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2011年12月13日 第2回 障害者雇用促進制度における障害者の範囲等の在り方に関する研究会

職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課

○日時

平成23年12月13日(火)10:00~


○場所

中央合同庁舎第5号館専用21会議室


○出席者

【委員】 今野座長、阿部委員、海東委員、川崎委員、杉山委員、田川委員、田中伸明委員、田中正博委員、野中委員、丸物委員、八木原委員


【事務局】 山田障害者雇用対策課長、田窪主任障害者雇用専門官、鈴木障害者雇用専門官、秋場地域就労支援室長補佐、西川障害者雇用対策課長補佐


○議題

1.関係者からのヒアリング
 ・社会福祉法人日本身体障害者団体連合会 理事 阿部 一彦氏
 ・社会福祉法人日本盲人会連合 会長 笹川 吉彦氏
 ・社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会 常務理事 田中 正博氏
 ・公益社団法人全国精神保健福祉会連合会 理事長 川崎 洋子氏
2.障害者の雇用に関する事業所アンケート(案)について
3.その他

○議事

○今野座長
 ただいまから第2回障害者雇用促進制度における障害者の範囲等の在り方に関する研究会を開催いたします。
 前回欠席された委員の方がいらっしゃいますのでご紹介したいと思います。まず、公益社団法人全国精神保健福祉会連合会理事長の川崎さんです。その次が社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会常任理事の田中さんです。最後に日本福祉大学社会福祉学部保健福祉学科教授、野中さんです。
 議事に入りたいと思います。お手元に議事次第がございますので、それに沿って進めたいと思います。最初の議題は「関係者からのヒアリング」となっています。今日は4団体からヒアリングをする予定ですが、うち3団体は研究会の委員にお願いをしております。それ以外に、日本盲人会連合については笹川吉彦会長にいらしていただいています。
 課題2つ目は、前回、八木原委員からご提案のあった事業所アンケートについて、事務局から提案をしていただき、議論したいと思います。議題3つ目の「その他」については、前回の宿題等がありますので、事務局から話をしていただきます。こういう形で進めます。
 ヒアリングに入りたいと思います。お手元の資料1を見ていただきたいのですが、上のほうにはスケジュール、下に「ヒアリング項目」が書いてあります。今日はこのヒアリング項目に沿ってお話をそれぞれ各団体からいただければと思っています。それぞれ10分程度お話をいただいて、まず4団体の方にざっと全部説明いただいて、それからまとめて議論をしたいというように思いますので、よろしくお願いします。
 議事次第にあります順番でお願いしたいと思います。まず、日本身体障害者団体連合会の阿部さんからお願いします。
○阿部委員
 資料に従って話をさせていただきたいと思います。まず、1番目の「障害者雇用促進制度における障害者の範囲についてどのように考えているか」。これについては改正障害者基本法(本年8月5日施行)の障害者の定義に基づいて考えるべきであると思います。基本法そのものは理念法でありますので、それは大事なことだと思います。
 その定義はご承知のことでもありますし、前回もありましたけれども「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者であって障害及び社会的障壁(障害がある者にとって障壁となるような事物・制度・慣行・観念その他一切のもの)により継続的に日常生活、社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」とされています。そのようなことですから、職業生活、就労生活を行う場合の継続的で相当な制限を受ける状態をもとに、障害者雇用における障害者の範囲にすべきと考えます。
 2番目、「障害者雇用促進制度における障害者の範囲を就労の困難さに視点を置いて見直すことについてどのように考えているか」。それは大事な視点であり、そのような視点から見直すべきと考えます。先ほども述べたように、職業生活を行う場合の継続的で相当な制限を受ける状態をもとに、障害者雇用における障害の認定を行うべきであり、それらの制限を少なくするための就労生活の充実を図るために、社会モデル、つまり環境モデルに則した具体的な支援を講ずるべきと考えます。
 現行の手帳制度に基づく障害者の範囲は、医学モデルに依拠して重度・軽度等の整理を行っていますが、社会モデル的観点を導入する立場からは、障害がある人にとってどのような場面においてどのような支援が必要とされるのか。支援の大きさ、質・量的な観点からみた支援の大きさを考慮して決めるべきと考えます。
 3番目では、「雇用率制度における障害者の範囲(雇用義務の対象範囲)についてどのように考えているか」。今回の障害者基本法改正に基づいてということになりますが、今回の改正におきましては、精神障害者(発達障害者を含む)ということが述べられていますので、雇用義務の対象範囲に入れるべきであり、その場合には当然でありますが雇用率を上げる必要があります。
 さらに、先ほどからお話していますが、改正障害者基本法の障害者の定義に基づいて、高次脳機能障害、難病、てんかん等のために職業生活を行う場合に継続的で相当な制限を受ける状態にある人に関する雇用義務化を検討すべきと考えます。ただし、雇用義務化の対象範囲の拡大に関しては、雇用率上昇に関して明確な根拠をもとに検討しなければならないと思います。対象範囲の拡大に伴って、既に企業に就労している人の数合わせにより、実質的就労の数合わせによって雇用率が上昇することによって、実質的就労の拡大につながらなかったり、あってはならないことは、これまで職業生活を行っていた人が就労の機会を失うことにならないようにしなければならない。そのような配慮が必要と思います。きちんとしたデータ、根拠に基づいた雇用率の検討を行うべきと考えます。
 4番目、「雇用率制度におけるダブルカウントや特例子会社の取扱いなどについてどのように考えているか」ということです。ダブルカウントや特例子会社の制度は、就労に困難度の高い重度障害者の雇用を促進するために機能している面があるという指摘があります。一方、雇用率の数合わせや障害者だけを集める雇用形態には問題があるとの指摘もあります。また、現行の重度障害者に関する考え方が医学的判定に基づいているものであり、就労生活を送るための制限に基づいているものではないということもあります。ダブルカウントや特例子会社の制度に関する検討に際しては、社会モデルの考え方をもとに、これまでの取組みについて十分な検討を行う必要があるのではないかと考えています。
 5番目、「その他現行の障害者雇用促進施策についてどのように考えているか(見直すべき点など)」ということで述べさせていただきたいと思います。職業生活は、障害のある一人ひとりにとって社会生活・日常生活を構成する重要な生活であります。すなわち、職業生活の充実を図り、就労の継続を実現するためには、社会生活・日常生活の適切な支援との連携が必要になると考えます。就労、福祉、保険・医療等の領域の横断的、総合的支援が求められ、その実現のためのコーディネートの充実が求められると考えます。
 社会モデルの考え方をもとに、移動支援、コミュニケーション支援、介助等について具体的に検討し、それらのサービス提供に関して制度間の空白や支援の有無・密度に格差が生じないようにすべきと考えます。
 現行制度におきましては、例えば、社会参加、教育、雇用の場におけるサービス提供(移動支援、コミュニケーション支援、介助等)の手続上の違いや制度間の空白が存在しており、一人ひとりからはサービスを使いづらい現状があると考えられます。それらの支援がシームレスに行われることによって、一人ひとりの職業遂行上の力を十分に発揮できるよう就労生活を実現するとともに、その人らしい生活の実現が求められると考えます。十分な選択肢に裏打ちされた、自己選択、自己決定のもとに充実した人生を送るための支援の充実が求められ、その中で職業、就労の生活というのは大きな役割を担うと考えて、以上のようにお話させていただきました。どうもありがとうございました。
○今野座長
 ありがとうございました。次に日本盲人会連合、会長の笹川さんからお話いただきます。よろしくお願いします。
○笹川氏
 私どもからは田中伸明委員が出ていますので、今後、活発な議論を重ねられると思います。よろしくお願いします。
 まず、第1点の「障害者の範囲」ですが、これはいま阿部委員が述べられたとおり、障害者基本法が改正をされました。これに沿って是非対応していただきたい。少なくとも働く意志のある、意欲のある障害者に対しては、たとえ短時間でも働く場を保障していただきたいということでございます。当然のことながら、障害者権利条約との整合性の問題もあります。この辺を重視して十分な対応を図っていただければと思います。
 第2点ですが、ご承知のとおり、特に雇用に関しては視覚障害者は非常に不利な状況にあります。残念ながら、現状では視覚障害者の雇用実態というものが明らかになっておりません。したがって、具体的にどうこうということは申し上げかねます。それにしても、視覚障害者が働ける可能性のある職場、公務員をはじめとしてヘルスキーパーや機能訓練指導員、こういった方々の働く場を何としても確保していただきたい。
