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2011年9月20日 第5回国立病院・労災病院等の在り方を考える検討会議事録

医政局国立病院課国立病院機構管理室

○日時

平成23年9月20日 17:30~19:00


○場所

中央合同庁舎5号館 18階 専用第22会議室
東京都千代田区霞が関1-2-2



○議題

1 国立病院・労災病院視察結果の報告について
2 その他

○議事

○相川座長 それでは、定刻より少し早いですが、委員の皆様、事務局おそろいのようですので、ただいまから第5回「国立病院・労災病院等の在り方を考える検討会」を開催いたします。
 委員の皆様には大変お忙しい中を御参集いただきまして、誠にありがとうございます。本日は岩村委員が欠席となっております。
 まず、議事に入ります前に、事務局から人事異動のあいさつがあるとのことです。事務局、お願いいたします。
○宇口国立病院機構管理室長 それでは、7月29日付けで労働基準局労災補償部長と国立病院課長の異動がございましたので、ごあいさつさせていただきます。
 鈴木労災補償部長でございます。
○鈴木労災補償部長 7月29日付けで労災補償部長を拝命しました鈴木でございます。よろしくお願いいたします。
○宇口国立病院機構管理室長 片岡国立病院課長でございます。
○片岡国立病院課長 同じく7月29日付けで国立病院課長を拝命いたしました片岡でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○相川座長 本日の議題はお手元の議事次第にあるとおりですが、1として「国立病院・労災病院視察結果の報告について」、2として「その他」ということになっておりますので、御審議いただきたいと思います。
 それでは、議事に入ります。まずは国立病院・労災病院視察につきまして、視察に参加されました委員の先生方には大変お忙しい中、御参加いただきまして、ありがとうございました。大変強行軍でございました。また、視察の日程調整の段階で既に先約などがございました委員の先生方には、御都合がつかず参加いただけなかった方もおられましたけれども、座長の判断で誠に恐縮ながら、参加委員の数が最大となる8月23日を視察日とさせていただきましたことを御了解ください。
 さて、その報告書をとりまとめましたので、まずは事務局から簡単に資料の説明をお願いいたします。
○西嶋課長補佐 8月23日に視察をいたしました3つの医療機関、旭川医療センター、北海道中央病院及び同せき損センターの視察報告書をお手元の資料として御用意させていただいてございます。
 まず国立病院課から、旭川医療センターについて簡単に内容について御説明させていただければと思います。
 この報告書、1ページのところに医療センターの概要が書いてございますが、ここはお目を通していただきまして、5ページに視察のまとめということで大きく4点まとめさせていただいておりますので、御紹介させていただければと思います。
 政策医療という観点から申しますと、結核、筋ジストロフィーなどのいわゆる神経難病の医療を提供しているということで、特に結核についてはこの病院の対象の患者さんの半数が1時間以上かけて遠くから来られるというような病院長の先生からのお話もございましたが、広い北の地域のこういった政策医療を担っているということでございました。
 そのほかこのセンターには、ここに書いてございますように、COPDセンター、パーキンソン病センター、代謝・糖尿病センターということで、専門性の高い治療を提供しているということでございました。
 2つ目の○でございますけれども、地域の中での病院ということで、そういった政策医療だけでなく、いわゆる一般の医療、消化器疾患や循環器あるいは呼吸器疾患等の取組みについても近隣の医療機関と連携しながら取り組んでいるということでございました。
 3つ目でございますが、国立病院機構のネットワークを活用して、EBMあるいは大規模臨床研究、こういったものを1つの病院としてその役割を担っているということで、治験も含めてそういった取組みの紹介がございました。また、旭川医大を含めました医師の卒前・卒後の研修あるいは医療関係者への教育・研修ということについても力を入れているということでございました。
 最後に4つ目でございますけれども、結核医療は赤字ということでございますが、政策医療だけでなく一般医療も積極的に行って補完しているということでございました。1つ問題点としては、政策医療に従事する若い医師が少ないということで、医師の確保あるいは育成というものが大変だというお話でございました。
 6~8ページにわたりまして、委員の先生方に視察していただいたところの部署について、写真とともに概要を掲載させていただいております。特に1つ目の呼吸器内科のところでは、陰圧管理された20床の病床について、実際にN95マスクをして委員の先生にも入っていただいております。
 2つ目のリハビリ棟につきましては、神経難病あるいはCOPDの患者さんの訓練を比較的広い訓練室でやられているということで、そこの様子についても視察していただいております。その他、放射線科、検査科、治験管理室についても書いてございますが、お目通しいただければと思います。
 旭川医療センターは以上でございます。
○木暮労災管理課長 続きまして、9ページ以下、労災病院の関係でございます。
 まず、北海道中央労災病院は岩見沢にございますけれども、後ほどのページにもございますが、美唄の労災病院と合わせまして、炭坑地帯の病院として開設されました。この岩見沢の方はじん肺を中心とする内科系、美唄の方は落盤事故などによるせき損を中心とした外科系という形で、この2つの病院で炭鉱の医療をカバーするというのがもともとの設置の趣旨でございましたが、その後、この2つの病院は総合病院化したわけでございますが、赤字問題さまざまございまして、平成16年の再編計画を経て、現在は岩見沢の方は北海道中央労災病院、美唄の方は大幅に機能をせき損に特化した北海道のせき損センターとしてスタートしているということでございます。
 概要でございますけれども、11ページのところに岩見沢の政策医療の中心でございますじん肺、アスベストの現状を書いてございます。視察の場では、このじん肺患者の1日当たりの入院単価が非常に低いということで、具体的な他科の入院単価が示されました。
 アスベストの関係で申し上げますと、アスベストの小体計測と申します労災の認定に必要な作業でございますけれども、非常に多くの工程があって手間暇がかかりますが、費用対効果に見合った収入が得られていないという話がございました。
 12ページ、じん肺につきましては相当な数の症例を診察あるいは研究しているということでございまして、近年ではモンゴルなど海外に対する研究成果の普及も行っておりますし、北海道大学の大学院の連携講座という位置づけにもなっているということでございます。1日当たりの患者数も北海道という地域性もあって相当程度に上るという御紹介がございました。
 13ページはアスベストの関係でございますけれども、このアスベストの関係に加えまして、岩見沢では振動障害センターというものを開設いたしまして、振動障害についても取り扱っているということでございました。
 14ページ、まとめでございますけれども、近年、石綿関連の疾患が増加していくということでございまして、中皮腫など診断が難しい疾病について、やはり専門的な知識を有する医師でありますとか、そういう労災認定の専門的な知識を有する医師の養成が求められている。そういうものを扱っている総本山が岩見沢でございますので、ノウハウや研究成果のより一層の普及が必要だということであったと思います。現在の診療報酬体系では、じん肺、アスベストについて十分な評価がなされていなくて、こういう政策医療の中で一般医療が下支えしているということでございました。
 また、急性期医療、その地域医療を行っているという話もございました。実際の視察の写真は15~16ページに付けておりますけれども、16ページのところではアスベスト小体計測に必要な遠心分離機でありますとか、さまざまなものについて御視察をいただいたということでございます。
 17ページからはせき損センターでございます。せき損センターは今157床という形でやってございますけれども、18ページのところにせき損の医療の評価が書いてございます。せき損関係の入院患者の約4割が労災患者ということでございますが、やはりせき損患者の場合は看護に非常に負担がかかる。一般患者の3倍近くの負担が必要ということで、いろいろな点数化をしたところ多くの負荷が医療関係者にかかっているということでございました。一方、診療報酬体系においては負担に応じた収入が得られていないということでございました。
