ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(感染症分科会予防接種部会)> 第19回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会議事録




2011年11月7日 第19回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会議事録

健康局結核感染症課

○日時

平成23年11月 7日
14:00~16:00


○場所

厚生労働省 専用第18ー20会議室


○出席者

岡部委員 加藤部会長 北澤委員 倉田委員 坂元委員
櫻井委員 澁谷委員 廣田委員 古木委員 保坂委員
南委員 宮崎委員 山川委員

○議題

(1)予防接種制度の見直しの方向性についての検討案について
(2)報告事項
  ・ポリオワクチンについて

○議事

○予防接種制度改革推進室次長 定刻になりました。ただいまから第19回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会を開催します。まず初めに事務局より報告させていただきます。
 今回新たに予防接種部会委員の委員といたしまして、本日ご欠席ですが、たまひよブックス編集部編集代行の蒲生真実委員、川崎市健康福祉局医務監の坂元昇委員、読売新聞東京本社編集局医療情報部長の南砂委員の3名が新たに委員となりましたので報告申し上げます。
 続きまして、事務局より本日の委員の出欠状況について報告いたします。本日は、池田委員、岩本委員、宇賀委員、蒲生委員、木田委員、坂谷委員から欠席のご連絡をいただいております。現時点で定足数以上の委員にご出席いただいておりますので、会議が成立いたしますことを報告いたします。ここからは、加藤座長に議事をお願いいたします。
○加藤部会長 では議事に先立ちまして、事務局より資料の確認をお願いいたします。
○予防接種制度改革推進室次長 お手元に座席図の他ダブルクリップ止めで、議事次第、配付資料一覧、委員名簿です。そして資料1が「予防接種法上の疾病区分について」、資料2が「評価・検討組織のあり方について」、資料3が「予防接種に関する情報提供・接種記録について」、資料4が「感染症サーベイランスについて」、資料5が「ワクチンの研究開発の促進と生産基盤のあり方について」、資料6が「ポリオワクチンついて」です。不足している資料がございましたら事務局にお申し付けください。
 冒頭のカメラ撮りについてですが、申し訳ございませんがここまでとさせていただきます。ご協力よろしくお願いいたします。
 引き続き審議参加に関する報告をいたします。製造販売企業からの寄附金等につきまして、審議に参加できない委員はおられません。また、申請資料作成への関与につきまして、宮崎委員が、おたふくかぜ、B型肝炎、ポリオの各ワクチンについて関わっておられます。以上でございます。
○加藤部会長 ただいま事務局から審議参加についてお話がありましたが、本日は個別のワクチンの取扱いも含めて審議します。宮崎委員が申請資料に関与しているということですが、部会が必要と認めた場合には、意見を述べることができるとなっておりますので、臨床家の立場からご意見はいただきたいと思いますがよろしいでしょうか。
                (委員了承)
○加藤部会長 それでは、了解いただいたことで議事に入らせていただきます。その前に本日の議題について確認をします。
 前回の部会で、予防接種制度の見直しの方向性についての検討案を、厚生労働省から示していただいたところですが、今回は項目ごとに資料を作成していただいたので、それを基に議論を進めたいと思います。これを議題の(1)とします。次に議題の(2)として、報告事項、ポリオワクチンについてです。時間が限られておりますので、本日の審議が円滑かつ十分に行えますように、委員の皆さまのご協力をお願いいたします。
 それでは早速議題の(1)に入ります。先ほど説明いたしましたとおり、本日は前回の部会で議論していただいた課題についてさらに検討を深められますように、事務局のほうで資料を作成していますので事務局から説明をお願いいたします。
○予防接種制度改革推進室次長 それでは、私のほうから資料に基づいて説明申し上げます。まず資料1です。いま座長からもありましたとおり、5つの課題について本日は資料を準備しております。
 資料1、予防接種法上の疾病区分についてです。1頁は予防接種の現行の体系です。2頁目は予防接種法によります予防接種の類型についてですが、以前にお示ししている表です。3頁ですが、疾病区分の考え方です。前回の予防接種法改正、平成12年でしたが、このときに社会的な問題のあった高齢者のインフルエンザを導入するに当たりまして、新しく区分がなされ二類に分かれています。これはどちらかというと、個人予防が重視されるという観点から、従前の区分から外れた形になり、あらたに一類疾病と二類疾病に分かれています。予防接種法に基づくワクチンの対象となります疾病は、集団予防が基本です。社会防衛を図るという観点でして、疾病の流行阻止という直接な防止をするものです。併せて個人予防の積み重ねの結果としての間接的な集団予防も含むと解釈されています。一類疾病、集団的の予防に比重を置くという観点から、ジフテリア以下の疾病があり、また、併わせて致死率、この場合致命率が高いことによります重大な社会的損失の防止を図る目的でという疾病には、日本脳炎と破傷風が一類疾病として区分されています。また二類疾病、先ほど申し上げましたとおり、平成12年から加わったインフルエンザがここに該当するわけですが、「個人の発病又はその重症化を防止」するということに主眼を置いた区分として、新たに前回の改定時から加わってる二類疾病です。
 今日疾病区分について議論いただきたいと思っております論点が4頁にございますが、3点あります。いま申し上げた前回の改定以降の疾病区分、二区分につきまして、現行の考え方を踏襲していいかということ。そして一類疾病の考え方として、特に「集団予防効果の高い疾病」、「致命率が高く社会的損失の重大な疾病」という要件があるわけですが、これに加える要件として何かあるかどうか。二類疾病の考え方として、「個人の発病・重症化の防止」という要件に何か加えるものがあるかどうかということです。さらにこの疾病区分に関しての考え方を踏まえまして、5頁にあります7つの疾病を区分、分類するならばどのようにするのかということです。一類疾病に関しましてまた迅速な対応が行えるという観点から、政令により追加できるような仕組みになっていますが、二類疾病についても政令により機動的に対応できるという観点から、政令により追加できるようにすることにしてはどうかということを論点としています。資料1は以上でございます。
 資料2、評価・検討組織のあり方についてです。従前指摘のありました課題、予防接種施策全般を議論する場として今後定期的継続性を保った、さらには公開性・透明性・多様性を高め、充実した事務局体制を持った評価・検討組織を設置することとしたいという方向性を考えています。
 具体的な役割について2頁目。これは前回の部会で出させていただいた資料ですが、予防接種に関する振興部門について、評価・検討組織がその任務を担うということに整理しています。具体的に4頁目ですが、評価・検討組織の役割、その行政の流れに基づいてどういう役割があるかということをまとめています。研究開発振興の研究開発の促進については、研究者などの研究開発等の推進につなげていくために、今後必要とするワクチンについて国としての研究開発に関する優先順位等を提言していただくこと。開発力の強化につなげるために、促進策の検討ということも考えていきたいと考えています。
 生産・流通のワクチンの安定供給の確保については、疾病がまん延したときに備えた危機管理的なワクチンの生産体制確保のための支援策を検討すること。新たなワクチンを導入したときに起きる予防接種の優先順位、接種スケジュール等の検討も行うこと。ワクチンが不足したときの対応を検討することなどが考えられます。
 予防接種事業のワクチン評価に関しましては、まずは定期予防接種のワクチンに関係して、安全性・有効性の再評価を行うこと。新しく加えた場合のワクチンにつきましての安全性・有効性を評価することが評価・検討組織の役割と考えています。また、国民の方々への情報提供として、リスク、接種スケジュール等について、医療関係者はもとより保護者及び接種対象者、報道関係の方々に対して、それぞれ必要とされる情報を一元的に提供できるようにしたらどうかということを考えていきたいとしていますので、この評価・検討組織でそういうことを検討していきたいと考えています。
 5頁目に評価・検討組織の構成についてお示ししております。現行の予防接種部会と米国ACIPの組織を比較として掲げておりますが、左に掲げてあるのが新しい評価・検討組織(案)です。コアメンバーとしては20名弱ということを考えていまして、ご覧のとおりのメンバー構成を考えております。
 参考人ということでお示ししておりますが、これは表現はいろいろあるかと思いますが、アンダーラインを掲げているところが現行の予防接種部会と異なる点です。参考につきましては、政府関係機関の代表、学会、メーカー、健康被害者団体という方々の参加を考えており、ここでは提案していただくというシステムを考えています。本日も傍聴の方々がいらっしゃいますが、新しい組織においては、こちらの傍聴者の席からも発言いただけるようにしてはどうかと考えています。行政側がころころ変わるといわれております現行の事務局体制ですが、継続的なシステムを考えつつ、事務局機能を強化するという観点から、国立感染症研究所が加わることも視野に入れて事務局体制を整えたいと考えています。
 6頁目は、組織の運営についてです。特に中長期的なシステムを作るということで、委員の任期は現行の予防接種部会は厚生科学審議会の規定に基づいて2年とし、延長させるということになりますが、工夫しつつ、中長期的な任期を担保したいと考えています。さらには委員の選任については、厚生労働大臣が任命ということになりますが、ここで公募枠の導入を検討したらどうかと考えています。最下段に専門委員会という項目があります。事前にお配りした資料では小委員会と表記してあったものです。今後この専門委員会の役割は重要になると考えています。テーマに応じて常設化の設置を検討して、ここでは評価・検討組織で検討するためのエビデンスを収集した上で資料をまとめるということ。評価・検討組織では年に2~4回の定期的な開催を予定していますが、この専門委員会は、頻繁に開催するということになる予定です。評価・検討組織の運営については以上です。
 資料3、予防接種に関する情報提供・接種記録に関してです。1頁目。情報提供・接種記録の見直しの方向性です。現在、予防接種の意義、それからリスクに関しては厚労省のホームページと、国立感染症研究所から発信をし、このホームページがツールとして中心的な役割を担っています。今後は、評価・検討組織における意見を反映させた形で、あらゆる情報を一元的に発信していきたいと考えています。それぞれ医療関係者、また保護者の方々それぞれが必要とされる情報を容易にアクセスできるように、内容の充実を図っていくものです。接種記録の管理につきましては、母子健康手帳が効果的なツールですが、年齢的な記載の制限があることから、こちらの情報の一元的管理を今後工夫していきたいと考えています。ただいま母子健康手帳に関する検討会での議論もありますので、そちらとの整合性を図っていきたいと考えています。