 それに必要なことは、やはり優先採用という制度を考えていただく必要があろうかと思います。例えば介護施設、特別養護老人ホームには機能訓練指導員という者が配置されることになっています。その対象にあんま・マッサージ・指圧師も含まれていますが、現状はそれ以外の、例えば柔道整復師、あるいは医療関係の看護師等が同等に扱われていますので、雇用する側からはどうしても使いやすい、機能的に動きやすい方々を採用する。結果的には、たとえ機能訓練指導員となっても採用されないという実態があります。また、ヘルスキーパーについても同様でございます。
 現状を申し上げますと、あんま・マッサージ・指圧師の免許取得の状況は、全体の中で視覚障害者が占める割合は昨年12月の発表によりますと24.6%という、大変低い状況になっています。今後、ますます健常者がこの分野に進出してくるでしょう。そうなるとますます、特に雇用という立場での視覚障害者の就労は困難になってまいります。そういう意味で、是非、優先採用制度というものをお考えいただきたいということでございます。
 3番目の「雇用率」の問題です。障害者の範囲が広がれば当然、雇用率も拡大する必要があります。現行の法定雇用率1.8%では十分な雇用は極めて困難だと考えています。是非、この点につきましても改善を図っていただきたい。
 第4点の「ダブルカウント」の問題です。この制度が導入され、実際に重度視覚障害者が採用されただろうか。少なくとも、視覚障害者についてはそういう実例はあまりありません。したがって、ダブルカウントを導入する以前と現状を比較して、実際にこれが機能するように、つまり重度障害者が雇用につながるような方策を取っていただく必要があると考えています。この辺も是非、ご検討いただきたいと思います。
 要するに、確実なデータというのがいま残念ながらありません。例えば、視覚障害者の雇用実態というものはいままで正確なものが出されていない。当然、ダブルカウントの場合には重度視覚障害者も対象になるわけですが、実態がわからなければその成果というものを評価することはできません。是非、ひとつ、調査をしっかりやって、結果がプラスになっていなければ見直しをしていただきたい。
 「その他」につきましては、これはどうしても視覚障害者にこだわることになりますが、例えばジョブコーチ等については、視覚障害の機能、ハンディの状況を本当に理解して、専門的に対応できるような方を配置していただきたい。この辺、これまで身体障害者として全て対応されてきています。これではどこまで行っても、視覚障害者の雇用というものは前進はできません。そういう意味で、もっときめの細かな対応をしていただきたいと思います。
 私どもの団体は身体障害者雇用促進法ができる段階から関わっており、常に要求してきたことは、身体障害者に関しても障害の種別、等級別、これを十分配慮した雇用制度にしていただく必要があるということを主張してきています。そうでない限りは包括的に数字だけポンと出て、それでいいという事になってしまいます。この点についても是非、ご検討をお願いしたいと思います。
 いま、私どもでは視覚障害者を中心とした授産施設を経営しています。平成18年の実態調査によりますと、全国の授産施設で働いている視覚障害者は障害者全体の僅か1%という数字でございます。それほどに出来る仕事が限られているという実態があります。
 私どもの授産所では、いま20名の視覚障害者が働いています。賃金にしても極めて低い工賃です。それでも、みんな本当に喜んで働いています。いかに働くことが大事か。まさに働くことは人間の生命です。そういう意味で、是非、ご配慮をいただきたいと思います。
 それから、今日の研究会では対象になっていませんけれども、視覚障害者の多くは自営業です。厚生労働省である限り、やはり自営業に対する対処も当然考えていただかなければならない。特に重度障害者の場合は通勤の問題、あるいは環境の整備の問題等、極めて困難な問題がたくさんあります。そういう意味で、自営として生計を維持している者に対する対応も厚生労働省としてしっかり対応してもらいたい。以上、申し上げます。資料には載っていない部分もだいぶありますけれども、今後のご検討をよろしくお願いいたします。
○今野座長
 ありがとうございました。次は全日本手をつなぐ育成会の田中さん、よろしくお願いします。
○田中(正)委員
 最初の「障害者雇用促進制度における障害者の範囲について」ですが、私どもも先の2団体と同じく障害者権利条約、障害者基本法及び障害者自立支援法における障害者の定義によるものを前提とした範囲というように考えています。ただし、障害者の範囲は雇用促進において混乱を生じない広げ方が必要だということです。これについては後ほどの話とも重なってくる部分があります。
 今回、権利条約に基づいて合理的配慮という考え方を導入していくという前提で、範囲の見直しもあると捉えています。合理的配慮と機会均等という位置付けで対にした条件整備と、障害者のためのという優先制度に関しては、バランスがあって、必ずしもどちらも選択できるということにはなりません。バランスを考えた上で在り方を検討する必要があるだろうと思っています。
 その点で、いままで遡ると、ペーパーに用意させていただいた4つの点で範囲が拡大されて行く事は評価すべきと捉えていますので、まだまだ底上げが必要だということだろう。前提としては範囲を広げるべきだとしつつ、それに伴って優先制度を活用して合理的配慮と機会均等で条件が整った方には、この枠組みからは卒業できる方もいるという視点が必要ではないかと思っています。
 2つ目の「障害者雇用促進制度における障害者の範囲と就労の困難さ」ということですが、少し「就労の困難さ」という表現が捉えにくい設問でした。知的・精神障害の分野の労働者性というように捉えまして、基本的に生産性があるということが労働者性の軸になっています。加えた価値観として、先に挙げた分野の方たちについては「存在価値」「社会貢献力」「チームワーク力」「実直・勤勉さ」などが、機会を得て就労につながった人においての評価として高いものがあります。その条件に至るためには、個人の把握というものが十分なされないと、同じ価値を持った人が逆の評価につながるという面もありますので、まずは個人の把握をきちんと捉える必要があるだろうと思っています。
 その際、個別支援計画という位置付けで、今般の障害者自立支援法の改正案の中でも個別支援計画は強化すると取り上げています。この中で、ICFの視点を盛り込んだ個別支援計画というものがまだ一般的な活用には至っていないと認識していますので、これを盛り込んだ条件を整備して習熟度を上げていくことが必要だと思っています。
 その上で、個別支援計画だけでは絵に描いた餅になってしまいますので、それを活用する仕組みとしてここに書かせていただきました。まずは企業側の社員教育は、先ほどの良い点を評価できる仕組みを作る。現状ではトライアル雇用、ジョブコーチ支援、職場定着推進チームなどの活用ということが個別支援計画に基づく就労支援の手法ということで挙げています。なお、特出しで「カスタマイズ就業」と表現させていただきました。それぞれの企業風土に合った受け皿を作っていただいて、実情に合ったサポートシステムを作っていくことも、困難さを取り除いていく具体的な方法だろうと思っています。繰返しになりますが、障害者の範囲を見直す上では、個人の特性、障害分野ごとではなくて個別の特性に配慮した支援の在り方と、それに応じた環境の不備が就労の困難さになりますので、それに着目をして見直しをしていただきたいと思います。
 3つ目の「雇用率制度における障害者の範囲」については、基本的には障害者別実雇用率の比が身体障害、知的障害というように肩を並べて伸びています。一方、精神障害については非常に低い数字に留まったままになっていますので、精神障害の雇用の義務化については、先ほどの優先制度という視点ではまだまだ必要な条件があるだろうと考えています。また精神障害、発達障害者へは、就業・生活支援センターなどの設置により、生活面での支援も就労支援策の中では非常に重要だということで徐々に整備されつつあります。これをさらに強化をして、暮らしの支援の中に就業が位置付くというような視点で、共生社会の実現に向けての取組みが必要な状況だというように捉えています。
 また、先ほどの個別支援計画にもつながりますが、新たに対象となる障害特性の人を受け入れるということで取りはかっていく際には、雇用率に関しては、落ち込んでいる状況の底上げという視点で、特に強調しますが、発達障害を含む精神障害に関しては底上げをするべきだろうというように考えています。
 次に、4つ目のダブルカウントの取扱いですが、基本的にダブルカウントにおきましては、特例子会社が現状の社会モデルにそぐわないという意見もあります。ただ、実の部分では非常に効果をあげている。この位置付けが優先制度として位置付くものから合理的配慮に移っていく、その課題について現状の把握の中からこの検討会で見い出していただければと思っています。
 特に職業的重度判定、ダブルカウントの基礎になる点については、身近なハローワーク、障害者就業・生活支援センター、更生相談所など、受け皿となる守備範囲を広げて実施をしていただくベースを作っていただきたいと思っています。
 基本的には、この分野の位置付けはまだ優先制度として非常に重要である。雇用率アップと実雇用につながっているということで、特に重度の知的障害者やまだ十分に障害特性を把握できていない方たちの役割をきちんと把握をして、先ほどお伝えした教育システムなど企業に必要な受け皿を作っていただく前提で、貴重な戦力としての価値を見い出す仕組みを構築していただきたいと思っています。
