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2011年3月28日 職業能力開発分科会若年労働者部会(旧勤労青少年部会)

職業能力開発局キャリア形成支援室

○日時

平成23年3月28日16:00~17:30


○場所

厚生労働省 共用第6会議室
 (千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館 2階)


○議題

・ 第9次勤労青少年福祉対策基本方針(案)の諮問について
・ その他

○議事

○清家部会長 
 では、委員の皆様お揃いですし、時間となりましたので、ただいまから「第9回 労働政策審議会職業能力開発分科会若年労働者部会」を開催いたします。本日はお忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。今日は、所用により阿部委員がご欠席と伺っております。
 それでは早速、議題に移りたいと思います。本日の議題は、「第9次勤労青少年福祉対策基本方針(案)の諮問について」であります。これについては、資料1にありますとおり、本日付で厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛て諮問がなされたことを受け、当部会において審議を行うものです。内容について事務局からご説明をお願いいたします。 

○伊藤室長 
 ただいま部会長からお話をいただきましたように、お手元の資料1に準備をさせていただいたとおり、この間ご審議をいただきました「第9次勤労青少年福祉対策基本方針(案)」について、3月28日付けで大臣名をもって諮問させていただき、本日、これについてご審議いただくものです。よろしくお願いいたします。
 本日、資料1の別添でお示しをしております基本方針(案)ですが、前回、2月に開催をしました本部会において審議いただいた原案に、その際にも大変多岐にわたる貴重な意見を各委員の皆様から頂戴したところです。改めて御礼を申し上げます。
当日の審議につきましては、その場で清家部会長に具体的な形でまとめていただき、さらに修正をした案文について、その後各委員の皆様方にもご確認いただき、その後私ども役所の側の手続として法制的な確認による若干の技術的な修正、あるいは、その後新たに公表されているデータのアップトゥデート等を行った上で、その後実質的な変更はないと申し上げたいと思いますが、本日諮問によるところを成案として取りまとめ、お諮りするところです。本来であれば諮問ということで、案文全体の読み上げをすべきところですが、時間の制約等々もありますので、資料1と、その概要、資料2を用いて全体の構成をご確認いただくとともに、前回の部会から実質的に修正した箇所についてポイントを絞って私から説明を申し上げたいと思います。
 資料2に、基本方針(案)の全体像、前回もご審議いただいたわけですが、改めて提示させていただいております。青少年人口減少の中で若者一人ひとりが重要な存在になっていること、雇用環境悪化等の下で若者の継続的なキャリア形成が困難な状況が生まれているもの、また社会・家庭環境の変化等に伴い、若者の「孤立」・「孤独」といった問題が顕在化をしていること等々を踏まえ、右側の欄にありますように、学校在学中、職業生活移行時、就業中等、各段階における若者の長期・継続的なキャリア形成、職業能力開発を促進すること、ニート等自立に困難を抱える若者の職業的自立を促進すること、社会活動の参加促進、居場所づくり等、青少年を支える社会的ネットワーク、支援人材育成等の基盤を整備するといったことを、今回の方針(案)の特に重点とする考え方とした上で、勤労青少年の長期的な視点からのキャリア形成の促進、勤労青少年の交流、多様な活動の促進、また、勤労青少年福祉行政推進のための基盤整備といった点を、この度の方針(案)による基本的施策の展開における柱として位置づけしたいと考えているところです。
 資料1、別添の方針(案)をお開きください。最初に、第9次勤労青少年福祉対策基本方針(案)で、今回初めてそのコンセプトを端的に表した副題として、「青少年のキャリア形成と自立を支える社会的ネットワークの構築を目指して」というサブタイトルを位置づけしています。
 次の頁の目次は、「はじめに」、第1、第2で全体の構成・項目を示しているところです。3頁からが基本方針(案)の本文に該当するところです。「はじめに」の部分では、昭和45年制定の勤労青少年福祉法の施行以来の流れ、中段で勤労青少年福祉法の目的である「勤労青少年福祉の増進」の意味づけに関して、今日的にキャリア形成の支援といった視点が、とりわけ重要な課題になっていること、その下のパラグラフですが、勤労青少年が仕事と人、社会との関わりを通じて自信と意欲を備え、継続的なキャリア形成を図り、社会の構成員として自立し、健全に成長することを促すため、また、これを支える関係機関の連携による社会的ネットワークの整備を図るため、施策の基本となるべき事項を示すといった、副題を書きくだした考え方を示しています。また、3頁の下で、本方針では引き続き、対象年齢35歳未満とすること、また、本方針の運営期間は、平成23年度から27年度までの5カ年とするといった方針の基本的な性格について申し述べているものです。
 4頁、第1が勤労青少年の職業生活の動向についてです。1、勤労青少年を取り巻く環境の変化ということで、とりわけ厳しい雇用環境の中での、若者の雇用をめぐる様々な動向、2以下で示している内容のポイントをここで示しています。この中で下から2番目のパラグラフ、「大学への進学率」以下の部分ですが、前回示した素案の中ではこのパラグラフの部分に、大学教育ユニバーサル時代、あるいは中退との関わりで、ドロップアウトといった記述を入れていたものですけれども、前回の審議の中でユニバーサル時代の意味合い、あるいはドロップアウトという言葉にやはり一定の含意があるもの、そういった表現を避けて、できるだけ客観的な表現を用いるべきではないかというご指摘を頂戴したところです。ちなみに本日の資料の中でも、いちばん最後に前回頂戴しましたご意見のポイントについては改めて確認的にペーパーで示させていただいております。そういったご指摘を踏まえ、このパラグラフに関しては、大学への進学率が引き続き上昇傾向にあり、平成21年以降50%を超える水準にあること、またその一方で各学校段階での中途退学者が相当程度の頻度で発生しているという表現に整理をさせていただいております。
 次の2番、勤労青少年の現状です。(1)の青少年人口のところでは、青少年15~34歳人口が減少傾向にあること、(2)では、若者をめぐるこの5年間の大変厳しい雇用情勢の推移、次の5頁(3)就業構造の変化及び就業形態の多様化、自立に困難を抱える若者の増加ということで、若者の就業状況についての多様な観点からの分析、フリーター・ニート等の動向について6頁にかけて触れております。また、6頁の(3)の下から2つ目のパラグラフですが、前回のご審議の中で、原案でも高校中途退学者の動向についてはデータ等お示しをし、本文にも触れていたところですけれども、高等教育機関の中退の実態についての直接の言及がないのではないかというご指摘をいただいたことも踏まえ、文科省とも相談をした上で、この「また」書きの部分ですが、高等学校では在学者の1.7%(約5.7万人)、大学等高等教育機関では在学者の2.0%(6.7万人)が中途退学している実態にあるという点について、自立に困難を抱える若者の増大という文脈で付け加えさせていただきました。(4)働くことに関する若者の意識、若者にとっての働く目的、離職の理由等についてお示しをしております。6頁の下の第2が施策編です。勤労青少年に関する福祉の増進に関する基本的施策そのうちの1が勤労青少年福祉行政の方向性、次の7頁にかけてです。ニートなどキャリアに関わる象徴的・端的な課題を抱えた若者を対象とした職業的自立支援にかかる施策の意義を明らかにすることまた、次のパラグラフ以下ですけれども若者をめぐる孤独・孤立の問題などを踏まえた「居場所」あるいは「同世代、世代間のリアルな交流の場」の整備の必要性、それらを踏まえて2のすぐ上の部分ですが、一連のキャリア形成にかかる支援、これらに関する積極的な情報発信を通じ、広く若者が職業生活設計を行い、自らの選択による就業、継続的な能力開発ひいては、社会的・職業的自立の実現を図ること、これを支える社会的ネットワークと支援機能を整備することが勤労青少年福祉行政として目指すべき最も重要な課題といった基本となる考え方をお示ししております。7頁の下、2の勤労青少年の長期的な視点からのキャリア形成の促進、ここ以下がいわば施策編の各論に相当する部分です。この中の(1)在学段階からの職業意識形成等の体系的なキャリア形成支援の推進、その具体的内容が次の頁?、?とあります。このうち?のキャリア形成の推進を通じた初期キャリアの形成支援の部分ですが、前回の原案では、職業体験、インターンシップという並列的な表記をさせていただいておりましたけれども、インターンシップという用語に関わる含意、受け止め方、あるいは実態等に関わる先般のご指摘を踏まえ、並列的な言い方ではなく、インターンシップを含む職場体験という表現に整理をさせていただいております。また次の?