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2011年12月7日 第2回次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会 議事録

健康局総務課生活習慣病対策室

○日時

平成23年12月7日(水)9:00〜12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省専用第23会議室(19F)


○議題

(1)次期国民健康づくり運動プランの目的及び基本的な方向について
(2)次期国民健康づくり運動プランにおける目標設定の考え方について
(3)その他

○議事

≪出席者≫
 池田 俊也(国際医療福祉大学大学院教授)
 岡村 智教(慶應義塾大学医学部教授)
 尾崎 哲則(日本大学歯学部教授)
 工藤 翔二(公益財団法人結核予防会複十字病院長)
 熊坂 義裕(盛岡大学栄養科学部教授)
 新開 省二(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究部長(社会参加と地域保健研究チーム)
 鈴木 隆雄(独立行政法人国立長寿医療研究センター研究所長)
 津金 昌一郎(独立行政法人国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究部長)
 辻 一郎(東北大学大学院医学系研究科教授)
 津下 一代(あいち健康の森健康科学総合センター長)
 戸山 芳昭(慶應義塾大学医学部教授)
 中村 正和((財)大阪府保健医療財団大阪府立健康科学センター健康生活推進部長)
 西 信雄(独立行政法人国立健康・栄養研究所国際産学連携センター長)
 野田 光彦(独立行政法人国立国際医療研究センター糖尿病・代謝症候群診療部長)
 羽鳥 裕(社団法人神奈川県医師会理事・医療法人社団はとりクリニック理事長)
 堀江 正知(産業医科大学産業生態科学研究所所長)
 三浦 宏子(国立保健医療科学院統括研究官(地域医療システム研究分野))
 宮地 元彦(独立行政法人国立健康・栄養研究所健康増進研究部長)
 村山 伸子(新潟医療福祉大学健康科学部健康栄養学科教授)
 山縣 然太朗(国立大学法人山梨大学大学院医学工学総合研究部社会医学講座教授)
 横山 徹爾(国立保健医療科学院生涯健康研究部長)
 吉水 由美子(伊藤忠ファッションシステム(株)ブランディング第1グループクリエーションビジネスユニットマネージャー)


厚生労働省
 (健康局)
  外山健康局長
  野田生活習慣病対策室長
  河野栄養・食育指導官
  三田生活習慣病対策室長補佐
  菊地生活習慣病対策室長補佐


○菊地室長補佐 それでは、定刻より若干早いのですが、委員の先生は皆さんおそろいのようですので、ただいまから第2回「次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会」を開催いたします。
 委員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただき、お礼を申し上げます。
 まず初めに、今回初めて御出席をいただいております委員の御紹介をいたします。
 盛岡大学栄養科学部教授の熊坂義裕委員です。
 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究部長の新開省二委員です。
 新潟医療福祉大学健康科学部健康栄養学科教授の村山伸子委員です。
 なお、本日、樋口委員、十一委員、湯澤委員の3名におかれましては、欠席となっておりまして、25名中22名の御出席をいただいております。
 また、本日参考人といたしまして、独立行政法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所社会精神保健研究部の伊藤弘人部長にお越しいただいております。
 次に配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 お手元にお配りしております、座席表、議事次第、配付資料一覧、名簿。
 そのほか資料1ですが、資料1は資料1−1と資料1−2に分かれておりまして、それぞれ各委員の先生方から提出いただいている資料をまとめております。
 資料2、前回の専門委員会での主な御意見。
 資料3、次期国民健康づくり運動プラン策定に関する意見聴取の進め方(案)。
 参考資料1と参考資料2は一緒にとじておりまして、参考資料1は告示であります基本的な方針。
 その通知でありますものが、6ページ後の参考資料2でございます。
 参考資料3、第1回専門委員会のときの資料ですが、次期国民健康づくり運動プランの見直しの方向性(案)。
 以上の資料をお付けしております。
 不足しております資料等がございましたら、事務局までお申し付けいただきますように、お願いします。よろしいでしょうか。
 それでは、ここからは辻委員長に議事の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○辻委員長 よろしくお願いします。
 本日は議題の1と2を用意しておりますけれども、まず前回の続きとなります、がんとCOPDについて御説明をいただきたいと思います。
 その後、認知症の予防による社会生活機能の改善、運動器の健康、生涯の健康づくりにおける母子保健領域・未成年の課題、休養・こころの健康づくりに関しまして御説明いただいた後、更に追加資料の提出がありました方につきましても、それぞれ補足説明をいただきたいと思います。資料は厚くなっておりますが、資料1です。
 なお、前回同様、説明は一課題ごと5分程度でお願いしたいと思います。
 それでは、まず前回時間の関係で先延ばしになっておりました、がんとCOPDから始めたいと思います。
 最初に津金先生、お願いいたします。
○津金委員 れでは、御紹介いたします。
 最初に17ページを開けていただければと思います。厚生労働科学研究費の中で、私が主任研究者で、辻先生にも入っていただいているんですが、国内の8施設の研究者に集まっていただきまして「生活習慣改善によるがん予防法の開発に関する研究」という研究をやっています。この研究のパンフレットの前半部分です。
 18ページを開けていただくと「『がん研究』から『がん予防』へ」ということをスローガンにしていて、いわゆる研究でわかったことをいかにがん予防へ結び付けるかということです。それにはエビデンスをきちっと評価することが重要だろうということで、主にこの研究班の特徴としては、日本人のエビデンスを系統的に収集し評価することで、国際評価を参考にしながら、日本人において要因とがんとの関係に因果関係があるかどうかということを評価しています。当然評価はイエスかノーかではなくて、グレーディングで評価されています。
 20ページからは「これまで行われた評価の一覧」です。がんに関してはいろんな部位がありますので、いろんな部位のがんとの関係を評価しています。十分に確実だと評価できるものもあれば、データ不十分のものが多いというのが現状であります。
 ここで確実とかほぼ確実とされた要因、あるいは国際的評価を参考にしながら、22ページにあるような「日本人のためのがん予防法」を提示しています。現状で、がん予防のために実施すべきこととして、喫煙、飲酒、食事、身体活動、体形、感染、この6項目を挙げて、それぞれに対して実際にどうすればいいのかということを推奨として示しています。
 23ページは、その後の班会議などで行われた評価の結果をアップデートしたもので、赤枠で囲っているものが新たにアップデートされたものです。
 元に戻って、1ページ、がんに関しての記述です。先ほどのパンフレットにも記述があるんですが、それをアップデートしたものです。
 例えば、「喫煙」に関しては「国際評価の現状」として、国際的な評価はどうなっているのか。日本人を対象とした今回の研究班でのエビデンスのレビューに基づいて因果関係はどうかということ。日本人のエビデンスと生活習慣改善により期待される効果、要するにリラティブリスクがどのぐらいかということを、メタアナリシスとかプール解析という複数の研究に基づいて推定した値を示しています。
 「対策の効果」として、いわゆるPopulation Attributable Fractionというものを、固いリラティブリスクと国民の保有率に基づいて計算した結果です。この対策によってどのぐらいのがんを予防できるだろうか、理論的にはこのぐらいのがんを予防できるだろうということを示しています。
 細かいところは後で見ていただければと思いますが、14・15ページにこのまとめが示されています。
 喫煙とかリスク要因に関して、国際評価で関係があるとされている部位はどこか。
 日本人において関係があると評価されているのはどこの部位か。
 日本人の相対リスクをなるべくコホートのプール解析とかなどで行っているものを示しています。「(コホート)」と書いているのは、1つの大規模コホートで、そのほかはコホートのプール解析というか、複数の研究に基づいてリラティブリスクを推定したものを示しています。
 そういうリラティブリスクや要因の保有割合などに基づいて、寄与割合としては、罹患と死亡に関してどのぐらいあるかということをパーセンテージで示しています。
 日本人の相対リスクのがん全体に対するものです。部位別にやっていると切りがないので、がん全体としてのインパクトはどのぐらいあるかということのリラティブリスクを示しています。
 国民のリスク保有率。
 がん予防、リスク低減のための目標としては、例えばたばこは吸わない、受動喫煙は暴露しないとか、飲酒に関してはがん予防としては週150g、死亡リスクとしては週300gなどを出しています。
 当然がんだけを予防してもしようがないので、主ながん以外への疾病への影響として、例えば喫煙であれば脳卒中、心疾患、糖尿病、呼吸器疾患なども横に列記しています。
 以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
 次にCOPDの工藤先生、お願いいたします。
○工藤委員 それでは、25ページをごらんいただきたいと思います。27ページから後ろの方は、パワーポイントの配付資料の形になっております。
 COPDの位置づけでございますけれども、世界的にはCOPD患者は約2億人、中等症・重症のCOPDは6,400万人、年間の死亡者は300万人と推定されております。これはWHOの直近の報告であります。COPDによる死亡は、緊急のたばこ対策等がなければ、今後10年間に30%増加する。そして、2030年には死亡順位第3位になるだろうと推定しているところでございます。
 一方、喫煙人口が減少している一部先進国がございます。例えばカナダの大規模コホート調査、これは昨年のArchives of Internal Medicineに報告されておりますけれども、ここではCOPDの有病率は増加しておりますが、既に新規発生、すなわち罹患率と全死亡が減少に転じているという報告がなされております。
 日本でありますけれども、厚生労働省の統計によりますと、受療者数が約17万3,000人ということなんですが、NICE studyでは40歳以上のCOPD有病率は8.6%ということで、全世界の平均的なデータでは、大体8〜10%ぐらいと言われておりますので、それに合致する有病率です。Nice stady当時の人口構成で、患者数は約530万人と推定されておりまして、こうなりますと、大多数の患者さんが未診断、未治療に置かれていると考えられるわけであります。これは後で申します、いわゆる認知度が非常に低いということと、もう一つCOPDに関しては、無症状の期間がかなり長いということがございます。
 一方、COPDの死亡数でありますけれども、過去10年間増加をし続けておりまして、直近のものでは1万6,000人を超えております。
 医療費は約2,000億円ということで、呼吸器系の総医療費の約10%を占めているわけですが、8,000億円ぐらい医療費が使われているという研究報告もございます。
 今後、過去の喫煙率増加が約20〜30年遅れて反映してまいりますので、その反映と若年喫煙率の増加、高齢人口の増加、さらにCOPDに関わる認知が普及してまいりますと、有病率、罹患率、死亡率の増加が続くと考えられております。
 2番目、COPDは予防と治療が可能な疾患だということでございまして、COPDは御承知のように、日本では90%以上がたばこ煙の影響であります。女性の方が男性より感受性が高いと言われておりまして、女性喫煙率は増加しているということで、WHOでも男女ともに喫煙が最大の発症リスクとされています。したがって、COPDの発症予防と進行の阻止は禁煙によって可能でございまして、早期禁煙ほど効果は高い。後ろの資料のように呼吸機能の変化の報告を見ましても、早期にやめますと、一時的にせよ呼吸機能が改善いたします。
 COPDは肺の炎症性疾患と考えられておりまして、炎症性サイトカインや高感度のCRPなどが上昇いたします。そのため、心血管疾患、糖尿病、骨粗鬆症などの併存疾患が大変多いものでありますので、COPDの抑制にこれらの疾患の低減効果の可能性も期待されているところであります。
 治療は基本的に気管支拡張薬でありますが、これは自覚症状のみならず、さまざまな要素の改善が認められておりまして、とりわけ生命予後の改善が最近の6,000名を超える、3年間、4年間の国際的な大規模スタディでは見られており、更に早期治療介入ほど有効性が高いと言われており、早期発見と早期治療が非常に重要であります。
 最後に今後の対策の方向でありますけれども、昨年、厚労省が検討会を行いまして、予防・早期発見の方向性と方策を示したわけですが、医療側でも日本医師会を中心にして、日本COPD対策推進会議が昨年の暮れに発足しております。
 とりわけ重要なのは禁煙対策であります。
 それから、特に早期発見・早期介入に関しましては、国民意識の向上ということで、まず認知度を高めることと、もう一つは「肺年齢」という概念が日本呼吸器学会から提唱されておりますけれども、国民の肺の健康保持に対する喚起に役立つものであります。それから、質問票とか肺チェッカーという簡易の計測器を利用したスクリーニングの推進。
 更に医療者側の認知度も高める必要がございます。そこで、病診連携が極めて重要であるということであります。
 現在、健康診断にオプションでないとスパイロメトリーは行われておりませんが、スパイロメトリーがCOPDの診断の用具でありますので、今後健康診断への導入を検討する必要があります。
 最後にCOPDのモニタリングでありますけれども、現在、有病率はわかるわけですが、結核のように法律に規制されている疾患でないために、罹患率はわからない。新規発生がどう変化していくかが非常に重要ですが、そのモニタリングをどうするかが大きなテーマです。
 以上でございます。
○辻委員長 ありがとうございました。
 それでは、新たに御提出いただきました資料につきまして、鈴木先生、お願いいたします。
○鈴木委員 それでは、認知症の予防ということで、資料あるいは課題を提出させていただきました。39ページをお開けください。高齢社会の中で認知症をいかに予防していくかというのは、非常に大きな問題でございます。
 39ページにざっと現状をお示ししておりますけれども、65歳以上の高齢者ですと、約15%ぐらいが認知症である。実際の数でいいますと、現在、最低でも400万人は認知症であると直近の全国調査で推定されております。
 また、要介護状態になることを防ぐ事業がございます。介護予防事業と申しますけれども、これで粗々のチェックをするわけでございますが、その場合、約20%の方が何らかの物忘れのサインが出ているといったことが示されてございます。そういったことで、実質的な患者数は約400万人以上、予備群として恐らく同数ぐらいの方々が問題となるのではないかということが、今、予測されております。
 実際に認知症の発症を直接予防するという方法は、現在、残念ながら開発されておりません。しかし、認知症の予備群、すなわち軽度に認知機能が低下した状態、これを軽度認知機能障害、英語表記を略してMCIと呼んでおりますけれども、MCIの方々に対しては運動を中心とした介入によって、相当な認知機能の低下を予防することができる。要するに認知症の発症を先送りすることができるというエビデンスにつきましては、国外は幾つかございましたけれども、ようやく国内でもかなり厳密なRCTによって確認がとられているということでございます。
 申すまでもございませんけれども、認知症というのは、今後の高齢社会の中で非常に大きなパートを占めるということですし、それを少しでも先送りする、あるいは認知機能の低下を予防するうえで、運動介入が有効であるということであれば、これは是非国民の大きな理解を得た上で、展開できていければと考えております。
 そのことを詳しく書いたのがパワーポイントからの資料でございますけれども、41ページをお開けいただきますと、認知症の危険因子というのはこれまでたくさん同定されております。勿論年齢を経ることも大きいですし、遺伝的な素因がないわけではありません。
 しかし、逆に予防できる因子というのも非常に多く知られておりまして、生活習慣病リスク全体の管理もそうでございますし、喫煙、飲酒、生活習慣で認知症に関わる危険因子ということは同定されております。更に赤字で書いておりますけれども、中等度以上の身体活動は、特に認知症予備群において有効であるということが多くの科学的研究によって確認されているということでございます。
 あとは詳しい図を幾つか付けてございます。
 今回、プランの策定ですので、43ページは、特に認知症予備群を対象として、運動介入ということを基本にしたエビデンスを集めております。日本で行われたものが昨年度までに2件ございまして、そのうちの1件は、私ども国立長寿医療研究センターの地域で行われております。
