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2011年11月18日 第1回 障害者雇用促進制度における障害者の範囲等の在り方に関する研究会

職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課

○日時

平成23年11月18日(金)10:00~


○場所

中央合同庁舎第5号館専用21会議室


○出席者

【委員】 今野座長、阿部委員、海東委員、飯塚代理、杉山委員、田川委員、田中伸明委員、丸物委員、八木原委員


【事務局】 山田障害者雇用対策課長、田窪主任障害者雇用専門官、鈴木障害者雇用専門官、秋場地域就労支援室長補佐、西川障害者雇用対策課長補佐


○議題

1.研究会の開催について
2.障害者制度改革の動きと現行の障害者雇用促進制度等について
3.今後の研究会の進め方について
4.意見交換

○議事

○地域就労支援室長補佐
 ただいまから、「第1回障害者雇用促進制度における障害者の範囲等の在り方に関する研究会」を開催します。参集者の皆様方には、本日ご多忙のところご参集いただきまして、ありがとうございます。座長が選出されるまでの間、事務局で司会を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 研究会の開催にあたりまして、障害者雇用対策課長よりご挨拶申し上げます。
○障害者雇用対策課長
 高齢・障害者雇用対策部の障害者雇用対策課長をしております山田と申します。
 本日は、障害者雇用促進制度における障害者の範囲等の在り方に関する研究会を開催させていただくことになり、委員各位にはご参集賜り感謝申し上げます。ご承知と思いますが、いわゆる障害者権利条約については、我が国で平成19年9月に署名をして、現在、批准に向けて障害者制度改革推進会議などを政府として設置して、各分野における国内法制の整備等の検討を進めています。
 そうした状況の中で障害者制度改革推進会議の意見を踏まえた昨年6月の閣議決定において、労働および雇用分野については、障害者雇用促進制度における障害者の範囲や雇用率制度に関し、精神障害者の雇用義務化を図ることを含め、より実効性のある具体的方策について検討するということになっており、これを平成24年度内を目処にその結論を得るということにされています。
 近年の障害者雇用については、障害者の就労意欲の高まりに加え、企業のCSRへの関心の高まり等を背景に、積極的に障害者雇用に取り組む企業が増加するといった形で障害者雇用が着実に進展しているところですが、最近では障害者の種類や程度、障害特性、そういったものも多様化していて、その対応が求められているところです。
 また、近年急増する精神障害者については、平成17年の法改正、平成18年4月に施行されたその法改正によって、実雇用率への算定を可能としたことや、精神障害者に対する就労支援策の充実などによって、その雇用は着実に増加している状況ではありますが、法改正から5年が経過した今、今後も増加が見込まれる精神障害者の一層の雇用促進を図る観点から、雇用率制度における取り扱いも含め、施策の充実について検討する必要があると考えております。
 本研究会においては、こうした障害者雇用の状況や課題を踏まえつつ、先の閣議決定における検討事項について活発なご議論をいただき、来年夏ごろを目途に一定の課題の整理、取りまとめを行っていただきたいと考えております。
 最後になりますが、本研究会における検討が、今後も1人でも多くの障害者がその意欲と能力に応じて、社会経済活動に参加できる社会の実現につながるものと考えております。委員の皆様方のご意見、ご指導をいただきながら検討を進めていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
○地域就労支援室長補佐
 最初に配布資料の確認を簡単にお願いしたいと思います。右上に資料番号が振っております。議事次第、座席表、資料1から11まであります。最後に参考資料が付いております。資料7につきましては、事前に送付させていただいたものに加えて、各制度の概要の紙を増やしておりますので、ご確認ください。
 また、八木原委員からこちらの黄色い冊子JHC板橋会の活動状況について報告書をご提出いただいておりますので、そちらも配布させていただいております。
 本日は第1回目ということですので、各参集者の方々と事務局のメンバーをご紹介させていただきます。資料1の裏面、別紙に名簿があります。五十音順で失礼いたします。阿部一彦様(社会福祉法人日本身体障害者団体連合会理事)、今野浩一郎様(学習院大学経済学部経営学科教授)、海東千裕様(株式会社高島屋人事部能力開発・採用担当次長)、川崎洋子様(公益社団法人全国精神保健福祉会連合会理事長)は本日ご欠席で、代理で理事の飯塚壽美様にご出席いただいております。杉山豊治様(日本労働組合総連合会総合労働局雇用法制対策局長)、田川精二様(NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク理事長)は、精神科医で、くすの木クリニックの院長でいらっしゃいます。田中伸明様(弁護士)は日本盲人連合会からのご推薦でいらっしゃいます。田中正博様(社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会常務理事)はご欠席となっております。野中猛様(日本福祉大学社会福祉学部保健福祉学科教授)は精神科医でいらっしゃいますが、本日ご欠席です。丸物正直様(SMBCグリーンサービス株式会社代表取締役社長)、八木原律子様(明治学院大学社会学部社会福祉学科教授)はJHC板橋会副理事長をされていらっしゃいます。
 次に、事務局のメンバーを紹介いたします。中沖高齢・障害者雇用対策部長は本日急用のため欠席をさせていただいております。山田障害者雇用対策課長、田窪主任障害者雇用専門官、西川課長補佐、鈴木障害者雇用専門官、司会を務めさせていただいております私、秋場地域就労支援室長補佐です。以上、よろしくお願いいたします。
 次に、本研究会の開催要綱について、説明させていただきます。資料1をご覧ください。趣旨ですが、読み上げさせていただきます。「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」を踏まえ、障害者雇用促進制度における障害者の範囲等について検討を行うため、「障害者雇用促進制度における障害者の範囲等の在り方に関する研究会」を開催する。
 主な検討事項といたしましては大きく2つありまして、障害者雇用促進制度における障害者の範囲について、2つ目として雇用率制度における障害者の範囲等について、またその他となっております。
 研究会の運営につきましては、事務局は厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課で行わせていただきます。研究会の座長につきましては、参集者の互選により選出をいたします。座長が必要と認めるときは、関係者の参加を求めることができるとされています。参集者につきましては別紙のとおり、先ほどご紹介させていただきました。開催時期につきましては、平成23年11月からとなっております。
 なお、本研究会のほかに同じく閣議決定を踏まえましてあと2つの研究会の開催を予定しております。1つは「労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会」で、もう1つは「地域の就労支援の在り方に関する研究会」を開催する予定としております。
 次に、要綱に従いまして、座長の選任に入らせていただきます。座長の選出につきまして、どなたかご推薦がありましたらお願いいたします。
○丸物委員
 これまで障害者雇用分科会の分科会長をなさっておられました今野委員が適任だと思いますので、よろしくお願いいたします。
○地域就労支援室長補佐
 ただいま丸物委員から今野委員を座長にとのご推薦がありましたが、皆様、いかがでしょうか。
                 (異議なし)
○地域就労支援室長補佐
 異論がありませんようですので、本研究会の座長を今野委員にお願い申し上げたいと思います。それでは、今野先生、これから議事進行についてよろしくお願いいたします。移動をお願いいたします。
○今野座長
 それではご指名でございますので、議事進行役を担当させていただきます。活発なご議論をよろしくお願いいたします。議事に入る前に、議事の公開について申し合わせをしておきたいと思います。この件について、事務局から説明をお願いします。
○地域就労支援室長補佐
