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2011年10月12日 第46回社会保障審議会医療保険部会議事録

○日時

平成23年10月12日(水)15:59〜18:11


○場所

ホテルフロラシオン青山 「芙蓉」


○議題

1.医療保険財政の現状について
2.社会保障・税一体改革成案における高額療養費の見直し等のセーフティネット機能の強化、給付の重点化について
3.その他

○議事

○遠藤部会長 それでは、まだ定刻より1分ほど早いのですけれども、委員の皆さんすべて御着席ということでございますので、ただいまより、第46回「医療保険部会」を開催したいと思います。
 委員の皆様におかれましては、御多忙中の中、お集まりをいただきましてありがとうございます。
 まず、本日の委員の出席状況について御報告を申し上げます。
 本日は、福田委員より御欠席の連絡をいただいております。
 続きまして、欠席委員の代わりに出席される方についてお諮りをしたいと思います。
 福田委員の代理として、名越参考人の御出席につきまして御承認いただければと思います。
 よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 また、本日は、辻副大臣が御出席の御予定であったわけでございますけれども、公務の御都合でまだ御到着されておられませんので、いらっしゃった段階で、また切れのよいときにごあいさつをいただければと思っております。
 それでは、冒頭のカメラ撮りはこの辺りで終わりにしていただきたいと思います。
(報道関係者退室)
○遠藤部会長 それでは、議事に移らせていただきます。
 初めに、「医療保険財政の現状」を議題といたします。
 事務局から説明をお願いしたいと思います。
○木下総務課長 総務課長でございます。
 私の方から医療保険財政の現状についてをまず、御説明いたします。
 医療保険部会の資料1をお手元にお開けください。
 私の説明の後、引き続き小林委員、白川委員の方からそれぞれ協会けんぽあるいは組合健保の状況についての御説明がありますので、少し重複があるかと思いますけれども、私の方からはできるだけ簡潔に御説明したいと思っております。
 まず、1ページ目をお開きください。
 1ページ目に協会けんぽ、組合、市町村国保、後期高齢者医療と4つございます。
 まず、協会けんぽの全般的な状況でございますけれども、書いてございますように、リーマン・ショック等の影響によりまして、全体としての報酬が下落しております。そういった関係上、保険料収入が十分に上がらず、平成21年度に4,893億円の単年度赤字が発生しております。これまでの積立金を取り崩してもなお3,200億程度の累積赤字ということで、22年に医療保険制度の改正、健保法の改正をいたしまして、保険料率の引き上げを行っております。それがここにあります、8.2から9.34でございます。23年度におきましては、9.5%ということで、22年度から3年間、財政再建の特例措置を実施いたしておりまして、1つ目は国庫負担、国庫補助率の引き上げが13%から16.4%ということです。2つ目が後期高齢者の支援金3分の1への総報酬制の導入ということでございます。3つ目が単年度収支均衡原則の緩和と、こんな措置を講じまして、とりあえず、22年度につきましては、単年度は黒字を計上しておりますが、今後の支援金等の状況においてまだ非常に苦しい状況になっているのが現状でございます。
 2つ目に組合健保でございますけれども、平成22年度、4,154億円の赤字見込みでございます。これは21年度以来、2か年続き大幅な赤字ということでございます。全健保組合1,458の約8割、1,115組合が赤字ということで、平均の保険料率が7.67と22年度はなってございます。
 市町村国保でございますけれども、無所得者あるいは失業者等の低所得者が非常に増えております。そして、高齢者が多く加入をしていると、そういった構造的な問題もありまして、市町村の一般会計から法定外繰入等々も多額を計上してございますので、非常に保険財政上は恒常的に厳しい状況にあるということでございます。法定外繰入の決算補てん分だけで見ましても3,144億円ということでございます。前年度の繰上充用が1,833億円ということでございますので、合わせて約5,000億近い補てんをしているという状況にございます。
 後期高齢者医療でございますけれども、これは2年に1回保険料を見直すということで、2年を1期とする財政運営を行っております。20年度、21年度におきます収支差1,900億を計上しておりますけれども、この黒字額につきましては、保険料の上昇抑制と併せて財政安定化基金、当時は760億程度ございましたが、そういった資金を使いまして、平均の保険料の伸びをゼロということで、5,142円平均の保険料率が付き、そういった形で抑制をしてまいりました。そういった関係上、22年度、23年度はそういう意味での活用によって安定をしたわけでございます。ただ、この間に保険料率を上げておりませんので、その間の給付の増を勘案して、24年度、25年度の保険料は過去の4年分、21、22、23、24の給付の増を反映して、一定程度引き上げる必要があるのではないかなということでございます。
 今、申し上げたことを数字で追ってみますと、2ページ目でございますけれども、協会けんぽの状況につきましては、収入支出を見ていただきますと、21年度まで赤字が続いておりましたが、22年度は先ほど申し上げた保険料率の引き上げ、国庫補助の引き上げ等によって、とりあえず2,540の黒字でございます。ただ、見ていただきますと、支出の面におきまして、前期高齢者納付金ですとか、後期高齢者支援金を始めとして、支援金、拠出金等と合わせますと、全体の支出のうちの大体4割近くを占めているという状況でございます。
 3ページ目が組合健保の状況でございます。
 先ほど申しましたとおり、赤字健保組合は8割に上っておりますけれども、全体としてのトータルでございますが、22年度におきましては、経常収支差が4,154億円ということでございます。これも協会けんぽと同じように拠出金等と老人保健拠出金、前期高齢者、後期、退職者、そういったものを合わせまして、全体の支出に占める割合も大体4割程度ということで、そういった支援金等々の動きによっては組合健保の財政状況は非常にきつくなると、こんな状況になっているわけでございます。
 市町村国保の状況が4ページ目でございます。
 単年度収入支出をごらんいただきますと、特に単年度収入で法定分の一般会計繰入金、法定外の繰入金、ちょうど収入の真ん中辺にございますけれども、例えば法定外では3,601億円ということでございます。これがなかりせばこの分が赤字に回ってくるということでありますけれども、それを全体の収支で見ていただきますと、下の黄色のところをごらんいただきたいと思います。
 単年度では、先ほどの繰入金が収入に計上しておりますので、単年度の収支差を見ていただきますと黒字になっております。66億ということであります。ただ、精算額等々を加えますと、精算後の単年度で96億円ということでございますが、先ほど申しましたように、法定外の繰り入れ等がございますので、例えば法定外の中でも健康検診等の保健事業ですとか、あるいは直診に対する繰り入れ分等を外しますと3,144、下から2つ目の右側のところでございますが、そういった形での繰り入れが発生しているということでございます。
 次の5ページ目でございますけれども、後期高齢者医療広域連合の収支状況でございます。
 これも20年度、21年度とちょうど真ん中の下の方にあります単年度収支差をごらんいただきますと、20年度で3,007億円でございます。ただ、21年度は717億円ということで、それぞれ単年度ごとに精算額等々がございますので、20年度で実質的な収支差、精算額等を含めます収支差でございますが、1,408億円を計上しておりましたけれども、21年度は505ということで、3分の1に縮小されております。そういった関係もございまして、今後の後期高齢者の保険料の引き上げということがこの間の伸び、先ほど申し上げました23年度、24年度の伸び等々も含めまして、今後、引き上げの必要があるということでございます。
 とりあえず、私の説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 小林委員と白川委員から資料が提出されておりますので、御説明をお願いしたいと思います。
 小林委員、お願いいたします。
○小林委員 全国健康保険協会理事長の小林でございます。
 協会けんぽの財政状況について、委員提出資料1「全国健康保険協会(協会けんぽ)の財政状況について」に従って御説明申し上げます。
 1ページをごらんください。
 右下の円グラフのとおり、協会けんぽの適用事業所は全国で160万ありますが、このうちの6割が4人以下、4分の3が9人以下の中小零細の事業所となっております。後ほど御説明いたしますが、他の被用者保険に比べて財政力が極めて脆弱であります。
 2ページをごらんください。
 22年度の決算で見た協会けんぽの財政構造です。
 左の円グラフにありますとおり、被保険者や加入者に御負担いただく保険料による収入が全体の86.1%を占めております。他方、右のグラフのとおり、支出の約半分は医療給付費であります。高齢者医療に関わる拠出金負担は合計2兆8,000億円で、支出全体の37.4%、約4割を占めております。
 3ページをごらんください。
 9月末に行われた概算要求の数値を基に協会けんぽで試算した平成24年度までの収支見込みです。
 現在、70歳から74歳までの高齢受給者の自己負担割合は、1割に据え置かれておりますが、24年度の収支はこれが2割に引き上げられる場合と1割に据え置かれる場合の2通りについて試算を行っております。国の概算要求は2割に引き上げられる場合を前提としておりますが、協会としては、自己負担がこれまで1割に据え置かれてきた経緯等を踏まえ、1割に据え置かれる場合を前提に考えざるを得ませんので、この試算について御説明いたします。
 24年度の欄の太枠の部分がその試算であります。
 まず、24年度に必要となる支出額ですが、支出額の計にありますとおり、8兆3,371億円となり、23年度と比較すると大幅な増額となっております。この増額のうち最も大きなものは、前期高齢者納付金、後期高齢者支援金、退職者給付拠出金の3つの拠出金で点線で囲まれた備考の欄にありますが、3,254億円の増額となっております。この支出、8兆3,370億円と24年度中に準備金残高の赤字をすべて解消するために必要となる93億円を賄うため、収入としては、収入欄の計にありますとおり、8兆3,464億円を計上する必要があります。
 このうち保険料収入であります7兆1,494億円を確保するためには、備考欄の下の太字に書いておりますが、保険料率はついに10.20%となり、現行の9.50%から0.70%ポイントの大幅な引き上げが必要となります。
 4ページをごらんください。
 4ページは、9.50%から10.20%と0.70%の引き上げの要因についてです。
 ページの下の部分の左の点線の箱でございますが、一番大きな要因としては、上から3番目に記載しております高齢者医療に係る拠出金の増で、+0.41%となっております。また、これまで国に要望しておりますが、国庫補助率を20%に引き上げた場合には、保険料率は9.89%まで抑えることができます。
 なお、右の下の点線の箱にありますが、今回の推計では、診療報酬1%の上げ下げで保険料率に与える影響は0.09%となり、10.20%にこの料率がプラスあるいはマイナスされるということになります。
 5ページをごらんいただきたいと思います。
 被保険者1人当たりの保険給付費の伸びと1人当たりの標準報酬月額の伸びをそれぞれ平成15年度を1とした場合の指数で見たものです。
 点線の被保険者1人当たりの保険給付費は年々増える一方でありますが、下の実線部分であります保険料収入のベースとなる賃金は低下しており、保険給付費の伸びと保険料収入の下落幅の乖離は年々大きくなっております。
 6ページは、今回の試算の前提となる標準報酬月額の推計です。
 7ページをごらんください。
 これは単年度ごとの収支差と準備金残高の推移を見たものです。
 リーマン・ショック等を背景に21年度は、単年度4,893億の赤字、準備金残高は3,179億円の赤字に転じ、当協会の財政は大変厳しい状況に陥りました。
 そうした事態を踏まえ、健康保険法が改正され、22年度から24年度までの3年間は財政再建のための期間として、この間に準備金の赤字を解消するために国庫補助率を13%から16.4%に上げていただきました。
 同時に、このページの下に記載したとおり、保険料率を22年度は全国平均で8.2%から9.34%、23年度においては更に9.50%へと引き上げ、この保険料率の大幅な引き上げによって単年度収支をプラスにして準備金の赤字を返済している状況にあります。単年度収支が黒字になっておりますが、これは保険料率を引き上げることによって準備金の赤字を解消しているということであります。
