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2011年9月30日 第2回臨床研究・治験活性化に関する検討会 議事録

医政局

○日時

平成23年9月30日(金)15:00〜17:00


○場所

経済産業省別館10階1028号室


○議題

(1)依頼者側から見た治験活性化に関するこれまでの進捗状況について
(2)今後、臨床研究を活性化していくための課題について
  ・がん領域
  ・がん以外の領域
  ・医療機器領域
(3)今後、検討すべき課題について
(4)その他

○議事

○厚生労働省研究開発振興課治験推進指導官(森下) 定刻となりましたので、「第2回臨床研究・治験活性化に関する検討会」を始めます。本日は、ご多忙中のところお集まりいただきましてありがとうございます。
 本日は、井部構成員、北田構成員からご欠席の連絡を受けております。また、本田構成員からも急用によりご欠席との連絡を受けましたので、16名の構成員の方々にご参加いただいております。
 開催要項4.運営に基づき、構成員の2分の1以上が出席していますので、本検討会が成立しておりますことをお伝えいたします。また、本日は参考人として、国立循環器病研究センター 研究開発基盤センター 先進医療・治験推進部部長の山本先生にお越しいただいております。
 次に、配付資料の説明をさせていただきます。議事次第。座席表。資料1、治験依頼者側から見た「新たな治験活性化5カ年計画」の進捗状況。資料2、今後、臨床研究を活性化していくための課題について−臨床研究全般−。資料3、今後、臨床研究を活性化していくための課題について−がん領域−。資料4、今後、臨床研究を活性化していくための課題について−医療機器領域−。資料5、臨床研究・治験活性化に関する検討のための論点について(案)。
 別綴じとなっております参考資料には、前回から「臨床研究・治験活性化に関する検討会」開催要綱。臨床研究・治験活性化に関する検討会の基本方針について。構成員名簿を付け加えさせていただいております。
 また、前回の資料を参考までにお手元に配付しております。
 傍聴者のお手元には配布しておりませんので、ご了承ください。以上でございます。資料の過不足等がございましたらお知らせいただきますようお願いいたします。
 なお、参考資料は毎回使用する資料ですので、会議終了後は机上に置いたままでのご退席をお願いいたします。
 では、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。これ以後の進行は、座長の矢崎構成員にお願いいたします。
○矢崎座長 それでは、早速議題に入りたいと思います。本日はお忙しい中、また大変暑い中をお集まりいただきましてありがとうございました。前回では、事務局から「新たな治験活性化5カ年計画」の実施状況で、順調に成果が上がっているというお話をいただきました。今回は治験を依頼する側である企業から見た評価と、治験だけではなく臨床研究についても経験が深い3人の先生方から、臨床研究・治験を実施する上での問題点について発表していただくことになっております。発表のあとには全体討論を行いたいと思いますが、この検討会が来年度からの「臨床研究・治験活性化に関する5カ年計画」を立案するための方向性について、議論をいただければ大変ありがたく存じます。
 それでは、治験依頼者側から見た進捗状況について、川口構成員のほうからよろしくお願いいたします。
○川口構成員 私のほうからは、治験依頼者側から見た「新たな治験活性化5カ年計画」の進捗状況。そして、治験環境はどのように変わってきたか。中核・拠点医療機関へ依頼した治験の状況はどのような感じだったかを前段でお話させていただき、その後医療機関側に期待する内容というまとめ方に、させていただきたいと思います。
 最初のほうは、概括的な傾向を皆様に見ていただければと思います。3頁は治験環境の変化で、これは私たち製薬協の薬事委員会が整理し、まとめたものです。今年のレギュラトリーサイエンス学会の学術大会でご報告申し上げていますが、プロジェクト数に対し国際共同開発が、どのような感じかという傾向を見ていただくだけで結構です。棒グラフの全体像が全部の治験のプロジェクトだとすると、赤いところは国際共同開発、青いところは国内開発の部分ということです。多少濃い目の矢印が付いたところは、内資系のメーカーです。これを見ていただくと外資系、内資系を問わず、最近では国際的な開発を進めている。つまり、医薬品の場合には、世界の多くの方々に良い薬をより早くお届けするということで、同時開発・同時申請というものが、開発戦略の主眼になっているという傾向を見ていただければと思います。こういう環境の中で、どうなってきたかです。
 次の4頁では治験のスピードです。これは私ども臨床評価部会のほうで、毎年、治験の現状に関するアンケート調査をしていますが、年度ごとにそこの中から中核病院、拠点医療機関をピックアップして整理してみますと、依頼から治験審査委員会までの平均的な時間、それと治験審査委員会から契約締結までの平均的な時間を示しています。傾向としては徐々にこういう事務的な手続きはだいぶ早くなってきたなと。それは別に中核、拠点、あるいは一般的なところでもそう大きな変わりはありません。
 次の5頁に移りますと、治験の質についてです。いただいた症例のうちから解析対象になる症例がどのくらいなのか。つまり、いただいた症例のほとんどが、脱落することなく活用させていただいているという状況です。ほぼ95%ぐらいは、資料として活用できていると受け取っていただければと思います。
 次に治験のスピードです。先ほどお話申し上げましたように、青いところ、赤いところは手続的な内容です。この辺は、そう大きな違いは医療機関毎で変わりはありません。ただその後に多少延びていますが、これは細かくいいますと、難しいのはそのプロトコールの内容ですとか、治験の領域によっても異なりますので、これはほぼこんな感じかなと受け取っていただければと思います。
 次の7頁では、症例集積性です。これを見ますと一般の病院と比べて、中核・拠点ともに、多少少ないかとは思いますが、これも先ほどお話をしましたように、領域とかプロトコールの内容によっても異なります。多少少ないかなと受け取っていただければと思います。
 次の8頁では、治験体制区分別の費用。費用の面も繰り返しになりますが、領域、プロトコールの内容にもよりますが、ほぼこのような具合ですというところを、見ていただければと思います。
 次の9頁以降のスライドは、私どもの臨床評価部会の中で、国際共同治験における役割分担、つまり国際共同治験を実際にやっている人たちに、いろいろ尋ねました。いちばん最初のところの上の部分の濃いほうが整っていた中核・拠点病院、薄いほうが整っていなかった中核・拠点病院という記載がありますが、これは国際共同治験の実施体制が最も整えられていて、治験依頼者の負担が少ないと判断した医療機関です。いろいろ役割を見ながら、ちょっと主観的な部分がありますが、担当者がそう感じた。もうひとつのほうは、整えられていなくて治験依頼者の負担が大きいと判断した医療機関。実は最初の集計のときには、別に中核・拠点というものを判別して集計はしていません。その後、中核と拠点の部分をピックアップしてみるとこんな感じだったということです。つまり、いちばん上のインターネット環境等の整備を見ていただくと、ピックアップしたうちの18の中核・拠点が整えていた中核・拠点となり、薄いところはピックアップをしてみたら、整っていなかったほうに入ってた中核・拠点です。いちばん右側に、調査全体のパーセントを示しており、そのパーセントから類推しますと、中核・拠点は一般的にはそれなりに対応できていると感じますが、最初から整っていた中核・拠点なのか、整っていなかった中核・拠点なのか。整備状況にその内容が反映していると受け取っていただければと思います。
 その下の10頁に、英語版が共通文書であることの理解度があります。整っていたと考えた中核・拠点のほうは、ほぼ共通文書であることをある程度理解されていたというところですが、整っていなかった医療機関の場合は、若干その辺が欠けているかなと。これは国際共同治験をする上で集計いたしましたので、このような感じになりました。
 次の11頁では、これは当然、治験を進める側に英語版の資料を提供いたしますが、それを十分に参照した上で、その後にご質問等をいただいているかどうかを確認いたしました。整っていた医療機関におきましては参照すると。整っていなかった中核・拠点病院と比べたら多かったと。これは全て傾向としてお感じいただければと思います。従って私たちがこれを見ていきますと、せっかく中核・拠点に選ばれたにもかかわらず「いまひとつかな」というところもあったのではないかと。逆に先進的にとてもすぐれて進めていた医療機関もあったことは事実です。
 次に私たちが今後に期待するところは、中核病院・拠点医療機関への期待。あるいは1つのテーマで、「早期探索臨床試験拠点事業」への期待について整理したものが、12頁以降になります。
 13頁ですが、我々は、治験活性化5カ年計画はあっというまに過ぎ去ってしまったなと感じます。やはり先生方は診療に忙しい、あるいは研究・教育、いろいろな役割を担っているという姿、形でなかなか思いどおりに進められない部分がありますが、私たちが整理した中でいくと、症例集積性向上のための取組みとか、こういったところはまだまだ大切なことではなかろうか。最近では複数施設が有機的に連携しているネットワークの構築が盛んに進められているところです。そういった機能でも共同治験審査委員会が、なかなか進められない状況等もございます。あるいは、治験関連資料の様式統一と電子化の促進が大切ではないかと思っていますが、この辺もこれからの状況もあるかと思われます。
 2番目に記載していますが、医療機関内での品質管理体制の構築ですが、これを望みたいと思います。やはり医療機関の中にもLocal Data Managerといった方がいらっしゃって、忙しい先生方を補佐できればいいかなと思います。つまり医療機関側からいただく資料が、基データに基づいてきちっと作成されていれば、私ども依頼者側としても無駄なSource Data Verification等をしなくてすむかなと思います。こういうことで品質管理体制の構築は必要と思います。医療機関側でも、私たちは治験に限らず臨床研究等の推進もサポートさせていただいていますが、こういうことも同じようなことではなかろうかと思います。
14頁では、国際共同治験を円滑に実施できる体制の構築で、これは大切です。先ほど示したように依頼者側も、開発戦略としては国際的な展開を進めている状況ですので、それに対応できるような体制が大切ではなかろうか。最近はFDAのほうでも、ガイダンスが示されてALCOAの徹底ということも書いてあります。こういう帰属/責任の所在が明確である。判読/理解できる。観察/項目等を同時にきちんと記録される。原本である。正確である。これは当然のことだと思います。
 さらに、私たちが思うのは、「早期探索臨床試験拠点事業」に期待する部分があります。ここでは、是非海外に通用する専門医師の育成を図っていただきたい。と同時に、その医薬品のコンセプトの構築から一緒にできればいいなと。そうすればその後の検証的試験も一緒にできるのではないか。どうもこの辺がなかなか難しく、もしかすると臨床研究の一環でもあるかもしれない。このように思っていますので、私たちは、このProof Of Conceptを委託した先の優先・優遇措置と書いてありますが、例えば、医療機関側でも早期・探索的臨床試験等をお願いしたときは、優先的に対応していただくとありがたいなと思うと同時に、行政機関にありましても、今後も積極的に進めるような対応を取っていただければありがたいという思いで書きました。
