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2011年4月28日 新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム(第3R)「保護者制度・入院制度の検討」に係る第4回作業チーム議事録

社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課

○日時

平成23年4月28日(木) 18:00~20:00


○場所

厚生労働省 専用第22会議室(18階)


○出席者

磯部構成員、岩上構成員、上原構成員、河崎構成員、久保野構成員、鴻巣構成員、
笹井構成員、白石構成員、千葉構成員、野村構成員、広田構成員、堀江構成員、
町野構成員、良田構成員

○議題

(1) 保護者制度について
(2) その他

○議事

○福田精神・障害保健課長 それでは、ただいまより、第4回保護者制度・入院制度に関する作業チームを開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、御多忙中のところ、御参集いただき、誠にありがとうございます。
 開会に先立ちまして、構成員の変更がございましたので、御紹介させていただきます。岩手県県央保健所長の六本木構成員が、この度の大震災の対応のために本作業チームへの出席が極めて困難という状況になりましたので、六本木構成員に代わりまして、新たに構成員をお願いいたしました。大阪府枚方保健所長の笹井康典さんでございます。よろしければ、笹井構成員から一言お願いできますでしょうか。

○笹井構成員 笹井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は保健所長の立場でございますので、保健所での経験あるいは地域の実情に基づきまして意見を述べさせていただきたいと思います。どうぞ皆様、よろしくお願い申し上げます。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。
 なお、新たな構成員の方もいらっしゃいますので、改めて申し上げますが、本作業チームは公開のため、作業チームでの審議内容は厚生労働省のホームページに議事録として掲載される予定ですので、あらかじめ御了解いただきますようにお願いいたします。
 また、本日は、白石構成員から少し遅れるとの御連絡をいただいております。
 なお、お手元、机上の方には町野構成員からの机上配付資料としてDVDをお配りしてございますので、後ほどご覧いただければと思います。
 それでは、ここからは町野座長に進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○町野座長 本日からの作業チームは、前回までの作業チームの議論の中で、現行の保護者に対する義務規定は原則として存置しないという方向性が示されたことを踏まえまして、第2クールといたしまして、今後、保護者の義務規定を廃止した場合に必要な措置について検討を行っていくこととしたいと思います。
 医療保護入院の問題は、その次の第3クール以降で議論することになると思われます。医療保護入院が実際上最大の難問であることは、構成員の皆様におかれましても十分に認識しておられるところだと思います。しかし、強制入院に当たっての保護者の役割、その同意の問題をどのように考えるかは、保護者の役割一般をどのように考えるかという、より広い背景から考えなければならないことは事実でございます。このようなことから、言わば外堀から本丸である医療保護入院の問題に迫るという順序で検討していきたいと思います。
 そのようなことで、まずは資料1に基づきまして、事務局より検討の進め方について説明していただきたいと思います。では、よろしくお願いします。

○本後課長補佐 それでは、進め方についてまず御説明させていただきます。
 お手元資料1をご覧ください。2月24日の検討チームのときに、先ほど座長からもお話がございましたとおり、現行の保護者に対する責務規定は原則として存置しない、退院請求のような権利にかかわるものは存置するという方向性について、基本的に一致をいただいたところでございます。同日の検討チームにおきましては、保護者に対する責務規定を削除するに当たり検討すべき課題を論点という形で提示させていただいております。
 2ページ目をご覧いただければと思います。大きなくくりでいきますと、医療に関する義務規定について、「治療を受けさせる義務」、「医師に協力する義務」、「医師の指示に従う義務」と3つあるわけでありますけれども、作業チームで十分に整理できていない論点として3つ挙げております。
 1つ目は、本人が治療を受けることによって、早期に回復できるという利益を保護しているとも考えられる。そういう本人の利益を何らかの形で保護する必要があるか。あるとすれば、どのような形で保護するかということで、治療にアクセスする権利、そういったものをどう保障するかが第1点。
 それから、第2点目は、保護者が本人の診療にかかわることができることが前提になっているけれども、こういった規定を削除したときに、保護者が診療にかかわらなくてもいいとか、そういった話になってしまうのではないか。診療における保護者、特に家族の立場を何らかの形で位置づける必要はないかということが2点目でございます。
 3点目は、医師の指示に従う義務について、本人の意思に反するような治療行為の在り方について検討する必要があるのではないか。とりわけ本人の同意を得ない入院の後の治療行為に対する同意をどうするかということについては論点になろうかと思います。閣議決定による強制医療介入の問題があるということでございます。
 それから、2番目として、財産上の権利を保護する義務につきましては、現行民法の制度が存在する中で、財産上の利益を保護すべき人としてどんな人が想定されるか、あるいはどういうふうにして利益を保護するべきかということをもう少し丁寧に整理すべきではないかということ。
 3番目といたしましては、措置入院者の引き取り、あるいはその際に相談、必要な援助を求める権利ということであります。ここに関しましては、措置入院について、身寄りのない方がいることも踏まえると、退院後の調整を何らかの形で行う必要があるのではないか、あるとすれば、誰がその責任を負うべきか。それから、退院後の受け入れ先に関して問題になるのは、措置入院に限ったことではない。医療保護入院も含めた広い場合の調整といったことをどう考えるかが論点として挙げられております。
 退院請求・処遇改善請求につきましては、権利擁護として必要な規定ではあるけれども、請求できるのは選任された1人の保護者に限定されている。他の保護者になり得る人に拡大する余地があるかどうかということも検討すべきではないか。こういった論点が十分整理できていない事項として挙げられております。
 1ページ目にお戻りいただきまして、2つ目の丸ですけれども、これからの作業チームはこれらの事項について御検討いただくということにしたいと思っております。これから3回、本日が第4回の作業チームですので、事項でいうと2番、3番、4番、財産上の利益、それから、措置入院者の引き取り、退院請求等が本日御議論いただく内容。次回が、医療に関する部分の2つ、精神科医療における保護者、主に家族の役割、入院時の強制医療介入の在り方、これが御議論いただく内容。その次が、治療へアクセスする権利の保障の在り方といった順序で御議論いただきたいと考えております。この治療へアクセスする権利の保障の議論をする際には、恐らく入院制度ともかなり密接な関係を持った御議論をいただくことになるであろうと思っております。この3回を第2クールといたしまして、検討チームの方に論点を提示するという形で進めていきたいと考えております。

○町野座長 どうもありがとうございました。
 具体的な問題についてはこれから先に検討するということになりますが、今の事務局の御説明につきまして、何かここで御質問等ございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、具体的な検討に入りたいと思います。資料2をご覧ください。先ほどの事務局からの今後の検討の進め方の説明にありましたとおり、本日の検討テーマとしては、「1.財産上の利益の保護」、それから、「2.措置入院患者の引き取り等について」、「3.退院請求・処遇改善請求について」、それぞれ論点等が示されております。各テーマごとに、まずは事務局から説明していただき、それぞれのテーマごとに御議論していただきたいと思います。
 それでは、まず「財産上の利益の保護について」、事務局より説明をお願いいたします。

