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2011年6月17日 第2回精神科救急医療体制に関する検討会議事録

社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課

○日時

平成23年6月17日(金)17:00〜19:00


○場所

厚生労働省 専用第14会議室(12階)
(東京都千代田区霞が関1−2−2)


○出席者

木下構成員、杉山構成員、千葉構成員、平田構成員、平安構成員、
三上構成員、三野構成員、吉邨構成員、渡構成員
三宅参考人、野田参考人

○議題

(1) 医療機能としての精神科救急の現状と課題について
(2) 意見交換

○議事

○福田精神・障害保健課長 それでは定刻となりましたので、ただいまより、第2回「精神科救急医療体制に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、御多忙中のところ御参集をいただき、誠にありがとうございます。
 本日の構成員の出欠状況ですけれども、全員御出席ということで、平安構成員が遅れておいでになるという御連絡をいただいております。
 念のために申し上げますけれども、本検討会は公開のため、検討会での審議内容は厚生労働省のホームページに議事録として掲載される予定ですので、あらかじめ御了解いただきますようお願いを申し上げます。
 また、本日は議題に沿いまして、ヒアリングを実施する予定でございます。
 御説明いただく先生方をあらかじめ御紹介をさせていただきたいと思います。
 昭和大学医学部救命救急センター救急医学講座准教授の三宅康史様でございます。
 続きまして、独立行政法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所社会精神保健研究部社会福祉室長の野田寿恵様でございます。
よろしくお願いいたします。
 本日は、構成員の皆様のうち、杉山構成員と吉邨構成員にヒアリングの方でプレゼンテーションをお願いすることといたしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは早速ですけれども、議事の方に入らせていただきたいと思います。
 本日の議題は「医療機能としての精神科救急の現状と課題について」でございます。総合病院におきます身体合併症の受け入れの取組みについて、精神科病院と一般病院との連携について、精神科救急医療機関におきます質の評価の取組みについて、先ほど申し上げました4名の先生方からヒアリングを実施したいと思っております。
 まずは事務局から資料に基づき説明をさせていただきまして、その後、先生方には順番に御説明をいただき、その後に意見交換、御質問の時間を設けたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 それではまず、資料1に基づきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○中谷課長補佐 事務局でございます。
 資料1「精神科救急医療体制に関する検討会第2回資料」という資料をご覧ください。
 今日は一般救急と精神科救急の連携というお話もありますので、救急搬送の現状と最近の話題について御紹介したいと思います。
 まず「救急搬送の現状」ということで1ページ目の下ですが、これは総務省消防庁の資料から抜粋したものです。救急出動件数は10年間で30%増加する一方で、救急隊数は7%増加にとどまると。件数の年次推移のグラフが右側にありますが、現在、出動件数が年間に500万件ぐらいで推移をしている状況であります。
 他方、救急車の現場到着までの時間ということなんですが、10年間で現場到着は7.9分で1.8分遅延。病院収容までの時間は36.1分で、10年間で9分遅延しているということでございます。
 これには、傷病者がそもそも増えたということもございますし、また、受け入れまでに行き先の病院の選定がなかなか困難な背景などもありまして、消防庁及び厚生労働省で協力をしまして、平成21年、消防法の一部改正を行いまして、2ページ目の上の図です。消防法第35条の5第1項(実施基準)の抜粋のポンチ絵ですが、このように傷病者の搬送と受入れ医療機関に関して、都道府県が実施基準を策定し、公表するということが追加をされました。
 この実施基準というのは、囲みにありますように(マル1)〜(マル4)ございまして、「(マル1)傷病者の状況に応じた適切な医療の提供が行われるように分類された医療機関のリスト」。これは個々の医療機関名が入ったリストということになります。
 「(マル2)消防機関が傷病者の状況を確認し、(マル1)のリストの中から搬送先医療機関を選定するための基準」。これは傷病者の重症度などを判定するための基準となります。
 「(マル3)消防機関が医療機関に対して傷病者の状況を伝達するための基準」。その医療機関へどういう情報を伝えるかということの基準。
 「(マル4)搬送先医療機関が速やかに決定しない場合において傷病者を受け入れる医療機関を確保するために、消防機関と医療機関との間で合意を形成するための基準」。これはいろいろなものがございますが、例えばコーディネーターを介して決める、あるいはあらかじめ例えば4番目までに決まらなかった場合には必ずどこどこが受け入れるといったようなルールをつくるなどが該当しますが、そういったものでございます。
 その(マル1)〜(マル4)を含めました実施基準を全都道府県が策定・公表することとされております。この実施基準については、その下、消防機関は搬送に当たり、これを遵守することになっておりまして、医療機関は受入れに当たり、この実施基準の尊重に努める努力義務ということになります。
 こちらの実施基準策定に当たっては、総務大臣と厚生労働大臣が情報提供などの援助をするということ。この実施基準は医学的知見に基づくこと。医療計画と調和を取らせること。この実施基準策定に当たっては、各県に設置する協議会の意見を聞くということなどが定められたところであります。
 この実施基準の策定状況は2ページ目の下の部分になりますが、47都道府県のうち、策定済みのところが41、未策定が6となっておりまして、3ページ目がこの実施基準の策定状況を一覧にしたものであります。
 これは、傷病の状態別にその状態に関する搬送先が決まっているかどうかということで、その都道府県の実情に応じて必要なものを定めていくとなっております。表の一番下の「特殊性」の上から2番目に「精神疾患」というのがあります。これは、状況に応じて県で判断してつくるという項目になっているんですが、精神疾患の分類があるという県について、各県ごとに○が付いているところが全体で41のうち26ございます。約半分強は精神疾患に関しても決まっているということで、集計は3ページ目の下の表の一番右側の数字が○の付いているところの数となっております。
 「重篤」にしているところもありますし、「脳卒中」もあると思いますし、どれぐらい専門性を分けて振り分ける必要があるかといったことなどで、決めたり、決めなかったりということがございますが、精神疾患については26でつくられているという状況でございます。
 4ページ目、これはこの実施基準の策定がされる前のデータになります。受入れ先の選定困難な事案ということで、これは457件の統計を集計されたものですが、困難なものの多いものとして、一番が「急性アルコール中毒」、2番目「背景として精神疾患有り」ということで、こちらについて困難ということなので実施基準の策定すべき項目の例の中に挙がっているということであります。
 4ページ目の下は大阪市の全数調査のデータで、精神疾患が項目に挙がっておりまして、時間的には他に比べて少し長い傾向があるということでございます。
 5ページ目、上も同様の受入れまでの時間が全体比べて、精神疾患を背景に有する者の場合、照会回数、滞在時間が長いといったようなデータになります。
 続きまして、身体疾患を合併する精神疾患の状況ですが、6ページ目。これは今までも何度か出している資料ですが、精神病床に入院中の患者で身体疾患を合併している方は約半分ぐらい。また、6ページ目の下は、その合併しているものの種類がどういうものかという絵であります。
 7ページ目の上、これは過去の厚生労働科学研究の中で、身体合併に関するものをまとめたものです。
 救命救急センター入院中の12.3%に精神医療の必要性がある。
2つ目の○で、岩手県の高度救命救急センターの全受診件数のうち、9.5%が精神科の救急。
 3つ目の○が、横浜市立大学の高度救命救急センターの搬送者のうち15〜18%は自殺企図者。
 4つ目の○ですが、身体疾患、精神疾患ともに入院水準の患者の発生については、人口10万対25という研究結果がございます。
 7ページの下は総合病院の精神科の状況。平成19年の学会の状況ですが、1施設当たりの精神病床の数でいうと、大学病院以外は86.7床、大学病院が45.1床。精神科の常勤医師数でいうと、大学病院以外は3.72、大学病院は16.12といったデータもございます。
 8ページ目、総合病院の精神科病床が、ここ数年は減少傾向にあるというデータ。8番目は、一般救急と精神科救急の連携においてそれぞれ課題が指摘されておりまして、一般救急と精神科救急の各段階ごとで、それぞれの連携の不足などで、患者の照会が困難であったり、急性期が終わった後に受入れ先を見つける場合の連携も不足している。あるいは、一般救急の方では精神疾患の対応が困難、精神科救急は身体疾患への対応が困難という双方の困難などの問題が指摘をされているところです。
 9ページ目の「論点案」をご覧ください。
 こうした状況で今日、御議論いただきたいのは、まず一般救急と精神科救急の連携について。連携、連携と言いますが、これを具体的にどのように進めていくべきかといった点。PSWの配置といったことがこれまでもなされておりますが、それをもっと進めるべきか、あるいは他の連携方策などがあるかといった点。
 2つ目として、身体疾患を合併する患者の受け皿としては、今、総合病院の精神科病床ということと、一般病院と精神科病院の連携をしながら受けるということが考えられますが、それぞれタイプが異なりますので、それぞれの役割をどう考えて、それをどのような方向性で整備を進めるべきかといった点。今後、全都道府県で精神科救急医療体制を整備していくに当たって、どのようなモデルを想定すればいいのかというところを御議論いただければと思います。
 3つ目の点として、精神科救急医療機関については、それを定めるだけではなくて、質の評価をどうするかということもあると思いますので、それをどのように考えていくかといった点について御議論いただければと思います。
 説明は以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。
 続きまして、杉山構成員より精神科病院と一般病院との連携につきまして、御説明をしていただければと思います。
 杉山構成員、よろしくお願いいたします。

