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2012年1月6日 急性期医療に関する作業グループ第2回会合議事録

医政局総務課

○日時

平成24年1月6日(金)13:00~15:00


○場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)


○議題

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○議事

○医療政策企画官 それでは、定刻を過ぎましたので、ただいまから「急性期医療に関する作業グループ」第2回会合を開会させていただきます。
新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
構成員の皆様方におかれましては、新年早々お忙しい中を御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
初めに、本日の御出欠について御報告申し上げます。
本日は、永井良三構成員から御欠席との連絡をいただいております。
それでは、議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
お手元に、議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料1としまして、前回12月22日の第1回会合でお配りしましたものと同じ資料。
資料2としまして、本日新しくお配りしております補足資料。
また、参考資料1としまして、先般12月22日にとりまとめられました医療部会の意見書の抜粋。
参考資料2~4としまして、過去の医療部会の資料をお配りしております。
不足がございましたら、お知らせいただきたいと思います。
よろしいでしょうか。
事務局からは以上でございます。
以降の進行は、座長にお願いしたいと思います。
○田中座長 皆様、改めまして、明けましておめでとうございます。
早速ですが、議事に移ります。1月6日の大変早い時期から集まっていただきまして、ありがとうございます。
初めに、資料1の前回提出資料及び資料2、今回提出の補足資料についての説明をお願いします。
○総務課長 それでは、私の方から資料の御説明をさせていただきますが、基本的に今回の資料は前回お配りして御議論いただいた資料と同様でございますので、特に細かく一つひとつについての御説明は割愛させていただきたいと思いますけれども、若干、補足的な資料と補足的な意味合いがあって、一部の資料についての御説明をさせていただきたいと思っています。
まず、これもおさらいということではございますが、参考資料1として医療提供体制の改革の意見の抜粋を付けてございます。右肩に「参考資料1」ということでございますが、こちらが医療部会の意見のとりまとめの中の病床区分のところについての抜粋でございます。
こちらに記載がございますように、この作業グループのミッションといいますか、医療部会の議論では、2.の(1)にございますように、一般病床についての機能分化を進め、急性期医療への人的資源の集中化を図るなど、病床の機能分化を進めるということ。
それから、2つ目の○で、そのため、法制化を含め、方向性を明らかにして取り組むことが重要である。こういうことについては、一定の共通の認識が得られているということでございます。
その上で、更に3つ目の○になるわけですが、一般病床の機能分化を進め、急性期医療への人的資源の集中化を図るための具体的な方策については、別途検討の場を設け、早急に検討すべきであるということで、このグループのミッションとして、この一般病床の機能分化を進め、急性期医療への人的資源の集中を図るための具体的方策についての検討をお願いしたいということで位置づけられているものでございます。
その際、3つ目の○の後段のところにありますように、人的資源の集中化を求められる医療等についての十分な議論が必要であるということ。
それから、次の○にありますように、機能分化の推進に当たっては、病床の機能の見える化というものが重要であり、その機能に着目した評価を行うということも併せて重要であるということですが、その評価の具体的な方法については十分な議論が必要であるということ。
更に、次の○にありますように、その際には地域の実情を踏まえ地域に必要な医療機能は何かという観点から検討する必要があるということがこの医療部会のとりまとめでなされているものでございます。
これを受けて、前回、議論をスタートしていただいたわけですが、前回、資料1を御説明した上で、これをたたき台としながら幾つか御議論いただいたわけですけれども、論点として資料1の11ページに1~4、先ほど医療部会の意見書のとりまとめ、医療部会の議論を踏まえ、この作業部会で議論をお願いしたい事項の論点を大まかに4つに分けてお示しをし、その関連の資料とともに御説明したわけでございます。
前回、時間の制約もあり、論点1あるいは論点2の御議論が中心ではございましたけれども、今回はこの論点1~4にわたるまで、全般にわたる御議論をお願いできればというふうに事務局として考えております。
それから、この資料1につきましては、基本的には前回と同じでございますので一つひとつの説明は割愛いたしますが、前回の議論を踏まえて、この資料を若干補足する資料を1枚用意いたしましたので、その点について補足をさせていただきます。
前回、この資料1の中では、2ページ目から3ページ目にかけてでございますが、一般病床が担う医療の内容、それから、急性期医療の内容に関連して資料をお示ししたわけでございます。従来、医療界等の中で御議論がある急性期医療の考え方等について、3ページ目のような形。それから、2ページ目として一般病床を担っている機能について、幾つかの観点で整理したものを示しているわけでございます。
これに関連して、前回の御議論の中では、特に急性期あるいは急性期医療という定義に関して、まず共通の認識を持つことが重要であるというような御指摘。それから、一般病床についてはさまざまな病態の患者に対応するというものになっていますけれども、なかなか個々の患者さんを截然と分けがたい面もあるというふうなこと。そうしたこともあって、急性期医療、急性期病床群を論じようとする場合に、ここに書かれております患者像といいますか、一般病床を担っている入院の患者さんの特性、患者像、それから、提供する医療、期待される医療の内容、更には機能という点では、例えば在院期間といったような機能に着目した考え方とともに、更に濃密な医療がどの程度必要かというような診療密度という観点でとらえる方がわかりやすいのではないかという御指摘もございました。
そうした御指摘もございましたので、この2ページ目の資料でございますが、若干、これを補足する資料として用意いたしましたものが右肩に「資料2」とあるものでございます。補足資料として1枚紙の裏表、表紙をめくっていただきますと、先ほどの資料1の2ページ目でお示しした資料を補足する資料を用意いたしました。
従来、この2ページ目の資料では、一般病床を担っている機能を、先ほど申しました入院患者の特性、患者像といったようなところ、それから、提供する医療、期待される医療の内容という観点、在院日数等を含めた必要とされる機能という観点で整理したものをお示ししたわけですが、今回補足する資料はそれに加えて、大まかに診療の密度という観点で、一定のグループ分けというんでしょうか、今、一般病床が担っている機能について、一定の観点でグループ分けができるのではないかということと、その上で、更に人的資源の集中を必要とする病床群を、どういうところを中心に考えるかという観点を御議論いただければと思っているわけでございます。
この今回補足する資料の上の方で幾つかマルで囲ってあるところでイメージをお示ししてございますが、前回の御議論にもありましたように、個々の患者さんを截然と区分するというのは確かに難しい面があるということで、一定の幅といいますか、一定の重なりも含めた、幅を持ってとらえるというようなイメージとしてお示ししてございます。
今回、こういったところも含めて、一般病床の機能分化を進め、人的資源の集中を必要とするところがどんなところかというところも含めて御議論いただければありがたいということとして、素材として提供させていただきたいと思います。
今回補足する資料は以上でございます。全般にわたる御議論をお願いしたいと思っております。
事務局からの資料の説明は以上でございます。
○田中座長 説明ありがとうございました。
前回、急に開いたので時間が短かったわけです。今日は2時間取ってありますので、論点4つについて、皆様の御自由な意見を伺いたいと思います。
それでは、どうぞ、どなたからでも結構ですので、口火を切ってください。
横倉構成員、お願いします。
○横倉構成員 なかなか急性期医療がどこからどこまでかという区分けが難しいのは皆さんよく御存じだと思うんですが、いわゆる一つの目的としては、急性期病床群というものを明確化して、そこに人員を重く配置したいという目的と、国民の方に見える化をしたいということがあろうかと思うんです。
見える化の問題については、やはり医療部会でも御議論がありましたように、それぞれの医療機関の機能情報をどんなに国民の皆さん方にお知らせできるか、お知らせするかという方法論で相当解決する問題であるというのが1点です。
それと、当然、高度急性期等々で非常に人員を厚く配置しなければならない医療というものは当然あるわけでありますが、どこからどこまでが急性期と言われると非常に定義が難しいということがありますし、いわゆる大都市で医療資源が豊富なところはかなり区分けができますけれども、地域によってはそれを明確に区分けすることで非常に国民に御迷惑をかけるのではないかという地域があるのも事実なんです。
ですから、そこら辺のことについて、もう少し資料を、今、2次医療圏ごとに分けていますね。ですから、この医療圏ではどこら辺ぐらいまでの高度急性期なり急性期というものが明確化できるかというようなものがわかればもう少し議論がしようがあろうかなという思いがしております。
○田中座長 ありがとうございます。
地域に配慮しなさいと、ずっと横倉構成員は言っておられますね。
○横倉構成員 はい。
○田中座長 ありがとうございます。
今日は事実上の第1回のようなものですから、かなり根本的なところから言っていただいて結構です。
高智構成員、どうぞ。
○高智構成員 前回、初回の部分とダブるところがあろうかと思いますが、前回、ほとんどの構成員の方から発言がございました。それぞれのお立場に基づいた意見、もしくは構成員個人としての見解も述べられました。ある意味で限定、区分けになったところがあったというふうに記憶しております。
事務局提案の趣旨につきましては、それを医療法に規定する意義や患者にとってのメリットは一体何なのかといった、事務局提案を正面から受け止めた疑問点の確認やら、更には法規範の理念・意義等を押さえた、そして、把握しておく必要性について言及された御意見もあったというふうに記憶しております。
