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2011年11月4日 専門医の在り方に関する検討会(第2回) 議事録

○日時

平成23年11月4日(金)10:00〜12:00


○場所

厚生労働省 専用第18会議室(17階) 東京都千代田区霞ヶ関1−2−2


○議事

○医師臨床研修推進室長 定刻となりましたので、第2回「専門医の在り方に関する検討会」を開催いたします。本日は、先生方にはご多忙のところご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 初めに、前回第1回でご欠席、あるいは代理の方にご出席いただいた委員の方々がお三方いらっしゃいますので、ここで改めてご紹介をさせていただきます。桐野高明 国立国際医療研究センター理事長でいらっしゃいます。高山佳洋 大阪府健康医療部長でいらっしゃいます。松尾清一 名古屋大学医学部附属病院長でいらっしゃいます。それから、本日、平林委員、福井委員からは、所用によりご欠席とのご連絡をいただいております。また、三上委員からは、所用により到着が少し遅れるとのご連絡をいただいております。また、本日の議題に関連して、参考人としてお二人にお越しいただいております。まず、日本内科学会認定医制度審議会担当理事の渡辺毅先生です。
○渡辺参考人 よろしくお願いします。
○医師臨床研修推進室長 日本外科学会監事の兼松隆之先生でいらっしゃいます。
○兼松参考人 よろしくお願いいたします。
○医師臨床研修推進室長 また、本日は文部科学省医学教育課から渡辺企画官にお越しいただいております。
 それでは、以降の議事運営については、座長にお願いいたします。高久先生、よろしくお願いいたします。
○高久座長 議事を進めてまいりたいと思います。まず、事務局から資料の確認をよろしくお願いします。
○医師臨床研修推進室長 お手元の資料を確認させていただきます。第2回の議事次第、これは座席表も含めた4枚綴りになっております。その後ろに、ヒアリング資料-1として、池田委員からご提出のありました「我が国の専門医制度の現状と新たな制度の基本設計」です。ヒアリング資料-2として、渡辺先生ご提出の「内科系専門医制度の現状と将来像」です。ヒアリング資料-3として、兼松先生ご提出の「専門医制度-日本外科学会の立場から-」です。その後ろに、資料1として「第1回検討会の主なご意見」、2枚綴りです。それとは別に、内科学会のほうから、参考資料として、いくつかの資料をお配りしております。1つは「総合内科専門医についての概要」のペーパー、その後ろに「総合内科専門医の医師像と適正な医師数」です。そして、「総合内科の認定内科医、総合内科専門医のリスト」、研修カリキュラムです。最後に、厚労科研で渡辺先生が代表を務められました平成23年3月の報告書の冊子をお配りしております。配付資料は以上です。
○高久座長 議題1の「第1回検討会での主な意見」について、事務局から説明をお願いします。
○医師臨床研修推進室長 資料1「第1回検討会の主なご意見」ということで、別途、詳細な議事録についてもお作りしておりますが、ここではその中でも主立ったご意見について賜ったものをまとめているものです。
 1つ目の「求められる専門医像について」は、1つ目の○ですが、「それぞれの診療分野で標準的な医療が責任を持って担当できる、患者さんにとって安心・安全な医療を提供できる医師を、専門医として育てるということが、コンセンサスとして得られることが重要」ということです。その2つ下ですが、「一般の患者側から見る専門医のイメージと、医師が議論している専門医との間にはギャップがあるのではないか」というご意見です。その下ですが、「標榜医、認定医、専門医、総合医、総合診療医、かかりつけ医という文言について、定義をした上で議論するべき」ということです。その2つ下ですが、「本来、医師は総合医の上に立ってあるべきだが、そのレベルは色々ある。初期臨床研修は2年間でプライマリケアの能力を身につけることを目的としているが、2年間では足りない」ということです。その3つ下ですが、「総合的、全体を診ることができるということは、一つの重要な専門性だと考えられるので、そのような医師はどのような過程を経て育成されるべきなのか議論するべき」ということです。
 大きな2つ目は「医師の質の一層の向上について」です。1つ目の○の最後のほうですが、「患者の目線で専門医制度を作っていくことが重要」ということです。その3つ後ろですが、「専門医の中身と医師の偏在を一緒くたに議論するのはどうか」ということです。その下ですが、「国際比較などに十分耐え得るような育成のシステム構築のために、必要ならば第三者機関の設立なども検討すべきではないか」ということです。その2つ下ですが、「専門医制度を日本に根付かせる方向で第三者機関を構築していくことが、結果として医師の偏在の是正にも医療の質の向上にもつながるのではないか」ということです。その2つ下の○ですが、「学会が細分化した専門医のうち、どこまでが医療の基盤として求められるのかを決めて、総合医を含め、どういう形で医療提供をしていくのかという制度設計を考えるべき」。その3つ下ですが、「医療安全の観点でも質の確保という点では専門医制度はとても重要な意味を持っていると思う」ということです。
 大きな3つ目は「地域医療の安定的確保について」です。1つ目の○ですが、「専門医制度の議論においては、質の向上にだけでなく、量のコントロールをどうしていくのか、ということも重要な問題だと思う」ということです。その下ですが、「専門医について、何らかの形で、例えば診療科や地域ごとの適正数を制度的に誘導することを検討する必要があるのではないか」ということです。その3つ後ろですが、「医療提供体制全体の中で、医師の専門性の分布や地域分布についてグランドデザインを作ることが重要」ということです。その2つ下ですが、「総合医という方がいて、そしてなおかつその地域のドクターの専門性というものをしっかり把握して、きちんと紹介するシステムが必要」ということです。
 「その他」ですが、1つ目は「医療現場で働く人たちのモチベーションが上がるような制度設計であるべき」。最後に、「医師数の実態は、勤務時間数など勤務形態に応じた実働を踏まえて把握すべき」というご意見を賜っております。資料1の説明は以上です。
○高久座長 その他にもいろいろありましたが、非常に複雑な幅の広い議論があったと理解していただきたいと思います。本日の主な目的は、関係の団体の方々からのヒアリングですので、議題2の「関係団体からのヒアリング」に入りたいと思います。
 初めに、日本専門医制評価・認定機構で進められておられる「専門医制度改革について」、池田委員からご説明をお願いいたします。ヒアリングの説明は大体20分間ぐらいで、質疑応答は30分ぐらいを予定していますので、池田先生、よろしくお願いいたします。
○池田委員 ただいまご紹介に与かりました池田でございます。現在、社団法人日本専門医制評価・認定機構の理事長を拝命しておりますが、この社団法人日本専門医制評価・認定機構と申しますのは、歴史から見ると非常に古く、1981年に学会認定医制協議会、いわゆる学認協を22学会が集まって作ったのが最初です。そのあとに、専門医認定制協議会(専認協)となり、その後、専認協が、中間法人になりまして、2008年(平成20年)に社団法人化いたしました。そのころから、我が国の専門医制度を患者さん目線で確立していかなければいけない、という議論を本格的に始めました。
 今日は、現在の専門医制度の特徴を簡単に皆様にご紹介させていただいて、私どもの機構がどういう専門医制度を作るべきかということについて、現在、加盟学会が76学会あるのですが、その中で得られたコンセンサス等について、お話をさせていただきたいと思います。
 「我が国の現在の専門医制度の特徴」は、各学会が独自で制度設計をして専門医を認定している、学会が認定する専門医です。第1回の検討会でも議論がありましたが、平成14年に厚生労働省の公示が出て、一定の外形基準を有する学会が認定する専門医は公告してもよろしいということになりました。一般の方へのアンケート調査の結果を少しお話をさせていただきましたが、患者さんには専門医はどのような医師なのか必ずしも十分に理解されていない、というような議論が第1回でもあったと思います。専門医には現在、特別なインセンティブは付いていません。私ども社団法人日本専門医制評価・認定機構は何をしているかというと、加盟各学会の専門医制度の評価・認定をしていると、これらが現在の我が国の専門医制度の特徴かと思います。
 認定機構は、現在どのような機能を果たしているかについてお話します。専門医の歴史を辿ると非常に古く、学会がそれぞれの専門医制度を何とか良いものにしようと長い間の努力して来たのですが、現在やっていることは、各学会の専門医制度の標準化を目指して「専門医制度整備指針」を作っております。毎年毎年、改定しながら、患者さん目線で、それぞれの学会の専門医制度にあまり大きなばらつきがでないことを目指して整備指針を作成しています。その整備指針に基づいて、各学会が作っている専門医制度の評価・認定をしております。現在、基本領域の18学会、あとで申し上げますが、内科、外科、整形外科、脳神経外科、皮膚科、眼科等々です。その18学会と、それに非常に関係するようなサブスペシャリティ、例えば循環器、血液、腎臓、消化器、あるいは外科系で言えば胸部外科、消化器外科、そういうサブスペシャリティの領域の17学会の制度、合計35学会をこの整備指針に基づいて認定しているということです。
 しかし、現在76学会がこの機構に加盟しておりますので、まだ認定されていない学会専門医制度については、現在もヒアリングを実施中という状況です。また、まだこの機構には加盟していないのですが、ここに加盟をして議論に加わりたいというような学会がまだありまして、それの加入がふさわしいかどうかという面接審査もしています。また、市民公開講座を毎年開く、あるいはアンケート調査等をして広報活動に努める。いちばん大事なことは、特に社団法人化してから、新しい専門医制度の基本設計を描くことに対して、ここ2、3年議論を深めて、加盟学会のコンセンサスを得るに至ったということで、今日そのお話もさせていただこうと思っています。
 現在、専門医制度を設けている学会はたくさんあります。いろいろ調べてみたのですが、その正確な数は把握できないのです。というのは、法人化してあれば数は把握できるのですが、学会というのは任意に作れるものですから、たくさん学会がありまして、それぞれが専門医制度を作っているということがあって、正確に専門医制度を持っている学会の数は把握できないというのが現状です。私共の機構に加盟している学会は、先ほど言いましたように76学会です。この76学会のうち、日本医学会に加盟しているのは61学会です。新たに8つの学会が機構に加盟を希望しているという状況です。
 一方、日本医学会には臨床部会というのがありまして、これは高久先生が会長ですが、所属学会が78学会あります。このうち、機構に加盟しているのは58学会ということで、日本医学会に加盟して、臨床部会に所属していながら機構に加盟しているのが58学会で、20学会ギャップがあるのです。臨床部会に所属していても、専門医制度を持っていない学会もかなりある。それから、非常に横断的で、まだ機構に加盟して議論するにはインマチュアだという学会もあるというように理解しております。
