ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 障害保健福祉部が実施する検討会等> 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(平成24年度報酬改定)> 第1回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」の議事録(2011年11月11日)




2011年11月11日 第1回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」の議事録

障害保健福祉部障害福祉課

○日時

平成23年11月11日(金)17:00~19:00


○場所

厚生労働省 専用第23会議室(19階)


○出席者

駒村教授 野沢論説委員 平野准教授
津田厚生労働大臣政務官 岡田障害保健福祉部長 中島企画課長
土生障害福祉課長 福田精神・障害保健課長 内山地域移行・障害児支援室長
道躰課長補佐 水谷課長補佐 三浦課長補佐
蛭田自立支援給付専門官

○議題

(1)障害福祉サービス等報酬改定検討チームについて
(2)障害福祉を取り巻く状況について
(3)障害福祉サービス等経営実態調査結果について
(4)地域区分の見直しについて
(5)その他

○議事

○土生障害福祉課長 定刻でございますので、ただいまから第1回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」を開催させていただきます。
 議事に先立ちまして、まずは本検討チームのアドバイザーをお願いしております先生方を御紹介させていただきたいと思います。
 慶應義塾大学教授の駒村康平様でいらっしゃいます。
 日本社会事業大学准教授の平野方紹様でいらっしゃいます。
 少し遅れられておられるようでございますが、毎日新聞論説委員の野沢和弘様が御出席予定ということでございます。
 それから、本日は所用により御欠席という御連絡をいただいておりますけれども、明治学院大学教授の茨木尚子様にもアドバイザーをお願いしているところでございます。
 それでは、議事に先立ちまして、厚生労働省を代表しまして、津田厚生労働大臣政務官から一言ごあいさつを申し上げます。
○津田厚生労働大臣政務官 本日はお忙しい中、第1回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」のためにお集まりをいただきましたアドバイザーの方々に、まずもって大変感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。
 障害福祉サービス等に関わる報酬につきましては、常設の審議会等における議論を経ないで、障害福祉行政を所管する厚生労働大臣が直接責任を持って定める仕組みということでございます。
 したがいまして、費用の大部分が国民の税金によって賄われているということを踏まえますと、国民の理解が得られるよう改定プロセスの客観性、透明性を確保することが求められていると考えます。このため、省内にアドバイザーとして有識者の皆様の参画を求めつつ、公開の場で議論を行う検討チームを設置し、私がその主査に就任するということにしたわけでございます。
 アドバイザーの皆様には、国民の税金の配分に係る検討過程の客観性、そして、透明性の担保の観点から、まさに企業の監査役のような意味合いも含めた形で積極的な意見提言を是非お願いを申し上げたいと思っております。
 今回の改定の全体構造に大変大きな影響を与えるのは、本年度末までの基金事業として行われております福祉介護職員の処遇改善のための交付金の取扱いでございます。この取扱いにつきましては、政府の予算編成過程で決定されるということになるわけでございますが、仮にこれを報酬に組み入れるということになれば、今、盛んに使われておりますペイ・アズ・ユー・ゴー原則というのがございますけれども、これを踏まえますと大変厳しい財政事情の中で、政策改定として相応の財源確保ということが必要になってくるわけでございます。
 また、改定率につきましても、政府の予算編成過程で決定されることになります。そういうことで本検討チームにおいては、年内は個々の障害福祉サービス等の報酬等にかかる課題につきまして、経営実態調査等の分析、評価を踏まえて検討を行い、その後、予算編成過程の中で改定率が決定された後に、当該改定率を前提として年明けに個々の点数についてとりまとめたいと考え、予定をいたしておるところでございます。
また、報酬改定等を現場の実情に即したものとするためにも、関係する事業者あるいは当事者の方の御意見も踏まえて検討していく必要があると考えております。これにつきまして、後ほど事務方から説明をさせていただきますが、検討チームにおいて関係団体等から直接、御意見を聞く機会を設けたいとしておるわけでございます。年明けに向けて限られた時間でございますけれども、密度の高い議論を是非お願いを申し上げたい。そして、何とぞうまく進むよう皆様の御協力をお願いしたいということでございます。
本日以降、是非精力的な御議論をお願い申し上げまして、私からのごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。
○土生障害福祉課長 政務官、ありがとうございました。
 それでは、改めまして、アドバイザーの先生をお願いしております、毎日新聞論説委員の野沢和弘様を御紹介させていただきます。
 それでは、事務局の方の構成員を紹介させていただきます。
ただいまごあいさつをさせていただきました検討チーム主査は、津田政務官にお願いしております。
副主査でございますが、岡田障害保健福祉部長でございます。
併せまして、ちょっと遅れておりますけれども、中島企画課長も構成員でございます。
同じ構成員としまして、福田精神・障害保健課長でございます。
同じく、内山地域移行・障害児支援室長でございます。
申し遅れましたが、私は障害福祉課長の土生と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
それから、議事進行の都合上、当課のスタッフも同席させていただいております。よろしくお願いいたします。
本検討チームは議事を公開するということでございまして、審議内容につきましては先生方に御確認をいただいた上で、後日、厚生労働省のホームページに議事録として掲載される予定となっております。あらかじめ御了解いただきますようよろしくお願い申し上げます。
それでは、議事に入らせていただきます。第1回の議事次第でございます。
まずは、本検討チームの設置趣旨あるいは関係団体からの今後のヒアリングの予定などにつきまして、資料1、資料2に基づきまして、担当から説明をいたします。
○水谷課長補佐 障害福祉課で課長補佐をしております水谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 資料1をご覧ください。本検討チームの開催要綱でございます。政務官からごあいさつをいただきました中で、ほぼ内容を御説明いただいておりますが、念のため、これに沿ってもう一度御説明をさせていただきます。
 本検討チームの目的でございますが、障害福祉サービス等に関する報酬につきまして、24年度の改定に向けまして、客観性・透明性の向上を図りつつ検討を行うということで、省内に検討チームを設置いたしまして、アドバイザーとして有識者の皆様方の参画をいただきまして、公開の場で検討を行うというものでございます。
 医療や介護は社会保険のシステムでございまして、中央社会保険医療協議会や介護給付費分科会とか、常設の審議組織の中で保険者、支払い側とサービス提供側、それを仲立ちする公益的な立場の方という常設の構造がございます。障害福祉は国費で賄われるサービスでございますので、厚生労働大臣が責任をもって定めるという仕組みでございますが、税金の配分に係る検討過程を客観性・透明性をもってやるということで、こういったアドバイザーの方に議論に参画いただきまして、公開の場で検討を行いたいといった趣旨でございます。
 「2.構成員」と書いてございますが、裏面をおめくりいただきますと、今、御紹介を申し上げた構成員が書いてございますので、説明は省略させていただきます。
 「3.検討スケジュール」でございますが、今日これから障害福祉サービス等経営実態調査の結果につきまして、後ほど担当から説明がございます。そういった客観的なデータの分析、評価を踏まえまして、個別のサービスの個別の報酬改定事項について検討を行っていただくといったような内容になってございます。政務官からもございましたが、障害福祉サービスの報酬改定全体の改定率につきましては、本年度の予算編成過程の中で決定されるということでございますので、それが年末に決定されますれば、そういった大枠の中で個別の改定事項、実際の個別の点数をどうするのかということにつきまして、来年1月を目途にとりまとめていただく。そのようなスケジュールで検討をお願いしたいと考えております。
 「4.検討チームの運営」でございます。障害福祉課が庶務を行ってございます。議事は公開とさせていただきまして、先ほども御説明がございましたが、この審議内容は皆様に御確認をいただいた上で、後日、議事録としてホームページに公開させていただくといったことを考えてございます。
 開催要綱につきましては、以上でございます。
 続きまして、資料2「『障害福祉サービス等の報酬改定に係る関係団体からのヒアリング』について」という1枚紙でございます。
 本日が第1回の検討チームでございますが、来週11月14日月曜日の朝9時~11時まで、来週木曜日11月17日の10時~12時までの2回にわたりまして、関係団体から今回の改定につきまして、いろいろと御要望等をいただきたいと考えてございます。
