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2011年9月5日 第6回血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会議事録

医薬食品局血液対策課

○日時

平成23年9月5日(月)
15:00~17:00


○場所

弘済会館 4階 「萩」の間
(住所:東京都千代田区麹町5-1)


○出席者

出席委員:(11名)五十音順、敬省略、◎座長

井廻道夫、大平勝美、小幡純子、小山信彌、鈴木邦彦、花井十伍、林昌洋、前野一雄、牧野茂義、益子邦洋、◎溝口秀昭、三村優美子

欠席委員:(2名)敬称略

小幡純子、直江知樹

行政機関出席者

三宅 智(血液対策課長)、丈達 泰史(血液対策企画官)、伯野 春彦(血液対策課長補佐)、新村 浩幸(血液対策課需給専門官)

○議題

1 輸血用を含めた血液製剤全般のコスト構造のあり方について
2 血漿分画製剤の輸出について
3 その他

○議事

○血液対策企画官 それでは、定刻より少し前でございますけれども、本日出席の委員の先生方はおそろいでございますので、ただいまから、第6回「血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会」を開催いたします。
 本検討会は公開で行うこととしておりますけれども、カメラ撮り等は議事に入る前までとさせていただいておりますので、マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 本日御出席の委員の先生方におかれましては、大変お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 本日の委員の出席状況でございますけれども、直江委員におかれましては、御都合により欠席するとの御連絡をいただいております。また、小幡委員におきましては、到着が少し遅れるという御連絡を事前にいただいております。
 また、本日は参考人といたしまして、日本赤十字社血液事業本部より3名の方々に御出席いただいております。
 御紹介させていただきます。
 石川主幹でございます。
 石井副本部長でございます。
 新畑財務課長でございます。
 本日はよろしくお願いいたします。
 続きまして、事務局の異動を御報告させていただきたいと思います。
 8月25日付で安田血液対策企画官の後任で、私、丈達泰史が着任いたしましたことを御報告させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、カメラ撮りはここまででお願いいたします。
 これ以降の進行につきましては、溝口座長よりよろしくお願い申し上げます。
○溝口座長 本日は、前回の議論に引き続きまして、3月に公表いたしました中間報告の中で今後検討が必要な課題、1つが「輸血用を含めた血液製剤全般のコスト構造のあり方について」、第2番目に「血漿分画製剤の輸出について」ということについて御議論いただくことにしたいと思います。
 それでは、事務局より、まず、資料の確認をよろしくお願いいたします。
○需給専門官 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 本日の座席表とともにお配りしましたお手元の資料をごらんください。
 まず最初に、委員一覧がございます。
 次に、議事次第がございまして、本日の議事と資料の一覧を記載しております。
 資料1、「新鮮凍結血漿及び原料血漿の価格について」、4ページの資料でございます。
 資料2、「新鮮凍結血漿及び原料血漿確保に係る『成分採血』と『全血採血』の比率」を示している資料でございます。
 資料3、「諸外国との血液事業の比較」の資料でございます。
 資料4、「血液事業の変遷」を示している資料でございます。
 資料5、「血漿分画製剤を出荷するまでの流れ」を示している資料でございます。
 資料6、「コスト削減について」整理した資料でございます。
 資料7、日本赤十字社から御提出していただきました資料でございます。全部で7ページにわたっております。
 資料8、「血漿分画製剤の輸出に関して」、全部で9ページの資料でございます。
 以上が資料になります。
○溝口座長 どうもありがとうございました。
 委員の先生方におかれまして、お手元の資料で欠落しているものはございませんでしょうか。
 ございませんようですので、早速、議事に移らせていただきます。
 まず、議題1「輸血用を含めた血液製剤全般のコスト構造のあり方について」でございます。
 事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。
○需給専門官 では、事務局より資料の説明をさせていただきます。
 前回の検討会での御意見、御質問を踏まえた資料1から3について、まず、御説明させていただきます。
 資料1の1ページをごらんください。
 新鮮凍結血漿400ml由来の薬価と原料血漿価格の1L換算で示した平成元年から現在までの価格の推移でございます。
 上の青で推移しているのがFFPの薬価、赤が原料血漿価格になります。
 FFPの薬価は、平成2年4月、「全面改正」と記されているところでございますが、このとき輸血用血液製剤は、今後予測される供給本数より血液事業全体の収支が相償うことを前提として総額を設定し、その上で個別製剤の薬価が設定されたという政策的な判断によりまして、輸血用血液製剤の薬価が全般的に大きく上がった時点となります。
 このことは前回の検討会でも御説明させていただいたところでございます。
 その後、さまざまな安全対策上の必要性が生じ、それらの経費が薬価に反映され、現在の価格となっております。
 一方、原料血漿価格につきましては、平成2年3月に当時の厚生省薬務局長、日本赤十字社副社長、日本血液製剤協会理事長の三者による基本合意事項の中で、原料価格は1L当たり1万円と初めて設定されまして、平成15年までは三者合意による合意事項として価格が決められておりました。16年度以降は、血液法第25条に基づき策定しております需給計画に合わせて設定することとなっております。
 なお、昨年度と比較しまして、平成23年度の価格が下がっている大きな要因は、原料血漿確保目標量の減少によるものとなっております。
 続きまして、2ページ目をごらんください。
 1ページ目でFFPと原料血漿の価格の推移をお示しさせていただいたところでございますが、こちらは原料血漿価格設定時である平成元年10月、輸血用血液製剤の薬価が大きく見直された平成2年4月、白血球除去処理導入による安全対策に伴う経費及び容量の変更に伴い薬価の算定が行われた平成18年10月、その直前の薬価改正である平成18年4月、そして現在の5時点でのFFPと原料血漿価格の比較をした表でございます。
 全血400ml由来のFFPを見ていただきますと、当初の価格差は5倍でしたが、現在は6.6倍となっております。
 これにつきましては、1ページ目のグラフからもおわかりだと思いますが、FFPの方は安全対策強化に係る薬価措置が必要に応じてなされ、上がっているのに対し、原料血漿の方はほとんど変動がございません。
 今年度、原料血漿価格が昨年度より1,230円下がったことに伴いまして、最も大きい価格差になっております。
 下の方に参考と挙げさせていただいているのが、アメリカの価格差の比較でございます。価格差は1.5倍となっております。
 次に、3ページ目をごらんください。
 日米の原料血漿価格の推移の比較ということで、前回もお示しさせていただいたところでございます。
 平成22年度は、米国の価格は昨年に比べて大きく下落しています。要因としまして、価格そのものの下落、148ドルから125ドルになっていることもございますが、為替レートによる影響も大きいかと思われます。
 次に、4ページ目をごらんください。
 新鮮凍結血漿の我が国とアメリカ、イギリスの価格の比較になります。
 日本は、2006年12月から1万7,414円で価格の変動はございません。
 データが得られましたのは、米国は2008年、イギリスは2008年、2009年になりますので、その年につきましてお示しさせていただいております。
 アメリカとイギリスは、全血1ユニット450mlから分離されるFFPの量が約250mlなので、内容量をそろえて比較したのが下の表になります。約3倍の格差があることがわかります。
 なお、アメリカにおきましては、前回の検討会で牧野委員から、米国血液事業報告の中で報告がございましたが、輸血用血液製剤の価格はその時点での市価により、医療機関との契約によって決定されるため、価格に上下幅がございます。
 イギリスにつきましては、輸血用血液製剤は国が運営管理しておりますので、固定価格ではないかと思われます。
 また、今回、資料にはございませんが、赤血球製剤の価格につきましては、赤血球の使用量は、欧米では日本より多くなっているようでございますので、赤血球製剤に経費が乗せられておりまして、血漿は付録として価格が設定されているようです。日本は、双方に転嫁されているため、海外と価格の違いがあると思われます。
 続きまして、資料2でございます。
 採集別のFFPと原料血漿の確保の比較比率を示した表になります。
 日米の原料血漿の確保の仕組みとして、日本では、全血及び血小板由来で確保しております。これは、輸血用として使用されない余剰分の血漿を最大限、原料分に回しており、有効利用しております。そして、不足分を成分由来で補うことになっているため、毎年、全血からの割合が高くなっております。
 一方、アメリカにおきましては、ソースプラズマを有償で採取しておりまして、血漿の必要量の一部をリソースプラズマで補っております。この量は表を見ていただけるとわかりますが、毎年同程度のようです。このような仕組みなので、原料血漿の確保比率に大きな違いがあることかと思われます。
 続きまして、資料3をごらんください。
 日本と同じような環境で輸血用血液製剤の供給管理をしている米国赤十字、ARCとイギリスのNHSBTとの血液事業についての比較でございます。先ほど申しましたが、NHSBTは国の組織になります。
 まず、施設数を見ますと、日本は血液センターがほかに比べて多くなっていることがわかります。ARCでは製造施設や検査施設はかなり集約されているとのことです。また、英国でも2008年以降、集約化が進んでいるようです。
 次に、従業員数を見ますと、日赤では正規職員のほか非常勤職員等もこの数字に含まれておりますが、ARCとNHSBTの内訳については不明でございます。
 ARCではコスト削減のため、400から500人のレイオフを行っているようです。
 次に、収入を見てみますと、アメリカでは、輸血用血液はARCとABCでアメリカ全体のそれぞれ40から45%を賄っていることから、単純に人口の半分をARCでカバーしているととらえてみると、収入の点では日本とほぼ同じ規模になります。
