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2011年10月13日 保険者による健診・保健指導等に関する検討会議事録(第5回)

保険局総務課医療費適正化対策推進室

○日時

平成23年10月13日(月)10時00分~12時00分


○場所

厚生労働省専用第22会議室
東京都千代田区霞ヶ関1-2-2中央合同庁舎5号館18階


○議題

1.HbA1cの表記見直しへの対応案
2.特定健診・保健指導の腹囲の基準について
3.治療中の者に対する保健指導について
4.実務担当者による特定健診・保健指導に関するワーキンググループの設置について

○議事

○多田羅座長 おはようございます。まだ到着されてない委員もいらっしゃいますが、定刻になりましたので、ただいまより、第5回「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」を開催させていただきます。
 私は、座長を務めております多田羅でございます。どうぞよろしくお願いします。
 それでは、会議に先立ちまして、事務局より出席者の確認がありますので、よろしくお願いいたします。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 本日御欠席の御連絡をいただいている委員が、岡崎委員、草間委員、齋藤委員でございます。
それから、横尾委員におかれましては、おくれるという御連絡をいただいているところでございます。
なお、本日は門脇参考人、植木参考人、糖尿病学会から来ていただく予定でございますが、お二人も若干おくれられているようでございます。
あと、委員、若干おくれられている方もございますが、お見えになる予定でございます。
以上でございます。
○多田羅座長 人事異動はよろしいですか。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 続きまして、事務局、私の方が異動ございまして、9月2日に、医療費適正化対策推進室長を拝命しました鈴木と申します。よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○多田羅座長 ありがとうございます。
それでは、議題の1でございます。HbA1cの表記見直しへの対応について、事務局から説明をお願いいたします。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 それでは、お手元の資料1を、皆様、お願いいたします。「HbA1cの表記の見直しへの対応について(案)」という資料でございます。
これにつきましては、7月の第3回の検討会におきまして、対応をもう少し整理してくるようにということになりまして、それ以降、関係者間で協議をいただきまして、その内容をもとに、私どもの方で、こういう形で対応方針を文書に落とさせていただきました。
そこの基本方針の(1)にありますように、まず、24年度につきましては、マル1のところですけれども、特定健診・保健指導関連につきましては、いずれにおきましても、従来どおり、JDSの値のみで行うということでございます。これは次のパラグラフにございますけれども、事業主健診をもって特定健診に代える場合においても、同じくJDS値のみで行うということで、24年度については、このように特定健診・保健指導回りについては対応するということでどうかと。
続きまして、下のマル2のところにございますが、日常臨床につきましては、行政庁の方でこうするという整理すべきものではございませんけれども、マル1の対応の前提ということでございますので、ここに文章として書かせていただいておりますけれども、日常臨床におきましては、JDS値と国際標準値(NGSP相当値)とを併記するということで関係者間でやっていこうというお話になっていると伺っております。
続きまして、(2)のところで、先ほどの(1)は24年度のことでございますけれども、(2)25年度以降につきましては、そこの2行目から「日常臨床における対応状況も踏まえ」と書かせていただいておりますけれども、今後、日常臨床の対応につきまして、25年度以降の部分は引き続き協議がされると伺っておりますので、それも踏まえまして、国際標準値(NGSP相当値)で行うということについても、関係者間で調整を続けるということでやらせていただきたいと思っております。
裏の方をごらんいただきますと、先ほど申し上げました24年度の対応を図に直させていただいております。左側が特定健診・特定保健指導回りでございますけれども、これにつきましては、検査機関、医療機関、事業主、保険者、それから、私ども、国のデータベース、この間のやりとりはすべてJDS値、従来どおりで行うということでございます。
一方、臨床におきましては、これは患者さんへの説明の関係等もございますので、JDS値と国際標準値(NGSP相当値)を併記して行うということでございます。25年度以降については、更に引き続き協議ということでございます。
以上でございます。
○多田羅座長 ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問はいかがでしょうか。
○横尾委員 基本的にいいかとは思うのですが、将来、これについては多分併記をいずれしていかなければいけないのです。だとしたら、いつかというタイミングだけだと思うのですけれども、いろいろな啓発、教育の意味も含めて前倒しにするというのは、基本的に今回しなくても大丈夫という御判断をされたということでしょうか。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 24年度はもうJDSで行うということで、24年度に保険者において対応するということではもうないということで整理したいということでございまして、25年度以降は、逆にいえば、NGSP相当値でやることもあり得べしと。日常臨床の対応がどうなるかということを踏まえてそれは結論を出すということでございます。
○多田羅座長 どうぞ、伊藤委員。
○伊藤委員 この間、この表記について、2度ですか、議論があったわけですけれども、結局のところ、今日は関係者間で調整がつきましたという御報告をいただいたというような、事実上はそういう扱いなのだろうなと。ややむなしさと言いますとちょっと言い過ぎかもしれませんけれども。結局、関係者間でうまく回るように調整しなければ進められない話であるということは十分理解しておりますけれども、このように関係方面での調整がつきましたので、受診者はそれを受け入れてくださいという、結果的にそういうことになっているような気がします。受診者を置き去りにしたような、結果だけ受け入れろというような形で、混乱や動揺を受診者の方にもたらすだけというようなことにならないようにお願いします。また、25年度以降については、また関係者間で協議するという扱いになっておりますので、何のための見直しなのかとか、国民への周知や広報を十分忘れないでやっていただきますよう改めて強調させていただきます。
○多田羅座長 ありがとうございます。その点、十分御検討いただきたいと思います。ほかにいかがですか。
どうぞ、白川委員。
○白川委員 ここの検討会での議論を踏まえて、関係者間で調整の上整理をしていただいたこの内容につきましては異存はございません。
ただし、1点だけ、25年度以降の対応でございますが、いずれにしても、新基準、国際標準値を使うということになりますと、先ほども御発言ありましたとおり、しばらくは2つの数字が併記されるか何かの形で受診者の方にいくということになりまして、受診者の方が、当然のことながら混乱するということも考えられますから、25年度以降について、今後、関係者間で協議するとされておりますけれども、切り替えるなら切り替えるで、その切り替えの期間を短くしていただくような工夫を是非ともお願いしたいということ。
それから、先ほども御発言ありましたとおり、受診者の方にきちっと正しい情報が伝わらないとまずいと思っておりますので、当然のことながら、我々保険者もそういう努力はいたしますが、医療機関側といいますか、健診をやられる機関の方も、受信者にわかりやすい情報の伝達の仕方というのを是非とも工夫していただくように、この場でお願いしたいと思います。
以上でございます。
○多田羅座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○高橋委員 ただいまの白川委員の意見とおおむね一緒ですが、2点あります。
1つは、この原案には賛成で、当分こういうことだろうと受けとめます。ただし、各企業でやっている場合や、外注している場合には事前の調整が必要ですので、早目に、こういう方針でいきますということをアナウンスしていただきたいと思います。
○多田羅座長 25年度以降についてですね。
○高橋委員 はい。それからもう一つは、我々は事業主健診をやっているわけですが、このHbA1cの扱いについて労働行政の方とも早々に調整をつけていただきまして、各保険者ないしは事業主の方が困らないようにしていただきたいという要望です。
○多田羅座長 どうぞ、山門委員。
○山門委員 私も、基本的にはこの案に賛成いたします。更に、日常臨床において2つの数値を表記するという、やはりこれは基本的に国民の混乱を招くという白川委員の御意見を反映しているのだと思います。ただ、実務的には、私たちも特定健診・保健指導と同時に日常臨床もしておりますが、そのイメージ図の右側でありますが、医療機関から患者・受診者への報告のときに、後で議論が出るかもしれませんが、国際標準値についての表記、いわゆるJLAC10コードの表記が現在ないわけですね。それがありませんと、やはりどのように処理していったらいいかという実務的な問題がありますので、その点を是非御検討いただければと思います。
 以上です。
○多田羅座長 わかりました。
 どうぞ、津下委員。
○津下委員 24年度についてはこれで行われるという方向のようで、それについては異存はないのですけれども、受診者に対する結果通知をJDS値のみで行うということを記載されておりますが、例えばそこのところに国際標準値を併記することが可能なところは、それは啓発という意味で国際標準値も併記してはどうかとは思うのですけれども、その辺りについては、してはいけないという方針なのかどうなのかを確認したいと思います。
○多田羅座長 事務局の方、その点いかがですか。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 既にあるシステムなりで十分対応が可能とかそういうことであれば、してはいけないということではありませんけれども、JDSの形で、ただ、最後、国まで報告をいただくということを前提にしつつ、プラスアルファでやられる分については、それは差し支えはございません。
○多田羅座長 制度としては差し支えないと。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 はい。併せて、よろしいですか。
○多田羅座長 どうぞ。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 先ほど山門委員からもございましたけれども、コードの表記などについて詰めないといけないことがいろいろあるのですけれども、先ほど説明を忘れましたけれども、資料1の柱書きのところにございますように、そういったデータ処理のやり方とかは、実務担当者によるワーキンググループをこの後つくらせていただいて、そういう実務的な検証をして、実現可能性が出るようにしていきたいと思っているところでございます。
○多田羅座長 わかりました。それは今日の議題の4で取り上げるようになっておりますので、よろしくお願いします。
 どうぞ。
○門脇参考人 日本糖尿病学会理事長の門脇でございます。
 この間いろいろ御検討していただいて、本当にありがたく思っています。日本糖尿病学会では、JDS値と国際標準値がどのような関係にあるのか、多くの疫学的なデータに基づいて、0.4%、JDS値に加えることによって国際標準値に換算できるといったことについて科学的なデータを得ることができましたので、この機会にできるだけ早く、グローバリゼーションということも踏まえて、HbA1cの表記の見直しをお願いしてまいったわけであります。
 このことは、日本の糖尿病の患者さんの診療レベルの向上やリスクの低減にもつながるという、国民や社会に還元されるという性質のもので、また、国際共同治験などに対しても、我が国がきちんと参加できるという面でも、これは大きなプラスになる画期的なことだと考えています。
