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2011年9月20日 第6回原爆症認定制度の在り方に関する検討会議事録

健康局総務課

○日時

平成23年9月20日(火) 15:00~17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省専用第21会議室(17階)


○議題

1.開会

2.議事
(1) 原爆症認定に係る司法判断の状況について
(2) 各種手当等の状況について
(3) その他

3.閉会

○議事

○和田原子爆弾被爆者援護対策室長 開会に先立ちまして、傍聴者の方におかれましては傍聴に際しての留意事項、例えば静粛を旨とし、会議の妨害になるような行為をしないこと、また、座長及び事務局職員の指示に従うことなどについて、厳守をお願いいたします。
 また、本日も、政府の機関はクールビズということで軽装を励行している時期になりますので、もしも暑いようでしたらジャケット、ネクタイ等お外しいただきますよう、よろしくお願いいたします。
 それでは、これ以降の進行は森座長にお願いいたします。
○森座長 それでは、定刻になりましたので、第6回の検討会を開催したいと存じます。
相変わらず、大変見苦しい姿をお目にかけて申し訳ございませんが、おかげ様で快方をたどっておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。
 皆様方、足元の悪いところこうしてお出かけいただきまして、本当にありがとうございます。心から御礼申し上げます。
 私、本日の進行につきしては、ただいまいい方に向かっていると申しましたけれども、実は、それほどまだ体調が万全ということでもございませんので、大変勝手なことでございますが、本日もコーチェアーの神野委員と御一緒に司会進行ということで務めさせていただきたいと存じますので、どうかお許しいただきたいと存じます。
 それでは、これから定められた時間の中で、どうか十分の御討議、御発表、その他お願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○神野座長代理 それでは、森座長の御指示をいただきましたので、共同進行ということで、事実上司会だけ私がさせていただきます。何分にも至りませんが、座長のお体のことでございますので、御寛容いただければと思います。
 まず、本日の出席状況と、配付資料の確認を事務局の方からお願いしたいと思います。
○和田原子爆弾被爆者援護対策室長 最初に、委員の交代がありましたので、御紹介をさせていただきます。
 前任の智多委員にかわりまして、長崎市副市長の三藤義文委員が加わることとなりましたが、本日所用のため欠席でございます。
 そのほか、本日の出席状況でございますが、佐々木委員、潮谷委員が欠席との連絡をいただいております。また、草間委員が所用により途中からおいでになる予定です。
 次に、お手元の資料について御確認をさせていただきたいと思います。
 議事次第、資料一覧に続きまして、
 資料1「第5回検討会における委員の主な発言」。
 資料2「原爆症認定に係る司法判断の状況について」。
 資料3「各種手当の支給等の状況について」。
 資料4「第1回~第5回における委員等から出された主な議論」。
 資料5「田中委員提出資料」でございます。
 資料に不足、落丁がございましたら、事務局までお願いいたします。
○神野座長代理 それでは、本日の議題につきましては、前回、ややお話を申し上げたと思いますけれども、森座長のお言葉を使えば「知る段階」の整理みたいなものを少ししておきたいと思っておりまして、事務局から、司法判断の状況や制度についての現状を補足する資料を提出していただいております。この資料を基に御議論をちょうだいして、現状につきましてこの検討会として認識を共有できればと考えております。
 初めに、これまでの私どもの議論を確認するために、事務局の方から資料の御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○和田原子爆弾被爆者援護対策室長 お手元の資料1について、御説明をさせていただきたいと思います。
 資料1ですが、第5回検討会において委員からいただきました主な発言、これに対応する形での事務局の説明概要を事務局においてとりまとめたものでございます。以下、ごく簡単に、経緯を中心に御説明を申し上げたいと思います。
 第5回の前半では、事務局より「1 原爆症認定審査の現状について」というところを御説明いたしました。その後、委員から御発言をいただきました。資料の1ページがその概要をとりまとめたものでございますので、御参照いただきたいと思います。
 後半でございますが、「2 原爆症認定に係る司法判断の状況について」事務局より説明をいたしまして、その後で、委員から御発言をいただきました。資料の2ページから5ページまで、こちらが概要をまとめたものでございます。
本日の議題にも関わりますので、若干概略を申し上げますと、第5回の議論では行政の認定と裁判の結果、すなわち司法判断との違い、乖離の問題をどう考えるかといった点についての御発言。確認書の位置づけ、控訴を取り下げるといった判断についての御発言。306名の方が集団訴訟を提起されておりましたが、集団訴訟の個々の判決内容をどう受け止めるのかといった点についての御発言。更に、判決内容を少し丁寧に見てみるべきではないかといった御指摘もいただきました。そうしたことで、本日補足の資料を、この後御説明させていただきますけれども、用意させていただいたところでございます。
 私から、資料1についての説明、ごく簡単ではございますが、以上でございます。
○神野座長代理 ありがとうございました。
 ただいま、前回の検討会において委員の皆様方からちょうだいいたしました発言などを事実としてまとめていただいたものでございますが、この段階で何か御発言ありましたら、どうぞ。
○田中委員 田中でございます。
 今日、最後の資料としてお配りいただいておりますが、皆さん方に、資料が膨大だったものですから、あらかじめ目を通していただいた方がよろしいかと思いまして、失礼ではございましたけれども、送らせていただきました。この説明を本当はしたいんですが、時間がございませんので、これからの討議の中で要点だけはまた発言させていただきたいと思いますけれども、前回の議論で私どもがもう少し深めるべきではないかとか、政府、厚労省の説明は不十分ではないかとかいうことを指摘しているものでございますので、お目通しでなければ改めてお目通しいただきたいと思います。
 以上です。
○神野座長代理 わかりました。関連することがございましたら、次の議題、その他のところで御発言ちょうだいできればと思います。
 この資料につきましては、何か後でございましたら事務局の方に、後刻でも構いませんので、御連絡をいただければと思います。
 それでは、次の議題に進みたいと思いますが、「原爆症認定に係る司法判断の状況について」事務局から資料の御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○和田原子爆弾被爆者援護対策室長 引き続きまして、お手元の資料2で説明をさせていただきます。「原爆症認定に係る司法判断の状況について」でございます。
 前回、第5回検討会では、原爆症認定集団訴訟の判決の経緯、行政認定と司法判断との間に隔たりが生じているといったこと、個々の判決を見ていくと、個別の事情に基づく判断ですので、様々な判決が出されているといった点、こうした点について御説明をさせていただきました。
 これに対して、委員の皆様から様々な御意見をいただきました。前回に引き続きまして、事務局から補足と申しますか、もう少し全体を見渡しましてどういう状況になっているのかという視点に立って、資料を用意させていただきました。以下、この資料に沿って説明をさせていただきたいと思います。
 2ページ、「1 原爆症認定集団訴訟の経緯及び現在の状況」についてでございます。3ページの「原爆症認定集団訴訟の経緯と現在の状況」で御説明させていただきます。
前回のおさらいになりますけれども、これまでの経緯といたしましては、平成15年4月以降、旧審査の方針により原爆症の認定申請を却下された方が、原告数で306名、309件になりますが、却下処分の取消し等を求めまして17地裁で集団提訴がされました。
 その後、平成18年5月以降地裁で、また、平成20年5月以降高裁において、国が一部または全部敗訴するという判決が出されました。平成21年8月に、総理と被爆者団体との間で「原爆症認定集団訴訟の終結に関する基本方針に係る確認書」に署名がされたというものです。
 若干補足させていただきますと、※にありますけれども、国においては新しい審査の方針による審査を開始した平成20年4月以降、すべての原告に関し再審査の上、可能なものについては認定を行いました。171名を認定ということでして、認定できる方は認定したわけですが、再審査の結果、国が認定に相当しないと判断した原告について、その後判決が出されております。
 下に現在の状況、平成23年9月20日現在を円グラフで示しております。幾つかカテゴリーに分類しておりますけれども、「1 新しい審査の方針策定後に国において認定した者」が171名。「2 認容判決確定により認定された者」これは2つに分けておりますが、1は確認書署名の前の時期、すなわち確認書署名とは関係なく控訴審判決が確定したことにより認定された方が26名。2として確認書に基づき、すなわち確認書署名後の時期に、国が控訴せずあるいは控訴取下げにより認定にされた者が80名いらっしゃいます。「3 棄却判決が確定した者」が25名。「4 係争中の者」が5名となっております。
 4ページ、これは平成21年8月に署名された確認書でございます。確認書にございますとおり、「1審判決を尊重し、1審で勝訴した原告については控訴せず当該判決を確定させる」とされております。
 5ページは、平成21年12月に国会で成立した法律であります「原爆症認定集団訴訟の原告に係る問題の解決のための基金に対する補助に関する法律」の概要でございます。法律の趣旨・定義のところにございますが、「この法律は、集団訴訟に関し、これを契機に原爆症認定制度に関する見直しが行われたことを踏まえ、訴訟の長期化、原告の高齢化等の事情にかんがみ、確認書の内容に基づき、原告の問題解決のための基金に対する補助に関し、必要な事項を定めるもの」でございます。
 赤字で書いておりますが、集団訴訟というのは法律の中で定義されておりまして、平成15年4月17日から平成20年3月17日、これは新しい審査の方針の策定日の前日までに提起されたものという定義がされております。ここでいう集団訴訟の原告306名が基金の対象になっていると御理解いただきたいと思います。