そして、現状をきちんと認識しておく必要性の観点からは、データという意味でしょうか、あるいはデータ資料の提出を求める意見も提示されたところでございます。これにつきましては、私も賛意を示した一人でございますが、その横で、よくよく記憶をたどってみますと、これまでにも随分と、医療部会の方でもそうでございますが、つまびらかにされているデータ等が多々あるわけでございます。時間の効率的使用の観点に立てば、先行経験とか先行する調査の実績等は可能な限り有効的に活用して、政策の立案・実現に向けて生かしていくことを旨とするべきではないでしょうか。これをまず申し上げたいと思います。
そして、ここから私どもの立場でございますが、公的医療保険の保険者といたしましては、加入している保険者の、被保険者の方々、より大きくとらえれば患者さんたちに対する後押し活動、これはよく言われるところの保険者機能の強化という言い方が定着しているわけでございますけれども、そういったものを引き続き強力に支えていかなければいけない、それこそが大きなミッションであるというふうに認識いたしております。
その意味で、事務局御提案の機能分化を明確にしていくこと、それから、急性期医療の現場で限りある資源を有効に活用していくこと、これは非常に大切な要素ではないかと思っております。したがいまして、前回、初回からいろいろな問題点が述べられましたが、これは別途つぶしていく方途を考えればよろしいというふうに、荒っぽい言い方ではございますけれども、そういう言い方しかないわけでございまして、この御提案につきましては、政策の立案・実現に向けて生かしていくべき、そういう考え方を一つの結論として導き出しました。すなわち、基本的にそれを支持していきたいということでございます。
もう少し長くなりますが、これを発展的に引き伸ばして、日本の医療を更によい方向に導いていくためには、医療の現場で日夜御腐心・御活躍いただいております医療関係者の皆様、そして、行政の皆様方によります積極的かつ緻密な連携といいますか、コミットを今まで以上に、先ほども横倉構成員からもございましたけれども、見える化を進める、そういう形で確かなものにしていただくこと、必要性が声高に強調されております、納得診療という意味ですか、インフォームド・コンセント、あるいは先ほどもございました急性期医療病床群といった専門用語がたくさん飛び交っておりますけれども、とりわけ若年層の健常者などを中心といたしまして、こうした余りなじみのない専門用語、市井の人々にとってはなじみの薄い医療分野特有の情報の非対称性というものをつぶしていく必要、そういう対策を講じるということも同時にやっていく必要がある。その際には高目の目線からではなく、患者に寄り添うということを基本コンセプトとした方向性を是非確立していただきたい、このように思っております。
それから、多少前になりますが、2004年のころに医療計画に関するワーキンググループがあったと思いますけれども、そこにおきまして今日の議論と相通ずるところがございまして、広義の医療計画制度の動向を理解する意味でということで申し上げますと、国際的な視野から、欧州で保険主義をとっておりますフランスとドイツの2か国が取り上げられまして、報告書の中で整理されました。
この2か国におきましては、もう先生方にとっては釈迦に説法でございますが、各種疾患を診断群に整理・分類してコントロールする方法という意味のケースミックスの導入を通じまして、個別医療機関の医療行為の実情を把握することができる情報システムが既に、全般的ではございませんが、稼働しており、これらエビデンスある情報に基づいて医療計画の作成やら修正がなされているというふうに聞いております。医療計画の主たる目的が従前の量的な規制から離れつつあり、医療機関間の連携とかその促進、医療の品質保証など、質をいかに保っていくか、そういう側面に移っている、また、それが進んでいるというふうに理解いたしております。
これら2か国のみの動向では確固たることを言えるわけでもなく、また、医療制度の屋台骨の違いもありまして、我が国の医療計画制度の見直しの目指す方向に少なからず示唆を与えるものを掘り起こさなければこれは活用に至らないと思いますが、是非この際、こういった方向にも目を見開いていく必要があろうかと思います。
それから、横倉先生もおっしゃっておりましたけれども、医療計画の作成手続における住民参加を求める仕組みが十分に機能してこなかった、もう少し力を入れるべきであったという反省も私ども保険者集団としても持っているわけでございますが、非常に大切なものであることを再認識しておくべきであると思っております。住民が計画作成に積極的に参加して、住民の医療ニーズを反映した医療計画を作成するためには、住民が保有または把握することができる情報量を増大させて、医療機関・医師会等の関係団体及び都道府県が有している情報量との格差を可能な限り是正していく、この努力が必要だと思います。
このことにつきましても、既に2004年の報告書の中で触れられていることではございますが、8年余り経った今でもどれだけ進んだかということにつきましては、まだ検証の域に立っていない部分もあろうかと思いますので、改めてこういう方向を目指すべきであろうと考えております。
後ほどまた意見を言わせていただくこともあろうかと思いますが、以上でございます。
○田中座長 大変包括的な視点からありがとうございました。
日野構成員、お願いします。
○日野構成員 今回のこの提案に対しまして、根本的に医療提供者側の事情が理解されていないので、これは一から全く白紙に戻してやり直しをしていただきたいと思います。
特に、今、話が出たばかりで申し訳ないんですが、住民参加とか見える化ということは不可能です。これをこの中に確かに免罪符のごとく挿入するのは結構ですけれども、疾病の構造は、この資料2で書かれているように、こんなふうに簡単なものであればいいんですが、軽症か、重症か、対象疾患云々、それで病院をくるくる変えるというふうな発想そのものが全く医療提供者側とは合わない。こういうことはできません。
もし、これを医療法に定めるなら、きっと人員基準も定められることでしょうから、その施設基準などが入ってきますと、これはここの続きの建物になっていますから、厚労省の考え方も変えないといけないと思うんですけれども、我々は簡単に医療専門職の数を変えることはできないんです。それがこういうふうに機能に見合った人員などというものを押し付けられますと、運営不可能になります。そういう配慮が全くここからは読み取れません。
ですから、こんなことをやられてしまうと病院はお手上げになります。とてもではありませんが、そういう検討会にそういうことを御存じない素人という表現はちょっととげとげしいですけれども、非常に医療法というものはこんがらがった制度でございますので、その基礎知識のない人が入って論議に加わりますととんでもない方向に行ってしまうと思うんです。確かに、患者さんにとってわかりにくいというのは私もそのとおりだと思いますし、わかりやすいものをつくれるかといいますと、これは現在は不可能です。例外的にできているところは、例外的な疾病しか見ていない、あるいは何らかの理由があってそれができているのであって、我が国でそんなことができるのは到底、ここ10年や20年では無理だと私は考えます。
ですから、この案はむしろ、考えの根本にある医療資源の有効活用という側面から余りきれい事をここに一緒に入れて考えないで、1つの理念というものはそちらの方で考えられた方が、マスコミの受けは悪いでしょうけれども、医療資源の有効活用というものが大事なのであれば、それをメインに考えていくということならできると思うんですが、余り多くの考え方を同時に詰め込んでしまうとこんがらがって、何もわからなくなります。そんな気がいたします。
○田中座長 ありがとうございます。
先ほど横倉構成員は地域医療の心配を言っていただきましたが、今の場合は病院経営が成り立つかどうかで、後でまた検討課題にしたいと思います。ありがとうございます。
高智構成員、どうぞ。
○高智構成員 日野先生にお伺いしたいんですけれども、素人というお言葉を使われましたが、こういう政策テーマに素人である、ほとんど素人の方が多いんですけれども、患者さんが加わる、あるいは医療保険制度の加入者が加わって意見を言う、あるいは現状の問題点についてつまびらかにする、我々からすれば指摘させていただく、それについても言っても無駄だ、現在、10年、20年とおっしゃいましたけれども、そういう状況なんですか。
○日野構成員 無駄とは申しません。
それでは、わかりやすい例で申しましょう。インフォームド・コンセントというものを述べられたので、インフォームド・コンセントを受けるときに、例えば脳に何かこぶができている、いつ破裂するかわからない。でも、Aという手術をやれば85%の生存率、Bの手術は82%です、Cは79%です。その代わり、おのおののプラス・マイナス、メリット・デメリットはありますね。それならば自分で選んでくださいという説明の仕方しかできないんですよ。
そのときに、その患者さんの意見を聞くという行為が親切なのかどうか、それが適切なのかどうか。それを受けた人は皆さん頭を抱えて、セカンドオピニオンに行くんです。セカンドオピニオンも同じことです。違う医者は違うことを言います。若干数字が違ったり、主観が入ったりします。
○高智構成員 済みません、もう少しオーソドックスな話で言っていただいた方がいいと思うんです。例えば鼻かぜでも、そのまま放置していくと大きな病気になるというふうにお医者さん方はよく言われますね。そういったときに、患者さんの立場でどこに寄り付けばいいんでしょうか。やはりお医者さんと相談しますね。
それから、どういう水先案内をしていただくか。パイロットの役は専門のお医者さんの果たす大いなる部分ではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
○横倉構成員 やはり高智先生がおっしゃるように、かかりつけの医師を持ちましょうというので私どもも随分長くやってきました。健保連とは表現は違いますけれども、しかし、同じことを言っておるんですよ。みんな、やはり相談できる医者を持ちましょうということで、国民みんなに御理解をいただくということは非常に重要だと思います。
それと、これは医療部会でも一度事務局の方にお聞きしたんですが、いわゆる、今、診療報酬の中でいろんな区分がされています。これがかなり明確化されてきました。DPCの分析をすれば相当に見える化ができてきた。それは今度の地域医療計画で相当利用されるだろうと思いますし、利用できる、非常にありがたい分析も幾つかあるわけです。そういう中で、今、あえて医療法の中にこの区分を入れることによって、地域で必要な、受けやすい医療がかえって混乱しはしないかという懸念は、今、非常に持っているんです。それで医療部会でも、今、なぜ医療法で規定する必要があるかという御質問をさせていただいたわけでありますけれども、そういうことで、今すぐ、これを医療法で急性期病床群というものを規定するということに対しては大きな懸念を持っている。
