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2011年8月29日 保険者による健診・保健指導等に関する検討会議事録(第4回)

保険局総務課医療費適正化対策推進室

○日時

平成23年8月29日(月)14時30分~17時00分


○場所

全国都市会館(第一会議室)
東京都千代田区平河町2-4-2


○議題

1.後期高齢者支援金の加算・減算制度について
2.特定保健指導等について
3.実施率向上への対応について
  (保険者協議会、集合契約のあり方、被扶養者対策)

○議事

○多田羅座長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより「第4回 保険者による健診・保健指導に関する検討会」を開催いたします。私は座長を仰せつかっております多田羅です。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、会議に先立ちまして、事務局より出席者の確認がありますので、よろしくお願いいたします。
○医療費適正化対策推進室長 本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。本日の委員の皆様の出席状況を確認させていただきたいと思います。本日は、日本看護協会の草間委員から欠席の御連絡をいただいております。草間委員からは意見書の提出いただいておりますので後ほど御紹介をさせていただきたいと思います。また、全国後期高齢者医療広域連合会協議会の横尾委員からも欠席の御連絡をいただいております。次に全国市長会の岡?委員の代理として舛田高知市健康福祉部長に御出席いただいております。また、日本栄養士会の小松委員からはおくれて出席されるとの御連絡をいただいております。そのほかに日本労働組合総連合会の伊藤委員、JFE4スチールの高橋委員、ちょっとおくれられておるようですが、間もなくいらっしゃるものと思っております。
続きまして、前回の開催から人事異動がありましたので、異動のあった者を御紹介させていただきたいと思います。
まず総務課長の吉田でございます。
○総務課長 保険局の総務課に参りました吉田でございます。よろしくお願いいたします。
○医療費適正化対策推進室長 続きまして、国民健康保険課長の濱谷でございます。
○保険課長 濱谷でございます。よろしくお願いいたします。
○医療費適正化対策推進室長 高齢者医療課長の横幕でございます。
○高齢者医療課長 横幕です。よろしくお願いします。
○医療費適正化対策推進室長 総務課保険システム高度化推進室長の北沢でございます。
○保険システム高度化推進室長 北沢です。よろしくお願いします。
○医療費適正化対策推進室長 それから、私が総務課医療費適正化対策推進室長のカワノと申します。どうぞよろしくお願いいたします。また、健康局のほうで異動がございまして、総務課保健指導室長のオダが後ほど参る予定になっております。
事務局からは以上でございます。
○多田羅座長 ありがとうございました。
それでは、早速でございますが、議事に入らせていただきます。議事の1でございます。「後期高齢者支援金の加算・減算制度について」、事務局より説明をお願いいたします。
○医療費適正化対策推進室長 それでは資料1、「後期高齢者支援金の加算・減算制度について」、説明させていただきます。この点につきましては、前回十分御議論いただきませんでしたので、前回の資料も後ろのほうに付けておりますので、まずそちらのおさらいからさせていただきたいと思います。資料の8ページをごらんいただきたいと思います。
前回の資料になりますが、〈現在の考え方〉ということで、高齢者医療確保法におきまして特定健診・保健指導の実施率、メタボリックシンドロームの該当者の減少率によりまして、保険者が支払う後期高齢者支援金の金額を最大で10%まで加算したり減算したりできるということとされております。
この点につきましては、1枚おめくりいただきまして10ページで加算・減算のイメージということで図を出させていただいておりますが、後期高齢者医療制度に係る医療費のうち約4割を後期高齢者支援金として若年者の保険料で賄うこととなっておりますが、各保険者の支援金につきましては、基本的に加入者数によって按分することとされており、保険者A、B、Cとございますが、その額につきまして、特定健診・保健指導の実質率など、保険者の実績を見まして、実績が上がっている保険者(例えばこれで言いますと保険者Cになりますが)につきましては、支援金を減算し、実績の上がってない保険者につきましては、保険者A、Bのような場合、支援金を加算すると、こういったイメージになっております。
その次のページ、11ページに関連する規定を記載しております。その下のほうをごらんいただきたいと思いますが、第百二十条がございます。百二十条第2、下線が引いてあるところですが、その調整率につきましては、第十八条以下「達成状況」とあります。これは特定健診・保健指導の実施率でございますけれども、そういった実施率。更に「保険者に係る加入者の見込数等を勘案し、百分の九十から百分の百十の範囲内で政令で定めるところにより算定する」ということになっておりますが、この政令につきましては、まだ現在定められていないと、そういった状況にございます。
  その下のほうで附則第十五条とあります。ここをごらんいただきますと、平成二十年度から平成二十四年度までの間の調整率につきましては、一番最後のところにありますように、「すべての保険者について、百分の百とする」ということで、24年度までは特定健診・保健指導の取組を始めたばかりで実績も出ておりませんので、加算・減算を行わないことになっておりますが、25年度からは、この加算・減算制度がスタートするということで、その計算方法等を政令で定めなければいけないという状況になっているということでございます。
  ページ戻っていただきまして8ページをごらんいただきたいと思います。
真ん中の箱のところで、過去の制度導入前の、この点につきましてはいろいろ議論がございまして、それを紹介させていただきたいと思います。そこにございますように、例えば「事業主健診で代替できるような被用者保険と国保とでは、健診受診率に大きな開きができるのではないか」。「被用者保険の中でも、中小・零細企業を抱える総合型健保・政管健保と単一健保では、また受診率の開きがあるのではないか」。また被用者保険につきましては、「被扶養者については受診率を高めることは困難ではないか」、こういった議論がされている。
こうした点を踏まえまして、一番下の箱のところにありますように、被扶養者比率や保険者種別を勘案した特定健診・保健指導の目標値の参酌標準を設定しているところでございます。
次のページをごらんいただきますと、参酌標準でございますが、下に表がございます。例えばマル1特定健診の実質率ということで見ますと、全国目標70%、その隣に参酌標準ということで保険者の種別などに応じて数字が設定されているということで、各保険者はこの参酌標準に即しまして実施計画における平成24年度の目標値を設定しているということでございます。
それでは、1ページに戻っていただきたいと思います。ここからが新しい資料になりますが、まず、なぜ加算・減算制度が設けられたかというところから御説明させていただければと思っております。
そこにもありますように、かつての老人保健制度におきましては、75歳以上の高齢者は被用者保険や国保に加入して、それぞれの保険に保険料を払いつつ、併せて老人保健制度にも加入しておりまして、そちらのほうから給付を受けるという仕組みになっております。
図のほうでごらんいただきたいと思いますが、あちこち行って申し訳ありません。4ページをごらんいただきたいと思います。老人保健制度の下では、老人医療費のうち、基本的には真ん中にありますが、半分(50%)が公費、残りの50%が保険料になっておりまして、その保険料の50%を各保険者からの拠出金で賄っているということになっております。
その次のページ、5ページでございますが、老人医療費拠出金の算定方法についての図でございます。真ん中に概念図ございますが、各保険者によって老人加入率が異なっておりますので、それをどの保険者も同じ老人加入期間を全国平均で割り戻して調整しながら、結局は上の計算式のところになりますけれども、当該保険者の老人医療費ということで、それぞれ自らの保険者の老人医療費が多ければ拠出金も多くなる。医療費の適正化努力によりまして、当該保険者も老人医療費が少なくなれば拠出金も少なくなるというふうに、保険者が何らかの高齢者の医療費の適正化の努力を行った場合、それが拠出金の額にきちんと反映されると、そういう仕組みになっていたということでございます。
これに対しまして、その次のページで高齢者医療制度の図がございますが、老人保健制度の下では高齢世代と若年世代の負担、費用負担の関係が不明確であるとして、その明確化を図るということで、75歳以上の高齢者と独立した仕組みになっております。後期高齢医療制度ですが、平成20年4月から施行しております。現在既に制度としても定着しておりますし、また昨年12月の改革会議で改革の方向性が示され、現在調整しているところでございますが、この高齢者医療制度におきましては、老人保健制度とは異なりまして、各医療保険と独立の制度になっておりますので、先ほど申し上げましたように、約4割の保険料は基本的には各保険者の加入者数などに応じておのずと決まるという仕組みになっております。
また、申し訳ありません、1ページに戻っていただきたいと思いますが、一番下の箱のところで記載しておりますように、先ほど申し上げましたように老人保健制度は、各保険者の加入する高齢者に係る医療費の実績、どれぐらいかかったかによって高齢者医療費を負担することにしておりましたが、この後期高齢者医療制度、今の制度におきましては、独立方式ということで、加算・減算制度、この制度以外に高齢者医療費の負担に保険者ごとの取組の成果を反映する仕組みがないと、そういった状況になっております。
ページをおめくりいただきまして、今回御議論いただきたいポイントでございますが、そこの箱の1つ目の「○」ですが゛こうした独立方式の医療保険制度の下で、保険者による74歳までの被保険者に対する健康増進の取組や医療費の適正化努力を適切に高齢者医療費の保険者間での負担に反映させる仕組みとしてどのようなものがあるかということで、まさにこういった加算・減算制度といったような仕組みが何らか必要ではないのかということでございます。
2つ目の「○」で、そうした考え方に立った場合、加算・減算のやり方がどうなのかということですが、高齢者医療の負担方法を反映させる保険者の努力としてどのようなものがあるのか。現在は特定健診・保健指導をこうした取組として勘案することとしておりますが、それだけでいいのか、そういった御意見もあるところでございますが、実際保険者のほうでは、それ以外にもいろいろと保険者の事業として若年の被保険者等への取組が行われている。そういったものを高齢期の医療費適正化に資するもの、そういった取組もあるのではないか。そういうのを含めて、より総合的な保険者の取組を支援金の負担方法に反映するということもあるのではないかということでございます。
また、下の箱でございますが、そうはいいましても、現在設けられている仕組みとしては、特定健診・保健指導の実施率で見るということがございます。これについては、加入者の見込数を勘案し、先ほど言いましたように、計算方法は別途定めることになっておりますが、この点につきまして、前回もお配りしておりますが、資料の一番後ろのほうに恐らく付いているかと思いますが、A3の紙がございますので、お開きいただきたいと思います。
これは前回の資料で特定健診の実施率を保険者種別ごとに整理したもので、縦軸が特定健診の実施率、横軸が各保険者の対象者数になっておりますが、まず左下のほう、青いところがございます。これは市町村(国保)でございますが、4つありますけれども、こちらをごらんいただきますと、左のほう、対象者が少ない保険者は実施率が高いという傾向が見られます。
一方、上のほう、健保組合になりますが、緑の色がついているかと思います。こちらにつきましては、右、左につきまして、対象者の規模は動きましても受診率はあまり変わらないということで、受診率との関係は明確ではないといったような状況になっております。
これを合わせたものが右下のほうにございますが、こちらをごらんいただきますと、緑のほうが被用者保険(健保)、下のほうが国保になっておりますが、健保のほうが受診率が高いのがはっきりと見えるような状況になっております。これを同じ土俵で一律に評価していくことになりますと、市町村(国保)から健保のほうに、市町村(国保)のほうを加算し、その加算分で被用者保険のほうを支援金を減算するということになりますが、それで本当に公平なのかどうかということは言えようかと思います。
また、右下のほうの図でよく見ていただきますと、右のちょっと離れたところにぽつんと1つ点がございますが、これは協会健保になりますが、対象者の規模はほかの保険者と大きく異なっていることが言えようかと思います。
こうした状況の中で、先ほどの2ページにお戻りいただきたいと思いますが、下のほうの箱の3つ目の「○」でございますが、加算・減算制度によって考慮しなければならないものとしてどのようなものがあるのかということで、例を書かせていただいております。今のような保険者種別の話、先ほど御説明した参酌標準でも差を設けておりますが、それをどのように考えるのか。
また実施体制、実際に健診・指導に携わる者の数。
3つ目でございますが、構造的な被保険者の状況がどうなのか。
健診機関の数など、地域性がどうなのかということがあると思います。
こういったことを例として挙げさせていただいておりますけれども、今回こういった加算・減算制度について、こういったやり方も含めていろいろと御意見いただければと考えております。
以上でございます。
○多田羅座長 ありがとうございました。加算・減算制度は、今回の特定健診・保健指導の非常に大きな特徴をなすものでございます。24年度までは100分の100ということで実施されないということですが、25年度からは実施されるということで、今検討会の課題として非常に大きなものの1つになるかと思います。そういうことで基本的な観点から、ただいま御説明いただきました。また論点のポイントについても御説明いただきたいと思います。
まず委員の皆さんから、今日、実際上この加算・減算についてお話しいただくのは最初でございますので、ひとつ具体的なお考えなど含めまして、よろしくお願いしたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ。
○北潟委員 日本私学振興・共済事業団と申します。今の御説明の内容よくわかりました。個人的にはペナルティー的な加算・減算というのは基本的には反対でございます。しかしながらやらなければいけない理由も十分認識しておりますので、そういった意味では何が何でも反対だということを申し上げているわけではございません。やり方がどうかということについて1つ御意見を申し上げたいと思っておりますけれど、参酌基準につきまして、私どもの事業団として実態をちょっと申し上げまして、事実を確認していただいて今後の見直しの参考にしていただければと思っておりますので、一言申し上げたいと思います。
  私ども日本私学振興・共済事業団と申しまして、全国に北は北海道から南は沖縄まで私立の大学から下は幼稚園まで抱えておる医療保険事業をやっておる保険者でございます。学校にお勤めしている教職員、その他の職員を対象にしている健保でございます。そして当事業団は都道府県に支部はございません。したがいまして、全国の学校法人、現在約1万4,300校ほどございますけれど、東京の事務所1か所で対応している医療保険者でございます。したがいまして、それぞれの経営基盤、学校の経営基盤が異なっております。小さいところもあれば、大きいところもあるという、そういう事業主との協力関係をもとに被扶養者に対する本事業の周知徹底などについては大きな課題があると考えております。
また、私ども私学の共済は、被保険者という立場から言いますと、共済組合でございますけれど、先ほども申しましたように、全国1万4,300校の学校のうち、約65%(9,000校)が加入者が20人未満の小さな学校、幼稚園等でございます。したがいまして、見方をかえますと、中小・零細企業と同様の事業体によって組織されているものと御理解をいただければよろしいのではないかと思います。
よって保険者といたしましては、他の共済組合とは状況が異なっているということを十分御理解をいただきまして、この24年の加算・減算の参酌基準をほかの共済組合と一律に分類、比較されることは適当でないと私は考えておりますので、何分その点再考をお願いしたいというのが本音のところでございます。
○多田羅座長 加算・減算の観点についてはいかがなんですか。
○北潟委員 加算・減算の観点については、具体的には先ほども申しましたように、こういった加算・減算でない、ほかの方法をとって実施をしていただければと思っておりますけれど、これが加算・減算の見直しを今後するということになれば、参酌基準、今、私ども共済ということで括られて80%の目標値になっておりますけれど、そこは先ほど申しました実情がございますので、決して他の共済と同一の立場にあるものと思っておりませんので、そこのところは考慮する必要があるのではないかと思っております。
○多田羅座長 それは事務局の説明からもそういう趣旨の御説明いただいたと思います、基本としては。
○北潟委員 はい。念のため、再度そこを強く申し上げたいと思いまして。
○多田羅座長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○齋藤委員 全国町村会の齋藤です。町村は国保の保険者でありますけれども、加算・減算については、当初から私どもは制度として反対であると、申し上げてきました。加算・減算制度どうあるべきの結論については私のほうの立場からは不毛な議論だと思いますが、特に特定健診と特定保健指導だけを取り出して高齢者の医療適正化にどれだけ寄与したかと、こういう評価をすることが妥当なのかどうか、こういう問題意識があります。
  市町村としては国保の保険者であるとなしにかかわらず、住民の健康をきちんと維持・向上させるという大きい目的がありますし、ここで規定されたいろんな事業のほかに単独でいろんな健康対策事業を行っているわけです。そうしたことから勘案すれば、私は健康づくり、これが医療費の適正化につながるものだとすれば、全体的な形で物事を考えるべきだと思います。したがって、後期高齢者支援金のペナルティー制度というものをどうやってやったらいいかという議論そのものが、私どもの立場からすれば、科学的でないし、おかしいではないかと思います。加算・減算のあり方よりも、むしろ議論するならば、加減算制度そのものが妥当かどうか、これは今意見をお尋ねされている課題とは違いますけれども、そういう議論こそ私は大事だと、こう申し上げておきたいと思います。
○多田羅座長 ありがとうございます。どうぞ。
○白川委員 健保連の白川でございます。この法律、高確法(高齢者の医療の確保に関する法律)ができたときから加算・減算というのは随分議論をされまして、今、齋藤委員がおっしゃったとおり、法としていかがなものかという意見も随分あったと記憶しております。おっしゃるとおり、特定健診・保健指導だけで適正化努力を図れるのかとか、あるいは被用者保険の立場で言いますと、65歳から74歳の時点(前期高齢者)では大体国保さんのほうに移って、75歳になれば広域連合のほうに移るというステップになっているんですけれども、被用者保険が負担する拠出金ということでの前期高齢者納付金において、自分のところの老人医療費を入れ込んだ計算式、旧老人保健法の75歳以上の老人拠出金の計算式を踏襲しているといいますか、適正化努力は前期のほうにすでに計算式として入っているんですね。ですから法律そのものがいいかどうかという議論は確かにあるのだと思います。
  申し上げたい第1点は、まず高確法の改正まで踏み込んだ議論をするのかどうかということを整理しなければいけないのではないか。そういう点では齋藤委員と私も同じ意見でございます。
○多田羅座長 高確法?
