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2009年12月13日 平成21年度第6回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会及び第3回新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会の第3回合同開催 議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成21年12月13日( 日 )16:00~18:00


○場所

中央合同庁舎第5号館共用第8会議室(厚生労働省6階)


○議題

1.新型インフルエンザワクチンの安全性について
2.その他

○議事

○事務局
 定刻16時になりましたので、平成21年度第6回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会及び第3回新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会、本日で第3回目の合同開催となりますが、開催させていただきたいと存じます。林先生、工藤先生は連絡をいただいておりませんで、まだお出でではありませんが、追ってお見えではないかと思います。また、神田先生につきましては、本日、遅れてご参加されることを承っております。本日の合同検討会も前2回同様に公開で行うこととさせていただきますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、マスコミ関係者の方々におかれましては御理解・御協力のほどお願い申し上げます。また、傍聴者の方々におかれましては、傍聴に際しましての留意事項、例えば「清粛を旨とし、喧噪にわたる行為をしないこと」、「座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと」などの厳守をお願い申し上げます。
 本日御出席の先生方におかれましては、休日のところ、大変お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。今回が第3回の合同開催ということになりますので、委員の先生皆様の御紹介は省略させていただきますが、今回新たに国立病院機構福岡病院統括診療部長の岡田先生、富山大学附属病院小児科の金兼先生、大分大学医学部地域医療・小児科分野教授の是松先生にも御参加いただいております。本日の御欠席の先生でございますが、安全対策調査会としまして五十嵐先生、参考人としまして金兼先生、名取先生、新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会としまして永井先生でございます。
 それでは、本日の会の開会にあたりまして、今回御出席させていただいております足立厚生労働大臣政務官より御挨拶を申し上げたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。

○事務局
 御紹介いただきました厚生労働大臣政務官の足立信也でございます。本当に、休日、しかもこの夕方の時にお集まりくださいまして本当にありがとうございます。お世話になります。先週の定点報告では31台と、ピークは若干下がった感じがあります。今までの累積患者数は1,400万人を超えました。現時点での死亡例が112例、このワクチン接種後は、今日のデータによりますと、70例ということになっているわけでございます。
 鳩山総理が、この内閣は大臣あるいは官房長官も理系の人間が多い、5人ですかね、ということを申し上げました。私も理科系の人間ということでございますので、私は科学の部分と行政の部分というのはそこは段階が違うのだろうと、そのように思っております。昔から「後医は名医」というふうに言われますが、現時点で今起きていることをいかに判断するかというのは、できるだけ科学の目でリーズナブルな結果というものを先ず導き出していただいて、それを行政に反映するという姿勢を貫いていきたいと、そのように思っております。それがこれまでのワクチン接種回数や副反応報告の評価、そして死亡例の評価となっているのだと思います。これからますますその重要性が高まります。輸入ワクチンに対する評価というものもこれからしていかなくてはなりません。まさに科学の目というのが非常に大事だと思いますので、その点、皆様方にしっかり議論していただいて、国民の皆さんの不安な面、分からない面、これは当然ありますけれども、できるだけそれを払拭していただきたい。
 そして、政治家がここに参加するということは、ある意味、メディアの方々にとっては行政の方あるいは政治の方が何か導いているような思いをされると思って、実は、あまり参加しないほうがいいのかなと思いましたけれども、私も来年は選挙を控えている身でありながら、毎週、地元の大分には帰っておりますけれども、今回はこの3回目の本日の専門家委員会というのは極めて大事だと思っておりますので、是非とも、皆様方に十分な議論をしていただきたいと、そのように思います。どうぞよろしくお願いします。

○事務局
 それでは、これ以降は議事に入らせていただきたいと存じますので、マスコミの方のカメラ撮りについてはここまでとさせていただけるようお願い申し上げます。以降の議事進行を、松本先生、よろしくお願い申し上げます。

○松本座長
 それでは、事務局から審議参加に関する遵守事項について報告してください。

○事務局
 それでは、安全対策調査会としまして薬事分科会審議参加規程についてでございます。新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会の先生方には、このルールに準じた対応とさせていただきますことを引き続き御容赦いただきますようお願いいたします。本日、御出席の先生方の過去3年度における関連企業からの寄付金・契約金などの受取り状況の御報告でございます。本日の議題は新型インフルエンザワクチンの安全性に係るものでありますので、新型インフルエンザワクチンの製造販売業者である学校法人北里研究所、財団法人化学及血清療法研究所、財団法人阪大微生物病研究会、デンカ生研株式会社、及び競合品目と考えられます新型インフルエンザワクチンの輸入を予定しておりますグラクソ・スミスクライン株式会社、ノバルティスファーマ株式会社からの過去3年度の寄付金等の受取りについて申告を頂戴しております。競合品目・競合企業につきましても事前に資料をお送りしまして確認をいただいているところでございます。
 各委員からの申出状況から審議への不参加をお願いする先生はありませんでした。
 土屋先生がノバルティスファーマ株式会社から50万円以下の受取りとの申告がありました。また、参考人といたしましては、内山先生がグラクソ・スミスクライン株式会社から50万円を超え500万円以下の受取りとの申告がありましたので、議題1に関して議決には参加できないということになります。また、神田先生につきましても、グラクソ・スミスクライン株式会社から50万円を超えて500万円以下の受取り、ノバルティスファーマ株式会社から50万円以下の受取りとの申告がありましたので、同じく議題1に関して議決には参加できないということになります。また、庵原先生が北里研究所、化学及血清療法研究所、阪大微生物病研究会、デンカ生研株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社から50万円以下の受取り、工藤先生がグラクソ・スミスクライン株式会社から50万円以下の受取り、久保先生がグラクソ・スミスクライン株式会社、ノバルティスファーマ株式会社から50万円以下の受取り、林先生がグラクソ・スミスクライン株式会社、ノバルティスファーマ株式会社から50万円以下の受取りとの申告がありましたので御報告申し上げます。
 また、本日御出席の健康局の予防接種後副反応検討会の先生方につきましては、飯沼先生がグラクソ・スミスクライン株式会社、ノバルティスファーマ株式会社からそれぞれ50万円以下の受取り、稲松先生がグラクソ・スミスクライン株式会社から50万円以下の受取り、多屋先生が化学及血清療法研究所、阪大微生物病研究会、グラクソ・スミスクライン株式会社からそれぞれ50万円以下の受取り、岡部先生が北里研究所、化学及血清療法研究所、阪大微生物病研究会、デンカ生研株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社からそれぞれ50万円以下の受取りとの申告がありました。御報告は以上でございます。

○松本座長
 ただいま事務局から説明がありました審議の際の申合せ事項についてはよろしいでしょうか。特にないようですので、競合品目・競合企業の妥当性を含めて了解いただいたものといたします。次に、事務局から資料の確認をお願いします。

○事務局
 資料を確認させていただきます。お手元に座席表が1枚と当日配付資料が1枚のものが二つ、1枚目は表が棒グラフで裏がロットとメーカーの整理情報、2枚目は新型インフルエンザ感染者の死亡について95例目というもので1枚表裏の資料です。本体の資料は、本日の議事次第と、1枚めくっていただきまして、委員の一覧、その裏が配付資料一覧となっておりますので、配付資料一覧を参照いただきながら御確認をお願いいたします。資料1番のシリーズが、資料1-1として「推定接種者数及び副反応報告頻度について」というA4で2枚の資料。資料1-2は「副反応症例の内訳(性別・年齢別)」の1枚の資料。資料1-3は「重篤症例一覧」としまして、横の表になっておりまして、A4で2枚。資料1-4は、重篤症例の概要を記載した資料、全部で37ページあります。資料1-5は「死亡症例一覧」、12月10日までの報告分としての資料。資料1-6は、死亡症例の概要を取りまとめたもので、トータル55ページの資料。資料1-7は、インフルエンザワクチンの副反応の報告状況について、重篤なものを季節性と新型とで比較した表、A4で計2枚の資料です。資料1-8は、ギランバレー症候群の可能性のある副反応報告を表にまとめたA4横の資料が2枚となっております。資料1-9は、アナフィラキシーとして報告のあった副反応症例についてA4横にまとめたもの、全部で15ページの資料になっております。
 参考資料は、参考資料1-1が「副反応報告の概要リスト」、12月10日まで報告分としてトータル50ページ、1,538報告の資料になっております。参考資料1-2は「アナフィラキシーの分類評価」としまして、A4縦の資料、全部で13ページの資料になっております。参考資料1-3は「新型インフルエンザワクチンの添付文書」。参考資料1-4は、11月22日付で本合同検討会でまとめさせていただきました1枚紙。参考資料1-5は、このまとめに沿いまして12月1日付で各都道府県・政令市・特別区、各団体宛に送付しました「基礎疾患を有する者への適切な接種の実施について」の事務連絡。参考資料1-6は、海外の新型インフルエンザワクチンの副反応報告の状況の資料です。不足などがありましたらお申し出いただきますようお願い申し上げます。

○松本座長
 資料の方はよろしいでしょうか。よろしいようですので、議題の1に移りたいと思います。議題の1は「受託医療機関等における新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種実施要領に基づく新型インフルエンザワクチンの副反応状況について」ですが、本日も死亡症例の評価、重症例の評価等について先生方に御検討をお願いしたいと思っております。本日の議事及び資料について事務局から説明をお願いします。

