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2011年2月10日 第33回中央最低賃金審議会議事録

労働基準局

○日時

平成23年2月11日(木) 時:11:30~12:00


○場所

於:厚生労働省専用第14会議室


○出席者

公益委員

今野会長、勝委員、武石委員、中窪委員、野寺委員、藤村委員

労働者委員

石黒委員、木住野委員、北田委員、田村委員、團野委員、萩原委員

使用者委員

池田委員、小林委員、高橋委員

事務局

金子労働基準局長、森岡大臣官房審議官、本多大臣官房参事官(併)賃金時間室長、
藤永主任中央賃金指導官、伊津野副主任中央賃金指導官、亀井賃金時間室長補佐

○議事

○今野会長
  それでは、ただ今から、第33回中央最低賃金審議会を開催いたします。目安制度のあり方に関する全員協議会については、平成21年2月から計9回にわたって審議を重ねてまいりましたが、本日、全員協議会報告(案)として取りまとめが行われました。お手元に全員協議会報告(案)を御用意させていただいておりますので、事務局から読み上げをしていただければと思います。

○伊津野副主任中央賃金指導官
  賃金時間室で副主任中央賃金指導官をやっております伊津野でございます。ただ今から、読み上げをさせていただきたいと思います。
  中央最低賃金審議会目安制度のあり方に関する全員協議会報告(案)。平成23年2月10日。
  中央最低賃金審議会目安制度のあり方に関する全員協議会(以下「全員協議会」という。)は、平成21年2月25日の中央最低賃金審議会において、現行目安制度の見直しについて付託を受け、その後9回にわたり、主として1.表示方法及びランク区分のあり方、2.賃金改定状況調査等参考資料のあり方、3.生活保護と最低賃金との乖離解消方法及び4.目安審議のあり方の4つの課題について、最低賃金を取り巻く状況の変化も考慮に入れつつ、鋭意検討を重ね、下記のとおり全員協議会報告として取りまとめたので報告する。
  記。
  1、表示方法及びランク区分のあり方について。
  (1)ランク設定のあり方について。ランク設定のあり方については、ランク制度が採用された昭和53年から今日まで30年以上の間に、全国的な整合性の確保にどのように寄与してきたのかという観点等からの検証と評価がなされるべきとの意見や、長年労使が真摯な話合いを基に積み上げてきた経緯を十分に踏まえた上で、ランク制度のメリット・デメリットを十分に洗い出しながら慎重に検討していくべきとの意見がある。
  今般の検討では、この点について議論を尽くすまでには至らなかったが、これまでランク制度が果たしてきた役割等を踏まえ、当面は現行のランク制度を維持することが適当である。
  なお、次回の目安制度のあり方に関する見直しの際には、今般の検討で議論が尽くされなかった点や「生活保護に係る施策との整合性にも配慮するものとする」規定が新たに加えられた最低賃金法改正法の施行をはじめとする目安制度を取り巻く近年の状況の変化等も踏まえ、ランク設定のあり方について引き続き検討することが必要である。
  (2)表示方法について。目安の表示方法については、上記(1)のランク設定のあり方及び下記3の生活保護と最低賃金との乖離解消方法と密接な関係を有するが、ランク制度及び当該乖離解消方法を維持する場合には、当面は現行の各ランクごとの引上げ額(利用可能な直近のデータに基づく生活保護水準との乖離額から、当該年度の地域別最低賃金引上げ額を控除してもなお、地域別最低賃金額が生活保護水準を下回っている都道府県については、残された乖離額を計画的に解消するための金額と、各ランクごとの引上げ額とを比較して大きい方の額)による表示を維持することが適当である。
  (3)新しい総合指数に基づく各都道府県の各ランクへの振り分け。イ、総合指数の全体的な動向。ランク区分については、これまで平成7年、平成12年及び平成16年に見直しを行ったが、見直しに当たっては、いずれも所得・消費に関する指標(5指標)、給与に関する指標(10指標)及び企業経営に関する指標(5指標)の20の指標の直近5年間の数値の平均値をとった上で、当該平均値について東京を100とした指数を算出して単純平均した総合指数を用いている。
  今回の見直しに当たっても、従来の算出方法を基本的に踏襲している。
  具体的には、企業経営に関する指標の一つである、一般飲食店の指標について、従来は「商工業実態基本調査」(平成10年を最後に休止)による1就業者当たり年間売上高を利用していたが、都道府県の経済実態をより適切に示すため、「サービス業基本調査」による1就業者当たり年間事業収入額を利用することとし、別紙1のとおり、20の各指標について原則平成17年から21年までの数値の平均値をとった上で、個々の指標の変動が総合指数に与える影響を一定の範囲内に抑えるため、当該平均値について最大値となる都道府県を100とした指数を算出して単純平均し、東京を100とした総合指数を算出する方法に改めることとした。その結果、新しい総合指数は別紙2のとおりとなった。