 最後に、障害者雇用促進制度の見直すべき点についてお伝えします。基本的に、自立支援法によって福祉サイドからの就労支援が強化されたことで、知的障害、精神障害については特段の推進で雇用の機会が得られるようになったと捉えています。併せて、地域生活支援の一環としての視点で支援が必要だということで、労働サイドだけでなく、福祉とのきめ細かな連携策が強く求められております。
 このたび自立支援法では、サービス全体を取り巻く環境を整備するということで自立支援協議会が各自治体ごとに用意されています。加えて、ハローワーク主導での「チーム支援」といったものがこの分野にも必要だということです。取り組み始めている所もありますが、まだまだ十分な状況ではないということを強化していただければと思います。
 また、業種も多様化しております。小売、サービス業、流通、事務ということで、特にパソコンの導入などで補助器具が発達したことにより、コミュニケーション障害と言われる知的や精神障害の方たちにも十分な機会が得られることになりました。これをさらに推進していただきたいと思います。
 また、国の課題としても非常に存続が危惧されている第一次産業についても、参入を視野に入れた業種開拓の取組みを期待しています。併せて、障害特性を踏まえた本人の力量による芸術文化活動、アートであり音楽活動であり、非常に充実したものが目立ち始めています。ただ、全体に裾野としてはまだ不十分な状況がありますので、この分野についての開拓も広げていただければと思います。
 また、先ほどお伝えした自立支援協議会の分野で言いますと、地域で雇用を生み出すという視点では、企業的な視点で大規模事業所における雇用というものが着目されがちですが、小規模な事業所においても、今回のカウントには及ばない人たちの受け入れについての評価、ここでは優遇策としての奨励金などをポイントやマイレージなどで、と提案させていただきましたが、ご検討いただければと思っています。以上です。
○今野座長
 ありがとうございました。それでは最後に全国精神保健福祉会連合会の川崎さんからお願いします。
○川崎委員
 今回から参加させていただきました。私どもの団体は、精神障害者の家族会の全国組織です。本日はそういう意味で精神障害者の雇用について、いろいろとお話させていただきたいと思います。
 まず最初に、障害者の範囲ですが、これについてはそれぞれの団体の方からのご発言のように、今回、障害者基本法が改正された中での範囲で、是非ともこれはお願いしたいと思います。
 その場合に、現行では一応手帳保持者で、主治医の診断書が基準になっているというところが、かなり問題ではないかと思っております。社会モデルとして考えていただくためには、今回障がい者の制度改革推進会議で、総合福祉法の骨格提言をいたしまして、その中においても主治医の診断書だけでなく、いろいろと専門職の方の意見書なども含めて考えてはどうかという案もありますので、その辺も含めてお考えいただければと思っております。
 2番目の就労の困難さなのですが、実はまさにこの障害者にとりましては、障害特性による就労の困難さを大きく抱えておりまして、特に精神障害に関しましては、病気、障害の特性から、いまとても難しいのが継続と定着ということだと言われております。そのことを考えまして、2つのことが、1つは事業所側の職場の環境づくり、精神障害者を理解していただけるような啓発事業が展開されるということと、もう1つが、外からのアプローチとして、今回、厚生労働省の発表でも、ハローワークからの精神障害者の就職が大変上がったということなのですが、実際それがしっかりと定着されているかということが、とても私ども懸念されるところであります。
 実は精神障害者が就労したいという希望は、本当に多くの人たちが持っておりまして、実は私は大田区なのですが、そこで生活支援センター、現在は地活の事業をしておりますが、その相談の中で、本当に多くの人から就労したいということで、地域のハローワークと連携を取りながら就労支援をしておりますが、実はハローワークからこういう人が就労したいということで生活支援センターにきまして、生活支援センターの職員がこれを支援しております。
 例えば、履歴書の書き方、面接の仕方、一緒に行ってあげるとか、かなり就労支援をしておりまして、これが全く個別支援でして、本当に1人の人に、現在の生活支援センターの職員がかかりっきりというようなケースもありまして、生活支援センターのほうでもうアップアップしているということも聞いております。
 といいますのは、実は地域での精神障害者の就労支援機関がありません。ほとんどないと言ってもいいほどで、「ナカポツセンター」とか「職業センター」がありますが、なかなか地域に密着していないということで、当事者はほとんどが生活支援センターの相談に入ってきておりまして、現在そのような支援をしているのです。実は知的な就労支援はかなり大田区でも充実しています。区立の就労支援がありまして、そこでしっかりと就労支援や特例子会社への支援などしておりまして、私がそこで精神の人もしてくれないかと言いますと、なかなか精神のノウハウを持っていなくてできないということで、就労支援がどうしても知的の人に重きを置かれているという感があります。
 ここの就労支援で、是非とも精神の人にやっていただきたいなと思うことがあります。「たまり場」というのを作っておりまして、それぞれ就労した人たちが毎週金曜日にみんなで寄ってきて、そこでいろいろと自分たちの就労の問題や悩みをみんなで分かち合って、また1週間元気になろうというような、そういうたまり場的な所が、いま大田にあります。そういうようなものを、是非とも精神障害者にも役立てていただけるような施策ができればいいかなと思っております。
 3番目の雇用率です。雇用義務の対象範囲は今回障害者の範囲がかなり広く、難病まで入っておりますので、この雇用率は先ほど来から皆様がおっしゃっているように、現行から上げることが必要だと思います。これは企業側の努力に負うばかりでなく、先ほど申し上げましたように就労を支える支援者、支援機関の充実が図られなくてはならないと思っております。地域での就労支援、これは精神に限らないと思いますが、障害特性にしっかりと応じた、そのような就労支援の機関ができてくれれば、かなり就労につながっていけるのではないかと思っております。
 4番目のダブルカウントと特例子会社です。先ほども申し上げましたように、特例子会社は私の感覚からしますと、なかなか精神障害者への対応が難しいかなと思っております。これは地域の生活支援センターの就労の職員も言っておりましたが、門がなかなか開かれないということです。もっと可能にするようには、外からのアプローチ、先ほど言いましたように地域での就労支援機関の充実もさることながら、いまジョブコーチの支援がありますが、第2号の職場適応援助者、これは事業者側に置くジョブコーチということを聞きまして、このように外からのアプローチと、中で連携を取りながら障害者を支えていただければ、より充実した就労支援ができるのではないかと思っております。
 5番目、本当にいろいろと今回は精神障害者の就労に関しましてはさまざまな施策がとられておりますことを大変ありがたく思っております。また、雇用率がアップしていることは大変うれしいことと思っておりますが、実はこれは現場からの声で、週20時間以上0.5人換算については、週4日の5時間から仕事を始めることは、かなり困難な人がいるということを言われました。やはり精神の場合には、障害特性に合わせて、もっと短い時間から仕事を始める仕組みづくりが考えられたらいいかなということを、現場の声として上がっていました。
 それと実は精神障害者の雇用というのは、本当にこれから考えていただきたいと思いますのは、実は生活保護受給者で、精神障害者がかなり多いのです。彼らもやはり生活保護から脱出したいと言っております。しっかりと自分たちも納税者になりたい、生活保護者で何か安穏としているように取られがちですが、実際の精神障害者は仕事をしたい。けれども、なかなか職場の狭さ、自由な選択ができないということなどもあり、精神障害者の就労支援は大変に合理的配慮から言いますとマンパワーなのです。精神障害者も本当に一人ひとりに応じた施策をしていただければ、本当に就労ができると思います。
 実は雇用率をアップする、先ほどもありましたが数合わせだけでは、本当にこれが障害者の生きがいのある就労には結び付かない。今回、1.8%に精神障害者も加わるということで、実は私は2人ほどこういう形で就労した人の話を聞きました。1人は、私は何回か申し上げているところですが、「僕は会社に行っても机があてがわれているだけで、仕事は何もさせてもらえていない。仕事をしているふりをしているんですよ」ということを聞きましたし、もう1人の人は「会社に来なくてもいいから、家にいればいい」というように、はっきり言いまして、事業者、企業側の数合わせ的に、私は思っております。障害者が本当に仕事をして、生き生きと社会参加できる、そういう仕組みづくりは、これから本当に考えていただきたい。特に精神障害者は20歳前後の発症ということと、現状ではかなり回復できております。昔のように入院している人は少なく、地域生活をしている人が多いことを考えますと、雇用に結び付くような、そのような生きがいのある生活をさせてやりたいなと思っております。以上です。よろしくお願いします。
○今野座長
 ありがとうございました。それでは全体についてで結構ですので、ご質問、ご意見があったらよろしくお願いします。いかがでしょうか。
○田川委員
