ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(介護保険部会)> 第39回社会保障審議会介護保険部会議事録




2011年10月31日 第39回社会保障審議会介護保険部会 議事録

老健局総務課

○日時

平成23年10月31日(月)13:00~15:00


○場所

グランドアーク半蔵門 華の間


○出席者

山崎、伊藤、岩村、大西、勝田、河原、北村、木村、葛原、久保田、
黒岩(代理:小島参考人)、木間、小林、齊藤(正)、齋藤(訓)、田中、
土居、橋本、布施、桝田、三上、山田、結城 の各委員
  (小西、齊藤(秀)、藤原 の各委員は欠席)

○議題

(1)社会保障・税一体改革における介護分野の制度見直しに関する論点について
(2)その他

○議事

○山崎部会長 定刻となりましたので、ただいまから第39回社会保障審議会介護保険部会を開催させていただきます。
 本日の委員の出欠状況、参考人につきましては、配付した名簿のとおりであります。
 本日は、前回に引き続き、社会保障・税一体改革における介護分野の制度見直しに関する論点について御議論いただきます。
 なお、先週末以来、一部のメディアの報道で、本日の資料の内容に関わるものがございました。私が説明を受ける前に新聞に出たものもありましたけれども、事務局におかれましては資料の管理に万全を期していただくようお願いいたします。
 また、委員の皆様におかれましても、非常勤の国家公務員ということでございますので、守秘義務がかかっております。資料の取り扱いには十分御注意いただくようお願いいたします。
 では、事務局より資料の説明をお願いいたします。