○本後課長補佐 それでは、お手元の資料の6ページをご覧ください。「財産上の利益の保護」というところでございます。ここは現行の規定でいいますと、22条の第1項、保護者は精神障害者の財産上の利益を保護しなければならないという、この規定に関する部分でございます。
 まず、現状の整理をしております。財産管理の具体的な内容としてどのようなものが考えられるかですけれども、主として精神障害のある方の財産管理の内容については次のものが考えられるということで挙げております。まずは、日常的な金銭管理。これは日用品の購入ですとか、医療費の支払い、そういったことがあります。それから、年金手当などの受領に必要な手続。これは役所で戸籍を発行してもらったりとか、そういった手続になります。年金証書、通帳などの保管。誰かに、どなたかにそれを預かってもらうという行為。所有財産の処分。入院時の家具などの処分ですとか、退院するときにお部屋を少し整理するといった話でございます。預金の払い戻しですとか、解約といったものもあります。あるいは不動産その他重要な財産に関する権利の得喪。ここの預金の払い戻し、不動産などの重要な財産に関する権利の得喪については※印をつけております。通常、民法第13条第1項に列記されている行為に当たるということですけれども、民法第13条第1項では、やや重たい財産管理につきましては、保佐人あるいは補助人であれば取り消し得る、あるいは同意が必要な行為として類型化をされている行為でございます。後ろの2つはそういった行為に当たると考えられるものでございます。
 次に、こういった財産管理を行う上で保護を必要とする精神障害のある方はどういった類型があるかということで整理をいたしております。まず、病識のない方も含めまして、精神障害があるからといって、財産管理を行う上で判断能力を欠いているというわけではない。これが大原則であります。判断能力の有無は個人の状況に応じて判断される必要がある。具体的に言いますと、おおむね判断能力が十分にあると考えられる、あるいは判断能力があるものの、大丈夫かなということでやや不安を持っている方、それから、ここからが成年後見制度の対象に該当するものですけれども、判断能力が不十分、判断能力が著しく不十分、判断能力に欠けている。この後ろ3つは民法上の定義の言葉でございます。
 おおむねこういった分類をすることができると思いますけれども、これらの方々について、判断能力に応じて様々な制度が用意されております。様々な制度といっても、民法の中で類型が分かれているということでございます。1つは、不安があるケースも含めて、御本人に判断能力がある場合ですけれども、全ての財産管理について、これは本人の意思に基づいて行われるということが原則でございます。本人の判断能力に不安がある場合につきましては、主に基幹的な市町村社会福祉協議会、市町村社協が主体となって実施されております日常生活自立支援事業、様々なサービスを利用するときですとか、金銭管理のお手伝いをするサービスですけれども、こういったものを自ら契約をすることによって使うことができることになっております。判断能力が不十分な場合、上でいうと、(マル3)、(マル4)、不十分、著しく不十分の方につきましては、本人の意思に基づいて行われることが基本でありますけれども、先ほどの民法第13条第1項に規定する行為につきましては、保佐人あるいは補助人の同意が必要、あるいは取り消すことができるということで権利を擁護する仕組みとなっております。また、本人が同意した上で、申し立ての範囲内で家裁が審判する行為については、保佐人・補助人が代理権を持つこともできるという形になってございます。先ほどの日常生活自立支援事業につきましては、こういった方でも利用することは可能となっております。判断能力に欠けている場合は、これは全ての行為につきまして、後見人に代理権が与えられるということになります。ただ、日常生活に関する行為につきましては、後見人であっても取り消すことはできないという形になっております。判断能力が十分ではない精神障害の方の財産管理を行うに当たっては、今、御説明したような成年後見制度などを利用することが必要となるということでございます。
 ただ、後見人・保佐人・補助人でない御家族が行う場合が現実には当然あるわけでありますけれども、そういった場合には、何らかの紛争が発生した場合に初めて問題が顕在化することが多い。例えば悪質な犯罪、販売業者から高額な買い物をしてしまう、そういった場合に初めて顕在化することが多い。あるいは不適当な財産処分などの問題がそもそも顕在化しにくいといった点はございます。例えば家族の間で使い込みがあるといった場合にはなかなか顕在化しにくいということがございます。なお、精神科の医療機関に入院している患者さんにつきましては、その医療機関が行う管理預かりサービスを、実費を支払うということで利用されていることもございます。
 以上のことをまとめましたのが18ページにございます。18ページの上段と下段に今の内容をまとめております。上段ですけれども、「精神障害者の財産管理等に関係する行為について」ということで、右側の判断能力が「十分にある」という状態から「欠けている」という状態まで、勿論、間は、ボーダーラインはありますけれども、一応分けたところ、「やや不安がある」というところについては日常生活自立支援事業でカバーされる、判断能力が「著しく不十分」あるいは「不十分」という方は、民法第13条第1項に該当する下の3つの行為については、同意権・取消権が付与される。それ以外の行為については、同意権・取消権はないものの、御本人が同意し、審判を受ければ代理権が付与されるという形でカバーされている。判断能力に「欠けている」方については、まさに後見制度という形でカバーされるということで、制度上はカバーができているということでございます。
 その下ですけれども、保護者など、後見人になっていない御家族などが支援を行った場合の位置づけについて少し整理をしてみますと、判断能力が「十分にある」あるいは「やや不安がある」、あるいは日常的な金銭管理、これらについては、本人の意思に基づいていれば特段の問題はないことになりますが、御家族が何らかの形でお手伝いをしても、御本人の意思に基づいていれば特段の問題はないということになります。「不十分」あるいは「著しく不十分」という方について見ますと、御本人の意思に基づいていれば特段の問題はないわけでありますけれども、御本人の不利益と言えるような行為を予防する観点からは成年後見制度の利用も可能という形でございます。あらかじめそういったことでトラブルが起こらないようにという意味で制度は用意されている。
 それから、民法第13条第1項に該当するような行為につきましては、本人の意思に基づいて行われていれば、通常は問題は顕在化しない。ただ、本来は後見制度を利用することが望ましいという類型になろうかと思います。判断能力が「欠けている」という場合につきましては、本来的にはやはり後見制度の利用が必要になりますが、本人の意思確認が困難ではありますものの、善意に基づいて本人の生活を支えるために御家族が行われていることは多いであろうということでございます。
 もう一度、資料の8ページに戻っていただきますと、「検討が必要な論点」というところですけれども、今まで御説明をしたとおり、いずれの判断能力の状態にあったとしても、制度的には御本人の判断能力をカバーしながら財産管理が行われる仕組みは用意されている。保護者による財産上の保護の規定を削除したとしても、精神障害者のみを対象にした新たな仕組みをつくる必要はないのではないかということが論点の1つ目でございます。 一方で、判断能力が十分ではない精神障害者については、問題は顕在化していなくても、先ほど御説明したとおり、本来成年後見制度を利用すべき財産管理も存在するということで、その利用を促進することは必要ではないかということでございます。具体的には昨年12月に成立しました障害者自立支援法の改正法の中で、成年後見制度利用援助事業、これは鑑定の費用ですとか、成年後見を利用するときの料金を補助する事業ですけれども、市町村の必須事業とされたということがありますし、こういったことに加えまして、今、国会に提出されております老人福祉法の改正法案の中に、成年後見制度に関する人材育成について盛り込まれております。これは主に市民後見人を念頭に置いたものでありまして、そういったものについて精神障害者についても検討すべきではないかということが論点の2つ目でございます。
 参考資料でいきますと、21ページをお開きいただければと思います。ここの上の段ですけれども、「成年後見制度利用支援事業」について説明を付けさせていただいております。地域生活支援事業という、市町村が主体となって柔軟性を持って行う様々なサービスメニューの中の1つのメニューになっておりますが、これを平成24年4月1日から市町村の地域生活支援事業の必須事業にするということになった。これがさきの12月に成立しました自立支援法の改正法の中で決められたことでございます。「事業の具体的内容」のところですが、成年後見制度の申し立てに要する費用、鑑定費用ですとか、登記手数料、それから、後見人などの報酬の全部又は一部を助成するといった事業になっております。まだまだ実施しているところは限られておりますが、伸びてきていることは確かですので、必須事業化とともにより使いやすくなることが期待されているところでございます。
 それから、市民後見についての資料も参考で載せさせていただいております。23ページをお開きください。23ページの上の段は、介護保険の見直しの議論を社会保障審議会の介護保険部会の中でやっていたときに、様々な提言があるということで載せていた資料でございます。こういった議論を基に、この23ページの下の段でございます「介護保険法等の一部を改正する法律案」というものが、今、国会に提出されておりまして、審議を待っている状況でございます。この4番目、「認知症対策の推進」というところに、「市民後見人の育成及び活用など、市町村における高齢者の権利擁護を推進」といったことが書かれております。
 具体的には24ページの上の段に改正の条文を載せておりますが、仕組みとしては24ページの下の段を念頭に置いているようでございます。まず、市町村が実施機関、これは社協であったりすると思いますけれども、実施機関に市民後見人の養成の研修を依頼する。実施機関で研修を実施いたしまして、研修修了者の名簿を市町村に提出する。それを市町村が家裁に候補者の推薦という形で名簿をお渡しする。実際に後見人が必要な方が出てきたら、その名簿の中から家裁の方が市民後見人を選任するといった手続を念頭に置いているようでございます。通常、成年後見制度に関しましては、老人福祉法、それから、精神保健福祉法あるいは知的障害者福祉法、その中で並びで規定を設けられることが多い原則になっておりますけれども、老人福祉法のここの条文に関しましては、今回は精神保健福祉法の中ではこういった規定は設けておりませんので、市民後見人の活用といったことを精神障害の分野でどう考えるかが1つの論点になるだろうということでございます。
 なお、その隣の25ページの上の段、「日常生活自立支援事業について」の資料も載せさせていただいております。一番下の箱ですけれども、「利用者との契約に基づいて、福祉サービス申請の助言や同行、サービスの利用料の支払い、公共料金の支払い等の日常的金銭管理等を実施」するということで、こういったことを基幹市町村社協などで行っているということでございます。まさにこれは様々な行為をお手伝いするといった位置づけになりますので、代理権とか、そういったものに基づくものではないわけですけれども、支える制度としてはまだまだ足りないところはありますが、制度としては準備されているというところでございます。
 説明については以上でございます。

○町野座長 ありがとうございました。
 精神障害者の財産の保護のためには、現行法及びこれを発展させていく、日常生活自立支援事業、更には成年後見制度の利用促進という国の方向に沿って行われることができるのであり、特別の制度を考える必要はないのではないかというのが事務局側からの御説明でございました。ただいまの説明を受けまして、御意見がある方の発言をお願いいたしたいと思います。専門家の意見として、後で民法が御専門の久保野構成員に発言を求めるということになると思いますが、まずは御自由に御発言ください。恐縮ですが、これまでと同様、発言の時間を5分以内にということでよろしくお願いいたします。では、どうぞお願いします。

○野村構成員 野村といいます。財産の保護に関しては、家族と後見制度と両方が財産管理・保護にかかわれるようにすることができないかと思っております。
 それから、後見制度を利用する場合の費用があまりにも高過ぎて、本人が負担できないので、これは公費で負担する方向に変えていくべきだと思います。
 精神科の病院に入院中にお部屋と所有物が処分されてしまうことが大変大きな問題ですので、これの保管に関して、あるいは部屋を借り続けられる期間ですけれども、今は6か月くらいになっておりますが、本人が退院する意欲を高めるためにも、もう少し長く置いておく方がいいのかなと思いますことと、部屋の中にある所有物も、仮に部屋が解約されたとしても、それはどこかで本人が退院するまで保管できないものであろうかということを考えております。
 以上です。

○町野座長 今の点について、事務局の側から何かコメント等ございますでしょうか。

○本後課長補佐 成年後見制度を公費で負担するという部分につきましては、今、ちょうど説明の中にありましたけれども、まだまだ利用が限られているところ、実施されていない市町村もありますものの、成年後見制度利用援助事業といったものが一応制度化されておりまして、その中で必要な方、勿論財産をお持ちの方もおられますし、高額の所得の方もおられますので、みんな公費ということはなかなか難しいとは思いますけれども、必要な方についてはそういったサービスがこれからもっともっと増えてくることが期待されるというか、求められるところであろうと思っております。
 それから、お部屋を解約するときの所有物の保管に関しましては、これは本当に様々なケースがあるだろうと思います。実際にこれは御本人にどういった形で同意をとるのかというのは難しい、いろいろなケースがあると思いますけれども、例えばそのお部屋にあるものを保管できるぐらいにまで、処分すべきものは処分することも、ときには必要となってくる。今日の資料で御説明しましたけれども、処分するという行為が法的にどういう位置づけになるのか。基本的には御本人の意思に基づいてやられているということであれば、そこにはやはり処分も認められるであろう。これは例えば保佐人とか補助人をつけなければならないケースであっても、やはり本人の同意が原則になければいけないということになりますので、ある意味フィクションになるようなところもあるかもしれませんけれども、そういったところで御家族の中で話し合い、あるいは様々な形で担保していくことは手続的には考えられるのかなと思っております。一律に物をそのまま移して保管するという制度が制度としてできるかというと、一般的には非常に難しいと思いますので、それが権利・義務という関係上、どう整理するかということになりますと、今、御説明したような整理になるのかなとは考えております。

