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2011年11月14日 第47回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録

労働基準局勤労者生活課

○日時

平成23年11月14日(月)


○場所

経済産業省別館1012号会議室(10階)


○出席者

公益代表委員

臼杵委員、勝委員、内藤委員

労働者代表委員

久保委員、鈴木委員、高橋委員、早川委員、林委員

使用者側代表委員

市瀬委員、島村委員、清水委員、新田委員、長谷川委員

(事務局)

熊谷大臣官房審議官(労働条件政策担当)、木原勤労者生活課長、瀧原勤労者生活課調査官、廣瀬勤労者生活課課長補佐

○議題

(1)部会長、部会長代理の選出について
(2)東日本大震災への対応について(報告)
(3)中小企業退職金共済制度の現況及び平成22事業年度決算について
(4)その他

○配布資料

○資料1中小企業退職金共済部会委員名簿
○資料2東日本大震災への対応について
○資料3-1中小企業退職金共済制度の現況
○資料3-2独立行政法人勤労者退職金共済機構平成22事業年度決算の概要
○参考1労働政策審議会令
○参考2主な経済指標
○参考3ベンチマーク収益率の推移
○参考4独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律の概要
○参考5独立行政法人勤労者退職金共済機構組織図
○参考6行政刷新会議独立行政法人改革に関する分科会関係資料

