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2011年12月7日 第9回医療計画の見直し等に関する検討会

医政局指導課

○日時

平成23年12月7日(水)16:00~18:00


○場所

東海大学校友会館 阿蘇の間(35階)


○出席者

武藤座長
伊藤委員 尾形委員 神野委員 齋藤委員 佐藤委員(恒石参考人)
末永委員 鈴木委員 長瀬委員 伏見委員 布施委員 山本委員 吉田委員

○議題

次期医療計画の見直しについて

○議事

○石川室長 定刻を過ぎましたので、ただいまから第9回「医療計画の見直し等に関する検討会」を開催させていただきます。委員の皆様方には、本日も大変お忙しい中、また遠方よりご出席賜りまして誠にありがとうございます。本日の出欠状況についてですが、佐藤委員、中沢委員がご欠席です。佐藤委員の代理で恒石参考人が出席されております。齋藤委員は遅れて後ほど来られる予定です。
 資料の確認をさせていただきます。座席表、議事次第、構成員名簿、資料1、資料2、参考資料1、参考資料2です。本日の資料は以上です。カメラの頭撮りは以上とさせていただきますので、これからの写真等の撮影はご遠慮願います。以降の議事進行は武藤座長にお願いいたします。

○武藤座長 資料1について、医師確保等地域医療対策室の田辺専門官から説明をお願いいたします。

○田辺専門官 資料1の1頁「医療計画の見直しの方向性について」は、これまでの議論を踏まえたまとめになっております。1つ目の○は、二次医療圏の設定についてです。二次医療圏の人口規模が、患者の受療動向に大きな影響を与えていることから、医療計画作成指針において、一定の人口規模及び一定の患者流入・流出割合に基づく、二次医療圏の設定の考え方を明示し、都道府県に対して見直しを行うよう促す。
 2つ目の○は、疾病・事業ごとのPDCAサイクルの推進についてです。全都道府県で入手可能な指標等を指針に位置づけ、都道府県がその指標を用いて現状を把握すること。把握した現状を基に課題を抽出し、課題を解決するに当たっての数値目標を設定し、その目標を達成するための施策・事業を策定すること。定期的な評価を行う組織(医療審議会等)や、時期(1年ごと等)を明記し、施策・事業の進捗状況等の評価を行うとともに、必要に応じて施策・事業を見直すこと。これらの情報を住民等に公開すること、といったプロセスを、医療計画作成指針に明示し、都道府県の医療計画の実効性が高まるよう促す。
 3つ目の○は、居宅等における医療の充実・強化についてです。医療連携体制の中での役割を充実・強化するため、居宅等における医療体制構築に関する指針を示し、医療計画に定める他の疾病・事業と同様に、都道府県が達成すべき数値目標や施策・事業等を記載することにより、医療計画の実効性が高まるよう促す。
 4つ目の○は、精神疾患の医療体制についてです。医療計画に定める疾病として、新たに精神疾患を追加することとし、その医療体制の構築に関する指針を策定することにより、都道府県において、障害福祉計画や介護保険事業支援計画との連携を考慮しつつ、病期や個別の状態像等に対応した適切な医療体制の構築が行われるよう促す。こういうことが議論されてまいりました。
 5頁の「医療計画作成指針」の見直しのポイントについてご説明させていただきます。6頁です。二次医療圏の設定については、一定の人口規模(概ね20万人未満)の二次医療圏について、医療の需給状況を踏まえ、入院医療を一体の区域として提供できているかを検証し、特に流入患者割合が20%未満、流出患者割合が20%以上であった場合は、設定の見直しを検討する。下段の左側が現状の医療計画作成指針に書かれている文言です。右側に見直し案を赤い字で記載しております。
 7頁は、二次医療圏の見直しに向けた検証の手順について示した図です。現行の二次医療圏は349ありますが、まずこの人口規模を確認していただきます。その中でも人口20万人未満の二次医療圏といった所は、入院医療を一体の区域として提供できていない可能性もありますので、病院の療養病床及び一般病床の推計入院患者の受療状況を特に重点的に見ていただきたい。
 その中で、患者さんがその圏域内に入ってくる割合に比して、患者さんが出ていっている割合が高い流出型となる医療圏について、この場合は流入率20%未満、流出率20%以上といった医療圏については、その医療圏の面積や、基幹病院までのアクセスなども考慮し、主な流出先がありましたら、そういう医療圏との一体化など、二次医療圏の見直しを検討していただきます。なお、二次医療圏の設定を変更しない場合には、その考え方を明記していただく、あるいは医療の需給状況の改善に向けた検討を行う。こういう形で見直しをしていただくのがよろしいのではないかと考えております。
 右側に少し述べてありますが、人口規模にかかわらず、医療計画を見直す際には、すべての医療圏の現状について検証を行うことが必要となってきます。
 次の頁は参考資料として、各都道府県の人口20万人未満の二次医療圏の現状を載せてあります。左側からいくと、昭和63年の二次医療圏数、平成22年の医療圏数、カッコ内は島部が書かれております。その次に人口20万人未満の二次医療圏数、島の部分は除いております。次の所が20万人未満、かつ患者流入率が20%未満で、流出率が20%以上である医療圏数が書かれております。右下の黄色く示しておりますのがその合計値です。人口20万人未満の二次医療圏は151、そのうち14については被災3県ということで今回は対象外としております。その隣の87が、人口20万人未満、かつ流出型を示している医療圏で、そのうち12が被災3県ですので、その引き算をすると75医療圏が、こういう考え方でいくと当てはまることになります。これは、あくまで平成20年度の患者調査を用いたものであることはお断りしておきます。
 都道府県別の現状については、参考資料1を別に付けておりますので、そちらのほうをご参照ください。そちらの地図で、左側に人口を色で示しております。右側に患者さんの流入・流出割合を色付けして、人口が20万人未満の所は色を塗ってありません。患者さんが流出型を示しているような所はピンク色で示しております。その両者が交わった所を下段に色で示しておりますのでご参照ください。
 元の資料の9頁です。PDCAサイクルについて、5疾病・5事業及び在宅医療の現状把握の指標についてです。ここは再度確認になりますが、現状把握の指標について、今回例示する指標については、医療圏の現状を把握するために用いる指標で、その後のステップで出てくる数値目標とは一緒でないということをご理解いただいた上で話をお聞きいただけたらと思います。
 黄色のカッコ内は、5疾病・5事業及び在宅医療の指針において、指標例を提示するに当たっては、○1病期や医療機能ごとに分類。○2ストラクチャー・プロセス・アウトカムという要素を指標に盛り込む。○3 5疾病・5事業及び在宅医療ごとの指針の別表に記載する。○4基本的には情報源を併せて提示する。こういう工夫をすることで、都道府県が情報を把握しやすくする。その際、公的統計の公開データなど、全都道府県で入手可能な指標を必須指標、独自調査や個票の解析などのデータ解析が必要となりますが、入手可能と考えられる指標については推奨指標、こういうものを定めることで、医療計画に原則記載していただく。