○町野座長 それでは、広田構成員。

○広田構成員 1つは、7ページ目の一番上に「病識」という言葉が出てくるんです。私は、病識というのは、自分が精神障害者の世界に入って、患者会活動に入って初めて知った言葉なんです。去年、私の恋愛をみんな周りじゅうが大騒ぎして3か月間具合が悪かったんですけれど、私はこれまで海外に行けばストレスが発散できたから、対馬から韓国に行って帰ってくれば、異文化だからまた治るだろうと思って、医者に行くのを遅らせたら胃潰瘍だったということで、まさに胃潰瘍の病識がなかったんです。そういう恐れはありますよと医者に聞いて、安心しないでくださいみたいな形で言われて、私はアイルランドに行ったときには仲間に自殺されたストレスが解消されたし、サンフランシスコに行ったときはこうだったと思い出して行ったから、病識がないという言い方を胃潰瘍でしませんから、病気の自覚がないとか、そういう言い方をしないと、いわゆる精神の特別な言葉ですから、これはやめていただきたい。別に患者という立場ではなくて、やめていただきたいということです、1つは。
 それから、私は保佐人をやっているんです。ときどき隣の東京家裁ですか、そこに来て、まさに家族同士の財産の奪い合いで、精神障害者手帳2級の人と結婚した1級の女性の保佐人です。ここでるる厳しい発言をすると嫌がられる専門家がたくさんいらっしゃるんですけれど、私は何を保佐するかというと、彼女の財産が損しないような保佐ではないんです。彼女の自己決定権を保佐しているんです。ですので、9ページ目のところに出てきますね。「成年後見制度に関する人材育成等」と。どういうふうな人材が私たち精神障害者にとって必要かといったらば、本人になり代わって本人の利益だと勝手に専門家が判断するのではなくて、あくまでも御本人がこうしたいという思いが出やすいようにやっていくのが保佐人の務めです。お金がないから裁判を起こして、今度裁判になりましたから、私は証人で出るらしいんですけれど、そういうような交通費も一切もらえませんから、私はここでいただく必要経費ですか、厚生労働省と内閣府からいただくお金を生活保護に収入申告する際、保佐人で使った交通費も必要経費で落としているという活動をやっています。そういう形でぜひ専門家の方には御本人の自己決定権が促されるような保佐人というか、成年後見であっていただきたいということが1点です。
 それから、医療機関の方には8ページ目です。「なお、精神科医療機関へ入院中の患者については、その医療機関が行う管理・預かりサービスを利用する場合もある」とありますけれど、この利用がつまり患者にとってのありがたい利用ではなくて、病院の管理上ということで、例えば病院の売店などで物を買うときに、現金を渡さずに何か券を出しています。そうしますと、そういう習慣が長いことつくと、例えば仮に社会的入院になって退院するときに、とても買い物ができないという状態がありますから、ここは病院側も人手がないから人手をつけなければいけないとか、いろいろ出てくるかもしれませんが、入院している患者が1人の市民として、1人のその人の年齢にふさわしい人格とか、そういうものが保障される形の現金を是非出していただきたい。そして、現金でおつりをもらってという形の買い物の仕方をしないと、本当に浦島太郎や浦島たろ子になっていると思いますので、そこは患者の人権に配慮した、なるべくこういうサービスを使わないでもいいようなやり方を考えたいです。ぜひそこをお願いしたいと思います。
 以上です。

○町野座長 ありがとうございました。
 他にございますでしょうか。お願いします。

○千葉構成員 千葉でございます。2点あるんですが、成年後見がなかなか進まない理由は費用の問題も確かに大きいわけでございまして、実際に後見のための仕事をなさっている方々にしてみれば、生活の時間を割いてやっておられるわけですから、それはフィーが生じても当然だろうと思うんですが、その部分を負担するということになると、様々なランクがありますけれども、やはり高い職種の方もあったりして、なかなか使い勝手が悪いといいますか、払うことができないという問題があろうかと思います。その辺のところは野村構成員がお話ししていただいたような、何らかの形での補助といいますか、補てんといいますか、あればもっと進むだろうなと思うところです。
 それと、もう一つは、個人後見ではなくて、法人団体が後見人として、法人後見ができるようなことがなかなか進まないというような状況があるかと思います。1人で1人の本人を支えていくとなりますと、後見人の方が何か事故があった場合とか、病気になったといった場合にどのように支えていくのかというような問題もありますし、ある程度チームといいますか、団体で行けるような形をもっと進めるのがいいのか、あるいはそれにはそれなりの問題がいろいろあるのかというようなこともお聞きしたいと思います。特に相談事業者等が実際になるのも道の1つかと思うんですが、利益相反行為ということでいろいろと難しい問題もあると聞いていますので、その辺もできたら教えていただきたいと思います。
 追加ですが最後に、先ほど病院での預かりの話が出て参りました。基本的に病院では預り金として本人からの意思で預かるということで預かりをさせていただいて、それの処理を適正にすることということで厳格に監査等も受けながらやっているわけですけれども、これが病院側にしてみますとなかなか負担でございまして、できればしたくないというのが実際のところの実情ではあると思います。ただ、それに代わるようなものが何もないがゆえに、毎日の御本人の、入院されている方等の金銭の実際の使途がうまく回らないということになります。一々日常の何円という、例えばお菓子の1個までを、他の組織で判断していただいたのでは回らないのはよくおわかりかと思いますが、その辺のところはどうなのかということと、病院で一番困るのは、御家族の方が年金や生活保護の通帳を管理されていて、実際にそのままそこで自分たちの生活費としてお使いになっていて、御本人様の利用使途になかなか行かない場合が割に頻繁に見られたりして、その場合に病院側の方としてはその御家族と折衝するのが非常に苦痛といいますか、重労働に感じている部分です。ですから、その辺のところもやはり問題があるのかなと、現場でやっていて思います。
 また、さっきの具体的な管理の内容の中に、遺産の相続権の問題もあるんです。ちょっと足しておいていただきたいんですが、御両親等が亡くなられた場合に本人に遺産の相続権が生じるわけですけれども、その辺のところもなかなかうまくいかないといいますか、相続者の方々が本人のところに来て、遺産相続の放棄の書類にサインさせるとか、それを我々の方としてはどうも止めるすべがないといいますか、部外者になってしまうわけで、まずいだろうなと思いながらもなかなかそういうことに対して口が出せないことがあります。そういったような部分の権利擁護といいますか、それはどこに行けばいいのかというような問題があろうかと思います。
 以上です。

○町野座長 どうもありがとうございます。随分たくさん、まとめて後で久保野先生にお願いするかもしれませんけれど、では、どうぞ、河崎さん。

○河崎構成員 日精協の河崎です。今回、先ほど事務局の方から、この「財産上の利益の保護について」というところの整理として、1つは成年後見制度、そして、もう一つは日常生活自立支援事業、この辺りをうまく活用するようにしていけば、保護者の方のいわゆる利益を保護しなければいけないという義務規定は削除してもいいのではないかというような御説明だったと理解したんですが、そういうふうに考えるに当たっては、先ほどから幾つかの構成員の方がおっしゃっているように、成年後見制度が果たしてどれだけ利用されているのかという問題と、それと、日常生活自立支援事業にしても、25ページのデータを見させていただいても、21年度末の実利用者数が3万2,000人程度でございます。これはやはり十分にこういう制度が活用されているとは言えないと思います。そうしますと、現状のこの制度をどういうふうに利用しやすくしていくのかということを、この検討作業チームの中で1つのテーマとして考えていくべきなのかというのが1点あろうかと思います。
 それと、もう一点は、先ほど千葉構成員が御説明していただいたように、我々民間の精神科病院の立場からしますと、本当に入院患者様の金銭的な問題、それを我々が管理しなければいけない状況になってしまっているということを、早くいい意味で解決してほしいと思うんです。先ほど広田構成員の方からも御発言がありましたけれども、多くの精神科病院の入院中の患者さんで現金として自己管理なされている方も多数いらっしゃいます。それは個々の病院によってデータが違うのかもしれませんが、私は自分の実感とすると、大部分の方は自己管理していただいていると思っています。しかしながら、中には金銭面で自分で管理するということが難しくて、かつお金の使い方そのものに問題があるので、それは病院側で管理させていただいて、それに対して実費負担というような形もあり得るんですけれども、その際でもやはり本来は我々病院が管理するのではなくて、どこか第三者的にそういう部分も含めて管理してもらうとしていっていただくのが、いわゆるあらぬいろいろな嫌疑を生ずるようなことがなくなって、その方が絶対ハッピーなんだというようなことだけは強調したいなと思います。

○町野座長 ありがとうございました。
 では、お願いいたします。

○岩上構成員 岩上でございます。今までの議論と同様ですけれども、まず、前提として、内閣府が行っている障がい者制度改革推進会議で障害者基本法改正に当たって様々な意見を作業班の方が出された際に、厚労省の方で議論しているのでということで回答が出ていたと思います。だとすると、ここの議論もかなり権利条約批准に向けたというか、そういうことを考えながら議論しなければいけないのではないかと思います。財産管理の問題については、基本的には厚労省の案と皆さんがおっしゃったようなサービスを使えるということでよろしいかとは思いますが、成年後見制度自体に問題を抱えているということを常に論点として挙げていかなければいけない。それをここで解決するのは難しいと思いますが、成年後見制度があるからいいんだという議論で終わりにしてしまうのは問題がある。1つは選挙権の問題もございますし、もう一つは、入院の同意が現在のままでは第一位で後見人が同意できる。後見人が同意していながら財産も管理する。そこに矛盾が生じていると思うので、そういう問題が論点としてあるということを明記していただきたい。あとは、あまりここでこういう問題を抱えているから、保護者制度は変えられないとなってしまうことはおかしいことなので、論点としては残してはおくけれども、進めていっていただくのがいいと思います。
 以上です。