○議事

○木原勤労者生活課長 定刻となりましたので、ただいまから「第47回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会」を開催いたします。
 本日はお忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。私は、7月29日付で就任いたしました、厚生労働省労働基準局勤労者生活課長の木原と申します。本日は、委員の皆様の改選後、初めての部会ですので、部会長が選出されるまでの間は、私が議事進行役を務めさせていただきます。
 最初に、事務局を代表いたしまして、労働条件政策担当審議官の熊谷よりご挨拶を申し上げます。
○熊谷大臣官房審議官 7月の終わりから労働条件政策担当の官房審議官を拝命いたしております。よろしくお願いいたします。
 本日は皆様方、大変お忙しい中、この部会にご出席をいただきまして誠にありがとうございます。先般、委員の改選が行われたところでございます。新たに委員をお引き受けいただいた方、また、再任をされた委員の方それぞれいらっしゃいますが、今後とも中小企業退職金共済制度に係る審議についてよろしくお願い申し上げます。
 今年は、去る3月11日の東日本大震災が非常に大きな出来事としてあったわけです。大変甚大な被害が東北地方を中心に生じました。被災された方々は、今もって、尚大変な状況にあり、雇用情勢も被災地ではまだまだ厳しいということですが、厚生労働省を挙げて、被災地の支援に取り組んでおるところでございます。中小企業退職金共済制度についても、いくつかの対応をとらせていただいており、後ほどご報告をさせていただきます。
 また、中小企業退職金共済制度については、ご案内のとおり、独力では退職金制度を設けることができない中小零細企業のための相互扶助の仕組みとして、国が法律により設けているものです。これによりまして、中小企業で働かれる方々の福祉の増進を図っています。国の制度ということですので、中小企業で働く方々が安心して働くことができるように、長期的に安定して、あるいは継続的に確実にということで、しっかりと運用は行われなければいけない制度です。そういう意味で、制度の運用状況について、後ほどご報告をさせていただきますので、ご審議のほどをよろしくお願いいたします。
 また、内閣府ですが、行政刷新会議で独立行政法人に関わる議論が行われています。中小企業退職金共済制度を実施している勤労者退職金共済機構についても、議論の対象となっております。これについても、後ほど状況をご報告させていただきます。
 今日は、そういった問題を中心にご審議をいただければありがたいと思っております。
今後ともご指導、ご鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げまして、簡単ではございますが私からの挨拶とさせていただきます。
○木原勤労者生活課長 議事に入ります前に、今回は委員改選後最初の部会ですので、委員の方々全員をご紹介させていただきます。資料1に部会の委員名簿をお付けしておりますので、名簿順にご紹介させていただきます。
 まず、公益代表委員です。公立大学法人名古屋市立大学経済学研究科教授の臼杵委員、明治大学副学長・政治経済学部教授の勝委員、慶應義塾大学法学部教授の内藤委員です。専修大学商学部教授の鹿住委員と明治学院大学法学部教授の西村委員のお二人は、本日ご欠席でございます。
 次に、労働者代表委員です。日本労働組合総連合会総合労働局中小労働対策局局長の久保委員、日本紙パルプ紙加工産業労働組合連合会中央執行委員長の鈴木委員、労働者福祉中央協議会事務局長の高橋委員、JAM副書記長の早川委員、全国建設労働組合総連合書記次長の林委員です。
 続きまして使用者代表委員です。美和商事株式会社代表取締役の市瀬委員、埼玉県中小企業団体中央会事務局長の島村委員、日本中小企業団体連盟常任理事の清水委員、日本経済団体連合会労働政策本部主幹の新田委員、全国建設業協会事務局長兼総務部長の長谷川委員です。
 続きまして事務局ですが、私と、先ほどご挨拶申し上げた労働条件政策担当審議官のほか、勤労者生活課調査官の瀧原、勤労者生活課課長補佐の廣瀬です。よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入ります。本日は議題が4件あります。
 議題1の部会長の選任です。資料として2分冊あります。1つ目は委員名簿の「資料1」とあるものです。もう1つが「参考1」と書いてあるもので、それに労働政策審議会令を付けています。部会長につきましては、労働政策審議会令第7条第6項の規定によりまして、部会に属する公益を代表する本審議会の委員から、この部会に所属する本審議会の委員が選挙することとされております。
 当部会におきまして、公益を代表する本審議会の委員でいらっしゃるのは、勝委員お一人ですので、審議会令の規定によりまして、勝委員に部会長をお願いしたいと存じます。よろしゅうございますか。
                 (異議なし)
○木原勤労者生活課長 それでは、以後の議事進行につきましては、勝部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○勝部会長 ただいまご紹介いただきました、また部会長を拝命いたしました勝と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 先ほど審議官からもお話がありましたように、震災の影響が退職金共済にも大きな影響を与えているということ、それから運用環境が大きく悪化しているということ、さらには独立行政法人の改革の中で、雇用・能力開発機構が廃止されるというような大きな流れが、この共済をめぐって変わっているわけですが、引き続き中小企業の雇用者の社会保障の拡充という、非常に大きな使命を担っていると思いますので、部会での議論をどうぞよろしくお願いいたします。
 まず、部会長代理の指命を行いたいと思います。部会長代理の選出につきましては、労働政策審議会令第7条第8項に「部会長に事故があるときは、当該部会に属する公益を代表する委員又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指命する者が、その職務を代理する」という規定があります。この審議会令の規定に基づきまして、今回の委員改正前から当部会の委員をされておられる、臼杵委員をご指名いたしたく存じますが、よろしいですか。