○度山介護保険計画課長 それでは、お手元の資料に沿いまして説明をしてまいります。
 まず、資料1ということで「社会保障・税一体改革における介護分野の制度見直しに関する論点」という資料を準備してございます。
 前回、13日の部会におきまして、検討の大きなフレームをお示しさせていただきました。それで、今日はテーマとしては資料2以下にございます個別の制度見直しの論点について御議論をいただく予定としておりますけれども、これらの検討が必要となっている背景、すなわち社会保障・税一体改革が目指す介護サービスの姿について、きちんと説明をしておらなかったということで、副大臣の方からもきちんと説明するようにという指示を受けております。
 それで、前回、説明を飛ばしてしまいましたその辺りについて、最初に御報告を申し上げたいと思います。
 1ページでございますけれども、社会保障・税一体改革が目指す介護の全体像をまとめてございます。
 高齢者が地域で尊厳を持って生きられるよう、それを支えるサービス提供の方向性を整理いたしております。また、下の方になりますけれども、それを支える制度の持続可能性の確保、そしてサービス提供を可能ならしめる人材の確保が必要になっている、そういうことをまとめてございます。
 2ページでございますが、前回、簡単に触れました医療・介護のサービス提供体制の改革をマクロ的に絵で示したものでございます。機能分化が不十分な今の体系を、医療・介護の連携をとって、機能分化も進め、効率的なサービス提供体制に組み替えていく、こういうことをちょっとマクロ的に示したものでございます。
 3ページになりますけれども、今のものをイメージ図に落としたものでございます。
 介護の方は右側の絵にありますように、小中学校レベルのところに在宅医療と介護が連携し、高齢者の居宅、地域での生活を支える地域包括ケアの実現、そういうものが課題になっていることを示しているものでございます。
 4ページになりますが、このような姿を実現するために、社会全体としてどの程度のサービスを準備しなければいけないかということについてまとめてございます。
 上の箱囲みにありますように、利用者数は2025年までにおおよそ現在の1.5倍程度に増加するということが見込まれてございます。
 真ん中のところ、2025年度の現状投影シナリオとございますが、これは現状の年齢階級別のサービス利用状況が続いたと仮定した場合、このサービスの姿がどのようになるかというものを試算したものでございます。
 下の方にまいりまして、介護施設、現在92万人分とございますけれども、特に御高齢になるにしたがって介護入所の割合が高まっておりますので、社会全体が高齢化するということに伴いまして、今の形を相似形拡大をするとした場合には、施設需要は今の1.8倍程度になるという絵姿になってございます。
 前回、御説明したのは、これを右側にありますように施設の伸びをある程度コントロールをした上で、在宅あるいは地域の中での居住系サービスというところで、住み慣れた環境の下で尊厳を持った暮らしを実現していけるサービスを実現していこうではないか、こういうことを申し上げたわけでございます。
 前回、御質問にありました、施設が減るのかということに関しては、改革シナリオと現状の比較で見ましても、特別養護老人ホーム、老健、それぞれ増加をしているということを御確認いただければと思います。
 また、その下にございますけれども、このサービス量を実現するためには、全体としては労働力人口が減少いたします中で、介護人材をおよそ今よりも100万人くらい増加をさせなければいけない、こういうことから人材確保の問題も重要になってくるわけでございます。
 5ページですけれども、例えば重度の要介護者にというところに着目をして、このサービスがどう変化するかということをまとめてみた資料でございます。
 構造的には今と同じようになっておるわけでございますが、在宅サービスに関しましては24時間巡回型のサービスなど、重度者の在宅生活を支えるサービスというものを全体として充実をしていく、その中で重度の要介護4、5という方であっても在宅生活を可能にするということですが、結果、サービス密度が上がるということがございます。
 真ん中の表「平均限度額利用割合」、これはわかりにくい言葉を使ってしまいましたが、いわゆる限度額に対してどの程度利用しているかという割合が、現在、要介護4、5の方で見ますと大体6割弱という数字になっておりますが、改革シナリオですが、そういう意味で使えるサービスを充実していくことによってこの割合が85%に引き上がるということを想定してございます。
 あるいは居住系につきましても、認知症グループホームを中心に大きく増加をさせている。それから施設に関しては、まず重度者への重点化を行うということで、ページを前へ戻っていただきまして、2025年、施設は131万人分の定員ということですが、そのうち94万人が要介護4、5ということでございますので、非常に重度者の占める割合が高まるということと、それからユニット化を進めて居宅での生活環境あるいは生活リズムに近い中でのケアを受けられるようにということで、上の箱囲みに書きましたような形で、在宅、居住系、施設、それぞれサービスが充実するということを描いておるわけでございます。
 このような機能強化を実現したいということでございますが、6ページにまいりまして、このような機能強化を実現するためにということでまとめてございます。
 今、ずっと申し上げておりましたことが、上の緑の箱の左側の「サービス提供体制の改革」というところの中身でございます。これを実現ならしめるためには、真ん中に書いてございます人材の確保ということも必要でございますし、それから、当然費用も増加してまいりますので、増加する負担に対する低所得者への配慮を強化するということも必要でございます。そういったこともろもろが併せて充実が必要な項目ということになります。
 これをどのような形で支えるかということですが、その下の方に目を移していただきまして、右側にございますように、消費税収を主たる財源として安定財源を確保して、それを賄うということですが、前回御説明したように、これと左側に書いてあります「給付の重点化・制度運営の効率化」というものを併せて、上と下の箱を大きさがバランスするようにできておる、これが社会保障・税一体改革の全体像でございます。
 ここまで説明したところで、7ページは前回の資料で、こういう状況の中で介護分野はどういう課題があるかということを羅列したものでございます。あるいは、右側の方には今年行われました法改正も含めた現状をまとめてございます。
 右側の上半分のところですが、介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部改正を行いまして、新たなサービス類型を追加するというようなことをやっておりますが、次の8ページにございますように、現在、そこに実を入れるということで、介護報酬改定の議論を進めているということでございます。介護報酬全体としては、やはり介護報酬の中でも重点化すべきところには重点化をするという検討を、この後、分科会も開催されますけれども、介護給付費分科会の方で御議論をいただいているということを御報告をさせていただきます。
 あとは、9ページ、10ページは改革成案からの抜粋でございますので、説明は省略をいたします。
 以上、大きなフレームを御説明いたした上で、資料2、3、4にそれぞれ一項目ずつ論点を挙げてございます。
 資料2ですが、まず最初の論点として「1号保険料の低所得者保険料軽減強化」ということを挙げてございます。
 1ページ、おめくりをいただきまして、御存じのとおり、高齢期の保険料につきましては、介護保険は基本的に定額負担の構成をとってございますが、負担能力に応じた負担を求める観点から、国の標準としては6段階の段階保険料という形での設定になってございます。
 現在、4,160円という金額が全国平均の額でございますが、来年4月以降の第5期においてはこれが5,000円程度の水準になるのではないかといわれております。更に高齢化が進みますとこの額は上がってまいるということになるわけですが、例えば5,000円、6,000円という水準になった場合に、一番低いところは、半額でございますけれども、半額でも2,500円とか3,000円という水準になってまいります。
 介護保険をスタートした際の保険料は、まず3,000円ぐらいからスタートしたということを考えますと、その分と同じになるぐらい低所得者の負担が上がってくるということが予想をされるわけでございます。
 それで、これをどうするかということについて、前回御説明したように、昨年の当部会での議論については、例えば公費負担割合を引き上げてはどうかというようなことも議論なされたというふうに聞いておりますけれども、これも前回御説明いたしましたように、一体改革の充実メニューとしてはそういうことはございません。なので、保険料5割、公費5割という大枠を守りながら、低所得者の保険料負担を支援するという形で、この低所得者の負担軽減というものが盛り込まれているということについて御理解をいただきたいと思います。
 2ページですが、一つのイメージとして国民健康保険の例をお示ししてございます。
 高齢者医療でも同様の負担軽減が設けられておりますけれども、大きくは公費が半分、それから保険料負担が半分という構成をとりながら、低所得の方がドロップアウトしないように、きちんと制度に組み込まれるようにということで、国民健康保険においては保険基盤安定制度というプラスアルファの公費を投入いたしまして、低所得者の保険料負担の軽減ということをやっております。これと同じような考え方で低所得者に対する保険料負担軽減を強化してはどうかということがございます。
 そのイメージを3ページに書いてございますけれども、標準額より低い負担になっています第1段階、第2段階、第3段階ぐらいを念頭に置いて負担能力に応じた保険料減免を行う、それで減免分を公費により補てんする、このような考え方でございます。
 社会保障・税一体改革の成案の工程表には、最大このような措置に対して1,300億円程度投入するということが予定されております。
 ただ、どのような範囲、条件で減免を行うかということに関しては、まだ税制の方の議論などを待たなければいけないということがございますので、今日の段階ではあくまでもイメージということでとらえていただければと存じます。
 4ページにまいりますが、ではこのような段階保険料を設定した上で、どういう考え方で減免をするかということでございますが、幾つかの保険者では所得段階ということのみならず、例えば家族の扶養の問題とか資産の問題とか、そういったことを考慮して独自に減免制度を設けていらっしゃるという市町村がございます。
 現在、このような減免は、介護保険の場合には一般会計からの繰り入れというものをかなり厳しく限定をかけておりますので、高所得の方から高い保険料をいただいたものを財源にこのような減免を行っているということではございますが、例えばこういうメルクマールを基準として立てて、1段階や2段階であってもその中で更に特別の事情がある方に対する減免という、そういう考え方があり得るのではないかということで例示としてお示しをさせていただいた次第です。
 ただいま申し上げてきたことに関しまして、5ページ、「低所得者の保険料軽減強化の考え方について」という形で論点整理をしておりますので、こういったことについて御議論を賜れれば幸いに存じます。
 資料2は以上でございます。
 続きまして資料3、二項目でございますが、「介護納付金の総報酬割導入」ということについて御説明をさせていただきます。
 まず1ページでございますが、この論点に関しましては、昨年の当部会でも御議論をいただきました。意見書、青の薄い色をかけておりますけれども、かなり意見が分かれたということで、両論併記的なまとめをさせていただいたところでございます。まとめ切れなかった意見につきまして、議事録から下の方に拾い出しております。
 総報酬割というのはどういうことかということについて、改めて2ページ以降に資料をまとめましたので御説明をさせていただきたいと思います。
 40歳から64歳までの第2号被保険者の保険料につきましては、各医療保険者を通じて、しかも高齢化の違いにかかわらず、介護保険運営が、どこの市町村でもできますように、全国プールして、それで必要額を分配するという形で行っているところでございます。
 現在、およそ65歳以上と40歳~64歳までの人口の比率が2対3ということになっておりますので、介護給付費全体の30%に相当する額を2号保険者数全体で割って、一人当たりの保険料額を算出し、それぞれの医療保険者に属する第2号被保険者の数に応じてこの保険料の御負担をいただいているところでございます。
 2ページの右側の方には、国民健康保険はとらえ方が違うので比較できないのですが、健保組合、共済組合、協会けんぽ、同じサラリーマンということで、報酬額の平均がどれぐらいの差があるかということについてデータを出しておりますが、このように負担能力が異なるわけでございますけれども、それに関わらず一人当たりの負担額を同じという形で設定をして御負担をいただいているというのが現行の制度でございます。
 3ページは例えばということで、今の3,944円という平成20年度決算データでの頭割りについて、2号被保険者一人当たり報酬額、2号被保険者一人当たりとしたのは、被扶養の配偶者が2号ということで、それぞれ加入者ではないけれどもそこに属させているということもございまして、その方もカウントに入れて報酬額を割り算して、負担能力の高さというものを比較しております。
 このAとBのパーセンテージを求めますと、負担能力、所得が高い方がやはり相対的にはこの率は落ちるということになってございます。健保組合と協会けんぽの比較だけで示しておりますが、中小企業の加入する割合が高い協会けんぽにつきましては、そのようなことから医療給付費と同じように16.4%の国庫負担を入れておるということで、括弧の中に示した数字は国庫負担の部分を考慮した、いわゆる保険料として充当しなければいけない額を抜き出しております。
 また、健保組合もたくさんの健保組合がございますので、所得の高いところ、低いところでまちまちでございまして、比較をしてみればこのような絵姿になるということで書いてございます。
 一番右側のAを12倍したもののBに対する割合という数字について、総報酬割というのは結局報酬額に応じて割り当てをするということでございますので、この率がそろってくるということを意味します。
 4ページを見ていただきますと、この平成20年度決算額での比較をいたしますと、2号の保険料として納めなければいけない額を全体の報酬額で割った割合というのが1.2%という数字で出てまいります。これを先ほどの所得に逆算をしますと、総報酬割を入れた場合とそうでない場合のプラスマイナスの比較が出てくるということで示しております。当然のことながら、所得が高いグループは負担が増え、所得の低いグループは負担が減るという結果になります。
 それから、一番右側に、3分の1導入する場合と書いてございますが、これは現在、高齢者医療制度への支援金につきまして同様の制度が設けられており、3分の1総報酬割ということが平成24年度までの措置ということで行われておりますので、仮にそういう考え方でということになった場合の数字を挙げたものでございます。
 今のは平成20年度決算データを基にしたわかりやすく示すためのシミュレーションということですが、5ページでございますが、来年4月からの3年間、第5期の平均額で、これはまだ不正確な数字でございまして、これから精査が必要ではございますけれども、現段階での見込み額としてお示しをするとこのようになるということでございます。頭割りでいきますと4,900円という負担になり、一人当たりの報酬額の負担割合がこのような形で出てまいります。これを右側のように完全に総報酬割を導入するということになりますと1.49%で揃うという形になります。
 それで、右下の小さな箱がございますけれども、このように負担能力に応じた負担にするということで、今現在、負担能力の差ということに着目をして協会けんぽに投入しています16.4%の国庫負担というものが、考え方としては不要になるということでございまして、仮に完全総報酬割を来年度導入するということになりますと、この大きさが1,300億円、3分の1の場合だと430億円となります。
 ちなみに、社会保障・税一体改革の工程表には、▲1,600という数字が書いてございますが、これは完全導入を2015年の時点でしたとなりますと、今よりもちょっと給付費が大きくなりますので、その1,600億円という数字が記載をされてございます。
 このようなことを検討する一つの背景ということですが、6ページでございますが、協会けんぽと健保組合の平均の報酬の額というものの違いを、特に年齢別に見ますと、年齢が高くなるにしたがってその開きが大きくなってくるということで、特に負担能力の大きくなる時期に介護保険料の御負担をいただいているということが背景にございます。
 それから、もう一つ、7ページでございますけれども、平成15年度以降、保険料の賦課ベースに賞与を組み入れたということですが、大企業の方がどうしても賞与割合が高いものですから、そのように負担能力が以前に比べると大きく開いたという事情もございます。
 8ページに、この問題に関する論点をまとめてございます。
 今後、介護費用の増加に伴いまして、これを賄うための負担というものが、これは社会全体で増加をしてまいります。こういう状況の中で、負担能力に応じた負担の要素を強化していくということが必要ではないかということを挙げてございます。