○事務局
 本日新たに参加された委員の先生もいらっしゃるものですから、若干、これまでの経緯等について御説明させていただきたいと思います。今回のワクチンの接種事業につきましては、できるだけ速やかに副反応の報告を入手して評価をするために、2点、初めての報告体制をとらせていただいております。一つ目は、受託契約という形で報告を義務付けるという形をとらせていただいて医療機関にお願いをしているということ。もう一つは、その報告のやり方がフリーダイヤルのファックスで国に直接御報告をいただくというやり方をしているということ。こうした点は従来の報告体制にはないものです。それ以外につきましては、基本として従来の予防接種副反応報告に同じく、副反応報告基準に合うものはすべて御報告いただく形にしております。その結果として、本日までに1,538例の報告をいただいているという形になっております。ただ、これらの報告には、情報として含まれるものはある程度限られておりまして、先生方には迅速な御評価をいただくために非常に無理をお願いして検討いただいているという状況にあります。個々の症例につきましては、引き続き入手可能な情報を集めるように、継続的に努力をしているところです。
 これまで、今日を含めて3回の御議論ですけれども、事務局として特にお願いをしているところは3点あります。一つは、報告された副反応から見て、ワクチンの接種継続が不適切と考えられるような重大な問題、またはその徴候が認められているかどうかという点。2点目は、仮に継続をするとした場合に、特に注意をしなければいけない点、あるいは注意喚起が必要な対象集団とか何かはあるかということ。3点目は、これまでいただいている副反応報告の中で、それを見てさらに調査や精査をすべき特段の観点、問題点、あるいは個別の症例についてさらにこういう情報をもっと取るべきだというような点、こうしたことについてご意見をいただけるとありがたいなと考えているところです。
 いずれにしましても、引き続き調査は継続しておりますし、慎重かつ迅速に対応を行っていくという基本的な考え方であることは改めて申し上げておきたいと思います。そういう経緯でもってこれまで御審議をいただいているということでございます。簡単に御紹介させていただきました。

○事務局
 引き続きまして、副反応報告の資料について御説明いたします。資料1-1と資料1-2を御覧ください。全体の副反応報告の状況についてということになっております。資料1-1ですが、1として、医療機関からの報告全体です。前回の合同検討会におきましては、11月24日までの推定接種者数と11月26日報告分までをお諮りしていますが、今回は12月10日までの報告分を対象にしております。推定接種者数は、前回は約600万回程度でしたが、今回は930万ドーズが市場に出ているということになっております。副反応報告全体では、前回600万ドーズの出荷時点では1,100程度あったものが1,538まで伸びておりまして、重篤は前回110から今回199まで伸びました。また、死亡が前回31から今回70まで伸びております。
 2ページ目ですが、前回まではお示ししておりませんでしたが、医療機関から「関連有り」として報告されたものと、3ページ目の「関連無し」「評価不能」として報告されたものを分けて、その集計を今回から資料にも追加しております。副反応報告頻度、重篤報告数、死亡報告数ですが、死亡については「関連有り」というものは0になっておりますが、副反応報告全体並びに重篤の報告に関しては、いちばん下がそれぞれの表ですが、全体の「関連有り」の報告頻度が0.009、「関連無し」「評価不能」が0.007となっております。また、「関連有り」の重篤報告は0.0009、「関連無し」「評価不能」が0.001ですので、「関連無し」と、「関連無し」「評価不能」というものが同じ程度の報告がされているということになります。
 3ページ目の?「医療機関で接種者数の報告から推定される副反応報告頻度」ということで、今まで申し上げた分は製造販売業者から医療機関に納入されたワクチンの数量を基に接種回数を算出していますが、実際の接種が事業としてどれだけ行われたかというものを各月集計することになっております。10月末までの分の集計が若干遅れておりますが、39都道府県で全部で67万1,300名の接種があったという報告が得られていますので、こちらを10月分の報告数に割り戻して報告頻度を求めたものが3ページのいちばん下となっております。4ページ目は、毎回付けている季節性での報告状況の資料です。
 資料1-2に移りますが、性別・年齢別に見た副反応報告の状況ですが、性別については引き続き女性が多いという傾向が見られまして、今回までに妊婦の副反応報告も20件ありました。年齢別に関しては、接種事業における接種対象者の変化に応じて年齢層が変わってきていまして、前回11月26日までの分から今回までで大きく変わっている点は、0~9歳が100件以上報告数が増えていますので、こちらはお子様への接種の開始に伴ったものと考えております。資料1-1と資料1-2は以上でございます。

