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2011年7月22日 介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会(第9回) 議事録

老健局振興課

○日時

平成23年7月22日(金)10:00~12:00


○場所

全国都市会館第一会議室
(住所:東京都千代田区平河町2-4-2 全国都市会館3階)




○議題

介護職員等によるたんの吸引等の試行事業の検証等について

○議事

○川又振興課長 それでは、皆様おそろいですので、ただいまから第9回「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」を開催いたします。
 本日の委員の出欠状況ですが、黒岩委員、太田委員におかれましては御欠席との連絡をいただいております。なお、齋藤委員につきましては本日代理で日本看護協会から菊池専務理事が御出席をされておりますので、御報告させていただきます。
 それでは、大島座長、よろしくお願いいたします。
○大島座長 おはようございます。それでは、早速検討に入りたいと思いますけれども、議事に入る前に少しお時間をいただきたいと思います。
 この検討会を進めるに当たって、とにかく自由に言いたいことを言うというのは、最も大事なことだということで、そういう考え方で私は座長をやってきました。言いたいことを幾ら言っても構わないんですが、一体何をやろうとしているのかという方向だけはきちんと定めて、その方向に向かってきちんと着地するということが一番大事なことでして、その役割は座長にあって、一番大きな責任であると考えてきました。前回、実はゴールというのが厚労省の考え方でもあり、私もそのつもりで臨んだのですが、法律の手続上の問題で随分大きな議論になりました。いろんな意見が出て、とても収拾がつかないという状態になったのは、皆さん御存じのとおりかと思います。
 ということで、今回の議論を始める前に、もとのところに戻って、一体何のためにこの検討会が始まったのかということについて、最初に少し確認をさせていただきたいと思います。
 たんの吸引とか経管栄養等については医療的ケアという言葉で出ていますが、この実態が介護の現場では増え続けている。そのためこの扱いを一体どうしたらいいのかということで大きな混乱が起きつつあるというところから、議論がスタートしたと思います。
医療的ケアと言われているこの行為を現行の医療職だけで対応するには限界があり、既に現場では、介護職等が違法であることを知りながら行っているという現実もある。これは利用者だけではなくて、サービス提供者にとっても非常に大きな不安である。それに対して閣議決定だとか総理の談話等も含めて、この事態をできるだけ早急に解決しなければならない、具体的には今年9月までをめどにして解決をしたいというのが、この検討会に与えられた役割であると理解をしていたところです。これは多分、委員の先生方皆さんの共通の理解で議論が進んだと思います。
 ということで、非常に激しい議論がありましたけれども、この基本的な趣旨を踏まえた上で総論の法律に持ってくるところまでは形ができ上がりました。ところが、実際にその法律を起案するときの手続上の問題について、納得がゆかないというのが前回の議論の中心だったと思います。
 何が言いたいかといいますと、できれば今回の会で最終的に決着をつけたいというのが厚労省側の強い意思であります。政府と言ってもいいかもしれません。私もできれば、今日の委員会で形をつけたいという気持ちであります。
 本日の議論の内容については、研修カリキュラムと研修機関や実施機関の登録要件、これは医療との連携、安全確保の措置等を中心に御議論いただきたいと考えておりますし、今後の予定として厚労省の方では、自治体への円滑な施行準備のためには、8月中にはパブリックコメントをもらって、9月中には省令等を制定していくという作業手順を予定しています。
 前回も私は意見を求められて、この検討会の役割と責任の範囲というのは一体何なのかということについて述べましたけれども、制度的な法律に落し込む具体的な中身の問題については、これはこの検討会の責任の範囲を越えていると私自身は考えています。しかも、ここを議論し始めると、議論が尽きないということにもなりかねないので、もしどうしてもということであれば今日は局長が見えていますので、この点に関して局長の御意見を聞くこともできます。私の考えは述べたとおりですし、このような考え方で進めていきたいと考えていますので、是非とも御協力をお願いしたいと思います。これを前置きにいたしまして議事に入らせていただきたいと思います。
 事務局の方から資料の説明をお願いします。
○老健局説明者(西澤) よろしくお願いします。老健局振興課の西澤と申します。
 資料ですけれども、資料1、資料2につきましては前回御説明いたしました試行事業のデータになってございますので、ここは説明を省かせていただきます。資料3につきまして御説明させていただきたいと思いますので、資料3をお願いいたします。
 前回も資料5としまして省令事項の資料を出しておりますけれども、そこを少し前回のご議論も踏まえまして書き加えております。
 1枚目「○対象となる行為」は制度の対象となる行為といたしまして、たんの吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)、経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養)でございます。
 次の点は加えておりますけれども「○介護福祉士の研修カリキュラム」でございます。これは具体的には施行は少し先ですので、平成28年の試験の受験予定者から適用されることになります。
 内容ですが、基本研修は試行事業でやった講義50時間、シミュレーター演習でございますけれども、これは介護福祉士の養成課程の中で行うことにしたいと考えております。実地研修などにつきましては学校の状況に応じまして、できる限り実施していただくことにしたいと思います。
実地研修でございますが、登録実施機関、要は施設とか事業所でたんの吸引等を行うところの登録事業所で実地研修を行っていただく。そして、実地研修を受けていない行為を行ってはならないということを、登録実施機関の要綱の中に規定しようと考えております。これによって事業所で必要な実地研修を受けていただく形になります。
 「○介護福祉士以外の研修カリキュラム」は前回お示ししておりますけれども、3類型にいたしたいと考えております。(2)は不特定多数を念頭に置いた研修コースでございますが(1)は上にありますたんの吸引、経管栄養の6種類すべてを実地研修まで行うコースです。(2)はその中から気管カニューレ内のたんの吸引と、経鼻経管栄養を実地研修で除いたコースでございます。
 (3)は特定の方に対して行う実地研修を重視した類型としてございます。
 これを図にしましたのが2ページ目でございまして、一番上に試行事業の仕組みでございます。その下は介護福祉士の方でございますけれども、養成課程の中で基本研修、シミュレーター演習をやった上で介護福祉士試験を受ける。受かった方が実地研修ということで登録機関の方で必要な行為について実地研修をしていただく。これは勿論、実地研修を受けていただいた者だけできるということを、登録基準の中に書くことにしたいと思います。介護福祉士の方がどの実地研修を終えたかというのは、何らかの形で管理できる仕組みを考えたいと思っております。その下の3つが先ほどの3類型の研修のコースを図で示したものでございます。
 3ページ目、研修コースの方の研修機関の登録の要件を前回もお出ししていますけれども、少し加筆させていただいております。具体的に書き足したところは主に下の方でございまして、下から3つ目のポツ、都道府県に対する研修の実施状況の定期的な報告とか、都道府県に対して何人に研修をやったというようなことを報告していただくということ。研修修了者に関する記録を保存するということ。これは法律に規定されておりますが、都道府県による立入検査などはできることになっております。
 4ページ、登録実施機関の要件も前回お出ししている資料がベースでございますけれども、少し書き加えさせていただいております。例えば「○医療関係者との連携に関する事項」でございますが、2番目のポツの介護職員と看護職員等の連携体制のところは、少しアスタリスクのところを書き加えておりまして、これは在宅の場合、特に外の訪問看護ステーション等との連携が必要ですので、そういったところの日常的な取り決めなどをちゃんとしていただくということを、何らか規定することを考えております。
 そのほか加えたものとして「○その他の安全確保措置等」でございますけれども、2番目のポツの体制の整備のところで、ヒヤリ・ハットの事例も蓄積していただくということを書き加えております。
 その他書き加えた点としまして、下から3つ目の小さなポツでございますが、実地研修見実施の介護福祉士に対する実地研修の実施。これは先ほどの研修のカリキュラムの図も対応しておりますけれども、登録実施機関の方で介護福祉士に対する実地研修を行っていただく。介護福祉士は新カリキュラムの対象者でございます。
 その他都道府県による指導など、登録研修機関と同様でございます。
 5ページ以降でございますけれども、これも前回お出ししております5~7ページは不特定の研修コースの概要でございます。前回御説明しましたとおり50時間の研修と、実地研修の方は気管カニューレ内部と、経鼻経管栄養を除いたコースをつくるということでございます。
 6ページ、7ページは見直しの内容です。前回御説明させていただきますので省略させていただきます。
 8ページ以降は特定の研修カリキュラムの方でございまして、これは基本的に試行事業と同じカリキュラムと考えております。
 資料の説明は以上でございます。
前回、河原委員から御質問をいただいた件がございまして、そこをお伝えできておりませんでしたので、先に少しお答えをさせていただければと思います。
1点目は、試行事業の中で実地研修の中でケアの試行に進めなかった方がいらっしゃった。その方はどうしたのかということですけれども、今回の試行事業ということで期限が区切られておりましたので、評価委員会で設定した基準を満たせなかった場合には、ケアの試行に進んでいないということでございます。
次ですけれども、気管カニューレ内部の実地研修につきまして、ケアの試行まで進んだ進行率が低かったということですが、これについてはどうかということでございますけれども、ほかの行為と比べた場合に気管カニューレ内部の実地研修は実施回数が少なくて、例えば3回以上やらないと3回以上連続という要件を満たさないので、1回とか2回という方がいらっしゃったので、その影響もあって低くなっているということでございます。実施回数が1回、2回の方を除けば、ほかの行為と進行率はそんなに変わらないということでございます。
