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2011年11月25日 第1回次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会 議事録

健康局総務課生活習慣病対策室

○日時

平成23年11月25日(金)9:00〜12:00


○場所

航空会館 501+502会議室
東京都港区新橋1−18−1



○議題

(1)次期国民健康づくり運動プランの目的及び基本的な方向について
(2)次期国民健康づくり運動プランにおける目標設定の考え方について
(3)その他

○議事

≪出席者≫
委員
 池田 俊也(国際医療福祉大学大学院教授)
 岡村 智教(慶應義塾大学医学部教授)
 尾崎 哲則(日本大学歯学部教授)
 工藤 翔二(公益財団法人結核予防会複十字病院長)
 鈴木 隆雄(独立行政法人国立長寿医療研究センター研究所長)
 津金 昌一郎(独立行政法人国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究部長)
 辻  一郎(東北大学大学院医学系研究科教授)
 津下 一代(あいち健康の森健康科学総合センター長)
 十一 元三(国立大学法人京都大学大学院医学研究科教授)
 戸山 芳昭(慶應義塾大学医学部教授)
 中村 正和((財)大阪府保健医療財団大阪府立健康科学センター健康生活推進部長)
 西  信雄(独立行政法人国立健康・栄養研究所国際産学連携センター長)
 野田 光彦(独立行政法人国立国際医療研究センター糖尿病・代謝症候群診療部長)
 羽鳥 裕(社団法人神奈川県医師会理事・医療法人社団はとりクリニック理事長)
 樋口 進(独立行政法人国立病院機構久里浜アルコール症センター病院長)
 堀江 正知(産業医科大学産業生態科学研究所所長)
 三浦 宏子(国立保健医療科学院統括研究官(地域医療システム研究分野))
 宮地 元彦(独立行政法人国立健康・栄養研究所健康増進研究部長)
 村山 伸子(新潟医療福祉大学健康科学部健康栄養学科教授)
 山縣 然太朗(国立大学法人山梨大学大学院医学工学総合研究部社会医学講座教授)
 横山 徹爾(国立保健医療科学院生涯健康研究部長)
 吉水 由美子(伊藤忠ファッションシステム(株)ブランディング第1グループクリエーションビジネスユニットマネージャー)