 この基金の内容につきましては、下に書いてあるとおりでございまして、支援事業実施法人に基金を設けまして、国から3億円の補助金をもってその基金に充てるとされております。
 今、御説明申し上げたのは集団訴訟についてでございますが、一方で6ページは、新しい審査の方針が策定された後に原爆症認定申請が却下され、その却下処分の取消しを求めて提訴された個別訴訟についてお示ししたものでございます。現在までに、5つの地裁において42名の方が提訴をされております。今年の8月8日に長崎地裁において個別訴訟の中での初めての判決が出されておりまして、原告1名、棄却判決となっております。
 7ページからは「2 原爆症認定集団訴訟の原告に関するデータ」でございます。
 8ページは、集団訴訟の原告の被爆状況についてのデータでございます。左側の円グラフが被爆者健康手帳の区分別に集団訴訟原告を区分したものでございます。直爆の方が84%ということで圧倒的に多く、入市あるいは救護被爆者の方は少なくなっています。真ん中に参考として、全国の被爆者における手帳区分の割合を円グラフで示しておりまして、こちらでは直爆の方が62%ですので、それに比べましても直爆の方が割合としては多くなっているということが言えるかと思います。
 右側の円グラフですけれども、こちらも集団訴訟原告の方が積極的に認定する被爆状況にどれぐらい入っているかということで、該当割合を示したものです。直爆3.5km以内の方が63%、入市4日以内が19%、直爆と入市と両方に該当する方が8%となっておりまして、どれにも該当しない「積極外」と書かれているところは10%となっております。
 9ページは、集団訴訟原告の疾病の状況についてのデータでございます。こちらは、お一人で複数の疾病を申請されている方も多くいらっしゃいますので、全部で465件の申請疾病数になりますが、それを分類して計上したものです。全体を見渡しまして、申請疾病の中ではがん、腫瘍といったものが最も多くなっておりまして、続いて肝炎・肝硬変・肝障害といったものが多くなっています。
 そのほかでは、さまざまな疾病が挙がっておりますけれども、脳血管疾患、変形性疾患、甲状腺機能低下症といった訴えが多くなっています。また、その他ということでここに含まれないものをまとめて計上していますが、48件となっております。
 10ページからは「3 原爆症認定集団訴訟の判決に関するデータ」になります。
 11ページは、集団訴訟の判決状況、全体的な状況をお示ししたものです。左側の円グラフが件数単位での判決の状況を示したものです。全体といたしまして、割合を示しておりますけれども、認容が167(54%)、棄却が26(8%)、却下89(29%)、取下げ18(6%)ということになっています。なお、※に注記しておりますが、却下、取下げというのは、判決の言い渡し前に原告が認定され、訴えの利益がなくなったことから、原告自ら訴えを取下げる、これが取下げです。それから、却下判決がなされたものが却下となっています。計上の仕方として、複数の申請疾病について提訴して、疾病ごとに判決が異なる場合については、1つでも認容があれば認容の方に計上しております。
 右側の円グラフは、疾病単位での判決の状況を示したものです。こちらも大体左側の円グラフと同じような傾向になっているということが見てとれるかと思います。
 12ページは、資料としては既に前回の検討会にも提示して御説明させていただいたものになりますけれども、左が平成20年3月に策定されました新しい審査の方針に基づく行政認定の仕組みになります。こちらは、被爆地点が爆心地より約3.5km以内とか、あるいは原爆投下から100時間以内、2km以内に入市といった距離的な要件、被爆状況の要件を満たすということと、悪性腫瘍から放射線起因性が認められる慢性肝炎・肝硬変まで7つの疾患がありますが、こちらの疾患のいずれかに罹患しているといった条件を満たす。更に、要医療性、医療を現に必要とする場合について原爆症として積極的に認定するというものでございます。
 下の※にございますが、これに該当しない場合であっても認定された方の被爆線量、既往歴、環境因子、生活歴等を総合的に勘案して、個別に判断していただくということになっております。
 右側は司法判断でございまして、こちらについては個別の事情に基づき救済ということを旨としておりまして、判決の相互間でも矛盾する判断が示されているものも見られる、あるいは、放射性起因性について個々に見ていった場合に「否定できなければ起因性あり」という論理で認定されるという傾向もあります。こういう中で、1、2にありますとおり、個別のケースでは爆心地からの距離が3.5kmを超えているものであるとか、現在の科学的知見の中で放射性起因性が積極的に証明できない疾病にかかるものが認められているといったケースもございます。
 こうした司法判断と行政認定との比較については、前回も御説明させていただきましたけれども、今回、この後の資料では集団訴訟の判決全体を見渡しまして、被爆状況あるいは疾病といったものを切り口としたら全体としてどういう状況になっているのかという視点で分析した資料を用意してみました。
 13ページは「被爆距離別判決の状況」を示したものです。グラフの見方から御説明させていただきますが、グラフの横の目盛が距離でございます。縦の目盛は件数あるいは認容の割合を示したものです。件数は赤が認容で青が棄却となっています。棒グラフが件数になります。折れ線グラフが認容の割合を示しています。この資料の中では、認容と棄却のみを整理しましたので、却下とか取下げといったものは集計から除いております。
 全体の傾向として、一番上の四角にまとめておりますが、被爆距離別の提訴件数は1.5km~2kmといったところを中心に分布しておりまして、3.5km未満では認容判決が大半を占めています。認容判決の割合については、3.5km以遠では徐々に低下していくといった傾向でございます。
 少し補足して説明しますと、下の注にありますとおり、3.5km以遠で認容のもの合計18件ございますけれども、この中には審査において4日以内の入市が認められているものが8件、判決で積極的に認定する範囲の被爆状況にあったという事実認定がされたものが5件含まれているものでございます。
 14ページ、こちらは「入市日別判決の状況」です。入市のあるものは件数としては大分少なくなってきていますので、その中での分析ということになりますが、当日の入市が最も多くなっていまして、その後はなだらかに減少するという傾向がございます。5日後以降の入市では認容の割合が低下するといった傾向も見られるところでございます。
 15ページ、こちらは「積極的に認定する被爆状況別で判決状況」を分析してみました。すなわち、3.5km以内の直爆あるいは4日以内の入市といったところを念頭において、どういう状況になっているかというものをお示ししたものです。こちらのグラフで見ていただくと、右へ折れ線グラフが下がっているのがわかるかと思いますけれども、一番左が直爆3.5km以内プラス4日以内の入市、直爆3.5km以内、4日以内入市、一番右がいずれにも該当しないものということで分類をさせていただきました。提訴件数としては直爆3.5km以内を満たすものが最も多くなっていまして、その後、4日以内の入市の件数が多くなっています。
 認容の割合といったところで見てみますと、右肩下がりになっていますので、右に行くほど棄却の割合が高くなってくるということになります。全く該当しない場合、こちらは合計でいうと31件ございますが、この場合の認容判決の割合というのが55%となっています。
 ただ、いずれにも該当しないもの、今、申し上げたとおり31件ということでございますけれども、注をごらんいただきたいと思いますが、31件の中には判決において積極認定範囲の被爆状況にあったという事実認定がされているものが8件含まれていまして、これを除くと23件、認容9、棄却14ということで、認容判決の割合が39%という状況でございます。
 16ページ、こちらは「疾病別判決状況」です。表の真ん中に線が引かれています。線を境に左側が積極的に認定する疾患に該当するものあるいは該当する可能性があるものを示しています。右側は該当しないものを置いております。下の※1で説明させていただきますが、下線を引いた疾患については、積極的に認定する疾患でございます。がん、白血病、白内障、心筋梗塞、甲状腺機能低下症、それから、大変恐縮ですが、肝硬変・肝炎・肝障害も下線を引いていただければと思います。そこまでが積極的に認定する疾病になります。
 ※2、★の疾病については、積極的認定疾患に該当する可能性のあるものが含まれています。例えば腫瘍といっても、悪性の腫瘍もあれば良性の腫瘍もありますので、悪性の腫瘍になってくるとがんの方に入ってくるといったことでございます。そういうことで、該当する可能性があるものをここで★でつけております。
 ※3で書いておりますが、新しい審査の方針では、がん、白血病、副甲状腺機能亢進症以外に放射線白内障、放射性起因性が認められる心筋梗塞、放射性起因性が認められる甲状腺機能低下症、放射性起因性が認められる慢性肝炎、肝硬変ということになっていまして、こちらが積極的な認定疾患とされています。ただ、ここの表の分類の中では、単に白内障、心筋梗塞といった疾病のみで整理をさせていただいております。
 表の見方が長くなって恐縮ですが、左側が積極的に認定する疾病に該当するものあるいは該当する可能性があるもので、右側がそれ以外のものです。
 左側の件数、全体で201件で、その中で認容判決が180件、認容割合が89%と高くなっています。その中でも件数としてはがんが最も多くなっているという状況です。右側、積極的認定対象疾病以外では、変形性疾患、高血圧、脳血管疾患といったものの認容割合が高くなっている。また、相対的な比較になりますけれども、糖尿病、高脂血症の認容割合については低いという結果になっています。
 17ページ、こちらは「疾病種別ごとの被爆距離と司法判断の現状」でございます。左側にがん・白血病、右側は腫瘍・血液疾患などを除いた疾病を示しています。こちらは、直爆の事案のみですが、距離に応じてどういう状況になっているかというものを示したものです。左側のがん・白血病は3.5km以遠からの申請も比較的多くなっています。一方で右側は3.5km以遠の提訴というのは比較的少なくなっているという状況です。3.5kmを超えると認容割合が低くなっているということでございます。件数が少ない中で確定的なことはなかなか言えないわけですが、どちらかというとがん・白血病の方が右側のそれ以外の疾患と比較して若干認容される傾向が高いといったことが言えると思います。
