ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 平成23年度化学物質のリスク評価検討会> 平成23年度第2回化学物質のリスク評価検討会




2011年10月27日 平成23年度第2回化学物質のリスク評価検討会

労働基準局安全衛生部

○日時

平成23年10月27(木)10:00~12:00


○場所

経済産業省別館825号会議室


○議事

○瀧ヶ平室長補佐 定刻になりましたので、ただいまより「平成23年度第2回化学物質のリスク評価検討会」を開催させていただきます。今回はナノマテリアルの関係でお二方に特別参集者として参集いただいておりますのでご紹介させていただきます。産業技術総合研究所の江馬研究員です。国立衛生研究所の広瀬総合評価研究室長です。なお、本日は所用により内山委員、高田委員、花井委員がご欠席です。以降の議事進行は名古屋座長にお願いいたします。
○名古屋座長 最初に事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
○瀧ヶ平室長補佐 お手元の資料は2分冊になっております。厚いほうが資料3-1.から資料3-14.「リスク評価候補物質選定参考資料」です。この資料につきましては、次回も使いたいと思っておりますので、傍聴の方はお帰りの際に受付のほうにお返しください。委員の先生方は、そのまま机上に置いておいていただければと思います。薄いほうは資料1から資料4と参考資料が付いております。資料1「ナノマテリアルのリスク評価手法における留意点等について」、資料2「リスク評価の対象とするナノマテリアルの候補選定の基準(案)」、資料4「今後の予定」です。参考資料1「化学物質のリスク評価検討会」参集者名簿、参考資料2「職場における健康障害防止のためのナノマテリアルのリスク評価について」、参考資料3「ナノマテリアルのリスク評価の方針」に係る検討方法、参考資料4「リスク評価の手法」、参考資料5「ナノマテリアルに係るリスク評価終了までの間における健康障害防止措置の指導について」です。
○名古屋座長 議題に入ります。議題1について事務局から説明をお願いいたします。
○松井化学物質評価室長 資料1「ナノマテリアルのリスク評価手法における留意点等について」ですが、この議題については個別のナノマテリアルのリスク評価に入る前に、主要なナノマテリアルに共通な、ほかの物質と異なった手法上の留意点と、当面それに対してとるべき手法を検討していただいて、今後具体的な個別のリスク評価に入るときに、指針なり参考になるということを簡単にまとめていただきたいということで、整理していただきたいと考えております。なお、この検討会の今回の検討項目や検討方法については、参考資料3に、前回お決めいただいた検討方法がありますので、必要に応じて参考にしていただければと思います。
 資料1ですが、前回の検討会でこの留意点等についてご議論いただきましたときに、その主要な意見として出されたものをまとめております。1つ目の○は、評価に当たって重量濃度なのか、個数なのか、表面積なのかという問題に対応して、まず重量濃度を一次的な指標として評価を行い、それから先にナノマテリアル固有の個数濃度や、表面積による評価を必要に応じて行ってはどうかというご意見がありました。2つ目の○は、有害性試験に使用したナノマテリアルの粒子の大きさと、実際に労働者がばく露する粒子の大きさが異なっていることについてどのように考えるかということです。3つ目の○は、これに対応して、非常に毒性の高いものを対象として問題があるかどうかリスクを見るというのが当面の方法ではないかというご指摘がありました。4つ目の○は、ナノマテリアルの有害性を考える場合には、代表的な粒径のみだけではなくて、粒子のサイズの分布が重要であるというご指摘がありました。5つ目の○は、実際に事業場でナノマテリアルの測定をする場合に、事業者のほうで懸念されるようなことがあり、若干公表に制限がかかることがあるというご意見がありました。6つ目の○は、他の物質との複合による影響というのは、ナノマテリアルでなくても、どんな粒子でも考えられることなので、ナノマテリアルのほうがより程度が大きいというデータがあるのでしょうかというご指摘がありました。
 2頁以降は、前回の資料と全く同じです。2頁と3頁については、主要な課題ということで留意点を検討すべきと考えられる項目を、前回事務局のほうで素案として示しましたものと、第1回検討会の前に参集者にご意見をいただいて追加している項目を示しております。こういう項目を基に検討していただければと思います。よろしくお願いいたします。
○名古屋座長 何かご意見はありますか。
(特に発言なし)
○名古屋座長 それでは本題を進めていきます。前回は、案の中ではあまりご意見をいただきませんでしたけれども、今回は江馬先生と広瀬先生がいらっしゃいますので、一つずつの項目の中で、生体への影響とかその辺でご意見をいただければありがたいと思います。
 2頁の項目1から進めていきます。「有害性及びばく露評価のための測定方法について」ということで、ここでは重量法を基準とした有害性及びばく露の評価を行っております。ナノマテリアルについては重量法よりも、表面積だとか粒子を基準と考えるほうがいいのではないかという考え方があります。ここのところで両先生にお聞きしますが、この辺はどうなのでしょうか。
○江馬氏 通常動物実験では、投与量は重量で投与しています。それを単純に個数に換算できないので、ちょっと難しいと思います。
○名古屋座長 確かに、これから小さな粒子を対象にして、単分散等により動物実験を行ったときに、そういう評価が出てくるといいのかもしれませんが、個数だとか表面積を基準にした濃度が出る可能性はあるのでしょうか。
○江馬氏 質問が把握できませんでした。
○名古屋座長 たぶん、現状は、ナノ粒子が凝集した状態での動物実験が多いので質量濃度による影響報告が多いと思いますが、そうした動物実験で生体影響を考えると、個数だとか表面積に関する情報が、次に出てくるのだと思うのですが、表面の処理だとか、結晶だとか、粒子の凝集体だとか、そういうものが、個別に生体影響を与えるとなった時に、いまは質量濃度で評価しているのですけれども、もしかしたら単分散の動物実験を行ったときに、個数濃度でリスク評価を行う可能性はあるのですか。
○江馬氏 可能性はあると思うのですが、それを評価するのは非常に難しいと思います。いま行っている実験は重量で投与していますが、それは同じ大きさのものだけを投与しているわけではなくて、ある分布のものを投与していますので、どの大きさのものが効いたのかというのは、いまの実験ではわからないと思います。
○名古屋座長 ここのところは、現時点では重量を基準にした考え方で進んでいっても間違いはないねという。
○江馬氏 仕方がないです。
○名古屋座長 ないということですね。
○江馬氏 現時点では仕方がないのではないです。
○名古屋座長 2番目のところでも同じようなことを質問して申し訳ありませんが、同じようなナノマテリアルについて表面処理だとか、結晶構造、これはたぶん二酸化チタンなどがたぶんそうだと思うのです。有害性が異なるということになるのかと思いますが、この辺はこのままのあり方でよろしいでしょうか。
○江馬氏 現状だとそうだと思うのです。確かに表面構造の違いとか、例えば水溶性にしたりするとたぶん毒性が強くなったりすることがあって、それは論文を見てみると、例えばフラーレンなどでも、水溶性のものはかなり毒性が強いようなので、そういう表面の修飾ということで、かなり毒性は違っていると思います。
 それから二酸化チタンの場合でも、アナターゼ型とルチル型で結構違うようなので、まだそこもわかりません。ただ、論文ごとでエンドポイントが違ったり、使っている試験物質が違ったり、試験方法が違ったりしていて、論文間で比較するのは非常に難しくて、1つの論文の中でそういう比較をできるようなデータはなかなかないです。大体論文を通じてみると、二酸化チタンなら、アナターゼ型の反応が強いように思うのですが、1つの論文の中で確実に比較した報告はあまりないと思います。
○名古屋座長 ほかの委員の方々からご意見はありますか。
(特に発言なし)