 10頁は「課題の抽出、数値目標の設定、施策・事業の策定について」です。先ほどご紹介いたしました指標で、まず現状を分析していただきます。その際、病期ごと、あるいはストラクチャー・プロセス・アウトカムといった要素もいろいろ考えた上で、その中で地域の医療提供体制の課題を抽出していただきます。その抽出した課題を基に数値目標を設定する。さらに数値目標を達成し、医療提供体制をより充実させるために、施策・事業を策定して、それを記載することになっております。
 11頁は「医療計画の評価・公表について」です。医療計画、5疾病・5事業、在宅医療、医療従事者の確保、これは後にまた議論がありますが、これらに関する取組みについて、定期的な評価を行う組織、例えば医療審議会等、それから評価時期(1年ごと等)を明記し、施策・事業の進捗状況、あるいは目標に掲げた数値が経年的にどのように推移しているかを把握・評価する。また、そのような評価結果をホームページ等で公表することになっております。
 12頁は「医療従事者の確保に関する事項について」です。13頁の図は、地域医療支援センター、これは厚生労働省医政局の事業ですが、その概要を示した図です。右上の点線のカッコ内ですが、医師の地域偏在、特に都市部への医師の集中の背景として、高度・専門医療への志向、都市部の病院へ戻れなくなるのではないかといった将来の不安などがあります。一方で右下の緑で囲まれている所は、医学部定員における地域枠の推移(1年次)ということですが、年々地域枠の医師数が増えてきています。こういう医師たちをどう地域に根付くよう育成していくかといったことも背景としてあります。このような背景を踏まえ、地域医療支援センターがつくられてきました。
 その目的は上段に書いてあります。都道府県が責任を持って医師の地域偏在の解消に取り組む。地域枠の医師や、地域医療支援センター自らが確保した医師などを活用しながら、キャリア形成支援と一体的にしていく。これらの地域医療支援センターというのは、あくまで専任の実働部隊であるということで、喫緊の課題である医師の地域偏在解消に取り組むといったものです。下段の枠内ですが、地域医療支援センターの事業は平成23年度から始まり、15県で実施されております。来年度については、事業開始に意向を持つ15箇所を加えて、合計30箇所の運営経費を要求しています。
 14頁は「地域医療支援センターの業務」です。1つ目は医師確保の支援として、左上の情報分析・方針策定のところです。医師の情報を把握・分析し、優先的に対応すべき地域や診療科等の方針を策定する。こういう情報分析が1つの業務としてあります。2つ目は、地域医療に従事することへの不安の解消ということで、本人の意向も尊重しながら、地域の医療機関と県内の中核病院とのローテーションを経験する中で、専門医(認定医)の取得をできるような、そういうキャリア形成を支援していくということ。3つ目は、情報発信・コーディネートです。県内外の医師、医学生、高校生といった学生のときからのさまざまな相談に対応する。こういうことが、地域医療支援センターの業務として考えられております。具体的な取組みについては参考資料2のほうにお示ししておりますので、後ほどご覧ください。
 15頁は「医療対策協議会と地域医療支援センターとの関係について」のイメージ図です。医療従事者の確保等については、医療法第30条の12に記載されておりますが、この中で救急医療等確保事業に従事する医療従事者の確保をはじめとして、都道府県において必要とされる医療の確保に関する方針などを定めるため、都道府県が中心となって地域の医療関係者と協議を持つ場として、医療対策協議会があります。こちらのほうで医師確保等の方針を決めていただきます。そういたしまして下段にある地域医療支援センターとしては、医療対策協議会で決められた方針に則り、実働部隊として都道府県が責任を持って喫緊の課題である医師の地域偏在解消に取り組む。こういう取組みの状況をまた医療対策協議会のほうに報告するという関係になっております。
 16頁は、「医療従事者の確保に関する具体的な取り組みの記載について」、現行の医療計画では、医療従事者の確保に関する事項として、医療対策協議会で決定した具体的な施策、医療従事者の確保の現状及び目標を記載することとなっております。今後、医療従事者の確保を一層推進するために、この上記の事項に加えて、地域医療支援センターにおいて実施する事業など、またこの事業自体は現行は15、来年度は30を予定しておりますので、それ以外の同様の事業も含め、実施される事業について医療計画に記載し、都道府県による取組みをより具体的に明示することとしてはどうか、ということを論点提示といたします。
 次は頁数がありませんが、「指標例の選定の考え方について」です。18頁は、疾病又は事業ごとの医療体制についてで、この中に指標が出てきます。19頁には「必須指標」と「推奨指標」ということで、これらの考え方については前回の検討会でご議論いたただきました。
 20頁は、「指標の整理の基本的な考え方」として、現行指針に記載されている指標があります。こちらについては、データの入手の可能性を検討し、全都道府県で公的データの公開データで取れるものに関しては必須指標、また、独自調査等で入手可能なものについては推奨指標、それ以外のものという形で指針の別表(案)として掲載しております。学会等からの意見に基づく指標例についても同様の整理をし、必須・推奨といった入手可能性の観点から見たときに、当てはまらないものについては要検討指標ということで、後に別の表としてお示ししております。
 今回の指標例については、現状把握をできるだけしていただきたいという前提のもとに、入手可能な指標を中心に例示をする。その中で病期、ストラクチャー・プロセス・アウトカムごとに分類する中で、いろいろなデータを分析していただきます。その中で、さらに調査が必要なものが出てきたら、都道府県独自に調査をしていただくことを検討しております。
 21頁には、がんの指標例(案)が載っております。縦軸にストラクチャー・プロセス・アウトカムが載っていて、横軸に予防、専門診療、標準的診療、療養支援ということで病期、医療機能ごとに分類されて指標の例が出されております。その後、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、救急、災害、へき地、周産期、小児、在宅ということで指標例の案が示されております。精神については資料2のほうにありますので、後ほどご議論いただければと思います。
 31頁は「要検討指標」です。学会等から、追加すべきとのご意見をいただいた指標のうち、新たな調査が必要となりデータの入手が困難である等の理由から、指標例として記載していない指標(要検討指標)は以下のとおりで、31頁、32頁にわたって掲載されております。これらの指標のうち、関係学会・団体等が、都道府県に対してデータを提供できる場合は指標例として記載することを検討してはどうか、ということを論点提示したいと思います。
 例えば、がんの下から2つですが、「がん専門医の数」「がん専門薬剤師の数」といったものは、それぞれ学会等のホームページに載っておりますので、こういうものは学会等からのデータの入手が可能といったことも考えられると思います。資料の説明は以上です。