 8ページをごらんください。
 保険料水準が引き上がる中、同時に他の被用者保険との格差も拡大しております。被用者1人当たりの標準報酬総額、すなわち平均年収で見ますと、協会と健保組合との間で大きな格差があり、これが拡大しております。
 平成14年度から15年度にかけて保険料の基礎となる報酬の範囲としてボーナスを含めることとしたわけですが、ボーナスは大企業と中小企業の間で大きな開きがあることから、年収の格差が拡大しております。
 9ページをごらんください。
 報酬の格差はそのまま保険料率の格差となっております。協会の脆弱な財政力を補う趣旨で協会に対しましては国庫補助が行われておりますが、かつては協会に対する国庫補助の導入によって健保組合と協会との保険料率の格差のかなりの部分が埋められておりました。しかし、平成15年以降は格差が拡大し、近年は格差が大きく拡大しております。ごらんのとおりの状況では、国庫補助は20%の引き上げが是非とも必要と考えております。
 10ページをごらんください。
 これまで御説明してまいりました保険料率は、あくまで全国平均であり、都道府県によって更に高い保険料率となります。23年度の都道府県単位保険料率は、最高で北海道、佐賀の9.60%、最低では、長野の9.39%となっており、平均保険料率との乖離幅は−0.11%から+0.10%となっております。24年度は平均保険料率が10.20%とすると、全都道府県で10%を超える事態が想定されます。
 以上、協会の厳しい財政について御説明申し上げましたが、こうした状況を踏まえた今後の対応について以下、3点について申し上げます。
 まず第1点は、繰り返しになりますが、国庫補助率の引き上げです。国家財政も厳しいことは理解しておりますが、このままでは協会の保険料率が10%を超えるような大変な事態となるので、他の被用者保険との保険料格差もますます広がっており、国庫補助率については法律の上限である20%への引き上げを改めて強く要請いたします。
 2点目は、協会の財政悪化の大きな要因であります高齢者の拠出金の見直しです。従来より申し上げておりますとおり、高齢世代、若年世代にとって公平で納得のいく負担とするための公費の拡充、後期高齢者支援金の総報酬割の拡大、そして70歳から74歳までの自己負担割合の見直しについて社会保障・税一体改革の見通しもあるとは思いますが、是非とも実現を図っていただきたいということであります。特に総報酬割については、既に時限的な特例措置として3分の1の部分だけ導入されておりますが、この時限措置後の扱いを含めて、この医療保険部会において議論を進めていただきたいと考えております。また、高齢者の拠出金については、やや技術的になりますが、前期高齢者の拠出金の調整に用いられている1%の下限割合も含めてその算定方式についても今後検討していただき、見直すべき点があれば見直していただきたいと考えております。
 3点目は、診療報酬改定についてですが、協会の財政状況から考えると診療報酬を引き上げるような状態に全くないことを是非御理解いただきたいと思います。
 以上、よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、白川委員、お願いいたします。
○白川委員 健康保険組合連合会の白川でございます。
 健康保険組合の財政状況等につきまして御報告申し上げます。
 お手元の委員提出資料2をごらんいただきたいと思います。
 資料の説明に入る前に一言だけ、お断りをしておきたいと思います。
 御案内のとおり、健保組合は現在、1,450ぐらいの組合がございまして、私どもで集計あるいは平均値を出すということをやっておりますけれども、財政状況もかなりいいと言ったらあれですが、黒字のところから大幅な赤字のところ、あるいは法定準備金さえ確保できない財政逼迫の健保組合まであると。本日御説明するのは集計値、平均値ということをまず御理解いただきたいと思います。
 最初に、まずグラフを見ていただきたいんですけれども、全体の収支状況についてでございます。
 平成14年から平成23年度予算まで、各年度の経常収支プラスマイナスを集計したものでございます。一目瞭然でございますが、平成15年に賞与からの徴収もカットする総報酬制の導入あるいは老健の拠出金の国庫負担を増やすという政策が打たれまして、1,000億から2,000億強の黒字が続いておりましたけれども、平成20年度の医療制度改正に伴いまして、一挙に赤字転落、それ以降、3,000億から5,000億の赤字、平成23年度の予算では6,000億を超える赤字という計画になっております。
 上の枠の中でございます。
 最初の丸は数字を並べたものでございますが、いわゆる経常赤字率というところで見ますと、20年度が−5.2%、21年度が−8.3云々という数字になっております。
 2つ目の丸でございますが、財政悪化の主な要因は、拠出金と法定給付費の負担増ということでございますが、特に拠出金の負担が相当膨らんでおりまして、平成15年から19年の平均拠出額が2兆2,000億に対しまして、新たな高齢者医療制度が施行されました20年度以降の平均拠出額は2兆7,500億円ということで、5,500億円平均で負担が増えている。これによって赤字の1つの大きな要因になっているということでございます。拠出率の平均は44.5%という現状でございます。
 2つ目、標準報酬等と法定給付費の動向。
 大変見にくい表で恐縮でございますが、一番上の折れ線グラフが法定給付費1人当たりの伸び率、これは平成15年を100とした場合の伸び率で表記をしてございます。これもごらんのとおり21年からかなりの角度で増加しているという状況でございます。
 その次の点線でございますが、これが標準報酬の平均値の年次推移でございます。平成15年から100前後といいますか、続けておりましたけれども、平成20年以降は平均標準報酬月額が下がるという傾向にございまして、22年度では97.4まで下がったと。
 その下は賞与でございますが、賞与はまさにドラスティックに下がっておりまして、平成22年度には90%ぐらいという比率になってございます。
 棒グラフは保険料率を引き上げた組合数でございまして、先ほど1,450組合と申し上げましたので、平成22年でいいますと、415組合、大体3割ぐらいの健保組合が料率を引き上げたということでございます。
 その上の枠のところでございますけれども、2行目でございます。保険料率の引き上げで対応する組合が増加しておりますけれども、法定給付費と拠出金の増加を吸収できないと。その結果が冒頭、説明のありました約8割の組合が赤字という状況になってございます。
 その次は財政状況の苦しい中でも健保組合としては保健事業は手を抜いていないということを数字でお示ししたいということで準備したものでございます。
 (1)は、制度別の1人当たりの医療費の推移でございますが、これは年齢構成等も違いますので、むしろ右の(2)の方でございます。
 年齢階級・制度別1人当たり医療費。これは厚労省が発表した平成20年度の数字でございますけれども、これを見ると、下が年齢でございますが、特に50歳以降についてかなり1人当たりの医療費に差が出てきていると見ております。何も保健事業でこういう形になったと強弁するつもりはございませんけれども、我々が実施しております保健事業あるいは疾病を早期に発見するという事業が一定の効果は上げているのかなと私どもとしては考えております。
 (3)は、20年度から始まりました特定健診・保健指導の実施状況でございます。
 健保組合は一番右にございますけれども、まだまだ十分とは言えませんが、健保組合としては厳しい財政の中でこの特定健診の実施についても努力をしているという数字かと思われます。
 (4)は、経常支出の項目別内訳でございます。
 黒い部分が保健事業費でございます。これは平成19年度と23年度を比較したものでございますが、率自体は変わりませんが、金額としては、19年度から比べて約500億円の増、これは平成20年度から特定健診が始まったということも勿論反映はしておりますけれども、財政的には厳し中で保健事業についてはむしろ増強ということで計画しているということでございます。
 なお、23年度でいいますと、拠出金が約2兆8,000億強ということで、40%でございますし、保険給付費が3兆6,000億で51.5%。この2つで我々は義務的経費と言っておりますけれども、これだけで保険料収入のほぼ100%になるということでございます。したがいまして、それ以外の保健事業費、その他、事務費等は、全体的には、今、保有しております積立金を取り崩す中で消化をしていると。この積立金もだんだん底をついてくるという状況で、財政的には今後も厳しい状況が続くであろうという見通しでございます。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 ただいま3つの保険財政の説明がありましたけれども、御質問、御意見がございます方、いらっしゃいますか。
 岡崎委員、どうぞ。
○岡崎委員 国民健康保険を預かっております市町村ですので、今日は資料を出しておりませんけれども、厚生労働省の資料でも御説明いただきましたとおり、国保も非常に厳しい財政状況となっております。まず、所得が全体として落ちていますし、国民健康保険は今年度50周年を迎えておりますが、当初、国保創設時には、農業とか自営業の方々が非常に多くおられましたけれども、50年経ちました国保につきましては、退職者、無職の方々、そして年収がほぼ100万を切る方々が中心を占めております。最近の傾向として所得が落ち込んできておりますので、保険料収入が非常に少なくなりつつありますので、非常に構造的に赤字を抱えております。
 23年4月の段階で、23年3月議会になりますけれども、全国の市町村議会でやむなく国保料の値上げを改定したところもございますが、やはり構造的にかなり厳しい状況になっておりますので、国保の財政の許可、これはいわゆる国費の負担増ということも含めて、国民健康保険の財政の強化と広域化というのが大きな課題ということで、これを前進させなければ国民健康保険は守れないという、これは全体のほぼ一致した見解でございますので、そのことを意見として申し上げておきます。
 もう一点、今日議題で後で恐らく出てくると思いますが、後期高齢者医療の改革会議、国保の問題をとらえましても、厚生労働省の方々も国保の財源の基盤強化をやらなければいけないということは意見として、また意思としては持っておりますが、いつも行き着くところ財源がないというところでどうしても止まってしまう。いろいろな論議をしても、社会保障と税の一体改革の会議の進捗状況を待たなければ動かないというのが今、陥っている現状ではないかと思われます。そこへどうしても戻ってくるので、そこをどう連携をとって、そこの論議をいかに実質的な論議にしていくかというところへ行かないと、いつも財源でストップしてしまうのがこれまでのいろいろな会議の印象でございますので、そこをどう踏み込んでいくかというところもあろうかと思います。
 意見として申し上げておきます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 国保の財政も厳しいということと、また御意見をいただいたわけでありますけれども、ほかにございますでしょうか。
 逢見委員、どうぞ。
○逢見委員 私は協会けんぽの運営委員もやっておりまして、この医療保険部会が始まる直前まで協会けんぽで運営委員会が開催されておりました。そこでの議論の状況も御紹介したいと思います。
 先ほど小林理事長から御説明がありましたように、来年度、24年度の保険料率がこのままでいくと10.2%になる。3年連続の保険料率の引き上げ、そして料率そのものが10%を超えるということになるわけで、協会けんぽを支えている中小零細企業の実態は、この資料にもございますように、標準報酬月額がずっと下がってきております。これはリーマン・ショック等の経済危機の影響などもありまして、特に、平成21年度以降ずっと下がってきているという中で負担増を強いられています。
 一方、医療費は伸び続けておりまして、更に来年度、前期高齢者の納付金あるいは後期高齢者医療の支援金が大幅に膨らむ可能性があって、それで保険料の引き上げをせざるを得ない状況が試算で明らかになっているわけですが、これは協会の自助努力を超えた問題で、やはり政治の問題として考えてもらわなければいけないと思います。特に高齢者医療制度そのものについて見直していかないと、現役世代の保険から支援金なり納付金という形で、言わば自分たちの知らないところで、あずかり知らぬところで出てくるお金を払い続けなければいけないという仕組みではもう限界があるのではないかと思います。勿論高齢者医療について現役世代が支えなければいけないという気持ちは共有しますけれども、しかし、今のやり方ではとてもついていけなくなるということを懸念しています。