○名古屋座長 次も少し難しいのですけれども、バックグラウンドとしてのナノ粒子と作業環境中に浮遊するナノ粒子の区別は実際にどうなのでしょうか。外気を作業環境中に取り入れる可能性があったときに、外気中のナノ粒子が作業環境中のナノ粒子濃度に上乗せされる可能性があって、作業環境中で捕集した粒子を顕微鏡で見たときに、その粒子は作業環境にある発生源に起因した粒子とは違った、外気由来と考えられる様な粒径も入ってくることがあるので、これを区別すること自体はどうなのでしょうか。
 カーボンナノチューブのような他のナノ粒子と形状が違う場合は、電顕で見たら区別できるのですけれども、外気由来のナノ粒子が存在する作業環境でナノ粒子濃度を測定した時になかなか区別ができないと思うのです。このバックグラウンドの処理、扱いをどう考えているかをお聞きします。
 これは、計測にかかわってくることかと思うのです。一般的に作業環境でナノ粒子の濃度測定しているときに、屋外のナノ粒子測定もしろという話になるのかどうかということになるのかと思うのです。現状としては、なかなか他のナノ粒子との区別は困難という形でとどめておくことにしましょうか。
(特に発言なし)
○名古屋座長 ご意見もないようですので、とりあえず区別は困難であるということでとどめさせていただきます。それから、これもたぶん議論があったと思いますが、4番目のところで、他の物質と複合することによる予期しない有害性やばく露の可能性が指摘されていますけれども、ここのところは実験等をされているところですが、これは両先生にお聞きしたいと思いますが、この辺はどうなのでしょうか。
○広瀬氏 たぶん指摘されているというのは、指摘されているというレベルで、実際にそういう有害な影響がつかまっているかというと、それほどはない。ただ、アレルゲンのキャリアとして、感受性を増強するというような知見はあるのかということはあります。食品だと、ナノをわざとキャリアとして使っていて、それが本来のものでない、別なものをキャリアするのではないかという懸念はあります。この場合は、空気中の普段だったら吸収しないものを一緒にする可能性があるレベルだという意味だと思います。
○名古屋座長 これは、ナノカーボンのところに何かを添加して、ほかの物質を作るときの添加物質との相互的な影響という話ではないかと予想していたのですけれども、いまのところはアレルギーのキャリアとしての知見はあるけれども、そういう製造の中で作られている、複合することに予想される知見はあまりないと考えてよろしいでしょうか。
○広瀬氏 はい。
○名古屋座長 これも動物実験で申し訳ありませんけれども、試料の調整方法による、有害性の試験の結果についてということで、分散懸濁のために行う試料の調整に影響を及ぼすおそれが指摘されています。この辺について先生方にお聞きしたいと思いますが、どうでしょうか。試料調整が、有害性の試料結果に影響を与えるおそれが指摘されていますよということだと思います。
 これは粒径だけと判断してよろしいのですか。要するに分散と懸濁ということは、一次粒子、二次粒子による有害性の違いが動物実験に出てくるという考え方をしてよろしいのでしょうか。
○広瀬氏 粒径のことというより、たぶんアグリケーションの程度が違うかどうかという話だと思うのです。アグリケーションが大きくなれば、肺の奥まで行くという意味では、大きいのは行かなくなることはあるのですけれども、一旦入ってしまうと、わりと生体の中で分散したりするので、動物実験の場合、低容量の場合はそんなに関係しないのかなというのが個人的な感覚です。
 vitoroの場合はかなり違っていて、分散のほうをやると結果はかなり変わってきますので、これはかなり大きな影響があります。特にナノチューブとか、径だと金属の溶出も影響してきます。
○名古屋座長 あとは、二次粒子の生成ということの中で、一次的に加えて二次に関する情報が重要ですと指摘されていますけれども、これは実験等で見ると、従来の動物実験というのは凝集されたものが多くて、最近は一次粒子による影響を評価する動物実験もありますけれども、この辺はどうなのでしょうかとお聞きするのも変なのですが、一次粒子と二次粒子を分けた情報というのは、実際にはあり得るのですか。
○清水委員 質問です。一次粒子と二次粒子についてですが、二次粒子というのは凝集したものを言っているわけですね。先日の委員会で変異原性の話を報告していますけれども、変異原性の場合は多層カーボンナノチューブでしたが、これはかなりシンプルな形で変異原性を誘発する。文献を見ると、単層カーボンナノチューブでも起こることが報告されているということです。変異原性から見ると、別に複合しなくても、一次の状態でも誘発作用があるということになります。
 戻って申し訳ないのですが、4番の他の物質という「他の物質」というのは一体何を指すのかです。例えば、多層カーボンナノチューブなどを生成する段階で、どうも鉄を入れてやっているのです。そうすると鉄分が相当あるのはあるので、それを除去するという操作を加えていますけれども若干残るという報告が記載されています。ここでいう、他の物質の複合というのは、どんな物質を意識してここでは討論しているのかがはっきりしないので、この2点をお伺いします。
○松井化学物質評価室長 もともとこの資料を事務局で作りましたときには、OECDのワークショップの報告書の中から取ってきております。先ほどご指摘のありましたように、キャリアとして働くことがあるということが指摘されています。ここから先は検討会のご議論ということで考えていました。清水委員ご指摘のように、カーボンナノチューブの中で指摘されておりますので、触媒として使った金属が、製品としても残っていれば、当然労働現場で使うときにはそれが入っておりますので、そういうことも配慮しないといけないということです。あとは検討会のご議論でという意図で作っております。
○清水委員 大気汚染などの場合には、粉じんの周りにベンゾエピレンだとか、いわゆる発がん物質と言われるものがたくさん吸着されていると考えられています。この場合は、そういう触媒として使われたものを一応想定するということですか。
○松井化学物質評価室長 そうです。最も想定できるのはそんなことかと、資料を作った段階では考えておりました。
○名古屋座長 以前に測定におじゃました企業では、ナノカーボンには銅を入れてやっているのがありました。そういうことでよろしいでしょうか。一次粒子、二次粒子については、前回櫻井先生がお話になったと思うのですけれども、一次粒子でいちばん生体影響の強いところを見ているから、そこがいちばん高いので、二次はそれに追い付いてくるということなので、一次で動物実験を行っている分にはそれはいいのかなというお話がありました。現場は二次粒子が多いのだと思いますけれども、もしかしたら肺の中に入ってマクロファージによって、一次粒子になる可能性がありますが、一次粒子のところで動物実験をしている中では、その値で出てきたものをリスクの中のとおりに取り入れてくれれば、二次粒子については、現状のところではこのような考え方の中にとどめておきたいと思います。
○清水委員 はい。
○名古屋座長 7番目の中で、不溶性のナノマテリアルの肺毒性が指摘されているところで、肺炎等を使用する場合が多いと書かれていて、炎症反応等を伴う組織の可能性が指摘されていますが、この辺がよくわからないところなのです。前回あまり議論されませんでしたが、この辺のご意見をいただければと思います。7番目のところですが、たぶん8番目も絡んでくるのかと思います。
○西川委員 これはNEDOプロジェクトの報告でもあったのですが、比表面積の程度と、BALF中の好中球の出現の程度が比例するということでした。そうすると、比表面積が非常に小さいものは炎症を起こさないということになるのですが、それが組織中でどういう運命を辿るかということについては、おそらく検討されていないと思います。炎症を伴わない形で組織に沈着する可能性はあるのではないかという趣旨の内容です。
○名古屋座長 これについての両先生のお考えはいかがでしょうか。
○広瀬氏 それほど病理に詳しくないのですが、炎症を伴うか伴わないかという観点はわかりません。長期的に最もいま懸念されているのは、胸膜に何十年と沈着した後の中皮腫というのがいちばん懸念されています。それの誘発性と、短期間の炎症の強さというのは、それほど相関性はないのかと思っています。そういう意味で、短期のエンドポイントをどの程度最終的に基準値とか、健康影響評価値を設定するときにどう考えるかというのは考えどころなのかと思います。