○武藤座長 ご意見、ご質問がありましたらお願いいたします。

○伊藤委員 今度のPDCAで実績を評価しましょうというのは、大変素晴らしい試みだと思っています。本日お話をいただいた中で、11頁の計画を評価して公表しようという中で、5疾病・5事業、在宅医療について評価を見ていきましょうということなのですが、これはどういう形で評価をするのか。例えば20%以上流出するような医療圏だけを抽出して評価をしていくのか、あるいは全体だということになると350に近い医療圏を、しかも1年毎年見直していこうということですから、21頁からの項目は膨大な量があります。これをどこかの審議会で、そのついでに片手間でこれを評価していくことになると、なかなか成果が上がらないような気がして心配しているのですが、これが1点です。
 もう1点は、医療従事者の確保の件です。これは、地域医療が崩壊しかけているいちばんの原因である医師の確保に尽きると思うのですが、現実として民間医療機関の現状をお話申し上げますと、医師の不足と同時に、看護師の需給の不足感が非常に強いのです。看護師の充足ができないために、病棟がオープンできない事例もあり、それが地域医療にとって大きな足枷になっている実態があります。これは、医師需給の計画も重要ですけれども、同時に看護師の需給の計画もここで同じように立てていただかないと、地域医療は確保できないという大変な危機感を持っています。こういう点はどのようになっているかを教えてください。

○田辺専門官 1点目については私のほうからご説明させていただきます。現状把握の指標というか、現状把握のところなのですが、その中で医療圏の設定そのもの、圏域の設定というのがありますので、それはそれでやっていただきます。圏域を決めた中で、いくつかの指標をもって、それぞれの圏域における課題を挙げていただきます。その指標自体の数は非常に多いですけれども、それはそれぞれストラクチャー的な、例えば病院があるのか、そこに医師がいるのか、実際その中でどのような医療が実態として行われているのかとか、そういうことを総合的に考えた上で、この医療圏では今こういった課題があるというように、課題を抽出していただきます。その課題を解決するためにどういう目標の数値を立てて、そのためにどういう施策を打つのか。
 それぞれの疾病・事業ごとに、最終的に挙がってくる課題とか目標というのは、この数とは全然違った数になると思います。その自分たちで挙げた目標・課題について1年毎に実際に行った施策がちゃんといっているのか。例えば3医療圏を5医療圏まで増やしますということであれば、1年後にちゃんと4医療圏になっているのかということを見ていただきたいということです。現状把握の指標について公的データで取れるものなどについては、また定期的に大きなスケールの中で、何年か経ったときに良くなっているということは見てもいいと思います。
 実際に挙げた目標、あるいは課題が順調にいっているのかということを経年的に追っていただきたいという意味です。現状把握の指標と、数値目標は分けて考えていただけたらと思います。

○武藤座長 基本的には、PDCAサイクルを回すのは都道府県の中で回してチェックをしていただくということですね。

○田辺専門官 はい。

○武藤座長 それでは、2点目をお願いいたします。

○石川室長 2点目の、医師の確保に加えて看護師の確保も重要ではないかというお尋ねだったかと思います。現行の指針でも、医療従事者の確保のところで、医師、看護師、歯科医師、薬剤師等について記載するようになっております。ご指摘のように、看護師の確保についても、実際に取り組んでいる施策を具体的にお書きいただくということを示したいと思います。

○神野委員 伊藤先生と重なるところもあるかもしれませんが、前回も、これは地域間競争であって、どこの県が優秀で、どこの県が仕事をしていないかというのを、国民、県民にわからせるべきであるとお話しました。そういう意味では、各県の独自性があってもいいかということを前回申し上げたかと思います。今回は必須項目と推奨項目とその他に分けたということで、独自性が少し出やすいのかということは評価したいと思います。
 いま伊藤委員がおっしゃったのと同じように、11頁でPDCAの話です。PDCAですのでCだけでは駄目なのです。Cは1年に1回と書いてあります。私も県の医療審議会へ出ていますけれどもほとんど数字で、それではどうするのと言ったら、その次の医療審議会ではこのチェックが翌年になってしまいます。Aは年に1回でいいのかということです。チェックはいいのですけれども、その後の見直しの施策をどういう場で検討して、どこに対して見直したということを言うのかを県に言わなくてもいいのですか。県に指針を示さなくてよろしいのでしょうかというのが1点目です。
 2点目は、5年間の医療計画の間にはその地域も変わります。例えば、ドクターヘリが1機入っただけで、救急体制は全然変わってしまうかもしれないです。今回の税と社会保障の一体改革のように、政治あるは行政マターでいろいろな指標が変わってくる。例えば、地域包括ケアという話になってきたら、小規模多機能施設はどうなのですかという話になったときに、そんなのは書いてないということになる。この変更のタイミングというのを、これからはどういうふうに入れ込んでいくのでしょうか。見直しの検討委員会で年度内にやって、その後どういうタイミングでまた変更を見ていくのか、その役割はどういう所にやらせるのかというのが2点目です。
 3点目は、医師の偏在のところで、地域医療支援センターの話です。実際の偏在の基になるデータというのは、民間病院も公的病院も、その地域に何人の医師がいてというので、偏在ある・なしというデータが出ます。ところが支援センター、あるいはいろいろな地域枠等の医師に関しては、公的病院だけという対象になってしまう懸念をしております。何らかの形で5疾患・5事業に、地域医療計画の中で記載されているような医療機関に関しては、「この地域枠等に関して考慮すべし」というのを是非入れておいていただきたいということです。

○石川室長 1点目の、PDCAのAの部分のことですが、前回の資料で少し触れさせていただきましたが、やはりチェックをして、どういう改善策をするのかということはセットで審議会でご議論いただきたいと思っております。できれば県で評価する際に何か参考になるようなものを示したいと考えています。新たな計画は平成25年から始まりますので、平成26年にまず1回目の評価をしていただくことになるかと思います。それまでに少し準備ができないかといま検討しております。
 2点目の、状況が刻々と変わる場合の見直しということですが、まだ私どもでも検討している途中ではあります。国のほうでも、県で取り組んでいただいている状況を、何らかの形でフォローする必要はあると思っております。その過程で指標の参考になるようなものとか、何かそういうものがその時点で適時お示しできるようなことがあれば、それは通知を出すなり、少し柔軟にしていきたいということはいま検討しております。
 3点目の地域医療支援センターからの派遣の対象病院ですが、これは公的病院に限ったことではありません。
○吉田委員 評価の点については、伊藤先生がおっしゃったように、中央の評価と県の評価と2つがあり得ます。それを一元的にやろうとすると大変なことになると思うのですけれども、その辺の切り分けはどうされるのかをお聞きします。もちろん県で毎年毎年評価するのはいいのですけれども、その全県のデータを1箇所に集めて何かやるというような仕組みは用意されていますか。