 裏面をおめくりいただきますと、ヒアリング団体としてお呼びしようと思っている団体の一覧が書いてございます。障害福祉サービスに関わる当事者あるいは事業者団体の方を中心に選定をいたしまして、これは既に日程の都合もございますので、事務局から事前に関係団体の方に日程調整をさせていただきまして、御参加いただける時間帯といったもので、この2日間に振り分けさせていただいてございます。
 限られた時間の中で、これだけ多くの団体の方から御意見を聞かせていただくことになりますので、1団体5分程度という限られた時間の中で御意見を頂戴し、それを踏まえて今後の個別サービスの検討に役立てていきたいと考えてございます。
 私からの説明は以上でございます。
○土生障害福祉課長 それでは、ただいま説明をいたしました検討チームの趣旨、あるいは今後の運び等につきまして、確認したい、あるいは質問等々がございましたら、先生方からよろしくお願い申し上げます。
 それでは、また後の議題の中で御不明の点がありましたら、よろしくお願いいたします。
 続きまして、第2の議題に移りたいと思います。障害福祉を取り巻く状況や障害福祉サービス等の経営実態調査結果につきまして、資料3、資料4に基づきまして、担当から御説明を申し上げます。
○水谷課長補佐 それでは、資料3「障害福祉制度を取り巻く状況」という資料をご覧いただければと存じます。
 今回の改定、個別のサービスに係る事項は別途、個別サービスごとに制度の仕組み、あるいはそれを取り巻く状況を御説明させていただきながら、御議論をいただくことになろうかと存じますが、今回は全体につきまして、今回改定の背景となる制度を取り巻く状況について御説明をさせていただきたいと存じます。
 「1.総論」と書いてございまして、2ページをご覧いただきますと、障害福祉サービスの予算額の推移について、グラフで示してございます。ご覧いただければ、予算額が伸びていることがお分かりいただけるかと思いますが、例えば平成13年度をご覧いただきますと、3,111億円であったものが平成23年度には6,787億円と、10年間でこれだけ伸びてございまして、年平均700億円弱の伸びを確保しているということでございます。障害福祉制度につきましては、既に御案内かと存じますが、かつて措置制度であったものが平成15年度から支援費の制度、更に18年度からは障害者自立支援法に基づく自立支援給付の制度になってございまして、そういった制度の変化も踏まえながら、こういった着実な予算の伸びを確保しているというような状況でございます。
 3ページ、総費用額・給付費と実利用者数、請求事業所数の推移についてもグラフ化してお示ししてございます。上の段は総費用額・給付費、実利用者数でございますが、平成22年4月~平成23年4月の伸びを比べますと、総費用額で8.8%、給付費で8.5%、実利用者数で9.7%といずれも高い伸びを示している状況にございます。
 下の段は、請求事業所数でございますが、22年4月~23年4月で、やはり10.7%と非常に大きな伸びを示しているところでございます。
 4ページ、実利用者数の推移でございます。これは平成22年7月~23年7月と比べますと、年率で9.6%伸びてございますが、その下に内訳を書いてございます。実際の23年4月時点での利用者数をご覧いただきますと、知的障害者、身体障害者等が多い構造になってございますが、実際の伸び率でご覧いただきますと、精神障害者あるいは障害者といったところがサービス利用が伸びてきているといったことが、このデータから伺えます。
 その後、5ページ、6ページ、7ページは、各サービス種別ごとの利用者数の伸びがデータで示してございます。これにつきましては、今ここで事細かに説明するというよりは、参考の数値としてご覧いただければと思います。ここまでのところで障害福祉のサービスにつきましては、それに係る利用者、あるいはそれに係る費用といったものがいろいろな制度の編成の中で着実に伸びてきているといったことがうかがえるかと思います。
 8ページ、9ページにつきましては、実際にサービスを利用いただく利用者の方々の負担軽減措置について、説明を書いてございます。障害者自立支援法は1割の応益負担の制度としてスタートいたしまして、8ページの○1に書いてございますが、利用者の方の所得の状況に応じまして、一般あるいは低所得の中でも更に2分類、生活保護受給者といった方々の種別に応じて負担限度額というのを介護保険並びで設定してございましたが、施行当初から円滑な施行を図るためということで、自公政権の下でもさまざまな負担軽減策が講じられてきました。それがここでは○2とか○3に書いてございます負担軽減策でございます。
 更に、民主党政権の下におきましても○4でございますが、22年4月から低所得の皆様につきましては、利用者負担をゼロとするということになりまして、応益負担の仕組みとしてスタートした自立支援法の仕組みは、ここで実質的に応能負担、負担能力に応じて御負担をいただくような仕組みに、22年4月からなっているということでございます。後ほど御説明をさせていただきますが、これは昨年12月に成立しました、いわゆるつなぎ法、障害者自立支援法の一部改正法によって、法律上も利用者負担は応能負担とすることが明確化されているところでございます。
 9ページも同じような形ですので、説明は省略させていただきます。
その上で10ページ以降が、今回、皆様方に御議論をいただきたいと考えてございます、障害福祉サービスの報酬に係る基本的な構造でございます。障害福祉サービスの報酬と申しますのは、事業者が利用者に障害福祉サービスを提供した場合に、その対価として事業者に支払われるサービス費用でございまして、実際の費用の流れの概要を下の図でご覧いただきますと、実際に利用する方はまず市町村に○1障害程度区分認定の申請をいたしまて、市町村が○2支給決定を行う。それを受けまして、利用者は実際のサービス事業者から○3サービスの提供を受け、そこで○4利用者負担をお支払いいただくことになるのですが、サービスを提供した事業者は○5介護給付費等の請求を市町村に行い、市町村が○6介護給付費等を利用者負担分を差し引いて支払うといったような構造になってございます。この費用につきましては、国が50%、都道府県が25%、市町村が25%という形で分担して御負担をいただくような仕組みになってございます。
11ページ、今、御説明しました報酬がどのような形で計算をされるのかというのがここで示されております。法律上、事業所が所在する地域等も考慮いたしまして、サービス提供に要する平均的な費用の額を勘案して設定する。これが厚生労働大臣が定める、いわゆる障害福祉サービスの報酬の点数ということになります。下の算式をご覧いただきますと、サービスごとに算定した単位数を厚生労働大臣告示で定めてございまして、これに1単位当たりの単価、基本的には1単位10円でございますが、後ほど御説明させていただきます地域区分等によりまして、若干単価が変動いたしますが、単位数に基本的に1単位10円の単価をかけまして、実際に事業者に支払われるサービス費の額が決まってくるといった構造になってございます。
12ページ、平成18年度に自立支援法の体系がスタートいたしましたが、そういった意味で21年度前回の改定が初めての障害福祉サービスに係る報酬改定であったわけでございます。前回改定のポイントをこの1枚で簡単にまとめてございます。
改定率は当時プラス5.1%という改定率でございました。当時の改定におきましては、ここに書いてございます3つのポイントに従いまして、改定が行われてございます。
「1.良質な人材の確保」。人材の確保や重度者の対応に積極的に取り組む事業所の評価として、訪問系サービスに係る特定事業所加算といったものを創設いたしました。社会福祉士、介護福祉士等の福祉専門職員や常勤職員の配置を評価する加算のような仕組みも新設いたしました。
「2.サービス提供事業者の経営基盤の安定」。経営実態調査の結果を踏まえまして、児童デイサービス、機能訓練など、収支差率がマイナスであった事業がございました。こういった事業につきましては基本報酬の単価を見直して、費用に見合った報酬単価を設定いたしました。
利用者が急に利用をやめるといったこともございます。そういった急な利用中止時につきましても、事業者において体制をきちんと整えておられますので、そういったことに着目をいたしまして、欠席時にフォローアップを行うといったことを評価する加算を設けたりいたしました。
「3.サービスの質の向上」。看護職員の配置がないサービスというのは、障害福祉サービスの中でも当然ございますが、そういったサービスで医療機関との連携による看護を提供したりした場合の評価、あるいは医療機関により短期入所サービスの提供形態の多様化を踏まえたものなど、医療的なケアを要する方への対応を充実いたしました。
また、視覚・聴覚障害者など重複障害など障害特性の配慮の充実ですとか、リハビリや栄養管理等に係る個別の支援の評価を行いました。
「4.地域生活の基盤の充実」。ケアホーム・グループホームにつきまして、手厚い世話人の支援体制として、利用者4人に対して世話人1人という評価を行いました。夜間の支援に係る評価の充実等で、こういった地域生活の基盤となりますグループホーム・ケアホームの支援機能の強化を図りました。
また、重度訪問介護、家事援助など、訪問系サービスや短期入所の評価も充実をいたしました。
「5.中山間地等への配慮」。中山間地等に居住する方への訪問サービスの提供を加算で評価したり、あるいは定員40人以下で一律となっておりました日中活動系サービスの報酬単価に、新たに定員20人以下の小規模事業所向けの単価を創設いたしました。
