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2011年10月31日 第5回社会保障審議会年金部会議事録

年金局

○日時

平成23年10月31日(月)14:00〜16:00


○場所

全国都市会館 第1会議室


○出席者

神 野 直 彦 (部会長)
植 田 和 男 (部会長代理)
逢 見 直 人 (委員)
小 塩 隆 士 (委員)
柿 木 厚 司 (委員)
菊 池 馨 実 (委員)
駒 村 康 平 (委員)
小 室 淑 恵 (委員)
小 山 文 子 (委員)
佐 藤 博 樹 (委員)
武 田 洋 子 (委員)
花 井 圭 子 (委員)
藤 沢 久 美 (委員)
森 戸 英 幸 (委員)
諸 星 裕 美 (委員)
山 口  修 (委員)
山 本 たい 人  (委員)
吉 野 直 行 (委員)
米 澤 康 博 (委員)

○議題

(1)産休期間中の保険料負担免除について
(2)標準報酬上限の引上げについて
(3)その他の制度改善事項について



○議事

○神野部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、「年金部会(第5回)」を開催したいと存じます。
 神無月も最後の日になりましたけれども、皆様には、お忙しいところ、御参集いただきまして、本当にありがとうございます。御礼を申し上げます。
 本日の委員の出席状況でございますけれども、身につけた条件反射から、厚生労働省の方に行かれている委員の方もいらっしゃるので、いずれ遅れて御参集いただけるだろうと思います。御連絡を受けている欠席の委員の方は、植田委員、柿木委員、佐藤委員、吉野委員から御連絡をちょうだいしてございます。また、辻副大臣には、遅れて御臨席をちょうだいできるという予定でございますので、御承知おきいただければと思います。
 なお、柿木委員の代理として、藤原参考人が御出席をされたいということで、御承認をいただければと思います。よろしいですか。
(「はい」と声あり)
○神野部会長 それでは、御承認をいただいたということにさせていただきます。
 次に、議事に入らせていただきますので、ここで、カメラの方は御退場いただければと思います。御協力をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○神野部会長 それでは、議事次第をごらんいただければと思います。本日は、「産休期間中の保険料負担免除について」「標準報酬上限の引上げについて」「その他の制度改善事項について」と、大きく3つの議題を準備させていただいております。
 そこで、事務局から、初めの議題等にかかわる資料1について御説明をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○年金課長 お手元の資料でございますけれども、本日は、資料1、資料2、資料3と、参考資料1、2、この5つの資料を用意してございます。
 それでは、最初の議題であります、産休期間中の保険料負担免除につきまして、資料1に沿いまして御説明をしたいと思います。
 1ページをおめくりいただきまして、「出産の前後における支援策等の現状」ということです。厚生年金保険法の中で、次世代の育成支援の観点から、育児休業を取得した被保険者に対しまして、?その期間中の保険料の免除、?育児休業等を終了して職場復帰された後の標準報酬月額の改定の特例、具体的には、育児休業等を終了して職場に復帰した翌月の3か月間の報酬平均額として、給与が下がるというケースもあるものですから、早めに報酬月額の改定をするということ。そして、?で、3歳未満の子を養育している場合には、標準報酬月額を下げて、保険料は早めに実勢に合わせた形で下げるわけですけれども、将来の年金給付については、3歳に達するまでの間の期間は従前の保険料だったということで年金を計算する形で、子ども・子育てへの支援が厚生年金保険法の中で盛り込まれているところでございます。
 下の方に「趣旨・給付の財源」と書いてありますけれども、この仕組みは次世代育成支援の観点から設けられていて、そして、被保険者が就労を継続し、労働の担い手となるのを、厚生年金グループ全体として積極的に評価するという側面もあって、この財源というのは厚生年金全体の拠出された保険料によって賄われている。特に税で投入ということではない。保険料財源によってこういった支援がされているということでございます。
 2ページは、この制度の経過であります。育児休業制度が1990年代から入ってきたわけですけれども、年金の方では、平成6年の年金の改正の際に、育児休業期間中についてまず本人負担分を免除する。免除はするけれども、給付は保険料拠出を行った期間と同様に扱うというので、6年の改正で本人負担分の免除というのが入りましたけれども、12年の改正で、事業主の負担の方についても免除をするという形で拡大されました。
 そして3ページ、冒頭で申しました3項目のうち、12年改正までは基本的に1年ということだったわけですけれども、16年の改正で、育児休業期間が3歳まであり得るということになっているものですから、3歳までの免除は可能ということと、先ほどの3歳未満の子を養育しながら就業を継続する場合の給与算定上の配慮措置というのを設けた、というような経過でございます。
 育児休業を取得している期間についてはこのような取扱いがあるわけですけれども、一方で、産前・産後休業については4ページです。労働基準法上、使用者は、産前6週、産後8週の女性を就業させてはならないということになっております。多胎妊娠の場合等の例外はありますし、こういった請求があったら取得させなければならない。産後の方は、8週ですけれども、6週を経過した場合は本人の希望があったら就業することはあり得ます、というようなことでございます。
 そういった産前・産後の休業の仕組みが労働基準法にあって、その期間中の賃金はどのようになっているかというのが5ページであります。統計によりますと、産前・産後休業期間中に賃金を支給している事業所は、16年と19年の調査を並べておりますけれども、いずれも28.1%の事業所において賃金が支払われている。規模によるもので4つのグラフがありますけれども、基本的には20%〜30%の事業所において賃金が支給されているということでございます。
 6ページは、産前・産後期間中について、他制度で所得保障が何かされているかといいますと、健康保険においては、この期間中について出産手当金ということで、標準報酬日額の賃金の3分の2相当が支払われるという形になっております。報酬が支払われている場合については、そことの調整があるということでございます。
 これらを整理しますと、7ページに「取扱いの整理」ということで、まず休業については、産前・産後休業というのが労働基準法により休業があり、育児休業というのは、育児・介護休業法による休業が本人の請求であるということがございます。この間の所得保障については、休業前は給与をいただいている。産前・産後休業中は、給与は3割弱の事業所では有給になっていますけれども、7割ぐらいは無給である。一方で、健康保険による出産手当金が従前所得の3分の2という形で支払われている。
 育児休業期間中については、今度は雇用保険制度で育児休業給付金ということで、休業前賃金の、現在は当面の措置という形で50%が支払われている形になっており、復帰後は給料をいただくということです。この期間中の社会保険料は、休業前・休業後は保険料負担があるわけですけれども、育児休業期間中については、現在、労使とも免除がされている。産前・産後休業中については保険料負担をいただいているということでございます。
 こういう現状があるわけですけれども、8ページで、「社会保障・税一体改革成案」の議論の中では、現行制度の改善事項として、次世代育成の観点から、厚生年金の被保険者について、育児休業期間に加えて産前・産後の期間中も、同様に年金保険料は免除し、将来の年金給付に反映させることを検討するということを、厚労省案として集中検討会議に出しまして、成案にもこれが盛り込まれて、2012年以降、速やかに法案提出するという位置づけになってございます。
 一番上の行で、「次世代育成の観点から」と申しましたけれども、参考資料の8ページをごらんいただきたいのですけれども、欧米諸国の年金制度も基本的には世代間扶養、賦課方式であって、自分が納めた保険料に利子がついて返ってくるという積立方式ではないわけです。年金制度としても、子ども・子育てとか、次世代育成を支援していくことがメリットがあるということで、子育て等についてのさまざまな優遇措置を年金制度、年金体系の中で講じているということで、ドイツ、イギリス、フランス、ノルウェーの例を挙げております。
 ドイツであれば、3歳未満の子を養育する期間というのは、働いていても、いなくても、一人の親について平均報酬に対する保険料を納付したと見なして加算がされる。もし就労していたら、それにプラスそれが加わるという形であるとか、ここに記載のようにさまざまな配慮措置が講じられています。アメリカは特に措置がとられていないということではございます。こういった諸外国の例もございます。
 資料1の9ページに戻りまして、こういうことについてどういう論点があるかということですけれども、産休期間中の免除措置を設けることについてどう考えていくか。育児休業というのは制度導入の奨励という意味合いもあるわけですけれども、産前・産後休業というのは、使用者の義務ということではありますが、次世代育成支援に資するということで導入するということでよいかということと、ただし、その場合、年金財政や保険料負担者への影響をどう考えていくのか。この財源は、ほかの被保険者、事業主全体で負担をしていくということになります。
 10ページに多少詳しく書いてございますけれども、次世代育成支援、子ども・子育ての支援は政府全体の課題であり、保険料負担を支える次世代育成という観点から、公的年金制度においても重要な課題だということで、こういったことを導入するかというようなことです。
 一番下のポツにありますように、約7割の企業は無給であるということなので、出産前後の期間の所得保障、負担軽減を図る効果はあるということであります。
 更に、11ページに、財政影響等につきまして、どのくらいの免除額になるかということですけれども、粗い推計ですが、今、100万人余りのお子さんが毎年生まれている。そして、お産みになられるお母さんが厚生年金に入っている数は20万〜30万という数字になるかと思います。
 標準報酬がどのぐらいかというのは、参考資料の4ページに、育児休業期間中の免除の状況ということで、男性が少なくて、女性がたくさんですけれども、平均的に育児休業期間のもので、右の方の、育児休業期間の保険料免除を受けている女子の平均標準報酬は25万ぐらいということで、保険料率16.4%で、産前・産後、6+8で14週間、3〜4か月ということですので、労使合わせて数百億ぐらいの保険料を免除する形になるということではあります。
 こういった費用を免除して年金給付に充てるということになりますと、そういった費用を全体の中で負担をするという形になりますけれども、こういったことをやることが、次世代育成支援ということもありますし、被保険者が就労を継続して労働の担い手となることを、グループ全体として積極的に評価するというようなことでありますので、こういった形での導入で、どういうような頭の整理をしていくのかということが論点であろうかというふうに思っております。
