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2011年11月14日 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 議事録

医薬食品局

○日時

平成23年11月14日(月)18:00~


○場所

厚生労働省 専用第23会議室


○出席者

出席委員(16名):五十音順 敬省略

◎五十嵐   隆、 石 井 則 久、 猪 熊 茂 子、  遠 藤 一 司、

 生 出  泉太郎、 金 澤   寛、 倉 田 雅 子、 高 杉  敬 久、

 新 見 伸 吾、 林    邦 彦、 日 野 治 子、 槇 田  浩 史、

○松 本 和 則、 三 谷 絹 子、 三 宅 良 彦、  村 島 温 子

(注) ◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(6名)五十音順 敬省略

 大 野 泰 雄、 加 藤 進 昌、 國 頭 英 夫、 倉 山 英 昭、

 平 原 史 樹、 渡 邉 治 雄

行政機関出席者

 平 山 佳 伸 (大臣官房審議官)

 俵 木 登美子 (安全対策課長)

 渡 邊 伸 一 (安全使用推進室長)

 森   和 彦 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

○議事

○事務局 定刻になりましたので、「平成23年度第2回医薬品等安全対策部会」を開催いたします。本日の部会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただいていますので、御理解、御協力のほどお願いいたします。また傍聴の方々におかれましては「静粛を旨とし喧噪にわたる行為はしないこと」、「座長及び座長の命をうけた事務局職員の指示にしたがうこと」など、留意事項の厳守をお願いいたします。
 本日御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中、遅い時間にお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本日は、大野委員、加藤委員、國頭委員、倉山委員、渡邉委員より欠席の御連絡をいただいております。また、平原委員より急用のため欠席になる旨、御連絡をいただいております。本部会の委員数22名のうち、現在、16名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。以後の議事の進行は、五十嵐部会長にお願いします。
○五十嵐部会長 先生方におかれましては、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。それでは始めたいと思います。事務局から審議の参加に関する遵守事項について、御報告をお願いします。
○事務局 まず、薬事分科会審議参加規程についてです。詳細については、配付した競合品目及び企業の一覧を御確認ください。本日の部会においては、審議事項、議題1「一般用医薬品のリスク区分について」が対象となります。本日は、アンブロキソール塩酸塩については、製造販売業者であるエスエス製薬株式会社及び大正製薬株式会社並びにその競合企業2社の計4社。イソコナゾール膣錠については、製造販売業者であるロート製薬株式会社並びに競合企業3社の計4社。一般用漢方製剤のリスク区分の見直しについては、一般用漢方製剤の売り上げ上位3社のクラシエ薬品株式会社、小林製薬株式会社及びロート製薬株式会社から、過去3年度における寄附金等の受取について御申告いただきました。それでは、委員からの申出状況について御報告いたします。
 五十嵐委員より、第一三共株式会社より50万円以下の受取との申告。
 猪熊委員より、大正製薬株式会社より50万円以下の受取、田辺三菱製薬株式会社より50万円以下の受取との申告。
 金澤委員より、大正製薬株式会社より50万円以下の受取、田辺三菱製薬株式会社より50万円を超えて500万円以下の受取との申告。
 林委員より、大正製薬株式会社より50万円以下の受取との申告、田辺三菱製薬より50万円を超えて500万円以下の受取との申告。
 槇田委員より、武田薬品工業株式会社より50万円以下の受取との申告。
 三谷委員より、武田薬品工業株式会社より50万円を超えて500万円以下の受取との申告。 三宅委員より、武田薬品工業株式会社より50万円以下の受取、田辺三菱製薬株式会社より50万円以下の受取との申告。
 村島委員より、武田薬品工業株式会社より50万円を超えて500万円以下の受取、第一三共株式会社より50万円以下の受取、田辺三菱製薬株式会社より50万円以下の受取との申告がありましたので、お知らせいたします。
 したがって、アンブロキソール塩酸塩について審議する間は、三谷委員、村島委員におかれましては、出席し、意見を述べることができますが、議決には加わらないことといたします。
 イソコナゾール膣錠について審議する間は、金澤委員及び林委員におかれましては、出席し、意見を述べることができますが、議決には加わらないことといたします。
 その他の審議については、審議又は議決への不参加となる委員の方はいらっしゃいませんでした。以上です。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。ただ今事務局から御説明がありました審議参加に関する遵守事項について、御意見、御質問はありますか。特にないようですので、競合品目、競合企業の妥当性を含めて、御了解をいただいたものといたします。それでは、事務局から本日の配付資料の確認をお願いします。
○事務局 各委員の先生方には、事前に資料を送付させていただいていますが、お手元の資料の御確認をお願いします。
 まず、議事次第、委員名簿、配付資料一覧、医薬品等安全対策部会での審議事項に関係する品目及び企業の資料です。
 資料1は一般用医薬品のリスク区分についての関連資料です。
 資料1-1「製造販売後調査の終了等に伴うリスク区分の変更について」、資料1-1-1「アンブロキソール塩酸塩のリスク区分について」、資料1-1-2「イソコナゾール膣錠のリスク区分について」、資料1-2「一般用医薬品(一般用漢方製剤)のリスク区分の見直しについて」。参考資料1「外用剤で使用する漢方製剤」、参考資料2「第3類の生薬のみから構成される漢方製剤」、参考資料3「条件付き第2類生薬を含むため、半量処方の場合第3類となる漢方製剤」、参考資料4「条件付き第2類生薬を含むが、半量処方の場合でも第2類となる漢方製剤」、参考資料5「第2類の生薬を含む漢方製剤」、参考資料6「指定第2類の生薬を含む漢方製剤」、参考資料7「リスク区分変更に係るパブリックコメントに寄せられたご意見」。
 続いて、資料2は医薬品等の市販後安全対策についての関連の資料です。
 資料2-1「医薬品等の使用上の注意の改訂について」、資料2-2「子宮頸がん等ワクチンの副反応報告状況について」、資料2-3「抗インフルエンザウイルス薬の副作用報告状況について」、資料2-4「血液凝固阻止剤『プラザキサカプセル75mg、110mg』に関する医薬関係者向け注意喚起等について」。
 続いて、資料3は医薬品等の副作用等の報告の状況についての関連の資料です。
 資料3-1「薬事法第77条4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への副作用・感染症等報告について」、資料3-2「国内副作用等の報告の状況(医療用医薬品)」。参考資料3-2「薬効分類表」、資料3-3「国内副作用報告の状況(一般用医薬品)」、資料3-4「国内感染症報告の状況」、資料3-5「外国における新たな措置の報告状況」、資料3-6「研究報告の報告状況」。