 資料の最後にあります、参考資料をご覧ください。会議の公開につきましては、厚生労働省における審議会等会合の公開に関する指針におきまして、懇談会等行政運営上の会合は、以下の4つの場合、1つ目、個人に関する情報を保護する必要がある。2つ目、特定の個人等にかかわる専門的事項を審議するため、公開すると外部からの圧力や干渉等の影響を受けること等により、率直な意見の交換又は意思決定の忠実性が不当に損なわれる。3つ目、公開することにより、市場に影響を及ぼすなど、国民の誤解や憶測を招き、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある。4つ目、公開することにより特定の者に不当な利益を与え、不利益を及ぼすおそれがある、といった場合を除きまして、公開することとしております。特段の事情により、会議または議事録を非公開とする場合にあっては、その理由を明示することとされています。これに従いまして、本研究会につきましても、議事および議事録につきましては、原則公開という扱いにさせていただきたいと考えております。
 会議を進めていくにあたって、この会議は非公開にしたいといったご意見がありましたら、その都度取扱いについて判断をしたいと考えております。また、配布資料についても、同様の扱いとさせていただきます。また、本日の会議につきましては、公開の取扱いとしております。議事録につきましては、各委員に内容の確認を取った上で公開するとしておりまして、差し支えがあるようでしたら、議事要旨のみの公開ということにしたいと考えております。
○今野座長
 いまの公開の方法について、ご意見はありますでしょうか。基本は原則公開ということです。特段の事情があった場合は、その都度考えるということだと思いますので、それでよろしゅうございますでしょうか。
                 (異議なし)
○今野座長
 では、そういうことでいきたいと思います。それでは、今日の議題に入ります。議事次第だと2番目です。「障害者制度改革の動きと現行の障害者雇用促進制度等について」ということです。まず事務局から説明をしていただいて、議論したいと思います。
○障害者雇用対策課長補佐
 私から議題2番目の「障害者制度改革の動きと現行の障害者雇用促進制度等について」のうち資料2から5まで、障害者制度改革の動き、それからこの研究会の立ち上げの契機にもなった昨年の6月の閣議決定、それに至る経緯を説明をさせていただきます。
 資料2をご覧ください。「障害者制度改革の推進体制」というタイトルが付いているポンチ絵です。障害者権利条約の締結、いわゆる批准に向けて必要な国内法を整備するために、平成21年12月に障害者制度改革推進本部を政府内に設けて現在検討を進めております。この権利条約は、平成19年9月に我が国が署名をしたものでして、障害を理由とする差別の禁止など、あらゆる分野に関する包括的かつ総合的な条約です。その条約に批准をするために、国内法制としてどのような対応が必要かを検討するために、この本部を設けているという状態です。
 実質的にはこの本部の下に障害者制度改革推進会議というところで実質的には中心に議論をしていただいておりまして、昨年の1月より議論をしております。それから、その推進会議のもとに個別施策分野について議論をするということで部会も設けておりまして、部会は現在2つ、自立支援法に代わる障害者総合福祉法の制定に向けた総合福祉部会という福祉関係の部会が1つ、障害を理由とする差別禁止法の制定に向けた差別禁止部会が設けられています。
 これまでの検討経緯につきましては、資料2の裏面をご覧ください。3行目の第12回から第14回、第一次意見の取りまとめということで、こちらでは推進会議の皆様から障害者制度改革全般にわたるご意見を取りまとめたという位置づけになっておりまして、その意見を踏まえて真ん中辺り、昨年6月29日ですが、「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」という閣議決定を行っております。
 その次の段階になりますが、障害者基本法に関する第二次意見を推進会議で取りまとめを行っています。それから、今年9月26日ですが、障害者自立支援法に替わる「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」を取りまとめているのが、現在の検討状況であります。
 続きまして、資料3です。こちらが6月29日の閣議決定の全体の概要になります。まず左側の下の枠組を見ていただきますと、「横断的課題における改革の基本的方向と今後の進め方」と書いてありまして、この閣議決定のまず3本柱、横断的な課題ということで3つテーマを挙げております。
 1つ目が(1)で障害者基本法の改正ということで、実はこれについては今年7月末に成立をしております。(2)が障害を理由とする差別の禁止に関する法律の制定等、いわゆる差別禁止法の制定に向けた議論を進め、平成25年の法案提出を目指すというふうに閣議決定しております。最後が「障害者総合福祉法」(仮称)の制定ということで、こちらについては平成24年法案提出、平成25年8月までの施行を目指すという閣議決定をしております。
 こういったあらゆる分野に関する横断的な課題とは別に、右側の個別分野における基本的方向と今後の進め方ということで、それぞれ労働雇用から国際協力までの11分野にわたって、こちらについても個別分野での対応ということで閣議決定をしております。1番目に労働及び雇用が出てきますが、そちらの詳細については裏面をご覧ください。
 こちらが6月29日の閣議決定の中の労働雇用分野のみを抜粋したものです。労働及び雇用分野ということで、合計○が6つあります。本研究会の検討事項となりますのが、○1つ目でございますが、障害者雇用促進制度、障害者雇用促進法というものにおける「障害者」の範囲について、就労の困難さに視点を行いて見直すことについて検討し、平成24年度内を目処にその結論を得るとしております。2つ目が障害者雇用率制度、これは雇用促進法、雇用促進制度の中にある雇用率制度ですが、それについて雇用の促進と平等の取扱いという視点から、いわゆるダブルカウントの制度の取扱い、有効性について平成22年度内に検証するとともに、精神障害者の雇用義務化を図ることを含めて、積極的差別是正措置として、より実効性のある具体的方策を検討し、こちらも平成24年度内を目処にその結論を得ると閣議決定をしております。両方とも平成24年度内を目処に結論を得るとしておりまして、このスケジュールに間に合う形でしっかりと検討していかなければならないと我々は考えております。
 続きまして、この閣議決定の背景にある障害者制度改革推進会議から出たご意見について次の資料でご説明、ご紹介をさせていただきます。資料4をご覧ください。障害者制度改革推進会議および総合福祉部会での議論ということで、推進会議では労働雇用分野のみならず、様々な分野がご議論されておりますが、そのうち労働雇用の分野の中で、今回のこの研究会で関係するだろうというところのみ抜粋したものが資料4であります。
 2頁になります。いちばん上から障害者制度改革の推進のための基本的な方向ということで、これが第一次意見と言われるものです。昨年6月に推進会議で取りまとめたものです。そのうち労働及び雇用ということで掲げておりますが、四角囲みの点線の中です。現状においては、障害者の雇用の状況というのが、法定雇用率を達成している企業が半数に満たないなど厳しい状況にあると。それから、障害の種別・程度によって職域や雇用義務の有務、さらには雇用機会等に格差があるということで、そういう障害者雇用の促進を図るために、大幅な改善を求めたいというご意見をいただいています。
 このような観点から、以下を実施すべきであるというふうに意見をいただいておりまして、黒ポツが3つあります。1つ目が、現行制度における「障害者」の範囲について、就労の困難さに視点を置く社会モデルの観点に立ち、その認定に係る制度の仕組みを含め見直す方向で検討してはどうかと。2つ目の黒ポツです。障害者雇用率制度、中でも雇用率の水準、ダブルカウント制の有効性、特例子会社制度の是非ということについて、また納付金制度について、平等な取扱いという視点からそのあり方を検証した上で、実効性のある具体的方策を検討してはどうかというご意見。3つ目が、精神障害者は雇用義務の対象となっていないなど、障害種別による雇用義務の格差、そういったものを是正し、すべての障害者があらゆる種別にかかわらず同程度の雇用機会や労働条件が確保されるよう、必要な措置を講ずるべきではないか、と大きく3つのご意見をいただいております。
