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2011年10月11日 第4回社会保障審議会年金部会議事録

年金局

○日時

平成23年10月11日(木)17:00〜19:00


○場所

厚生労働省9階 省議室


○出席者

神 野 直 彦 (部会長)
植 田 和 男 (部会長代理)
逢 見 直 人 (委員)
小 塩 隆 士 (委員)
柿 木 厚 司 (委員)
菊 池 馨 実 (委員)
駒 村 康 平 (委員)
小 室 淑 恵 (委員)
小 山 文 子 (委員)
佐 藤 博 樹 (委員)
武 田 洋 子 (委員)
花 井 圭 子 (委員)
藤 沢 久 美 (委員)
森 戸 英 幸 (委員)
諸 星 裕 美 (委員)
山 口  修 (委員)
山 本 たい 人  (委員)
吉 野 直 行 (委員)
米 澤 康 博 (委員)

○議題

(1)支給開始年齢について
(2)在職老齢年金の見直しについて
(3)その他



○議事

○神野部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第4回になりますけれども、年金部会を開催したいと思います。
 皆様方には、御多用中のところを御参集いただきましたことを心より御礼を申し上げます。
 本日は、お忙しい中、辻副大臣、それから、藤田政務官に御臨席をいただいております。よろしくお願いいたします。
 本日の委員の出欠状況でございますが、藤沢委員、山口委員から御欠席の連絡をいただいております。吉野委員はお見えになりましたので、お2人御欠席ということでございます。
 それでは、議事に入らせていただきたいと思いますが、カメラの方は、恐縮でございますけれども、ここで退室をお願いいたします。
(報道機関退室)
○神野部会長 本日は、議事次第にございますように、「支給開始年齢について」と「在職老齢年金の見直しについて」という2つの大きなテーマを設定し、それ以外の問題についても御議論をいただく予定にしております。
 それでは、初めに、事務局から、資料1及び資料2について、御説明をお願いいたします。
○年金課長 年金課長でございます。
 まず、お手元の資料の確認でございますけれども、式次第、座席表、名簿のほかに、横向きで資料1、資料2、資料3とございます。あと、参考資料1、参考資料2がありますのと、参考資料3は縦書きのもので「今後の高年齢者雇用に関する研究会報告書」、今日の議題に関係するということで配付させていただいております。
 あと、小塩委員から、前回御欠席であったということで、前回の論点に関する意見書を1枚いただいておりますので、配付をさせていただいております。
 もし不足等ございましたら、御指示いただければと思います。
 よろしければ、資料の説明に入らせていただきます。本日は「支給開始年齢について」と「在職老齢年金の見直しについて」ですけれども、いずれも高年齢者雇用に関連しておりますので、一括して資料の説明をさせていただきたいと思います。
 まず、参考資料1「現在の公的年金制度の課題と改革の方向性について」で、毎回ここから入っているわけでありますけれども、1ページに「現在の公的年金制度の課題」ということで、?〜?の5つの課題がございます。この中で、支給開始年齢の問題は?の長期的な持続可能性の論点に関する2つ目のポツに、諸外国の動向及び高齢化の一層の進展を踏まえれば、将来的に更なる支給開始年齢の引き上げが必要ではないかとの指摘があること。あと、在職老齢年金に関して言えば、?で、収入の関係で年金制度の適用が関係することをどう考えていくのかという論点があるんだろうということです。
 2ページにあります「年金改革の目指すべき方向性」で言いますと、?に関連するのが在職老齢年金の見直しと言うことができますし、?に関連する項目として支給開始年齢の問題があると考えているところでございます。
 それでは、資料1に進みたいと思います。「支給開始年齢について」という資料ですけれども、1ページおめくりいただきまして、「厚生年金の支給開始年齢の引上げに関する沿革」ということです。
 厚生年金は昭和19年に発足しましたが、このときは支給開始年齢は55歳でありました。これを29年の改正で、16年かけて4年に1歳ずつ引き上げるという形で、男子は60歳に上げましたが、女子は55歳のままでした。昭和55年の改正で5歳ずつ引き上げるということの検討が行われましたけれども、これは労使委員からの反対もあって法案には入らずということでございました。
 昭和60年の改正において、女子については55歳を60歳に引き上げることを決め、このときは基礎年金の導入と同じタイミングになるわけですけれども、老齢基礎年金の2階部分としての老齢厚生年金は65歳に引き上げるということです。ただし、そこに至るまでの間、60〜65歳に達するまでの間も、通常、特別支給の老齢厚生年金と言っておりますけれども、65歳からであれば基礎年金に相当する部分、定額部分と言っておりますが、その部分も含めて厚生年金の財源で支給をする。2階建ての老齢厚生年金というような特別な形で60〜64歳の間は支給する。65歳からは、1階は基礎年金、2階は厚生年金という形にするという60年の改正がありまして、そういう関係で、男子は65歳にするという形になりました。女子が5年かけて60歳に上げていくということで、平成11年度までかけて60歳に上げたという形になります。
 その後、平成元年の改正では、引上げの検討が行われましたけれども、国会には一応出たものの、衆議院の修正で規定が削除されたということがあり、6年の改正で老齢厚生年金の定額部分について、3年に1歳ずつ引き上げる形で、男子、女子とも65歳に引き上げていく。ただし、女子は5年遅れということで、男子で言えば、平成6年に法律が改正されました上で、13年度から1歳ずつ上げていくということで、13年、16年、19年、22年という形で65歳に引上げをしていくこととし、女子は18年度にまず61に上げてということで、3年ごとに1歳ずつ上げていく。
 これで定額部分についての引上げを行い、次に、12年の改正におきまして、今度は報酬比例部分について、同様に3年に1歳ずつ引上げをしていくということで、こちらについては、男子で平成25年度から3年に1歳ずつ引き上げていく、女子は、その5年遅れで30年度から3年に1歳ずつ引上げをしていくということがこれまでで決まっておって、現在は法律に従って引上げが行われていることになります。したがって、報酬比例部分の引上げは25年度からですから、まだ開始をしていないことになります。
 今、定額部分とか、報酬比例部分というような形を申しましたけれども、2ページの図を見ていただきますと、この絵自体は2000年度までの年金制度の姿ですけれども、65歳以降は、冒頭申しましたように、老齢基礎年金と2階建て部分の老齢厚生年金の報酬比例部分である。60〜65歳に達するまでの間は、上も下も厚生年金で、定額という形で計算されるものと、報酬に比例するという形で計算されるものということで、定額部分というのは大体、老齢基礎年金と同じような計算式で算定をされる仕組みになっています。定額部分は期間にして、報酬比例部分は期間と現役時代の給与に比例して年金額が決まるというものになります。
 今の図を頭に置いて5ページを見ていただきますと、5ページの一番上の図が今の絵と同じです。ちょっと字が小さいですけれども、2000年度までの姿ということで、65歳以降は老齢基礎年金と老齢厚生年金ですが、60歳〜65歳の間は特別支給の老齢厚生年金の定額部分と特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分が2階建てであるということなんですけれども、これを2001年度に定額部分について1歳引き上げる、また3年後の2004年度に62歳に引き上げる。
 定額部分の方を順番に3年に1歳ずつ上げていきますと、今は2011年ですから、上から4つ目の2010〜2012年度というところに当たるわけです。したがって、男子の場合、定額部分は64歳から支給が始まる。報酬比例部分、上の方は60歳から支給がされるというのが現在の段階になります。
 女子に関して言えば、これの5年遅れですから、上から3つ目、2004〜2006に5年足せば2009〜2011に当たるわけでありまして、現在、定額部分は62歳から、報酬比例部分は60歳から支給されているという仕組みでございます。
 これで行きますと、男子に関して言いますと、2013年度において定額部分はなくなりますということで、報酬比例部分は60歳からになるわけです。右の欄で言いますと、西暦と混ざっていてあれですけれども、昭和24年度生まれの方からこういう形になります。
 戻りまして、3ページ、4ページは、これまでの改正で、どういう狙いで支給開始年齢の引上げを提案したかということですけれども、60年の改正は、女子を男子と同じ60歳にするという改正でしたので、こういうような説明になっています。
 6年と12年の改正では、「60歳引退社会」に代わる「65歳現役社会」の実現を目的として、高齢者雇用の一層の促進を図るということで、60代前半の年金の支給開始年齢の引上げを行うことにした。
 女子は5年遅れとなっているのはなぜかというと、6年改正の当時は女子は55から60に引き上げる最中でしたので、5年遅れにしたという経過がございます。
 下の折れ線は、若干見にくいですけれども、男性の定額部分、男性の報酬比例部分、女性の定額部分、女性の報酬比例部分が何年にどういう形で支給開始年齢65に引き上がっているかを示したものであります。
 なお、こういった支給開始年齢の引上げというのは、要するに、その分だけ給付費が小さくなるわけです。支給開始年齢を引き上げる際に、これによって保険財政にどういう影響があったかについて、当時、どのような試算を出していたかということですけれども、平成6年改正、定額部分についての支給開始年齢を引き上げる際には、今は年収に対する保険料率で決まっていますけれども、当時は月収に対する保険料率で決まっていたので、今の数字の感覚とすると大きいですが、平成6年当時、何もしなければ平成37年度には厚生年金の保険料率が34.8まで上がるところを、支給開始年齢の引き上げ、その他、支給開始年齢の引上げのほかにもさまざまな改正をこのときに行っておりますけれども、そういった措置をやることによって、保険料率を29.6までの引上げで抑えられるというような試算をした。ここで5%分の差があるわけですけれども、この5%のうちの2%分ぐらいが支給開始年齢の引上げによって給付費減、それによる保険料率抑制効果だというふうに、当時、数字を出しております。
 次に、12年の改正のときも似たような試算を出しておりますけれども、月収に対して言えば、34.5%、年収に換算すれば26.7%の保険料率まで上がるところを、月収ベースで27.6%、年収に換算すれば21.4%の保険料率に抑えられるということで、月収ベースで言うと34.5%と27.6%の差で7ポイントほどの抑制効果が上がるわけです。12年の改正というのもさまざまな給付を抑える措置を講じたわけですけれども、7のうちの3%分ぐらいが支給開始年齢の報酬比例部分を引き上げていくことによる効果だと出しております。こういった形で支給開始年齢を引き上げるというのは、給付費の減少につながり、将来の保険料率を抑えていくという効果があるということではございます。
 次に、6ページですが、今回、成案の中でも、諸外国と比べた平均寿命の問題等も出ているわけですけれども、実際の平均寿命を見てみますと、平成22年度の平均寿命は、男性が79.63歳で、女性が86.39歳となっておりまして、60年当時と比べて、男性5年、女性6年伸びているということです。
 65歳で見た場合の平均余命で見ても、男性で3年ぐらい、女性で5年ぐらい、昭和60年以降の20年余りの間で伸びているという状況であります。
