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2011年11月10日 第7回レセプト情報等の提供に関する有識者会議議事録

○日時

平成23年11月10日(木)10時~12時


○場所

厚生労働省18階専用第22会議室


○議題

1.申出書審査の基本方針等について
2.申出書審査について

○議事

○山本副座長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第7回「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」を開催いたします。
委員の皆様には、本日は、御多忙の折お集まりいただき、御礼を申し上げます。
会議に先立ちまして、事務局の異動がありましたので、本日の委員の出欠状況等と併せて、事務局から確認をお願いいたします。
○北澤室長 それでは、前回第6回の会議を本年6月に開催いたしましてから、事務局の異動がありましたので、御紹介させていただきます。
まだ参っておりませんが、保険局総務課長の木下でございます。
保険局総務課医療費適正化対策推進室室長に就任いたしました鈴木です。
そして、私が、保険局総務課保険システム高度化推進室室長に就任いたしました北澤です。よろしくお願いします。
次に、委員の出欠状況を確認させていただきます。
本日は、石川委員、印南委員、大久保委員、新保委員、頭金委員、武藤委員から欠席の御連絡を受けております。
また、国保中央会の田中委員の代理として、加藤代理人の御出席をいただいております。
また、府川委員、宮島委員におかれましては、まだ参っていませんけれども、いらっしゃる予定でございます。
最後に、本日の議事運営でありますが、本年3月の第5回会議で御提示いただきました有識者会議の運営規程に沿って、前半の審査に当たっての基本方針の議事につきましては公開、その後の個別審査につきましては、議事を非公開として進めたいと思っております。
以上でございます。
○山本副座長 ありがとうございました。今、事務局から、運営規程に沿った議事の提案等がありましたが、特に御異議はございませんか。
それでは、そのように進めたいと思います。
それでは、早速議事に入らせていただきたいと思います。まず、本日の議題1、申出審査に当たっての基本方針について、事務局より御説明をお願いいたします。
○北澤室長 それでは、資料に沿いまして御説明いたしたいと思います。
「申出審査の基本方針等について」ということで、3ページをごらんいただきたいと思います。まず、「今回のレセプト情報等の提供に関する申出にかかる経緯」でございますけれども、5月に事前説明会を開催いたしまして、今回の申出に関することにつきまして御説明を申し上げました。
その後、事前相談期間を設けまして、8月にはセキュリティセミナーを開催しております。申出の受付を8月末から約1週間ほどとりまして、その後、事前の事務局における審査を行っております。そして、本日となった次第でございます。
続きまして、「事務局での事前審査において論点となった事項」といたしまして、次の4ページと5ページに記しております。研究内容・抽出についてとセキュリティ要件の2つに分けておりますが、まず、研究内容・抽出についてということですが、1番にありますとおり、研究内容の公益性が不明瞭と考えられる事例、2番といたしましては、調査対象がもともと少ないために、単純な集計でも個々の集計単位が小さくなる事例、あるいは3番ですが、設定されている目的が多岐にわたる事例、そして4番といたしましては、「傷病名」「診療行為」「医薬品」のコードを大量に、あるいはすべてを求める事例。この点につきましては、傷病名すべてなど、コードを要望する申出ですけれども、個人の特定の可能性が高まる懸念があるのではないかということでございます。
右の方に移っていただきまして、「propensity score評価」であるとか「多変量解析」といった、変数が多くなるほど調査の精度が増す手法をとる場合には、必然的にこの事例に当てはまりやすくなるのではないかと見受けられました。
5番ですが、公表形式があいまい、もしくは一部にとどまっており、具体性・網羅性を欠く事例。
6番といたしましては、研究内容の定義が不十分な事例。
そして、その他といたしましては、都道府県レベルの提供を希望される場合に、国が保有するデータベースという位置づけから考えて、果たして適切なのかどうか、他の代替可能な情報の模索も検討課題と考えられました。