それと同時に、昔、その他病床の中で療養病床というものを区分けしましたね。そのとき起きた出来事についてどう評価するかということをもう少し考えていかないと、あのとき療養病床をつくって、その何年か後に、いわゆる医療保険で診る病床と、介護保険で診る病床に区分しました。これはあくまでも支払いのファンドをどこにするかという話でして、その後に介護療養病床を老健に転換してほしいという相当強い指示が国からもありましたね。私は地元でも随分、そのことを県庁でも議論いたしましたが、なかなか思うようには計画が進まなかった。その理由がどこにあるかということをよく考えて、この病床区分の問題は扱わないと、また同じ混乱を起こすのではないかということを非常に心配しております。
先ほど2004年でしたか、地域医療計画のいろんな委員会で御議論されたものも以前から読ませていただいておったんですが、当然、あの考えはみんな持っていると思うんですよ。それを診療報酬上で、今、区分けしているものを医療法でまた固めるのが本当に、今、望ましい時期なのか、もう少しこれを周知して、今、診療報酬が区分けされたことによって、自然とそういう形態が地域でできてきているんです。ですから、それがある程度落ち着くのを待つのか、そこら辺の判断の問題だろうと思っております。
これは、国民からいろんな意見が行くのは当然なんです。私どもも日医総研の方で国民の医療満足調査とか、いろいろさせていただいています。その中で最近の回答でも、以前に比べると随分、日本の医療満足度が上がってきているのは事実なんです。そして、今、何が一番必要かといいますと、やはり急性期病床から次につなぐ、亜急性期医療ができるところとか、終末期を迎えられるところはもう少しはっきりしてほしいというような意見の方が多いんです。ですから、どちらかといいますと、急性期を固めるよりも、初めにそちらの方を少しずつ考えていった方がいいのではなかろうかという思いを私は持っております。
○田中座長 それでは、日野構成員どうぞ。
○日野構成員 お伺いしたいんですが、見える化をしてくださいと言われるんですけれども、実は我々の中ででも、患者さんが来られて、初期は特にですが、医療機能の見える化というものはできていないんです。かなりわかってきて、横倉先生が言われるように進んではきましたけれども、だから、診断がなかなかつかないというのが現実で、ここに書かれているような、最初から区分がわかっていて、どういう予後で、どの程度の医療密度がいるかなどということは予測がつかないんです。それが要求の一つであれば、応えることはできないという私の趣旨が1つです。
それから、素人の方はというものの中に、自分は名医に診てもらいたい、診断を当ててほしいというふうな気持ちがありますと、それに応えるということは非常に難しい。ですから、その点が医療法の論議の中に紛れ込みますと、まとまるものもまとまらなくなってしまう。そこら辺の御理解がいただけないと私は考えています。
○高智構成員 もう少し根本的なところをお伺いしたいと思います。ディベートでもいいのですけれども、それでは、どうすればいいのかという前に、現状の問題のボリューム、高さはどの程度にお考えでしょうか。特に患者さんにとって、このままでいいでしょうか。10年も経っても解決しないとお考えを述べられたわけですけれども、やはりこの限られた時間の中で、一定範囲でロードマップをつくって、山を登っていく。
○日野構成員 それは、ロードマップがあって、ゴールがあるわけですね。そのゴールをどこに置くかということにも関わってくると思うんです。それは、先ほど言いましたように、できるだけ低いコストで高い医療をということでしたら、なかなか難しいと思うんです。そこの落としどころを決めないといけないと思いますし、それから、病気の診断というものは沖中教授という、昔、有名な教授がおられたんですが、その先生でもそんなに的中率は高くないんです。
ですから、素人という言葉はとげが立つので申し訳ないんですけれども、医療知識のない方は医者がおれば病気が当てられるものだと思い込んでいて、ちょっとでも間違うと非常にそれはおかしいということが素人参加ということに含まれているとすれば、それはなかなか難しい問題を抱えていると思います。
○高智構成員 わかりました。
そこのところはちょっと置きまして、私はそんなに難しい集中特化したところではなくて、例えば手術を要する疾患にかかった患者さんがいたとします。そうしますと、保存療法にいたしますか、それとも、切除いたしますか。そういう場合には、今まではややもしますと医者任せの医療が非常に横行していましたね。それが今はいろいろな知識、この前も部会の方で患者代表の委員がおっしゃいましたけれども、患者とはそんなばかなものではないですというような御意見もございました。
ばかとかという言葉を使う必要は毛頭ないと思いますが、いろいろ勉強している患者さんも多いわけでございまして、医者任せの医療でなくて、自分の医療は自分で考える、選択する。そういうツールもありますし、機会も設けられておりますので、そこのところをどうお考えになるかということになりますと、それでも、患者、一般の素人は余り入り込む余地がないとおっしゃいますと、ちょっと私は違和感を多々感じます。
○日野構成員 今の話は非常にわかりやすくて、そういうふうに意思表示をしてくださる患者さんに対しては、我々は何の悩みもないんです。おっしゃられるとおりのことをいたします。無論、手術がいいのか、保存的療法がいいのかというのはわかりません。やってみないとわからない部分ですから、それを自分の意思で、自己責任で決定してくださるならば、そういう時代が来ればこれは素人の参加も何もないわけで、診察まで形がついてしまう話ですね。ところが、多くの患者さんは迷うわけです。それの説明が大変なんです。説明しても大抵誤解されます。
○高智構成員 その辺がちょっと、割に大ざっぱ過ぎると思うんです。
○田中座長 少し介入しますと、ここで言っているのはあくまで病床の機能の違いであって、救急医療は別とすれば、入院はある程度診断が、1次診断かもしれませんが、確定しているので、先生が御懸念の、外来の段階でどこに行ったらいいかわからない話とはちょっと別だと思うのです。この病床区分の話と医療機能、外来も含めて病院を区別する話は次元の違う話で、ここはあくまで病床の区分に絞った方が話はしやすいかなと感じました。
相澤構成員、お願いします。
○相澤構成員 今、病院が抱えている問題、それから、これから日本の社会がどう変わっていくかという問題は、やはり十分に考慮して考えなければいけないと思うんです。私は、医者になったのは30年くらい前なんですが、そのころ、あるいはそれから14~15年経ったころと今との大きな違いは、入院してくる患者さんがほとんど高齢者になったということです。恐らく、一般病床に入っている患者さんの約3分の2は65歳以上の方だと思います。そして、これは今後、高齢化社会が進行すればするほど、このパーセントは増えてくると思います。
御高齢者の方の医療の一番の問題は、これまでの近代医学がやってきたように、病名というラベルを張れば解決するということはほとんどないと言っても過言ではないかと私は思います。いろいろな疾患を持っていて、身体機能も衰えている、そういう方が急に病気になったり、あるいは急にいろいろな状況が変わって入ってこられるわけです。こういう人が入院しているという事実をやはり一度確認しなければいけない。ですから、むしろ病名というラベルを張って当たるかどうかなどということよりは、その人がどんな機能といいますか、状態といいますか、それを見ていくかということが、今、急性期の入院医療では非常に重要になってきている。10年前とは全く違う医療を我々は提供しなければいけなくなっている。ですから、私が医学部で教わった知識は、今、ほとんど役に立たない。極端ですけれども、正直そうなんです。そういう状況になっているということが第1です。
そうなったときに、急性期病床群というものをどう区分けしていくかというのは、今、恐らくデータがないんだと思うんです。私、日本全体の急性期病院の状況がどうかということで調べようと思ったんですけれども、ないんです。一般病床の分類か、片方はDPCでやっている病院の分類しかなくて、日本の病院はどうなっているか、あちこちで調べたんですが、ないんです。それはそうですね。急性期という区分がないわけですから、データの取りようがないんです。そうなったときに、日本の急性期と言われる、あるいは医療側が、自分たちは急性期だと思っている、提供している医療がどうなっているかという実態は、実は今、よくわかっていないのではないかと私は思っています。
まず、そういうことから行ったら、本当にこれからの日本の社会が高齢化して大変な状況になっていく中で、この急性期病床群というものを位置づけるとするならば、まずそこの正確なデータといいますか、しっかりとしたデータを取らないと、いいかげんな論議と言ったら非常に申し訳ないんですが、勘とか、何か重いとか、そういうものだけが先行していってしまうという、実態をとらえていない論議になるのは、私は非常に何か怖いような気がします。私たちがここで論議するということは非常に責任があるわけですから、変なものをつくってしまって、後で申し訳ないというわけにはいきませんので、前も横倉先生がおっしゃったと思うんですが、そこのデータをちゃんと示してくれ。そうすれば何かの方向性が見えるかもしれません。でも、今、それがないということが私は問題なのではないかと思っています。
そういう点でいきますと、御高齢の方々の入院治療は、高密度か、中密度か、低密度かというのは非常に議論が分かれまして、例えば入院してきた患者さんが機能的に非常に低いと、いわゆる生活の世話というところが物すごく大きなウェートを占めるわけです。治療は困難なんですが、でも、治療しないとその方は退院できないんです。ですから、そうするとその方の診療密度は高密度なのか、それとも、低密度なのか。治療ということから考えれば低密度かもしれないんですが、その御高齢の人の今の機能をちゃんと保って、できるだけ早く帰すといいますか、退院していただくということで言えば、相当高密度な、例えばリハビリも関与しなければいけない、それから、場合によっては介護も関与しなければいけない。非常にそういうものを考えたときに、何か今のお考えの高密度、中密度というものとは若干ずれるのかなという感じがしておりますので、その辺をまず考えた上で、私は一度そういうデータを取るという作業が必要なのではないか。
それでは、どうやって取るかといいますと、ちょっと難しいところがあると思うんですが、私が言いたいのは、一度にどかんと、これが急性期病床群だ、これでやれというのではなくて、一度、何かそういうところのデータを取る手法を考えて、そして、データを集積した中で、それではどうなんだという進め方が私はいいのかなと思います。そうしますと、少し向こうに行ってしまいますが、でも、私は時間をかけてでも、国民の人がみんな、これでよかったんだと思えるものをつくった方がいいのではないかと思っております。
以上です。
○田中座長 ありがとうございます。
それでは、尾形構成員どうぞ。
○尾形構成員 前回欠席しまして、申し訳ございませんでした。議論に追い付くために、少し一般的な意見・コメントを、論点が4つ示されているので、それに沿って述べさせていただこうと思います。
