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2011年10月13日 第27回高度医療評価会議 議事録

医政局

○日時

平成23年10月13日(木)16:30~17:25


○場所

主婦会館プラザエフ クラルテ


○出席者

猿田座長、金子構成員、佐藤構成員、関原構成員
竹内構成員、永井構成員、葉梨構成員、堀田構成員
山中構成員、山本構成員、一色技術委員
(事務局)
医政局研究開発振興課長、医政局研究開発振興課治験推進室長
医政局研究開発振興課ヒト幹細胞臨床研究対策専門官
医政局研究開発振興課高度医療係長
保険局医療課課長補佐、医薬食品局審査管理課課長補佐

○議題

1.新規申請技術の評価結果について
2.協力医療機関の追加について
3.先進医療専門家会議の審議結果等について
4.その他

○議事

○猿田座長
 定刻となりましたので、ただいまから「第27回高度医療評価会議」を開催いたします。本日は少々遅い時間からの開催で、委員の皆様にはご迷惑をお掛けいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。本日はご欠席の方が多いのですが、お届けいただいているのは伊藤構成員、川上構成員、柴田構成員、田島構成員、林構成員、藤原構成員、村上構成員、山口構成員です。また、今回は技術委員として一色先生においでいただいております。まず、事務局から本日の配付資料と審査の案件の確認をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課高度医療係長
 配付資料の確認をいたします。まず議事次第から始まり、座席表、開催要綱、構成員・技術委員名簿と続きます。次に、新規申請技術の評価結果として、資料1-1から1-5があります。次に、協力医療機関の追加として、資料2があります。先進医療専門家会議の審査結果等として、資料3-1、3-2があります。最後に参考資料として、参考資料1、参考資料2を付けております。本日の資料は以上ですが、過不足等ございましたら、事務局までお知らせください。
 また、利益相反についてですが、対象となる医薬品及び医療機器の企業等について、資料1-1に記載がある「医薬品・医療機器情報」をご覧ください。対象となる企業又は競合企業に関して事前に確認しておりますが、事前の届出以外に何らかの利益相反がありましたら、この場でご報告をお願いいたします。よろしいでしょうか。該当なしということで、よろしくお願いいたします。
○猿田座長
 それでは、早速議事に入ります。新規申請技術の評価結果について、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課高度医療係長
 これより説明を始めますが、傍聴者の撮影はここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。まず、資料1-1をご覧ください。新規申請技術の評価結果として、整理番号038、高度医療名「解離性大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術」です。適応症は解離性大動脈瘤が対象です。申請医療機関は大阪大学医学部附属病院です。審査担当構成員として、主担当が山本構成員、副担当は山口構成員、佐藤構成員です。また、一色技術委員にも評価をしていただいております。以上です。
○猿田座長
 整理番号038、高度医療名「解離性大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術」について、まず主担当の山本構成員から概略的にお願いいたします。
○山本構成員
 高度医療名は「解離性大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術」、ステントグラフトは国内で既に承認されているものですが、解離性大動脈については禁忌が付いているという状況です。申請医療機関は大阪大学医学部附属病院です。副担当の山口先生からは、実施体制として施設の診療体制に特に問題はないとお聞きしておりまして、すべてに「適」が付けられております。
○猿田座長
 佐藤構成員が少々遅れるとのことですので、後ほどコメントをいただくことにしまして、実施体制その他の評価については一色先生にお願いしたいと思います。
○一色技術委員
 おそらく技術としてはほぼ確立していて、大動脈の中にステントグラフトを入れることについては既に行われているので、あくまでも適応として、解離性大動脈瘤に対して比較的柔かくて安全であることを考えた上でのステントグラフトの挿入というものを、高度医療として認めてほしいというご希望だと思います。そのような意味で体制その他については、おそらくほとんど問題はないと思われるのですが、いま行われているステントグラフトに対する管理委員会がありまして、申請者はその施設基準を満たしていると書かれておりますが、満たしていることの何らかの証明があるべきではないかと考えた次第です。少し補足いたしますと、おそらく術者基準と施設基準というのがあると思いますので、それぞれを満たしているということであれば、委員会が発行した証明書があるはずですから、それがあれば、すべての基準の書類を改めて出す必要はないということです。満たしていることがひと目でわかれば、それで十分だろうと思っております。