厚生労働省
 (健康局)
  外山健康局長
  野田生活習慣病対策室長
  河野栄養・食育指導官
  三田生活習慣病対策室長補佐
  菊地生活習慣病対策室長補佐

○菊地室長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第1回「厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会」を開会いたします。
 委員の皆様には、御多忙の折、朝早くからお集まりいただき御礼を申し上げます。
 厚生労働省生活習慣病対策室の菊地でございます。よろしくお願いします。
 それでは、初めに外山健康局長よりごあいさつ申し上げます。
○健康局長 おはようございます。厚生労働省健康局長の外山でございます。
 平素より公衆衛生行政に多大なる御理解と御協力をいただき、誠にありがとうございます。
 本日はお忙しい中、第1回次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会に御参集いただき、誠にありがとうございました。この専門委員会は、平成12年度から取組みを進めてまいりました21世紀における国民健康づくり運動、健康日本21の次の運動プランを検討するため、先月14日に開催されました厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会の了承を得まして設置されたもので、平成25年度から向こう10年間の健康づくり対策の在り方など、皆様それぞれの専門分野からの御見識、御議論を賜りながら検討を進めていただき、地域保健健康増進栄養部会と連携しながら、来年の春ごろを目途として基本方針案をとりまとめいただく予定としているところでございます。
 平均寿命が世界一の水準にある我が国におきましては、これまで地域公衆衛生施策などが果たしてきた役割は非常に大きなものがある一方で、急速な高齢化や社会的格差などがもたらす国民の健康への影響など、今後取り組むべき健康課題や新たな問題など、さらなる課題があることも事実であります。
 そのような中で、日本の保健医療政策は『The Lancet』で特集が組まれるなど、国際的にも注目されており、平成25年度からスタートとなる次期国民健康づくり運動の構成等について御検討いただく本専門委員会の役割は非常に大きいと認識しております。先月とりまとめております健康日本21の評価結果等も参考にしていただきながら、今後の健康づくりプランにつきまして、幅広で、かつ長期的な視野に立った中で、皆様からの忌憚のない御意見、御議論をいただければと考えております。
 その中で、他計画との調和を図るものとして、がん対策推進基本計画や医療計画などがあり、生活習慣病におけるリスクファクターとして重要であるたばこなど、その目標の在り方について十分御議論いただければと思っております。
 この計画の見直しにつきまして、3つほど特徴があると思っておりますけれども、1つには、前の計画は平成12年3月と聞いておりますが、そのときには厚生省であって、今回は厚生労働省として初めて見直すわけでございまして、当然労働分野も視野に入れながらということが重要になってくると思っております。
 それから、今、政府では、社会保障と税の一体改革というものをやっておりまして、今後の大きな体系を作っているわけでありますけれども、そういったものの直接的な要素にはなっておりませんが、当然疾病構造が変化すれば、いろんな要件が変わってくるということでございまして、社会保障と税の一体改革の下支えになるのではないかと思っております。
 ちょっと長いことで恐縮ですけれども、もう一つ、我が方は健康づくりの運動等々も考えながら、今、健康局の組織改正を検討しておりまして、NCDといった潮流も見ながら、がん対策推進室、生活習慣病対策室、保健指導室、地域保健室、全部を束ねまして、がん・健康対策課という推進体制をつくる方向で検討しております。近々そういうことで最終的な決定が出ると思いますけれども、こういった御検討を踏まえながら、我が方としても推進体制をきっちり作りながらやっていきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
○菊地室長補佐 なお、外山健康局長は他の公務のため、途中退席となりますので、あらかじめ御了承願います。
 続きまして、当専門委員会の委員に御就任いただきました委員の御紹介をいたします。
 国際医療福祉大学大学院教授の池田俊也委員です。
 慶應義塾大学医学部教授の岡村智教委員です。
 公益財団法人結核予防会複十字病院長の工藤翔二委員です。
 日本大学歯学部医療人間科学教授の尾?哲則委員です。
 独立行政法人国立長寿医療研究センター研究所長の鈴木隆雄委員です。
 独立行政法人国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究部長の津金昌一郎委員です。
 あいち健康の森健康科学総合センター長の津下一代委員です。
 東北大学大学院医学系研究科教授の辻一郎委員です。
 国立大学法人京都大学大学院医学研究科教授の十一元三委員です。
 慶應義塾大学医学部教授の戸山芳昭委員です。
 財団法人大阪府保健医療財団大阪府立健康科学センター健康生活推進部長の中村正和委員です。
 独立行政法人国立健康・栄養研究所国際産学連携センター長の西信雄委員です。
 独立行政法人国立国際医療研究センター糖尿病・代謝症候群診療部長の野田光彦委員です。
 社団法人神奈川県医師会理事の羽鳥裕委員です。
 独立行政法人国立病院機構久里浜アルコール症センター院長の樋口進委員です。
 産業医科大学産業生態科学研究所所長の堀江正知委員です。
 国立保健医療科学院統括研究官の三浦宏子委員です。
 独立行政法人国立健康・栄養研究所健康増進研究部長の宮地元彦委員です。
 国立大学法人山梨大学大学院医学工学総合研究部社会医学講座教授の山縣然太郎委員です。
 国立保健医療科学院生涯健康研究部長の横山徹爾委員です。
 伊藤忠ファッションシステム株式会社ブランディング第1グループクリエーションビジネスユニットマネージャーの吉水由美子委員です。
 なお、本日は盛岡大学栄養科学部教授の熊坂義裕委員、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究部長の新開省二委員、新潟医療福祉大学健康科学部健康栄養学科教授の村山伸子委員、立教大学コミュニティ福祉学部教授の湯澤直美委員の4名におかれましては、欠席となってございます。
 続きまして、事務局の紹介をいたします。
 健康局長の外山でございます。
 生活習慣病対策室長の野田でございます。
 生活習慣病対策室栄養・食育指導官の河野でございます。
 生活習慣病対策室長補佐の三田でございます。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 議事次第、配席表をお配りしております。
 そのほかに配付資料としまして、資料1「次期国民健康づくり運動のプラン策定に向けた検討の進め方」。
 資料2「健康づくり対策の流れ」
 資料3「『健康日本21』最終評価 概要」
 資料4「次期国民健康づくり運動プランの見直しの方向性(案)」
 資料5「健康づくりに関連した日本の社会経済、人口構造等の状況」
 資料6「第1回次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会 論点メモ」
 資料7「第1回次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会 論点メモに対するご意見(例)」
 資料8「次期国民健康づくり運動プラン策定に関する意見聴取の進め方(案)」
 資料9「次期国民健康づくり運動に関する委員提出資料」
 参考資料としまして、参考資料1「厚生科学審議会関係規程等」
 参考資料2「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」
 参考資料3「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針について」
 以上が配付資料ですが、お手元に配られていないもの、あるいは落丁等がございましたら、事務局までお申し出いただければと思います。
 なお、資料5につきまして、お手元でごらんいただきたいのですが、1か所だけ訂正をさせていただきたい箇所がございます。細かいところで恐縮なのですが、12ページをお開きいただきますと、真ん中の段以下で、緑の枠で囲っております「OECD加盟国の中で、我が国の保険医療支出」のところですが「険」となっておりまして、これは「健」に御訂正いただければと思います。後ろの「総保険医療支出」の「険」も「健」に御訂正いただければと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、進め方に入る前に、まずこの専門委員会の根拠、設置に至る経緯などにつきまして、御説明いたしたいと思います。
 本委員会に関する規程等についてですが、参考資料1をごらんいただきたいと思います。
 厚生科学審議会は厚生労働省の審議会の1つとしまして、厚生労働省設置法の8条に基づいて設置されております。
 その下に地域保健健康増進栄養部会という部会が設置されております。ここでは地域保健の向上、国民の健康の増進、栄養の改善及び生活習慣病対策に関する重要事項を調査審議することとされております。
 3ページをごらんいただきたいのですが、厚生科学審議会令の第2条に委員、臨時委員及び専門委員についての規定がございます。皆様はこの規定に基づきまして、厚生労働大臣により専門委員または臨時委員に任命された方々という位置づけになってございます。
 部会の設置根拠ですが、4ページの厚生科学審議会令の第6条をごらんいただきたいのですが、こちらで審議会はその定めるところにより部会を置くことができるとなっております。
 また、今回お集まりいただきました専門委員会の設置根拠ですが、6ページの厚生科学審議会運営規程になります。第8条にて、部会長は必要があると認めるときは、部会に諮って委員会を設置することができるとなってございます。
 なお、地域保健健康増進栄養部会の委員は8ページにございますとおりでして、部会長につきましては、東京大学大学院の永井良三教授に務めていただいておりますほか、本専門委員会の委員でございます辻委員、樋口委員、三浦委員にもこの部会の委員となっていただいております。
 戻っていただいて、7ページをごらんいただきたいと思います。こちらが部会の運営細則なんですけれども、部会に置く委員会の設置等に関する事項が規定されております。
 第2条におきまして、委員会は厚生科学審議会の委員、臨時委員又は専門委員の中から部会長が指名する者により構成するとなってございます。
 先月14日に開催されました第30回の地域保健健康増進栄養部会では、この運営細則も含め、現在の国民健康づくり運動、健康日本21に続く次期のプランの検討の進め方につきまして、今日お配りしております資料1の内容で御了承いただいているところでございます。
 資料1をごらんいただければと思います。
 具体的なプランの検討につきましては、地域保健健康増進栄養部会で行うほか、部会の下に専門委員会を設置し、部会と連携しながら進めていくということ。
 また、スケジュールにつきましては、後ろの方にお付けしておりますが、来年春ごろにプラン案をとりまとめる。これを目指しまして、本専門委員会につきましては、計5回程度開催する予定としてございます。
 更には後ほど御説明がありますが、資料6の論点メモにある4つの論点についても、部会において、専門委員会における検討の論点、方向性ということで了承して示されたところでございます。
 こうした前提を踏まえていただきながら、専門委員会における検討を進めていただければと考えてございます。
 なお、先月14日の部会では、専門委員会の設置のみを了承していただいておりまして、その後、先ほどの規定でもお示ししましたが、部会長が厚生科学審議会の臨時委員または専門委員の中から、計25名の皆様を指名いたしまして、本日、第1回の専門委員会の開催となってございます。
 また、本日の議事につきましても、資料6の論点メモを踏まえまして、議事次第にございます2点を議題として用意してございます。
 以上、大まかではありますが、本専門委員会の設置の根拠、経緯等につきまして、御説明いたしました。
○健康局長 資料1で、部会からこういう方向でという形で規程に基づいて書いてあります。参考資料1の7ページの運営細則の第9条の雑則に書いてあるけれども、部会または委員会の運営に必要な事項は、部会長または委員長が定めると書いてあるので、部会から言われたことだけではなくて、委員会の運営の要綱のようなものをちゃんと定めなければいけないわけです。
○菊地室長補佐 後ほど説明いたします。
○健康局長 それを踏まえた上での説明をしなければまずいのではないか。
○菊地室長補佐 わかりました。失礼致しました。
 局長から今ご説明のありましたとおり、本専門委員会については、設置要綱がございまして、資料1の2ページですが、これは設置の了承をしていただいた後、委員長において決定をいただいております。
 委員長でございますけれども、厚生科学審議会の地域保健健康増進栄養部会の運営細則の第3条に基づいて、委員長は委員の中から部会長が指名することになってございます。先般、永井部会長より部会の臨時委員でもございます辻委員を専門委員会の委員長にとの指名を受けておりますので、委員長は辻委員にお願い致します。
 辻委員におかれましては、委員長席に移動していただき、以降の議事についてお願いいたしたいと思います。
(辻委員、委員長席へ移動)
○菊地室長補佐 なお、辻委員長におかれましては、委員長決定事項ということで、先ほどお示ししました設置要綱で、具体的な運営の内容につきましても、あらかじめ定めていただいておりますので、御報告申し上げたいと思います。
 よろしくお願いします。
○辻委員長 ただいま委員長という大役を仰せつかりましたけれども、委員の皆様の御協力を得まして、円滑な運営に努めてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事を進めてまいりたいと思います。厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会運営規則第4条第4項に、委員長に事故があるときは、委員会委員のうちからあらかじめ委員長が指名した者がその職務を行うと規定されてあります。
 委員長代理につきましては、津下委員を指名させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○辻委員長 ありがとうございます。
 津下先生、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入りたいと思います。議題1は「1.次期国民健康づくり運動プランの目的及び基本的な方向について」であります。
 まず事務局から御説明をお願いします。
○生活習慣病対策室長 それでは、御議論いただく前提といたしまして、これまでの我が国における国民健康づくり運動の流れと健康日本21の最終評価の結果について御説明いたします。資料は資料2と資料3でございます。
 資料2でございますけれども、これまでの健康づくり対策の流れでございます。
 国の国民健康づくり対策につきましては、健康日本21以前にも1980年から10年間、第1次国民健康づくり対策、1990年からも第2次国民健康づくり対策が行われております。
 第1次につきましては、健康診査の充実、市町村保健センター等の整備。
 第2次国民健康づくり対策につきましては、アクティブ80ヘルスプランということで、運動習慣の普及に重点を置いた対策がとられております。運動指針の策定等が行われたところでございます。
 健康日本21につきましては、資料にございますように、一次予防を重視、健康づくり支援のための環境整備、具体的な目標等を設定して評価を行うといったこと、多様な実施主体による運動の推進でございます。
 図表の右に書いておりますけれども、平成15年において健康増進法が施行されております。また、平成20年においては特定健診・特定保健指導が開始されているところでございます。併せまして、すこやか生活習慣国民運動が開始されております。その前提となっておりますのが、平成18年の医療制度改革関連法の成立でございまして、それまでの健康づくり対策は10年間を期間として進められてまいりましたが、健康日本21につきましては、医療制度改革が行われた関係で2年延長しまして、平成12年から平成24年度ということで、現在、進められているところでございます。
 次に資料3でございますが、健康日本21最終評価についてでございます。
 既に委員の皆様方には最終評価チームの報告書を事前に御発送申し上げて、お目通しいただいているかと存じますけれども、最終評価として、平成22年度から行われまして、?に書いておりますが、健康局に置かれました健康日本21評価作業チーム、辻座長によりまして、6回開催された後、評価書としてまとめられたものでございます。局長のごあいさつでも申し上げましたとおり、10月14日に報告をされておりまして、本日、御議論いただく内容につきましては、これに基づいて論点メモ等も作成されているところでございます。
 結果の概要につきましては、?にまとめております。具体的な目標、指標値が9分野で80項目ございますが、そのうち重複がございまして、資料の3ページ、4ページに項目が付いておりますけれども、再掲を除きますと59項目ございまして、これをA、B、C、D、Eで評価しているところでございます。
 区分にありますとおり、目標値に達したものが10項目、改善傾向にあるものが25項目とある一方、悪化しているものが9項目ということで、主なものは下にございますように、Aですとメタボリックシンドロームの認知などであります。変わらないものとして、例えばCで自殺者の減少ですとか、多量の飲酒する人の減少ですとか、そういったものは変わっていない。逆に悪化したものとして、Dの歩数の増加、糖尿病合併症の減少等がございます。
 2の個別分野の評価につきましては、省略させていただきます。
 2ページにいっていただきますと、併せて都道府県、市町村の状況も評価しております。健康増進計画の策定状況としましては、都道府県100%、市町村76%ということでございました。
 また、3ポツ目につきましては、分野ごとでございますけれども、9分野のうち充実したと回答した割合が高かったのはがんとかたばこでありまして、悪かったのがアルコール、循環器病といったことでございます。
 次のポツですが、市町村で充実したと回答した割合が多かったのは、がん検診の受診者の増加ですとか、特定健診・特定保健指導の受診者数の向上が挙げられておりました。