 18ページ、こちらは「疾病種別ごとの入市日と司法判断の現状」を示したものでして、こちらも件数が限られている中で確定的なことはなかなか申し上げにくいですけれども、入市のみの提訴については、がん・白血病でいうと8日目まで分類しています。それ以外の疾患については5日目まで、比較的早目の入市のものが多くなっています。がん・白血病は4日目まではすべて認容されている、5日以降の入市でいうと、認容率がやや低下するといった傾向がございます。
 最後の19ページ、こちらは「積極的に認定する被爆状況及び疾病別の判決状況」でございます。左側には積極的に認定する被爆状況、すなわち3.5kmとか4日以内入市といったものの範囲内にあるものを挙げていまして、それを疾病別に並べています。右側は範囲外のものを示していまして、それを疾病別に並べています。左側の範囲内の申請、全体で262件、その中で認容判決が242件、認容割合が92%となっていまして、認容割合が高くなっています。右側の範囲外の申請ですが、その中の大半はがんが申請疾病となっています。もともと範囲外の件数が37件でして、認容判決の件数22件となっていまして、相対的には低くなっているという状況でございます。認容割合についても59%ということで、こちらも相対的には低くなっているといった状況でございます。
 限られたデータの中でございますけれども、事務局で分析をしたものを御紹介させていただきました。
 以上でございます。
○神野座長代理 ありがとうございました。
 司法判断の状況について、資料2に基づいて丁寧に御説明をいただきました。
 それでは、どのテーマからでも結構でございますので、ただいま御説明いただいた論点につきまして、御議論ちょうだいできればと思います。いかがでございましょうか。
 高橋委員、どうぞ。
○高橋進委員 事務局に言葉の質問させていただきます。12ページの右側、「判決の相互間でも矛盾する判断が示されているものも見られる」、この「矛盾」ということですが、下に1、2の例として、例えば距離でみると片や5km、片や4kmで違う判断が見られると、ここを矛盾とおっしゃっているということでよろしいわけですね。
要するに、本当に同じような条件で勝ったり負けたりしているということではなくて、あくまでも個別事情を判断すると違う結果が出ているということでよろしいんですね。そうだとすると、矛盾という言葉の使い方はそれで正しいのかなという気もするんですけれども、いかがでしょうか。
○和田原子爆弾被爆者援護対策室長 おっしゃるとおり、司法の判断というのはまさに個別の判断でございますので、それは全く同じ状況の原告の方がいらっしゃるわけではありません。その方々の状況というのは、疾病にしろ爆心地からの距離にしろ、またその方の持っている既往歴なり、そういったもろもろのものが、すべてその方の個別の状況に応じてということですので、裁判所でもまさにそういったものを踏まえて御判断いただいていると思います。
 そういう意味でいうと、「矛盾」という言葉がいいのかどうかというのはありますけれども、まず個別の事情に基づいて救済されている。ただ、その中でも当然集団訴訟全体を見てみても、様々な結果が出ている。原告が勝っているもの、国が勝っているもの、様々なものが示されているというのが1点です。
 それから、前回も個別の判決を提示させていただく中で説明させていただきましたけれども、例えば同じような疾病、同じような爆心地からの距離といったところで見ていった場合に、これは一つの切り口にすぎないわけですが、同じような疾病でも、ある判決では国が勝っている、ある判決では原告が勝っているといったことで、様々な判決が示されている。そういう中では、例えば爆心地からかなり遠いところでも原告の方が勝訴されているものもあれば、近いところでも国が勝っているものもある。そういう中で、様々なものが生じているということは言えると思います。
 そうしたことを「矛盾」という言い方で表現するかどうかはありますが、そういった様々なものが判決の中では出ており、その中でなかなか一定の基準なり線引きというのができるものではないというところをこの資料の中で表したかったということでございます。
○神野座長代理 高橋委員、よろしいですか。背後に何かおっしゃりたい御意見とかが隠されているのであれば、お願いします。
○高橋進委員 まだ、そこまでの確信というものでもないんですけれども、私は「矛盾」という言葉は強過ぎるのかなと。そうだとすると、同じような条件で答えが違っているようなケースというのが矛盾ということであれば、そういう例をむしろ示していただきたい、もし追加で質問させていただければそういうことかなと。ただ、そこはあくまでも単純な疑問でして、それ以上申し上げたいことがあるわけではございません。
○神野座長代理 例として、難しいかもしれませんが高橋委員がおっしゃったような例はございますか。
○和田原子爆弾被爆者援護対策室長 例えは難しいですが、これまで事務局の方で示した資料の中では、前回の資料の中でも1枚紙で左側に国勝訴、国敗訴ということで類似の疾病あるいは類似の距離をお示ししたものを用意させていただいて御説明させていただきました。勿論、これも個々にそれぞれの個別の事情を勘案して判決が出されているわけですので、単純な比較というのはなかなか難しいと思いますが、そういう中で、少なくとも疾病なりある程度爆心地からの距離が類似のところで見た場合に、あるところではこういった判決が出されて、あるところではこういった判決が出されているという説明を前回もさせていただきましたし、今日はそういう形では用意しておりませんが、必要があればまた御説明させていただきたいと思います。
○神野座長代理 どうぞ。
○松岡総務課長 資料でお示ししますと、お手元のファイル、第5回の資料3「原爆症認定に係る司法判断の状況について」の7ページ、これは非常に単純化したものですので今回はおつけしておりませんけれども、同じような疾病で違った判断がなされているといったもので挙げているものでございます。勿論、この背後にある個々の事情が違いますので、これだけ見て裁判所が判断されているわけではありませんが、これが事例というものでございます。
○神野座長代理 ありがとうございます。
 そのほかに御意見は。石委員、どうぞ。
○石委員 別件なんですが、確認書ができた後に基金をつくりましたね。これは何のためにつくったのかもう一つわかりにくいということと、現在、この3億円投じた基金は一体どういう形で何をしているのか知りたいんです。
 よく議員立法等で問題が噴出しますと、この種のものをつくって事を収めたいということをしますが、原告の方々から見てこういう処理をするのはウェルカムなんですか。あるいは、これでもう終わりにしようねというんだったその後の話はなくなってしまいますね。そういう類の趣旨なのか、どうももう一つ釈然としない基金づくりで、これは一体何をしているのかなというのが1つの疑問なんです。
○神野座長代理 これも事務局に御説明いただいていいですか。
○和田原子爆弾被爆者援護対策室長 これは、集団訴訟が平成15年から提起されてきまして、その後、判決が18年から下級審判決が出てきたわけですけれども、平成21年の確認書が結ばれたときの状況になるわけですが、そうした下級審判決、地裁、高裁でも原告の訴えを認める判決が相次いだ中で、我々もそうですし政治的にもそうですし、集団訴訟で訴えていらっしゃる原告の方からしても、この訴訟を早期に終結させなくてはいけないということがありました。
 当然、先ほど御説明しました5ページにもありましたけれども、法律の趣旨のところにも書いてあるわけですが、訴訟が長期化してきた、それから原告の方も大変高齢化されている中で、できるだけ速やかにこの訴訟を終結へと向かわせる必要があるだろう、そういう中で当時話合いがなされまして、最終的には当時の総理と被爆者団体の代表との間で確認書が結ばれ、それが基金の法律というところへとつながったということでございます。
 基金ですけれども、こちらは3億円の基金ということですが、国の方から法人に3億円を予算化して補助金を配りまして、基金の方で3億円を積み立てていただきました。3億円については、306名原告の方がいらっしゃいます。この方皆様に一時金という形で配分されることになっております。したがって、この基金というのは運用型の基金ということではなくて、3億円を積みまして、それを306名の集団訴訟原告の方々に対して皆さんに一時金ということで分配をしていくということで使われているものでございます。
○石委員 それは、訴訟を終わりにしてしまうという趣旨なんですか。
○和田原子爆弾被爆者援護対策室長 まさにおっしゃるとおりで、この集団訴訟について非常に長期化してきたということ、これ以上長引かせるべきではないということでございまして、そういう中で集団訴訟終結に向けてこの確認書を結び、皆さんに基金の中から一時金が配られるという仕組みにしたということでございます。
○神野座長代理 坪井委員、どうぞ。
○坪井委員 いろいろなデータが出まして、いい勉強になっておりまして、私は本当に喜んでおるんですが、私から見るとデータが少ないんです。これだけのデータでこういうことが言えるか、標準偏差を出したらどうなるか、そういうことを考えますと、私はいきなりパーセントがばーと出るというのは無理ではないかと思っています。
 ただ、いろいろな行政の認定の方が個人的な総合判断をしているということがよくわかりますので、この表からすれば、認定された人の方が多くなっているわけです。しかし、このデータは申請をしたり裁判をかけたりしただけの問題でしょう。そのほか申請したいができない者もおるわけです。そういうものを全部集めることは大変ですよ。大変ですけれども、私は、データ的には手かがりにはなるがこれをもってどうのこうの言うのは問題があると思います。
 しかし、そういうことを、これからたくさんのものが出るまで待つわけにはいきませんので、いわゆる総合判断の中に最高裁が言ったところのものをぐんと入れて、それは政治的になるかもしれませんが、被爆者を救うための方向へ総合判断を持っていってもらいたいという気持ちがあるんです。
外国でこういう調査があったのかどうかということも問題ありますが、今のように、私はそういう総合判断において被爆者に有利に働いてもらいたい。今後もなおのこと。これでも相当やってもらっておると思います。しかし、まだまだ被爆者の重みはあると思うんです。
 以上です。
○神野座長代理 田中委員の御質問は、先ほどの石委員の御質問に関連したことでしょうか。