 一方、昨年でも部会で意見がございましたように、医療保険については、現役並み高齢者の3割負担等、さまざまな給付の見直しを行った上で総報酬割というものを導入しており、利用者負担の見直しを行うことなくこちらの方にくるということについてはどうなのかという御意見もございました。こういう点についてもどのように考えるかということについて御議論を賜れればと存じます。
 資料3は以上でございます。
 続きまして、資料4ですが、「昨年介護保険部会で議論した給付に関する制度見直しの論点」ということでございます。
 昨年、介護保険部会、当部会で給付に関して、要支援者の利用者負担、ケアマネジメントに係る利用者負担、一定以上所得者の利用者負担、多床室の給付範囲、それから補足給付における資産等の勘案、こういった五点について、主に給付に関する見直しということで御議論がございました。
 昨年、それぞれ意見書をまとめていただきましたが、これらの五点については昨年の法案に盛り込むということは見送られているわけでございますけれども、今般、6月に社会保障・税一体改革というものがまとまって、その中で給付の重点化、特に重度化予防、介護予防に効果のある給付への重点化ということが論点として挙げられているということと、それから処遇改善の交付金の期限が来年度切れるということ、二つの事情を考慮いたしまして、現時点でまたどういった御議論、御判断になるかということで、このテーマについて資料を準備している次第でございます。
 2ページから、まず要支援者の利用者負担に関する御議論ということでございますが、結論から言うと、大きく意見は分かれたということではないかというふうに思います。ただ、こういうことが問題となる背景について、3ページでございますけれども、介護保険が導入されてからずっとでございますけれども、要介護者よりも要支援者の伸びが、人数で見ても費用で見ても非常に大きくなっているということが挙げられます。
 4ページですけれども、そのサービスの中身ということにつきましても、例えば訪問介護で申しますと、生活援助がかなりの割合を占めておるということでございますが、5ページにございますように、生活援助全般が悪いということではございませんけれども、生活援助を行っているサービスとして提供したものの方が身体介護よりも悪化の度合いが大きかったといったデータもございます。
 逆に、6ページにございますけれども、通所の方で予防給付として行われている運動機能向上などのプログラムにつきましては、ある程度介護予防の効果が高いというふうなエビデンスが出ているものもあるというのが現状でございます。
 7ページに論点としてまとめてございますが、社会保障・税一体改革においては、重度化予防、介護予防として要介護認定者数の伸びを3%程度減少させるということがテーマになっているわけでございます。こういった目標が提示されたということも踏まえまして、この実現に向けた制度的な対応として、一つは利用者負担の割合、昨年議論いただきましたが、そのことがどう考えられるかということ、あるいは、利用者負担ということのみならず、内容とか給付の方法ということについても検討が必要ではないか、このような論点を提示させていただいております。
 次に、二点目のケアマネジメントに係る利用者負担ということですが、これも大きく意見が分かれた項目だと認識しております。ケアマネジメントの流れにつきましては9ページ目に簡単なチャートを準備しておりますが、10ページ、11ページに地域包括ケア研究会の報告書から抜粋しておりますけれども、やはりアセスメントやケアカンファレンスが十分に行われていない、その結果、ケアマネジメントが十分に効果を発揮していないのではないかということが指摘されてございます。
 12ページ、13ページは、介護給付費分科会で一度御報告をさせていただいたケアマネジメントに関する調査でございますけれども、12ページにございますのは事業所の中での勉強会とかケアプランの検討会の開催頻度が必ずしも高くないということ、13ページにつきましては、ケアマネジメントを実践する上でケアマネジャーさんは、アセスメントに必要な情報が十分に集まらない、その結果十分な効果的なケアプランの作成ということに大変苦労していらっしゃるということが浮かび上がってきております。
 14ページですが、これもよく御指摘されることですけれども、要介護度の高いところでも2割あるいは3割近くのケアプランが組み込まれたサービスが1種類、2種類ということで、十分なアセスメントの結果こうなっているのであればいいのですけれども、必ずしもそうなっていないケースもあるものではないかということが懸念されているところでございます。
 15ページでございますが、地域のケアマネジメントの支援ということでは、地域包括支援センターが介護予防の業務、あるいは権利擁護なども含めた総合相談の業務とともに、包括的・継続的なケアマネジメントの支援業務を行うということになってございますが、三つのこの大きな仕事の中で、ケアマネジメントの支援業務のウエートというのが、これは実際の業務別の時間の割合なのですけれども、一番小さくなっているということで、なかなかこういうことまで手が回っていないという実態も浮かび上がってまいります。
 それで、16ページの論点でございますが、一体改革においては自立支援に向けたケアマネジメントの機能強化を図るということが重要な課題となっております。こういう観点に立って、昨年御議論いただきましたケアマネジメントの利用者負担の導入というものについての評価がどうなのかということについて御議論賜れればと思います。
 また、昨年の議論で、これはよくあることなのですが、利用者負担を入れるとサービスの利用の抑制により重度化が進むといった御指摘もあったわけですけれども、一方でケアマネジメントは専門的なサービスだということになりますと、そういう観点からこういう御指摘というものはどのように評価されるかということについても御議論賜れればと思います。あるいは、一部負担ということのみならず、機能強化に向けた何らかの制度的な対応の必要性もあるのではないかということで論点に挙げさせていただいております。
 続きまして、駆け足で申し訳ありませんが、三点目の一定以上所得者の利用者負担に関する議論ということです。
この問題につきましては一部反対意見がございましたが、一定以上の所得がある者については、利用者負担を例えば2割に引き上げることを検討すべきであるということが昨年のまとめでございました。
 18ページ、19ページに高齢者の所得についてのデータを若干付させていただきましたが、よく言われていますように、現役の所得がちょっと落ちぎみであることに比べて、高齢者の方の所得というものはある水準をキープしているということが実態でございます。
 あるいは、19ページの方は所得階級別に見ておりますけれども、恐らく年金制度の成熟ということが影響していると思いますけれども、少しずつ中央値が上がっているような実態もございます。
 一方で、20ページに挙げましたように、医療保険の方は例えば現役並み所得者に関しては2割、3割の負担を求めるという形で制度改正が行われておりますが、介護保険の利用者負担は1割のままという形で推移をしてきているというところでございます。
 それから、一つこういうことを考える上で論点になるのが、比較的高い所得者というものをどのラインに引くかということで、介護保険の6段階ということで考えますと、所得金額200万円、年収に置き直して320万円、全体の15%弱が属するという形になっております。
 参考までにということで、医療保険の現役並み所得者というのは、合計所得金額が250万円弱、年収におきまして380万円程度、割合でいうと10%というラインになってございまして、このラインをどう引くかということも一つのポイントではないかと思います。
 22ページに論点を書いてございますけれども、昨年でもこの部会でまとめさせていただいたように、一体改革では世代内の、特に高齢世代内の公平の確保や所得再分配の強化を図るということも言われておりますので、そういった観点から、一定以上の所得があるものについては利用者負担割合を引き上げることが必要ではないかということで提示をさせていただいております。その際に、対象となる一定以上の所得がある者の範囲というものをどう考えるかということについても御議論賜れればと存じます。
 四点目、23ページになりますが、多床室の給付範囲に関する問題でございます。
 この問題につきましても、在宅との均衡を図るため、多床室についても低所得者の利用に配慮しつつ、減価償却費相当額を保険給付対象外とする見直しが必要である、そういった御意見になっております。一部、現行の光熱水費相当を維持すべきであるとの意見があったということを付記している、そういう形で昨年まとめてございます。
 社会保障一体改革では、施設に関しては重度化という論点と、それからユニット化を進めるという論点が出ております。
 24ページには、ユニット型施設の推移というものを掲げてございますが、少しずつ増えてまいりました。ただ、目標としては介護老人福祉施設におきましては70%、それから介護老人保健施設につきましても50%という目標を立ててございまして、それに比べればまだまだ低い割合にとどまっているというのが現状でございます
 25ページですが、これは昨年も御議論いただいたと思いますけれども、多床室に関しては介護保険の給付にその減価償却費相当が含まれておるということで、それ以外のサービス形態に比べてその分高くなっている。ユニット型と見比べていただいてもほとんど変わらないぐらいの介護給付の方がなされている、そういう状態にございます。
 26ページでございますけれども、居住費につきましては、これまで介護保険施設における減価償却費、それから光熱水費の水準を踏まえながら基準費用額を設定してきたということでございます。上の多床室の部分は光熱水費のみいただいてございます。そこから下、従来型個室からユニット型個室に関しては、光熱水費プラス減価償却費相当ということでいただいているということでございます。
 平成23年3月に行いました居住費・食費に関する実態調査の報告では、それぞれ減価償却費、下の表にありますような額になっておりまして、大体、ユニットケア、それから従来型個室、この額に光熱水費を加えたぐらいのところが基準費用額になっているということでございます。仮に多床室と同じ考え方で設定をするということになりますと、現在の月額1万円の光熱水費に加えまして、減価償却費全体ということになりますと、それに28,000円程度の負担が上乗せされる、合計38,000円程度になる、そういった勘定になるわけでございますが、居住環境の差異等々を考慮いたしまして、これが適正かどうか。ちなみにということで26ページの右側、点々で囲った部分ですが、施設全体の中で居室の部分の割合というのは30%ぐらいでございまして、例えばこの居室部分の割合に限って御費用を御負担いただくという考え方もあり得るかということで参考までにデータとして御紹介をさせていただきます。
 27ページですが、ただ低所得者への負担軽減ということは必要だということで、施設入所に関しましては補足給付という形で居住費の負担の補助を行い、低所得者が施設給付を受けられなくなることがないようにとの配慮をしているところでございます。このようなことを、もし多床室で室料負担をいただくということになれば多床室についても考えなければいけないという点が一点と、それからユニット型を進めていきたいわけでございますが、現状、27ページの下のグラフにあるように、ユニット型個室と多床室の負担額の差にちょっと大きなものがございまして、その辺りの差を埋めていくということも論点になろうかと思います。
 昨年の当部会の議論でも、例えば2段階、3段階辺りのユニット型の負担というのは、年金等の額を考慮してもやはり高いということで、この引き下げということも課題になっているところでございます。
 以上、まとめまして28ページ、ちょっと長々と書いてございますけれども、一つは、多床室とユニット型の不均衡を是正する、施設のユニット化を進めるという観点から、多床室の入所者にも一定の室料負担を求めることが必要ではないかという論点。それと併せて、低所得者の方がユニット型に円滑に入所できるように負担軽減の検討が必要ではないかということ。それから、多床室の室料負担に関しても低所得者の配慮ということが必要ではないか。この三点を御議論いただければというふうに思います。
 それから、その次、29ページにまいりますが、ただいま御説明いたしました補足給付ということでございますけれども、例えば家族の負担能力、あるいは資産があるのにこの補足給付が支給されるのは問題ではないかという御指摘を以前よりいただいているところでございます。ただ、この家族の負担能力とか資産というものについて、なかなか公平な基準を設けてコントロールするということが難しいという保険者側からの御意見もあったというのが昨年の議論でございました。
 30ページ、31ページは、左側、横軸に収入の階級、縦軸に貯蓄、あるいは31ページの方は住宅・宅地資産の額というものを挙げておりますけれども、割合はそれほど高くないかもしれませんが、収入というフローの面では少なくても、ストックという意味では多額の資産をお持ちの方というのが存在をしているというのが現状でございます。
 32ページですが、詳しい説明は省略いたしますが、現在行っています食費・居住費の特例減額措置につきましては、一部資産を考慮するということを現行の制度でも部分的には行っているという御紹介でございます。
 33ページですが、制度は異なりますが、生活保護に関しても同じような問題がございまして、この点につきましては、要保護世帯向け不動産担保型生活資金という、いわゆるリバースモーゲージの仕組みを社会福祉協議会にお願いをして実施していただくという制度を、生活保護制度の見直しの一環で創設をしたということがございます。ただ、残念ながらいろいろな事務の問題から、これが余り大きく機能しているという状況にはないというふうに伺ってございます。
 それから、34ページですが、資産を考慮した一つの考え方ということで、アメリカのメディケイドで行っている受給者の遺産からの費用徴収という仕組みがございます。これは、給付はするのですけれども、亡くなった後に遺産から給付した額について精算をいただくという制度を導入しておるということでございます。特に、居住用資産、不動産の場合には現金化することが難しいということを考慮しますと、例えばこのような考え方も考慮に値するのではないかということで紹介をさせていただきました。
 35ページになりますけれども、同じように高齢世代内での公平の確保、所得再分配機能の強化を図るという観点からということでございますが、一つは在宅や居住系サービスの利用の場合には、当然居住費は自己負担をいただいているということでございます。施設入所に限ってこの補足給付が出るということで、そのバランスという問題を去年、御議論いただいたわけですが、ポイントは、その結果、施設入所の場合には補足給付というプラスアルファの給付を受けた結果として、居住用資産であるとか預貯金が保全をされて遺産として相続される、こういったことについて見直しが必要ではないかという論点を提示させていただきたいと思います。
 昨年の議論においては、正確な資産把握の困難さ、あるは保険者の事務負担の増加という懸念が示されたところでございますけれども、上記の観点に立って具体的に運営可能な仕組みの検討に着手すべきではないか、特に金融資産の把握というのはなかなか難しいわけでございますが、居住用の資産につきましては固定資産税を賦課するという形で行政において把握もされておりますので、そういう観点から具体的に運営可能な仕組みというのをそろそろ考えてもよいのではないかという形で論点提示させていただきました。
 最後に、昨年議論をいたしました五点に加えまして、介護施設の重点化という新しい一体改革で示された観点から一つ問題提起をさせていただければと存じます。
 37ページになりますけれども、介護保険は緑色のところが施設サービスですが、利用者は全体の4分の1、これに比べて給付費が補足給付も含め半分弱で、4分の1の方が半分弱の給付を使っているというのが現状でございます。
 38ページですが、介護保険が動いて以来、施設の方は確かに重度の方は増えたという印象はございます。ただ、上に二つ書いてございます特別養護老人ホーム、老人保健施設、それぞれ10%強、それから20%強、要介護1、2、いわゆる軽度の要介護者という方が入所していらっしゃるという現状にございます。
 39ページは何を言っているかといいますと、在宅の支給限度額が黒い太いラインで書いてございます。要介護3以上になりますと、在宅の限度額とさまざまな施設の給付額が大体見合っているか在宅の限度額が上にいくわけでございますけれども、要介護1、2というところではそれが逆転をしております。在宅の方がこの限度額を超えて給付を受けようとすると、100%を超えた分については自己負担になるということですが、施設の場合には、施設給付費のレベルまで1割負担ということになっているというのが現状でございます。例えば、考え方として、この在宅限度額を超過する部分について、均衡の観点からどのように考えるかという問題提起ができようかとございます。
 参考までに、40ページにつきましてはそれぞれのサービス類型ごとの利用者数を3分類で示しております。確かに要介護1、2、在宅におられる方は割合としては多いわけですけれども、その分、施設に入っているごく少数の方が在宅の限度額を上回る、言ってみればスペシャルな給付を受けているということに関してどのように考えるかということになろうかというふうに思います。
 以上、ちょっと長くなりましたが説明を終わります。

