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2011年11月18日 新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム(第3R)「保護者制度・入院制度の検討」に係る第8回作業チーム議事録

社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課

○日時

平成23年11月18日(金) 18:00〜20:00


○場所

厚生労働省 専用第12会議室(12階)


○出席者

磯部構成員、岩上構成員、河崎構成員、久保野構成員、鴻巣構成員、笹井構成員、
千葉構成員、野村構成員、広田構成員、堀江構成員、町野構成員、良田構成員

○議題

(1) 入院制度について
(2) その他

○議事

○福田精神・障害保健課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより「第8回保護者制度・入院制度に関する作業チーム」を開催いたします。構成員の皆様方には、御多忙のところ御参集をいただき、誠にありがとうございます。
 本作業チームは公開のため、作業チームでの審議内容は、厚生労働省のホームページに議事録として掲載される予定ですので、あらかじめ御了解くださいますようお願いいたします。
 また、本日は上原構成員、白石構成員から御欠席との御連絡をいただいております。
 それでは、ここからは町野座長に進行をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○町野座長 ありがとうございます。
 本日は、前回第7回といいましても二、三日前なのですけれども、そのときに示された資料3に基づきまして、医療保護入院が生ずる典型的な事例について、議論を進めていきたいと思います。
 具体的には、それぞれの事例において、どのような背景で医療保護入院に至ったのか、医療保護入院に至らないためにはどの時点でどのような支援があり得たか、退院するためにはどのような状態になっていることが必要か、また、どのような支援、医療面、福祉、生活面、それがあれば、より早期に退院することが可能かということを念頭に置いて、御議論を行っていただきたいと思います。
 更に、この事例検討は、医療保護入院の将来像、その在り方を考えるためのものでもありますので、前回の議論に出ましたように、医療外的なあるいは福祉の外からの観点、つまり精神障害者の自立性の保護について十分であるのか、入院手続きの妥当性について、デュープロセスの観点からも見ていただきたい。更には、医療入院の費用及び地域精神医療の費用、それらの点について、どのような配慮がなされているかということについても議論の対象となると思います。
 それでは、これから事例に沿って説明していただきたいと思いますが、おおよそ事例について事務局から3分説明をいただき、その後、15分の討論ということで全部済ませてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

○本後課長補佐 それでは、お手元の資料、これは一応前回お出しした資料と同じものを出しております。資料2の冊子の中の15ページ、事例1でございます。これは未治療で統合失調症の方。家族が同居していて徐々に状態が悪化している方。医療保護入院から任意入院に変更後、退院となったという方です。
 患者の状況ですが、25歳の男性、母親と同居しています。大学を卒業後地元の役場に事務職として勤務している。
 入庁3か月を過ぎたころから不眠が続き、職場を遅刻、早退する。上司や同僚が自分の悪口を言っていると県外に住む姉に昼夜を問わず電話するようになる。半年後、職場で空笑、独語が目立ち、上司の書類を破いたり暴言があったりして自宅待機となっています。
 入院が必要と判断した理由ですが、その後も自分の悪口を言っていると言って、毎日職場に電話をする。総合病院の精神科を受診しましたが、内科ではなく精神科の待合室に行った途端に、本人は「騙したな」「自分を患者扱いしている」と騒ぎ出す。診察では、上司が自分の悪口を言い、行動を妨害するという繰り返し。精神保健指定医が説得するも本人は納得しないということで、医療保護入院となっています。
 入院直後は落ち着かなかったものの、徐々に自分は病気だったのかとたびたび口にするようになり、入院2か月後、精神保健指定医が病識がついたと判断して任意入院に変更になっています。4か月後に退院という形になっています。
 その後は、精神科のデイケアを利用しながら短時間勤務も始め、再入院せずに生活を継続しているというケースでございます。

○町野座長 ありがとうございました。
 それでは、このケースにつきましていろいろ御議論あろうかと思いますが、どちらからでも、あるいは既に、今日、出席できない上原構成員の方から、まとめた表が配られております。この点、事務局から若干の補足とかございますでしょうか。

○本後課長補佐 それでは、お手元の上原構成員提出資料というものがございますので、今日、御欠席ということで読み上げさせていただきたいと思います。
 まず、事例1の医療保護入院の判断というところですが、幻聴による迷惑行為、母・姉に対する暴力行為の予期があったということで判断されたのではないかということでございます。
 医療保護入院回避のための支援ということで、介入のタイミングと支援内容に分けて書いていただいています。介入のタイミングとしては、職場での空笑・独語・上司に対する暴言を吐き、自宅待機になったときというものが1つのタイミングではないか。職場の上司がメンタルヘルスに関する知識を持ち、保健所の保健師などに相談していればよかったのではないかということでございます。
 退院に必要な状態ということで言いますと、上司や母親に対する猜疑心の軽減及び病識の萌芽が出てくるということ。
 どのような支援が必要かということに関しては、上司に対する助言・指導ということと、リワーク支援の活用ということを挙げていただいております。

○町野座長 ありがとうございました。
 それでは、以上を踏まえまして御議論お願いしたいと思います。
 野村構成員、どうぞ。

○野村構成員 これは、とても近づきがたくて、誰が近づいて話をしても拒絶されて、会社の人たちが悪いんだということを信じ切っているということで、困った状態であります。しかし、会社でもメンタルヘルスの専門家がいらっしゃって、そこでこの方に話ができたら、もしかしたら、つながりができて落ち着かれて、自主的に受診できたかもしれない。
 自宅に待機となったときに、自宅を訪問して御本人を説得して、医療につなげることができなかったのかなということを考えるのですけれども、なかなかそれは大変なことであり、成功する可能性も少ないかもしれませんが、そのような支援があったらよかったかなと思います。

○町野座長 ありがとうございます。
 他にございますでしょうか。医療保護入院の判断の仕方で、迷惑行為があるかどうかということはかなり現場では重視されているという具合に受け取られますけれども、実際にはこのようなものなのですか。
 次のものも大体そういう迷惑行為があるということが、法律要件だと、医療保護のための入院の必要があるときという具合に書かれているのですが、いつ入院の必要があるという判断をするかということは、周りに対する影響をかなり考慮しているという話なのですか。
 河崎構成員、お願いします。

○河崎構成員 こういう事例検討をしていく際に、どういうコメントを挟んだらいいのかということが物すごく私自身、今、整理がついていないのですが、町野座長がおっしゃったように、迷惑行為があるからイコール医療保護入院という形は、実際の臨床の場面ではそれが1つの要因として考えることはあるにしても、そのことがイコール医療保護入院という考え方はあまりしていないと思います。
 それよりも、本人が医療を受けるということにきっちり同意を得られるのかどうかということが医療保護入院の要件として重要だと思っておりますので、この事例に関しては、その辺のところがあまり何も書かれていないのです。確かに、上段のところでは入院して治療すると早く落ち着く、説得するも本人は納得をせずと書かれていますので、この辺りが医療の必要性を理解できる状態ではないということを反映しているのだろうと思いますが、これが一番重要な要件になるのだろうと思います。
 どの段階で介入すれば医療保護入院が防止できるのかということも非常に難しい問題かなと思いますけれども、この相談までの経緯のところで、上司や同僚が自分の悪口を言っていると県外に住む姉に昼夜構わず電話するようになったと、このときに、御家族として何か御本人の変調なり精神的な問題に関して相談ができるようなチャンスがなかったのかなと思います。
 といいますのは、その後、半年経ってから職場でのいろんな問題が起こってきているようでございますので、この半年間が何か治療的な介入をするチャンスがかなりあったのではないか、ここで何らかの介入ができていればなという印象を持ちました。
 今のところ、それぐらいの印象でございます。

○町野座長 他にございますか。
 磯部構成員、お願いします。

○磯部構成員 磯部です。
 事例1〜6まである中で、このケース以外のものは比較的に病状悪化のおそれがあると書いてあったりそれがうかがえたりするケースなのですが、本件では、そうなのかどうなのかよくわからなくて、入院及び保護の必要があるときということをどう判断されるのかなというものを伺ってみたかったのです。例えばこのケース、相談までの経緯で連れてこられれば、診察の場面でお医者さんはどういう経緯でこうなったかと話を聞くわけです。そうすると、半年後に本来介入のタイミングがあったのではないか。それで既に悪化してきてしまった、だからこの時点で入院が必要だという御判断になるというイメージでよろしいのでしょうか。
 今、このまま放っておけば、更に悪化するのか。それとも本人がいつか次の機会にまたいらっしゃいと言って同意するかもしれない。そのチャンスを待つということを見なくていいのかということを聞いてみたいのです。悪化したなりに、しばらくその状態で続くのであれば、また本人の同意を待ってもいいのかなという気もしたのです。

○町野座長 千葉構成員、お願いします。

○千葉構成員 私は、このタイミングがぎりぎり限界の臨界点かなと思います。御家族にしてみても非常に困難を感じながら、今日、何とか連れてくることができたということあって、おっしゃっているとおり3か月ぐらい前のところに治療介入のポイントがあって、もしかしたらこの時点では、まだ御本人も不眠もありますし、調子が悪いなということは自覚なさっていたのではないかと思うので、この時点であれば、受診に対しての抵抗感はあまりなかったのではないか。この後の実際に受診になった時点よりはずっとそう思えると思うんですが、その後、病状としてはどんどん進んでいって、自分の状態を認識できる能力の障害まで起こしてきているということを考えますと、この時点で。
 もう一つの点は、もしその時点で介入をせずに帰してしまった場合に、今度は「騙したな」と言っている家族に対するネガティブなものが、どんな形で出てくるのかという危惧も感じるわけでして、そういう感情が病状に対してもより一層いい影響にはならないのではないか。むしろこの時点で、ある意味強制的に治療を開始して、早く家族へのネガティブな感情も回避できるような介入をしていくべきだろうと思います。

○町野座長 広田構成員、どうぞ。

○広田構成員 つまり、医療保護入院になる前の支援をという話も出ましたけれど、厚生労働省でも起こり得ます。入庁直後から愛想がない、岡田部長が福田課長に「福田君、愛想がないよ」「本後君、声が小さいよ」と、そういうことを連発されたら年齢問わずみんな病気になりますから、そこが介入時で、日本列島がまさにうつ爆発的ですが、そういう孤立しない職場づくり、孤立しない家庭づくり、孤立しない地域づくりで、仮に孤立しても強くなって、孤立に強くなれというのは曽野綾子に学んだのですけれど、そういうことで、そこが最大の介入で、人間関係の中から起きたような感じです。
 私自身がニートのような状態でずっといましたから、人間が孤立に強くなれと言っても、今は少しは強くなったかもしれないけれど、その時点では強くなかったから、特に新人職員、霞が関の、政権が揺らいで大変なときですから、部長、厚生労働省をよろしくお願いしますということで、介入時は一人ぼっちにさせない、何かネガティブなことを言ったらすかさず中谷さんみたいな美人補佐が「福田課長、あなたは立派にやっているよ」「むしろ岡田部長がおかしいよ」と、こういうことでよろしくお願いしたいと思います。
 とりあえず、私がここから学び取ったことはそれぐらいです。