の関係機関の連携によるキャリア教育推進の基盤整備ですが、原案では地方公共団体、事業主団体、企業等の連携協力という表現になっていましたが、労使の委員からそれぞれ、事業主団体だけではなくて労働組合も含めた労使団体の取組みが重要というご指摘をいただいたことを踏まえて、地方公共団体、労使団体、企業、労働行政等各機関の連携、協力が不可欠という表現で補強させていただいております。(2)が学校から職業生活への円滑な移行、的確な職業選択、職場適応の支援、次の頁、その中でさらに具体的には?学校から職業生活への移行支援、?既卒者の応募機会の拡大に向けた取組みの促進についでですが、この中の?の2つ目のパラグラフの後半の部分、「さらに」以下ですが、前回の原案では、さらに一旦フリーター等の不安定な就業形態に就くことでその後正社員に移行することがより一層困難となる状況が生じているという表現になっていましたけれども、フリーター等の就業形態に就いた場合とその後の正社員への移行に関わる、いわば因果関係について公益委員含めて各委員から様々なご指摘いただき、それを踏まえて今回、原案にありました、「一旦」、あるいは「より一層」という表現が誤解をまねく、過剰な印象を与える恐れがあるのではないかというご指摘の趣旨を踏まえて、こちらにある表現で改めさせていただいたものです。?フリーター等の正規雇用化に向けた支援、次に(3)が職業生活に必要な基礎的実践的職業能力の開発の推進です。この中で?公的職業訓練の推進による若者の職業能力の開発、向上ですが、10頁のいちばん下から11頁にかけて、その時点では、まだ他の部会・分科会において審議の途上であったわけですが、求職者支援制度についての言及があります。原案では、パラグラフの冒頭が「なお、経済状況を理由に不安定な就業状態から抜け出せない若者」という表現になっていましたけれども、使用者側委員から求職者支援制度について、やはり雇用対策としての位置づけが基本であることから、冒頭に経済状況を理由にという表現ぶりになった場合には福祉施策的な色合いが少し強過ぎるのではないか、との趣旨のご指摘をいただいたことを踏まえて、このパラグラフについてはその部分を削除し、加えて不安定な就業状態から抜け出せない若者についての支援の必要性という観点から、現在も創設準備を進めている段階ですが、求職者支援制度等により適切に支援されることが重要であるという形で、改めて整理をしているものです。
 さらに、職業能力開発については?の実践的な能力評価制度の構築・活用、?の企業におけるキャリア形成支援の環境整備といった構成になっています。(4)就業に向けた自信・意欲の獲得等のための支援、ニート等の若者を始めとする就業に向けた自信・意欲を喪失するなどの自立に向けた課題を抱えた若者へのサポートについてです。具体的な内容として?専門的な相談等による支援、?訪問支援による支援、?学習や生活面を含むきめ細かな支援という構成になっておりますが、このうち?の訪問支援(アウトリーチ)による支援に関して、アウトリーチの重要性、具体的なアプローチの内容については原案にもあったところですが、こうしたとりわけ専門性の高い取組みを進めるにあたっては、専門支援人材の確保・養成等の体制整備が大変重要であるというご指摘をいただいたことから、?の最後に「こうした役割を担う専門支援人材の研修機会等の確保を含めた、体制の整備を図る必要がある」という点を補強させていただきました。(5)キャリア・コンサルティング等の体制整備、その具体的な内容として?キャリア・コンサルタントの計画的養成。この中には、若者支援の役割を担う観点からのキャリア・コンサルタントの専門性の向上といった内容も盛り込んでいます。?ジョブ・カード等、キャリア形成支援の共通ツールの活用促進ということで、ジョブ・カード等の有用性について触れているところです。(6)が労働条件等の職場環境の整備・充実に関する支援です。14頁で3が勤労青少年の交流、多様な活動の促進についてです。この具体的な内容として(1)社会活動への参加の促進ということで、勤労青少年にとってのボランティア活動、地域の伝統行事を始めとした社会活動に参加することの意義、重要性、これらに関わる地域の関係機関の参画、勤労青少年への発信の重要性について触れております。(2)の様々な世代相互の交流の促進等では、この間、勤労青少年ホーム等が若者の「居場所」「交流」の役割を果たす意義等について触れさせていただいております。14~15頁にかけて(3)国際交流の促進そして最後4ですが、勤労青少年福祉行政推進のための基盤整備ということで、今回、キーワードの1つにもなっております支援のためのネットワークの構築等ということで新たに平成22年度施行された「子ども・若者育成支援推進法」による新たな枠組みの有効活用も念頭においた関係者の「顔の見える」関係の構築、実効性あるネットワーク整備の意義といった点についてここでは触れています。(2)勤労青少年ホーム等の多様な観点からの活用促進ですけれども、今回の部会の審議の中でも16頁にかけて、勤労青少年ホームの役割を拡大し、活性化を図っている事例についてもいくつかご紹介をしたわけですが、そうした事例等も踏まえて、利用者である勤労青少年自身の提案も積極的に取り入れ、キャリア形成支援の観点も含めた勤労青少年ホーム等の具体的な活性化方策を確立する必要があること。次のパラグラフで勤労青少年を始めとする若者のキャリア形成、社会参加に関する様々な情報を幅広くわかりやすく提供する、いわば情報発信基地としての役割を備えるなど、若者の総合的な支援の拠点として発展していくことが期待されることを盛り込んでいるところです。(3)勤労青少年支援に関わる人材育成等の体制の整備について、教育、福祉、余暇・社会活動、メンタルヘルス等の観点に加え、キャリア形成支援の観点からの知識、技能等の専門性が一層重視される点を記述しています。17頁、いわば今回の方針(案)の結語に相当する部分ですが、5の勤労青少年福祉対策基本方針を活かした啓発活動等、地域における取組みの積極的推進に関してです。この部分について、前回2点の大きなご指摘をいただいております。1点は、原案の中でも国、都道府県の役割については具体的に記述していたところですけれども、具体的な勤労青少年ホームの運営等も含めて役割を担う市町村の役割についてもしっかり書くべきではないかというご指摘をいただいたことから、5の3つ目のパラグラフですが、市町村も本方針や当該計画を踏まえ、国・都道府県と同様、勤労青少年の福祉増進に努める立場にある点を付け加えさせていただきました。また、そのあと、いちばん最後のパラグラフですが、もともとは違う箇所にありました施策評価に関わる記述を最終的には結語の部分に位置づけをさせていただいたものですけれども、この施策評価、PDCAについて前回の原案では、地方公共団体に加えて関係行政機関、労使団体等がその主体となる趣旨の記述になっていたところですけれども、この勤労青少年ホームのPDCA施策評価という観点からすると労使団体等についてはそれと関わっていく、連携をする立場にはあるけれども、その主体とも読み取れる表現については正確さを欠くのではないかという趣旨のご意見をいただいたことから、この点に関しては各地方公共団体を中心に関係行政機関、労使団体等と連携を図り、目標、事業方針を共有化の上、具体的な施策の成果評価等を図り、様々な好事例、勤労青少年福祉推進の一層の気運の醸成が図られることが期待される形で、この結語の部分についての結びとさせていただいているものです。以上が、本日、大臣名で諮問させていだたきました第9次勤労青少年福祉対策基本方針(案)の全体の構成と見直しをした点です。このあと、ご審議をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 それにさらに1点だけ付け加えさせていただきます。今日、委員の皆様方からもこの度の東北地方太平洋沖地震に関わりましての、今後の様々な課題について先ほどいろいろお話をいただいていたところです。この度の大震災に関しては、委員の皆様方も直接的、間接的に多大な影響を受ける立場、そうした中で、本日押して、この年度末の部会にご参加いただいたものと思っております。この度の大震災により、被災をされた皆様、とりわけ尊い命を失われた被災地の皆様方に心よりお悔み申し上げ、またお見舞いを申し上げたいといった気持でおります。そういった中で、本日の審議テーマに関わっての勤労青少年福祉対策という観点からも、この間ご審議いただいてまいりました勤労青少年ホームや、あるいは地域若者サポートステーション事業等に関して、私どもも被災状況を確認しながら具体的な支援手立て等を今検討している最中です。この具体的な状況についても、当然、委員の皆様からも大変ご心配いただいているものと思っております。
 私どもとしては、今日の議題の2、「その他」の中で基本的な考え方を触れた上で具体的なご説明をと思っておりますが、もし第1の議題の中でこの点に関わるいろいろなお尋ね等があった場合には、第1のテーマの中で現時点において把握している範囲以内で状況のご報告を申し上げたいと思っているということを、1点付け加えさせていただきたいと思います。どうぞ、ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○清家部会長 
 ありがとうございました。ただいま伊藤室長から基本方針(案)についてご説明をいただいたところですが、この内容につきましてご質問、ご意見等ありましたらよろしくお願いいたします。また、最後に室長のほうからもありました今般の地震を受けての状況のご説明、ご対応等についても何かご質問等ありましたら、併せてお願いいたします。