 続いて、資料4は医薬品の感染症定期報告の状況についての関連の資料です。
 資料4-1「感染症定期報告感染症別文献一覧表」、資料4-2「感染症定期報告の報告状況」。
 続いて、資料5はその他関連の資料です。資料5-1「小麦加水分解物を含有する医薬部外品・化粧品の使用者に発生した全身性アレルギーに係る報告について」、資料5-2-1「一般用医薬品の使用上の注意記載要領について」、資料5-2-2「一般用医薬品の添付文書記載要領について」、資料5-2-3「一般用医薬品の添付文書の記載要領の留意点について」、資料5-3「ゲフィチニブ服用後の急性肺障害・間質性肺炎等に係る副作用報告の報告件数等について」以上です。
 資料一覧を申し上げましたが、乱丁、落丁等ありましたら、事務局までお申しつけください。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。皆様よろしいでしょうか。では、議題1の審議に入ります。事務局から、概要を説明してください。
○事務局 議題1「一般用医薬品のリスク区分について」御説明いたします。資料1-1を御覧ください。現在、第1類医薬品に区分されていますこれら二つの成分について、製造販売後調査の終了に伴いまして、リスク区分の変更の検討をお願いするものです。次に2ページ目をご覧ください。一般用医薬品のリスク区分の変更等については、安全対策調査会において専門家の方々や関係学会などの御意見も踏まえ整理をしたうえで、その事前調査の結果とパブリックコメントの結果を踏まえて、安全対策部会で調査審議を行い、指定の変更の要否について答申を得るものとされています。今回、アンブロキソール、イソコナゾールについて、本年9月26日に開催されました安全対策調査会で検討されましたので、その整理結果を御報告し、御審議をお願いするものです。
 続いて、アンブロキソールについて説明をさせていただきます。かぜ薬の内服剤のアンブロキソールですが、資料1-1-1にエスタックイブファイン、パブロンエースAX錠など配合剤の製造販売後調査報告書と、それぞれの添付文書を示しています。安全対策調査会においては、同様の成分として気道粘膜分泌促進作用を有するブロムヘキシン塩酸塩を配合した鎮咳去痰薬が第2類医薬品として流通していること、副作用報告も少なく、重篤な副作用も少ないことから、第2類医薬品が適当であるとの御意見をいただいており、参考資料7にあるとおり、パブリックコメントが1件寄せられています。
 続いて、イソコナゾールについて説明いたします。イソコナゾール膣錠は「その他の女性用薬」です。資料1-1-2に、製造販売後調査報告書と、メンソレータムフレディCC膣錠の添付文書を示しています。安全対策調査会において、膣カンジダの再発を繰り返している人には使用してはいけない、以前に、医師から膣カンジダの診断、治療を受けたことのある人に使用が限られているなど、対面により受診を勧奨する患者を判断する必要がある医薬品であり、引き続き第1類医薬品とすることが適当であるとの御意見をいただきました。また、参考資料7にあるとおり、イソコナゾール膣錠には二つのパブリックコメントが寄せられています。資料の概要の説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。安全対策調査会の座長の松本先生にお伺いしますが、この調査会での御審議について追加の御発言はありますか。
○松本部会長代理 調査会での審議については、先ほど事務局から説明がありましたように、アンブロキソールについては第1類医薬品から第2類医薬品に変更することに、委員の先生方から特に異論はありませんでした。イソコナゾールに関しては、重篤な副作用が報告されていないので第2類でもいいのではないかという先生がおられましたが、先ほど事務局からの説明にもありましたように、添付文書に「膣カンジダの再発を繰り返している人」には使用しない、などの条件があるために、引き続き第1類医薬品のままにした方が安全だろうということで、このような形でパブリックコメントを集めようということになりました。以上です。
○五十嵐部会長 どうもありがとうございました。では、事務局からの御説明と、今お話をいただきました松本先生からの御報告に対して、御意見、御質問はありますか。
○倉田委員 イソコナゾールの方なのですが、一番最後のページに説明文書が入っていまして、「してはいけないこと」など丁寧に書いてあって、使う側から見ますと、非常によく分かるように書かれていると思いました。第1類ですから、もちろん薬剤師さんがこれを販売する前に説明してくださるわけですが、買われる方は、女性の薬剤師さんに説明してほしいと思われると思いますので、その辺りの配慮を薬剤師さん同士でしていただければと思って読みました。それから、裏面の「生活上の注意」も、大切なことがたくさん書かれていて、是非説明してほしいと思いますが、多分すぐ帰りたいという患者さんもおられるでしょう。その後の対応についてなのですが、電話で薬剤師さんが対応してくださるとか、また、ここにフレディコールという相談窓口の電話番号が書いてありますので、電話で相談ができるといいと思います。いつも私はOTC薬品に関して思うのですが、受付が平日の9時~5時までや、せいぜい9時~6時の所が多いのですが、患者さんは平日だけに具合が悪くなるわけではないので、土日祝日や相談窓口の時間帯も、もう少し消費者のために時間を割いていただけるといいかと思います。
○五十嵐部会長 いかがでしょうか。
○安全対策課長 薬剤師さんの対応については、可能であれば生出先生からも一言いただければと思いますが、お問合せ先の受付時間の対応等については、業界の方にもそのような御意見があったとお伝えしたいと思います。
○生出委員 薬剤師の対応についてですが、倉田委員がおっしゃるように、多分、女性薬剤師が主体的に対応していると思いますので、引き続きそのようなことをお願いしていきたいと思っています。
○五十嵐部会長 対応をよろしくお願いします。ほかにありますか。よろしいですか。
では、議決を採ります。各医薬品のリスク区分について、アンブロキソールは第1類から第2類に変更し、今回製造販売後調査が終了したアンブロキソールを含む二種類の配合剤についても第1類から第2類へ変更するということでよろしいでしょうか。なお、三谷委員、村島委員におかれましては、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 ありがとうございます。御異議なしとさせていただきます。承認を可として報告させていただきます。
 続いて、イソコナゾールについては、引き続き第1類のままとするということでよろしいでしょうか。なお、申出に基づき、金澤委員、林委員におかれましては、議決への参加を御遠慮いただきます。
 ありがとうございます。御異議なしとさせていただきます。承認可として報告させていただきます。ありがとうございました。
 ただ今御審議いただきました2品目のリスク区分案について、今後の予定を事務局から説明してください。
○事務局 御審議いただきました結果に基づいて、リスク区分を変更するということで、これらの変更に係る告示改正と、指定薬解除に係る薬事法施行規則の改正を進めさせていただきます。どうもありがとうございました。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。続いて、一般用漢方製剤のリスク区分の見直しについて審議したいと思います。事務局から資料の説明をお願いします。