 最終的には、長期の影響を抑えるために設定するべきであります。短期の影響は、もちろん急性影響が起きない量ということで設定できると思うのですが、その辺の兼ね合いと化学物質の管理との関係でエンドポイントは、その後の慢性も同じだと思うのですけれども、どういう影響を管理するのかに従ってその影響のエンドポイントをどのようにするかは考えるべきだと思います。
○大前委員 ナノサイズの粒子が肺胞内に入ったときにどういう動態になるのか。それは、マイクロサイズの粒子と同じような形で移動していくものなのか、あるいはナノサイズ特有の動態にあるのか、その辺はいかがでしょうか。
○広瀬氏 それは、まだちゃんと解析した例はないと思います。現象として胸膜にもあったという知見とか、マクロファージを持っていたという知見があるだけで、時間を追ってどう動いていたかというのを解析した研究はまだないと思います。特にナノチューブはそのラベルができないので、動態を追いかけられないということです。中国のほうでやったという話はあるのですが、あれは修飾したものなので、表面がたぶん変わっているので、もともとラベルするのはなかなか難しいです。
○名古屋座長 8番なのですが、動物実験の活用について、このような手法が活用できるのですかというのがあったのですが、この辺もやられている江馬先生いかがでしょう。この辺は活用できるのかという質問等なのですけれども。
○江馬氏 発がん性については長期の試験が必要だと思うのですが、長期の試験ばかりできないので、当面は90日間試験で代用せざるを得ないのではないかと思います。
○広瀬氏 ナノだけではなくて、慢性試験とのリスクの評価ということで言うと、たぶん普通の化学物質でも90日で発がん性をできるかという話もまだ決着していないのに、ナノだけというのがあって、むしろ西川先生のほうがこの辺は。医薬品でも、いまは2年間の試験までは要らなくても、短くしようという話が上がっています。そうかといって90日まではまだ短くなっていないと思います。少なくとも半年か1年は要するという話で、その辺は西川先生のほうが詳しいと思います。
○名古屋座長 そういう状況だということですね。前回6、7、8のところのことを本日は両先生にお聞きしました。
○大前委員 吸入して、鼻腔にくっ付いた場合に、嗅覚神経を侵して脳のほうに行くという動物がありますよね。あれは、ナノマテリアルの吸収経路として考えておく必要が相当あるものですか。
○江馬氏 嗅覚神経を通じてですが、嗅覚神経のいちばん狭いところは200nmぐらいらしいのです。それは種差に関係ないらしくて、大体そのぐらいだろうと。だから、それより小さければ行くのでしょうし、長いものでも縦になっていくかもわかりません。だから、100nmより小さくなければ急に行くかという問題ではたぶんなさそうだと思います。
○圓藤委員 いまの嗅鼻神経から入るのはゲッ歯類に独特だと聞いたのですが、サルではどうですか。
○江馬氏 サルでも、マーモセットがいくというデータがあったと思います。
○圓藤委員 ただ、レートがすごい低いのではないでしょうか。
○江馬氏 ああ、そうですか。その原著までは私も見ていないので。
○圓藤委員 だから、サルがもしヒトを代表すると、ラットの実験でかなりいくというのは、ヒトではあまり考えられないのではないかというのがマンガンの論文にありました。ナノマテリアルは脳に行きやすいですか。
○江馬氏 マンガンでやっていますね。鼻腔粘膜への沈着は、人間よりラットのほうが、ゲッ歯類のほうが多いですよね。だから、その関係もあるかもわかりません。
○大前委員 そういう吸入の場合は、ヒトの場合には遅いにしてもあればゆっくりでしょうけれども行く、あるいは濃度がゲッ歯類と同じだったら、同じようなことが起こる可能性があると考えると、ナノの影響だけではなくて、特に神経毒性のある類の金属、先ほどのマンガンなどもそうでしょうけれども、そういうものに関しては神経毒性に関しては少し慎重に見ておく必要がある。特に中枢神経毒性について。
○江馬氏 そうかもしれません。
○名古屋座長 ほかによろしければ9番のところにいきます。ナノに対する不確実性特別の係数が必要かどうかという、この辺もお聞きしておきたいところなのです。なかなか難しくてわからないのです。
○広瀬氏 これは、ちょっと難しい話ですけれども、今いくつかガイドラインを作る作業をしていて話している中では、特にナノだからといってリスクの不確実係数は要らない。将来的に何かわかった場合にはわからないですけれども、要らないのではないかという感じではあります。ただ、先ほどの物質ごとに表面積とか分布が違って、重量は別にして表面積です。もし必要だとすれば、その表面積と重量を補正するときに、何かしらのファクターが入ってくるとか、あるいはナノマテリアルをいくつかまとめて評価しようといったときにはデビエーションが出てくるので、そのときには考慮しなければいけないという意味では入ってくるかもしれないのですけれども、ある特定の物質を、ある特定の物質で評価している限りにおいては、容量相関性は、表面積だとしても、きっと重量に換算できるはずなので、特に特別の不確実係数は個別には必要ないと思います。
○名古屋座長 よろしければ次のところにいきます。検討会からのご意見ということですが、これは前回の意見ですね。これは、第1回のときの意見を事務局でまとめたということでよろしいのですか。
○松井化学物質評価室長 4頁目はそうです。
○名古屋座長 ここのご意見の内容の中で1と2はいいのですが、3番目に「議論を期待しています」というのがあります。
○松井化学物質評価室長 すみません、第1回の前に各参集者からいただいた意見をまとめたものです。
○名古屋座長 いまのところ、結構クリアしている部分があります。急性影響という形、エンドポイントについて、評価するものはどうかという問題、ここのところを読んでお気づきの点はありますか。また前回のことで両先生にお聞きしておくことはありますでしょうか。ここのところは、いままでに両先生にお答えいただいた9の中でかなりクリアされているところ、解決されたところがあるかと思いますが、ほかにお気づきのところがあって、両先生にお聞きしておきたいことはありますか。
○大前委員 カーボンナノチューブとフラーレンがある場合に、先ほどちらっと出たと思うのですが、表面にいろいろな官能基を付けると毒性が違ってくると、水溶性だと毒性が高いということをちらっとおっしゃったと思うのです。そうすると、こういう化合物を考える場合には、例えば大きく分けて不溶性のフラーレン、あるいはカーボンナノチューブというもの、水溶性のものをちゃんとしっかりと分けて毒性評価をしなくてはいけないという考え方でよろしいのですか。
○江馬氏 基本的にというか、最も詳細なことを言えば、各修飾の仕方にかなり違ってくると思うのです。その中で先生がおっしゃったように大きく分けるとしたら、そういう括りも1つかと思います。何か共通項目で括ってしまわないと、現実的な話にならないと思いますので、そういう意味では、とりあえず水溶性と難溶性というか、溶けないものということになるのかもわかりません。
○名古屋座長 そういたしますと、ここの中でいまご意見をいただきましたし、前回わからなかったことが両先生のご意見等をいただいてかなりはっきりしたことがあると思います。これはまとめていただいて、次回にはきちんと解決していきたいと思います。先に進ませていただいて、次はリスク評価の対象物質選定候補について、事務局から説明をお願いいたします。
○松井化学物質評価室長 企画検討会のほうから、リスク評価の対象物質を選ぶに当たり、ナノマテリアルについてはほかの物質と違ってさまざまな問題、特に技術的にリスク評価ができるかどうかという問題がありますので、それを1回リスク評価検討会で検討していただいてということです。
 資料2に、前回の選定の基準の案を付けております。前回はこれでいきましょうという話になったわけではないのですが、これを参考にしていただいて、リスク評価が実際にできるかどうか、できない場合はどういうことが足りないかということと、もしできる物質が非常に少なければ、どんな対応をしていけばいいかというところをご議論いただければと思います。
