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2011年10月12日 第2回労働政策審議会職業能力開発分科会中央職業能力開発協会の在り方に関する専門委員会議事録

職業能力開発局

○日時

平成23年10月12日(水)17時00分~19時00分


○場所

中央労働委員会 労働委員会会館612会議室(6階)


○議事

○今野座長 少し早いのですが、予定の方は皆さんいらっしゃいましたので始めたいと思います。第2回労働政策審議会職業能力開発分科会中央職業能力開発協会の在り方に関する専門委員会を開催いたします。
 本日は、高倉委員と上原委員がご欠席です。あと、浅井委員が遅れていらっしゃると思います。
 それでは議題に入ります。お手元の議事次第にありますように、今日は「中央職業能力開発協会の事業の実施状況について」議論をしていただきたいと思います。この議題は、前回、各委員からたくさんの宿題が出ましたので、それに対しての回答を整理していただきましたので、それを巡って議論していただくことを考えています。なお、お手元の2枚目に座席表がありますが、前回もそうですが、中央職業能力開発協会の担当者の人にもご出席をいただいています。細かい内容については回答していただくことにさせていただければと思います。
 まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。

○原田調査官 今月1日付けで職業能力開発局の調査官を拝命し、着任いたしました原田でございます。以後よろしくお願いいたします。
 資料の説明をさせていただきます。まず、全体の資料で、資料1と資料2は前回ご指摘がありました、補助事業・自主事業・委託事業、それぞれの財源の違いや事業別の事業費の構造、組織の関連等について整理するようにというご指摘に対応するものです。
資料3は、事業内容につきまして、前回の資料では平成22年度の実績等についてご説明いたましたが、単年度ではなく全体像がわかる資料を作成するようにというご指摘や、主たる業務であります技能検定の業務の流れについて、ステップごとに整理するようにというご指摘がありましたので、それを説明させていただく資料です。
 資料1から説明させていただきます。資料1は「平成22年度の中央職業能力開発協会の収支状況について」です。真ん中の色付きのところに、支出がありまして、左側の縦に、管理費、事業費、受託事業費、その他と並んでいますが、両サイドが収入として整理しています。左側は国庫からの補助金、下のほうに、受託事業に関する受託収入があります。右側が自前収入です。まず、左側の上に、国庫補助金として、当初の交付額が5億2,000万円ほどありますが、年度終わりに不要が出ますと返還しますので、返還後で4億8,000万円です。下のほうに矢印がありますが、国庫返還額として3,900万円ほど返還した形です。返還後の4億8,000万円を使った内訳が真ん中の色付きの支出となります。
 補助事業につきまして、人件費が4億200万円ほどですが、人件費につきましては10分の10補助と決まっていますので、補助事業に従事する職員の人件費を全額みている形になっています。一般業務運営費、職業訓練振興事業費、技能検定等事業費、それから、細く薄いところで恐縮ですが、情報資料提供等事業費、これらが補助事業となっております。これらの事業費等につきましては2分の1が補助の形で、点線から左側が補助事業、右側が自主事業として区別しています。財源は、黄色が補助金、青が自主財源からの支出という資料の作りとなっています。一般業務運営費は補助部分が折半ですが、事業費の中で、職業訓練振興事業費がありますが、ここで補助金300万円と、自前が2億6,000万円ほど入っていますが、小さい字で囲ってあり、点線より右(自主事業)とあります。ここは前回もご指摘がございましたが、職業訓練生援護事業で、保険料を集金して保険会社に支払う、徴収した額をそのまますぐ支出してしまう事業として、2億5,700万円ほどあります。大部分はこの金額ということで、残る400万円ほどが事業にかかる費用です。したがいまして、補助事業の大半は次の技能検定等事業費に係るものです。
 数字がありますように、補助金、黄色い部分の白抜きの、1,770万円ほどが補助金として入っていまして、自前財源としては、右側の白抜きの、5億1,000万円ほどです。ただ、補助事業としましては、先ほどもご説明申し上げましたとおり、点線から左側で、補助金としては支出の2分の1補助ですので、技能検定等事業費の中での補助事業としましては、全体の支出はこのちょうど倍の3,500万円ほどになります。補助金で手当てされていない残りの1,700万円については、この補助金に相当するぐらいの額を自前財源で賄っているということです。具体的には、右側にありますが、点線より左(補助事業)で、補助事業そのものから上がる事業費として、収入となりますのが、ここにあります技能検定業務指導費、職員等研修、試験の実施要領等の作成によるものです。ただ、これだけでは必ずしも残る1,700万円ほどをすべて賄うほどの収入ではないので、下のほうにありますように、点線より右(自主事業)としての収入も一部補助事業の実施に充てている。以上が財源の構造です。
 それから、下の受託事業費ですが、オレンジ色で9億3,400万円ほどがありますけれども、これは委託事業で人件費・事業費含めて、全額すべて国からの委託・受託収入で賄っています。金額としては左にありますように、当初の交付額10億円に対しまして、実際に使ったのが、返還後の9億3,400万円です。資料1につきましては以上です。
 資料2です。これは事業と組織との関係で、中央職業能力開発協会の組織で、どの部がどの事業を具体的に担当しているのかということです。技能検定部は32名おりますが、そこで専ら技能検定の事業を実施している、担当していることになります。それから、能力開発支援部は28名おりますが、ここでは資料2の中ほどにあるローマ数字で対応させています。?の職業訓練振興事業。?の技能検定等事業費の内のCS技能評価試験、それから、ビジネス・キャリア検定試験事業等。?として、情報資料提供事業、図書出版事業です。職業能力評価制度の整備及び活用促進事業以下は委託事業ですが、能力開発支援部でも職業能力評価制度の整備及び活用促進事業とキャリア支援企業等育成事業について担当しています。緑色の技能振興部17名は、ここに書いてありますように、いずれも委託事業ではありますが、それぞれ担当していることになっています。