 その他としては、中核病院・拠点医療機関の評価結果です。これは、今回の5カ年では中間見直しも行いましたし、最終的な見直しも行いました。これは引き続きずっと続けていくことが大切かと思います。せっかく検討班等をもうけて積み残された課題を抽出していただいていますので、その辺も今回のポスト5カ年というところでは、対応できればいいなと思います。概括的な話ですが、一応私のほうから報告いたしました。
○矢崎座長 どうもありがとうございました。内容から見ると、もっと厳しいご批判をいただくのではないかと思いましたが、川口構成員は大変優しい方で、大変ソフトにお話いただきましたが、内容はやはりものすごく反省すべき点があり、数々ご指摘されていると捉えております。どなたか、5分ぐらいの時間でご意見があればお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。事務的な手続きのところは相当短縮したけれども、肝心なスピードのところ、集積性もですね、大きな、従来どおりの課題がまだまだ解決されていないということです。事務的な手続きでは、やはりCentral IRBですか、それが重要ではないかということ。それから、治験薬の管理だけではなくて、Data Managerが施設内にちゃんと整っていれば効率的に動くのではないかということです。いかがでしょうか。

○川口構成員 ご参考のために、いちばん最後の頁に、Back up Fileということで、Central IRBが関与する施設の傾向をお示しいたしました。やはり関与がある所のほうが治験の手続きはスピードも増しますし、コスト等もそれなりの成果があるのではなかろうかと思っています。
○矢崎座長 各施設でIRBを設けて欲しいという要望がいままでありましたけれども、この各病院のIRBの内容を見ますと、非常にレベルの違いがあるので、やはりCentral IRBの役割の位置付けはしっかりしていかないと、全体の治験の推進に大きくかかわってくると思います。
○田代構成員 ありがとうございました。先ほど、いまも論点で出ていた中央IRBなどの話について、ちょっと伺いたいのです。私の理解では、もともと中央IRBだとか共同IRBというものは、効率化という面もあるのですけれど、もう一つは審査の質の向上という面があったのだと思うのです。私は倫理の人間なので、なかなか、活性化と被験者保護はうまくいかないところもあるのですけれど、少なくとも中央IRBを使うことに関しては、審査の質が上がることを条件に促進するということで、この二つがかなり噛み合う議論だと認識しています。その部分で言うと、現時点での審査の質の向上というのが、中央IRBになったことによって、例えば、もう少し審査の質の向上について踏み込んだ規定のようなものをある程度設けていかないと、本当の意味では機能しないのではないかと思っているのです。その点についてお考えがあればお願いします。
○川口構成員 私もそのように思いますし、審査の質、それから、いろいろな有害事象に関する評価の質が高まる。ところが、それがそこだけの議論で終わってしまってはまずくて、一緒にネットワークを組んでいる医療機関にそれが周知徹底されなければいけないという思い。もう一つあるのは、私たちはCentral IRBを推進しましたけれども、実際になかなかそれができなかったのは、各医療機関の担当医師とか、その医療機関特有の、いろいろなものも評価しなければいけないということになると、Centralのほうではどれだけ評価できるのかというような議論があって、こんなことになっているのではなかろうかと思いますので、その辺は今後の課題でもあるかなと思います。
○田代構成員 ありがとうございます。
○中西構成員 同じ、Central IRBのことで質問させていただきます。いま実際に治験の中核・拠点病院等でCentral IRBを活用しておられる所はもうかなりあるのですか。
○川口構成員 いくつかあると聞いております。
○中西構成員 クリニック治験等については、もうそれは普通にやっていると思うのですけれども、やはりいまお話がありましたように、中核・拠点を含めてかなり難しい治験をする所になってきた場合に、Central IRBを、特に各施設の状況にどう合わせていくかということと、それから、先ほど話がありましたように、クオリティの維持というのが私たちも非常に難しいと思っておりまして、その辺りのところの課題について是非、協議が必要だと思っております。
○矢崎座長 ありがとうございます。最後の質問をお願いします。
○山本構成員 このアンケートの結果で、このとおりだというお話だったのですけれど、このとおりではちょっとよくわからないので、もっとはっきり、ここまで望んでいたけれどできていなかったとか、積み残された課題、ここを直して欲しいとか、是非、もっと厳しいご意見をいただきたいのですけれども。
○矢崎座長 先ほど申し上げたように、川口構成員は大変マイルドで。ただ、データそのものは、やはり厳しいデータが示されているので。
○川口構成員 私も機会があるごとに、そういう発言をさせていただきたいと思いますけれども、取り敢えずの傾向としてお示しました。というのは、細かいことを言い出すと、きりがなくて、バックグラウンドも正確に理解しないと間違った評価になってしまうかなとも思っておりますので、その辺は是非、いろいろと意見交換を今後進めさせていただきたいと思います。
○矢崎座長 今後の課題で厳しいご意見をいただきたいと思います。それでは、楠岡構成員からお願いします。
○楠岡構成員 私のほうからは、今後の臨床研究を活性化していくための課題ということで、特に、臨床研究全般から見た課題についてお話をさせていただきたいと思います。
 お手元の資料スライド2にありますように、本日は、釈迦に説法ではありますけれども、臨床研究の必要性をもう一度見直すこと、それから、過去の取り組みの結果がいまどのような状況になっているか、現在日本での臨床研究の実施状況、最後に今後の課題ということでお話させていただきたいと思っております。
 3枚目です。1.「臨床研究の必要性」としては大きく2つの点が従来より指摘されています。1)は、新規の化合物あるいは機器を市場に出すためのいわゆる治験であって、この必要性は明らかです。2)は、現在の医療は、ほとんどがいわゆるEBM、Evidence-Based Medicineに基づいて行われています。EBMを実施するためには、まずその基となりますEvidence、根拠になるものがないといけないわけでありまして、根拠を生成するためには、やはり臨床試験が必要となってまいります。右側に四角で囲っていますのは、アメリカのAgency for Health Care Policy and Researchという機関が出している、科学的根拠の種類、即ちEvidenceとしてどれぐらい強いかのグレード分けをした表であります。無作為化試験、ランダム化された試験、あるいはそのメタアナリシスがいちばん信頼性の高いデータであって、その下に、ランダム化していないけれども比較が行われている試験があります。その後いくつかありまして、専門委員会の報告とか権威者の臨床経験というような主観的なものは、どちらかというとあまりウェイトの高くないデータという取扱いになっております。こういうことを見ますと、Evidenceを構築していくためには、やはり臨床試験が必要になってまいります。
 ところで、日本ではいま、いろいろな疾患の治療等に関するガイドラインが作られております。ガイドライン医療がEBMというわけではないのですが、いろいろな学会でガイドラインを作るときにいつも遭遇する問題は、日本でのデータがないということで、ランダム化された臨床試験のデータ、この右でいう1a、1bに相当するものは、ほとんど海外データで、クラス2とか3になってはじめて日本のデータが出てくる。この比率は現在かなり改善されてはおりますけれども、日本での日本人に基づいたデータがないというのが、大きな問題になっている現状がございます。
 2.「過去の取り組みの結果」としまして、治験におきましては、先ほど川口構成員からもご指摘がありましたように、質・スピード・費用に関しまして、新たな治験活性化5ヵ年計画等もあって、かなり改善している状況にあります。しかしながら、臨床研究、特に臨床試験を見てみますと、必ずしもそういう状況にはなっていないところがあります。右は、製薬協が出しているデータでありますが、基礎研究と臨床研究に分けて、いわゆる一流雑誌にどれぐらいのペーパーが出ているかをまとめたものです。基礎研究のほう、『Nature』とか『Science』には、日本は常に第3位の地位を示していますけれども、この表にありますように、臨床研究、『New England Journal of Medicine』とか『Lancet』を見ますと、日本発の論文数は、最近のところずっと12位とか、近々のデータは18位でありまして、既に中国に抜かされていて、間もなく韓国にも抜かされるのではないかという状況です。数だけが問題ではないとは思われますけれども、やはり臨床研究が日本でなかなか進んでいないことを示している状況かと思います。臨床研究の進まない理由としましては、研究者の育成あるいは支援体制がなかなかできていないこと。それから、臨床研究というのは、一般診療とかなり密接に関連するところですけれども、日本には保険診療という世界に冠たるいいシステムがあるがために、逆になかなか臨床研究との整合性が取りにくいところがある。特に、臨床試験を保険診療の中でやっていくことに関しましては、最近になって高度医療評価制度というものができまして、未承認薬等を保険診療の中に使うという混合診療も一部認めるような形ができておりますけれども、まだそれはごく一部のところです。研究者が臨床試験を行う場合に、保険診療との兼ね合わせをどうするかは、非常に具体的な問題になっております。実際、医療機関におきましても、承認薬であったとしても、それを研究的に使う場合には、その費用は誰が負担するのか、要するに、保険の中で賄うのか、それとも研究者が全額を負担するのかというところは、非常に悩ましい問題となっていて、この辺の整理もまだ十分できていないということであります。それから、もちろん国民の方々への普及啓発もまだまだ不十分である状況がございます。
 3.に、現在の「臨床研究の実施状況」です。実はこのデータを取るのも結構、日本は大変です。いま日本で実施されている臨床研究の数を把握しようとしますと、なかなかそのデータがない状況です。最近、WHOやあるいは一流雑誌のエディター協会等から、特に介入のある臨床試験に関しましては、事前に登録をすることが義務付けられております。日本における臨床研究に関する倫理指針でも、この議務を求めております。その中で、いま日本では3つほど登録サイトがあります。アメリカの場合はClinical Trial.govという、これも臨床研究の登録サイトがあります。
 そこで登録されている数をざっと見たものが、4枚目のスライドです。1、日本で実施されている第1-3相の製薬企業の研究費によらない、要するに、医師が自主的に行っているような臨床試験の数の推移でありますが、これは、UMINとClinical Trial.govと日医のデータベースを合わせたデータで、東大の小野先生からの提供によるものです。ここで見ていただけますように、大体、年間300から500の間に留まる。徐々には増えておりますけれども、これぐらいの数字になっています。ただ、日本の登録サイトは、最終的には保健医療科学院がポータルサイトで、そこで検索できるのでありますが、相別や、あるいは費用負担を誰がしているかということは、実は検索は簡単にできません。登録内容全部を見なければわからないという状況なので、その中身まではよくわからない状況になっております。