 資料の説明は以上です。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、議論に入る前に、最初に御紹介をいたしましたように、辻副大臣に御臨席いただいております。よろしくお願いいたします。
○辻厚生労働副大臣 遅れまして、申し訳ございません。よろしくお願いします。
○神野部会長 お忙しい中、ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局の御説明をめぐって、御議論をちょうだいできればと思います。よろしくお願いします。どなたからでも結構でございます。
 どうぞ。
○花井委員 産休期間中の保険料免除について、今年の6月にまとめられました「社会保障・税一体改革成案」の中には、子ども・子育て、あるいは若者への支援の強化を中身として全世代支援型の社会保障へ転換する、ということが明記されていたかと思います。その観点から、育児休業期間中と同様に産前・産後の休暇期間中も免除すべきだろうと思います。この説明のペーパーに、次世代育成支援の観点というのも当然のことですし、就労継続というのも政府の目標で、32%から55%に引き上げるということも目標値として掲げられております。それに加えまして、晩婚化が進んでいるということが言われておりますが、それにしても子どもを産んで3歳ぐらいまで育てる人たちというのは、そうそう賃金が高いというふうには思えませんので、経済的負担の軽減という側面もあろうかと思います。そういう意味で、是非とも将来の保険料負担者を育てるということもありますので、免除ということは推進すべきだろうと思います。
 以上です。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
 諸星委員、どうぞ。
○諸星委員 育児休業取得者は、確かにこの資料にあるように増加しているのですが、資料自体は、私の印象から言えば、非常に大手の方々の取得率、賃金の保障率という印象があります。というのは、ぎりぎりの人員での中小企業では育児休業まで実際にとれることが少ないのが現実です。産前・産後休業はどうにかとれますが、育児休業まではとれませんという方々が非常に現場では多いので、産前・産後の保険料負担は、出産後の出産手当金が出てから、保険料を立てかえしてもらったものを払うということもなされております。出産後は何かと出費も多いということを考えたら、保険料の免除を認められれば、より安心してできると私は考えます。
 もう一つ、財源の問題です。先ほど、育児休業の取得者の率で換算をされていたようですけれども、今、お話ししたように、育児休業よりも産前・産後休業を取る方が圧倒的に人数が多いというので、財源についてどう考えるか。それと、厚生年金が認められれば健康保険の方も一緒に改定されると思うのです。今までの育児休業もそういう経緯でした。そうなると、特に大手企業さんなどの単体健保組合をお持ちのところは負担が増えるということもありますので、その辺も多分これからかかわってくると思いますけれども、基本的には財源を除けば産前・産後については認めるべきではないか、そういう方向であってほしいと思っております。
 以上です。
○神野部会長 どうもありがとうございます。
 どうぞ。
○小山委員 私も是非、産休期間中の保険料の負担は免除をしていただきたいという考えです。これから少子高齢化が進む中で、女性の就業率は確実に増えていくと思います。その中で女性が出産しても働きやすい環境を整えるためにも、産休中の経済的な安定を図ることは大切なことなのではないかと思います。出産手当金が支給されますけれども、これは実際には、出産費用ですとか、出産準備金等に多大な出費が出ると思うので、決して経済的に豊かになるとは思えないです。是非とも、次世代の育成を支援するためにもこの法案は実現させていただきたいと思っています。
 以上です。
○神野部会長 ありがとうございました。
 どうぞ。
○山口委員 年金の財政方式は修正賦課方式ということですので、将来の年金の支え手を安定的に確保していくことが重要です。そのために、今後の財政運営のことを考えた場合、今回の改正案も不可欠な要素、つまり、安心して次世代育成ができる環境を整備するということに関して、基本的に私は賛成であります。
 しかし、年金財政の影響を考えた場合、少し疑問に思いますのは、この資料では、必要財源を被保険者と事業主全体で負担するというふうに書いてあるわけですけれども、それは一体いつの時点で負担し、補てんしていくのかといったところがちょっと疑問に思うわけです。免除をした時点と同じタイミングで補てんするということであれば、この施策は、保険料収入を増加させるという手当と一体でなければいけませんし、将来の時点で補てんしていくということであれば、今後の財政調整の中でこの要素も織り込んで対応していくことが必要になるわけです。仮に将来時点で補てんしていくということであれば、以前に議題になっておりました、デフレが続いている中で、マクロ経済スライドが、今、発動されていない状態で、更なる財源が必要になるという措置ですから、今後の財政検証の中で、この部分による調整期間の延長とか、そういった影響をはっきり見極める必要があるのではないかというふうに思います。
 また、免除と同じタイミングで補てんするという場合であれば、別途の保険料収入の増加策の確保とともに、先ほどのお話ではこの財源はおおむね数百億円と言われましたけれども、その対応をきちっと保険料収入の増加策などでやっていくことが必要になると思います。場合によっては、先ほどの参考資料にありましたように、ドイツやスウェーデンなどのように、育児期間中の保険料を税財源によって負担している実例も参考にして、この問題は我が国全体の課題であるという観点から、税財源による補てんといったことも、この際、考える必要もあるのではないかというふうに思っております。
○神野部会長 いかがでしょうか。
○小室委員 今回の論点の基本的な考え方の一つに、産休・育休は、取得の義務の期間なので促進という意味は少ないというふうに書いてあります。実際には、産前・産後休業中の負担のことを考えて結局辞めさせてしまう、産前・産後をとる前に辞めるというような、暗黙のプレッシャーというか、そういう形で中小企業では辞めている方が非常に多いので、実際には、ここの部分がきちんと軽減されることによって促進になると私は考えますので、是非検討いただければと考えております。
○神野部会長 どうもありがとうございます。
 いかがでしょうか。どうぞ。
○山本委員 今も意見が出ておりましたけれども、次世代の育成という観点から考えますと、なるべくこういう制度が導入されることが望ましいと基本的には考えております。しかしながら、先ほど数百億とおっしゃいましたけれども、年金財政そのものの問題があるので、ほかのところへしわ寄せが行ってしまう危険性もあります。ここだけのこととして結論を出すのではなく、ほかのこととの関連も考え、総合的な判断の中でどうするか考える必要があると思います。
 以上です。
○神野部会長 藤沢委員、どうぞ。
○藤沢委員 基本的にこういったものは、国の方針とそろっていることが一番だと思います。国の方針としてもそうですし、年金の改革の方針としても、女性の就労支援という言葉があったと思いますので、そういう意味では、就労する女性というのが増える方向に向かうメリットのあるものであれば、私も是非採用するべきだとは思いますけれども、今、まさに山口委員、山本委員がおっしゃったように、財源の問題ともかかわると。
 私も今回の論点でとても気になっているのはそこでして、本当に私たちが心配しているのは、年金をもらえるのだろうか、財源は大丈夫なのだろうかと。そういう意味では、今回の話を単体で議論することの不思議さを感じるんです。もともとの年金が安定するために、それぞれ私たちが今まで議論してきた、マクロ経済スライドであるとか、高所得者であるとか、低所得者に対しての減額・増額をどうするのかとか、そういったものに関連して、一体この年金財源にどのくらいのインパクトを与えていくのかというプライオリティを、きちんと明示していただいた上で、どの順番でどれを議論するかということを考えていかないと、ここだけ議論するというのが少し全体としてのバランスを欠くのではないか、そんな気がしております。
○神野部会長 財源問題も入れていただいて構いません。
 どうぞ。
○米澤委員 まさに今の点は多分世間一般の人も一番心配されていて、このテーマに限って言えば、今、大体皆さん方が整理していただいたように、支援していくというのは正しい方向だと思いますが、財源の問題ですね。一つは、一人新しい方が生まれて、それが厚生年金に加入していただければ、そこのところまで効果を見れば、500〜600億円のうち幾らか回収されると思うので、その辺は単体でも計算できるのではないかと思います。
 それはおくとして、この部会の下に所属しています経済前提のところの議論で、やはりいろいろなパーツが出たときに、それが全体の年金財政にどう影響しているのか。少なくとも直前の経済前提の下でどうなっているのか、簡単にシミュレーションをしていただけないかということがその会議で出ました。ただ、そこではあくまでも経済前提をするのが趣旨ですので、むしろそれは年金部会の方で議論していただくのが適切ではないだろうかというふうに落ち着いたわけです。なかなか難しいとは思いますけれども、今、幾つか出てきた点ないしはこれから出てくる点も、単体で大体幾らの費用がかかるかは推測できるのですけれども、それが長期的に「100年安心」のところに、どう安心なのか、安心ではないのか。粗っぽい計算で結構だと思いますけれども、見えてくると、何ができて、何ができないのかというのは結構見えてくるのではないかと思うのです。そこの点も可能な範囲でやっていただくと、だいぶ我々が白黒をつけられるのではないかなと思っております。
○神野部会長 菊池委員、どうぞ。
○菊池委員 私はこの論点に関して言えば賛成であります。ただ、財源の問題に関してですが、この仕組みは被用者保険の制度でありますので、税でという選択肢もあるという趣旨の御意見がございましたけれども、被用者という一部の方々を対象とする仕組みの中に、税財源でやっていくのか、それとも被用者保険の相互助け合いの仕組みの中で保険料でやっていくのかというのは、よく考える必要があるのではないかと思います。私は、税というよりはやはり保険料でという方向に賛成でございます。
○神野部会長 事務局の方に、先ほどの米澤先生の資料などのコメントがあれば。
 ついでですが、私の意見が正しければ、日本では、景気が悪くなって雇用が少なくなったから、雇用を企業に増やしてほしい。そのときに、増やした企業に対して、法人税というか、利潤にかかわる負担を減らすという議論になりますが、スウェーデンなどは、支払い賃金にかかってくる社会保険料の負担をむしろ重点的に考えて減らして、それは政府が補てんする、そういう理解でいいんですね、海外の例から言えば。それと、米澤先生がおっしゃったような資料その他について、コメントがあればちょうだいできればと思います。
○年金課長 まず、幾つか財源の話、あるいは単体の議論での話をいろいろいただきました。これまでの年金部会で、今日で一応、成案にあった項目を一巡ということですと、いろいろな項目を一つずつやってきた形で、一つひとつの議論をするのもなかなかやりにくいということもあろうかと思います。今日で一巡ということになりますので、次回以降は二巡目の議論をどのような形で進めていくか、また御相談したいと思っております。その際にどのような資料をお出しして御議論いただくかは、部会長ともよく御相談して進めていきたいと思っております。