○猿田座長
 後ほど佐藤構成員からお話があると思いますが、佐藤先生からも一応倫理的なものは「適」ということでいただいております。本日は山口先生が欠席ですので、山本先生から引き続きお願いいたします。
○山本構成員
 佐藤先生には事前に申請者とだいぶやり取りしていただきまして、説明文書については「適」を出すところまで詰めていただいておりますが、私はプロトコールの評価で数点「不適」を出しました。不適を出した項目は、「有効性及び安全性の評価方法」「モニタリング体制及び実施方法」「被験者等に対して重大な事態が生じた場合の対処方法」「試験に係る記録の取扱い及び管理・保存方法」「個人情報保護の方法」の5つです。内容については事前照会事項で一度やり取りはしたのですが、主要評価項目が術後6カ月のリモデリング率と決められています。ただ、研究の第1目的としてはStanfordB型解離性大動脈瘤のステントグラフト治療の安全性及び有効性の評価をすると書いてあるので、主要評価項目と研究の第1目的が合致しておりません。この点を指摘しましたが、申請者から評価項目はこのままでいきたいとお聞きしております。
 こちらもいろいろ考えまして、StanfordB型解離性大動脈瘤は基本的に内科治療ですが、もちろん一部外科治療によるものもあって、選択基準としては外科治療の適応にある方に対してステント治療することは問題ないと思うのです。ただ、ステント術を専門にやられている先生方は解離性大動脈瘤にこのステントが使える実感を十分お持ちだと思いますが、残念ながら一般にはそれが示されていない。特にそれが添付文書上ではっきりと「禁忌」として残っていますし、診療ガイドラインを見ても、StanfordB型解離性大動脈瘤のステント治療のエビデンス自体がすべてlevelCですので、世界的にもあまり高いエビデンスは得られていないと思うのです。やはり、今後このステント、あるいは次世代のステントを解離性大動脈瘤にある程度使うのであれば、かなりコンサバティブではありますが、第1目的としての有効性・安全性をデータとしてどこかでお示しいただかないと、次に進まないのではないかと思います。今回たまたま出された申請者にそれを言うのがいいかどうかは分かりませんが、せっかく申請するのですから、有効性・安全性をデータとして示したほうがいいのではないかと思っております。
 もう1つは、リモデリング率が遠隔期の予後推測の指標となり得ると主張されていることで、主張としては理解できるのですが、今回の研究をその症例数の設定方法でやられると、結局ステント治療をした人の中での比較ということになりますし、外科治療群との安全性の比較などといったことも全く立てられていないので、第1目的が達成できない可能性が高い。そこがいちばんの問題だと思います。
 もう1つは、ステント術者の基準を追加記載してありますが、一色先生からもご指摘があったように、具体的にどのようにして確認するのか、満たしていると証明するものは誰が確認するのかという具体的な実施体制がよくわからない状態だということです。1回のやり取りだけだったので十分対応していただけなかったというところはあったのですが、術者と施設、多施設でも実施するのでその基準をクリアしているかを、誰がどのような方法で確認するのか。また、データセンターは一応挙げられておりますが、データセンターの業務は「被験者の適格性の判定と画像解析の実施」と書いてあるのに対して、実施計画書には「被験者の適格性の判断は研究責任者が行う」という記載があったりして齟齬がありますし、データセンターがCRFを収集してマネジメントをするのかといったところについては全く記載がないので、誰がどこでデータマネジメントを行うのかがわからないのです。
 効果安全性委員会を立てると計画書にありましたので、名簿を提出していただいたのですが、具体的な業務や手順は書かれていないので、名簿だけあっても、実際に有害事象が起こったときに、その有害事象の情報がこの評価委員会にきちんと流れるのかといったところは、現時点では記載として不備があると言えます。また、事前に指摘するのを忘れてしまったのですが、整備事項として実施計画書に個人情報保護に関する記載が見当たらなかったという問題がありました。実際にステント治療をしていると思いますし、人数も多施設で100例集めるということですので、そのような意味ではこのタイミングで是非やっていただいたらいいと思いますが、やるからにはしっかりしたエビデンスで、StanfordB型にはステント治療ができると、ガイドラインにももう少し高いエビデンスレベルで載せることができる試験に組んでいただいたほうがいいのではないか。たぶん、心臓血管関係はかなり手術の成績が蓄積されていっておりますので、比較になるヒストリカルデータはある程度揃うのではないかと思いますから、この中で比較する必要はないと思います。私はオープン試験でやることに異議はありませんが、少なくともある程度ガッチリしたヒストリカルデータと比較をするような構成にしていただいたほうがいいのではないかと思っております。