 一方2、アメリカのClinical Trial.govは相別や費用負担に関しても検索が容易ですので、これを使いまして状況を見てみます。2008年1月から2011年9月までに登録されたデータで見ますと、日本からは964件、それに対して、アメリカでは19,497件が登録されています。日本の研究は日本のサイトに登録すればいいわけで、わざわざこのアメリカのサイトに登録する必要はありませんので、そういうバイアスは掛かっておりますけれども、状況としてはこのような状況です。相別で見ますと、アメリカの場合は、1相、2相の、非常に早期の研究が全体の3分の2を占めているのに対しまして、日本の場合は、1相、2相で半分ぐらいで、どちらかというと3相の検証的な研究が大きな部分を占める傾向があります。
 右側3は、これをさらに、費用負担が企業、即ち治験で行われているのか、あるいは公費、アメリカの場合はほとんどがNIH等のグラントでありますけれども、これで行われているかを見たものです。日本の場合は、企業が積極的に登録していることもあるのでしょうけれども、数の比率で見ますと、企業のほうが圧倒的に多い。内訳を見ますと、1、2相が企業では半分ぐらいで、3相が残り半分ぐらいを占める状況になっています。一方、日本でも公費で行われている分に関しましては、早期の部分が多いのと、それから、4相、即ち既に承認された薬や機器を使ったものも4分の1程度を占める状況になっております。アメリカのほうは、同じようなことで見ますと、企業と公費の比が3対2ぐらいになっていますので、かなり公費で行われる研究も多い。その分布としましては、企業と行うものと公費で行うものに、あまり大きな差はない状況になっております。
 次は、実際に登録されている研究の数だけではなくて、ほかのファクターから評価をしたものであります。いま、臨床研究に関する倫理指針におきましては、介入研究を行う場合には補償をすることを求めておりまして、その中で、経済的な補償として、補償保険の契約をするようにと指導されております。この補償保険の件数を問い合わせてみた結果がこの数字です。平成21年、これは補償保険が発売された初年度でありますが、このときで契約数が150件程度。平成22年、昨年におきましては、大体400件程度という状況になっております。先ほどの、国内で実施されている件数に比べまして、補償保険の数は少ないのでありますが、これは、補償保険が結べる範囲に制限があり、例えば抗がん剤を使う研究は、保険会社が引き受けないということもありますので、このような数字になっているかと思われます。
 5です。臨床研究を審査する倫理審査委員会は登録が義務付けられています。この登録されている数を調べてみますと、平成21年度で739件、平成22年度が1,110件になっています。この数は、いま共同IRBの話がありましたけれども、1研究機関が1つのIRBを持って臨床研究を行っているというのが現状でありますので、実際に臨床研究を行っている医療機関の数が平成22年度で1,110箇所と思われます。報告施設を見ますと、もちろん大学病院も登録しておりますが、開業医の先生でも登録されている所がありますので、かなり実施している数を反映しているのではないかと思います。
 6です。今度は被験者保護の観点から見てみます。被験者保護の基本はヘルシンキ宣言です。ただ、日本では、ヘルシンキ宣言に基づく被験者の法的な保護は、治験にのみ適応されていて、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令、いわゆる省令GCPが法律となっています。医薬品のみならず、医療機器に関しても同様のGCPがあります。それ以外の部分、即ち、医師等が自主的に行う研究に関しましては全部、倫理指針の段階であります。しかも、その倫理指針が、ここにありますように、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針等、非常に細かく分かれていまして、それぞれの研究がどの範疇に入るかによって、取扱いも若干変わるようなことがあります。例えば、この倫理指針の根幹である倫理審査委員会の構成に関しましても、指針ごとで差があるような状況がございます。
 7です。これは日本医師会がサポートしている研究班で、医師主導治験の事務局の業務に関して、昨年、笠井さんが分析されたデータです。細かく書かれておりますが、要は、医師主導治験という、臨床研究の中でも比較的お金等に関して恵まれていて、しかもGCPがかかって、かなり質を求められているようなものに関しましても、例えば、いちばん上にあります治験調整事務局、これは研究全体の調整を行う所でも、そこで働いている担当者は3人ぐらいしかいないような状況です。データのモニタリング等に関しても、自主的に行うにはかなり苦しい状況であることが、この分析から伺えると思います。下に、矢印のところでまとめておりますが、人材不足である、経験値が不足である、事務局が非常に多忙である。研究費が不十分で補償とか環境整備にまだ不足がある状況がうかがわれます。
 8に、研究費の問題です。これはたまたま、このまとめをしている最中に日本医師会治験促進センターのニュースが出まして、この下にありますけれども、医師主導治験の募集を今年度は予算がなくなったので停止するということです。要するに、医師主導治験を行いたいという方があったとしても研究費が賄えないような状況が実際に起こっていることが出ています。ですから、研究費もある程度ふんだんに使える状況がないと、せっかく進めようと思ってもなかなか進まない状況があります。
 以上のような点を踏まえて4.今後の課題であります。これはあくまでも私の考えでございます。まず1)、臨床研究の方向性、重点化の領域であります。1つは、早期探索やTranslational Researchの方向、これはいまも進んでいる方向であります。もう1点は、市販後臨床研究、いわゆる治療研究といわれている分野です。即ち、治験のような検証的研究の場合は、どちらかというと、かなり制約された環境下で行われている研究であるのに対して、実際に市販されてみますと、バックグラウンドの違ういろいろな患者さんに使いますから、いわゆるreal worldの評価が必要になります。この評価が必ずしも臨床試験の結果とは一致するとは限らないというのは、あちこちで指摘されるとおりです。したがいまして、こういうreal worldの評価を行えるような体制も、併せて考えていく必要があるのではないかということです。
 2)の人材育成の問題は従来から指摘されているとおりで、研究者、特に内科、外科の臨床家が同時に研究者であるような、Physician Scientistというような人たちがやはり必要でありますし、それを支援するCRC、データマネージャー、生物統計家が必要です。また、研究を進めるにあたっては、実施に研究に携わる方だけではなくて、全体をマネージメントする人たちも必要で、いまプロジェクトマネージメントをするとか、そこで出てくる知財の管理をするという人が、なかなかいらっしゃらないのが現状です。それから、倫理の問題は当然ありますし、利益相反の問題も、倫理にもかかわる大きな問題でありますので、この辺のマネージメントをする人材も、今後必要になってくるであろうと考えられます。
 3)は、先ほど申しました研究資金です。いま、研究費、特に厚生労働科学研究費は基礎的研究から臨床研究へとかなり大きくシフトしておりますけれども、まだまだ十分ではないということ。それから、欧米ではいろいろな民間の財団が、臨床研究を支援する形になっておりますけれども、日本ではなかなかそういう支援財団が十分にないので、いろいろな方法で支援財団の育成も考えていく必要もあるのではないか。民間から少しサポートもいただくということです。
 4)です。とは言っても資源が非常に限られているのは実状でありますので、それをいかに有効活用するかであります。研究費に関しましても、いろいろな省庁からいろいろな研究費が出ていて、それが十分うまく活用されていない可能性もあります。アメリカのNIHのように、Funding Agencyを一本化して無駄をなるだけ少なくする、あるいは重点的なところへ配分ができるような形を考える必要があります。それから、いまデータセンターがあちこちで作られていますけれども、データセンターはただ単にコンピュータがあればいいわけではなくて、データをマネージメントする人材や解析する生物統計家が必要になります。しかし、こういう人たちが足りない現状ですので、やたらとデータセンターを作っても人がいない状況になりますので、やはり、共用データセンターを作っていく必要があるのではないか。3番目は、先ほど出ました共同IRBの問題です。共同IRBということで何でもかんでも引き受ける形になりますと、先ほどご指摘がありましたように質の問題が出てまいります。1つの考え方として、分野ごとに特定のIRBへ集中させる。例えば、循環器疾患に関してはこのIRBが主に中心に行う、脳神経の疾患に関してはこちらが行うというような、特定の所で審議していただくことで、質を担保するという考え方も必要になってくるのではないかと思います。
 それから、疾患レジストリーに関しましては、従来、治験では患者さんのレジストリーという話がありますが、real worldでは実際にどんな疾患がどれぐらいあってどういう治療を受けているかのデータも実際にはない所が多いので、こういう疾患レジストリーもやはり作っていく必要があるかと思います。現在、DPCで少しそれに似たようなもののデータが取れるようにはなっておりますけれども、まだまだ不完全ですので、疾患レジストリーに関する検討も必要です。
 5)は、先ほど申しました、健康保険制度との整合性で、いまの高度医療制度をもう少し臨床研究の実態に合わせて、使いやすい形にできないかということ。それから、治験の問題として、実はいま、生活保護者が治験を受けられないという問題がありますが、これも問題がありますので、早急に解決する必要があると思います。
 6)は被験者の保護です。臨床試験の場合、被験者の保護が非常に大きな問題であります。先ほど来、申し上げましたように、倫理指針が非常に複雑化しているものを整理、統一化することが必要でありますし、場合によってはGCPだけではなく、下にあります、アメリカのNational Research Actのような、ある程度、法律として被験者保護を考える段階に既にあるのではないかということです。それから、IND制度というのは、未承認薬とか機器を使う場合のアメリカの制度でありますが、日本では治験のときだけが届出がなされていて、一般の臨床研究で行う場合は届出が曖昧なまま、なされている現状があります。それが、ある意味、被験者に対して危険性をもたらす可能性がありますので、このような届出制度をきっちりと構築し。その代り、届出をすればいろいろなことができるような環境を作るということです。このIND制度は、その下に、Warning letterとかNIDPOEなどがありますが、違反がありますとFDAの査察があって、警告が発せられ、それに従わない場合は、INDに関する資格を停止することがあります。ですから、一般診療を行う医師としての資格は停止されないのですけれども、研究には携われなくなるような、厳しい制度がありますが、それによって被験者保護が行われている現状がございます。
 被験者保護としては補償の問題でありますが、補償保険には限界があります。それは経済的補償としての問題ですから、もちろん、経済的補償以外の、非経済的な補償に関しても十分検討する必要があります。
 3は、啓発・普及であります。治験ですと、しばしば患者さんのみを対象としたようなことがございますけれども、やはり患者さんだけではなく、健康な人も将来いつ患者さんとなって、研究に協力いただかないといけないかもしれませんので、そういう意味で、対象をもっと広げることと、より有効な方法を考える必要があるかと思います。アンケート調査などをしますと、国民の多くの方は信頼されるメディアから提供される情報を非常に期待している。テレビのバラエティーショーなどで提供されているものは確かに面白おかしく見ているけれども、必ずしもそれを信用しているのではないというようなアンケートデータも出ていますので、しっかりしたところが、こういう情報を提供する方法も必要であるかと思います。ただ、その場合、やはり費用の問題も残りますので、これをどう解決していくかということがあります。