 このたび出された原案につきまして、学会としても賛成でありまして、その上で、今、各委員の先生方からいただいた御指摘については、まず、平成24年度4月1日からにつきましては、日常臨床ではJDS値と国際標準値が併記される方針ですので、これについては、この2つの数値の関係等々について糖尿病学会で資料をつくりまして、各医療機関にもお願いをし、また連携をして、混乱が起こらないようにということを、今回決定いただきましたら、直ちに開始をしたいと考えております。
 また、25年4月1日以降の特定健診・保健指導におきます扱いでは、一時的に併記がなされると。それまでの値との関連について、やはり説明が必要ですので、保険者と御相談しながら、実際に特定健診の受診者の中で混乱が起こらないように、学会として適切な資料等も準備をして、それに対応したいと考えています。
○多田羅座長 どうぞ、横尾委員。
○横尾委員 今、専門家の立場から所見をいただいて、大変ありがとうございました。それで、重ねてお伺いをさせていただきたいのですけれども、25年度以降のことですが、グローバリゼーションを勘案すると、いつごろまでには国際標準値での表記というものにした方がいいとお考えでしょうか。糖尿病学会としては。
○門脇参考人 2つの要素があると考えます。日常診療では、来年の4月から国際基準値を主に用いますし、再来年の4月からの新しい特定健診・保健指導の体制でも国際基準値で表記するよう関係の皆様の間でお決め頂けるとすれば基本的なグローバリゼーションはその時点で達成されていると思います。その際、患者さんや健診受診者の側での十分な理解を促進するという意味で、日常臨床においても、特定健診・保健指導においても、一定期間併記をするということがやはり必要だと思いますけれども、それはそのような理解が促進された段階で、できるだけ早く統一した方がいいのではないかと思います。その具体的な時期としましては、今日この場に参加されている先生方すべて、密接な関連をお持ちですので、協議させていただいて、合意に達したところで行いたいと思います。
○横尾委員 個人的には、何か目標年度を決めて、それに向けてみんなで変えていく、整えていくという方が、いろいろな意味で無駄もないのではないかと思います。
○門脇参考人 私も、横尾委員と全く同じ意見でありまして、その目標年度をいつにするのかという点について、協議をして、合意を得て進めていければと思います。
○多田羅座長 では、吉田委員。
○吉田委員 総合健診学会の吉田でございます。
 門脇理事長の御発言のように、啓発資料の作成に関しましては、各医療機関が別々につくるよりも、先生方の学会中心に、私どもも協力いたしますので、是非標準的なものをある程度の規模でつくられて、共通なものを使えるような環境を是非御勘案いただければということでございます。
それが1点と、もう一つ、併記期間があった場合に、同じ%で表記されますので、例えば%Jとか%Nとか、何かそういう工夫をして、受診者側も、どちらの%なのかというのをわかりやすく表記するとか、その辺りについては何か、糖尿病学会で既に御議論がされたのでしょうか。
○門脇参考人 基本的には、これまでの値をHbA1c(JDS値)、これから使う値については、HbA1c(国際標準値)、あるいは(NGSP相当値)といった形で説明していくということを基本に考えています。
○吉田委員 その場合、数字だけになりますと、同じ%、6.1とか6.5とかいう%だけですので、本当は単位のところに何か工夫していただくと、6.2%Jとか、6.2%Nとか、そういう工夫というのは考えられないのでしょうか。
○門脇参考人 そういった工夫は十分に考えられると思いますので、検討させていただきたいと思います。
○多田羅座長 大体よろしいでしょうか。
大きな点で、24年度については現状維持ということをまず確認いただいたと思います。25年度以降につきましては、事務局からも説明ありましたように、ワーキンググループにおいて検討することとしたいということですので、具体的な方策、あるいは実施、目指すべき日程等についてはワーキンググループで検討いただくということで、そのワーキンググループにつきましては、議事の4の方で事務局から説明いただく予定ですので御了承いただきたいと思います。
ということで、いろいろいただきました議論につきましては議事録にとどめていただき、事務局の方でその線に沿って御検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。
それでは、次の議題に移らせていただきます。議題の2でございます。「特定健診・保健指導の腹囲の基準について」、事務局より説明をお願いいたします。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 続きまして、お手元の資料2、横長のものでございますけれども、「特定健診・保健指導の腹囲基準について」という資料をごらんください。腹囲基準につきましては、第3回の検討会で、中尾参考人、磯参考人から御意見を伺ったところ、若干議論いただいたという状況でございまして、それを踏まえまして、今回、今後の方針について、どういう方向なのかということを御議論いただきたいという趣旨でございます。
おめくりいただきまして、まず1ページ目でございます。議論に当たりまして、現行の特定健診・保健指導の考え方を、復習という意味で、ここに、御承知かと思いますけれども、記載させていただいております。
まず、マル1として「内臓脂肪型肥満に着目する意義」とさせていただいておりますけれども、上の枠の中にございますように、現在の特定健診・保健指導の考え方というのは、17年の8学会のガイドラインにおきまして、下線が引いてありますけれども、内臓脂肪を減少させることで、虚血性心疾患などの発症リスクの低減が図られる、こういう考え方を基本にしております。
その考え方をわかりやすく、下の方に、ちょっとポンチ絵も交えまして、マル1、マル2、マル3と書かせていただいております。マル1のところで、肥満者の多くが複数の危険因子を併せ持たれているということで、マル2ですが、そういう危険因子が重なるほど脳卒中、心疾患を発症するリスクが増大するということで、マル3のところで、生活習慣を変えて、内臓脂肪を減らすことで危険因子のすべてが改善していくということで、そういう考え方に基づいて、現在、特定健診・保健指導が成り立っているということでございます。
併せまして、次の2ページ目のところでございますけれども、現行のものについて、医療費との関係ということで整理したものでございます。ここに書いてございますのは、平成16年に政管健保の、当時、三重県のデータを用いて、健診受診者を10年間追いかけて、その10年後の医療費を比較するという研究がなされております。
枠内の2つ目の○とか、あるいは下の方の結果概要という図の中にもございますように、平成5年のリスク数と、それから平成15年、10年後の医療費の関係を見てみますと、リスク数、これはBMI、血圧、脂質、糖代謝系でございますけれども、下の結果の表のところにありますように、平成5年のリスク数が多くなるほど、10年後の1人当たり医療費というのが高くなっているという結果が得られているということでございます。
これがございますので、先ほどの前のページで、内臓脂肪を減らすとリスクが減りますと。リスクが減ると、このページで医療費が抑えられるということで、現在、特定健診・保健指導に取り組んでいるということでございます。
なお、この政管健保の分析につきましては、参考資料2に論文の方をつけておりますので、後ほど御参照いただければと思います。
おめくりいただきまして、それでは、そういう現行の特定健診・保健指導における腹囲の基準値がどうやって設定されたかということを、これもおさらいでございますけれども、書かせていただいております。現在、男性が8センチメートル、女性が90センチメートルとなっておりますけれども、これは内臓脂肪面積が100平方センチメートルという考え方でやられております。
具体的には、下の方の点線の枠囲みの中に8学会のガイドラインで整理されたものがございますけれども、左下の図1、内臓脂肪面積が10センチメートル以上になっていくところでリスクファクターの数が大きくはね上がるということで、そこに着目をして、内臓脂肪面積100センチメートルというのをカットオフ値にしたということでございます。
それに、図2のところにございますけれども、その内臓脂肪面積100平方センチメートルに相当する腹囲が、男性であれば85センチメートル、女性であれば90センチメートルということで現行の基準が設定されているところでございます。
続きまして4ページの方で、第3回、7月の検討会で、参考人の意見を伺った後に意見交換していただきましたけれども、そのときの議論を整理させていただいております。下の枠囲みの中で、1番目のところで、まず、「腹囲を特定保健指導の階層化基準にすること自体について」ということで、1つ目の○のところでは、腹囲をスクリーニング基準にすることはやはりおかしいので、十分議論しなければいけないという意見もございましたし、一方で、次の○では、腹囲は国民自らが測定できますので、少し飛ばしていただきますが、国民自らがそういう上流に挑戦していくことが可能になるので、そういう意味で大変必要なものであると、こういう御指摘もございました。
また、その下の3つ目の○では、現行の腹囲に着目して階層化するという枠組みは妥当だけれども、これに漏れる非肥満のリスク保有者についての対応が必要という御指摘もございました。
4つ目の○は、前回の3回目の中尾先生の発表で、内臓脂肪のカットオフ値が、中尾先生の発表された研究によれば、男性が10平方センチメートル、女性6平方センチメートルということで、ウエストも86センチメートル、77センチメートルという結果でしたという発表がございました。
続きまして、2番のところで「非肥満のリスク保有者への対応」ということでございます。今、特定保健指導の基準に該当しない非肥満の方についてどうするかということでございますけれども、1つ目の○は、非肥満の保健指導そのものは必要でありますけれども、その方への保健指導を特定保健指導という、保険者への義務としてやる事業として位置づけるかどうかということが問題ですと。
次の○におきましては、肥満のない高血圧などなどが重大な課題であるということは明らかですけれども、その進め方はそれぞれの内容に即したやり方があるということで、一様ではないという御指摘。
続きまして、次の5ページですけれども、一番上の○のマル1のところにありますが、循環器疾患の過剰発症の半数以上は非肥満のリスク保有、こういったことなどから、医療機関への受診勧奨だけでは十分でないと、プラスアルファのことが要るのではないかという御指摘もございました。
そういう非肥満の方についてやらなければいけないという意見がございましたけれども、実際のかかわり方、保健指導の内容につきましての意見が3つ目のところで整理させてもらっております。やせている方の保健指導の場合は、きちんとしたプログラムをつくらないといけないという御意見。
それから、次の○は磯参考人の発表ですけれども、非肥満のリスク保有者への保健指導としては、マル1高血圧の方、あるいはマル2、マル3とそれぞれこういうことが大事ということで、そういうことの説明がございましたけれども、その次の○、非肥満の方への保健指導についてはやはりかなり幅があるということで、こういった御意見から見ると、統一した、非肥満の方を広く包括するような標準化された方法は今のところないのではないかということが示されたのではないかと思っております。
4.「その他」ですけれども、腹囲基準について、きちんと科学的に検討するということをこの場以外で別途設置すべきであるとか、あるいは、ポピュレーションアプローチが重要ですので、ハイリスクとポピュレーションの組み合わせで対応すべきだと、こういった御意見もあったところでございます。
続きまして、次の6ページです。これも3回目のときの検討会で示させていただいたデータです。健診受診者を国の方のデータベースで蓄積しているものからつくったものでございますけれども、腹囲とリスク保有数の関係ということで、図の左側が腹囲該当者、右側が非該当者となっております。こうやって見比べてみますと、腹囲該当している方々の方がリスクを2つ3つ重ねて持たれている割合が非該当の方に比べて高いのではないかということが言えるかと思います。また、逆にいえば、一方、非該当の方でもリスクを持っている方というのは一定程度ありますし、また、年齢が上がっていくとリスクの保有数というのも上がっていっていることが見て取れるのではないかと思います。