まず、最初の論点1と論点2についてですが、事務局の資料2にも示されていますように、現在の一般病床の中に相当異なったさまざまな機能とか役割が混在しているように思います。こうした一般病床という概念を使って、例えば国際比較などをすると、諸外国の急性期病床と単純比較すると、非常におかしな話になってくる。例えば、諸外国の在院日数は5日とか1週間といったようなレベルの話に対して、我が国は18日台だというようなことになって、到底、同じものを比較しているというふうには考えられないのではないかと思います。
また、先ほどから出ていますように、国民の目から見ても、精神とか療養病床を除いたものが一般病床であるというのは非常にわかりにくく、やはり急性期医療を担っている病床を何らかの形で明示すべきではないかと思います。
その場合、診療報酬上では、先ほどからお話が出ていますように、例えばDPC対象病院とか、7対1看護とか、あるいはかつては急性期特定病院とか、急性期特定入院加算といったような形で、ある程度、急性期医療を担っている病院・病床が評価されてきているわけですけれども、そろそろ医療法の上においても急性期病床を区分していく時期に来ているのではないかと思っています。
その場合、論点3との関係で、認定要件の考え方なんですが、私は医療法上の認定要件はできる限りシンプルなものがいいと思っています。診療報酬上の評価ではないわけですから、余り事細かに要件を規定する必要はなく、例えば在院日数を軸として、そのほか幾つか基本的な要件でフレームワークを示していけば十分なのではないかと思います。
それから、論点4についてですが、後方支援とか連携の在り方ということですけれども、これは以前から医療部会でも申し上げているんですが、急性期医療の確立ということと、在宅医療を含む、いわゆる受け皿の整備の問題というものは、ある意味では盾の両面の問題であって、やはり同時に進めていく必要がある問題だと思います。
最後に、要望を2点申し上げたいと思うんです。
事務局から示されている資料については、私は2つの点が欠けているといいますか、落ちているように思います。1つは、先ほど相澤先生がおっしゃったこととも非常に関連するんですけれども、定量的なデータが示されていないということ。もう一つは、やはり国際的な視点が欠けているのではないかと思います。例えば定量的なデータということで、在院日数という軸で考えたときに、一般病床の在院日数別の分布がどうなっているのか。平均在院日数が18日台であるということですが、18日以上と以下でどういう分布になっているのか。あるいはDPC対象病院あるいは対象病床との関係はどうなっているのかという辺りについて、そういうもう少し定量的なデータについて、次回で結構ですので、示していただきたいと思います。
2点目の国際的な視点について申し上げますと、例えばOECDのヘルスデータで国際比較を行うときにAcute Care Bedsというものが示されていますが、その定義というものは一体どうなっているのか。日本はそれに対して一般病床のデータを出しているわけですが、諸外国はどうなっているのか。少し古い文献ですけれども、2004年にEuropean Observatory on Health Systems and Policiesというところで出された論文を見ますと、例えばオーストリアとかデンマークなどでは、在院日数が18日以下という基準でAcute Care Bedsを切っているようなので、例えばそういったことも含めて、18日というのはたまたまですが、日本の一般病床の平均在院日数とほぼ同じようなレベルで、非常に興味深い一致だと思うんですけれども、そういった点も含めて、これも次回で結構ですので、国際的な資料を用意していただけたらと思います。これは要望でございます。
○田中座長 それでは、西澤構成員お願いします。
○西澤構成員 今、いろいろな意見を聞きましたが、私もこの急性期病床群というものが出てきて、すぐこれを定義付けるということに対してびっくりしました。社会保障・税一体改革をもし前提としているのであれば、あれは2025年です。であれば、2025年のときの理想的な在り方をまず描いて、そこにどのように進んでいくかということで今回考えるべきではないか。
といいますのは、実は今、尾形先生も言いましたように、国際的な比較も大事ですが、しかしながら、日本はほかの先進国よりも速いスピードで高齢化が進んでいる。2025年というのは、今と全く年齢の人口構造が違うということです。その辺も考えないと、今の状況に応じた提供体制をつくっても2025年まではもたないといいますか、何か齟齬をきたすのではないかという気がします。
例えば、今、子どもを除いた若い人と65歳以上の人口とを見ますと、大体3対1の比率ですが、2025年は1.7対1になるわけです。特に75歳以上は倍ぐらいになる。そうすれば、やはりかなりニーズが変わってくるのではないか。ですから、そのときのニーズ、特に先ほども出ましたが、本当に高齢者に対しての急性期医療ということを頭に置いてやっていかないと、だめなのではないか。そうしますと、そのようなデータをまず出して、そういう全体的な中で今回どうするかという議論に持っていかないとだめではないかと思っています。
そういうことで、例えば現在の急性期はこうあるべきだということで、今はまだ若い人が多いから、若い人向けの急性期病棟を造っても、将来そこに高齢者が6~7割入ってきて恐らくがらっと変わるわけですよ。そのときの対応をどうするかまで考えないとだめではないか。そういうことで、もうちょっと時間をかけて検討した方がいいというのが私の考えです。
それと、急性期の定義をするためには、急性期、亜急性期、慢性期、すべての定義づけをしっかりしなければならない。これも恐らく簡単に分けられるものではないんだろう。それも年齢とかによっても違ってくるのではないか。そういうことも大事なので、検討は必要になると思います。
実は、私たち全日病の病院のあり方に関する報告書をかなり参考にしていただいて、ここでは急性期の定義とか亜急性期の定義を書いていますが、実はこれは、私たちは望ましい姿ということで書いていまして、直近よりもかなり未来の姿を描いております。例えばここの、資料1の3ページにも「これまでの『急性期医療』の考え方」ということで、四病協の意見、それから、私たちのあり方に関する報告書が出ていますが、一見、これは矛盾したようなことも書いてあり、特に2番目の○辺りは、「急性期入院医療では救急医療や高度医療も担う必要があることから、一定の病床規模を持つ施設に限られ、従来の一般病床のすべてが対応できるわけではない」。これは2007年の報告書で、第4次医療法改正の直後に将来をイメージして書いているので、これは今とは状況が違うときの文章です。時間を追うと、私たちも考え方は変わってきていますし、あり方に関する報告書も2011年では微妙に変わっています。ですから、そのようなことも考えながら、ある程度、柔軟性に考えていく必要もあるのではと思っています。
私たちの考えは、まだ結論ではないですが、例えば急性期は、ここに書いてあるとおりで考えた。そして、亜急性は今のページの下の方に書いてあります。でも、私たちの考え方は、結論的には、しかし、クリアーカットにはいかないということで、実は地域一般病棟というものを提言しています。これは特に2025年頃をにらんだときに、高齢者が多くなったときに、すべてが現在の急性期病床で診られるのかということで、その辺りで軽度、中等度の急性期等は高齢者に合った方がいいのではないかということで地域一般病棟を考えた。
そのように、この場でも、もっと基本的に急性期医療とは何か、急性期入院医療とは何か、亜急性とは何かということを定義づけといいましょうか、ある程度、共通のコンセンサスを得て、それを例えば病棟あるいは、病床で考えたときにはどうするべきかという議論があって、そして、ある程度はっきりしてきたら、その時点で区分を考える、例えばこういった案が出てくるのはいいということで、そのような議論を積み重ねてもらいたい。
データも、2025年の高齢社会になったときの事はわからないということはありますが、でも、今はDPC等もございますから、DPC分類のいろんな疾患を年齢ごとに分けて、それぞれに応じて、例えば入院期間とか、そこに必要とする資源とかは全部わかるわけですね。そうした年齢別人口構成比でデータを作ると、大体、将来の推計もできるのではないかと思います。そのようなデータも全部出して検討した方がいい。それぐらいのことをやらないと、やはり2025年には耐えられないのではないかという思いです。そういうことで、基本的にはこういう議論をしていくのは非常に大事ですし、賛成ですので、じっくり議論したいと思います。
それで、日野先生が言ったことは、いろいろ誤解があるようですが、恐らく、そういう議論をするのであれば我々専門家だけでやった方が早いという意味で言ったので、決してすべての議論の中に一般の方を入れないということではなくて、今、言ったような議論をするときは、例えばDPCの中で、疾病分類をもとにした議論のときには、やはり我々でやった方が早いのではないかと、いい意味で言ったのではないかと私は思っています。
以上でございます。
○田中座長 2025年、高齢者が増えたときのこういう区分になるところから出発しないといけないと言っていただきまして、ありがとうございます。
どうぞ。
○横倉構成員 だれも意見がないようなので、実は今年の正月の三が日、私のところは高齢化率30%のところでいろいろやっておるものですから、当直のバックアップでずっとおりました。それで、20人ぐらい入院されましたけれども、18名は65歳以上で、これは病態もいろいろなんです。ここで書いてあるような、在宅で療養している方が急性増悪すると相当の医療資源が必要になりますし、マンパワーが必要になりますので、なかなか難しい高齢者の医療の在り方というものがあるんです。ですから、2025年といったら本当にそこをよく考えて、いわゆる長い、できるだけ慢性的な部分から少しずつ区分をしていった方がベターなのではなかろうかというような気がしております。
それと、そういう中でやっていると、やはり地域に密着した病院、もしくは地域密着の在り方というものが非常に重要になってきます。在宅との関係、また、地域の診療所との関係でも、いろんなさまざまな状態の地域の方が来られる。それを、より高度の医療が必要な方はより高度な医療機関に転送していかなければいけない。また、そういう方のバックアップもしていかなければいけないという、さまざまな機能が、今、地域の病院にあるんです。
この前も正月のときに地区の保健所長さんとお話ししたんですけれども、今、一番不安に思っているのは何かといいますと、やはりだんだん高齢化して人口が減っていくところの病院がなかなか継続できなくなってきている。ですから、そこにしっかり目を向けてほしいということを言われていましたので、今からそういう状態が特に続くのかなと思いますから、やはり今回の急性期病床の議論も将来のことを考えながらしていかなければいけないと思っています。
○田中座長 今まで出てきた中でデータの要求が幾つかありましたが、何か対応は可能ですか。できるものだけでいいと思うんです。できるものしかできようがないですが、いかがですか。
○総務課長 幾つか御指摘いただきました。
