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2011年10月6日 第6回医療計画の見直し等に関する検討会議事録

医政局指導課

○日時

平成23年10月6日(木)10:00〜12:00


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○出席者

委員

武藤座長
伊藤委員 尾形委員 神野委員 齋藤委員 佐藤委員 末永委員
鈴木委員 中沢委員 長瀬委員 伏見委員 布施委員
安部参考人(山本委員代理出席) 吉田委員
安西参考人 伊藤参考人 河原参考人

○議題

「精神疾患の医療体制構築に係る指針」の論点について
医療計画における主な課題について

○配布資料

資料1−1精神保健医療の現状と取組状況(厚生労働省障害保健福祉部精神・障害保健課)
資料1−2精神医療の医療機能分化(救急・専門など)(東京医科歯科大学大学院 河原教授)
資料1−3医療計画における精神疾患について(国立精神・神経医療研究センター 伊藤部長)
資料2二次医療圏の設定のあり方、指標の設定・評価のあり方について(厚生労働省医政局指導課)
山本委員提出資料

○議事

○石川室長 それでは定刻となりましたので、ただいまから「第6回医療計画の見直し等に関する検討会」を開催いたします。委員の皆様方、また参考人の先生方、本日は大変お忙しい中、また遠方よりご出席賜りましてありがとうございます。
最初に、本日の出席状況ですが、山本委員がご欠席、その代理で安部参考人が出席されております。また、本日は参考人として3名の方にお越しいただいておりますのでご紹介いたします。東京医科歯科大学大学院・医療政策学講座の河原教授です。国立精神・神経医療研究センター・精神保健研究所・社会精神保健研究部の伊藤部長です。同じく国立精神・神経医療研究センター病院の安西副院長です。後ほど河原先生と伊藤先生にはご発表をお願いいたします。
 議事に入ります前に、事務局に人事異動がありましたので、紹介をさせていただきます。医政局総務課長の池永です。指導課長の井上です。私が医政局指導課・医師確保等地域医療対策室の石川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。また、本日は社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課福田課長も出席をしています。
 議事の前に資料の確認をさせていただきます。お手元に議事次第、委員名簿、座席表、資料1-1、資料1-2、資料1-3、資料2、最後に山本委員の提出資料となっております。不足等ありましたら事務局までお申し付けください。
 それでは、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。これからの写真撮影はご遠慮願います。以降の進行を座長にお願いいたします。

○武藤座長 それでは今日の議事に移りたいと思います。今日の議事は、2つポイントがあります。1つは「精神疾患の医療体制構築に係る指針」の論点について、もう1つは「医療計画における主な課題について」この2つの課題について行っていきたいと思います。まず最初に、精神疾患の医療体制構築に係る指針の論点について、福田課長からご説明をお願いいたします。

○福田課長 お手元の資料1-1に基づきまして、「精神保健医療の現状と取組状況」について簡単にご説明をさせていただきます。
 2頁をご覧ください。「精神保健医療福祉施策について」と書かれているものです。上の四角の所に現状と課題をまとめていますので、そこを中心にご説明をさせていただきます。近年、精神疾患を有する患者数は急増しております。入院患者さんを疾病別に見ると、統合失調症の患者さんは減少傾向にある一方、認知症の患者さんが急増しているというのが現状です。結果として、精神病床数は、35万床前後でほとんど減少していないという現状です。
 我が国の精神科の医療につきましては、歴史的に入院医療中心で進んできておりまして、いわゆる社会的入院の患者をはじめとして、いまだに数多くの長期入院患者が存在をしているというのが実情です。一方で、うつ病等の気分障害の患者数は100万人を超えるという状況にあります。平成8年からの12年間で約3.5倍に増えているという患者調査による実情があります。以上ご説明させていただきました点の詳細につきましては、2頁、3頁のグラフをご覧いただければ、より詳しい内訳がわかるような形になっていますので、ご覧をいただければと思います。
 次に4頁をご覧ください。先ほどの課題等を踏まえまして、現在の精神保健医療改革への取組状況ということで、現在、検討を進めている事項のいくつかについてご紹介をさせていただきます。1つは精神疾患の患者さんは見えにくくて変化がしやすくて、そしてまた治療にアクセスがしにくいという、他の疾患に比べて、こういったような特色があるわけでありまして、そういった方々が地域で生活するに当たっては、そういった方々がいらっしゃる場所に、実際に出向いていくという(訪問支援)アウトリーチの推進が必要である。在宅、地域での生活を支えるための精神科医療が重要な柱となっているということで、現在そういった点について検討を進めています。
 また、先ほどご説明申し上げましたように、認知症の患者さんが増えてきている。さらには入院患者さんも増えてきている現状にありますので、認知症に対する精神科医療の役割は、一体どういうものであるのかというような点につきましても、現在検討を進めているという状況です。これらの検討につきましては、厚生労働大臣政務官を主担当とする、有識者、当事者にも入っていただく形の省内の検討チームで検討を進めているという状況です。
 また、地域生活を支えるという意味では、いざというときの対応が重要ということで精神科救急医療の在り方について、現在併せて検討しています。そういった点につきましていくつかご説明をさせていただきます。
 5頁をご覧ください。冒頭申し上げました現状と課題につきましては、政府の閣議決定の中でも検討するべき事項として位置づけられておりまして、(4)医療の所で2番目の○ですが、_が引いてあります。精神障害者に対する退院支援や地域生活における医療、生活面の支援に係る体制の整備について、検討を行うことということで閣義決定をされています。こういった文脈も踏まえまして、現在、さまざまな検討をさせていただいているという状況です。
 具体的に簡単にご紹介をさせていただきます。6頁をご覧ください。従来、入院中心、そして退院したあとも外来、デイケアが中心の精神科医療であったわけですが、さらに地域生活を支えていくという意味で、新たな取組を強化すべきであるという文脈の中での議論です。在宅の精神障害者の生活を、医療を含む多職種のチームで訪問等で支えるという「精神障害者アウトリーチ推進事業」を平成23年度から、特別枠という形でモデル事業的に、いま全国で展開を始めています。
 具体的には想定されるチーム構成、多職種の方々によるチームによりまして、対象者としては、受療中断をしやすいという性格がありますので、受療中断者や未受診の方、ひきこもり状態になっておられるような方、長期入院の後、退院しておられて病状が不安定であったり、地域生活が不安定だと、こういった方々で特に統合失調症や気分障害、認知症による周辺症状があるような方を対象にして、現在モデル事業を進めています。現在の診療報酬上の枠組みの中では、訪問診療では十分に支え切れない部分があるということで、諸外国で行われている多職種のチームというようなものを日本に導入した場合に、どのくらいのコスト等がかかるのかというようなことも併せて検証して、将来の制度化につなげていこうといったものです。精神疾患を持たれている方の地域生活をどのように支えていくかというところで、入院外の部分のところの対応を考えています。
次に8頁をご覧ください。こちらのほうは、認知症と精神科医療という関係で、増え続ける認知症に対して、精神科医療の果たす役割は何かという点につきまして、検討を進めています。実際に患者数は増えており、また入院患者さんの多くは、精神の病床に入院している状況です。そういった入院患者の多くが一定のレベルですが、身体合併症も多くの割合で有しています。一方で入院患者のうち居住先が労の支援が整えば、近い将来には退院が可能な方も約半数ぐらいいるというようなことを、現状と課題のところにお示しをしています。
 9頁をご覧ください。そういった観点から、現在、省内の検討チームにおいて検討している中で、認知症と精神科医療についての基本的な考え方を整理をさせていただいております。まず、精神科医療の役割としては、専門医療機関による正確な診断を受けることができるような体制をまず目指すべきであろう。
 2番目に入院を前提とするのではなく、地域での生活を支えるための精神科医療とすべきであろう。その際に訪問、外来の充実を図っていく必要がある。支援先としては家族だけではなく、介護者も含めた支援が必要であろうということです。
 3番目ですが、BPSD、これは認知症の患者さんが妄想とか不潔行動とか、そういった周辺症状を出すことがありまして、その部分をBPSDと申しているわけですが、そういったBPSDや身体疾患の合併により入院が必要となった場合にも、速やかに症状の軽減を目指し退院を促進する、そういった医療であるべきであろうというようなことを基本的な考え方として整理をいたしております。
 それを具体的にどう進めるのかということの1つの議論の方向性として、お手元の資料の11頁をご覧ください。基本的な方向性は合意がされておりまして、いま最終的な取りまとめの案文の整理に入っているところですが、認知症を考慮した目標値について、検討チームでは検討してまいりました。11頁の左下の図をご覧いただければと思いますが、現状では新規に入院された患者さんの50%が退院するまでには、大体約6カ月かかっている。現状は徐々に退院するまでの期間が延びているというところがあります。一方で治療技術の進歩もありまして、症状自体は1カ月ぐらいで大体治まって、退院関係の調整も含めても、大体2カ月ぐらいあれば、医療的には地域にもう1回戻せるというようなことが、現場の実践の中から報告をされております。そういった意味で、将来的に退院の目標といたしましては、50%の方が退院するまでの期間を入院から2カ月という形で、目標として整理をするという形で合意が得られております。ただこれは、当然医療側だけの努力だけでは進まないわけで、介護との連携が必要、受け皿の整備が必要ということで、11頁の右側をご覧いただければと思いますが、目標の実現に向けて、1つは医療・介護の連携が必要ということでの連携方策としてのクリティカルパスなどの開発も必要。併せて様々な受け皿の整備を第5期第6期の介護事業計画の中で実現していくというようなところを、いま現在検討しています。
 次に12頁をご覧ください。課題の1つ、地域生活を支える意味での精神科救急医療の役割・重要性ということでございまして、昨年12月に精神保健福祉法の一部改正がありまして、都道府県の救急医療体制について、都道府県がその努力義務を負うという形での規定が整備をされたところです。こういった点、さらには精神障害者の地域生活を支えるという意味で、どのような体制が求められるかということで検討してまいりました。
 その結果が13頁に概要としてお示しをしています。時間の関係もありますので、簡単にご説明いたしますと、1つは24時間の相談、そして情報体制の整備、併せて各医療機関におかれては、自院の患者さんについては時間外対応を含めた部分につきましても、いままで以上に対応していただくということが、精神科救急医療システムの全体を支える意味でも重要であるというようなところが、(1)の都道府県が確保すべき精神科救急医療体制の大きな枠組の中で整理をされたところです。
 一方で精神疾患を持たれている患者さんにつきましては、その身体合併の対応が非常に大きな課題になっています。そういった方につきましては、精神疾患の程度と身体合併の程度に応じた形で、医療機関同士の縦型の連携、縦列モデルと【2】に書いていますが、それがやはり現実的には当面取りうる1つの方策であろうというような結論をいただいております。こういった状態に応じて、一般医療機関、精神医療機関、場合によっては精神医療機関同士の連携をきちっと進めていく必要があるというようなことを結論としていただいています。また、こういった部分を進めていくに当たっては、その進め方にはいろいろありますが、評価指標もこれから精神の分野においても導入をしていく必要があるというようなことを結論としていただいています。以上、精神の課題につきまして、最近の取組についてご紹介申し上げましたが、時間の関係で今日はご説明させていただきませんが、昨年にも省内のほうで、厚生労働大臣をヘッドとして自殺・うつに関する対策のプロジェクトチームもありまして、こういった中では、やはり一般診療、かかりつけ医と精神科医の連携、さらには職域でのいわゆるメンタルヘルスの充実などを中心とする五本柱についても提言がなされており、現在そういったものも含めまして、予算事業や法改正の準備、検討といった観点の中で進められているということを報告させていただきます。担当課からの説明は以上です。