 7)です。やはりインセンティブがなければ研究というのは進まないわけで、これまで研究を実施・担当する者のインセンティブとか、あるいは、参加していただく被験者のインセンティブは言われております。ただ問題は、やりたくないし、加わりたくないような研究でも、社会的あるいは公益的側面から、やはりやらなければいけないものも存在します。その場合に、これを強制するわけにはいかないのですから、そのような研究に関してどういうインセンティブを付けていくかということも、一つ考えておかなければならない。それから、産業界のインセンティブもかなり大事で、ある意味、治験だけではなく臨床研究全般にも、ある程度、産業界のインセンティブがあれば、先ほどのFunding Agencyのようなもので参加もいただけるのではないかと思います。
 最後に、8)ICTの利用です。これも、ただ単にデータのやり取りだけではなくて、もう少し広い、啓発・啓蒙に関する問題もありますし、それから、いま遠隔で診療等を行うことが可能になっておりますので、そういうものを利用したような臨床研究などもこれから考えられるのではないかということです。
 非常に雑駁なまとめになって恐縮でありますけれども、今後の課題としてこういうことが考えられるとして提案させていただきました。以上でございます。
○矢崎座長 非常に広範囲で網羅的でかつ具体的な課題を指摘していただきまして、ありがとうございました。ただ、予定の時間を大幅に過ぎておりますので、申し訳ありませんが、質疑応答はまたにして、中西構成員から、よろしくお願いいたします。
○中西構成員 それでは、がん領域について研究者の立場から、今後、臨床研究を活性化していくための課題について申し上げたいと思います。この手の話になると、最終的にいつも、ヒト・モノ・カネ・ハコという話になるのですけれども、できるだけそういう話をしないようにしたいと思います。基本的には資金は当然、必要なのですけれども、その、どういう出し方をするか、どういう使い方をするかが、まだまだ反省の余地があると思っています。
 もう1つは、現場にいて非常に難しい、非常にハードルが高いと思っていますことは、やはり、規制、指針、あるいは倫理審査の問題でありまして、特にアカデミアの立場におりますと、非常に熾烈な研究争い、あるいは、実際に今後、社会に何を提供できるかを考えてきた場合には、ゲノム医学はどうしても避けることはできません。ものすごい勢いで科学技術が発達していますし、ヒトゲノムの1人分の解析が、もうそれこそ数分でできるような時代になってきた中で、規制や指針がやはりどうしても時代遅れと申しますか、制度疲労しつつあり、指針同士の整合・不整合等が出てきている。この辺りのところが特に重要ではないかと思っています。
 準備しました資料の2頁、下の段です。がんの臨床研究と申しましても、1つは疫学研究を中心とした観察研究、もう1つは臨床試験を中心とした介入研究があると思います。まず、下の段の上段、観察研究の課題を簡単に申し述べたいと思います。観察研究の1つは、いま申し上げましたように、ゲノム医学にどうこれから対応していくかがあると思っています。そういう意味で、様々な法規制やガイドラインが非常にハードルが高いと申しますか、研究の適正な進行に何らかの形で障害になっている感が否めないと、現場で感じております。例えば、個人情報保護法の問題。情報活用をいかにするかについてのガイドラインが未整備ということ。それから、倫理審査につきましては、一つひとつの施設にIRBがあることもありまして、非常にバラバラな審査が出たり、ときには非常に保守的な審査が出てしまう傾向があると思っています。これについては、例えば判断事例のデータベース化をすること等によって、ある意味進歩的な、非常に質の高い倫理委員会の審査基準というものが、出せればいいのではないかと思っています。また、ヒトゲノム遺伝子解析指針につきましても、いまの科学技術とどう整合性を取るかが非常に重要ではないかと思っております。
 もう1つは、大規模な疫学研究。これまでどちらかと言いますと数多くの施設にそこそこの資金が配付されて、疫学研究がやられていたと思いますが、その時代から卒業する時期になったのではないかと思っています。今後、ゲノムを含めた大きな疫学研究をしていくためには、やはり長期的な、なおかつ大規模な疫学研究が必要になってくると思います。これにつきましては、公的資金がどうしても中心になると思いますけれども、現時点ではそれが十分にできない状況であると思っております。
 次に下の段です。早期臨床試験における課題です。1つは、出口戦略なき基礎研究。医学研究の中にはもちろん真実を極めることが中心の基礎研究もあると思いますが、医学そのものが最終的には人の役に立つ実学であることを考えますと、やはり、基礎研究者自身が、これがどういう役に立つかをしっかり考えていただく必要があると思いますし、これは何らかの形の啓発活動が必要だと思います。もう1つは、基礎研究の競争的資金の公募において、ある程度、出口戦略を評価することをしておけば、自ずからそういう方向に誘導できるのではないかと思っております。もう1つ、実は基礎から臨床に回るときの、いわゆる橋渡しの部分でありますけれども、非臨床試験は研究者にとっては、あまり魅力がないこともありまして、なかなか十分にできていない実情があります。また、大学のシーズを企業のほうにライセンスアウトすると申しましても、すべてのものを受け入れてくださっているわけではありませんし、実は非常に光るものがあっても、それが必ずしも世の中に出ない。そういった部分はアカデミアが担当せざるを得ないと思うのですけれども、そこのところに公的資金がある程度配分されれば、より出口戦略に向けて研究が進むのではないかと思います。それと、大学には決定的に開発戦略と知財戦略を担当する人材が不足しております。この配備あるいは育成が重要ではないかと思っています。
 また、下に3つ書いておりますように、国際競争力の低下、国民への新規医薬提供の遅れ、それから、臨床研究の統合・調整する組織の欠如であります。
 国際競争力につきましては、やはり、早期治験についてはファースト・イン・ヒューマン(FIH)ができるものということで、この度、1施設が、がんにつきましてはこれに選ばれましたけれども、国内では少なくとも3施設あるいは5施設程度があるというのが、日本が競争力を持って開発する上で重要ではないかと思っております。
 新規医薬提供の遅れにつきましては、楠岡構成員のご指摘のように、Research IND制度が採用されることによって、研究者も自分たちのやりたい研究をやれる環境、そして、提供したい医薬を早く国民に提供できる機会ができるのではないかと思っております。
 また、統合・調整組織という意味では、アメリカNCIにおけるCTEPのような機関が存在することが、今後重要なことになるかと思っております。
 3頁に移ります。後期臨床試験活性化における問題点、課題を抽出いたしました。課題に書いてございますように、アカデミアにおける臨床研究の過小評価、高コスト、教育と人材育成、国民の理解、基礎研究との連携、公的資金の審査体制、ICH-GCP、支援人材と組織、と書いております。
 まず、アカデミアにおける過小評価。これは簡単ではございません。私自身もアカデミアにいる中で、臨床研究に対する評価は、非常に低いと言わざるを得ない状況が痛感されます。これにつきましては、大学内での改革は、簡単ではないと思っておりますけれども、しかし、やはり人事評価制度への反映を推奨するような、そういう指導が省庁からあるということは、大きいのではないかと思っております。また、臨床試験への公的資金が増加いたしますと、当然これは評価が上がると思っております。
 高コスト。これは非常に難しい問題だと思いますけれども、やはりこれに対する公的資金の配分は、重点配備をせざるを得ないと思っております。その中で、がんに関して言えば、現在、国内には調べた限りでも50ぐらいの臨床試験のグループがあります。しかし、その中で本当にきちんとした臨床試験ができるグループは、数が限られていると思います。そういったグループに重点的な支援、その育成を図ることは重要ではないかと思っております。例えば米国では、SWOG、ECOG、CRGP含めて十数個のグループがありますが、既にこれをNIHの主導で統合することが現在動いています。3ないし4に最終的に統合されます。公的資金あるいはFunding Agencyの存在があれば、いずれはそういう方向に行くのではないかと思っておりまして、わが国においてもきちんとした臨床試験をするグループを作ることと同時に、たくさんある群雄割拠の状態を整理・統合する必要があると思っています。
 教育・人材育成に関しましては、やはり、臨床試験・臨床研究について、まだ学部教育に落とし込まれておりません。これの組み入れが必要ではないかと思っております。国民の理解ですが、これはどんなに医療の現場の人間がそのことを申し上げても、あくまでも当事者です。これは、第三者的な組織、あるいは政府による啓発がないと、なかなかうまくいかないと思っています。基礎研究との連携が十分にいっておりませんけれども、最近の新しい臨床医学の成果は、トランスレーション・リサーチ(TR)や、あるいは、臨床の現場から逆に基礎にいくリバースTR、ここから出ている部分があると思っております。わが国の強みという意味では、基礎研究のレベルは高い。これとリンクすることが、やはり非常に重要なことだと思っておりますし、また、もう一つは、バイオバンクの設置が必要ではないかと思います。これは決して一つの箱を作っていただきたいということではなく、バイオバンクを設置する基準や規制を作っていただければ、恐らく、そこには民間の活力も入ることで、本当に機能するバイオバンクができるのではないかと思っています。
 公的資金につきましては、試験のGCP準拠化、あるいはGCP導入に向けての準備と標準的運用方法に関する研究の支援、これらをすることによって最低限、ICH-GCP下における臨床試験ができるのではないかと思っております。これは、現在わが国が抱える大きな問題だと思っております。近い将来、すべての臨床試験はICH-GCP下に行わざる得ない状況ではないかと思っています。必ず、これにつきましては、大きな問題が、軋轢が生じると思っています。周到な準備が必要だろうと思っています。支援人材と組織も、これに関わることではないかと思っております。そのような中、民間のCROのコストが非常に高いという現実がありますので、AROあるいは医師主導の臨床試験をサポートするようなCRO的機関が必要ではないかと思っております。
 下に書いていますのは、アカデミアにおけるシームレスな開発に必要な機能と臨床研究で、規制組織、推進母体、下支え組織があると思いますが、ようやく大学ではこの推進母体が整いつつある状況ではないかと思っております。にもかかわらず、いちばん右の枠に示していますように、臨床開発、臨床研究に必要な人材、体制、組織の大半は企業治験に関するものを除けば不足しておりまして、その整備が必要ではないかと思っております。
 5頁です。基礎研究から技術移転に至るまで、アカデミアあるいは研究を実際に行う現場が必要としている人材、ここに書いてあるとおりで、充足度、例えば5点満点の大雑把な書き方をしますと、ほとんど足りていないのが現状ではないかと思っております。
 最後に、まとめです。まず、人材につきましては、臨床試験を実施する医師、これはやはりインセンティブで、インセンティブは何かというと人事評価への反映だろうと思っております。また、臨床試験を支援する人材として、CRC、DM、生物統計家。これにつきましても、ある程度は公的資金で、一部のところには設置することができていますけれども、やはりキャリアアップの体制が現時点でないというのが、大きな課題ではないかと思っております。