○石川室長 基本は、県でしっかりやっていただくことになります。

○吉田委員 しかし中央で評価しないと、仲間内でワーワーやっているだけで、問題点が表に出て来ません。その辺は中央評価みたいなものがあるといいかと思うのですが。

○石川室長 検討させていただきます。

○尾形委員 前回欠席してしまったので見当違いの議論なのかもしれないのですが、1点確認させていただきたいのと、2点コメントをさせていただきます。確認したいのは、7頁の二次医療圏の見直しの対象として、人口20万人未満の二次医療圏で、さらにその流出型ということで抽出しています。流出率20%以上というのはわかるのですが、流入率20%未満というのはどういう考え方ですか。流入率が低いというのは、ある意味では完結しているとも取れるので、その辺の考え方を確認させてください。
 以下はコメントです。10頁の見直し案で赤い字で書いてあるところで、「課題を抽出する」の後の「さらに、抽出した課題をもとに、評価可能で具体的な数値目標を設定し、目標達成のために策定した施策・事業を記載する」というのはそのとおりだと思うのです。問題は、2回目の私のプレゼンテーションのときにも申し上げたのですけれども、先ほど来、CとAの話が出ていますが、PとDのところです。プランを立てて実行するというところを放っておくと、いつものことですが、総花的な施策がずらずら羅列されてしまうおそれが非常にあると思います。
 ある程度こういう施策をこれだけやると、こうした効果が出るはずだということを出していかないと、後でその施策のチェックをするといっても、あまり意味がなかったということにもなりかねないのではないかと思います。例えば、毎年国や地方の予算を作るときに、その概算要求をするときは、これだけのことをやれば、こういう効果があるはずだというのを出して要求しているはずなので、少なくともそのぐらいのレベルの定量的なものが必要なのではないかと思います。
 2点目のコメントは、19頁の必須と推奨を分けたというのは、先ほど神野委員もおっしゃったように私もいいと思います。ただ、これを拝見すると必須指標というのは、全然分析しない指標ばかりだという感じがします。もう少し分析があってもいいのではないか。下の推奨指標の○1「分析を要するが、公的統計等から入手可能な指標」とあります。もちろん複雑な分析を全部にやらせるのは無理かもしれませんが、非常に重要なもので、そんなに難しい分析でないのであれば必須に挙げてもいいのではないかという気がします。これで見ると全都道府県が実行するのは、とにかく今ある指標を集めるだけで、分析をしなくてもいいとは言いませんが、推奨にとどまるというのは、ちょっとどうかなという感じがいたします。

○田辺専門官 流出率の件ですが、第6回のときに検討させていただきました。基本的に流出も多くて、流入も多い所というのは、患者さんが行ったり来たりしているということですので、今回提示した流出型というのは、流入率が低い地域ということで切っております。

○石川室長 流入が多い所は、都市部の近郊にあるような所が割合多くて、ある程度の医療資源もあり、流出も流入も多くなっているような所というイメージです。

○尾形委員 流出は「以上」だけれども、流入は「未満」と書いてあります。

○石川室長 今回検証していただきたいのは、出ていくばかりで患者さんがあまり入ってきていない所、医療資源が薄い所といいますか、そういう所を今回は対象にしているということです。

○末永委員 大体はわかりました。課題の抽出をして現状を把握するというのはまさにそのとおりですけれども、事実はそれぞれの地域で、課題も問題点もみんなわかっている。わかっているけれども、なんともならないという現状があります。それは、特に周産期です。周産期だとか、新生児の問題については、課題がわかっていてもなんともできない、そういう地域に対して都道府県はどう関与していただけるのかということまで含めていかがでしょうか。

○石川室長 難しい問題なのですけれども、今回かなり具体的な見直しの方向性を提示させていただきました。これまでの検討会でもご指摘いただいておりますが、良い取組みをしている県の情報を広く公開して、改善が難しい県についてはそういう良い所の取組を参考にしていただくといった目的も、前回の見直しから指摘されていますが、今回それを十分にやっていこうと思っております。そういう中で参考にできる取組みがある場合には、各県見比べていただいて、取り込んでいただいたらどうかと思っております。

○鈴木委員 私も、前回は中医協と重なっていて出られなかったのですが、だいぶ議論が進んだような感じがいたします。医療計画に関しては、在宅医療も含めてですが、あくまで地域の医療関係者、住民、行政が立案するというのが基本であります。医療法にも「都道府県は基本方針に即して、かつ地域の実情に応じて医療計画を定める」と書かれておりますので、策定指針を作るのはいいのですけれども、それによって画一的なものを作ることのないようにしていただきたいということが1つです。
 もう1つは、医療計画ができた場合、それが後々医療費抑制政策とか、医療費適正化計画などとリンクしていかないようにしていただきたいということです。それから、いま出てきました二次医療圏は一定の要件で改変していくとのことですが、それに関しても都道府県によって、いろいろな地域の実情があると思いますので、それらの地域の実情も重視していただきたいと思います。
 いま末永先生からもありましたように、地域医療計画の数値目標が達成できない場合、ペナルティを科すということではなくて、逆にどうしたらその足りないものを実現できるのか、必要であれば公的な補助とか、そういうものを投入して実現できるように働きかけるようにしていただきたいということをお願いいたします。
 さらに、精神疾患が5疾病・5事業に加わったわけですが、それに当たっては精神科病院のご意見も大事なのですけれども、精神科には診療所の先生方も増えていますので、そういうご意見も聞いていただきたいと思います。