○杉山構成員 よろしくお願いいたします。
 資料をご覧ください。私の今日お話しするのは、主に病院に入る前、プレホスピタルの部分についてが主になります。
 最初のスライドは、先ほどの総務省のデータを同じです。照会回数においても、現場滞在時間においても、救急隊の対応が何らかの背景要因があると遅れてしまうと。よく引用されるデータでございます。
 その下が、その背景要因とは何か。これも先ほどの事務局からのデータにございました同じものですけれども、急性アルコール、精神疾患、認知症、介護といったような精神科関連病態とでも言いましょうか、そういった少し精神科に関連の深いものが背景になっていることが非常に多いということが特徴になっております。
 これを踏まえまして、どのように連携すべきかということで、平成20年から「救急医療の今後のあり方に関する検討会」の中間取りまとめを受けて、「小児医療、産科・周産期医療、精神科医療領域」、つまりこういった特殊領域と一般救急医療との連携体制構築のための具体的方策に関する研究に携わりました。
 これはちょうど妊婦さんのケースがあったかと思いますが、そういったことにも絡めて、こういう特殊領域と一般領域の連携をどうするかという課題の中で、精神科もこのような実情があるので一緒に考えていきましょうというコンセプトでした。今日の話はここが中心になります。
 勿論、それにもう一つ関連する事項として、先ほどから出ています消防法の改正。これに基準をつくりなさいということが出ていまして、このことが大きな動きになりますので、この基準に照らして、この研究は進められたということになります。
 その前に基本的な考え方があります。精神障害者の身体合併症は、その身体的問題の当該科が診療する必要が当然ございます。精神科が治療するわけではなくて、身体的な科の専門の先生が診る必要がある。そうであれば、身体合併症の受け皿は、一般身体医療の中で体制づくりをする必要があるでしょうと。
 もう一つの候補として挙がっております総合病院精神科がありますが、これは院内連携をすることによって、一部の身体合併症には確かに対応可能です。私も経験がございますし、後から吉邨先生の発表があると思いますが、対応は可能なんですが、この総合病院精神科は精神科なので、あくまでも精神科ということですので、その辺は環境的な設備とかいろいろなところで限度があるだろうと思われます。精神科救急医療体制で身体合併症に対応するには、一般身体医療を体制に組み込む必要が当然出てくるでしょうということになります。
 全体的には、身体合併症対応は一般身体科を主な受け皿として、当該診療科が理解していただいた上で、精神科全体が協力的な役割を負うというようなことで円滑化を図ることが全体的なコンセプトになるかと思います。
 研究の結果になりますけれども、最初にどんな連携の具体的方策があるかを挙げたんですが、そういうわけで総合病院精神科についても議論したんですが、総合病院精神医学会の意見をいただきまして、これはかなり厳しい状況であると。先ほど事務局のグラフにもありましたけれども、少なくなっているし、担い手もかなり減ってきているということで、かなり厳しいということでした。
 そうであれば、それを整備していくということは必要なんでしょうけれど、すぐにできるものではないと。すぐにできる連携体制を選んでいく必要があるということで、この3つのものを挙げさせていただきました。
 まず1つは、精神科救急情報センター機能の活用。これは先ほどの中にありましたコーディネーション機能を充実させていくということになります。
 2つ目、コメディカルの活用。これも先ほど言及がありましたが、一般救急医療の中にPSWを投入して、連携の円滑化を図っていくと。お医者さんを置くというのはなかなか難しいところもございますので、PSWに役割を期待すると。これは既に各地で幾つかのモデルがありますので、非常に参考になる方策ではないかと思われます。
 3つ目、先ほどの総務省から出された基準に関連しますが、精神科関連病態といったような方の傷病者の搬送基準。大体こんなふうに手順として判断していったらいいのではないかというようなひな形となるようなものを提示して、円滑化を図っていく。それをお示ししていくことが3つ目の方策として考えられました。
 次の図ですけれども、連携のための大きな対応モデルを提案しています。これは1回目の会議のときに平田先生から御説明がありましたけれども、図示しますと、こういう形になります。
 最初の「並列モデル」と言われるのは、「複合的な問題に、それぞれの専門的対応が並行して同時に行われる」ということで、このモデルは精神科と一般科が両方診療できる病院でないと難しいということで、かなり限られた病院でしかできません。ですから、重症例に限ってこういったものの対応が適切かと思います。こういったものが全てにできれば理想ではありますが、なかなか難しいということがあって、その下です。
 多くの場合は「優先度の高い問題から、それぞれの専門的対応が順次に行われる」といったような「縦列モデル」の連携の仕方で問題に解決に当たっていくということが現実的になります。
 更にもう一つのモデルは、コーディネーションを活用するということです。現場でどちらが診療する方が適切か、どちらで対応するのが適切かということが難しい場合に、情報センターが間に入ってコーディネーションをしていって、最終的には先ほどの並列モデルか縦列モデルのどちらかに振り分けられるということになります。
 この3つのモデルをこの中で提唱させていただいています。
 ただし、研究では、その情報センターが実際にそういうことの機能ができるかどうかはかなり現実的な問題としてありますので、自治体にアンケートを行っています。そちらにお示ししたような形で、65の自治体にアンケートをさせていただいています。
 その結果が次にあります。5ページです。
 まず、先ほど消防庁の方から挙げられた背景要因に困難だと言われる代表格について、「困っていらっしゃるでしょうか」というような質問をさせていただいたところ、精神疾患はかなり高い率で問題化しているという認識があるようでした。認知症は比較的低いです。薬物中毒、急性アルコール、同じように高い頻度で非常に問題であるという認識を各自治体がされていました。
 次ですけれども、「夜間休日の突発事例に対して下記の対応ができますか」、あるいは一番右側「救急隊が対応する傷病者で、精神障害者の身体合併症に対応できる施設はありますか」、そういう質問をしたところ、精神疾患の外来対応、精神疾患の入院対応、措置入院への対応は、下の色の薄いところが対応が難しいという答えですけれども、ある程度対応が困難という答えはあるんですが、一番右の身体合併症の困り感と言いますか、非常に困難であるという回答は、その精神科の対応の比ではなくて、非常に困っているということが一目瞭然にわかるわけです。特に身体合併症対応は、非常に難しいという認識が各自治体にあるということになります。
 次は、厚生労働省の示します、精神科救急医療体制整備事業実施要綱がありまして、そちらに事業の1つに身体合併症医療確保事業があるんですが、それがどれぐらい実施されているかというのが次です。
 身体合併症対応施設は、救命救急センターをベースにした身体合併症に対応できる施設です。「地域搬送受け入れ対応施設」は、一般の救急告示病院と言うんですか、一般の二次救急等の病院に事業として認定するものですが、ちょっと見にくいんですけれども、この時点でわずか3施設3自治体。1自治体1施設ですので、4つが「あります」という答えをしています。ただ、この間の話では、どちらかが認定をやめたという話もあって、現在は全国でたった2か所ではないかと言われています。ほとんどないということです。
 その下は、前回事務局から出していただいたスライドです。平成22年度以降、一番下のところに「身体合併症救急医療確保事業」が要綱の方にしっかりと載せていただいて、事業の中に組み込んでいただいているんですが、実際はこのように2施設しかないと。
 ただ、現場で働いていますと、救命センターとかいろいろなところで精神科の疾患を受けていただいています。ですから、ある程度そのような合併症を診ていただいている実態は思ったよりもある。実態としてはあるんですが、こちらの事業認定という形に結びつかないことがもしかしたらあるのではないかと。前回、24時間の相談窓口についても同じようなことを申し上げましたけれども、せっかく載せていただいている事業が現場とうまくかみ合って認定されにくいというような事情があるのかどうかということは、課題かもしれないと思っています。
 そして、その事業の中の一番下に「身体合併症等後方搬送事業」があります。これについて調べたのが、更に次のグラフになります。これもちょっと見にくいんですが、身体合併症が起こった場合に後方転送として受け入れるというものですが、ざっくり言いますと85%が未実施という図です。しっかりちゃんとやっていますというのが7%、条件付きでやっていますというのが4%という形になります。ほとんど行われていないということです。
 次の棒グラフですけれども、これはマトリックスになっておりまして、一般科の1次、2次、3次、精神科の1次、2次、3次の複合をそのようにマトリックスに示したときに、どのような病態が一番困りますかというような質問なんですが、ここで見ますと、精神科の2次、3次、一般科の2次が一番高いです。これは一般科としては入院レベルであって、精神科としても入院レベル以上のものが高いということになります。
 逆に一般科の3次、つまり救命センターで対応していただくようなケースであれば、そこまでの重い状態ですと、救急センターが比較的受けてくれるのでそう困らないけれども、一番困るのは2次と2次というようなところでしょうか、ここが一番難事をしているということなので、今後、体制整備をするに当たって、ここを焦点に体制を取っていくというような作戦を取れるかどうかのヒントになるかと思われます。
 最後のグラフです。そういった状況を踏まえまして、精神科救急情報センターにいろいろな質問をしたんですが、まず左側です。精神科救急情報センターの設置があるかないかといういつもの議論ですけれども、これは今回の調査では、結局76%が設置しているということで、全てではありませんでした。「設置していない」「設置予定もない」というのが15%、無回答が2%でした。
 右上ですけれども、実は精神科救急情報センターの実施要綱には、一般の救急情報センターや救急医療機関、消防機関等からの要請に対して、精神障害者等の状態に対して、外来受診、または入院可能な医療機関を紹介するという機能が明示してあるんです。そのことをちょっと聞いたんですが、右上は救急隊からのそういった要請について、調整はいかがでしょうか、できますでしょうかという質問ですが、ちょっと見にくいんですが、無回答が17%、可能と答えたのはわずか15%、行っているけれども非常に困難というのが32%、不可能であると言っているのが36%です。
 その下は、「病院間調整を行えますか」という質問です。無回答が15%、「行っています」が22%、「行っていません」が63%で、なかなかこういった役割は難しいということになっています。
 ただ、連携方策を進めなければいけないということで、この研究の中で3番目「対応フローチャート」で、こういった方が見えたら精神症状がどんな状態なのかというようなことで、身体的主訴がどういったことなのか、このフローチャートに沿って現場で判断していって、搬送先の選定のある程度の目安になるようなものをこの研究の中でお示しすることも連携方策の1つでしたので、日本全国どこでもこれが使えるかということはわかりませんが、一応大体目安になるようなものをこの研究の中でお示ししたというのが、この対応フローチャートになります。まだ現場で使われたわけではございませんので、たたき台になると思います。
 次の表ですけれども、前回、千葉構成員の方から、救急隊が傷病者に対応したときの専門性のところ、専門的知識がどうなのかというお話があったんですが、その辺をサポートできるように、こういった病態のチェックリストをつくってみました。
 小児科領域では、救急隊がカードを持っていまして、それに与えられた項目に記入していくようなものがあって、それで簡便に重症なのかどうなのかというものを判断するようなものもございます。そこまでのものはなかなか精神科では難しいのですが、とにかく目の前で起こっていることを正確に病院に伝えていけるようにと。情報を受理するのは非常に難しいところもありますので、その辺のサポートになればということで、本研究の中で連携の具体的方策ですので、それが向上するようにということで、こういったチェック表を提示させていただいております。
 以上が研究の内容になりますけれども、【参考】として書いてあるのは、これからこの後に、病院機能の評価がちょっと話題になると思いますが、その中でeCODOという説明がこの後にあると思います。病院の中にそういったデータベースを組んでいるんですが、eCODOを使いますと、これはある病院の1月から3か月のデータで、瞬時にこういったデータがすっと出てきます。
 ちなみに、身体合併症というのはどれぐらい精神科救急医療の中に含まれているのかがすっと出てくるような仕組みになっておりますので、参考のために載せさせていただいていますが、この病院では1月から3か月の中に72名の方が退院しました。男性が37.5%、平均年齢は50歳。措置・緊急・応急入院が6.9%、医療保護が81.9、任意が11.1%でした。入棟時のGAFが20点ぐらいで、退院したときにはもう40点を超えていたと。
 合併症ですけれども、「合併症あり」は4割を超えています。そのうちの中等度以上、つまり入院レベルであったというのは5.6%でした。そのうち定期的に身体科でフォローアップを受けていた方は26.4%ですので、十数パーセントの方は全く何もケアを受けていない状態だったという計算になるかと思います。
退院当時ですけれども、いろいろなものが見つかりますので少し増えまして、「合併症あり」が43.1、入院レベルは8.3%に増えました。
 その下は参考になりますが、自殺念慮を持った方は14%ぐらい。そのうち致死性の高い手段であったものが5.6%。他害は18.1%に見られて、アルコール・薬物乱用は4.2%に見えたと、こういう集団であったということになります。1つの病院のデータなので参考にすぎませんが、eCODOを使えば、全国的にこのデータが共通フォーマットになりますので、こういったことの把握には非常に便利かと思います。
 あとの資料は参考になりますので話が変わりますけれども、情報センターにどんな機能を求めたらよいのかということで、ちょっと前に情報センターの機能をこの項目に沿って調査させていただいたことがあります。細かくて申し訳ないんですが、全ての項目に対して配点がしてありまして、これができたら1点、整備がなければ0点というような形で点数化していくんですが、その結果が一番最後の16ページに示されています。
 身体合併症に対する調整機能はこのときの調査では含めていないのですが、今後そういったものも必要になるかとは思います。事業ですので、どこまで整備するのかということも考えながら、情報センターの機能整備を進めていただけるのは、連携機能を高めるという意味では重要ではないかと思われます。
 情報センターの機能の次に付いていますのが、14ページ、病院の方の機能評価になります。先ほど事務局のスライドに、医療機関の評価という論点3のところにありましたが、同じ研究の中でこのような評価表というものをつくっていますので参考になるかと思います。ただ、いわゆる医療機能は構造・過程・アウトカムと3つに分かれますが、こういう表はアウトカムを評価しにくいという特徴があって、つまり体制です。人員とか設備とか体制といったストラクチャーのみを評価することがこれまで常だったわけですけれども、それだけではなかなか質までは評価できないだろうということで、そちらの話はこの後、精研の野田先生がお話しするので、ここで私のお話は一旦止めさせていただきます。