 2頁目の課題と方向性です。学校現場との連携という観点から、今後いっそう文部科学省との連携を図るということ。接種記録の管理については、今後の番号制度の議論も踏まえ、また、IT化の議論もあるということですので、そちらと併せて見直しを考えていきたいと思います。情報提供と接種記録については以上です。
 資料4、感染症サーベイランスについてです。1頁目、感染症サーベイランスは、いわゆる感染症法に基づいて実施されているものです。この法の目的は、感染症の発生を予防し、まん延を防止するということになります。そのために感染症の発生状況を把握して、得られた情報を解析して広く還元・活用するものが感染症サーベイランスです。さらに、その意義として2頁に掲げてあるとおり、感染症サーベイランスで得た情報につきましては、予防接種の効果等の評価判定を行うものです。
 3頁目は課題と見直しの方向性についてです。患者発生サーベイランスについては、特に把握できない対象疾患が生じているということから、これはサーベイランスの疾病分類を見直すこと、年齢によって把握できていないものがありますので、これにつきましても定点設定の見直しを検討するということを考えています。
 病原体サーベイランス及び流行予測調査についてですが、これは自治体の協力を得て行っているものですが、特に実際に現場としては各都道府県に設置されている地方衛生研究所がその機能を発揮していただいているところですので、今後は機能強化を図るということを検討していきたいと考えています。感染症サーベイランスについては以上です。
 資料5、ワクチンの研究開発の促進と生産基盤のあり方についてです。ワクチンの研究開発の促進及び生産基盤の確保については、これまで平成19年に策定されたワクチン産業ビジョン。平成23年3月の混合ワクチンの検討ワーキンググループの報告書があります。特に産業ビジョンでは、アクションプランが策定されており、日本において必要なワクチンを開発し、国の管理によりますが、安定的に供給する体勢を確保するべきということになっています。これらを受けまして現在の取組みですが、まず新型インフルエンザワクチン生産期間については、細胞培養法のワクチンの開発を進めているところです。さらに、混合ワクチンについては、4種混合ワクチンを国内4社において開発中です。
 ワクチン産業に関しての課題と見直しの方向性について2頁目です。現場からは研究開発に対して投資判断を行うことが難しいという声があり、これは国からの方向性が示されてないということが理由となりますが、今後は評価・検討組織において必要とされるワクチンについて、総合的視点から検討を行うこととします。そして、国としての研究開発に関する優先順位について提言いただくということを考えています。国際競争力のあるワクチン生産基盤を確保する必要があるという観点から、これはまだ具体的に示していませんが、国産ワクチンの供給力の強化を図ると共に、海外への事業展開、他のワクチンの製造など、開発・生産体制の強化につなげたいと考えています。ワクチンが今後種類が増加するということも踏まえて、受ける側の負担軽減を図る必要があるという観点から、ニーズに合わせた混合ワクチンの開発、具体的には経鼻ワクチン等がありますが、利便性の高いワクチンを開発していくことを検討することを考えています。以下の頁は、ワクチン産業ビジョンの策定後の現在の状況を示しています。資料の説明は以上です。
○加藤部会長 ありがとうございました。それでは、資料ごとに議論を進めていきたいと思います。資料1、予防接種法上の疾病区分について、ご意見を伺いたいと思います。
○廣田委員 少し本質的な方向性とは違うのですが、重要な点がありますので発言させていただきます。3頁に、平成12年の厚生省資料より、「致死率」という言葉が出てきます。いま事務局からは、致命率と言っていただいたので、私は非常に嬉しいわけですが、我が国では致命率と致死率という言葉が混同しています。致死率というのは、致死量や致死的疾病(フェイタルディジィーズ)という言葉が示すように、健康な人が同時に病原体等に暴露して死亡する割合ですので、分母は健康人です。これはfatality rateと言っています。一方致命率は、例えばたくさん刺し傷があって、心臓に達する傷が致命傷になった、あるいはO-157感染症の患者が尿毒症症候群を起こしたら致命的になるというように、これは感染して一定の症状を起こして発病した人の中から亡くなるのが致命率です。ですから、これは分母は感染者あるいは発病者となりまして、case fatality rateと言っています。
 それから、致命率と致死率を区別しないで使うと、非常に議論が混乱しますので、平成12年度の引用してある資料に致死率とありますが、致命率のことであると考えています。以上です。
○加藤部会長 ありがとうございました。資料1に関して、疾病区分の考え方、疾病区分の論点について、ご意見を伺います。いかがでしょうか。
○保坂委員 4頁もただいまの廣田先生のご意見が正しいと思います。致命率だと思います。致命率が高く、社会的損失の重大な疾病の規定の範囲が非常に漠然としていて、致命率が高く社会的損失が重大であると、その疾病を考えるか考えないかという客観的な指標がないように思います。その辺りは、どなたかどういうものであるかをご存じでしたら教えていただきたいのですが。
○加藤部会長 この中身が出来上がったときには、厚労省が作成していますので、厚労省からお答えいただきます。
○結核感染症課ワクチン専門官 明確に数字で、これ以上の致死率が一類に入るべきというようなものはありません。あくまでも相対的に比較した場合に、致死率というもので判断しているということです。
○保坂委員 そうすると、今回7つの疾病をどこに分けていくかを考えたときに、小児用肺炎球菌やヒブは、髄膜炎等にかかったときには、かなりこういったところに入るのかなと思いますが、どれぐらいの人がそうなるかというようなことからいいますと、入らないような気もします。いまのお答えは、広く解釈していいと受け止めてよろしいでしょうか。
○結核感染症課ワクチン専門官 特に事務局としては、これ以上ということは考えていませんので、柔軟に考えていただいていいと思います。
○岡部委員 この一類二類の区分なのですが、資料の3頁に、2類疾病で「予防接種改正時の厚生省資料(平成12年)」と書いてあります。これは、平成12年のときの議論が大体そのとおりなのですが、一類疾病はどちらかというと集団予防目的であると、それから、致命率あるいは致死率とありますが、非常に死亡数が高くなるというものです。二類疾病は、個人予防目的で間接的な集団予防となっていますが、当時相当議論をやりましたが、一類疾病が集団予防であり、二類疾病が個人予防というのは、インフルエンザで既に矛盾を生じていて、新型インフルエンザのワクチンをどうしようというときに、相当従来のものが二類でいいのかという議論も起きたと思うのです。ここの定義をもう少し分けておかないと、いまのままで一類二類に分けていくと、単純に個人予防だから、あるいは集団予防だからというような形に分けるのが、実際は難しいと思うのですね。集団予防であっても、やはり個人個人が予防するものであり、個人個人が予防するから集団が予防できるということでは、この一類二類の現在の定義としては、私は明確な区別になっていないと思います。
 例えば、一類はヒトからヒトへの感染が強くて非常に重要であると。また、公衆衛生対策として、世界も日本もこれをコントロールしようと思っている疾病であると。いまのは例えですが、一類二類の考え方が基本的にしっかりしていないと、このままどれを当てはめていいのかは、なかなか難しいのではないかと思います。
○加藤部会長 ありがとうございます。いまのように、一類と二類の疾病があったときに、ここに書かれてある定義だけでよろしいかどうかですので、いま岡部委員が一例を挙げましたが、その論点から一類と二類の分け方が、これだけでは不満足であってわかりにくいことは、この委員会でも出ていました。一類と二類を分けるのであれば、もう少しはっきりした定義といいますか、付け加えることがあるのではないかが論点になると思います。その件に関して、各委員からご意見をいただきたいと思います。一類二類をこのまま崩さないと仮定したうえでの話です。いま岡部委員は、ヒトからヒトへの、感染が一類疾患に入っているわけではないのですが、例えばヒトからヒトへの感染をするものであって、公衆衛生対策上必要なものということですね。
○岡部委員 またはですね。必ずしも、ヒト-ヒト感染を否定するものではありませんが、中心はやはり広がりからいくと、ヒト-ヒト感染が中心になるだろうと思います。
○加藤部会長 そのような意味で、一類と二類の疾病はわかりにくいと。もう少しこのようにやれば、国民の目線でわかりやすくなるのではないかと。はっきり申し上げますと、一類二類というのは、ぎりぎりの線でできた分類ですから、わからなくて当然だと思います。しかし、ずっと続いてきた制度ですから、ここをわかりやすく仕切るにはどのようなことをしたらいいでしょうか。例えば、岡部先生がおっしゃったヒト-ヒトとなると、今度は破傷風が一類に入っていたり、日脳が一類に入っていますから、若干また面倒なことになります。それは置いておいて、一類と二類の分け方の定義的なものとして、このようなことを付け加えておくとわかりやすいのではないかというようなご意見を、積極的にいただきたいと思います。
○保坂委員 いま岡部先生がおっしゃった中で、ヒト-ヒト感染ということを言ってしまうと、範囲の決め方がどうかなと思います。やはり、世界的に公衆衛生上予防が必要と考えられている疾患へのワクチンというようなことが1つと、もう1つは、やはり2番の致命率が高いので、という部会の文章をどうするかは別にして、やはりその両方を是非入れていただきたいと思っています。基本的には、二類を一類とは別に置いておくことには賛成です。
○加藤部会長 ほかにはいかがでしょうか。
○倉田委員 これは、はっきり言って苦しい分け方で、分けなければいけないのかということを考えれば、但し書きを付けてしまえば両方のものが通じて、読めば読むほど本当に分ける必要があるのかという気がします。上は規制するが、下の臨時接種もそうですが、H1N1のパンデミックも、しかし、それは今年は普通の季節性に入ってしまうとすれば、この新たに臨時接種という言葉もおかしい、解説を使っている疾患名もおかしいということになりますよね。これは、いくら読んでも、果して分けなければいけないという根拠がよくわかりませんね。努力義務有りとか無しとか、季節性インフルエンザは努力義務無しかというと、やはりみんなに接種するほうがいいというならそうすべきでしょう。それから、その下の実費徴収がどうかという話になってくると、接種するという話とお金の話は全然別な話でなければ困ると思うのですが、何かわかりにくいですね。一本化したらどうなのですか。
○加藤部会長 これは、だいぶ議論しましたが、また一本化論が出てきました。
○山川委員 素人なので教えていただきたいのですが、この点についてはWHOや先進諸国での扱いや議論はどうなっているのでしょうか。もし、関連して分ける、分けないという議論がどうなっているのか、教えていただければと思います。