 人数の推移の整理ですが、前回も、各部の人数の推移を整理して資料としてありましたけれども、経年で増減の要因等を整理しております。総務部につきましては、平成22年度から23年度は5名ほどの増員がありましたが、(注1)にありますように、総務企画部として自主事業拡大のため経営企画室の設置等によるものです。併せて、能力開発支援部、技能振興部の2つの部につきましては、平成22年度に組織の改編、統合等があり、いずれも人数につきましては大幅に削減し、全体の人数は削減をしてきているという資料です。以上が、事業費、人員についてのご説明です。
 続きまして、資料3の事業内容につきまして、先ほどもご説明しましたが、単年度だけではなく全体像等のご指摘がありましたので、これにつきましても、資料1で整理させていただいた事業の順番に、再度整理させていただいているものです。
 2頁が?職業訓練振興事業に関する業務です。ここは、補助事業として行われているものと、自主事業として行っているものを一緒に書いています。いちばん上のキャリア形成支援に関する各種研修・セミナーの実施は、補助事業として行っているものです。大体、年度前半に実施しているものを左側に、右側にいくにつれて年度後半というイメージで作っております。いちばん上で申し上げますと、リーダー養成研修等から人材育成事例研究セミナー、人材育成戦略セミナーと年度を通してやっているものです。以下、キャリア・コンサルティング普及促進等は、通年何回か回数があります。
 3頁は、中長期的な推移です。平成18年度以降につきまして、それぞれ、先ほどの2頁の事業がどのぐらいの回数、どれぐらいの参加者数に対して実施されてきたかということです。新たに、平成19年度や21年度から始めた事業もありますが、大体、毎年度これぐらいの規模で実施している状況です。
 4頁は、??技能検定に関する業務です。業務の流れについてステップごとに整理するようにというご指摘を踏まえて、説明させていただくものです。中央協会で試験問題を作成いたします。各職種ごとに中央技能検定委員会を開催し、試験問題や実施要領を作成いたします。試験問題につきましては、国の認定を経た上で完成したものを、中央協会で問題の印刷・発送等をいたします。さらに、実技試験につきましては、水準の調整を図るということで、水準調整会議を年2回開催することになっています。具体的な試験の実施は、都道府県が実施の公示をした上で、都道府県協会で実施するということです。
 恐縮ですが、業務の流れにつきましては7頁を先に説明させていただきます。これは、年度の月ごとに技能検定業務の流れとして、平成23年度前期試験の例として説明させていただきます。試験自体は、真ん中のいちばん下に?実技試験実施は6月から、?学科試験実施は、大体7月から9月にかけて前期試験という形で実施するわけです。その準備は、前年の6月辺りから中央協会で業務実施が始まるということです。6月から試験休止対象の調整で、どのような業種等について実施するかを確定した上で、10月から前期・随時試験の問題の作成を始めます。先ほどご説明しました、中央技能検定委員会等を開催する中で作成するということです。以下、3月、4月辺りの手続きを経まして、具体的な地方協会、都道府県協会での作業が3月ぐらいから始まります。これが前期の試験です。
 併せて、後期の試験も大体この半年遅れぐらいで行われます。後期の実技試験は11月末から2月末ぐらいですし、学科の試験は1月末から2月始めぐらいですので、中央協会は5月、6月ぐらいから後期の試験問題の作成を始めることになっております。前期分の大臣認定申請など、ここにありますような手続を進めつつ同時並行で、後期試験の問題の作成も開始するということです。地方の都道府県協会におきましても、学科試験の開始が11月ぐらいからですので、前期の試験の業務作業が終わり次第、ほとんどすぐに後期の試験の作業が始まるような年間の流れになっています。
 5頁に戻ります。中長期的推移として、平成18年度以降23年度の予定までを示しております。技能試験問題等の作成として、大体100職種超の試験を毎年度実施しております。水準調整会議につきましては、課題の改正等をされた職種作業等に着目して、全国的水準の統一等のために情報提供、意見交換等を行うものです。毎年度ここに掲げてありますような業種につきまして、それぞれの人数の方にお集まりいただいて会議を開催しております。担当課長会議、あるいは技能検定試験業務の指導等につきましても、ここにありますような県、職種、回数等で実施しております。
 6頁です。技能検定委員に対する研修につきましても、主観的採点内容が多い職種や都道府県協会からの要望が多い職種について実施するということで、例年、2職種ないし3職種程度実施しております。
 8頁は、技能検定の続きです。この資料は、技能検定につきまして、顧客である受験者の観点からどの程度役立っているかなど説明が必要であるという、前回のご指摘がありましたので、平成22年度に実施しましたアンケート結果をご紹介させていただいています。調査の時期、対象、回答者の概要等はここに記載のとおりです。結果ですが、左側は企業に対するアンケートで、「採用にあたり技能士であることを考慮するか」という問に対しまして、「かなり考慮する」24%、「やや考慮する」42%、これを足しますと66%、3分の2が採用にあたって技能士であることを考慮するということで、技能士であることは採用に有利であることが見て取れるのではないかということです。右側は技能士に対して、「採用にあたり技能士であることを考慮されたか」という問いです。「採用後に技能士になった」が72%で4分の3でして、右側のオレンジ色の「その他」とありますのは、採用時に既に技能士であった方が28%いらっしゃって、その内訳として、「やや考慮された」12%、「かなり考慮された」11%となっています。これは28%の内訳としてこういった数字になっていますが、28%の中での割合として換算しますと、「やや考慮された」が43%、「かなり考慮された」が39%ですので、合わせて82%、8割以上が採用のときに技能士であったことを考慮されたという結果が出ている形です。下は、処遇改善です。手当の支給、昇進昇格、合格者に受検手数料補助等が企業向け、技能士向け、いずれも高い割合でこういったメリットがあるということです。