○田中委員 石先生の御質問なんですけれども、3億円の問題は、この検討会での課題ではないんです。ですから、先生が心配されることもないと思います。もう終わったことなんです。ですが、中の認定制度というものの行政と司法との矛盾は全く解決されていないので、そこのところをどう解決するかという議論をしなければ、新しい制度づくりができないということなんです。ですから、3億円はもう済んだことなんです。
○石委員 私はそういうことを聞いているんではなくて、要するに政策当局なり政治家は、何かつかみ金といったら失礼ですけれども、こういう種のことでしょっちゅう手を打つんです。今回もそれに類したことなのか、それとも事柄の性格として当然筋のいい話なのか、そういう形で関係者の方がどう考えられていて、政府当局もどう考えているかということで、終わったとか終らないということではなくて、これは一種のお詫び金みたいな性格もないことはないですね。そういう形でこの話がどんどん積み上がっていくこと自体、この問題がおかしくなるんではないかという趣旨で聞いたんです。
○田中委員 そういうことはないと思うんです。これは集団訴訟に限ってこれで終結しようという私たちと政府・与党とのことですので、原爆症認定制度そのものとは離れたところです。それをめぐっての裁判でありましたけれども、つかみ金とおっしゃるかどうかはあれですが、集団訴訟だけを終結させようというためのお金だった。
 もう一つ、高橋先生の御質問に厚労省はちゃんと答えていないんです。行政と司法の違いというのは、司法から、今までのやり方は間違っていたんではないかということで、却下したものを全部認定していったわけです。そのどこがおかしかったのか、自分たちが却下したどこがおかしかったのかということの中身をおっしゃることがこの会議の問題になるんです。裁判所でお互い少し違うのがあるというのは乖離の問題と全く関係のない話で、それはきちんと厚労省が説明されなければ、恐らくここにいらっしゃる委員の先生方は、大変失礼ですけれども、何をやっているかというのがおわかりにならないかと思うんです。それがはっきりしなければ、次、新しい制度をつくるのにどう頭を使っていくかということが出てこないと思うんです。是非、厚労省はこういうふうに考えてきていたんだ、そこを司法から違うと指摘されたんだということをきちんと説明していただきたいと私は思っております。
○神野座長代理 坪井委員の、このデータはもともと司法判断の分析ですので限界があるのではないかということと、今、御指摘のありました点などについて、何かコメントすることがあったら事務局からお願いできますか。
○和田原子爆弾被爆者援護対策室長 若干総論的なコメントになるかと思いますけれども、私からコメントさせていただきます。
私の説明でも申し上げましたが、この裁判の状況の分析というのは、母数は306名の方の中の分析でございます。そういう中での分析ですので、勿論限界はございます。そういう中で一定の限界はあろうかと思いますけれども、これまでの議論の中で、裁判の全体の状況はどうなっているのかといったところをもう少し仔細に分析してみる必要があるだろうといった議論もございましたので、事務局として可能な限り分析をしてみてお示しをさせていただいたところでございます。
 前回も申し上げましたが、行政認定と司法判断との乖離の問題は、評価ということでいうとなかなか難しいところがあると思います。ただ、行政の立場で申し上げると、既に御説明しておりますけれども、平成20年の4月から医療分科会で新しい審査の方針ということで審査を行っていただいております。そこでは、原爆症認定に関しては被爆者を救済するという立場に立って、相当緩和された基準の下で認定審査を行っている。そういう中で、現在でいうと8,000人以上の被爆者の方が原爆症の認定を受けているといった状況でございます。
 ただ、一方で今回の話になるわけですが、裁判では行政で却下された方について訴えを認める判決が示されている、まさにそこの問題をどう考えるかというところだと思います。前回も申し上げましたけれども、この乖離の問題というのはいろんな評価があると思いますし、それについて行政の立場から申し上げるのはなかなか難しいところもあるかと思います。しかし、事務局としては、これまでこの検討会の中で議論していただいておりますし、今後とも建設的な議論をしていただけますよう、我々としてこれまでの経緯なりありのままの現状なり、そういったデータをきちんとお示しして御説明させていただきたいと思っております。
 以上です。
○松岡総務課長 補足して御説明させていただきますと、司法の判断は少ないという御意見もありますが、幾つか多数出ている中で、それぞれ相互に違ったような判断がなされているという感じがいたしますけれども、1つ審査の方針というのがありますので、直爆の方ですと3.5km、入市の方ですと2kmで100時間といった審査の方針、行政の認定というのがありますので、これと照らし合わせてみて裁判所の判断はどうだろうかといったことで資料を13ページ以下に示させていただきました。
 これをどう見るかというのはいろいろあろうかと思いますが、1つはある程度3.5kmとか100時間といったものを意識した判決になっているのかなという感じがいたします。ただ、疾病についてはいろいろ多種多様な疾病が認容されているといった例が見られるといったのが傾向としてあろうかと思います。その中で、がんなどはかなり多いということはございますが、疾病については多種多様なものが認容されているというのがあろうかと思います。
 それから、先ほど申しました3.5kmとか100時間とかといった1つのラインがありますけれども、そういうのを基準としてもそこからはみ出たものがあります。そこについては認容の率というのが低くなっておりますが、それでもなお認容されているものがございますので、そういったものはどう見るのか、更に分析が必要なのかどうかといったものがあるのかなと事務局としては考えたところでございます。これらについて、御意見いただければと思っております。
○神野座長代理 高橋委員、どうぞ。
○高橋滋委員 いろんな薬害訴訟とか判決を勉強させていただいている身とすると、司法でこれだけ多くの判断が出たというのは非常に重いことだと思います。当事者が攻撃・防御を尽くして、裁判所がきちんと責任を持った判断を出されたということで、これだけの判例が積み重なったというのは、日本の裁判史上としてはかなりの件数だということは否定できないだろうと思います。
 ただ、1審がほとんどですから、控訴審の判断が出なくて終結したものが非常に多いですので、裁判の性格上、裁判官の合議体の独立がございますので、理由とか個別の判断についてばらつきが出るのはやむを得ない。もともとそれを統一するのが控訴審の役割なんですが、今回は控訴審なく終わっているわけですから、制度上は表面的に、実際上も違う判断が出るのはやむを得ないことだと私は思っています。
 ただ、そこでもある種の傾向があるわけで、今、的確におっしゃった話で、基準としてはそれなりの影響を持っているわけですけれども、実際基準に外れたところでも認容例があるわけで、そこのところをもう少し、個別事情で何を裁判所は見たのかということはきっちり分析してみる必要はあるんではないかと思っています。ですから、前回も申し上げましたように、入市後水をたくさん飲まれたという話とか、いろんな個別事情がおありになるわけです。そういうところで一体個別事情をどう判断されているのかというところを、もう少し分析してみて判断するというのがあり得るし、それは十分1つの新しい指針の参考になるのではないかと私自身は思っています。
○神野座長代理 ありがとうございました。
 山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 仮に3.5km以内、100時間以内という人たちすべて申請したとして、どれくらいの数になるんでしょうか。今、被爆者手帳お持ちの人の中でそういったデータはあるんでしょうか。
○神野座長代理 そのデータはありますか。つまり、3.5km、100時間等の条件に該当する方。
○和田原子爆弾被爆者援護対策室長 被爆者全体でこれだけというのは、すぐに出てくるかどうか確認してみる必要があると思います。
当然、被爆者全体の中でも原爆症の認定申請をされてこられる方というのは、その中でいうと割合は少ないわけですし、その中でも認定される方、却下される方がいらっしゃるわけですので、そこは被爆者全体がそういう対象になるというわけでは勿論ないと思いますけれども、全体を通じて距離ごとにあるいは日数ごとにというデータはまとめているわけではございませんので、確認をさせていただきたいと思いますが、全体をすべて網羅したというデータではなくて、限定的に、原爆症認定を申請されている方の中でどういうものになっているのか、そういったものは出せるかと思います。整理したいと思います。
○神野座長代理 よろしいですか。
○山崎委員 申請する際には、そういったものはすべて調べるわけですね。
○和田原子爆弾被爆者援護対策室長 勿論、原爆症認定を申請されている方については当然。
○山崎委員 被爆者手帳の交付申請をする場合にはどこでどういう状況で被爆したかということを。
○和田原子爆弾被爆者援護対策室長 そうです。当然、被爆者の手帳の申請に当たっても入市の状況あるいは何kmのところで被爆されたかというものがありますので、確認はできるかと思いますが、少しお時間をいただきたいと思います。
○神野座長代理 高橋委員、どうぞ。
○高橋進委員 私は司法については専門家ではないので、初歩的な質問を高橋委員に質問させていただきたいんですけれども、先ほどのお話の中で、過去の判決が積み重なってきて司法もある意味では傾向が出てきたといいますか、似たような条件であれば似たような判決になってくる。過去から積み重なってきて今、そういう状況に至っているということでよろしいんですね。司法にはしきい値があるわけではないんですね。
○高橋滋委員 多分それは横目で見ているわけですが、合議体の独立ですので、かつ1審相互の関係ですから、別に拘束されるわけではないです。それは積み重なってきたという話ではないんだと思います。個々の判断がたくさん事例として存在するようになってきたということです。
○高橋進委員 それは一応似たような判断になってきている、収れんしてきているというのですか。
○高橋滋委員 そこは、今の傾向の中で一定の認容と却下の割合で多少の区切りがついているところがある。ただ、それは当然傾向ですから、それにはまらないものについてはある種整理をしなくてはいかぬというところで、もう少し踏み込んだ分析が必要ではないですかということを申し上げたんです。
