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2011年9月14日 第1回社会保障給付費の整理に関する検討会議事録

政策統括官付社会保障担当参事官室

○日時

平成23年9月14日(水)15:00〜17:00


○場所

経済産業省別館8階827会議室


○出席者

委員

稲森公嘉委員 岩本康志委員 柏女霊峰委員
勝又幸子委員 金井利之委員 新保美香委員
栃本一三郎委員 林正義委員 山縣然太朗委員
山田篤裕委員

事務局

香取政策統括官(社会保障担当) 武田参事官(社会保障担当)
朝川政策企画官 鈴木政策評価官室長補佐

○議題

(1)社会保障の範囲について
(2)社会保障給付費の範囲について

○配布資料

資料1社会保障給付費の整理に関する検討会 開催要綱(案)
資料2社会保障・税一体改革成案(抄)
資料3社会保障の範囲について
資料4社会保障給付費の範囲について
参考資料

○議事

○武田参事官 
 それでは、時間になりましたので、皆様おそろいでもございますので、ただいまから「第1回社会保障給付費の整理に関する検討会」を開催いたします。委員の皆様には、御多忙のところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。私は、厚生労働省の社会保障担当参事官をしております武田と申します。この検討会の座長が定まるまでの間、進行させていただきたいと思います。
 まず、開催に当たりまして、香取政策統括官からごあいさつを申し上げます。

○香取政策統括官 
 政策統括官の香取でございます。今回は「社会保障給付費の整理に関する検討会」ということで、委員の御就任、誠にありがとうございます。また、本日はご多用中の中、今日は大変暑いですけれども、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 最初にお時間をいただいて、この検討会の設置の背景といいますか、どういうことでこの検討会を開くことになったのかということにつきまして、若干お時間をいただいて御説明をしたいと思います。
 後ほど、会の趣旨の説明を事務方からいたしますが、先般とりまとめました社会保障・税一体改革成案の中で、社会保障給付の全体像及びその費用推計を総合的に整理するということが実は求められております。この検討会は、そういった社会保障の全体像、あるいは社会保障給付の概念、費用推計について議論する前提となります、社会保障給付費の概念でありますとか、内容でありますとか、こういうものを整理することが基本的には直接的なミッションということになります。したがいまして議論としては、あくまで学問的な見地から、あるいは統計実務の見地から、そういった意味ではさまざまなことを他事考慮することなく、客観的な御議論をいただくということになります。
 同時に、一体改革成案という政策的な大きな政府の決定の中で、なぜこういった概念整理をすることが求められることになったのかということについても、若干、議論の前提として御理解をいただくことが必要かと思います。実は一体改革成案の中ではこのように書かれています。「消費税収、国・地方については、今後は制度として確立した年金・医療及び介護の社会保障給付及び少子化に対処するための施策に要する費用に充当することとする」とあります。この医療・年金・介護・少子化の4つの経費につきまして、「社会保障4経費」というふうに命名しております。その上で、今後、税制改正等で行われます消費税の引き上げの後、引き上げ分の消費税収(国・地方の消費税収)については、「社会保障4経費に則った範囲の社会保障給付における国・地方の役割分担に応じて配分する」と書いてございます。
 したがいまして、今回、一体成案で社会保障給付の全体像、あるいはその費用推計の総合的整理がされておりますのは、まさにその整理が、社会保障の充当対象経費であります社会保障4経費の外延とか範囲、どこまでが消費税の対象になるかという議論をする場合のいわば必要な前提といいますか、その議論をするためのプロセスに当たるということになります。更に言えば、社会保障ですとか、社会保障費の概念を議論するためには、その前提となります給付費についての概念範囲というものを、学問的に客観的にきちんと形づくっておくことが必要でございます。
 今日もまた資料で御説明いたしますが、社会保障は、これまでさまざまな政府の報告書、あるいは国際的な統計等で概念整理がされてきたわけでございますけれども、皆保険から今年で50年になります。この間、地方分権、この政権で言いますと「地方主権」ということになりますが、地方主権改革ですとか、規制改革、その他さまざまな制度改正が繰り返されておりまして、その間に、さまざまな主体が制度面でも実務面でも社会保障にかかわるようになってきている。それによって、国・地方、あるいは民間主体、さまざまな主体が社会保障制度の中で、財政面も含めていろんな役割を担うようになってきておりますので、例えば、もともと国の事務として行われていた事務を自治事務で地方に移管する、財源についても一般財源化をするという形で、国と地方のかかわり方も置きかわっておりますし、2000年以降は、民営化によって実施主体そのものを民間に移すといったようなものもございます。
 こういったいろいろな経緯を踏まえて、今回の一体改革を契機に改めて社会保障につきまして、機能面、実施主体、責任主体の面、財政面、さまざまな観点から、これまでの経緯、政府の各審議会の報告、国際統計等々、そういったものを見て網羅的に分析整理して、改めて社会保障の概念、社会保障給付の範囲についてきちんと整理をして、今後の一体改革の議論のベースをつくるというのが、実は今回、この会議を設けまして皆様方に御議論をお願いするということになった趣旨でございます。
 ということで議論自体は、学問的、学究的、客観的に議論するものでありますけれども、そういった今後の議論につながるものとして御議論をお願いするというものでございますので、私どもとしてもできるだけさまざまな形で必要な資料等を御用意して、皆様方の議論に資するようしたいと思っておりますので、是非よろしくお願いいたします。
 少し長くなりましたが、冒頭、私からのごあいさつでございます。

○武田参事官 
 続きまして、御出席をいただいている委員の皆様方を御紹介したいと思います。五十音順で大変恐縮ですが、稲森公嘉京都大学大学院法学研究科准教授でございます。

○稲森委員 
 稲森でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○武田参事官 
 岩本康志東京大学大学院経済学研究科教授でございます。

○岩本委員 
 岩本です。よろしくお願いします。

○武田参事官 
 勝又幸子国立社会保障・人口問題研究所情報調査分析部長でございます。

○勝又委員 
 勝又です。よろしくお願いいたします。

○武田参事官 
 金井利之東京大学公共政策大学院教授でいらっしゃいます。

○金井委員 
 金井です。よろしくお願いします。

○武田参事官 
 新保美香明治学院大学社会学教授でいらっしゃいます。

○新保委員 
 よろしくお願いいたします。

○武田参事官 
 栃本一三郎上智大学総合人間科学部教授でございます。

○栃本委員 
 栃本です。よろしくお願いいたします。

○武田参事官 
 林正義東京大学大学院経済学研究科准教授でございます。

○林委員 
 林です。よろしくお願いします。

○武田参事官 
 山縣然太朗山梨大学大学院医学工学総合研究部教授でいらっしゃいます。

○山縣委員 
 山縣です。よろしくお願いいたします。

○武田参事官 
 山田篤裕慶応義塾大学経済学部准教授でございます。

○山田委員 
 山田です。どうぞよろしくお願いいたします。

○武田参事官 
 また、遠藤弘良東京女子医科大学医学部教授、柏女霊峰淑徳大学総合福祉学部教授、土居丈朗慶応義塾大学経済学部教授にも委員に御就任をいただいております。このうち、柏女委員は遅れて御到着の予定と伺っております。遠藤委員と土居委員は、本日は御欠席というふうにお伺いしております。以上、よろしくお願いいたします。
 続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。政策企画官の朝川でございます。政策評価官室長補佐の鈴木でございます。
 それでは、お手元の資料の確認をお願いしたいと思います。
 まず、お手元の資料1をごらんいただきたいと思います。本検討会の趣旨などにつきまして、簡単に私の方から御説明をさせていただきます。
 趣旨といたしましては、社会保障・税一体改革成案において、社会保障給付の整理が求められていること。その前提として、社会保障給付費の概念や内容について整理することが求められていること。こういったことを背景に、社会保障給付費の概念や内容について議論及び整理をするため、学識経験者にお集まりいただいて検討を行うというのがこの検討会の趣旨でございます。検討事項につきましては、社会保障給付費の集計範囲等について、学術的、統計実務的な観点から御検討をいただくというものでございます。
 構成、運営はここに書いてあるとおりでございますが、本検討会につきましては、この開催要項に沿って運営させていただきたいというふうに私どもは考えておりますが、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○武田参事官 
 それでは、御異論がないようですので、本検討会の運営につきましては、この開催要綱に沿って進めさせていただきたいと思います。
 続いて、開催要綱の3の(3)にありますように、「本検討会に座長を置き、構成員の互選によるところで決定する」となっておりますので、座長についてお諮りをいたしたいと思います。委員の皆様方におかれましては、座長として推薦する方がいらっしゃれば、御発言をいただきたいと思います。いかがでございましょうか。
 山田先生、お願いします。

○山田委員 
 社会保障財政及び医療にお詳しい岩本委員を推薦いたしたいと思います。

○武田参事官 
 ありがとうございます。ほかにどなたか。
 それでは、ただいま御発言がありました岩本委員に座長をお願いしたいと存じますが、いかがでございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

○武田参事官 
 御異論ないようですので、本検討会の座長は岩本委員に決定いたしました。
 これより後の議事の進行は岩本座長にお願いしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

○岩本座長 
 座長を仰せつかりました。ふつつかですが、円滑な議事進行に努めたいと思います。
 それでは、会議を進めさせていただきます。本日は、社会保障の範囲について及び社会保障給付費の範囲について、御議論いただきたいと思います。
 まずは、事務局で何点か資料を用意していただいておりますので、まとめて説明してもらって、説明後に一括して御議論いただきたいと思います。それでは、よろしくお願いします。