                 (異議なし)
○勝部会長 それでは臼杵委員、どうぞよろしくお願いいたします。
 次に議題2「東日本大震災への対応について」です。事務局から資料のご報告をお願いいたします。
○木原勤労者生活課長 資料2「東日本大震災への対応について」です。東日本大震災の対応について、大きく3つに分けてご報告申し上げます。1つ目は一般の中小企業退職金共済制度における対応です。共済契約者、すなわち事業主に対しましては、掛金の納付期限延長手続きの簡素化や、掛金を後から納めた場合の割増金の免除、共済手帳の再発行手続きの簡素化などの措置を、被共済者である従業員に対しては、退職金の請求書の再発行手続きの簡素化などを行っております。
 9月末時点での実績はここには書いてありませんので口頭でご報告させていただきます。9月末時点の利用実績は、掛金納付期限延長手続きの簡素化は337件ありました。掛金後納による割増金の免除は90件ありました。手帳の再発行手続きの簡素化につきましては、808件のご利用をいただいております。4つ目の○は、過去に福祉施設などに対する融資を行っていたのですが、この償還に関する特例については利用はございません。被共済者に関しましては、退職金請求書の再発行手続きの簡素化が91件、退職金の請求書に添付する書類が添付できない場合に、それを代用する書類でかまわないというような取扱いをしておりますが、この代用による取扱いが930件、3つ目の退職金支払い通知書紛失による再発行については0件でした。
 2つ目は、建設業、清酒製造業、林業の特定業種の退職金共済制度における特例です。紛失した共済手帳の再交付や、共済証紙の再交付、あるいは退職金請求書に添付する書類を罹災証明書で代用することなどの措置を講じております。
 9月末時点の利用実績は、共済手帳の再交付につきましては、事業主について2,168件、従業員の方からも7件の利用がありました。共済契約者(事業主)に対する特例の2つ目、共済証紙の再交付につきましては95件ありました。被共済者(従業員)に対する特例で、退職金請求書に添付する書類の代用につきましては106件、退職金支払い通知書の紛失による再交付は0件でした。共済手帳紛失による再交付に関する特例は先ほど申しましたが7件でした。
 3つ目です。5月2日に公布・施行されました「東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律」によりまして、死亡推定の特例を措置いたしました。通常、大震災などの場合、行方不明の被共済者のご家族は、1年後に民法の失踪宣告が出されるまでは、退職金を請求することができません。しかしながら、今般の東日本大震災に関しては、被共済者のご家族が早期に生活を再建できるよう、震災から3カ月間被共済者が行方不明の場合には、地震の発生日である3月11日に亡くなられたものと推定をして、退職金を支給するという特例措置を実施しております。この特例につきましては、9月末日時点では、適用の対象はゼロであると聞いております。ただ、大震災による通常の死亡として取り扱われて退職金をお支払いしたケースは少なからずあろうかと考えております。
 現在講じている以上のような措置に加えまして、このほか、退職を余儀なくされた従業員やそのご家族が退職金の請求手続きを知らないということも考えられますので、こういった場合の退職金の確実な支給に向けた取組を、今後とも続けていく必要があると考えております。
 以上、東日本大震災における対応についてのご報告です。
○勝部会長 ただいま事務局から議題2について報告がありましたが、これにつきましてご意見あるいはご質問等がありましたらお願いいたします。
 それでは、まず私から質問をさせていただきたいと思います。全体では被災地の共済事業主の規模についてはどれぐらいあるのでしょうか。
○木原勤労者生活課長 一般の中小企業退職金共済で7,769事業場、被共済者が6万2,163名、建設業退職金共済につきましては4,323事業場、被共済者が6万2,021名、清酒製造業退職金共済が54事業場で153名、林業退職金共済につきましては124事業場の1,274名です。
○鈴木委員 非常に大変な被害で、こんな状況になっているなんて、まだ実際にはわからないところもあるわけですよね。しかし、こういったことに対して、どういった対応をされているのかお聞きしたいのですが。
○木原勤労者生活課長 先ほど、確実な退職金の支給のためのいろいろな措置を講じていく必要があるということを最後に申し上げましたが、お亡くなりになった被共済者の遺族が退職金を請求できることを知らないとか、事業主が行方不明になるなどをされて、従業員が退職金の請求手続きを知らないですとか、いろいろなことがまだ残っているかと思っております。こういった場合に、適切な退職金の支給ができるようにということで、まず、退職金の契約者がおられるかどうか調査をして、確実にその事業主を経由して、あるいは直接に被共済者、ご遺族の方に対して、退職金の請求に向けたいろいろな勧奨手続きを講じていきたいと考えています。
○勝部会長 ほかに何かありますか。
○新田委員 先ほど紹介されたようなさまざまな特例もやられて、9月末でいろいろ実績も上がっているということですが、この特例というのを、被災された事業主、被共済者の方々にどのように周知されているのかについて、ご紹介いただければと思います。
○木原勤労者生活課長 例えばホームページに掲載するとか、地元の新聞や業界紙を活用してPRをするとか、地元のテレビでのコマーシャルもやっております。そのほかに、パンフレットを作成して、関係する県や労働局に対して情報提供の依頼も行いました。労働局で緊急相談窓口を開設したところもありますので、こういった相談窓口において、特例措置に関する相談や情報提供を実施するような指示も行いました。このように、行政あるいはメディアを活用した周知に努めております。
○新田委員 今後ますますそれを、さらに拡充していくとか、そういうことをお考えですか。