○事務局
 続きまして、死亡症例について御紹介させていただきます。少し飛びますが、資料1-5と資料1-6を併せて御覧ください。資料1-5ですが、死亡症例の一覧となっております。12月10日までに報告いただいた分について一覧表の形でまとめております。前回につきましては31例目までお諮りしましたので、本日は32例目以降、5ページになりますが、70例目までを御覧いただくということです。死亡症例の内訳について御紹介いたします。性別についてですが、男性が53例、女性が17例ということで、男性が約4分の3を占める状況となっております。年齢別ですが、0~9歳が1例、10~19歳が1例、30~39歳が1例、50~59歳が2例、60~69歳が11例、70~79歳が22例、80歳以上が32例ということで、高齢者の割合が多い状況が続いております。
 なお、0~9歳の1例ですが、こちらはこの一覧表の4ページのいちばん下ですが、65番の症例です。冒頭小さな括弧で書いていますように、この方につきましては新型インフルエンザによる死亡の報告例ということで御報告をいただいたものです。こちらにつきましては、当日配付資料2、本日机上にお配りしたものですけれども、こちらを御覧いだければと思います。
 「新型インフルエンザ感染者の死亡について(95例目)」ということで御報告いただいたもので、裏を御覧いただくと、症例の詳細があります。こちらの方につきましては、中下ほどの経緯を御覧いただくと、11月25日に新型インフルエンザワクチンを接種したということで、その4日後に脳内出血による心肺停止で救急搬送をされ、12月1日に死亡が確認されたものです。その後、死後の検査ですが、新型インフルエンザウイルスの検査が陽性ということで感染が確認された死亡症例となっております。
 続きまして、前回御評価をいただいた以降に報告のありました症例につきまして、1症例ごとに簡単に御紹介させていただきます。資料1-6を御覧ください。29ページですが、前回、11月30日の合同検討会の段階で31例目までの報告があったところですが、31例目の最後の症例につきましてはこの段階で調査中ということでしたので、今回、詳細について御紹介させていただきます。31例目より70例目のうち、調査をしているものについて簡単に御紹介させていただきます。
 症例31です。80歳代の男性で塵肺症、慢性呼吸不全の疾患があった方でありまして、19日にワクチンの接種をしております。4日後昼まで異常がなかったものの、午後から呼吸悪化をしその翌日に死亡されたということです。専門家の評価ですが、こちらにつきましては追加情報が必要という御意見もあります。また、因果関係が希薄、本ワクチン接種と死亡との因果関係が認められないといった御意見をいただきました。
 症例32です。70歳代の男性で、脳梗塞、気管支喘息の基礎疾患をお持ちの患者さんです。25日の午後にワクチンの接種をいたしまして、翌日から39℃の発熱を来たしております。その後、血圧を低下し、同日の午後2時半に心停止、動脈血培養にて肺炎桿菌が検出され、敗血症にて死亡とのことでした。専門家の御意見ですが、敗血症に見えるが、ほかの検査所見が必要という御指摘をいただいております。また、31ページですが、発熱とワクチン接種との因果関係は否定できないという御意見と、臨床所見、検査データの推移が不明で死亡とワクチン接種の因果関係は判断しかねるといった御意見をいただいております。
 症例33です。80歳代の男性で、多発性脳梗塞、肺炎、尿路感染症、軽度の認知症をお持ちの患者さんです。26日の午後にワクチンを接種いたしまして、翌日の午前3時に脈拍の異常に気づき対応するものの、心肺停止となり死亡された症例です。専門家の御意見ですが、接種後半日は異常のないことが確認されておりまして、アナフィラキシーは否定的である、何らかのワクチンと関係のない急死と思われる。それから、ワクチン接種との直接の因果関係がありそうな要因はなさそうといった御意見をいただいております。
 症例34です。70歳代の男性で、特発性拡張型心筋症、好酸球性肺臓炎の既往のある透析を実施されている患者さんです。27日の午前中に透析を開始されておりまして、その後、ワクチンを接種されているということです。ワクチン接種約1時間後ですが、モニター上、心室頻拍を確認し、DC施行するも反応なく、午後12時26分にお亡くなりになった症例です。専門家の御意見ですが、死因としては、ワクチンによるアレルギー反応によるもの、透析中の循環動態の変化、原病の自然経過、これらの可能性が考えられる。この中で、症状の変化にワクチン接種が関与した可能性が否定できないという御意見と、透析中に接種をしているという点に問題はないかという御指摘がありました。また、33ページですが、透析中にこのような症例については血行動態が不安定になるのが通例であるということで、血圧の経過によっては本薬が悪影響を与えた可能性が完全には排除できないという御意見をいただいております。
 症例35です。90歳代の男性で、心不全、低血圧、認知症を基礎疾患としておられます。26日にワクチンを接種しまして、翌日の午前3時の巡回の際に呼吸停止の状態で発見されたということで、死因は虚血性心疾患との診断が出ております。専門家の御意見ですが、何らかのワクチンとは関係のない急死ではないか、ワクチン接種との直接の因果関係はなさそう。また、因果関係は不明という御意見をいただいております。
 次のページですが、症例36です。60歳代の男性で、8年前に胃癌にて胃を全摘され、食欲不振、低蛋白症で入院中の方です。17日にワクチンを接種しまして、5日後から37℃台の発熱、呼吸状態の悪化を認めております。その後、肺炎との診断があり、抗生剤の投与をして経過を見たものの、10日後の午前2時50分に死亡されております。その後、喀痰培養検査によりMRSAが検出されております。専門家の御意見ですが、記載からは、間質性肺炎様であるが画像所見の確認が必要という御意見。ワクチン接種と死亡との因果関係はない。また、因果関係は考えづらいという御意見をいただいております。
 症例37です。60歳代の男性で、肺癌術後、再発をなさっている患者さんです。25日の午後にワクチンを接種しまして、翌日約1日後、呼吸困難を訴え、意識レベルの低下を来たしております。次のページですが、その後、吸引にて多量の血液を吸引しております。また、午後11時ごろに再び出血を認めたということで、出血が多く、換気ができず心停止、心肺蘇生を行ったものの、死亡が確認されたという症例です。専門家の御意見ですが、因果関係不明、化学療法による腫瘍への影響によって喀血に至った可能性が考えられ、死亡との因果関係は否定的。原病による喀血、原病に対する化学療法の効き過ぎで発症した喀血と考えられるという御意見をいただいております。
 症例38です。80歳代の男性で、肺炎にて入院加療中の方です。26日の午前中にワクチンを接種しまして、翌日の昼ぐらいから全身状態が悪化して死亡された症例です。専門家の評価ですが、この方につきましては原疾患による。因果関係はなさそう。また、本例ではリンパ腫あるいはキャッスルマン病で、治療の有無は不明であるが、肺炎も併発しているため、インフルエンザワクチン接種との関係は情報不足により評価が困難という御意見もいただいております。原病の悪化による死亡も十分あり得る。また、情報不足により判断が不能という御意見がありました。
 症例39です。80歳代の女性で、脳梗塞で肺炎を繰り返していた患者さんで、胃瘻もお持ちです。25日の午後にワクチンを接種しまして、翌日に37℃台の発熱が認められておりまして、2日後になりますが、午前中に反応がなかったため救急車を要請、その段階で心肺停止であり死亡が確認されております。死後、CTを確認しておりまして、比較的新しい脳梗塞が確認されているということです。専門家の評価ですが、因果関係はなさそうという御意見。発熱については因果関係が否定できない、心肺停止については情報不足という御意見をいただいております。
 症例40です。60歳代の男性で、慢性心不全、陳旧性心筋梗塞、糖尿病の患者さんです。接種3日後に心肺停止をしまして、3日後まで問題なく過ごしておられたものの、死亡なさったという症例です。専門家の評価ですが、慢性心不全、陳旧性心筋梗塞、糖尿病、重症3枝病変疑いということです。状況からは接種との直接の因果関係はなさそう、原疾患と考えますという御意見をいただいております。
 症例41です。70歳代男性で、慢性心不全、多発性脳梗塞、前立腺癌、高血圧をお持ちの患者さんです。接種2日後に気分が不良になり、突然倒れ心肺停止をし、死亡なさった症例です。専門家の評価ですが、主治医の意見にもあるように、急性の心不全が原病から起こったと考えるのが妥当で、死亡との因果関係はない、主治医の御意見を評価するという御意見がありました。
 症例42です。80歳代の男性で、肺気腫、気管支喘息をお持ちの患者さんです。接種2日後に倦怠感、頭痛がありまして、その後、呼吸が早くなり死亡された症例です。こちらにつきましては死因は虚血性大腸炎によるものとなっております。専門家の評価ですが、因果関係ははっきりしない、不明という御意見でした。
 症例43です。30歳代の男性、心筋梗塞をお持ちの患者さんです。26日の午前11時ぐらいにワクチンを接種しており、当日は異常がありませんでした。2日後ごろから頭痛があり、翌日は全身がだるいというような訴えがありまして、ニトログリセリンテープの使用を中止しております。4日後、呼吸が早くなったということで来院をされますが、血圧が70程度、脈拍140、不穏状態ということで、その後、ショック状態で死亡されております。死因は急性心筋梗塞ということです。こちらにつきましては、現在、専門家に評価について問い合わせをしている最中です。また追って御紹介をさせていただきたいと思います。
 症例44です。60歳代女性、スチル病の患者さんです。この方につきましては、接種をした17日後に突然の心肺停止が起こったということで、致死性不整脈にて死亡ということです。専門家の評価ですが、接種後17日目の死亡ということで、接種との関連はなさそう。また、この成人Still病で胸部不整脈が起こり得るという御指摘がありました。
 症例45です。70歳代男性、糖尿病性腎症で通院透析を実施されている患者さんです。接種時に軽度の感冒がありまして、翌日に倦怠感があり、その4日後に死亡が発見されたという症例です。専門家の評価ですが、情報が不足しており評価が不能、また、背景因子から、直接の因果関係はなさそう。また、風邪の症状のときの接種は控えるべきという御意見がありました。
 症例46です。90歳代の男性で、心不全、慢性閉塞性肺疾患、?度房室ブロック、誤嚥性肺炎をお持ちの患者さんでした。接種前から胸水の貯留があり、利尿剤を投与しておりました。接種の2日目に意識レベルが低下し心停止をしているということで、死因は心不全の悪化と推察されるということです。専門家の評価ですが、死因は原疾患の肺炎、心不全の悪化によるもので、直接の関連はなさそう。また、因果関係ははっきりしないという御意見をいただいております。
 症例47です。70歳代の男性、難治性の気胸、慢性呼吸不全をお持ちの患者さんです。この方については6日後に発熱がありまして、インフルエンザの陽性が確認されたということで、その後、意識障害を来たして死亡されているということです。専門家の評価ですが、現在、こちらにつきましては確認中となっております。
症例48です。50歳代の男性で、2型の糖尿病、アルコール性肝硬変をお持ちの患者さんです。ワクチン接種から、その日については特に問題なく帰宅しておりますが、6日後、午前中は農作業をされていたということですが、その後、入浴中に心肺停止で発見され搬送、死亡されております。直接の死因としては肝硬変に起因する肝性脳症ということです。専門家の評価ですが、ワクチン接種後6日目に死亡した症例ということで、情報不足という御意見をいただいております。また、肝性脳症による窒息死と考えるのが自然という御意見もありました。
 症例49です。70歳代の男性で、間質性肺炎に対してステロイドを内服中、その他、糖尿病、高血圧の患者さんでした。9日にワクチンを接種しておりますが、11日後から微熱、その後、17日後に39℃の発熱と呼吸困難が出現しております。その後、呼吸不全が急速に進行し、29日に急性白血病疑いということで死亡しております。専門家の評価ですが、10日後の死亡ということで、たまたま、急性骨髄性白血病発症と重なったようである。また、情報が不足しており評価が不能、因果関係がはっきりしないという御意見。時間経過から、ワクチン接種と間質性肺炎の増悪との因果関係は否定できないという御意見がありました。
 症例50です。70歳代の男性、脳梗塞後遺症、慢性腎不全、嚥下性肺炎を認めている患者さんです。16日に接種をしておりますが、3日後、CTで肺炎は改善傾向であったと。その後、全身性の発疹が出現しております。24日に発疹の変化が認められず、また肺炎が確認されているということで、透析中に血圧低下、ショック状態で死亡されております。専門家の評価ですが、肺炎の再燃、この再燃にインフルエンザのワクチンが関与した可能性があるという御指摘がありました。また、多くの基礎疾患があるために、因果関係は認められないという御意見がありました。
 症例51です。80歳代の男性で、慢性腎不全の患者さんです。接種7日後に急性腸炎が発症しまして、その翌日、8日後に死亡された症例です。専門家の評価ですが、臨床経過から、ワクチン接種との因果関係を示唆する所見はないという御意見でした。
 症例52です。60歳代の女性、B型肝炎による重症の肝硬変、肝不全等がありました。接種3日後ですが、肝不全により死亡されているということです。こちらにつきましては接種医は因果関係なしとなっていますが、専門家にただ今御意見を伺っているところです。
 症例53です。60歳代の男性で、急性骨髄性白血病の患者さんです。接種2週間後ぐらいから発熱、偽膜性大腸炎の発症がありまして、15日後に死亡されております。専門家の評価ですが、白血病の経過中の白血球減少、感染死ということで、因果関係はないという御意見をいただいております。
 症例54です。80歳代の男性、慢性間質性肺炎、不安定狭心症の患者さんです。接種後発熱がありまして、7日後に間質性肺炎が増悪し13日後に死亡されたということです。専門家の評価ですが、もともとの疾患の増悪と思われるが、タイミングからワクチンの関与も否定できないという御意見をいただいております。
 症例55から症例57までは現在調査中ということですので割愛させていただきます。
 症例58です。10歳代の男性で、もともとの基礎疾患として自己免疫性の腸炎、びまん性小腸潰瘍、自己免疫性溶血性貧血をお持ちの患者さんです。また、併せて気管支喘息(軽症間欠型)を罹患しておられる方です。ワクチンを接種した後、腹痛、だるさを訴えていたということですが、4日後、出勤をした後、だるさを訴えたため帰宅をし、家族が午後3時ごろ帰宅をしたときに、嘔吐し心肺停止しているところを発見しています。救急搬送され、死亡が確認されております。死因については、外傷によるものではなく、何らかの身体の異常によるものの不明ということでした。また、その後の調査で、季節性ワクチンの接種後にも腹痛、だるさがあったということが判明をしております。主治医、それから搬送先医療機関の医師は、直接の因果関係はなしということです。専門家の評価ですが、ワクチン接種後から4日経過ということで、アナフィラキシーによる死亡とは考えにくい。また、嘔吐後の死亡ではあるものの、年齢から推察すると誤嚥による死亡は考えにくい。また、脳出血、心疾患なども考えにくい。また、喘息発作の可能性もあるものの、その所見については今のところ不明のため、死因については不明という御意見をいただいております。また、次の御意見でもワクチン接種と死亡との因果関係は不明ということです。また、喘息患者はアナフィラキシーを起こしやすいとされていますが、この症例は時間も経っており、因果関係ははっきりしないという御意見です。こちらにつきましては、さらに詳細な情報を求めておりますので、分かりましたら御紹介させていただきたいと思います。
 症例59は調査中であります。
 症例60です。70歳代の女性で、関節リウマチ、慢性呼吸不全をお持ちの患者さんです。接種3日後に発汗が著明、翌日に死亡されております。専門家の評価ですが、死因については情報量が少なく、原因不明ということでした。
 症例61です。60歳代の男性で、肝細胞癌、多発性肺転移等をお持ちの患者さんです。ワクチン接種3日後に原疾患悪化のため入院、7日後に呼吸状態が悪化し死亡された症例です。専門家の評価ですが、がん性胸膜炎による呼吸不全ということでした。
 症例62です。90歳代の女性、慢性腎不全、慢性心不全をお持ちの患者さんです。接種3日後に腎不全が増悪しまして、4日後に死亡されている症例です。専門家の評価ですが、死因としては急性腎不全が考えられるということで、死亡との関連については因果関係不明ということでした。
 症例63から症例67までは調査中ですので割愛させていただきます。
 症例68です。80歳代の男性で、間質性肺炎を患っておりプレドニゾロンの内服中で、免疫抑制状態でした。接種2日後に発熱、7日後に間質性肺炎が増悪し12日後に亡くなったという症例です。こちらにつきましても、現在、評価についてはお伺いをしているというところです。
 症例69と症例70についても現在調査中ということで割愛させていただきます。
 申し訳ございません、症例47につきまして御紹介しておりませんでした。42ページです。70歳代の男性で、難治性の気胸、慢性呼吸不全をお持ちの患者さんです。接種6日後に発熱がありまして、インフルエンザ陽性。気胸の悪化で9日後に意識障害、呼吸不全によりお亡くなりになった症例です。専門家の意見については問い合わせ中ということです。
 死亡症例、個別の御紹介については以上になりますが、こちらに関連して当日配付資料等を御紹介させていただきます。当日配付資料「副反応報告中の接種日からみた死亡報告数の推移」というグラフの資料を御覧ください。こちらにつきましては、ただいま御紹介させていただいた症例につきまして、それぞれ接種の日をグラフに示したものです。また、下の方には、併せてその期間中に接種の対象となっている患者さんについての紹介をしております。11月16~20日、また、24~28日ぐらいの間に接種をされた方の中でお亡くなりになった方が多いわけですが、この期間、基礎疾患の最優先の方、それからその他の基礎疾患について接種が実施されているという時期になっております。また、裏を御覧ください。こちらは「副反応報告に記載されているロットとメーカーを整理した情報」ということで、それぞれ各製造販売業者の該当するロットの出荷日、納入量、重篤例、死亡例について、報告数と10万当りの接種について情報を出しているものです。なお、こちらの情報につきましては、それぞれ出荷の時期、接種の時期が異なっておりまして、優先接種のスケジュールに考慮しつつ御覧いただく必要があるというような資料になっております。また、このような形で表を御覧いただくと、基礎疾患の方々への接種の中で死亡症例が認められているということもありまして、これまでのこの検討会の御意見も踏まえまして注意喚起をしております。
 参考資料1-5を御覧ください。こちらにつきましては、新型インフルエンザ対策推進本部事務局からの事務連絡となっております。「基礎疾患を有する者への適切な接種の実施について」ということで連絡をしておりまして、2ページ目ですが、現在、接種を実施されている医療機関を中心に御連絡を差し上げているところです。具体的な中身は、3ページ目ですが、1番として、実施要領に基づき、ワクチン接種は個々人のそれぞれの判断により行うべきであることを周知し、また、ワクチン接種の効果や限界、安全性などについて説明をいただくこと。2番目として、心臓、腎臓、呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活が極度に制限される程度の障害を有する方々、また、ヒト免疫不全ウイルスにより免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な状態の障害を有する方などについては、接種の適否を慎重に判断いただくというと。3番目として、接種後一定期間は、接種を実施した場所に留まっていただき、その状態に注意をしていただく。その辺りについて、実施要領にもありましたが、この段階で再度注意をしていただくようにということで御連絡を差し上げたものです。死亡例の御紹介については以上でございます。

