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9月29日 「第8回 労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検討会」議事録

○日時

平成23年9月29日(木)
10:00~


○場所

専用第17会議室


○議事

○古田職業性疾病分析官 定刻より少し早いのですが、お揃いですので、ただいまより第8回「労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検討会」を開催させていただきます。本日は、委員全員にご出席いただいております。労働衛生課長に異動がありましたのでご挨拶を申し上げます。
○椎葉労働衛生課長 労働衛生課長の椎葉です。去る7月29日付で着任いたしました。今後ともよろしくお願いいたします。私は、昭和63年に産業医大を卒業し、最初に勤務したのが労働衛生課でした。次に移ったのが化学物質調査課で、そのときには特化則や有機則を担当しておりました。本日こういう会議に出られるということは、大変何か運命を感じております。本日は大変お忙しい中、この検討会にご参集いただきまして厚く御礼申し上げます。また、労働衛生行政の推進に多大なご協力をいただいていることにも重ねて御礼を申し上げます。
 この検討会は、特殊健康診断について、既存の健診項目の見直しであるとか、リスク評価結果に基づく新たな化学物質の健康診断、健康管理手帳による健康診断などについてご検討いただいているところですが、平成20年度からスタートし、今回が8回目です。前回までにいくつかの新たな化学物質について、健診項目のご提言をいただき、既に関係法令に反映させていただきました。また、既存の健康診断項目の見直しについても、前回までにほぼまとめていただいたと理解しております。
 本日は、昨年度の詳細リスク評価の結果、高いリスクが認められ、健康障害防止措置を講ずべきとされた3物質についてご検討いただくとともに、前回までに取りまとめていただきました既存の健康診断項目の見直しについて、ご確認をいただきたいと考えております。労働者の健康障害防止のために、十分なご検討をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
○古田職業性疾病分析官 事務局の担当のほうにも異動がありましたので紹介させていただきます。中央労働衛生専門官の木内です。私は、進行をさせていただきます古田です。
 配付資料の確認をさせていただきます。議事次第、資料1「リスク評価結果をふまえた特殊健康診断等について(案)」、資料2「化学物質の健康診断に関する専門委員会報告書」、資料3「『労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検討会』中間報告書(案)」です。
 参考資料1「インジウム・スズ酸化物等取扱い作業による健康障害防止対策の徹底について(通達)」、参考資料2「『化学物質のリスク評価検討会報告書』取りまとめ」、参考資料3-1「詳細リスク評価書 インジウム及びその化合物」、参考資料3-2「詳細リスク評価書 エチルベンゼン」、参考資料3-3「詳細リスク評価書 コバルト及びその化合物」、参考資料4「化学物質に係るリスク評価の結果、措置がなされるまで」です。
 以降の議事進行につきましては、櫻井座長にお願いいたします。
○櫻井座長 議事進行を務めますので、よろしくご協力をお願いいたします。早速議事に入ります。議題1は「労働安全衛生法における特殊健康診断等の健診項目について」です。これは、いまお話がありました3物質についての検討をお願いする件ですが、事務局から説明をお願いいたします。
○木内中央労働衛生専門官 資料1の上のほうに「経緯」が書いてありますが、厚生労働省に設置しています化学物質のリスク評価検討会で、順次化学物質の健康影響について評価を行っています。物質の検討を順次行っていますけれども、平成21年度に7物質を対象として、初期リスク評価を行っています。そのうちリスクが高いと評価された5物質について、平成22年度に詳細リスク評価を行っています。この詳細リスク評価の結果、健康障害防止措置等の検討を行うべきとされた3物質について、特殊健康診断の検査項目を検討しようというのが資料1の趣旨です。リスク評価検討会については、参考資料2、あるいは参考資料4に詳細な内容を記載しています。
 平成22年度には、詳細リスク評価と並行して化学物質の健康診断に関する専門委員会を事業として行いました。資料2に付いておりますように、事前の検討を行って報告書を取りまとめています。基本的にはこの報告書に沿って検討を進めてまいりたいと考えています。
 4番目のポツで、この3つの物質のうちインジウム及びその化合物については、昨年度の詳細リスク評価の過程でも、早急に対策を講ずる必要があるという判断から、健康障害防止措置の検討会で、昨年中に健康障害防止に関する技術指針を取りまとめました。これは参考資料1に付けていますが、この指針を通知して、行政指導により、現在措置を講じています。ただし、これは法令上の規定ではありませんので、改めて法令上に位置づける観点から検討を行うものです。全体はそのようなことになります。
 3つの物質について、順次ご説明します。1番は、インジウム及びその化合物です。資料2の21頁は、昨年度の委員会の中で、事前調査の資料としてまとめられたものです。インジウム及びその化合物の用途としては銀ロウ、ハンダ、液晶セル電極、歯科用合金、テレビカメラ等幅広く用いられていて、さまざまな化合物があります。
 健康リスクとしては、急性毒性として、動物実験において肺障害あるいは肺線維症といったものが報告されています。ヒトにおける報告は見当たりません。眼に対して刺激性がある。反復ばく露毒性については、ラットの実験で肺水腫あるいは異型性の増生が観察される。ヒトについても7例症例報告があり、間質性肺炎、肺線維症等が起きている。
 25頁の生殖毒性についても、動物実験で奇形発生等が認められた例がある。発がん性として、吸入ばく露実験で肺腫瘍の発生が観察されている。26頁で、IARCの分類では発がん性グループ2Aとされている。ACGIHの時間加重の閾値は0.1?/m3となっている。日本産業衛生学会の生物学的許容値は、血清中のインジウム濃度で3μg/Lとされています。
 健康診断項目については5頁と8頁以下になります。先に共通項目をご説明させていただきます。5頁は、3物質全部にかかる共通の項目で、後に出てくる既存項目とも連動しています。5頁にある一次健康診断の必須項目のところですが、既に昨年までこの検討会で既存項目について検討していただく中で、「業務の経歴の調査」、「作業条件の簡易な調査」については、すべての物質について一次健康診断の項目とするとされておりますので、ここでも1番と2番ということで入れています。
 8頁は、インジウムについての健康診断項目の提案とその理由を記載しています。主に、肺における間質性変化、気腫性変化というものが健康影響を生じる。自他覚症状の有無のところで、呼吸器症状にかかる内容、これは4番と5番に該当しますが、インジウム及びその化合物による咳、痰、息切れ等の自覚症状又はチアノーゼ、ばち状指等の他覚所見の、既往歴の有無の検査及び現在の症状の有無の検査を入れています。
 それから喫煙歴です。症状が喫煙によって更に進展することが否定できない、肺疾患の業務関連性を判断する上で重要な情報であるということで、あえて喫煙歴の有無の検査を項目に入れています。
 バイオモニタリングの項目として、血清インジウムの検査が入っています。インジウムについては、吸収された後に排出される速度が遅く、その間長期にわたって肺に蓄積されることから、血清インジウム濃度が肺のインジウム濃度をよく反映していて、これをモニタリングする必要があるのではないかということです。
 尿中インジウムを使用することについても検討していますが、この報告書の中では、尿中インジウム濃度については変動が大きいということで、現時点では、ばく露指標としては、血清インジウムのほうが安定した値を示すと考えるということで、血清インジウムの検査を入れるという判断になっています。
 間質性肺炎が実際に生じる中で、血清KL-6を測定する。これが自他覚症状の発現よりも早い段階で把握できるのではないかということで項目に入っています。血清インジウム濃度とKL-6については、血液を採ることを一次健康診断で行うことの負担の重さということもあり、二次健康診断として行うことも考えられるのではないかという意見があり、またあるいは測定の頻度について、ある程度省略することも検討できるのではないかという意見がありました。ここでは、どちらも一次健康診断の項目として入れてあります。
