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2011年2月9日 新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム(第3R)「保護者制度・入院制度の検討」に係る第3回作業チーム議事録

社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課

○日時

平成23年2月9日(水) 18:00〜20:00


○場所

厚生労働省 共用第7会議室(5階)


○出席者

岩上構成員、上原構成員、河崎構成員、久保野構成員、鴻巣構成員、白石構成員、
千葉構成員、野村構成員、広田構成員、堀江構成員、町野構成員、良田構成員、
六本木構成員

○議題

(1) 保護者制度について
(2) その他

○議事

○福田精神・障害保健課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第3回保護者制度・入院制度に関する作業チームを開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、御多忙中のところ、また、本日、足元の悪い中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。
 構成員の出欠状況でございますが、磯部構成員から御欠席との御連絡をいただいております。
 それでは、ここからは座長に進行をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○町野座長 本日も前回の作業チームに引き続きまして、保護者制度の見直しとして、前々回、事務局から提出のあった資料4に基づきまして、「保護者」の規定一つひとつについて具体的に議論をしていく予定でおります。
 しかし、本日は、まず前回の議論の中で宿題とされておりました「移送制度」について説明していただくこととしております。問題は、どうして医療保護入院のための移送が使われていないのかということでした。この問題は、この作業部会でも議論しなければならない医療保護入院を考えるためにも重要だと思われます。しかし、本日は、まず事務局から御説明をいただき、本格的な議論はそのときまでとっておくということにし、御議論としては事実確認の点にとどめたいと思います。
 では、事務局から「移送制度」について説明をお願いいたします。

○本後課長補佐 それでは、お手元の資料、「2月9日参考資料」と右肩に振ってあります資料をご覧ください。一枚紙の資料でございます。資料のつづりの中に入っているかと思います。
 それでは、御説明をさせていただきます。
 「移送制度」について、まず「経緯」ということで、これは平成11年の法改正のときに新たに加えられた制度でございます。そのときまでは、医療保護入院等のための患者の移送に関する特段の規定はございませんでした。緊急に入院を必要とする状態にあるにもかかわらず、なかなか患者御本人が入院の必要性を理解できないということのために入院が遅れて、自傷他害の事態に至るケース。それから、家族などの依頼を受けた民間の警備会社が強制的に御本人を移送するといった人権の観点から問題だとされるようなケースが発生していたことを踏まえまして、平成11年の改正により医療保護入院のための移送という規定が新設されたわけでございます。このときに、あわせて、措置入院に付随して行われていた移送についても規定が同時にされております。
 第34条に基づく医療保護入院等に関する移送というところですけれども、流れとしては、「直ちに入院させなければその者の医療および保護を図る上で著しく支障がある精神障害者」という要件が付いております。これを都道府県指定都市による事前調査、あるいは指定医の診察によりまして、この条件に合致する方かどうかを判断し、移送ということになるということでございます。
 次のページ、後ろのページにまいりまして、実績でございます。これは平成21年度の1年間で、この法第34条に基づく移送を実施したのは65都道府県・指定都市のうち26の自治体で、件数にいたしますと146件ということで、非常に件数は限られております。平成12年の施行のときから合計いたしましても1,611件ということで非常に少ない。その実績が少ない理由といたしましては、先ほどの「直ちに入院させなければその者の医療及び保護を図る上で著しく支障がある」という条件の適用の判断がなかなか難しいことですとか、このときに指定医の診察が必要となりますので、その指定医の確保が地域によって非常に難しい、こういうことが原因として考えられております。なお、移送の経費につきましては、救急医療の体制整備事業の中で国庫補助の対象といたしております。
 下に参考の条文を付けております。
 概要については、以上でございます。

○町野座長 ありがとうございました。
 それでは、自治体の関係者でいらっしゃいますお二人の構成員に御意見を承りたいと思います。鴻巣構成員と六本木構成員、続けてお願いできますか。

○鴻巣構成員 鴻巣でございます。
 かつて保健所で仕事もしていた関係で、こういうことによく直面いたしました。一つ、埼玉県では34条はまだ実施されていないので、非常にこれは申しわけないところでございますが、これは主幹課で検討しておりますので、私どもが何か言うことではございません。が、その辺はご了承ください。
 実際に、現場ではどうしているのかというところなのですけれども、保健所の相談・支援の業務としては、この移送がメインではなくて、地域生活者を支える、あるいは病気を持った方を地域で支えていく中の一つの手段として考えています。この移送するというのは、「本人の同意」ということには触れてないのですね。ですから、行政機関が本人の同意を得ずに医療機関につなげるという法律でございます。
 我々が心がけているのは、地域で生活している人が治療に関わって地域にまた戻ってくるというところを第一に考えております。ですから、本人の同意によらない治療は非常に危惧することでございまして、いろいろな支援の手を尽くして方策が無くなった場合には、移送制度それしかないのかなというところでの考え方でございます。
 私が実際にやってきたのは、要請があった場合に、どういう状況なのかということを、足を運んで、可能であれば本人とお会いして、お会いできなくても、部屋の近くまで行って、状況を確認したりする中で、どういう段取りを使ったり、どういう組み立てをして医療機関につなげるのか、医療機関につなげる必要があるのかも含めて判断をしていく。ですから、うちの子供は、今、入院が必要なのだけれどもすぐに運んでくださいということがあっても、それだけではなくて、実際に足を運んで確認、それから、それを保健所に持ち帰って支援のあり方を協議をして、所長等の決裁を経た上で、実際に支援を行う。そのように行っているところです。ですから、なかなか思うように動いてくれていないと見えるところはそういうところかと思います。

○町野座長 続きまして、六本木構成員、お願いします。

○六本木構成員 岩手県県央保健所の六本木です。
 前回もこの移送制度があまり運用されていないということで発言いたしましたけれども、保健所の担当の職員にも少し状況を伺ってまいりました。実際には、ここ何年か、県内での34条による移送の実績はないということですけれども、その理由として、まず、先ほど何点か挙げられておりましたけれども、精神保健指定医、訪問させて診察するというので、非常にその確保が難しいというのが1点。それから移送先が応急入院の指定病院に限定されているということがありまして、応急入院指定病院は指定医がきちんといなければなりせんので、県内どこにでもあるという状況ではなくて、岩手県の場合だと4か所ぐらいになっているのですが、あまり身近ではないし、本来は病床を確保していなければならないのですけれども、病床がない場合もあったりしますので、調整はあまり簡単ではないです。そういうところが受け入れ先になっているということ。 それから、保健所の職員が移送することとなると、入院というか、受診について同意していない方ですので、1人、2人の人数ではちょっと難しい。人手が相当かかるということで、その要員の確保もかなり負担になりますというようなことがあります。
 それから、この制度の運用については、国の方から通知が出されておりまして、家族や主治医が説得の努力を尽くしても本人が病院に行くことに同意しないような場合に限り、都道府県知事が公的責任において移送を行うという限定的な運用ということが通知されております。
 こういったような状況の中で、実際にはどのようにしているのかというと、保健所のほうでは、その状況からして医療が必要だというような方があった場合に、やはり家族がなるべく説得して病院に受診させるということを基本にしています。家族と保健所の職員が実際にはお話をしたりもします。その上で、家族あるいは親族の車によって病院まで連れていくのを保健所が付き添ったり、あるいは説得をしたり、一緒に乗ったりというような形で病院に受診させたりいたします。その場合、ときには警察の立ち会いを求めて安全の確保をしながら病院まで連れていくということもありまして、こういうやり方のほうが実際には手続上も非常に難しくないということもありますし、応急入院指定病院以外にも受診させることができるという、機動的に非常に優れているということで、こういった形で受診させているというのが実態です。
 ただ、これによって全部受診につないでいるかというと、そうでは決してなくて、やはり家族の負担になっている部分もあると思いますし、民間事業者による搬送というのが現実にはあるというのが問題としてはあると思います。
 移送制度を運用しない中で、何とか受診につなげるような努力を保健所としてはやっているというのが実際のところで、運用実績は非常に少ないというところです。

○町野座長 ありがとうございました。
 今の点について、数字的なこととか、技術関係についてご質問はありますか。
 では、お願いいたします。

○河崎構成員 日精協の河崎です。
 今日はあんまりこれに時間をとらないという座長のお話でございましたので、今のお話を伺っていて問題点かなという思った部分だけ発言させていただきます。
 この移送制度というのが非常に使いづらいということは、今のお話で明らかになっているのだろうと思うのですけれども、ただ、先ほどのこのデータのところを見ますと、少ないとは言いながら、1年間で平成21年度が146件移送が行われていると。ですから、ひょっとしますと、各自治体によって移送制度を活用さているところも中にはあるのかなと思うのですね。そういうところではどういう活用の仕方をしているのか。その辺りも、次回かどの段階になるかわかりませんが、本格的にこの辺りの話をするときに、一度事務局的には少しその辺りのデータ、資料等を出していただくと、この移送制度の問題点、あるいはどのようにすれば本来の医療に結びつけることができるということに生かしていけるのかというところの論点での話し合いができるのではないかと思いました。

○町野座長 ありがとうございました。

〇千葉構成員 千葉でございます。
 私のところは、もう10年近く応急指定病院の指定を受けて仕事をさせていただいておりますけれども、この例は、実は1件も、この10年近くありません。多分、移送制度が34条になったときから全くないのだろうと思います。
 確かに問題なのは、「著しく支障のある精神障害者」という概念がどこまでなのかというのが、措置入院にすべき者と、そうではない者でなおかつ危険な者というところの判断が非常に難しいことと、そこに何度も保健所職員等が派遣され、そういう調査を行って、十分に調査の上、また、それが妥当かどうかの会議を行ってということが実際の運用上に規定されているようでして、かなり手間暇がかかっているということが、実際に緊急に何とかしてほしいというニーズに大分合ってないということがあろうかと思います。
 また、応急指定を受けて1床空けることになっていますけれども空いてないというのは、これはどうなのかなと私は思いますけれども。うちは空けているので。ただ、受け入れは空けておくのですが、これは精神科救急の待機のように空床確保料はゼロで、全く空床確保費用はないのですね。
 ただ、先ほど六本木構成員の方でお話があったのですが、これは保健所の職員だけではなくて、移送のための職員は、実は応急指定病院の場合には確保されていて、そこの部分については確保料で出ているのですね。ですから、要請に応じて職員の派遣は行うことができるといいますか、移送に携わることができると思っております。
 ちょっとそこの部分だけ補足いたします。

○町野座長 ありがとうございました。
 移送制度は入院制度と非常に密接に関連するといいますか、医療保護入院もいずれ議論はしなければいけないのですけれども、これが医療を受けさせる方法へのアクセスを保障する方法として極めて使いやすいということが、医療保護入院が今まで存置されてるという一つの理由だろうと思いますけれども、それにつなげるものとしての移送は、なかなかそうはうまくいっていないというのも、またちょっと考えるべき問題だろうと思います。
 それでは、議論に入りたいと思いますが、その前に、前回の監督保護者の承認についての議論が少しあって、ちょっと補足を久保野構成員のほうからお願いできないでしょうか。