○小杉委員 
 2点細かいところで修正したほうがいいなと思うところと、ちょっと大きなところで、もしできたらということをお願いしたいと思います。細かいところなのですが、4頁の、いまいじられたパラグラフの大学の進学率の話なのですが、資料で取っているのは、9頁は短大も入った大学等進学率が示されていて、そちらでは平成19年には5割超えという話になっていて、ここの大学は4年制大学進学率の50%を平成21年度は超えたということは、たぶんこれは現役進学率ではなくて浪人が入った進学率だと思うのです。これは平仄を合わせたほうがいいのではないかということです。こちらに合わせるのなら「大学等進学率」にして、平成19年から超えていたとか、合わせないとちょっとおかしいなという感じがします。大学というと人によっては短大まで含めて考える人もいるし、4年制大学だけで考える人もいるので、そこは合わせたほうがいいと思います。
 2点目は、これも今回直したところなのですが、6頁の上から2つ目のパラグラフの「中退」の話なのですが、確かにこれはそうなのですが、この間言っていたのが、これはある意味では小さく見せるということになってしまう。つまり1つのクラスに50人いたとして、最初の1年に1.7%、2年目に1.7%、3年目に1.7%と、全体としては6%か7%の生徒が卒業までに欠けていくという現実があるので、せめて「年間1.7%」と入れるとか、そういうことをしないと、この数字の書き方は50人のうちの1.7%欠けるだけかというように読み違えてしまう。読み違えを生みそうなので、1つのクラスが卒業するまでにというと、大学だと2%が4回で8%ということなのですよね、せめて「年間」ぐらい入れておいたほうがいいかなと思います。
 最後に、もし可能なら3頁の上から3つ目のパラグラフの「本方針は」というところに関わるのですが、この後半のほうで、今回若者の参加の話をたくさん書き込みましたよね。いまの事態を考えると、彼らの力をどう発揮してもらうかという参加の視点というのが大事で、この中ではかなり一生懸命書いたので、そのことを頭に持ってこれないかなという提案です。具体的には4、5行目辺りの「社会の構成員として自立をして健全に成長することを促すため」だけではなくて、「社会の構成員としてその力を発揮し」とか、彼らの力が社会には必要で、ただ育てられる対象としてではなくて、彼らの自発性みたいなものに期待しているというようなところを折り込んだほうが、この事態を一層考えると、これからの若者に対する意向として、その辺をメッセージに出したいなという思いがあるので、もし受け止めていただけたらお願いしたいと思います。以上です。