○結核感染症課ワクチン専門官 WHOの推奨するワクチンであれば、世界中全般的に推奨できるものと、特定の地域に推奨できるもの、特定の対象者に推奨できるものに分けられています。ですので、日本のような分類ではないのですが、条件付きで推奨できるもの、一般に推奨できるものと、大まかには分けられています。
○加藤部会長 日本のような議論をしている所は、ほかにはあるのですか、ないのですか。
○結核感染症課ワクチン専門官 私は海外の事情は存じあげないのですが。
○岡部委員 WHOの場合も、レコメンデーションとしてすべての子どもたちがやるべきであるという言い方と、できればすべての子どもたちが受けたほうがいいワクチンという言い方にして、勧めているのは結局先ほどの勧めるべきであるというほうを多く勧めて、その主なものがEPIであるというような考えになります。結局各国ともそれに準じているのですが、ルーチンイミュナイゼーション、定期的な予防接種という言い方で、ある国の勧める予防接種のスケジュールに入ってくるものがルーチン、レギュラーにある予防接種であると。この場合は、結局費用がかかるか、かからないかというところに行き着いてしまうと。そのほかのものは、推奨はするが費用はそれぞれの費用負担でしてくださいという、費用に格差ができるワクチンというような分け方は、大体ほかの国でもその部分は同じになっています。ただ、日本のような定期、任意といったような分け方とは違うので、非常に誤解につながりやすいところでもあります。
○廣田委員 現在の一類疾病と二類疾病の根本的な違いは、二類疾病はインフルエンザ1つですから、これは毎年行うワクチンである。一類は、一生の中のある決められた時期に決められた回数打つワクチンである。インフルエンザの場合は誰でも罹るのは仕方ないから、ハイリスク者の重篤化や死亡を予防するという、ハイリスク者を対象としたワクチン接種です。それと同時に、ハイリスク者を保護するために、ハイリスク者との接触者も対象とするといった特殊性があります。従って、この二類疾病の「個人の発病又はその重症化を防止し」云々というのが、何となくインフルエンザにぴったりとくるから、この一類と二類の区分けが今のところはいいな、というような感じで捉えられているのではないかと思います。ただ、一類疾病と二類疾病の定義がどうかというと、私は疑問に思っています。
○加藤部会長 廣田委員は、二類疾病はハイリスク者対応の類型として認可されているだろうという意見ですか。
○廣田委員 現在はそうなっている、ということで。
○加藤部会長 できたときはそうですから、当然ですね。
○岡部委員 これは昔話ですが、この一類二類を決めたときに、そもそもは例えばEPIで世界で子どもたちに勧めるという主要なワクチンで、しかもこれは国がすべて責任をもって何か事故が起きたときも全責任を取り得るというのが、いわゆるいままでの定期接種です。そこにインフルエンザの議論が入ってきたときに、インフルエンザという病気を強制的にできるかできないか、あるいはある一定の年齢はこう決めるかと。そこで、インフルエンザといままでのものというところで、一類二類に分けられた経緯もあります。ただ、そのとき随分議論されたのは、二類の中にはいまはインフルエンザだけだけれども、国は勧めるが、費用負担あるいは被害救済の割合か何かでランクを付けるとしたら、そちら側にいわゆる任意の接種が将来入ってくるべきであるという議論の記録があったと思います。ただ、現実にはそのほかのものはすべて消えて、二類はインフルエンザだけになった、というやり方で、そこが従来どおりここ10年間ぐらい使っていた定義で一類二類の分け方がいいとは私は思えないので、そこの議論をしたほうがいいだろうと思います。
○坂元委員 例えば一類二類という分類がありますが、地方自治体の業務として予防接種をやっていますと、この二つの分類の間にどういう差があるのだという質問を受けます。先ほどの致命率という点では、インフルエンザでも年寄りは亡くなっているではないかという質問がきます。例えば子宮頸がんとかB型肝炎ワクチンについて考えると、この2つは将来起こり得るB型だと肝炎、肝がん、子宮頸がんワクチンの場合は、将来起きる子宮頸がんの予防ということで、また一類二類とはかなり違ったジャンルになるのではないかという気がしますが、いかがでしょうか。
○加藤部会長 もう1回論点を言ってください。
○坂元委員 いまの一類二類の分類で、例えば子宮頸がんとB型肝炎について言うと、感染したからすぐにどうこうというわけではないのでしょう。もちろん劇症肝炎等の問題はあると思うのですが、将来キャリアになった場合に、これが高い率で肝がん等の発生につながることと、それから子宮頸がんも、感染した場合は将来確率は低いが子宮頸がんになる恐れがあるかもしれないというこれはあくまでも将来に備えた個人予防ということだと思います。つまりインフルエンザとはかなり違ったジャンルになってしまうのではないかということです。いま検討されているワクチンを分類するとなると、果たしてこの一類二類だけの分類の仕方でおさまるのかどうかという疑問です。
○加藤部会長 一類ではないが、いま当てはまっている二類のインフルエンザとも当てはまらないという意見ですね。一類二類の分類の話にするのか、一類と二類は既定の事実として先に進めるのかは非常に難しいところです。前の議事録を読んでも、もう少し一類と二類を明白にしてほしいということが残っていますので、その辺りのところはわかりにくいのですが、そもそも論として一類と二類の疾病の大きな違いは、はっきり申し上げると、努力義務を課しているか課していないかです。努力義務を課していないのは、二類だけなのですね。したがって、死亡したときや障害を受けたときの支払いの給付も違うということです。
 なぜ努力義務を課さなかったかというと、これは歴史的な話で皆さんご承知だと思いますが、当時老人がインフルエンザでたくさん亡くなられたことをバックグラウンドとして、平成6年にインフルエンザという疾病は対象疾病からなくして、定期の接種から除いたのですが、老人の死亡が増えてきたところから、やはり必要だろうという議論になりました。そのときに、はっきりとした意識が表示できない方も中にはおられると。要するに、寝たきりで反応がない方々に対して、いわゆるいまでいうところの一類疾病の努力義務を課すことが平成6年から入っていますので、果たしてその方々が努力義務に適応するかどうかという議論になったわけです。
 したがって、年老いた方々、寝たきりの状態の方々でも、努力義務、例えばインフルエンザのワクチンをしますかと問いかけたときに、ベッドで「うん」と言ったなら、これは意思表示をしたでしょうということで、二類疾病として接種をしましょうと。そのような意味合がありまして、努力義務は課していないと。必ず、被接種者の意思を尊重してから接種をするということで、大きく分けた現状があると、私は認識しています。そこで、高齢のほうで付けたと思うのですが、一類と二類という分け方をせざるを得なかったというところが、一類と二類の大きな違いだと、私自身はいままでの流れの中から考えています。したがって、この一類、二類という考え方は確かに個人的、社会的な防衛や致命率の問題などいろいろなことがありますが、それができてきた当初は、そういう考え方で一類と二類が出来上がってきたのが現実ですので、そういうことを引っくるめたうえで議論をしていただかないと、先に進みません。ですから、坂元委員の発言は非常に興味深いです。いかがでしょうか。この議論を進めていいですか。
○結核感染症課長 2つに分けるのを前提とするか、そうでないか。
○加藤部会長 いままでの議論の中で、この一類と二類という大多数は、ほぼいままでの分類でいいでしょうということで進んできたわけです。しかし、いつも一類と二類のところは、もう少し国民目線ではっきりと、これは一類、これは二類とわかるような表現にしてほしいということは、前回の議事録にも残っています。そういう方向で、私は進めていくべきだと思っています。分類ごと変えてしまうと、この間政務官がお話になったように、来年はもしかすると予防接種制度の法案を提出するかもしれない時期にきていますので、とても間に合わない可能性もあります。この際は、一類と二類にさらにわかりやすい表現の仕方を加えてほしいというのが、私の意見です。そうではなくて、全部類型から変えてしまいましょうという議論になりますか。
○結核感染症課長 私どもとしては、それでよろしいと思います。
○加藤部会長 それというのは、どちらですか。
○結核感染症課長 2つに分けて。
○加藤部会長 一類二類の中で分けてから、それをもう少しわかりやすくということですか。
○結核感染症課長 はい。
○櫻井委員 そうすると、この議論は法律改正に直接結びつく可能性があるということですね。いまお話を伺っていますと、二類疾病については意思を尊重できるかどうかという話で、インフルエンザを念頭において作られたものだとすると、特定の疾病について念頭において普遍的な類型を作ってしまったということなのですよね。ですから、立法技術的にいうと、おそらく一類疾病が重要で、こういうものについては国として指定をして補償もするということで、直接的な予防接種は、もともとは社会防衛が念頭にあって、だから事実上それを勧奨するような形でやってきたことがありますので、それがコアだと思うのですね。
 問題は、技術的にいうと、一類疾病を積極的に定義して、かつ二類疾病も何か個人云々という話で積極的に定義すると、落ちるものが出てくるのではないかと思うのです。私としては、要するに2段階あるということが重要なので、一類疾病の定義は比較的わかりやすく、コンセンサスがあって歴史的に形成されてきたものなので、基本的には維持していいのかなと思うのですね。例えば、直接集団防衛を問題にするようなものとして、もう少し明確化してもよろしいかと思います。
 そうすると、二類疾病の定義は、一類疾病に当たらないが、国としてソフトな形で定期接種をするのが有益、あるいは必要と考えられるようなものとする、としておくと、インフルエンザのみならずその他の疾病についても入れていく可能性があって、一種のバスケットクローズのような感じだと思うのですね。意思の尊重云々という話は、少し限定的すぎる気がしています。国がどのように関与するのかは程度問題で、きちんと関与するというのが一類と。それより1段階落とした形で、しかし推奨はしていきたいものについては、この類型で受けることにすると、意思だけではないと思うのですね。それから、高齢者も意識不明といっても、本当に意思があるのかないのかは微妙なところで、それはたぶん決め手にはならないので、そこはむしろ外していただいて、努力義務のところも関連的には整理が必要だと思います。それも決め手にはならず、決定的なものではないので、むしろどういう形で事故が起きたときに補償していくのかという辺りとセットですので、お尻のところを見ながら、歩留りとしてこの疾病の場合にはこの程度の補償でよろしいのではないかと体系づけると、より合理的になって、文言上の疑問も出てくる余地が少なくなるのではないかと思います。
○山川委員 もう1つ質問ですが、7つの疾病が参考に挙げられていますが、現状の一類疾病、二類疾病の定義を維持した場合に、この7つがどちらに区分されるのかは、比較的専門家の先生方がご覧になると、容易に判断できることなのですか。