 具体的な政策医療の取組み状況は19ページのところでございます。一般的なリハビリテーションに加えまして、特にせき損患者の社会復帰に向けた住宅改良相談、ADL訓練室による訓練、あるいはピアサポート、職場訪問調査というようなことを実施しているということでございました。
 20ページにおいては、せき損関係の医療についてもセミナーも開いているということでございました。
 21ページにまとめがございます。労災病院としてこれまで多くのせき損医療をやってきたということでございまして、こういうものをより広めていく必要があるという話でございます。
 2点目でございますが、こういうせき損医療の専門的施設につきましては、少なくとも労災病院グループにおきましては2か所、北海道と九州にしかないということでございます。せき損医療というのは全国的に非常に難しい上に採算が合わない医療でございますので、こういうことに全国的に対応するためにこのような重要分野の強化を図ることが求められるという話がございました。また、診療報酬体系の今の体系ではなかなか報われないという話がございました。
 美唄地区というのは非常に患者も高齢化しておりますし、地域の病院自身の医師も高齢化しているということでございまして、美唄地区の地域医療の向上も重要であるという話があったかと思います。
 22ページ以下は、ヘリポートから始まりまして、ADL訓練室、操作訓練用の車両などについて御見学をいただいたということでございます。
 以上でございます。
○相川座長 ありがとうございました。報告書にはそのほかの幾つかの資料がついておりますけれども、今は主に「まとめ」を中心に説明していただきましたが、まずこの報告書に関しまして、御参加いただいた委員の方から追加のコメントなどをいただいた後に、全員で報告書についての検討等をしたいと思いますが、そのような進め方でよろしいでしょうか。
 それでは、五十音順で失礼ですが、ただいまの資料を踏まえつつ、工藤委員、いかがでしょうか。
○工藤委員 工藤です。3つの病院を見学させていただいたんですが、3つの病院ともまず最初に政策医療としてどういう役割を果たしているか、地域医療の病院でどういう役割を果たしているか、3番目に経営の状態がどうであるか、ここの3点について最初にプレゼンテーションがあって、その後、施設の見学をさせていただきました。
 私、呼吸器科医ですから、結核あるいは珪肺等に対して大変関心を持って見させていただきました。旭川医療センターでは、もともと結核療養所だったわけですけれども、結核について少ない医師で頑張っておられる。特に驚いたのは、岩見沢を扇の要としてそこから約90度西の方で稚内、東の方で網走まで、扇の形でその面積は九州と同じだということですけれども、その広大な地域に旭川医療センターの医師を除くと、開業医の先生も含めて呼吸器科医は3人しかいないとのことです。
 神経内科、筋ジストロフィーもやっているわけですけれども、神経内科医は医療センター以外はゼロということです。本当に大変なところで、特に結核ではDOTSという直接面接をして服薬指導をするというのが重要ですが、遠い保健所まで出かけるのに片道4時間半かかるというような中で、結核医療を守っているということで、大変驚いたし、また感銘も受けました。
 次に、美唄のせき損センターに行ったわけですが、美唄は、勿論、炭坑があったところで、せき髄損傷が落盤等で起こったという歴史的経緯がよくわかります。150床で岩見沢の中央労災病院の附属病院として機能しています。国内には、このせき損センターが北海道に一つ、もう一つはやはり炭鉱の町であった九州の飯塚に1か所だけ。このせき髄損傷というのは大変な障害で、寝返りは打てない、排便排尿の神経がやられている、そういう方を介護する、また医療を加えるというのはとても大変です。看護力として3倍ぐらい普通の患者さんよりかかるということでした。こうした患者さんをヘリコプター等で運んできて、センター化してやられている。ある意味では大変うらやましく思ったというか、本当は日本全体にもっと何箇所かないといけないのではないかなということを感じたわけです。
 元の珪肺労災病院であった岩見沢の中央労災病院ですけれども、じん肺、特に珪肺症でありますが、発足以来1955年から珪肺の剖検例が800例というのは、どこから見ても日本で最大のセンターと感じました。栃木県の珪肺労災病院がなくなった現在、アスベストについては岡山などでもやっていますけれども、しかし、珪肺に関してはあそこが最大のもので、また歴史的蓄積があることを感じてまいりました。
 先ほど言い忘れましたけれども、せき損に関しては、勿論、今、落盤事故というようなことではなくなっていると思います。交通事故や高齢者のベッド転落等でも起こっているわけであります。こういう非常に特異な分野になりますけれども、やはり政策医療に関してそれぞれの3つの病院は本当によくやっているなという印象を持ちました。
 最後に地域医療の問題については、大変象徴的であったのはせき損センターで150床とはいえ内科系の病気はあるわけで、内科の先生は病院長の先生お一人でやっておられるという本当に大変だなと思って、この視察の後で北海道大学のある教授に会って、「美唄に行ってきて内科の先生は院長さん1人だった」と言ったら、「前はたくさん送っていたんだけれども、今は大学の方にもお医者がいなくなってしまった」というようなことで、これは地域医療側で言うと北海道での医師確保の難しさが如実に出ているのではないかと思ったわけです。
 総括的に言いますと、政策医療についても、地域医療についても、それぞれの歴史的な過程を踏まえながら非常によくやっておられるなということを感じてまいりました。
 以上です。
○相川座長 ありがとうございしまた。
 続きまして、高橋委員、コメントはございますか。
○高橋委員 少しだけですけれども、行ってみまして最初に感じたことは、それぞれの病院が地域の核になって、もう既に地域のいろんな病気への対応を政策医療とともに担っているという印象を強く受けました。
 今、工藤委員からお話しいただいたように、政策医療の中で極めて特殊な技術といいますか、積み上げといいますか、そういうものをお持ちでいらっしゃるということも印象的でした。今、細かいことは避けますが、特にアスベスト小体の分類、これだけ石綿の問題が社会問題になっている中で、病理検査上必要だと思いますが、そういうことを北海道で担っているということを聞きまして驚きました。特に象徴的に覚えていますのは、虎ノ門の呼吸器科からもサンプルが届いているということです。これを見て、そういう機能をつぶしてはいけないな、むしろもう少し広げていかないといけないなと感じました。
 次にせき損センターですが、九州の総合せき損センターも見せていただいたことがあり、なぜこれが北海道と九州なのかなと考えました。そして、ほかの地域にある病院が担っている部分もあると思いますけれども、家庭に戻すあるいは職場とのつなぎ、そこまで含めてスタッフの方がケアするというやり方というのはなかなか難しいのではないかと思いました。したがって、そういうことを担うスタッフの方がもっと増えるということや、その養成の機能ということも大切ではないかと思いました。
 総じて、前向きに評価できることが多かったという印象です。我々が在り方を考える上で、特殊な機能ですとかスタッフのやる気とか、スタッフの養成、そういったことが陰ってしまうようなことを言ってはいけないなということを考えながら戻ってきた次第です。
 以上です。
○相川座長 ありがとうございました。
 引き続きまして、山田委員、御発言ありますか。
○山田委員 ほとんど工藤委員のお話しされた内容とダブっていると思いますけれども、旭川医療センターにつきましては政策医療として結核に関して道北医療圏唯一の専門病院だということ、筋ジストロフィーに関しては北海道内では成人の筋ジストロフィーの病院としては唯一の専門病院だと。ほかに小児の病院が1か所あるとお話を伺いましたけれども、この2つの政策医療については非常に熱心にやられていると考えております。
 私どもの日赤は旭川に旭川赤十字病院というのを持っておりますが、そこで旭川医療センターの評価というのを聞いてみたのですが、この政策医療に関しては非常に熱心にされて、旭川赤十字病院からも結核の患者が出た場合にはこちらへ送っているという話を聞いていますし、数は少ないけれども、筋ジストロフィーもお願いをすることが多いということで、政策医療については道北圏内で非常によく頑張っていただいている。ただ、地域医療に関してはほかにも幾つか同じような地域医療をやっている病院があるので、そちらには力は少し差があるのではないかというようなことを言っておりましたが、これは各病院自分がやっているところを自慢いたしますのでこれはいたし方ないところかもしれません。