 なお、アメリカの収入の内訳につきましては、調査することができませんでした。
 また、イギリスについては、vCJD対策としまして、国内では分画用血漿は採集しておらず、海外、アメリカから確保しているため、原料血漿収入はございません。
 次に、人件費です。日赤では従業員数に正規職員のほか非常勤職員等が含まれた金額となっておりますが、ARCとNHSBTにつきましては、公表されている数字でございますので、そこまで詳細なことが確認できておりません。
 そして、1人当たりの単価でございますが、単純に人件費から従業員数を割り返した金額となっております。日赤の721万円という数字は、法定福利費(社会保険料等)の事業主負担分を含めた金額となっており、隣の括弧書きが事業主負担分を除いた金額となっております。
 なお、ARCとNHSBTの人件費に事業主負担分が含まれているかどうかにつきましては不明でございます。
 以上、前回の検討会での御意見、御質問を踏まえた資料1から3について御説明させていただきました。
○溝口座長 いろいろ細かくお調べいただきまして、ありがとうございました。
 ただいまの資料の説明につきまして、委員の方々、御質問、御意見ございますでしょうか。
 どうぞ、鈴木委員。
○鈴木委員 私、この会は出ていなかった気がするのですが、新鮮凍結血漿の価格について質問します。中医協の委員でもありますので、薬価の専門部会員ではありませんが、薬価の話などを聞いていると、大体、日本の薬価は英米独仏といつも比較して参考にするわけですけれども、いかに内外価格差を小さくするかということで、外国と比較しています。資料1の1ページ、原料価格に比べて製品の価格が高くて、しかもそれが更にどんどん上がっていって、需要が減っても価格が下がらない形になっているようですけれども、この辺の乖離と、価格が非常に高いままに、何かをやるたびにどんどん上げていくというのがよくわからないです。
 最初の説明で、価格の全面改正のときに経費を全部血漿価格の方に乗せたという話ですけれども、どうしてそういうことにしたのか。それと、高い製剤を供給し続けるというか、コストを考えた供給あるいは経営が全然なされていないのではないかという感じがすると思うんですが、どうしてこんなに価格がどんどん上がっていくのにだれも今まで何も言ってこなかったというか、改善されてこなかったのか、その辺の事情を教えてほしいです。
○溝口座長 どうぞ、事務局からお願いします。
○血液対策企画官 平成2年以前までは日赤さんの血液事業については赤字体質であったということで、血液事業の存続が大分危ぶまれてきたという状況が当時あったと聞いております。
 したがいまして、平成2年のときにそこの改善を図るために薬価を上げたと。そのときに、前回の会議等で示させていただいておりますけれども、考え方を整理した上で価格を上げたというのが一番最初にあったかと思います。
 資料1をごらんいただきますと、当時、C型肝炎、B型肝炎、HIVウイルスと新たなウイルスへの対策ということで、その時々に最新の検査等を導入するに当たりまして、やはり収支が悪化するということもございまして、安全対策の強化という部分については、過去数度、薬価を上げることによって対応してきているというのが、これはある意味、政策的にこういうことで対応してきたというのが事実関係だと考えております。
○溝口座長 鈴木委員、よろしいですか。
 ほかに何かありますか。
 どうぞ。
○血液対策課長 それに若干追加をいたしますと、FFPの場合には輸血用の血液製剤になるわけですけれども、これは日本の血液製剤、血漿分画製剤も基本的にはその方針ですけれども、国内で自給をしていくという血液法に基づく大方針がございます。かつては輸入されていた時代も若干あったわけですけれども、今は国内の輸血用の血液はすべて献血による製剤によってつくられているという大前提がございます。
 今、企画官が申し上げましたように、安全性につきましても、順次、NATの導入、肝炎の検査、HIVですとか、いろいろな対策が盛り込まれてまいりました。それにこたえるためには一定のコストが必要になってくるというところがこれまでの歴史であったかと思います。
 この後にその辺は少しまとめてお話をさせていただきたいと思っていますけれども、その中で、一時期、今申し上げましたように、日赤の安全対策をやるに当たって、経営的に非常に難しくなった時期もございました。それに対してこういった薬価といいますか、これまでの取り組みの中で裏付けをした部分があったということでございます。
 もう一方で、今、鈴木先生が御指摘のように、そうは言いながら、高い状況というのは、今こういう状況で生じておりますので、それに対してコスト削減の取り組みが必要ではないかということも、これまたもう一方の事実だろうと思います。その辺もこの後にいろいろな取り組み等を日赤の方からも御説明いただきたいと考えております。
 その辺もまたお聞きいただいて、御議論いただければと思います。
○鈴木委員 今の時点では、新鮮凍結血漿の血液原料と製品の価格の差が6.6倍、これが非常に高過ぎるのではないか。アメリカと比べると、アメリカは1.5倍です。それと海外との価格差です。日本が海外の3倍と、これも高過ぎるのではないかというのが印象としてありますので、後からの話も聞いてまたお話させていただきたいと思います。
○溝口座長 どうぞ。
○血液対策課長補佐 今の関連になりますので、先に資料4から6まで事務局の方で説明させていただいてもよろしいでしょうか。
○溝口座長 どうぞ。
○血液対策課長補佐 それでは、資料4からでございます。
 前回の検討会で、議論の背景等が見えない状況で議論はなかなかできないという御指摘がございましたので、事務局の方で少し整理をさせていただいております。
 資料4をごらんいただければと思います。
 まず、我が国で献血制度が普及された背景でございます。
 向かって左側が法律と制度、真ん中が国民運動、向かって右側がインフラの整備に大きく分けて記載をさせていただいています。
 下に行くほど年代が上がっていきますが、1950年代まででございますが、ここは枕元輸血から保存血輸血へという時代でございます。
 真ん中の列の国民運動のところを見ていただきまして、背景としては、1948年に東大病院の輸血梅毒事件によって国民運動が高まっていきまして、マスメディアあるいはGHQによる輸血対策の指示等があった時代でございます。
 向かって左側の法律と制度のところでは、これらの国民運動などを受けまして、1948年に血液銀行設置の指示がございまして、1951年に株式会社日本ブラッドバンクが開業されて、1952年に日本赤十字社、血液銀行が設置されております。
 ただし、この時代でも売血というのは残っておりまして、1960年代になりまして、売血から献血推進の時代になってまいります。
 こちらでは、真ん中の国民運動を見ていただきまして、1962年に学生による売血実態調査・黄色い血追放運動などが起こりまして、更に有名な1964年にライシャワー事件が起こりまして、同年に「献血の推進」についてという閣議決定がなされたところでございます。
 また、向かって右側のインフラの整備のところでは、同じ年に赤十字血液センターを各地に開設しまして、1974年には輸血用血液製剤の国内自給の100%を達成しております。国際的な動きとしましては、1975年にWHOが加盟国に対しまして、無償の献血を基本とした各国の血液事業の推進を求める勧告を出しております。
 次に、1980年代以降になりますと、輸入の非加熱製剤によります薬害エイズ事件が生じまして、国内生産の加熱製剤へという時代になりますが、血漿についてはこの時点でも有償採血が残っておりましたが、1990年、ようやく中止されまして、2003年には血液法が施行され、法律上、国内自給、安定供給という基本理念が示されたところでございます。
 更に、国際的な動きとしましては、2005年にWHOは血液の安全性、世界献血デー設置の提案に関する決議がございまして、2010年にWHOは加盟国に対して、特殊な事情がない限りは国内自給を達成することを目的として、資源の入手可能性に基づいて国家的に調整され、効率的に管理された持続可能な血液及び血漿プログラムの実施をするためのすべての必要な措置をとることという、国内自給を基本的に推進していきましょうという決議を出しております。WHOの総会の決議として国内自給の達成についてこのとき初めて採決されております。
 こういう背景、すなわち国民運動による血液製剤の安全性への認識の高まりによって、かつ世界的にも倫理的な観点から自国での国内自給を進めていくという動きもございまして、我が国では献血制度が普及し、また国内自給向上を目指した動きをとっているという背景がございます。
 次に、資料5でございます。
 血漿分画製剤を出荷するまでの流れを示したものでございます。
 献血は無償で行っていただいているものではございますが、前提としては、献血を推進するための経費、すなわち広報経費が掛かってくる。また、問診なども行いますので、そのシステム構築や維持、採血する場所の確保等々、献血による採集といえども、相当の経費が掛かってくるというところでございます。
 こちらは後ほど日赤の方からの説明にも具体的な数字等が出てくるかと思います。
 更に、献血血液については、スクリーニング検査あるいはNAT検査を実施しまして、原料血漿となっていきますが、その後、貯留保管をしまして、プール原料血漿となって、病原体の不活化過程等を行って、最終製品となります。その後、国家検定などを経て出荷となりますが、出荷後も搬送費だとか、副作用の遡及調査経費あるいは健康被害が生じた場合の救済の制度等々、種々の費用が掛かってくることになっております。
 次の資料でございますが、資料6をごらんいただければと思います。
 こういった背景を踏まえて、コスト削減についてでございますが、現時点においても、血液事業の広域運営化などによって原料血漿採集の効率化などを行っております。また更に、日本赤十字社と、前回の会議にも出ておりましたが、田辺三菱製薬株式会社の事業統合によって、今後、製造コストの効率化も期待できるという状況でございます。
 一方で、コスト削減の課題でございますが、原料血漿価格については、先ほど申し上げたとおり、広報経費だとか、安全対策等に一定のコストは必要不可欠でございますし、また、更に一歩進んだ安全対策が求められておりますので、安全対策に係る経費というのはより一層大きいものとなることが想定されます。更に、今後ですが、少子高齢化の影響もございまして、献血推進に係る経費が一層増大することが想定されております。
 製造コストについては、製造規模の大きさから、日本の企業の製造コストは海外と比較して高いということが想定されておりますが、今回のような統合がコストの削減につながるというのは想定されるものの、効果が出るまでにはそれ相応の時間を要するという課題がございます。