 資料3に個別物質の資料を出しております。資料3-1.は酸化チタンに関する資料ですが、酸化チタンについては、顔料級のナノサイズ以外の酸化チタンを含めて、既にリスク評価をスタートさせております。ナノマテリアルである酸化チタンについてもリスク評価をしましょうということで、既に検討会で方向性が決められております。ですから、ほかの物質との比較という面で資料をまとめております。
 表紙の裏に、同じ化学組成の物質等と異なる有害性が認められるかどうかということで、次の頁以降、有害性試験の概要を表に示しております。リスク評価の対象を選ぶときに、企画検討会で中心的な対象として検討されているのが、発がん性、生殖毒性、神経毒性の不可逆な、重篤な影響を及ぼす有害性を中心に選んでいただいている状況があります。この3種類について毒性がどんな状況かということ。それから、物質ごとに主な有害性として指摘されているものを選びました。酸化チタンについては、肺への影響がたくさん指摘されておりますので、それを拾っております。
 作成に用いた資料は(2)にあります。これは、厚生労働省の委託調査や、NEDOプロジェクトの報告書などから、特に重み付けをせずに抜き出してきております。3頁で発がん性については、長期の吸入ばく露試験があります。これで、動物では発がん性、腫瘍の発生の増加を認めたという報告があります。4頁、5頁、6頁は投与方法は違いますが、発がん性に関する試験です。6頁の下のほうから8頁の真ん中辺りまでですが、生殖毒性に関して複数の試験が行われています。中枢神経系の発達や機能に関連するものに影響を及ぼす可能性があるという報告があります。
 8頁から9頁にかけて神経毒性です。これは投与方法が鼻腔内に投与、経胃的に投与という試験方法になっておりますが、いずれも脳のほうに影響があるのではないかという報告があります。
 肺毒性については10頁以降、複数の動物試験があります。肺毒性については、ナノサイズとナノサイズよりも少し大きい顔料級のものを比較した試験が複数あります。多くの試験ではナノサイズのもののほうが、肺の炎症反応が大きい、強いという結果が出ております。それが20頁まであります。
 21頁で評価値の問題です。酸化チタンのナノサイズの評価値については、来年の春に有害性の小検討会で議論していただくことになります。日本産業衛生学会の許容濃度の勧告はありませんで、ACGIHの数値もありません。それに少し近いものとして、21頁の表に挙げておりますNEDOプロジェクトの報告で、当面15年程度のばく露期間を想定した許容ばく露濃度の提案があります。NIOSHのほうで勧告があります。動物試験等の結果として、先ほどずっと表にありましたような試験結果があります。こういうものを材料として、有害性の小検討会のほうで、来年の春になりますけれども、検討をしていただきます。現在、中災防の委託調査で、有害性の評価書を、産業医大の森本先生に原案をお作りいただいています。
 23頁は、公表されている主要な測定手法です。下の欄で先ほどのNIOSHのCIBのほうで、環境濃度の測定ということで手法が提案されております。こういうものを含めて、いま中災防のほうで測定方法の検討をいただいている状況です。ばく露実態調査の例として、24頁と25頁に複数の調査事例があります。酸化チタンについては、既にリスク評価をナノサイズのものについても行うことをお決めいただいておりますので、比較参考ということでご紹介させていただきました。
 資料3-2.以降の物質が、リスク評価の候補とすべきか否かを検討していただくことになります。資料3-2.はカーボンブラックです。カーボンブラックというのは、ナノマテリアルでしょうかという議論が企画検討会のほうでありましたので、状況を簡単にまとめております。カーボンブラックは、ドメインという球状の一次粒子が非常に壊れにくい一次凝集体を形成しています。粒子の大きさについては、ISOのテクニカルレポートで、主要なタイプのカーボンブラックの一次粒子の大きさというのが、平均11~95nmで、一次凝集体が平均80~500nmということです。
 参考として、経済産業省のホームページに、製造事業者からの情報提供ということで掲載されております。業界のほうでは、カーボンブラックの最小ユニットである一次凝集体の遠心沈降相当径が30~400nmと記載されております。何がナノマテリアルかという議論はいろいろあるところですが、ISOのナノマテリアルの定義によると、その物質の大きさを規定する3次元のいずれか1つが約10~100nmということで、そういうナノ物質と、それから構成されるナノ構造体を含めてナノマテリアルと定義されております。その定義からいうと、カーボンブラックはほとんどナノマテリアルである。ここでご議論していただくことではありませんが、ナノマテリアルとして検討してよいのかということです。
 まず、有害性についての情報です。3頁でカーボンブラックについては、ヒトの疫学調査の結果が複数あります。その内容を3頁の表の上のほうに文章で簡単に書いてあります。対象としている有害性ですが、発がん性に関しては、肺がんを中心に、がんの発生とカーボンブラックへのばく露は関係があるという調査結果と、ないという調査結果があります。IARCのMonographsでは、これらの結果を検討して、ヒトの疫学調査から得られる発がん性の証拠は不十分な証拠と位置づけられております。あとで出てまいります動物実験のほうは十分な証拠と評価しております。この結果を基に、IARCの区分2Bということで、ヒトに発がん性の可能性があると分類されております。疫学調査結果として、もう1つ気管支炎に関する、気管支への影響の疫学調査があります。これを根拠として、ACGIHではTLVの設定を行っています。この疫学調査の結果が7頁まで結構な数があります。
 8頁で、発がん性の動物実験の結果です。先ほどIARCの評価の話を申し上げましたけれども、発がん性を示す十分な証拠が動物試験の結果からは得られると評価されております。8頁から9頁の表にありますように、2年間の吸入ばく露試験が複数あります。9頁の後半から肺毒性に関する動物試験の結果を要約しております。13週間の吸入ばく露試験などの結果があります。
 12頁では、有害性の評価の観点から、評価値の設定に関連する情報です。先ほど申し上げましたように、ACGIHがTLVとして3mg/m3という数値を出しております。関連する試験結果というのは、先ほどご紹介した表にあるとおりです。13頁のばく露実態の把握の関連です。13頁の表の下にあるように、NIOSHは、カーボンブラックを対象とした測定法ということで、メソッド5000というのを公表しています。14頁に、ばく露実態の調査の例を示しております。カーボンブラックについては以上です。
○名古屋座長 個別のところの説明を伺って、質疑応答していって、最終的には全部の説明が終わってから選定物質を、その議論の中でどういう形で選定するかという流れでよろしいでしょうか。本日は、とりあえず一つひとつの物質ということで。
○松井化学物質評価室長 たくさんあるので、これはできる、できないというふうに。検討の状況にもよりますけれども。
○名古屋座長 カーボンブラックについては、ナノ粒子であるということと、前回の話を考えると濃度がある程度出ているものについては入れましょうという話になっていました。もう1つありますのは、リスク評価の中では発がん性を先に優先してリスク評価していますので、選定の候補にはなるのではないかと思いますが、皆さん方のご意見をお聞きしたいと思います。
○大前委員 ヒトの疫学調査は、たぶんどの調査もパーッと見ている限りにおいては、カーボンブラック単独ばく露ではないと思うのです。カーボンブラック製造工場といっても、これは石炭か石油か何かわかりませんが、そこからやっているはずなので、当然いろいろな発がん物質が同時に出てきていると思いますので、疫学調査だけでは、発がん性を言うのはなかなか難しいかと思います。動物は、たぶん純粋なカーボンブラックをばく露しているはずですから、それで発がん性、腫瘍の発生の動向が認められたという結果があるので、これはリスク評価の対象にしたほうがいいのではないかという気がいたします。
○名古屋座長 いままでのリスク評価の流れからいくと、選定する物質になるのかと思います。カーボンブラックについては、選定候補として挙げるということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○名古屋座長 それでは次に、カーボンナノチューブをお願いいたします。