 一次健康診断項目の8番の胸部CT検査ですが、これは報告書には入っていないのですが、参考資料1にある行政指導の通知の中で、二次健康診断の項目の中で、胸部CTで検査するに当たり、コントロールとして当初雇入れ時又は配置換え時の胸部CT検査を撮る必要があるとしています。
 一次健康診断項目で、業務の経歴の調査から、血清KL-6の検査まで並べてありますが、これに加えて、検討項目として、雇入れ時又は配置替え時に限り、全員に胸部CT検査を実施することの必要性の有無をご検討いただければと思います。というのは、二次健康診断項目として、「医師が必要と認める場合は」として、胸部エックス線直接撮影、あるいは特殊なエックス線撮影による検査、これが胸部CTが主に該当すると考えています。血清のサーファクタントプロテインD、肺換気機能検査、喀痰細胞診又は気管支鏡検査と並べています。このCTを撮るに当たり、あらかじめ作業を始める前はどうだったのかということを撮っておくことによって比較ができて、業務起因性の判断に資するという意見があり、現在通知しています指針の中では、雇入れ時あるいは配置替え時に限った胸部CT検査を追加しています。今後、法令に位置づけるに当たってこれを入れるかどうか。事業者の負担の関係でも、これは検討が必要であると考えております。
 インジウムの項目についての説明は以上です。
○櫻井座長 資料1は修正が必要なのですね。
○木内中央労働衛生専門官 「胸部CT検査」というのが入っているところが相違点になります。後ほど新しいものをお配りします。
○古田職業性疾病分析官 いまお配りしている資料1で、いちばん下に「?胸部CT」の部分が抜けています。数字もずれています。
○櫻井座長 ?、?、?が?、?、?になり、?は何になりますか。
○木内中央労働衛生専門官 ?を読み上げます。「胸部CT検査(雇入れ又は配置替え時のみ)」という1行を入れていただければと思います。血清KL-6の検査の下のところになります。
○櫻井座長 ご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。
○土屋委員 本日いただいた資料1の二次健康診断項目の2のほうは「胸部エックス線検査」、その次が「胸部CT検査」と具体的に書いてあるのですが、事前にいただいたのは「特殊なエックス線撮影による検査」となっていましたが、「CT」でよろしいのですね。
○木内中央労働衛生専門官 本日は修正前の資料を配付しており失礼いたしました。お配りしている資料1の2頁の二次健康診断項目の2番「医師が必要と認める場合」というところで、「胸部エックス線検査」の次に、「胸部CT検査」と記載しています。事前にお送りした資料の中では、ここについては「胸部のエックス線直接撮影もしくは特殊なエックス線撮影による検査」と記載していました。ここについては、現在特化則の中に規定しているのと同様の記載です。ただ、内容は胸部CT検査を主に指していて同じ内容です。
○土屋委員 一次健康診断項目で、明確に「胸部CT検査」と入れてあるので、二次のほうも明確にしておいたほうがと思います。これは比較のために最初に撮っておくわけですね。
○木内中央労働衛生専門官 はい。
○土屋委員 そうだとすると、そのほうがわかりやすいかと思います。
○木内中央労働衛生専門官 はい。ただいま新たにお配りしているものが、事前にお配りしたものと同じ、修正後のものです。いま土屋先生からご意見のありました点ですが、実際に法令上に規定するときに、どういう書き方が可能かを少し検討させていただきますけれども、確かに雇入れ時の検査と内容が違うと齟齬があることもありますので、そこは併せて修正したいと思います。
○櫻井座長 一次健康診断で血清インジウムということで、尿ではなくて血清を採用しているのはだいぶ議論したということですか。
○大前委員 そうです。
○櫻井座長 尿の場合は、どうしても個人内変動が起こりやすいということですね。
○大前委員 もう1点、尿のほうをしっかり検証したデータがまだないのです。いまやっている最中だということですけれども、現時点ではまだ尿とKL-6等との関連をしっかりとチェックした論文がないものですから、そういう意味でこの時点では血清ということになっているのではないかと思います。
○清水委員 将来的にデータが出てきたら変えるということですか。
○大前委員 その可能性はあります。ただ、個人の尿の変動の部分は変わらないと思うので、精度としては血清のほうがいいと思います。もう1つは、そういう形で尿との関連がしっかりと出てきた場合に、その尿の生物科学的許容濃度が出てくれば、その時点では使えるのではないかと思いますが、現時点ではまだそういうものがありません。
○櫻井座長 尿については、個人内の変動を見て、ばく露をモニターするという立場からいくと6カ月に1回という間隔では、尿の場合は変動しますから、ちょっと上がってもばく露が上がって増えているのかどうなのかかなり疑問に感じてしまうと思います。その点、血清のほうが確信をもってばく露を。
○大前委員 もう1点は、尿で実際に失敗した例として、どうしても尿を採ると作業服からの落下があります。だから、採尿するときに、例えば自宅で採ってもらうとか、あるいは私服に替えて採尿するというようなことをやらなくてはいけないという面で、実質的には逆に面倒かもしれません。
○櫻井座長 どうせ血清KL-6を測るために血液を採血するわけです。
○大前委員 そうです。
○櫻井座長 KL-6は重要な項目だという位置づけです。8番の胸部CTを、雇入れ又は配置替え時のみに実施するというのは、いままで例のないことですが、やはり重要性があるという議論がだいぶなされた結果、こういうことになっていると思うのですが、それでよろしいのですか。
○山田委員 ただお金の問題です。健診としてCT検査が入ると検査料がとても高くつきます。インジウムをちょっと使用しても全部の健診項目が必要になりますから、事業場にとって相当大きな費用になります。
○大前委員 実際に調査をしていて、卒業して新しく入った人もいるのですけれども、中途入社の人が特に小さな会社では結構多いのです。そういう会社ほど、どちらかというと環境が良くない状態なのです。大きな会社は、ひょっとしたらあまり必要ないかもしれませんけれども、小さな会社をターゲットにすると、やはりこれがないと困ると思います。
 ずっと見ていると、肺の線維性の変化が先に来て、それから気腫性の変化に変わっていきます。特に重症の方は、肺気腫がどんどん進行していくので、肺気腫というのは比較的ポピュラーな状態だと思うのです、特に喫煙者にとっては。そういう方が中途で入ってきたときに、その情報をしっかり持っていると、これは非常に役に立つとは思いますが、いまおっしゃったようにお金の問題があると思います。
○櫻井座長 そこでかかる費用と、その後でそういった判断の重要性というのを、バランスをかけて考えるということですね。
○山田委員 そことの兼ね合いですけれども、二次健康診断になったときに、これからは6カ月毎にCTを撮るという話になってくると、健診料がすごいお金になっていきます。最初の1回は保険だと言って実施させるわけですが、その後どれくらいの頻度でCT検査をやればようのでしょう。ただ、インジウムによる肺障害は非常に早く進むと言われていますよね。
○大前委員 二次健康診断の場合は、「医師が必要と認める」という条件が付いていますので、半年に1回CTを撮るというのはナンセンスな話ですから、その辺はドクターの判断になります。例えばKL-6とか、インジウムの濃度のレベルの変動の両方を見て、ドクターがたとえ半年後でも必要だと思えばやればいいと思いますし、そうでなければ3年毎でも、5年毎でも ということだと思うのです。とにかく半年毎にやるのは全然ナンセンスです。
○山田委員 最低はどれぐらいの間隔で経過観察したらよいというのはないのですか。3年とか、2年とか、1年とか。
○大前委員 いままでの感じですと、インジウムの濃度とKL-6の濃度の変動が小さい人、むしろ下がっている人は3年に1回で十分、5年に1回ぐらいでも十分だと思うのですが、ときどき急激に増えたりする人もいますので、そういう人に関しては期間は短くてもチェックしたほうがいいのではないかと思います。それは、まさに産業医の判断だと思います。
○櫻井座長 いまおっしゃっているのは、血清インジウムとKL-6でいまは一次健康診断に入れているわけです。それを産業医の判断で省略可能であるというふうに。
○山田委員 いまのは、二次健康診断の胸部のCTの話ですね。