 最後に「? おわりに(次期国民健康づくり運動に向けて)」ということで、まさに専門委員会の先生方にこれから御議論いただく視点でございます。ここに書いてあるようなことを踏まえて、本日の論点メモ等がつくられているということでございます。
 2点ございまして、次期運動方針の検討の視点ということで、日本の特徴を踏まえ10年後を見据えた計画の策定等でございまして、5つ掲げられております。
 2の次期運動の方向性として、社会経済の変化への対応、科学技術の進歩を踏まえた効果的なアプローチ、?として今後の新たな課題といったことで、新たな分野についてもここで提言がされているところでございます。
 以上でございます。
○栄養・食育指導官 続きまして、次期プランの見直しの方向性について、現行の基本方針の骨格、その見直しの視点など、本日の論点と併せ御説明申し上げます。
 それでは、資料4をごらんいただけますでしょうか。
 「次期国民健康づくり運動プランの見直しの方向性(案)」としましては、左側にお示ししました「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針(平成15年4月30日 厚生労働省告示第195号)」を見直していただくことになります。
 構成につきましては、方針の趣旨・目的が書かれた前文、第一から2ページの第七の柱立てとなっております。本日は前文から第二まで御議論いただくことになります。
 「次期国民健康づくり運動プラン(基本的な方針案) ※見直しの視点等」につきましては、右側の枠に整理をしております。
 目指す姿につきましては、10年後を見据えどう考えるか。目的につきましては、壮年期死亡の減少、健康寿命の延伸、生活の質の向上といった現行3項目でよいか。また、追加すべきものがないか。更に方針の対象期間は、評価時期などを盛り込んではどうか。
 「第一 国民の健康の増進の推進の基本的な方向」については「一 一次予防の重視」「二 健康増進の支援のための環境整備」「三 目標の設定と評価」「四 多様な関係者による連携のとれた効果的な健康増進の取組の推進」の4点がございますが、盛り込むべき事項についてどう見直すか。項目の追加や順番の変更などを行うかどうかになります。
 2ページに移らせていただきまして「第二 国民の健康の増進の目標に関する事項」につきましては、現行の基本方針は主要指標を盛り込んでおりませんが、主要な指標について数値目標として盛り込んではどうか。あるいは国、地方公共団体、地域等の役割などについて変更・充実すべき点があるかというところが見直しの視点となります。
 また、第三以降は次回以降の論議となりますが、現行を基本としつつ、変更・充実すべき点があるかということになります。
 3ページには、参考としまして「次期プラン策定の枠組(案)」と「次期プランの目標設定の考え方(例)」をお示ししております。
 目指す姿につきましては、10年後を見据えた姿であり、左側になりますが、その姿は個人の行動変容、すなわち生活習慣の改善を図り、予防・低減可能な生活習慣病や社会生活機能低下について、可能な限り予防・低減を図ることによって、生活の質の向上を目指すとともに、右側になりますが、良好な社会環境の実現、社会環境の改善を通して、あらゆる世代の健やかな心身と暮らしを支え合える社会環境をつくることを通して、社会環境の質の向上を目指す、この両者の姿を目指すものとなります。
 目標設定の考え方につきましては、下の図になりますが、健康寿命の延伸、生活の質の向上といった上位概念に基づいた目標の整理、あるいは生活習慣の改善、リスクファクターの低減を図ることで、どのぐらい疾病の低減、社会生活機能低下の軽減を図ることができるか。
 また、社会環境の改善により、健康のための資源へのアクセスの改善や公平性の確保を図ることができるか。更に他計画との調和も視野に入れてのものとなります。
 ○健康局長 済みません。分かりにくいのでちょっとフォローしますけれども、前の健康づくりが平成12年からできておりまして、それは資料2で平成12年からと書いてあるんですけれども、そのときにいわゆる健康日本21というのは、事務次官通知で出しておりました。その後、追いかけるように健康増進法ができたものですから、資料4を見ていただきますと、今、指導官が説明したのは、基本方針として平成15年4月30日厚生労働省告示と書いてございます。
 前の事務次官通知はどうなったかということですけれども、これは参考資料3を見ていただきたいと思います。事務次官というのは、健康局長より上の全体を、束ねる立場なわけですけれども、その通知が健康局長通知に落ちておりまして、参考資料3が平成12年につくられた事務次官通知、いわゆる健康日本21が健康局長通知になっております。
 健康増進法ができたときに、健康日本21というものを国がただやるのではなくて、都道府県にもきちっとつくってもらうことを法律で定めなければいけないということで、健康増進法の中で大臣告示、基本的な方針を定めるという項ができたものですから、いわゆる事務次官通知の中で、今は健康局長通知になっておりますけれども、重要な骨格となる部分を、参考資料2にありますように基本的な方針として定めたわけです。定めたというか、要約というか、エキスを取ったわけです。それが告示となっております。
 次の見直しをどういう構図の中で位置づけるのかということですけれども、国民運動と言いながら、健康局長通知レベルだと、政府と一体となっているのかとか、農林やいろんなところとの関係の問題もありますので、できる限り上位の計画にした方がいいのではないかということを考えております。そのためにわざわざ法改正をするのは間に合わないということなので、できれば法律に定めてある大臣告示たる資料4の左に書いてありますもの、あるいは参考資料2はそのものずばりなんですけれども、告示そのものを広げるような形で大臣告示として出すもの、そのものをできる限り中に盛り込んで、健康日本21といいますか、新しい次期プランそのものを、告示をふくらませたものをそう呼んだらどうかと考えております。したがって、でき上がりとしては、まだ確定しておりませんけれども、健康局長通知という形ではなくて、できる限り都道府県が見る基本的な方針とイコールで次期健康づくりプランを定めて、それを大臣として告示するという形にもっていきたいということでございます。
 健康日本21の前後関係で検討するのであれば、本当は参考資料3を見なければいけないんですけれども、今、皆さんに検討していただくのは、資料4で示した左側の告示です。今までの告示の性格だけではなくて、もう少し広げて、厚いものにしてもらいたいという趣旨で、今、説明したところでございます。
 以上であります。
○栄養・食育指導官 資料5は告示の前文のところの目指す姿になりますが、10年後をどう見据えるかという点につきましては、健康づくりをめぐる日本の社会経済、人口構造等の状況につきまして、今年の厚生労働白書の基本データを中心にお示ししてあります。
 1ページをお開きいただけますでしょうか。「経済・働き方」につきましては、経済成長率は、高度経済成長期をピークに減少となり、停滞の状態にあります。
 非正規雇用につきましては、女性の半数以上、近年は男性でもその割合が増加しております。
 2ページのデータになりますが、完全失業率は1%前後で1970年代まで推移しておりましたが、近年急激に上昇し、若年者の完全失業率も依然として厳しい状況にあります。
 3ページですが、フリーターなど不安定な形態の就労に従事している若年者も多く見られております。
 4ページに移りまして「家族・家庭」の変化についてです。老人世帯が増加し、今後もその増加が予測されておりまして、そのうち高齢者の単身世帯も増加が予測されております。
 5ページにございますように、生涯未婚率が男女とも上昇傾向にある。また、離婚件数が増加傾向にあるといったように、家族の形態も変化が見られます。
 6ページ、7ページは「教育・養育」についてです。
 6ページの上のグラフになりますが、進学率は向上しており、現在では2人に1人が大学に進学する時代となりましたが、小中学校における不登校児童生徒数が約11万5,000人という状況も見られております。
 7ページに移りまして、児童虐待相談対応件数は増加の一途をたどり、平成22年度には5万件を超えております。また、虐待による死亡が生じ得るリスク要因についても、下にお示ししておりますが、さまざまな側面からの指摘がなされております。
 8ページは「人口構造の変化」になります。総人口が減少傾向となり、高齢者の人口の増加が著しいこと、また出生者数は低下しておりますので、少子高齢化が一層進行していくことになります。
 9ページ「寿命の変化」につきましては、平均寿命、健康寿命とも延伸し、世界的にもトップクラスという状況でございます。
 10ページ、11ページは「疾病構造等の変化」についてです。
 10ページについては、高齢者の受療率が上昇しているということ、疾病構造につきましては、死因で見た死亡率の推移をお示ししておりますとおり、がん等の生活習慣病が増加している状況にございます。
 11ページになりますが、介護という観点からは要介護認定者数が増加しておりまして、サービス受給者数はこの10年で約254万人の増加、特に居宅サービスの伸びが大きい状況が見られております。
 12ページ以降は「社会・くらし」ということで、老人医療費が急増していること、13ページにおきましては、先ほど経済格差という話がありましたが、平成21年の相対的貧困率は16.6%ということで、貧困という課題も見られておりまして、生活保護受給者数は今年7月時点で過去最高の205万人となっております。
 14ページにお示ししましたとおり、自殺は年間3万人程度の高い水準で推移し、過労死の問題も含めまして、深刻な課題が依然として続いている状況が見られます。
 15ページには、こうした状況の中、国民の約7割が悩みや不安を感じているという状況、またその内容が老後の生活設計、自分の健康といった悩みが多いという状況がみられます。
 最後に「世界の中の日本」ということで、16ページ、17ページに3点ほどデータをお付けしております。
 世界でも平均寿命がトップクラスの状態にあるとともに、OECD加盟国における成人の肥満の増加は、他国に比べ著しく抑えられているという状況も見られます。
 17ページでございますが、OECD加盟国におけるGDP中の保健医療費の支出を見ますと、OECD全体の平均値をやや下回る状況を維持している状況にございます。
 こうした状況を踏まえまして、資料6になりますが、今回の委員会の論点メモを提示させていただいております。これは先ほど御案内にありましたとおり、先月の部会で提案されたものでございます。
 「(1)10年後を見据えた目指す姿について」は、今、御説明申し上げたような社会経済変化とともに、急激な少子高齢化が進む中で、10年後の人口動態を見据え、どういう姿を目指すか。
 更に「(2)目的について」「(3)基本的な方向について」「(4)目標について」御議論をいただくことになります。
 なお、資料7につきましては、事前に先生方から論点メモに対する多数の御意見をいただきましたものの御紹介をさせていただいております。
 資料7の1ページになりますが「(1)10年後を見据えた目指す姿について」は、個人と社会の両面の目指す姿を設定する。あるいは3つ目の○にありますように、個人への働きかけに加えて、すべての人々の健康に役立つ健康政策や社会環境の在り方を見直し、健康を支え合える社会の実現を目指すのがよい。地域互助、相互扶助といったような助け合いに関する御意見をいただいております。また、高齢化社会における健康寿命延伸をいかに構築するかといった御意見を始め、高齢期をどう見据えるかということについての御意見も多くいただいております。
 2ページに移りまして「(2)目的について」は、日本らしい社会的健康の在り方について、地域社会の質の向上、健康格差の縮小などについての御意見をいただいております。
 3ページ「(3)基本的な方向について」は、だれもが主体になれる健康な社会づくりなど社会づくりに関する御意見と、下から2つ目の○からになりますが、一次予防の重視に加えて、重症化予防を加えることについての御意見をいただいております。
 5ページに移りまして「(4)目標について」は、主要な指標(数値目標)を基本方針に盛り込むことについて、賛成とする意見が多く、ただ、数値目標については必要最小限が望ましいという御意見、更に下から2つ目の○になりますが、十分に根拠を集めてから示した方がよいというエビデンスに基づいた設定についても御意見をいただいております。
 6ページに移らせていただきまして、生きがいの向上でありますとか、主観的健康度に関する目標の重要性についての御意見をいただいている一方、3つ目の○にありますとおり、主観的健康度等の指標については、客観性が担保できない指標という観点から、慎重に考えるべきではないかといった御意見もいただいております。
 以上でございます。
○辻委員長 ありがとうございました。
 それでは、これから資料6の論点に沿いまして、委員の皆様から御意見をいただきながら、議論していきたいと思います。話題が行ったり来たりするのもあれですので、論点に沿って御意見をいただきたいと思います。全体で11時ぐらいまでを考えておりまして、その中で分けていくんですけれども、本日お集まりの先生方は20名いらっしゃいますので、ポイントを絞って簡潔にお願いしたいと思います。フリートーキングをしていただいて、全体を見据えて私の方でまとめさせていただくことにしますので、よろしくお願いします。
 「(1)10年後を見据えた目指す姿について」は、資料7でもたくさん御意見をいただいていますけれども、そういったことも含めまして、どなたからでも結構ですので、御意見をいただければと思います。どなたかいかがでしょうか。
 まず委員長代理ということで、津下先生からお願いしましょうか。
○津下委員 よろしくお願いします。
 最終評価に関わらせていただきましたが、健康日本21では10年間という長期スパンをもって、健康課題の変化や対策を考えました。これから何があるかわからないんですけれども、10年間という長期を見据えて計画を考えていくスパンと、具体的な事業については個々の短期的なモニタリングをするという2つの視点が要るだろうと思っています。
 人口動態につきましては、現在、団塊の世代と言われる方々が60歳を超えて65歳を迎える段階になってきましたけれども、10年後には介護を要する可能性のある75歳以上に入っていくということで、社会の激変期にあります。少子化も今は団塊ジュニア世代の子どもが生まれているところで、比較的保たれていますけれども、減った子どもの更に出生率が減る時代ということで、より減るという予測も立つのではないかと思います。そういう中で、人口動態の変化を見据えて計画を立てることについては、非常に大事な視点だと思います。
 以前の計画は個人の生活習慣に着目しておりましたけれども、さまざまな研究によりますと、個人の健康は社会環境によりかなり大きな影響を受ける。それから、家族の影響を受けるということ、ストレスや労働環境等々の影響も受けるということを十分に考慮しながら計画を立てていくことが必要だということで、この論点については、御意見にあるような考え方を持っております。
 以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。
 ほかにどなたかございますか。鈴木先生、お願いします。
○鈴木委員 今、津下先生もおっしゃられたんですけれども、10年後の姿というか、私はこれから10年更に次の10年を見据えた、今度の10年というのは、そういう意味では土台づくりだと思います。何の土台づくりかと申しますと、やはり著しく進む高齢社会というのは確実に論点に入れておかなければいけない。いろんな数値があって、健康という視点は多々御議論いただいたと思いますし、いろいろな目標とすべき健康指標というのは大変結構だと思います。
 しかし、これに適しないことかもしれませんけれども、死亡者の数というのが、現行は110万くらいですけれども、2030年には170万ぐらいまで増えるんです。団塊の世代が高齢化していきますので、高齢者数全体は変わらないけれども、少子高齢化ですから割合は増える。割合が増える中で一番問題なのは、高齢者が高齢化する時代に入ってきているということです。今は前期高齢者が後期高齢者の約1.5倍ぐらいいますけれども、この数字が逆転するということなんです。しかも、子どもの数が少なくなりますと、死亡者数の著しい増加だけでなく、疾病構造ですとか、社会構造というものが大きく変わってしまう。特にそのピークが2030年から2040年ぐらいにくるとなるということで、この10年というのは、その社会に向けて、健康という視点で一体どういうインフラを整備するのか。その視点は外せないのではないかと考えております。
 以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
 戸山先生、どうぞ。
○戸山委員 私も同じようなことをずっと考えておるんですけれども、我が国の高齢者は今、65歳以上が23%,2,980万ということで、これがもっと増えるということです。そして、その中で労働人口が下がってくると、多分労働というものの年齢が上がってくる可能性がある。そうすると、ただ単に健康というものではなくて、いわゆる労働も見据えたところの躍動型超高齢社会というか、そういうものの構築を目指すべきではないかと思うし、必ず必要になってくることではないかと思います。
 もう一つは、今、ものすごく医学、医療が進歩していますので、疾患動態が変わり得る可能性がある。だから、現状を踏まえた上で、なかなか難しいかもしれませんけれども、10年後の人口動態、特に疾患動態、動ける高齢社会をつくり出すことがすごく大事だと思います。
 もう一つ思うのは、今回のデータでもありますように、今、高齢者のひとり暮らしが非常に多い。65歳以上が450万世帯とか500万世帯ぐらいあって、それがもっと増えてくることになると、これもやはり大きな問題になってくるのではないか。ですから、その辺を踏まえて、高齢者のところで何か施策をするよりも、本当はもう少し手前の段階からそうならないような施策というものが何かあれば、それを盛り込むことも必要ではないかと思います。
 以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。
 ほかにどなたかございますか。羽鳥先生、お願いします。
○羽鳥委員 初めての参加なので、不適切な発言かもしれませんけれども、開業医を代表してということで、少しお話させていただきます。
 これから今まで日本を支えてきた団塊の世代が高齢者になって、10年後に後期高齢者、20年後には、多くの方が亡くなる時代に突入する世代です。いわゆる死んでいく世代になってくるわけですけれども、そういうときに、これからそれらの方を看取る病院、施設はつくれないとなると、在宅などを含めて、看取りを医療者側も患者家族も身近なものとなれていかないといけないと思います。健康づくりは勿論だけれども、医療の現場や社会のなかでどのように在宅の人たちを見ていくかということも一つテーマになっていると思います。ですから、私自身は予防医学として高血圧、糖尿病などをとりあげることはとても大事だと思っていますけれども、もう一つの観点として、地域のコミュニティの問題をこの委員会の中で是非取り上げてほしいと思います。