○高橋進委員 もしそこである程度収れんが見られるということであれば、一方で行政側もそれぞれ個別の判断を加えながら結論を出しているわけですから、私は司法と行政の違いのところ、似たようなケースでどう違うかというところを詰めていくと1つの答えが出る可能性はある気がするんですが、そういうアプローチをしてもいいのかということ自体がそもそもわからないんです。そこは司法、行政という話なのかもしれないですけれども。
○高橋滋委員 とにかく司法のところをきちんとまず分析していただいて、それを行政と突き合わせてみるというところになるんだろうと思います。
○神野座長代理 次に回しますので、いいですか。
○荒井委員 行政と司法の乖離という問題について、先ほどの高橋先生の話なんかを伺っておりますと、今日あるいは前回御説明のあったそれぞれの司法判断の状況というのは、個別審査というところが主眼だろうと思うんです。1つ言えることは、援護法にいうところの原子爆弾の傷害作用というものを、従来放射線の起因性というものと要医療性という2つの要件が必須の要件だという理解できておりました。そのうちの起因性について、行政の判断と裁判所の判断に緩やかさといいますか、そこに違いがあるということが幾つかの例の中から見出せるということは言わなくてはならないだろうと思うんです。
 ただ、最高裁が松谷判決で指摘した「高度の蓋然性」というのは、一般論としての証明の程度を、普通の民事訴訟と同じような証明度が必要なんですよということを確認的に言っただけでありまして、裁判を多少経験した人間として見ますと、原爆症認定に関しての1審、2審の判決で起因性ありというところで緩やかな判断しておりますのは、「高度の蓋然性」という最高裁が定立している一般原則から言えば、かなり外れているというと言い過ぎかもしれませんが、かなり難しい判断、ややどうかなという問題点は含んでいると私は思うんです。
 ただ、それがいろんな事情で控訴審まで行かなかったあるいは最高裁まで行かなかった。最高裁判所は御承知のように、事実認定に関しては原則として立ち入らない、一般原則を定立するのが最高裁の役割ですから。そういう意味で、起因性を個々のケースについて行政が認定したものを1審で仮に否定をしたからといって、その判断が最高裁で最後までそのまま認定されたかというと、そういう意味合いではないと思うんです。ですから、そこの司法判断の重みというものは最高裁まで行って確認されたというものとは多少違うんだというところは一般論として踏まえておかなくてはならないんではないか。
 旧審査の方針の下で却下されたものが集団訴訟に上がっていって、その中で新しい審査の方針が出まして、更に厚生労働省としては新しい審査の方針の下でなら認定できるものは、旧審査の方針で申請されたものについても事実上新しい審査の方針の基準に従って、自律的に認めていったわけです。その新しい審査の方針でもやはり認定できないという厚労省あるいは分科会の判断になって却下されたものが、更に司法の中でそれでもだめですよという判断をされた例が幾つかある。そういう経過を考えましたら、ギャップをどう調整していくか、時間的な問題もありますから、なるべく早く解決に結びつけていこうとするときに、司法判断に100%合わせるというのは私はいろんな意味で難しいんだろうと思うんです。それは、ここに出ている司法判断の中にも必ずしも一般的なルールとして定立し難いものがあるではないかという問題もありますから、司法判断のとおり100%合わせていくというのは必ずしも原爆症認定制度の新しい在り方ではないだろう。
 しかし、一方で起因性についてやはり問題が司法の方で指摘されているということも事実です。端的に言えば、私、少し先走るかもしれませんけれども、前回、前々回の参考人の御意見なんかの中に、放射線起因性というのは原爆手帳を持っているということで十分満たされるんではないかという御趣旨の御意見がありましたが、そこまでいけるかどうかがまさにここでの議論の焦点ではないでしょうか。新しい審査の方針でもなおかつ足りないものがどこにあるのだろうか。それをどこまで見直していけるかというところがポイントではないかという気がいたします。
 長くなりました。
○神野座長代理 ありがとうございました。
 田中委員、どうぞ。
○田中委員 今の荒井先生のお言葉、少しびっくりしたんです。今まで司法の立場にいらした先生が、20回ぐらいの裁判で原告側が勝っていますね、それだけの量を重ねているものでも、個別の問題だからそれに依拠するというのはいかがなものかという御発言があったのは非常に意外に思うんです。多くの裁判所がそういう判断をしてきたわけです。それから、政府が控訴したものについても認定をしたというケースがあるわけです。
私の印象ですけれども、今まで裁判に関わられた裁判官の皆さん方は最高裁の判例を背負っておられたんではないかと思うんです。そういう意味では、最高裁の判断から逸脱しているような先生の発言がありましたが、それはむしろ逆で、裁判官は最高裁の「高度の蓋然性」というのを自分はこう判断するんだというのを示されたんだと思っております。それがほとんどの裁判官だったということだと思っているので、後でまた先生からお伺いいたします。
 高橋先生の先ほどのお話で、私は法律の専門ではありませんので、この前の厚労省の説明を受けまして、前もって先生方にお渡しいたしましたけれども、弁護士の宮原さんが意見を出しています。その5ページのところに、たくさんの判決が積み重なっていけば、それが1つの一般的法規という感じになっていくということが司法上はあるということを言っていらっしゃるんです。このことをこちらの高橋先生は御質問なさったんではないかと思っておりますので、御検討いただければと思います。
 以上です。
○神野座長代理 荒井委員、何かございましたら、どうぞ。
○荒井委員 お答えになるかどうかですけれども、司法判断というのは個別判断だ、こういう性格のものだと。しかし、その集積が相当積み重なってきている。それがどういう点かといえば、放射性起因性の問題について行政判断よりは司法判断の方が緩やかな判断を示しているというのは事実だろうと思うんです。それでは、片や行政の方が全く司法判断に関知せずに、独自の判断をやってきたかというと、そうではないのではないか。新しい審査の方針で既に司法判断の流れをくみ上げて広げたわけです。ですから、行政側が司法判断を全く無視して独自の厳しい判断を続けてきているという見方は当たらないんではないか。最後に残るのは、集団訴訟の中でも新しい審査の方針に従って見直すべきところは見直して、なおかつそれは無理ですよといったものが司法では否定されたというのが幾つかの例が残ってきている。それをどう対応するかというのがここでの問題ではないかというのが私の認識です。
 ですから、司法の判断ではあるんですが、繰り返しになりますけれども、最高裁まで行って確定したものとは違うというところを考慮すれば、そのとおり1点の食い違いもなく、司法判断どおりに受け止めるというやり方というのは検討しなければいかぬではないだろうかという意見でございます。
○神野座長代理 よろしいでしょうか。
それでは、あるべき議論については議論する機会がございますので、このテーマについてはとりあえずここら辺で打ち切らせていただいて、次の議題でございますが、「各種手当の状況等について」事務局から資料に基づいて御説明いただければと思います。
○和田原子爆弾被爆者援護対策室長 お手元の資料3でございます。「各種手当の支給等の状況について」を説明させていただきます。
 これまで、検討会におきまして被爆者援護施策の概要であるとか、主な手当の趣旨、変遷といったことについて説明をさせていただきました。本日は、これまでの補足も含めまして、保健・医療・福祉にわたる政策全般について資料をまとめさせていただきしたので説明させていただきたいと思います。
 特に、手当の部分につきましてはこれまでの経緯がある中で現在の姿になっているわけですけれども、改めて支給要件、手続などを少しお時間いただいて説明をさせていただきたいと存じます。
 3ページは、「原子爆弾被爆者に対する援護の仕組み」ということでございます。被爆者援護施策につきましては、放射能による健康被害という他の戦争犠牲者に見られない「特別の犠牲」に着目して、総合的な保健・医療・福祉施策を講じているものでございます。現在、被爆者健康手帳をお持ちの方が21万9,000人いらっしゃいます。この方につきましては、一番下に「援護措置」ということで、医療の給付すなわち医療費の無料化、各手当の支給、これは手当ごとに要件がございますので、要件に該当する方に対して支給されます。最も支給が多く受けられているのは健康管理手当、月額3万3,670円でございます。それから、健康診断の実施、福祉事業の実施といった援護施策が行われている。これが援護施策の全体の仕組みでございます。
 4ページ一番下、今、申し上げましたとおり施策のベースとなるところが被爆者健康手帳をお持ちになっている方、こちらが約21万9,000人となっています。この中で真ん中の健康管理手当を受けている方が約18万7,000人、更に原爆症認定を受けて医療特別手当を受けている方が23年3月現在で約7,200人ということでございます。
 そういう構造を念頭に置いていただいた上で、5ページは「被爆者健康手帳の交付手続」を示したものです。被爆者健康手帳の交付を受けようとする方につきましては、居住地の都道府県知事、広島市長、長崎市長に申請を行います。申請を受けまして、手帳の交付要件1~4の中のいずれかに該当するか否かということで審査を行った上で手帳を申請者の方に交付する、あるいは要件を満たさない方については却下するという手続がとられるということになります。
 6ページ、「健康管理手当について」示したものです。健康管理手当は既に何度か御説明いたしておりますが、被爆者の方で一定の疾病、造血機能障害、肝臓機能障害等、原爆の放射能の影響を疑わしめる障害を伴う疾病にかかっている方に対して、健康管理手当を支給しております。支給額が月額3万3,670円でして、被爆者で一定の疾病(放射能の影響によるものでないことが明らかであるものを除く)となっていますけれども、こちらにかかっている方が対象になります。
 具体的には、ここでいう1~11までの11の障害を伴う疾病にかかっているということが要件になっています。支給期間につきましては、疾病によりまして3年から無期限としておりまして、手続としましては、居住地の都道府県知事、広島市長、長崎市長に申請をしていただきまして、審査の上手当を支給するとしております。受給者の方は18万7,474人ということでございます。
 7ページは、先ほど健康管理手当は11の障害ということを申し上げましたが、障害別の支給状況、こちらは広島、長崎の両県市分のデータを基に集計したものです。多いものから申し上げると「10運動器機能障害」、「6循環器機能障害」、「8水晶体混濁による視機能障害」、「4内分泌性機能障害」となっています。