 2010年1月に1万5,000人を対象にして、インターネット調査で「専門医制度に関する意識調査」をいたしました。20〜69歳の男女を対象にしており、調査について興味ある結果が出たのですが、今日はそのことに関してあまり詳しく申し上げないで、先生方は是非、アンケート調査の結果(?)と(?)を見ていただければと思います。全体として見ると、専門医があまり正しく理解されていないというところがあると思います。専門医のイメージは、メディアが言うようなスーパードクター、あるいは重症・難病の治療に当たっている医者、あるいは大学病院にいる医師というような認識が非常に強いということがわかりました。しかし、専門医に対する期待は非常に大きいものがあって、知識、診断・治療の迅速さや正確さ、安心感、信頼感、こういうものに対する期待は非常に大きいということがわかると思います。
 しかし、面白いことに、「専門医は一般医と比べて」という問いかけには専門医は、患者にはあまり親切ではないのではないかとか、患者の立場に立っているとはあまり思えないというような、これはアンケート調査ですが、そんな回答が出ております。専門医には受診したいのだけれども、治療費や薬剤費が高いのではないかと思っていらっしゃる方も結構いる、というような意識調査が出ました。
 「現行の専門医制度の問題点」について、私ども機構ではだいぶ議論をしましたが、ここで3つほど挙げさせていただきたいと思います。いちばん大きいのは、これは第1回のこの検討会でも金澤先生に最初にご指摘いただきましたが、外形基準に則った専門医公告の公示に伴って、学会独自の専門医認定の公告が可能になったということで、専門医制度を持つ学会が非常に乱立して、制度の統一性、専門医の質の担保にかなり懸念を生じるようなことになったということがあります。その結果、専門医制度全体から見て、患者さんの受診行動に必ずしも有用な制度になっているとは限らないという問題点があると思います。
 それから、専門医の定義という問題が出ていましたが、基本領域やサブスペシャリティ領域の医療を担う医師としての専門医と、さらに特殊領域の高度な技術・技能等に特化した専門医では「専門医」という言葉の持つ意味が異なるものですから、「専門医」はどういう医師なのかということを定義して進めることは非常に重要だろうと、そういう問題点の指摘が繰り返しあります。
 それから、専門医の育成のためのプログラムです。各学会にはカリキュラムはあるのですが、例えば3年間、4年間のトレーニングのプログラムが確立しているとは必ずしも言えない。したがって、臨床能力本位の認定制度になっていないのではないか、という問題点が指摘できるかと思います。
 専門医の適正数・適正配置等、我が国の医療が抱える諸問題に大きな影響を与える事項についての議論は、必ずしも十分ではないというような指摘ができるのではないかと思っています。
 そこで、このような問題点を認識しながら、まず最初に専門医をきちんと定義しておこうということが、私どもで話し合われて、専門医の定義として専門医というのは決して“神の手”を持つ医師とか、スーパードクターのことを意味するのではなくて、それぞれの診療領域において、安心・安全で標準的な医療を提供できる医師のことを専門医とする。この議論の中でも、我々がいま作ろうとしている専門医制度も、そういう定義に従ってものを進めていこうということで、これについてのコンセンサスは、少なくとも認定機構に所属する76学会の間では出来上がっております。
 これを皆様に改めて申し上げることもないと思うのですが、専門医制度をきちんと確立することがどれだけ重要かということ、「専門医制度確立の意義」です。1つは育成、医師のほうから見ると修練するプログラムを充実させることによって、医師の診療レベルが明らかに高まります。それから、医師が自ら修得した知識・技術・態度について、一定の認定を受けるということ。そして、それを社会に開示できると、それが専門医制度の非常に重要な意義だろうと思います。しかし、一方、患者さん側から見ますと、患者さんは診療を受けるに当たって、医師の専門性が判断できると。患者さんの立場が非常に大事で、専門医制度を確立することによって、患者さんから見たベネフィットが非常に重要になってくるだろうと思います。
 さらに、これは医療の体制の問題ですが、医師の診療における役割分担を進めることによって、我が国の医療制度の再構築に非常に役に立つということです。現在、日本の医療の再構築が必要で、医療崩壊の問題を解決するという観点から見ますと、専門医制度をきちんと作っていくことが非常に重要だろうと。そして、オーソライズされた専門医を公告する。要するに、外形基準だけではなくて、きちんと内容を吟味して、オーソライズされた形で専門医を公示していく。そういう制度を確立することによって、患者さんがより効率的に診療を受けられる、そういう体制が構築できるのではないかということです。これらのいくつかの点から専門医制度を確立する意義は非常に明らかである、ということが言えると思います。ですから、検討委員会ができて、一刻も早く我が国の専門医制度を確立しようということになったのだろうと、私も認識しております。
 問題点の整理、専門医制度の意義などを頭に置いて、「新たな専門医制度確立の為の論点」を整理して、そして次のステップに向かおうということで、論点を整理したわけです。1つは制度設計です。制度設計に際して考慮すべき事項。もう1つは、専門医を育成する、あるいは認定する、そのプロセスの透明性・公正性そして専門医の質の担保。この2つを論点としてきちんと整理をしていこうということになりました。
 制度設計は非常に重要だと思うのですが、制度設計をどのようにしていくかということ。そのときに考慮すべき事項として、私どもがいくつか挙げたのですが、安全・安心・効率の良い医療の確立、これが大前提です。もう1つ重要なことは、制度の全体を俯瞰した枠組みの構築です。それぞれの学会が専門医制度を作ると、日本全体の医療の在り方、あるいは制度の在り方に非常に齟齬が生じることがありますので、制度全体を俯瞰した枠組みの構築が大事だと。そして、地域・診療科における医師偏在の是正、あるいは専門医制度とインセンティブの賦与、こういうものに対しても考慮して制度設計をすべきだろうということが、論点として挙げられると思います。
 もう1つの重要な柱である「専門医育成・認定の透明性・公正性と質の担保」は、学会がそれぞれ非常に努力をされて、専門医制度を作ってこられました。古くは、専門医制度というのは1962年に麻酔の認定医制度から発したのですが、そのあとすぐに脳神経外科が作りました。そのあと、基本領域の学会は本当に何十年ものの歴史を持って、それぞれ真剣に専門医制度をどうすべきかということをやってきたわけです。しかし、それは限られた学会内での議論に終始している。
 学会というのはプロフェッショナルの集まりですから、そこできちんと議論しなければ良い専門医が育てられないということも確かなのです。しかし、どういうプロセスで専門医がつくられていくのかという、そのプロセスが明確になっている、公開されている、透明性を持っていることが非常に大事だと思います。そして、質の担保をするために、どういうプログラムを作っていったらいいかということの議論が必要だということです。もう1つは、学会認定から中立的な機関による認定に移るべきだというのが1つの論点です。しかし、申し上げましたように、学会との連携を無視して専門医制度は成り立たないということも事実だということを論点として挙げながら、基本設計をまとめて、このほど私ども機構に加盟している76学会の皆さんから承認を得られて進むことになったということです。
 ここに5つほど「新たな専門医制度の基本設計」を挙げたのですが、実はよく考えてみますと、本日、桐野先生がいらっしゃいますが、2008年(平成20年)に日本学術会議で「医療のイノベーション検討委員会」がありまして、桐野先生が委員長をされていたのです。そこでは、専門医制度の認証委員会を設置して、施設というものをきちんと評価すべきであるとか、国民の信頼に耐え得るような統一規格の専門医をつくるべきである、あるいは適正な数とか医師の偏在を是正することに関して考えなければいけないということを既に提言されていて、私どもが基本設計を作って承認していただいたのは、それと全く方向性が同じであるということが言えるのだと思います。
 ここに5つほど挙げましたが、まず最初に、患者さんに信頼される医師の自律的な制度として確立しようと。これは今回の検討委員会は厚生労働省の医政局が開いてくださったわけですが、国がこうしろ、ああしろと言って、規則を決めて縛るという仕組みであってはならないだろう。むしろ医師のプロフェッショナルとしての誇りと、患者さんを中心に、患者さんの目線でして制度を作るという熱意を持って、自律的な制度として確立することが非常に重要であるということがあります。そして、ここでは個別学会が認定する仕組みではなく、学会単位の専門医ではなくて、診療領域単位の専門医制度。何々学会専門医ではなくて何々診療科の専門医であるというような、そういう診療領域単位の専門医制度にしましょうということです。
 もう1つは、枠組みの問題ですが、専門医制度は基本領域とサブスペシャリティの2段階制にしましょうと。基本領域の専門医をまず皆さんに取っていただく。そして、その上に立ってサブスペシャリティの専門医を取るというような、2段階制にしましょうということです。したがって、専門医の認定はそれぞれの学会が認定するのではなくて、中立的な第三者機関を設立して、そこで行うということ。そして、これも非常に重要なところですが、専門医育成のための研修のプログラム、それからその研修を実施する研修施設をきちんと評価・認定していくシステムを構築する。この5つが基本設計として非常に重要であるということを謳いまして、これについてはもう既に76学会の承認が得られていると申し上げていいと思います。したがって、学会がこれまでずっと努力され認定をしてきましたが、そこから離れて、中立的な機関で認定するという仕組みにしていただくということです。
 中立的な第三者機関を作って認定していこうという話になりましたので、次は中立的な第三者機関というのはどういうものなのかという議論です。重要な機能としては、専門医の認定です。もう1つは、専門医育成プログラム、あるいは研修施設の評価・認定をするという、この2つ、2本柱を重要な機能として中立的機関を設立すべきであると。学会から距離を置いて独立をする。しかし、それぞれの学会は、それぞれのスペシャリストプロフェッショナルの集まりですから、その方たちの意見を十分に聞いて密接な連携をとる。しかし、日本の専門医制度全体像を俯瞰して制度設計をしなければいけませんので、学会から独立するということを謳うと。構成メンバーとしては、これはまだ十分な議論ができていませんが、日本医学会、日本医師会、病院団体、全国医学部長病院長会議等々、医師のプロフェッショナルの集まりが皆さんこぞってこれでいこうというような、そういう機関にすべきであるということです。
 しかし、この認定をする作業、あるいはそれぞれプログラムとか研修施設の評価・認定をする仕事は非常に大変な仕事ですので、それをするのに財政基盤をどう確立するかということも、非常に重要だろうと。