 そういった課題も踏まえて論点整理でございます。
 1点目、当然、献血によってもコストが掛かるというところがございますが、今の採集過程でより効率的に実施をして、原料血漿価格を引き下げることができないのか。また、価格についてでございますが、先ほども事務局から説明がございましたが、為替が関わってくるところもございます。本当に価格を下げることによって国内自給率の向上につながるのかということも1つの論点かと思っております。
 2点目、製造コストでございますが、アルブミン製剤の製造過程でより効率的に実施をして製造コストを引き下げることはできないのかという点でございます。
 以上が論点かと思いますが、更にそのほかに追加の論点が当然あるかと思いますので、御提案いただき、併せて御議論いただければと思っております。
○溝口座長 どうもありがとうございました。
 やはり後の御説明で答えるものもいろいろあったようですので、ここで御議論いただく前に日赤の方からも資料の御説明をまずいただきたいと思います。
 よろしくお願いします。
○日本赤十字社(新畑財務課長) それでは、私の方から資料7から御説明を申し上げたいと思います。
 これは輸血用血液製剤の供給数及び収支状況を平成14年度から10年間の推移をお示しした一覧表でございます。
 平成14年度から22年度までは、当然、決算が終わっておりますので、実績値となりますが、平成23年度についてはあくまでも予算値と御理解いただきたいと思います。
 赤の折れ線グラフが単位を換算いたしました供給本数を万単位でお示ししております。右に目盛りがございます。
 ブルーの棒グラフが収支の状況を表しております。単位は、左の方にも記載いたしておりますけれども、100万単位でございます。
 見て御理解をいただけるかと思いますけれども、平成14年度を例にとりますと、平成14年度は供給本数としては、1,719万本でございました。この年の収支は約59億という好決算だったわけですが、それ以降、平成14年、15年、16年、17年、18年までこの間、おおむね前年度比1.1%ないし2%近く供給本数が徐々に低下いたしてまいりました。まさにこれに呼応するように収支の方も、平成15年度で黒字とはいえ、約14億、平成16年度、17年度、18年度の3か年に至っては、かなりの赤字決算という結果でございました。
 なお、この間は安全対策等にかなりの資本を投下した年でもございましたので、供給本数以上に、決算としては非常に赤字決算という結果でございました。
 そして、その翌年の19年度は18年度に比較いたしまして、供給本数といたしましては、前年度比約3.3%増の1,673万本。この年がちょうど50億違い49億の黒字決算。それ以降、20年度、21年度、22年度までおおむね3%ないし4%の供給本数の増加が見られたわけでございます。平成22年度に至りましては、供給本数といたしましては、1,847万単位、事業収支としては95億という好決算でございました。
 ごらんのように、血液事業の収支というのは大いに供給本数に依存しているわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、23年度はあくまでも予算値の数値でございますが、平成22年度の供給本数を示しております1,847万単位の下の折れ線のところから破線で、非常に見にくいかと思いますが、お示ししておるものがございます。
 実はこれは、平成23年度に入りまして、4月、5月、6月と3か月の第一四半期の供給状況の伸び率を示した折れ線グラフでございます。要は、平成23年度は平成22年度に対して、予算としては供給本数は103.8%の伸びということで予算を策定いたしましたけれども、第一四半期の状況では、前年度比100.5%、この3か月を見る限り、供給本数としてはほぼ横並びの状況でございます。
 このように血液製剤の供給本数が大幅に収支に影響を及ぼすということですが、それに加えまして、私ども血液事業本部といたしましても、従来より赤字財政下の中においても、事業の効率化の努力を継続した結果が19年度以降の黒字傾向の要因になっていると一部、分析もいたしております。
 その効率化の一番大きなものが、いわゆる業務の集約化でございます。1つには検査であり、1つが製剤業務の集約です。
 次に、2ページをお開きいただきたいと思います。
 検査業務の集約によって採血1本当たりの検査費用が、本格的に全国的に検査業務を集約して以降、検査単価がどれぐらい低減したかを17年度から21年度までお示しした表でございます。
 平成17年度は採血1本当たりの検査費用、これはNAT検査は除いておりますけれども、2,953円でございました。翌年には2,895円と58円低減し、最終的に平成21年度では2,128円。この年は20年度よりも単価ベースとしては10円プラスにはなっておりますが、ちょうど平成21年度はグリコアルブミン、いわゆる糖尿病検査の一種でございます、これを導入した関係で1本当たりの検査費用としては前年度よりも10円上がった格好にはなっておりますけれども、いずれにしましても、最終的には、21年度の1本当たりの2,128円と17年度の2,953円の差額、1本当たり825円を平成21年度の献血者数である530万人で掛けますと、おおむねこの4年間で検査業務を集約することによって、約43億円のコスト削減が図られたということをお示しさせていただいている表でございます。
 次に、第2の業務の集約でございます。製剤業務の集約、3ページをごらんいただきたいと思います。
 先ほどと同じように、製剤のいわゆる採血1本当たりの製造コストをお示ししております。
 平成18年度から21年度までのそれぞれの単価の差額を同じく21年度の採血本数で掛けますと、こちらの方は3年間で約12億円のコスト削減を図ることができました。つまり、平成17年度以降21年度まで、検査あるいは製剤業務の集約を行うことによってこの間、全体としては約55億円の集約効果が図られたということが御理解いただけるのではないかと思っております。
 勿論、私どもといたしましても、業務の集約化のみならず、こういうコスト削減のほかに、検査用試薬を始めとする、各センターさんの方でいろいろ使用する物品の一括調達も平成18年度から実施いたしておりまして、こちらの方でもおおむね年間30億円のコストの削減を図っております。同じく平成18年度からおおむね3年間ほどをかけまして、言葉はあれでございますけれども、経営的に余りよろしくない血液センターに対して、経営改善計画と称しまして、わざわざ各センターさんの状況を見ながら、いろいろ指導させていただいて、経営改革をさせていただいた結果、こちらも約51億円の経費の削減を図ることができた、そういう削減効果を見ることができた状況でございます。
 以上が検査と製剤業務の集約等を中心としたコストの削減効果でございます。
 次に、4ページ、今いろいろ申し上げましたコストの削減結果も踏まえた直近のデータでございます。
 平成22年度の血液事業の総コスト、全体で1,562億円でございましたが、このコストが献血の入り口から最終、血液製剤を医療機関にお届けするまでにどの部分にどれだけのコストが掛かっているのか、コスト割合をお示しした表でございます。
 一番上、ちょうど時計でいいますと12時のところが黄色になっておりますけれども、この部分が献血の推進あるいは献血者を受け入れるための費用でございます。22年度ベースで約155億円の費用が掛かっておるわけでございます。これは献血の広報活動費用あるいは献血者の処遇費用等も含んだ費用でございます。
 また、次の赤い部分につきましては、今度は採血のための費用(献血ルームの費用を含む)と記載をさせていただいておりますけれども、当然、全国に120近くある献血ルームの賃借料等も含めた数字でございます。
 今申し上げました受け入れ、そして採血のための費用で約800億、コストとしては掛かっております。全体の1,562億の約51.7%、全コストの半数以上が献血の受け入れのため、そしてまた採血のための費用に掛かっていると御理解いただければと思います。
 その後、いただいた血液を検査し、そして製造をする。そのコストで約316億円。
 従いまして、更にそれを医療機関にお届けするための費用が150億円。
 ですから、献血者を受け入れて、最終医療機関にお届けするまで、このブルーの血液供給のための費用まででおおむね82%、全体のコストに対してこれだけの比率のコストが掛かっているという決算の結果でございます。
 あと、血液センター等の管理運営のための費用、調査研究のための費用等々を含めまして、全体といたしましては、平成22年度は1,562億円のコストが掛かったという状況でございます。
 最後に「今後の主な財政負担要因」というのを用意させていただいておりますのをごらんいただきたいと思います。
 先ほど一番最初のページの資料でも御説明申し上げましたように、平成18年度までは非常に財政状況が悪かった。各センターの設備が老朽化しているにもかかわらず、資金不足でなかなか更新ができない。献血運搬車も既に10万?以上も走っている、10年間以上も使っている。それでも資金がないためになかなか更新ができなくて、やむなく使用せざるを得ない。あるいは、建物についてもかなり老朽化しているにもかかわらず、そういう財政状況であるがゆえに、手を付けられなかった状況がございましたので、今後は数年間かけて、今まで着手したくてもできなかった設備、勿論建物等も含めてでございますけれども、そういうものの更新整備にある程度は資本の投下をいたしたい。
 勿論、医療機関からの要望あるいは献血者に還元できる取り組みを中心に資本投下をするのは当然のことでございますけれども、そういうことも含めて「今後の主な財政負担要因」というところで、ざっくりとした内容にはなるかもわかりませんけれども、簡単に御説明を申し上げたいと思います。
 まず、1番としましては、血液事業の基盤整備。これは今までも機会あるごとにお話をさせていただいているかもわかりませんけれども、来年度、平成24年度から全国的に血液事業の広域運営体制が導入されます。そのためのブロック血液センターの設置でございますとか、先ほど申し上げましたように非常に古くなっているそれぞれの各センターの施設の更新費用あるいは、これはケースバイケースでございますけれども、自治体によっては昨今、非常に行政側も苦しい、何とか無償でお借りしている赤十字の方で土地を赤十字の方で買い上げていただけないかという要望があった場合には、できる範囲内で、現在、無償で使わせていただいております事業用地の取得も考えていきたいと思っております。そういう基盤整備としておおむね600億円。