○朝川政策企画官 
 資料を順番に御説明いたします。まず、資料2をごらんいただければと思います。冒頭、香取のあいさつの中でも触れておりますが、今回の社会保障・税一体改革の成案の中に、「社会保障費用の推計」という項目がありまして、そこで、社会保障給付にかかる現行の費用推計は、そのベースとなる統計(これが今回御議論いただく社会保障給付費統計です)が基本的に地方単独事業を含んでいない。今後、その全体状況の把握を進め、地方単独事業を含めた社会保障給付の全体像及び費用推計を総合的に整理する、そのように成案の中で記述がございます。こうしたことを背景に御議論をいただくということでございます。
 次に、資料3をお開きいただければと思います。これは、社会保障の範囲について少し整理をしてみたものでございます。1ページ目、さかのぼって、日本国憲法でございますが、25条の2項をごらんいただきますと、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」。ここで社会保障という言葉が出てくるということと、社会福祉、公衆衛生という言葉が出てまいります。その後、比較的戦後すぐに出されております社会保障制度審議会、これはただいまはもうなくなっておりますが、その「25年勧告」というものがございまして、これが社会保障制度の戦後の発展の基本となる勧告でございます。
 その中で、「社会保障制度とは」という部分がございまして、そこを抜粋してございます。「疾病、負傷、分娩、廃疾、死亡云々、その他困窮の原因に対し、保険的方法又は直接公の負担において経済保障の途を講じ」。まず1つ目が、経済保障の途を講じるということです。更に、「生活困窮に陥った者に対しては国家扶助によって最低限度を保障する」。その2つとともに「公衆衛生及び社会福祉の向上を図る」。大きく分けて3つか4つのことが社会保障制度の範囲として掲げられてございます。その上で、「このような生活保障の責任は国家にある。国家はこれに対する綜合的企画をたて、これを政府及び公共団体を通じて民主的能率的に実施しなければならない」、そのような記述になってございます。
 その後、数十年経まして、21世紀を目前にいたしまして、同じ社会保障制度審議会で「95年勧告」というのが出ております。その95年勧告に至る前段としまして、「社会保障将来像委員会第一次報告」というのが平成5年(1993年)に出されております。そこでも社会保障の範囲について改めて整理がされてございますので、御紹介いたしたいと思います。主にアンダーラインのところでございますが、「まず第一に」ということで、「社会保障は、国民の生活の安定が損なわれた場合に、国民にすこやかで安心できる生活を保障する制度である」と書いてございます。その上で、3行目のところで「第二に」ということで、「社会保障は、給付を行うことによって国民の生活を保障する制度である」。更に2行下で「第三に」ということで、「社会保障は、国や地方公共団体の責任として生活保障を行う制度である」、このように書いてございます。
 2段落目のところでそれをまとめて、「社会保障とは」ということで定義づけのようなものがされている。ポイントとしては、一つは、目的が書いてあるということと、更に公的責任で行うということ、更に、生活を支える給付を行うというふうに定義づけられてございます。
 その上で、3段落目は、「具体的には」ということが書いてございます。最後の2行のところでございますが、「社会保障の中心的な給付は所得保障、医療保障及び社会福祉であるが、これらはいずれも社会保険又は社会扶助のどちらかの形態でも行うことができる」と書いてございます。その上で、「以上述べた社会保障の概念には含まれないけれども、社会保障に関連する幾つかの制度がある」と書かれてございまして、3ページ目でございますが、その1つ目が、医療や福祉について、資格制度、人材確保等、給付を行うのではないけれども、社会保障の基盤を形づくる制度がある。公衆衛生などということで例示が挙げられております。
 「第二に」ということで、税制のいろいろな控除、それも社会保障と類似の機能を果たす制度ということで触れられてございます。
 第三のところは、雇用政策一般、住宅政策一般については、社会保障そのものではないけれども、社会保障と深く関連する制度、そのような整理がされてございます。
 それらを概念図的に表にまとめたものが下の表でございます。
 これらから、社会保障は、その機能であるとか主体、そういった観点からとらえることができるけれども、給付を中核としてとらえてきたということが言えるのではないかと思います。
 次に、4ページ目でございます。代表的な社会保障法の教科書を3つほど引用させていただいてございます。まず、堀先生の教科書でございます。その中で、社会保障というのは、次の4つの特徴を共通に有しているということで4つ挙げられてございまして、(1)として「生活困難の状態にある国民に対して行われる制度であること」、(2)として「国民の生活を健やかで安心できるようにする制度であること」、(3)は「生活保障の給付を行う政策・制度であること」、(4)は「公的な責任で行われる制度であること」でございます。その下以下でかみ砕いて書いてございますが、特に1番目のところについて言いますと、最初の行のところで、「生活を脅かすさまざまな事故に直面することがある。その事故によって国民に生活上の困難が生じるが、それに対応するための制度が社会保障である」、そのように記述されてございます。
 次のページをごらんいただきますと、具体的な範囲について書いてございます。アンダーラインのところです。「年金保険、医療保険、介護保険、失業保険、労災、公的扶助、社会福祉、社会手当などは、社会保障に含めることができる。これらのほかに本来の社会保障とはいえないが、社会保障に密接に関連する制度がある」。これは、先ほど見ていただきました将来像委員会の第一次報告とほぼ同じような整理がされているということかと思います。
 その中で、「第1は」というパラグラフの中で、社会保障の基盤を形づくる制度について少し記述がございまして、それらについては、2行目辺りで、医療法、医師法、社会福祉法とか書いてございまして、それらなどがあるということです。更に、伝染病予防対策などの公衆衛生といった制度も、「生命や健康を維持・増進し生活困難に陥るのを予防するため、社会保障と密接に関連する」と書いてございます。公衆衛生などは国民に個別的な給付を行うものではないので、社会保障そのものではないというふうに書いてございますが、ただし、保健指導でありますとか、健康診査とか、そういった国民に対して個別的な給付を行うものは社会保障の範囲に含めることはできるのではないか、そのような記述がございます。
 次に、6ページ目です。あと2つ教科書を挙げてございます。西村先生のものと岩村先生のものです。西村先生のものは書いたそのとおりでございますが、岩村先生のものを見ていただきますと、3の(1)の2つ目のパラグラフでございます。「欧米等で『社会保障』(『社会的保護』)として考えられているのは、個人に対し、これまでの生活を脅かす事由(幾つかの事由が挙げられておりますけれども)が発生した場合に、社会保険料や租税を財源として、国及び地方公共団体、あるいはそれらの監督下にある機関が、財貨や役務等の給付を提供する制度である」と書かれてございます。更に、1950年の勧告、95年の勧告もほぼこれに沿うものといってよい、と書かれてございます。
 更に4行下の辺りですが、「95年勧告で重要視されている保健・医療も要保障事由の発生を前提としない点では、水道等と同じだけれども、医療保険や社会福祉ときわめて密接な関係にある規定を有していることに鑑み、その限りで社会保障に含めておくことにしたい」、そのような記述がございます。
 以上が、社会保障制度審議会の勧告、あるいは代表的な教科書を引用させていただいたものでございまして、それらを踏まえて社会保障の範囲について整理をしてみたものでございますが、まず、機能の面から整理をしてございます。社会保障の持つ機能は、今、見ていただきましたように定義づけしたものは幾つかございます。目的に応じてその範囲は多少異なっているということが見てとれるかと思います。
 まず、25年の制度審の勧告は、経済保障を挙げ、国家扶助を挙げ、公衆衛生と社会福祉の向上、これらを国家の責任として明示しているということでございます。
 一方、ILOの102号条約というものがございます。これは、加盟各国が行うべき社会保障制度の最低基準を示したものでありまして、経済保障の対象となる事由を列挙いたしまして、実施を各国に義務づけている。どういう事由が挙げられているかといいますと、9ページに「参考1」というページがございますけれども、ここに第2部から第10部まで医療給付から始まる9つのものが挙げられてございます。
 7ページの3つ目のマルでございます。各国比較、国際比較をするために、ILOが社会保障費用調査というものを1990年代まで行っておりました。そこにおいては、保健医療や生活保護なども含めた、102号条約よりも広い範囲で、個人のリスクやニーズに対する制度を調査するということになってございます。
 参考のところに書いてございますのは、ILO以外のOECDの社会支出調査というのがあり、若干対象範囲は異なっておりますが、ほぼオーバーラップするような形での対象範囲ということでございます。
 以上が機能の面から見たものでございますが、8ページ目で、主体の面から社会保障の範囲を整理してみると、ということでございます。ここでは、国民経済計算、SNA統計でどういう主体の分類がされているかということを書かせていただいてございます。
 1から7にございますように、中央政府、地方政府、社会保障基金、これら3つをまとめて「一般政府」という概念が立てられてございまして、主に社会保障の範囲をカバーするのはこの一般政府のところかと思います。
 ただし、青い矢印のところで少しコメントしてございますけれども、日本で社会保障の主体となり得るのは、中央政府、地方政府、社会保障基金に加えて、厚生年金基金などの年金基金もある。ILOの統計調査なんかでは年金基金を入れてございますけれども、SNA統計上は4番の金融機関ということで分類されてございます。いずれにいたしましても、1から3のところの一般政府が基本となって、若干プラスアルファがあるということかと思います。
 最後のページですけれども、これも参考でございますが、諸外国の社会保障の定義がどのようになっているかというものを整理したものでございます。大まかに申し上げますと、アメリカ、イギリスは、年金を中心に、所得保障という意味で社会保障という言葉が使われているという特色がございます。フランスは、疾病保険、老齢保障の社会保険を社会保障として指しているということで、それとは別に、社会扶助あるいは社会事業なども含んで「社会的保護」という概念があるということでございます。最後にドイツは、比較的幅広く社会保障の範囲がとらえられていて、社会保険以外にも、社会的援助のようなものも社会保障の中に含めて定義づけられているということのようでございます。
 以上が、資料3「社会保障の範囲について」でございます。
 次に、資料4「社会保障給付費の範囲について」の御説明をさせていただきます。
 まず、1ページ目でございます。既に幾つか出てきておりますが、現在、日本で使用されております社会保障の規模をあらわす指標としましては、幾つかございます。まず1つ目は、先ほどもちょっと出てきましたが、国民経済計算ということで、これは内閣府が推計しているもので、一般的にSNA(国民経済計算体系)に準拠しているというものでございます。この中で「社会給付」という項目がございまして、この辺が社会保障に概ね対応するところかと思います。
 その中で5つに分類分けされておりまして、まずは現金による社会保障給付と、年金基金による社会給付、社会扶助給付、無基金雇用者社会給付、現物社会移転の5つに分類分けされた上で、社会給付というものが、統計上、計上されるという仕組みになってございます。
 次に、社会保障関係費というものがございます。こちらは国の一般会計予算で設定されている概念でございます。範囲としては、年金から始まり、生活保護、社会福祉、保健衛生、労災ということですけれども、社会保障給付費との対比で言いますと、いわゆる給付費以外に施設整備費とか事務費とか、そういったものも含んでいる概念ということでございます。
 その次が、この検討会で主に御議論いただく社会保障給付費というものでございます。次に、社会支出というものがございまして、これも社人研で公表しております社会保障給付費の統計の中で参考として公表しているものでございますが、社会保障給付費がILO基準に基づいて集計しておりますのに対して、こちらはOECD基準に基づいて、毎年、推計・公表しているということでございます。主な違いは、ヘルス(保健)の分野と積極的労働市場政策の分野については管理費を含む、そのような違いが社会保障給付費との対象範囲という違いではございます。  一番下は、社会保障関係総費用というものでございます。これは、制度審があったころに制度審の事務局が集計していたもので、現在は集計は公表されてございませんが、当時、集計していたものとしては、ILO基準よりも対象範囲を広く、給付費以外に施設整備費や事務費を含んだものとして、一番大きいものとして統計上、整理されていたものです。
 ちなみに3ページ目でございますが、社会保障関係総費用、一番広い概念でとらえていた統計ですけれども、そこではどんな区分分けをしていたかというものを表にしてございます。狭義の社会保障として、主立ったもの、社会保険、公的扶助といったものが挙がっておりますが、広義の社会保障として恩給あるいは援護の関係が入って、更に社会保障関連制度ということで住宅雇用対策というものが入ってございます。区分としてはそういうことでございますが、先ほど申し上げましたように、違う切り口としては管理費とか施設費とかを含んでいるものということで、一応御参考までに、当時の総費用を集計したものを次のページにつけさせていただいてございます。
 5ページ目です。本検討会の議論の対象でございます、「社会保障給付費の統計について」でございます。この統計は1950年度に集計を開始いたしまして、ILOの調査基準に準拠して集計が行われてきて、60年にわたって公表されてきております。この社会保障給付費は、ILO基準に基づいて、9つのリスク、ニーズの結果によって生じる困窮であるとか、欠乏の解消を目的とする社会保障制度ということで、現金と現物の給付に限るということになってございます。
 次の段落のところにありますが、行政機関の職員の人件費、管理費、施設整備費は集計の対象ではございますけれども、社会保障の給付費には含まれないという取り扱いになってございます。
 3つ目は、社会保障給付費統計は、国全体の社会保障の規模をあらわすものとしていろんな基礎資料となっているほか、国際比較の基礎的なデータとしても活用されてきたということでございます。
 統計の仕分け方でございますが、まず3部門、「年金、医療、福祉その他」という3つの部門に分けて集計しているのと、それとはまた別に機能に着目して、9つの機能ということで、「高齢、遺族、障害、労働災害、保健医療、家族、失業、住宅、生活保護その他」、この九つの機能ごとに集計をしてございます。
 ちなみに、地方自治体が地方単独で行っているような事業についても、ILO基準に合致するものであれば、この社会保障給付費から本来除外されるものではないと考えられますけれども、現在の取り扱いとしては、国内の統計資料上の制約から基本的には統計に含まれてございません。一部例外的に公立保育所の運営費は、過去に一般財源化した経緯を踏まえて推計で計上されてございます。
 それでは、社会保障給付費のもとになっているもの、基準として準拠しているものとして、ILOの社会保障費用調査の定義を挙げさせていただいております。直近で行われたのが1997年でございます。そこでは3つの基準が示されてございまして、まず、機能性に着目したものとして、9つのリスク、ニーズが挙げられております。これは先ほど見ていただいたものでございます。
 2つ目は、給付の根拠について、制度が法令によって定められ、それによって公的、準公的、独立の機関に特定の権利が付与されるか、あるいは責任が課されるものであるということ。こういう基準が設けられてございます。
 最後に、主体については、これも制度が法令によって定められた公的、準公的、独立の機関によって管理されているということ。あるいは、法的に定められた責務の実行を委任された民間の機関であるということ。こういった基準が設けられております。
 次のページは、9つのリスク、ニーズについてそれぞれ解説をしたものでございますので、ごらんいただきまして、8ページ目でございます。ここで「給付」と出てきますけれども、この給付についてはILOの基準上、更には社会保障の給付費統計上、まず、現金給付と現物給付に大きく区分されるということ。更に給付については、ILOのマニュアル上では、給付が直接的に個人に帰属するものでなければ当該給付は社会保障給付費とは言えない、そのような解説がございます。参考までに、原文を四角の箱囲みのところで書かせていただいてございます。これは現物給付について解説しているところでございます。給付費については、現金と現物に分かれて個人に帰着するということですけれども、それ以外の管理費、施設整備費も統計上はとるということになっていまして、ただ、社会保障給付費の給付費には入らないという整理がされてございます。
 9ページ目は、先ほどのILO基準に3基準あると申し上げた、2つ目の給付の根拠についての基準でございます。「制度が法令によって定められ」云々というところです。原文を見ていただきますと、「They must have been set up by legislation which attributes specified right to」云々とあります。legislationとあって、便宜上、「法令」と訳させていただいております。コメ印のところにございますが、給付を根拠づけているものについて考えてみますと、幾つかの類型分けがされるかと思います。
 まず、一つの切り口としてありますのは、このlegislationのところですが、法律に基づいて給付の根拠があるもの、あるいは、それ以外の根拠でやっているものという区分けができるかと思います。更に法律に何らかの位置づけがあったとしても、実施が義務づけられているもの、あるいは努力義務になっているもの、「できる規定」になっているもの、そういう根拠についても濃度が若干あるということでございます。更に費用負担に着目しますと、義務的な性質の強い負担金のようなものもあれば、もう少し緩やかな補助金のようなものもある、そのような幾つか根拠に着目しますと類型分けができるということでございます。
 最後に、ILO基準の3つ目の基準である「主体」でございますが、こちらも英文を参考までに挙げさせていただいております。ここでは基準で、民間であっても法的に責務の実行を委任された場合は対象範囲に入るということが書いてございまして、コメ印のところですが、私どもの日本の社会保障給付費統計では、主体として、国・地方公共団体以外に、独立行政法人、健保組合、厚生年金基金、そういったものも含めているということでございます。
 11ページ目は参考でございますが、今のようなILOの3基準に基づきますと、どのようなものが具体的に入るのかというものをILO自身が示してございます。幾つか見ていただきますと、まず最初に挙がっておりますのは、強制加入の社会保険、あるいは任意加入の社会保険。ただし、これは先ほどの3つの基準がかかりますので、任意加入の社会保険であっても法令上の位置づけがされているようなものが入ってくることになります。2つ目は共済、3つ目は労災、4つ目は家族給付、日本で言いますと子ども手当など。5つ目は失業給付、その次は生活保護給付、それ以外にユニバーサルな非拠出型の制度、要するに保険制度でないユニバーサルなものというものであるとか、あるいは国家による医療保健サービス、あるいは保険組合によって提供される医療保険サービスといったものが具体的には入ってくるということになってございます。
 最後の1枚は、入らないものについても例示がされております。例えば個人保険であるとか、互助組合のようなもの、チャリティーのようなもの、私的な援助であるとか、そういったものは入りませんということが示されております。更に、各制度における管理費については給付には含まれない、そのような整理がされております。
 長くなりましたが、説明は以上でございます。