○松井化学物質評価室長 資料3-3.のカーボンナノチューブです。先ほどのご説明の前にご紹介すればよかったのですが、資料3-14.ということで頁数の多い資料がありますが、大体どんな情報があるかを簡単にまとめております。参考資料2の後ろに別紙2という横長の表があります。そこに、主なナノマテリアルの用途特性等という表があります。製造輸入量の推定値なども出ておりますので、必要に応じて見ていただければと思います。
 資料3-3.でカーボンナノチューブです。有害性の情報ですが、3頁で発がん性に関する動物試験として、腹腔内投与、陰嚢内投与、次の頁でゼラチンカプセルを腹腔に埋め込んだ試験結果があります。陽性のものと、腫瘍の増加は認められませんという試験結果が出ております。カーボンナノチューブについては、厚生労働省の委託試験ということで、日本バイオアッセーセンターに委託をし、今年度に13週間の吸入ばく露試験、平成24年度、平成25年度に2年間の長期の吸入ばく露試験を行う予定です。
 4頁で生殖毒性試験ですが、文献の中には記載がないということです。4頁の下で神経毒性です。神経毒性のいちばん下の動物試験の結果で、脳の神経炎症を含む炎症ということで、NIOSHのドラフトのCIBの中で1例紹介されておりますが、これは詳しい情報がありません。
 肺毒性については、5頁以降に複数吸入ばく露なり、そのほかの投与方法の結果があります。得られているもので、13週間のものが2件、4週間の吸入ばく露試験などがあります。結果についてはいろいろな結果が出ておりますが、表にあるとおりです。肺毒性に関する試験には、気管内投与などいろいろな投与方法を含めて、29頁まで肺毒性に関する試験の情報があります。
 30頁で、許容濃度の設定の状況です。日本産業衛生学会もACGIHのTLVも、いまのところ設定がありません。それに近いものとして、NEDOプロジェクトの提案があります。これは、当面15年程度の亜慢性のばく露期間を想定したもので提案されております。表の右の欄にNIOSHのドラフトCIBのRELで挙げているものがありますが、これはあくまでNIOSHが意見募集のために公表しているものですので、NIOSHとして特に決めているわけではありません、参考までに載せているということです。
 32頁は、ばく露実態の把握です。測定法は、NIOSHの先ほどのドラフトCIBで推奨されているのは、下の欄にあるNIOSHのメソッド5040が推奨されております。33頁以下には、ばく露実態の調査の結果の例が複数あります。カーボンナノチューブについては以上です。
○名古屋座長 ありがとうございます。そうしましたら、カーボンナノチューブの中でどうするかということです。前回の考え方から言いますと、NEDOプロジェクトの中では濃度が出ているということと、取扱量も先ほどの資料の別紙2を見ると500トンという形で、かなり量は使われているなというものと、発がん性は先生方に評価してもらえればいいわけですが、そういうことを考えますと選定候補には挙がってくるのかなと思いますが、いかがでしょうか。
○松井化学物質評価室長 事務局でいちばん心配をしているのは、有害性の許容濃度の評価値の設定なのですが、この辺りについてはいかがでしょうか。
○大前委員 いままでのルールですと、ACGIH、あるいは産衛、なければCIBとのあれで評価値を作っているのですが、それがもともとないので、リスク評価をしたあと、いまおっしゃったようにどういう評価値をどこから持ってくるのかというのは、新たなルールを作らないとできないということになるのではないかと思います。
○名古屋座長 だから、ナノについては有害評価のところで評価の考え方から始めて、宮川委員が言われたように外挿するのか、持ってくるのか、もしかしたら選定された物質を従来の管理濃度の考え方、いちばん最初の管理濃度の考え方の中で、塩ビのときのように現場へ行って測定してみて、そこでちゃんと管理されていて疾病が起こらなかったら、逆にそれを管理濃度とするという考え方もあると思いますので、そこは大前先生の医学系の有害性評価のところで検討していただくという形で、それをひっくるめてある程度濃度の目安になるものとか、もしなかったとしたら発がん性とか、使用量が多いとか、そういうことの中で選定していくという方針でいこうかと思いますが、それでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○名古屋座長 ありがとうございます。そうすると、これは選定候補に挙げるということでよろしいでしょうか。あとでいっぱい出てきたら、その中で選定の順位を考えればいいのですが、とりあえず選定するかどうかということでいくと、選定するという形でよろしいでしょうか。
○広瀬氏 シングルとその……でよろしいでしょうか。
○名古屋座長 そこは難しいですね。
○広瀬氏 選定することについて異論はないのですが。
○名古屋座長 たまたま私たちも単層で試料を買って分析してみると、多層が意外と多くて、標準試料として売っている中でも、元素構造を見ると、単層と言われていて多層のものがありました。その辺りも難しいのかなと思いました。多層と単層で生成は違いますので、分けておいたほうがいいのでしょうね。
○清水委員 変異原性でみると、両方とも倍数体が起こるのです。
○広瀬氏 シングルでも。
○清水委員 はい、文献的(2009年)ですが。多層はバイアッセイ研究所でやっていますが。
○名古屋座長 ただ、市場がどうなのか。
○広瀬氏 シングルはほとんどないと認識していたので。
○名古屋座長 選定して、そのあとのリスク評価をするところで、先生のおっしゃった単層にするのか、現場を考えて単層と多層というのを取り入れる形で、とりあえずこの物質を取り上げるということはよろしいでしょうか。
(異議なし)
○名古屋座長 ありがとうございます。それでは、カーボンナノチューブは選定の中に入れるということにいたします。
 次に、物質4フラーレンについて説明をお願いします。
○松井化学物質評価室長 資料3-4.フラーレンです。フラーレンについては、研究開発の段階でいろいろな可能性が超伝導も含めてありますが、現在のところ主な用途はスポーツのラケットやクラブで使われていて、2008年度の推定では1トン未満の製造輸入量であるということです。
 有害性ですが、3頁に発がん性の試験があって、皮膚に投与と腹腔内投与とありますが、いずれも陰性の結果が出ております。生殖・発生毒性について、3頁のいちばん下に1例試験例が出ておりますが、この試験結果では、胚の形態異常が見られたという結果が出ております。神経毒性については、腹腔内投与あるいは飲水投与などの実験が行われていて、これらの投与方法での血液関門を通化することを示唆しているもの、通化しないと言っているものなどがあって、いずれにしろ脳内で何らかの作用を起こしていると。素人目に見て良い方の作用、抗酸化作用を発揮するという結果も含めて出ております。
 肺毒性に関しては、吸入ばく露試験等が5頁の下から9頁まで続いております。これについても結果はさまざまで、一言では説明しづらいという感じです。以下の動物を用いた実験について、情報をあるだけ拾いましたので、ずっと並んでおります。例えば、14頁の上のほうで水酸化フラーレンが肝臓に影響を与えているということがあります。また、16頁で有害性の評価値ですが、参考となるものとしてNEDOプロジェクトの提案のみがあるのかなということで、当面15年程度の期間を想定した許容ばく露濃度が提案されております。
 19頁でばく露実態の把握ですが、20頁の表にありますようにNEDOプロジェクトの報告書の中で分析にHPLCが使われているとか、こういった測定・分析法の紹介が行われております。21頁以降は、ばく露実態調査の例が複数あります。
○名古屋座長 ありがとうございます。ここは特に発がん性や肺毒性といった辺りでどうでしょうか。1つはNEDOプロジェクトですが、濃度が少し出ているということで、ここが参考になるかなということです。測定方法そのもの自体ありませんので、その辺は問題ないのですが、毒性のところの評価を考えていかがでしょうか。