○町野座長 今の皆さんの御議論だと、介入と言いますか、もう少し早く手を差し伸べるべきときは3か月だろうと。そのときに、仮に誰が何かケアをして、いろいろなことを言って、そうしたときはどうなったですかね。もし、私は病気ではないから余計なことするなということを言ったときに、これは入院させた方がいいのですか。
 野村構成員、どうぞ。

○野村構成員 今のことだと、私たちのイメージの中には、それは強制入院だねということがあるのですけれども、それは医療だけではなくて、休息する施設があって、部分的に制限されるが結構自由でいられるというところに、迷惑行為がある場合は、そこに半ば強制的に休んでいていただいて、そこから医療というものにつなげていくことはできないのかなと思うんです。
 何も医療機関でなくてもいい、精神科の医療は当然そこに関わってくるのですが、休養施設というイメージで、半ば行動制限を受けながら休んでいただいている間に医療を施せば、また穏やかになってくるのではないかと思います。
 今の状況では、悪くなってしまうまで家族がかなり責任を持たされているのです。最初におかしくなったときに、すぐ相談に行けて、すぐに介入がなされれば、このケースであっても兄弟なんかに電話をしているわけですから、そこでもし医療の方と家族が一緒になって御本人に接して、了解を得てから治療を始めることができれば一番よかったのだろうけれども、大体の場合は最悪になってから、家族がガードマンを雇って連れて行ったり、このように騙して、騙すときの家族はすごくつらいのです。あれは絶対に避けたいのです。騙して連れて行って、しようがないからそこまでやるけれども、その後が一生涯の傷になるので、これは本当に医療がその地域に出かけていって、家族と一緒に初期の間に手当てしてくださることを家族としては心から望みます。
 以上です。

○町野座長 良田構成員、どうぞ。

○良田構成員 私も今、野村さんがおっしゃったことに同感なのですけれども、もう少し早いうちに、家族が多分すごく心配していたと思うんです。家族は素人ですから、心配しつつ、どうしていいかわからない、どこに相談していいかもわからないということで、大分迷っていた時期があったのではないかと思うんです。
 これを見ると、お姉さんは電話帳で総合病院を探しているわけです。電話帳というところに、精神保健の情報がなさ過ぎるなと。家族の人が電話帳で調べる。総合病院でいい先生に出会って、指導していただいたのでよかったと思いますけれども、それだけ情報がなくて、家族が関わっている時間が延びてしまうということがあるだろうなと思いますし、病気の人がみんな誰でもかれでも受診を拒否すると思ってはいけないので、関わりの中で本人もそういうことなら行ってみるかという気持ちになる時期ということもあると思うんです。
 ですから、できるだけ早いうちに情報を家族に提供して、相談できる方がいいということと、この方は初発ですので、とんとんと治療が進みましたけれども、この後、会社に復帰されて、それから先いろんなケアがないと、薬をやめてしまったりとか病状が悪くなってしまうような危険性もあると思うんです。その後のケアというものが、これで一件落着ではなくて、しっかりとなされる必要があると思いました。
 以上です。

○町野座長 他にございますか。
 堀江構成員、どうぞ。

○堀江構成員 一言だけなのですが、世田谷で一昨日、メンタルヘルスリテラシーを地域に根づかせようという試みを始めました。結局、御家族で言えば9割の人たちがメンタルヘルスのことについて知らないというのが実態だということがはっきりしているわけだし、地域の方だって全く、職場の方だってそれに対する勉強はしていないわけです。そういうところでは幾らでも出てくる話だろうと思いますので、我々のところでは小学校の段階からメンタルヘルスについて、これは中学・高校になればですが、中核症状と周辺症状について、みんなが最低限知るということを政策としてもやっていこうという話をしていたところです。

○町野座長 広田構成員、どうぞ。

○広田構成員 堀江さん、その小学校・中学校というものはどの程度知ることになるのですか。

○堀江構成員 小学校でいじめというものはきついですね。そういうようなこととか、中学校に入るとネグレクトとか、そういう言わば集団の中で一緒に遊んでいくような中に、人の心を傷つける、それが後々フラッシュバックになったりしないようにする、そういう配慮というのは一体どういうものなのかということを考えていかなくてはいけないな、もうそこまで来ていると思いました。

○広田構成員 そうしたら、それはメンタルヘルスという言い方をするからすぐ精神の領域に方にいくのかということで私は反対するのだけれども、道徳というか人間が生きていく中で基本です。優しさとか、先ほど私が言った孤立しないで声かけするとか、そういうことで、我が家に10人ぐらい子どもたちが来ますけれど、大人よりもはるかに口が達者で頭の回転が良く、だんだん上に上がっていくに従ってぼうっとしていくというぐらいですから、そういうことなら大賛成で、心優しい人に育っていく強さと厳しさ、そういう大人の責任ですね。
 私だったら、多分ディスコに連れていくとか、前にも話していますけれども、JRの若者を六本木ヴェルファーレに連れていきました。それから、「お嬢さんが統合失調症になる可能性がありますか」とある病院の医者に聞いたら、しばらく考えて、「うちの娘は大丈夫だと思います」と言いましたから、私はそういういろんな人の話を聞いている中で、環境因子というものはあると思います。特に新人のときはこういうふうに追い込まないということだと思います。
 堀江さんの話は大賛成です。

○町野座長 ありがとうございました。
 岩上構成員、どうぞ。

○岩上構成員 本当は、今の広田さんの話を続けたいところですけれども、こちらに戻させていただいて、実際問題として、今、こういう形で入院されている方は非常に多いと思うんですが、その家庭の中でお姉さんが相談して、介入できているということもあると思います。
 私は、ここに福祉事業者の枠で来ているのですけれども、もともと保健所職員だったので、こういう御相談はたくさん受けてきているのです。そのときに、先ほどお話がありましたように、御家族がどう受診援助をしていくかの援助ですね。
 話があったように、騙して連れていくということは絶対させない。ますます被害感が強くなってしまって、精神科医療から遠のいてしまう。そこで、御家族が御本人を説得する場合もあるし、私たちがお話を聞いて、そこの関係性をちゃんとつくっておくことが退院後の生活に非常に有効だと思っています。
 必ずしも医療保護入院を防げるかというとそういうことではないです。しかし、そこで自分の味方になってくれる人がいるんだということを知っておいていただくということが、予後をよくする。そういうことを実践としてやってきました。ですから、何回か訪問していって医療保護入院した方が、医療保護入院した後に私のところに連絡してきて、家にあるものを取りに行ってくれないかとか、家族にはこれ以上迷惑かけられないので、靴を持ってきてくれとか、そういうことにつながっていく。
 ですから、今、お話があったように、ここの介入できる機会がもう少し身近に、その中には広田さんみたいに御本人が支援をするということも今後出てくると思うんですが、そういう身近なサポートがあることが、必ずしも医療保護入院を防ぐということではないのですけれども、今後の退院後の生活に向けては非常に有効だと思っています。

○町野座長 最後に、河崎構成員、どうぞ。

○河崎構成員 この事例を通じて、実際的に、例えば入庁3か月を過ぎたころからという時期に保健所に御家族が御相談に行くといったことを想定したときに、保健所としてどういうことをしてもらえるのか。これは、本当に私たちの印象ではなかなか動いてもらえない保健所も結構あるわけで、今の岩上さんの経験のように非常にきめ細かく対応してくれるのであれば、逆に言うと、今回、厚生労働省が23年度予算でつくった「アウトリーチ推進事業」などというものは保健所の方で全部対応可能だという話になるのです。
 ですから、このときに医療的な介入が必要だということで皆さんがある程度思われるのであれば、このときに実際上どういう社会資源を使えるのかというところはいかがでしょうか。

○町野座長 いかがですか。

○岩上構成員 実際は、ちょっとこの際は。

○河崎構成員 もう少し本音の話で。

○岩上構成員 ですから、最初に申し上げましたように、必ずしもうまくいくとは限らないのですけれども、御家族の御相談を受けて、最初は御家族がどう御本人と関わるかだと思うんです。御家族自身も、先ほど来出ているように何の知識もない、病気かどうかもわからないということからスタートしていますので、まずそういう疾病性の疑いがあることの意見交換をするところから始まると思います。
 基本的には御家族が御本人に、保健所にあなたのことが心配だったので相談に行ったということをきちんと話していただきます。すべてはオープンにしましょうと。隠し事をすることがより不安になるのでオープンにして、私たちが会えることを伝えるくださいと、会うことに了解を取っていただく。そこで会える可能性も結構あるわけです。
 お会いして悩んでらっしゃることをお聞きして、そこで、自分は悪くないとか病気ではないという話をたくさんされるのですけれども、今の状態というものはどうなのですか、夜眠れないとかつらいとか、その部分だけは解決しませんかということで、その専門家は精神科医ですから、受診を勧めますと。実際、起こっている問題について私も事実はわからないのでというような関わり方をしてきました。うまくいく方もいれば、いかない方もいらっしゃる。そういう場所があるということを知らない方が多数ですから、このように家族が、病気だから一緒に行ってくれと言って、騙す形でということはかなり多くあるのではないかと思っています。