〇久保野構成員 手短に、前回、714条の監督者責任が保護者制度がなくなるとどうなるかという点に関して話題になりましたけれども、その点につき、若干まとめと補足をさせていただきたく思います。
 要点としては、保護者が責任を負うとされたのは、自傷他害防止義務が規定されていたので、それが法定の監督義務に当たるので責任を負うとされていたということですので、自傷他害防止義務が廃止された後には、保護者が714条の責任を負うのは、それまでほど明らかではなくなったと。しかし、他方で、裁判例は、保護者に選任されていなくとも父母などに責任を負わせるということがあるので、そこをどう考えるかという問題はあるけれども、それらの裁判例も、保護者が714条の責任を負うということを前提に、それとの均衡に配慮して責任を負わせていたと理解できると思われますので、結論として、保護者制度がなくなりますと、例えば父母であるということ自体を根拠に714条責任を負うということはなくなるであろうということです。
 1点補足させていただきたい点なのですけれども、そうしますと、もし制度をなくした場合に、損害が現に生じているのにどうするのか、賠償しなくていいのかということが問題にはなりますけれども、その解決策の方向性としては、前回、外国まで目を向けるといろいろな方向があり得ると申しましたが、加害者本人に、つまり精神障害を有する方の行為によって損害が生じたときに、その方本人が賠償責任を負うという立法例も多くなっておりまして、いずれにしましても、その救済のために家族等の身近な者に本人に代わって賠償させることにこだわる必要はないであろうということでございます。
 ありがとうございました。以上です。

○町野座長 まだいろいろ御議論あるだろうと思いますけれども、すみませんが、先に進めさせていただきまして、本日におきましては、現行法に規定されている保護者の義務・権利の内容、実際上の効果、その規定を廃止するとどのような問題が生ずるかというような具体的な点を念頭に置きながら議論を進めていきたいと思います。
 それでは資料をご覧ください。
 まず義務規定として、第22条1項に規定のある「財産上の利益を保護する義務」について御議論をいただいて、続きまして、第41条に規定のある「回復した措置入院患者等を引き取る義務」、それに関連する権利規定として第22条の2に規定のある「相談及び必要な援助を求める権利」についてあわせて御議論いただきたいと思います。その後、第38条の4に規定のある「退院請求等の権利」についても議論をしていただきたいと思います。
 まずは、「財産上の利益を保護する義務」について、事務局から、改めて資料の説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

○本後課長補佐 それでは、お手元の資料、「保護者制度の見直しについて(各論ごとの検討)」の9ページをお開きいただければと思います。
 まず、「財産上の利益を保護すること」(22条第1項)の規定でございます。「保護者は、精神障害者の財産上の利益を保護しなければならない」という規定でございます。
 改正の経緯としては、平成11年のときの改正で、任意入院者あるいは通院患者のような方をこの対象から除外をしております。したがいまして、(2)で、本規定で対象となるのは財産の管理を要する場合であるので、入院している精神障害者に限られる。厳密に言うと、限られるわけではないと思いますが、そういうケースが多いのであろうというように考えられます。
 これは、法の解釈を書かれた本などを見ましても、精神障害者の身の回りの財産を散逸しないように看守する義務とか、入院した精神障害者の荷物をまとめて保管するとかいった事実上の保護を想定しているという形にしております。ただ、この解釈本の中でいきますと、「市町村の場合」ということで書いておりますが、入院することになる方の留守宅の荷物をまとめたり、相当長期入院が予想されるような場合であれば、状況に応じて、例えば借りているアパートの賃貸借契約を一旦解除して敷金などの返還を求めてこれを保管したりする限度にとどまるという記述がございます。単に保護者のこの「利益を保護すること」という義務だけで、賃貸借契約を解除するというところまでできるかどうかというのは様々、そこまでできるのだろうかという疑問を書かれた論文等もございます。
 続きまして、論点でございます。
 まず最初の「〇」ですけれども、入院によりそのままになっている部屋には、本人が大切にしている書物、CDなどが残っている可能性がある。保護者である親などが部屋の片づけとして処分してしまうことも考えられる。保護者としては、本人の物を処分することが本人の利益であると考えて行動しても、それが実際には御本人の不利益となることが考えられるのではないか。
 あるいは、精神障害者に財産がある場合、家族による使い込みが問題となることがある。そのようなときに、本規定があることによって使い込みの抑止に寄与するのかどうか。
 それから、精神障害者が一人で生活していた場合、入院された場合には、入院費用に加えて毎月の家賃・光熱費を払うということについては、精神障害者あるいは御家族が負担しているということもあるかもしれませんけれども、御家族に相当の負担を課すことになるのではないか。一方で、精神障害者にとってみますと、一度住居を引き払うということにしてしまいますと、退院したときに再度入居することが困難ということになりますので、退院後の生活にスムーズに移行できないという問題もあるのではないか。
 精神障害者御本人は、保護者により財産上の損害を受けた場合に、この規定をもって保護者の責任を問えるのかどうか。
 この規定をなくした場合に、身近に扶養義務者がおらず、市町村長が保護者となっている方の財産の保全に問題はないか。実際に財産の管理をされる方がいないというケースについてどう考えるかということ。
 それから、財産管理は、本来的には成年後見人等の役割と考えてよいか。
 それから、この規定を削除した場合に、民法の事務管理でどこまで対応できるか。民法の事務管理といいますのは、下の箱の中にございますけれども、民法の697条です。「義務なく他人のために事務の管理を始めた者は、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理をしなければならない」という規定がございます。保護者は、例えば、月に数回本人宅の状況をチェックしに行くとか、地震が起こった場合などに本人宅の安全を確認するとか、民法上は負わないと考えられる義務を負うことになるのかどうかということで、民法の事務管理との関係性というのも論点になってこようかと思います。
 説明については、以上でございます。

○町野座長 ありがとうございました。
 事務局からいろいろな問題点の説明がありましたけれども、御家族としてはこの規定をどのようにお考えかということにつきまして、野村構成員の御意見、また当事者としてはどうかということで広田構成員の御意見、それぞれ続いて伺いたいと思います。
 それでは、野村構成員の方からお願いします。

○野村構成員 本人が自分で保全できない状態になったときには、財産が他の者とか、特に親族から奪われるという問題が今もありましたけれども、それを防ぐための制度が必要であると思います。それにはどうするかということなのですが、私が考えることは、財産保全の義務は、公的後見人、成年後見人と出ましたが、成年後見制度では8割ぐらい親族がやりますのであんまり意味がないということで、公的後見人というものを設けることはできないだろうか。公的後見人という公的機関がその義務を負うことにして、親族による財産保全は公的後見人の監督によって規制を受けることとすると。ですから、親族が財産を保全してもいいのですけれども、そのときには、きちんと公的後見人がそれを監督するという制度をつくるべきではないかと思っております。それから、親族がもし成年後見人を務めるときには、もう一人別に第三者の後見人を付けて、2人の後見人で見るべきではないか。そして、財産の横領を防ぐべきではないかと考えます。
 それから、公的後見人が直接財産を保全する場合、これは親族でなくても公的後見人が直接財産を保全するとなったときには、公的後見人を複数付けると。2人以上の後見人がその財産を監督するということができないであろうかと考えます。勿論、その後見を行い保全するための費用は無料としないと、御本人の財産、特に貧しい人たちは何のメリットもありません。
 それから、申請をすることを誰がするか。後見を申請するのは、本人の医療とか福祉に関わる地域の公的機関が申請することにしてもいいのではないか。そのときの親族も、勿論、後見を申請してもいいのではないかと考えます。親族の遺産相続の問題でも、本人はよく権利が侵害されますけれども、こういったことも公的後見人がきちんと本人の利益を、本人が入院しているときなどには、代弁しなければいけないのではないかと思います。
 それから、親族が保全している本人の財産を親族が権利を侵害するような使い方をした場合には、公的後見人がそれをきちんと監視をして、適正でないと判断したときには、財産を公的後見人が直接預かって公的に管理をする必要が生ずるのではないか。それから、親族が財産を横領したような場合には、きちんと弁償するように本人に代わって法律に訴えるべきではないかと思います。家族が財産の保全を行うと、深刻なトラブルに発展して、兄弟間の争いとかが起きることを私は相談業務の中でよく聞いております。
 それから次に別の話になりまして、入院中、例えば生活保護でアパートに暮らしておったりして、そこのアパートを6か月過ぎて解約しなければいけなくなったときに財産保全の問題は、さっきも出ておりましたけれども、これは例えば公的後見人が貸倉庫、レンタルのコンテナなどの倉庫を借りて、退院するまでの間保管する義務を負うべきではないか。本人にとって大切な思い出の品々が散逸してしまって、退院してきてみたら何もないというのは、あまりにも本人の人格を侵害するようなあり方ではないかと思います。保管は月々8,000円とかかかりますが、この費用は、できれば公的負担してもらわないと、本人はとても支払えないのではないかと思います。
 親族に財産保全をさせた場合には、不可能である場合が多いと思います。親族の家はそれほど広くないから、家具とか大切な品々を置けない。また、入院費用の負担などで財産保全費用、貸倉庫のコンテナの月々の費用まではとても負担できないのではないかというように考えます。
 以上です。

○町野座長 続きまして、広田構成員お願いします。

○広田構成員 あんまりよくわからないのですけれども、ここに来ていれば来ているほど、精神科の病気というのは特別な病気だなということを、国民が知らないだけではなくて、私も知らなかったと、こういうようなこと。
 私、たまたま今日は喪服に近い形で来たのですけれども、他のところで話そうと思っていたけれども、母が、池田小学校のときに、ちょうどお通夜の日だったのですね。その母親は、私が二十歳ぐらいのときに、着物も買えない貧乏だったということで、先輩が素敵な紫色の着物をくれて、私は毎日そのたんすの引き出しを開けて見るのが楽しみだったのですね。昼間働いて、夜アルバイトをしていました。そうしましたら、ある日なくなっていて、母親に聞いたら、質屋に持っていったということで。
 つまり、生きているうちから親が勝手に質屋に持っていって、一昨年自殺した弟は、20年ぐらい前に、私の一番好きな、この前着てきた着物より好きな若草色の無地の着物がなくなっちゃったと。聞いたら、やっぱり質屋だったのですね。そういう家に住んでいるから、入院したときにどうのこうのとおっしゃるのですけれども、生きているうちに持っていかれていますから。
 確かに生活保護は家賃が6か月までなのです。特別な枠で9か月になるわけですよ。これは隔離収容施策時代の名残の条文ではないかと思うのですよ。今、3か月で、いわゆる一般の他科も、精神科も、前にも言ったかもしれませんけれども、前ですと、相談者に「いつ退院ですか」と聞きますね。そうすると、「わかりません」と先生は言っているそうです。今は、「どのぐらいで退院できますか」と言うと、医者の側が「3か月」と言いますから。それは患者の病状ではなくて、いわゆる病院の経営上の理由で3か月と言っているわけですよ。これは、私は削ったほうがいいと思います。
 それと、あまりにも違うことをやっていると、本当におかしいと思いますよ。社会通念上、いわゆる常識の範囲というか、私はこういうことがありながらも、おじが危篤だとかいって酸素マスクを付けるとか付けないとか呼び出されていますけれども、そういうことで、他の病気と同じように社会通念上にしていただいたほうがわかりやすいと。
 コンテナを借りるといっても、家族が負担できないわけだから公的資金というのですけれども、それは、例えば他の病気だって思い出の品がいっぱいあるわけだから、精神障害者だけ思い出のというのは、ちょっと私は国民になじまないのではないかと思って、私はこれは外していただいたほうが、一つの病気として国民がとらえられやすいというように私は思います。
 以上です。