○福田精神・障害保健課長 どうもありがとうございました。
 では、続きまして、吉邨構成員より、総合病院におきます精神科と一般科の連携、及び身体合併症の受入れの取り組みについて、御説明をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○吉邨構成員 よろしくお願いします。済生会横浜市東部病院の吉邨です。
 前に出てきた総合病院の役割は大きいとは思っているんですが、実際、力不足なところもあって十分に機能していないのが実情だと思います。その中で「身体疾患を伴う精神科救急患者への対応」ということでお話をさせていただきたいと思います。
 私が勤める東部病院のデータが主ですので、これが全てではないと思うんですが、一例としてこういう形で精神科救急合併症入院料を算定している病棟が動いていると思っていただければいいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず、3つのパターンを今のところ考えて活動しています。
 1ページ目の下のスライドで、「一般病院精神科における精神科救急患者への対応」。
一番大きいのは、精神科救急患者の中での身体疾患を有するような方への対応。2番目に、自殺を図り救命救急センターに搬送された患者さんへの対応。3番目に、広く言うと精神科救急には該当しないのかもしれませんが、認知症であったりとか、統合失調症等のいわゆる慢性期でも精神症状が活発で、一般医療の中で受け入れてもらえないような方に伴う身体疾患への治療が必要となるケース。3つのことについて少し述べさせてもらいます。その後に、精神科救急合併症入院医療をとっている病棟の現状。あとは取組みなどについてお話しさせていただきます。
 2ページ、1番目、身体疾患を有する精神科救急患者ですが、ウイルス性脳炎から始めとして、幾つかの状況が想定されると思います。その中でも、長期間にわたって適切な栄養摂取が行われずに、耐糖能異常を来すとか、電解質異常を来す、低栄養状態などを呈する場合も多いですし、ケアは必要なんだと思います。
 それぞれの都道府県で精神科救急医療体制が行われていて、神奈川県では800万を1つの医療圏として集中的に、横浜市、川崎市、相模原市、神奈川県、4県市が共同して行っております。東京や神奈川県などでは、今、一般病院の精神科が基幹病院として機能していますし、この一番下の表にあるように、神奈川県では7つの病院が基幹病院として機能しています。
 印が付いているのが幾つか、色が付いていたりして変わるんですが、公的病院であったり、□がいわゆる精神科の病院です。○は多くは一般診療科を持つような病院であったり、色抜きでしてあるのはいわゆる公的な病院です。色が付いているのがいわゆる私的な病院ですが、公的役割を持つような病院と思っていただければいいと思います。このような病院が協力して当たっております。
 3ページ、その中で、東部病院での2年間の状況なんですが、平成20年4月〜22年3月で661人の方が精神科病棟に入院されて、措置入院患者はこのうちの80例12%でした。この患者さんにおける身体合併症の状況なんですが、身体疾患が全くなくてケアできるような方が38例48%。身体疾患がありとみなされる方が29例36%。電解質異常であるとか、CRPの上昇、白血球増多などで、何らかの形でケアしなければいけないと見られる方が13例16%いらっしゃいました。
 4ページ、この29例の方の受診状況なんですが、整形外科から始まって、泌尿器科、皮膚科、内分泌、消化器、眼科、ありとあらゆる科にかかっております。こういう意味でいうと、幾つかの診療科を持つような一般病院で、こういう措置入院患者さんを対応するのはすごく重要なことなのかなと思われます。
 下のスライドです。自殺の件については、この後、三宅先生からもお話があると思うんですが、自殺に伴うような方の対応もすごく重要なことなんだと思います。
 5ページ目、これは平成20年4月〜22年3月の救命救急センターの入院患者2,581例のうち、いわゆる私的な病院自殺未遂患者で依頼があったケースです。依頼がかからずに亡くなった方もいらっしゃるので、実数としてはもうちょっと多くなってくるんだと思います。
 154例の方の依頼がありました。下のスライドを見ていただくとわかるんですが、いわゆるリエゾンというのが一般診療科から、身体診療科から精神科でありますが、我々のところに依頼が来る半数は救命救急病棟からです。そのうちの3分の2がいわゆる自殺未遂患者さんです。
 こういう患者さんに対して、可能であれば救命救急センターからの対応を目指すことになりますし、必要であれば救命救急センターを開けなければいけませんので、迅速に対応して後方の受入れを行っています。その他、身体疾患とか、精神疾患の重症度によって、御家族の意思などからどこかの病棟に行くということを決めさせていただいています。
 6ページ、自殺未遂患者さんの転帰なんですが、4分の1の方は精神科病棟に移っています。平均在院日数を見ていただくとわかるんですが、47.5±11.5になります。こうすると一般病棟、それも平均在院日数10日を前後しているようなところで対応することが難しく、精神科病棟にどうしても対応せざるを得ないのかなと思います。
 次に下のスライドです。慢性的な精神疾患を有する方も、これも実態は数値的に把握できないんですが、幾つかのケースがあって、これ、どうかなと思ったこともありますので、例として挙げさせていただきました。
 この方はピック病の方で診ていた方です。問題行動があって、家族は放置していて、結局食事を摂らなくなって両下肢の浮腫が出現し、A病院救急外来を受診したと。そこで、心房細動、心不全と診断されるんだけれども、認知症に伴うような問題行動は顕著であると入院加療を断られて、そこからまた緊急搬送の依頼。どこも受けてくれるところがなく、精神科救急医療情報窓口を通じて、いわゆる政策医療の中で、私どもの病院の方に医療保護入院となっています。
 ただ、情報が伝わってきたよりも、いらっしゃったときはもっと悪くなっていて、救急の先生、ICUの先生方と対応して、次の日にはICUの方に移ったんですが、2日後に死亡になっています。こういうふうに対応が遅れるケースもあると思いますので、慢性疾患の方に対する対応も考えなければいけないと思っています。
 7ページ、「精神科救急・合併症入院料算定病棟の現状」です。下のスライドに挙げてある6つの病院が、今、精神科救急合併症入院料を算定している病院です。この他に今、2つの医療機関で算定を検討しているようですが、平成22年4月にこの入院料が算定されるようになってから、取るようになったのはまだこの病院に限られています。多くは公的な病院になるんだと思います。成田赤十字病院と私の勤めている横浜市東部病院は私立になりますが、あとは基本的には公的な病院となると思います。
 上のスライドを見ていただきたいんですが、2年間でいわゆる合併症の対応をしたのが我々の仕事の中で2割です。これは身体疾患に精神疾患を伴ったような方とか、救急外来に来て、どこも取れなくて我々に来たような方。その他救急システム、いわゆる措置入院に来た方等が14%。その他自傷とか自殺企図で院内から移ってきた方、救急外来に、救急病棟の方には入院しなかったんだけれども、自傷であるとか過量服薬等などから移られた方が14%。この精神科救急システム対応と精神疾患患者への救急入院対応と合わせると28%で、救急の医療としては28%、合併症の医療としては17%が我々のところの役割なのかなと思っています。
 その他、予約で入院が可能な患者さんもいらっしゃいますし、即日対応が必要な救急に準ずるような入院の形態の方も20%いらっしゃいます。これが全ての病院でこうだとは思いませんが、大体このような形で入院料を算定しているところが動いていると思っていただければいいと思います。
 下のスライドが「精神科救急・合併症入院料算定病棟の現状」です。合併症入院料を算定しているのは、病院によって状況は違うんですが16%〜40%。一番多いのが成田赤十字病院と徳島県立中央病院ですが、40%が合併症ユニットを算定しているようなところです。
 これは見ていただきたいんですが、真ん中のところの「精神科病院からの転院患者数(身体合併症治療目的)」です。これも病院によって12%〜29%と差がありますが、これぐらいの割合を占めています。
 問題となってくるのが、こういう方々がいわゆる新規入院には該当しないということになります。我々の方に来て、手厚い看護、手厚い治療をしているつもりなんですが、そういう方がいわゆる新規入院、精神科病院に3か月以内に入院したという規定に該当するものですから、新規入院患者としては扱われません。そうすると、低い、いわゆる15対1の診療体系でやるしかありません。その辺のことは問題点になるんだと思います。
 8ページ目、「看護必要度からみた精神科病棟の評価」です。これはHCUであるとかICUの基準等に照らし合わせて、精神科病棟も評価した例です。これは平成21年度における表を出させていただいています。
 「(マル3)重症度に係る評価票」のところで18.7%という値が出ています。データは多くはないんですが、2005年のときのデータでDPC算定病院の精神科病棟2病棟の値が7.1%という値でしたので、それに比べると重症度が高い方が、2倍、3倍近い方がいらっしゃるというのが現状だと思います。
 下のスライドは、21年9月の状況を表しています。このとき我々の病棟50床が満床なんですが、27.6%。見かけ上は空床が目立つ50%をちょっと超えるような状況でした。にもかかわらず、レベルAとみなされるような状況の方が29.2%いて、下に必要看護師数を計算してみました。6.19人になっています。診療報酬上は10対1の看護配置になっていますので、50人が入院したとして5人というのが適正とみなされているということになるわけですが、患者数が27.6人にもかかわらず、6.19人必要というような値になっております。こういうことを考えると看護必要度は高いので、この辺のことを見直しは必要なのかと思います。
 9ページ、これを表したのが1つの表です。これが平成21年1月からは拘束率を、21年7月からは拘束日数を表した表なので、我々が1つのインディケータとして計算して状況を把握するようにしています。
 先ほど挙げた21年9月が拘束率でいうと20%を超える辺り、拘束日数を考えると15、17〜18ぐらいの値になっています。かなり手がかかる、ケア度が高い方が多いということになります。拘束する患者さんが、こう見ると常時大体10%を超えるようなところでいらっしゃるし、ひどいときは30%ということもあります。一般の精神科病院の中の30%、病棟の中においても30%が拘束しているということはほぼあり得ないと思う。ただ、これは代替の方策をしようとしてもなかなかできない。どうしても安全度を保つためにはせざるを得ない状況だと思ってください。ただ縛っておけばいいやということで拘束しているものではありません。
 そういう中で、一般病院から見た身体疾患を伴う精神科救急患者への取組みとして、幾つか挙げさせていただいています。原則としては、行政機関がトリアージをしてまとめていただくというのが一番いいのかなと思っています。
 自殺企図等による大量服薬や外傷があり、身体治療が優先されるのは一般救急の受診を指示する必要があるし、外来対応でOKであれば精神科病院で受けるとか、専門医療機関での入院が必要な場合は、基幹病院となるような一般病院の精神科が受け入れるというような、幾つか先ほど指針がありましたけれども、それに沿って行うようなルールの下でトリアージしていただくのがいいと思います。
ただ、行政機関の中でも、精神科の疾患のトリアージは慣れていても、身体疾患をトリアージするのに慣れていない方が多いようです。行政の方ともお話ししたとき、その辺が問題点と指摘されています。行政に依頼があった際には、担当者で振分けが適切に行えないことも多いようですので、協力病院であるとか、基幹病院の担当者、いわゆる医者ですけれども、受け入れの妥当性には相談するような、そんな仕組みが求められるかと思います。
 10ページ、一般病院の精神科の受入れは、日勤時間帯が基本とするのが妥当かと思っています。夜間は救命救急科での対応が必要な状況です。これは一般病院で全ての科が対応できるかというと決してそんなことではなくて、夜間であれば、当直している医師になります。そうすると、オンコール体制になりますけれども、全ての科が必ずしも対応できるとは限りません。という意味で言うと、日勤帯は活動できるけれども、夜間はパフォーマンスが落ちるというのは仕方がないのかなと思います。
 全身状態が悪い状況では、救命救急センターに相談を依頼するということになるし、緊急的対応が求められる状況では、該当する身体診療科の医師にコンサルトして、精神科病棟への入院を早期に受け入れると。
 待機できるような症例は院内でカンファレンスをして、一応妥当性を検討して、どこの病棟がいいだろうかを踏まえて、受入れを決定するのが望ましいと思います。
 3番目、一般病院の精神科に受け入れた後は、原則として紹介元の医療機関であるとか、施設に戻ることを前提とするような約束事もあると出口の面でいいですし、受け入れる方としてもやりやすいんだと思っています。
 そういう面でいうと、定期的にカンファレンスを実施して、病棟間のスタッフだけではなく、行政であるとか、紹介元の医療機関、施設などで情報を共有して、いつころ出られるかを示すことは必要なんだと思います。
 一番最後に、地域連携のパスの案もつくってありますけれども、そういうのに踏まえて、こういう流れを皆さんで共有できるような体制づくりが大切なのかと思います。
 11ページ目、身体合併症対応に関する課題を幾つか挙げさせていただいています。トリアージ機能の中心を各地域に設置された精神科救急情報センターであるとか、精神保健福祉センターなどに設置し、身体合併症対応施設として指定された医療機関に必要に応じて、コンサルトや入院の受入れを行っていくような体制の拡充が求められるのではないかと思います。
 行政よりの依頼は、精神科救急対応病床の枠内で稼働するようなルールも必要なのかと思います。そのためには精神科救急対応病床数であるとか、精神科身体合併症病床数も再設定する必要があるのかなと思います。
 (マル3)に精神科救急・合併症入院料が算定可能な医療施設を念頭に、身体合併症対応施設の整備が求められるんだと思います。そのためには、今あるような精神科救急を基本としたような施設基準ではなくて、新たな施設基準も考えていただくことも必要かと思います。
 (マル4)精神科救急・合併症入院料の算定に対しては、より高い水準の看護配置が求められるということとか、先ほど言いましたけれども、精神科病院からの入院患者さんに関して、身体合併症に関しては新規入院として取り扱うような、そんな見直しはしていただきたいと思います。
 12ページ、やっていていつも思うんですが、その行き先です。受け入れるのは簡単ですが、出口。後方移送病院を確保するのがとても大切だと思っています。
 (マル7)一般病院の方にも直接依頼されるケースがありますが、その際には対応病院が中心となってマネジメントを行うんでしょうけれども、行政との相談窓口も常に用意して情報の共有をしておくと。
 (マル8)診療の標準化のためには、身体合併症を有する精神疾患患者を対象としたような地域連携パスを用いた情報の共有化、医療の可視化は実践する必要があるんだと思います。
あとの3枚は一応資料として、頭の中がこんがらがってつくったような表なんですが、図1が現状でいうと幾つものやりとりがあって、それが点線であったり、細い線であったり、どれが中心かわからなくなっているようなことが多いというのが実情なのかと思います。
 図2に今後の期待される流れとしては、行政の機関は強化していただいて、それに伴って一般病院の精神科を1つの中心となるような、そんなことを考えていただければいいのかと思います。
 なかなか私的な病院としては動くことができなくても、政策医療として動くという大義名分があれば、病院として活動することもできますので、その辺も頭に入れていきたいなと思っています。
 一番最後は「身体合併症を有する精神疾患患者の対応パス」です。これはあくまでも案で出しているんですが、こういうような形で、どんなふうに、いつ、どういう時期に、誰が動くかというのを明確にしていただいて活動するような、そんな取り組みが望まれるのかと思っております。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 どうもありがとうございました。
 続きまして、三宅先生より、精神科病院と一般病院との連携に関しまして、救命救急センター等の取組みの御説明をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○三宅参考人 よろしくお願いします。
 今日初めてこの委員会に呼ばれて、今お話を聞いて、どんなことを言えばいいのか少しわかってきたような気もするんですけれども、私は純粋に救命救急センターで、外傷外科医あるいは脳神経外科医としてやってきた者ですが、昭和大学病院は品川区にあって、救命救急センターで150万規模の住民に対して対応する3次医療機関であるということです。
 私がこういった精神科救急に関わるようになったというのは、基本的に日本臨床救急医学会の中にあります自殺企図者のケアに関する検討委員会というところで、自殺企図者に身体科救急側としてどういうふうに関わっていけばいいか。最初にどうしても来るのは、身体科の病院に自殺企図者はやってきてしまうというところで、我々は素人のまま身体的な治療だけをしているわけにはいかないというところから始まって、日本精神科救急医学会の杉山先生とか、総合病院精神医学会の先生方とコラボレーションするようになったというので、多分ここに座って今日お話しさせていただくことになったんだろうと思います。
 つい先日も精神救急医学会の研修会というのが東京武蔵野病院でありまして、そこでも身体合併症の話をさせていただきました。その資料も含めて、今日お話しさせていただきます。
 2枚に分かれていますけれども、症例1と書いた方から。具体的に我々がどんな症例を受けているか。精神科の患者が何パーセントいるかとか、あるいは自殺企図が何パーセントいるかというのは、もう今までの資料で大体同じようなものですので、それはそちらを参考ください。
 症例1、83歳の男性で、歩行障害とか四肢脱力ということで、震災後に抑うつになって、精神科からいろいろなお薬が出されて、追加もされたと。その後、歩行障害、四肢脱力が出て、総合病院に運ばれたと。そこで熱があって、頭のCTに異常がなくて、CKが4,221。これは間違いなく悪性症候群だということで、これは3次対応ということでうちの病院に来たんですけれども、実際来てみると筋強剛とかなくて、CRPが高くて、ただの肺炎の増悪、精神科的な疾患を持つ方の身体的な問題であったということがわかったという症例です。
 2例目は41歳の女性で、もともと躁うつ病があるんですけれども、自宅で一酸化炭素中毒で自殺を図ったということで、我々の救命センターに担ぎ込まれてきました。
 2ページ、今、一酸化炭素中毒は急性期に、24時間以内に3回高圧酸素をやると、その後、高次脳機能がよくなると言われていますので、それをやって、また外来でフォローアップしていると、間欠性CO中毒は数週間なり数か月した後にまた高次脳機能が落ちてくるという症状が実際あります。MRIを撮ると遅発性の白質脳症であるということで、2回目の入院でうちに来まして、高圧酸素療法を30回近く続けているという状態です。我々が具体的に診ていく患者というのは、こういった患者になります。
 3つ目は、精神障害があって精神分裂病で内服ですけれども、けいれんを起こしたということで運ばれてきたら、ナトリウムが103、正常の3分の2ぐらいで低ナトリウム血症に伴うけいれんであったと。原因は、基本的には薬剤に伴うSIADHであったということで治療して、後はその薬剤を変えて帰したら、次の日にまた、けいれんを起こして低ナトリウム血症でやってきたと。今度は水中毒だったというような症例。こういったことに救急隊としては、身体的な重症度のみでこちらに来ますので、我々としては当然のごとく対応すると。この辺、今までの患者さんで、どこか精神的に即精神科の先生を呼んで何かやってもらうということはほとんどない病態です。
 症例の4つ目です。アルコール性の肝障害があって、アルコール依存があると。そういった方がけいれんして病院に来る。片麻痺があったので救急隊も脳血管障害かというようなことを考えるんですけれども、4ページを見ていただいて、薬剤性のけいれんであるとか、特にアルコール関連ですと、ビタミンB1欠乏性の尿酸アシドーシスとか、アルコール性の低血糖とか、よく転んで頭を打って、それを覚えていなくて、実は慢性硬膜血腫であるというのもよくあります。
 こういった患者は我々が一番経験して、特にビタミンB1欠乏に伴う脳障害は残りますと後々大変ですので、この辺は救急時に身体的な治療をして、その後、精神科の先生にお願いするということになります。こういった集中治療がどうしても必要になります。
5ページの上の絵の左側は持続血液浄化をして、アシドーシスとか、あるいは急性腎不全とか横紋筋融解症に対応しているという状況です。
 症例5です。アノレキシア・ネルヴォーザの患者で、低血糖で来たんですけれども、その後、リフィーディング・シンドローム、急激に栄養を加えますと肝障害を起こしてしまうということで、少しずつグルコースから1日200キロカロリーぐらいから始めて、徐々に徐々に栄養状態を改善していきます。
 6ページ、そうしますと少しずつですけれども、RTB、Rapid Turnover Proteinという栄養評価の指標ですが、こういったものが少しずつ上がってきて、下のように体重も伸びてきていると。ようやく我々としても、少しほっぺたも膨らんできたかなと思っていると、実は体重がこの後、35キロまで上がったのが減ってきていると。何でかなと思うと、食事を懐に隠してトイレに捨てているという状況が実はわかりまして、ここまで来るともう我々の仕事ではなくて、あとは精神科の先生にやっていただくしかないということになります。
 最後、6例目、これはうちの症例ではないんですけれども、うちの関連病院で、うつ病ということで、一人暮らしでお母さんは入院中、父親は死別で、兄弟とも音信不通。こういう生活歴で本当にサポートのない方、あるいは一般的に言われる生活弱者の方は多いんですけれども、5年間に薬物中毒で9回運ばれてくると。その日のうちに本人は帰っていくというのを繰り返していると。
 これは多分初期において、かかりつけとかあるいは何らかの精神科的な治療がしっかりやられていれば、こういったことにならなかったかもしれないんですけれども、そういった方も薬物中毒ということですと、救急が受けざるを得ないということで、受けては帰し、受けては帰しの繰り返しが続いているというようなことです。
こんな症例を我々受けているんですけれども、もう一個の方でまとめられている資料をご覧ください。
 そういった形で我々どうしても、救命救急センター、救急部、あるいは救急外来として初療をします。ですから、平日、昼間でなければ、先ほど吉邨先生もおっしゃっていたように、夜間、土日となると、どうしても精神科の病院というのは、通っているクリニックも含めて開いておりませんので、我々が月曜の朝まで、あるいは次の日の朝まで面倒を見るということになる。
 それだったら、結局我々が診るんだったら、我々でできることに何があるかということで、これは厚労省の科研費もいただいてつくったものですけれども、まずこういうふうに自殺未遂者への対応ということで、救急外来とか、救命センターのスタッフができることは何かということで、手引きを3年前につくりました。
 2ページ。我々は逆に言えば、身体科で体さえ治す。精神科的あるいは自殺企図に関する知識というのはほとんどありませんので、本当にこれは自殺企図だったのかというのをこういうフローチャートで調べて、希死念慮に関しては、来たとき、意識が戻ったとき、帰す前といったような、こういうリソースさえあれば、それなりにスタッフがやっていくと。危険因子も確認し、他にこういった方に助けてもらえるんだという形で、3ページ目の下の精神保健福祉士とかソーシャルワーカーにお願いするタイミングであるとか、こんなことが頼めるということを我々は学んできております。
 それそのものがもうほとんど教科書みたいなものなので、杓子定規で実際に使えないという意見もたくさんありましたので、今年、よくある質問集というのをつくって、シナリオを5つ、我々がよく初療するシナリオ5つつくりまして、本来、今年の3月に出る予定でしたが、今、最終調整中でもうすぐ出て、どちらも厚労省のホームページから無料でダウンロードできるようになります。こういった形で、つけ焼き刃かもしれないですけれども、我々として身体科救急に携わる者として、それなりに標準化できることをしていこうとは考えています。
 今の2つは、自殺企図患者のみですけれども、ここで今お話しされているように、精神科救急で身体合併症の患者の方は、自殺企図患者だけではありません。先ほど御紹介したような患者がたくさん来ますので、新たに「PEECコース」と書いてあるんですけれども、Psychiatric Evaluation in Emergency Care、これは実はもう登録商標が取れていまして、これの教育コースをガイドブックとともに今、作成中です。
 この中に自殺企図の初療のケースシナリオも含めて、ケースシナリオを幾つかつくって、例えばよくある薬物中毒の患者、ヒステリーの患者、うつ病の患者とか、不穏の患者、あるいは他のいろいろな意識障害かもしれない、そういった患者を幾つか入れて、実は救急医療に関するスタッフというのは、いわゆるOSCE形式の教育コース好きなんです。BLSとか、ACLSとか、JATECとか、脳卒中のISLSとか、彼ら自分らで、これは勉強しておいた方がいいなというのは自分で金を払って、こういう教育コース受講しに来ますので、できればそういったリソースを提供してあげれば、精神科救急に関して何らかのサポートというか、身体科救急でできることがあるのではないかというので、今これ作成中です。
 4ページに、これは目次ですけれども、その内容を入れております。7ケースを入れて、この中でそれぞれシナリオベースで、このうちの幾つかをリストアップしてその場でやると。
 実はこれの原点というのは、厚労省が毎年主催しています自殺未遂者ケア研修というのを3年前から実は、年間1回から徐々に増えて今は3〜4回やっているんですが、それで自殺企図者のケアに関するこういったワークショップだけやっているんですが、それに加えて精神科救急の症例を足せば、もうちょっと救急医療に携わるスタッフがもっとたくさん勉強できるのではないかということで、こういう形で今つくっております。
 7ページでこういう時間割でやって、下のようにこういうフローチャートも入れて、これも多分ガイドブックの中に入ると思うんですけれども、そういったことで今、我々がリソースとして使えるものとして、何とかしていこうというふうに考えています。
 最後に8ページ、実は我々の救命救急センターは非常に恵まれていまして、東京都にあるということで、純粋な本当の精神科救急の患者というのは来なくて、それなりに身体合併症がある患者がおる。
 ABC、これAireay breathing circulationというバイタルサインですが、まずABCが崩れている患者が来るので、我々が初療した方がまず間違いなくいいだろうと。それが安定したときに、逆に安定しそうなときから、あるいは初療でもいいんですが、精神科的な問題がある人、あるいは精神科的な問題で身体合併症を起こした人ということで精神科スタッフとできるだけ早く両方が関与する。それは土日だから、月曜の朝まで、我々がつけ焼き刃でやるよりは多分いいだろうと。
 そういう意味では、朝夕、我々カンファレンスで全患者を。救急医療は非常に多職種でチーム医療が発達しています。そういった点で、その中に精神科スタッフが入ることは大事なことだろうということです。
 今はもう初期研修制度があって、精神科の専門家として選ぶ3年目の先生も、1年目、2年目で救命救急とか救急医療をやっていまして、外科的な処置もやっておりますので、その部分を生かしながら、「後期研修」と書いていますが、精神科医になった後でも救急とか救命救急とかで、ときどき一緒に働いてやっていくことが、今後、精神科救急と身体科救急が顔の見える関係でやっていくにはいいのではないかと思います。
 そういう意味でリソースを提供したりということと、我々が最終的に帰すのは、地域の精神科のクリニックの先生方になります。その先生方に、逆に言えば我々が安心して帰していいとなるような形で、我々は逆に言えば帰すしかないので、その先生方にフォローアップを安心してお願いできるような形にしていただけると、我々としては助かります。これは私が今いる都心の救命救急センターの話であって、地方になるとかなり様変わりするとは思うんです。夜、救命救急センターの医者が1人や2人で当直しているというケースもあって、他科の先生方もいらっしゃらないという患者で、果たしてどれだけのこういう身体合併症を有する精神科患者を受けられるか。それに十分な治療ができるかというのはまたちょっと別なものなのかもしれません。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 どうもありがとうございました。
 続きまして、野田先生から精神科救急医療機関におきます質の評価の取組みについて、御説明をしていただきたいと思います。
野田先生、よろしくお願いします。