○木原勤労者生活課長 そういったことを引き続きやっていくとともに、さらに、今度は個別の請求の勧奨にもつながっていくような取組をしていこうと考えています。
○勝部会長 ほかによろしいですか。いまの部分、非常に重要であると思いますので、行政やメディアを活用されているということですけれども、ここでは他の手法というのはなかなかないかもしれないのですが、是非これからも引き続き、周知に努めていただきたいと思います。ほかによろしいでしょうか。
○木原勤労者生活課長 資料4頁、「中小企業退職金共済制度の現況及び平成22事業年度決算について」です。6頁の上段の1は「新規加入状況」です。平成22年度については、共済契約者数、即ち事業主の数で見ますと、新規加入は合計で2万1,167件ございます。そのうち、一般の中小企業退職金共済が1万4,847件、建設業退職金共済が6,256件、清酒製造業が1件、林業が63件となっております。
 右側の被共済者数、即ち従業員の数ですが、合計で56万6,357人となっております。一般の中小企業退職金共済は昨年より増加、清酒製造業についてはほぼ横ばいとなっておりますが、依然、厳しい経済状況の影響もあり、建設や林業に関しては減少しております。
 下段の2は平成22年度末現在の「在籍状況」です。左側の共済契約者数は合計で55万6,292件です。内訳を見ますと、林業退職金共済を除く3事業については、21年度末から減少をしています。林業に関しましては、ここ数年ほぼ横ばいという状況です。
 右側の被共済者数につきましては、全体で606万1,416人ということですが、一般の中小企業退職金共済では313万6,282人、建退も286万8,396人と、いずれも増加をしております。一般の中小企業退職金共済につきましては、共済契約者数は減少しましたけれども、被共済者数が増加をしております。これは、適格退職年金制度から一般の中小企業退職金共済制度への移行が進んでおりまして、こういった適格退職年金からの移行の企業では、1契約者当たりの被共済者数が多い傾向が見られますので、被共済者数の増加につながっているものと考えられます。また、清酒製造業に関しましては、被共済者数が21年度、22年度と大きく減っております。これは共済手帳の長期未更新者に対する取組が進んでおりまして、その結果、未手続者に対する取組によって、高齢の方など退職金をもらって脱退するという方が多くおられたことなどもありまして、被共済者数が減少しております。
 7頁の3は「退職金等支給状況」です。平成22年度の支給件数は合計で34万8,608件です。支給件数は平成20年度から減少傾向にあります。団塊の世代の定年退職による支給件数の増加傾向が一段落したということが要因の1つかと考えております。清酒製造業につきましては、平成20年度から21年度、22年度と支給件数が大きくなっております。これは先ほども触れましたけれども、共済手帳の長期未更新者対策の影響でございまして、平成22年度の場合、支給件数1,809件のうち、1,555件が未更新者対策関係の退職金支給となっております。
 8頁は、左上の4が「一般の中小企業退職金共済制度の平均掛金月額等の状況」です。掛金月額の平均は、22年度で9,119円となっております。
 5の「特定業種退職金共済制度の掛金日額の状況」は、それぞれ定額となっております。
 6は「資産運用高状況」です。平成22年度の資産運用残高は、合計で約4兆4,738億円となっており、そのうち、一般の中小企業退職金共済が約3兆5,978億円を占めております。
 9頁以降に運用の詳しい内訳を載せております。9頁は、一般の中小企業退職金共済における資産運用状況です。多くは自家運用で、国債等の有価証券で運用を行っています。
 表の左側に項目分けを示しております。自家運用、委託運用と2つに分けておりますが、自家運用のいちばん下の「自家運用計」の欄をご覧ください。右端は平成22年度の状況ですが、平成22年度の自家運用の利回りは、1.56%となっております。自家運用につきましては、国債等を購入して、満期保有を行っておりますので、毎年利回りに大きな変動はなく、平成18年度からの数値を見ましても、安定した利回りの推移となっております。
 もう1つの委託運用は、信託銀行などへ運用を委託するものです。委託運用欄のいちばん下の「委託運用計」ですが、22年度の利回りは1.40%のマイナスとなっております。委託運用におきましては、株式等比較的価格変動の大きな資産による運用を行っておりまして、平成18年度からの利回りの数値を見ましても、プラスになる年度もあれば、マイナスになる年度もあるという状況です。平成22年度につきましては、為替の円高進行がありましたり、年度末になりますと、東日本大震災もありまして、利回りはマイナスとなっております。一般の中小企業退職金共済の運用全体では、資料のいちばん右下の枠ですが、平成22年度の運用利回りは0.30%となっております。
 10頁は、建設業退職金共済における資産運用状況です。建設業退職金共済では、中小企業に対する事業に加えて、従業員が業界内を異動する中で、大企業に雇用されたときにも退職金の対象とするという事業を附帯的な事業として行っておりますので、経理についても、通常の建設業退職金共済である給付経理と、附帯的事業である大企業に在籍していたときの退職金共済である特別給付経理に区分をしております。10頁の上段の表が通常の給付経理、下段の表が特別給付経理となっております。給付経理、特別給付経理で、いずれも一般の中小企業退職金共済と同様でございまして、22年度については、自家運用がプラス、委託運用がマイナスで、合計ではそれぞれ給付経理で0.76%のプラス、特別給付経理で0.62%のプラスということになっております。
 11頁は、清酒製造業退職金共済における資産運用状況です。こちらに関しましても、給付を給付経理と特別給付経理に区分をしております。平成22年度の運用利回りは、合計だけを申し上げますと、給付経理で0.62%、特別給付経理で1.09%となっております。
 12頁は、林業退職金共済における資産運用状況です。平成22年度の運用利回りは1.02%となっております。ここまでが現況です。