○猿田座長
 ありがとうございました。永井先生から一言コメントをいただけますか。
○永井構成員
 山本先生が言われたとおり、難しいのは結論が出るかどうかということです。従来は内科治療で治療しているわけで、それとの対比が必ず問題になると思います。それからあまり詳細な技術が書かれておらず、比較的簡単にできるように書いてありますが、屈曲したところをどうやって通過させるかが問題です。以前は事故が結構起こっていました。ワイヤーで引張ってガイドしながらシースを持っていくのだと思うのですが、その手技やデバイスについて具体的なことがあまり書かれていない。特にシース、エッジが屈曲した大動脈に当たらないようにするために、どのような工夫をしてそこを通過させるかというところについては、もう少し詳細な技術を書いていただきたいことと、適応と評価について説明が足りないと思います。気を付けて対応したほうがよい技術だとは思います。
○猿田座長
 その辺りについては、山本先生も随分言ってくださったのですよね。
○山本構成員
 そうですね。PMDAがこれを通すときに、わざわざ「禁忌」に付けているということは、やはりその時点で規制当局側に若干の不安があったのではないかということと、たしか解離性大動脈瘤は欧米より日本人のほうが多かったと思うので、たぶん欧米では大規模なデータが収集できていないということも1つあるかもしれません。ただ、わざわざ「禁忌」となっているので、 それを外すというか、非常にコンサバティブな規制当局側のような意見にはなるのですが、そこはちょっと示していただきたいと思います。リモデリング率だけということでは、結局そこが抜けてしまって、その次の話になっている。
 おそらく内科治療でいける人ではなくて、まだ拡大するような破裂の危険性が高い方を選んでやると書いてありますので外科治療、要はグラフト手術をされた方との比較でいいと思うのです。今後はステント治療が主流になっていくと思うので、そろそろある程度のエビデンスとして一度出されたほうがいいですし、そこを抜かして他の指標を追いかけてしまうと、解離性大動脈瘤にステント治療がいつまで経っても公的に認められないような形で進んでしまうことになり、逆に、デバイス・ラグというか、解離性大動脈瘤のところがますます置いていかれるとも限らないと思います。せっかくおやりになるのであれば、そこを押さえていただけると非常に有用なのではないかと思います。
○猿田座長
 佐藤先生がおいでになりましたので、倫理的な面でのご意見を伺いたいと思います。
○佐藤構成員
 遅くなりまして、申し訳ありませんでした。倫理的な側面からの評価ですが、患者さんへの説明同意文書は、病気の説明も治療法の説明もいろいろ書いてあるのですが、あなたはどのパターンに当てはまるのですという説明がない故に、患者さんとしては何と何を比較して得失を判断していいかがわからないのではないかと思いましたので、事務局を通じてその点を2回ほど書き換えていただきました。ですから、その点は比較的クリアになったかと思います。その他の点については、気になるところはありませんでした。
○猿田座長
 いつも関原構成員が指摘されるところですね。
○関原構成員
 患者にとって、外科手術で人工の血管に置き換えるか、あるいはこの方法か、この2つのどちらかしかないということです。全体として、説明書の13にある効果のところは、負担の軽いカテーテルをやればいいから、そこはいいのですが、この治療では一体何がいちばんのリスクかということについては、有害事象が羅列してあるだけなのです。グラフトを入れる治療特有のリスク、例えばリンパ浮腫とか何かで、おそらく鼡頸部に傷を付けたら生ずるであろうことも含め全部並列してあるだけです。やはり、このリスクは本当はこういうところで、そのほか追加的に、乃至一般にはこういうリスクもあり得ると書かないと、 ただリスクが平板に書いてあるだけでは、患者は何を本当に心して臨めばいいのか、そこがこれだけではわからないと思います。
 もう1つ、手術中の出血量・輸血量の低減と書いてあるのですが、そもそも輸血などする話なのかどうか。私は冠動脈のステント治療などは何回もやっていますが、輸血の説明などなかったわけです。むしろ、この治療は輸血などしなくていい、出血は基本的にないという説明が正しいのではないか。従来の外科手術に比べたら出血量が少し少ないとか輸血量が少ないという言い方だから、基本的には輸血をする、出血があるという説明になってしまって、実はどのような治療か疑問に思ったので、それはそのようにはっきり書いたほうがいいのではないかと思います。それから麻酔の時間が短いと書いてありますが、全身麻酔をするなら説明書に記述する、単にカテーテルを入れるときに注射で局所に麻酔をするだけという話であれば、麻酔時間が短いなどといった外科との対比ではわかりにくい。逆に患者はかなり不安になってしまうのではないかという感じを受けました。