 また、先ほど山口委員から、この不足分の財源を、今の世代でやるのか、長期の中でやるのかというお話がありました。年金の現在の仕組みを前提にすれば、保険料率というのは決めていますので、長期の財政見通しの中でどう見ていくのかということが、今の仕組みの基本形でありますけれども、その中で、先ほど米澤先生から御指摘がありました、今の年金制度はどういう前提で、あるいは幾つかの項目はどういう影響があるのかというのを、どういうふうに評価をしていただくのか。御議論いただけるようなものをできればと思いますけれども、また御相談させていただければと思います。
 外国の制度は、国によってさまざまでありますけれども、スウェーデンは、社会保険料負担ということと、それに対して国の支援が、年金にかかわらずさまざまな形で入っているということではあろうかと思っています。ちょっとアバウトな説明で恐縮です。
○神野部会長 米澤委員がおっしゃった、おおよその見通しみたいなものを数値で出すのは簡単ですか。
○数理課長 正式なきちんとしたものをやろうとしますと、まず一つは、新しい人口推計が年明けにまた出てくる。それを踏まえて経済前提を仮置きをするにしても、どうするかということで、どうしてもそういった見通しをすぐというのは難しいので、今後、第二巡のときにどういう形でお示しできるか、これから検討させていただきたいと思いますし、可能な限り何らかの検討をいたしたいと思います。ただ、正式なきちんとした視点というのは、どうしてもかなり時間はかかるということは御理解いただきたいと思います。
○神野部会長 ありがとうございます。
 駒村委員、どうぞ。
○駒村委員 菊池さんの御意見の続きというか、財源論ですけれども、50兆円の年金財政規模から見れば、恐らく数百億円とかの規模はかなり軽微な影響なのかなと思います。ただ、財源を税財源に広げていくとなると、先ほど菊池先生がおっしゃったように、被用者保険内部の話でとどまらず、では、それ以外の加入者、つまり1号に対して何かのケアをしなければいけないのではないかという話になってくると、少し範囲が広がってくる話かなと思います。ですから、基本的にはこの話は保険財源の中の閉じた話で、それを更に踏み込んでいくとなると、国民全体のグループ全体、1号も含めた全体の料率支援というか、次世代支援をどうするかという話に広がっていくと思います。そうなると、税財源を考えてもよろしいと思いますけれども、私はやはり保険財源中心なのかなと思います。
○神野部会長 どうぞ、小塩委員。
○小塩委員 追加的な観点です。私もこの改革案には賛成ですけれども、ただ、この制度改革のメリットを受ける人が、厚生年金の加入者に限定されるというのはちょっと気になるんです。次世代育成という観点から言うと、どんな就業形態をとっていても何らかの形でメリットを受けるというのが、やはり望ましい姿だと思います。そうすると、これまでもいろいろ議論が出ていましたけれども、厚生年金の適用拡大をどうするのかという議論もあると思いますので、それを考えると、財源の議論もいろいろ変わってくるのではないかという印象を受けます。
○神野部会長 いかがですか。
 ほかになければ、この課題について、一巡目の議論としてはこの程度で引き取らせていただいてよろしいでしょうか。
 それでは、第2番目の議題になりますけれども、標準報酬上限の引上げについて、資料2について御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
○年金課長 それでは、2つ目の資料2、「標準報酬上限の引上げについて」という資料について御説明いたします。
 1ページです。標準報酬月額上限、そもそもそれは何なのかですけれども、標準報酬月額というのは、健康保険、厚生年金などの社会保険実務で、保険料を幾らにするか、年金給付等を幾らにするかということで、事務処理の正確化と簡略化を図るということで、実際の報酬月額を当てはめる切りのよい額にするということです。健康保険は月額5万8,000円〜121万円の47の等級。下に例が書いてありますけれども、実際の月収が35万円以上37万円未満の人は36万円だということにして、保険料も計算する、年金給付も計算する。10の位、100の位とか細かくやらないで、そういう等級表をつくっているという形になります。健康保険は5万8,000円〜121万円、厚生年金は上と下が少しずつ狭まって、9万8,000〜62万円の30等級になっております。
 なぜ健康保険と厚生年金が違うのかということです。下の箱に書いてございますけれども、厚生年金の上限・下限は、高所得であった人に対する年金額が余り高くならないようにする観点、及び低所得であった人に対しても一定以上の給付を確保する観点ということで、上下限を狭く設定している。年金額を計算するときには、一つには、加入期間に比例して年金額を計算する定額部分あるいは基礎年金の部分と、加入期間と平均給与を出して、それに比例して年金額を計算する報酬比例部分とがあります。そうしますと、高い月収に対して高い保険料を払っていただくと、高い報酬に比例した形で年金額が出るので、高い額の年金が出得るということで、その水準が余り高くならないようにということで、現役世代とのバランスということもあって、従来、健康保険の方は121万円まで上がっているのですけれども、厚生年金の方は62万で止めているということになります。
 したがって、厚生年金の制度では、下に例が書いてありますけれども、実際の報酬月額が100万円であっても62万円だということにして、62万円×保険料率で計算し、将来の年金額も62万円だったということを前提にした年金の計算をするという形になります。健康保険の方は、100万円の給料だったら100万円に対する保険料を払っていただくという形になっております。
 これまで、健康保険と年金の上下限はどうなっているかということですけれども、2ページの表を見ていただきますと、昭和51年までは、上限32万、下限3万ということで年金も健康保険も一緒だったわけですけれども、徐々に健康保険の方が上も下も広げていって、現在、やや健康保険の方が上下にそれぞれ広がっていっている。現在は健康保険は平成19年から121万になっているということでございます。
 この上限の額をどのような考え方でこれまで設定をしてきたかというのが、3〜4ページです。まず、3ページで、上限が設けられている理由というのは、高額所得者及び事業主の保険料負担の配慮と、保険料と給付額の上での格差が余り大きくならないようにしようと。現在の法律では、年度末におけるすべての厚生年金被保険者の標準報酬月額の平均の2倍が最高等級を上回っている状態が続くようだったら、引き上げようということで、現在は、平均の2倍が62万を上回る状態ではないものですから、62万のままで続いているということになっています。  昔から平均の2倍という考え方をとっていたかというと、そうではなくて、4ページを見ていただきますと、制度発足当初は、現実の分布状況等を勘案して決定し、昭和の間ぐらいは、最高等級に5%程度、あるいは上下限を除いたところに95が入るというような形で設定していたのですけれども、昭和60年のころから、平均のおおむね2倍という考え方をとるようになってきた。その考え方自体を法律に書いたのが平成16年の改正ということであります。そういう経緯があるということであります。
 現状、どういうふうに分布しているかというのが、5ページです。年金の9万8,000円〜62万円の分布の21年度の数字ですが、多くあるのは左側の下の方の22万、24万、右上の26万辺りに6〜7%ぐらい、グラフにするとこの辺に山があるわけですけれども、一番端の62万のところに約6.2%が入っているという形になっております。
 この6%ぐらいというのは、実は昭和の終わりぐらいからずっと続いていまして、6ページをごらんいただきますと、昭和60年度末ぐらいから上限該当が6.43%。このときは上限が41万とか47万ですけれども、大体上限に6〜7%がいるような状態がずっと続いているということで、最近は、62万というのも変えないし、62万の中に入っている割合も、21年度は下がりましたけれども、6〜7%ぐらいで横ばいで推移しているということです。
 7ページですけれども、健康保険の方は、上限に1.5%を超えるようだったら、更なる等級表をつくる。1%ぐらいになるような上の等級をつくるというルールが決まっているということで、これも以前は、3%を超えたら改定すると言っていたのを、最近は、1.5%を超えたら改定するというルールに変わっているということで、そういったルールのもとで上限を決めているのが健康保険の考え方であります。
 8ページは、前身の年金部会で、20年11月に中間的な整理をした際の標準報酬月額の上限見直しついて、どんな文章があったかということです。1つ目のマルは、前身の年金部会でもいろいろな給付の見直しの提案があったわけですけれども、この中で、新たな保険財源が必要となるものを導入する場合には財源対策が要るという総論がある。現行の上限というのは、標準報酬の最高等級に対応する保険料負担しか求められないわけですから、例えば先ほどの、100万の報酬の人が62万だと見なして16%の保険料を払いますと、100万からすると10%ぐらいの率になっているということがこの意味合いになりますけれども、必ずしも応能負担原則が貫徹されていないということで、上限を超えた人についても、特別に保険負担を求めるのを検討すべきではないかというようなことで、健康保険との関係をどう考えるかということ。
 下から2つ目のマルにありますように、現行の算定式のもとで給付に反映させた場合には、現役時代の所得格差を年金支給にそのまま持ち込むということがあって、保険料を負担する世代とのバランスを見ても、給付が高いのではないかということがある。アメリカの公的年金においては、比例型ですけれども、所得の高いところに対する年金の反映のさせ方は少し小さくしている。そういったようなことも考えられるのではないだろうか。
 ただ、そういうことをすると、今でも厚生年金というのは、期間比例の定額部分基礎年金と報酬比例部分の2階部分とがあるものですから、いわゆる所得の高い人は、所得再分配の出す側ということになっているのが、下から2つ目のマルのようなことをすると、更に若干不利になるので、それをどう考えるかというのも論点だということです。
 9ページですけれども、一体改革の成案における議論としましては、現行制度の改善事項ということで、高所得者について、負担能力に応じてより適切な負担を求めていくという観点から、上限につきまして健康保険制度を参考に見直すことを検討する。その際の給付の反映の在り方も検討することを、集中検討会議に厚労省案として提出しまして、一体改革の成案では、「標準報酬上限の引上げ」という言葉が記載され、2012年以降、速やかに法案提出ということになりまして、この御検討をお願いしているところであります。
 その際の論点ですけれども、10ページに3つありますけれども、11ページの方で御説明をいたします。標準報酬月額上限を引き上げるということで、負担能力のある被保険者に対して、現在より多くの負担を求める。これは応能負担の考え方を強めていくということですけれども、今、上限を低く設定しているのは、現役時代の所得格差を年金支給にそのまま持ち込まないようにするということ、年金額が余り高くなり過ぎないようにするということをどう考えていくのか、併せて考えなければならない論点だと考えております。