 先ほど外山局長から、今までは局長通知であったけれども、これをもっと高いレベルに上げようという話があったので、いわゆる健康作りを幅広くとらえ、産業、学校教育の現場へここから発信できるように、提言していただけたらと思います。
 以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。
 ほかにはどなたかございますか。三浦先生、どうぞ。
○三浦委員 私も著しく進む高齢化、超高齢社会における新しい健康観を考えた上でのプランづくりというのは、今回非常に求められているところではないかと考えております。先ほど御発言があったように、高齢者の手前から何か対策を入れる、ライフステージを通しての体系的なアプローチというのは大変重要ではないかと考えております。
 あと、地域づくりという御視点が出ましたけれども、まさしく今後の健康づくりを考えていく上で、地域づくりというものは外せない観点ではないかと思います。ソーシャル・キャピタル等の活用は非常に有効な手法かと思いますけれども、まだどの地域でも有効なソーシャル・キャピタルの活用ができているわけではないので、それが更に促進されるようなプランづくりが求められているのではないかと考えます。
 以上でございます。
○辻委員長 ありがとうございます。
 ほかにどなたかございますか。堀江先生、お願いします。
○堀江委員 産業医大の堀江です。
 産業保健という観点を今回からこのプランの中にも入れていただけるということでした。また、併せて先ほど戸山委員から高齢者を支えるための1つ下の世代の健康が重要だというお話がありました。今、職場で起こっていることの1つとして、若い世代で働いている人については、働いている時間が非常に長くて、とても生活の場面に余力を持てないということがあります。これについては、内閣府が仕事と生活の調和推進(ワーク・ライフ・バランス)という言葉で、働きながら、また家庭生活においても役割を担いながら働けるような、バランスのとれた働き方というのを推奨していますけれども、こういったものがもっと普及していかなければ、10年後、家庭において高齢者を支えながら働くという姿は出てこないのではないかと思います。ワーク・ライフ・バランスが働く世代には重要だと思います。
 一方で、もう一つ言われていることは、年金問題等もあって、60歳定年というのがこれまで多くの企業の最低条件だったのが65歳に移動し、更にその先も見据えたような議論が起こっております。そうなると、恐らく高齢者が職場で働かなければ、この国の経済は維持できないのではないかと考えられます。そこで、高齢者にとって働きやすい職場づくりというのも当然必要になってくるのではないかと思います。職場においていろいろな有害要因がありますけれども、それによる健康影響を防ぐのが産業保健の分野です。端的に言えば労働災害の防止ということではありますが、職業病の周辺領域には、人間の健康にいろいろと影響を与えかねない作業関連疾患と言われるものがたくさんあります。先ほどちょっと話題になりました過労死とか自殺も、そういったものの1つではありますけれども、働いている人にとっての有害要因対策というものは、これまで高齢者を想定して考えてこなかったので、高齢者にとっても有害にならないような職場づくり、さらには、高齢者に作業関連疾患が起こらないような職場づくりが必要になってくると思います。
 以上です。
○辻委員長 今、活発な御意見をいただいているのですが、高齢社会のところにかなり話が集中しています。高齢化はすごく重要な話なのですが、ただ、これからの10年後を見ていくときに、もう一つは子どもたちとか若者の数が減ってきて、しかも、先ほどの資料にもありましたけれども、引きこもり、ニートが増えてきている。あるいは失業率が高いとか、そういった問題を抱えてきているわけです。ですから、山縣先生あるいは十一先生から若者のことを少しお話いただければと思うんですけれども、いかがでしょうか。
 十一先生からお願いします。
○十一委員 御指摘の問題は大変重要だと思っています。要するに子どもさんの体の健康もそうですが、心の健康というのが非常に大事になっていまして、不登校も高止まりという状況になっています。ところが、きちっと支援すれば、健康に再登校されて社会を担っていくお子さんたちばかりです。そういうことですので、将来支援を受ける側になるか、支援をする立場に回るかによって全然違ってまいりますので、少子高齢社会だからこそ子どもさんに対するサポートが非常に大事だと思っています。
 アメリカのHNO、保険会社が2万人ぐらいを対象に1回大規模スタディをやったんです。そうしますと、幼児期の虐待などを含めた逆境的な環境が、結局はうつだけではなく、喫煙だとか離婚だとかありとあらゆるものに関係していたという有名なデータがございますので、早期の段階でそこをきちっと押さえておくというのは、大人のメンタルヘルスにとっても非常に大事だと思います。
○山縣委員 子どもの問題は大きいと思うのですが、例えば高校3年生の男子の喫煙率は、10年前に比べて、健やか親子21の指標では半減以下、36%だったのが12%ぐらいに下がっているとか、いいところもたくさんあるわけです。
 一方で、今の自殺は増えていて、これは男の子だけではなくて、むしろ女子が増えているて、メンタルの問題があるのですが、今、子どもたちを見ていると、先ほど社会の問題がありましたが、希望の持てる社会というか、そういうことをどれぐらい子どもたちが思いながら、今、生活をしているのかということに関しては非常に問題があるのではないか。希望のある社会に向かって進んでいくためには、健康が大切だと思うのですが、そういう希望がなければ、健康とは何のためにあるのか。介護のときによく言われる自己実現のような、自分が目指すものをやっていくときに、やはり健康が基盤になるという考え方みたいなものを子どもたちがどう持てるかということが大切だろうと思います。
○辻委員長 ありがとうございます。
 樋口先生、お願いします。
○樋口委員 私は専門ではないんですけれども、子どもの問題はとても大事な問題だと思います。昔に比べて、子どもたちの仲間をつくる力というのが小さくなってきていて、一人ひとりがばらばらな感じが非常に大きくなってきています。それと同時に、引きこもりというのがありますけれども、英語でも引きこもりで通じるぐらい、日本のある意味では独特の文化です。恐らく日本と韓国が有名だと思います。
 今、私はネット依存の子どもたちを見ているのですけれども、引きこもりとネットの依存が対になっている。1つは子どもたちの仲間をつくる力が小さくなってきたのと同時に、やはり心の健康度が落ちているのではないか。その現れが引きこもりだったり、ネットの依存だったりということがあるかもれません。そういう意味で、特に子どもたちの心の健康に焦点を当てていくことはとても大事なことだと感じています。
○辻委員長 子どもだけではなくて大人も、先ほどどなたかから疾患動態の変化を見据えてという話がありましたけれども、健康日本21を最初につくったときに想像していなかった現象というのは、この10年でうつとかメンタルヘルス問題が急増したということです。その辺を含めて、先生、大人のことについても、心の健康で何か御意見ございますか。○樋口委員 大人の場合も心の健康がすごく大事です。今、辻委員長が御指摘になったとおり、うつが非常に増えてきていて、それが自殺の大きな要因になっていることがあると思います。また、昔は1つのうつ病というタイプだったのですけれども、今はいろんなタイプのうつが出てきまして、今、御指摘のあったとおり、この10年間の間、うつに限って申し上げても、疾病構造が大分変ってきているということがございます。心の健康ということに関してはとても重要なテーマでありますので、子どもも大人も取り上げていただきたいと思います。
○辻委員長 ほかにどなたかございますか。津下先生、どうぞ。
○津下委員 このプランの中では、この現状・将来予測の中で、どういう前向きなメッセージを出していけるのかというか、山縣委員がおっしゃられた希望の持てる社会、自信の持てる社会というのが大事だと思います。
 糖尿病の患者さんの例なのですが、自己血糖測定をおこない、インスリンを打つという治療が始まって、自分の健康は自分でコントロールできると自信のついた患者さんというのは、非常にうまく自分の問題を解決していく力を持つということを体験しています。また、今回のメタボでもそうですけれども、自分の体のことをわかって対処できること、心の健康状態をわかって予防できること、前向きに考えられる社会、お互いの健康を大切にできる社会づくりというのを、この健康づくりの運動の中に入れていただきたいと思います。
 希望や自信をつけられる、自己効力感とかセルフエフィカシーとかを高められる、そしてお互いに尊重できる社会という前向きなメッセージを埋め込めたらいいのではないかと、思っています。
○辻委員長 ありがとうございます。
 吉水委員、どうぞ。
○吉水委員 初参加なのですが、マーケティングと消費者の観点から発言させていただきたいと思います。
 今、高齢者も子どももというお話が出ましたけれども、私はそのお話も伺いつつ、世代間の相互扶助みたいなことを申し上げたいと思います。高齢者というと、どうしても病気とか介護というお話が出ますけれども、逆に今の団塊の世代の方などを見ていますと、働く意欲も非常にあり、若さ、健康に対する志向性もあり、気力、体力ともに充実していらっしゃる方も多数います。
 それと、ニュー・ビックファミリーというネーミングで呼んでいるのですが、標準世帯とその両親、祖父母が電車でも1時間以内のところに近居して、お互いに助け合うというライフスタイルが、既に消費者から湧き上っている感じがするんです。先ほど先生もおっしゃったように、結局、真ん中の標準世帯の親世代というのは30代、40代であって、ワーク・ライフ・バランスがうまくいかなくて、忙しい世代です。最近、「育じい」といった言葉もはやっていますけれども、育児におじい様が手をかす、送り迎えに行って上げるみたいなことも出てきています。勿論疾病予防とかセーフティネットづくりという別の問題はありますけれども、ポジティブな意味での世代間相互の扶助体制の未来像というのも提案できるといいと考えます。
○辻委員長 工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 先ほどの資料5のグラフを拝見すると、どこから展望を見出すのかというような、非常に大変な状況になっている。まさに超高齢化、多死亡、人口減少時代そのものでありますけれども、私は今回の東日本大震災で、被災地で起こっている現象は非常に重要な教訓を与えているのではないかと思います。あそこは、今、お話にあった世代の相互扶助あるいは隣近所の助け合いとか、あそこで育った、あれを切り抜けた子どもたちは果たしてニートになるのだろうか、恐らくはあの縮図は、今後の日本の地域社会の形成にとって極めて重要な教訓を与えたのではないかと思っております。
 確かに高齢化社会が進行するわけですので、今、いろいろとお話があったように、高齢者が生きがいを持って生きていける社会、これは働ける人は働いたほうがいい。働かされるのではなくて、働いているということ自身に意味がある。自分の存在そのものが認められるということ。そういう意味では、若者のニートは精神的に非常につらいところにあると思います。
 「今年60のおじいさん」という村の船頭さんの歌は、昭和17年の歌であります。今、60歳でおじいさんということはあり得ないわけであります。いきいきしたお年寄りが生きがいを持てる状況をどうつくっていくか。これがこれからの地域社会の形成の中心になっていくのではないか。
 今、民間でも宅食だとかいろんなことが始まっています。こういう民間の力も含めて地域で助け合っていくものができてくると、その環境の中で育っていく子どもたちもやはり変わってくるだろう。
 それから、お隣の家がどんな人かもわからないという状況もぶち破っていかなければならない。地域社会の再形成は、高齢者というところに軸を置いて展開させると、それが若者につながっていくのではないか、そんなことを思っております。
 もう一つは、この10年間ずっとやってきた生活習慣病は、要するに健康な高齢者になっていこうということにもなるわけで、私が関係しているCOPDなどもターゲットは若年者と壮年であるし、これは特に職場環境との関係で極めて重要だと思っております。地域社会と職場環境の両軸で進めることで達成していくことではないかと思っております。
 ちょっと長くなりましたが、以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
 「(1)10年後を見据えた目指す姿について」は大体これぐらいにして、まとめさせていただきます。
 10年後の姿としては、少子高齢化がこれまで以上に進んでくるところがありまして、そこにどう対応するかということで、1つは高齢者がこれまで以上に健康であるように、高齢者になる手前の青壮年のころから、ライフステージに合った形での健康づくりが必要です。高齢者にあっては、更に健康増進、介護予防ということも考えなければいけないということがあります。
 高齢者の健康にとっては、単に健康づくりだけではなくて、高齢者が仕事をする、就労する、あるいは社会参加することも非常に重要になってきますので、そういった意味で働きやすいような環境をつくっていくということです。
 世代間の相互扶助という言葉がありましたけれども、若者がワーク・ライフ・バランスを保てるように、あるいは育児等の足らないところを助けてあげられるような形で、高齢者と若い世代とが相互に扶助し合えるような形でも、更に高齢者の社会参加、生きがいということにもなるので、そういったことを進めていくような社会であってほしいということです。
 少子高齢化の少子の方でいきますと、若者も非常に大変な状況にありまして、元気に働いている方は労働時間が長過ぎて、ワーク・ライフ・バランスがとり難い状況の中で苦労している。その一方で、ニート、引きこもりのような問題、あるいは失業も多い中で困っている若者もたくさんいる。
 また、若者も大人も含めて、心の健康が重要になってきているわけですが、その辺を考えていきますと、例えば若者の不登校の問題、引きこもりについても、支援することによってかなり改善してきます。そこで、地域における現状としては、若者も高齢者も孤立しているのではないかという問題です。単身者が増えていることもありますので、孤立している現状もある。これがさらに進む可能性がある。ですから、若者も高齢者も地域でつながっていくような仲間づくり、地域のネットワークをつくって、地域社会の形成を通じてお互いの生きがい、あるいは支え合うことで、個人としても健康になり、健康な地域社会をつくっていく。そういったところが本計画の目指すところではないかと、皆さんから教えていただいたように思います。
 最後の辺りは山縣先生のお話で、希望ある社会というのが必要で、今、若者を含めて希望を失いかけているところが、日本社会そのものでありますので、もう一度希望のある社会というのを目指そう。それに向かっていくには、健康が大切なんだということをお互いが合意し合えるようなメッセージつくって、これから10年間頑張っていければと思います。
 まとめていきますと、すべての国民がともに支え合って、健康で、しかも、幸せに暮らしていけるような社会を目指そうということが、今回の新しいプランの目指す姿ではないかと思います。こんな感じのまとめでいかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、次に「(2)目的について」の辺りです。少し具体的な話になってきますので「(2)目的について」あるいは「(3)基本的な方向について」御意見をいただければと思います。どなたからでも結構です。
 津下先生、どうぞ。
○津下委員 前回の健康日本21では、一次予防の重視というお話が中心で行われましたけれども、今回は高齢社会を視野に入れて、治療中の方も、介護を要している方も、どの段階になっても健康づくりをする。ならないようにだけではなくて、なってからも前向きに健康づくりをしていくような働きかけです。
 例えばがんの患者さんで急性期の治療が終わった後、また健康を取り戻すような前向きなことに関する支援、病気を持ちながら健康になっていくという重症化防止や再発予防も含めた指標、考え方も必要ではないかと思います。
 それから、認知症高齢者については、やはり自信がなくなって閉じこもりになることで不活発になり、どんどん悪循環に入っていく。悪循環を断ち切る、これは社会からの働きかけが非常に重要なので、個人に目標を出すということだけではなくて、それが実施しやすい社会の在り方、社会からの働きかけ、高齢者がいつまでも働きやすい環境づくりという考え方が必要ではないかと考えます。ここに書かれている社会づくり、一次予防にとどまらないすべての段階での予防の促進を考えていただいたら、と思っております。
○辻委員長 ありがとうございます。
 ほかにどなたかございますか。中村先生、お願いします。
○中村委員 全体に関係することですけれども、今日の健康局長のごあいさつにもありましたが、今後新しい国民健康づくり運動のプランで守るべきターゲットで優先順位が一番高いのは、健康の意識はありながら、生活に追われてなかなか健康が守れない、また生活に追われる余り健康にも余り関心が持てない人たちと考えます。今後健康格差が間違いなく広がっていく中で、無関心層や関心を持っているけれども時間的、経済的な余裕がなく健康に気遣いができない人たちにも役に立つような対策が必要です。健康格差をどこまで縮められるのかというのは重要な挑戦だと思います。健康格差ができるだけ広がらない、できれば縮小するような健康政策や社会環境整備は何なのか、どういうものがあるべきなのかということをきちんと議論して、それを今後の目標の設定また基本的な方向に据えていくことが重要ではないかと思います。
 ややもすれば、個人への働きかけや教育啓発というのは、結果的に関心のある人に対して情報を送ってしまって、健康格差の縮小にはつながらない可能性が高いと思います。今、申し上げたような社会環境の整備に重点を置いた取組みが健康格差の縮小または防止につながっているかどうかの評価については、主要な目標の中で指標を設定することはできないと思いますが、その関連目標として、その評価に役立つ評価指標を設定して、今後の10年間または20年間の中で健康格差がどの程度広がるのか、またどの程度抑制できるのか、分野別に評価をしていくべきではないかと思います。
○辻委員長 ありがとうございます。