○野田参考人 精神科においての臨床指標を用いた医療の質管理の重要性のテーマをいただきました。あと、私どもで開発してきました臨床指標の活用に特化したeCODO、Coercive Measures Database for Optimizationの御紹介を含めて御説明していきたいと思います。
 本検討会で精神科救急の搬送や受け入れ施設の体制整備の議論が進められていると聞いておりますが、前回もeCODOのことが若干話題になったと聞いています。搬送先である急性期治療を担う病院での医療の質を高めたり、均てん化を図る仕組みについて今日はお話しします。
 医療の質を数値化して比較検討するためには、どうしても臨床指標というのが必要になってくるんですが、この下の方の図に、どれほど重症な救急患者さんを見て、何をして、どう改善したのかという一連の流れがあるわけですが、「何をして」のプロセス指標と「どう改善したのか」のアウトカム指標を数値化していく必要があります。
 ページをめくっていただきますと、「何をして」のプロセス指標に関するものとして、今回は我が国の精神科医療で課題になっています多剤大量処方と、隔離・身体拘束の多用を例に挙げたいと思います。
 このグラフは、多剤大量投与のうち抗精神病薬の単剤化に関する調査結果です。左の国別のグラフを見ますと、日本の単剤化率が他の国に比べて少ないという現状は有名なところではあります。
 さて、日本の国内の病院別の調査結果というのがあります。その結果が右のグラフになるんですが、病棟別に見ると、単剤化率、下の方の色の濃いところ、随分とばらつきがあるということがわかっています。
 次、下のスライドになりますが、プロセス指標の次の例として、隔離・身体拘束施行量を今回持ってきました。特に今回は都道府県別のグラフです。左側の方に都道府県別に、人口1,000人当たり、人口当たりの施行率を見ますと、随分とばらついているというのがわかってきたんですが、グラフの縦横の基準線が全国の5年間の平均値です。
 この基準線より右上のエリアというのが、隔離や身体拘束を平均よりは多用しているとか、右下は、隔離を多用している都道府県、左上は身体拘束を多用しているとプロットをされました。
 隔離については、一番少ないところと多いところで4倍ぐらいの人口当たりの差が出てきていますし、身体拘束については8倍になっているということで、かなり違いがあるということが見えてきました。
 近年、身体拘束が630調査、精神保健福祉資料で増えてきているんですが、2003年と、最新のデータが2007年でございます。それで増えてきている都道府県というのを見ると、都道府県全体が一様に増えているわけではなく、増えていない、白抜きのところもあるかと思えば、増えている濃いところもあるということも見えてまいっています。
 今回のように国別の比較、都道府県別の比較、病院別、こういったもので臨床指標の数値が明らかになってきますと、ここに所属する我々医療スタッフは、初めて自分の立ち位置というのが見えてきますし、課題はなんぞやとか、ときには強みもわかるかもしれません。こういったことで、進むべき方向が見えてくるようになります。
 3ページ目になります。
 臨床指標による質管理の有用性は、標準化による質の担保や、客観視による自己向上の推進、医療内容の可視化による理解の促進などがあります。
 このeCODOセンターシステムは、質管理を迅速・継続的に行える仕組みとして、精神科救急学会ともども開発を進めてきました。eCODOには、精神科急性期病棟群の患者データ、主に救急入院医療病棟の患者のデータベースの部分と、行動制限に関するデータベースが格納されています。
 日々の臨床状況を患者データとして入力していきますと、自施設で質向上に役立つ台帳がボタン1個で出てきますと。そうしますと、うたい文句ですが、「もういらない集計作業」「広がるデータ活用」となっていくわけです。
 広がるデータ活用としてこの右下の概略図ですが、経時的にフィードバック情報を受け取るセンターシステムが今年度開発が終わってくると思います。施設からの台帳データというのをセンターシステムにアップロードしてもらえれば、センターサーバーはそのデータを集約してグラフを作成すると。その結果はウェブサーバーを介してフィードバックデータとして各施設が閲覧できると。四半期ごとの速報が出せるような形で、現在開発を進めています。
 実際にどんなデータを扱っているのかというのを、精神科急性期病棟群患者データベース(PQR)の部分については次のスライドにあるんですが、その資料の左の部分にあるような入力項目が用意されています。現在入力項目は50ぐらいあるんですが、これはチームで多職種が自分の部分について入力をするという方式をとっています。1人が50を入力するのではないということです。
 例えば薬剤師が入力すれば、単剤率みたいなものが出てきます。その他、いろいろなプロセス指標になり得るものだとか、アウトカム指標となっていくような改善度や退院先みたいなものも含まれています。病院では、各月の退院患者、右下のサンプルで細かいですが、これらの指標を臨床批評シートとして一発で出てくるようになります。
 次は、行動制限のデータベースの部分になります。行動制限は、全精神科病院で行われるものですし、救急病棟に限らず、全精神科病院を対象としてつくってきています。日々の行動制限の施行状況というのを入力しますと、整備義務のある一覧性台帳の出力が簡便にできますし、その他患者別の施行量、病棟別の施行量の台帳は瞬時に出てきます。
 これは、結構各師長さんが計算するのが大変で、足し上げていくのが大変で、それでくたびれてしまう。実際になかなか広がるデータ活用というところまでにエネルギーが注げないという現状がありますが、そこはもうボタン1つで先に行ってもらうという仕組みです。
 こういった臨床指標を用いた質向上活動というのは、台帳を使っていけば大変有用なものになります。現在、eCODOは4つの病院でもう使い始めておりまして、好評かなと私たちは思っているところであります。
 今、そのeCODOセンターシステムを開発中なんですが、参加施設のデータを集約すると、全体の平均値と自施設の位置というのをデータの持たせているタイプによっていろいろなグラフでお示しするというのが下の方のスライドです。これを速報として四半期ごとに返していくという仕組みをつくっています。
 では、世界的にはどのような臨床指標活動というのはなされているのかという例を今回持ってきました。
 1番目は有名なオーストラリアの活動です。ここは医療の臨床指標を280あまりつくっているんですが、そのうちの26項目が精神科の入院患者の臨床指標で、勿論その中には抗精神病薬の単剤化率だとか、量を表すCPZ換算値が出ていますし、隔離や身体拘束の施行量というのも載っています。この結果が毎年レポートとして、世界に情報発信をPDFの形で誰でも見られるという仕組みをつくってあります。
 次、フィンランドを例に持ってきました。国立保健福祉研究所が、全入院患者さんに対して隔離・身体拘束はどのぐらい行われているのかというのが、あちらは23の医療圏があるので、その医療圏別に時系列のグラフを示して、地域で活用しているという仕組みです。
 あと、マサチューセッツ州の活動の御紹介です。ここのマサチューセッツ州は、アメリカの中でも州を挙げて隔離・身体拘束の最少化に努めたことで大変有名なところなんですが、最少化のために様々な活動を通して、実際に減少が得られたということをホームページで世界に発信をしています。
 最後のスライドになります。我々で練ってきたところを、私が代表して話をさせてもらうことになります。
 海外の状況も考えると、精神科救急医療体制の中で質向上を図るために、臨床指標を測定して質を管理する仕組みづくりというのが必要だと考えています。地方自治体は、公的医療の実施状況を把握する役割もあるのではないかという話が出ていました。
 今後、御議論をいただく際の参考として、3つの可能性をまとめてきています。全体の底上げを目指しまして、医療の質向上システムの整備、サーバーを買ったり、ネットワークを張りめぐらしたりとか、そういったものに対する事業とか、初期投資の部分の事業としてできないかとか。より質の高い医療を提供した場合に、診療報酬で評価するということが可能かとか、特に行動制限を短くしていくということは、人手も投入をし、様々な工夫をしていくわけですが、そういったものへのインセンティブみたいなものも考えられると思います。
 3番目としては、精神科救急医療体制や公的医療について、隔離・身体拘束も含めて実施状況を把握する。こういったものを各都道府県が設定する医療計画の中に盛り込む可能性もあるのではないかという意見が出ておりました。
 以上で、発表を終わります。