○事務局 一般用医薬品漢方製剤のリスク区分の見直しについて説明申し上げます。資料1-2を御覧ください。一般用医薬品については、平成21年6月1日より新しい販売制度が施行され、一定期間が経過したということから、副作用報告等も参考にしながら、リスク区分の見直しを進めているところです。見直しの方向性については、資料1-2の1.にありますように、このような考え方で進めます。次に手順ですが、2.見直しの手順にありますように、先般御答申をいただいています生薬製剤から見直しに着手し、漢方製剤、化学薬品の配合剤について、順次検討を進めることになっています。今回は別添のとおり、漢方製剤の見直しについて御審議をお願いする次第です。
 2ページを御覧ください。最初に、漢方製剤のリスク区分の見直しの考え方について説明させていただきます。「1.(1)現行の取扱い」について、漢方製剤はここにあるような二つの理由、?服用時点で症状・体質などに応じて処方を選択することが必要である。?症状・体質に合っていない処方を選択した場合や、不適切な薬剤との併用により、日常生活に支障を来す健康被害が生じるおそれがある。これらのことから、すべての処方が第2類となっているところです。
 次に「(2)検討対象の範囲」です。現在告示されています漢方製剤の処方の数は、この資料の4ページ以降に別紙1として付いていまして、233処方あります。それから、10ページの別紙2に、新たに漢方製剤として承認基準が策定された30処方を示しています。このうち、4の黄耆桂枝五物湯、25の中建中湯、26の排膿散及湯の3処方については、既に昨年の安全対策部会において漢方製剤に加える旨の御答申をいただいているものですが、変更前の生薬製剤の扱いの時点では、これらの処方が第3類と位置付けられていたことから、第3類から第2類に変更となる製剤についての経過措置の手当を検討するなどの関係で、手続が見送られてきたものです。
 経過措置については、先般告示をさせていただいていますので、改めて今回漢方製剤の取扱いに合わせて御検討させていただくことになっています。その他の27処方についても、まだ告示はされていませんので、これらのリスク区分について、生薬製剤と同様に各製剤に配合されている成分のリスク区分のうち、一番上位のリスク区分が適用されているのが現状です。
 「(3)漢方製剤のリスク区分見直しの考え方」ですが、ここに大項目として1)と2)で掲げている考え方について、本年8月31日に開催されました一般用医薬品のリスク区分の検証に関するワーキンググループで議論をさせていただきました。考え方の一つ目は、各一般用漢方製剤承認基準に基づいて、漢方製剤に配合される生薬成分のリスク区分等により、?~?に掲げたような形で分類ができるのですが、それぞれの一番上位のリスク区分を適用するものです。なお、これらの検討については、先般の生薬製剤のリスク区分の見直しの結果を漢方製剤にも当てはめた場合に、どのようなリスク区分になるのかという検討をしていますが、これらについては、参考資料1~6に示しています。なお、詳細な説明は省略させていただきます。
 もう一つの考え方は、2)にありますように、従来どおり、漢方製剤については、全て第2類医薬品とする、というものです。8月31日の一般用医薬品のリスク区分の検証に関するワーキンググループでの検討結果を基に、9月26日の安全対策調査会で御検討いただきました。3ページにありますように、漢方製剤については、従来どおり服用時点で症状・体質などに応じて処方を選択することが必要である。2)として症状・体質に合っていない処方を選択した場合や、不適切な薬剤との併用により、日常生活に支障を来す健康被害が生じるおそれがある。これらの理由から、すべての処方について第2類医薬品とすることが適当とされています。
 なお、重篤な副作用が報告されている漢方製剤もありまして、漢方製剤については症状・体質などに応じて処方を選択することが必要であることから、適切な選択が行われることを確保することが重要であるとの御意見をいただいたところです。本指摘については、研究班を設け、専門家により御検討いただくことを予定しています。
 続いて、11ページの別紙3を御覧ください。ここに掲載しています生薬成分については、生薬製剤を検討した際には、該当のなかった成分です。これらの成分についても、今回新たにリスク区分について御評価をいただきたいと考えています。主には、コウイ、粉末飴など、それほどリスクの高くないと思われるもの、食品由来のようなものが多いので、第3類となるであろうと考えるものが多いのですが、下から二つ目にあります地黄の別名とする予定の乾地黄、熟地黄については、生薬の地黄と同じ取扱いとするので、第2類とする案です。
 もう一つは、次のページの下から2番目のかん冬花(カントウカ)、これもフキタンポポの花蕾を乾燥させたものですが、生薬成分等を考えていくと第2類とするのがよいのではないかという御提案です。なお、調査会の検討結果について、平成23年10月13日~11月11日までパブリックコメントの手続を行いましたところ、参考資料7にありますが、一般用漢方製剤については、第2類医薬品以上にすることが適当である旨の御意見をいただいたところです。以上です。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。安全対策調査会座長の松本先生にお伺いしますが、追加の御発言はありますか。
○松本部会長代理 事務局から説明がありましたように、現在一般用漢方製剤については、すべて第2類医薬品とされています。生薬及び動植物成分の構成から見た場合、指定第2類医薬品や第3類となる漢方製剤があり、これらについては生薬製剤の区分と同様に、配合成分の中で一番区分の高い成分のリスク区分を、その製剤のリスク区分とするという考え方がありますが、やはり、漢方製剤は御存じのように、服用時点で症状・体質などに応じて処方するなどの必要があることから、これまでの考え方どおり、漢方製剤はすべて第2類医薬品とするのがよいのではないかということになり、そういう形で、パブリックコメントを求めることになりました。
 ただ、この場合当然のことですが、薬剤師さんや登録販売業者の役割が大変大きくなりますので、その辺りに対する対応が必要であろうという意見が出されました。以上です。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。事務局からの御説明と、今の松本先生の御報告に対して、御意見、御質問はありますか。よろしいでしょうか。ないようですので、議決を取ります。安全対策調査会の御意見のとおり、漢方製剤については、引き続き第2類医薬品として、漢方製剤に含まれる生薬及び動植物成分のうち、区分が示されていないものについては、資料1-2の別紙3のとおりに区分することでよろしいでしょうか。 ありがとうございます。御異議がないようですので承認を可として報告させていただきます。それでは、一般用漢方製剤のリスク区分について、今後の予定を事務局から説明してください。
○事務局 御審議いただきました結果に基づきまして、告示に掲載されていない30処方の漢方製剤、かん冬花(カントウカ)、乾地黄、熟地黄について、第2類ということで告示への収載手続を進めさせていただきます。以上です。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。議題1の審議は、以上といたします。引き続き、議題2に入ります。事務局から資料の説明をお願いします。