 1つ目の黒ポツの中に社会モデルの観点というものが出てきましたが、非常に聞き慣れない言葉だと思います。その内容を簡単にご説明いたしますと、これまでの障害の捉え方、定義の仕方は、社会モデルと反する考え方ではありませんが、以前の考え方として医学モデルを中心にこれまで障害を捉えてきたであろうと。つまり、身体障害者の方であれば、何らかの身体的な部位に損傷を負っている、支障を生じているのであろうということで、それを機能障害、インペアメントということで捉えてきたと。その機能障害から来る何らかの生活のしづらさ、そういったものを能力障害ということで、ディスアビリティーと言っていますが、機能障害と機能障害による能力障害というものでこれまで障害を捉えてきたと。ただ、そういう従来の障害の捉え方に加えて、実はその障害の捉え方は、社会の制度とか環境、そういったものとの相互作用によって障害というのを捉えていくべきではないかというふうな考え方が社会モデルと言われるものです。そういった考え方を就労の場面においても、その認定の仕組みからそういった捉え方で捉えてはどうかというのが、この社会モデルの観点と言われています。
 続きまして、2頁の真ん中から少し下辺りですが、こちらが障害者制度改革推進のための第二次意見といわれるものでして、昨年12月の取りまとめです。内容で点線で囲っているところについては、いまご説明した内容とほぼ同様ですので、ご確認だけいただきたいと思います。
 次は3頁です。こちらが「障害者総合福祉法の骨格に関する提言」といわれるものです。これも四角囲みが2つありますが、こちらも同様の内容が入っておりますので、後ほどご確認をいただきたいと思います。
 続きまして、最後の資料5です。障害者基本法の一部を改正する法律です。先ほどご説明をしたような推進会議からの意見を踏まえて横断的な改革の1つとしてこの基本法の改正が行われまして、今年7月末に成立をしております。
 2頁です。基本法の新旧対照表といたしまして、改正前と改正後の条文がわかる資料を提出しています。その中の定義の2条をご覧いただきたいと思います。これまでの障害者基本法については、「『障害者』とは身体障害、知的障害、又は精神障害があるため、継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける者をいう」という定義をしておりましたが、今回の改正、権利条約等の趣旨を踏まえて改正をされまして、2条の1号にまず障害者という定義を掲げております。
 精神障害の中に発達障害を含むのだということを明確化したことに加えて、精神障害のあとに「その他の心身の機能の障害」ということで、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害を含むのですが、その障害に入らないものまで含めてその心身の機能の障害を障害という定義にしたというところが、1つの大きな改正です。
 続いて、先ほど社会モデルのご説明をしましたが、その主旨を踏まえて、「障害者」とはそういった障害がある者であって、障害とその社会的障壁により継続的に日常生活または社会生活に相当制限を受ける状態にある者をいうというふうに障害というものだけではなく、それと社会的な障壁というものの相互作用によって継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける方を障害者と定義しようというふうに変わっております。
 社会的障壁というものの定義は、その次の号に規定がありまして、こちらについては「障害がある者にとって日常生活又は、社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念、その他一切のものをいう」というふうに定義がされております。
 続きまして、3頁が雇用、労働分野の基本法に関する改正部分です。大幅な変更点はありませんが、これまで障害者基本法の中にも雇用と労働分野ということで2条の条文がありました。それに若干の変更を加えております。ポイントとなりますのが、変更後の18条になりますが、18条1項の中で、障害者の多様な就業機会を確保するということで、雇用だけではなくてさまざまな就業形態、例えば自営業とかそういったこともありますので、そういった多様な就業の機会を確保するようというふうに規定を変更しております。
 以上が資料2から5までの障害者制度改革の動きに関します説明です。私からは以上です。
○地域就労支援室長補佐
 続きまして資料6から10についてご説明します。今回のテーマである障害者雇用促進法における障害者の範囲と雇用義務の対象をまとめたものが資料6です。障対法の第2条第1号においては、障害者を定義しており、「身体障害、知的障害又は精神障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者」と定めております。ポイントとしては、身体障害、知的障害、精神障害そのものの定義をしていないことでございまして、第2条第2号以降は、「身体障害者」を定めているものになります。
 身体障害者につきましては、「障害者のうち身体障害がある者であって別表に掲げる障害があるもの」となっております。別表は裏面にありますが、視覚、聴覚、肢体不自由、内臓疾患等となっており、こちらの別表は身体障害者福祉法の手帳交付の別表と全く同じになっておりまして、障対法上の身体障害者は手帳を交付されている人とほぼ同義であると考えていただいて大丈夫だと思います。
 続きまして、知的障害者の定義ですが、「障害者のうち、知的障害がある者であって省令で定めるもの」とされており、省令で「知的障害者更生相談所等により知的障害があると判定された者」となっております。後ほどご説明しますが、知的障害者というのは、身体障害者と違いまして、知的障害者福祉法では法律上の定義はありません。そこが身体障害者とは大きく違う点になっております。療育手帳の交付につきましても、各自治体が実施することになっており、それぞれでルールが異なります。そのルールを大まかに決めた通達が国から出されていますが、その通達では知的障害であると判定された者に対して手帳を交付しなさいといったことだけ定められています。
 続きまして、精神障害者の定義は「障害者のうち、精神障害がある者であって省令で定めるもの」。その省令とは「次に掲げる者であって、症状が安定し、就労が可能な状態にある者」となっております。精神障害者には、精神障害保健福祉手帳の所持者と、統合失調症、そううつ病、てんかんの3疾患をお持ちの方が含まれています。これは、精神障害者の場合、手帳制度が平成7年の精神保健及び精神障害者福祉法の改正によりできたため、それ以前からこういった精神疾患を有する方に対して、何らかの措置をしなければいけないということで対象にしてきたという歴史的な経緯があります。障対法では、まず、統合失調症、そううつ病、てんかんの方を対象に施策をやっており、その後に手帳制度ができたということで、このように2本立てになっております。
 最後に「その他」とありますが、法律上の規定は特にないのですが、障害者のうち身体障害者、知的障害者、精神障害者に該当しない方々ということで、例えば長期にわたり職業生活に相当な制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な方であって、手帳をお持ちでない発達障害の方、手帳をお持ちでない難病の方、精神疾患の中でも3疾患以外で手帳をお持ちでない方、例えばアルコール依存症で手帳をお持ちでない方などが「その他」に該当します。
 今回の研究会の2つ目の議題である雇用義務の対象については、下の段にありますが、身体障害者と知的障害者が雇用義務の対象となっております。平成18年から、実雇用率の算定の対象ということで、雇用義務等に係る規定の精神障害者である労働者についての適用に関する特例が設けられまして、「事業主が精神障害者である労働者を雇用しているとき」には、「当該精神障害者である労働者の数に相当する数の身体障害者又は知的障害者である労働者を雇い入れたものとみなす」とされております。実雇用率の算定対象になっている精神障害者につきましては、精神障害者保健福祉手帳の所持者に限定をしています。資料6の裏面は、それぞれの該当条文になります。
 障害者雇用率制度の概要として、法定雇用率、障害者雇用率を定めるときの設定基準ですが、常用労働者プラス失業者を分母におきまして、分子の方に身体障害者と知的障害者の常用労働者と失業者を置いて計算をしております。現在、一般の民間企業につきましては1.8%となっています。