○櫻井座長 それはわかりました、これは医師の判断でいいですよね。
○大前委員 はい。
○櫻井座長 一次健康診断の血清インジウムとKL-6についても、1年又は3年に1回でいいのではないかという意見もありますよね。
○大前委員 それは環境濃度との関連だと思います。それから作業管理との関連だと思います。実際に作業管理が各社で、特に大きな会社を中心としてしっかり備わった後は、確かにインジウムは上がってこないというのが現実だと思います。そういう何らかの条件を付けて、例えばKL-6、あるいは血清のインジウムは年1回でいいというような考え方は十分あると思います。
○山田委員 それも産業医判断でいいのでしょうか。有機溶剤健診や鉛健診のように3回状況が違わなかったら労基署に届けて免除を受けるようなことをやるのでしょうね。
○大前委員 ええ、そういうことだと思います。
○和田委員 そういう指導はどこかでやるわけですかね、産業医次第だと思うのです。だから、危ないから毎年半年毎にやってしまえと。
○山田委員 基本的に、産業医としては危ないと思ったらずっとやりますよね。そうすると、ものすごく費用がかかります。
○櫻井座長 そうですね。これは、フレキシブルにできればそのほうが合理的だと思います。
○山田委員 何かが起こったときには、あなたがたがやってときますから。
○和田委員 そうです。
○櫻井座長 そういう取扱いをするとしたら、こういう特殊健診としては初めてなのです。
○山田委員 そうです。
○櫻井座長 それをやるべきだと思うのですけれども、どのようにできるのか。
○和田委員 いま対象労働者はどのぐらいいるのですか。
○大前委員 正確な数字は知りませんが、どこの範囲まで含めるかで、例えばテレビの組立てみたいな所まで含めてしまうとすごくいると思います。でも、そういう所は実質的にはインジウムは出てこないはずなのです。
○山田委員 ほとんどインジウムは出ないのですけれども、使っているのは使っているわけです。
○大前委員 使っているだけで、作業環境中にはないはずなのです。ガラスにスパッタリング等をするところまで、それからその装置をきれいにするクリーニングをする所まではかなり高いばく露があり得るのですが、そこから先のばく露はほとんどないと思うのです。その方々を対象に、半年に1回というのはあまり現実的ではないかと思います。
○櫻井座長 主として ばく露する方々は、多くても数千人オーダーですか。
○大前委員 そう思います。
○柳澤委員 このCTは、普通のCTでよろしいのですか。ヘリカルCT。
○大前委員 いま我々はHRでやっています。
○土屋委員 自分で読影する立場から言うと、比較ということでは息切れが認められるような状況をたぶん想像されると思うのです。通常、胸部の直接写真で、大体大まかな判断はできるだろうと思います。もし比較ということからいくと、胸部写真のほうが経時変化はとりあえずしやすいです。逆にCTの画面、画面ですと、同じ位置で撮れているかどうかを確かめないと比較ができないのです。この比較ということを考えると、一次健康診断でいきなりCTというのはどうかな という気がするのです。
 二次健康診断のところで、「胸部エックス線直接撮影もしくは」というと、これはいきなりCTだけ撮る方が出てくると思うのです。これは「胸部エックス線直接撮影で、さらに必要に応じてCT写真」としておいたほうがいいのではないでしょうか。
 おそらく気腫性変化の初期に息切れが最初に出た時点では、大きなブラとかそういうのよりも、末梢の細気管支の狭窄が来て、全体としてのエアートラッピングですから、横隔膜が下がるとか、胸郭が多少大きくなるという変化については、単純写真のほうが判断としてはむしろ強いと思うのです。そういうことからいくと、一次健康診断で、胸部直接写真をコントロールとして撮っておいて、二次健康診断のときに、医師が必要と認める場合にはエックス線直接撮影、さらに必要に応じて胸部CT写真としたほうが現実的ではないか、判断しやすいのではないか。
○大前委員 医学資料が出てきたときには相当ひどい状態だと思うのです。そこまで行かせたくないというのがあるので、できるだけ早く見つけて、できれば外したいという考え方があります。自覚症状が出てきたら相当ひどい状態だと思います。
○櫻井座長 比較の点から、胸部直接撮影のほうがベターではないかと言われているのですが、比較プラス、できるだけ早期に小さな変化も見つけておくという立場からCTというご意見ですね。
○大前委員 おっしゃるように、位置がなかなか難しくて、経年的に見ても、少しずれていると正しい評価は難しいのは事実だと思います。
○土屋委員 おそらくCTで、単純写真でもそうですけれども、ブラの形で見つかるときにはかなり進んでしまっていると思うのです。
○大前委員 そうだと思います。
○土屋委員 いわゆる細気管支炎の段階で、ブラが始まるエアートラッピングが始まったところとなると、逆に肺全体での変化で、単純写真のほうがわかりいいかなという気がします。
○櫻井座長 そうすると、少なくとも二次健康診断のほうでは、いまご意見のありました胸部のエックス線もしくは胸部CTと書くよりは、単に「胸部のエックス線直接撮影、胸部CT検査」と単純に並べるのではいかがでしょうか。
○土屋委員 一次健康診断のところがCTなのか、直接写真なのかによって随分変わると思います。一次健康診断が直接写真でよろしいということであれば、二次健康診断のときにも、まず直接写真を撮っておく。その所見に応じてCTもやるというほうがリーズナブルではないかと思います。
○櫻井座長 この?を「直接エックス線」というふうにするかどうかということについて、大前委員は、まずCTでやると。
○大前委員 普通の直接エックス線だとわからない事例が結構たくさんあるので、先生がおっしゃるようにエアートラッピングで肺炎の大きさ、あるいは横隔膜が下がるというふうになってしまうと、相当進行した状態ではないかという気がします。
 先ほどご指摘があったように、何年後かにやったときにその場所を一致させるのはほとんど不可能に近いし、あるいは機械が進歩するとそれだけでも解像度が全然違ってくるところがありますから、完璧な比較可能性を保証するものではないというのは事実だと思いますけれども。
○櫻井座長 一次健康診断の項目について議論しているわけですけれども、これは雇入れ時と配置替え時のみなのです。その場合に、胸部CTでどこの場所を調べるのか。
○大前委員 呼吸器学会のほうは、肺気腫のHRCTで3カ所指定している場所があるので、それに準じてやっています。それに準じてやればいいのではないかと思うのです。
○櫻井座長 そういう趣旨であるとしたら、一次健康診断で?は胸部CT検査のままということでもよろしいでしょうか。
○土屋委員 実際にこれにタッチしていないので、どの程度自覚症状のない方が、CTでインジウムに特徴的な気腫性変化というのが見つかるかはわからないものですから。
○大前委員 いちばん最初に、ベースラインのスタディで12~13工場やったときのデータがあります。そのときは線維質の変化だけの数字ですけれども、大体1割ぐらいHRで線維質の変化が見つかっています。CTをやらなかった工場もあるので、おそらく300人ぐらいのうちの1割ぐらいです。その中で自覚症状もあって、しかも肺気腫の状態になっている方が数名ということです。その状態は、作業環境が良くなる前の話ですから、その後とはちょっとまた違うと思います。
○土屋委員 私どもは肺がんの健診の経験なのですけれども、HRCTでの健診をやると、異常と指摘されるのが62%です。これは、がんセンターでデータが出ています。そこで、それだけの比率が見つかるというのは、インジウムに特化したものかどうかというのは大変難しい判断になると思います。
○櫻井座長 そういう意味からいっても、一次健康診断で胸部CTをちゃんと押さえておいて、CTを押さえておいて、それで二次健康診断で必要に応じてCTをやったときに、その変化を見るという、場所を指定しておけば。
○大前委員 指定しているのですが、なかなかぴったりの所には行かないのです。
○土屋委員 研究的には私も興味があるのですけれども、果たして実際的な効果としてどうかというのはちょっと疑問に思うのです。むしろ単純写真は、線量的にも被験者に負担が少ないですし、雇入れ時、配置替えの都度撮っても、それほど個人への負担はないと思います。CTとなると、雇入れ時に撮って、また半年、半年となると線量的にかなり問題だとされています。
○櫻井座長 CTは半年、半年にはやらないでしょう。
○土屋委員 全員が撮るわけではないのですけれども。
○櫻井座長 二次健康診断で必要と認めた場合。