 お手元のハンドアウトを見ていただけばわかると思いますが、組織図を大雑把に書いてみました。専門医の認定と研修プログラム・施設評価・認定部門に分かれます。各専門領域別の委員会をその下に設けると。ここに内科、外科、整形外科、産婦人科、放射線科等々の専門領域の委員会をそれぞれ設ける。このメンバーには、もちろんそれぞれの学会のプロフェッショナルの方たちにも十分に協力をしていただくと。しかし、例えば整形外科の専門医の認定委員会に、整形外科の先生だけで構成されるのではなくて、それ以外の方たちにも入っていただいて、その委員会を構成するというような仕組みづくりが大事だと思っております。
 特に研修プログラム、あるいは施設の評価・認定というのは非常に大変です。実はもう既に昨年から試行的に全国を7地区に分けて、1つの地区に40人ほどのサイトビジットをする、サーベーヤーという先生方にお願いしました。各学会にお願いしてサーベーヤーを認定していただきました。全国で言いますと、300人近い先生方に協力していただいて、それぞれの施設に行って、その施設が本当に良い育成プログラムを持っているか、あるいは実施しているかということを評価・認定するという仕組み。これを確立するには非常に長い時間がかかると思いますが、少なくともそういうものを試行的に開始をしているという段階です。
 これが枠組みの基本的な考え方です。基本領域の専門医としては、内科、皮膚科、外科等々、18学会、18診療領域を基本領域の専門医として認定をして、初期研修が終わったあとにこの基本的な診療領域の専門医をそれぞれ取っていただく。そのあと、さらにもっと専門的な領域に進みたい方たち、現時点では先ほど言いました17学会、17専門領域が認定されていますが、サブスペシャリティの専門医を取ったあとに取っていただくという2階建て制というものが基本的に認められて、現在ここは基本領域の専門医として、専門医制度もかなり整備された学会として認定をされています。その上に立って、ここのサブスペシャリティは基本領域の専門医と連携をとりながら作っていくという、そういう制度設計です。
 このほかに、ここに「総合診療科」と書きましたが、第1回の委員会でも議論がありましたが、総合的に診られる医師というのも、1つのプロフェッショナルというか、専門医であるという見方ができるかと思います。米国にもプライマリケア、あるいはファミリーメディスンのプライマリボードがきちんとあるわけですから、全体的に患者さんを診られる、それも1つの専門領域として、しかし、そういう医師をきちんと育成するプログラムに従って育成していかなければいけないだろうという考えがあります。これをどういう位置づけにするかというのは、この検討会を通じてご議論いただければいいかと思っています。
 新たな専門医制度の基本設計における総合診療医、あるいは総合診療科、名前は仮称ですが、位置づけの考え方です。基本領域の専門医は、医療の基盤とも言えるそれぞれの診療領域の患者の診療を受け持つわけです。この18領域のほかに、総合的に患者の診療に当たる「総合診療医」、あるいは「かかりつけ医」的な医師の育成も、地域医療の体制の再構築のために重要である。しかし、大事なことは、その育成は非常に喫緊の課題なのですが、現在、日本プライマリケア連合学会というのができて、その議論を始めているのですが、その学会だけではなくて、日本医師会、あるいは関係する複数の学会(内科学会、小児科学会、外科学会、産婦人科学会等)、本当にオールジャパンで、日本の診療体制の中で総合的に診られる医師をどういう育成プログラムを作って育成していくか、ということを早急に議論する必要があるのではないかということが、いま話されているということです。
 ざっと私ども専門医制評価・認定機構がこれまで議論を重ね、その方向性をはっきり打ち出し、実際に医師の間ではこの方向でいこうというコンセンサスが得られていることについて、ご報告させて頂きました。日本医学会、日本医師会の先生方とも十分に話し合いながら、オールジャパンでの専門医制度の構築について、今後も努力をしていきたいと思っています。簡単ですが、現状をご報告させていただきました。ありがとうございました。
○高久座長 いまの池田先生のご発表に、どなたかご質問、ご意見はおありでしょうか。
○藤本委員 池田先生、どうもありがとうございました。医療を受ける側の立場から、新しく学ばせていただくことが多かったのですが、2点ほど申し上げたいことがあります。1つは認定機構の構成メンバーの中に、医療を受ける側の代表が入ることが必要ではないかということです。認定医制度自体が、国民の目から見たときにわかりやすくなるためには、やはり受ける側のほうの視点が入っていって、いろいろな議論がされていくことが必要ではないかと思います。また、機構自体の透明性を担保するという意味でも、国民が入っていますということは1つ大事かなと思います。
 2点目なのですが、専門医の先生方の質の維持や向上に関する担保です。育成、そして専門医を認定するところまでの担保というのはよくわかったのですが、その先生方が生涯かけて、いつも標準的な医療を私たちに提供してくださるという質の担保の部分については、どのような形をお考えなのか、そのことをお願いします。
○池田委員 2つとも非常に重要なご指摘だと思っています。専門医制度というのが患者さんにとってどういう制度であるべきかというのが基本ですので、それが患者さんの目から、いろいろな意味でチェックされなければいけない仕組みは当然だと思いますので、おっしゃるとおりだと私自身も思っております。
 もう1つ、更新の問題なのですが、ご承知のように医療は日進月歩ですので、3年、5年経てばどういう状況になっているかというのは非常に重要なので、専門医の資格の更新制度というのは非常に重要だと思います。更新については、いまは各学会もただ単に学会に参加したら点数をあげて更新するというようなことではいけないと。それまでにどのぐらいの数の手術を経験しているかとか、どのぐらいの患者さんを診たかとか、そういうことも含めて、それからeラーニング等を通じて家庭での学習。そういう3年なら3年の期間で、その方が何をやったかということをきちんと精査をして更新をするというような仕組みに、だんだん各学会とも変えつつあると思うのです。ですから、更新についても、育成と同じようにプログラムがあって、あるいは一定の議論があって更新されなければいけないというご指摘は、そのとおりだと思います。時間がなかったので、更新制度については触れなかったのですが、全く同じ考えです。
○藤本委員 ありがとうございました。
○高久座長 先生、最後のスライドで、プライマリケア連合学会と関係の深い、複数の学会の中に老年医学会を入れないとクレームがくると思います。
○池田委員 そうですね。確かにおっしゃるとおりですね。ここに「等」と書いてあるので、あまりたくさん入れなかったのですが、65歳の高齢者は2050年になると40%になるという試算があると聞いていますので、これからの医療体制を考えたときに、高齢者をどう診ていくかということは非常に重要だと思います。
○高久座長 ほかにどなたかありますか。
○桃井委員 機構が極めて長い年月をかけて、現在は学会主体の専門医認定制度だとはいえ、専門医の質の向上にさまざまな体制をとって努力されてきたことは、大変よく理解できましたし、敬意を表したいと思います。新しい構想が最後のほうのスライドに示されましたが、専門医がその診療領域において安心・安全で標準的医療を提供できる医師、これはこのとおりだと思います。
 日中の医療は極めてわかりやすくて、明快でよろしいのですが、1次救急、時間外診療とでもいいますか、時間外診療を含む1次救急を、誰がどこでするのかという明確な医療体制の中での構想がないと、安心・安全の標準的医療のイメージが異なってくると思います。基盤専門医と横並びに示された総合診療科の位置づけについても同様のことが言えると思います。わかりやすい例を挙げますと、日本の小児救急を全部、小児科専門医がやるのか、そういう医療提要体制をイメージするのか、という問いになります。日中はわかりやすいのですが、時間外も全て専門医が医療をする体制をイメージして考えるのか、となりますと、小児科の専門医の数は今よりも格段に多くなければならない。それが本当に良い医療体制かということも、論議の対象になると思うのです。高次救急は非常にわかりやすいのですが、時間外診療、および1次救急を日本の医療体制の中で誰がどこでするのかということの議論は、この専門医や総合診療科という図式を作る中でおありになったのでしょうか。
○池田委員 最初に申し上げたように、先生のご指摘も本当にごもっともで、専門医制度を確立することは意義があるというのは、我が国の医療体制を整備するのにも非常に役に立つ、そういう仕組みを作らなければいけない。ですから、全体を俯瞰するような制度の枠組みというのをやらなければいけないというので、1次救急の場合は地域医療と密接に関係しまして、どういう方たちがそれを担当するかという医療の役割分担の中でも議論されているわけです。
 総合診療的な医師が、例えばいま現在は地域でいけば医師会に加盟されている診療所の先生たちが、実際には非常に重要な役割を果たされていると思うのです。ですから、そういうことも含めて、先生がおっしゃるような1次医療というか、夜間診療を誰がどういうような、これはこの専門医だけが担当するという格好ではおそらくないだろうと思うのです。総合診療医をつくったから、その人たちだけが全部担当するのではなくて、アメリカなどでも総合的なものは小児科の先生、内科の先生、それからファミリーメディスン、プライマリケア、こういう方たちがそれぞれ役割を分担し合っているという状況だと思います。1つの専門の先生方、例えば小児科の専門、あるいは総合診療の専門、それを全部押し付けるというと語弊があるのですが、担当してくれという形ではなくて、1次救急体制はどういう専門医の先生たちが一緒になって作るかという、そういう議論のほうがいいのではないかということを思っております。
○金澤座長代理 池田先生、全体的にまとめていただきまして、ありがとうございました。私も大変感心いたしました。前回、専門医の定義を是非お願いしたいと申し上げて、中に含めていただいて大変ありがたいです。
 非常によく理解できますが、1つだけちょっと気になることがあって。先生のご説明の中にも「経験」という言葉が出てくるのです。当然ながら、現実の医療というのは経験の部分があるわけですが、専門医の中にも経験という言葉が必要なのではないかという気がするのですが、中ではそういうことは議論がありましたか。別に定義をする必要もないし、何例必要だとかいうことをこの中で謳っていただく必要は全くないのですが、単に知識だけでも何とかなってしまうような感じがしないでもないので、ちょっと気になりました。
○池田委員 おっしゃるとおりで、やはり問題はここにも。
○金澤座長代理 ごめんなさい。「専門医とは」という中に。
○池田委員 ここにですね。定義のところにですね。
○金澤座長代理 そうです。
○池田委員 わかりました。実際には議論は、「必ずしも臨床能力本位の認定制度になっていない」という言葉がありますので、定義の中に「安心・安全で標準的な医療を提供できる」と、「十分な経験を持ち」とか、そういうことになるのですかね。ありがとうございました。
○高久座長 機構は、76学会がお金を出し合って維持しているわけですね。
○池田委員 はい、そうなのです。
○高久座長 先生のいわれる第三者機関の経済的基盤は、まだ議論されていないわけですか。