 研修に関しての介護職員本人とか、事業所に対する助成措置でございますけれども、本年度の予算では制度の施行準備に当たりまして、都道府県に対する研修の補助を予算化しております。これによってある程度研修の実費というのが都道府県と国の負担で補助が可能ですので、そういった予算は用意しております。来年度以降の予算措置については今後また引き続き検討したいと考えております。
 カリキュラム関係の質問がございましたので、その点は別の説明者からお願いします。
○老健局説明者(大竹) それでは、基本研修のカリキュラムにつきましても御質問をいただいておりました。本日の資料3の6ページをごらんいただければと思うんですが、基本研修のカリキュラムの見直し案というものを御提示させていただいております。
本件に関しまして4の4)滅菌と消毒のところで、筆記試験の正答率が低いため講義時間を延長としているが、その辺の関連について御質問をいただいておりますけれども、紙面の関係上、説明が足りなかったんですが、講義時間の適切性についてアンケートをとったところ、連携看護師の中で短いという御意見かございました。その短いという御意見が多少多いところでありましたので、講義時間を延長して、その正答率を上げる。正答率に関しましては70%でやはり低いという状況でありますので、こうしたところを充実させていきたいと思っております。
 また、介護職員のたんの吸引の実施に関するカリキュラム策定委員会の中でも、感染予防の重要性というのは繰り返し述べられておりましたところでありまして、この辺も延長する根拠にもなっております。今後その時間だけではなく内容を十分に御理解いただきますよう、時間とともにわかりやすい内容、指導方法、テキストの内容の充実を図ってまいりたいと考えております。
 もう一点、カリキュラムにつきまして、成人と小児の吸引の違いということで分けておりますが、その小児の吸引について限定する必要はないのではないかという御意見、御質問もいただいております。本件に関しましては、多くの方は政治が対象ということでありますが、中には小児の施設で働いている方もいらっしゃるということ、今後、小児を対象とした施設で働く可能性もあるということで、知識として学習する必要があると判断をしております。
 また、これから成人との違いを理解するに当たり、どのような点に留意すべきか。そうしたことを考えていく中で項目の見直しを図ってきたということでございます。
 以上です。
○大島座長 説明は以上でよろしいですか。どうもありがとうございました。
 それでは、御質問、御意見、御自由に御発言いただきたいと思います。川村委員、どうぞ。
○菊池代理人 本日、齋藤委員が欠席しておりますけれども、代理で出ておりますので、齋藤委員が意見書を本日提出しております。皆様のお手元の資料の一番最後のところに置かせていただいてあるかと思いますので、その意見書に沿いまして意見を3点申し上げたいと思います。
 この意見を申し上げる基本的な考え方ですが、法律が改正されまして介護職員等によるたんの吸引等の実施に当たり、最優先に配慮すべきはサービス利用者の安全性の担保と考えております。たんの吸引等に関わる介護職や医療職個人の努力だけに負うのではなくて、実施機関あるいは連携する業者間で医療安全の意識を高めて、医療安全の文化を根付かせ、組織して、システムとして医療安全に取り組む体制をつくり上げていくという観点が必要かと考えております。その観点に基づきまして次の3点が重要と考えています。
 第一点ですが、対象者の状態を医師、看護師が定期的に確認する仕組みについてです。介護職員と看護職員が連携してたんの吸引等を実施する前段階として、対象者に対して介護職員による実施が可能かどうかということについて、医師や看護師が状態を見て判断をするというプロセスが不可欠になっております。特に在宅の領域におきましては訪問介護事業者が医療機関や訪問看護ステーションと連携し、対象者の状態は変動しますので、その状態について医師や訪問看護師が定期的に確認する仕組みを整備すべきというのが第一点です。
 第二点は、たんの吸引等の実施状況の都道府県による定期的な確認評価を行っていただきたいということです。法案可決の際の付帯決議にもこの点は盛り込まれているかと思います。施設や事業者に対して指導監督責任を負う都道府県が、定期的にたんの吸引等の実施状況を検証評価して、場合によっては不適切な事業者は登録取消とするなどの安全担保措置について、登録要件に明記していただきたいと考えております。
 第三点としましては、施設事業所の登録要件としまして、安全管理体制に関する研修の実施ということです。たんの吸引等の実施に関する個人が受ける研修とは別に、施設や事業所としての安全管理体制を確立するための職員研修の実施についても事業所等の登録要件とすべきだと考えております。その内容は医療安全の基礎知識やヒヤリ・ハット、緊急時の対応などについて、職員研修を実施する介護職員に限らず、職員全体として実施することが必要かと考えております。前の特養ホームのたんの吸引の状況についての調査結果を見ましても、医療安全に対する体制につきましては非常に不備であることがわかっております。このままだと施設の格差が拡大いたしますので、医療安全文化を醸成していくということのためにも、施設の登録要件として全体の医療安全管理体制に関する研修を実施していくことを登録要件としていただきたい。以上の3点でございます。
 なお、付け足しといたしまして、実際の研修が適切に行われる、効果的に行われるためには、実技研修用のシミュレーターなど高額な物品については過度な負担がなく、必要な十分数を備えられるよう、国からの補助金による支援が必要と考えております。
 以上でございます。
○大島座長 ありがとうございました。何か御意見、御質問ございますか。内田委員、どうぞ。
○内田委員 済みません、この省令等に規定する事項案の資料3の中で、これは質問というか確認でございますけれども、1ページ2つ目の○、介護福祉士の研修カリキュラムというところなんですが、今、既に介護福祉士を持っている者たちについては、登録実施機関において実地研修を実施するということなんだと思うんですけれども、この辺がこれから養成される人たちと一緒くたになっていてわかりにくい。現在持っている人たちがこれを見ると、自分たちはどこなんだろうというのがよくわからないというのがあるのかなと、ただそういう点なんですけれども、あとは介護福祉士以外の方については研修の類型が幾つかあるということなんですが、それは仕方がないことかなとは思いますけれども、今、介護福祉士でない方々が今後介護福祉士を取得するときに、そうするとまた実施していない研修について受けるという話になってくるわけで、そこら辺のところできちんとした研修の記録等がないと、実際にはやっていない人たちがケアを実施してしまうことにもなりかねないので、その辺はかなりしっかりしたものにしないといけないのではないかと感じております。
 2ページの方もそうなんですが、今、持っておられる九十何万人がどこなのかなというのがわかりづらかったというのがあります。
 もう一つは、今の九十何万人が決して全員が現場で働いているわけでもないので、それはそんなに数はいないのかもしれませんけれども、今後順次研修を受けていくに際して、10年程度の期間を考えていると聞いてはおりますが、その10年という期間で無理なくできるのかどうかというのも不安なものを感じました。実際に実地研修するところに御利用者がなかなか該当する方もいなくて、仮に病院といっても安定期の方でなければ決してさせていただくことはできないわけですから、その辺でどうなのかなというのが1つ疑問でございます。
○大島座長 ありがとうございました。最も気になるところだろうと思います。全く白紙の状態のところから一斉にスタートという話ではないものですから、現状を踏まえて過渡的にどう対応していくのかという問題と、これから介護福祉士になってくる方に対してどうするかという問題とがあります。現状の状態でもいろんなバリエーションがあるので、それぞれに対してどう考えてゆくのか。細かいところまで言い出すといろいろなことが出てくるかもわかりませんが、その辺のところをわかりやすく整理して、事務局からお話をいただけますか。
○泉福祉人材確保対策室長 お答えをいたします。まず介護福祉士の方で、今後なられる方についてどうかということでございます。これは今、資料3の1ページ目に書いておりますように、介護福祉士の研修カリキュラムということですので、基本研修に相当するものを養成課程の中で実施する。これによって27年度以降に介護福祉士の養成課程を卒業される方については、この扱いでたんの吸引と経管栄養ができるようになっていくということでございます。
 御質問は、既に介護福祉士を取得しておられる方あるいは27年度よりも前に介護福祉士を取得されることになる方が、どのような扱いということかと存じます。
 まず介護福祉士の方々につきましては、平成27年4月1日~平成37年3月31日までの間に、この10年間のうちにたんの吸引、喀痰吸引、経管栄養に関する追加の研修を受けていただくことが法律上定まっておりますので、今、内田委員がおっしゃいましたような10年間というのは、そのことをおっしゃっているかと思います。
ただ、10年間のうちに受講していただくということが法律上書かれているわけでありますけれども、その時間内に追加研修を受けなかったから介護福祉士資格もなくなってしまうというわけではございません。その方々も引き続き介護福祉士ではございます。しかし、法律上は10年間のうちに追加研修を受けていただくことになってございます。
 この追加研修の内容でございますが、基本的には介護福祉士以外の方々の研修カリキュラムと、同様のものを受講していただくことになろうかと思います。今、内田先生がおっしゃいました10年間という期間が適当であるかということでございますけれども、私どもとしては相当程度長期の経過措置を置かせていただいたつもりでございます。
 なお、更に付け加えて申しますと、では喀痰吸引、経管栄養が介護福祉士の業務となる平成27年度よりも前に喀痰吸引、経管栄養の実施をすることができるのかできないのかということでございますが、これは今、介護福祉士以外の研修カリキュラムを平成24年度以降開始される予定でございますけれども、その介護福祉士以外の研修カリキュラムを24年時以降修了していただければ、平成27年度を待たずして喀痰吸引、経管栄養の業務は当然できることになるわけでございます。
 法律上は介護福祉士の業務として位置づけられるのは27年度以降でございますが、それよりも前には当然介護福祉士の業務としてではないけれども、喀痰吸引、経管栄養の業務ができるという扱いになるわけでございます。
 少し繁雑になりましたが、以上のようなことでお答えになっておりますでしょうか。
○大島座長 いかがでしょうか。わかりましたか。
○内田委員 はい。
○大島座長 ほかはいかがでしょうか。平林委員、どうぞ。