○土屋委員 まず最初に撮って、さらに配置替えだ何だと重なってくると、結構な頻度で撮ることになると思うのです。単純写真との比較がわからないので、決定的なことは言えないのですが、単純写真も結構気腫性の変化には馬鹿にならない価値があるかと思うのです。
○柳澤委員 血清インジウムを採って、KL-6も採って、その上でその結果の如何にかかわらず胸部CTを撮るというのは、やはり費用対効果ということからいったら、企業の側としてはかなり大変です。二次健康診断のほうで撮るというのはもちろん適切だと思います。
○櫻井座長 二次健康診断のほうは医師の判断で、今後ガイドライン等を適切に示すことによって、最適な頻度でやることは可能だと思います。問題は一次健康診断のほうです。これは雇入れ時と配置替えのみという部分ですから、配置替えというのは、同じ人が何遍もというのは。
○木内中央労働衛生専門官 ここで言っている配置替えというのは、その作業に配置替えするときということです。
○櫻井座長 もちろんそうです。
○木内中央労働衛生専門官 同じ人が行ったり来たりする場合は省略します。
○櫻井座長 「雇入れ又は」と書いてあるから、両方やれということではないのですか。
○木内中央労働衛生専門官 新たに雇入れる場合と、ほかの作業をしていた方が配置替えされて、その危険な作業に従事を始めるときということです。
○櫻井座長 雇入れというのは、その作業に配置するときということですね。
○木内中央労働衛生専門官 はい。
○櫻井座長 通常こういう書き方をするけれども、本当は「その作業への配置時のみ」という一言で済むわけですか。
○木内中央労働衛生専門官 趣旨としてはそうなります。
○古田職業性疾病分析官 いまの法令の書き方が「雇入れ時と配置替え時」という表現に、ほかの物質も含めてそうなっています。
○櫻井座長 確かにみんなそうなっています。だけど、少しボーッとしていると、すぐ誤解してしまって、すべての雇入れ時というのは無意味ですよね。それはあまり本質的な議論でないのでいいのですけれども、そういたしますと同じ人が、一度ほかの作業へ移って、またその作業に就いたときに、また調べる必要があるかどうかというと、ないですね。
○大前委員 それはないと思います。
○櫻井座長 最初の配置時のみですよね。
○圓藤委員 でも、そう誤解されますよね。
○櫻井座長 誤解されます。だから、その人にやるのは1回だけですよね。
○圓藤委員 初めて配置されたときだけでいいのですよね。
○柳澤委員 配置替えというのは、たしか6カ月という条件が付いていましたよね。配置替えをして、6カ月間その仕事をするということが見込まれるときと。
○櫻井座長 6カ月継続して働くことを前提としてということですか。それはそうでしょうね。直接撮影の有効性をおっしゃるのは全くよくわかりますが、どういたしましょうか。
○土屋委員 二次健康診断項目が、「直接撮影もしくは」であるのなら、むしろ一次健康診断も譲歩するとしても、「直接写真又はCT」は最低限必要ではないかと思います。二次健康診断での直接写真を撮っても、1回目に直接写真でないと全く意味がないと思うのです。比較読影が有効なのはむしろ単純写真だと思うのです。
○圓藤委員 いまの議論は、どのぐらいリスクがあるのだろうかというところだと思うのです。インジウムの高濃度ばく露している人たちだったら、やっていくべきだろうということが言えると思うし、逆にほとんどばく露していない人たちにまでこれをやるのかという議論ではないかと思うのです。
 現在、法律上は作業列挙法式になっています。だから、その作業はどこまでの作業を指しているのか。1つは特化則に載っている作業列挙、それは先ほど山田委員がおっしゃったような、ほとんどばく露しないレベルまで含んでいるのか、特健するのはもっと高濃度ばく露する所に限定するのか、その辺の議論も同時にしておいたほうがわかりやすいのかと思うのです。
○山田委員 インジウムだけ高濃度ばく露の作業者だけに特健をしようということになると、ほかの特化物でも同じではないかという議論がでてくるわけです。少量だから特健はしなくてもいいのではないのとか。
○圓藤委員 インジウムに関しては、たぶんこういう作業をインジウム取扱い作業とするというような規定があるそうですね。
○山田委員 それは今度導入された「作業条件の簡易な調査」で、判断できるはずです。
○圓藤委員 もう1つの考え方は、一次健康診断のところでも、「医師の判断により」という言い方を作りました。だから、そういう考え方で両方あってもいいのかなと。医師の判断で直接撮影かCTかという形にしておいて、それは作業をするのは大変ですけれども。
○山田委員 一般的な事業場では、お金の関係で絶対にCTはやりません。
○圓藤委員 逆に、お金の加減でCTを外した所のほうが、かえって危ない所が多いかもしれませんね。
○山田委員 それは十分考えられます。だから、CTをやらざるを得ないという明確な理由があれば、やりますけれども、どっちかをやったらいいよと言ったら、もう絶対に直接撮影だけです。
○櫻井座長 インジウムを特別に扱ってもいいだけの大きなハザードがあると思います。発がん性が非常に心配です。
○山田委員 だから、インジウムが今までとは違った有害化学物質だから、こういう検査項目にしたのだ、ということは絶対に強調しなければいけないわけです。この検査項目を見たら、インジウムの特健はものすごくお金がかかります。血清インジウムは、普通の検査機関で測定できますかね。
○大前委員 何カ所か測れる所はできています。それから、自社で測り始めている所もあるとは聞いています。
○山田委員 ニッケルだって測定できる検査機関が何カ所しかないので、ニッケルの測定もいま困っているわけです。
○櫻井座長 そうではあるけれども。
○山田委員 それよりも健康障害のほうが大きいと。
○櫻井座長 リスクのほうが大きいのかなと。
○大前委員 たぶんKL-6が2,000円ぐらいでしたか。これは、もう保険収載になっていますが、二千何百円だと思います。いま、インジウムの測定はたぶん1万円前後だと思います。CTは14,000円ぐらいでしたか。
○山田委員 CT検査だけがゴーンと高いのです。
○櫻井座長 だいぶ議論しましたが、8番を、例えば「医師の判断で」というのも、6番も、7番ももちろんのこと8番も。そうしますと、事実上行われない可能性が非常に高いという心配もありますし、当面、案としてはこのままでいきたいと思います。ただ、二次健康診断の「胸部エックス線直接撮影もしくは」というのを取って、「直接、胸部CT検査」というふうにする。
○山田委員 どうして二次健康診断で胸部エックス線の直接撮影が出てくるのですか。一次健康診断でCTだけやっているのだったら、二次健康診断だってCTです。
○櫻井座長 そうですか。
○山田委員 二次健康診断だけに直接撮影が入っているのは不思議です。対照にするわけですから、それだったら胸部CT検査です。
○櫻井座長 対照にするのは、微細な影響をあらかじめ把握しておくためにやるだけであって、すべてCTで比較することのみを考えているわけではないので、二次健康診断として医師が必要であると考えたら、直接をやる自由度は当然あるだろうと思いますが、どうでしょうか。
○山田委員 対照となる配置時の胸部エックス線フィルム像がないです。二次健康診断で胸部エックス線撮影を行なっても、配置時のエックス線フィルムがないのですから、サブトラクションもできないわけです。
○櫻井座長 そうですね。
○山田委員 ということは、一次健康診断でも胸部エックス線の直接撮影が要るということです。
○大前委員 そのとおりだと思います。この前の委員会でやったときはなぜこうなったかというと、法令上こう書いてあるからこうなったのだという説明でした。だから、理屈の上ではおっしゃるとおりちょっと矛盾していると思います。今回それを変えることができるのだったら、先ほど特殊なエックス線検査というのを、CTにしようということで、法令上変えられるのだったら、いまおっしゃったような形のほうがベターだと思います。
○櫻井座長 二次健康診断のほうも、「胸部のエックス線直接撮影」というのはやめて、「胸部CT撮影」と。
○大前委員 胸部CT撮影になります。
○櫻井座長 本日最終的に決める必要がありますか。
○木内中央労働衛生専門官 この後に労使の参加する審議会に諮る手続がありますので、そこでどうかという判断はまた別途あるわけです。技術的な判断については、ある程度ここで固めたいと考えております。
○櫻井座長 8番は、土屋先生がおっしゃるのは大事なご意見だと思いますが、なかなかそれを組み込む、あるいはCTをやめて直接だけにするというふうに意見をまとめることは難しいと思います。