○池田委員 まだ十分には議論されていないのですが、基本的には認定を受け持ちますので、いまそれぞれの認定料、あるいは施設にサイトビジットしますので、そこで承認をするというようなことが経済的な基盤になるのかと思っています。ただ、これは正直なところを言いますと、専門医制度をお持ちの学会は、学会の運営に専門医制度が大きな貢献をしていることも確かで、専門医制度がなくなると成り立たない学会もあるやに聞いているのです。でも、基本領域の学会は非常に歴史があって、そんなに専門医制度のお金がなくなったら学会が成り立たないということはないのですが、そのような格好で考えております。
○高杉委員 医師会の高杉です。新しい機構を作ろうということで、議論に最初から参加させていただいたのですが、これは若い医者を育てることを考えようということで、従来の概念で考えたらやはりいけないだろうと思います。桃井先生がご指摘のように、イメージとしての専門医はそんなにたくさん要るのか。私はまさにこれは小児科も診られる内科医であって、ほかの科も診られる内科医であってというような、基本のことをよく知った上での2段階の上が専門医だと本当に思っています。
 地域で若い医者をどう育てるか。プライマリケアは対応できるような基礎知識を持って、それで認定する。その上で今度は小児科に進む、あるいはもっと高度な内科のサブスペシャリティにも進んでいくようなイメージで作らないと、地域医療は専門医だけではとてももちません。したがって、まずプライマリな疾病は診られるような医者をまず育ててそれから専門医にいくべきだろう、というような議論を私はしきりに言っています。だから、専門医の語句をちょっと変えましょう、これは認定医でいいのではないかと。その上で、もう1つ専門医をつくってもいいのではないか。いわゆる専門医というと、言葉が2段階の上の専門医をイメージしながら専門医を考えている、というようなことになってしまうのではないかと思うのです。だから、地域にそんなに専門医が要るかとか、地域での医療崩壊をどう救うのかと。そういう視点を持っていかなければ、これから若い医者を育てるときの考え方ですから、いままでの専門医のことはちょっと置いておいてというような発案はしております。
○高山委員 非常によく整理された考え方だと思うのですが、論点の中に重要なものとして「インセンティブの賦与」というのが書かれているのです。ただ、基本設計のほうの考え方とか組織図とか、絵の中にあまり具体的に記載がないのです。今回きちんとした議論をされたうえで、必ずそのことを具体化すべきかと思うのですが、そこはどのように深められるつもりなのでしょうか。
○池田委員 論点のところに「専門医制度とインセンティブ賦与」というのが掲げられているのですが、インセンティブという考え方はたくさんあると思うのですが、必ずしも診療報酬に1対1で結び付くものではなくて、いろいろな意味のインセンティブというものがあると思うのです。ですから、インセンティブの与え方というのをどのようにするかというのは、やはりこれからも重要な課題として議論をしなければいけないと、現時点ではそのように思っています。
○高久座長 まだいろいろご質問があると思いますが、2つヒアリングがありますので、池田先生、どうもありがとうございました。
 続きまして、日本内科学会で運営されている専門医制度について、渡辺先生からお願いいたします。できれば15分ぐらいで、あと15分を質問にしたいと思います。
○渡辺参考人 日本内科学会認定医制度担当理事の渡辺でございます。まず、私の専門医制度に対する基本的な考え方をお話したいと思います。私は2つの視点から専門医制度は設計をしなければならないと思っています。第一の視点は、個々の専門領域の医師の能力・キャリア向上を目指す育成プログラムで、専門医制度全体からみるとミクロ的な視点です。もう1つの視点は、医療体制の人的資源の適正配置を目指す全体的な設計という意味で、言わばマクロ的な視点です。すなわち、先ほども出ました各領域の専門医の適正な役割分担に基づく必要数の適正な配置と、内科の場合は総合内科とサブスペシャリティがありますからシャリティの相互の位置づけによる全体像の構築などです。この2つの視点を前提として専門医制度を考えるべきと思います。
 次に、内科系専門医制度の前提となる内科の特性が問題になります。基本的には、インタビュー(問診)と身体診察から始まり、病因、病態の診断に基づく治療決断を行い、インフォームドを取ったうえで、生活習慣改善や薬物治療を行うのが内科診療の基本です。本来、「私、腎臓が悪い」と臓器別の領域を指定して来る患者さんは、内科の診療現場では少ない訳で、当然、内科診療は、最初は患者の主訴や症候に始まるプライマリケア的な要素をもった診療で、これが総合内科の基本的性質です。ただし、医学は近年非常に進歩して、各領域で高度な専門的医療が開発され、医師個人で全ての知識、技術を持つことが不可能となり、内科系のサブスペシャリティ専門医が誕生した訳です。また、外科手術など内科以外の領域の診断技術や治療法も高度化して、それぞれの専門医が必要になりました。一方で、内科医はそれらの高度な診断技術や治療法の概要や適応は知っておくべきで、必要に応じて、コンサルテーションや紹介を通して、患者に対して全人的視野から最良の診療を選択する能力が求められます。総合内科は、前述のプライマリケア的診療とこの高度な治療の選択能力を合わせた領域と分担すると定義できると思います。次に、専門医認定制度の歴史を内科系を中心に振り返りたいと思います。日本の、内科の専門医制度は1962年の麻酔科に次いで1968年に内科専門医として始まりました。その後、2000年に至るまでに、ほとんどの内科系のサブスペシャリティ領域の専門医制度は学会単位で設立され、平成7年のアレルギーの専門医が最後でした。それから、2000年代に入って、現在の日本専門医制評価・認定機構の前身の専認協専門医認定制協議会の時代から、学会単位で設立・運営されていた専門医制度を標準化・統一化する方向で進んできたきました。
 その中で、内科学会と内科系サブスペシャリティ13学会が、内科関連委員会を組織して、前述の内科の総合性(generality)とサブスペシャリティの統合という特性を基本概念として協議した結果、2階建て制度という全体的なグランドデザインで内科系全体の専門医制度を構築しました。すなわち、初期研修修了後、最低1年間の内科研修後に認定内科医を1階部分として取得して、その後3年の研修にて総合内科専門医や13の内科系サブスペシャリティ専門医を2階部分とする制度です。現在、内科学会会員会員数は約10万人ですが、7万人強が認定内科医、先ほど申し上げたジェネラルな部分の専門医としての総合内科専門医が約1万4,000人です。 「総合内科専門医の医師像」は、上述の内科医の特性を踏まえて総合内科専門医の到達目標として、今から5年前に策定しました。(別配布の資料参照)1つは、総合的な内科系のプライマリケアを担当する医者の中の指導医ということです。もう1つは、サブスペシャリティサブスペシャリティを含めた内科の教育医であることです。サブスペシャリティの領域の教育医に関しても、総合的な視野なしにはできないという点が基本概念です。最後に、横断的な研究、臨床研究を行う内科系の医者で、主に大学に在籍していると思います。
 また、総合内科専門医の必要数は、専門医機構からの要請に答えたあくまで試算です。この数字が独り歩きされると困るのです。我々の必要数算出の根拠の一つは医療需要です。例えば、全国の医師会に、内科系のリーダーとして最低1人の総合内科専門医が必要ということ、内科系の患者数と患者一人に必要な診療時間などから、必要数を概算したものです。また、別の観点から、現在の育成システムで最大養成可能人数を概算しました。これらの2つの観点からの概算はほぼ一致したので、総合内科専門医の必要数は約3万人が妥当と考えています。この計算は、多くの仮定を設けており、正しい方法かどうかは私もわかりません。参考資料をご覧になって、ご批判戴ければと思います。
 次に、現在の内科系専門医の養成制度の時系列を示します。卒前医学教育、臨床研修の後、1年間の内科学会の指定の教育病院または関連病院での研修によって認定内科医の受験資格が出てきます。その後、総合内科とサブスペシャリティの専門医取得、かつ内科系大学院での博士号の人取得が、同時に並行して可能であることが日本の専門医制度の特徴だろうと思います。いずれにしても、総合内科とサブスペシャリティの専門医は各学会が認定した研修病院での3年以上の研修で受験資格を得ることができます。専門医取得後、生涯教育に結び付いた能力の維持が重要と我々も考えています。内科学会では、現在も生涯教育講演会を全国的または各地方支部単位で毎年多数実施し、セルフトレーニング問題を専門医更新の条件として実施しております。さらに、e-ラーニングなどのいくつかの施策、新しい試みも計画しております。
 次に、「総合内科専門医資格取得と更新制度」に関する概略をお話ししたいと思います。「研修カリキュラム」については、総合内科と12の内科系の領域に関して、知識,診察,専門的検査,治療,症例の項目ごとに、A、B、Cのランクを自己と指導医が評価価することになっています。お手元の資料は今度新しく改定したカリキュラムの総合内科の部分です。それに、12のサブスペシャリティサブスペシャリティ領域のものをプラスすると大体600頁位になると思います。特徴は、研修目標を明示して、習得状況を明確な基準に従って評価することです。新しいカリキュラムは、最近数年かけて作成し、今年には上梓します。
 それから、研修施設は、教育病院と関連病院で約1,000強あります。指導医の研修指導マニュアルも作成しています。受験資格は、研修年数とともに内科系各分野の症例を満遍なく経験したということを重視しています。したがって、試験に関しては、研修に対する各領域別の症例、手術症例、外科転科症例の記録の評価を重視していますし、試験に関しては内科の全分野から臨床的な問題を出題しております。
 更新制度ですが、更新点数は主に学会やトレーニングの企画への参加、論文・学会発表等によって加算されますが、一定以上の点数が更新の条件です。また、セルフトレーニング問題は、こちらで作成した問題の解答をご自身で送っていたいただきますが、60%以上正解が条件となっています。また、現在、eラーニング、すなわちコンピューター上で勉強して、その問題に対する答えをインターネットで送るタイプの試験の制度設計を現在しているという段階です。
 総合内科専門医の受験者数と合格者数ですが、かつて600600〜700人受験されていたのですが、現在は300名程度に減っています。これが1つ問題だと我々は思っています。ただ、この2、3年はまた少しずつ復調しております。過去の合格率は、70〜80%程度とほぼ一定です。
 実際の認定内科医と総合内科専門医を、卒業何年で受験しているかを示します。制度上は最低卒後3年と6年で受験可能ですが、認定内科医は3年目で権利ができた時点で受けている方が多くて、その後少しずつ減っていくのですが、総合内科専門医に関しては、もちろん数が非常に少ないのですが、受験者の卒後年数はばらついていて、平均すると9年程度というのが現状です。 すなわち、総合内科専門医に関しては、実際には研修の内容の達成が既定の期間では難しいこともあるかも知れません。
 内科系専門医制度は、総合内科とサブスペシャリティを一体化して運営しておりますので、総合内科以外のサブスペシャリティサブスペシャリティ領域の専門医試験受験者数と合格率をお示します。平成22年度の合格率は、総合内科専門医は約70%、他は低いところで7割程度から高いところでは95%と差があり、必ずしも一致しておりません。