おめくりいただきまして、次にちょっと視点を変えまして、特定健診・保健指導ということでありますので、これは保健者の事業としての視点も踏まえなければいけないと思っておりまして、1つ目が財政状況ということで書かせてもらっています。下の表にそれぞれ保険者さんごとの財政状況が書いてありますけれども、例えば国民健康保険でありますと一般会計繰入があるとか、協会けんぽでありますと累積赤字がまだ残っていると、保険料率は9.34%まで上げたけれどもという状況、あるいは組合健保さんにおかれましては、単年度収支が赤字とか、それぞれの事情がございまして、柱書きにありますように、そういう厳しい財政状況にかんがみれば、特定健診・保健指導の内容は、費用対効果などの観点から、被保険者の納得が得られるものである必要があると考えております。
続きまして、次のページですけれども、保険者の事業としてということで、実施体制の方もきちんと勘案しなければいけないと思っております。
○保坂委員 説明の途中ですが、今の説明は、特定健診・保健指導の腹囲基準についてというところでする話ではなくて、保険者の財政状態がどうだからということをこの中に入れてくるということは物すごくおかしいことで、特定健診・保健指導の腹囲基準についてということを話すなら、それをちゃんと話して、保険者の財政状況がどうだからということをこの中に入れてくるというのは最初から議論を誘導することがもう明らかであって、こんなことを途中で入れてくるとすれば、この検討会、意味ないですよ。それは、この基準についてどうするかということのさまざまなファクターについて検討した後で、実際にそのようにするときに、保険者の財政状況がどうだからできるとかできないとか、そういう話はいいですけれども、この中に入れてきて、こういう話をするというのはもう全くナンセンスですよ。
 それから、腹囲基準について、前回、第3回の検討会でお話しした内容をまとめたと言いながら、自分たちに都合のいいところだけを出している。前回の議事録を全部出してください。それで検討しなければ、前にやったことが全く意味がなくて、前の検討会で話したことで、ではどういう方向でいきましょうとみんなが話してまとまったことでないことを事務局が勝手にまとめて出してくるというのは到底許されないと思います。
○多田羅座長 この財政というのは腹囲基準とは独立した話ではないかという御指摘がございました。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 それは御指摘のとおりですね。腹囲基準のそもそもの科学的なこととかいう考え方とは別個のものとして、これは保険者の事業として特定保健指導をやるときの勘案事項ということで書かせていただいておりますので、御指摘のとおりだと思います。
○保坂委員 それを一緒に説明するなと言っているのです。だから、もともとそれは保険者がやることだから、保険者の財政状態によってどのようにしていくかということ、それはもう一つ検討しなければならないことは明らかだけれども、腹囲基準をどうするかという非常に基本的な、科学的な問題なのですよ。どういう基準でやることが本当にいい健診になるかというか、まともな健診になるかということを話すべきなのに、それを保険者の財政状況がこうだから腹囲基準をこうするとかって、とんでもない話で、それが一緒に出てくるということがそういうことなのですよ。
だから、腹囲基準をどのようにするかということについては、話をして、それを実現するために、保険者の財政状況から、今のところはこういうことが適当であると、そういう話の、論理の持っていき方ならいいですけれども、全然そうでないわけです。最初に保険者の経済状況ありきでは、こんなこと、検討する意味、何もないではないですか。
 それから前の、最初のときの8学会が合同で出した診断基準というのをまた新たに出してきて、これではよくないのではないかということで、それを再検討しましょうというか、何か検討項目あるかということが出てきた中で、腹囲の基準についてはもう一回検討してもいいのではないですかということで、前回の検討会でそういうことを検討したわけですね。それを全然無視してしまって、またもとに戻して、前の基準がこうでしたとかなんとか言っていて、前の基準はこうだったけれどもそれでいいのかどうかということを前回の検討会で検討したわけですよ。それなのに、なぜ前の基準をこうやって延々と説明して、そこで保険者の財政状況ということを説明して、これでは、いいものにしようという姿勢が全くないですよ。
○多田羅座長 はい、わかりました。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 では、ほかの委員さんもあると思いますので、先に全部説明させてもらってからでよろしいですか。
○多田羅座長 財政の問題はここで論じますか。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 財政そのものは論じるつもりは全くございませんので。
○多田羅座長 それでは、サイエンスというか、そういう腹囲に関連することについて説明されますか。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 はい。実施体制というところを一応一通りよろしいですか。
 8ページです。マル2のところはナショナルデータベース、私どもの方に21年度の健診結果のデータを集めているものから、現在の健診受診者を、横軸、腹囲で、腹囲ごとにリスクを幾つ持たれているかということを整理したものでございまして、真ん中に太い線がございますが、これが男性であれば、現行85センチメートルの腹囲基準、女性であれば90センチメートルの腹囲基準ということでなっております。これの今の非肥満のリスク該当者といいますと、太線の左側、男性であれば380万人、女性であれば390万人が非肥満で、今の腹囲基準に該当しないでリスクを持たれているということが数字上出てまいります。
 次のページは現行の保険者さんにおける専門職の配置状況でございまして、表の上の方が市町村国保の担当部署に配置されている人、下の方が被用者保険において被用者保険者に所属する専門職ということで、事業主側の人は入っておりませんけれども、こういった数字でございまして、これを足し上げるということは本来適当ではありませんけれども、大体これぐらいの数が現在従事されているということでございます。
 今日論点としてお示しさせていだたいておりますのは、先ほどもございましたけれども、基準値自体についてということで、1つ目の枠の○にございますけれども、第3回の検討会で、中尾参考人から、現行90センチメートルである女性の腹囲基準値については、京都における検討の結果、内臓脂肪面積のカットオフ値として77センチメートルが妥当との御説明がございました。
 これにつきまして、その後、9月23、24日に肥満学会の総会が開催されておりまして、ここにおきましては、今後将来に向けて腹囲基準値について検証を行っていくということになったと伺っております。これにつきましては、中尾先生の方から、お手元、参考資料1というのを提出を受けておりまして、「日本肥満学会 淡路宣言2011年」というのがありますけれども、これを採択されたということでございます。
表のところで言いますと、2.「我が国の肥満(症)の診断基準や治療指針に反映させるための検証を開始する」と書いてあります。
めくっていただいて、当日の議論の様子などをここにまとめていただいていますけれども、左側の一番下、【肥満症診断基準の検証開始】という見出しのところですけれども、右側のページの真ん中くらい、2つ目のパラグラフの中段の「すなわち」というところの後からお読みしますと、「これまでに我が国から報告されている過去のデータに基づいて、3構成基準項目の内2項目以上の異常値を有する腹腔内脂肪面積を、男性100平方センチメートルと女性70平方センチメートルとして検証することを提案した。これは、我が国でこれまでに発表されてきた研究結果のメタアナリシスの結果が男性85センチメートル及び女性80センチメートルのウエスト周囲長に匹敵するものであり、これを今後の検証の対象とする」ということで発表があったということでございます。
 その下の方に「一方」とありますけれども、別な理事さんからは、厚労省の研究班においてドック施設での1万数千例での解析を行ったところ、平均合併リスクが1を超えてくるのは、男女ともVFA、内臓脂肪面積100平方センチメートル以上であること、更にVFA100平方センチメートルに相当するウエスト周囲長が、ほぼ男性85センチメートル、女性90センチメートルに相当することを確認したとの報告が紹介されたと。こういったやりとりの結果、先ほど書いてございましたように、これから検証していくことになったと伺っております。
 資料、戻っていただきまして10ページのところで、今の参考資料1というのを参照させていただきましたけれども、それから、私どもの先ほど来出ております21年度の健診結果のデータベースをもとに、現在の、そこに2つグラフが書いてございますけれども、横軸が腹囲、縦軸が血糖、脂質、血圧の平均のリスク数ということで並べてみますと、男性で言えば85センチメートルを超えたところ、女性で言えば90センチメートルを超えたところで平均リスク数が1を超えていくというような結果がデータベースの解析上は得られているということをつけ加えさせていただいております。ということで、この基準をどうするかということは、本日、皆様に御議論いただきたいと考えております。
 併せまして、「非肥満のリスク保有者について」ということで、2つ目の枠の1つ目の○にありますけれども、対応をどう考えるかということで、一定の幅があるという御意見もありましたけれども、具体的にどのような対応があるのかと。
例えばということで、私どもの提案といたしましては、現行の仕組みでは非肥満のリスク保有者を含めて健診受診者全員に情報提供を行うと、現行でもなっておりますけれども、この仕組みを使って、非肥満のリスク保有者に情報提供をきめ細かく行うこと、こういったことについてどう考えるかという提案でございます。
 その次のページに、今の情報提供の事例をつけさせていただいておりまして、厚生労働科学研究の方で、東大の永井先生以下のチームで、行動変容の手法に関する研究というのをやっていただけるということで、東大の古井先生の方から資料の提供を受けたものでございますけれども、次の12ページのところに、どういったことをやられているかということがあります。
左の方に書いてありますけれども、健診受診者全員を対象に、行動変容の意識づけを目的として、そこに幾つか、男性・女性、被保険者・被扶養者、肥満・非肥満、リスクの種類、喫煙、服薬、運動習慣などによってパターン分けした個々の条件に応じた情報提供をするということで、具体的に右の方にマル1、マル2、マル3、マル4とあります。その人の病気リスクを「自分ごと」にエピソードも入れて紹介する。あるいは、マル2のところにありますけれども、その人の健診結果の中で、同世代の人と比べたりしながら、どこにリスクがあるかということを理解していただいたり、マル3、マル4で、どのように行動すればいいかということを情報提供するということをしたところ、次の13ページにございますけれども、例えば左側の方に(A)非肥満の低リスク者につきましては、リスクを認識する人が情報提供の後で増えましたと。右側の(B)特定保健指導対象者につきましては、情報提供の結果、プログラムを拒否する人が減りましたと。下の方にある受診勧奨の方々については、未受診ながら、その人たちの意識、受診しなければいけないという意識の変容があったというような効果が得られたという報告がございます。こういったことをもとに、一つの例でございますけれども、こういうこともあるのではないかということで提案させてもらっております。
 次の14ページは現行の情報提供の仕組みで、既に現行でも、マル4にありますけれども、全員に画一的な情報提供ということではなくて、個人に合わせた提供をすることが必要というふうには現在もさせていただいているところでございます。
 15ページ、16ページは参考につけさせていただいております。
 なお、先ほど情報提供の話がございまして、これにつきまして山門委員の方から資料の提出がございますので、よろしかったら御説明いただければと思います。