○武藤座長 福田課長ありがとうございました。質疑応答はこのあとの参考人お二方の話のあとにまとめて行いたいと思います。引き続きまして、河原先生から「精神医療の医療機能分化」についてご発表をお願いします。

○河原参考人 東京医科歯科大学の河原です。本日はこのような場を頂戴いたしましてありがとうございます。私からは精神医療の医療機能分化ということで、精神医療のいわば広がりを中心にご説明させていただきたいと思います。皆様方にとっては、すでにご承知のことですが、現在、4疾病の次に5番目の疾病系として精神医療が位置づけられたということですが、今日のご説明は、2年前に新しい「精神科地域医療体制とその評価のあり方に関する予備的研究」という研究班を組織させていただきまして、その中で議論した分野ごとの精神医療のあり方、あるいは必要性を論じたものです。2頁に班員構成がありますが、当時私が代表者を勤めさせていただきましたが、この研究班全体が、今日ご出席の安西先生を今度主任にした研究班に引き継がれ、より深く分野ごとに研究が進められているという状況です。
 3頁ですが、これが当時の検討のスタンスです。当時、ご承知のように4疾病5事業の医療計画の中で、精神がどの分野、あるいはどういう関わり合いが必要であるかということを議論したわけですが、4疾病5事業すべてに精神が関わってくるというのがこの図です。疾病系として位置づけられているわけですが、4疾病のがん、急性心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、これはもう身体合併症としてもちろん絡みますし、救急医療からへき地医療に至るまで、精神との関わりが出てくるわけです。事実精神医療の根拠法の1つである精神保健福祉法の名称からも、医療をはさんで保健と福祉ということも連携を視野に置かないと、地域での精神医療は有効に展開できないと、当時考えたわけです。赤で囲っているところに「現行計画の問題点」と書いていますが、これはすでに述べたところで、いままでの4疾病5事業にも密接に絡む。それから、介護福祉、あるいは予防的な心のケアにも絡んでくる。そのためにどのようなことが必要であるかということを、分担して分野ごとにまとめたのがこの報告書です。
 次に精神障害福祉課長の説明とも重複するかもわかりませんが、文章ばかりで読みにくいかもしれませんが、順次説明させていただきます。
まず我々が取り上げた1つは外来医療の充実が必要である。地域において、現在適切な外来医療が本当に展開されているのか。これがいわばGATE KEEPER的な役割を果たすわけですので、この部分の充実が必要である。医療機関に求められる機能というのは、外来の患者さんに対応できるような検査能力、あるいは診断能力、連携の能力が外来医療には求められています。
 それから、医療機関の例はここに書いていますが、精神科を標榜する診療所、あるいは精神科病院、あるいは精神病床を有する病院、いわば総合病院などが地域でネットワークを組んで外来医療のシステムを作っていく必要があるわけです。重度の救急と初期の救急などいろいろあると思いますが、まず軽症、中等症の患者に対する「初期救急医療」も常時対応できるような体制が相談業務も含めて必要であるということで、医療機関に求められる事項としては、いまも行われている制度がありますが、より切れ目なくシームレスに24時間365日対応できるシステムが必要である。医療機関の例はここに書いてありますが、この点については割愛させていただきます。
 今度は入院から地域に帰るわけですが、在宅医療、アウトリーチなどいろいろありますが、こちらのほうも充実しないと病院に負荷がかかってくるわけです。そういうことで、在宅医療も必要な要素である。
 以下、医療機関に求められる機能、往診機能などいろいろ書いていますが、こちらのほうも後ほど目を通していただければと思います。
 それから、短期入院医療は法に基づくような入院形態とか、いろいろあるわけですが、次のステップである退院し地域生活に移行できるような、いわばシームレスの医療が提供できる体制が必要であるということが、短期入院医療には求められるわけです。
 大きな柱である救急医療は、いわば精神科医療圏が全国に当時で154カ所設定されているわけですが、実際に全然ないような県があるわけです。そういう所は全国一率に救急医療体制を必要最小限の整備をしていく必要があると考えます。医療機関の例としては、やはり精神科病院あるいは総合病院の救急部門、そして精神科を有するところが中心になってシステムを組む必要があると思いますが、救急医療の次にその出口の部分がやはり整備されていないと滞っていく、あるいは行き場がないというような状況に陥っていくわけです。それと同時に、一般の救急医療も精神の救急医療を充実あるいは問題を解決しない限り、一般の救急医療にも圧迫が生じてくると思います。
 次にもう1つの大きな柱は身体合併症ですが、いうまでもなく精神患者も含めて、日本の人口そのものが高齢化に向かっているわけです。当然脳血管疾患、あるいはアルツハイマーといった精神疾患はもとより、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病といったような、いわゆるいままでの4疾病に該当する疾患も当然増えてくるわけです。
 ちなみに10頁の表は、悪性新生物で副傷病名として精神疾患を有している方です。横軸は北から南、二次医療圏が並んでいるわけですが、2010年を増減比率を1としたときに、どれぐらい増減するかということを、国立社会保障人口問題研究所のデータで簡単に推計したわけですが、後期高齢者が高齢者の中でも増えて前期が減ってくるという影響もあるかと思いますが、悪性新生物に関しては、医療圏ごとに見れば、将来患者が減ってくる所もありますが、逆に大きく増えてくる所も出てくるので、身体合併症の医療に関しては、やはり地域でその実情に応じたような人口指標、あるいは社会経済指標、保健指標などを用いて、綿密に計画を策定して受け皿を整備していく必要があると思います。
 以下、糖尿病、虚血性心疾患です。虚血性心疾患については増えるところがほとんどで、たぶん後期高齢者の比率が増えるので、いわゆるその対象年齢を考えると、虚血性心疾患、あるいは脳血管疾患が今後増えてくると。医療圏によっては便宜上、二次医療圏で分析しておりますが、違いが生じてくるので、その辺りで全国一率の医療計画でなくて、地域性に応じた極端に言えば市町村単位でも状況を分析して、医療計画を厳密に立てる必要があると思います。事実、大阪市など、いわゆる精神病床というか精神科病院がないわけです。ですから外のほうに出て行っているわけです。医療圏単位で見る目も必要ですが、やはり市町村単位でも見て、より細かい精神保健福祉医療、あるいは介護も含めた連携システムあるいは受け皿作りが必要であると思います。
14頁は、4疾病5事業の中のいわゆる周産期や小児のほうにも絡んでくると思いますが、専門的な精神医療の提供体制の確立ということも計画の中に問われてくると思います。
15頁です。介護を含めて精神患者の問題というのは医療だけでは解決しませんので、その前の段階の予防、あとの段階の福祉介護を充実して、入口と出口の部分を整備することが重要になってくると思います。
16頁は、いわゆる入口の手前の心のケア、メンタルヘルスの部分ですが、こちらのほうも医療計画の範疇外のようなイメージ。例えば「健康日本21」で取り上げたほうがいいようなイメージかもしれませんが、行政計画の問題はそこにあると思います。この計画は担当外だからほかのところに投げているといった形が多いと思いますが、お互いの計画に連携やうまくシステムの流れができていない。ですから、保健医療・福祉、医療計画を含めて、全体の行政計画を見るようなスーパーバイザー的な方が必要ではないかなと思います。
時間の関係でご説明できませんでしたが、今回の地震、災害がありましたが、精神患者に限らず、福祉的な課題を抱えている方に福祉避難所的なところが必要になってきますので、災害というのは1つの大きな医療計画の柱として浮上してきていると思いますが、精神疾患を有している方の災害医療の問題にも取り組んでいく必要があると思います。結論から申しますと、従来の旧分野にも非常に関わってくる。そしてその周辺の福祉介護、あるいは予防活動にも関わってくるというのが、精神医療を医療計画に位置づけて、有効に機能させるためには、大きな目で見ていく必要があると考えております。後ほど安西班長から補足説明があると思いますが、予備的研究の中で出てきた課題を、もっと進化させた形で検討しているところです。以上です。