 北海道中央労災に関しましては、じん肺、アスベストに関してはここが群を抜いた専門病院として頑張っていただいていると見受けられましたし、北海道中央病院せき損センターに関しましては、やはりせき損の患者というのはどの病院でもなるべく扱いたくない、入院をさせたくないという傾向が見られるわけですけれども、ともかくヘリで急性期の患者を引き受けて急性期医療をやっていただいている。全国的に見ても、その2か所のみの専門病院であるということから、この存在価値というのは非常に大きいと考えております。
 今回拝見した3つの病院は、恐らく国立病院機構についても労災の方にいたしましても、多分それぞれの病院の中でもかなり特徴的にはっきりしたものをお持ちの病院を見せていただいたのではないかなというような気はいたします。この3つの病院を見せていただいた限りは、これだけでどこかの病院に統合しなければいけないとか、両方の機構を1つにしなければいけないというような印象は受けられませんけれども、この3病院以外の個々の病院についてそれぞれ中身についてはもう少し詳しく検討した上で最終的には考えなければいけないのではないかなと印象として受けました。この3つの病院に関しましては、大変立派にそれぞれ独立した考え方でやられていると思います。
○相川座長 ありがとうございました。私は座長としてではございますけれども、今3名の委員の方がおっしゃったことに尽きるわけですが、特に山田委員がおっしゃいましたけれども、今回は、あえて政策医療を特徴的に行っている病院で、かつ1日で回って来られるようなところを選んで行きましたことからもしれませんが、政策医療に対する見方というのが現場を見てがらっと変わりました。
 昔、結核療養所なども見てはおりましたけれども、せき損、筋ジストロフィーあるいはじん肺の患者さんを目の当たりにしまして、一般の病院でこのような患者さんを受け入れるのはなかなか大変ということと、もう一つは特に筋ジストロフィーなどは非常に発生数が少ないんですけれども、成人型で発病してきたときに、例えば近隣の病院に入院するといっても専門家はいないというようなこともあって、ある程度集中させていくことによって医療の質が上がる、更には病態・治療に対する研究も進むという印象を受けたわけであります。
 結果としては、特に政策医療という点では特徴的なことを見てこられたと思います。また、公的病院としての役割というところになりますと、どうなんでしょうか、例えば公的病院でも国立大学あるいは公立の大学病院とか県・市立病院などがありますけれども、政策医療に力を入れているので、ほかの病院と比べてどうかということも見てはまいりましたけれども、それなりに今回は特徴的なことを見せていただいたと思っております。
 以上の視察に参加いただいた委員の御発言も踏まえまして、この後ではほかの委員の先生方からも御質問あるいは御意見をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
 渡辺委員、どうぞ。
○渡辺委員 まず質問なのですが、特に労災の後の2つ、美唄と岩見沢、ともに診療報酬単価が極めて低いというお話で、中央労災の方も11ページに数字が書いてございます。具体的に、特にじん肺の診療報酬が、例えば他に比べてどうだみたいなわかりやすい数字があれば欲しいということ。せき損についても18ページに負担に応じた収入が得られていないという表があるんですが、これも率直に言ってよくわかりにくい。点数は書いてありますけれども、なぜ負担に応じた収入に見合っていないかということがわかりにくいので、もう少しわかりやすい診療報酬が低いというのがあればお示しいただきたいというのが1点。
 もう一点は細かいことですが、せき損が美唄と飯塚しかないというお話を伺ったのですが、先ほど工藤先生からお話があったように、今、せき損は大半が交通事故、高齢者転倒なんです。そうなると、全国的にあり得るわけです。そうすると、ほかのせき損患者は現実にはどうなっているのかということがもしわかればお教えいただきたい。とりあえず以上です。
○相川座長 管理課長、どうぞ。
○木暮労災管理課長 じん肺アスベストの診療報酬の関係については、それぞれの病院からいただいた資料の一部を抜き出してしまいましたので、見にくかったと思いますので、次回その基となって計算も含めて再度資料を提出させていただきたい。わかりやすい形で提出させていただきたいと思っております。
 せき損の関係でございますけれども、地域地域によってどうかというのはすべて分析したわけではございませんけれども、労災病院グループでは名古屋にございます中部労災病院がせき損関係の1つの拠点になっておりまして、そこでたしか平成14年に調査したところ、中部地域のせき損患者の大体4分の1を中部労災病院が扱っている。そのぐらいシェアがあるという調査をしたことがございました。
 いずれにしても、労災病院はすべて整形外科とか泌尿器科とかそろっておりますので、労災病院であればほとんど全部の労災病院に人数の多寡はかかわらずせき損患者がいる。今、御紹介した中部労災病院が地域において結構なシェアを持っているという状況でございます。
 更にもし状況がございましたら資料を次回提出させていただきたいと思っております。
○渡辺委員 追加で。例えば東京みたいな大都会なら、失礼ながらもっと患者さんがいらっしゃるのかもしれないわけです。そうすると、これだけ診療報酬単価が低いと一般病院、特に民間病院ではなかなか引き受けたがらないと思う。ならば、例えば今おっしゃったように労災病院が全国的にどの程度のせき損患者の方を引き受けているかといったものがもしわかれば教えてもらいたい。これはまた次回で結構ですけれども、お願いします。
○木暮労災管理課長 先ほどたまたま中部で平成14年に調査したというのがございますので、シェアがわかるのは一部かもしれませんけれども、何人ぐらい受け入れているかという資料については用意させていただきたいと思っております。
○相川座長 これに関しては、国立病院でもせき損患者は多少入っているということだと思いますので、国立病院でも例えば年間何人ぐらいとか、どこの病院が非常に多いとかというようなデータはついでに次回までに出していただけますか。
 渡辺先生、それでよろしいですか。
○渡辺委員 はい。
○相川座長 ほかに御意見ございますか。質問あるいは御意見はございますか。
 相澤委員、どうぞ。
○相澤委員 私は大変学校が教育に熱心なもので、そのとき講義がありまして参加できないで申し訳ありませんでした。1つだけ、今、皆さん参加された先生からもお話がございましたけれども、今回訪れた3病院については、非常に特徴的な政策医療をしているということで、この委員会が合理化ということですので、この3病院について統合した場合にどういったメリットがあって、またデメリットがどういうものかというようなこと、今の感じではメリットは余りなくてデメリットが多いのではないかというニュアンスは十分感じたんですけれども、そういった面でもう少し掘り下げて御意見をいただければと思うんです。
○相川座長 確認ですが、例えば3病院についての、距離的には比較的近いので整理とか統合という御意見ですか。ほかの施設ではなくてですか。
○相澤委員 はい。この3病院についてという意味です。
○相川座長 わかりました。というような御意見だそうです。いかがでしょうか。
 私が感じたことですけれども、せき損、筋ジストロフィー、あるいは結核病棟の陰圧になっていて我々も感染を受けないようにということでマスクなどをして入ったわけですけれども、このようなところを集中的にやっているところに、将来若い先生が積極的に入ってきて専門的にやろうという方がどのくらいいるかなと。そういうところも厳しいような気がしてきたんです。
 勿論、こういうものに興味を持って自分から飛び込んで自分は非常に厳しい医療をやっていこうという意志のある方もいるかもしれませんが、なかなか今の状態では厳しい。先ほどある病院では内科は院長が1人だというようなことで、将来的にも政策医療の対象となるような疾患や外傷に関して、専門的な医療をできる医師を養成していかなければいけない。また医療が非常に活発に行われている医療機関においても、この先、若い人たちがそこで養成されていけるかどうかというようなことも少し危惧したこともあります。
 ほかに。夏目委員、どうぞ。
○夏目委員 質問なんですが、今の相澤先生の質問に関連するかもしれませんが、将来的にというかこの検討会で再編だとか統合という形を議論することになっていくのだろうと思うんですが、その前段として質問したいと思います。今回、中央労災病院とせき損センターは2つの病院と言った方がいいと思うんですが、というのは、今日、ここへ来る前に時間があったので中央労災病院のホームページを開けてみたら、北海道中央労災病院のホームページには、ほとんどせき損センターの紹介は何もなかったと思います。