 西先生にお聞きしたいんですけれども、今回の資料4の3ページ目を見ましても、次期プランの目標設定の考え方ということで4つ書かれています。健康寿命の延伸、生活の質の向上は従来通りですが、これにプラスして健康格差の縮小と社会環境の質の向上の2つが提案されています。西先生は健康格差ということについて、かなり研究していらっしゃいますので、その観点から何か御意見いただけますか。
○西委員 ありがとうございます。
 健康格差とは直接つながらないのですけれども、今の議論をお聞きしていまして、健康ですとか、健康づくりが目的ではなくて、それは目標として挙げるべきものだと思いました。一番大事なのは社会環境といいますか、人々が健康になれる環境づくりが目的として挙げられるべきもので、それが結果的に健康格差の縮小ですとか、そういったものにつながっていくのではないかと思います。
○辻委員長 ありがとうございます。
 ほかにどなたかございますか。宮地先生、お願いします。
○宮地委員 多くの先生がおっしゃられた社会づくり、あるいは少子高齢化を見据えた取組みというのは非常に大事ですけれども、健康日本21の1つの大きな反省として、目標がすべて個人の目標だったという点があります。運動習慣を何パーセント増やすとか、糖尿病の患者を何割減らすかというのは、すべて人に対する目標です。やはり社会づくりをするということであれば、この社会をどう見るかというベンチマーク、目標をしっかり定めて、それが本当に達成できるのかということをウォッチしていくことが必要です。さらに、そこに本当にエビデンスがあるのかということです。社会をつくれば人が健康になり、人も幸せになるというスキームは、直感的には多分正しいと思うのですが、どの程度のエビデンスがあるのかということを検証した上で、適切な目標づくりをしないといけません。目標値を達成することによって国民が健康になるかを検証する、10年間の社会実験の意味もあるのかもしれないと感じております。
○辻委員長 ありがとうございます。
 戸山先生、どうぞ。
○戸山委員 一番底辺にあるのは、個人が健康というものをいかに注視しているかということだと思います。自分の健康が大事なんだということを入れ込む施策をどういうふうにするかというのが1つと、そのための環境づくりを国、自治体等々を含めてどういうふうにやるかというのが、私はすごく大事だと思います。
 それとともに、例えば先ほど学童期等々の心というのは、厚労省ではなくて、多分それは文科省ともいろんな形でやらなければいかぬと思います。
 あと、ちょっと言いにくいんですけれども、健康へのリスクファクターとしてたばこが問題視されていますが、財務省でいろいろと検討されているたばこ税に関して、今後もう一度検討すべきかと思います。多分私はその辺だと思います。
 国民が一番重要視しているのは、やはり健康寿命だと思います。
 もう一つ、今後、来春に向けて運動プランができ上がった後、いかに国民への啓発を行うか、例えば名前を出していいか分かりませんが、NHKでやっている『きょうの健康』とかで、本プランをシリーズで流してもらうとか、そして、国民一人ひとりに本プランと健康の重要性を植えつけるというのは、重要ではないかと思います。
○辻委員長 津下先生、どうぞ。
○津下委員 個人と環境は両方すごく大事で、環境というのは、例えば行政が全部やれるのであれば、環境づくりと言ってもいいのですけれども、環境は個人が選ぶことがありまして、例えばヘルシーレストランが健康にいいものをつくったとしても、それを人々が選ばなければ、それはすたれていってしまうということで、消費者が健康を考えた環境や物を選んでいく中で、環境も変わっていく。だから、環境と個人への働きかけは両輪のように必要ではないか。両方が相まっていく。健康に関心のある人々が選ぶ商品、環境が整ってくれば、無関心層まで恩恵をあずかることができるという、そういう循環が流れるのではないかと思います。環境づくりをやっていて難しいのは、健康にいいことでも、売れなければすたれてしまうということです。本当に価値があると国民が思って、一緒に取り組んでくれることも併せて、両方軽視できないのではないかと考えています。
○辻委員長 ありがとうございます。
 ほかにどなたかございますか。羽鳥先生からどうぞ。
○羽鳥委員 医師会では、一般への公開講座として、各市区町村で、県民・市民健康講座などをあらゆる機会に様々な疾患について無料で行っています。これから医師会の多くは公益法人となるので今後もさらに増えるでしょう。例えば高血圧、糖尿病、腎疾患、骨粗鬆症、うつのことなどをテーマにしたとき、実際に会場に足を運んでくださる方は、ご自分の健康に対する意識の高い方です。毎年、11月に世界糖尿病デーにあわせて、日本糖尿病対策推進会議に連動して毎年神奈川県どもやっております糖尿病デーの講演会というのは、毎年300人から400人ぐらいこられますが、すでに治療を初めてご自分あるいは家族の病気に疑問や不明なことがあって来られる方が多いです。若い人、未病の方などにも是非きてほしいとは思っていても、なかなか来てくれないこともあって、中村先生のおっしゃっていた無関心層をどうやって引きつけるかというのは、大事なことだろうと思います。
 もう一つは、津下先生がおっしゃった健康格差、特に忙しい人、多分ここに来ていらっしゃる先生たちも自分のことに余り気を使わない方が多いのではないかと思うのですけれども、忙し過ぎて自分の健康をおろそかにしている人もおおいので、ある程度強制的なこ とがないとだめなんだろうと感じます。産業医で検診結果の説明などで若い方と接すると血糖が高めだろうが血圧が高めだろうが、体重制限、塩分制限、運動の指導といっても、独身で食事に気を遣っていない、運動に親しむ場がない、時間がないなどといいます。
 私の経験で成功したもの一つは、禁煙指導です。産業医のなかでの禁煙講座などは、社長さんが喫煙所の撤去、社員も初めて喫煙の有害を知ったなどまとめて禁煙の導入に成功した事例もあります。生活習慣病のおおくは、またかという印象が強く、興味を引きつけるところまでなかなかいかないのが難点です。そういう意味では、戸山先生のおっしゃっていた『きょうの健康』も大事ですけれども、むしろ『ためしてガッテン』とか、ちょっと間違った情報もありますが、みのもんたなどタレントを人寄せパンダとして、そういう方が話してくれる方がインパクトはあるかもしれません。
 例えば今MSDの肺炎球菌ワクチンというのは、私たちも5年ぐらい前から、高齢者の予期せぬ肺炎予防にといってきたわけですが、首長さん、議員さんも、患者さんも反応は鈍かったですが、テレビコマーシャルを流してくれると、患者さんも我こそは接種してくださいとなります。製薬メーカーさんもそういう観点から協力していただけたらいいと思います。
○辻委員長 堀江先生、どうぞ。
○堀江委員 産業保健の観点から、環境ということについてお話申し上げたいと思います。
 職場においては環境が把握しやすいということがありまして、作業環境と言いますけれども、これを測定する方法は既に大臣告示で示されていますし、その評価の方法も大臣告示で示されています。ただ、作業環境を測定したり評価したりした結果は、あまり注目されておらず、そこで働いている人もよく知らない場合もあります。私は、環境を測定して評価するという手法を国全体といいますか、地域にも広げて考える視点があってもいいのではないかと思っています。
 職場環境ですと、測定する対象は有害な化学物質であったり、騒音であったり、あるいは放射線であったりします。今、東日本大震災の結果として、放射線に関しては、国民の大きな注目を浴びていますが、私は、放射線に限らず、例えば、この地域では路上の喫煙が許可されているかどうか、この地域にはたばこの自動販売機がどれくらいあるか、あるいはこの地域の道路には必ず歩道があるとか、階段の横にエレベーターがあるとか、健康に関係するようなさまざまな環境の指標について、それらが各地域でどのようになっているのかということを積極的に開示していくべきではないかと考えています。このような健康に関する環境の評価結果を積極的に広報していけば、各自治体間での競争が生まれて、より健康なまちづくりにしよう、具体的にうちはこうなったといったことが、国民の側からもわかることになっていくのではないかと思います。
 職場環境のいろんなノウハウを地域に移設することによって、より健康な地域づくりを推進できるのではないかと思っていますので、そういった方向性を入れていただければありがたいと思っています。
○辻委員長 山縣先生、どうぞ。
○山縣委員 津下先生が言われたように、個人のニーズがないと多分環境は変わらない。私たちはそれは嫌というほどやってきたと思うのですが、ニーズを変えるには教育、健康学習というのはとても大切で、今の印象では、私たちが小中で健康学習したよりも、はるかに高いレベルの健康に対する学習がされていて、例えば喫煙などの問題が減少しているのは、それもすごく影響していると思っています。その子どもたちがそのまま大人になって、そういう生活を続けていくことができるような社会、環境をどうつくっていったらいいか。
 小学校の子どもたちの欠食というのは、少ないんです。20歳になって、大学に行って、社会人になって欠食が増えるわけで、それをそこでどう食い止めるかということはとても大切だと思いますので、まさに若いころの知識が行動に、行動は親から強制された行動かもしれないのですが、知識が行動に結び付く、そういったことを身につけた国民を増やしていくことがとても大切で、その結果として、彼らが求める健康的な環境とは何かというのが、そこで初めて見えてくるような気もします。
○辻委員長 樋口先生、お願いします。
○樋口委員 どうもありがとうございます。
 今回のプランの策定ですけれども、健康づくりの運動のプラン策定なので、運動の目的は何なのかと考えると、やはり国民にアピールして、国民にわかってもらって、そうだと思うという、言ってみればパブリックアピアランスを上げていくのはとても大事なことだと思います。そういう面では、わかりやすさというのがすごく大事だと思います。
 前回の健康日本21を考えたときに、一次予防あるは健康寿命の延伸とか、そういう目的が確かにありましたが、私の理解では、当初、そんなに盛り上がらなかったのだけれども、メタボリック症候群の話が出てきてから急に知名度が高くなって、健康日本21が一般の方々に浸透していった。そういうことがあるとすると、漠然とした目標も大事なんだけれども、もう少し具体的な大項目のような目標、しかも、国民にアピールできるような内容のものを考えていくことはとても大事だと思います。そういう意味では、先ほど戸山先生がおっしゃっていましたけれども、運動の中でこれをどうやって国民に周知していくかという方法論もとても大事だと思います。
○辻委員長 鈴木先生、どうぞ。
○鈴木委員 健康寿命を延ばすということは、本当に大事なことですし、それが全国民の運動を中心としたプランというか、やり方によってというのは、全く異論はありません。私は高齢者の専門なのですが、多くの方々も高齢者の御専門家の方がいらっしゃると思いますけれども、高齢社会の実態から見ると、健康寿命を延伸するというのは、言ってみれば、高齢者、特に後期高齢になる前まではその方針、方策が非常に有効性が高いのだと思うのですが、実際に75歳以上の後期高齢になりますと、健康寿命の延伸ではなくて、不健康寿命をいかに縮めるかというのが実際の具体策になってきているのです。
 これが今回の次期国民健康づくり運動プランそのものに合致するかどうかは別としても、不健康寿命をいかにして縮めていくのかという具体的方策というものを、例えば認知症の予防にしても、最近エビデンスとしてMCIという軽度認知症の方々に対する運動介入というのが認知機能の低下を抑制するということで、ようやく日本でも確実なデータとして、エビデンスとしてつかまってきている。
 一方で、例えば寝たきりというか、寝かせきりというのでしょうか、あるいはここでは適切な課題かどうか知りませんけれども、もし不健康寿命を縮めるのだったら、胃瘻によって2年間生存していく、本当はそこまで見ていかないと、ここの部分というのは非常に厳しいものがあるという気が正直いってしているのです。
 だから、ライフステージに応じてやるべきことというのは間違えないと思うんですが、若年期であるとか、壮年期であるとか、あるいは前期の高齢者というのは、確かに健康ですし、健全ですし、社会的な貢献をし得る分母になりうる集団であることは間違えないと思います。しかし、先ほどのこれから10年間の目指す姿とか、社会の実態を考えていくと、健康寿命の延伸というものは、一方でそれを希望とともに訴えるけれども、現実に例えば不健康寿命をどうやって縮めるのかということが、この中に少しでも入るべきではないかという気がしております。
○辻委員長 ほかにどなたかございますか。野田先生、どうぞ。
○野田委員 鈴木先生に同感するところが多いですけれども、私は臨床の現場にいますが、80歳前後の方になってきますと、支え合うといいましても、支えられるのみになってくる形です。そこをいかに減らしていくかというのが、実際の現場では非常に重要なことで、身体的、精神的に健康であることに加えて、知的に健康であるといいますか、判断力とか治療行為に対するきちんとした応答性などをかなり保持していただかないと、現場、介護とかそちらの方もかなり疲弊してきている。そういうことは実感として感じています。
○辻委員長 工藤先生、どうぞ。
○工藤委員 私は医師ですから不健康な人ばかり見ているのですけれども、例えば都心の主立った基幹病院ですと、入院して死亡で退院される方は大体2.5%から4%以下ですが、郊外に出てまいりますと、要するに地域に近くなってくると、死亡退院率は増えてまいります。
 例えばある病院ですと、死亡退院率は10%ぐらいになっています。これはそこの医療が劣悪だからではなくて、そこから先に帰すところは、まさに自宅か施設しかない。そこがなかなかうまくいかない。いわゆる急性期医療あるいはがんも手術をして、治して帰すことが本来の病院の機能ですけれども、最終的には地域の中に看取りの機能がなければいけない。
 先ほどもお話があった110万人の死亡は、確実に170万人死亡になっていくわけですから、看取りの部分をどうやって地域の中に抱え込んでいけるのか。それをどういうふうに若い人や子どもたちまでを含めて、おじいちゃん、おばあちゃんの死を看取っていくのかという、そういう姿にしていく必要がある。子どもたちや若い人たちの命の大切さもそういう中でわかってゆく。そういう地域社会の在り方をつくっていく必要があるのではないか。要するに看取りの部分まで含めた考え方だと思います。
○辻委員長 鈴木先生、どうぞ。
○鈴木委員 おっしゃるとおりだと思います。先ほど110万が170万人なると言ったときに、一番大事なのは、私たちの国の健康づくりの中で、最も欠落しているのは、実は健康に生きて、健康に死ぬという死生学が全くない。だから、はっきり言って混乱していると思っています。人間の生というのは限りあるものです。いろんなことを健康に過ごして、自分が満足して、よかったと思える最期のところを、どうやって考え方を担保していくのか。勿論死というものに遠い世代というのはあります。しかし、高齢社会になって多くの人たちが多くの場を見ていく中で、健康に生きて、健康の中でよかったと思いながら死ぬという死生学というものは、是非こういう健康づくりの中にあるべきだという気がしています。
○辻委員長 岡村先生、どうぞ。
○岡村委員 論点メモの目的の方に戻りたいのですが、今、壮年期死亡の減少と健康寿命の延伸、生活の質の向上というものが入っていますが、これについて異論がある方はほとんどいらっしゃらないだろうと思います。
 整理の仕方として、これらを達成するための土台としての環境づくり、社会環境の整備というものがまずあって、次に目的を達成することによって派生していくものという流れで整理していかなければいけません。目的を達成することによって、各世代の社会的役割がどうなるかということと、自己実現のバランスをどうとるかが重要です。
 後期高齢者になって急に別の役割が派生するわけではなく、先ほど言われたような不健康寿命を短くするということなら、若いときから気をつけておくというのが連続した1つの役割になると思います。そういう土台と目的、そこから派生するものという整理をしておかないといけないと思います。
○辻委員長 ありがとうございます。
 ほかにどなたかございますか。尾?先生、どうぞ。
○尾?委員 今までと話が違うかもわかりませんけれども、歯科で8020という数字をつくったんです。80歳は一生で、20本あれば何でも食べられるだろうという究極の目標で、今から22年前につくったんですけれども、そのときにまさかこんな社会が来るとは思っていませんでした。私らも一緒につくったときに、こんなにお年寄りがたくさんになるだろうとは思わなくてつくつてしまったんです。そのかわり、8020は目標ではなくて、1つの形であって、一生自分の歯、口でおいしく食べて、健康に食べて死んでもらいたいというイメージでつくったんです。数値がきれいだったので覚えていただくのですけれども、80歳で20本歯をつくることが目標でしょうと言われて、それは1つの表現で表したのですけれどもということを申し上げています。
 歯科の場合、前回の健康日本21でかなりの多くの項目が達成できたと評価されていますけれども、我々歯医者はすぐに歯の本数とか、見た目でわかることを数値化するのが得意ですので、国民の皆さんにも理解していただく目標をつくるのは得意なんです。
 学校の健康教育は先ほど山縣先生がおっしゃいましたが、私も文科省の指導要領に基づく参考資料づくりを手伝ったのですけれども、そのときに歯の健康教育はなぜ面白いかというと、子どもでもわかるんです。歯肉炎がある、歯磨きをしよう、治る、自分でこんなことができるんだという健康観をつかめるのです。そういう目標を目的意識に入れていかないと、国民の皆さんにわかりにくいものになるかと思います。ですから『ためしてガッテン』ではないですけれども、何かやると見えてしまうので、そういう意味では面白い教材として使われています。
 もう一つ申し上げたかったのは、8020は高齢者の目標としてつくったのではなくて、子どものころ、乳歯の時期からちゃんとして、一生自分の口で食べる生活をつくっていこうという目標のためにつくったのですが、ともすると、50歳以上の壮年高齢者の目標みたいにされてしまったのですけれども、子どもの時期から一生ちゃんと食べて、食べながら死んでいく。余り言うと怒られてしまいますけれども、そんな目標だったのです。
 そういう意味では、歯科という特殊性がありますけれども、ライフステージ別に、子どもの時期はこうして、壮年期はこうして、老年期はこうしてという目標設定は歯科の中ではよく考える技です。逆に言うならば、言い方が悪いですけれども、入れ歯にするときは自分たちが治療した歯を自分で抜きますので、看取りもやってしまうのです。
 もう一つ、私らがよくやるのは、入れ歯のおじいちゃん、おばあちゃんと小学校1年生の子どもで一緒に給食を食べさせるんです。おじいちゃん、おばあちゃんたちが歯磨きをしないで入れ歯を外した瞬間に、歯が取れるので、子どもたちは目が点になるのです。おばあちゃん、おじいちゃんは、磨いて戻すときに、私は子どものころこうだったという体験談を話して、いろいろ気づきが起きて、行動変容が起きます。その瞬間は起きるのですけれども、また戻ってしまうのですが、そういうことが起きます。
