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2011年9月8日 第38回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会議事録

健康局臓器移植対策室

○日時

平成23年9月8日(木) 15:00〜17:00


○場所

厚生労働省 省議室(9階)


○議題

1.開 会

2.議 事
(1) 日本脳神経外科学会の専門医訓練施設(A項)の見直しについて
(2) 脳死判定マニュアルに係るガイドライン改正について
(3) 肝臓レシピエント選択基準の見直しについて
(4) その他

3.閉 会

○議事

○清水臓器移植対策室長補佐
 ただいまより、「第38回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会」を開催いたします。本日は、相川厚委員、木下委員、白倉委員、貫井委員、山勢委員が欠席となっています。また、本日はオブザーバーといたしまして、肝臓移植の基準等に関する作業班の有井滋樹班長、徳島大学脳神経外科教授で日本脳神経外科学会脳死検討委員会委員長の永廣信治先生、それから遅れていらっしゃる予定ですが、脳死判定基準のマニュアル化に関する研究班研究代表者の有賀徹先生の3名の先生方にご参加をいただくことになっています。
 次に、資料の確認をさせていただきます。まず、議事次第です。資料1-1「改正臓器移植法施行後の経緯」、資料1-2「臓器提供者数の推移」、資料1-3「改正法施行後の脳死下での臓器提供事例について」、資料1-4「臓器移植の実施状況」、資料1-5「15歳未満の小児からの臓器提供事例等について」、資料1-6「脳死下での臓器提供事例に係る検証会議における検証の実施状況」、資料1-7「臓器移植に関する普及啓発の取組の現状」、資料1-8「第30回移植関係学会合同委員会について」、参考資料1「脳死下での臓器提供事例に係る検証項目及び検証手続について」、参考資料2「脳死下での臓器提供事例に係る検証項目及び検証手続について(新旧対照表)」、参考資料3「心臓移植適応年齢の上限改訂に関する提案」。
 資料2「臓器移植法第11条違反事件について」、資料3-1「肝臓移植希望者選択基準(案)」、資料3-2「肝臓レシピエントに係る待機inactive制度について(案)」、参考資料4「肝臓移植希望者選択基準新旧対照表」、参考資料5「適応評価後の予後」。資料4-1「日本脳神経外科学会の専門医訓練施設について」、資料4-2「日本脳神経外科学会の脳死臓器移植に対する基本的見解と支援について」、資料4-3「脳死下での臓器提供施設について(依頼)(案)」。資料5-1「『臓器の移植に関する法律』の運用に関する指針の一部改正(案)新旧対照表」、資料5-2「法的脳死判定マニュアル改定の概要」、参考資料6「法的脳死判定マニュアル(平成22年度報告書)」です。
 資料は以上です。不備等がございましたら、事務局まで適宜お知らせください。また、机の上に現行の法令ガイドライン等をまとめた紙ファイルを置いていますので、議論の際の参考にしてください。なお、この資料は次回以降も使用いたしますので、会議終了後は持ち帰らずに机の上に置いたままとしていただくようお願いいたします。それでは、議事進行を永井委員長にお願いいたします。
○永井委員長
 この委員会は、今年の2月に開催されています。そうしますと、今日が平成23年度の第1回目の委員会となりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 本日は、臓器移植の現状についてご確認いただいた後、臓器移植法第11条違反事件、いわゆる臓器売買事件について、事務局からご報告をいただきます。ついで、肝臓移植希望者のレシピエント選択基準、日本脳神経外科学会の専門医研修に係る施設類型の変更に伴う脳死下臓器提供施設の見直しの件、そして法的脳死判定マニュアルの見直しに伴うガイドラインの改正に関する件について、ご議論をいただきたいと思います。
 では、早速議事に入りたいと思います。最初は、臓器移植の現状についての報告です。事務局より、資料の説明をお願いいたします。
○辺見臓器移植対策室長
 資料1-1以降について、説明をさせていただきます。資料1-1は、改正臓器移植法施行の経緯です。平成21年の7月に法律として成立したわけですが、半年後の平成22年1月に親族優先の関係規定が施行されています。それに併せて、ガイドラインの改正を、本審議会のご協力もいただきまして、改定を行っているところです。これに基づく1例目の親族優先の提供ですが、角膜の提供が平成22年の5月に行われています。なお、平成23年5月には、親族優先の腎臓、心停止下ですが、1例目の移植事例がありました。
 続いて、平成22年の7月に、改正臓器移植法の全面施行が行われました。これにより、家族承諾による臓器提供や、それに伴う15歳未満のドナーからの臓器提供が可能となっていまして、所要のガイドライン改正を7月に行ったところです。それぞれ、家族承諾による臓器提供の1例目は平成22年8月に、15歳未満からの臓器提供の1例目は平成23年4月に行われました。
 資料1-2は、グラフです。脳死下での臓器提供者数の推移を年別に示したものです。平成22年は、上の29が改正法施行後の数字で、下の3は改正法施行前の数字です。足し上げて、平成22年は32例の提供がありました。平成23年は、本日現在の数字ですが、31例ですので、既に去年の提供事例にほぼ匹敵する提供数となっています。
 一方、次の頁は、臓器提供者数の推移です。脳死下での提供と、心停止下での提供の件数を足し合わせてグラフにしたものです。平成22年は、上の32例が脳死下での提供で、下の81が心停止下での提供で、足して113です。この数字は、平成18年の112とほぼ同じです。心停止下での提供の場合に、状態として脳死の状態になっているが、本人の書面による意思表示がない中で、家族の承諾によって心停止下での提供が行われた事例があると承知しています。そうした事例が、脳死下での家族承諾での提供に変わっていったというような感じの数字でした。平成23年8月までの数字は、心停止が53例、脳死下が29例ということで、既に80例を超える提供で、全体として提供いただく数字が伸びている感じです。
 資料1-3は、改正法施行後の脳死下での提供事例の1例1例について、提供日、原疾患、移植施設等を記載した資料です。全体の状況として、裏面の下にまとめた数字を記載しています。改正法施行後は全体で60例ありますが、この中で書面による意思表示がなかったものが52例、書面による意思表示があったものが8例です。その内訳を見ますと、平成22年が1例、平成23年が7例で、平成23年から書面による意思表示の事例も増えてきていると見て取れるところです。
 資料1-4は、臓器移植の実施状況で、臓器別の移植数を示したものです。平成22年度中に、改正臓器移植法の施行がありましたので、平成22年の数字は脳死下での臓器提供である心臓や肝臓の数字が、平成20、21年と比べて顕著に増加しているところは、ご覧いただけるかと思います。また、平成23年8月末現在で、このような数字になっています。
 資料1-5は、先ほどの経緯の資料で、本年4月に15歳未満の小児からの脳死下での臓器提供の1例目があったこと、また本年5月に親族優先提供で腎臓の提供が行われる事例があったことをご紹介しました。その2つの事例について、提供者に関する情報、承諾から脳死判定等に至る経緯や、移植を受けられたレシピエントの年齢、原疾患などの情報を示したものです。また、親族優先提供についても、カードに親族優先と記載されていたことを示しています。なお2番については、心停止下の提供ですので、親族優先で提供された方、提供を受けた親族が、ドナーの子である20代の女性、原疾患は先天性腎疾患ということで示しています。もう片方の腎臓については、第三者への提供ということですが、通常心停止下での提供の場合、レシピエント情報を公開しておりませんし、公開することについてご本人の了解も得ておりませんので、非公開ということでご了承いただきたいと思います。
 資料1-6は、脳死下での臓器提供事例に係る検証会議です。これまで、平成12年から脳死提供事例について検証会議を開催し、順次検証を行ってきているところです。その実施状況は、9月4日現在で臓器提供者数は146です。そのうち、検証を終えたものが77例です。臓器提供者数については、改正法施行後伸びていますので、検証会議についても平成23年現在で4回開催していますが、今後も開催数を増やす形で対応していく予定です。
 資料1-7は、臓器移植に関する普及啓発の取組の状況です。普及啓発の取組はいろいろありますが、大きな事項を3つほどご紹介させていただいています。1番は、臓器提供意思表示カード等の配布状況です。法施行に伴い、カードの裏面の記載方法も改正し、また親族優先等についてご理解いただいた上で記載できるようにということで、カードと一体化されたリーフレットを設けたところです。それについては、約499万枚の配布を行っているところです。併せて法改正に伴い、免許証の裏面や保険証等に意思表示欄が設けられたところですので、こうしたものについての記載の説明を行うためのリーフレットも免許センターや関係場所に設置をし、2,364万枚の配布を行っているところです。1つ飛ばしますが、臓器提供意思登録システム、これは臓器移植ネットワークにおいてインターネットを通じた登録をいただきカードを発行するという仕組ですが、8月末現在の数字は10万人を超え、10万507人です。1年前と比べますと、3万人ほどの増加がみられたところです。