○松本座長
 ただいま事務局から新型インフルエンザワクチン接種後の死亡症例について説明をいただきましたが、御質問、御意見等はありませんか。相変わらず高齢者で、どちらかというと肺疾患の患者さんが多いみたいなのですが、久保先生、何かコメントをいただけませんか。

○久保参考人
 前回とほぼ同じような傾向がまだ引き続きあるのかなという感じがいたします。前回のときも重症で酸素を吸っているような患者さんに往診してワクチンを打つようなことはしなくてもいいのではないかという意見を言った覚えがあるのですが、基礎疾患が、重症で、戸外に出る必要がないような方に打つ必要があるのかということを、もう少し慎重に適応を決めてもらいたいと思います。ただ、この棒グラフを見ると、基礎疾患の最優先で打つ方は減ってはきているのですよね。

○松本座長
 ということは、現段階では、明らかに直接的にインフルエンザワクチン接種と関係があるような方は含まれていないというふうに解釈してよろしいですか。

○久保参考人
 そのように判断します。慢性閉塞性肺疾患や間質性肺炎は、少しのことで増悪します。風邪をひくようなことだけでも増悪しますので、ワクチンを打ってそれがどの程度関係するかというのは非常に判断が難しいと思いますが、少なくとも直接的な変化ではないだろうと思われます。

○松本座長
 間質性肺炎に関しても増悪した可能性は考えにくいと考えてよろしいわけですか。

○久保参考人
 そのように思います。風邪をひくだけでも、あるいは発熱をするだけでも増悪しますので、100%ワクチン接種が増悪に関係していないということは言えませんけれども、少なくとも直接的な変化ではないだろうということは言えると思います。

○松本座長
 ということは、このような方は、どちらかというと、接種をするときに打つか打たないかを厳格に決めるべきであるということですか。

○久保参考人
 はい、適応をしっかりと考えてもらいたいなと思います。

○松本座長
 ほかに御意見ありませんか。稲松先生、高齢者の関係から意見ありますか。

○稲松座長代理
 実際の死亡例を見て、亡くなる方は例えば在宅酸素療法中の患者さんとか、ある意味で在宅酸素法が導入できなければとっくに亡くなっている方たちなのですよね。そういうことで何とか頑張っているのだけれども、極く些細なことでというか風邪をひいてとか、例えばインフルエンザにかかったときに真っ先に犠牲になる方々であると。そういう方々が亡くなったときに、インフルエンザワクチンがギルティと言ってしまうと、トータルにはもっと被害が増えるという形になるような気がいたします。ただ、そのことをもう少し第三者に納得していただけるようなデータを積み上げる必要があるのではないかと私は思っています。

○松本座長
 確かに、おっしゃるように、呼吸困難の方とかが比較的悪い経過をとられることが多いみたいなのですが、実際上どのような検討をすればよろしいとお考えになりますか。

○稲松座長代理
 季節型、新型を含めて、例えば在宅酸素をやっている人でワクチンを打った群と打たない群とで、在宅酸素に限ればかなりバックグラウンドが整理されますので、それで死亡率がどうかとか、そういうことを少し大きな数で検討すればわりときれいな成績が出るような気がしています。

○松本座長
 その辺、今後も検討していただければと思います。それから、今回の報告では20歳未満の方が2人ほど含まれているみたいなのですが、これに関して何かコメントはありませんか。小児科の先生の中で庵原先生、いかがでしょうか。

○庵原参考人
 1例はまだ情報が全然ありませんので何とも判断できないと思います。少なくとも、これはインフルエンザウイルスがPCRレベルでは検出されていますけれども、これが本当に生きたウイルスであったとか、臨床症状としてインフルエンザの熱があったとかは一切不明ですので、この症例は何も判断できないと思います。
 もう一つの症例は、これは明らかに腸管出血による死亡と思われる症例であって、ワクチン接種後4日か5日経っていますから、これはワクチンとの因果関係はないと考えるほうがいいのではないかと思います。
 さらに言いますと、最初の10歳未満の子供の場合、PCRレベルですので、本当にウイルスがそこから分離されたかどうかとか、インフルエンザの治療をきちっと行っているのかどうかとか、これは一切情報がないので、コメントはできないと考えるべきだと思います。以上です。

○松本座長
 確かに58番目の方の場合、死因がはっきりしませんので、ワクチン接種との関連性がどうかというのを検討するのは大変難しいのではないかと思うのですが、岡田先生、何かコメントはありませんでしょうか。

○岡田参考人
 庵原先生がおっしゃったとおり、時間的な経過ということを考えると、ワクチンとの因果関係ははっきり分かりません。インフルエンザに関してはインフルエンザウイルスそのものがとれていませんから、まだ何とも言えないのかなという感じはあると思います。

○松本座長
 このことに関して、ほかに御意見はありますでしょうか。是松先生、このような意見でよろしいですか。

○是松参考人
 やはり4歳の症例に関しましては、もしそれがインフルエンザの自然感染がなかったとしたら、非常におかしな経過で、不幸な転帰とワクチンとの関係は否定できなくなります。しかしPCRが陽性で、ワクチンとは別に自然感染があったと考えると、臨床経過は説明がつくと考えます。
 もう一つ、自己免疫疾患等を有している10歳代の人の場合は、時間関係からワクチンとの関連は薄いと思うのですが、先ほどの成人の症例と同じように、その人の重症度がワクチン接種に耐えられる状態であったかという疑問も感じます。小児に関してもワクチン接種の適応の有無をしっかり判断していただきたいと感じました。

○松本座長
 確かに何例か、打つべきかどうか非常に迷うところがある患者さんが含まれているみたいなのですが、ほかに御意見はありませんでしょうか。桃井先生、何かありますか。