 2番目といたしましては、安全対策の強化といたしまして、NAT検査を始めといたしまして、いわゆる次世代の検査機器の整備も図っていく必要もございますし、いわゆる製剤の自動化。御存じのように製剤業務は、人手で、マニュアルでやっている作業が非常に多うございますので、これは将来に向けて近々にできるだけできる部分からでも自動化を図りたい。そのための機器の導入費用でございます。
それから、血液製剤の品質保証や過誤防止。今、医療機関から血液センターが血液製剤の受注を基本的には電話あるいはファクス等でお受けしているわけですが、やはり中には過誤もございます。そういうあってはならない過誤を防止するために、血液センターと医療機関をオンラインで結んで、オンライによる受注システムも近々に構築いたしたいと考えております。このような安全対策の強化費用として約325億円。
 そして、献血者のためには、献血ルームのリニューアル、献血者の方により快適な献血環境で献血いただけるように、献血ルームの移転あるいは施設そのものの拡充等にも着手をいたしたいと考えております。献血ルームでの献血と、もう一方、医療献血バスがございます。御存じのように、移動採血バスで献血いただける環境といいますのは、必ずしも献血ルームほど環境がいいといえる状況ではございませんので、採血バスについてもできるだけその機能あるいはデザイン等を抜本的に見直す計画をして、今後、整備に着手していきたいと思っております。
 最後になりますけれども、供給体制の充実強化。これも広域事業運営体制導入に伴いまして、ある府県によっては、医療機関までの供給の配送時間がかなりかかる。そういう府県は供給拠点そのものをもう一度見直して、必要なところには新たに供給拠点を適正に配備する。あるいは、既にある供給出張所であっても、それがもうかなり古いものであれば、そういうものも改修して、増設と改修を計画的に行いたい。
 こういう形で、今までできなかったものにできるだけ医療機関の要望や献血者の方に還元できる形で資金を投下してまいりたいと思っておりますので、御理解のほどをよろしくお願いいたしたいと思います。
 こういうことをやっていきますと、収支もさることながら、私は財務課長でございますので、資金の推移が非常に気になるのですが、供給本数の予測は、23年度は22年度に対して約3%の増加を見込んだ供給計画を立てておりますけれども、今年度の第一四半期では100.5%とほぼ横並びということが非常に不安材料ではあるんですが、一方では不安材料はあるものの、先ほど申し上げました計画については、今までできなかったものについての整備あるいは更新については、できるだけ早い段階で整備に着手してまいりたいと思っておりますので、御理解の程よろしくお願い申し上げたいと思います。
 財務に関する説明は以上ですが、参考資料を2枚ほど、献血者の推移と献血者の将来のシミュレーションを添付させていただいておりますので、簡単にコメントをさせていただきたいと思います。
 献血者の推移の方は、ごらんになっていただいたらおわかりいただけますように、平成6年から平成22年までの17年間、年々、献血者数そのものが減少してまいりました。平成19年の494万人がボトムだったわけですが、徐々に頑張って需要に応じた形で回復をさせてきたわけでございます。
 ここで申し上げたいことは、年代別にこれが記載されております。例えば水色は50から69歳の方、グリーンは40から49歳の方を表しているのですが、この年代の方が平成6年に比べますと非常に献血に御協力いただいているのがこの折れ線グラフで一目瞭然だと思いますけれども、逆に10代、20代の方が平成6年に比べて極端に減少いたしております。例えば10代の方の献血率は、これは勿論、全体の年齢別の構成率でございますが、平成12年のときは10.2%だったんですが、平成21年には、半数とまでは行きませんけれども、6%まで落ち込んでいる状態でございますので、今後、10代、20代の方にいかに献血に御協力いただくようにしていくのかが我々の大きな務めだと考えております。
 次に、同じく参考資料の最後でございます。
 これは下に少しコメントがございますけれども、東京都の福祉保健局が調査した2007年の輸血状況調査結果と将来の推計人口を用いて日本赤十字社が将来の輸血用血液製剤の供給予測数を算出したものですが、御存じのように輸血用の血液製剤は85%が50歳以上の患者さんに使われているわけでございますので、高齢化が進む2027年には輸血を必要とされる方が549万人になるだろうというシミュレーションでございます。
 しかし一方で、少子高齢化が更に進みますと、16歳から69歳の献血可能な人口が7,588万人になる。これに対してここ数年の献血率の5.9%を掛けますと、約448万人しか献血に御協力いただけない。となりますと、2027年には549万人に対しては101万人の献血者数が不足いたしますよというシミュレーションでございます。
 先ほど申し上げました7,588万人で549万人を確保しようといたしますと、献血率の5.9%を7.2%まで上げないと549万人はなかなか確保できない。ということは、ますます今後、献血者の受け入れには今まで以上に力を入れて努力をしていかなくてはならないというシミュレーションということでお示しをさせていただいておりますので、ご参考にしていただければと思っております。
 以上でございます。
○溝口座長 どうもありがとうございました。
 大分時間も押してきましたので、現在の状況からすると、平成2年当時に設計された現行の原料血漿と輸血用血液製剤のコストの考え方の基本部分について見直す必要はないかを引き続き検討する必要があると中間報告では言われまして、これにつきまして前回の検討会では、現在の状況からすると当時とは考えが大分違ってきておりますので、国際的な視野に立って適正な価格であるべきであるという御意見がありました。また、原料血漿価格が原因で国内自給が下がっていくのであれば、国際価格に近いものにしていくよう努力すべきではないかという御意見もありました。また、本来の国内自給の問題とは直接は関係ないのですが、アルブミンの国内自給の問題とは直接関係ないのですが、新鮮凍結血漿と原料血漿の価格差、今、鈴木委員からも御指摘のありました点について、FFPが高過ぎるのではないかという御意見もありました。
 ただいまの事務局及び日本赤十字社からの資料及び説明によりますと、血液事業全体で国際比較をしたところ、人口ベースで検証してみますと、アメリカの赤十字あるいはイギリスの血液事業と比べますと、収入規模はほとんど同じようでありまして、人件費についての1人当たりの単価は、日本の赤十字社は比較的効率よく収入があるような気がしました。このFFPの薬価と原料血漿価格の推移を比較してみますと、FFPは必要に応じて安全対策の強化がなされておりまして、検査経費がその都度加算され、薬価措置がなされているのに対しまして、原料血漿価格は献血を原料とする製剤を必要かつ十分な量だけ製造し、適正に供給するために、関係者合意の上、平成2年当時に設定された価格から大きく変動することなく抑えられてきている。これが価格差ができた原因ではないかと思われました。
 本日は、この価格差にも関係することにもなりますが、原料血漿の採集過程や製剤製造工程をより効率的に実施することにより、原料血漿価格や製造コストを引き下げることはできないかということが論点ではないかと思いますが、皆様方の御意見を伺います。
 どうぞ。
○小山委員 今、日赤の方から御説明をいただいたんですけれども、水一滴も漏らさずという形でもって、完璧な御説明で、もう我々はこれ以上ここで議論する必要はないんだと感じるんですが、誠に申し訳ないんですけれども、大変違和感を感じます。
 何に違和感を感じるかというと、はっきりしたものが見えてこないんですけれども、例えば先ほどの車の件でも10万?走っているという話ですが、個人で持っている車なら10万?は大変でしょうけれども、日本の場合、営業車は30万?、40万?は普通です。それから、走っている車のほとんどはいろいろな財団からの寄附によっていますね。その辺のところの話で少し引っ掛かるのかなと思いながら聞いておりました。
 コストを非常に削減している、削減している、何十億ということを言っていますけれども、一番最初の資料1の上がっている理由は何だというと、検査で上がっていますというんです。その辺のどうも言っていることとやっていることが余りにも、言っていることというのは、説明されている内容と実際の我々の目に見えてくるところの数値の余りにも違いがその辺の違和感を感じ出しているのかなと思うんです。
 実際に自分が心臓外科医をやっておりますので、血液に対しては非常にお世話になっていて、現場の方の努力たるや本当に頭の下がるものがあるんです。確かに現場だけを見ていると、コスト削減どころか、一番影響が大きかったのは、大田区からセンターがとられてしまって、都心に行ってしまったということだと思って、いろいろな問題があったんですけれども、でも、現場の方の非常な努力によってほとんど影響がないぐらいにやっているんです。話を聞いていると、コストというのは、そういう現場サイドの問題よりももっと根元の大きな問題を抱えているのではないかという気がして、その辺がまだ頭の中ではっきりしていない違和感なのかなと思うんです。
 質問としては、表1でどんどん値上がっているのは、検査とか安全対策にお金が掛かっているとおっしゃっていますけれども、今の日赤の説明では、逆にコストはどんどん削減しているんだという差はどこから出てくるのか、まず教えていただけますか。
○溝口座長 どなたが答えられるのか。
 どうぞ。
○日本赤十字社(石川主幹) ご質問ありがとうございます。
 資料1でございますね。的確な御回答になるかどうかあれですけれども、それぞれの検査、例えば平成2年ぐらいですか、HCV・HBS検査の導入とありますが、多分これはHBC検査の間違いだと思うんですけれども、C型肝炎検査の導入をいたしました。このときに当然、試薬代とか機械とかがかかりますので、ここで薬価を見ていただいたと。
 この辺につきましては、薬価の導入のほかに、将来のC型肝炎に罹患といいましょうか、輸血から感染になるのを防ぐという意味でも、国策としてC型肝炎検査を日赤が世界で一番最初に導入したわけですけれども、そういったことでコストを見ていただいております。そして、これはFFPだけの値段を上げたわけではなくて、輸血用血液全体でコストを負担しているということでございます。それぞれの段階におきまして薬価の改定を見たと。
 こういった中で人件費、固定費が費用の中で大体半分ぐらいを占めるわけですから、何もしなくても固定費用は当然上がっていくということがありますので、やはり変動費を下げるという努力面では、検査費用ですとか製剤費用を下げて、年間の事業運営を賄えるようにということで努力をしてきているわけです。ですから、検査の集約ですとか、製剤の集約をしていないのであれば、収支状況は当然かなり悪くなっているという認識でございます。