○町野座長 ありがとうございました。
 では、久保野構成員、何かございますでしょうか。

○久保野構成員 いろいろな議論が出ましたので、それに全て応接してという形ではございませんけれども、今、出ましたような成年後見制度自体の問題に注意しなくてはいけないという御指摘は、それはそれでもっともでございますけれども、他方で、8ページの結論で書かれているように、制度の必要性がどこにあるかという認識を深めることもまだまだ必要だということがあろうかと思います。
 1つ、既に出た、先ほど来、精神病院で預かっているというのは必要があってしているけれども、それはそれで困難があるという御指摘はもっともだと思います。一方では、乱用する財産管理者がいるので監督しなくてはいけないという問題があり、他方では、善意でやろうとすれば、人様の財産を預かることがどれだけ困難かということがあるわけであります。保護者制度との関係でいえば、やはり本人と本人の財産を保護する人という二者関係に加えて、第三者機関が存在することが制度として重要であって、それが成年後見であり、あるいは日常生活自立支援事業、これが今日出てきているのが重要だと思います。日常生活自立支援事業にも恐らく改善点はあろうかと思いますが、社協というバックアップ機関がいて、その下で援助者が行動できるということの重要性です。したがって、精神病院の預かり制度についても、それがあるから問題はないとは言えないというあたりはとても重要なのではないかと思います。
 もう一つ、保護者制度と比べたときの成年後見制度の違いという点で、資料の8ページで上から10行目辺りでしょうか、白丸が書かれているところで、先ほど本人が例えば悪質な業者に不当な取引をさせられたというような問題を防止することが制度の目的になっているというお話がありましたけれども、ここは若干整理が必要なところです。これは家族等が財産管理を行っているから出てくる問題ということではなく、家族等が財産管理を行っていても防げない問題ということでありまして、本人が何かするのは勿論できるわけですけれども、そのときにあまりにも不当なときに後で取り消しができる、不当といいますか、被害に遭うようなことをしないように、同意しないとできないというふうにして守ってやることが重要でありまして、それは成年後見のような仕組みでないとできないという確認も必要かと思います。
 2点目としまして、利用の促進が必要だという点に関して、様々な既存の事業を御紹介いただきました。まず、費用との関係で成年後見制度利用援助事業でしょうか、これは注目に値すると思いますが、費用に着目しているがゆえに、多分身内のいないときということになっているように御紹介があったと思いますけれども、その辺の限界があろうかと思います。あと、人材育成につきまして、市民後見人というのがあるからいいと、市民になってもらったらいいぞ、こういう表現はちょっとよくないですけれども、後見人が不足していることは確かだと思いますが、市民後見人を育成すればいろいろな問題が解決すると見ていくことは、これはこれでちょっと慎重である必要はあるかなと思います。
 それとの関係で、より根本的には今日の資料で福祉サービスとして地域生活の支援に重点を置いていって、相談事業を充実させるという流れにあるわけですから、その中で地域で生活するにはお金の管理ですとか、お金を使うことは当然必要になってくることで、その保護が必要なのだということが、常に地域生活支援の基本セットの中で認識されることがとても重要なように思っております。日常生活自立支援事業が思ったほど使われていないのではないかという先ほどの御指摘がありましたけれども、同事業が地域生活の支援を行っていく中で必ず認識されて、同事業が必要ないかどうかというのを退院時に必ず福祉の専門家の方がチェックするということが当たり前になっていくことが求められているのではないかという点が1つ。それがされますと、成年後見制度という一見敷居が高い制度にもつながっていきやすいのではないかと思います。
 もう一つ、費用についてですけれども、野村構成員から御指摘のあった、家族がやる場合との関係につきましては、家族の方が後見人に就任する可能性があるわけであります。恐らく第三者機関がついていてくれた方が、家族も、例えば住宅を処分しなければいけないんだけれども、自分の判断、家族の判断だけでしてしまっていいのだろうかというときに、家庭裁判所と相談しながらできるということもありますので、そういう利用の仕方があり得る。しかも、報酬は専門家に頼むと高いわけですけれども、家族の場合は報酬なしというようなこともあり得るわけですので、その辺の整理といいますか、成年後見制度は費用が高いケースばかりではないという認識も重要かなと思います。ただ、専門家に頼む場合は費用がかかることは確かでありまして、この点は先ほどの繰り返しになりますが、地域生活支援を福祉制度で図っていくというのであれば、そのときに当然必要となってくる財産管理あるいは取引の支援にかかる費用をある程度事業化するといいましょうか、福祉サービスの中で図っていくということが目指されなければならないのではないか。ちょっとこの辺はやや専門を外れた発言になっている部分もございますけれども、そのような形まで考えていく必要があるように思います。
 以上でございます。

○町野座長 何かちょっとむちゃぶりのような、何もかもお願いしたようなことですけれども、かなり問題が整理されてきたという具合には思います。とにかく本人の権利の保護という観点では、これは成年後見だとか、そういう第三者的、それが入らなければどうしようもない。ただ、やはりその場のいろいろな物を片づけたりとか、処分したりとか、その範囲のことについては、恐らくは現状のままで大丈夫なんだろう。ただ、やはりそれをする方の人間、例えば病院などについて見ると、これは何とかしてほしいというあれがありますから、ある範囲でのルール化がもしかしたら必要になってくるのかもしれない。そうすると、これは大丈夫だ、これはちょっと具合が悪いというのがある程度出てくるのではないのかなと思います。
 いずれにせよ、これは前回から出ておりますように、情理でという話が1つと、それ以上にプラス本人の権利保護のためには成年後見だとか、そういう公的な制度を利用するという方がどうしても必要だということだろうと思います。
 他にございますでしょうか。
 それでは、次の話題に入ってよろしゅうございましょうか。「措置入院患者の引き取り等について」というところでございます。まず、事務局より、この点をまた御説明をお願いいたします。

○本後課長補佐 それでは、続きまして、「措置入院患者の引き取り等について」というところについて御説明させていただきたいと思います。資料でいきますと、10ページをお開きください。これは現行の規定でいきますと、「回復した措置入院患者を引き取る義務」(第41条)ですけれども、保護者は退院する者を引き取り、かつ病院の管理者の指示に従わなければならないといったこと、それから、22条の2といたしまして、41条の引き取り義務を行うに当たり、必要があるときは当該精神科病院若しくは指定病院の管理者又は病院若しくは指定病院と関連する障害福祉サービスに係る事業を行う者に対し、相談し、必要な援助を求めることができるという規定でございます。基本的には41条、それから、22条の2、一連措置入院の退院に関する規定でございます。
 「現状の整理」というところですけれども、措置入院に関する入院、それから、退院の手続が現在どうなっているかということでございます。措置入院は、入院させなければ自傷又は他害の恐れがある精神障害のある方に対して、精神保健指定医2名の診断が一致した場合に、都道府県が措置するというものでございます。措置入院に当たりましては、都道府県職員、これは保健所の職員ですけれども、による事前の調査、それから、精神保健指定医2名による診察、その診察の際の都道府県職員の立ち会い、措置入院のための移送といった手続が法律あるいは関係の通知において定められているところでございます。措置入院を行う際、開始するときの都道府県職員の関与が具体的に定められているということでございます。
 一方で、措置入院中、入院した後の患者の権利・利益を擁護する主体は都道府県知事である。これは第41条の趣旨からしてもそういうことになると思いますけれども、入院中の権利擁護する主体は都道府県知事であるということ。それから、入院措置の解除を行う主体も、これも都道府県知事であるということにもかかわらず、入院中あるいは退院時における都道府県職員の関与の内容については、必ずしも具体的には示されてはいないという形になっております。
 それから、医療保護入院における入院あるいは退院の手続につきましては、医療保護入院は、入院を必要とするものの、自傷・他害の恐れはないが、任意入院を行う状態にない方について、精神保健指定医の診察と保護者の同意により入院が行われるということになりますので、手続上は都道府県が入ってこないものでございます。したがいまして、入院時の手続としては、この指定医の診察、保護者の同意の他には、入院後の都道府県への届出が定められているのが1つと、逆に退院時にも都道府県への届出が定められている。これのみが定められているということでございます。
 一方で、障害者自立支援法の改正によりまして、入院中から退院するというところに際しましては、新たなサービスの類型が追加されております。1つは、施設への入所中あるいは病院への入院中から地域生活の準備あるいは外出への同行支援、それから、住居の確保の支援などを行うサービスとして、地域移行支援というサービスが新たに類型として設けられております。同様に、施設からの退所、病院からの退院後に24時間の相談支援などを行う地域定着支援というサービスが新たに設けられております。これは24年4月1日施行という形になっておりまして、一般相談支援事業者ということになっておりますが、相談支援事業者により提供されるサービスになります。また、併せまして障害者自立支援法に基づくサービスを利用するに当たっては、相談支援事業者がサービス利用計画、いわゆるケアプランを作成することができるわけですけれども、現在の利用者数は、4月で見ますと全国で3,400人あまりとなっておりまして、普及が進んでいないということになっております。現在のサービス利用計画作成費の対象者の範囲を大幅に拡大するという方針で見直しを進めるということになっております。これらの地域移行支援あるいは地域定着支援、それから、サービス利用計画といったものにつきましては、措置入院の患者さんですとか、医療保護入院の患者さんについても利用することはできるということでございます。
 具体的には資料の28ページをお開きください。28ページの上の段になりますけれども、「地域移行支援・地域定着支援の個別給付化」という資料がございます。地域移行支援につきましては、先ほど御説明したとおり、住居の確保ですとか、新生活の準備について支援が必要。これをやるサービスということになりますけれども、現行の、これは厚生労働省の補助事業で行われております精神障害者地域移行・地域定着支援事業というものがございます。この中で地域移行支援員という方が精神科の医療機関から退院する際に同様の支援、外出支援ですとか、住居を探す支援ですとか、そういった支援を行っております。それと同様の事業を障害者自立支援法の中で個別給付化するというものでございます。下に図で示しておりますけれども、施設・病院内に患者さんあるいは入所者の方がいるときから利用ができるサービスということになっております。退所・退院を希望する方について、地域移行支援のサービスを利用することができるということになっております。また、地域に出た後も、地域定着支援ということで24時間の相談支援体制を受けられるといったメニューが追加されているということでございます。
 もう一度、資料の12ページに戻っていただきまして、「検討が必要な論点(案)」というところでございます。措置入院については、入院時のみならず、入院中及び退院時についても、都道府県のかかわりを具体化し、措置権者である都道府県が責任を有することを明確にすべきでないかという、措置入院の入院中あるいは退院時の責任ということが1点でございます。
 それから、措置入院の解除に当たり、退院して地域での生活に移行する場合には、サービス利用計画の作成、地域移行支援などのサービスが利用できるということを前提にしまして、医療機関、都道府県、地域移行支援を行う事業者などが連携して、住居の確保を含めた退院支援を行うということを標準にしていってはどうかということでございます。
 それから、同じように医療保護入院につきましても、医療機関及び地域移行支援を行う事業者などが連携し、住居の確保を含めた退院支援を行うことを標準としていってはどうかということでございます。措置入院は都道府県の権限で行うことになりますが、医療保護入院はそれとは異なりますので、都道府県は直接のかかわりは持たないという違いはありますけれども、この自立支援法で新しいサービスができるということに伴って、それとのかかわりを具体化していくべきではないかということでございます。
 そこをポンチ絵で示した資料が29ページにございます。上の段と下の段を比較しながらご覧いただければと思いますけれども、上の段が「措置入院に係る退院支援の現状」ということでございます。「医療機関」と「保健所」、医療機関では指定医による診察あるいは入院受け入れが行われますけれども、保健所ではそれへの立ち会いですとか、手続がとられるということになります。保健所のかかわりについては、法律あるいは通知の中で明記されているところであります。措置入院ということになりましたら、その後は基本的には医療機関で治療を行い、あるいは退院支援を行っていくということになるわけですけれども、その間の都道府県、保健所のかかわりに関しては定期病状報告の受理といったことが具体的に書かれております他は、基本的にはあまり明確にはなっておりません。対象者あるいは御家族の状況によって支援会議をやったりですとか、そういったことを行っている保健所もあるということではありますけれども、具体的にはなっていないということでございます。「地域移行支援を行う事業所等」は今、基本的にはそういった事業自体がございませんので、相談支援事業者さんの中で必要に応じてやられているところはあるとは思いますけれども、サービスとして具体的にはないということでございます。
 それを下の「方向性」というところですけれども、「保健所」のところにありますとおり、定期病状報告の受理にとどまらず、例えば急性期でありましたら医療機関との調整ですとか、家族への支援といったことを行うですとか、回復期については、医療機関あるいは御家族、御本人と調整しながら支援会議を開催する。そういったことを具体的にやっていきつつ、かつ地域移行支援事業所を利用するということになりましたら、そういった事業者との情報共有、連携を図りながら退院、措置解除に結びつけていくといった形が考えられるではないかということでございます。
 同様に、30ページであります。「医療保護入院に係る退院支援の現状」というところですけれども、医療機関で指定医による診察、入院の受け入れということになってからは、医療機関の中で支援、それから、退院の支援も行っていく。ここは基本的に同じであります。保健所では入院の届ですとか、定期病状報告書の受理といったことが基本になっております。
 こういったことについても下の段にありますけれども、これは基本的にはあまり保健所の役割を明記する、明確にするというのは権限上は難しいところではありますけれども、ここの場合でもやはり地域移行支援を行う事業所とのかかわりが出てくるだろうと思います。回復期については医療機関と事業所、あるいは場合によっては保健所が入りながら、情報共有を図りつつ退院に結びつけていくといった形が考えられるのではないかということでございます。
 ちなみに31ページに資料をつけておりますけれども、「都道府県別措置入院患者数」、これは平成19年6月30日の時点で入院している措置入院の患者の数ということになります。全体で、全国でいきますと、1,800人あまりになります。これはある一時点でありますけれども、全国で1年間ということになりますと、これは直接的なデータはないんですけれども、推計いたしますと、大体6,000人ぐらいが退院するという計算になります。退院されるといいましても、措置入院の場合には、法律上そのまま入院の形態が変わる、医療保護入院になるですとか、任意入院になるといった場合も退院という整理をしておりますので、そういった方々が大体7~8割程度おられます。ただ、逆に言いますと、5分の1~4分の1ぐらいの方、6,000人退院されるということであれば、1,000~1,500人の方は文字どおり退院して通院されるという形になります。単純に計算いたしますと、保健所が全国で500か所あまりありますので、1保健所が年間にまさに文字どおり退院するという数でいきますと、2~3件ぐらいという大体の目安になるかなということでございます。全体の量としてはそんなイメージかなと考えております。
 説明については以上でございます。

