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2010年12月27日 第1回母性保護に係る専門家会合 議事要旨

雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課

○日時

平成22年12月27日


○場所

中央合同庁舎第5号館 共用第6会議室


○出席者

新居委員 内山委員 江馬委員
中田委員 中林委員 宮川委員

石井大臣官房審議官 塚崎職業家庭両立課長
奥村育児・介護休業推進室長 森課長補佐

○議題

女性の妊娠又は出産に係る機能に係る有害業務について

○議事

○石井大臣官房審議官より挨拶があった後、事務局より資料の確認及び出席者の紹介があった。
○塚崎職業家庭両立課長より本検討会の趣旨説明が行われ、その後座長として、中林委員を選出した。
○議題について、資料に基づき説明が行われ、意見交換等が行われた。主な内容については以下の通りである。

【重量物の取扱い・立作業関係】
妊娠中は、赤ちゃんの重みで骨盤底がたわんでいる状態となっている。病棟看護師などの場合に問題になるのが、継続的に立っている姿勢をとること。海外では、椅子やサドルに座った状態で手術の機械出しをすることが一般化している国もある。
普段は立ち作業を行っているデパートでは、妊娠するとこまめに休憩をとるようにしている。他に、座位で作業できるよう工夫している企業もある。
介護労働について議論を行う際、腰痛の防止が母性保護の対象となるかということは検討の必要がある。
重量物を取扱う業務の中には、看護や介護は含まれていないが、女性の就いている率も多いので検討いただきたい。
一般に子宮脱などの問題が発生するのは、妊娠・出産を経験した女性が妊娠・出産をしなくなる年齢になってからが一般的に多い。そうした女性に対する作業上の管理を行うことは、長期的には女性の労働力の保護にあたると考えられ、母性保護に間接的につながる。
・今回の会合では、特に大きな問題であると考えられる重量物と化学物質について絞って検討をしていただきたい。
小規模の化学工場や引っ越し業者では国の定められた基準を守ることができていないところが多いのではないか。
妊娠中の切迫早産や産褥期の子宮脱等で重い物の持ち上げに関連している部門は多い。例えば、コンビニやスーパーにおいて、レジ打ちの女性等は、立っている姿勢で物を移動させなければならないので負担が大きい。物の陳列等もありかなりの負担になっていることが分かっている。
妊娠中の女性は短期間で7kg~10kg程度体重が増加する。そのため、妊婦は普段でも腰の筋肉を多く使っており、腰痛をよく訴える傾向にある。
仕事をしている人に、特に早産が多いというデータはない。しかし、仕事をしていない人と比較し、「訴え」は何倍か多い。
引越しの業者等が、どの程度の重さの物について機械を使用せず運んでいるのかというデータは、検討の資料になりうるのではないか。
早産がアメリカでも増加している。早産が増加している理由としては、先進国において出産年齢が上昇していることや、医学的な介入判断を行っていること、また、それを行うことのできる未熟児施設が少しずつ整備されてきているということがある。早産が増加していることは良くない面だけではなく、子どもを救命できているという面もある。早産が増加したことによる長期的な影響については、まだ分からない部分がある。
働いている人の中で、ストレスが多い人は、血管が収縮しやすく血圧が上がりやすいということが少しずつ分かってきている。ストレスをかかえていると、子宮に血液がいかなくなり、胎児が育ちにくくなる。そのため、早産せざる得ないこともある。
仕事をしたらこういう異常が必ず起こるというデータは、今の日本にはない。そこまで肉体的に厳しい労働を妊娠後も続けさせる職場もあまりない。
重量物に関しては、妊娠中・産褥期の規制について、規制という形が良いのか、指針やガイドラインという形が良いのか。いずれにせよ、行政として何らかの方向は示していただいた方がよいと思う。ただし、女性の就労環境をせばめない方向で考えていければよい。
妊娠中に関しては、重量物を持つことによりどのような問題が発生したのかを示す実例が現場では、割と少ない。
産褥期あるいは出産を経験した閉経期以降の女性に頻発してくる骨盤底弛緩、腹圧性尿失禁や子宮脱という問題に関しては、妊娠中というより出産後からの長い課題であり、人により出産直後から問題に直面するため、初期の育児の部分とオーバーラップし問題となる場合がある。
妊娠中と産後に継続的に様々な重量物やその他重い物をもったりすることがあまり良くないと考えられる。したがって、妊娠中と産後の回復期に規制を行い、出産後しばらくした後は、ガイドラインで示すというのはどうか。

【化学物質関係】
平成20年度の社団法人日本作業環境測定協会の自主的な調査によると、特定化学物質を取扱う作業での作業環境測定の結果、第3管理区分(改善しなければならない)という評価を受けた割合が全体の5.7%、鉛については8.3%、有機溶剤については2.9%だった。
GHS(注:資料9参照)において21年以前のGHS関係省庁連絡会議によるガイダンス文書等に従ったときの「区分外」(注:危険有害性が低い)で分類されたものについて、22年度版の新しいガイダンス文書で分類すると、「分類できない」(注:データが不十分)に分類される可能性がある。
GHSの分類はハザードベースの分類であり、リスクベースの分類ではない。具体的には、作用の強さを必ずしも反映しておらず、作用があるかないか、その確からしさに基づいた分類になっている区分も多い。生殖毒性・発がん性「1A」になっているからといって、「区分2」の物質よりも作用が強いのかどうかということは話が異なる。どの程度の量で影響が出るかということを考えた上で、適切に管理することが必要である。
「生殖毒性」と書いてあるが、「生殖発生毒性」であり、この区分を決めるときのエンドポイント(注:評価項目)には、親が曝露を受けることで子どもに生じる影響(胎児・次世代児に対する影響)が多く含まれる。しかし、生殖毒性の毒性試験は母性に関するエンドポイントはそれほど多くない。
化学物質の場合、生殖毒性についてはデータが少ない。 妊娠可能期の女性については、他の労働者と異なる扱いが必要ではないか。
妊娠に気づかない時期に、被曝した場合についても考慮する必要があるのではないか。当該時期は器官形成期の初期に当たり、催奇形性などに関しては感受性の高い時期であり、危険度が他の時期と比較し強い。
GHSの趣旨は使っている物質にどのような有害性があるのかを適切に伝達するというものである。規制だけではなく、情報を適切に伝え、適切に管理することが必要。
女性であれば、このような化学物質が存在するところは妊娠する前から避けた方がいいという情報を発信することが大切であり、運用が大切。


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