 しかし、ここの経緯を見ますと、独立行政法人化に当たり、労災病院を分院とする再編指示ということで、再編の一環として分院化したという形になっているんですが、この再編というのは一体何なのか、何かメリットが当然あるから再編したんだろうと思うんですが、この再編のときに考えられたメリットというか、何を目的としたのか。ホームページを見ると、それぞれ独立した病院が2つあるなという感じがしたんですが、何か再編化にメリットとか何を意図されてそういう指示をされたのか。そこら辺わかれば教えていただければと思います。
○相川座長 労災管理課長、よろしいですか。
○木暮労災管理課長 実際には美唄と岩見沢にあった病院は、再編前はかなりの数の科を持つそれぞれ総合病院だったということでございまして、その中で赤字を拡大させていたという経緯がございます。この再編に当たっては、岩見沢と美唄というので自動車で行けば比較的近いということもございますけれども、一方の美唄については、ほとんどせき損だけに特化する、整形外科に特化するということで、そういう意味で機能分担という形を図っているということで、確かに別々の病院と言えば別々の病院なんですけれども、要するにこの2つを合わせて内科と外科のワンセットができる、そういう姿にした、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
 美唄は総合病院化というのをやめて、限りなくせき損とせき損医療に必要な整形外科、要するにさまざまな関係のものに特化して、この2つの病院でワンセットの科がそろうという形にしたということでございます。
○夏目委員 そうすると、管理部門の統合みたいな、総務、財務部門だとか、そういうものを合体したとかというようなことは実施していないということですか。
○木暮労災管理課長 当然、間接部門についても合理化できることはしておりますけれども、ただ、場所がどうしても離れておりますので、やはり場所や建物管理を含めたものについて合理化できないというのがございます。ただ、事務職員についてはかなり減らしているという実態はございます。
○相川座長 工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 美唄も岩見沢もそうですけれども、特に美唄は昔は400床あったと思うんです。あそこの炭鉱地が非常に盛んだったときは、人口もはるかに多かったわけで、人口が非常に減ってきて、美唄は150床のせき損に特化した、しかも岩見沢の方は中央労災という格好にして分院化したということは非常にうまくやったのではないかなと感じていました。
 美唄は整形外科を中心としたもので、岩見沢は呼吸器を中心とした珪肺及びアスベストというようなことが軸になっていますけれども、うまくタイアップできているのかなと。ただ、問題は相澤先生の御質問にあった旭川の医療センターとどういうふうな連携になっているのか、私は旭川医療センターと美唄、岩見沢の労災で統合とか何とかというのは、余りすっきりしたイメージは出てきませんでした。かなり性格は違うように思います。
○相川座長 そのほかいかがでしょう。
 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 審議会が重なり、この日参加できず、非常に残念だったのですが、御報告を伺っておりまして、特に旭川の医療センターは結核と筋ジストロフィーの医療を担っていただいているということで、これを拝見しますと陰圧で管理されているということですので、こういう設備も含めて、必要な病床を必ず空けておかなければいけない状況下で、これは赤字になるのも仕方がないという感じがいたしました。
 ただ、今後の見直しに当たって、特に筋ジストロフィーみたいな難しい、患者数が少ない診療科目について、患者さんの行き場が失うようなことになってはいけませんので、そこは適切にきちっと対応しなければいけないと思います。
 今後の在り方について、この3病院を今後どうするかという話も出ましたが、特に今回視察をされた北海道は、非常に地域医療の提供体制が弱体化している、かなり厳しい地域だと思っておりますし、地域住民が医療アクセスするのはかなり格差が大きい地域だと思っております。ですから、北海道は特にそうでしょうが、今後の在り方の見直しに当たっては、統合なり再編なりというものが診療科目の削減であるとか、救急機能の低下であるとかといった医療体制の低下につながってはならないということも考えておりまして、その辺も念頭に置いた検討をするべきではないかと感じました。
○相川座長 ありがとうございました。今までのこの報告書に対する御質問、御意見の中をお聞きしますと、この次の議題として今後の検討会の進め方に関する御意見も少し出てきていると思います。この検討会の設置のところでは、それぞれの機構の傘下の病院のネットワークの統合や個別病院の再編、整理というようなことのためにこの検討会ができているということでありまして、視察の結果、幾つかそれに関する御意見もいただいたと思いますので、病院視察の報告は以上とさせていただいてよろしいですか。では、そのようにさせていただきます。
 続きまして、今後の検討会の進め方について、委員の皆様から御意見を伺いたいと思います。これは資料がありますか。
 どうぞ。
○宇口国立病院機構管理室長 参考資料1と2とお付けしております。この検討会の1回目、2回目、新谷先生とか御質問をいただいたところでまた重複するかもわかりませんけれども、参考資料2というのが厚生労働省独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会の最終報告の当該部分の抜粋ということでございます。
 参考資料1がこの検討会の設置についてということでございます。主な検討内容の2番のところにつきましては、冒頭申した参考資料2の指摘の部分をそのまま引用させていただいているという状況でございます。
 事務局からは以上でございます。
○相川座長 ありがとうございました。今回私どもの検討会は国立病院・労災病院ということですけれども、参考資料2に書いてあります、社会保険病院あるいは厚生年金病院、センター病院に関してもここでは意見が出ているわけですが、前にも一度、厚生年金病院をどうするかというご発言もありましたが、そこのところの政策的なところがまだはっきり出ていないので、さしあたって今回は、国立病院と労災病院を中心として検討していきたいと考えております。
 この第1回の検討会の資料に記載しております、主な検討内容の報告書の指摘を踏まえて書いてありますけれども、この辺を改めて御確認いただきまして、この検討委員会としての年内のとりまとめに向けて今後議論していく課題を整理したいと思っております。どなたか御意見ございますか。
 渡辺先生、どうぞ。
○渡辺委員 先ほど来、北海道の例を伺ったわけですが、結局国病にしろ労災にしろ、そもそも厚労省整理合理化委員会で統合再編みたいなのを打ち出した1つの理由として、勿論、公的病院としての存在意義云々もあるんだけれども、要するに1つの側面としては政策医療をやっているというけれども、悪く言えば赤字垂れ流しではないかといったような指摘が少なくともメディアも含めて背景にあるわけです。
 政策医療は当然赤字を伴うものなんだけれども、そこのところをかなり明確に言っていかないと、先ほど診療報酬が低いからというのも1つの理由なんだけれども、もう少しわかりやすくこうだからという一方で、経営上のまずさというか、非効率というか、そういうこともあると思うんです。その辺のところをきちんと説明していかないと、やはり経営が悪いから統合してしまえみたいな、そうすると地域医療を守れなくなってくるし、現実問題として政策医療を求めている人に提供できなくなるので、私の場合、たまたま国立病院部会で長年やったからその内容は少しは知っていますが、労災病院の場合、どうも私の不勉強もありますが、まだまだよく見えないので、3病院の中身でもう少し赤字になる理由をある程度納得できるというとおかしいかもしれませんが、わかりやすく説明していただきたいというのが1つ。
 夏前も一度指摘したんですが、その上の健康福祉機構の例えば年金問題、予定利率がいまだに5.5などということをやっている。これは経営陣の資質が問われるわけです。どう見ても今どこの民間企業だって本当に3.5か2.5に下げなければやっていけないのが現実なわけですから、そういった経営の姿勢というものを国立病院もそうなんですが、特に労災病院にそういった数字、そういった姿勢というものを明確にしていかないと、ここの再編議論も進まないと思いますので、まずそこを資料としても求めていきたいと思います。
○相川座長 ありがとうございました。
 管理課長、何か御意見ございますか。