○事務局 資料2-1「医薬品等の使用上の注意の改訂について」を御覧ください。今年7月29日の本部会以降に使用上の注意を改訂した医薬品の一覧です。8月に21件、9月に13件、10月に10件の改訂を行いました。使用上の注意の改訂については、本部会の先生方に事前に御確認をいただいていますので、内容の紹介は省略させていただきます。なお、プラザキサカプセルについては、ブルーレターが発出されていますが、こちらについては資料2-4にて御報告いたします。これらの改訂は、PMDAの情報提供ホームページに掲載するとともに、毎月発行しています「医薬品・医療機器等安全性情報」にも掲載をしています。以上です。
○事務局 続いて、資料2-2「子宮頸がんワクチン等の副反応報告の状況について」御報告いたします。前回も御説明しましたが、昨年11月から接種助成事業が開始されている子宮頸がんワクチン、Hibワクチン及び小児用肺炎球菌ワクチンの副反応の報告状況をまとめたものです。本件については、9月12日に本部会の下部組織である安全対策調査会と、健康局のワクチンの検討会との合同会合を開催し、評価を行っています。三つのワクチンの副反応報告について、詳細な資料は、本資料7ページ以降に示しています。1~2ページ目で概略をまとめていますので、こちらを用いて御説明差し上げます。本報告については、前回7月に行われている合同検討会以降のアップデートとなっています。
 本年6月1日~8月22日までの状況を、1ページ目の一つ目の表で示しています。この期間において、子宮頸がんワクチンの推定接種回数は、表にありますとおり160万回でした。製造販売業者からの副反応報告は、主として薬事法に基づく重篤例の報告になりますが、83例の報告がありました。医療機関からの報告は、重篤、非重篤を合わせて171例で、うち重篤症例が20例、死亡症例が1例の報告でした。
 Hibワクチンについては、この期間の推定接種回数は95万回でした。製造販売業者からの副反応報告は15例、医療機関からの報告は60例で、うち重篤例が7例、死亡例が1例報告されています。なお、この死亡症例については、7月の報告時に既に報告した症例です。
 三つ目の小児用肺炎球菌ワクチンについては、この期間の推定接種回数は110万回でした。製造販売業者からの副反応報告は29例、医療機関からの報告は104例、うち重篤症例11例、死亡症例1例の報告でした。なお、この1例の死亡報告については、先ほどのHibワクチンの症例と同一で、両ワクチンを同時接種した症例で、明確な因果関係は認められないという御評価もいただいています。
 二つ目の表については、各ワクチンの販売開始から8月22日までの副反応の報告状況を示しています。一つ目の表のデータと比べて分かりますように、この期間に大きなトレンドの変化はありませんでした。また、次ページで前回報告以降に報告された死亡症例としては、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの新たな死亡例の報告はありませんでした。子宮頸がんワクチンについては、接種後の死亡例が1例ありましたが、これについては専門家による評価の結果、ワクチン接種の直接的で明確な因果関係は認められないとの御評価をいただいています。
 また、子宮頸がんワクチンの接種後の失神が多数報告されていますが、これについては発現頻度に大きな変化は認められていませんが、引き続き注意の徹底を図る必要があるとされています。なお、失神の発現については、単なる血管迷走神経反射なのかどうかを精査する必要があるという御指摘をいただいていますので、失神発現までの時間、意識消失していた時間の長さなどについて、失神発現症例の調査・解析を現在行っているところです。
 次のページを御覧ください。もう一つの報告事項として、今シーズン以降のインフルエンザワクチンの副反応報告について御報告いたします。昨シーズンまでは、新型インフルエンザ対策として、国の事業として全国民に対してのワクチン接種事業が行われており、副反応の報告についても、予防接種法と薬事法の二つのルートがありますが、これらを一元化し、共同して対策を図ってまいりました。感染症法上の扱いですが、本年4月1日から新型インフルエンザA/H1N1と呼ばれていたものが、通常の季節性インフルエンザの扱いとなりましたが、今シーズン以降もインフルエンザワクチンの副反応報告体制については、引き続き予防接種法と薬事法の報告ルートを一元化し情報を収集し、対応していくことといたしましたので御報告申し上げます。今後も、適宜安全性の情報について収集、評価し、提供してまいりたいと考えています。
○事務局 続いて、報告事項2の(3)「抗インフルエンザウイルス薬の副作用報告状況」について、資料2-3に基づき説明申し上げます。抗インフルエンザ薬のタミフルについては、飛び降りなどの異常行動が報告されたため、平成19年3月から予防的な安全対策として、10代のインフルエンザ患者のうち合併症、既往歴等から、インフルエンザ重症化リスクの高い患者以外については、原則として使用を差し控えることとしました。また、万が一の事故を防止するための予防的な対応として、特に小児、未成年については、タミフル処方時の有無を問わず異常行動の恐れがあることから、自宅において療養を行う場合、(1)異常行動の発現のおそれについて説明すること、(2)少なくとも2日間、保護者等は小児、未成年者が1人にならないよう配慮するよう注意喚起をされています。
 また、リレンザ、ラピアクタ、イナビル等の他の抗インフルエンザ薬についても、その服用例で異常行動が報告されていることから、これらについても注意喚起がなされているところです。昨シーズンの抗インフルエンザ薬の副作用の報告状況や研究報告等について、11月2日に開催されました安全対策調査会に報告し、御評価をいただきました。
 資料2-3の1.の国立感染症研究所が実施していますインフルエンザ罹患後の異常行動に関する疫学調査においては、抗インフルエンザ薬の種類に関わらず、また、服用されていない場合でも異常行動が発現していることなど、これまでと同様の結果が報告されました。2.抗インフルエンザ薬の副作用報告状況ですが、突然走り出すなどの異常行動は、タミフル、リレンザ、ラピアクタ及びイナビルのそれぞれで報告されていますが、異常な行動による転倒、飛び降り等により死亡した症例はありませんでした。タミフル、リレンザ及びラピアクタの服用後の死亡例がそれぞれ3例報告されていますが、情報不足等のため、直接的な因果関係は示されていません。
 また、3.研究報告については、新たに報告されたタミフルの国内における臨床使用実態調査の解析結果では、タミフルの投与と譫妄や意識障害の発現リスクの上昇との関係が示唆されていますが、著者らも述べていますとおり、研究に限界があること、また、データの収集・解析が適切とは言えないとの意見もあることから、本報告により、タミフルとの因果関係が明確にあったとは言えず、他の動物実験における研究報告についても、これまでの評価に影響を与えるものは確認されませんでした。以上のことから、現在の予防的な安全対策を引き続き実施していくことが妥当とされています。本報告事項については、以上です。