○清家部会長 
 ただいま小杉委員からご意見が出た点についていかがでしょうか。それではそのような方向で少し修文をしていただきたいと思います。

○伊藤室長 
 3点ございましたので、順次簡単にコメントさせていただきます。4頁の大学進学率のデータと、具体的に1つひとつのデータを引用することは省略をさせていただきましたが、参考資料の2としてご提示をしておりますデータの9頁、高等学校進路について確かに整合していないというのは、いま小杉委員がご指摘になったとおりです。いわゆる大学と進学率に関しましては、短大等を含めるかどうかという観点でお話がありましたように、いわゆる高校卒業時で捉えるのか、過年度卒業者を含めるか、大きくは2点の観点でいくつかのデータがあるということはそのとおりでございまして、私どもも文科省とも相談をした上で端的に表現をするならば、最も代表的、簡潔な言い方としては、本文案の大学進学率、その中には短大等は入っていないわけですが、平成21年以降50%を超える水準というのは、これが最も代表的端的な表現ということで、ここに入れさせていただく。ただ、その一方で、よく使っておりました基本調査のデータが直接示されていないということで、わかりにくいということですが、この点に関しましては、できますならば、参考資料編のほうに本文を直接反映するような形で修正をするということで対応させていただければありがたいなと思いますが、いかがでしょう。
 それから、前回もご審議をいただきました、中退者数に関してですが、この点について、前回のご審議の中でも触れられ、今まさにお話がありましたように、ここはあくまで、年間単年の数字でして、一人ひとりを捉えた場合には高校であれば通常3年、大学であれば通常4年の積み上げということで、いってみれば、この3倍なり4倍のボリュームになるというのは、全くそのとおりでございます。こうした何パーセントとかあるいは何万人という形で表記をしようと思った場合には、一人ひとりの学生、生徒を追いかけていかないといけないということで、その辺りについて、具体的に数字を特定する技術的な制約があるということはご案内のとおりです。したがいまして、数字としてはこれ以外、これ以上の数字を端的な形でお示しをするというのは、率直に言って対応不能ですが、ただこの意味づけについてパッと見て誤解を与えないようにということで、そういたしますと、いずれも平成21年度…。

○小杉委員 
 1年間とか。

○伊藤室長 
 そうですね。単年というのは少し正確さを欠く表現のような気もいたしますので、平成21年度1年間の値。

○小杉委員 
 そのような形ですかね。

○伊藤室長 
 そういった形で修正をするということで、ほかの委員の皆様も含めてもしご賛同がいただけるのであれば、最終的な文言整理の中でそのような形にさせていただきたいと思います。

○清家部会長 
 ではそのように修文させていただきます。

○伊藤室長 
 それから、3頁の「はじめに」に戻りまして、いま小杉委員からもご指摘をいただきましたように、今回の方針案、この間の審議のポイントであり、また今回まとめさせていただいております方針案の中でも、若者の能動性とかあるいは社会参加というようなことを、1つのキーコンセプトについて、全体としてご審議いただき、このような形でまとめさせていただいたのはそのとおりです。そうした観点で、改めて今ご指摘をいただいた3頁の中段の部分、副題を書き下した部分ということで、先ほど申し上げましたが、その中で、私どもも「自信と意欲を備え、社会の構成員として自立して」、この辺りの表現に、いま小杉委員からご指摘があったような点は、意味するところとしては位置づけていたつもりではあったのですが、せっかくこの間ご審議いただいたことが、この表現だけでは十分表現し切れていないということについて、ほかの委員のご賛同もいただけるとするならば、例えば、先ほど小杉委員からもご提案があったのですが、社会参加ということですが、いちばんストレートに入れるとすると、「社会の構成員として参加し」とか。そういう言い方だと少し弱いでしょうか。「社会の構成員として参加し、自立して健全に成長することを促すため」。例えばそういった表現もあり得るのかなと思うのですが。できるならばあまり大幅な修正にわたらない形で、適切な修正案についてご指摘いただけるならば、その方向で整理をさせていただきたいと思っております。

○清家部会長 
 構成員ということ自体に既に参加しているという意味は入ってはいますが。

○坂委員 
 その1行前のところでも、「社会との関わりを通じて、自信と意欲を」となっているところは参加していることを指すのではないかなとも感じましたので、ここはそれぞれの委員の方の思いというのが。どうしたらいいのでしょうね。

○伊藤室長 
 確かにいま坂委員からお話いただきましたように、構成員といったとたんに、ある種、参加しているということが当然ということになりますので、私は先ほどあのような形で申し上げましたけれども。

○市川委員 
 ちょっと修正するのは難しい。最小限のものを修正するというのはすごく難しいかもしれませんね。そもそもとても長い文章なので。

○小杉委員 
 能動的な社会との関わりを通じてというところを、もうちょっと社会に参加することを通じてというのは、単に関わるだけではなくて、その辺でもたせるか。

○宮本委員 
 キーワードでいうと、能動的シチズンシップとかそういう意味合いで。もう既に国連でも能動的市民とか、そういう言葉がかなり前から使われていて、非常に重要なポイントになっているので、社会の関わりだけではなく、社会と関わりながら役割を果たすとか、行動や発言ということも含んで、能動的シチズンシップというのを使っているという大きな流れがあるので、「関わり」というところを「社会に参加」。

○小杉委員 
 能動的な関わりというのは変ですか。ここに能動的を加えて。

○清家部会長 
 積極的関わりを通じてといった、能動的という言葉は少し堅い感じもしますよね。

○宮本委員 
 「積極的な」か、あるいは「積極的関わりを通じて」ぐらいでしょうか。

○小杉委員 
 その辺がいちばん皆さんよさそうな感じですね。

○清家部会長 
 よろしいですか。ここに「積極的」というのは。では、ほかにいかがでしょうか。いまの点よろしいですか。では、ほかにいきます。

○坂委員 
 17頁の最後のところを中心に発言したいと思います。これまで都道府県に加えて市町村にもこの仕組み、方針を活かしていこうという書き方になっています。私の意見としては、今日確認されて、この内容を是非とも各都道府県の労働局のほうから、私どもの労働組合のほうに説明あるいはその地域における数字に置き替えて、このような実態にあるのだからこういうことをしたいとか、そのように各都道府県でこの方針に基づいて、説明と、やりたい、あるいはそういう政策、このように考えているとか、是非ともそういう説明をしていただけないかというお願いでございます。