○山崎部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、委員からの御質問、御意見をお受けしたいと思いますが、何人かの委員に御発言していただいた後に、まとめて事務局の方で質問の部分についてお答えいただくということにしたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、結城委員。

○結城委員 すみません、レジュメを少し作ってきたので、それに照らしながらお話ししたいと思います。
 ただいま、事務局の説明で一点目の社会保障と税の一体化改革の御説明で、サービス提供もしくは財源の問題で、やはり社会保険と福祉制度、保険制度の役割機能が、いまいちこの成案では明確ではないので、ちょっとそこのところを長期的にもしこれから展望視するのでは、議論が私は足りないと思っています。それも含めて、あとサービス拡充の面が、今回成案の中にありましたが、それは自然増的にそういう面もやはりあると思います。特にこの資料1の4ページなどは、高齢者が増えていくわけですから、それは自然増的なサービスだと思います。
 二点目の、1号の低所得者対策は推進していくべきで私も賛成です。しかし、公費負担を増やしていかないという、今回成案になっておりますが、必ずしも先ほど一番目の福祉と保険と社会保険の機能分担が明確でないままなので、公費負担を増やすという議論も私はありかと思っています。
 さて、三番目の報酬割については、これは2号被保険者間の負担のあり方の問題で、考えとしては私は理解できなくもないと思います。ただし、後ろに昨年の公費の資料を付けさせていただきましたが、ある程度公費負担がここで削減される分は介護給付費や処遇改善の方にきちっと使われることが前提で、しかもやはり高齢者の負担の議論につながらないようにしていくべきだと思います。
 四点目は、事務局の説明がありましたが、今回は消費税の引き上げという議論が前提になっていますので、その意味で、利用者から負担を上げるというのは、私はなかなか国民的理解は得づらいと思っています。当然、昨年と今年では、震災という問題がありましたから、必ずしも同時には言えませんが、今回は消費税を5%上げるということは、前提はやはり国民にとっても負担であるということは率直に言って結構大変なことだと思います。
 要支援者の問題、ケアマネジメントの問題、それから一定の所得の方も、これは確かに所得の高い方は、しかし医療の方も75歳以上の人は現役並みの人は3割とか、今後は70~74歳の人も、今は2割が1割で凍結されていますけれども、今後そういう2割になるということもありますので、生活全体からしてみて、医療と介護の負担ということも考える必要があるかと思います。
 それから、多床室、補足給付は以下のとおりですが、補足給付については事務局の言うとおり、資産を加味した議論はきちんとやるべきですし、今、市町村税の課税・非課税、例えば遺族年金の問題などもきちんと議論して考えていくべきかと思います。
 最後に、これは事務局に質問ですが、今、税と社会保障の一体改革、2015年度辺りを議論しているかと思うのですが、今回、この審議会で議論した場合、第5期の途中でも実施していくのかどうか。もしそうなった場合、市町村は今、事業計画を作っているわけで、これはある程度途中から入っていくということで事務的にも問題があるのですけれども、テクニック的にそういうことができるのかどうか、その辺を教えていただければと思います。
 以上でございます。

○山崎部会長 ほかにございますでしょうか。
 久保田委員。

○久保田委員 何点か申し上げたいのですけれども、一つは資料3の介護納付金の総報酬割について、以前から私どもは総報酬割については反対と主張しており、またその主張を繰り返したいと思います。今後、高齢化の進展で介護給付費が増加しますと、保険料負担がどんどん上がっていくなか、財源確保のつじつま合わせのために負担方法の変更に着手するのは反対であり、優先すべきは給付の重点化であり、費用の伸びの抑制に注力すべきというふうに考えております。
 それから二点目は、資料4の給付の見直しについて、一つ目は7ページにある「要支援者の利用者負担」について、めりはりを付けていくべきと考えます。そのため、予防給付を受ける際に、生活支援とリハビリとでは、利用者負担の割合に差を付けるということも考えたらどうかというふうに考えております。
 同様の観点から、16ページのケアマネジメントに関わる問題ですけれども、これにつきましても利用者負担を求めていく必要があるのではないかと思っております。
 それから、39ページの「介護施設の重点化」のところですけれども、要介護1、2について施設へ入所した方が結果として在宅で頑張るよりもより多くの給付が受けられるということのなりますと、施設への依存度を助長させることになります。給付の公平性を図るためには、在宅の支給限度額と施設給付の差額分については、自己負担を求めるという考え方もあるのではないかというふうに考えております。
 先ほどの結城委員の御発言で、消費税の引き上げが前提にあるなか、利用者負担の引き上げを求めると国民的理解が得られにくいとの御指摘がありました。確かにそのような意見もあるだろうと思うのですけれども、問題は今の社会保障制度の持続可能性、中長期的に見て本当に持続可能なのかどうかという問題と、財政の深刻さがどこまで理解されているかという問題だと思うのです。一般に認識されているよりもはるかに財政は深刻ですし、それから社会保障の持続性についても、今後の伸びを考えると、とても利用者負担を据え置くだけでは私は対応できないと思います。あえて厳しさを全体で分かち合うと打ち出していく必要があるのではないかというふうに考えております。

○山崎部会長 布施委員。

○布施委員 総報酬割について、二点ほどの質問と意見を述べたいというふうに思います。
 一点目は、前回の部会の中で、総報酬割については、処遇改善交付金が期限切れになって、来年度の予算に関連して提出されたわけですけれども、今回は税と社会保障一体改革の中での議論という形で資料が出ております。私どもの認識といたしましては、来年度の予算ということではなくて、消費税の引き上げと一体としての総報酬割の議論をすべきだというふうに考えておりますけれども、どうなのかというのが第一点です。
 二点目は、第2号被保険者で要介護認定を受ける方というのは99%いらっしゃらないわけでございます。そういう中で、いわゆる被保険利益を受けない中で保険料を負担するわけですから、一人ひとりが公平に負担をすべきかというふうに思います。
 介護保険法第4条第2項に、「国民は、共同連帯の理念に基づき、介護保険事業に要する費用を公平に負担するものとする」とあります。こういう意味において、現行法では加入者割となっていると思いますけれども、その辺をどうお考えになるかというのが二点目でございます。
 意見として、私どもとしては、少なくとも報酬割の考え方というのは今の制度の立て方の基本に関わる問題でございますので、慎重な検討が必要であるというふうに思います。また、国庫負担の肩代わりになるような財源目当てのやり方については断固反対をしていきたい、納得できないというふうに思います。
 また、総報酬割になった場合に1号被保険者が平成24年度は多分、1人当たり5,000円程度になると思いますけれども、2号被保険者にとってみますと、このまま先ほどの3分の3になりますと、1人18,000円の負担になるわけでございます。介護サービスを全く受けないにも関わらず、3.6倍の格差という点を、この辺を事業主とかあるいは被保険者にどうやって説明していいのか、とても説明できる状況ではないということを伝えたいと思います。
 更に、現行制度ではこの所得格差というものをまさに国庫負担で行われているわけですから、格差が拡大するということであれば総報酬の導入ということではなくて、協会けんぽへの国庫の補助を引き上げるというのが筋ではないかというふうに思います。だからこそ、今、検討されておりますその財源手当として消費税の議論が必要ではないかというふうに考えます。
 以上です。

○山崎部会長 勝田委員。

○勝田委員 今回の社会保障・税一体改革が目指す医療・介護のサービス提供体制について、利用者の視点からの意見と質問をいたします。
 まず、私たちは「認知症の人と家族の会」ですので、認知症の人については、やはり早期発見、適切なケアが提供されることで重度化を防ぐ、そのことについて費用対効果もあると思っています。そういう観点から言いますと、例えば5ページにあります要介護4、5、要介護3というこのシミュレーションについて、例えば要介護1、2、要支援1、2というのはどのように考えておられるのか、その点に不安があります。
 また、このところに2025年の利用者数は641万人とあります。この中で介護予防、重度化予防として、全体として3%減というふうにあります。これから高齢者が増えていくわけですが、この3%という数字はどこから推計されているものなのか、その根拠は何なのかお願いしたい。
 また、これから介護を支えてくれる介護従事者の数について、今後104万人ぐらいの増加が必要だと書かれてあります。では具体的にどうやってこの介護職員を増やすのか、処遇改善金だけでこの短い期間にこの人員というものが増やせるのか、具体的な手だても含めた提案が必要なのではないかと思っています。
 また、私たちはその観点からいいますと、例えば7ページに出ています1号保険者の低所得者に対する保険料軽減強化ということについては評価したいと思いますが、ところが在宅介護に限っていえば、先ほどの表にもありますように、介護サービス利用は要介護3では費用限度額に対して58%、4、5では42%にとどまっています。これは使いたくても使えないという現状がある裏返しではないかと思っています。そういう点では、やはりこの利用料負担と併せて軽減強化をしなければ、必要な給付が受けられないのではないかと思っています。
 見直しの論点からいいましても、要支援者の利用者負担割合の引き上げについて、反対せざるを得ません。そして、21ページにもありますが、その所得というものに対して、利用者負担の所得が一定以上というもの、その範囲というのが年金収入にして200万円、これが本当に高所得といえるのでしょうか。いろいろな貯蓄額とかお家があるじゃないかといわれますが、家を切り売りしながら介護を受けろというようなことなのでしょうか。私たちは、長年頑張ってきたお年寄りたちが、年金暮らしの中でその介護に係る負担、そしてその利用限度額も含めて、きちんと利用できる、そういう体制でなければならないと思っています。
 今回出された消費税増も含めて、私たちは提言の中でもお示ししていますように、応分の負担として、その人にとって過大でもなく、そして過小でもないという負担でいきたいと提言しています。
 そういう点について、今回の各種の利用料の引き上げというものはますます介護保険から私たちを遠ざけるものではないか、そして軽度のときにこそ適切なケアを受けなければ、重度化してなおお金がかかるのではないか、この観点から、私たちは利用料やそういうものに対する引き上げについては反対をします。
 以上です。

○山崎部会長 小林委員。
 小林委員の御発言の後、事務局の方でまとめて御質問分をお答えください。

○小林委員 資料3の「介護納付金の総報酬割導入」についてです。
 介護保険制度の成り立ちを考えますと、介護納付金の総報酬割導入については、より詰めるべき点もあり、議論を深めていく必要があるのではないかと考えております。仮に介護納付金の総報酬割を導入した場合、その国庫負担分の使い道については慎重に検討する必要があると思います。
 私たちは、大変厳しい経営環境にあります160万の中小零細企業や、そこで働く従業員の皆様より保険料をいただいておりますので、こうした方々も納得いく使い方が必要だと考えております。特に、処遇改善の問題については、施設サービスの中には収支差率が10%近くに達しているという調査結果がある中で、労働分配率がどうなっているのかという観点を明確にしないまま単純に介護報酬に上乗せするということにはならないのではないかと思います。
 以上です。