 次に資料7をご覧ください。こちらは、障害者雇用施策の主なものを障害別にどのように適用されているかという、適用範囲を一覧にしたものです。今回ご議論いただきたい部分は、障害者雇用促進法における障害者の範囲、雇用義務の範囲になりますが、それ以外にも予算事業として行っているものがありますので、ご参考までに「その他」として追加して一覧にしております。こちらの表は○×さまざまに見えるのですが、大まかに言いまして、お金に関係する部分、手当、助成金などにつきましては、統一的な基準や誰が対象かという確認が必要になってきますので、原則手帳を基準にしています。ただし、精神障害者に関してのみは、先ほどご説明しましたとおり、歴史的な背景がありまして、手帳制度が後でできたということから、3疾患までを対象にしています。
 上からざっと説明していきますと、ハローワークについて職業紹介や求人の関係、事業主の関係は全部対象になっています。適応訓練は、訓練手当ての関係で3疾患まで、解雇の届出につきましては、事業主に負担を課す義務ですので、こちらは雇用率制度と一緒で、手帳所持までとなっております。障害者職業センターや障害者就業・生活支援センターに関しては、全障害を対象にしております。雇用率制度は、先ほどご説明したとおりです。納付金制度につきましては、雇用率制度とリンクしているので、手帳所持までとなっており、研究調査事業は全部対象です。納付金に基づく助成金ですが、こちらはお金に関係するものですので、基本的に精神の3疾患までが対象になっておりますが、職場適応援助者助成金第1号、第2号はジョブコーチ支援と呼んでいるものですが、ジョブコーチの助成金のみが飛び出ています。この助成金は、平成17年10月にできたものですが、それ以前はジョブコーチ支援は地域障害者職業センターで地域の関係機関と連携しながら実施されていました。地域障害者職業センターということで、全障害を対象にしていました。助成金を作るに当たって、これまで支援を受けられた人が対象から外れるということを避けるために、引き続き全障害を対象にすることになっています。ただし、2号ジョブコーチに関しましては、新しくできた制度ですが、「その他」障害の方に対して、企業側のノウハウが不足しているのではないかということから、対象から外すことにしました。一方、し当時発達障害者支援法ができ、発達障害者の支援を充実させるべきという観点から発達障害のみを加えたというイレギュラーな形になっております。
 続きまして、助成金制度ですが、予算事業でやっている主なものを挙げております。トライアル雇用につきましては、対象者をその他障害の方も含めて広く対象にしています。次に特定求職者雇用開発助成金は、お金に関係し額も大きいことから、3疾患までとなっています。次の発達障害者雇用開発助成金と難治性疾患患者雇用開発助成金ですが、これは発達障害や難病の方の雇用促進をもっとすべきというご意見を踏まえまして、平成21年度から特定求職者雇用開発助成金と同じスキームで作った助成金になっております。ただ、特定求職者雇用開発助成金と違うところは、支給申請の時点で事業所の雇用管理や配慮事項等を事業主からご提出をいただいており、それを当課で雇用事例や雇用管理のノウハウとして蓄積し、今後の発達障害者、難病患者の施策を検討していくための材料にしたいということを行っています。
 最後に障害者職業能力開発校、公共職業訓練ということで、訓練自体は全障害が受けることが可能なのですが、訓練手当は3疾患までとなっています。
 次に資料8をご覧ください。まず全体の障害者数を示したものです。身体障害者、知的障害者、精神障害者とありますが、身体障害者に関しては、18歳以上の身体障害者で、身体障害者手帳所持者、及び手帳は未所持であっても、身体障害者福祉法別表に掲げる障害を有する者が調査対象になっております。知的障害者に関しては、全国の在宅知的障害者を対象にしております。精神障害者に関しては、「患者調査」の数字ですので、精神疾患を有していて、医療機関を利用されている方ということになっています。総数としましては744.3万人ですが、労働施策の対象となる主な対象である、在宅者の中の18歳以上65歳未満の方たちは331.9万人となっています。
 次の頁です。障害者の雇用状況についてご説明をいたします。先ほど法定雇用率が1.8%と申し上げましたが、民間企業の雇用状況は、実雇用率1.68%となっておりまして、法定雇用率達成企業割合は47.0%になっております。いまだに法定雇用率には届いていないのですが、グラフをご覧いただいたとおり、障害者の雇用はどんどん伸び続けておりまして、5年連続で過去最高を更新しています。身体障害者が棒グラフの白い部分でいちばん多くて、次に知的障害者、精神障害者は縦縞部分です。精神障害者は平成18年度から雇用率カウントの対象となっておりますので、平成18年からの数字が挙がっています。
 裏面が障害者雇用の状況マル2です。これは昭和52年から今に至る雇用率の歴史、推移を示したものです。平成10年7月1日から雇用率が現行の1.8%になり、雇用は順調に伸びているところです。
 資料7の5頁、ハローワークにおける障害者の職業紹介状況ですが、ハローワークにおいても、就職件数が非常に伸びておりまして、昨年度は初めて5万件を超えました。
 6頁、7頁は、障害種別の職業紹介状況を示したものです。身体障害者はほぼ横ばい、知的障害者につきましては、徐々に増えていますが、平成21年から22年の伸びが大きくなっています。
 7頁の精神障害者とその他障害の方が、近年、求職件数、就職件数ともに増加しているところです。ハローワークの精神障害者というカテゴリーは、障対法上の精神障害者になりますので、手帳プラス3疾患になるのですが、平成21年から22年にかけて、133%の増加となっております。また、その他障害の方、手帳をお持ちでない発達障害や難病の方などが含まれますが、こちら非常に増加しておりまして、716件から970件ということで、数自体はまだ他と比べると少ないですが、135.6%の伸び率となっています。
 続きまして資料9です。障害者雇用促進法以外の主な法律における障害者等の定義になります。障害者の権利条約と、先ほどご説明させていただいた障害者基本法の定義とあり、障害者自立支援法の定義では、「この法律において障害者とは身体障害者福祉法に規定する身体障害者、知的障害者福祉法にいう知的障害者」ということで、法律上定義はないのですけれとも、知的障害者福祉法にいう18歳以上である者、また精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条に規定する精神障害者(発達障害の方を含む)」という規定になっています。また、所得税法や租税特別措置法や移動に関する法律とか、災害弔慰金の支給に関する法律など、それぞれ抜粋しております。このように障害者といっても各法律で定義はばらばらで、その法律の目的にあった対象者をそれぞれで定義している状況です。
 3頁は身体障害者の定義を抜粋しておりますが、身体障害者福祉法第4条において、「『身体障害者』とは、別表に掲げる身体上の障害がある18歳以上のものであって、都道府県知事から、身体障害者手帳の交付を受けた者を言う」と定めております。この別表につきましては、先ほど申し上げましたとおり、障対法の別表と同じものになっております。
 続いて4頁です。知的障害者は知的障害者福祉法を含め、ほかの法律において知的障害者を定義しているものはございません。療育手帳制度についてという事務次官通達が昭和48年に出ているのですが、手帳の交付対象として、「児童相談所または知的障害者更生相談所において、知的障害であると判定されたもの」とされ、知的障害であると判定された者が、知的障害者であるという規定になっています。この知的障害の判定の基準は事務次官通達や局長通達などで定められているところですが、重度とその他に分類することや重度はIQ35以下等となっており、あまり細かい定めはありません。制度の実施主体が都道府県になっており、判定基準や再判定期間の設定、手帳の名称、等級など、自治体に拠ってまちまちなになっています。
 続きまして、4番目の精神障害者ですが、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律で定めておりまして、第5条で「『精神障害者』とは、統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質、その他の精神疾患を有する者」ということで、知的障害も含まれておりますが、この法律上はこのような定義になっております。
 発達障害者支援法は平成16年にできたものですが、この法律において「『発達障害者』とは、発達障害を有するために日常生活又は社会生活に制限を受ける者をいう」とされています。このように、障対法以外の法律においては、それぞれ定めがされているところです。