 また、今後は平均余命がどうなるかと言いますと、65歳の平均余命を見ますと、平成17年実績で言うと、65歳の女性の平均余命は23年ですけれども、平成67年には27.31年、65歳まで生きておられた方は92歳まで生きられるということです。男性も4年程度伸びるということであります。
 9ページは、いわゆる「団塊の世代」という言葉がございますけれども、団塊の世代に当たる方々は2014年には大体65歳を超え、2019年には70歳になる。これは単なる算数の話ですけれども、そういうような形で塊がずれていくという状況であります。
 10ページは、支給開始年齢と平均寿命の国際比較であります。日本は現在、基礎年金は65歳で、厚生年金は60歳ですが、これを65歳に引き上げることにはなっています。平均寿命は下の欄にあるとおりです。
 諸外国の年金の支給開始年齢を見ますと、アメリカは66歳です。イギリスは65歳と60歳ですけれども、現在、女性は65歳まで、更に2046年までかけて68歳に引き上げることが決まっている。ドイツも、現在は65歳ですけれども、67歳に引き上げる。フランスも60歳ですが、62歳に引上げが決まっている。スウェーデンは、いわゆるみなし拠出建てということで、年金原資を平均余命という除数で割った上での受給になりますので、これは支給開始年齢を自分で選べるという形になります。ただ、税財源の保証年金の部分については65歳という形になっているところであります。
 それぞれの国における平均寿命を下の欄に書いてございますけれども、どこの国よりも日本は長いというのが現在の平均寿命の数字でございます。
 なお、11ページには、支給開始年齢について、諸外国、日本もそうですけれども、一定の時間をかけて引き上げることを決めておるわけです。例えば、アメリカは、現在66歳で、67歳への引上げを決めていると申しましたけれども、1983年に引上げを決めて、20年後の2003年に65歳から実際に引上げを始めて、現在は66歳になっていますけれども、またしばらくしてから動きだして、2027年に完了するということで、支給開始年齢の引上げを決定してから実際に最初の1歳なりの引上げを開始するまでの時間、そして、それが完了するまでの時間には一定の期間をかけている。日本のこれまでのケースでもそうですし、諸外国もここに書いているようなことが行われているということです。
 次の12ページ、高齢者雇用の動向ということで、就業意欲がどうかと言いますと、働けるうちはいつまでもという方が36.8%ですし、70歳くらい、75歳くらい、76歳以上を足しても3割ぐらいいるという形で、意欲の高い方が多いということであります。
 13ページは、高年齢者雇用安定法において、2004年の改正で、2006年から、現在の年金支給開始年齢の引上げに合わせまして、高年齢者雇用確保措置ということで、?〜?のいずれかの措置を実施してくださいということが法律上決まっている。これは、支給開始年齢が2013年度に定額部分が65歳に上がることを念頭に実施をしてくださいという形になっております。
 現在の雇用制度の状況が14ページですけれども、こういった、高齢者雇用確保措置を何らか実施済みという企業は99.6%になっている。一方、希望者全員が65歳まで働ける企業の割合は46.2%になっていて、これは右上のグラフにありますように、希望者全員が65歳まで働ける企業の割合は徐々に高まっているということではございます。
 ただ、継続雇用を希望したけれども、継続雇用を認める基準に該当しないということにより離職した方も一定程度おられるということで、右下のグラフにありますけれども、文章にもありますけれども、過去1年間の定年到達者、約46万7,000人ということですが、定年後に継続雇用された方の割合は71.7%で、継続雇用を希望したけれども、基準に該当しないということで離職した方は約9,000人、2%程度という統計になっているということであります。
 こういった関係の下で「今後の高年齢者雇用に関する研究会」ということで、本日、参考資料3でお配りしておりますけれども、基本的考え方、現状と課題ですとか、施策の方向性ということで、雇用と年金の確実な接続のために希望者全員の65歳までの雇用確保を確実に進めることが急務であるという問題意識の下で、施策の進め方、希望者全員の65歳までの雇用確保をどう進めていくのかということが研究会の報告でまとまっていて、16ページにありますように、労政審の職業安定分科会の基本問題部会において、これを踏まえた議論が開始をされているところではございます。
 17ページに進みまして、こういった過去の経緯ですとか、高齢者雇用を取り巻く状況の下であるんですけれども、社会保障・税一体改革成案における議論の中では、年明けからの集中検討会議の審議の場の中で、有識者委員ですとか、団体、報道機関等から、支給開始年齢の引上げを検討すべきとの意見が強く出されました。
 こういったことを踏まえまして、平均寿命の伸びですとか、年齢に関わりなく働ける社会の推進等を踏まえて、現在、支給開始年齢の引上げを進行させていますこととの関係ですとか、高齢者雇用の進展の動向等に留意しつつ、中長期的に支給開始年齢の在り方を検討するということを厚労省案として提出したわけですけれども、更に委員から、具体的な引上げの前倒しをしたり、65歳以上に引上げのスケジュールの案を出せということもありましたので、そういった案も提出をしたという経過がございます。後ほど御紹介します。
 こういったことを踏まえて、一体改革成案では支給開始年齢の引上げを検討せよ、その際に、先進諸国の平均寿命や受給開始年齢を十分に参考にして、高齢者雇用の確保を図りつつ、68〜70歳への更なる引上げを視野に検討するということが掲げられた。
 その際に、併せて、現在進められている引上げスケジュールの前倒しということも検討することになりまして、いずれの論点につきましても検討を進めて、とりまとめられましたら、2012年以降、速やかに法案提出になっているということでございます。
 後ほど触れますけれども、公費との関係で言いますと、基礎年金の支給開始年齢を引き上げますと、1歳引き上げるごとに、その引上げ年において、0.5兆円程度の公費縮小というのは財政影響としてあるだろうということをお示しをしています。
 18ページ以降は、集中検討会議でどんな議論があったかということで、団体からのヒアリングでは、日本商工会議所及び労働組合総連合会から、引き上げることに関して留意点、あるいは支給開始年齢は65歳堅持だという意見が出された。
 報道機関からも、引上げが必要だとか、高齢者雇用との関係が必要だとか、さまざまな提案がなされておりました。
 19ページは、有識者からどんな意見があったかということで、清家幹事委員からは、支給開始年齢の引上げの前倒しもそうだし、65歳以上への引上げということも、年金というのは、長寿のリスクということから考えると、そういったことを考えていく必要があるんではないかという意見がありました。
 宮島幹事委員からは、支給開始年齢の引上げを今から決めて、将来的に上げていくとすると、今の若い世代が引上げの対象になる。今の高齢世代は変わらず、将来世代だけが上がるというのは問題ではないか。むしろ、マクロ経済スライドの実施等によって、今の高齢者にも負担してもらう方がいいんではないかという意見がありました。
 堀田幹事委員からは、働く場や、さまざまな社会参加の場を併せてつくるということがなければ、支給開始年齢だけというわけにはいかないんではないかという御意見があったところです。
 20ページが、ちょっと複雑なんですけれども、支給開始年齢の前倒しとか、65歳以上の引上げの案と言いますか、議論の素材を提出せよと、集中検討会議で清家委員からの強い求めがありまして、厚労省から提出した資料です。この資料は何が書いてあるかと申しますと、前倒しをする場合、更に68歳まで引き上げる場合、どんなイメージになるのかということをお示しをしようということです。
 現在の厚生年金の支給開始年齢は段階的に65歳まで引き上げるんですけれども、男子で言いますと、1953年生まれの人から61歳になることが現在のスケジュールになっています。
 では、その前の年、1952年生まれの人はどうなるかというと、今、59歳で、来年60歳ですから、来年から年金をもらおうと思っている人について、今から議論を開始して、来年からの年金支給開始年齢を引き上げられるかというと、幾ら前倒しが必要だと言われても、そういう案はちょっと出しがたいだろうと当時考えました。ということで、1952年生まれは引上げを前倒しできないだろう。
 では、1953年生まれはどうかということなんですけれども、実は、1953年生まれは支給開始年齢引上げの第1学年に当たるわけで、2014年から61歳になるわけです。これを前倒しするというのはどういうことかというと、1953年生まれの人を62歳にするということです。ということは、1952年生まれは60歳、1953年生まれは62歳という話になるので、61歳を飛ばしていますので、それもちょっと乱暴ではないかということです。3行目の文章は1953年生まれの者から引き上げていくと書いてありますけれども、1953年生まれの人からの引上げを考えるとして、1953年生まれをいきなり動かすというのも多少乱暴なので、1953年生まれを基準として、その次の学年から3年に1歳ではなくて、2年に1歳ずつ引き上げるとしたらどういうことになるかということを要求に応じ作ってみたものです。
 そうすると、1953年生まれの人、現在58歳の人は変わらない。1954年生まれ、現在57歳の人は、今は61歳支給開始ですけれども、2016年に62歳の支給開始になる。今、3年に1歳引き上げているのを2年に1歳に変えたらそうなる。同様に、現在56歳の人は、62歳の支給予定が2018年から63歳から始めるようになる。現在55歳である人は1956年生まれなわけですけれども、その方は、今の予定ですと2018年から、62歳からもらえるところを、2020年に64歳からもらえるようになる。
 こういう形になってきまして、このスケジュールで行きますと、2021年に65歳に引き上がりますから、2021年に65歳になって、その年は人がいないので、1957年生まれの方が2022年に65歳になって初めて65歳支給開始になるという形になります。実際にもらえるのが2022年、現行の制度だと2026年になるんですけれども、制度としては、現在の仕組みだと2025年に65歳に引き上がるということで、実際にもらえ始めるのは2026年という話になるということであります。
 こうやってスケジュールを前倒しをしたら、4年早くできるというか、こういうスケジュール表は作ることはできますということで、それはどういうことかというと、現在57歳の人が61歳支給予定なのが、4年後からもらえると思っていたのが5年後に変わるというのが間近なケースとしては生じるということをどう考えるかという話なんです、ということをお示しをしました。
 参考に書いてありますように、支給開始年齢を引き上げるということは、1歳分だけ給付費が小さくなりますので、61歳から62歳に引き上がる2016年において、厚生年金の給付費が0.8兆円縮小すると言っているのは、61歳の1年分の給付費がこのぐらいだということで御理解いただければと思います。
 次に、?は、このスケジュールの前倒しはせずに、今は3年に1歳ずつ65歳に上げていますけれども、支給開始年齢引上げが完了したところから同じペースで3年に1歳ずつ、厚生年金も基礎年金も上げていくというふうにしたら、こんなイメージになりますということを記載したものです。
 ?は、?で2年で1歳というのをやった上で、その後も2年に1歳のペースで基礎年金も68まで上げていくというスケジュール表を作ってみたらどうなるか、ということになります。