○山崎部会長 では、事務局からお願いします。

○度山介護保険計画課長 まず、結城委員からお話のあった、サービス拡充には自然増的な部分があるというのはそのとおりでございまして、先ほどいわゆる現状投影パターンでどうなるかというのが、ある意味では自然増の部分とお考えをいただければと思います。
 一体改革で出ているプラスマイナスの話というのは、この現状投影からサービス改革をしたときに出てくるプラスマイナスの部分のみをカウントしているということを申し上げたいと思います。
 計画期間途中の変更というのはテクニック的にできるかということですが、これは変更の内容によると考えております。
 過去には平成17年10月より、いわゆるユニット型とか個室に関しての室料負担を年度途中、しかも計画期間途中からいただくことにしたという変更を行っておるということがございます。ただ、何でもかんでも途中からできるかといいますと、例えば給付の中身とか体系を大きく変えてしまうようなことということになりますと、これは市町村の方の計画ですとか、あるいは保険料の積算ということにも大きな影響を与えますので、そういった中身の改正がもし必要だということであれば、これはむしろ平成27年以降の第6期をにらんだ改正項目ということで検討をしなければいけないものもあろうかと思います。そういった課題については、最初にスタートしたときに申し上げましたように、この冬までの議論ではなく、この介護保険部会については更にその先の、社会保障一体改革も2015年までの議論ということになっておりますので、そういうことを視野に置いた検討というところのステージでまた議論を深めていくということになるのだと考えているところでございます。
 それから、布施委員から、処遇改善交付金が切れるということと総報酬割との関係についての議論がございました。
 大きく二つのことを申し上げたいと思いますが、まず、社会保障・税一体改革は2015年までに、勿論、処遇改善もそうですし、サービス提供改革もそうですし、それから制度の安定化という意味でも、全体としてやらなければいけないということになっていまして、1回目の部会でも御説明したように、充実の項目と、それから、重点化・効率化の項目の差額に1%、機能強化分の消費税が入って釣り合いがとれる、こういう構造になっているということでございます。そういうことが一つひとつどういう連関があるかというのは難しいことですけれども、それらをトータルに進めなければいけないというのがまず一点目の事情。これは2015年まで長期に見た場合ということになります。
 それから、今度、今年から来年、短期で見た場合ということについてでございますけれども、処遇改善につきましては交付金の期限が切れるということで、その後をどうするかということの議論があるということでございます。仮にこれを介護報酬に組み入れる形でという対応を図るということになりますと、一時金のような時限の措置から介護報酬という一つの制度に組み込まれた永続的な措置ということになりますので、そこには恒久財源の確保が必要ということになってまいります。ではその財源をどのように考えるかということになりますと、重点化・効率化という項目に書いてございます、一つは総報酬割の導入、もう一つは給付の重点化、このいずれか、あるいは両方を実行して財源を手当てしていく、そういうことが短期的には課題になる、このような関係にあるということを御説明させていただきたいと思います。
 それから、勝田委員から要介護者の伸びを全体として3%減にするというお話についてでございますが、これは介護予防に大変力を入れているいくつかの保険者でどのような形で効果が出ているかということの調査から、私どもも十分に自信を持ってというわけではありませんけれども、努力をすればこれぐらいは可能なのではないかという形で目標設定をして織り込んだものという御説明をさせていただきたいと思います。
 それから、利用者の負担についての御意見がございましたけれども、保険料の軽減ということに関しては一体改革の中のメニューにございますけれども、いわゆる利用者負担1割のところを、それを引き下げるということについては、サービスの利用に応じた負担を求めるという観点から、そういったことは検討の中身、あるいはその財源投入先としては位置付けられていないということを御説明させていただきたいと思います。
 それから、逆に今回、給付の見直しの中で利用者負担につきましても言及はしておりますけれども、勿論、給付の重点化ということはございますけれども、もう一つ大きな目で見て、サービス提供体制の改革という目で見て、この利用者負担の導入あるいは引き上げということが答えになるのかどうかということについても意識をして御議論をいただけると幸いに存じます。
 以上でございます。

○山崎部会長 質問者の方、よろしいでしょうか、大体今の回答で。わかりました。
 では、大西委員。

○大西委員 今回の介護報酬の改定なり保険料改定に当たって、今、社会保障全体に言えることですけれども、非常に大きな分岐点に立っていると思うのです。
 御承知のとおり、国勢調査で初めて日本人の人口が減少に転じたということで、今後の予測でもどんどん人口減少になっていく、年少児、あるいは生産年齢人口はどんどん減っていくけれども、逆に65歳以上の高齢者は増えていく。そういう中で、特にこの介護保険制度をどのように円滑に運営していくのかというのは、ある程度長期的ビジョンをきちんと持った上で今回の改定なりに臨むという形でないと、小手先のことをやっていただけではもうすぐ破綻してしまうという状況になりかねないというふうに思っております。
 そういう意味で、その全体像が資料1の6ページ辺りで、そのために機能を充実していくと同時にサービスの方の給付の重点化、運営の効率化を図って、片方で財源を確保していきますという大まかに示されているところでございますけれども、その中で二点だけ、私の方から意見を言わせていただきたいと思います。
 まず、やはり保険料が大幅に今回改定にならざるを得ないと思います。私どもの高松市におきましても、すでに今、全国平均よりも500円程度高いのですけれども、更に今回の改定で確実に5,000円は超えて、かなり高い水準にならざるを得ないだろう。それをいかに市民に、特に高齢者に納得いただくかというのは、これは大変な努力が必要です。
 片方で国保も大赤字を出しておりまして、国民健康保険の保険料も今回改定せざるを得ないということで、これを市民にいかに納得していただくかというのは、頭をずっと悩ませている課題でございます。
 ただ、今後これが楽になるということはあり得ないわけですので、やはり適正な保険料負担というのは市民に納得をいただいてしていただかざるを得ないということで、いろいろな対策を打った上でやっていきたいと思っております。ただ、その中でやはりこれだけの水準になってきますと、低所得者対策、これはきちんと国の責任において基準を決めてやっていただきたいというふうに思っております。
 資料の中に、例えば地方公共団体がいろいろな工夫をしながら低所得者対策をやっていますという例は出ていますけれども、これはあくまで保険料の世界の中でより高額の保険料の人からその分を低所得者に回すというやりくりですので、これではとてもではないけれども低所得者対策はおぼつきません。したがいまして、国が抜本的な低所得者対策の基準を決めてきちんとそれを施していただきたい。その部分の国の支出というのは、先ほども公費負担割合の話が出ていましたけれども、基本は公費負担、保険料1対1、5対5で結構ですけれども、その低所得者対策の部分は余分に追加的にやはり国が支出する、責任を持つといったような姿勢を是非示していただきたいというふうに思っております。
 それからもう一つ、資産の勘案、これは先ほど言いましたように、生産年齢人口もこれから減ってくるわけです。片方で高齢者が増えてくる。要は所得とか消費というのは、これはどうしたってこれから減っていかざるを得ないわけです。それでは何に財源を求めるかといったら、やはり資産を重視していかざるを得なくなってくると思います。これは税と社会保障の一体改革全体に通じる話かわかりませんけれども、私が若干不満なのは、今回の税と社会保障の一体改革で、この6ページの表にも書いていますけれども、消費税による国民全体での幅広い負担しか位置付けられていないのです。消費税は、確かに幅広く安定的な財源ではありますけれども、生産年齢人口というのはイコール消費をたくさんする人口ですので、それが減っていく以上、消費はそれほど増えないわけです。それよりもストックである金融資産なり固定資産なり、そういうものについて今まで以上の負担を求めていくという必要があるのではないかと思っております。
 例えば、高齢者が一人暮らしで家屋敷は立派なものを持っているけれども、後を継ぐ人がいない、そういう人たちが施設入所になって、しかも補完的な給付で室料負担はしないで、そこの家屋敷は遊ばせたままになっているという例は結構あると思うのです。これはやはり公平を害している。これからどんどん世代間公平をというのを考えますと、どんどんそういういびつな世界というのが大きくなってくるのではないかと思いますので、そういう資産なりの適正な評価、それを税で取るのか保険料で取るのか、その辺はいろいろな工夫が必要かと思いますけれども、是非ともそういう総合的な対策をこれから考えていかないと、安定的な介護保険制度の運営というのはおぼつかないのではないかというふうに思っております。

○山崎部会長 次、伊藤委員。

○伊藤委員 今日の一体改革の資料で、介護サービスの利用者は1.5倍に増える、それに対して介護職員は、100万人近く、1.7倍に増える、こういった見通しを内閣として示しているわけで、これは国民的課題だという認識の下でこういうのが示されているのだと思っております。
 ここでの議論は、被保険者や事業者や利用者や労働者がどうやって負担や配分を分かち合うのかという議論で進められておりますけれども、そのような閉じた世界といいますか、関係者の間でだれが負担するのか、そういうレベルの話ではもともとないのだと思っております。そう言っては身もふたもないのでしょうけれども、労働者が職場を選ぶ際の判断というのはそういった閉じた判断ではありません。自分の能力が適正に評価されるような仕事を求めて移動していくということを改めて認識した上で、この業界の処遇がどうなのかということに立ち返って検討していく必要があると思っています。
 前回も、賃金というのは労使の自治、自主的な努力で解決していくのが望ましいのだという意見の方も多かったですけれども、今、私が申し上げたような認識というのが消えたのか、そういった政策目的が終わったということになるのかということは改めて申し上げたいと思います。補助金というのが適当ではないということなのかどうか、ほかの世界でも、例えば臨床研修指導医の人件費補助などというのもありますし、そういった政策目的に照らして補助金というのはあるのではないでしょうか。
 それで、今回の論点に即して申し上げますと、一つは介護納付金の総報酬割の導入が提案されていますけれども、保険者応能負担という考え方を検討する場合、その際、今、別の場で被用者保険の適用拡大の議論が進められているわけですから、こういった方向性を勘案した試算や検討をする必要もあるのではないかと思います。
 それから、昨年の部会での議論の論点が改めて出ていることについて、二つ三つ。長くなって申し訳ありませんが、一つ目の要支援者の利用者負担の引き上げということにつきましては、予防の段階で利用料を上げて一定の利用抑制をかけて給付を減らす効果が出たとしても、それは繰り延べの効果でしかなくて、タイムラグが発生してまた重度のところから入ってくるというだけの話だと思いますので、ここについてはむしろリハビリを中心に予防効果の高い取り組みの強化をしていくということが必要なのだと思っております。
 それから、ケアマネジメントの利用料については、これが利用料を取るということによって適切なマネジメントができるのか、公平な、また自立支援のためになるようなプランができるのかということについて、やはりもう一度考えておく必要があると思っております。
 あと、多床室の室料負担を取るという件は、多床室が低所得者に多く使われているという実態を踏まえて、その点についてどうやって解決していくのかというところはやはり押さえておく必要があると思います。
 以上です。