 国庫負担についても、今、16.4%ですが、法定では20%まで可能になっているわけですから、20%まで国庫からの補助もお願いしないとこの脆弱な体質ではとてもやっていけないというのが協会けんぽの運営委員会の中の多数というか、ほぼ全員がそういう意見でしたので、御紹介し、これを一協会けんぽの財政問題ということではなくて、医療保険制度そのものが持つ問題であるという形で是非受け止めていただきたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。
 齊藤委員、どうぞ。
○齊藤正憲委員 同じ意見ですけれども、経団連といたしましても、今、各保険者の方々から非常に健保の保険財政が厳しいという状況の御説明がありました。特に、高齢者医療への拠出が重くのしかかりまして、結果として保険料率の引き上げに踏み切っているという現実を重く見るべきだと思います。
 保険料率の引き上げは、雇用に対する課税強化にほかなりません。現役世代の働く意欲とか、活力をそぐとともに、雇用全体に悪影響をもたらすということで、このまま手をこまねいていると取り返しがつかないことになるのではないかと懸念しております。
 かねてより我々は、現役世代の保険料に過度に依存する制度を修正していただいて、高齢化の進展に併せて高齢者医療への公費投入割合を高めるべきと主張してまいりましたけれども、現時点でその方向性がまだ打ち出されていないというのは非常に遺憾であると考えております。
 以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
 ほかに御意見ございますでしょうか。
 山下委員、どうぞ。
○山下委員 今までの委員の発言と同じですが、商工会議所としても、私も協会けんぽの運営委員をやっておりますけれども、これ以上保険料は上げる余地はないという認識で共通しておりますし、運営委員会だけではなくて、私は東京都の支部の方にも出ておりますけれども、そういう地方の組織についても同じような認識で一致しております。毎年毎年、保険料率が新しい組織になってからも上がり続けておりますし、いわゆる国庫補助も含めて、今、20%までのぎりぎりのところまでは何とか来て、保険料の負担増だけは何とか回避したいという思いが協会内には充満しておりますので、その辺の御配慮を是非お願いしたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 ほかにどなたか御意見ございますか。
 よろしゅうございますか。
 岩本委員、どうぞ。
○岩本委員 主に保険者の方々から保険料を上げる余地がないという趣旨の御意見が出たと思うんですけれども、公費で頼れるかというと、結局公費は税金で払わなければいけないわけですから、国民から見れば、保険料を払って税金を払ってということになります。この保険料というのは大部分が保険の給付に回ってくるということで、その給付が目に見えているということで負担の理解を求めるという形になっていますが、税金の方はかなり政府が信頼されていない部分もあって無駄に使われているのではないかということが言われておりますので、もし国民の方が医療保険料をこれ以上払う余地がないぐらい苦しいということであれば、税金を上げる余地も更にそれ以上ない。そうすると公費をつぎ込む余地もないという考え方もできるのではないのかなと個人的には思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 そうですね。保険料一本やりの話にも、経済学者として、公費を増やすにもそういう制約があるんだということをお話いただいたわけであります。
 よろしゅうございますか。
 樋口委員、どうぞ。
○樋口委員 先ほどから高齢者、高齢者と言われて身も細る思いでおります高齢者の樋口でございます。
 ほどんとおっしゃるとおりだと思います。高齢者も公平に負担すべきだと思いますし、私個人の意見としては、特に窓口負担が1割、2割、3割と年齢によって異なることは、75歳以上の後期高齢者医療制度に反対した立場から申しましても、そのような年齢区分はなるべくしない方がいいのではないかと思っております。
 しかし、若年世代の方のくらしが本当に厳しく、所得は下がっているし、協会けんぽの方の数字はおっしゃるとおりだと思うのですけれども、高齢者の収入が増えているかといいましたら、年金だって年々もらう金額が下がってきておりますし、介護保険料も医療保険料も上がってきておりますから、低収入の高齢者の収入本当に年々下がっております。
 特に女性の場合は年金収入が、男性は被用者保険を7割受給しておりますが、女性の場合は国民基礎年金、国民年金の受給者が7割でございます。そして、ひとり暮らしの圧倒的多数、8割近くが女性でございます。女性の場合は国民年金ですら年間100万円ほど男性との受給額が違います。
 私は日本名物貧乏ばあさん、BBと言っているんですけれども、このBBたちに高齢者に負担せよとおっしゃられても、どのような負担の仕方が可能なのであろうかと思います。100円を負担せよとおっしゃるのでしたら、もう少しきめ細かな低所得者対策ということを考えた上で提示していただきたい。100円負担が絶対だめだとは申しませんし、高齢者も応分の負担をすべきだとは思いますけれども、余り高齢者が有利だ有利だと言われますと、高齢者もまた貧しい状況にあり、そして人はだれでも年を取り、恐らく今の現役の方も80、90まで生きるのだということを考えて、人生100年社会の医療の在り方を、ということでございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 財源というのは保険料か税金か自己負担しかないわけですが、最初のころは保険者の方々がもう限界ですという話で、その後に公費も限界ですみたいな話があって、その後、樋口先生は非常に豊かな高齢者なので代表というわけではないと思いますが、高齢者も大変だという話をされました。
 全部大変だとなると財源がないということになってしまいますが、皆さん大変だとおっしゃるけれども、世界の社会保険制度の国の中で我が国が高い負担をしているのは、自己負担の最高3割というのは世界一高いわけです。それ以外を見ると、消費税を見ても5%の国などというのは先進国ではほとんどないし、保険料率を見てもドイツやフランスの事業主ははるかに日本よりも高い負担をしております。そういう意味では、一番取りやすいところから取るという今回の受診定額負担は絶対に阻止しなければいけないと考えております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 まだまだ御意見はおありになるかと思いますが、これはある意味で本会の本丸の議論をしているわけでありますから、これからも幾らでも議論になると思います。定額負担の議論が今、出ましたけれども、本日はそちらの方の議論もしなければいけないということなので、そちらの方に移らせていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
 それでは、この問題はまた当然のことながら議論になると思いますが、本日は、第2番目の議題「社会保障・税一体改革成案における高額療養費の見直し等のセーフティネット機能の強化、給付の重点化について」という長い名前の議題に移りたいと思います。
 事務局から資料が出されておりますので、説明をお願いします。
○西辻保険課長 保険課長でございます。
 資料2「高額療養費の見直しと受診時定額負担について」に沿って御説明をさせていただきます。
 前回、高額療養費の見直しと受診時定額負担の考え方、提案を行うに至った背景等について御説明させていただきました。今回はそれに加えて試算を一部入れております。
 1ページ、高額療養費の見直しに関する基本的な考え方。これは前回と同じ資料でございます。
 医療保険財政を取り巻く状況は、非常に厳しい。その中でセーフティネット機能を強化する必要がある。その場合に受診時定額負担を提案したということでございます。
 2ページは、医療費の将来の伸びがどうなっていくのか。またそれを賄う保険料、公費、自己負担がどうなっていくのか。これも前回お示しした資料でございます。
 3ページ、加入者1人当たりの患者負担・保険料負担等の比較でございます。
 前回の御議論で高額療養費を世代別に見たときにどう効いているのかという御意見もあったかと思いますが、年齢階級別というのはなかなか取りにくかったんですけれども、70歳未満、70歳以上、後期高齢者の方それぞれに分けて、1人当たり大体どれぐらいの規模の高額療養費がかかっているのかというのが表の中ほど、太字で「高額療養費」と書いたところでございます。70歳未満が1人年間1万1,000円、ずっと下の方にいって、後期高齢者が3万1,000円。もともと高齢者の方と現役世代では自己負担の割合が違っており、高額療養費の自己負担限度額も違っていることなどから、給付額の差が生じていると考えております。
 他方、保険料を見ますと、一番右側に保険料負担という欄がございます。後期高齢者以外の方について各制度別に大体どれぐらいの額を加入者1人当たり負担しているのかということで、見ていただきますと、協会けんぽ、健保組合、共済組合、こういったところは給付費の1.5倍から2倍程度の保険料を負担している。この部分については、前期の納付金あるいは後期の拠出金の方に回っているということでございます。
 4ページは高額療養費に実際に該当した方がどの程度の頻度で該当しているのかということについて、一定の推計の基につくった資料でございます。ある月に受診された方の中でどれぐらいの方が高額療養費に該当しているかということの推計を行いましたところ、協会けんぽ、市町村国保、後期高齢者と表が3つございますけれども、一番上の協会けんぽで見ますと、上位所得者の方で大体0.25%ぐらいの患者の方が高額療養費に該当しており、更にその方を過去1年間にさかのぼって追跡していったところ、0.08%ぐらいの方が4月以上該当、更には0.03%の方は10月以上該当しているという推計でございます。
 傾向としては市町村国保、後期高齢者とも同じで、高額療養費に該当した方のうち3割ないしは6割程度の方が4か月以上該当しており、更に4か月以上該当している方の4割から6割ぐらいの方が10月以上該当している、長期で療養されているというデータでございます。
 5ページは前回と同じ資料でございます。
 高額療養費の見直しの方向性として、1つは、特に現在の負担限度額が重いと考えられる中低所得者の負担をもう少し細かく設定してはどうかということと、年間で見たときに負担の不公平感が発生している、あるいは長期に療養されている方については今の負担額でもまだ負担が重いということで、年間の上限額を設けてはどうかという資料でございました。
 それを踏まえた具体的なイメージが6ページ以降でございます。
 受診時定額負担につきましては、一体改革の成案の中で高額療養費の見直しによる負担軽減の規模に応じて検討ということですので、実際には高額療養費の見直しと受診時定額負担の規模を合わせる形で検討していくということが成案では要請されていると思っております。
 ここでは、2015年ベースで、公費で1,300億円ぐらいの規模ということで見直し案を設計しております。70歳未満の基準を6ページに書いてございます。上位、一般所得者、低所得者という3段階に分かれておりますが、上位所得者と低所得者につきましては、基本的には毎月の負担限度額は大きくは変えません。
 見直しのイメージ案のところ、上位所得者ですと、従来、当初3か月15万の限度額のところ、そのまま15万に置く。従来は医療費の1%分が更に乗っておりましたが、これは外しております。4月目、従来、8万3,400円のところを端数の400円を落として8万3,000円にしております。
 一番下の低所得者も基本的には現在と同じで、3万5,400円、2万4,600円のところを1,000円単位で丸めるという形にしております。
 真ん中の一般所得者のところでございますが、ここが非常に所得の幅が広い。サラリーマン世帯で大体、年収210万から790万ぐらいということですけれども、ここについて細かく限度額を設定しようということで、まず、600万円以上の方、具体的には給与所得者でいいますと、600万から790万ぐらいの方になりますけれども、この方々は従来の一般所得者の区分とほとんど同じ水準といたします。当初3か月が8万円、4月目以降が4万4,000円で、ここも1%分の負担は外しております。300万から600万の方々につきましては、当初の3か月を6万2,000円ということで限度額を低く設定してございます。4月目以降については600万円以上の方と同じでございます。一番負担感が重いのではないかと考えております年収300万円以下の方、非課税水準以上で年収300万円以下の方につきましては、当初の3か月を4万4,000円。従来の4月目以降の水準で当初の3か月をスタートするということでございます。4月目以降は3万5,000円、これは低所得者の当初3か月の水準に合わせて設定しております。