○山門委員 緊迫した中でお時間をいただくのは極めて恐縮でありますけれども、御指名でありますので説明させていただきます。
 A3の「パンフレットの種類と内容」というものであります。私どもの団体は、保険者である、主に健康保険組合連合会と集合契約Aを結んでおりますが、細かいことになりますが、その契約の中の第10条で情報提供が義務づけられております。今、鈴木室長からお話がありましたように、プログラムでも情報提供が義務づけられている。ということで、私どもの団体としては、国民の健康増進に寄与する質の高い情報提供が必須であるという考え方から、このようなパンフレットをつくっている次第であります。
 初めの1から5Aまで、これは受診者全員に配ります。すなわち、健診結果の見方、健診結果から見た現在の健康レベル、「メタボリックシンドロームとは」等々の情報を全員に提供いたします。
 その次のページからAからSになりますけれども、これは先ほど来お話がありましたが、非肥満者に対しても情報提供するということであります。Aは血圧、Bは血糖、Cが脂質、DがLDL、Eが尿酸。私どもは、LDL、尿酸も情報提供しております。それから喫煙。喫煙も極めて重要なリスクであるという考えから、このような各個別のリスクについての情報を提供する。非肥満者を含めてリスク保有者に対しましては、それぞれのリスク保有者に対して対応するパンフレットを全員に配るということであります。
 更に、3ページ目は、リスクの重積するものがということから、ABは血圧と血糖、ACは血圧と脂質、BCが血糖と脂質、ABCがその3者の重積というものに対して、このような情報提供を行っております。
それからパンフレット11に関しましては、その行動変容を来すための行動変容プログラムを御自分でやっていただくというようなことで、このような情報提供を私どもがしているということで、一つの参考にしていただければと思います。
 以上でございます。
○多田羅座長 ありがとうございます。議事の「特定健診・保健指導の腹囲の基準について」ということでございます。事務局の方からるる説明いただきましたが、基本的には、観点としては、10ページでしょうかね。まず基準自体についてというところが一つのフォーカスになると思うのですが、その点、まず、日本肥満学会のレポートが非常に重要なレポートかと思います。この中では、「門脇理事からは」という文言もございますが、何か、門脇先生、せっかく出席されておられるので、御助言いただけることがあればお願いしたいと思います。
○門脇参考人 ありがとうございました。先ほど御説明がありました参考資料1、1枚めくっていただきまして、私の名前が出ていまして、門脇理事からは、診断基準に関連したものとして、厚生労働省の「保健指導への活用を前提としたメタボリックシンドロームの診断・管理のエビデンス創出のための横断・縦断研究」、これは私が主任研究者をさせていただいています。21年度で一度終わり、22年度からも新たに続けさせていただいていますが、「その結果の紹介と考察がなされた」とだけ書いてあるのですけれども、結果はどのようであったかといいますと、絶対リスク1に相当する腹囲は、ほぼ男性で85センチメートル、女性で90センチメートルという結果が、我が国の12のコホート、男女合わせて3万名以上のデータから出され、絶対リスクから見る限りは、85、90という現行基準が妥当であるということを言っています。
 さらに私の記述の上段に、下村理事が全国人間ドック施設の1万数千例での解析を行ったと記載されています。これにつきましては、山門委員も重要なメンバーとして参加されているわけですけれども、このデータでも85、90が絶対リスク1に相当する腹囲であるということになりました。我が国で出されているデータはほぼすべて、絶対リスク1ということについては、85、90ということで一致していると思います。
 もう一方、絶対リスクとは別に相対リスクという考え方があります。これはそもそも絶対リスクが低い女性においても、男性の内臓脂肪がたまっていない人のリスクを1として、男性の中でリスクファクターの重積者が3倍になるのが大体85センチメートルですけれども、今度は女性で、内臓脂肪がない方のリスクを1として、そのリスク自身は、絶対リスクとしては低いのですけれども、女性の中の比較ですから、女性の内臓脂肪のない人のリスクを1とすると、それが3倍になるという腹囲を求めますと、それは80~85ということになってきます。すなわち、相対リスクで言うと、男性は85だけれども、女性は80~85といった数字が出てくる。これもまた、どのデータを解析してもそのようになります。
 ですから、現在議論になっていることは、実際のデータの差異ではなくて、絶対リスクから言えば85~90で、男性ではやはり85になりますが、女性では80~85と少し低い値になります。特定健診・保健指導の中で、絶対リスクに基づいて進めていくのか、相対リスクも勘案して、この場合には医療資源に余裕がある場合ということになると思いますけれども、女性は、絶対リスクは低いけれども、女性の中ではややリスクの高いところまで介入していくのかと、そういったところは政策的な判断ということになろうかと思います。
○多田羅座長 ありがとうございました。絶対的リスク、相対的リスクと、今のところ出てくるのは、データとしては絶対的リスクの方で肥満学会も出しておられるわけですね。肥満学会としては、そうしますとまだ検討中ということなのでしょうか。
○門脇参考人 肥満学会としては、当面現行の基準を現時点では堅持をすると。そして今後の検討の出発点として、今回、シンポジウムを行いましたけれども、そこでは絶対リスクを重視すべきか相対リスクを重視すべきか議論があって、この点については幾つかの検討課題の一つとして検討していくという方向だと、肥満学会の理事として、また出席した者として理解しています。
○多田羅座長 それにはまだ時間が少しかかるというわけですね。相対か絶対かはですね。今のところは絶対リスクでいいのではないかと。
○門脇参考人 そのとおりであります。
○多田羅座長 わかりました。どうぞ。
○保坂委員 まず、さっきの続きで、事務局が出してきた資料に、前回、第3回のこの検討会で参考人としてお話をされた中尾先生のお話だけ出てきて、磯先生のお話がほとんど出てきていないように思うのですね。今回の資料で。この検討会として、第3回にお二人の参考人を呼んでお話を聞いて、その結果、この場で議論をして、たしか私の記憶では、今、議事録、手元にありませんが、こういった、何を基準にするかということについては、健康局の方に戻して、専門家が、今、門脇先生、専門家がいらしていろいろおっしゃっていただいていますが、それぞれの立場の専門家がいらっしゃると思いますので、そういう方たちが議論して、腹囲の基準をどうするかということをして、それをまたこちらに戻して、どうするかということを話し合うというふうになっていたと私は理解しているのですが、それが何か突然、また一部の、二人の参考人がいたのに、一人の参考人の話は全く出てこないで、一人の方の参考人の意見も、そのときの意見ではない意見になりましたと。その肥満学会ではというようなことが出てきて、それをもとにここで腹囲の基準をどうするか検討するということそのものが、手続的に私はおかしいと思うのですね。
 これはやはり民主国家の中できちっと筋道を立てて検討して、その結果、皆さんの議論でこうなったということであれば、それに皆さんが従うというのが民主主義なのであって、それが突然、事務局の方の恣意的な運営で物事が決まっていくということであればこれは由々しきことであって、今回のいろんな説明はなしにして、やはりこれは前回の議論に戻していただければ、健康局マターとして、専門家が集まって、本当に腹囲基準というのをどうすべきかということを科学的に話す場をつくって、その結果をもって、こちらの特定健診の腹囲の基準をどうするか、腹囲の基準は要らないのではないかというお話もあるわけでございまして、それを決めるということをやっていくのであれば意味がありますが、そうでなければ、事務局の目指す方向に話を持っていくために、ただ、みんな忙しい、偉い人たちを集めてやっているのという話になるではないですか。座長も、私、これに対して非常に憤慨するべきだと思います。前回の議論について、きちっとそれを踏まえた話でないということに。
○多田羅座長 わかりました。ただ、私の記憶では、前回、健康局に渡すという結論にはなってないと思います。この特定健診・保健指導についての腹囲基準というのは非常に重要な項目でございますので、それについてはこの検討会でもそれなりの議論をしていくということは大事なことだと思うのですけれども、それを健康局に任すということには。
○保坂委員 任すといいますか、健康局でも科学的な議論をするのに、ここで科学的なことを、勿論、保険者の方もいろいろ御専門で知っていらっしゃるでしょうけれども、保険者の方は保険者の視点で知っていることで、いわゆる医学的にどうなのかということについて、きちっと議論、私だってそんなに議論に参加できる立場かどうかわかりませんけれども、そういう人間をもっとたくさん入れて、例えば公衆衛生学会の磯先生は、今日の話を聞いてどう思うかということを考えて、やはりこの議論を進めていただきたいと思いますが。磯先生の話が今日のまとめに出てきてないように私は思うのですけれども、それは私の勘違いですか。
○石井医療費適正化対策推進室長補佐 済みません。資料の4ページですけれども、今、第3回の検討会の議事録のコピーを用意しておりますので、用意でき次第、皆様にはお配りしようとは思っておりますけれども、例えば4ページのところにまとめてありますこの会の皆様の議論の中で、お名前は確かに入れておりませんでしたのでわかりづらかったら大変恐縮ではございますけれども、例えば最初の1.の「腹囲を特定保健指導の階層化基準にしていること自体について」に関しまして、磯先生の御意見としましては3つ目の○ですね。これは資料の中にも書かれていることではありますけれども、腹囲により肥満者を判定し、他のリスクと併せて階層化して保健指導を行う現行の枠組みは妥当であると。ただ、非肥満者でリスク因子を有する方については何らかの対応が必要だと。これは磯先生がおっしゃられたことです。
 それから1枚おめくりいただきまして、5ページ目の一番上の○ですけれども、非肥満者への保健指導はやはり必要であると。循環器疾患の過剰発症の半数以上の方は非肥満のリスク保有によるものであると。これは今のメタボの方よりも多いとか、それから要医療とならない非肥満・リスク保有者の方であっても、循環器疾患の発症リスクが非常に高いということで、現行の医療機関への受診勧奨では十分とは言えないと。これも磯さんの御意見でございます。
 それから次の3.の方の「非肥満のリスク保有者に対する保健指導の具体的内容について」ですが、そのうちの2つ目の○と3つ目の○ですが、2つ目の○としては、非肥満のリスク保有者への保健指導としては、例えば血圧が高い方はこうだとか、血糖の高い方はこうだとか、脂質異常の方はこうだとか、この御意見に関しましても磯さんの御発言ですし、それから次の○ですが、ただ、非肥満への保健指導についてはかなり幅がありますというようなお話をされていましたが、これも磯さんの御意見でございます。
 一応私どもの方で漏れなく皆様の発言の要旨を、全部を書くのもスペース的なものがありますので概要を書かせていただいているのですが、もし御指摘がありますような漏れがあったりしますといけませんので、一応今、コピーを用意しておりまして、用意でき次第、皆様にお配りしようと思っておりますが、先生がおっしゃられましたような、磯先生の御発言は、そういう形ではここに入ってはおります。
○多田羅座長 私の理解も、磯先生、あるいは公衆衛生学会が非常に強調しているのはまさに、非肥満の方の高血圧、あるいは高脂血症、高血糖、そういう方の人口も非常に多いし、そういうものについて特定健診・保健指導の枠の外にあるということについては、制度的に対応する必要があるということを非常に強調されているところかと思います。それについては、今、事務局の方から説明ありましたように、一応検討したという報告はいただいていると思いますので。
 どうぞ。
○保坂委員 その細かいところに、御意見というところに書いてあることは了解しました。ただ、ほかの資料をつけるときに、これはもう常套手段だとみんな思っていらっしゃるのであればあえて申し上げませんけれども、前回の議事録を読んで、本日の資料提供にどういう問題があるかということについて、私の方でもう一度検討して、改めてこの場に出すかよそに出すかさせていただきます。