○清家部会長 
 はい、それはこの方針が出たあとの活用方法というか、そこのところに関わるもので、ご要望ということで。

○伊藤室長 
 しっかり受け止めさせていただきたいと思います。

○清家部会長 
 ほかにいかがでしょうか。

○永田委員 
 今回のこの基本方針については、しっかりと方針に基づいて実践をしていくということが極めて大切になると思います。そういう意味では、先ほども坂委員からもありましたように、労働組合への説明ということもあると思いますし、また、都道府県からさらには市町村へ、しっかりとこういった方針を伝えていただいて、それぞれの自治体レベルできちんと実行されるということは大切だと思います。また、今回の震災の関連でいいますと、先ほども部会長のほうからもありましたが、震災でいろいろな地域に避難をされている方々もいらっしゃる。また、新しい地域で新たなスタートを切られる方もいるという中には、この勤労青少年に該当するような方も多くいらっしゃると思います。そうした方々にもきめ細かな支援が届くように、是非これから実践をする上では、やっていただければと思います。

○清家部会長 
 その点は特にこの時期、特段のご配慮をお願いしたいということで、委員の皆様方からのお願いという形でお願いしたいと思います。

○伊藤室長 
 承知いたしました。

○清家部会長 
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

○宮本委員 
 細かい話なのですが、4頁の赤で書いてある辺りのところで、「いわゆる非典型の進路」という用語なのですが、これは中途退学者と、あと何を指すものなのですか。あと編入とか休学とか、かなり非典型の進路という用語は非常に重要なところなのですが、具体的にこれを指すということが示される必要があるのではないかと思います。

○伊藤室長 
 では、よろしいですか。この非典型の進路に関しましては、1つには中途退学ということもありますし、それから、学校卒業後、直ちに就職せずに、無業状態にとどまったり、あるいは一時的な就業という形で学校卒業後就業されている方等々がいます。こちらにつきましては、各学校段階を追って、それぞれの学校段階ごとに、中途退学をされる方、あるいはいま申し上げましたように、学校卒業後、無業、一時的な就業にとどまる方、こういった方がいて、この点については、小杉委員のJILPTの立場で、いわゆる非典型進路をたどる方の割合の比率を克明に分析をされていると承知しています。この点に関しましては、中途退学だけで捉えた場合には、先ほどお示しをしましたように、ボリューム的には非常に小さいものにとどまるのですが、いま申し上げたようなところまで含めると、スパンとしては非常に多くの若者に関わる課題ということを示したいという意図で、こういう表現を盛り込んでおりますが、この点も、大学進学率と同様に、この資料につきまして、今後この方針案の裏付データとして積極的に活用していきたいと思っているのですが、もしここの部分について、しっかりとした内訳を示す必要があるとするならば、先ほどの進学率と同様に、参考資料2の中で小杉委員とご相談させていただきまして、これに該当するデータをお示しすることで、意味するところをこの方針に触れた方々に正確に理解いただくという形でアプローチをさせていただきたいと思っています。

○宮本委員 
 3割という数字は大変重要な数字だと思いますので、定義を示したほうがいいと思います。そうすると、今後ともこの数字を追っていけるといいますか、その数字がどう動くかということが見えると思いますが。無業という場合には、卒業したあと無業という数字ですけれども、中退したあとの無業とかはどうなるのでしょうか。小杉委員がだいぶ前から非典型の経路というのでいろいろやっていらっしゃいますよね。そのときに、中退したあと無業って結構いるんですよね。でも把握できていないから、今度は内閣府が調査をやっているってことですか。

○小杉委員 
 この3割の話をしていたときには、各学校段階の卒業時点で、いわゆる就職をした人がどのくらいかというのを取って、それをコホートごとに18歳で就職、22歳で就職というように、学校段階ごとに就職という形で学校を離れた人を足し上げていくのです、ある年齢層で。そうすると、その就職という枠に入らない人が3割から4割いるという実態で、その3割から4割の内訳は何かといえば、学校中退で離れた人と学校卒業で無業だったり、学校卒業直後の進路が一時的な仕事だったりという人が、積み重なるとそうなるということで。根拠としてはそうなのです。中退後どうしているかというのは、それとは全く別の調査になって、我々のある地域の若者たちをごっそり取ってみると、その中に中退経験者がいて、中退経験者の場合には、かなりの長い間、非典型雇用で転々としているというような情報が一方であります。全体として何割という話に立ったときは、その話ではなくて、学校基本調査を積み重ねることによって見えてくるものです。

○宮本委員 
 やはり定義が書かれている必要があると思うのですが。

○清家部会長 
 そうすると、非典型の進路というものを、参考資料のほうで定義していただいて、その統計を付けていただくと、そういうことでよろしいですか。この文章の中に定義を書き込むのは少し難しいので。

○伊藤室長 
 告示方針の性格上、なかなか脚注等という表現形態は使えないものですから、できるならば、いま部会長に整理をいただいたような形で対応させていただければと思います。

○小杉委員 
 あるいは非典型は突然出てきているので、卒業してすぐ正社員になって定着するような進路ではない非典型とか、何か典型のほうを出さないと、非典型は言えないのではないですか。典型的な進路である学卒の正社員で定着するというような進路ではない進路と。ちょっとだけ、非典型の前にいわゆる正社員就職ではない非典型の進路とか何か一言付け加えたらいかがでしょう。

○清家部会長 
 あるいは非典型の進路のあとに括弧か何かで学卒後、正社員にならない者。そういう意味ですか。

○小杉委員 
 学卒後即正社員になっていないのですよね。卒業と同時に正社員になっていないのです。

○清家部会長 
 というような記述を付けますか、括弧の中に。いわゆる非典型の進路をたどるもの(学卒後、直ちに正社員にならなかった者)、正社員等。

○小杉委員 
 正社員ですね。

○清家部会長 
 正社員だけでよろしいですか。

○小杉委員 
 基本調査の就職という枠組みになるのです。

○伊藤室長 
 学校卒業後、直ちに正社員として就職しなかった者。

○清家部会長 
 それで間違いないですか。

○小杉委員 
 では読み方によっては学校卒業後だと、学校中退者は含まれないのかと思ってしまうのも困るなと一瞬思っただけです。

○伊藤室長 
 学校卒業後、直ちに正社員として就職した者以外の者。そうすると、さっきのほうの前のほうに典型進路を説明するということと一緒になってしまうのですよね。