 9頁です。「技能士は他の一般の採用者に比べて技能のレベルが優れているか」に対しましては、「優れている」と「やや優れている」を足しますと、90%が優れているという評価が出ています。どのような点で優れているかということですが、「原理原則を理解している」「作業の段取りがよい」「即戦力として期待できる」等の点で優れているというのが、企業の評価です。また技能士に対して、「いまの仕事に役に立っているか」ということですが、7割以上が役立っているという回答です。
 10頁は、技能検定事業の中の一環であります??コンピュータサービス技能評価試験に関する業務で、これは自主事業です。47都道府県協会あるいは認定施設では、計6部門についての試験を実施しています。図にありますように、中央協会で行いますのが試験問題の作成、印刷・発送で、具体的な試験の実施等は、都道府県協会又は認定施設において行うものです。
 11頁に、実施状況の中長期的な推移があります。平成18年度以降、受検申請者総数が大体7万人から9万人ぐらいで推移しています。合格者総数が中ほどにありますが、6万人から8万人弱ぐらいの合格者が毎年度出ています。広報周知等につきましても、ポスター、パンフレット等をこれぐらいの部数で行っています。
 12頁は、??CADトレース技能審査に関する業務です。これも業務の構造としましては同じような形で、中央で試験問題等を作成して行います。これにつきましては採点等も中央協会に集約した上で実施しております。13頁は、業務の中長期的推移です。受検申請者総数は近年減ってきていますが、4,000人、5,000人の規模で実施しています。
 引き続きまして、14頁は、??ビジネス・キャリア検定試験に関する業務です。これにつきましても、試験問題等を中央で作成した上で試験を実施するということで、年2回実施しています。受検申請者総数等の推移が次の15頁にありますが、2万人から3万人弱ぐらいの申請者で、合格者も1万人から1万5,000人ぐらいの人数で近年推移しています。
 16頁が、?情報資料提供・図書出版事業に関する業務です。情報資料提供事業が補助事業で、図書出版事業は自主事業です。それぞれ情報資料提供事業につきましては、ホームページ(HP)あるいは各種業務の広告の掲載等です。下の図書出版事業につきましても、能力開発関係図書、ビジネス・キャリア関係図書、あるいは技能検定関係図書等を作成・販売しているものです。業務の中長期的推移は17頁ですが、HPのアクセス件数や出版図書の部数等につきまして、こういった数字で推移してきているということです。
 19頁が、?技能振興に関する業務で、これ以降は受託事業として行っているものです。まず、技能五輪全国大会として毎年度行っていますが、技能競技委員等の委嘱等に始まり、委員会の開催等を経まして大会を開催します。
 国際大会は2年に1度開催されるものですが、今回につきましては、先週までロンドンで開かれていまして、日本選手は金メダル11というのが先日のニュースになっていました。中央協会で実施しますのは出場選手の育成強化で、ここにありますように、事前調査、情報収集、オリエンテーション等を前年度に実施します。実践的な強化訓練の実施等を経た上で、大会の当年度、ここでは次年度と整理していますが、選手団の派遣等を行うというのが、国際大会に関する中央協会の業務です。20頁にはそれぞれ、平成18年度以降の全国大会、国際大会、あるいは国際大会出場選手の強化等の実施状況を整理しています。
 22頁が、技能五輪全国大会の参加企業数の推移です。前回も、企業の数はどうなっているかとのご指摘があり整理したものです。赤い線が企業数ですが、平成18年度、第44回大会がピークです。これは、先ほどの20頁にありますが、平成19年度の技能五輪国際大会が日本の静岡で開催されるということで、その前年度がこの国際大会への予選という位置付けになったことで、ここが非常に参加企業が多かったのだと聞いております。
 23頁は、?能力評価に関する業務です。これは2年度間にわたっての委託事業でありまして、業種等を選定して、1年目には企業調査、ヒアリング等を行い、2年目に評価基準あるいは報告書を作成していただく。それに基づいていろいろな施策の普及・促進を図る流れの業務です。具体的な業種につきましては、下にありますように、前年度からの継続4業種や今年度新規2業種。メンテナンス1業種と、それからモデル評価シートを作定することもやっておりまして、これが4業種です。これが今年度の実施状況です。
 中長期的なものとしては、24頁に、平成18年度以降につきまして、平成18年度に新規業種として行った9業種が引き続き平成19年度も継続業種としてやっておりますし、平成19年度に新規のものは平成20年度も引き続きやるという形です。モデル評価シートは平成20年度から開始した事業ですが、平成20年度10業種から始まりまして、平成23年度も4業種をやる予定で進めている業務です。併せて、25頁で、普及・活用促進も図ることです。これも、ただ作るだけではなくて普及・活用促進も図るということから、それぞれの年度におきまして、こういった数の業種について普及・活用促進のための取組を進めているものです。
 26頁は、?キャリア形成に関する業務です。キャリア支援企業等育成事業という形で、研修あるいはメールマガジンの発行・配信等を行っているものです。実施状況が27頁です。研修あるいは意見交換等につきましては、こういった日数で、このような数字の方々にご参加いただいて実施しています。情報システムアクセス件数、メールマガジンの配信状況は下に整理されているとおりです。
 最後です。?国際協力に関する業務ということで、技能評価システムの移転促進事業として、担当者の研修等、外国から人を紹へいしての研修、あるいは試行、委員会の開催等を行っています。いちばん下は、JICAからの受託です。行政セミナーという形のものも実施しています。具体的な実施状況は29頁にありますが、平成18年度以降、技能評価技法研修につきましては、過去、7カ国から8カ国程度の国の方々に対して実施しています。以下、職業能力開発行政セミナー、国際交流、アジア太平洋地域人材養成協力事業等、こういった形で実施しているということです。資料の説明は以上でございます。