 もう一つ、一番右側にそれぞれの所得階層のところに年間上限というものを設定しております。つまり、毎月毎月の限度額に加えて年間上限を設定するという考え方でございます。
 次の7ページは、70歳以上の限度額の見直しでございますが、基本的には70歳未満の見直しと平仄を合わせる形で見直しを行っております。例えば現役並み所得者の方ですと、、年収600万円以下の方については当初の3か月を6万2,000円まで下げる。一般所得者の方については、当初から4万4,000円になっておりますが、今後は、4か月目以降を3万5,000円まで下げていく等の見直しを行うということです。同じように各階層ごとに年間上限も設定しております。
 8ページが年間上限の設定の考え方でございますが、前回も御説明申し上げましたように、現在の高額療養費制度は、月単のレセプトで自己負担額を把握した上で負担限度額を超えるか否かで高額療養費を支給しておりますので、毎月毎月の医療費がどれぐらいの水準なのかによって高額療養費に該当したりしなかったりする場合があり、そういう方が長期の療養をされる場合に負担の不公平感というのが出てくるということでございました。
 現行の制度は、上の図でございますけれども、当初の3か月が高い水準の負担額、4月目以降が低い水準となり、2年目以降も療養される場合はずっと同じ水準ということです。
 今回、下の図にありますとおり、年間上限額というものを設定いたします。例えば年収600万円以上の方々につきましては、当初の3か月の負担限度額が8万円、4月目以降が4万4,000円ですが、この4万4,000円の多数該当の水準を12倍した金額を年間上限額のベースにするという設定をしております。
 また、右側に書いてございますが、4万4,000円掛ける12か月の水準をそのまま使うわけではなくて、所得階層により、100%、95%又は90%にするということで考えております。
 恐縮ですけれども、もう一回、6ページにお戻りいただきたいと思います。
 上位所得者のところの年間上限の額は99万6,000円になってございます。その下に書いてありますけれども、多数該当の8万3,000円を12倍した金額そのもの、100%を年間上限の金額として設定しております。真ん中の一般所得者のところは3段階に分かれますけれども、600万以上と300万から600万のところは、4月目以降の数字は4万4,000円ですので、4万4,000円を12倍した数字がベースになりますが、それに95%を掛けた年間50万1,000円を年間上限額としてここでは設定しております。更に年収300万円以下の方につきましては、4月目以降の毎月の限度額は3万5,000円ですけれども、これを12倍したものに90%を掛けている。低所得者につきましても、4月目以降の2万4,000円を12月分掛け合わせて、更に90%とした25万9,000円を年間上限にする、つまり所得が低いほど長期の負担が緩和される水準の年間上限を設定しているということでございます。
 今度は9ページ、そうした高額療養費の見直しを行った場合の財政影響でございます。
 負担限度額を細かく設定するということと、年間の上限額を設定するということを合わせて、成案の工程表にありました「2015年ベースで公費1,300億円」というものに合わせる形で設計をしておりますので、実際にはそれに近い形の財政影響が出ております。
 下の方の表に書いてございますが、給付費がトータルで2015年ベースで3,600億程度増加する。高額療養費の見直しによって増加するということで考えております。
 各制度ごとの内訳はその表に書いてあるとおりでございまして、その各制度ごとの給付費増を各制度がどういう形でファイナンスするのかがその右側に書いてございます。例えば協会けんぽの被保険者で800億の給付費の増が出ますが、それとは別に前期の納付金、後期の拠出金の分もかかってきますので、実際に協会けんぽで負担しなければいけない額は1,100億円。それを現在の制度に照らし合わせますと、保険料が900億円、公費が200億円という形になります。
 これでいきますと、公費のトータルが1,200億ということで、成案の工程表では1,300ということになっていたのですが、上の四角の2つ目の丸に書いてございますけれども、国民健康保険、市町村国保はやはり中低所得者が多く、今回の高額療養費の見直しで改善される対象の方が非常に多いということで、後で出てまいります受診時の定額負担を取るというだけではなかなか制度が財政中立にならないと考えております。したがって、どうしても公費の拡充を検討していかなければいけない。具体的には、税制抜本改革と併せて国保の財政基盤強化を図る中でそれを検討していくということが必要かと思っております。
 3,600億円という数字でございますが、丸の3つ目にありますけれども、制度改正を行って給付率が変化した場合に経験的に得られている医療費の増減の効果を見込んでおります。仮にこれを見込まないとすると、給付費の増というのはこの半分、1,800億ぐらいと見込んでおります。
 10ページは前回と同じでございます。今回の受診時定額負担をどういう形で設定するのかということでございます。
 11ページは外来の受診動向。これも基本的に前回と同じ資料でございますが、一番下のところに1つ欄を追加してございます。1年間に医科・外来を受診した方の割合でございます。協会けんぽ、健保組合、国民健康保険では、大体、70%台の方が1年のうち1回以上外来を受診されており、後期高齢者の方は非常に多くて、1年間のうちに医科の外来を受診されている方は94.3%ということでございます。
 12ページ、受診時定額負担の財政影響でございます。
 先ほど御説明した高額療養費の見直しの規模に合わせた受診時定額負担ということで、ここも成案にありました公費1,300億円の規模ということで、初診・再診時に100円をいただくとした場合の財政影響を掲載してございます。トータルで4,100億円の給付費の減ということになります。
 制度ごとについては、その下に書いてあるとおりでございまして、給付費とその右の欄の保険料プラス公費の関係は、先ほどの給付改善と同じでございます。協会けんぽでいいますと、協会けんぽの被保険者の給付費が800億改善されますが、協会けんぽの財政としては1,200億は改善される。これは前期の納付金、後期の拠出金が軽減される分が乗っかるということでございます。更にその右側には内訳として保険料と公費でどの程度ずつ負担が減るのかということが書いてございます。
 この4,100億につきましても、上の四角の丸の2つ目でございますが、患者の負担率が変化した場合の経験的に得られている医療費の増減の効果を見込んでおります。これを見込まないとすると、大体半分の2,050億円程度ということになります。
 重要なのは3つ目の太い字で書いてあるところですけれども、成案では「低所得者への配慮」という文言が入っておりますが、ここの初診・再診100円の数字は低所得者への配慮の影響は含んでおりません。これにつきましては、今後、低所得者への配慮の措置を踏まえた上で改めて数字のところに反映させるということになるんですけれども、実際には前回御説明いたしましたように、低所得の方は、市町村国保あるいは後期高齢者に多いということですので、給付費の減への影響はそこに特に効いてくることになるだろうということでございます。
 13ページは、試算いたしました高額療養費の見直しと受診時定額負担の財政影響の下の考え方でございます。
 下に2つ絵がかいてございますけれども、左側の方が受診時定額負担による財政影響の機械的な試算の方法でございます。御説明してきましたように、自己負担の3割に加えて受診時定額負担を100円でいただくとすると、まず、この100円の部分の積み上げで2,060億円給付費が減るわけですけれども、それに加えて実際の患者の受診日数の伸びの減が発生しますので、その部分が定額負担と同じぐらいあるだろうということで、結果的には受診時の定額負担の総額の倍程度が給付費の減の効果として効いてくるということの説明でございます。
 右側ですが、前回、100円の定額負担が200円、300円になるのではないかという御意見がございました。各制度ごとに高額療養費の見直しと受診時定額負担の財政中立を目指すということですが、財政中立になるのは、この見直しを行ったその年度だけということでございます。実際にはその翌年以降、医療費が伸びますし、その中でも高額療養費というのは非常に大きな伸びを示していくと考えられますので、今回、改善した部分に起因した伸びというのも一定程度あるだろうと考えております。
 ただ、それを100円を引き上げることで賄うのではなくて、100円とその差額の部分、後年度に徐々に大きくなってくる部分につきましては、一番下に米印でありますように、保険者財政の中で、通常の保険料あるいは公費負担が入っている制度については公費も含めてファイナンスをしていく。そういう意味では、一時的には受診時定額負担で財政はニュートラルになりますけれども、結果的にはこの部分についても少しずつ保険料財源あるいは公費が入ってくるということでございます。
 14ページが低所得者への配慮についてでございます。
 上の四角は前回と同じ資料でございます。低所得者の配慮の措置をどのように考えるのかということと、どういう範囲を低所得者として位置づけるかということでございますが、今回、下の点線で囲んだ部分を新しく追加しております。先ほど給付減の財政効果が受診時定額負担で4,100億円発生すると御説明申し上げましたが、その中で低所得の方に負担いただく規模が、トータルで約800億円になっております。つまり、低所得者への配慮、軽減の内容によって、800億円の範囲内で先ほどの4,100億の規模が変わってくるということでございます。これにつきましては、本日は具体的な数字についてはまだ用意はさせていただいておりません。
 次の15ページと16ページは、前回の医療保険部会以降に高額療養費の見直しと受診時定額負担について御議論いただく議会がございましたので、それについて資料として掲載させていただいております。
 15ページが9月28日の中央社会保険医療協議会での議論でございます。9月16日の医療保険部会の資料と同じ資料で説明をさせていただきました。御意見はそこに書いてあるとおりでございます。
 支払い側、1号側の委員の方からは、高額療養費の改正は財政中立の考えで行うべき、受診時定額負担も選択肢の1つである、保険料で賄うのが筋という意見もあるが、財政状況から考えて難しい、一体改革の成案では公費負担とは書いていないので、選択肢はある程度限られてくるのではないのかといった御意見がございました。
 診療側、2号側の委員の御意見といたしましては、前回改定、22年度改定で医科・歯科合わせて1,000億円を割り当てた、これは外来のことだと思いますが、にもかかわらず、先ほど4,100億という数字を御説明いたしましたが、そのうちの半分の2,000億ぐらいは受診抑制を見込んでいるのではないか、これは非常に遺憾であるという御意見、受診時定額負担自体は免責制と変わらないのではないか、国民皆保険の考え方に合わないのではないか、、やはり公費か保険料という話ではないか、更にはフリーアクセスを制限することになるのではないかといった御意見がございました。
 中医協の会長からは、中医協で出た意見を医療保険部会の方に報告してほしいということでしたのでこの資料を付けさせていただいた次第でございます。
 16ページは、同じ9月28日に行われました参議院の予算委員会の議論でございます。
 民主党の櫻井充議員の質問で、受診時定額負担で高額療養費の改善をやるということだけれども、その前にもっと財源を捻出する余地はあるのではないかということで、被用者保険は原則として保険料を事業主と被保険者折半で徴収しているわけですが、事業主が余計に負担しているところもある、更に保険料率で見たときに、協会けんぽと健保組合ではまだ大きな差がある。そこを上げればいいのではないかという御質問でございました。
 小宮山大臣の答弁はゴシック体で下線を引いてある部分でございます。皆保険の仕組みの中で加入する制度によって給付や負担の水準に大きな差が生じないように給付と負担の公平を図るということは大変重要であること、他方、健保組合の料率を協会けんぽの水準まで引き上げることについては、1つは健保組合の料率は労使協調の枠組みの中で決めていること、保健事業の実施ですとか、医療費の適正化などを含めた保険者機能の発揮の延長線上で料率が決まっていること、あるいは協会けんぽには公費が入っていること、そういったいろいろな問題があるので、被保険者、事業主など、皆様の御意見を聞きながら検討していく必要があるという答弁でございました。