○土屋委員 胸部単純写真で異常が認められるようなのは、おそらくその時点で職場から外さざるを得ない程度のものだと思います。CTで異常が見つかったときに、コントロールとしては役に立つのですけれども、単純写真では何もないというときに、職場から外すほどの判断にはたぶんならないと思います。そうすると、価値としてはコントロールとしての価値だけだと。大半の方がそれになってしまうので、CTも決してリスクのない検査ではないので、そこまでの価値が本当にあるのかなと。単純写真があって、それで異常がある、あるいはKL-6で異常がある、血清インジウムの値が高い方にCTを撮るのは全く反対ではないのですけれども、そこの判断がないと、これを一律に同じレベルかと言われると、ちょっと抵抗があります。胸部単純写真は一律でいいと思うのです。これは、胸部単純写真まで含めた8項目の判断でCTということであれば、大変価値が高いのではないかと思います。
○櫻井座長 雇入れ、あるいは配置時には血清インジウム、KL-6は当然正常域にあります。
○大前委員 それがほとんどだと思います。
○櫻井座長 それで、胸部CTだけ軽度な異常があると。それは、それで配置しないということの前提ではないわけですよね。それは、そういうふうに把握しておいて、そのまま作業に就いてもらって、その後それが悪化しない。
○山田委員 そういう軽度の異常のある方は、インジウムのばく露には弱いのでしょう。
○大前委員 それは、ちょっとわからないです。いまのところ、そのデータの情報はないです。
○和田委員 ?のところは、胸部のエックス線直接撮影だけでいいのではないですか。咳などがあって、これはおかしいと思ったら二次健康診断でCTを撮ればいいわけですから、それから追いかけてもいいのではないですか。
○柳澤委員 臨床家の立場からいくと、まず直接撮影を撮って、それで問題があればCTを撮ると。
○和田委員 これは、やはりCTを撮ったほうがいいという判断であれば、二次健康診断でCTを撮ればいいわけです。
○柳澤委員 大前先生がおっしゃるように、インジウムの場合は非常に特殊であって、直接撮影で引っかからなくても、かなり急速に進展する疾患の肺炎の病態があるということであるならば。
○和田委員 そういう場合は症状が出ると思います。咳とか痰とか。
○柳澤委員 初期症状。
○和田委員 症状があれば、二次健康診断でCTを撮りなさいということになるわけです。
○柳澤委員 やはり、これは一次健康診断ですから、症状がどこまで詳しく聞けるかというのがかなりの問題になります。私は折衷案で申し訳ないのですが、「胸部エックス線直接撮影又は」というふうに入れて、たぶん山田先生は、それだったら直接撮影しかしないだろうと。たぶん現場はそうだと思うのです。そういう形にしておくほうが妥当ではないかと思います。
○清水委員 自覚症状が出る前に、血清のインジウム値は相当上がっているわけですよね。私どもの所でも、年間に1,000件以上の血清インジウムの測定をやっているのですが、データを見ていると産衛の許容値の90倍というような高い値の人がときどき出ます。そういうのは、おそらく職場の問題があると思うのです。当然産業医はそういう職場をチェックしていなければいけないのでしょうけれども、そういう意味では、最初からCTを撮るというのが本当にいいのかなという気はするのです。
○櫻井座長 そういたしますと、?は「胸部エックス線直接撮影又は胸部CT検査」とするというご意見が多いですね。
○和田委員 医師が必要と見たら二次健康診断ですぐに撮ればいいのですから。
○櫻井座長 医師の判断、あるいは事業者の判断で、胸部CTはあらかじめ調べておくほうが、その後の判断に有効であるというのは事実だと思うのです。
○大前委員 そのほうがいいですね。
○櫻井座長 その場合は、費用をかけてでもCTを選ぶということにしましょうか。
○和田委員 二次健康診断で細胞診とか、内視鏡というのはどういうメリットがあるわけですか。
○大前委員 これは、肺がんを疑ったときにです。
○和田委員 かなりの頻度で肺がんは出るのですか。
○大前委員 まだ証明されていません。これは「又は」ですから。
○和田委員 肺線維症は出ることは出るのだけれども、肺がんは出るのかなと思ってちょっと。
○大前委員 いままでは、大体プレバレンスでCTで肺がん健診をやっています。プレバレンスで見ているとほとんど変わらないです。インシデンスのほうで見ると、私たちの追いかけている集団だけですけれども、まだ1例しか出ていないので、現段階では、ヒトの肺がんについては証明は何もありません。
○和田委員 そのぐらいの頻度なら、二次健康診断でそれを指定していいかどうかです。
○大前委員 先生、これは「又は」ですから。「又は」つながりですから、別にやれという意味ではないです。CTを撮って、例えば肺がんを疑ったらやりなさいみたいな形でも構わないと思います。
○櫻井座長 あまりにも動物実験で低い濃度でがんが生み出されているので、ちょっと危機感があるのです。
○和田委員 健診が調査になってしまいますよね。肺がんが出るかどうかという、健診が自然のフィールドワークになりますね。本来の健診の目的からはずれると思いますが。
○大前委員 私の理解ですけれども、二次健康診断項目が、「医師が必要と認める場合」が並んでいますけれども、これは全部やれということではなくて、例えば医師がCTをやりなさいと。もしそのCTで何かあったら、喀痰なりあるいは気管支鏡なりという形だと思いますので、それは個人に見られた所見に応じてこの検査を追加するという意味合いと理解しています。これを全部やれということではないと思うのです。
○和田委員 CTを撮ってがんが出た場合は、当然細胞診とかをやるわけですよね。そのがんが、本当にインジウムで来るということが明らかであればそうでしょうけれども、明らかでない場合にそこまで課していいかどうか。
○櫻井座長 このIRCで、肺がんの分類で1は当然ですけれども、2Aとかのままで、特殊健診の項目としては、必ず2のほうはこういうのを入れてます。インジウムは、まだ2Bとかにはなっていないのですか。
○大前委員 インジウムリンが2Aになっていて、それからITOがラットで出ましたから、これは2Aになるのか、あるいは2Bになるのか、その辺はまだ決まっていません。そのレベルです。
○櫻井座長 インジウムだけで1時間使ってしまいましたが、これについてだけまとめさせていただきます。8番はいまおっしゃいましたように、「胸部エックス線直接撮影又は胸部CT検査(雇入れ又は配置替え時のみ)」というふうにして、二次健康診断の?のほうは「胸部エックス線検査、胸部CT」。
○土屋委員 ここは、一次健康診断に「直接撮影もしくは」でいいと思います。
○櫻井座長 それでいいですか、それでは「もしくは胸部CT検査」。それから「肺機能検査の後、喀痰の細胞診又は気管支鏡検査」と、そのままでいくということでご了承いただきたいと思いますがよろしいでしょうか。
(了承)
○櫻井座長 ありがとうございました。次は、エチルベンゼンについての説明を事務局から簡潔にお願いいたします。
○木内中央労働衛生専門官 エチルベンゼンについては、資料2の29頁以降に事前検討の資料が載っています。動物実験において、肝細胞の線腫、あるいは肝細胞がんというようなものの増加傾向が認められたということがあります。ただ動物実験ということであり、IRCの分類ではグループ2B、産業衛生学会でも2B、ACGIHではA3となっています。急性毒性では、倦怠感、眠気、頭痛などの中枢神経症状、眼及び呼吸器粘膜の刺激症状というものがあるだろうと。反復投与毒性でも、腎臓と肝臓の毒性影響といったものが動物実験で見られているということです。
 資料2の11頁で健康診断項目です。ここに理由とともに記載がありますけれども、ばく露によって眼及び上気道の刺激症状があるということで、健康診断項目として眼の痛み、発赤、咳、咽頭痛、鼻腔刺激症状、頭痛、倦怠感等の自覚症状又は他覚所見といったものを、既往歴も含めて調査する。
 バイオモニタリングについては、既に有機溶剤中毒予防規則において、スチレンでは尿中マンデル酸が使われていることもあり、代謝物質、尿中マンデル酸の測定が一次健康診断に入っているということです。
 二次健康診断では、標的臓器に対応し、肝機能検査、腎機能検査又は神経学的検査となっております。以上です。
○櫻井座長 いかがでしょうか。
(特に発言なし)
○櫻井座長 特にないようでしたら、3番目のコバルトをお願いいたします。
○木内中央労働衛生専門官 コバルトについては、資料2の34頁以降に記載があります。発がん性からまいりますが、動物実験では肺胞肺がん、腹膜腫瘍、あるいは投与部位での肉腫が認められました。IRCの分類、コバルトとタングステンとの合金ですが、2Aに分類されている。あるいは、金属コバルトになると2B。一方、ただACGIHになりますとA3、ヒトでははっきりしないというところで、産業衛生学会でも第2群Bと分類されています。
