において、自動から他動にかえましたので、麻痺などのように他動運動による評価が適切でない場合は、関節可動域のみで判定するのではなく、運動筋力や日常生活における動作等を総合的に認定するとの規定を追加しております。
 以上が下肢の障害の変更点でございます。
 次に、12ページの「体幹・脊柱の機能の障害」でございますが、ここは、実は今回ほとんど変わったところがなくて、字句の修正と順番等を入れかえたこと、あとここでも脊柱の可動域で自動可動域から他動可動域に変えたのみですので、それほど詳しい説明は必要ないと思いますので割愛させていただきます。
 以上、簡単でございますが、変更点の説明を終わらせていただきます。
○(座長) ありがとうございます。
 何かご質問、ご指摘の点はございますでしょうか。
 字句の修正ですけれども、8ページの(1)のアの(ウ)のところに、ただし、両下肢それぞれの膝関節のみが100度屈位、これは屈曲位ですね、屈位というのは。
○(事務局) 屈曲位でなく、これは……。
○(座長) これは単なる間違いと思います。
 ありがとうございました。
 きょうの事務局から説明があった内容については、次回の会合で1つずつ議論していただくことになります。
 本日は、この全体的なことで委員の先生方からご意見がございましたらお寄せいただきたいと思います。いかがでございましょうか。
○(○○委員) 今のご説明をお聞きして、感じたことですが、資料3が4枚ありまして、最初の2枚が課題の整理あるいは問題領域の設定、それで後ろの2枚が、それをどのようにしていったらいいかという方針が書いてあると思いますが、そうしますと今のたたき台では、2つのプランがあるわけですよね。それに沿って1つ目のいわゆる第7節の障害の区分けの部分はここでやると、それから関節可動域の測定方法と評価、主要な動きとかということに対しては、ここに相当するというふうに分けて説明していただき、それ以外の例えば若干の字句、表現の変更などは、その他として説明していただいたほうが、わかりやすいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○(事務局) 先生がおっしゃられるとおりで、私たちも、2回目の項目のご説明とご検討いただくときには、今おっしゃっていたようなカテゴリーごとにさせていただこうと思って、今ちょっとご説明の仕方を内部で整理させていただいているんですが、やはりまず区分けの話と、それから1、2、3級の両下肢の表現ですけれども、そこの部分は、上肢、下肢とか分けることじゃなくて、まず1、2、3級というのをつくるに当たってのところは見ていただくという形で進めたいと思っていますので、今おっしゃられたような趣旨に基づいた、2回目の検討資料とさせていただきたいと思っています。
○(座長) ありがとうございます。
 ほかにございませんでしょうか。これはまた面倒な話ばかりしてすみませんけど、ちょっとこれも確認です。例えば、たたき台の7ページの別表、下の厚年令というところの第2の一番下のところに、身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すものと書いてあるんですけど、この労働というのはどの範囲でしょうか。
○(事務局) 実は、またここは難しいところで、先ほど申し上げたように、厚生年金の障害年金と国民年金の障害年金を61年4月に合わせたときに、制度のご説明をしたときに、1、2、3級ということで、厚生年金だけ3級がありますというお話をさせていただいたのですが、厚生年金は、もともと労働制限で、1、2、3級を分けていたんですね。国民年金は日常生活というものだったのを1個にしちゃったものですから、3級だけこの労働制限という形で表現が残っています。
 ですので、やはり日常生活は、通常、普通にはほとんどできているのだろう。ただしお仕事をフルタイムするのは難しい、もしくはフルタイム働くのは障害上やめておきなさいというような主治医からのお話があるようなケースを3級というふうに想定しております。
○(座長) 労働は、要するにそういう生産労働ですよね。この場合はそれを言っているわけですね。今、労働という意味で非常にいろいろ範囲が概念的に広がっていますけど、その場合には、この労働にはそういう家事労働ということは含まれていないということなんですね。