 こういった御議論があったということも併せて、御議論いただければと考えております。
 17ページ以降は参考資料ですので、説明は省略させていただきます。
 もう一つ、資料3でございますが、前回も付けさせていただいたんですけれども、一体改革の成案の中で患者負担に関して言及されているものが2つございました。1つが医薬品の患者負担の見直し、もう一つが高齢者医療制度の中で70歳から74歳の自己負担割合の見直しということでございました。資料の説明は省略させていただきますが、これにつきましても本日御議論をいただければと考えております。
 資料の説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、皆様から御意見をちょうだいしたいと思いますけれども、まず、最初に説明のありました資料2について御意見、御質問をいただきたいと思います。
 高原委員、どうぞ。
○高原委員 まず、資料の方の説明をもう少し詳しいところを聞きたいところがございます。
 この前は、高額な医療費に対するセーフティネットということでお金を捻出しようということですけれども、まず、これで見ますと、外来患者さんでこれだけの高額をすることはほとんどないのです。0.何%となっています。恐らく考えるに、抗がん剤を外来で使っているあるいは透析の患者さんがここに入るのではないかと思うんですけれども、それはそれでよろしいんですか。
 それならその疾患特有の考え方があるのではないかと思います。全体から、外来患者さんから取るという考え方ではなくても、その疾患別の対策をとっていただければいいのではないかと思います。
 必ずしもセーフティネットに反対するわけではないんですけれども、ここにお金を出すのに軽い患者さんが非常に毎回来ていると。毎回来ている患者さんからお金を取る。当然ながらそれなら受診抑制になる。初めから受診抑制だけの考え方でこのこともあるのではないかと1つは思います。これは非常に反対します。するのであれば、いかに保険財政が苦しくても、保険料で皆さんから取るというのが当たり前の方法の考え方だと思います。
○遠藤部会長 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 高額療養費の負担を軽減することは反対するものではありませんけれども、これは民主党のマニフェストにも載っているということですが、高額療養費の長期にわたる方の負担を軽減するというのは確かに載っているわけですが、受診時定額負担というのは全然一言も触れられていないことなので、本質的には関係ないことですね。後からだれかが考えついたんだろうと思うんです。
 先ほどの話を聞いて、前回も含めて少しおかしいなと思ったんですが、西辻課長は前回、100円が入ったらずっと100円でいくとおっしゃったんですけれども、それは今も変わりはないんですか。自分の任期中はとか、そういう留保はつかないんですか。確認したいんですが。
○遠藤部会長 課長、どうぞ。
○西辻保険課長 今回の制度設計に関しましては、100円を高額療養費の伸びに応じて連動させるということではなくて、制度改正のときには財政中立になるように、ある意味、100円でできる範囲の高額療養費の見直しをやりますが、高額療養費の伸びに応じて給付費が拡大していく部分については通常の保険者財政の中でファイナンスをしていただくという考え方でございます。
○遠藤部会長 どうぞ。
○鈴木委員 前回みたいにはっきり断定していないかなとも思いますけれども、先ほど来の保険者の方々の話を聞くと、もう今年度既に限界である限界であるというお話だったんですが、1年、それでは保険者の皆さんに、よしんば負担が100円だけだからということで入ったとして、次年度からまた足りなくなるわけですから、この分の負担は今度は保険料で、今回100円を入れてくれれば、次回以降は見ますとおっしゃられるんでしょうか。是非それもお伺いしたいと思います。
○横尾委員 その前に資料のことを確認させていただきます。
○遠藤部会長 では、横尾委員、どうぞ。
○横尾委員 冒頭で財政に関しての説明をいただいたことは貴重なことだと思っています。国民全体がマクロでこういったことをきちんと理解していかないといろいろな議論がしっかりかみ合わないと思いますので、今後ともよろしくお願いしたいと思っているところであります。
 例えば後期高齢の方も今、決算等の準備をしていますけれども、着実に増えています。増えたところの都道府県単位の広域連合では頻繁に受診されているケースがあるのではないか、薬が重複しているケースがあるのではないかと調べていきましたら、少し是正もできたりしているようですので、そういったことは必要だと思っております。
 資料の質問です。
 まず、9ページ、これは概算なので非常にざっくり記されているから数字が合わないと前もって書いてあるのですけれども、後期高齢のところだけ余りにも、50億円も違うので50億円はどこに行ったのか、あるいはもう少し細かい数字がわかれば教えてください。
 それと15ページです。「9月28日の中医協での主な意見」のやりとりがあるのですが、その中段、診療側委員の安達委員さんの意見の中に「医療保険部会の議論では、公費負担の選択肢がなぜ排除されたのか理解できない。改めて公費負担を検討すべきではないか」という意見が出ているのですけれども、厚生労働省側がどのように説明されたのかをまず伺いたい。そして、このことについて説明された後どういった反応があったかを是非教えてください。
○遠藤部会長 それでは、事務局お願いします。
○西辻保険課長 2点御質問があったかと思います。
 まず、9ページの数字でございます。後期高齢者の給付費700億増で保険料と公費で賄うものが300億、これは保険料が50で公費が300ですけれども、これは100億単位で丸めていますので、300のところも300より多いか少ないかは今、手元に資料はないんですけれども、多少出入りがあります。50のところをゼロにするのか100にするのかですけれども、ゼロと100では印象の差が大きかったので50にしたということでございます。試算としては粗いと言われれば、粗い試算と書いてあるとおりでございます。
 もう一つの中医協の方でどういう説明をしたかということでございますが、先ほども御説明しましたように資料としては9月16日の医療保険部会の資料で説明をさせていただきました。一体改革の成案のところから説明をいたしましたので、成案の書きぶりにもあるとおり、高額療養費の見直しとその規模に応じた受診時定額負担という説明を行ったわけでございます。なぜ公費で提案しないのかというご意見に対して、私の方で特に何かお答えするということは中医協のときにはございませんでした。
○横尾委員 前段の方は後で結構ですので、是非数字を教えてください。後段の方はざっくりした御説明だったのだという印象を受けました。
○遠藤部会長 岡崎委員、どうぞ。
○岡崎委員 国保の見直しの場合に、先ほどの資料で9ページ、市町村国保が1,500億ぐらい給付費が増えると。100円取るか取らないかという論議がこれから深まっていくと思いますが、100円いただいても、12ページにあるように1,300億で国保税も200億補てんができていないということと、例えば国保はもっと大きな問題がありまして、12ページにある市町村国保の1,300億は入ってくるかどうかということになると、恐らく入ってこない。
 なぜかというと、先ほど14ページで低所得者からは取れないという実質的な説明がありましたが、14ページに市町村民税非課税の対象所帯が1,700万人ということになっていますが、そのうち国保が1,170万人ということになっていますので、国保が1,700万人のうちの大半を占めていますので、100円を取れないということになると、1,300億自体も入ってこないということになります。もう一つ、例えば100円取れない所帯にどういう形でバックするのか、還元するのか、証明書を出すのかどうかということですが、入院の場合のいわゆる食費の減免に関しては認定証のようなものを出していると聞いていますが、これは外来ですので、実際に外来の患者さんにそういう証明書が出せるかどうかという問題もありますので、ここから見ますと非常に大きな問題を抱え込んでおりますし、実質的に1,300億の収入が確保できないという問題があるので、収支に全く合わないということになりますので、そこは御指摘をしておきたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 先ほど鈴木委員の質問の途中だったものですから、簡潔にお願いいたします。
○鈴木委員 質問が途中で途切れてしまったのですが、本当に不自然に思うのは、100円を来年度だけ入れて後は上げないという、その後はまた保険者の方に負担をお願いし、公費も考えるということであれば、最初からわざわざ、前回も申し上げましたけれども、煩わしい、それも不安定な財源に頼らないで、安定的な保険料や税財源を確保してから始めた方がいいのではないか。
 この制度は始めたら簡単に止められない制度だと思いますので、患者さんのお気持ち等を考えますと、やはり安定した財源が確保されない限りは実行するのは不可能だと思いますので、100円でよしんば入って、それ以上、上げないということで、低所得者の方、国保の方の話がありましたが、そういう方に戻すのにどうしたらいいかと、そういうところでかえって経費がかかったり、思ったほど税収が上がらなかったり。私は非常に不安定かつ、税収確保、金額の収入の確保のめどからいっても不安定なリスクの高い制度をあえてなぜ実施されるのかが理解できないので、本来の保険料や税財源に、おやりになるのでしたら、やるべきだろうと考えます。
○遠藤部会長 それでは、先ほど先に手を挙げられました齋藤正寧委員、お願いいたします。
○齋藤正寧委員 先ほど岡崎委員からも指摘があったんですけれども、12ページの定額負担の財政影響を含んでいないとのことです。特に市町村国保は低所得者が多い。この辺りはやはりきっちりとした、取らないなら取らない、取るなら取るということで、きっちりと試算を出してもらわないといけないと思います。こういう試算はきちんとすべきです。
 それから、高額療養費も財政影響が大きいわけでありまして、先ほどの説明を聞いても保険者によって結構ばらつきがあります。特に国保の場合は非常に大きい。保険者の担税能力あるいは徴収能力を超えているというお話がありましたが、一方では、100円も取れないのかと、100円も上げられないのかという反論もありました。ただ、低所得者への配慮というのは非常に大事な問題だと思いますし、できればこれは実現してしかるべきだと思います。
 単純に国保の側から行くと、保険料と公費を合わせて高額療養費の見直しあるいは受診時の定額負担を総裁しても300億円ぐらい負担増になる。保険料だけで見ても国保は100億円負担増となっている。これでは低所得者が多い国保とかは100円でもやはり上げられないというぐらい実態は厳しいのだと、こういう現実を皆さんからどうしてもやはりご理解願いたいなと思います。
 公費については9ページに書いてあるとおりに、200億円の負担増となっておりますけれども、更に財政中立にするためには受診時の定額負担に加えて公費の拡充も必要だとあります。同時に、受診時国保の財政基盤強化の中で低所得者の高額医療費の財政支援を検討すると書かれています。これは国保の厳しさをよく理解していただいた結果だと思いますけれども、これは具体的にどうやるのでしょうか。ここは国保の側から言うと大変問題だと思います。ここが明らかにならないと高額療養費の問題も、100円の定額負担の問題も結論的な議論はなかなかできないよと。
 一体改革の成案では、国保に2,200億円程度投入するとなっております。しかし、この中身については、穴埋めのための金ではないのです。中身は財政基盤強化のための2,200億円でありまして、そのほかに2割の軽減の拡大をするとか、均等割りの軽減をするとか、保険料の免責条項もあるわけですけれども、そういった条例の減免への公費の負担あるいは自発的でない失業者対策の財政調整を強化するとか、そういった中身であり、ここでこういう制度改正をして開いた穴に対する埋め合わせはこっちからはできないということなのです。ここをどうするかを明確にしてもらわないといけないのではないでしょうか。
 財政中立、財政中立と言いますけれども、これでは二重三重に財政中立にならないよというのがたくさんあるわけでありまして、この辺りは明確にして議論しないとなかなか結論は出せないのではないのかなと、こういうことをお話しておきたいと思います。
○遠藤部会長 齋藤委員からの御意見であったわけですけれども、もし事務局から何かコメントがあればお願いしたいと思います。
 西辻課長、お願いします。
○西辻保険課長 何人かの方からいろいろな御意見をいただきましたので、幾つかコメントをさせていただきたいと思います。