○小杉委員 
 定義としてはそれで正しい、「者以外の者」ですよね。こちらの図表というか、データ版のほうに付けて、ここではさっきの表現でも。

○清家部会長 
 できれば資料のほうでそのような定義できちっと付けていただいて本文のほうはこのままでお許しいただければそれがわかりやすいかなとは思います。確かに厳密に言うと色々ありますが、イメージとしてはいわゆる非典型の進路というものは、この文脈の中である程度は理解されるかなと思います。
ほかによろしいですか。それでは、今日お示しいただきました基本方針(案)につきましては、当部会として「第9次勤労青少年福祉対策基本方針(案)」について、これを妥当と認めることとしたいと思いますが、お認めいただけますでしょうか。

(異議なし)

○清家部会長 
 ありがとうございました。それでは、いまお認めいただいたものとして、労働政策審議会の職業能力開発分科会運営規定第8条によりまして、当部会の議決がこの分科会の議決となるということとされておりますので、いまいただきました当部会の議決について、職業能力開発分科会長から労働政策審議会会長宛て、報告していただくこととになりますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○清家部会長 
 それも併せてご了解いただいたとさせていただきます。それでは、事務局から報告文の案の配布をお願いいたします。

(報告文(案)配布)

○清家部会長 
 いま、お手元にお配りいただきました答申案、事務局からの報告文ですが、このような文章でよろしいでしょうか。記としては「厚生労働省案は妥当と認める」ということです。よろしいでしょうか。
                 
(了承)

○清家部会長 
 ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。私もいくつかの部会の部会長などをやっておりますが、なかなか厳しいぎりぎりのところでの結論と為ることも多く、答申案が出ますと、普通は概ね妥当と認めるということになるわけですが、今回は妥当と認めるということで、「概ね」はなしで認めていただいたと。大変すっきりとして嬉しく思っております。それではここで、桑田審議官から一言ご挨拶がございますのでよろしくお願いいたします。

○桑田審議官 
 審議官の桑田です。本来であれば小野局長がここに参りましてご挨拶するところですが、震災の関係でどうしても別件がございまして、こちらに参ることができませんでした。まず、それをお詫び申し上げます。ただいま、第9次の勤労青少年福祉対策基本方針の案につきまして、「概ね」なしの「妥当」という議決をいただきまして本当にありがとうございました。今後、勤労青少年福祉法の規定に基づきまして、各都道府県知事のご意見を伺うなどの所要の手続を経た上で、来月にも大臣の告示という形で公表いたしたいと考えております。委員の皆様方におかれましては、昨年の9月1日以降、本日まで4回にわたりまして、非常に熱心に精力的なご審議を賜りまして本当にありがとうございました。この間のご審議、取りまとめ、おかげさまでとてもいいものを取りまとめていただいたと思っております。厚く御礼申し上げます。
 現在の社会経済状況の下で、この勤労青少年福祉政策の推進によって、若い方たちが、能力を最大限に、まさに先ほど参加というお話がありましたが、発揮できるようにしていくといったことは、厚生労働行政として、あるいはもちろん能力開発行政では、本当に抱え切れないぐらいの広範にわたって非常に奥の深い大変重要な課題だと思っております。今回、いいものを取りまとめていただきましたので、この基本方針を最大限に活かして、本日も様々なご意見が出ていましたけれども、いろいろな方々に広くメッセージとして発信いたしたいと思います。また、関係する施策の取組みの充実にも取り組んでいきたいと思っておりますので、引続き清家部会長をはじめとして、委員の皆様方のご支援あるいはご助言を賜れれば大変ありがたいと思います。本当にどうもありがとうございました。