○猿田座長
 一色先生から何かあればお願いいたします。
○一色技術委員
 永井先生が言われた屈曲部位を通すことの難しさや、そのときに起こる可能性のある合併症についてですが、新しいステントはかなり屈曲性に富むということですので、従来言われているステントグラフトよりは、より安全になったのでこれを応用したい、おそらくそのようなご希望だと思いますから、その部分は理解できるのです。そうであるならば、そのような点を技術的なものも含めてきちんと記載してほしいということは、そのとおりだと思います。
○猿田座長
 そうすると、山本先生の全体意見としては、もう少し継続的に審議ということになりますか。
○山本構成員
 そうですね。症例数設定にも係わる話なので、そのあと事務局サイドでやり取りする種類の問題でもないと思います。いまのリモデリング術から主要評価項目を変えると、おそらく症例数自体が変わる可能性がありますので、できれば継続審議をしていただいたほうがいいのではないかと思っております。それから個人的に思うことは、現状の書きぶりでは実施体制がちょっと見えないというか、具体的なところが見えないということです。永井先生も言われていましたが、重篤な有害事象が少ないということをはっきりさせてほしいのに、効果安全性評価委員会の業務とか手順と言いますか、どういうものを判定して、それをどのように返していくかという具体的なものが全く見えないので、これで本当に安全性がきちんと拾えるのか、現状ではそのような不安があります。
○永井構成員
 適応のところですが、StanfordB型というのは、実は内科では予後がよいと考えられている疾患です。特に血栓で閉塞したような場合は予後は決して悪くない。その中でリスクの高い症例を予測して事前にこの治療を行おうということだと思うのです。そうであるならば、症例を絞る必要があります。B型の大動脈解離は内科で十分なのに、そういう症例にステントを入れることになり、かえって予後が悪くなる可能性はあるわけです。内科治療でよいものと、非常にハイリスクで手術が必要な症例を選別しなければならない。手術をしなければ死亡率30何パーセントで予後が極めて悪いグループもあるので、そこをきちんと予測してステントグラフトを使うという筋道を立てていかないと、内科治療で十分な症例にステントを入れかねないという懸念があります。
○猿田座長
 その辺りのポイントをしっかり示していただいて、もう一度出していただくということになるでしょうか。
○堀田構成員
 私は循環器領域は門外漢ですが、試験のデザインについては全く同感です。やはり比較対象として、従来ならば手術適応であるケースに絞って、ヒストリカルコントロールとして外科治療というか、普通のグラフトと比べてどのぐらい有効性、安全性があるかを見るということをしないと、ステント術のみで時期ごとに20例ずつ分けてその中で比較しても、はっきりしたことはなかなか言えないのではないかという気がします。
○猿田座長
 特に今の件がいちばん重要なところだと思いますので、その点をしっかり伝えて示していただくということ、それから永井先生が言われた適応、内科的に済んでしまうのかどうかということですね。
○永井構成員
 内科的治療でも普通は非常に予後がよいということなのです。ほとんどが無事に退院されています。
○猿田座長
 その他ご意見があればお願いいたします。
○山中構成員
 コメントされていた先生方のご意見に集約されていると思います。いま期間に応じて70%、40%、30%の差を見積って、差を見出せる症例数設計になっていますけれども、確かにこれではガイドライン上の今の低いエビデンスを上げるような研究にはならないし、今後の開発ロードマップ上、かえって良くないのではないかと思うのです。有効性は見られないですし、安全性も比較コントロールがないので見られないわけですから、ランダム化試験をやるかはともかくとして、ヒストリカルなデータ、信頼に耐え得るデータがあるならば、それと比較して云々というデザインでないと良くないのではないかと思います。
 また、先ほどから何度かコメントが出ておりますが、実施体制に関してももう少し十分に記載していただきたいと思います。例えばプロトコールを見ると、効果安全性評価委員会が解析対象集団を決めるといった記載も見られるのですが、効果安全性評価委員会の役割はまた別ですから、評価委員会をきちんと作って解析対象集団を決める、そのようなことも含めて実施体制の練り直しをお願いしたいと思います。
○猿田座長
 そのほか何かご意見があればお願いいたします。
○佐藤構成員