 まず、鈴木委員から100円で足りなくなるのだったら最初から100円を取らずに保険料でやればいいのではないかというご意見がありましたが、確かに財政をニュートラルにした後の増額分については保険者の方で見ていただくということですけれども、今回の高額療養費の見直しは、実効給付率には非常に大きなインパクトがありまして、先ほどの試算でも3,600億ですので、これをいきなり保険者財政でというのは非常に厳しいことから、財源ということで提案を申し上げているわけでございます。そのことと、その後に少しずつ伸びていく部分とは、少し違うのではないかということです。
 岡崎委員、齋藤委員から低所得者のことについて言及がございました。低所得者につきまして、低所得者の方から100円いただく総額が大体、800億円ぐらいですので、これを取らなければ財政的に非常に大きな影響が出てくるのではないのかということですが、800億というのはマックスの数字ですので、低所得者の方から全く取らなければ800億がそのまま給付減の方から減りますけれども、配慮するということは全く取らない、少し取る、いろいろな考え方があると思うんですけれども、そこにつきましては、本日の段階では試算をお示ししてございません。今後、どういう形で低所得者に配慮するのかということも含めて試算をお示しさせていただきたいと考えております。
 岡崎委員から、実際に低所得者に配慮する場合に、配慮された方を医療機関で確認するためにどういう手法をとるのかということで、入院時の証明書のお話とかがございましたけれども、これは実務的には詰めなければいけない話でございまして、仮に番号制度よりも早くこれを実施するとした場合には、やはり低所得の方について医療機関の方でわかるようにしなければいけない、そのためには何らかの証明書的なものを用意する必要がある。それは保険者事務にとっては負担になるだろうということは承知しておるところでございます。そこは今後具体化する場合には詰めていかなければいけないと思っております。
 一体改革の成案で出ておりました国保の基盤強化の2,200億をどう使うのかというお話が齋藤委員からあったかと思うんですが、これは国と地方で実際に協議を続けられていると承知しておりますので、基本的にはその協議の中で御議論いただく話だろうと思っております。ただ、財政中立でこれを実施するとした場合に、やはり何らかの公費が国保に関しては必要であろうというのが本日の時点での試算だということでございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 高原委員、お待たせしました。
○高原委員 先ほど途中で忘れておりました。
 1つだけ危惧がございます。今回は高額医療のための財政負担をどこからするかという閣議からですけれども、これだけ各保険者が国保もけんぽも健保組合も、すべて財政が厳しいということになりますと、今回は高額療養費のためだけの、その補助のための事項負担ということになるんですけれども、全体の財源が足りないということになると、これからどんどん際限なく自己負担が増えてくるのではないかと思いますし、これをきっかけに起こるのではないかと思います。そのことがありまして反対しておりますが、保険者の皆さんはこれからどういう形で持って行こうという形で考えておられますでしょうか、よかったら教えてください。
○遠藤部会長 小林委員、どうぞ。
○小林委員 さきほど鈴木委員あるいは只今の高原委員から保険者はどう考えるのかとのお話がございましたので、私どもの考え方を申し上げますと、保険者の財政はどこも悪化しており、先ほど申しましたように協会けんぽは非常に厳しい状況にあります。
 こうしたことから、従来から私どもは高額療養費の改善については理解できますが、あくまでも財政中立になるような措置とともに特に実施する必要があると申し上げてきており、今回提案されております受診時定額負担も選択肢の1つとして検討すべきと考えております。ただ、当然のことながらこの財政中立は一時的なものであってはならず、制度改正した年度のみ財政中立であって、その後は保険者財政の中で負担せよという、本日の資料13ページの記述は、およそ財政中立とは言えないと私どもは考えております。
 資料9ページを見ると、国保には公費の拡充も必要であるとされておりますが、受診時定額負担による財政中立が1年限りということであれば、他の保険者についても公費の拡充など、別の方策を講じることによって全体として財政中立を保つべきではないかというのが私どもの考え方です。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 白川委員、どうぞ。
○白川委員 保険者としてどう考えるかという御質問もありましたので、それも踏まえて私どもの意見、若干質問等もございますので併せて発言させていただきます。
 今、小林委員がおっしゃったことと私どもも同感でございまして、1年間財政中立であろうと、その後徐々に高額療養費が増えていくということは趨勢から見て明らかでございますし、何より恐れておりますのは、いわゆる長瀬効果も何年ももつわけではございませんで、過去の例から言えば、数年たてば消えていくということですから、保険者の財政は1年も過ぎれば徐々に負荷が重くなるということでございますので、3年とか5年とかという単位で財政中立という方法が考えられないかと願っているところでございます。
 これは昨年の12月の医療保険部会で一度御提案があり、我々として保険料で賄うことは大変だ、しかも、保険者によって負荷のかかり方が違い過ぎるということで一旦、引っ込められた案ということで、今回、財源問題から受診時定額負担とセットで御提案になったわけですが、確かにこの2つの制度を合理的に説明するというのは、我々にとっても加入者に説明するのに苦慮するような組み合わせではあります。
 極端なことを言うと、若干お叱りを受けるかもしれませんが、そういう意味では、トレードオフのようなものだと。極論しますと、保険料は私どもとしては困る。国としては、成案の中では公費を使うということにはなっていない。したがって、政府としては公費は投入していないというスタンスでしょうから、高額療養費制度の給付拡大をやるのであれば、財源はほかに見つけるしかありませんし、それが見つからなければ給付拡大案もなしと、そういうトレードオフで考えざるを得ないのではないかなと考えております。
 それに関連してよく理解できないのは、本日の試算の中で長瀬効果で受診抑制と言ったら語弊があるかもしれませんが、そういう効果が約200億あり、高額療養費の今まで受診抑制されていた方が高額療養を受けるという逆長瀬効果というのかどうか知りませんが、それが約200億と見込まれておりますが、本当にそんなに双方に効果があるのかなと。これは根拠のない疑問でございますが。したがって、それを根拠にいろいろな組み立てがされているというのはいかがなものかなという、これは感想でございますが、事務局で根拠をお持ちでありましたら御説明いただきたいという点。
 今回初めて600万から300万の方々に対する給付の拡大という御提案がされたわけですけれども、たしか昨年の医療保険部会のときに、当時、吉田保険課長が300万円以下ということで、仮に4万4,000円としたらということで、仮に4万4,000円という金額が設定されたと思うんですけれども、今回は4万4,000円、300万から600万のところは6万円という設定をされておりますが、これはどういう根拠でそういう設定になっているのかということも質問をさせていただきたいと思います。
 長くなって恐縮でございますが、1点だけ、16ページに参議院の予算委員会でのやりとりが御親切に出されておりまして、健保組合の保険料率について言及されておりますので、私どもから一言コメントをさせていただきたいと思います。
 一番最後の部分でございます、小宮山大臣の御回答は、私どもが言いたいことをほとんど言っていただいているので、厚労大臣には正しく認識をしていただいていると感謝をしております。基本的に健保組合の制度というのは、事業主、加入者が料率を決めるというのが最大の保険者機能でございまして、そこの権利まで言及されるというのは、法の趣旨からいって非常におかしな言及だなというのが率直な感想でございます。厚労省におかれましては、法の趣旨に、大臣の発言にありますとおりの見解でこれからも御対応いただくように最後にお願いいたします。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 ただいま事務局に質問が幾つか出ております。シミュレーションの前提になる幾つかの考え方だったので、その辺についてお答えできる範囲でお願いします。
 事務局、どうぞ。
○村山調査課長 調査課長です。
 まず、長瀬効果の関係につきましては、資料2の25ページと26ページのところに書いてございます。
 25ページ、まず、長瀬効果というところで、最初に書いてございますが、給付率の変更に伴って、医療費の水準が変化するということで、この効果でございます。
 26ページ、グラフがございます。最近のことですので、給付率が低下する場合が書いてあるのですが、グラフがございますけれども、医療費を1人当たり日数と1日当たりの医療費つまり単価に分け、それぞれの伸び率を見たものでございます。上の赤色の付いている方が1日当たりの医療費の伸びでプラス、下の青色の方が1人当たり日数の伸びということで、マイナスということです。
 26ページの左下、平成9年のところは一部負担の引き上げが行われたところですけれども、丸くくくってございますように、1人当たりの日数がこのようにマイナス幅が大きくなっているということで、給付率の変更に伴って一緒に変化した。あと同様に、平成15年4月が右のところにございますけれども、一部負担が3割負担に引き上げられたときにも同じようなことがあったということで、この効果を見込んだということでございます。
 委員から逆長瀬効果と言われたのですが、最近は給付率が下がる、一部負担が増える効果しかないんですけれども、歴史的には御案内のとおり、昭和48年の老人医療費の無料化ということで、このときには明らかに給付率を引き上げる、患者負担を減らすということが行われた効果で医療費が非常に増えた。長瀬効果ということで、歴史的な事実としてそういうことがあるということで、資料ではお示ししてございませんが、どちらの方向、一部負担を増やす場合あるいは減らす場合におきましても、どちらにも観測されてきていると事務局では認識しております。
○遠藤部会長 それでは、所得区分の合理性の話が残っております。
 西辻課長、お願いします。
○西辻保険課長 白川委員からいただいた御質問で、昨年12月に議論したときには、年収300万円以下の方についてだけ軽減をする提案でしたが、今回、もう一つ、600万円以下の方、つまり300万円から600万円の方も限度額を1つ設定をするということで提案していることに関してでございます。これは、300万円以下の方を軽減しますと、300万円よりも下の方軽減された負担限度額になるんですが、他方、300万円を少し超える方、310万、320万、330万円といった方については従来どおりの8万円の水準になってしまうということをどう考えるのかを検討した結果、財源の問題もあって、全体として受診時定額負担の規模に合わせた設計にするという制約はあるんですけれども、300万から600万の方についても、当初の3か月だけ、600万円以上の方と300万円以下の中間の限度額を設定をするということであれば、全体の給付費の枠内に収まるということで、今回提案をしたということでございます。
○遠藤部会長 先ほど白川委員の御発言の中に1つありました、長瀬効果は短期間しかきかないだろうということだったわけですけれども、村山課長の御説明ではその部分は触れておられませんでしたが、どのような御認識でしょうか。
○村山調査課長 失礼いたしました。
 長瀬効果が短期間の話につきましては、恐縮ですけれども、25ページのところに文章としては、2「制度改革後の医療費の動きの具体例」ということで、患者数の伸び率の推移を見ると、改正後1年間は低くなるけれども、1年を過ぎると伸び率が従前の水準に戻るということです。先ほどごらんいただいた26ページのグラフですけれども、平成9年に一部負担の引き上げが行われたわけですが、それに伴う1人当たり日数の伸びの丸のところ、伸び率が大きく下がったのはほぼ1年です。これは1本の棒が四半期ですので、4本で1年でございます。15年4月改正のところもちょうど4本です。対前年伸び率を見ますと制度改正の前と後を比べた1年間では伸び率が低下しますが、1年たって改正後同士の比較になると、特段こういう効果は見られないということで、伸び率への効果については、1年間の効果ということでございます。
○遠藤部会長 通常そういうことだと思います。ありがとうございました。
 それでは、先ほど来、お手を挙げられておりました和田委員、どうぞ。