 8ページ、こちらが医療特別手当について示したものです。医療特別手当につきましては、原爆症認定を受けた方で、認定にかかる負傷、疾病の状態にある方に対して医療特別手当を支給するというものです。支給額が月額13万6,890円ということで、原爆症の認定を受けた方に対して支給されます。支給期間につきましては、医療が必要な状態にある間となっていますが、手当の受給者につきましては3年を経過するごとに健康状況届に医師の診断書を添えて都道府県市に提出するということになっています。都道府県市において支給要件すなわち疾病の状態にあるか否かについて審査を行っております。
 受給者数は平成22年度末で7,197人です。少し補足いたしますと、こちらは原爆症認定を受けている方ということですので、平成19年度までは人数で申し上げますと約2,000人程度でございました。もともと原爆症と認定された方については重篤な方が多いと考えられるわけですけれども、平成20年4月以降新しい審査の方針によりまして、より多くの被爆者の方、様々な疾病の方が認定されるようになったという中で、受給者数は近年急増しているという状況でございます。
 「支給等に係る実務上の流れ」とありますが、原爆症認定は国が行っておりますけれども、医療特別手当の支給は都道府県市となっています。したがいまして、国において認定した際には、国から都道府県市に通知をいたしまして、都道府県市から手当が支給される、そういった手続をとっております。
 また、一番下の※のなお書きですが、医療特別手当を受けていた方が認定疾病にかかる医療が必要な状態でなくなった場合につきましては、特別手当ということで月額5万550円が支給されます。
 9ページは、「医療特別手当と健康管理手当の額の根拠と変遷」でございます。こちらにつきましては、少し変遷が書かれていますので説明を簡単にさせていただきますが、現在の医療特別手当ができ上がったのが昭和56年です。これは、もともと旧医療手当と旧特別手当というものがございまして、それを合わせて昭和56年に創設されたものです。
健康管理手当は、下の方でございまして、昭和43年に創設されたものです。これは医療特別手当同様に毎年額の引き上げが行われてきているというものでございます。平成元年以降につきましては、物価スライド方式ということで改定が行われているということで、23年度はこのような額になっているというものでございます。
 10ページ、11ページは、手当の趣旨、設定の考え方を示したものでございます。医療特別手当につきましては、手当の趣旨のところをごらんいただきたいと思いますが、「入通院費雑費のほか原爆症に罹っているために余儀なくされている栄養補給等の特別の出費を補うとともに、精神を慰安し、医療効果の向上を図ることにより、生活の安定に資する」といった手当の趣旨となっております。右側の手当の当初の考え方ですけれども、もともと健康管理手当がベースにありまして、健康管理手当の4倍プラス2,000円ということで当初設定されたものになります。現在は物価スライド方式ということで毎年改定をしております。
 また、特別手当は月額5万550円ですが、先ほど申し上げましたとおり原爆症と認定された方が医療特別手当を受けていたわけですけれども、その方が疾病が治癒した場合に支給されるというものです。こちらの手当の趣旨としましては、「原爆症の再発防止のため保健上特に配慮することにより、生活の安定に資する」ということで設定されているものです。
 健康管理手当、月額3万3,670円ですが、こちらの手当の趣旨につきましては、「放射線との関連性を完全に否定しきれない疾病に罹っているため日常十分に健康上の注意を行う必要があり、そのために必要な出費に充てる」ということで、もともとの手当設定の考え方としては、老齢福祉年金をベースに行っています。これも現在は物価スライド方式でございます。
 一番下、保健手当がございます。これは2km以内で被爆した方と当時その方の胎児であった方が対象になります。その中でも、身体障害者手帳1級から3級程度の身体障害、ケロイドのある被爆者、独居老人被爆者の方につきましては、通常が1万6,880円ですけれども、その方につきましては3万3,670円ということで、趣旨としては「放射線被曝の程度が大きく、日常生活において、健康増進に配慮する必要があり、そのために必要な出費に充てる」ということでございます。額については右側で、これも健康管理手当をベースに掛ける0.5あるいは同額といった設定がされています。
 11ページは、「現行の手当等の趣旨及び設定の考え方(その2)」で、そのほかに介護手当、家族介護手当、葬祭料といったものもございます。介護手当につきましては、対象者のところを見ていただきたいと思いますが、「精神上又は身体上の障害のために費用を支出して身の回りの世話をする人を雇った被爆者」ということで、実費を補てんするものになります。これは、人を雇ったというところで要した費用を補てんするというものです。
 家族介護手当につきましては、「重度障害のある被爆者で、費用を出さずに身の周りの世話を受けている者」が対象ということで、これも月額2万1,500円が支給されるということでございます。
 被爆者の方が亡くなられた場合に、葬祭料として20万1,000円が支給されるということになっています。
 12ページは、今、申し上げたのは手当ですが、医療の給付についてお示ししたものです。被爆者の医療費は2種類ございますけれども、いずれにいたしましても被爆者の医療費については窓口負担なしということで無料という仕組みとなっています。1は認定疾病医療費、こちらは原爆症が認定された被爆者の認定疾病を対象とするものです。認定疾病につき、医療費を全額国費で支給するというものです。2一般疾病医療は被爆者の疾病を対象とするということで、疾病につき保険の自己負担分を国費で支給するというものでございます。
 13ページは、健康診断について示したものです。これは被爆者の方に対する健康診断の仕組みということで、都道府県、広島市、長崎市が主体となって、定期健診でいうと年に2回、それ以外にも被爆者の方の希望する時期に健康診断を年2回実施していまして、そのうち1回はがん検診が受診可能となっているものでございます。
 14ページ、こちらは被爆者に対する福祉事業について示したものです。福祉事業につきましては1相談事業、こちらは都道府県、広島市、長崎市が実施していまして、被爆者の方の援護に関する相談に応じるというというものです。2養護事業・居宅生活支援事業としまして、原爆養護ホームの入所利用、原爆ホームにおける通所介護・短期入所の利用といったものがございます。これらにつきましては、施設の運営や事業に要する費用を公費で助成していまして、国の補助率としては10分の8~2分の1となっております。
 15ページ、こちらは介護保険サービスを利用した被爆者の方の一部負担に対する助成についてまとめたものです。被爆者が介護保険法に基づく福祉サービスを利用した場合、被爆者援護法の対象となる福祉事業、すなわち先ほど申し上げました養護事業・居宅生活支援事業と同類型の事業について、利用者負担分を助成しております。具体的には1養護老人ホームや介護保険福祉施設の入所利用、2通所介護・短期入所の利用、3ホームヘルプサービス、これは低所得者のみといったものなりますが、対象になっているというものです。
 16ページ、今、申し上げました介護費用をめぐる被爆者への支援の状況について全体像を示したものです。介護手当につきましては、身の回りの世話をする人を雇った場合に支給されるというものでございます。また、家族介護手当は家族に身の回りの世話を受けている場合に支給されるものでございます。
 介護手当の中で訪問介護、介護予防訪問介護、夜間対応型訪問介護といったものがございますが、その中では介護手当から介護保険のサービスを受けた場合に介護保険の自己負担分への充当がされております。
 また、介護保険等利用被爆者への助成というところで、介護サービスの利用につきましては、今、申し上げましたとおり施設への入所や通所介護・短期入所といったものに対して自己負担分に対する助成が行われております。
 一番下に、介護保険の中でも医療系サービスとありますけれども、これにつきましては、原爆医療費によりまして一部負担分を支給しているものでございます。
 17ページ、こちらは全体の給付体系を予算面で見るとどうなっているかということでここに示しております。左側の円グラフは全体となっていますが、全体で見ますと合計が1,478億円。そのうち医療費・健診費が423億円、諸手当・葬祭料が939億円、こちらで大半を占めているものでございます。右側のグラフですけれども、こちらは合計939億円で、諸手当・葬祭料の内訳を示したものです。手当の中でも、健康管理手当が698億円、医療特別手当が187億円ということで、こちらが大半を占めているという状況でございます。
 最後18ページ、こちらは原爆被爆者対策予算の推移について示したものです。折れ線グラフで書いていますが、昭和32年以降右肩上がりで増えてきまして、平成に入ってきたところでございます。被爆者援護法の成立した平成7年度以降で申しますと、毎年およそ1,500億円程度の予算を確保しているという状況でして、23年度予算で申し上げますと、1,478億円という状況でございます。
 以上で、駆け足でございますけれども、資料の説明とさせていただきます。
○神野座長代理 ありがとうございました。
 各種手当の支給状況などにつきまして、資料に基づいて御説明いただきました。御質問、御意見をちょうだいできればと思いますので、よろしくお願いいたします。いかがでございましょうか。
 高橋委員、どうぞ。
○高橋進委員 確認させていただきたいと思いますが、4ページ、健康管理手当と医療特別手当、この2つ差は原爆症の認定の有無ということでよろしいわけですね。原爆症の認定ですけれども、それは健康管理手当であっても放射線の影響はあるだろうと見ているわけです。そういう意味では、両者とも変わらないと思うんですが、違うんでしょうか。この2つの差、段階的な差ではなくて厳然と2つに分かれていることの意味を問いかけたいんです。というのは、疾病の種類によって分けているとかいう話ではないわけです。この2つを厳然と分けている最大の根拠は何なのかということをもう一度説明いただけませんでしょうか。
○神野座長代理 よろしいですか。
○和田原子爆弾被爆者援護対策室長 まず、10ページに手当の趣旨ということで挙げさせていただいておりますが、健康管理手当については放射線との関連性を完全に否定し切れない疾病にかかっているためというところで、そういう意味では、否定し切れない中で、ここではこの11障害の中の何らかの病気にかかっているということが認められれば支給されるという手当でございます。