○(事務局) そうですね。3級はあくまでも厚生年金の被保険者に対して給付をするというところですので、働いている方に関しての障害年金という考え方でしたので、お仕事ができるかどうかというのは、通常、要は会社で働くとか、肉体労働するとか、そういうことで日常生活上の家事をするというようなことは含まれておりません。
○(座長) 家事とか介護だとか、今非常にその辺が問題になるかと思いますけれども、それはそういうことですね。
○(事務局) そこは日常生活という中で見ますので、1、2級のところの概念のところでは、もちろんそういうのも含みますけれども、3級だけは通常の一般的な労働のことを言っています。
○(座長) それからもう一つ、これも、身障法でもそうですけれども、日常生活の制限というのと、日常生活動作の制限という2つ言葉が使われています。概念的にはちょっと違うのですが、どのように使い分けているのでしょうか。
○(事務局) 私たちの中でもきっちり切り分けがないんですね。ただ、やはり先ほど申し上げたように、内部疾患と外部疾患を一つの障害のこういうカテゴリーの中に入れていますので、どうしても言葉を使い分けないとできないところがあって、こういった肢体のように外部障害の場合も、まさに動作がどうかというところが判断になると思うのです。
 ところが、内部疾患の場合ですと、おそらく動作ではなくて、やっぱり起きていられるのかとか、そういうことになるので、そういった形でどうしても使い分けをせざるを得ないので、基準の中で使い分けてきていますので、動作といったときには、こういった外部障害の機能的なものとか、実際に日常生活をやる、先ほどの立つとか歩くとか階段を登るとか、そういったものというふうに私たちも認識してはおります。
○(座長) よろしいですか。そういう今までの詰めというか、いろいろ続けばそういうところにいろいろな概念上の問題があって、それが、その制度とか、それから社会の情勢に応じていろいろ見方が変わってくるということと思います。そこについては、今までの考え方を今ご説明いただいたような考え方で今回も踏襲するということでよろしいですね。確認だけです。
○(事務局) そうですね。基本的にはそうでございますが、肢体の基準とかの中で適正でない表現があるということであれば、先生方にご議論いただいて、変えていくべきものもあるのかなとは思っております。
○(座長) ありがとうございます。
 ほかにありますか。
○(○○委員) 先ほどの労働の点ですが、認定の場合には、初回の際に自己申告書という表記でしたか……。
○(事務局) 先生、病歴、就労状況も……。
○(○○委員) ご本人が記載なさった資料が添付されておりまして、通勤の形態とか、日常生活動作は4段階のレベルで記載してありまして、例えばいわゆる福祉的就労などもあると思いますが、そのあたりも勘案しているのではないかとは思います。
○(座長) ありがとうございます。
 なぜ私がこんなことを申し上げたかというと、今、労働という意味だとか、障害の定義だとか、それから保障の範囲だとか、そういう概念が揺れ動いています。今後、労働の質について、また、どこまで労働だなんていう話が当然出てくると思います。家事労働だけでなくて、介護に関する労働も、議論の対象となるかも知れません。
 ですから、そのような微妙な問題が、これから出てくる可能性があるので、ちょっとお聞きしたわけです。
 よろしゅうございますでしょうか。
 そんなことで、きょうは一通りご意見をいただきましたので、これできょうの議論は終わらせていただきたいと思います。
 今後のことについて、事務局からご説明をお願いします。
○(事務局) 次回の日程につきましては、来年1月13日金曜日の午後2時からの開催を予定しております。後日、改めて開催場所のご連絡を差し上げたいと存じます。
 それから、次回は、本日いただきましたご意見等を踏まえまして、確認したい点を項目ごとにお示しし、1つずつご意見を伺い、その都度、整理させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○(座長) どうもありがとうございました。
 これで今日の会合は終わりとさせていただきます。
 ご協力ありがとうございました。


(了)
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