 続いて、臓器移植普及推進月間です。毎年10月を月間と定め、臓器移植推進国民大会などの開催を行っています。本年は、10月22日に長野県において同大会を行います。そのほか、この月間に際しては、政府公報、新聞、雑誌などで広報を行うよう、関係機関と協力しながら進めていきたいと考えています。また、毎年作成しています中学生用のパンフレットですが、昨年は全学年ということで、424万枚作成しました。昨年は改正法の施行ということで、幅広く発行しましたが、今年は通年並みで、中学3年生へ150万枚の配布を検討しています。
 資料1-8は、移植関係学会合同委員会が一昨日開催されました。この委員会は、臓器ごとの移植施設や、臓器移植ネットワークにレシピエント登録をする際のレシピエントの適応基準を、関係学会にお集まりいただき決めているところです。今回は、小腸及び肝臓、心肺同時移植について、ご覧いただいたような施設が認定をされたところです。適応基準については、腎臓、肝臓、心臓の3つについて議論されています。腎臓については、透析導入前についても、一定の基準に該当する場合に適応とすることで拡大が行われています。また肝臓については、今回のこのあとの議題で議論されます「肝臓のレシピエント選択基準」とも関係をしてまいります。まず、この合同委員会においては、肝臓移植のレシピエントが登録する場合に、従来4段階の区分で登録されていたものを、5段階の区分で登録をすることについて、変更が行われています。今回、4段階で登録されていたものを5段階で登録することによって、どのようにレシピエントの選択をしていくのかについて、このあとの議題で議論いただくことになります。
 次に、心臓のレシピエント適応基準ですが、併せて参考資料3をご覧ください。日本循環器学会等からの提案により、心臓移植の適応年齢について、従来は60歳未満が望ましいとされていたところを、65歳未満が望ましいと変更することが発議されています。しかしながら、この実施に当たり、いまご覧いただいた参考資料3の本文の3つ目の段落の「以上の理由から」という所で、「60歳未満」を「65歳未満が望ましいに改訂されるよう提案」と書いてあります。その際に「従来の60歳未満のレシピエントの心臓移植機会を奪うことのないように、ドナーハート受託優先順位をまず60歳未満で登録したレシピエント候補に与え」、その後「60歳から65歳未満の登録候補に、受託可否を問う」ことを提案すると書いてあります。具体的には、60歳から65歳の方について、レシピエント選択の順番を60歳未満の方よりも後に回すということを条件として、適応範囲を65歳に拡大することが提案されています。なお、レシピエントの適応の範囲については、学会でお決めいただくということです。適応基準に沿って、臓器移植ネットワークに登録されている待機者の中からドナーが出た場合に、どういう順番で選択をしていくのかは、これはレシピエント選択基準ということで、各臓器別の作業班で検討いただいた上で、この厚生科学審議会臓器移植委員会でご審議をいただいて、最終的に厚生労働省の通知として発出するというのがルールです。あくまで、これはこの段階では条件付きの発議がなされているということで、今後レシピエント選択基準が見直しされた段階で、この拡大が有効になるところです。
 参考資料1と2は説明を飛ばしてしまいましたが、これは検証の状況の一環ですが、平成12年に検証会議を行う検証作業について、検証項目や手続を定めたものがありますが、今回の法改正に伴い所要の変更を行ったということで、ご紹介させていただいているものです。以上です。
○永井委員長
 ありがとうございました。ただいまのご説明にご質問、ご意見のおありの方はご発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
○奥山委員
 ちょっとコメントなのですが。資料1-2の2枚目を見ると、脳死下の臓器移植は増えているのですが、心臓死下が、去年は少し下がっているというような状況が見て取れるのです。この数字を見ても、本来、心臓死下の臓器提供というのはもっとあってもいいのではないかという気がするのです。もう少し心臓死下の臓器移植のほうも増やす手立てを何か考えられないものかな、と思ったものですからちょっとコメントさせていただきました。
○永井委員長
 事務局、いかがでしょうか。
○辺見臓器移植対策室長
 平成22年度の数字が確かに先生ご指摘のとおりだと思いますが、平成22年度の数字というのは、先ほど私が申し上げましたように、それまで脳死の状態でもありながらご本人の書面による意思表示がないということによって心停止下の意思表示になったという数字があるので、21から22の数字が減っているというのはそういった事情があるのだと思います。一方で先生のご指摘の点というのは、もっと心停止下の提供もあったほうがいいということかと思います。これは、脳死下なのか心停止下なのかという、どちらかに重点を置きながら進めていくというよりも、いわゆる臓器移植全体ということについて普及啓発を進めていくということかと思いまして、先ほどご紹介させていただきましたような取組を行っているというのが現状です。
○奥山委員
 ありがとうございました。ただ、私は、どちらかというと医療者側の意識の問題もあると思っています。脳死以外のお子さんに対して、「臓器提供をなさいますか」という提示を一体どのぐらいしているのだろうかという辺りが気になっています。私の周りを見渡すとそんなにやっていないのではないかという気がするのですが。そういう意味でみんなが脳死下だけを取り上げてしまっていて、心臓死下の提供が増加していないのではないかという不安がちょっとあって、心臓死下のほうももう少し進めていく方策を何かとれないかなと思ったものですからコメントさせていただきました。
○永井委員長 ほかにいかがでしょうか。
○松原委員 参考資料3で、60歳未満と、60歳から65歳よりもそっちを優先するという、心臓移植の場合ですが、これは何か年齢差別、それとも何か意思が、何かのあれがあってのことですか。
○永井委員長
 この問題は後ほど、「その他」の中ですか。
○辺見臓器移植対策室長
 本件については、本日の議題の中では別途議論する枠はありませんので、こういった関係学会合同委員会でこういったご議論があったということをご紹介するということです。いま松原委員からご指摘がありました年齢の件ですが、従来、レシピエント選択基準を本委員会及び関係の作業班でご議論いただく際の基本的な考え方として、臓器移植法に基づいて行われる臓器の配分については公平・公正に行われる必要があると。公平・公正に行われる必要があると言った場合に、いろいろな価値観がありますので、基本的には移植成績等を勘案して医学的なデータに基づいて医学的に決定をしていくということを一貫して議論していただいてきているところです。
 したがって、直近ですと、心臓の基準、肝臓の基準で、これは年長ではなくて年若のほうですが、18歳未満のドナーの場合に18歳未満のレシピエントを優先するということ、これについては関係者等からドナーの家族の親族等も鑑みてといったようなご提案もあったところですが、関係作業班における議論としては、あくまで医学的なデータをお示しいただいてご議論いただいた結果として、基準を改定するという手続をとってきたところです。
 ただ一方、今回のご提案がいままでの議論で若干違うところは。いままでの議論は、既に登録して列に並んでいる方々についてどのように考えるかという部分がありましたが、今回のご提案というのはいままで入っていなかった方々、いままで60歳未満ということで登録されていたわけですが、新たに登録される人たちがいて、その人たちが既存の登録者の列に対して与えるインパクトを考えると、何らかの措置が必要ではないかというご提案というように聞いております。しかしながら、こういった提案の趣旨もある一方で、これまでの議論の経緯もありますので、それを踏まえてどういう答えを出すのかということについては、今後、心臓移植の基準に関する作業班、北村先生が座長をやっていただいておりますが、作業班でご議論いただいた上で、改めてこの臓器移植委員会にお諮りすることになろうかと思っております。
○永井委員長
 私のほうから補足させていただきます。いま、心臓移植の適応になる方は60歳前までに登録を済まされないといけないのです。
○松原委員
 そうなのですか。
○永井委員長
 はい。ただ、例えば58歳で登録されてなかなか順番が回ってこずに61歳、62歳になられた場合、もしそこでチャンスがあればお受けになることはできるわけです。ところが、ずっと心臓がお悪くて薬とかいろいろなことで60歳まで何とか頑張ってこられたのですが、61歳になってから、ああ、これはもう限界だというときには登録ができないわけです。そこをもう少し、65歳まで登録できるようにできないものか、というのが学会からの提案なわけです。
 しかしながら、毎年の移植の手術の件数よりも、60歳前までの移植を待っている方のほうが常に多いわけです。ですから、そこに割り込んでいいものかどうか、あるいは順番として後ろに付くのがいいのかどうか、そういういろいろな問題が起こってまいります。それから、中には心臓移植の意思を、脳死で臓器提供の意思を表明された、あるいはそういうケースが発生した場合でも、医学的な問題でお若い方、60歳以前の方は場合によってはお受けにならないということもあります。そういう臓器を65歳までの方に回せないものかどうかとか、いろいろな議論があります。ただ、これはそう一筋縄でいかずに、1つこういう枠組みを変えますと、考慮しないといけない問題が多分に噴出してくるのだろうと思います。そういう意味で、レシピエントの適応基準の北村先生の委員会のほうでもう少し検討いただくということにするのがよろしいのではないかという、そういう趣旨だったと思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。