○山本委員 大きな視点での議論の中で、細かな議論になってしまって申し訳ないのですが、いま皆さん方がお話になられた、医療計画でPDCAサイクルが適切に回り、地域の中できちんとした計画を立てるために、しっかり監視をすることについては私も賛成です。PDCAをきちんと監視をすれば、十分に機能するのだろうと思います。
 その上で20頁に、今回の指標の整理をした前回も出ていた基本的な考え方というのがあります。先ほどもどなたかもおっしゃっていましたが、必須と推奨というと、いかにも片方は一生懸命やれ、片方は適当でいいよと取られがちで、そのうえに、それ以外があるというので必須も推奨も医療計画を立てる上では必要なことなので、ここの趣旨はよくわかりましたが、字面から誤解がないような通知を出していただければと思います。
 その上で、いくつか細かな点について、それぞれの指標例の中でお願いをしておきたいのです。まず21頁のがんのところです。要検討指標○1というのが31頁に載っています。がん関係は、抗がん剤の混合であったり、がん専門薬剤師の数が挙がっております。がん専門薬剤師については、日本医療薬学会で数字が押さえられますし、抗がん剤の混合・調製については日本病院薬剤師会で調査をしておりますので、ここで言えば必須でないにしても、推奨指標としては十分に挙がってくると思います。ストラクチャー指標のどこかにきちんと埋め込んでいただいて、正確な数をつかんでいただきたい。それが、がん医療体制の構築にも貢献すると思います。
 21頁に戻りまして、療養支援のところで、麻薬小売業者の免許を持った薬局を挙げていただいて、これは大変ありがたいと思います。その一方で、緩和ケアが提供できる訪問看護ステーションの数が指標にされていますが、緩和ケアには麻薬の供給が必要になりますので、訪問看護ステーションだけが緩和ケアではないと思いますので、薬局もその並びで整理していただければと思います。薬局も医療用麻薬を提供するという意味では、在宅緩和ケアに関わる施設という視点で指標整理して数を勘定していただきたいと思います。
 ストラクチャーの専門医療と標準的診療のところで、「外来化学療法の実施体制が整備されている医療機関」という記載があります。がん化学療法については、診療報酬上も評価されていますので、チーム医療体制が整っているという指標も要るのではないかと思います。
 在宅関係では、地域の中で連携が取れて職種間連携が取れているような体制を組んでいる。例えば行政が主導して、多職種連携の体制が組まれている地域があると思うのです。これについては、日本薬剤師会でも、在宅支援のためのアクションプログラムを動かしていて、各支部ごとにこうした体制があるかどうかをチェックしておりますので、こうしたものも指標として、在宅医療の中では必要な項目であろうと思いますので、ストラクチャーの中に書き込むような方向で検討願いたい。
 また、指標の要検討指標○1の中の、抗がん剤の混合についてはアウトカム指標で、がん専門薬剤師はストラクチャー指標に是非戻していただいて、推奨指標としての表記をお願いいたします。
 それから災害の件なのですが、これはほかの検討会のほうへ薬剤師の委員が出ておりますので、場合によっては繰り返しになるかもしれませんが、救急の場合はなかなか難しいのですけれども、今回の震災を見てみますと、災害の後の慢性疾患の方々への薬の供給が十分にできなかったことが挙げられています。ここがストラクチャーなりプロセスの指標になり得るのか、もしなじまなければ事業としてでも結構ですが、今後の災害時における医療体制の構築の中には、急性期だけではなく、ある程度安定した後の医薬品の供給についても、事業としてご検討いただければ大変ありがたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○齋藤委員 医療従事者の確保に関する事項について、地域医療支援センターにおいて実施する事業を少し詳しく明示してはどうかという提案が挙げられています。先ほど、看護職不足も大変深刻な問題だというご意見もありました。このことについては私どももそのように感じております。いま看護職の人材確保については、各都道府県にナースバンク事業というものがあり、そこで無料職業紹介を、マッチングを行いながら実施している状況です。医療従事者の確保に関する具体的な取組みについては、各都道府県のナースバンク事業等の実施状況、どういう内容を行っているのかといったようなことも記載ができるのではないかと思っています。
 要検討指標のところで、関係学会や団体等がデータを提供することができる場合は、指標例として記載することとしてはどうかという点についても、がん、脳卒中、糖尿病、精神疾患等について、私ども日本看護協会が、領域ごとに専門的な教育を付加して認定を出している資格制度があります。こういう認定看護師、専門看護師の活用についても、私どもの所にデータがありますので、是非医師の専門性のほかにもこのような看護職、いわゆる療養の支援を専門とし、その上で専門的な教育を受けた看護職の活用も考えていくべきだと思っておりますので、こういうデータも記載の中に含められるのではないかと思っております。
 評価指標全般に関して、どの指標のところにも、アウトカム指標が非常に不足している状況があります。全く示されていない分野もあるという状況ですが、これからアウトカムの指標についてはいろいろな研究等々も進んでいくであろうとは思います。次回の医療計画の策定を見越して、例えば在宅医療のアウトカムとは何なのかということについて、少し考え方の整理、それからデータ収集の体制を整えていくべきではないかと思っております。
 これは質問なのですが、進め方についてです。今回は精神疾患も含め、がんや脳卒中等、分野ごとの指標例が出ています。これについては、この場で全部一つひとつ審議をしていくのかということです。資料のいろいろな内容をもう少し見て、こういうことも挙げられるのではないかということについては、後日また事務局にご提案なり提出をすることは可能なのかどうかを伺います。

○石川室長 今回は、現状把握のための指標ということでお出ししておりますけれども、こちらについては既に一度は各関係団体からご意見をいただいたもので、盛り込めるものは盛り込んでおります。本日、これを一つひとつ良い、悪いということではなく、先ほどお示しした必須指標であるとか推奨指標、または印を付けずに例示として載せるものの考え方をご了解いただければ、これに則って再度細かいところは整理をさせていただきたいと思っております。
 人材確保のところでコメントをいただきました。看護師・保健師・助産師については、現在も医療計画の中にナースバンクをやっています、といった取組は既に記載されております。いまご指摘いただいたような、もう少し具体的な取組みや数字の記載を今後は求めていきたいと考えております。

○布施委員 全般的にこの方向性でよろしいのではないかと思うのですが、是非お願いしたいのは、作成に当たって、都道府県に対して十分な説明をお願いしたいというのが1点です。
 もう1つは、健保連で今年の7月に、医療に関する国民意識調査を行いました。その中の質問に「医療計画を知っていますか」という問いを出したところ、「知っている」と答えた方が11.7%いました。2,000人の方に伺っていますので、11.7%が高いか低いかというのは別ですけれども、今後医療計画の認知度を高めていく必要があるのではないかと思います。
 都道府県や市町村のホームページ、あるいは広報紙等にわかりやすい要約版をのせるなど、住民や患者に対して十分知らしめる工夫を今回の医療計画の中へ盛り込んでいただきたいと思います。