 46ページの下のスライドにお示ししてございますけれども、特に頭を使いながら運動をする、そういったエクササイズが確実に認知機能の低下を抑制するということが、ランダム化試験におきましてわかっております。
 MCIという予備群の全対象者においても、47ページの上に示されておりますように、ウェクスラーの成人知能検査ですとか、あるいは単語の想起といったような、かなり重要な脳機能の部分の介入群すなわち運動群で改善が有意に見られる。
 特に予備群の中で、アルツハイマー型の認知症になりやすいと言われる健忘型のタイプの方がおられますけれども、この方々には特にこういった運動が効いているというデータが今回示されておりまして、単に高齢期だけではなく、壮年期からの運動習慣が非常に重要になるのではないかと思われるデータがたくさん出てきているということで、今回御紹介いたしました。
 以上でございます。
○辻委員長 ありがとうございます。
 次に戸山先生、お願いいたします。
○戸山委員 それでは、私から運動器の健康という課題で御説明させていただきます。
 ページは49ページから書かせてもらっております。また52ページから56ページまでは、それに伴うところの参考文献を載せております。57ページからはパワーポイントで、一応わかりやすくスライドを載せておりますので、見ていただければと思います。
 それでは、早速説明させていただきます。
 49ページをごらんいただきたいと思います。御存じのように、健康日本21の最終評価の中で、今後新たな課題として、要介護状態を予防するための取組みの推進、特に生活機能低下予防とロコモ予防、ないしは高齢者、女性の健康などが指摘され求められています。その対応としては、骨・関節・神経・筋肉、すなわち運動器の健康力向上とその維持が何より必要かと思います。
 御存じのように、国民生活基礎調査でも、自覚症状では男女とも腰痛や肩こり、関節痛が上位を占めておりますし、要支援・要介護の中でも関節疾患や骨折・転倒が上位です。特に関節疾患は、ついに要支援の第1位になりました。また、要介護に陥るきっかけは、筋骨格系疾患における下肢機能の低下や基礎的な体力の低下が引き金となって、要支援・要介護の重症化に向かうことも明らかになっております。要するに健康づくりのためには運動器に注視して、その健康力の向上と維持に努めることが何よりも重要ではないかと思います。
 歩行、運動習慣というのは、糖尿病、生活習慣病予防でも多分キーになろうかと思いますけれども、その基盤をつくる運動器の健康、すなわち中高年以降で腰痛、膝痛、下肢機能や基礎体力が低下して、運動器の障害によって歩けない、運動できない状態に陥りますと、閉じこもりや体重増加、下肢機能悪化、精神面悪化等々悪循環に陥るということで、最終的に生活習慣病や要介護者の増加につながるものと思われます。
 これらのものは、例えば背骨であるとか、膝であるとか、今までは個々でとらえましたけれども、これらを1つとして、骨・関節・神経・筋肉全体を含めた運動器の機能を評価することが必要であろうということが、最近、提唱されまして、運動器症候群、ロコモティブシンドロームとして動き始めております。これは運動器の障害、機能低下によって要支援・要介護になるリスクの高い状態、すなわちそれに入る手前の状態をチェックすることでありまして、国民健康づくり運動の1つとして置くべきではないかと思っています。ただ、残念ながら、メタボ等々に比べますと、まだ認知度が落ちておりますので、その辺のところの啓発も非常に重要になろうかと思います。
 50ページを開けてください。運動器疾患の重要性、現状分析ですが、人口動態・疾患動態を見ましても、特に65歳以上が今後ますます増えますし、その中でもひとり暮らしが2009年で114万世帯、また75歳以上のひとり暮らしも2025年ごろには400万世帯を超えることになります。ひとり暮らしとなりますと、何事にもその基盤である運動器、すなわち歩く能力が求められるのではないかと思います。
 また、疾患動態になりますと、先ほど御説明のあったがんの対策、または先ほど発症400万と御説明がありました認知症への対策とか、心臓病、脳血管障害、そのようなもののリスクファクターとされる生活習慣病対策も非常に重要ですけれども、罹病、罹患率から見ますと、やはり運動器疾患も非常に多うございます。
 例えば推計ですけれども、変形性腰椎の有症数は1,100万人ぐらい、変形性膝関節2,530万人のうち有症数が820万人ぐらい、また現在でも大腿骨頚部骨折は年間14万人で、間もなく20万人になろうかという指摘もあります。骨粗鬆症も1,280万、ロコモも4,000万を超える状態があります。
 健康寿命延伸には運動器の健康、ロコモの重要性に関する国民の啓発、運動器に関する健診、保健指導の展開、健康増進に有効な生活習慣の改善、維持・向上に必要な運動や食生活の改善、指導、運動を行えるような社会、環境等々の整備が必要になろうかと思います。
 51ページの4のところは、それに関するエビデンスを箇条書きで並べさせていただきました。
 例えばロコモの認知度は、先ほど話したように、まだ極めて低いということでありますし、これらは運動器というのを、国民が重要であると認識することも非常に重要ではないかと思います。
 また、40歳以上の骨粗鬆症の有病率も最近発刊されるガイドラインの中に提示されますが、腰椎は男性で3.4%、女性19.2%、大腿骨頚部では、男性12.4%、女性26.5%等々が出ております。
 骨粗鬆症は、思春期に運動して、またカルシウムその他、食である程度骨密度が上がって、決定されます。よって、思春期での低骨量女子の割合を低下させる。思春期に骨密度を上げることも健康づくりには重要ではないかと思います。
 時間の関係上、ここに書かれておりますエビデンスは省かせていただきますが、一応52ページまで二十数項目が現在示されております。
 その中で目標となりますと、ロコモの認知率をメタボ並みに上げることも必要であろう。
 運動器健診を取り入れて、骨粗鬆症健診率を高めることも必要であろう。
 思春期の低骨量女子の割合を減少させて、基盤となる骨粗鬆症の有病率を下げることも必要であろう。
 それから、前回出されましたけれども、運動習慣を身につけさせて、歩数を増加させることも重要かと思います。
 骨折・転倒を予防させるためには、それに対する運動を指導して、チェック機能も必要であろうと思います。
 食生活では、ビタミンDやカルシウムの摂取、今後もこの項目は国民に示すべきではないかと思います。
 簡単ですが、以上でございます。
○辻委員長 ありがとうございました。
 次に山縣先生、お願いします。
○山縣委員 ページといたしましては、77ページからでございます。私が用意いたしました資料は、ここにありますように、生涯の健康づくりの中での子どもたち、母子保健領域の課題であります。基盤になっておりますのは、2001年から始まっております健やか親子21でございまして、これが母子保健領域における国民健康づくり運動でございます。
 その中で、特に生活習慣病予防の課題として挙がっているものは、まず小児の肥満です。これは平成21年で10%。
 2番目といたしましては、若い女性のやせが問題になっておりまして、これが増加している。これは妊娠期の体重の増加不良といったようなことから、その後の子どもの健康にも影響するという重要な問題であります。
 これに先立ち思春期の不健康やせがございました。この定義は下にございますが、これが急激に増えておりまして、大きな課題となっております。
 3番目は、35歳以上の妊婦・出産の増加、低出生体重児の増加であります。
 4番目は、妊婦・未成年の喫煙。これにつきましては、資料の79ページにございますが、健やか親子21の策定時から比べまして、未成年、10代の喫煙率というのはかなりの改善が見られておりますが、目標であります0%までにはまだあるということでございます。
 5番目は、10代後半の朝食欠食が増えて、小中学校までの欠食に関しては、比較的少なく済んでいるわけですが、10代後半、20代になって急激に朝食の欠食が増えている。
 10代後半の死因の第1位が自殺になったというのが、最近の非常に大きな課題でございます。これも79ページにございますが、10代後半の男子の自殺が多いわけですが、これに加えて女子も増加傾向にあることが問題であります。
 産後うつが課題になっております。
 8番目、歯周病、5歳から14歳で43%あるという結果がございます。
 最後に社会経済格差の拡大がございますが、これにつきましては、現在言われていることでありまして、子どもにどういう影響を与えているのかということは、十分なエビデンスはありませんが、想像に難くないということで検討課題になります。
 これに対しまして、健康学習や情報の活用といったこと、ただ単に子どもの生活習慣をきちんと見直し、それが成人に続いていくようにという対策に加えて、3)にありますように、バーカー説と言われる胎児期生活習慣病発症説がかなりエビデンスを持って注目されておりますので、妊娠期からの健康管理といったことが、将来の子どもたちの生活習慣病につながるということをきちんと念頭に置いた取組みが必要であろうということ。
 それから、思春期のメンタルヘルスに対する関係機関の対応。
 喫煙対策。
 歯周病の啓発、指導。
 保健医療福祉の連携をすることによって、これらの課題をどう克服していくかということであろうと思っております。
 参考資料は挙げておりませんが、健やか親子21に関しましては、中間評価を2回やっております。それが既に公開されておりますので、それを御参照ください。
 以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
 次に、本委員会では、こころの健康づくりにつきまして、伊藤先生を参考人としてお招きしておりますので、先生、お願いいたします。
○伊藤参考人 ありがとうございます。国立精神・神経医療センターの伊藤でございます。
 「休養・こころの健康づくり」について、お話いたします。健康日本21の最終評価によりますと、睡眠による休養を十分にとれない人の割合というのは減少していますが、ストレスを感じた人の割合や睡眠確保のための睡眠補助品やアルコールを使う人の割合が増加していました。先に御発表もありましたとおり、自殺者数が年間3万人前後の状態で続いていること、患者調査から、うつ病による受療者数が増加していることが指摘されておりまして、特に働く世代のうつ対策の重要性が指摘されています。
 平成18年に自殺対策基本法が成立し、政府は自殺対策に注力しています。自殺死亡率を目標値として継続的に評価することは、健康日本21以降も大事であることは間違いないと思いますが、自殺というのは複合的な要因が関係していることもありますので、目標達成のための具体的なプロセスの中で、地域保健の中で推進すべき取組みを検討する必要があるのではないかと思います。
 健康日本21の策定以降の進展として、厚生労働科学研究で自殺対策のための戦略研究が大規模に実施され、地域介入研究、多施設共同による無作為化比較試験の成果がとりまとめられていることがあげられます。委員長の辻先生が中心的に関わられていらっしゃいました。
 また、海外では、英国のNICEでガイドラインができまして、慢性疾患を持つ者に対するうつ、これへの介入方法として、睡眠衛生教育、セルフケア支援やうつのモニタリングといった強度の低い介入から徐々に強度を高めていく介入、このような段階的ケアを推奨しています。なおうつというのは、後ほどもお話をしますが、うつ状態とうつ病を合わせた概念です。
 慢性疾患でかかりつけ医に受診している患者が、うつを併発している場合、かかりつけ医と精神科医との調整がされることにより、うつの改善のみならず、慢性疾患の予後を改善するという研究結果が報告されています。
 ここでこれまでのエビデンスを参考として簡単にまとめました。★が付いているのがメタ分析の結果です。
 心筋梗塞等では、うつがあると冠動脈疾患になる調整済リスクは1.6倍になります。急性心筋梗塞後にうつがありますと、全死亡率が2.25倍、心臓病による死亡率が2.7倍、心イベントは1.59倍になって、このトレンドは25年間変化がないという研究も最近報告されています。
 また、心不全でうつを併発する割合は22%で、うつがあると死亡や心イベントのリスクが2倍になると言われています。
 うつというのは、英語で言いますとDepressionで、これはうつ状態とうつ病を併せた概念であります。
 脳卒中後のうつも古くから知られておりまして、脳卒中患者のうつの有病率は14〜19%、うつがあると、脳卒中の総リスクは1.45倍になり、脳卒中死亡リスクは1.55倍、虚血性脳卒中のリスクは1.25倍と言われています。
 糖尿病は野田先生がよく御存じですが、2型糖尿病からうつになるリスクは1.24倍で、うつから2型糖尿病になるリスクも1.6倍となっています。
 喫煙、生活習慣との関連もあります。うつ病があると喫煙率が大変高くなっています。児童思春期での研究でありますが、喫煙はうつのリスクでありまして、逆にうつは喫煙するリスクになっています。
 体重につきましても、資料に示す関係があります。
 特に大切なのは、次のアドヒアランスです。これは処方された指示に従って治療を受けていくかということで、コンプライアンスよりは、もう少し患者さんと共同するという観点が盛り込まれている概念であります。
 うつがあるとアドヒアランスが低下するリスクは3倍と言われています。
 また、冠動脈疾患外来患者でありますが、アドヒアランスが低下するリスクは、うつがあると指示どおりに服薬しないリスクが2.8倍、服薬を忘れるリスクが2.4倍、服薬回数を減らすリスクが2.2倍となっています。
 こういったことを考えますと、うつの治療という観点よりは、それぞれの生活習慣病もしくは生活習慣の改善の介入の中に、例えば認知行動療法的アプローチといった技術を盛り込んでいくと、健康へよい影響があるのではないかというのが、これまでのエビデンスをまとめた感想です。
 81ページに戻りまして、具体的なターゲットとして、うつにポイントのひとつを置く考え方もあるのではないかと思います。
 その背景には、患者調査による気分障害の増加が見られます。これは躁うつ病も含むものでありますが、平成11年から増加をしており、平成20年には101万人、100万人を突破して2.4倍に増加しています。
 WHOによる疾病負担の将来推計によりますと、2030年の疾病負担の第1位は単極性うつ病になると推計がなされています。
 うつと身体疾患・生活習慣との密接な関係は、今、お示しをしたとおりであります。
 86ページの下に表1がありますが、DALYという計算方法で疾病負担の主要原因を見ますと、既に2004年で単極性うつ病は高所得国では第1位になっていますが、2030年にはいわゆる発展途上国も含めて、単極性うつ病性障害、虚血性心疾患といったものの順位が高くなるということであります。
 82ページに戻り、以上から、10年後を見据えた次期プランに追加すべき具体的なターゲットとして、うつ病を含むうつを採用してはどうかと考えます。
 取組みの把握のためのモニターすべき指標のイメージとしましては、これまでどおりの睡眠衛生、これは睡眠時間ではなくて、睡眠の質に着目していくという観点、自殺者数は継続して測定していくという観点、ストレスを感じた人も継続的に働く世代に関する分析を追加していくという観点が参考になると思います。
 次に心の健康状態です。これは国民健康基礎調査に既に盛り込まれている項目にK6という標準化された尺度があります。うつと不安を分けることはできませんが、標準化されている尺度ですから、その結果を活用していくことはきわめて大切と思います。
 以上で終わります。
○辻委員長 ありがとうございました。
 それでは、前回の委員会以降、資料を追加して御提出いただきました委員の先生方から、補足説明をお願いしたいと思います。
 村山先生、お願いします。
○村山委員 それでは、資料1−2をごらんください。
 1ページから4ページまでは、栄養・食生活の全体像を表しています。5ページ以降が個別のテーマについての資料になります。前回、西委員から1ページの全体像については御説明があったと思いますので、今回は追加事項を中心に御報告させていただきます。
 2ページをご覧ください。栄養・食生活の領域では、大きく2つに分けて、個人の健康づくりと地域社会の健康づくりを両面から取り扱っていこうという方向で考えております。
 まず地域社会の健康づくりにつきましては、今回、新たに資料を添付させていただきましたので、後ほど御紹介させていただきたいと思います。
 3ページ目の個人の健康づくりですが、成人につきましては、生活習慣病との関連の強い食塩、野菜・果物肥満あるいはやせに関するテーマを前回出させていただきました。
 今回はそれに加えまして、学童・思春期の共食について取り上げさせていただいております。栄養・食生活の領域では、ライフステージを通したということをテーマに挙げておりますので、学童・思春期についての共食を追加させていただいております。
 それでは、個別の資料に移ります。5ページをご覧ください。当初、栄養・食生活に限ったところで、地域社会の健康づくりの資料を用意していましたが、全体に関わることととらえましたので、今回は栄養・食生活に限らず共通の内容とさせていただいております。