 資料10につきましては、手帳制度の概要ということで、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の概要について、それぞれ示しておりますので、後ほどお読みいただきたいと思います。事務局からの説明は以上です。
○今野座長
 ご質問がありましたらお願いいたします。今回の研究会で議論するに当たってベースになる情報を整理していただいて共有しましょうということです。
(特に発言なし)
○今野座長
 何かありましたら、また後でも結構ですので先に進ませていただきます。次は「今後の研究会の進め方」について、事務局から説明をお願いいたします。
○地域就労支援室長補佐
 資料11です。今後の研究会の進め方として、「今後のスケジュール(案)」をご提案させていただいております。第1回が、本日平成23年11月からスタートし、毎月1回の開催を目標にし、最終的には平成24年7月に研究会の取りまとめをしたいと思っております。本日は現行の制度の話と今後の研究会の進め方、フリーディスカッションを行います。第2回と第3回で、関係者からのヒアリングとして関係者をお呼びしてご意見を伺いたいと思っております。第4回については、第1回から第3回で挙げられた論点を整理して提示した上で、今回の研究会のテーマの1つめである、障害者雇用促進制度における障害者の範囲についての議論を行いたいと思っております。障害者の範囲については第4回と第5回に時間を設け、第5回の後半から雇用義務の対象範囲について第5回、第6回、第7回の3回にわたって議論をし、第7回の後半ぐらいから雇用率制度に関するその他の議論ということで、例えばダブルカウント制度や特例子会社の制度などその他の議論をお願いしたいと思っております。第8回は積み残しの議論をしつつ、研究会の取りまとめをし、第9回でしっかり取りまとめをしたいと考えております。
 第2回、第3回で関係者のヒアリングを案を裏面に提示しております。ヒアリングの対象として、日本身体障害者団体連合会から全国精神保健福祉会連合会までの4つですが、今回委員にもなっていただいております4団体についてまずヒアリングをいたします。続いて精神障害者の、3疾患の1つであるてんかんについて、全国組織である社団法人日本てんかん協会からヒアリングをしたいと思います。また、その他障害の中で、代表的なものである発達障害と難病についてそれぞれ全国組織である日本発達障害ネットワークと、日本難病疾病団体協議会にヒアリングをお願いしたいと思っております。
 今回は、障害者の範囲を就労の困難さに視点をおいて見直すことについてという検討事項がありますので、実際に職業評価や各種職業リハビリテーションの措置を実施している現場の声をということで、地域障害者職業センターとハローワークをヒアリング先に加え、ご提案させていただいております。
 ヒアリング項目としては、次の5つになります。1つ目は、障害者雇用促進制度における障害者の範囲についてどのように考えているか。2つ目は、障害雇用促進制度における障害者の範囲を、就労の困難さに視点を置いて見直すことについてどのように考えているか。3つ目は、雇用率制度における障害者の範囲、雇用義務の対象範囲になりますが、それについてどのように考えているか。4つ目は、雇用率制度におけるダブルカウントや、特例子会社の取扱いなどについてどのように考えているか。5つ目は、その他現行の障害者雇用促進施策について見直すべき点なども含めてどのように考えているか。このようなことをお伺いしたいと思っております。資料の説明は以上です。
○今野座長
 いま説明のありました今後の進め方についてご意見がありましたらお願いいたします。
○八木原委員
 この研究会でお願いがあります。制度が変わってくるときというのは、必ずその前の制度がどのような効果があったかという評価をしていくと思うのです。平成17年度に雇用促進法が改正されて、精神に障害のある方たちを雇用してもいいという、いわゆる「みなし雇用」が可能となりました。それがまた見直しということで、今回ここの研究会で検討されていくのですが、今後企業がどのような考えの中にあるのかという実態調査をお願いしたいと思います。
 今回、事務局にお願いをして私どもの所の報告書を添付させていただきました。私どもは、いろいろな所で報告会をしたり、講師として招かれたときに、企業側と、本人と、支援機関の支援者の三者で報告していくという、三者が同一場面で、同一の場所で話をすることを規則としています。それは、一方方向からだけの話ではよくわからないということがありますので、企業の方からの話も加えていただきたいということで、ヒアリングが不可能なら、実態調査という形で入れていただけないかと思います。
 私どもの報告の中で、「みなし雇用」になってから障害のある方たちを企業は、本当によく見てくださって、どうすれば常用雇用に移行できるのかということでは、企業の中に専門家を配置していただいたり、作業の仕方を理解できるようにするには、どのように伝えていったらいいかということでは、支援機関の職員がモデルになっていく。企業の方もかなり変わってきているのではないかと思います。障害のある方たちも、自分の障害をクローズドにしていく人たちは本当に少なくなって、この統計の中でも昨年度は85%近くの人がオープンという形で来ています。
 ですので、企業の障害者雇用の捉え方、特に雇用率制度のことについても、今後どのように考えているのかについて調査を進めていただければと思います。
○今野座長
 時間的な問題もあると思いますが、事務局から何かありますか。
○障害者雇用対策課長
 企業に対する調査は、平成16年に精神障害者について検討した研究会でも同様の調査を行っています。実雇用率としてカウントできるようになって以降どのような変化があったかについての調査はおっしゃるとおり必要だと思いますので、調査項目をどういう形にするのかということを次回にでもお諮りできればと思います。
○杉山委員
 連合の杉山です。いま八木原委員から出されたことに少し重なるかもしれないのですが、重要な視点だと思います。先ほどヒアリングの予定も出されたのですが、是非現地の視察的なことも中に入れていただけないかと。それは、企業側の受入体制、受入れの実態も含めてです。ヒアリングで来ていただくこともいいのですけれども、その現場を実際に目で見るということも、たぶんこの検討をしていく上では重要ではないかと思いますので、是非ご配慮をお願いいたします。
 少し事務局のほうにお願いがあります。資料8の2頁に障害者数ということで数値が出されています。参考にはなるわけですが、漠としている感がありますので、各年齢別に実在者が何名いるのか、それぞれどのような状況にあるのか、もう少し細かく実態がわかるような表に落とし込めたものが用意できないかと考えています。なかなか難しいところはあるかもしれませんが、この検討をしていく中でどこの対象に向かって話をするのか、それがしっかり見えるようにご配慮をお願いいたします。
 3点目は質問なのですが、今後議論していく上で少し頭の整理をさせていただきたいということです。資料5の障害者基本法の新旧対照表で先ほど説明を受けたわけですが、改正障害者基本法の定義の中の第2条第1項を読むと、3行目に「障害及び社会的障壁により」となっています。「及び」ということは、障害だけではなくて必ず社会的障壁がセットになって、初めて障害者という定義が成立するという読み方でいいのでしょうかということです。
 第2項に社会的障壁の定義が書かれていて、「制度、慣行、観念、その他一切」と書かれています。たぶん書いてあることがこういうことなので、あらゆるもの一切と言われてしまうとそういうことになるのでしょうが、もう少し具体的に示せるものがあれば説明していただけないかと思います。
○障害者雇用対策課長
 1点目の現地視察の件については、これから引き続いて行われる別の2つの研究会の委員からも同じような関心を持たれる可能性もありますので、事務局の方でどういう形でそのご要望にお応えできるかを検討させていただきます。
 2点目の障害者数の内訳とか実態についてですが、先ほどご指摘いただいた資料については、複数の資料を統合して作っていますので、それぞれの資料でどこまで掘り下げられるかを確認した上で、ご要望に近い形で数字が示せるものを作って、次回以降にお出ししたいと思います。
 3点目の基本法の定義の問題については、いま障害者基本法のコンメンタールが作成途上にあって、第2条の解釈については具体的にどのようにするのかについても、まだ確定できていない状態になっています。基本法の改正をした内閣府とも相談した上で、どういう形でするのかということについては検討したいと思います。西川補佐から補足させていただきます。
○障害者雇用対策課長補佐