○今野座長 それではご自由に意見を出していただければと思います。

○梶川委員 詳細な資料をお作りいただいてありがとうございます。私は資料1に関連してお願いしてきた部分があると思いますが、こうやって支出と収入を区分していただいて、それなりに理解はできるところだと思います。
 ただ、今回ガバナンスであったり、十分な情報公開、また、この研究会のテーマで自己収入化していくための取組みのようなお話がメインの論点にあると思うのですが、こういった点で考えますと、法人としてはマネジメントをされている部分だと思うのですが、業務の性格というか、この切り口で、もう少しどのような形なのかを見せていただければという部分があるかと思います。
 言ってみれば、補助事業と自主事業という、経営裁量権がやや異なり、また、利害関係者も少し異なってくるのではないかと思います。特に、今後自主事業を拡張していきたいというテーマだとすると、事業別にどのような採算になっているかは、そのときに赤字が出ていても、それをもって普通の民間企業でもやめるわけではないのですが、中長期的にどのように伸ばしていけるかという、裁量権にかかわる問題で、反対に補助事業であまりにも収益が上がっていたりしますと、何のための補助なのだという話にもなると。そういう、大きな枠組みでの事業の性格の差に関して、アプローチを持っていただいているのだと思うのですが、わかりやすい説明なり、情報公開というのは、そういう点でどのような形のことができるかだと思います。
 自己収入に対する取組みとしては、採算性がなければ、自己収入というのは収入だけで見るわけではなくて、それにかけるコストがいちばんのテーマですから、この事業を伸ばせば伸ばすほど赤字になるのか、ある一定点以上伸びれば黒字になるのかというのは、マネジメントされているイロハのような話ですので、あえてここで申し上げるようなことではないのですが。そういう意味では、種類としては技能検定事業費、職業訓練事業費という大きな括りの、性格の似た一体化された事業で括っていただいている部分はあるのですが、そこでも自主と補助とあるので、両者を併せてやっているという実態もあるのだとは思うのですが、説明をよりわかりやすく国民的に見ていただくとなると、この辺のミシン目をもう少しわかりやすくお願いできたらいいのかなと思います。
 さらに言えば、どうしてもこのようなパブリックな組織体というのは、国の地盤なのですが、人件費をどのように割り振るかはいちばん難しい問題なのですが、少し自律性を強めた組織として考えた場合は、私はサービス産業に従事しているからですが、まさに人をどれだけかけて、どれだけ収入を上げるかというのは、分けようがないという話ではなくて、現実に運営する肝ですので、実績の取り方とか、難しい点は多々あるのですが、どのぐらいの人間をどのようにかけていったら、どのような事業ができるかというのは、間接部門も併せて、今後どのようにマネジメントしていくかというのは、まさに必要な要件であって、そのデシジョンの基本というのは、まさにファクトでどのようになっているかの情報だと思います。それは経営者にとっての情報であります。それをそのまま外に出すかどうかという話は別かもしれませんが、こういう民間非営利で社会的影響の多いところは、よほど経営の阻害要因にならない限りは、丁寧にご説明を社会にしていただくことは、いまの時代的には求められる点ではないかと思います。この資料を今回見せていただいていますが、さらなるご検討といったらおかしいのですが、そういう経営がされているのだという信頼感を、社会に与えるにはどうしたらいいかをお考えいただければというところだと思います。

○今野座長 基本はお伺いしておけばいいかなと思うのですが、何かありましたらお願いいたします。

○畑中総務企画部長 いまの梶川先生のご指摘のように、私どもは、内部では一定の仮定を置いて、この事業はどのような具合なのかとか、人件費の問題も含めていろいろと検討をしております。ただ、いま先生が言われたように按分の仕方が非常に難しくて、特に総務部になりますと、委託事業、自主事業、補助事業と全部かかわっていて、そこをどうやって切り分けるか、あと役員の報酬についての按分もかなり難しい点がありまして、内部資料をそのまま出してしまうというのは難しい状況ではありますので、その辺りはご理解いただければと思っております。
○梶川委員 ご事情は民間でも同じようなものです。ただ、内部でこういう資料で意思決定されているという部分の数字は、それが絶対に正しいということとは意味が違うのです。ものはそうやって決められているわけですから、できる限り実態に合わせた按分をする、配付をするという、要するに、その事業が継続的に行えるかという話に近いことですし、そういったことは簡便であったり、仮定計算だということは問題のない話だと思いますので、1円足りとも真実と違うというような話ではない話で、一般企業も原価計算はいろいろな仮定を置いてやっていて、大きな経営的な流れで、デシジョンを誤らないことを一生懸命探し出しているわけですから、それはどのような企業の財務諸表も同じですので、その辺はご理解を進めていただければと思います。
 さらに、それを国民的にご説明いただくというのは、先ほど言った、補助金等を受けているというのは、大きくステーク・ホルダーが国民全体になる部分ですし、それ以外の特定の受益者にとっては、今日関係団体の方がいるかもしれませんが、その方々にとって、自己が委託している業務についてどのような業務管理が行われているかについても、少しは知りたいのではないかと思いますので、そこは両者ステーク・ホルダーが違うということは、基本的に説明をしていただく要素にはなるのではないかと思います。私の意見ばかりで何なのですが、そこにメリットとして何があるかということも含めて、皆さんでご協議いただければと思います。

○今野座長 ほかにいかがですか。

○浅井委員 これは私が発言するというよりは、むしろ組合側の方に声を大にして言っていただきたいと思う部分なのですが、例えば技能士の方たちにとって、技能検定や技能五輪の存在というのは、ものすごく大きなものではないかという気がしております。特に、最近はリーマン・ショック以来、夢や希望が失われつつありますが、平成19年度の日本で技能五輪の国際大会が行われたころまでの現場の技能に対する盛り上がりというのは、非常に大きなものがあったと思いますし、私も含めて、あの静岡大会に行った人間にしてみると、いかにこういった取組みが重要であるかというのは、非常に肌で感じたのではないかと思います。あのときは皇太子様もいらしてくださって、技能に携わる方たちは夢や希望をもって必死になってやっていて、その成果が報われていく。日ごろは縁の下の力持ちで、なかなか光が当たらない存在なのだけれども、こういった技能五輪、技能検定が救いになって一生懸命取り組んできた、そういう姿が報われていくことを実感できてきたのではないか。それが日本の国の強さの1つでもあったのではないかという気がするのですが、こういった資料で見てしまうと、小さな存在に見えてしまうのです。それが非常に残念だと思うのです。
 例えば8頁で、「採用にあたり技能士であることを考慮するかどうか」、こういった調査を見ますと、技能士数の中で、たった757人に聞かれたものであって、また1級や特級というのは、ここにも出てはおりますが、取るのにものすごく時間もかかりますし、本当にエネルギーを投入して、苦労して取得しなければいけないものであって、採用時点というよりは、むしろ会社に入ってから自分を育てていく、そして会社としても人材育成していくという要素があって、その方たちの頑張りによって、企業の競争力が高まっていって、高い業績になっていくということがあるのですが、これだけを見ると、採用にあたって考慮するかどうかということになりますと、実態が出てこないのではないかということを心配しております。
 回答した企業にしても、技能士にしても、もっと強力なインパクトのあるものなのですが、そのわりに非常に平凡な形になってしまって、少し有利かなというぐらいな、小さなニュアンスになってしまわないか。これを何とか世の中にご理解いただける形になるといいなと思います。
 それから今回の技能五輪でも、先ほどもお話がありましたが、イギリスまで行って金メダルを11個取ってきた、トータルのメダル数は19個取った。若い方たちにしたら、いわゆるスポーツのオリンピックと一緒ですから、そのことがものすごく心に響いたでしょうし、取れなかった方たちも、先輩たちを見本にして、自分たちも頑張ろうと、非常にインセンティブが大きくなったと思うのですが、そのことを何とか世の中にご理解いただくことができないだろうかということを、いま非常に危惧しております。