 5ページの初めに示したのは、健康日本21との関連で地域社会の健康づくりがなぜ必要かという点です。1点目は、すべての人の生活の質へのアプローチが必要だということです。健康日本21では、ヘルスプロモーションの考え方に基づいて計画が策定されました。すなわち最終的なゴールは生活の質の向上でありましたが、必ずしも生活の質の向上に焦点が必ずしも当たっていなかったという反省点があります。高齢者が増加しますと、何かしら調子が悪いところをもっている人が増え、そうした人々でも生きがいをもって生きていける社会が必要です。そこで、生活の質の向上と関連の強いことといたしまして、社会参加を取り上げさせていただきました。社会参加と生きがいの関連につきましては、日本の文献でも報告されております。
 2点目ですが、健康づくりに不利な層へのアプローチが必要だということです。これまでの健康づくりの取組みというのは、健康に関心がある層を対象とした取組みが多く、特に無関心な層あるいは社会経済的に不利なため取組みが行われにくい層、地理的に保健医療サービス、さまざまなサービスへのアクセスが悪い層へのアプローチが十分に行われてきたとは言えません。近年、日本においても健康格差の実態が報告されており、6ページに整理してございますので、いただければと思います。
 このように、社会的な背景、健康日本21の取組み状況、エビデンスという3点から、この2つの項目を目標として取り込んではどうかという御提案です。
 2つの項目、社会参加と健康格差の課題についての取組み、どのようにしたら改善できるかということにつきましては、まだ確立したエビデンスがあるものではございません。しかし既にアメリカのヘルシーピープル2020におきましても、健康格差の問題は取り上げられております。また、WHOからの資料で健康格差につきましては、アプローチの方法が提案されております。資料8ページに記載しました。主要な面といたしましては、例えば社会的な環境面の整備と同時に個人への支援を同時に行っていくことが提案されております。目標といたしましては、健康格差、社会参加等の問題に関して、地域特性を生かした取組みをする自治体を増やすということを提案します。国におきましては、全国共通の課題への対策並びに自治体の支援あるいは自治体間の格差をなくしていくことが必要かと思われます。
 続きまして、11ページ、追加資料の野菜・果物摂取量の増加につきましては、13ページ、14ページにWHOが行いました、野菜・果物摂取の増加させる取組みの効果についてのレビューを載せましたので、後ほどごらんいただければと思います。
 続きまして、17ページです。新たに追加した学童・思春期の課題といたしまして、子どもの共食あるいは孤食を取り上げさせていただきました。17ページの1ですが、国の政策である第二次食育推進基本計画におきましても、家庭における共食を通じた子どもへの食育の推進が目標として取り上げられております。同時に共食の実態として、17ページの図のように、まだ課題が多いという実態がございます。なかなか改善されておりません。共食と生活習慣病との関連でのエビデンスとして、諸外国並びに日本におきまして、幾つかのエビデンスがございます。共食と健康状態との関連では、子ども時代の肥満並びに食物摂取状況の関連、外国の研究ですが、その後成人になっての食物摂取状況との関連が見られております。こういった根拠に基づきまして、子どもの共食あるいは孤食というテーマを提案させていただきたいと思います。
 なお、これをどのように改善していくかにつきましては、エビデンスに基づいた提案が十分にできる状態ではございませんが、先ほど申し上げましたように、食育推進基本計画の中で取り上げられたということがございますので、推進が進められるもの、実現可能性があるものと考えております。
 以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
 次に中村先生、お願いします。
○中村委員 資料は21ページからです。前回、私から資料を提出させていただきましたけれども、今回それに加筆する形で、再度まとめさせていただいたものを21ページからお示ししています。
 項目立てとしては、たばこ分野の政策が目指す目標、背景、関連分野、対策の必要性、対策の現状、次期国民運動における指標と目標についての考え方、今後目標を達成するための対策の方向性について、引用文献も付けまして、まとめさせていただきました。
 簡単に説明させていただきます。
 「1.最終目標」は、そこに書いたとおりであります。
 「2.背景」としましては、喫煙率、たばこによる健康被害の実態、たばこによる健康影響という流れで書いています。喫煙率については、最新の2009年の国民健康栄養調査では、男女計で23.4%、男性が38.2%、女性が10.9%。男性は減少で、女性は横ばいです。全体で見ると数字はかなり下がってきていますが、そこに書いてありますように、男性の30〜40代では50%、女性の20〜40代では20%と、まだ喫煙率が高い年齢層が存在している。
 たばこ消費量は近年減少しておりますけれども、やはりたばこの影響というのは長期にわたります。また、高齢化していることが影響して、たばこ関連疾患による死亡者数は年々増加しています。日本での2005年以降の喫煙による年間超過死亡数が報告されておりますけれども、結果はほぼ一致しておりまして、12万人から13万人。そのうち『ランセット』の日本特集の中で、日本人の死亡原因ということで他の原因と比較しても、喫煙が一番多く関与していることが報告されております。受動喫煙についても報告がありまして、そこに記載しているように、肺がんで2,000〜3,000人、虚血性心疾患で3,000人と、受動喫煙による年間超過死亡数が報告されております。
 健康影響につきましては、非常に多くの病気と関連しているということで、がん、COPDを含む呼吸器疾患をはじめ、糖尿病についても、近年メタアナリシスで発症との関係が明らかですし、重症化の要因としても報告されております。母子保健領域においても、いろいろな悪影響を与えることがわかっております。
 禁煙の効果についても明らかですし、また経済的な影響については2兆円規模の税収があるんですけれども、超過医療費、労働力損失等の経済損失がむしろ上回っているということが報告書レベルですけれども、報告されております。
 具体的な対策ということで、2005年2月に発効し、日本も批准しているたばこ規制枠組条約に基づいてたばこ政策を実施することが必要です。そこに効果的な対策について、それぞれの条文のタイトルを挙げさせていただいております。たばこ価格・税価格の値上げ、受動喫煙の防止、警告表示、教育・トレーニング、広告等の制限・禁止、禁煙支援・治療、未成年者への販売の禁止、そういったものが効果的な対策とされており、それを裏付けるエビデンスも報告されています。
 「3.関連分野」は、そこに書きましたような内容です。
 「4.なぜたばこ対策が必要なのか」については「2.背景」に書いた裏返しになるんですけれども、喫煙が疾病、死亡の原因として最大かつ回避可能な単一の原因であるからです。
 近年、注目されるNCD対策においても、そこに挙がっているようなNCDの対象疾患であるがん、循環器、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病に共通したリスク要因であって、たばこ規制の枠組み条約はNCDの予防と対策のモデルとしても位置づけられておりますし、短期間にNCDの発症、死亡を減少させるためには、たばこ対策の推進は是非必要であります。
 「5.わが国のたばこ対策の現状」につきましては、そこにまとめさせていただいておりますけれども、主なものとしては、昨年10月のたばこの税・価格の値上げがありました。
 受動喫煙の防止につきましては、2003年施行の健康増進法で、罰則規定はないものの、管理者の努力義務になりました。
 更に2010年2月に健康局長通知がありまして、特に医療機関、学校、官公庁などの公共的な空間についての原則禁煙が示されております。
 23ページですが、たばこ依存症についての禁煙治療が2006年の診療報酬改定で新設され実施されています。
 このように対策が進められてきているんですけれども、ただ、前回の資料でもお示ししたように、枠組条約で求められている内容と比較しますと、まだ十分でないので、さらなる取組みが必要であるということです。
 「6.指標と目標」につきましては、現在、検討中で、他分野との整合性も図りながら、今後お示しをしていきたいと思います。喫煙率の低下と受動喫煙の防止に関する指標と具体的な目標値を設定したいと考えております。
 「7.今後に向けて」ですが、先ほど説明したように枠組条約の内容を進めていくことが重要ですけれども、特に受動喫煙の防止対策、禁煙支援・治療につきましては、厚労省においてイニシアティブをとって進められることでありますので、その辺りを更に進めることができればいいのではないかと考えております。
 以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
 次の資料として、樋口先生からアルコールに関する資料が出ておりますけれども、本日欠席でございますので、次の三浦先生、お願いいたします。
○三浦委員 歯の健康は37ページからですが、40ページまでは前回御説明した資料と同じでございますので、割愛させていただきまして、今回追加したものとして、41ページを開けていただきたいと思います。前回は主として個人の健康づくりからの御説明をさせていただいておりましたが、健康格差と歯科疾患との関連性に関して言及が不足しておりましたので、追加資料を作成させていただきました。
 41ページの図1をごらんになってください。これは齲蝕有病状況における地域差を端的に表した図でございます。平成22年度の学校保健統計調査のデータですが、齲蝕は全体としては減少傾向にありますが、いまだかなりの地域格差がございます。12歳児の1人平均齲歯数ですが、一番低率である新潟県のデータですと0.8本、一番多く齲歯数を有している沖縄県が2.6本ということで、この差は歴然でございます。
 図1は永久歯の地域格差を示したものでしたが、図2をごらんになってください。図2は乳歯の齲蝕有病状況の地域格差を示した疾病地図でございます。永久歯とほとんど同様の状況でございますが、北海道、東北、四国、九州地域において高値を示す市町村が多く、永久歯同様、地域差が認められております。
 3番目の項目をごらんになって下さい。フッ化物応用に代表される地域歯科保健の推進は、齲蝕が多い子どもに対して効果的であり、健康格差を緩和するのに有効であったという研究報告が多数なされています。
 このような見地から、歯科、歯の健康におきましても、個人の健康づくりだけではなく、地域の健康づくりにも関与すべきであると考え、42ページの図3のように、全体のプランを構成し直しております。
 既に前回御紹介した個人の健康づくりに関するものが向かって左側の部分でございまして、その部分については変更等はございません。
 更に今回つけ加えた部分としましては、地域の健康づくりにおける取組みの中で、歯の健康を高めていくというところでございまして、ベースになるところが地域歯科保健対策の推進、健診、フッ化物応用等が取組みとして挙げられるかと思います。そのような活動をベースにして、齲蝕有病状況の地域差の縮小を図り、先ほど御紹介した歯科有病状況の格差を少しでも改善していくような取組みをすべきであるということでございます。それと併せ持ちまして、歯科・口腔保健に関するサービスへのアクセスの改善と公平性の確保も共同して行う必要があろうかと思います。
 これらの取組みをもって、社会環境の質の向上、健康格差の縮小を図っていくということを考えるべきではないかと思い、こういう案を提案したいと思います。
 歯科の場合、栄養と同様にライフステージごとのアプローチが重要になってまいりますので、斜め線でライフステージの取組みも示してございます。
 それから、追加の項目といたしまして、42ページの中段以降の横断的な取組みについて御紹介したいと思います。
 既に前回口頭で横断的な取組みの必要性を御説明したところではございますけれども、それをわかりやすい描いた図表等は提示しておりませんでしたので、今回、追加資料として提示させていただきました。
 今のところ、エビデンスが多く得られている事象に関して、横断的な取組みが有効であろうと考えられるものを3点列挙してございます。
 1点目が栄養でございます。これは前回御説明したとおり、歯を多く喪失している者はそうでない者に比べて有意に野菜摂取量が少なかったというエビデンスがございます。そして、咀嚼能力低下者に対して、歯科治療と栄養治療を併せて実施(介入)することによって、有意に野菜摂取量が増加したというエビデンスもございます。
 2点目としまして、糖尿病でございます。糖尿病と歯周病との関連性を示したシステマティック・レビューにおいて、糖尿病患者は、そうでない者に比較して歯周病が重症であるという報告がなされています。それとはベクトルの向きが反対になるのですが、逆に歯周病が重症であるほど、血糖コントロールは不良になるという結果を示したメタアナリシスも報告されています。
 3点目は喫煙でございます。こちらは先ほども御発言がありましたとおり、多数報告がなされておりまして、歯周病との関連性においては、喫煙者では非喫煙者と比較して4倍程度リスクが高いという研究報告があります。それから、システマティック・レビューにおいて、歯周病に対する喫煙の影響について科学的な根拠が得られているところでございます。
 図4は、これらの横断的な項目も含めて、歯の健康、歯科保健医療施策との関連性を示したものでございます。個人の健康づくり、環境づくりを併せての歯の健康の取組みの追加資料とさせていただきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。

○辻委員長 ありがとうございました。
 次に岡村先生、お願いします。
○岡村委員 それでは、循環器領域ですけれども、47ページの1枚で説明いたします。
 循環器病の目標設定ですけれども、前回も説明しましたように、基本的な方向性については、リスクファクターの変化量の目標設定をまず行う。これは例えば国民全体の平均血圧をどのぐらい下げるかという話になるかと思います。それに伴う死亡率、罹患数、要介護者数の変化を算出することになるのですが、推計はリスクファクターに相当する検査データを有する大規模コホート統合研究、または長期間続いている国民栄養調査参加者の追跡調査であるNIPPONDATA等を使うことを考えております。
 また個々の生活習慣は、リスクファクターの変化量の決定指標として取り扱うことを考えております。したがって、栄養分野、運動分野、飲酒分野などの目標値を見て、リスクファクターの変化量を推計し、それに基づいて1で説明した死亡率等の推計を行うことになります。例えば塩分を2g減らすと血圧がどれだけ動いて、その結果、循環器病がどれだけ動くという推計になると思います。循環器病の場合、危険因子の変化を無視して目標値を立ててしまうと、臨床試験等との整合性がないのがすぐにわかって、おかしくなってしまうので、まずここはきちんと詰めておきたい。
 喫煙だけは検査値のリスクファクターが介在していないので、こちらについては、喫煙分野の目標値に組み込む形で、整合性をとっておかないと、総死亡への影響で違う数字がはじき出されてしまう危険性がありますので、そういうことをやっていきたいと考えております。
 目標設定の例示として、現在、解析中の例を示しました。国民全体の平均値の変化を全体の死亡者数とか罹患数の変化に変えるために、このようなモデルを、今、考えております。そのためには各危険因子のレベル別の死亡数や罹患数が必要になってくるんですが、これは小さいコホートでやるとばらばらになって全く用をなさなくなってしまうので、可能な限り大きなサイズが要るということと、罹患のコホートだけを集めますと、それはそれで問題点が幾つかございますので、とりあえず死亡のコホートで、あとは罹患を推計するという流れをとらざるを得ないだろうと考えております。
 今後の流れというのは、まず危険因子の変化量と循環器病の関連を推計するテーブルを作成しようと思っています。次に関連分野の目標値が危険因子に与えるインパクトを出した上で、あとは全体の整合性の設定を行う。循環器病の方から見て、目標値の再設定をほかの分野にお願いする場面も出てくるかもしれませんが、基本的には関連分野の目標設定におけるインパクトを見ていく形を考えております。
 関連分野というのは、栄養、喫煙、身体活動、飲酒、糖尿病が一番の関連分野になりますが、幸い担当されている先生と全部面識があって、一緒に仕事をしたことがありますので、連携を深めながらやっていきたいと考えております。
 以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
 委員の先生方から御提出いただきました資料につきまして、現状でありますとか、あるいは各課題での目標の考え方につきまして、一通り御説明をいただきました。この辺につきましては、御質問、御意見があろうかと思うんですけれども、後の目標設定のところでまた御議論いただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、次に次期プランの基本的な方向性あるいは目標設定に関する議論に移りたいと思っておりますが、まず前回の委員会で先生方からの御意見につきまして、まとめた形で事務局から御説明いただきたいと思います。
○生活習慣病対策室長 それでは、資料2でございます。「前回(11月25日)の専門委員会での主なご意見」という資料でございます。
 この資料は、論点として3つ「○10年後を見据えた目指す姿について」「○基本的な方向(目的を含む)について」「○目標について」ということで、あった御意見について整理した資料となっております。
 「○10年後を見据えた目指す姿について」でございますけれども、順に御説明いたします。
 すべての国民がともに支え合い、健康で幸せに暮らせる社会を目指すといった御意見。