○白川委員 高齢者の医療の確保に関する法律の中に、加算・減算を10%以内で行うと定められておりますが、それを否定するのかという話になると思いますので、そこは一度きちんと議論をしたほうがいいと。私の意見はそのときにまた申し上げたいと思いますけれども、それは皆さんで、すぐに法改正できるかどうかは別にして、必要かどうかという議論はまずすべきだと思います。
  2つ目は、そうは申しても、20年の制度導入時に、「加算・減算10%以内」の「以内」がとれて、10%の加算・減算というふうにとった保険者もたくさんおりまして、それをきっかけに特定健診・保健指導を積極的に進めた保険者がかなりいると。この3年間それでやってきたという事実もありますので、急にその制度がなくなりましたというと、申し訳ないですけど、だまし討ちのようなことになってしまいますので、そこは考慮しなければいけないということは申し上げておきたいと思います。
  全体のことを考えますと、法律があり、それに従って行動してきた保険者の行為があるということ。それから、国保と被用者保険、本日の資料のの図で言いますと、健康保険組合の間でもこれだけ健診の実施率に差がある。これを比較するというのはどう考えても不公平だと考えますので、現実的な方法としては、高確法の精神を生かしながら、なるべく影響の幅を少なくするという形で、第1期はおさめていくべきではないか。第2期以降については高確法(高齢者の医療の確保に関する法律)の規定がいいかどうかということをもう一度議論して、必要であれば法改正をお願いするというふうにするのが1期目は筋ではないかと私は考えております。以上でございます。
○多田羅座長 ありがとうございます。どうぞ。
○田中委員 保険者である市町村の立場から、齋藤委員がおっしゃいましたので、私はそういった市町村長としてのお立場とちょっと違ったといいますか、国保の保険者としては同じことなんですけれども、申し上げたいと思います。
国保は、これを議論していくかということは、また白川委員がおっしゃいましたように、これから問題でありますから、それほど踏み込んだ話をしませんけれども、国保は加算・減算制度には、齋藤委員も言われたように反対をしてきた経緯があります。これは制度発足後、21年から市町村の国保の全国大会では直接的にはこれを取り上げておりませんけれども、基本的にはそういったスタンスであるということを申し上げる。
なぜ、反対しているのかということについて一言申し上げさせていただきたいと思いますけれども、要するに後期高齢者医療制度ができまして、医療保険者の負担が決まったのですけれども、我々は4割の負担をけちる気はさらさらないわけであります。38%にしようとか、35%にするということを申し上げているわけではなくて、きちんと4割は出すということを申し上げて、その出し方の個々の保険者の出しっぷりについてどうだこうだと言われるのはどうもという感じもあります。要するにもしも努力というものを評価するのであれば、それは保険者が同じ要件で並んでよーいどんでスタートしてから、その努力、結果どうだというふうに見ていただくのが私は筋ではないかと思うわけであります。
ところが御承知のように、保健事業というものに対しては被用者保険もそうだと思いますけれども、国民健康保険という世界においてはなかなかそういった体制、環境というものが保険者間の格差というのが大きい世界であります。ですから我々が国のほうに要望していたのは、我々医療保険者の特定健診・保健指導がきちんと行われるような環境整備をやっていただけないかということを申し上げていたわけです。マンパワーの確保とか、そういったことが、一切とは言いませんけれども、対応がとられないまま、全てを保険者努力にまって加算・減算活動というのは何となく合点がいかないということであります。
それと40歳から74歳までの方々に対する保険者の健診・保健指導努力というところなんですけれども、今、白川委員もおっしゃいましたように、40歳から65歳までの間にすら保険者を移動するわけです、被保険者は。それから、当然国保も被保険者が市町村間を移動するわけです、保険者間を。こういった40歳から74歳までの被保険者の移動というものを、どういうふうにそこを計算して、方程式をつくっていくのか。また、そういったシステムをどうやってつくるのか、維持するのか。そういった問題を考えたときに、本当にそういったことができるのか。
それから、もう一つは、75歳以上の方々が病気になられるというのは身体的要件がかなり衰えられているわけですから、そのことが74歳以下の保健指導によって、どの程度歯止めがきくかということについて、学者と言いませんけれども、そういった知見といいますか、エビデンスがどれぐらいあるのか。そういったことをきちんと我々保険者にお示しいただいてきたいけど、どうもそこがはっきりしない。75歳以上の者の病気というものは74歳までに存在した保険者の保健事業、努力次第だよと言わんばかりのことをおっしゃるから、もしも加算・減算ということを本当におやりになりたいのであれば、そこに対して一定の、私申し上げたことに対してエビデンス、きちんとした明確な答えを用意していただきたいということと、それから、体制整備の話になってきますと、かなり難しい話でございますから、よーいどんの、そういった意味では、25年度というのは一応方針としては決められておりますけれども、100分の100というのをそのまま延伸するということだってあり得るわけです。私はそこは大事なことは、保険者が本当に喜んで、元気出して、競争ということではなくて、本当に自分のところの被保険者対策として必要だ、大事だといった思いでやっていく、そういった状況をつくっていただく、そういうことが大事でなかろうかと思っております。
それから、後でまた申し上げようかと思っていたんですけれども、この加算・減算というのは、例えばほかのところにも非常に影響がありまして、我々医療保険者、健康増進法の本旨は医療費適正化です。医療費が増えない、健康な人を増やすということでありまして、そこに持っていくために保険者がいろんな知恵を出して保健指導をやっていく。ところが率を中心にやられますと、率さえやればいいと、質の問題がどこかに吹っ飛んじゃうと、そういった問題もあります。
それから、後で出てきますけれども、被用者保険の被扶養者対策、これも我々国保保険者・市町村は、被用者保険の被扶養者の健診・保健指導に対して否定的なことは言ってないんですよ。それは市町村長にしてみたら、被用者保険の被扶養者を面倒見ることによって、保険者としての実施率が劣るとか、非常に難しい要因があるわけです。ですから加算・減算というものはせっかくつくられた、我々も非常に期待して、楽しみにしている、こういった健康づくりというものがうまく機能しないといいますか、そういった要素があると思っております。
ちょっと長くなりましたけれども、申し上げます。
○多田羅座長 ありがとうございます。どうぞ。
○津下委員 この制度の立ち上がりのときの委員会に出ていた立場というか、そのときの印象も含めてお話をしたいと思うんですが、加算・減算するということが、この制度の目的ではなく、保険者が積極的に健診や保健指導に取り組んで生活習慣病を減らすことが本来の目的である、。加入者が元気な状況で次の保険者に移行させる、そういうところに責任を持ってもらう制度ができないかという話だったように思います。
今、齋藤委員、または田中委員、白川委員がおっしゃったように、どこの保険者も一生懸命予防事業に取り組んでおられるのであればよいのですが、今回、加算・減算の制度が入ったことで、健診に初めて一生懸命取り組み出した保険者さんたちも多いというのも一方の事実です。受診率を正確に見る、または未受診者対策をする、そんな動きが確実に始まっています。それから、市町村においても、今まで高齢者に多く予防事業を行ってきたかもしれませんけれども、40歳から64歳の国保の若い世代に対しては十分行き届いていなかったというのが、この制度を導入して見えてきたかと思います。なので、荒っぽい加算・減算で保険者さんが苦労されることは決していいことではありませんが、その次の保険者に対して、できるだけ元気な状態で移行してもらうためにどうすればいいのか、という制度の趣旨を忘れてはならないと思います。
国保について言うと、65歳以上の方々については、前の保険者さんから移ってきた方々なので、そこに加算・減算がかかってしまうというのもおかしな話でもあります。の一方では64歳までの、もともと国保におられた方に対する受診率などについてはきちんと国保の責任として見ていくというような方策もあるのではないかと思います。
加算・減算をしたほうがいいと言っているわけではないんですが、こういう制度があるから、未受診者対策を一生懸命やろうとしている保険者や、それで初めて予防事業に参加したという人も多いという事実も一方ではありますので、その辺もお考えいただいて、予防事業が減退にならないように制度設計をお願いしたいと思っています。
○吉田委員 総合健診医学会の吉田でございます。今の加算・減算の話と評価事業の話は少し分けて考えるべきではないかと考えております。加算・減算につきましては、相当なエビデンスがない限り、プラマイ10%で行うということについてのコンセンサスを得るためのエビデンス提供というのがあってから行われるべきではないかと思います。
一方、評価事業というのはPDCAサイクルを動かすためには必須なものでありますから、当然評価事業は行われるべきだと思います。その際に既に委員の方が御発言になりましたけれども、もともとスタート時点の背景要因、被扶養者の割合であるとか人員構成とか、そういうものを補正するようなことができるのか否かという問題点と特定健診以外の健康づくり、保健事業としては地域・職域連携保健事業など既にいくつか行われている事業、「健康日本21」を反映した事業などそのあたりの事業も当然高齢者の医療ということではかかわってくるわけですので、総合的に評価するような評価軸を設けるということが一方では必要ではないかと思います。
結論としては、特定健診・特定保健指導の受診率及び改善率だけで加算・減算に取り組むというのはまだ時期尚早ではないか。平成25年度については100分の100を継続する、延伸することが1つの妥協ではないかと考えております。以上でございます。
○中村委員 私も前々回に発言させていただいたのですけれども、まず保険者の特定健診の実施目標の達成状況の評価ということでありますが、まだ政令も一切出てない。かつ、先ほどの話のように指導のあり方についても、今後治療中の人をどうするかとか、今の点数のポイント制をどうするかとか、なかなかまだ指導のところは残念ながらきちんと定着できてないのではないか。まだ進行過程ではないかと思いますので、この段階で一定の基準だけで形式的に評価するのはいかがなものかと思います。
  言いかえれば、政令も出ないような状態ですし、25年度からはぜひ先送りしていただいて、法令の問題を議論しますと、高齢者医療の今議論もありますから、そっちのほうにも影響すると思うし、医療保険部会とかにも影響しかねない議論になると思いますので、制度論は制度論として、実態論として、実態についてどうしていくのか、どういうふうにして評価していくのかというより、どういうふうにやっていくのか。そこのところを決めないで、この健診のスタートしたときには、実践をやったことだけよりアウトカムを評価するというスタートで、すぐ今度議論を展開しているんだけれども、どうも前に戻って何をやったかと、実績だけ見るというような状況になってきているので、もう少し幅広い議論するという前提の下でどういう形の議論をしていくのか。
そうしていかないと、これが実績に入るのか、入らないところだという議論になっていくと小さな議論になってしまって、保険者からの自分のところの言いわけしているようなイメージにとられるようなことは私はよくないと思いますし、私も第1回のほうからの最初の委員をさせていただいていて、19年1月に第4回、まだ施行前に室長に質問させてもらったのですけれども、20年度からの事業実績はあるのはなかなか設定が難しいのではないか。できるだけ遅いタイミングで政令を出していこうではないかというような意見もありましたので、その時点で、加算・減算というのは難しい課題だという思いもしながら進めてきたという経緯もありますので、ぜひその辺の今までの実績の進めてきたことを全体で評価して、それで本当に加算・減算できるかどうか。加算・減算ができるようなところまでいけば、私はこの事業は成功だと思いますが、現時点ではなかなかそこまで至っていないと思いますので、ぜひこの辺のところをどういう政令を出すお考えなのか。次回あたりに厚労省からお話もお伺いして、それについて意見を言うということにさせていただいたらいかがかと思います。以上です。
○多田羅座長 保坂委員。
○保坂委員 日本医師会の保坂でございます。今、皆様のお話をお聞きしていて、それから以前から感じていたことでございますけれど、今、中村委員がおっしゃったように、今の時点でどういう形で加算・減算をするかということを決めるということは相当難しいかなと思います。いろんな指数を使って評価をすることを試みることはできるかもしれませんけれども、それを皆さんが納得できるものに落とし込むのはなかなか難しいかなということと、もう一つは、この法律のところを見ますと、24年度までの間は100分の100とされていると書いてありますけれども、これは今、中村委員がおっしゃったように、もうちょっと延長して、例えば後期高齢者医療制度のことも法律を改正するというようなお話でまだペンディングになっているというか、そういうふうに私どもは思っておりまして、それもどうなるかわからないという中で、これを急いで、どうする、こうすると決めないで、もしできれば、この100分の100をもうちょっと延長しつつ、どのように評価するかの内容についてということをしたらと思います。
ただ、白川委員がおっしゃったように、あるいは津下委員がおっしゃったように、加算・減算があるから頑張るのだと言ってきたところがあるというようなお話ですが、実際問題としてどのぐらいの率で、もしこれが100分の100を延長するとなったときに非常にがっかりするというか、不満に思われる保険者さんは全体としてはどのぐらいの割合いらっしゃるのでしょうか。どなたか教えてください。
○白川委員 御質問にお答えしたいのですが、数字は持っておりません。ただ、スタートの段階でこれは健保組合で言いますと、組合会とか理事会とかに諮る。それから、毎年予算を組むときに当然この予算を組まなければいけない。そのたびに参酌標準を目安に5か年の計画を策定し、公表しておりますので、それについて議論をし、毎年予算のときにそれをローリングするといいますか、見直していき、それで予算を決めていくというステップを踏んでおりますし、事業主にも加算・減算があるということを説明して、定期健康診断のデータをいただくようなことをやってきているんですね。それはほとんどすべての健康保険組合はやっているのだと思います。
