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2011年9月13日 第2回社会保障審議会年金部会議事録

年金局

○日時

平成23年9月13日(火)14:00〜16:00


○場所

厚生労働省9階 省議室


○出席者

神 野 直 彦 (部会長)
植 田 和 男 (部会長代理)
逢 見 直 人 (委員)
小 塩 隆 士 (委員)
柿 木 厚 司 (委員)
菊 池 馨 実 (委員)
駒 村 康 平 (委員)
小 室 淑 恵 (委員)
小 山 文 子 (委員)
佐 藤 博 樹 (委員)
武 田 洋 子 (委員)
花 井 圭 子 (委員)
藤 沢 久 美 (委員)
森 戸 英 幸 (委員)
諸 星 裕 美 (委員)
山 口  修 (委員)
山 本 たい 人  (委員)
吉 野 直 行 (委員)
米 澤 康 博 (委員)

○議題

(1)最低保障機能の強化について(受給資格期間の短縮・低所得者等への加算)
(2)高所得者の年金額の調整について


○議事

○神野部会長 それでは、定刻になりましたので、「第2回社会保障審議会年金部会」を開催したいと存じます。
 委員の皆様方には、御多用中のところ、残暑がまた厳しくなっておりますが、そうした中、御参集いただきましたことを伏して御礼申し上げます。
 本日ですが、今月、9月2日に辻厚生労働副大臣が新たに御着任されました。副大臣の方から一言お言葉をちょうだいできればと思います。よろしくお願いいたします。
○辻厚生労働副大臣 皆様、本日は部会にお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。御多用の中、お差し繰りいただきまして御参加いただきましたこと、心より厚く御礼申し上げる次第でございます。
 このたび、小宮山大臣のもとで、牧副大臣ともどもに副大臣を拝命いたしました参議院議員の辻泰弘でございます。藤田政務官、また津田政務官ともども、小宮山大臣をお支え申し上げまして、皆様方の御指導を賜りながら厚生労働行政の前進のために頑張らせていただきたいと思っているところでございます。
 副大臣といたしましては、厚生畑が中心的に私でございまして、労働畑が牧副大臣。政務官としては、藤田さんが厚生畑ということで、後ほどお見えだと思いますけれども、そういった仕切りでございますので、今後、先生方には御指導賜ることがいろいろと多くあるわけでございますが、何とぞよろしくお願い申し上げる次第でございます。
 多くを語る時間はございませんけれども、私は厚生労働委員会に所属してきた人間でございます。厚生労働の意味するところ、生を厚くする、人生の生、生命の生、生活の生、衛生の生、生身の人間の生を厚くすることが厚生労働行政の使命であり、また政治の使命でもある。このような思いで、私なりに生きてきた人間でございますが、そのような思いを込めて、年金の改革にも取り組んでいきたいと思っている次第でございます。
 公的年金制度は、国民皆年金からおよそ50年が経過したわけでございますけれども、その中で社会の状況の変化、また価値観の多様化などの中で、さまざまな課題を抱えている今日でございます。御承知のとおり、6月30日には社会保障と税の一体改革の成案が決定されたところでございまして、その中では、新しい年金制度の骨格を示すとともに、その方向性に沿って、現行の年金制度について改革を行っていくという方向性が示されているところでございます。
 この改革を確実に実現していくために、是非とも先生皆様方のお力によりまして、審議の結果を年内におとりまとめいただけますようにお願い申し上げる次第でございます。
 また、前回、この部会でも御建議いただいたと承知しておりますけれども、基礎年金国庫負担の2分の1確保につきましては、年金制度を安定的に運営していくために欠かすことができない課題でございます。まず、震災の復興財源に充てたという平成23年度分の返還に、現在、私ども、取り組んでいるところでございますが、同時に平成24年度以降の分につきましても、税制の抜本改革を実現する中で、将来にわたって安定した財源を確保していくことが必要だと考えているところでございます。
 国民の生活の安心・安定を図り、また日本の将来を明るいものにしていく。そのためには、公的年金制度につきましても大きな改革を次々と進めていかなければならないと考えているところでございます。どうか、これらの視点を深く御理解いただきまして、先生方、委員の皆様方の忌憚のない御意見を賜りつつ、お力添えを賜りますように心からお願い申し上げまして、また大臣はちょっと所用で来られませんで、先生方に失礼しておりますけれども、そのこともおわび申し上げつつ、ごあいさつとさせていただきます。
 よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○神野部会長 どうもありがとうございました。辻副大臣には、大変お忙しい中を御臨席いただいておりますけれども、皆様も御案内のような事情でございますので、政務のためにどうしても途中退出されるとのことでございます。それまでの間、議論の方に参加していただきますので、よろしくお願いいたします。
 更に、後ほど藤田政務官が途中で御参加されることになっておりますことを、あらかじめ申し上げたいと思います。
 次に、本日の委員の皆様方の出欠状況でございますけれども、前回御欠席だった委員の皆様方にも御参加いただいておりますので、私の方から御紹介させていただきます。時間がちょっとあれですので、ごく一言だけお言葉をいただければと思います。
 まず、柿木厚司委員。
○柿木委員 経団連の年金改革部会長をしています柿木でございます。よろしくお願いします。
○神野部会長 それから、小室淑恵委員でいらっしゃいます。
○小室委員 株式会社ワーク・ライフバランスの小室と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○神野部会長 それから、小山文子委員でいらっしゃいます。