○多田羅座長 よろしくお願いします。
 どうぞ。
○田中委員 ちょっと意見と要望と言わせていただきたいのですが、まず最初に、保坂先生の、不満やるかたないというか、御指摘は、私、もっともだと思います。事務方は、やはり先生の御意見を謙虚に受けとめて、それなりに対応していただければと思います。
 それから、その先生の御指摘の中で1つ、役所の説明で、医療保険や財政状況のところ、僕は全くそのとおりだと思っていて、僕は、このような保健事業、健康づくり施策ということの議論の中で、保険者の財政が厳しいということはもっともなのだけれども、いかにもそういった保険者の厳しい対策として語る中でこれを語られるということについて、本当かなあという感じが実はしているのですね。確かに医療費適正化対策であることは間違いない。保健事業は。

 それから肥満とか非肥満の話が出てきますと、僕は、医療保険者、医療費適正化対策として、保健、健康増進事業というものをやります。間違いなくですね。一方、住民の健康施策というのは健康局の所管ですね。ですから、私は、特定健診・保健指導というもので、国民の、成人の半分以上をいわゆる医療保険者に委ねて、これはこれでいいのですけれども、保険者がやる健康対策と健康局がやる健康施策というものを、この機会ですから、きちんと整理されたらどうかなと思うのですね。
きちんと整理というのは、これからどうするとかいうことの整理でも構いませんけれども、そこ辺りの整理をしないままに議論がされると、そうか、非肥満者もかよとか、誰々もかと、そういったことで、医療保険者というのが、保健事業のウエートというのがかなり、期待されるのはいいのですけれども、そういう感じがします。だから、ここらで医療保険者の健康づくりと一般衛生の健康づくり、そこを少し整理することを希望意見として申し上げたいと思います。
 それから、医療保険者というのは、当然、特定健診・保健指導、きちっとやる気でおりますけれども、何度もこの場で申しますけれども、限られたマンパワーの中で、いわゆる壮大な、6,000万弱の人を特定健診の対象者にし、保健指導対象者が2割あったら1,500万ぐらいおるわけですけれども、こういった人たちに対応できないのです。だから、我々としたら、この効果上げたいから重点的にやってみるとか、後で服薬者の問題も出てきますけれども、結局、医療費効果というのかな、そういったところに視点を当てて、医療費適正化という視点を当てたら、健康づくり施策で我々がやるのは何がベストなのかと。そういったことで、要するに、限りあるマンパワー、財源の中で最も効果的な方法でその成果を納めたいと思うわけです。
それは、基準とか標準というのは勝手に決めてもらえば、勝手というのは失礼だけれども、8学会でも何でもいいですよ。決めてもらえば。ただ、それをどのように医療保険者が使うのか。医療保険者独自の基準を、ひょっとしたら、その範囲内で、我々はここからここまで使おうではないかとか、対象者についても、我々はそれではこういった方々にしようかとか、そこに対する独自性、自主性というものをある程度認めるという方向性での検討をやっていただきたいと実は私は思っているのですよ。
 そうしないと、医療保険者、もう現場は非常に大変でございまして、これからこれをずうっとやっていくとなると、そのようなことをちょっと方向性として考えていただかないと、せっかく医療保険者に義務づけられた効果がなかなか出てこないと私は思っております。
 そういう話をすると、一方では、情報が統一されたものが出てこないとかいうことをよくお話しになるのですけれども、我々、情報提供するために医療保険者やっているわけでも何でもないのであって、我々が我々の判断でやったその結果情報を利用される方は、どうぞ知恵を出して利用してくれればいいのですよ。それを入り口のところで全部整理してやれという話は、そこは保険者として、私、国保としては、そういったことについてはどうもいま一つ考えさせられるところがあるということで、そういったことをちょっと意見なり要望ということで申し上げておきたいと思います。
○多田羅座長 わかりました。ありがとうございます。田中委員から、非常に重要な点、基本的な制度のあり方についての課題について御指摘いただいたと思います。おっしゃっていることは非常に重要なことかと思います。また、保坂委員の方からも、制度のあり方について基本的な点、現場の医療を担っている立場から御指摘いただいたと思います。
 座長としては、これはある種の独断でございますが、この制度は既に法律になっており、全国の各市町村、事業者において実施していただいているという現実もございます。当面、そのような現実が円満、円滑に進む方策について、もう法律になって進んでいるという現実がございますので、その現実が、さっきの絶対、相対ですが、絶対的なことはそういう課題の中で言えないのですけれども、相対的にこれの方が望ましいのではないかというところで、現実が法律によって進んでおるというところもございますので、当面は、この検討会としましては、保坂委員、田中委員の指摘は、御発言いただいたことは非常に大事かと思います。検討会で、そういう意見をいただくということは常に身を新たにするという気持ちからも大事ですけれども、具体的な作業としましては、そういう現実の進んでいる作業についての指針、あるいは5年たっての改善点というものは、相対的なことではございますが、明らかにしていくということも強く求められている現実ということもあるかと思いますので、この検討会といたしましては、その現実に対する方策について検討させていただくということで進めさせていただきたいと思いますので、その点、何とぞ、もう既に制度が、しかも法律に基づく、国を挙げての、6,000万という、今、田中委員もおっしゃいました方がこの制度に乗っておりますので、それについてはやはり的確な指針を出していくということも必要でございます。
 基本的な点は、これでいいということではなくて、このような経験の中で、また検討会で機会があれば御検討いただくということかと思いますけれども、当面、その特定健診・保健指導のあり方の現実のところが、課題のところがございますので、その点、御理解いただいて進めさせていただきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いします。
 どうぞ。
○田中委員 申し訳ございません。もうこれでやめますけれども、私は、この検討会の議論というのは、先生おっしゃいましたようなことだと思いますけれども、現下の法律、諸通知というものに基づいて、それの中でいかにうまく保険者がこの法の趣旨に沿った対応ができるかということの議論も1つあろうかと思いますけれども、私は、25年度からの要するに見直しに向けた、いわゆる現行法、あるいは現行の通知というものが、保険者の視点から、現場の立場から見たら、こういった点はどうだと、そういった意見を申し述べる場でもないかと私は思っていまして、だから、そこはそこで切り分けて、先生、整理していただけたらと思っております。
○多田羅座長 ありがとうございます。そういう御指摘は非常に貴重なので、今後ともお願いしたいと思いますけれども、検討会としてはある程度具体的なところは示していかなければいけないところもありますので、両論併記みたいな格好になりますが、そういう形で検討会をやらせていただくことについて御了承いただきたいと思います。
そういう意味で、本日は特に大きな課題になっておりました、この腹囲基準について、学会の方ではほぼ現行でいいのではないかという判断のようでございますが、本日のところは、学会の方からはそういうところであるということで、85、90というのをほぼ認めている状況ということで御理解いただいて、あと、例の磯委員が特に強調された非肥満の方のあり方というものについてはやはりそれなりの大きな課題でございます。その点について特に事務局の方では情報提供ということで対応してほしいという案を出されたと思いますし、その意味について、山門委員からも追加の御説明をいただいたと思います。
 一応特定保健指導の方については、法律でも、肥満、メタボリックシンドロームを基盤とし、そうした上流概念に国民自らが参加して取り組むという精神で始まっておりますので、非肥満のあり方について、更に保険者がどのような形で取り組んでいただけるのかということは、今日は一つの御提案が事務局からございましたけれども。
 どうぞ。
○中村委員 ちょっと要望と質問という形でさせていただきたいと思いますが、1ページ目の部分ですけれども、上段の文で、「内臓脂肪を減少することで、これらのすべての発症リスクの低減が図られるという考え方」、それと右下に、内臓脂肪の減少ということで、「高血糖、脂肪異常、高血圧がともに改善」ということを書いてございますが、これらに係る、医学的になぜこういうことなのか。結果はわかりますけれども、一般の人は非常にわかりづらいのではないかと思います。したがって、その辺のところを少し御説明いただければありがたいし、資料があれば出していただきたい。
例えばメタボリックというのは、私の理解では、代謝異常ということではないかと思いますし、今回の内臓脂肪症候群に着目されたのは、サイトカインとかいろんなホルモン系のものが出てきて、それがいろいろ悪さをするからインシュリンの働きが悪くなるとか、そういうのがあるから内臓脂肪に着目して実施するということにされていると理解しております。最近、そういう、もともとなぜ特定健診を実施するかみたいな話が少し跳んでいるような感じがします。
○多田羅座長 そこは一応もう卒業したというふうな。
○中村委員 卒業しているなら、85とか90とかいろんな議論が出てこないかと思うし、その辺のところの説明が必要。
○多田羅座長 内臓脂肪が重要なファクターであるということはもう卒業したのですけれども、それをどういう尺度で見るかが。
○中村委員 一般の人にどうPRしていくのかですね。それは、皆さん、専門家の方は当然わかっておられると思いますが、一般の人がわかっているかどうかというと、私は、わかってないのではないかと思います。
○多田羅座長 わかりました。では、横尾委員。
○横尾委員 お尋ねしたいことがそれと関連しますので、ちょっと述べさせていただきます。
 1ページ目にあるこの3つの、糖尿病、高脂血症、高血圧症、その他の複合的な影響ということですけれども、私が今まで見た中で一番わかりやすいのはどういうものかというと、例えば糖尿病になる。そしてその後は透析になる。そうすると、ひどい場合は、何年後に失明になります」、「何年後に切断しなければなりません」、「何年後に絶命の可能性があります」ということをグラフで書いたものがあって、私ども、後期高齢者医療広域連合の事務局に掲示しているのですけれども、意識を持っていただくには、それはかなりインパクトがあります。それが非常に目が覚めるということだと思います。それぞれの数値が上がっていく、リスクが上がっていくというのは、これは抽象的でございまして、もし自分がそうなったら「こんなにリスクがあるのだ」ということをやはりわかっていただくような啓発がとても大事ではないかと感じています。
 もう一つは非肥満者に関してのことです。10ページ目に、「全員にお知らせする必要がある」ということですけれども、是非事務局の方でも検討いただきたいのは、今後、マイナンバー制度、新しい番号制度が始まろうという議論もあるようでございますから、いわゆる申請型からプッシュ型の行政サービスに変わっていくと思います。そうすると、すべての国民の皆さんに自分に関するデータを、医療データも含めて警告をする、啓発をするということも容易になっていくと思うのです。ICTを使っていきますので、コストや時間もかからなくなっていくと思います。そういったことを想定した変革なりプログラミングを今後していただきたいと思っています。
 それから、卑近な例ですけれども、私が知っている方が、先般亡くなりました。最初の症状は手のしびれ。この段階で気づいていればいいのですけれども、幾つかのクリニックを回ったのですけれども、わからなくて、大きな病院に行ったら、そこで倒れました。1週間寝たきりの状況といいますか、意識が戻らず、その後亡くなったのです。原因は脳梗塞です。手がしびれた段階でわかればいいのですけれども、本人は何と29歳です。周りも本人もそこまでは考えなかったということがあります。