 これは厚生労働省の診療科と勤務形態別の医師の平均年齢のデータです。■が診療所、◆が病院勤務のお医者さんですを示しますが、内科系だけに注目すると、内科を標榜する総合内科と考えられる医師は、凡そ、病院勤務が50歳前後で、診療所勤務は60歳程度、内科系サブスペシャリティの医師は、少し若くて、病院で40歳代、診療所では50歳前後です。この結果から、内科医の場合は経年的にサブスペシャリティから総合内科、病院から診療所へシフトしていることを、認識すべきと思っています。
 一方、現在の総合内科専門医の年齢分布ですが、総合内科専門医は、我々の年代では当時の内科専門医を受験する方は例外的だったので、60歳以上では非常に数が少ないという状況です。現在の50歳代の方から、受験者が徐々に増えましたので、40歳代をピークとした年齢分布になっています。また、現在の勤務形態ですが、おおよそですが、現在の段階では大学病院が約3割、一般病院勤務が約5割、診療所勤務が約2割という分布です。ただ、先ほどの継時的な医師の移動の傾向から予測すると、今後先総合内科専門医の方たちが、診療所で総合内科に従事する方向、すなわちプライマリケアの従事者が増えていくということは確かだろうと思っています。
 もう1つの問題点は、マクロ的な視点で内科系の医者の数、総合内科と各サブスペシャリティの専門医数が実際の医療需要にマッチしているのかという問題です。医療需要の指標の1つとして、患者数に各疾患の重みを付けるには医療費を使用できると思います。厚生労働省のデータから疾患、領域別の医療費の年次変化を算出しますと、ご覧になっておわかりのように、癌がいちばん増加しておりますが、次いで呼吸器、高血圧、腎疾患、糖尿病を主とする内分泌疾患等々が年々大幅に増加しています。この傾向からは、実際の診療では内科系の慢性疾患の比率が非常に増えていることは事実だろうと思います。
 日本における主な診療科の医師数の最近の推移をみると、外科と産婦人科が非常に減っていることは大問題と思いますが、内科系の医師数は、新研修制度が導入されるまでは全医師数の増加とほぼ一致した平均的な伸びを示していましたが、新研修制度導入後減少に転じています。特に、2004年から2006年にかけての減少率は、内科及び内科系サブスペシャリティの医師数の減少率が一番なのです。将来、医療の需要と内科医の数受給数のギャップが生まれる可能性を危惧しております。
 現在の内科系の学会の会員数と専門医数および全会員に対する割合を見ると、会員数は内科学会が10万人、消化器病学会、循環器学会の順ですが、専門医の割合は最も少ない内科学会で14%です、最も高い神経内科の53.9%と学会ごとでばらつきがあります。一般的に、内科、老年病や感染症、糖尿病、内分泌代謝など総合的または横断的な学会で専門医の割合が少なめで、臓器特異的な学会はおよそ会員の3割から5割程度が専門医というのが見て取れます。会員に対する専門医の割合は学会間での統一性はなく、各学会ごとにこれが多いかどうかは問題です。
 もう1つの大きな問題だと思うのは、専門医の地域較差です。私個人は、総合内科専門医で、サブスペシャリティとしては腎臓と糖尿病の専門医として活動しています。そこで、腎臓専門医に関して調べてみると、人口10万人当たりの腎臓専門医は非常に地域格差が大きいことが判明しました。最も多い東京と最も少ない岩手では、人口当たりの専門医数が5倍の格差があります。一方、患者さんの数は専門医が少ない県の方が高齢化が進んで、多いと推察できるのですが、患者あたりの専門医の数は5分の1以下です。これは日本の医療にとって非常に大きな問題だろうと思っております。しかし、これは専門医制度の改革のみで解決できる問題ではなく、医療政策の根幹に関わる問題と思われます。
 我々が現在考える内科系の専門医制度の歴史的な評価に関して、日本の専門医制度はアメリカに比べれば50年遅れて始まっております。アメリカでは1917 年に眼科から専門医制度が始まっておりますが、日本では1962年の麻酔科が最初で、欧米諸国では概ね1920年代に始まっています。すなわち、日本の専門医制度は歴史は比較的浅いのですが、私の申し上げたミクロ的な視点からは、個々の制度は非常に整備されてきていると思います。個々の制度だけ取れば、欧米と遜色はなく、むしろ優れていると私は思っております。
 マクロ的な制度構築に関しては、内科系専門医制度全体で2階建て制度をとったということは、学問体系からも、実際の医師養成や診療から見て根幹的な歴史的獲得物だと思っています。さらに、池田先生が理事長をされている専門医制評価・認定機構の前身である専門医認定制協議会の時代から内科関連委員会の内部議論によって、内科系の個々の専門医制度は内科学会も13のサブスペシャリティ学会のものも基本骨格はほぼ標準化されております。しかし、制度の細部にはまだ違いが残っているのも事実です。
 今日的な問題点は何かということを、私個人の考えも交えて申し上げたいと思います。
 まず、専門医の医師像や質がまだ完全には統一的ではないことです。その結果、全体的な制度自体が国民にはなかなか理解できないことになっていることです。特に、内科の立場からは、総合内科専門医の受験数の減少等に見られる内科系の総合的な医師の意義や位置づけの普及が充分でないことが問題だと思います。2階建て制度の中で、サブスペシャリティ専門医と同時に総合内科専門医も取得できる育成の場を作ることが、これからの我々の課題かと思っております。次に、社会的な問題として、私は専門医制度が公的ではないことが問題だと考えています。研修制度はきちんと法律で規定されている一方で、専門医制度に関しては全く規定されていないのが現状です。その結果、先ほど池田先生のお話にありましたが、専門医制度について国民の様々な階層の間に認識のギャップができることに繫がると思います。また、このままでは、将来、医師側にも能力向上やキャリアアップに対する意欲に問題が起こってくる可能性があると思います。また、専門医制度と卒前教育・臨床研修や生涯教育とどのような関連をもって統合的に医師を養成するのかを、公的に位置づけることは大きな課題だと思っております。すなわち、日本の専門医制度はミクロ的には整備されているが、マクロ的な全体構築や社会的な位置づけなどに課題が多いと思っています。また、専門医制度を社会的にバックアップするというコンセンサスが不足していると思います。
 次に、当面の対策についての私案ですが、先ほどの池田先生がお話された第三者的専門医認定機構は、内科学会としては制度設計にもちろん関与させて戴きたいのですが、設立をバックアップして行く心算です。その中で、内科系の専門医制度の根幹である2階建て制度は守りながら、制度改革を行いたいと思います。また、総合内科専門医もしくは認定内科医が、地域医療、特にプライマリケアでの役割や位置づけの確保も1つの課題だと思います。新しい専門医制度の中では、いわゆる総合医、プライマリケア医などのgeneralistの位置づけが大きな課題の1つです。内科学会の理事長の本年年初の声明にも明示されたように、総合内科専門医、認定内科医は、プライマリケア日本の医療体系のプライマリケアの中で実際的にも理念的にもかなりウエイトを占めるものだと考えております。我々も参加して、日本の専門医制度におけるgeneralistの制度的位置づけを明確化する場を作るべきだと考えます。
 次に、私は専門医制度を公的に位置づけて、出来れば臨床研修のように法制化していただきたいと思っております。法制化という意味は、先ほど池田先生がおっしゃったように、厚生労働省などの国の機関が決めてそれを医師は守れという形ではなくて、ドイツなどで実施されている医師集団が自主的に決めた制度を法的にバックアップして戴くような形のものを考えています。また、医師のキャリアや専門性の公示制度と専門医制度の整合性をとって戴きたいと思います。これは、医師のキャリアを国民に情報開示する意味で重要と考えます。私は個人的には、これが専門医に対する最大のインセンティブだと思っております。また、公的に、卒前・生涯教育・卒後とリンクした形で専門医制度が運営されるような公的裏づけをして戴くことも重要です。
さらに、専門医制度と医療計画の関係が問題だと思いまです。医療計画は当然医療需要に基づくべきで、専門医制度もある程度医療需要に基づいて設計すべきと思っております。
 医そのような観点から、厚生労働省から科学研究費を戴き、地域連携のモデルを基盤にして、総合診療系の医師と領域別専門医の数役割分担に基づいて必要数を計算できないかという検討を昨年度までの2年間実施しました。お手元にその班研究の報告書を配付しております。考え方としては、特定の疾患の患者数は厚生労働省の統計資料、各種疫学研究やDPC調査等から求め、最も一般的な総合診療系の医師と領域別専門医の医療連携のモデルを作成し、医師の診療の必要時間に関してはアンケート調査を実施し実態把握したうえで、総合診療系の医師と領域別専門医の必要数を持って求める試みです。詳細は、報告書を参照して戴ければ幸いですが、慢性腎臓病(CKD)の診療に基づいて、総合診療系の医者と腎臓・透析専門医の必要数の概算をお示しします。CKDの各病期別の患者数は腎臓学会の調査結果、CKDの医療連携システムは腎臓学会のCKD診療ガイドを使用し、医師の患者あたりに実際の診療時間および理想的な診療のための必要診療時間は、かかりつけ医に対してはweb調査、腎臓と透析専門医については学会の協力で専門医にアンケート調査で求めました。そのうえで、医師が労働基準法も守った場合の必要専門医数を計算しましたしたところ、かかりつけ医は、13万人となりました。現在の総医師数が28万人強のなかで、総合診療系医師が13万人は多い印象ですが、CKDの患者さんの需要率100%との仮定なので、需要率の目標をどこに置くか等はわかりませんが、需要率は50%なら、必要数はこの半分という訳です。
 腎臓専門医の必要数は、需要率を50%とすれば、現状よりやや多い程度です。一方、ガイドラインを遵守した理想的な診療を行うためには、すなわち、専門医の診療時間に対する希望を入れれば、需要率を50%では現在の1.5倍程度の専門医が必要になるということです。一方、糖尿病診療の医療連携モデルを全国で実施されているモデルを抽出して作成し、同様の試みを行った時の腎臓専門医の必要数は、CKD診療をモデルにした場合とほぼ一致するという結果を得ており、ある程度の方法論的妥当性が示唆されます。このような検討に当たって、基本的なデータが非常に少なく、医療連携のシステムの考え方もコンセンサスがある訳ではないので、この研究はたたき台的な試みと理解して戴き、ご批判を仰ぎたいと思っています。
○高久座長 どうもありがとうございました。それでは、いまの渡辺先生のお話に、どなたかご質問、ご意見はおありでしょうか。
○今委員 青森県八戸市立市民病院の今です。いま、総合内化専門医は指導的な立場にある人だということで、そうすると、大病院の総合内科専門医は存在価値がわかるのですが、地域で働いている内科医は総合内科専門医である必要はないわけですよね。勉強してなればいいのでしょうけれども、その地域で働く内科医は、いま問題になっているのは、消化器専門医とか循環器専門医ばかりだと小さな内科病院は成り立たないわけで、その内科医は一体どのような形に成熟すればいいのかなと迷っているのではないかと思うのです。