 次の4点が高齢者、高齢化といった視点からの御意見でございますけれども、生きがいを持って生きていける社会。
 10年後の更に10年後の高齢化社会を見据えるといった御意見。
 労働も見据えた躍動型超高齢者社会の構築を目指す。
 働きやすい職場づくり。
 ひとり暮らしが増えてくることを踏まえて、もう少し高齢化する前の段階から施策を進めることが必要という御意見です。
 次の4点は、子ども、若年層に係る御意見でございます。
 子どもたちが希望の持てる社会を目指す。その基盤となる健康を大切にできる社会を目指すということです。
 不登校については、少子高齢化社会だからこそ、子どもに対するサポートは重要だということで、認識を示されております。
 アメリカの研究からですけれども、虐待などの環境がうつや喫煙などに関連しているといったことから、環境面からよりよくしていったことが重要で、更にこれは大人のメンタルヘルスにも重要である。
 若い世代についてですけれども、労働時間が長いために生活に余力を持てない。そういったことから、ワーク・ライフ・バランスが非常に重要であるという御意見です。
 下から3番目でございますけれども、家庭に係るものですが、親世代が忙しくなっているということで、祖父母が孫の世話をするといったことがあり、ポジティブな世代間相互扶助の姿が提案できるとよいということでございました。
 一番下の3点が地域社会、社会参加といった視点でございまして、健康づくりの資源にアクセスできる社会。
 在宅医療、地域コミュニティの問題も含めるべき。
 ソーシャルキャピタルの有効活用を促進すべきという御意見でございました。
 2ページ目でございますが「○基本的な方向(目的を含む)について」でございます。
 最初の4点ですけれども、個人のみではなく、社会に着目した方向性といった視点からの御意見がございます。
 これまでの健康日本21につきましては、個人の生活習慣に着目をしていたが、生活や労働環境などさまざまな要因を考慮した計画を立てることが必要。
 次も同様の御意見でございます。
 3点目は個人のニーズがないと環境は変わらないということで、地域が行動に結び付くことを促進すべきであるということでございます。
 4点目は先ほどと同様の視点でございます。
 次の3点が健康寿命等に関するもので、非常に重要であるということです。
 一方、75歳以上になると、不健康寿命をいかに縮めるかという視点も重要である。
 人生の最期に、満足してよかったと思えることが重要であるという御意見でございます。
 次の御意見ですが、ライフステージにおける社会的役割とそれを支える健康の確保といった視点が重要であるということでございます。
 次の2点はどういったターゲットでやるかということでございますけれども、優先順位が一番高いのは、健康意識がありながら、生活に追われて健康が守れない、逆に生活に追われる余り健康に関心が持てないといった人々を対象とすべきで、こういった中でどこまで健康格差が縮小できるかが重要であるということです。
 無関心層をどう引きつけるかが重要というのが、次の視点でございました。
 次の2点は健康日本21についてということで書かれていますが、一次予防が重視されていたものについて、治療中の方も、介護を要している方も段階に応じた健康づくりに取り組める働きかけが重要である。これは高齢化社会が背景でございます。
 一次予防とともに、重症化予防が大事だという視点でございます。
 最後の3点でございますけれども、1点目は情報開示といいますか、健康に関連するような環境の情報を開示、公表するという視点で、健康なまちづくりが進むといったことはどうかという御意見でございます。
 国民運動として、わかりやすく伝えることが重要。
 厚生労働省だけではなくて、関係省庁の連携による取組みが重要であるという御意見でございました。
 3ページ目でございますけれども「○目標について」大きなところで御意見をいただいた部分でございます。
 上から3つ目までが、指標は非常に多くて、相互関係の整理が必要だ。それから、客観的指標を用いるべきだといったような視点から御意見をいただいております。
 1点目が、指標が多い、相互関係をしっかり整理する。
 2点目が、論理的な構造の中で整理をすべき。
 3点目が、客観的な指標を用いるべき、単純化することが重要であるということでございました。
 4番目は先ほどの方向のところでもございましたけれども、個人で達成すべき目標と、社会の環境に関する目標があるべきであるということです。
 次の視点は、特定の病気に偏らないようにすべきであるということでございました。
 6番目でございますけれども、最初と同様ですが、関連の高いものは片方を選ぶ、優先順位を考えてという御意見だと思います。
 下から2番目でございますけれども、都道府県や市町村が取り組むことが明確でわかりやすい、取り組みやすい指標が必要である。
 最後については、政策としてのニーズ、インパクトの大きさから、優先順位が高いもの、今回のプランに照らして重点を置く目標、エビデンスに裏づけられている、実行可能性がある目標の設定といったもので、絞り込んではどうかといった御意見でございます。
 それから、最後の2ページにわたって御意見でございますけれども、これは前回の専門委員会の後に、委員の先生方から各分野にわたりまして、目標としてどういったものがよいかといったことで、いただいた御意見でございます。
 以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
 目標に関しましては、後ほど議論することにいたしまして、まずは資料2にまとめていただきました「○10年後を見据えた目指す姿について」、2ページ目の「○基本的な方向(目的を含む)について」先生方からいただいた意見をまとめているわけですけれども、これを踏まえて更に何か御追加することがありましたら、御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 熊坂先生、どうぞ。
○熊坂委員 前回欠席をいたしましたので、考え方について述べさせていただきたいと思います。
 私は一昨年まで、今回被災いたしました岩手県の宮古市長を市町村合併も含めて3期、12年務めさせていただきました。そういうことですので、自治体という立場から、また野田委員がいらっしゃいますけれども、宮古市で糖尿病専門医として開業してから24年になりますので、開業医という立場から、また現在は管理栄養士を養成する施設の教員もしておりますので、一番大事な食という立場からもお話を申し上げたいと思います。
 本日、先生方からいただきましたいろいろな資料はすばらしいと思いました。一方、前の計画の達成リストを見ますと、悪化ないしは変化がないが非常に多い。ということは、指標そのものに問題があったか、あるいは実施方法に問題があったか、指標を設定すること自体が間違っていたのか、いろいろ考えなければならないのではないかと思います。
 自治体という立場からしますと、今回も県あるいは市町村が計画をつくるわけですけれども、基本計画という形だけでは、多分また同じ結果になるのではないかと思っています。なぜなら、私は市長をやりましたので思うのですけれども、本気になって自治体が条例をつくって、例えば何々市国民健康づくり運動プラン推進条例という形ができなければ絶対に進まないと思っています。一番いい例は、秋田県です。自殺率が下がって、あるいは脳卒中死亡率が下がった。それはとりもなおさず、共に全国で一番という非常につらい状況だったから本気になったと思うのです。ですから、国民も自治体もそうですけれども、今までは本気度が足りなかったから、達成できなかったと思っています。
 では本気になるためにはどうしたらいいかということになります。今日いろいろ先生方から御教示いただきましたけれども、国民の皆さんの疾病に対する認識を高めないと自分の寿命が縮むということをもっと知ってもらう事だと思います。それから、自治体は市民参画で条例をつくる。そもそも沖縄県と私の住む岩手県と一緒の指標ということはおかしいですし、また年齢別、男女間、地域間、そういったものが加味されていない指標が多いというのもおかしなことです。先ほど村山委員がお話された地域でやっていくというのは、今回、運動を進めるに当たって一番のポイントだと思います。学者の先生方が出された指標はもっともなことですが、あとはいかにこれを実行に移していくかということになると思っています。
 疾病に関しては、私も糖尿病の専門医ですけれども、例えば人口血液透析は糖尿性腎症から移行する割合が一番多く、透析にかかる1兆円を超える医療費の約半分は糖尿病腎症からのものです。そういった場合、糖尿病になっていない人にとっては全く他人事です。これは委員の皆さんがお話されたCOPDを始めとして疾病すべてについて言えることだと思うのですけれども、その疾病に罹患すると、どういう危険性があるのかということを、すなわち認知度も含めて指標をつくっていくことがとても大事なのではないかと思います。
 12年市長をやっていましたから言いますが、計画を作れと国・県からいろいろな分野で頻繁にくるわけです。地方分権で市町村と国・県は対等ですから当然温度差はあるのですが、私は自分の反省として、この国民健康づくり運動については本気ではなかったと思っています。ですから、今回、国民にも自治体にも本気でやっていただくためには、それは国にとってもプラスですし、個人にとっても大きなプラスですから、その実行方法についても、目標あるいは指標として入れていかなければ駄目だと思いました。
 以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
 前回欠席だった新開先生、何かありますか。
○新開委員 前回の国民健康づくり運動の一次予防重視というのは、私としては非常によかったと思っているんですけれども、各委員の前回の御意見にありますように、個人への働きかけに非常に重点されて、環境面の目標とか、ヘルシーエンバイロメントという視点がやや弱かったというところは、共感するところです。ですので、今回は、今、熊坂委員の発言にありましたように、社会的な環境、そこら辺の課題を明確にして、目標を立てていく必要があると思います。
 それと、重要な疾患については、具体的な目標を挙げてもいいと思います。共通する一次予防の課題があろうかと思います。喫煙にしろ、飲酒にしろ、いろいろなライフスタイルのことにしろ、共通する要因の改善を目標に掲げつつ、重要な緊急性のある疾患についての具体的な目標も掲げてもいいのではないかと思います。
 もう一つ、よろしいでしょうか。社会環境整備の際は、ポリシーとか、経営者側の努力がかなり問われますけれども、今回のものは、一次予防を地域で進めているときに、地域でどうするのかとか、地域課題みたいなものもあろうかと思います。一人ひとりの目標ではなくて、それぞれローカルな自治体の中で、その地域で、みんなでどういう目標をつくるのかという、そこら辺も非常に重要だと思います。地域のきずなの問題であったり、子ども、高齢者の問題というのは、地域の中で解決する視点がどうしても必要なので、そこは全員参加で健康的な地域づくりを話し合っていく必要があると思いますし、職場でも、そこで働いている人の健康を高めるような目標的なものをしっかり共有することが必要だったと思います。
 感想をちょっと言わせていただきました。
○辻委員長 それでは、ほかにどなたかございますか。工藤先生、どうぞ。
○工藤委員 先ほどの委員の御報告に関連することでもよろしいですか。私は呼吸器の医師の立場から歯の健康のところで申し上げたいんですが、三浦委員から御提案がありました39ページのところです。歯の健康として「(1)幼児・学童期におけるう歯予防」「(2)成人期における歯周病予防」「(3)中高齢期における歯の喪失の防止と口腔機能低下の軽減」という御提案がございましたけれども、全く同感ですが、これに「口腔ケアの推進」を入れていただきたいと思っております。
 と申しますのは、現在、日本の死亡数は110万を超えておりますが、そのうちの1割を超える11万人は肺炎死亡であります。11万人の肺炎死亡のうち、95%以上は高齢者であります。勿論高齢者の免疫力の低下なども原因ではありますけれども、もう一つ重要なのは、いわゆる誤嚥性肺炎です。これは嚥下機能と咳反射の低下によってもたらされるものでありまして、特に夜中の唾液の吸引が大きな問題となります。大分前になりますけれども、日本の歯科医師から『ランセット』に介護施設における口腔ケアの推進によって、肺炎死亡を半分以下に抑えたという論文が出て、それ以降、歯科の先生方は口腔ケアに取り組んで下さっているわけですけれども、口腔ケア、要するに夜寝る前にきちっと歯を磨くとか、そういう習慣づけを、子どものころからちゃんとやっていかないいけないのではないかとおもいます。
 私どもとしては、少しでも高齢者の肺炎死亡を抑えるために、口腔ケアの重要性を是非取り上げていただく必要があるのではないかと考えております。
 以上です。
○辻委員長 津下先生、どうぞ。
○津下委員 個人と社会という観点があるということでしたけれども、専門家の無関心ということもすごく気になっていることです。例えば臨床医がどれだけ健康日本21の運動を一緒に頑張ってやってきたのだろうかとか、先ほど戸山先生の運動器の話で、高齢者の運動の必要性は明らかであっても、高齢者の運動器は入院中に弱っていくという現象があります。そういう意味では病院や介護の施設にいる専門家がこの重要性をよく理解して、一緒に取り組んでいくことが非常に重要だと思います。学会で少し取り上げられることはあっても、臨床家・実践者の中に十分に普及しているかというと、そうではない状況があると思います。専門家に対して、もう少し真剣になってやってほしいというメッセージを出していいのではないかと思います。
○辻委員長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○戸山委員 前回もお話しましたように、10年後を見据えることになると、日本がトップランナーである超高齢社会、これは世界が見ていると思います。第2位のドイツとかイタリアなどにとっても、日本がどういうふうに健康寿命延伸を進めているのかというのは見本になると思います。その中で10年後を考えると、高齢者は確実に増えるわけです。増えた人たちは若者たちと一緒の基準ではないので、そういう視点に合った健康づくりを、知恵を絞ってやるべきときにきていると思います。
 2つ目は、社会環境が10年後にはもっとよくなる。今回の健康日本21で歩数が減っています。それはいろんな分析があるでしょうけれども、タクシーがあるし、エスカレーターがあるし、エレベーターがあるし、どこでもすぐ乗れる。そうすると、国民に歩くこと、運動することが大事なんだということをいかにインプットしてもらって、それを国民が認識してやるかということです。
 先ほどどなたかがお話したように、前回がどうだったか検証し、今回いかに実行させるかにかかってると思うので、目標のところは、皆さんの発言を聞かせていただいても、どれもすばらしいことだったと思うし、多分エビデンスもある程度出てこれらが大事だということは当然だと思うので、今回はいかにやるかということではないかと思います。それは医療側もそうですし、前回話しましたけれども、マスコミをより使って啓発し、国民運動を起こすこと、例えば「歩く」であれば「何とかウォーク」と名前が付いていろいろ全国展開がなされていますけれども、それを常に国民にインプットさせておくような何かがあるといいと思います。
○辻委員長 ほかにどうですか。羽鳥先生、どうぞ。
○羽鳥委員 ウオーキングに関してですが、日頃の診療や、特定保健指導の対象になった方に、ライフコーダー、万歩計などをつけて運動量を増やすモチベーションとしています。高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満症の方に運動療法をすすめますが、そのご膝を痛めて、整形の先生から歩きすぎですと指摘されることがあります。運動療法は歩くことだけでなくストレッチ、脊柱起立筋などの筋力アップも必要だと思いますが、内科の講演会では聞く機会がありません。私も体育協会のスポーツドクターだったので、トレッドミルや呼気ガス分析をやっていたので少し運動のことは知識があると思っていましたが、他科との先生方とのコミュニケーションをよくして運動のあり方の落としどころを見いださないといけないと思います。
 また、前回の委員会で『ランセット日本特集』を紹介されて読みましたが、気になるところがありました。栄養調査のことに関してなんですが、P15-16に述べられていることは、西洋人は主に脂肪摂取量が少ない日本の食習慣をまねようということで始めてきたわけですけれども、日本の栄養調査だと、脂肪量は逆に21%から26%に増えています。にもかかわらず冠動脈硬化性心疾患による年齢調整死亡率は減った。日本の栄養調査で問題なところは、飽和脂肪酸の摂取量のデータがないので死亡率にどう影響を与えたのか説明できていないとあります。また、日本では糖尿病の増加があるが食物繊維の低摂取などが推定されるが2001年の前にはデータがない。又、元データの提供がなく加工後の集計でデータの質が保証されていないなどの問題が指摘されていました。 栄養指導に関して、横浜市大の糖尿病代謝内科寺内康夫教授からご指摘がありました。ファーストフード、外食、コンビニで販売される食品の表示には、最低限総カロリー、塩分量、飽和脂肪酸量をわかりやすく表示する。外食だけではなく食品すべてにこれらを表示していけば栄養指導にも寄与するのではないかと思います。それを是非この中で提案していただけたらと思います。
 以上です。
○辻委員長 堀江先生、どうぞ。