 関連しますけれども、月額上限を引き上げた場合、給付への反映方法はどのようにするかということで、アメリカの制度のような形、アメリカの制度というのは参考資料の12ページに図がつけてございます。平均賃金の低いところについては年金への反映は高めにし、賃金月額が高くなっていくにつれて反映の割合を小さくしていって、傾きを大きく下げていくような形をアメリカにおいてはとっている。こういうようなことをすることについて、どのように考えるかということになります。
 「注」にありますように、上限を引き上げますと、今、上限62万円というのは、12倍してボーナス分をつけますと、年収900万〜1,000万ぐらいが想定されるわけですけれども、121万にしますと、1,900万ぐらいの年収の方について、それに応じた形での保険料をいただくという形になり、年金額は単身で40.4万円ぐらいになる。62万円だと24万ぐらいでとまるわけですけれども、121万に対応すると40万ぐらいになる。その際に、保険料も62万が121万ですから、倍ぐらいの支払いになるという形ではあります。
 最後の12ページは、上限を引き上げることによる年金財政への影響、事業主負担への影響。先ほどの論点の際にも財政影響というお話がありましたけれども、これにつきましても、上限を引き上げた場合、年金財政に対して、当面は保険料収入が増加するということになります。ただ、将来的にはそれに応じた給付が発生するということで、増収効果が薄れることになって、規模としては、当面の保険料収入の増加、仮に健康保険と同じ121万にした場合、3年前の前身の年金部会でも一定の推計をしたことがございますけれども、年当たり8,000〜9,000億の保険料収入が増えるという形になります。今の計算式どおりの給付を行った場合、将来的には3分の2ぐらいが給付に充てられる。おおよそそんな計算になるということとお考えいただければと思います。したがって、今の計算式どおりには給付を当てはめたとしても、数千億の前半分ぐらいは年金財政上は効果があるという形ではございます。
 勿論、?全額は給付に反映しないというアメリカのようなやり方をとった場合は、増収幅、年金財政への効果幅は多少大きくなるということでありますし、121万ではなくて別な額と考えたら、それはまた小さくなるという形になる。これは自然な話でございます。
 それから、標準報酬月額上限を引き上げることによって、負担能力のある被保険者本人に加えて、所得の高い方を雇用する事業主の負担が増えるということは、現象として起きるというようなことでございます。
 資料の説明は以上です。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました標準報酬上限の引上げについて、御意見をちょうだいできればと思います。
 逢見委員、どうぞ。
○逢見委員 この点については、ただいまの説明で、平成20年における年金部会の中間的な整理、資料の8ページにその内容が紹介されておりますが、既に平成20年の段階で、著しく所得の高い者であっても、標準報酬の最高等級に対応する保険料負担しか求められておらず、拠出能力に応じた負担という厚生年金保険料の応能原則が必ずしも貫徹されていない。こうしたことから、標準報酬の上限を超える高所得者に実際の報酬に見合った保険料の負担をしてもらうため、現行の標準報酬の上限を超えた分についても特別に保険料負担を求めることを検討すべきである、こういう整理がなされているわけです。
 当時、連合から出ていた委員も、多分こういう意見を言っていたはずですが、残念ながら、それがこういう中間的な整理で止まっていて、実際の制度改正に反映されなかったということだと思うのです。この間、いわゆる所得再分配の問題が、日本は非常にこの機能が弱っていて、日本においても貧困問題が起こってきているということが社会問題化しているわけです。そうしたことを考えますと、応能原則をもっと貫徹することが次の改正に求められることではないかと思います。それが、健康保険料と同じように121万円まで一気に持っていけるかというと、それは余りにも幅が大きいのでそこまでは無理だとは思いますが、しかし、今の62万円というのを現状のまま放置することは、問題を先送りすることになるだろうと思います。
 それが給付にそのまま反映することについては、先ほど申しました所得再分配という考え方から言えば、応能負担ではあっても、それがイコールそのまま給付に反映するものではないということで、アメリカの給付算定の資料が載っておりますけれども、直線的に給付に反映させるのではなく、所得の高い人については少しずつカーブが折れていくという、参考資料の12ページですが、こうした考え方を取り入れることによって工夫の余地があるのではないかと思います。
 以上です。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
 ほかに御意見はいかがでしょうか。
 菊池委員、どうぞ。
○菊池委員 この改正の目的が、先ほど御説明がございましたように、9ページの上のマルで書いていますが、高所得者について、負担能力に応じてより適切な負担を求めていくという観点に立つということで、そういった改正が必要だということであれば、以前、こちらで議論になりました高所得者の給付減額、あれは、社会保険の枠組みを非常に揺るがすものであると思っておりますが、それよりは現実性のある改正ではないかと思います。また、標準報酬の上限というのは、教科書的ではありますが、逆進性があることで問題だという指摘が従来からあるところでもありますので、そういった意味でも積極的に考えられるのかなという気がいたします。
 ただ、医療保険と違いまして、拠出と給付を分断させるのは適切ではありませんので、保険料支払額が増えればそれなりに給付にも反映させる必要はあると思われるわけです。より再分配効果を働かせるという意味では、アメリカ型のベンドポイント制もまったくあり得ない選択肢ではないように思われます。ただ、アメリカの公的年金というのは1階建ての制度でありまして、標準的な所得代替率、給付水準も日本よりは低いのではないかと思われます。報酬比例ですが、言ってみれば、報酬比例の基礎年金制度のような性格のものだと私は理解しています。その意味で日本の厚生年金と必ずしも性格を同じくしない面があると思っております。しかしながら、それを勘案しましても、より再分配効果を働かせる必要があるという考えに立てば、我が国にもアメリカ型のシステムを導入することは、まったくあり得ない話ではないのではないかとも思っております。
○神野部会長 どうもありがとうございます。
 諸星委員、どうぞ。
○諸星委員 標準報酬上限の引上げは、厚年法の上限の改定ルールの変更ということが大前提になると思います。そうしますと、厚年法の第20条に明記されている100分の200、おおむね2倍ということでずっと推移されてきたという御説明がありますけれども、現代は、男女も含めて現役被保険者の平均標準報酬月額が30万4,000円ということで、それの約2倍ということで、今、62万が固定されているわけです。今後、特別部会で検討されている、パートを含めた非正規雇用者の適用拡大が認められた場合は、この平均額が上がるとは私は思えないのです。そうなりますと、法的な根拠である、そもそもの100分の200が、100分の300がいいのか、100分の400がいいのか、そういったところも検討しなければいけないのではないかなと思います。
 あとは、先般議題に上った高所得者への見直しということもありますので、標準報酬月額を引き上げた場合に、高所得者は現役世代に負担が重い。しかし、年金世代のときは給付は少なくという問題もありますので、そういった方々の総意といいますか、そういったことも検討しなければ、それは政治的なものだと思うのですが、まず、冒頭に言いました、法律上、どこに持ってくるのかということを検討する必要があるかなと思いました。
 以上です。
○神野部会長 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 駒村委員、どうぞ。
○駒村委員 まず、上限の引上げについては、実質賦課方式になってきているわけですから、経済力に応じて賦課方式に参加していただくというわけですから、これは正しい判断だろうと思います。評価が分かれるのは、反映させるべきかどうかというところですけれども、私は反映させるべきだと思います。これは、ほかのこの部会で議論している改革案との組み合わせが非常に重要でありまして、例えば一方で年金分割、2・3の分割や2・2の分割まで議論されている中で、これを評価、反映させないというのは矛盾するのではないかと思います。
 2つ目としては、先ほどもありました、高所得者の年金を一部見直していく。これは具体的に言うと、税財源で入っている基礎年金部分を指しているのでしょうが、これはどこまでやるかは少し議論がありますけれども、それをやっている一方でこれを反映させないというのは、矛盾になると思います。だから、これをやるならばこれは反映させるべきだと。つまり、ほかの議論しているものとの組み合わせで整合性を考えなければいけない。今、既に再分配は基礎年金のところでやっていますので、それに加えて更にここでやるのか。非常に制度が複雑になる、簡単に計算できなくなる。更に言うと、この一体改革の中の年金改革の究極の案として民主党が考えている拠出建て、これに切りかえるということを将来考えているわけですけれども、ここで反映させないとなると、まさに給付建ての性格で固めてしまうことになりますので、次の議論に選択肢を狭めてしまう。矛盾することになると思いますので、ほかとの組み合わせをよく考えて議論すべきだと思います。
 私は、いずれも今の高所得者に対する見直しは、2分2乗については、年金分割については賛成の立場をとっておりますので、ここでは反映させるべきだと思います。ただ、高所得になる、高年金になるという課題については、当然、年金課税で調整すべきであり、それが年金財政に反映されないということであれば、アメリカのように年金財政に戻すという形で、年金安定化に寄与すればいいのではないかと思います。
 3つ目の事業負担への影響をどうするかという点については、これは帰着と転嫁の問題ですので、企業、企業で直面する状況によって解が違ってきますので、企業の中で価格に転嫁するか、収益で調整するか、それとも賃金上昇率で調整するか、これは工夫していただいていけばよろしいのではないかと思います。
○神野部会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでございますか。
○柿木委員(代理:藤原) 経団連の藤原と申します。
 まず、この問題の総論としての基本的な考え方を述べたいと思います。給付と負担の関係を明確にするというのが社会保険のいい仕組みでありまして、今回の標準報酬の上限引上げ、前回御議論されました下限の引下げ、こういうものについては所得再分配の要素を現行以上に拡大することになると思いますので、私どもとしては賛成できないという考え方をとっております。