 研究につきましては、意味のある試験や国際競争力のある試験をする。それに集中的に資金を投入することが必要だと思っております。もう一つ、やはり、わが国の基礎研究の実力を考えますと、競争的資金にPOC study・TRを付加して、基礎との連携を図ること、そして、バイオバンクの設置をすることが重要ではないかと思っております。
 組織につきましては、先ほど申し上げたとおりで、やはり臨床試験を推進するグループにつきましては、ある程度の公的資金のバックアップの下に、集中と選択が必要であると思っております。資金につきましては、COIの問題は非常に頭の痛い問題でありまして、このことに関するある程度、一定のガイドラインがもう少し整備されればいいと思っております。
 最後に、規制の問題です。特にアンダーラインを引いているところで、間もなくわが国でも運用せざるを得ないであろうICH-GCPに対する周到な準備、それが実際に必要になったときの体制整備が必要だと思います。もう一つは、やはり、新しい薬を一刻も早く国民に提供するために、Research INDのような制度が整備されることが望まれると思っております。以上でございます。
○矢崎座長 どうもありがとうございました。がん研究だけではなくて、臨床研究全体に当てはまるポイントをまとめて問題点を指摘されました。ありがとうございました。ご質問は後で論点整理のときにまた議論します。大変恐縮ですけれども、次の山本参考人にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山本参考人 国立循環器病研究センターの山本でございます。医療機器の治験というか、臨床試験についての話をするようにということですが、おそらく医療機器に関してはどういう状況かという、業界の状況からお話ししないと理解できないことが多いので、一応、そういうバックグランドから話をさせていただきます。
 スライドの2つ目です。医薬品と医療機器はかなり違うということを、まずご認識いただきたいと思います。比べていただきますと、医療機器は医薬品に比べて種類は一桁違うぐらいたくさんあります。使用上の留意点も主に道具ですので、上手に使えればうまくいくということなので、医師側が上手に使う必要があります。それから保守管理ですが、例えば、ちまたでAEDがいろいろな所に整備されましたが、何年か経つと、使ってみたら使えなかったということがよくありますが、あれが保守をしない医療機器の典型でありまして、常に使える状態にするためには人手がかかるというものです。
 その品目が10倍以上あるにもかかわらず、市場規模は医薬品よりもかなり小さい。企業規模も、新薬を作っている医薬品のメーカーはかなり大きいなと皆さん思われると思いますが、医療機器の場合は大体7割5分から8割が中小企業というデータが上がっています。製品のライフサイクルも非常に短い、医薬品が10年以上使えるのに比べて、最近はどんどん短くなってきていると思います。保険収載ですが、医薬品のように開発すればそれに必ず保険の点数が付くのではなくて、さまざまな形で付くので、例え良い物を作ったとしても、保険の点数が付かないという場合もありまして、こういうことも医療機器の開発を難しくしている1つの理由だと思います。
 4枚目のスライドは、医機連ですね。日本医療機器産業連合会の加盟団体一覧です。要は医機連というのは連合会であって、別に限られた会社が入っているのではなくて、この医機連の中に、これだけ多種多様な医療機器の業者団体が、さらに下部にあるということなので、これらの一つひとつのところは、たぶん隣同士の機器の団体さんたちは、お互い全く違う世界で生きている。業種、業態も違いますし、やっていることも違う。それを全部まとめているのが医機連ということで、製薬協に比べると非常に多種多様であるというところも、業界の意見がまとまりにくいのも、こういうものがバックグラウンドにあるのではないかと思います。
 5枚目ですが、医療機器はクラス分類がありまして、リスクと整合性をとる形で、クラス1〜4まであります。この中で製造販売の承認が認証という届出認証、それから承認というようになっていますので、クラス2の一部とクラス4が承認。承認が必要ということは、つまりPMDAで審査が必要ということです。届出とか自己認証とかいうものはPMDAでは見ていないことになります。さらに承認が必要ですが、必ずしも治験をするわけではないという場合もありますので、必ず治験をするものというのは、本当にクラス2の一部とクラス4ぐらいです。
 6枚目です。結局開発のときどうなるかというと、圧倒的多数の医療機器は、実は治験は不要である。治験をやっているものはここの中のごく一部に過ぎません。考えていただいたらわかると思いますが、医薬品が1相〜3相というように段階的に進むのに比べて、医療機器は使ってみていいか悪いかという話なので、相という考え方もございません。その下の所は実施する所での違いを示しています。
 7枚目のスライドにまいりますが、こういうバックグラウンドを反映してだと思いますが、この依頼者さんの特徴は、私の個人的な意見・経験に基づいた、私とうちのCRCさんたちの個人的な意見ですが、やはり依頼者の多くは治験の経験がない、あるいは少ししかしたことがないので、ノウハウが企業側にもあまりないです。会社規模が小さいので、開発担当を恒常的にやっている部署というのが、ない場合のほうが多いです。例えば、この1つの医療機器だけを最初から開発しているベンチャー企業とかもございます。さらに生物統計家で医療機器開発の経験のある方というのは、ほとんど皆無という状況でして、要は医薬品と比べて医療機器の場合は、依頼者自体が臨床開発の「素人」なので、依頼者に考えさせておけば、それで何かいいものが出てくるということではない。ですから、使う医者と依頼者が一緒になって考えていかないと、何も進んでいかないという状況にございます。その下に製品の「寿命」を見せていますが、大体医療機器の間隔というライフサイクルはこんなものです。車は例えば5年、10年乗られる方もあると思いますが、モデルチェンジは2年おきぐらいにされます。医療機器というのは数年単位でモデルチェンジがされていくものです。
 9枚目に改良の1例を出しています。これは先に欧米で通って、2010年に日本でついに承認された脳梗塞の発症8時間以内に血管内治療で血栓を取ってくるというデバイスです。非常にリスクの高いデバイスですが、結果的にはこれは欧米で臨床データがあるので国内治験をせずに通っています。これは見ていただくとXシリーズ、Lシリーズ、Vシリーズとありまして、CEマークですね。EU、欧州でまず2002年にXシリーズとLシリーズが通っていまして、跡を追うように米国で2004年にXシリーズ、2007年にLシリーズと、そして最新のVシリーズは2008年に通っています。つまり数年単位で改良して通っていっているわけです。
 国内は今回は幸いというか最新のVシリーズが2010年に通った形になっています。何が違うかというと、上にサイズとかが少し違うと書いていますが、その下を見ていただくと、要はこの製品の機能は先に金属のクルクルと巻いたワイヤのところに血栓を引っかけて、ズズズーと引張り出してくるので、要はいかにうまく血栓を引っかけて取ってくるかというところが機能なのです。結局何を変えたかというと、このXシリーズ、Lシリーズ、Vシリーズのカテーテルのいちばん先のワイヤの形状を少しずつ変えて、少しでも血栓を取りやすいようにしている。それを数年ごとに変えて出しているということです。本当にそういう小さな改良を積み重ねて新しくなっているということです。
 11枚目ですが、これがうまく承認と改良のタイミングが合わないと、こういう実例が出るということです。これは日本で初めて承認された植込み型の補助人工心臓のエピソードですが、国内では第1世代が承認されたのですが、少しそれが遅れていまして、結果的には海外ではもう第4世代に移行してしまった。第4世代に移行したところあたりで、第1世代のバッテリは環境負荷等の問題で、バッテリが変わってまいまして、海外から見たら、もう10年前の機種なので、いまさらバッテリは供給しないということになって、結局、国内の第1世代の機器は承認はされているけれども、もうバッテリがないよということで使用不能になってしまった。これで数年間植込み型のLVASが日本で事実上なくなってしまって、それから数年遅れて、ようやく2機種が承認されたということです。
 あと、医療機器の治験の開発費用なのですが、これ続く2枚はこの治験活性化5カ年計画の中間検討会のときに、医機連さんが提出されたものですが、12枚目のスライドのいちばん下を見ていただくといいのですが、医療機器の治験の場合は1本で1億〜数億ぐらい。1億を超えると、医療機器の治験ではものすごい大型治験という感じになってしまいます。これは医薬品の治験からいうと、大体10分の1ぐらいのコストになっていまして、そういう状況で医療機器の治験は動いている。つまり、中小企業でモデルチェンジが早くて、端的に言うと、1つのシリーズでどれだけ稼げるかどうかわからないということで、そこから翻って、開発にあまりお金がかけられないという事情があります。本当にこの数億を捻出するのに四苦八苦している状況です。ですから医薬品と同じような精度で、同じような規模のものを求めても、医療機器の治験は、そこでストップしてしまうという現実がございます。
 あと2、3枚はうちの治験の状況というか、現場での問題ですが、14枚目は、クラス3、クラス4が治験になりますので、ほとんどが体内で使用されるものになります。ただ植込むだけではなくて、中で植込んだ上でさらに稼動するもの、駆動型というものもあります。どれを見てもやはりリスクは非常に高い。使われる患者さんも非常に重篤な方が多いことになります。
 15枚目、植込みタイプの機器が多いということで、植込みタイプはいまどうなっているかというと、大体使ってから6カ月ぐらいで承認申請用データを取りますが、そのあとは大体5年間ぐらいの長期安全性試験が課せられていまして、少なくとも承認されるまでは継続的に治験をする。承認後は製造販売後の調査という形で、さらに長期のデータを取る。患者さんとしては、これが承認されればいいのですが、もし承認されなかったら未承認の機器が体の中に残ってしまう状況になります。
 16枚目ですが、植込みの機器を普通の医薬品の治験のように、いつでもやめていいですよと言って説明をすると、後に非常にトラブルになるということで、一旦治験を、例えば患者さんのご希望で中止したとしても、機器は残りますのでメンテナンスが発生します。そのときに、例えば保険上何か治療費が発生したときに、ただの未承認の医療機器に対する治療費が保険上どう扱われるかということは、未だに不明です。
 17枚目の治験デザインですが、これはやはり、医療機器の治験での依頼者の経済的負担を軽くするという目的があるのだと思いますが、医療機器を使う日の前後7日間だけの検査、画像診断料を依頼者が負担するというように、医療機器の治験では保険外併用療養費の考え方がそうなっています。ただ、これは単発使用であればいいのですが、植込んでそのまま残るものについては、結局その検査はずうっと続いたりして観察は続きますので、そこでかかってくる費用をどうするかということで、現実的には、医療機関と依頼者がこの費用をどちらがどういうふうに負担するかを個別に検討をして決めているのが現状です。