○武藤座長 ありがとうございました。それでは、次の「精神疾患の医療体制構築に係る指針について」、精神・障害保健課の中谷課長補佐からご説明をお願いします。

○中谷補佐 資料2をご覧ください。前回、精神疾患の医療体制構築に係る指針についてご議論いただきました。そのイメージ案ということで、2頁が病期別、3頁が状態像別でお示ししました。その際にいただいたご意見と、省内の関係部局の意見もいただいて修正を一部入れています。
 まず、2頁ですが、治療~回復の関係機関に「薬局」を追加しています。また、回復~社会復帰の部分で、職場の対策も重要ですので、「職場の産業医、ハローワーク、地域障害者職業センター」を追加しています。それから縦軸で、求められる事項、とのみ書いてあったのですが、ここは「医療機関に求められる事項」という内容で整理していますのでそれを明記しています。予防の部分で、一次予防を行うとなっていましたが、これは医療機関はそれに協力するということですので、その部分を一部修正しています。あと、評価指標の部分で「地域連携クリティカルパス導入率」とありますが、ここは(GP)連携とだけ書いてあったのですが、指標として「身体科~精神科」を説明で追加しています。
 3頁の状態像のいちばん右の部分です。前回、身体合併症の専門的な疾患の場合について、歯科疾患等も含まれるのかというご質問がありましたので、目標の部分に専門的な身体疾患の例示として、「腎不全、歯科疾患等」と追記しました。併せて、関係機関の部分でも診療所の中に「歯科診療所」も入れさせていただきました。同じ部分の機能のところで「緩和ケアを含む」というのを削除していますが、これは、がんの部分で主に記載しますので、そちらの記載を中心にして、あえてここでは記載しないとして削除させていただきました。
 4頁です。前回ご議論いただいて、うつ病と認知症については、よりわかりやすく別にまとめるということでしたので、うつ病の場合の医療計画のイメージを整理しました。これは精神疾患の病期別のイメージ案をベースに、特にうつ病で大事だと思われる部分を赤字で追加修正しました。特にこの中では、アクセスの部分で、症状が出てから精神科医に受診できる機能の目標のところに、「うつ病の可能性について判断ができる」ことを取り込みまして、関係機関には「職場の産業医」を追加しました。また、医療機関に求められる事項の中には、うつ病の可能性について、より判断ができて円滑に精神科医に紹介できるような取組みへの参画ということで、「身体科医と精神科医との連携会議等への参画」や、新たに「自殺未遂者やうつ病等に対する対応力向上のための研修等への参加」「職域等の保健医療サービス等との連携」といったものを追加させていただいています。
 また、治療~回復の部分ですが、ここは目標の部分に「うつ病の診断ができる」ことを入れまして、医療機関に求められる事項の中に「うつ病とうつ状態を伴う他の疾患について鑑別診断ができる」「うつ病の重症度の評価ができる」「患者の重症度に応じた、適切な精神科医療を提供できる」「重症度に応じて、他の医療機関との連携がとれる」といったことを追加しました。また、職場のメンタルヘルスの観点から、「産業医等を通じた連携により、復職に必要な支援を提供」と追加しています。
 回復~社会復帰のフェーズについては、関係機関に、先ほど追加しました「職場の産業医、ハローワーク、地域障害者職業センター等」を追加しまして、それとの連携を医療機関に求められる事項に追記させていただきました。
 参考までに欄外には、うつ病に関する施策、前回参考資料でお示ししたものを一部抜粋して載せています。
 5頁は、認知症についてのイメージ案です。認知症については、いちばん下の○にありますように、ちょうど本年11月29日に、省内に老健局を中心として関係部局によるプロジェクトチームを設置しまして、厚生労働省全体の認知症施策を検討する予定としていますので、その内容を踏まえて作成したいということもありまして、まだポイントだけを示した資料とさせていただいています。
 ポイントとしては、5頁の1つ目の○にありますように、精神疾患の医療計画イメージ案を参考としまして、例えば病期としては、認知症の進行予防の部分、専門医療機関へのアクセスの部分、地域生活の維持の部分。状態像としては、BPSD、認知症の周辺症状や身体疾患等が悪化した場合の受入れ体制といったことに分けて、それぞれ目標や医療機関に求められる事項を作成してはどうかと思っています。
 2つ目の○ですが、既に精神医療の観点から、ここに示した検討チームで医療体制についての議論をしています。これは、同じ資料の12頁、13頁をご覧ください。医療に関しては13頁の「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム(第2R:認知症と精神科医療)」として、認知症と精神科医療の今後の方向性ということでまとめています。上が主に医療に関する部分で、いちばん上の囲みの左側に、例えば「地域での生活を支えるための精神科医療」や、同じ囲みの右手の部分に「地域全体の支援機能」「認知症疾患医療センター」の整備といったようなことや、そのすぐ下の部分に「BPSDを有する患者への精神科医療」「身体疾患を合併している認知症患者への入院医療」などを提供するといったようなことをまとめさせていただいています。
 それを踏まえて、5頁にお戻りいただきますと、既に議論できた部分について、中央の○1から○4の4点としています。まず、○1認知症の方の地域での生活を支えられるような医療サービスを提供することを目標とすること。○2早期から、専門医療機関による正確な診断ができるような認知症疾患医療センター等の整備について記載する。○3認知症疾患医療センターには、在宅医療を担当する機関、地域包括支援センター、介護サービス事業所等と連携して、地域の生活を支える役割を担うことについて記載する。○4認知症の退院支援・地域連携クリティカルパスの導入等を盛り込む。主にこの4点については盛り込んではどうかと考えています。
 6頁は、現状把握のための指標の例で、先ほど提示があったものの精神疾患に関する案です。これまでの有識者の方々からのご提案と既存の河原先生の研究班のご提案を踏まえ、さらに公的統計で整理できるかどうか、既存の調査研究などでわかるかどうか、あるいは指標そのものの定義がある程度なされているものかどうかといった観点で、いくつか整理させていただいて一覧としてまとめたものです。一応、ほかの4疾病・5事業の内容も踏まえながら作成していますので、こちらについてもご意見をいただければと思っています。説明は以上です。

○武藤座長 ありがとうございます。これに関してご意見、いかがですか。

○長瀬委員 私はとても良くできていると思いますし、初めて精神が入って、我々も精神・障害保健課に意見を言いました。良く作られていると思います。ただ、先ほどから何回も出ているように、これを都道府県に下ろしたときに、しっかり周知徹底をしていただくことが大事で、PDCAサイクルをしっかりやっていただければいいなと思っております。

○末永委員 この精神疾患に関する医療計画、例えば認知症に関するこういう医療計画を見ますと、すごく良くできてはいるのだけれども、これですとバラ色の精神科医療みたいなところを感じるわけです。現実はどうかと言いますと、もしこれを盛り込めと言われたら、みんな絵に描いた餅でできるだけの話です。9頁にもありますが、前回にも言いましたけれども、アウトリーチチームによる支援、こういう体制すらできていないものですから、将来的な目標値はそこでもいいのですけれども、例えば、保健師に対する教育なども含めまして、そういう体制をまず作ることを目標にしないと、とても大変な計画を作らなければいけなくなるような気がいたします。

○中谷補佐 医療計画を書く際には、ほかもそうですけれども、それに必要な施策等も書いていただけるように、いろいろ例示をしたいと思っています。

○山本委員 精神疾患のところで、資料の6頁に具体的な指標例があって、その前に考え方と、認知症も含めて記載がありますが、現在検討中ということですので、今後もう少し詳細なものが出てくるのだろうと思っています。1点確認をしたいのは、5頁の?で、「在宅医療を担当する機関」となっていますが、これはイメージとしては医療機関だけなのでしょうか。もう1つは6頁で、プロセス指標のところに「向精神薬の薬剤種類数」が記載されていて、治療~回復だけなのですけれども、場合によっては、回復~社会復帰のところも要るのではないかというのが気になっています。もう1つ、薬剤の使用歴があると、社会復帰をすれば当然外来の診療になってくるわけですので、既に他の疾病で調べた医療機関の数や薬局数がここでも流用するという理解でよろしいのでしょうか。それとも、改めて記載しないと、いわゆる施設が上がってこないのでしょうか。