 これはなぜかと言いますと、先ほども逢見委員から、所得再分配が足りないのではないかというお話がありました。これは、小塩先生から後でお話しいただければと思いますが、日本において所得再分配機能が弱まっているのは、やはり税の方の所得再分配機能が弱まっているからであって、それを補うために、社会保険の中で再分配が行われているということです。保険料による所得再分配について、全くあるべきではないと私は申しませんけれども、これ以上、再分配機能を高めるのは、社会保険の仕組み自体を揺るがすのではないかと思っておりますので、ここの部分については賛成できません。
したがいまして、現行の年金制度における所得再分配は、公費負担が入っている基礎年金の部分に限定すべきではないかということで、被用者年金の報酬比例部分については、これ以上、制度を複雑化することについて反対いたします。
これについては、駒村先生と結論は同じになってしまうのですが、所得比例年金と最低保障年金という次の制度に向けて、というのが現政権の考え方でございますので、所得比例年金というものに対して逆行するものとして、反対を考えております。
 個別の論点といたしまして、上限の引上げについて、2つ申し上げたいと思います。
 1点目は、先ほどからアメリカの例がかなり出されております。参考資料2の12ページを見ますと、アメリカの保険料の賦課上限は日本円にすると約822万ということで、今の日本の上限と余り大きく変わらないのではないかと思います。むしろアメリカの方式は、負担のところは上限を設けておいて、結果として、高所得の人に関して給付を削減するというやり方だと思いますので、そこはあってもいいのではないかと思います。しかも、保険料率がこれからも上がる中で、更に賦課ベースまで拡大するという提案でございますので、これはやはり経済活力を削いで成長戦略に逆行するものだというふうに思います。
 もう一つは、かなり難しい話だと思いますけれども、国民年金の高所得者に関しては全く手をつけないということで、国民全体で基礎年金を公平に支えるという趣旨に反しているのではないかと思います。
 それから、前回の下限引下げのところで議論があったわけですが、そこについても併せて申し上げたいと思います。下限の9万8,000円からの引下げというのは、国民年金下限者との間の負担と給付の公平性を損なうという意味で、私は、新たな歪みが生じるというふうに思います。
 以上でございます。
○神野部会長 どうもありがとうございます。
 武田委員に御発言をいただいていないので、武田委員を優先させていただきます。
○武田委員 私は、結論として、本件は慎重に見極める必要があるのではないかという考えです。理由は大きく2点です。1点目は、先ほど諸星委員からございましたが、事務局の資料の4ページの最後にありますとおり、改定するルールとして、「平均標準報酬月額のおおむね2倍に当たる額を基準に改定」という文言があります。6ページの標準報酬月額の推移を見ますと、マクロ経済情勢が低迷する中で、平均額が下がっていますので、この推移と既存の法律に基づいて解釈するならば、なぜ今ここで変更しなければいけないのか、少し疑問に感じるというのが1点目でございます。
 2点目は、ほかの何名かの委員から意見がございましたとおり、高所得者に保険料負担を求める一方で過剰給付に対する措置を設けるとの案に対しては、制度をこれ以上複雑にしていいのかという懸念がございます。第2回の部会で、低所得者と高所得者の給付増減に関する議論の際にも同様の意見がございましたが、そもそも現行の社会保険制度でどこまで所得再配分機能を強めるかは、いろいろな見方があると思いますが、少しずつの手直しを多数行うことによって、結果的に年金制度の複雑化、更には年金財政の予測の難しさという問題も招くのではないかと感じております。
 以上の2点から、慎重に見極めるべきというスタンスでございます。
○神野部会長 どうもありがとうございます。
 それでは、小塩委員、どうぞ。
○小塩委員 私もどちらかというと慎重な立場をとっております。その理由は、先ほど駒村委員がおっしゃったように、ほかの制度とのかかわり合いが重要だと考えるからです。例えばこれが医療保険だったら、上限は取っ払って構わないのではないかと思います。というのは、給付と拠出額とは連動しませんから、お金のある人はたくさん払っていただくというのでいいと思います。それから、年金の場合でも給付がフラットであったら、上限は取っ払って構わない。応能原則が直接適用できると思います。ただ、報酬比例の場合は、後で払った分に連動してお金がもらえるということですので、単純に応能原則でものが言えるかと言われると、ちょっと慎重にならざるを得ません。若いときにたくさん払った金だから後でもらえるというのは、非常に理解しやすい考え方ですけれども、それは貯金の話であって、年金とは言いづらいという気がいたします。
 それと、賦課方式で今の制度は走っていますが、若い人から、「現役のときにたくさん給与をもらっていた人に対して、我々が多めのお金を負担することがどうして是認できるのか」と言われると、説明が難しいところがあります。仮に上限を引き上げるのであれば、所得の高い人の給付をできるだけ抑えるという仕組みを併せて導入しないと、ちょっとこれは難しいのではと思います。
 以上です。
○神野部会長 どうもありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
○山本委員 武田委員や諸星委員が言われたことにかなり連動いたしますけれども、6ページの表を見ますと、標準報酬月額上限が月額の平均額の大体2倍となっております。これがどういう理論からこうなっているのかというのは私もつまびらかではないですけれども、いわゆる年金というものの支給額の適正な幅を維持するために、恐らく皆さんが考えた衆知の結果が、この1対2ということにあらわれているのだと理解しております。そういうことから見てまいりますと、先ほども御質問があったのですが、今、なぜこれをやらなければいけないのかということを改めて質問させていただきます。いろいろな意味で組織や仕組みというものは、時代に合わせて変えていかなければいけないことは理解できますけれども、これを見ますと、むしろ下げてもいいのではないかという理屈も成り立ちます。マクロ経済スライドではないですが、そういう観点から見ても、今、ここで上げるという理由がこれから見る限りはっきりしないように思います。
 健康保険と年金は一律ではないでしょうし、参考の資料としながらこの問題を論じるというのは、もともと保険の性質そのものが違うというところにきて、何か短絡的な御提案のような気がしてなりません。適正な数値というのは必ずしも健康保険の問題を引き合いにして論ずるべきではないのではないかとも思います。
 それと、先ほどの財源の問題とも絡むのですが、これを今やろうとする理由が、やはりそこにあるのかなということも感じられます。これほど景気の状況が悪い中で、仮に応能の負担をすることで負担は増やすけれども、将来の給付の段階で給付を削減していくということは、理屈あるいは財源から見ればわかりますが、この段階で負担を増やして、将来の給付については漸減的な方向でもって調整をしていくという論が、この時代に成り立つのかどうかも考えなければならないと思います。パートタイマーの標準報酬月額の下限を下げるというお話等もあり、そこでの財源の面での影響に対して、こういうものから補てんを図るようなお考えがあるのかないのかについて質問したいと思います。
 以上です。
○神野部会長 米澤委員、どうぞ。
○米澤委員 私は、やはり慎重に考えていく必要があるのではないかと。そんなに今まで説明があったような確固たる根拠があるわけではないですが、一番気になるのは、事業主の負担が増えるというのは、先ほど、経団連の方は余り負担にならないようなことをおっしゃっていたので、いいのかもしれませんが、私は、今のような経済状況、ないしはここから先を見ても、相当大きな負担になるのではないだろうかということで、年金のところからは外れますが、やはりここを無視するわけにはいかないと思います。
 では、どうしたらいいかといったときに、極めて打算的ですけれども、一つは、上限を引き上げたとしても事業主負担を増やさない。その分、給付も増やさないということで、結果としてフラットになるようなことも一つ考えてもいいのではないだろうか。複雑な上にまた複雑をつくるのかと言われればそれまでですけれども、月額を増やして給付も応分に増やすというのは、広い意味の年金の機能からしてそんなに必要ないのではないかと思っています。ですから、打算的に考えて、全体の財源を豊かにする方法の一つとしては、事業主負担を増やさない。同時に、給付も、フラットにするかどうかわかりませんけれども、抑えて、それで負担の部分を増やすという点が一つ考えられるのではないだろうか。そういうのは面倒くさいということであれば、あえてここのところを大きく上の方に増やすというニーズは余りないのではないかと思っています。
○神野部会長 どうもありがとうございます。
 さっきの山本委員の最後の御質問について、コメントがあれば事務局の方でお願いします。
○年金課長 ありがとうございました。山本委員から幾つか御質問があったので、今の結論がどうこうという話ではないですけれども、状況だけ御報告いたします。
 御指摘のありましたとおり、平均標準報酬の2倍という形になっているのは、年金の計算をするときに、基礎年金は別ですけれども、2階部分のところが、高い年金の人でも平均の倍ぐらいになるところへ下げるというのが発想としてあったのだろうと思います。そういうことではありますけれども、現役時代の所得格差を老後に持ち込まないようにということもあって、あるいは現役時代とのバランスの関係もあって、そういうことがあるわけです。それは従来の考え方がそういうことなんですけれども、一方で、所得の高い人が相対的に言うと負担が軽いと。先ほど、委員からも逆進性という言葉がございましたけれども、そういったことをどう考えていくか。応能負担ということを、負担能力のある方にはもうちょっと負担をいただくという発想もあっていいのではないだろうかということで、20年の年金部会でもそんな議論もあって、そういう論点として出ている。
 従来、現役時代の所得格差を老後に持ち込まないようなということでの、2倍に抑えましょうということがあったのですけれども、それだから、もうそれ以上触らないというのではなくて、それをすることによって、一方で、所得の高い人が軽い負担になっているということが起きているから、そこを総合的にどう考えていくのがいいだろうか。その場合に、2倍ではなく3倍にするとかいう話にするのか、健康保険でやっているように、上限に何%以上になったら見直しをするとか、そういう考え方で次の考え方をつくっていくのかというのは、上限をどういう考え方でやっていくのかということのベースになろうかと思っております。そこは、今の時点で結論がどうこうという話ではございません。
 あとは、財源対策ではないかという話がございました。これは、8ページの20年の年金部会の資料でも、一番上のマルにそれに多少近いことが書いてございます。先ほど来、いろんな改正項目、以前議論いただきました在職老齢年金の見直しにしろ、今日の前半の産休期間中の保険料免除にしろ、現在の仕組みの中では、給付の増あるいは負担の減になる分というのが単体としては盛り込まれていて、これも単体としては、こういった財政効果はあるという項目であると、それはそういう見方をしていただいていいと思います。その上でどういうメニューをどう組み合わせていくのか。それによって長期の見通しがどうなっていくのかということを御議論いただけるような形で、20年以降の議論の進め方ができればというふうに思ってございます。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