○福田精神・障害保健課長 どうもありがとうございました。
 それでは、事務局の説明、そして今の4名の先生方からプレゼンテーションいただきましたけれども、それを踏まえて、これから意見交換、それからプレゼンテーションされた方への御質問という形で進めさせていただければと思います。
 本日のテーマは、大きく分けまして2つで、1つが救急医療の提供体制の関係、特に精神科と一般科の連携についてという部分。もう一つの方が、今、プレゼンテーションありましたけれども、質の評価の部分であったかと思いますので、残り時間、これらに分けて一応意見交換、質問をさせていただければと思っております。
 まず最初の方は、精神科の部分と一般科の連携について、事務局の方から冒頭御説明があって、論点案も示されております。その後で各先生方からプレゼンテーションいただいた点も含めまして、事務局で提示した論点案を参考としていただき、構成員の皆様方から御意見、また御質問をいただければと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。
 プレゼンテーションが大分であったので、ちょっと時間がかかるかなという感じではありますけれども、ある意味では、あるべき姿の議論というのが一通りされているんだと思うんですが、そういう観点からしたときに、今度現実的な問題という部分で、どういうふうに優先順位をつけて進めていくのかなというところが出てくるんだと思います。そういった観点から、もし行政の観点から何か御意見があればということで、木下構成員、何かございますでしょうか。