○今野座長 何かありますか。

○星能力評価課長 技能検定制度、技能者の育成について、非常に大きなエールを送られたと受け止めています。我々も、いま中央協会と一緒になって、技能競技大会に単に参加した人だけではなくて、多くの若い技能者の方に、1つの自分の技能を測るメルクマールとして使っていけるように、いまはインターネットで情報をいろいろ流せますので、これまで協力いただいているような、産業界、企業の皆様方のご意見も伺いながら、この技能競技大会をもう1つ活用して、技能者の育成を目標として、多くの若い技能者の方が共有して、この競技大会を自分の技能を測るものにしていけないかということを考えております。
 あるいは、この技能検定の効果についても、先日も今野先生からもご指摘いただいているのですが、いま浅井先生からご指摘のように、中小企業では人材育成という意味で大きな目標、なかなか企業単位だけでは人材育成に取り組めないという中で、技能検定という資格を取るのだということで、そこに向かって技能者が切磋琢磨して、先輩の方々から指導を受けると。そういう非常に大きな効果があることは我々も認識しておりますが、それをいかに世の中の人に広くご理解いただくかということについては、引き続き工夫したり、統計の取り方等についても、もう少し有効なものを考えていきたいと思います。

○新谷委員 浅井先生からのご指名ですので、一言申し上げます。私の出身である製造業の企業では、若い技能者を採用する際に、高卒では養成が間に合わないということで、中卒の方を採用して、企業内の訓練校で養成をして、技能五輪の選手として育てています。技能五輪に出場して、うまくメダルを取れれば、それはそれでよかったのですが、取れなくても、その後その企業の中での技能の中核人材として育っていく。本当にそういう仕組みが、民間の製造業の中ではきちんと確立されていると思います。これは大手企業だからできることだと思いますが、そういうことは大きいと思っています。
 技能検定ですが、こちらは技能者の目標となって、2級の次は1級、次に特級と、だんだんレベルアップをしていくために、現場では個人ごとのスキルマップを張り出して、色を変えて、この人はどの職種について何級を持っているというような形で、向上心を喚起することに非常に役立っていると思っています。
 そういう使われ方をしているのですが、その一方で、5頁に技能試験問題の作成等が書いてありまして、気になっているのが、技能検定に関する職種の見直しです。能開分科会の中でも、見直しの検討がされたこともありましたが、これについても、日本国内にある本当に認定しなければいけない技能について、タイムリーな見直しをしていかないと、陳腐化していき、技能検定に対する信頼性そのものが落ちてしまいかねないということもありますので、メインテナンスをきちんとやっていただきたいと思います。以上です。

○今野座長 メインテナンスのことについてはJAVADAに言われても困ると。厚生労働省マターですよね。厚生労働省はちゃんとやっているかという質問ですかね。

○星能力評価課長 この技能検定の職種あるいは作業の内容の見直しについては、ここにありますように、技能検定は130職種ぐらいある中で、単純に平均すると6、7年に1つということになるわけですが、いま新谷委員からご指摘のように、当然、技術革新等の激しい分野については、もっと間隔を短く、タイムリーに、陳腐化しないように、職種、作業の中身を選びながら、専門調査委員会を開催し、現場の皆さんの意見を聞いて、できるだけ現場の作業の中身に応じた形で技能水準を測れるように、あるいは目標として設定できるように、職種あるいは試験の中身、技能の範囲といったものの見直しを鋭意進めているところです。

○今野座長 例えば技能検定でいうと、極端な例ですが、ここの研究会のミッションからすると、ガバナンスとか、そういう問題から考えると、なぜ実施機関がJAVADAなのか。JAVADAがやっているとしたら、コストパフォーマンスはいいのか悪いのか。そういう観点だと思います。意地悪な質問ですが、そういう質問を意図的にしたときに、それに対してJAVADAは、例えば技能検定は民間業者に任せればいいと言われたことに対して、JAVADAでなければいけないということを言わなければいけないですよね。それともう1つは、JAVADAでなければいけないということを前提にして、コストパフォーマンスはちゃんとしているかという話がある。この両方の整理の観点があると思います。
 難しいとは思うのですが、例えば技能検定でいって、もし私がそういう質問をされたら、では民間の機関にやらせたときに各企業がこんなに協力しますかと。公的な機関がやっているからこそ、みんながこうやって協力してくれるのだというのが、なぜJAVADAなのかということの答えですよね。最終的な報告書は、そのような観点も意識しながらやっていかなければいけないかなとは思います。
 そういう観点からすると、いま技能検定といういちばん大きな商品について言いましたが、すべての商品について、そのような観点で整理をしないと、根源的な質問をされたときに困るということですかね。
 だから、前から言っていますが、技能検定だけでいうと、先ほど言ったように、民間ではできないと私は思っている。これだけ企業からただ働きの人員を引っ張り出してきて、コストもかからないようにして、上手にやっていると思うのですが、質問されたときはそれを証明しないといけません。
 そういうことですかね。あまりまとまりませんが。

○新谷委員 それは私も考えているのですが、11頁から始まる、コンピュータサービス技能評価試験、CADトレース技能審査、ビジネス・キャリア検定試験ですが、これらの評価試験なり、検定制度のあり様というのは、民間でやっている類似の試験、例えばコンピュータですとマイクロソフトなどがやっていますが、JAVADAの試験の権威づけというか、民間の試験との棲み分けなり、差別化をどう考えていくのか。要するに、これはJAVADAでないとできないのか、あるいは公的な裏づけを必要とするものなのか、なぜJAVADAなのかというところがわからない。CADなどは受検者の数がだんだん減ってきていますし、ビジネス・キャリアも労働者数に対して、2万人台の受検者で、社会的な認知はされているのか気になるところです。この辺が、JAVADAならではというところをどう出していくかを、何か考えがあれば教えていただきたいと思います。