○武藤座長 ありがとうございます。引き続きまして、伊藤参考人から「医療計画における精神疾患について」を、ご発表お願いしたいと思います。 

○伊藤参考人 本日はご説明する機会をいただき感謝申し上げます。約10年前のデータに基づきまして、既存資料でそれぞれの都道府県の状況が一覧できる提示方法をモデル的に作成したことがありました。イメージしやすいようにいくつかの都道府県、埼玉県、長野県、香川県を例にお示ししています。医療計画の5疾病目に精神疾患が入りますと、活用可能なデータベースを用いまして、具体的に提示をする必要があり、河原参考人及び安西先生の研究班で議論をしてまいりました。
 次のスライド、4枚目、優先順位の高い対象ですが、その結果、分担研究では優先順位の高い対象を横の連携と縦の連携の軸で整理をしてまいりました。1つは精神科医療と身体科医療とのいわば横軸の連携です。具体的には認知症及び合併症・併存症の医療体制となります。合併症・併存症は、さらに2つのグループに分けることができます。身体疾患を原疾患に持つ方が、うつ病などの精神疾患を合併・併存する場合、そして精神障害の方が身体疾患を合併・併存する場合です。ともに複数の専門の間での横の連携が必要となります。縦軸の連携は精神科医療施設間での連携を意味します。やはり2つのグループがあります。1つは高齢で長期に在院をしている方が退院し、地域生活できるようにする地域移行の対象者です。ただし、多くの場合、高齢化していますので、単純に地域への対応を検討するだけでは十分ではない場合があります。
 もう1つは、新しい入院患者の多くが、1、2カ月で退院をするという現状を踏まえまして、精神科救急・急性期医療と在宅医療との連携が必要となります。なお、以前は統合失調症は入院が不可欠と考えられてきましたが、最近では入院をしなくなり、入院をしても短期間で退院をすることがほとんどです。さらに、統合失調症の発症には至らなくても、10歳前半の児童におきまして、10%〜15%に、人には聞こえない声が聞こえたり、心の中が読み取られているといった精神病様症状体験を少なくとも1つは経験をしていると言われております。決して珍しいことではありません。早期発見・初期治療を行うことで、その後の予後が格段に良いということが、精神医学の中で共通の認識になりつつあります。即ち初発統合失調症の医療体制は、糖尿病などの生活習慣病と同様に、早期発見・早期介入モデルが馴染むと考えています。以上のグループへの医療体制を1つの図でまとめたものが次のスライドです。
 4疾病・5事業の図と同様に、横軸を時間の流れ、縦軸を重症度、医療密度の高低で、6つの要素を示しています。まず左下の初期・かかりつけ治療から、右下の精神科外来による維持治療という流れがあります。まずは予防であり、早期発見・早期治療です。身体疾患患者の2割程度は、抑うつ症状がありまして、その中には治療抵抗性のあるうつ病の方も少なくありません。かかりつけ医と精神科医療との連携は、既に紹介加算などの診療報酬も平成20年に新設されています。また、自殺念慮などで緊急の対応が必要な場合や、措置入院などが必要な場合は、左上の精神科の入院医療、初回等急性期入院治療という要素が必要となります。
 初回入院は、精神科医療との最初の出合いとなりますので、特に丁寧な対応が求められます。そして、多くは退院をして右下の維持期治療を外来で受けることになりますが、一部は左中央のオレンジ色になっているリハビリテーションを経ることになります。精神疾患の中には、周期的に増悪することもあります。まずは訪問型アウトリーチで濃厚な支援をすることが理想ですが、場合によっては右上の増悪時入院治療を受けることになります。
 認知症の中のBPSD、行動心理症状が出現する場合も入院治療を受けることになります。高齢長期在院者及び、合併併存症の治療は右中央の要素です。ただし、この要素は明確に2つの機能を1つにまとめています。1つは重度慢性精神障害者の地域移行であり、もう1つは身体疾患と精神疾患の合併併存症治療です。この図のイメージを機能と目標や指標との関連で整理したものが次の表、6頁になります。
 横軸に先ほどの6つの要素と予防を最初に位置づけています。まず、予防では発症予防、そして自殺予防が重要な機能です。先の図で左下にありました初期かかりつけ医治療の要素は、アクセスがテーマとなります。機能は未治療期間の短縮と適切な治療と治療連携です。初回の急性期入院医療治療の機能は確定診断、より制限的でない医療、退院後の維持期を念頭においた退院計画指導です。そのためには目標として、地域での精神科救急医療体制、適切な入院治療、安全な医療、患者や家族の参画、リハビリテーション要素や、維持期医療との連携が必要です。  より制限的でない医療の例を申し上げますと、自らの意思ではない入院を「非任意入院」と言いますが、欧米、特にヨーロッパの多くの国では、医療圏ごとに人口当たりの非任意入院数や、行動制限数を算定して公表をしています。適切な医療の例には薬物療法があります。抗精神病薬はできるだけシンプルな処方に、抗うつ薬は6カ月程度は継続的に処方、逆にベンゾジアゼピン系の薬は短期間処方するといったように、ある程度望ましい処方の方向性があります。DPCなどのレセプトデータから、おおよその状況を把握することができるのではないかと思います。そして、地域連携クリティカルパスの普及も重要です。
 リハビリテーションでは、治療期間との連携とともに、退院してリハビリテーション時期に再び入院する割合を減らすことが必要です。また、精神疾患のリハビリテーションの最終目標は一般就労であり、そのための指標も必要です。最近ではうつ病で入院をされて職場に復帰するまでに、すぐ復帰するのは大変ハードルが高いため、「復職支援プログラム」の活用が広がっています。急性期増悪時入院治療は、再入院や認知症で行動・心理症状が強い場合であり、初発入院とほぼ同様ですが、非任意入院の割合はできるだけ少なく、退院後短期の再入院をできるだけ少なくすることなどが特に必要です。
 右下の維持期治療では、再入院などの増悪をできるだけ抑える役割があります。増悪による再入院の最大の理由は、服薬中断と言われています。いかに必要な治療を継続するか、場合によっては、往診や訪問看護などのアウトリーチを行い、生活の場まで出向いて未然に服薬中断を防ぐことが必要です。維持期治療において外来治療での役割は重要ですので、再入院を防ぐための指標が必要になります。維持期治療が一層適切になされれば、計画していなかった再入院数や、自殺未遂などで、一般救急への搬送患者数を減らすことが期待できます。この点はフリーアクセスが担保されている我が国の医療制度上、医療計画でしか把握できない指標と考えていまして、かつ、レセプトデータを活用して指標ができる可能性がある領域なのではないかと思います。維持期治療では、初期・かかりつけ医治療との継続連携も重要な要素です。
 最後に重度慢性・合併症治療です。重度慢性患者の退院支援については、長期在院患者の地域移行が指標になります。身体合併併存症及び精神疾患合併症については、身体科医療と精神科医療との連携が基本です。がんの緩和ケアなども対象となると思います。ともに対象となる方の人生後半を生活の質、QOLのより高い形で過ごしていただくという観点が必要となります。
 既に医療計画上、位置づけられている4疾病・5事業についても、精神疾患に関連する内容を確認したのが7頁のスライドです。4疾病・5事業については、ほとんど何らかの記述がありました。これにつきましては、先ほど河原参考人が示された表を図にしたものです。以上、簡単ではありますが、精神疾患の医療体制等の構築に係る基本的な考え方としましては、精神疾患に関する医療機能、機能分化と連携については、他の疾病を参考に、精神疾患のフェーズ、これは例えば初回等急性期、リハビリテーション、急性期増悪期、維持期、重度慢性・合併症、専門医療等に着目して検討をしてはどうかと思います。以上です。
 その後の説明は補足説明です。また、国際的な動向も反映させて作りましたので、もし必要があればご質問にお答したいと思います。以上です。 

○武藤座長 伊藤先生ありがとうございました。ここからはいまご提出いただきました資料に基づいて、ご意見を交わしていただきたいのですが、山本委員から参考資料が出ています。今日代理出席の安部参考人からご説明をお願いいたします。