あるいは集計表の作成の依頼ですけれども、その作成自体がかなり技術と時間を要するような事例もございました。
続きまして、5ページのセキュリティ要件に関する件でございます。1番ですが、独自のセキュリティ規程が一部、もしくはすべて欠けている事例というものでございまして、これは申出者との調整の結果、最終的にはほとんどの申出で余り問題はなかったのですが、確認された問題点といたしましては、提出を求めております「運用フロー図」「リスク分析・対応表」、あるいは「運用管理規程」相互で食い違いがあるといった事例がございました。
2番といたしまして、利用者以外のアクセスが可能な場所でのレセプト情報等が利用される事例。研究室などが共有スペースになっておりまして、解析機器を他者が見たりさわったりすることが不可能ではない事例が見られました。
そして、3番ですが、技術的対策が不十分という事例ですけれども、「リスク分析・対応表」「運用管理規程」における入退室及びPCアクセス接触の規程につきまして、生じ得る事態の想定が不十分なものがございました。
そして4番ですが、研究者や研究者所属施設が複数(多数)にわたる事例ということで、これは規程を設定いたしましても、セキュリティ対策が各人とも把握、遵守できるかどうかについて、研究者が多数となればなるほど困難になると想定されます。研究施設が複数にわたる場合には、統一されたセキュリティ体制でおのおのの施設が管理されるのかどうかについて判断が容易ではないのではないかといった事例もございました。
以上が事務局における事前審査において論点となった事項ということで、こういった論点を踏まえまして、6ページ、7ページに事務局における審査方針をお示しをしております。
まず、研究内容・抽出についてでございます。1ですが、今回の「個人の識別可能性を下げる」といった原則にかんがみまして、「対象者が極めて限定される可能性がある」申出につきまして、申出者にデータを渡した時点で個人が特定される可能性が否定できないと考えられますので、事務局の審査においては、この提供依頼については不承諾と考えさせていただきました。
「10未満のセルは空欄にする」あるいは「申出以外の分析は一切行わない」と明記されている申出がありましても、今回は試行期間ということもありまして、これらについては不承諾と考えた次第でございます。
この少数セルが多発する可能性が、研究を開始してみないとわからないという意見もございましたけれども、今後検討予定であります、後ほども少し御説明いたしますが、「基本データセット(仮称)」が構築されれば、その活用により事態が改善されると考えられます。
集計時に少数セルが頻発することが想定される申出の中には、申出者が配慮すると明記されておりまして、ほかの審査方針を満たしていたために、総合的に見て承諾と考えたものもございます。
2ですが、同じく「個人の識別可能性を下げる」という原則にかんがみまして、多数の項目を用いた探索的な研究であるとか、「傷病名コード」「診療行為コード」「医薬品コード」がどれ一つでも「すべて求める」という要望の申出につきましては、事務局審査では提供依頼について不承諾と考えました。
多変量解析など多くの項目を必要といたします申出も、いわば探索的な研究と考えまして、今回は不承諾と考えました。
何らかの抽出を経た後のサンプルに対しても、上記のような申出に対しては同様の判断をいたしました。
この方針につきましては、特定健診の情報を用いた研究にも適用させていただきました。
1と同じですが、上記のような研究手法によってはこうした抽出条件にならざるを得ないものもありますので、これも今後検討予定の「基本データセット(仮称)」の構築によって対応することが可能ではないかと考えられます。
また、申出の中には、傷病名コードをすべて求めてはいますが、「二次医療圏単位の集計」に限定されているなど個々人の特定の可能性が極めて低いと考えられるものもありましたので、これにつきましては承諾と考えたものもございます。
続きまして3ですけれども、今回、「1申出1審査」という原則にかんがみまして、複数の研究が一つの申出に盛り込まれている場合にも、審査に当たりましては、他の申出内容も加味した上で、提供につきましてはより慎重な評価を行っております。
4ですけれども、研究には、今回、公益性が求められるという観点から、研究に際して抽出項目の措定や目的と抽出項目との関連におきまして、事務局審査で「定義が不十分」な箇所があると思われる申出につきましては、相対的に見て慎重な評価を行っております。
これは、抽出項目が研究内容から見て最小限とは言えなかったり、関連性が不明または説明が不十分と判断された申出はこういったものに当てはまります。