○辺見臓器移植対策室長
 はい。
○永井委員長
 そういう状況だということです。山本委員、どうぞ。
○山本委員
 ありがとうございます。資料1-6の検証会議のことで質問させていただきたいと思います。資料1-6です。全体で77例を行っているというのはよくわかりましたが、検証の実数を見ていただきますと、平成20年が3例、平成22年が3例、平成23年が19例と、このように。こういうものは我々はよくわかりますが、時間を経れば記憶というのはどんどん薄れてきて、検証の細かいところはなかなかわかりづらくなる。それを考えるとなぜこのような形になるのか、なぜ後ろからやっていかないのか、その辺のところは何か理由があるのか、お話をいただけたらと思います。
○辺見臓器移植対策室長
 あまりご期待いただいているような深い理由にはならないのかもしれませんが、いま私どもが事務方として検証会議の準備を行うに当たって考えておりますのは、大体、1年経過後ぐらいに検証が行われるぐらいのペースで持っていくようにというように考えております。先生ご指摘のように、平成21年、平成22年辺りの件数が少ないのですが、この辺りは、法改正及びその施行準備等の影響もあってこのような数字になっております。これは、我々としても今さら何ともしがたいところもあるのですが、こうした状況。会議の回数を見ていただきますと、各年1回というような状況ですので、開催回数を増やすことが1つと。もう1つは1回の件数について、いままでは2時間で大体3、4例というような感じだったのですが、先生方にちょっとご苦労をいただいて3時間ぐらい開いて6例ぐらい検証するといったような形で、少しピッチを上げながら、最初に私が申し上げましたような、1年以内に検証できるような形に持っていきたいというように考えているところです。
○永井委員長
 よろしいでしょうか。
○山本委員
 ありがとうございます。ただ、このデータを見ていますと、平成15年辺りもまだ検証が済んでいないのもありますね。そういうのを見ているとこれは、流れとしては、最終的には全部やるという意味なのか、ここまできたらわからないからもう止めちゃうよという意味なのか、その辺のところはどうなのですか。
○辺見臓器移植対策室長
 いや、先生、これは差額をやっていないということではなくて、後ろの年で検証を全部やっております。
○山本委員
 後ろの年でやっているのもわかります。というのは、実数の提供よりも検証のほうが多いときがありますので、それはよくわかります。しかし、その辺がわかるならば、では、いつごろからやっていないところがあるのか。というのは私、これはとても大事なことだと思うのです。
○辺見臓器移植対策室長
 現時点でまだ残っておりますのは、平成19年は提供数がちょっと多いので、平成19年の提供事例で未検証のものは少し残っております。ただ、この辺りは若干順番も変えて行っているものがありますので、施行前のものについては、いま平成19年から平成20年のものが検証の中心になっております。一方で、改正法の施行が平成22年7月にありましたので、改正法施行後の状況についても少し前倒しで行っておりますので、いちばん下の欄にありますように、改正法施行事例はこのうち7例、それ以外のものについては、いま平成19年から平成20年の事例を検証している、こういった状況です。
○外山健康局長
 これは、全部検証するつもりです。それで今、ちょっとピッチを上げています。検証の仕方には2種類あって、ご案内済みだと思いますが、臓器あっせんが適正であったかということと医学的検証です。医学的検証は全部いままで、現地調査もやっていたものですから、結構時間がかかっていたと。その辺については、ある程度システムが安定したのを踏まえ、必要に応じて現地調査をやるというような形で、以前この委員会にも諮りましたが、そういったやり方を、あまり拙速では駄目ですが、効率性も勘案しながら今ピッチを上げつつあります。これは、全部検証するという形でやろうと思っております。
○山本委員
 わかりました。是非よろしくお願いしたいと思います。
○大久保委員
 いま、全部されるとおっしゃっていましたが、それは、過去のものはもう終わっているから止まっていますよね、数はわかりますよね、残っている数は。要するに、法施行以前の分の残っている数はいくつかわかりますよね。おそらく今後の、今のペースでいきますと、最低、年間で60とか70はいきますよね、脳死下での提供は。それも全部やられる、ずっと続けてやられるという方針でいらっしゃるのか、それともどこかでそれなりにこの辺りというものを。要するに、おそらくここで決めることだとは思うのですが、その辺りは考えていらっしゃるのかと。今のこのペースで行ったら、当然追いつかないですよね、いくら頑張っても、この検証会議が1つだけであれば。
○外山健康局長
 それで、細かくはここで申せませんが、先ほど医学的検証について班の数を増やすであるとか、そのような形で今の増加のスピードに最低限追いつくような効率性をまず考えなければいけない。その後どうするかというのはまた次の考え方で決めたいと思っておりまして、事例と検証すべきものの差がますます増えていくことは避けたいと思っています。
○永井委員長
 よろしいでしょうか。時間の関係もありまして先に進ませていただきたいと思います。続きまして、先日発生いたしました臓器移植法第11条違反事件、いわゆる臓器売買事件ですが、これについて事務局から資料に基づいてご報告をお願いいたします。
○辺見臓器移植対策室長
 資料2-1です。頭のところに書いてありますように、本資料は報道されている内容を取りまとめたものということで、基本的には現在本件については捜査が行われているところですので、私どもとしても状況の把握は、こういう形で公表されているもので把握しているのが現状です。
 事件の概要は、慢性腎不全を患った都内の医師Aが、暴力団組合員Bから紹介された、別の元暴力団組合員Cと偽装の養子縁組をして、親族間の生体腎移植を装い、1,000万円を支払って腎臓の提供を受けようとしたということで、罪名としては臓器移植法違反と電磁的公正証書原本不実記録・同供用罪の疑いで、医師及びその妻、暴力団員及び元暴力団員などが逮捕されたものです。
 同医師Aについては、平成22年5月に養子縁組を行い、都内の病院で移植手術を受ける予定でしたが、その後、暴力団員Bから更に現金を要求されたということで、移植は行われておりません。その後、医師Aは平成22年6月に、暴力団組長Dから紹介された、21歳の男性Eと虚偽の養子縁組をして親族間の生体腎移植を装い、800万円を支払って、同年7月に腎臓の移植を受けたとの疑いで、医師Aとその妻が再逮捕(7月)されるとともに、暴力団組長、21歳の男性ら4人が、こちらも7月に逮捕されております。その後、更に暴力団組長らと共謀して、上記腎移植術の見返りとして800万円を受け取った疑いで、新たに男性1名が逮捕されております。その後、暴力団組長Dを除いて全員起訴されている状態です。
 なお移植手術については、レシピエントである医師と21歳の男性Eが養子縁組を行った上で行われています。また移植施設においては、養子縁組から1ヶ月も経ていないことから、倫理委員会を通常の1度ではなく、2度開催したということ。また、医師Aは、弁護士にドナーとの関係について報告書の作成を依頼し、またこの関係について嘘であると見抜かれないように口裏合わせを行っていた。倫理委員会においては、こうした報告書や、医師Aと21歳の男性からの聞き取りを基に移植手術の可否について審査を行った結果、移植手術が承認されたとされています。
 なお臓器移植法の関係で申し上げますと、2頁にある臓器移植法第11条第1項に、臓器売買の禁止が置かれていて、第20条に罰金が規定されています。併せて4頁に、臓器移植のガイドラインの中で、生体の臓器移植について第13に関連規定を設けております。この規定は、平成18年に臓器売買事件が発生した際に設けられておりますけれども、親族の確認などについて、公的証明書をもって確認するということを規定したものです。以上です。
○永井委員長
 ただいまの件に関し、関係学会における対応状況ということで、相川厚委員からお話を伺う予定だったのですが、本日はご欠席ですので、事務局のほうに資料が届いていると伺っておりますので、説明をお願いいたします。
○佐藤臓器移植対策室長補佐
 相川先生から、昨日コメントをいただきましたのでご報告させていただきます。日本移植学会では、2011年7月31日に理事会を行い、今回の事件が起きたことを深刻に受け止めております。このような不正な移植に対しては、二度と起きないように遺憾の声明をその際に出しました。また、日本移植学会の倫理委員会では、倫理指針の改正を含めた検討を現在行っているところです。また、世界保健機構(WHO)の総会決議、及びアムステルダムフォーラムを和訳し、生体腎移植ドナーの適応基準、倫理性についても今後提示していく予定である。
 このようなコメントをいただいております。以上です。
○永井委員長
 ただいまの件についてご質問、ご意見をお願いいたします。
○奥山委員
 先ほどの私の質問も、できればこういう生体移植はなるべくなくしたいという思いで質問させていただきました。質問させていただきたいのは、1頁のいちばん最後のほうに、「倫理委員会がこうした報告書や医師Aと21歳男性Eからの聞き取りをもとに」と書いてあるのですが、倫理委員会が直接この21歳男性Eからの聞き取りをしているという理解でしょうか。
○辺見臓器移植対策室長
 そのように報道されているということでご紹介させていただいております。
○奥山委員