○圓藤委員 お聞きしたいのですが、これは生産量が少ないですね。その取扱い場所が非常に限られているのか。もう1つは、今後の生産が飛躍的に拡大することが考えられるかによって少し変わると思うのですが、いまの感じだったら特に取り上げる必要があるのかなと思います。
○松井化学物質評価室長 ご参考までに、平成24年度以降、私どもでもナノマテリアルのリスク評価ということで予算を用意して取り組もうということです。おおむね予算上想定しているのは、3物質程度から始めようかと考えておりますので、今後用途拡大はすると思うのですが、とりあえず広く当面ということですと、なかなか。
○名古屋座長 取り上げるかどうかだけ決めておいて、優先順位はずっと付いてきて、その中で実際に疫学調査ができるのは4物質か3物質かもしれないということで、それは上から入れればいいことで、入れるかどうかはこの中で決めていきたいと思います。
 フラーレンは、リスク評価から考えると取扱いが少ない、もともと限られた中でやっているということで要因分析を考えると、共通性が少ないという評価をいままでしてきています。ただ、発がん性とかそういったものから評価したときに取り上げておいたほうがいいかどうか、先生方のご意見を聞きたいと思います。これも水溶性とそうでないものを混ぜると、いろいろ出てくるのかなという気もしますが。
○江馬氏 フラーレンは抗酸化作用と酸化作用と両作用がありまして、総説などには低濃度では抗酸化作用に働いて、高濃度で酸化作用に働くと書かれています。抗腫瘍性、抗遺伝毒性もあります。だから、用量によって違うと思います。また、肺の炎症も高用量の水溶性のフラーレンを投与した実験で強く出ているようで、それもROSの酸性能に関わっているようなことだと総説には書いてあります。大量にやらないと肺の炎症も出てこないような感じはしているのですが。
○名古屋座長 毒性のところから一応洗っておいたほうがいいと考えてよろしいですか。
○江馬氏 毒性については継続的に調べたほうがいいと思います。気づいたのですが、この一覧表で、カーボンブラック、シリカ、デンドリマー、カーボンナノチューブは生殖・発生毒性のデータが出ています。大体去年ぐらいから出だしてきているので、持続的に調べる必要があると思います。
○名古屋座長 それでは、優先順位は別にしても、ここの中で一応取り上げるという形でまとめてよろしいですか。
(異議なし)
○名古屋座長 ありがとうございました。次は銀について説明をお願いします。
○松井化学物質評価室長 銀につきましては、銀のナノ粒子自体が電子デバイスなどに使われており、少量で導電性が得られるということで使われているのと、よく知られている抗菌剤としての利用があります。銀のナノ粒子としては、推定で5トン未満となっております。それ以外に、抗菌剤として無機微粒子に担持された銀がもう少し多くあるという状況です。
 資料3-5.の銀ですが、少し修正があります。有害性の情報の範囲を動物試験、疫学試験、臨床事例報告と書いておりますが、in vitroの遺伝毒性試験も表の中にありますので、そこは間違いがありました。
 2頁ですが、発がん性については、ナノ物質について情報は得られませんでした。生殖・発生毒性については、マウスの胚を用いた実験があるのですが、胚への影響が見られております。ただ、銀のイオンと硝酸銀の銀イオンと対照した場合に、必ずしもナノ粒子のほうが生殖・発生毒性が強いという結果にはなっておりません。
 4頁の下から7頁の中ほどまで、神経毒性についての動物試験の結果が出ております。これは皮下投与や腹腔内投与の投与方法、あるいは静脈注射等なのですが、こういった投与方法で何らか脳への影響があるという試験結果があります。肺毒性については複数試験結果があって、いちばん長いのは8頁にある90日間の吸入ばく露試験で、肺の炎症反応が見られているという報告があります。
 1頁に戻って、2の(1)の評価値の設定ですが、これについては参考となりそうな許容濃度の設定の情報はありませんでした。試験データについては、先ほどの90日間の吸入ばく露試験がいちばん期間の長い試験ということでした。また、ばく露実態の把握は、ナノ銀に特定した測定法は集めた範囲では公表されているものはありませんでした。18~19頁にばく露実態調査をしている濃度測定の例を挙げております。銀については以上です。
○名古屋座長 ありがとうございます。1番のところは、有害性に関する情報の中で是非取り上げなければいけないかなということがありますが、量的には5トンということで、それほど多い物質ではありませんが、先生方のご意見はいかがでしょうか。ラットの中では慢性の肺胞炎があるということかなと思いますが。なかなか難しい、いままでの4物質とは少し違う感じはしないでもないのですが、先生方の中で、有害性を考えると先ほどのフラーレンと同じような形で長期的に見ておいたほうがいいということなら候補になりますが、その辺りはいまのところはもう少しデータが出てきてから、近々には候補に挙げなくてもいいということになるのか、あるいは挙げておいたほうがいいということになるのか、いかがでしょうか。
 次回もありますので、今回選定するものを選びましたが、もしペンディングにしておいて、先生方にまた見ていただいて、どうしても毒性を考えたら入れておいたほうがいいということになったら、次回また復活させてもかまいませんが、いまのところは候補に挙げなくてもよろしいですか。次回以降は順位を決めるときに出てくるかと思いますが、現時点で候補として挙げるかどうかという中では、強く押すようなご意見はありますか。
○宮川委員 銀につきましては、一般の粉じんについて毒性がほとんどないようなものとして扱われていた経緯があって、それとの対比で考えると、サイズが小さくなったことによって何らかのことを考えなければいけない可能性を考慮すると、そういうものは銀以外にも金属があると思いますが、一般的に毒性がほとんどないような中で、ナノサイズ化することで問題になっているものということの代表として、1つ残しておくものがあったほうがいいような気がします。たまたまこの中では、酸化物は別として、ただの金属としては鉄と銀しかないのですが、注目されている点から言うと銀を残すと。鉄については後で検討だと思いますが、ここで銀をあらかじめ弾いておくのもあれかなという気もしました。
○名古屋座長 一般生活の中に入ってきている物質ですね。それでは、そういう形で、順位を決めるときにそのことを考えながら決めるということで、いま宮川委員から意見がありましたように候補として残して、選定のときにもう一度考えるということで、残す形にしたいと思います。よろしいでしょうか。
(異議なし)
○名古屋座長 それでは、6番のシリカについてよろしくお願いします。
○松井化学物質評価室長 資料3-6.です。シリカは、ナノサイズのものはゴムの強度の向上などに使われており、製造量は推定で5万トンということで、結構多くあります。ただ、2つ目の段落に書いておりますように、シリカはナノサイズ以外のものは毒性があるのです。結晶のシリカは毒性が高いのですが、ナノマテリアルで使われているのが主に乾式シリカと呼ばれる乾式の手法で作られるシリカなどの非晶質のシリカで、ナノサイズ以外のものについてもそんなに情報は多くないのかなということで、ナノサイズ以外と異なる、強い有害性があるかというのは非常に難しいところかと考えております。前回資料から、この頁の下に書いてある修正があって、一部間違っていたところがありますので、今回の資料を基に検討いただければと思います。間違っていたと言っても、ごくごく一部ですので。
 発がん性については、1例ナノ粒子のシリカの筋肉内と皮下への埋込みがありましたが、これは特に大きな異常は認められていないということです。右側の欄にありますように、IARCでは結晶質のシリカを発がん性評価のグループ1としており、非晶質のシリカはグループ3に分類しております。いずれも粒子サイズを特に考慮したものではありません。
 生殖・発生毒性のところで、ゼブラフィッシュを対象にした試験が1例あります。毒性が出ているのですが、試料の作成方法が独自のものですので、通常使われているナノシリカと同じものかどうかはわからないところがあります。違う作成方法が書いてありましたので、異なっている可能性もあります。