今回も一つ論点となるところでございますが「6.新体系への移行の促進」でございまして、就労継続支援のB型につきまして、以前の人員配置も踏まえまして、手厚い支援体制の評価を行ったほか、障害者支援施設につきまして、前年度の平均障害程度区分に基づく評価を見直して、土日の支援の評価を引き上げたり、こういったことを行ってございます。
こういった個別事項につきましては、今後また個別のサービスについて議論をいただくときに、前提となる事項となりますので、また個別のサービスごとの評価の仕組みにつきましては、今後御議論をいただくときにもっと詳しくお示しをしたいと存じます。
13ページ、今回改定を取り巻く状況といたしまして、賃金・物価等の経済状況がどうなっているかという、これは事実の状況を淡々ととりまとめたものでございますが、賃金につきましては、前回改定以降、マイナスの累積が1.8%、物価につきましても平成21年からの累積が-2.5%ということで、ともに賃金・物価が下落傾向にあるということが背景事情にございます。
そういったことを踏まえまして、14ページ以降、24年度の改定に向けて、どういったことを我々は今後踏まえて検討していかなければならないのかということでございまして、15ページをご覧いただきますと、障害福祉サービス等報酬改定に関連する動きということで、幾つか事務局の方から論点を整理してございます。
1つ目は、平成24年4月施行の障害者自立支援法の一部改正法、つなぎ法と言われてございますが、それの施行が改定に関連する動きでございます。
新体系移行の期限。これも来年3月末が期限となってございますので、それを踏まえたこと。
3点目は、今年度末が期限となっております障害者自立支援対策臨時特例交付金。この中に先ほど政務官からごあいさつの中でも言及がございました、処遇改善の交付金が含まれてございますので、こういったことが今回の改定に関連する動向としてございます。
4つ目は、医療と介護の連携ということで、たんの吸引等につきまして、法改正の動きがございましたので、それを踏まえた検討。
その他もろもろということでございます。個別に簡単に御説明をさせていただきます。
16ページ、いわゆるつなぎ法、障害者自立支援法の一部改正法の概要でございます。これ自体は昨年12月に議員立法で成立いたしまして、公布日に施行されているものから今年の10月施行のもの、更には来年4月施行のものといろいろとございます。今年10月施行では、新たに同行援護というサービスが創設されたりいたしましたが、今回は来年度の報酬改定に向けまして、ひとつ皆様方に御議論いただくことになるのは、○4と○5でございます。
「○4相談支援の充実」でございまして、このつなぎ法におきましては、相談支援体制の強化が図られております。その中で地域移行支援、地域定着支援の個別給付化ということで、地域移行を進めるための新しい相談支援の仕組みが個別給付として創設されましたので、これについて新しい点数設定をどうしていくかを御議論いただくことになります。
もう一つ、支給決定プロセスの見直しの中で、サービスと利用計画案を原則として作成して、それを勘案して支給決定をするという仕組みにいたしましたものですから、この利用計画案の作成のお手伝いをする相談支援についても、どういった点数構造にしていくかを御議論いただくことになります。
2つ目は「○5障害児支援の強化」でございまして、児童福祉法を基本として、身近な地域での支援を充実するという観点から、これまで障害種別で分かれていた施設を一元化して、また、通所サービスにつきましても実施主体を都道府県から市町村へ移行するということ。それに併せまして、放課後等デイサービスや保育所等訪問支援も創設することになります。そういったことで障害児支援につきましては、サービスの体系が大きく組み換わるということになりますので、今までの報酬あるいは費用の支払いを前提としつつ、新たな仕組みの下でどういった報酬設定にしていくかということをここで御議論いただくことになろうかと存じます。
17ページ以降は、新体系移行で先ほど御説明した部分に関連する資料でございます。御案内かと存じますが、旧体系、再編前には障害種別ごとにさまざまなサービスがあったわけでございますが、新体系に移行するに当たりまして、3障害を一元化する、昼夜分離の体系といたしまして、利用者の方の選択の余地を広げる、地域移行を促進するということで、こういった新サービスの体系。24年3月末までに移行するということになってございます。
18ページ、本年4月1日時点での移行状況のデータでございます。
一番下のトータルをご覧いただきますと、移行割合は70%でございます。逆に申しますと、30%の事業所がまだ移行していないという状況にございます。特にそのサービスごとにご覧をいただきますと、例えば「(3)精神障害者社会復帰施設」の中の精神障害者生活訓練施設は移行率が38.25%でございます。(2)知的の関係の中でも、知的障害者の入所授産施設や通勤寮といったものも相対的に移行割合が低くなっている。こういったところに移行していただくということを前提に、どういった支援あるいはどういった受け止めが必要であるか。そういったことも含めて、今後御議論をいただく必要があるかと思ってございます。
19ページは、新体系の移行割合を都道府県別に見たものでございまして、これは全体平均は先ほどと同じ70%でございますが、地域別に見ますと新体系移行が進んでいるところと、進んでいないところで差がある状況が見て取れます。
20ページ、これが先ほど申し上げました3点目の論点、障害者自立支援対策臨時特例交付金による基金についてでございます。現行の基金につきましては「主な経緯」に書いてございますが、平成18年度の補正予算で初めて造成され、その後、類似の補正予算の中で積み増しや延長やそういったことが行われてきた経緯がございますが、23年度末をもって終了することになってございます。
主な事業は上の方をご覧いただきますと、さまざまな事業がこの中に含まれてございます。1つは、事業運営安定化事業ということで、新体系への円滑な移行を促すための事業運営の安定化ですとか、○2新体系移行の際に必要となる施設の改修や整備につきます助成といったことでございますとか、○3福祉・介護人材の処遇改善事業ということで、職員1人当たり1.5万円相当額の処遇改善を図るための事業が今回の報酬改定で一つ大きな影響を与える項目でございます。
それを取り出して、21ページに資料がございますので、21ページで御説明をしたいと思います。
平成21年度の補正予算におきまして、福祉・介護職員の賃金は月額1.5万円を引き上げる経費を事業者に交付するということで、当時21年10月~24年3月までの時限措置ということで、こういった基金を造成いたしました。全国平均で73%の事業所が助成金を申請し、交付を受けているといった状況でございます。
この効果といたしまして、22年度に実際にこの障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査を実施いたしまして、実際のこの給与の改善に結び付いているかということを調べたわけでございますが、前年同月比で約1.5万円増加というような結果。対象外の職種につきましても、平均して1.4~1.9万円増加ということで、当初の企図された効果が得られているという結果が得られております。
ただ、「課題」と書いてございますが、その給与の引上げの多くは一時金あるいは諸手当という形で行われておりまして、継続性が弱いといったことがアンケート結果から明らかになっております。そういった中で適切な障害福祉サービス供給を安定的に確保するため、この助成金による介護労働力受給の改善効果を維持することが重要ではありますが、助成金ではその賃金改善は多くが一時的な対応にとどまっていることを踏まえ、効果が持続するような対応、例えば条件付きで報酬に組み入れるといったことも含めて検討する必要がございます。
政務官からのごあいさつでもございましたが、この取扱い自体につきましては、政府の予算編成過程で決定されることになりますが、仮に報酬に組み込むことにした場合、どうやって組み込むのがいいのか、そういったことも含めて、今後御議論をいただく必要が出てこようかと存じます。
22ページ、先ほどの取り巻く事情の4点目、医療と介護の連携に関わる部分でございます。昨年成立いたしました介護サービスの基盤整備のための介護保険等の一部を改正する法律におきまして、社会福祉法及び介護福祉法が一部改正されて、介護職員等によるたんの吸引の実施につきまして、法律上の制度が新しく整備をされました。この中で介護福祉士のほかに一定の研修を受けた介護職員が一定の条件の下に、たんの吸引等の行為を実施できるということがございます。詳細な制度の説明は省略させていただきますが、こういったことにつきましても、このような新しい仕組みの下で、たんの吸引等の行為が行われた場合に、我々の報酬体系の中で何らかの評価を行うべきかどうか、そういったことも含めて御議論をいただくことが出てこようかと存じます。
23ページ、政務官のごあいさつでもございましたペイ・アズ・ユー・ゴー原則ということで、22年6月に財政運営戦略の閣議決定の中で、歳出増または歳入減を伴う施策の新たな導入・拡充を行う際には、原則として、恒久的な歳出削減または恒久的な歳入確保措置により、それに見合う安定的な財源を確保するというペイ・アズ・ユー・ゴー原則がうたわれてございます。
24ページ以降は関連する動きということで、これは今回の報酬改定の議論に直接関連するものではございませんが、障害者施策を取り巻く状況の動きとして、皆様はよく御案内の点かと存じますので、項目だけの説明をさせていただきます。