その他、5ですけれども、以下のような事例につきましても、事務局審査におきまして慎重な評価を行っております。
1つ目といたしましては、都道府県単位など、地域に限定したデータ提供の申出につきましては、国が保有する全国レベルのデータベースという位置づけにかんがみまして、今回、その公益性について留意させていただきました。
2つ目ですが、「集計表情報」の提供を求める申出の中には、その作成自体がかなり技術と時間を要するものがございました。
続きまして、7ページのセキュリティ要件でございますけれども、まず1の「情報セキュリティマネジメントシステムの、申出者個々の研究環境に応じた合理的な対応」の実践を求めているということにかんがみまして、独自のセキュリティ規程が一部、もしくはすべて欠けている事例につきましては、事務局審査にて提供依頼について不承諾と考えました。
事務局から、申出の内容の照会を行ったことによりまして再提出におきまして改善が見られた申出が複数ありましたが、その際にも、「運用フロー図」などの整合性について、他の申出と同様に評価を行っております。
次のポツのところに具体的な課題というのが事例として記載させていただいておりますが、再提出時にそういった課題が修正されている場合には、その点についても考慮しております。一方、改善が不明瞭な場合につきましては、不承諾と考えております。この考えにつきましては、2以下も同様でございます。
2ですけれども、入退室の管理が不十分であったり、利用者以外のアクセスが可能な場所でレセプト情報等が利用されている事例につきましても、より慎重な評価を行いまして、中には不承諾としたものもございます。
例えば研究室が共有スペースとなっておりまして、他者が容易に解析機器に接触できる事例については、それに対するセキュリティの強度や透明性の確保をどの程度整備できているのかにつきまして留意しております。
そして3ですが、研究者や所属施設、研究施設が複数(多数)にまたがる事例につきましては、セキュリティ対策実践の難易度が上がると想定されますので、その対応については慎重な評価を行いまして、不承諾とした申出もございます。
具体的には、施設間での業務分担が不明瞭な申出につきましては、不承諾としております。
申出の中には申出者が多数となるものもありますが、研究環境に即した現実的な対応が提案されているために、総合的に見た上で、提供依頼については承諾としたものもございます。
最後、4ですが、技術対策が不十分な事例については、より慎重な評価を行っております。
以上が事務局の審査方針ということになります。
続きまして、8ページの今後の予定ということでございますが、まず、本日の有識者会議の進め方です。本日の有識者会議におきまして、この事務局審査方針についての議論を行いまして、審査基準として妥当かどうかについて御検討いただいた上で、その議論を踏まえつつ、後に非公開で個別の審査を行ってはどうかと考えております。
そして、今後のスケジュールですが、まず、申出者への通知、レセプト情報提供です。申出者に対しましては、会議の結果を踏まえた上で、厚生労働大臣において承諾、不承諾の決定を行いまして、できるだけ早急に申出者に対して通知を行いたいと考えております。
また、継続審査の必要が生じた場合には、早急に事務局において日程調整を図りまして、有識者会議の再度の会議の開催を行って審査を継続したいと考えております。
また、情報の公開、ホームページの作成ですが、本日の有識者会議の終了後、有識者の議論の結果、提供承諾となった申出につきましては、その件数を本日公表したいと考えております。ただし、個々の申出の概要につきましての公表は、正式な手続を経た上で後日行いたいと思います。
また、レセプト情報等の提供に関する情報の提供を円滑に進めるために、これらの情報を整理したホームページを、Q&A形式も含めまして厚生労働省のホームページの中に作成する予定としております。
それから「基本データセット(仮称)」の作成についてですが、先ほど来申し上げておりますとおり、「傷病名」「診療行為」「医薬品」コードにおいて「全数希望」の申出が今回複数見られました。これにつきましては、個人が特定化される可能性というリスクを考えますと、データベースからすべての情報を提供することにつきましては困難ではないかと考えております。
一方で、レセプト情報等の活用が最善であり、かつ、公共性の高い研究については、個人が特定されてしまう可能性のみを根拠として一概に研究の門戸を閉ざすべきではない、という意見もあろうかと思います。