○渡辺参考人 先生のおっしゃるとおり、当然、地方での地域医療の中核である100床、200床病院でサブスペシャリティ規模の中小病院でサブスペシャリティの専門医を全員揃えることは全不可能しいだろうとだろうと思いますいますし、それだけで診療が上手く行く訳ではありません。私も地元が福島県ですから、地域医療での総合内科医の不足はよく理解できるつもりです。総合内科医やその専門医は地域では非常に重要な役割があるはずです。そこで、これから育っていくお医者さんに関しては制度上、勿論generalistである総合内科専門医を養成するだけでなくサブスペシャリティの専門医と同時に総合内科専門医を取得することを誘導したり、制度的には現在の大病院中心の教育病院での研修を地域の診療所や中小病院でも可能とするような制度が可能かをワーキンググループを作って現在検討しています。診療所での研修ですには、もちろん、研修の質の担保が必要ですから、教育病院とリンクしたプログラム、例えば、診療所から教育病院へ紹介し、教育病院で診断をつけて治療方針が決まり診療所に逆紹介した患者さんの診療などを研修と認めるというようなことも制度的に入れて行く方向です。内科医の私から見ても、サブスペシャリティ現状の内科医の意識はサブスペシャリティ重視の傾向が強過ぎると思っています。今重要なのは、10年、20年後のための専門医制度の設計と同時に、現在の人的な資源で地域医療を守っていく方法も考えなければならない訳で、内科医は、認定内科医を取って戴いて、できるだけ総合内科専門医を取って戴く工夫をすることも重要です。
 先ほど申し上げましたように、これから5年後、10年後、いま大病院、大学に勤めている内科医が地域に戻っていく訳です。その時に、総合内科の素養を持っており、必要に応じた再トレーニングをして戴くことや、例えば介護のような嘗ての総合内科のトレーニングで不足しているものを足して戴いて、地域の内科系の総合医を育成することを考えています。そのために、カリキュラムをや研修施設や教育方法も改良しょうと、いま動いている
ところです。
○今委員 よくわかりました。ありがとうございます。
○高久座長 内科の認定医に1年間とありますね。総合内科の認定医であるべきではないのでしょうか。
○渡辺参考人 先生のご指摘どおりで、我々の悩みもそこにございます。新しい研修制度が導入された時は、2年間はプライマリケアの研修をするという主旨で、内科研修が最低6か月、内科系研修全体では3年目の12か月を加えて、3年間で18か月以上の内科研修が保障されていた訳です。しかし、途中の見直しで、3年目の内科研修を入れても認定内科医受験までに18か月未満の研修期間である可能性が出てきたのです。内科学会での議論の結果、規定を変えまして、少なくとも3年間の間に18カ月は最低内科を研修した者を認定内科医受験の要件として明確化しました。それは、認定内科医受験の段階で、総合内科的な研修期間の最低基準を明確化しなければ、内科の認定医として問題であるとの考え方からです。ただし、高久先生がおっしゃるように、それで十分かと言われると答えに窮することが悩みの種です。
 逆に、認定内科医受験までに、他の診療科の研修を行うことは良い面もあります。言われたように、外科や産婦人科もある程度理解できるプライマリケアの素養を持った内科医をつくることは良い面もあるのだと思います。逆に、内科系の総合医としての素養が3年間で大丈夫なのかというと、これは正直言って疑問があると思います。これは、専門医制度全体の中で他の領域の専門医制度ともある程度整合性は必要で。卒業から専門医取得の年数の統一性などを考え、我々としては、現状維持しているところです。だからこそ、サブスペシャリティ領域の研修と同時に総合内科の研修も行い、時間は掛かっても総合内科専門医を目指して戴きたいと考えています。また、いつまでも今の制度を守っていくということではなく、新しい第三者機構の管理する専門医制度でも2階建て制度は根幹と考えていますが、名称や制度の詳細は専門医制度全体の中で他領域の専門医制度との釣合も考慮しながら検討したいと思っています。
○高久座長 渡辺先生、どうもありがとうございました。
 時間の制約がありますので、引き続きまして、日本外科学会で運営されている専門医制度について、兼松先生、よろしくお願いいたします。
○兼松参考人 外科学会の兼松でございます。日本外科学会そして外科関連専門医制度委員会の委員長を仰せつかっております立場から、日本外科学会が行っております専門医制度についてご説明申し上げます。なお、最初の頁ですが、レジュメでは外科専門学会という名前を入れてしまいましたが、「学会」を削除していただきますようによろしくお願いいたします。申し訳ございません。
 まず1頁、「日本外科学会の専門医制度の歩み」です。これは昭和53年に日本外科学会認定医制度が発足しました。そして、これは外形基準、それに合わせるために制度を変え、「外科専門医」という名前に変更になっています。希望者あるいは資格を有する人は外科専門医に移行措置もとりました。それが平成14年のことで、外科認定医は平成17年度で終了しています。なお、こちらに移らずに認定医、これは更新制度のないため終身の資格を持っておられる方もございます。
 2頁です。現在の「外科系専門医制度の概要」はこのようなものです。外科専門医が1階部分の基本領域。そして、消化器外科専門医、心臓血管外科専門医、呼吸器外科専門医、小児外科専門医がサブスペシャリティの2階部分、この形を作っています。これらサブスペシャリティの専門医の方々は外科専門医であることと、それから外科学会の会員であることで、一応のコンセンサスを得ている状況です。
 3頁、現在の専門医の数です。日本外科学会の会員が3万8,000人ですが、初期臨床研修が終わりまして、外科専門医、これは登録して4年目がきましたところで予備試験を受ける資格ができます。これは筆記で、さらに症例を重ねまして、5年以上経ったときに認定試験を受けることができます。現在我が国では、外科専門医は2万181名で、会員の約52%が専門医の資格を有しています。さらに、消化器外科4,700名、心臓血管外科1,600名、呼吸器外科1,100名、小児外科590名が、専門医の現況です。なお、学会の単位としまして、ここにありますように、心臓血管外科・血管外科、これは心臓血管外科専門医認定機構、呼吸器・胸部は呼吸器外科専門医合同委員会を形づくって専門医の維持をしています。
 外科はこれら4つのサブスペシャリティだけではありません。あと、日本内分泌外科学会とか、日本乳癌学会、日本大腸肛門病学会、日本肝胆膵外科学会、等々があります。これらの学会、外科学会の専門医と8つのサブスペシャリティの学会が集まりまして、外科関連専門医制度委員会を構築しまして、現在外科系の専門医のいろいろな運営を行っています。なお、委員会には日本専門医制評価・認定機構から陪席していただきまして、意見をいただきながら運営しています。
 先ほど池田理事長がご説明されましたように、外科専門医の定義ですが、「外科専門医とは医の倫理を体得し、医療を適正に実践すべく一定の修練を経て、診断、手術および術前後の管理・処置・ケアなど、一般外科医療に関する標準的な知識と技量を修得した医師のことである」とありまして、決してスーパードクターのことではありません。
 「外科専門医の到達目標」は1から5までありまして、基礎的な知識を臨床応用できるか。検査・処置・麻酔手技ができるか。一定レベルの手術を適切に実施できる能力を修得し、臨床応用ができるかということです。特に外科専門医に求められているのはこれらでありまして、外科診療を行う上で、医の倫理に基づいた適切な態度と習慣を身につける。外科医学の進歩に合わせた生涯学習を行う方略の基本を修得し実行できる。これらが到達目標として掲げられています。
 7頁は、「修練登録開始」についてです。2004年3月まで(新臨床研修に入るまで)に医籍登録された方は、修練登録を行った日から修練を始めたと算定されます。なお、新臨床研修制度が始まりました2004年4月以降に医籍登録された場合には、医籍登録後2年6カ月以内に修練登録しますと、医籍登録年月日から遡って算定できるとしています。2006年以降であれば、修練開始登録日から算定する。このような形を作りました。
 8頁にありますように、ここで医師国家試験を受けて合格します。そして臨床研修を2年行い、それが終わった半年間、この間に登録を開始しますと、臨床研修からの症例数のカウントができるという方法をとりました。ここで登録しまして、4年以上経ったところで予備試験を受け、さらに症例の条件が揃ったところで認定試験を受けて外科専門医を取得します。予備試験に合格しますと、その上の段階のサブスペシャリティの研修を開始できます。
 このような研修をする「指定施設の条件」は、ベット数が30以上。指導医や専門医、認定医が常勤していること。年間150例以上の外科手術症例。そのほか設備の問題がありまして、3年ごとの更新と、必要に応じた現地調査(サイトビジット)を行っています。
 これだけではなかなかすべての病院が当てはまりませんので、それを少し緩やかにしました「研修の関連施設条件」というものがあります。それは、責任者の承認を得るとか、常勤者が1名であること、年間50例以上の手術をしている、などがありまして、やはりこれも1年ごとの更新で、必要に応じて現地調査も実施することにしています。
 現在のところ指定病院は、研修施設は1,244施設、関連施設が898で、全体として2,142の施設で修練が行われています。
 12頁です。「指導体制」として、指導医を置きます。指導医の中から責任者を選びます。指導医の選定条件は、引き続き10年以上の会員歴を有し、外科に従事していること。それから、指定施設または関連施設に勤務していることです。それから、外科専門医または認定後の条件としまして、通算10年以上そのような施設に勤務していること。5篇以上の学術論文筆頭者があること。5回以上学会に出席していること。500例以上の手術に従事(150例は術者)。などのことで、これが指導医の条件です。現在、指導医は8,598名います。
 「専門医申請資格」は、修練開始登録の申請後5年以上の修練です。筆記試験を行い、合格すると申請の資格となります。規定の診療経験と業績、これをクリアしないとなりません。
 14頁です。「外科専門医申請時に求められる事項」です。まず、診療開始登録を申請した後、手術症例数が350例以上あること、うち120例以上は術者としての経験が必要だとしています。その中で、これら各領域の経験をしてくださいということで、外科系のすべての領域をクリアすることが条件付けられています。なお、そのうちの10例は内視鏡手術にも就いてくださいという条件です。それから、研究業績、これは学術集会又は論文を発表していることです。
 「現地調査」も行っています。外科専門医の認定試験を受けるとき、無作為にサンプリングしまして対象者を抽出して現地調査を実施しています。認定試験の受験者は約800人いますが、その中から1%に当たります8名を無作為にピックアップしまして、実行委員2名1組で訪問しまして、書類のチェックをします。もし虚偽の記載が認められたときには、受験者と指導責任者の双方にペナルティが与えられます。しかしながら、平成24年からは、病歴抄録はNCDという、後ほどご説明しますデータベースに入れることになっておりますので、そこがサイトビジットをすることにしております。研修施設の現地調査につきましては、必要に応じてとして、いつも実施しているわけではありません。