○堀江委員 産業保健を担当する立場から、熊坂委員がご指摘の自治体の本気度を高める必要性について伺っておりました。産業保健においては、経営者の本気度を高めることが非常に重要です。ここで、正直なところ、経営者は経営の責任を負っていますので、経営者を本気にさせるには、やはり経営にとってよい影響があるような健康づくり運動プランを策定することが重要と存じます。そのためには、働く人々の健康と経営との関係のところをわかりやすく示しておかないといけないと思います。企業という組織においては、そこが一旦わかりやすくなると、一気に進む要素もあるのではないかと思っています。
 それから、格差という話題も幾つか出てきました。産業保健の分野では、長年、小規模事業所、特に政策的に断層が生じている労働者数が50人未満の事業場の健康管理に関する課題があります。また、もう一つは、最近増加しているいわゆる非正規労働者の健康管理に関する課題があります。残念ながら、経営上の視点からは、市場原理に基づいて、非正規労働者をたくさん雇って、効率的に労働者を取り替えた方が有利という判断が働くために、そういうところが増えているという状況があります。これらの課題については、何かやらなければなりません。適切な指標は思いつきませんが、例えば自治体の中で健康面の環境に関する指標を情報公開していくのであれば、企業の中でも健康面の環境の情報を公開していくとか、病気になっても人を辞めさせない人事制度とかでしょうか。そして、よい成果が上がったところには法人税を軽くするなどの経営に直結するような指標づくりができれば理想だと思っております。
 ところで、産業保健の話題ではありませんが、よろしいでしょうか。循環器の指標に関することですけれども、岡村先生のお話でなるほどと思ったのは、リスクファクターに注目しなければ定量的にならないという点です。
 産業保健の分野では、健康診断も徹底的にやっていますし、環境測定もしていますので、よくわかるのですが、問題は個人の行動が伴わないことです。すなわち一番注目すべき事実は、血圧が高いことを指摘しても受療しないことなのです。ここで、血圧とは病気のリスクファクターであって、リスクファクターを減らすという健康づくりの取組みにおいて、生活習慣の改善も重要ですけれども、投薬は非常に重要で、その効果は立証されています。例えば、血圧の受療率がどれぐらいまで上がれば、循環器のイベントをどれくらい下げられるのかという計算も可能と思います。ただし、これは健康づくり運動として入れるべき指標なのかどうかはよくわかりませんが、実際の現場では受療率を上げることによってリスクファクターを改善させられるものについては、それを指標として入れることが実際の疾病を減らす活動につながると思います。
○辻委員長 ありがとうございます。
 この議論はそろそろ終わりにしたいと思うんですが、今の議論の中で運動論というか、進め方ということがかなり強調されているように思います。特に前回の健康日本21の反省として、あまり国民に知られていなかったということを正直に言わざるを得ないと思います。
 そこで、今日は吉水先生が途中で退席されるということですので、早目にお聞きしておきたいと思うんですけれども、地域でいかに進めるか、あるいは企業でどういうふうに健康づくり運動を進めていくか、そういった実行性を伴うもの、あるいはそのためにメディアを使ったり、企業ともいろんなコラボレーションをして、幅広に広げていきたいということを考えているわけなんですが、ソーシャルマーケティングという視点で、これまでもたくさんお仕事をしていらっしゃるので、その観点から御意見をいただければと思います。よろしくお願いします。
○吉水委員 ありがとうございます。前回、そして、今回といろいろな専門領域を持つ先生方の知見をお伺いして、私自身は非常に勉強になったといいますか、触発されています。観点としては、すばらしい知見をどうやって一般国民、消費者に伝え、意識を高めていくかということだと思います。その観点から発言させていただきたいので、今日の議題である目標ということに関して、医学的な数値目標とは全然違う観点から、少し次元の違う発言になるかもしれませんが、お許しください。
 前回、宮地先生の歩行数が下がっているという発表に触発され思ったことなんですが、目標としては、例えばですが、先ほどどなたかもおっしゃいましたが、男女ともども1日1万歩歩くみたいなわかりやすい目標を設定してはどうかと思います。今日の発表で戸山先生から歩行や運動習慣と生活習慣病との関連、鈴木先生から運動不足と認知症リスクとの関連性というお話がありましたが、それをわかりやすく実施しやすい目標に置きかえると、例えば男女とも1万歩みたいなことではないかと思います。それが実際の運用面では、先ほど羽鳥先生がおっしゃったように1万歩は無理だとか、そういういろいろなサポートは必要だと思います。
 例えば今回震災で仮設住宅に引っ越した方が、閉じこもりがちで、運動能力も落ち、認知症への道を進んでしまわれるというニュースを聞いておりますと、歩くことで、運動能力とか医学的なことだけではなくて、地域とのつながり、歩けば人とあいさつをしたりとか、人と人との接点みたいなことも生まれます。そういった意味でもいいのではないかと思います。
 ソーシャルにそれをどう広めていくかということだと思いますが、例えば1人1万歩といっても、それをどうやってはかるのかというと、歩数計がなければわからないわけで、地域で歩くということをサポートする案を考えていただければいいのではないかと思います。例えばはかる指標である歩数計を貸与、授与するのも1つかもしれませんし、自然環境に恵まれたところであれば、そういったところをツアーする。現状もやっていらっしゃるところがあると思います。一緒に歩いてくださる話し相手のボランティアが必要とか、逆に都会では歩道を整備する必要であるとか、地域で何を改善すれば人が歩くようになるかということをそれこそ真剣に考えていただいて、例えば企業を巻き込むこともその1つだと思います。アワードがいいのか、助成金がいいのか、あるいは単なる意識啓発ということかもしれませんが、そういったことで、個人の目標と社会環境の目標を同時にシンクロさせて動かすような仕組みと、わかりやすい目標設定が必要だと思います。
 あと、先ほどロコモティブシンドロームというお話がありまして、私は恥ずかしながら、その言葉を今日初めて知ったのですが、例えばメタボに続いてロコモとか、何となく印象に残る言葉であるので、そういった言葉の認知といったものは、今、委員長がおっしゃったようなメディアですとか、いろいろな啓発活動を通じて上げていくことも1つではないかと思います。
 以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
 今、目指す姿と目的を含む基本的な方向について、委員の先生方から御意見をいただきました。まとめてみますと、1つは運動論として御注文いただいたと思っています。地域あるいは職場でいかに実行に移していくかということが非常に重要なので、単に目標をつくって終わりというのでなく、目標はあくまでスタートであって、そこから更に何をするかということを本委員会でも議論し、また都道府県、市町村、職場、さまざまな主体でそれを実行に移していただけるような仕組みが必要だということがあったと思います。
 更にその進め方として、わかりやすい目標をつくらなければいけない、それをうまく伝えていかなければいけいなんですが、もう一つは、専門家の無関心という問題があるという話がありました。今回のメッセージを保健、医療、福祉、介護、すべてのそういった関連職、専門の方々にもうまく伝えていって、彼らがそれぞれの場で健康づくりに関わっていただけるような体制もつくらなければいけないし、またメディアですとか、企業とのコラボレーションも非常に重要だということがあったかと思います。
 それから、今後の超高齢化社会を考えていきますと、高齢者にとっての健康とは何なのだろうかということも議論になると思います。そういった意味で、高齢者の状態に合った健康観、それに基づいた健康づくりが提起されました。健康日本21では、基本的に一次予防重視でしたので、病気にならない、無病息災を求めていたわけなんですけれども、今後の超高齢化社会を考えていきますと、無病、未病であることも勿論重要ですが、超高齢社会で病気のない人がどのぐらいいるかというと、かなり少ない訳です。多くの人は、何らかの病気を抱えながら暮らしていく。そのような状況がこれから出てくると思いますので、病気とともに生きるといいますか、病気を持ちながらも健康に暮らしていくこと、あるいは社会参加をして生きがいを持っていく、そういった新しい健康観をつくっていく必要があると思うわけです。その中には重症化の予防という考えが勿論入ってくるわけですし、その辺のところも考えた方がいいのではないかという御指摘をいただいております。
 そんなところでまとめさせていただきます。
 鈴木先生、どうぞ。
○鈴木委員 これは事務局に伺うべきことなのかもしれませんが、今回、新しく運動器あるいはロコモ、私が御報告させていただいた認知症という2つの問題は、特に今後高齢社会を見据えた上で、どうやって国民のムーブメントとして取り上げていくかということで携わらせていただいたんですが、今、厚労省、特に老健局を中心として、介護予防という施策が実際に進行しているわけです。ここの中にもたくさん携わっておられる委員の方がおられると思いますけれども、運動器の機能向上であるとか、あるいは認知症の予防であるとかが実施されております。今回の国民の健康づくりのほうが多分もっと広い上位の概念だとは思うんですが、そういう国民の健康づくりのムーブメントと介護予防での実際の施策とについてその辺をどういうふうに整理して考えたらいいのか。正直やりながらどういうふうにしたらいいのかと思っておりました。本来もっと先にお聞きすべきことなのかもしれませんが、お願いします。
○健康局長 それも含めて先生方にいろいろ考えてもらえばいいと思いますけれども、ここでのものというのは、介護保険を使うよりももっと広い、下支えするような概念で健康づくりをやるんだと思います。これは介護保険だけではなくて、健康保険もそうですし、労働災害の方もそうですけれども、保険といいますか、保険料をかけて、いざというときに何かするための保険制度も1つの手段ですが、当然それを下支えするような健康づくりをここでやる。
 個人的な意見ですけれども、こういったところでのコンセプトは、介護保険の介護予防に新しい知見として影響することも考えられるでしょうし、あるいは介護保険のデータなるものがさらなる予防的なこととして、この健康づくりに影響を与えることもあるかもしれませんので、ジグソーパズルのように分かれているという問題ではないんですけれども、相互に関連していくことだと思いますが、ここで言う健康づくりというのは、保険料を使って何かをするというのではなくて、広いものです。また、場合によっては同一の内容の運動になるかもしれません。しかし、そうではないという意見もあるかもしれませんので、それらも含めて先生方にいろいろ意見を言ってもらったらいいと思います。
○辻委員長 戸山先生、どうぞ。
○戸山委員 仮に今回完成して出した「健康日本21」を各省庁間がどういう形で注視してくれるのかというのは気になるところであります。
 例えば「たばこ」が出ました。これは前回も言いましたけれども、健康に対してたばこは○がなくて、×ばかりです。皆さんそれに同意している。その中で、少し値段を上げることが一番インパクトがあるという報告があったと思います。それだけ結果が出ていて財務省とか、文科省はこれをどの程度参考にして動いてくれるのでしょうか。注視という言葉は適切ではないかもしれませんけれども、この点はいかがなんでしょうか。
○健康局長 行政というのは内閣が行う行政権というか、一体となって行うので、すべての政策は政府というか、行政府というか、内閣が一体となって行う当たり前の話だと思います。特に厚生労働大臣が担当している分野として、こういう健康づくりの分野がある。ですから、ここでの健康づくり運動なるものは、できる限り上位の政策として政府全体を縛るようになれば、それが一番いいわけなので、ここで決まったものが国民を強制的に縛るかどうかわかりませんけれども、新たな法律みたいな形になるのが理論的には一番上だと思います。実行性があるかどうかというのはわかりませんけれども、それを閣議決定にもっていくとか、そういう話だと思います。
 この前、話しましたように、個人的に思っているのは、前の健康づくりの計画が平成12年にできたときには、役所的にいうと事務次官通知だったということで、その後、平成14年に健康増進法ができたときに、健康増進法の中で都道府県にも目安にならなければいけないということで、条文は忘れましたけれども、基本方針をつくるというところだけ大臣告示にしたところがあります。したがって、事務次官通知というものをエキスだけ大臣告示にして、残ったところというか、もともとのものを健康局長通知という形にしてしまったということで、自分で言うのもなんですけれども、レベルが低くなってしまったと思っています。その後、世間というか、周辺の農林水産省であるとか、ほかの省庁でいろんな運動をやっているものは、結構上位な計画になっているんです。食育とか、そういうものは上位な計画になっているものですから、我が方としても負けるわけにはいかないというか、少しは見方を上にしないと格好がつかないだろうということで、できれば大臣告示をふくらませるような形でもっていきたいと思っています。そういった意味では、注視してくれるのではないかと思っています。
 ただ、それで十分かというとそうではないので、私も啓発されているんですけれども、今日も後ろにいろいろ来ておりますが、関係各局の人たちとよく相談しながら、同じ轍は二度と踏まないという覚悟で、できる限りあの手この手で先生方から意見を聞きながら、実行性があるように、本当に運動をしてもらえるようにしていきたいと思っています。ですから、その辺は前と同じ仕組みなり、前と同じ固定的なやり方では、同じ結果になると思っていますので、注視してもらえるように一生懸命頑張りたいと思っています。
○辻委員長 まだ御議論はあろうかと思うんですけれども、時間の関係で、目標の方に話を移させていただきます。
 どうぞ。
○野田委員 先ほどの辻先生のまとめをお聞きして思ったんですけれども、これからは一次予防だけではなくて、疾病を持ちながら社会参加をしていくことが健康づくりの領域の中に入ってくるというのは私も同感です。そうしますと、生活習慣関連の慢性疾患で非常に重要なことは治療の継続ですので、治療の継続も健康づくりの一部になってくると思いますので、そのような観点もお願いできればと思います。
○辻委員長 わかりました。是非そういったことも盛り込みたいと思います。
 目標ですけれども、今、局長からありましたが、大臣告示として今度は出すということで、それが他省庁にも影響力持ってくるということがありますので、そういった意味で、告示にどのような目標を設定するかということが、非常に大きな課題になってくると思います。
 今日の資料2をごらんいただきましても、前回の議論といたしまして、健康日本21では様々な目標が並列的にあって、相互の指標の間のロジックがなかったという御意見がありました。そこで今回は、上位の目標があって、それを達成するための目標、そういった整備が必要ではないか。あるいは指標の相互関係、例えばたばこという生活習慣がありますけれども、それはがんにも、循環器疾患にも、COPDにも、歯科にも、非常に広範な領域に影響を及ぼすわけですが、そういった相互関係も含めてしっかり整理した方がいいのではないかという御意見がありました。
 今日はそういったことを含めまして、どのような考えで指標を決めていくのかということについて、最終的に整理しておきたいと思います。それを踏まえて、具体的にどのような目標にするのかということは、また後日ということになろうかと思うんですが、まずどのような基準で決めるのか、そして、どのように考えていくのかということについて、きっちりと本日の会で合意をいただきたいと思います。
 どなたからでも結構ですが、御意見をいただきたいと思います。まず前段といたしまして、今回の参考資料3をごらんいただきたいと思います。これは前回も出しまして、お認めいただいたと思うんですけれども、1枚めくっていただきますと、このようなパワーポイントの絵が2つあります。下の方で「次期プランの目標設定の考え方(例)」ということで、大きなものとして「健康寿命の延伸」「健康格差の縮小」「生活の質の向上」「社会環境の質の向上」ということで、左は個人レベル、右は社会環境に分けて考えましょう、車の両輪でいきましょうということになったわけです。そして、その下にいろんな相互関係が出ているんですが、今日の資料を拝見いたしましても、鈴木委員、村山委員、三浦委員、それぞれこれに沿った形で出していただいています。基本的にこのような方向でいいと思うんですが、これに沿った形で、指標同士の相互関係でありますとか、構造といいますか、それについて御議論いただきたいと思います。
 簡単なところからやっていきたいと思うんですが、一番左側の「壮年期死亡の減少」「疾病(発生率・有病率)の低減」、それを満たすための「リスクファクターの低減」「生活習慣の改善」が出ています。この辺につきましては、岡村先生辺りが塩分を減らすとか、そういう目標値から始まって効果まで、前回の健康日本21でも出していただいていますので、その辺のところで何かございますか。
 まず岡村先生あるいは津金先生、それぞれの疾病領域で、この辺の相互関係はかなり整理されたと思いますので、その辺からキックオフをしていただければと思うんですが、いかがでしょうか。
○岡村委員 目標値設定で、今、議論を聞いていて思ったのですけれども、各分野の専門性とかエビデンスの確立環境とか、診療と予防の関係みたいなところは、分野ごとにかなり違いがありますので、全部一律でというのはかなりしんどいと思いました。