次回以降の有識者会議で、ナショナルデータベースから一定の抽出を行って、匿名性を高めた「基本データセット(仮称)」の構築について検討してはいかがと考えております。
このデータセットの活用によりまして、研究デザイン等の理由からやむを得ず項目の全数が必要となる研究におきましても、個人が特定される可能性を可能な限り低めることができ得ると考えております。
それから次回の申出受付でございますけれども、平成24年早々を目途といたしまして次回の有識者会議の日程を調整いたしまして、今回の事務局審査の経緯をまず事後検討する作業を行っていただければと思います。
この作業を踏まえた上で、平成23年度内を目標といたしまして、第2回のレセプト情報等の提供の申出受付を行うこととしたいと考えております。
最後、その他といたしまして、申出者、あるいは研究者がレセプト情報等でどのような研究ができるのか等の理解の一助となりますように、ダミー値のみで構成した架空のデータセットの作成についても検討を行ってはいかがと考えております。
事務局からの説明は以上でございます。
○山本副座長 ありがとうございました。
 それでは、今の御説明に関しまして、質問、御意見等がありましたらどうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 初回ということもあって、比較的厳しい制限になっているとは思いますけれども、この有識者会議では、試行期間においては、万が一にも事故のないように、抑制的に進めていくということが一応結論として得られておりますので、その方針に従った事務局の審査方針ということになりますけれども、御意見がございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
 どうぞ、宮島さん。
○宮島委員 いよいよ重要な情報にかかわる新しいシステムの審査が始まるということで、やはり、今おっしゃったように、情報の流出に心配する方に十分な配慮をすると。そして同時に、その情報が目的に合った利用がされるか、その情報の提供の仕方が適切か、公平かということに関しては、本当に十分に目を配りながらやらなければいけないと思っております。
 まずこのように事務局の審査でその論点を示すということが、そしてその論点で納得するということが非常に大切だと思います。ただ、現実にこれだけたくさんの申出がありながら、結局のところ、委員会で全部検討するわけにはいかないために事務局の審査があるのですが、この事務局の審査が事務局内で行われるということで、もしかしたら恣意的な運用がされているという疑いを持たれる可能性があるということを考えますと、そういう疑いをわずかでも持たれることがない対応が必要だと思います。
 実際には全部をこの会議で審査することはできないわけですから、今回、今日の委員会にかけられなかったところは、もしかしたら納得されているかもしれませんけれども、この事務局の審査に納得いかなかった申出の方がなんらかの形で異議を申し立てるというか、いや、ここは私たちとしては納得していないのですということを言える道を、事務局以外につくる必要があるのではないかとは思います。
 それは、やはり慎重で公平な審査をしているということを言いながらも、例えば別の政策などでも、行政が時に恣意的な運用をすることがあるという批判が世の中にある中では、このシステムではとにかくそういう、いわゆる門前払いされたというような気持ち、疑念を持たれることがない対応が必要だと思います。異議があって、納得しなかったらそれを言う場所があるというところは必要なのではないかと、何らかの形でそういった申出者に対する公平性や納得性を担保する形を検討してはどうかと思いました。
○山本副座長 ありがとうございます。今のことに関して、いかがですか。事務局から御意見ございますか。
○北澤室長 それでは、事務局からですが、今回の申出につきましては、おっしゃられますとおり、公平性、納得性という観点、非常に重要だと思っておりまして、我々も当然、審査に当たってはそういったものを一義的に考えてやっているつもりでございます。
 今回おつくりいただきましたルールの中では、承諾、不承諾につきまして、その結果について通知をさせていただくことになっておりますが、その中で、もし不承諾の場合については、理由を書く欄がございまして、そこにはできるだけ丁寧に記述して、わかりやすいことに心がけたいとは考えております。