○山本委員(安部参考人) 発言の機会をいただきましてありがとうございます。日本薬剤師会の安部と申します。私からは薬剤師の視点から精神疾患の医療計画について意見を申し上げさせていただきます。
精神疾患の治療には多くの場合、薬物治療が行われます。その際、患者さんが薬物治療に正しく理解を示し、服薬中断などを起こさないように、また医薬品を適正に使用していただくことは、大変重要な要素となります。そのためには医薬品供給の役割を担っている薬剤師が、より積極的に医薬品の適正使用や、アドヒアランス向上に関与を行うことが必要となっています。また、現在議論が進んでいますチーム医療の観点からも、多職種が連携をして関与をすることが求められているところです。そこで本日は、医療計画を構築する上での要素として、薬剤師やチーム医療の取組の事例、今後の課題について、数例ご紹介をさせていただきたいと考えています。
 資料1頁の取組の現状のところで、いくつかご紹介させていただきますが、(1)多職種によるチーム医療連携です。関連資料はパワーポイントのスライドが3頁にあります。
 (1)は桶狭間病院の事例です。ここでは医師・看護師・薬剤師、それからワーカーの方、作業療法師の方が、多職種メンバーによるカンファレンスを実施しています。多職種がそれぞれの職能を活用して連携を行って、患者さんの状況等の把握、それから情報共有がはかられ、その結果、平均入院日数の短縮等の効果をあげているということです。これはチーム医療の有用性を示す事例ではないかと思い、ここに1つ示させていただきました。
 (2)ハイリスク薬の適正使用管理です。これについては資料4頁にパワーポイントのスライドがあります。別添?の右上の赤い線を見ていただくとお分かりかと思いますが、ハイリスク薬とされている分類がいくつかあるわけですが、多くの精神疾患用薬はハイリスク医薬品として位置づけられています。その適正使用を確保するために病院や保険薬局では、「ハイリスク医薬品の薬学的管理指導に関する業務ライン」を作り、それに即した処方内容の確認、アドヒアランスや副作用のモニタリング、相互作用、禁忌症の確認など、医薬品の特性に応じた薬剤師のより慎重な関与を実施しているところです。この取組は精神疾患に対して、薬剤師がより積極的に関与する端緒になるものと考えています。
(3)患者家族支援に関する検討です。これは日本病院薬剤師会の精神科病院委員会で、薬剤師が服薬アドヒアランスの向上により積極的に関与するために、患者の家族の薬物指導に対する意識等についてアンケート調査を実施したものです。その結果に基づき、薬剤師による家族支援のあり方について検討をしているところです。医薬品のアドヒアランスを確保するには、患者本人の理解はもとより、治療や生活を支える家族にも正しい知識を持っていただくことが、非常に重要な要素です。そういった意味で医療計画においても家族支援のための情報提供や相談応需についての必要性を示唆しているのではないかと考えております。
 (4)精神疾患患者さんに対する血糖管理の事例です。こちらは浅井病院での事例ですが、精神症状や薬物療法による血糖コントロールの悪化を防止する観点から、精神科の専門医、糖尿病の専門医、それから糖尿病療養指導士、浅井病院では薬剤師や管理栄養士、看護師の方が担当されています。この様に多職種で連携をする体制が整備されているということです。糖尿病療養指導士による療養指導を実施した介入群では、資料6頁に示すように、血糖のコントロールの指標の1つであるHbA1Cの改善の効果をあげておられます。この結果は多職種連携参加のチーム医療によって、多様な病態であるとか、合併症に対応する上で、非常に有効であることを示唆していると考えています。
 (5)薬剤性BPSDへの関与です。日本薬剤師会では、より多くの薬剤師が在宅医療に参加することを目指して、在宅療養推進アクションプランを進めています。その一貫として在宅のみならず、薬局業務において、薬剤師が薬剤性のBPSDやADL低下の体調変化に着目した副作用モニタリングを行うため、地域での研修を積極的に進めているところです。こういった取組は精神疾患における医薬品の適正使用の確保を確保する上でも、非常に有用な機能となるものと考えています。
 次頁に、今後さらに充実すべき取組ということで整理をしました。(1)ですが、薬物治療における関与・連携です。先ほど申し上げましたハイリスク薬の管理であるとか、薬剤性のBPSDに関する関与。それから患者家族に対する情報提供等は現在も行われていますが、さらに充実を図り、範囲を広げた取組を進めていかなければいけないなと考えております。
 また、地域での円滑な療養環境を確保するために、医療機関と薬局における入退院時の薬物治療の情報を、スムーズに切れ目なく共有できる仕組みも必要なのではないかと考えています。
 (2)病棟業務です。これは現在議論が進んでいるチーム医療の中で、薬剤師の役割として処方支援や処方のプロトコル作成、それから副作用や、アドヒアランスのモニタリングの充実といったことを、より多くの病院で実現できるよう、また、その内容の充実を図るよう進めていくことが課題であろうと思います。
 (3)医薬品の適正使用ですが、薬物治療におけるチーム医療、これは必ずしも病院の中に限ったことではなくて、地域において多職種が連携するという意味で、そういった仕組をきちんと体制づくりをすることと、我々薬剤師がそこに積極的に参加することが課題となっています。また、薬剤師が必ずしも精神疾患についての知識が十分な状態ではない場合も考えられるので、今後精神疾患患者の医薬品適正使用に積極的に関わる上では、こういった検収を充実させる必要があると思っています。
 (4)最後に、地域生活支援ですが、薬局は国民・国民にとって、身近な薬局機能を利用して、自殺やうつ対策の実施、具体的には声かけですとか、さまざまな広報活動をより積極的に実施する必要があろうかと思います。それから健康相談や医薬品供給業務を通じ、必要な方に受診の勧奨を行う、それから説明を行う等について、積極的に実施していく必要があると考えています。いまお示ししたようなこの取組を安定したものとして、そして医療の中で実効性の高いものとしていくには、今回議論をされます精神疾患の医療計画の策定に際しては、入院、外来、在宅における医薬品の適正使用を確保するために、チーム医療のあり方を踏まえて、地域医療計画の中に医療機関・地域を問わず薬剤師の役割を明確に位置付けていただくことが必要であるということと考えています。是非、医療計画の議論の中でご検討をいただきたい。

○武藤座長 ありがとうございました。ここから皆様方委員のご意見を伺いたいと思います。

○布施委員 先ほどご説明がありましたように、医療計画、精神医療と言いましても、伊藤先生のお話のとおり、うつ病、統合失調症、認知症と内容は全く違うものですので、それぞれの特性に応じた医療計画を作成する必要があるのではないかと、第一点は思うところです。
 今日のご説明の中にはほとんど出てきませんでしたが、現在、会社、企業にとって、最も大変な問題を抱えているのが、うつ病、気分障害のところです。企業としてここにいちばん力を入れてやっているところですが、なかなか厳しいというのが実態です。先日、広島大学で血液検査でうつ病を判断する客観的な指標を発見したとの報道がされましたが、現状からいいますと、やはり本人申告で医者の診断書をもとに判断しています。会社の人事担当者、あるいは福利厚生担当者等が、病院に相談に行くわけですが、どうしても「ゆっくり休ませてください」とか、あるいは「優しく対応してください」というような内容だけで、どうもなかなか進まない。企業としても腫れ物に触るような対応をしているのが現状です。できれば数値による診断とか、客観的なデータを出すことができて、具体的な治療が提示できるようになれば有難いと思っています。
 もう1点、うつ病が増加していく中で、嫌な問題も起きています。具体的に健保連に対して相談がきている事例がいくつかございます。その中で1つご紹介したいと思います。昨年の事例ですが、去年の夏ごろから来年の3月に定年を迎える社員が「私は来年3月末で定年を迎えます。ただ、4月以降、遊んでもお金が入る仕組みを思いつきました」というようなことを豪語していたというのです。どういうことかというと、この社員は12月にうつ病の診断書をもらい、これをもって企業に提出をして、3月末、治療継続の下、退職をする。するとどういうことが起きるかというと、4月以降は傷病手当金が支給されますので、言ってみれば1年6カ月間、いままでの給与の3分の2がもらえる、こういう結果になるわけです。
 当然のことながら、多くの場合は適切な診断がされていることは十分承知のうえですが、今回、精神疾患が4疾病に追加され5疾病になることを機会に、こういった不正請求が出されないような対応を、是非ともお願いしたいと思います。

○武藤座長 確かに客観的なうつ病ガイドラインの普及とかが必要だと思います。長瀬委員、精神に関して全体を通じて何かご意見がございますか。

○長瀬委員 河原先生も伊藤先生もとてもよく精神のことが分かっておられて、よく作られておられるし、河原参考人の初期治療から外来治療がすべて伊藤先生のところに落とし込めると思うのです。伊藤先生の先ほどの指標のところにすべて落とし込めると思いますし、先ほどのうつ病にしても認知症にしても、ここの指標のところにきちんと入れられると思いますので、非常によく出来ているなという感じを受けました。

○武藤座長 6頁のこの表、指標の一覧で、いま布施委員がおっしゃったような、うつ、認知症、統合失調症、それ全体をカバーできるというような感じですか。

○長瀬委員 その前の精神疾患の医療体制のイメージもありますね。これを含めて作っておられるので。

○武藤座長 イメージもですね、了解です。

○佐藤委員 4疾病・5事業の基本的な考え方が3つ出されている中で、連携という視点ではいまのご説明で十分対応しているものだと思っていますし、私ども歯科医師も在宅歯科診療の場面では、医科・歯科連携、薬剤、看護、それから福祉関係も含めた連携の必要性を特に考えさせられる場でもあると思っています。その中で、今日河原先生からご指摘のありました身体合併症の対応というのは、非常に私も興味深く拝見したのですが、数的な問題として増えてくる傾向とか、4疾病ごとの増加傾向というのはお示しいただいたのですが、一方で精神疾患と身体合併症に関して、精神疾患を有する身体合併症の困難性とか、逆に身体合併症の治療に関する有病者の精神疾患の治療の困難性とかいうような、いわゆる連携の視点をさらに深めたようなデータとか、お考えとかがあれば是非伺いたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○安西参考人 国立精神・神経医療研究センターの安西でございます。先ほど河原先生からちょっとお話がございましたが、河原先生、伊藤先生にご参加いただいて研究班を構成しております。その研究班の中に身体合併症の分担研究班も構成していまして、そこでいまご指摘のような事柄も検討しています。精神疾患を持っている患者さんの身体合併症と、身体疾患の患者さんの精神と、両方とをそれぞれ困難性を踏まえて、どういう追加的な機能が必要であるかということを客観的に評価して、そのサービスをどうしたら実現できるかということを、いま調査しているところです。

○鈴木委員 精神科医療においても、在宅に向けた取組を行うことは評価したいと思うのですが、最初に資料1-1の11頁で、これ我々精神科以外の医師にとって非常に話題になったのですが、認知症の方で50%の方が退院するまでの期間を2カ月にするのだということで、6カ月から2カ月というと三分の一ですから、ずいぶん短縮するのだということで、驚いたわけですが、これ文章を見ると、さらに「入院から2カ月目」と書いてあるのですが、「2カ月目」というのが付くと、これは1カ月を過ぎると2カ月目ですから、事実上1カ月を30日とすると、31日以降は退院してくださいということも含めてのことになるのではないかなと思うのです。この平均の入院の期間がいままで6カ月、約6カ月かかっていると言いながら、退院のところは2カ月目まで短縮するというと、事実上1カ月過ぎたら退院ということで、事実上1カ月以降という意味なのかなとすると、これは6カ月を1カ月にするとも読めるのではないか。例えばこれが都道府県にいった場合に、たぶん都道府県によっては2カ月目と正しく理解すれば、1カ月を過ぎた31日以降はもう2カ月目だというふうに判断する所も出てくるのではないかと思うのですが、この辺の解釈がどうなのかということです。
 もう1つは、同じ資料の6頁、この「アウトリーチ」という言葉ですね。これ私たち精神科以外の医師にとっては、アウトリーチというのは、あまり使わない言葉なので、なぜ精神科だけアウトリーチというように言うのかなと。日本語で言うと訪問支援というのですか、だったら在宅支援とか何か日本語で普通に言っている言葉を使ったらいいのかなと思うのですが、いままであまりこれが慣れていなかったということなので、モデル事業をしているのだということなのですが、これはこれで非常にいいと思うのです。ただ、本当に在宅に戻して、在宅で見るのだということであれば、ほかの部分もそうなのですが、かなり在宅を手厚くしないと難しいと思うのですが、どの辺まで考えているのか。まあ、24時間巡回型介護だとか言っていますよね、そういうことまで含めて考えていらっしゃるのかどうかですね。
 私はデンマークで訪問看護に同行したことがあるのですが、糖尿病の人もいれば重度の精神障害の人もいる。きわめて重度の統合失調症の方の服薬を訪問看護師がするのです。キッチンの上に鍵を掛けた箱がありまして、看護師が鍵を開けて、目の前で患者に服薬して水を飲ませて確認して帰る。5分ぐらいですよ、でも、それ1日3回とかやらないと、その方はたぶん服薬を中断してしまって在宅が続かない。そういう服薬中断が在宅継続の課題であるのだったら、どういうところまで在宅を考えているのか。もしそういうことが不可能であれば、日本の場合は在宅は三交代でやりませんから、たぶんそれは不可能だと思うのです。私はほかの分野と同じように、在宅も大事だけれども、施設も使わないと、たぶん重度の方とかは済まないのではないかと思います。
 もう1つ、資料1-3ですが、伊藤参考人の10頁、資料で説明はされませんでしたが、フリーアクセスと「医療圏」というようにおっしゃって、我が国の医療制度の特徴である国民皆保険制度と自由開業医制、これと医療圏という考え方が、何かあくまでも対立する概念のような説明、書きぶりなのですが、私は必ずしもそうは思わないのですが、どのような意味でこれをお使いになったのか、英国とか米国の例を出されましたが、そうではない国もたくさんあります。うまく調和をしながら、両方が両立するようなやり方でやっている所もたくさんありますので、これについてどのようにお考えなのかを確認したいと思います。以上3点です。