ただ、それを励みにといいますか、10%の加算・減算を意識してやってきたのがどれぐらいあるかと言われると具体的な数字はお示しできませんけれども、一般的にスタートのときはどこの保険者さんもそういった取組をしてきたのだと思っております。以上です。
〇多田羅座長 中島委員。
○中島委員 私は全国の地方公務員の共済組合、公立学校の先生、警察官とか一般職員、そういう共済組合で構成する協議会でございますけれども、特定健康診査・特定保健指導等につきましては、去る5月26日に、今まで3回この検討会があった、その中で出てきたのですが、そういう効果的に実施するための要望をやってございます。
その中で一番問題になったのが後期高齢者の支援金の加算・減算という項目でございまして、私のバックボーンが公務員なものですから、あまりこういう時代で、法律そのものを否定するわけではございませんが、2点ほど要望の中に書かせていただいております。共済組合の被扶養者の受診率が極めて低いという状況でございます。したがいまして、被扶養者の特定健診等の受診率の向上するためにいろんな関係者が納得する形で、例えば被用者の利便性に合わせた、かつてのがん検診とか、そういうものと同時受診ができるような格好で制度改正をしてもらって、そういう前提の上で、この加算・減算措置をやられるならやっていただきたい。
もう一つは、受診率の向上には直接数値には出てきませんけれども、皆さんの市町村とか支部等で現場では受診率を高めるためのいろんな工夫をやっているんですね。その辺の努力が明確に反映されるような仕組みをお願いしたい。
以上の2点でございます。よろしくお願いいたします。
○貝谷委員 全国健康保険協会、協会けんぽの貝谷でございます。先ほど来、さまざまな御意見出ておりますが、この加算・減算の仕組みには、いわば経済的な利益の受け渡しという側面があると思うんですね。御本人が自ら差し出すのではなくて、あなたは努力が足りないからお金を出しなさいと、それをこちらにいる頑張った人にあげましょうということですので、頑張った人が頑張ったなりにもらうというのはいいと思うんですが、仮にこういう仕組みを働かせるならば同じ条件の下でそれは評価するべきだろうと思います。
  今の高齢者支援金に対してインセンティブをつけていくということ自体は、最初のトライアルといいますか、最初の制度改正のコンセプト自体は評価していいだろうと思いますが、インセンティブをつけていくということと、ペナルティをその中に入れ込んでいくということとは基本的に非常に大きな質的な違いがあって、ペナルティをという側面がある以上は、先ほども科学的なというお話がございましたけれども、きちんと一定の客観的な基準なり納得できる基準というものがあった上で、そのルールの下で、あるいはイコールフッティングの中で競争していくと。これが世の中の常識だと思うんですね。そういうものが、今の御議論では恐らく不足しているということだろうと思います。
  したがいまして、私ども協会けんぽとしても、高齢者医療制度検討会の中でも、制度としてもこれは廃止を含めて見直していくべきだということを申し上げてまいりました。
この場で法律改正どうのこうのという御意見を改めて申し上げるつもりはないんですけれども、仮に現行制度を前提として、その中でどうしていくかということを考えた場合に、その中で考えられるのは、私どもとしては納得のいくグルーピング、せめてイコールフッティングと関係者が納得するグルーピングの中でのやりとりというんですか、競争ということであれば、それは理解ができると思いますが、特に私ども協会けんぽの場合ですと、前々回申し上げましたが、A3の資料にありますとおり、規模なりバックグラウンドが全く違う保険者でございます。企業の母体という組織もございませんし、全国3,500万人、対象者はもうちょっと少ないんですけれども、そういう方々を加入者とする保険者としては、これは競争してどうのこうのというレベルでは率直に言ってないだろうと思っております。
ただ、そういう加算・減算をなくしたということで、我々がこの制度を怠けるかというと、そういうことでは全くなくて、後期高齢者支援金、今後の将来の高齢者医療を適正化していくという、その趣旨自体は大変私どもも大きなものだと思っておりますので、定められた目標に向けて頑張ること自体は結構だと思いますけれども、繰り返しになりますが、そういった目標に基づいてペナルティを課していくということについては、これは極めて困難であると考えております。以上です。

○岡崎委員(代理・舛田) 全国市長会の代理の舛田と言います。先ほど来、委員の皆さんの意見が出まして、ダブるかもしれませんけれども、この問題は単純ではなくて、いろんな都市部、地方都市での被保険者の所得水準に絡んでの保険料格差というものも含まれている中で考えていく、非常に影響の大きいものだということでございますが、それは別途また御議論いただくとしまして、2つ、問題点があるのではないかと思います。
1つ目は、先ほど来、委員の皆さんがおっしゃっておりますエビデンスあるいは実証というものがないいうこと。そういう中で受診率が未達成ということで支援金が加算されるということになれば、それはおのずと保険料にはね返ってくることにならざるを得ません。そうなれば特定健診を受けている方にとっては、きちんと健診を受けているのに保険料を上乗せされるというようなこととなり、被保険者にとっては不公平感を持つと。
この加算・減算制度は、医療費適正化のインセンティブということでございますけれども、一部の人がやれなかったことを全体でかぶるというような一種の連帯責任みたいなイメージがございまして、こういう共済制度にそういうことがなじむのかということがございます。これは被保険者にとっては理解が得られないというふうに考えます。被保険者の皆さんが保険に入る意味は、医療が必要なときに、できるだけ安く医療費用を賄うために加入しているのでございまして、そこに実態がとらえきれていない架空の影響額をさらに保険料として持ち込むのは、今の厳しい国保運営上到底できることではないと考えています。
2つ目ですが、小規模と大規模の保険者を同列で考えるのがどうか。例えば町村と中核市とでは健診率の積算元となります絶対数が違います。そのことによって受診率が向上する速度が完全に違います。そのことによってペナルティーを受ける期間に差が出て不公平が生ずるということは明らかだと思います。それから被用者保険と国保との条件の違いがございます。職場健診で対応できるところと国保のように個々人に働きかけなければならない違いによる進捗の差がございます。こういった条件の違いを踏まえずに一律に健診受診率によって加算・減算を当てはめて、それが保険料にはね返るということについては制度として相当無理があるのではないかと考えます。
最後に、特定健診の受診率のアップが、75歳以上の医療費を抑制する効果があるという立証がされたといたしましたら、将来、医療費は減少するのでございますから、インセンティブとして、受診率が上がれば支援金を減算していくというような先行投資の考え方でも問題はないのではないか。以上でございます。
○多田羅座長 ありがとうございました。どうぞ。
○伊藤委員 連合の伊藤と申します。被保険者の立場から発言させていただきます。
今もさんざん問題を指摘されているわけですが、同じように保険者の規模ですとか、地域保険なのか、職域保険なのかというような、そういった特性の違いが十分、今のところは勘案されてないということに加え、そもそも40代以上の健診の実施率と保健指導の実施率というところで見るということについても、体重の増加率は30代が一番大きいと思いますし、先ほど来、エビデンスの問題も指摘されておりますけれども、このようなものをそのまま加・減算の根拠に使うということについては被保険者としても納得が十分できないという現状にあると思います。加入する保険者について、現状では選べませんし、たまたま加入している公的医療保険者のその特性によって支援金分の保険料率が変わってくるということについてやや不合理を感じるということにもなりかねません。したがって、現時点はこの基準を使ったままの加・減算を使うというのはやはり無理があると思っております。
しかし、今後そういった保険者の努力を生かす方法ということについての検討はぜひしていく必要があると思っております。また、先ほど健保連さんからのお話の中にも既に保険者として努力をしたというところもあるという実態があるということも聞いております。そういった努力を生かすような方途については、それは加・減算ということとはまた別なのかもしれませんが、検討が必要だと思っております。以上です。
○山門委員 日本人間ドック学会の山門と申します。私どもの団体は直接加算・減算に関与しませんけれども、参酌基準でありますメタボリックシンドロームの該当者及び予備軍の減少、これに寄与する団体であります。
私どもの理解としましては、加算・減算というのはインセンティブとして必要であろう。すべての事業に対してそうでありますけれども、インセンティブというのは極めて有用な手法だと思います。それから、これはオフレコにしていただければ助かりますが、高齢者医療確保法に関する法律に対しての罰則規定がない。一般人としては、これは加算・減算が罰則ではないというような理解をしておりました。
今、一番重要な点は、先ほどの中村委員ですか、お話ありましたように、基本的には政令が定められていない。いわゆる調整率の政令を定めておられない。政令があれば決まるわけなので、今日の議論は政令をいかに定めるかということで、保険局から御提案いただいた、2ページの一番下、保険者種別、これは今まで各御議論ありました私立学校共済組合であるが、私立学校はその中でも零細であるというようなお話があって、いろいろ多種含まれているということで、このとおり、保険局が示すような保険者種別にはいかにしたらいいか。実施体制はいかにしたらいいか。市町村(国保)等はいかにしたらいいかというようなことが既に議論の提案、たたき台として出していただいておりますので、より実際的に、ここでこれを議論するのは私聞いていて無理だと思います。結論は政令がどのような政令であればいいかという提案、ここでは出せないと思います。よりそれぞれの実務的な方々の会合をさらに設けていただいて、より検討していただいて、政令を定めるという方向で行かれたらいいのではないかと思います。
もう一つ、初めに保険局の吉田課長からお話がありましたように、従来、この加算・減算等は旧の老人保健制度にもあったのだと。老人医療費が低い保険者の拠出金の額は低くなるという仕組みは既にあったと。それを拡大しているというのは私たち一般の考え方であると思いますので、ぜひ今後の政令を定めるという目標を下に、各保険者の方々の実務者がそれぞれの保険局から出ているテーマについて検討して、それをよりつくり上げていくという作業がどうも必要ではないかというように感じました。以上です。
○多田羅座長 簡単にお願いします。
○津下委員 A3の保険局の事務局から出していただいたこの資料を見ますと、平成20年度と21年度の受診率比較がされておりますが、20年度と21年度を比較しますと、明らかに下方、受診率が非常に低かったところがぐっと底上げされているのがはっきりと出ております。これは先ほど保坂委員のおっしゃった、どのぐらいの保険者が努力されたのだろうかということを示すもので、大きなところはなかなか動きにくいという今の話もありましたけれども、特に実施率の低かった保険者の受診率が上がったことが読み取れます。このことをどうとらえるか。それから、せっかく上がった受診率をまた下げないようにする方策について、十分御検討をいただいていく必要があろうかと思います。国の定めた制度によってこういうふうにやり出したところがある事実についても、インセンティブだけでいいと思いますけれども、考えていく必要があるのではないかと思います。
○多田羅座長 もしあれでしたら、時間が大分押してきたものですので。
○高橋委員 経団連推薦委員の高橋です。加算・減算に関するご意見、指摘が先ほどありましたが、制度全般につきまして2点申し上げたいと思います。
1つは、議論している財源というのは社会的に大変大事なものだと思います。したがって、必要な額が確保されなければいけないということなんですが、今までの経過を見まして、メリット・デメリット制を運用したときにどの程度の見通しになるのか、メリット・デメリットでどのぐらい上乗せ、減算されるのかというシミュレーションをやって欲しいと思います。それによって、現実的にこの制度が運営できるのかどうか解ると思います。
それから、もう一つは、先ほど貝谷委員から御指摘がありましたが、デメリットを適用するというのは背景事情が違う中で、今の要件に基づいてでやるというのは極めて難しいのでは感じます。したがいまして、ベースを確保するという前提に立ちまして、いろいろな意味で頑張ったところにはメリットを与えるという考え方が極めてリーズナブルではないかと、考えます。といろいろな形で頑張ったところはそれなりのメリットを享受するということです。そういうことを改めて検討されてもよろしいのではないでしょうか。
○多田羅座長 ありがとうございました。
  ちょっと時間が押してまいりましたので、座長のほうでまとめといいますか、お願いでございますが、先ほどの議論の中でも、加算・減算制度については反対というお考えが非常に多く出されたと思います。こうして御意見を伺っているんですけれども、先ほど来、山門委員、津下委員の意見でもございましたけれども、これは一応法律として制定されて、社会はその方向で動いているものでございます。そういう認識に立って、この検討会もこの制度の実施に向けた中身について議論するという前提で、この検討会は進めさせていただきたいという点について改めて御了解いただきたいと思います。この加算・減算制度に反対というお考えがあることは十分承知ではございますが、検討会としては一応加算・減算制度を実施していくという方向で進めさせていただきたいと思います。これは法律に定められており、いわばそれについてやりなさいというふうに、この検討会もある意味では位置づけされているというところでもございますので、委員の皆さんの非常に厳しい御意見は本日理解できました。しかし検討会としては実施するという方向でどのような方法でできるのか。山門委員もおっしゃった政令の内容をどのようなものにするのかという方向で取り組ませていただきたいということについて改めて御了解いただきたいと思います。
本日、それにつきましても根本的に厳しい、実施するとしても、特にエビデンスがないのではないかといった点、あるいは格差があるのではないかという点について、御意見いただきました。そういうことであれば、25年度実施にこだわらなくてもいいのではないかという御意見もいただきました。今日のところは一応そういう御意見を伺ったということにさせていただきたいと思います。次回以降の検討会でも非常に厳しい御意見があることは重々承知ですが、実施するとして、どのような方法が考えられるのかという方向で、検討会の座長として進めさせていただきたいということを改めてお願いしたいと思います。しかし、今日は非常に貴重な重要な点、御指摘いただいたことにつきましては、改めてお礼を申し上げたいと思います。
そういうことでよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○多田羅座長 ありがとうございます。
それでは、次の議題に移らせていただきます。議題2でございます。「特定保健指導について」、事務局より説明をお願いいたします。
○医療費適正化対策推進室長 それでは、資料2、「特定保健指導等について」の資料につきまして御説明させていただきたいと思います。中身は3点ございますので、まずページめくっていただきまして、1ページ目、1点目が「特定保健指導の実施率向上について」ということでございます。
  まず、〈特定保健指導の現状〉とありますが、次のページをごらんいただければと思います。2ページを見ていただきますと、上のほうは特定健康診査の実施率、下のほうは特定保健指導の実施率になっておりますが、下のほうでございますが、20年度、21年度と数字があります。7.7%、13.0%ということで、目標として45%ということを掲げておりますが、それには少し遠いといったような状況でございます。
  さらにその次のページ、3ページをごらんいただきたいと思います。「特定保健指導の実施の有無」ということで、実施状況を整理したものでございますが、ほとんどのところで実施しているという状況でございますが、特に左の下のほうをごらんいただきたいと思います。被用者保険の被扶養者のところでございますが、下から2つ目に「未実施」というところがございます。保健指導を全く実施していない保険者が約4割強ということでございます。
  それでは、1ページ、最初のほうに戻っていただきたいと思いますが、そこで上のほうの箱の2つ目の「○」でございます。そうした現状につきましては、本年4月に適正化計画の中間評価を公表させていただいておりますけれども、その中で特定保健指導の実施率の向上に有効だと考えられる取組として、そこにマル1からマル3?までありますが、個別通知の実施、健診から初回面接までの期間の短縮、また未利用者への利用勧奨、特に電話、個別訪問による利用勧奨といったところが挙げられております。
 このうち、3つ目の「○」のところですが、マル2の「健診から初回面接までの期間の短縮」につきましては、第2回の検討会におきまして御議論いただきまして、一応の方向性を出していただいているところでございます。
今回、今日の御議論ですが、下のほうの〈論点〉というところで、特定保健指導の実施率の向上のためということで、さらなる取組について御議論いただければと考えております。そこの1つ目の「○」にございますように、上のほうの結果によりますと、個別通知の実施、未利用者についての利用勧奨、先ほど申し上げましたように、電話、個別訪問といったような直接的な方法での実施ということが重要だということ。
また、2つ目の「○」でございますが、先ほどの被扶養者の対策、被扶養者に対してどのように対応をとるかということが非常に重要な論点と考えております。
そして3つ目の「○」でございますが、ここについては6ページをごらんいただきたいと思います。資料のほうをごらんいただければとおもいます。「特定保健指導利用率向上に向けて有効な方法」ということで、これは積極的支援の場合ですが、これを見ていただきますと、左のほう、被用者保険では、被保険者につきましては、一番多いのが職域、労働組合との連携ということでございます。この点につきましては、高橋委員から資料を提出していただいておりますので、後ほどお話しいただけるものと思っておりますが、そういった点。
そして、右の市町村(国保)のほうで言いますと、数字が多くなっておりますが、真ん中のほうの電話案内、個別訪問、そういった直接的な介入ということになっております。
左下のほうの、被用者保険の被扶養者のところをごらんいただきますと、一番多いのが無回答ということで、この被扶養者対策のところはなかなか難しいといったような状況になっております。
1ページに戻っていただきまして、先ほどの一番下の「○」のところは、今、ごらんいただいたところでございますけれども、こうした点を踏まえまして、特定保健指導の実施率の向上のためのさらなる取組について御議論いただきたいということでございます。
続きまして、この議題の2点目でございますが、7ページをごらんいただきたいと思います。「特定保健指導のポイント制について」ということでございます。
最初に〈現行の仕組み〉ということでございますが、特定健康診査の結果に応じまして、保険者のほうで保健指導の対象者を抽出して、対象者自らの健康状態を自覚し、生活習慣に係る自主的な取組の実施を行うことを目的として、特定保健指導を実施するということで、この特定保健指導につきましては、資料の9ページをごらんいただきたいと思います。
支援の方法としまして、「動機づけ支援」と「積極的支援」という2つの支援がございます。「動機づけ支援」、上のほうにつきましては、最初の初回面接をして、後は自分で取り組んでもらって、6か月後に評価をしていくところで、この点につきましては、そこまで御批判はないところですが、論点になりますのは、下のほうの「積極的支援」のところでございます。この積極的支援につきましては、よりリスクの高い方を対象としておりまして、動機づけ支援と同様に、最初、初回面接をし、その後、3か月以上の継続的な支援を行うこととなっておりますが、その中で生活習慣の改善に向けていろいろと個別面接、電話、メールなど定期的に介入していくと、そういったような仕組みになっております。
具体的な支援の内容として、左の下のほうに点線で囲っておりますが、「支援A」と「支援B」とございます。支援Aにつきましては、「計画の進捗状況の評価など」ということで、支援Bにつきましては、「励ましや賞賛など」ということになっておりまして、こういった支援A、支援B、それぞれ電話、メール、個別面接、こういったものを、例えば支援Aで5分、電話で支援したら15ポイントですとか、そういった各支援のポイントは決まっておりまして、そこの図の下のほうにございますように、支援Aであれば160ポイント以上、支援Bであれば20ポイント以上、合計で180ポイント以上を実施して特定保健指導を実施したと、そういった仕組みになっております。
資料の7ページに戻っていただきたいと思いますが、このポイント制につきましては、下のほうの箱で〈論点〉とございますが、そこの1つ目の「○」のところでございます。支援方法などが規定されているということで、対象者を状況に応じた柔軟できめ細かな支援を行うことが妨げられているのではないかといった、特にベテランの保健師さんほど、もっと裁量を持ってさせてほしい、そういった御意見がございます。
これに対しましては、一方でスキルがあまりない保健師さんにとってはこういったプログラムはあったほうがいいというような御意見もありますし、下の2つ目の「○」で書かせていただいておりますように、実施率を勘案する際に、何らかの客観的な基準が必要ではないか。特に委託ということになりますと、委託先の精度管理という点もありますので、そういった点でも何らかこういった基準は必要ではないかといったような御意見ですとか、またポイント制の基準を一定の幅を持たせるとシステム回収コストが膨大になると、そういったような御意見もあるところでございます。
ページをおめくりいただきまして8ページでございます。ポイントとしましては、そこの上の箱にございますように、現場の保健指導に携わる方の創意工夫の余地がなさ過ぎるとの指摘もございますので、何らかの客観的な基準によって保健指導の実施を担保すると、そういった前提の下、より裁量の範囲を広げることが考えられないかということで御議論いただきたいということでございます。
この点につきましては、2つ目の四角で〈評価方法について〉ということでございますが、ポイント制のように、こういう支援をやったかどうかということではなくて、検査値を改善したことによって保健指導の実績として評価するということも考えられないか、といったような御意見もございます。
この点につきましては、そこにいくつか「○」を書かせていただいておりますけれども、いくつか論点があります。一番上にありますように、検査値の改善につきましては、特に高齢者の加齢により悪化するのが自然であるので、現状維持も含めるべきではないか、といったような御意見ですとか、現行のプログラム、今の180ポイントやるというプログラムを前提としておりますので、各保険者の実施体制がどうか。
また、3つ目で言いますと、現行の6か月後の実績評価におきましても、腹囲、体重、血圧を測定することになっておりますけれども、こういったものについて合理的な基準が策定できるのか。この点につきましては、健診日から初回面接まで3~4か月ぐらい間があいておりますので、その間に本人が努力して改善したかもしれないといったような、本当に保健指導の結果がどうかわからない、というような御意見もございます。そういったような御意見ですとか、例えば下から2つ目で言いますと、特に委託の場合では、検査値の改善が期待される者ばかりに、保健指導の資源が集中投入されるのではないか。むしろ難しい方に対しては十分な指導が行われないのではないか、といったような御意見もあるかと思います。
そういった御意見もありますが、こういった難しい論点でございますけれども、それはそれとして、下のほうの箱でございますが、少なくとも作業範囲を広げるということで何かできないかということで、〈円滑な実施に向けた見直し〉ということでいくつか書かせていただいております。
1点目が、180ポイント以上、先ほどございましたが、その中で支援Aという進捗状況の評価と支援Bという励ましについては、支援B、励ましだけをやっても、なかなか現実的ではないのではないか、といったような御意見もございますので、ここを両方実施する必要があるのだろうか。ここは両方の区別をなくすことはどうか、といったような御意見が現場から上がってきているところでございます。
また2点目は直営でのポイント委託。直営になりますと、委託と異なりまして精度管理という観点から少し違いますので、ポイントを低くするとか、ポイントを変える、設定を変える。直営と委託でポイントを変えることは考えられないかといった点。
また、3点目は、180ポイント以上の支援を行う場合、6か月という期間ありますが、ここをある程度柔軟に考えられないかといった点。
また、その下で、2年目以降につきましては、1年目とは違いますので、そこはプログラムをより柔軟なプログラムにできないか、こういったような御意見があるところでございます。
以上、ポイント制につきましては、より裁量の範囲を広げられないかという点につきまして、御意見をいただければと思っております。
議題2の3点目でございますが、12ページをごらんいただきたいと思います。「看護師が保健指導を行える暫定期間の延長について」ということでございます。
〈現行の仕組み〉のところに書いておりますように、特定保健指導につきましては、初回面接、計画作成・実績評価などにつきましては、医師、保健師、管理栄養士が行わなければならないということになっておりまして、ただ、下線引いておりますが、平成24年度末までの経過措置としまして、「保健指導に関する一定の実務経験を有する看護師」。そこの「※」にありますように、平成20年4月現在において、1年以上の経験を有する方ということになりますけれども、こうした看護師についても行うことができることとされておりまして、この経過措置をどうするかということでございます。
2つ目の「○」に現行の実施状況ということで書かせていただいておりますが、特定保健指導の実施者の一定割合を看護師が担っている状況でございます。資料、一番最後になりますが、15ページをごらんいただきたいと思います。これは健保連でお調べいただいた「健保組合等の実施体制」ということでございますが、左のほうが健保組合の専門スタッフ、右のほうが事業主の専門スタッフとなっております。左につきましても、看護師518人ということでかなり多い人数になっておりますのと、常勤職員のほうで見ていただきます。右のほうも同じように常勤職員で見ていただきますと、1,800人ということでかなり多いということで、現在も特に産業保険の分野を中心に看護師のほうで担っていただいているという状況になっております。
その1枚前に戻っていただきまして、14ページの下のほうで、個別のデータですけれども、「事業所に勤務する保健師・看護師数の推移」というのがありますが、これで最近の平成22年見ましても、看護師のほうが多いというような状況になっているところでございます。
そういった中で12ページの先ほどの文章のところに戻っていただきますと、真ん中のほうで〈論点〉というところがございますが、そうした現在の実施状況からしますと、24年度末で看護師が保健指導を行えるという経過措置を廃止しますと、特に事業所において、特定保健指導の実施者が確保できないおそれが生じるということで、経過措置の延長を行う必要があるのではないか。
下の箱にもありますよう、次期医療費適正化計画の終期(平成29年度末)まで暫定期間を延長することにしてはどうかということを考えております。ただ、そこにもありますように、将来に向けた人員確保の見通しということで、看護師を特定保健指導の実施者とする保険者におきましても、その期間における人員確保の計画を立てるとか、何らかの取組を求めてはどうかと考えております。
この点につきましては、本日御欠席の日本看護協会の草間委員より意見書が出されております。お手元に1枚紙で別途配付させていただいているかと思いますが、そちらのほうをごらんいただきますと、真ん中のほうでございますが、暫定期間の延長につきまして、慎重に検討していただきたいという御意見をいただいております。
1点目につきましては、1の下のほうでございますが、医療保険者等の実施体制について、直近の現状と24年度末までの見通しを具体的に示していただきたいということ。
2点目としましては、単に確保できる人数の問題としてではなくて、保健指導の本来のあり方とその成果に立ち返った議論を進めていただきたい。
そして3点目として、現実的な問題として、暫定期間の延長がやむを得ない場合にはということで、後ろのほうに、1)、2)、3)とありますが、こういった点についての検討をお願いしたいと、こういった御意見をいただいているところでございます。
以上、3点について御議論いただければと思っております。以上です。
○多田羅座長 ありがとうございました。ただいま事務局から、「特定保健指導等について」ということで、3つの点から御説明いただきました。まず最初に「特定保健指導の実施率向上について」、それから、「特定保健指導のポイント制について」、そして最後に御説明ございました「看護師が保健指導を行える暫定期間の延長について」、その3点でございます。
まず「特定保健指導の実施率向上について」から御意見をお伺いしたいと思いますが、田中委員。