○岩本座長 
 それでは、ただいま御説明のあった資料に関しまして、ディスカッションをしていきたいと思います。今日は初回ですので、幅広に検討会のミッションなりを理解していくということから、御意見、御質問がありましたら、どなたからでも御自由に御発言ください。
 それでは、委員の皆様がお考えをまとめている間に、座長の特権で私が最初に、検討会の性格にかかわる話として一つお伺いしたいと思います。この検討会の題にあります社会保障給付費というものと、先ほどの資料にありました、現在、国立社会保障・人口問題研究所で作成されている社会保障給付費というのは、同じものとして理解していいのかどうか。社会保障と税の一体改革の議論の中でどのように理解されているのかということを、ちょっと確認しておきたいと思います。
 なぜこういう質問をしたかと言いますと、一体改革は政策の議論として進められていて、政策として、消費税を充てる社会保障の範囲をはっきりさせたいというニーズがあって、これは本検討会の目的にもなっていると思いますけれども、社人研がつくっている社会保障給付費というのは統計でありまして、これはそのまま統計のニーズに沿ってつくられている。政策と統計のニーズは必ずしも完全に合致するものではないということが一般にありますので、そこのところを一緒のものとして一体改革を理解されて進められているのか。それとも、それが分かれるということがあり得るのか。社会保障給付費を一旦括弧に入れておいて、分かれるという考え方があり得るのかということについて、まず、私の方から質問したいのですけれども。

○香取政策統括官 
 今の御質問については、2つ、論点があると思っております。先ほど、今の社会保障給付費の統計についての説明の中でもありましたように、例えばもともと国の制度があって、国費と地方負担、あるいは国費と保険料といったもので構成されて給付されている事業があった。さまざまな制度改正によって、例えば実施主体が動く、あるいは財源構成が変わるということが起きた場合に、制度の性格、当該制度の機能、給付の性格が変わっていないのに、主体が変わったり財源構成が変わることによって、統計から脱漏していくといったことが過去に何回か起こっております。
 先ほどちょっとお話ししましたように、公的保育所、公立保育所の保育の費用についてはもともと国庫負担が2分の1入っていた。児童福祉法に基づいて行っている事業であるということは当然入っていたわけですが、一般財源化したときに、統計から計上されなくなったということがあります。公立保育所については、事後的に議論しまして、今、推計で入れているわけですけれども、こういった形で制度が動くことによって、今の社会保障給付費の統計自体が、本来の概念上言われている社会保障給付費を正確に反映している形になっているのかどうなのか、という議論が一つあるということでございます。
 もう一つは、冒頭に御説明しましたが、今回の一体改革で消費税の対象がどこになるのかというのは、最終的には今の税法104条なり、今度つくられる税法、諸費用の改正の中で議論されることになるわけですけれども、その前提として、基本的には社会保障に充てる、あるいは給付に充てるということが議論されていますので、いわば社会保障の外延であるとか、給付という概念をどのように考えるかということが問題になる。それは、先ほどの社会保障給付の統計を議論するときの前提となっている制度の理解であるとか、給付の概念整理であるとか、あるいは主体についてどう考えるかというところといわば共通の論点になる。
 その意味で言いますと、ここで行っていただく議論が、そのまま直接、最終的な政治判断の議論につながるわけではないんですけれども、一応ベースになっているファクト、統計概念上どういう整理がされていて、その前提となっている社会保障や給付の概念がどうなっているかということを、もう一度きちんと整理をしておく必要があるのではないか。そうしませんと、あるものがポンと出てきたときに、これはそもそも社会保障の概念に入るのか、入らないのか、これは給付と言えるのか、言えないのか、結局そういう話に最後はなってしまうので、個別の政策的な判断で議論する前提として、ちゃんとした学究的なというか、アカデミックな整理をきちんとして、共通の議論の土台をつくっていく必要があるということでございます。