もしこのときに、こういったデータ、血液検査のデータなどがあって、「あなた、少しリスクが高まっていますよ」とわかれば、もう少し何とかなったのではないかという思いがありました。ですから、そういった意味からしますと、リスクの高いと言われている肥満の方は勿論ですけれども、リスクがないのではないかと思われる非肥満の方に関しても、日常の血液検査等でわかる健康のことについては、やはりお伝えをしていく。その中で、自分で生活習慣を変えるとか、食生活を変えるとか、そういったことをしていただくことがとても大切だと意識づけをすることが、ひいてはこの改善につながると思います。
あくまでも腹囲は、この中の資料にもありますように、「国民自らが取り組める健康づくり」の一つの方法だと思うのです。ですから、腹囲がすべてではないということで、いろいろな専門的な数値も活用して、「健康づくりをしましょう」ということは是非是非呼びかけていただきたいし、我々も呼びかけていきたいし、国民の皆さんの健康をしっかりとみんなでケアしていきたいと思っています。
○多田羅座長 ありがとうございました。
 どうぞ、吉田委員。
○吉田委員 進め方についてですけれども、総合健診学会の吉田でございます。
 資料の5ページの4の最初の○のところ、特定健診の腹囲基準について、科学的に検討する場は、この検討会以外に設置すべきという御意見に対しては、今日のこの議論というのは、これとの関係ではどのように整理したらよろしいでしょうか。何か検討会の結果があって、ここに出されたのでしょうか。保坂先生が多分気になっているところはこの部分だと思うのですが、その結果を受けてここで議論するならわかるのですが、その結果もなく、ここで議論するという話はどうなのでしょうかということです。
○多田羅座長 それについては、先ほど、私、申し上げましたように、私の理解ですけれども、意見はいただきましたけれども、現実として、制度として、肥満というか、メタボリック対策としてこの制度は進んでおりますし、それはここで進めていくということになるかと思うのですけれどもね。
○吉田委員 検討会以外に、一度、検討した結果も聞くというふうにこれだと読めるのですけれども、そうではないのですか。
○多田羅座長 では、事務局、お願いします。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 ここは、委員の御発言として書かれているものでございますけれども、これについて、私どもといたしましては、もともと腹囲の階層化基準をつくるときも、保険者の協議の場ではなくて、別途の検討の場を設けて議論いただいて、その結果を保険者サイドで受けて整理をしたということがございますので、それと同じことを考えるとすれば、この御指摘は、そのとおり、別途の科学的な検討の場というのは当然あっても、そういう場というのが要るという御指摘はわかりますし、私どもの方も、別途それは検討させていただいているところでございます。
○多田羅座長 だけれども、その結果を待つわけにはいきませんね。
○石井医療費適正化対策推進室長補佐 一応制度導入の前は、御案内のとおり、標準的な健診・保健指導プログラムというのを、健康局の方で検討会を開催しまして、そこで議論して可決したということもありますので、そのようなことを考えますと、先ほどの保坂委員のお話にもありましたように、健康局の方で検討会を開くということは当然あるとは思います。現状はそういう方向に向けて検討しているとは聞いております。
○多田羅座長 もう一遍ちょっと言ってください。
○石井医療費適正化対策推進室長補佐 健康局の方で、検討会を開催するかと、また開催するという方針で。
○多田羅座長 腹囲基準についてですか。
○石井医療費適正化対策推進室長補佐 腹囲基準といいますか、いわゆる、今の標準的な健診・保健指導プログラムの関係について。
○多田羅座長 それは腹囲基準にのっとった方法ではないのですか。腹囲基準から始まる。
○石井医療費適正化対策推進室長補佐 勿論、腹囲基準から始まるということですね。
○多田羅座長 腹囲基準そのものをどうこうという話の検討会ではないでしょう。
○石井医療費適正化対策推進室長補佐 ではないと思います。ただ、先ほどおっしゃられましたような、例えば今の絶対値の話とか科学的な検証というお話があったと思いますけれども、そのような観点からの検討を行う場として、健康局の方で検討会を開催、まだ決定はしていないということで、検討中とは聞いております。
○多田羅座長 それは先ほど門脇委員も、そういう方向の、学会の方でも、相対基準と絶対基準の問題をおっしゃいましてね。だから、それはそれで進んでいくと思うのですけれども、私が座長として確認したいのは、そういう検討はやっていただくのはいいけれども、ここは現実にのっとったやり方について、相対的であるけれども、検討は進めさせていただきたいということを申し上げているのですけれどもね。だから、ほかに検討会ができるかどうかというのは、一応、ここの話とは独立した話として御理解いただきたいと思います。
 どうぞ。
○津下委員 非肥満の件について、2つに分けないといけないと思うのですけれども、リスクの低い非肥満の人に対するものと、それから受診勧奨判定値以上の方で非肥満の方ということで、特に後者が問題になっていると思います。情報提供は特定健診の中に位置づけられるというのが法的な位置づけで、特定保健指導は動機づけ支援、積極的支援となっていたかと思います。健診として、その結果を返すという情報提供の重要性をもう一度しっかりと意識して、ただ数字を並べた結果表を渡すのではなく、すべての方への情報提供というのを再確認していただきたいと感じています。
 標準的なプログラムの中には書き込まれていますけれども、手引の方は、情報提供について、比較的さらっと書いてある。こういう様式でということで数字の羅列の見本が出ていて、何かこれでいいんだなみたいな感覚になってしまっているのではないかという気がしておりますので、手引の方の情報提供のあり方について少し加筆していただければと思っております。
 それからもう一つ、食事や運動の習慣についてのポピュレーションアプローチは非常に重要なことですけれども、ポピュレーションアプローチは専門家でなくてやれるというか、むしろ非専門家が中心となってやるのを専門家が応援するような形が考えられます。田中委員の言われたマンパワーのことも、特定保健指導は医師、保健師、管理栄養士という限られた専門職種が実施することになっておりますけれども、ポピュレーションアプローチとしては広く一般の方を巻き込んで、「健康日本21」の推進というような観点で進めていくのがより大きな動きにつながるのではないかと考えます。ポピュレーションアプローチ、非専門家が動き出す、企業や産業界や一般住民が動き出すということは、また健康局の方でしっかりとその辺りの進め方について御議論いただければと考えています。
 以上、です。
○多田羅座長 わかりました。非常に貴重な御意見ありがとうございます。
 どうぞ、白川委員。
○白川委員 10ページの論点に関連して意見を述べさせていただきますが、腹囲の基準値自体は、座長がおっしゃるとおり、専門家といいますか、学会、あるいは所管しております健康局等で御検討いただくということでよろしいかと思います。非肥満のリスク保有者の件でございますが、これは言ってみれば、第一スクリーニングのところで、今、腹囲をやっておりますが、これをこのまま続けるかどうかということにかかわる話だと認識いたしますけれども、私は、特定健診という枠組み、メタボ、内臓脂肪、それから生活習慣病という流れを考えますと、やはり第一スクリーニングとして腹囲基準というのは堅持していくべきと思っております。
 と申しますのは、確かに、非肥満の方でもリスクがあれば、保険者としてはほうっておけない、あるいは事業主、あるいは産業医としてはほうっておけないと。これは当然のことでありますけれども、法的な義務を負った事業としてやる場合を考えますと、今回はメタボ対策で特定保健指導という位置づけでございますので、義務という意味では、ここに書かれております情報提供という段階で、縛りとしてはそうなのかなと。
 リスクも、これだけではなくて、例えば定期健康診断をやりますと、私の経験では、40代以上だと、リスクを持った方が7割8割という高率になるというのが、今、普通だと思っていますけれども、それが全部保険者の責任かと言われますと、今回の特定保健指導では違うだろうということを申し上げたいと思います。
 ただ、当然のことながら、健康保険組合でもいろんな形で対応しておりまして、こういう非肥満の方であってもリスク要因をたくさん抱えていらっしゃる方は、健保組合によっては個別に保健指導をやったり、あるいは医師を御紹介したりといったこともやっておりますので、義務と柔軟に対応すべきところはきちっと分けるというこの整理でよろしいと私は考えております。
 以上でございます。
○多田羅座長 ありがとうございました。
 どうぞ。
○伊藤委員 素人の発言にはだんだん発言がしにくい雰囲気になっているのですけれども、発言させていただきます。
 今日の論争を聞いていても、まだ腹囲基準についての議論があるということ、それから、一般の受診者は、内臓脂肪と腹囲とリスクの関係を十分理解できてないのではないかというような話に戻ったり、まだ特定健診・保健指導が十分に定着していないことなのだと思います。そういう状況の中で、非肥満者の中にもリスクを持っている人が少なくないことは事実だということも資料でわかっていますので、受診者としては、非肥満者に対する情報提供をいただけるというのは、非常にありがたいとは思います。けれども、今日のような論争の中で非肥満者に対する情報提供を行うということが、では腹囲基準というのは何だったのかという議論にまた戻るようなことがないように、そして混乱を受診者の方に招くだけということにならないよう、共通認識を持っていただきたいと思います。
 以上です。
○多田羅座長 大事な点、御指摘ありがとうございました。
 どうぞ、山門委員。
○山門委員 今の伊藤委員、それから横尾委員、中村委員のお話はすべて第1回に戻ります。健診を受けさせる、健診を受診してくればそれに対応できます。だから、いかに受診させるかということが1つ、もとに戻りますが、それが基本だと思います。
 それからもう一つは、白川委員に私も賛成いたします。ただ、国としては、今まで、参考人の意見がありましたように、非肥満者、次に出ます服薬者、それの対応ということも不可欠だと思います。それを国として法律とすることは必要ないと思いますけれども、国として、非肥満者及び服薬者に対しても正しく保健事業を行うということを国の方から指導するということがあれば、それで私はよろしいのではないかと思っております。
 以上であります。
○多田羅座長 ありがとうございます。
 保坂委員、どうぞ。
○保坂委員 済みません。簡単に申し上げます。先ほど白川委員から、法律に基づいてやっているというお話がございましたね。この法律そのものは後期高齢者医療制度と多分かかわっている法律だと理解しているのですけれども、それが変わるときには、これはまた新たなことになる可能性というのはないのでしょうか。それだけ、事務局にお聞きしたいと思います。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 高齢者医療の制度との関係におきましては、今、75歳以上の方について保健指導をどうするかと。これは論点になってくると。これを義務づけるべきではないかという議論があることは承知しておりますが、今、特定健診・特定保健指導そのものがその本体の議論の中で要らないとかそういう議論になったということは、私どもとしては承知しておりません。
○保坂委員 それが議論になったかならないかではなくて、それに基づいてこれはできているので、そのもとがなくなったときには、これを位置づけるとすれば、また別な形での法的な枠組みが必要なのではないかと思っておりますが、それについてお聞きしたのです。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 制度的には、もし現行の法律がなくなったとすれば、新たな根拠が必要ですので、そこに同じことをやるのであれば、同じような規定、根拠の規定が必要になると、そういうことで認識しております。
○多田羅座長 では、津下委員。
○津下委員 話は前に戻るのですけれども、内臓脂肪に着目するということで、この資料の1ページのマル3、生活習慣を改善することで危険因子のすべてが改善とされています。