○平林委員 1ページの今のところの御説明なんですが、そうすると2つ目の○の介護福祉士の研修カリキュラムというのは、むしろ教育カリキュラムという意味ですね。これからたんの吸引ができるような介護福祉士を養成するための教育カリキュラムで、3つ目の○は現に既に介護福祉士でいらっしゃる方あるいはそれ以外の方に対して特別の研修をして、プラスアルファの業務としてたんの吸引ができるという意味での研修カリキュラムの仕組みだということになりましょうか。両方とも研修カリキュラムとあるものですから、ちょっとそこが混同しているのかなと思いました。
○大島座長 内田委員、どうぞ。
○内田委員 だとしたら、3つ目の○のところは介護福祉士等というふうにしていただかないとわからなくなってしまいますので、そこら辺は表示の仕方を考えていただけたらと思います。
○川又振興課長 そのとおりでございます。3つ目の○は介護福祉士以外と書いてございますが、これは今、既に介護福祉士の資格を持っている方も含めて、研修を受けることによってできるようになるということでございます。ちょっとここは誤解を招く表記だと思います。
○大島座長 等でよろしいですか。
○川又振興課長 介護職員等という形、既に介護福祉士を持っている方を含めて、また持っていない方も含めて、研修を受けることによって、これらの行為ができるようになるということですので、介護職員等ということで。
○大島座長 今この場では介護職員等という表現で一応了解を得ました。ただし、厳密にはもう少し検討をしてみるということですか。介護職員等で問題ないと言い切ってしまってよろしいですか。
○三上委員 各論に入るとこのまま行きそうなので、またもとに戻させていただきますが、最初に座長の方からこの検討会の趣旨を説明されまして、どういうものを目的として、どういう着地点を目指すのかということですが、確かに介護職の方が現在違法である医行為をされている介護の現場の実態があることは、そのとおりだったと思います。
ただ、今回の試行事業の結果をひも解いてみますと、基本的には不特定の者と特定の者でかなり実態が違うんだということは、皆さん同じ認識だと思います。特に不特定の者、特に特養なり訪問介護の現場におきましては、人工呼吸器、気管カニューレ等については非常に少ない。研修も修了できない方が非常に多いんだということ。特定の者の方は当然障害者の方がいらっしゃるのでそういった方が多い。
また、ヒヤリ・ハットにつきましても、レベル2以上のものにつきましては口腔内のものについては1つしか報告がなく、かつ、その対応策につきましても指導看護師が最終的に対応せずとも観察だけで終わっている。その他、鼻腔なり気管カニューレ等については、最終的には指導看護師が何らかの処置をしなければ対応できていないという現状があるので、不特定の者と特定の者あるいは口腔内とそれ以外のものについては、かなり違うのではないか。違いを認識すべきではないかということが1つわかります。
 もう一つ、今日来られております川村委員がされております22年度の厚生労働省の老人健康増進事業で、在宅の介護職員における安全なたん吸引等の実施における効果的な連携の推進に関する調査研究事業という報告書が本年3月に出されております。この試行事業と同じ時期に出されているわけですが、これは厚生労働省のものですけれども、まとめのところに介護職員におけるたんの吸引等の対象者について、たん吸引等の対象者の気管切開をしている例は少なかった。これは施設、事業者においてですが、この現状を踏まえると、気管切開をしている対象者まで介護職員がたんの吸引等を行う必要があるのかどうか。また、特養ホームや在宅の利用者は食後に口腔内の吸引が必要な人が多く、口腔内の吸引実施することを考えてはどうか。研修事業の対象者はほとんど高齢者で、同じ吸引行為があっても小児等の対象者まで対象を広げることはリスクが大きいと考えられ、介護職員が行う必要があるかどうかを考える必要がある。あるいは特定の者と不特定の者について現在同様の制度で検討されているが、制度や介護職員の資格などを分けて考えることも必要ではないかということが、厚生労働省の研究事業として今年3月に報告書が出されているんですが、ここで全く検討された気配がございません。
 もう一つは、平林委員が以前6月と昨日も少し書かれていますけれども、指摘されているように、介護ということについては医行為を含むのか含まないのか。本来は含まないというふうに判断をしていたけれども、今回の法律の中では含まれるのではないかということが危惧されているわけです。介護保険法あるいは保助看法以前の介護福祉法もそうですけれども、介護と看護ということについての定義というか法文上の書きぶりとして、訪問介護の方は入浴、排泄、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって、厚生労働省令で定めるものと書かれていますし、訪問看護の方は当然診療の補助あるいは療養上の世話という形で書かれているということで、明確に書かれているのは日常生活の上の問題は介護であって、療養上の問題は看護であると書き分けられているわけです。
 今回の介護福祉士法につきましては、喀痰吸引そのものは日常生活を営むのに必要なものであって、医師の指示の下に行われるものという書きぶりになっておりますが、これを医行為と考えるのか、いわゆる介護の範疇である日常生活上の世話という範疇に考えるのかということについては、これは解釈通知の中で何とかできるのではないかと考えますので、平林委員が心配されておったことを解決できる可能性があるということを私は考えているんですけれども、その辺のところは法律の専門家の方にもお伺いしたいなと思います。
○大島座長 法律問題になってくるとややこしい話になってきますが、いかがでしょうか。下手に議論を切ってしまうと後でまた禍根が残るようなことになりかねないのでそれは避けたいと思います。今の最後の問題については議論のプロセスの中でどういう判断をしてきたのか私なりに持っているんですけれども、平林先生、何か御意見ありますか。
○平林委員 今日は余りそのことについては触れるつもりなく来たんですが、流れとして発言せざるを得ないようなんですけれども、確かに三上先生がおっしゃるような解釈をしないと、介護の中に医行為が入ってしまうということは、ある意味では言えると思うんです。ただ、条文上は48条の2で診療の補助として喀痰の吸引等ができるというふうに別の条項がありますので、その2つを合わせ読むと、少なくともこの法律の考え方は喀痰の吸引等は医行為であるということを前提としてつくられていると言わざるを得ないでしょうというのが私の解釈です。それがいいか悪いかはここでは触れるつもりはありませんが。
○大島座長 ありがとうございます。今、平林委員の方からそういった解釈が出されましたが、この問題というのはこの検討会の冒頭で相当議論になったところだと私は理解しています。
たんの吸引も経管栄養も医行為である。医行為であるこの行為をどう扱うのかというところから議論はスタートしたと思います。医行為から外せという議論もありましたし、どう扱うのがよいか議論の中で紆余曲折がありましたが、最終的には医行為を介護職にも行えるような形で法律化するというところで、合意が得られたものだと私は理解しています。ただ、法の条文にどういう形で載せるかということについては、合意を得ていません。これは私も素人ですし、何度も繰り返しますけれども、この検討会でそこまで議論する役割はない、それは行政、政治の方でやっていただく話であると考えてきました。この検討会では医行為の扱いについての了解は最も重要事項として合意をとった上で議論が積み上げられてきたと理解をしています。
ただ、条文上どのようにするかということについては、わかりません。三上委員、どうぞ。
○三上委員 これは介護福祉士法の中で介護福祉士の試験を受ければ、国家試験を受ければ介護福祉士の資格がとれるわけです。その場合にどこまでできるのか。実地研修をしていなくても介護福祉士の資格をとれるわけです。その場合には実地研修をしていない部分は今のところできないということになっているわけです。
そうなりますと、現在介護福祉士の方が喀痰吸引されていますけれども、そのほとんどは口腔内の問題です。ですから、私が申し上げているのは口腔内と口腔内以外のものについては切り分けて考えて、口腔内の喀痰吸引については現場の実態としては多いわけです。ですから現在のままでも介護福祉士の試験を受けて、実地研修がなくてもできるようにしてはどうかということが1つ。
 そして、実地研修を受けた場合には別の資格として、介護福祉士の資格としてその医行為ができるのではなく、実地研修をしたということによる認定を受けて、新たな別の資格として医行為ができるという解釈をしないと、介護福祉士という資格の中でいろんなことができる人、できない人があるというのが非常に複雑ですし、これを指導するというか、立入調査をするようなことも書かれていますけれども、そんなことが可能なのかどうか。これは利用者というか、患者さんの方からすると非常に混乱するのではないかと思います。
○大島座長 いろんなバリエーションを考えると、確かに相当複雑かなということは私もよく理解できるんですが、それを受け入れたうえで制度化していく必要性が出てきているわけです。具体的に今、三上委員が指摘したような問題を制度化してゆくにあたって、相当複雑でそれは制度化するのに非常に困難な状況にあるのか、あるいはこういう整理の仕方をすればいけるというような方法があるのか、その点について事務局の御意見はありますか。
○泉福祉人材確保対策室長 まず現在、介護福祉士の方々で実地研修を終えられた方について、どうするかということの関係についてお答えしたいと思います。
 先ほどの資料説明の中で既に御説明したところでございますけれども、まず介護福祉士の方々につきましては、養成研修の中で可能な限り実地研修を行うということにいたしたいと思います。しかし、十数万人の受験者がいらっしゃる介護福祉士の方々でもございますので、なかなか制度発足当初におきましては、実地研修まで養成課程の中で終えることは難しいかもしれない。したがいまして、介護福祉士試験を受験し、介護福祉士資格を取得した後で、必要な場合において実地研修を行っていただくという仕組みを考えております。
 まず実地研修ですが、登録喀痰吸引等事業者、喀痰吸引、経管栄養を事業の中で実施される事業者におきまして、まず当該介護福祉士の方が実地研修を必ず終わっていることを確認していただく。そして、その確認をしていただくということについては、この登録喀痰吸引等事業者の要件としてしっかり定めることにしております。その上で、当該喀痰吸引の事業者の方が、この介護福祉士の方が実地研修を終えているのか終えていないのかという確認する手段をどうするのかというのが問題なのかと思います。その点につきましては介護福祉士の方々について、実地研修が終わったという修了証明書を事業者の方々に出していただき、その修了証明書を国の責任においてしっかり管理をするという形を考えております。
○大島座長 いかがでしょうか。