○岩本座長 
 今の御回答を聞いた印象ですけれども、基本的には統計の議論であるのかなというふうに感じました。最初の論点というのはあくまでもこれは統計の問題であって、社会保障給付費という統計が、本来把握すべきものが、地方の支出に関してデータがとれていないので現在のところ計上されていない。あるいは、これまで国の事業だったのが計上されていたものが、計上されなくなったという統計の質にかかわる問題で、直接的に統計の問題だというふうに考えられます。
 2つ目の論点は、政策の議論の前提として社会保障給付費の概念の整理ということですから、あくまでも統計の部分であって、政策そのものに余り入らないという理解でよろしいでしょうか。

○香取政策統括官 
 はい。

○岩本座長 
 それでは、皆様から何かございますでしょうか。

○林委員 
 資料への質問ということで幾つかあるんですけれども、資料3の日本国憲法のところです。日本国憲法はつくったアメリカの英文があると思いますけれども、社会福祉、社会保障、公衆衛生、これは原文、というと言い方はおかしいですけれども、起草者の方の概念としてはどういう言葉が使われているのか。もしくは、日本で邦語訳する段階で入ってきた言葉か、その辺のもとの発想ですね。憲法ができてからかなり時間がたっているので、社会保障の概念も時代が変われば変わると思いますけれども、その辺はどうなのかなというところです。
 言葉の問題ですが、社会保障給付費の範囲について、資料4、ILOの基準のところで英訳が出ていました。「給付」のところで8ページですが、英文と日本語が対応していないのがちょっと気になっています。英文は単にIn-kind benefitsの定義になっていますが、上の方は現物給付と現金給付両方と文脈からは読めるのですけれども、下の英語訳のところは単にIn-kind benefitsだけに定義されているのが気になります。
 それと、次の9ページです。ここで主語が「They」になっていますが、Theyというのは具体的に何を指しているのかを、お伺いしたいと思っています。次のページも同じで、Theyがまた出てきています。
 とりあえず簡単なところはこの3つで、また追々、質問します。

○朝川政策企画官 
 ちょっと不十分だと思いますが、わかる範囲で申し上げますと、まず、憲法の25条の2項の英文については、今、手元に英文そのものはございませんが、私が過去少し読んだ論文で見ますと、当初は社会保障という言葉ではなく、生活保障というような言葉があって、それが国会だったかと思いますけれども、議論をされていく過程で社会保障という言葉が使われたという経緯がある、というようなものを読んだことがございます。恐らく経済的な保障といったものが、ここの社会保障という言葉では中心的に念頭に置かれていたのではないかと思いますが、英文については少し調べさせていただきます。
 資料4の8ページ目の「給付」のところでございます。引用の仕方、日本語の表記の仕方が粗っぽくて申し訳ございませんけれども、この前段に現金給付のことが書いてございまして、その後に英文で「In-kind benefits」云々という定義らしきものが書いてある。したがって、ここは現物給付の説明をしている部分でございます。日本語でそこを現物給付とせずに単に給付と書いてしまったのは、現金給付は言わずもがなで直接的に個人に帰着するものなので、そこをあえてILOも触れることなく、現物給付については少し明確にしておく必要があるから、こういうことが書かれているものと読みましたので、「給付」ということで書かせていただいてございます。

○鈴木補佐 
 この3基準は制度、こういう制度があります。英語では制度というか、もっと大きいinstitutionsという言い方をしているんですけれども、それの定義づけをしているもので、Theyというのは、こういう制度であり、こういう仕組みがこれに合致するものは還付しますということなので、Theyというのは、そのまま引用すればinstitutionsを指す。制度を指すということになっているかと思います。

○栃本委員 
 憲法25条第2項の社会保障の部分は、日本語では、social welfareとsocial securityというように書いてあるように思うんですけれども、そうは書いていなくて、「social welfare and security」。socialという言葉が、welfareとsecurityの両方にかかっているんです。したがって、昭和25年の制度審勧告の概念とそごが生ずるという形になっています。その経緯については、通常、25年勧告で社会保障の体系が決まって何とかだという部分での引用がすごく多いけれども、原文を見てみると、あの25年勧告の時点で、今後できるだけ早い時期に社会保障省をつくらなければいけないとか書いてあるんですよ、というぐらいのもので、実は制度審勧告での書きぶりというのは憲法上の第2項の関係があるので、それとうまく帳尻合わせをしなければいけないという部分があって、かなり工夫して書いてある部分があるんです。
 25年の第2項は、少なくとも原案のもともとの英文というのは、social welfare and social securityではなくて、socialが2つにつながって、「social welfare and security」。そうでないと、通常の25年勧告の社会保障の体系と、社会保障をどうするか、公的扶助と国家扶助との関係が整理がつかないですね。だから、そういう関係になっているということです。だから、第2項の方のsocial welfareというのは、制度的なというか、福祉六法とかそういう感覚でのsocial welfareではないんです。もう一つ、その後のsocial securityというのも、イギリス流の所得保障を中心とした形では書いてないんです。
 ちなみに、フランスを中心として御研究をされている先生もこの中にはすごくいらっしゃると思うので、私が言うのもあれだし、事務局でも説明がありましたけれども、上位概念として社会的保護というのが来るような国もあれば、先ほどの社会保障給付費という概念と、社会保障ということも、漢字の社会保障を使うと全然違った概念になっていて、すごく変な感じになっている。それらを整理するために、かつて社会保障制度審議会がなくなる数年前に、フランスとイギリスとドイツとアメリカとカナダ、各国のsocial policyだな。social policyになると、これも釈迦に説法ですけれども、かなり広いわけです。教育と雇用、日本で言う関連施策とか、そういうのも入るとか、そういうものの一括した比較をかなり集中的に検討した資料があるんです。資料面はそういう検討会資料だという名称になっていない。
 だから、普通はだれも気がつかない資料としてありまして、それを見ると非常によく整理されています。フランスの上位概念、つまり制度としてではなく、もっと上位概念としての社会的保障、その下に来ているものとか、ドイツにおける「soziale sicherheit」というのがあるけれども、その上のものとかね。あともう一つ、ドイツの場合は「sozialgesetzbuch」とあって、憲法と言わないで社会基本法なんです。憲法というのは、東西ドイツが一緒になったときに憲法という名詞を使うということになっていて、いまだに基本法なんです。基本法の下に「社会法典」というのがあるんです。社会法典の中に全部おさまっているのが、日本で言う社会保障の範囲というか、社会政策の範囲なんです。それらを整理したものがあります。なかなか手に入らないものではあるし、検索をかけても出てこない資料として、かつて制度審の仕事としてすごくいい仕事をされていたころのものとして、各国のものがありますので、それなども見るとだいぶ違うと思います。
 質問というか、勝又先生に教えていただきたいというか、この会議に出ているのにそんなことを尋ねるのもあれなんですけれども、先ほどの地方分のことなんだけれども、社会保障経費の推計をするときに、いわゆる地方交付税交付金の方に行った形で幾つか類型があるじゃないですか。社会福祉関係の義務的支出の何とかとか、生活保護費関係とか、あれの部分の推計というのはどういう形でやっているのですか。初歩的なことで誠に申し訳ない。

(柏女委員着席)

○鈴木補佐 
 私の答えが不十分であれば御訂正いただければと思いますけれども、まず、基本的には支出の面がありまして、財源というのはその後に出てくるわけです。例えば生活保護で言えば、生活保護給付費というのがまずありまして、生活保護の給付費がトータルで幾らという形で出てくる。それを後で財源に分割する必要があるわけですけれども、給付がどこから出てくるかという形で、ものによっては、例えば年金であれば、収支表という形で両方ともはっきり出てくるわけですが、必ずしもはっきり出てこない部分もあります。ただ、そこは法律で財源構成が決まっている。生活保護であれば、例えば4分の1はここから、4分の1はここから、というのが決まっておりますので、まず支出面で給付費の総枠自体を制度別に決めて、それは完全に集計できる。それを後で財源別に分割していく。それは、例えば何とか町が生活保護で幾ら支出しましたというのを積み上げているわけではないんです。それは、総額から決まっている割合である程度割り出していくという形なので、給付費を積み上げていって、財源はそれをもとに出していくという形になるかと思います。

○栃本委員 
 本当に大学1、2年生ぐらいのレベルの話で申し訳ないけれども、そうすると、先ほどの図式の中で、一般会計歳入・歳出予算の部分で、社会保障関係費みたいな形でいろんな関連するものとしてなったじゃないですか。国レベルでは、そういう組立で社会保障関連費という形で、その中に福祉も入っているというけれども、それはある意味では微々たるもので、実際は交付税交付金の中の流れの方に、いわゆる狭義の社会福祉というか、そういうものが入っているわけですね。そういう形で推定していくというのではないけれども、その部分というのは全部、従来から社会保障給付費では入っていたということになるんですか。

○鈴木補佐 
 制度として、先ほどの例でいくと、生活保護であるとか、そういうような形ではっきりと枠組みが決まっているものに関しては、入っている。それは当然、国が出しているもの、もしくは直接地方が出しているものしか入らないというのではなくて、それは今でも地方が出している分についても、はっきりわかる部分、と言うとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、枠組みが法律でしっかり決まっている部分についてはきちんと入っている。
 ただ、例えば参考資料の7ページをごらんいただくと、地方自体、例えば民生費でありますとか、衛生費でありますとか出しておいて、それが全部入っているかというとそうではないわけです。その中には、先ほど申し上げたような国としての枠組みとしてしっかり決まっているものもあれば、各自治体がまちまちでやっているものもあるので、ある意味、入っているものもあれば、今、入っていないものもある。