 今、言われた生活習慣、リスクファクター、発症、死亡の関連について、循環器分野というのは割とクリアーに出せるところなので、そこはその点で進めていきたいというのが1つです。
 それから、先ほど堀江先生の御指摘にもありましたけれども、治療とか服薬にどこまで踏み込むかという問題がここのところはあるんですが、例えばシミュレーションとして、服薬率が上がったらどのぐらい減りますというのは出せるでしょうが、服薬率の目標値を出すというのはかなり難しくて、もし臨床の学会で言ったら、ガイドライン上、必要な人はしべて服薬させるのが当たり前だという答えがある意味妥当と思いますので、シミュレーションとしては組み込めるけれども?というところなるだろうと。
 またその前提として、例えばここは糖尿病、高血圧、高脂血症など全部一緒ですけれども、実際に検査結果がちゃんと出ているにもかかわらず、指摘されたことがないと答える人が多いんです。要するに認知度がかなり低いので、認知度が上がらないと次に進まないので、そこは目標として、物によっては組み込んでいった方がいいというのが今の流れで思ったところであります。
 キックオフとして、特に左側の部分ですが、それについては非常に整合性がとれているけれども、この関係がすべての分野ではっきりしていないので、そこは強弱があっていいと考えます。
○津金委員 目標についてですけれども、1つ大事なポイントは、ハイリスク者の割合を減少させるのか、それとも国民平均値を減少させるのかということがとても重要で、そのためには何が必要かというと、日本人での用量反応関係のきちっとしたエビデンスが必要なんです。それがリニアな関係であるということが明らかになれば、それは低ければ低いほどいいとか、高ければ高いほどいいという話になって、例えばたばことか、恐らく塩分がそれに該当するのではないかと思います。
 もう一つは、関係がUシェイプであったり、Jシェイプ、逆Jシェイプ、あるいは閾値がはっきりしているということであれば、それはハイリスクの人を減らすことを考えなければいけなくて、逆にUシェイプのもので国民平均値を下げると、リスクがかえって上がることもあり得るわけです。その例としてはBMIとか、恐らくコレステロールとか脂肪もそうだと思うし、アルコール、そういうものがそうでしょう。例えばBMIは糖尿病だけを考えれば、低ければ低いほどいいんだけれども、トータルに考えれば、むしろ日本においては逆Jシェイプであろうというエビデンスが揃っています。野菜・果物に関しても、多分がん予防という観点からは不足しなければいいんだけれども、循環器予防とか糖尿病予防ではまた違うという観点があるかもしれないので、全体のいろんな病気をトータルに見据えて、総合的に考えていかなければ、国民を誤った方向に導くことになりかねません。
 更に関連するんですけれども、いわゆるリスク評価、リスク管理という観点があって、用量反応関係と暴露量を見据える。これはリスク評価なんですけれども、これは完全にサイエンスの世界でやるべき話です。サイエンスの世界でエビデンスに基づいてきちっとこれを完結させて、そこをきちっと書き込む。それから、現実的に国民に対して、リスクをマネジメントしていこうということになると、社会的な要因、それこそ先ほどの政治的な要因とか、あるいは経済的な要因とか、現実問題としての技術的な問題、こういうものが絶対に関わってきますから、目標設定する上においては、必ずしもリスク評価のものをそのままもっていけない可能性もあるので、リスク管理の視点においてはこうだというふうに、そこら辺の部分ははっきり分けて考えないといけないと思います。サイエンスの部分とマネジメントの部分をきっとり分けて考えることが重要だと思います。
○辻委員長 ほかにどなたかございますか。野田先生、お願いします。
○野田委員 岡村先生の関連の話になるんですけれども、例えば糖尿病の合併症を減らすということに関していえば、勿論糖尿病そのものの一次予防が重要なわけですが、その後のマネジメントも大きく関わってくるわけです。そうすると、予防の分野と診療の部分に関して、例えば先ほどの高血圧の投薬でもそうですけれども、どこまで健康づくりの中に含めるかというところが、このお話を頂戴したときから少し理解の難しかったところです。
 ただし、先生がおっしゃったように、これまで出ました何千万人とか何百万人という数字を集めますと、大体日本人1人当たり幾つかは病気を持っていることになりますので、そういうところへの踏み込み、つまり疾患があっての社会参加といいますか、疾患がある方の健康づくりを診療と予防の間でどういうふうに整理していくかというのは、1つのポイントなのではないかと思います。
○辻委員長 野田先生、1つ教えていただきたいんですけれども、先ほどの岡村先生の議論の続きなんですが、服薬率とか健診で引っかかったけれども、その後、治療をしない人は結構いらっしゃいます。あるいは糖尿病などですと、治療中断率も結構重要な指標になりますけれども、その辺というのは目標に入れ込めるようなデータとかエビデンスはあるんでしょうか。
○野田委員 その実態ということでしょうか。
○辻委員長 はい。
○野田委員 実態についてはエビデンスがあります。それから、中断を抑制すると血糖コントロールも同時によくなるということも検証されています。
 もう一つ、服薬に関していえば、脂質異常症や高血圧とは少し違って、特に糖尿病の分野では服薬なしでの通院加療、食事、運動療法のみというのも非常に重要な治療の手段ですので、服薬に拘わらず、定期的通院の有無といったものも重要な指標として1つあるだろうと思います。
 実際、今、特定健診をやっていますけれども、受診勧奨のグループの方でも、必ずしも高率に受診しておられるとは言えないと思いますので、そういったところも含めて、目標設定の中に入ってくるとよいのではないかと思います。
○辻委員長 伊藤先生、どうぞ。
○伊藤参考人 服薬、アドヒアランスについて、測定方法はいろいろありますが、最も正確なのは服薬を確認することですが、ボトルにカウンターが付いていて、何回回したかをカウントする方法もあります。先日のAHAでの発表では、処方した期間と通院間隔の割合で代用するという簡便な方法も使われています。メディケーションポゼッションレイトといいます。たとえば2週間後にいらしてくださいと2週間分処方したところ、実際には1か月後に再診に来た場合は50%となり、半分しか薬を飲んでいないのではないかという指標にするという具合です。
○辻委員長 ありがとうございます。
 熊坂先生、どうぞ。
○熊坂委員 同じ糖尿病を専門としているからかもしれないのですけれども野田委員のお話はもっともだと思います。やはり無病息災ではなくて、みんな病気を持って当たり前な時代ですから、一病息災という観点が絶対に必要だと思っています。ですから、逆に病気になると、どういうことが起きるかということを国民の皆さんがもっと知ることです。その病気にならないことや減らすことも大事ですが、糖尿病になるとこういう合併症が起きる、あるいはCOPDになるとこうなる、そういうことを知っている人の割合、そういった教育の在り方も指標に入れていくべきではないかと思います。
 糖尿病でいえば、腎症による人工血液透析の医療費が大変なのですけれども、尿にアルブミンが出た段階で、タンパク制限あるいは塩分制限をやっていけば、確実に腎症の進展を延ばせるというエビデンスが出ています。ですから、食事療法をその段階で実施すれば、人工血液透析への移行をある程度阻止でき医療費の観点からも相当いいところにいく。勿論本人のQOLにとっても一番いいわけですので、そういった病気になるとどうなるか、あるいは病気そのものにどういうリスクがあるかを国民の皆さんが知っているか、それらも指標に入れていくべきではないかと思います。
○津下委員 関連してですけれども、特定健診では薬を飲んでいるかという問診と、糖尿病、高血圧、脂質と検査値が一連のデータとして全国共通登録されています。ですから、薬を飲んでいる人のうちコントロールが悪い人がどのぐらいいるのかというのは、保険者ベースでわかります。またはすでに、愛知県で実施していることですが、保険者の協力を得られれば、データを統合することにより、自治体、市町村ごとに健康状況を把握することができます。その結果、糖尿病治療中の人のうち、A1cが7%以上の人が約3割、8%以上が2割であったということがわりました。そういうデータを活用して、地域ごとまたは世代ごとにどういうリスクを抱えている人がどのくらいいるのか、またはその方たちにどうアプローチできるのかということを考えいくような仕組みが今回導入できれば、対策をより動かしやすいのではないかと思います。
○辻委員長 その辺をまとめると、例えば糖尿病とか、高血圧とか、特定健診に係る話だと思うんですけれども、コントロール不良の割合を減らすとか、健診で保健指導を受けなさいと言われて受ける人の割合を増やすという話です。そういったところを目標に組み込んでいったらいいという話です。
 どうぞ。
○羽鳥委員 昨日、神奈川県で保険者別に特定健診・特定保健指導の総括を行いましたが、平成20年、21年、22年で比べると、腹囲など内臓肥満指標は少しずつ、毎年確実に減っている。それに対して、糖尿病、高脂血症と高血圧に対する投薬加療に関しては、逆に増えている。投薬、運動、食事指導などきちんと加療することが増加したので内臓脂肪を減らすことができた、あるいは特定健診を行ったことによって、疾病をよく理解して早期に治療に入っていただいたという見方もありなぜなのかさらに検討しています。過去、特定健診導入に当たって当初の案では未治療の者のみを対象とするという案もあったと聞きますが、われわれ地域で特定健診を行っていますと、高齢の方でなかなか生活変容の指導受け入れは難しいだろうが薬は飲めるというかたもおり、現に治療中の方も半分近く健診にこられます。投薬加療を受けている人も保健指導は重要ですので美馬の特定保健指導では、治療中の者は対象外になってしまいますが、この人たちにも保健指導を受けられる仕組みを作ってほしいと思います。
○辻委員長 ありがとうございます。
 工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 次期プランでは、片側は個人の生活習慣の改善、片側では社会環境の改善、こういう2本の柱ですが、個人の生活習慣のことになりますと、先ほどの歯の健康のところでもお話があったように、ライフステージに応じた目標設定でないと、なかなか具体化しにくいのではないか。そういうことを感じております。
 それから、社会環境については、前回も議論がありましたし、ここでも大分書き込まれてはおりますけれども、地域社会というか、社会といっても地域社会と職場環境の両面で、それぞれで何を目指していくかということを書き込んでいかないと、茫漠たる目標になってしまうのではないか。是非そういう方向で御検討いただければと思います。
○辻委員長 どうぞ。
○中村委員 先ほどの参考資料3の図です。「次期プランの目標設定の考え方(例)」の一番下のところに「生活習慣の改善」と「社会環境の改善」が左右に並べて独立して書いてあります。
 例えばたばこであれば、たばこの値上げという環境整備をすれば喫煙率が下がる、また喫煙開始率が低下するといった喫煙習慣の改善が図られます。
 食塩についても、前回、西先生からご意見がありましたけれども、食品中の塩分の含有量を徐々に下げていくという環境政策は、直接生活習慣を変えようとしなくても、摂取する食品の塩分含有量が少ないために塩分摂取が減少します。さらに、薄味にだんだん慣れていくという形で、結果として、自分でつくる食事についても塩分の摂取量が低下する可能性があります。
 今回、前回の反省に立って、社会環境の整備を重点に置くのであれば、その図の生活習慣の改善の上流にまず社会環境の改善があって、生活習慣の改善につながる、そういう図示の方が次期プランに合っているように思いました。
 それから、先ほどの議論の中で、治療中の患者さんとか、未治療で治療が必要な患者さんに対して、次期プランとしてどう取り扱うのかということなんですけれども、それは短時間ではなかなか結論が出せないと思うんですが、非常に重要な問題で、特に私が思っているのは、特定健診・特定保健指導の制度でも、治療中の患者への保健指導、治療中の患者さんの生活改善が重要と考えています。医療費を減らすということにも非常に役に立ちますし、患者さんの生命予後やQOLの改善などいろいろな効果があって、即効性がある対策が、必ずしも制度として保険者にも義務づけられていないのが現状です。患者さんの健康づくりということでいえば重要な論点ではないかと思いますので、その辺についても、今後アクションプランといいますか、実際に運動をどう進めるかという1つのポイントになるのではないかと考えています。
○西委員 食塩の話がありましたので、続けて発言いたします。
 今回、目標の方で塩分摂取量の減少を書いたんですけれども、企業に努力をお願いするという意味で、加工食品ですとか、外食メニューの食塩含有量の削減も挙げております。ここの資料に漏れているかと思いましたので、追加させていただきます。
○辻委員長 ほかにございますか。堀江先生、どうぞ。
○堀江委員 社会環境の指標に関してですが、仕組みがあるかという課題と、実際に動いているかという課題、そして、成果が上がっているかという課題については、整理しておいた方がいいと思います。例えば、自治体ですと条例をつくったかとか、職場ですと専門職がちゃんと配置されているかとか、というのは仕組みやシステムの指標になります。一方、職場ですと作業環境を実際に測定したかとか、健康診断の実施率や受診率はどうか、というのはアウトプットの指標になります。そして、最終的に疾病の発生率や罹患率といったことは、個人のレベルでのアウトカムの指標になります。このように考えれば、社会環境から個人にいたる流れを整理できるのではないかと思います。
○辻委員長 今、社会環境の御意見が相次いでいますので、そちらの方に少し話題をシフトしたいと思うんですが、私自身の気持ちといいますか、悩みを1つ打ち明けると、左側の個人の生活習慣を改善していく、特に疾病の低減、リスクファクターの低減、生活習慣の改善は、この10年で疫学的にかなりきれいなデータが出てきましたので、例えばたばこをこれぐらい減らしたら、こういう病気がこのぐらい減って、こういうふうになるという筋書きはきれいに出せると思います。あるいはがんとか、循環器疾患をこれぐらい減らそうという目標を出したら、そのために生活習慣などをこうすればいいんだということは、かなり構造化して出せるところまできていると思います。それだけのエビデンスがあると思います。
 それに対して、社会環境が非常に重要だというのは勿論わかるんですけれども、私もこれを推進したいんですが、どういった形で、どれぐらいのエビデンスが、健康との関連のなかであるのか。
 もう一つ言わなければいけないのは、健康な社会をつくりましょうというのは当然なんですけれども、すごく大事な話なんですが、ただ、社会そのものを行政計画で大きく変えられるかというと、それは限界があるのであって、特に厚労省の中でやる以上は、個人の健康を支えるような形での社会環境の整備、改善、それについての目標になると思います。その辺はどういった考え方をしていったらいいのかということを、もう一度皆さんで議論していただきたいと思うんですが、どなたか何かございますか。
 山縣先生、どうぞ。
○山縣委員 私も委員長と全く同じで、ただ、例えば子どもの健康のことを考えたときに、子どもは余り意思なくいくわけで、そうすると、先ほどの未成年の喫煙率の低下というのは、環境とか社会全体の考え方がすごく影響している。そういう意味では、環境を変えることによって、健康指標の1つ、行動指標が変わっていくことは十分なエビデンスとしてあるんだろうと思います。ただ、これが成人期になったときには、個人のり健康意識というのは非常に大きな影響を及ぼすので、なかなか難しいところがあるという気がします。
 もう一つ、それに関連してなんですが、先ほど新開委員が言われたように、社会環境といったときに、地域、職場、職域、学校、そういったところがあるわけですけれども、国の施策として、例えば地域づくり、健康づくりはまちづくりということを挙げながら、特定健診というのは保険者が行う生活習慣病予防となったときに、地域での生活習慣病予防の実態というのは、健診に対しても、保健指導に対しても、地域に関わる人たちが国保を中心に行う。そうしていくと、本当に社会全体、地域全体で健康づくりを行っているのかということに関しては非常に疑問があって、こういった方向性みたいなものと、国の実際の法律による施策といったものの整合性をしっかりしていかないといけない。だから、ここの次期国民健康づくり運動についても、その辺り整合性がとれないと、現場は混乱し、見えてくるものが違ってくるような気がします。
○辻委員長 熊坂先生、どうぞ。
○熊坂委員 何度も済みません。今の山縣委員のお話、堀江委員のお話もそうなんですけれども、私も現場を預かっていた立場からいいますと、本気度というのが試されると思います。今、整合性という話も出たんですけれども、例えば国民健康づくり運動推進条例を市民と協働でというと、いろんな地域がありますので、指標は当然ながら地域ごとに違ってくるわけです。当然つくるに当たっては、今は市民参画の時代ですから、いろんな地域ごとの事情を入れてつくっていく。国民健康づくり運動推進条例をつくった自治体の数というか、それを増やすということであれば、実行に向けてかなり具体性がでると思います。
 6ページを見てすばらしいと思ったのは、歯科保健推進条例を制定する自治体数の増加というものが書いてあります。これは三浦委員の提案ですね。首長の経験から何度もいいますが、そういうことをやらないと、自治体は絶対に本気になりません。国と地方自治体が対等の中で国が強制することはできませんが、地方自治体にとっても非常にいいことですし、地域住民が健康になる話ですから、そういうことも具体的な指標として考えていくべきではないかと思います。