○三上委員 ちょっとよくわからないんですけれども、修了証明書もだれが出すのかということで、これは医行為のできる修了証明書でしょう。だれが出すんですか。だれの責任で医行為ができるというふうに資格を与えるんでしょうか。これは都道府県知事というふうにここでは読めますけれども、非常にあいまいな部分があります。
 先ほど、最初の方の問題で言いましたけれども、特定の者と不特定の者が全然違う。実態として全く違う。大島座長も最初に実態をちゃんと追認することが目的なんだとおっしゃったんですが、不特定の者の中に気管カニューレなんかはほとんどなくて、研修もできないんだということが、ちゃんと川村委員の報告書の中からも出てきているのに、これについての検討もしていないし、今回の試行事業についての検証につきましても、研修が修了できないくらい症例数が少ない。これは実態ではないではないか。
これを無理にそういったものも含めて、不特定の者を対象とする者も含めて介護福祉士全般に気管内吸引までできるようにして行くというのはどうなのか。特定の者の方は当然今までから重度訪問介護事業者養成研修をやって、気管カニューレ等の喀痰吸引等も研修をしているわけですから、全く違うものだということでやらなければならないのに、今回一緒にしていることが非常に問題を複雑にしているのではないかと私は思います。
○大島座長 ありがとうございます。
川村委員、名前が再々出てきて戸惑いがあるかもわかりませんが、対象者がいない場合に、それ自体が既に研修対象と考えるのはおかしいではないかというのが三上委員の指摘で、川村委員の報告書からもそういった点が報告されているということですが、先ほどの事務局からの説明では、それに十分に納得できるように答えているとは言えません。とりようによっては実習をしたという証明書を、どのようなものにしてゆくのかということはありますが、証明書をきちんとチェックすることによって、どこまでできるのかということも、実習の対象があるないも含めてある程度はやれる可能性があるのかなというように理解をしたんですが、いかがでしょうか。
○川村委員 用いた資料は、資料1の29ページの下の方の表になります。研修の実施者が非常に少ない。これは特定のところではなく、不特定多数についての調査報告です。前回もここが少ないということは皆さん御確認になっていると思います。
○大島座長 少ないのを同じように扱うのは無理があるのではないかというのが三上委員の。
○三上委員 違います。言っているのは実態を何とか合法にすることを目的にしているのに、実態でないものまで合法にしようという形になった今回のスキーム自体が問題だと言っているんです。ですから、本来、不特定の者については気管カニューレまで必要な人というのはほとんどいなく、実態ではないわけで、実態を合法化するためにというお話になっているので、そこはもともとが違うのではないか。
○大島座長 ゼロか100かという議論ではないですね。少ないけれども、あるのはあるわけでしょう。ゼロ100であれば全くそのとおりですけれども。
○三上委員 だから今、最初に座長が言われた、どんどん増えているので、それで現場が非常に困っているんだという話でしたけれども、私は以前に申し上げましたけれども、レアケースの場合は本来はケアマネジメントがまずいんだ。レアな1例か2例がある場合は医療機関にその人は移すか、あるいは訪問看護を選択すればいいということを申し上げているので、在宅においても必ず主治医がいて、訪問看護か訪問介護どちらを入れるのかということは当然決めているわけですから、気管カニューレがついている場合は訪問看護を入れるわけです。ですから、そういったものを越えて非常に増えているという実態を何とかしたいということが、今回の検討会の趣旨だと私は理解しているし、最初そうおっしゃったと思うんです。
○大島座長 どうぞ。
○川又振興課長 データとして補足をさせていただきたいと思います。不特定多数の者についてカニューレの例が少ないのではないかということでございますけれども、今回の実地研修は非常に限られた期間でありました。1~3月ということで年始とか震災などの中で、限られた中でのものでございましたが、この不特定多数の者、先ほどの29ページの表にもありましたけれども、研修を実際に実施した方が66名ありました。できない方もあったわけですが、それはやむを得ずそのケースがなかった方がおられましたけれども、実際に66名の方が合計841回の実施をしています。
その内訳としては、確かに特養は少なくて841回のうち40回が特養。それでもゼロではありませんでした。多いのは居宅が427回で50.8%、障害者の施設が多くて障害者、障害児の関係が244回で29%、有料老人ホームが47回で5.6%等々ということで、不特定多数のもの、特養だけではなくて居宅、障害者の施設がございますので、ニーズがないということではなく、一定のニーズはあるのかなというふうに思っております。介護福祉士の資格をとった者が、そういう現場で働くことが想定されますので、そういう意味ではカニューレを除いてしまうのはいかがかと思っております。
ただ、ここの委員会でも前回、今回御指摘ありましたとおり、実際にカニューレが必要ない人も多くいるということであれば、過度にその方に実地研修とか行為をやらせるというのはいかがかという問題の指摘があったわけでございます。そこで今回の資料3の2ページ目でお示しいたしましたとおり、介護職員等の研修を受けてという方につきましてはコースを2つに分けまして、不特定多数の方の(1)と(2)に分けまして、(2)は気管カニューレ内の吸引、経鼻経管栄養、これはヒヤリ・ハットの数がかなりございました。この2つについては実地研修をしない。しないということはやらないということでございまして、必要以上のことはやらないでいくという研修コースを別途組み立てたわけでございます。
また、介護福祉士についても受験者十何万人が全員が実地研修をしてということは過剰ということでございますので、試験を受けた後に登録事業者、これは実際に働く現場なわけでございますけれども、その働いている介護福祉士が就職した事業所の必要に応じて、必要な行為について研修を受けてできるようにする。逆に言えば必要がない者については実地研修も行いませんが、この行為は実施しないという形で、ある意味で合理的な解決が図られるのではないかというのが本日の御提案でございます。
○大島座長 三上委員、どうぞ。
○三上委員 今の在宅、居宅の場合と障害者施設で気管カニューレ、人工呼吸器があるという話ですけれども、在宅の場合当然あるんですが、先ほど言ったようにこれは主治医がついていて、訪問看護を選択しているケースが多く、その例を使っての研修だったと思います。
 もう一つ、障害者の施設につきましては、私は不特定の者というよりは特定の者の方の範疇に入れるべきものであって、不特定の者というくくりにすべきではないと私は考えております。
○大島座長 どうぞ。
○三室委員 障害者の施設に関してですけれども、これは特定の者ということも可能ですが、不特定の者でもできる体制が必要だと思っています。研修を学校の場合は特定の者ということで動いていますので、常に医師が入ったり看護師が入ったりして研修を続けていくような形で、安全な医療的ケアを実施しているわけですが、施設によっては基本的なことができるようになった人が配置されることによって動いていくことが、円滑な運営に必要になってくるだろうと思っておりまして、先ほど厚生労働省の方からお話があったような形で認めていくような制度が必要だと思っています。
○大島座長 ほかにいかがでしょうか。三上委員、どうぞ。
○三上委員 参考資料1に実施可能な行為ということで省令で定めると書かれてあって、今日は症例に規定する事項案として対象となる行為と書いてあるわけですけれども、実施可能な行為を省令で定めることに対しての検討については、私は不特定の者あるいは特養なり在宅なり高齢者を対象とした者と、障害者あるいは小児を対象とした特定の者なり、そういった者についてそれぞれ実施可能な行為はこういうことであるというふうに省令で定めていくことが必要なので、ここでも実施可能な行為についてはそれぞれの場合というか、ケースに応じて分けるべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○大島座長 いかがでしょうか。島崎委員、どうぞ。
○島崎委員 三上委員が気管カニューレあるいは鼻腔の吸引まで言及されているのかどうかはよくわかりませんけれども、発言のご趣旨は、気管カニューレの吸引のニーズが特別養護老人ホーム等では実際多くはないから「実態を踏まえて」という議論の前提が違うのではないかということだと思います。
私はその点に関しては若干異論があります。三上委員はよく御存じのとおり、特別養護老人ホームでたんの吸引についてどうするかということについてはいろいろな議論があって、違法性阻却論を前提とした通知が出されたわけですけれども、この通知では口腔内のたんの吸引だけに限定したわけですから、対象範囲がそもそも狭いのです。つまり、この通知を反対解釈すれば口腔内のたんの吸引以外はだめだと言っていることになりますから、仮に特別養護老人ホームで口腔内以外のたんの吸引をやるニーズがあったとしても、施設の側がそれを行うことを躊躇するというのはある意味では当然のことだと思うのです。
けれども、第1回目の検討会で出された資料を見ていて私が驚いたのは、確かに口腔内のたんの吸引が非常に大きなウェートを占めていたのはそのとおりですけれども、口腔内以外の鼻腔内吸引や気管カニューレの吸引もそこそこ特別養護老人ホームで行われている実態があることです。その評価については三上委員と私の意見は違うかもしれませんけれども、少なくともそういうニーズ(口腔内以外のたんの吸引のニーズ)があるのだというふうに解釈すべきだと私は思います。
その上で口腔内と気管カニューレの痰の吸引とでは安全性の問題(リスクの程度)が違うのではないかということについて言えば、だからこそ今回試行事業を通じその検証・評価を行うことにしたのだと私は理解をしています。したがって、その評価に関わること、例えばヒヤリ・ハットの評価が甘いのではないかとか、あるいは試行事業のサンプルが少なくて果たしてこれで安全性が一定の実地研修をすれば担保できるということになっているのかどうなのかということに関しては、私も事務局に見解をお伺いしたいと思います。
○大島座長 いかがでしょうか。事務局の方から何か御意見ございますか。
○川又振興課長 この試行事業の結果につきましては、今日やむを得ず御欠席なんですけれども、太田先生の評価の委員会の方でこの資料を基に御議論をいただいた上で、結論としては資料1の最後の方に評価委員会のまとめがございますが、おおむねプロセス、評価方法については妥当であったと考えられるという評価をいただいたところでございます。