○桃井参考人
 直接の関係というのと、風邪をひいても、ワクチンを打っても、それがトリガーになって原疾患を悪化させるというのと、今2種類、いろいろな先生方がおっしゃっていて、そのとおりだと思うのです。子供であっても、例えば基礎疾患で先天代謝異常などがあったりしますと、ワクチンを打って数日後に非常に全身状態を悪くして、基礎疾患の先天代謝異常も明らかに病態が悪化してということは、しばしば我々も経験いたします。それで、そのような状態をワクチンがトリガーになった。それは実際に風邪をひいてもそうなりますし、ほかの熱性の疾患になってもそうなると。トリガーになるということは誰も否定できないわけで、症例58に関しても、ちょうど1週間ぐらいの間を置いていますから、免疫性の疾患でもありますし、トリガーになるということは、これだけの情報では少なくとも否定はできないわけです。
 ですから、御老人は私はよく分かりませんが、前にも申し上げましたが、御老人の病態においても、何らかの風邪をひいてもなるようなこと。本当にわずかなものでもトリガーになるようなことが、インフルエンザのワクチンがトリガーになって突然死を誘発するということは、やはり否定はできないわけで、間接的なトリガーとしての問題というのはあり得るということを国民は知っていて、それぞれの御判断をされるということが必要なのではないかと思います。その情報があまりいっていませんと、自分たちの家族、あるいはお子さん、あるいは御家族が受けるべきか、受けないべきかという御判断もできないと。ですから、そういう状態はあり得る、いわゆる間接的なトリガーになり得るということがあり得るということを、何らかの分かりやすい形で国民に知らせる必要は私はあると思います。

○松本座長
 そうですね。おっしゃるとおりなのですが、トリガーになり得るかもしれないというのを、もう少し明らかにする方法について、先生は何か良い御意見はありませんか。

○桃井参考人
 前回申し上げたのですが、御老人の突然死に関しては4日ごろまでに集約していて、翌日と2日目が突然死が特にピークになっています。それは主治医の方が当日、翌日、2日目ごろのほうが関連性を否定できないと判断されたバイアスがかかるために、たぶん多くなっているのだと思います。やはりたぶんでありまして、その後の4日目、5日目、6日目、7日目等までをきちんと、例えば2週間の突然死も含めた死亡を全調査されて、突然死が均一であるということが分かれば、トリガーにもなっていないという疫学的な結論ができるわけです。しかしながら、やはり2日目、4日目、14日までの死亡を全例を挙げてみても、2日目、3日目、4日目辺りがピークであるということになれば、トリガーになっている可能性が出てくるわけです。そういう調査を是非していただきたいと思います。

○松本座長
 先ほどちょっと触れなかったのですが、喘息も結構多いみたいなのですが、この辺も同じような形でいかがでしょうか。

○久保参考人
 これは重症の副作用の反応を見ますと、ワクチンを打ってから数時間という例の場合は、やはり明らかに喘息を悪化させているという可能性はあると思います。死亡例ではありませんが、喘息のある患者さんにワクチンを打って、数時間後に喘息を悪化するという症例を数例、報告書で見ていますので、そういう方は喘息が悪化させている可能性はあるというように判断しました。ただ、今回の死亡例の中の喘息例は、喘息の治療がどの程度かというのがはっきりしませんので、何とも言えませんけれども、やはりワクチンを打って数時間以内に喘息が悪化するという場合には、ワクチンが関係すると考えたほうがいいのではないかなと思います。

○松本座長
 そうですね。当然なのですが、重症例では皆さん助かっているわけですから、死亡例に関してもそのぐらいの監視の下でやるというのも、一つ必要なのかもしれませんね。呼吸困難も同じで。

○久保参考人
 今回の死亡例の中の重症例というのは、確かに今申しましたように数例はあるのですが、これを読んでいますと、喘息が悪化してということはあまり書いていないのですね。ほとんどが呼吸不全だとか突然死ということになっていますので、喘息が悪化して死亡したかというのは、ここの読む中ではちょっとはっきりしないなと考えていますけれども。

○松本座長
 死亡例について評価をするというのは、大変難しいのではないかと思います。ほかに御意見はありませんでしょうか。

○岡部委員
 今のところ高齢者に対して、疫学上、あまり感染者が出ていないというのは事実だと思います。実際に患者さんとして多いのは小児科領域で、中年者も含めて、高齢者までの患者数は低いのですが、発症した場合の危険性は、死亡する割合ということから言えばやはり高齢者の方が高くある。高齢者で特に致死率が高いのは、やはり基礎疾患を有している人であるというところから、高齢者はこの病気に感染した場合はハイリスクであるという考え方でスタートしていると思うのです。それで、通常の季節性インフルエンザの場合でも、高齢者の場合はそれほど感染をしやすいわけではないけれども、発症した場合に危険だから予防接種を多くやっていこう、というのが基本的な考え方にあったわけです。新型インフルエンザ、今回のH1N1パンデミックでも、現在幸いに高齢者に発症者が少ない。しかし、その理由はよく分からないわけです。しかし、今後発症のポピュレーションが若い人たちから高齢者に動いていく可能性はまだあると思うのですね。これは否定できない。
 そうなっているときに、発症した場合にリスクが高いということであるならば、依然、対象であるということについては私は、つまりワクチンでできるだけ重症化を防ぎ、死亡することを防ぐという根本的な考え方は変える必要がないのではないかと思います。ただ、先ほどからの議論のように、個々の症例にとって、本当にその人がワクチンの対象になるかどうかは一片の紙では決められないことなので、やはりこれは臨床現場の裁量で、これらの方が良かったか、悪かったかということではなくて、そういう判断に基づいたワクチン接種は行われていいのではないかと思います。

○松本座長
 確かにおっしゃるとおりで、ただ、トリガーになるのを防ぐといいますか、トリガーになる人がより重篤にならないようにする方法として、今インフルエンザ対策推進本部から出ておりますこのような対応で、現時点では十分と考えてよろしいでしょうか。

○岡部委員
 現時点で、あるトリガーかファクターが導き出されればいいのですが、容易に想像ができますが、それがない。手元として我々は持っていないわけですね。サイエンスとしても持っていない。そういう状態のときは、ある決定をしなくてはいけないわけですが、そうなったときには今のこの病気のリスクをどう考えるかというところで、動いていいことであろうと思うのです。ただ、これをそのまま「そうですか」と言っているのではなくて、桃井先生がおっしゃったようないくつかのファクターで分析をして、今後のことを考えることは必要だろうと思います。現時点で、今日の話の趣旨の、では、これで重大な事例が起きているかどうかということに対しては、私は判断はそういうふうにはならないと思っているのですけれども。

○松本座長
 事務局の方としても、現在の段階で重大な事態になっているとは考えていないわけですね。

○事務局
 はい。

○松本座長
 ほかに御意見はありませんか。

○岡田参考人
 小児科学会でまとめられた小児の重症のケース例えば重症肺炎は、発病して24時間以内に症状が急激に進んでいます。が今から普通の子供たちが接種していくときに、どういう子どもたちがリスクがあるかというのは、桃井先生がおっしゃるようにちょっと分かりませんけれども、少なくとも慢性呼吸器疾患とくに喘息を持っている子どもたちには、今回のインフルエンザ感染は非常にリスクになり得ます。そういう意味でもワクチンの効果とワクチンの副反応を、正確に調べていくことが必要ではないのかなと思います。

○松本座長
 今の段階では、そういう人のほうが感染した場合のリスクが大きいので、ワクチンを打つことに関しては必要であるという判断でよろしいわけですか。ただ、喘息発作が起こっている最中にワクチンを打つということ自体も、かなり危険性があるのではないかという気がするのですが、これは先ほどの接種するときの選択ということでよろしいですか。

○岡田参考人
 そうですね。もちろん診察しますし、発作が起きているときには、おそらく誰も接種をしないと思います。今回は日ごろからコントロールがうまくいっているケースの中でもひどくなっているケースがありますから、そういう意味では少なくとも喘息など慢性呼吸器疾患を持っている子どもたちにとってみると、打つメリットがあるのかなと思います。

○稲松座長代理
 今の話は、要するに肺線維症ないしは喘息の類の疾患というのは、何らかの抗原刺激で悪化する可能性はあると。そのときに、ワクチン抗原と実際にインフルエンザにかかったときの抗原と、強烈さはどうかというと、それは雲泥の差であると。だから、ワクチンを打てば、抗原刺激にはなるけれども、実際にかかったときよりも、はるかにその影響は少なく済むのだという理解を一般の人にしていただくことと、それからワクチンを打ったときに悪化する可能性はあるのだから、十分な対応というか、準備はしておいていただきたいと。そのような警告で、大体理解されるのではないでしょうか。

○是松参考人
 子供に関してなのですが、例えば同じ喘息でも、成人の場合はほぼ毎日、ゼーゼーしている人が多いのですが、子供というのは数カ月に一度喘息が起きる、というように、急に悪くなるけれども、すぐに軽快し、それ以降はしばらく良い状態が続くことが多いです。ですから、喘息はワクチンの副反応のリスクにはなるのですが、発作がコントロールできている喘息の子供に対してまで、必要以上に慎重になる必要はないと考えます。むしろ桃井先生が言われたような先天代謝異常を持ち、熱がでるだけでも急変する子とか、重症心身障害児など、成長障害があるとか、栄養状態が悪いという子供に対するワクチンに慎重になったほうがよいと考えます。成人に関しては、酸素投与を受けているとか、常に寝たきりに近いなどという人は、ワクチンの副反応がでやすい可能性がある、ということを示していけばいいのではないかなと思っております。