○山口能力開発支援部長 コンピュータサービスの技能評価試験は、確かに類似のものがほかにもございますが、私どもの特徴は、頭で知っているか知らないかではなくて、実際にコンピュータを使って、こういう作業ができるかというところを重視しております。例えばワープロであれば、一定のフォームに、一定時間の中で、これだけの情報をきちんと配置して、入力するとか、ほかではない、「できる」ということを証明する試験で、ほかにはないと思っております。そこを特徴にして、我々はやっております。
 それから、確かにCADトレース、ビジネス・キャリア検定は、このような人数ではまだまだしょうがないと思っていまして、特にビジネス・キャリア検定については、平成19年度から新たに試験の制度を変えました。平成21年度に事業仕分けがありまして、平成22年度から中央協会の独自事業としたところです。これをもっとこれから増やしていかなければならないと思っているところです。

○今野座長 いまの質問についても、先ほどのPC関係も、いまおっしゃられたのは、うちは実技をやっているから別なのだということですか。

○山口能力開発支援部長 はい。

○今野座長 それだけですか。つまり、ある種の公的な機関がやるということで、実技が入っているからというだけでは、少し弱いです。ほかにありませんか。

○畑中総務企画部長 基本的に、コンピュータサービス試験もビジネス・キャリア検定試験も、協会の自主事業ということでやらせていただいておりますので、基本的に自主事業のスタンスになると思うのですが、私どもは、私どもがやる場合には自主事業というのは、ある意味で社会貢献ということが第一と思っております。その社会貢献をしているということがあれば、ある意味であとは採算性になります。あくまでも自主事業でありますので、あとは採算性が取れるかどうかということが、次に出てくるのかなと思っております。
 当然、いくら社会貢献といっても、採算性が取れないような、顧客が集まらないようなもの、これは裏返せば、社会的なニーズが高くないということなのかと思いますので、その辺りを考慮して、採算性が取れるものというと、逆にいうとニーズもあるのかなということになるということで、基本的に社会貢献をしているということから外れなければ、基本的にある意味で採算性が取れるもので、もともと能開法に、職業能力開発に寄与するという大前提があれば、積極的にやっていきたいと思っております。

○山口能力開発支援部長 いまの社会貢献については、民間のパソコンスクール等が全体の85%が認定施設で、そこで試験をしております。採点基準もすべてそこで公表しておりますので、能力の測り方、能力評価の仕方について、すべて公表しておりますので、パソコンスクールにおいては、そういったノウハウが得られるという意味で、我々も社会貢献という側面でPRしているということです。
 ビジネス・キャリア検定は特定分野だけではなくて、いわゆるホワイトカラー、事務系職種のすべてを網羅しているというのが大きな特徴ですので、中には受検者の多いものもあれば少ないものもあるのですが、トータルとして、それを提供させていただいておりますので、企業とすると、ほかでやっていないものがここにあるというのが特徴です。

○今野座長 ビジネス・キャリア検定でいうと、いまおっしゃられたのはホワイトカラーの労働者全体の能力をプロモーションしましょう。そのときは人数の少ないところもあるかもしれないし、多いところもあるかもしれないけれども、全体で底上げしましょう。そのときに民間でやると、人数の多いところしかしないので、全体の体系性の問題があって、そういう意味では、社会性があるのでやっているということを言ってもらわないと、先ほど言ったように、実技が入っているというだけでは弱いです。
 実技が入っているからというのは、私もよく知らないからうまく整理できませんが、実技が入っているので、民間ではコストがかかってできない分野なので、そこをサポートしているとか、そういう言い方ならいいのですが。

○新谷委員 労働者が一生懸命勉強して、例えばビジネス・キャリア検定試験に合格しようとか、コンピュータサービスのこの部門に合格しようとか、そういう動機づけになるような、試験の権威づけというか、そこがどうなのかが気になっています。一生懸命勉強したけれども世の中に評価されない。例えば採用試験の履歴書に書いても、評価されないのであったら、はっきり言って投資の効果がなかったとなりますので、社会貢献というのであれば、社会に認知されるような試験制度の権威づけを図らないといけないのではないでしょうか。
 どのような調査をするかというのはあるのですが、採用のときに採用の人事担当者が、このビジネス・キャリアの検定について、考慮するのかしないのか。コンピュータサービスについても、例えば先ほど言ったマイクロソフトや、あるいはいろいろなベンダー資格がある中で、JAVADAの試験がどのような位置づけで評価されているのか。その辺について、国ならではというか、公的な裏づけをうまく使ってやられたらいいのではないかと思います。
 あと先ほどのメンテナンスに関連することで、23頁に能力評価に関する業務があります。非常に詳細な能力評価をされて、ホームページか何かにたくさん出ていて、追っかけていくと膨大なデータが入っているというのは非常に感心します。ただ、23頁の絵を見ていると、1年目と2年目の、評価基準を確定するまでの作業が書いてあるのですが、どんどん仕事の中身は変わってきますから、このメンテナンスの体制がどのようになっているのか。1回出来上がったらおしまいということではなくて、例えば5年に1回見直しをするとか、ものによっては3年ぐらいで見直しをしないと、どんどん変わってくるということがあると思うので、その辺のメンテナンス体制はどのようにお考えになっているのでしょうか。

○星能力評価課長 職業能力評価基準のメンテナンスについては、国でも予算措置をしています。これは委託事業ですので、その中で毎年、現在ですと1業種ずつですが、それぞれ先ほどの技能検定の職種あるいは作業の見直しと同様に、ご指摘のように技術革新あるいはサービスの内容の変化の中で、職種における職務の内容等が変わってきているものについては、当然見直しをしていく必要があるということで、現在46業種分の評価基準が出来上がっていますが、すでにメンテナンス等を行っている業種もかなりございます。

○今野座長 これについては「使われているのですか」と必ず質問が出ますが、この質問に対してはいつもどのようなディフェンスをするのでしたか。使うように努力しているというのでは駄目ですよね。