 我々の病院でも、第三者面接という形で、第三者が必ず自由意思の確認と、判断できる知的能力があるかどうか、金銭的な供与がないか、心理的な縛りがないかは確認させていただいておりますが、そういうシステムをその病院が持っていて、倫理委員会もさらに聞いたと考えてよろしいのでしょうか。
○辺見臓器移植対策室長
 そこまでの事実関係については把握しておりませんけれども、この倫理委員会の話というのは、養子関係についての問題点ですので、それとは別に生体間移植の際に通常行っている、第三者による確認というのが行われているとしたら、これとは別途ということかと思います。
○奥山委員
 倫理委員会は、こういうドナーを呼んで面接したということなのですか。通常はあまりしないと思っていたのですけれども、これはしているのですか。
○辺見臓器移植対策室長
 報道されている以上のことはわからないです。
○相川(直)委員
 報道のもとでの情報ということで理解しました。ここの概要に「医師A」や「暴力団員B」と書いてありますが、「医師A」というのと、普通の人間Aというのでは、医師がやったということは倫理的には非常に具合が悪いわけです。「暴力団員B」というのも、ある団体のBさんとその団体の長である組長Dさんという場合とで、確かに「暴力団員」と書いてあると印象としては、暴力団員が関与していて非常に悪いとなる。暴力団員でなくても、極めて困った事例ということで理解してよろしいのですね。
○辺見臓器移植対策室長
 はい、おっしゃるとおりです。
○相川(直)委員
 町野先生がいらっしゃるからお聞きしたいのですが、本事例に関しては、これが暴力団員であろうが、一般の団体のBさんとその長のDさんということでも同じということで考えてよろしいですか。
○町野委員
 それは、そうだと思います。
○永井委員長
 そうしますと、この件は検察の情報が出てくるまでは見守るということでよろしいわけですね。
○辺見臓器移植対策室長
 はい。
○永井委員長
 次の議題に移ります。肝臓移植の基準等に関する作業班において検討されていた、移植希望者(レシピエント)選択基準についてです。肝臓移植希望者の選択基準の検討状況について、肝臓移植の基準等に関する作業班班長の有井先生からご報告をお願いいたします。
○有井参考人
 この度、適応評価を行っている関係学会からなる、脳死肝臓移植適応評価委員会において、適応評価を変更いたしましたので、それに伴いレシピエント選択基準についても見直しの検討が必要となりました。そこで、肝臓移植の基準等に関する作業班では、肝臓レシピエント選択基準について検討してまいりました。
 変更点は、資料3-1の2.のところです。優先順位(1)医学的緊急性です。これは、病状によって予測余命を決定するものであり、資料にあるようにこれまで4段階で区分してまいりました。参考資料4の1枚目の裏側に書いてあります。今回は5段階に変更させていただきました。5段階の中で、新規の枠になったのは「予測余命1ヶ月〜3ヶ月」という項目を設定いたしました。
 参考資料5の下のChild-Pugh Cのほうです。Child分類は、全身状態を点数化し、その合計点で重症度を反映しています。いわば、これは肝硬変の程度を評価しているものです。10点以上がChild-Pugh Cとして、従来はこれに6点を与えていました。ところが、その中でもこれをスコアリングしますと10点以上なのですが、12点のところで切ると、この生存曲線にありますように、12点以下と12点を超えるもの、13点以上とでは、このように大きな開きがあります。いままでは、これをひとまとめにして6点という点数を与えていたのが現状です。
 その後これを再評価し、やはりこれは2つに分けたほうがいいだろうということで、12点を超えたもの、つまり13点以上を予測余命1〜3ヶ月として、これに対して8点を与えるということで、10点、8点、6点、3点、1点という形で点数を付加する形に変更させていただきました。
 もう1点は、資料3-2です。これは、肝臓レシピエントに係る待機inactive制度についてということです。これは、いままで肝臓移植に関しては導入しておりませんでした。医学的理由などにより移植が受けられない状態、あるいは社会的事情により移植を当分の間希望しない方に対して、登録を続けたままにして、候補に挙がっても連絡を受けないことにするという待機inactive制度です。
 いままでは、このinactive制度がなかったものですから、ネットワークのほうから評価点の高い人から順番で、「移植の順番が来ましたので移植を受けられますか」と連絡すると、「いや、今はちょっと移植を受けられる状態ではない」とか、「今は状態が割合良いので、ちょっと移植を見合わせたい」ということが、電話で初めてわかります。そうすると、非常に時間のロス、あるいは労力のロスがあり、無駄な時間がどんどん経ってしまいます。
 ご承知のように、臓器移植というのは非常に時間の制限がありますので、それをなんとか合理的にうまく運用したいということで、このinactive制度を導入したいと考えております。ただし、inactiveの間も、待機期間としてはカウントされます。以上、ご検討いただきますようお願いいたします。
○永井委員長
 ただいまのご説明についてご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。
○小中委員
 いま有井先生のお話をいただいたので、実際の臓器提供のときの意思確認の時間的な効率が図られて非常にいいことではないかと感じています。ただ1つ気になりますのは、inactive制度というのはほかの臓器でも用いていますが、まだ運用上のことは明確でないのでわからないのですが、登録をしている施設からの連絡によって、コンピューター上の変更を行うことになりますので、そこの連絡をきっちり行っていただくというのは非常に重要になってくるのではないかと思っています。
○有井参考人
 まさにおっしゃるとおりです。だから、次のステップとしてこのシステムを周知徹底させないといけないということです。それで、すぐにネットワークに報告する、入れるということが次に重要だと思います。
○相川(直)委員
 運用上のことですけれども、inactive制度に登録していなくても、実際に電話がかかってきたときに、実は見合わせたいと言ってもいいということですか。
○有井参考人
 いやー、その辺は。
○相川(直)委員
 その辺のところは、それにペナルティがかかるのかどうかとか、待機期間をどうするかとか、その辺のところもやっておかないと、なんとなくinactive制度があることは知っていながらも、登録しないでおいて、電話がかかってきたときに断ればいいのではないかというようなことが横行すると、やはりinactive制度をやった人と、やらないで様子を見ている人とでは公平でなくなるような気がするのです。
○有井参考人
 それも含めて、先ほどの小中先生のお話で、周知徹底させると同時に、それをしなかった人に対する対応はまた考えていきたいと思います。
○山本委員
 いまの続きですけれども、待機時間の間もカウントされていくということならば、待機させておいて、その待機時間はずうっとカウントされていけば、その優位性は上がってくるわけですから、そこのところの問題点はどのように考えますか。
○有井参考人
 基本的にinactive制度というのは、一応待機期間として算定することが世界的にも前提になっています。あるいは、各臓器でもそういうことなのです。要するに医学的理由、例えば新たな感染症があるので、今はちょっとまずいというのは全く問題ないです。あるいは個人的な理由、例えば身内に冠婚葬祭があるとか、タイミングとしてはお葬式が終わってからとか、娘の結婚式があるのでそれまではちょっと待ちたいとか、いろいろな理由があるので、それなりに正当な理由であると考えて、その場合に医学的以外の理由であっても、次の人にメリットが来るわけです。
 もちろん、それを変な形で使われるというのはまずい面もないことはないのですが、グローバルにも一応カウントすることになっているのが現実ですので、肝臓もそれに倣いたいと考えています。もちろん取り消したら、その間は登録料も払わなくてもいいのですが、これは登録料はそのまま払い込んだまま待機期間のウエイティングに数えています。だから、取り消すのはすぐ取り消してもいいわけです。
○大久保委員
 今回の選定基準の改定はとてもいいと思います。特にこの1ヶ月〜3ヶ月、要するにいままでの9点を2つに分けるというのはとても現実的でいいと思いますので、私は賛成です。
○有井参考人
 どうもありがとうございます。
○永井委員長
 ほかによろしいようでしたら、作業班からの報告のとおり、肝臓のレシピエント選択基準を改正するということでよろしいでしょうか。
(了承)
○永井委員長
 それでは、この委員会としては了承といたします。
○有井参考人
 どうもありがとうございました。
○永井委員長
 次の議題は、日本脳神経外科学会の専門医研修に係る施設類型の変更に伴う、脳死下臓器提供施設の見直しについて、事務局から説明をお願いいたします。
○佐藤臓器移植対策室長補佐
 資料4-1に基づいてご説明させていただきます。現在、臓器移植提供施設については、資料4-1に示しますように5類型に定められております。今回ご議論いただくのは、日本脳神経外科学会の専門医訓練施設(A項)の部分です。この5類型の中で、参考として現在全国に5類型に該当する施設は492あります。脳死下での臓器提供の体制整備が整っていますと回答していただいているのが344施設です。日本脳神経外科学会では、今回、いままでA項とC項と専門医施設を分けていましたが、その訓練施設の枠組みを「基幹施設」「研修施設」「関連施設」と3つに分類することとなりました。