○町野座長 ありがとうございました。
 それでは、福祉関係者の方から、この規定についてどのような問題を意識されているかということにつきまして、上原構成員と岩上構成員、それぞれお願いしたいと思います。
 まず、上原構成員の方からお願いします。

〇上原構成員 上原でございます。
 私は、実務の中でもうちょっと日常的なものとして考えてみました。
 前回も申し上げましたように、私どもの施設をご利用の方たちは単身者が非常に多いわけですね。そういう方があるとき入院しますと、その入院の段階から日常生活がストップをしてしまう。そうすると、その空間にいろいろなものが残されて、未解決のままずっと残っていくというような状況が発生してきます。例えば入院前に購入した物品のローンの返済が滞るとか、携帯電話の支払いが遅れてきたりとか、アパートの家賃の自動引落としができなくて不動産屋さんとか大家さんから電話が入ってくるとかというようなことが起こってきます。こういう場合に我々のところに連絡が入るわけなのですが、私どもは一応御本人さんの了解を取った上でなのですけれども、先方と現状の確認をしたりとか、理解を求めたりとか、あるいは支払いのめどをこのように考えているというようなことをお伝えして、解決できるように調整を図っていきます。これがもし「財産上の利益を保護する」という行為に当たるのであれば、そういうことを私たちはやっているのかなと思っています。
 ただ、私たちは保護者ではありませんので、一体何なのだろうかといったときに、いただいている資料の11ページにある、先ほど出てきた「管理者」と言われるものに当たるのかなというように考えています。となると、財産上の利益を保護するということは、必ずしも保護者がやらなくても済んでしまうことなのではないかというふうに考えております。
 以上です。

○町野座長 続きまして、岩上構成員お願いします。

〇岩上構成員 岩上でございます。
 今、上原さんがおっしゃったことと同じようなことを私どもの相談事業所でも行っています。ですから、そういう役割を担う相談事業所等ができてきていることを御理解いただければいいかなと思います。
 もう一つは、広田さんもおっしゃっていましたように、まず、前回からの議論ですけれども、この法律のもともとの大事な理念が崩れた中でいろいろな項目が残っているので、もともとは「保護する」という概念があったと思うのですが、もう一度、権利擁護の視点で組み換えていかなければいけない。組み換えるに当たっては、もう一つの議論になる非自発的入院をした場合にどういう権利擁護が必要なのか。その枠組みの中で何が必要かという議論になっていった方がいいのではないかと思っています。財産上の保護、利益を保護すると言いながら、実際保護する内容が言わば大した保護ではないということ、看守をする、保管をするというような規定だけが残っていること。それも医療保護入院と措置入院の方だけにということになっていますので、ここで、この法律自体は一回見直し、この項目自体を見直した上で、今後、非自発的入院等の中でどういう権利を擁護するかということをもう一度組み直していただいた方がいいのではないかなと思いました。
 以上です。

○町野座長 ありがとうございました。
 再び法律の方で事務管理の規定が出てきたりして、そして、今お二人が、そういえば自分たちがやっているのは事務管理だったのかというお話になりましたけれども、これらについて久保野構成員の方から何か補足といいますか、先ほど事務局の方からいろいろ問題点のご指摘があったり、事務管理の規定との関係とかいろいろありました。そういうことも含めまして、あるいは立法論といいますか、これからの問題として、福祉関係の人の活動に期待するのか、あるいは公的な監督者みたいなものをつくるかというような御議論がありましたけれども、何かコメントがありましたらお願いいたします。

〇久保野構成員 多少長くなるかもしれませんけれども幾つかお話しをさせていただきます。
 まず、この出発点は、今、共有されていると理解しましたけれども、自分の財産は自分で管理して保護するというのが原則になっていますので、扶養義務者等、あるいは身近な者であっても、幾ら家族だからといって財産に手を出したりする、先ほどの質入れをするのはもってのほかですけれども、そのようなことは許されないわけです。ストレートな言い方で申しわけございませんが、先ほどその例が出たので、かえってわかりやすいと思ったのです、ただ、ともすると家族だからしていいということが一般観念ではありがちですが、そうではないと。逆に、家族の財産だからといって守るために関与しなくてはならない義務も家族にはないということで、これも確認しておかなければならないのだと思います。
 その点は、資料との関係でいいますと、例えば10ページの下から2行目に、「扶養義務者が近くにいないときに財産保全に問題は生じないか」という問題提起がございますけれども、扶養義務者が身近にいても、法的には財産を保全する義務は負っていないということになります。
 それと関連しまして、事務管理との関係ですけれども、この事務管理は、まさに先ほど上原構成員から御紹介があったようなケースで、本来は義務はないし、逆に、やたらと手出しをしてしまえば、それは違法になる行為なのだけれども、いろいろな事情があって、善意でということが多いとは思いますけれども、関与を始めたときに調整する規定であります。調整というのは、やったからには責任を持って関与していただかなくてはならないですし、関与しますといろいろな関係が生じますので、その権利義務を調整しようというのが事務管理でございます。
 逆に言いますと、この事務管理という制度は、誰に対してでありましても、何者かの財産を管理するために動きなさいという義務を課すものではないということであります。繰り返しになりますけれども、本来、手出しをすれば違法になってしまうものを、場合によっては、違法とまではせずに、むしろ調整しましょうというのがこの事務管理でございます。
 ただ、この原則を貫きますと、まさに今問題になっていますように、実際、長期間入院などをしているときに財産が、一方で濫用される危険の問題がございますが、他方で荒廃していったりするときに放っておいていいのかということが問題になるのだと思いますけれども、その場合には、一つは「成年後見」と11ページの2行目に出ておりますけれども、本来使われるべきは成年後見制度であるというのは、ここに書かれているとおりでございます。それと、先ほど出ました精神の問題ではなく入院しているときも同じ問題ではないかという点に関しましては、本来期待されるのは、本人が誰かに頼むという形でお願いするというのがもうひとつかと思います。
 ちょっと前後しますが、それとの関係では、先ほど御紹介のあった上原構成員のケースは、「御本人の意思を確認しつつ」というところがポイントかと思われまして、御本人が有効に頼んだというように見ることができれば、それは事務管理までいかずとも、頼まれたので法的な根拠がちゃんとあって行動しましたということになろうかと思います。
 ただ、そこが微妙なところでございまして、そのときは問題なく済んだように見えましても、後になって本人が、実はそんなふうには動いてほしくなかったというように思われたときに、自分はそんなことは頼んでいないと、あるいは、書面は残っているけれども、あのときは十分な判断能力が自分はなかったと言い始めるですとか、あるいは、相手方が後で、これはやっぱり本人の同意がなかったのではないですかというようなことになったときに、根拠が失われていくということが問題になってまいります。
 そうしますと、本来使われるべきは、やはり成年後見の制度ということになりまして、それと、どれほど一般的な解釈にまでなっているかという問題はあるのですけれども、長期入院などの場合には民法には不在者の財産管理制度という別の制度がありまして、その利用が考えられるのではないかといった議論もなくはないところであります。
 ただ、立法論も視野に入れたときに、ここでポイントになりますのは、成年後見にしましても、不在者の財産管理にしましても、そこには家族の使い込み等の抑止といったような、管理する人が乱用なりを行って本人の利益が害されるということを防ぐためのきちんとした制度的な手当てがされているというところがあります。また同時に、管理する人は高度の注意義務を課せられていまして、そのようなものに服しています。
 それとの関係では、先ほど野村構成員から、後見人に親族がなったとしても問題があるので、公的な後見人というものをさらに付けるのがよろしいという御提案がございましたけれども、実は成年後見という制度そのものが一応、一応と言ってはいけないですけれども、そのような仕組みになっておりまして、成年後見人が不適切な行動をしないように後見監督人というものを付ける。あるいは、さらにその上に家庭裁判所が監督するという仕組みになっております。
 成年後見という制度がそのような仕組みになっていることと、保護者の財産の利益の保護義務というものを対比しますと、保護者制度では、確かに保護義務は課していますけれども、濫用を防ぐような制度的な仕組みも伴っておりませんし、保護者がどの程度の高い義務を負って財産を守らなくてはいけないかということも書いてございませんので、この規定がなければ誰も義務を負わなくなってしまいますから、残しておいたほうがいいのようにも一見見えますけれども、必要な仕組みを伴っていないので、そのまま残すというのはいずれにしても問題であると考えます。
 最後に1点、先ほど、9ページの一番下のところの賃貸借の解除について、事務局からも解釈は微妙であるというお話がございましたけれども、今、対比しましたような成年後見のような制度と、事実上負うとされているこの義務の構造を対比したときに、この義務を根拠に、市町村長であったとしても、保護者がそのような代理権を持つという考え方はとりがたいのではないかと考えます。そういう意味では違和感があるという異論の方が正しいように思います。
 立法論としては、先ほど、福祉の現場に任せていくのかというお話がございましたけれども、確かに成年後見制度が使いにくい、あるいは、不在者の財産管理をもし使うとしても、いずれにしても家庭裁判所に申し立てるというようなことが使いにくいということが現場にあるのかもしれませんので、そういう意味では保護者をなくせば済むということではない、と思います。
 ただ、他方で、福祉の現場に任せていくという場合でありましても、現場の方たちも管理のためにぎりぎりの判断で動かれるというのは、あまりにも過酷かと思われますし、問題も生じるところですので、何かしらより手続は軽くなるけれども、しかし、乱用の防止とか、監督とかいうことはしっかりと働かせるということが必要です。監督を働かせることによって、管理を実際になさる方もかえって安心して動けるという、そのような方向性が漠然としておりますけれども、目指されるように思います。
 長くなりましたけれども、以上です。

○町野座長 ありがとうございました。
 この規定をとれば、あと事務管理があるからこれで何とかという話では全然ないという話なのですね。
 続きましては、市町村長が保護者として選任されていた場合などがありますけれども、行政の観点から御意見はありますでしょうか。鴻巣構成員いかがでしょうか。