 御指摘の異議申し立ての道を事務局以外にというところでございますが、これにつきましては、今回、試行ということもございまして、事務局というか、そういった仕組みをつくることにつきましてもかなり検討を要する部分もあろうかと思いますので、事務局以外にできるかどうかちょっとわかりませんが、もし今回の審査方針、あるいは審査結果について何らかの疑義というか、異議のあることにつきまして、どういった形でその仕組みが構築されるかについては検討させていただきたいと思います。
○山本副座長 ありがとうございます。一応事務局審査も含めてこの有識者会議での審査ということになろうかと思いますので、よほど納得できない方がいらっしゃったら、例えば有識者会議でもう一度それを見てみるとか、あるいは有識者会議全員でなくても、その中からそういうことを審査するワーキングをつくって、そこでチェックするようなこともあっていいかなと思います。実際にすべての方が納得された場合はともかく、もしも納得されない申出者があった場合にはそのようなことを検討していただければと思います。ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ、貝谷さん。
○貝谷委員 今の御質問とも若干関連するのですけれども、今回の全数が四十数件あったという、後ほど議論があると思いますけれども、それを考えますと、事務局体制ということが、勿論、中身の議論も大事ですけれども、今の御意見にも関連するのですが、体制を整備していくというのが、このナショナルデータベースの財産を的確に国民に還元していく上で非常に重要な基盤になると思います。
 それで、何回か議論の中でも申し上げましたけれども、この業務を本省の中で恐らく限られた人員の中でされていると思うのですけれども、この試行期間中、多少時間かかるかもしれませんが、体制をやはり整備をして、スムーズに流れていく仕組みをきちんとつくっていっていただくというのがある意味では隠れたテーマだと思っておりますので、そこは、この財産を生かすためにも、今の組織ではない形で是非御検討いただきたいということを要望したいと思います。
○山本副座長 ありがとうございます。これも今までの有識者会議で出ていました意見で、ごもっとも、そのとおりと思いますけれども、何かございますか。
○北澤室長 以前もそういった議論あったと承知しておりますが、おっしゃいますとおり、我々、適正化室と高度化室合わせても10人ちょっとの体制で、すべてこの審査にかかわるわけにはいかないのですが、我々としては、精いっぱいやっているつもりですが、おっしゃられるとおり、体制の整備につきましては、組織定員要求もしておりますが、なかなか今、厳しい状況がございますので、どのようにできるか、試行期間中ということもありますので、できるだけそういった充実については検討していきたいと思っております。
○山本副座長 ありがとうございます。結局、このことに大きな価値があるということをまずは示さないといけなくて、なおかつ、試行期間であれ安全に実施できたという実績があった上でやはり広く求めていくべきかなと考えておりますので、そのための試行期間という位置づけも多分あろうかと思いますし、それからもう一つは、制度の整備の問題もあって、現在は高齢者医療の確保に関する法律だけが根拠法で、実際にはここで審査している利用目的の法律の範囲外になってしまうわけですね。
 これは制度的裏づけがないがために非常に審査が複雑になっているというところもあろうかと思いますので、それから、先ほど北澤室長の方からお話がありました、全数ではないのですけれども、より安全なデータセットを用意して、そこでできる研究をそこでしていただいた上で、なおかつ、全数のデータベースにアクセスする必要があるというのを少しセレクトしていくとか、多分、この試行期間にやらなければならないことはいっぱいあるだろうと思うのですけれども、その課題を含めて検討を続けていければと思っております。ほかに。
 松田先生、どうぞ。
○松田委員 この資料で、方針等についての4ページの「7.その他の事例」で指摘されているところですけれども、この集計表作成といってもかなり技術的に難しいものがあります。多分、こういう申請をされてしまう原因の一つとして、もともとのレセプトのフォーマットが理解されてないということと、複数にわたるレセプトをどのようにひもづけてそのテーブルをつくるのだという技術的なことに関して、申請者が余り理解されてない場合が大変多いのではないかなと思います。
 そうしますと、そういうものも含めて申請していただくためには、このフォーマットに関しての技術論的なことに関する事前の説明会といいますか、研修会みたいなものも加えてやる必要があるのではないか。そういうことをやることによって、もう少し実行可能性の高い申請というものを出していただけるようになると思いますので、今後の事前説明会等では、その点にも踏み込んだ説明会等が必要ではないかと思います。