例えば尾形先生の方から指摘があった、一般病床全体で在院日数がどんなふうになっているかとか、国際的なところとの比較がどんなふうになっているかというところは、多分、何とかなるのではないかと思っております。
それ以外の、DPCのデータを使ってどこまでの分析ができるか。ある程度の分析はできると思うんですが、どこまでできるか、そこは工夫をさせていただきたいと思います。
○田中座長 皆さんがおっしゃるように、全くデータなしで空中戦を交わしてまとめをつくるよりは、やはりある程度のデータが入っていた方がいい結論になるはずです。
お願いします。
○高智構成員 先ほど尾形教授から御提示があった国際比較の観点に絡むんですけれども、むしろ、例えばフランスなどでは、こちらで言う後期高齢者の方々に対する集中的な点滴とかそういうものは最初からやらない、今まで十分にやってこられたではないですかという議論もあるような話を伺っております。そうすると、医療サービスが行われていないようなケースもあるわけでして、今、ここで議論されているのは、投入された実績がある例についてのデータを要求されていると思っているんですけれども、日本のように手厚くという、幾らお年を召しても必要ならば医療サービスをどんどん投入していくという考え方でない国が先進国にも相当あるわけでして、どこまで補正値を用いても正確な比較検討ができるのか、ちょっと心配なところがあるんですが、もしわかれば、先生、よろしくお願いいたします。
○田中座長 どうぞ。
○横倉構成員 今の意見で、やはり基本的に、高智さんもドイツにおられたのであれですけれども、宗教観・社会観がかなり違うんです。これをグローバルスタンダードであるということで押し付けますと、私は日本の社会がとんでもない社会になってくるという思いがございます。
ですから、先ほどデンマークやオーストリアの18日のAcute Careの期間というお話がありましたが、これもやはり、デンマークは人口500万人の国でありますし、本当に日本が今から世界の医療モデルをどうつくっていくかという観点でやっていった方がいいのかなという思いは強いんですけれども、なかなか、私も向こうで、外科の医者でやりましたが、相当に宗教観が違うと、疾病や終末期の考えは違います。
○田中座長 どうぞ。
○西澤構成員 今のお二人の構成員の方に対して思うところですが、ほかの先進国がこうだからそこに合わすというのはちょっと問題があり、やはり日本国民が何を望んでいるかだと思います。こういうときこそ、我々専門家だけではなくて、国民を巻き込んだ議論で、国民がどこまでのものを望むか。それには恐らく、給付と負担という問題もあると思います。そういうことをしっかり国民に見せて議論していただいて、国民がこうすべきと決めていただければ我々はそれに合わせていけばいいと思います。
我々の方から、こういうことをすべきではない、あるいはもっとすべきであるということを言うよりは、まず国民サイドで考えていただくべきですし、ある意味で保険者の方にそういうことは努力していただきたいと思っています。私たちはそれに合わす用意はあるということです。やはり、諸外国のいい面もありますけれども、逆にちょっと疑問な面も我々の方でありますし、逆に言いますと、日本でも我々から見てもまだ疑問な面も確かにあります。そういう辺りはきちんと議論していって、本当に外国のいい面を入れて国民の望むものにできたら、私も理想的だと思います。
以上です。
○田中座長 どうぞ。
○高智構成員 ちょっと誤解があったようでございまして、言い方がまずかったのかもしれません。向こうの実情に合わすべきという方向性のもとに申し上げたわけではございません。向こうの現状がそういう現状であるだろう。それを私たちの国のものとぶつけて比較検討するにはどういう補正が必要か、そういうことだけでございまして、向こうに合わせて医療政策を進める、そういうことは毛頭申しておりませんので、念のために申し上げておきたいと思います。
○田中座長 先ほど相澤構成員が言われた、診療密度の中身です。介護的なケアの中身と、いわゆる医療的介入と、どういう意味で言っているのかに関する御質問がありましたが、それはいかがですか。
どうぞ。
○総務課長 今回追加してお配りした資料2についてでございますが、主に診療密度ということで、3つほど大きな円でグループ化できるのではないかというふうにお示ししましたが、ここで想定しているのは、基本的には医療的な密度、医療的な手厚さの度合いが高い方から低い方という形で大ぐくりできるのではないか。
これとは別に、いわゆる介護というんでしょうか、あるいはリハビリ的な観点でしょうか、それはまた、もう一つ別の観点があるのではないか。比較的、確かに医療の密度は低いけれども、介護の密度は高いというところが回復期リハとかそういったところにはあるのではないかと思いますので、そういう点では、大まかに言いますと、右に行くほど介護の程度というんでしょうか、そういったケアの密度が高いというのはあると思います。
両面考えなければいけない面はあると思いますが、あくまでも今回、医療という観点での密度を見ますと、こういうふうになるのではないだろうかということで、この資料はつくっております。
○田中座長 相澤先生、そういう定義で使っているようですが、どうぞ。
○相澤構成員 反論するようなんですけれども、先ほどからの繰り返しになりますが、御高齢者は物すごいスピードで増えています。これは私的なデータで非常に申し訳ないんですが、私の病院は救命救急センターから軽度の急性期といいますか、回復期リハにちょっと近いようなところまで、全部幅広くやっているので、調べてみたんですけれども、75歳未満の方と75歳以上の方でも全く在宅復帰率が違うんです。75歳未満の方は約92%が御自宅に帰られるんです。ところが、75歳以上の方というのは67.5%しかお帰りにならない。あとは、転院といいましても、病気の治療が必要というよりは、むしろ、非常に申し訳ないんですが、社会的な入院といいますか、帰る場所がないから仕方なくて転院、仕方なくという言い方は非常に申し訳ないんですけれども、転院をしているというのが実情なんです。これを考えたときに、ますます今後、75歳以上の人は急激に増えてくるという人口データがあるわけで、この方はますます増えてくると私は思うんです。
そうなったときにどうかということと、こういう方を調べてみますと、大体半分近くが相当な介護が必要な方なんですが、もともとどこかの施設に入られていてという方です。実はこの正月に私の義理の母親がそういう老人施設に入っていたんですけれども、急に意識が失われて、救急車で運ばれて、とある病院に行ったら脳出血で、70ccの大出血で、脳室穿破して、両方に脳室ドレナージを入れているんですが、もともと介護が必要な状態だったんです。ですから、治療そのものはドレナージを入れていますからいいんですけれども、あと、身体的な介護の方がかなり必要になってくる。どちらかといいますと、治療はほどほど、介護がたくさんというような、その人の人間としての尊厳を維持しようと思うと、やはりそういう具合にならざるを得ないというのが、今、抱えている救急医療の現場の事実で、それが今後、ますます人数が増えていくということを私どもは本当に真剣に考えなければいけないと思っております。
もう一つ、それでは、そういう人は、先ほど療養病床に入っているようなお年寄りで、肺炎は軽度の亜急性期とか軽度の方でいいのではないかという意見といいますか、お考えであったと思うんですが、実はそういうお年寄りは、急に呼吸状態が悪くなったり、急に容体が変わることがございまして、本当にそういう余り厚くないところでいいのか、そういう人の命は救わなくてもいいのかという問題になったときに、私はちょっと違うと思うんですよ。ですから、やはり私はそこでどういう区分けをするかということが本当に重要な問題なのかということをもう一度考えなければいけないんだろうということが第1点です。
それから、病状は軽くても、例えば救急入院してきた患者さんは数日間、相当、手間暇が必ずかかります。それをしっかりとしたものをやるとすれば、私は本当にこの区分けでいいのかという疑問がございまして、高齢者にどこまでのどういう医療をやるかというのは非常に難しいことなんですが、やはりある程度きちんとした医療を、お年寄りだからやらなくてもいいという議論はおかしくて、老人施設に入っていたからやらなくてもいいという議論は少しおかしな議論だと思うんです。
ただ、どこまでやるかはきちんと考えなければいけないにしても、1回はそういうところに来るべきだと思いますし、これはある大学の救命救急センターの先生がおっしゃっているんですが、救急車でどんと具合の悪い人が連れ込まれたら、救急の現場では何をするかといいますと、生命を救う最高の医療をしようとして一生懸命やるんだ。その結果、どうなるかというのはいろいろ問題があるかと思いますけれども、そういう患者さんも入ってくるんだ、入院してくるんだということを考えたときに、もう少し幅広いといいますか、柔軟な考え方を持たないと、医療法でばんと切る、あるいは何かそういう病棟を特定してしまうということがいいことなのか、悪いことなのか、私、結論が出ないのでこういうあいまいな言い方をしているんですが、そういうところにある程度、目安をつけたり、考え方をある程度しっかりとさせるためにも、私は何かデータがあった方がいいのではないかと思うんです。
私がもう一つ言いたいのは、やはり医療側の論理と、多分、医療を受ける人の論理というのは食い違うところがあって当たり前だと思うんです。その食い違うところを、どうデータを利用しながら寄せ合ってよりよいものをつくっていくかということが私はとても重要なことなので、是非、そこはそういう考え方で、よりよい在り方を求める議論をする最初の基盤を一度つくっていただければありがたいと思っています。
○田中座長 花井構成員、お願いします。
○花井構成員 済みません、素人なんですけれども、これは2025年に向けてということが社会保障・税一体改革の中で言われているということは承知しておりますが、それとは別に、自分の体験から言いますと、入院して手術したときに、すぐ術後の処置が必要な人と、ある程度回復して、ほとんどリハビリに通い出して、医療的な治療が必要なくなった人と、同じ病室の中に混在しているんです。それで、片方でばたばたと処置をしていて、片方は寝ているような、そういうものが今の一般病床の姿なのかなと、私の印象はそういう印象があります。ですから、そういう意味で言いますと、病床機能を区分していくというのは非常に重要なことだと思っているということが1つ。
それから、高齢者の話がたくさん出ておりますが、2025年、まさに相当増えるということはいろんな統計から言われておりますけれども、それと同時に、私が大変心配しているのは、認知症の方がこれから増えてきていまして、現在も相当いらっしゃるわけです。その方たちに病状を話すとかインフォームド・コンセントと言ってもなかなか理解されないわけですから、家族がいればまだしも、いなくて、当然、老夫婦の場合も今から出てくるわけですから、そうすると、やはり先ほど来、先生たちがおっしゃっている、医療の提供の在り方というものは相当変わってくるんだろうというのが今でも思います。