○溝口座長 最初の価格の設定のところで、血液事業に必要な総額を決めておいて、そしてそれぞれをいろいろな製剤の価格に割り当てたというような御説明が最初にあったのですが、積み上げ方式、必要経費を積み上げていって価格が決まっているのではないという印象を最初の御発言で聞いたのですが、事務局、どうですか。
○血液対策企画官 確かにその時々に必要なものを積み上げていっているのではなくて、その時々の薬価の収支状況を見まして、赤字になっている場合、その部分を補てんするためには、輸血用製剤すべてにおいてどのぐらい薬価を上げていけば収支の赤字の部分が解消できるかというところの観点で、その時々に値を上げてきたというのが正直なところだと思います。
○溝口座長 この前の議論でも、日本の血液事業に人口当たりで掛かり過ぎているのではないかという印象があって、海外のを調べてくださいという意見があったんですが、調べた結果では、さほど大きな違いはないだろうと思われます。問題は、どうも分配にあるんじゃないかという印象を今日の御説明を聞いて感じたんです。
 三村委員、この前のときの原料血漿の価格の決め方もかなり人為的であると。例えばPPPというか、原料血漿、成分献血でとるのは4万3,000円も掛かるけれども、ほかのが安いので、トータルとしては原料血漿の価格はリットル当たり1万円に決めている感じがした。先生はそれもかなり人為的だとおっしゃっていましたけれども、全体の血液事業のそれぞれ輸血用血液製剤も原料血漿の価格も積み上げではなくて、人為的なんでしょうか。
○三村委員 これは厚労省からお答えいただいた方がそもそもいいと思います。ただ、印象としましては、明らかに原料血漿価格については、ある基本合意の中に価格設定があり、ただし、血液事業全体の経費、事業経費全体をきちんと見ていらっしゃる。それをどう配分するかに関する政策的な御判断は恐らくあるんだろうと感じました。
○溝口座長 その辺、事務局はどうですか。
○血液対策企画官 確かに資料1をごらんいただきますと、特に血漿分画製剤の価格になりますけれども、例えばこの表でスタートしています平成元年、2年ごろですが、先ほどの説明にもありましたが、三者合意と当時言っておりましたが、関係各者で合意できる原料血漿はどのぐらいかというところをいろいろ考えて決められてきたという経緯があると思います。それはやはり、余りにも高い価格になってしまいますと、献血由来の分画製剤の国内自給に影響を及ぼしてしまうということの懸念が恐らく当時からあったのではないかと推察しております。
○溝口座長 大平委員、どうぞ。
○大平委員 原料血漿と新鮮凍結血漿の価格差の問題で、原料血漿の政策的な判断というのを今ここで議論を始めても、新鮮凍結血漿の価格の差との開きが本当に解明できるのかどうか。逆に新鮮凍結血漿が余りにも高くなっていって、原料血漿の方がずっとそのまま据え置きのような形になっているということになりますと、本当に原料血漿が適正なのかどうかというところに振り返ると、逆に今度、原料血漿の価格を見直さなければいけないというところに入っていくんだろうと思うんです。
 ただ、新鮮凍結血漿の薬価の伸びというのはやはり異常だと思うんです。これは単純な比較でいいのかどうかというところはわかりませんが、米国と3倍の開きがある。結局、輸血用血液製剤の供給の推移を資料7で見させていただいて、収益としてはかなり伸びているところがあって、その前段階のマイナスの部分は、正直、当時の日赤の血液事業の在り方が、事業体としてはきちっとできていなかったというところで改善を進める中で、例えば人件費の問題とか、いろいろな問題も含まれて赤字になっているというところを記憶しているところです。
 その後の推移、輸血用血液製剤の利潤としてはかなり上がってきている。その中でFFPに利潤について還元されているのかどうか。また、検査についてもそれが積み上げ検査であるのかどうかというところはまだ確証はできませんけれども、血漿製剤をつくる流れの中で見させていただいて、実際に検査業務集約によるコスト削減で、この検査業務がどこに当たるのか。また、製剤業務の集約によるコスト削減と書いてありますけれども、これがその流れの中でどこに当たるのかというところが見えないところで、漠然とコスト削減という形でかなり成果を上げているということはうたわれているんですが、それがどうFFPのコストの削減につながって、それでもなお伸びているということがどういう説明があるのかというところが、やはり日赤としてはこれで掲げていくとしたら、説明をきちっとできる透明性を出さないと、なかなか理解を得られないのではないかなと思うんです。
 ですから、今後、集約化される中でも、結構、輸血用血液製剤と分画製剤の原料血漿の問題の分け方の中でコスト構造というのはかなりはっきりと踏み込んでいかないといけないのかなというところはありますが、どこまで踏み込めるのかなというところが、日赤全体の血液事業の中身との兼ね合いになるのかなと思うんです。ですけれども、今後より透明性が求められる中できちっとそれが説明が付くような、もう少し財務的なお話ですとか、また、技術のいろいろな費用の負担が本当に適正なのかどうか。
 実際に血液事業全体の円グラフを見せていただいたわけですけれども、多分、日赤は日赤で内部の企業の運営の問題点としては、問題ないという理解で進まれているんだろうと思うんですが、第三者から見て、この点については是正すべきではないかとか、そういうものも日本の血液事業の一端を担う組織としてはもう少し透明性を高めた形で提示していただけたらと思うんです。
 そういった点で、特に原料血漿と新鮮凍結血漿の問題については、やはり一定の説明ができる開示を是非お願いしたいと思います。
○溝口座長 FFPが高い問題は、ここの会の本来の目的ではないのですが、血液事業部会で大分大問題になって、それをここで少し議論しろということであったので入れたのですが、本来の目的はアルブミンの自給率を高めるということで、アルブミンが高過ぎるかということが一番問題で、その大もとに原料血漿が高過ぎないかということがあるんですが、そっちの方は統制価格で止められているので、余り議論できないんですけれども、一番の問題は、やはり原料血漿のところに集中して議論をする必要がありますでしょうか。
 どうぞ、花井委員。
○花井委員 今、日赤の透明化の話があったんですが、まずこの点については大平委員の意見に全く賛同で、現実に薬価という形で金額が出ている以上、独占的に供給している法人がどうであるか。日赤は仕分けの女王の目もこぼれて、独法化とかということがなかったわけですけれども、実際には日本赤十字社は日銀のような組織ではあるにせよ、血液事業特別会計部分というのは、ある種、独法化に極めてなじむ話だったんですが、そういう話はかなり大手術になるのでなくなってしまった。
 今の資料でも、例えば貸借対照表、損益計算書、部門別の収支、長期借入金、短期借入金とか、そういうところを独法評価と同じぐらいで評価しないと本当にちゃんとしたパフォーマンスがちゃんとしたコストで出ているのかが判断できない。だから、行く行くはやはり少なくとも血液事業特別会計に関しては、独立行政法人並みの評価をして、ちゃんとやっているじゃないかという事を国民に示す必要がある。
 印象としては、実態としては、1974年に自給を達成して以来、安定供給ができたということだけでも、かなりこれは評価していいと思うし、日赤が怠けているとは決して思わないのですが、やはり時代がそうなってきている。しかも、鈴木委員と似たところがあるんですけれども、薬価で見ているというところは、実は、薬価が付いたのは1962年以前なんです。だから、もともと血液というのはサービスなのか商品なのかという議論があったわけですが、一応、薬価に付けた時点で、商品的な運用をしつつサービス的にやるというのが日本の血液事業のやり方で、その意味で言えば、薬価に乗せるのか、税金に乗せるかという議論がもともとあって、本来、検査費用とか税金で見てもいいんじゃないかという議論もあるわけです。中医協でも税金で見る部分と中医協で薬価に乗せるという話で議論が違うじゃないかという議論はよくあるんですが、特に血液事業に関しては国のパブリックのサービスとして成立しているので、税金と同じように薬価をお使いいただいてきたということだと思うんです。
 だから、そういったところも踏まえると、今、イギリスとアメリカと日本赤十字社しか比較していませんが、結構税金が入っているところもあろうかと思うんです。そこを調べないと、パブリックなサービスとして各国がどのような運用をやっているかということで比較しないと、一般の医薬品の企業の比較みたいにすると議論がどんどんわからなくなる。
 基本は、溝口座長がおっしゃったのですが、まず、輸血用血液製剤を適正なパフォーマンスで適正な価格で供給しているかというのがまず1点目の論点。それを踏まえて、それができた上で今度は原料血漿というものを提供し、国内自給を達成できる価格で原料血漿を提供できないかと、こういう段取りなんです。
 昔話ばかりしても始まらないんですが、もともと日本赤十字社が血漿分画製剤をつくった理由は、輸血用血液が有効利用されていなくて捨てられているという批判があって、輸血用血液の事業をやっている中で反射的に分画で有効利用というものが献血者に対しての日赤の役割だろうということでそもそも立っているんです。それ以降、薬害エイズ事件が起こって、凝固因子も製造するようになりました。このときもたしかかなりの税金が投入されたはずです。だから、割とそういう政策的なところがあるので、鈴木委員も何でこんなに高いんだとおっしゃるのは当然ですが、そもそも税金で見るところを薬価で見てきたというところがあります。それは各国そういうところもあるので、その辺を踏まえて議論した方がいいのではないか。
 だから、大平委員が指摘したとおり、輸血用血液のコストについてはやはり日赤の透明性。血漿分画の原料血漿については、まず、国際競争力も含めて国内自給が達成可能なコストで供給いただかなければいけないですから、それをしてくださいということだと思うんです。だから、そこを分けて議論した方がいいと思います。もし後段から議論するのであれば、輸血用血液が高いからという議論とは筋が違うのではないかと思います。
○溝口座長 鈴木委員、先ほど手を挙げていらっしゃいましたね。
○鈴木委員 花井委員に御説明いただいたんで、私もわからない所が大分わかった部分もあるんですが、要するに日赤の、全体かもしれませんけれども、血液事業部は非常に高コスト体質であるんだろうな、民間の企業にはとても信じられないコストをかけてやっていらっしゃるんだろうな、事業を削減したといっても、価格には全然反映されていないし、資料も出ていましたけれども、多分、人件費が高いんだろうなと思うんです。
 そういったところを改善していかないと、血液製剤もDPCの中でどうするかという話が出るのかもしれませんけれども、そうなると、DPCではコストになりますから、高くてもいいということにはなかなかならないと思います。隣の小山先生は御専門ですけれども。やはりそういうものがはっきりと、透明性があった上で合意ができるかどうか。