 なお、厚生年金の支給開始年齢は、厚生年金には公費は入っていないので、公費への影響は出ないんですけれども、基礎年金の支給開始年齢の引上げを行いますと、1歳引き上げるために、要するに、65歳1年間分の給付費がなくなりますので、その分だけ0.5兆円の公費縮小が生じるということを提示しました。
 21ページをごらんいただきたいんですけれども、今、3年に1歳ずつの引上げスケジュールを前倒しにして2年に1歳ずつということで説明をいたしましたけれども、これをもっと早められないのか、毎年1歳ずつ上げればいいではないかという疑問があるかもしれない、ということで、解説的に用意しています。
 現在は3年に1歳ずつのスケジュールを2年に1歳ずつというのは、何が起きているかというと、現行と見直し例があります。左端と右端を見ていただけばいいんですけれども、1953年生まれの人は61歳、1954年生まれの人は62歳、1955年生まれの人は63歳、1956年生まれの人は64歳、1957年生まれの人は65歳ということで、1学年ごとに1歳ずつ上がっていくというのが、支給開始年齢という目で見ると、2年に1歳ずつ上げていくということになります。
 1年に1歳ずつ上げると、ある学年の人にとってみたら、毎年、自分が年を取るたびに支給開始年齢が上がっていきますので、4年ぐらい追いつけなくて、試算の例で言いますと、1953年生まれの人は61歳のままなんですけれども、1954年生まれの人は、自分が61歳になったと思ったら、支給開始年齢が62歳になって、翌年、62歳になったと思ったら、支給開始年齢が63歳に上がるということが起きてしまうので、毎年1歳ずつ上げるというわけにはいかない。なので、2年に1歳か、1学年ごとに1歳ずつ上がるというスケジュールでお示しをしたところであります。
 22ページは「支給開始年齢の引上げについての主な論点」ということで、これらについては、23ページ以降で各論点について書いていますので、そこで見ていただきたいと思います。
 23ページで、厚生年金の支給開始年齢の更なる引上げ、あるいは引上げスケジュールを前倒しをすべきとの意見があるわけですが、どう考えていくのか。平均余命が伸びているし、今後も伸びていく、諸外国も既に65歳への引上げを決めていることをどう考えるかなんですけれども、現在引上げの最中であるのを更に前倒しということと、前倒しをするというのは、先ほどの例で言いますと、現在57歳の人の4年後の生活設計を5年後に、1年変えるという話になりますということをどう考えていくのかというのが大事な論点である。
 また、下から3つ目のポツですけれども、65歳の平均余命は今後伸びる見通しである。ただ、今後の平均余命の伸びによる財政影響というのは、現在の仕組みでは、前回の御議論で提示しましたように、平均余命の伸びによる年金財政への影響は、現在の見通しでは、マクロ経済スライドの中で給付水準調整で飲み込んでいくことになっていますけれども、そのこととの関係をどう考えていくのかという話であります。ただ、世界最長寿国であることを考えると、65歳以上の引上げをどう考えていくか。そういった引上げは老後の生活設計に大きな影響を与えることに留意しないといけないということでございます。
 24ページは、支給開始年齢の65歳以上への引上げということについては、世代間格差ということになるんではないか。引上げを行うことで、総計としての年金給付費が減少することで積立金に余裕が生じて、マクロ経済スライドをかける期間が短くなるということは世代間格差の縮小に寄与する面もあるんですけれども、実際に引上げが行われるのが現在の高齢世代ではなくて、しばらく先の世代だということを考えると、将来世代に影響が強く出てくることへの留意があるんだろうということと、これからスケジュールを変更しても団塊の世代は過ぎてしまっていることをどう考えていくのかということがあろうかと思います。
 25ページは、雇用と年金の接続ということについてどう考えていくのか。これは、高齢者雇用との関係、また雇用環境全体との関係でどう考えていくのかという大事な論点があるということであります。労政審の方で高齢者雇用に関する議論も並行して行われている現状であるということでございます。
 最後の26ページは、基礎年金の方ですけれども、国民年金の支給開始年齢は昭和36年から65歳です。基礎年金に整理した際も65歳です。これについても引上げの検討という意見があるわけですけれども、どう考えていくのか。ただ、こちらについては、高齢者雇用の整理だけではなくて、自営業者等も含めて、老後の生活設計の見直しが要る。そしてまた、さまざまな社会保障制度で65歳から高齢者ということでの整理をされているわけですけれども、そういったこととの関係をどう考えていくのかということが、この問題については論点としてあろうということでございます。
 資料2も簡単に御説明させていただきたいと思います。資料2は、在職老齢年金、高齢者が就労している場合の年金の支給停止の話です。厚生年金の老齢年金というのは、昭和29年以来、支給開始年齢もあるんですけれども、退職というのが支給要件で、在職中は年金を支給しない、退職して所得を失うので年金を支給するというのが基本だったんです。そうは言っても、昭和40年ごろの水準を考えると、高齢者は就労していても低賃金である場合が多くて、低賃金の収入があるからといって年金支給がないというのも大変であるということで、65歳以上については在職者でも特別に年金を8割支給するというのが導入されて、その後、60歳代前半にも拡大し、ただし、給料に応じた形での支給割合の調整をしたり、そういった一定の緩和をしたりしながらやってきました。以降、働いても年金が不利にならないようにすべきだとか、一方で、現役世代の払っている保険料が高齢者世代に回っていることを考えますと、一定の賃金を有する方については支給しない制限も必要なんではないかという、さまざまな相反する要請がある中で見直しが行われてきております。
 2ページをごらんいただきますと、昭和60年改正後に60歳代前半は、在職していれば8割・5割・2割の支給割合で、65歳以上は年金全額支給でしたけれども、元年の改正で8・5・2の3段階を8・7・6・5・4・3・2の7段階にしました。ただ、7段階というのは、切れ目のところで給料が増えることによって総収入が減るということがあったものですから、平成6年にそこがなめらかになるような形で、給料が2増えると年金が1減るという形での調整に変えた。ただし、就労していれば、一律2割は必ず年金がカットされるということは設けられておりました。
 12年の改正では、60代後半の人についても全額支給ではなくて一部支給停止を行うという改正が行われ、16年では、2対1での調整は変えないんですが、就労していれば必ず2割は年金をカットしますというのはやめて、合計額が28万円までだったら調整をしないという改正に変えた。
 また、16年の改正では、70歳以上の方も、保険料はいただかないんですけれども、年金の給付の調整は報酬に応じて行うことが導入された。
 ○で書いているのは、できるだけ就労促進的な、就労を阻害しない観点で、●の方は現役世代とのバランスで導入された改正という形になっています。
 3ページ以降は、これまでの改正によって、審議会においてどんな意見があり、どんな見直し内容があったかということです。6年の改正では、高齢者の就業意欲を阻害しないようにしようということで、下の左の図にありますように、賃金の伸びに応じて手取りが減るケースがあったものですから、そこがなめらかになるようにして、一定の限度額までは増えていくような形の改正が行われた。
 12年の改正では、更にこれに加えて、現役世代の負担の関係を考えますと、60代後半の人についても一定の調整をすることが要るんではないかということが盛り込まれました。
 次の5ページになりますけれども、16年の改正では、この仕組みが年金受給権を有する方の就労に抑制的に機能しているということがあるので、高齢者の就労を阻害しない中立的な制度にするという目標の下で、まず、一律2割は停止をするというのをやめることがこの改正で導入されたということになります。
 6ページが現在の在職老齢年金の仕組みはどうなっているかということですけれども、60代前半と後半で仕組みが違っておりまして、60代前半については、賃金と年金の合計額が28万円になるまでは年金の停止は行わず、28万円を超えた場合は、賃金が2増えるのに応じて年金を1停止するという形で調整し、合計が46万円を超えたら、1対1でというか、賃金の伸びと同じ額だけ年金を停止するという形になっております。
 60代後半については、28万ではなくて46万を調整ラインにしております。そのほかに、基礎年金は満額支給。基礎年金によって調整したときに、厚生年金の部分と賃金との合計で46万までを調整の対象にしているということであります。
 70歳以上についても同じ仕組みになっているということで、現在、この対象になっているのが、60代前半で言うと約120万人で、約1兆円の支給停止になっている。60代後半については10〜20万人程度で、0.1〜0.2兆円が年金の支給停止になっているということであります。
 7ページは、諸外国ではどういう仕組みになっているかということです。支給開始年齢はさまざまあるんですけれども、満額でもらえるようになって以降については、表の下になりますけれども、在職していても年金は減額はない。満額で支給開始にできるよりも早くもらい始めている人については、一定の調整をするというのが諸外国のパターンであるようでございます。
 8ページは、老齢厚生年金を受給している方の就業意欲ということで、全く働かないとか、調整をしているとか、減額を考慮せずに働いているというような区分になっております。上の表が2004年の調査、下の表が2010年の調査ですけれども、真ん中辺りにある「就業時間や就業日数を抑えている」の比率はやや低下をしてきているという状況にあるかと思います。
 9ページは、企業における60歳以上の雇用確保措置について、先ほど支給開始年齢の表でも似たような資料を付けましたけれども、現状、このような状況だという資料でございます。
 10ページは、定年到達時と比べた年収水準は大体6〜7割ぐらいになっているということですとか、賃金水準決定に当たっては、定年到達時に賃金はどうだったかということのほかに、高年齢者雇用継続給付とか在職老齢年金が受給できるかどうかが賃金水準の決定に影響しているということであります。
 次の12ページは、前身の年金部会におきましては、この問題に対してどういう整理があったかということですけれども、ポイントのところはアンダーラインをつけています。制度の経緯はあるんですけれども、働くことによって年金が支給停止されることは納得できないという国民感情がある中で、現行制度に対する信頼性を確保するという観点からは、支給停止の基準の緩和などが検討される。その際に、真ん中辺りにありますように、現役世代の負担との均衡や年金財政への環境を踏まえつつ、28万円の一定程度の緩和というのは考えられる。ただ、一番下の○にありますように、その財源をどうするかということはまた考えないといけないということでございます。
 13ページは、一体改革成案における議論では、在職老齢年金について、就労意欲を抑制しているという指摘がありますので、60代前半の者に係る制度について限度額の引上げを検討することを厚労省案として出しまして、成案では、60代前半の者に係る調整限度額を後半の者と同じにすることを検討することが位置づけられておるということです。工程はこれまでのものと同じような形でございます。
 主な論点ということで、就労意欲の抑制の指摘をどう考えるか、また、見直しをどういうふうにするかということですけれども、15ページを見ていただきますと、就労意欲を抑制しているとの指摘があります。ただ、これは、これまで何度か改正がありまして、6年の改正、16年の改正等を行ってきていまして、現在、実際に就労をどの程度阻害しているのかということを考えないといけないということであります。