○木暮労災管理課長 そこら辺についてはまた資料としても提示させていただいて御議論いただきたいと思っております。
○相川座長 よろしいですか。そのほかにいかがでしょうか。
 工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 質問なんですけれども、参考資料2の「6つの国立高度専門医療研究センター及び国立病院のうち8つの中核的な病院」とあり、それ以外は公的な病院としての存続理由は明確に説明されなかったということなんですけれども、この8つの中核病院というのは一体何を言っているか。具体的にもう一回おさらいをしていただけるとありがたいです。「それ以外」というと、美唄などもそれ以外なんですね。
○宇口国立病院機構管理室長 申し訳ありません、去年の話で記憶が8つ全部なく、不確かなことを言うわけにはいかないので、次回に厚労省整理合理化委員会で出た8か所を説明します。ちなみに国立病院機構の基幹病院と言われているような病院の実情を話しますと、イメージとしては仙台医療センターとか、大阪医療センターとか、東京医療センターみたいな総合病院の本当に大きいところはナショナルセンターに匹敵するぐらいやっているということでもいいんだろう、みたいな話であったと思いますが、8か所どこを指されたかというのは、次回に資料として提出させていただきたいと思います。
○工藤委員 是非お願いしたいのは、前の合理化委員会での状況の認識が、今、私などが感じているものと同じ状況認識というか、それに基づいて出されているのかどうか、そこにずれがあるとどうにもならないところがあるので、そこを確認したかったんです。よろしくお願いします。
○相川座長 よろしいですか。では、次回までにお願いいたします。
 そのほかにいかがでしょうか。新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 この整理合理化委員会での指摘というのは幾つかあろうかと思うんですが、厚労省が所管している病院のネットワークが国立病院144のネットワーク、労災病院30のネットワークが中心にあるとした時に、それぞれのネットワークが閉じてはいないのか。要するに閉じた世界の中で、それぞれの最適化を図っているのかもしれませんが、横を見たときにネットワーク同士を融合することによって、効率化がもっと検討されるべきではないかという指摘ではないかと感じているわけです。
 そういったときに、ここでは244というRFOも含めての数字が出ていますけれども、以前申し上げたように、今までの資料を拝見しますと、国立病院144の地図のプロットがあって、労災病院も30のプロットがあって、ところが、すべてをプロットしたものを提示いただいていないと思うんです。1回目か2回目の時に近接の病院の部分だけはいただいたんですけれども、今日の北海道の分も含めて、その辺のトータルネットワークとしてのとらえ方について何か資料をいただければありがたいと思います。
○相川座長 よろしいですか。実は私も同じようなことを少し感じておりまして、例えば先ほどのせき損の患者を国立病院でどのくらい診ているのかとか、そのようなことも含めて国立病院と労災病院とがそれぞれがそれなりに組織ネットワークを組んでいるけれども、その連携がうまくいっていない。あるいは情報を共有すること、診療体制を共有すること、場合によっては医師とか看護師の交流などもするようなこともあるのかなとも思います。そのようなことによって更に効率化して無駄を省くというようなことも含めて、そのような可能性も含めて資料を出していただければと思います。よろしいでしょうか。
 ほかにいかがでしょうか。では、まず高橋委員で、その後、夏目委員でよろしいですか。
 高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 これまで4回やってきて、今日は5回目ですけれども、その中で一番気になるワードというのは政策医療ということです。これが先ほども出ていましたように、極めて特殊性があるが、しかし採算はとれないということのようです。ただ、患者はいますので、その人たちが行くところがないというのでは困ります。こういう背景がありますから、政策医療というものはどうしても確保しなければいけないと思います。それの見極めというのを第1ステップとしてやっていただけたらと思います。
 第2番目としましては、それぞれが背負ってきている生業といいますか、歴史的な経過が異なりますので、組織体の土台ともいうべきこと、例えば労務上の問題とか財務上の問題、あるいは年金とか、そういったものが違います。その辺について、再編とかネットワーク化するというときにどういうことが支障になり、どういうことがメリットとなるか。こういうことの見極めが大事だと思います。
 そういうことを済まし、その後は一般的な診療機能、病院機能について、例えば民間も含めていろいろな病院の形態はあるわけですけれど、そういうものとどこが違うのかを見る必要があると思います。仮に同じだったらロケーションなどを考えなければいけないかもしれません。すなわち、その部分は切り分けて考えていくということも大事な考え方かなと思います。
 このようなことを踏まえた上で、お互いが持っている人的資源とか医学的な知見など、さまざまな資源を共有化するということを考えられたらと思います。お金が余りかからなくても、そういった工夫、ソフト上のノウハウの共有などはできると思います。これから短い時間ですけれども、こういうステップで進めるといいのではないかと考えています。
○相川座長 ありがとうございました。夏目委員、その次に工藤委員でよろしいですか。
○夏目委員 国立病院、労災病院は、国立病院機構、労働者健康福祉機構という独立行政法人で今運営されているわけです。不確かなんですが、最近の新聞等を見ますと、政権が行政改革か何かの委員会か何かで、独立行政法人について検討する分科会をつくるといったような動きがあるやに新聞で確か見たような記憶があるんですが、そうしたことから、独立行政法人について何か大きなメスが入るのか、その在り方そのものが抜本的に見直しを受けるということに仮になるとすれば、私どもの検討会の検討というのは一体どうなっていくのかということにも関連してくるんだろうと思うので、その辺の動きがわかれば逐次教えていただいて検討会の議論にも反映させていくということが必要ではないかなと思うんです。
○相川座長 実は私も新聞では拝見しましたが、まだ最初の具体化されていない段階のようです。現時点でわかっていることは課長、わかりますでしょうか。
○片岡国立病院課長 先週だったか、行政刷新会議が開かれまして、その中で独立行政法人の改革に関する分科会というものを設置しますということになっていて、その分科会のメンバーの発表はされておりますが、具体的にはまだ第1回はこれからではないかと思います。逐次状況は御説明したいと思っています。
○相川座長 これは独法の刷新というようなのが1つのキーワードですか。目的というか。
○片岡国立病院課長 これまでの独法について、独法と言ってもいろいろな種類がございますので、要するに独法についてある程度の独法のそれぞれの政策に応じた必要なガバナンスの在り方でありますとか、色々な経理上の問題でありますとか、独法自体についてそれぞれ中身をよく見た上でそれぞれに合った管理の仕方というか、関与の仕方というか、そういうことを決めていこうということと聞いております。独法全体の今後の方向性、在り方をこれから検討していこうということであります。
○相川座長 現時点ではそういうことですけれども、その進捗状況に関しては私どもに情報を入れていただくと思っております。しかしながら、この検討会においては、現在与えられた命題に向かって、できれば12月ごろまでにこの検討会の考え方をまとめたいと思っているところです。よろしいですか。
 そのほかいかがでしょうか。失礼しました。工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 この検討会の方向ですけれども、参考資料2の合理化委員会報告書ですと、これが全病院について、すなわちこれは144と30を足して174ですけれども、それについて一体的、総合的に見直す必要があるというようなことになっています。私自身の考えでは、到底全病院の個々のところに立ち入るというのはこの委員会の任務ではないのではないかと思っているというか、これはこれで非常に細かく時間をかけてやらなければならないことだと思うんです。私自身はもう少し大きな方向性として労災病院傘下の30、国立病院機構の144が政策医療、勿論、例外は幾つかあるでしょうけれども、全体として総体としては果たしているかどうか。また、この両方の組織的統合というようなことがあり得るのか、あるいは先ほど来の御意見の中にも出ていましたけれども、医療連携は当たり前のことで、個々にやられていると思いますが、それを更に強化する、こういうところにとどめるのか、この辺のところが議論の中心ではないかと思うんです。