○中谷補佐 在宅を担当する医療機関数の部分は、医療施設調査でわかる部分が医療機関だけでしたので、いまはそれを示しています。それ以外の部分についても取れるかどうかについては、いま検討しているところです。それから、プロセス指標の中の薬剤の処方に関する部分は、確かにおっしゃるとおり、外来医療については回復~社会復帰にかかりますので、その部分も含めてという形のほうがよいと思います。そこは修正させていただこうと思います。

○山本委員 わかりました。では、例えば在宅に関して、前の医療計画と同じように、指標を薬剤師会でも調べられますということであれば、そこはそれなりに記載できるということでよろしいですか。もう1点、先ほど伺ったように、全体の精神科疾患の中で、特に精神科に特化した部分はここで拾いますけれども、他は既にある批評を使うという理解でいいですね。

○中谷補佐 はい。

○武藤座長 ありがとうございます。そのほか、どうぞ。

○鈴木委員 精神科疾患の治療の概念を変えていこうという意欲的な計画だと思うのですが、先ほど末永先生からもあったように、現在入院しているたくさんの方がおられますので、そういった方々をどのようにしていくのかというところですね。新しい方に関しては、いいのかもしれませんけれども。在宅でといいますが、一般の高齢者もそうですけれども、全部在宅でというのは、非常に難しい、無理な部分もあるのです。あまり在宅の負荷を高めないで、在宅も施設も使っていくという視点と、それから現在入院していらっしゃる方をどのようにしていくのかということは、やはり精神科の病院の先生方のご意見も十分聞いていただきながら、ただ移せと言っても移し先がないと移せませんから、そういうものを作っていかなければいけないということですね。そういったものに協力してもらえるかどうか、そういうことも必要な条件になってくると思いますので、現実的に対応していただきたい。でも、日精協の先生方がこれでいいとおっしゃるのだから、大きな方向性としては、これでいいということなのだと思いますが、現場に無理や負荷がかかり過ぎないように、現実的に、財政面での支援も含めながら対応していただければと思います。

○長瀬委員 やはり、これは目標を高くもってやっていただかないと我々精神科医は困るのです。現実はよくわかっているのです、我々のほうが。ですから、それを一つひとつ積み上げるためには、目標を高く持っていきたいと思います。

○佐藤委員(恒石参考人) 歯科の立場から少し発言させていただきます。今日の資料の3頁に、身体合併症として歯科疾患を入れていただいて大変ありがたいと思っています。それでお願いです。参考資料の10頁にイメージ図がありまして、都道府県でよく示されるのがイメージ図ですけれども、こういうところになると歯科のことが結構忘れられています。訪問歯科診療や外来患者でもかなり認知症の患者さんが増えていますし、あらゆるところで初期症状を発見する可能性などもありまして、結構、口腔に食いしばりとか、歯を見ると症状が出てきていることもありますので、是非このような視点から、歯科診療所が連携しやすいような医療計画を策定して欲しいと思います。以上です。

○神野委員 不勉強なのと、私の医療機関ではあまり精神をやっていないのでよくわからないのですけれど、いま5疾病・5事業になって、ここに精神を入れたいちばん大きい理由は順番を付けるとしたら、やはり認知症以上にうつ病対策なのですよね。うつ病の患者さんが増えているということだと思うのですけれど、認識が違ったらごめんなさい。この指標例などを見ると、先ほどの話のように、例えばこの医療計画を県民に開示したら、これは県民はわからないですよね。国民はわからない、私もわからない。うつ病と統合失調症的なものと認知症を分けないと、全部一緒くたにすると、くちゃくちゃになってしまうような気がしてなりません。コップの水をこぼすような話をして申し訳ないですけれども。以上です。

○中谷補佐 指標例が一緒くたにということですか。6頁は、まだうつと認知症については入れ込んでいないので、少しその部分も並行して作業しているところですので、いまのご意見も踏まえて検討したいと思います。

○山本委員 もう1点だけ。参考資料のほうの15頁の図は、これは今回初めてですか。前に出ていましたか。

○中谷補佐 今回が初めてですが。

○山本委員 わかりました。先ほど、認知症の部分とうつは分けるというお話なので、それはそれでよろしいと思うのですが、この15頁のポンチ絵の中で、今後は認知症への在宅支援はこういうイメージで進めようということだとすると、おじいちゃんが歩いて動いていらっしゃるケースと、そうでないケースがあるところに、薬を入れておかないと、落ちこぼれてしまいます。BPSDも含めて認知症では必要なのではないかと思うのです。必要な資料については薬剤師会でも把握するように、指標として調べたいと思いますが、絵柄の中に薬は誰が扱うのかがないのは、現状に合わないような気がするのですが、いかがなのでしょうか。

○中谷補佐 この15頁の図は、11月29日に取りまとめをしました別の障害部の検討チームの中で、既にこれで提示をさせていただいた資料を参考に入れていますので、これをこの後どうこうというものではないのです。いまご指摘の15頁の右下の図は、基本的には介護保険サービスで既存にあるものをどう組み合わせるかという視点ですので、いま既にあるサービスの認知症に関する主立ったものを整理して作った図になっています。

○吉田委員 神野委員のいまのお話は、私も以前から少し疑問に思っていました。要するに、5疾病・5事業にするのか4疾病・6事業にするのかのせめぎ合いの続きだと思いますけれども、やはり、精神科領域の中でも必要な事業というものには緊急度の差があって、おそらく認知症に関しては事業的にやらないと駄目だと思います。これから高齢化になって、戦後世代のベビーブーマーがどんどん年を取ってきますので、あちこちで呆け老人ばかりになってくることはもう目に見えているわけです。この5疾病・5事業にしたことについて文句を言っているわけではないのですけれど、やはり事業展開をするぞというようなものをもう少し明確にしたほうが国民にわかりやすいのではないか。例えば、統合失調症について、これから対策しますと言われても、国民一般としては今更なんでという感じでよくわからない。ですから、この辺については、しっかりと目り張りを付けたほうがいいと思います。

○中谷補佐 認知症は非常に重要な課題だということで、まさに省内の関係部局が集まったプロジェクトチームを作っておりますので、その議論も踏まえて、特に医療としてどう展開していくかというところを盛り込むように検討したいと思います。

○武藤座長 よろしいでしょうか。布施委員から、前回うつに関してご意見をいただきましたけれども、今回のこれについてはどうお考えですか。

○布施委員 イメージ図が出てきましたので、これを今度どういう形で評価するのか、今回載っていませんけれども、作り上げていただいて、以前から言っていますとおり、「うつ病、認知症、統合失調症」を3つに分けてやっていただきたいと思います。