○町野座長 これは重要な問題ですので、鴻巣構成員から何かありますか。

○鴻巣構成員 私も、保健所をやっていましたけれども、今は保健所でありませんが、スタンス的には、早めに相談に関わったときに何ができるかというと、御家族に病気の説明、恐らくこういうことが起きているのではないかということの説明だったり、心理教育的な、こういうときにはこういう対応をしましょうと。例えば心配するあまり、当たらずさわらずだったり、逆に病気扱いしてしまう。うちの子は病気なのですけれども、という御家族もいたりします。どこで聞いたのですかというと、私がそう思ったと。世の中にあふれている情報からするとそうかもしれないということをおっしゃる家族もいらっしゃいました。
 ですけれども、病気かどうか決めるのはお医者さんだねということで話を戻すわけです。そうした場合に何ができるかというと、家族として心配している姿勢を見せましょうと。これは言っておきながら自分の子どもにそれができるかというと、これは精神科の病気ですが、他の病気であったとしてもなかなかできないのが事実だと思います。
 皆さん、自分のところに置き替えてもらうとわかると思いますけれども、心配するあまりに当たらずさわらずになってしまう。あるいは心配するあまりに過剰に反応してしまうということが起きているのが状況です。そういう解説をしながら、受診が必要だという判断、先ほどもありましたが、こういう問題的な行動がエスカレートしてきているとすれば、これ以上エスカレートすることが本人にとってはためにならない、あまりいいことが起きないということが予測されるのであれば、受診に向けて調整をしましょうとなるわけですが、その場合に岩上さんがおっしゃったようにうそはつかないようにする。あなたのことが心配だから、こういう相談を保健所にしている、あるいは、あなたのことが心配だからどうしていいかわからないので、対応方法を保健所に聞いてきたんだということをちゃんと伝えてくれとお話しします。
 ただし、すべてがうまくいくわけではないとおっしゃったのは、例えばそのことによって本人が過剰に反応してしまう場合も中にはあります。御家族が自分のことをどこかに連れていこうとしているのではないかと反応してしまうことがある。そこで、訪問して、安心を得るためにも、今この人と相談しているんだよ、来てくれたよという姿を見せることも大事なことです。
 ただ、河崎構成員がおっしゃるように、それだったらアウトリーチを全部保健所でやればいいではないかという話がありますが、かつては多分、行っていたのは保健所だけだったと思います。ところが、マンパワーがどんどん不足していく、そういった事例が敷居が下がったと言いますか、昔と比べると、保健所でそういうことをやっているんだねということが各機関に知識として入っていく中で、件数が当然増えてきます。
 そうすると、よく言われますけれども、保健所に連絡しても何もしてくれなかったとかという結果が生じるというのは、恐らくアセスメントする段階で我々今すぐ関わらなくてはいけないのか、時間を置いて関わった方がいいのか。あるいは法施行事務と保健所では言っていますけれども、精神保健福祉法の23条とか、要するに警察官通報に基づくような、警察が保護していて、自傷他害行為があって、今すぐ精神保健出動をしなくてはいけないという場合に、そちらを優先せざるを得なくなることは当然出てくるのです。
 そうすると、順番づけをしていって明日面接しましょうと約束していても、明日になってみたらそういう事例が発生して、そこに行かなくてはいけないということが起きると、電話連絡をして、今日はいけなくなってしまいましたということも生じることがあります。ですから、不幸なことが重なっている実態はあると思います。
 保健所に相談すればすべて解決するというものではないですが、糸口の相談とかができるのは事実だと思います。また、精神保健福祉センターもありますので、精神保健福祉センターでは、保健所の相談・指導の難しい部分をやったりという役割があったり、保健所と連動して相談を行ったりということもありますので、保健所だけではなくて、そういったもの。それから、最近、活動が活発になってきましたのは、岩上さんが言うような相談支援事業所ですとか、導入の部分になるかもしれませんが、市町村の窓口も少しずつ機能を始めているというところを考えますと、これは現状ではない事例だと思うんです。つい1か月前にあった事例ではないと思うんです。
 というのは、そういったものが広がってくる中で、可能であればどこかに相談がつながれば、そこからまた違うところにアクセスできる可能性はあるのではないか。ただ、言いましたように連絡すればすべてがどこかでつながってうまくいくというものではないというところは事実として残っているのが悲しいところでございます。

○町野座長 千葉構成員、どうぞ。

○千葉構成員 時間はあれでしょうけれども、最初の症例なのでどうしてもたくさんいろんなものが出ると思います。先ほど堀江構成員の方からリテラシーの話が出たのですけれども、医療保護入院等の中でなるのは、本人が自分の状態を認識する能力が低下していることと、治療を受けるということに対して積極的に理解できないということがあるかと思うんですが、基本的にすべての人たちがもっと精神疾患とそれに対する理解を根本的に持っていれば、そして、その治療云々ということがどういうことなのか、どういう利益が自分にもたらされるのかということをもともとのところに持っておられれば、大分その辺のところの理解度というか承認度が違うんだと思うんです。
 今の大きな問題は、その辺のところの国民全部に対してのきちんとした教育というものができていない。理解を深めることが行われていないということが、一方ではそういう場面になったときに、本人の不安感だったり、この先にどういう治療になるのかということが理解できなかったり、自分の利益になるかならないかの判断に大きく影響しているのだと思うんです。
 ですから、本当であれば、この入庁直後からのところの時点で既に、私はちょっと調子悪いのではないかな、もしかしたら昔習ったそういう状態なのかもしれない、あるいは自分の気持ちがゆがめられている、ストレスになっている、これが進むと決していいことにはならないと思えば、そういう相談なり何なりを自ら行動化できるようなものを構築しなければならないのではないかと思います。
 また、企業内においても、そういった相談窓口というものは最近大きいところではつくっているかと思いますけれども、そこに行くことが既にマイナスになるということとか、周りの上司や同僚からそういうところに行った人と見られるのです。そういうことが実際には進まない理由ともなっているように聞いていますので、全員のリテラシー、理解度を上げていくということが最終的には医療保護入院等の強制入院、非同意入院を減らしていくことにつながるのだと思います。

○町野座長 ありがとうございました。
 既に、予定していたよりも10分以上時間を取っていまして、次のところでまた御議論をお願いします。

○本後課長補佐 それでは、16ページの事例2、これは治療中断で統合失調症、家族同居で徐々に悪化していったケース。医療保護入院から退院をされています。
 28歳の女性で、24歳のときに1年間任意入院をしている。その後、病院デイケアや就労継続B型に通所していました。
 体重が増えて、彼氏から「デブ」「痩せろ」と言われ、高校時代の友人に言われたこともあって服薬を減らし始めた。更に減らし始めましたが、一応通院だけはしていました。中段3か月目ころから化粧が歌舞伎役者のように派手になって、就労継続B型のところで興奮し、暴言を吐くということをしました。
 市の保健師が母親に連絡したところ、自宅の押し入れの中に薬を隠していたということを言っていたと。市の保健師が本人を説得し、母親と一緒に同行受診をしました。病院では、精神保健指定医の説明を全く受け付けなくて、母親とも言い争いになるということで医療保護入院に至ったというものです。
 入院当初は、家に帰るという繰り返しでしたが、たまたま前に入院したときに知り合った人と同室になり、徐々に話をするようになるということで、彼氏や母親も週1回面接に来て、「皆、待っているから」と言って励ますといったこともあり、入院3か月後病状が落ち着いて退院しました。
 その後は、在宅での生活を継続しているというケースでございます。

○町野座長 ありがとうございました。
 非常に初歩的な質問で申し訳ないですが、この中にあります就労継続B型事業所のサービス、これはどういうものなのでしょうか。

○本後課長補佐 就労継続B型事業所というものは、かつての福祉作業所でございまして、一般就労がなかなか難しい障害のある方々が集まって、いろいろ自主製品をつくったり企業の下請けをしたり、それぞれのペースに合わせて働く、そういう事業の形態で、障害者自立支援法に基づくサービスでございます。

○町野座長 ありがとうございました。
 久保野構成員、どうぞ。

○久保野構成員 今の御説明で1点質問なのですけれども、障害の種別ごとなのか、それとも種別は関わりなくということなのかということを教えてください。

○本後課長補佐 一応、障害の種別はないという形になっております。いずれの障害の種別でも就労継続B型の事業所は使えるという形になっております。

○町野座長 他にございますか。
 これは、既に医療的な介入はなされていたのだけれども、医療中断のためにこうなってしまったといいますか、医療保護入院になったケースです。
 良田構成員、お願いします。

○良田構成員 このケースで、心配した市の保健師が母親に連絡したところとあるのですけれども、これは保健師さんがこの方に継続的にその前も関わっていたと解釈してよろしいですか。

○本後課長補佐 最初に市の保健師さんの勧めで就労継続B型に通所していますので、恐らく関わっていたということであろうと思います。就労継続B型の事業所も保健師さんと連携をしながら支援していたということではないかと思います。

○町野座長 河崎構成員、お願いします。

○河崎構成員 このケースでは、多分治療が中断したということをどう防ぐことができたのかということが1つの観点になるのかなと思うんです。私たちのような医療機関の立場からしますと、ずっとこれまで2週間に1回の通院を規則的にやっておられた方が4週に1回の通院になった、しかも、そのときは薬だけしかもらわないようになってきたというときに、何らかの形で、例えば御家族に最近の様子はどうですかというアプローチをしているような医療機関も最近はあるんです。そういうことに対して、御家族の立場では、医療機関からの問い合わせとか、状況がどうなっていますかというようなアプローチに対してはどういう印象をお持ちなのか教えていただきたいと思います。

○町野座長 堀江構成員、どうぞ。

○堀江構成員 その前に、これを見た途端に、私たちの周りにはこういう人が多いものですから、減薬のスピードが早過ぎたのではないかと思います。最後の方のところに、薬剤師から薬の効用や副作用について指導を受けると書いてありますが、この方に医療機関の中で、勿論家族もそうですけれども、薬の効用や副作用というものをちゃんと教えているのだろうか、伝えているのだろうかということについて、このケースについて御説明があるとすごくわかりやすいのです。

○町野座長 どうですか。
 このケースで、今のような説明とかは。

○広田構成員 この方に関するこれ以上の情報があるのですか。薬の説明ができていたのか、そういうことです。

○本後課長補佐 済みません。仮定の話なので、いずれにしてもあまりあれなのですけれども、このケースで検討いただきたいことは、薬の説明は基本的にあまりされていなかったという前提だと思います。これも、減薬といっても医療機関が減薬したのではなくて、高校時代の友人に相談したところ、薬をやめればやせると言われたので、自分の判断で減らしていってしまったということなので、そういうことを前提に御議論いただければと思っています。

○町野座長 先ほどの河崎構成員の質問はどうなのでしょうか。

○野村構成員 河崎先生からの御質問なのですけれども、薬を飲んでいるかどうかを家族が本人に気づかれるような形で管理するみたいなことになると、非常に関係が悪くなるんです。支配されているとかコントロールされていると。そうすると、そこで爆発してけんかになることもありますし、下手をすると病状の悪化につながるので、御本人が自律的にやっていると家族が信じていたいというか、本人を信頼していたい。お医者様の御指導で御本人が自律するようにしていっていただきたい。
 家族がお手伝いするとしたら、御本人に気づかれない形での観察の結果とか、家での様子を治療に協力する範囲でお伝えすることはできます。それ以上に介入すると、かえって御本人との関係が悪化して、治療によくない結果になるような気がいたします。