 最後の障害者基本法の定義のところですが、その法案を作る過程で、内閣府といろいろやり取りをさせていただく中で、我々が聞いている範囲で申し上げますと、1つ目の社会的障壁との相互作用がないと障害者ではなくなってしまうのかという点については、この第1号を読みますと「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)、その他の心身の機能の障害がある者であって」とまず書いてありますので、障害があるということだけで障害であるとした上で、その障害と社会的障壁によって日常生活または社会生活に相当な制限を受ける者も今回は障害に入るのだということですので、既存の機能障害とか能力障害というものだけでも障害者とした上で、それプラス社会的障壁を受ける者も障害者になり得るのだという解釈と聞いております。ですから、社会的障壁の影響が全くない場合に障害者にならないというわけではないということです。
 それから、社会的障壁とは何なのだと。これは非常に難しいのですが、例えば「事物」とありますが、具体的な例を挙げれば、障害者として歩きにくい、通行しにくい、利用しにくいような設備とか施設をいうのではないか。制度というのは、まさにそういった障害者が利用しにくい制度そのものを言っている。慣行というのは慣習とか、障害者の存在を意識していないような慣習や文化、それから観念というのは偏見のようなものではないかと聞いております。
○今野座長
 私から質問させていただきます。先ほどの1点目なのですが、第2条第2項は、何々であって何々の者をいうだから、普通に考えると、「あって」の母集団が全体であって、後半はその中の一部を表現していると読むのがすごく素直ではないかという気がするのです。先ほどの説明は、「あって」があって、それプラスアルファが下だという説明ですね。そのような解釈だということでいいのですか。
○障害者雇用対策課長補佐
 これは難しいのですが、障害がある者であって、障害および社会的障壁になって、「および」の文字の解釈の仕方なのですが、この「および」というのは「and」で、必ず両方がかかったときというだけではなくて、どちらかがあった場合でも読めると聞いています。障害により継続的に日常生活又は社会生活により相当の制限を受ける状態にある者も障害者である。「ただし、障害がある者であって」と先にあるので、機能の障害がなくて、社会的障壁だけで日常生活、社会生活に困難を受けている人が障害者になるかというとそうではない。機能の障害とか能力障害といった障害があって、かつ社会的障壁の両方を相互作用でなる人は当然なりますと。ただ、社会的障壁がない場合に、障害だけがあり得るといった場合にも、その障害によって継続的に日常生活の制限を受けている人も入りますということです。ただ、社会的障壁だけではならないということです。
○今野座長
 あまりこんな議論をしてもしようがないのですが、論理的に考えるとこの障壁というのは、常に我々はマイナスを考えているけれどもプラスもあって、つまり、ある社会的な条件ができたので、障害があるから相当の制限を受けたという状態がなくなるということはあり得ます。そういうことは、論理的にはあり得るわけですので、その場合はここから外れるのかという話になります。
 例えば、雇用の場でいうと、身体の障害があります。したがって仕事をする上で相当の制限を受ける状態であります。しかし、ある社会的な仕組みが入ったお蔭でその制限がなくなりましたというと、この定義だと障害者から外れますね、というふうに論理的には読めるのです。つまり、この「障壁」というのを社会的な条件と考えればということです。
○障害者雇用対策課長補佐
 社会的障壁ですから、社会的障壁を取り除くというのが、この基本法にその後にかかってきます。社会的障壁を取り除くことによって、その障害の程度といったものは軽減され得るというのは、いま座長のおっしゃるとおりだと思います。ただ、その障壁を撤廃したからといって、機能の障害が完全に回復するわけではないので、障害者から外れるわけではない。社会的障壁がなくなったとしても、機能の障害によって日常生活、社会生活に制限を受けているのであれば、それは障害者であるということです。
 ただ、障害というものを捉えるときに、その社会的障壁を1つの要素にして、それが高ければ障害の相当の制限というのが相当な制限になっていくであろうし、社会的障壁を除々に除去していくことによって、その制限の度合いというのは非常に小さくなるであろうということを考えるべきだと。座長のお話のように就労の場面で肢体不自由の方が車椅子に乗っていますとか、視覚障害の方が働きますというときに、必要な設備がきっちり整備されていれば、おそらく就労上の困難度は非常に下がってくるのではないか。視覚障害者の設備はパソコンなどの整備がされていますので、そういうものがある職場と、そうではない職場では、視覚障害をもった方が働く場面における困難度は全く変わってくるであろうということは、社会的障壁を除去というか軽減していくことで、障害の就労の困難性は変わってくるという考え方だと理解しています。
○今野座長
 ここの法律では「障害」と書いてあるからいいのですけれども、先ほど言われた「社会モデル」というのは、「社会的要素」という言い方をしていると、マイナスがゼロになっていく方向、これは論理的な話ですけれども、あるいはプラスになってしまうということもありえますね。ほかに何かありますか。
○阿部委員
 先ほど雇用率、就労するかという方面の説明をいろいろいただきましたけれども、実際の離職等と、継続就労の実態はどういうことなのかということでもしあればコメントをいただければと思います。
○障害者雇用対策課長
 就職という入口の段階のデータは結構多くあります。問題になるのは、特に知的障害者や精神障害者の定着がなかなか進まない点で、御指摘の観点が非常に大事だということで、ジョブコーチだとかそういった施策を打っています。データ的にはあまり多くないのですが、お出しできるものがあるかどうか検討させていただきます。
○阿部委員
 そこにこそ社会モデルというか、環境モデルというのが就労継続であり得るのかと思ってお聞きしました。大事なことだと思いますので、よろしくお願いいたします。
○障害者雇用対策課長
 わかりました、検討させていただきます。
○今野座長
 可能かどうかは別にして検討してほしいということですが、実態調査をされるということですので、いまの観点は非常に重要で、かつ可能だったら項目を入れることはできないか。
○障害者雇用対策課長
 そちらの方でも、中に織り込むように考えたいと思います。
○地域就労支援室長補佐
 直接的な定着率ではないのですが、勤続年数については、5年毎にやっている障害者雇用実態調査で調査をしております。最新のものは平成20年度になりますが、平均勤続年数、これは、障害になった時点からの勤続年数になりますが、身体障害者と知的障害者に関しては9年2カ月、精神障害者に関しては6年4カ月となっております。それ以外のデータもあれば、次回の研究会のときにお示ししたいと思います。
○今野座長
 余計な質問をさせていただきますが、これは健常者と比べて長いのですか、短いのですか。9年というのは意外と長いですよね。
○障害者雇用対策課長
 健常者のデータはありますので、それも参照できるようにしておきます。全く同じ条件ではないと思いますが、そちらの方のデータのほうがまだしも揃っていると思います。
○丸物委員
 いまのデータというのは、平均とおっしゃいましたか。
○地域就労支援室長補佐
 はい。
○丸物委員
 私の所では、いま障害者を200人雇用しています。実際にはデータをつかんでおりませんけれども、イメージとしては長く勤める方は、15年でも20年でも勤めている。短い方は1年、2年で辞める。したがって、平均年数では実態が現れないかもしれません。
○今野座長
 二山の分布になるからね。
○丸物委員
 そうだと思います、経験から言うと。
○障害者雇用対策課長
 いまの雇用実態調査では、分散みたいなデータはなさそうなのですが、確認はしてみます。新しくやる調査で調べたものについては、これからやる話なのでそこもある程度把握できると思います。
○今野座長
 その雇用実態調査というのは、事業主対象ですよね。
○地域就労支援室長補佐
 はい、事業主対象です。5人以上の事業所に対する調査になります。
○今野座長
 そうすると、分布で質問するのは極めて困難ですね。1年未満何人とか、2年は何人とか、そうすると平均ぐらいでしかデータは取れていないかもしれないです。
○地域就労支援室長補佐
 元データを見てみます。
○海東委員
 実感としては我々も同じで、短い人は残念ながらすごく短いのですけれども、長い方は定年を迎えるまでおられる方もいらっしゃいますので、いまのはまさしく同感です。