○山本副座長 ありがとうございます。よろしいですか。
○北澤室長 御指摘のとおり、セキュリティについては、セミナーを1回開催させていただきましたが、御指摘の部分、非常に重要だと思いますので、今後検討させていただきたいと思います。
○山本副座長 最後に、いわゆる練習用セット、実データではないのですけれども、同じぐらいの複雑さを持つデータセットをつくっておいて、それでこのことが可能かどうかを実際にやっていただくというのも多分いい方法ではないかと思うのですね。ほかにいかがでしょうか。
○森委員 今の松田先生の意見もそうですけれども、そのようなことを考えると、事務局の資料の8ページに、情報の公開、ホームページの作成というところで、今回の審査等で明らかになったさまざまな問題をやはりきちんと整理して公開することが事務局の効率的な運営にもつながりますし、申請者にとっても有用になるのではないかと思うので、是非充実していただきたいと思っています。
○山本副座長 ありがとうございます。それはよろしいですね。その方針で。
○冨山委員 審査基準の件ですが、8ページの右の上の方にも出ているのですけれども、個人が特定されてしまう可能性のみを根拠として一概に研究の門戸を閉ざすべきではないという意見もあるということですけれども、レセプト情報の取扱いについては、保険者に対してもやはりきちっと個人情報の保護ということでルールが決まっているわけです。今度、このナショナルデータベースというのを第三者機関に公開するということは、ここの部分の個人情報の保護ということを第三者機関でより一層慎重に取り扱う必要があるわけでございますので、試行期間だから安全というわけではなくて、実際に施行された後も、やはり取扱いについてはできるだけ慎重に扱っていただきたいと思っております。
○山本副座長 ありがとうございます。勿論そのような方針でいかれると思います。
 今回、研究の結果の公表形式ではなくて、途中経過でもかなり数が少なくなってしまうというおそれのあるものに対しても、抑制的に判断していただいているのですね。本来は、公表される際に個人が特定されることがあっては絶対にいけないのですけれども、研究の途中で偶然、例えば1人しかいないデータが出てきたようなことに対してどう考えるかというのは、多分、今後の議論だろうとは思いますけれども、今回はかなり抑制的に見ているということですね。
 どうぞ、府川さん。
○府川委員 資料の6ページですけれども、「今回は地域に限定したデータの提供はしない」ということですが、その理由として、全国レベルのデータベースだからということがあげられています。地域に他のデータがあればよいのですが、これしかない場合には地域別の集計も必要ですので、やがて全国ベースの集計をすることもありますし、その地域に関心の深い研究者が地域の研究をするというのは基本的によいことだと思います。全国レベルのデータベースだから地域に限定したデータには提供しないというのは論理的におかしいと思いますので、いずれこの点を改善していただければと思います。
○山本副座長 ありがとうございます。
○石井補佐 6ページの記述ですけれども、これはこの規制について留意したということで、実際上は地域に限定したということだけをもって不承諾としたようなものはございませんで、あくまで留意点とさせていただいただけでございます。
○山本副座長 ほか、いかがでしょうか。
 よろしゅうございますか。
 それでは、この後、個別審査を行いますけれども、今回の事前審査及び、次回も、大きな問題が新たに出なければ、こういう方針で進めるということにしたいと思いますけれども、事務局からお示しいただいた事務局の審査方針ということでよろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○山本副座長 ありがとうございます。
それでは、次の議題であります申出書審査に移りたいと思いますが、ここからは非公開になりますので、その前に、5分ほど休憩をいただきたいと思います。




【結果概要】
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001uecr.html


(了)
<照会先>

保険局総務課保険システム高度化推進室
 TEL:03(5253)1111
    (内線3267,3269)

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