 この制度については、今年の4月より適用されております。前回2月に行われた臓器移植委員会では、脳死下臓器提供を行える施設として、平成23年3月31日時点で、A項であった施設は脳死下の臓器提供が行える施設として認定するというようにご議論していただきました。その際に先生方に、今後の取扱いについてはこの場でまた議論していきましょうということになっていると思っておりますので、この場でご議論いただきたいと思います。以上です。
○永井委員長
 ただいまの事務局の説明に関し、日本脳神経外科学会における検討状況を、脳神経外科学会の脳死臓器移植への取組み状況等の資料を含め、その説明を永廣先生からお願いいたします。
○永廣参考人
 資料4-2「日本脳神経外科学会の脳死臓器移植に対する基本的見解」を昨年10月にまとめ、これは理事会・総会で認められました。?1.と?2.のところまでが基本的的見解と方針になります。簡単に読ませていただきます。
 日本脳神経外科学会は、適切な治療によっても救命できなかった患者及びその家族から臓器提供の申し出があった場合、その尊い意思を生かすために、臓器提供施設における法的脳死判定及び臓器提供の実施を支援する。そのため、法的脳死判定及び臓器提供に携わる医療従事者及び施設の負担を軽減するための方策や体制整備等の検討を行うと共に、脳死下臓器移植に係わる様々な課題を解決するための科学的検証を行う。また、日常の脳神経外科診療を妨げることなく、脳死下臓器提供を適切に実施するためには、提供施設に対する正しい理解と支援が必要不可欠であることを、国や行政、社会に提言する。
 これが基本的見解です。昨年、法が改正されて、脳死下の臓器提供が増えるであろうということを予測し、どのように対応していくかアンケートを取りましたが、脳死下臓器提供に対する負担感が各施設に大きいということで、学会としてできるだけの支援策をとっていこうということがこの骨子です。
 2番は、具体的にどのようにしていくかということで考えたものです。臓器提供施設への支援、これはアンケートでも非常に要望が強かった点です。脳死判定の技術の支援、あるいは地域で行われるときには学会支部が連携して支援していこうという体制が3)にありますが、そういうものをとっていこうということです。それから、臓器移植ネットワークとの組織的協力体制構築、これは先ほども質問がありましたけれども、オプションの提示とか、院内での体制の整備は重要ですので、そういう意味でネットワークの力、あるいは院内コーディネーターなどの整備を、各施設でしていかないとなかなか大変だろうということです。それから、脳死臓器移植制度への協力、学術的協力といった骨子が具体的な案として出して認められました。
 実際に動いたところは、3.の支部脳死検討委員会の構築です。全国7支部ありますが、それぞれの支部に脳死検討委員会を設置し、技術的な支援・助言を行うことにいたしました。その委員としてはこれまでの経験者、あるいは脳死判定、特に脳波などに詳しい人材を委員会に含んで技術支援、電話相談、脳死判定セミナーなどを行うことにしております。
 いちばん最後の行に、「平成22年5月」と書いてあるのは誤りで、「平成23年5月」に委員が大体確定して名簿を作っております。全国で143名を登録いたしました。これは、年度毎に見直しをしながら改定していきたいと考えております。学会の脳死臓器移植に対する見解と支援といったのはこういうところです。施設のことについては佐藤さん、よろしいですか。
○永井委員長
 これに関して、事務局からの提案がありますので説明をお願いいたします。
○佐藤臓器移植対策室長補佐
 資料4-3です。施設の類型に関して、学会のほうではまだ議論が行われているようですが、日本脳神経外科学会会長の寺本先生宛に、永井委員長名で資料4-3に示しますようなお手紙を出させていただき、学会としてのご回答をいただければと思っております。
 検討内容の依頼としてはいちばん最後に書いてある、1の脳死下での臓器提供施設の施設類型である「日本脳神経外科学会の専門医訓練施設(A項)」に替わる新たな施設類型について。2のその他臓器提供施設に関するご意見等について、ご議論を日本脳神経外科学会のほうでお願いしますというお手紙をお出ししていただければと思いますので、その点をご検討いただきますようお願いいたします。
○永井委員長
 先ほどの永廣先生からのご説明と、いまの事務局からの説明資料の両方を含めてご意見、ご質問がありましたらお願いいたします。
○小中委員
 脳死臓器提供の折には、従来から救急医学会などからのご支援をいただいていたところです。更に今回、脳外科学会の支援体制をつくって頂き、実際の臓器提供時に脳外科学会のご支援を既にいただいています。提供施設の先生方は、やはり安心されており、とてもありがたい動きだと思います。先生が先ほど話された、臓器移植ネットワークとの組織的協力体制の構築について、今後是非よろしくお願いいたします。
○永廣参考人
 はい、わかりました。
○山本委員
 A項というのが、新しい「基幹施設」「研修施設」「関連施設」という3つになっていく流れはわかりますけれども、「その他」というのは、資料4-1の2頁で、旧のA項とC項の中のこの3つだけなのか、あるいは「左記以外」というのと、「上記以外」というのはどのようになっているのか、もう少し説明していただけますか。
○永廣参考人
 2頁にありますように、当初のA項、C項という基準は、主に手術症例数で決めておりました。それで申請した所にA項あるいはC項というのを決めていました。手術例数だけでは、現在の状況では専門医となるには十分ではないということで、十分な手術以外の内容とか人員を踏まえて、プログラムを重視した病院群をつくることになりました。基幹施設が中心となるほとんどの大学病院とか特定機能病院が109あります。旧A項は、独立して380いくつあったわけですが、専門医となるには不十分というプログラムもありましたので、基幹施設をしっかりして、その周りに、その基幹プログラムの中に研修施設・関連施設を入れる。
 主に研修施設なのですけれども、それでさらに不十分な場合に関連施設としております。これまでのA項は基幹施設に109、研修施設に250と振り分けられました。旧C項というのは少し規模の小さい所なのですけれども、研修施設に400いくつとなっております。それで臓器提供施設の5類型に入っていたのがA項なのですが、基幹施設はもちろんA項はすべて大丈夫で、C項は入っていないからいいのですけれども、研修施設にかなりA項が入っていますので、今回の臓器提供施設の類型を考えるときには、この研修施設まで含まれる可能性があるということでいま検討しています。
 ところが「その他」とか、「上記以外」というのは、そのプログラムに入らない所なのですが、こういう所でも旧A項がありますので、これをどう取り扱うかはもう少し検討していかなければいけない問題だと思います。基本的には救急体制がとれていて、院内の臓器提供の合意ができていて、委員会があってと。これは、結構大きな病院でないと難しいと思います。かつ手挙げ方式ですのであまり制限するというよりも、ある程度は広げて、その中で体制が整っている所が手を挙げる形を描いております。今度の総会までに大体決まっていくと思います。
○山本委員
 ただ1頁に、いまの時点で体制整備ができているよ、整っているよというのが344しかないのに、2頁のこの流れでいくと1,000ぐらいの施設になりますが、この辺のところはどのようにお考えなのでしょうか。
○永廣参考人
 この9月の時点は、まだ改正されたすぐで、特に18歳未満は10数%しかないのです。その後のアンケートの結果はわかりませんけれども、おそらくもう少し増えているのではないかと思います。この数が、基幹施設と研修施設を合わせると800ぐらいになります。これがすべて手を挙げることはまずあり得ないと思います。ですから、十分に法的脳死判定ができる施設が行うことになります。学会でその認定をするのはなかなか大変だと思いますので、基幹施設・研修施設というのが1つの基準かと考えています。その中から、十分な体制を持った所が手を挙げることになります。
○大島委員
 脳外科の立場からいけば、研修だとか専門医というものをどうきちんとしていくのか。いわゆる脳外科診療をどのようにきちんとしていくのかという立場からいろいろな制度を作っていくのは当然のことだと思いますし、そうあるべきだというのはよく理解できます。
 移植の側からいくと、前のときにもA項、C項というのはどういう施設をやるかというところで、突き詰めていってしまうと、本当にきちんと脳死判定ができるのか。社会に向けてそういう話をするときに、こういう環境整備と、こういう人材と、こういう能力を持っていて、こういう施設基準で環境が十分に整っている、だから心配ありませんときちんと表明できるような施設を指定した、という言い方で説明がされたと理解しています。
 もちろんいまの先生のお話で、脳死判定をどうするのかというのは極めて重要であると。そこのところで、学会としてそれを決めるというのはというお話がちょっと出たかと思います。実は、学会としてそれを担保していただくというのは非常に大きな意味があるのではないかと思うのです。こういう能力を持って、こういう人材がいて、こういう設備が整っているから心配ありませんよと。こんな形で、あるいは言葉も含めて、だからこういう形で脳外科学会としては、脳死判定についても心配ないのだということを推薦するのだ、という形で言っていただくと、移植をする側からいくとありがたいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○永廣参考人
 提供施設の、提供する患者さんの多くは脳卒中とか外傷が多いので、脳外科医がかかわることが多いです。最初の見解のところで申しましたように、基本的な姿勢はいろいろ支援していこうというところにあることは認識しております。ただ、一気にこの施設を増やすというのは、非常に現場に混乱をもたらす可能性があります。