 あと、文科省の方でお金を出していただいて研究をやったのですけれども、小学生と中学生に同じアンケートをやると、小学生の方が極めてきれいなライフスタイルを出すんです。先ほどの朝の欠食もそうです。ところが、中学になると、どんどん下がっていって、高校は取りたくないようなデータになることがわかっていますので、それも文科省の範囲だからということではなくて、何か支援する方法を考えたら面白いと思っています。
 以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。
 「(2)目的について」と「(3)基本的な方向について」大体御意見をいただいたと思いますので、私なりにまとめてみたいと思うんですが、基本的には資料4の3ページに事務局が出しているものがあるのですけれども、枠組みというところで、目指す姿の下に卵がありまして、そこに大きいところでは2つあります。生活の質の向上と社会環境の質の向上と書いてあるんですが、今回のプランでは、多くの方々から言われていますけれども、個人に着目したものと社会環境に着目したものの2本立てで考えていこうということが1つの論点になると思っています。そういった意味で、生活の質の向上と社会環境の質の向上が大きな目的としてあります。
 具体的なものとしては、下半分に次期プランの目標設定の考え方ということで、上に4つ書いていますが、健康寿命の延伸、生活の質の向上、健康格差の縮小、社会環境の質の向上、こういった4つを目的としてイメージしながら考えていったらどうかと思いますけれども、いかがでしょうか。
 基本的な方向性につきましては、健康な社会をつくっていくということが多くの方々から言われていますので、そこが1つです。
 もう一つ、これまでは一次予防重視だったのですが、それに加えて重症化を予防していく。あるいは高齢化社会ですから、1つ、2つ病気を持っているのは当たり前の状況ですので、そういった中で、病気を持ちながらも健康に暮らしていくというのはどういうことなのか。新しい健康観を打ち出していくことも大事だと思います。
 目標の管理のところも重要だと思うのですが、これはまた後で御意見をいただきたいと思います。
 もう一つ、今日の議論で出たのは、運動論といいますか、前回の反省として、健康日本21というのは、どれぐらい国民的な運動として幅広さがあったのか。あるいは健康格差ということでいいますと、健康に対する関心自体にも格差が相当広がっていることがありますので、無関心層にどういうふうに切り込んでいくか。あるいは健康の価値をどういうふうに認めてもらうかということも含めた運動論として、メディア、民間の企業さん、メーカーさんも含めた多様な主体で、連携のとれた効果的な健康増進をしていかなければいけないということを言われたと思っております。
 社会環境、特に環境整備でいいますと、例えば栄養表示でありますとか、公共空間における分煙、禁煙ですとか、あるいは身体活動を促進するような社会環境などがあろうかと思うんですが、そういったことについて、自治体のデータを開示していくことを通じて、各自治体における社会環境の格差を明確にすることによって、より健康なまちづくりを進めるドライブを付けていこうという御意見をいただきました。
 鈴木先生、工藤先生から言われましたけれども、これだけ高齢者、死亡者が増えていく中で、考えてなければいけないのは、終(つい)の看取りをどうするか、認知症になって判断が効かなくなった方々をどういうふうにサポートするか、そういったことは待ったなしの課題です。あるいは厚労省が考えた地域包括ケアというものは、まさにその世界になりますので、そういったことも視野に入れながら考えていこうということです。
 「(2)目的について」あるいは「(3)基本的な方向について」は、以上のまとめでよろしいでしょうか。
 次は「(4)目標について」です。主な指標、数値目標について、基本方針、大臣告示がありますけれども、それに盛り込むべきものとしてどういうものがいいかということなんですが、今回は具体的に何を選ぶというよりは、むしろ総論的に、どういった基準で考えるべきかということを御議論いただきたいと思います。
 それにつきまして、先生方から御意見をいただけますでしょうか。横山先生、どうぞ。
○横山委員 確認させていただきたいんですけれども、主要な指標を基本方針に盛り込むということなんですが、ここで言っているのは、主なものだけであって、その中の細かい指標については、別途目標をつくるという考え方でよろしいんですか。
○辻委員長 これは皆さんで決める話なので、どうですかという投げかけだと思います。
 この前の健康日本21ですと、一応80項目ということで、ダブりがありましたので、純粋には59項目なんですが、それぐらいがいいのか、あるいはもう少し絞り込んだ方がいいのか。
 今、横山先生がおっしゃったことは、絞り込んだ上で、その他的なものを網羅するのがいいのかというお考えですね。
○横山委員 はい。
○辻委員長 いろんなお考えがあると思うんですけれども、それにつきましても、先生方に御意見をいただいた上で決めていきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○横山委員 前回の健康日本21の反省といいますか、指標が非常に多かったというのは確かだと思います。評価したときもたくさんあって、どこが達成できた、できていないというのがいまいちわからなくて、混乱していたところがあると思います。
 たくさん指標があるのですけれども、本来これは整理すると、原因系と結果系といいますか、上位のものとそれを達成するための途中のものと、もっと下にあるものに分類できるはずなのですが、ただ、その辺の整理がしっかりできていなかった。一般の医療従事者、保健従事者の方もその辺りがよくわかっていなかったのではないかということを強く感じますので、指標の相互関係をしっかり整理して、一般の方々にも伝えられるようなアピールの仕方を考えた方がいいのではないかと思います。
 数が多いと感じた理由としては、整理が全然できていなかったというところがあるのではないかと思いますので、その点を考慮したらどうかと思います。
○辻委員長 山縣先生、どうぞ。
○山縣委員 そういう意味では、私も全く同感です。いわゆる保健統計の指標を最終的な目標にしながら、個人が何をすべきか、それを支える環境はどうあるべきかということがきれいにつながれば、本当にわかりやすいと思います。
○辻委員長 吉水先生、どうぞ。
○吉水委員 私も今の先生方の御意見に賛成なのですけれども、先ほど委員長がまとめてくださった健康格差のほかに、健康意識格差があるというお話がありました。本当にそのとおりだと思っていて、ここ10年ぐらいで、全体的な健康意識は物すごく上がっていると思います。ですから、意識が高い人は自分の健康を既にケアしていると思います。意識の低い人、あるいは環境的にそういう意識を持ちえない人に対しては、社会環境といいますか、自治体なり、地域なり、国なりが何らかのサポートをするしかないと思っています。ですから、目標に関連していいますと、個人で達成すべき目標と、社会環境に課する目標と両方あっていいのではないかと考えます。
○辻委員長 津金先生、どうぞ。
○津金委員 私の考えは、なるべく客観的な指標を用いるべきだということと、なるべく少ない指標を大きな目標として掲げるということです。勿論それを達成するために複数の指標があってもいいと思うのですけれども、単純化することが重要です。
 例えばがん対策推進基本計画で、75歳未満の年齢調整死亡率を20%下げるとか、そういう例がありますけれども、そういうものはわかりやすいといえばわかりやすいです。それは逆に評価を受けやすいという面もあります。
○辻委員長 ありがとうございます。
 今、津金先生はがん対策推進協議会の目標のお話をされましたけれども、他のものとの整合性も考えながら、本計画をつくっていかなければいけないと思います。よろしくお願いします。
○津金委員 がんもそうなのですけれども、勿論ほかのいろんな病気のことも考えながら、だけれども、特定の病気に偏らないようにしないといけない。健康づくりという観点が抜けてはいけないと思います。
○辻委員長 池田先生、どうぞ。
○池田委員 主要な指標を選んで告示に、その他のものは別途ということで大変結構だと思うんですが、指標を選ぶときに、例えば健康日本21のときに複数あった指標の中で、非常に関連性の高いものは片方だけを代表的な指標として告示に載せて、もう片方はその他ということで別途とるとか、あるいはプロセスとアウトカムに当たるようなものがあれば、これを心得ている人はこういうふうに健康改善しているというものが、もし既存の調査などであれば、それはいずれか一方でいいのではないかということで、少し科学的に相互の指標の関係を整理して、その中でアウトカムを言われても、国民はそれに対して努力のしようがないので、国民が目指すべきものを告示に載せて、そして、最終的なアウトカムに当たるようなものは最終的な評価指標として別途用いるとか、その辺りの整理を、既にとられている指標、あるいは海外でやられているものの関係を見た上で、科学的に選択をしていく作業が必要ではないかと考えています。
○辻委員長 ありがとうございます。
 ほかにどなたかございますか。羽鳥先生、どうぞ。
○羽鳥委員 私も指標、数値目標をつくっていただきたいと思います。収縮期血圧が平均で2mmHg下がれば、脳卒中は1万人減る、心筋梗塞は4000人減るなどの数値が示されましたが、現場の医療者にも、患者さんにも励みになります。 特に言いたいことは、私も県医師会理事として行政の現場の方と接点が多いのですが、具体的な数値目標、たとえば、がん検診受診率を50%などの数値があると、行政は具体的な施策が出てきますが、努力目標で漠然としたものですと、“ 承りました。“で実行力のある施策にはつながらないので根拠のある数値目標はほしいです。例えば特定健診の受診率は保険者に努力義務でなく義務であるので、非常に受診率があげる様々な工夫がなされました。また4疾病5事業についても、脳卒中、5大がん、心筋梗塞、糖尿病の4疾病の地域連携パスを構築して運用実績を、都道府県は、平成24年度末までに示さねばならぬとなりますと、医師会も知恵を出しますし、行政も種々の工夫をして動いております。さらに、脳卒中、5大がんについては診療報酬上の加算もありますのでさらに加速されています。この委員会では将来をみすえて国民に役立つ目標を立て、告示の中に、都道府県、市町村の義務を曖昧さがない形で具体的に示してほしいと思います。
 確実に証明されたEBMのみを論拠にすると、先ほど言った10年後、20年後には実態にそぐわなくなることもあると思いますので、中途での見直しはしていいのではないでしょうか?新たな提案がそこで出てきても恥ではないと思います。前回の健康日本21を作った段階では、うつ病、自殺が10年後こんなに増加すると思わなかったということもあるので、途中で改定をしてもいいのではないかと思います。
○辻委員長 中村先生、どうぞ。
○中村委員 既に出された意見でかなり尽くされていると思いますが、確認も含めて、私の意見を申し上げたいと思います。
 前回の健康日本21では、大きく目指す上位の目標と、それを達成するためにやるべきことの目標が必ずしも論理的な構造の中で整理されていなかったという問題点が、先ほど横山先生からもご指摘がありましたが、私も同感です。大臣の告示には上位の目標ぐらいしか入れることができないのかもませんが、上位目標を達成するために、具体的な国民としてのアクションプランと、自治体やいろんな関係団体がやるべきアクションプラン、それらをセットにして、パッケージで考えて、目標設定について広く伝えていくことが国としての運動としては重要ではないかと思います。
 ただ、たくさんの目標が設定できないということなので、私の意見としては、資料7の「(4)目標について」の2番目に書かせていただいたように、主要な目標として掲げるものの候補として、2つぐらいの条件が考えられるということで、1つは政策としてのニーズとかインパクトの大きさ、また費用対効果などの面から優先順位が高くて、今回のプランにおいて重点を置く目標、2番目として政策やアクションプランが明確で、かつエビデンスに裏づけられて、実行可能性のある目標設定が可能なもの、こういった条件を踏まえて主要な上位目標を絞っていけばいいのではないかと思います。
○辻委員長 戸山先生、どうぞ。
○戸山委員 基本的に私も同じような意見を持っていまして、体、心を含めた健康づくり、そのための科学的、客観的、医学的根拠は当然必要だと思うし、それをわかりやすく示すことは第一条件だと思うんですけれども、10年で、トータルで見たところの健康というのが、それだけで済むかというと、多分違うと思います。ですから、そこは非常に難しい作業になりますけれども、今後どういうふうにここにそれらを盛り込んでいくかということが、多分キーになってくるのではないかという感じがいたします。
 数字だけで、今、現時点でエビデンスの高いものだけを入れて、10年後それで大丈夫かというのは全くないと思います。それに関してはいいかもしれないけれども、国民の健康をつくるために不足している部分を、どういうふうに10年先を見据えてやっていくかということが結構重要だと考えます。ただ、基本はあくまで科学的、客観的、医学的根拠が大前提にあってしかりだと思います。
○辻委員長 津下先生、どうぞ。
○津下委員 先ほど議論がありました目指す姿、目的で、今回の運動の考え方が話し合われたわけですけれども、上位目標はそこに置くとして、健康指標というのはそれをブレークダウンした形でわかりやすく示すという国レベルでの指標と、執行計画とリンクした指標いいますか、それは地方で活用できる形で分けて考える必要があります。健康日本21の1つの反省点は、国で立てた目標を市町村まで全部立てなければいけない、調査するのが21だとなって、なかなかアクションに結び付かなかった自治体も少なくないと思っております。ですから、自治体においては、むしろアクションに対する執行目標とか、計画目標をきちっと立てて、それに対してやっていく。それは5年単位とかで考える必要があり、10年では長すぎるかもしれない。
 メタボ対策も中間評価で肥満者が増えているということで始まった。それから、受診率というのが市町村にとっては非常にわかりやすくて、カウントしやすい。日常業務で取れるような指標だったから、非常に捕捉率が高いということがありますので、そこは分けて目標を立てていくという考え方が必要ではないかと思います。
○辻委員長 ありがとうございます。
 三浦先生、どうぞ。
○三浦委員 まさしく10年後を見据えての目標設定ということで、先ほどの議論でも出ていましたが、重症化予防ということを考えますと、目標の中に口腔機能とか運動機能とか生活をしていく上で不可欠な機能、社会生活機能の低下に関する軽減の目標をどこかに入れ込むというのは、10年後の我が国の超高齢社会の在り方を踏まえた上で、1つ有効なアプローチではないかと考えております。
 以上でございます。
○辻委員長 ありがとうございます。
 工藤先生、どうぞ。
○工藤委員 最終的なアウトカムとしての疾患の予防という点で見ますと、例えば結核などは感染症法に基づいておりますので、届出がきちっとなっておりますから、有病率のみならず罹患率等も正確に出てくるわけです。しかし、ここで我々が議論しているような高血圧にしても、糖尿病にしても、COPDにしてもみんなそうですが、有病率はある程度把握ができて統計が出ますが、罹患率ははっきりしていないのではないか。最終的なゴールは各年齢階層別の罹患率を減らしていくことだろうと思います。慢性疾患は、すぐ治る病気ではありませんので、寿命が延びてくれば、当然有病率は増えていくわけであります。
 そういう意味で、罹患率が出るような統計の整備も併せて目標にしていただかないと、正確なアウトカムが掲げられないのではないかと思います。
○辻委員長 ありがとうございます。
 大体予定された時間になりましたので、そろそろまとめさせていただきますが「(4)目標について」は、大臣告示として示される部分は必要最小限にするということで、皆さん合意いただけたかと思います。
 その基準としては、資料7の5ページの2つ目の○で、中村先生が書いてくださったものだと思うんですけれども、こういった基準ではどうでしょうか。つまり、政策としてのニーズやインパクトが大きい、費用対効果の面から優先順位が高いといった意味で、重点を置くような目標。更に政策上のアクションが明確で、かつエビデンスに裏づけられて、実行可能性のある目標設定が可能なもの。そういった基準で考えてはどうか。そして、目標の考えとしては、個人としての目標と社会環境としての目標、この2面で考えるということが、皆さんの御意見だと思います。
 また、告示に盛り込めないような細かいことがたくさんあるわけですけれども、そういったことは目標というよりは、むしろアクションプランの中でいろいろ盛り込んでいただいて、それは長くても5年ぐらいを目途に考えて、直に各自治体とか実施する主体の中で、状況に応じて修正が可能なものにしていきたいという形ではないかと思います。
 最後に工藤先生から、実際に罹患率なり何なりの進捗状況をどういうふうにモニタリングするのかという話があったんですけれども、まさに重要な話でありまして、前の方に戻る部分なんですが、運動論として、国民生活基礎調査ですとか、患者調査などいろんなデータがありますので、それを使いながらモニタリングしていくということが1つあります。
 もう一つは、今後10年間を見据えると、大きな変化が考えられるのは、医療におけるIT化です。電子カルテあるいはEHR、生涯電子カルテの導入なども進んできますし、あるいは税と社会保障の一体改革の中で国民総背番号というものが出てきています。そういった情報化がかなり進んできますので、このような新しい情報ツールをモニタリングにうまく使えるようにしたい。そういったことを視野に据えた中で運動展開していきたいということでいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 以上のように、御議論をまとめさせていただきました。
 次に議題の2に移らせていただきます。「2.次期国民健康づくり運動プランにおける目標設定の考え方について」であります。
 今回の専門委員会におきまして、円滑な議論を行うために、あらかじめ代表的な生活習慣病とそれに関連する生活習慣の幾つかにつきまして、関係する委員の方々にお願いして、現状につきまして御整理いただきました。次期プランに盛り込むべき指標として考えられるものについて、概要ペーパーあるいはそれに関するデータ、エビデンス等の資料の作成、整理をしていただきました。