○田中委員 済みません、こういうときは一番最後に発言するのが一番要領がいいと言われていますけれども、一番最初に発言させていただきますが、特定保健指導の実施率の低調さについて、健診率も含めてですが、話題になって新聞記者の方もおいでになりますが、ここで、今日、事務局案の中で低調さというものの解決方法として、事務的な対応方法、例えば個別通知とか未利用者の利用勧奨、電話、個別訪問とか、要するに事務的な対応について案を示されておりますけれども、私は保健指導実施率の低調さというものは、いわゆる現場におけるこういった事務的な対応がまずいから低調なのかというところについては大いに議論しなければいけないと思っております。
私は市町村現場を見ていて、保健指導の実施率の低調さの原因は、1つ大きな要因は、まだ初動期かもしれませんが、健診にあまりの時間かかり過ぎている。その結果、保健指導を提供するのに時間かかります。それと次が問題なんですけれども、保健指導をできるマンパワーというものが被用者保険のほうは私はよく知りませんけれども、市町村(国保)に限っては絶対的に不足しておるわけであります。
そういう中で、いろいろな形で事務的に勧奨して来てもらっても実は困るぐらいなんですよ。それと保健師が、私は長年保健活動というものを見てきて、最も対象者に対して影響力の大きい、効果が大きい保健指導のやり方というのはフェース・トゥ・フェースだと思っております。いわゆる住民(対象者)と直接保健師等が顔を合わせて話し合うことによってその効果が出てくると思っておるわけでありまして、こういったふうなことが絶対的な不足の中、時間的な不足の中で極めて難しい状況になっておる。そういったことが保健指導実施率の低調さの根本的な原因であって、だからそこをどう解決するかということを議論しない限り、電話がいい、メールがいいといろんなことを言ってもなかなか解決に結びつかないのではないかと私は思っております。
それと、ベテランの保健師さんたちが、自分たちが長年得た知見の下で、それなりに効果的な手法で対応したいということ、そういったことを私は随分話を聞きます。要するにこういったことがなかなか実現できない状況下に置かれておる。それはポイント制というものがその背景にあるわけですけれども、私はこのポイント制というのは、いま一度政府のほうに確認したいのですけれども、何のために設定したのか。多くの方は御承知だと思いますが、このポイント制が制度発足前に健康局のこの委員会、私もメンバーでしたけれども、事務局が出してきたときに、なぜポイント制を出したのだと言ったら、保険者がこの保健指導等を外部委託するときに費用請求をされるときに、それの基準がなければいかんということの説明がありました。
だから、私はさもありなんと思って、そのこと自体は保健師の効果にどう結びつくかということについて懸念しましたけれども、さもありなんということでおったのですが、これがいつの間にか外部委託でない自前で対応できるところにも全部応用するようにいつの間にかなってしまっている。このことが市町村の保健師さんたちが、自分たちは自分たちで自主的に知見に基づいていろいろ実態を見てやりたいと、そういったふうなことになってきているのではなかろうかと思うわけであります。
ですから私はポイント制について、これは不要だとは言いませんけれども、少なくともこれから検討されるとすると、電話を何本したとか、メールをどれだけやったとか、そういったことをいちいち保健師がメモして、それを後で記録をとってやるなんて、こんなむだなことを保健師という貴重な職能にこんなことさせてはいけませんよ。こういったことを振りつけてしまっているから、現場で何か変なことになっている。
それから、先ほど事務局が説明で、いわゆるベテランの人でなくて、ベテランじゃない、そういう人たちには、そういったスキルがないから電話とかパソコンでどうだ、こうだということも言っていましたけど、それはおかしな話で、スキルのある保健師を育てていくのが行政現場における仕事ですよ。そういったことを否定して、そういった作業に専念させるというのは、スキルのある保健師をこれから育てないということを言っているような話であって言語道断だと思う。だから、そういったことも手法についてもお考えいただいたほうがいいのではなかろうかと思っております。
このポイント制があることによって、先ほども言いましたけれども、加算・減算とリンクしますが、おかしな現象が現場で起きてくるということもつけ加えておきたいと思います。
○多田羅座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。特に私なんか見ましても、被扶養者に対する特定保健指導の実施が未実施というのが4割も超えているというのはかなりです。田中委員、この辺はどういうふうに思いますか。
○田中委員 私は被用者保険の代表の方、たくさんいらっしゃいますのであれなんですが、私は被用者保険の対象加入者というのは、被保険者と被扶養者であって、当然被扶養者の住所管理はなされていると思っておったわけであります。ところが実態としてはなかなか被扶養者の住所管理がなされていないという中で、そこに通知等を含めて手が行き届かない、そういう背景があると承っております。
ですから私は、これは本来保険者義務ですので、保険者が自ら住所管理を徹底して、そこに手を出していくのが第一義的だと思いますけれども、そこはそこで現状というものを無視するわけにいきませんので、私は被用者保険のほうからも保険者協議会等でも中央連絡会でも要望はありましたけれども、国保のほうでとか、市町村でといった、そういったことは必然的でなかろうかと思います。ただ、このことがやれない要件が国が設定しておる加算・減算。これは本当にいろいろおっしゃいましたけど、加算・減算についてやるんだったら、こういった問題点がクリアできるような形での加算・減算の方程式を設定してもらわないと、被扶養者問題というのは極めて難しいと思います。
○多田羅座長 健康保険のほう、どうでしょうか、白川委員。
○白川委員 健康保険組合でも被扶養者に対する保健指導に取り組んでないところが40%あるんですけれども、その前にまず特定健診にいろんな手を打って、受診券を配ったりして、被扶養者の方々に参画していただくようにお願いをしているんですけれども、そちらの受診率が非常に低いというのが1つ問題でありまして、これは私は昔から申し上げていたんですけれども、血液検査と血圧と身長、体重、腹囲をはかるためだけに検診機関に出かけて行ってまず受ける。そうするとしばらくたったら血液検査の結果が出て、また呼出しがあって保健指導に出かける。
これを一般の主婦の方といいますか、そういった方々にやれるかというと非常に問題でありまして、それから、被扶養者の方では、共稼ぎでパートタイマーのようなことをやっていらっしゃる方もたくさんいらっしゃいますので、そういった方々に、ある意味では2日休んで行けと、こういう話ですから、実態的に保健指導にまで至らないというのがこの結果だと私どもは考えております。
今、田中委員からも話がありましたとおり、市町村でがん検診をやっていらっしゃるので、がん検診と特定健診を組み合わせた形で被扶養者の方々、参加してほしいというお願いをすれば、まず受診率は高まるだろうと思っておりますし、保健指導も確かに結果を見てきちんと生活習慣に起因するものについて保健指導をしていくというのが筋だと思いますけれども、メタボの改善率を上げるためには、そういう個別のアプローチはもちろん特定保健指導の主目的でありますけれども、受診をした段階で、一般的な生活習慣改善に対する保健指導を行う。それは結果が出る前という意味ですけれども、そういった工夫をしていかないとなかなかうまくアプローチできないのかなというのがこの3年間の反省でございます。
○多田羅座長 未実施はどうなりますか。未実施が40%以上もある。
○白川委員 未実施というのは。
○多田羅座長 実施率の問題と未実施とはちょっと違う。
○白川委員 そうなんですが、特定健診の案内を出しても、受診される方が非常に少ないという健保組合がたくさんありまして、しかも御案内のとおり、被扶養者の保健指導対象者というのは非常に少ないんですね。まず腹囲が今、女性で90?ということになっておりますから、腹囲を90?超える方はそんなにたくさんいらっしゃらないということもありして、現実的には被扶養者に対して保健指導は対象者がいない、少ないという理由でやってないところがかなり多いというのが実態だと私どもは思っております。
○多田羅座長 住所把握なんかはどうなんですか、被扶養者の。
○白川委員 住所把握は、確かにだんなさんと奥さんが別々に遠隔地で暮らしているケースもあるけど、大半は同居されておりますから、同居ということあれば住所把握は90%以上はできていると思っておりますけれども。
○多田羅座長 そういう体系は過去に、むしろ受診者が少ないから消極的になってしまっていると、そういうことですか。
○白川委員 そちらの要因が大きいと私は思っております。それから二度出かけなければいけないということもありまして。
○多田羅座長 保健指導等の問題ですか。齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 町村長としてはどこの医療保険に加入していようと、町民である以上は全部支援で結構です。保健指導もして結構です。ただ、市町村でも実態が違いますから、そういうことができるところとできないところがある。特に特定健診のメタボだけで本当にいいのというお話出ました。メタボでなくても高血圧の人がいるのは一般的な知見だと思います。単純に特定健診・保健指導本当にいいのかと深刻に私どもは受けとめています。
田中委員もおっしゃいましたけど、やはりフェース・トゥ・フェースということは、保健指導というのは生活の背後をきちんと押さえてみないとメタボも解消できない。私は末端の保健指導が大事だと思っておりますし、新人こそ、そういうフェース・トゥ・フェースをやるような育て方を私どもは実際の業務のほうでしていかないと実効が上がらない。
ところが一方でペナルティーがあると、保険者としてどうなるんだということがあります。加算・減算の話はあまり申したくないんですが、そういうジレンマが確かにあるのです。ですから、もう少しトータルにやる必要があるのではないでしょうか。でこの健診が始まる前も実は職場健診をやる、あるいは被扶養者も健診もやりました。フォローがほとんどできていたかというとできておりません。。ですから非常に心配なんです、住民としては。これをやって、多少フォローするかというムードは出ても、実態を通して、今おっしゃられるように、40%もフォローできない。あるいは健診そのものもできないとすれば、もう少し方法論として別のことも併せて考えていかないと、医療費の高くなるのはやむを得ないとしても、健康的に人生送れるかどうか、非常に大きい私は問題だと思います。ぜひ。私どもはやります。町村でやってくださいと言われれば、今度のときはきっちり申し上げたい。
○津下委員 保健指導の実施率が高まる。それから、齋藤委員が言われたように、腹囲が90?にならなくてももっと早くから始めるというのは非常に重要なので、そういう裁量が生かせるというのは非常に重要なことだというふうには私も思っています。
  次のポイント制にもかかってしまう話なのですけれども、以前、老人保健事業として市町村がやっていた個別健康教育プログラムのほうががちっと決まっていた形だったものですから、もっと裁量が生かせるように自由度を増やしたのが特定保健指導です。しかし、保健指導の投入量がわからないと、どこまで保健指導をやったら一件実施とみなしてよいのかわからないという議論もあって、ポイント制が導入されたと認識しています。直営の場合は、特定保健指導だけではなくて、場を通したポピュレーションアプローチを通したサポート、会社ぐるみのサポートができるので、アウトソーシングするところと同じぐらい投入量が必要なのかということについて検討が必要だと思います。直営でやった場合と委託でやった場合とどのぐらい効果が違うのか。直営だったら少ないポイントで効果が出るというのであれば、思い切って下げればいいし、ポイント制も要らないかもしれない。しかし、一足飛びにやめてしまうと、今出ている効果が担保されるのかどうか。実際に直営の場合と委託の場合とどれぐらい効果が違うのかということも検証した上で、そういうエビデンスに基づいてポイントを切り下げると。または直営の場合と委託の場合と方法を変えるという議論に進んでいくといいのかなと思います。
  それから、積極的支援と動機づけ支援を比較しますと、いろいろな研究者のデータ見ましても、積極的支援のほうが効果がよかったと。これは一定の回数、フォローアップを、行っているということで効果が引き出されたものと考えられます。改正にあたってはフォローアップがないがしろにならないような方策が必要です。アウトカム評価を行い、どれだけ効果があったかというのを最終的に見ていくのが大事だと思います。フォローアップ体制がきちんとしないと、普通の医療機関の場合も初回受診して中断される方が結構多い。中断される方が一番悪くなる方が多いということで、中断率を減らすための方策は別途検討しなければいけないと思います。ポイント制のおかげもあって、保健指導者からの熱心な働きかけもあり、6か月まで継続できた人たちもいるという事実もありますので、180ポイント、何が何でも必要とは考えておりませんけれども、検証が必要だと思います。
○多田羅座長 吉田委員、どうぞ。
○吉田委員 総合健診医学会の吉田でございます。まず、ポイント制、確かに標準化をしないと投入量がわからないのだという議論でスタートしたことは理解するのですけれども、職域で既にいろいろな健康づくり活動等の環境整備がなされている場合を考えますと、180というポイントを死守しなくはいけないというかなり自由度を高く考えていただけないかというのが現実的ではないかと思います。
  それから、もう一つ、総合健診の施設では当日面接というのを各施設に義務づけておりまして、当日に面接をした結果が、この特定保健指導の保健指導の第1回目として活用できるような評価を組んでいただかないと、せっかく当日に保健指導をするということは、先ほども御指摘ありましたが、健診やって、その場で介入するというのはかなり効果的な話だと思いますので、それについて評価をしていただかないと、せっかく健診を受けに来られた方が、結果を事後指導を受けていく、説明を受けていくということが生きていくことのためにも、そのあたりを自由度を上げていただきたいと考えています。以上でございます。
○山門委員 人間ドック学会の山門でございますが、今、吉田委員と同等でありますが、それは1ページの上段、「現状」にありますように、第3項、「?面接の後に階層化処理をした場合でも、当該面接を特定保健指導の初回面接とすることができる、との見直しを行うこととしたところ」、これは2回目のときだと思いますが、私が主張した点でありますけれども、人間ドック健診システムではこのようにやっているということで、その成績が実際に4ページの「(参考)特定健診受診から保健指導(初回面接)までの平均的な期間」、これは実に同日が、被保険者、被扶養者ともに約8%ないし7%になるわけであります。これが恐らく人間ドックを受診したことにより、特定保健指導を実施したというものに該当すると思います。
