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2011年2月28日 第2回母性保護に係る専門家会合 議事要旨

雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課

○日時

平成23年2月28日 13:00~15:00


○場所

中央合同庁舎4号館 共用第123会議室(1階) (東京都千代田区霞が関3丁目1番1号)


○出席者

(委員)

新居委員 江馬委員 中田委員
中林委員 名古屋委員 宮川委員

事務局

塚崎職業家庭両立課長 奥村育児・介護休業推進室長 森課長補佐

○議題

(1) 重量物取扱業務、有害物の発散する場所での業務等に係る母性保護について
(2) その他

○議事

【重量物の取扱い・その他負荷のかかる作業(立ち作業等)関係】
● 腰痛防止指針によると、成人男子は体重の40%以下、女子は男子の60%以下程度の目安になっているので、女子は体重の24%程度を目安にするということになるが、女性の体重が平均50kgだとすると、24%は10kg位となり、現在の女性労働基準規則より、腰痛予防指針の方が厳しくなっている。
● 妊娠中の女性は、普段から腰に負担がかかっており、重量物を持つ際、普通の人の7~8割程度の重さが適当であり、それ以上のものはあまり持たないように指導している。一般の女性について20kgで、その7、8割が妊婦に対する数値とすると、日頃現場で指導している数値にもあてはまる。
● 妊娠中の女性に関しては、継続作業20kgや断続作業30kgといった規制が適当かどうか検討の余地があるのではないか。
● 妊娠中は重量物については14~15kgという数値を出していくことは必要ではないか。
● 妊娠中の重量物の取扱いについては、法規制というかたちではなく、指針として妊娠したらそれぐらいにした方がよいと示すのが適当ではないか。
● 現場の認識では、妊娠中は基本的に重量物を取扱う業務からはずしてもらうという考え方で動いている。そこを役所でどのようにタッチするかという問題ではないか。
● 航空会社の中には、妊娠したら申告しなければならないということになっているところもある。
● 会社全体として妊娠中は重量物取扱い業務や長時間の立ち作業から外すなど考えてもらった方がよい。それを法律にしてしまうと、難しいところもあるため、ガイドラインとしてそれが自然に普及していくようにするのがよいのではないか。
● 妊婦・産婦は元気な人はかなりの時期かなりのことができるが、一方でそれに耐えられない2,3割の方もいらっしゃるという中で、あまり法的な義務づけをすると女性の雇用の機会を狭めてしまう恐れがあるのではないか。
● 重量物の取扱いについては、妊娠の進展とともに、変わっていく問題である。
● 重量物に関しては、かなり長い期間この規則でやってきて、それによって大きな事故が起きたことはなかった。最近の研究の結果(厚生労働科学研究)を見ても、仕事がきつかったために早産した、流産したというのはなく、働いていても、いなくても統計的に差がでない。厚生労働省で3~6年間研究した結果であり、逆のエビデンスとして尊重しなければならないのではないか。
● 重量物の規制について、一般の女性についてどのようにするのか議論が必要ではないか。母性保護というより男女の身体の差による適性の差と考えるということで、撤廃しても良いのではないか。
● 重量物取扱い業務への就業制限のかかる期間について、産後1年は長すぎるのではないか。半年か、あるいは産褥の8週間がよいのではないか。一方で育児休業を取った方が復帰されるという意味で1年も一つの区切りであり、妥当な数字ではないか。

(その他負荷がかかる作業(立ち作業等)について)
● 重量物について、腰痛予防指針を基にして数値を設定しガイドラインを作ったとして、その他の作業についてはどうするのかという問題がある。
● 非常に心身のストレスのかかる働き方をしていて限度を超えたとき、切迫早産になるということは、産婦人科医の間で多くの人がそうだという考え方をもっている。
● 今回はとっかかりとして重量物を取り上げ、また次の機会に介護等別の課題について取り上げるというのはどうか。
● 重量物だけではなく、そのほかの妊娠中の負荷も考えるべきという意見については、今後検討するということでどうか。
● 腰痛防止ベルトを使用すると、どちらかというと切迫早産を増やす方向になる。腰痛ベルト等を使用した結果、尿漏れや子宮脱がすすむということは医学的によくある。妊婦や褥婦の場合は腰痛予防ベルトは問題であるという扱いをしなければならない。
● 腰痛ベルト等は妊婦のみならず、産褥期など当分不安定な状態では使えないということは、わかりやすく周知が必要である。
● 基準局の安全衛生部で、これらの指針やパンフレットを作成しているので、それらを見直す際は、そのような内容を盛り込むよう要請する。
● 現場で妊娠している人に座ってできることは、座ってやるようにと提言しても、簡単に実施することはできない。妊娠したので座っていないといけないのは、敗北と感じるようであり、なかなかうまくいかない。
● 座ってできる作業については、座り作業に変えるよう環境を整えることがどうしても立ち作業でなければいけない仕事は近くに椅子を置いて座れる時はいつでも座れるようにするのがいい。
● 何時間以上はやめましょうより、できるだけ座った方がよいという訴え方の方が良いのではないか。