標準的なプログラム(暫定版)ができた5年ぐらい前には、内臓脂肪がたまると悪い物質が出ますよということはわかっていたのですけれども、その後の研究で、内臓脂肪が減ると、アディポサイトカインがよくなる、炎症マーカーがよくなる、それからアデポネクチン、糖尿病を予防してくれるホルモンが増えるというデータもしっかり出てきました。その辺の医学的な根拠を示す論文もたくさん出てきておりますので、内臓脂肪を保健指導の入り口としてとらえるということについては、安心してやっていただいてもがいいのではないかと思います。
○多田羅座長 ありがとうございました。
ちょっと時間がたってまいりました。今日は、非常に重要な御議論をいただいたと思います。肥満の基準値については、学会の方でも取り組んでいただいておりますが、一応の方向は出していただいているようでございます。しかし、今日結論を出すというわけにはいかないと思いますので、一応今日のところはそういう御報告を承ったということにしたいと思います。
あと、非肥満につきましては、白川委員、あるいは山門委員からもおっしゃっていただきました。やはりこれも大きな国民の健康課題でございます。これに対して、特定健診・保健指導の充実を図れば図るほど、それについて国がどういう姿勢をとっていくのかというところを明確にしていく必要があるという御意見が中心であったと思いますので、検討会としてはそういう点を確認させていただいて、今日のところは次の議題に移らせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○多田羅座長 それでは、そうさせていただきます。
 次は、議題3でございます。これも関連いたします。「服薬治療中の者に対する保健指導について」、事務局よりお願いいたします。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 それでは、資料3、「治療中の者に対する保健指導について」というものをお願いいたします。
めくっていただきまして、まず1ページのところで、現行の治療中の方に対する保健指導の考え方を整理しております。1つ目の○にございますけれども、生活習慣病の薬を服薬されている方については、既に医療機関において医学的管理の一環として必要な保健指導が行われていると。こういったことなどから、現在、こういった方については特定保健指導の対象とはしておりません。
 一方で、次の○にございますけれども、医療保険者が必要と判断した場合には、主治医の依頼、あるいは了解のもとに保健指導、これは特定保健指導ではなくて、別の枠組みの任意の保健指導などを行うことはできると。これが現行の仕組み上の整理でございます。
 次のページで、では、一体どれぐらいの方がいらっしゃるかということがデータベース上わかっていますので御紹介したいと思います。下に表がありますが、これも21年度の特定健診の結果からですけれども、上の方に特定健診受診者数(A)というのがございまして、これが母数になりまして、2,100万人余りの方が受診いただいております。このうち、2段ほど下に(B)がありますけれども、高血圧のお薬を飲まれている方が415万人ということで、(A)に占める、受診者数に占める割合としては19.2%。特にその1つ右側の市町村国保におきましては、400万人のうちの半分余りの200万人が市町村国保の方で、国保の中で見れば、3割の方が高血圧のお薬を飲まれているということでございます。
 同じように、(C)のところは、脂質異常症の薬を服用されている方が230万人で、割合としては10.7%、糖尿病の薬を服用されている方が90万人で4.2%ということで、それなりのボリューム感の方が生活習慣病の薬を飲まれているということでございます。
 こういう実態のもとで、めくっていただきまして3ページですけれども、既に保険者さんによっては保健指導を行っていただいているところがございまして、その表ですけれども、それぞれの保険者種別ごとにアンケートに回答していただいた、例えば市町村国保ですと、1,757保険者さんのうち721の保険者において、服薬中の方については保健指導を行っているということで、その割合としては4割。同様に、健保組合さんなどについても、被保険者本人であれば、2割ぐらいの保険者が保健指導を行われている。その他の保険者についても、以下のように、こういった形で取り組まれているものがそれなりにあるということが言えると思います。
 次の下の方の4ページですけれども、そういった服薬治療中の方に対する保健指導の効果につきましては、枠の中の1つ目の○にありますけれども、第2回の6月の検討会におきまして、参考人の方から、その研究の結果を聴取してございます。その結果は、その下の表のところにもございますけれども、国保の直診病院で服薬中の方について保健指導を行った群と行わなかった群を分けて比較した結果、一番下の方にありますけれども、保健指導を行った群の方が数値の低下幅が大きいとか、投薬量が減少または維持されるとか、生活習慣の改善がなされるとか、医療費も低く抑えられるといった結果が、これは必ずしも保健指導の結果のみ、効果のみということではないと思われますけれども、こういった効果が得られているという研究でございます。
おめくりいただきまして5ページ、このように効果が認められるということでありますけれども、整理の案を私どもの方で整理させていただきました。上の箱の中にございますように、既に申し上げましたが、既に医師のもとで医学的な管理の一環として保健指導を行っているということでありますので、やはり重複投資ということになってしまう面があると。ですから、そういう医師の指導と、それにプラスして保険者さんがかかわる場合には、次の2つ目の○にありますように、主治医さん等と適切に連携するということがなければ、御本人さんにとっても一環した指導が受けられないという問題もございます。
(次ページ参照)と書いてありますけれども、実際に取り組まれている例を下の方に挙げさせていただいております。これは呉市さんの例です。これは重症化予防としてなされているものですけれども、呉市さんの場合は、候補者を主治医さんの方に提出して、主治医さんの方で対象者の選定、プログラムへの参加勧奨を行っていただいて、実際行った保健指導の結果も、主治医さん、あるいは医師会さんの方に報告するという形で、呉市さんの場合には行われているということでございます。
上のページに戻っていただきまして、上の箱の3つ目の○ですけれども、こういった取り組みは、地域の住民の健康状況とか医療提供体制などそれぞれさまざまであると考えられますので、矢印の下の方の○の1つ目ですが、特定保健指導のように、一律に保険者に義務づけるということは適切ではないと考えられます。
「ただし」のところ、次の○でありますけれども、先ほどありましたように、効果というのは期待できますので、例えばそういう地域の医療機関とうまく連携している例などを事例収集し保険者さんに提供するなど、そういう服薬中の方に対する保健指導を推進する方策を検討していくということでどうかというような提案をさせていただいております。
以上でございます。
○多田羅座長 ありがとうございました。治療中の者に対する保健指導の位置づけ、いかがでしょうか。
○山門委員 私ども、患者さんを診療することもあるわけですけれども、その際重要なのは、各学会が治療目標値を決めています。例えば高血圧は130の85以下にしなさい。ところが、それを達成されているのが約半数、50%に満たないのです。そういう方が受診してきますので、一番重要なことは、この図にありますように、あるいは5ページの上の段の真ん中の○にありますように、「主治医等の関係と適切に連携」、すなわち、保健指導者は、その治療が適切に行われているかどうか、いわゆるセカンドオピニオンになりますけれども、それを伝えるということが極めて重要な作業になるのではないかと思います。
○多田羅座長 治療のクオリティですか。
○山門委員 クオリティでなくて、実際に治療の達成基準がありますので、あなたはまだ薬を飲んでいるけれども、まだ治療が不十分ですよというメッセージを発するべきだと思います。それをいかにしていくかという仕組みが必要だと思います。
○多田羅座長 それは保健指導ではないですね。
○山門委員 保健指導ではありません。だから、5ページの上段の○の2番目、「治療中の者に対する保健指導の考え方」でありますけれども、健診側としては、繰り返しになりますけれども、治療が不十分であるという者に対しては、治療不十分であるということを主治医に伝えるということがやはり医療担当者としては義務ではないかと思います。そういう、セカンドオピニオン的なことをやはり伝える。
○多田羅座長 適切に連携を行うということ。
○山門委員 密接に連携を行うですね。
○多田羅座長 保坂委員、何かどうですか。
○保坂委員 全くおっしゃるとおりで、ただ、密接な連携を行うための仕組みというのが非常に難しいと、今お話を聞いて思いました。というのは、患者さんに、これを主治医に渡してくださいと言って渡したからといって、患者さんがちゃんと主治医に渡すかどうかということは大変問題で、今、山門先生のおっしゃった治療効果の点も、医師の方が指導しているとおりに、例えば服薬についても、指導している服薬をその患者さん側がしないということがかなり大きな問題点である場合が多いので、そういう方が健診の結果を主治医にちゃんと渡すかどうかというとなかなか難しいので、もう一つ大きな仕組みをつくらないとできないのかなと、今、山門先生のお話を聞いて思いました。
○多田羅座長 わかりました。
では、津下委員。
○津下委員 似たような話ですけれども、健診時に服薬中に丸をつけても、必ずしも定期的に通っていないとか、または脱落というか、お薬だけ飲んでいるけれども検査してないというような方々も多く見えるのも事実です。ただ、医師から、定期的に通院してこない人にアプローチするというのはなかなか難しいと思われます。そういう意味では、保険者が連続してその人の状況を管理しているという立場で、「治療はちゃんとやっていますか」というような声がけをする、または健診の場面で受診状況を確認するということで、本人に治療の促しをする。または薬だけ飲んでいて安心している人たちに食事のアドバイスをするというのは重要だと思います。ただ、それが医療機関でもしっかりと保健指導までできてしまっているところもありますし、個別性がかなりありますので、私は、個々の状況で対応すべきとは思いますが、ただ、治療連携というものをきちっと組み立てていく必要がある。これはちょっと時間をかけて議論していく必要があるのではないかなと感じています。
○多田羅座長 どうぞ、田中委員。
○田中委員 5ページですかね、考え方が示されていますが、ちょっと教えていただきたいのですが、役所でもいいし、保坂先生でも、津下先生でも、お医者さんですが、教えてもらいたい。要するに、医師の管理下で医学的な管理の一環として保健指導を受けているという書き込みがされているけれども、病院、診療所でこれに該当する者が具体的にどういった保健指導を受けてあるのか、その実態が見えてこないのですよ、実は。医師自身が治療している過程において保健指導的なことをおっしゃっているのか、医師が院内の、また診療所内の一定の者に対して、この人に対してはこういった保健指導しろという指示をされているのか、先生、どうなのですか。本当にこの認識は。
○多田羅座長 では、保坂委員。
○保坂委員 一応しているというふうに認識しています。それは、多くは医師自身がしています。医療機関によっては看護師さん等が、いろんなパンフレット等を使って、医師が話をした後に、そのパンフレットに基づいて、その補助的なことをしていることも多いと思います。
ただ、実は治療中の者に対する保健指導というのが、本当はほかの大勢の人たちの動機づけ支援をやるよりも、これの方がずっと医療費適正化と国民の健康のために役立つと私は個人的には思っています。それはなぜかというと、今の診療報酬体系の中で、長い時間をかけて保健指導するということは少しできないという仕組みの中で、この新たな保健指導ということが別な枠で、別な財源でできるとすれば、連携がとれていれば。ですから、同じ医療機関の中で、病院だったら病院の中でやるとか、あるいはこの保健指導を一生懸命やってくださる方と実は治療している医療機関の連携がうまくとれるという形であれば、これは非常に好ましいと思っています。
ただ、なかなか連携がとれなくて、治療しているところと保健指導しているところの話がちょっと行き違ったりするようなことがあると、これは大変患者さんにとって不利益であると思いますけれども、その辺をきちっとすれば、治療中の人に対する保健指導が一番望まれるのではないかと思います。勿論、診療報酬の中で、その保健指導について厚くつけていただければ、医療機関もどこもやるようになると思いますが。