このように、吉田委員おっしゃるように、私どもも強調するように、当日かなりできるシステム。それは津下委員がおっしゃるように、直営と委託を分けなければいけない、できないところは。できるところでは当日積極的にするように指導するということが前回定められた現状の?、これを確認させていただきたいということになると思います。
もう一点は、フォローアップという点ですが、人間ドックもリスク保有者は必ずフォローアップします。それが人間ドックでの保健指導の重要な点でありますけれども、フォローアップを何回、これはデータベースあるわけですけれども、フォローアップの回数が多ければ多いほど達成数が高いことがわかっています。それはポイント制にするのか、面接指導を何回しなさいということにするのかということは、また津下委員が言うように、直営と委託等を分けてまた考える必要があるのではないかと思っております。以上です。
○多田羅座長 ポイント制については基本的に何か。
○山門委員 ポイント制については、津下委員と同じように、直営と委託を分ける必要があるだろうと思います。私たちのドック学会は対面で2回やります、3か月と6か月は。後でお話ししようと思いましたが、30%改善率があります。したがって、先ほど来、お話がある対面というのは極めて重要だと思いますので、我々80ポイント、対面を2回やれば、160ポイントになっちゃうんですけれども、対面を重視していくことと、それができない場合には、それを補助的なものとして、どのぐらい加点していくかということになると思います。ちょっと抽象的であります。
○多田羅座長 ほかにいかがでしょうか。
○中村委員 各保険者、これまで相当いろんな知恵出して、工夫して努力をして、今の評価はいろいろ聞いていると、実施率が目標と大分乖離していて、伸びてないということなんですが、それぞれ保険者は頑張ってきていると思うんですよ。したがって、この時点で、これまでやってきた評価で、糖尿病の方や高血圧症、いろんな方が、全体的な数字では減っているのではないかと思うんですが、そういうような全体的なイメージ的なものというのは何かありますか。
○多田羅座長 データですか。
○中村委員 データ的に。相当頑張ってきたものが、何か個別に実施率とか、そういうところだけでしていますけれども。
○多田羅座長 成果もですね。
○中村委員 成果が。そういうのがわかれば頑張る目標にもなってくるので。
○保険システム高度化推進室長 ご案内のとおり、特定健診・保健指導のデータにつきましては、国のほうで保有しておりますデータベースに、平成20年度の制度を導入時期からデータが蓄積されてきておりますので、そういったデータも整理しながら、出されるものがあれば、この場でも出させていただいてご参考に供したいと思っております。
○多田羅座長 それはせっかくのデータだから、ぜひ出してほしいです。ありがとうございました。
今日のところはいろいろ御意見をお伺いして、引き続き、これについては。
○保険システム高度化推進室長 よろしいでしょう、座長。
○多田羅座長 はい。
○保険システム高度化推進室長 申し訳ございません。特定保健指導に関しまして、委員の高橋委員から資料の提出をいただいておりますので。
○多田羅座長 高橋委員からお願いします。
○高橋委員 私から出させていただきましたA4の資料、2枚についてお話しさせていただきます。
まず最初に産業保健分野におきまして、どういう診断と事後措置(すなわち保健指導)などをやっているかというのを、一部の方は不案内であると聞きましたので、ざっくりと整理いたしました。これが1枚目です。
私どもがやっていますのは、職域ですので個人の健康確保ということと、もう一つは労働力保全ということで、より元気に活躍してほしいという命題があるわけです。四角の中が大きな流れなのですが、定期健康診断は1回と、有害業務がある場合には2回やっております。この項目は、おおむね特定健診と同様です。ただ、腹部エコー等事業者が自主的に加えていることがあります。
その際の問診は、こちらの制度で要請されているものに加えまして、さらに詳しく、これは労働安全衛生法の関係で規定されておりますので、心身両面から聞いています。特にメンタルに関する項目が最近増えています。
その後、結果判定ということになりまして、異常なし、所見あり等と診断されます。所見があった場合には再検・精検、あるいは医療機関を紹介するなどの対応がとられます。健診結果の判定は、右の欄に記載しました医療上の区分と勤務区分、これは安衛法第66条の4に規定されておりまして、それぞれ3通りに判定されます。
現実には、要観察といってもどう観察するのか、就業制限ありといっても、どういう就業制限なのか、出張禁止なのか、時間の規制なのか、仕事を変えろという内容があり、それらについて各事業者がそれぞれ区分をさらに持っています。例えば私どもの会社では、それぞれ6区分に分けています。それを本人に通知いたしますが、それと同時に勤務区分と措置が必要な場合はその○○を、これは職制、上司およびですとか、必要によっては配置をつかさどっている人事・労務にも通知するということを行っています。
それから、4番目の事業措置・保健指導ということになります。ここがかなりこの制度とダブって実施されているという部分です。必要によっては、さらに途中検診ということもあります。働いて不調になった時、このまま働かせていいのかということで再度健診を追加する、あるいは面接をすることがあります。あと大事なことは慢性疾患の管理です。病院にかかっていても、コンプライアンスが悪い場合には、産業医から、または会社から指導するkとになります。と。
先ほど職域ではいろんなことをほかにもやっていますよということを山門委員等々から話が出ましたが、心身両面の健康教育や健康体力づくり活動を行っております。これについてはトータル・ヘルスプロモーション・プランというものを厚労省が推奨しておりまして、それを踏襲しているところもございます。あとは禁煙教室などです。
○多田羅座長 ありがとうございました。この特定保健指導のあり方については、今日もたくさんの意見をいただきました。本日、皆様からいただいた意見などを踏まえながら、特定保健指導の実施率向上については、今後とも本検討会で事務局のほうから、それなりの、ちょっと待ってください。
○保険システム高度化推進室長 途中で大変恐縮ですが、高橋委員、2枚目の資料のご説明を。
○多田羅座長 ちょっと私の話を終わらせてください。
○保険システム高度化推進室長 済みません。
○多田羅座長 ということで、続けさせていただく予定ですので、よろしくお願いします。
なお、高橋委員のほうから何か追加があるのでしょうか。
○高橋委員 2枚目があります。これまでの経過について、経団連の関係メンバーおよび職域で実務に携わっている方にヒアリングした内容です。特に大事なことだけ何点か指摘させていただきます。
  1つは、(1)のマル1にありますが、従来の職域でやっていました健康管理体系、これと今回の制度がダブったために、従来のものがやりにくくなったということです。本プログラムに従わないといけませんので、他の例えば高尿酸血症ですとか、アルコール性肝炎、こういったもののフォローができにくくなり、煩雑さが出ているということです。
それから、マル2保健指導の情報を、特に委託の場合ですが、事業者、つまり産業医等が共有できないということです。実際にどういう指導がされているのか解らないので、そのフォローに支障が出ているという問題があります。
それから、下のほうに行きまして、(2)ですが、?初回面接(問診)、事業者が初回面接としてやったものがそう扱われないために、もう一度聞かれることになり、それで本人が嫌がるというケースが出ております。
?HbA1cの扱い。これは今回の議論から外れておりますが、事業者側は大変混乱しております。システムで処理しているところが多いものですから、それの改訂をどうしていくか悩んでいるということです。
それから(3)の?ですが、産業保健で指導されていろいろやっている中で、また特定保健で呼び出されると。本人が拒否するケースが出ております。このため、実務上困っています。
それから、(4)評価について、先ほどから同様の話が出ていましたが、1つには、個別指導・集団指導、これを事業者サイドで健保と一緒にやっている場合が多くありますが、そういうものも評価していただきたいということです。
そして、最後になりますが、短期間の指導では、今回6か月スパンというのが1つの時期になっておりますけれども、リバウンドが起こるおそれがあるということです。我々の経験では1年を経過して、さらに2年後ぐらいがリバウンドとしては大変リスクが高いということがあります。ですから、そのぐらいのスパンで考えていただいていいのではないでしょうか。以上です。
○多田羅座長 ありがとうございました。
  それでは、ポイント制について、これは保健指導のプログラムを所掌しております健康局においても検討していただき、保険局においては、その検討状況も踏まえ、実際の見直しを進めていただきますようお願いしたいと思います。
  それで、看護師が保健指導を行うことができる暫定期間を24年度末から29年度末に延長することについては、委員の皆さんいかがでしょうか。どうぞ、白川委員。
○白川委員 日本看護協会の意見書を拝見させていただきまして、お気持ちはわかります。我々も保健師資格を持った方に保健指導をしていただくのが正しいだろうというのは十分理解しておりますし、また、特定保健指導が始まってから保健師の採用は、健保組合、事業主でも随分増えてきている数字になっていると思います。ただ、現実問題、看護師さんが相当数いらっしゃいますし、今の事業主の経営環境とか、あるいは健保組合の財政状況からしまして、プラスアルファで保健師さんを大量に雇い入れるというのは現実的には難しい状況でございますので、これで看護協会さんがおっしゃっているような暫定期間での経過措置取りやめということになりますと、特定保健指導が動かなくなるということでございますし、今現在、看護師さんに一部担っていただいておりますけど、それはそれなりの効果を上げていると私どもは認識をしておりまして、ぜひ経過措置は少なくとも第2期の間は今と同じ条件で続けていただきたいというのが私どもの願いでございます。以上です。
○多田羅座長 看護師協会も「暫定期間の延長がやむを得ない場合」ということまで言っていただいております。どうぞ、小松委員。
○小松委員 栄養士会なんですけれども、私たちとしても、今回の特定保健指導に携わる職種の1つとして設定されて以来、いわゆる国が定めた標準的なプログラムに準じた研修をやってまいりました。およそ1万5,000人の管理栄養士が修了しております。しかし、一生懸命やっている割に管理栄養士が十分そういうところで雇用されてきていないなというのはすごく感じておりまして非常に残念なものでございます。それぞれの例えばこういった分野は食生活と非常に密接に結びついている部分ですので、その専門性というのは十分に発揮できると我々としては確信して一生懸命やってきています。
そういう意味において、いわゆる人材の活用という視点がやはり十分に仕組みとしてできてきていないのだろうと非常に感じております。我々としてはいろいろな形で人材を確保しつつやっているにもかかわらず、こういう実態があるということ自身は、問題として意識しておいていただかないと、せっかく一生懸命やっているのにという意識がございまして、そういう意味で、これはこれで人材活用という面で課題があるのだという認識を持っていただく必要があると思います。
それで今回の暫定的な措置についての延長に関しては、これは現状として特定保健指導というものを伸ばしていくという大きな課題が1つあって、その中で人材がすぐには確保できないという部分があるということも重々わかりますので、看護師さんの部分についてはやむを得ないのかなという思いは一方でございます。ただ、もう一方で、そういった人材活用とか、こういった分野を今後発展させる意味でも、雇用の面やそういったものも含めて社会的な資源をきっちり活用するということを念頭にやっていただければありがたいなと思っております。
○多田羅座長 わかりました。非常に貴重な御意見ありがとうございます。
ということで、この件につきましては、看護協会、そして、今、栄養士会のほうから も御意見もあることでございますので、事務局において、健保組合等における今後の実施体制の見通しについて、ただ安易に継続するというのではなくて、計画的に保健師さんであるとか、管理栄養士さんが担っていただくということが重要なことでございますので、その見通しに関する資料を必ず出していただくということとして、今回の5年間の暫定的延長については、今回は了承いただくということにさせていただいて、どうぞ。
○津下委員 この件についてはもちろんそれで結構でございますが、先ほどの小松委員の発言につきまして、私たちアウトソーシング機関調査で、初回面接、管理栄養士さんが実施された分に関して分析しましたところ、優秀な効果を上げていることがわかりました。ですので、今の御発言は、分析すれば裏がとれることだろうと思います。初回面接、どなたがやられてというようなデータ分析もナショナルデータベースでできるのではないかと思います。もし、そのような機会がありましたら、よろしくお願いします。
○多田羅座長 どうぞ、山門委員。
○山門委員 手短に。私ども人間ドック学会では、全受診者1,800万人のうち、特定健診として受けた方、失礼しました、2009年時点であります。352万人いらっしゃいます。その中で実に看護師が、これは経験がありと定められるものでありますけれども、24%関与しております。これがその実績でありますが、実績修了は80%に及んでおります。腹囲減少、体重減少、食生活の改善がそれぞれ30%、22%、66%。身体活動も57%、極めてよい、看護師でありましても、資格のある者は成績を上げているということがありますので、この草間委員の御提案の延長期間の見直し、これはイエス、賛成します。
この2項目、特定保健指導を実施できる看護師の一定の要件を満たす。これは私どもの団体としては、逆により広く認めていただきたいという意見を持つ団体でございます。
○多田羅座長 看護師も十分担っていただけるというお考えですね。
○山門委員 そうでございます。
○多田羅座長 わかりました。そういう点も含めまして、一応今回のことにつきましては、実務的なことになりますが、5年間の延長は了承する。ただし、将来の確保体制についての見通しについてレポートをいただくということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、時間が押してまいりました。次の議題に移らせていただきます。議題3について、事務局から説明をお願いいたします。
○医療費適正化対策推進室長 それでは、資料3をごらんいただきたいと思います。3点ございますが、まず1点目、1ページをごらんいただきたいと思います。
「集合契約の健診項目の多様化について」でございます。