○事務局 続いて、資料2-4「プラザキサカプセルについて」説明させていただきます。 プラザキサ錠75mg、110mgは、非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制を適応症とする血液凝固阻害薬です。本剤は、トロンビンの作用を直接阻害することで、抗凝固作用を示す薬剤であり、主に腎臓から排出されることから、高度の腎障害を有する患者には禁忌とされています。また、中程度の腎障害を有する患者では、血中濃度が上昇し出血の危険性が増大するおそれがあり、また、70歳以上の高齢者や消化管出血の既往を有する患者等では、出血の危険性が高いことから、これらの患者には減量を行うなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与することとされています。6月13日までに、本剤投与に関連する重篤な出血例の副作用による死亡症例が2例報告され、その2例ともが腎障害を有する患者であったことから、直ちに企業から医療機関に対して注意喚起が行われましたが、その後も腎障害のある患者に使用された症例が報告されていたことなどから、患者の安全確保を迅速に行うため、1.本剤に起因する出血による死亡例が報告されていること。2. 本剤の投与前及び投与中に腎機能検査を行うこと。3. 出血や貧血等の徴候を十分観察し、出血がみられた場合には適切な処置を行うこと。4.患者に対し、出血等の徴候が表れた場合に、直ちに医師に連絡するよう指導すること。以上4点について、改めて注意喚起することとし、8月12日に製造販売業者に対し、添付文書の改訂を指示するとともに、医薬関係者に対して速やかに情報提供するため、2ページ以降に示す「安全性速報」、いわゆるブルーレターを配付しましたので、報告いたします。以上です。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの御説明に対して、御意見、御質問はありますか。よろしいですか。それでは、議題3に進みたいと思います。事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題3、薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への副作用・感染症等の報告について御説明いたします。今回の部会では、平成23年4月1日~平成23年7月31日までの4か月間に受付けました副作用等の報告に関する状況を御報告するものです。なお、資料大部、多岐にわたるため、まとめとなっている資料3-1に従って、まずは御説明いたします。資料3-1を御覧ください。報告事項は大きく分けて二つございます。1点目として、1.にお示しする「製造販売業者からの報告」、2点目として、2.にお示しする「医薬関係者からの報告」でございます。
 まず、1.の(1)製造販売業者からの国内症例の報告状況です。カラムが三つありまして中程の副作用報告のカラムですが、上の医療用医薬品の報告件数については17,087件、一般用医薬品については102件、合わせて17,189件の報告を受付けております。またその隣の感染症報告のカラムですが、医療用医薬品について27件の報告を受付けております。前回の部会においてお示ししました報告件数と比較しても大きな変化はないものと考えております。
 次に、(2)外国症例の報告状況でございます。この4か月間で副作用報告が73,537件、感染症報告が7件ございました。こちらについても、前回の部会で報告しました報告件数と比較して大きな変化はないものと考えております。
 続きまして、(3)外国での新たな措置の報告状況でございます。この4か月間で435件の報告を受付けておりまして、こちらも同様に大きなトレンドの変化はないものと考えております。
 次に、(4)研究報告の報告状況でございます。こちらも、4か月間で281件の報告を受付けておりますが、前回との比較におきましても大きな変化はないものと考えております。
 以上が製造販売業者等からの報告ですが、2番目、医薬関係者からの医薬品の副作用・感染症報告について御報告いたします。
 この4か月間で副作用・感染症報告の例数が1,212件報告されておりまして、ほかに、先ほどワクチンのところで御説明しましたが、接種助成事業の対象となっているワクチンや、今は終わっていますが、新型インフルエンザとして実施された予防接種の報告件数も合わせますと、1,496件の医療機関からの報告がございました。こちらも、前4か月と比べましても大きな変化があるものとは考えておりません。
 以上が概要でございます。各資料についての御説明、資料3-2~3-6ですが、副作用報告、感染症報告、外国措置報告、研究報告の資料の概要でございます。それぞれの概要について御説明いたします。
 資料3-2ですが、医療用医薬品の国内副作用の報告状況について医薬品別、副作用名別の件数を整理したものでございます。薬効分類順に並べておりますが、この薬効分類につきましては、参考資料3-2にお示ししておりますので御参照ください。また、表の見方にいくつか留意していただきたい点がございますので御注意ください。
 まず1番目として、これらの副作用報告は、医薬品との因果関係が不明なものを含め製造販売業者等から報告されたものであり、個々に医薬品との関連性を評価したものではございません。
 2番目としまして、副作用報告の件数につきましては平成23年4月1日~7月31日までに報告されたものでございますが、同一症例に複数の被疑薬が存在し、同じ症例が結果として複数の企業から報告された場合は重複してカウントされておりますので、ここに報告された件数がそのまま患者さんの数にはなりません。
 3番目としまして、副作用報告の件数ですが、本報告期間中に報告されたものであっても、報告期間中に追加情報により因果関係が否定された場合や重篤性が変更となり、報告対象外となった場合には報告件数から除外してございます。
 4番目として、報告件数は副作用名別の件数で示したものでございまして、1症例で複数の副作用を発現する場合もございますので、報告件数を合計した数が報告症例数になるわけではございません。資料3-2の留意点については以上です。
 資料3-3について御説明いたします。こちらは一般用医薬品の国内の副作用報告でございますが、一般用医薬品につきまして一番左のカラムに薬効群の名称を示してございます。こちらは参考に御確認いただければと思います。
 続きまして資料3-4でございます。こちらが感染症の報告状況でございます。多くが輸血用血液製剤に関する感染症報告でございます。
 次が資料3-5でございます。こちらは外国での新たな措置の報告状況でございますので、また御確認いただければと思います。
 資料3-6は研究報告の報告状況でございます。こちらも御確認いただければと思います。簡単ではございますが、当該今期間の副作用等の報告についての御説明は以上となります。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの御説明に対しまして御意見、御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。御意見等がないようですので議題4に進みたいと思います。事務局から資料の御説明をお願いいたします。
○事務局 続きまして、議題4として薬事法第68条の8に基づく医薬品の感染症定期報告について御報告をさせていただきます。今回は平成23年4月~7月末までに報告された感染症定期報告を取りまとめさせていただいておりまして、合計で336件の報告がございました。資料4-1、4-2と二つございますが、資料4-2の方が感染症定期報告の報告ごとの整理・調査結果になっておりますが、医薬品や原材料ごととなっており、また感染症単位でまとまってもおらず、同一文献が何度も出てくること、また、前回までの部会にも御報告済みのものがございますので、それらを整理して新規の文献について感染症ごとに整理したものが資料4-1となりますので、こちらの資料を基に御説明させていただきます。