 A項以外にどういう施設をつくるかというのは、過去にもいろいろ議論があったわけですが、一気にこれを広げると、例えば5人以上の外科医がいればいいのか、何人いればいいのか、手術例だけでも決められないし、これはなかなか難しい問題があります。ある程度幅を広げておいて、その中からきちんと脳死判定ができる施設が自ら手を挙げる。そういう施設には、こちらからいろいろな支援もしていくということを、いま一応、枠としては決めています。一つひとつこういう施設が認定基準を作ってするというのはなかなか大変というか、かえって現場にそぐわない面もあると考えております。
○永井委員長
 先ほどの依頼文についてご意見はございませんか。
○大島委員
 私は妥当だと思います。
○永井委員長
 ほかによろしいようでしたら、この依頼文についてはご了承いただきたいと思います。
(了承)
○永井委員長
 ありがとうございました。永廣先生ありがとうございました。次の議論は「脳死判定マニュアルに係るガイドラインの見直しについて」です。現在、法的脳死判定の具体的な方法等について、ガイドラインにおいて平成11年度にまとめられた法的脳死判定マニュアルに準拠して行うこととされております。
 しかし、法的脳死判定マニュアルの見直しがあったということで、厚生労働省ではガイドラインの改正を検討しているということです。最初に事務局から説明をお願いいたします。
○清水臓器移植対策室長補佐
 資料5-1に基づいてご説明させていただきます。永井委員長からお話がありましたとおり、法的脳死判定マニュアルの見直しがありましたので、厚生労働省としてはガイドラインの改正を検討しております。法的脳死判定マニュアルについてはご案内のことと思いますが、これは法的脳死判定を行う際に従うべき事項として、症例やガイドラインに規定されている事項について、確認方法等を明確化して、脳死判定が円滑に行われることを目的として作成されているものです。
 このマニュアルについては、現行のガイドラインに位置づけがあり、資料の現行の枠を見ていただきますと、第8の1に脳死判定の方法とあります。こちらに、法的脳死判定の個々の検査の手法については、平成11年度の報告書である改定前の法的脳死判定マニュアルに準拠して行うことと規定されています。付け加えますと、その後、ただし書きの部分に新たな内容が加わっております。中身としては、鼓膜損傷がある症例における前庭反射の確認や、6歳未満の場合の平坦脳波の確認の基本条件等に関し、小児の脳死判定及び臓器提供等に関する調査研究の平成21年度報告書に準拠して行うことになっております。こうした内容をすべて含めてマニュアルは改定されております。
 改正案を見ていただきますと、法的脳死判定については、平成22年度報告書である法的脳死判定マニュアルに準拠して行うことという形で見直しを行いたいと思っております。本日は、この改正案についてご議論いただき、ご了承いただきましたら、ガイドラインは局長通知になっておりますので、局長通知の改正を行いたいと思っております。さらに付け加えますと、こちらの改正に当たっては、行政手続法に基づき、いわゆるパブリックコメント、国民からの意見募集を行う必要があります。パブリックコメントについては、先月6日から今月4日まで行っておりますが、1人から3件のご意見が寄せられておりますので、その内容について次の頁にお示しさせていただいております。こちらについては参考までにご参照いただければと思います。以上です。
○永井委員長
 本日は、脳死判定基準のマニュアル化に関する研究班の研究代表者でいらっしゃいます有賀先生が参考人としてお見えですので、脳死判定マニュアルの見直しの内容についてご説明をお願いいたします。
○有賀参考人
 資料5-2は、脳死判定マニュアル改定の概要です。参考資料6は法的脳死判定マニュアルの本体です。この研究の全体の責任者は、研究代表者の私、有賀です。
 その件が最初の頁をめくった裏にあります。その中に、法的脳死判定マニュアルのことと、臓器提供施設における院内整備という、臓器提供施設のさまざまな手順に関するマニュアルと、この2つのマニュアルについての研究をこの研究班が行いました。法的脳死判定マニュアルのほうは、もちろん私が全体の代表ではありますけれども、日本医科大学の横田裕行先生にそちらの代表としてやっていただきました。施設のほうは篠崎先生に代表をやっていただいています。このようなことが全体のスキームです。本日は、法的脳死判定マニュアルの話なので、直接的には横田裕行先生が代表してくださいましたが、全体の代表ということで私がここに参加しているということです。
 それぞれ、これからいくつかご説明申し上げます。3枚目に「目次」がありますので、その目次が全体のマニュアルの形だということを見ていただいて、私の説明を聞いてください。資料5-2に沿ってお話させていただきます。
 改定の背景ですが、以前のマニュアルは平成11年度に法的脳死判定を行う際に従うべき事項として、規則やガイドライン等に規定されている事項に加えて、確認方法などを明確にしようということで作成されております。昨年の法律改正によって、家族の承諾による臓器提供や、15歳未満の提供が可能になったことを踏まえて、平成11年度のマニュアル、その後平成21年度に出来上がった小児の脳死判定及び臓器提供等に関する調査研究にあります記載などを参考にして、新たな法的脳死判定マニュアルを作成した次第です。これから、変更した点について説明をしていきます。
 (1)「法的脳死判定前の確認事項について」とあります。これは法的脳死判定マニュアルの3頁、4頁の?「法的脳死判定前の確認事項」ということで、法的脳死判定の対象者が18歳未満である場合には、虐待の疑いがないことを確認したいということです。基本的には18歳未満に限らず、老人の虐待もあるわけですから、病院ではこのようなことについての基本的なしつらえがなければいけないのですけれども、特に今回はこのようなことになっています。児童からの臓器提供を行う施設に必要な体制が整備されている。担当医師が、家族に臓器提供のオプションの提示などをするときに、事前に虐待防止委員会、この名前はどうでもいいのでしょうが、虐待に関する委員会の委員などと、診療の経過等について情報の共有を図る。必要に応じて助言を得ることができる。施設内の倫理委員会などの委員会において、虐待の疑いがないことの確認手続を経ている。それで臓器を提供しない意思又は脳死判定に従わない意思がないことについて確認できることが必要であるということです。これは、法的脳死判定前の基本的に確認されなければいけないことです。
 法的脳死判定に至るに当たって除外例があります。5頁と6頁の?「除外例」とありますので、そこを見ていただくとわかります。知的障害などの、本人の意思表示が有効でないと思われる症例については除外例としております。知的障害者などの臓器提供に関する有効な意思表示が困難となる障害を有する者については、除外しましょうということでここに書いてあります。それから被虐待児、又は虐待の疑われる18歳未満の児童を除外する。脳死に伴って臓器提供に至ることに関して言えば、法的脳死判定をもって患者さんの死亡であるということになりますけれども、臓器提供をするということについては、親御さんなどがその意思を示すことがありうるわけですけれども、その者たちが虐待をしていたという話になるとどうにもなりませんので、そのような観点からは被虐待児については除外例である。
 「低体温」については、直腸温などの深部温が6歳未満では35℃未満、6歳以上に関しては従前どおりですが32℃未満は除外例である。
 従前は15歳未満の子どもたちを除外例としていましたが、今回はちょっとややこしいのですが、生後12週未満、在胎週数が40週未満であった者にあっては、出産予定日から起算して12週未満を除外例としております。いま言った生後12週未満については除外しましょうということです。
 (3)「生命徴候の確認について」は、5頁と6頁の?「血圧」のところで、収縮期血圧が1歳未満は65mmHg以上。1〜13歳未満は、年齢×2+65mmHg以上。13歳以上は90mmHg以上であることを確認する。「判定間隔」は17頁の「判定間隔」のところに記載があります。1回目の法的脳死判定が終了した時点から、6歳以上に関しては6時間以上ということで、これはいままでと同じです。6歳未満については、24時間以上を経過した時点で2回目の法的脳死判定を開始する。つまり、その間隔を24時間以上おきましょうということです。
 「その他」は2頁にありますが、結構混乱の原因になっていた「臨床的脳死」という表現、語彙そのものは使用しないということです。ガイドラインにおいては「脳死とされうる状態」、「脳死を判定しようと思ってそれをした場合においては脳死とされる状態」という表現が用いられています。
 「医学的な解釈」については少し詳しく書いたり、補足していますので、その点についても一気に説明させていただきます。「法的脳死判定前の確認事項」について、4頁の「知的障害等の障害を有する者でないこと」については、先ほども羅列的にお話いたしましたが、知的障害者などの臓器提供に関する有効な意思表示が困難となる障害を有する者が除外例とされたことを踏まえて、臓器提供に関する有効な意思表示が困難である障害の疑いが生じた場合に、乳幼児においては、病歴、身体所見、過去の医学的検査や発達検査の結果等に基づいて障害の有無を判断し、年長児や成人では、これらに加えて、過去の教育、療養、生活等の状況も判断の根拠とすることができる旨を記載しました。これは詳述したということになります。