○津下委員 地域実態を首長さんがしっかりと把握することは非常に重要だと思います。その点で、、特定健診については保険者にデータがあるわけですけれども、国や県でデータを統合・整理して、自治体ベースで割り返して居住地ごとにデータが戻ってくるようにする。そうした各市町村で実態をモニタリングできる仕組みができれば、健康課題が見える化できます。そういうプロセスがきちっと担保できないと、これは国保の仕事でしょう、ということになってしまうと思います。
 それから、いずれ働き終わりますと国保に入ってきます。みなさん高齢期に入るわけなので、広い視点で見た21運動の推進というメッセージが非常に大事だろうと思います。
 分析結果も首長さんにわかりやすい、市長さん、町長さんにわかりやすい示し方をして、運動を惹起するということが非常に大事だと思っています。今、条例という話もありましたけれども、条例までいかなくても、トップが健康政策に積極的になってくれているところはかなり動き方が違う。企業もそうですけれども、企業が社員に対して健康のメッセージを出している企業と、出していない企業では取り組みが違うということが明らかですので、そういう視点も見ていく必要があると思います。
○辻委員長 どうぞ。
○新開委員 山縣委員の言われる健診は確かに保険者で分断されてしまって、現場では国保の住民の健康づくりが優先されるというのは、課題だと思っております。健康増進法の中で、自治体の役割が明記されているので、そこはしっかり住民の健康づくりを担うという姿勢でやっている自治体も多いので、そこら辺は制度的には担保されていると感じております。
 それと、社会環境の中で、社会参加の機会の増加、公平性の確保というのは、子どもから高齢者まで広く権利的な意味で重要なことだと思うんですが、特にリタイアした後のシニア期になると、社会参加という部分が非常に大きいと思います。社会参加しているシニアの人の追跡調査をやっておりますと、運動単独の社会参加というか、そういう身体活動の増進というのはなかなか望めないんです。あるいは栄養に関しても、しっかり高齢期に栄養をとっている人というのは、閉じこもりの人はむしろ低栄養で、社会参加している人はそういうところが確保されているということで、参加していることを通じてライフスタイルの好循環が起きているという意味で、環境面は非常に重要なファクターだと思います。
 これをどう指標化するかということについては、自治体がこういう方向に向けた行動指針なり、何らかのアクションを起こしているかとか、そういうところを見ていくことで、地域の社会参加の環境面のアセスメントができると思います。
 全体的に環境と健康というのは、定量化できているエビデンスは少ないです。ただ環境が非常に重要であるということは、ここ10年の社会疫学の中で出てきており、研究が充実してきたところです。一定の仮説を持って、今後10年間、社会環境整備というか、それを重視するというところを打ち出してもいいのではないかと思います。
○辻委員長 鈴木先生に御発言をお願いする前段としてお話しますけれども、社会参加の問題というのは、個人と社会との関係でいうと、左側の個人枠でいうと「社会生活機能低下の軽減」につながると思います。この辺になりますと、高齢でいいますと、介護予防、認知症、閉じこもりといった話ですね。伊藤先生にも後でお聞きしたいんですけれども、メンタルイルネスも社会生活機能の低下をもたらすものです。先ほど新開先生からは、もやっとしたエビデンスしかないという話だったんですけれども、もう少し社会参加部分と社会生活機能低下の部分とをつなげられるようなものはないんでしょうか。
○鈴木委員 非常に難しい部分ではあると思います。ただ、新開委員あるいは辻委員長がおっしゃったことは全くその通りで、例えば認知症を考えてみますと、認知症が増加してくるというのは平均寿命が大幅に延びて、ある意味でここで言われている社会環境が改善された結果でもあるんです。結果として、認知症の方が急速に増えている。この方々を一次予防的に若いときから生活習慣を改善するという1つの戦略はあり得ますが、しかしロコモもそうかもしれませんが、発症自体がかなり人生後半に出てくるものです。生活習慣の積み重ねというのは、確かに大きいわけですが、実際に認知症が出てきたときに、何が重要かというと、社会との関わり、社会とのコミュニケーションであり、これを担保するのは、先ほどから熊坂先生がおっしゃっておられるように、自治体が本腰を入れて、地域の中で高齢者のメンタルな部分をどう担保するかということしか道筋がないんです。
 新開先生は、例えば地域でコミュニケーションがとれるようなものをモデル的にやっておられるし、我々もやっています。それはいずれも研究レベルでのモデルなんです。我々は勿論エビデンスをきちんと出して、このようなモデルでこれだけやると、これだけリスクが減少しますというエビデンスを出した上で、自治体がそれに対して本当に反応してくださるかどうか。科学的根拠に対して自治体が反応してもらえれば、それこそ委員長が問われたような明確なエビデンスがよりはっきりとしてきます。実際は確かにもやっとした部分が多いのかもしれませんけれども、そこをこれからクリアーしていくためには、どうしても自治体との連携とか、地域全体というキーワードがないとだめだと思います。
 そういう意味でも、先ほどから出ているライフステージに応じた目標設定というのは、正しいと思います。そういうふうにしないと、リタイアした人たちの集団と、今、ばりばり働いている人たちで社会参加という意味は全然違ってきますので、そこは性、年齢に応じたライフステージでの目標設定があるという気がします。
○辻委員長 伊藤先生、どうぞ。
○伊藤参考人 休養・心の健康づくりに関連して御示唆できるものとすれば、資料1−1の81ページの2の厚生労働科学研究で、自殺対策でどういう活動をしてきたかが参考になるかもしれません。
 この研究は2つあります。1つは複合的自殺対策プログラムの自殺企図予防効果に関する地域介入研究で、いわゆるポピュレーションアプローチで、地域での住民の方への多次元的な支援の効果を見ます。
 もう一つは、いわゆるハイリスク者へのアプローチでして、自殺未遂者の方々に自殺企図の再発防止に対する複合的ケースマネジメントを救急場面で行っています。
 今のお話は、どちらかというと、前段のいわゆるポピュレーションアプローチにどのような可能性があるかという点だと思います。端的に申し上げますと、鈴木先生や新開先生がおっしゃられたように、地域づくりをどう支援していくかというところに尽きるかと思います。例えば高齢の世帯の中で、何もせず家に閉じこもっていらっしゃる方に、コミュニティの行事を活発にして、グループづくりをする。そうすると少なくともそこまでは歩いていらっしゃることになるわけです。かなり地道な活動ではありますが、コミュニティでの活動をつくり、きずなを強めていく支援が一番可能性があるのではないかと思います。そういった活動をなされている方々をバックアップすることが、アプローチとして考えられると思います。
 以上です。
○辻委員長 宮地先生、どうぞ。
○宮地委員 目標の設定についてです。個人でいえば、毎年のように健診を受けて健康状態を知ることと同じように、社会も社会診断というか、社会健診ができるような目標づくりが必要なのではないかと思います。そのために、先ほどから多くの先生から御発言があるように、エビデンスに基づくことは基本ですけれども、それと同時に継続的にモニタリングができることがすごく重要でないかと思います。できれば、今、既存で調べられている指標を使って、これからもしっかり追跡していくやり方があるのではないかと思います。
 例えば身体活動に関しては、社会指標として挙げさせてもらった項目の中に、資料2の6ページを見ていただきますと、高齢者就業率の増加という目標を挙げていますけれども、何でこれが身体活動の目標なのかと思われるかもしれませんが、高齢者が就業すると外出する機会が増え、それが歩数の増加や身体活動の増加につながります。これは国勢調査等で5年に一度悉皆で調べられるデータですから、信頼できるデータが定期的に出てくることになります。
 それから、通勤、通学における自動車利用の減少という指標がありますけれども、これも経済産業省が通勤の実態調査をやっていまして、これも継続的にモニタリングできる。
 もう一つは、継続的に見られるだけではなくて、市町村ごととか、県ごととか、あるいは事業所ごとにそれが把握できる指標でなければいけないという点です。我々の町はどこが弱いとか、どこが良いということが、健診をして私たち個人が気づくのと同じように、データを見える化することによって、社会や地域がそれぞれの問題に気づくことができれば、上からこうしなさいというだけではなくて、自治体や各ステークホルダーの気づきによって変化が起こるのではないか思います。継続的にしかも各ステークホルダー別にウォッチできるような指標がつくられると、非常にいいのではないかと思います。
○辻委員長 どうぞ。
○工藤委員 社会環境の改善のところですけれども、社会環境の改善の上に2つ大きな丸囲みと小さ目の丸囲みがあるわけですが、先ほど堀江委員が経営者のお話をされました。日本の国民の5,000万人は職場で働いているわけで、基本的には労働安全衛生法などで規制されている人たちであります。経営側と労働側の合意がなければ、物事は全然進まないという大きな法律の枠組みの中でやられているわけです。
 言いたいことは、ここで書かれている2つの枠は、どちらかというと、地域社会と関連が強いの思いますけれども、やはり健康な職場環境をつくることは非常に重要なことで、メンタルヘルスの問題からも非常に重要な部分なので、もう一つ、職場環境に関わる丸囲みをつくった方がいいのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○辻委員長 ありがとうございます。
 ほかにどなたかございますか。津下先生、どうぞ。
○津下委員 自治体の取組みの目標ということなんですけれども、前回の健康日本21も市町村計画が76%だけというか、100%ではなかったということがあります。自治体の無関心なのか、そこまで手が回らないという状況もあるかもしれません。高齢化の影響も自治体格差が非常に大きくて、愛知県でも75歳以上が3割を超える自治体が出てきている中で、同じような指標で、あなたのところはだめだみたいな話では、本当にやる気になるのか、かえってあきらめてしまうことにもつながるのではないかと心配します。
 低いところ、実施できていないところは何が課題かということは、それを見える化する中で、どうサポートしていくか。これは県であり、国の責務として、国民の健康づくりをやっていく中で、財政力の弱いところが動かないという状況にならないように努力する。それが県の指標であり、国の指標であるべきではないかと思います。
○三浦委員 先ほど宮地委員から御発言があった社会診断ということに、私も賛同するところです。公衆衛生の手法で地域診断という手法がありますので、それを活用すると、先ほど来から話題に出ている「見える化」もできるのではないかと考えているところです。
 また、先ほど地域が本気になれば、健康状態が改善できるかどうかというエビデンスのお話が先程ありましたけれども、齲蝕予防に関しては、実際にエビデンスがございまして、以前、齲蝕、有病状況が悪かった佐賀県が熱心に一丸となってアプローチをして成果を挙げた事例がございます。先ほどお示しした参考資料のところを後で見ていただくとわかるとおり、今や12歳児の1人平均齲歯の有病状況においては、佐賀県は良好な位置にいます。まさしく地域のニーズに根差した活動を地域が本気になってやれば、効果が上がるのだということであり、「歯の健康」分野においてエビデンスがございます。
 以上でございます。
○横山委員 自治体の取組みに関してなんですけれども、健康日本21の最終評価のときに、各自治体の分野別の取組み状況を整理してあります。全体として見ると、先ほど76%とおっしゃいましたけれども、分野別に見ると、例えばアルコールなどはほとんど取り組まれていないとか、そういった分野別の問題がありますので、分野別の目標の中に各自治体の取組み、その分野においてどのぐらい取り組んでいるかということを含めた方がいいのではないかと強く感じます。そこに目標を入れることによって、国としても、自治体をその気にさせるために何かしなければならなくなると思いますので、国として取り組むためにも、そういった個別の分野の目標を入れた方がいいのではないと思います。
○辻委員長 津金先生、どうぞ。
○津金委員 社会環境の改善によるエビデンスということなんですけれども、先進的にそういうことに取り組んでところのエビデンスをきちんと精査する必要があると思います。例えばたばこなどでは、屋内禁煙法が施行される前後で明らかに受動喫煙の暴露が減るとか、心筋梗塞の急性搬送が2割減少するということが明らかなエビデンスとして示されているわけです。ところが、がんに関しては、1年ではその効果を見ることが出来ないので、20年見なければ基本的にいけないんですけれども、そういうことで、先進的な地域のエビデンスをきちっと精査すると同時に、今後それがちゃんと達成できるかを含めて、そこら辺をモニタリングするシステムをきちっと立てておくことが重要だと思います。
○辻委員長 尾?先生、その後に鈴木先生からお願いします。
○尾?委員 ずっと前ですけれども、工藤先生が高齢者の口腔ケアについておっしゃった意見も含めて、お答えしたいんですが、歯科はライフステージ別に健診の受診率が違います。母子などは全部の自治体が法定健診をやっていまして、非常に高い率で受診してくれんですけれども、逆に40歳以上のところはやっている自治体が半分ぐらいしかない。しかも、ひどいところは健診率が1けたより下、高いところで十何パーセントということで、ライフステージごとに全然違う。また健診内容によって全く違うことが起きていますので、今、先生がおっしゃったように、歯科だけでも、その中で母子についてはこうとか、高齢者についてはこうという形にしないと、多分対応できないんです。
 工藤先生がおっしゃったのは、肺炎で亡くなる高齢者の方の口腔ケアというのは、御自身ができないときに起きますので、子どものころの生活習慣をそのまま引きずっていくのではなくて、どちらかというと、認知とか寝たきりになったときに急速に歯が悪くなる、口腔状況が悪化することがわかっていますので、そこは別途につくらなければいけないということで、どうやって目標を立てるか逆に苦しいところであります。歯科の特性もありますし、たばことか、最近は糖尿とかいろんな問題と絡んでいますので、ほかの項目と見ながら、歯科をくっ付けていく形でつくることになっています。
 具体的に日本では言われていませんけれども、海外では歯がなくなって、その後、かめるようにしないことによって認知が進むとか、あるいはアメリカなどで言われているのは、歯周疾患の多い人は心臓疾患が多いとか、そんな論文もたくさん出始めています。しかも、エビデンスのある論文も何本も出ていて、メタアナリシスもやっていますので、そういうところとも少し御相談しながら、今までと違った形の横断的なものも含めて、目標をつくることになると思います。いわゆる歯科が単独ではないという部分が多少あると思っています。
○辻委員長 どうぞ。
○鈴木委員 地域の重要性というのは、私自身もそう発言いたしましたし、その後、宮地委員や横山委員からも、地域というものをある程度診断するというか、そういった1つの指標みたいな形でというのもよくわかるんですが、自治体の本音というんでしょうか、特定保健指導とか、健診の部分であるとか、介護予防であるとか、今、相当大きい仕事をたくさん持っていると思います。その上で、例えば健康日本21という大きなムーブメントは大事なことなんですが、そこまでやれる余力というか、そこが動いてほしいというのは切なる願いなんですけれども、実際のところ本当に大丈夫なのか? 例えば首長がやっておられた熊坂委員などの御意見を伺いたいと感じました。
○辻委員長 先生、いいですか。
○熊坂委員 今、先生がおっしゃったとおりで、私がこの会議の委員になったとある首長に言いましたら、ああまたつくらなければいけないということを嘆き交じりにおっしゃいました。やはりそこの差だと思います。一方で、先ほど佐賀県のお話もあったわけですが、本当にやろうと思えば改善するんです。自治体は仕事で手いっぱいなんですけれども、首長さんが住民の健康を増進する、国民健康運動づくり運動プランを見て頑張るとなれば、やれると思います。それは予算などで、インセンティブを与えるということも必要なんですけれども、実際にやることはとてもいいことだし、私もこの委員に選ばれてありがたいと思うんですが、この会の議論が、いろいろな施策に絡んでくるとても重要な委員会なんです。ありとあらゆる政策に絡んでくるので、この委員会で今回つくるものが、多くの委員がお話しされているように、実行性のあるインパクトのあるもの、またやりたくなるようなものに仕上げっていけばいいと思っています。
 今はどの地方自治体は優秀な職員が多いですので、やろうと思えばできるのです。少しため息は出るかもしれませんけれども、やれると思います。
○辻委員長 どうぞ。
○池田委員 社会環境の点に関してのさまざまなデータ、エビデンスがあるかということは委員長から御指摘もありまして、そもそも何をしようとするのかということのコンセンサスもこれからだと思いますが、この10年の間で、この事業の中でエビデンスをつくっていくことも視野に入れて、暫定的な指標も幾つかこの中に取り入れていってはどうかと思います。