○河崎構成員 今、野村さんがおっしゃったとおりで、私がお聞きしたかったことはそこの部分で、何も、お薬を飲んでいるでしょうかとか、お薬の管理がどうですかということを医療機関の方から聞くという意味ではなくて、このケースで見てみますと、4週に1回の通院になって、しかも、薬だけはもらっていたということは、こういうことはあってはいけないのだけれども、ひょっとするとお薬だけをもらってドクターのきっちりとした診察を受けていないということも想定して、事務局で書いておられるのだろうかなと。
 そうすれば、私たち医療機関の方からすると、その方の状態、最近調子はどうなのですかということが全くわからないので、その辺りのところをお聞きすることに対してどうですかという質問でしたので、今、おっしゃられたように、最近の状況等を教えていただくことにはあまり大きな抵抗はないということでよろしいのでしょうか。

○野村構成員 個人情報とかありますけれども、多分それとは関係なく、家庭ではこういうことですということをお伝えして大丈夫ではないかと私は判断しております。

○町野座長 広田構成員、どうぞ。

○広田構成員 去年、共同通信の記者の取材を受けていて、謝罪されたことが記事になっています。次回、資料としてお出ししますけれど、取材が終わって出かけようとしたら、10年前に警察から相談を受けて出会い、問題を解決できた方が、電話をかけてきたので、共同通信の記者と一緒に庄屋へ行ったのです。記者と私と一緒に飲んでいたのですが、興奮状態になり、立ち上がって他のところに行って殴り込みしようとした瞬間に、私が防いだということが記事に書いてありますが、そのときに張本人は2週間薬飲んでいなかったのです。
 先ほどの最初の事例は、まさに入庁して孤立しているのですが、私たち患者仲間で薬の話をします。そこのところでなぜ、仲間が薬の話をしていないのか。最近薬飲んでいるのなどの話をしますから、介入だとしたらそこのところだと思います。
 私の場合は、2週間飲んでいなかったということがわかって、精神科医と患者との信頼関係がキーワードになったのです。「先生を信頼している」と聞いたら「信頼している」というから、私が、薬を飲んだ方がいいわよと言わずに、「今日、今からタクシーで帰って、明日必ず先生のところに行って、薬を飲んでいない話をしてね」と言ったのです。それで、送り返して、「これで入院を防げたわ」と私は記者に言ったのです。そうしたら、彼女はちゃんと次の朝医者に行ってくれたのです。医者が「飲みましょう」ということで飲んで、入院しないでセーフです。
 ですから、なぜ、B型という3種障害といっても精神障害者だらけですよ、そこのところがうまく機能していないのか。私はこういうケースは考えられないです。大概、患者仲間で、飲んでいる、飲んでいないと。
 骨折したときに、家族に行ってもらいたくない、かつてそういう被害を受けていますから。それでタクシー会社に相談したのです。病院は、私の「自筆の手紙と診察券を渡して下さい」というから、KMタクシーに電話して、「芹香病院で薬を取ってきて下さい」と言ったら、「そんな大事なことうちでいいのですか」と言うから、「大事だからお宅しか頼めない」と言ったら、空のタクシーがやってきて、病院側が薬を全部用意していてくれて渡してくれました。
 薬が本当に欲しいときになかなか手に入らないというのが実態です。患者同士のピアサポートが一番効力があるし、飲んでいる人同士、私は30kg太って薬を飲んで、フィットネスに行って22kg落としていますが、ピアサポートが最大の効力だと私は思います。
 千葉構成員が言ったところの、国民に精神の教育ということですが、先ほどの堀江さんの話を見るまでもなく、私のうちの近所の子どもを見るまでもなく、また筆箱に盗聴器を仕掛けて親が聞いている時代で、ものすごい社会だから、そんなことをやったら、悪口言っておいて幻聴だ妄想だと始まりますから、とんでもない、まずは道徳教育から始めた方がいいと思います。
 以上です。

○町野座長 では、申し訳ないですけれども、次に移りまして、事例3をお願いします。

○本後課長補佐 それでは、17ページの事例3でございます。これは未治療で統合失調症で独居の方。近隣住民からの苦情が発端で医療保護入院に至った方です。
 26歳の男性で、25歳のときにパチンコ店の清掃業務の仕事に就き、店近くのアパートで暮らしていました。次第に同僚や来店客に自分は神様の身代わりであると話しかけ、店長に注意される。転職2か月後、無断欠勤したため、同僚がアパートを訪れると、壁に意味不明の文書を羅列した紙が張ってあった。今、神様と対話していたと話をする。
 転職3か月後から夜中に大声で騒いだり、太鼓を激しく叩く。近所の方が苦情を言ってもあまり聞く耳を持たない。そのため、隣人が警察に電話をし、警察が警察官通報を行った。保健師が訪問し、病院受診を勧め、その結果、精神保健指定医の診察で市町村長同意に基づく医療保護入院という形になっています。
 入院後は、しばらく落ち着かない状態でしたが、3か月後ぐらいからだんだんと、作業療法士の粘り強い支援もあって、作業療法への参加時間が長くなり、本人の病気についての理解も深まって、任意入院に変更になりました。6か月後に、宿泊型の自立訓練の利用が決まり、退院となったというケースでございます。

○町野座長 ありがとうございました。
 それでは、いかがでしょうか。これは、市町村長同意による入院のケースです。
 お金は本人が払ったのですか。

○本後課長補佐 前提としては、そういう前提で考えています。

○町野座長 上原構成員の資料によると、転職後自分は神様の身代わりであると言い出したときに、もう何かしなくてはいけないという話なのですけれども、この時期はまず保健所なのでしょうか。
 笹井構成員、どうぞ。

○笹井構成員 こういうふうに、近隣の方からの苦情が保健所の方に入ってくるということはしょっちゅうありまして、相談員が見に行ったり保健師が状況を把握したり、観察というか訪問するのですけれども、なかなか中に入れてもらえないという場合がよくあります。それで、何らかの拍子で非常に大きな騒ぎになって、警察の方が通報してくる。これは、非常に典型的な例ではないかと思います。
 この場合、通報があってすぐ入院なのですが、警察に通報が出る以前に、かなりしょっちゅう訪問して、本人に会えた場合には一緒に病院を受診しましょうということで受診できることがたまにあります。
 したがって、こういう苦情の場合に、警察にすぐ持っていくのではなくて、できるだけ相談機関につないでいただきたいという啓発をしていくことが非常に重要ではないかと考えています。

○町野座長 ありがとうございました。
 河崎構成員、お願いします。

○河崎構成員 ここはよくわからないところなのですが、太鼓をたたき続ける本人の状態とか、部屋が荒れ放題、呪文のような言葉を唱えて近隣に迷惑をかける。これで、警察が呼ばれることはあろうかと思うんですが、24条の警察官通報がこのような状況ですぐに成立するのでしょうかというのが私の疑問としてはあります。その辺り、鴻巣構成員いかがですか。

○鴻巣構成員 ここの判断は警察の判断になってしまいますので、保健所側でこれが通報なのですかということも確かにあります。あるいはこの事例と全く違って、やっていることが非常に重大なことをやっていて、医療観察ではないかということを伝えることはありますけれども、すべては現場の警察の判断なのです。
 ですから、保健所との日ごろの関係性の問題から、こういう方なのですが、どうしたらいいかね、24条になるかねという連絡が事前に来る場合もありますし、本当は保健所側としてやりづらいことなのですが、発見通報といって、あそこに障害のある人がいたからという紙が一枚送られてくるということがとても対応しにくい。ですから、御家族も知らないし本人も知らないけれども、通報書が回ってきて、保健所で何とかしなさいと。警察の方は保健所にお願いしたのだから、そちらの仕事だよみたいなことも中には起こっているということは聞いております。ただ、私が勤めていたところの管内ではそれはなかったですが、よその管内ではあったりとか、あるいは他県なんかでもそういう例があったということは聞きます。
 この警察署の方は、恐らく通報するぐらいですから、度合いがとても、夜中とか昼夜を問わずやっていたのかなという感じはします。他害行為というものは非常に判断が難しいところです。

○町野座長 広田構成員、お願いします。

○広田構成員 昨日も夜中の2時半まで警察にいましたけれど、いつも2時までいるのですが、昨日は新聞記者に商店街のチラシをつくってもらっていて2時半になりましたけれど、神奈川は、ソフト救急窓口に私が電話しても警察の現場にいるというと、警察官はどう判断しているのですかと。警察官が出てきて、私たちは事件や事故を解決するので医者ではないんですとわざわざ答えていますけれど、ここでお聞きしたいのは、24条にかけてかかったのかどうかということは架空の話なのかもしれないですが、かからなかったときに保健所がせっかくのチャンスだから何かやってくれるのですか。

○鴻巣構成員 連絡が来れば対応する場合も多いと思います。多いというのは、私もあったのですけれども、こういう人がいたのですが、家族もいいというからもう帰ってもらったから、何とかしてくれるかと後から来る。そうすると、もう関わりはないです。例えば警察の方で保護あるいは保護の延長としてロビーで待っていてというようなことで、いる場合には会うことができて、御家族がいたりすると関与しやすいです。今までどうだったかもわかりますから、判断はしやすいです。でも、連絡がなくてとなると関われない。警察の方の判断があると思います。

○広田構成員 ということは、この委員会に出ていますと、「精神医療サバイバーの広田和子さん、警察に関わってほしくない、あなたの口から言ってください」。警察官に言っても、「私たちもやりたくない」ということで、何十回も言っているようにお見合い不成立です。やってもらいたくない、やりたくない。ところが、横浜辺りだと保健所も動かないというのが実態です。せっかく大阪から見えているけれど、保健所というものは精神のことを割りと気軽にやってくるのですか。
 警察官通報はかかりたくないし、私たちは犯罪者ではないから、警察に極力関わってほしくない、これが患者の本音です。

○笹井構成員 こういうケースは、うちの保健所としてはかなり関わっているのではないかと思います。それが多いか少ないかはよくわからないですけれども、通報の前に警察の方からこういう苦情がしょっちゅう来て、どうなんだと、いろいろ話を聞くと、近隣の苦情を言ってこられる人の話なんかを聞くと、やはり病気かもしれないというので、行く場合はよくあります。
 警察の方も、通報すると警察としても動かなければならないので、通報に至るまでに何とか一緒に解決できないかという話し合いはしょっちゅうやっています。