 本日はそれぞれの委員の方々から、資料の概要、今後の目標設定につきまして、ポイントを御説明いただきます。今回がすべてではありませんで、次回も心の問題ですとか、残念ながら、次の仕事によりまして退席なさいましたけれども、津金先生からがんの話ですとか、そういったことも次回御説明いただいた上で、議論を詰めていきたいと考えています。
 それぞれ資料を御提出いただきました委員の方々から御説明をいただきたいと思います。時間も限られておりますので、誠に申し訳ありませんが、お一人5分程度でお願いできればと思いますので、よろしくお願いします。
 「栄養・食生活」の西先生からお願いいたします。
○西委員 「栄養・食生活」の資料、1ページをごらんください。
 この資料は、本日御欠席の新潟医療福祉大学の村山委員を中心に、女子栄養大学の武見ゆかり先生ですとか、国立保健医療科学院の石川みどり先生などの御協力を得て作成いたしました。
 1ページの上のところですけれども「1.健康日本21の最終評価」で栄養・食生活分野は15の指標があったんですけれども、Aが1項目、Bが5項目、Cが7項目、Dが2項目という結果でした。
 今後の課題としまして、4点を挙げております。
 ?個人の生活習慣全体を包括的にとらえた新たなアプローチとともに、子どものころからの望ましい生活習慣の定着を強化する必要があります。
 ?食塩摂取量の減少のように、個人の努力だけではこれ以上改善が困難なものについては、栄養成分表示の義務化や市販食品の減塩など企業努力を促すための環境介入が必要です。
 ?地域格差や経済格差の影響が大きくなることも想定されるため、社会環境要因に着目した戦略が必要です。
 ?男女とも20歳代で栄養素の摂取や行動変容が乏しいことから、この年代への対策が必要と考えます。
 これらを受けまして、栄養・食生活分野の次期プランの特徴としまして、3点挙げております。
 個人の健康づくりだけでなく、地域社会自体が健康であることを目指します。
 2つ目ですが、個人の健康づくりでは、子どもを含めた各ライフステージの重点課題を目標といたします。特に子どもの食習慣、成人期の肥満、食塩摂取量については目標に入れます。また、政策として、個人が行動変容しやすい環境づくりを重点化いたします。
 3つ目としまして、目標、要因、取組みのつながりを重視しまして、可能な限りエビデンスに基づく設定をいたします。
 2ページ目の上にありますけれども、これは全体での目標設定の考え方にならいまして、栄養・食生活分野での考え方を示しております。
 一番下に具体的取組みの整理がありまして、右側に地域社会の健康づくり、左側に個人の健康づくりをとっております。
 地域社会の健康づくりは、社会環境の改善から食を通じた社会参加の機会の増加と公平性の確保、健康のための資源(食物、保健・医療・福祉サービス)へのアクセス改善と公平性の確保を通じまして、地域社会の質の向上を目指します。
 左側、個人の健康づくりの方は、生活習慣の改善からリスクファクターの低減、疾病の罹患率の低減、社会生活機能低下の軽減を通じまして、生活の質の向上を目指します。
 続いて、エビデンスを集めている作業についての御説明に入りますが、右側の?地域社会の健康づくりの考え方としましては、今、御説明いたしました社会参加、健康のための資源へのアクセスを重視いたしまして、それぞれについて機会の増加と公平性というものを必要としております。
 3ページですけれども、地域社会の健康づくりの中でも、個人レベル、地域レベル、国レベルに分けまして、それぞれ機会の増加、公平性の確保の重要なものについて項目を整理しております。
 3ページの下にありますのは、健康的な食物へのアクセスということで、海外の例ですけれども、こういった構造になっているということで、これらをそれぞれ改善していく必要があると考えております。
 4ページですが、個人の健康づくりということで、考え方としましては、ライフステージを通した健康づくり、疾病・リスクファクター・生活習慣・取組みのつながりを重視いたしまして、エビデンスによるプライオリティ付けをできるだけ定量化して行います。
 4ページの下側ですけれども、ライフステージ別に疾病、リスクファクター、生活習慣、取組みということで、それぞれ重要と思われる項目を挙げました。???とありますが、成人期の生活習慣として?ナトリウム摂取量と?食品群別摂取量、成人期のリスクファクターとして?肥満予防がございます。
 これらにつきまして、参考1、参考2、参考3ということで資料を整理しております。
 少し時間が残っておりますけれども、以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
 それでは「身体活動・運動分野」について、宮地先生、お願いします。
○宮地委員 資料の15ページをごらんください。「身体活動・運動分野」について5つの観点から御説明させていただきたいと思います。
 「1 運動・身体活動の現状」ということで、健康日本21の最終評価によりますと、運動習慣者を、30分、週2回、1年以上継続している人と定義しておりますけれども、10年間で変化はしていない。増加を目指しましたけれども、年齢調整をすると増加をしていない。
 内訳を見てみますと、男女の60歳以上の高齢の方は増加傾向にある一方、女性の50歳以下では減少が見られました。
 身体活動という言葉はなかなかわかりにくいんですけれども、余暇時間にスポーツなどに取り組むような「運動」と、買い物に行ったりとか、通勤で歩いたり、職場で活動したりという「生活活動」を両方含めたものを身体活動と言います。
 身体活動の指標である1日の歩数は、過去10年間において男女ともにほぼ1,000歩減少しています。これはすべての世代において減少しております。幾つかほかにも指標がありますけれども、特に歩数の減少、すなわち身体活動の減少というのは重要な問題であろうと認識しております。
 2番目ですけれども、こういった身体活動がさまざまなアウトカムにどういう関係があるのか。例えばリスクファクターだったりとか、死亡率だったりとか、発症率などとの関係を説明したいと思います。
 まずリスクファクターに関してですけれども、1日30分、週3回以上の運動・身体活動を3か月以上継続する。3033という言葉が神奈川県などでも使われていますけれども、そのような身体活動・運動に対する取組みは、肥満、高血圧、高血糖、その全体を含むメタボの改善、あるいは高齢者の転倒、生活体力の低下、関節の痛みの改善、先ほども鈴木先生から話がありましたけれども、軽度認知症の改善等に有効であることが、複数の無作為割付介入研究で証明されており、エビデンスレベルは高いと思われます。一次予防だけでなくて、リスクの高い人たちに対して、重症化予防という観点でも運動・身体活動の増加が有効であるということが、このことから示唆されております。
 それから、運動・身体活動・体力と疾患による死亡率あるいはがん等も含むNCDの発症、生活機能低下との関連ですけれども、運動・身体活動・体力不足は、メタボ、高血圧症、糖尿病の発症だけでなく、死に至るような循環器疾患と一部のがんの発症や死亡、すべての死亡の独立した危険因子であることが複数の大規模前向き観察研究、要因研究で証明されております。
 具体的に申しますと、1日の歩数が1,000歩ぐらい増える、10分ぐらい活動量が増えると、NCDの発症・死亡率が5%減る。
 1週間1時間程度の息が弾むような運動をやっている人が10%増えると、NCD発症リスクが2.5%減少する。
 体力が1割増えることによって、NCDの発症・死亡・生活機能低下の10%減少に結びつく。また、運動・身体活動・体力不足は、転倒・骨折や認知症の発症などの生活機能低下の独立した危険因子でもあることがわかっております。
 こういったエビデンスに基づきまして、運動・身体活動に関してどんな目標が考えられるかということですけれども、1日の歩数を性・年齢を考慮して1,000歩ぐらい増やす。国民健康・栄養調査で歩数を調べておりますが、精度管理を充実させて、目標として使うことは可能ではないかと思います。歩数で表現しなくても、何でもいいから、1日の身体活動を10分ぐらい増やしましょうという言い方もできるかと思います。
 週1時間の息が弾むような運動実施者を性・年齢を考慮して10%増加させる。これについても、国民健康・栄養調査で行っておりますが、現在の質問票は記入が難しいという問題もありますから、そういったものを改善し、より妥当な方法で評価していくことで、評価指標として活用できるのではないかと思います。
 こういった運動・身体活動に取り込むことによって、体力が高まることが生活機能低下の予防に直結するので、体力を上げることは効果的な取組みだと思います。厚生労働省にはなかなかデータがないので、文部科学省が毎年新体力テストを実施しておりますけれども、こういった数値が向上していくことを指標にするのもいいかもしれません。
 以上の目標ですけれども、厚生労働省が定める運動・身体活動の指針でありますエクササイズガイド2006の目標等とも合致しておりますが、その中でも特に身体活動の減少が顕著なものですから、そういったものを改善するために1,000歩増やす、10分増やすということをプライオリティの高い目標として提案したいと思います。
 「5 アクションプランへの提案」ですけれども、運動指導者の保健活動への参加促進、自治体に対する取組みとして、歩道・公園・交通機関など住環境の整備やアクセスの改善、既存の制度である特定保健指導や介護予防を介した専門家による支援を提供、フィットネスクラブや健康産業との連携と活性化、自家用車通勤の抑制やアクティブ通勤を企業が奨励、といった環境・社会整備が運動・身体活動を促すと考えられております。健康日本21では、多様な経路による情報提供、多様な分野による連携の必要性が既にうたわれていましたけれども、各ステークホルダーに対する目標の設定が行われていなかったので、こういった目標設定ができれば幸いだと思います。
 歩道の設置率や自転車専用レーンの設置距離というのは、厚生労働省ではなくて国土交通省ですが、毎年整備状況が示されております。特定保健指導の実施率に関しては、厚生労働省が悉皆で調べております。フィットネスクラブの店舗数や会員数等は経済産業省が毎年データを出しております。こういった既にモニタリングされている指標を各省庁の統計から引用して、社会のステークホルダーの目標として、活用できるのではないかと思います。
 今、提言させていただきましたことは、下の図にありますけれども、これは先ほど事務局から提示されたものに、運動・身体活動はどういうふうな位置づけであるかということを貼り付けたものでありますが、個人に対して、社会に対して、記述のようなアクションがあるのではないかとまとめさせていただきました。
 どうもありがとうございます。
○辻委員長 ありがとうございました。
 それでは「たばこ」につきましては、中村先生、お願いします。
○中村委員 19ページからの資料です。
 たばこの話に入る前に「?.健康日本21次期計画にむけて望むこと」ということで、先ほどの議題1に関連して既に申し述べました1)〜2)や他の委員の方からご意見のあった3)については省略させていただいて、4)、5)について少しだけコメントをして、たばこの分野の報告をしたいと思います。
 4)のところは、健康日本21の次期計画においても、自治体における取組みが非常に重要で、自治体がアクションプランを実践できるような支援環境を整えることが重要だと思います。そのためには、1つはモニタリングの仕組みを最初から次期計画の中にビルトインしておくということと、実際にどう取り組めばいいか、How toの部分ですけれども、それに対しても国をはじめ大学などの関係機関が支援する体制を検討・整備することが重要です。
 モニタリングの仕組みについては、先ほど辻先生から少し御意見が出ていましたけれども、既存の国の調査をうまく活用して、市町村レベルでも一定のサンプル数が得られて、安定した数字で評価ができるような仕組みを最初に計画しておくこと。
 もう一つは、堀江先生からもご意見がありましたが、地域における対策の実施状況が対策の担当者だけでなく、一般の住民にも見えるように情報公開して、自分たちの支援環境の整備がどの程度自治体で進んでいるのか、また他の市町村と比較してどうなのか、実態が容易にわかる取り組みが必要かと思います。
 たばこについては、資料1を見ていただきたいのですけれども、厚労省の研究班で作成した市町村の政策担当者向けの自己点検票という、たばこ対策の実態把握とモニタリングをするための様式で、年に1回程度定期的に担当者に評価をしていただきます。
 右下ですが、市町村別に受動喫煙の防止について、官公庁とその出先機関、学校などの施設が敷地内禁煙や全館禁煙化がどの程度進んでいるのかというのがすぐにわかるモニタリングの仕組みをつくりまして、現在、健康大阪21の一環としてやっております。これは大阪府のホームページで実際に公開されておりまして、全体としてどういう取組みが遅れているか、どこの市町村の取組みが進んでいるのか、逆に遅れているかなどがわかります。特に取組みが遅れている分野については、研修会を開催したり、個別の支援をおこなっております。今後、他の分野についても、同じようなことができるかどうかという問題はありますけれども、参考にしていただければいいかと思います。
 5)として書きましたのは、分野別並びに政策別に、自治体または関係機関の関係者、更に一般の国民の人たちに次期計画が目指すもの、今、日本の現状はどうような実態で、どういう課題があって、今後どのような取組みをしていくかということを、簡単にA4で2枚か、せいぜい4枚ぐらいのシートにまとめるという提案です。それを広く関係者に提供し、国民向けにはメディアを介して広く周知を図って、自分たちがやるべきこと、更に行政に対して望むことについて、意識を高めていくような活動も必要ではないかということで書かせていただいております。
 たばこにつきましては、次のところからですけれども、喫煙の実態と喫煙による健康被害の大きさについて書かせていただいております。
 喫煙の健康影響というのは、受動喫煙も含めて明らかでありまして、年間12万人から13万人はたばこが原因で命を落としているということが、日本の複数の研究でほぼ一貫して示されておりますし、日本人の死亡原因の中で最大の原因であることも最近の研究で報告されています。受動喫煙でも年間約7,000人亡くなっている。一方で税収は2兆円ほど入るんですけれども、経済損失の方がかなり大きく上回っていることも報告されています。
 実施すべきたばこ規制・対策については、日本政府が批准をしているWHOのたばこ規制枠組み条約の中にきちんと示されておりまして、資料2に主な対策を書いてあります。横に枠組み条約及びそのガイドラインで求められる内容と日本の現状を比較して書いております。時間がありませんので、詳しく説明しませんけれども、どの分野においても日本は取組みが遅れているということで、今後10年の中でさらなる取組みができればと思います。
 更に資料3につきましては、こういった取組みをすれば、どれぐらい喫煙率が減少できるかということをエビデンスに基づいて示しています。先ほど私が申し上げた上位の目標値と下位のアクションプランの目標値の論理的な整合性を保つということであれば、こういった資料に基づいて、どういう対策をやれば、どの程度の喫煙率の減少が図れるかということを見積もる上での基礎資料になるのではないかと考え、今回提出させていただきました。
 以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
 それでは「アルコール」につきまして、樋口先生、お願いします。
○樋口委員 簡単に説明させていただきます。
 資料で提出させていただきましたのは、最近出されているエビデンスに関するデータをずっと羅列したもので、見づらくて大変恐縮でございます。
 日本の場合もそうでしょうけれども、WHOのデータとか世界のさまざまなデータを見ても、アルコール、たばこは同じようなインパクトがあるし、アルコールはたばこと違って、健康だけではなくて、社会的な問題もとても大事な要因であるにもかかわらず、比較的小さく取り扱われている感が否めないということを前から感じています。
 今回の健康日本21の最終評価は、資料3の2ページの「3 取組状況の評価」の3ポツ目のところに、都道府県の健康増進施策の取組み状況についてと書いてございますけれども、充実したと回答した割合が一番低かったのがアルコールですし、23%という非常に低い数字だったということもあって、その辺りは、今度の健康の新しいプランで更に充実させていかないといけないのではないかと考えられます。
 アルコールとさまざまな生活習慣病とのエビデンスをまとめたものですけれども、数字がいっぱい出ていて非常にわかりづらいのですが、いずれにしても、多量に飲酒すれば、がんにしても、糖尿病にしても、脳卒中、高血圧すべてでリスクが上がってくるということで、中には少量飲酒でリスクが下がるような、いわゆるUカーブとかJカーブと言われる関係のものもありますが、それは限られたものでして、そういう関係がいろいろなデータで示されているということでございます。
 そういうことを踏まえて、29ページの「?.次期国民健康づくり運動におけるアルコール分野の基本方針」ですが、健康日本21では3つの指標があったのですけれども、未成年の飲酒以外の2つは変化がなかったという評価でして、この辺りについては、もう一度検討し直さなければいけないのではないかということがあります。
 特に重要なのは「1.多量飲酒問題の早期発見と適切な対応」ということで、27ページ、28ページにもデータがたくさん示されているとおり、多量飲酒はさまざまな疾患のリスクを上げるということで、これが一番重要な目標として考えられるのではないかと思われます。
 29ページ「3.女性の飲酒量(または率)の低減」がございますけれども、近年、男性の飲酒量は頭打ち、ないしは減少傾向にあるのですが、女性の飲酒量は依然として増加傾向にあると推測されていて、特に若い女性が非常にお酒を飲むということが指摘されています。女性は男性に比べてアルコールによる健康障害を引き起こしやすいことが知られている、また妊娠中や授乳中の飲酒は胎児や乳児の発育障害を引き起こすこともわかっていますし、更に女性のアルコール依存症の数も増加している。そういう現状を踏まえて、女性の飲酒量にターゲットを絞った目標が必要なのではないかと考えられます。
 29ページの2と4は、もともと健康日本21の中にあった目標ですけれども、未成年の飲酒もとても大事なファクターでありますし、どのくらいがお酒の量として適切なのかという知識もとても重要だと思いますので、これもターゲットの中に入れていただけるとよろしいのではないかと思います。
 以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
 それでは「歯の健康」につきまして、三浦先生、お願いします。
○三浦委員 資料の33ページをごらんになってください。
 私どもの資料におきましては、まとめのまとめみたいな形で、最初の第1項目目にある程度全体を通した考え方を集約し、図を示してございます。