○加藤部会長 それを踏まえて、ここで議論していただきたいということです。
○山川委員 という意味は、どういう意味ですか。
○加藤部会長 ですから、この一類と二類の疾病を崩さずに、5頁にあります7つの疾病を定期接種にもっていくときに、一類の病気の分類の中に入れるのか、二類の分類の中に入れるのか、それはどうしてか。なぜ、この病気は一類なのか、なぜこれは二類なのかというような分類の仕方が、国民目線から見たときに納得がいくようにということを考えつつ、本日は仮に一類と二類をこのまま維持していくとすれば、この7つの疾病はこういう理由で一類、こういう理由で二類というような議論をいただきたいということです。
○岡部委員 定義上で、あまり医学的に厳密に決めてしまいすぎると、いまは単独の疾病だけについて一類か二類かという区別になります。実際に、これからのワクチンの発展を見てみると、例えばDPTが一類だがB型肝炎は二類だと。しかし、実際上はDPT+HBなどというような混合ワクチンになったときのことも考えますと、そこはあまりリジッドにやっていかないほうがいいと思うのですね。かつて、DPTを導入したときに、破傷風だけは任意接種だが、DPと一緒だから定期接種扱いにするといったようなことが行われていたわけです。そういうことも含めて、あまり線を引きすぎてしまうと、後々やりにくくなるのではないかとも思います。一応、便宜上分けておく必要はもちろんやりやすいだろうと思いますが。
○加藤部会長 そこで、一類と二類という分け方を変えないと仮にしたときに、先ほど出ています一類疾病の考え方としては、4頁に書かれてあるような中身でよいのか。二類の疾病も、4頁に(※1)と(※2)とありますが、これだけの理由付けでよろしいかどうかということです。先ほどの話に戻りますが、もっと理由付けが必要なことがありましたら、議論をしていただきたいということです。
○保坂委員 皆様の意見には全部賛成なのですが、それをどう整理するかだと思います。具体的にいいますと、この7つのワクチンをどう区分しますかという質問もありましたが、いますぐ感染を予防することで効果のあるものと、将来に向かって何か重い病気になることを防ぐことが目的であるものを、何らかの形で分ける必要があるかなと。そのときに、この一類二類のどちらにそれを入れるかは、非常に難しい判断をしなければならないと思います。それについて、4頁の疾病区分に付いているというところで、何か入れられるのかどうか。どのような文言を入れられるのかどうかを、是非検討していただきたいと思います。
○加藤部会長 具体的には、何か提案はありませんか。いまのは、坂元先生と同じ意見ですよね。
○保坂委員 坂元先生のお話を伺って思ったことと、それから櫻井先生の意見で一類はわりときちんと決めておいて、二類はそれに入らなかった受け皿というようなお話もありました。そういう形にするとしても、例えば一類にHPVなどを入れるというような場合何か理屈をつけるとすれば、もう少し別な考え方を加える必要があるのではないかと思いますので、一類に入れなくていいのであれば一類は現行のままで、二類を櫻井先生がおっしゃったように、厳密なことを言わないでもう少し広くしておく考え方もあるかと思います。
○加藤部会長 ありがとうございます。ほかにご意見はありますか。
○北澤委員 いままでの議論を蒸し返してしまうかもしれませんが、いまは定期の一類二類の議論をしているのですが、それ以外に任意接種という、承認されてはいるが法の中に入っていないワクチンもありますよね。しかし、そういうワクチンであっても、時と場合によってはやったほうがいいワクチンもあると。結局、どのぐらいやらなければいけないのかは、病気の種類、重さ、ワクチンの能力、誰にというところが複雑なマトリックスになって決まってくるように思います。私がいま議論をお聞きしていて疑問だったのは、一類はこれ、二類はこれという定義付けを文章で本当に作らなければいけないのか。これから、評価・検討組織の議論もあるかと思うのですが、いま言ったようなマトリックスを組織で議論していただいて、このワクチンをこういう人には非常に推奨する、この人にはこのぐらい推奨するということが明確に示されていれば、わかりやすくなるのではないかと思います。
 先ほど加藤先生から、努力義務のお話がありました。それはそうだと思うのですが、受ける側からすれば結局、事実上定期接種だと自己負担なしで受けられる、それ以外はお金を払わなくてはいけない場合もあると。そういうところで、受ける側は見てしまっていると思うのですよね。ですので、努力義務云々の話もあるのですが、是非このワクチンについてはこういうときに受けてほしいということが整理されていれば、特に文章で一類二類を述べなくてもいいのではないかと、個人的にはいまのお話を聞いていて感じました。
 追加しますと、この一類か二類か、あるいは任意かは、その後の補償の問題や副作用の報告についても、いまは扱いが違っていますよね。私が常々疑問なのは、任意であっても何か副反応があったら、それは同じように報告されて処理されていくべきだと思うのです。ですので、そこで区分けをするのはおかしいのではないかと思います。
○宮崎委員 遅れてきて申し訳ありません。前半の議論を聞いていないのですが、基本的にはいま北澤委員が言われたことと近い感じがあります。国内にあるすべてのワクチンを平等に全国民に勧奨するわけではないので、ある程度の重み付けや対象が違ってくるのが合理的だと思うのです。ただ現行の一類二類の出来方は、先ほど座長が言われたように、二類はあとでポンと付いてきて、もともと一類しかなかったわけです。ですから、そこに無理やり新しいものを入れ込んでいくのは、なかなか整合性がつきにくくなっているのが現状だろうと思います。
 例えば、いまの二類は努力義務を課しませんし、勧奨もしない、補償も医薬品程度であれば、ほとんど任意と変わらないぐらいになっているのです。ただし、そこに国が関与すれば、やはり接種率は上がっていくわけですから、ここの整理はいまの枠組と理論の中にというよりは、もう1回考え直す必要があるだろうと思います。そして、今回いろいろな話題になっているワクチンをどちらかに割っていくときに難しいのは、ワクチンの有効性や安全性云々プラス、補償が違ってきているところが悩ましいのです。完全に個人防衛であっても、それを二類に落とし込むと、1類に比べて、事故が起こったときの不利さが出てることも含めて、ある意味、基本は一類という考え方もあるかなという気もします。ただ、ここが難しいところで、今日の議論をもう少し整理する必要があると思います。補償と結びついているというところも、整理がもう1回必要かなと思っています。あるいは、逆に国が勧奨する程度によって補償額が変わるということが、行政的に合理的かどうかも、もう1回きちんと整理していただきたいところです。
○加藤部会長 ほかにいかがですか。いま北澤委員から、任意接種のお話が出ましたが、5頁に書かれているほかのワクチンももう1種類ぐらいあると思います。これが、いま子宮頸がんその他の3つは事業になっていますが、大体コア任意接種をやっていきますので、これをどうするかというお話をしているところですね。
○保坂委員 北澤委員は、すべて日本で承認されるワクチンについては同じ仕組の中に落とし込むべきであるというような趣旨の発言だったと思いますが、やはり法に定めることになると、接種を補償することも国として必要になる。そうすると、新しいワクチンが出てきたときに承認はしますが、接種について補償できるワクチンの数も、接種のできる医療機関もということがありますので、ワクチンが何か承認されたときに全部をそのように考えるのは、かなり難しいのではないかと。ただ、おっしゃったように任意で出てきたものについても、ワクチンについてはPMDAではなくて、副反応を一元的にワクチンとして捉えていくという考え方は、これから是非必要だと思います。そのことと、国が勧めるワクチンの区別はしておかないととは思いますので、よろしくご理解ください。
○加藤部会長 一類と二類を分けるときに、こういうものは二類、こういうものは一類ということのわかりやすい言葉、表現の仕方、例えば二類ですと、ここでは「個人の発病又はその重症化を防止」となっています。表面はこうなっておりますが、これだけでは難しいのではなかろうかと。4頁の下にありますが、二類疾病に加えようとした場合には、法律を変えないと二類疾病の中に入れることができない。一類疾病の場合には、法律を変なくても、病名が入ってくればその中に加えることができると。こういう作業上の違いもあるということです。
 もう少し意見を言っていただけますか。5頁にある7つの疾病を一類と二類のどこに組み込めるかは、わざわざ組み込められないという意見と、もっと違う分類を作らなければ無理だろうというご意見と、いくつか出ましたが、仮に一類と二類に限ったときに、もう少し一類の疾病はこういう疾病、二類の疾病はこういう疾病という表現型について、何か知恵があったらご意見をいただきたいと思います。二類疾病の成り立ちは先ほど私が申し上げたとおりです。
○古木委員 いまの一類疾病、二類疾病ですが、現在も一類疾病については努力義務を課している、あるいは勧奨ありということになっていますが、これは非常に大きな1つの区割りだろうと思います。ですから、これから7つほど新しい予防接種の項目が挙がっておりますが、これもこの規定に基づいてそれぞれ分類をして、どちらかの形に当て込むことが、むしろこれがいちばんわかり良いのではないでしょうか。私はそう思います。
○加藤部会長 そうすると、この一類と二類の説明書きに何か加えるべき言葉は、特に要らないでしょうか。
○古木委員 医学的にどういう言葉が妥当なのか、その辺りはわかり兼ねますが、現在の義務ありということは非常にわかりやすい、ワクチンの判断にもなると、私はこのように思います。
○加藤部会長 ほかにいかがでしょうか。5頁の7つの疾病をイメージとして抱いたときに、一と二があると仮定したときの一と二のあり方というか、説明がつくかどうかということですが、これでよろしいですか。それでは、ここの分類のところは、いままでいただいた議論を事務局でまとめて練っていただいて、そんなに時間はありませんので、今後議論をもう少し進めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
 次に、資料2「評価・検討組織のあり方について」ご議論、ご意見をいただきたいと思います。
○岡部委員 これを厚生労働省内の検討会に置くか、あるいは全く第三者的なものに置くかという議論は、この間のところで提案事項としても、現状から言うと厚生労働省内に置くだろうということが前提になってきていると思うのです。そこはよしとした場合に、評価・検討組織の構成の部分ですが、前回も申し上げたように、ワクチンの問題に対して科学的にいろいろなことを決めていくことが前提にあるならば、議決権を持ったコアのメンバーは専門家であるべきだと思うのです。偏った専門家ではいけませんが、その中で専門家外というか、医学と違うところでの判断、医学的に必要であるという判断をするところが、この評価・検討組織であろうと思います。したがって、この参考人の中で議決は持たないけれど、提案と発言ができるという考え方が非常にいいのではないかと思います。ただ、具体的に言うとメディアの方、あるいは法律家の方は私は悩んでいるのですが、メディアの方などはむしろ該当しないのではないかと思います。有識者という形で、広い意味での一括りだろうと思います。