○町野座長 警察官通報だと、まず保健所は動いてくれるという話ですか。つまり、普通の人でも、隣がうるさくてちょっとやばいのではないかと来たとき。

○笹井構成員 警察からの通報でなくても相談があれば、それは調べに行きます。

○広田構成員 その場合、行く側の根拠は何ですか。人権といった視点でとらえたときには。

○笹井構成員 そこは難しいですね。近隣の人から話を聞いて、見に行くぐらいしかできないのです。本人あるいは家族から来てほしいという話でもないですから、周辺で聞いて、もしどこかの病院に通院しているとかそういう今までに関わったことがあれば、それを根拠にお尋ねするということはありますけれども、何かあったからすぐ家に入り込むということはできない。

○広田構成員 私は、医療保護入院もサバイバーとして嫌だけれど、法34条の医療保護入院前提の訪問ではないかと思うんです。でも、実際には34条をやらないことが人権上だということで、行かない保健所も多いので、それで伺っただけです。

○千葉構成員 この6つケースの中に2つが市町村長同意のケースになっております。もう一つはこの次の事例で、完全な単身者ということなのですけれども、このケースをどのように考えればいいのかなということで、現場的にはかなり悩み、迷うケースなのです。
 確かに疎遠ではあるけれども家族がないわけではないというケースなのですが、この辺りのところは、どういう判断をすればいいのかということをいつも現場では迷うので、一生懸命何とかつてをたどって家族の方に、いろんな家族がおられることはあるとしても、もしかしたら大変心配をされている場合だってあると思うので、連絡を取ろうとはするのですけれども、ここでは市町村長同意にぽんと行ってしまっているものですから、違和感を感じていたので、その辺りはどうなのかなと感じます。

○野村構成員 今のお話、私、これと本当によく似たケースが御相談であったのですが、女の方で誰も身寄りがいないのです。アパートに暮らしていて大騒ぎするので、周りの人がみんな引っ越してくれと言っていて、大家さんも立ち退きを求めている。親族はいないけれども、保健所かどこかの手配でようやく妹さんが見つかったのです。
 ところが、妹さんが訪ねてきたら、姉は病気ではありません、ですから一切関わらないでくれと言い放ったのです。それで、そのまま妹さんは帰ってしまったのです。ですから、その方はそこにずっと住んだままで周りじゅうが迷惑をしていた。仕方がないから、そのアパートを提供した不動産屋さんが御自分でお金を払って次の物件を見つけてあげて、引っ越していただいたという事例がありました。
 ですから、家族が関わるということが果たしていいことなのかどうか、公的判断でなされた方がこのケースはよかったのではないかと、私が経験したケースと比べるとそう思いました。

○町野座長 おっしゃるのは、結局家族を探して何かをするということではなくて、市町村長同意にすぐ行ったということはよかったということですか。

○野村構成員 そうですね。いい悪いはともかくとして、家族としての本音はとても大変なことなのです。特に兄弟たちは自分の生活だけで手いっぱいですから、そこにこんなことを抱え込んで、右往左往しなくてはいけないということは家庭、御主人とか子どもに物すごく悪影響を与えます。
 ですから、これは公的な仕組みできちんと解決していただいた方が、特に兄弟とかの立場の家族は非常に安心できるのではないか。兄弟の方の御相談では、一生こんな重い責任を負って、何かあるたびに呼び出されて問題のある例えばお兄さんの世話を一生やるかと思うと、私はどうしようなくつらいという訴えはよく聞きます。ですから、家族が心配しなくても、一応はきちっと地域で支援が成り立っているという形を是非整備していただきたいと願っております。

○千葉構成員 野村構成員のお話はこれまでの議論で重々よくわかっています。別に、見つけ出して何とか家族にそれを負わせたいという意図ではないのですけれども、実際に家族がいることが把握されている段階で、全くその家族を排除して市町村長同意にすぐ手続を進めてしまったということ自体に適法性を欠く、聞いてみて家族がいろいろな事情で、これは遠方だと思いますので、すぐ保護者としての役割を果たせないと言えば市町村長同意に行くということはわかるのですけれども、手続が1つ抜けているように思ったものですから申し上げた、そういう意味です。

○町野座長 これは、皆様方に確認なのですけれども、法21条によると、保護者がその義務を行うことができないときという書き方があるのです。これがかなり遠方にいたりというときもこういう場合であるとして市町村長同意の方にするということが通常なのですか。

○良田構成員 私の経験では、市町村長同意はそんなに簡単には出なかったです。この方はまだ26歳ですから、親、兄弟がいることは役所の方も当然考えますから、当然調べますし、そんな簡単に市町村長同意になったということは経験上ないのです。ですから、私もこれはあらと思ったのですが、これは質問できませんからしようがないのかもしれないです。

○町野座長 磯部構成員、お願いします。

○磯部構成員 そんなにめったに出ないということは、要件ということなのか時間的なものなのかということなのですけれども、例えば医療保護入院が緊急に必要で、家族がいるのか、電話するわといういとまがないから非常に迅速に済む市町村長同意を使ったという意味ではないと理解してよろしいですか。

○千葉構成員 それであれば応急入院という手があるので、そこには当たらないと思うんです。もし家族等が急にどうこうという緊急性があるのであれば、応急入院でまず手当てをして、その間に手続はいろいろできるのではないかと思います。

○町野座長 しかし、応急入院はそう簡単に使えるものですか。かなり要件がきついという話は聞いております。

○千葉構成員 そこら辺のところは、きつく考える都道府県もあれば、もっと状況に応じて発動させているところもあります。現在の兆候からいけば、やはり条件に合わせて緊急に対応が必要だという場合には応急入院の発動はなされているように思います。

○町野座長 河崎構成員、お願いします。

○河崎構成員 応急入院に関しては、医療機関が応急入院の指定医療機関であるかないかというところでまず1つございますので、持っていないところは当然できないわけです。ですから、応急入院に指定されているところであれば、特に精神科救急という場面においては保護者の存在がはっきりしないということは結構ございます。そのときに、夜間に市町村長同意がとれるのか云々という話が出てくると、これは応急入院しかあり得ないということになりますので、この制度は今の法制度の中ではある意味、精神科救急という場面では是非有用性というものはあるのではないかと思っています。

○広田構成員 前回お話した、夜中5時間半かかって救急車に乗っていった横浜市長同意の入院を私が後日医者と話したときに、私は応急入院だと思ったけれど、病院側は医療保護入院にしたから、私としても応急でも医療保護でもこの人はどうしても入院させてもらわなくてはいけないし、任意では無理だろうと思ってのんだのですが、医療保護入院と応急入院で患者の側に違いがあるのですか。

○河崎構成員 それは、保護者になるべき人がはっきりと明確にあるかないかということによって決まる話であって、応急入院と医療保護入院の患者さんの病状の上の違いというものはない。

○広田構成員 不利益もないのですね。

○河崎構成員 ないです。

○広田構成員 そうすると、行政は横浜市のように保護者になるところはなって、ならないところは指定している病院であったら応急入院するケースに行政の判断で分かれるということですね。

○河崎構成員 よく実情がわからないからあれですけれども、多分そうなのではないですか。

○広田構成員 そういうことですね。

○町野座長 ここもかなりいろんな問題が既に出てきているように思いますけれども、先を急がせていただきまして申し訳ございませんが、事例4です。

○本後課長補佐 それでは、事例4でございます。これは頻回入院で統合失調症の方。独居で、近隣住民からの苦情が発端で医療保護入院になったケースです。この方は、入院を継続されているということでございます。
 48歳の女性で、25歳のときに誰かに追われていると訴えるようになり、統合失調症と診断されて、3か月任意入院をしました。その後も服薬を中断しがちで医療保護入院2回、任意入院を5回繰り返す。次第に認知機能や生活能力の衰えが目立ち、家事のほとんどを夫が行うようになりました。
 御本人が45歳のときに、夫が交通事故で亡くなり、死亡から1年後、ごみを収集日に捨てず、家の中にため込むということをするようになる。次第にそれがひどくなって、困り果てた隣人が市役所の環境担当課に相談しました。
 環境担当者が訪問したところ、家の中、外にごみがあふれて、ごみ屋敷状態になっていた。本人は、玄関先でこれは必要なものですと繰り返すのみで担当者と目を合わせようとしなかったということで、環境担当者が市の保健師に相談し、市の保健師が数回訪問しているうちに精神科の治療歴があることを把握して、病院受診に同行した。精神保健指定医から説明されても、病院よりも家で隠れていた方が安全と言い張って入院については同意しませんでしたということで医療保護入院に至っております。
 入院6か月を経過しても同様の状態が続いており、医療保護入院の継続となっているというケースでございます。

○町野座長 ありがとうございました。
 これは、なかなか出られないというか退院できないというケースなのですけれども、いかがでしょうか。

○広田構成員 ドクターにといっても2人しかいないということを前回伺ったのですけれども、通院して精神科医療のインフォームド・コンセントの中で、患者にとってこの薬が必要だから出しているかという薬に関するインフォームド・コンセントがどのぐらいできているのかというと、いろんな相談者の話を聞いているとほとんどできていないですね。そういうことにかかってくると思うんです。薬を飲まないというのだけれど、先ほどのタクシーの話のように、薬を手に入れるのが大変だということが1つと、多くが薬についてのきちんとした説明がなされていない。それをなさっているという答えになるのか、なされてなかったらなぜなのかということ、それがすごく重要なことだと思うんです。

○千葉構成員 まず、薬の件です。しないのはおかしい、まずはっきりそう言わせていただきます。処方している以上は、きちんと飲んでいただいている薬について説明する義務を負っていると私たちは思っていますし、そう思ってしている先生方もたくさんあるはずだし、現在は薬剤情報としてプリントアウトをして、この薬はどういう薬ですよということをちゃんと渡すことにしています。
 ですから、それでわからなければ窓口で薬剤師に聞いて確認して教えていただく。それでもわからなければ、先生とお話をしてくださいということで帰しているのが一般の診察場面だと思います。
 ただ、外来の数が大変多く見られているところ、通常我々は5分以上1人の患者さんにかけるので、1時間に10人ぐらい、初診が入ると3人ぐらいしか見られなくなってしまうのですけれども、他の科のように1時間にたくさんの患者さんを見られている場合には、そういう余裕がないだろうと思います。
 先ほども出てきましたが、必ずしもドクターに会って医師等の診察を受けて薬をもらって帰っていることをされていない患者さんもあって、お薬だけお持ち帰りになっている患者さんとかもあるわけで、その辺のところについては、なかなか行き届かないということは思います。