 説明同意文書について、医学的なことを教えていただきたいと思います。先ほど永井先生から、StanfordB型は内科的治療で予後が非常にいいというお話がありまして、資料17頁に最終的に修正していただいた説明文書があるのですが、このような説明で誤りがあるでしょうか。もし、ありましたら教えていただきたいのです。
○永井構成員
 30%前後の死亡率というのは、どの症例について言っているのかわかりにくい。StanfordB型全体では、こんな数字ではない。たぶん、一部の集団を取れば30%前後になるのだと思うのですが、それが明確に定義されていないのです。どのような症例が緊急手術になるか、その定義が私どももあまりよくわからない。これは事前にある程度明確にしておかないと、30%前後の死亡率があるということはなかなか言えないのではないかと思います。
○猿田座長
 対象患者をしっかりさせておいて、どのくらいかに持っていくということかと思います。
○永井構成員
 そうですね。
○佐藤構成員
 いまの点で確認ですが、破裂や臓器灌流障害を伴った場合には、30%前後の死亡率があるという説明自体は正しいでしょうか。
○永井構成員
 破裂が懸念される場合には適応はあると思います。破裂したら手術です。そうすると、適応の中に破裂の懸念と臓器灌流障害の症例に限ってということを初めに明確にしないといけないですね。
○佐藤構成員
 そうですね。プロトコールからのアプローチと説明同意文書からのアプローチとがあって、私は後者をやったのですが、どうも対象がよくわからないからはっきりさせてくれと。
○永井構成員
 もう1つ、破裂や臓器灌流障害がない場合は内科で診るわけですが、「5年以内に25~40%の方に手術治療が必要となります」、ここがどうでしょうか、そんなにはないように私には思えるのです。また、「瘤が拡大してからの開胸開腹手術は死亡率が5~15%」とあるのですが、ここの数字もどうだろうかと思います。
○佐藤構成員
 破裂や臓器灌流障害がない場合は、医学的なエビデンスをもう一度確認して、数字をちょっと検討いただくようにということですね。
○永井構成員
 そうですね。確かに破裂、臓器灌流障害のときには、30%前後ということはある程度言えるかと思いますが、灌流障害がない場合まで含めると、StanfordB型が全部適応ということではないと思います。そうすると、血栓で閉塞した症例まで適応になってしまうので、適応が広がり過ぎるように思います。
○佐藤構成員
 そうですね。破裂していれば、もちろん分かるのです。破裂した後でステント留置でできるかどうかはまた別問題として、破裂した場合に手術の必要があるのはわかるのですが、破裂も臓器灌流障害もない、しかし、将来は手術が必要な場合に本件を使うのはどうだろうか、ちょっと疑問には思ったのです。
○永井構成員
 そこですね。もちろん、一気に破裂してしまったら難しいですが、ウージングのようにしみ出ていくとか、どんどん広がっているようなときには十分対応できますので、インディケーションはあると思います。
○佐藤構成員
 そうしますと適応については、むしろプロトコールのほうで見ていただくということでよろしいでしょうか。
○猿田座長
 こちらからもその点を特に指摘させていただければということだと思います。それから山本先生が言われた、評価と安全性ですね。継続審議へ持っていければと思っているのですが、一色先生から何か追加することはありますでしょうか。
○一色技術委員
 基本的にはいいのですが、臓器障害などが起こってしまった症例と言うと、おそらく基本的には外科手術の適応になってしまうと思うのです。この施設のイメージというのは、予後の悪くなりそうな症例が先読みできれば選びたいが、いまのところは完全にできないということが前提になっているように読ませていただきました。ただし、永井先生が言われるように、やはり、血栓閉塞型の場合は予後がいいというのは明らかですし、おそらくそのような症例はあまり対象にはならないと直観的には思います。瘤の中の血栓の閉塞がなくて、径がだんだん大きくなりそうなタイプというのは、もしかするとだんだん大きくなって、将来的に破裂のリスクがあるということだと思いますし、メインブランチの臓器障害は、おそらく外科的に血流の改善を急いでやらないと、グラフトでは対応できない可能性がありますから、その辺のところをもう少ししっかりと適応の中に入れていただくことがいちばんよろしいのではないか、このように皆さんのご意見から感じました。
○猿田座長
 山本先生から何かあればお願いいたします。
○山本構成員
 明確になっていないのですが、よく読むと、一応外科治療対象になる人ということで書かれていると思うのです。解離性大動脈瘤診療ガイドラインでは、大動脈解離は急性期から慢性期治療の適応で、外科治療の適応がある患者は、これもlevelCですが、一応ガイドラインに一定の記載はあるので、基本的にはそれでよろしいと思います。それを明確にしていただければ、いいということです。
○永井構成員