 日赤にはみんな国民が協力しているわけです。社員となったり、我々医師が献血車に乗る場合だってほかに比べて格安の値段で乗っているわけです。そもそも、血液製剤の原料そのものが献血ですから、そういう国民の支援で成り立っているものが非常に高コストのまま維持されているというのは、非常に違和感を感じますので、そこが明確に改善されていかないと国民は納得しないと思うし、我々も同じだと思います。
 ですから、3倍も高いんだけれども、これがとにかく3倍高いのをそのまま維持しているということ自体が私は理解できないので、これをどう下げていくかということを考えてく必要があり、具体的に考えるのは日赤の血液事業部だと思います。これはやはり数値目標を挙げて、我々に考えろというのではなくて、論点には何か挙げているみたいだけれども、我々は今回5%下げてください、10%下げてくださいと、そういう目標を示して、あるいはそちらがサービス向上計画みたいなものを出して改善していくということをしていかないと、国民の理解を得られないのではないかなと思いました。
○溝口座長 FFPは高いのですが、価格の決定は一般の企業とは違って日赤が決めているんじゃないんですね。そこがやはり問題で、先ほどの資料3のアメリカ赤十字とイギリスの血液事業を担当している国家機関との比較をすると、人口当たりが、アメリカは人口が3億人となっていますけれども、大体、半分の血液を提供している。あと半分はもう一つは別の組織が供給していますので、血液を供給している人口約1億5,000万人ですから、ほとんど日本と同じで、収益も日本は1,600億円で、アメリカが2,000億円で日本赤十字の収入が多すぎることはない。
 そういった意味で、トータルの血液事業は、イギリスもそうですけれども、人口当たりはほとんど同じと考えられます。繰り返し申し上げているんですが、FFPが高いから儲けているという論理は難しいかなという気がして聞いていたのです。FFPが高い一番の問題は患者の負担が大きくなる。3割の自己負担があるということが一番問題です。それがどこかが足りないのではないかというと、赤血球製剤は海外より安いのかもしれない。その辺のデータがここにないのでわからないのですが、トータルが同じで、FFPだけやたらに高い。PC(血小板)も多分、高いのではないかと思います。その辺の分配をもう一回きちっとどこかで見直す。国家の問題だと思います。保険局とか中医協での検討が必要だと思います。価格に関して日赤が自由になる部分はほとんどないんだと思うんです。
 その辺はどうですか、事務局。
○血液対策企画官 確かに輸血用血液製剤であろうと、血漿分画製剤であろうと、1度、薬価付けがされますと、あとは何年か1度に実勢価格を調べて、それに基づいてある一定のルールで、大体2年に1度という頻度になりますけれども、その実勢価格を見た上で価格をまた再度決め直していくというのがずっと来ておりますので、そういう意味では、日赤さんがどうこう決めるということではないのかもしれないです。
○溝口座長 輸血用血液製剤はそういうシステムではないでしょう、実勢価格などないのだから。
○血液対策企画官 ただ、基本的に今の薬価制度といいますのは、ある一定以上値引きして売りますと、次の。
○溝口座長 値引きはないでしょう。
○血液対策企画官 ですから、日赤さんの価格がずっと一定なのは、基本的には値引いていないからということだと思います。
○溝口座長 値引きできるんですか。
○血液対策企画官 いえ、当然、競争がございませんので、現状として別に値引きできるということでは。
○溝口座長 上げているのは日赤が上げているのではなくて、保険局ですか。どこかほかのところで決めるんですか。中医協ですか。
○血液対策企画官 資料1にあるポイント、ポイントでこの理由をもって値上げしてきているところ、これは当然、例えばあるときに赤字でこれ以上立ち行かないということであったりとか、新たな安全対策を入れるにはこのぐらい、このままでは資金が不足してしまうという事情を勘案して、当然、保健局の方が薬価改定に併せて値上げをしていただいているという状況でございます。
○溝口座長 FFPを上げたり、PCを上げたりするということの根拠がはっきりしないんです。例えば国際価格から大分外れている。赤血球の方は十分検討しているのかどうかよくわからないのですが、トータルの血液事業の費用を余り赤字にしないで維持しようという気持ちはわかるけれども、その中のそれぞれの輸血用血液製剤の価格の決定がかなり偏って、国際価格と大分違った形で決めると、患者さん、それを使う人の負担が大きくなるというマイナスがあると思います。その辺をどういう根拠で保険局が価格を決めているのか。それは日赤からのデータですか。
○血液対策企画官 基本的には、価格を上げている場合におきましては、その価格を上げなければいけない根拠を示していただく必要がございますので、そこは日赤の方から、なぜその金額が必要なのかというところの根拠は毎回示していただいているということになっていると思います。
○溝口座長 これは血液事業部会のどこかの下部組織で案を練って決定しているのですか。
○血液対策企画官 最終的には中医協で御検討いただいているということになっております。
○溝口座長 花井委員、どうぞ。一番よくわかっているんじゃないですか。
○花井委員 溝口先生がおっしゃっているのは実態で、国が言っているのは形式なんですね。
血液事業法をつくるときに、国の事業なんだから、日赤が独占と決まっているんだから、日赤ももうそこに取り込んで法をつくろうという意見もあったわけです。僕らも、大平委員と一緒にそれの方がいいんじゃないかと言ったんですけれども、あのときは日赤が反対したと聞いている。細かいところはいいんですが、結果的には血液事業をやる業者は自由に参入できるんです。たまたま日赤1社しかないという結果となっているので、ある意味、製薬企業と同じ扱いになってしまっている。
 そういう中で、血液行政というものがきっちりと国のガバナンスでやる、意思決定をするところがないわけです。中医協は中医協で、今、説明があったとおりで、中医協のルールで薬価が決まっている。ライバルがいて、一方が値下がりして2%を超えてくれば当然、中医協でそれは安くするということだけれども、中医協で血液事業を議論した上で適正な配分をするというルール自体がないので、このままいっても、中医協でも困ると思うんです。
 だから、そこはやはり何かの判断、政治的なのか何なのか知りませんが、もう一つ上で、一定のいわゆるFFPなり、PCなりの配分を見直して、ちゃんと適正にすべきだという議論をした上で、別のもう少し上の検討会かもしれませんが、ちゃんと血対と保険局医療課と連携しつつ原案を出して、それを最終的にここと中医協で了承するということをやりなさいとだれかが言ってくれない限りは、多分ここで幾ら言ってもだめだし、それを中医協に丸々持ってきても多分難しい。
○溝口座長 ここで最終的な報告書に書いてもだめですか。
○花井委員 だから、それは報告書をだれか政治家が政治的に決済してくれるとか、そういうことがあれば。僕はわかりませんけれども。
 ただ、言っているのは、サービスである血液事業、もともと献血なんだから、サービスだよという建前なんだけれども、制度的にはずっといわゆる薬価制度と、血漿分画に関して言えばもっとコマーシャルベースの製薬企業的なことをやってきたわけで、運用している制度とメンタリティーと政策的なものがずっと、溝口先生とかには勿論もう釈迦に説法ですが、そのとおりでやって、まあまあうまくやろうねと来たわけです。
 ところが、そういう中で日赤という組織が透明性という意味では、ほかの組織より非常に低いところがあるので、結構儲けているんじゃないかとか、そういう議論は常にあるわけです。ちゃんとやっているのかと。そういうところが今回また、価格という形の議論の中で日赤のパフォーマンスというものが本当に適正なのかという議論がまた今されているという理解なんです。
○溝口座長 先ほどの諸外国の比較というのが一番いいと思うんです。例えば血液センターが65あるとか、こういう問題は今後考えていらっしゃるのですか。普通は日赤は支部との関係で各都道府県に1つは置きたいところがあるんでしょうけれども、地方自治体は献血に協力していますから。しかし、47都道府県に比べて65というのは少し多いのではないか。
○日本赤十字社(石川主幹) 先生、今、資料3のところで。
○溝口座長 そうです。
○日本赤十字社(石川主幹) 血液センターはもともと77ありまして、現状、65ありますけれども、経営単位といいましょうか、65ですけれども、47都道府県、1都道府県で1血液センターという、経営上は既にそうしております。
 例えば検査施設は今、10か所になっておりまして、アメリカが5か所ということでございますけれども、さきの東日本大震災を考えると、これ以上少なくすることは少し難しいのではないかと考えておりますし、製造施設についても十数箇所にこれからしていくことを考えておりますけれども、やはりそこまで可能かどうかというのは現在、検討しております。
 また、アメリカは血液センターの数が36ということでございますが、医療機関に供給している数が、日本は1万1,000から1万2,000病院に供給しておりますけれども、アメリカは多分この半分ぐらいの医療機関しか輸血を行っていないのではないかと聞いております。そういったことで、これはアメリカン・レッド・クロスの数字ですので、こういったところに差があるということでございます。
○溝口座長 この会議の一番の目的は、アルブミンをもっと安くして自給率を高めるということ。大もとの原料血漿の採集の問題ですけれども、そこに係る経費である建物、例えば血液センターをもう少し、47都道府県にできないかとか、製造所は将来的に10に減らすということですから、それはかなり期待しています。
 もう一つは、原料血漿の採集方法です。原料血漿とFFPは品質管理で大分違うという御意見もありましたけれども、品質管理で血液型を調べる必要がないし、混ぜてもいいわけですし、かなり強力な不活化除去もしていますのに、初流血除去とか、白除とか、そういう安全対策をもっと簡便にできないかという意見についてはいかがでしょうか。
○日本赤十字社(石井副本部長) 確かに合理的な部分で考えるとそういう理解も出てくるのですが、原則的にはやはり輸血用血液と同じ形で、安全性の高まった原料でもって、より安全・安心感のある製剤をつくりたいというのが日赤を始め、国内企業の理念だと思っています。
○溝口座長 その辺のところは今後の血液事業部会の安全技術調査会で検討していただくことが必要かなと思っているんですが。
 事務局、何か。先ほどから課長が手を挙げていますが。
○血液対策課長 議論の中で少し御理解いただいておいた方がいいかなと。