それと同じように、10年前と比較すると、インフォームド・コンセントというものも十分定着していなくて、先生がほとんど何も話をしてくれない、どこが悪いのか、どうすればいいのかもわからないような状態の中から、今は相当丁寧に説明してくださいます。それで判断するときも、やはりそれが大きな根拠になるわけですから、そういう意味で言いますと、10年経って医療の現場は相当変わってきていると患者の立場で思いますので、10年先も高齢社会とか認知症の増加とか、そういうことを踏まえた医療の在り方を十分考えていくべきであろうと思っております。
それから、どうしても言いたいのは、そうすると、医療資源というものは非常に社会的な資源だろうと思っておりまして、やはり国民のものといいますか、みんなで支え合っていかなければいけないものであるという観点からしますと、医療資源の効率化とか有効活用というものは非常に重要な視点だと思っておりまして、そこからもこういう病床機能の区分というものは進めていくべきであると思います。
その上で、先ほど来から急性期の定義がないというのがなかなか合意されていないということが非常に驚きといいますか、当然、そういうものが定義されて、診療報酬上評価されているのかと思っていたものですから、そういう意味で言いますと、今、先生がおっしゃったように、やはり共通の議論ができるデータが必要なのかなと思います。
最後に質問なんですが、この資料2なんですけれども、ちょっとわからないんですが、左から右に、高度急性期とか一般急性期とずっと行くんですけれども、これは一人の病状の変化なのか、あるいは最初から真ん中の一般急性期として入院するのか、そういう図なのか、ちょっと説明して、多分、私がよくわからないのでそこを疑問に思うのかなと自分では思うんです。
それから、もう一つ、本当に医療の現場にいない者からしますと、例えばこういう病気で手術をした場合、この方が平均でどのぐらいの密度の医療を受けて、それが安定期に入って、リハビリに入っていくとか、何かそういう例示があると非常に患者とか多くの人が議論としてはわかりやすいのかなと思いますので、そういう資料のつくり方が可能かどうかも含めて質問させていただきたいと思います。
以上です。
○田中座長 とても大切な質問で、この図の意味ですね。一人の患者さんの経過の意味なのか、それとも、機能としてそれぞれのところに入るかを説明してください。
どうぞ。
○総務課長 この資料の意味ですが、一人の患者さんが高度急性期から軽症まですべて推移していくというイメージとしてつくっているものではありません。基本的には、非常に高度な手術が必要とされる患者さんの場合もあれば、軽傷のけがという患者さんもありますから、そういう意味では一人ひとりの患者さんが一定程度、重い患者さんの場合と、軽い患者さんの場合というふうに分けられるのではないだろうか。
ただ、患者さんのケースによっては、一定の手術を終えた上で回復期のリハビリとかという形で、急性期から一部急性期後というんでしょうか、Post Acuteというんでしょうか、移行する部分も一部あるとは思っていますが、大まかな考え方としては、ここは患者さんの病態像というんでしょうか、患者さんの区分が大まかにできるのではないだろうかという資料としてつくってございます。そういう意味では、両面あるといえばありますが、大まかには患者さんが大きく分かれているのではないだろうかと考えております。
それから、もう一つの具体的な例示については、どんな形でできるのか、少し例を挙げて、イメージしやすいような資料を次回工夫できないか、試みてみたいと思います。
○田中座長 よろしいですか。せっかくですから、わかるまで聞いてしまった方がいいと思います。
○花井構成員 そうしましたら、最初から、一般急性期に入る人、それから亜急性期で、私はずっと、前回から、最初からこの資料は病床の変化なのかなと思っていたものですから、そうしますと、1つの病院の中で急性期を終えて、亜急性期、慢性期という流れではない、あくまでもこの病態で区分けしているというふうにとらえてよろしいわけですね。両方あるとおっしゃいましたけれども、どちらかといいますと、最初から病態で区別しているというような図だというふうにとらえた方がいいんでしょうか。
○総務課長 この図の意味は、今、一般病床として担っている機能のうち、非常に高度な手術を必要とするような重い患者さんの担っている一般病床もあれば、あるいは軽いけがのような、軽い手術のような患者さんも同じように一般病床の中で担われていたりとか、右側の方で言えば、後遺症とか、あるいは入院生活等のため生活機能が低下し、リハビリを要するような患者さんとか、そういうようないろんなカテゴリーの患者さんが一般病床の中に入っています。幅を持った患者さんに対して、1つの一般病床という中で対応されているというものを表そうとしたのが基本的な考え方です。
その中には、確かに一人の患者さんが、最初は急性期で重い状態だったものが一定程度軽くなってリハビリ等をされているという場合で、一人の患者さんが状態が推移していくという場合も当然あると思いますし、あるいはもともと軽い患者さんで、そこで一旦手術をして、すぐ在宅に復帰されるという場合もあるでしょうし、そこは個々の患者さんを見ると確かにいろんなケースがあるんだと思うんですが、ここで表そうとしているのは、今、一般病床というふうに大ぐくりで1つとらえられている病床の中で、いろんな病態の患者さんが、非常に幅のある患者さんがいらっしゃる。一方において、非常に手厚い治療、手厚い体制が必要な患者さんと、先ほど御自身の例を挙げられたように、ほとんど医療的な手当てが必要でないような患者さんも一方において同じ一般病床の中で入っておられるという、幅のある患者さんに対して、1つの一般病床というくくりの中で見ているというものを表そうとしているというふうに思っております。
○花井構成員 わかりました。ありがとうございました。
○田中座長 作業グループに与えられた課題として、高度急性期と一般急性期は区別しないのですね。このたび、病床区分上はどちらも、今、事務局が考えていらっしゃる急性病床の中なのですね。ここは法律で書き込むわけではない。
○総務課長 ここは、この資料のイメージとしては、いわゆる急性期としてとらえられるのは、この図で言いますと、左の高い密度と中程度で、ここを大ぐくりで急性期というふうに、急性期という言葉自身がまたいろんな議論がありますが、これは大ぐくりでとらえられるのではないだろうかというイメージでこの資料はつくっております。
○田中座長 日野構成員、どうぞ。
○日野構成員 そうしますと、実務的に一般病院で、現在の一般病床で入院してもらっていて、急性期病床に入院するのが適当だと判断すれば、そういう人をピックアップして、そういう病院といいますか、機能のあるところに紹介するんですか。
○田中座長 ほかのところでは行けなくなるかという質問ですね。
どうぞ。
○総務課長 今回の議論については、一人ひとりの患者さんを、この人が急性期なのか、この人がそうではないのかというものを区別して、急性期と認知された人はこの病院に行きなさいとかという、一人ひとりの患者さんを区別して、あるいは判断して、截然と区分けをするようなことを想定しているわけではなくて、もともと一般病床あるいは療養病床という医療法の区分けも大まかに言えばそうだと思いますけれども、主として病床の担う機能がどういうところにあるのかという考え方を整理した上で、非常に高い密度の診療を必要とするような病床として区分されるものについては、医療法上は、1つは人員配置基準をどういうふうに考えるか、あるいは構造基準をどういうふうに考えるのかというところに表れているので、そういう高い密度の必要とされる病床については、一定程度手厚い人員配置が必要です、一定程度こういう構造条件が必要です。更にこれからの議論ですが、一定程度必要な機能がこういう形ですという大ぐくりの機能分化をした上で、それにふさわしい患者さんが流れるといいますか、大まかに言えばそういうふうに区別されるような方向を目指していくということで、一人ひとりの患者さんを入り口段階で区別するような仕掛けを想定しているわけではありません。
ただ、区分した一般病床なり、仮に非常に手厚い体制が必要であるというものについて、想定している状態と実際の結果が大きく食い違うならば、それはまさに医療資源の無駄遣いみたいな形になりますから、そうならないように、大まかにどういう方向性を持って、どう進めていくか。そうなりますと、医療計画とかいろんな形の政策を組み合わせた議論になると思いますけれども、そういった大まかな区分を医療法上、土台としてつくった上で、それにふさわしい人員配置基準、それにふさわしい構造基準、それにふさわしい評価というものはどういうふうに考えていくかということだと思っています。
○田中座長 日野構成員、どうぞ。
○日野構成員 医療提供者の考え方でいきますと、わかりやすい例示をするとどうも誤解を生むんですけれども、例えば肺炎と思って治療を始めた。しかし、精密検査を進めていくうちに肺がんである。それでがんの治療が必要だからというふうなときに、この考え方だとしますと、これができてしまえば、やはり高度急性期病院に送るべきですね。それを送らずに不幸な転機を迎えたりしますと、これはいろいろとあつれきが生じるというふうに考えられます。考えられないと言われればそれまでですけれども、提供する側は全部責任を負わないといけないので、なぜ紹介してくれなかったのかと聞かれたときに答えに窮しますね。
患者さんの立場に立ちますと、なぜ私がここの病院に入院して、肺炎だと言われたのに、ある日突然、ここの病院に行きなさいと言われて、あなたは肺がんですと告知された。それで医療の効率化というのは確かに図れるんですけれども、それは望ましい姿だと言われるのでしたら、むしろ厳しく高度急性期病床というものを提示してもらって、こういうものは送って下さいという症例を例示してくださるとイメージとしても湧くんですが、漠然と我々は、ほかの病気でもそうですが、内臓疾患で、消化器疾患で、少しずつ病態がはっきりしてくるにつれて大きな手術が必要だというふうな症例はたくさんあるものですから、それに対応するには、この考え方は全く合わないです。
ですから、突然、患者の立場などと主張すると先ほどと違ったことを言っているみたいですが、患者さんの立場で考えるときと、医療提供者として果たすべき義務として考える場合、それをうまくマッチングさせていかないといけないんですけれども、お願いしたいのは、データも必要かもわかりませんが、データと同時に、もう少し一般急性期病床というものが担うべき疾病像といいますか、3次救急などがわかりやすいですね。ああいう形で例示をしてくださって、それが医療圏ごとに幾つぐらいつくられるのか。そういうものは地域のことも考えないといけないわけで、イメージが全然湧いてこないというのがまた現状なので、それを一緒にお願いしたいと思います。
○田中座長 お答えになりますか。
○総務課長 私の説明の仕方に少し誤解があったのかもしれません。ここに大きく3つほどマルで囲って、高度急性期、一般急性期、亜急性期と大まかに3つの主たる患者像を描いているわけですが、先ほど例示を挙げました、患者さんが来られて診断してみますと、この病院だけでは対応できない非常に重い患者さんだったとした場合に、それにふさわしい病院に紹介する、これは当然ながらあるんだろうと思いますし、それ自身を排除しているわけではなくて、ただ、いろんな御議論の中で、この3つが截然と区別されるんですかという御議論があったと思います。