 阿部委員に質問したいのですが、阿部委員が発表された3の雇用義務の対象範囲のところに、最後に「対象範囲の拡大に伴って、すでに就労している人の数合わせにより実質的就労の拡大につながらなかったり、これまで職業生活を送っていた人が就労の機会を失うことのないようにしなければならない」ということを、もう少し具体的にお教えいただければと思います。
○阿部委員
 これは障害がある人の対象が広がることによって、それに見合った雇用率の上昇が求められると思います。例えば、いま現在働いている方々が新しい雇用率の設定になったときに、それぞれの企業の中で、言ってみますと、対象となったということで書類合わせをしたりすることによって、雇用率が満たされてしまったりするようなことがないように、ということを意識して書きました。ですから、きちんとしたデータに基づいて、新たに対象となる障害、雇用支援の中での雇用義務の対象範囲の方々のデータを明確にした上で、雇用率をしっかりと検討しなければいけないということで、このように書かせていただいた次第です。繰り返しですが、雇用義務の対象範囲が広がった。既に会社でお仕事をしている方々に、書類上の数合わせだけでの雇用者が増えてしまって、雇用率を十分に満たしたり、それ以上になってしまったりすることのないように、きちんとしたデータが必要だということです。
○今野座長
 ほかにいかがでしょうか。
○海東委員
 いまの点に関連して申し上げると、先ほどの川崎委員のお話の中にもあって、企業のいくつもの実例を聞いて愕然としたのですが、まだまだ正直、企業の中でもそういったところがあるというのが実態なのかなというのは1つ思いました。その中で、いま阿部委員がおっしゃった数字合わせ、数合わせという部分については、十分に起こり得ることだろうなということは想定されると思います。実際、企業というのは数字を合わせなければならないという部分がついて回ると、それをどうするのだという目先の数字の部分を追い駆けることがどうしても出てきてしまうので、まさにおっしゃった数字合わせにならないようなやり方を考えておくことがすごく重要なポイントだと思います。
○今野座長
 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
○杉山委員
 全日本手をつなぐ育成会の田中さんに少しお尋ねしたいところがあります。1.の範囲のところで、今日のヒアリングを聞いていて、ほとんど同じ方向かなと思っていたのですが、田中さんのところの3行目に「混乱を生じない配慮」というのがあって、もう少し具体的に何かイメージするものがあれば、どういうことで混乱が生じてしまうのかというのがあれば教えていただけないかなということと、あとは本当に単純な質問で申し訳ないのですが、2.の個別支援計画というものが出てくるのですが、この位置付けというか、定義はどういうものなのか、知らなくて単純に教えていただきたいということと、もう1つ、ICFの視点ということもできれば教えていただきたいと思います。
○田中(正)委員
 障害者の範囲を広げることと混乱についてですが、単に杞憂の面もありますので、具体的なこととしては事例を挙げるほど煮詰めた考え方ではないのですが。単純に権利条約に照らした基本法の成立、そして自立支援法の改正というふうに制度が作用して就労環境の裾野を広げることで、いままで谷間に落ちていた人の問題がきちんと具体化されることにおいては評価すべきことです。先ほどもお伝えした障害者の範囲を雇用促進において広げる際には、受皿となる企業との関係において、数の増えることがある意味受皿側にとって圧迫感にならないような視点で危惧を持っています。具体性についてはこの場で検討していくことかなということで挙げさせていただきました。
 2つ目の個別支援計画ですが、これについてはかなり言葉の定義もまだ未成熟ですし、扱う様式も、高齢者では介護保険という枠組みについての対応はかなり整理されつつありますが、高齢においても個別支援計画の枠組みで、生活の全ては把握し切れないという課題があります。
 障害分野については、この個別支援計画という位置付けについては、事業所が事業を提供する際の計画ということがかなり定着をしているのですが、今回、障害者自立支援法の改正案においては、個別支援という位置付けは、暮らし全般を見渡して、24時間365日プラス数年先の暮らしの見通しまで盛り込んで計画を立てていくことになります。特に雇用促進の視点においては、数年先を見越してということで、障害である状態においての困難さが、いろいろな支援が整うことによって、困難さからより良い生活に向けての見通しをもった計画をつくるという捉え方になります。これを利用すると、必要とされる障害当事者の方だけでなく、関係するすべての機関が同じ視線で共有することが容易くなり、個別支援計画の大切な役割だと認識しております。それを今回は就労の面においては、働きたいご本人と受け手となる企業サイドで、同じ視線で目標に向かって進んでいくというような位置付けで書かせていただきました。
 ICFに関しては、国際生活機能分類ということで、障害者の捉え方について国連のWHOで定義したものですが、簡単に説明するのがなかなか難しい内容です。
 ここで活用すべきなのは、ほかの委員の方からも出ていますが、医学モデルから社会モデルへと考え方を置き換えていくときに、障害当事者の障害だけに着目するのではなくて、ご本人の暮らしぶり、生活においての困難さ、それが環境によるものなのか、個人の事情によるものなのか、それが社会参加と本人の活動への意欲によって、環境がそれを束縛することもありますし、逆に整うことによって暮らしの質が上がるというものもあります。そういった視点を盛り込んだ障害の捉え方がICFの位置付けになっていると理解しています。先ほどお伝えした個別支援計画作成の際には、個別な障害状態だけではなくて、受皿となる働く場の環境整備も必要だということで挙げさせていただきました。
○今野座長
 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。
○田川委員
 田中委員からいま出していただいきました、週20時間未満働いている人たちについて、その企業をきちんと評価すべきということなのですが、実習を受けていただいている企業さんは本当に熱意とボランティアでやっていただいているようなところがあるので、そういう障害者の就労支援の実習を受けていただいている企業さんに、何かしら評価を与えていただければなと思います。
○今野座長
 いまのは、川崎さんはどう思うというお話ではなくて、ご意見ですか。
○田川委員
 はい。
○川崎委員
 是非ともそういうところで促進できればと思います。
○今野座長
 私の知っている会社で障害者雇用を担当している人が、「実習の受け入れを雇用率に算定してくれれば、一生懸命に受け入れるのだけどな」とか言っておりましたが、そういうことですね。
○田川委員
 雇用率ということではなくて、何らかの評価を。
○今野座長
 ポイント制ですか。
○今野座長
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。折角の機会ですから、どうぞ。
○野中委員
 私どもの大学には5%ぐらいは障害を持った方がいらっしゃって、その5%ぐらいの障害を持った方々を見ていると、同じ視覚障害、同じ身体障害でも本当に一人ひとり全部違うのですね。だから、とても感覚の鋭い方がいらっしゃると、視覚障害でも後ろから近付くと全部わかってしまうというぐらいの感覚の鋭さを持っていたり、相当手を引いてあげないとうまくいかなかったりというので、障害特性というだけで押していくと、辛いことがいっぱい起こってしまいます。基本的には個別的な支援ができるように工夫する体制と、もう1つは就労だけで生きていませんので、生活全般を見渡して援助できるような、先ほどの個別支援計画と適合した、総合的なシステムとして就労支援が成立するといいなと思っております。
 また、今後は合併する障害、身体障害でも自殺企図して身体障害の車椅子になって、当然目が見えなくなるとか、さまざまに障害が合併した場合に、あまり障害種別ごとの対策を立てないほうかよろしいのではないか。もっと個別性のほうを重視したほうがよろしいと思っております。
○今野座長
 ほかにどうですか。
○海東委員
 いまの個別というお話は、企業においてもまさに実感でして、結局障害者だからということではなくて、普通の一般の従業員も含めて個別のマネジメントというのがいますごく重要になってきています。いろいろな性格、個性を持った従業員がいる中で、その一人ひとりにいかに向き合っていくかということは、マネジメントとか企業経営そのものにつながってくる話だと思うのです。そこにいかに真剣に向き合っていけるのかどうかという部分に結局はなるのかなとは思います。
 その中で、やはり目をかけなくてはいけない、よく見なくてはいけない部分というのがどうしても労力としては必要になってくるので、そこを企業としてどういうように仕組みを作っていくのかが、いま我々がいちばん求められている部分なのだろうなと思っております。ですので、いま障害者のいる部署の人間などに対しては、それは基本的に同じ考え方なのだということを伝えていく中で、それを現場の中でのマネジメントということでやっていただいているというのが、いまの当社における実態というか、現状です。
○今野座長
 一般的にいうと、企業がマネジメントするときに、働いている人の個別性が高まると、これは健常者であってもそうですが、管理コストはかかるのです。そうすると、その管理コストを超えて上手に活用するには、何かマネジメントの仕方を変えるということが必要になってくるので、そのノウハウをどう作っていくかだと思うのです。日本の企業のいままでのマネジメントの基本は従業員が柔軟に対応してくれることが基本だったので、個別性が高まるということは柔軟性が落ちるということですので、それに対してどうやっていくかというのが非常に重要かなと思います。それは健常者についてもそうですが、障害者については特にそうだということです。ですから、同じ線上にあるのかもしれないと思います。ただ、かなり頑張らないとマネジメントスキル、ノウハウは上がらないとは思われます。そこを頑張らないと、職域開発は難しくなると思います。