 まとめですが、医療機器業界というのは非常に規模が小さい、臨床開発経費もかなり小額しかかけられないという現状があるということです。医薬品と医療機器を比べていただくと、医療機器というのはどちらかというとパソコンとかテレビとか自動車とかいうものを思い浮かべていただいたほうがいい。工業製品に近いというか、工業製品の一部だと思います。治験をしているものは圧倒的に少数なので、あまり治験というやり方自体にあまり慣れていないし、臨床開発のデザインとか手法も、あまりソフィスティケートされていないというのが現状です。では、その治験が不要だったらどうするか。ただ、治験が不要でもやはり何らかの臨床データを取りたいという企業が多いので、その場合には未承認の医療機器ということになります。あるいは、例えば治験で途中で同意撤回をされて、治験からドロップアウトした方、そういう未承認機器が、保険の中でどういうふうに扱われるかというところの整合性がまるでとれていないので、先ほど楠岡先生からもございましたが、これは現場では大問題で、ここのところの臨床試験が進まない1つの理由にもなっています。
 それから保険外併用療養費の問題もありますし、薬事法とかGCPとか、保険もそうですが、基本的に先行している医薬品開発に非常に整合性が高くなっているので、結果として、その中で医療機器の治験、臨床試験をしようとすると実態と乖離していて、現場で非常に困るとか、混乱するとかいう状況が起こっているのが現状です。以上でございます。
○矢崎座長 どうもありがとうございました。医薬品の治験と違った医療機器の治験の特性とか問題点を、大変わかりやすくまとめていただきまして、大変ありがとうございました。以上お話をお伺いした上で、資料5にあります検討のための論点整理を事務局からいたしました。おそらくこの内容は、今日いただいたご意見の内容も十分加味しながら作成したというふうに理解していますが、事務局から一応説明していただいて、先ほどのプレゼンテーションを含めた質疑応答をこのあとさせていただきたいと思いますので、資料5の説明を事務局からお願いします。
○研究開発振興課治験推進指導官 事務局から資料5を説明いたします。第1回の会議でも臨床研究・治験活性化に関する検討のための論点案を提出させていただきましたが、前回のご議論を踏まえて追加修正いたしました。今回の検討となる3つの柱、1.「9年間の活性化計画を踏まえたさらなる飛躍と自立」。2.「イノベーション」。3.「復興に向けた取組み」というところは変わっていませんが、1.の(2)で具体的な項目を挙げております。また、2.の(1)についても整理いたしました。3.の部分は楠岡構成員が主任研究者を務める平成23年度厚生労働科学研究補助金指定型研究「東日本大震災が治験等に及ぼした影響の調査と今後の対策に関する研究」が行われており、その結果をこの検討会でもご報告いただき報告書に盛り込む予定としております。以上です。
○矢崎座長 この論点整理は前回いただいたご意見を含めながら、今日4人の先生方からご意見をいただきましたが、それを含めて、今後これをより良き論点整理に持っていきたい、あるいはこれを今後の方針の基盤になるようなまとめを作っていきたいと思います。是非、今日ご発表いただいた先生方、さらには委員の先生方からご意見をいただければ大変有難いと思います。まず、楠岡先生を含めて3人の方々からご意見をいただきましたが、それについて、皆様方からご意見とかコメントがございますでしょうか。よろしいでしょうか。それではこの論点について今後どういうふうに進めていったらいいかということも含めて、ご意見をいただければと思います。当初は検討会のスケジュール案にありますように、必要に応じてワーキンググループを開催するということにしておりましたが、本日いただいた意見を含めて、論点をさらにまとめていきまして、具体的な方向性を定めるほうが、ポスト5カ年計画に一貫性を持つことができるのではないか。この委員の先生方を中心に意見をまとめて作ったほうが、一貫性が保てるのではないかということも考えまして、この委員会でしっかり検討していただいて、今後の進め方をまとめていきたいと思っております。
○川口構成員 先ほど中西先生のお話にもありましたように、なぜ臨床研究というものが発展していかないのかとか、そこのところがしっかりしていかないと、せっかくのいろいろなシーズも活かされていかないのではないか。医療機関や大学にお伺いして、基礎研究部門と臨床部門の両方を持ち合わせている所ですら、その連携がうまくいっていない。この辺がしっかりできるようにと思って、たぶん早期探索的なところに力点を置きましょうという話になってきたかと思うのですが、そういうところが解決していかないと、なかなか治験にまで及んでこないというふうに感じるのですが、先生何かお考えがありますでしょうか。
○中西構成員 ご質問ありがとうございます。おっしゃるとおりです。私自身、橋渡しの拠点事業に関わるようになって、特に痛感しておりますが、1つはまず基礎研究者、大学は論文主義なものですから、論文を作ればそれでいいというような認識の方が多い。そうしますと、結局、いま知財の確保とか、それからどういう方向に出口戦略をもっていくかというところについてのアドバイスが、全くない状況がありました。それがまず第1点。
 その場合の知財に関しては、多くの大学は知財本部が作られていますが、残念なことに、多くの知財本部にバイオ系の知財の専門家はあまりおりません。したがって、特許の話があったとしても、どうもそれがうまく活用されない状況、あるいはその企業とのマッチングがうまくいかない状況があった。一方、臨床側のサイドからしますと、基礎の先生がなさることと、臨床の現場でやることとの間の乖離、特にいわゆる非臨床試験をやられていない。あるいはその間の、いわゆる基礎的なところでのPOCstudyをやるところがないという状況で、連携をしようとしても、なかなかそこまで手が届かなかった現実があったと思います。
 ただ、これにつきましては、おそらく橋渡し研究拠点事業ですとか、あるいは早期探索型の治験の事業等が、その間を埋めるような制度になってきたのではないかと思っています。ですから、私自身は今後は必ずそちらに行くのではないかと思います。ただし、それでも問題点は2つあると私は思っていまして、1つは人材、知財、薬事、開発戦略、それから生物統計等の専門家がまだ十分いないし、育成のシステムがないということ。もう1つは、臨床サイドからしますと、やはり臨床サイドもどうしても成果主義という論文主義なものですから、臨床研究、臨床治験からはなかなか手柄が取りにくい。つまり、基礎研究ですと、5人ぐらいのチームでいい論文が出て、ファーストオーサーが取れるのですが、臨床研究となりますと、やはり100人、1,000人の単位になってまいります。ですから臨床研究、しかもそれが非常に優れた研究になったときに、それをどう評価するかという評価のあり方にまで踏み込まないと、大学の中では、それが十分評価につながらないのではないかと思っています。以上でございます。
○矢崎座長 そうですね。人材育成と言っても、いま言われたような連携と評価、臨床研究をどう評価してキャリアパスにつなげるかという、何かそういうパスがないと、なかなか人材も育成できないということがございますね。そういうことも今後の問題として、やはり活性化には重要な課題だということで入れていくことにしたいと思います。ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。
○渡邊構成員 ネットワークについてですが、これまで国の資源とか資金は、中核・拠点病院にしても、ほとんど医療機関別、箱物別に投下されてきたと思うのです。先ほど中西先生がご指摘なさったように、今後は各疾患別の専門医集団のネットワーク形成、そういうところにも、もう少し資源を配分していただければ有難いと思います。特にそのときに非常にモデルになるだろうというのが、オーファン疾患ではないでしょうか。オーファン疾患の場合には、担当する先生方も限られていて、先生同士がよく見知っている状況だと思います。さらに特定疾患の場合には毎年、担当医が特定調査個人票を記載しますが、その情報が、なかなかうまく活かされていないという現実もあります。ですから、臨床研究や新薬開発に資するレジストリーにしても、オーファン疾患をきっかけにというか、モデルにして、レジストリーシステムを構築し、その情報を活用して、専門医集団のネットワークから臨床研究を発展させるというあり方を是非考えていただければ有難いと思います。
○矢崎座長 どうもありがとうございました。症例集積性の向上ということも含めて、前回、話題になったように、我が国は大学病院と言っても、800床とか700床で比較的スケールが小さい。韓国とかアメリカもハーバードなんてMGHとかベスイスラエルとか、1,000床規模のアフィリエイトホスピタルを5つも6つも持っているので、極めて効率的に治験しやすい。日本は、先ほど保険制度とか医療制度の問題点がありましたが、やはりそういうスケールメリットが我が国では望めないので、そういうものをどう構築していくか。IT技術のさらなる活用の中にそれが入るのだと思いますが、ITだけネットワークを整備しても、やはり症例の集積性というのは、先ほど川口構成員から示されたように、集積性がそういう意味でのスピードが悪い。一方では前回問題になった国民側から見た、患者側から見た治験の進め方を、もう少しわかりやすく進めてほしいというようなご希望もありました。少し広い視野からご議論をいただければ、大変有難いと思いますが、いかがでしょうか。
○塩村構成員 楠岡先生のご説明の中で、研究費の不足を挙げられておられました。また、中西先生のご説明でも研究費の不足ということが挙げられていて、これはもう否めない事実だと思うのです。楠岡先生の中で日本医師会の医師主導治験ことが挙げられていました。オーファンのお話もいまありましたが、オーファンの補助金は法令でオーファン指定を受けた医薬品の開発費の50%を上限とするというようになっていまして、これは従来は30%ぐらい補助していただいたのですが、今年の実績を見るともう20%台に落ち込んでいるのですね。医薬品の開発の方向は難病とかオーファンに向いているので、要はパイがないので1品目あたりでは減ってきているのではないかと思うのです。
 事務局にご質問したいのですが、論点のところの1の(1)で、実施医療機関及び治験依頼者の間で完全自立が可能な体制の構築というのが掲げられていますが、意味がよくわからないのです。これはいわばお金のことを言っておられるのかなとも私は思ったりしたのですが、もう少し噛み砕いてご説明をいただきたいと思います。
 あと経費のことですが、いわゆるヒトとかハコのことがよく論点の中で挙げられているのですが、やはり世の中、カネがないと治験をやりたくてもできないというのは、いままさに楠岡先生のご指摘のところでもありますし、論点として、経費のことについてもう少し触れていただけないかと思います。
○矢崎座長 ありがとうございます。財政的視点からの検討が少し足りないのではないかと、ご指摘だと思いますので、なかなかこれ難しいところですが、これも事務局と相談しながら検討していきたいと思います。そのほかいかがでしょうか。
○塩村構成員 論点1の(1)の意味をもう少し教えていただけないか、と。
○研究開発振興課治験推進指導官 いま塩村構成員からお尋ねがありました1(1)のところの表記について、補足説明をさせていただきたいと思います。この治験に関して実施医療機関および治験依頼者の間で、完全自立が可能な体制の構築についてといいますのは、これまで治験、臨床研究の活性化事業として、全国活性化3カ年計画、それに引き続きまして、いまやっております新たな治験活性化5カ年計画、その間に1年の経過措置もおきまして、合計9年、この治験、臨床研究の、主に治験の基盤整備については、9年間審議をしてまいったところなのですが、今回ポスト5カ年で、さらに治験の基盤整備、これに残された課題(2)でも挙がっていますが、その課題の完全解決に向けた取組みについて、ここでも検討をすると挙げていますが、ここに包括されるような形で、もう次がないですよというぐらいの意気込みで、どちらかというと医療機関もどこかまだ、治験依頼者に依存するところがあるのではないか。あるいは依頼者としてこれからより一層グロローバル治験として、日本がどんどん世界と対等にやっていくためにどうしたらいいかというところを、それぞれしっかり考えて、きちんと自立して、お互いにより推進していきましょうという趣旨で挙げさせていただきました。