○清家部会長 
 先ほど伊藤室長からも少しありましたが、今般の震災後のご対応等について情報提供をいただけますか。

○伊藤室長 
 議題2の中で、勤労青少年福祉対策に関わる施策事業についてのこの度の東北関東大震災の状況について、現時点で私どもが把握をしている状況、本来であれば資料等に基づいてより正確に報告申し上げるべきところですが、このあと触れる事情により今日の時点では口頭での報告ということでご容赦いただければと思うのですが、私から報告申し上げたいと思っています。
 労働行政全体としては、本当に多岐にわたる影響課題があるわけですが、今日は若年労働者部会で勤労青少年福祉対策についてご審議をいただいているという観点で、特に方針案の中にも繰り返し出てきています地域若者サポートステーション事業と、今回新しい位置づけを方針案の中で付加させていただいています勤労青少年ホームと、この2点についての報告を申し上げたいと考えています。
 地域若者サポートステーション事業に関してです。今年度、全国ですべての都道府県において100カ所の地域若者サポートステーション事業を運用し、来年度は皆様方のお力添えもいただいてさらに10カ所増えて110カ所ということですが、今年度の100カ所のうちとりわけ被害の大きかった岩手、宮城、福島という観点で申し上げますと、地域若者サポートステーションは岩手に1カ所、宮城に2カ所、福島に3カ所と全体で6カ所あります。それ以外の都道府県に関しては、軽微な被害のあった所はありますが、今後の事業運営に当たり長期的な影響が出るような被害はまずなかったということです。
 とりわけ被害が大きかった3県の6カ所ですが、実はその中に1つこの度の震災の影響がとりわけ甚大であったということで、繰り返し報道がされています岩手県宮古市に宮古サポートステーションがあり、震災直後からしばらく連絡が途絶をしている状況でした。私どもも今後の事業運営などについて大変心配をしていたところですが、今日の部会の直前に現地からダイレクトに連絡があり、スタッフの人的被害がなかったということと、それからここはたまたま宮古市内に2つの事務所を持っているのですが、1つのオフィスについては津波の甚大な被害を受けたのだけれども、もう1つの事務所については、おそらく立地関係、水準等の違いもあったと思うのですが、津波の被害を免れたということで、「今後の業務実施可能な環境が整っている」という連絡があり、私どもも若干胸をなで下ろしたというところです。
 宮城、福島の5カ所に関しては、いずれも人的、あるいは建物の躯体にわたる甚大な被害はなかった。たまたま立地条件について恵まれていたということになるかと思うのですが、重大な事業運営上の支障はないということではあるのですが、さらに福島の中にはいわき市にサポートステーションがあり、建物、人的被害はないとはいえ、ご案内のようにいわき市はこの度の原発の影響を受けているエリアの1つでして、そうした地域環境の中でこれまでのような形で事業運営ができるかについては、いささか不透明な状況もあります。
 現地の関係者については、せっかく人的な被害もなく、建物も甚大な被害がない状況の中で工夫をして事業運営をしていきたいということで、例えば当面はすでに登録をされている方に対する電話やメールなどの相談などから始めながら、徐々に環境が整いつつ、本来の対人的な支援をと、そういう報告も受けているところです。
 先ほど本来であればきちんとペーパーで報告申し上げるべきところと申し上げたのですが、事情は、これからの話になってまいりますと、今日は3月28日でして、すぐ新年度の話になってくるのですが、サポートステーション事業については、宮本委員や小杉委員は参画もされているので両委員はご存じのところですが、単年度の委託事業ということで、これら被災地も含めて毎年毎年の企画、選考の中で事業者を選考した上で、予算成立をもって正式に決定をするという仕切りになっており、被災地も含めて予算審議も大詰めですが、予算成立後速やかに、いわば箇所づけ、事業内容、取扱い地域等について私どもから対外に発表する手はずということで、近日中にいま申し上げました被災地も含め、私どもとしては今後の復興支援、あるいは先ほどもすでにご意見をいただいていますように、今後の復興に当たりましては就労支援ということも大変重要な要素であると思っており、サポートステーションも当然その一翼を担う機能として期待をされるところと思っています。
 これら事業については、いま申し上げました状況は今後もフォローしながらそれぞれいろいろな環境の制約がしばらくは伴うことは事実ですが、その地域における期待に応えた役割を発揮できるように現地の方々にもご尽力いただき、私どもも最大限のサポートをしたいと。発表後、具体的な状況については、何らかの形で委員の皆様方にも報告を申し上げたいと思っていますので、今日の状況としては口頭報告ということでご容赦いただければと思っています。それがサポートステーションの関係です。
 勤労青少年ホームに関してです。勤労青少年ホームに関しては、方針案の中にもありますように、本年度スタートの時点で400カ所弱、395カ所という状況ですが、こちらも今回の大震災の影響がとりわけ大きかった岩手、宮城、福島の3県に関して申し上げますならば42カ所。人口の比率などに比べますと、大震災の影響がとりわけ大きかった地域の箇所数、むしろ多いと私どもも思っていますし、委員の皆様方もそのようにお感じになったところではないかと思っています。
 いま申し上げました3県以外の県の勤労青少年ホームに関しては、例えば壁のひび割れや水漏れ等々の建物の物理的な影響が発生している所は少なからずありますが、いわゆる甚大な影響には及ばずという状況です。
 3県の42カ所について私どもも何分連絡網も途絶をしている状況ですので、基本的には各都道府県庁を通じての把握確認ということしか現時点では手段がなかなか取りにくいものですが、実は42カ所の中でまだ都道府県ですら具体的な被害状況について把握をし、私どもへの報告に至っていない所も9カ所あります。それ以外の33カ所については、すでに私どものほうに概要の報告は来ていますが、例えば先ほども申し上げましたような外壁のひび割れとか、駐車場のひび割れとか、窓ガラスの破損、こういったレベルのところです。
 都道府県庁も勤労青少年ホームの具体的な被害状況の確認にまだ至ってない9カ所の中には、先ほど宮古ということを申し上げましたが、宮古、釜石、大船渡、陸前高田といった一般的に今回の大震災の影響、とりわけ津波等による影響を甚大に受けているとすでに報ぜられている地域も含まれているところでして、こうした地域においての勤労青少年ホームの状況を私どもも大変懸念しつつ、当面は引き続き県を通じた形で、もう少し状況が落ち着いてまいりましたら、今後私どもは、都道府県労働局の体制強化ということで、すでに本省からの応援ということも少しずつ動き始めているところですが、労働局、ハローワーク、監督署などを通じての確認という別の手立ても含めて、まずは状況をしっかり掌握して、ということを進めていきたいと思っています。
 勤労青少年ホームの活動形態については、この間の審議の中でも報告申し上げていますように、勤労青少年の活動の場ということで、一般的には平日夕刻以降と土・日がむしろ中心的な活動の時間帯ということで、今回、平日、金曜日のあの時間帯に起きた震災ということで、多くの利用者が勤労青少年ホームに集っていたという状況ではないと一般的には推測をされるところですが、ただスタッフの方々で勤労青少年ホームに詰めていらっしゃる方がいるということは、大いにあり得るということでして。したがって、いま申し上げました一般的な状況が予測されるところではあるのですが、繰返しになりますが、今後もいくつかのルートからそれぞれのホームの物的・人的被害の状況と、今後の業務運営に与える影響、見通しといったことも、しっかり把握をしていきたいと思っています。
 なお、いまサポートステーション、勤労青少年ホームについて概況をお話申し上げましたが、それぞれの地域の中で相対的に被害の少なかった建物については、むしろ緊急的な避難の場所、あるいはバックヤードの拠点として使われている事例もあるようです。勤労青少年ホームに関してはそれぞれ施設の規模に相違はありますが、例えば調理施設を備えていたり、もちろんそれとてガス等のインフラが通じていればこその稼働ですが、あるいは、必ずしも部屋のすべてということではありませんが、活動形態に合わせて和室を備えていたりということで、勤労青少年ホームの本来の活動目的からの展開ということだけではなくて、現在の状況のもとでは、そうした震災等に関わる様々な応援的な機能を果たすということも、結果としては大いにあり得る、そういうリソースの1つではないかと思っています。
 また、当面の緊急避難措置が1つ区切りを迎えた段階では、今回の方針案の中でも、先ほども触れましたようにボランティア活動等の拠点といったことが、このホームの位置づけの1つの今後の方向性として触れられているわけですが、そうした活動ももちろん大いにあり得るところだと思っています。
 私どもは、今回、答申をいただきました方針案について、先ほど坂委員等々からお話をいただきましたように、全体としてそれぞれの地域にきちんとこのメッセージが行き届くようにという大きな役割を頂戴したわけですが、その中でも特に被災地にありましては、もちろん当面は今日まだ中間報告的に申し上げた状況をしっかり把握することがまず先決ではありますが、そういう状況が確認された暁には、いま申し上げました本来の役割プラス様々な観点からの震災復興、あるいは被災者支援という観点からの活用も念頭に置いて、それぞれの地域の中で有用性がしっかり確認される必要な拠点としてしっかりその役割を果たされるよう、設置運営主体、主に市町村、地域ですが、その意味するところをしっかり伝えるのは私どもの役割であると思っていますので、そういった観点からこの方針の趣旨も十分踏まえた上で、勤労青少年ホームまたサポートステーション事業の今後の被災地における多様な活用、促進、震災復興の中で役に立つ拠点として、事業としてということで、十分心がけながら対応していきたいと思っていますし、今後とも若年部会の委員の皆様方にも、そうした観点から様々な助言等をいただきながら対応を進めていきたいと思っているところです。
 繰返しになりますが、今日の時点で口頭報告という形にならざるを得ないことをお詫び申し上げた上で、勤労青少年ホーム方針対策に関わる観点での報告としたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○清家部会長 
 何かご質問はありますか。よろしいですか。