 発がん性以外の有毒性の(2)ですが、皮膚感作性、接触皮膚炎といったものの報告があること。それから、気管支喘息等の報告があるということです。反復投与でも、呼吸困難、間質性肺炎等が認められています。
 健診項目については、12頁に記載があります。低濃度ばく露の段階で、呼吸器症状、皮膚症状が発現すると考えられるということで、健診項目は咳、息苦しさ、息切れ、喘鳴、皮膚炎等の自覚症状または他覚所見としています。二次健診項目ですが、バイオモニタリングとして尿中コバルト量の測定が入っています。インジウムについては一次に入っている検査が、コバルトについては二次に入っているということの理由として、インジウムでは不可逆的な健康障害で、自覚症状発現の前にばく露状況の把握が必要ということでしたが、コバルトについては自覚症状でまず一次をやって、それから二次で尿中のコバルトを測定するということでも、不可逆的な健康障害は防止することは可能という判断で、そうなっています。それから、肺機能の低下を認めるということで、肺機能検査が二次に入っているということ、それから心筋症の報告がある、あるいはアレルギー性接触皮膚炎が起こるというようなことで、医師が必要と認める場合には心電図検査、胸部エックス線あるいはCT、そして皮膚貼付試験の3つを挙げています。以上です。
○櫻井座長 いかがでしょうか。
○山田委員 医師が認める場合の胸部エックス線直接撮影もしくは特殊なエックス線撮影という文言の特殊なエックス線撮影とはCTですよね。
○櫻井座長 そうですね。特にご指摘がないようですので、それではこのままご了承いただいたということで次に進めさせていただきます。次の議題は、議事次第には明記していませんが、この3つの物質について配置転換後の健康診断の必要性について、一応ご意見を伺っておきたいということです。事務局から趣旨を説明してください。
○木内中央労働衛生専門官 配置転換という言葉が何度も出てきて紛らわしくて恐縮ですが、特定化学物質の障害予防規則の中で、特に発がん性が懸念されるというような物質については、当該化学物質を使用する業務に従事している方に健診が必要であるということと、それとは別に、過去に従事した方がその後別の業務に配置転換した後もこの健診を続けなければいけないという規定があります。ただ、それは物質を選んでいます。ですから、すべての物質が配置転換後も継続して健診を実施しなければいけないというものではないわけです。
 これについては、発がん性の影響、それからほかの作業管理の規定で発がん性の必要なものについては特別な規定を置いていまして、そちらとのリンク、一致ということも見ています。いまのご議論ですと、どちらかというとこれは発がん性を懸念してこの健診項目に入れるわけですから、配置換え後も実施するというような方向かなと考えています。このことについて、少しご意見を伺えればと思っています。
○櫻井座長 いかがでしょうか。ただ、懸念の大きさやいままでそういう取扱いをした化学物質は、ほとんどヒトにおいて発がん性がかなり明確に見い出されているものに限定されているように思います。
○木内中央労働衛生専門官 そうですね。昨年度検討いただいた物質の中でも、例えば酸化プロピレンやジメチルヒドラジン等は、この分類に入っています。
○櫻井座長 そうでしたか、入っているのですね。
○大前委員 いまのインジウムに関しては、肺からのクリアランスが遅いということと、それから仕事が終わったあとをずっと観察している状態でも、肺の状態が悪くなっていくことがありますので、配置転換後も見ていく必要があると思います。問題は、全員にやるかどうかですが、全員にやる必要はないと思うのですね。どこかで線引きをして、長期に健康管理をやっていく方と、そうでなくてもいい方を分ける必要があると思うのですが、ではどこで切るかと言われると、そこのしっかりした証拠がいまのところまだはっきりないので、いま意見を求められるとちょっと困ります。少なくとも配置転換、あるいは二次健診なり何なり、CTに何か異常があった方は、これはもう確実に追跡をしなくてはいけないと思います。
○櫻井座長 問題は、KL-6や、ある程度の水準を超えたことがある人という話ですよね。
○大前委員 そうですね。ですからそこのところはもう少し、この場で基準、数字を決めてしまうのは厳しいかなという気がします。
○山田委員 基準を超えた方だけが、いわゆる特別管理になるという場合は今までないですよね。ですから、そういう意味でも新しい考え方ですよね。
○木内中央労働衛生専門官 先ほどの血清中のインジウム測定の頻度でもありましたが、基準と頻度でフレキシブルにどこまで書けるかというのは、法令上の規定でもありますので、検討したいと思います。
○櫻井座長 ここで結論というよりも、意見を聞いているというスタンスで、いまの議題を出させていただいています。
○圓藤委員 確かじん肺は、基準を超えた人だけ判断していますよね。ですから、その考え方を他の物質にもというのは、あり得ると思います。
○山田委員 その場合、そういう人の管理区分を指定しないといけないですよね。
○圓藤委員 管理区分を指定するかしないかは別にして、そのように限定して、離れても健康診断をすると。その場合、急性の症状の部分などを省いていく必要がありますので、今後少し変わると思います。
○山田委員 ただ、じん肺の場合は、健康管理手帳ですから、辞めてもどこの健診機関へも行けますよね。しかし特別管理物質の場合は、そこで雇っている間だけの管理ですよね。
○櫻井座長 大体そんな感じで、意見としてはよろしいですか。次に議題2「中間報告書について」です。事務局から説明をお願いします。
○木内中央労働衛生専門官 資料3をご覧ください。「『労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検討会』中間報告書(案)」です。これについては、そもそも既存の特殊健康診断項目について、不要になったもの等を見直す必要があるのではないかということで、平成20年来検討をいただいています。前回の検討会において、ある程度ご意見をまとめていただいたと考えていまして、その内容を報告書にまとめていきたいということです。
 構成ですが、1頁に前回まで出していた現行項目と見直し案の並べてある表があります。ここに付けていますのは、前回ご議論いただいたときの資料に、前回のご議論の内容を修正したものです。平成19年度に特殊健康診断の健診項目に関する調査研究委員会報告書が出たときに、その中で既に修正があった部分が黒い下線が引いてある箇所です。それから、中を見ますと赤い線で直している所があります。これが、この検討会で平成20年来検討していただく中で修正のあった箇所です。それから、青字で一部直っている所があるのですが、これがまさに前回、本年5月に意見をいただいて修正になった箇所です。この内容は、前回までの議論の内容を単にまとめたものと認識していますが、これを文章に書き下したものが、資料3の1枚目以降です。
 まず、この新旧表で前回以降直った点を順番に説明させていただきたいと思います。2頁をご覧ください。注の4ですが、眼科的検査を医師が必要と判断した場合に実施する物質スチレンについては、色覚等の検査で、酢酸メチルとメタノールについては眼底検査等をするということで、酢酸メチル、メタノール、スチレンの順にすべきという指摘がありましたので、そこは修正をしています。ただし、ここは実際に省令に起こすときには別表の形になりまして、アイウエオ順に規定をしますので、法令上の書き方とは異なってまいります。
 5頁の二硫化炭素ですが、動脈硬化性変化の検査の所で、検査内容を負荷の軽いものから順番に並べるべきであるという指摘がありましたので、そのとおりに直しています。11頁の特化則のベンジジン及びその塩という所ですが、症状の所で他覚症状または自覚症状と記載があった所を、他覚症状という単語は他覚所見に修正すべきというご意見がありましたので、これは修正すると。それから、尿中腫瘍マーカーNMP22又はBTAと、以前の報告書ではそのような記載になっていたわけですが、今後技術が進展をすることもあろうかということで、尿中腫瘍マーカーとのみ記載をする。