〇鴻巣構成員 経験上、実際に市町村長の同意で、単身ということでありますけれども、その場合に、措置入院、あるいは医療保護入院といった場合には、病院のケースワーカーさん、コメディカルスタッフと連携をしてそういった調整をしてもらっているというところから、私が経験した中では、さほど問題になったことはないです。
 ただ、本当に単身の場合で、生活保護等を受けていればいいのですけれども、生活保護になっていない場合には、私が病院で経験したのは、病院で本人と一緒に伺って、アパートの解約とか、荷物を病院で預かったりということをした経験があります。そういう問題が生じる可能性はありますけれども、義務があるからどうのという問題ではないと思います。 

○町野座長 どうもありがとうございました。
 では、「保護者の財産上の利益を保護する義務」に関しましてこれからフリートーキングに入りたいと思います。御意見のある方は挙手をお願いいたします。恐縮ですが、御発言は簡潔に3分以内ということでお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

○千葉構成員 千葉でございます。
 事務管理のところで、よく病院が遭遇することなのですが、入院されていた患者さんが亡くなられた場合、御本人の通帳を病院がお預かりをしていたということがよくあります。御家族がほとんど来られない、全然接触がないといったようなこととか、特に生活保護の方が多いかと思うのですけれども、使い切らずに少しずつたまっていたりするお金が結構な額になっていたりしますと、亡くなられた場合、誰でもかれでも「はい」と来た方にお渡しするわけにいかなくなるのですね。基本的には御本人の財産分与が確定するまで渡せないということになってしまいます。ですから、家族が来たら誰でもいいから渡すなどということはやってはいけないわけで、分割協議書という、要するに遺産協議が終わるまでお渡しできないという形になって、それまでずっと持っていなければならない。要は、亡くなられた方なわけですけれども、財産を持っていなければならないというような状態が起こって、この辺りは先ほどの事務管理にどうやら当たりそうだなというように話を聞いていました。病院としてはそういうこともしなければならないということを一つお話しします。
 それから家賃のことですが、よくあるケースで大変悩ましいところなのですけれども、御本人に説得して何とかという場合はいいのですけれども、なかなか説得に応じないうちに、つまり家賃を払わない状態が続いていて契約が切れてしまう。何か月滞納したら出ていってもらいますよという形の契約がほとんどの賃貸契約に載っている一般的なものだろうと思うのですね。その場合、切れてしまった場合に、荷物はどうなるのかということですね。それは大家さん側が勝手に処分していいものなのか。その権利はどうなっているのだろうかということは、法律的にはどうなのか。これは民間だけではなくて、多分公営住宅等でも同じことが起こるのですね。あるいは、その方が身寄りなく亡くなった場合は、賃貸している部分の中に残されたものはどのように処理をするのか。やはりそこら辺と同じように思うのですが、その辺りをわかったら教えてほしいのですが。

○町野座長 わかりそうなのは久保野先生がおいでになるので。

〇久保野構成員 他の方を先にしていただいて。

〇町野座長 わかりました。では、後ほどあるようですので、他の御議論をお願いします。

○白石構成員 今、千葉構成員がおっしゃった前半の方は、成年後見人であっても同じことではないかと思うのですね。結局、成年後見人も遺産、財産を執行する人に渡せないような状況があれば持っていなければいけないということで、これは後見人が付いているとか、そういうこととはまた別の、みんなが困っている問題ではないかと思います。
 それから、私の方で、自分の意見と御質問ということでお話しさせていただきたいのですけれども、9ページに「(2)本規定の解釈」というのがありまして、そこで、「本規定で対象となるのは、財産の管理を要する場合であるので」という一番最初の「〇」の下から3行目から2行目にかけての文章があるのですけれども、これは法律家の先生にお伺いしたいのですけれども、「本規定で対象になるのは、財産の管理を要する場合」というような認識がいいのかどうかですね。管理でなく「保全」というようなことでやっているのではないかというように私は理解をしていたところです。
 この22条の「財産上の利益を保護すること」というのは、私の理解では極めて巧妙というか、今になってみると巧妙につくられているところがありまして、例えば成年後見制度は、精神病の障害によって判断能力が低下している人を保護する制度ですけれども、「利益を保護する」というふうに書いてあることによって、保護者の制度が、この人の判断能力はどうかということの認定を避けてでも適用ができているというところに一つの抜け道があるのだと思うのですね。実際には、もしこの制度が残るのであれば、判断能力が欠けている人に保護者が付くというような規定にしていかなければいけないところで、曖昧に財産上の保護をするという、その対象がどんな人なのかということの検討を抜きにして、保護した方がいいとか、よくないとか、第三者が問題にすることは、国際的な法律に照らしても、現在はちょっとまずい状況になってきているのではないかと思います。
 以上です。

〇町野座長 ありがとうございました。他にございますか。

〇河崎構成員 河崎です。
 野村構成員に少しお伺いしたいのですが、先ほどのお話の中で、公的な後見人あるいは公的機関がきっちりと監督をしていくというお話がございましたが、それは今の白石先生の話とも関係するのですが、22条の1項で想定されているのは、例えば「保護の対象から任意入院者及び通院患者を除外し」とかなっていますが、野村さんのおっしゃったのは、かなりもっと広く精神障害者の方たち全体に対して、そういうきっちりとした公的な後見人とか公的機関とか、そういう必要があるのだというお話として受け取ってよろしいでしょうか。

〇野村構成員 はい。本来はそのように守られるのが一番好ましいのですけれども、今の議論は、この法律をどうするかというところで行われていますので、それはちょっと置いておきまして、この場合に私が考えたのは、成年後見制度を使う場合と同じように、本人に自分で管理をする能力がないと、どこかで判断しなければいけないと思うのですね。
 私がここに「成年後見人」と書かなかったのは、あの制度というのはとても使いにくいと私は感じていましてね。ですから、あれをもう少し修正したものが公的後見人と私は考えていまして、もう少し使いやすい後見人制度はないかと思って。
 成年後見人が高齢者の財産を横領したという事件が実際にあるのです。ですから、その辺がすごく怖くて、それをもし親族がやってしまった場合には、もっともっと財産を横領しやすいのではないかというおそれを持っていましてね。そういった諸々を込めましてさっき発言をさせていただきました。

○河崎構成員 そうしますと、この条項をどうするのかというようなことは一点あるわけですけれども、財産上の利益にするのか、あるいは財産をきっちりと守っていくため保護をしていくという条項にするのかは別にして、どういう方を対象にするのかという部分はしっかりと論議をしていかないといけない場面がきっとあるのではないかなと。その辺りは法律家の先生方はどうお考えなのか、逆にちょっと教えていただければありがたいなと思います。

〇町野座長 今の点は、久保野先生、何かございますか。

〇久保野構成員 先ほどの点も含めていきますと、御本人が亡くなったときの問題は確かに悩ましいというように伺いましたが、先ほど白石構成員から御指摘がございましたとおり、亡くなりますと、法的には相続人の方々のものにはなっているということになりまして、義務なくして預かっているということになりますから事務管理に当たるとしましても、その相手方というか、共同相続人全員のために持っているということになるということですよね。
 その先は、本来は、遺産分割が終わって、これをどなたかに渡しても間違いないという確認することまでは、病院はしなくてはならないわけではないけれども、そうしないと実際上はトラブルに巻き込まれる可能性があるのでなさっているというように理解いたしました。そうしますと、それ以上はなかなか申し上げにくいといいますか、法的には共同相続人に返せば済むといっても、実務上は恐らく済まない話だろうとだけしか言えません、すみません。
 もう一つ、賃貸借が満了あるいは賃料を払わないので終了ということになったときには、中にあるものをどうするか、これも悩ましい問題だと、むしろ教えていただいたような気がします。これも、法的に見ましたときには、これは御本人が精神障害をお持ちでもお持ちでなくても、あるいは入院をされていてもされていなくても同じですけれども、どちらにしてもどかすことを現実に行っていくことができないのでどうするのか、ということかと思います。それで、法的に詰めていきますと、そのために後見人を立てるのかという問題にもなっていきかねないところ、何らかのもう少し簡易であり、しかし、御本人の意に反して持ち物が処分されてしまわないような仕組みが必要なのだろうということを、その例もよく示しているように思います。ということでよろしいでしょうか。

〇広田構成員 本当にここに来ていると、いろいろな本音が出てきて、いいのですよね。要するに、亡くなった人の病院が困る話なのですよ。でも、この規定は、生きている人ね。生きている入院患者の財産の保護の規定だからね。本来はね。でも、人が亡くなると本当に、病院も困っている。警察も困っていますよ。
 そういうことなのですけれども、私も盲腸で入院した経験と、精神科の薬の副作用で入院した経験がありますけれども、明らかに違うのは、精神科の入院は、異様な検査ですよね。私が付き添って行くとそうです。相談者に付き添って行きますから。保健所も行けない、クリニックのワーカーも行けないときは、広田さんは信頼関係があるから一緒に行ってくれと行きますけれども、明らかに他科と違うのは、やたら調べたがるのですよ。先生たちの病院は違っていたらごめんなさい。量が多いが多いから始まって。そうしますと、私もそうですけれども、人間が大事なものというのは、全て家から大事という場合もありますけれども、これだけは絶対自分にとって大事というのがあるではないですか。それは、この規定ではちょっと違いますけれども、持っていけるような医療機関であってほしいということです。

○千葉構成員 言っているのは荷物ね。

〇広田構成員 そうそう荷物、家ではないわよ。例えばお人形さんとかね。ライフルでは困っちゃうわけね。
 私は町野先生の質問はこう聞いたのですよ。範囲だから、つまり行政の命令で入院している措置入院の場合の保護なのか、それとも医療保護入院まで広げるのかという質問なのかなと思って、私はとても関心があったのです。実はここを私は答えようと思っていたのだけれども、よくよく考えてこなくて、確かに医療保護入院と措置入院は、患者からすれば強制入院ですけれども、制度からすれば措置入院というのはいわゆる行政命令ですよね。医療保護入院というのは、家族のいわゆる事情のような感じです。私は、危機管理の相談員としても。そうすると、行政がいわゆる公権力で入院させたものはどうなのかなということなのだけれども、生活保護の場合は、逮捕された瞬間に家を失ってしまうのですね。生活の保護の場合、逮捕された翌日にもう廃止です。それで、同じ精神障害者もそうです。責任能力があると判断されて、逮捕されたら翌日廃止なのです。生活保護はパーです。それが精神障害者だからいって、逆に24条通報がかかります。警察官通報がかかって、措置入院にしろ医療保護法入院にしろ、入院した場合には、最大、さっき申し上げたように9か月みられると。実際に現場ではこういう違いがあるのですね。
 では、失った人がもう一回地域で暮らすときに家がなくては困るよというのは、それは生活保護制度を使えばいいわけです。家族が住んでいるところからもし独立する場合には、世帯分離ということで、前にもお話ししているけれども、それはあり方検討会の方で世帯分離が生活保護はしやすくなったということになっていますからね。
 そういうことですから、私がちょっと聞きたいのは、逆に回答した私が聞きたいのは、医療保護入院と措置入院の仕分けというのは、後で入院制度でもう一回出てくるのかもしれませんけれども、こういう関連のときにあるのでしょうかね。