○松本座長
 いずれの基礎疾患にしても、ひとまとめにして指示を出すというのは非常に難しいので、やはり現場の先生が個々の人を見て判断していく必要があるということでいかざるを得ないかと思うのですが、ほかに御意見はありませんでしょうか。

○川名委員
 防衛医大の川名です。インフルエンザワクチンに限らず、通常行われるワクチン接種というのは比較的、例えば重篤な基礎疾患がある人は、どちらかというと要注意接種ということになって、熱もなくて、今日は体調がいいという人に対して打つのが一般的だろうと思います。そういう意味では、今回のワクチン接種は、基礎疾患があって、ハイリスクの人たちから優先的に打っているということが、まず一つ背景としてあるのだろうと思います。例えば健康な人でもワクチン接種を大勢の人にせっせとやりますと、迷走神経反射などで血圧が100とか90ぐらいに落ちる人は、ざらにと言ったらあれですが、非常にたくさんいらっしゃるわけです。
 健康な人ですと、血圧がそのぐらいになっても全然問題ないわけですが、例えば脳梗塞とか、虚血性心疾患があったり、慢性腎不全がある人にとっては、ちょっとした血圧の低下でも、基礎疾患の増悪につながる可能性はあるわけですよね。ところが、それはインフルエンザワクチンが悪いのかというと、これは判断が非常に慎重になされるべきであって、例えば人間の体に針を刺すということに対する生理的な反応も含まれるのだろうと思うので、これまでほかのワクチン接種が健康な人に主にやられてきたということを考えると、いろいろな事象について、これが本当にインフルエンザワクチンが悪さをしているのかどうかということを考えるのは、非常に慎重でなければいけないだろうと思います。

○松本座長
 おっしゃるとおりだと思いますが、ほかに御意見はありませんでしょうか。いろいろな問題点がありますが、これは今年に明らかにして、今年のワクチン接種に役立てるというのは、かなり無理があろうかと思うので、差し当たりは今行われている安全対策でいかざるを得ないと思うのですが、今のお話からこれで不足の部分はありますでしょうか。何か御提案はありませんでしょうか。今の対応でよろしいということで、よろしいですか。

○飯沼委員
 質問も含めてですが、当日配付資料の棒グラフの裏側の、メーカーとロット別の重篤例の所です。ロットの若いナンバーの所は、例えば2番目のカラムの化血研を見ますと、随分、重篤例が高いですよね。よく見ると、デンカもそうですし、北里もそういう傾向にあります。こういうロットのいちばん新しいころは、医療関係者しか打っていないですね。それは先生方がよく御理解をしていて、どんな小さい些細なものでも届けたということもあるかもしれませんが、こういうロット別の副作用の出方というのはあるのでしょうか。それが1点です。
 もう一つ、あとになりますと、ロット別の差がないように落ち着いてきていますが、これから出てくるのはこういう落ち着いたのが出てくるというように理解をしておいていいわけですね。初めのころのロットのブレというのは、何か原因があったのでしょうか。その2点をお教えていただければと思います。

○松本座長
 事務局からお願いします。

○事務局
 今の飯沼先生からの御指摘の部分ですが、重篤例を御覧いただくと、出荷日が早い、若いロットの方が比較的、対10万接種当たりでも報告率が高い傾向にあるというところはあると思います。例えば11月の後半に出荷しているようなものですと、報告自体が少しタイムラグがあってから報告されることもありますので、まだ十分数字が熟していない部分も考えられるだろうとは思っております。また、最初の方のロットは、先生が御指摘のように医療関係者の方を中心に打っているものという影響もある可能性はあるだろうとは思っております。おそらく、重症例を見た限りのロットというのはそういう関係だろうと。
 あと、死亡の部分についても、これはあくまでこの数字を見た上の推論にすぎませんけれども、ちょうど高齢者の基礎疾患の方々を打っておられるような時期に使用されているようなロットが比較的、対10万接種当たりでも高めに出ているような傾向はあるのかもしれないということぐらいだろうかと思っております。何かロットにおいてスペシフィックな影響があるかどうかということについては、ちょっと今の段階では分からないというのが正直なところです。

○松本座長
 飯沼先生、よろしいですか。ほかに御意見はありませんでしょうか。死亡例については、これまでの当委員会での意見から見て、状況として変化がないということでよろしいですか。意見では、それでよろしいような気がしますけれども。

○事務局
 今いろいろと先生方に御議論をいただきまして、先ほど来、私どもの方から参考資料1-5の事務連絡で、12月1日に基礎疾患を有する方に適切な接種の実施ということで、注意喚起をさせていただきましたということも、御紹介をさせていただいております。今日の御議論、トリガーの問題ですとか、若い先天代謝異常などといった方々も含めて、慎重に個々に打つべきかどうかという部分についても、御判断をいただく必要性はあるのかという御指摘だったと思います。また、接種をされたあとも、いろいろな状態の変化等々も考えられるという部分も含めて、慎重に経過を見ていただく必要性も御指摘があっただろうと思っております。
 この事務連絡を出させていただいた部分をまた基礎にしながら、接種対象者の方において、リスクとベネフィットという部分が分かりやすい形での情報提供というものについて、私ども事務局の方でもどんなやり方があるのかも含めて、少しまた考えさせていただきたいと思っているところです。

○松本座長
 引き続き呼吸器、その他の基礎疾患を有する患者さんへ接種する場合においては、今までの注意喚起を継続していただきたいということにしていただきます。事務局の方、よろしくお願いします。続きまして、残りの資料の説明をお願いします。