 これは参考資料の15ページに付けておりますけれども、注はそのポイントを書いていますが、16年の改正前の調査では、在職老齢年金が高齢者の就労を抑制しているという分析がされていますけれども、16年改正後の仕組み、典型的には一律2割の停止がなくなった後では、就労抑制の効果は認められないんではないかという分析もされているということで、現状、どのようにこれを評価していくのかというのがあります。
 また、この見直しに当たっては、高い所得のある高齢者が年金を受給することについて、保険料負担者との関係、バランスをどう考えるかということ。実は、この28万円というのは年金受給者のバランスを考慮して設定しているわけですけれども、年金受給者とのバランスだけではなくて、働いている人とのバランスも考慮要因ではないかとか、年金財政に与える影響をどう考えるかということが論点になってくるんだろうということで、16ページにありますように、見直すことにした場合は、先ほど1兆円年金支給停止が行われていると申しましたけれども、一定の見直しをすれば、1兆円の範囲内で給付費がそれだけ出るわけですから、その部分をどう考えていくのかということになります。
 下のポツで、全廃したら約1兆円の給付費増で、保険料換算すると0.5%分ぐらいになる。これを60代後半のものと同じにした46万円という話をすると、0.5兆円の給付費増で、料率換算だと0.2〜0.3%ぐらいになることと、46万一個しか案がないかということで言うと、別の案を考えてみると、60代前半の高齢者の平均給与所得は大体33万円という統計がございますので、そこを停止基準で仮に考えたら、0.2兆円ぐらいの給付費増で、保険料率換算0.1%とか、こういったことを含めてどう考えていくのかということになります。
 なお、前半で申しましたように、支給開始年齢の引上げで、男子2025年度、女子2030年度までに、60代前半の厚生年金はなくなります。そうすると、緩和した場合、これの効果を受けるのは特定の世代、現在51歳から60代前半の人だけがこの恩典を受けて、それ以降の人は65歳からしか年金がないわけですので、ここを緩和しても余り関係しないということを、この見直しをすることに関してどう評価をしていくのかということがあろうかと思います。
 最後に17ページは、賃金と年金を合わせて受給すると、現役の平均との関係でどういうふうに考えていくか。平均以下の現役もいるわけですから、そういったこととの関係をどう考えていくのかということと、これを見直した場合に、高齢者雇用等にどんな影響があるのかということも併せて考えていかなければならないということだろうと思っております。
 済みません、長くなりましたけれども、以上です。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
 事務局から、今日のテーマであります支給開始年齢と在職老齢年金の2つの関連する問題について御説明いただいたわけですけれども、議論の方は2つに分けてちょうだいしたいと思いますので、まず初めに、支給開始年齢について、御意見をちょうだいしたいと思いますので、どなたでも構いません、いかがでございましょうか。どうぞ。
○逢見委員 支給開始年齢については、第1回年金部会の冒頭で、今回の一体改革の中で年金改革の議論に参加するに当たっては前提があり、その前提が整っていない中で、できる議論と、できない議論があるということを申し上げました。支給開始年齢は、高齢者雇用との接続ということが非常に重要であり、高齢者雇用の部分の議論ができていない中で、年金支給開始年齢だけ先にということにはならないと思います。
 先ほど、高年齢者雇用安定法の審議の動向について御説明もございました。私ども連合からも委員参加しておりまして、議論の状況についても聞いておりますけれども、現状は、65歳まで、希望する人全員が働ける仕組みをどうつくるかというところで、まだ労使の議論がかみ合っていないという段階です。そういう中で、支給開始年齢が更に65歳よりも先へ行くということになると、高齢者雇用では、とてもそんなことは、まだ議論の入り口にも立てないというところです。こうした前提が整っていない状況を踏まえれば、年金部会で支給開始年齢を議論できるということにはならないというのが私どもの率直な意見でございます。
 更に、スケジュール前倒し論もありますけれども、これは老後生活設計にも関わる問題であり、各人が自分が幾つになったら年金がもらえるのかということを考えながら、貯蓄をしたりしているわけです。それが前倒しということになると、老後生活設計に直接影響するという問題になります。厚生年金部分の引き上げは十分な期間を置いた上で、その途上にあるわけですから、その途上にあるものを途中から前倒しするということは、まさに国民の年金制度に対する信頼を失いかねないと思いますので、現段階では前倒し論も国民からは理解を得られないものになると思います。そういう意味で、この問題は、成案の中に入っているから検討はしなければいけないのかもしれませんが、まだとても検討に入る段階に来ていないというのが私の意見です。
○神野部会長 前提条件その他、成熟していないと。
 佐藤先生、どうぞ。
○佐藤委員 私も今の点で、例えば、支給開始年齢の引上げを議論するときに、年金財政の議論と、もう一つは、確かに客観的に見ると、平均余命が伸びて、就業意欲も高いということを踏まえての議論だと思いますが、今、逢見委員が言われたように、従来は支給開始年齢の引上げと雇用機会のリンクというのを、雇用の機会をつくるという場合のやり方も、企業に定年延長等を求める形でやってきたわけです。これと同じ形で更に引き上げたときにやるとなると、現状、平成12年の年金改正のところにやっと追いつくようにこういうのをやっているという状況ですので、リンクの仕方を従来と同じような形で、企業に定年延長等を求める形でやるとなると、処遇制度全体の見直しということがあるので、現状でもなかなか時間がかかるという仕組みがあって、難しいかなと。
 そういう意味で、もし支給開始年齢を引き上げるとすれば、雇用のリンクをどうするかで、1つは、勿論、企業に努力してもらうんですが、定年延長等の形ではなくて、労働市場全体として就業機会を担保するという形に持っていくという方にかなり振らないと難しい。例えば、海外も、支給開始年齢を上げているところは、60歳代前半でも働いているわけではないんです。ずっと就業率は低いわけです。ですから、別の形で、年金以外の形で、働かなくても、恐らく何らかの収入があると思うんです。ですから、企業に求めるという形ではなかなか難しいかなと。
 あと、もう一つは、高齢者の就業率が高いという議論をしているんですけれども、日本の場合、男女の格差が非常に大きくて、男性は60歳代後半も相当程度働いているけれども、女性は、国際比較すると、そんなに就業率が高いわけではないんです。ですので、男女で相当違う。女性の就業機会と男性の就業機会が相当違う。日本の高齢者は働く意欲が高いという前提なんですけれども、これは男性はなんです。ですので、女性も含めると相当違うので、余りそのことを意識されないで議論されている部分があるかなと思います。
 ですから、過去と同じような形で年金の支給開始年齢を上げたときに、企業に雇用機会のリンクを求めるというやり方だと、現状は、平成12年改正に追いついたところで、これはなかなか難しい。もしやるとすれば、雇用とリンクのやり方を従来と違った形で、外部労働市場の整備とか、そういう形でやらないといけない。もう一つは、男女の違いというものをそろそろ視野に入れて議論しないと、難しい面があるかなと思います。
 あと、65歳から上げていく場合、例えば、今、介護保険について、65歳から、一応、制度上は利用できるという形になっているんですね。多分、年金だけというのもおかしな話になって、ほかの制度全体のバランスの見直しも当然、将来的にはやっていくということを視野に入れないと、年金だけなぜという議論が出てくるのかなと思います。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
 どうぞ。
○森戸委員 両委員がおっしゃったことと基本的には同じかなと思うんですけれども、高年齢者雇用政策というか、定年法制ですか、それとの関係をちゃんと意識して議論しないといけないと思います。
 諸外国の年金支給開始年齢の例も資料にありましたけれども、例えば、アメリカは、年齢差別で、基本的には定年は違法だという国ですから、理屈上は支給開始年齢は別に幾つでもいいと。つまり、好きなだけ働けるだろう。その代わり、雇用調整、解雇は厳しいと思いますけれども、そういう仕組みになっているということだと思います。
 ヨーロッパは、最近の情報を全部知っているわけではありませんけれども、フランスなどは満額年金の受給権がない人を年齢のみを理由に解雇してはいけないというルールになっていると思います。
 要するに、支給開始年齢前に年齢を理由に辞めさせられることはないというのが多分、諸外国の基本的なルールだと思うんですね。日本はこれに対して、定年という年齢を理由にして辞めてもらう制度があって、労使において、一応、それを前提にやっていきましょうという考えで、雇用政策もそれを前提に動いているので、今の高齢者雇用政策がそれを前提に動いていることを忘れてはいけないんだと思います。
 これはお2人が言ったことと同じですけれども、支給開始年齢65歳以上となると、その前提を大きく変えていかなければいけないのかもしれないなと思います。極端な話、定年廃止とか、禁止とかいうんであれば、また違いますけれども、それはそれで大きな社会的コストのはずで、そこまで覚悟して議論できるのかという気がします。さっき出ましたけれども、今の引上げのスケジュールで高齢者雇用の話が動いている以上、余り縄張りみたいなものは関係ないと思いますけれども、年金側だけの理屈で話を進めるんではなくて、連携を取って議論をする必要があるだろうと思います。
 そもそも平均余命が長い、世界最長寿国だ、だから支給開始年齢も上げないとという理屈も、そんなに当然でないような気がしまして、働けなくなったときのための年金であり、保険事故なんでしょうから、寿命が伸びてお金が足りないのは、マクロスライドとかはわかりますけれども、支給開始年齢も上げてしまおうというのは、雇用の方の理屈がちゃんと決まってからでないと議論すべきではないのではないかと思います。
 あとは、財産権という言葉を使うかどうかは別として、一度決めたスケジュールを変えるというのは、制度の信頼が薄くなる。全然関係ない話ですけれども、ロースクールで3,000人弁護士になると言っていたのに、2,000人ぐらいしかならないので、ものすごい信頼が落ちていますね。そういうふうになるのは年金はやめようという気がします。
 それから、もう一点、ちょっと違う話ですが、これは支給開始年齢だけの話ではなくて、マクロスライドとかにも関わるんだと思うんですけれども、全体として、公的年金が老後所得保障で担う役割を縮小するという方向だと思いますので、そうしたら、企業年金とか個人年金についての税制優遇の在り方とかも考えてほしいと思います。逆に言えば、単純に公的年金のお金を切り詰めて財政が助かったというふうに考えてほしくないということです。要するに、国民がそこそこの老後を送れるようにするために、全体としてどういう仕組みを用意するかという話だと思いますので、公的年金を縮小していくなら、その分、自助努力とか、企業年金とかのカバーする範囲も広がるわけで、そこにも財政的な手当てをすべきだろうと思います。ここではなかなか時間がないかもしれませんけれども、そういう議論も必要だということは覚えておく必要があるかなと思います。