 資料4-1を御覧ください。平成23年4月~平成23年7月末までに報告された新規文献及び報道記事等、56件をまとめてございます。今回はインフルエンザ関係が3件で前回までと比較して少ない報告となっておりますが、内容としても海外の発生報告となっております。今回、比較的多かった感染症としては、ポリオについての6件、結核についての6件、プリオンの関係でクロイツフェルト・ヤコブ病について2件、異型のクロイツフェルト・ヤコブ病について7件の計9件の報告がございました。ポリオと結核につきましては、カザフスタン等の海外での発生報告が中心であり、特段、新しい内容ではございませんでした。プリオン関係については、海外での発生報告と動物モデルの感染実験や検出系についての論文についてでございました。プリオンの検出系の文献については新見先生から、また、それ以外の文献についても石井先生からコメントをいただけると伺っておりますので、よろしくお願いいたします。今回も、事前に石井先生、新見先生、また、本日は御欠席ですが、渡邉先生に御確認いただいておりまして、特段、直ちに安全対策措置を講ずるようなものの報告はございませんでした。以上です。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。石井先生、新見先生、事務局からの御説明に対しましてコメントをいただけますでしょうか。
○石井委員 では、私からコメントを1件述べさせていただきます。資料4-1の8ページ、53に真菌感染というのがありますが、これは、臓器移植に伴い移植片を介したカビの病気でありますクリプトコッカス感染症の報告でございます。クリプトコッカス症は、我が国では一般的に見られる深在性真菌症であるため、今後、移植医療においてこういう形の真菌感染症についての啓発が必要かと考えております。以上でございます。
○五十嵐部会長 ありがとうございます。新見先生、いかがですか。
○新見委員 私の方からは6ページ、37の異型クロイツフェルト・ヤコブ病におけるプリオンの検出方法に関する論文を若干紹介させていただきます。この方法は、血液に含まれるプリオンをステンレスの微粒子に結合させて濃縮して、その後、抗原抗体反応を利用して化学発光により検出するという方法です。実際、その陰性血液にプリオンを加えた陽性コントロールでは、10の10乗に希釈したものを0.8mLという非常に少ない量で検出が可能であって、高感度であるということが示されました。また実際、陰性・陽性の患者の血液を用いた結果ですが、21人の陽性患者の血液のうち15人が陽性と判断されて、陰性患者の血液は、すべて陰性と判定されたということです。
 疑問点としては、プリオンがどのような機構でステンレスの微粒子に結合するかということと、実際、その回収率はどうなのかということです。今後、まずはこの方法を用いた症候性の患者の診断法の確立、最終的には、無症候性の感染について大規模スクリーニング検査への応用が期待されると思われます。以上です。
○五十嵐部会長 どうもありがとうございました。御意見、御質問はございますでしょうか。御意見がないようでしたら次の議題5に進みたいと思います。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○事務局 資料5-1「小麦加水分解物を含有する医薬部外品・化粧品の使用者に発生した全身性アレルギーに係る報告について」御説明いたします。
 最初に経緯でございます。小麦を加水分解した成分を含有した製品の使用者において小麦含有製品を摂取して、その後に運動した際に全身性のアレルギーを発症した事例が報告されたことを受け、昨年10月15日付けで小麦加水分解物を含有する医薬部外品・化粧品について小麦アレルギーに関する注意喚起、副作用報告の徹底等を製造販売業者に対して通知いたしました。この注意喚起後も株式会社悠香が製造販売する「茶のしずく石鹸」の使用者において因果関係が否定できない運動誘発性のアレルギーに関する副作用報告が集積したことを踏まえまして、株式会社悠香に対し、製品の自主回収及び使用者に対する注意喚起を指導し、本年5月20日より株式会社悠香により当該製品の自主回収が行われています。ここまでの経緯につきましては、本年7月の部会において御報告をしたところでございます。
 2ページには、別紙1としまして、最初に報告を受けた昨年9月~昨年10月15日の注意喚起の通知発出を経て、本年5月20日の回収措置までの医療機関からの副作用報告の月別の報告数をお示ししております。
 それでは1ページにお戻りください。資料では「1.経緯」の3段落目になります。本年8月に医薬関係者及び製造販売業者等からの報告の徹底について、また、本年9月に小麦由来成分を含有する医薬部外品及び化粧品の成分表示について通知し、副作用等の情報収集の徹底及び小麦由来成分を配合する製品についての注意喚起を行っているところであります。なお、5ページ以降に、これら三つの通知を添付しております。
 続きまして、これまでの副作用報告の集積状況でございます。3ページの別紙2の表でお示ししておりますとおり、「茶のしずく石鹸」の使用者に発生したアレルギーについては、平成23年10月17日までに医療機関から178例、製造販売業者から471例の報告を受けております。
 報告された副作用名を基に、食物依存性・運動誘発性アレルギーと思われる症例を集計いたしましたところ、医療機関からの報告が96例であり、このうち救急受診や入院が必要となったとされている症例が重篤としてお示ししております21例です。この21例のうち専門家の評価により因果関係が否定できないとされたのは11例です。その他のアレルギーの副作用名で報告された医療機関報告は82例あり、うち28例が救急受診や入院が必要な症例であり、このうち8例が因果関係が否定できないと評価された症例です。
 製造販売業者からの報告につきましては、全471報告中、食物依存性・運動誘発性アレルギーの報告が380件、うち救急受診や入院が必要なものが48件です。因果関係については、報告から得られる情報が十分ではなく評価の難しい事例が多いですが、救急受診や入院が必要であった48例のうち、因果関係が否定できないと専門家に評価された症例は5例です。その他のアレルギーについては、91報告中救急受診や入院の必要な症例が18例、このうち因果関係が否定できないと評価できたものが1例です。
 続きまして4ページの別紙3では、「茶のしずく石鹸」以外の小麦加水分解物を含有する医薬部外品又は化粧品の使用者に発生したアレルギーについてお示ししております。平成23年10月17日までに医療機関から4報告、製造販売業者から5報告ありました。なお、このうちの2例、表のNo.4と6については、医療機関と製造販売業者から重複して報告された同一症例であることが確認されています。
 報告された製品の種類としては、ヘアトリートメント、シャンプー、石鹸がございますが、これらはすべて異なる製品であり、現在までのところ、同一製品で複数の方にアレルギーが発症したとの報告はございません。報告された情報からは必ずしも評価が難しいですが、このうち3例については、食物依存性・運動誘発性アレルギーとしての因果関係が否定できないと評価されています。
 なお、これら3例が使用していた製品のうち含有する小麦加水分解物が「茶のしずく石鹸」と異なる物としてはNo.4の方が使用していた1製品がありますが、これは職業上頻回に曝露が繰り返された症例であり、今後とも同様の報告に注目していきたいと考えております。
 「茶のしずく石鹸」につきましては、引き続き、回収対象となっております製品についての注意喚起及び回収の徹底を指導していくこととしております。また、「茶のしずく石鹸」以外の小麦加水分解物を含有する製品につきましても、先ほど御説明いたしましたとおり、医薬関係者及び製造販売業者等に対し副作用症例の報告の徹底を通知しており、今後も副作用の発現状況を注視していくこととしております。御説明は以上となります。