○矢崎座長 よろしいですか。先ほどの研究費の問題とか、そういう課題もきちんと挙げておいたほうがいいですね。せっかく医師主導の治験が医師会の下でやられて、それが継続できないというのは、なかなか大変ですよね。
○小原構成員 いまの完全自立の話は、すごく実感するところがあるので発言させていただきます。私は最初7、8年ずっと企業の治験をサポーするCRCをしていまして、いまはそれを全く離れて、研究者主導の臨床研究をサポートするCRCをしていますと、最初いかに依頼者の方に助けていただいて、本当に頼っていたということがすごく実感しています。これはCRCの人材のことの私の意見でもあるのですが、やはり臨床研究にもっとサポートする人たちが増えることで、確実にスキルアップにつながることはあります。ただ現実として、それがなかなか進まないのは、やはり経験を積んだCRCのポジション、キャリアアップの話も最近、何人かの先生に出していただいたのですが、まさにそのとおりですので、例えばもっと高いレベルで資格認定などを出しても、それをちゃんと認めて本当にサラリーまで評価していただけるようなポジションがないと、やはりそういう人たちは育ちにくい。途中で、ほかの道に行かれる方もたくさん知っていますので、是非、今回のこの検討に当たっては、未来をある程度示してあげられるようなキャリアマップを、盛り込みたいと考えています。
○矢崎座長 先ほどおっしゃられた人材の育成で、やはり連携と評価をしっかりシステムを作っていただければ、キャリアパスが。
○小原構成員 いまですと、本当に3年、5年経験を積んでも全く平の、平のというのは言葉が雑ですが、形でステップアップの道が保証されていませんので、それは少しずつ、どこかモデルのような施設を指定してもいいかと思うのですが、もっと拠点病院の要件、努力目標の中にも具体的に盛り込むような形で、やっていく必要があるのではないかと思います。
○楠岡構成員 いまの論点の中で、1つはグローバルの問題、これは治験だけではなくて臨床研究全体が、いまグローバル化しているので、グローバル化に対する対応をどうしていくのかというのが、まだ明瞭に書かれていないようなところがあるかと思います。先ほど川口構成員からのご指摘も、グローバルの対応がやはり中核・拠点、若干遅れているところがある。5カ年計画でも実はグローバルに関しては、その他のところに書いているのですが、その時点ではこれほどグローバル化が進むというのが十分予想できていなくて、見直しのところで、初めてかなりグローバルが進んでいることを認識して、変えないといけないという認識にはなりました。今後ますますグローバル化していくと思われますので、そのグローバル化に対してどうするかというのは、論点の中に1つ必要なのではないか。
 もう1つは私の課題に挙げました健康保険制度との整合性、これは現場では結構大きな問題になっていて、いまは治験に関しては、保険外療養費制度である程度整理がついている。それから、高度医療評価制度に入っているものも、これも整理がついているのですが、それ以外のものに関しては、各医療機関の自主判断でやっているところがあって、先ほど少しIRB間で解釈が異なるということがありましたが、保険診療の取扱いに関しても病院間で解釈が異なったりするようなところがある。これはあまり論ずると、療養担当規則違反をしているのではないかと指摘されてしまうので、あまり突っ込めないところもあるのですが、実際はどう取扱うかのガイドライン的なものを、ある程度示していただかないと、かなり踏み込めない。特に病院の管理側からはそれでは療養担当規則になるのではないかという疑問が出され、ではそれを全部自分で持てるかというと、それだけの経済的な余裕があるかどうかという問題に直接かかわってくるので、そこで足止めになってしまうという事例も実際あります。保険制度との整合性に関して、これは医政局だけではなくて保険局も関わってくる話なのですが、一度きっちり議論をしておく必要があるところではないかと思っております。
○矢崎座長 ありがとうございました。大変重要な点をご指摘いただきました。山本先生。
○山本構成員 3つあるのですが、1つは先ほどの中核・拠点と一般で、一般のほうが成績がいいような所が結構あって、それは中核・拠点が治験をきちんとできるようにするのか、臨床試験、臨床研究をきちんとするようにするのかという話が混在している。おそらく臨床研究には十分力を入れているとかということがあると思うのですが、やはり普及とかでは一緒かもしれませんが、要件とかやることとは違うので、ちょっと混ざってしまっていて、わかりにくくなっているので、治験と臨床研究のどちらも進むようではあるのですが、要件とかもう少し整理したほうがいいように思います。それが1つ目です。
 2つ目は先ほどから出ている研究費のことなのですが、少ないというのは確かにそうだと思うのです。それともう1つは、有効に使われていないと思うのです。それは私の知っている例だけかもしれないのですが、逆に言うとみんなどのように使っているかわかっていないというところもあると思うのです。例えば人件費として使えるようにしていただいたのに、人件費として実際に使われているのかとか、例えば施設の中でもう少し柔軟に、ある研究費で2日間やり、別の研究費で2日間雇いみたいなことができていけば、もう少しCRCさんを臨床研究用に雇用ができるとか、そういう研究費の効率的な利用に関しての調査なり、サゼスチョンなりをちゃんとできるように。それはもっと進むと、こういう臨床研究の研究費はどのように使うべきかということにもつながってくると思うので、まだまだ始まったばかりで慣れていないので、そういうことをやったほうがいいと思います。
 最後は、先ほどCRCさんの雇用の話がありましたが、キャリアパスだけではなくて、いまの研究費で雇用だとか、派遣だとか、その制度とか、生物統計家も含めてですが、もう少し増えるようにする具体的な方策を、もう少し検討したほうがいいのではないかと思います。以上です。
○景山構成員 中西先生にお伺いしたいのですが、治験外の臨床研究を活性化する上で、規制がいかにあるべきかということは、大変重要だと思いますが、先生はICH-GCPを適用したらいいのではないかということをおっしゃいましたが、その理由について2点ほどお伺いしたいのです。
 現行の倫理指針、取り分け臨床研究に関する倫理指針の場合、そこの一体どこがいちばん欠けているとお考えかということ。2点目はJ-GCPも基本的にはICH-GCPに基づいて作られていますが、実際には運用が非常に事細かに決められていますので、現実にこれを治験外の医師主導の研究に適用するとなると、非常に大きな問題を生ずると思いますが、ICH-GCPを適用する場合、その辺の運用をどのように考えていらっしゃるか、その2点について教えていただきたいのです。
○中西構成員 ありがとうございます。まず第一に、実は現場の立場からして私もICH-GCPに準拠すべきなんて言いたくないのです。ただ、やはりいま臨床試験介入研究をやっている国は、みんなICH-GCPに準拠している。日本だけが何となくばれていないから、ICH-GCPをやっていないような状況があるのは間違いないと思っています。私自身、非常に危惧しているのは、臨床系のトップジャーナルがいろいろな意味で新しい要件を要求してきますね。いまでもトップジャーナルに出そうとすると、プロトコールを英語で出さないといけませんし、例えばフルデータを出しなさいみたいな話も出てまいります。そうしますと、やはりICH-GCPを日本もやるという形にしておかないと、場合によっては、日本はそれに掲載されない状況がくるのではないか、非常に危惧しております。
 ただ、闇雲にそれを言いますと、ヨーロッパで起こったように、臨床試験が止まってしまうというような環境もあると思いますから、ここはやはり周到な準備と協議が必要だと思っています。そこで必要といいますか、どうしても私たちが欠けているのは、1つは医師主導の臨床試験の場合には、ドキュメントがありません。CRFだけでやっています。したがって、改めてデータを調べ直そうとするときには、もうCRFでオンサイドビジッドで見る以外に方法がないので、信頼性という意味で、どうしても十分ではありません。それからSOPが整えられていませんので、その辺りを全部やっていく必要がある。つまり、各施設、各施設すべてのことについてSOPを作ってドキュメントをとっていく必要がありますので、かなりコストがかかります。
 そして、現時点ではCROのサポートなしにそれをするとなると、かなり厳しい状況ではないかと思っています。したがって、こういう医師主導の臨床試験をサポートするような、比較的安価で受けるようなCRO、若しくはアカデミアそのものがそれを持つAROみたいなのがないと、動かなくなる恐れがあると思います。
 もう1つは、J-GCPの問題ですが、私自身も法の精神はICH-GCPと変わらないと思っています。ただ、非常に不幸なことに、J-GCPはいろいろな方々の経験の蓄積の結果、非常に運用が難しくて、しかもオーバークォリテイが求められるようになっています。あえてそこでJ-GCPと言ってしまいますと、本当にすべて医師主導治験という話になってしまいそうな気がします。ICH-GCPと私が申し上げているのは、クォリテイもグローバル化していただきたいという気持ちからです。法の精神としては同じものだと思いますが、運用については私はオーバークォリティを求めると、かえって本来私たちが届けるべきエビデンスを国民に届けられなくなると思います。以上の点がいま私が感じるところです。
○景山構成員 ほぼ同じような認識で、GCPは言うまでもなく被験者の保護と、もう1つは治験の臨床試験の質の保証ということをしているわけですね。ところが倫理指針では被験者保護に関しては、最近はほとんどGCPのコピーアンドペーストですので、まだ十分に担保されていると思いますが、臨床試験の質のことに関しては、ほとんど触られていないということで、先生がいまご指摘になったこと、私も全く同感です。
○山本参考人 GCPの話で一応確認しておきたいのですが、アメリカはナショナル・リサーチ・アクトがあって、その下にフェディラル・ルールがあります。医薬品の治験についてはGCPと言っていますが、そこでスポンサーが企業であろうが公的資金であろうが、そこには差は付いていませんが、医療機器の運用は違います。特にEUの場合は、GCPをかけているのは医薬品の臨床試験だけで、医療機器にはGCPは存在しないのです。これは、ではどうやって担保しているかというと、EUの場合は多くは施設のIRBの審査だけで担保されている。では、そこでIRBの質をどうやって担保されているかというと、例えばヨーロッパ、イギリスとか、フランス、北欧のほうですね。あとドイツ、主要な国がIRBの担保をするのは、IRBに国の税金を使って、国が管理して質を担保しています。特にイギリスはナショナル・ヘルス・サービス、NHSが実際にはその地域ごとのIRBを作って、そこのいろいろなマニュアルを作って、実際にその内容をチェックして監査をして、要は税金を使ってIRBの担保をして、そこで国民の臨床試験に入る被験者さんの安全性を担保することをしています。それで臨床研究の倫理指針は介入試験を含んでいますが、あれは別に医薬品に限ったものではなくて、例えば外科手術であろうが、何であろうが全部そこに入ってきます。ですから臨床試験の倫理指針とICH-GCPを等価で話をするのは、私はちょっと違うのではないかと思います。