○木下構成員 岐阜県で現在いろいろと取り組んでいるところですが、事務局の資料の2ページの実施基準の策定状況として、平成22年12月に岐阜県でも救急に対する実施基準の策定を行っております。
 3ページ、左から3列目の特異性の精神疾患のところ、岐阜県は今、空欄になっているのですが、平成22年12月時点ではまだ策定が進んでおりませんでした。その後、本年、23年2月に消防と医療の連携協議会という場を設けまして、この12月に策定した実施基準の際に繰り越した課題の1つとしまして、精神疾患についてどうやっていくかということの検討を進めました。
 その中で県としまして、精神科救急患者のフローチャートというものを関係機関と合意の上で決めまして、現在そのフローチャートに沿った形で運用しているところです。その中で、実際にその精神科救急の対象となるか、どういった場合はどう対処するか、精神以外の救急医療が必要な場合にどういうふうにコーディネートを行っていくのか、その後の対応方法というもののフローチャートをつくりまして、現在一般救急と、精神救急の方は輪番制を敷いておりますので、その関係機関とで共有して、患者さんが発生した場合の対応を進めているところです。
 その中でもやはり、精神科救急情報センターを、県の方でも設置して取り組んでいるところですが、やはり当日の当番病院の紹介まではできるのですが、そこでうまくコーディネートできなかった場合の医療機関との調整といったところまではなかなか実施が難しくて、その連携が困難なケースについては保健所を中心に各地域の医療機関との連携を図っているという状況にあります。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 どうもありがとうございました。
 その他、御意見、御質問ございますでしょうか。
 平田構成員、お願いします。

○平田構成員 杉山先生からいろいろと、現状を踏まえた有益な提案がなされていると思うんですけれども、現状では、身心複合ケースについては、縦列モデルが圧倒的に多数派を占めているわけです。これがどのぐらい機能しているかということを評価するための方法というのはありましたでしょうか。

○福田精神・障害保健課長 杉山構成員、お願いします。

○杉山構成員 ちょっと思い浮かばないですけれども、やはり振り返って報告をしていただくとか、どういう点が問題だったかというフィードバックとか情報収集システムというのは、先ほどの医療の質の中で述べられていたように、思い付くのはそういったところでしょうか。
 それから、ここのところがなぜ連携がもたついてしまうかと考えたときに、理解不足なのか、それとも資源がそもそもないということなのか、それとももう一つ大きな問題として診療報酬上、連携しろと言っておきながら、連携をすると、損と言うのはおかしいですけれども、下がってしまう。促進するんだったら、そこを評価してもらうということも、同時の方向に行っていないとおかしいと思うんです。
 そんなこともあって、事後どうだったかということも、同時にそういったものも含めて、それが、では仕組みをよくしたらそれがよくなったのかということも連動して評価していくような構造は面白いかなと思うんです。

○平田構成員 ですから、いずれそこの身心複合ケースの医療に対する機能評価の方法も考えていくべきだと思います。
 一方では、並列モデルである有床の総合病院精神科を増やすのは無理にしても、減らさない、絶滅させない方法をね。その辺のことについて、もし何だったら渡構成員の方からコメントいただけますでしょうか。

○福田精神・障害保健課長 渡さん、お願いします。

○渡構成員 本当に根本的な話になってしまうんですが、なぜその一般救急と精神科救急が連動できないか、あとはなぜ合併症ケースでこれほどまで皆さんが困っているのがわかっているのにうまくいかないかというところの根本を考えると、やはりこの検討会の中でも合併症という定義がもしかすると人によって相当違っているのではないかというのが1つございます。
 というのは、三宅先生の精神的な一般救急での取り組みを伺わせていただきましたが、例えば三宅先生が出されたような症例も、あのぐらいのレベルを実は宮崎県の県立宮崎病院では精神科の方で診ています。吉邨先生から提示された幾つかの総合病院の役割とありましたが、措置入院で、かつ身体的にも例えば手術が必要とかそれぐらいのレベルの方もいるし、慢性期の精神科の疾患を持っておられて、一般病床では診られないからとりあえず診てくれというケースもいるし、合併症の中には、恐らく緊急度であるとか、疾患の特異性というものにかなりばらつきがあると思います。
 なので、では合併症整備をしてくれと言ったときに、お互い一般救急で「これ合併症だ、おまえのところで診てくれ」と言いますが、精神科では実はそれは身体科だろうと思っていたりする。その辺のキャッチボールがうまくいかないというところで、やはり現場では困っているのではないかという気がいたします。
 なので、身体合併症を議論するときに、その合併症をもう少し違う軸で、ただ単に入院が必要なレベルということではなくて、その緊急性がどうなのかとか、あとは疾患によってどういう医療サービスが必要なのか、もう少し具体的に突っ込んで制度を進めて、方向性を提示していただくと、現場はもう少し受け入れやすいのかなという気はしております。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 そういう意味では、吉邨先生のところで少しプレゼンテーションの中でも、幾つかのパターン別という形で、いわゆる身体の部分が優先される部分とか、精神の方に置くけれど身体管理は一定のレベルしなければいけないようなものとか、幾つか条件分けみたいなことを提示していただいたと思うんですが、今の渡構成員のコメントを踏まえて、吉邨構成員の方から何か追加の御意見とかございますでしょうか。