 医療特別手当は、まさに原爆症認定の要件に関わってくるわけですけれども、放射線起因性と要医療性というところが法律上2つの要件となっていますので、したがって、放射線起因性ということですので、被爆者のかかっている疾病が放射線に起因している、放射線を原因としているといった点が法律の要件で、放射線との因果関係、放射線の起因性というところがきちんと証明されることが必要になってくる。そういう意味では、証明の程度あるいは放射線との因果関係という程度では、健康管理手当ということではなくてもっと高いレベルが求められているというものです。
 もともとは、原爆症と認定されている方について申し上げると、相当重篤な方、典型例ががんであったり白血病ということになると思いますけれども、重篤な方を認定していくというのがもともとの考え方にはあったと思います。ただ、そういう中で、先ほど平成19年度ぐらいまでは医療特別手当の支給者の方は2,000人程度と申し上げましたが、被爆者全体に関して割合でいうと大体1%ぐらいだったと思います。それぐらいの非常に限られた方が受けていたということでございますけれども、そこが新しい審査の方針の下で原爆症認定審査を行うことになって、徐々に認定について緩和されていった、広がっていった中で、様々な被爆者の方が医療特別手当を受けられるようになりましたし、疾病ということについても、裁判も含めまして様々な疾病を持っていらっしゃる方が認定されるようになってきたというのが経緯ということになると思います。
○神野座長代理 よろしいですか。
○高橋進委員 いま一つよくわからないんですけれども、4ページの健康管理手当のところで、「原爆放射線によるものでないことが明らかな場合を除き」と赤字で書いてあります。これは、医療特別手当の1で疾病が原爆放射線に起因すること、これが放射線起因性ということですが、そうするとこの健康管理手当のところは、疾病の種類が放射線に起因しているかどうかという判断なのか、それとも疾病の種類に関わらず放射線に起因していることの蓋然性が強いか弱いかで分かれているのか。
○和田原子爆弾被爆者援護対策室長 説明が不十分ですみません。
健康管理手当については11障害に伴う疾病を持っているか持っていないか、そこだけの判断ですので、疾病障害を持っていれば、それで手当が支給されます。
 原爆症認定の場合につきましては、申請されている被爆者の方が持っている申請疾病が放射線によるかどうか、原爆放射線に起因するというところが要件になってきますので、そこは個別に医療分科会で審査をして、国として認定するか却下するかということになります。
○松岡総務課長 資料4ページ、被爆者健康手帳を保持されている方が22万人ぐらいらっしゃって、その中でここに掲げている11の疾病にかかっておられる方であれば手当をもらえるということです。例えば放射線によるものが明らかでないということになると、けがをしたとかそういったものは入りませんけれども、かなり広い対象にはなっています。
 ただ、それは特に国で認定をしたりということはありませんで、その手帳を持っている方がこういうものに当たれば手当を出すということです。医療特別手当ですと更に放射線起因性と要医療性というのがはっきり対応しているということを医学的に見て認定をした上で、疾病を判定するという形ですので、そこはかなり段差があるというのが実情でございます。
○山崎委員 今の話、だれもが疑問に思うんですが、健康管理手当は被爆者手帳を持っておられる方の85%が受けておられるわけで、私も広島の出身でありますからよくわかりますけれども、年をとれば大抵の人が受けているという感じでございます。現実の被爆者、胎内被曝も含めてすべて65歳以上になっております。
それに対して医療特別手当は23年3月末現在で、たしか3%程度でございます。若干最近増えているといっても4%にはまだなっていないかと思うんですが、放射線の影響度がはっきりある、「高度の蓋然性」があるというのが3%で、あとの85%の人は否定はできないというわけでございます。恐らく被爆者が置かれている状況からすると、両者の間につなぐものが相当あるはずだという感じでございます。それが「高度の蓋然性」があるかどうかはともかくとして、例えば8割の蓋然性がある、6割の蓋然性がある、4割の蓋然性がある、3割の蓋然性があるのではないかということは観念的に考えられるんです。
しかし、坪井委員がいつもおっしゃっているように、現実に坪井委員御自身がご高齢ですが、随分高齢に達しておられて待てない、何とか原爆症であることを認めてほしいという被爆者の方のお気持ちもよくわかります。そうすると、原爆症であるかどうかという認定をめぐって、不毛な争いをずっと続けているような気がいたしまして、1つは、被爆者手帳をお持ちの方がかかった病気は原爆症であると認定してしまえば、当事者の方はいいのかもわかりませんけれども、現実に被爆者であっても一般の人と全く変わらない生活をしておられる方も結構いらっしゃるわけでございまして、恐らく広島市民、長崎市民の間でも、そこまで一律に被爆者の方全員に13万6,890円の医療特別手当をお出しするということになると、ちょっと待てよということになるんではないか、第3者的に言いますとそのように思います。
 しかし、現実に何らかの生活支援の必要性がある方があって、それは恐らく3%ではないんだろうということもわかるわけでございまして、したがって、原爆症であると認定するかどうかは別にして、生活の安定に資するという趣旨が医療特別手当にありますが、私も介護保険の要介護認定のようなものがイメージできるんでないかと発言したことがありますけれども、何らかの生活支援の必要性を考えて、できたら多くの方が合意できるようなグレードをつけて手当に階段をつける。これは今までのこの委員会での発言でも、何人かの方がおっしゃいましたが、それが現実的な解決の仕方ではないかという感じがいたします。
 以上でございます。
○神野座長代理 田中委員、どうぞ。
○田中委員 山崎委員の御発言は、森先生のお話でいくとこれから新しい制度をつくっていくということが必要な段階に入ると思うんです。そのときに十分に議論しなくてはいけないことだと思いますし、そのときには私どもも今のままでいいとは思っておりませんし、今、二十何万、毎年1万ずつ減っていきますけれども、だからといってその人たちが全部医療特別手当をほしいといっているわけでもないわけですから、どうしたらいいかということについては、私どもも考えておりますし、ある段階では私どもはこう考えているというのを御提示したいと思っておりますが、まだ「知る段階」だとおっしゃいましたから、次に「考える段階」がありますので、「考える段階」は1回か2回でいいのかもしれませんけれども、そこでいろいろ御提案をさせていただければと思っております。
 もう一つ、私がどうしても御説明しておきたいのは、事務局の説明を聞いておりますと、これだけのいろんな手当がこの額最初から出ているような印象を皆さんが持っていらっしゃるんではないかというのが心配されるわけです。実は、これはそうではなくて、ある段階で健康管理手当というのも出てきましたし、健康管理手当というのが初めて設けられるときには、今は11疾病ですけれども、最初は5疾病について健康管理手当を出す。しかも年齢制限、所得制限、そういうのがいっぱいついておりまして、出されてきたんです。それを、変な話ですが、私どもはもっと困っている人たちがいるんだ、原爆症とは認定されないけれども、病気で苦しんでいる人たちがいるんだということでずっと、私どもの会ができてから55年になりますので、55年間に政府に要請をし、国会の先生方にも要請をして到達しているのが現在の手当だということを、是非お含みおきいただきたいと思っております。
○神野座長代理 石委員、どうぞ。
○石委員 「知る段階」でまだわからないことがあるんですけれども、ものの考え方として幾つか手当がありますが、この手当は被爆者の方が直接医療費に使うわけではないんですね。恐らく、医療費は全部国費で面倒見てもらえますね。手当ということはある種の栄養をつけたり。手当の趣旨がよくわからないんですけれども、この13万幾らあるいは3万幾らと、この種の手当の趣旨をまず聞きたいんです。
それと同時に、一般国民でもあるわけですから、仮に生活に困窮した場合に、この医療特別手当13万幾らもらっている方は生活保護は申請できるんですか。恐らく、介護保険にも当然入っているわけでしょうから、一般国民としての福祉に対するいろんな要求は、これはこれで当然別途権利があるわけですね。その場合に、被爆者としていろんな形でサービスを受けているわけですが、それとのバッティングか何かないんですか。丸々被爆者の受けておられる仕組みと、一般国民としての福祉を受ける権利とその辺は、ダブるという言い方はおかしいかもしれないけれども、双方便宜は受けられるわけですね。一番出している生活保護費とかその辺の話はどうなんですか。同時に、年金の辺りは全く絡む話ではないんですね。教えてください。
○神野座長代理 いいですか。全く独立していますが。
○和田原子爆弾被爆者援護対策室長 色々まとめてお話をいただいたので。
手当の趣旨につきましては、10ページにまとめたものがございますけれども、医療費とは別に、医療費は医療費で医療の無料化ということでしておりますので、例えば医療特別手当であれば入通院費、入通院に伴ってかかる経費、また栄養補給等の特別の出費、精神の慰安といったものも含めてもろもろございます。そういう中で、特に手当ができた当初ということで申し上げますと、手当を受けられている被爆者の方は、皆さん重篤な方が多いわけでして、なかなか稼得の手段というところでも限られているという中で、生活の安定に資するという部分、こちらが手当の趣旨の中では大きかったのではないかと思います。
 健康管理手当については、生活の安定ということよりもむしろ日常十分に健康上の注意を行う必要があるということで、こちらも例えば栄養補給であったり、生活に必要なもろもろのかかり増し費用を見ていく、そういう趣旨の中で手当が創設されてきたものでございます。
 一般の社会保障との関係でございますが、当然、被爆者の方につきましても年金は皆様受給されておりますし、生活保護等必要であれば生活保護については受けることができるということですので、勿論社会保障の部分は社会保障の部分としてべースがある中で、それはそれで受けていただける。それに加えて被爆者の方に着目した形で手当なり様々な援護施策が行われているということでございます。