 次に決算の概要です。14頁は、勤労者退職金共済機構全体の貸借対照表及び損益計算書です。資料のいちばん右下の数値が、損益計算書の当期総損失ですが、平成22年度は勤労者退職金共済機構全体では、183億円の当期損失となっております。
 個々の事業につきましては、次頁以降をご覧ください。15頁は、一般の中小企業退職金共済についてです。平成22年度につきましては、資産運用におきまして十分な収益を確保できなかったこともありまして、いちばん下の行ですが、当期総損失が101億円でした。その結果、貸借対照表の下から3つ目、繰越欠損金合計の欄ですが、平成22年度末で2,071億円となっております。
 16頁は建設業退職金共済についてです。いちばん下、平成22年度の当期損失は92億円となっております。ただ、建設業に関しましては、貸借対照表では、まだ利益剰余金が出ています。
 17頁は清酒製造業退職金共済についてです。いちばん下の欄ですが、当期総利益となっております。こちらは10億円の利益が出ております。共済手帳の長期未更新者についての現況調査を進めて、ご本人に脱退の意思を確認するなどして、脱退した方について、将来の退職金支給のための積立金である責任準備金の積立対象ではなくなったということから、責任準備金が減少したということが要因となって、損益計算書上利益が生じたものと考えております。
 18頁は林業退職金共済についてです。こちらは、900万円の当期損失となっております。貸借対照表の繰越欠損金の欄にありますように、22年度末で14億7,200万の繰越欠損金となっております。
 19頁は独立行政法人について、会計基準で作ることとなっております行政サービス実施コスト計算書です。22年度の勤労者退職金共済機構の場合は、運用収益が小さかったことなどから、収益より費用のほうが大きくなっております。
 20頁は決算が確定するまでの流れです。平成22年度の決算につきましては、網掛けのいちばん上ですが、6月30日に勤労者退職金共済機構から厚生労働大臣に財務諸表が提出されまして、その後、独立行政法人評価委員会の意見を聴いて、9月7日に厚生労働大臣が決算を含む財務諸表について承認をしております。資料3の説明は以上です。
○勝部会長 非常に詳細な説明がありましたが、議題3について、何かご意見、ご質問等があればお願いいたします。
○島村委員 先ほど加入条件のご説明がありましたが、昨年施行規則が改正になって、今年1月1日から、同居親族のみを使用する小規模事業所に使用される者が中退共の従業員として見なされることになりました。そもそも改正により、対象となる事業者数、共済者はどのぐらいあるものなのか、あるいは、具体的にご加入された事業者あるいは被共済者等を把握されているようでしたら、教えていただきたいと思います。
○木原勤労者生活課長 そもそもこれによって入り得る層がどれだけあるのかについては、把握が困難なところがございます。ただ、省令改正以降、現実にどれだけの事業場あるいはどれだけの方が手続きをされたか、加入をされたかですが、施行された平成23年1月1日から8月31日までの間、新たに289事業場、311人の同居の親族の方が、現に加入されています。
○勝部会長 ほかにご質問、ご意見をお願いいたします。
○久保委員 先ほど新規加入で、適格退職年金からの移行が多くあったのではないかというお話がありましたが、直近の平成20年度くらいからで結構なのですが、大体どのくらいが適格退職年金からの移行の件数もしくは人数としてあるのでしょうか。資料があれば教えていただきたいと思います。
○木原勤労者生活課長 数字だけですが、直近の3年間でございます。平成20年度は適格退職年金からの移行が、共済契約者(事業主)数で2,456件、被共済者(従業員)数で7万5,706人、平成21年度が2,730件、9万4,044人、平成22年度が3,302件、13万2,338人という状況です。
○勝部会長 ほかにございますか。
○鈴木委員 こうして見ると、運用の部分で、自家運用の部分については平均しているからいいのですが、委託運用の部分が、運用利回りの関係でかなり変動があるわけです。1年にかなり変動があって、春先はいいけれども暮れになると駄目だとかいった部分で、一般の中小企業退職金共済はかなり戸惑う部分はあるわけなのですが、全体を含めると、今後の経済をどのように見るかというのはいろいろあるのですが、適格退職年金からの移行でかなりの人数が増えてきたということもあるので、そういった関係で、加入数をいかに増やすかということをやっていくことが、いま全体で運用資産が4兆4,700億ぐらいあるので、それを5兆ぐらいに増やすとか、そういったことをすることが、付加退職金も含めて、加入している組合員にとってみれば、いちばん安定したベターな方向にいくのではないかと思いますが。勤労者退職金共済機構には運用の部分をやってもらわなければならないのですが、加入数を増やすということを、一方で極力進めていくことが、今後の対応としてはいいのではないかと思いますので、是非そのことも含めてご検討願いたいと思います。
○勝部会長 それにつきましては、プロモーションのような形で加入促進をはかるため何かしているのでしょうか。
○木原勤労者生活課長 加入促進というのは制度の基本でありまして、資産という観点もそうですし、そもそも中小企業の従業員の福祉の向上を図るということからも、加入促進を進めるというのが本当に基本的な事項かと思っております。
 そのために、これまでも制度の周知を図ることから始まって、行政、勤労者退職金共済機構においても、いろいろな取組を行ってきております。今回、財形業務が勤労者退職金共済機構に業務として加わるということもございますし、そういった相乗効果を出すという観点からも、いま一歩進んだ加入促進策ということについて、勤労者退職金共済機構とも知恵を絞って進めていきたいと考えております。
○勝部会長 ほかに何かご意見はございますか。
○臼杵委員 いまのお話と関連して2つお伺いします。1つは、適格退職年金からの移行は平成23年度で終わると思いますが、それ以降について、知恵を絞るとおっしゃったのですが、具体的にどのような形で加入者を増やしていくのでしょうか。
 それから、累損解消計画があったと思いますが、契約者数、被共済者数については、どのような前提、あるいは基本的に横ばいということでやられていたのでしょうか。