○町野座長 「あるのでしょうか」という質問ですけれども、どうですか。

〇本後課長補佐 規定法上は、医療保護入院でも措置入院でも、この「財産上の利益を保護すること」という規定に関していえば、いずれでも対象になるということになっています。

〇広田構成員 それはわかっているの。ここに書いてあるから。書いてあるのですけれども、さっきの町野先生の質問はそういう質問ではなかったのですか。

〇町野座長 私はその質問をしたとは実は思っていなかったのですけれども。おっしゃられる意味は、結局、措置入院のときは行政の方が命令して入れているのだから、管理の方についても、むしろそっちが責任を持つのが筋道ではないかと、そういうことですか。

〇広田構成員 筋道ではないけれども、そういうように考えられるわねということです。何しろ9か月以内に出してほしいということが本音ですけれども、なるべく早く退院させてほしいという議論は盛んに患者側から出ていますから早く出してほしいし、出せるようないわゆる入院のお金になったではないですか。何度も言いますけれども、3か月。だけれども、そのように、とりようによっては公権力の入院と家族の都合の入院というのは分けられるかしらねということを伺いたかっただけです。

〇白石構成員 この規定、措置入院がどうかということに関しては、かつて調べたときの状況と今は違っているかもしれませんが、約10年前に市区町村長の保護者の同意に関する調査をしたときは、都道府県によって措置入院になった人の家族に直ちに保護者の選任を求めるか求めないかということに関して、運用上の差異があるということがありまして、措置入院の場合は、保護者の選任を求めないというような運用をしている自治体もありました。ということは、措置入院の場合には、特に保護者を選任していないのであれば、この財産上の利益を保護するということは、家族に要求されないという解釈も成り立つと思います。
 ただ、今それがどのようになっているのか、10年も前の調査なので、もし御存じの方がいたら教えていただきたいと思います。

○町野座長 この問題はさらにまだ議論すべき点はあるだろうと思いますけれども、時間の関係がありますので、恐縮ですけれども先に進めさせていただきまして、次は、「回復した措置入院者等を引き取る義務」、それから「相談、必要な援助を求める権利」、これらについて検討をしていただきたいと思います。
 まず、事務局から改めて資料の御説明をお願いいたします。

○本後課長補佐 それでは、資料の17ページをお開きください。41条の「回復した措置入院者等を引き取ること」という義務でございます。「保護者は、第29条の3もしくは第29条の4第1項の規定により仮退院する者を引き取り、かつ、その保護に当たっては当該精神病院または精神病院の管理者の指示に従わなければならない」ということでございます。
 この規定につきましては、対象となっていますのは、基本的に措置入院の患者さんと、緊急措置入院の患者さんということになりますので、規定上は医療保護入院、任意入院の方については、明文上は対象とはなっていないということでございます。
 この規定は、平成11年の改正当時に削除できるのではないかということで検討されましたけれども、引取義務の対象になっている措置入院の解除者について、引き続き医療を必要とする場合が多い。とりわけ医療保護入院という形になるケースが多い。あるいは、任意入院となるケースが多いということで、保護者による支援を確実に担保する必要があるという観点から、引き続き存置すべきだということで、そのときは削除ということにならずに維持されているというものでございます。
 本規定につきましては、緊急措置入院、措置入院の患者さんが入院を不要と判断されて退院する場合に引取義務が生じるということでございます。これは法律の解釈本の中では、措置入院、緊急措置入院、いずれにしても行政が主体になって行うものでございます。行政から保護者に円滑に権利、利益を擁護する主体が移行されることを確保するためのものであるという解釈、説明がなされているところでございます。
 退院後の行き先としては、任意入院または医療保護入院への入院の形態の変更による入院の継続も含まれるという理解もされております。
 続きまして、論点ですけれども、保護者については、父又は母がその役割を担うことが多いが、高齢化が進行しているということで、これらの保護者が実際に精神障害者を引き取って保護することは困難となっていることもあるのではないか。また、家庭環境、家族関係などにより自宅で引き取ることが困難な場合もあるのではないか。
 それから、後見人や生活をともにしていない家族等の保護者にとっては、自宅に引き取ることは考えづらい。医療保護入院への移行や施設等への入所による対応が中心となるのではないか。その場合には、その負担はどの程度のものなのでしょうかということが2番目でございます。
 引取義務を精神障害者への医療を受けさせるという観点から見ると、これは先ほどの平成11年の改正のときにも重視した観点ですけれども、そういう観点から見ると、医療を受けさせる義務と重複する義務ではないかという論点も考えられます。
 それから、この規定を削除した場合に、民法上の扶養義務等でどこまで対応できるかという論点もあると考えられます。民法上は「扶養義務者」ということで民法の877条に「直系血族及び兄弟姉妹は互いに扶養する義務がある」ということで、扶養の義務が課せられております。その扶養の義務等の関係も論点になり得ると考えます。
 それから19ページですけれども、この規定がなくなった場合でも、措置入院の患者さんが退院する際、退院後の受け入れ先がどこにもないといった事態が生じることを避ける観点から、いずれかの方が受け入れ先を調整することは必要ではないかということでございます。
 続きまして、次の20ページですけれども、「相談し、及び必要な援助を求めること」という規定が22条の2に規定されています。保護者は、第41条の規定による義務、これが先ほどの引取義務でございます。引取義務を行うに当たり必要があるときには、精神科の病院とか、あるいは障害福祉サービスの事業を行う者に対し、精神障害者の社会復帰の促進に関し、相談し、及び必要な援助を求めることができるということでございます。
 これは、改正の経緯にもございますとおり、まさに引取義務を負う保護者への一層の支援の充実を図るという観点から、平成5年の改正のときに明記するという形で新たに加えられたものでございます。ここに関しては、まさに保護者にとってみますと、保護者の活動を支援するという規定になっておりますけれども、41条の引取義務とセットで検討していく必要があるというように考えております。
 説明は以上でございます。

○町野座長 ありがとうございました。この2つの規定もなかなかわかりづらいのですけれども、この資料の中にもありますとおり、引き取る義務というのは、かなり早い時期、精神衛生法の時代からこの規定はまずあったということですね。そこでの考え方は、保護者というのは依然として義務を負っているのだよと。行政のほうが措置入院させたからといって、これでなくなるわけではないよという確認の規定だというのが、古い注釈書には書かれていると、そういうことですね。
 だから、その前提から見ますと、措置入院者が退院したときに引き取る義務があるのは、これは確認なのであって、通常の場合、例えば他の入院形態で出てきた人も引き取る義務が、普通医療を受けさせる義務と同じようにあるのだと。22条の1項です。ということなのですね。そこから一般的に、医療保護入院で退院する人についても、やはり引き取る義務があるのではないだろうかというような漠然とした考えがずっとあるということになっているわけですね。
 それで、その後にさらに、先ほどの22条の2が追加されて、支援を求める権利が、今度こちらについて規定されたので、他の方については、それでは求める権利はないのですかという非常に奇妙な事態になってきているという話なのですね。かなりもつれたようなところがあるわけでございます。
 これらの規定についてもいろいろ御議論はあるだろうと思いますけれども、まず、行政庁としては、措置入院を行うという立場にあるわけですけれども、本義務規定は、退院の際は保護者が義務を負うということになっていると。しかし、入院させたのは行政機関なのですから、先ほどの議論にありますとおり、行政機関が精神障害者の保護について責任を持つべきなのだと。それで、ここから先はまた再びあなたに返すよというのは、けしからんのではないかという議論があるだろうと思います。措置入院から退院する際に、保健所が実際にどのような支援を行っているかということも含めて、ここで、何回も申しわけございませんが、六本木構成員と鴻巣構成員、それぞれ順番にちょっとお話をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

〇六本木構成員 先ほど白石構成員から発言がありましたけれども、実は措置入院させたとき、保護者の選任を岩手県ではやってないです。医療保護入院になった段階で選任を始めるような形になっていまして。そうすると、この話は全然おかしな話になってくるのですけれども、実は保健所の措置のケースはそんなに多いわけではなくて、人口50万弱の管内で、年間に数件から10件程度なのですけれども、その中で医療保護入院を経ずに退院するというケースも、実は何件かあります。そのときは、あまりトラブルにならずに、家族が実際には普通に、保護者ということも何も関係なく、家族として普通に受け入れるというケースがほとんどで、中には一部の家族が反対することもあるのですけれども、そういった際には保健所のほうと、家族の思いを聞いたり、あるいは受け入れに当たっての注意をしたりしながら調整して、何とか元の家の方に退院させているというケースしか私は聞いてないです。
 むしろ医療保護入院のケースの中に、元の家に戻るのが難しいケースが実際には多くて、その際には、他の施設等の調整をするというようなことが起こっているというように聞いていまして、案外、この規定があってもなくてもというか、何も問題はないのではないかなというような感じがするし、むしろ保護者が引き取るという規定がきちんとあることによって、保護者以外のところに行く道を閉ざすのであれば、逆にない方がいいというようにみることもできるのではないかなと思っています。
 以上です。

〇町野座長 続きまして、鴻巣構成員よろしくお願いします。

〇鴻巣構成員 同じような話になってしまうかもしれませんけれども、この法の条文があるから保護者どうのこうのというのはあまりないように思います。例えば措置入院するに当たって、それまでの家族内での問題とか、同居している方とのトラブルがあったりして、そこに戻るのがあまり好ましくないという関係も中にはあります。そうした場合には、家族だからとか保護者だからとかではなくて、違う方策を考えるというのが通常でございます。というのは、帰ることによって悪化してしまうことは非常に不利益なことでございますので、それは避けなければいけないということを考えるということでございます。
 それから、埼玉では、厚労省の指導もありまして、措置入院したからしばらく保護者を選任しなくてよろしいということはないですね。法律上は、「精神障害者には保護者を付けなければいけない」というところから、なるべく早く保護者を選任してくださいと。というのは、措置症状がなくなっても、保護者を選任していないので措置入院を継続しなければいけない期間はあまり好ましくないというように思います。措置症状がなくなった段階で、医療保護入院が必要な方には医療保護入院に速やかに切り替えられるように、タイムラグを防ぐという意味でたぶんやっているのではないかと医療審査会の方では解釈をして説明をしている状況です。若干自治体によって運用が違うというところがあるのは、そういうことなのかなというように思います。