○松岡総務課長 追加で生活保護の関係で申し上げますと、健康管理手当については生活保護の収入認定の対象外でございます。これは収入としてカウントされません。ただ、医療特別手当については3万3,000円を除いた、13万3,000円のうちの10万円相当部分は収入として認定されて、生活保護の基準に入るという形でございます。
 それから、補足いたしますと、ほかの手当とか年金との相違で申しますと、原爆の援護というのは戦争の原子爆弾による被害という「特別の犠牲」に着目して手当なりを支給しているということでございますので、そういう意味で、ほかの年金などとは併給の調整をする対象にはなっていないということでございます。
○神野座長代理 よろしいですか。あといかがでございましょうか。
 高橋委員、どうぞ。
○高橋進委員 精神の慰安というのが医療特別手当の中に入っているわけですけれども、精神の慰安という観点に立つと、原爆手帳を持っておられる方というのは皆さん精神の慰安が必要ではないのか。要するに、仕切りのところで上下に分ける、あるいは精神の慰安というのは2つに分けるものではなくて、段階があったり程度の違いがあるんではないか、あるいは皆さん同じように受けてらっしゃるのではないか。そう考えると、医療特別手当のところだけに精神の慰安が入っているというのは、過去のいきさつなのかもしれませんが、今、見ますと違うんではないのかという気がするんです。
○神野座長代理 これは、そもそもそうなっているということですね。
○田中委員 健康管理手当ができるいきさつは、原爆症認定被爆者はいたんですけれども、少数ですけれども、それ以外の健康がすぐれない人がたくさんいたんです。それを原爆症認定となかなか言い切れないところがあって、まず医療費の自己負担分を補助していくという制度ができてきたんですが、それでもなおかつその人たちは生活の上でもいろんな困難を抱えているということが厚生省の調査の結果で出て、何らかの手当をしなくてはいけないという形でできてきたものだったんです。
 ただ、精神の慰安はそこに入らなかったものですから、一定の病気が制限としてあって、最初は先ほど申しましたように5つの疾病、それからある段階で7つの疾病になって、最終的に今の11の疾病と増えてきているという段階がございます。
 私ども、「つくる段階」でも御提案したいと思うんですけれども、精神の慰安というのはすべての被爆者にあるんだと考えているんです。原爆という非常に異常な状況を体験してきていますので、いろんな形で心の病を背負った、そのことがその後のいろんな生活でも悪い影響を与えてきたということがありますので、そのことはきちんと政府に認めてほしいという思いが今も強烈にありますので、そのことはこれからの手当制度討論のところで御提案をしたいと思っています。
○神野座長代理 そもそも、先ほど田中委員からお話がありました歴史的な経緯でできあがってきたので、アプリオリにこうあるべきだとビジョンを描いて設定したのではないので、さまざまな理由がこうなっているということですね。そういうことでいいですか。
○和田原子爆弾被爆者援護対策室長 おっしゃるとおり、田中委員からもお話がありましたけれども、被爆者援護の話というのは長年の経緯がある話ですので、その時代、それぞれ要請があったり背景があった中で順次施策の拡大が図られてきたということでございます。ですので、そういう経緯があるということも頭に置いていただきつつ、そういう中でも、この検討会のミッションである原爆症認定制度の在り方についてこれからどう考えていくべきというところを御議論いただければと思います。
○神野座長代理 よろしいでしょうか。
 それでは、予定の時間をかなりオーバーしてしまっておりますので、この議題についても一区切りとさせていただいて、残りの時間で第1回から第5回まで議論をしてまいりました、今までの言葉を使わせていただければ「知る段階」で議論をしていただいた中身についてまとめていただいておりますので、事務局の方からこれについて御説明いただければと思います。
○和田原子爆弾被爆者援護対策室長 資料4をごらんいただきたいと思います。
 第1回から第5回までにおきまして、委員の方、また参考人からいただきました主な発言、御議論について事務局でとりまとめたものでございます。本日、余り時間がございませんので、ごく簡単に御説明申し上げまして、後ほど何か御意見なりございましたら賜れればと思っております。
 「1 総論」でございます。こちらは主に第1回の検討会で委員の皆様から御自由に発言いただいた中で、総論的な発言をまとめたものでございます。一つひとつは紹介いたしませんが、御参照いただきたいと存じます。
 2ページから3ページにかけて、「2 原爆症認定制度について」でございます。小項目といたしまして、総論的な発言、放射線起因性と要医療性について、新しい審査の方針の考え方についてといったところで便宜的に分けておりますが、様々な御議論、発言をそのまま挙げさせていただいております。こちらもお時間がないので中身は省略させていただきます。
 4ページから6ページにかけて、「3 行政認定と司法判断との乖離について」でございます。小項目といたしまして、裁判所の判断基礎について、行政認定と司法判断との乖離について、「確認書」についてといった項目に便宜的に分けております。こちらも様々な議論、発言を挙げさせていただきました。また、こちらは第5回目までしか挙げていませんが、本日もさまざまな御意見をいただいております。ここでは主に第5回で様々な議論が行政認定と司法判断との乖離について挙げられましたので、そちらについて事務局でそのまま挙げさせていただいた次第でございます。
 最後6ページ「4 その他」ということで挙げさせていただきました。こちらは給付の在り方について、こちらも本日の議論とリンクしている話でございますけれども、御議論があったところをまとめさせていただきました。大体大きな項目ということで、今、申し上げたとおり「1 総論」、「2 原爆症認定制度について」、「3 行政認定と司法判断との乖離について」、「4 その他」といったところでとりあえずまとめさせていただいたものでございます。
 私からの説明、ごく簡単でございますけれども、以上でございます。
○神野座長代理 いかがでございましょうか。特に、今の段階で抜けているとか、その点があれば御指摘いただき、これは後で御議論ちょうだいしても構いませんので、事務局にお申し出いただければと思います。
 よろしいでしょうか。
 田中委員、どうぞ。
○田中委員 前回も申し上げたかもしれないんですけれども、本当に新しい制度ができるまで半年とかかかるとすれば、新しい基準の認定がしばらくは続くと思うんです。そのときに、放射線起因性が認められるという文言が入った疾病がありますが、これは結果的にこの1年の公開されたデータを見ますと、大変厳しい判断がされている。前回申し上げたかもしれないですけれども、甲状腺機能低下症以外は1.5km以内の直接被爆でないと認められていない、入市も一人も認められていないということになっておりますので、厚労省が最終的に基準をつくられたときに、放射線起因性が認められるという文言を入れられた背景とその中身を、次回でも結構でございますので、明らかにしていただきたいと思っております。
○神野座長代理 それはよろしいですか。次回、その他で資料の御準備を事務局にお願いしたいと思います。
 それでは、一応、今日準備をいたしました議題につきましては一通り終わりましたので、次回以降の進め方につきまして、森座長からお考えをちょうだいできればと思います。
 よろしくお願いします。
○森座長 次回以降の事柄という御注文でありますけれども、何よりも今日の皆様方の熱心な御討議に心から感謝申し上げたいと思います。
 私は専ら聞き役に徹して、いろいろと勉強させていただきましたが、本当にいい雰囲気の下で神野先生の采配、誠によろしきを得て、本当に穏やかな格の高い雰囲気の中で皆様方、多くの方がいろいろと意見を述べてくださった。そういう方々の御意見なり討論も前回、前々回に比べると、これは全く私の個人的な印象ですけれども、だんだんと噛み合ってきて、この1つのグループがだんだんと、仲間といいますか同士といいますか、そういう雰囲気を醸し出すようになってきた、私は皆様方のお話を伺いながらそんなことを感じました。
 過去5回、いろいろとお話を伺ってあるいは御討論いただいて、大体「知る段階」で委員の方々の足並みはそろった。繰り返しになりますが、1つのグループとして仲間としてあるいは同士の集まりとして、次のことに取り掛かる準備ができたと感じておりますので、いよいよもう一つ次の、ただただ勉強するだけではなしに、これから考えていこうという方に入り込んでいってもいいのではないかと考えております。
 ただ、そのためには、今までの数回のようにフリートーキング的にいろいろとお話を伺うのも結構でありますけれども、ものごとを考えつくっていくためには、何かテーマといいますか課題といいますか、中心になる1つのキーワードのようなものがあった方がよろしいかと存じますので、もしお許しいただければ、事務局と私どもで相談をいたしまして幾つかの課題といったものを考え、それについて幅広い御議論をいただきたい。大ざっぱに申せば、このように考えておりますが、いかがでございましょうか。
○神野座長代理 いかがでございましょうか。そろそろ今までの議論を含めて、アジェンダを設定する会議を6回目に、どういう論点があるかということで整理させていただきながら議論をさせていただく。勿論、きちっと割り切れるわけではないので、現状の問題点その他に戻る場合もあるかと思いますが、当面、次のステップとして論点をどう設定していったらいいのかという段階に次ぐらいから入りたいというお考えでいらっしゃるのかと思います。
 よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○神野座長代理 それでは、そのようにさせていただきまして、次回以降の日程その他について、事務局から補足していただく点があればお願いいたします。
○和田原子爆弾被爆者援護対策室長 次回、日程につきましては調整の上、追って御連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○神野座長代理 それでは、本日はこれにて検討会を終了させていただきます。お忙しいところ、また、最初に申し上げましたけれども、なかなかお御足の悪いところ御参集いただきまして、本当にありがとうございました。私、不行き届きで至らない点が多かったかと思いますが、お許しいただいて今日の検討会はこれで閉じさせていただきます。
 どうもありがとうございました。


(了)
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