○星能力評価課長 従来、我々の評価基準はできるだけ広く業種を網羅していこうということで、中央協会のお力も借りながら、いま申し上げたように46業種まで業種を伸ばしてきました。
 まず、活用されてこそという中で、業界によって活用具合等も違っていまして、特に製造系、すでに技能検定など、業界の中で一定の評価基準を持っているようなところというのは、この職業能力評価基準に飛び付くというよりは、技能検定等を中心として、そういったものをそこに至る1つのステップとして活用していくという形で使われています。
 我々は一定の能力評価基準を提供することで、あとは個別の企業の中でカスタマイズして使っていただこうということに力点を置いてきたわけですが、現実の問題として、中小企業の現場でそれぞれ個別の企業がカスタマイズしていくというのは難しく、我々としても、その辺についても業界に対してお手伝いしていく必要があるということで、昨年度ぐらいから個別の業界、例えばスーパーマーケットの業界、ホテル業界、介護など、具体的に業界としても、より活用を進める上で、もう少し具体的なツールについてお手伝いをしてほしいというところを選びまして、現場で使い勝手の良い活用ツールをお示しして、具体的に業界の中で地域的な広がりをもって使っていただこうということで、モデル的に事業所を選び出して、そこで使ってもらい、必要なノウハウ等をマニュアルとしてまとめて、それをさらに業界を通じて広めていくといった取組みを一方で進めています。

○今野座長 すごく理解しにくいのは、どこまでが厚生労働省の役割で、どこからがJAVADAの役割かです。極端なことを言うと、厚生労働省が評価基準を作れとのみ指示をするのであれば作ったらJAVADAはそれでOKですよね。そうではなくて、作って、そのあとは使われるようにしろと委託すれば、JAVADAの責任範囲が広がる。その辺が非常にわかりにくいから、なかなか判断しにくいですよね。

○畑中総務企画部長 私どもは普及活用についても委託されておりまして、今年度についても、全国9都市で活用セミナーをやっております。これがかなり大盛況になっています。どの会場でも100人を超す企業の皆様、関係者の皆様に来ていただいていますので、かなり関心は高まってきているのかなと思います。
 それから、私どものホームページで評価基準についてのアクセス件数がかなり数が出ています。もちろん業種によってまちまちですが。
 企業にいろいろとヒアリングをしたところでは、大企業自体は独自に自分たちの基準を作っているケースがあるのですが、その参考になるということで重宝されている部分もあります。また、中小企業ですと、これから作るときに、活用されるということで、徐々に手応えが出てきている感じはしております。

○今野座長 これも先ほどの技能検定と一緒で、ほかもそういう観点で整理していただきたいのですが、なぜJAVADAなのでしょうか。つまり、ほかにいろいろあるかもしれないけれども、JAVADAはこういうリソースがあるから、やはりJAVADAでなければいけないということも考えておかなければいけないですよね。

○畑中総務企画部長 これは私どもが答えるべきかどうかは。

○今野座長 でも受け手ですから。

○畑中総務企画部長 はい。一応私どもとしては、ノウハウの蓄積というか、これまで業種にすると40数業種を蓄積してきました。2年かけてやっていくわけですが、いわゆる職務分析をして、評価基準を作っていくという作業なので、ノウハウがないとできないものだなと。そこのノウハウの蓄積ということを、私どもとしては強調したいと思っております。

○今野座長 議論の基本的なパターンとして、なぜJAVADAか。その前提で、うちでやるとコストパフォーマンスがこんなにいいと。でも、何か問題があるから、こういう改善をしたらとか、そういうパターンですよね。だから、そういう形で整理していただけると。あともう1つは、要らない事業が思い浮かぶかもしれないし、あるいは新しい事業が思い浮かぶかもしれないです。

○高橋委員 先ほどの実施事業系の話で、CADトレース技能審査の受検申請者数は、当初の6,000人からいまは4,000人台半ばぐらいまで、ずっと一貫して減少しています。これはニーズがないことの証なのか、なぜこれだけ減少傾向が続くのでしょうか。わかっていることがあれば教えていただけますか。

○山口能力開発支援部長 調査はしていないのですが、特に建築系の受検者数が減ってきています。同じようなCAD関係の試験をやっているほかの団体のものを見ても、時期的な問題なのかもしれませんが、受検者は減少傾向にあります。

○高橋委員 わかればでいいのですが、これだけにかかわらず、それぞれの試験ごとにブレイクイーブンになるような受検者数はわかりますか。これ以上やると赤字のたれ流し事業になってしまうという、ミニマムの受検者数はわかりますか。それぞれ何人ぐらいになっていますか。

○山口能力開発支援部長 CADはとんとんぐらいです。ビジネス・キャリア検定については、いろいろな経費の積算の仕方によって違ってきますが、損益分岐は3万人ぐらいと計算上はしているところです。コンピュータサービスは現在は大きく上回っていますので。

○高橋委員 コンピュータサービスは何万人ぐらいですか。

○畑中総務企画部長 いまの受検者の3分の2あれば、十分に採算が取れるぐらいです。

○高橋委員 私は前回の会議は欠席してしまったのですが、前回の会議の資料を拝見させていただきますと、資料3-1の24頁に「中央協会における事業の目標管理制度、PDCAサイクルによる事業の効率化」という資料が出されていまして、こうした自主事業を行う際にも行っていると理解しているのですが、「見直し体制」というところを見ると、評価委員会を設けて見直しをされているようですが、専ら総務部の部長、次長、課長、会計課長だけから構成されている評価委員会で評価をされているところは、改善の余地があるのではないかという気がしました。
 また、自主事業に関するものではないのですが、25頁に、技能検定事業のPDCAサイクルを回している絵が出ています。これを拝見すると、結果としてやっていることはCost Reductionだけなのです。委員会の開催頻度を削減する、印刷費を削減する、そういうようなことだけをやられている印象を、この資料上では持ちました。自主事業においても、もしかしたら同じようなことをやられているのではないかという印象を持ったものですから、あえて申し上げたのですが、何が言いたいかというと、受検者数を増やしていこうという前向きの取組みのために何をやるのかというコンセプトを持った人が、その評価委員会なり、評価委員会が出した結論に対してのコメント、外部有識者に対してコメントをする、そういうものをビルドインしていかない限りにおいて、いまのような、とにかくコストカットというだけでは、じり貧になってしまうのではないかと思いました。
 前回資料の最後のところに、「自主事業検討部会の設置」ということで、平成22年度に置かれたということで、「既存の自主事業の改善」としか書いていなくて、どのような改善をしたのかがわかりません。どのような改善を検討部会の下でしたのかについても教えていただければと思います。