○町野座長 どうもありがとうございました。
 法41条というのはどうもよくわからない規定なんですけれども、基本的に立法者、これをつくった最初の精神衛生法のときは、保護義務者が基本的に全部義務を持っているのだと。そして、措置入院のときだけこれが若干公的な方に移るから、措置解除されたときはもう後は元に戻すだけだというような考え方でつくられたのだろうと思います。しかし、今の御説明では、全部これらの考え方を基本的には改めるべきだと、恐らくそういうことになるだろうと思うんです。措置患者についても、入院だけでなくて退院後、それから、入院中及び退院した後のいろいろな地域移行に至るまで、やはり行政が責任を持つべきだ。更に言うならば、同じようなこういうトータルな保護の体制というのは、他の医療保護入院についても同じではないだろうかという話になろう。そうすると、保健所が両方もしかしたら関与するということも出てくる。どういう格好でこれをやるかという問題だろうという具合に思います。この問題はいわゆる社会的入院の解消の問題とも非常に密接に関係すると思われますので、皆様方からいろいろな御意見をいただきたいと思います。
 措置入院患者の引き取り等については関係者が多くいらっしゃいますので、恐縮ですが、私から順番に御意見を求めさせていただきたいと思います。医療関係のお2人、河崎構成員と千葉構成員に、措置入院患者の退院後の引き取りについて、御意見をそれぞれ承りたいと思います。では、河崎構成員の方からよろしくお願いいたします。

○河崎構成員 今の措置入院患者の引き取り等についての事務局の説明に関しましては、特に町野座長がおっしゃられたように、措置入院の患者さんについて、入院中も、そして、退院時に当たっても、あるいはその人たちの地域移行に当たっても、やはり行政がしっかりした責任を持つべきで、そこに関して新しい体制をつくっていくということに関しては、私は大賛成でございます。ただ、そういうような中においても、今回の先ほどの事務局の説明の中で、ちょっと2点ほど確認しておきたいところがあるんですが、1点は直接関係はないかもしれませんが、先ほど新しい自立支援法の改正によって地域移行支援・地域定着支援の個別給付化があるという御説明がございました。これは既存の、これまでの精神障害者地域移行・地域定着支援事業そのものにとって代わるものとしての位置づけなのか、支援事業そのものは今後も続いていくのか、つまり並行してこの2つのことが存在するのかどうかというところがちょっとわかりづらいので教えていただきたいと思います。
 それともう一点は、文章なんですが、12ページの「検討が必要な論点」の下2つの丸のところで、いずれも最後が「標準とすべきではないか」という表現になっております。この「標準とすべき」というのはどういうことを意味するのか。例えば下の丸のところでしたら、「住居の確保を含めた退院支援を行うべきではないか」というような表現の場合と比べて、「行うことを標準とすべきではないか」というのは、これは行政用語で何か意味するところがあるのかないのか、ちょっとその辺をお教え願えればありがたいなと思います。
 以上です。

○町野座長 では、まずこの点についていかがですか。

○本後課長補佐 2点いただいた最初の点でございます。地域移行・地域定着支援事業の今の補助事業との関係というところですけれども、ここは基本的にはといいますか、今の補助事業の中で様々なメニューといいますか、内容がございます。1つは、説明の中で触れました地域移行推進員の活動。これはまさに今回個別給付化しようとしているもののモデルになった活動でありまして、入院中の精神障害のある方が、例えばアパートを借りに行く、そのときに外出、一緒についていくだとか、地域で生活できるようにいろいろな電車に乗るということを試してみる。そういったことをついていってお手伝いする。そういったことを支援することを実際やっております。そこはまさに予算、今まで補助事業でやられていたところが個別給付になるという整理になりますので、そこの部分に関しては基本的には来年度、24年4月1日からは今の補助事業の体系からは除かれるという形になります。ですので、並行して存在することはないということであります。補助事業の中にはそれだけではなくて幾つかメニューがありますので、そういったところをどうするかということについては、これから平成24年度の予算をどう考えるかという中でまた改めて検討していくことになるということでございます。
 それから、「標準とすべきではないか」というところでありますけれども、これは実際どういった形の利用のされ方になるかというのは、まだまだ新しい地域移行支援事業あるいはサービス利用計画、そういったところが24年4月1日から施行ということで、どういった形になるのかはなかなか想像が難しいところであるのは事実だと思っております。ただ、こういったサービスができるということで、これは医療機関の立場からも、御本人の立場からも、退院に結びつけるということは、こういったサービス、事業を利用することで非常にできやすくなるであろうと考えております。ですので、あくまでサービスの利用ということですので、御本人が利用するという意思をお持ちであるというのは当然前提になるわけではありますけれども、こういった形を1つのパターンといいますか、典型的な形にするということです。今、引き取り義務ということでいうと、保護者の方にどうしても現実負わざるを得ないといったところを、サービスの形として標準的な形にしていくということで、それが代替するということになるかどうかわかりませんけれども、形として進めていければいいのではないかと考えているところでございます。

○町野座長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、千葉構成員の方、よろしくお願いします。

○千葉構成員 私の方から、実際に現場で措置入院及び医療保護入院等の入院とかかわっていて思うところといいますか、問題を感じている部分についてですが、確かに行政の方々の関与が非常に少ないとは思います。特に入院時において、あるいはその後もそうですが、どういうことで入院になっているのか、誰が入院させているのかといったようなことを、全くそこに関与していない治療を受けた病院側の方で説明しなければならないんです。自分たちが入院させているわけではないですが、主治医及び治療者たちはそこの部分について常に間に挟まってしまうことがあります。入院されている方は医療保護入院で普通にというか、そういう形で入院された方と自分たちが違うという認識があまりない状態にあるということは、医療従業者としてはかなり困っているところでもあります。また、退院についてといいますよりも、措置症状がなくなったという消退届を出すんですけれども、これについては紙を1枚出せばそれで終わりでして、大体の場合はそのまま受理されて、「症状がなくなったんだ。では、いいでしょう。」ということになりますが、その場合も措置入院を解除しますという紙切れが1枚来るだけというようなことであって、患者さん本人にとってはもう少し丁寧な説明とか、サポートが必要なのではないかなと思われることから、行政職の関与があってもいいのかなとは思います。
 先ほど措置入院の方が大分少なくなっているとお話がありました。これは皆様、歴史的に御存じのとおり、激減しました。それは以前に、ある意味経済的な問題等も含めて、公費であった時代にはそういうような取り扱いをして入院を継続するというような形があったというのはありますが、その後もどんどんと少なくなっている。措置に該当する件数が少なくなっていることが要因の大きなことではなくて、措置入院の期間が短くなっているということがあると思われます。それはつまり「治療する」ということと、「措置症状がなくなるという判断をすること」が別々になり、「治療は必要だけれども、措置症状はなくなった」ということによって措置入院が解除されている。ただ、入院は必要。もう少し入院治療してと。以前はもっと病状がよくなるまで措置解除を出さなかったというような部分がかなり影響しているのだろうと思います。
 先ほど説明のところで、5分の1くらいないし4分の1程度の方が直接措置から退院になっている、措置解除とともに退院になっていると。これはもしかすると、数字を後で教えてほしいんですが、今日でなくてもいいです。どれくらいの期間、例えば長い期間措置入院していて、出て、解除になって、そのまま入院措置が終わっているのか。短い期間でなっているのか。そこはかなり重要だと思うんです。つまり措置入院としてずっと引っ張っていって、治療が大分進んでから退院できる状態になっているのか、その辺のところがあろうかと思いますので、そのあたりは随分違うのかなと思います。
 そこの部分と、それからもう一つ、先ほどの「検討が必要な論点」の「標準とすべきではないか」というところなんですが、昨今の精神科病院の入院治療の場では、自宅もあり何もありといったような方々、つまり退院支援をしなくても、十分にそういう自分の帰る場所や、あるいはそこへ帰れるような状態になって帰ることができていると思われます。よって全ての医療保護入院に退院促進や退院支援が必要かと言われますと、それはかなり違って、入ってこられる入院患者さんの質の変化といいますか、それから、治療の変化もあるので、これは全部を必要だという言い方はかなり乱暴といいますか、むちゃがあると思われます。ですから、先ほど言われましたように、本当に必要、御本人あるいは家族等にその意思があって、そして、それを行うことが適正である方にとって標準とすべきであるというのならわかるんですけれども、この文言だけからすると、全てに必要なように聞こえてしまうので、ちょっと誤解を生むのかなと思います。
 以上です。