○吉邨構成員 追加というか、本当に先ほど定義の話がありましたし、難しい話なのかなと思っています。これはあくまでも精神科救急医療体制の中での身体合併症ということでしたのでこれに限定していますけれども、通常の、いわゆる医療の中での身体合併症はまた別問題として、私の中ではとらえています。それは、医療連携ということでしょうし、精神科に依頼されて身体科を協力してやっていくということなんだと思います。
 救急の中での身体合併症は、ある意味特殊なのかもしれないし、早めに対応しないといわゆる生死に関わることになるでしょうから、トリアージをしっかりして、協力して、今も並列モデル、縦列モデルという話はありましたけれども、なるべく並列モデルの対応ができるような医療機関を増やすような取組みは、考えていただいた方がいいのかなと思っております。 
以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 並列モデルを増やすというインセンティブというのは、何か具体的にございますか。

○吉邨構成員 増やすと言っても増えないと思っています。先ほどもお話ししましたけれども、今も2病院が計画しているぐらいであって、全然その他話が出てきませんし、特に私立の病院はまず手を出さないんだと思います。それは看護師さんを、その部分あるのであれば他の病棟に配置した方がいいですし、そちらの方が十分、いわゆる利益誘導ということになるんだと思います。
 ですので、いわゆる公的な病院、もしくは政策医療として何らかの形での関わりを明確にするのが手っ取り早い方法かなとは思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 そういう意味では、平田構成員がおっしゃられた縦列モデル、これがまずきちんと機能していくところも重要なポイントという形になるのかと思いますが、そういう意味で、今度逆に縦列モデルがうまく進んでいくためのポイントになるところで、何か御意見ありますか。
 吉邨先生、どうぞ。

○吉邨構成員 縦列モデルに関しても、一般病院の中の精神科はやはり重要な役割を示すことになるんだと思います。病棟がどんどん減っているというのは、資料に示したとおりですし、少なくとも病棟が減るようなことがこれ以上進まないような取組みをしていただいて、その残された資源を有効に生かしていただくというのは考えていただく必要があるのかなと思います。
 並列モデルにしろ、縦列モデルにしろ、一般病院の精神科が頑張るぞというわけではないですけれども、もうちょっとインセンティブを持って活動できるような状況は、我々の方も一生懸命やらなければいけないと思っているし、行政の方でもそれを誘導できるようなインセンティブというのは示していただいた方がいいのかなと考えています。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 では、杉山構成員、お願いします。

○杉山構成員 インセンティブと出るんですが、事業費の中にしっかりと身体合併症医療事業というのがあるわけです。実際はそれが使われていなくて、現場で身体合併症医療が盛んに行われていて、それが結び付かないというところは大きな問題ではないでしょうか。
 どうしてなのか聞くと、三宅先生御存じだと思いますけれども、こういう事業がありますということに気がつかないんですね。知らされなければ気がつかないということもあると思うし、その辺が、精神科の中ではある程度周知されていて知っていても、一般科の先生がどういうふうにこういった事業があって、というようなことは1つ重要ではないかと思われるんですが、浸透しないという理由はそういうことだと私の認識不足かもしれませんけれども、どうしてかということを考えたときに、せっかく準備してあるものであればという気がしますし、不要額がという話が前回ありましたけれども、そこも含めて考えていくと、ここは大きな問題というか、やはり推進するためのチャンスがあるのではないかと思います。

○福田精神・障害保健課長 三宅構成員、どうぞ。

○三宅参考人 今の話なんですけれども、実は2年ぐらい前に、厚労省の担当の方が日本臨床救急医学会の中で、そういった身体合併症でちゃんと整備事業があります、だからやってください、使ってくださいという話が出たんですけれども、結局これは厚労省と自治体の合併の事業ですね。ということは、自治体がOKをしないとこれは動かないということで、我々基本的には援護局とつるむというか、カウンターパートでは基本的にはなくて、医政局とか、そちらの方が救急関係なので、そっちがカウンターパートで。そこに聞いてみたら、我々そんな話は知らないと。聞いてみるとそっちの方から出ている事業であって、では、頑張ってやってみようかというと実は厚労省、国と県の合併の合同の何かあれですね。それで結局みんなあきらめて、ここにあるような数か所しかやっていないと。
 現実は、ほとんど救命救急センターなり、そういった救急医療関係が身体合併症の患者の初療に当たっているというのが現実のようです。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
行政の仕組みにもかなり原因があるというような感じかと思います。その他、御意見、御質問ございますでしょうか。
 三上構成員、お願いします。

○三上構成員 吉邨先生がおっしゃっているように、一般病院精神科への受け入れについては日勤帯の対応が基本だというのは、これは本当に大きなところで、基本的に救急の場合には縦列モデルの方がおそらく対応しやすいというのは、当然そうだと思います。いろいろな科がいるのではなくて、緊急度に応じてそれに合ったものが対応し、落ち着いた段階で並列モデルといいますか、一般科と精神科との両方で診られる状態になればよいと考えます。ですので、日勤帯に並列モデルに入るという設計が一番よいのではないかと思います。
 当初の緊急時は、その患者の状態に応じて縦列で対応し、精神が優先すれば精神の方、身体が優先すれば身体の方を緊急で診て、その後、一晩経って状態が落ち着いたら日勤帯に並列モデルに移行するといった形を設計すれば、ある程度は動くのではないかと感じました。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。
 その他、御意見ございますでしょうか。
 平田構成員、お願いします。

○平田構成員 杉山構成員のプランに私も賛成なんですけれども、縦列モデルがうまくいかない原因の大きな点として、身体科の方はよくわかりませんけれども、精神科における身体管理能力のばらつきですね。施設間のばらつきと、医者個人間のばらつきが非常に大きいんです。当直医の臨床能力によって対応に非常に大きな差が出てきてしまう。
 例えば新臨床研修制度を経由したドクターは、恐らく身体管理能力が非常に高いと思うんです。だけども、その以前のドクターたちはかなり差はあります。私より若いドクターでも、静脈ルートが取れない精神科医もいるんです。アメリカの精神科医は大体そうだという話ですけれども、アメリカ流だと自分たちでは言っているようです。ですから、合併症があるという情報が入ると、もうそれだけで身体科の方に無条件で振ってしまうというような医者もいますし、その逆もあります。
 それから、合併症の急性期の治療が終わったから、では精神科でとってくださいと言われたときにも、対応能力に物すごい差があって、ちょっとでも何か特殊な治療が続いていると、精神科ではとれませんという当たりで、大分齟齬が生じているような気がしますので、これは標準化するのが勿論理想ですけれども、何十年か経てば精神科の医者の身体管理能力はもう少し均てん化されてくる可能性はあるんだけれども、今の段階ではなかなか難しいので、その辺は地域ごと、あるいは病院間でいろいろな取り決めをしていく必要はあろうかと思います。
 もう一つ、いつも気になっているのは、いわゆるスーパー救急病棟から、身体的な何か問題があって、身体救急なり、身体科にコンサルテーションをお願いして、1日でも転院してしまうと、もう帰ってくると算定外なんです。この不条理も何とかしていただきたい。合併症のスーパー救急で、精神科から転院してきた患者があらかじめ算定外というのも、これも不条理な話ですけれども、精神科の急性期から、身体科に1日でも行って帰ってくるともう算定外という話も、何とかしていただかないと、なかなかこの縦列モデルがうまく機能しないかなという印象があります。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 今のお話に関連して、千葉構成員、何かございますでしょうか。

○千葉構成員 お金のことばかりで恐縮ですが、精神科の病院の診療報酬は、合併症を診るということに対しては、大変不利な形をとっております。この間、身体合併症の治療加算の話もしましたが、例えば自分たちである程度サポートいただきながら治療を継続するといった場合に、週に一度、その専門医を受診して、戻ってきてやる。でもこの受診した日の入院料というのは、どうなるかは御存じのとおりで、その他一番低い基本料になってしまうということがあります。
 わずか2時間ほど行ってきただけで、1日分の入院費がばったりと下がってしまうのでは、そういうような方々をたくさん抱えていくということは非常に難しかろうということもあるんです。
 それと、やはり現在の精神科の中で合併症のユニットをつくったとして、そこにきちんとしたバリバリの内科医を雇えるだけの、入院費をいただいていないと。少なくともその部分だけはちゃんともらわないと、そういう方々を雇用する原資がないということが、経済的にはあろうかと思っているところがあります。
 しかし、どのようにしてみても、実はちょっとデータがありまして、現在の病院協会、日本精神科病院協会の中の7割ほどの病院に、精神科以外の他の科の先生がおられるんです。ですから、そういう意味では、以前よりずっとそういうふうに身体的に診るような素地はできてきているんですが、しかしどうしてみても、そこで例えば骨折があったら診られるのかとか、やはりある一定以上のレベルの部分を診ることはできないので、そうなった場合にやはり転科するというような形が起こってくるんだろうと思います。全てそこで全部完結できるようなわけではないということは言われています。
 もう一つ、ちょっと私が気になっていると言いますか、よくわからないんですが、それは吉邨先生、平田先生にお聞きしなければならないんですが、総合病院の精神科で、合併症の患者さんを診るのがいいのか、総合病院の一般科で入れていただいて、精神の方を診て、そしてその総合病院の病床ではない一般病床で診ていただいた方が本当はいいのではないかと。
 合併症だけのことを考えれば、総合病院の精神科の病床はむしろ要らないのではないかと。ただ精神科医は必要だと思うんですが、一般病床の中でちゃんと普通に診ていただいて、そしてそれに対して精神科医がきちんと精神科の疾患の治療、あるいは必要であれば指定としての拘束うんぬんといったことをサポートできれば、一般病床の中で診ていただく方が、総合病院の場合はいいのではないか、その辺はどうなんだろうなと思っているんですが、もし何かコメントがあれば。

○福田精神・障害保健課長 まず、吉邨先生、三上先生、平田先生、どうぞ。

○吉邨構成員 極論としては、ずっとありだと思っています。一般病床の中で診ることができればいいんですが、やはりその辺、歴史的なものなのか、根強い拒否感というか、看護師さんの中でも、病棟のスタッフの中でも、一般病棟の中でなかなか受け入れられていないものはあるんだと思います。
 それと、今の救急病院においては、やはりお荷物になってしまうんです。10日前後で対応するような救急病院にとって、精神科病院から来た患者さんはすぐに帰れない方が多かったりして、そうするとやはり、同じ診るのであれば、そういうことがない患者さんを診るのがやはりあるのかな、そういう方を優先するのが多いのかなというのが、普段思っている気持ち、実情です。
 特に病床利用率の問題もあると思うんですが、救急病院で九十何パーセントで動いているところであれば、敢えてそういう患者さんを入れないで対応しているところは多いのかなと思っています。

○福田精神・障害保健課長 三上構成員、お願いします。

○三上構成員 総合病院における精神疾患を有する患者への一般病床と、精神病床とでの対応については、身体救急といいますか、手術が必要な場合は当然一般病床で手術を受けるという形になりますし、それが安定して、術後管理については精神病床で対応することが望ましいと考えます。あるいは精神科救急で慢性の身体合併症を持っている場合には、精神病床での対応が必要だと考えます。
 私の病院にも一般病床と精神病床とが半数ずつありますが、精神疾患を有する患者のうち人工透析が必要な方については、精神病床で対応し、手術の場合は当然一般病床で対応するよう分けています。