そういう意味で、ここは確かに高度急性期と一般急性期、それから、一般急性期と亜急性期のところ、今回は点線で示していますが、これが一人ひとりの患者さんが截然とアプリオリにすべてが区分けできるかといえば、それは一定の幅があるんだろうという意味で、上のところのマルとは少し重なる部分があったわけですが、ただ、大まかに見ますと、それぞれの病院が持っている機能は大きく、手厚いものが必要なもの、それから、中程度のもので、したがって、それにふさわしい患者さんではない場合には、当然ながら個々の患者さんに紹介するというのは当然あると思いますが、ただ、線引きがきれいに、すべての患者さんが一律にアプリオリに最初から分けられるかといえば、それは少し幅のあるところはあるだろうという意味で申し上げたつもりであります。
○田中座長 西澤構成員、どうぞ。
○西澤構成員 これは病床の機能として3つに分けたということではこういう分類になるかなと思いますし、また患者さんの病気の経過から見ますと、違ったものになる。やはり、どういう目で見るかによって変わってきますので、そのようないろいろな資料があった方がいいかなと思います。
それと、この図を見ていて、現時点の考えですと、ここの高度と一般と、亜急性の間で切るというものが急性期病床群だと思いますが、これはいろんな考え方ができますが、「亜急性期等(軽度の急性期を含む)」と書くか、「軽度の急性期(亜急性期を含む)」とするか、それによっても変わってくる。とすれば、別にここで切らないで、全部まとめて急性期病床群という考えもあると思います。それから、あえて分けるのであれば、一般と亜急性の間を分けるよりは、高度と一般のところを分けた方が分けやすいんだろうという考えもあります。
そういうことで、どうしたらいいかというと、多くのデータを集めて、機能分化を、今回どのような形にするのが一番わかりやすいかということを検討した方がいいかと思います。例えば一般病床の中で、ここで言う高度、一般、亜急性、そこまでを1つの急性期と見てしまえば、それから外れるものが何があるのかということを明らかにし、そちらの方を外していって、一般病床の中で急性期を明らかにする。ほかのものをどんどん外していってクリアーにしていった方がもしかしたらつくりやすいかなという考えもあります。
まだまとまっているわけではありませんが、とりあえず、これを見ての印象です。
○田中座長 横倉構成員、お願いします。
○横倉構成員 今、いみじくも課長が、いわゆる急性期病床群人員配置基準を別途つくるというような話をされましたので、ですから、医療法で規定するものは何かというものをもうちょっと考えておかないといかぬのではないですか。医療法で人員配置基準までびしっと決めてしまうのがいいのかどうか。先ほどから議論があるように、非常に患者さんにとっては難しい選択になるので、1つの病院の中でいろんな機能を持ったものが、今、地域の密着した病院が日本の医療を支えているんですよ。そこのところが非常にかえって混乱をもたらすのではないか。
先ほどから言っているように、西澤構成員も言われたように、いわゆる急性期ではないものは何かということを明確にした方がよりわかりやすいのではないかという気はしております。ですから、慢性期の方から少しずつ固めていくというような考えの方がいいのではなかろうかと思いますし、もう一つは、10年ぐらい前に療養病床をつくっていろいろ問題があったことについてはどういう評価をしておられるかというのも聞きたいと思います。
○田中座長 花井構成員、先にどうぞ。
○花井構成員 医療法で決めることの意味は、1つの基準を日本という国の中で共通にすることだと思っております。それで、今、医療計画というものが都道府県ごとにつくられていて、ベッド数とか医療機関の数も相当違いがあるわけです。そういう状況で言いますと、同じ保険料を払っているのに、どうして受けられる医療の質と量が違うのかと思うわけです。
そういう意味で言いますと、やはり医療法という1つの法律で、運用はうんと柔軟でいいと思いますし、さまざまな地域によって運用の仕方はあると思うんですから、最低のスタンダードとして法律で決めておくということは必要かなと思っているということで意見を述べさせていただきました。
○横倉構成員 それは現行の医療法でも病院というくくりの中でちゃんと決めているわけですね。ですから、それをもっと区分けを小さくして区分ごとにしようという話なので、そこまで法律でぴしっと固める方がいいのかどうか。いわゆる一般病床の人員配置基準なり構造基準というものは、現在は診療報酬で区分をしている。その中で急性期から亜急性期までをまた法律で細かく切った方がいいのかどうかです。
○花井構成員 どこまで区切るかというのはこれからの議論だと思うんですけれども、今、一般病床というくくりしかなくて、そこにさまざまな病態の患者がいて、それを医療資源の有効活用ということで将来に向かって区分けしていこうということであれば、そこまではやはり決めていただいた方がいいというふうに、そのことが全国的なスタンダードになるのではないかと考えています。
○横倉構成員 確かに、今、療養病床と一般病床は人員配置基準を決めていますね。ですから、今、4対1が一般病床の最低基準で、それをまた医療法で3対1、2対1に上げていくのかどうかです。そういうことを考えておられるかどうかです。
○田中座長 課長、どうぞ。
○総務課長 具体的な基準はまさにこれからの議論だと思いますが、大まかな考え方をすれば、まさに一般病床というものは今は一くくりで、それをどこまで細分化するかというのはあると思います。ただ今回、1つは、大ぐくりに、一般病床という1つしかないものを大きな意味でもう少し手厚い体制が必要な部分を繰り出して、そこに手厚い体制を整えることによって医療の質を上げていくというのが今回の目指す目標で、そういう意味では一般病床、看護で言えば、今、3対1のところですが、それを手厚い体制が必要となったときには、そこはその部分についての配置基準をどう考えるか。手厚い体制にふさわしい基準をどうするかという議論は当然ながら出てくると思います。
ただ、今回の資料でも診療報酬の区分けの議論の資料を付けていますが、7対1から10対1、13対1、15対1と4つに診療報酬は区別されているわけですけれども、ここまで細かく区分するかどうかはまた別の議論だと思います。医療法というものは、ある種、診療報酬と車の両輪ではありますが、土台としての法律になりますから、どこまで細かく区分するかというのはあると思いますけれども、大ぐくりに手厚い体制が必要な部分を特定した上で、それにふさわしい体制を医療法上どう考えるかというのは当然併せて議論をしなければいけないと思っております。
○田中座長 西澤構成員、どうぞ。
○西澤構成員 我々も機能分化をして、やはりある程度、高度とかには医療資源の投入はいいのですが、ただ少なくとも、私は将来に向けて段階的にと思っています。というのはどういうことかといいますと、現時点ですぐやるということになれば、今、確かに高度をやっているという病院に人が足りないかもしれませんが、それでは、どこに余っているのかといいますと、どこも余っていません。すべてのところで、特に医師とか看護師などが足りないんです。
そうした場合に、いつも7対1とすぐに言ってしまうのですが、やはり都会でどこかに厚い病院ができてしまうと、田舎の方では本当に看護師がいなくて、急性期医療が必要な住民がいるのに提供できないということが起きている。それから、医師にしてもどんどん中央に集まって、田舎にはいない、このような偏在というものも片方で考えなければならないと思います。
ですから、機能分化で、高度急性期の病院には必要だということは大事ですが、皆保険の中でいかに偏在をなくすかという視点と、両方で考えなければならない。それの現時点でどう考えるかというものと、2025年の理想としてはどうあるべきか。だとすれば、段階的にその両方を兼ね合わせながらどう考えていくか、そういう議論が大事ではないかなと思います。どこかをよくするために、ほかのところで何か非常に困ったことが起きることになれば、これは私たちとしても後で後悔することになるのではないか、そのように考えております。
○田中座長 日野構成員、どうぞ。
○日野構成員 今の西澤先生のお話の続きといいますか、その流れの話をしたいと思うんですけれども、今、7対1という一番高い看護基準をとっている病院の数で、そこのベッド数、病床稼働率を見ますと、言葉は悪いですが、非常に医療費の無駄が発生しています。多分、社会保障・税の一体改革というものはそこがねらいではないか、それをもう一度整理をし直そうという案の一つではないかと私は思ったりするんですが、もし、これができ上がったとしますと、西澤先生の言われるように、専門に特化した医師、これは若手の医師が主だと思いますけれども、表現はまた誤解を招くかもわからないんですが、使命感と自分の仕事に、あるいは医学に対する興味でもつんです。労働基準法から言いますと、とんでもない、むちゃくちゃな働きをするわけですけれども、そういう医師が集まって、それは集まる可能性はあると思うんですが、地域偏在は絶対に解決しない。そういうところにしか医師が集まらないということが起こって、この機能はどこかに偏在してしまうのではないかというおそれはあります。
それと、看護師について言いますと、7対1よりももっと手厚い配置をするのでしょうけれども、果たしてこういう疾病あるいは状態の患者さんが集まっている病棟というものは本当に死に物狂いで働かないといけないですから、これは若い看護師に限られていまして、ちょっと年を取ってくると、こういう仕事には耐えられなくなりますね。ですから、こういうものをつくって、永続的にそういう医療が提供できるかということも同時に考えておいていただきたいと思います。人数の問題で解決する問題ではないと思います。
○田中座長 いずれも最初のころから出ている議論ですが、この趣旨とは別に、それが招き得るさまざまな副作用についてもきちんと押さえていかなくてはいけない、皆さんそれを言っていただいていますね。ありがとうございます。
高智構成員、どうぞ。
○高智構成員 先ほど来、横倉先生の方からクロニカルな部分の優先論ということでお聞きしておりますけれども、これはそちらの方に多分に問題もありますし、同時にまた取り扱いやすい、そういうお考えがもとにあるのか。
もう一つは、親の部会、医療部会の方でも資料も提出していただきましたけれども、一つのコンセプトとして、高齢者のみならず全年齢を対象とした社会保障の構築、そういう観点から、たしか乳幼児の、生まれ落ちたばかりの赤ちゃんの健康度、生存率は非常に高いけれども、3歳、4歳になった場合の健康度は非常に悪くなっている、この国と同様だというような事例も出たわけでございます。ですから、この急性期の関係、先ほど相澤先生からも、2025年を見れば今とは全然違う、そのとおりだと思いますが、同時にすべての年齢階層に着目した対応・手段をどうするか、これも同時に考えていかなければいけない課題ではないかと思いました。