○事務局
 それでは、残りの資料ですが、まず資料1-3と資料1-4を説明させていただきます。前回までに報告されていたものが79番まででした。資料1-4で、何例か症例の紹介をさせていただきたいと存じます。
 資料1-4の22ページからです。新しく追加された分において、全体としても10歳未満の症例の副反応報告が相対的に多くなっていることは、先の資料で報告申し上げましたが、22ページの症例81番では、10歳未満の男児において、顎の不随意運動がありました。こちらについては、こういったしびれなどがあるようなギランバレー症候群の疑いに関して、詳細検討をしております資料1-8にも取り上げておりますので、後ほどそちらで紹介をさせていただきたいと存じます。
 24ページの症例90、症例91、症例92が、やはり10歳未満の男児、あるいは女児で、蕁麻疹、あるいは喘息発作というアレルギー系の反応が見られているということが出ております。
 25ページ、症例95番でも、10歳未満の男児で頭痛・嘔吐の発現が見られたというものがありました。
 27ページ、症例103番、やはり10歳未満です。死亡例の中にもありましたが、ワクチン接種とインフルエンザ罹患が、接種に近い時期に起きていたと疑われる症例です。ちなみに、下から4行目、接種日、当日深夜には38℃の発熱が見られ、翌朝、医療機関を受診されております。夕方には40℃まで熱が上昇し、かなりぐったりした状態であったということですが、インフルエンザの簡易検査でA型が±、B型が-が出て、タミフルの投与にて軽快しているということです。28ページに専門家の意見がありますが、土田先生から「臨床的には、ワクチン接種時が既にA型インフルエンザウイルス自然罹患による潜伏期間であり、発熱はA型インフルエンザウイルス感染の症状であったと推察できる」というコメントを頂戴しており、このような症例も報告がまいっております。
 30ページ、症例109番のADEMの疑いといったものについては、また資料1-8で説明の中に入っております。111番は10歳未満の女児で、痙攣が生じたというものです。
 31ページ、症例112番はギランバレー症候群ということで、「ギランバレー症候群の可能性がある」というコメントをいただいており、資料1-8でもまた御紹介したいと存じます。
 33ページ、症例120番はアナフィラキシー(回復)、119番もアナフィラキシー疑い(回復)、34ページの症例125番もそうですが、こういったアナフィラキシーの発生状況に関して、従来の季節性インフルエンザワクチンよりも報告が多少多いのではないかということから、今回、別途、資料1-9で詳細に検討をしておりますので、後ほど御紹介をさせていただきます。
 残りの資料ですが、先に資料1-8でギランバレー症候群の可能性のある副反応報告に関して、個別の症例検討をいただいているものを説明させていただきます。前回の第2回の検討会より、こういった資料の形で、ギランバレー症候群で見られる「しびれ、脱力感、神経障害、筋力低下、物が飲み込みにくい」というタームで報告された症例を広めに選択して、個別に検討を実施しております。前回までに、症例46まで検討をいただいておりますが、新たに追加されているものが47番以降ということになります。47番では、右のカラムに「専門家の意見」、「楠委員」、「コメント」がありますが、「副反応としては否定できないものの、GBS、ADEMというものは否定できるのではないのか」というのが埜中先生のコメントで、「副反応による何らかの中枢神経病変を来たした可能性はあり、副反応として否定できない」というコメント評価になっております。
 49番に関しても、同様に、現時点でADEM、GBSという評価はありませんが、こちらの方は痙攣ですが、ワクチン接種との関連自体は否定できないということになっております。
 このほか関連性について疑われるものについては、2ページの56番が副反応名としてもギランバレー症候群の疑いとして、30歳代の女性の報告がありましたが、接種数日後から手足のしびれ感が生じ、15日後から手指の脱力が生じた。21日後には腱反射が遠位で消失、近位で減弱という経過を辿っている症例です。埜中先生、吉野先生、楠先生からコメントをいただいておりますが、埜中先生は「GBSと判断される」、吉野先生は「症状の進行が長く、CIDP(慢性炎症性脱髄性多発神経炎)のような印象を受ける」、楠先生は「GBSの疑いがあり」ということで、ギランバレー症候群の可能性がある症例の一つとなっております。
 そのほかでは、60番の症例について副反応として否定できないというものがありますが、こちらもGBSは症状・時間的に否定できると。何らかの末梢神経障害が発生した可能性のある症例ということです。
 3ページ、62番も副反応報告としてギランバレー症候群という副反応名での報告を頂戴しました。20代、女性、妊娠34週という方の報告です。こちらについては、埜中先生からは「Fisher症候群の可能性は否定できないものの、現時点の情報ではかなり情報不足で、評価が不能」、吉野先生からは「妊娠に伴う高血圧性脳症も疑われる。現時点の本症状からはGBSと診断できない」、楠先生からは「GBSは考えにくいが、何らかの中枢神経障害の可能性はあり否定できない」ということで、因果関係は現時点で不明という評価になっております。
 69番ですが、50代の女性において、ADEM疑いという副反応報告がまいっております。接種5時間後に両手指のしびれが出現し、接種翌朝、右上肢に痙攣があり、脳神経外科の受診をされたという症例です。埜中先生、吉野先生、楠先生からコメントを頂戴しております。埜中先生からは「痙攣はワクチンと関連があるかもしれないので、因果関係を否定できない。ADEMは時間的に否定的、画像所見がないので情報不足」、吉野先生からは「因果関係は否定できない。ADEM疑い例」、楠先生からも「副反応による中枢神経障害の疑いがあり、ADEMも疑われるということで、否定できない」。副反応としては否定できず、ADEMの可能性もある症例の一つとなっております。
 4ページ、症例番号70番の60代男性、2型糖尿病、心臓バイパス術後、両側下肢動脈閉塞による人工血管バイパス術後にて通院中という方ですが、副反応としてギランバレー症候群の報告を頂戴したものです。中村先生、埜中先生、吉野先生、楠先生からコメントを頂戴していますが、中村先生からは「基礎疾患などから脳血管障害の可能性もあり。現時点では情報不足で評価不能」、埜中先生からは「症状からGBSと思われる。情報不足的ではある」、吉野先生からも「因果関係は否定できない。GBSの可能性はあり」、楠先生からも「情報不足ではございますが、GBS、ADEMの可能性は、本症例について考えられる」というコメントを頂戴しており、現時点では情報不足であるが、ギランバレー症候群の可能性があるという評価となる1例となっております。以降は、因果関係不明、あるいは調査中ということで、これが前回以降新たに追加されたGBSに関連すると思われる症例に関しての追加的な評価です。
 もう1点、アナフィラキシーの報告に関しての評価ですが、資料1-7、A4縦の2枚の資料です。左側に季節性インフルエンザワクチンの過去3年度、右側にA型インフルエンザH1N1ワクチンの副反応の発生状況を、重篤症例に限って集計したものです。2ページですが、いちばん上に免疫系障害として、アナフィラキシー反応、アナフィラキシーショック、アナフィラキシー様反応と三つありまして、三つについての季節性インフルエンザワクチンの過去3年度における重篤報告は、それぞれ7件、18件、6件ということで集計されておりますが、新型インフルエンザワクチンにおいては26件、2件、1件ということで、特にアナフィラキシー反応の件数が相対的に多くなっているということです。
 アナフィラキシー反応に関しては、カナダにおけるグラクソ・スミスクライン社のワクチンにおいても問題となったところで、こちらの評価を行う必要があるのではないかということで、参考資料1-2です。参考資料1-2が「アナフィラキシーの分類評価」として、4ページ以降に文献のコピーをお付けしております。説明は1ページ以降ですが、アナフィラキシーとして報告される症例の中には、必ずしもそうとは言えない、例えば血管迷走反射であったり、心因性の反応であったりというものも報告されてくる可能性がある、あるいはアレルギーではあるけれども、アナフィラキシーではないというものが報告されてくる可能性もあるということです。
 海外では、こちらにあるブライトン分類ですが、アナフィラキシーの五つのカテゴリーとして、レベル1からレベル3までが症例定義と合致するもの、症例定義に合致しないものがカテゴリー4、5として、十分な情報が得られておらず、症例定義に合致すると判断できない、あるいはアナフィラキシーではないというものも分類評価されることになります。こちらは1ページの下にあるようなMajor基準としての皮膚・粘膜症状、循環器系症状、2ページの呼吸器系症状、Minor基準としての皮膚症状、循環器系症状、呼吸器系症状、消化器系症状、臨床検査値というものが設定されております。3ページにAppendix Aの翻訳がありますが、診断基準レベルを適切に判断するための参考資料として、ステップの1、2、3、4ということで、Major・Minor基準を当てはめるなど、順に評価をして、個別の症例に関するアナフィラキシーの確からしさというものをレベルカテゴリーにより分類評価しようとするものです。こちらの分類評価法によりまして、資料1-9に移らせていただきます。
 先ほどの資料1-7でアナフィラキシー反応、アナフィラキシーショック、アナフィラキシー様反応、重篤なものが全部で29件、報告がありました。資料1-9ですが、重篤でないアナフィラキシーの報告も含めて、表にあるように左に症例の個別番号、年齢・性別、既往歴と経過、副反応名、報告医と企業の重篤度評価、ロット、転帰、ワクチンとの因果関係評価とありますが、右から二つ目にあるのが「ブライトン分類レベル」というもので、先ほどの五つのカテゴリーに対して、企業がそれぞれ症例情報を基に評価をした分類レベルを記入しております。
 1枚目ですが、2、1、2、4、5という分類レベルがありますが、先ほどの五つのカテゴリーの分類上、3以上がアナフィラキシーとして症例定義と合致するものと判断されるというものになります。右の欄には、これらの企業評価について、専門家の意見として、今回、参考人としても参加をいただいております岡田先生、是松先生、金兼先生、個別症例の検討をお願いしております御茶の水女子大学の森田先生にコメントを頂戴しているものを記載しております。個別症例についてコメントがしてありますが、先に14ページを御覧ください。14ページの左に企業名とロット番号、出荷数量などを記載しております。報告数が全部で75報告あって、重篤なものが29あったということです。これをブライトン分類によるアナフィラキシーの確実性レベル別の報告数に直すと、1が4件、そのうち重篤が2件、2が12件、うち重篤が8件、3が6件、うち重篤が2件ということになって、3以上の報告数はトータルでは75分の22、重篤29件中12件がアナフィラキシーのレベル分類による3以上と企業で判断されたということです。
 15ページは、専門家による評価を踏まえて、ブライトン分類自体、まだ我が国ではそれほど定着した分類ではありませんし、個別症例を解釈する際には、評価者により若干判断のずれもあると考えられますが、先生方に御覧いただいた中では、若干レベルの上がる方向に見直したほうがいいのではないかというものがあり、レベル3以上22件、重篤12件というものが、先生方のコメントの厳しいものを採用すると、レベル3以上が30件、重篤が14件というような数字をいただいております。これらの症例評価について、若干御紹介申し上げたいと思います。
 資料1-9の1ページに戻って、いちばん上が北里研、北研-1と書いてあるものですが、ブライトン分類レベルは、企業評価が2、これについて岡田先生からも「症状を当てはめたところレベル2でいいのでは」と、是松先生、森田先生からも「やはりこの症例はアナフィラキシーと考えられる」という評価をいただいております。北里研-4ですが、40代、女性の症例では、接種後約10分、頚部から頭にかけて熱感を感じ、一時的に動悸が出現、目の前が暗くなり、軽い悪心も出現。血圧低下はなく、頻脈傾向があり、直ちに安静にしたところ数分で回復という症例に関しては、ブライトン分類に当てはめてもMinor症状の頻脈のみで、レベル4でいいのではないかと。また、先生方の御経験からも「アナフィラキシーではなく迷走神経反射と考えられる」、あるいは「心因反応の可能性がある」というコメントを頂戴しているものです。
 1ページのいちばん下、微研会-1では、症例の情報をブライトン分類評価に当てはめ、企業ではレベル5という判断をしておりますが、岡田先生からは「これらの症状ではMinor症状が二つあり否定はできないために、レベル3では」というコメントをいただいており、先ほど申し上げたような企業集計から、専門家の意見によりレベル3に見直したほうがいいのではないかということで、レベルの変更をした症例です。
 2ページですが、微研会-3、微研会-4、微研会-5に関して、これらのブライトン分類レベルが5、2、5となっております。微研会-3では、岡田先生から「レベル3の可能性があるのではないか」と。また、金兼先生からは「アナフィラキシーと思われる」というコメントを頂戴しております。微研会-4では、企業評価によると2ということですが、岡田先生からはむしろレベル4の可能性があるという御指摘をいただいているほか、是松先生、金兼先生からも、心因反応の可能性、アナフィラキシーは否定的であり、迷走神経反射、というお考えを頂戴しております。また、微研会-5では、Minor症状が二つあり、企業評価ではレベル5ですが、岡田先生からはレベル3とコメントをいただいております。是松先生、金兼先生、森田先生からは、心因反応の可能性、あるいは否定、あるいは迷走神経反射の可能性の指摘をいただいており、情報が不足しております症例に関しては評価が難しいところです。
 デンカ生検の症例に移りますが、3ページには評価に変更のあるものはありません。4ページ、デンカ-5、20代、女性、クローン病の治療中の方ですが、接種翌日、出勤途上に気分不良が発生したというもので、副反応名はアナフィラキシーという報告をいただいているものです。企業の評価においては、ブライトンレベルで3ということで、アナフィラキシーと分類されるということです。岡田先生からは「接種18時間後ということもあり、レベル4の可能性」と御指摘をいただき、是松先生からも「18時間経過した翌日であり、因果関係には乏しい」、金兼先生からも同様のコメントをいただいております。この分類自体には、そもそも時間の概念が入っていないということで、若干、症例評価に直接当てはめるのに十分でないところもあるようです。
 8ページ、化血研、化学及血清療法研究所の症例に入ります。化血研-7、化血研-8の症例は、40代、30代の女性です。アナフィラキシー、アナフィラキシー様反応として報告されたもので、企業評価では5となっておりますが、岡田先生からは7番がレベル3、8番はレベル4の可能性の御指摘をいただいております。
 9ページでは、化血研-18の症例に関し、企業評価でレベル5ですが、岡田先生からはレベル3の可能性があるという御指摘をいただいております。
 10ページ、化血研-20、化血研-21も、企業評価ではレベル5ですが、岡田先生から、化血研-20では「Major症状も+と考えられるとするべきで、レベル2と評価してよいのではないか」、金兼先生からもレベル3というコメントをいただいております。また、化血研-21も企業評価は5ですが、岡田先生からレベル3の御指摘を頂戴しております。
 11ページ、化血研-29でも企業評価はレベル5になっていますが、岡田先生からは「喘鳴がMajor症状でありレベル2」という御指摘をいただいております。
 12ページ、化血研-31、化血研-33も、企業評価5とされているものを、岡田先生からそれぞれレベル2、あるいはレベル1という御指摘をいただいております。
 13ページの化血研-39、化血研-41も企業評価5ですが、レベル4の可能性、あるいは化血研-41では金兼先生から「発赤の評価が難しいですが、レベル3と考えられるとしてよいのではないか」という御指摘をいただいております。企業評価と評価をいただきました専門家の意見の相違が出た分について、説明申し上げましたが、過半数はおおむね企業評価と専門家の評価が一致していたということです。アナフィラキシーの報告に関して、こういった世界的に用いられている基準を用いると、必ずしもそうでないと評価されるものも相当程度含まれていたということです。資料の説明は以上です。