〇町野座長 ありがとうございました。
 それでは家族の立場から。先ほどから、事務局が前々回に提出した資料においても、家族の調査から、本規定は非常に負担と感じられているということがうかがえますけれども、実際のところ御家族の方にどのような負担になっているのだろうか。これは措置患者だけに限らず、その他の退院の患者さんも含めて、良田構成員のお考えを承りたく思います。よろしくお願いします。

〇良田構成員 良田でございます。
 これは確認の意味だよと聞いて、何となく、今、私、頭が混乱してきちゃって。用意してきたことと。どうしようかなと思っているのですが、本当に、何人もの方がおっしゃったように、何かおかしなことになっている法律だなというように思っています。
その前に、この間も言いましたけれども、何回も繰り返しますけれども、障害者の権利条約の批准が言われている中で、他の障害者にはないし、対象の範囲も決められてないし、ただ精神障害者だからということだけで決められている、この差別法とも言える保護者制度はもうなくすべきだということを前提にお話ししたいと思います。
 それで、41条のことですけれども、私も、基本的にこれは公の権限で入院させているものですから、何で保護者が出てくるのかなと不思議に思っていました。私の考えたのは、昭和25年、衛生法が始まって以来の規定ですし、それから以降は結構「経済措置」と言われて、経済的な貧困とか、入院費を払えないとか、そういう理由で措置にしたという患者さんが非常に多かったということがあります。私も大分前に、昭和40年ぐらいに病院で仕事をしていましたときに、非常に措置の方が多かったのですね。それを医療保護入院に少しずつ変えていったということがあるのですが。
 「経済措置」と言われる人たちは、多くの方が非常に貧しく、また家族との関係も途切れていて、退院も困難なケースが多かったのですね。こうした人たちが、帰るところがないと困るということで、こういう保護者の引取義務がつくられたのかなと思い込んでおりましたけれども、違うのかもしれません。ただ、当時は、グループホームとかケアホームだとかいう施設もなくて、自立を支援するような制度も全く皆無の状況でしたから、家族に帰らせる以外に選択肢がなかったという状況だというふうに考えられると思います。
いずれにしても、様々な事情を抱えた当事者が家族の元に帰ればそれでいいのだと、そんなことはないということは誰でもわかるはずなのですね。特に家庭内でいろいろな事件が起こったというようなときの場合には、自宅に帰るということは本人にも家族にも非常に緊張感をもたらしますし、それがあまりよい結果にならないことも容易に予測できることだと思います。
 実際にあった例ですけれども、これは私が相談を受けたケースです。お母さんを殺害してしまって措置入院になった男性が措置解除になったのです。それで、お姉さんたちに保護者になってくれと病院は要求したわけですけれども、お姉さんたちはそれを拒否しました。居住の市町村同意の申請をしたのですけれども、市町村は親兄弟がいるのだからといって絶対を認めなかったのです。結局どうなったかといいますと、80歳を過ぎたお父さんが家庭裁判所で選任を受けて入院の継続ということになったわけですけれども、こういう事例が後を絶たなくて、つまりこの選任という手続も、家族の心情とか関係性とか、保護者の保護者としての適格性とか、何ら関係なく保護者になっているという実態が現在もあります。
 私自身も保護者の選任を受けたことがあるのですけれども、大いに同情されましたけれども、私の健康状態など聞くことすらなかったです。非常に簡単な確認で紙をいただいてきました。そういうことで、本当にこの保護者制度は、実際に本人を守る制度になっているのかどうか疑わしいなと私は思っています。
 それはそれとして、このお父さんが将来この息子さんと生活することになるのか。さすがにそれはないでしょう。今の時代であれば、グループホームだとか、ひとり暮らしだかと、本人の生活を支えることが可能になっております。
 結局、この41条は実態に合わないということがわかったと思うのですね。平成5年、精神障害も障害者基本法の中に入った年ですけれども、このころにはいろいろな社会支援が出てきて、自宅以外に帰ることも考えられるようになってきたという背景があったのだと思います。それにしても、引取義務が先にあって、それで相談して必要な支援を求めることができるというのは順序の逆であって、退院後も当事者家族が本当に安心して生活ができるように十分相談して、どういった必要な支援の可能性があるのかを考えて、それで退院の形を決めるべきことなので、いずれにしても、結論から言えば、この引取義務は現実的には非常に不適切であると思いますし、もし22条の2を何かの形で言葉を変えるとしたら、「福祉サービスにかかわる事業を行う者は、精神科病院と連携して、当人の退院に際して必要な相談及び支援を提供しなければならない」といったようにしたらどうかなというように提案をして、終わりたいと思います。

○町野座長 ありがとうございました。
 それでは、医療関係者の方から、措置入院者その他の入院者が退院するとき、どのような調整を行っているのか。そのとき、保護者のこの規定はどのような意味を持っているかということについで河崎構成員、千葉構成員それぞれからお話を承りたいと思います。よろしくお願いします。

〇河崎構成員 河崎です。
 先ほどの事務局からの説明、あるいはそれぞれの構成員の皆さん方からの御発言を聞いておりますと、非常にこの41条の内容そのものが悩ましいなという思いを強く持っています。
 一つは、この「引き取る」という言葉が何を表現しているのかというのが、先ほどの事務局の説明でもそうですし、あるいは精神保健福祉法の詳解等の解釈を見てもそうなのですが、実際には医療保護への移行とか、あるいは医療、あるいは現状の精神保健福祉法の言葉で言うと「保護」、そういうようなものが行政からきっちりと保護者の方に移行するためのことを担保している条項だととるのであれば、ある意味、行政処分としての措置入院から医療保護入院への移行の際には、何らかの形でこういうことの条項は、表現はどうするかは別にして、残った方がいいのかなという印象を今は持っています。
 ただ、これは前回議論をしました第22条第1項の「医療を受けさせる義務」との関係からいって、そのようなものは必要ないというような方向で議論をしていくのであれば、この41条に関しも、こういうものがあることによって非常に複雑になり過ぎて、もっとシンプルなわかりやすい形にするためにはなくてもいいのかなというようには、今は思ったりもしております。
 それともう一点は、18ページに、「本規定がなくなった場合でも措置入院患者が退院する際、退院後の受け入れ先がどこにもないといった事態が生じるのを避ける観点から」ということがございますが、これは、こういう規定があってもなくても、受け入れ先の問題は、全ての入院制度の上で退院するときに大きな問題としてあるわけで、こういう観点はちょっとおかしいのではないか。つまり、措置入院の方の退院後の受け入れ先が、この条項があるために非常にスムーズにいっていて、他の入院形態の方はそういう条項がないから受け入れ先が非常に困っているという話ではなくて、全ての入院患者さんの入院形態を問わず、受け入れ先の問題は、現在の精神科医療の中では非常に大きな問題になっているという事実はあるという確認だけはしておきたいと思います。
 それと、もう一点だけ。先ほどからの事務局あるいは皆さん方の解釈の上からいうと、41条は、実際おうちへ引き取るとかそういうようなことよりも、入院形態の移行という形の部分の保障だということであれば、この22条の2は、かなり実際の社会への退院を前提とした話だろうと思うのですね。だから、この辺りを、セットということは一つの提案として出ていますけれども、別に考えてもいいのではないか。あるいはこれを、「第41条の規定による義務を行うに当たり必要があるときは」というようにはなっていますが、そういう41条の規定だけではなくて、どういう形であっても、退院なりあるいは地域へというときには、こういう社会復帰の促進に関して相談及び必要な援助を求めることができるというような非常に広い概念としてとらえておいた方がいいのかなというようには思います。
 以上です。

○町野座長 ありがとうございました。
 続いて、千葉構成員よろしくお願いします。

〇千葉構成員 大変悩ましいと言えば悩ましいというお話が出ていましたけれども、本来、これは行政処分をした行政といわゆる保護者との関係性の話なのであって、医療提供側と保護者との関係でのお話ではない部分なのですね。ですから、行政処分を終わったときに、その先にどうつなぐかという話なのだろうなと思いますが、実は表面的にそうでも、実際の事務的には、実際に診て治療に関わって医療を提供している側の方から、措置症状と呼ばれている措置入院になる時点での要件はよくなりました、なくなりましたという消退届を出すわけですね。内部的には、うちの場合には、単独にその主治医だけではなくて、症例検討として、いる医者全部がそこの検討を行って、「いいでしょう」ということで、病院長名で、管理者名で消退届を提出して、大抵はだめだと言われることはないのですけれども、それを受けてこの措置入院が終了すると。
 ただ、その消退届を出すに当たって、次のステップをどうするかという話は必ず出てまいります。多くの場合は、そのまま治療を続けていくことを前提として症状がずっとおさまり続けている、また、もっとよくなっていくはずというものの中で。だから、そんなに措置入院という措置症状のところをずるずる引っ張る必要はないということで、非常に短期化はしてきているのです。当然それは、その先の治療をしていくのだという前提のもとに話しますと、そこへ円滑に移行する必要が出てきて、現在の場合、その部分で多くの場合は家族なわけですけれども、保護者の了承が得られないと動かなくなるのですね。よって、措置入院を外すのが遅れてしまう。そこの説得等ですね。多くの場合は、かなりトラウマといいますか、入院時に非常にいろいろな、勿論、患者さん御本人の問題ではないわけですけれども、病気によって起こした様々な問題が非常にトラウマとなっていて、「またあの状態になるのでしたらば冗談ではない」、そういうお話をいただくのですね。
 そこの部分がうまく取り去れないまま、措置症状はなくなりましたのでということになっても、「いや、困ります」というような形で遭遇することがかなりあるのです。そうなった場合に、次のステップに進むことが非常に難しいし、また退院時点ということでも、当然その辺はかかわってくるわけです。この措置入院だけをとればそういうことがあるということで、決して必ずしも、「引き取り」という言葉が適切なのかどうかは別としても、我々医療提供者としてはスムーズに進めたいということの障害にならないかどうかということが、この項目があるからうまくいくのだということとはまた別問題だと思うのですけれども、何かこれに代わるものが必要になるのかもしれないというように思っています。
 また、その先の「保護に当たっては管理者等の指示に従わなければならない」という部分も、治療がこの後必要なのですよといった場合に、つまり本人がまだ入院治療に同意できるような状態でなかったりした場合に、当然、非自発的入院、今で言えば医療保護入院しか方法がないのですね。そのときに、そこの部分のアドバイスに従ってもらわないとなると、そのまま退院になってしまうのですね。そうすると医療中断という形になってしまったりする。私たちにすると、きちんと治っていただきたいという部分を考えると、少しこの辺のところは別な形でどうかなということは思います。
 また、セットのように見える「相談し必要な援助を受けることができる」(22条の2)は、今、河崎構成員がお話になったように、本来的には全ての入院患者さんに、あるいは治療を受けている方々に対して行われるべきことなのであって、これが載るのであれば、もっと、一番最初に載せるような、そういう話なのかなというように思います。ただ、このときにも、やはり「必要な援助」の「必要」というものは一体どういうものなのかということについては、イメージできるようにはっきりとしていただいた方が双方とも誤解がないかなという点があります。
 最後ですが、「保護者」というものは、今のところずっと、前々回、前2回とも、これで3回目ですけれども、「イコール家族」ということの前提でお話を進めてまいりました。ただ、この先に入院制度云々ということもあろうかと思いますが、もし家族ではない形で保護者が存在するのなら、それは必要なのか必要ではないのかということと、そして、その場合にそういう、例えば公的な機関が保護者だということであれば、そういう目でこれを全部見直してみると、本当に要らないと言っていいのか。そういう公的な機関が行うのなら、なおさらに必要な項目はむしろ出てくる可能性が、その人たちにはちゃんとやってもらわなければならないという意味で、あるのかもしれないということでも、もう一度見る必要があるかなと思います。