 それから、二次健診の所で膀胱鏡検査又は腎盂撮影検査と記載があり、これは現行も記載があります。これについても、医師の判断で適宜必要な検査を行っていただくということで、尿路系腫瘍に関する検査と直しています。同様の修正が14頁のオーラミン、15頁のオルト-フタロジニトリル、16頁のカドミウムでもあります。カドミウムについては、胸部理学的検査という項目が現行で既にありますが、これについて一般的な所見の中に含まれるのではないかということで、胸部理学的検査という所を削除しています。
 18頁のジクロロジアミノジフェニルメタンについても、同様の修正が行われています。20頁のトリレンジイソシアネートも同様です。21頁のニトログリコールについては、二次健診の(5)の所で「医師が必要と認める場合は、自立神経機能検査(薬物によるものを除く)」について、前回少し宿題になっていました。通常、自立神経機能が低下するような症状があるのかということでペンディングになっていましたが、確認をしましたところ、このニトログリコールを吸収した場合に血管の拡張が起こるということで、血管の拡張に関わる頭痛であるとか、そういった症状が出るということでした。その下に「肝機能検査又は循環機能検査」という所で、循環機能検査というものが入っていますので、自立神経機能検査という名称での規定は必要ないのではないかと思っています。ここは、ご意見をいただければと思います。
 22頁の赤血球系の血液検査の中にハインツ小体の有無というのが入っていましたが、これは削除ということでご意見をいただいています。25頁、ペンタクロルフェノールも、同様の修正です。次の硫酸ジメチルも同じです。それから、27頁ですが、通知による、法令ではなく行政指導による健康診断という所ですが、メチレンジフェニルイソシアネートについて、ジイソシアネートではないかと、名前が違うという指摘がありました。調べましたところ、昭和40年の通知でもジイソシアネートという記載になっていましたので、そのように修正をしています。新旧については以上です。
○櫻井座長 まず、いまの新旧対照絡みでご意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。どの部分でも結構です。大体、前回指摘事項がそのとおり修正されているのが大部分で、ニトログリコールについては事務局でこの前の宿題に応じていろいろ調査されたことも含めて、自立神経機能検査という記載は不要ではないかという形で、案が出されています。この部分はいかがでしょうか。起立試験や体位変化試験などと。
○柳澤委員 そうですね。たぶん入れるとすれば、循環機能検査の後ろに、例えば起立性低血圧の検査を含むとか、そんな程度のものが入っていればそれでよろしいと思います。
○櫻井座長 (起立性低血圧検査を含む)と。
○柳澤委員 検査を含む。
○櫻井座長 そうですか。では、いまのご提案をそのままいただいて。
○大前委員 そうですね、起立性低血圧検査などとしたほうがいいと思います。
○櫻井座長 検査など、などを含む、はい。では、そのようにさせていただきたいと思います。それから、ジイソシアネート、これはジが入っていないのも間違いではないみたいですが、圧倒的にジが入ったのが多く使われていますね。ですから、やはりジがあったほうがいいと。そもそも、イソシアネートでジだからこそ、いろいろ感作性が出るわけですよね。
○山田委員 中間報告書は後ろの書類も付いて出るのですか。
○木内中央労働衛生専門官 はい、この新旧表と合わせて出ます。
○山田委員 わかりました。例えば、4頁目に特定有機溶剤を取り扱う業務で、「高濃度で腎毒性が認められると判断された12物質」や5の物質や、19の物質といったように、数字だけが並んでいますよね。
○木内中央労働衛生専門官 最初の文章ですか。
○山田委員 文章の中で、12、5、19というのは後ろのページを見ればわかるのですが、それが何頁に相当するかの注を付けて、どこを見ろというようにしてあげた方が、どんな物質に相当するかわかると思います。何箇所かありますので、数字がたくさん入っているものは是非注で参照ページ数を付けていただければと思います。
○木内中央労働衛生専門官 わかりました。
○櫻井座長 文のほうは、実はこれから読み上げて、ご指摘いただこうと思っていました。早めに出していただいたので、意見をそのままいただきます。
○山田委員 序でですが、次の頁の4の特定化学物質障害予防規則に関する云々のウで、肝障害に着目した健康診断項目のあとに(P)と書いてあるのですが、これは何の意味ですか。
○木内中央労働衛生専門官 修正中のマークが残っていました。
○山田委員 これは何かなと思いました。
○櫻井座長 では、新旧対照表については特段指摘事項はないようですので、いま修正していただいたものだけを入れまして、中間報告書(案)を検討いただきたいと思います。
○木内中央労働衛生専門官 少しかい摘みつつ、最初の頁から説明します。まず「はじめに」として、趣旨を書いています。現在特別則に規定される特殊健康診断の項目、有害業務の特性に応じてばく露の情報を得ること、それから健康障害を早期に発見することを目的として項目が設定されています。ばく露の指標については、「作業条件の調査」、生物学的モニタリングによるものがある。現行、作業条件の調査は、いわゆる二次健康診断の対象者の一部について実施されていると。それから、生物学的モニタリングについては、一部の有害業務についてのみ実施が義務づけられていると。
 健康障害の指標については、問題点としてばく露の経過に伴い、標的臓器が多様化する可能性がある。また、新たな知見が出てきた、より有効な手法を採用することが適当だということもある。施行当時と比較して、ばく露の程度が変化した化学物質があるでしょうと。それから、健康診断項目そのものが、臨床的意義の低下したようなものもある。特別則間で、同一の健康診断項目であっても表記が異なっているものがあるので、これは統一する必要があるのではないかというようなことを踏まえて検討しています。平成19年度の調査研究委員会の報告書を、この検討会の第1回にお出ししていますが、これを基に検討してきたということです。
 2、検討の対象とする健康診断、これは、化学物質に係るものということで、有機溶剤中毒予防規則、鉛中毒予防規則、四アルキル鉛中毒予防規則、特定化学物質障害予防規則に規定されるものであるということです。
 3、全体に渡る基本的な考え方を述べています。ばく露の指標ですが、ばく露の程度の適切な判断が必要だということで、すべての健康診断において、原則として「作業条件の簡易な調査」を入れ込んでいくと。それから、生物学的モニタリングについては、?~?まで要件を付けています。?生体内の取り込み量に定量的に対応する測定値が得られること。?分析試料の採取、運搬等に問題が特別にはないこと。?リスクの有無の判断ができる基準値があること。?モニタリングの追加によって、予防をより確実に行えるようなものであること。?手間や費用が予防の成果に比較して大き過ぎないといったような要件を満たすものが、妥当であるとして検討したものです。
 健康障害の指標については、これも最新的な医学的知見に基づいて必要性を検討すると。指標を追加・変更する場合、これも?~?までの要件を書いています。?医学的に確立した検査方法であること。?感度、特異度ともに妥当なレベルにあること。?受診者に大きな負担を掛けないものであること。また、?全国どこでも原則として検査が行えるもの。?成果に比して手間や費用が大き過ぎないものといったような要件を、目標として検討を行いました。
 具体的な項目に入りますが、?「全血比重の検査」、「ハインツ小体の有無の検査」、それから「尿中ウロビリノーゲンの検査」については、現在では臨床的意義が乏しいということで、これは削除する。?「胸部理学的検査」は、通常医師の臨床的判断に基づき実施されていると考えられるということで、これは削除する。?より適切な臨床検査手法がさまざま開発されることが期待される場合には、個別の検査項目というよりは、特定の検査項目を指定せずに、より包括的な規定とする。?「神経内科学的検査」という表記と「神経学的検査」という表記が混在していたので、これは「神経学的検査」に統一をする。?肝機能でGOT、GPT、γ-GTPという表記で記載されていた検査については、近年の表記AST、ALT、γ-GTに改める。これが総論です。
 4番以降は、個々の項目にまいります。まず、有機溶剤中毒障害予防規則ですが、現状としてこれはすべての有機溶剤ということですが、医師が必要と判断した場合に行う項目として、「作業条件の調査」が規定されています。それから、腎障害、肝障害、造血器障害、末梢神経に着目したもの、これはすべての物質について規定をされています。特定の有機溶剤については、肝機能検査等が規定をされているものもあります。