○木原勤労者生活課長 加入促進については、いま勤労者退職金共済機構で考えていることとしては、特に加入促進を効率的に実施できるという観点で、大都市での加入促進の強化が考えられるのではないか。それから、高い加入実績、最近伸びている団体、業界に積極的に加入促進を図っていくことが適当ではないか。そういったターゲットを絞った形なりで、効果的な加入促進を進めていくことを考えております。それ以外にどのようなことがあるかということについても、知恵を出していきたいと考えております。
○臼杵委員 それはわかったのですが、中小企業退職金共済制度というのは、基本的には正社員しか入れないものなのですか。例えば非正規、パートはどうなるのですか。
○木原勤労者生活課長 制度の加入対象にはなります。ただ、基本的に中小企業退職金共済制度に入れば、労働者は全員加入しましょうという仕組みですが、期間を定めて雇われている方については、法律上は加入させなくてもよいことにはなっております。もっとも、こういった方についても、事業主として制度に加入させるということは可能です。
○臼杵委員 要は、事業主と従業員の間で退職金を払うという約束というか、そこがあるかどうかに依存するのだと思います。逆に、どこまでそういうことで効果があるかわかりませんが、事業主の中には、そういう非正規の人にも退職金を払おうという方がいらっしゃるし、それは社会的に見ても悪いことではないと思うので、そういう方向でどれだけ加入者が増えるかわかりませんが、そういうこともご一考いただければと思います。
○勝部会長 2点目の累損解消計画についてはいかがでしょうか。
○瀧原勤労者生活課調査官 中期目標期間については、中期目標の加入目標は立てているわけですが、それ以降については、基本的には横ばいで維持されるという前提でやっております。
○臼杵委員 運用のほうから考えると、資産が増えないと、1回負けたときに取り戻すというのは難しいのです。100のものが80になってしまうと、2割下がったのに、戻すのに2割5分のリターンが要るのですが、加入者が入ってきてもう1回100に戻せば2割のリターンで済むということがありまして、なるべく加入者を維持しながら、キャッシュフローを維持していくことが、逆に累損の解消にも1つの効果がありますので、その辺についてもご留意いただければと思います。
○勝部会長 ポートフォリオの中身は大体はわかるのでしたか、例えば外国債券とか。
○瀧原勤労者生活課調査官 構成比ですか。
○勝部会長 はい。例えば、いまソブリン問題が顕在化していますが、そういったものもかなりあるのでしょうか。
○瀧原勤労者生活課調査官 一般の中小企業退職金共済で、ポートフォリオ自身は国内債券が76.9%、国内株式、外国債券、外国株式それぞれ7.7%となっています。一応、それぞれに乖離許容幅を設定しておりまして、手元に資料はないのですが、大体この辺りで動いているということです。
○勝部会長 ほかに何かご質問、ご意見はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、いまご報告がありましたように、昨年度は非常に厳しい状況であったと、今年度についても、まだまだ厳しい状況が続いているということかと思いますので、引き続きこの点については、ご報告をいただいて進めていきたいと思っております。
 議題4「その他」に入ります。事務局からご報告をお願いいたします。
○木原勤労者生活課長 「参考」と書かれている資料の14頁、「独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律の概要」です。今年の4月に、この法律が成立し、10月1日に施行されました。これにより、(3)ですが、従来、雇用・能力開発機構で実施していた財形関係業務のうち、財形持家融資業務等について、勤労者退職金共済機構に移管されました。
 15頁に参考5として、勤労者退職金共済機構の組織図をお付けしております。いちばん下に点線で囲って、「勤労者財産形成事業本部」「勤労者財産形成部」ができたということを示しております。今後は、雇用・能力開発機構から移管された財形部分を含めて、財形制度と中小企業退職金共済制度を併せて、勤労者退職金共済機構が運営していく体制となったものです。
 また、財形事業本部については、場所としては、雇用・能力開発機構の本部のあった横浜の事務所にいま現在おります。ただ、来年度からは事務所についても統合する予定です。この統合に合わせて、勤労者退職金共済機構も港区の芝公園にある退職金機構ビルから、池袋の賃貸のビルに移転する予定です。行革でも、本部の移転・売却を指摘されておりましたが、本部ビルも老朽化が進み、東日本大震災でのダメージを受けたということもあり、これを機に移転するというものです。
 「その他」のもう1つ、独立行政法人改革についてです。16頁の参考6として、行政刷新会議に設置されている独立行政法人改革に関する分科会で、現在、独立行政法人の制度・組織の見直しに係る検討が進められております。16頁の資料は、9月の第1回独立行政法人改革に関する分科会の資料です。これによりますと、12月に制度・組織の見直し案を取りまとめ、行政刷新会議に報告し、決定するというスケジュールが予定されております。この分科会にはワーキンググループが設置されておりまして、勤労者退職金共済機構に関しては、10月にワーキンググループから複数回のヒアリングがございまして、その中で質問のあった主な事項を17頁にまとめております。
 まず、1つ目と2つ目の○にありますが、勤労者退職金共済機構の法人形態として、「100%国保有株式会社で運営できないか」、「その他の法人形態での運営ができないか」という質問がございました。また、その質問の問題意識が表れているのが次でして、勤労者退職金共済機構が資産運用を行っているということから、3つ目と4つ目の○にありますように、「資産管理業務を実施していることに鑑みれば、現在の独立行政法人制度における業務執行の規律は、民間の投資運用等を行う株式会社と比べて相当緩い。厳格な業務運営に係る規律や意思決定等における透明性の確保、責任所在の整理、手続き規定等の検討とセットで考えるべきではないか」。また、「現行の運用失敗時の評価・責任追及等について、銀行や保険会社の運用子会社や投資運用会社における場合と比較してどうか」という質問がございました。