○武藤座長 それではまず福田課長から。

○福田課長 大変重要なご指摘ありがとうございます。まず2カ月目のところですが、議論の経過を踏まえますと、1カ月ぐらいすればだいたい症状は治まる。ただ、その後でいろいろと症状は治まっても、では、薬の量をどうするのかとか、在宅に戻ったときとか、施設に行ったときの連携をどうするのか。そういった調整も含めて、もう1カ月ぐらいかかるということですので、基本的にはこれは31日とか32日というのではなくて、60日とか61日というその間の中でやってくださいという趣旨です。ただ、確かに表現上、2つの表現が資料の中に入っていますので、このところは確かに地域に行ったときに、いろいろな解釈が起こり得るのはいけないと思いますので、その点は改善できるところは改善をさせていただければと思っております。
 もう1つ、アウトリーチの部分は、これは省内でのいろいろな議論の過程の中で、やはり従来の訪問を越えた支援というものが、地域に定着をしていただくためには、必要ではないか。ただ、訪問についてはいろいろな名前が既に出ていますので、いろいろな固有名詞的なものもあるので、おっしゃる点はよくわかるのですが、あえてカタカナ言葉で包括的な意味での「アウトリーチ」という言葉を使わせていただいているということです。ただ、ここの部分も将来どういう表現を使っていくのかというのは、これからの話だと思いますが、従来の診療報酬の枠にとらわれた形のものを越えた形で、本当に対応できるとしたら、どのぐらいのものが必要なのかということを議論しようという文脈の中で、アウトリーチという言葉を使わせていただいているということです。
 後段の部分の、では一体どこまでというところですが、そこのところはまさにいまモデル事業の中で先生がご指摘の部分も含めて、どういうふうにやっていくのか。要するに諸外国では私もいくつかの国を見に行っておりますが、精神の場合はやはり服薬の部分が大変難しい。治療継続性をどう確保するかという観点の中では、いわゆるデポ剤、長期の薬の併用とか、いろいろな形で工夫をされている部分もありますので、そういったことと、それから不安になったり、不安定になったときの適切な相談対応、訪問対応の組み合わせというものが、日本の現実の中でどのような形でやった場合に、どのくらいの効果が出るのかというところを、いまモデル事業で情報を集めさせていただいているということです。以上でございます。

○伊藤参考人 ご指摘ありがとうございます。私もフリーアクセスは我が国が誇る大変立派なシステムだと考えています。その上でフリーアクセスが持っている課題を補完していく必要があるという意味で、医療圏が重要であるというのが趣旨です。例えば英国やヨーロッパでは、かかりつけ医が医療圏の住民の健康に責任をもつという仕組みとなっています。一方、日本では、どこの医療機関にでも患者さんがかかれます。大変患者さんの立場からもいいのですが、特に重度の精神障害の方々で薬を飲まない、医療にもかからない、そして自宅に閉じこもるという場合に、医療を届ける仕組みが十分ではないのが、大きな課題と私は思っています。この課題を改善させるという意味で、医療計画でのご検討は、大変重要と思います。用意いたしました資料12頁にアメリカのデータをお示ししています。精神疾患に関連する有病率の地域研究のまとめで、良好な方が67.6%ですから、逆に言うと3分の1の国民は何らかの心の問題を持っていることになります。医療計画でこれらの方々すべての計画を作るのは、たぶん非現実的だと思います。やはり地域で責任を持たなくてはいけない優先順位の高いターゲットに対して、医療計画を作っていくという考え方が必要なのかなと思います。
 この図で申しますと、優先順位の高いターゲットは、精神医学的な診断があり、広義の治療ケアを受けていて、生活能力に障害のある重度の方々です。対象となるターゲットを明確にして、誰の責任を持つかというのを精神疾患の中で考えていく必要があります。これはほかの疾患と少し違っていまして、裾野が広いという意味で、ターゲットを絞る必要があるのではないかと思います。

○鈴木委員 いまのお話ですと、我々は通常はかかりつけ医の先生をもっておられる方がほとんどだと思っているわけですが、精神科の方は精神科の所がかかりつけ医になっている方も多いと思います。いまのお話は重度な方の問題ですよね。重度の方というのは、例えば英国のGPみたいなものは、そういったものを診る仕組みになっているのですが、私は違うと思うのです。GPというのは広く浅くですから、そういう重い方の専門の医療機関に紹介しますから、そういう形では手を離れるのではないですか。

○伊藤参考人 安定している重度の精神障害の方は、かかりつけ医が診ています。増悪して大変治療が複雑になる場合には専門家を、または入院先を紹介することも行います。ただ英国では安定をしている場合は、治療の責任をもつ方はかかりつけ医です。

○鈴木委員 精神科の先生はそういう方を放っておかれるのですか。もしそういう方があったらどうされるのですか、放っておかれるということはないのですよね。

○長瀬委員 放っておくことはありません。きちんと対応しています。

○伊藤参考人 大変大事な論点だと思いますので補足させてください。いま我が国の精神科医療は、入院治療中心から地域医療中心へと政策的にも進んでいます。地域医療の仕組みを作っていく上では、先ほど鈴木委員がおっしゃられたとおり、在宅支援をする仕組みを強化していかなくてはいけません。その中でもう1つ、サービスとして位置づけていかなくてはいけないのは、中断の方々に対する支援の仕組みを強化することです。ただ、我が国では例えば診療報酬ですと、来る方に対しての診療報酬はあるのですが、中断して来ない方に対しての支援を位置づける仕組みが十分ではありません地域に責任をもつ都道府県がこういった方々に対して、何らかの関わりが出来るメッセージを与えられるという意味では、医療計画での議論は大変重要だと認識しており、先生方のご議論に期待をしております。

○神野委員 時間がないようですのでお願いだけにします。この医療計画を作るときに、従来の考え方として、救急、専門、リハビリ、療養、あるいは介護福祉といったところで、国民がわかるように明示しろというのが、この医療計画の基本的な考え方であったと思います。この医療計画の次の見直しのときにもう5疾患になっていますから、精神疾患を考えたときに、各都道府県は精神疾患の医療計画を作らなくてはいけないということが迫っています。その中で日本の精神病院というのはどちらかというと、病床数が非常に多い、いろいろな機能を持っている病院がたくさんある中で、精神科救急はいいのですが、その後のいわゆる専門、リハビリ、療養というところが全部同じ病院の名前が並ぶ可能性があるのではないですか。とするならば、そこできちんと病床機能を分けて国民にわかるように実際の名前を明示する必要がありますよねというのを確認です。
 そして、その中でいまの鈴木委員のお話の中と関係するわけですが、伊藤参考人がおっしゃったようなアウトリーチの多職種チームとか、あるいは横連携という形での在宅施設とか、あるいは介護施設とかいったものを、ある程度数値目標というのを作らないといけないと思います。例えばアウトリーチの多職種チームは、中学校区に1つでいいのか、市町村で1つでいいのか、あるいは医療圏に1つでいいのかとか、そういった数値目標を作ってあげないと、実際に医療計画を作る段になったら何もわからないといったようになってしまうと思います。また、今後国の方針として精神病床を減らしていくという前提で、地域に下ろしていくとするならば、グループホームあるいはデイケアとか、デイサービスとか、あるいはいまのアウトリーチチームが、一体、人口当たりいくつ必要なのだということを早く表に出していただきたいというお願いでございます。

○武藤座長 これに関して課長、何かございますか。

○福田課長 大変重要なご指摘をありがとうございます。前段の答えやすいほうから答えさせていただきますと、まさにおっしゃるとおりだと思いますので、やはり救急、急性期、そして療養とか訪問関係、さらにはデイナイトとか、デイケアとか、さまざまな機能を1つの医療機関が持っていらっしゃるということは十分考えられるというか、そういうほうがむしろ一般的だと思っておりますので、そういったところについて、機能を利用者側にきちんとわかるように表示をしていくことが大事かなと、そういう視点を忘れないようにすることが重要ではないかなと考えております。
 後段の部分はまさにおっしゃるとおりでございまして、そこのところはまだ具体的な議論をするには至っていませんが、やはりできるだけ急げるような形での検討を考えていきたいと思っています。いまの時点では検討課題としていま一生懸命に考えている状況でございます。 