実際にケースがなくてやむを得ず断念をしてしまった方がいたんですが、しっかりと最後まで20回以上というノルマというか、最低の水準があるわけですけれども、クリアーした方も33名おられまして、その評価の結果、問題なく終えている。そこから実地研修を終えて、実際に引き続くケアの試行という形で実際の現場でやっていただいているわけですが、これも3月から5月半ばにかけて33名の全体クリアーした方のうち、26名は実際の現場でも355回の気管カニューレの吸引の実施をしておりまして、実績として上がっているということでございますので、我々としてはおおむねこのカリキュラム、基本研修、シミュレーターの演習、規定の回数の実地研修を踏まえれば、おおむね安全に、いろんな条件はこれから規定していきますけれども、できるのではないかと考えているところでございます。
○大島座長 私の立場で意見を言い過ぎるのはいろいろ問題があるかもわかりませんが、繰り返しになりますが、最初からの議論の中で、医行為とされているものを介護職の方に移すということを、これは大変なことであるということを了解していただいた上で、全体として合意が得られたと私は理解しています。しかし、それをするためには簡単に考えてもらっては困る。医療職もそれなりに腹をくくってきちんと安全対策や業務の連携に十分な配慮をしてくれと。それがなければそう簡単に「はい、引き受けます」ということはできませんよと。こういう枠組みであったと思います。
ただ、今、三上委員が指摘しているように気管の中までやるとかいうような細かいところまで議論が十分に尽くされたかというと、それは確かに十分ではなかったという感じがします。しかし、全体としてはそういう方向に向かうんだ。そして、これもたんの吸引と経管栄養だけではなくて、あくまで等ということをつけて、実際の介護現場では導尿とかインシュリンの注射までもが現実に行われている。こういったことも将来、このことを契機にして検討対象にしていこうではないかという、そのことを了解した上で法律の方に向かっていこうという合意であったと私は理解しています。
したがって、具体的な事項の細かいことをいろいろ指摘されると、それは十分ではなかったなということも出てきます。大まかな筋道の方向として三上委員が指摘されているようなことについては、先ほど泉さんの方から説明がありましたが、私なりに理解したのは、症例数が少なくて対象者も今は非常に少ない場合には、少ないのだったら何もやらなくてはいいのではないかという考え方もありますね。そうなら対象から外してしまう。外してしまうということは従来の枠組みどおり、それは医療職がやればいいという考え方も当然あります。そうではなくて今、島崎委員が指摘したように、現実にはたとえ少数ではあるかもわからないけれども、あるということを前向きにとらえ、将来的にはそれをできる方向で考えてゆく。その代わり、その過程のプロセスについてはきちんとやったかどうか、やれたかどうかはチェックする。そのチェック体制というのをきっちりとしてゆこうではないかということかと思いますが、泉さんが提案した枠組みもこういうことかなと私は聞いたのですが。
○三上委員 私も実地研修まできっちり行って、すべてクリアーされた方がこういった行為ができないということではなくて、これはそういう資格をつくるということを決めたわけですから、そこで認定をし、修了証書を出し、免許証を与えるという形になるんだろうと思いますが、そういう形でいいと思うんですけれども、先ほど島崎委員がおっしゃったように、実態として少なからず介護の現場でこういったことがあることについては、私は違うと思います。
在宅ではさまざまなケースがあるわけですけれども、在宅での医療との関わりというのは、特養とかケアハウスといった場合と全然違うわけで、主治医がかかりつけ医として訪問診療なり訪問看護なりがきちんと入っているわけなので、そういうところと不特定多数と言われる特養のような場合とはケースが違うと思います。
当然、モデル事業として始めた特養のときには非常に範囲が狭かったというのは、ケースがそういったものしかなかったからで、それが実態だったので、その実態を何とかクリアーするために口腔内に限ったということだったと私は理解していますけれども、そうではなかったでしょうか。
○大島座長 内田委員、どうぞ。
○内田委員 私の経験から言うと、確かに症例数として多いとは言えないかもしれませんけれども、少なからず私の今までの実際の経験から言って、やはり在宅に経鼻、経管の方とか気管カニューレを付けていらして、それを介護職が吸引しなければいけないことになりそうというか、なっていたといったことも現にそれなりにいらっしゃっていましたし、障害者の施設等にもそういう方は決して特定という、たったお一人ということではなくいらっしゃるように聞いています。
それを例えば今回、対象から外してしまうことになってくると、うちはできる者がいないから、だから例えば入所をお断りするといったことももしかしたら起きてしまうかもしれないということを考えれば、やはりここは確かに今回の試行事業では数は少なかったかもしれないけれども、これは無理に短期間でやろうとしたといったようなことも原因として考えられますので、やはりここは除かずに厚労省の御意見というのが私はよろしいのではないかと思います。
○大島座長 中尾委員、どうぞ。
○中尾委員 私は委員長のご意見に賛成です。今、在宅では、ホームヘルパーが個人対個人の契約で医行為を実施していることを何とかしてほしいという思いで検討会に参加しています。個人対個人の契約なので、何かあった場合の責任は個人にあります。必要に迫られてやっているわけですが、本当に不安です。そこで、実態として行っていることに対し、この検討会での議論を整理いただき、制度化され省令や通知が決まっていくわけですが、じゃあこれによってたんの吸引等ができるようになったのだから、私たちはどんどんやっていきましょう、ということでは決してないと思います。
制度化されることで、安心・安全な体制のもとで、それも三上委員が言われるように、医療等との連携の下でしっかり評価をしながらやっていけることを、訪問介護では望んでいます。
それから、10年や20年ぐらい前は、確かに気管カニューレの例など在宅ではいろいろな方がいらっしゃいましたが、今はそういった方の数は減っているのが現状ですが、いらっしゃらないわけではありません。
繰り返しになりますが、先ほど委員長がおっしゃったように、この検討会の基本に立ち返り、在宅で介護を提供する者の安心・安全にきちんと実施できるようにしたいと考えます。
○大島座長 白江委員、どうぞ。
○白江委員 実態の話なんですけれども、障害者施設を特定と言われたんですが、私は先ほどの内田委員の意見に賛成で、障害者セクターはこれからも長期に入所するということではなくて、一時的な利用というのが基本になっていくべきだと思っております。ショートの理由なんかも当然そうですし、待機者がどんどん増えているんです。これは非常にじくじたる思いがあるんですけれども、介護保険の対象になる方も結構たくさんいらっしゃいまして、医療的ケアが必要な方で特養で受け入れられないということで障害者施設にやむを得ず来るという実態もあります。対象となる方も結構増えているのは間違いないことですので、実態として今、たまたま試行事業で少なかったから、あるいは先ほどの研究事業の中で少なかったからというのは確かに事実としてあるわけですけれども、でも、今後のことを考えたり、この制度が運用されていく中で私は変わってくるのではないか、変化が起きてくるのではないかと思いますし、これは必要なことだと思います。
 障害者施設を特定だけに限定されますと、先ほど言ったようなことからいろんな方が利用されていく。また、これからは利用施設という形に方向性として変わってくると思いますので、是非その辺も御理解いただければと思っております。結論としては、先ほどの座長の整理の仕方で私はいいと思いますし、厚労省のこの省令案でいいと思いますので、省令案を是非進めていただきたいなと思います。
○大島座長 三上委員、どうぞ。
○三上委員 私は障害者施設を特定の者と言ったのは、いわゆるカリキュラムを考える上で、特定の者のカリキュラムのようなものを想定すればいいのではないかということで申し上げたわけですけれども、少し誤解があるようなので訂正させていただきたいと思います。
○大島座長 ほかいかがですか。岩城委員、どうぞ。
○岩城委員 私は親の立場からずっとこれに参加させていただいているんですが、一番初めのときに申し上げたと思いますけれども、私どもは受ける立場なんです。特に在宅で非常に頑張っております。ただ、そのときに現在では本当は違法なのですが、個人の特別の関係で、友達等でやっていただいているという方もいらっしゃるんです。ですから、そういう方たちはお互いに個と個の信頼関係にはあっても、それでもし事故のときというのは私たちが一番懸念していることです。ですから、やはりやっていただく立場からも、やってくださる方たちが安心してできる。そういうことにこの会議は私はなっていくものだと思っておりました。
その辺りで細かい法律的なこと、医学的な非常に細かいことはわかりませんが、ただ、現実に在宅で暮らしている者が常に医療的ケアがなくても、重症心身障害という重い障害の者は、ちょっとした姿勢のとり方1つ、ちょっと体調を崩した、気温の変化等ですぐに吸引等が必要になります。そのときにやはり在宅生活で欠かすことのできない社会参加の通所の場にそういう方がいらっしゃるということが、私たちの大変な強みなんです。
でも、それは今まだまだ十分ではありません。特別支援学校では今、2つの行為が学校で一定の研修の下に行われておりますが、その卒業生たちが自分の卒業した地域に通所施設、そういうものがないと言って訴える声が大変多うございます。それでいまだにやはり保護者が医行為をやりに施設に行ったり、待機したりという現実があります。それがこれから自分が住む地域で、あそこの施設にはこういう資格を持った方がいらっしゃるというだけで、在宅生活はかなり変わっていくと思います。その方向でまとめていっていただきたい。
前回一度議論がちょっと立ち止まったような気がしまして、親たちは大変、これは一体どうなるんだろう、戻ってしまうんだろうかという危惧も持っておりました。是非よろしくお願いいたします。
○大島座長 ありがとうございます。とにかく安全にきちんと行えるかということが、いろんな意味で最も基本である。その体制をどうやってつくっていくのかというのは、何においてもきっちりしてもらわなければ困るということです。在宅の問題というのは在宅医療自体がまだ発展段階にあって、在宅医療そのものが確立されていない段階だと言ってもいいかと思います。
そういう中で、こういうまだ不安定なものを持ちこむというのは、確かに心配が大きいというのはよく理解できます。ここで急に看護協会の方に振って申し訳ないんですが、菊池代理人は全体の議論は聞かれていないので戸惑いがあるかもわかりませんが、しかし、今日出された御意見はまさに在宅も含めて、たんの吸引の安全管理についてきちんと体制を整えないといけませんよという、まさにその意見書ですね。ということで、何か今までの意見を聞いていて御意見があれば。