○山崎部会長 それでは、木村委員。

○木村委員 前回の最後に、この社会保障・税一体改革のことで、ケアマネジメントの機能強化ということの意味ということで確認させていただきましたけれども、今日の論点、資料4の7で出てきているわけでありますけれども、ここから少しケアマネジメントのことを、意見を述べたいと思います。
 まず、7ページに関してですけれども、予防給付についての利用者負担割合を引き上げることについては、私は反対です。むしろ、この予防給付のところだけではなくて、2次予防事業のところにもきっちり予算を割いて、該当者の生活機能がどこまで落ちてきているかということをきちんと管理する、ケアマネジメントを強化する、そこのことが先ほど来、各委員から出てきている将来でる大きなツケといいますか、大きな給付費につながっていかないということをやらなければいけないと思います。それはなぜかといいますと、やはり団塊の方々の人数がもう想像以上に多いということです。ですから、そこにスポットを当てて、徹底的な管理をしていかないと、もう一瞬のうちに、要介護認定率が上がります。今はたしか90歳以上の人たちの要介護認定は84%ぐらいなのですけれども、そうではなく、やはり80、90歳になっても要介護認定率を20%ぐらいに落としていくとか、そういうことを考えていかないとこれはだめだと思います。ですから、むしろ利用者負担を増やすよりもきちんとした今の負担額で適正なマネジメントを入れてほしいということです。
 それから、もう一つですけれども、今回法律で通りました介護予防・日常生活総合事業でございますが、導入するかどうかは、保険者の判断によりという話ですが、法律が通った後、いろいろと聞いてみますと、ほとんどの保険者はやる気がないという感じです。通所、訪問介護だけではなく、やはり生活機能が戻る段階まで買い物をしてあげたりとか、通院の介助をしてあげたりとか、それで元に戻してあげることの方が非常に大事だというふうにここは思っています。
 それから、8ページからずっとケアマネジメントのことを書いてあるわけですが、1年前にここで毎回反対の意見を述べさせていただきましたけれども、これも同じで、やはりケアマネジメントをケアマネジャーがきちんと要介護認定された人たちに全員やるということが、ここがまず介護保険の一丁目一番地だ、原点だということで、それでもし負担を入れていくという形になると、ケアマネジャーと契約する人としない人が出てくるという形になります。そうすると、ケアプランを作る代行をする人たちが出てくる可能性があるということです。そうすると、要望プランだけでいく可能性がある。ここを本当は保険者が歯止めをかけなければいけないのですけれども、現状では無理でしょう。いわゆる利用者さんたちがケアプランを作っていくという形は一番危険なことだということです。ですから、そこを考えると、居宅介護支援費の利用者負担導入というのはやはり入れるべきではないと思います。
 しかしながら、指摘されている介護支援専門員のその資格のあり方とか質の問題とか、そういうところは、今、別の場で検証を始めているところですけれども、やはり養成教育の仕方、研修の仕方とかをもう一度この提案にある自立支援型のケアマネジメントに変えていくための手を早く打ってもらって、そこは負担導入という話、財源論ではなく、資格とか質をアップするためのそういうことをきちんと進めていっていただきたいと思います。
 最後に、15ページに書いてあることなのですが、質問です。まず私の考えを先に述べますので、厚生労働省の方としてはどう思っているのかお聞かせください。
 15ページに「地域包括支援センターの業務の実施状況」というのがあるのですが、先ほど冒頭に申し上げた非該当から2次予防の恐れのあるところ、それから2次予防事業のところ、予防給付のところ、ここの担当は市町村が責任を持って運営する地域包括支援センターのはずであります。しかし、そこがこういう状態だと、書き方はいろいろあるかもしれませんけれども、予防プランにやはり引っ張られてしまっていて、本来の地域のケアマネジメント力を高めるためのことができていないということになると思います。ですので、1年前から同じこと言っていますけれども、やはりここの3職種というものを、介護予防支援のところから兼務を外して、3人なら3人で集中して2次予防のところと、それから地域のケアマネジメント力を上げるための仕事、そういう立場にしてほしいということと、それからお金がかかるということも聞いています。ですから、交付金の金額を上げてもらうということと、それから先ほど言うのを忘れましたけれども、地域支援事業で市町村が使える保険料のパーセンテージももう少し上げられるようにして、地域支援事業のところでお金をもっと柔軟に使えるような形に変えていただいて前に進めるべきと考えます。
 以上です。

○山崎部会長 ありがとうございました。
 河原委員。

○河原委員 今日は総報酬割のことが最大のテーマだと思っておりましたので、ちょっとその辺のことについて若干触れますけれども、先日、民主党の藤井税制調査会の会長が、我が国の社会保障は借金の上に成り立っているのだというような非常に刺激的な発言をされておりました。また、私もここの部会に出ておりまして、今の介護保険制度が非常に逼迫した財政状況の中で運営されているというようなことを考えますと、私はここでの意見は極めて現実的に対応できる、あるいは現実的に即応できるような方策を意見として言わなければいけないのかなというふうに思っておりました。
 こうした認識の下で、私は総報酬割ということにつきましては、健康保険制度との関係からも、私は有力な選択肢になると思っております。だれでも上がるのは嫌ですけれども、有力な選択肢にはなるのだろうと思います。ただ、総報酬額の高い健保組合の方たちとの公平性のバランスなんかを考えますと、やはりサービス利用者で所得の高い方には応能負担をお願いするという対応も必要ではないかと思います。これは両成敗的な意味合いということではなくて、公平性のキーワードが応能負担ということであれば、1号保険者も応能的な負担になっているわけですから、サービス利用者にこの考えを適用しても必ずしも間違っているというふうには思いません。
 それと、最近の報道について一言言いますと、総報酬割と介護職員の処遇改善の話が短絡的に結び付けられた新聞やテレビの報道に接してちょっとすっきりいたしません。働く者の矜持の観点から意見を言わせていただきますと、これは経営者の方に必ず処遇改善に使うのですよというようなメッセージを伝えたかったとの事務局の思惑かとも思いましたけれども、そもそも総報酬割の議論にしても、限られた財政の中でどのようにして介護保険制度の機能を維持向上させるか、あるいは機能を維持充実させるために財源を確保し、活用するかという話であって、その活用の一つが人材確保策のための処遇改善であるというふうに筋道を立てていただかないと、健保組合の方々に介護で働く私たちの仲間が疎ましく思われてしまいますので、その辺はよろしくお願いします。メディアの方にどのような話をされたか知りませんけれども、誤解を与えないようなお話をしていただくよう、十分配慮をお願いしたいと思います。
 私はこれについては以上です。

○山崎部会長 齊藤委員。

○齊藤(正)委員 木村委員の話にもつながることかもしれませんが、資料4の16ページには、ほかの委員からも出ているように、自立支援に向けたケアマネジメントの機能強化という言葉が出てまいります。そして前回の介護保険部会でもリハビリテーションの重要性を皆さん、御認識してくださったと思います。そうなると資料1の3ページに、充実した提供体制の絵が出ているのですが、この中の小中学校区レベルの地域包括ケア体制の中にリハビリはどこに入ってくるのでしょうか。せっかくグループホームの左側が空いているので、この辺りに是非、「様態に応じたリハビリのサービスの提供」とか、何かやはり一言入れていただかないと、リハビリ等を担う病院は医療の方だけにしか書かれていませんので、是非それはお願いであります。もう一つ付け加えれば、介護保険は単なるお世話のための保険ではないのだ、自立に向けたという話が前回もあれだけ出てきましたので、そういう前向きな言葉が中に入ってくるように御配慮いただければと思います。
 それともう一つ、交付金のことですが、これに関しては介護報酬の中に入る、入らない、どちらかというような、そういう論点だけではなくて、それに併記する形で、良質なサービスを提供するということを阻害しないということだけは、やはりちゃんと明記していただいて、そういうものを目指している人たちはたくさんいらっしゃいますので、その意欲をそぐようなことだけは御配慮いただければと思います。
 以上です。

○山崎部会長 では、三上委員。
 三上委員の後、事務局の方でお答えをお願いいたします。

○三上委員 総報酬割の件につきましては、保険者の団体や経団連等から反対の御意見が出たわけですけれども、日本医師会としては、これに対しては賛成の立場をとりたいというふうに思います。
 医療保険におきましても、組合健保、共済組合と協会けんぽの間で大きな保険料率格差がありますし、基本的に社会保障である。社会連帯の考え方からすると、負担能力に応じてきちんと公平に負担していただきたいということで、総報酬割については賛成したいというふうに思います。特に報酬額の差につきましては、共済組合の726万円から協会けんぽの424万円まで非常に大きな差があるというふうに感じましたし、保険料率を上げないために給付を下げるとか、あるいは処遇改善を怠るというようなことがあっては、やはりこの会議の議論としてはおかしな方向だというふうに思いますので、是非前向きにやっていただきたいと思いますし、更に、その3分の1導入か完全導入かにつきましても、3分の1導入ということであれば、将来的には完全導入に向けての第一段階であるということを前提に考えていただきたいというふうに思います。
 それから、二つ御質問いたします。
 まず、以前から申し上げているのですが、在宅サービス、居住系サービス、施設サービスという資料1の書きぶりと、資料4には居宅サービスとか地域密着サービス、施設サービスというふうに書いてあるのですけれども、やはり今後非常に問題になります有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅等がどのサービスに入ってくるのかというのが非常にわかりにくい。特に、小規模多機能については地域密着であるけれども、居宅サービスなのかそうでないのかというふうなところが、表とかあるいは図によって様々に使い分けて書かれていることで混乱するので、是非その辺の定義をはっきりしていただきたいというふうに思います。
 それからもう一つは、多床室の居住費の問題、あるいは補足給付の問題で、これは以前から申し上げておりますが、介護保険法の中に、介護保険からは食費や居住費に関するものは支払わないと書かれてあります。ここには、多床室については減価償却費相当の分を払っていただいてはということですが、減価償却費相当というのが果たして居住費とそのままイコールと言えるのかどうかというふうなこと、それから補足給付については明らかに居住費の軽減策として書かれているということで、これは介護保険法によれば、法律に合っていないのではないか、矛盾したところではないかということをもう一度改めて事務局にお伺いしたいというふうに思います。

○山崎部会長 では、お願いいたします。

○度山介護保険計画課長 私からまず概括的に、そして振興課長の方で補足があればお願いします。
 木村委員からお話のあった地域包括の話で、私がいろいろ聞き及ぶところでも、介護予防にかなり手がとられているという声は確かによく聞きますし、データで見てもそれが現実なのだろうと思います。そこのところの地域包括の負担を軽減してはどうかというのは、実はこの後御議論のある介護給付費分科会の方での議論でも若干提案がございますので、またそこについては御判断していただければと思っております。
 それから、河原委員から御指摘のあった総報酬割と処遇改善の関係、これは先ほど布施委員の御質問でお答えをしたとおりのことでございまして、何か個別の項目としての連関というよりは、社会保障・税一体改革全体の中での充実を図る要素と給付の重点化・効率化を図る要素の問題と、それからそれぞれの事項からくるタイミングの問題でそのような検討になっているということですが、いろいろな関係者あるいはマスコミ等への説明については丁寧な説明を心がけたいと思います。
 三上委員から御指摘のあった室料の問題でございますけれども、確かに補足給付についての御意見があることはよく存じておりますし、この部会でも、むしろ介護保険の給付から外して全額公費にしてはどうか、そういう御提案があったということも承知をしております。ただ、これも繰り返しになりますが、社会保障・税一体改革の中でそれを全額公費化するということについては、そのような財源手当てができておりませんので、当面は今の枠で考えていくしかないかと考えてございます。
 また、補足給付の性格が介護保険の趣旨に合わないのではないかという御指摘でございますけれども、考え方だけ御紹介させていただきたいと思いますが、社会保険でございますので、その中には低所得者の利用が阻害されないようにという要素、配慮というものも入ってくるわけでございます。そういうことになりますと、今の補足給付がなかりせば、施設給付から低所得の方がやはり締め出されてしまうという現状がございますので、そういったことについてはやはり手当てが必要かということで保険給付の中で行っているというものでございます。ただ、今のあり方でよいかどうかということに関してはさまざまの御指摘がございますし、そういったことに対する見直しということについても今回の論点提示の中で一つ挙げさせていただいたところでございます。
 すみません、十分なお答えにはなっていないかもしれませんが、以上でございます。