まず〈現行の仕組み〉のところにございますように、先ほどから御議論ありますように、特に被扶養者につきましては、全国さまざまな地域にお住まいになられているという方がおるということで、1人1人に応じて医療機関・健診機関等と個別に契約することは、なかなか事務コストが大変だと。また、被扶養者の所在地を必ずしも把握できていないと、そういった点もあるということで、今、集合契約の事務量を大幅に軽減するために集合契約という仕組みがございます。
資料で言いますと7ページをごらんいただきたいと思います。集合契約の仕組みについては、これはパターン(A)という全国各地の研修機関で実施する場合ということですが、左のほうで、健診を実施する機関のグループ、全国組織がありまして、一方、右のほうには複数の保険者のグループで契約代表者がいて、保険者の代表ですとか、健保連ですとか、契約代表者、その両方の代表者が委託契約を結ぶ。そういうことによりまして、グループ内の被保険者がそのグループ内の健診機関のどこでも健診が受けられるという、そういう仕組みになっております。
その次のページが、もう一つのパターン(B)ということで、市町村(国保)の契約をベースとするものでございますけれども、左のほうが、市町村(国保)が自治体病院・直営診療所などに委託して実施している場合でございますが、被用者保険のグループの契約代表者が市町村(国保)が委託しているのと同様の内容の委託契約を直営診療所などと締結するというものです。
右のほうは、市町村(国保)の外部の健診機関と地区医師会などに委託して実施してい
る場合で、同様に被用者保険のグループの契約代表者が市町村(国保)の契約と同じような内容の委託契約を結ぶということになる。こういった仕組みになっております。
1ページに戻っていただきまして、今回の〈論点〉でございますが、下のほうの箱の1つ目の「○」でございます。集合契約につきましては、契約で定められている健診項目は特定健診のみに限られてしまいますので、そうしますと、受診者にとって魅力のある健診を実施して受診率上げるためにも、保険者ごとに上乗せした健診項目が設定できないかといったような御意見がございます。
これにつきましては、2つ目にもございますように、そもそも集合契約というのは、どこの健診機関でも健診を受けられるようにということで設定したものになりますので、例えば人間ドックですとか、一部の医療機関とか健診機関でしか実施できないような健診項目をパターン分けすることは適切ではないのではないかということが1点ございます。
また、3つ目にありますように、事務的にもかなり煩雑になり、費用決済エラーが増加することやシステム改修費用が莫大になるなど、そういった御指摘もあるところです。
そういった中で、次の2ページでございますが、〈考えられる案〉として、例えばそこにパターンマル1、マル2、マル3ということで、事業主健診の項目(視力や聴力など)を追加したパターンですとか、がん検診など、そういったものを追加したパターンを書かせていただいておりますが、そういったものを保険者ごとに選べることは考えられないか、考えるとすると、こういうことが考えられないかということでございます。
次のページ、3ページにイメージが書かれておりますが、「集合契約のパターンのイメージマル1(委託範囲)」ということで、もし仮に実施するとすれば、左のほうで【現行】ということで、委託元保険者の一覧表という、取りまとめ保険者をまとめている各保険者が並んでいるものがありますが、ここの表の中の右のほうで、委託範囲というのがございます。特定健診は全部実施しますが、特定保健指導は委託するところとしないところがある。こういったものを今回パターンマル1、マル2みたいなものを設けますと、右のほうで、マルで囲っておりますけれども、そういったパターンを委託契約で設けているということになります。
そうしますと、次のページにあるような委任状につきましても同様にそういったパターンを追加していくということがございますし、さらに次の5ページは、(受診券)につきましてのパターンを設けているとか、そういったことになるわけでございます。
2ページに戻っていただきまして、そうしますと〈考えられる案〉という上の箱の2つ目の「○」でございますが、取りまとめ保険者において、保険者ごとに異なる委任状を管理したり、パターン分かれた研修項目の内容を管理するということで、かなりの事務コストが増加するということで、慎重な御意見をいただいているところでございます。
また、費用対効果ということで考えますと、これだけ事務コストをかけて本当に被扶養者の受診率が向上するのかといったような御議論ですとか、むしろ既存の住民健診、がん検診ですとか、そういったところとの同時実施を確実に行うことのほうが、被扶養者の受診率の向上に資するのではないか、そういった御意見もあるところでございます。これにつきまして、御議論いただき、対応を検討したいと考えております。
続きまして2点目でございますが、11ページでございます。先ほど来、御議論いただいております「被扶養者の受診率向上」ということでございますが、この点につきまして、上から3つ目の「○」のところにありますように、先ほどから申し上げております被扶養者の所在の把握の問題。そうしますと、どこの市町村(国保)に委託すればよいかわからない状況だということで、今、申し上げたような、いろいろ論点ありますが、集合契約の仕組みがあるということでございます。
今回のポイントとしましては、下のほうの〈論点〉というところに書かせていただいておりますが、そういう意味で被用者保険の被扶養者の特定健診・保健指導の実施は、保険者ではなくて被扶養者が居住している市町村で原則的に行われるべき、そういった御意見があります。
一方で、これに対しましては、下のほうの「○」でありますように、加・減算の仕組みを前提としますと、被扶養への健診の実績については、健診を実施した市町村(国保)の実績とすべきではないか、といったような御意見もございます。このときの市町村といった場合に、要は市町村(国保)をイメージされておっしゃっていらっしゃる方と、市町村の保健行政部門をイメージされていらっしゃる方がいらっしゃるということで、このあたりを整理させていただきたいということが今回の趣旨でございます。
資料の13ページをごらんいただきたいと思いますが、保険事業の取扱いの変化の図ですが、左のほうは19年度以前の老人保健法による健診の図です。このときは、基本健診ということで40歳以上、市町村が実施しておりまして、下のほうの医療保険各法の健診ということで、保険者にも健診等の努力義務はあったということで、この時期も被扶養者についてはどこが責任持ってやるかというのは不明確な状況だったところ、右のほうに20年度からはそれを一元化して、基本的に医療保険者のところに特定健診・保健指導の実施義務を課しているということでございます。
そうしますと、仮にこれを市町村の保健行政部門が健診を実施することになりますと、特定健診・保健指導の実施義務は保険者が持つという仕組みそのものを変えるということになりますので、高齢者医療費の保険者ごとの負担方法のあり方とか、そういったものにさかのぼった議論になるということを御留意いただければと考えております。
そういう意味で、戻っていただきまして、12ページの下のほうですが、〈検討が必要な事項〉として書かせていただいておりますが、基本的に原則、市町村でといったことにつきまして、対応するとしますれば、被用者保険の保険者の被扶養者に対する実施義務は残しつつ、あくまで市町村(国保)に被扶養者の健診の実施を委託することを原則化するということで、そういう前提の下、下に書いてありますような委託の方式、集合契約とかありますけれども、実施費用については被用者保険が負担するのではないか。あと、実績の問題いろいろありますが、市町村(国保)の実績数としても勘案する必要があるのではないか。あとマンパワーの問題です。そういった点を考えていく必要があるのではないかということを考えております。
続きまして3点目でございますが、最後の14ページでございます。「保険者協議会について」でございます。
〈現行の仕組み〉のところにありますように、保険事業の円滑な実施のために保険者間の連携協力を行うことを目的で、平成16年度から国保課長通知が設置されておりますが、次の15ページごらんいただきますと、保険者協議会は特定健診ごとに設置されておりまして、構成員はそこにありますような、地域、職域合わせた保険者、都道府県ということになっています。事務局については国保連でやっていただいているということで、本来は地域保険、職域保険が協力し、その下に書いてありますような、市町村との連携、医療関係者との連携、右のほうの医療費の分析、そういったことを実施していくということで設置されたものでございますが、実態としましては、集合契約に関する契約締結事務が主な仕事になっているというような状況でございます。
一番最後の17ページに各都道府県の開催実績を今回抽出しておりますけれども、各地域差がかなりございます。東京都のような回数が多いところもあれば、保険者協議会を1~2回やっているだけというところもございます。
そういった状況の中で、14ページに戻っていただきまして、真ん中の箱のところでございますが、これまでもいろいろとこの点については御意見があります。1つ目は、運営についてでございますが、事務局を担っていただいております国保連においてかなり事務コストがかかっているということで、事務局体制について、各保険者が協力に対応するとか、都道府県の積極的関与を求める意見が出されております。
また、2点目としましては、先ほど申しましたように、集合契約の締結事務が主な業務になっておりますが、もう少し地域性を考慮したより効果的な保健事業、地域、職域の保険者が集まっている中で、一緒に考えていってはどうかといったようなことがございます。
3つ目の「○」でございますが、特に被用者保険との連携を高めていく必要があるのではないか、といった御意見もありますし、一方、各保険者が独自に取り組んでいる事業の実施で十分ではないか、といったような御意見もありますので、下のほうにありますように、こういった地域の保険者が集まって保険者協議会が設けられておりますけれども、こういった場で連携して進めていくことが期待される事業とか、現行の仕組みを改善すべき点、どういったことを考えればいいのか、どういった点があるのかということを御議論いただければということでございます。
○多田羅座長 ありがとうございました。ただいまこの議事にございます3点、「集合契約の健診項目の多様化について」、「被扶養者への対策について」、「保険者協議会について」、それぞれ御説明いただきました。いかがでしょうか。まず、健診項目の多様化というあたりはどんなものでしょうか。実務的に担えるのかどうかというのが課題になるかと思うんですけれども、山門委員。
○山門委員 山門から、まずお話しさせていただきますが、この集合契約の健診項目の多様化、これは賛成いたします。ただ、実務的に問題、パターンマル1はいいんですが、パターンマル2は、先ほど高橋委員からお話がありました事業主健診はほとんど項目が同じであるということで問題ないと思いますけれども、パターンマル3が一番問題になると思います。すなわち肺がんでは胸部X線、喀痰の細胞診、胃がんでは上部X線、大腸がん・便鮮血、これはいいと思いますが、子宮頸がんでは細胞診、乳がんではマンモグラフィー等のハードが整っているところでなければ、このパターンマル3は受けられない。といいますと、保坂委員の日本医師会においても、それぞれ対応できない施設がありますので、非常にパターンマル3を示しただけではなかなか難しいのではないかと思いますので、これはパターンマル3を。
〇多田羅座長 パターンマル3を選ぶということになるんですか。
〇山門委員 そういうことしかありません。できる、できないということになりますと、そういう契約が必要になってくるだろうと思います。この多様化ということには賛成するところであります。
〇多田羅座長 実務的にどれだけ担えるかということですね。
〇山門委員 実際、そうですね。できるとできないところがまだあるでしょう。
〇多田羅座長 保坂委員、何かございますか。
〇保坂委員 8ページのところの右側のところの「とりまとめ機関(地区医師会等)」と書いてありますけれども、この辺が私どものかかわっているところなんでございますが、パターンBであっても無理であるかもしれない。事業主健診というのも、それも選択するところと、選択しないところができてしまうので無理かなと思いますし、それから今までのずっと長い流れの中で、特に被扶養者については市町村、今のところ被扶養者の対策というところにも出てきますけれども、市町村において、市町村(国保)のかわりに契約してやると。白川委員のところの健保組合の方の分も市町村の。
〇多田羅座長 被扶養者については。
〇保坂委員 被扶養者についてはやるということであれば、その中でそれを1つのパターンにして、1つ1つの健保組合は別々のものだということではなくて、別な、今の特定健診のものよりももう少し広い範囲のことを契約の中でできるようになるのではないかと思いますし、それからメタボ健診がメーンになっておりますけど、前から言っていますように、この際、それをもう少し広げていくこともこの中で可能なのではないかということも改めて申し上げたいと思います。
〇多田羅座長 この中というのは多様化という考えですか。
〇保坂委員 多様化しないで、多様化ではなくて、もっと多くすれば、そんなに多様化しなくても対応できるという、そういうこと。結局、事業主健診と今の特定健診との間にあるものぐらいは、「特定」という言葉を使うかどうかは別にして、保険者がかかわるところの健診の中で入れていっていただければ、全国一律一様であって、かつもう少し幅が広くなる。がん検診について、被扶養者については市町村でやるとすれば、当然今までも市町村でがん検診をやっているわけなのでできていくと。ただ、被扶養者以外の人のことについて、組合ごとにもしがん検診の内容が違うとすると、その辺は難しいところがありますが、原則的に言うと、私どもが中小が多いわけですけど、中小の医療機関がやっている、医師会が関与している集合契約については、主に被保険者ではなくて被扶養者の方の契約が主になるので、比較的整理しやすいかと今思っています。実際、具体的になるとなかなか難しい面もあるかもしれませんが、よろしくお願いします。
〇多田羅座長 いかがでしょうか、この多様化の、どうぞ、津下委員。
〇津下委員 このパターン?について御確認したいのですけれども。
〇多田羅座長 何ページでしたか。
〇津下委員 2ページですが、〈考えられる案〉に、事業主健診を上乗せするということで、これは事業主健診を保険者がやるというようなイメージになるのですけれども、特定健診のデータは事業主健診で行ったものを保険者に渡すというのは法律的に整備されていますが、保険者でやった健診データを事業主に戻すということについて、それはどういうふうに扱われるのかということと、事業主健診のあり方、要は事業主と保険者の間できちんと調整がとれることと、そのデータが健保で受けた健診を事業主に渡すことについて法律的に大丈夫なのかという点です。
〇多田羅座長 その点はどうですか。