○菊池代理人 済みません、代理なので全体の状況を把握していないかもしれないんですけれども、先ほど申し上げた意見書につきましては、大島座長がまとめてくださったように、サービス利用者の安全性の担保が今、きちんとすべきことで一番重要なことではないかという趣旨で、意見を具体的に申し上げております。
 議論が実際に始まる過程で現場のいろいろなニーズがある、状況があるということを前提にこの検討会が始まったと聞いております。そういう中で、違法性阻却という形ではなくて、提供する側も安心して提供できる、受ける方も安心して受けられる体制をどうつくるかということで議論がされてきた中で、私ども看護師としましては、かなり心配している面がありまして、そういう観点から齋藤委員も発言させていただいているかと思います。
特に在宅につきましては、医師や訪問看護師がきっちり入っている例もありますけれども、必ずしもそうでない療養者もいらっしゃるということで、実態としてこういう医療的な気管カニューレ内の吸引などを必要とする方は実際には今の段階ではそんなに多くはないのではないかと思っております。そういうところでの研修なども実際にはなかなか症例の件数がとれなくて、きちんとした回数ができないということも報告されている状況の中で、どこまで広げてやっていくかということについて、やはり一つひとつを確実に、こういう体制でやってできるんだということを検証した上で、次の段階に入っていくということが基本的には重要ではないかと考えております。
ですから、まずはニーズがあった部分について、たんの吸引でも割と口腔内のものがかなり多くて、その奥の方まで行くのはもう少し減っていくんだろうとは思うんですけれども、きちんと医療安全体制を組織の中で整えて、本人たちも研修を受けて連携をとりながらやる中で、やった結果を検証し、こうやったらできるねということを確認しながら、次に広げていくという考え方がいいのではないかと考えております。
○大島座長 ありがとうございました。川村委員、どうぞ。
○川村委員 先ほど三上委員が指摘された部分は多分考察の部分だと思います。議論として先ほど三上委員が指摘されたように実際に少ないものであれば、それに対応するのは医療者で対応できないのだろうかという議論が出たところです。
 もう一つ、あの報告書は6月15日の3か月前に出ておりまして、どのように法律、制度が変わっていくかということを全く予測もせずに議論をして、それを書いているところであります。その趣旨というのは、まず医行為で特に気管内の吸引というものは呼吸器をつけていらっしゃる方が多いということで、達成度を見ますとやはり終わってから後の確認というものが不十分ではないだろうかということも考えているところです。ヒアリング結果でも、1人の利用者について実際に研修をし、そしてその方について試行をするということであればいいのだけれども、そうでない場合には非常に苦労をしたという内容があり、今回の不特定の者に対する方法ではリスキーな状態であるのではないかと考えたところです。
 まず趣旨としては、やはり医療者の対応を十分活用した上でこの事業が乗るというふうな土台の考え方が希薄ではないかということを考えています。
 2つ目には、安全を社会で担保する仕組みというものが、それまでの違法性阻却のところでは仕方がないですけれども、特に居宅の場合には事業者の責任というものがはっきりしていない。個別の介護職員や看護職員が責任を負うという体制では、非常に無理があると思います。定期的にきちんとした確認や評価、指導も入れない。それで、私としては看護協会の
齋藤委員が出されたこれをしっかりと書き込んでいただいた上で、認めたいと考えております。
 そのときにもう一つ、この事業がスタートするときには、訪問看護ステーション側に非常に混乱が生じるのではないかと思うのです。細かいことをきちんと周知されていないというところで始まってしまいますので、介護職の周知については研修でおこなわれますけれども、やはり一緒にやっていく訪問看護事業所や医療機関への周知もしっかりやっていただきたいと思っております。今の私たちの研究や意見というのは、不特定の対象に対してのことに限っております。
 以上です。
○大島座長 ありがとうございました。橋本委員、どうぞ。
○橋本委員 すべてに納得したわけではありませんが、当事者であり、事業者であり、患者団体の役員ですから、御多忙の皆さんに御議論いただいたことに感謝とお礼を申し上げます。今後は在宅患者の安全のために医療と看護には更なる御支援をいただきますよう、強く希望をしています。どうか御協力くださいませ。
○大島座長 ありがとうございました。
 平林先生にお伺いしたいんですが、法律のことになるといつもそちらに振って申し訳ありませんが、今までの議論でも、目標は何なのかというのは、これははっきりしていると思うんです。
それで具体的に法律を考えていこうとするときに、大きな方向はわかっても、今議論しているようにこういう場合もある、ああいう場合もあるというのがいっぱい出てきますね。平均値をとるのが法律だとは思っていませんが、最も例外中の例外というものを常に想定しながら、すべてを将来的にもカバーできるようなことを想定しながら法律というのはつくらなければいけないものなのか、あるいはある部分が欠落しているというのは必然的に避けられないということも一応頭の中に置きながら、足らない部分というのはいろんな省令だとか、あるいは何とか通知とか、いろいろありますね。ああいったようなものでカバーしていくという形でいくのか、その辺のいわゆる制度としてつくっていくときの考え方のようなものについて、何かこういう考え方もあるし、ああいう考え方もある。この場合だったらこういう考え方がいいのではないかということについて御意見があれば。
○平林委員 それはむしろ島崎先生の方が適任なのかもしれませんが、御指名ですので発言させていただきますが、少なくとも私の考えとしては、法律をつくる段階ではできるだけ起こり得る場合を考えて、それに対応できるような仕組みを考えるべきだろうと思います。
その中で、それを具体的に法律の体系の中に落とし込むときに、それを法律でどの部分だけ書いて、細かいところはどう政・省令で落していこうか。政・省令に落し切れないところはどう通知で周知徹底していこうかと考えていくんだろうと思います。
その意味で法律をつくるときには、繰り返しになりますが、できるだけ今日御議論があったようなあらゆることを想定して、それに対応できるようなものを何とか工夫してつくっていくというのがつくり方だろうと思います。ただ、法律ができてしまいますと、人間のやることですから思いもかけないことが出てくることは当然あると思います。そのときにはどういう趣旨でその法律をつくったのかということを明確にした上で、あとは今度は柔軟に法律の解釈をしていくなり、解釈通知をして柔軟に対応していくなりというふうになるのではないでしょうか。つくるときは厳格に、つくった後はその趣旨を尊重しながら柔軟に運用していくというのが、私の考えている法律のつくり方とその後の運用でありますが、そのようなお答えでよろしいでしょうか。
○大島座長 ありがとうございます。
 もう一つ、今日の議論を聞いていて、全体としてはこんなもんだろうというところなのか、ここだけは考えた方がいいのではないかというところがあれば。
○平林委員 合格か合格でないかということを言う資格は全くございませんので、それは差し控えさせていただきますが、ただ、今般の場合は法律ができてしまっています。そして、あとは省令に落し込むことになっておりますので、今日御議論いただいたようなことを踏まえて、省令でその中身をどういうふうに実現できるかということを考えていくしかないだろうと思っています。
そのときに、先ほど来の議論をお伺いしていまして、やはり1つ事務局というか厚労省に確認をしておきたいことは、資料3の2ページ目にイメージ図がございます。その介護福祉士のところで実地研修とあって、その後に3つパターンがあるわけですが、介護福祉士の実地研修の中身がどういうものであるかということについては、ほとんど触れられていなくて、室長の方から場合によっては介護職員の不特定多数の1の場合もあるし、2の場合もあるし、特定の者の場合もあるというような御意見があったと思います。私もそういうふうに実地研修は柔軟に制度化をしていって、必要な人が必要な部分の実地研修を受けてやっていくというのが、少なくともこの段階に至っての現実的な対応策としてはそれしかないだろうと思っております。
ただ、そのときに三上先生が最初に御質問されたように、下の3つは認定があるんですが、その介護福祉士のところには認定というものがないわけで、技量をきちんとマスターしたかどうかということの判断を事業者の責任でやるのか、あるいは登録研修機関の者がここでも出てきてやるのか、あるいはほかのものを考えているのか、そこだけは確認しておいた方が私はいいだろうと思っています。
 ついでで2つ目なんですが、もし仮に3つのパターンが実地研修の中にあったとして、その3つの関係をどういうふうに整理していくのか。例えば特定の者についての実地研修を受けた者がもう少し広げて一般の者に対してのケアをしたいというときに、ではどういうシステムで広げていくのか、あるいは簡易なチェック方法でやるのかという、これは細かにことになりますが、介護福祉士の実地研修についても3つのパターンを設けるとすると、その間の移動をどういう制度化をしていくのかというのも、もしかしたら問題になるのかなということを考えております。
 以上です。
○大島座長 ありがとうございました。
 島崎先生からも一言お願いします。
○島崎委員 いろいろなことを言い出すと切りがないのですけれども、1つだけ申し上げます。在宅で家族の方がやっていらっしゃる医療行為がいろいろありますね。勿論当然のことながら、そこには限度があり、例えばいくら家族が行うといっても手術はしないわけです。要するに、ここまではできるという範囲が自ずとあって、実際にその範囲内ではいろいろなことが行われているという実態があるのだと思います。
そういう実態を踏まえれば、家族ができることを専門家たる介護福祉士ができないというのはどうかと思います。勿論そこは患者と家族という個別性の問題とか、介護福祉士が行う介護業務が独占行為であるかどうかといった問題はあるとは思いますが、プロではない家族ができることを専門家たる介護福祉士ができないという線引きの仕方は妥当なのか、家族ができることは基本的に介護福祉士ができる範囲として認めるべきではないか、と私は考えています。
ちなみに、私は経管栄養とか気管切開がどんどん広がっていけばいいというふうには必ずしも思っていません。例えば、胃ろうがどんどん増えていくことが果たして医療の在り方として正しいのかどうなのかといったことについては、いろいろ議論がある話だろうと思います。その上で申し上げれば、これはこの検討会の席上何回も申し上げてきたことですが、医療技術が進歩していく中で、本質は介護ケアかもしれないけれども医療的なことが伴うサービス行為が発生するのは不可避的だということです。これは経管栄養とかたんの吸引に限らずほかの領域でもあります。