 「評価法」は、予備試験。これは4年以上経ったところで受験できます。Multiple-choice Questionによる筆記試験です。認定試験は面接試験ですが、診療業績が達成された時点で申請できます。業績も整った段階で受験資格ができます。
 「試験内容」です。先ほどの到達目標に一致しておりまして、まず、4年以上のところで予備試験を受けるときには筆記、要するに知識のチェックが行われます。それから、症例数が整いまして予備試験に合格した後、認定試験を受けますが、これは面接です。外科診療に関する医の倫理に基づいた適切な態度・習慣、あるいは生涯学習の方略、これらを中心として面接が個人に行われて、最終的な認定を行う制度です。
 現在のところ、予備試験の筆記試験の合格率は約80%、認定試験は100%です。100%でありますけれども、面接で試験官が少し判定に迷う、あるいは合格に疑いがあるようなときには、試験委員長自らがもう1度面接を行い直しまして、倫理的な面、医師としての適性、外科医としての適性が大丈夫かを確認した上で、総合的に判断した結果です。
 19頁は、「外科専門医更新の条件」です。5年ごとに行うことで合意を得ています。この場合は学会の参加とか、研究実績が必要ですが、外科専門医の認定後100例以上の手術に従事していること。即ち、外科専門医と呼称する限りは、手術をしていない外科医は専門医ではないという考えの下に、5年間で100例以上の手術に就いている人が更新できるという制度に改まっています。これが平成24年度から実施されます。
 20頁です。「指導医の更新条件」です。これも5年ごとで、指定施設または関連施設に勤務しておられまして、指導医に選定された後、学術論文2篇以上、学会出席が3回以上、また、ここでも100例以上の手術に従事していることです。ここでも手術実績が問われることになりました。この制度につきましては、昨年度から実施されています。
 そのことによりまして、現在の段階での外科専門医の更新率は大体90%から95%です。指導医につきましても80%前後の更新率でしたが、2010年の更新率は66.2%でした。即ち、ここから5年間で症例を100例経験しておかなければいけない。これも指導医の更新条件で、そのために、それを満たさない方がこのところ出てきたのではないかと考えられます。
 22頁は、「外科専門医更新関連の合意事項」です。サブスペシャリティ専門医(消化器外科、心臓血管外科、呼吸器外科、小児外科)を取得済みの場合は、その関連外科専門医の有効期限まで、外科専門医の有効期限も延長し、両者を同時に更新できるものとする。2階建てで、外科専門医とサブスペシャリティの専門医、いままではそれが別の時期に更新手続きをしていました。それが会員にとって非常に不便ですので、外科専門医の有効期限を延長しまして、サブスペシャリティと更新の時期を一緒にする。サブスペシャリティの更新ができたら外科専門医も同時に更新できるという仕組みを作りました。さらに、正当な理由があって更新できない場合は、原則2年まで延長期間を認めます。正当な理由がなく更新せず失効した場合、失効後1年以内であれば、更新と同じ条件が直近の5年間で揃えば、また復活できるという制度を設けています。
 23頁です。もう1つの問題は、内科専門医と外科専門医とがありまして、この基盤の専門医を持っておかないと、内科サブスペシャリティ専門医、例えば消化器病専門医とか、循環器専門医が取れません。外科専門医を持っている外科系の方でも、消化器病あるいは循環器の専門医資格を持っている方があるわけです。ところが、手術症例数を満たさないために、外科専門医を更新できませんと、その方々は内科系のサブスペシャリティも更新できないという事態が起こります。
 そこで、我々は新たに平成22年から「日本外科学会認定登録医」という制度を設けました。これがそれで、「外科専門医更新時に、研究業績は満たすものの、診療業績(5年間で100例の手術実績)が不足するために外科専門医を更新できなくなった者に付与する」ということであります。更新制で、5年ごとの更新には研究業績が必要になります。特典は、内科系のサブスペシャリティ専門医の基本領域資格として有効になる予定。これは内科専門医と合意を得て、いま整備しているところです。それから、指導医の新規申請・更新時にも外科専門医と同様に有効にするということです。診療業績が達成されれば、即ち100例が達成されますと、外科専門医に復活できるという道も残っております。
 26頁です。現在、外科専門医の地域別(北海道・東北・関東・中部・近畿・中四国・九州)の数です。こちらは人数ですが、これで見ますと、関東がやはり飛び抜けて多い。黄色は、認定医から専門医に移行した者。通常の者は試験を受けて認定医になられた方です。今年10月末現在の数です。これだけでは実数なのでわかりませんが、人口1,000人当たりの専門医数に直して見ますと、やはり関東が多くて、そのほかの地域は大体平均しています。このようなところですが、実際に外科専門医はどれぐらい必要になるのか、この実数はよくわかりません。  そこで我々は「外科医療の適正なあり方を摸索するために」、日本全体の手術症例の数を把握すること、それによって外科医の適正配置、医療水準の評価・均てん化、具体的な施策のための調査、臨床研究の積み上げをやっていきたいと思いました。そのためには、我が国で実施されている手術症例を総括的に把握する必要があります。それで、先ほどの「外科関連専門医制度委員会」、この委員会で手術症例データベースワーキンググループを作りまして、すべての学会の会員が行う手術症例数を1つにまとめようと組織を作りました。いまやそれは、一般社団法人National Clinical Database(NCD)になって活動しています。
 「手術症例データベース」は、科学的根拠に基づいた適正な外科医療情報の提供ができるようにということで、日本外科学会と8つのサブスペシャリティの学会が参加しました。ほぼすべての領域の外科手術の全数を把握したいということで、疾患情報と外科医療情報を集めることになりました。年間100万件の手術症例の集計を目指しています。入力のインセンティブは、ここに入力することで専門医制度の申請あるいは更新とリンクさせることであります。
 31頁にありますのは、発足のときに会員に対していろいろと広報したときのポスターです。2010年4月8日にNational Clinical Databaseという組織を設立しました。これが外科専門医制度と連携したデータベースです。ここに入っているデータベースを基として、そのままで、専門医の申請・更新に使えるという制度です。今年2011年1月1日から症例の登録開始を行っています。既にデータベースの管理をNCDが行いまして、各学会は共通・個々のデータベースへのアクセス権を有しています。スキームとしては、32頁の下のとおりです。
 これによりまして、「外科医の適正配置の検討」のための基本情報登録として、患者さんの住所・郵便番号を加えることで、その施設の患者通院圏がわかる。また、術式、術者情報を加えることで、しかるべき手術をしかるべき専門家が実施しているか。アウトカムを入れれば専門医の必要性がわかるのではないか、専門医が行えば本当に安全で成績がよいのか。これらのことも検討していくつもりです。どのような地域にどのような医療資源を投入すべきか、将来の病診連携のあり方、施設の棲み分け方、医師に対してどのようなインセンティブを用いればよいかなどが、これらのデータを基に検討できるのではないかと考えています。
 34頁です。これが登録の画面についてです。実際には、平成23年6月現在、平均的に1万2,000件の症例が登録されています。各領域の専門医制度との連携につきましては個別に調整中でありまして、研究目的の利活用開始に向けても準備しています。この場合には倫理的側面も重要になりますので、症例登録のための倫理委員会承認は、各施設で取特すること。ただし、それができない施設に対しましては、NCDの中に倫理委員会を設けまして、そこで一括代理倫理審査の仕組みを構築しています。このようなことで、56施設が6月までに審査を終了しています。
 36頁です。「手術データベースに期待されるもの」です。日本全国の手術症例の全数把握はこれで可能かと思います。外科医の適正配置をこれから考えていくこと、医療水準の評価・均てん化、具体的な施策の調査、臨床研究の積み上げ、それから、治験のさまざまなトライアルがこれで可能になっていくのではないかと期待しています。
 最後のスライドです。私どもがいま抱えている問題です。学会によりましては、大腸肛門病学会、入癌学会など、外科だけでなく内科系、放射線科、あるいはそのほかの領域の方々と重なる領域学会があります。そこの専門医制度、その中での外科医の立場をどのようにしていくか、いま検討しているところですが、まだ結論は出ていません。以上です。
○高久座長 兼松先生、どうもありがとうございました。いまの兼松先生のご報告に、どなたかご質問はおありでしょうか。
 兼松先生の23番目のスライドを見て私も初めて気がついたのですけれども、これは内科のほうとも関係があると思います。循環器専門医とか消化器病専門医というのは、内科と外科と両方一緒に入っているのですね。だから、例えば、循環器外科専門医、循環器内科専門医とはなっていないわけなのですね。分けたほうがすっきりするような気がするのですけれども、そうでもないのですか。
○兼松参考人 はい。このサブスペシャリティの領域は、やはり基本領域の専門医を持っておくことになっておりますので、外科専門医を持っている方が、次の内科系のところも条件をクリアすればその資格を取得できることになっているわけです。特に、循環器は私はちょっと専門外なのでよくわかりませんが、消化器の場合には、外科専門医を持っておりまして、消化器病学会の専門医を取っている方もおられます。その方々の消化器病専門医を維持するためには、外科専門医でなければならないのです。
○高久座長 そうですね。
○兼松参考人 ところが、そのような方々の中で、施設が移ったりあるいは環境の変化で、内視鏡だけの診療をやっておられる方もいらっしゃいますけれども、そういう方が、手術をしていないので、もう外科専門医の資格はなくなるのですね。その方々の消化器病専門医の資格を維持するために、このような制度、日本外科学会登録認定医という制度を作らないと、その人たちの資格維持ができないものですから、このような制度を考えたということです。
○高久座長 内科学会のように、外科学会も認定医制を作られて、その上に、内科学会と同じように専門医をつくるというお考えはあまりないのですか。
○兼松参考人 そこのところ、認定医にするのか、専門医にするのかということですが、結局、日本外科学会といたしましては、専門医でいくということに決定いたしました。さらにその中にも、社会に対しても外科専門医と言うからには、やはり手術という外科医の本分をやっている人にそういう資格、あるいは称号を与えるべきではないかということで、ちょっと厳しい条件ですけれども、手術症例を加えることでここまできています。
○高久座長 ほかにどなたか、どうぞ。