○相川座長 ありがとうございました。というような御意見ですが、ほかにいかがでしょう。
 渡辺先生、どうぞ。
○渡辺委員 工藤先生に関連して、同感なんですが、私自身は率直に言って、例えば政府の全体の政・独委でも、あるいは厚労省整理合理化委員会でも、独法の合理化を議論するのは勿論大変結構なことなのですが、その中で工藤先生のおっしゃったことを誤解していたらおわびしますが、医療というものは同じ独法でも違うということを私自身は感じているんです。ほかも合理化しなければいけないし、重要であることも確かなんだけれども、医療という、それでなくても今、医師不足あるいは地域医療不足、地域医療崩壊等と言われている中にあって、独法である医療機関といったものをもう少し違った観点から議論する必要があるのではないかと思っています。
 そういった意味でこの委員会というのは医療に特化して議論しているので、十分に我々が意見を言う必要もあるし、その重要性はあると認識していますので、医療の観点から与えられた課題、つまり、独法の整理合理化というものに対して、ある意味では反論もしないといけないかもしれないし、ある意味では受け入れるべきところは受け入れなければいけない。かなり医療の重要性といったものについての視点といったものは必要ではないのかなと思っておりますので、当然連携も必要でしょうけれども、ただ合理化すればいいというものでもない。
○工藤委員 それについては全く異存はありません。
○相川座長 よろしいですか。ほかに。
 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 先ほども申し上げたんですが、旧厚生系と旧労働系が一緒になって厚生労働省という1つの省庁の所管の中で、2つの大きな医療のネットワークがあるという現状があるわけです。やはりそれぞれ独立したネットワークが交わったときのシナジー効果、交わることによって1+1=2ではなくて、もっと大きな効果を生むというところをどうねらっていくかというのが検討していく中身ではないかと思っていまして、先ほども相川座長がおっしゃっておられましたが、例えばそれぞれのネットワークが独自に医薬品とか機器を購入するということではなくて、共同購入の仕組みであるとか、研究のデータベースの共有化とか、共同研究、勿論、医師等の人事交流等々も図られればもっとシナジー効果が出るのではないかと思います。また、2つそれぞれが管理機構を持っているわけですから、管理機構も統合して、例えば本部の賃料であるとか、同じ管理部門の人員の配置など、もっと効率が図れるのではないかとか、そういった一体のシナジー効果をどう出すかというところを今後も是非検討の中に入れておくべきではないかと思っています。
○相川座長 ありがとうございました。そのほかいかがでございましょうか。大変貴重な御意見だったと思います。
 相澤委員、どうぞ。
○相澤委員 今の御意見、確かにシナジーということもあるんですけれども、1+1が1.5になることもあるんです。私どもの大学で経験しているんですけれども、社団法人の北里研究所と学校法人の北里学園がもともと同じルーツなんですけれども、統合いたしまして、すごくよくなるかと思ったんですけれども、かなり経営的には落ちてきております。それはどうしてかといいますと、恐らく働いている人たちの意欲ということ、数字以外に特に専門家集団ではそういったことをすごく敏感に反映するので、統合ということは非常にセンシティブに慎重に考えなければいけないことだと思うんです。
 全く違う母体から2つのネットワークが一緒になっていくとなると、非常に大きなインパクトがありますし、働く人のインセンティブということに対して大きな影響があると思いますので、その辺のことも十分考えておかなければいけないと思います。
○相川座長 ありがとうございました。というような御意見もございます。ほかにいかがでしょうか。
 高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 何回目の話か忘れてしまったんですが、これまでの検討で、ある地域で近在している病院というのはたしか7ケースくらいあったように思います。そして、そういうところは再編というよりは統合という観点で検討したらという主旨の意見が出ていたと思います。個々のケースについてこのような検証をした方がよろしいのではないでしょうか。今回の北海道では、行ってみるとそれぞれ機能が違うという面がわかりましたが、おそらくそのほかの地域についても検証してみるとそのような点が見えてくると思います。
 ただ、この委員会でそれを一つひとつ検討するのは、極めて難しいと思いますので、もし事務局の方で、そういう観点で検討していただきレポートにしていただけたらありがたいです。そうしていただけたら我々もしっかりした結論を導けるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○相川座長 それは事務局、ある程度は可能でしょうか。
 室長、どうぞ。
○宇口国立病院機構管理室長 前回も7ケースの個々をお話しさせていただいたと思いますけれども、今の高橋先生の意見を踏まえて、再度資料をつくり直しまして、近接していますけれども、機能の違う病院であるケースの場合とか、こういう理由で統合ということが今までなされていないとか、その辺は資料としてご覧いただけるように準備したいと思います。
○相川座長 そのときに現時点での機能はこう違うということもあるとは思いますけれども、将来的に両方の機能を持って統合して、例えばどちらかに、吸収という言葉は余りよくないかもしれませんけれども、統合するというようなこともあり得るかと思いますので、機能は全く違うから非常に距離的に近いところだけれども、存続するべきという考え方とともに、両方の持っている機能を統合して1つの病院にするということもあり、またそれが労災病院群の中だけではなくて、労災病院と国立病院という壁を超えてそのようなことができれば非常に理想的だと思います。そのようなところも含めて資料を出していただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 そのほかいかがでしょう。ここで先ほどから政策医療について皆さんその重要性をお認めいただきました。特に今回、実際に視察で見てきた結核、筋ジストロフィー、じん肺、アスベスト、せき損など、このような政策医療がありますが、今、「政策医療」と言っていますが、どこまでを「政策医療」とするのか、何をもって「政策医療」にするのか。今、申し上げたような疾患あるいは損傷に対しては政策医療とすることはどなたも御異論がないかもしれませんけれども、そのほかに新たな政策医療的なものがあるのか、またその政策医療的なものが労災の関係で主に発生する医療で、かつ政策的に扱っていかないと、他の一般病院ではなかなかできない、あるいは統合してやっていくことによって医療の質が上がるというようなものなのかなと考えます。
 それとも、労災ではなくて、主に一般的な病気、例えば、結核などもそうですし、インフルエンザなどもそうかもしれませんけれども、そのようなもので、今でも既にやっているんだけれども、これは「政策医療」ではないかというようなものに関して、政策医療の定義というか、範囲というものも考えていかなければいけないのですが、難病に指定されているものの一部に関しては、その医療の質を維持するためにもかなり国がお金を注入しているわけですけれども、そのようなところでもこれを政策医療として、例えば統合された国立病院・労災病院として新たにやったらどうかとか、そのようなこともあるのかなと思います。
 渡辺先生、何か御意見ありますか。
○渡辺委員 今、座長のおっしゃったことは同感なんです。例えば政策医療は、私個人の意見だともっとひどいと思うんです。例えば自治体病院は約1,000ありますが、自治体病院の多くは政策医療をやっているとおっしゃるわけです。そこには小児も救急も入るし、勿論、へき地医療も入るし、それも間違っていないと思うんです。