 StanfordB型の場合は、おそらく内科に入院するので、ステント治療にすぐに入るのは疑問です。StanfordB型ですと、まず内科治療から入るのがほとんどの施設の原則になっていますから、そこできちんとガイドラインに則った振分けがされた上で、エントリーの基準を決めていただく、その辺もしっかり記載していただくことが重要と思います。
○猿田座長
 今いただいたご意見を介して、一応継続審議をさせていただくという形でよろしいですね。特にご指摘いただいた適応の問題、評価の問題と、一部倫理的なことでは今の説明文書をしっかり検討していただくということで扱いたいと思います。そのような形で事務局のほうもよろしいでしょうか。
○医政局研究開発振興課高度医療係長
 結構です。
○猿田座長
 それでは次の案件に移ります。協力医療機関について、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課高度医療係長
 資料2をご覧ください。協力医療機関の追加として、番号018、高度医療名「パクリタキセル腹腔内投与及び静脈内投与、並びにS-1内服併用療法」です。これは後ほど説明いたしますが、9月の先進医療専門家会議で保険との併用の観点から「適」として了承された技術です。なお、本技術については、平成22年8月から実施している大臣告示番号018と同様の内容となっており、第3相試験へと進んだものですので、新たな技術としては大臣告示をせず、これまでの技術名で実施していただくことになりました。申請医療機関は東京大学医学部附属病院です。今回追加を予定している医療機関は、ご覧の6施設となっております。
 次は、番号028、高度医療名「残存聴力活用型人工内耳挿入術」です。申請医療機関は信州大学医学部附属病院です。今回追加を予定している医療機関は、ご覧の4施設です。事務局にて倫理審査委員会の構成、医療機関の実施体制等を事前に確認しております。特にご意見等がなければ、追加の手続を進めたいと思います。以上です。
○猿田座長
 いま説明していただきましたが、特に018の「パクリタキセル腹腔内投与及び静脈内投与、並びにS-1内服併用療法」に関しては、平成22年8月から実施している告示番号018と同様で、第3相試験へと進んだものですので、新たな技術としては告示せず、これまでの技術名で実施していただくということです。このように追加協力施設は増えていますので、これは非常にいいことだと思います。また、番号028に関しても新たに4施設増えて、しっかりした施設でやっていただけるということです。この2つに関してお認めいただけますでしょうか。
                  (異議なし)
○猿田座長
 ありがとうございます。それでは、そのような形で認めていただいたということにさせていただきます。次に、事務局から資料3の説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課高度医療係長
 資料3をご覧ください。資料3-1「先進医療専門家会議の審査結果等」ということで、高度医療整理番号027、「原発性ALアミロイドーシスに対するボルテゾミブ・メルファランを用いた併用療法」、高度医療整理番号034「パクリタキセル腹腔内投与及び静脈内投与、並びにS-1内服併用療法」の技術を9月の先進医療専門家会議に提出し、保険との併用の観点から「適」として了承されております。また、中医協にもその旨報告されております。この整理番号034が、先ほどの大臣告示番号018のパクリタキセルと同じものとなっております。
○猿田座長
 ただいまの説明について、ご質問、ご意見があればお願いいたします。これは先進医療のほうで認められて、中医協にも上げていただいたということです。そういたしますと、時間が早いですが、今日ご審議いただくことは以上となります。その他、事務局から何かあればお願いいたします。
○医政局研究開発振興課高度医療係長
 特にありません。
○猿田座長
 前もちょっと申し上げたように、高度医療と先進医療のほうで議論していただいているということですが、先へ行ってどうなるかということでやっていただいております。最後に、事務局から次回の日程についてお願いいたします。
○医政局研究開発振興課高度医療係長
 次回の日程については、現在調整中です。詳細等が決まりましたら、追ってご連絡させていただきます。また、本日の議事録については、作成次第、先生方にご確認をお願いし、その後公開とさせていただきますので、併せてよろしくお願いいたします。
○猿田座長
 先生方の予定が合う時間が少ないものですからご迷惑をお掛けしておりますが、事務局とよく相談しまして、皆様方がいちばん出られる日を選びたいと思います。案件に関しても、少し検討させていただきまして、まとめてうまくかかるようにしたいと思います。それでは、以上で終了いたします。どうもご協力ありがとうございました。


(了)

照会先
厚生労働省医政局研究開発振興課
TEL 03-5253-1111
高度医療係 新美 内線2589

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