 ほかにいかがでしょうか。
○丸物委員
 いまのお話に関連してなのですが、私どもが実際に障害を持った人たちを雇用していて、どういうふうにやっているか、何がいいのかということをちょっとお話したいと思います。私どもは全体で210名の障害を持った方を雇用しています。もともとスタートは、身体障害の方に銀行の事務をやってもらおうということで、身体障害だけからスタートしました。その後、他の障害も増やし、現在は知的の方が42名、精神の方が8名おります。特例子会社としての使命というか、役割は、障害を持った方はいろいろな特性があるので、その特性をどうやって活かしていくかだと思います。この為、いろいろなやり方をやってみて、どの障害の人たちにはどういう仕事が合っているかというのを見極めて、それを社会的に還元していくことが私どもの会社の役割だと思っているのです。
 そういう意味ではいろいろな障害の方がいたほうがむしろいい。私たちの仕事は銀行の事務ですから、1つの流れの中で仕事を切り分けていけます。例えば皆さん方が銀行の支店に行って、パソコンで振込みをなさるというときに、銀行と契約を結びます。書類は毎日すごい量になります。書いていただいた契約書は、銀行が窓口で受け取った後、当社に全部送られてきます。全国で600とか700の支店から書類が当社にくると、実際にその支店から何枚きているかなという枚数を数えます。枚数を数えるだけの単純作業でしたら、知的の方はすごく合っています。その次に店番号別に並べます。この仕事は視野的に非常に優れた発達障害の人たちにとても合っています。見ただけですぐわかるだけに、並び替えというのは非常に得意です。次にこの並び替えたものを店番号順にスキャニングします。知的の人達はマニュアルどおりに粘り強くやってくれます。今度はそれを実際にどこの店からどういう書類がきているかをパソコンに打ち込みます。知的の人は、限られた範囲の単純作業ですから、こことここを打ち込みなさいと言ったら速く正確に打ち込みます。きれいに打ち込めたかチェックするのは身体の方に非常に向いています。
 こういうように仕事を切りきざんでいって、そこにどういう特性の人をはめ込んでいったら、最強軍団になるか試しながらやることができるわけです。企業で働くときに、そういう特性を障害者の武器にする。ほかの企業にも、同じような仕事はあるでしょう。この様に障害者特性を活かせば、障害者というのはもっと広く就業できるのだ、ということをPRすることが、特例子会社の役割だと思っているのです。
 それともう1つは、ダブルカウントの考え方なのですが、今回、厚生労働省の精神障害のモデル事業をさせていただきました。最初8人雇用しました。そのときに失敗しないようにということで、最初は安定した人を選んだつもりです。それでどうだったか。まず、環境が変わります、仕事も変わります。結果、その8人の中でいまもって安定している人が4人。それから不安定になっている人が4人です。例えば東日本の大震災で非常に不安定になりました。私どもはもともとは1週間37.5時間の勤務しか認めていなかったのですが、精神の方を雇用する時に短時間労働を認めるようにしました。この制度をやり始めますと、いままで一生懸命37.5時間働いていた人が、ある日、突然20時間になる。長時間勤務に耐えられないのです。
 精神の人は短時間労働の人のほうが重い。なかなか仕事を継続しにくい。そういうことがあっても、やはり雇用していかなくてはいけない。重いからそれに合わせて人数を増やさなければいけない。また、やらなくてはいけないことも増えてくる。そういう意味では私どもにとってはダブルカウントということも、もうちょっと考えていただけないかなと感じながら皆さんのお話を伺っておりました。
○今野座長
 ありがとうございました。いま皆さんのお話を聞いていると、職場づくり、雇用機会づくりのことなのですが、2つの違うことをおっしゃっている。1つは障害にはいろいろなパターンがありますから、会社が受け入れるとなると、その障害の専門的な知識をいろいろ持っていなければいけない。もしこれを強調すると、極端な例ですが、特例子会社はA障害型特例子会社、B障害型特例子会社というのを作ったほうがいいという戦略になります。しかし他方では、そういう特定障害類型の特例子会社を作ると、障害のパターンがある程度似ているために、担当できる業務範囲が似てくるので、仕事との組み合わせができなくなる。そうすると、いまおっしゃられたように、いろいろなタイプの障害の人がいたほうがよい、つまり極端なことを言うと、多様な障害の方、あるいは多様な制約を持っている人がいたほうが、組み合わせが多様にできるので、いろいろな業務に対応できる。そうすると、そちらがいいということになる。お話で聞いているとどちらなのだろうかと思いました。状況によって違うのかなと思いますが、そんなふうに考えてみると、それらは職場づくりの基本戦略の2つのパターンになる。どういう場合にどちらの戦略をとったらいいのかというような研究があったら便利かなというのを思いながら、話を聞いていました。
○野中委員
 海兵隊の研究にありまして、小隊をどんなふうに作り上げたら、いちばん有効な小隊になるのかというので、結局同質集団ではなくて異質集団が結果的には強いというのがデータでは出ているようで、だからもうアメリカの海兵隊はみんな白人も黒人もミシシッピー州もニューヨーク州もみんな混ぜ合わせて作っています。そういうところはとても大事で、あとはマネジメントの問題だと思います。要は、どういうチームメンバーを入れるかというだけの話ではなくて、どういうマネジメントをするのかというのがとても重要になってきます。先ほどの座長のお話で、産業保健の立場からいうと、普通の健常者もやはり3万人がいま死んでいますので、いま企業がいっぱい自殺をさせているわけです。障害者だけの問題ではなくて、もっと企業全体が産業保健にきちんと取り組まないと、自分の首が締まってしまうということに、もう少し目をいかせると、今度はマネジメントとか産業保健対策をしっかりするということが、障害者の定着支援と重なっていくと私は思います。
○今野座長
 ありがとうございました。それでは、ヒアリングはこの辺にさせていただきまして、また次回ヒアリングをいたしますので、次の議題に入りたいと思います。次は障害者の雇用に関するアンケート案についてです。事務局から説明をしていただいて、議論をしたいと思います。よろしくお願いします。
○地域就労支援室長補佐
 笹川会長、ありがとうございました。
(笹川氏退出)
○地域就労支援室長補佐
 事業所アンケートについてご説明させていただきます。本アンケートにつきましては、資料2と参考資料3をご覧ください。前回の研究会において八木原委員からご意見をいただき、主に平成18年度から実雇用率の算定になった精神障害者を中心に、雇用の状況や今後の障害者雇用の方針について事業所調査をしたらよいのではないかということで、事務局でアンケート(案)を作成いたしました。資料2にありますとおり、目的については、本研究会において障害者の範囲等を検討するため、事業所における障害者の雇用の状況や今後の障害者雇用の方針等の基礎資料を得ることを目的に、事業所アンケートを実施する、としております。
 調査の内容に入る前に、先に過去の研究会における調査について、簡単にご紹介させていただきます。参考資料3として2つの調査票を付けておりますが、これは、平成12年と、平成15年の研究会の時に行った調査の調査票で、いずれも精神障害者に特化した内容になっております。
 1つ目は、平成12年の研究会で行った調査で、調査の対象を職業リハビリテーションの各種メニューを利用して精神障害者に接したことのある事業所としておりまして、505事業所から353の回答を得ております。そのうち225事業所で雇用ありという結果でした。調査の内容は、主に精神障害者を雇用している事業所での配慮事項などを聞いたものです。
 2つ目は、平成15年の研究会で行った調査で、参考資料2の13頁になりますが、こちらの調査は5人以上の雇用保険適用事業所1,000社を対象とし、415事業所から回答を得ています。そのうち45事業所で雇用ありという結果でした。こちらの調査は、雇用経験の有無に関わらず幅広く調査をしたもので、調査の内容は、主に採用のきっかけや精神障害者の確認方法などを聞いており、また雇用経験の有無による分析などを行っています。
 資料2に戻ります。今回の調査ですが、調査の対象は、平成15年と同様に、5人以上の雇用保険適用事業所に対し、規模も平成15年度と同様にしたいと考えております。
 調査方法は郵送で、無記名で回答していただき、返送していただく形とし、調査時期は1月を予定しております。
 調査内容は、大きく5つあります。1つ目、事業所の属性。2つ目、精神障害者の雇用について。3つ目、今後の精神障害者の雇用の方針。4つ目、その他雇用管理上の配慮が必要な方の状況は初めて調査するものですが、今回、障害者の範囲の議論の中でその他障害に含まれる発達障害者や難治性疾患患者の雇用の状況、雇用管理上の配慮、今後の方針、といった内容を盛り込んでおります。5つ目は自由記述で障害者雇用に関する意見をお伺いしています。