 あと、もう一点ですが、支給開始年齢は諸外国は結構上ですよという資料もありましたけれども、これも最新情報が間違っていたら済みませんが、アメリカは66歳とか67歳になるけれども、前倒しで62歳とかからもらえるんですね。繰上げ支給というか、早くもらうこともできると思うんで、あの表にはそういうことも書かなければいけないんではないかと思います。アメリカでみんなが66歳からしかもらっていないということではないと思います。
 逆に、フランスなどは、今、60歳となっていますけれども、恐らく満額の年金をもらうには、普通の人は60歳では達しないんではないかと思います。たしか、昔は37.5年、今は40年加入が必要だったと思うので。
 そう考えると、支給開始年齢という概念自体、スウェーデンみたいになくしてしまうというのもあるのかもしれませんけれども、満額の年金というのは何なのかということも含めて、支給開始年齢を議論しないと、国際比較も注意してやらなければいけないかなという気はします。
 以上です。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
 ほかに。どうぞ。
○柿木委員 私も逢見委員と同じ意見でございます。私ども産業界としても、今、労働政策審議会において検討されている、65歳までの高齢者雇用対策との整合性を是非とも確保する必要があると考えています。
 加えて、今の日本の経済状況を考えますと、雇用総量が増加しているかというと、むしろ産業が空洞化して、それに伴う雇用喪失が現実化していると思います。勿論、生産年齢の減少というのは長いタームで起こるわけですけれども、こういった中で支給開始年齢の更なる引上げが、いつの時点になるかわかりませんけれども、高齢者の就労が増えれば、若年雇用者等の労働市場に悪影響を及ぼすことが懸念されます。これについては慎重に見極める必要があると考えております。事実、最近の年齢別の就業率の推移では、15〜24歳の就業率で、若干ではありますけれども、低下傾向にあるというデータもあります。これについては、後ほどデータがあれば出していただきたいと思います。
 それから、支給開始年齢の前倒しの件でございます。先ほど資料の中に、高年齢者の就労意欲が非常に高いというデータがございましたけれども、産業界は現在、65歳までの雇用確保を目指して、いろんな制度に真剣に取り組んでおります。ただ、特に製造業などでは、体力的に就労を断念せざるを得ない就業者がかなり多くいるのも事実です。継続雇用制度といって、1年ごとに雇用を延長する制度を導入している企業は多いわけですけれども、1年経つごとに就業者の体力、気力面が低下していき、就業希望者が減少していくという現象があります。各企業としては、高齢者はスキルもありますし、継続雇用すべく、いろいろな方策を考えております。例えば、高齢者にとって段差の少ない就労状況を作る、自動的に動ける施設を作るなど、様々な設備投資も実施しております。
しかし、先ほど申し上げた通り、体力、気力の面で就労を断念するという高齢者が多いのも事実です。
 こういった現実からしますと、支給開始年齢引き上げの前倒しは、現在の就労者及び企業の両方に与える影響が余りにも大きいのではないでしょうか。そういう意味で、この制度の変更は難しいと考えております。
 以上です。
○神野部会長 ありがとうございます。
 小塩委員。
○小塩委員 私は、むしろ前倒しと言いますか、支給開始年齢については、もう少しハイペースで引き上げていいんではないかなと思います。素朴に考えて、ほかの国と比べて平均余命も日本は長いですので、もう少し遅い時点で年金を支給してもいいんではないかなという気がいたします。ただ、そうは言いましても、多くの先生方がおっしゃるように、雇用政策との関係は非常に重要だと思います。会社を辞めてから年金をもらうまでの時間が非常に不安定に置かれているということです。
 諸外国でどうなっているかということなんですけれども、ほかの国だと、確かに日本より支給開始年齢は高目なんですけれども、満額と言うんですか、メインの年金をもらう前は、障害年金をもらうというケースが多いんです。つまり、別に大きなけがをしなくても、軽いけがで年金をもらって、それでしばらく過ごすということです。私は障害年金の制度を否定するわけでは決してないんですけれども、ヨーロッパでは悪用されているという指摘がありますし、財政面でも大きな問題があるということです。
 そこから言えることは、60歳半ばから後半の人たちの所得環境を整備する必要があるだろうと思うんです。今の時点では、そういうのは雇用政策に頑張ってもらいましょうというスタンスだと思うんですけれども、それだけではなかなからちが明かないんではないかと思います。
 年金政策で何かできないかなと思うんですけれども、2つあると思うんです。1つは、支給開始年齢は、例えば、68歳でも70歳でもいいんですけれども、高目にして、早目にもらいたい人はもらってください。ただし、“actuarially fair”と言うんですか、年金数理的に公正な仕組みで、年金財政に影響も及ぼさないし、生涯ベースで見て損にも得にもならない仕組みをつくる。それが1つです。
 もう一つは、会社を辞めてから年金を支給してもらうまでの期間は、例えば、3年とか5年とか、はっきりしているので、そういうところをターゲットに絞ったコンパクトな年金を別途設定するということです。それは賦課方式ではなくて、積み立て方式でやる。それも大々的にやるんではなくて、コンパクトなもので構いません。
 例えば、非常に簡単なイメージで申しますと、若いときから30年、月々1万円積み立てる。金利を無視すると、360万円積み上がります。それを、例えば、5年間で取り崩していきましょうということであったら、月々6万円ぐらいの年金がもらえるわけです。そうしたら、会社が定年になってから、公的年金の支給開始年齢がちょっと下がったとしても、何とかやっていけるんではないかなという見通しが普通の人でも立つと思うんです。
 そういうふうに、年金政策サイドでも、人生の勤労生活の最後の段階を安定的に過ごせるような工夫があるんではないかと思います。財政的に難しくなっている年金を助けるために、そういう政策と雇用面での政策をリンクさせることによって、やはり私は支給開始年齢は引き上げた方がいいと思います。
 以上です。
○神野部会長 では、駒村委員、お願いできますか。
○駒村委員 何人かの委員からお話あったように、高齢者雇用と年金受給年の連続性というのは当然、必要な議論だと思います。ただ、これまでの引上げペースを見ると、やや遅かったんではないかと思います。11ページの資料は内外比較でありますけれども、アメリカ、イギリス、ドイツは65歳が67〜68歳という限界的な部分でございますので、ゆっくり時間を取っているわけですけれども、日本は、少し遡って考えると、支給開始年齢を55歳から60歳に引き上げますと決めたのは、恐らく1954年の新厚生年金のところで決まっているわけです。実際に55歳から60歳に上がったのが1970年代半ば辺りだったと。その後、しばらくお休みをして、1989年の年金改革のときに、恐らく一度議論はしているとは思いますけれども、見送りになって、資料にありますように、ようやく1994年に決定をして、実際に上下が到達できたのが2025年。その間に切替えコストや政策・政治的な調整時間がかかったとは言うものの、10歳上げるのに、1954年から2025年ですから、実質70年近くかけて、ゆっくりゆっくり上げてきて、そうこうしているうちに団塊の世代に掛けることができなくて、財政的に非常に負荷がかかっているという状態ではないかと思います。
 したがって、これまでも議論がありましたように、日本の賃金や人事、雇用システムというのはかなり特徴があるわけでして、これを見直すとなれば、今言ったような雇用システム全般、あるいは退職金や企業年金、定年制、あるいは労働者の人生設計も含め、大幅な制度の調整が、若い世代を含めて発生してくると思いますので、これは時間がかかることだと思います。
 したがって、2025年の当面のゴールを直ちに変更するというのは大変難しいとは思いますけれども、2040年前後になって高齢化率40%が見えてきてから、そしてマクロ経済スライドが止まらなくなってしまった場合、どんどん下げなければいけなくなっているというときになって初めてあわてふためいて、支給開始年齢の引き上げを雇用システムの変更も含めて議論するなどというのでは遅過ぎるので、やはり早目、早目に支給開始年齢の引上げというゴールの議論を引っ張っていく必要があるのではないかと思います。このことによって、マクロ経済スライドを一定の幅で食い止めることができて、年金の目減りをある範囲の中で抑えられるのではないかと思います。支給開始年齢のスケジュールは早目に議論して、できたら早目に次のステップのゴールを示した方がいいと思います。
 ただ、悩ましいのは基礎年金でありまして、基礎年金を連れて行くかどうか、一緒に67、68歳というところまで持っていくかどうかというところはなかなか悩ましいところでありまして、確かに60代後半になると健康状態のばらつきも出てきますので、体の弱い方や、なおかつ低所得の方が不利になるということについては別途手当が必要なのかなと、こういうふうに思います。
 以上です。
○神野部会長 それでは、吉野委員。
○吉野委員 吉野ですけれども、私も余り専門ではないんですけれども、議論をお聞きしていて、1つは、ルールをしっかり決めておくことと、それから、これまでのいろいろなマクロ推計で年金の将来予測があったんですけれども、これまでの御説明はそれを全部下ぶれしていて、一度も当たっていることがないわけです。運用収益が4.1%だなどと、そんなに稼げるわけがないわけですから、やはりきちっとマクロ推計をして、年金の将来予測をここで立て直して、ルールをしっかり決めてということがまず前提ではないかと思います。ギリシャとか、今、ヨーロッパで起こっていることを見ていますと、日本もきちんとしないと大変なことになるなという気がいたしております。
 それから、2番目は、高齢者の再雇用の場合には、やはり一度、定年という形に切って、一度辞めていただいて、それから後、再雇用したり、あるいは新しい市場、新しい別の職場で働いていただくとか、そういうことが必要で、定年の延長というよりは、再雇用という形にした方がいいんではないかと思います。今、日本の場合には、新卒の市場が一番大きな市場ですけれども、恐らくこれから60〜65歳の間でもう一つ大きな市場ができる。それくらいに適材適所ということが必要な世の中ではないかなと思いました。
 それから、3番目ですけれども、働くことへのインセンティブがないとやはりいけませんので、働いている方の賃金の方が年金だけをいただいている方よりも必ず大きくなるという制度が必要であると思います。
 それから、働く高齢者の方々の保険料負担ももう少し考えていただいて、保険料負担をしなくていいような高齢者雇用、ある程度の所得以上の方々からは保険料負担もいただくという形で、高齢者の方が働いてくだされば、その分、保険料の支給が遅くなるわけですから、保険料負担を必ずしなくてはいけないということはないような気がしました。
 それから、高齢者を雇った場合に、若い人の就業率の低下ということですけれども、これはやはりマクロ経済政策が日本の場合、これまでずっと悪かったわけですから、それはちょっと別のところの議論だと思いますけれども、マクロで、為替まで含めて、日本経済の再生ということを考えなくてはいけないと思います。それから、短期的に見ますと、若い方への就業率の低下ということかと思いますけれども、年金財政が悪化すれば、逆に言いますと、若い方々の負担が将来は増えることですから、やはりパイを大きくして、雇用の機会を大きくして、それで全体が何とか働ける世の中をつくることではないかと思います。