  新しい総合指数は、平成16年の全員協議会報告において示された総合指数と比較すると次のような特徴がある。
  (イ)上記イの算出方法の見直しに伴い、東京都以外の各道府県が最大値となる指標(具体的には、別紙1中の指標3、5、11及び16の4指標)における指数の分散度合が縮小した。これによって、個々の指標の変動が総合指数に与える影響が一定の範囲内に抑えられた。
  (ロ)東京都を100とした場合の各道府県の総合指数は0.5ポイントから5.0ポイント下降し、すべての道府県において、東京都との格差が拡大した。
  ロ、新しい総合指数に基づく各都道府県の各ランクへの振り分け。ランク数及び各ランクへの振り分けについては、現行のランクとの継続性に留意する必要があるとともに、目安が法定労働条件としての最低賃金に関わるものであることにかんがみ、その法的な安定性も考慮しつつ検討した結果、次の結論を得た。
  (イ)ランク数について、従来と同様4つとすることが適当である。
  (ロ)各都道府県の各ランクへの振り分けに当たっては、平成16年の全員協議会報告を踏まえ、以下の考え方に基づき、別紙3のとおり、適用される目安のランクを変更することが適当である。
  i 、総合指数を順番に並べ、指数の差が比較的大きいところに着目する。
  ii、上記の考え方を十分踏まえ、個々の都道府県のランク間の移動や各ランクごとの都道府県の数の変動を極力抑える。
  iii、加えて、特にB、Cランクについては、各ランクにおける総合指数の分散度合をできる限り小さくすることにも留意する。
  なお、この総合指数は、全員協議会においてランク区分の見直しのための基礎データとして用いたものであることは平成12年の全員協議会報告において示されたとおりである。
  2、賃金改定状況調査等参考資料のあり方について。
  (1)賃金改定状況調査における調査対象事業所の選定について。賃金改定状況調査の調査対象事業所については、賃金の低廉な労働者のほか、一般的な労働者の賃金改定状況を反映するよう少なくとも企業規模100人未満まで対象を拡大すべきであるとの意見や、労働者の就業実態を反映するよう業種の見直しを検討すべきであるとの意見、地域の実態を反映するよう地方小都市の事業所の比率を増やすべきであるとの意見がある。
  今般の検討では、この点について議論を尽くすまでには至らなかったが、短期間に調査結果の集計が求められるという賃金改定状況調査の性格も考慮すると、調査対象事業所の選定については、当面は現行の方法を維持することが適当である。
  なお、次回の目安制度のあり方に関する見直しの際には、今般の検討で議論が尽くされなかった点も踏まえ、調査対象事業所の選定について引き続き検討することが必要である。
  (2)賃金改定状況調査結果の表示方法の見直しについて。目安を審議する際の重要な参考資料である賃金改定状況調査結果第4表については、昭和53年以降、ランク別、産業別及び男女別に表示してきたが、就業形態の多様化の進展等を踏まえ、これらの別によるほか、一般労働者・短時間労働者の別についても新たに表示することが適当である。
  (3)その他参考資料のあり方について。これまでも中央及び地方最低賃金審議会の審議に当たっては、最低賃金法第9条第1項に規定されている地域別最低賃金の決定に当たって考慮すべきこととされている、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力に係る各種統計資料を収集・整備してきたところであり、今般の検討を踏まえ、中小企業の生産性に係る資料を加えることが適当である。
  なお、次回の目安制度のあり方に関する見直しの際には、今般の検討で議論が尽くされなかった点も踏まえ、地域における労働者の生計費及び賃金の水準並びに中小企業の生産性について様々な観点からの検討及び評価を行うための資料など参考資料のあり方について引き続き検討することが必要である。
  3、生活保護と最低賃金との乖離解消方法について。
  生活保護と最低賃金との乖離解消方法については、最低賃金法改正法が施行された平成20年度以降、毎年度の地域別最低賃金額改定の目安に関する公益委員見解(以下「目安に関する公益委員見解」という。)において示される考え方を参考に、地方最低賃金審議会において定めるものであるが、解消すべき生活保護との乖離額が年々大きく変動しうるという問題については、平成21年度及び平成22年度の目安に関する公益委員見解において、「別途対応を検討することが適当である。」とされたところである。