 そのほか、どうぞ。
○森戸委員 事務局に説明していただいた後で申し訳ないのですが、賛成か反対か言わないとしゃべってはいけない感じがあって、ちょっとびびっていたのですけれども、せっかくなので発言させていただきます。難しい問題だと思いますけれども、応能負担だからというところから話が始まって、私の考えだと、まず、公的年金ですから老後を支える。完璧ではないにしても、国民が老後に暮らせるだけの給付がちゃんとなされるかというのが先で、それをするにはどのぐらい保険料を出しておいてもらえばいいのかということが決まる。勿論、再分配の機能なり、賦課方式ではあるでしょうけれども、一応報酬比例の年金で国民年金と別にあるとなっている以上、全然連動していないのはおかしいと思うのです。そうすると、今の高所得者、もしくは上限を超えるような人の老後に公的年金が足りないということがあるのかというと、それはないのだとすれば、年金給付に反映するという前提ですが、上限を特に上げなければいけない理由が、給付というか、老後を支える年金としてどれぐらい必要なのかという観点から、それが言えるのかというのが疑問で、とりあえずお金が取れるところから取ろうということにどうしても思えてしまう部分はあります。
 ただ、前に議論のあった、2分2乗とかをやるのであれば、例えば専業主婦を持っているだんなさんの保険料の半分は奥さんのものになるということになれば、それは、もっと上限を上げて保険料をもっと取って、半分ずつで、半分にすればそんなに無茶な負担にはならないということになるので、結局、これも2分2乗その他、ほかの制度、給付設計をどうするか、アメリカみたいにするかどうかは別として、給付の計算とか、2分2乗をどうするかとか、そういう話とセットで議論しなければいけないだろうなというふうに思っております。
 あとは、もし給付の方で、高所得者について負担は増えるけれども、給付は増やさないみたいなことになるのであれば、それとセットで、前も申し上げましたけれども、自助努力の部分とか、企業年金の部分とか、その分を補うような、政策全体としてどう考えるかという議論も必要かなというふうには思います。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
 山口委員、どうぞ。
○山口委員 いろいろ皆さんの意見を伺いながら考えていたのですが、これはプラス・マイナス両方の面があると思います。ですから、難しい問題だと思うのですけれども、今、これをなぜこの時期にやらなければいけないかということについて、私も、武田さんがさっきおっしゃったような違和感をちょっと持っています。デフレの中で給与は下がってきているわけです。ですから、上限に滞留する人が増えているという状況ではありませんから、そういう中でこれをあえてやるというのは、今までと違う考え方を導入しようということでなければいけないわけです。そうすると、さっきから話が出ているようなベンドポイント方式とかいったような話も出てくることになるのですが、これは、これまでの公的年金の仕組みをかなり大きく変えてしまうものになるという気がしています。かなり複雑な制度設計になる懸念があります。給料は上がるばかりではなく下がることもあるわけですから、それに応じて適用すべき給付係数が複雑になるわけです。給付が下がった場合には低い計数を使ったり、上がった場合にはまた高いものを使うことになります。勿論、今でも、標準報酬を月額ベースでやっていた時代と年額ベースに変更された以後の時代で用いる給付係数が異なっているわけですけれども、更にそれに加えてベンドポイントによって複雑なことになるわけです。ということで、これはにわかに賛成しがたい面もあるように思いますので、もう少し慎重に考えなければいけないという気がしております。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
○駒村委員 一言だけ、ちょっと気がかりな点があったのですが、これは頭の整理かもしれませんけれども、基礎年金の役割です。基礎年金への拠出金というのは、高所得者ほど実質的には多く負担したことになるわけです。貢献することになるわけです。仮に下限を下げて低所得者を受け入れるとするならば、そこでの再分配性がより確保できるためには、上も上げていく。確かに2倍からルールを変えるということは、低所得者を引き受けていくことと関連してくることと、2004年の年金改革で国庫負担が2分の1になって、基礎年金の再分配貢献部分が3分の2から2分の1に変更になっています。その分だけ落ちていますので、そういう意味では上下限の意味が変わってきているのではないかと思います。この辺は、2倍のルールを変更するならば、少しその辺も含めて理論武装しなければいけないと思いますし、介護保険も後期高齢者医療保険も応能負担の方に舵を切り始める議論が進んでいますので、それと考えると、上下限を上げるというのはある種整合性があるのではないかと思います。再分配の範囲と効果を考えないと、上下限の話はできないのではないかと思います。
○神野部会長 よろしいでしょうか。
 一わたり委員の皆様方の御意見をちょうだいいたしましたので、第2番目のテーマであります、標準報酬上限の引上げについては、この辺で打ち切らせていただいて、繰り返すようですが、また二巡目の議論がございますので、そこで補足していただければと存じます。
 では、最後の議題で、それ以外の問題でございますけれども、これについて、資料3で事務局から御説明をいただければと思います。お願いします。
○年金課長 それでは、資料3について御説明いたします。
 今の上限の見直しの関係で、一体改革の成案の年金のところに書き込まれた現行制度の改善の項目については、年金部会でということについては一巡ということでございまして、これはまた、来月以降の会で続きをお願いしたいと思います。1回目の年金部会の今後の議論のスケジュールのところにもずらっと並べた一番下に、「その他の制度改善事項」ということを記載してございました。年金部会では、一体改革の成案の各項目について急いで御議論をお願いしたいということを申しましたけれども、議論はそこだけということではなくて、さまざまな制度改善については俎上に上げていく必要があるかと思っております。その例ということで、その他の制度改善事項として例えばどんなものがあり得るのかということで、資料を用意してみました。
 1ページは、一つには、「日本年金機構から『年金制度に関する改善検討要望』」ということで、年金機構から、本年3月にいろいろ検討して整理をされて、年金局に対して要望をされているものがございます。例えば資格期間の短縮とか、任意加入制度の拡充等々の例が挙がってございます。
 また、厚生労働省に対しても、電話やメールで「国民の声」という形で届けられているものがあります。これは、時期によってある特定のテーマのものが集中することもありますけれども、一般的には、年金額の引上げですとか、さまざまな支給停止の見直しとか、受給要件の緩和等、あるいは3号被保険者、遺族年金の男女格差等々の見直しといった意見が寄せられています。厚労省では一昨年10月以降、どういう声が寄せられているのかというのを、最初のうちは週次で、最近は月次でホームページに公表しているところでございます。
 具体的な例を紹介いたしますと、参考資料の13ページから17ページにかけまして、(1)で申し上げました年金機構からの「年金制度に関する改善検討要望」ということで、これらが厚労省宛てに出されたものです。この中には、法律改正が必要なもの、政省令あるいは実務の問題のもの、さまざまございますけれども、例えば13ページの右側に、受給期間の短縮とか、国民年金の任意加入というのは、60歳以降でも期間が足りない場合は65歳まで、40年に満たない場合は65歳まで、65歳になっても25年に満たない場合には、25年に満つるまで、あるいは70歳までの加入が可能なわけですけれども、70歳になっても25年に達しない方には、70歳以降でも加入できるようにできないかとか、そういう要望。これは、資格期間短縮と任意加入の上限の話と裏表みたいなところがございますけれども、そういった要望ですとか、ほかの給付との調整の見直し等々、ここに記載しているようなものについて、現場で説明をしていく中で、こういったところの制度改善ができないかというような提案をいただいているところであります。
 そういったものが、14ページの左側までが給付関係で、右側では、適用・徴収の関係で言いますと、例えば上から4つ目、滞納事業主に対する給付制限の導入ということで、被保険者から保険料を事業主が徴収して、その事業主が年金機構に納付をしなかった、滞納した場合でも、受給権の保護ということで、被保険者については年金給付は認められるわけですけれども、事業主については、徴収しながら納付をしなくて、でも、事業主も被保険者である場合、その人についても受給権を保護していいのかどうかという問題意識が示されているとか、さまざまな提案が来ております。
 15ページは、国民年金関係、適用・徴収関係で、このような制度改善が図られないだろうか等々、一つひとつ説明しているとあれですので、このようなものがあって、これらを年金局でも検討しながら、必要に応じてこの場でも御議論いただくような機会をいずれお願いすることもあろうかと思っております。
 18ページからは、先ほど、厚労省に寄せられている「国民の声」というのをホームページで公表していると申しましたけれども、18ページが公表した第1週目の例で、19ページは第2週の例、20〜21ページは、最近の月次で公表している8月の分です。さまざまな要望があって、そのすべてを掲載しているわけではありませんけれども、今週はこのような要望があってこういう回答をしておりますという形で、年金に限らず省内のあらゆる分野について、こういったものを公表しているということで、この場で御紹介させていただきました。
 資料3に戻りまして、さまざまな現行の年金制度についての制度改善を図れないかというのは、実際の事務施行をしています年金機構から、あるいは直接国民の皆さんから、厚労省の方に来るわけです。その中で、今日はひとつ御議論をお願いしたいと思っておりますのは、「(3)国会での議論」ということで、年金機構からの要望もあり、また、「国民の声」にもあるものの一つですが、父子家庭への遺族基礎年金支給につきまして、9月の臨時国会で御議論がありました。
 2ページを見ていただきますと、予算委員会で、特に震災の関係に触れられての質問でしたけれども、遺族基礎年金というのは、母子家庭に対する支給ですけれども、父子家庭には支給されていないことについて、生活に困窮している父子家庭もいるわけですので、そういった見直しが要るのではないかという質問があり、大臣からは、現在、こういった年金制度の改革については、年金部会で検討しているので、検討していきたいというようなことがありました。ただ、答弁にもありましたように、児童扶養手当という仕組みにおいては、父子家庭にも支給されるように22年から改正されているところでございます。