今年6月に障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律。
26ページ、今年8月に公布をされました障害者基本法の一部を改正する法律。
27ページ、内閣府の障害者総合福祉部会におきまして、障害者総合福祉法の骨格に関する提言が8月末にとりまとめられているという状況がございます。
私の方からの説明は、以上でございます。
続きまして、実態調査の関係について、説明させていただきます。
○蛭田自立支援給付専門官 では、資料4「平成23年度障害福祉サービス等経営実態調査結果」について、御説明させていただきます。
1ページ「1.調査の概要」。
「(1)調査の目的」は、障害者自立支援法に基づく自立支援給付費及び児童福祉法に基づく障害施設給付費について、障害福祉サービス等の経営実態と制度の施行状況を把握することを目的としております。
「(2)調査の期日」は、平成23年4月1日。
「(3)調査事項」は、22年度におきます収支状況、従事者数、給与等を調査しております。
「(4)回収状況」は、調査客体数、いわゆる配布数については、今回1万5,247施設・事業所。前回については1万6,728施設・事業所を行っております。こちらについては、施設・事業所が多い一部のサービスにつきましては、標準誤差が原則5%以内、有効回答数が50%になりますよう、経営主体別、地域区分別、無作為抽出を行っております。
回収数でございますが、今回は1万497件、回収率は68.8%。前回が1万2,866施設・事業所で、回収率は76.9%です。これについては、実績なし、休止、廃止、年度途中で新体系に移行したとか、そういた事業所も含んでおります。回収率が前回よりも若干低くなっておりますのは、東日本大震災により発送が遅れたことも一つの要因かと思われます。
有効回答率につきましては、4,336件、回答率で41.3%。平成20年度の調査は39.2%の回答率でしたので、若干上がっております。
「(5)その他」、有効回答数は、回収数から休廃止・記入不備を除外したもののうち、当該サービスの障害福祉サービス等の報酬に対する収入比率、こちらは60%以上のものとさせていただいております。
そのほか、東日本大震災の影響を考慮しまして、岩手県、宮城県、福島県の全域と平成23年4月25日現在、災害救助法適用自治体の東京都を除く所在する事業所を除外しております。
有効回答数につきまして、補足させていただきますと、障害のサービスというのは最も効果的で効率的なサービスを展開できる単位、サービスの組み合わせ、経理区分をしておりまして、その組み合わせは事業所によりさまざまでございまして、500パターン以上あると言われております。そのすべてを特定のサービスを集計対象といたしますと、当該サービスの収入全体に対します割合がごくわずかなデータも含めていることとなりまして、当該サービスの経営実態を把握するという観点からは妥当ではなく、そのため、集計対象、すべての収入が給付費、措置費、運営費収入に占める割合が60%以上のものを有効回答とさせていただいております。
なお、療養介護や重度障害者等包括支援サービスにつきましては、事業所数がそもそも少ないのと、有効回答数が一けた台だったということで、統計的な数値としては評価できないため、結果を非公表としております。
集計対象としましたサービスの種別でございますが、新体系につきましては24年度以降も継続するサービスでございますので、報酬改定の主たる検討対象であることから、すべてを対象としております。
訪問系につきましては、サービスの類型が類似しておりますので、複数の訪問系サービスを実施している事業者数が多いと想定されることから、3種の訪問系サービスをまとめました訪問系サービスというカテゴリーを設定しております。
その他、障害者支援施設は施設入所支援の夜間の部分と昼間実施のサービスの一体的な評価をしないと、経営実態を的確に把握することができないと想定されることから、障害者支援施設として夜間と昼間を一体として集計しております。
グループホーム、ケアホームには、一体的に運営している事業者が多いということでございますので、単独型と一体型に分けて、また集計しております。障害者自立支援法は運営形態を一類型として当初から想定しているため、この形態の多機能型のカテゴリーとして回収しております。
旧体系施設につきましては、23年度以降、移行が完了するサービスですので、報酬改定の主たる対象ではないことから、障害種別を入所と通所にまとめて集計しております。障害児施設については、施設種別は多いのですけれども、各サービスの施設数が少ないことから、入所、通所に分けて集計しております。
調査結果の概要の収支について、御説明をさせていただきます。左から集計対象のサービス、真ん中が23年度調査結果、右側が調査結果表示でございます。収支差はいわゆる収入から支出を引いた額でございまして、収支差率というは収入差を収入で除した率でございます。集計対象数がその基となったデータ数でございます。
結果の概要は、全体としましては、収支差率が今回9.7%でありまして、前回6.1%に比べまして、3.6%改善しております。新体系については12.2%で、前回より6.8%改善しております。一方、旧体系については7.6%でありまして、前回に比べて0.6%改善しております。障害児施設については、前回-4.2と低かったのですが、今回は5.0で9.2%改善しております。
全体的に見ますと、一部のサービスに収支差、マイナス差はございますが、前回の報酬改定によって多くのサービスの経営状況が改善しております。新体系、旧体系を比較しますと、前回の調査では旧体系の収支差が高かったのですが、今回の調査では新体系の方が収支差が高いという結果になっております。また、相談支援は収支差率がマイナスになっている要因としては、市町村からの委託の事業を実施しているなどの特殊要因があるためでございます。
それ以外に20年度と23年度を比較しますと、行動援護については大きく下がっているのですが、訪問系のサービスの前回の調査は有効回答数が若干少なかったということでありますのと、訪問系サービス全体のくくりでは-4%ということも考えますと、今回、有効回答が48件になりまして3倍ほど増えまして、かなり収支差については平均化された値になったのではないかと。また、グループホーム単独については、収支差率が3.5%と改善はされたのですが、低い数値となっております。
この表の見方の留意点については、一番下に書かせていただいておりますけれども、基金事業及びその他補助金を含んだ収入に対する比率で計算しております。
2ページ「(2)従事者の状況」でございます。左から集計を対象としましたサービスの主要職種、中央に23年度の結果、右側に20年度を表示しております。
常勤率は種別によって多少の違いはございますけれども、全体としては横ばいの傾向となっております。結果の概要としましては、1人当たりの給与については、新体系についてはおおよそ7割型が給与が改善されておりまして、旧体系については91%の常勤が改善されております。非常勤の新体系、旧体系については、それぞれ5割が改善されているという結果でございました。
一方、障害児施設の常勤職員、入所、通所ともに改善されています。非常勤について入所施設はやや減少しておりますが、通所施設については改善されているという結果でございます。
3ページ、結果の概要の詳細の方でございますが、こちらの説明は省略させていただきます。
4ページ「6.回収状況」でございます。こちらは施設事業所数、調査客体数、回収数、有効回答数を並べさせていただいておりますけれども、※を一番下に書かせていただいているとおり、回収数に対して有効回答数はかなり低い数字がございますけれども、この施設サービスについては、いわゆる60%の収入比率がない、いわゆる併設型の事業所が多いということでございます。
5ページ、各論につきましては、今後の検討課題となりますので、ここでは表の見方について御説明をさせていただきます。1~4まで収入と支出の構成割合がありまして、収入から支出を引いた収支差率の出し方が計算式として書かれております。
1点御説明を申し上げたいのは、「1.事業活動収支」の「(5)その他」とございますけれども、こちらの中には経理区分が分類できない、いわゆる介護保険収入とか病院の収入などが含まれていて、医療機関としての収入があるということでございます。
6ページは収支差率の分布図でございます。右側が20年度の調査結果で、左側の23年度調査はやや山が太く、右側に寄っている状況が確認できておりますので、収支差は改善されているのではないかという傾向が見られると思います。
7ページからはデータ編でございますので、説明を省略させていただきます。
以上、簡単でございますが、調査結果についてを終わらせていただきます。ありがとうございました。
○土生障害福祉課長 お疲れ様でした。
それでは、制度を取り巻く状況、経営実態調査まで資料を御説明させていただきましたので、ここで御質問等々をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○駒村教授 では、幾つか基本的なところを教えてもらいたいのですけれども、資料3で移行の割合がかなりばらつきがあるのですが、これはどういう原因と見られているのか。確かに施設のタイプによっては状況が違うので、それを反映しているものなのかどうか。
 次のページの処遇改善については、この調査自体を見てくればよかったのですけれども、効果のところに書かれている障害福祉サービス等従業者処遇状況等調査というのは、どのくらいの客体数について調べて、どういう調査をやられているのかということを少し詳しく、できたら調査報告書があれば、それ自体を見せてもらいたいと思います。これしか見るデータはないのかどうかということと、9月時点で1.5万円ということが本当はどうなっているのか。また、平成22年4月に障害福祉課においてアンケートをやられているのですけれども、これは客体数とか、どういうアンケートをされたのかを教えてもらいたいと思いました。