 それでは、具体的な調査票(案)を見ながら、ご説明させていただきます。委員の皆様には、先に調査票(案)を送付させていただきましたが、その後、今野座長の方からご意見をいただき、本日の資料はご意見を踏まえて変更したものになっております。修正箇所は網掛け部分です。田中委員の点訳資料につきましては、修正前の調査票になっており申し訳ありませんが、説明の中で変更箇所に触れながら進めていきたいと思っております。
 まず、調査票1枚目に調査の目的と用語の定義を記載しています。ここでの変更点ですが、常用労働者の定義を加えたことです。様々な定義がございますが、シンプルに6-1雇用状況報告と同じ定義とし、「1年以上継続して雇用される者のうち、1週間の所定労働時間が20時間以上の者」としております。その他、身体障害者から精神障害者に関しては、障対法の定義と一緒。また、発達障害者、難病については、本アンケート上では手帳をお持ちでない方としております。
 2頁目、各問番号のところにH12、H15とありますが、これは過去の研究会の調査で同様の設問があったことを示しております。事業所の属性として、従業員数、企業の形態、業種を聞くこととしました。ここでの変更点は、事業所規模をこれまでの調査では100人~299人としていましたが、昨年度、納付金の対象範囲が拡大したことを受けまして、100人~199人と200人~299人とに分けた点です。分析は基本的に100人~299人で行いますが、必要な時に分けられるような形にしました。問2に関しては、精神障害者だけではなく、身体障害者と知的障害者に関しても、雇用経験を聞く形にしております。
 3頁目、問3以降については、精神障害者の雇用経験のある事業所に対して、(1)雇い入れのきっかけ、(2)確認方法を聞くものです。(1)雇い入れのきっかけでは、昨今、民間の職業紹介事業所による障害者の紹介も増えてきていることから、選択肢4に加えました。
 問4については、精神障害者への雇用管理上の配慮を聞いています。これは、当初、入れていなかった項目でございまして、例えば平成20年度障害者雇用実態調査など他の調査結果を参考にしようと考えて入れていなかった項目ですが、同じ調査内で比較ができたほうがよいのではないかというご指摘をいただき、追加したものです。後で出てくる、発達障害者と難病の雇用管理上の配慮と選択肢を全て揃えまして、比較ができるように設計しております。
 4頁目の上、(32)とありますが、(2)の間違いです。前の頁からの続きで、精神障害者の雇用経験のある事業所に対して、支援機関の利用と、雇用して良かったことを聞いております。ここでの変更点は、選択肢を支援機関の誰々としていたものを、7番の保健師や看護師については、特にどの機関か所属を書いていなかったので、保健所や精神保健福祉センターの職員としたことです。8番は、産業医療関係者と書いてあったものを、産業医や産業保健スタッフという文言に修正いたしました。
 (3)に関しては、もともとは選択肢の1つ目と「社員の対人態度が柔らかくなった」と、2つ目「職場全体の雰囲気が良くなった」が1つの選択肢になっていましたが、1つの選択肢に2つの要素が入っていてわかりにくかったので、2つに分けました。
 5頁目、ここからは、また全事業所にお答えいただく項目になっております。精神障害者の職務遂行面と、職場適応面について、「問題あり」、「問題なし」、「個人差が大きい」を選んでいただくものです。平成12年の調査では、雇用経験のある事業所に対してのみ聞いていた設問ですが、今回は雇用経験のない事業所にも聞くことによって比較をしたいと考えております。
 6頁目、こちらは問6ですが、新規の項目になります。今回の目的の1つが、平成18年度頃から精神障害者の雇用がどのぐらい進んできたかということも聞くことですので、平成18年度前後の雇用の方針を聞くものです。先にお送りしたものでは選択肢が長くてわかりにくかったので、問いを3つに分割しました。まず、法改正のことを知っていたか、2つ目に平成18年度以前の精神障害者の雇用の状況はどうであったか。3つ目、精神障害者の雇用の方針の変化について、平成18年度以降に積極的に雇用するようになったのか、それとも特に雇用の方針は変わらないのかということをストレートに聞くことにしました。問7については、今後の精神障害者の雇用の方針で、これは平成15年と同じ設問にしています。
 7頁目、問8は支援制度の認知度や利用状況を聞くものです。各支援施策について、利用したことがある場合については、役に立ったのか、役に立たなかったのか。利用したことがない場合については、知っていたかということと、利用の意向についてそれぞれ2×2の4つの選択肢で聞いているものです。
 8頁目、問9から問12については、全て新規の項目になります。最初にご説明したとおり、その他の障害者ということで、初めて発達障害者と難治性疾患患者の雇用経験などを聞くことにしたものです。こちらは、問2で身体、知的、精神について聞いた問いと同じ形で聞いております。
 問10は、発達障害者の雇用経験のある事業所に対する質問で、(1)で疾患名、(2)で雇用管理上の配慮について、問4の精神障害者の配慮事項と同じ選択肢にしました。問11は、難治性疾患患者の雇用経験がある事業所に対して、同様に(1)で疾患名、(2)で配慮事項を聞いているものです。
 最後の頁は、問12で、今後の発達障害者と難治性疾患患者の雇用方針を聞いたもので、こちらも問7の精神障害者と同じ設問にしました。問13の自由記述欄で障害者雇用に関するご意見幅広く伺う場を設けております。
 別紙は、問8で支援制度について聞いているので、その説明になっております。以上で、事務局の説明を終わります。
○今野座長
 ありがとうございました。それでは、ご意見をいただけますか。ご意見がなければ決まってしまいますけど、ご意見があればいただいて、それを受けてもう一度修正をして、それで完成版をもう一度見ていただくという段取りです。ここでは全部決められないと思いますので、主要な趣旨は、ご意見をざっといただくということです。何でも結構ですので。
○田川委員
 採用前精神障害者と、採用後精神障害者と分けられて、採用後精神障害者の中に、「採用後に精神障害者になった」というのと、「採用後に精神障害者であることがわかった」ということがありますね。これは、分けられたほうがいいのではないかと思うのです。何か、後で統計を取るときに分けられるような設問を1つ入れておかれるほうがいいのではないかと思います。例えば、病気を伏せて就職して、実はその後で本人は気が付かないけれども、会社は病気のことを知っているということも結構あると思うのです。それが、会社へ就職されてから発病された方と同じに扱われると、若干意味合いが違ってくると思うので、それを1つお願いしたい。
 あと、問3、「病院・支援機関から頼まれた」を「医療機関、支援機関から頼まれた」にしていただくのが良いと。
 問5で、雇用した経験のない事業所とある事業所とが同じ設問になっているのですけれども、統計としては別々に多分集計されるのですよね。念のために確認しました。
○今野座長
 そうでしょうね。
○田川委員
 以上です。
○今野座長
 ちょっとよろしいですか。ご質問のいちばん最初のことについて、企業の方のご意見を聞いておきたいと思うのですけれども。人事としていま言ったことを把握できますか。つまり、採用後精神障害者の人で、なった人とわかった人は、人事上、把握できますか。できるかどうかの情報をいただいてから修正案を考えたいと思います。
○海東委員
 個人に聞かないとわからないケースがありますね。ヒアリングをしないと。だから、直ぐに即答は難しいと思います。
○今野座長
 そうすると、大企業の場合、どうするのですか。みんなに聞くのですか。
○海東委員
 今回は事業所ごとなので。
○今野座長
 事業所ごとか、これは。
○海東委員
 不可能ではないとは思いますけれども。
○今野座長
 不可能ではない。
○海東委員
 ただ、個人に聞くという部分が発生します。
○今野座長
 わかりました。
○八木原委員
 アンケート調査について、基本的にはよろしいかと思いますが、1つ大きな?という項目ですね。6頁から続いた問8のところですけれども、これは雇用率制度と納付金制度とのバランスを考えて今後やっていかれると思うのですね。そうしたときに、いま現在ある支援制度というのは、かなり301人以上の企業を対象とした中での支援制度の考え方だと思うのです。そうすると、これからもっと裾野を広げていかれるとなると、できればもっとほかにどういった支援策があれば雇用できるというような、前向きな設問を作っていただけると、書きやすいかなと思っています。先ほどの田中委員がお話されていたケアマネジメントの支援計画を作るときに、外側の機関との連携によってということなども、細かく書いていただける可能性があるのではないかという期待を込めて、検討いただければと思います。
○障害者雇用対策課長
 支援策については、納付金助成金というものだけでなく、一般会計や特別会計でやっている助成金もあります。納付金助成金も人数要件で助成金の対象を縛っているわけではありません。後半の話については、検討させてください。
 事業所にこのアンケート調査を送付しますけれども、このアンケート調査を書く際にご本人に再度確認をしたりということはしないという前提で、アンケートをお願いしているということになっていますので、そこも踏まえて、先ほど田川委員から言われた話について、どこまで受け止められるか考えたいと思います。
○今野座長
 いまの八木原さんのご意見は、私の理解では個別の支援政策ではなくて、ものすごく機能的なのですよね。例えば、外部機関の支援を受けられることは重要か重要でないか。そういうことなのでしょう。そういう機能を並べて、実際にどういうニーズがあるのかというのを聞いたらどうかということ。