○広田構成員 この件、本当に丁寧にできなかったらできない理由を解決しなくてはいけないと思うんです。紙ではだめなのです。紙は見なければ終わりだから、あなたは何のためにここに通院している話とか、そういう当たり前の話なのですけれど、先ほどのピアサポートにもつながりますが、そういうことをやって、私だったら現状は減らしてきていますけれど、薬があるから寝られている。毎日のようにいろいろかかってくるのは、薬の説明があまりにもできていない。
 薬をもらいに行くようなものよと言います。私だったらカルテを書いてもらうことと、薬をもらうために行っているようなものよというぐらい、なぜ薬が必要なのかということを親しい人には言いますが、そのぐらい薬の説明がわかりやすく、例えば岡田さんが糖尿病だとしたら、このままいくと糖尿病で目が見えなくなる、足も切らなくてはならないですよというぐらいのことを、精神科でこのまま飲まないと眠れなくなって、眠れないということは、ない音が聞こえる幻聴につながってと、いろんなことをわかりやすく言っていただかないと、医者のわかりやすいではなくて、一般人のわかりやすさ、それがほとんどの場面でできていないのです。それを徹底していただきたいと思います。

○千葉構成員 このケースは、7回の入院をなさっていて、入院中に何をやっていたのだと、もしそれが行われていないとしたらですよ。このケースではそこは書いていないのであれですけれども、行っていたがなかなか理解する能力がなくて中断されてしまう、このケースではそう考えざるを得ないのです。入院中にそういうことしないでいるとは思えないので、そう解釈すると、本人の認知機能の問題だとして、説明はされているけれども理解をしていただいていない。そうなった場合には、そこの障害を受けている部分に対して、何かで補完しなくてはならない。理解ができず、そういうことを実行できないということに対して、どうやってそこを補っていけるかということが地域生活の中で求められるわけです。
 御主人も亡くなられて、単身になったりしているわけで、もっといろんなサービスがここに入って本人を支えていなくてはならなかったのに、ほとんどサービスが入っていないのです。それが訪問看護でもあるいは本人が何かのサービスに、デイケアでも何でもいいのですが、行っていれば、もう少しそこのところで本人を支える形ができていただろうと思いますし、地域活動センター等からの訪問等があれば、まさしくこの辺のところがアウトリーチで支えなくてはならなかったのだろうと思います。
 同様に、事例2のときもそうなのですが、そういう地域生活を支えるようなコミュティケアが十分かというと、現在の障害者の地域生活の体系はほとんどが身体障害者と知的障害者をベースにしてつくられているものですから、精神障害者の特性、つまり医療をしっかりとベースにして状態を維持するということについては全く考えられていない。また、そのための人も育てられていないし張りついていないという状態があるのです。
 ですから、その辺のところをきちんとしないと、B型に通っていながら状態が悪くなっていることをちゃんと把握して、きちんとした介入ができていないのです。事例2のケースは、ここのスタッフのレベルがもう少し高かったら、もっと早くいろんな介入ができて、ここまでいっていないということはあるのです。それはとりもなおさず、現在の障害者福祉サービスのスタイルに精神の特性が全く生かされていなくて、きちんとしたトレーニングを行うような人たちが入っていなかったり、そういう人を配置できるような形になっていないということがあろうかと思います。

○町野座長 堀江構成員、お願いします。

○堀江構成員 私もごみ屋敷の方のケースを幾つか知っているのですけれども、この場合かわいそうだと思うことは、ごく普通の話なのですが、御主人を亡くして希望がないのですね。希望がないところで薬をやっても何をしても、希望をどうやって地域のサポート体制、そういう意味では久しぶりに千葉さんの意見と似てくるのですが、支援の仕方というものは、生きがいとか将来の希望とかというものをどうやってつくっていくのかという問題であるにもかかわらず、そういうことのできる人はほとんどいない。そこがポイントなのだろうと私は思っています。

○町野座長 笹井構成員、お願いします。

○笹井構成員 服薬中断のケースが現実には非常に多いのですけれども、教えていただきたいことは、例えば結核の場合は、本人、家族に十分説明して同意を取って、保健師が面接をしたり訪問したり、今では、薬局も巻き込んで薬をもらいに行ったときにその場で飲むとか、飲んだ後の空き袋をチェックしたりして、確実に飲んでいるかどうかを全国的にもやっているのですが、精神疾患の方の服薬中断の場合に、御本人だけではなくて、御家族あるいは周りの友人とか個々の作業所ですとか、そういうところでちゃんと飲んでいるかどうかを他の人がチェックするということはできるものなのでしょうか。それは、どんなものでしょうか。

○町野座長 それはどなたにお聞きしたらいいですか。

○笹井構成員 先ほど野村構成員は、家族にそういう過度な任務は難しいという趣旨の話をされていましたが。

○野村構成員 私、作業所に16年ぐらい勤務したことがあるのでお答えしますと、服薬のチェックはできません。不安定になってきたかどうかは感じることはできて、御本人と一緒に了解を得た上で病院とはよく連絡を取り合っていましたが、お薬を飲んでいるかどうかのチェックはできません。
 例えば絵画教室なんかをやっていると、彼らは薬を飲まないと気分がさえて、とてもいい絵がかけるのです。薬を飲むとどんよりして描けない、だから飲まないという人はいました。その場合には、こちらでお説教して、いい絵を描くのもいいけれども、やはり健康があっての物種ということでお薬を飲んでいただきました。

○町野座長 堀江構成員、どうぞ。

○堀江構成員 今、付き合っている人たちで見ると、家族が希望を持てていない状態、薬に対しても患者との関係で希望を持てていない病態だと、薬に対するチェックも効かなくなるのです。
 ところが、将来への希望を持って、この子がこうしてくれたらな、これを飲んでいるのだけれども、どうも多過ぎるかなとか、そういうふうに主体的に関わってきて、何か一緒になって解決しようよという姿勢になってくると途端にチェックは厳しくなります。とても厳しいチェックをしながら、それは両方の共同作業になるものだから、そうやって家族は変わります。

○町野座長 済みません。時間の関係で、また、次のところでお願いいたします。全部できない可能性もあるので。

○野村構成員 質問にお答えした後で発言したかったのですけれども、急いでお話しします。
 事例の4に、通院も不規則となり、不眠が続くということが出てきます。通院が不規則になったところで、外来通院をしているときの医療機関がチェックをちゃんとして、訪問もしてくれるようになると非常に助かるのです。
 医療中断になる場合も通院中断になるわけです。そうしたら、そのままにしないで病院側から連絡を取り合って、病院が嫌だったら他の病院に変わってもらうとか、そこまで段取りをしてから、この病院では医療を終わりますけれども次の病院はここですと、そういうつなぎをしてあげるということがとても大事だと思います。
 それと、通っている病院はもう少し緊急事態のときに何とかその方にもう少し手厚く、では、外来を緊急で設けますからいらっしゃいというようにできるようになるととても助かると思います。突然の入院もできるようになれば一番いいと思いますけれども、現状ではなかなかできない。
 今、堀江さんのお話で、希望とか目標とか出ていましたが、家族会に相談にみえたケースで、認知症のお母様と2人暮らしの49歳のお嬢様が、お母さんが認知症になって入院してしまったのです。1人取り残されて、お母さんにべったりでひきこもりで49歳まで生きてきたから、その方が緊急事態に陥ったときに、クリニックに通っていたのですが、私や家族会の相談で訪問看護を勧めまして、訪問看護師が入るようになったらとても喜ばれて、何でも看護師にお話しできて元気になってこられたのです。
 ですから、お母様がいなくなったり、御主人が亡くなったりした後に、医療機関も一緒になってその方の心も支えるような体制、お話を聞いてあげたり。そうすると、私の相談を受けた事例は、その方は死にたいと思っていたのですが、2年近くなりますとそういう思いがなくなりまして、現在は前向きに生きていらっしゃるのです。将来、こうしてこうしてという計画を持って。そういう支えが家族会で少しはできたのですが、そういう状況をいろんな地域にめぐらせて、御本人が孤立しないようにする必要があると思いました。
 以上です。

○広田構成員 いいですか、先ほど千葉先生もおっしゃった入院をしていたから服薬の大事さを言っている。それは病院側は言っていません。私も入院体験がありますが。
 入院していたり、生活保護施設とか救護施設というものは横浜市内にたくさんあるのですけれども、服薬を医療側、福祉側が管理している人ほど飲み忘れるのです。つまり、自分でやっていないから。
 ですから、退院のときに必ず、出たらこういうことですよとか、何日前から自分でやるという形で、明かりを自分で消せないという悲劇もありますが、入院しているから薬の重要性を認識していません。自己管理する習慣を自分が持たないから。
 以上です。

○町野座長 ありがとうございました。
 先を急がせていただいて申し訳ない。事例4について上原先生の資料を見ますと、御主人を亡くされたときに既に働きかけをしなくてはいけなかったということなのだけれども、実際、恐らくそうだろうとは思うのですが、これがうまくできるのか。
 岩上構成員、どうぞ。

○岩上構成員 すぐ終わります。
 その前に、先ほど千葉先生がおっしゃったように、サービスを使う機会というものは得られるのです。居宅介護等を使うということはありますので、誰もいなくなってから周りの人が介入するということはとても大変ですから、その前にいかにサポートを受けられるか。それは、医療と家族で支えるということは難しいと思うんです。そこに第三者がいて、医療関係がうまくいかなくなったときにきちんとサポートできる。それが相談支援であったりピアサポートであったりという形が今後進んでいくことが理想だと思います。

○町野座長 ありがとうございました。
 事例5の方を、よろしくお願いします。

○本後課長補佐 それでは、事例5でございます。これは未治療のアルツハイマー型認知症の方で、家族が同居していて、家族の負担感が増大したことが発端で医療保護入院に至ったケースでございます。
 患者さんは78歳の女性で、娘夫婦と同居している。俳句教室に通っていたが、会員の中で自分の財布を盗んだ人がいるという訴えが続き、トラブルとなって退会しました。隣家へ侵入しようとして、何度も警察沙汰になり、近所との関係も悪化する。娘夫婦の寝室に入って、財布を探したりする行動をして、ついに娘婿が仕事に支障があるということで別居するということに至ってしまう。娘さんの疲労感がピークとなって、民生委員を通じて地域包括支援センター、精神科病院を紹介される。
 娘さんが誘い出して、精神科病院を受診しましたが、連れてこられた場所が病院であるということも認識できず、家に帰りたいということを繰り返すのみということで、医療保護入院に至ったケースでございます。
 入院直後は、不穏な状態が続きましたが、入院1か月後から物を盗まれるという訴えも落ち着いて、トラブルなく過ごせるようになる。入院3か月後に介護支援専門員による働きかけで、サービス利用のめどがついたということで自宅への退院となったケースでございます。