○田中委員 僕は、要するに医療保険者が保健指導することは更に、要するに重複投資だという認識を持って、書き込みが、現状認識書いてあるものだから、すべての、地域住民というのは、被保険者は、加入者はどういったところにもおられるわけであって、そういったところで、そういった病気に該当する者が一人の先生にかかっているだけでなくて、何人もおられる場合もある。
そうすると、それらの関係する人たちが、今おっしゃったように、十分連携も考慮しながら保健指導をやられて、そういったシステムができ上がっているというのだったら、僕は重複投資だという認識もするのだけれども、私のところは、ちょっと国保中央会の書き込みがありましたけれども、10国保直営病院で対応して、私も何か所か見て回ったのですが、結局、患者さんとお医者さんとの関係の中で保健指導というのは全く何もなかったですよ。何もないというのは、意識はあったかもしらん。要するに、患者もそういったことに対する受けとめというのがなかなかできてない状態だったという意味です。
ですが、このモデル事業をやったことによってどういったことが変化してきたかというと、院内における医師の意識、それから看護職の、それから栄養士等の専門職の人たちの意識が変わっていく。併せて、患者さん自身の意識も変わっていく。そういった意識が変わっていくという雰囲気づくりができてきたわけですね。こういうシステムをつくったことによって。だから、そういう一定の政策的なというのか、意義づけ、動機づけみたいなことをやりながらやっていかないとなかなかこれは功を奏しないという認識があって、全国の病院、診療所で、民間の診療所、保健指導の委託を受けてやるようなところは別ですよ。でも、そうでないところもたくさんあるわけであって、この書き込み、現実認識というものがどうなのかなということが1つあったものですから、そこは、役所の方は、更なる、要するに保健指導の上塗りだと、保険者がやるのはという認識で書き込まれているようだけれども、本当にそうなのかなと感じます。
あとの、要するに結論として、義務づけることは適切でないとか、そこら辺りは御自由でいいのですけれども、実態というのの認識が、ちょっと私、懸念を持ったものだからということですね。
○多田羅座長 ありがとうございます。どうぞ。
○山門委員 今の田中委員に対してでございますけれども、私の認識では、診療所においては生活習慣病管理料というのが発生しているはずであります。したがいまして、そのかかりつけ医、主治医は必ず生活習慣の指導を行うということが原則だと考えます。
○田中委員 私が申し上げているのは、原則がどうだという話をしているのではなくて、実態はどうなのかと。要するに、国、いろんなところで、法律どおり、原則どおり物事が動いたら何も言うことないのですよ。そうでないから僕は言っているわけであってね。
○山門委員 でも、田中委員がおっしゃるように、だんだん変わってきておりまして、病診連携に関しましても、極めて最近は密に行われるようになってきておりますので、田中委員がおっしゃるように、本会の制度によってかもし出されてきているいい状況、医師、患者関係、それがやはりより進んでいるのは間違いありません。ただ、それは医師のモラルも1つ関係すると思います。
○津下委員 田中委員のおっしゃるように、最初に出しましたけれども、特定健診で服薬中の方のコントロールも必ずしもよくないという現実がある中でどうしていくかというのは大きな課題だと思いますが、それは医療機関で、さっきおっしゃられたように、いろいろな差がありまして、糖尿病療養指導士等を抱えていて一生懸命やっているところもあればそうでないところもあるというような現実があって、やはりこのレベルを引き上げていくというのは大事だと思います。もう一つ大事なことは、プログラムという考え方です。その対象者がドロップアウトしない仕組みと言うと変ですけれども、今回、積極的支援、6か月のプログラムというプログラムの考え方が入っています。日常診療はプログラムという考え方がなくて、医師から説明を受けても「手っとり早くなおしてほしい」というような方が通院をやめてしまうというのがよくあります。、今回国保中央会がお示しいただいた仕組みは「プログラム」だったと思います。プログラム化をして、目的をもってこれだけのことに参加するというのを、きちっと位置づけていくというのはこれからの考え方の中にあるのではないかと。
○多田羅座長 そのプログラムは生活習慣管理料をベースにしているのですか。
○津下委員 そうですね。生活習慣管理料が何をやれば管理料かという定義は、私の知る限りははっきりしていないのですけれども、これだけのことをやって管理料が算定されるとか、そういうプログラム化をすることで、どんな保健指導をやっているかがはっきりわかるのではないかと思います。
○田中委員 ちょっと1つだけ。今の段階は、これは国保独特かもしれないけれども、この事業で国保として取り組んだことの一つは、院内だけで解決しない、そのような院内における対応というものを行政と連携して、この患者というか、住民被保険者に対して対応していくと。そういったシステムづくりをしているのですね。だから、このところが非常に私は、行政全体がいわゆる弱者に対する認識、それから行政全体取り組むことによって住民の意識がやはりそこにいく、そういったことが非常に大きかったような気がしますね。
○多田羅座長 ありがとうございます。それは国保だからできるみたいなところもちょっとありますね。
○田中委員 国保だからできるということかもしれませんし、これは話を前回の最終段階に戻しますと、被用者保険の被扶養者の問題とか、そのような問題もまだ議論されておりませんけれども、細かい、いろんな問題ができてこようかと思いますけれどもね。
○多田羅座長 ありがとうございます。どうぞ、高橋委員。
○高橋委員 この治療中の者への保健指導は大事なことだと思います。それから非肥満の方ですね。こういう人も、健診をやればわかりますから、そのフォローはおのずから必要になると思います。
そこで、職域の場合、多くは前回紹介しましたが、そういうケースの場合も、ほうっておくと病気になる、あるいは悪化しますので、いろいろなアクションをとるわけです。そういうことは、最初に出た特定保健の枠組みでは包含されませんでしたが、職域ではずっとやってきています。
したがって、そういうことの位置づけをどうするかということが我々としては大変興味があるところです。従来の枠組みでいきますと、後期高齢者の医療費負担のメリットにはつながりませんので、こういうものをきちんと位置づけ、評価をしていただきたいと思います。
○多田羅座長 ありがとうございました。ちょっと時間になってまいりました。この点、「治療中の者に対する保健指導の位置づけ」については、非常に重要であるという御指摘、そして、それについてかなり具体的な御提案もいただいたように思います。主治医等の関係で適切に連携を行うことが重要、今後、その適切な実施を推進していく方策を検討していくこととする、となっておりますので、今日の議論を踏まえて、今後とも事務局の方で何か具体的な、今日、「プログラム」という言葉もございましたけれども、この治療中の者に対する保健指導、これは特定健診・保健指導の枠の中の事業でございますので、あり方について、ここにございます検討をしていただくということをお願いして、この議事については終わらせていただきます。
○横尾委員 ちょっと資料についてですけれども、この中に「医学的管理の一貫として」という表現があるのですが、「貫」という字になっているのですが、これは間違いはないのですか。私ども、通常の国語知識でいくと、「環」の方を書くのですけれども、「一気通貫で貫いていけ」ということでしょうか。全体の一部の場合は「一環」、「環」の方ですよね。どちらですか。
○石井医療費適正化対策室長補佐 御指摘ありがとうございます。これは「環」の方です。済みません。失礼しました。
○横尾委員 後のページにもありますけれども、よろしく。
○石井医療費適正化対策室長補佐 はい。
○多田羅座長 それでは、もう一つ議題がございます。これはそれほど難しい議題ではないかと思います。4でございます。「実務担当者による特定健診・保健指導に関するワーキンググループの設置について」、説明お願いいたします。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 資料4をお願いします。最初の1個目のHbA1cの議題のときにもございましたけれども、これまでのいろんな議論の中で、やはり実務的な検討の必要なものが幾つか出てきているなと認識しておりまして、例えば1のマル1のところにありますけれども、初回面接を健診時と一緒にやるということになりますと、最終評価者と違う人になってしまいますので、そのときに情報共有をどうするかとか、あるいはその費用の支払い方をどうするかとか、健診結果が例えばHbA1cはまだその日には出てないというような状況で階層化して初回面接をやるということになりますので、どういう範囲であれば許されるかとか、そういったことを少し実務的に整理しないといけないなと思っております。
 また、マル2のところで、これは先ほどありましたけれども、HbA1cの表記見直しにおきまして、実際、やりとりするデータの様式とか、あるいはそれに外れた場合の取り扱いのルールとか、そういったものも整理する必要がある。あるいはその下の・のところで、今、私どもの方でデータベースに健診データ結果を収録しておりますけれども、こういったことに合わせて、ほかに保有していった方が将来に向けていいようなデータ項目があるかとか、こういったことについて、実務者の方々に集まっていただけたらいいなと思っております。
 ちなみに、こういったことに関しましては、めくっていただいた表裏にありますけれども、制度発足時には、決済とデータ送受信、こういう限定されたテーマではございましたけれども、結果として右に書いてあるような方々にお集まりいただいて御議論いただいたということでございます。
 つきましては、戻って表の1ページ目のところですけれども、こういったメンバーも参考にしつつ、テーマごとに必要な方を御紹介いただいて入っていただく、そういうことをイメージしておりますけれども、実務担当者によるワーキンググループを御了解いただければ設置させていただいて、必要があれば、その結果なども本会議で報告したり、また議論していただくというようなことを提案させていただきます。
 以上です。
○多田羅座長 ありがとうございました。実務的な作業を行うためにワーキンググループを設置したいということで、一応2つほど大きな項目を内容として挙げていただきました。よろしいでしょうか。
○横尾委員 実は別の会議でも申し上げたことがあるのですけれども、いろいろな医療制度の負担を若い世代がしています。実は共済組合もしっかりやっているのです。ところが、ここには全く共済組合は入ってないのですが、そこら辺については何か「入れる」という考えはないのですか。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 共済組合さんの方で是非このテーマについては発言をしたいということがあれば、参加いただくということは当然可能ですので、テーマによって考えたいと思います。
○横尾委員 私は、ワーキンググループの中に入れたらどうかという意見を実は持っています。なぜかというと、これは基本的に厚生労働省が所管されているところが中心だと思うのです。共済組合になると総務省所管が割と多いのですけれども、そういう縦割りではなくて、国民すべてを相手にした健康とか保健指導であるならば、最初から会議メンバーに入れて、いろいろな知恵を集めていく、あるいは今後、啓発、広報が必要であれば、そのことを御縁として、手広く、また深く広報していくということは必要ですので、是非そういう参加も考えていただいたらどうかと思います。
○多田羅座長 では、よろしくお願いいたします。
 ほかにいかがでしょうか。
 一応ワーキンググループの設置については御了解いただいたことにさせていただきます。どうもありがとうございました。
 以上でございます。本日は非常に熱心に御議論いただいて、充実した会を持てたことを感謝したいと思います。ただ、事務局の方には相当宿題も残っておりますので、引き続き御尽力いただきたいと思います。
 それでよろしいでしょうか、今日の会は。
 それでは、本日の会、これにて終了いたします。どうも御協力、ありがとうございました。







(了)

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