○山崎部会長 質問者の方、よろしいでしょうか。

○度山介護保険計画課長 もう一つ、居宅サービスとか居住系サービスとか施設サービスというところでいろいろ概念がということなのですが、確かに幾つかの概念が入り混じっておりますので整理して申しますと、よくサービス体系を議論する場合には、ある意味で施設的な要素の強いものから弱いものまで並べて、それで一番施設系サービスの色合いが弱いものを居宅と呼んで、住まいの機能が付いたもの、半分そういう意味では施設的なサービスが入っているものを居住系サービスと呼び、それから完全に施設を施設サービス、そういうふうに分類することがございます。サービス体系論を論じる上ではそういった三分類を使うことが多くございます。
 もう一つよく使われる地域密着型サービスというのは、地域密着型サービスの中には実は施設もあるし居住系もあるし居宅サービスもあるという、そういうややこしい関係に立っておりますが、地域密着型サービスは、地域に密着したものだということで、市町村の方にある程度指定権限ですとか、あるいは独自報酬を定めるというような権限を付与した、そういうサービス形態のことを言っておりまして、ざっと給付費が幾らかかっているとかいう分類をするときにはそのまとめが便利なものですからそのように使っておりますが、厳密に言うと地域密着型の中には施設給付もあれば居住系の給付もあり在宅給付もある、こういう関係でございます。議論が混乱しないように、一応丁寧に使い分けてはいきたいと思いますけれども、何を説明したいかということに応じて、分類を変えて、資料をつくって御説明しているというのが現状でございます。

○山崎部会長 それでは、続きまして土居委員、お願いします。

○土居委員 資料4で挙げられました論点からまずお話をさせていただきたいと思うのです。
世代間格差の問題を考えますと、これはもちろん介護保険だけではなくて社会保障制度全体の中で考えたときのその世代間格差の問題を考えますと、やはりその若い人たちから見ると残念ながら高齢者の方々は若い人たちに比べてその負担が軽いのではないかという認識があり、これが逆に言えば社会保障制度に対する若い人たちの不信感を助長している面があるという意味からすると、利用者負担というのは今後引き上げるということを検討せざるを得ない、そういうところまできているのではないか。若い人たちの保険料、端的に言えばここでは第2号保険料ということになりますけれども、若い人たちの保険料を上げる前になぜ利用者が負担をきちんとしないのかという声は恐らく今後若い人たちから上がってくる可能性は極めて高いということからすると、しかるべき応分の負担はしていただかなければいけない。勿論、高齢者の方々は十把一からげにできませんので、その御負担をお願いできる方にできるだけ御負担をお願いするということにならざるを得ないということは承知しておりますけれども、ここで挙げられた論点、どれからできるかは予断を許しませんけれども、少なくとも一定以上の所得者の利用者負担というものはできるだけ早期に利用者負担の増をお願いしなければならないということだと思います。そうしないとなかなか若い人たちからこの介護保険を含めて制度に対する信頼が多く得られないということになってくるのだろうというふうに思います。
 勿論、いきなり利用者負担増をお願いすると、いろいろな意味で支障を来たすところはあろうかと思いますので、そこはケアフルにやる必要があると思うのですけれども、例えばケアマネジメントに係る利用者負担という話で言えば、極端に言えば利用者負担をお願いすることを通じてそのケアプランに対する中身により関心を高めてもらって、御自身のケアプランがいかなるものかということをより積極的にケアマネジャーとディスカッションする。勿論、それはひよってはいけないわけですけれども、先ほど挙げられた、事務局から出されたその実態をかんがみれば、ある意味で利用者負担を促すことを通じてより利用者の関心を高めてもらうという可能性というのはある。勿論、負担がなかなかできないという方はありますけれども、すでに補足給付とかありますから、ケアマネジメントの利用者負担だけが上がったからといって直ちに何かお金に窮するというような大げさな話ではないのだろう。勿論、きちんとしたケアマネジメントの利用というのは、当然これはなされるように配慮しなければいけないということだと思っております。
 次に第2号被保険者の中の保険料の問題ですけれども、先ほど来、話がありますように、協会けんぽに国庫の補助が出ている。勿論、これは御承知のように前身が政府管掌健康保険ですから、ある程度政府が関わるということは、かつてはある種制度上当然という感じがあったわけですが、より非公務員型の組織になったという意味では国から離れるというところに今の組織があると私は理解をしています。なので、できれば若い人たちの間での負担は若い人たちの間での保険料の負担の調整ということを通じて、保険料負担に関してはできるだけ国庫依存から脱却するという方向を目指すということを考える。その国庫補助のお金をどう使うということはケアフルに議論する必要はありますけれども、できるだけ若い人、つまり第2号被保険者の中でその保険料の負担をよりよく分かち合うというシステムに移行する、いわゆる総報酬割というのもそういう中で位置づけられていくべきものなのではないかというふうに思います。
 そういう議論とともに、もう一つはその第1号被保険者の保険料の問題があるわけですけれども、先ほど来にも議論がありますように、お持ちになっておられる資産の多寡に着目して、1号保険料の設定というのは実務的にはなかなか大変なところはあるかもしれませんが、今後、実務的な苦労は勿論しかるべきサポートは必要ですけれども、より資産に着目した保険料の設定及び補足給付の設定、そういうものは今後やっていかなければならいのではないかというふうに思います。
 最後に、社会保障・税一体改革の議論の中で、1号保険料の低所得者の負担をどのように軽減するかということですが、私は、極端に言えば処遇改善交付金の二の舞にならないようにするべきだと。つまり、保険の枠外でこの負担軽減という話をやり始めると、結局のところ保険という財政の枠によって規律付けられるその規律がなくなってしまう可能性がある。とにかく国庫負担をスケープゴートにして、どしどし国庫負担を増やせば保険料の負担軽減ができるのだというような話になってしまうと、際限なく国庫負担を求めるということになりかねない。そういう意味では、導入当初から保険の枠内できちんとその保険料軽減という話を制度的に位置付けて、その中で国庫が負担する部分は国庫がしっかり負担する。ただ、私が思うには、地方独自の、地元の住民の方々の経済状況等々にかんがみて独自の負担軽減ということは地方の負担によって独自にできるという道を開くということもあってもいいのではないか。そういう意味では、保険料負担というのは国庫の部分だけではなくて地方の負担も含めて投じて、この両者で負担軽減を図るという方策というのは考えられるのではないかというふうに思います。
 以上です。

○木村委員 部会長、一つだけ、今のことで。
 今、補足給付がケアマネジメントであるとおっしゃったのですけれども、居宅は補足給付がないので、そこだけ訂正していただければと思います。

○土居委員 私は、ケアマネジメントで補足給付があると申し上げたわけではなくて、制度全体の中で、御利用者の中で補足給付が当たっている部分というのはほかの部分でもあるので、ケアマネジメントの利用者負担だけが重くのしかかったから、ほかの次のサービスにはもうこれ以上負担できないというふうにお困りになるなんていうようなことはないのではないかということです。

○山崎部会長 山田委員。

○山田委員 二点だけ意見を述べさせていただきます。
 まず、総報酬割についてですが、国民的観点といいますか、一般の国民から考えますと、やはり頭割りよりは被保険者本人の総報酬に着目する方が理解しやすい。制度の持続という観点、それから公平性の立場、国民等しく負担するという立場からも私は総報酬割の導入には基本的には賛成であります。
 もう一点、補足給付について若干、意見を述べさせていただきたいのですが、平成17年の改正のときに食費・居住費は介護保険の給付の対象外とするというのが、これは大原則であったと思います。その際、低所得者の方々の負担が大きくなるのでどうするかということで、御存じのように低所得者対策として保険給付からまた再度保険から給付するという形になった、非常に考え方として一見矛盾しているような気が私はいたします。介護保険からは食費・居住費は給付しないというのが原則であって、低所得者対策という意味では、いろいろ御議論あったと思いますが、やはり別途福祉財源を持ってくるというのが順当だろうと思います。
 やはり、こういう状況ですので、将来にわたってもう一度その原点に返って、この補足給付の位置づけを検討する必要があると思います。その中で、現行、例えば老人保健施設でありますれば、補足給付の対象者が約6割を超えるという状況になっております。その対象者の選定、あるいはその給付の仕方がそれでいいのかどうか、もう一回そこは原点に返ってきちんと整理する時期にきていると思います。そうしないと、この問題はずっと尾を引いていくと思いますので、その辺はよろしくお願いします。
 以上です。

○山崎部会長 桝田委員。

○桝田委員 今日、資料4の39ページなのですけれども、一つの考え方として在宅の方と施設の給付の負担の考え方で、支給限度額を一つの考え方、両方取り入れるという、提案かどうかわかりませんけれども、その考え方は少なくとも2割負担を入れるより、まず第一段階として考えてもいいのではないかとは思います。
 ただ問題点は、いわゆる施設サービスの要介護1、2の方で、第3段階の方が高額介護サービス費の計算をしたときに入居がほとんど無理になってくる可能性がある。ですから、高額介護サービス費の考え方をどう修正するかという点が一つかかってくるかと思います。
 どうしても今の時代ですので、保険料を上げるのか給付を抑えるのか、いわゆる負担を増やすのか、何らかの策をとらなければならない時点にきている。ですから、それぞれが応分の負担という部分もあると思いますけれども、急激な変化ではなくて徐々に修正をしていく案で変えていくのと、もう一つは予防給付の部分で、やはり効果の検証というのをもう少ししていって、効果がないものは縮小するなり廃止する方向に向かっていく。やはり効果を大事にしていかなければ給付がもたないのではないかという懸念がございます。
 それと、今日の議論なのですけれども、財源論としてメインに考えてするのか、昨年の場合はどちらかというと概念的な方が強くて財政論的な部分は少し抑えた議論でしたけれども、今回かなり情勢が変わってきていまして、財政論抜きにしては語れない状況に入っている。ですから、今回の議論というのはその財政的な問題をどの程度念頭に置いて議論すべきなのかという部分を少し先にお願いしたいと思います。
 よろしくお願いします。