 最後は、今後の議論ですけれども、先ほどちょっとありましたけれども、高齢女性の職場と言いますか、こういうものを真剣に考えることと、女性の社会進出で、高齢者と女性と、この両方で全体を支える部分を少しでも大きくする必要があるような気がしました。
 以上です。
○神野部会長 米澤委員、お待たせしました。
○米澤委員 今の吉野委員、小塩委員と重なりますけれども、まず最初に確認させていただきたいんですけれども、寿命が伸びて、今までより年金財政が厳しくなるのは当たり前なんですけれども、それがマクロ経済のスライド調整で可能なのかどうか。どのレベルまで調整するのかによりますけれども、それで可能なのかどうかということです。年金財政上、極めて深刻な問題になっているのか否か、ここを確かめていただきたいと思うんです。もし仮にそれほどでもないとすれば、それは上げない方がいいと思いますけれども、私は直感的に、かなり深刻に財政上は厳しくなってくるんではないかと推測しております。社会保障のときに、予算制約が先にあるのもいかがなものかと思いますけれども、そこは避けて通れないので、そこのところでできることとできないことをはっきりする必要があるんではないかと思います。
 仮に深刻で大変になった場合には、今まで出てきたような議論で、これは後から急速にやれるというわけにいきませんので、はっきりスケジュールを決めて、早目に上げていくしかないと思います。とは言いながら、私は、理論的には雇用もついてこなくてはいけないんでしょうけれども、早目にわかれば、小塩委員も言ったように、広い意味の貯蓄でスタンバイできることも不可能ではないわけですので、そういうような環境の整備、それは若いときからスタートしなくてはいけないわけですから、なるべくその期間は猶予して、その間はスライド調整でやっていくということしかないんではないかと思う。ですから、そこのところはうまく調整して、可能なのかどうか、財政上は、あるいは、もう開始年齢の引き上げをやっていかないことには厳しくなっていくのか、この点を確認させていただきたいということです。
○神野部会長 植田委員。
○植田部会長代理 今の話に関連するんですけれども、恐らく、いずれにせよ、若干の支給開始年齢のどこかの時点での引上げとマクロスライド、両方やらないといけないんだと思うんですが、こっちをこれくらいやったら、こっちはこれくらいで済むとか、その逆はこうであるというような、ある種のトレードオフみたいなものをもう少しビビッドに示してくださると、我々も議論がしやすいと思います。その際に、当然のことなんですが、世代間の負担の相違についてもある程度のことがわかるような資料なり、計算結果があると、非常に今後の議論にいいなと思いました。
 以上です。
○神野部会長 さっきの米澤委員の御質問と含めて、後で事務局に説明をお願いしますが、先にどうぞ。
○山本委員 今、御指摘のあった意見に関連するのですが、いずれにしても、これから高齢者が増えていく中で、受給年齢が上がっていくということはある程度やむを得ないのではないかと考えます。そのことについては段階的に、ソフトな方向性を取ることが重要だと思います。
 同時に、先ほどの企業の定年延長ラインを上げるという点については、非常に企業負担が大きい部分があると思います。これには相当いろいろな所見が混じり合うと思います。
 私たちも一生懸命、定年の年齢を上げるなどの対応を行いたいとは思いますが、一つ重要な点として、65〜67歳ぐらいの方々の雇用機会が増えるような、仕事の種類や数を増やすような政策を国的には取っていただくということも必要かと思います。
 それと、もう一つは、総理大臣もTPPで一生懸命、日本中を歩いておられますが、そういう経済振興対策も同時に打っていただいて、企業も前向きな展開をしていけるようになってはじめて2年間の雇用延長ということが検討できると思います。ですから、一律、何年、どのくらいの期間で上げようかという、そこだけの議論ではなくて、公的な出動の部分、例えば、65〜67歳までの方々を300万人雇用できる新しい業種のありようとか、役目の果たせる仕事といったものを増やしていこうではないかということだってあり得ます。それから、日本経済がボリュームが増えていけば、当然、仕事も増えていくわけです。ただ仕事を増やすというと、現状ではワークシェアリングしか方法がないことになりますから、ボリュームとか、仕事の数が増えるような施策も同時に打っていただくようなことがどうしても必要ではないかと思いますので、今の御意見とも関連して、一言申し上げました。
 以上です。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
 事務局から、先ほどの年金財政に関わる問題について、お答えをいただくことは可能ですか。
○数理課長 先ほどの米澤委員からの御質問でございますけれども、マクロ経済スライドの中での調整率、この中には平均寿命の伸びによる要因も含めておりまして、大体−0.3%分は平均寿命の伸びの要素で調整をするという前提になっております。これは将来人口推計の平均余命の伸びを勘案して設定したところなんですが、直近の、平成22年までの平均寿命の伸びの実績を見ますと、大体、18年12月の将来人口推計の見込みに沿った平均寿命の伸びとなっておりますので、現在のところ、純粋に人口ベースの話で行けば、死亡の状況は見込みどおりの状況になっております。
 それでは、年金財政は大丈夫なのかということになりますと、人口要因はそういうことで、また、出生率の方はむしろ見込みより高いんですが、御承知のように経済状況がデフレ傾向を脱却していないということが全体として財政には影響を与えておりまして、これは前回御議論いただいたスライドの名目下限であるとかいった影響が出てきております。全体として年金財政は厳しい面もあるんですが、純粋に人口の要因だけで見れば、死亡については、現在のところは見込みどおりの状況で推移しているというのが直近までの実績でございます。
○神野部会長 よろしいでしょうか。ほかに。では、菊池委員。
○菊池委員 私は、超長期的な少子・高齢社会への対応を考えた場合に、今回かどうかは別にして、支給開始年齢の引上げは考えざるを得ないと思っております。清家先生が資料で書かれておられましたが、私も、要保障事故として65歳というものをとらえることの難しさを感じております。老齢年金というのは、いわば長生きリスク、長寿リスクへの対応のための仕組みととらえることもできるわけですが、先ほどの資料の中で、将来的には、男性の65歳からの平均余命22年、女性が27年、40年掛けて27年受給するという仕組みについて、私は数理計算はできませんけれども、やはり制度としての難しさを感じます。
 ヨーロッパでは、年金は休息権保障という考え方があるようですけれども、我が国ではむしろ就労意欲が高いという、先ほどの資料もございましたとおりで、働くことで尊厳が保たれるという積極面もあるということが言えようかと思います。ただ、先ほど来、皆様が御議論なさっておられるように、雇用との接続がその前提条件となろうかと思います。雇用に接続させないで、例えば、公的扶助、生活保護ですとか、あるいは障害年金の方に公費の出費が更に増えるような形で持っていくべきではないと思います。日本の障害年金の障害認定の仕方からすると、そう障害年金の受給者が増えるという仕組みにはなっていませんけれども、そのように思います。
 それから、この支給開始年齢の引上げというのは、これも先ほど御説明がありましたように、今回の政策目的の中に世代間の公平をいかに維持し、確保するかということが含まれるとすれば、この改正には直接的にはむしろ逆行するような面がございます。その点は、制度改正というのは個々の改正の組み合わせでありますので、トータルで総合的に達成されるべき政策目的ととらえていくのかと思います。
 それから、先ほど森戸委員がおっしゃっておられましたが、公的年金の受給開始年齢が更に遅くなるという場合に、それ以外の所得保障手段との兼ね合いをしっかり考えていかなければならないと思います。森戸先生が座長でおまとめになっておられた企業年金の会議体では、公的年金との接合を非常に意識して議論しています。プラスして自営業者等の国民年金基金等も含めた所得保障手段との兼ね合いを、公的年金制度を検討する側でもしっかりと考えて位置づけていくという作業が必要ではないかと思います。
 それから、スケジュールの前倒しについては、これも森戸委員と基本的に同じなのですが、厳密に言うと、まだ受給権として発生していないので、財産権云々を議論できるかどうかという問題が1つありますが、しかしながら、一旦決めたルールを変えて、受給者側の期待を裏切るようなことはすべきではない、余りに影響が大きいと考えております。
 最後に、先ほど、支給開始年齢引上げの各国のもう少し細かいデータを出したらどうかという趣旨の御議論がありましたが、例えば、アメリカでは、1983年の改正で、支給開始年齢引上げとともに、繰り上げ支給の減額率や繰り延べ支給の増額率の改正もセットでやっています。ですから、その辺も含めて資料を出していただけると、更に参考になるのではないかと思います。
 以上です。
○神野部会長 小室委員。
○小室委員 ありがとうございます。まず、資料の中にあります宮島委員の言葉の中に、実際には引上げの対象になるのは30代、40代というところで愕然としました。一瞬、何だ、ものすごく損ではないかと思いました。でも、10歳上げるのに70年かかったと先ほどおっしゃられていましたけれども、これだけかかるということを考えると、今、検討を始めなければ、自分たちの子どもの世代ということを考えたときにも、非常に影響が残るだろうと思いました。先ほどからお伺いしていると、やはり定年というものの議論が必要だろうということは認識するんですが、では、いつ、どうするのかという期限を決めるべきだと思いますので、検討期限を決めて、それまでの間に定年の議論も十分にして、支給引上げというよりは、満額の支給開始をどこにするのかという話だと思うんですけれども、それまで一切払わないという話にはきっとならないとは思うのですが、満額の支給開始年齢というのは、長期的に見ると、自分の子ども世代のことも考えると、上げるべきであるし、今回の委員会で検討期限を決めない限り、この話がいつ、またまな板に乗るのかという話になってしまうので、少なくとも期限を決めるというところまでは持っていけるといいのではないかと考えます。
 以上です。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
 よろしければ、ここら辺でこの議題を打ち切らせていただいて、あと、事務局で、今、各委員から、国際比較上で支給開始年齢を引き上げた際、その他等々の、もうちょっと詳しいといいますか、事情を説明したような資料が欲しいという御意見がありましたが、可能でしょうか。
○年金課長 調べがつくものもあると思いますので、整理して提示したいと思います。
○神野部会長 日本では余り議論はありませんけれども、ちょうど昨年の今ごろから、フランスは御存じのとおり、高校生、大学生たちが年金の開始年齢の引上げで大暴れをしました。フランスの65歳以上はほとんど就業しないように、フランスでは年金は労働市場から出ていくためのお金なので、若い人たちに仕事を譲っていく。若い人たちが、仕事を譲るために年金の開始年齢を引き上げるなと、こういうふうに言うような事情もあります。経団連の柿木委員が御指摘されたような論点が日本では割と弱いのかなという気がいたしました。
 なければ、次の在職老齢年金の問題について御意見をちょうだいしたいと思います。いかがでしょうか。諸星委員。
○諸星委員 在職老齢年金が就労意欲を抑制しているということを今までずっと議論されていたようなんですけれども、現場で見ると、そういった実感はほとんどなかったです。定年を迎えた方々のほとんどは、勤務を続けたいということを非常に強く希望されていますので、今回、在職老齢年金の見直しについて、財源の保証があるならば、仮に特定世代に対する見直しであったとしても、特に反対する理由は私はありません。