 また、事務局ですが、3頁の「評価・検討組織のあり方について」のところですが、国立感染症研究所と書いてあります。前回の議論もあったのですが、国立感染症研究所となると、研究所としての意見が出てこなければいけないのですが、この中で実質的には感染症情報センターがこの中に入ってくるので、感染症情報センター長として言わせていただくと、現状で情報センターの中の予防接種部門は、定員削減のまま減少になっている状況です。何か新しい事業についてかなり重要な役割を担うということであれば、仮にOKになって現状のままで負荷がかかってくると、大変な作業量になってきます。そのことも踏まえた上でNIIDがこの中に入ってくるならば結構ですが、現状のままでは無理と言わざるを得ません。理想的にはそのほうがいいと思うのですが、したがってそこも配慮していただいて、ただし今のは研究所としての意見ではないので、この部分は研究所と話していただくことになりますが、情報センターとしてはいまのような意見を申し上げたいと思います。外国の例を持ち出すまでもないと思いますが、何か新しいことをやるとしたら、そこには当然人と予算がついてくる。それが前提であるならばあり得ることだと思いますが、その辺りも検討していただきたいと思います。
○保坂委員 いまの岡部委員の意見と非常に似ているかもしれませんが、米国のACIPを例に取って5頁の案を作られたと思っていますが、米国のACIPは、その背後にもっとしっかりしたいろいろな組織があってACIPがあるということなので、それだけ真似した組織を作っても、実際には動かないのです。先ほど岡部先生がおっしゃったように、かなり長期的な視野に立って専門的に判断できるような会議がまずあり、それがコアになっていて、事務局もしっかり付いていて、それが常設で常にワクチン問題について検討していて、新しく何か提案するときに、ここの表に出ているような委員会があって、そこにはメディアの方や経済学者も入っていていいと思うのです。しかし、コアになる会議が提案してきたことをこの委員会で認めるというか、そこで審議していただくという形にしないと、具体的な議題についてこういうメンバーでこういう形で話しても、全く話がまとまらなくて、その基を作るのは厚生労働省か、今度国立感染症研究所が入るのかどうか知りませんが、そこが出してくることをやることになる。
 そうすると、いままで何が悪いかというと、継続性がなかったということです。展望がなく、継続性がなくて国の予防接種行政がやられてきたことがいちばんの問題なのに、いまと同じ形での提案のされ方にどうしてもなりがちであると。せっかく今回予防接種法を改正する中で組織も変えていこうという考えがあるとすれば、そこだけは譲れないと思います。専門家がコアの会議を作って、常設で、専門家の委員も任期を長くして、任期を長くした中で半分ぐらいずつ交替する形でやっていくようなものを、是非作っていただきたい。
 ワクチンの産業ビジョンについても、そことの関連で新たに、いま問題になっているポリオの不活化ワクチンなどはそういうことなしにやってきているから、10年以上前からそう言っているのに、日本で導入されていないために大騒ぎになっているわけです。そういうことについても、常設の組織があれば、そこで次は不活化ポリオにしましょうという話が出たときに、具体的な戦略を立ててどうするかということが検討できるわけです。一生懸命やっているけれど、厚生労働省の健康局結核感染症課にしても、顔ぶれが1年か2年で変わっています。
 そういう中でいくら継続してやろうとしてもできないわけですから、役所の仕組みを変えろと言っても難しいと思うので、それは核になる専門家の会議を作って、そこからの提案を評価・検討組織というのか審議会というのか、いまの国の仕組みだとその審議会の下にある予防接種部会という会になるのか、組織的にはそうですが、それ以外に絶対に新しい組織を作らないと、いくら変えていこうと思っても有効に働かないと思いますので、健康局長、是非よろしくお願いします。本当は厚労省の外に作ってほしいと言いたいところですが、局長にそれをお願いしても筋が違うと言われてしまうと思うので、厚労省の中でいいので、是非それをお願いしたいと思います。
○加藤部会長 右側にACIPとの比較でいろいろな組織の運営について図が出ていますが、倉田先生、何かACIPと厚生労働省が書かれている案についてコメントはありますか。
○倉田委員 ACIPというのは、そもそも完全な行政の組織なのです。外部にあって、何かちょこちょこ言っているのとは、全然違うのです。今までの流れでみると、これは勘違いされているのではないかと思うのですが、ワクチン等を使用する、自称もあれば他称もあるかもしれませんが、そういう人たちのグループの集まりではないのです。きちんとした行政の中に組み込まれたものの一環であって、そこが今度のワクチンの問題に関して必要な人をつかまえるなりして、そういう組織であって、昔からあったいろいろな分野から、immunizationの普及だけやっていた組織を、今度はまとめて検討しましょうという話で、昔にはなかったのですが、その中でより効果的にやろうという話がやっと来たわけで、日本は10数年遅いかもしれませんが、これは完全に行政の中で決めていることであって、表にあって何かプロポーズするというのは全然違うのです。その代わり、ここの権限と、この間前回のまとめのときに局長がおっしゃったように、ここでやって今度会計なり財務省に上がらないとというのですが、米のACIPは相当お金に関しても判断ができるようになっていて、そこが日本と全然仕組みが違うのです。しかも、行政の決定権限のところまでやれという内容です。しかし、日本の行政の仕組みでそういうものを予防接種部会でする格好にしても、たぶんそのようにはいかないと思うのです。
 ですから、日本の行政は日本の行政でいく予算執行の仕方があるので、それはちゃんとやればいいだけの話で、勝手なことを言うグループを作ったら何かになるというのはとんでもない話で、そういう傾向の話合いがあって、私もメンバーに加えられましたが、それは拒否しました。ものを動かすときに行政を無視して動くことは絶対にあり得ないので、その中できちんとしたものを出していくと。そうすると、国立感染症研究所が行政の何かを、もちろん行政機関の一環ではありますが、いわゆる行政の何かをやるということでの感染研の役割としては、感染症の役割からそのワクチンの役割ということに関して、あるいはワクチンの品質管理という面からきちんとしたサポートをするということであって、何か行政のことになってしまうと、そういうものを期待すると対応しうるメンバーはいませんから、行政のトレーニングを受けた人は1人もいませんし、そういうところで役割を変に考えると、ただ委員が出てきてコメントするだけの話だったら存在は関係ない話ですから、そこの位置づけを、何をやるかはっきりしておかないと分かりにくい。
 医薬品のほうは非常にわかりやすいです。国立感染症研究所はどこに結びついているかよくわからない。薬事分科会と医薬品機構が結びついているのは非常によくわかるのですが、下のほうの医薬品機構は完全に行政の一環として役割を担っていますが、感染研は品質管理においてはワクチンと感染症の研究及びデータの問題に関しては責任があるわけですが、本来の位置づけが役割も違えば、PMDAはそのまま厚労省との人事の回転もありますが、感染研の場合は1人いるだけであまり関係ないのです。ですから、位置づけも違うし、内容に関してはどこまでが行政の分担をするとか、本来はたぶん感染研との話合いがあったと思うのですが、その中で聞いておられると思うのですが、いわゆる科学的な問題に関してきちんと根拠を明らかにするとか、そういうことに関しては役割を背負うべきだと思います。
 先ほどのACIPに戻りますが、CDCはそういう役割のために膨大な数の人がいるわけで、以前にimmunization program office にプロが800人いましたが、感染症のうちワクチンに関するところが全部一緒になりましたから、全部あわせれば,2,000人以上の人がいるわけです。その中で必要なものをやる場合の話と、日本のほんの少しいる、何分の1かその程度でやる話と違うので、そういう意味でACIPの位置づけと、日本における位置づけははっきり言って違う。そこを間違えないようにしないとまずいと思うのです。あくまでも行政の方針を決める中に専門家が協力する格好だと私は思っています。学者が言いたい放題いう仕組みは学会でやればよいわけです。
○澁谷委員 5頁で、この予防接種部会ではメディアというところで終わっているのですが、例えば被接種者、これは別に健康被害があった方ではなくて、例えば通常の子どもを持ったお母さんが、今度の新しい組織では入らないのかなと。メディアというのがどのぐらいの範囲のことを考えているのかと、被接種者側の意見が代弁できるようなものなのかどうかということを1つお聞きしたいと思います。
 また、いわゆる受け手の側があまりはっきり入っていないのですが、傍聴者では一般でも発言ができるようにはなっているのですが、この兼合いはどうなのでしょうか、国民に見えやすい組織とするなら、新しい組織に実際に受け手の意見がどの辺りに反映されるのかをお伺いしたいと思います。6頁に「公募の枠の導入の検討をする」とあるのですが、この公募の枠はどの範囲の人たちを公募するのか、専門家も公募するのか、その点も含めて少しイメージをお聞きしたいと思います。
○健康局総務課長補佐 答えられる範囲でお答えします。事務局として提案している案の読み方としては、いまのご質問に関しては、公募枠について専門家で公募なのか、どちらかというと被接種者の側で公募なのか、何か決め打ちしているわけでありません。現行の部会の整理ですと、当然被接種者の代表という明確な枠はなくて、一応メディアの方などに世論を代表して入っていただいていると。これはほかの審議会等でもそのように感じます。いまは被害者団体だけを明示しておりますが、今後参考人で出ていただくのか、もしくは委員に入っていただくのか、その辺りも含めてご意見をお伺いしたいというスタンスで事務局は臨んでおります。
○澁谷委員 もしそうだとすれば、組織として国民に見えやすいということであれば、是非被害者の団体だけではなくて、広く被接種者の意見も反映できるように、新しい組織は考えていただきたいと思います。メディアの方が代表してくださるだけではなくて、生の声を届けることができる仕組みにしていただきたいと思います。
○櫻井委員 全般的な感想ですが、この部会の議論はいつも、特にこの問題はそうですが、つかみどころがないというか、随分おおらかな議論をしているなと思っております。どうコミットしたらいいのか悩ましいのですが、予防接種部会は廃止するのですか。発展的に解消するというイメージがあるのですか。あるいは、そのまま残して別途こういう機会を作るということであれば、また別の観点もあると思いますが、ここはどうですか。そこも白地ですか。
○結核感染症課長 両方の可能性があります。