○畑中総務企画部長 いま詳細を申し上げるのは時間の制約もあるかと思うのですが、コストカットの面だけだとまずいというのは、ご指摘のとおりでして、技能検定で言いますと、第1が受検者の拡大だと思っております。その意味で、受検者、特に前回に申し上げましたが、1級試験、2級試験、3級試験とありますが、いま3級試験が伸びています。これはまだまだ拡大の余地があるのではないかということで、3級試験を中心に受検者を拡大すると。
 それから、例えばビジネス・キャリア検定で言えば、これもやはり受検者をどうやって拡大していくのかということなのですが、一昨年まで国の委託事業ということでやっておりましたので、そのときは予算的な裏づけもありまして、地方の都道府県協会と私どもが連携した形でやってこられたのです。ところが、協会の自主事業ということになりましたので、まずは中央協会だけがいまはやっていると。これだけですと、広がりがなかなかできないだろうということで、今年度から試験的に地方協会に協力を求めるような形でやっていこうと。このような議論も、PDCAの中で出てきました。
 あとPDCAの体制ですが、委員会自体は若干偏っているかなという構成ではあるのですが、必ずこの検討結果については、理事長以下理事も全部入っている幹部会議に重要課題としてかけることになっていますので、そこでまたいろいろな前向きなご意見も伺うことにはなっております。

○梶川委員 冒頭の話を補足させていただきますが、この法人はすごく有意義な事業をやられている部分だと思いますし、皆さんのご意見もそうだと思います。そういう中で、冒頭に申し上げた趣旨、情報公開、discloserというのは、こういった公的機関におかれては、自らの存在意義を説明する、むしろ前向きなお話になるのです。とかく偏見というか、何か見えないところがあるだろうと。情報というのは、公開されなければ、見るほうは、何か不都合があるのだろうと。これがいまの現代社会でいちばん多くなっている状態だと思います。
 しかし、現実にはそんなに自分勝手に何かをしているわけでもないし、先ほど言われた社会性という重要なことを自己の採算でやろうというのは、もう大変なことなのです。
 そういうことを実行されようと思っているわけですから、反対に言えば、できる限りそのご努力をよくわかるように説明していただくということ、そういう観点でこちらが突いて、いやというディフェンスの話ではなくて、これは今後必要になる気持というか、オフェンシブに中身を説明していっていただきたいということがいちばんで、冒頭に申し上げました。
 本当に出したくない不都合があるなら、それは別ですが、お聞きしている限りでは、皆さん真摯に努力されてきている話ですし、ある程度類推するに、そんなにおかしな収益状況でもないと。ご苦労されている部分はあるかもしれません。ですから、むしろ、いままでのスタンスというか、問われないものはということではなくて、問われないものまで、虚偽の内容説明はまずいですが、正しい実態を正しくご説明していただくことが、本当に事業の社会的存在価値を説明するのだという、是非そこのところをお願いしたいということです。
 さらに言えば、そういうことによって自主事業などは堂々と拡大していくことができるわけですし、あらぬ話まで、ああでもない、こうでもないと言われないという、是非そこのところをご理解いただければと思います。
 ご自身たちのためなのだということを御為倒しで言っているつもりは全然なくて、普通の民間企業というのは、儲ければガバナンスも利いていて、効率もいいと思われるのです。もちろんコンプライアンス違反というのは別です。麻薬を売っていたらとんでもないですが、そういう公益規制にかからないことで儲けている企業というのは、ガバナンスがよくできているという大前提にあります。ただ、非営利組織は、そういうわかりやすい指標がない分、どのように行動原理を説明されるかというのは、普通の民間以上に財務を含めたdiscloserが、自己の存在を確立していく意味で必要だと思いますので、是非そこのところをご理解いただければと思います。

○今野座長 何か儲かる事業は見つかりましたか。

○畑中総務企画部長 なかなか難しくて、社会貢献という前提と、能力開発に資するという前提で採算が取れるというと、なかなか難しい面があるのですが、1つは、私どものノウハウの蓄積の中で、能力の評価の試験はずっと伝統もありますし、ノウハウの蓄積もありますので、技能検定になっていないような職種、今後伸びていくような職種について、技能検定はある意味でいろいろな制約があって、難しい面がありますが、代わりに試験制度を作っていきたいというニーズもあるところはあると考えておりますので、そういったところを手助けしていくような事業が1つ考えられるかなと思っております。

○今野座長 JAVADAの強みというのは何ですかね。いまおっしゃった技能評価スキル、職能評価スキルはありますが、全国ネットというのも強みなのですかね。

○畑中総務企画部長 そうですね。都道府県協会との連携というか、都道府県協会はある意味で、各地域の企業とのパイプが相当ありますので、その辺りは活用していく、非常に大事な資産で、中央協会と地方協会を併せた上での大事な資産かと思っております。

○今野座長 ほかにいかがですか。

○浅井委員 いまお話を伺っていて改めて思いましたのは、JAVADAというブランド力はかなり強いものがあって、運営ノウハウの蓄積があるものだから、JAVADAがおやりになっていることならという形で、今野先生からもご指摘があったように、ボランティアに近い形で全国の方がご協力、ご支援くださっているという面もあるのではないかと思います。ブランド力、都道府県協会とのつながりを、あまりご存じない方にしっかりと理解いただけるように説明できるといいのではないかと思います。
 もう1つですが、先ほど3級の話が出ていましたが、工業高校の話のことだと思います。今回配付いただいた資料には、そのことはあまり出ていなかったのですが、今後、工業高校の若者たちをどのような形で日本の産業に貢献するように育てていただくかという問題、それに対して3級の試験が注目され出している、少し芽が出てきているということを、もっと自慢して、アピールされてもいいのではないかと思います。

○畑中総務企画部長 おっしゃるとおりだと思います。いま工業高校には、工業高校会などに働き掛けて、受検の拡大を呼び掛けているところです。

○今野座長 そろそろいいかなと思います。いままで2回議論していただきまして、いろいろな意見が飛び交っているわけですが、事務局に上手に整理していただきたい。予定しているのはあと2回ぐらいですので、報告書の骨子を提出していただいて、それを巡って議論したほうがいいかなと思いますので、次回は報告書の骨子をまとめていただき、提示していただいて、議論、修正して、最終案に持っていくと。このような手順で進めさせていただければと思います。以上で、第2回労働政策審議会職業能力開発分科会中央職業能力開発協会の在り方に関する専門委員会を終わります。ありがとうございました。


(了)

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