○武藤座長 ほかに、よろしいでしょうか。まだ少し時間もありますので、前半の医療計画の見直しの議論に戻ってもよろしいので、全般的にご意見をいただければと思います。

○長瀬委員 地域医療センターなのですが、メンバーが少ないですよね。その数だけで大丈夫なのかなとちょっと疑問に思っていたのです。

○武藤座長 地域医療支援センターの人員ですね。

○長瀬委員 はい。医師が2人で、とあるではないですか。これだけの人数で、こんなにたくさんのことができるのでしょうか。

○石川室長 現時点では、13頁の図の上段に記載しておりますが、専任医師2名と専従事務職員3名という人員体制になっています。今までは県の1担当課の中で、照会があったときには電話で答えたり、どちらかというと業務の一部としてやってきたような状態であったところを、今年から15箇所ではありますけれども専任の担当者を付けて、例えば問い合わせがあったときにはすぐに面談に行くとか、そういった具体的な取組みを進めていただいています。今の段階では、まだ地域枠の学生はそんなに多くというか、まだ卒業されていませんので、やはりそこは今後状況を見ながら我々のほうでも考えたいと思います。ただ、現時点では、まだ専任の医師2名をここに付けることさえも難しい県もありまして、そういった状況です。

○武藤座長 これは主な設置場所は、やはり県庁がいちばん多いのでしょうか。

○石川室長 現在は、立上げ時ということもあって、やはり主に県庁の中でやっている県が多く、分室を大学病院の中に置くといったようなことをされている県もあります。

○武藤座長 なるほど。

○石川室長 高知県などは大学の中に置いています。

○武藤座長 これもやはり継続的な事業継続が必要だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

○末永委員 先ほどのを、もう少し追加しておきたいのです。この精神科医療に関するイメージ図というのは、私は2025年頃にはこういうふうになっていると素晴しいなと思っているわけです。要するに、できもしないとは言いませんけれども、まず、できるシステムから作っていかないと現実的ではないということを、一言追加して申し上げたいと思います。

○武藤座長 ありがとうございます。ほかに、全般的にわたっていかがでしょうか。

○鈴木委員 時間があるようなので、二次医療圏の見直しについてです。今回選ばれた二次医療圏は大体過疎地域の医療圏が多いと思いますが、わが国の人口は今後大幅に減っていきますので、20万人という線を引いていくと、二次医療圏の人口が20万人以下になる所がどんどん増えていきますから、医療圏の数がどんどん少なくなっていくことになると思うのです。一方で、非常に面積の広い医療圏ができてくることにもなると思います。今回の見直しはいいとして、中長期的にこの点をどのように考えていらっしゃるのでしょうか。地域の二次医療圏というものについて、人口減少がこれからかなり激しく起こってきますので、そういったことも考えておかないと2025年頃にはどうなっているのか本当に心配になりますけれども、いかがでしょうか。

○石川室長 まず、人口20万人より小さい所につきましては、確かに少ない所でも完結していらっしゃる所はいくつかありまして、そういう所は私たちも見ていますので、必ずしも小さいからといってどこかとくっ付けなければいけないということではありません。ただ、8頁と、前々回でしょうか、会議でもお示ししましたけれども、昭和63年から全く見直しをされていなかったり、小さく分けて数を増やした所などもありますけれども、そういった所で逆に流出が多い所が目立っていたりといったことがあります。やはりこの機会に各県でよく実情を検証していただきたいということが一番の目的です。将来的には、この会議でもご指摘いただきましたけれども、県境といいますか、特に東京近郊など、広く少し圏域を越えての協力や連携も必要になるのではないかと思っています。

○武藤座長 例えば新潟県は、それまでの13医療圏を7医療圏でしたか、実際にこうした事例がありますので、そこの影響の調査といいますか、どのようなことが起こったのか、そうしたことも参考になるのではないかと思います。

○吉田委員 大事なお話だと思います。例えば、20万に拘ると、北海道だったら9つしか残らないというような話になってしまう。やはり面積の問題をどこかで担保しておかないとまずいのではないかと私も思うのです。岩手県などは2個ですよ、下手したら。

○石川室長 その点につきましては、資料1の7頁の左下にも囲みで記載させていただいていますけれども、やはり面積やアクセスの状況等も当然考慮して決めていただきたいと考えています。各県によっては、どうしてもアクセスの悪い所はそこで完結するような対策を立てて、今回、小さい医療圏でも自己完結率が高い医療圏も実際にあります。

○武藤座長 ほかによろしいでしょうか。全体にわたってもよろしいです。

○山本委員 精神疾患も含めてなのですが、今回の医療計画の中に指標も含めてたくさんの薬局あるいは薬剤師を取り込んでいただいてありがとうございます。御礼申し上げます。その上で、16頁に、医療従事者の確保というところがあります。先ほど、医師等の中にはそれぞれもう既に調査対象になっているというお話だったのですが、世の中では薬剤師は余ると言われていますけれども、まだ相変わらず薬局ができない地域があったり、あるいは偏在していますので、是非この「等」の中できちんと読んでいただいて、地域医療計画を立てたときに薬剤の供給ができなくなってしまわないように、病院の中もそうでありますし、地域もそうでありますが、そうしたことができるような体制を是非組んでいただきたいと思います。

○武藤座長 ほかに、よろしいでしょうか。もうご議論が出尽した感ですか。それでは、だいぶ時間が早いですけれども、そろそろ閉めたいと思います。今日は2つのご議論、1つは地域医療計画の見直し、それから精神疾患の医療体制の構築でした。
 医療計画の見直しに関しては、二次医療圏の見直し、20万人以下、流出率20%以上、流入20%未満、こうしたことを1つの目安にしながら、各都道府県でそれぞれの議論をして考えていただくということでしょうか。
 それと、PDCAサイクルをきちんと回していく仕組み作り。これも国として、その進捗状況のチェックの何か仕組みがやはり必要ではないかと考えています。
 あと、地域医療支援センターですね。先ほど地域枠人材ワクが1,500人ですか、ずいぶん増えたものだと思いましたけれども、今後の事業展開を是非とも期待したいですし、その中にやはり看護の人材も是非とも見ていただきたいと思います。
 指標例に関しては、必須・推奨と分けて整理することになりました。今後具体的な指標に関しては引き続きそれぞれの要望を聞きながら検討していくということですね。
 精神疾患の医療体制構築に関しては、これは長瀬委員の、できるだけ高い目標に向かって進むという大変感動的な言葉がありましたけれども、やはり精神に関してはまさに今が転換期でありますから、是非ともこの医療計画の中で、また、実効性のある精神の医療計画、そして高い目標に向かって進むということで大変期待しています。
 それでは、次回がこの検討会としては最終回となります。日程に関してお願いします。

○石川室長 本日は長時間のご議論をありがとうございました。次回は12月16日(金)16時からを予定しています。また場所等についてはご案内申し上げます。よろしくお願いいたします。

○武藤座長 今日は長時間ありがとうございました。第9回医療計画の見直し等に関する検討会を終わらせていただきます。どうもご苦労さまでした。


(了)
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代表電話: 03(5253)1111

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