 ただ、継続勤務の場合は、ここの資料にありますように、賃金はほとんど7割、6割ということで減額されています。先ほどのスケジュールもございましたけれども、年金と雇用保険の給付金をセットとする現行の仕組みがあるからこそ、企業側も安心して雇用を切らずにできているというのが現実なんですね。仮に在職老齢を65歳以降と同じとするのであれば、今度は支給される年金が増えることになるので、逆に調整のために賃金を下げるという、やるかどうかわかりませんし、定年前の仕事と同じであるという賃金の是非は特に考えないとすれば、賃金をより下げて再度雇用できることにもなるものですから、企業側がさらに高齢者の継続雇用をかなり増やすかどうかというのは、どちらとも言えないような印象があります。
 先ほどの支給開始年齢のときに言えなかったんですけれども、今の雇用保険給付金のことで言うと、もし65歳以降に年金を引き上げてしまうとなると、60〜65歳までの間は、働いている方については給付金が出ます。ところが、65歳を過ぎると、今度は給付金が出ない。そうなりますと、先ほどお話があったように、全く年金がない期間ができてしまうので、65歳を境にして、働いている方、特に今、70歳まで雇用を継続させましょうという動きがあるにもかかわらず、65歳になった途端、給付金が出なくなるから、働いていても金額は下がるよねという結果論になりますので、そういったことも含めて検討すべきではないかと思います。
 最後にもう一つだけ言わせていただくと、いろんな人の不服が来たときに、特に女性の方々なんですけれども、60歳まで一生懸命掛けました、65歳にもらうのを楽しみにしていますと、そういったことがあるので、65歳まで待とうという方が結構多いんですね。待ち切れなくて、例えば、生活が苦しいからといった場合は、やむを得ず繰上げ請求をしてしまうということが多いんですけれども、その待つ年数の5年が8年間待たされるという心理的なものも考えて引上げを検討すべきではないかと、私は意見として述べさせていただきます。
 以上です。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
 ほかに御意見。花井委員。
○花井委員 在老について、意見と、質問を述べさせていただきたいと思います。
 現行の在老が就業意欲を抑制しているという指摘がありますが、私ども、もう一つ、在老には大きな問題があると思っています。従来から指摘はさせていますが、在老はあくまでも厚生年金に引き続き加入したということが前提になっておりまして、例えば、短時間労働者や、共済対象者、あるいは賃金以外の収入がある者などの在老の未適用者は、年金を満額もらえることになっています。ですから、在老は賃金を基準に調整するのではなく、総収入ベースでとらえるということを考えるべきではないか。公平性という観点から、賃金や家賃収入、利子、配当所得とか、さまざまな収入があるので、総収入ベースで考えていくべきではないかという意見です。
 質問が2つあります。就業意欲に抑制的であるということが盛んに指摘されていますが、参考資料2の15ページの下のところには、2009年の時点で老齢厚生年金受給資格の就業抑制効果は確認できなかったとの記載がありますが、就労抑制を指摘するデータがあるのかどうなのか、もしあれば教えていただきたいというのが1つです。
 それから、60歳代の前半と後半で28万円と46万円という在老の条件に差異を設けている点について、それはそもそもどういう理由でそれだけの差がついているのか教えていただければと思います。
 以上です。
○神野部会長 今の御質問について、事務局、お願いできますか。
○年金課長 まず、1点目の御質問の参考資料2の15ページの下の方にあります山田先生の2011年のレポートは、データを基にした分析ですので、この報告書をたどれば、この中にはデータはあるということであろうと思います。ただ、論文1つあるかもしれませんけれども、これがあるから抑制効果がないとは決めつけられないのであれですけれども、この研究には、そういったデータを基にした分析をされているということではございます。
 あと、2点目の方は、先ほどはしょってしまって済みません。資料2の6ページを見ていただきますと、「現行の在職老齢年金制度の仕組み」というところに、文章をいっぱい書いてあります中の60〜64歳のところにポツがあって、*があるんですけれども、28万円というのは、夫婦2人の標準的な年金額相当、要するに、年金額を参考に定めています。いわゆるモデル年金などと申しますけれども、夫婦2人の標準的な年金額相当が大体22〜23万でありまして、それを月給としている方であれば、ボーナス込みでそれを年収にして12で割ると28万だと。年金額との関係で28万というのを定めてきております。
 46万の方は、現役男子被保険者の平均月収。これも月収プラスボーナスを12で割った額でございまして、これにつきましては、平成16年の年金制度改正後は48万という数字になっておりましたけれども、最近、現役第1種被保険者の平均月収が下がっているということで、22年度から47万円に、23年度、今年度から46万円に下げてきているということでございます。
 28万円は、標準的なといいますか、年金額との関係で定め、46万の方は現役男子被保険者の額の賃金に照らして決めてきているということで、厚生年金法の条文にもこういう考え方を記載しているところでございます。
○神野部会長 どうぞ。
○花井委員 金額の背景はわかるのですが、なぜそう違えているのかということを聞いているんです。なぜ60代前半が夫婦の平均の年金額で、60代後半が平均月収を取ったのかということです。
○年金課長 資料の2ページまでのところでこれまでの経緯を申しましたけれども、65歳以上は年金を全額支給する、ただし、60代前半については賃金との関係で一定の調整をするという制度だったのを、60代後半についても一定の調整をするということを入れる際に、今、申し上げたような水準で、60代前半の方も28万で開始して、46万までの調整ということで、46万の数字があったわけですけれども、その際に、若干緩やかな額にしましょうという形でこの数字を採用してきたというのがこれまでの経緯となろうかと思います。
○神野部会長 納得しますか。
○花井委員 いいえ。
○神野部会長 もしもあれでしたら、後日、再度していただくとして、ほかに。駒村委員、どうぞ。
○駒村委員 この在老の議論というのは、年金を全く出すべきかと、全く止めるべきかと、極端な2つの見方があって、結局、政策を変える理由を効率性の議論を優先するのか、公平性の議論を優先するかという、突き詰めて言えば、政策目標の質の違う2つの議論に集約されてしまうわけですね。
 効率性というのは、年金制度自身が就業行動にゆがみを与えているかどうか。資料1の先ほど引用があった清家先生、山田先生の論文や、あるいは資料2の3ページの左側ですね。これはよく言われた平成6年の時点の姿なんですけれども、屈折している、ぎざぎざになっているということは、ある一定より先をやると、かえって手取りが減るよということが就労抑制的な効果を持っていた。それがここしばらくは存在するんだというのが山田先生、清家先生の論文だったわけですけれども、こちらの論文になると、その効果は今は見られないんではないか。だとすれば、効率性という点では、就業構造をゆがめていないという結果になるわけですから、問題は公平性みたいな議論になってきて、収入がある人に対して満額の年金を上げるべきかとか、世代間の問題としてどう考えるべきかという話になってくるわけです。
 前段で、本当に就業抑制効果がないのかどうなのかは、この1本の論文だけでありますので、その辺は厚生労働省に資料を集めていただいて、就労抑制効果がどうなっているのか、60歳前半がそもそもなくなっていくわけですから、その効果はかなり大きく評価すべきなのか、もう少しエビデンスを集めて議論しないといけない部分かなと思います。
○神野部会長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○武田委員 私は、在職老齢年金の見直しについて、今の議論も踏まえ、慎重に考えております。理由は2つです。1つは、就業意欲に本当にネガティブに働いているのかということについて、もう少し分析結果を確認した方がよいと思います。例えば賃金所得46万円以上の方が年金支給停止を理由に就労を止めるかどうか考えますと、そのようなインセンティブは余り働かないのではないかと思います。直感で申し上げるのはよくないですが、現在の現役世代の平均賃金などを考えても、やや疑問には感じます。
 2点目は、年金財政の持続性や世代間格差の視点でございます。今回の税と社会保障の一体改革において、年金財政を持続可能なものにしていくということが大きな課題の一つしてある中で、それに逆行するような制度改革を実施することについては、よほどの弊害がない限り、基本的に抵抗感があるということです。
 また、先ほどの1点目の論点について、本件とも関係致しますので、意見を述べさせて頂きたいと思います。結論として、年金の支給開始年齢の引上げについては、年金財政とのバランスで必要なのかというところを、定量的に確認のうえで再検討した方がよいのではないかと思います。
 理由は大きく3点あります。1点目は、事務局の資料1の24ページにございますとおり、世代間格差が一段と開く可能性がある点です。マクロ経済スライドは、年金受給者すべてに適用される一方、支給開始年齢引上げは、現在の現役世代と、現在もしくは近い将来の年金受給世代との世代間の格差が拡大することになります。
 現時点で既に決定している支給開始年齢の引上げのペースを、早める余地はあるかもしれませんが、事務局の方から御説明があったように、2014年には団塊世代の方が65歳になるということを踏まえると間に合わないのではないかとも思っております。これらを実施することによって年金財政の持続性にどのくらい貢献するのか数字を用いて分析・検討をした方がよいと思います。
 2点目としては、先ほどから出ておりますように個人の体力や健康の状態に左右される点です。健康状態によっては、空白の期間が生じてしまう可能性がございます。
 3点目は、日本の雇用慣行を踏まえてどのように判断するかという点です。雇用システムは、勿論、組織によって様々ではございますが、慣例としては年功序列制度が存在します。こうした中、仮に支給開始年齢の引き上げと退職年齢の引き上げがある程度セットで実施されることになれば、企業など経営者にとってみるとコストの増加が懸念材料となります。また、雇用の観点では、若い世代への影響が懸念されます。現在、若年層の失業率が平均よりも高い実態に配慮する必要があるのではないかと思います。
○神野部会長 ありがとうございました。
 どうぞ、吉野委員。
○吉野委員 花井委員がおっしゃっていたように、今は給与所得でいろいろ計算していますが、やはり総収入といいますか、利子配当とか、金融所得とか、そういうものをきちんと考えたことが実際にできるのかどうか。そして、今、できないとすれば、何が不足しているのか。やはり総収入で見ないと、公平性の感じから私はおかしいんではないかと思います。この次でも、何が問題で総収入で見られないのかを教えていただければと思うんです。
 それから、2番目は、支給年齢の変更のときに、2年にどうとか、ディスクリートではなくて、もうちょっとスムーズにと言いますか、徐々にやっていくという方法ではできないのかなという気がします。段階ごとにやっていくわけですけれども、ディスクリートではなくて、もう少しスムージングでやるやり方もあるような気がしました。
 以上です。
○神野部会長 柿木委員、どうぞ。