○町野座長 ありがとうございました。
 続いて、措置入院という辺り、行政処分を行う自治体関係者のお2人、鴻巣構成員と笹井構成員がおいでになりますけれども、それぞれ順次、鴻巣構成員の方からよろしくお願いいたます。

○鴻巣構成員 鴻巣でございます。保健所におきましては精神保健福祉相談員という形あるいは保健師さんがその役割を担って、通報が鳴り、警察活動を行ったりとかする中で措置入院という経過を追っていくという業務を行っています。これは他の入院形態でも同じようなことが起きるわけですけれども、と申しますのは、要するに、入院をさせた方、医療保護入院ですと御家族の方がそういう立場になってしまうことがよくありますけれども、保健所ですと、調査して、立ち会いして、入院する、県知事に代わっての措置命令権者という役割を担って、2名の精神保健福祉指導員のところに行きまして、診察を行って、お2人とも要入院ということになれば措置入院という形が成立することになるわけですけれども、その入院に携わった者、要するに本人にとっては不本意な場合が多々あるわけでございます。その者が今度退院支援をするという部分につきましては、これは御家族の立場と同じで、もろ刃の剣でございます。治療がうまくいっている場合は、あのときはあんなことがありましたねということで振り返りもできる場合も多々あります。ですが、あなたが来たから私はこういう入院をさせられたんだという場合もあるんです。これは御家族も同じだと思います。医療保護入院の場合は同じだと思います。
 ですから、行政処分としての入院形態をとるわけでございますけれども、行政処分、同じ機関の者が、同じ者が行って、今度はあなたの退院の支援に来ましたよといっても、スムーズに行かないことも多々あるということです。
 それから、病院さんの立場としましても、保健所が来て、措置入院させて、それきりだよねという印象も多々あると思います。現場の相談員たちはなるべくかかわろうという努力はしていると思いますけれども、日常の業務が措置入院だけではないんです。医療保護入院の相談から御家族の相談、病気かどうかわからないものの相談、幅広いメンタルヘルスまで、全て賄っているという状況を考えますと、今、目の前のやるべきことを優先するあまり、医療保護につながった方については少し安心してしまっているというような気持ちがちょっとあるかなと。医療機関の方で先生がついて、ケースワーカーがついて、相談している、治療していく中で、本人にとっていい方に進行しているであろうという思いがあるかもしれません。そうしますと、やはり入院のときには最初のうちには来たんだけれど、何か来なくなってしまったねというような印象がどうしてもぬぐい去れないのかなというところはあると思います。
 私も、実際、保健所の時代には措置入院という業務を多々行わせていただきました。ですが、先ほど最初に話しましたように、あのときはどうも済みませんでしたねというようなことでの振り返りができる人もいれば、本当に「あんたが来たから私は入院させられたんだ、どうしてくれるんだい、一生恨んでやる」というお話を受けることもございます。そうしますと、かかわりたくても、あんたがまたかかわれば私は入院させられるのではないかというような思いも両面ございますね。それなので、立場としてはつらい立場ではございます。ただ、行政処分でございますので、その要件がそろっていれば措置入院ということを行政処分として成り立たせなければいけないという立場もございます。
 先ほど事務局が示された案で考えてみますと、今、行われています医療観察法での地域ケア会議等のイメージなのかなというところが、私の方でも印象としてあるわけです。現在の措置入院ですと、そういった相談員ですとか、保健師さんとかがかかわって、必要な方、必要な機関を集めたり、あるいはそういった病院に足を運んで調整したりというのが実情だと思います。全てにおいてということではないと思うんですが、必要なときにそういった制度的なもの、形ができて、そういったケア会議等のようなものができるのであれば、これは非常によいことだと思います。ただ、それだけ労力、時間が割かれるということは、現在の保健所の、件数がありましたけれども、今まで以上にマンパワーを充実しませんと、絵にかいたもちになってしまうということがちょっと危惧されるところでございます。
 この後につきましては笹井構成員に譲りたいと思います。

○町野座長 では、笹井構成員、よろしくお願いします。

○笹井構成員 まず、措置入院については、皆さん御承知のように、自傷・他害のおそれが要件ですが、他害の相手が家族という場合が結構ございます。今、治療がどんどん進んでいますので、結構早く軽快して退院ということにはなるんですが、家族が他害の相手になっている場合には、家族が引き取りをしない。それから、近隣への気兼ね等がありまして、非常に引き取りを渋るという現実がございます。したがいまして、もしそういうことが頻繁になれば、今、できるだけ早期退院ということで、そういう方向性で仕事をしているわけですけれども、入院の長期化が危惧されます。家族に戻れない場合に施設の方にということも考えるわけですけれども、施設の受入数が現実には圧倒的に少ないということでございますので、やはり今の法律の引き取りの条文は、私としては必要ではないか、と思っています。
 それから、措置症状がなくなれば解除して、入院形態を変更するわけですが、今、医療機関が努力されて、御家族、御本人と調整して退院ということですが、現実には退院調整にかかわるマンパワー等が非常に不足しています。私のところには府立の精神医療センターがございまして、今、医療観察法の業務もセンターの方で実施してもらっているんですけれども、医療観察法の対象となる方、重症の方というのはよくわかるんですが、非常にきめ細かく、病院の医師、看護師もそうですけれど、それ以外のいろいろな地域の職種も入って、あるいは訪問看護している人なんかも入って、どういうふうにしようかというカンファレンスをしながら退院調整を行っています。そういう医療観察法の対象者だけでなくて、本当に適切に退院していただくような環境を整備するためには、措置入院の人あるいは特に首長同意の医療保護入院の患者さんにつきましても、医療観察法でやっているようなきめ細かい退院調整、退院整備が行われるような、特に府の保健所、それから、市町村でのそういう人材の確保、体制整備の仕組みづくり、そういうものが必要だなと思っております。私どもの地域ではもう既に入院中から保健所の相談員が入りまして、病院の先生方と話をして、どういうふうに退院させるかという会議等はやっておりますが、先ほど御提案がありました自立支援の個人給付ですけれども、給付という制度自体は必要なんですが、それだけで本当に済むのかなと、少し心配しております。我々の地域でも、今、実際NPO法人等で退院支援をしていただいている事業者がありますが、その事業者だけでは取り組みには限界がありまして、保健所の職員あるいは市の職員、それから、社会福祉協議会、退院患者にかかわる全ての関係機関あるいは職種、これは病院の職員の人も含めてですけれども、そこでケース検討するような会議を頻繁にやっております。そういう中で、それぞれかかわる人たちの情報交換が行われて、更に質が向上していくといういい面もありまして、自立支援事業者からはそういう会議をぜひやってほしいということでつくって、今、運営調整を府の保健所がしております。したがいまして、個人給付という制度は必要ではありますが、それに加えてやはり行政がしっかり関与して、専門職の確保・育成、それから、それに必要な予算確保ということが、個人給付と並んで、両輪のごとく必須になるかと思っております。
 以上でございます。

○町野座長 どうもありがとうございました。
 続きまして、福祉関係のお2人の方、岩上構成員と上原構成員に順番にお願いいたします。

○岩上構成員 岩上です。28ページ以降に示されている退院調整の方向性については、この作業チームの第1ラウンドでも、私もこのような意見を述べさせていただいていたので、相談支援事業所の立場と、もう一つは、社会的入院者の地域移行支援を長年やってきたという事業所の立場からいえば、これが当たり前のように身近に感じられる。実際には社会的入院の方の地域移行で病院に入らせていただいてということを続けていく中で、社会的入院に限らず、措置入院の方であるとか、医療保護入院で退院調整が必要な方ということでのかかわりは既に持たせていただいているので、そういう事業所が全国的にもふえてきていると認識しているところです。
 保健所と市町村の役割については、この図にはないんですが、基本的には市町村をきちんと位置づけていただきたいと思います。保健所はそれをうまくコーディネートしていただく。保健所も位置づけておかないと、国の退院支援のモデル事業が始まったときに、保健所をうまく位置づけなかったものですから、そのまま乗り遅れてしまった保健所も実際にはたくさんありました。ですから、そういう意味ではきちんと保健所と市町村の役割を今回明記していただいた上で、実際には相談支援事業所がきちんと御本人の選択に合わせて支援させていただく。千葉先生もおっしゃったように、選択というのが大事だと思います。これが全てということではなくて、こういうサービスを選択して利用することができるということが大切です。あくまで引き取りの義務というのは取り外そうということでここでは議論が済んでいるところですから、引き取ることではなくて、御本人たちが望む生活をする上の選択肢としてこのようなサービスを利用できて、それを医療機関もうまくコーディネートできるのだという位置づけが必要だと思います。