 私は今日は医療機器の話で来ているので特にですが、こういう話をしたときに、必ず医薬品の治験に特化した話になっていってしまうのですが、実際にはいまは医薬品を含めて医療機器も、そのほかの例えば再生医療とか、そういうものをどうやって早期開発をしていくかというのが、日本のいま置かれている状況で、いちばん大事なことだと思いますので、医薬品を念頭に置いた話から少し外れて考えるべきだと思います。特にそういう早期のよりリスクの高い臨床試験を国内でやることを進めるのであれば、やはり施設内、あるいはいまここには共同IRBの利用が治験手続の効率化に入っていますが、効率化ではなくて、やはり質と安全性の担保ということで、IRBをもっと有効活用するべきで、そこにもっと資源を投入すべきではないかと私は思います。
○田代構成員 いまのことに関連してなのですが、私も似たようなことを少し感じていました。1つは先ほども話を出したのですが、審査の質の向上に関して、もう少し踏み込んだ議論をしてもいい時期に来ているのではないかと思っています。いままで、おそらく情報公開と教育によって質を担保するという路線だったと思うのですが、そろそろ例えば先ほど出たような認証の話、つまりは、ある程度の基準を満たした委員会を公的な機関が認証していくというような話をしても良いのではないでしょうか。あるいはもう1つ、中西先生からデータベース化という話が出たのですが、それと似たような発想として、IRBや倫理委員会同士が意見交換できるような場、アメリカでいえばPRIM&Rに当たるようなものを作り、それを中核・拠点病院なりが、きちんと担っていくということが必要なのではないか、というのが1点目です。
 2点目が、話を聞いていて、私自身もなかなか発言しにくいなと思うのが、やはり活性化の文脈で被験者保護の話をすることに少し限界があって、そもそも目的が違うので、医薬品も含めて、国内における被験者保護について、どういったグランドデザインを描くのかということは、活性化の文脈はもちろん重要なのですが、それと若干独立して議論をしていかなければならないということです。中西先生のお話の中でも出てきたと思うのですが、そもそも規制同士の不整合とか、ゲノム指針の問題をどうしていくのかとかいったことを、考える場がないという現状があると思っています。当然、ここの場でも議論は必要だと思うのですが、やはり規制ということと、推進ということは、焦点がずれる部分があります。ですから、それぞれ議論をした上で、最終的に擦り合わせるという作業にしていかないと、常に日本の中では活性化とか効率化という文脈の中で、被験者保護の話が出てきてしまうところがあるので、その問題を少し、例えば今回も2.の 3)のところで出てくるのですが、少し独立して考えていただければと思います。
○矢崎座長 わかりました。
○楠岡構成員 いまの田代構成員のご意見に関する、その反論というのではなくて、活性化と被験者保護というのは、ある意味、鶏と卵みたいな形になっていて、難しさがあります。組織として治験を実施する体制としては、いまかなり出来ているのだけれども、進まないいちばんの理由は、やはり被験者の参加が遅いことで、その解決策としてネットワークとかが出ているわけです。被験者の入りにくい理由の1つに、治験あるいは臨床研究がよくわからない、何か怖いものではないのか、参加するとすごい危険にさらされるのではないかという危惧があって、ご本人は主治医との信頼関係とかから、そこを納得されても周りの人が、「いや、それは危ないよ」みたいな意見を言うことがある。その意味で被験者が治験とか臨床研究に参加しても、十分に守られるのですよということを担保する意味で、被験者保護、倫理性があると思います。それが広まれば、今度は逆に「では、参加しよう」という人も増えてくるだろうから、今度活性化につながると思います。鶏、卵関係みたいなところがあるので、いままではどちらかというと、活性化、活性化と言っていて、どうもそこのところが少し置き去りと言うとおかしいですが、少し遅れていたところが、いま足かせ的なことになっているのではないかと思います。これは別々に議論するよりも一緒に、お互いの中で議論をしながら、どうすれば安心・安全を担保できるか。逆にそれをするためにはどういうふうに実施側はしなければいけないかと、そういうサイクルを考える必要があるのではないかと思います。
○田代構成員 もちろん前提となっているということは承知しているつもりです。例えば、被験者保護ということで、安全性がきちんと担保されるということで、臨床研究に参加してもいいという方が増えるとか、そういうことが結果としてあってもいいと思うのですが、ここで言いたいのは目的の議論なのです。つまり、被験者保護の議論は、別に活性化のための議論ではないわけです。被験者の人権や福祉を守ることは、それ自体が最上位の目的であって、それを前提としていろいろな議論が積み重ねられているわけです。先ほどGCPの話も出ましたが、それ以上の目的があるわけではないのです。ですので、そういう意味でいうと、どうしても活性化とか効率化というほうが先に行ってしまうと、その部分だけが切り取られて議論をされてくるという現状があったのではないかということで、少し話をした次第です。
○塩村構成員 また論点の話に戻させていただきたいのですが、この論点の中で先ほどの企業依存とかいうことではなくて、自立可能な体制をやるというご説明があって、それは即ち、いままでは基盤の整備とか、いまご議論があったさまざまなことだと思うのですが、これから次は実際に治験を実施していくということかなと私は理解しています。それに日本製薬工業協会の川口構成員のご発表の中でも、早期探索的臨床研究試験拠点整備と、中核拠点病院を核にした新しい臨床試験の方向について大いに期待しているということでしたが、私ども日本バイオテク協議会もこの制度に大いに期待しております。その中で、論点として、くどいようですが、臨床試験をしたくてもカネがないと実施はできない。まずそれが1つ。
 次に対象化合物、モノですね。これがないと実施ができないですね。国立循環器病研究センターの山本先生の医療機器とか医療用具とかいうのは、比較的すぐに臨床試験に入れると思うのですが、医薬品の場合は臨床試験に入る前に、非臨床試験とか、CMCとかいろいろ手続を踏まないといけないので、そう簡単にはPOCはできないということがあるのです。ですから、モノの議論が欠けていますよということを、強調させていただきたいと思います。
 それと、早期探索的臨床研究でも、例えばがんの場合は、がんセンターでしたか、ちょっと忘れましたが、そういう所、1カ所で試験はたぶんできない。ネットワークという議論が先ほどから何回も出ていますが、ネットワークの議論をしっかりしないと、それは例えば循環器病センター、あるいは国立大阪病院が今回の早期探索的臨床研究制度の対象となる施設に選定されたからと言ってそれ以外でその制度のもとの臨床試験をやってはいけないということでは試験の実施はできませんよ、他の施設、極端に言えば、その制度のもとで国立大阪病院から東京大学に治験を委託する、ネットワークを組むとかいうことをしないと実施できない。ですから囲い込んでしまっては、何のためにこんな素晴らしい制度を作ったのかわからなくなってしまいます。ここのところも是非、論点として挙げていただきたいと私は希望いたします。
○矢崎座長 おっしゃるとおりで、その趣旨はしっかり読み込んでいくようにしないといけないと思いますので、よろしくお願いいたします。そのほかいかがでしょうか。
○楠岡構成員 先ほどのICH-GCPとJ-GCPの話に関わるのですが、平成11年にJ-GCPが全面適用されたときに、モニタリングとか監査に関して、すごく製薬企業も現場も、ある意味オーバーリアクションしたと思います。結果的に10年経って大体どうやればいいかがわかってきたので、いまはモニタリングに関してもサンプリングモニタリングをしたり、あるいはリモートモニタリングが行われています。省略というより、これだけやれば十分質が保証できるというのがわかったので、そこまである意味簡易化というか、簡素化、効率化している状況があると思います。ただ、やはりJ-GCPが最初に入ったときの強烈な印象をみんな持っているので、臨床研究にICH-GCPを適用するといったときに、そういう誤解、また10年前のすごい状況を臨床研究でもやらなければいけないのかという、誤解を与えるところもあると思います。ICH-GCPを全面適用するといっても、いまの治験でやっているような、かなり高度、洗練された形での適用ということを強調しておかないと、現場はすごく反発してしまうような印象を受けます。
○矢崎座長 ありがとうございました。そろそろ時間でございますので、最後に小林先生よろしくお願いします。
○小林構成員 2点ほどなのですが、先ほどの患者側との信頼関係の話が出ましたが、前回もお話が少し出たのですが、やはり長く付き合っている主治医との関係ならば、そういうことも少ないのでしょうが、そうではない場合は信頼関係がなかなか出来なくて、そこで結局、患者側は丁寧な質問、丁寧な説明とかを望んでいるのだと思うのです。そこで医師との信頼関係ができるわけで、こうした研究も進めやすくなるのではないかと思うのです。ですから、そういう丁寧なというの心掛けてもらいたいと感じるのが1つです。
 もう1点は、先ほど大きな病院に患者が集まればというお話があったのですが、これは患者側にとってみると、とても負担が大きいわけで、患者が住んでいる所は日本全国に散らばっておりますので、いちばんいいのは自分の住んでいる近くで、そうした研究に協力できる形が取れればいちばんいいなとは思うのですが、なかなかそのようにはいかないのでしょうけれども、それは是非皆さんでいい知恵を絞って考えていただけばと思います。
 前回も申し上げたのですが、患者会の代表者などとよく話し合う機会の中で、新しい治療というのは非常に期待を持っていますし、そういう研究に対して決して否定的ではないのです。話の中でも「いろいろな研究に協力をしてくれませんか」なんて言うと、多くの人は「いいよ」と言って協力してくれる人がとても多くいらっしゃるので、その辺は是非。いろいろモンスターの患者をたくさん診ておられるかもしれませんが、それはごく一部で、多くは良識のある患者だと思っていただきたいなと思っています。
○矢崎座長 どうもありがとうございました。症例の集積という場合には、患者さんを医療機関で集めるというのではなくて、患者さんの立場から、側に寄りそうような治験をしていただきたいというご希望ではないかと思いますので、そういう意見も。それには医療のIT化というのも大きな課題になるかと思います。ありがとうございました。今日は大変広い範囲から具体的なポイントでご意見をいただきました。次回は今日いただいたご意見をなるべくこの論点の中に組み込んで、さらに発展できるように、活性化ということだけではなくて、いま田代先生が言われたように発展を、広い視点からの活性化を煮詰めていくというご意見もいただきましたので、そういう点につきましても組み入れていい論点のまとめを作っていきたいと思いますので、今後ともよろしくご意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。最後に事務局から連絡がございますか。
○研究開発振興課治験推進指導官 本日ご議論いただきました内容を踏まえまして、さらに論点を整理してまいりたいと思います。次回の日程につきましては、事務局において調整させていただきます。また、本日の議事録につきましても作成次第、先生方にご確認をお願いして、その後、公開させていただきますので、併せてよろしくお願いいたします。以上でございます。
○矢崎座長 それでは以上をもちまして、第2回目の検討会を終了させていただきます。大変お忙しい中、そして貴重なご意見をいただきまして、誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。 (了)


(了)

照会先
厚生労働省医政局研究開発振興課治験推進室
TEL 03−5253−1111
治験推進指導官 森下 内線4165

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