○和田委員 ずっと議論をお伺いしていて、財政的な問題に関わる議論がやはり中心になっているんですけれども、新しい制度を実施する場合に国民の目線から見たときにそれが正当なものとして受け入れられるかどうか、正当性の論理が必要だと思うんです。
 そこで、今日の資料の10ページの受診時定額負担の仕組みについて(案)のところの上の箱の中の丸の3つ目をごらんいただきますと、「高額療養費なども含めて定率負担と併せて、患者の家計を考慮して事故負担の水準が変わる仕組み」だということで今回もそれの言わば1つの応用系であって、その仕組み自体変わるものではないんだということになっています。確かにそれはそのとおりだと思います。ただ、高額療養費の場合には定率負担に関して、患者の家計を考慮して軽減する方向の措置がこれまでとられてきて、今回はそれではなくて、むしろ患者一般の負担を増やす方向なわけですね。ですので、仕組み自体は変わるものではないにしても、その活用の方向性が全く真逆であるということは、そこに何らかの本質的な転換に関しての正当性の論理というものが必要ではないかと思います。100円だからいいじゃないかということではなくて、制度そのものの正当性ということ。その辺りが少し論理的に薄弱なところがあるのではないかという気がします。
 もっと素朴な感覚から言いましても、これも何度かどなたかからも議論で出ていたと思いますけれども、やはり病気を抱えて病院に行っている患者さんが、そこを負担するということが本当に国民の視点から見て納得され得ることなのかどうかということですね。勿論保険給付内部での重点化ということでもあるんですけれども、内部での重点化が別のところでの希薄化を伴っていることの表現がこの100円なんだと思うんです。それだったらむしろ、公費であるのか、保険料であるのか、財政的に非常に難しいというのは重々わかりますけれども、国民から見れば、国民全体でそういうところは負担していくという方が全うな論理なのではないかという気がいたします。国民の目線から見たときの正当性のありかというところの議論が余りなされていないので、私なりの意見を言わせていただきました。
○遠藤部会長 ありがとうございます
 堀委員、どうぞ。
○堀委員 和田委員の言われたことと全く同じような感覚を持っておりまして、あえて稚拙な例えでお叱りを受けるかもしれませんが、国のありようだと思うんですけれども、家族の中に難病で困っている家族、年寄りがいたということで、そのときにだれが負担するかという話で、もう一人病院に通院している家族がいたと。そこからあなた出しなさいよという形のように思えてならないので、どうしてもそうなるとやはり筋がどうかなという、まさにそこをしっかりと決めていかないと財源的な話だけでは済まないような議論ではないかなと思いますので、一言申し上げます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 では、樋口委員、どうぞ。
○樋口委員 話を蒸し返すようで恐縮でございますけれども、今の100円問題、自己負担の問題を含めまして、基本的に今回は、日本の医療費はもうこれ以上、増やせない。この枠の中で絶対にやっていかなければならない。その中での世代間公平とか貧富の格差というものを是正しながらやっていくということのように来ておりますけれども、9月28日中医協での主な意見、先ほども質問が出ましたが、公費負担ということは初めから除外してこの会は臨まなければならないのかどうかということでございます。
 前々から私が不思議に思っておりますことは、日本の医療費も確かに増加が激しく、財政上増やせないというのもよくわかるのです。今回ここで私たちがこの委員会で共有いたしました事実は、医療費の伸びは第一に高齢化で特に後期高齢者の医療費の負担である。もう一つが科学技術の発達による高度医療の費用が増えている。この2つをだれがどう負担し合っていくかということだと思うのですけれども、日本の対GDP比における医療費というのは決して高くございません。ここにいらっしゃる方は皆さん御案内と思いますが、OECD諸国の中でもたしか24位という低さでございます。にもかかわらず、日本の高度技術の発達もさることながら、日本の高齢者比率は今や世界一でございます。高齢になればなるほど医療費がかかっていく。そういう状況の中で日本の医療費は国際的に見ると決して高くないんです。しかし、日本の国内の財政から見ればすごく大変だから、もうここで医療費は打ち止めにしようやということで始めるのか、中医協で安達委員から御発言のございました公費増額という選択肢は全くあり得ないのか。消費税増税ということも議論の前提になってきていると思いますし、そういう中で公費負担ということを、これだけ高齢化し、高度医療化していき、1人でも貧富の格差なく命を救おうと思ったら公費負担ということも本当は考えなければいけないのではないでしょうか。
 質問と意見でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 では、意見の方はよくわかりました。質問というのは事務局に対してのですね。財源の範囲として公費ということについて。
 では、岩本委員の御意見をお聞きしたいと思います。
○岩本委員 公費負担が選択肢にあるかどうかという御意見が出ていますので、それに関連して私の意見を述べさせていただきます。
 この案がそもそも一体改革成案の中で出てきておりまして、そこで公費負担に関して縛りがかかっているということで、しかもこれは政府与党の決定という重みがあるものですから、それを覆す選択肢を提示するとなれば、具体的にどうするのかというところを出していかなければいけないということだと思います。既に消費税は一体改革の中で2015年をめどに5%分引き上げるとかなり大きな増税を入れているんですけれども、その中にこの部分が入っていないという現状なわけですから、こちらの方の財源を見つけるとなれば、消費税の今の考えられている財源あるいは既存の歳出を切り詰めてそちらに回すとかということを考えなければいけない。そうでなければ、5%に更に上澄みする何らかの形の増税を考えなければいけないという、そういう構造になっているんだと思います。
 意見としては、一体改革のところにも異議ありということで、公費負担増でやればいいじゃないかという御意見がいろいろ出るというのは勿論いいことだと思うんです。これは私個人の意見ですけれども、この場としては、一体改革の結論というか、成案を受けてそれを少しでもよくするという形で、あるいは具体的になっていないところを具体化するということでやっていかなければいけないのではないかという認識でおります。
 ただ、私は事務局の意見に必ずしも全部賛成ということではなくて、前回申し上げましたけれども、まず、現状があって、そして事務局案としては高額療養費の給付を広げて、その変わりに受診時定額負担を導入するという案が出て、私は後半の受診時定額負担の分に関しては、保険料を上げた方が国民はもっと納得しやすいのではないでしょうかという問題提起をしたわけです。そういうことで訴えれば、国民のかなりの方は納得していただけるかなと思っております。ただ、一体改革全体の文脈の中では、これは実現が非常に難しいことになっています。
 どういうことかというと、前半部分のところでこれで給付費が増えますので、財政影響の方でそれに連動して公費が増えるという形で公費負担の増が計算されているということになっているかと思います。公費負担というのは給付費と連動している部分が相当あるわけですから、そうすると、一体改革で出ている形で、その分どこか公費で削れということになれば、そこをいじらない限り何らかの形で給付費を減らさないと公費負担が減らないということになるわけです。それでもう選択肢が狭められているわけです。保険料を上げるというのは給付費の方には跳ね返りませんので、公費負担を下げるには何も働かないということになります。
 ですから、私が前回問題提起した高額療養費の方は給付をする。その分を保険料で面倒を見るといった場合には、給付費が増えて、それに連動して公費負担が増えてという形だけになってしまうので、そうすると一体改革で決まった公費負担の縛りを満たさないということで、却下されることになるということです。
 ただ、私はそれでは諦めなくて、そこは公費負担と給付費が連動しているという、現行の仕組みをいじらなければ、ということですから、もしこの制度改革、定額負担が国民が納得を得られるのかどうかということを正面から問うのであれば、そこも改革の選択肢に入れて、何らかの形で公費負担の仕組み自体を見直して、そこで財源をつくるということも考えられなくもないということをとりあえず申し上げたいと思います。
 もしそこをいじらないままでやっていって、このままいった場合、将来にもまた何か公費負担増の改革がもし必要だとなった場合には、なかなか財源が付きませんから、そうするとやはりどこかで公費負担を削ってという話になると、給付費を何らかの形で削ってとかという、そういう議論に結局なってしまうということかと思います。
 定額負担というのは非常に大きな問題だと思うんですけれども、今回の御提案でなかなか代案がないというところは、公費負担の縛りで決まっていると先ほどの説明のとおり理解しているんですけれども、尾っぽが胴体を振り回しているような気がしないでもなくて、そういう財政の公費負担の縛りによってこういう定額負担という大きなものが、入る入らないが決まってしまうというか、そこに選択肢としては行き着くしかないという形になっているというのは本当にいいのかなと。こういうことがまた繰り返されないのかなという、そういう思いでいるということです。
 ただ、選択肢は3つですけれども、定額負担は、前回申し上げたように、これは最後の手段だと言っていますが、ただ、定額負担に必ずしも反対というか、完全に反対という話ではなくて、現状のままですとやはり高額療養費の負担というのは非常に重いわけですから、これは何らかの形で変えなければいけないということで、選択肢は3つありますと。いまよりは厚生労働省さんが提案した案というのがまだましだと。それよりもいいものがあるかどうかということで探していくということだと思いますので、定額負担に反対だからといってすべての今の案が御破算になって、現状維持ということの議論の展開は避けた方がいいのではないかなと思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 今、樋口委員と岩本委員がおっしゃられたことと関連ですか。
○逢見委員 関連です。
○遠藤部会長 では、関連で行きましょう。
○逢見委員 今までの議論を聞いていて、財政中立というのはどういうことなのかといろいろ考えてみたのですが、説明を聞いていると、導入時財政中立ということであって、その後は高額療養費の伸びが大きくなる。かつ100円という定額負担は今後変えないという説明になっています。ですから、国保についてはもともと財政力が弱い、低所得者が多いので、そこには最初から公費が入るということが検討されるということなので、財政中立でスタートはするけれども、しかし、持続という点でいくとそういうものではなくて、いずれ保険者財政の中で処理していくということになる。国保については公費が入るということだけれども、そういう仕組みでスタートしてしまっていいのかなというのがありまして、低所得者の部分については、国保に限らず、減免分は公費でカバーするとか、そういう仕組みを入れていかないと、これが持続可能なものになるかどうかということについて不安があります。
 そういう意味で、まだ初年度、2015年度ベースの試算しかないので、もう少し長期でどうなるのかがシュミレーションが示されるともう少し議論ができるのではないかなと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 では、鈴木委員、簡潔にひとつお願いします。
○鈴木委員 今のお話を聞くと、西辻課長が最初のときだけだとおっしゃるけれども、今、おっしゃられたように、長瀬効果も1年だけ、100円以上は上げない、保険者も2年目以降は財政負担はできないということになると、これは1年限りしか続かない制度ということにこのままではなってしまいますから、こんなことはやるべきではないでしょう。受診時定額負担に関しては日本医師会を始め、医療関連41団体が全力を挙げて本日から署名運動を活動し、12月9日に総決起大会を開く予定にしております。受診時定額負担そのものをやめるべきだと思っておりますので、それ以外の中で財源を考えて、安定した財源を確保してからやるしかないと思います。
 ただ、高額療養費の伸びというのは非常に大きいのです。普通の医療費をはるかに超えて伸びていますから、この問題については是非じっくりと考えて、どのように負担をしていくかということはもっと時間を掛けてやるべきだと思っています。あと1回、2回で決めてしまう、そんな問題ではないと思いますので、是非中長期的にしっかりと議論をしていくべき問題だろうと思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 では、手短にお願いいたします。