○松本座長
 ただ今の事務局からの説明について、御質問・御意見等はありますでしょうか。アナフィラキシーの報告が結構目立ちますが、頻度は高いのかどうか、新たな対応が必要かどうか、岡田先生、何かコメントをいただけますか。

○岡田参考人
 新しいこのブライトン分類というのは、アナフィラキシーに関しては、日本では今まで全く分類というか、基準がありませんでした。そういう意味では、国際的にも同じような分類方法でやっていくのは、意味はあるのかなとは思いました。ただ、これには時間的な概念が入っていないものですから、18時間後の症状が起きたときに、それをどのように解釈していくかというところが私は一つ問題かなと思いました。それ以外のものは、この基準に当てはめていって、アナフィラキシーを分類していくのは意味はあることかなとは考えました。以上です。

○松本座長
 この分類でいって、一般的には頻度としてはそう高くないということで、新たな対応は必要はないというように考えて、よろしいですか。今までの分類と比べて、かなり客観性は高いわけですか。

○岡田参考人
 客観性は高いと思います。ただ、今までの季節型に比べると、報告数が増えてきているものですから、その分だけ今までの季節性のインフルエンザですと、アナフィラキシーは大体100万に1ぐらいの頻度でしたが、今回の新型の場合にはそれが10万に1ぐらいのことになっていました。ただ、今回の評価をすると、約半分以下にまた落ちてしまいますから、報告数が上がっている分だけ数は増えているのかもしれませんけれども、そんなにめちゃくちゃ増えているという感じはないかなと。通常のアナフィラキシーとして、多くの先生方が報告していた典型的なアナフィラキシーというケースはそんなに多くないということは、これを見てよく分かりました。

○松本座長
 重篤性から考えても、新たな対応は必要でないということで、よろしいですか。是松先生、いかがですか。

○是松参考人
 アナフィラキシーの頻度に関しては、季節性ワクチンが同じ基準で評価していないので、新型ワクチンとの差を論じるのは難しいと考えています。個人的には、おそらく最終的には季節性も新型も、安全性は同じぐらいなのではないかと捉えています。ブライトン分類をするというのが非常に大事なことで、その分類にももちろん細かい部分では違和感がある箇所もあるのですが、このようなきちんとした基準にしたがった評価をこれから出していくことは必要ですし、副作用報告のときに、せめてブライトン分類にあるMajor徴候の有無を、主治医の先生に聞いて報告してもらうということも大切ではないかなとは考えました。

○岡部委員
 このブライトン分類をちゃんと読んでいないのですが、時間的なことを評価から外しているというのは、何か理由があったのでしょうか。

○庵原参考人
 この論文を読みますと、IgE抗体が関係するアナフィラキシーのタイプと、T細胞メディエイテッドのアナフィラキシーもあるので、時間的関係はちょっと評価し考えにくいというのが最初の方の所に入っています。ただ、今回のものをT細胞由来のものまで入れ込むかどうかというのは、どこかの段階で日本としてどうするかということを検討する必要があると思います。以上です。

○松本座長
 岡部先生、よろしいですか。

○岡田参考人
 おっしゃるとおりで、二相性に起きてくるようなものに関して、これは全く否定していないのですね。従来の即時型というイメージだけではなくて、翌日に少し良くなってきた時点で、またグッと起こってくるようなものも、一応この分類ではアナフィラキシーと入れているのです。何となく日本人の感覚としては、どうかなとも思っていたのですが、世界的にはこのようなものも含めてアナフィラキシーと考えているのだったら、そういう観点からものを考え直してみないといけないのかなと。そういう意味では、時間という観念が、私たちは必要ではないかなとちょっと思うのですけれども。

○松本座長
 事務局は、これからこの分類法を用いて統計をとっていく予定なわけですか。今回、これが突然入ってきたのは、何か理由があるのですか。

○事務局
 今回、この分類を持ち出してきたのも、これから輸入をしようとしているワクチンが、カナダで一部の特定のロットでアナフィラキシーの発生が高いということで、使用を一旦止めるという話があって、そういう事態があった際に、ロットごとにアナフィラキシーの発生をきちんと評価をしていくということについて、日本でも接種が進んでいるわけですから、同様の観点でちゃんと評価をしていくことは、当然必要とされると考えました。ただし、その際に一定の物差しがないと、観察された方がアナフィラキシーと報告をされているけれども、それは本当にアナフィラキシーなのだろうかということについては、非常に議論があるところです。これで3回目の議論ですが、これまでの症例を御覧になった先生方からは「血管迷走神経反射のケースが紛れ込んでいるようですよ」という御指摘も、いろいろいただいているものですから、それをある程度一定の物差しで仕分けをして、それで評価をするということが必要ではないか。
 一方で、カナダでの問題というのがありますので、そちらとの比較性もできればと考えて、カナダではどういう評価をしているかということを調べたところ、このブライトン分類を使っているという経緯です。それを我々も日本のケースに当てはめて評価をしてみようと考えて、今回このような形のサーベイを改めてやらせていただいたということです。
 ただ、こういう評価を、日本で今この現場に、これからこの基準に沿って全部をしてくださいというように、急にお願い申し上げるのが、現実に対応可能かどうかとか、そういうところについてはいろいろな御苦労をなさっている所に、これはかなり複雑で、しかも御経験がない方々にいきなりこの基準に当てはめて全部データをとってくださいということが、現実的にできるかどうかというのは、よく考えさせていただきたいと思います。その点は、慎重に検討した上で、評価をできるだけ同じ物差しでできるような格好でしたいとは考えていると。現状としては、そのようなことで考えているということで、説明させていただきます。

○松本座長
 何か御意見はありますか。概念的に異なっておりますので、その点、皆さんが了承されるように十分に教育していただきたいと思います。このほかにギランバレーとADEMの報告が少し増えているみたいなのですが、いかがでしょうか。神田先生、何かコメントはありますか。頻度が高いのかどうかとか、何らかの対応が必要かどうかについて、コメントをいただければと思います。

○神田参考人
 現時点で、前回疑い例が2例あって、今回もこれを拝見していて、ギランバレーであろうと想像できるものは56番と70番の2例のみです。この2例に関しては、もう少し情報がないとギランバレーであろうということの想像はできませんけれども、可能性はかなり高いものと考えてよろしいかと思います。ギランバレーという診断が付いている副反応名で62番がありますが、これは今の時点でギランバレーという診断はちょっと難しいかなと考えています。ですから、この2例だけです。
 ADEMの可能性があるものは、先ほど言われた49番は可能性があるかもしれない。69番も可能性があるかもしれませんが、画像等の検索が進まないとADEMという診断ができませんので、これも調査を依頼する必要があろうかと存じます。ですから、今の時点で可能性があるものはこの程度で、当初、危惧していたギランバレーが非常に頻発するという事態には全くなっていない、というように私は考えております。

○松本座長
 これまでの対応でよろしいということですか。

○神田参考人
 いいと思います。

○松本座長
 ほかに御意見等ありませんでしょうか。ただ今の御意見をお聞きしておりますと、アナフィラキシーについては少し頻度が高いかもしれないのですが、新たな対応は必要なかろう、今までの対応で十分だろうということで、よろしいかと思います。また、神経的なギランバレー、ADEMについても、頻度が急に多くなったわけではないし、これまでの対応でよろしいということで、皆様の御意見としてよろしいでしょうか。特に何か御意見はありませんでしょうか。ということは、死亡例・重篤例を議論していただいた結果では、現時点までにワクチンの安全性において重大な懸念があるという状況ではない、というように評価してよろしいでしょうか。それでは、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。事務局から何かありますか。

○事務局
 事務局の方からは特にありません。また、次回については、現在、日程調整をさせていただいておりますところで、改めて後ほど御連絡を申し上げたいと考えております。また、今回の検討会の資料についても、前回までと同様に、できるだけ早く厚生労働省のホームページに掲載させていただきたいと存じます。

○松本座長
 全体を通じて、御発言はありませんか。ないようでしたら、本日の会議をこれで終了といたします。長い時間、活発な御議論をありがとうございました。


(了)
<照会先>

医薬食品局安全対策課
電話:03-5253-1111

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