〇保険システム高度化推進室長 労働安全衛生法の事業主健診は事業主様の義務としてやらなければいけないことになっておりますので、基本的には高齢者医療の確保に関する法律の特定健診に優先するという形になっております。それは保健事業の観点からやっていくということとはまた別の次元で、そちらを優先しましょうという形になっておりますので、事業主様のほうは事業主健診をまずしっかりやるというのが前提ですので、基本的には特定健診と事業主健診は上乗せしたとしても、それを特定健診の文脈としてやっているのであれば、それを事業主の側に言って、事業主健診として扱いますということは基本的には考えられないと思います。
多分考えられるとしたら、事業主様のほうで、事業主健診という形で、こういうパターンをやった上で、それを特定健診に該当するものだけは特定健診として扱って、保険者さんにお渡しすると、そういうことだとは思います。
〇白川委員 私のほうで補足させていただきますと、現実問題、今、健保組合が事業主から委託を受けて定期健康診断、事業主健診をやっているケースがあるんですね。もちろんお金のやりとりはあるわけですけれども、ですから、それを拡大したというふうにこれは読めばよろしいのではないかと思いますので。
〇津下委員 ということであればいいです。
〇白川委員 2ページのパターンマル1マル2マル3というのは、気持ちとしてはわかるんですけど、現実問題、代表契約者にとってみると、これは大変な騒ぎで、今でも集合契約のBパターンというのは都道府県の医師会等にお願いをして契約をさせていただいていますけれども、それでも47ではなくて、契約単価だけでも何百という数の契約があるんですね。特にパターンマル3については、がん検診などは市町村の負担でやっていただいているケースもありますね。
それから、山門先生がおっしゃったとおり、がん検診と一口で言っても、いろんな検査方式があるし、部位によっても全部違いますから、相当複雑で値段が全部違うということになると、とても契約書と呼べる、2次元のマトリックスではできないような、複雑怪奇なものになってしまうので、結果的にはあまり意味はないかなと私は思います。
したがって、パターンマル1ということで限定してやるべきだと思いますが、ただ、促進、特に被扶養者の方々の受診を促進するためにはがん検診と組み合わせたほうがいいと私は思っていますが、これは今、市町村がやっておりますがん検診と組み合わせるべきだという意見でございまして、被保険者のほうは、健保組合で言いますと、事業主の定期健康診断と併せてがん検診を少しずつ拡大していくという動きになっておりますから、被保険者のほうはそうした動きで受診率を高める。被扶養者のほうは、市町村のやっておりますがん検診と特定健診を組み合わせることで受診率を高めるということを推進していくべきではないでしょうか。
〇多田羅座長 組み合わせるというのは住民の場合はいいけど、被扶養者の場合はどのようにして組み合わせるんですか。
〇白川委員 被扶養者のほうの特定健診を市町村(国保)でやっていらっしゃる特定健診のほうで受けていただく。大体市町村でやっている特定健診はがん検診と組み合わせているケースがかなり多いと思いますので、それに。
〇多田羅座長 それはパターン?はそういうことにならないんですか。
〇白川委員 ですから、それで契約ということになりますと。
〇多田羅座長 そこが、そうですね。
〇白川委員 はい。相当複雑な契約になるので、我々が望んでおりますのは、市町村(国保)さんがやっております特定健診と同じ形で被用者保険の被扶養者も受けられる形。そのときに契約が必要になると思いますので、パターンマル1の契約だけをきちんとやる。
〇多田羅座長 がん検診は市町村独自にやってもらう、そういうお考えですか。
〇白川委員 はい。
〇多田羅座長 契約ではなくて。
〇白川委員 契約はむしろ必要ないのかなと。
〇多田羅座長 必要じゃないというお考え。
〇白川委員 住民であれば全部。
〇多田羅座長 ありますからね。わかりました。そういうことです。
〇齋藤委員 がん検診は市町村が全部無料だとは限りません。
〇多田羅座長 無料ではないんですけれども。
〇白川委員 もちろんそうです。
〇齋藤委員 ただ、有料できちんとやるものはやると。特定健診も必ずしもみんなくっつくかというと技術的に非常に難しい問題がある。というのは、検診車なり何なり持っているかというと持ってないでしょう。ですから県全体、あるいは府とか都は知りませんけれども、府全体で検診車持っているところの年間の日程決まっているんです。そうすると、特定健診、そこの例えば市町村で被扶養者受けてもいいと私はさっきから申し上げているんですけれども、すべてのがんがやれるかというと必ずしもできない。これは一律にやるといったら、それは無理です。
〇保坂委員 ちょっとよろしいですか。
〇多田羅座長 はい。
〇保坂委員 先ほどから出ている特定健診にがん検診を組み合わせると受診率が上がるという件ですけれども、必ずしも同じ施設で、同じ日にやるという意味ではなくて、両方同じ実施主体でやるということが、それでその結果等についても、1つにまとめて利用者さんにお知らせするというようなことがあるので、組み合わせるということで、同じ施設で全部一緒にやるということは、内容もさまざまなので不可能なので、齋藤委員、そういうことで私のほうも言っておりませんので、よろしくお願いします。
〇齋藤委員 わかりました。
〇多田羅座長 津下委員、時間があまりありません、簡単にお願いします。
〇津下委員 委託を受けて行った場合に、市町村の住民の認定なんですけれども、とくに大都会では、居住地はそこなんだけれども、住民票がそこにはないということがしばしばあるといいます。したがって、住民かどうかを判断するというか、その作業も入ってくるのではないかということをちょっと心配しているんですけれども。同じ市町村で受けて、市の事業として行った場合には、それは市の責任の下に健診をやっておられるので、住民票ベースでやるのか、集まってきた人を全員やるのかは市の裁量なんですが、保険者が集合契約でやったものに対して、住民かどうか。
〇多田羅座長 集合契約では、これは難しいというお考えですね。
〇津下委員 住民かどうかの判断ももう一つ要ることになるのではないかということを心配します。
〇山門委員 それは最低限決めておければよろしいのは、高確法に基づく特定健診・特定健診指導並び健康増進法に基づくがん検診を同時に受診してよいという勧奨を市町村地区が発せればよろしいのではないでしょうか。同時受診を勧奨する。
〇多田羅座長 同時というのは同じ日に、同じ場所かどうかはわからない可能性ありませんか。
〇山門委員 その場所は、今、議論があった、できるところ、できないところがありますけれども、同時受診を強く勧奨する。
〇多田羅座長 特定健診といわゆる町村の事業と重ねる方式を。
〇山門委員 重ねる。それを認めてあげれば。
〇多田羅座長 それはだから?のパターンに当たるわけですね。
〇山門委員 そうですね。
〇多田羅座長 わかりました。ちょっと時間が。
〇伊藤委員 以前にも言ったことがあるんですけれども、がん検診等々の一緒の受診ができるようにするということをぜひ進めたほうがいいと思っているんですけれども、その場合、今日の提案などでは、集合契約という形で保険者と健診機関、医療機関等との契約についての提案がありました。一方で、後半のほうでは国保に被用者保険が委託をするということが提案されているわけですけれども、健診機関への委託というのと保険者への委託というのは大分意味が違うと思っていて、保険者が保険者に委託するというのは、保険者機能に大きな影響を与えるというか、どこまで責任を負うのかということに影響がある大きな問題だと思いますので、そういった点もぜひ考える必要があるのではないかと思っています。その点は、先ほどからの加・減算にもかかわるわけですから、十分検討する必要があると思います。
〇貝谷委員 一言だけ申し上げます。先ほど来、保険者の側の御意見もありますが、私も保険者の一人として同様の意見を申し上げたいと思います。
がん検診などとの同時実施については賛成でございまして、私どももいくつかの自治体と一緒になって同時実施の方向で一部の地域で試行的にやっておりまして、うまくいけば、全国的に広げていきたいと思っています。ただ、契約そのものは、先ほど来ございますが、現行の契約でも相当錯綜しておりますので、これにバリエーションをさらに増やすということについては事実上実務的に対応が困難だと思っておりますので、そこは選択肢からぜひ外していただかないと、保険者での対応は難しいと思っていることをこの際一言つけ加えさせていただきます。

〇多田羅座長 ありがとうございました。
〇田中委員 政府のほうにお聞きしたいんだけれども、集合契約の話というのは、保険者協議会の中央連絡会で一手に議論してその結論に至ったように私は認識しています。私はその中央連絡会の座長をしていたので、被用者保険の問題とはいえども国保に加入する話なんですけれども、この問題をこの場で付されたというのは、これからは集合契約の問題等については中央連絡会における議論はまたないというふうに判断されたわけですか。
〇保険システム高度化推進室長 いえ、そういうわけではありませんで、今まで提案の中で集合契約の多様化というようなお話も御意見としていただいておりましたので、現状、集合契約の締結事務について非常に重要な役割をいたしております保険者協議会につきましても、今後どういったあり方があるかといったようなことを御意見をお伺いしようということで入れさせていただいたということでございます。
〇田中委員 ここは非常に大事なところで、保険者がどういった形で対応していくかという具体的な手法についての議論をするわけですので、それから各県各様、制度ごとにいろいろある中で、かなり詰めなければいかん問題なんです。こういうふうな、ある意味では大がかりなところで議論されるのもそれはそうなんだけれども、もうちょっと現場というか、保険者のほうに落として、そこの意見を十分開陳しながら、利用するほうが私はベターではないかと思っております。
〇多田羅座長 ありがとうございます。集合契約については、今、田中委員が言っていただいたようなことに尽きるような気もいたします。一応いろんな議論をいただきましたけれども、かなり実務的に詰めないといけないところが多いようでございますので、その点、そのような格好で進めていただきたいと思います。
ただ、検診の多様化という点については、今日の御議論では市町村の事業とこの特定健診をどのように重ねていくかという方向については、前向きに検討できるのではないかという話があったと思います。
それから、被扶養者の対策についてというところは十分議論いただけなかったのですが、時間を押して申し訳ないんですが、11ページですか、それの〈論点〉のところに、「より被扶養者の受診率を向上させる取組として、被用者保険の被扶養者への特定検診・保健指導の実施は、保険者ではなく、被扶養者が居住している市町村で原則的に行われるべき、との意見がある」ということで、この点が1つのこれからの方向として示されているように思うんですが、どうぞ。
〇田中委員 先生、この問題、非常に大きな問題ですので、時間ぎりぎりになって、さあという話ではないと私は理解しております。ぜひ皆さん方の御意見を。
〇多田羅座長 向かうべき方向はいいんでしょうか。
〇田中委員 えっ?
〇多田羅座長 向かうべき方向としては。
〇田中委員 そのことも含めまして。
〇多田羅座長 そのところも含めて議論ありますか。
〇田中委員 議論して、これはきちんと、単に特定健診・保健指導という問題だけではなくて、医療保険制度のあり方とか、そこらあたりの原則に触れる問題があろうかと思うんですね。ですからこれは改めて次回に取り上げていただいたほうが消化不良を起こさないでいいのではないかと思っておりまして。
〇多田羅座長 わかりました。そういう御意見もありますので、私もここで急いで結論出すというつもりはございません。ただ、方向としてはこんなものかなとちょっと思ったものですので、確認させていただきたかったのですが、方向そのものも課題があるということのようでございますので、次回以降、検討会でまた御報告いただくようにお願いしたいと思います。
  それから、3番目の「保険者協議会について」は、一応いろいろな点からの課題については御報告いただきました。今日はその御報告を受けたということでよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
〇多田羅座長 ありがとうございます。それでは、一応「保険者協議会について」は、今日の課題について御報告受けた。これからのあり方については、また、この状況を踏まえまして、別途検討させていただくことがあれば、検討していただくということにさせていただきたいと思います。
ちょっと予定の時間を過ぎてまいりましたが、一応今日のところの会はこういうことで、どうぞ。
〇医療費適正化対策推進室長 最後に事務局のほうから御連絡させていただきたいということがございます。本日、当初予定しておりました事項につきましては一通り議論を一巡したと考えております。当初はこの後、健康局での検討会を主に議論するということで想定しておりましたけれども、今後の健康局での検討と並行しまして、いただいた御意見を踏まえ、必要な事項については、さらにこちらの検討会としても議論を進めていきたいと考えておりますので、引き続き、本検討会も9月以降も開催をさせていただきたいというふうに考えております。
また、このほかにも議論が必要だと考えられる事項がございましたら、随時、事務局に御提案いただければ取り上げていきたいと考えております。
また、今後は本検討会で方向性が見えたものから、実際の関連する規定の改正ですとか、そういった事務的な作業を進めていきたいと考えておりますけれども、必要がありましたら事務的に関係者の皆様にまた御相談をさせていただきたいと考えております。
あと、制度見直しに当たりましては、システム回収率のコストが必要な事項もございますが、そういった点につきましては、保険者の財政ですとか、また予算編成の状況、なかなか厳しい状況も言われておりますけれども、そういったものを勘案しながら、また関係者の間で調整をしていきたいと考えております。
あと、最後でございますが、前回開催の検討会で御説明がありましたHbA1cの表記の見直しにつきましては、現在日本糖尿病学会を中心に関係者間での調整を行っている最中であると伺っておりますので、そうした状況を踏まえまして、この検討会にもまた改めて御報告させていただきたいと、そのように考えております。以上でございます。
〇多田羅座長 ありがとうございました。それでは、時間になりましたので、本日の会議はこれにて閉会とさせていただきます。今後も、今、室長からありましたように、本検討会を開催させていただくということでございますが、次回の開催の場所、日時等の詳細は追って事務局より連絡させていただきたいと思います。
本日は御多忙のところ、誠にありがとうございました。


(了)

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