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2011年11月4日 生活保護制度に関する国と地方の協議(事務会合)第7回議事要旨

社会・援護局

○日時

平成23年11月4日(金)


○議事

○ これまでの議論の整理について意見交換。

○ 厚生労働省及び地方自治体からの主な発言は以下のとおり。

・これまでの議論の整理について

<厚生労働省発言>
○ 前回の協議で指摘されたとおり、国としての基本的な方向性を整理した。
まず、高齢化の進展や厳しい社会・経済情勢であっても、支援な必要な方に必要な支援を行っていくという基本的な考え方は不変である。
一方で、特に稼働能力を有する方が長期にわたって生活保護に頼って生活するということは、本人及び社会の在り方として望ましいことではない。そうした方に対しては、就労による自立を支援し、できる限り保護に至らないための仕組みやその手前でとどまるための仕組み、更には脱却しやすいような仕組みを拡充するということが必要である。
 また、就労による自立が容易でない高齢者等についても、より主体的に社会との接点を持っていただくということが一つの在り方と考えている。そうした意味では、社会的自立の促進につながる施策を講じていきたい。
 また、今年度から新たに導入した電子レセプトを活用し、レセプト点検の強化などの適正化の取組みを引き続き着実に行うとともに、今申し上げたような取組みを一貫して講ずることで、将来にわたって国民に信頼される制度となるよう不断の見直しを行い、持続可能な制度を確立していきたい。
 加えて、急増する生活保護受給者への対応について、福祉事務所の負担は非常に重くなっている。この負担軽減を図るためには、ケースワーカーの増員やケースワーク業務の在り方、更にはNPOや専門家の外部委託など、地方自治体の御意見も踏まえて検討し、実行に移していきたい。

○ 今後講ずべき対策として、運用改善等で速やかに実行する事項と引き続き検討を進める事項を整理した。
  運用改善等で速やかに実行する事項としては、国から地方自治体に対して、集中的な就労支援を行うということも含めた就労支援の方針を明示する。     
ハローワークから福祉事務所に対して、稼働能力の判定に当たって必要な情報を提供する。
  23年度3次補正においては、被災者生活再建サポーターということで被災生活保護受給者の支援を盛り込んでいる。
「福祉から就労」支援事業の充実として、ハローワークにおけるナビゲーターの増配置やアウトリーチ型の支援について予算要求している。
生活保護に至らない又は一旦保護に至ったとしても保護から脱却できるようにするためのトランポリン機能を強化する取組みも検討したい。
子ども貧困対策としては、生活保護受給世帯の親の養育相談、学習支援などの充実について概算要求に盛り込んでいるところである。
求職者支援制度による職業訓練を受講することが適当と判断されたにもかかわらず合理的な理由なく受講しない者については、指導指示の対象とし、必要に応じて保護の停廃止も検討することについては、詳細を自治体の実務レベルの方もと調整した上で対応したい。
  23年度から新たに導入した電子レセプトの効率的活用を通じて、医療扶助適正化に向けた地方自治体の取組を国としても支援する。また、電子レセプトに関わるシステムの大規模な改修の際、自治体からの照会等に対応するヘルプデスクを設置したい。
  審査支払基金を通じた生活保護受給者に係るレセプトの重点審査の徹底や健康保険との比較データの提供を実施できるよう、関係機関へ働きかけていく。
  金融機関に対する資産調査について、本店への一律照会が可能になるよう関係機関と調整中である。まだ具体的なことを示せる段階ではないが、本店へ一律照会することの意義について、理解を示してくれる団体もある。
  年金記録確認の効率化や遡及して給付された年金を把握するための働きかけについては、現在、関係機関と調整中であり、できる限り自治体の負担軽減に資するよう検討しているところである。
  暴力団排除に向けて、保護の申請時に暴力団ではないことの申告を新たに求めることについて、検討を進めてまいりたい。
  生活保護受給者が暴力団員であることが判明した場合の法第78条に基づく返還請求の対象範囲についても、自治体の意見を伺ったうえで、考え方を整理したい。
  国レベルにおける不正事案の告発基準の策定についても検討する。
  本人確認や名義貸しによる就労収入の不申告等の抑制のため、届出書類等に顔写真を添付するということで、自治体の皆様から提案をいただいた。国としても、検討を進めてまいりたい。
  各種調査の重複の排除などについては、地方自治体の負担を軽減する観点から、データシステムの導入について取り組んでいるところであり、ケースワーカー業務の在り方の見直しについても、一部外部委託などの工夫が可能ではないかと考えており、検討してまいりたい。

○ 地域における計画的な自立支援の取組みや保護脱却に向けたインセンティブの強化については、引き続き検討を進める事項としたい。また、就労活動や社会貢献プログラムへの参加に対するインセンティブについても同様である。
きめ細やかな支援をすることによって、就労につながったケースもあるので、低所得者等の生活基盤が脆弱な方に対する伴走型の地域拠点の整備についても課題としたい。
第2のセーフティネット施策全体の機能強化についても、引き続き検討が必要であると考えている。
医療扶助の適正化計画については、どのような形でやるかという議論があった。自治体の負担になり実効性の伴わないものでは致し方ないので、どのような形でやるか引き続き議論させていただきたい。また、指定医療機関への指導手続の見直しについても引き続き検討してまいりたい。指定医療機関への指導における国と地方自治体との連携規定についても同様である。
指定医療機関や指定介護機関の指定手続きの見直しについても、国と地方で考え方に大きなずれがあるわけではないが、法定事項となるため、引き続き検討という形にさせていただきたい。
住宅扶助の現物給付の拡大については、様々な御意見をいただいた。仮に制度化したとしても、自治体に対して現物給付を義務付けになるわけではなく、オプションとして設けるものであり、引き続き検討とさせていただきたい。
貧困ビジネスについては、議員立法の検討がなされているところであり、厚生労働省としても必要な協力はさせていただきつつ、動きを見守ってまいりたい。
実施機関の調査権限については、現行の調査対象を拡大する場合には、法定事項となるため、引き続き議論とさせていただきたい。
社会保険各法の例にならった第三者求償権の創設についても、法定事項となるので、引き続き検討してまいりたい。
申請者の暴力団員該当性についての警察当局への照会のあり方については、様々な意見をいただいたところであり、今後とも議論させていただきたい。
不正受給の返還金と保護費との調整については、法制論的に難しい部分もあるが、要請としていただいたので、今後も課題として考えていきたい。