 肺毒性ですが、吸入ばく露試験が4~5頁にあります。4頁の「van Ravenzwaay」と読むのかわかりませんが、下の試験例がナノサイズのものとして前回のなしに入っておりましたが、精査してみるとナノサイズではなく、これは右側の欄に移動させております。ナノマテリアルに関する試験例は、吸入ばく露では3件あって、いちばん最初が高齢のラットで影響があったということで、あとの2例は陰性の結果が出ております。
 吸入ばく露以外の投与方法の試験例が、6~9頁にいくつかあります。6頁の最初のものは中国でやられた試験のようですが、これはミクロンサイズのものと比較しており、ナノサイズのもののほうが有害性が低いような結果が出ております。7頁の試験データでは、肺の炎症が見られているということです。8頁のものは石英の結晶性のシリカの粒子で、これは毒性が見られております。9頁は強い毒性の結果が出ているわけではないという試験結果かと思います。以下、そのほかの有害性についての試験結果で、動物を用いたものについて表が17頁まであります。
 1頁に戻ります。ナノサイズのシリカについても、ナノサイズのものに限定した有害性に関する評価値については、参考になるようなものは得られませんでした。測定方法については、ナノサイズの銀に特定した測定方法の情報は得られませんでした。ばく露実態調査の事例としては、19頁に例を挙げております。以上です。
○名古屋座長 ありがとうございます。取扱量は5万トンと、量は多いということですが、濃度が出ていないということと有害性評価の中で、どうでしょうか。炎症程度でそんなに強い生体影響は出ていないような印象を受けますが、先生方のご意見はいかがでしょうか。
○大前委員 結晶質シリカについては、ナノでもナノ以外でも同じような結果だと思います。ナノでは非晶質が多いということですが、非晶質のナノの実験はほとんど何も出ていないので、あまり取り上げる必要はないのではないかという気がするのですが。
○名古屋座長 ほかによろしいですか。
 それでは、シリカは量は多いということですが、大前先生が言われるように生体影響、有害性の中ではないということですので、候補から外すという形でよろしいでしょうか。
(異議なし)
○名古屋座長 ありがとうございます。それでは、酸化アルミニウムについてよろしくお願いします。
○松井化学物質評価室長 資料3-7.酸化アルミニウムです。酸化アルミニウムは、化学安定性や機械的な強度の向上ということで、電子部品やいろいろな部品の表面に塗って守る封止剤のようなものに、推定で700トン製造されているということです。
 2頁ですが、発がん性、生殖毒性については該当するものが見つかりませんでした。神経毒性の例が2~3頁に2つあって、腹腔内投与と静脈内投与なのですが、何らか脳に影響を及ぼすと、あるいはそれを示唆するという試験結果になっております。肺毒性ですが、酸化アルミニウムのボーキサイトの採鉱や酸化アルミニウム精練の現場でナノサイズ以外のものも含めた呼吸器への影響を示すような調査結果があります。これは疫学的な調査結果ですので、そうではないという報告もあるということです。肺毒性の動物試験が4頁以降にあって、最初の4週間の鼻部吸入ばく露試験では肺の炎症が見られたということです。5頁は、ミクロンサイズのものと両方試料として使っておりますが、ナノ粒子のほうが毒性が強いという試験結果になっております。
 1頁に戻って、酸化アルミニウムについても評価値の設定に参考になるような許容濃度等の設定はありませんでした。測定法についても、ナノサイズの酸化アルミニウムに特定した測定方法の公表事例が得られませんでした。ばく露実態調査の例が8頁に2例ありました。以上です。
○名古屋座長 ありがとうございます。有害性のところでは、ナノサイズの粒子については、肺の炎症あるいは優位な影響は見られるとは書いてあるのですが、発がん性から考えると4Aと分類されていますので、いかがでしょうか。
○大前委員 確認なのですが、2頁の神経毒性でナノとナノサイズ以外という表があって、出典が同左とか結果が同左というのは、ナノサイズ以外でもナノマテリアルと同じ結果が得られたということは、差がなかったと見ていいわけですね。特異的ではなかったと。
○松井化学物質評価室長 2頁の結果の2~3行目にありますように、「ナノサイズの粒子投与群では非ナノサイズ粒子投与群及び対照群に比較して優位に増加し」ということで、両方比較したところ、ナノサイズのほうが影響があるという結果になっております。
○名古屋座長 神経毒性を見ると、脳の血管への影響が多いですね。
○大前委員 肺とか腹腔内とか、量が結構多いですね。
○宮川委員 酸化アルミニウムについては、ごく一部非常に特異な、大量のものを無理に入れるような実験があるだけで、人間のほうは精錬関係の疫学調査で、これはナノと意識しない古いものではありますが、問題になるとすると、そういうところでもヒューム、あるいはナノサイズのものが生じていた可能性もあるということで、ここに入っていると思うのですが、特段の小さいものについて注意しなければいけないという情報は、比較的少ないほうではないかという気がします。
○名古屋座長 現状の管理で大丈夫と考えてよろしいでしょうか。それでは、今回これは取り上げないということでまとめてもよろしいでしょうか。
(異議なし)
○名古屋座長 ありがとうございます。そういう形でまとめさせていただきます。次に、酸化亜鉛についてよろしくお願いします。
○松井化学物質評価室長 資料3-8.ですが、酸化亜鉛は化粧品などに紫外線遮断効果とか透明性の向上に使われるほか、いろいろな用途に使われていて、製造量が推定が400トンということです。
 2頁ですが、発がん性に関する情報は得られませんでした。次の生殖・発生毒性については、妊娠率が低下したということが報告されております。妊娠ラットへの気管内投与5回ということです。肺毒性ですが、5頁の下に「Lam et al.」とあります。これが吸入ばく露試験で、期間としてはこれがいちばん長いのかなと思いますが、肺への影響が見られております。
 1頁に戻って、2の(1)ですが、評価値の参考になるような許容濃度等の設定の情報は得られておりません。ばく露実態の把握のところで、ナノサイズの酸化亜鉛に特定した測定方法は得られていない状況です。労働現場におけるばく露測定の情報もないという状況です。
○名古屋座長 ありがとうございました。そうすると、有害性では化粧品など身近なものにあるのだと思いますが、リスクではいかがでしょうか。
○圓藤委員 亜鉛は金属熱の原因物質なので、懸念はあると思いますが、ほかの毒性については特にこれといったものは、データもあまりありませんが、明白なものはないように思います。
○名古屋座長 非鉄金属のところで作業者が金属熱でということはあるかもしれませんが、意外とないと思います。それでは、今回は取り上げなくてもいいということでまとめてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○名古屋座長 ありがとうございます。次に、鉄についてお願いします。
○松井化学物質評価室長 資料3-9.の鉄ですが、ナノ粒子の鉄と、これは金属の鉄と酸化鉄が使われているそうです。パソコンなどのデータバックアップ用のテープや業務用のビデオテープの記録密度を向上させることができるということで、鉄メタルとしては300トンということです。
 2頁です。有害性ですが、発がん性については情報がないという状況です。生殖・発生毒性の動物実験が、論文が1報ということですが、1.は特に大きな影響が出ていないということです。2.については4頁に最後の結論部分があって、奇形が出ているのですが、この報告ですと、自然発生率等を勘案すると生物学的な有意性は不確かであるということです。
 肺毒性については、5頁の中ほどにナノサイズより大きいものと対比したものがあるのですが、両方とも肺障害があったという試験結果が出ております。5~6頁に吸入ばく露等の試験結果がありますが、結果は炎症反応が大きくなるような指標の動きを示したというものと、炎症を認めなかったという結論になっております。6~7頁のものは、亜慢性の炎症を惹起する可能性という指摘がされております。鉄に関しては、10頁のいちばん最後に4週間の経鼻ばく露があるのですが、これが情報が不明確です。