○福田精神・障害保健課長 平田構成員、いかがでしょうか。

○平田構成員 先ほどの千葉先生の御意見は、一方の正論だと思います。はっきりと精神科医は身体合併症を診るべきでないと断言している千葉大の教授なんかもいます。
 確かに精神科の医者だけを複数そろえて、入院対応は一般病床でやるというスタイルは少しずつ増えてきているような感じはします。最初のモデルはたしか、日本医大の北総病院なんです。日医北総。それから、神戸の西市民病院ですか。あそこの先生もそれをやっていますし、静岡では静岡市立病院がそのパターンです。
 その方が病院にとっても経営負担も非常に軽くて済むわけです。普通の一般病床の診療費が取れますから。そういう経営的なメリットがあるものですから、御荷物になるような精神病床を抱えなくても経営的には安心できるというメリットがあるんですけれども、ただし、三上先生おっしゃられたように、行動病理と言いますか、行動上の問題の激しい人は、やはり最初から敬遠されますし、精神病棟でなければ診られないと。ですから、精神症状も激しくて、身体管理上単科の精神科病院では無理だという人に対して、一般病院の精神科病床というものはニードはあると思います。
 ただやはり、生き残るためにはもう少し経営上の条件を改善しないと生き残れないと思います。今の3万4,000円ではだめです。最初は5万ぐらいないと。平均してでも1日4万円しないと、一般病院では生き残れないというのが現状のようです。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 残りの時間も限られてきましたので、質の評価の部分も含めまして、御意見、御質問をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 平田構成員、お願いします。

○平田構成員 野田先生が非常にきれいにまとめていただいたので、私、何もコメントすることないんですけれども、是非このデータベース化を全国的に広げていただいて、精神科医療の透明性を高めるという意味もありますし、医療技術というものを向上させるためにも、相互批判と言いますか、そういうことができる、ピアレビューがちゃんとできるようなシステムをつくっておかなければいけませんので、是非進めていただきたいということと、国に対しては、そういうことを進めるためのいろいろな制度的条件をつくっていただきたいと思います。例えば初期投資に対して国庫補助をするようなシステム。これは救急事業の中で組み入れていただきたいと考えますし、勿論最初はそういう形で補助金事業で始まるものも、技術として定着させるためには診療報酬の中に反映させていかなくてはいけないと思いますので、このシステムを採用している急性型の包括病棟がこのシステムを採用した場合には、1つランクアップして診療報酬体系をつくっていただきたいと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 その他御意見ございますでしょうか。
 千葉構成員、お願いします。

○千葉構成員 もう重々中身をこれをされる中ではおわかりのことだと思っていてあれですが、治る方々ばかり、アウトカムを見込める方々ばかりを入れていけばポイントが上がっていくといった形にならないように、非常に治りにくい患者さん、重度遷延の方々を、今の民間の精神病院は非常に多く抱えていて、ここの部分をどうしようかということがあります。
 ターミナルまで、我々が最後まで診なければ、現在のそういう方々が生活をできるような施設やそういうものはないわけでございますので、では、それはどうなるのかというと、そこを引き受けているところがポイントが下がると、評価が下がるといった形ではない評価のシステムを是非開発研究をしていただきたいと、その視点も是非取り入れいただきたいと思います。

○福田精神・障害保健課長 そういう意味では、重症度補正みたいなものは入っているんでしょうか。

○野田参考人 はい。例えば隔離・身体拘束の期間みたいなものの数値が出たときには、どういう背景なのかという基本的な属性で補正をしていかないと、いわゆる評価表という形で出す場合はしていかないといけないと勿論思います。
 あと、単純に数字を比較してピアレビューのような形でするときには、自分たちは特別に重症な患者さんを診ているのかもしれないという観点で、ではその患者さんにどうしていったらいいのかという、次の作戦を練っていくとかと活用していただければと思っています。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 杉山構成員、お願いします。

○杉山構成員 この評価に関しては、もともとは救命救急センターの評価表というのがあって、それでランクAとかBとか、それによって報酬体系も変わっていたと思います。それを基にこの評価表をつくり始めましたが、やはりアウトカムというものを示さないと、なかなか質の評価というところには至らないという結論になって、独自のものをつくっていった経緯があります。それは世界的な動きでもあったということももうお示ししたとおりです。
 少なくとも、事業としてやっている以上は、何をやっているかを示さないといけないと思います。その中でどんなことをやっているのかということをしっかり開示して見せていかないと、どんなことをやっているからどれぐらいの評価ですよということもついてこないので、周りの人に何をしているのかわかっていただいて、これはこれだけの価値のあるお仕事ですねということが必要だと思います。
 そのアウトカムで、例えば軽症の患者さんをたくさん診て治ったと。アウトカムも非常によろしいと。重症の患者さんを診ていて、皆さんそういうことを考えると思うんですが、救急の場合は患者さん選ぶわけにはいかないということがあります、1つには。
 この仕組み自体がアウトカムだけに着目して最終的に評価を下すというものではなくて、やはり1つ見える形にして、自分たちの自己向上を高めていくことと、理解を得ていくところに重きを置いているという形で、私たち開発側は考えているということで付け加えさせていただきます。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。
 その他御意見、御質問ございますでしょうか。
 木下構成員、お願いします。

○木下構成員 今日御紹介いただいています各国の取組みですけれども、これは目標としての地域全体の医療の質を高めるということが主眼にあって、こういうシステムをつくられていると思うのですが、このオーストラリア、フィンランド、マサチューセッツ、個々の医療機関のデータも開示されているものかどうか。それとも地域全体として改善したということを目標にしているという理解でいいでしょうか。

○野田参考人 今回持ってきたオーストラリアは、州別ものしか我々は見られないです。世界に情報を発信しているものは、オーストラリアは全部で5〜6か所に分かれているんですかね。フィンランドの方も医療圏という形ですし、マサチューセッツ州は自分の州なので、まとめた数値しか出ていません。
 なので、病院別の数値というのは、カリフォルニア州は7つの公立病院があって、その公立病院の1つの病院の数値を世界に発信しているというのは私は1か所知っていますけれども、多くは医療圏とか州とかの単位で世界には発信しているとなっています。

○木下構成員 自治体の立場からしてみると、個々の医療機関というよりも地域全体でどうなっているかがわかればいいかなと思っているところもありまして、そういう目的に使うというのであれば、関係機関の理解も得られやすいのかなとは思っております。

○福田精神・障害保健課長 平安構成員、お願いします。

○平安構成員 遅れて来て申し訳ありません。
 横浜市大の市民総合医療センターの精神科病棟は5月1日から精神科救急病棟に認定していただきましたので、幾つ目ですか、先ほどありましたけれども、1つ増えたということになります。
 そこで、高度救命救急センターと、精神科救急病棟の両方を持つ施設ということになりまして、精神科と一般科の連携という中で、いわゆる3次、3次、両方の3次を持っている施設という形で、モデルの1つになれたと思っています。
 ただ、地方とか、日本全体で、こういった機能が持てるというのは、人がきちんと集約できないと難しいです。そういう意味では、行政側は各県にそういった施設がまず1つずつできるような仕掛けをしていただきたいと思います。そもそも質の評価にしても、一番難しいところをできる施設がないと、結局どこも扱えないという話になってしまいます。やはり救命センターと精神科病床があって、急性期も診られるという施設を整備することが、まず重要ではないかと思います。
 そのためにモデルとなるような病院に人を集める必要があります。一般精神科病院で身体疾患の2次とか3次の患者さんを診るのは当然無理なわけで、逆に2次をやっているような一般病院で精神科病床がないところに精神科の閉鎖病棟に入院しないといけない患者さんを何とか診てくださいというのも無理なわけです。現状は、いろいろなところでキャッチボールをして、そのうちに手遅れになっているということが、事例化してきているわけです。大都市部では確かに人がいますから、神奈川県がいい例ですけれども、ある程度整備が進みますが、これを日本全体に広げていくためには、できるところからという形でもいいんでしょうが、そういった形が進まないと、地域差がどんどん拡大していくことになると思います。
 あと、連携が本当にできるかという話になったときに、今、本当に精神科と一般科はいろいろなところで格差がある。このことは今日参加なさった先生方は、本当に考えていると思います。当然法律での違いもありますし、診療報酬上の違いもありますし、施設基準等でもかなり違いがある。それが総合病院精神科のひずみになってきているわけなので、少なくともきちんとした救急を、精神も身体もきちんとやっていける病院に関しての基準については、同じ土俵で精神科が身体科と評価されるような仕組みを是非つくっていただきたい。これはすぐにできないでしょうけれども、将来的にはそこまで持っていかないと、精神科の医師たちも身体科と同じようにやろうと思っても、うちは低く見られているというところで行き詰まってしまいます。当院では精神科救急病棟を作るという案は、横浜市とも相談して、長年やってきていたんですが、これまでの病院長は身体科の医師ですから、なかなか踏み込めないところがありました。たまたま私が精神科医で病院長になったので、一気に進んだというのがあります。それには勿論いろいろな方のお助けがありました。
 3点目は、今までもお話がありましたように、後方の問題です。幾ら3次3次でそろえても、その後方への移送が滞ると救急が成り立たちません。一般救急でさえ後方移送がうまくいかないと行き詰まってしまいますから、ましてや精神が加わると、本当に難しい話になってしまいます。例えば精神科救急病棟にしても、自宅への退院率という基準があります。60%とありますね。重症の身体合併症がある方を自宅に返せるかというと、当然返せない方が多いわけです。そこで後方の病院に回すとそれだけで自宅退院率が低くなってしまいます。そういった細かいところについて、合併症医療が促進できるような修正というのは、今すぐできることかもしれませんから、考えていただくと、合併症事業なり、政策なりが進むということになるのかなと思います。
 ちょっと話しが長くなりましたけれども、皆様のすばらしいプレゼンテーションをお聞きして、私の病院管理者としての視点も含めて言わせていただきました。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。うまくまとめていただいたような感じで、ちょうど時間になりましたけれども、その他、是非にという御意見はございますでしょうか。
 それでは次回以降もございますので、今日の点も含めまして、また次回以降、御意見をいただければと思います。
 それでは、事務局の方から、次回の検討会の日程等について説明をお願いします。

○中谷課長補佐 次回の日程ですが、7月28日木曜日18時30分から、当省の18階専用第22会議室で行いたいと思います。議題は「公的機能としての精神科救急」を予定しております。
また、厚生労働省では、スーパークールビズを励行しておりますので、皆様も是非軽装で御出席くださいますようよろしくお願いいたします。

○福田精神・障害保健課長 本日は蒸し暑い会場で、どうも失礼いたしました。
 本当にどうもありがとうございました。以上をもって閉会といたします。


(了)
<照会先>

社会・援護局障害保健福祉部
精神・障害保健課精神医療係

電話: 03-5253-1111(3058)

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