○伊藤参考人 大事な点と思います。私はこれまで精神科入院医療施設が我が国の大きな役割を担ってきたのだと思っています。そういう意味ではアウトリーチなどの訪問型の活動も、そういった施設が持っている社会資源と申しますか、スタッフや今までに蓄積してきたノウハウを、次の新たな形で活用していただけると有難いなと思います。イギリスはかかりつけ医が診ていますが、日本の場合にはやはり日本独自のやり方がある。また、ほかにも力のある所があればそこも行えばいい。既存資源を活用する形で緩やかな医療圏というか、キャッチメントエリヤを意識できる仕組みを是非構築していただきたいと思います。 

○末永委員 伊藤参考人のお話で、イメージとしては湧きます。それともう1つは、在宅にいくに当たって、チーム医療を使ったアウトリーチが素晴らしいことだと思って聞いておりました。ただ、いまモデル事業をやられている所ではそれはできているのでしょうが、例えば二次医療圏の中に精神病院が1つもない所もあるわけですね。そういう状況の中で、いまある精神病院の中でアウトリーチができるだけの人材をどれだけ確保できるのかということまで含めて、将来目標としては確かにそれは絶対的に必要だとは思うのですが、具体的にどうしていくかということも考えておかないと、なかなか実現が難しいかなと。それは先ほど先生が言われた、時によっては開業医の先生も巻き込んでということにもなるのかもしれませんが、アウトリーチについてその辺、少し心配です。

○武藤座長 最後に中沢委員からお願いします。 

○中沢委員 保健医療計画を作る立場から申し上げますと、4疾病5事業という形で、従来の計画を作ってきたわけですが、これが5疾病になるというところで、特に精神疾患が入ることによって、福祉の側面がすごく強くなるというイメージがあります。従来も例えば脳卒中ですと、リハビリを含めた形での医療計画という形だったのですが、特に精神に関しては医療にとどまらず、保健、医療、福祉全体の連携をとりながら、ほかの計画との整合性も図っていかなければいけないというところですので、例えば障害福祉計画ですとか、介護保険事業計画、そういった計画との整合性を図る必要があるのですが、残念ながら計画の改定時期がずれているというのがありまして、片や3年ごとに改定しているのと、5年ごとに改定しているというところがありますので、この辺のところは都道府県レベルでも計画を立てる中で、しっかり勉強をしていく必要があるかなということで聞いていました。以上です。

○齋藤委員 いま中沢委員がおっしゃったように、介護保険事業計画とのリンクは、最低限必要になると考えます。というのは、私どもが訪問看護の代表者の方々にお聞きしますと、やはり認知症が非常に多い。認知症で維持期になってまいりますと、介護保険でのサービスが始まる状況になりますので、ここはどうしても市町村が策定する介護保険事業計画と何らかの形で連動させていく必要があるのだろうなと思います。
 もう1つは、現場の声からいろいろ伺いますと、認知症は非常に増えておりますが、認知症というのは状態であって、それを起こさせている原疾患の特定がされておらず、アルツハイマー型なのか、脳血管性なのか、レビー小体型なのか、混合型なのかということを、きちんと診断されていない方々が、特養では4割ぐらいはいるという状況があります。医療計画には、精神疾患のみならず、認知症を含むということが前提ですから、やはり、きちんと診断できる医療機関あるいは医師がどの程度存在するのか、いま医師会等でも認知症の診断の研修養成などはやっておりますけれども、そのような研修を受けた医師が医療圏の中にどのくらいいるのかということは、1つの指標になり得るだろうと思います。以上です。

○武藤座長 時間の関係で次の議題に移りたいと思います。次は「医療計画における主な課題について」ということで、田辺医師確保等地域医療対策室専門官からご説明をお願いいたします。