 1頁に戻って、2の(1)の評価値の設定ですが、参考になるような許容濃度等設定の情報は得られませんでした。また、ばく露実態の把握の関係ですが、ナノサイズの鉄に限定した調査方法、測定方法の公表については情報が得られませんでした。
 最後の頁に、ナノサイズの鉄そのものではないのですが、シリカ-鉄複合材のナノサイズのものの測定例があります。以上です。
○名古屋座長 ありがとうございます。許容濃度がないということなので、有害性だけということで、あまりデータが多くないですし、結果的にも若干鉄の粒子のマウスへの肺への炎症反応が見られた程度の報告ですので、有害性についてももう少しデータが出てからという気がしますが、いかがでしょうか。これは取り上げないという形でよろしいでしょうか。
(異議なし)
○名古屋座長 ありがとうございました。それでは、ポリスチレンについてお願いします。
○松井化学物質評価室長 資料3-10.ポリスチレンです。ポリスチレンは、ナノサイズのものは化粧品のファンデーションの滑らかさなどを付与したり、ディスプレーの反射を防止するものに使われており、化粧品の用途での製造量が約15トンと推定をされております。
 2頁をご覧ください。発がん性、生殖毒性、神経毒性、いずれも情報が得られませんでした。肺毒性については、ナノサイズのもののほうが炎症に関与しているという報告があります。主なところでは、3頁にありますように、これは化粧品で用いられている関係で試験されたのかと思いますが、この結果ではアトピー様皮膚炎を悪化させるような試験結果が出ております。
 1頁に戻って、ポリスチレンについても評価値の設定に参考になるような許容濃度の設定等はありませんでした。また、ばく露実態の把握は、ナノサイズポリスチレンに限定した測定法、あるいは労働現場での実態調査の情報は得られませんでした。以上です。
○名古屋座長 ありがとうございます。ここも濃度等は出ておりませんし、有害性の評価も若干粒子の表面によってラットに炎症を起こすという程度のものということなので、もう少し情報が集まってからでいいのかなと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○名古屋座長 それでは、ポリスチレンも今回は見送る形にしたいと思います。それでは、デンドリマーについてお願いします。
○松井化学物質評価室長 資料3-11.デンドリマーです。デンドリマーについては、有機物質で中心から木の枝のように樹状に構成されている比較的大きな分子です。紙のコーティングをする剤の粘度の調整、化粧水の発水性などの向上ということで、紙のコーティング剤、化粧品などに用いられており、製造量が推定5トンということです。
 2頁をご覧ください。事例ということで、実験室でデンドリマーを合成していた学生の皮膚に影響があった事例があるということです。これは原料なのかデンドリマーなのかわからないのかと思いますが、その結果から皮膚障害の可能性の指摘ということです。肺毒性については、気管内投与で、デンドリマーのうちポリアミドデンドリマーで中心から3回枝分かれしているものについて、肺の炎症を引き起こしたということです。その原因を調べているのが、その下にある報告です。3頁の試験結果は、特に陽性の結果は報告されておらず、5頁からいくつか血液への影響を調べた報告がありますが、血液毒性があるという報告があります。
 1頁に戻って、これも評価値の設定に参考になるような許容濃度等の設定の情報は得られませんでした。ばく露実態の把握に関しても、デンドリマーの測定方法という公表されている主要なものは得られず、ばく露実態調査の調査例の情報もありませんでした。以上です。
○名古屋座長 ありがとうございます。これは、ヒトへの影響は発疹が出てくるという報告が得られており、皮膚障害が出ていますので、あとは血液に対する影響ということですが、有害性から考えてどう扱いましょうか。ほかのものに比べて少し有害性は出ているのかなという気がしますが。先ほどよりは、投与によるラットの死亡例で1匹死亡したという報告が出ておりますが、この辺りを参考にしながら、いかがでしょうか。使用量も5トンとそこそこにはあるのですね。先生方にお聞きしたいのですか、有害性のところは、ナノとして特別にリスクをしておかなければいけないようなことは何かありますか。
 それでは、次回もありますので、今回は取り上げずにおきますが、もし次回以降これを復活させて取り上げたいということであれば取り上げるということで、いまのところ現時点では取り上げないという形でまとめてもよろしいですか。
(異議なし)
○名古屋座長 ありがとうございました。それでは、ナノクレイについてお願いします。
○松井化学物質評価室長 資料3-12.ナノクレイです。これは、物質の沈む沈降防止や粘度の変化なりを調整するということで、推定で高純度ベントナイトとして200トンということです。
 2頁をご覧ください。急性毒性試験は、特に低い濃度では影響が認められていません。以下のin vitroの細胞毒性試験の情報しかなく、細胞毒性を示す試験結果は出ております。
 1頁に戻って、評価値の設定の参考になるような許容濃度の設定等の情報は得られませんでした。ナノクレイに限定した測定法の情報、ばく露実態調査の例については情報がありませんでした。以上です。
○名古屋座長 ありがとうございます。吸入性粉じんの許容濃度があります、たぶん昔のデータで、特にナノに決定するわけではなくて、ベントナイト、カオリン等を取り扱っているところが出てきた値かと思います。
 毒性についてはいかがでしょうか。微妙に肺の影響があるように思うのです。in vitroとin vivoの中ですが、いかがでしょうか。
○圓藤委員 in vitroしかないので、何とも言いようがないですね。
○名古屋座長 それでは、また次回もありますから、先ほどと同じような形で、現時点では取り上げない形にして、どうしてもここはあるということになったら、候補として順位の中で選定したいと思います。よろしいでしょうか。
(異議なし)
○名古屋座長 ありがとうございます。最後に酸化セリウムについてよろしくお願いします。
○松井化学物質評価室長 資料3-13.酸化セリウムですが、半導体の研磨剤に使われており、製造量の推定が30トンということです。
 2頁をご覧ください。ナノサイズに限らず、セリウムなどの希土類(レアアース)のヒュームのばく露の報告があって、肺には影響があるということですが、ナノサイズに限定した情報は得られませんでした。以下、先ほどと同じようにin vitroの細胞毒性の試験があります。中には毒性を示すという結果の出ているものもありますが、そうでないものもありました。
 1頁に戻って、評価値の設定に参考になるような許容濃度の設定の情報は得られませんでした。また、ナノサイズ酸化セリウムに限定した測定方法、ばく露実態調査の実施例も情報としては得られませんでした。以上です。
○名古屋座長 ありがとうございます。ここもin vitroのデータだけですので、ナノクレイと同じ扱いになるかと思いますが、いかがでしょうか。それでは、先ほどと同じ形で、今回は取り上げる項から外すということでまとめたいと思います。
 以上13物質、酸化チタン、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、銀までが候補で、残りは今回は取り上げない形になりましたが、もし次回以降何かありましたら、復活させて検討することはやぶさかではないと思います。今日はこの13物質を選定しました。
 それでは、議事次第に従って、その他の資料についてお願いします。
○瀧ヶ平室長補佐 資料4にありますように、次回は11月30日(水)2時から4時に、11階の会議室で予定しております。委員の先生方には、産業技術総合研究所からNEDOプロジェクトの報告書と電子データが提供されておりますので、ご参考にしていただければと思います。
○名古屋座長 そのほかにありますか。よろしいですか。ご検討いただきまして、本当にありがとうございました。最後は少し忙しくなってしまいましたが、本日予定しました検討は終了しました。これで本日は終わらせていただきます。どうもお疲れさまでした。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 平成23年度化学物質のリスク評価検討会> 平成23年度第2回化学物質のリスク評価検討会

ページの先頭へ戻る