  この変動の原因の一つである生活保護の住宅扶助の実績値の変動については、被保護単身世帯における住宅事情の変化、即ち、被保護単身世帯総数において、住宅扶助額が相対的に低い持ち家等及び公営住宅等に居住する世帯の割合が低下を続けている一方、住宅扶助額が相対的に高い民営住宅に居住する世帯の割合が増加を続けていることが寄与していると考えられる。
  しかしながら、今般の検討では、具体的な乖離解消方法の見直しについて議論を尽くすまでには至らなかったことから、当面は現行の乖離解消方法を維持するとともに、解消すべき生活保護との乖離額が年々変動しうるという問題については、引き続き対応を検討することが適当である。
  4、目安審議のあり方について。
  (1)近年の目安審議のあり方について。近年の目安の審議は、1.法の原則(最低賃金法第9条に定める地域別最低賃金の原則をいう。以下同じ)、2.目安制度(平成16年の全員協議会報告等、全員協議会において合意を得た目安制度のあり方及び賃金改定状況調査等参考資料や、平成20年度以降の目安に関する公益委員見解において示されている生活保護と最低賃金との乖離解消方法等の考え方を総称する。以下同じ。)を基にするとともに、それらの趣旨や経緯を踏まえ、3.時々の事情(例えば、毎年度の労使の意見に表れた事情、平成19年度及び平成20年度の成長力底上げ戦略推進円卓会議における賃金の底上げに関する議論、平成22年度の雇用戦略対話における最低賃金の引上げに関する合意(平成22年6月3日 雇用戦略対話第4回会合。以下「雇用戦略対話合意」という。)など、時々の目安の審議の中で中央最低賃金審議会目安に関する小委員会が踏まえた事情を総称する。以下同じ。)を総合的に勘案して行われており、公労使三者の真摯な話合いを基に、そのあり方が形成されてきたものである。
  これに対する意見として、平成22年度の目安の審議においては、雇用戦略対話合意の中には、「2020年度までの平均で、名目3%、実質2%を上回る成長」が最低賃金引上げに関する数値目標の前提となっているほか、「中小企業の生産性向上」や「中小企業に対する支援等」等がパッケージとして掲げられているにもかかわらず、これらを十分に踏まえることなく、数値目標の部分である「できる限り早期に全国最低800円を確保し、景気状況に配慮しつつ、全国平均1,000円を目指すこと」、とりわけ全国最低800円の目標達成が重視された結果、法の原則及び目安制度を必ずしも十分に基にすることなく、例えば賃金改定状況調査結果がマイナスとなる中で、各ランクごとの目安が一律10円となるなど、従来の審議のあり方が揺るがされたのではないかとの意見があった。
  一方、雇用戦略対話合意の扱いの検討については、全員協議会における目安制度の見直しの検討とは切り分けて行うべきであること、また、平成22年度の目安の審議においては、従来の審議と同様、法の原則及び目安制度と雇用戦略対話合意を含む時々の事情をそれぞれ十分に踏まえた審議がなされたと認識しているとの意見があった。さらに、そもそも目安の審議においては、賃金改定状況調査結果に偏重することなく、一般的な労働者の賃金水準に照らして、あるべき水準を議論することが望まれるとの意見があった。
  (2)今後の目安審議のあり方についての合意。上記(1)のとおり、平成22年度の目安の審議の評価については、意見の一致に至らなかったが、引き続き目安制度を維持しつつ、今後の目安の審議について、公労使三者が、その真摯な話合いを通じて、法の原則及び目安制度を基にするとともに、それらの趣旨や経緯を踏まえ、時々の事情を総合的に勘案して行うというあり方の重要性については、改めて確認するとの合意を得るに至った。
  5、次期のランク区分の見直しについて。
  ランク区分については、平成7年の全員協議会報告において今後5年ごとに見直しを行うこととされて以後、これまで平成12年3月及び平成16年12月に見直しを行い、それぞれ、平成12年度及び平成17年度の目安の審議において新しいランク区分を用いたところである。
  今般の検討では、最低賃金を取り巻く状況の変化により、5年ごとの見直しを行うに至らず、別紙3のランク区分は平成23年度以後の目安の審議において用いることとなったが、次回の目安制度のあり方に関する見直しの際には、ランク区分については、平成7年の全員協議会報告に復して5年ごとに見直しを行い、平成28年度以後の目安の審議において新しいランク区分を用いることが適当である。
  別紙1といたしまして、「ランク区分の見直しの基礎とした諸指標の状況(基本的に平成17~21年平均)」をつけております。それから別紙2といたしまして、「諸指標による都道府県の総合指数」をつけております。それから別紙3でございますが、「各都道府県に適用される目安のランク」の表をつけておりまして、今回、茨城がBランクに加わり、福島がDランクに加わりました。以上でございます。