○栃本委員 
 まちまちといっても、生活保護みたいなものはバシッとしているけれども、単に県単とか市単とか、市の単独事業としてやっているのではなくても、ある種まちまちというか、一般財源化した場合にはまちまちになるものがありますね。その分は入っていないということですか。

○鈴木補佐 
 はい。

○栃本委員 
 わかりました。以上です。

○岩本座長 
 勝又委員、何か補足はありますか。

○勝又委員 
 結構です。

○岩本座長 
 栃本委員の質問に関連して、何が起こっているかというと、統計を国が集めている形ですけれども、集められるものは入っている。法令の決まりだけではなく、実際に何らかの形で国の方に情報が数字として集まったものは計上されている。社会保障費の概念になったもので計上されているけれども、そういう形で集まっていないものは技術的に集まっていないので、計上のしようがないというのが現状であって、それで社会保障給付費が現在つくられていて、その資料をもとに一体改革で議論がされている。それに入っていないけれども社会保障に相当するものがあるのではないか、ということで数字がだいぶ出てきて、それで一体改革の議論があるというふうに考えております。
 そうすると、その部分も把握した方が本来はいいわけなんだけれども、今までは技術的なことでできていなかったということなので、今後、それを把握していくという方に政府としても動いていただけるのだろうと。統計の整備という観点から見るとそういうふうにとらえていまして、それが具体的にいろいろと挙がってきたときに、こちらのILOの基準に入るのか、入らないのかということは、今まできちんと検討はされていなかった話であろうと思いますので、その部分の検討は、この場でやるべきことなのかどうかということ。やるとすれば、そういったものは具体的にものがないとなかなか議論に身が入らないといいますか、きちんと提言ができない。抽象的にやっていますと、どうしても空中戦みたいな議論になってしまうかと思いますので、そういった議論が入るということでありましたら、今後、資料を出していただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
 では、金井委員、続けてどうぞ。

○金井委員 
 今の座長のお話にありましたように、よく全体像がつかめていないので、資料をお願いできればと思うのです。資料2で、基本的に地方単独事業は含まれていないことがポイントだと。しかし、普通会計決算では、社会保障風のものが勿論統計はちゃんとあるわけですけれども、この区分けの考え方をちょっと教えてもらいたいのです。自治体がやっている事務には2系統ありまして、一つは、財源構成ではなく、法定されている義務づけ、枠づけの面です。規律密度の程度にもよりますけれども、完全に100%一般財源であっても義務づけられているというタイプの社会保障に関係ありそうなもの、というのがあると思うんです。もう一つは、法的には義務づけられていないけれども、補助・負担金が入る。負担金が入るということはないと思いますが、補助金が入るということなんですけれども、日本における現在の社会保障給付に関する推計なるものは、法的な義務の方ではなく、要は国の補助事業が入っているかどうかというのをベースに考えてきた。ところが、保育所関係を一般財源化したら、それでは抜けてしまったから困ったというような感じなのかどうなのか。
 ただ、保育所の方は公的な根拠がありますから、むしろ立法としては義務づけられているので、財源構成とか関係なく、法的任務の有無から考える方がむしろ筋である。単独事業だけではなくて補助事業でも、補助事業は義務ではないものならば、厳格に考えると責任はない。やってもやらなくてもいい。そうすると、補助事業を社会保障給付推計に入れるという理由もよくわからない。ということなので、そこら辺の考え方は今までどういうふうに来ていたのか。どうも伺っていると、いままでは、国の金が入っているということが、社会保障給付推計の対象として網をかけるメルクマールになってきたのかどうかということですね。これは会計検査の発想はまさにそうです。国の金が入っているかどうか。地方財政計画を考える場合の一般行政経費の積算方法も、明らかに国の補助が入っているか、入っていないかが仕分けになっている。しかし、国の補助が入っていなくても、地方財政計画の推計には入る。
 ところが、本当にそうなのかなと。補助というのは、あくまでやらなくていいということなので、やめたければやめていい。社会保障の給付というのは、やめたければやめていいというようなものではなく、もっとしっかりしたものの統計をとってほしかったのではないかという気もする。保育所の方が一般財源になったからといってやめていいと言った覚えはないというふうになると、当然、給付として残るという発想は非常によくわかるのですが、今までの考え方というのがどうなっていたのか。基本的に地方単独事業を含んでおらずということは、原則として補助事業を含んでいるという趣旨だろうとは思いますけれども、そこら辺の何が入っていて、何が入っていないのか、資料としてわかるとありがたいというのが1点目のお願いです。
 2点目は、先ほど統括官がおっしゃられた、基本的には統計ベースの話で政策ベースでないということになりますね。統計の司令塔ができたということは伺っているんですけれども、統計委員会ができたと。統計についてはちゃんと経済学者が中心になってビシッとやるということを、2000年代の初めにやったらしいということは伺っているのですが、結局、一体それはどうなったのか。統計に対する司令塔がないままこういうことが厚生労働省の方にふってきているのか、一体何なのか。統計の司令塔は何を考えているのかということについて教えていただきたい。あるいは純粋に考えて、政策マターでなければ、統計委員会の方でちゃんと考えろということだと思いますけれども、それがどうもそうではない。要は政策に引きずられているからだと思うのです。そこら辺の考え方が一体どうなっているのかというのを教えていただければと思います。

○香取政策統括官 
 後段の方は。

○岩本座長 
 私がやります。

○香取政策統括官 
 前段の方で申し上げると、給付費統計もそうですし、政府がやる社会保障の給付費が幾らとか、社会保障費が幾らとやるときの考え方は、おっしゃるように、基本的にまず制度として確立しているもの、それは法令の根拠となるものということが基本で、日本の場合には、例えば保育所の一般財源化みたいなことが起こる前は、国が制度としてきちんと実施を義務づけて、かつ、一切財政措置をしないというものは恐らくほとんどなかったので、いわばきちんと制度上根拠があるもので、自治体、健保組合を含め、あるいは直轄でやる場合もありますが、一般政府のその他の主体に義務づけて行わせているもので、いわば国庫が入っていないものというのは恐らくなかったのだろうと。先ほどの制度審の勧告とかをずっと見ていっても、基本的には社会保障制度というのは、制度設計も含めて国の責任でやるというのが基本の考え方になっていたので、基本的にはそういう統計のとり方をしているのだと思います。
 ですから、社会保障給付費というのは一つは制度上の根拠があるということと、もう一つは、文字通り給付である、いう2つの切り口で、給付というのはまさに権利として個別性のある形で給付が行われて、相手方に受給権が発生しているものという考え方で整理しているのだと思います。
 実際に統計を見ていくと、いわゆる予算補助でやっているものとか、補正で基金をポンと積んで、最近そういうのがありますけれども、あの手の単発ものみたいなものは、通常、統計上は入っていない。ただ、一部、奨励的なものでも、事実上、すべての市町村で実施されているとか、ずっと恒常的にやられているものは、統計上入っているということはあるようです。その辺の話は、先ほどの資料4の9ページ、legislationの話で、法令により定められるというのが、義務規定のもの、努力規定のもの、できる規定のもの、予算措置でやっているもの、条例の根拠のもの、地方自治体の予算でやっているもの、それぞれのレベルがあって、それによってどういうふうに考えればいいのかということを、もう一度整理する必要があるということはあると思っています。
 地方の行うさまざまな事業との関係で言いますと、ざっくばらんに申し上げますと、先ほどの参考資料の7ページに地方の普通会計決算の歳出があります。この中に民生費あるいは衛生費という概念があり、それの歳出について、次のページにグラフがありますけれども、民生費あるいは衛生費、社会福祉と言ってもいいですが、そういう歳出、自治体の側の歳出という切り口で見たときに、それぞれの歳出がいわゆる社会保障給付費の定義上、社会保障給付になるのか、ならないのかといういわば当てはめは恐らくしたことはないのだと思います。そうすると、地方自治体の歳出の中には、社会保障の概念上、それが社会保障の歳出と言えるもの言えないもの、給付と言えるもの言えないもの、あるいは法令上の根拠のあるものないもの、さまざまなものが混ざっているということになるのだろうと思います。
 今回の議論は、文字通り社会保障給付として位置づけられるものがあるのではないか。そこをきちんと整理させようということで、総務省さんは、地方のやっている単独事業その他、歳出について、それぞれの歳出の性格であるとか、根拠づけであるとか、どのような項目のものを出しているかということをお調べになっていらっしゃいまして、それとこちらの方で議論する概念整理と当てはめて、少し役所の中で議論するということをこれからやらないといけない。先ほど、いろんな議論のベースの前提になると申し上げたのは、それぞれの役所がやっている作業のベースになるものを、厚生労働省側としてきちんと作業したいということでございます。

○金井委員 
 つまり、総務省とけんかするためのベースになるという、そういう理解なんですか。それならよくわかるのですが。

○香取政策統括官 
 余りけんかをするつもりはないのですが、申し上げたように、一般財源と言った瞬間に、社会保障給付が2,000億とか3,000億とか、抜け落ちるということが現実に起こって、やはりそれはおかしい。今までの議論の整理だと、社会保障制度、当初はそれでよかったのかもしれませんが、制度を動かして一般財源化したり民営化したりする中で、やはり現実にとっている数字と概念とが一致していないということが起こってきていることは、我々も問題意識を持っていましたので、この際、きちんと整理をしたいということは勿論あります。