経営実態調査の方は、後ほどお聞きしたいと思います。とりあえずお願いします。
○土生障害福祉課長 1点目は、私の方から説明申し上げたいと思います。2点目は担当の方からお願いしたいと思います。いずれにしましても、2点目はまとまった調査を提出させていただきたいと思いますので、現時点でわかることを御説明させていただきます。
 まず、施設別の移行率でございます。説明の中でも少し申し上げましたとおり、いろいろな団体の御意見を伺いますと、移行率が低いところは、移行しにくい課題があるということがうかがえるところでございます。
例えば18ページの(2)の上から2つ目の知的障害者入所授産施設は、新体系になりますと、職住分離ということが原則になるわけでございます。17ページのサービスの再編の表を見ていただければと思いますが、自立支援法の新体系移行のもともとの趣旨といたしまして、昼夜の分離でございます。そういう中で働ける方は施設に住み込んで、その施設の中で朝から晩まで暮らすというのではなくて、できるだけ地域のお住まいいただきまして、働く場に通っていただくというようなことが、この新体系移行の一つの大きな趣旨ということであるわけでございます。
そうしますと、授産施設というのは、基本的には施設内で完結するサービスとなっているわけでございますけれども、その新体系に移行しますと、例えばより地域に近いケアホームにお住まいをいただいて、そこから働く場の施設に通っていただく。日中活動の場として施設を使っていただくということが原則とされてきたわけでございます。
一方で、それを実現するためには、ケアホームという地域側の受け皿の整備が必要になるわけでございますし、年々そこは各自治体が計画をつくってやっていただいているわけですけれども、その進捗状況にはまだまだ地域によって差があるというような状況でございまして、そうした施設種別の状況が地域的なものにも反映されている面もあるということは一つあろうかと思います。
ただ、それだけでは、現時点での大きな地域差は説明できないわけでございまして、そこは地域ごとの新体系移行に向けての取組みの差といいますか、そういったようなものも、少なくともこの4月1日時点では、こうした数値として反映されてきているということでございます。
その規制の点につきましては、既に一定の弾力化の方針を公表させていただいているところでございまして、例えば先ほど申し上げました例で申し上げますと、ケアホームから通うのが理想であるけれども、少なくとも現時点ではそこまでできないということが、ケアマネジメントの結果、そういう判断がなされる場合には、今後も施設入所と就労継続支援Bの組み合わせを認めていこうといったような一定の規制の見直しを進めながら、来年4月に向けて新体系移行を完了していただくことをお願いしているということでございます。
○三浦課長補佐 障害福祉課の課長補佐をやっております三浦と申します。
先ほど処遇状況調査の客体数についてのお尋ねがありましたけれども、手元にあるデータによりますと、新体系サービス、旧体系サービス、障害児施設を合わせて1万1,899施設・事業所を対象としておりまして、回収率は57.7%、6,871施設・事業所の調査結果となってございます。
○土生障害福祉課長 いずれにしましても、資料は追ってお届けさせていただきます。
○駒村教授 障害福祉課によるアンケートも。
○土生障害福祉課長 併せまして、御提出させていただきます。
○平野准教授 技術的なことをお伺いしたいです。資料4の経営実態調査の関係でございます。何点かあるのですが、1点目は1ページ目の収支差率のところです。全体としては前回の20年と23年では大きく改善しているということだと思います。全体的に見ると、いい数字にシフトをしているということでは評価できると思います。
2つありまして、1つ目は、この一番下にありますけれども、この間、基金事業が相当な効果を上げているということを施設の方から聞いております。大変失礼な言い方ですけれども、使い勝手が悪いけれども、一度使い方を覚えると非常に効果が大きいということを聞いておりまして、それがこういう数字に反映しているのかどうかというのが1つ目の質問でございます。
1つ目は、全体によくなっているのですけれども、その中で例えば訪問系サービスの行動援護ですと16.1%から6.8%、短期入所を見ると9.6%から7.5%。児童デイサービスとか前から懸案になっていたものがすごく大きく改善したのですが、一方で若干下がっているものもありますが、これはテクニカルな問題でこうなってしまったのか。あるいは傾向としてはこうなのか。この2つを伺いしたいと思いますので、お願いいたします。
○土生障害福祉課長 まず、1点目でございまして、先ほど専門官からも御説明申し上げました1ページの一番下にございますとおり、この収支差には、今、先生から御指摘がありました基金事業、更には、例えば自治体独自の補助金というものも含まれているということでございます。支出の方はなかなか収入ごとに区分けはできませんから、言わば込み込みの形で見ていただくということで、今回これでお出ししたわけでございますけれども、収入の方はどこまで分けられるかということはございまして、そういった分析も今、進めつつあるところでございますので、個々の議論をいただく際には、そういった資料もできるだけご覧いただけるような形で準備をしたいと思います。ざっとした感じで申し上げますとおっしゃるとおり、サービスごとにも違いはありますけれども、ここの中にその効果も相当程度含まれているということでございます。
 収支差率の大きな傾向でございますが、全体としましては改善する方向になっているということでございます。ただ、一つひとつの数字がちょっと下がったら、それが全体として何か原因があるのかということですが、もともと統計的には勿論意味のある数字でございますけれども、先ほど来申し上げているような60%の主の収入があるところを平均するということでございまして、そういう意味では、なかなか主になりにくいサービスというのは非常に客体数的にも、どうしても調査の限界として小さくならざるを得ないということでございます。
 前回は基本的には5.1%の改定ということで、引上げを行っているわけでございますので、そういう中で制度全体として大きく何か収支差が悪化するというのは、少なくとも改定という要因ではないと考えております。たまたまと言ってはあれですが、どうしてもサンプル調査の限界、先ほど申し上げた60%の限界の中で出ているということでございますので、そういう意味では一定の傾向を見ていただくということで、コンマ1%でそこが必ずしもこのサービスごとの結果に表れているといったようなことではないのではないかと、事務局としては思っております。
 野沢先生、お願いします。
○野沢論説委員 幾つか質問と意見があります。1つは、基金事業で待遇の改善です。基金事業はどうするかという非常に悩ましい問題があると思いますが、利用していない事業所が大体3割近くありますね。これはなぜなのか。どういう事業所が利用しないのか。利用しているところと利用していないところで、もともとの職員の待遇について、どういう差があるのか。もし特徴があれば、教えてほしいということが1つです。
○土生障害福祉課長 先ほどの説明で申し上げました21ページでございまして、正確な調査結果はお示ししたいと思いますけれども、幾つか利用されていない事業者さんにお聞きした結果ということで見ますと、1つは、個別の補助金の申請ということになりますので、事務手続がなかなかという点。それから、これは福祉・介護職員の給与の引上げに使うということで、限定的にやっているということで、ほかの方の処遇改善を併せてやらなければ、事業所内の中でこれだけというのはもらいにくいといいますか、そういったようなことが回答として、お聞きした結果として出ているということになります。
 もらっているところの処遇の状況がどう改善したかというのは調査結果としてありますけれども、比較したものまでは残念ながら現時点ではございませんので、アンケート結果を踏まえまして、どういう理由があるのかということをもう一度整理して、お示しさせていただきたいと思います。
○野沢論説委員 もらう必要がないほど報酬が高いということは、余り考えられないですか。
○土生障害福祉課長 例えば自治体が運営されているようなところですと、それはお給料が決まっていてということはあると思いますし、どの水準が適当かというのは一概に言えませんが、なぜもらわないかと言って聞いた答えまでは整理できますが、その先というのは把握していないのが現状でございます。
○野沢論説委員 次は質問というよりは意見に近いかもしれませんけれども、経営実態調査の中で、その収支差率と前回との比較をしてみると、結構余裕があるところとよくなったところと、そういうあれが出てきますが、例えばグループホーム、ケアホームとかを見ると、2ページを見ると常勤率がほかの事業に比べて非常に低いし、給料も低いですね。それなのにこれだけコストを抑えておきながら、このくらいの収支差率しかないのかという感じもします。その辺も一体的に評価していかないと、1ページの表だけを見て、何となく余裕のあるところはいいのではないか、みたいなイメージで持たれてしまうと、ちょっと違うではないかという気がしたので、それは意見として申し述べたいと思います。