 見直しの方針が書いてありますが、まずすべての有機溶剤について「作業条件の簡易な調査」を追加する。「尿中蛋白の有無の検査」は削除する。これは、一部の有機溶剤でのみ高濃度ばく露で腎毒性が認められるということで、すべての物質には対象としないということです。それから、現在では有機溶剤中のベンゼンの混入は認められないということで、「貧血検査」もすべての物質の対象とはしないということです。「肝機能検査」、「腎機能検査」についても、特定の有機溶剤について問題になるということで、現行すべてに入っている所からは削除するということです。新旧表のとおりです。
 それから、特定の有機溶剤について、先ほどご指摘もありましたが、12物質、注で新旧表に書いていますが、「腎機能検査」あるいは「肝機能検査」を規定すると。「肝機能検査」については、医師が必要と判断した場合に行う項目に規定するものと、必ず実施する項目として規定するものの2種類あります。二硫化炭素について、「動脈硬化性変化の検査」を追加する。メタノール、酢酸メチルについては、視力検査等の「眼科的検査」を追加する。スチレンについて、これも色覚検査等の「眼科的検査」を追加する。いずれも、医師が必要と判断した場合に行う項目の所に入っています。
 鉛中毒予防規則にまいります。見直しとしては、「作業条件の簡易な調査」を追加するということになります。四アルキル鉛中毒予防規則についても、医師が必要と判断した場合に行う項目を新たに規定する、必ず実施する項目として「業務の経歴の調査」、「作業条件の簡易な調査」を追加する。それから、「血圧の検査」、「好塩基点赤血球数又は尿中のコプロポルフィリンの検査」は必ず実施する項目に入っていましたが、これは削除して、逆に必ずする項目に「血液中の鉛の量の検査」、「デルタアミノリブリン酸の量の検査」を追加する。それから、医師が必要と判断した場合に実施する項目として、「作業条件の調査」、「貧血検査」、「赤血球中のプロトポルフィリンの量の検査」、「神経学的検査」を追加するとしています。これも表のとおりです。
 特化則にまいります。現行の規定として、シアン化カリウムについては一次健診項目に「作業条件の調査」が規定をされています。ニッケル化合物、ヒ素で、これは「作業条件の簡易な調査」、二次で「作業条件の調査」が規定されています。その他のものについては、二次健康診断項目に「作業条件の調査」が規定をされているということです。これは要するに、統一されていなかったという趣旨です。
 それから、ベンジジン等の尿路系腫瘍を標的疾患とする特定化学物質については、一次健康診断項目として、「血尿・頻尿・排尿痛等の他覚症状又は自覚症状の有務の検査」、それから「尿沈渣検鏡(医師が必要と認める場合は尿沈渣のパパニコラ法による細胞診)の検査」が規定されていた。二次健康診断では、「膀胱鏡検査または腎盂撮影検査」、これは特定の検査ということで規定をされているということです。肝障害、塩素化ビフェニル等、ここでは、「尿中のウロビリノーゲンの検査」が規定をされていました。
 見直しの方針ですが、まずすべての特定化学物質について、一次健康診断項目に「作業条件の簡易な調査」を追加する。健康障害の指標としては、尿路系腫瘍は「頻尿・排尿痛」を他覚症状の例から削除する。「尿潜血検査」を追加する。それから、医師が必要と認める場合に行う検査として、「尿中腫瘍マーカー又は超音波診断の検査」を追加する。二次健康診断項目、これは「膀胱鏡検査または腎盂撮影検査」と規定されていたものを、「尿路系腫瘍に関する検査」に置き換える。肝障害を標的とする化学物質については、これも「尿中のウロビリノーゲンの検査」を削除する。ただし、「肝機能検査」については、特定の化学物質について現行の項目を残すものもある、これは二次も同様です。
 個別の物質の中で、カドミウムについて現行にある一次健康診断項目の「門歯又は犬歯のカドミウム黄色環の有無の検査」、それから「尿中蛋白の有無の検査」を削除して、二次のほうから「尿沈渣検鏡の検査、尿中の蛋白の量の測定及び腎機能検査」を削除する。一方で、「血液中のカドミウムの量の検査」を一次に追加し、二次には「尿中のβ2-ミクログロブリン、α1-ミクログロブリン、又はNAGの量の検査」を追加する。二次の健診項目として、「胸部エックス線直接撮影検査又はヘリカルCT検査」、「喀痰細胞診」を追加する。
 ジクロロジアミノジフェニルメタンですが、一次健康診断から「肝機能検査」を削除して、二次の医師が必要と認める場合の項目に移動する。発がん性を念頭において、ベンジジンと同様に尿路系腫瘍に関する健康診断項目を追加する。ばく露の指標として、一次で尿中の量の測定を追加する。水銀は、「尿中のNAGの量の検査」を追加する。トリレンジイソシアネートは、一次健康診断項目の中に「スパイロメトリーによる検査」を追加する。二次健康診断項目として、「胸部エックス線直接撮影による検査」、「その他の肺機能検査」、「TDIに特異的な免疫学的検査」を追加する。「腎機能検査」については、削除するということです。
 最後に、メチレンジフェニルジイソシアネートについて、見直しとしてトリレンジイソシアネートと同様の健康診断項目に改めると。これは、ほぼ表のとおり記載をしています。
 この文章案をお示しするのは初めてですので、今日またこのあとでもご意見をいただいて、修正をしてまとめたいと考えています。
○櫻井座長 いま何かお気づきの点がありましたら、ご指摘をお願いします。
○和田委員 4-(2)-?-ウ-(エ)でヘリカルCTという言葉を使っていますが、統一するかどうか。いままでCTという意味で全部統一していたと思いますが。
○櫻井座長 ヘリカルではなくて、一応CT検査。
○和田委員 CT検査にしてください。前の絡みの所にもありますね。今日見直したものは、また送ってくださるのですか。
○櫻井座長 お送りいただきます。では、特段追加のご指摘はないようですので、いまのカドミウムについての修正、それから山田委員からご指摘のあった数で示したものについては、注として化学物質名を記載するということで、この中間報告書(案)についてはまとめさせていただきます。
○山田委員 特殊健診ではGOT、GPT、γーGTPがAST、ALT、γ-GTに替わりますが、肝機能検査は定健のほうにもありますよね。そちらも直るのですか。
○木内中央労働衛生専門官 検討させていただきます。
○山田委員 是非直していただきたいのです。
○木内中央労働衛生専門官 対象とする改正の範囲がどこまでになるかを検討させていただきます。
○山田委員 肝機能検査は特健でも定健でも一緒ですから、向こうとこちらで違うというのは、ちょっと合わないと思います。是非定健のほうも直していただきたいと思います。
○労働衛生課長 定見のなさを露呈している。
○山田委員 このことばかりずっと言い続けていますから。
○櫻井座長 では、ありがとうございました。今日のご意見に従って、修正すべき点は修正する。それから事務局で検討いただいてまとめる部分も若干あったと思います。そういった面も含めまして、最終的な取りまとめを事務局でお願いします。
○木内中央労働専門官 中間報告書について、ご意見等を踏まえてまとめさせていただいて、委員の先生方にもご確認をいただきたいと思います。これはこれとして、報告書としてまとまります。それから、3物質についても本日ご検討いただいたということで、今後審議会にお諮りをして、政省令の改正について意見を聞くという手続きがあります。もしかすると、審議会のほうでも意見が出る可能性はあるということをご了承いただきたいと思います。
 それから、個別の検査等の記載の仕方について、やはり法令に書くときの書き方で修正が加わる可能性もありますので、その点はご了承いただきたいと思います。時期ですが、平成20年頃から続けていまして、今年度取りまとめていただいたということで、できれば来年度には改正をしたいと思っています。これも恐縮ですが、別途ほかの改正等との関係でずれる可能性はあることをご了承いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○櫻井座長 以上のようなことで、何か修正点などで委員の方々に確認いただくようなメールなどもあろうかと思います。
○木内中央労働衛生専門官 はい、そうです。
○櫻井座長 最終的に、それでも及ばず何か急いで判断が必要だという場合には、座長にご一任いただくことも出てくるかもしれませんが、その点だけご了解いただきますようお願いいたします。それでは、これで本日の検討会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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