 「法的脳死判定の除外例について」は「脳死と類似した状態になりうる症例」ということで、5頁の?に記載されております。急性薬物中毒については、薬物の有効時間に関して一定の基準を示すことは困難ではあるが、通常の一般的な投与量であれば、つまりにここでいう「通常の一般的な投与量であれば」というのは、臨床例においてはということですが、「24時間以上を経過したものであれば問題はないと思われる」と記載いたしました。薬によっては半減期などがいろいろな理由で変わってきますが、それでも24時間以上経過していれば問題はないだろうということのコンセンサスによってこうなっています。
 「脳幹反射消失の確認」ということがあります。「鼓膜損傷がある症例においては、前庭反射の確認ができないため、当面の間、脳死判定は行わないこと」としてきていましたけれども、「鼓膜損傷があっても、滅菌生理食塩水を用いて検査を行うことが可能である」と8頁にあります。
 「脊髄毛様反射」又は毛様脊髄反射の刺激部位について、教科書的には一側頚部とか、胸部とかいろいろ記載がありますけれども、これは「顔面への痛み刺激」へと変更いたしました。毛様脊髄反射の経路について、つまり頚から下に刺激を与えた場合、これは学説がいくつかありますけれども、その中で脊髄反射、つまりその脊髄が生きていればこれが出るという記載もありますし、症例報告もあります、そこで、その辺の錯綜するようなことを排するために、顔面への刺激ということであれば、これは三叉神経を介する脳幹反射になりますので、毛様脊髄反射の刺激部位についてはこのように変更させていただきました。変更というか、顔面へということで、きちんと脳幹反射としての位置づけをより明確にしたということです。
 「脳波活動の消失」、いわゆる平坦脳波の確認についてですが、この辺は基本的な話なので確認ということになります。基本的な条件として、「心電図の同時記録」が10頁にあります。心電図に同期して脳波が揺れますので、平坦脳波のアーチファクト、脳波から見たアーチファクトを確認する上で心電図は絶対に必要だということです。「脳波計の感度」については、いろいろな機器が出てきておりますので、標準感度10μV/mmに加えて、高感度2.5μV/mmということでいいのですけれども、機械によっては10μV/mmよりも高い感度で測れる、又は2.5μV/mmよりも高い感度で測れる機械を使うことがありますので、このような形で基本的には10を4倍の高感度にすればいいのですけれども、このようなことを記載しております。
 平坦脳波の判定については、適切な技術水準を守って測定された脳波において、脳波計の内部雑音を超える脳由来の電位がない脳波であることを確認する。これは、脳波計のペン先で脳波の線を書いていきますので、そのペン先の線の幅の中でのものであれば、それはそれでよろしい。それ以上のことがあれば揺れるということがありますので、脳波計の内部雑音を超える脳由来の電位がないというのは、ペン先があのような形で横に振れるということです。
 最近出てきたペーパーレスタイプ、つまり画面上で脳波を確認するという機械がありますが、ペーパーレスということで最近はどんどん普及していますので、その件についての留意点を記載しております。14頁を見るとわかりますが、基本的には日常の臨床においてはペーパーレスでも構わないのですけれども、本件、つまり法的な脳死判定をしようというときには、ペーパーレスタイプの脳波計を用いた場合であっても、紙に起こすことができることを条件にしています。ですから、紙に書くことができなければいけないということで、要は記録としては紙に残しておくことを基本的な考え方としております。
 「無呼吸テスト」については自発呼吸の停止ということですが、従来から無呼吸テストと言いますけれども、血中の炭酸ガス濃度が上がることによって、呼吸中枢が刺激されても呼吸が起こらないという意味では、無呼吸テストは炭酸ガス負荷テストと言っていいわけですけれども、そのような炭酸ガスの負荷テストについて、望ましいPaCO2、つまり呼吸を止めて炭酸ガスを負荷する中で呼吸が起こるかどうかという話になります。また従来は、酸素化について望ましいPaO2レベルは200mmHg以上とされていましたが、数値による基準で、その基準によってああでもない、こうでもないということが起こりますので、酸素化能の低下、血圧の低下などによって、検査の継続が危険と判断した場合にはテストを中止する。ですから200mmHgを割ったことがあったとしても、バイタルサイン等の状況からテストを続けることができるということであれば、それはそれでよろしいということが16頁にあります。
 「動脈血ガス分析」については、テストの経過中ずうっとガス分析をし続ければいいということに基本的にはなりますが、そのようなことではなくてサンプリングをしなくてはいけません。6歳未満に関しては、採血については3〜5分後、以後は採血時間を予測する。3〜5分後にとりあえずやって、その後どうなるのかということで採血というサンプリングをしましょうということです。6歳以上と大人に関していえば2〜3分毎に行うといういままでどおりのことです。
 「無呼吸テスト」、いま言った炭酸ガスの負荷テストは低酸素、低血圧、著しい不整脈によって、テストそのものの続行が危険であると判断された場合には中止することにしています。中止するに至った、その最終的な動脈血液ガス分析において、PaCO2が、つまり炭酸ガスの血中の分圧が60mmHgを超えていた場合、現に今はテストをやめてしまっているのですけれども、最後のサンプリングでPaCO2が60mmHgを超えていることがわかった場合には、そのテストそのものは60mmHgを超えて、なおかつ呼吸がないということがわかったということですので、サンプリングの後にテストはもちろんやめているわけですけれども、その段階をもってテストの評価が可能であるということを17頁に記載してあります。
 以上が法的脳死判定マニュアルの改定の概要です。たくさんありましたので早口になりましたが以上です。
○永井委員長
 ありがとうございました。ただいまの説明に対してご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。
○奥山委員
 4頁に「知的障害等の臓器提供に対する」という部分があるのですが、病歴の中に「発達歴等」みたいな形で入れてあります。マニュアルということなので、できれば母子手帳の確認を是非入れていただいたほうがよろしいのではないかと思います。発達を見るには母子手帳がいちばん有効ではないかと思います。
○有賀参考人
 言っておられることは全くよくわかります、いいのではないでしょうか。私たちもそのような議論をしました。母子手帳は大変有効な手段なので、書いたほうがいいかどうかということになりますけれども、これこれ これこれとやっていきますと大変なことになりますので、この文言から又は法的脳死判定をしようとする者のセンスとしては、先生のおっしゃることを理解していると理解してこのようになっています。
○佐野委員
 私は小児の心臓血管が専門なので、細かくなるかもしれませんが、現在の医学の常識と異なった項目がいくつか見受けられます。例えば6頁に「年齢不相応の血圧」とありました。収縮期血圧が1歳未満、特に新生児とか乳児早期では、私たちからすれば、60mmHgというのは正常な血圧なのです。現在では、私たちの中では1歳に近い子どもと、新生児というのは全く別に考えます。ですから、このマニュアルはちょっと古いのではないかという気がしています。
○辺見臓器移植対策室長
 ご指摘の部分というのは、このマニュアル自体に書いてありますけれども、既に小児の法的脳死判定について昨年ご議論いただいた際に確定していて、これは省令に記載されている事項ですので、マニュアルとしてはそれを書いているということですので、それ以上の議論はマニュアル作成の上での議論ということではなくて、むしろ逆に別途の脳死判定基準時の議論ということになろうかと思います。
○有賀参考人
 先生がおっしゃるように、医師の集団としてのディスカッションがたくさんのことがあることはよくわかります。いま事務局が答えてくれたのでそれはそれでいいのですけれども、冒頭にご説明いたしましたように、子どもの脳死判定に関するいままでの研究というのがあって、それをベースにしながら小児科の先生方も一緒に入って議論してこのような形になりました。ですから小児の、又は1歳未満の症例が山ほど出てきて、このマニュアルに当てはめると100人のうち80人が駄目だったみたいな話がもし起これば、私は早速これは改定すべきだと思います。未来永劫これがそのまま残るとはとても思っていませんので、当面の出発点としてはこれでいきたいということで、研究代表者としてこのような形で提出してあります。
○辺見臓器移植対策室長
 いま気がつきませんでしたけれども、新生児というお話でしたけれども、そもそも12週未満の場合は対象外になっています。
○有賀参考人
 でも、それよりも後ろでもいまみたいなことはあるのですよという。。。
○佐野委員
 私はこれが日本の移植のマニュアルではなく、脳死判定マニュアルだということになると、話は違うと思うのです。現代医学的にはたぶん違いますよと言っているのです。この脳死判定基準はすこし古いのではないかと思います。概念として、以前は小児というと新生児から小児をすべて小児と言っていましたが、今は小児と、新生児と、未熟児は全く別と思われていて、別の医者がやっているのです。10年前と今とは全然考え方が違いますので、そのように変わっていますということなのです。
○大島委員
 脳死判定マニュアルというのは、公的なのですか。
○宮坂委員
 小児脳死判定基準作成にかかわりましたので一言。残念ながら今の日本では、移植以外の公式な脳死判定はありませんので、佐野先生の懸念はあたらないと思います。
○相川(直)委員