 12ページの報酬改定ポイントで、重度者対応に積極的に取り組む事業所の評価とか、地域生活の基盤の充実とか、こういうところを前回の報酬改定のポイントにしたと。私も幾つか知っているところに聞くと、ここだけの話だけれども、結構余裕が出てきてねという話はしてくれるので、その辺は非常にいいと思いますけれども、それによって、こういう事業所の収支がよくなったということがありますが、その結果として、こういう事業が量として増えていったかどうかというものは、どこかに出てきますか。利用者数でもいいです。
○水谷課長補佐 利用者数の状況につきましては、先ほど説明を飛ばさせていただいてしまいましたが、資料3の5~7ページで、数字の単純な羅列でございますが、サービス利用者数の推移が書いてございます。こういった中で、改定の前後でどうなっているかを検証していく作業になろうかと存じますが、今この数字をご覧いただくよりは、各個別サービスの議論のときに、前回改定とそれがサービスの利用にどういう影響に及ぼしたかを含めて整理して御議論をいただけるように、今後準備をしてまいりたいと思います。
○土生障害福祉課長 今日は総論でございますが、サービスと類型ごとに各論で御議論いただく回をつくりたいと思っておりまして、その際には、この数字だけはなかなかわかりにくいので、もう少し視覚化したものも含めて、利用者数の推移、あるいはどういう加算がどの程度取得されているのか、できる範囲で整理をして御議論に供したいと考えております。
○駒村教授 この経営実態調査がこれからの議論で、ある種報酬の改定の目安というか、状態をチェックする資料になるので、大変重要な資料だと思いますけれども、細かく見ていると数字が不安で、有効回答率がどんどん落ちていってしまうところもあるようですけれども、不安定なところも見られていて、例えば行動援護のホームヘルパーのところもこういうものなのかなと。20年は常勤と非常勤で賃金が逆転しているところがあります。あるいは常勤率がこの間、倍になっているとか、こういうのはサンプルが少なかったから、こういうことになってしまうのかなと。そういう意味では、どれくらい安定したデータサンプルなのかが気になります。
 我々経済をやっている人間がこういう分析をするときには、なるべく情報は生かしたいということで、これは物によっては有効回答率が8.6%まで落ちているとか、非常にもったいない感じがするというか、こういう集計をされたものだけで果たして議論ができるのか。本来はもう少し生かした多変量解析みたいな方法を使って、この影響を抽出することができるのではないかと。今から時間もない中でそういう別の見方をしろというのは大変かもしれませんけれども、今後の課題としてはデータの方が落ち過ぎてしまっている結果、不安定になっているので、落とさずに有効に使える方法がないかを検討していただきたい。
 7ページで単純な質問ですけれども、新体系の事業活動収入は、一番左の欄を足すと収入100%になるわけですね。その他が58.6%となっていますけれども、その他が一番大きいというのは非常に異様な感じがしますが、これは一体何ですか。
○蛭田自立支援給付専門官 その他というのは、経理区分が分けられなかった介護保険の収入とかが多いのだと思います。それとか病院収入ということでございます。
○土生障害福祉課長 その辺はサービスのボリュームという意味では、どうしても医療や介護の方が大きいということと、1点目に御指摘をいただきました、そのサービスが主として60%の割合を超えている事業所の収支差ということになっているわけでございまして、御指導をいただきながら、どこまで分析できるかということはまた御相談をさせていただきたいと思いますけれども、事業所にまず調査をお願いして出してもらわなければいけないことになりますと、一定の記入しやすさということもないと、そもそも回答していただけないといういろいろな悩みの中から、今のところはこういう方式でやっているということでございます。今後の改善も含めて、先生方から御指導をいただきながら、分析をしていきたいと考えております。
○平野准教授 あと一つ、よろしいでしょうか。資料4の7ページ目です。これは訪問系のところですが、20年と今回で比べた表があると思いますが、お伺いしたいのは「ローマ数字2 事業活動支出」です。20年の方を見ると給与が84.5%で、人件費が突出しているような感じがあったのですが、今回は66.8%まで大分下がって比較的安定的になってきたのですけれども、その分、その他の部分が増える形になって、財政構造が変わってきた感じがするんですが、これは何かそういう変化はあったのでしょうか。人件費が減った分がほかの経費に回ったとか、そういったことはわかりますでしょうか。
○蛭田自立支援給付専門官 確認をしまして、また御返事をしたいと思います。
○駒村教授 今のローマ数字2の上下、これはどこからどこを足したら100%になるのですか。84%と16%を足すと既に100%を超えている。上の方は66%と15%を足しても100%に接近しない。100%になるためには、どことどこを足せばいいのですか。
○蛭田自立支援給付専門官 こちらは対収入比なので、100%にはならないということでございます。収入に対しての支出の比率でございます。給与費の人件費といった場合には、収入に対して給与がどのくらい払われているかという、その比率で表しておりますので、そういった収入に対して、それぞれを出しているということなります。
○岡田障害保健福祉部長 支出が全部足しても100%にならないというのは、その100%にならない部分は収支差になっているのではないですか。
○蛭田自立支援給付専門官 そうです。
○駒村教授 解説がないと、すぐにはわからない。
○水谷課長補佐 資料の今のページの「(2)新体系」でご覧いただくと、収入の後に数式で「○1=ローマ数字1(1)+ローマ数字1(2)」云々と書いてありまして、これが100%でございます。これを100%といたしまして、それぞれのところの比率を書いているということでございますので、例えば支出のところでご覧いただきますと、これは足しても85.2にしかならないということでございますので、ここの収入の算式で出てくる○1の部分を100%といたしまして、それぞれの数値を割合でお示ししているといったグラフです。説明が分かりにくくて、申し訳ございませんでした。
○土生障害福祉課長 よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、もしお許しいただければ、次の資料の説明にお移りさせていただきたいと思います。地域区分の見直しについてお願いいたします。
○水谷課長補佐 資料5「地域区分の見直し」につきまして、現状、論点について御説明させていただきたいと存じます。
 1ページ、現在地域区分という仕組みが障害福祉サービスの報酬の中で設定をされてございますが、その基本的考え方でございます。これは障害福祉サービスを提供する職員の人件費の地域差を反映するために設定されているものでございまして、主に民間賃金の高い地域に所在する施設事業所に対しまして、サービスの種類ごとに、先ほど私が御説明しました障害福祉サービスの費用の報酬の単価が割増される仕組みということになってございます。
 実際にどういう構造になっているか、(2)をご覧いただきますと、報酬単価は10円でございますが、地域別にこの地域区分に基づく上乗せ割合がございまして、それで割増しをしているという状況でございます。現在の地域別の上乗せ割合は、特別区12%、特甲地10%、甲地6%、乙地3%、丙地0%の5区分となってございまして、これに基づきまして、人件費割合をかけまして、サービスの種類ごとに設定をするということになってございます。
 下の絵でご覧いただきますと、例えば特別区で人件費率で60%のサービスでございますと、1単位の単価は10円でございますが、その上乗せ割合12%に人件費率をかけました0.72円にオンされるということで、トータルの単価は10.72円として計算をされるといったことになってございます。
 2ページ、障害福祉サービスの種類ごとに、それぞれ人件費割合が決まってございまして、それが縦の欄に書いてございます。横軸の方は特別区、特甲地、甲地、乙地、丙地とそれぞれ上乗せ割合がございますので、今の計算式に従いまして計算をした結果、こういった単価になるということが厚生労働大臣告示で定められているという構造になってございます。
 1ページ、今、私が申し上げた5区分が何に準拠して設定をされているかということでございますが、「(1)基本的考え方」の2つ目の○ですが、国家公務員の調整手当、これは現在、地域手当という制度に変わってございますが、その地域区分を基本として設定をしていると。国家公務員の調整手当の地域区分は、官署の所在地のみで設定されてございますので、官署が所在しない地域につきましては、独自に地域区分を設定して、この単価を決めているということでございます。
 3ページ、実際の国家公務員の調整手当に基づく特別区、特甲地、甲地、乙地、丙地の地域区分ごとにどこの市町村が当てはまるのかがここに書いてございます。
4ページ、こういった地域区分の構造は、障害福祉サービスだけが特殊の事情ではございませんで、医療保険、介護保険等々におきましても同様の考え方がなされている。そういった中で、今どのような違い、どのような議論が生じているかをまとめた表でございます。
表の右側「国家公務員給与」をご覧いただきますと、平成18年までピンクのところでございますが、調整手当は5区分で、上乗せ割合は12%、10%、6%、3%、0%という形でございましたが、平成18年度からは段階的に地域手当という仕組みが導入されて、18%、15%、12%、10%、6%、3%、0%という7区分に移行しているということでございます。