○町野座長 いかがでしょうか。
 河崎構成員、お願いします。

○河崎構成員 これは認知症のケースなので、これまでいわゆるこの検討チームの第2ラウンドで認知症と精神科医療ということが行われてきましたが、そのときに、こういうケースを実は出してもらうとよかったのかなと思ったりもしています。
 あのときにもいろいろと精神科医療で何ができるのかという話がありましたが、この方の場合に、かなり御家族の方が家の中で認知症のお母さんを介護してきた。しかし、最終的に御家族の疲労がピークになってということで、最初に地域包括支援センターの保健師に相談されているのです。ここから、精神科病院を紹介されたというルートはよくある話なのだと私は思います。
 こういう流れの中で、精神科病院としてその方が入院が必要であるという判断が、特にBPSDの問題を取り上げて入院になったということは、医療保護入院となるのは当然の形なのかなと思っていますが、気になるのは、少なくとも3日間保護室で身体拘束の対応となるということは、これはフィクションでしょうから、こう書いておられるのだけれども、現実的に認知症の方でBPSDで、入院当初隔離室に入られるということは中にはありますが、身体拘束にまで至るという現状はほとんどないと精神科医療の現場では思います。ですから、こういうケースをこういう形で出されることはいかがなものかなという印象を持ちました。
 以上です。

○野村構成員 それについてあるのです。これはつい最近の話ですけれども、精神科病院に認知症の方が入院したら、両方の腕が青くなって拘束される現場を娘さんは見たと言っていました。ですから、お母さんがやはり拘束されていたのですという話を聞きました。

○町野座長 いかがですか。
 千葉構成員、お願いします。

○千葉構成員 もう少しやりようがあったような気がするのですけれども、その後の経過、これはフィクションだというのでなかなかうまくつくれていないのですが、保健師に相談しあるいはその前ぐらいのところで、もう少しいろんな支援の仕方があったように思うんです。娘さんの負担をどれぐらいか軽減するためのサービスの利用だったり、あるいは娘さんに対してのいろんな支援、認知症のケアに関しての支援とか、そういったサポートがもう少しあるべきだった、あるいはある方がいいのかなと。
 そういうことによって、場合によってはお財布が盗まれた程度の部分で済んだかもしれない。それ以上の問題を起こさずに、あるいは隣に行って云々も、隣の方と関係がよければお話をして、連れて帰っていただくとか、地域の中で支えるシステムができているともう少し入院という形にならなくてもよかったのかと。
 ただ、その後の入院直後云々ということは、多分そういうような状態を更に越えて介護のケアが困難なBPSDということを強調したくてこういう書き方になっているのかもしれませんけれども、もう少し入院前にいろいろなやり方を検討されてもよかったかなと思います。
 また、身体拘束のところも大変首をかしげなければならないのですが、万一あるとすれば、本人の安全管理であったり、あるいは何も食べない水も飲まないとかいう状態で、身体的なケアをしなければならないとか特殊な場合であればわかりますが、保護室に入れて身体拘束と二重にしなければならない認知症の状態というものは、どうもよく理解がいかないので、このケースはどうかなと思います。

○町野座長 今、確かめたいのですけれども、こちらでは、包括支援センターの保健師さんが即精神科病院を紹介したということになっていますが、これは適切ではないという話ですか。

○千葉構成員 このままだとすれば適切ではないと私は思いますが、どうでしょうか。
 娘さんの疲れ具合とか、これだけの情報なので文面上で判断ですけれども、本来であれば、もう少し娘さんへのサポートや支援があって、日中だけでもどこかのサービスを使って娘さんが休むとかいろいろな形があったと思いますし、ケアの仕方についてもいろいろと娘さんの方にお伝えすれば、もう少しそれらの負担も減ったのかなということ等を考えますと、よほどそれらを全部やった後に仕方がなくということであれば了解できますけれども、相談をしたから、つまりBPSDがあったからイコール精神科の入院ということはいかがかなと。
 やはり、どうしても万やむ方のない介護困難な状態にあって、本人のためにもならないというようなBPSDとかそういう状態ということが精神科の入院になる要件だと思うので、医療保護入院云々にしたところについては、確かに本人の認知機能、判断能力ということからすれば妥当だと思うんですけれども、対応としては私は疑問に思います。

○町野座長 河崎構成員、どうぞ。

○河崎構成員 実は、これだけの内容ではほとんど判断しづらいことだろうと思います。例えば相談までの経緯を見ましても、この方が本当に認知症なのかどうかということの診断さえも受けているのか受けていないのかということがはっきりしません。そうしますと、こういう相談を地域包括の方が受けられたときに、まず、医療機関で診断をきっちり付けてもらいましょうという意味で、その地域の中で精神科病院がそういうことの役割を果たしているのだとすれば、これは当然あり得る話ということにもなりますので、その辺りはこの内容だけではほとんど判断できない。
 もう一点、入院が必要と判断した理由というのはこういうことなのですが、本来、精神科病院に初めて紹介されてきたときに、本当にその人が入院が必要なのかどうかということを判断して入院をしていただいているわけですから、ここでそうではなくて、もっと地域の介護保険サービス等を利用すべきだという判断が精神科病院がすれば、そちらの方へこういう方たちを御紹介したり、地域のサービスの利用につなげていくということが本来の精神科病院の姿であるべきと思っております。

○町野座長 堀江構成員、お願いします。

○堀江構成員 私はこれが実態かなと思っていたのですけれども、なぜ、認知症の人がこんなに精神科医療の入院の患者さんが増えているのか。しかも、野村さんが言われたのですが、私たちの周りでも結構こういうあざがついている人たちの話は随分聞きます。それこそ、河崎さんなんかがおっしゃるように、もっと前に、またはなぜ精神科病院に認知症の人を軽々しく入れるのか。
 それよりも前にヘルパーだとか地域包括支援センターとか、そこは一体何をやっているのということとか、どうせフィクションでやるのならばそういうことがあってしかるべきだし、ケアサポーターを厚労省は400万人地域に養成しているにもかかわらず、それが全然出てこないとか、それで現実は精神科病院に入れられているというあたりは増えているのです。そういうことを考えていけば、ずっと減って、これからの認知症について、将来性があるのだなと思います。

○町野座長 広田構成員、どうぞ。

○広田構成員 私は、前にも発言していますが、認知症の社会的入院を危惧しているけれども、全国的に回って、かぎのかかっている家の中に座敷牢みたいな形で認知症の方がたくさんおられる現実がある日本列島の中で、引き受けざるを得ない精神科の状況もあると認識しています。これは、総合病院の精神科でもそうです。いいか悪いかはみんなで考えた方がいい。私は問題だと思っています。日本がそういう状態まで来てしまっています。

○町野座長 それでは、申し訳ありません。次の方に進んでいただきまして、事例6。

○本後課長補佐 それでは、事例6でございます。これは治療中の統合失調症の方で、家族が同居していて、家族とのトラブルが発端で医療保護入院になったというケースでございます。
 24歳の男性で、就職2年後誰かに追われているという訴えがあって、仕事を辞めて自室に引きこもるようになりました。
 次第に昼夜逆転の生活で、シャワーですとかそういったものも数が少なくなっていく。母親が本人を説得し、近隣の精神科病院を受診して、3か月間の任意入院となった。
 退院後3か月ぐらいは病状が落ち着いてきましたが、部屋は散らかりっ放しという状態でした。ただ、服薬は規則的で、訪問看護も利用し、作業療法士といろいろな話をしていた。退院半年後、母親が自室をたまたま整理してしまったということをきっかけに、本人が戻ってきて、部屋の様子を見て、何で勝手に掃除をしたのと興奮して、その興奮状態が続くという状況になってしまった。心配した母親が作業療法士に連絡して、訪問したが、会話が成立しない状態が続く。何とか説得して、自家用車に乗せて病院を受診し、精神保健指定医の診察を受けて、父親の同意により医療保護入院に至ったというケースでございます。
 入院2か月が経っても、面会して母親のことになると激しく興奮するということがあったので、自宅での生活は困難であると精神保健指定医が判断をして、医療保護入院の状態が続くという形になっています。

○町野座長 いかがでしょうか。
 上原構成員の資料によりますと、任意入院から退院したときに何かすべきだったのではないかということです。
 岩上構成員、お願いします。

○岩上構成員 先ほどともかぶるのですけれども、基本的には主治医との信頼関係が築けて、今後も受診をしていく。その際に、いろいろな情報提供を受けながら診察も受けて治療を受けていく。それがスムーズにいく人もいらっしゃれば、そこで不信感が出てあるいは新たな問題が発生したときに、今まで解決する人というものが、医療か家族なのです。ですから、その時点で彼が今後どういう生活をしていきたいのか、その辺りに今後は相談支援が入っていくということだと思います。
 福祉サービスを使う人については、来年度から計画相談を行って、地域相談が受けられるということにはなっていますけれども、必ずしも福祉相談だけではなく、御本人たちがどういう生活をしたいのかというところに、医療と家族だけではなく福祉が入っていけるといい。その福祉の中には勿論、専門職だけなく御本人たちの支援が得られる、そういう形になると、このような事例のうちの何人かの方は、医療との間だけでなく、こういう問題が起きているのだけどどうしようかということを相談できる人を持つ。その辺りは大切になってくるかなと思っています。