 さらに、5つ目と6つ目の○にありますように、年金の資金の運用をしている「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)との統合についてであるが、運用に係る専門性の有効活用といった面でもメリットがあるのではないか」、あるいは「勤労者退職金共済機構の業務のうち資産運用部分を切り離してGPIFに移管することはできないか」といった質問がございました。
 近々、ワーキンググループの報告書が取りまとめられ、16頁にあります、独立行政法人改革に関する分科会に報告されるものと聞いております。ワーキンググループで、17頁にありますような質問事項があったわけですが、おそらく、このワーキンググループでの質問事項に関連する内容が盛り込まれてくるのだろうと思われますが、現時点ではどのようなものになるのかは全く不明です。この分科会が開催されて、ワーキンググループの報告書が公表された後には、その内容を見て、適切な対応を講じていきたいと考えております。
 以上、この2カ月で急に動き出したものですが、独立行政法人改革に関してのご報告です。
○勝部会長 いま2点ご報告がありましたが、これについてご質問、ご意見があれば、よろしくお願いいたします。
○長谷川委員 全国建設業協会です。ただいま参考6でご報告いただいた分科会の件について、若干疑念を持っておりますので、ひとつお願いを申し上げさせていただきます。
 勤労者退職金共済機構が運営している建設業退職金共済制度については、期間労働者を中心とした建設労働者の福祉向上のために、建設業界の強い要請により創設され、建設業界全体の退職金制度として広く認知され、定着をしてきているものです。
 ただいまの報告に統合等の話が出ましたが、他の業種等の退職金制度から独立性を持った業務運営を確保するため、建設業退職金共済事業の責任執行体制の確保や区分経理の堅持等、現在の仕組みが維持されていると承知しております。このような歴史と経緯を踏まえ、建設業界の退職金制度として、制度の運営責任は建設業退職金共済事業本部にあること、また、独立性・区分経理が引き続き堅持されるよう、十分にご当局でご配慮をお願いしたいと思います。これが1点です。
 それから、○の5つ目に出てきた統合についてですが、他の機関との統合等については、こういった建設業退職金共済制度の長い歴史と経緯を考えて、法人の性格や業務の内容が全く異なることから、適切な運用がされるかどうか、強い危惧の念を持っているところです。厚生労働省ご当局には今後とも、勤労者退職金共済機構と密接な連携を取っていただき、業界が十分、全体として納得できるような進め方をご検討いただくように、この場を借りてご要望申し上げます。
○勝部会長 いま長谷川委員から、建設業退職金共済に関してご要望がございましたが、ほかに何かご要望、ご意見、ご質問等がございましたらお願いいたします。
○久保委員 1点だけ、今後ご努力をいただければと思うのですが、先ほど途中でご質問申し上げましたように、一般の中小企業退職金共済は、ある意味では適格退職年金からの移行という特需があって、横ばいというご説明になっているのだと思います。それを除くと、年内くらいには特需は完全になくなって、来年度以降はどうなるのかを考えると、ご案内のとおり中小ですと、どちらかというと廃業等々があって、脱退者がそんなに簡単に減るということはなくて、ほぼ例年どおりの数が出ていくとすると、この制度をどう運営していくかというのが、先ほど途中のご質問等にもありましたように、一定の規模を維持していかないと、制度がどんどんじり貧になっていくことが想定されるわけです。
 そういった観点から言いますと、いまご報告いただいた部分でも、正直言いまして、どういう組織形態がいいのかということについては特段の意見を持ち合わせておりませんが、途中にご意見がございましたように、これからどう新規の加入を増やしていくかということを考えなければいけないと思います。
 私の理解ですと、例えば地方で直接的に新規の加入を求めていくような、手足のあるような状況にはないのではないかと思っておりますが、組織の形をどういじるかということとは関係なく、そういった体制がきちんと取れるような改革論のようなものにつなげていっていただければと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
○勝部会長 ほかに何かご意見、ご質問等はございますか。
○臼杵委員 いま久保委員からお話が出ましたように、基本は社会的なニーズがどのぐらいあるかというところに関わってくると思いますので、ニーズをどう掘り起こすか、新しいニーズがあるかどうかというところがあれば、そこは積極的に考えていただきたいと思います。
 それから、行政刷新会議独立行政法人改革の話ですが、私はこの話は今日初めて伺いましたので、特に意見を持ち合わせているわけではないのですが、2点お伺いいたします。第1点は、ヒアリングは直接厚生労働省のほうにくるのか、勤労者退職金共済機構のほうにくるのでしょうか。2つ目は、17頁にある組織形態です。1番目と2番目については、もしお差し支えなければ、こういう質問に対しては、どのようなお考えでご返答なさる、あるいはなさったのでしょうか。
○木原勤労者生活課長 ヒアリングに関しては10月に4回ございました。基本的に厚生労働省対象のヒアリングですが、1回目のときには勤労者退職金共済機構からもご出席いただきました。そのあとは、勤労者退職金共済機構に、傍聴としてお越しいただきました。
 1つ目、2つ目の○についての考え方ですが、私どもがこのヒアリングの場で述べたことは、まず勤労者退職金共済機構が行う中小企業退職金共済制度というのは、独力では退職金制度を整備することができない中小零細企業の相互扶助の仕組みとして、国が法律に基づき確立した退職金制度であり、掛金や退職金の額等についても、法令で定めております。そういう公的なものであり、施策として重要なものなのだということを、まず念頭に置いて、そのような制度を運営する法人の形態については、必ずしも独立行政法人という形態に拘るものではないけれども、長期間にわたって、安定的、継続的、かつ確実、適正な業務の運営が可能となるような組織形態でなければいけないと考えているということを、繰り返し申し上げておりました。具体的には、必ず設立され、任意に解散されないとか、役員、理事長などの任免権が大臣にあるといったことが必要なのではないかということも述べてきました。