医療保険、介護保険、障害者福祉サービスにつきましても、この国家公務員の調整手当を基本として制度ができてまいりましたが、この国家公務員の給与の仕組みが変わったことをとらまえて、それぞれの仕組みの中で対応が取られてきている状況でございます。
医療保険制度をご覧いただきますと、地域手当に変わったということで、この地域手当を基本として7区分の地域割りを採用することが既に行われてございます。その上で上乗せにつきましても医療保険は若干仕組みが違いまして、割合ではなく点数を上乗せする形になってございますので、18点、15点、12点といった点数を上乗せするということで7区分を採用しているということでございます。
介護保険につきましては、現在5区分の調整手当を基本としておりますが、上乗せ割合が12%、10%、6%、3%、0%ではなくて、一番上を15%、下から2番目を5%に引き上げるという改定が3年前の平成21年度の改定のときに行われてございます。
児童福祉法につきましては、他の児童福祉サービスとの並びもございまして、地域手当の考え方を既に採用してございます。ただ、実際の区分が7区分ではなくて8区分、具体的には地域手当の7区分に加えまして、8%という類型が1つ設けられてございます。これは実際に周り官署の上乗せ割合が大きく差がある地域がございますので、そういったところに適正な上乗せ割合を設定するために8%という類型を設けているものでございます。
他制度はこういった状況になってございますが、自立支援法の障害福祉サービスにつきましては5区分で12%、10%、6%、3%、0%を採用しているということで、この国家公務員給与の地域手当の導入に伴う対応で、各制度さまざまな対応の差が若干生じているという状況でございます。
もう一点の論点でございまして、国家公務員の手当てが官署所在地にしかないわけですが、その官署所在地以外の地域についてどうするかということでございまして、医療保険の欄をご覧いただきますと、平成20年度の改定におきまして、その対象地域に囲まれている地域、あるいは対象となっている複数の地域に隣接している地域についての上乗せ割合は、隣接する対象地域の区分のうち、低い区分と同じにするというルールが設定されて、適用されてございます。
 こういった状況を踏まえながら、今回、障害者自立支援法に基づくサービスにつきまして、どういった見直しを行っていくのが妥当であるかを御議論いただきたいということでございます。
 5ページ、今、申し上げた中で、特に国家公務員の調整手当と介護保険と障害者自立支援法の3つにつきまして、各改定でどういう見直しが行われてきたかということで、平成15年当時は12%、10%、6%、3%、0%ということで並んでおりましたが、平成18年度の段階で国家公務員の地域手当が7区分になったと。それを受けて、21年度の改定で介護の方は15%と5%という割合の引上げを行ってきているということで、こういった差が生じているという状況になってございます。
 6ページ、これは実際に各制度の地域区分に属する地域数を一覧にしたものでございます。市町村合併等がございますが、実際にいつ時点の市町村の区域に基づいて定めるかということで若干この数字も違ってまいりますが、各制度ごとにこういった数字のような地域数の区分になっているということでございます。
 7ページ、先ほど御説明申し上げました官署所在地がない地域における上乗せ割合の設定に当たりまして、医療保険の考え方をまとめたものでございます。「第2 具体的な内容」ということで、次の地域を新たに対象地域とするとした上で、(2)でございますが、隣接する対象地域の級地のうち、低い級地と同様とするということが書いてございます。
 8ページ、以上のような地域区分に係る現行の仕組みを前提といたしまして、今、介護保険、介護報酬の改定におきましても、この地域区分につきまして、国家公務員の地域手当の動向を踏まえまして、見直しを行ってはどうかという議論が介護給付費分科会で行われてございます。障害と介護と一体的に提供されているようなサービス業者もございますので、そういった状況も踏まえながら検討していくということになりますが、個別の論点ごとに若干整理をさせていただいてございます。
 (1)は、地域区分の設定方法、地域割りをどうするかということでございます。これは国家公務員の地域手当は新しく7区分が採用されてございますので、障害福祉サービスにおきましても、この7区分を採用する方向で検討をしてはどうかというのが1つ目の論点でございます。
 (2)でございますが、7区分にしたとして、その上乗せ割合をどうするか。これにつきましても、国家公務員の地域手当の上乗せ割合、18%から0%までの割合を採用してはどうということでございます。ただ、その際、今は最高が12%ですから、18%に上がるところもございます。
そういった中で、当然政務官のごあいさつにもございましたが、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則の背景事情もございますので、そういった中で財政中立を基本的な考え方として、この上乗せ割合の見直しを行ってはどうかということでございます。
(3)は対象地域でございますが、官署所在地につきましては、国家公務員の地域手当の支給地域でございますので、そのままそれを採用してはどうか。もう一つ論点となりますのが、官署が所在しない地域でございます。これは当然、独自に地域区分を設定する必要がございますが、先ほど御説明を申し上げました、医療保険の地域加算の対象となっている地域の考え方を導入してはどうかというのが論点でございます。
(4)でございますが、対象となる市町村名称の時期でございます。自立支援法の世界におきましては、15年4月1日から見直しが行われておりません。当然その後何度も市町村合併等がございますので、これも直近の市町村合併に状況を反映させることとしてはどうかということでございます。
(5)でございますが、対象地域への激変緩和の経過措置でございます。実際に地域の区分が変わるところもございますし、割合が変わるところもございます。そういったことで上がるところもあれば、下がるところもございますので、そういったところについて、激変緩和の観点からも経過措置を設けてはどうかというものでございます。
実際にどうなるのかというのが、9ページと10ページに書いてございます。9ページは、官署所在地につきまして、現行の地域区分がどうなっていて、見直し後にどうなるかということでございます。縦軸の方が現在の障害者自立支援法の地域区分で、特別区12%から丙地0%まで縦に並んでございます。横軸の方が国家公務員の地域手当にならってやった場合の地域区分ということで、横軸は特別区18%から丙地0%まで7区分となってございます。
白抜きのところは、その結果、全く上乗せ割合は変わらない地域でございますが、左下、赤字で書いてあるところは上乗せ割合が引き上がる自治体でございまして、これが230自治体ございます。右上の青の方は上乗せ割合が引き下がる自治体ということで、3自治体
ということでございます。
 10ページ、官署所在地以外の地域につきましての地域区分でございます。これも見方は同じでございまして、縦軸が現行、横軸が医療保険における上乗せ割合の設定の考え方を採用して、その上乗せ割合を置いた場合の見直しの案でございます。赤字のところが上乗せ割合が引き上がる地域191自治体ございまして、右上は引き下がる地域ということで8自治体になってございます。
 8ページの論点の方にお戻りいただきますと、こういったところで引き上がるところ、引き下がるところがございますし、個別に見てまいりますと、2区分以上の移動があるような地域もございますので、そういったところでは単価が3%あるいは6%、それ以上、上乗せ割合ベースで変わるということが考えられますので、そういった影響はもろもろございますでしょうから、経過措置を検討してはどうかということでございます。
 最後に、障害児の地域区分につきましては、国家公務員の地域手当の地域区分を既に段階的に導入して完成した形がございますので、今回こちらについては見直しを行わないこととしてはどうかということでございます。
 説明は以上でございます。
○土生障害福祉課長 いずれにいたしましても、介護保険の方も方向性は出ているものの、まだまだ検討中ということでございます。そうした点も踏まえながら、これらの論点を今後一体的に議論していただく必要があるということでございます。
 それでは、先生方から御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。
○野沢論説委員 普通に考えると、ほかの介護保険とかと一緒にすればいいではないかと思うのですが、もし障害者だけこの現状どおり、あるいはそれとは違うというふうにするとしたら、何か理由はありますか。
○土生障害福祉課長 論点を見ていただきますとおり、私どもとしては国家公務員、地域手当を採用する方向で検討してはどうかということでございますので、歴史的経過の中で各制度ともタイミングですとか、小さいところで違いは出てきておりますけれども、基本的には合わせていくという方向での議論だと思います。特にそれがだめだというような理由は、こちら側は余り思い当たりませんけれども。
○野沢論説委員 そういう意見があるということもないですか。
○土生障害福祉課長 自治体からの御要望としては、違うとなかなか説明が付かないので、合わせてほしいという要望はいただいている状況でございます。
○野沢論説委員 ちなみに教えてほしいのですけれども、この区分は何に基づいていますか。物価とかですか。