【化学物質関係】
● GHS区分というのは、ハザードベースでそのような作用があるのかないかによって、分類を行っている。1Aであれば、人で証拠がある。1Bでは、動物に証拠がある。2は、共に疑わしいという濃度である。どこまでなら作用がなく、どの程度浴びると作用が出てくるかというものとは、直接GHS分類は対応しない。
● 昭和20年代の古い数値が残っていることが問題であり、少なくともそこを早急に一般労働環境では基準とされているものより高い数値が残っているところは、早急に改める必要がある。
● 表(資料10)に出ている物質について、出ている許容濃度、管理濃度等を基準に適切に管理をしていくことが今後の望ましい。
● 母体に対する毒性の二次的影響の場合は、直接の生殖毒性として判定しない場合もある。この表の中では、GHSの生殖毒性がついていないものもあるが、一般毒性を含めて母性保護の観点から考えていくのがよいのではないか。
● 特別規則等で決まっているものから、母性保護の縛りをかけていくことが妥当な線ではないか。
● 管理濃度で運用していくことが一番良いと思うが、一方で管理濃度の基準が、本当に妊婦にとっても大丈夫なのかということについて、どこにも議論がでていない。
● 妊婦用の許容濃度に相当するものをどのように決めるかは難しい。生殖毒性について、動物等のデータを基にヒトの許容濃度のようなものを考えることができるのか、引き続き科学的なデータを蓄積することを含めて検討する必要がある。
● 妊娠中などに有害物質に曝露したことが何らかの形でその後影響する可能性があるのかということについては、産業医と化学物質の専門家の方々と合同で研究していく課題ではないか。
● 胎児に影響がでそうなものとして考えると、妊娠可能年齢の女性を広くカバーする形でガイドラインをださないと意味をなさないのではないか。
● MSDSをきちんと読み、そこにどのような情報があるのか、そこを過大評価して全面禁止ということではなく、内容をよく読んだ上での取扱いで曝露を防ぐというのが重要である。
● 産業医が現場を見た上で、ばく露を低減させるように会社に指導するなどの対策をしていけばよいのではないかという意見があったが、現場としてはそれをやるくらいなら他の仕事に配置転換させようということになるのではないか。
● トルエンの管理濃度については、従来は腎臓や肝臓への内臓疾患を予防するために、50ppmに設定されていたのが、アメリカの疫学調査で女性労働者の早産率をあげたとして、20ppmに引き下げた。そのように一番低い値で出る深刻な健康障害をエンドポイントに決めている。成人男性のみあるいは特定の毒性を対象としているものはない。


【共通事項】
● 職場の周囲の人が気を遣いすぎ、妊娠したというと何も働かせないような感じになってしまうことは問題である。
● 母性への悪影響の発生状況について、把握できる体制を整えていくよう対策を講じるべきではないか。
● 企業において従業員の妊娠について把握することや、把握した上で妊娠中の困った症状があるかどうかということを職場が聞いて管理するというのは人事管理の大切なことであるが、職場における母性への悪影響の発生状況については、調査研究など何らかの別の形として実施し把握していただきたい。
● においや臭気で換気の悪いところ等で妊娠初期の人が働くのはつらいが、一方でつわりといっても妊娠経過が悪いわけではなく、家に帰ってきても具合が悪いのであれば、何もしていないより仕事をしている方が気が紛れるので働く方がいいというような場合もある。あまりに職場の周囲の人が、妊娠したというと何も働かせないような感じになってしまうことも問題である。
● 母性健康管理指導事項連絡カードはガイドラインの一つである。産科医と産業医で作って、長時間の立ち作業や同一姿勢を強要させる作業の制限がよかろうということになった。
● 母子健康管理指導事項連絡カードについては、実際にカードにあるような症状が出てしまう前に措置をとれるよう、カードが使えれば非常に良い。
● 臭気が激しい場所等妊娠中は避けましょうというガイドラインを載せた本を出したことがある。立ち作業等についても避けた方がよいというガイドラインを出して啓蒙する必要があるのではないか。
● 次回は、今までの議論を総合して、まとめたたたき台を事務局に用意してもらい、また、ご意見をお伺いしたい。


<照会先>

厚生労働省雇用均等・児童家庭局
職業家庭両立課
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2
電話(代表)03-5253-1111(内線7855)

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