○田辺専門官 お手元の資料2をご覧ください。事務局より「二次医療圏の設定のあり方、指標の設定・評価のあり方について」説明します。1頁ですが、こちらは医療計画制度における概要図となっています。
 続いて2頁、本日の議題の1つ目であります医療圏についての説明の概要です。左側、ブルーで示されているのが三次医療圏です。基本的には都道府県単位としているもので、三次医療圏で行うべき医療は特殊な医療ということで下段に載っていますが、広範囲の熱傷、移植、発生頻度が低い疾病など、非常に特殊なものを行うのが都道府県単位であり、それ以外の医療においては基本的に二次医療圏で行うと、そういった概念で医療圏は設定されています。
 右側、オレンジで示されている二次医療圏ですが、現在349ありますが、この設定の考え方として、一体の区域として病院等における入院に係る医療を提供することが相当である単位ということですので、設定した圏域内で概ねその住民たちの医療を提供できる圏域が定義になっているということです。ただし、その中で地理的な条件、日常生活の需要の充足状況、交通事情、そういったことも勘案するといったことで二次医療圏が設定されています。
 3頁をご覧ください。こちらは本日のもう1つのテーマであります指標・評価について、前回の医療計画の見直し等に関する検討会、平成17年の時点で指摘されたことについての抜粋です。下線部について説明します。1つ目、(数値目標)ですが、住民・患者の視点に立って数値目標を立ててわかりやすく示すこと。数値目標と評価の導入による実効性のある医療計画とすること。2つ目が(現状把握・目標設定のためのデータの提供)。国は全国規模の医療機能調査を実施し、主要な事業ごとに必要な医療機能を明らかにすること。3つ目として(評価・見直し)都道府県に対して、医療計画に基づいて実施した事業に係る政策評価を行うよう求める。翌年度につながる更なる実効性のある都道府県の取組を支援する。こういったことが前回指摘されていることです。
 4頁に移ります。第5次医療計画、現行の医療計画の主な問題点として、1つ目の○として、二次医療圏の設定状況について患者受療動向、人口・面積に差があることが指摘されています。2つ目の○として、医療計画において、定量的な目標設定が十分に行われていないことがあります。4疾病・5事業毎の目標設定率に都道府県の格差が見られる。具体的な数値が示されていない目標においては評価が困難である。こういったことが指摘されています。3つ目の○として、目標と施策の関連付けや、医療計画を策定後の評価が不十分である。施策と目標の関連性が希薄ですと、評価、見直しのPDCAサイクルを行うときにうまく機能しない。現行の指針において、5年おきに見直すことはよろしいのですが、その間の経年的な評価の方法が示されていない。こういったことが問題点として挙げられます。
 6頁の医療圏の設定に対する課題ですが、これは先ほど説明しましたように、二次医療圏は都道府県ごとに1つ設定されている三次医療圏で行うべき特殊な医療を除いて「一体の区域として病院における入院医療を提供する単位」ということですが、昭和60年に設置された後、変更されていない地域もあります。その後、医療の高度化、あるいは交通事情が良くなった等、社会状況は変わっていますが、その間も変更されていない地域も存在し、医療提供体制についても医療圏格差があることが指摘されています。
 2つ目の○として、現行の医療計画作成指針においては、医療圏の設定について人口構造、患者の受療状況等を検討することになっています。その上で、都道府県が設定するのですが、医療圏設定に対する数値による目安ということが示されていませんので、そういったところが格差をつくる原因になっている可能性があるということがあります。
 そういった背景を踏まえて3つ目の○ですが、医療計画作成指針の見直し、いま行っていることですが、これにおいて現行二次医療圏における人口、患者の受療状況、特に(医療圏を越えた流入、流出の割合)等を評価し、その特徴をまずとらえることが必要と考えました。
 7頁です。これは都道府県別の二次医療圏数の推移で、昭和63年から平成22年にかけて、その間増えたり減ったりという推移もあるのですが、一覧に示すにあたり、昭和63年と平成22年を取り上げて提示しています。この間、医療圏数が増えている都道府県については14、減っている都道府県が9、不変が24ということでして、半分の都道府県において医療圏が変わっていないのが現状です。
 8頁です。こちらは二次医療圏の見直しの実例として、新潟県を取り上げています。昭和62年に13圏域ありましたが、平成18年のときに7圏域ということで見直しがされています。その背景として、患者の受療動向や医療機関の連携は13圏域を越えて広域化しているということで、13もありますと完結度が低く、患者の需要に十分応えられていないということで、7医療圏という形で数を減らしたということがあります。
 9頁をご覧ください。こういった背景をもとに、公開されている患者調査を用いた二次医療圏の現状について分析を行いました。この二次医療圏の現状については、本検討会等においても、格差があるというご指摘がありますので、特に患者の流入出の割合、人口規模、面積といった基本的な事項ですが、こういったことに関して分析を行いました。平成20年の患者調査を用いました。この中でも患者の流入割合・流出割合はすでに公開されているのですが、そのデータ自体はすべての入院患者ということになっていますが、今回は二次医療圏というテーマですので、基準病床数制度に関係している一般病床・療養病床に限って二次医療圏を越えた流入割合・流出割合を特別集計を用いて分析しています。
 下段に推計の流入患者の割合、流入率と流出率の式が載っていますが、流入率は、A医療圏であればA医療圏に入院している患者のうちA医療圏以外の患者が何パーセントいるのかが流入率です。流出率は、A医療圏であればA医療圏の住所地を持った患者を分母として、その方々のうちほかの医療圏で受療した方の割合が流出率です。
 10頁です。左側のプロット図ですが、これは二次医療圏別で病院の療養病床および一般病床の患者の流入割合・流出割合を示したものです。Y軸に患者の流出率を示しています。例えば、50%の流出率ということは、当該地域の患者100人いらっしゃいましたら、50人がほかの地域で入院していることを意味しています。X軸は患者の流入率です。これは施設内に入院している方のうちほかの地域からどれぐらいの方が入院しているかという割合です。
 このプロット図だけではなかなか評価が難しいですので、1つの基準として20%という数字を用いて4つに分割してみました。20%というと逆で取りますと8割ですので、8割の方が概ねどちらにいるのかといった形で捉えることができます。4つに分けた左下は、流入率が20%よりも少なく、流出率が20%よりも少ないということで、概ねその地域の患者は自分の地域に入院されているということで、自己完結型という形で名づけました。
 左上の流出型というゾーンですが、ここは流入率が20%未満ということで、あまり外から患者は来ないですが、圏域内の患者は外の医療圏に出ていっている方が多い流出型ということです。この地域はどうして患者が出ていくかを考えますと、その地域で必要な医療を受けられていない可能性もあるということで、特にこの地域に注目をしています。右下のゾーンですが、これは流入型と名づけましたが、患者はそれほど外には出ていきませんが、ほかの地域から入ってくるということで、受皿になっている医療圏です。ドットの数が少ないですのでそれほど多くはありませんが、そういった医療圏もあります。右上のゾーンですが、これは流入出型ということで、患者がたくさん出てもいきますし、たくさん入ってくるといった特徴のある医療圏です。
 この4分類した医療圏について、人口、面積、人口密度について、右上に表で示しています。流出型、左上を見ますと、110医療圏ありました。この分析は、平成20年の患者調査を用いたもので、ドットの時点では合計348医療圏ありますが、人口、面積を示すに当たって、離島の12医療圏を除外しています。といいますのは、離島は基本的に患者が流入することはないですので、そういった離島を含むことで人口、面積に影響を与えることを懸念しまして、離島は除いています。ちなみに、離島のうちでも3つの圏域に関しては自己完結型に入っているということで、概ねそこでできているといった離島もあります。
 流出型110医療圏の平均の人口が17万人ということで、残りの所の人口をご覧いただきますと、51万人、42万人、52万人ということで、ほかが概ね40〜50万人に対して、流出型と名づけた医療圏は人口が少ないといった特徴があります。
 右上の流入出型、ここも少し特徴的な医療圏ですが、98医療圏あります。人口は平均で51万人ですが、面積が424km2ということで、ほかと比べて面積が小さいということで、でも人口はそれなりにありますので、人口密度としては高いということになります。これは都会型ということだと思います。都会型というのは、東京などもそうですが、皆さんは埼玉や千葉という住所地を持ちながら日中は東京で働かれている、そういう方々がもし病院に入院することになれば、その時点で流出ということになりますので、昼と夜の住所地が違うということ、面積も小さいですし、アクセスがいいですので、ほかにも行きやすいということ。また、選べる施設も多い。こういったことも含めて流出入、両方とも起こるということです。
 次の頁をご覧ください。流出型はどういった特徴があるのかという中で人口が1つの切り口ということが見えてきましたので、続いて今度は人口ということで二次医療圏を分類してみたのがこの図です。左上の円グラフですが、cut-offとして10万人未満で切ると77医療圏、10〜20万人が75医療圏、20〜30万人の人口の医療圏が50、30〜50万人の人口が57医療圏、50万人以上の人口がいる医療圏が77ということです。
 右の図ですが、この5つの群に人口を分け、先ほど求めました流入率・流出率の平均を見た図です。そうしますと、10万人未満の医療圏77の流入率を見ますと10数%であるのに対して、流出率は33%程度ということで、人口の少ない医療圏においては流入に比して流出の割合が非常に高いということがわかりました。
 10〜20万人という次のところですが、先ほどの流入出率の差は縮まってきてはいるのですが、依然として流出率が高い傾向にあります。20万人を越えてくると比較的安定した傾向があるということで、これは先ほどの流入出から見た分析を裏側から見たことになりますが、人口20万人というところよりも少ないとどうも流出率が多い医療圏が多いということがこの図から読み取れます。
 12頁ですが、こちらは面積で見たものです。1つの区切りとして250km2よりも小さい医療圏で分けると36、250〜500km2で分けると70医療圏、500〜1,000km2ですと95医療圏、1,000〜2,000km2ですと93医療圏、2,000km2以上だと42医療圏ということで、一応こういう5群に分けました。
 下段のグラフを見ますと、250km2の面積の小さい医療圏は実は人口が多いということでして、主に都会を意味しています。右側の図は、今度は面積で区切って流入率と流出率を見たものです。面積の小さいところは流入率も流出率も非常に高いという傾向があります。1,000km2を越えてくると流出率は依然そのままですが、流入がどんどん減っていくという傾向があり、面積をどこで区切ると流入率、流出率がポンと分かれるといったことはなく、面積・人口から見ると、人口が患者の流入あるいは流出率に影響を与えている可能性が高いということがわかりました。
 次の図が13頁です。こちらは分析からは離れるのですが、社会保障・税の一体改革で出された資料です。右側の図が小・中学校レベルで行われるべき医療です。左側ですが、上段が市町村レベル、一次医療圏のレベルで、真ん中は人口20〜30万人レベルというのがあり、これが概ね二次医療圏に相当するものだと思います。そして都道府県レベル、いわゆる三次医療圏といったことで、こういう中でも人口20〜30万人は1つの案として提案されています。
 14頁、二次医療圏のあり方に関する論点として、○1つ目ですが、医療計画の見直しにおいては、まず適切な医療圏を設定する。その医療圏の中で必要な医療提供体制を検討していただく。そういった順番が必要かと思います。その中で二次医療圏の人口規模が、患者の受療動向に大きな影響を与えているということから、医療計画作成指針における医療圏の設定に関して、一定の人口規模を目安として示すことについて、どのように考えるかを論点として挙げたいと思います。
 次に、指標の設定・評価のあり方に移ります。16頁ですが、○1つ目、医療計画作成指針に示されている現状把握のためのストラクチャー・プロセス・アウトカム指標例について、都道府県の医療計画への採用率にばらつきが見られています。2つ目の○として、都道府県により、定量的な目標設定、評価体制に格差が見られています。3つ目の○として、PDCAサイクルが有効に機能していない。4つ目の○として、指標の設定、評価方法にばらつきがあるため、都道府県間あるいは医療圏間の比較が困難である、こういった課題が挙げられています。17頁は現行の医療計画の急性心筋梗塞を例に取った医療提供体制の概念図です。18頁がそれを表にしたものです。上段に予防・救護・急性期・回復期・再発予防、こういったフェイズ分類がされており、それに基づいて指標による現状把握が決められています。
 19頁をご覧ください。先ほどお示ししました急性心筋梗塞を例に取りますと、指針で年齢調整死亡率、健康診断、健康検査の受診率と、こういったいろいろな指標の例が示されていますが、これを医療計画で都道府県が実際にどれぐらい採用しているかを見た表です。これについてもばらつきがあり、例えば年齢調整死亡率などは多いですが、救急要請から医療機関収容までの時間、あるいは発症から救急通報までの時間、こういったところは採用が少なく、指標例を例示していても採用には差があることがわかります。
 20頁です。これは都道府県の医療計画において、指針の例に示されたことに限らず数値目標として挙げられているものの数です。上位3県においては50〜80程度の目標を立てている、下位3県においてはそれほど数値目標は立てられていないということで、目標設定の挙げ方においても都道府県で格差があるということが示されています。
 21頁は、都道府県医療計画における評価体制の記載状況です。これは5年以内という視点で見たものですが、数値目標の評価時期、例えば毎年ごと、あるいは半期で2010年という記載もありましたが、こういったことが医療計画に記載されている都道府県数は22、評価の場、多くは医療審議会ですが、こういった評価の場が書かれている都道府県数が35、評価の結果を公表すること、多くはホームページですが、そういうことが記載されている都道府県数は17でした。下段は、計画の途中において、毎年等、進捗状況の評価を行っている例として長野県の例を挙げています。
 最後、22頁です。指標の設定・評価に関する論点として、○1つ目、都道府県の医療計画の実行性を高めるためには、現状の把握、課題の抽出、目標の設定、施策の実施、目標達成状況の評価、施策の見直しを一環して行う(PDCAサイクル)が重要です。○2つ目、医療計画のPDCAサイクルをより機能的に循環させるために、都道府県に入手可能な、まず現状把握のための指標を指針に位置づけて、都道府県側が原則記載するということ、進捗状況を評価する時期、1年ごとなどを記載すること、住民等に上記の情報を収集して公開することなどの手段が考えられるが、このあたりをどのように見直すべきかを論点として挙げました。

○武藤座長 残り時間が限られていますので、特に二次医療圏のあり方に関しての論点の14頁を中心にご意見、ご質問をいただきたいと思います。どなたか、よろしいでしょうか。

○伏見委員 2点あり、1点がいまの医療圏についてです。二次医療圏の設定で、患者の移動は疾病によってかなり違い、がんとか整形外科の手術をする患者はかなり遠くまで移動するのはわかっているのですが、前回の医療計画だと疾病別の医療圏の設定も可能であるということがあったと思うのですが、具体的にそういうものを使って、例えば長崎県などでそういうのがあったと思いますが、そういうものを設定している県があるのかどうなのかが質問の1点目です。
 2点目は指標の話になってしまうのですが、非常にばらつきが多くて、さらに指標の中身についても具体制があるものから曖昧なものまで非常に多様なので、こういう指標についてはもう少し具体的な指針を明確にして、まず何を計るべきか、どう計かるべきかをきちんと明確にする必要があるのではないかと思います。例えばですが、特定の高度な医療を必要とする疾患については、わが国の場合医療機関の集約化が必要だと言われていますので、その集約化の程度などを評価できる指標も入れていくことを検討すべきだと思いますので、この指標については何をどういう目標で、かつどのように計るのかを明確にした上で都道府県に指標として提示するべきではないかと思います。

○田辺専門官 1つ目のご質問で、疾病事業ごとにどれだけ別に医療圏を設定している所があるかですが、349ある二次医療圏のうちがんについては医療圏を減らしている所が4、脳卒中に関しては2減らしています。急性心筋梗塞においては5、糖尿病はそのままということで、疾病においては二次医療圏でも医療圏数を減らした形で表記されている都道府県はありますが、概ねは変わっていません。事業についてはもう少し医療圏数が変わっている所があり、救急においては二次医療圏よりも狭い医療圏というか医療圏数は増えており、13の都道府県で増やしている、2つの都道府県で減らしています。一方、周産期と小児については、減らしている県がそれぞれ12ということで、事業はもう少し見直されていることが多いのが現状です。
 2つ目のご質問であります指標をどう設定するかですが、まず患者調査が1つ使えると思いますし、DPCやレセプトデータも今後使えるようになってくると思いますので、そういったものを都道府県の方がすべて把握できる指標をできるだけ提示した上で、皆さんが同じ指標を使ってまず現状把握をする。問題点は都道府県であるいは医療圏ごとにそれぞれ異なると思いますので、その中で都道府県によっての問題を抽出していくことが重要かと感じています。伏見委員からご提案のありました集約化の指標とか、そういった具体的な指標については、それぞれの疾病・事業ごとに特徴があると思いますので、今後検討していきたいと思います。