○今野座長
 ついでにですけれども、正社員でもあまり変わらないのではないですか。二山なのではないですか。若いほうは3年以内でガッと辞めるから。
○海東委員
 一般的にはそう言われていますが、当社はもうちょっと長いです。
○今野座長
 そうですか、失礼しました。本日は議事次第にもありますように、最後は意見交換になっております。意見交換ということは何を言ってもいいということですので、ご意見をいただければと思います。
○田川委員
 精神障害者の就労支援はなかなかうまくいかないといわれており、就労移行支援事業所も実績ゼロの所が半分以上という状況です。我々の所は4年半になりますけれども約90名就職しました。退職した人が21名で、そのうち再就職した人が6名です。8割ぐらいの方が続けて仕事をしています。
 精神障害者の就労支援は難しいと言われるのですけれども、やってみたらそんなに難しくはない。やればできると思っています。うまくいかないのはいろいろな理由があるのでしょう。初めから諦めてしまっているとか、本気で就労支援していないというところもあると思います。私のところでいちばん問題と思っているのは、すでに就職した人が時々揺れますから、それをいかに支えるかということです。うちにはジョブコーチが4名いるのですが、ジョブコーチの動き方を見ると、3分の2ぐらいが、通常の就労前の支援、あるいは就労後6カ月を超えての支援です。6カ月過ぎた方にも飛んでいかなければいけないし、相談にやってくる人の相談にも乗らなければいけない。それで、やっと8割の人が就労を続けています。その部分について何か考えていかないと、就職はしたけれどもすぐ辞めてしまうことになる。精神障害者の場合、職業生活の継続への支援、その仕組みをしっかりと作っていただきたいと思っております。
○海東委員
 単純な質問なのですが、いまの障害者雇用率1.8%を決めている定義があります。仮に分子が増えたとき、精神障害を対象にしたときに1.8%というのはどのように変わるのですか。
○障害者雇用対策課長
 当然法定雇用率自体が上がることになります。
○海東委員
 それは、どのぐらいになるのですか。
○障害者雇用対策課長
 そこは計算されていないのでわかりませんが、上がるのは間違いないです。
○八木原委員
 先ほど田川委員からも出されましたが、定着支援がシステム化されていくというのはとても大きなことだと思います。特に企業の支援者と、外部の支援機関から入っていく指導者がうまく波長を合わせて、障害のある方を支援していくシステムがしっかりしていれば、何年でもということは可能だと思うのです。ただ、精神に障害のある方たちは非常に揺れる障害とも言われるように、継続してというのはなかなか難しくて、時には急に休んで1カ月間体調管理をさせてくださいというようなことも念頭に入れて、企業側では雇用されていくと思うのです。
 そういうところで、「企業は社会貢献しているんじゃないんだぞ」とよく怒られたりもするのですけれども、障害のある方たちの側から言えば、1日でも、1時間でも、2時間でも働くということは自分の能力というか、労働力を提供するということでは、彼らの社会貢献という意味では非常に大きなウエイトを占めているわけです。ですから、働きやすくしていく制度も、多様な雇用形態の中ではもう少し組み入れていただけるといいかと思います。
 20時間以上だとかでカウントされることになると、カウントというのは企業にとって0.5人から1人という形でメリットはあるのですが、本人たちは働いていても20時間以下だと何の貢献にもなっていないのではないかという、その辺が非常にジレンマとして残るのです。そこで提案なのですけれども、積算という形で。
○今野座長
 累積してしまおうと。
○八木原委員
 そうです。そういう形で障害のある方たちが、うまく相互で支援しながら働くほうが相乗効果も大きいし、単独で仕事をするよりも、むしろグループ就労のように、仲間がいることによってお互いに支援し合えるということでは、もう少し働くということが現実的になるかと思います。雇用形態のあり方をご検討願えればと思います。
○海東委員
 いまおっしゃった積算というのはどういうことですか。
○八木原委員
 1人の障害者が仕事をするときに、例えば週2日だったら大丈夫、ただし8時間はちょっと難しい。午前中とか午後、あるいは1日8時間は大丈夫だけれども3日間はとかいろいろあります。
○海東委員
 それを累積していく。
○八木原委員
 そうです。そういう形のものも加えていただけるといいかなと。
○海東委員
 柔軟性を持たせるような感じですね。
○八木原委員
 はい、そのように思っています。
○障害者雇用対策課長
 周回遅れの感はあるのですが、昨年7月の法改正で、それまで所定労働時間が週30時間以上だった人がカウントできるというのを20時間以上に下げました。その改正自体は、特に重度知的障害者、精神障害者が長い時間はなかなか働きにくいということを背景にしています。
 さらにそれより短時間となると、法定雇用率の世界には入ってこないのですけれども、委員の方々もご承知の制度だと思いますが、ステップアップ雇用という10時間スタートで、20時間まで段階的に上げていく、その上げていく過程を助成していく制度があります。ある意味で精神障害者は最初から長い時間働くことが難しいことを意識してやっている制度です。 
 最後におっしゃられた累積していくとか、グループ就労だとか、そこまでは至っていません。 逆に、なぜ20時間というところまでという点にこだわっているかと言われれば、障害者の安定した働く場が欲しい、ある程度きちんとお金を稼げる雇用の場が必要だという思いが我々としてはあります。ただ、一方で現実問題として、そんなに長時間働けないけれども、働くということは稼ぐということだけではなくて、生活の充実とか気持の問題として大事だということは論点としてはあろうと思います。
 そういうことで、いま現在は20時間まで落として、ステップアップ雇用のような、ある種異色な制度を入れたりということで、多様な雇用形態に一歩でも近づこうということでやっているところです。
○海東委員
 精神障害者の話が出ましたので当社の話をさせていただきます。厚生労働省のモデル事業ということで参画させていただいております。それまで精神障害者は若干名しかいなくて、実際にはいないに近かったのです。参画させていただいて、2カ年ほどかけて11名が雇用につながっています。いまのところ継続的に、まだそんなに年数経過はしていませんけれども繋げることができています。1つは覚悟だということをすごく感じました。我々は、そこに至るまでというのはほとんどなかったということなので、そこに思いが行っていなかったという部分が大きかったのです。
 1つのきっかけがあって、やってみようということになりました。入っていただいて、現場の中ではかなり苦労もありましたけれども、先ほど来お話をさせていただいておりますように、外部の方とうまく連携をとることによって、うまく働いていただけるように軌道に乗せていくことができました。あと、職場に刺激が出たというのが、我々にとってもすごくプラスの部分があったと感ずることができました。既存のメンバーが、自分たちの仕事がどんなに役に立っているのか、それがどんな意味を持っているのだとか、それを当人たちに伝えることによってそこで見出すことができるそれを教えていく中で、自分のやりがいをまた感じたとか、そういうプラスの部分もありましたので、雇用促進をしていくという観点においては、伝えていくことも1つ重要なことかと思っております。
○障害者雇用対策課長
 この研究会は夏まで予定していますが、その途中で高島屋さんも含めた精神障害者のモデル事業の報告ができると思いますので、それは委員の皆様方に還元していけると思います。
 いくつか出た中で、企業を支える体制の問題というのは、第3の研究会が「地域の就労支援の在り方に関する研究会」ということで集中的に議論しています。そこは、どちらかというと就労支援をする様々なプレーヤーの方々、障害者就業・生活支援センターとか地域職業センターは、それぞれ地元で地域づくりも含めた支援をされている方々です。加えて、特別支援学校の先生、福祉施設の方々といったオールキャストで議論するのが第3研究会ですが、そちらで議論はされます。
 ただ、今回の大きなテーマである精神障害者の問題については、企業を支える体制の問題と切り離せないと思います。必要があれば、第3研究会の検討状況をこちらにフィードバックしたりすることもあり得ると思います。逆に、こちらの問題意識も第3研究会に伝えることもあり得ると思います。この第3研究会は並行して来年の夏まで動きますので、オーバーラップする部分については、適宜調整をさせていただきたいと思います。