 だから、ここで我々が議論するに当たっては政策医療は勿論ある程度定義しなければいけないけれども、一方でせき損、じん肺だけが政策医療というのはまた違っていると思うので、そういった意味では政策医療というのは私はもう少し幅広くとらえないと、他の議論にも影響しかねない。自治体病院も総務省が公立病院改革ガイドラインを出して、1,000もあって無駄であると、統合しろと、例えばある県だったら川を挟んで県立病院と市民病院があるから無駄ではないかという議論も実際やっているわけですが、我々のこの議論というのは、厚生労働省の独法であるこの病院がかくかくしかじか無駄であるから再編しろというと、当然例えば今言った自治体病院などの議論に波及すると思うので、そういった観点から、私個人は大変口幅ったい言い方で議論しなければいけないのかなと考えています。つまり、結論としては、政策医療をもう少し幅広くとらえないと、他は違うのかということになりますので、もっと大ざっぱに言えば、極めて楽に言うと民間がなかなかやりたがらない医療というのは政策医療だという定義もございますし、そういった常に他の病院、特に公的病院あるいは公立病院、自治体病院の方もにらみながら我々は考える必要があると思うんです。と同時に、先ほど言った独法ならば何でもかんでもどうだという、特に厚生省と労働省がたまたま一緒になったから同じ役所の独法だという議論もまたおかしいし、医療というものに焦点を当てて、それが住民、国民にとって必要であるかどうかという視点で議論すべきだと思っています。
○相川座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 渡辺委員がおっしゃったように、政策医療というのはより幅広くとらえた方がいいという御意見で、私自身はそれに別に反対するわけではありませんが、第1回の検討会のときに国立病院機構の方から出された資料の中で4疾病5事業がどれぐらいやられているかということを出されていました。4疾病5事業は別に国立病院機構だからではなくて、日本の医療全体にとっての重点というような意味だろうと私は理解しております。逆に先ほど来議論している政策医療はもっと狭い、しかも不採算な医療が挙げられているわけですが、国立病院機構でもへき地で1カ所しかない施設であれば、医療そのものが存在すること自身が重要なので、それはそれで存立の意味が出てくる。これを民間がやってくれるかというとやってくれないというところがあるわけです。その意味でそれぞれみんな違うんだと思っております。
 もう一つ、別な問題なんですが、私、統合という問題は長期的には存在するんだろうと思っております。しかし、それにはいくつかのステップを踏んでいく必要があるわけで、現時点ではいかに連携を強めるか。ここが一番重要なところではないのかなと思います。具体的には、例えば共同研究をやるとか、IT関係のネットを共有するとか、物品の共同購入とか、メリットのある部分の連携を強めていくことが基本なのではないかなと思うわけです。
 部分的にはそういうことをやられている施設もあります。私の知っている呼吸器の分野ですと、大阪の労災病院、総合病院ですけれども、同じ敷地というか隣というのか、近畿中央胸部疾患センター、あそこは呼吸器しかやっておりませんから、総合医療に関しては全部大阪労災がやって、逆にじん肺関係は近畿中央胸部疾患センターがやっているんです。そんな形の総合乗り入れはもっと強める必要があるし、ほかのところでも、そういうことができるところは幾らもあると思いますので、今は連携強化の中で、長期的な統合といったものも視野に入れながらやっていく。現在は片方公務員で片方は公務員ではない。こうした状況の中で、ここでぱっと統合といっても絵空事になってしまう。具体的なステップが必要だと思っています。
 以上です。
○相川座長 ありがとうございました。この方向性に関する大事な御発言だったと思います。ただいまの発言に対して、あるいはそのほかのことでもいかがでしょう。
 相澤委員、どうぞ。
○相澤委員 政策医療というのがどういう疾患に行われるべきかということが1つ提案されたわけですけれども、やはりある程度の患者さんの数がいて、国民にとって非常に重要な疾患であって、その方法がまだはっきりわからない、政策的に打ち出して、それを実践するような医療が必要な場合だと思うんですけれども、そういう意味では結核はかつて国民病であって、政策的に療養所をつくって抑え込んだと思いますけれども、今、メンタルヘルスについて同じことが今言えると思うので、これこそまさに政策医療をやるべきものだと思うんです。
 国立病院では一般国民全体に対してやるわけですし、労災病院では働く人のメンタルヘルスをやるということで、しかも医療だけではなくて予防も必要です。ですから、これがこれからの政策医療の1つになるんだと思いますし、ネットワークは別かもしれませんけれども、まさに一緒に国立病院と労災病院が同じように取り組んでいくものではないかなと思います。
○相川座長 ありがとうございました。いかがでしょう。
 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 政策医療の話で個別の疾病について申し上げる立場にはないのですが、日本の人口が1億3,000万人いて、そのうち職業を持っている方が6,200万人おられるわけです。今後、社会保障制度の中で支えられる立場よりも支える立場の人を多くし、ケアしていくことが重要だと思っておりまして、私はこの委員会には労働者の立場で出させていただいておりますので、今まで労災病院が担ってきた、多分労災病院だけだと思うのですけれども、就労と医療との接点や政策医療の役割について、できれば国立病院についても広く大きな視点で就労支援のようなところを今後論点として一緒に考えていただけたらありがたいと思っております。
○相川座長 就労支援ということですね。ありがとうございます。
 工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 今の御意見に関連するんですけれども、私は労災病院という名前、「労働災害」というといかにも炭鉱の落盤だとかそういうイメージが出てきて、本当は労働衛生も含めてより広く、今、お話があったようなメンタルヘルスとかも非常に重要なテーマになっていますし、そういう部分を含めて視野を広げる。ネーミングは少し古いなということを常々思っています。今、すぐ変えろと言っているのではないんですけれども、やはり御一考された方がいいかなと思っています。
 少なくとも中身はもっと現在に合った形になっておりますので、それを体現するようなネーミングにした方がいいなと思っております。
○相川座長 労災管理課長、いかがですか。労災と法律でもそういうふうになっている。実際に現在の労災の「災害」という言葉が、昔はそうであったけれども、災害というとdisasterというような拾勝外傷とか大規模災害とか、そんな意味もあってということですけれども、現在では法律も含めてそうなっている。いかがでしょうか。何か御意見ございますか。
○木暮労災管理課長 実際には、昭和50年代、60年代からWHOで定義している作業関連疾患というものについては、扱う機関であるという位置づけでやってきておりますけれども、それをいわゆる勤労者医療という言葉を使ってやってきたために、一般の方々にわかりにくい面があったのかなと私どもは思っております。労災と産業保健と1つずつ分けて説明しないと、今まで十分御理解いただけなかったので、ネーミングをどうするかということについてお答えになるかわかりませんけれども、いずれにしても狭い意味での労災ではなくて、メンタルヘルスも含め産業保健的なものも幅広く扱っていくということについてはきちんとわかるような形ができればいいなとは思っております。
○相川座長 よろしいですか。先ほどの相澤委員がおっしゃっていたようなメンタルヘルス、特に近ごろでは例えば、うつ状態、うつ病というようなものも、労働に起因したと判断をされることもかなり多くなってきている。実際そういうものもあるということかもしれませんけれども、そのようなことも一応は「労災」ということで言っているわけです。よろしいでしょうか。
 そのほかにいかがですか。高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 経団連関係者の間でも、労災に限らない議論が交わされ、産業保健という立場で話を進めています。そういう中の課題として、最初に挙がっているのは、高年齢化対応です。高齢化しますと人間は病的な状態あるいは病気が増えてきますので、一般的な疾病と働くことに由来するものとの区別がなくなるのではないかと懸念されるわけです。それでも働いてもらわないと社会制度が維持できないという面があるわけでして、その命題に答えなければいけないということです。
 今、話に出ていた作業関連疾患、業務関連疾患と言った方がいいかもしれませんが、とにかく従来と異なる働くことと病気との関連ということが第2番目に挙げられています。
 3つ目はメンタル関係です。
 そういうことを踏まえて、今後の在り方を考えていただきたく思います。それから、そもそも労災病院は、実は経営者が支払っています労災保険のお金から捻出してずっと運営してきたという経過があります。国立病院についてはまた違うところからの財源という事情がありますので、今のような命題に答えつつ、バックグラウンドにあります財務問題、使命ということについて納得がいくような方向性を見い出せたらいいと思います。