○岩本座長 
 それでは、後半の金井委員の御質問、統計改革では何をしていたのかということにつきまして、座長ではなく、統計委員会の現在の国民経済計算部会の委員と、統計改革の方では統計の基本計画をまとめるときのワーキンググループでかかわっておりましたので、その辺り、私の知る限りで何をしていたのかということを御説明したいと思います。ただ、統計改革の方では、私は国民経済計算を議論する、第2ワーキンググループというところにおりまして、社会保障統計は第3ワーキンググループでしたので、直接そちらのワーキンググループには入っておりませんでした。このことを断っておきます。
 今日の資料は、憲法から始まっているわけですけれども、憲法で体系化しようとすると、条文が難しいということで、社会保障制度審議会がいろいろと苦労をしていて、社会保障関係総費用という統計をつくっておりましたけれども、これは社会保障制度審議会がなくなるとともに断絶しているということでございます。その後に資料4は社会保障給付費の説明が続くんですけれども、こちらはILOの基準でつくられているというわけですから、これは国際機関が設けた基準なので、日本の憲法からスタートしているわけではないわけです。これは、国際比較可能にするために国際機関が非常に抽象的な形で基準を設定して、それを各国に当てはめて、各国で判断して統計をつくることによって、国際比較をできるようにということでつくられた統計でありまして、これは昔からあったということで、現在も継続しているということになりますので、統計の性格を御理解いただければと思います。
 そして、この統計をめぐって統計委員会の方でも議論がありましたけれども、社会保障給付費で問題とされたのは、ILOの調査自体が既にだいぶ前に断絶しておりまして、現在、ILOは統計を集めておりません。ですから、日本がいくら統計をつくっても国際比較はできないという状況になっているということで、国際比較の観点から、社会保障費の統計につきましては改善が望まれるのではないかというのが、いろいろな論点がありましたけれども、大きな論点として挙がっておりました。
 現在、国際機関が基準を設定している社会保障に関係する統計がどうなっているのかということは、参考資料の最後の9ページに挙げられております。国際基準につきましては、社会保障は非常にややこしい状態になっております。これを、関連する一番下に書いています、「System of Health Accounts(SHA:医療費の統計)」と比べてみるとよくわかるんですけれども、SHAというのは、基準はOECDが設定しております。それと同時に、先進国の統計というのは、大体OECDとEUの統計局でありますEurostatが、同時に調査して集めるということをよくやっておりまして、SHAは、そういう形で両機関がOECDとEUの加盟国について調査を行っております。同時にWHOも、この体系を使って各国に調査票を送って統計を集めるということで、世界でSHAが国際基準として使われるという状態です。医療費に関しては、現在、単一の国際基準があると理解していただいてよろしいと思います。
 ところが、社会保障の場合は、そこに2つ列挙されておりますけれども、ESSPROSというEUがつくっている統計と、OECDが基準を設定しているSOCXという2つの統計が並立しているという形であります。非常に似ている統計なんですけれども、微妙に違うという関係にあるということです。日本はOECDに加盟していますけれども、EUには加盟しておりませんので、SOCXの統計はつくっておりますけれども、ESSPROSの統計はないという状況であります。
 そうすれば、ILOからSOCXに乗りかえればいいのかというと、必ずしも一概にはそうは言えなくて、SOCXというのは支出の部分の統計しかございません。現在、ILO基準の社会保障給付費というのは、費用だけではなくて財源の方の統計もありまして、財源と費用と両方を把握できるという特色が、もしSOCXに完全に移行してしまうと、失われてしまうという問題があるということです。しかしながら、OECDとの比較という面ではSOCXも有用でありまして、現在の社会保障費・人口問題研究所の方では、社会保障給付費を発表するときに同時に社会支出の統計も出しているということで、ユーザーはどんどん増えている状態である。現在、SOCXと社会保障給付費の関係を明確にして、なおかつSNAの関係も明確にするように統計委員会の方としては求めて、それについて検討会が社人研の方で開催されまして、少し前に報告書をまとめたということであります。私も委員で参加しておりまして、勝又委員が事務局を務めていたということであります。
 方向性としては、現在のところ、その関連についてもう少しドキュメントをしっかりさせるということと、しばらくはこの2つ、SOCXとILO基準の社会保障給付費が並立して続けられるという形になるというのが、大まかな国際比較の可能性を高めるという点から進める作業ということにしております。
 同時に、社会保障給付費についてはかねがね問題にされていて、既に話も出ました、地方で単独事業とかに変わってしまうと統計がとれなくなってしまうという問題。これは技術的な問題でありますので、この部分に関しては、国がいかに地方の財政の統計を集めるかということで、社会保障に限らず、地方財政さまざまな項目について同じような問題が生じております。これはSNA、国民経済計算の方で、制度支出を細かく分類して出すということが求められておりまして、それが現在、SNAの方では地方財政状況調査という、総務省の統計調査に依拠しておりますけれども、これでは十分資料がとれないということで、どうしたらいいのかということが検討されていますが、これは統計の方のニーズに合った形で、何らかの形で調査をしてデータを集めるということをしなければ、統計としては充実しないだろうというのが基本的な方向性だと思います。
 こちらの方でも同じような形式で、社会保障給付費の方に入るのが適当だと思われるものに関しては、何らかの形で総務省の協力も得てそういったデータを集めていくのが方向性ではないか、そういう議論があったということであります。
 私のとらえ方ですので、不十分な点があるかもしれませんが、勝又委員、何か御意見がありましたら、どうぞ。

○勝又委員 
 今、座長がおっしゃったとおりでございますけれども、社会保障給付費を集めるに当たって、今まで地方単独事業が含まれていないというのは、極めて技術的な問題というふうに考えておりましたけれども、先ほどからお話がありますように、制度自体が地方交付税化されてきたというのがこの20年ぐらいの傾向で、それによって、非常に福祉関係の支出について重要な議論がされているのにそこをカバーできていないという問題は認識しておりました。ですから、技術的な問題であると同時に、これをもって政策議論をしていただくには、やはりもう少しこちらの方を充実していく必要があるというふうに感じております。

○岩本座長 
 林委員、どうぞ。

○林委員 
 さっきの地方の件です。SNA統計の中に、社会扶助給付が7兆円ぐらいあると思いますが、それに関してちょっと調べたら、地方財政の決算状況調べの扶助費という項目があって、そこに基づいて推計をしているとのことです。具体的にそのままの数値を使っているかどうかは知らないですけれども、地方財政の歳出のデータとしては、目的別と性質別に分かれおり、これら2つのクロス表は実際に総務省のホームページからはダウンロードできないんですけれども、地方歳出には「扶助費」という項目が存在するということです。
 それから、国際比較の点でちょっと不思議に思っているところがあります。先ほど、legislation云々という議論があったのですけれども、それに関連して5年くらい前に私が係わった某庁の研究所で調べてもらった資料があります。それによると、例えばノルウェーの生活保護は地方の一般財源に基づいている。1998年以前は、一応国はガイドラインを示していたんですけれども、地方には基準を守る義務はなく、バラバラにやっていた。98年以降は変わったようですが、それ以前はバラバラで、国のガイドラインに従っているのは約45%、給付額の平均もガイドラインよりも6%低いという状況だったそうです。この場合、日本だと社会保障給付費に含まれないということになるわけですね。だから、国際比較する場合は非常に困る。日本の基準をノルウェーに当てはめると、ノルウェーの生活保護費は国から見るとゼロとなるはずなので、多分、日本が用いている基準と異なった基準があるはずだと思います。
 イタリアも同様にバラバラでやっていて、他の国でも生活保護も一般財源化しているところがほとんどです。これらを日本の社会保障給付費の基準と照らし合わせてどう考えるか。アメリカやカナダなどの連邦国家にいたっては、福祉支出は全部州がやっており、かつ、均一の基準はもっていません。アメリカのTNAFは、あくまでも連邦から州への、さっきの言葉を用いると予算補助みたいなものです。そのように考えてくると、日本の社会保障給付費の基準を用いてどうやって国際比較したらいいのか。そもそも社会保障給付費というのはどういうものか、というのは整理しづらくなりますね。だから、一たん国の制度を離れて性質的なものからちゃんと見ないと、国際的に考えておかしいような気がします。
 さっき、岩本先生からESSPROSの話が出ました。それに関連して、僕はIMFのGFSをよく使うんですけれども、GFSのマニュアルに、ESSPROS作成時に社会保障給付費に関する論点がいろいろ議論がされていると記されており、ESSPROS作成における議論も今回の参考になるのかなという気はします。
 言葉に関する議論ですが、資料4の後ろの辺りに、social securityをどのように定義するかというのがありますが、僕の感覚では、アメリカのsocial securityという言葉は非常に特異な使い方をしています。最近いろいろ見ると、やはり言葉としては、「social protection」という言葉がここ10年、5年ぐらいは広く使われていて、IMFもそうなんですけれども、その下位概念として、social securityとsocial assistanceという2つの概念がある。SNA統計もsocial protectionという言葉を使っていますね。

○岩本座長 
 social protection schemeという形で定義されているので、SNAとGFSの定義はほぼ整合的です。

○林委員 
 以上です。

○岩本座長 
 どうぞ、金井委員。

○金井委員 
 いろいろ教えていただいて、ありがとうございます。結局のところ、地方単独事業は含まれていないということでは、あるいは一般財源化すると外れてしまうというテクニカルな問題があるということですが、SOCXというのは、地方の単独事業を含んでいるのですか。含んでいないということですか。

○岩本座長 
 含んでいないというか、とりたいんだけれども、とれない。

○金井委員 
 概念上は入るけれども、テクニカルにできていないと。

○岩本座長 
 とらなければ、入れようがないという状態ですね。

○金井委員 
 あと、地方交付税化されたという発想はどうでしょうか。どうも個別政策分野の方は非常にこだわるのですけれども、あれは、別に地方交付税化されたのではなくて一般財源化されたのであって、地方税と地方交付税とでできるということである。しかし、だからといって義務がなくなっているわけでは全然ない。先ほど統括官がおっしゃられた、制度があれば国庫支出金があったという時代があったというのはそのとおりだと思いますけれども、国庫支出金なき制度がむしろ増えてきているというか、それが一つの考え方といえます。そもそも三位一体改革とはそういう考え方だったわけですね。義務教育費国庫負担金を一般財源化するというのは、国の義務をなくすなどという話では全然なくて、制度はあるけれども財源は一般化するという発想があったので、そこはむしろ余りこだわらずにいく方がストレートなのではないのか。
 更に言えば、果たして地方交付税が一般財源の地方財政計画に入っていれば、国が措置しているという財源の話が入っているのかどうなのかという話ですね。ただし、それは特定の分野だけで措置しているわけではないので、そこら辺は個別の統計が本当にとれるのかというテクニカルな問題にやはり戻るのだろうなという印象を非常に強く受けます。やはり財源と給付を一緒に把握するというのは確かに難しいだろうなと。そういう意味では、SOCXの方でやるという統計委員会の考え方ということになるんですかね。それもなるほどと思います。もうちょっと後で教えていただければ、勉強したいなと思います。とりあえず、ありがとうございました。