それから、重ねて申し上げたいと思いますが、やはり機能分化、機能区分と言ってもよろしいかと思いますけれども、そういう仕組みを導入することによって、また、都道府県単位とのコミットも密にすることによって、素人である患者さんにとっても今まで見えてこなかった要素が多分に見えてくる、そういう一つのきっかけになることはほぼ間違いないと思っております。
エビデンスは何かと言われると困るんですが、要するに現状は情報量の格差がきちんと克服されていないという厳然たる事実があろうかと思っております。御案内のように、情報公開による対応というものは非常に大きな要素になるわけでございまして、また、不可欠でございますけれども、この理解や解釈をするための能力の格差の克服のためには、都道府県あるいは専門家による住民に対してのわかりやすい言葉での説明は勿論必要ですが、更に十分かつ対等な立場で議論ができる環境整備、これはずっと言われてきたことでございますが、まだ道半ばだと思っております。
そのことは、先ほど申し上げましたワーキンググループにおきましてもとりまとめられた報告書の中でも明示されているわけでございます。要は従来の医療計画が、ややもいたしますと医療提供側の視点を中心に作成された結果、患者や住民等の視点が欠落あるいは反映されにくいものになっている。これも改めて、この場で御確認いただく必要があるのではないか。そして、反省も必要ではないか。そういうことで、情報格差を克服することを通じまして、住民の視点を重視したものに改める。そうすることによって、先ほど日野先生からも御心配が示されましたけれども、一つひとつ氷解していくのではないか。
私どもは、住民の視点を重視したもの、それから、患者中心の医療の実現という考え方にも軌を一にして符合していくのかなと考えておりまして、また期待もしているところでございます。ですから、このクロニカル優先ということについて、横倉先生、ひとつ基本的なお考え方・哲学をお示しいただければありがたいと思います。
○横倉構成員 急性期の区分というものがいかに難しいかということなんです。そうしますと、極端に言いますと、療養病床をつくったときに、平均在院日数30日以上はそういうものに行ったらどうかという話がありまして、在院日数がやはり長くないといけない方がおられるんです。ですから、そういう方たちの受け皿づくりを先にしていく。そうすると、急性期医療が必要な人はだんだんと明らかになってくる。そういう意味があります。
もう一つは、我が国の乳幼児死亡率は低いけれども、その後の健康がというお話がございましたが、カナダの分析によりますと、日本の医療というものは全世代的にAなんです。がんの治療もしくは死亡率等々で勘案しても、やはりAなんです。唯一、日本でD判定が付いたものは、国民の健康への自信度というところなんです。やはり非常に国民性なんだろうと思いました。いつも自分たちは不幸であるというふうな思いがあるのかなと思って、その表を見ましたけれども、それぐらい、今、日本の医療体制というものは評価が非常に高い。以前から、これはWHOだけが言っていましたけれども、また別にカナダのボードでも同じような分析をしたものを出してしまったので、そういう日本の現状を踏まえて、日本の高齢化に適した医療体制を考えていくべきであろうという思いがございます。
○田中座長 相澤構成員、どうぞ。
○相澤構成員 お元気な方といいますか、御高齢でない方は、先ほど言いました近代医学で十分対応できるんです。病名を張り付ければ大体エビデンスがあるんです。ただ、こんなことを言っていいのかどうかは知らないですけれども、日本の医療はエビデンスがあるところに対して多少無駄があったというのも事実です。それはDPCをやっている期間が、だんだん平均在院日数が短くなって、無駄が削られてきています。これは近代医学でラベルが張れるのは楽なんです。エビデンスもある程度あるわけです。ただ、問題はそうではない人なんです。そうでない人が、今、これから爆発的に増えてくるんです。ここに物すごいお金がかかるんです。これをどうするかということが本当はとても大切な議論であって、残念ながらそこに余りはっきりとしたエビデンスがないんです。経験と勘でやっているんです。
非常に申し訳ありません、経験を生かしてやっているんです。だから、若い医師はここに対応できないんです。今の問題点は、いろんなことに対応できた、ある程度お年を取られたお医者さんがどんどん減ってきて、若い、訓練をされていない医師がどんどん増えてきているということが、今、非常に問題で、そういう人たちが少なくともここの急性期から亜急性期のここのところを担っていると言ったら変ですけれども、それが日本の医療の現状であると思うんです。
この現状をいかによりいいものに変えていくかということと、例えば先ほど、エビデンスがはっきりしているという人は、私たちの病院でそうですけれども、大体、クリニカルパスをつくってやると、そのとおりにぴったり収まるんです。ただ、花井さんが先ほどおっしゃっていた、手術した後、厚目にしていたのにいっぱい入ってくるというのは、それも、私は入院して手術しましたけれども、その後は何もやることがないのにドレーンか何かをつけられていて、出血量が何cc以下になるまで退院してはいけないと言われて、やることがなくて、ただぼうっとしているんです。
そこまでが本当に急性期医療なのかどうかという議論は別にして、ただ、花井さん、そういう人も混在せざるを得ないんです。手術してすぐの人と、ドレーンをつけてしばらく出血量が安定するまで何もやることがないけれども、ドレーンの管理をしているという、そういう人もやはりいざるを得ないんです。ただ、それ以上の、ドレーンを外した後もずっといるかどうかというのはやはり問題で、これはちゃんとしたエビデンスがあって、DPCでも日本の平均を取れば大体わかるんです。ただ、問題はそうではない人が今後増えてくるということを私はすごく心配していて、こうやってすぱっと切ったりいろんなことをやったときに、そこの部分がどうなるかということを私はとても心配しているんです。
ですから、お元気な方が何か急に傷病になって入ってきたときとか、診断が付いていて、手術をすればいいときに入ってきたというのは、ある程度、がんと絞れるんです。ただ、そうではない人も入ってくるんです。それが私はどうしてなのかがとても心配で、それが本当にそういうふうに、こういう具合にやってしまったときに、そういう人たちに本当にいい医療が提供できて、国民の人が幸せになるかというところに私は物すごい危惧感を持っています。ただ、そこには今度お金を相当投与しなければいけないので、どうするかという整理をしなければいけないというのが多分、ここの大きな論点ではないかという感じが私はいたします。
○田中座長 西澤構成員、どうぞ。
○西澤構成員 今、相澤先生の言ったとおりで、別に高齢者のことだけを考えているのではなくて、それが一番問題だから言っているので、前提としては全世代のことは当然考えた上であるということはまず御理解いただきたいと思っています。
我々、提供側は現実を見ていますから、10年前から見ますと、私たちの病院を見ると、高齢者が増えていますから、これからどんどん増えたらどうしたらいいんだろうということを常に悩みながらやっていて、そういう経験から、今、発言しているということも御理解いただきたいと思います。
それから、私たち提供側と国民の意見は、という言い方をされますけれども、相澤先生も先ほど入院したと言われていますし、日野先生も去年大きな病気をされております。実は私も手術を2回やっております。1つは1か月入院で、1つは実は入院が1週間ぐらい必要だというのを、あえて2日入院で無理やり帰ってきて、ひどい目にも遭っています。このように患者としての経験もあります。我々は提供者であるだけではなくて、少なくとも我々の年代の医者は大体患者でもあった、そういう経験でも言っているということも御理解いただければと思います。
そういうことで申し上げますが、先ほど今までの提供体制が提供側だけの、と言われましたが、それは違うんだろう。すべて、このような検討会の中で、我々提供側だけではなくて、学識経験者、国民の代表の方がいる中で制度はつくってきたのではないですか。ただ、問題なのは、その中で、申し訳ないんですが、本当に国民の代表の方々が真剣にそこでの議論の中に参加していただいたかということに対しては、私はちょっと疑問を持っております。
ですから、国民の視点がなかったといいますが、そういう場があるのに、どうしてそういうことを言うのかと思いますので、是非、国民の方が思うことを堂々とこういう場で言っていただいて、本当の意味での国民参加というものを私たちも望みたいと思っております。
以上です。
○田中座長 あと5分ぐらいですので、私も一言ぐらい、座長としてではなく申し上げます。医療においてすごい勢いで患者像が変化しているとの指摘は全くそのとおりです。皆さん御存じな数値で言いますと、日本はこの15年間で、高齢者ではなくて、75歳以上高齢者が700万人増えました。次の15年間でもう700万人増えて、そこでぴたりととまります。2025年から先、75歳以上人口は、もうほぼ増えません。高齢化率は上がりますが、高齢者数はとまります。
この30年間が本当に急坂で、今、ちょうど真ん中です。ですから、医療の現場は変化してきて、あと15年変化して、それ以上つくり過ぎると、今度は高齢者の伸びがとまってしまいます。かつ、後期高齢者が増えるのは都会であって、先ほど先生が言われたように、地域によっては逆に患者さん自体がこれから減っていく。これから後期高齢者が700万人増えるとはいえ、全国津々浦々で一定の比率で増えるわけではないです。したがって、医療機能を考え、資源を投下し過ぎない視点も必要で、15年後に合わせて刻んでいく。
そのときに、資料2は現時点での医療の観点から切るとこういう図なんでしょうけれども、75歳以上の方が増えて、予後予測が難しい患者さんが増えると相澤先生が言っておられましたが、そういう人が増えたときに、この図でいけるかどうかは確かにまだちょっとわかりにくい。だから質問が幾つか出ているのだろうと感じました。
今のは座長ではなくて、一構成員としての意見でございます。
もう一言言っておきたい方はおられますか。
それでは、幾つか資料要求とか、当然、こういう機能の図などは描き直して、ブラッシュアップして、バージョン1、バージョン2でいいと思うのです。深化していくことも必要でしょうし、余り期間がないから難しいかもしれませんが、皆さんが望んでおられるデータのうち、可能なものについては探してみたり、つくってみたりしてください。
よろしゅうございますね。
大変実のある、非常に深い議論をしていただきまして、ありがとうございました。
それでは、そろそろ予定の時間になりましたので、本日はここまでとさせていただきます。最後に事務局から何かございますか。
○医療政策企画官 第3回会合につきましては、今月中の開催を予定しておりますけれども、詳細につきましては決まり次第、御連絡いたします。よろしくお願いいたします。
以上です。
○田中座長 それでは、新年早々お集まりいただきましてどうもありがとうございました。


(了)
<(照会先)>

医政局総務課

企画法令係: 2519

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