○櫻井委員 あくまでも感想ですが、評価・検討組織案は一応併存するという前提だとすると、前回の取りまとめで出ている文章を見ても、国民的な議論をする場と書かれています。そうすると、先ほど岡部先生がおっしゃったように、医学的な専門的な観点から必要性を検討するというものとは、少し性質が違っていると思うのです。もし、純粋に医学的な議論をするのであれば、おそらくいまある予防接種部会の中にある小委員会方式でやっておられて、それと同じものだろうと思われますので、必要性がよくわからないところがあります。かつ、国民的な議論をするのであれば、予防接種部会も相当に多様な、大きな議論をされているので、もう少し運用を変えて、もう少ししっかりとやられれば十分にできるのではないかという感じはします。
 また、両組織で地方自治体が入っていますが、地方自治体もいろいろな方がおられて、たぶん医務監の方が入っているのだと思いますが、首長組織の人が入るかどうかで行政的な観点が入るかどうかが変わってくるので、そこも一元的ではないだろうと思います。法律家をどうカウントするかは難しいところだと思いますが、純粋な特定分野における専門家の議論と、それが最終的に国民的に正当化されるかどうかというのは、法的に正当化されるかどうかということなので、そこは別の観点の専門性という意味があって、それを入れる組織にするかしないかはご判断というか、二元的に作るか一元的に作るかということとも関連してくると思います。法律家は、特徴としてはスペシャリストでありジェネラリストであるという言い方をしますが、コモンセンスの代表者みたいなところをどうやって入れていくのかということはあると思います。
 消費者代表みたいな、消費者とは何かという議論も一方であるのですが、使う側の人たちをどのように入れ込むのかということは不可欠な話で、たぶん被害者団体の人も入れる必要があるでしょうし、そのコミットを排除するのはきちんとした議論になりにくいし、お母さんに限らないと思いますが、被接種者の立場の方、まだ被害者になっていないけれど、なるかもしれないと思っている方、これが広い意味で消費者の定義に入ってくると思いますが、そういうものを入れる必要があるだろうと。
 いわゆる医学的な専門家のご議論をどのように正当化するのかという観点では、何かしら法的な議論をしなくてはいけなくて、4頁に出ている検討課題を見ますと、例えばワクチン不足の対応の検討のような一種の危機管理みたいな話になってくると、医学的な観点とは別の発想が必要になってくることは当たり前で、社会システムの問題になります。国民の情報提供の話というのは純粋な政策的な議論ということで、行政としての特有の課題が他方で出てくるでしょうから、ご提案があまりよくわからないということと、いまこの部会をこういう形で運用しながら評価・検討組織を作るとなると、意味がないですね。焼け太りと言うほど広範な組織ではない感じがして、何をやられたいのかということで、動機は何となくわからないではないのですが、非常に茫洋としているという印象です。
○加藤部会長 ありがとうございました。ACIPというのは、日本ではかなり一人歩きをしていて、要するにACIPが非常に理想的な組織であるということが、ここ数年間ずっと続いてきているものですから、それで今日出ているような絵が出てきていて、日本でも何かこういうものをやらなければいけないのではないかという概念から出てきたのではないかと思っています。保坂先生がおっしゃったように、ACIPは出来上がったものの中でやるのではなくて、先ほど倉田先生もおっしゃったようにその下に莫大な費用もかかって、莫大な人間もかかって、いろいろなことを議論して、それを定期的に年に何回か決めて、いろいろなことを決め、しかもそれは行政的に力を発揮する組織なので、ここに書いてあるのは少し絵に描いた餅的ではないかと。部会長としては言いすぎかもしれませんが、そのような感覚があるので、広く皆様からご意見を伺いたいと思います。
 いきなりこれが決まりましたと言って、ここで何をやるかという話になると難しいこともあるので、その辺りで評価・検討組織の「組織」ということについて、もう少しご意見を伺いたいと思います。
○廣田委員 2頁の役割の2の治験・承認審査のところに「ワクチンの安全性・有効性評価」とあって、4の予防接種事業のところに「予防接種事業としてのワクチン評価」とあります。2の治験・承認審査の「ワクチンの安全性・有効性の評価」のほうが、むしろ「薬事承認に係るワクチンの安全性・有効性評価」に限られるのではないかと思います。ここでの有効性評価というのは臨床的な評価ではなくて、免疫原性評価に有効性評価という言葉を使っております。したがって、2つ目のところは「薬事承認に係るワクチンの安全性・有効性の評価」で、4の予防接種事業のところは「ワクチンの評価」として、「予防接種事業としての」というのは取っていいのではないかと思います。おそらく、この評価・検討組織がワクチンの評価の本家本元になるのではないかと考えます。
○宮崎委員 資料2の1頁に課題の整理がありますが、要は?と?をどうするかという話です。この前も言いましたが、?は審議会の公開を行っているが、幅広い多様な分野の方々が参加する形式になっていない所が課題として挙げられています。しかし、今でもいろいろな方々が入っている所で議論しているけれど、なかなか突っ込んだ議論になりにくいことと、政策に結びつかないことが問題なわけです。この予防接種部会も19回もやっているけれど、アメリカが年に何回かやるのに到底スピードが追い付かないところが問題で、なぜかと言えば支えるものがないからです。
 ACIPとの比較の表が出ていますが、ACIPのメンバー構成も国が作られた表は正確ではありません。なぜかというと、参考人と書いてありますが、政府関係者も投票権がないだけで、ACIPのメンバーなのです。また、ここには当然学会関係者もリエゾンメンバーとしてきちんとテーブルに着いているわけで、常にその人たちは参加しており、部会が呼ぶから出てきている参考人ではないのです。
 だから、もう少しACIPのいいところを、つまりきちんとした医学的議論、データに基づいて議論ができることと、それが政策決定に、いきなりアメリカ流にはいかないとは思いますが、日本でも議論で終わるのではなくて、政策にどうやったら結びつけられるのか。ここは、新組織は厚労大臣に提言できるというところで国は押さえておられると理解します。先ほどからの皆さんのご意見と似ていると思いますが、現行の予防接種部会と新しい組織案は、比べていただくとわかるように委員はほとんど横並びになっているわけで、併存云々というのはあまりにも漠然としすぎているので、私は置換えだとずっと思っておりましたが、そうでもないのでしょうか。もしもこの形を温存するのであれば、その下に相当がっちりとした小委員会的なものがないと新組織は動かない。小委員会=ワーキンググループになっていくとは思いますが、そこを支えるものがここに全く出てきていないので、国立感染研が関与したほうがいいと思うけれど、現状ではなかなか難しいという議論になってしまっている。根っこの部分を含めて新しい評価・検討組織を考えていくと、自ずと答えが出てくるのではないかと思うのです。
○結核感染症課長 いくつかご意見をいただきましたので、少しレスポンドしたいと思います。岡部先生のご意見で、現行の人、金を前提にやったらというお話がありましたが、私どもは当然増員の要求とか予算の増額といったことはやっていきたいと思っておりますので、それを前提にご議論いただいていいと思います。
 いまの宮崎先生のお話で、確かに資料はコアなメンバーとか参考人とか、その辺りを詳しく書いているのですが、6頁のいちばん下に専門委員会というものを資料で付けております。もちろん、評価・検討組織のコアなものが5頁にありますが、それを支える専門委員会のようなものはあってしかるべきかなと。ACIPで言うとワーキンググループとか、この部会であれば昨年やった小委員会とか、そういうものをイメージしています。また、3頁に網がけしてある「ワクチン評価に関する小委員会」とか「日本脳炎小委員会」とか「不活化ポリオワクチン円滑導入検討会」とか、いろいろな小委員会や検討会、ほとんど局長諮問機関的なものがあるのですが、こういうものも場合によってはみんな新しい評価・検討組織に一元化してしまって、かなりしっかりした検討体制ができればいいのではないかということも考えています。
○山川委員 いまの課長のお話を伺って、私もこういう組織を新しく作るなら、予防接種部会と併存させるのは、ほとんど意味がないことではないかと思います。それならば、むしろ名前を変えて、どういう名前にするのか知りませんし、厚生科学審議会感染症分科会とどのように関連づけるのかよくわかりませんが、いまの予防接種部会の下に2つの小委員会がぶら下がり、下のほうに不活化ポリオワクチン円滑導入検討会以下4つのアドホックの検討会や委員会があるようなので、これを予防接種部会と一体にすれば、結局は同じことになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。併存するのはほとんど意味がないことではないかというのが眼目です。
○岡部委員 前の委員会のときも少しお話したのですが、基本的にいままで欠けているのは、保坂先生もおっしゃった継続的に定期的にやっていくことが、日本では全く欠けているところだと思うのです。そこをいちばん担保する必要があって、あとは仕組みのところはいくつか方法の選択があろうかと思います。また、ACIPが年に3回定期で、日本は不定期で、開催スケジュールがこれからは年に2~4回と書いてありますが、ACIPは1回やるごとに2日間、朝から夜まで丸々やっているのです。日本の審議会は1時間半から2時間、長くて3時間ぐらいでおしまいになってしまうので、みんなフラストレーションが高まったまま、結局最後は事務局預けで整理してくださいとなってしまいます。我々もそういう責任があるわけですが、そこに大きい違いがあると思います。
 この間の小委員会組織で急に降って湧いた話ですが、例えば6種類のワクチンについて検討した、あれが本来の専門的な姿であって、専門的な回答を出すのはそこで、ああいう事務局は感染研は適しているのではないかと思いますが、行政的なものをひっくるめてとなると、少し違ってきます。ジョイントしたとしても、役割分担をすることが必要になってくると思います。あの小委員会のときは、そのファクトシートを作った上で、そのときも急遽できたのですが、学会の集まりである予防接種推進協議会に相談してみたり、そういう意味でかなり学術的な議論ができたと思います。
 定期的にやっていくことと、あの小委員会もアドホックに突然来てこれをやれというのを1カ月間ぐらいで慌ててやるようなものではなくて、そういうことを定期的に検討していって、全体で討議する形に持っていくのが、私の頭の中では理想的ではないかと思っています。
○櫻井委員 いまのご議論を聞きますと、委員が常勤化していないと難しいのではないかという気がしますが、そういう前提ですか。
○岡部委員 そうですね。
○櫻井委員 そうすると、行政組織そのものの再編みたいな話だし、おそらくそれは行政自体がやらなければいけないことで、そこに外部の専門家をどのように取り込んでいくのかという話で、通常だと常勤会員を入れるとか、ある程度独立したというか、行政組織の中に入れてしまうと独立性がなくなってくるのが普通ですが、外に出すか出さないかという話も含めて行政組織の再編の話なのだろうと思います。