○町野座長 では、続きまして、上原構成員、お願いいたします。

○上原構成員 上原でございます。この検討が「措置入院患者の引き取り等について」という項目で議論しているので、引き取りということが前面に出てきてしまうんだろうなと思っています。そうすると、入れた人が引き取ればいいではないかという発想も出てくるんだと思いますが、今までの話を聞いていますと、要は入院している方たちがこれから退院していくに当たって、退院時のサービスをどのように整備していくかということなんだろうなと思うわけです。これは今後、具体的に何をどうするかというのは進めていく必要があろうと思うんですが、その中で当然その具体的なサービスが必要な人とそうでない人ということも出てくるでしょうから、そのあたりのサービスを計画書の中でどうやって担保していくのかを検討する必要があると思います。
 それから、サービス利用計画書をつくるだけではなくて、そのサービスを実際具体的に実行する人がどのような人なのかというあたりの議論も当然必要になってくるんだろうと思うんですが、いずれにしても引き取る引き取らないということではなくて、退院時のサービスをどのように整備していって、これまで御家族が負担してきたものを社会の中でどう仕組み化していくかという議論を詰めていけばいいのかなと思っております。
 以上です。

○町野座長 ありがとうございました。
 あと15分くらいしか時間が残っていないので、今日予定されているもう一つの退院請求・処遇改善請求、これは次回回しということでよろしゅうございましょうか。重大な問題ですので、これを更に続けさせていただきまして、それでは、当事者の立場として広田構成員、よろしくお願いいたします。

○広田構成員 行政の人は仕事が大変だと騒ぐんですけれど、済みません、横浜市内の区役所に行っていますと、5時に「蛍の光」が流れていて、市民は私1人、職員はいっぱいいるということで、何が忙しいのかなということです。私は「子ども、障害者、高齢者等、人に関わる部署の区役所は夜10時までやってください、横浜市もいっぱいうつの人がいるから、フレキシブルに2~10時まで仕事をしてください」と言っているんですけれど、基本的には事務局案で賛成です。
 ただ、私は目がクラクラしてきたんですけれど、こんなことが決まっていたのかと。私も自立支援法の改正に賛成したんですけれど、一般相談支援事業者が何か24時間やるということで、さっきもここに遅れてきた理由が、朝起きた時点から、警察から6本の着信履歴があった。内線がありませんから、生活安全課なのか、はたまた地域課なのかと思いまして、出かけてきましたけれど、「死にたい」という私の相談者が、「広田さんかけたけれどつながらない」ということで警察に電話して、警察から6回かかってきているんです。こころの構想会議の代表者で、松沢の岡崎先生の講演を伺ってきたんですけれど、やたらと人口3万人、5万人、10万人に24時間のシステムということで、お話を伺っていて、家族会の講演会でしたから意見を言うつもりはなかったんですけれど、率直に言ってずれている。「精神医療の被害者として、こころの構想会議で謝罪を受けた人間で、危機介入の相談員としてずれている」とお話ししたら、「どこがですか」と言われて、「時間がないです」とお話ししてここに来たんですけれど、24時間本当にやる必要があるのかということ。私も2時まで携帯でやっています。2時からは着信履歴を残せば、朝起きた時点で、10時とか11時に「あなたは昨日大変だったのね」と一言言えば、「大変でした」ということで、夜中は寝ていただかないと、特に入院していた人が寝ないで電話相談をかけようとするから寝ないという悪循環です。
 ですから、これは決まってしまった法律とはいえ、本当にお気の毒ですがこれからもいろいろな形で亡くなったり、又は病気とかけがの方が残ると思うんですけれど、これから梅雨が来て、夏が来て、大地も腐り、そして、肥よくな土地がいわゆる塩田になってしまっているわけです。そういう中でお金をそちらに持っていかなければいけない。ソフトバンクは通じなかったけれど、孫社長は立派ですよ。生涯役員報酬を全部寄付すると言っているわけです。そういう流れの中で、ここに全部持ってくるのではなくて、千葉構成員、岩上構成員が言ったように、他の病気と同じように、本人の自己決定というのがこの場合どこにも入ってこないんです。本人が家族を慕う場合もあるわけです。確かに家族を殴ったりする関係もあるけれど、大野和男さんという昔神奈川県の三崎保健所に勤めていたPSWは、警察が裏にあって、「大野さん、24条来て」と言うと、私のようなおじさんですから、「はいはいはい」と行って、「どうしたのどうしたの、木倉君」と言っている間に、24条でなくなった。ところが、後任のPSWは本人不在の仕事をしていましたから、24条が増えるわけです。行政はまず24条を減らすという基本的な考え方をして、それで他の病気と同じような形で本来は家族。私もかつて自分の家族のいろいろなことを、やらなくてもいいことまでやってきました。だけれど、法律で義務づけるなんていうのは精神だけだから、それはやめておく。行政はきちんと仕事をするということです。もう大変は聞き飽きました。自立支援法の書類が煩雑なのはわかるけれど、それを切り札に切り過ぎるんです。横浜市内ですけれど。
 やるべきことをやって、私は昨日も精神病院に行っていましたけれど、26歳の青年が「隔離室に入れられています」と言っていました。私はこう言いました。「隔離室ではないのよ、あなたをお守りするための保護室よ」と。そうしたら、ニコッとして、「この子は14歳だよ」と私に教えてくれたから、14歳の子に向かって、「長い人生の中には私も入院したことがあるけれど」、医療ミスとか余計なことは言いません、「もしかしたらこの期間がチャンスかもよ」と言ったら、2人がニコッと笑ったわけです。だからそういうふうなこちら側のいわゆる働きかけ、言葉遣い1つで相手側が柔らかくなって、この人だったらもしかしたら自分を入院させた人だけれど、退院を託してみようかと思ってくれるかもしれない。こちら側の相手の身になった姿勢と力量と、何度も言うけれど、相談支援と言いながら、ごちゃごちゃごちゃごちゃ片付かないで、いっぱいいろいろなところからの後始末が来ています。そして、いろいろな関係者からの相談もいっぱい来て、どちらが本当に相談者なのという感じです。くどいようですけれど、お金はない。私は警察にしょっちゅう行っていますけれど、それはボランティアです。今、ルクセンブルク特命全権大使の末綱さんという人が、かつて私の活動を聞いて、「これは神奈川県警もお金を支払わなければ」と。「いいえ、結構です。出さないでください」と、一緒にいた人が断ってくださった。警察からお金をもらったら、警察の人になってしまいます。そうすると、警察官が私に相談できなくなるし、全ての相談が本人のために、中立性を保つために、お金はもらわないままがいいわけです。さりとて、すぐ事業者は広田さんみたいな活動を警察と連携しようというけれど、それもまたいけない。地域の住民として、警察、交番のお巡りさんとの信頼関係の中で依頼されていることが、結果として実を結ぶのがいいわけです。本人がきちんと安心して暮らせるための1つのツールとしてこういうものはいいかもしれないけれど、家族は温泉に行ってもらったりして。私の子どもがこんなだから私の人生は嫌だわというのにさようならしてもらったほうがいい。そして、他の病気と同じような考え方をとることが、結果として国民にわかりやすい。今のこころの構想会議とかこういうものを見せたら、国民は何だろうと。精神はよほど特別な病気なのねということで、実際に理解していただきたいと思っていることとは正反対の方向に行きますから、くれぐれもノーマルな形でシンプルにやっていただきたい。
 以上です。

○町野座長 どうもありがとうございました。
 御家族の立場としても3人の方にお話しいただきたいと思うんですが、あともう既に8分くらいしかなくなってしまったので、済みません、手短に順番に。申しわけございません。司会の不手際でございまして、野村構成員、堀江構成員、良田構成員、それぞれについてよろしくお願いいたします。

○野村構成員 8分の中のわずかですね。私はお話ししたいことが6つも項目があるんですけれど、手短に話します。
 本人が退院するときに選んで、親族がよければ親族、親族以外の後見人をお願いしたいということであれば、私は後見人が引き取るときに引き取り主に、おかしい言い方ですけれど、なっていただいたらどうかと思うんです。法人後見人というのもありますし、第三者後見人に、家族以外の人に引き取っていただく。それを地域で、後で話しますけれど、みんなで支えるということはいかがかなと思います。親族は高齢とか、病気とか、本人との関係の非常な悪化などによって、保護者の役割を果たせない場合があります。そうすると、保護者の就任を拒否する。そのときにどうするかという場合に、やはり第三者成年後見人あるいは法人成年後見人を立てて御本人を引き取ってはどうかと私は考えています。それから、市民後見人というのがあるけれども、これは措置入院の方を引き取るということはあまりにも大変であるかと思いますので、症状が軽くなってから考えればいいかなと。その場合には市民後見人もいいのかと思います。経済的負担ができない人でも利用できるように、費用をどうするかという問題は、やはり国として解決すべきではないかと私は思います。
 それから、第2項目めは、退院してから地域生活をどうやって彼が送ったらいいのか。本人の意見を中心に、ここでは5つの機関が協力し合って支え合わなければならないと思います。1つは今言った後見人。もう一つは相談支援事業所。これはさっきありましたが、障害者自立支援法の相談支援事業、病院から退院して地域に定着するまでのことをずっとお世話する。居住、住まいもきちんと提供しなければいかん。それが2つ目。もう一つが、社会福祉協議会によって金銭管理を初め、生活上のいろいろなこまごまとした支援。それからもう一つは、お金がない方は福祉事務所。生活保護等のことを扱っています。最後に医療機関。この5つの機関が御本人を中心に後見人を立てながら地域で住まっていただく。そして、みんなで協力して支えるというのはどうかなと思います。
 それから、3つ目の項目ですけれども、これはどういう支援の在り方かというと、まず、住居の確保をしなければいかん。それから、皆様がケース会議とかを開いて、チームを組んでの訪問とか、訪問も含めての支援にならなければいけない。本人が落ち着かれるまでは、一応夜中の電話も受け付けて支援をするということはどうかなと思っています。
 今度、4つ目の項目としましては、権利擁護機関がしっかりなければいかんだろう。というのは、成年後見制度の監督人というのがいますけれども、監督人が後見人をよほどきちんと監督しなければいかん。それから、もう一つの機関として、苦情解決機関というものが東京都の場合なんかにもありますけれども、この苦情解決機関は当事者とか家族から苦情があった場合にはきちんと解決して、御本人の権利を守らなければいかん。その苦情解決機関には当事者や家族の代表も参加していなければいけないのではないか。専門家ばかり、あるいは医療関係者ばかりの立場から苦情を解決してはいけないのではないかと思います。
 あと、5つ目としては、家族の関与。これは今申し上げたことですけれども、苦情解決機関にやはり家族は入って、苦情をどのように解決していくかということに携わった方がいいのではないかと思います。
 最後に、退院後の家族との同居についてという問題がありまして、家族が引き取れば当然家族との同居になったりすることが多いんですけれど、別居の場合もありますが、もし本人か家族が同居を拒否した場合には別居とすべきではないか。それを無理に同居させてはいけないのではないか。それから、もう一つは、本人も希望し、家族も希望して両方がよしとした場合には同居したって構わない。しかし、その場合に例えば非常に深い共依存とか、親の精神疾患への無理解などによって、同居していると本人がことごとく心が傷ついて、病状が悪化して再発する、そしてまた強制入院になるという可能性が高くなることが予想される場合には、退院の前のケース検討会議でやはり同居を避ける、それぞれ本人と家族に説得して、本人はグループホームとかアパートに入るような方向で支援していくということは考えられていいのではないかと思います。最後に、こういったことを実現するにはケアホームというものを早急にふやさなければいけないし、ケアホームでの利用期間、そこにいられる期間を画一的にしないで、障害の程度に応じて緩やかに決めてはいかがかと。それから、障害程度についてですけれども、ケアホームというと非常に重い人しか入れないんですが、退院してしばらくの間は措置入院、強制入院、医療保護入院の方たちは利用できるようにしてはどうかなと思います。
 以上です。