○町野座長 ありがとうございました。
 措置入院患者が退院後に施設利用となったり、あるいは地域の様々なサービスを利用したりということが考えられるわけですが、そのような場面においては、福祉関係者の方がかなり活躍されていると思います。そこで、また上原構成員と岩上構成員にお話を伺いたいと思います。
 では、上原構成員からお願いいたします。

〇上原構成員 まずここで議論の対象になっているのは、措置が解除された方ということですので、その方が次にどっちへ行くかというと、一つは入院を継続するというパターンと、もう一つは入院継続ではないというパターンがあると思います。入院を継続する場合については後々入院制度の中で議論されると思いますのでここでは控えますが、入院継続ではないという場合には、行き場所としては自宅とか施設になると思います。仮に自宅へ帰る場合には、先ほども、この資料にもありますけれども、御家族が高齢化していたり世代が変わっていたりとかいうことで、なかなか帰りにくい状況がそこにはあるということが一つあると思います。
 施設に行く場合には、現行法ですと、グループホームとかケアホーム、あるいは援護寮などもありますし、あまり目立たないですけれども救護施設もあると思うのですね。ただ、その施設が完全に充実しているか、使い勝手がいいか悪いかを考えたときに、あまりよろしくないのではないかなという印象を持っています。それは、使うときに諸々の調整が必要になってくるので、その調整を保護者がやれということになりますと、とても大変な作業になってきますし、先ほどの議論でありましたが、そもそも保護者が選任されていない場合には誰がやるのかということになってきてしまいますので、その調整機能を誰かが担わなければならないだろうなと。そこのところをしっかり議論して詰めておく必要があるのではないかと考えています。
 以上です。

○町野座長 岩上構成員お願いします。

〇岩上構成員 岩上です。
 まず41条の方ですけれども、措置入院が解除されるわけですから、その時点で御本人に選択権があるはずですね。そこで、現在のように御本人に選択権がない中で、医療機関の指示として保護者が引き取るのは、権利の問題から言えば、疑念が生じる時代になっているのではないかなと思っています。
 もう一つは、22条の2の方で言えば、まずは、先ほど来、議論がありますように、保護者が、この流れの中では保護者なのですが、今、私が話しましたように、措置が解除されたという時点で、御本人の責任も生じてくると考えます。一番相談したいのは、精神障害で入院されている御本人自身だと思いますので、その規定がないなかで保護者の規定が優先されるのはおかしいと思います。であれば、先ほど来、お話がありましたが、入院の制度にかかわらず、入院されている方がきちんと御相談できると。その一番相談できる場所は、ここでは規定がきちんとされておりませんが、今後は市町村であり、市町村の委託を受けている相談支援事業所というのが一番に来ると思います。それは、ここ7〜8年、私どもが社会的入院の方の地域移行で医療機関にずっと入らせていただいておりますので、これについては全国的になかなか進んでいない状況もあるとは伺っておりますけれども、そういうことを経験から考えますと、市町村であり、今後は相談支援事業所が医療機関の御相談にも応じることも含めてし、御本人にとってのきちんとした規定、権利であるべきだというように思います。

○町野座長 ありがとうございました。
 事務局からの説明の中で、本規定を削除した場合、民法上の扶養義務等でどこまで対応できるかという問題提起がありましたけれども、この点について簡単に久保野先生お願いできますか。

〇久保野構成員 扶養義務者が負う義務というのは、今は、経済的な給付とされておりまして、同居して面倒を見るという意味での引き取りの義務はございませんし、それ以外の事実行為として何か手配をするといったようなことも義務としてはございません。「義務として」というのは、もちろん扶養義務者たる家族等が相談してそうしようと納得してということであり、そして御本人もそれを拒んでいないということであれば引き取りもあり得るけれどもということでございます。今お話を伺っておりましても、問題は、グループホーム、ケアホーム、地域生活の支援等、受け入れ先の問題をどのように考えるかということで、それらを民法上の扶養義務者が何らかの行動をするというような方で受けるという関係にはないというように考えられます。

○町野座長 ありがとうございました。
 では、保護者の今の「回復した措置入院患者等を引き取る義務」及び「相談して必要な援助を求める権利」に関しまして、これからフリートーキングに入りたいと思います。ますます時間が限られてきましたので、御意見のある方は挙手をお願いしますが、また発言は簡潔に3分以内ということでお願いします。
 では、広田構成員。

〇広田構成員 本当に当事者不在の条文で、当事者不在の論議が続いていて、外していただきたいということと、公権力による強制入院ですから、だから、行政がきちんと責任を持って関わるということです。
 それで、今日、資料を2つ出していますが、「寝て、食べて、本音を語ってうつ予防大作戦」ということで、今度3月には蓮舫さん、超人気の政治家ですけれども、うつの最前線、自殺の最前線に出るそうですけれども、神奈川県なども、要するに小児科と精神科が連携して早期発見・早期治療と、うつもやるそうなのです。でも、何度も言いますけれども、私が患者になった時代から、精神障害者の数がもう3倍にもなっていますね。治せない医療でいじくりまわしするよりも、ぜひこういうふうな「うつ予防大作戦」をして、でも、やっぱり住まいは大事よねということで。今一番素敵な家に住んでいて幸せですが。それで、この講演録に出ています。是非読んでいただきたいのです。『精神医療サバイバーから精神保健福祉センター職員に望むこと〜行政と精神科医療〜』ということで、いかに発言する当事者が行政を外したかということと。
 それから今日は喪服みたいなのを着てきましたけれども、いわゆる池田小学校事件が起きた延長線上で、前にもお話ししましたが、法務省と厚労省の合同検討会の参考人に厚労省から依頼されて、最終的には神奈川県精神保健福祉センターのささがわさんという人に電話を使わないでという話は、前回名前を出しましたが、すけがわゆきおさんという方が、私が厚生労働省のまつもと課長に会ってきたと言いましたら、「広田さんは変わったね。ここはアメリカでもイギリスでもない。儒教の日本だよ」「私に何か問題がありますか」と尋ねましたら、「あなたの書いていること、発言していることは100%正しいけど、出ていること、すなわち問題だ」、つまり出る杭は打つということですよ。
 でも、私は別に好き好んで出てきているのではないのですね。何度も言いますが、去年11月22日に謝罪されたその1本の注射は、私に全く何の診察もなかったのです。診察もなく、心配症の、さっきたんすから質屋に持って行ったという非常に保護者らしくない不適切な保護者という名の私の母親が愚痴ったことで注射を打ったと。そういう被害者として出てきているのですよ。被害者として精神医療サバイバーで呼ばれているのにも限らず、そういう体質が行政にある。背景にはいろいろなものがありますが、読んでいただきたい。是非読んでいただきたい。ぜひ行政が責任を持ってやる。今日午前中に横浜市の会議でも言ってきましたけれども、本当に行政がその人の身に立ってないのですよ。自殺を止めるどころか、自殺を本当に何か振りまいているがごとくの仕事ぶりなのですね。でも、きちんとやっていただきたい。
 さっき34条の話が出てきましたけれども、34条も、患者の移送は反対です。でも、移送しないけれども、行政が何よりも精神科の患者にもしかしたらなるかもしれないしならないかもしれない人に関われる法文かもしれないのですよ。人間はどちらかいい方にとって、一番困っている御本人に寄り添う形の行政であってほしいのだけれども、実際は本当に相談まで、何で家族支援、家族支援と騒いでいるのか、この法律、よくわかりました。
 私は、相談よりも、むしろ今この日本で必要なのは、姜尚中ではないけれども、悩める力も必要だし、「人間は考える葦である」だと言ったパスカルの言葉も必要だし、何でもかんでも聞いて歩いて、相談機関ショッピングして。仲間もそうです。「挙げ句の果にどうしたらいいの、広田さん」ということで、「あなたの人生だから、あなたがよく考えたらどうですか」と言うと「私が考えてもいいんですか」という回答もたまにはあるのですよ。ですから、相談、相談とあまり言わないで、きちんと行政が責任を持って措置入院患者を引き受ける、そしてやるべきことを全てやるということが大事だと思って、この法文をこういう形で、保護者、保護者といろいろな形で残すのはおかしくて、私の家族はたまたまラッキーに、家族の会に入ってないから、ここまで私がある意味で有名になれて活動できている。これが、家族が私のことを、あのときこうだった、ああだったとしゃべりまくられたら、私は本当に世の中から出られなかったということがあります。
 それは、例えば木倉部長はうちでこうですよと奥さんがここへ出てきてしゃべったら、とてもじゃいけど自分はいられないと。福田さんもそうです。みんなそういうことがありますから、みんなが精神科の患者になって、措置入院の患者になったらどうなのだろうかという視点で物事を変えていっていただきたいし、ここ2つは本人が全く不在の条文だということで、行政にしっかりしていただきたいと。全ての行政にしっかり。特に地方自治体の行政です。よろしくお願いします。

○町野座長 では、白石構成員。

〇白石構成員 保護者の制度は、今ある条文を議論していくと、矛盾があるということは既にいろいろ御指摘があると思うのですが、この41条に関しては、二度にわたって保護者の保護義務者と言われたところから保護義務を軽減し、第三者が補完をするという流れの中で非常に変質をしてきた部分の一つだと思います。これは私の個人的な解釈ですけれども、自傷他害のある人間を行政処分として入院させたわけですね。それに引き続いて、自傷他害の防止の監督義務を負っている保護者に、その後の責任を引き継ぐという、そういう趣旨であったと考えたいと思うのですね。そうすると、99年の法改正で自傷他害の監督防止の義務が外れた時点で、41条はほとんど意味をなくしていたと考えていいのではないかと私は思います。
 これが残ったのは、先ほど来いろいろな構成員からの意見もありましたけれども、この41条が、今までは行政処分として入院したのだから引き取りだ。いわんや、家族の同意で入院した人が引き取るのは当然だと思われていたものを引きずって、これを取ってしまったら困るというようなことがあったために残ったのだというように、私は個人的には思っております。
 ですから、本来はないはずのものであって、現在それを流用するような形で措置から医療保護に変わったときの問題であるとかいろいろ出ていることに関しては、むしろはっきり取ってしまって、その上で困ることに関して、みんなで、入院が必要なくなった患者さんが速やかに退院できるような制度をつくるためにも、これを取った上での議論という観点でこれから考えを進めていくべきではないかと思います。
 以上です。