○松尾委員 よろしいですか。名古屋大学の松尾です。いまの点で、いまの先生のご説明でわかったのですけれども、25頁の「認定条件」のところに、研究業績は満たすけれども手術ができなくなった専門医を救済するような感じで、この人は研究だけやっていて臨床はやっていないというイメージを、私はこれを読んだときに強くしたものですが。もう少し説明を加えられないと、たぶんこれを一般の人が見たときに非常に誤解をされるのではないでしょうか。研究だけやっていても専門医になれてしまうのか、ということになりますので、是非その点はよろしくご配慮していただきたいと思います。
○兼松参考人 ありがとうございます。この項で、研究業績と一まとめでしてしまいましたけれども、実際は、学会に出て最新の情報・知識を得ているなどのことが大事で、生涯教育セミナーに出たり、学会に参加したり、それから、自分の領域の学会にも参加するような、総合点を含めています。今回のプレゼンテーションでは「研究業績」とまとめましたけれども、実際の項目の中ではそこを細かく、研究業績はこういうものですと示しております。
○松尾委員 ありがとうございました。
○高久座長 もう1人、どうぞ。
○山口委員 先ほどちょっと、循環器のお話が出ましたので。いま、循環器学会で外科の先生方は大体約1割、循環器専門医になられています。やはり外科の先生は、これは外科のすべての領域だと思うのですが、いわゆるメスを置かれて、しかしその専門知識を活用して、例えば循環器の診療に当たられるというのは非常に必要なことですので、いまメスを持っている方だけが外科の立場から循環器の診療ができるという話では困ると思います。循環器学会は、小児科の専門医、外科の専門医、内科の認定医が基本資格になっていますから、こういう形で外科の基本資格も認定していただいて、また外科医の目で循環器診療に携わっていただける道が開かれていることは、やはり重要な話ではないかと思います。
○高久座長 わかりました。どうもありがとうございました。ほかにどなたか、どうぞ。
○藤本委員 症例数が集まる、患者さんがたくさんいる所にお医者さんがたくさん集まるのだというイメージを持ちました。それですと、いま医師不足で苦しんでいる地域は、なかなか指導医の先生も研修を受ける先生も来ないという印象を私は受けました。その辺の、医師の適正な配置に関しては、これはどのようにリンクして考えればよろしいのでしょうか。
○兼松参考人 それは大変難しい問題で、いま外科医も、先ほどの渡辺先生の表にもありましたように、ずっと減ってきておりますので、大変苦労しているところです。ただし、研修ができる病院・施設というのは、それぞれの条件がありまして、年間500例以上ぐらいの手術があるところでやってくださいとしております。そういう施設におられたら、ここに課しておりますような症例数は5年以内あるいは5年少し時間をかけてもやっていっていただける条件のところではないかと思っています。
 これは5年以内に取らなければいけないということではありません。予備試験を4年以上で受けて合格すれば、予備試験の合格証は、会員であれば生涯続いて、自分の症例が整ったときに認定試験を受けることができるのです。そのようなものですので、地域差はあるかもわかりませんけれども、そこは何とかクリアできるかなと思っております。
○藤本委員 ありがとうございました。
○高久座長 ほかにどなたか、どうぞ。
○桃井委員 外科専門医の基本領域とサブスペシャリティの状況は、内科とか小児科などの基盤とサブスペシャリティの場合と、だいぶ趣を異にするのだろうと思います。患者さんの側から見ますと、内科や小児科専門医へ行けばそこである程度take careして、すべての領域にわたって判断をしてもらえて、take careできないものは神経の専門医とか循環の専門医に行くという、この道筋は非常にわかりやすいのですが、外科の場合には、一部の呼吸外科をするとか、一部の心臓血管外科を基盤の外科専門医がするということはあり得ませんので、実際に外科専門医だけという方はどういう役割になるのでしょうか。
 つまり国民から見ると、内科は総合内科専門医だけでやる方はあり得ると思うのです。あるいは小児科も、小児科専門医だけでいく方も当然たくさんおられます。外科の場合には、外科専門医だけでいくという方がもしおられた場合には、患者さんからは、その方は一体何の手術をするのかが非常にわかりにくいです。実際に外科専門医だけでいく方が事実上おられないのであれば、そういう説明をすればわかりやすいのですが、実際に多くおられる場合に、その方は一体何をする人なのかが見えにくいような感じがします。
○兼松参考人 ご指摘の点は、この表にも出していますが、外科専門医は2万人いるのです。あと、消化器外科は約5,000人、心臓血管外科が1,700人、呼吸器外科が1,100人、小児外科が600人です。ですから、これらの方以外は外科専門医ということになります。外科の場合には、総合外科医とかプライマリ外科専門医はまだ作っておりません。おそらく外科専門医は総合的なところをカバーするものとして、私どもは現在のところ位置づけています。そのような人たちは、外科専門医を取ってから、さらにサブスペシャリティを目指す人も当然いるわけですけれども、そうでなくて外科専門医のままでいろいろな診療を行おうという人も少なくありません。そのような方たちが、できれば、総合的なあるいはプライマリケア的なところもやっていただけるようになっていけばと考えています。
○高久座長 よろしいでしょうか。
○池田委員 いまの、桃井先生の話に関連するのですけれども。そうだとすると、外科の専門医にプライマリケアの地域で、本当に簡単な外傷とか、いわゆるプライマリケアの人はちょっと手が出せないけれども、外科的な処置ができる、あるいは、例えば緊急の手術などができるというような、そういうトレーニングのカリキュラムなりプロセスが明示されているかどうかが大事ではないかなと思うのです。やはりそういうお医者さんが、外科の専門医だけを持っている方たちが、医療の役割分担の中でどういう役割をするかを明確にしていくことが、これから必要になってくるのではないかと私も思うのです。その辺、それを是非、育成のプログラムの中に活かしていただきたいと思います。
○高久座長 あるいは、プライマリケアとか総合医が、小外科的なところをどこまでカバーするかということも、これからの問題ですね。
○池田委員 そういうこととも関係するということですね。
○高久座長 兼松先生、どうもありがとうございました。
 あと、5、6分時間がありますので、もし何かいままでの、池田先生、渡辺先生のご報告に関してでも御質問がございますか。
○森山委員 池田先生からの、中立的な第三者機関で質の評価をするという中で、専門医というお話がありました。いま、兼松先生もそうだったのですが、指導医とか認定登録医とか、麻酔科でも指導医というのがありますね。そこは、この中立的なところでは踏み込むわけですか。
○池田委員 現在ここでは、指導医の資格を全般的に決めて資格を付与するという形はあまり議論していなくて。基本的には、専門医が育成のプログラムの中で、若い専攻医というか、専門医を目指す人たちを指導していくという、専門医を取得すれば指導ができるというような、やはりそういう体制も作っていきながら、専門医制度を構築するほうがいいのではないかという考え方があります。いまの時点では、はっきり、それぞれの領域の専門医を取って、その中に指導医をこのように位置づけるという格好には、現在あまり議論はしていません。それは今後、本当にそういう形が理想的であるのであれば、ですけれども。基本的には専門医を取っている過程では、やはり指導ができる形の専門医をつくって欲しいというのが考え方です。
○高久座長 ほかにどなたか、どうぞ。
○松尾委員 前回欠席したのですけれども、いま議論を聞いておりまして、専門医制度を考えるときに、将来の日本の社会はだいぶ変貌するわけですけれども、国民が病気になったときに、軽い病気もあるし、重い難しい病気もある。そのときに、どういうプロセスでその人が診断されて治療されるか。これは地域医療のことも含めて、グランドデザインという言葉がありましたが、それをまず大体大まかに俯瞰しておかないと、おそらく専門医と言ってもその中身がかなり異なってくるだろうと思います。
 具体的に言いますと、私は腎臓内科なのですが、腎臓では一般のかかりつけ医の先生から専門医を紹介するときに、それぞれ何をやるのかは実は明確に決まっていないし、地域によっても違う。というように、専門医の中身は医療の事情によって随分変わってくるので、専門医だけ取り上げてその資格を決めたりなどというのも、なかなか実情に合わないことがあとで出てくると困りますので、その辺りも考えて議論していきたいと思います。
○高久座長 前回のときもそういうご議論がありまして、確かにそうだと思います。ただ、私の実感として、大変だなと思います。しかし、いずれ議論しなければならないと思っています。
○三上委員 池田先生に専門医の定義を8頁に書いていただいて、それぞれの診療領域において、安心・安全で標準的医療を提供できる医師ということでした。それと、渡辺先生のほうの総合内科専門医など、そういう言葉との文言がどのように重なるのかを考えていたのです。総合的な領域でそれぞれ安全・安心で標準的な診療というのは、例えば、診断もつける、いわゆるトリアージのレベル。これは内科的な部分はわかりやすいのですけれども、先ほど総合外科医と言われましたが、簡単な外科的な手技もできるのか、あるいはそれぞれの診療領域が消化器や呼吸器であるのかという、その辺の分け方がわかりにくいと1つ思いました。
 それから、渡辺先生の説明の20頁、21頁で、医療連携モデルの話がありました。ここで「総合診療系医と領域別専門医の必要数算定方法」と書いてありますが、シェーマのほうには、かかりつけ医と領域別専門医の医療連携の計量モデルと書いてあります。この総合診療系医というのは、かかりつけ医と同じものであると考えていいのかどうかを教えてください
○渡辺参考人 基本的には同じものだと思っています。要するに、かかりつけ医というのは、診療現場ですぐにかかれるお医者さんという診療の場から規定した意味で、総合診療系という言葉の中には、そのお医者さんの持っている総合的に診察できるという特性という意味が含まれています。いま見直すと、私自身も書いている中で混同しているところが報告書の中にもありますが、厳密に言えば、個人のお医者さんの能力、何ができるかということと、診療現場で置かれている位置の違いがあると私は思っていますが、現実的には同じ集団を指すのだと考えます。
○三上委員 池田先生は、それぞれの領域というのは、すべての領域にもそれぞれの領域と同じような形で専門医の考え方ということになるのですか。
○池田委員 それぞれのというのは、おっしゃるように、やはり、医療の役割分担の中である程度、専門医制度を議論していかなければいけないことは間違いないので、そういう面では、患者さんの受診行動を念頭に置きながら、こういう場合にはこのような医師たちが、1つの専門医が診るという仕組みではなくて、こういう人たちとこういう人たちがそれを受け持つという、そういう形で議論が進んでいけばいいなと、私自身は思っています。
○高久座長 時間がまいりましたので、本日はこれで終わりにしたいと思います。池田先生、渡辺先生、兼松先生、どうもありがとうございました。
 次回は12月を予定していますが、また事務局で詳細が決まりましたら追ってご案内させていただきます。本日はどうもありがとうございました。


(了)
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