○八木原委員
 そういう細かなところではなくて、企業がもっと書きやすいような項目をあえて作っていただいたほうがいいのではと思います。つまり、この支援制度の下の欄に、その他ご意見があればというような書き方だと、ちょっと書きづらくなるのではないかという心配があるものですから。もっと自由な意見がほしいと思ったので、書きやすいように、設問を入れていただけるといいかなと思ったのです。
 それから、この項目の中で、私はこの支援制度の5番の「特定求職者雇用開発助成金」を利用したことがありまして、つまり就労支援をする側としては、制度の仕組み、申請の仕方を知っていないと、というふうに思って出したことがあるのですけれども、非常にわかりづらくて、大変でした。企業さんは、これはきちんと事務方の方々にはわかって、ご指導されていらっしゃると思うのですけれども、記載したことのない者にとっては本当に難しくて、これだとやらなくてもいいやというように思ってしまう可能性もあるのではないでしょうか。是非、問8の設問の中にそういった項目も入れて欲しいと思います。
○今野座長
 問8。
○八木原委員
 問8は、使ったことがあるということと、記載に困難であると、どこかに入れていただけるといいかなと思うのです。
○今野座長
 使いにくいということですね、要するに。
○八木原委員
 そうです。
○今野座長
 要するに、使いにくいか、使いやすいかという、そういう趣旨の設問がどこかにあったらいいという、そういうご趣旨。それで、いまは問8の5番をおっしゃいましたけれど、ほかもいろいろあるのかもしれないし、そういうご趣旨だということで。
○障害者雇用対策課長
 個々の項目に立てるかは検討しますが、その下にあるその他効果的だと思われる支援策があればというのは、現行制度で改善すべきものがあればというようなニュアンスをどこかに入れると、ここで受け止められるかなと思います。個々の項目として聞くと、かえって事業所の人を悩ましてしまうので。利用したことがある、なしというのは、イエスかノーかですし、利用した、する可能性についても、それほど難しくはないですけれども、改善すべき点があるかないかを個々の項目について聞くと、ちょっと難しいかなという感じはします。ただ、改善すべき点について、今の下の四角のところではきちんと受け止めてないので、そこは考えたいと思います。
○今野座長
 だから、1つのアイディアとしては、問8の自由記入欄を選択肢っぽくして、その中にいま八木原さんが言われたものを入れられるような工夫ができるかどうかということだと思います。
○川崎委員
 問7の後半部分が、雇いたくない、雇いたくないと出ているのですけれども、では、具体的にどんなことがあったら、雇い入れが可能になるかとか、そんなことを自由記載みたいな、こんなところではできないでしょうかと思いました。これは、発達障害とか、難病のところも同じように「雇いたくない」という言葉が出ているのですけれども、どちらかというと、あまり否定的でなく、こんなことだったら雇えるなという方向性が出ればいいかなと思いました。
○今野座長
 問7は、事業所の精神障害者雇用に対する意向調査ですね。本当は、直したい。つまり、マイナスで聞くというのは好きじゃないんです、私は。これ、マイナスで聞いているでしょ。雇いたくないとか。なのですが、これは、平成15年と比較したいという意図がすごくあって、平成15年の調査票ができが悪いのですよ。でも、比較をするために、こういうふうにしているので。そうでないと、精神障害の方に対する、事業所の考え方の変化がわからないので、これは残さざるを得ないのですが、川崎さんがおっしゃられたようなことは、問5がありますので、これが一種の精神障害者の方に対する企業の職務能力上の評価なのですよね。ほかもあるかもしれないから、こういう質問と、我々はクロス集計と言いますけれども、関連性を見て、障害者の雇用に取り組みたいと思っているところは、どういう点を評価しているかとか、そういうことで因果関係をほかの設問との関連でも見られるかもしれませんね。そういう形で、どうにか見られるのではないかと思うのですが。したがって、問7は、動かしにくいのですよね。
○川崎委員
 はい、わかりました。
○今野座長
 川崎さんがおっしゃられたのは、少し統計的な手法で対応していくということのほうがいいかなと思いますが。何かありますか。
○地域就労支援室長補佐
 この項目は、事務局としても気になっていたところです。例えば問7の3から5までに答えた、「雇いたくない」と回答した事業主に対して、更問で、どういう支援があったら雇えるのかといった形で追加することも検討したいと思いました。
○今野座長
 追加していいの。
○地域就労支援室長補佐
問7の項目自体は残したままで、更問として追加する形です。
○川崎委員
 別の項目で。
○今野座長
 だから、いまおっしゃられたことは、結局、問7と、先ほど出た問8のこういう支援策があればいいなとかいう項目とのクロス集計を見ればわかるのですから。雇いたくないというところはこういう支援策がほしいとか、雇いたいというところは、こういう支援策がほしいという関連性から見ればわかるので、それで大丈夫ではと私は思うのですが。
○障害者雇用対策課長
 問7で、否定的な回答をしたところが、おそらく問5で精神障害者の能力をマイナスに見ているからそういう話になっているということで、問5と問7で連動させる形でいけると私も思いますが、いずれにしても、意見としてお預かりをさせてください。
○今野座長
 ちょっと検討させてください。事務局が問7で、平成15年との比較を諦めるというのだったら、私はいくらでも変えるのですけれども。ちょっと、その変化を知りたいですよね。
○野中委員
 前回の調査でも、精神障害者を実際に雇った事業所は、そんなに問題ないということがわかったのですよね。問題は、雇ったこともない人が、とても不安に思ってしまって、とても雇えないと言っているのが問題なわけですよね。だからある意味では、偏見がとても大きく働いているので、いちばん有効なのは、何かあったときにどこに相談したらいいんだということをはっきりさせると、私が事業主をやるのだったら、そういうものがほしいわけですね。消費者センターみたいな、障害をもった労働者に関することだったら、何でもお聞きしますよということがあればいいのであって、問8のリストは私もいろいろよく知っていますけれども、どこを使っても、結局限界があるのですよね。プロだったら使わないというサービスなので、結局、やっぱりどこか相談に乗ってくれる人がいないと駄目なのですね。そういう人がいるのだということの安心感があれば、不安が解消しますけれども、それがないと、結局、面倒くさいんだよねという話になってしまって、不安のために雇わないということのほうが多くなるのではないかと考えますので、問7の後に、何かあったら相談できるような人や機関があったら雇えますかというようなものを1項目入れてくれると、それがかなり伸びるのではないかという予想が付くのですけれども。
○今野座長
 わかりました。いまおっしゃられたような案で、1つは選択肢ですし、もう1つは、先ほどから私が言っていますが、問8の自由記入欄の下のところ、新しく選択肢を作るときに、そういう支援策がほしいというのを入れておけば、そことの関係を見ればわかるかもしれないので。いずれにしても、具体的にはどうするかを考えさせていただいて、ご意見をいただいたので、それをどうにか内容として取り込むということにさせていただきます。ほかに、いかがでしょうか。
 これ、見通しとしては、1,000事業所に送りますよね。主に精神障害の方の話をずっと聞いているのですけれども、雇ったことがあるという事業所は、どのぐらいの比率で登場すると思っているのですか。サンプル数があまりにも小さいと困るよなと、ちょっと思って。
○障害者雇用対策課長
 1,000事業所というのは、前回平成15年、10年前の調査と同じ規模で配布しますけれども、平成18年からカウントができるようになってから雇っている企業数は増えているので、10年前の調査よりは信頼性は相当増すと思いますので。
○今野座長
 本当は、そういうことが心配だったら、サンプル数を増やせれば、本当は問題は解消できるのですけれども、お金がないでしょ。
○障害者雇用対策課長
 はい。
○今野座長
 それを言いたかった。ほかに、いかがですか。
 それでは、スケジュールをお話したいのですが、この調査票は1月に配布したいのですね。こことの作業との関係もありますので。もう12月の中旬です。どうしますか。今日、ご意見いただきました。また、今日お帰りになって読んでいただいて、何かご意見があったらメールで事務局に回していただいて、それを全部踏まえて、事務局と私で検討させていただいて、最終案を作って、それでもう一度お配りするということにさせていただきます。そうなると、皆さんのご意見をいつまでも待っているわけにいきませんので、期限は切ってお待ちするということになると思いますので。何日ぐらいありますか。3日、4日。
○地域就労支援室長補佐
 今週中でよろしいでしょうか。
○今野座長
 では、今週中にご意見をいただいて、そこまで待って、作業に入りたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、次の「その他」にまいります。事務局から、よろしくお願いします。
○地域就労支援室長補佐