○鈴木委員 地域医療の再生基金で二次医療圏をそこで見て、非常にばらつきというか幅があることを感じました。人口で見ると2万9,000〜200万人ぐらいの所までなのですが、30万人ぐらいが平均だということで、そのぐらいで分けられているのかと思ったら、かなりばらつきがあるということで、しかも昭和60年に設定されて、見直していない所もかなり多いということで、その後の人口動態の変化、人口減少、高齢化、いろいろありますから、そういった見直しは必要かと思うのですが、これは人口規模でということですが、具体的にはどのぐらいの人口でということを考えていらっしゃるのかということです。それと、いろいろ指標を設定して評価するということですが、医師会の事業などを見ても、各都道府県でよくできている所は都道府県の行政と医師会と地元の大学の連携がよくいっている所が非常によくできていますので、県の行政だけでやろうと思っても無理な部分もあるし、大学の機能も活用し、医師会の地域に張りめぐらしたネットワークも活用するということは非常に重要ではないかと思いますので、是非そういったことも指針の中に入れていただければと思います。

○石川室長 1点目の人口規模はどの程度を想定しているかについては、先ほどの田辺の説明にありましたが20〜30万人、少なくとも20万人より小さい所は一度地域の実情等を見直していただく必要があると考えています。2点目ですが、実際の見直しに当たっては都道府県担当者等にも説明会等を開催しますので、そのときにも十分ご指摘の点は伝えていきたいと思っています。

○神野委員 先ほど川原先生の資料1-2の10頁から医療圏別の悪性新生物とかの既傷病名精神疾患というものでグラフがありましたよね。このグラフを見ると医療圏によってはこれから2015年、2025年、2035年に行くに従って患者数は減っていく医療圏があるというのは、これはまさに限界集落ではないけれども限界医療圏かと思って、おそらく将来予測を踏まえてまた医療圏を組み直していくのはありかと思いました。おそらく人口動態だと思います。
 そういった意味では、ちょっと手前みそになりますが、私が住んでいる今朝出てきた所は、直径140km圏内に医療圏は2つあって、2つの医療圏で人口は22万人しかいません。まさに能登中部、能登北部ですが、申し訳ないですが、北部はほとんどいろいろな機能ができなくて、能登中部あるいは石川中央に流入しているといった所で、それがまさに人口22万人なのです。おっしゃる人口20万人からという最小単位は非常によく理解できる事例です。

○中沢委員 二次医療圏について詳細な分析を本当にありがとうございました。このデータを見ますと確かに20万人を1つの境に、例えば流出がすごく増えて流入が少ないということであると、その二次医療圏内で果たして医療が完結しているのかどうかがかなり疑問視する向きもあろうかと思います。ただ、各都道府県が医療圏を設定するに当たりましては、地域の特性とか、市町村や医師会などの関係団体とかと協議しながら毎回決めているという形ですので、20万人という1つの目安はいいのかもしれませんが、ただそれで縛る形になるとなかなか地域の特性が得られなくて、10万人ぐらいでもしっかりした病院があって、そこで完結している地域もあると聞いていますので、そこら辺のところの記載については工夫をしていただきたいと思っています。よろしくお願いします。

○武藤座長 そうですね、やはり地域特性を十分に配慮するということでしょうね。

○末永委員 二次医療圏を厳密に決めなくてはならないかどうかになりますと、例えばこれはフリーアクセスの制限をするというお考えがあるのであれば、二次医療圏はかなり厳しく見ていかなくてはいけません。また決められた医療圏の中で医療を確実に確保できるようにしないといけないと思うのですが、いまアクセスもかなりよろしいですし、二次医療圏を越えて往来していたり、あるいはいい病院があればそちらへ行くと、そういう現状が現実としてあるわけですから、二次医療圏はそれぞれの都道府県にある程度お任せして、緩やかな二次医療圏を考えて、そこの中で完結できるというふうにすればいいのではないかと思っています。
 もう1つ、今日触れられませんでしたが、基準病床数制限が実は二次医療圏にあるわけですが、皆さんはご存じのように今年3月に発表された過不足からいいますと、いままで過剰地域だと言われていた所は、実は二次医療圏で500床も400床も足りないということがいっぱい出てきているわけです。それについて聞きますと、高齢化が進んだとかいろいろ言われていますが、そのようなことは織り込み済みのはずで、あまりそういうことで基準病床数だとかで何かぎちぎちにしすぎてしまうと、5年経つとかなり条件も変わるということも知っておかなくてはいけないのではないかと思います。

○武藤座長 この件は石川室長からありますか。

○石川室長 1点目ですが、この医療圏の設定は都道府県で今後詳細に検討いただくものと、私どもも考えております。2点目、基準病床数は現時点で計算式の見直しをしたりということは考えていませんが、まずは今回、都道府県で活用可能なデータが5年経ってかなり出ていますので、そういったものでしっかりと現状を把握していただいて、必要な課題を抽出していただくことがまず大きな目標だと考えています。

○鈴木委員 私が先ほど質問したフリーアクセスと医療圏は、対立概念ではないと考えているということが、そういう意味でして、医療圏というか医療圏の設定はそこに一定の医療機能を整備すると、そういう形になるのです。そこに住んでいる人は、必ずしも患者が全部そこに行かなくてはならないということはないなと思うのです。そうしたら、どんな悪い病院でもそこの病院に行かなくてはならないというのは、それは日本ではあり得ない話なので、選ばれることによって病院がさらによくなっていくという仕組みが日本で働いていて、これだけ低コストで充実した医療を実現していると思うのです。そこのところを制限したりすることは、私はよくないと思います。

○齋藤委員 医療圏設定の仕方についてはいまご議論が出たとおりで、人口は1つの目安になるのではないかということには賛同します。あと、評価については確かにご指摘のとおりだと思うのですが、1つ工夫できるのではないかと思うことがございます。平成19年度に医療機能情報提供制度がたしか組み込まれたと思いますが、これがフォーマットや記載内容が都道府県間で統一されていないので、外から見てもよくわからない状況があります。きちんと住民にも情報提供する、あるいは評価をする際に他の都道府県と比べてどうなのかを検討することが必要だと思いますので、フォーマットの工夫が1つ提案できるのではないかと思います。

○石川室長 まさに齋藤委員のご指摘のとおりでして、今後、私どももそういった点を工夫していきたいと考えています。また、本日の資料2の3頁の最後ですが、こちらは前回の見直しの際にご指摘をされた事項でして、こういった評価の見直し、また同一フォーマットでの各県の比較といったことになってきますと、より透明性の高い比較ができるようになってまいりますので、いちばん最後ですが、都道府県にいろいろなインセンティブを持たせるという点についても何か工夫ができないかは今後検討したいと思っています。

○布施委員 16頁に示されているように目標の設定・評価に関する課題を見ますと、都道府県によって目標の設定、評価方法は非常に大きなばらつきがあり、そもそも、目標設定の仕方に問題があるのではないかという感じがします。
 都道府県で目標を作る、あるいは評価をするといった場合に、企業でよくやる方法ですが、まず全都道府県が必ずやるべき目標はいったい何かを具体的に出してみて、それから地域の実情に応じた目標を出してみる。目標をある程度全体でやるべきこと、地域に応じてやるべきことに分けてやっていくことが必要だということです。併せて、先ほどの説明にもありましたように、都市圏である神奈川、埼玉、千葉、名古屋、大阪のように患者の流出・流入が多い所と県内で医療が完結する地域を分けて指標を例示するべきではないかと思います。
 医療計画の実効性をあげるためにも、PDCAサイクルを有効に機能させることが大切なわけですが、都道府県が作成する際にイメージしやすい指標を提示することが必要ですし、都道府県が来年4月以降医療計画を策定するときに勉強会や研修会をすると思いますが、ブロック別あるいは県別など、きめ細かい説明会を設定していただければありがたいと思います。よろしくお願いします。

○吉田委員 そもそも何故に医療計画を作って、何故に二次医療圏を設定しなくてはいけないかを考えると、おそらく最大の理由は、クオリティー・アシュアランスをしていこう、地域医療に対してそういう視点で支えいこうということなのだと思うのです。ただし、逆に言うと、欠落していることを自覚していくことも1つの意味づけとしてあるわけで、すべてを揃わせなくてはいけないというわけでもないと思います。
 そういうことを考えると、指標の設定で、例えば都道府県別の比較をしようとするなら、これは必須の指標、あるいは、これは自由設定の指標とかというようにいくつかのランクを付けてやるべきだと思うのです。そうすることで、もし都道府県別に比較してやるのであれば必須のランクのもので比較していく、地域の特性を見るときは自由ランクのもので見ていく、という両方見られる格好になるのではないかと私は思います。
 20万人の件にしても、それはあまりこだわる必要はないのではないかと思います。難しい地域はたくさんあるわけです。そういう所はそういう所であることを自覚して、それを次の5年間にどうやって解決していくかという、そのプラン作りにむしろ意味があるので、あまりきれいな形を考えなくてもいいのではないかと私は思います。

○武藤座長 そろそろ時間になりましたが、厚労省側から特にご発言はありますか。よろしいですか。それでは、今日は2時間にわたりご議論いただきました。最初は精神疾患がいよいよ5事業に入るということで、その作成指針をこれから作っていくということになります。2番目は、医療計画の特に二次医療圏の設定のあり方、これはもちろん各地域の特性に配慮しなければいけないと思いますが、およそ20万人以上の人口単位ということを目安にしていったらどうかと、そういうご提案でした。あと、指標の問題です。PDCAサイクルを回していくという観点から、是非とも有効な指標を設定するということでありました。
 次回の開催についてです。

○石川室長 次回の開催ですが、10月31日(月)14時からを予定しています。詳細はまた後日ご案内します。本日はどうもありがとうございました。

○武藤座長 以上です。長い時間、どうもご苦労さまでした。ありがとうございました。


(了)
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