ですから、最初の頃の検討会で大島座長もおっしゃったことですが、私も、今後そういうことが広がったときに一々法律改正をしないですむようにした方がよいということを申し上げ、実際、確かに今回の法律を読むとそういう形で構成されたのだと思います。
ただし、誤解がないように申し上げますが、家族がやっていることだから何でも勝手に自由にできるようにすべきだということを私は申し上げているわけではありません。安全性の確保は勿論重要です。たとえば、本日の看護協会からの意見書の中にも書いてあるように入所者の状態が安定しているかという確認をきっちりするということは大変重要ですし、そのことを否定しているわけではありません。安全性をどうやって確保していくかということについては、この検討会でも随分議論がありましたし、実地研修の中でもそうした議論や検証事業の成果を踏まえるとともに、今後ともきちんとフォローアップしていくことが重要だと思っています。
 雑駁なことを申し上げましたが、申し上げたいことは以上です。
○大島座長 ありがとうございました。
 平林委員、どうぞ。
○平林委員 済みません、もう少しだけ付け加えさせていただきたいんですが、1つは前に申し上げたことなんですが、介護職がたんの吸引ができるというのは、たんの吸引が介護の主たる仕事ではなくて、本来の介護を、よりよい介護を実施するために必要な範囲でたんの吸引ができるんだという位置づけにしていかないと、介護の在り方としては少し変なものになってしまうのではないかということを、私は危惧しているということが1点。
 医療と看護そして介護との連携が必要だということはしばしば言われておりますし、それはそのとおりだと思いますが、ただ、そのときに介護職がたんの吸引ができるからと言って、ではたんの吸引は全部介護職がやればいいんだというふうに医療職、看護職が思っていただくと、これまたこの制度の本来の趣旨に反するだろうと思います。介護職がたんの吸引ができるのは先ほど来議論になっておりますようにすべてではないわけで、看護職あるいは医療職でなければできないたんの吸引というものもあるわけですから、齋藤委員が出されたペーパーにもありますように、だれが利用者あるいは患者さんのたんの吸引をどのタイミングでどうするかということの判断は、きちんと医療者がやっていって安全の確保を図っていくことは、この制度を運営していく上ではとても重要なポイントだろうと思っております。
○大島座長 ありがとうございます。
 本来業務は忘れるな。そこをきちんと押さえた上で時代の大きな流れだとか、状況の変化に対してどう対応していくのかという考え方は、この法律改正においてもきっちり押さえておくべきだろうという御意見でした。因委員、どうぞ。
○因委員 済みません、三上先生が先がいいのかもわからないのですが、まずここまで来ましたので安全に継続的にできるということを、私どもの組織も考えていきたいと思っています。それに関しては幾つかちょっと疑問というか不安があります。
まず研修カリキュラムについてですけれども、実際に基本研修を受ける介護職は意欲的な人が多いので、多くの人は基本研修を受けると思います。その後の実地研修ですが、先ほどからも出ていますように利用者の方が少ないわけですので、実地研修を受ける場所、ここで言うと登録実施機関となっていまして施設や事業所となっているんですが、そこがなかなか見つからなかったり、あったとしても実際に研修ができないということが生じると思うんです。
それで1つは基本研修とかシミュレーターの研修が終わった後、どれくらいの期間内で、2年以内でとか3年以内でとか、そういうことが見えていないのが1つ不安です。それは必要ではないかと思っています。
次に、登録実施機関で評価をするわけです。これはOJTでやってもいいということなんですが、そのときの評価それぞれの事業所で行うわけですので、質の統一を図るためにも評価基準をきちんとしていただきたい。認定の在り方もしっかりしていただきたいと思っています。研修等についてはそういうことです。
今から省令や運営基準等をつくっていかれるわけですけれども、在宅に関しては本当に不安があります。一生懸命やっていこうと思っておりますが、不安があります。その不安の1つは医療機関との連携が本当にとれるのかということなんです。ヒヤリ・ハット事例が試行事業の中でも幾つか出てきております。夜間や土曜、日曜お休みされる医療機関と実際にどうやって連携していくのかというのは大変不安ですので、その辺をきちんと運営基準なり症例の中でしっかり書き込んでいただきたい。病院や施設と違って利用者の家庭の中でヘルパー1人で行うことですので、その辺をお願いしておきたいと思っています。
ここで言っていいかどうか、一度言いましたら非常にひんしゅくを買ったんですが、新たな業務を発生させるわけですので、新たな業務に生じる専門性も勿論必要とされます。ですから、これは介護給付費分科会の行うことだろうと思いますけれども、当然報酬も担当するヘルパーに渡るようにお願いをしたいと思っています。
○大島座長 ありがとうございました。三上委員、どうぞ。
○三上委員 平林委員と島崎委員がおっしゃっていただたいたことは、私もそのとおりだと思いますし、現実的な対応をするべきだろうと思います。法律については法律ができて、それを省令に落し込んで、できないところは解釈通知を出すんだということで、以前に解釈通知でどうだという話をすると、非常に筋が悪いと言われたんですけれども、今はそういったことでいいんだというようなことをおっしゃっていただいたので、よかったなと思います。
それともう一つは現実的な問題として、先ほど介護福祉士試験の実地研修の後に認定がないんです。これをどうするのか。先ほどから認定を標準化してもらわないと困るという意見がでています。これをそれぞれの事業所で勝手にされるということになりますと、質の担保もできないし、これは医行為の喀痰吸引でも気管カニューレまでの資格認定ですから、これはかなりはっきりした形でどこがどういうふうにしてするのか。認定試験もあるのかといったことまで含めてきちんとやっていただきたいなとは思います。
 今後、省令でいろいろと書き込むということなんですけれども、現在既に法律ができてしまったので、そこを頑張るしかないわけですが、それは事務局が勝手につくるのか、もう一度こういう検討会でどういう形にするのかという話をするのか、その辺のところについても少しお伺いしたいです。
○大島座長 ほかに御意見いかがですか。先ほどから議論になっている、認定の在り方、研修の幾つかのパターンについて、これの整合性みたいなものをどう考えていくのかという問題があります。認定の在り方について一体だれがどのようにやるのかということについては、確かに明快なものが出ていないので、これについて今、どこまで考えているのか、あるいはどういう考え方があるのか、あるいはこうすべきだろうということがあればはっきりさせていただきたいということと、もう一つはずっと底流で流れているのは実際のサービスを受ける場ではいろんなバリエーションがありますが、安全確保の問題の在り方というものについて、もう少しわかりやすい形にすべきではないかという御意見が非常に強くあるようです。その辺について事務局の方から。
○泉福祉人材確保対策室長 まず介護福祉士が行う実地研修の認定の問題についてお答えいたします。平林先生からは認定という言葉がここにないのだけれども、実地研修がきちんと達成されたという確認はだれがするのか。また、三上先生からも認定という言葉はないんだけれども、どう確認するのかという御質問があったところでございます。
 結論から申しますと、ここで介護福祉士が行います実地研修も不特定多数の者に対する研修の中で行われる実地研修と同一の内容を考えております。ただ、この実地研修が行われたということを確認する方というのは、介護福祉士の場合においては養成課程の中で実地研修ができれば、それは養成施設が確認することになりますが、そうでない方については喀痰吸引等を事業者様において行っていただくことになります。
 なお、ここで認定という言葉自体を書いていないわけですけれども、実態といたしましては修了証明書を実地研修を行った当該事業者において発行していただき、それを国の責任において確認するという仕組みをつくってまいりたいと考えております。
○大島座長 よろしいでしょうか。どうぞ。
○川又振興課長 2点目の安全確保措置でございます。特にこの検討会でも議論になりましたのは施設のみならず、在宅でどうするかというところだと思います。そこで我々も安全確保措置の基準あるいは介護職員と看護職員との連携体制というところで、施設とか特に在宅でどうするか。一緒にするのではなくて、分けてきめ細かく省令通知あるいはその下のレベルのいろいろな様式で示していきたいと考えております。例えばマニュアルでありますとか、業務方法書、様式、どんな方法で報告をするのかとか、ヒヤリ・ハットのチェックリストのようなものでありますとか、その報告例でありますとか、できる限りきめ細かく在宅、施設ごとに分けて、特に在宅の方はいろんなこれまでの御意見、いろんな先ほども御紹介がありました調査研究で指摘されていることなども踏まえて、きめ細かくつくっていきたいと思っております。
○大島座長 桝田委員、どうぞ。
○桝田委員 実地研修の認定の前の評価を行う人の問題なんですけれども、実際に実地研修は登録事業者の方で行われる形になると思うんですが、その評価をする基準とかやり方などの検証を行わないと、評価ができないと思うんです。その研修体系を早く確立していかないと、実際の基本研修が終わっていざ実地研修を始めても、評価ができないということが起こってくる。各事業所のいわゆる看護師さんが一番評価をする方になる。医師でもいいわけですけれども、その方がなりますので、都道府県単位ぐらいの研修体系をつくってあげないと難しいんだと思うんです。この評価基準がきれいに決まってきて、それに応じた評価をする。
試行事業のときに出ていますけれども、65ページのところで1つの回数とケアの施行に進むための3条件という部分で、65ページの書き方で?~?と3条件になっているんですけれども、3回以上連続して成功するという?と?の最終3回が不成功が1回もないというのは、?が含まれていて、3条件ではなくて、どちらかの条件をとるかというのがまだ煮詰まっていないという部分もあります。ここも含めて少し細かな部分ですけれども、詰めて評価をする方法を何らかの形でちゃんと統一化する必要が1番にあるんだろう。それもいわゆる登録事業者の方は、必ずその看護師さんなりが統一した評価ができるような体制づくりというのを、まず築く必要があるのではないかと思います。
○大島座長 やはりいろんな委員から質の担保というか、事業者の質の担保、事業者が評価者になるのかというのもありますが、研修の内容の質の担保とか、そこから出てきたアウトカムについてどうそれを評価していくのかということについて、相当気がかりであるという御意見がありますが、その点についていかがでしょうか。安易過ぎるのではないかともとれる意見もあります。