○山崎部会長 木間委員。

○木間委員 利用者負担に関して申し上げます。
 資料4の17ページに部会の意見書があります。ブルーの枠の中です。
 下から三行目に、「2割に引き上げることを検討すべきである」とあり、「一方、介護保険は区分支給限度基準額」云々とありますが、この「一方」の後は、私ども利用者側の意見でありました。それから、主な意見として丸がついていますが、二つ目の丸からが利用者側の意見でありました。
 去年も申し上げたことですが、2割に引き上げるということは、要介護5の方の場合は1か月の自己負担が約72,000円になります。毎月、介護保険料と利用料等々が徴収されることになります。そうすると8万円ぐらいの支出になります。更に医療保険料もあるし医療の窓口負担もありますし、おむつ代なども加わってきます。そうなりますと、厚生年金の平均年金の半分くらいは支払うことになります。
 主な意見のところの丸の四つ目ですが、高額介護サービス費が支給されるといいましても、多分2割負担になれば高額介護サービス費の金額も上がっていくのではないかと思うのです。そうであれば、世帯で一人だけサービスを利用した場合、自己負担額が上限額を超えるということはほぼないのではないかと思っております。
 介護サービスとは、多くの方々は長期間利用するサービスです。高所得者といわれる層であっても多くは年金生活者です。年金額が増えない中で負担増を求めるということは慎重にすべきであると思います。

○山崎部会長 では、葛原委員。

○葛原委員 この資料4の論点整理のことについて少し意見を述べさせていただきます。
 先ほどから、要支援者とか軽度の介護の方の問題が出ておりますけれども、私は、介護をされる人をできるだけ減らすという予防に関しての費用対効果からいえば、やはり要支援者とそれから軽度の方についても、サービスを必要としている限りは提供すべきだと思います。制度を使いにくくするということではなくて、こういう方たちもお金を払っているわけですから、介護保険の中でサービスを受けられる仕組みは是非担保していただきたいと思っています。
 そういう点で、ケアプラン策定のマネジメントに係る利用者負担というのも、これは何回も何回も利用する人は別としても、少なくとも入り口だけは制度として保証していくべきではないかという具合に考えています。
 それから、今日は財政問題が出ておりますけれども、私は今の日本の社会を見ていますと、若い人には負担をかけずに、やはり利用する人が極限までそれは自分でやりくりしていくというような制度にしていかないと、制度の持続性が担保できないのではないかと思っています。そういう点では、2号保険者の負担はできるだけ減らすということは常に考えるべきだと思いますし、今日の資料4の33ページですか、新たに出てきた「資産を考慮した」という制度運営は検討に値します。一般的に言うと若い人よりはお年寄りの方がいろいろな形での資産というのはお持ちだと思います。生活保護のときは多分、こういう資産は全部出した上で受けるようになっていると思うのですが、生活保護受給者の中には、どちらかというと若い方でもう一回再出発する方が結構いらっしゃると思うので、財産を全部差し出すことが不利に働くこともあるかもしれないと思うのですが、介護保険を受けるのは高齢者ですので、先ほど高松市長さんもおっしゃっていますが、生涯を通じて介護保険の方できちんと面倒が見てもらえるということであったら、資産は積極的に活用するという方向で制度の仕組みをつくられていいのではないか、私はそういう具合に思っています。
 結論として、税金を投入して補填する部分は限定し、基本的には必要経費は介護保険料と利用料で賄っていく原則を貫くのが、今後の制度を長続きさせる方策ではないか、私はそういう具合に思っています。

○山崎部会長 小島委員。

○小島参考人 神奈川県の保険者の状態を踏まえましてお話をさせていただきますが、まずは今日は負担と給付のあり方で、特に負担の話が出ているわけでございますけれども、この第1号被保険者の保険料の関係なのですが、高松市長さん、大西委員もおっしゃいましたけれども、今、標準負担段階は6段階あるわけでございますが、それを保険者の考慮によって第1段、第2、3段階、第4段階を低くすることによってより高所得者に負担を求めるということで、多段階制というのを導入してございます。
 ただ、この多段階制もすでにもう限界がございまして、今回、国からも3段階について更に引き下げる区分を設けるべきだと言うのですが、その引き下げる対象者の割合と高所得者の割合でかなり差がございまして、引き下げる方の部分を高所得者に求め切れないという状況がありまして、保険者の中には標準保険料が標準負担段階でやった保険料よりも多段階制で設定する保険料が高くなってしまう。逆に言うと、一番下の人は0.5、2分の1負担ですけれども、この人の部分が他の所得分の方の多段階を利用することによって、一番下の保険料が上がってしまう、こういう矛盾がすでに生じてございます。私も県として保険者を指導するときには、それならばいっそのこと第1段階、第2段階も0.5の負担割合から更に下げるべきではないか、こういった意見は述べさせていただいているのですが、もうすでに限界だと思います。第2号被保険者に負担能力に応じてということであるならば、第1号被保険者についてもやはり料率ということで一定額ではなくて所得に応じた率を掛けていただく方がよろしいのではないか。すでに、負担能力の割合に応じて1,000万円の方が2倍まで負担するものと、500万円の方が2倍まで負担するものでは、負担割合がすごく大きく異なっております。また、その所得を挟むことによって負担割合が逆転するという逆進性の問題もございますので、そういったことも配慮して、第5期は難しいかもしれないのですが、第6期に向けてはちょっと保険料の負担のあり方、特に第1号についても負担能力に応じてということを配慮していただければと思います。
 また、先ほど来、資産の話が出ているのですが、先ほど勝田委員がお話しいただいたように、高齢者の金融資産であれば、果実の部分というのはすでに所得の中に入っているわけですから問題がないのですが、果実以外の資産、それが住んでいるお住まいという場合には、なかなかそれを切り売りすることは確かにできないわけでございますので、そうした部分を保険料の負担に入れるのはどうなのか。むしろ、亡くなられたときにそれが相続税としてきっちり取っていくというようなことで、もう事務的には保険者は資産の捕捉というのはかなり負担があります、ですから現実には難しいので、そういったものは社会保障と税の一体改革の中で相続税の負担割合を増やしていくとか、そういった方向で変えるのか、または、亡くなられたときにそれを保険料というか過去の部分として費用を徴収できるとか、何か新たな制度を導入する方がよろしいのではないかと思います。
 あと、ユニットの関係なのですが、ユニットの関係に入ります前に桝田委員の顔がちょっと目の前にありますので、先ほど当局の説明の中で、特別養護老人ホームの1割の方がまだ要介護1であると、すごく軽い方も入れているようにお話ございましたが、実際、私ども神奈川県の実態から申し上げますと、その方々はほとんど平成12年度以前、要は措置を行っていたときに要介護認定をしていなかった方が、まだ措置を行っていなくて元気な方々ですから、10年経ってもまだ要介護1ぐらいなのです。そういう方々がまだまだ1割ぐらいいるということですから、現状、今新しく特養をつくっているところではそういった要介護1の方を入れているということはほとんどございませんので、そこは誤解のないようにしていただきたいと思います。
 あと、ユニットの関係なのですが、国では給付費分科会の方で定員を一人としたわけですけれども、昨年来の議論の中で、混合型の建築を認める、要は多床室と個室の建築を認めるということなのですが、すごく大きくネックになっておりますのが、この補足給付の問題でございます。では新しくつくる特養が光熱水費の1万円相当だけでやりくりできるのか。減価償却費が入っていると言われても、今の建設費は先ほど出ていた減価償却費よりはかなり高いということもありますのでペイできない。ですから、現実には事業者は多床室を選択できないというようなことになってございます。
 ですから、そういったことを三上委員等のいろいろな議論がございますので、特に補足給付の問題は社会福祉法人の減免制度もちょっと問題があります。それも、社会福祉法人の場合だけ減免をして、そのほかの事業者は減免をしない。ですから、法人の意向によって減免を受ける方と受けない方がある、そういったこともあります。要は他力本願的な制度なのかと思いますので、そういったことも含めて、低所得者対策はきっちりやっていただきたいと思っております。
 もう一つ、最後は要望なのですけれども、私ども、よく聞かれるのは、この介護報酬何点の中にはどういうものがどういうふうに評価されて入っているのか。国からの説明で、新たに変更になった部分はこういうところを重点化したために評価がこうなって変わりましたとは説明できるのですが、何点の組み立てが、何点ずつがいくらなのかという内訳がわからない。こういったことをきちっと示していただくことが、例えば処遇改善交付金の部分を報酬に反映させたその後、一人ひとりの賃金に反映させるためにも、この部分は人件費で見ているのだということを明確に点数としての内訳を示していただく方がよろしいのではないかと思いますので、これは最後に要望させていただきます。

○山崎部会長 ほぼ時間になりました。
 田中委員、次回回しでお願いします。次回も同じようなテーマでやりますので。
 それでは、事務局からかいつまんで御回答をお願いします。

○度山介護保険計画課長 御質問というよりは御意見だったかと思いますが、最後の小島参考人の御発言について少しコメントを申し上げたいと思います。確かに施設入所で要介護度が軽い方について、旧措置入所者が多いのではないかというのは、それは一面ではそうだと思います。同時に、これは数としてカウントしたわけではないのですが、施設を経営していらっしゃる方から聞くお話では、現実としてはやはり要介護4、5ぐらいでないと施設には入らないというのも実態だと思います。ただ、要介護4、5で入っても、その後よくなるというケースはやはりそんなに比率は多くないけれどもあるとも聞いております。ですから、そういう方の今度は在宅復帰のようなことをどう考えていくかということも課題ではないかと思います。
 それから、社会福祉法人の減免制度の話がございましたが、御存じのとおり社会福祉法人は公益的な役割を付与されて、それで介護事業にも携わっている。そういう結果として課税なんかもほかの法人に比べて変わっているということになってまいりますと、やはりそういうことの社会的な責任を果たすという観点から、社会福祉法人の減免制度というものの実施をお願いし、若干公もそれを援助しておるということでございます。
 御存じのとおり、昨年のこの部会の議論を受けまして、生活保護者のユニット型入所に関しては、その社会福祉法人減免で対応ということで低所得者対策をするということを打ったところでございまして、この実施に当たってはまた関係者の皆さんの多大な御協力をお願いしたいと思いますけれども、そういうことも含めて、全体としての低所得者対策ということに関しては、勿論消費税が引き上がるということもあって十分に検討していかなければいけない課題だと認識しておるところでございます。
 以上です。

○山崎部会長 それでは、次回の部会は、引き続き社会保障・税一体改革における介護分野の制度見直しに関する論点について御議論いただきます。
 それでは、本日の部会はこれで終了します。
 どうもお疲れさまでした。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(介護保険部会)> 第39回社会保障審議会介護保険部会議事録

ページの先頭へ戻る