○遠藤委員 
 いま伊藤室長からお話がありましたように、本来の機能はもちろんのこと、プラスアルファでということは、皆さんの思いがそこはおそらく一致しているかと思います。とりわけ生活の再建をどう図るのかと同じレベルで、どう就職を促進していくのか、結びつけていくのかも大変大きな課題だと思います。一方で被災されているということであるとすれば、心のケアも同時並行で行いながらやっていくということであるのだとすれば、まさにお話がありましたように、サポートセンターの機能は十分発揮していただきたいと思っています。
 もう一方で、いま言われていますように、これまで以上に求職活動を行うに当たっては、広域的な対応をしていかなくてはいけないといったときに、なかなか知っている人がいない所で活動をしていくということになれば、サポートセンターももちろんそうでしょうし、勤労青少年ホーム、こういった所で身近にいる方になってくださる形の機能も、これまで以上に発揮していただくことで、広域的な求職活動をサポートしていただく余地は出てくるのではないかと素人ながらに思いますので、その辺のところは是非お願いしたいと思っています。

○清家部会長 
 その辺は是非、またもちろんハローワーク等とも連携をしていただきながら、しっかりとお願いしたいと思います。

○市川委員 
 いまの遠藤委員と似ている要望ですが、連合としてもこの間、労働関係の問題について、被災地あるいは関連する所からの相談をお受けしたり、あるいは加盟組織からの様々の要望を受けて、厚労省の各局・各課とご相談しながら、非常に極めて迅速な対応をいただいているところです。
 特に内定切りなどがまた起こっているという状況の中で、私どもも現場からいろいろな声が上がってきますので、いまの遠藤委員のいろいろなご提言も含めて、そうした声を是非またこれからも連携を取らせていただいて、現場の声がすぐ厚労省のほうに伝わるように我々も役割を果たしたいと思っていますので、是非その点、厚労省もご協力をよろしくお願いしたいと思います。

○清家部会長 
 若者、特に採用内定者の方はご心配でしょうし、また就職活動をされている方もいろいろご心配はあるでしょうから、その辺のサポートも必要かと思います。

○小杉委員 
 勤青ホームというのは、昔を考えれば地域間移動してくる若者たちの定着とか心のケアがかなり本来あった機能なので、そういう意味ではいまのお話は本来の機能の一部だと思うのです。そういうことも伝えて、できれば住宅の話がたぶん出てきて、聞きたいのは雇用促進住宅を今回使わないのですかと。使っていらっしゃいますか。

○伊藤室長 
 雇用促進住宅に関しては、これまでの様々な災害発生時も同様の措置を講じていますが、良し悪しは別にして、平時にはいろいろご指摘もいただいているのですが、空室に関して、優先的に被災者の方々の一時的な住まいとして活用いただくということで、その方針についてはすでに公表もしているところです。

○小杉委員 
 若い人が地域間移動してというと、単身で入れる住宅は大変難しいので、是非柔軟に対応していただいて、勤労青少年ホームの本来の機能と雇用促進住宅の使い方などについても、単身の若者たちにも使える支援ということで是非考えていただきたいと思います。

○伊藤室長 
 はい。

○宮本委員 
 先ほども出たのですが、両親を失った子どもが7,000人でしたか。

○清家部会長 
 かなりたくさんおられると言われていますね。

○宮本委員 
 その子どもの問題は長期的にはものすごく大きな問題になると思いますが、勤労青少年という問題を考えても、この間親がいない、片親の人が労働市場で圧倒的に不利と、非常にはっきりとデータで出ている中で、これだけ一気に親を失った子どもと青少年ですよね。若い人も同じことだと思いますが、これはかなり長期的に不利な人たちが大量に出るということで、日本の場合、親に頼れない子ども、若者に対する福祉という点では、非常に問題を抱えていて、この間ずっと指摘されてきた中で、さらにこれだけ数千人単位で出てくるというのは、そのあたりのところは相当やらないと、それこそ高校も卒業できない子たちが大量に出る可能性はありますよね。そういう意味で、是非国が本腰を入れてそこらあたりのところをやっていただく必要はあると思います。

○清家部会長 
 確かに子育て支援というのは政治的にアピールするのですけれども、親御さんもいない本当に大変なお子さん方というのは、政治の目からもなかなか見過ごされがちですよね。
 ほかにはよろしいですか。そうしましたら、今日はとても素晴らしい報告書をおまとめいただきまして、我々としてもこれが是非、いま各委員からお話がありましたように具体的な施策に活用されること、そして、いまの新しい状況を受けてこのような厳しい状況の中にあって、さらに本来の施策としての機能が果たされ、なお、そこに付加して新たな役割も果たされるように期待していますので、事務局におかれましては、是非そのような各委員のご趣旨も踏まえてしっかりとこれを施策に反映していただきたいと思います。

○田中補佐 
 本日、取りまとめていただいた基本方針については、本日付で発表したいと思っています。そのあと都道府県知事への協議等の所要の手続を踏まえ4月中に大臣告示として制定して官報掲載をしたいと思っています。
 また、次回の当部会については、開催時期、内容等も含め部会長と相談の上ご連絡をしたいと思いますので、よろしくお願いします。

○伊藤室長 
 したがいまして、今日、具体的な修文にわたるご指摘は私の理解としては2カ所になるかと思うのですが、本日のプレスリリースに関しては、今日お示しした案について妥当という答申をいただいたという形で発表しつつ、都道府県知事協議等の最終プロセスに当たりましては、当然のことながら今日いただいた意見を反映した形で最終プロセスを踏み、いま申し上げましたように、おそらく官報登載等のスケジュールからすると4月下旬ぐらいになるかと思うのですが、反映をしたいという大まかな考え方で考えています。

○清家部会長 
 よろしいですか。では、そのようにお願いします。
 本日の議事録署名人は、部会長の私と、使側から三浦委員と労側から市川委員にお願いします。どうもありがとうございました。


(了)

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