 一方、先ほど議論されておりました、いわゆるリスクファクターの低減によるさまざまな健康の改善という点でありますが、ここは少なくとも海外のエビデンスはたくさんある。日本のものも蓄積されているということで、かなりモデル化ができそうです。特に循環器のところなどでは興味深いお話を伺ったんですが、ただ、それぞれのリスクファクターないし項目について、違った形でのQOLの提示の仕方とか、死亡数の出し方をしておりますと、全体として、一般の方が見たときに理解しにくいところもあるのではないかいう危惧を持っております。
 例えば先ほど伊藤先生が示された資料1−1の一番最後のページにあるDALYは、かなりいろんな制約といいますか、いろんな前提条件の下で出した数値ではありますが、こういう形で出てくると、疾患の重要性の順位づけという意味ではなく、疾病負担の大きさとして、非常にわかりやすく示されているわけです。
 また、野田先生あるいは津金先生と共著でさせていただいた『ランセット』の中で、日本の寿命がなぜ長いかという論文、私もちょっとお手伝いした論文の中で、死亡数という、言わば健康日本21の中のQOLという点が加味されていない、あるいは罹患数というデータが十分にとれないので、非常に限られた指標で評価したものでありますが、それでも何が死亡に対する危険因子として重要だというところは、定量的には一応示されたわけであります。そういったことから、限界はあるとは思いますが、健康寿命あるいは生活の質というものを、DALYとか、あるいは日本にもっと合ったよい指標があるのかもしれませんが、そういうもので最終的に評価できるような形、現時点は無理でも、10年後にはできるような道筋を考えていってもいいのではないかと考えております。
○辻委員長 戸山先生、どうぞ。
○戸山委員 今、皆さんの御意見をいろいろ聞かせていただいて、私も健康づくりは個人と社会環境の両輪だと思うし、どちらも外せないと思います。ただ、設定のもっていき方で、一番最初にお話した高血圧、糖尿病等々というのは、ずっと健診で広くやっていますから、数値が出て、次のステップ、エビデンスが出る。これは当然すばらしいことだと思うし、その継続というのは大事だと思うんですが、高齢者社会においては、社会環境の変化等でわからない点があると思います。高齢化のトップランナーですからね。理想論を言わせていただければ、この10年続けられる、また必要な指標を1つ、2つ出して、それらをモニタリングしながら、この次の10年に必要な健康づくりの指標を施策の中に盛り込めれば私は最高だと思います。
 先を考えて、エビデンスが少なくても必要な指標を幾つか考えるべきだと思います。それが多分その次の10年、すごく大事なものになると思います。必ずそれはあると思います。
○辻委員長 ありがとうございます。
 大分時間がなくなってきましたので、最後に委員長代理の津下先生の御意見をいただいて、まとめに入りたいと思います。よろしくお願いします。
○津下委員 先ほど鈴木委員も言われましたけれども、これが屋上屋を架す形で、新たな仕事ととらえられると非常に負担になると思うんですが、これは横ぐしであって、例えば特定保健指導の仕事をしている人が介護のデータを見ることで、自分たちの仕事は要介護状態になる病気を予防している仕事なんだ。健康づくりの担当は次の20代から健康づくりをすることによって、メタボを減らしているんだとか、そういう横のつながりでデータを見る、対策のつながりを考えるという意味では、ほかの事業の上位にあってほしいものだと思っています。いろんな担当者がデータを持ち寄って、うちの町はどういうふうに考えていこうという動きにつながるといいと思います。
 これからの日本を考えたときに、健康長寿こそが日本のブランドだと思うので、健康長寿ブランドをアピールできるような、国際的な発信力のあるメッセージに一番の上位の目標はなっていくといいと思っています。
○中村委員 先生、1点よろしいですか。先ほどから手を挙げていたんですけれども、視野の中に入っていなかったようです。済みません。
 次回に持ち越すと、発言してもかみ合わないことになると思うので発言させていただきました。目標設定をこの委員会としてどう立てるか。つまり何をすべきかというwhat to doの部分と、今日既に議論が始まっているhow to do、この運動をどう展開していくか、この2つに論点整理できるかと思います。
 前者については、専門家の方々が集まって、エビデンスも踏まえて、優先順位とかその辺りはまた議論することになりますけれども、一定のwhat to doは示せると思います。前回の運動の反省に立てば、how to doのところを考えることが重要と考えます。例えば自治体の首長を本気にさせるhow to doはどうかとか、そういうことも含めてなんですけれども、特に国や自治体レベルでのhow to do、つまり効果的なアクションプランを検討して示すことが重要と考えます。私は大阪でそういう活動に関わっている立場からいうと、what to doの提示だけでは不十分です。
また、これまでの運動においてベストプラクティスまではいかないけれども、既にグッドプラクティスは各分野ごとにあると思います。今、岐阜県の多治見市の最終評価を手伝っているんですけれども、かなり熱心に行われて、いい結果が出ているんです。それはたばこの分野なんですけれども、例えばそういうものが意外とシェアされていないので、次期プランの内容に合うようなグッドプラクティスとか、ベストプラクティスを精選して自治体に示す。また、職域でも同じような事例があると思うので、それを示していく。
 その際、グッドプラクティス、ベストプラクティスは首長が物すごく熱心で、特別な予算を付けて、人も手当してやったというよりは、むしろ既存の事業であるとか、制度をうまく活用して、ある程度限られた資源の中でやっているというのが、本当の意味での一般化できるグッドプラクティスとか、ベストプラクティスだと思います。その辺りもデータや情報を収集して示していくことも、how to doの1つの進め方として必要ではないかということです。
 是非今後の委員会の中でhow to doの内容について議論を深めて、ただし委員会は時間が限られているので、それぞれの先生方の方で検討ならびに作業をしていただいて、一定の内容のものが資料という形で示せていけたらいいと思います。年度末までにできなかったら、次年度までに持ち越しになってもいいのではないかと思います。グッドプラクティスのようなものを収集する際にも、参加型で全国から出していただくような、次期のプランが始まる前にみんなで情報をシェアしながら、一緒に作業して考えていく仕組みがあってもいいと思いましたので、時間がない中、あえて発言させていただきました。済みません。
○辻委員長 ありがとうございました。非常に重要なポイントだったと思います。今後やっていきたいと思います。
 それでは、まとめてみたいと思います。
 まず目標の立て方ですが、疾病の低減、リスクファクターの低減、生活習慣の改善の辺りにつきましては、個人レベルの話として、これまで疫学研究によっていろんな因果関係も見えてきていますし、定量的なリスク値も出ていますので、そういったことを基に、大目標としては何々病をこれぐらい減らす。そのためにこういうリスクファクターを減らす。そして、そのためにはこういう生活習慣を改善していくということで、こういった生活習慣をこれぐらい改善することで、この病気はこれぐらい減るということをきっちり明示できるようなエビデンスを示していこう。できるものだけですけれども、できるものについては必ずやっていこうということが1つではないかと思います。
 それから、目標の設定の仕方として、津金先生から言われたんですが、ハイリスクの人を減らするのか、あるいは日本人の平均値を変えるのかということについては、要因と病気との関係で大分変ってくるので、ドーズレスポンスのような連続的な関係の場合は、国民の平均値を変えていくことになりますし、閾値をもって、あるいはU字型、Jカーブのようなものについては、ハイリスクの人を減らす。そういった状況に応じて決めていこうという御提案がされたと思います。
 もう一つは、無病息災から一病息災、あるいは老化と付き合うというところもありますので、病気とうまく付き合うというところについても、目配りをしなければいけないということです。ただ、そこでどれぐらい治療に詳しく入り込むかということについては、まだ議論が煮詰まっていないと思うんですが、少なくとも特定健診以降の保健指導を受けた人の割合、あるいはその後ちゃんとコントロールされている人の割合、そういったところについては、きっちりと出していってもいいということがあったと思います。この辺の目標につきましては、すべて国民全体というよりは、性、年齢階級といったライフステージに応じた形で出した方がいいのではないかという御意見をいただいたように思います。
 社会生活の機能低下の軽減という中項目がありますけれども、それについては、社会参加の機会とかなりリンクしてくるので、特にこの辺は高齢者の問題、あるいはメンタルヘルスの問題を強くイメージしながら検討していこうということになったのではないかと思います。
 社会環境の質の向上につきましては、基本的なスタンスとしては、これは健康づくりのプランニングですので、1つは個人の生活習慣をよくしていく上でセットとして考えるべき社会環境とは何かということを明示した上で、例えば受動喫煙を禁止するとか、そういった幾つかが出てくると思うんですが、そこを少しイメージする。そのときに確実にあるわけではないですけれども、ある程度のエビデンスは出しながら、対応させていくということも考えてはどうか。
 その際にエビデンスがどれぐらいあるかという議論があるんですが、現実には地域ぐるみでいろんな対策をして、いろんなものが変わってきたというデータは、事例としてはたくさんありますし、そういった意味で、今、中村先生がおっしゃったみたいに、グッドプラクティスということはかなりあります。あるいは時系列的に見て、見えてくる効果はたくさんありますので、そういったところを集めて出すことが、逆に目標を決める上で重要だということに加えて、そういった事例を集めて全国に伝えることで、自治体としてもかなり動きやすくなる。本気にさせるようなものになるので、1つの進め方としてもいいのではないかという御意見をいただいたように思います。
 もう一つ、社会環境でいいますと、地域だけではなくて職場についてもかなり重視すべきであるということで、前回もワーク・ライフ・バランス、あるいは職場の就労環境等々がありましたけれども、それももう少し考えていこうという御意見があったと思います。
 それから、進め方についてかなり御議論いただいたと思うんですけれども、自治体の本気度が問われるということがあるんですが、そこも含めてどうするかということです。これは今日決められる話ではないんですけれども、もう少しきっちり考えていこうということが皆さんからあったと思います。
 1つは、これからの進捗管理の中で、データモニタリングがすごく重要になってくると思うわけで、1つあったのは、特定健診の結果などにつきましては、自治体は国保のデータしか持っていなくて、地域全体を見渡せるような状況が今はないということです。愛知県では既になさっているようですけれども、愛知県内の職域の部分については切り分けてデータ集計するとか、そういったことがあったり、あるいは自治体の中でも健康づくり部門だけではなく、介護の部門とか、医療の部門とか、いろんなセクションが集まって健康づくりをしたことによって、どういう効果があるのか。市町村の健康問題、医療問題を考えていく上で、どのような健康づくりが必要なのかということを総合的に考える自治体におけるスキームをつくることと、もう一つはそれができるようなデータ環境をつくる。今、IT技術も進んでいますし、データリンケージなどは簡単にできるようなってきていますので、そういったことを活用して、最終的には社会診断あるいは自治体診断にいくような方法を示してくことが、いいのではないかという御意見をたくさんいただいたように思います。
 もう一つは、自治体にどういうふうに本気になっていただくかということは、非常に重要なことで、これはまだ答えは出ていなと思うんですが、1つは条例ということもあろうかと思います。
 もう一つは、今回の次期プランの大きな4つの目標の1つで、健康格差の縮小がありますけれども、目標値の上に書いてありますが、都道府県別の平均余命とか平均寿命格差を縮小するとか、さまざまな生活習慣についてもそうなんですけれども、自治体別のデータをできるだけ開示していく。そうすることによって、我が県あるいは我が市は、全体の中でどれぐらいの位置にいるのか、進んでいるのか、遅れているのかということが見えてくると、自治体の首長さんも住民も本気にならざるを得ない。格差の是正を通じて、底上げをしていくことも必要になってくる。そういった進め方、運動論につきましては、今後御議論いただきたいと思います。
 大体そんな形でまとめてよろしいでしょうか。ありがとうございます。そういった形で、次回また御議論いただきたいと思います。
 それでは、最後に議題「3.その他」に入りたいと思います。まず事務局から御説明をお願いいたします。
○菊地室長補佐 資料3になりますけれども、前回、第1回の専門委員会のときにもお示ししました意見聴取の進め方ということで、関係学会、関係団体、自治体という構成は変わってございませんが、3点ばかり変更点があります。
 1点は、意見聴取につきましては、この専門委員会の委員長名で各学会、団体等に対し書面で行いたいと考えております。
 更に関係学会につきましては、別紙をお付けしておりますが、前回以降、各委員の先生方から個別にいただいた学会が幾つかありまして、その辺を追加させていただいたものを今日お示ししております。
 もう一点、関係団体につきましては、連絡協議会の加入、会員団体の中で、栄養部会の構成員の方が所属している団体がありますので、そこは要らないだろうという形で除かせていただいております。
 以上の点を踏まえまして、12月中にこういった学会、団体に対して、意見聴取を開始してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○辻委員長 ありがとうございます。
 資料3で関係学会のリストが書いてございますけれども、どこか追加した方がいいとか、これは忘れていないかとか、何かございますでしょうか。どうぞ。
○岡村委員 追加などではないんですが、説明の文書が国民の健康づくり運動というのがわかりにくいので、どういう趣旨のものか書かないと、恐らく受け取る側からすると、患者さんの治療目標の設定だとか、健診項目をどうしろとか、保険診療をどうしろという話に学会によってはなってしまう危険性があるので、何をメインとして聞きたいかということを前文でちゃんと書かないと、混乱するということを危惧しました。
○辻委員長 ありがとうございます。非常に重要な御指摘だと思います。
 委員長名、私の名前で出るということですので、事前にその辺はきっちりと御相談させていただきます。よろしくお願いします。
 ほかにございますか。羽鳥先生、どうぞ。
○羽鳥委員 前回委員会の前に事務局にお願いしましたが、関係学会リストの1つとして、日本臨床スポーツ医学会http://www.rinspo.jp/academy.htmlというものがあります。スポーツ医学の全科にわたる学術研究、情報交換、臨床研修をおこなっています。整形科、脳外科、内科だけでなくトレーナー、運動指導士の方も多数入っているので、ここで得られる知見は今後の指導に役立つのではないかと思います。
○辻委員長 臨床スポーツ医学会ですね。
 津金先生、どうぞ。
○津金委員 病気によってリスクなどが違ったりするので、それぞれの関係学会と関係団体というのは、善意の意味において、基本的に利害関係者になり得る可能性があり、利益相反が生じうるということを十分に考えながら、最終的には意見を取り込まないといけないと思います。我々自身の利益相反も含めて、本当はきちっとしておいた方がいいと思います。
○辻委員長 戸山先生、どうぞ。
○戸山委員 申し忘れましたが、よろしければ、日本骨粗鬆症学会にアンケートなり打診をするとよろしいかと思います。
○辻委員長 どうぞ。
○山縣委員 女性の健康を考えたときにどこになるのかと思っていたんですが、例えば日本産科婦人科学会はそういう対象になるのか。先ほどのがんの対策も含めて、御検討いただければと思います。
○辻委員長 よろしいでしょうか。
 日本臨床スポーツ医学会、日本骨粗鬆症学会、日本産科婦人科学会という御提案がありました。これは御意見を伺うということですので、幅広くいただいた方がいいと思いますので、その3つも追加してお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、本日の議事は以上でございますけれども、事務局から何か連絡事項等はありますか。
○菊地室長補佐 事務局からですけれども、これまでの2回、前回と今回の検討状況につきましては、今月21日に開催予定でございます、第31回の厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会に報告して、御審議いただき、それに基づきまして、引き続きこの専門委員会で御検討を進めていただく形になります。
 また、次回の専門委員会につきましては、来年1月12日木曜日ですけれども、13時から16時を予定しております。場所等につきましては、追って御連絡いたしますので、よろしくお願いします。
 以上です。
○辻委員長 それでは、時間となりましたので、本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。



(了)
<健康局総務課生活習慣病対策室>

室長補佐 菊地 直樹

連絡先: 03-5253-1111(内線2349)

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