 事務局から、前回の研究会で宿題になりました事項についてご説明をさせていただく前に、前回の研究会の後に平成23年度の雇用状況報告について発表しておりますので、そちらを説明致します。資料の最後に付けております平成23年障害者雇用状況の集計結果をご覧ください。こちらは、毎年6月1日現在の状況を事業所からご提出いただいているものですが、今年度については、雇用障害者数366,199人と過去最高を更新しております。実雇用率については、今年度は1.65%となりました。昨年7月に短時間労働者や除外率の改正がありました関係で、一概に比較はできないのですけれども、昨年度は1.68%でしたので、改正の影響で率としてはやや下がった数字になりました。法定雇用率の達成企業の割合については、45.3%になっております。実雇用率に関しましては、制度の改正がなかった場合の推計値は1.75%となっており、雇用障害者数自体も伸びているということから、着実に障害者雇用は進展をしていると考えているところです。その他、今日は時間が足りないものですから、資料の方でご確認いただければと思います。
 続きまして、資料3と資料4のご説明をします。資料3については、前回、杉山委員から障害者数の推移と年齢別の数字をというご意見がありまして、作成したものです。いろいろな調査の数字を持ってきているため、年が微妙に違いますが、概して身体障害者、知的障害者、精神障害者、ともに増加しています。身体障害者、知的障害者に関しては、手帳をお持ちの方を中心とした調査になっておりまして、精神障害者の数は、患者調査に基づくものですので、精神疾患の方と考えていただければと思います。
 裏面、身体障害者、知的障害者、精神障害者それぞれについて年齢別の障害者数ですが、身体障害者については、高齢者、65歳以上の方が多く、続いて40~64歳の層が多くなっています。知的障害者に関しては、若い方が多く、18歳~39歳の層がいちばんボリュームが大きくなっています。精神障害者の方については、真ん中ぐらいの層が多くなっているといった傾向があります。
 資料4ですが、前回何人かの委員の方から障害者の定着状況についてご意見をいただきました。ぴったりしたデータはないのですけれども、5年に1回やっている障害者雇用実態調査で、平成20年度が最新ですが、勤続年数を調査しております。身体障害者は障害の種類別、知的障害者については重度か重度以外か、精神障害者については手帳の有無と、手帳がなければ疾患別の数字は表のとおりとなっております。参考として、一般労働者の平均勤続年数はが11.6年です。障害者雇用実態調査の数字に関しては、障害になった時点からの勤続年数になっておりますので、身体障害者と精神障害者については、中途の方もいらっしゃいますので、そういった影響もあって、やや短かめになっていることも考えられます。
 裏面ですが、精神障害者の定着状況です。精神障害者に関しては、高齢・障害者雇用支援機構の研究がございますので、ご紹介させていただきます。ハローワークの職業紹介により就職した精神障害者の職場定着状況を平成20年度に調査した結果で、右に円グラフがありますけれども、在職期間が6カ月以上の方は49.1%となっております。それを詳しく見てみますと、障害者求人の場合は66.1%、一般求人の場合は障害を開示した場合42.2%、非開示の場合24.3%、また外部の連携機関とのチーム支援を行って就職した方については、チーム支援ありが67.1%、なしが43.3%ということで、結果として支援機関が付いて障害を開示している方の場合が、定着状況が良いという結果になっております。また、障害者就業・生活支援センターを利用した精神障害者の6カ月後の職場定着状況は70.4%、地域障害者職業センターのジョブコーチ支援を利用した精神障害者の定着状況は81.1%となっており、支援が付いている方がより長く定着している結果になっています。事務局からの説明は以上です。
○今野座長
 皆さんのところに、参考資料4がございますが、いまお話いただいた資料4に関連して、田川委員から資料を提出いただいていますので、簡単にご説明いただけますか。
○田川委員
 5分間で説明させていただきます。何を調べたかというと、初めの部分はジョブコーチ。JSNは3か所事業所を持っていますが、茨木、門真では2名ずつ、配置型のジョブコーチがおります。JSN茨木のジョブコーチの動き方をデータで取ったものです。JSNは、2009年4月、2010年4月から1年間に各々31名、30名と、いままで合計90名ぐらいの就職者がいます。
 ジョブコーチの動き方ですが、資料2枚目に支援内容の内訳と書いていますけれども、実働60日/3カ月間のデータを取りました。ジョブコーチ支援、これはいわゆるジョブコーチ支援の費用が算定される分で、51回です。基礎訓練支援といって、企業に就職する前にはっきり就労と決まっていないところでも、仕上げの企業実習ではジョブコーチが入りますので、これが83回となっています。既就労者支援といって、就職した方に対する支援がありますが、これが40回になります。下にそのデータが出ていますが、既就職者支援がジョブコーチの仕事の回数で23%、時間的には13%を占めていて、このうち、73%は就職6カ月以降の支援になっています。ですから、かなり長い期間の支援が必要だということになります。
 その次が、職業継続の継続アンケート調査で、これは平成21年に障害者保健福祉推進事業の研究調査予算をいただいて調査したものです。精神科診療所に協力していただいて2年以上働いていると思える通院者にアンケートをお願いしてそれに答えていただくもの。2年未満、行ったり止めたりという方を想定して、またほぼ同じ数のアンケートを取っていただくということで、13診療所が協力して227枚のアンケートを回収しました。そのうち、それを2年以上と2年未満とソートして、どちらも80枚前後、アンケートを比較したということです。性別は大体3分の2が男性です。年齢的には、2年以上継続して働いている人がやや年齢が高い。病名別では、2年以上も2年未満行ったり止めたりの方も、どちらも統合失調症の方が8割以上を占めています。病気の理解、これは主治医アンケートを取り、主治医の診断などをここで聞いています。病気の理解に関して、2年以上働いている方は、3分の2の方がそれなりに自分の病気を理解されていますが、2年未満の方は、2分の1弱になっています。
 次のスライド、主治医から見た障害の理解ですけれども、2年以上の方は4分の3の方が自分の障害を理解している。でも、2年未満の方は、3分の1強ぐらいの方しか理解されていない。やはり、ご自身がどのように自分の病気、障害を理解されているかというのが、長く働けるかどうかの1つの要因になるのではないかと思います。
 発病前の就労経験ですけれども、発病前に就労経験がある方のほうが長く働けるかといったら、そうでもない。どちらかというと、就労経験のない方のほうが、このデータでは長く働いておられるということがわかります。発病後、最も長く勤めた期間、これは1年半以上2年半未満の方が結構多いので、データ的にはこの辺であいまいさが出ているのでしょうけれども、やはり法定雇用率にみなしであれ、参入した時期ということを考えると、どうしてもこういう形になってしまいました。5年以上の方がすごく多い。10年以上もすごく多い。ある意味、ひと山乗り越えたら、長く働ける方がかなり多いということです。
 病気・障害の開示状況ですけれども、先ほど言いましたけれども、4割の方が2年以上継続で開示して就労されています。ただ、1割ぐらいの方が、後でわかったというふうなデータですね。伝えていないという方も多くおられるのですけれども、この中で本人は伝えていないけれども、企業は把握しているだろうという方も、結構おられるのではないか。2年未満の方は、下にあるような状況です。
 責任の重さ、2年以上継続して働いている方80名の方に聞いたところ、半分の方が、結構仕事の責任は重いと思っておられるのですね。でも、やりがいということで聞いてみると、80%の方が、それなりにやりがいがあると思っておられる。その会社で働き続けたいかは、83%の方が働き続けたいというふうに考えておられるわけで、責任が重いから駄目ではないんだ、やはりそれなりの手応えを持って働かないと、その仕事はなかなか続けられないんだろうということだと思います。
 最後に、仕事を続けるために必要なことを2年以上継続で働いている80名の方にお聞きしたのですが、まずいちばん初めに必要なこととして、過剰な負担のかからない仕事、その次が、仲間と認めてくれる同僚、次に、自分を認めてくれる上司、ストレスの発散や解消、仕事上の担当者、将来の夢や希望、はりあいのある仕事となっていまして、これは同じアンケートを取ると、我々でも同じような結果になるのではと思います。やはり、一般の方が働きやすい環境をいかに作るかというのが、精神障害者の方が長く働ける1つの大きな要因、ベースになるのではないかと思いました。以上です。
○今野座長
 それでは、何かご質問ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、時間ですので、この辺で終わりたいと思います。日程等について、事務局からお願いします。
○地域就労支援室長補佐
 次回につきましては、既にご連絡させていただいておりますが、1月24日(火)になります。資料1にありますとおり、残り5団体の発表を予定しています。それから、先ほどの調査票(案)については、今週中までに事務局の方までご連絡、ご意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○今野座長
 それでは、今日はこれで終わります。ありがとうございました。


(了)

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