○横尾委員 いろいろ御意見を拝聴していて、税と社会保障の一体改革とは言うものの、印象としては税のやりくりと不足分の補てんなどを争点とした社会保障の手直しに関する議論のようになっている気がいたすわけでありまして、本来であるならば、あるべき社会福祉、福祉社会のビジョンを示して、それを支えるための税とか、具体策はどうするのかということをシミュレーションして、設計図や実施計画を出せば多くの国民の皆さんは、多分、理解されて、もう少し前向きに負担を分かち合うということも可能ではないかと思います。そのときには先ほど御説明の中の番号制度の導入にもありましたように、今、申請主義の行政になっているのですけれども、プッシュ型を前提とするとか、あるいは10年、20年の改革プランを示して、それを着実にやるとか、そういうものも是非入れていただいて提示していただく方が後の議論もどんどん進むのではないかと感じます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 では、大谷委員、どうぞ。
○大谷委員 1つ、先ほどの鈴木先生のお話の中で人工透析の患者さんや高額医療を必要としているがんの患者さんたちとおっしゃったんですけれども、これは1点訂正をお願いしておきたいんです。
 人工透析の患者さんは1万円疾病になっていて、私たちがんの患者は延々お金を払っていくわけですけれども、そこは全く違うということは何をか言わんやということを御理解いただきたいとして、訂正も含めて一言だけお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 紙屋委員、どうぞ。
○紙屋委員 今まで財政の問題で、この枠の中だけで議論が進むということであれば、本当にとても辛いなと思って伺っておりました。今回は、次期診療報酬改定の基本方針の検討がメインかなと思っておりましたが、勿論お金がなれば医療も看護も福祉も成り立たないわけですけれども、やはり最初に安心・安全の医療ということが出されたわけですから、国民というときには高齢者も病者もみんな国民でありますから、払いたくても払えない状況の人がどう救済されるか。そして安心・安全の医療を受けていけるかという議論の方も今後、多分議題になるのでしょうけれども、是非その辺の検討をお願いしたいと思いまして発言させていただきました。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 岩村部会長代理、どうぞ。
○岩村部会長代理 もう時間が来ていますので、ごく簡潔に。
 まず、先ほどの和田委員のコメントについてですけれども、私自身は今回の窓口での定額負担と高額療養費が反対の方向を向いていると理解していません。私の理解が正しければ、窓口の定額負担も結局それは自己負担なので、高額療養費の対象になると理解しております。ただ他方で、窓口定額負担を入れるということは前回もお話しましたけれども、従来の社会保険とは違う発想が入るということ自体はそのとおりでありますので、そこをどうするかということをまず検討すべきだろうと思っています。
 もう一つ、窓口定額負担ではなくて、保険料で負担すればいいではないかというご意見が出ています。これについても前回申し上げましたが、社会保険の論理から言うと確かにそうですが、現在の公的医療保険全体の財政というものを見たときには、財源を保険料に求めたときにその負担が最終的にどう転嫁するかというのを見た上で考えないとまずいだろうと考えています。
 今日お配りいただいた資料の9ページで高額療養費を見直した結果として給付費に跳ね返るもの、保険料、公費に跳ね返る分というのが資料で粗い試算で出ていますが、それを各類型別に見ていきますと、保険料あるいは公費への跳ね返り方というのが制度によって非常に大きく違う。とりわけ注2のところが重要で、支援金等があるということによって制度別の跳ね返りというのが保険料については随分違うということを考える必要があるということだと思います。
 あと、岩本委員がおっしゃった公費の負担のことですが、私も岩本委員のおっしゃることにはかなりの部分、同感のところがあるんですが、他方で定率の公費負担ではない形にすると、今度は逆に新しい公費負担を引き出すのは、それはそれでまた非常に難しくなるというもう一つの問題も発生するので、そこのところも考えなければいけないかなと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 見事にまとめていただいた形になりました。
 定額自己負担がいいのかどうかという問題が1つあるわけでありますけれども、同時にもしこのようにやった場合でも、保険者間での財政の影響が違いますから、その調整をどうするのかというところに特に保険者の方は非常に関心を持っておられるわけですので、その辺も含めた多少、制度の高いシミュレーションも必要になるかと思いますので、またひとつよろしくお願いいたします。
 今後この議論は継続してやりますので、本日結論を出すということは考えておりませんから、またよろしくお願いしたいと思います。
 では、これにつきましては、本日はこれぐらいにさせていただきまして、資料3について御意見をいただこうかと思ったのですけれども、お時間がありませんので、これは次回回しにさせていただきたいと思います。少し読んでおいていただきたいと思います。
 もう一つが、前回、高原委員から御質問がありまして、それに対する回答を事務局が用意しておりますので、それについて御説明をいただきたいと思います。
 事務局、どうぞ。
○鈴木医療課長 医療課長でございます。
 私の方から資料4という1枚紙について御説明します。
 高原委員から御質問がございました薬剤費の比率についてです。
 前提の2段目に書いてございますけれども、平成22年度の医療費は36.6兆円でございます。薬剤費率は少し古いものですけれども、20年で21.2%でございますので、薬剤費は約7.8兆円ということになります。すべて22年の値で少しずつ計算してみている形です。
 高原委員の御指摘の趣旨は、薬剤費の中には包括の入院料の中に含まれる薬剤費が含まれていないのではないか。それを計算したらどうなるのかということだったと思います。具体的に制度の高い計算ができたものとそうではないものがございまして、下の包括病棟における薬剤費の推計というところに3つ書いてございます。
 1番上のDPCは、E・Fファイルということで、具体的に使用薬剤について書かせておりますので、これはかなり具体的に出まして、約5,000億円でございます。
 医療療養病棟も全数調査ではありませんけれども、コスト調査を今回行っておりますので、その中の薬剤費を算出しますと、年間約1,500億円ということになります。
 一番計算がしにくいのが特定入院料、ここは調査もございませんし、それぞれ回復期リハから精神療養、認知症治療等の約25万床ございますけれども、薬剤費率に関するデータがございませんので、ここは少し大胆な仮定を置かせていただきました。先ほども申し上げた医療療養と同じ薬剤費の比率であると、これはかなり大胆な前提でございますけれども、仮定しました結果、年間約2,400億円程度ではないか。ここはかなり大胆な設定です。
 以上を合計しますと、下線部3つの5,000億、1,500億、2,400億を合計いたしますと、約8,900億円ということになりますので、前段の既に資料として明らかになっている7.8兆円にこれを加えますと、約8.7兆円ぐらい。薬剤費比率に換算しますと23.6%ということで、先ほど申し上げた21.2%と比較すると約10%多いということになります。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 高原委員、どうぞ。
○高原委員 どうもありがとうございました。
 ただ、少し疑問に思うんです。DPCのところだけ申し上げます。
 年間5,000億円を約1,500施設で割りますと、薬剤費が大体、1施設3.3億です。私のところは無償の診療所でレセプト1,000枚ぐらいのところの診療所ですけれども、今は医薬分業になっていますが、以前購入しておったときには、購入費用というのが一月400万円かかっておりました。それをすると1年間で4,800万円です。DPCの方は少し過小評価をしているのではないですか。だって、7倍ぐらいしか違わないですよ。入院と外来と違いがありますけれども、入院の方が多分かかっているはずですね。そういうことを考えると、5,000億といのはすごく評価が低いです。済みませんが、もう一度、実際にDPCをしている病院のところの1施設を私が聞いて今度持ってきますから、教えてくれるかどうかわかりませんけれども、それから推定してもこれはすごく安いと思います。過小評価。
○遠藤部会長 これはE・Fファイルで具体的に調べられるはずです。
 それでは、企画官、お願いします。
○迫井医療企画官 医療企画官でございます。
 このデータは実績値でございますので、実際問題これは実数でございます。ですから、逆に言いますと、これ以上正確にというデータはございません。従いまして、今、医療課長が説明させていただきました中のうちDPCの部分は実績値、これ以上の詳細なデータはないということになります。
○高原委員 そうなのか。ちょっと納得いきませんが。
○遠藤部会長 DPCについては信用しないと言えばそれまでですけれども、信用すれば実際にできますので、それは正しい数字だと思います。
 よろしいですか。
 これは非常に重要だと思いますのでは、包括化が進んでおりますので、薬剤費の割合がだんだん不鮮明になっていますので、そういう意味で、高原委員が言われたことに私も積極的に支持をして事務局にお願いしたわけですけれども、これは重要な数値でありますので、中医協の方にでも是非報告をしていただいて、薬価基準制度の議論のときにでも反映していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、用意をいたしました議題は以上とさせていただきます。
 それでは、最後になりましたけれども、辻副大臣がお見えになっておられますので、一言ごあいさつをお願いしたいと思います。
○辻副大臣 医療保険部会の皆様、御紹介をいただきました小宮山大臣の下で副大臣を拝命いたしております参議院議員の辻泰弘でございます。
 本来、16時にお伺いすべきところでございましたが、他の公務のため遅れましたことをお詫び申し上げる次第でございます。
 また、遠藤部会長先生を始めとする皆様方には、平素より医療保険のあるべき姿の追求に向けて御尽力を賜っておりますこと、また本日も大変御熱心な御討議を賜りましたことを心より感謝、御礼申し上げる次第でございます。
 今更言うまでもないかもしれませんけれども、厚生労働行政の目的は、国民の幸せの実現にある。そして幸せを実現する上で人間が生きていること、そして望むらくはより健康な状態で生きていること、そのことを実現する医療のよりよい状態をつくっていく。そしてそれを国民全体に提供できる医療保険体制をつくっていく、このことが大きな重要な課題であるわけでございます。日本においては皆保険、フリーアクセス、現物給付という体制を実現する中で、世界にも誇るべき皆保険の状況をつくってきたわけでございます。その根幹は今後とも守っていきたいと、このような思いを持つと同時に、今日、医療を始めとする社会保障のセーフティネットにほころびが見られる。また少子高齢化社会の中で社会保障の費用を始めとする需要が大きく拡大している。そしてトータルとしての国家財政も大変厳しい状況にある。これが現実になっているわけでございまして、医療並びに医療保険を取り巻く状況は大変厳しいものがあるわけでございます。
 そのような中で、御承知のとおり、過般、政府全体といたしまして、税と社会保障一体改革ということで成案を提示させていただきまして、その中の御検討をいただいているところでございます。
 本日も高額療養費制度の見直し、また受診時定額負担制度の在り方などについても熱心な御討議をいただいたところでございますが、どうか今後とも、先生方におかれましては、国民にとっての幸せを実現する大きな使命を担った医療並びに医療保険のあるべき姿の追求に向けて御尽力を賜りますように心からお願いを申し上げまして、ごあいさつにさせていただきます。
 本日は誠にありがとうございました。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、本日の審議会はこれまでにしたいと思います。
 お忙しい中、どうもありがとうございました。
 また、次回開催につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
 どうもありがとうございました。


(了)

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