○水谷課長補佐 参考資料2は、介護給付費分科会の方で地域区分について議論をいただいている資料ですが、21ページの上のスライドのところで、国家公務員の地域手当の支給地域の指定ということで、ここに整理がされてございまして、地域手当は当該地域における民間の賃金水準を基礎として、当該地域における物価等を考慮して支給地域を指定していると。具体的には、賃金構造基本統計調査による賃金指数を用いた指定基準を基本として、支給地域と支給割合を決定しているということでございます。
例えば2級地に区分されている市と3級地に区分されている市では、2級地に区分されている市が3級地に区分されている市よりも民間事業者の賃金指数が高いということが基本になっているということで、こういった基本的な考え方として指定されている国家公務員の地域手当の支給地域にならって、医療保険、介護保険、障害についても地域区分を設定してはどうかというのが考え方でございます。
○駒村教授 最初の会合ですから、経済学をやっている人間から見ると、とても不思議な決定をしているという感じで、果たしてこういう考え方で今後も大丈夫かなという気は若干するのです。最初に財源が決まっていて、今、議論をする報酬という、ある種、擬似価格ですね。これで経営を確保する。一方で、労働は集約的な分野ですから、この6割が固定しているかどうかわかりませんけれども、かなりのコストの部分は労働コストがかかっている。その労働コストの変動をどう読むかというのが非常に重要な話です。
 ただ、この資料の方でも民間の賃金の高いところにうまく調整するようにというものの、労働市場の方では平均労働者の姿だけを見ていいのかどうかというと、この介護の分野は地域によって労働市場にかなり差が出てきて、例えば参考資料の17ページを見ると、受給の逼迫度にはかなりの差があるわけですから、本来はこれの影響が出るようにその価格を決めてあげないと妙なことが起きるというのが、経済学を学んだ人間としてはそう思うわけです。
そこを何とか国家公務員の調整手当基準という代理指数で調整しているようですが、今の御質問があったように、国家公務員の調整区分が本当に介護労働市場の逼迫度を反映しているのだろうかというのは、設計次第によってはやや足りなくて、不足が解消できないという問題が起きるのではないか。直感的にはそういう感じを思いました。
今のところはコメントでしかないわけですけれども、幾つか御質問をさせていただきたいのですが、この5区分の12、10、6、3、0というのは、常に安定した差か。これは固定してしまっていて、時々見直すということはないのかどうか。
もう一つは、恐らくさっきの経営実態調査で聞けばよかったのですけれども、ここで働いている常勤の方の賃金構造は、つまり年齢とともに賃金はどういう形に動いているのか。もしモデル的なケースがあれば、教えてもらいたい。スタッフが1歳上がれば、もし年功的な賃金があるならば、みんな上がってしまうというような影響もあるわけですから、そういうところの賃金構造みたいなものも併せて知っておきたいと思います。
前半の部分は感想で、結論としては先ほども議論にあったように、何で制度によって区分を変えているのかというのは、すごく違和感はあります。そろえてもいいのではないかと思います。後半の方は資料がもしあればというところで、さっきの実態調査に関わるところだと思いますけれども、2点です。
○水谷課長補佐 まず、12、10、6、3、0という割合が変わるのかということでございますが、これは国家公務員のシステムが12、10、6、3、0で、基本的に国家公務員の給与水準が10年に1回を基本として見直しを行うというシステムになってございますので、少なくとも障害者自立支援法につきましては、制度ができた当初からこの12、10、6、3、0という割合は変わってございません。
そういった意味で、今回まさに国家公務員の給与手当が平成18年から地域手当7区分になり、割合も変わったというある意味、10年に1回クラスの大きな変更があったということですので、それを踏まえてどう対応するか。ただ、国家公務員の方も18年からと申しておりますが、実際に激変になるところもございますので、経過措置等々を踏まえて、完全にこれが今の形になったのは平成22年からということでございます。そういった意味では、完全施行になってから、我々は今回初めての改定を迎えるということで、そういった中で見直しを検討してはどうかというものでございます。
○土生障害福祉課長 後段の資料につきましては、改めて整理をしまして、提出をさせていただきたいと思います。ただ、福祉・介護職というようなくくりで賃金構造統計等が取られていたと思いますので、それが年齢別ですとかそういうものをどこまでできるのか、できる範囲で提出をさせていただきたいと思います。
○平野准教授 意見と質問です。資料5の8ページに沿っていきたいと思いますが、これは実際の施設の運用を考えると、かなりの施設や事業所が公務員の給料表をベースにして、常勤職員の場合は適用しているので、そういうことを考えれば、国家公務員の給料表に合わせてやるということであれば、実際の給与の支払いと連動するのでやりやすくなる。そういった意味では、この国家公務員の地域割合に合わせるというのは、給与の支払い設定と一致するので、そこら辺は事業者の方も多分やりやすくなるということで、合理性があると思います。
 市町村のこれを変えるというのは、現場はそういうふうにしてほしいということは言っています。町村合併になって同じ市になったのに金が違うと。これはどうなんだと説明が付かなくなっているということがあって、同じ市が払うのに地域によって違ってくると説明しがたい。特に同じ市内に2つ事業所があって、やっている仕事は同じで、片方は入ってくるお金が違うという説明しがたい状況があるので、そこは現在の町村合併にした方が実態としても合っているし、経営的にもやりやすいというので、そこは是非これをやっていただく方がいいということを思っております。現場もそういう声だと思います。
 「(2)地域別の上乗せ割合」をどう考えるかです。これは質問になるのですが、要するに都市部の方が今の15%で実際にどうなのかという問題が1点目です。実際にこれで足りているのかどうなのか。確かに私たちもデータは持ち得ていないですが、いろいろな施設に行くと、確かに都市部の方は、今の最低賃金が上がったこともあって、確かに今の人材確保の場合は難しいと。人件費率が上がってしまって厳しいという声は聞いています。
一方で、地方の方も人材確保が難しいというのも現実に聞いております。人が来ない。地方ほど人材の確保が難しくなってきて大変だと。そうすると、この上乗せが妥当か。地方の方がゼロでそのまま大丈夫なのか。この辺の検証がどうなのかというのがもし実態調査の方から出れば、次回以降で結構ですけれども、お願いしたいと思います
 もう一つは財政中立の問題がありまして、9ページ、10ページは単純計算ですけれども、増えるところが421自治体があるわけですね。一方で減るのが11自治体です。しかも12から18に上がるところがありますから、単純に考えると421でがばっと上がって、減るのが11だとすると、それで全体のパイを維持すると、結果的にかなり厳しくなってしまうのではないかという観測は持てるわけです。
 前回の引上げでせっかくここまで改善してきた状況が、その水準を維持できるのかどうか。財政中立の問題は、全体の財政の枠を維持することが大事だと思います。せっかくここまで築いてきた水準を下げるということは、現場からすると難しいのではないかと。国民の方からしても、現状のサービスの水準を維持したいというのが当事者の声で、その辺の検討が必要になるかということを思います。
 以上です。
○土生障害福祉課長 御要請のありました資料につきましては、できる限り応えられるように努力したいと思います。後段の点は、まさにここの検討チームで今後御議論をいただく点だと思っています。全体のバランスをどのように取っていくのかということで、冒頭、政務官からも申し上げましたとおり、改定率自体は政府の予算編成の中でということでございますけれども、そうした中でどうバランスを取るのか、この検討チームの先生方から御意見をいただきまして、決めていく点だと思っております。
 そのほか、何か今日の時点でございますでしょうか。
○平野准教授 お願いが1点ありますが、よろしいですか。今日議論するということではないですけれども、実はこの報酬制度の現場の運用の中で大きな問題は、加算の問題がありまして、加算のメリハリをどう付けるのかというのが非常に大きい。これは単純に比べられませんけれども、高齢者と違って、障害者の場合は障害特性、いろいろな種類の障害があったり、就労促進や地域に返すという特徴があるものですから、加算制度がほかに比べて非常に複雑怪奇になっている部分がありまして、現場がこの辺を納得できるような加算制度にできるのか。事務負担を軽減する方向で考えられるのか。3つ目としては、施策をより推進できるような方向での加算か。そういうようなことに全体の加算を組み替えていくという部分をどこかで御検討していただけるようなことをお願いしたい。これは現場の方もそういう声が非常に市町村も含めてあるので、お願いということでございます。
○土生障害福祉課長 ありがとうございました。
 そのほかにございますでしょうか。これでよろしゅうございますか。
本日予定している議事は、以上でございます。どうもありがとうございました。
 次回の検討チームでございますけれども、週明け早々で恐縮でございますが、14日月曜日9時~11時まで、12階の専用第15、16会議室でございまして、関係団体からのヒアリングの1回目を予定しております。
 本日はお忙しい中、本当に長時間にわたり御議論をいただきまして、ありがとうございました。第1回の会合は、これにて閉会させていただきます。


(了)

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