 この制度の概要を簡単に御説明いたします。3ページを見ていただきますと、遺族年金というのは、主たる生計を担っている方が亡くなった後の残された方々の所得保障ということで、死亡というのを保険事項にして給付がされているわけですけれども、遺族年金は、世帯の生計の担い手が死亡した場合に、その者によって生計を維持された遺族の生活保障ということで、遺族基礎年金というのは、子のある妻または子どもだけが残った場合ということになっております。
 したがって、下の表の左から2つ目に「子のある妻」という欄がありますけれども、子のある妻については遺族基礎年金も出ますし、遺族厚生年金も出るということで、右から2つ目、夫も父母も祖父母がセットですけれども、夫が残った場合は、子どもがあるなしにかかわらず遺族基礎年金は支給されないという形になっています。厚生年金については、左の欄で「妻」。これは、子どもがいない場合と考えていただければと思いますけれども、遺族基礎年金は子どもがいない場合は出ませんが、厚生年金の方は妻の場合は出る。しかし、右から2つ目の欄にありますけれども、夫の場合は厚生年金も、妻死亡時55歳以上であれば、60歳からは受給できるという形での制限がある。
 非常に細かいのですけれども、以上のように、遺族年金の支給対象者には男女差があります。これは、就業機会とか、賃金などの男女の違いの現状を前提にして制度が組まれていることが背景としてあります。
 また、遺族給付では、厚生年金において、中高齢の寡婦加算、中高齢の寡婦の方については一定の加算をする。これも、就業機会が少ないとか、難しいとか、就業できても賃金が低いだろうというような形での加算があったり、国民年金だけにある寡婦年金、お子さんがいらっしゃらない60歳以上の方ですけれども、これも、就業機会が乏しいだろうというようなことで女性のみの給付というのはございます。
 こういった現状があるわけですけれども、4ページをごらんいただきますと、遺族基礎年金の支給対象というのは、男女の雇用機会・雇用条件等の相違の存在を前提にして、母子家庭等に限られており、父子家庭には支給されていないということで、この男女差をどう考えるかということがございます。
 なお、先ほどちょっと触れましたけれども、年金ではなくて税財源としての手当、児童扶養手当という制度においては、これも従来は母子家庭だけということですし、所得による支給制限はあるわけで、年収365万以上だったら支給されないという形ではありますけれども、父子家庭には一律出なかったわけです。母子家庭と同様に経済的に困窮している父子家庭もあるということで、22年に、父子家庭への適用拡大がされてきたという経過はあります。ただ、遺族年金の方は、そのときに特段の改正はなされておりません。ということで、遺族基礎年金は、基本的には一律、所得を問わずに支給されるというのが基本的な形ではあります。
 遺族基礎年金の支給対象者を拡大する場合に、新たに財源が必要になってまいります。これにつきましては、現在、遺族基礎年金というのは約9万人に支給されていて、1人100万円余りですので、1,000億ぐらいの支給がされています。基礎年金は国庫負担2分の1ですから、半分が国庫という形が、現在の母子家庭、遺児に支給されている遺族基礎年金がそのぐらいの額です。父子家庭のうち死別の方というのが、推計ですけれども、4万から5万ぐらい。調査によりますと、父子家庭が20万世帯ほどで、そのうちの死別割合が22%ぐらいですので、そのくらいの数字と思っています。そうしますと、今、9万人で1,000億ぐらいの給付と言いましたけれども、4万5,000人ぐらいですと、その半分ぐらいの給付になるだろう。そのうちの半分が国庫負担になるのだろうというのが粗い推計になります。
 ただ、遺族基礎年金というのは、被保険者が死亡したときに生計を維持されていた人に支給されるという考え方ですけれども、夫婦と子どもがいて、奥様が亡くなって父子家庭になった場合、主たる生計を担っていた人が亡くなった場合の、生計を維持されてきた人に支給される遺族年金というものに照らして、父子家庭というのをどのように考えていくのかということがございます。
 ほかにも、男女差をすべてなくすことにした場合、そういうことを仮にテーマに掲げた場合には、中高齢の寡婦加算ですとか、国民年金の寡婦年金などの、女性のみに給付されているものがほかにもあるわけですけれども、それは、現状の社会の中での就業機会、賃金格差等を前提にあるこういった制度をどう考えていくのか、というような論点があろうかということでございます。
 最後のページは、児童扶養手当法の改正をする際、父子家庭に支給拡大をする際に、条文として、下から2つ目の箱に、改正の附則として、遺族基礎年金という言葉は書いてありませんけれども、父子家庭への支援策の在り方について、ほかの制度についても検討が必要だろうというようなことが、附則検討条項ですとか、附帯決議に、そういった趣旨のことが考え方としては書かれているということでございます。
 説明は以上です。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただいた事項、とりわけ父子家庭と母子家庭の相違、これは税の控除その他にも残っているところですが、どう考えていったらいいのか、御意見をちょうだいできればと思います。いかがでございましょうか。
 菊池委員、どうぞ。
○菊池委員 男女差の点に関してでありますが、私も授業で教えておりまして、この点は、「そのうち絶対訴訟になるよ」と学生に言っているところだったのですが、たまたま20日の朝刊で、地方公務員災害補償法の事案で、遺族補償年金に関して男女差は違憲だという訴訟が大阪地裁に提訴された。「そら、みなさい」と学生に言ったところなんですけれども、これは言ってみれば、男女に差を設けるというのが、憲法を出して恐縮ですけれども、憲法14条1項の「法の下の平等」に反するのではないかと。この訴訟もそういう趣旨が含まれていると思いますが、確かに社会保障の立法において憲法違反かどうかというのは、恐らく基本的には立法裁量事項である、広い裁量が認められているということではあるわけです。
 ただ、一方で憲法上も、人種、信条、性別、社会的身分または門地に基づく差別を明示的に禁止しているということで、考え方としては、憲法に明示されているものについては裁判所は厳しく審査すべきだという考え方もかなりあるようです。裁判所でどう判断されるかということはおきましても、これだけ家族形態が多様化している中で、従来の家族モデル、あるいは男女の役割分担モデルにのっとった規定をいつまでも置いておくというのは、適切ではないのではないかと思います。第3号被保険者の問題がありますが、あれは別に法律上は男女という差を設けているわけではありません。ここでははっきり男女差を、法律上、設けているということが問題ですので、早く法改正する必要があると思います。
 これは直接的には、遺された遺族が男性であった場合の男性に対する差別ですけれども、またアメリカの話を持ち出して恐縮ですが、アメリカの連邦最高裁判所は、やはり遺族年金に関して違憲判決を出しています。その趣旨は、女性に対する差別という観点から憲法違反、平等原則違反だということを言っています。つまり、主たる生計維持者たる女性に対する差別だという趣旨ですので、両面あるのかなという気がいたします。
 ただ、一つ気になるのは、年収850万円という基準です。遺族年金の支給要件の一つに、生計維持要件、先ほど御説明がございましたが、主たる生計維持者の死亡当時、その者によって生計を維持されているということが必要ですが、その基準が年収850万と。つまり、遺された奥さんが年収800万でも遺族年金をもらえるということですけれども、その基準の適切さと、もらえるかもらえないかという、先ほどの年金機構さんの論点にも出ていましたが、それをどう考えるのかというのをセットで考える必要があるかなという気はいたします。
 以上です。
○神野部会長 いかがでございますか。
 花井委員、どうぞ。
○花井委員 私も今の先生と同じ考えで、やはり歴史的な経過はあったと思うんですね。戦後、専業主婦モデルというか、そういう社会状況のときと、これからつくっていく仕組み、今、残っているものを見直すときは、やはり男女平等ということを観点に据えるべきだろうと考えますので、これはすべて、「配偶者」であるとか、そういう中立的な用語に変えていくべきではないかというのが一つあります。それから、遺族厚生年金の男女差、男性が55歳となっているのですが、これもやはり解消すべきではないかというふうに思います。
 その上で、今、先生がおっしゃった850万というのは、私も大変疑問で、そのときに認定されれば、1回の認定でずっと続いていくということも疑問ですし、そもそもなぜ850万円なのかということが、何らかの基準があってそうなっているのか、わかれば教えていただきたいと思います。
○神野部会長 今の御質問に対するコメントはありますか。
○年金課長 なぜ850万円かというのは、経緯の説明にしかならなくて、多分、花井委員には御満足いただけないと思いますけれども、明確にこの水準でということでなっているわけではなくて、経緯的な数字でございます。
○神野部会長 時間があったときにでも、もう少し経緯を説明してもらえばと思います。
 あと、いかがでしょうか。
 藤沢委員、どうぞ。
○藤沢 多分、最後の発言の機会かと思うので、少しだけ余計なことも申し上げたいと思います。今、遺族年金に関しましては、おふた方がおっしゃったとおりだと思います。昔のライフスタイルで「女性は扶養されるもの」という前提だったから、こうなっていたのだと思います。今、実際に若者たちを見ていると、子どもを産むか産まないかというところで、2人で働いて子どもを養えるかということを議論して決めているわけですから、その意味ではどちらかが亡くなるということは、子どもを扶養するのが大変であるという環境にあると思います。どちらが亡くなっても、配偶者が亡くなった場合は少なくとも基礎年金はいただけると。恐らく今は国民年金に入っている人が多いでしょうけれども、その上でパートですとか、非正規の方々が、厚生年金に入るような流れをこれからつくっていくのであれば、遺族厚生年金というのも、勿論、考慮していかなくてはいけないのではないかと思います。
 そして、少し余計なことを申し上げますと、この後、二巡目に入るわけですけれども、来年の国会にこの年金部会として何を出していかれるのかというところを、一度きちんと御説明いただきたい。そして、来年の国会に出さなくてはいけないテーマ、税の問題であるとか、世代間の格差のマクロ経済スライドのきちんとした実施であるとか、先ほどの低所得者、高所得者の扱いであるとか、どの辺を来年の国会に向けて準備されているのか。それを私たちは早く知りたいし、前回のように、新聞やメディアで受給開始年齢の引上げが議論されていて、私は、メディアでの議論は非常に一方方向でちょっと残念な感じがしたんですね。
 そういう意味では、ここでせっかくのオープンな機会があるので、来年の国会に出すテーマは何であり、それを今、ここできちんとオープンな形で議論する。そして、年金の問題を議論するときは、誰もが我慢をしたり譲ったりしなければいけないところがあるわけですけれども、その部分がどうも議論されないまま、被害者的な議論ばかりがメディアで議論されています。何を譲るべきなのかということも含めて、ここでオープンに議論できたらいいなと、二巡目に向けてのお願いを最後にさせていただきました。よろしくお願いいたします。