 大変よく検討されていて、これを準拠してこれからマニュアルとするということには基本的に賛成です。細かいところですが、ご説明いただきたいのですけれども、11頁の「小児における電極配置」です。一般の小児にはいろいろな年齢による区分がありますが、1bの図で、「乳児早期」と、「乳児後期〜幼児」と、わかりやすく書いてあります。「乳児早期」は、「乳児後期」に対して、乳児前期を「早期」ということなのでしょうけれども、具体的に何歳とか何か月ということで区別するのか、それとも大体ざっくばらんに乳児を早期と後期に分けて、かつ電極間距離5?がアプライできるかという、両方でもって、どちらでも電極の配置はよろしいのかということを、ここでもご説明いただいておくと、その中間の乳児の早期に当たるか、後期に当たるかの人に関して、どちらをやってもいいのかということはいかがでしょうか。
○有賀参考人
 私がこの件について極めて詳しいわけではないので、脳波学的な観点からのコメントでないことをとりあえず先に告白しておきます。
 ここに書いてある脳波の取り方については、一般的に普段の日常臨床において脳波を取っている。そういう中で取られている形をそのままここに入れ込んで、それをもって所見を読みましょうという話になっています。ですから、法的脳死判定に関してのみ、図1の右側だ、真ん中だ、左側だという形で何かを決めているわけではないのです。先生がこれなのかな、あれなのかなと思ったときに、その該当する子どもが入院して治療している施設において、おそらく何歳だ、何ヶ月だということで、この真ん中だということでやっているのであれば、その真ん中だという話になると思います。そういう意味では、日常的に行われていること以上のことを要求しているわけではない。そういう意味では臨床的に普段どおりやられているということの延長線上に、ここにこれが書かれていると理解していただくといいのではないかと思います。
○宮坂委員
 14頁のペーパーレス脳波計の話なのですが、これは記録ができればいいということだけで、記録しなければならない、というわけではないですね。つまり、原本はデジタルの記録ですよね。
○有賀参考人
 はい。ペーパーレスの脳波計を用いた場合の?のところに、ディスプレイ画面の上でいま言った、いわゆる平坦脳波の判定を行ったとしても、紙に出力して記録するということになっています。これは、臓器提供に至る法的脳死判定をすることについて言えば、ディスプレイの画面上で確認したというのはそれはそれでいいのですけれども、記録として紙に出力して残しておいてくれということが書いてあります。
○宮坂委員
 ですけれども、原本は電子的なものなので、なくてもいいわけですよね。
○有賀参考人
 なくてもいいかと言っても、紙に出してくれと書いてありますので、これは紙に出すのが作法だと理解してください。
○宮坂委員
 そのように記載しているのなら仕方ないですね。
○大島委員
 「脳死とされうる状態」という言葉を、臨床的脳死から変えたという意味合いですけれども、これはあくまで移植医療における脳死判定が必要であるという前提条件についてはもう変わらないということでよろしいですね。この言葉が、ほかの一般診療などに出てくるというような状況ではないですね。
○有賀参考人
 法的脳死判定をした場合に、脳死とされうる状態ということについては、医学的に臓器提供に至らない場合においても、医学的な病態としてはありうると、それはいいわけです。言っていることはわかりますよね。
○大島委員
 はい。
○有賀参考人
 ですから、臨床的脳死というのは、こういうものが臨床的脳死だと言ったときに、前回のルールによると無呼吸テストを外していたわけです。ですから、無呼吸テストをしなくても、この子は脳死だ、この人は脳死だと言うことができてしまったということがあって、私たちの医学会の中で、結構困った状況が起こってしまったということを反省するために、「臨床的脳死」という言葉を使うのはやめましょうということです。
 これは移植の話なのでフライングの発言かもしれませんけれども、脳死をもってその人の死である。つまり法的にその人の人権はそこでストップという形で、その死亡を宣告するということがもしあった場合に、法的脳死判定マニュアルをもし使おうと思えば、文言としては法的脳死判定をした場合に脳死とされうる状態を経て、そして脳死判定に至っているということだという理解です。
○大島委員
 私の理解では、これまでは「通常の診療の中で行われる脳死判定」という言い方がされていました。そういう言葉の中には、実際には、厳密な意味での脳死判定が行われている場合と、「通常の」という言い方の中にどれほどの意味があるかはよくわかりませんが、それがごちゃ混ぜになっているという前提で考えていくべきだろうというお話だと理解してよろしいわけですね。
○有賀参考人
 その件については、いわゆる脳死について、こういう判定のプロセスを経て脳死であるという脳死と、それからいま先生がおっしゃった、こういう判定のプロセスを経ていないけれども主治医が、又は主治医チームとして脳死ですねということを言っている例がある。そういう意味では、脳死の判断についてのダブルスタンダードがあるということになるのだと思います。
○辺見臓器移植対策室長
 現在の「脳死とされうる状態」と「臨床的脳死」の話については、ガイドラインを昨年7月に変えた際に、ガイドライン上の文言として変えているものです。基本的にマニュアルはそれに従っているものだと思います。ガイドライン上、お配りしているペーパーファイルの3つ目のタブの参考資料3がガイドラインです。4頁の第6の1(1)の2行目のところで、「脳死とされうる状態にあると判断」ということは、既に現在のガイドラインに反映されているところです。
 大島先生からご指摘のあった、その他の場合の話ですけれども、6頁のガイドラインの第7の「脳死下での臓器移植にかかわらない一般の脳死判定に関する事項」ということ。これは従来から書いてあった話ですけれども、ここのところの考え方については、ガイドライン上何ら変更はありませんので、脳死下臓器移植の場合と、それ以外の場合というのは、ガイドライン上はこういう形で明確になっているということです。
○山本委員
 全体には非常に細かく、私も賛成なのですが、最後の無呼吸テストのところで、PaCO2が60mmHg以上に超えた場合にはそこで評価は可能だというところで、実際にやっていると35〜45ぐらいのCO2でスタートしていっても、低酸素あるいは低血圧が意外と早く来て、2分、3分ぐらいでガタガタになってくる症例もあります。そのときにデータを見て、CO2が60以上だから、これは無呼吸テストはいいのかなというところが、時間という概念がこの中には入っていないですけれども、そこをどのように考えていったらいいのでしょうか。
○有賀参考人
 先生がおっしゃるような2分ないし3分というのは、一般的に1分間当たり3mmHgが上がっていくとすれば、10分で30ぐらい上がります。そうすると、35は65だという話ですよね。それが2分ないし3分で60を超えてしまうかという話になると、最初の部分がちょっと辛いかなという気がします。万が一そういうことがあったと仮定して、3分後に60を超えていた、だけど2分半ぐらいからかなりダッチロールになっている話があったとしても、ここに書いてあることそのものは、そういう意味では無呼吸テストとしては、それは炭酸ガスを負荷しても、呼吸中枢が刺激されていないと考えていいのではないかと思います。
 ただ、そのときに血圧がほとんどゼロみたいな とてつもない話になっていれば、これはもう血も流れていないのかという話になります。そういう意味では総合的な判断をしなくてはいけないということになると思います。先生のご質問に対してこんな言い方をすると変かもしれませんけれども、それが医学だとしか言いようがないのではないでしょうか。だから、一般的には、1分間で3mmHgぐらい上がったとしても、10分間ぐらいでようやくということになりますので、そんなに早くガタガタになるものに関して言うと、PaCO2はそんなに上がっていないのではないかと思います。上がっていたとすれば、そういう判断です。
○山本委員
 わかりました。そこのところは、実際には10分でないときにも上がるのはあります。
○永井委員長
 ほかによろしいようでしたら、ただいまご議論いただきましたガイドラインについて、報告のとおり改正すると。平成22年度報告書に基づいて、具体的に個々の検査の手法を定めるということで記載したガイドラインの改正案をお認めいただけますか。
(了承)
○永井委員長
 ありがとうございました。このガイドラインを、当委員会としては了承することにいたします。本日の議題はすべて終了いたしましたがほかに何かありますか。
○松原委員
 素朴な疑問なのですが、今回これをいただいて、国民健康保険の裏に書いてシールをしたのですが、意思表示欄がなかったので、「親族優先」ということを書きたいと思ったときにはどうすればよろしいのですか。
○辺見臓器移植対策室長
 いろいろな形で出ているものがあるかと思いますので、会議が終わってから個別にご相談させていただければと思いますが、よろしいでしょうか。
○松原委員
 はい。
○永井委員長
 それでは、事務局から連絡事項をお願いいたします。
○清水臓器移植対策室長補佐
 本日は、活発なご議論をいただきましてありがとうございました。いただいたご意見を踏まえ、法的脳死判定マニュアルの見直しを踏まえたガイドラインの改正を行いたいと思います。次回以降の開催については、委員長とも調整をさせていただいた上で、各委員の日程調整をお願いいたしますのでよろしくお願いいたします。
○永井委員長
 それでは、本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)
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