○町野座長 他にございますでしょうか。
 良田構成員、どうぞ。

○良田構成員 この事例は、たまたま母親が自室を本人の了解なく片付けてしまったことに非常に怒ったのだと思うんです。本人にとっては、非常にショックだったし、怒り心頭に達したのだと思うんです。それで興奮状態になったということなのですけれども、それ以外にもいろいろ症状があるのかもしれません。
 ただ、そういう母親との関係がこだわりになって、ずっと今後も本人との関係修復が難しくなってくるかもしれないですけれども、自宅に帰ることが困難だからということで入院がそのまま継続になってしまうということは避けなくてはいけないことなので、今後、どう他の症状が治まってくるかわからないのですが、家族関係がよくないと入院が長引くということが過去において非常にあって、そういうことがいろんな意味で本人の不利益になったということもありますので、自宅以外の退院ということも当然考慮に入れたものにならなければいけないかなと思います。
 この6つの事例全体を通して、御本人が医療保護入院をされているのですけれども、入院後抵抗したり疑問を持ったり、あるいは自分の権利性を主張したりということが全然ないので、すんなりと治療が行われていて、退院をされたり入院を続けたりという状況なのですが、この事例検討をする目的というものは、この前の回では、医療保護入院というものが本人の権利をどう守っていくか、障害者権利条約に対応するような制度なのかとか、そういう話も出たと思うんですけれども、この事例の検討の中では、そこら辺が焦点になっていないので、かえって前の議論が少しぼけてしまったかなという心配をしますので、また、次の機会にはもう少し突っ込んだところが話し合えたらいいなと思います。

○町野座長 堀江構成員、どうぞ。

○堀江構成員 私は、この6ケースを見ていて、前回からの継続をこういう形で理解しました。家族の場合は、病識がない方たちに対して、自分を守る脳の活動に故障が起きているという状況なわけですから、その方たちに対して、適切な医療を提供するということはその人の人権を守ることなのだ。
 ですから、そういう意味では人権擁護入院とか権利擁護入院とか、名は体を表すので、今までのような医療保護入院というと、保護とついて保護者が出てきてずるずるする、そういう感じがあるから、どちらかというと、明確に1人ひとりの権利を擁護するために入院させるのだということをはっきりさせる。そうしてくると、行政の中でもっと整理しなければならないこと、専門性の問題も含めて、地域のサポートの問題もリテラシーの問題も、いろんな問題を含めて出てくるけれども、それは、そういうくくりでやるべきだなと思いました。
 意外と、この6ケースとも1か月ぐらい権利擁護入院すれば、そのまま病識がついてというケースがすごく多いのではないかと思えたのです。そうすると、その病院経営者にとってみて、千葉さんの言うように性善説に立つとしても、例えば保護入院の300点の加算などについても、1か月だけは権利擁護としてきちっとやるけれども、それ以降はきちっと同意入院に移していくという仕分けができて、行政の方にしても財源問題も含めて解決がついていく話なので、ここのところ、区切りをするためにもいいのではないかと私は思っています。

○町野座長 河崎構成員、どうぞ。

○河崎構成員 今、いわゆる権利条約の批准に向けてのいろんな国内法の整備とか、堀江さんの方から権利擁護の話も出ましたが、前回、たしか岩上構成員の方から、総合福祉部会での議論を踏まえながら、ここにもそういう反映をという話がありました。
 私は、総合福祉部会の構成メンバーでありました。広田さんもたしか一緒に議論をしてきましたが、総合福祉部会の中での議論というものは、それぞれの立場から結構いろんな意見が出ましたけれども、最終的には、いわゆる保護者制度というものをもう一度見直して、新たな権利の擁護という部分で新しい法体系、新しい入院について検討していきましょうというところが結論だったと思っているのです。
 ただ、その中でも、一方では精神保健福祉法をやめてしまおうという意見もあれば、私は精神保健福祉法は必要であるという意見も述べました。つまり、いろんな両論併記という形があって、総合福祉部会の中では、その議論としては、ある程度最終的な報告書の中に盛り込まれているわけです。
 ところが、現在は、障害者制度改革推進会議の中で医療の問題は引き続いて議論をなされていると聞いていますが、そのメンバーの中には医療関係者は1人も入っていません。そういうところでの議論と、私たちがそれぞれの立場で、医療関係者も当事者の方も家族の方たちも、あるいは法曹界の方たちも入っている、この中での議論が一番実際的な議論が行われるわけですから、総合福祉部会での議論あるいは障害者制度改革推進会議での議論、そういうものもいろいろと踏まえながらという必要はありますけれども、実際的なことは、やはりこの作業チームの中でつくり上げていくということが必要だろうなと私は思っております。

○町野座長 野村構成員、どうぞ。

○野村構成員 御本人の意識が正常である間に、自分がおかしくなった場合には強制的に入院されても構わないという文書をつくって、自分で署名をしていくというやり方がもし制度としてできたら、私は権利擁護入院というものもあってもいいかなと思うのです。自分が判断できない間に、いつの間にやら精神科の病院に入院させられていたということは大変な問題ですので、その辺は御自分の意思を正常なときに働かせておいて、任意後見制度というものがあって、自分がもし認知症とかになったときには後見人をつけるという文書つくって契約しておくのがありますが、御自分の意思で、もし自分が精神疾患にかかっておかしくなって、病識がなくなったら、強制的に治療されても構わないという文書が制度的にできたら、1つの安心材料になるかなとは思います。
 以上です。

○町野座長 他にございますか。
 磯部構成員、どうぞ。

○磯部構成員 先ほど、良田構成員がおっしゃったことに基本的に同意したいと思っていまして、今日の話の中では、医療保護入院に安易に頼らないような制度設計はいかにあるべきかと、前回町野先生も問題を提起されて、どのように用いられているかを検討できたとは思うんですけれども、入院した後の話というものがよくわからなくて、その際には入院中の権利擁護手続というものがどうあるべきなのかということは問題になるのではないか。制度的には1年に1回報告をする、本人が退院等を請求すればできるが、それも知事あてということであまり使われていないという数字は前に出てきたような気がいたします。
 つまり、入院の必要性などを何らかのタイミングで複数の目でチェックする。今回は事例2でしか出てきませんでしたけれども、家に帰りたいと本人が言っているというものを、1回言うごとにいちいちどのぐらい対応するのかということはわかりませんけれども、例えば非常に強い要求があったという場合に、どう本人が納得するような入院継続の必要性を説明するような手続が現在なされているのかということを伺ってみたいと思っていたのです。

○町野座長 その問題はいずれはということで、今日はちょっと。
恐らく、前のときに措置入院の患者さんについて何ができるかという問題が少しありまして、これは医療観察法の方がある範囲で1つの手続的な保障みたいことを実際上やっているところがあるのです。それと同じものが持ってこられるかという議論があって、更に医療保護入院のときは一体どうなのか、これは保護者の同意とどういう関係にあるのか。これが非常に難問なのです。
 結局、もし仮に入院の手続の方から保護者の同意が取れたとすると、そのときはどういうことになるかという議論も当然あるわけで、これはやらなくてはいけない話だろうと思います。
 もう時間がかなり来ておりますけれども、先ほどから障害者権利条約のことについては、私も1回整理する必要があるのではないかと思います。権利条約自体は要するに、精神障害者も障害者もみんな平等な人間なんだというところからスタートしていて、とにかく障害者も適切なケアへのアクセスの権利が保障されなくてはいけないというのが基本で、もう一つは、身体の自由だとかそういうことについて問題があるときに司法へのアクセス権を持つ、その2つが基本なので、この点から見ると一応形式的には現在の精神保健福祉法は満たしているのだろうと思います。
 ですから、問題は医療へのアクセスとか不必要に拘束されないということ、強制入院を維持するということは、これは恐らくどこの国でもこれはあるだろうと思うんですが、そのときに、それがどこまでできるかということが今日の御議論だったろうと私は思いますけれども、1回は障害者権利条約の問題を少し整理しておいた方がいいのかもしれないと思います。
 久保野構成員、お願いします。

○久保野構成員 これも次回以降で結構ですけれども、教えていただきたい点があります。先ほど自分の病識について判断できないとか、自分を守る能力が減退している状況という話題が出ましたけれども、内科に行くと言われて連れてこられて、精神科だったので怒って反対するような状況というものと、事例5のような形で、来たところが病院ということさえわからないという状況というものは違うのではないかという感じがします。
 その点は14ページ、前回出していただいた留意点7のところに、病識がないために拒むということと判断能力自体が減退しているということは異なるというお話も整理していただいているのですが、そこがかなり専門ではない人間にはわかりにくいところがありまして、その辺の違いを、任意入院との振り分け等でも重要になってくると思いますので、次回以降教えていただければと思います。お願いします。

○町野座長 最後の点は、かなりシビアな点でございまして、いろいろ議論があるところで、これもあれなのですけれども、更に先ほどの病院内での強制治療がいつできるかということについて、国連の原則ですと、判断能力が減弱しているときが1つの条件になっています。判断能力があるときは強制できないということになっているのです。
 ですから、それとの関係で、入院のときに一体同じようなことが働くのか。基本的な原則としては、日本での議論はわからないですけれども、一般には意思能力が減弱している場合ということは強制入院の要件とされていないのです。そういうところがあって、かなり整理しなくてはいけないところがありますので、必ずやるんでしょうということですが、議論したいと思います。

○広田構成員 その他の時間はありますか。

○町野座長 時間は既にないのですが、どうぞ。

○広田構成員 すぐです。
 私、来月に大阪の方に行くので、岡山の医療観察病棟を見てこようと思うんですけれど、その間に医療計画の検討会がもしかすると開かれるらしい。そこには日精協が入っているでしょう。私は日精協さんのアドバイザリーボードをやっていますが、この間資料として、精神障害者の権利と題して病床削減を含めてお出ししています。
 日本の精神科医療を改革できないのは日精協だと私はずっと思ってきました。厚生労働省がやれないのは、業界がてんでんばらばらで、逆立ちしてもやれないということも18年間出入りしていてよくわかってきたような気がします。ですから、日精協自ら新しい時代の精神科医療というところをきちんとビジョンを出していただきたい。そこには、日精協の反省も込めてやらないと。大変な部分を引き受けてきたことも存じております。退院させようとしても、家族が議員を使って圧力をかけたということもいっぱいありますが、前向きに出していただきたい。それを議事録に向かって、日精協のアドバイザーとしてちゃんとやっていただきたいということで、山崎会長によろしくお伝えください。

○河崎構成員 しっかりと御意見は伺いました。

○町野座長 それでは、どうも司会の不手際でございまして、既に時間をオーバーしておりますけれども、最後に今後のスケジュールについて事務局の方から御説明いただきたいと思います。
○本後課長補佐 ありがとうございました。
 次回の作業チームですけれども、12月14日水曜日、18時から、場所は厚生労働省専用第23会議室、19階の国会側を予定しております。よろしくお願いいたします。

○町野座長 それでは、今日はお忙しい中、長時間にわたりありがとうございました。これで、第8回の作業チームを閉会いたします。御苦労様でした。


(了)
<照会先>

社会・援護局障害保健福祉部
精神・障害保健課企画法令係

電話: 03-5253-1111(3055)

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