資料3の日赤とアメリカン・レッド・クロス、NHSの比較表ですけれども、気を付けていただきたいのは、アメリカン・レッド・クロスとかNHSには原料血漿を確保する人数とかは、この中にはごく一部、アメリカなどではごく一部しかない。つまり、民間の血漿採血センターとか、そういうところが原料血漿に関しては確保している。片や日赤においては、輸血用の血液製剤から原料血漿まですべて採血、血液は全部献血でやるというのが血液法の大前提ですので、その辺が欧米とは少し違うという点は御理解いただきたいという点が1つございます。
 それから、先ほど来、原料血漿の価格の話が出ておりましたけれども、もう一方で、現時点においては献血は足りておりまして、うまく回っているわけですけれども、先ほど見ていただいたデータで、15年後には100万人単位で血液が不足する。これは今のうちにしっかり取り組んでおかなければ、その時点において慌てたのではなかなか難しくなる状況がございますし、今後いろいろな、更に一段の安全対策。ここまでHIVですとか、HCVに関してはほとんど輸血によって起こることはなくなってきているわけですけれども、まだB型肝炎においては年間数例発生するという状況があります。もう一段のいろいろな安全対策に取り組んでいっていただかないといけないということもあろうかと思います。
 その辺のコストのことを考えると、片や高いという、日本は献血によって国内自給でできるだけやろうというところにおいてある程度、海外に比べてコストが掛かっている部分もあろうかと思いますけれども、今後の将来の血液事業全体を見たときに、価格を下げることによって将来回らなくなるということが起こっては本末転倒になりますので、その辺のことをいろいろ考えていかないといけないと思います。
○溝口座長 わかりました。
 どうぞ、先生。
○小幡委員 大体のお話としては、結局、薬価の決め方は、少なくとも採血については実態として独占なので競争が働いていないから、政策的に決めざるを得ないところで、そこの決め方がどうかということもあると思いますが、独占であるということからすると、ともかく日本赤十字社としては、コストをきちんと削減しているということを明確に見せていくことが必要ではないかと思うのです。そうでないと、競争が働いていない以上、国民に対してこれでよいという説得はできないということになります。
 当然、独法と同じような形で恐らく第三者委員会の目にさらしてやっていらっしゃるとは思いますが、中期的にある程度の単位で、例えば5年でここまでやる、1年ごとにここまでやるという数値目標、例えば管理費用は必ず毎年このぐらい何%下げていくとか、そういうことは決めていらっしゃらないのか。そういうことを見せていかないと、そもそも独占でやっていることなので、日赤は十分効率的にやっているということがこういうシステムだとまず大前提として必要とされると思うのです。その辺りが大事ではないか。
 先ほどの説明にございましたけれども、例えば検査業務集約でコスト削減ができている、製剤業務集約によるコスト削減ができているということが示されていますが、これは、業務内容別コスト割合のところにはめ込むと、例えば検査業務集約でコスト削減ができているとしても、安全対策の強化があると、それはこの総コスト割合では、血液検査のための費用のコスト削減ができているということで、前年比と比べてここの部分が減っているということでしょうか。ただ、財政負担要因というところで安全対策の強化が出ております。その辺り安全対策のための検査を充実していかなければいけないわけですが、どのように考えればよいですか。
○溝口座長 新畑参考人。
○日本赤十字社(新畑財務課長) これはあくまでも業務を集約したことによってコストが、先ほど申し上げました、年間でこれだけ削減できましたというとらえ方の部分でございますので、今、先生がおっしゃったように、例えば新しい検査をしなくてはならないとか、そういう別のファクターが入ってきたりしますと、当然それは検査単価当たりの底上げ、加算という格好になりますので。
○小幡委員 それですと、円グラフの業務内容別コスト割合のところで、輸血用血液の製剤や分画製剤製造のための費用66.3億円は、製剤業務集約によるコスト削減があって、ボリュームとしては、全体として前年より削減されているんでしょうか。
 そういうのが、この資料も断片的なので全体像が見えないんですね。現実にどのように効率化が毎年できているか。その辺りの透明性が薄いのかなと思います。
○日本赤十字社(石川主幹) ご質問ありがとうございます。
 例えば今の検査と製剤のコスト削減は18年度から21年度を比較しておりますので、この円グラフの方も18年の円グラフを出して、それでその動きがその間どうなったかという御説明が必要なのかなと思います。
○溝口座長 どうぞ、最後です。これで時間が押していますので。
○益子委員 コスト削減の話になりますと、前回も申し上げましたけれども、人件費はやはり避けて通れないと思うんです。そこで事務局に2つ、日赤に2つ御質問させていただきたいと思うんです。
 資料3の下の方の「1人当たりの単価」というところで、米国と英国は500万円台、日本赤十字社は721万円で、しかし、括弧の中に法定福利費を除いた金額があって、アメリカとイギリスについては、これはわからないという先ほどの御説明ですが、分母の全く違うものを比較して検討しても意味がないので、これは確認して、今、わかっているのであれば教えていただきたいし、わからないのだったら早急に調べて、比較の対象になるものをきちっと出していただきたいというのが1つです。
 もう一つ、日本赤十字社の721万円、法定福利費を除いた597万円というのは、一般企業あるいは一般公務員の平均賃金と比べて著しく高いんじゃないかと思うんですが、それは妥当であると事務局はお考えなのかどうかというのが2点目。
 3つ目、これは日赤さんにお伺いしたいのですが、日赤の資料の4ページ目にコスト割合というのが出ているのですが、これは病院も必ず収益とコストというのをやりまして、そのときには人件費、医薬品費、医療材料費のコストを全部分析して、どこを削減するかというのをやるわけですが、この4ページの表のどこを見ても610億円の人件費が入っていないんですけれども、一体これはどうなってしまっているのかというのが1つ。
 先ほど18年から21年までの推移でコスト削減をしてきたというお話がありましたけれども、その610億円、1人当たりの単価721万円がどのようにこの4年間、5年間推移してきたかということを教えていただきたいです。
○溝口座長 どうぞ、では、事務局と日赤の方でよろしくお願いします。
○血液対策企画官 最初2つの部分ですけれども、御指摘のとおり、米国と英国の人件費の中身については、現時点では、この金額以外のことははっきりいたしませんので、比較できるものを出すようにという御指示でございますけれども、ここが明確にできるものがあるかどうか、再度また検討させていただきたいと思います。
 2つ目、事務局として人件費が妥当なのかどうかという御質問ですけれども、人件費を何をもって適当かというところの線は引きづらいところもございますので、事務局で人件費の値段が妥当かどうかということに関しては、現時点ではコメントできない状況になっております。ただし、もしこれ以外に何か比較可能となるものを、恐らく政府レベルで給与関係の統計とか、そういうものが公になっている数字はあろうかと思いますので、何が比較対象として妥当かはまだ検討してみないとわかりませんけれども、そういう数値がないのかということであれば、何か具体的に示せるものがありましたら、またこの場で参考にしていただけるものが出せたらと思っております。
○益子委員 721万円というのは、幹部職員の給与ではなくて、日赤の全職員の平均給与ですね。だから、民間の企業の平均給与とか、公務員の平均給与と比較できますね。
○日本赤十字社(新畑財務課長) 質問の趣旨と少し違うかもわかりませんが、日本赤十字社職員の給与そのものは、国家公務員に準拠した形で支給されております。まずそれをお断りしておきたいと思います。
○溝口座長 御質問に対するお答えはそれだけですか。
○日本赤十字社(新畑財務課長) それと、質問の順番は前後するかもわかりませんが、先ほど業務内容別のコストの割合の中で人件費がどうなっているんだという御質問だった思いますが、まず、これはあくまでも業務内容別のコスト割合でございますので、それぞれの業務内容の中にその業務に従事する職員の人件費も含まれております。
 同じく、採血1本当たりの検査費用あるいは採血1本当たりの製剤費用、その中にもいろいろもろもろ、採血をするに当たって製剤に係る費用、検査に係る費用の中にもそれぞれの業務に従事する人件費もすべて含まれた形で1本当たりの単価を算出させていただいているという状況でございます。
○溝口座長 あと1つ議題が残っておりまして、聞いているところではこの会はあと2回予定されているということですので、次の議題に今日は移ってよろしいでしょうか。このままですと不明確な点がいっぱいございますので、次回までに事務局でいろいろ調べていただいて、あと2回の会で結論を出せればと思っております。
 では、次の議題は「血漿分画製剤の輸出について」でございますが、事務局から資料の御説明をお願いします。
○需給専門官 それでは、議題2に関しまして、資料8「血漿分画製剤の輸出に関して」説明させていただきます。
 前回の検討会で委員の皆様から、議論をする上での前提となるものがないから議論が進まないのではないかとの御意見をいただきましたので、事務局にて国内事業者に原料血漿の輸入の状況ですとか、輸出に対する考え方に関しまして確認をさせていただきましたので、その結果を基にしまして説明をさせていただきます。
 全般的に各事業者とも基本的に同じような状況でありましたことから、事業者からの回答につきましては要約させていただいております。
 資料8の2ページをごらんください。
 確認させていただきました事項につきましては6点になります。
 1点目として、国内製品について余剰品はどれだけあるのか。余剰品が生じる理由は何なのか。
 これにつきましての回答として、国内製品は、国内の需要に応じまして、供給に必要な量を基に、計画的に製造を行っているため、余剰品はありません。しかしながら、連産品構造となっているため、中間原料の段階で余剰が生じていることがあります。
 2つ目としまして、輸出をしようとした場合、どのようなメリットが考えられるのか。そうした場合、日本国民に対してどのようなメリットが考えられるのか。
 実際には、企業の製剤の輸出への理解が得られにくいと考えられるため、国が買い上げ、途上国等へ国際協力・援助の程度ではないか。そうするとことで、国民にとって国際貢献への認識が高まることと思われる。