○今野会長
  ありがとうございました。ただ今の全員協議会報告について、中央最低賃金審議会といたしましては、了承したいと思います。何かございますか。

○亀井賃金時間室長補佐
  誠に失礼いたしました。お手元にお配りしておる報告につきまして、2か所修正漏れがございましたので、補足させていただきたいと思います。恐縮でございます。

(休憩し、誤字等訂正)

○今野会長
  他の委員で、気がついたところ、ないでしょうね。単純ミスですけれども、今度は大丈夫かな。
  それでは、誤りを修正した案を前提に、この全員協議会報告を御了承いただければと思います。修正した完成版はすぐ皆さんに差し上げてくださいね。我々も含めてね。
  それでは、そういう形で了承させていただきます。よろしいでしょうか。

(異議なし)

○今野会長
  ありがとうございました。この報告書につきましては、追って事務局から各都道府県労働局あてに文書で伝達をしていただくということにしております。
  最後に、金子労働基準局長から一言御挨拶をいただければと思います。

○金子労働基準局長
  労働基準局長の金子でございます。
  本日、目安制度のあり方に関しまして、全員協議会報告として取りまとめいただきました。大変ありがとうございました。
  顧みますと、平成21年の2月から、途中かなり長期間の中断もございましたが、結局、9回にわたりまして大変精力的に御審議をいただきました。ありがとうございました。
  この中で、目安の審議のあり方につきましては、種々御議論もあったと承っております。その上で、改めて三者構成による検討の重要性というのを再確認いただいたということで承っております。このことにつきましては、私どもとしても重く受けとめているところでございます。
  今後につきましては、この趣旨を踏まえまして、一層適切な運営に努めてまいりたいと思っております。先ほど会長からもお話がございましたが、この後、各労働局の方を通じまして、各地方最低賃金審議会の方にお伝えをしていきたいと考えております。
  今後とも引き続き、先生方の御指導、御協力につきましてお願い申し上げまして、御礼の御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

○今野会長
  ありがとうございました。
  それでは、以上をもちまして第33回中央最低賃金審議会を終了いたします。
  議事録の署名ですが、池田委員と木住野委員でお願いします。よろしくお願いします。
  それでは、本日はこれで終了いたします。最後に、事務局から連絡事項がありますので、よろしくお願いします。

○本多賃金時間室長
  委員の皆様には、足かけ3年にわたりまして御審議をいただきまして、誠にありがとうございました。
  「中央最低賃金審議会」につきましては、本年度内の開催は本日が最後になりますが、本年度末での任期満了に伴いまして、今期限りで御退任いただく委員の方がいらっしゃいますので、御紹介をさせていただきます。中窪委員、野寺委員、池田委員及び山崎委員の4人の方々でございます。山崎委員は、残念ながら本日御欠席でございますけれども、4人の委員の方々におかれましては、当審議会に御尽力を賜りましたことを深く御礼申し上げます。
  本審議会の慣行として、御退任されます委員の方々より、よろしければ一言御挨拶をいただきたいと存じます。

(退任委員挨拶)

○本多賃金時間室長
  どうもありがとうございました。御退任される皆様には、改めて感謝を申し上げたいと思います。今後とも是非厚生労働行政の御理解と御支援を賜りたいと存じます。
  それでは、これで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

労働基準局労働条件政策課賃金時間室
最低賃金係 (内線:5532)

代表 03-5253-1111

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