○ 本協議に参加させていただいたことで、事業面に関する様々な具体的提言をいただき、また、課題の共通認識形成ができて、労働関係部局としても非常にいい機会となった。
  求職者支援制度については、生活保護受給者も含めた雇用保険受給者以外の就労・自立支援の重要な柱となるものと認識している。
「福祉から就労」支援事業など、ハローワークにおける生活保護制度に関わる対応上、本協議で議論したことをうまく組み合わせ、自治体に少しでもご理解いただけるような実効性のある措置を段階的に講じていきたい。

<地方自治体発言>
○ これまでは、国として今後の生活保護制度をどう考えていくか見えにくかったが、今回の議論において具体的方向性が見えてきた。
地方側としても、一旦のとりまとめることが必要だと考えている。その上で、今回の協議で結論が出ない事項に関しては、引き続き協議するということで一定の整理ができる。そうした意味では、国が示した方向性でとりまとめていけばよいのではないか。

○ 生活保護費負担金の全額国庫負担については非常に難しい課題であると認識しているが、引き続き検討する事項として整理していただきたい。
加えて、ギャンブルや過度の飲酒、犯罪を繰り返す者等不適正な事案への対応についても、現場では非常に苦しんでいるところであるので、これも難しい課題ではあるが、どういった対応ができるのかということも引き続き検討を進める事項としていただきたい。
また、全般的に法律改正が必要な事項とそうではない事項とを整理してもらいたい。

○ とりまとめに当たっては、小規模な福祉事務所や中山間地域特有の課題についても具体的に盛り込んでいただきたい。

○ 本年10月から暴力団排除条例が施行されたこともあり、暴力団関係や薬物関係の事案が顕在化してきている。犯罪を繰り返す者への対応も含めて、法務省の更生保護行政との関係整理も必要ではないか。

○ 単身高齢化が都市部では顕著に進んでいる中で、自治体によっては、生活保護受給者であるということだけをもって、高齢者関係部局ではなくケースワーカーが引き受けているという実態がある。そういった部分での他法とのすり合わせについても、引き続き検討を進める事項としてもらいたい。

○ ケースワーカー業務の在り方の見直しは、非常に重要な事項である。とりまとめにあたっては、より具体的な対策を打ち出していただきたい。

○ ハローワークに生活保護受給者に関する相談をしても、すぐに回答をいただくことができず、文書で照会するように言われることがある。国においても現場の意見を一度吸い上げていただきたい。

○ 今年度からは、保護を廃止となった者についても、課税調査の対象とするよう国からの通知があったところであるが、引き続き議論する事項である調査権限の拡大との関係性をどのように考えているか。

○ これまでもケースワーカーの本来業務はどういったものかを整理していただきたいということを申し上げてきた。例えば、高齢者にしても母子にしても、経済的な理由で生活保護行政が引き受けている現状がある。新たな取組みを検討する際には、本来はどの制度でやるべきなのかということや生活保護の実施機関の在り方など、現場の体制も考慮していただきたい。

○ 一部ハローワーク担当者の話によると、求職者支援制度においては「基金訓練が途中から形骸化して就労に結びつかなくなった反省を踏まえ、給付金の返還義務が生じた際に返還能力のないような人は始めから受給させることはない。であるから生活保護受給者については制度を活用できるケースは少ないと考えている。」と言っていた。せっかくこういう議論を進めているなかで、地方が求めていることと乖離しているのは残念である。各ハローワークに対し、そのような想定で利用を拒むべきではないということを周知していただきたい。

<厚生労働省発言>
○ 課税調査については、調査時点で廃止されている者であっても、生活保護費の不正受給については是正されるべきであるため、生活保護を受給していた期間について調査することとしたもの。この取扱について、通知による解釈の明確化や法律上の規定の整備など、どのような対応が適当か検討したい。

○  求職者支援制度は、制度施行開始直後ということもあり、担当者によっては、やや硬直的な反応を示した例もあるやもしれないが、職業訓練受講による就職の見込みがある方を受け止める制度であり、かかる制度趣旨についてはハローワークに周知していきたい。

・今後のスケジュール等について

<地方自治体発言>
○ 求職者支援制度を合理的理由なく活用しない者への実務上の詳細な取扱については実務レベルで調整するとされていたが、スケジュール感のようなものがあれば教えていただきたい。

○ 今後ハイレベル会合開催のスケジュールについて国としてどのように考えているのか。

<厚生労働省発言>
○ 求職者支援制度に関しての実務レベルの調整については、とりまとめ後速やかに実施したい。

○ ハイレベル会合については12月には開催したいと考えている。


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