 3つ目として、連産品ということで、国内では需要がないができてしまうことがあるのか。そうであれば、それらはどうしているのか。それらを輸出することによって国内自給率の向上及び安定供給につながることはあるのか。
 必要量以上の生産を行っていないため、国内で需要がない分ができることはない。また、仮に輸出を想定した場合、輸出を前提とした製造体制や製造設備の能力を増強する必要があるため、コストが掛かってしまう。限られた量の限られた余剰分を輸出することになるので、国内自給率の向上や安定供給にはつながらないと考えられる。
 4つ目として、血漿がどれぐらい廃棄されているのか。
 血漿が廃棄されることはない。
 5つ目としまして、国内自給を目指す一方で、輸出するだけの余力はあるのか。
 国内自給を第一として対応するので、自給対応後の余剰分を輸出することしかできません。相手国の需要に十分応えられるような体制にはなっていない。輸出を想定した場合、やはりコストが掛かってしまうので、現時点ではその余力はない。
 6つ目としまして、血液製剤の輸出に対する考え方ですが、国内自給のため、国内の需要を優先するのが第一である。国内需要を満たした上での余剰分を途上国へ支援するべきもので、その際にも献血品を輸出することに関し、国民の理解が必要であり、相手国の事情やコストの問題等もあり、国が買い上げて支援する体制がベストと考えている。ODAのような形がふさわしく、安易な輸出貿易管理令の撤廃等は逆に国内自給の推進と安定供給を阻害するものと考えられる。
 このように国内事業者からの意見によれば、輸出を考えるのであれば、やはり国が関与し、途上国等へ国際協力、援助が妥当ではないかとのことでありまして、また、輸出を前提としてみれば、設備投資や人的措置等のコストも必要であります。更に、輸出貿易管理令の適応から外すということになると、国内自給の推進と安定供給を阻害するのではないかなどと、現時点で輸出についての特に積極的な御意見はございませんでした。
 そして、資料の別添2と別添3ですが、こちらにつきましては、平成19年に報告されました、血漿分画製剤の製造体制のあり方に関する検討会とそのワーキンググループからの報告書の抜粋になりますが、当時この検討会でやはり連産品である血漿分画製剤の有効利用による生産性と収益性の向上の観点から、国内献血由来血漿分画製剤の海外への提供について国内事業者からのヒアリングを含め議論がなされまして、一定の方向性が示されております。これが別添3の下線部になります。
 国内の血漿分画製剤は、献血から得られた原料血漿を用いて製造された血液製剤であり、国内での安定供給の確保と無関係に企業が海外へ販売することのないことを確認した上で、海外への提供は無償なのか有償なのか、国内での提供価格並みかより安価な提供かのいずれかの可能性においても、国が関与しながら製剤の種類ごとに具体的な検討が必要であると考えられる。なお、開発途上国から医療ニーズに応じて要請された場合には、国が経費を負担して製品を提供する可能性についても考えるべきであるとされております。
 平成19年時の方向性、今回の国内事業者からの御意見等を踏まえますと、現時点では平成19年のところに示された方向性が同じであること、また、当時と特に事情が変わっていない状況、現在でも国内でも十分に自給ができていない状況であることから、過去の判断、輸出貿易管理令の適用ということを尊重すべきではないかと事務局としては考えております。
 以上でございます。
○溝口座長 どうもありがとうございました。
 つまり、国内の4事業者に意見を聞いたところでは、海外への血漿分画製剤の輸出に関しては否定的で、これまでの血漿分画製剤の製造体制に関する検討会の結論に基づいていきたいという意見だったと思いますが、先生方、何か御意見、御質問ございますでしょうか。
 どうぞ、大平委員。
○大平委員 予想されたようなお答えかなというところがあるんですけれども、今後いろいろと血漿分画製剤の企業の在り方、日赤の在り方を考えていく中では、連産品としてここに出てくる余剰品がどう生かされるかということとか、それはやはりきちっと大切に扱っていくということが、献血者に対しても、せっかくの献血血液を有効に使うという観点では、とても効果的ではないかなと思います。
 ただ、今のところまだ、本当に製品として輸出するという形になりますと、国内自給の矛盾みたいなことにもつながりますので、最初は公的な形で、どういう方策があるのかどうかということを考えながら慎重に進めていって、そして献血者の皆さんの理解とか、また今後の日本の血漿分画の体制がどう変わっていくかということを見ながら考えていくことが必要なのではないかなと思いました。
○溝口座長 どうもありがとうございます。
 ほかに何か御意見ありますか。
 確かに国内自給が達成されていない段階であるということと、もう一つは海外の事業者がよその国に血漿分画製剤を販売して利益を上げているということは、血液法の建前からいっても、日本の血漿分画製剤については同じようなことはできないというのが大事なことだと思っています。大平委員の意見もまさにそのとおりでございましたし、国内の事業者も同じ意見だということで、そういうことでよろしゅうございますでしょうか。
 何か御意見は。
○鈴木委員 お話としては理解できるんですけれども、さっきの話とも通じるんですが、国内に非常に高い価格の製品があって、それを輸出するというのもまたおかしな話で、こういう形にならざるを得ないと思いますが、一方では、DPCが普及していきますと薬はコストになりますからやはり安いものということで、輸出ではなくて輸入によって安いものが入ってきた場合、国は一方ではジェネリックを推進しているわけですから、そう言いながら、血液製剤だけはだめよというわけにもいかないと思うんです。
 そういうことも含めて考えていくと、結果的には、最終的に高コストの製品がいつまでも国内で存在し続けるということが難しくなってくるということを前提に考えていかないと、この問題の解決というか、目的はアルブミン製剤の話もそうですけれども、そういうこともこれからは絡んでくるのではないのかなと思います。これだけ国がジェネリックを推進、推進と言いながら、では、血液製剤に関してはどうなのかという議論も必要になってくるのではないのかなと思います。
○溝口座長 どうもありがとうございます。
 どうぞ、三村委員。
○三村委員 今の御意見と似ているのですが、この議論が出てきましたのは、日本の分画製造業者の在り方が基本的には海外に比べて基盤が弱いとか、製品ラインが非常に限定されているとか、まず競争力の弱さというのが前提だったと思います。現状は恐らくまだ今の状況では出ていくとか、輸出を促進するという状況にはないと思うんですが、ただ、この議論はそういう意味からすると大事に残しておいた方がいいと思います。
 先ほどの日赤の血液事業の在り方についてということですが、1つだけ気になりましたのは、採血のところが非常に高コストだということと、恐らく日赤としてコントロール可能なプロセスと、なかなかコントロールが難しいプロセスも同時に組み込んでいらっしゃるんだと思うんです。血液センターとか地域における血液の採血バンク。そこのところをもう少し改善していかないと、全体に効率化というか、コスト削減という目標だけを付けても、なかなか実現が難しいと思います。
 そうしますと、広域な血液センターをつくるという話も出ているということですが、このことを含めて、やはりもう少し全体の仕組みを整理していただく。あるいはそれに対してもう少し全体の供給システムという形で見える形にしていただかないと、次の段階になかなか入らないと思いますので、一応、提示されている案については賛成ですが、もっと具体化していくという形でどんどんと見せていただくということが必要だと思います。
○溝口座長 ほかに何かありますか。ほとんど時間はないのですが。あと2回の会がありますので。
 どうぞ、前野委員。
○前野委員 メーカーに対しての事情聴取ですけれども、第1問目の余剰品はどれだけあるのかということに対して、ないと。必要量をつくって供給するメーカーとしては、当然だと思います。問題はその前の中間原料の段階での余剰はあるのかという点です。
 4番目の、血漿をどれぐらい使用されて、廃棄されているのか。メーカーとしては、廃棄はないと答えるのは当然だと思うんですけれども、献血総量がすべて生かされているのか。これは日赤の問題だと思うんですけれども、日赤の段階で期限切れ等があって、それが研究用に回されているのか。研究用で余っている部分はどうなっているのか。そこの実態とデータといいますか、どれぐらいの量があるのか知りたいと思って前回御質問したんです。
○溝口座長 それは次回に資料をいただけますか。
 あと、原料血漿になりますと保存はずっとできますから、そこで捨てることはないと思うんですけれどもね。
 どうですか。そうですね。原料血漿は1年間ですか。中間原料になればということでしょう。
○日本赤十字社(石井副本部長) そうですね。中間原料になれば、また有効期間は延びますので、血漿自体の廃棄処分はないです。
○溝口座長 原料血漿になるとほとんどないし、中間原料になるとほとんどないのではないですか。
○日本赤十字社(石井副本部長) そうですね。ただ、ここにも書いてあるように中間原料で余剰が出ることがあるというので、最終的に有効期間が切れる可能性は当然ございます。
 例えば石油でも軽油だけが需要がないという場合は、軽油自体の有効期間が切れるという処分的なところがあります。または、全体の流れの中で、全体は使用されている。ただ、中間体という部分で、成分の一部分が100%有効活用というのは物理的に需要の関係でも難しいという形です。
○前野委員 そこが微々たるものなのかどうか。それがかなりの量であるならば、有効利用する方策はないでしょうか。
○日本赤十字社(石井副本部長) 需要があればですけれども。
○前野委員 輸出というのはあれですけれども、有効利用というので前回出たと思うんですが、そこの数字がどういうものがあるのか。
○日本赤十字社(石井副本部長) ただ、海外でその原料を製品化するという能力も必要ですので。例えば東アジアの国とかそういう場合。
○溝口座長 その辺は事務局の宿題にしてよろしゅうございますか。もう時間がないし、ここではデータがないのでどうしようもないんですけれども。
○血液対策企画官 次回、血液の出入りについてわかる資料をお示ししたいと思います。
○溝口座長 時間が2分延びてしまいましたけれども、これで今回の会議を終わらせていただきたいと思います。
 次回の日程につきましては、後日、事務局からまた連絡していただくことにいたします。
 本日は、御多忙のところ、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省医薬食品局血液対策課

03(5253)1111内線(2905、2917)

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