○町野座長 続きまして、堀江構成員、よろしくお願いします。

○堀江構成員 行政が患者の保護責任を負うということが確認されているんだなという前提で、そうしますと、地域では行政責任としての相談事業支援所の充実が望まれることになりますね。それ以外にも地域には既に地域包括支援センターがありますが、あそこも最近は老健局から出してくる文章を見ていると、高齢者だけでなく、障害者等というふうにしてどんどん領域を広げているようですから、行く行くはその両方を、地域の中ではどちらを使ってもいいとしていくのかなと、僕は善意で受けとめています。いずれにしても今の相談事業支援所だけで対応できるとは思いにくいのが現実でした。そこで、それらを私たちは包括的に利用できればいいわけです。何もそれを縦割りにして、「今度はおまえあっち行けこっち行け、この事業ではここまでしかサービスはできないよ」という縦割り弊害の出るようなサービス提供ではなくて、利用者の側からいえば、包括的・総合的にサービスを提供してほしい。これから先、厚労省のお力でその辺の調整を当事者、家族側の利用しやすいようにしてほしいというのです。
 私は東日本大震災の問題があって、地域生活を守っていく、支援していくためには行政による包括的なアウトリーチ体制が必要だということをつくづく感じています。各党にもそういう要請をいたしましたし、議員の方たちも全くそうだなということで、国会でもそういう審議があったように見受けます。先ほど24時間サービスは現実的でないという発言がありましたが、行政責任によるサービス提供の責任は「8時間は行政対応するけれど後は家族の責任だ、」などというパッチワークのようなものではないと思います。私はぜひ包括的にサービス提供する体制を作ってほしい。しかも精神疾患の場合には、症状が急変して重篤になることもしばしばありますから、そういう意味ではアウトリーチ体制を常に用意しながらサービスの体制をつくってほしい。この間仮設住宅のイメージづくりをある人たちと一緒にやっているのですけれど、厨房を使いやすくするとか、利用者の生活全体を大事に支援できる、そういうセンター拠点をまずつくって、当事者、利用者の側のニーズにこたえられるようにしてほしいと思っています。
 それから、次回の保護者の位置づけの議論で報告したい調査があります。私どもはケアラー(家族など無償の介護者)調査をして、非常に重要な分析ができました。大体他の方たちも、研究者の方たちも、世界でここまで総合的な調査はなかったとお褒めを頂いています。報告書をコンパクトにしたパンフをつくっていますから、それを皆さんにお配りして、そこで説明をしたいと思います。

○町野座長 ありがとうございました。その資料を事前にでも皆さんに配付していただきますと、非常に。

○堀江構成員 連休明けにやっと現物ができそう、今つくっている最中なので。

○町野座長 わかりました。
 済みません、もう既に8時を回ったのですが、若干時間を延長させていただいてよろしゅうございましょうか。
 それでは、良田構成員、よろしくお願いいたします。

○良田構成員 済みません、もう8時を過ぎてしまいましたのに。ただ、私の本当に単純な気持ちからの発想といいますか、感想なんですけれども、最初のころ成年後見と家族の保護ということが検討されましたけれど、私はやはり何かこの家族の保護義務がとれたら、今度は次に成年後見が出てくるというのは、ちょっと何となくまだ自分の中で納得できていない部分がありまして、保護と自立ということをもう少し考えた方がいいのではないかなと思います。特に揺れ動く障害の人ですから、なかなか成年後見には結びつかない人も多いと思うんです。常に常に保護して何もないようにしていくのが本当のその人の生活なのか、自立ということは、ある程度リスクも伴うものではないかと思います。そのリスクを最小限にするための支援が地域に必要なのだと思います。
 ですから、措置入院とか医療保護入院の退院の問題ですけれど、法律が入院をさせることを前提につくられた法律なので、退院のことばかりが話題になってしまうんですけれども、本当は退院後にどうフォローしていくか、再入院がないようにどうやっていくかということが一番の問題ではないかなと思うんです。そういうことからすると、今、堀江さんがおっしゃった、包括的なアウトリーチの問題も入ります。それから、保健所は医療です、市町村は福祉ですというようなことを言われて、切り離せないじゃないかと言っていた家族会の方がいましたが、そうではなくて、もっと行政が柔軟に、どんなふうにしたらみんなが医療的にも福祉的にも地域の中で再入院を防ぎながら、家族とも友人ともうまくやりながら生活できるかということ、そうした支援をする体制づくりを考えてほしいなと思います。保健師さんがたくさん卒業するんだけれど、就職先がなくて困っているのだそうです。保健師さんが行き場がないんだそうです。それで事務職か何かに入っているということを聞きまして、もったいないと思います。若い、地域に出たい保健師さんの卵がたくさんいるので、ぜひそういう人たちが将来活躍できるように、もう少し国もお金を用意して保健師さんが十分活躍できるそういう体制づくりをしてほしいなと思いました。感想です。ありがとうございました。

○町野座長 どうもありがとうございました。
 それでは、そろそろでございますが、何かこの機会にぜひともという方は。
 では、済みません、1分半で。

○白石構成員 済みません、遅く参りまして。白石でございます。措置入院の患者さんの引き取り義務を保護者が持っていることに関して、それはもう不要だろうという議論の上に今の話があるわけですけれど、法律で書く形式論と、それから、実質的にどうなのかというところは少し整理が必要ではないかと思います。つまり今のような御説明でいきますと、例えば地域の相談支援の事業者とか、それから、退院促進の支援員であるとか、あるいは保健所のかかわりであるとか、そういう制度を並べて、それが代替できるということは、それは法律上の整理にはなるかもしれませんけれども、そもそも例えば退院支援をして、それがどのくらい成果が上がっているかといえば、少なくとも長く入院した人に対してはそうでもないというような実態もあったりして、そういう制度というか、そのもの自体がまだ十分に機能していないことがあります。それから、保健所の方も実はだんだん機能が落ちているという状況の中で、これとこれがありますよというだけでは実質の方の問題の解決にはつながっていないのではないかと思うんです。ですから、私は個別給付ということも制度として持続的にするために必要ではあるかもしれませんが、それを続けられるようにするためには、今の支援事業者が1人で担っている分だけの収入は確保できる程度の給付という在り方が具体的に検討されなければいけないと思いますし、保健所でもかかわれるような体制づくりが必要だと思います。
 もう一つ、最後に一言申し上げると、やはり私も後見人がつくと地域でやれる人がふえるという議論はある程度該当する場合があると思います。外国でコンサベータシップ、カリフォルニアでそれをつけて成果が上がったという論文を出している人もいるんですが、地域に出ている人は本来自由なはずなので、その自由な人を支えるという発想が必要だと思います。そうすると、その自由な人を支える中で、今まで措置入院だったらどうとか、医療保護入院の人はどうとか一律にするのではなく、本当に必要な人に必要な支援が得られるように相談支援の体制を組むということが大事だと思います。東京都で調査したところでは、措置入院、特に緊急の措置入院を3回以上繰り返しているという人が百何十人いるんです。そういう人と、それから、1回しか措置入院をしないで、後は地域で暮らしていらっしゃる方もいらっしゃる。そういう3回以上繰り返しているような人と、1回措置入院して、その後地域で暮らせる方は、おのずと入院中から違いがあるわけです。そういうことに着目して、必要な人に必要な支援という発想でかかわれるような仕組みが必要なのではないかなと思います。済みません、1分半よりちょっと長くなりました。

○町野座長 非常に活発な御議論をいただきまして、どうもありがとうございました。
 もう既に10分オーバーしていて誠に申しわけございませんが、一番最初の、今日やった2つの問題のうちの最初の財産上の利益の保護の問題につきましてはおおむね意見の一致はあったんだろうと思います。ただ、やはり本人の権利の保護については、今まで以上にもし必要なときは後見人制度を使っていくことを進めるべきだということについても意見の一致があったろうと思います。2番目の方につきましても、おおむね御意見の一致はあったと思うんですけれども、具体的な仕組みをどのようにしていくかということ、特にワーカブルなものをどのようにしてつくることが現実的にできるのかということについては、私はよく理解できない点もありましたけれども、かなりニュアンスの相違があったように思います。この点は更にまた厚労省の内部で議論され、それから、我々の中でもまた議論していかなければいけないだろうと思います。こういうことで一応今日のところは、司会の不手際で10分もオーバーいたしましたけれども、今後のスケジュールにつきまして、事務局側の方からちょっと御説明いただきたいと思います。

○本後課長補佐 ありがとうございました。
 次回の作業チームですけれども、ちょっと日程の関係上、5月はどうしても皆さんの日程が合わなかったものですから、少し時期が空きますが、6月16日の木曜日、18時からを予定しております。場所はまだ未定ですので、追って御連絡をさせていただきます。次回につきましては、本日積み残しになりました退院請求等の関係から議論していただくことを予定しております。

○町野座長 本日はお忙しい中、しかも時間をオーバーして、夜までどうも大変ありがとうございました。
 これをもちまして、第4回の保護者制度・入院制度に関する作業チームを閉会します。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

社会・援護局障害保健福祉部
精神・障害保健課企画法令係

電話: 03-5253-1111(3055)

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