○岩本座長 
 林委員の御意見との関連ですけれども、国際比較が難しくなる、ノルウェーと日本の話なんですけれども、ILO基準の社会保障給付というのは国際比較できない話なので、実務的にはそのこと自体は、これでは問題にならない。SOCXとかでは問題になり得るんですけれども、例えば一つ、このサービスの性格が共通していることがある程度わかっていて、執行の仕方が国によって違うということで、入る、入らないとかということになれば、これは実務的には国際機関と各国の統計作成部局が集まってやり取りをしていますので、その中で調整して、できるだけ国際比較を可能な形でそろえていくということに多分なるのだろうというふうに思います。そういう理解でよろしいでしょうか。具体的に先ほどの林委員がおっしゃった点については、どう処理されているのでしょうか。

○勝又委員 
 国際比較のデータのつくり方ですが、例えばノルウェーで、すべてがガイドラインによってノルウェーの地方政府がやっているという場合でも、例えばOECDの場合には、生活保護として統計を入れるという形になっているので、まさに林委員がおっしゃったように、財源とかそういうことではなく、どういうことのために、社会保障(social protection)の機能のためにやっているものの支出を集めるという考え方がもとになっています。あとは、各国と国際機関の間で国々の制度の違いをいかに国際比較統計で埋めていくかという議論をしていると思います。

○岩本座長 
 どうぞ。

○栃本委員 
 社会保障給付という概念について、るる事務局の方で説明があったんですけれども、現物とか現金とか、施設整備費の関係というものは省いてあるということだけれども、外国の統計というのも、外国で施設整備費という概念がどういうものになるのか。そもそも組立自身が違うから何とも言えないけれども、それはどうなんですか。施設整備費というのがそもそも組立が違うから、違うかもしれないけれども。

○勝又委員 
 OECDのSOCX(Social Expenditure)のマニュアルには、施設整備費はその概念の中に入るというふうに書いてあります。

○栃本委員 
 社会支出の方に入っているんですね。

○勝又委員 
 社会支出には入っています。

○鈴木補佐 
 ILOの方は、administration costという形で一括して別立てなんです。要はbenefitとadministration costなので、集計はするけれども、施設整備費とか人件費とかは全部、さっき言った現物給付みたいな定義に当てはまらないようなものはadministration costの中に入っていて、それで集計される。ですから、集計はしているけれども、benefitの中には入らないという形です。一方で、おっしゃられたようにOECDの方は支出はある程度入って、一緒の形で出しているという形です。

○栃本委員 
 現代社会では、施設サービスではなくて在宅サービスみたいなことを言っているから、施設にかかるコストというものについて、施設整備というのは関係ないのではないか、省くべきではないかという議論は勿論あると思うけれども、その一方で、歴史的に見ればと言うと変だけれども、そもそも老人福祉法だって生活保護法から派生しているわけで、特養というものを外出しにするために、生活保護の中で行っていたものを外出しして、施設給付、施設サービスとしてやっているわけです。だから施設整備が必要でというので、言ってみればそれにくっついた形のものであったと。そうですね。

○香取政策統括官 
 今、ちょっと御説明しましたが、国民経済計算とか、SNAもそうですけれども、社会保障は基本的には移転所得になるので、基本的にはフローで考えるわけです。当然、支出はそういうフローの支出と、資産形成というか、基本形成のためのストックの支出と義務コストというのがあるわけで、先ほどのOECDのヘルスの統計がありましたが、実はこのベースをつくるときに私は向こうに行って作業をしたんですけれども、概念上は、health expenditureというのは給付として、health serviceのコストというものと、病院その他、施設整備のコスト、更にpublicのinvestment costとprivateのinvestment cost。実はprivateはほとんどとれないので、各国とも大体空欄で上がってくるのですが、そういう概念と、いわゆる行政コストというので基本的にはとっています。
 ですから、支出とか、社会保障以外の他の教育とかいった部門との比較というところで考えると、支出という概念でとらえると、当然、概念としては入ってくるということになりますが、社会保障に関する支出と言えば入るわけですけれども、先ほど言ったように給付という概念で個人に帰属する、しない。あるいは権利性がある、排他性があるという議論で、給付という概念で切ってくると、基本的には移転所得として移転される現物の現金のサービスと、現物のサービスが、給付として概念として出てくるということになる。今回は給付の統計の話になりますので、概念としては存在しますが、ちょっと余談になりますが、例えば「予防接種は給付か」という例えは、あれは公衆衛生だというふうに考えることもできますし、個人に対するサービスだと考えれば給付だと。その辺になってくると、制度の立て方とか国によって考え方が違うので、それこそ概念的には微妙になる部分は勿論出てきます。
 先ほどおっしゃったように、財源構成がどうかというのは実は余り本質的な問題ではなくて、当該制度の機能で、SNAで言えば、中央政府が行おうと、地方政府が行おうと、社会保障基金が行おうと、当該主体がいわば公的な、それこそ法的な義務づけなり根拠を持って行っているものであれば、先ほど言ったいろんな疾病とか何とかの概念に該当するものであれば、恐らくそれは財源構成の一環ということとは別に、概念上は社会保障ないしは社会保障給付として多分位置づけることができるということだと思います。実際、現実に制度が動いている中で、概念整理なり統計の方が、正直言うと、きちんと追いついていないところがあって、現実にいろいろなそごが出ているということだろうと基本的には認識しています。

○栃本委員 
 先ほど勝又委員が話された、地方にどんどん移っているんだけれども、その部分が注目されていないというのは考えてみれば極めて大きな問題であるし、しかも、先ほど事務局の方の説明だったかな、税と社会保障の一体改革の中でどういう形で社会保障に振り向けるかといった場合に、これから重要な部分についての区分けによって全然様相が違ってきてしまうということになりますね。勿論、統計の基本的な比較との可能性とかそういうことでも議論するのは基本だし、運営の基本的なスタンスはそう書いてある内容でわかるし、そのとおりなんだけれども、その一方で、かなり重要な、まさに地方政府によって担われている部分、いわゆるその他福祉の部分であるとか、その他もろもろのものが出てくるので、そこの部分に対してどういうふうに担保できるかというのは非常に重要なので、何回やるのか知らないけれども、4回ぐらいやるんですか。

(3回です。との発言あり)

○栃本委員 
 3回ですか。次回以降、十分勉強して参加したいと思います。

○岩本座長 
 どうぞ、柏女委員。

○柏女委員 
 遅れてきまして、失礼いたしました。説明を十分伺っていないので、もしかしたらとんちんかんな意見になるかもしれませんけれども、私自身は子供の福祉を中心に担当しています、柏女と申します。
 今、統括官のお話で、この整理をしていく場合に、機能と主体と根拠という3つの次元があるということでお話がありました。これも次回以降の話になるのか、あるいは既に出たのかもしれないんですけれども、できれば種類分けといいましょうか、例えば機能の場合だとどこまで福祉に入れるのか、あるいは予防接種は公衆衛生だとか、その分け方を考えていかなければいけないので、それについての具体的な論点を提示していただけるとうれしいなと思います。例えば児童館というのはどうなのか。あるいは、夏に子供たちがたくさんキャンプに行きましたけれども、そこにも公費が出されております。これは社会保障の枠組みの中に入るのかどうかといったところをまず1点、やっていくことが必要なのかなと思います。
 それから、主体の議論ですけれども、主体についても、例えば地方が出している分でも、国庫補助の裏負担というものもあれば、一般財源化の問題もあれば、あるいは地方で加配をしたり加算をしたりしているものもありますし、保育料の減免をしているものもあります。また、全く地方単独事業というものもあって、いろんな次元のものがあって、この中のどれを含めて、どれを含めないのか、ということも考えていかなければならないのではないかというふうにも感じましたので、そういう意味では主体別にどんなパターンがあるのかといったようなこと、それぞれの具体例があるとわかりやすいかなというふうに思いました。
 根拠についても、勿論、国の法律等で義務化されているものなどは問題はないだろうと思いますけれども、先ほど統括官がおっしゃった、ほぼすべての市町村で実施されているもの、義務的経費ではないけれども、すべての市町村で概ね実施されているものについてどう扱うのかといったようなことなどもあるかと思いますので、根拠も幾つに設定していくのかというようなことも大事なのかなと思いました。そういう意味では、機能・主体・根拠についてのさまざまなジャンルをお示しいただいて、そして、どこで切っていくのかというようなことをやれればいいのかなというふうに思いました。
 以上でございます。

○岩本座長 
 林委員、どうぞ。

○林委員 
 先ほど出ていた施設整備費の件ですけれども、地方の統計からすると、三位一体改革の前までは、例えば地方交付税の基準財政需要における生活保護費には施設費が入っていたわけです。一般財源化された後に、決算統計の歳出における生活保護費に施設費はまだ入っているんですけれども、交付税の方では、基準財政需要額の生活保護費では補てんされなくなっています。あれは多分、新型交付税ができたからだと思いますが、経済学的に考えて、例えば生活保護に限って言えば、保護施設がいろいろありますね。シェルター的なもの。保護施設から発生するサービスは収容されている人に帰属するサービスなので、どう考えても僕は現物給付だと思うんです。つまり、施設整備費は現物を給付するための社会資本への支出になるので、これを社会保障給付費とは別に扱うのはどうかと思います。
 また、地方の決算統計における生活保護費には入っていますけれども、社会保障給付費の中にはケースワーカーの人件費は含まれていません。最近はやりのように、生活保護の受給者を労働市場に戻そうとか、いろいろ相談業務を行って働くように仕向けるとか、高齢の受給者には見回りをちゃんとやりましょうなど、これらケースワーカーの仕事も、対社会サービスになりますので、そういうところもやはり現物給付でとらえると思います。これらのサービスに対する費用が、社会保障統計にしっかり入っていないと、概念上、社会保障統計として実際どうなのか。
 最後に問題になるのは、地方の決算統計がどれぐらい正確かということです。決算カードを地方の担当者が記入して決算統計が作られると思いますが、国全体の数字として見るときは、まあちゃんと算定されていると思いますが、地方公共団体ごとの目的別と性質別のクロスの表を特別にもらって見ていると、生活保護費のうち人件費がゼロという市があって、これはどう考えてもおかしい。最近、地方公共団体定員管理調査では、市町村毎にどういう部署に何人人が張りついているが記してあります。ケースワーカーに関しては、生活保護と5法関連に振り分けられているケースワーカーの数が掲載されています。しかし、例えば、北海道の小樽市をみてみると、ある年まではずっとゼロが続いていて、あるときからいきなり23に増えたりしている。その理由は、兼務している人が勤務時間のうち半分以上働いているところに1とカウントするということによるらしいのですけれども、どう考えても小樽市は北海道の中でも生活保護率が高いところなので、そこでケースワーカーがゼロというのはいかにもおかしい。
 これは総務省さんのお話になるとは思いますが、やはり統計をつくるときは、市町村の担当者の意識もちゃんともたせて、信頼できるものを出してもらう必要があるなと。集計した数字はまあ合っているとは思いますけれども、そういう調査を最近やっていましたので、感想を述べてみました。