 そうでないと、労災保険制度そのものの在り方や他の制度への影響というのも懸念されますので、ある程度こういうことも意識してレポートにつなげていきたいと思います。
○相川座長 ありがとうございました。主に労災の立場からお話がありましたけれども、いかがでしょうか。勤労に関連して非常に仕事がつらくてうつ病あるいはうつ状態になってしまった。このごろ随分増えてきているかと思いますが、つらくてというのが1つの原因あるいは主な原因として扱われているということもありますし、また超過勤務が多かったから非常にくも膜下出血になったとか、そのような事例も超過勤務が多かったからということがかなり認められてきているような状況でもあって、いわゆる勤労に関して、あるいは労働に関連して起こってくる疾病、メンタルヘルスも含めてですけれども、かなり様変わりして、かつ数としては多くなっているように思います。これが本来ならば労災病院で主に扱えるようなものかもしれませんが、実際には国立病院などにもそのような患者さんが来ている。直接原因はともかくとしても、労働者のうつ病、あるいは労働者の突然の心筋梗塞、脳卒中とか、そのようなものに関しても、病院数も多いですから国立病院の方が実際に多く扱っていると思います。勤労者でない働いていない方約7,000万人に発生しているのか、それとも働いている6,200万人の中で特に就労中に発生したとか、就労に非常に密接に関係した原因があって発生したとか、そのようなことが労災病院の守備範囲となる、昔の帝国陸軍・海軍病院、結核療養所等から現在の国立病院という形になってきたんだと思いますが、国立病院の守備範囲とはかなり違ってきているかなと思います。
 それについては、少しはデータがあったとは思いますけれども、将来のネットワークの方も、あるいは病院を統合、整理するという具体的なことではなくても、守備範囲というんでしょうか、患者さんの方から見れば近隣に労災病院も国立病院もあるけれども、あるいは国立病院が幾つか複数あるけれども、どういうところに行けば一番効率のいい、あるいは治療成績のいい医療がなされるのかというようなことも含めて少しデータが出てくればよろしいかと、委員の1人として考えているところです。
 ほかにいかがでしょうか。渡辺先生、どうぞ。
○渡辺委員 今までの御議論に全く賛成で、労災の中にメンタルヘルスを含めることは勿論賛成なんですが、例えば狭義の議論として、厚労省整理合理化委員会の報告書では、公的病院の存在理由がわからないということが随分書いております。公的病院の存在意義をこの委員会が満足するということは、恐らく勝手な解釈をすれば、いわゆる政策医療、つまり民業を圧迫するなという発想なんです。
 つまり、公的病院は公的病院のことをやっていろと、民間の病院のことは圧迫するなという趣旨がここに盛られていると思っているわけでありますが、これにくみする必要は全くないと思います。そうなると、こちらとしてはと言うとおかしいんだけれども、やはり国立病院機構にしても、労災病院にしても、公的病院であるならば、その存在理由というのは別に政策医療だけ、つまり民間がやらないことだけをやっているのはそうであるということでもないわけですね。
 そうすると、例えばメンタルヘルス、うつ病というのはものすごく増えている。はっきり言うと、民間病院にとっては言葉は悪いのですが、非常にやりたいところでもあるわけです。非常に俗っぽい言い方で恐縮ですが。そういうところの議論をきちんとやっておかないと、また委員会の論理に組み込まれてしまう危険性があるなという。やはり2つの機構は政策医療、つまり民間がやれなこともやるけれども、一方でというところがないと、何か民業圧迫だという議論は必ずメディアも含めて出てきかねないもので、そこのところを懸念するものです。
○相川座長 ありがとうございました。非常に大事な御意見だと思います。
 そのほか時間が迫ってまいりましたが、今日はこれからの12月の報告に向けてどのような論点を絞っていくかというところですが、いかがでしょうか。
 今、渡辺委員がお話になった参考資料1の2のところの政策医療を提供する病院としての存在理由、?として公的病院としての存在、この?と?の境目がだんだん政策医療をやるのならば協定病院だということもありますけれども、少し境目というのがはっきりしなくなっているかもしれません。
 私は個人的にこれで考えたのは、公的病院としての存在理由として、今、民業を圧迫しないというようなことがありましたけれども、やはり医師の養成です。医師の養成というのはなかなか経営的にも成り立ちにくいということもあります。救急、これも救急は国民のニーズがありますし、救急を民間病院でやっていくのはなかなか公立でも難しいところもある。しっかり救急をやっているところもございますけれども、あとは臨床研究を含めた治験、これは国民の医療に直結することですけれども、臨床研究や治験というのも民間病院でやるのは難しくて、特に今回では国立病院機構では治験に関しては前も言いましたけれども、ネットワークを非常にうまく組んで、この数年で目覚ましい改善があったと思います。これも労災病院を例えば一緒にするとか、そのようなこともあるかと思います。個々の民間病院ではなかなか治験を受けるということも難しいだと思います。これは個人の意見です。
 工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 政策医療の問題はとらえ方の問題で2つほど申し上げたいんです。1つは政策医療と一般医療の関係の問題なんですけれども、確かに今回見た3つの病院というのは政策医療だけやっているわけではないわけです。場合によっては数%ということもあり得るわけです。しかし、一般医療そのものがないと、政策医療そのものが成り立たないということがあって、例えば私どもの病院も結核の専門病院ではありますが、340床のうち60床は結核でありますが、日本の多剤耐性結核の手術に関しては、大体半分ぐらいは私のところでやる。ただ、肺がんの手術もたくさんやっているわけです。これがなければ結核の手術だけでは技術温存そのものができないということがあります。したがって、政策医療を支える部分で一般医療が必要なんだということが一つの重要な考え方だと思います。
 もう一つは、民業圧迫ということについてですが、労災病院でも国立病院機構でも、いわゆる政策医療部分の占める割合は必ずしも多くないかもしれないですが、では一般の民間医療機関でどのくらいやっているかといったら、これはまた一けた小さいものです。例えば労災関係の医療についてみますと、民間医療機関でも労災保険も扱うわけですから、もちろんやっている。しかし、一般の民間でやられている一桁小さい労災医療に関して、リードするような提言をしたり、診療指針を出したり、そういうことをやるということが労災病院の重要な役割だと思います。そういう意味で労災病院や国立病院機構の政策医療があるのではないかと思っています。
 以上です。
○相川座長 ありがとうございました。大変いろいろな御意見をいただきまして、1つの方向性が見えてきたようにも思われます。定刻が近づいてまいりましたので、一応本日はこれまでとさせていただきまして、次回、第6回は本日委員の先生にいただいた御意見について、必要な資料等を事務局から用意いただくということで、とりまとめに向けて皆さんに御議論をいただきたいと思います。
 1つ、この在り方を考える検討会ということでございますので、幾つかの御意見はありましたけれども、個々のAという病院をBという病院に一緒に統合しろとか、そのようなかなり各論のところまでは今回の検討会の目的ではないと私は理解しております。それよりも全体的な方法、こういうものはこのようにして整理するべきだとか、ネットワークはこのように整理するべきだとか、そのような具体的なところに向けてとりまとめていきたいと思っているんですが、これからの議論の方向性としてもそれでよろしいですか。在り方を考える検討会としてよろしいでしょうか。
 では、そのようなことで次回に向けてまた資料等を整えていきたいと思います。本日はどうもお忙しいところありがとうございました。事務局から何かございますか。
○木暮労災管理課長 次回の日程につきましては、別途日程調整させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。


(了)
<照会先>

 医政局国立病院課国立病院機構管理室
  運営管理係 竹内・荒井(内線2635)
 労働基準局労災補償部労災管理課
  企画調整係 宮下・谷(内線5437)
 (代表) 03(5253)1111

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