 先ほど山川委員がおっしゃったように、そこまで大仕掛けにしないのであれば、審議会の再編の話のように私には聞こえます。だから、厚生科学審議会とそこに入らないような検討会があって、これを含めて厚生科学のエリアに持ってくるという話にも聞こえます。審議会の統一を平成13年の中央省庁改革のときにやって、大体分科会の下にいろいろな部会や委員会を置いている役所が多いですが、全省的な、あるいは昔の審議会がやっていたようなことを両方渡ってやるような課題が最近いろいろあって、そういう例だと、分科会を通さないで直接厚生労働省に独立した部会を作っている例もあります。逆にそちらのほうが増えていて、分科会は大体何もやらないというか、あるだけということが多いのですが。ここは別の形で部会のほうが活性化しているのだと思いますが、だから本当に大仕掛けにやるのか、そうでないとすればこの審議会的なもの、部会と小委員会も含めてその再編なので、局同士の調整の話なのかなという全体の印象になります。
○保坂委員 いまの大がかりにやるつもりなのかそうではないのかということについては、たぶんいまお答えはされないと思いますが、できる範囲のところでやるしかないとは思いますが、できる範囲のところで最大限大がかりにやっていただかないと、長年この部会で議論していることが生きる道がなくなると感じます。ですから、できる範囲でいちばん大がかりな方法で、私の認識では、いまこの評価・検討組織も厚生科学審議会感染症分科会の下にある組織ということでお話を聞いているように思いますが、それしか道はないのか、厚生労働大臣から直接ついてくるような会ができないのかということが1つです。
 また、しつこいようですが、評価・検討組織の下に専門委員会がついていて、ワクチンの小委員会のようなものを専門家で作っていくという話もたくさん出ていますが、会の名前は別にして、とにかく常設であり、かつ継続的な長期的な提案ができるような組織を持つことは絶対に不可欠なので、そこだけは絶対やっていただきたいと思います。
○加藤部会長 ありがとうございました。よろしいですか。
 それでは、3番目の「予防接種に関する情報提供・接種記録について」ご意見を伺います。情報提供・接種記録の見直しの方向性の案で、1、2頁とあります。現状の課題と見直しの方向ということですが、いかがでしょうか。
○岡部委員 これも課題のところですでに述べられているのですが、接種記録の管理をきちんとやると。これはすでに決められていることでありながら、いろいろな面で動いていないところがあるわけで、具体的には2頁の下の接種記録の管理のところにあるように、予防接種台帳についてのデータ管理をしている自治体、紙媒体で管理している自治体とさまざまなわけですが、こういうものが統一になっていかないと、早く動向がつかみ切れないということがあるだろうと思います。また予防接種大腸そのものが整備されていないところすらあります。これは記録以前の問題です。
 また、一般的な情報提供はともかくとしても、それぞれの個人の記録、保存がきちんとなされていないと、遡って何か考えるときに、具体的には現在母子健康手帳で記録がなされているのですが、これは比較的なくなりやすいものであったり、保存がどこにいっているかわからないもので、これについて一元化するということも書いてありますが、いつでも個人がこれを引っ張り出せるものにしておかないと記録が曖昧になって、記録が曖昧になると記憶が曖昧になってきて、何が何だかわからないということになりますので、この辺りは是非きちんと見直していただければと思います。
○倉田委員 この情報提供というのは、予防接種をするだけの話で、起きたトラブルに関しては関係ないわけですね。なぜそんなことを言ったかというと、最近けしからん会社の方が多いのです。私はいろいろ情報を集めているのですが、上腕に接種してほとんど手首まで腫れてしまっても、「それは承認のときに織り込み済みですから、関係ありません」と言う外資メーカーの人が随分おられるのです。ですから、場合によっては、これから会社名も全部ピックアップしようと思っているのですが、それは薬事法の下では違う判断をする、どういう所に納めたワクチンによってこういうことが起きたというのは、メーカーの方が全部医薬品総合機構に出さなければいけないはずだと思うのですが、それがいい加減に扱われているということで、どうなっているのだと。私はいま担当ではないのですが、そういうことをやっているとワクチンの信頼性がなくなるのです。だから、メーカーはそれに対して品質改良など努力しなければいけないわけです。それをそんなにいい加減なことをやっていると、もし医薬品総合機構に届けられていないならば、私はこれから個人的に全部集めようと思うのです。1回だけ、2、3回前にそういういい加減な例があるということを発言しましたが、是非これはきちんとやってもらう必要がある。
 訴えた人はかなり地区の医師会で検討した上で感染症課のほうに行くと思うのですが、そうでない人、我慢している人が相当いると思うのです。なぜそんなことを言うかというと、感染研は従来ずっと品質のチェックをしています。どこの会社のどのロットとなると、ロットは再チェックして、いまの検出法でできなかったら新たな検出法で、いまは技術はいくらでもあるので、そうしたらこのワクチンをペケにするとか、新しい技術がそこで使えるようになるのです。それをしないで今までのままでやったときに、わからないことはいっぱいあるわけです。しかし、人にいったときに初めてわかることがあるのです。そのためには技術改良といったことが絶対必要なので、感染症課の役割でなければ、医薬品機構の安全対策課なり監視指導・麻薬対策課にきちんとした意見として伝えてもらいたいと思います。
○加藤部会長 それは副反応等に関することに対する情報提供を明記してほしいということですか。
○倉田委員 そうです。
○岡部委員 私も、いま情報というところだけでそこの話をしたのですが、以前のこの部会の記録を見ると、予防接種制度の見直しの方向性のところで、予防接種事業の適正な実施の確保、副反応報告がちゃんと別立ての項目になっているのです。今回の資料にそれが入っていないのではないかと思うのですが、その点は今後の検討になるのか、あるいは意識的にここがなくなってしまったのか、事務局にお尋ねしたいと思います。
○結核感染症課長 一応今後も検討するつもりです。
○加藤部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、続いて4に移ります。資料4「感染症サーベイランスについて」は、3頁まで案が書かれておりますが、この件に関してご意見がおありの方はお願いします。
○岡部委員 感染研が絡んでいるので、これも3頁の「現状の課題」のところに整理されているのが、この課題が解決されれば相当ないい線にいくと思うのですが、サーベイランスと言っても感染症という病気のあるなしと、それの原因となる病原体のサーベイランスと、実際にそういうものを持っている抗体があるかないか、その3本がいま動いています。現状では、これが定期接種であるがゆえにやる、定期接種でないからやらないといった形の、法律に基づいたところで医学的な分け方になっていないというのは、現在の予防接種で防げる病気をモニタリングし、あるいはそれを評価していく場合には、法律上のものだけではなくて、対象疾病を考えていかなくてはいけないと思います。したがって、例えば感染症のサーベイランスで、Hib、あるいはPCV7がありますが、これは感染症法の中でサーベイランスとしてモニタリングができないわけで、これを感染症法の中に入れてモニターするのか、予防接種の中でモニターするのか、それは工夫だろうと思いますが、そこをきちんとできるようにしていただく必要があると思います。
 6頁に地方衛生研究所とはとありますが、いまの感染症のモニターに関しては、国レベルでは感染研感染症情報センターがやっていますが、そこは中心的にデータを集めている所で、実際に現場でそこの調査あるいは検査等をやっているのは衛生研究所です。これもここに書いてありますが、課題としては保健所と異なり法的な位置づけがない、それゆえに近年機能低下をしているということで、次第にその能力が落ちてきているというのも由々しい問題です。今後感染症対策、予防接種で防げる病気、あるいはその他を含めても、自治体におけるきちんとした研究検査機関を、こういう機会に強化していくという考えが必要だろうと思います。
○廣田委員 感染症サーベイランスにおける情報の還元ですが、現在いろいろな数値が集計され、公表されますが、せっかく膨大な資源を投入して多くの協力を得たデータですので、ひとつ踏み込んで解析して、政策に役立つところまで利用してほしいと思います。また、そのためにもこの感染症サーベイランスシステムの中に疫学者を確保して、きちんと関与させる体制を組んでいただきたいと思います。そうすることによって、より詳細な解析もできると思いますし、その解析方法を知っているために、情報の収集の仕方自体のデザインも変わってきて、同じ資源を投入しても、より有効なデータが集まると思います。是非とも疫学者の関与を確保してほしいと思います。
○坂元委員 いま岡部先生から地方衛生研究所の問題が出されたのですが、地方自治体としてもっともであって、全国衛生部長会でも地方衛生研究所所長会から毎回必置規定に関しての質疑が出されることがありますが、法律的な必置規定というのは地方自治体に置かなければいけないという義務規定を課すので、地方自治体側の抵抗が強いということです。毎回そこの議論が曖昧になってしまうのです。衛生研究所を置かなければならないという以前に、地方自治体が感染症の業務でどういうことをやらなければいけないかということの責務をはっきりさせれば、逆の意味で衛生研究所の充実につながると思うので、地方自治体がどういう研究や検査をやっていかなければならないか、どういう意味で国立感染症研究所と協同してやらなければいけないかという責務を明確にしていくべきだと考えております。
○倉田委員 一類、二類という予防接種の分類がありますが、資料4の5頁を見ると、2006年に整理している感染症法のサーベイランスの分類は、1類、2類、3類という言葉ですが、予防接種の一類、二類とは全く何の関係もないのです。これは前から何とかしろと個人的には申し上げているのですが、法律改正がいつ行われるか知りませんが、予防接種の分け方のほうが数が少ないから、見直しのときに変えるか何かしないと、両方一類、二類、三類と、感染症は五類までありますが、同じ言葉を使うのはあまり良いことではないのです。カテゴリーを分けるだけですから、感染症でこれを使うのだったら、予防接種は少し違う言葉でやるとか、何かしたほうがいいと思います。今日どうしろと言う気はありませんが。
○加藤部会長 これは、学校伝染病では一種とか二種ではなかったですか。
○倉田委員 病原体の書き方です。
○加藤部会長 それは別として、サーベイランスに関してはよろしいですか。
 それでは、続いて5「ワクチンの研究開発の促進と生産基盤のあり方について」、資料5です。ご意見がありましたらお願いします。
○保坂委員 結局組織のことに帰ってしまうのですが、2頁を見ると、「見直しの方向性(案)」で、現状の課題に対して評価・検討組織において検討を行うという案が出ています。先ほどの案で出ていた評価・検討組織であるとすると、この予防接種部会的なものですね。そこで総合的な視点からの検討を行うというのは、こういう部会でそこまで細かいことを検討して、最終的に案が出てきたもので結論を出すことは可能かもしれませんが、それも案に出ている評価・検討組織に仕事をつけるのは無理な話です。ですから、先ほど言ったような組織が必要であるということになるわけですが、組織の作り方とそこに課す内容のバランスが取れていないのではないかと思いました。