○岩本座長 
 どうぞ、山縣委員。

○山縣委員 
 今、児童福祉のお話をされたので、今日お話を聞いていて、公衆衛生という言葉がどういうふうに例えば憲法で使われ、定義されているかということにもすごくかかわってくると思いましたし、機能から展開したときに、僕たちは一次予防、二次予防という概念を持っているわけですが、一次予防の中でも、予防接種は確かに個別にいくわけですが、健康増進政策みたいなものというのは、ここに例えば特定健診のようなものはどういうふうに位置づければいいのか。それに伴う保健指導も、集団でやるものだったり、個別に行くものだったり、さっきの施設整備なんていうのはまさにそういうところに入ってくるわけですが、そういうのをどこまでどう入れていって、今、出ているのかとかいうようなことを、ちゃんと見なければいけないんだなというのをすごく感じました。
 そういう意味ではこれまで定義がずっと出ている社会保障というのを、どういうふうに定義するのかということと、今、行われている一つひとつの政策が、法的根拠に基づいて行われてはいるけれども、先ほど皆さんが言われたように、これまではひもつきで行われていたものが一般財源化する。例えばがん検診のようなものはその一つだと思うんですが、あれはどういうふうに社会保障として扱えばいいのかといった問題は、すごくこの領域ではあるなというふうに感じました。それをちゃんとここで考えていかなければいけないなと思いました。

○岩本座長 
 事務局は何かございますか。

○鈴木補佐 
 先ほど特定健診等々のお話が出ましたので、現在、どうなっているかということをお話しさせていただきます。例えば今、国の医療制度の中でどういうふうな集計の仕方をしているかと言いますと、特定健診の費用というのは、きちんとやりなさいという形で制度的に決まっているものなので、給付として入れています。それは特定健診の制度ができてからは、特定健診の費用というのは各保険者が出しているわけですけれども、それは入っている。ただ、それよりもうちょっと緩い、人間ドックの補助とか、そういうものについては入っていない。今のところはそういう整理になっております。ただ、そのところも、委員がおっしゃるとおり、どこまで入って、どこから入らないのかというのをどういう基準でいくのかというのは、まさに議論していただくところかなというふうに思っております。

○山縣委員 
 まさに今の一点をとっても、それぞれの保険者が、人間ドックと特定保健指導を一体化して、今であれば安全衛生法に基づく健診と特定健診が一緒になっているわけですが、それをどっちのお金で出すか。人間ドックをそれに置きかえるときには、特定健診に情報は提供するけれども、人間ドックとして出されているのだったら、今のだと入っていないとかになったりして、健保によっては人間ドックをどんどん増やしていった方がいわゆる一次予防的にはいいということで、出していくというような方向もあるかと思います。そういうことで特定健診の場合、保険者がどういうふうにそれを考えてお金を使っているかによって、だいぶ変わってくるということですね。

○岩本座長 
 そのほか、御意見はございませんでしょうか。

○山田委員 
 いろいろと委員の皆様の御意見を伺いまして、やはり一番気になったのは、だれが義務づけるのかというのが一点と、もう一つ、給付の対象者として、実際地方によっていろいろな基準が違うとしても、ユニバーサルに義務づけているのか、義務づけていないのかというのが、それをどこまで社会保障給付の範囲として考えるかのもう一つの論点となると思います。今、いろいろな定義を御紹介いただきましたけれども、勧告の方では、資料3の1ページ、2段落目に「この制度は、もちろん、すべての国民を対象とし、公平と機会均等とを原則としなくてはならぬ」ということで、ユニバーサルなものをイメージしているわけです。ですから、国際基準がどこまでいっているかというのはもうちょっと教えていただきたいところですけれども、どこまでユニバーサルに義務づけているのかということが、一つのベンチマークとして考えられるのではないかというのが、お話を伺って考えたことでございます。

○岩本座長 
 ほかに何かございますでしょうか。
 今日の議論をまとめますと、私が最初に質問した、ここで何を議論するかということですけれども、今日の一連の議論で、現在、社会保障給付費に入っていないものですけれども、単独事業になったとか、一般財源化されたことによって数字が落ちてしまったというのは、そういう基準をとっているという話ではなくて、そういうことによってデータがとれなくなったがために、本来入れるべきものが入っていないということが起こっているということが、この場で確認されたということだと思います。それにつきましては、社会保障と税の一体改革の中で、そういったものを取り込んでいこうという機運が政策の議論から生まれてきて、それが統計の方から統計を充実させるという観点から、この場で議論するということになっているのだろうというふうに理解しております。
 その上で、今後の議論の進め方の確認ですけれども、それを含めるか、含めないかというところの基準ですが、現在の社会保障給付費が準拠しますILOの基準に沿って判断していくということでよろしいのかどうか。それとも、もう一つのやり方がありまして、憲法から始まります、現在の我が国の政策の体系に沿って判断するということは、体系が違いますので、場合によっては違った結果が出るということが起こり得るかもしれないので、この点、最後に事務局の見解を伺って、明確にしておいた方がいいのかなというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○香取政策統括官 
 一つは、「統計の連続性」という議論がどうしても出てくるので、その議論が一つあると思います。次回以降も御議論していただきたいと思うのですが、今の社会保障給付費はベースはILO基準になっているわけですけれども、お話がありましたように、社人研の統計もOECD基準でSNAベースのものもお示ししていますし、そこは統計の定義上、出すべき数字が一つしかないということではないだろうと思います。むしろ、先ほど申し上げたように、制度をずっと動かしていく中で、統計上、概念として整理されたものの再設定が必要になっている。あるいは統計技術上の問題で抜けているということもさることながら、やはり定義上、あるいは制度を動かしたことに伴って少し全体が動いているところとか、統計のいろんな考え方を変えないといけないという部分もあるのではないかというふうに思っていて、ILO基準は若干各国によって解釈の余地が残っている部分もありますので、そこはむしろ整合的なものをどういうふうに考えるかということになっていくのではないかと思います。
 それと、先ほどケースワーカーの人件費がサービスかどうかという話がありましたけれども、給付という概念をどういうふうに考えるかというのが、社会保障の歳出とか、社会保障全体の「経費」というふうに見ていくと、給付かどうかということは余り関係なく、いろんなものが入ってきますし、当然、管理費とか人件費とか施設整備費も入ってくるわけです。給付費という概念を言った場合に、給付とケースワーカーの人件費は、確かにケースワーキングというサービスを提供しているわけですけれども、それは現金給付、現物給付とか、ベネフィットという概念で考えたときに、少なくとも給付のときには入っていないわけですね。

○林委員 
 経済学ではサービスの提供に入る。

○香取政策統括官 
 経済学的にはそうなのですが、仮にそれがサービスだと言い始めると、社会保険事務所の人件費もサービスかとか、いろんな話になってくるので、そこは給付という概念をどういうふうに考えるか。基本的には、今までは個人個人に対する給付、個人に帰属する給付ということとか、権利性であるとかいうような考え方に立っていましたけれども、他方で、例えば措置の時代の老人福祉、特例の措置費というのは、あれは権利性はないことになっていて、措置で行っていたわけですけれども、サービスとしては提供されていたということもありますから、そこは若干ファジーなところがあるわけです。そこは、きちんともう一度整理をすることは多分必要なのだろうというふうに思います。

○岩本座長 
 その点は、今日で詰め切れていないような印象もありますので、次回以降にも持ち越すかもしれませんけれども、ILO基準に沿って議論するということであれば、まず基準自体は動かせないものになってしまいますので、あいまいなところについて見解が分かれるということはあり得ますけれども、あくまで基準はILO基準だということになります。その場合は、日本国憲法がという話は違う話になるかもしれないということなので、それが不都合になるかどうかということは、もう少し具体的な論点が出てから検討してもいいわけで、今、この場で決めることはないということでよろしいかと思います。
 金井委員が途中で御発言された統計改革の議論からいって、社会保障給付費が、この場でいじられるといいますか、何かの変更が加えられるということが、統計委員会の所管とどうなのかということもあるかと思いますけれども、その点は、事務局の方でしっかり調整していただけたらと思います。一応この検討会の開催要綱には、「学術的・統計実務的な観点から検討する」ということになっておりますので、統計委員会が気にするのは、統計作成のところに政治の論理や行政の都合が入ってくることによって、統計がゆがめられるということが一番問題視されますので、そういうことに関してはこの開催要綱が歯止めをかけているということだと思います。
 委員の先生の皆様もそういった横やりを入れられることなく、学術的・統計実務的な観点から御議論いただけるものと私は期待しておりますので、その点、余り心配することもないのかなと思いますけれども、細かい点は事務局の方で詰めていただければと思います。
 それでは、時間がまいりましたので、本日の議論、まだまだあるかもしれませんけれども、ここまでとさせていただきます。
 連絡事項がありましたら、事務局からお願いいたします。

○武田参事官 
 本日は長時間、ありがとうございました。委員の皆様の机に今後の日程調整表を配付させていただいております。お帰りになる前に、この場で御都合を記入できる方はなるべく御記入をいただき、事務局にお渡しいただきたいと思います。この場で記入できないという方がおられましたら、後日、なるべく早くお送りいただければというふうに思います。次回の日程につきましては、いただいた日程調整表をもとに皆様の御都合を勘案しながら決定し、その上で、また追って御連絡を差し上げたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○岩本座長 
 それでは、次回以降についても、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上で、第1回の検討会を終了といたします。本日は貴重な御意見をどうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室
代): 03−5253−1111(7679、7697)
ダ): 03−3595−2159

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