○柿木委員 在職老齢年金ですけれども、この制度につきましても、先ほどから出ているように、本当に就業抑制的であるかどうかが1つの大きなポイントだと思います。先ほど各委員もおっしゃいましたように、いろいろ分析する必要がありますが、産業界の現在の高齢者雇用の現状から言うと、必ずしも就業抑制的にはなっていないのではないかというのが私の印象です。
 もう一つは、60歳代前半の方に関して、2013年には特別支給老齢厚生年金の定額分の支給年齢の引上げが終わります。
 更に、報酬比例部分の引き上げが2013年から開始されることで、在職老齢年金にもし就業抑制効果がある程度あるとしても、これに伴ってその効果が消滅してしまうのではないかという研究結果もあると聞いております。今、年金に関しては給付の重点化、効率化が求められているわけで、給付費用の増加については、かなり慎重に考えないといけないのではないでしょうか。
 加えて、60歳代前半の在職老齢年金は、先ほど説明あったように、支給開始年齢が2030年までに65歳に引き上げられることに伴い、自然になくなってしまう制度です。結果として、特定の世代のみを対象にした見直しだ、と見られるのではないでしょうか。こうした意味からもあえて今、60歳代前半の在職老齢年金制度を見直す必要はないと感じております。
○神野部会長 ありがとうございました。
 「その他」の議題で大きなものがございますので、一巡目、この議題については、とりあえずここら辺で打ち切らせていただきたいと思います。また二巡目もございますので、あるいは言い足りなかった点は文書でお出しになっていただいても結構です。
 では、次の議題で「その他」のところで、資料3について御説明いただけますか。よろしくお願いします。
○年金課長 それでは、資料3について、簡単に御説明をしたいと思います。資料3は、短時間労働者への適用拡大に関する特別部会で議論しているものの一部の紹介ということになります。この資料の後ろの方の9ページ、10ページ、11ページに短時間労働者への適用拡大の特別部会において、適用拡大に関する、こういった論点があるんではないでしょうかという論点を掲示して御議論いただいておりまして、これまで3回議論を行って、今週からは関係する業界からのヒアリング等もやって議論を深めていくという予定にしております。
 この中の10ページの「その他」のところに、30時間を20時間に引き下げ拡大した場合に、年金制度の中でバランスがどうなるかという論点があるのではないかということをお示しして、それに関する資料を前の方に付けています。ここに論点として書いていますのは、適用拡大した場合に、厚生年金の標準報酬の下限は9万8,000円ですけれども、これを維持するのか、それとも下げるのか。そうした場合に、その人の被扶養配偶者は3号被保険者にするのかとか、国民年金保険料とのバランスをどう考えるのかということを示しました。これに関する資料が前の方の1ページ以降で、これはその特別部会の第2回のときに説明した資料であります。
 前の方に戻りまして1ページで「厚生年金の標準報酬月額下限に関する論点」ということで、現在、標準報酬月額ということで、保険料の算定とか、年金給付額の算定のための、還元できるようにするために、報酬の段階をつくっておるわけでございます。上から3行目ですけれども、健康保険は5万8,000円〜121万円まで47級、厚生年金は9万8,000円〜62万円までとしていまして、この前後1〜2万円の幅の人は一定の額だと決めて保険料を決め、年金を計算することになっています。
 例にありますように、35〜37万円の範囲は36万円だと決めてやる。上限、下限がある関係で、下の方の例に書いていますように、厚生年金は上限62万ですから、実際の報酬月額が100万だとしても62万だとみなして保険料を62万に掛け、年金も62万に対するもので計算する。
 9万8,000円より低い8万円の報酬月額の人であっても、9万8,000円だとして、9万8,000円に対する保険料を負担いただいて、9万8,000円に対する年金を将来計算することにしておるわけです。
 次の2ページに進みまして、実際に9万8,000円よりも低い賃金の場合、月収8万円の人の場合は、今の仕組みだと9万8,000円に対する保険料負担、したがって、本人負担約8,042円を負担して、厚生年金はそれに基づき計算するわけですけれども、それは一番下を9万8,000円にしているからそうだということであって、例えば、一番下に7万8,000円という等級をつくれば、7万8,000円に対する保険料6,400円を払って、年金もその分だけ少し低い。8万円の人が9万8,000円に対する保険料を払っているというのは若干割高な保険料を払う形にはなる。したがって、それに応じて標準報酬等級をつくって、それに応じた保険料とするのがいいんではないか、自然に考えるとそういう話です。
 それについて、短時間労働者の適用拡大との関係でどういう論点があるかというと、3ページになりますけれども、適用拡大しますと、現在は国民年金の第1号被保険者で国民年金の保険料を払っている方が厚生年金に移るというケースが出てくるわけです。このときに、標準報酬月額の下限を引き下げたときにどうなるかなんですが、あるいは国民年金の保険料を払っている人とのバランスはどうなるかなんですけれども、現在は1万5,020円の国民年金保険料を払って、基礎年金ももらうんですけれども、これが、例えば、8万円の人で、7万8,000円に標準報酬等級をつくると、労使合わせて16%の保険料を払っていって、労使合わせて1万2,802円、本人だと6,400円の保険料を負担することによって、基礎年金プラス厚生年金が給付されるということが起きる。したがって、国民年金に入っていた方からすると、厚生年金に入るというのはかなり割がいいことにはなるわけです。こういうことは、国民年金との関係で、2つ目の○にありますように、引き続き第1号被保険者である方から見ると、不公平感を生じさせる可能性もある。
 ただ、これは、国民年金グループ、第1号被保険者グループは第1号被保険者グループの中で費用負担、まさに定額保険料、定額給付をやっているのと、厚生年金グループは、厚生年金の2号、そして、そこの被扶養配偶者である3号の分全体を2号被保険者の標準報酬で負担しているという関係ですので、その分だけ国民年金加入者がより多く負担しているとか、そういう関係ではないというのは3つ目の○に書いてあるとおりで、それはそういう関係になるというだけのことであって、別の話なんではないかという考え方も当然できるということです。
 4ページは、今の図の右側にある方について、被扶養配偶者、いわゆる第3号被保険者に当たる方がおられた場合は、将来的に安い保険料で基礎年金分がもう一つ加わるという形になる。ここも前回御議論あった保険料の共同負担の考え方からすると、これはこうなるわけではありますけれども、こういうふうになるということをどう考えていくのか。だからといって特別に考えるかどうか、こんなことをする必要はないんではないかという議論はあり得るわけでございます。
 標準報酬月額の下限に関して、これまで短時間労働者の適用拡大の問題というのは2回ほど改正について検討した契機があったんです。5ページになりますけれども、平成16年の改正のときには、この年金部会で一定の議論があって、短時間労働者の適用を増やす場合は、標準報酬の下限は引き下げて適用するのが適当だろう。そして、その際は、被扶養配偶者の給付は行わないようなことも考えてはどうかということが当時の意見ではありました。
 次の19年にもまた改正を提案したんですけれども、このときは、賃金が別枠9万8,000円以上であるというのを適用の要件にしたものですから、したがって、標準報酬月額9万8,000円より下にはならないものですから、こういったことをどうするかということは特段の論点に挙げていないということでありました。
 適用拡大をどのように考えていくのかというのは、特別部会の方で議論されておりますけれども、その議論との関係で、年金制度の中でどういった整理をしていくのかということは、こちらの年金部会の中での議論もあろうかと思いまして、本日、こういう論点がありますということをお示しさせていただいたところでございます。
○神野部会長 今のような事情ですが、御説明いただきました資料につきまして、また御意見をちょうだいできればと思います。いかがでございましょうか。花井委員、どうぞ。
○花井委員 報酬比例の厚生年金の保険料というのは、やはり応能負担が原則だと考えておりますが、現在はそうはなっていなくて、9万8,000円の下限と62万円の上限が設定されています。現在、社会保険の適用拡大の議論もされておりますし、当然、それに沿う形で下限を更に引き下げるということはすべきであろうと思います。そして、そのときに必ず出てくるのが国民年金保険料との公平性ですが、報酬比例の厚生年金の保険料をどうするかという2号の中の助け合いの話であって、論点の立て方としては違うのではないか。単純に金額を比較して、どっちが上か下かということではない。制度の違い、その制度の中での助け合いというところから見るべきではないかと思います。
 以上です。
○神野部会長 ありがとうございます。
 何か事務局の方でコメントありますか。
○年金課長 いえ、御意見いただければと思います。
○神野部会長 どうぞ、駒村委員。
○駒村委員 私も今の花井委員の御指摘と全く同じでありまして、厚生年金の中に基礎年金の保険料は含まれているわけで、計算上は各保険者に1万5,000円掛ける人数分の請求書が来ていますけれども、それを総報酬で割って負担金を出していますから、これはそういう財政構造になっているというわけです。だから、以前、厚生省が厚生年金の内訳で、基礎年金の年金部分の保険料について4〜5%という数字を出しているわけですので、これは個人に帰着したときには応能負担で基礎年金の保険料を負担しているということであるわけです。これが定額の1号の保険料と逆転するかどうかというのは、構造上そうなっているわけであります。これが問題というならば、今、標準報酬30万円未満の方は基礎年金の保険料分5%ですから、1万5,000円で、そこ以下は皆さん矛盾しているという妙な話になりますので、資料の5ページに書いてあるような名目額を比較して矛盾しているとかいう話は、ちょっと違った話ではないか。
 適用拡大の配偶者が3号になるという問題ですが、確かに9万円、8万円という方に3号制度というものもついてきてしまうというのが現状であるわけでして、その部分については今後、全体の適用拡大をやっていくという中で解消されるわけでありますし、3号がついてくるということで、例えば、5ページに書いてあるような、何か特別な制度みたいなものをつくって調整するようなことは、かえって制度を複雑にして、別種の年金制度をまたつくってしまうことになりますので、これはやめておいた方がいいと思いますので、15年11月の議論のようなことはやらない方がよくて、シンプルに適用拡大をなるべくやっていって、下限も下げていけばいいと思います。
○神野部会長 ありがとうございます。ほかはいかがでございますか。よろしいですか。ほかに御意見がなければ、とりあえず、ちょうど時間でございますので、本日の審議を終了させていただきたいと思います。
 次の日程など、連絡事項がございましたら、事務局からお願いいたします。
○総務課長 本日は大変ありがとうございました。
 本部会の次回の開催日程でございますが、10月31日月曜日の14時からを予定してございます。詳細はまた追って連絡をさせていただきます。
○神野部会長 それでは、どうもありがとうございました。
 本日の審議をこれで終了いたします。御多忙の折、御参集いただきましたことに感謝いたします。また、副大臣、政務官には最後までおつき合いいただきまして、ありがとうございました。それでは、どうもありがとうございました。


(了)

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