○加藤部会長 ほかにいかがですか。特に意見がないようですので、先に進めます。
 資料5までいろいろ議論をいただきましたが、また今日の議論を取りまとめていただいて、前回政務官のお話がありましたが、早急に予防接種の行政の抜本的改革を行うということですので、ディスカッションのフォーカスをきちんと決めていただいて、政務官がおっしゃったような方向性を持たせながら議論しないと、少しフォーカスが乱れているような感触がありますので、ゆっくりと話合いをしてから決めていただきたいと思います。
○廣田委員 この制度の見直しの方向性の評価・検討組織のところで、正林課長が増員のことも考えているとおっしゃいましたのでお願いですが、感染研に是非とも疫学者を確保していただきたいということです。感染研には多くの研究者の方がいらっしゃって、例えば日本ウイルス学会に行って「俺はウイルス学者だ」と言える人がいても、日本小児科学会に行って「俺は小児科医だ」と言える人がいても、日本疫学会に行って「俺は疫学者だ」と言える人は、いまのところいらっしゃらないのです。そういう中で疫学調査が実際に行われているわけで、はたから見ていて危うさを感じることがしばしばあります。そういう意味から、是非とも疫学者を確保していただきたいと思います。
 また、「症例対照研究(Case Control Study)」という言葉が何度か出てきましたが、症例対照研究というのは疫学の中でもかなり高度な研究手法で、十分な疫学の知識と経験を持った人がして初めて信頼できる結果が得られるものです。あるいは、そのような人の直接指導の下で行われて初めて信頼できる結果が得られます。そういった意味から、感染研の中に若い優秀な先生方も多くいらっしゃるので、指導的立場に立てる疫学者が入れば、立派な疫学者が必ずや近い将来育つと思いますので、是非ともそういう疫学者を確保していただきたいと思います。
○加藤部会長 ありがとうございました。続きまして、議題2「報告事項」、ポリオワクチンについて、事務局からご報告をお願いします。
○結核感染症課長 その前に、私の先ほどの評価・検討組織のところで、お答えの仕方で誤解を招くようなことがあったかと思います。新しい評価・検討組織と予防接種部会が併存するのかということですが、私どもは併存はあまり考えておりません。新しいものができれば、予防接種部会と一緒にやるということはないと思っています。
 資料6ですが、前回9月29日以降、予防接種に関係して我々が取った行動で報告したいことは、ポリオの関係です。資料6はポリオワクチンの接種に関する広報についてということで、課長名で自治体に対して通知を出しております。何を通知したかというと、次の頁はリーフレットの案なのですが、ポリオワクチンについて、不活化ポリオワクチンの導入は可能な限り迅速に行いますが、早くとも2012年度の終わりごろですと、それまで接種を待つことはお勧めできませんと、いまあるのは生ワクチンですので、生ワクチンをできるだけ打ってくださいという内容のリーフレットを作って、各自治体に送っております。また、4頁以降のQ&Aも併せて送って、各市町村でこういったものを活用して広報活動をしていただくようにお願いしたところです。
 背景として、9頁にありますように、今年の4月から6月にかけてポリオの生ワクチン接種者の状況を調査したところ、対前年度の接種者数と比較して17.5%の減となっています。おそらく、接種者の数が昨年度よりは減っているのだろうということが予想されます。いろいろな理由があるかと思います。ポリオの生ワクチンについて麻痺が起きるというイメージが出来上がってしまって、より安全な不活化ポリオワクチンを使いたいと。特に、もうすぐ不活化ポリオワクチンが導入されるのだったら、ちょっと待っておこうということも影響を受けてしまったかもしれません。一部のマスコミで不活化ポリオワクチンはリスクがゼロだみたいな言い方もされて、過剰な報道ぶりもあったかと思いますが、資料の終わりから2~3枚目に「不活化ポリオワクチンの副反応について」という資料も付けております。外国で使われているサノフィ社の不活化ポリオワクチンの添付文書を載せていますが、中には因果関係は不明ではありますが、死亡例の報告やギランバレーの報告等もあり、最後に付けた資料はアメリカの副反応報告制度で集まった資料で、これも因果関係については評価がそもそも行われていませんが、死亡や障害というケースもあるようです。いずれにしても、不活化ポリオワクチンを求める声が非常に強いので、私どももメーカーにはできるだけ早く申請を出してほしいと申し上げていますし、申請が上がってくれば、できるだけ迅速に承認審査をして、できるだけ早目に不活化ポリオワクチンの導入に向けて努力したいと思っています。
 一方で、11頁にありますように、諸外国で野生株ポリオがまだまだ流行っています。特に隣国中国では、1つはウイグル地区で発生していましたが、最近は北京での報告も上がってきていて、いつ何時日本に野生株ポリオが入ってくるかわからないということです。CDCやWHOは、もし野生株が入ってくる可能性が高いのであれば、高ければ高いほど生ポリオワクチンをお勧めするという勧告も出ています。そういったこともあって、いま接種者数が下がっていることについては大変な懸念を持っており、いまできることは、いま手元にある生ワクチンをできるだけ打っていただけたらと考えております。
○加藤部会長 ありがとうございました。ただいま課長からポリオワクチンについてのご報告がありましたが、何かご質問がありましたらお受けしたいと思います。
○岡部委員 我々の専門家グループはポリオのIPV導入は10数年前から求めているわけで、いまようやく来たという感じではあるのですが、ちょうどそのギャップになっているときにポリオに対する免疫の状況が下がるというのは非常に由々しき状態です。いままで日本でずっとポリオゼロが続いているというのは、いままでのポリオのワクチン接種率がいい線をいっていた現れだと思います。確かに緊急的にIPVを使わないかという声もありますが、いま目の前にあっていちばん使いやすい慣れたものを使わないと、よくわからないかどうかを確かめているわけなので、その前の段階であまり性急にやると、かえって変なことになってしまうといけないということで、現在どおりのことを是非進めていただきたいというのが私の意見です。
○加藤部会長 岡部先生のご意見ですが、ほかに何か課長のご報告に対してご質問、ご意見はありますか。
○保坂委員 マスコミの関係の方と法律の関係の方に特にお聞きしたいのですが、いまお母さんたちの間では大変大きな話題になっていて、ポリオの生ワクチンを受けるべきか受けるべきでないかということでお話がされていると聞いていますが、その両方の方が何かそういうことについての情報をお持ちであれば、ここでお聞かせいただけたらと思います。
○加藤部会長 マスコミに聞きたいと。
○保坂委員 マスコミにも聞きたいし、法律関係の方、特に予防接種の副反応について詳しい山川先生がいらしているので、その辺りの人たちの間でどういう話になっているかということをお聞きしたいと思います。
○加藤部会長 厚労省の方はたくさん知っているのではないでしょうか。
○山川委員 私は何も知りません。
○北澤委員 自分も特に何かを知っているわけではないのですが、むしろ川崎の坂元さんに神奈川のことを言っていただいたほうがいいのではないでしょうか。
○坂元委員 我々市町村は、予防接種法に従って現在粛々とポリオの生ワクチンを市民の皆さんに勧奨接種しています。ただ、その中で「こんな危険なワクチン」という発言をされると、本来予防接種法第3条の規定では、都道府県知事は予防接種の運営管理を市町村が法に従ってきちんとやっているかどうか、監督する権限がある方だとも思いますが、その方がそのように発言されると、我々予防接種の実施主体としての基礎自治体としては非常に困惑するということだけを申し上げたいと思います。
○倉田委員 「こんなに危険」と言われるのですが、ここにいらっしゃるメディアさんは関係ないかもしれませんが、メディアは一生懸命書きます。IPVでポリオを防げますという絶対的な証拠はどこにもないのです。それを皆さんご存じないかとか、口から入れるのと皮下接種でインフルエンザのように皮下にポリオのワクチンを接種した場合と、動かす免疫が全然違うのです。そういうところを全く論じられないで危険と。危険と言っても、300万人ぐらいで麻痺が起きる人が1人ぐらい出ると。たしか最近の水準はそうだったと思いますが、岡部先生、違いますか。
○岡部委員 100万です。
○倉田委員 そうすると、大体年間1人です。もう1つ、いま5,000人交通事故で死んでいますが、車がけしからんとは誰もおっしゃらない。要するに、相対的に考えるか絶対的に考えるか、ワクチンになると、あるいは人の命になるとすぐ絶対的に許せないという話になるのです。ですから、「危険なワクチン」という表現をする方がメディアにもおられ、一般消費者にもおられて、私は信じられないのですが、だったらワクチンを全部おやめになったらいいという話になり兼ねない。IPVは絶対だと誰が言ったか知りませんが、死亡も出ていますし、これなら絶対ということはあり得ないわけで、そこはお考えが違うのではないかと。
 また、IPVだけで本当に免疫ができるかどうかというのも証拠がないですね。なぜかというと、諸外国は全部DTaPと一緒にやっています。DTaPの質の違いは、日本のワクチンとは断違いです。これは我々が現役のときにいろいろ仕事をやって、きちんとした病理学的な証拠を付けて論文を3報出してあります。ですから、DTaPで38%の高熱が出るのは、明らかにIPVではないけれど、DTaPから来ているのだと思います。しかし、IPVだけで免疫が野生ポリオウイルスを防御しうるだけの効能があるという格好にはなっていない。なぜかというと、DTaPのバクテリアの分がアジュバント作用でIPVの抗体を作る場合の後ろ盾をしているということがありますので、そういうことを無視して、IPVを接種すればどんなに野生株が入ってきても防御できるという根拠はどこにもないと思います。
 そういうことで、いろいろ実験してみようというアイディアはありますが、そのうち若い者を使ってやろうと思いますが、OPVが絶対に危険だというのは出すぎた意見で、どれだけの根拠があるのか聞きたいと思います。
○加藤部会長 あと1人ぐらいご意見はありますか。よろしいですか。
 ご意見がないようですので、少し時間が延長しましたが、本日はこれで終了させていただきます。事務局から連絡をお願いします。
○予防接種制度改革推進室次長 長時間にわたり、ご議論ありがとうございました。次回の日程につきましては、調整中です。改めてご連絡したいと思います。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(感染症分科会予防接種部会)> 第19回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会議事録

ページの先頭へ戻る