○事務局 続きまして、一般用医薬品の使用上の注意及び添付文書記載要領について改正を行いましたので御報告させていただきます。資料5-2-1、5-2-2、5-2-3を御用意ください。
 まず資料5-2-1「一般用医薬品の使用上の注意の記載について」の改正でございます。平成11年に定めておりました記載要領を今回改正したものでございますが、主な変更点については、使用前後に相談することについての記載整備を行ったこと、外箱に記載すべき事項の見直しを行ったことでございます。4ページの中程を御覧ください。相談することとして新たに(3)(4)の2項目を立てるとともに、一般用医薬品の新販売制度の導入を踏まえ相談する相手として、医師、歯科医師、薬剤師に加え、登録販売者を追記しております。
 次に6ページの中程を御覧ください。第5としまして「外部の容器又は外部の被包の記載項目、記載順序及び記載要領」の項目を別立てで設け、新たに外箱に記載すべき事項としまして、「3.乳汁への移行性等から乳児に対する危険性がある医薬品に関する注意事項」と「5.専門家への相談の勧奨に関する事項」を追記し、購入時にこれらの注意を確認して購入できるようにいたしました。その他、リスク区分表示、医薬品副作用被害救済制度に関する表示についても記載要領に明記し、消費者相談窓口についても記載することといたしました。
 次に資料5-2-2を御用意ください。こちらは「一般用医薬品の添付文書記載要領について」です。使用上の注意の記載要領の改正、新販売制度導入を踏まえ、リスク区分の追記などの整備を行いました。
 最後に資料5-2-3、一般用医薬品の添付文書記載要領の留意事項についても記載整備を行いました。また、これらとは別に、使用上の注意の記載要領の改正点を反映して、かぜ薬等承認基準の制定されている14薬効群及び鎮静薬など承認基準の制定されていない22薬効群の計36薬効群と一般用漢方製剤263処方についても具体的な使用上の注意の見直しを行い、併せて通知を発出しておりますので、御報告申し上げます。以上です。
○事務局 続いて資料5-3「ゲフィチニブ服用後の急性肺障害・間質性肺炎等に係る副作用報告の報告例数及び死亡例数」について御報告いたします。資料5-3を御準備ください。ゲフィチニブ服用後の急性肺障害・間質性肺炎等に係る副作用の報告の件数については、これまでも安全対策部会や安全対策調査会の機会に定期的に御報告させていただいているところですが、今回は平成23年9月末までの状況についてアストラゼネカ株式会社よりデータが提出されましたので、御報告させていただきます。
 資料の1~3ページまでが、平成23年9月末までのゲフィチニブ服用後の急性肺障害・間質性肺炎等に係る副作用の報告の報告例数及び死亡例数の推移を月ごとにお示ししているものです。1ページ目がグラフで、2ページ及び3ページがそれぞれを数値にまとめた表となっております。報告例数については、累積で総数が2,275です。これは、前回報告時から49増えております。また、そのうち死亡例数については843で、こちらは前回報告時から13増えております。4ページは、ゲフィチニブに係る新規処方患者数及び継続投与患者数等について四半期ごとに整理をした表です。新規に投与される患者が、大体1,700名程度、継続されている患者の数については、大体8,000人弱で推移しているところで、特段の変化なく推移しています。以上です。
○五十嵐部会長 どうもありがとうございました。三つ説明をいただきましたが、事務局からの御説明に対しまして御意見、御質問はございますでしょうか。
○猪熊委員 先週の土曜日までアレルギー学会が開かれていまして、総会の中でも小麦加水分解物を含有する「茶のしずく石鹸」の話題が非常に重く、研究の経緯が報告された状況です。私もアレルギー科外来をしておりますが、後からあの症例はそうであったと思われる症例を経験しております。後に思ったことは、通常、薬剤による副作用だと想定すると、院の薬局からメーカーを通じて報告していただくというルートがありますが、これは薬剤ではないものですから、こういう場合の報告の上げ方がよく分からないということがあります。
 それから、後になって医療機関に周知徹底をするという施策をお採りになったということでしたが、これを拝見しますと地方自治体の長、あるいはその衛生部に対してという形かと思います。私は東京都の渋谷区に勤めておりますが、病院から特段の周知徹底というのは私のところには届かなかったと思います。そうしますと、例えば、日本医学会の中ではアレルギー学会が、関連案件をカバーする領域だと思います。学会はもちろん行政とは直接関係はありませんが、今は学会からニュースレターをネットで流すようになっておりますので、学会に勧告したり、あるいは学会が自主的にそうしているのかなど、その周知徹底のルートがどのようになっているのか、そのことを伺いたいと思います。
○五十嵐部会長 いかがでしょうか。
○安全対策課長 資料5-1の7ページでございますが、先生御指摘のように、今回の「茶のしずく石鹸」による全身アレルギーにつきましては、医薬部外品であったということで通常の医薬品とは違ってMRの方が病院に出入りしているわけではございませんので、病院から企業への情報提供がなかなかできないケースもあるだろうということで、改めて8月24日付の通知をもちまして、医療機関の先生方にも直接厚生労働省に報告をいただく制度がありますので、それを使って御報告を是非いただきたい、ということでお願いをしたところでございます。ただ、今御指摘のように、先生のお手元にはこの情報が届いていないということですので、また改めて考えなければいけないと思っておりますが、この情報については、今、先生から御指摘がありましたように、アレルギー学会、皮膚科学会とは、問題の起こりました早い時期から連携をさせていただいております。例えば、診断基準のようなものを学会としてもお作りいただいておりますし、また、なかなか診断が難しいということで、全国でこの診断をいただける医療機関のリストを学会のホームページで御提供いただきたいということをお願いしまして、今、相模原病院のホームページにリンクしたような形だと思いますが、全国で診断いただける医療機関名をリストにしていただいて、情報提供をしていただいたりしております。また、アレルギー学会の松永先生からは、この症状は、食物を食べて運動をすると全身アレルギーが起こるのですが、全身の蕁麻疹のようなものも出ますが、通常の食物依存性・運動誘発性アレルギーよりも、目が非常に腫れ上がるということで、眼科に受診する患者さんが多いということから、アレルギー学会と日本眼科学会にも御協力をお願いいたしまして、眼科学会からも眼科の先生方に、目に腫脹のある患者さんが来たときにはこういった事例も疑って皮膚科またはアレルギー御専門のところと連携をとっていただくように注意喚起をしていただいているところでございます。
○猪熊委員 ありがとうございました。今、商品の自主回収をしているわけですね。今後、問題の成分がほかの会社の石鹸なりに使われることは恐らくないのでしょうけれども、それを防ぐ手立てとしてはどんなことが考えられているのでしょうか。
○安全対策課長 具体的に株式会社悠香の石鹸に入っていた全く同じ原材料については、使用している製剤をできる限り特定いたしまして、それらについても自主回収がされておりますし、全く同じ原材料については、今後使用されないと思うのですが、これらは小麦を加水分解していった製品ですので、その加水分解の仕方ですとか、または加水分解の時間といいますか、どのぐらいのところまで分解したら危ないのか、あるいは、どのぐらいまで分解してしまえば危なくないのかということについて、今、国立医薬品食品衛生研究所でもいろいろ実験をしていただいております。当該製品に入っていた原料自体はもう使われないと思いますが、それ以外の小麦分解物についてどこまで注意をすればいいのかについては、そういった実験結果も踏まえて、例えば製品規格の整備ができるのか等は検討していきたいと考えております。