○今野座長
 海東さんの話について私の勝手なコメントなのですが、高島屋のような業界は、もともと短時間で働く、いろいろな時間帯で働く人たちをうまくつなげて仕事をしていく業界なのです。もしかしたら、現場にはもともとノウハウが少しあったのかもしれないです。それを、全部フルタイマーだけでやっている会社だと、短時間で入るときに難しいのです。したがって、もう少し頑張れるかもしれないです。余計なコメントでした。
○丸物委員
 私どもも、モデル事業として精神障害者を雇用させていただきました。若干ニュアンスが違うのですけれども、本音で言うと、企業は安定した戦力を求めます。銀行の事務を受託しております。営業の仕事みたいに、今月の目標をクリアしたら仕事時間を短縮しても関係ないということではなくて、常に8時間なら8時間、機械が動いている間はそれをやり続けなければいけません。そうすると安定して働ける人が欲しい、あるいは安定した戦力を張り付けたいのです。その点、身体障害者と知的障害者は精神の人とは能力的に差はあっても、安定した戦力として張り付けられます。精神障害者で辛いのは、ある日突然体調を崩し休んでしまう結果、そこに穴があいてしまう。
 1人だったらいいのですけれども、例えば3・11の地震の時や台風が来た時に、帰りの電車が 止まってしまってかなりショックを受けて体調を崩し、何人もゴソッと出てこなくなってしまったのです。そういうことからすると、精神障害者は企業にとっては扱いにくいのです。先ほど山田課長がおっしゃったように、ステップアップでだんだん慣れていってもらうことが大切です。能力的には高い方が多いので、企業としては何とかしてこの対策を考えなくてはいけないと思います。
○川崎委員(飯塚代理)
 自分の息子のことを考えますと、とても就職とか就労ということを考えられない家族なものですから、皆さんのお話を一生懸命聞いて、精神障害者に対しての雇用の面で応援していただけることは大変うれしく、頼もしく今後期待したいと思います。本人を見ていると、ちょっとした姿勢や言葉ですぐ傷付くという不安定さを抱えておりますので、雇う方の立場からすれば不安定で、雇用していくのに大変だと思います。症状を抱えながらも、働けるという実感があれば症状は改善されると言われておりますので、是非就労の先が広がって、精神障害者への配慮が十分に行われることを家族としては期待したいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○田川委員
 飯塚委員や丸物委員が言われたように、不安定なところはあると思います。しかし、それを何回か切り抜けていけば安定してくるし、力を出していけると思っています。よく精神科医がなぜ就労に首を突っ込むんだというようなことをよく聞かれますが、仕事の中でそうした波を何回か切り抜けていくと病状がとても良くなると実感しています。
 その辺りを少し長く見ていただければ必ず変わってくるのではないかと思います。その支援の在り方も、企業だけでやっていくのは、なかなかしんどい。先ほど八木原委員が言われたように、外の支援と企業の支援をどううまく噛み合わせていくかというのが1つ大切なことではないかと思うのです。
 仕事を継続するということで、去年だったか一昨年だったか自立支援プロジェクトで、通院者で、2年以上働いている人と、行ったり辞めたりの方のアンケートを取ったところ全部で250枚ぐらい集まりました。2年以上の方と、行ったり辞めたりの方の80~90枚ずつ比較したデータがありますので、もしよければ資料としてお出ししたいと思います。ジョブコーチの動き方が実際にどうなのかというのも、資料として出させていただけたら、何かの参考になるのではと思いますが、構わないでしょうか。
○今野座長
 もちろん。それでは事務局と相談していただいて、もしかしたら違う研究会でも役立つかもしれません。
○障害者雇用対策課長
 この研究会でも是非お出しいただきたいと思います。
○田中(伸)委員
 たぶんしゃべっていないのは私だけなので一言だけ。皆さんのお話を伺っていて、障害者権利条約というのが、障害者が社会の中で生きる、生活する権利を第19条に定めています。それで推進会議の意見や、総合福祉部会でもそのような方向で話がされております。私が少し危機感を持っているのは、これから障害者が社会の中へ出ていったときに、差別とか虐待というものがあるのではないか。差別はしないと、仲間には入れてやるけれども冷遇する。こういうのは、理解のなさがなせる業というところもあると思うのです。就労の場面で考えても私も少し経験があるのですが、最初入ったときに冷たい感覚を受けます。一体どこまでやれるんだ、お前は本当にできるのかという目を少し感じることがあります。
 そういうときに、いままでいろいろな委員の方からご意見がありましたように、その人を支える、周りの理解を図る中で、障害者自身も自分が役に立っているのだという自分の価値を見出していって、お互いが相互作用で良い関係がつくれていけるのだろうと。そういうことで就労の場面でも本人の支援と、その周りの環境の整備という両輪が必要かと感じております。そういう方向でこれからもよろしくご議論いただきたいと思います。
○八木原委員
 何でもいいということなのでもう1つだけ。資料4の2頁で「社会モデルの観点に立ち」ということで、私はこれを入れていただいたことを評価したいと思っています。障害のある方たちが仕事に行きます。精神に障害がある方たちの中には、社会の動きから二次的な障害をもつことがあります。
 これはどういうことかというと、例えば大きな事件がありました、新聞にいろいろなことが書かれます、そうすると障害があるということでは自分と同一視してしまうのです。もしかしたら、自分もそういう目で見られているのではないだろうか。自分はここを早く辞めさせられてしまうのではないかという不安が出てきてしまうのです。その不安を事前に察知して支援者の方で「大丈夫ですか」と障害のある方たちに話を聴くことはできるのですが、それがなかなかできない状況になってくると、そこで勝手に自分で辞めてしまう方たちがいます。
 本当は力を持っている人たちなのです、労働できる人たちなのですけれども、その二次的三次的なところで、自分でそう思ってしまうということで周りに相談できない人たちがいます。環境整備という点では、こういうところも含めて考えていただけたらと思っています。
○今野座長
 先ほどから障害者、特に精神障害者という話が出ていました。雇用の言葉でいうと労働力として不安定であるという話があります。日本の企業全体が置かれている雇用の問題というのは、実は社員全体が不安定労働力化しているということなのです。別に障害者だけではないのです。
 どうしてかというと、女性は育児ということで、長く働いてもらおうと思っていたら休業に入ってしまった、あるいはパートの人が増えるとか。全体的に日本の企業のマネジメントは社員の不安定就労化にいかに対応するか、というのが非常に大きな課題です。今回の障害者の問題もその中の1つなのです。もう少しいまのことを言い換えると、労働力の不安定化は、別に障害者だけではなくて、健常者、正社員もみんなそういう形になっています。それに対して日本の企業はマネジメントとしてどうやって対応していくのかを全体として問われていると思っています。海東さん辺りから反論があるかもしれませんが。
○海東委員
 全く同感です。ただ、そのレベル観みたいな部分が、健常者と障害者という部分で少し違うのかという部分があって、それをいかに均衡させていくかというのがポイントだというところがあると思います。
○障害者雇用対策課長
 お詫びしなければいけない点が1点あります。本来今回の研究会で、平成23年6月1日の新しい障害者雇用のデータをお出ししようと思っていたのですが間に合わなかったため、第2回の研究会でお示ししたいと思います。いま、本日お出しした資料で示されているデータは平成22年までのデータになります。
○今野座長
 皆さんの多大なるご協力によって、ほぼ予定どおりの時間になってまいりました。本日はこの辺にさせていただいて、次回以降の日程等について事務局からお願いいたします。
○地域就労支援室長補佐
 次回以降については、毎月1回程度のペースで開催することとしております。次回は12月になりますが、現在日程調整中ですので、決まり次第ご連絡申し上げます。それ以降の日程についても、別途ご都合をお伺いしておりますので、ご協力をよろしくお願いいたします。
○今野座長
 本日はこれで終わります。どうもありがとうございました。


(了)

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