○臼杵委員 わかりました。
○勝部会長 行政刷新会議の議論というのは、12月に報告決定されるということで、その後はどのようになるのでしょうか。何かリコメンデーションが出てきて、それはどういった効力を持っているのか、その辺を教えていただけますか。
○木原勤労者生活課長 これからどのように取り扱われていくのかということは、政府レベルで検討されていくものだと考えておりますが、現時点では決まっておりませんで、こういった流れになるはずですということを申し上げる状況にはなっておりません。
○勝部会長 ほかにご意見、ご質問はございますか。
○清水委員 17頁の3番目で、現行の運用失敗時の評価・責任追及が、ほかより甘いのではないかというニュアンスのことが出ていますが、これは具体的な数値でほかと比較をされたような、ワーキンググループからの指摘があったのでしょうか。
○木原勤労者生活課長 私どもの印象としましては、制度論の問題として、会社の場合は、役員の法人に対する損害賠償の規定などが会社法にはあるということで、そういったものに比べて、独立行政法人にはそういったものはないので、その辺りは会社法の仕組みとは違うのではないかといったご指摘があったものです。
○高橋委員 ○の4つ目も同じですね。責任追及云々ということは、そういう意味で、賠償責任とか、そういうことでおっしゃっていたということですね。
○木原勤労者生活課長 賠償責任などを考えた場合に、会社法の枠組みと違うではないかという言い方がなされておりました。
○高橋委員 失敗したときに責任を取っているとは思えませんから、よく言うよとは思いますが、枠組みとしてはそういうことはあるかもしれませんね。
○勝部会長 質問事項というのは、勤労者退職金共済機構に対して投げ掛けられたものなのか、ヒアリングの中でそういったことが出てきたのですか。
○木原勤労者生活課長 ヒアリングの場、あるいはヒアリングの後に、ワーキンググループから文書で投げ掛けられたものもございますが、基本的にヒアリング手続きの中で、ワーキンググループ側から寄せられた質問事項です。
○勝部会長 そうしますと、GPIFとの統合については勤労者退職金共済機構からはどのように答えられたのですか。
○木原勤労者生活課長 まず、勤労者退職金共済機構は中小企業退職金共済制度全体の運営を行っており、加入促進をし、契約をし、掛金を集め、その掛金の管理をし、運用もするし、最後には退職金として支給をするという、こういう一連の業務を行っているのが勤労者退職金共済機構であり、それに対して、GPIFは年金資金の運用に特化した、しかも、大変巨額の資金の運用に特化した法人であることから、そもそも、それぞれの法人の目的が根本的に異なるのではないでしょうかと。性格が違いますし、そういったものを1つの組織にすると、それこそガバナンスという点で問題があるのではないでしょうかと。そういったことを申し上げておりました。
○勝部会長 ほかに何かございますでしょうか。
○早川委員 いまのお話との関連で、最後の○のところ、資産運用部分を切り離してということについては、どのようなお考えなのですか。
○木原勤労者生活課長 これについては、例えば資産運用のときには、いまの勤労者退職金共済機構でも、退職金の支給に必要なキャッシュフローは確保した上で、それ以外の額を運用するという仕組みを取っていますので、退職金を払うところと運用するところが違うことになりますと、退職金の支給に必要なキャッシュフローを確保できるような仕組みを構築できる必要があり、それ以外に、運用の基本方針や基本ポートフォリオといったことは、勤労者退職金共済機構が策定する必要があり、そのほか、区分経理も維持する必要があるでしょうと。
 いま申し上げたものがすべてではないと思いますが、いろいろな条件があるのだと思います。そういったいろいろな条件が満たされるということであれば、検討することは可能なのかなという考えです。
○臼杵委員 私はいまGPIFの運用をやっていますので、個人的な感想ですが、GPIFは大きすぎて、なかなか市場で動きが取れないところがありまして、統合したからといって非常によくなるという感じではないのかなと思います。
 逆に言うと、中小企業退職金共済は資産規模的には4兆円ぐらいですから、小回りが利くところがあるので、むしろGPIFと同じような運用をするのではなくて、あまり運用のことについて詳しく中を伺っていないので若干誤解があるのかもしれませんし、もう少し勉強してから具体的にはお話をしたほうがいいのかもしれませんが、もう少し小回りが利くという点を活かして、何か工夫の余地があるのではないかという印象はしております。
○勝部会長 ほかにございますか。
○鈴木委員 いずれにしても加入者が損にならないようにしていただきたい。ワーキンググループができた背景はわからないのですが、資産運用をして責任を取っていないのではないかとか、もう少しきちんとやれということを言っているのだと思うのです。中退共に入っている人たちが、いかにしていい運用をされて、いい退職金がもらえるかということを考えた中での対応が必要だと思うのです。そういういちばんいい方向に向けてやっていくべきなのではないかと思います。詳しいことはわからないので、もう少し話がわかってきた段階でというのはあると思います。
○勝部会長 また次回以降、この話については、是非報告をお願いできればと思います。ほかにはよろしいですか。
 それでは、本日の議題について、おおよそご意見は出尽くしたと思われますので、予定時間より早いのですが、本日の部会はこれで終わりにさせていただきます。
 最後に議事録の署名委員ですが、労働者代表は早川委員、使用者代表は島村委員にお願いいたします。
 本日はこれにて散会といたします。どうもありがとうございました。


(了)

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