○五十嵐部会長 よろしいですか。
○倉田委員 回収をしているということですが、販売個数としては4,600万個ぐらいと聞いております。今現在、どのぐらい回収をしているかをつかんでいらっしゃいますか。
○安全対策課長 申し訳ありません。今、手元に正確な数字がありませんので、確認いたしまして、先生に御報告させていただきたいと思います。石鹸ですから、これまで売った数のうち、かなりのものはもう消費されてしまっているようでございまして、販売の数量に比べて実際に返ってきている数というのは、何千万個返ってきているというような状況ではないようでございます。
○倉田委員 この石鹸の売り方というのが、1個ずつ買うよりまとめて買った方が安くなるような感じの売り方をされているので、大量に買ってお友達で分けてみたり、御進物に使われたりというようなことがあって、もしかするとまだ死蔵品がたくさんあるのではないかと思うのです。ただ今、医療機関の先生方への周知徹底については伺ったのですが、では、一般国民に対してどれほど周知徹底されてこれが知らされているかということに関して、私はあまりテレビなどで見たことがないのです。この石鹸を使っている方たちの年齢層というのは中高年の方が多くて、今、盛んにインターネットを通じて、というお話が出ましたが、インターネットを使うのが苦手な方もたくさんあると思うのです。今日、傍聴の方々の中には報道関係の方もたくさんお見えになっていると思いますので是非、こういう症状が出たら専門家に行くようにとか、医療機関の一覧があるということも含めて、お知らせいただきたいと思います。こういう食物アレルギー、運動誘発性のアレルギーはとても珍しいようではありますが、一度かかってしまうと10年~20年ぐらいのスパンで全く小麦関係の食物が食べられなくなってしまうと、そのように聞いていますので、専門の先生にそういうコメントも付けていただきながら、一般の方々にこういうものが出ているというのを是非知らせてほしいと思います。悠香の会社の方にも是非、自社製品がこういうもので、今、回収をしているからできるだけ御連絡をいただけるように、というのを、製品のコマーシャルと同時に回収のことについても言っていただくようにしないと、本当に迷惑がかかっている方はたくさんいると思いますし、これからも増えていくように思います。被害者の方たちが救済の弁護団などをつくっていまして、弁護団体もあります。そのようになっているというのは非常に悲しいことです。是非、報道関係の方も、国民に対して報道をしていただけたらと思います。いくらかでも早く、もしかしたら使ったかもしれないけれども、石鹸でこういうことになったというのが分からずに、小麦アレルギーの治療を続けている人が非常に多いと伺っています。是非、よろしくお願いします。
○日野委員 加水分解小麦の入った石鹸に関しては、今、倉田先生がおっしゃいましたように、死蔵していらっしゃる方がたくさんおられて、いまだに私どものところでも、隠して大事に使っていて、実際にその事象を起こしておいでになる方があるのです。それがかなりひどくて、先ほども出ましたように眼瞼の浮腫と、口蓋まで浮腫になってしまって呼吸困難になって救急で搬送された方もおられるのです。そういうことを考えますと、是が非でも至急に、死蔵しないできちんと届けるようにと呼び掛けて回収していただければと思います。
 それから、4ページにありますが、加水分解小麦の成分が入っているものは、界面活性剤的に働くので泡立ちがよくて泡の保持にはいいのです。ですから泡立ちがよいということで入れるのですが、そのほかに、ここに書かれている以外の物品に入ってはいないのでしょうか。これらだけが加水分解小麦が入っている物品なのでしょうか。それは確かめられた方がよろしいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○安全対策課長 小麦加水分解物を含有する製品は、相当数ございます。業界を通じても調査をしてもらっていますが、相当数のものが一般的にこれまでも長い期間使われてきているというのが実態でございまして、そのすべてを使用禁止にするということはなかなか難しいと考えております。ですので、先ほど申し上げましたように、今、国立医薬品食品衛生研究所でも研究を続けていただいておりますが、どういう分子量のものが、またはどういう分解方法のものが原因となり得るのかについて、情報を収集していきたいと考えております。
○日野委員 こういう経皮吸収でアレルギーを獲得するような物品は、そのほかにはないのでしょうか。例えば、調べましたらば、絹の粉末を入れているような同じようなもので泡立ちをよくするような石鹸などもあるのです。そのほかに経皮吸収されやすいような、事象が起きてしまってからではなくて、その前に何か予防するような方法は講じなくていいのでしょうか。
○安全対策課長 その他の成分での健康被害はほとんど報告されておりませんので、先ほどの通知にありますように、先生方には、医薬部外品または化粧品であってもこういった健康被害については是非、直接御報告いただきたいということで、むしろ情報を集めて対策を取っていきたいと考えます。
○五十嵐部会長 少なくとも、「茶のしずく」という名前からは小麦が入っているとは思えないわけですね。ですから、製品にはそういうものをきちんと記載するというような指導が必要ではないかと思います。恐らく多種多様なものにこの類似のものが使われている可能性がありますので、今後、いろいろな形で周知徹底することが必要だと思います。これは、アレルギー学会だけではなくて内科学会とか、そういうところにも周知はされているのでしょうか。子どもはあまり関係ないから小児科学会の方には来ていないと思うのですが、アレルギー学会に限らず、もう少しドクター全般に伝えるように厚生労働省からの周知も、あるいは学会の雑誌、ホームページその他に掲載するようなことも御検討いただければ、少なくともドクターに広く伝わるのではないかと思います。その辺はまた御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○安全対策課長 8月24日の通知も、日本医師会はじめ、御関連のところには情報提供をしておりますが、どちらの学会にお願いしたかについては、今、手元に詳細な情報がありませんので、確認をいたしまして、引き続き必要な御協力をいただけるようにしていきたいと思います。
○五十嵐部会長 ありがとうございます。できれば消費者にも、という御要望なのですが、これはまた検討していただきたいと思います。
○高杉委員 日本医師会の高杉です。医師会では既に会報に載せていますし、ドクターの方にも周知をしております。
○五十嵐部会長 ありがとうございます。ほかに御意見はございますでしょうか。それでは、ないようですので議題5についてはこれで終了したいと思います。予定されておりました議題は以上ですが、事務局から何かほかにございますでしょうか。
○事務局 事務局の方からは特にございません。
○五十嵐部会長 ありがとうございます。先生方の方からもよろしいでしょうか。それでは、これで本日の部会を閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 安全対策課 課長補佐 広瀬(内線2752)

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