 私どもの歯の健康のプランにおきましては、上位目標から考えていくというスタンスで方向性を検討いたしました。具体的には上位目標として健康寿命の延伸、生活の質の向上につながるエビデンスのある事柄を整理して、体系的に取組みをしていくという方向性で考えを進めていきました。
 実際に寿命の延伸との関連性、生活の質との関連性において、口腔分野から幾つかの論文が出てきております。具体的にはこれまでの調査、研究をサマライズいたしますと、自分の歯を数多く残し、咀嚼等に代表される口腔機能が維持されている地域住民では、心身の健康状態は良好であり、寿命の延伸が認められております。このエビデンスに関しましては、後述する細かい記述があるのですけれども、そこに引用文献を付けておりますので、後ほどごらんになっていただければ幸いでございます。
 そのような事柄から、図の真ん中のところを見ていただきたいのですけれども、ちょうど橙色でマーキングした健康寿命の延伸、生活の質の向上につながるところの次の階層として、社会生活・身体機能低下の軽減から見た口腔の分野の寄与できるところで、先ほど御紹介したエビデンスに基づいて、口腔機能低下の軽減、特に咀嚼機能はエビデンスが多く出されているところでございます。
 あと、歯の喪失の防止の項目でございますが、こちらの方も歯を残している方においては、寿命の延伸、生活の質の向上が認められるということで、この両者を社会生活・身体機能低下の軽減のところで位置づけてございます。
 口腔機能低下の軽減と歯の喪失の防止というのは、非常に密接な関連性がありまして、口腔機能低下における歯の喪失が占める割合というのは、非常に大きいものでございます。
 翻って考えて、歯の喪失の原因疾患は何かというと、各種統計、各種研究でほぼ内外を通じて同じ傾向でございますが、歯科の二大疾病である齲蝕の低減、歯周病の低減でございます。この両疾病を低減することが、最終的に歯の喪失の防止につながり、口腔機能低下の軽減につながるという図式でございます。
 齲蝕の低減において、どのようなものが関与してくるかといいますと、齲蝕に関しましては、エビデンスがほぼ確立しておりまして、諸外国等で予防のガイドラインも出されております。ほぼ共通した方向性でありまして、フッ化物の応用、間食の制限などを更に徹底することによって、さらなる低減が図られるものと考えます。
 歯周病の低減に関しましては、こちらの方もリスクファクターの研究が進んでおりまして、特に禁煙に関する報告は数多く出されています。それから、プラークコントロール、歯周疾患の検診の受診等々が効果的であると、論文等で報告がなされています。
 歯科疾患の特性を考えますと、これらのアプローチは、各ライフステージごとに考えるべきであろうということで、33ページの図の最初の横軸は、幼児・学齢期から始まって、高齢期に至るまでの一連の流れとして考えているところでございます。
 図の中には反映できなかったのですけれども、文書の後半で記載させていただきました横断的な取組みの分野といたしまして、歯周病と糖尿病との関連性を挙げたいと思います。両者の相互関連性は数多くの報告がなされており、横断的に取り組んだ場合を考え合せますと、糖尿病対策の中での歯周病の予防にも大きな意味合いがあろうかと思います。
 あと、口腔機能の低下のところに関わりますけれども、咀嚼の問題でございますが、そしゃく機能が落ちますと、野菜摂取量が減るというエビデンスが数多く出されておりますので、健やかな経口摂食を行って、バランスのいい食生活を行うという意味でも、非常に重要ではないかと考えております。
 それらのことを併せまして、最終的に次期歯の健康プランの方向性でございます。33ページの図の上のところにリボンで吹き出しを出しておりますけれども、その上に文言でもお示しをしておりますが、壮年期・高齢期における口腔機能低下の軽減による健やかな摂食の実現、?齲蝕予防と歯周病予防を体系的に組み合わせることにより、歯の早期喪失防止の実現性を図るという2点をここでは強く申し述べたいと思います。
 第1項目目で文章の概要は大体御報告できるところでございますけれども、第2項目、次期国民健康づくり運動において、歯の健康の位置づけでございます。ここに先ほど申し上げたようなエビデンスを記載させていただいております。
 具体的には34ページの第2段落目に書いてございますように、中高年期において口腔機能の低下を防止することは、歯科口腔保健のみならず、食生活の向上にも大きく影響するということ。そして、高齢者においては、そしゃく機能の良否が筋力やバランス機能と有意な関連性を有するという報告が多数出されてございますので、生涯健康で活力のある生活を行う上でも、ベースとして、歯の健康というのは非常に重要ではないかと考えております。
 第3項目目の手前の段落に目を転じていただきたいのですけれども、高齢化が更に進行する我が国の将来像を考え合せまして、歯の健康がどのように寄与できるかということで考えた内容を、最後のワンセンテンスで示させていたただいております。具体的には国民が生涯自分の歯で食物をそしゃくし、生活の質の向上、健康寿命の延伸を図るために、歯の喪失防止とございます。ここまでは健康日本21でも言っていたところですが、新たに機能面を加えて、口腔機能の向上を推進する必要があるのではないかと考えております。そのような考えの下で、先ほどサマライズさせていただいた方向性を御提示したところでございます。
 「3.ライフステージを踏まえた上でアプローチの必要性」でございますが、先ほど申し上げたように、齲蝕は小児期、歯周病はどちらかというと成人期以降に問題となってきますので、生涯を通じた健康ということを考え合せますと、ライフステージごとにターゲットの目標を決めた方がいいだろうということで、35ページにそれぞれのターゲットを決めた部分に関して、どのようなアプローチをしていったら、より効果的であるかということをまとめさせていただいております。
 大きなところは先ほど図表で御説明をしたので、細かいところは割愛させていただきますけれども、最終的に幼児・学齢期から高齢期につながる一連の流れの中で、歯の健康を保って、全身の健康、健康寿命の延伸、生活の質の向上に寄与するところでございます。
 以上でございます。
○辻委員長 ありがとうございました。
 それでは「糖尿病」について、野田先生、お願いいたします。
○野田委員 37ページです。
 「糖尿病」につきましては、発症予防、いわゆる一次予防と合併症予防、すなわち二次、三次予防のエビデンスをここに記載させていただいています。発症予防に関しましては、平成12年の健康日本21開始当時、日本におけるエビデンスは少なかったと思いますが、それから十何年経ちまして、豊富というわけではないですけれども、ある程度一次予防についてのエビデンスが出てきました。
 それを40ページ、41ページにまとめさせていただいています。糖尿病の発症のリスクとしては、年齢とBMIの増加、若年時からの体重の増加、特に20歳から5kg以上体重が増加している、などでございます。
 余暇の身体活動というのは、私どもの解析ではこれは統計的に有意ではなかったんですけれども、38ページの1−1−2の論文等を始め、身体活動が糖尿病の発症に抑制的に相関するということについては、我が国からのデータがあります。
 それから、非常に大きなものとしては、糖尿病の家族歴、高血圧があること、ですね。
 41ページに移りまして、過去の喫煙も含む喫煙です。現在、禁煙してからどのぐらいまでリスクが残るかということを私どものほうで検討中です。
 男性における飲酒、特にBMIが22以下の場合の飲酒というものが大きなリスクファクターですし、右下にございますように、幾つかそのほかの結果も出ております。
 喫煙で申し忘れましたけれども、38ページの1−1−3のところにございますように、我が国でも受動喫煙が糖尿病の発症リスクになるという報告もございます。
 37ページに戻っていただきますと、今、申し上げましたようなものの中で、年齢とか性別、高血圧の既往というのはモディファイできないわけですけれども、モディファイアブルなリスクが介入の方法になるであろう。例えば飲酒量とか喫煙、身体活動といったものが介入の手法になりますが、モディファィできないもの、あるいはモディファィアブルでも既に確立している肥満などが、ハイリスク者を設定する際の1つの根拠になると思います。
 37ページの1の2)ですが、健診のデータから相当に正しくハイリスク者を設定できるだろうということです。39ページの1−2−1、1−2−2、1−2−3のところです。
境界型の空腹時血糖値は110以上ですけれども、100〜109でも相当にリスクが上がっているということを1−2−1で述べています。
 それから、ヘモグロビンA1cと空腹時血糖値の双方が高い人は、その後の糖尿病発症率が非常に高い。これは1−2−2の論文です。
 1−2−3に関しては、ヘモグロビンA1cについても、1−2−1で述べたような、あるところから発症率が急に上がってくるポイントがあるということを報告しています。
 介入の手法の細かいところは比較しにくい部分ではありますが、39ページの1−3のa、bの論文は、いずれも面接回数を変化させて、面接回数の多いグループで糖尿病の発症が大きく抑制されたということを述べています。
 37ページに戻っていただきまして、二次、三次予防、つまりは合併症の予防、抑制ですが、糖尿病性の細小血管症、網膜症、腎症については、1995年のKumamoto Study以来、やはりヘモグロビンA1cを適正な範囲に保つことが合併症の予防につながると、わが国のデータからも示されています。
 大血管症であります心筋梗塞、脳卒中、あるいは下肢の閉塞性動脈硬化症につきましては、次の岡村先生のところとの兼ね合いもございますので、ここでは割愛させていただきます。
 2の2)ですけれども、治療中断ということは非常に重要だと思います。また、早期発見、早期治療といった点も重要と思います。
 治療中断に関しましては、糖尿病の戦略研究でありますJ−DOIT2の成績があります。治療中断率は男性が女性より優位に高い。それから、若年層において高くて、年代が40代、50代、60代と進むにつれて、治療中断率は下がるということもJ−DOIT2の2回の試験で確認されています。
 また、それと同時に、治療中断を抑制することによって、ヘモグロビンA1cの平均の値も約0.2%下がったということも示されています。治療中断に関しては、どういった層にターゲットを絞っていくか、また、年齢層ごとにどういった介入手法があるのかといった点が重要だと思います。
 戻りまして、細小血管症に関しまして先ほど申し上げましたこととも関係してきますが、糖尿病を治療中の方のヘモグロビンA1cを適正な範囲に保つということを、糖尿病診療の地域連携等を通じまして、広範な層の方々について増加させていくということが、広い意味での健康の分野の中で重要であろうと思います。
 以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
 それでは「循環器病」について、岡村先生、お願いします。
○岡村委員 それでは、時間が限られていますので、お手元の資料の46ページを開いていただければよろしいかと思います。
 表1にエビデンスレベルが載っていますけれども、循環器の領域は比較的忠実にこのレベルにしたがって議論が進められる分野でして、どこか齟齬があると臨床分野等から疑義がでますので、これを無視できないような側面があります。
 栄養疫学で、例えば図3のように、塩分と脳卒中の死亡という関連が出ていたとしても、塩分を第三タータイルから第一タータイルまで減らして、脳卒中がこの割合で減るかといったら、これはそんなことはありません。実際、健康日本21の目標値というのは、ハードエンドポントに相当する脳卒中、心筋梗塞の部分の目標、危険因子に相当する血圧値の目標、あと生活習慣に相当する塩分とかアルコールの目標が1つのところに入っているので、階層構造がわからなくなっているという問題点がございます。
 実際に血圧値で循環器の発症とか死亡を見たものが、47ページの上の表2になりますが、上段の方が観察研究、すなわちコホート研究の結果、下の方が介入研究、臨床試験の結果ですけれども、これはほぼ一致しています。ですから、循環器の目標というのは、一義的には危険因子で立てないといけない。血圧を何ミリ下げるとか、コレステロールを何ミリ下げるということで立てないと、生活習慣からいきなりハードエンドポイントは立てにくいことがあります。
 その下は別の例ですが、例えば葉酸とかビタミンを摂ったら、虚血性心疾患が減るというコホート研究の結果はいっぱいあるのですけれども、48ページの上の方の葉酸を補充して本当に循環器病が減るかという臨床試験の結果を見ると、これは全滅で、効果を出したものはないということになります。
 何を言いたいかというと、まず危険因子でハードエンドポイント減少の目標を立てる。そして危険因子の決定要因として生活習慣を持ってくるという階層をつくらなければいけないだろうということがあります。例えば49ページの上の図5のところは、塩分を減らしたら、どれだけ血圧が下がるかという介入研究のメタアナリシスを示しています。解釈の仕方は幾つかあるのですけれども、大体1gで1mmHg低下することがわかっています。ですから、1mmHg血圧が下がれば、どれだけ脳卒中が減るかというのは推計できますので、逆にいうと、1mmHg血圧を減らすための生活習慣はどうかという設定をしなければいけないだろうということになります。
 49ページの下は、塩分以外の栄養素との血圧の関連を示したものですが、これは参考資料として頭の隅に入れておいていただけたらと思います。
 50ページのところですが、目標設定の考え方というのは、まず危険因子のレベルとしてどれだけ国民全体のものを動かすことができるか。それによってハードエンドポイントである脳卒中とか、心筋梗塞がどれだけ減らせるかということを目標値設定として置きます。次に危険因子を動かすための生活習慣はどうあるかということを探索します。ほかの栄養とか、運動のグループから目標値が出てきますので、それに基づいて危険因子の変化量を考えていくことになります。こうすることによって、健康日本21では、1つの分野にいろんな階層が入っているものが、混乱なく整理できるだろうと考えております。
 そのためにはある程度大きなデータが必要ですので、例えばNIPPON DATAは、国民栄養調査参加者の長期追跡ですので、評価指標を国民栄養調査でするのであれば、それを解析して資料に使うのは妥当だろうということです。
 またNIPPON DATAをも含んだものとして、今、厚生科研で表6に示したEPOCH−Japanという大きな統合コホート研究をやっており、これでも幾つか論文が出ております。これは危険因子だったら10万人ありますし、総死亡だったら18万人、200万人ぐらいのデータがありますので、そういうものは使えるのではないかと考えております。
 以上のように、危険因子をベースに目標値を立てていって、危険因子の決定要因については、ほかの領域と目標値を見ながら考えていくというのが一番いいのではないかと考えております。
 以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
 本来ならば、工藤先生がお越しなので、COPDのお話もいただきたいんですが、実はこの会場を12時に空けなければいけないという事情がございまして、大変申し訳ないんですけれども、ここで打ち切らせていただきます。申し訳ございません。したがいまして、工藤先生のCOPDにつきましては、本日途中退席された津金先生のがんも含めまして、次回にお願いしたいと思います。
 次回は本日の議論にも出てまいりました心の健康、あるいは認知機能低下予防、ロコモ予防、高齢者、子どもなどライフステージに応じた指標の在り方につきまして、引き続き委員の先生方から御説明いただきたいと思います。また個別に御相談させていただきますので、よろしくお願いします。その上で、次回は全体の目標の構成と主要指標の整理などをしたいと考えています。
 もう一つ、本日冒頭の健康局長からのごあいさつの中で『The Lancet』の日本特集の話もありました。『The Lancet』の日本特集では、日本が世界最長寿になったのはどうしてなのか、そういった背景を明らかにした上で、今後もそれが続くのか。むしろいろんな問題があるのではないかということについて、総合的な分析評価をしている論文が出ているわけですけれども、そういったことにつきまして『The Lancet』の日本特集を日本サイドで担当された東大の渋谷教授からヒアリングをするということも、次回もし日程的に可能でしたらば、事務局の方で手配いただければと思います。
 たばこにつきましては、がん対策基本法に基づきまして、国が定めておりますがん対策推進基本計画というものの見直し、検討作業が、今、がん対策推進協議会で行われております。そこに盛り込む目標値と健康増進法に基づくプランに盛り込む目標値と、その両者については調和を図る必要があると思いますので、中村委員におかれましては、引き続き具体的な整理をいただきまして、次回の専門委員会でまた御説明いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議題3ということで、事務局からお願いいたします。
○菊地室長補佐 時間もございませんので、1つだけ、資料8なんですけれども、今日御用意した資料で説明していないのがこれでして、意見聴取の進め方ということで、あらかじめ先生方に関係学会はどういうものがあるかということで御意見をいただいて、それをまとめたリストも含めまして、意見聴取の進め方ということで御提案させていただいています。
 ただ、書面による意見聴取の在り方も含めまして、まだ事務局で詰め切れていない部分がございますので、どういった形で、あるいはどういった内容のものをやるかということにつきまして、再度詰めさせていただいた上で、次回、改めて御提案させていただきたいと考えております。よろしくお願いします。
○辻委員長 今の事務局説明につきまして、何か御意見ございますか。よろしいですか。
 それでは、適宜進めていただくということで、お願いいたします。
 その他、何かございますでしょうか。事務局から何かありますか。
○菊地室長補佐 次回は12月7日午前9時からを予定してございます。場所につきましては、後日御連絡したいと思います。
 先ほど委員長から御説明があったとおり、ここを12時きっかりに明け渡すというお約束になってございまして、準備、御支度をいただいて、速やかに御退室いただければと重います。よろしくお願いします。
○辻委員長 本日はこれで閉会いたします。どうもありがとうございました。





(了)
<健康局総務課生活習慣病対策室>

室長補佐 菊地 直樹

連絡先: 03-5253-1111(内線2349)

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