○町野座長 まだ議論もいろいろ議論はあると思いますけれども、もう一つ残されている、あまり議論がここで紛糾すると思えない、退院請求等の権利の問題について、簡単に事務局から御説明いただきまして最後にまとめたいと思います。よろしくお願いします。

○本後課長補佐 それでは、資料の21ページをお開きください。  「退院請求等の請求をすることができること」(38条の4)という規定がございます。
 これは、「精神科病院に入院中の者又はその保護者は、都道府県知事に対し、入院中の者を退院させ、あるいは処遇の改善のために必要な措置をとることを命じることを求めることができる」ということで、入院中の患者さんと同時に、その保護者に、退院等の請求の権利を付与しているというものでございます。これにつきましては、「都道府県知事に対する退院請求を行うことが可能」ということを本人と同時に保護者にも認めているということですので、入院患者の権利擁護の条項として機能しているのではないかというような論点を挙げております。
 簡単ですが、以上でございます。

○町野座長 今の点について何か御議論ございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 では、お願いします。

〇白石構成員 この請求権みたいなものが、御本人の退院を援助するという意味で意味があるということに関して、そのとおりだと思いますけれども、保護者は、本人を守るということと、第三者から関わりを排除するという二面性をいつも持っているということを忘れてはいけないと思うのですね。この場合、保護者ならば請求できるけれども、保護者以外は請求できないという、そちらの面も実はあるのだということは認めて議論しなければいけないと思います。だから、これは保護者が持っているからいいから残すとかいう議論ではなく、本来は、権利の擁護というのは保護者に限られるものなのだろうか。そこのところは考えておく余地があると。ですから、取ってしまうとか、保護者に限るという規定を考え直すというようなことであれば、議論の余地は十分あるのではないかと思います。

○町野座長 具体的には、白石構成員のお考えですと、その当時は議論があったのですけれども、弁護士さんとかそういうのを入れたらどうかという議論があったのですが、少し広げた方がいいということですか。

〇白石構成員 そうです。広げてはいけない理由があるかどうか、あるいはどこまで広げられるかという議論をむしろすべきであって、特定の人しかできないというような格好になっているのは、むしろ今となっては後ろ向きなのではないか。そういう議論があってもいいのではないかと思います。

○町野座長 わかりました。
 他、ございますでしょうか。では、お願いします。

〇堀江構成員 私の周りでは、病院が保護者の退院請求を認められないで苦労しているというケースはあまりないのです。それより3か月過ぎると退院を促される方が多い。しかも回復して退院するのではなく、抗精神病薬の過剰投与による薬剤性の症状(幻覚妄想興奮等)を統合失調症の症状と医師が誤認して薬剤をさらに投与する悪循環の中で退院を促される。さらに増えた抗精神病薬により興奮が強まり、歩道橋から飛び降り結果として足を切断・・という最悪の事態が昨年の暮れも発生しています。
 結局、救急のところで足を切断するというような話になって。問題はその後なのですが、親の方にしてみれば大変ですから、都内の精神の入院のできるベッドを持っている病院全部に問い合わせをしたけれども、どこも引き受けてくれなかった。どうしようもなくて、家族会の連絡があって、僕が結局、松沢病院は重い患者さんを受けとめるべきだと。これだけヘビーな問題、どこも受けないのならば公立の病院こそが引き受けるべきだ。岡崎先生たちが引き受けてくださって、今、入院して加療中という、こういう状態があります。
 今回の退院請求のテーマについては、私も何か話題があるのかなと思って、精神保健福祉士のベテランの方たちに聞いてみたのですが、「いや、思い浮かぶエピソードはない」というのが率直なところでした。そうしますと、私は保護者制度について、権利擁護の視点でいいところもあるのではないかとおっしゃる方たちもいらっしゃいますが、私は強制入院の正当化根拠というのはマイナス100として、もしも権利擁護による利点があるとしても、僕はゼロに近いのではないかというような思いをしています。
 そこで、退院の問題で言いますと、社会の側が烙印を押している、そのことが退院後の生活を苦しくさせている。いろいろな条件を悪くさせているのであって、精神保健の問題を、いわば地域保健の体制をつくるとか、それから退院後の烙印の軽減のためにどのようにするのかとか、そちらのほうが重要になってくると思っていまして、参加させていただいたのでこの機会に勉強をさせてもらいました。町野先生の御著書の『同意・拒否の代行』なども読ませていただきまして大変勉強になりました。やはり人権擁護を国際的水準にまで引き上げたいというのが、私は確信として非常に強くなってきたのです。
 精神衛生法の制定の時期の話が、先週、ブリーフィングのときに新垣先生がおっしゃっていましたが、精神衛生法の制定はそれまでの座敷牢や警察の裏庭にある檻の写真があまりにひどかった、そのインパクトから本人の人権のためにというより社会のために作られたものだという指摘は大変納得がいきます。翻って、明治時代ですが松沢病院の前身が文京区の向ヶ丘に建設されたのですが、4年ほどで巣鴨に再移転させられています。その理由は、隣接する宮内省の射的場から、病院の構内にしばしば銃弾が飛び込むので危険なので移転してほしいというものです。この移転のときの宮内省の態度について「おいだしてかいたたき」というほかない、私は吐き気を起こした、とこの『私説松沢病院史』の著者岡田靖雄先生は書いています。地図によるとたまたま誤射したという範囲を超えています。これは当時の責任ある立場の人が精神疾患者を忌み嫌い病院に向かって射撃練習をしたのを部下たちが見習ったとしか思えません。象徴的な事実です。
 この怒りは、私は是非これからの改革のためには共有させていただきたい。やはり人権、これは個別の法律がどうのというよりも前に、弾をこうやって撃つような、そういう野蛮な時代はもう終わりにしていただきたい。それから家族を障害者保護の含み財産だと位置づけることももうやめていただいて、この機会に当事者の権利を大事にするということでその方向性を決めていただきたいと思います。
 以上です。

○町野座長 どうもありがとうございました。
 議論はいろいろまだあるだろうと思いますけれども、時間が、もう出ていけという。そうでもなかったようですけれども、今日の御議論も、前回と同様、保護者の義務というものをこのままで存置するということは恐らく適当でないと。今日の議論からも、一つは、今日の議論は財産管理のあれなのですけれども、本来的にはもうちょっと公的な管理が必要だろうという話で、保護者にこれを委ねるのは適切でない。しかし、その制度はどうやるかという問題は、勿論、残っていますけれども。もう一つは、引取義務についても、退院者等についての医療的な調整を保護者一人に委ねるのはやはり適切ではないだろう。もうちょっと援助とかそういうことも考えなければいけないというところでほぼまとまったという具合に思います。しかし、ここから先どうしていくかという問題はありますけれども。
 それで、まだ議論はこれから続けなければいけないと思いまけれども、本日までの作業チームの議論は、そのいわば資料といたしまして、第3ラウンド検討チームに提出するということにいたします。期間の関係もありますので、恐縮ではございますが、検討チームに提出する資料は、以上の議論を踏まえた上で、事務局と私とで作成し、検討チームに提出する前に皆さんに御報告させていただくと。そこのところでもう一回、もしかして調整が入るということもあるだろうという具合に思います。

〇広田構成員 そうしたら一つ。さっき白石先生のところの、いわゆる保護者だけではなくて第三者というところは私も賛成です。退院請求とか処遇改善。それは、たまたま松沢病院はいい病院かもしれませんが、私が行っている神奈川県立の芹香病院は、別に民間と公立をけんかさせるつもりはないけれども、私のような相談員だとして行っても、友達だとして行っても、療養病床でも入れさせないのですよ。それは保護者規定があるから。家族ならば四親等以内まで入れるけれども、それ以外の人は保健所のワーカーでも入りませんよということですから。それで、決して全国津々浦々の公立は、そういういろいろ大変な問題を抱えている人をとっているとは思わないし、そこだけはちょっと付け加えたいと思います。そこはもう是々非々でいろいろな病院があるということだと思います。

○町野座長 ありがとうございました。

〇千葉構成員 一つだけ。申し訳ありません。このまま論点として上に上るということですので1点だけ。
 検討しなかった一番最初の保護者の20条の規定のところで、もともとは、この20条の項目が、要するに「扶養義務者が保護者となる」となっているところが問題なのではないのかなと。「なることができる」というようにすれば、これはチョイスの問題になるわけでありまして、家族によっては、御家族では、やはりなりたいという家族もあろうかと思いますし、その権利もやはり保障しながら、なりたくない家族には、下りれる権利と言うのは何ですが下ればいいし、21条には、どの方にもなければ市町村に。市町村同意がいいとは決していいとは思ってはいませんけれども、ここの部分もやはり考えていただきたいという論点に挙げさせていただきたいと思います。

〇広田構成員 本人はどうなのですか。本人は。家族はなりたいが本人が嫌だというのは。

〇千葉構成員 いや、だから、そこも考えなくてはいけない。

○町野座長 すみません。今の点はまだかなりまだちょっと議論を要するというところがありまして、国連の例の人権規約といいますか、最低基準ができたときにも、要するに「代理人を務める人間は公平でなければいけない」という一項があって、現在の日本の精神保健福祉法、当時は精神保健法だったわけですけれども、保護者がそれを満たしているかについては、かなり実は議論のあるところであったわけですね。そのときからの議論の積み重ねでございますから、これは第3ラウンドの中でも恐らく議論されるべきことで、ここから先、また議論すべきだろうと思います。
 今日も、これまでいろいろ議論をいただきましたことも踏まえまして資料を作成しましすけれども、これからでも、メールなり何なり電話なりでも結構ですから、私なり事務局に御意見がありましたらどんどんお寄せいただきまして、なるべく皆さんの御意見を反映させるような資料をつくりたいと思いますので、どうぞ御協力のほどをよろしくお願いいたします。
 では、きょうはどうもありがとうございました。
 今後のスケジュールにつきまして、既にもう5分オーバーしておりますけれども、事務局からお願いいたします。

○本後課長補佐 今後のスケジュールにつきましては、今までの皆様の御議論を踏まえて論点整理を作成して、2月24日に検討チームがございますので、検討チームを開催するという予定になっております。本作業チームにつきましては、この検討チームの議論を踏まえまして開催させていただきたいと思いますので、詳細が決まりましたら、構成員の皆様方にまた事務局から御連絡をいたします。

○町野座長 それでは、長いこと大変ありがとうございました。
 司会の不手際で5分間超過いたしまして申し訳ありません。


(了)
<照会先>

社会・援護局障害保健福祉部
精神・障害保健課企画法令係

電話: 03-5253-1111(3055)

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