○神野部会長 これは繰り返し説明して、説明が足りなかったのかもしれません。いずれにしても現行制度上の改善ということで、送るテーマというのは別途設定して二巡目に入るということになりますし、現行制度上の問題を議論する上でも、先ほどの駒村委員の議論にもかかわるかもしれませんが、そもそも年金はどういうもので、将来的にどういう方向性にしていくのかということを想定せざるを得ないわけです。そこのところのそもそもが違っている議論と、方向性は同じなんだけれどもステップが違うという議論が、現行制度上の改善という問題をやると出てくるわけです。その混乱を整理しながら、後で御案内しようと思ったのですが、今日で一巡目の議論を終わらせていただくことになりますけれども、二巡目の議論では、一巡目でお出しいただいた議論をまとめながら、これは、ここで決めればよいので、どこまでという話ではないのですが、ただ、あくまでもそういう制約があると。スタートするときも共通の認識にしていただきましたけれども、詳しく議論をここでやりますと時間があれですので、その程度にさせていただいて、次回以降、二巡目に入りますので、そのときに説明させていただきたいと思います。
 諸星委員、どうぞ。
○諸星委員 次回は二巡目ということは、非常に議題が多いのですけれども、今日の中で、そもそも母子年金という制度が遺族基礎年金の形になったという歴史がありますので、先ほど皆さんがおっしゃっていたように、それが時代とともに変わって、今、ハーフインカム世帯が増えているということですので、やはりここで男女差をなくすという方向性は検討すべきだと思います。
 もう1点、本日の資料の「年金制度に関する改善検討要望」の中で、細かいので勿論割愛させていただきますが、その中でどうしても俎上にのせていただきたい問題がございます。実は1ページの「繰下げ支給の弾力化」というところですが、先ほどの検討事項の中では、政省令で済むものと、法律を変えなければいけない問題があります。70歳の繰下げというのは、70歳まで最高5年間繰下げができます。70歳の時点で42%の老齢基礎年金が増額されるという仕組みなのです。
 ただ、なぜ問題が多いかといいますと、実務上、65歳の基本給付が発生した裁定請求の時点で老齢基礎年金の繰下げを希望する欄が設けられております。そこに「希望する」としてしまうと、一般の方々は、70歳の繰下げというのは申出をした翌月から出るということは知らないため、うっかりして出さないということがあります。いくらその説明をしてあっても、70歳になって割増された年金をもらえると思っていたにもかかわらず、ちょっと申出が遅れたために、数カ月後、ひどい人は1年、2年先に申出をしても、さかのぼって支給されないという非常に大きな問題が出ていまして、審査会の不服申請がいつまでたっても減りません。
 これは審査会の方からも言われたのですが、法律上、そのような仕組みになっていますので、今回、いろんな議題がありますけれども、先ほど事務局の方はさらっと通り過ぎましたが、ここの部分についてはやはり検討していただきたいと思います。実際は1年前ほどから、65歳に繰下げを希望した方に関しては、文書を出してやってくださいと言っているのですけれども、やはり説明がきちんとされていないということと、やはりわかりづらいという現実もございます。旧社会保険庁時代に比べて、改善する動きは非常に速くなってきましたけれども、繰上げ支給の問題でも、70歳到達時の基本給は発生していますので、支分権をどこで発生させるか。特に70歳過ぎ。これについては是非とも検討していただければと、私の個人的な希望ですけれども、お願いしたいと思います。
 以上です。
○神野部会長 ありがとうございました。
 事務局の方でコメントはございますか。
○年金課長 コメントと申しますか、今日のこの場に限らず御意見をいただいて、また、今後の議論の俎上にお願いしたいと思います。
○神野部会長 ほかの問題でも結構でございます。今のような御指摘を含めて、御意見をちょうだいしたいと思います。
○柿木委員(代理:藤原) 2つありまして、1つは、第1回目の会合でも申し上げましたけれども、被用者年金の一元化の議論が別のところで行われる、または、役所間でたしか会合を持っているとされていたと思いますが、その会合が何回ぐらい開かれたのか、進捗状況を教えていただきたい。それから、私は報道でしか見ていないのですけれども、先週、大臣が国会で、被用者年金の一元化については来年の提出が難しいということをおっしゃったと。そんなことはないだろうと思いますが、法案提出が難しい理由というのは何なのか。これは一回、2007年に出ている法案なので、何が難しいのかがよくわからないので、その説明をいただきたいというのが1点です。
 もう1点は、先ほど皆さんからもお話がありましたように、改革の議論をするときには、財政検証といいますか、財政見通しをしっかり出していただきたい。これはカネ計算の話ですので、必ずやるべきものだと思います。そのときに是非、所得代替率も一緒に出していただきたい。これでなければ、将来の年金、または自分の支給のある程度のイメージが出てきませんので、是非お願いしたいと思います。
○神野部会長 最初の被用者保険の問題について、現状というか、動きを簡単に御説明いただければと思います。
○年金課長 被用者保険の一元化の関係につきましては、平成19年に一度法案があって、それをベースに関係省庁と、どう変わっているか、どう変えなければならないか、あるいはそのままでいいか等の議論をしているということで、改めてその状況は御報告したいと思います。19年に一度法案はできていますけれども、あのときは、一部あの法案に盛り込まれなかった事項、御案内のとおり、新3階の部分とかがあったりして、今度は、またそれは別でというわけにもいかないという事情ですとか、あるいは、その間に21年の財政検証を各制度も行っているということも前提に、関係省庁との間で、調整、議論を重ねております。どういう内容かについては、今後の会議の中で、以前より、被用者年金の一元化については関係省庁で調整した上で年金部会で状況を報告するという話になっていましたので、そこは御報告もしたいと思っております。
 大臣の国会での答弁というのは、一度法案ができているのだから、簡単なのではないかと思われているかもしれないということで、「いや、そんなに簡単ではない」という趣旨での発言であって、別に来年は出さないとか、そういうことを明言したということではないと受け取っていただければと思います。それにつきましても、2012年以降、法案提出という成案を前提に関係省庁で話し合いをしているところでございます。
 2点目の件については、どういう形でお示しするかは検討が必要ですけれども、財政影響はどうなるかというのは大事な事項だと思いますので、どういう形で提供できるかというのは検討いたしますけれども、何らかのものでと思っています。特に、本日の遺族年金を含めた3テーマとも、保険料にも影響しますし、遺族基礎年金は税財源にも関係するというようなことですので、どのような形で考えていくのかという判断材料を準備したいと思っております。
○神野部会長 準備ができるのであれば、しておいていただければと思います。
○数理課長 御意見を承りましたので、どこまでできるか、これから検討させていただきたいと思います。
○小室委員 二巡目に向けて、是非、後で教えていただけたらと思う点で、850万以上というのを、さっき経緯はわからないということだったのですが、この850万を幾らか引き下げた場合に、父子の方に出せる財源がどれぐらいになるか。そのような試算がある程度あると検討しやすいのかなというので、引き下げた場合を知りたいというのと、もう一つは、死亡したときに生計を維持していた者に支給されるというのは、何か確認をして出すのか。これを実際に確認して出すということになると、父子家庭に出るケースは極端に少なくなるような気がします。妻の方が生計を維持していた家庭で父子家庭になるケースというのは相当少なくなるので、これについてどんなふうに確認を現在はされているか。これだと該当者がいなくなってしまうので、必要ないかなというような考えを少し持っています。
○神野部会長 ほかに、御意見をちょうだいできればと思います。
 小塩委員、どうぞ。
○小塩委員 二巡目に向けて注文というか、お願いですけれども、先ほど米澤先生もおっしゃっていますが、やはり数字の議論が欲しいと思います。今の制度をそのままにした上で、また、マクロ的なパフォーマンスも今の状況を想定した上で、一体どのようになるのかという試算結果をベンチマークにして、それぞれの制度がどういう財政影響を持つのかを示していただきたい。それがわからないと、どういう優先順位で議論していいのかがわかりませんので、それは是非お願いしたいと思います。
○神野部会長 これもできるだけ事務局の方で、議論に役立つような資料を御準備を、ちょっと大変でしょうが、可能な限り御努力いただきたいということを要請することになるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 あとは、いかがでございますか。よろしいですか。
 それでは、設定された現行制度の改善というテーマをめぐって、一巡目の議論は今日で終わりたいと思っておりまして、二巡目にまた、皆様方の御議論をちょうだいできればと思います。次回は、なるべく広くちょうだいした御意見を皆様にお見せしながら、それをたたき台として、御議論をちょうだいできればというふうに考えております。
 私などは財政をやっておりますので、いつも翻訳を評語するのが大変で、応能原則と言われると、我々は、アダム・スミスがきちっと書いている、公共サービスの利益に応じて、それは所得に比例して、能力に応じてということも出てきますが、応能原則と言ったときは応益原則と訳すんだなと、こういうふうにやらなければならない。
 それから、先ほど山口委員の御意見で、社会保険料の軽減や何かの財源措置は、財政学の方で言うと、複数主体に政府が存在した場合。だから、社会保障基金が社会保険料を課す、地方自治体が地方税を課す、この場合、例えば最低生活費免税とか、それぞれの税の論理で行ったものではなく、中央政府の政策、例えば雇用政策とか、子育て政策という社会政策を含めて、産業政策などで実施し、負担の軽減や免除を求めた場合には、中央政府がその財源を保障しなければならないというのが我々の財政学の通常の原則で、フランスなどもそういうふうに動いているはずです。ちなみに、フランスの地方税の30%ぐらいは国が補てんしているのです。そういうこともあるので、ちょっと誤解かもしれませんが、財政学の論理から言うと成り立つ論理なので、どうこうという価値観という意味ではなく、両論あるのではないかということをちょっと申し上げたということでございます。
 終了時間になっておりますので、次回からは二巡目の議論に入ります。
 事務局から、連絡事項その他ございましたら、お願いします。
○年金課長 ありがとうございました。
 次回の日程でございますけれども、開催日時は、11月11日(金曜日)の14時からを予定しております。詳細は追って御連絡申し上げます。
○神野部会長 委員の皆様方、特によろしいでしょうか。予定その他については、そのように御承知おきいただければと思います。
 本日は、遅くまで御議論いただきましたことに深く感謝いたしまして、今日の審議を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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