○島崎委員 その点については、私も今の事務局の答弁を聞いていて多少どうかなという気がします。技能修得にはいろいろなやり方があって、オンザジョブトレーニングを重視するという考え方もあります。その類推で考えれば、この実地研修の後に認定という行為が入らないのは、それに近いのかなという感じがします。けれども、実地研修をしなければ、その行為はしてはいけないということまで明確に言い切るのであれば、それは介護福祉士ではない方に関する「認定」と全く同じ言葉を使うかどうかは別にして、一定の水準に達しているということの確認行為がなければ、適正な登録・管理そのものができないのではないかという気がします。そこはきちんと考えた方がよろしいのではないかと思います。
○泉福祉人材確保対策室長 実地研修におきまして必要な水準が達成されるということについての確認は、しっかりするような仕組みをつくってまいりたいと思っております。
○大島座長 橋本委員、どうぞ。
○橋本委員 今、現実に在宅で吸引等を訪問看護師さんと介護職員で実施しているんですけれども、いろいろ問題はあっても連携しながらやっております。今回、試行事業をしました団体として、訪問看護師さんの方から大変に負担になるという御意見がありました。なので、余りいろいろこの先条件をきつくされますと、実際にケアに関わる人たちの負担がさらに重くなって、私たちが望んでいる成果とは違う方向に行かないかというふうに橋本は心配をしております。
○大島座長 議論しているのが安全の担保ということですから、厳しくすることが安全の担保につながるかどうかは別にして、安全ということを言えば言うほど厳しくなる方向に行きます。今のやり方で十分ですと言うのはあれにしても、もうそこそこ安全ということに関してはクリアーされているのではないかと理解してもいいと。
○橋本委員 決まりをたくさんつくれば安全という問題ではない。橋本が看護師さんの負担を増やさないようにしてくださいと言っています。
○大島座長 ありがとうございました。
 今日御発言のない方で、もう時間が限られていますので、河原委員、どうぞ。
○河原委員 今日の検討会の最初に、前回のときにいろいろ質問をした内容について答えていただいたので、発言を控えていたのですが現場で働く者にとって基本研修50時間をどういう受け止め方をされているかしれませんけれども、1日5時間でも10日間留守をしなければいけない。タイトな仕事をしている人たちにとって、50時間を作るということは結構厳しいということをわかっていただいて、こういう研修を受ける方あるいはそれを送り出す事業者の方に何らかの助成等をしていただかないと、思った通りにいかないのではないかという心配していましたので、それについてはお答えしていただいてありがとうございました。
 重複してしまいますけれども、因委員さんがおっしゃったように、これからたんの吸引等が介護士さんでもきちんとできて、同じ行為の中で看護を頼むと点数が高くて、介護を頼むと安上がりというイメージができると、当然利用者の方はこの程度のことでどちらもやっていただけるのであれば、利用者は安い方を選ぶと思います。そうなってくると、どこかできちんとしておかないと介護する方の行為が安上がりだというイメージをつけてほしくないと思います。私の方からもお願いしたいのは、報酬で何らかの対応をしないとまずいだろうと思います。
 しばらくこの会がないというか、今日で終了するのかわかりませんが、以前に私の方から言いましたけれども、現場の人たちはこのことよりも、もう一度言いますが、巻き爪のことだとか、インシュリンも打っている方もいらっしゃったり、いわゆる法違反をしている方が結構いらっしゃるんです。最初の1回目に言いましたけれども、私は医行為と言われているものは法律違反ですから絶対にすべきではないと言ったんですが、ここではそういう議論ではないということでしたので、ここまでたどり着きましたけれども、たんの吸引というのは極めて少ない例でもっと本当に現場が困っているものについてどうしたらいいのかということについても、座長も引き続きそういった議論につながるようなことではいいのではないかとどこかでおっしゃったと思いますけれども、現場はそちらの方がより悩んでいる、より課題を抱えている、法違反をせざるを得ない中で大変頭を抱えていることも是非わかっていただけないかなと思って、最後ですけれども、発言させていただきました。
○大島座長 ありがとうございました。川村委員、どうぞ。
○川村委員 さきほど、橋本さんの方から大変優しい言葉をいただいたのですけれども、それを別の言い方で看護職としての立場から言わせていただきますと、看護師は負担を減らしていただきたいと思っておりません。必要なことはきちんとして、安全な医行為を皆様に提供できるようにしたいと思っております。それはチームであるのか自分たちだけでやるのかということにこだわっているわけではありません。けれども、それができる体制、条件をつくっていただきたいということが、先ほどの看護協会の齋藤委員の提案の中にあると考えております。是非そこのところはお酌み取りいただきたいと思います。
 以上です。
○大島座長 三室委員、どうぞ。
○三室委員 研修の内容についてのところが話にならなかったので、特定の研修のところで一番最後のページですけれども、さくら会の方で取り組んでいただいて本当にありがとうございました。これは特定ということなので学校は学校として行っていきますので、例えば学校生活であったり、具体的に言うと経管栄養だったりたんの吸引の内容だということで、学校がこれまで進めてきたことを行うような研修内容と理解させていただいてよろしいでしょうか。
○大島座長 三上委員、どうぞ。
○三上委員 最後になるかどうかわかりませんが、議論する前にケアマネジメントの大切さを皆さんちゃんと理解しながら議論していただきたかったと思います。ケアマネジメントがちゃんとできないのを何とかするという議論なくして、法律を変えて、合法化するんだという話になっているのが非常に残念だったと思います。
 今日の議論の中でまだ結論が出ていないのは、実地研修の認定の仕方とか評価の仕方をどうするかということについてはお返事をいただいておりませんし、また、省令案についても全く示されていないので、これについて今後どのように扱うのかということについてお伺いしたいと思います。
○大島座長 ありがとうございます。
 もう時間が残り5分なのですが。
○橋本委員 橋本なんですけれども、一言よろしいですか。
 川村先生、単価を上げる努力をしてくださいということです。
○大島座長 ありがとうございます。
改めて言わなくても、今日の会議で省令でどう整理するかということについては、了解が得られたものと判断させていただきたいと思います。
ということで、この検討会も今日で基本的には終わりです。ただ、幾つかの課題は勿論残っておりますので、三上委員が最後に、途中でも言われましたけれども、省令の具体的な内容と今日まで議論したこととがどうなるのかということについては返事をもらっていないので、それをこれからどうするのか、そして今日までいろんな議論がありましたが、そういったことも含めて最後に局長の方から、総括的にまとめのお話をいただければと思います。よろしいでしょうか。
○宮島老健局長 いろいろ御意見これまでありがとうございました。
 もともとこの話は平成22年6月18日の閣議決定で、こういう医療行為を介護福祉士あるいは介護職員にもできるようにするという閣議決定があって、それを22年度中に結論が得るという前提から始まったということであります。その過程でいろいろ私どもも、これはいろんな閣議決定が3つぐらいあったり総理からの指示があったりということが昨年あったわけですが、関係審議会ということでは介護保険部会の方でも法律改正を行うということでの答申もいただいたという中で、私どもとしてはこれは大変広がりの広い話ですし、関係者も多いということで、こういう会を設けさせていただいて、大変御熱心な議論をいただいてきたと思っているところです。
 私どもも高齢者、特に75歳以上の方が多くなる、あるいは障害者の方のノーマライゼーションということで、在宅の方で生活していくというのが主体になってくる流れの中で、この介護職ということを改めて見直していった場合に、やはり現場の要請、これからの時代の流れを考えると、医療行為の方に踏み込んでいただくというのは大きな方向だろうと思っております。
これは確かにこういうことをやると、ある意味では医療行為という新たな行為類型を行うものですから、全く新たな資格制度をつくったみたいな形になるので、その辺でそういう今回のこの法律改正の資格の在り方あるいは安全性を確保しながら、どうやって新しい行為を正式なものとして介護福祉士あるいは介護職員の中に取り組んでいくかというようなことで、段階を踏んだ考え方というのが必要になっている。現実的には介護福祉士というのは医療行為をしないというもので始まっていますし、福祉の現場というのは必ずしも皆さん資格を持っていない方も携わっておられるという中で、全く新しい行為を組み入れてくるということで、段階のそれぞれに対応した取組み、しかも新しいことをやりながら、なおこの安全性をどう確保していくかといった側面でいろいろわかりづらいところ、あるいは議論のあるところ、いろいろ議論させていただきました。
国会の審議でもこういうことを新たにやることはいいんだけれども、こういう行為を拡大していくというのは今後の方向なんだけれども、やはり安全性の確保をどうやっていくんだということが議論の中心だったと受け止めているところです。
 今日までいろいろ多岐にわたる御議論をいただきましたので、これから私どもは省令をパブリックコメントにかけるという段階でございますので、これはかける前に今日お集まりいただいている委員の皆様の方にはお届けさせていただくということですので、また御意見をそれに基づいていただければと考えているところです。
 それから、途中の過程で少し法律の扱いとして、事前にお配りするプロセスが欠けていたという点については、私どもの方もその点については御意見いただくべきであったということで、そこは申し訳ないと思っております。ただ、この法律改正の実施責任というのは当然私ども厚生労働省にあるということでございますので、その点については配慮が欠けていたと思いますが、私どもは円滑な施行についての責任は厚生労働省において実施させていただくということで御理解いただきたいと思っております。
 これからも実際に施行するまでの間、あるいは施行してからのいろんなことが現実問題として起こってまいりますので、お気づきの点等、広くまた御意見をいただければと思っているところです。
 本当に熱心な御討議をいただきまして、ありがとうございます。
○大島座長 どうもありがとうございました。本当に1年間にわたって大変にありがとうございました。


(了)
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