○小山委員 全国女性農業経営者会議の小山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○神野部会長 それから、花井圭子委員でございます。
○花井委員 連合の花井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○神野部会長 私の方からも、委員の皆様方にはよろしくお願いしたいと思っております。
 また、本日の会議には、逢見委員、菊池委員、駒村委員、佐藤委員、藤沢委員、山本委員、吉野委員からは御欠席との連絡をちょうだいいたしております。なお、山本委員の代理といたしまして、佐藤参考人が御出席されることについて御承認いただければと思います。いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○神野部会長 御異論がなければ、そのように取り計らわせていただきます。どうもありがとうございました。
 ここで済みません、カメラの方、頭撮りを終了させていただきますので、御退席いただければと思います。
 それでは、議事の方に入らせていただきます。先ほど副大臣からもお話がございましたが、前回、委員の皆様方に御承認いただきました基礎年金の国庫負担の2分の1に関わる意見書につきましては、私の方から厚生労働大臣の方にお渡ししております。この点をまず御報告させていただければと思います。
 本日の議事でございますけれども、前回もお取り計らいしたところでございますけれども、現行制度の改善に関わるさまざまな論点を一あたり委員の皆様方に御議論をちょうだいしたいと思っておりまして、本日は、議事次第にございますけれども、「最低保障機能の強化について」と「高所得者の年金額の調整について」を取り上げたいと考えております。
 「最低保障機能の強化について」は、受給資格期間の短縮と低所得者等への加算という2つの問題がございますので、まずこの議題について、事務局の方からお手元にございます資料1と資料2について御説明をいただきたいと思いますので、年金課長の方からよろしくお願いいたします。
○梶尾年金課長 まず、お手元の資料の確認をさせていただきたいと思います。
 「議事次第」「座席表」のほかに、資料1、資料2、資料3、資料4というものと参考資料がございます。
 あと、委員の皆様には、平成20年11月の前身の年金部会のまとめた報告書を、参考までに机の上に置かせていただいております。
 それでは、資料1と2を御説明いたします。あと、参考資料も使って、資料2までについて御説明したいと思っております。
 まず、資料1「現在の公的年金制度の課題と改革の方向性について」ということですけれども、前回、現行制度の課題について、資料の中で私の方から簡単に触れたわけですけれども、今回、各論点についての議論の入り口でございますので、再度、資料を整理して用意させていただきました。
 1ページをおめくりいただきますと、集中検討会議に5月に厚労省から提出した資料の抜粋でありますけれども、現在どのような課題があるかということで、先ほど副大臣からもございました皆年金50年となって、いろいろ状況が変わってきている中での課題ということで、国民年金、厚生年金の加入者というのが、当時想定していたものから変わってきているということ。
 そして、年金制度が、雇用・就労や人生の選択に影響しているということ。また、低年金・無年金の方が存在している。
 制度への不信・不安もあるし、長期的な持続可能性に不安があるといったことが課題なのだろうということで、改革の目指すべき方向性としては、働き方やライフコースの選択に影響を与えないような一元的な制度にしていくということ。
 そして、最低保障機能を有して、高齢者の防貧・救貧機能が強化された制度にしていく。
 そして、信頼され、安定した制度にしていくということが方向性なのだろうということで整理しました。
 こういった課題の認識と、どういった方向で改革していくかについては、これまでの政府の報告書等でも整理されておりまして、3ページは、昨年12月に社会保障改革に関する有識者検討会で整理されたことですけれども、その中の年金の部分に関して言えば、冒頭3行に課題が書かれて、これらの環境変化に対応するには、大がかりな年金改革が必要だけれども、時間もかかるということ。
 真ん中過ぎ辺りに、改革の大きな方向性に向かって進めていく必要があるということで、課題が3つ。第1回にもありました、基礎年金の国庫負担の話、そして?、?が先ほど申し上げたようなことであります。
 また、こういったこれまでの社会の変化の認識につきましては、昨年6月に、これも新年金制度に関する検討会で、これまでの経過を分析してございますのが4ページですけれども、人口構成の変化とか世帯の構成の変化、平均寿命が延び、お年寄りの人口割合が高まり、出生数が下がって3世代世帯も少なくなり、共働き世帯が増えてきている。産業構成についても、下半分でありますけれども、第1次産業従事者が非常に少なくなっている等々の分析をしているということでありました。
 また、5ページ、6ページは、全文は委員の皆様には机の上に置かせていただきましたけれども、20年11月の前身の年金部会での議論の中間的な整理の「はじめに」で、この時点でも問題認識をさまざましておりましたけれども、抜粋しつつ、アンダーラインも付けておりますけれども、同様の課題認識がされておるということであったかと思います。
 こういった課題認識のもとで、6月30日の成案において、目指すべき年金制度の改革の方向性を考えつつ、当面、現行制度の改善を図っていこうということでありまして、課題を並べたということであります。
 今日は、最低保障機能の強化関係ということで、この資料の1ページで言えば、?の低年金・無年金者の存在に対応し、2ページの?の方向性に向かってどういったことを考えていくのかということで、論点を提示しているということであります。
 次に、本日の最初の論点であります、資料2「受給資格期間の短縮」ということですけれども、この資料説明に入ります前に、無年金・低年金という問題がどういう事情で生じているのかということにつきまして、年金額の計算の仕組み等に立ち返って説明をさせていただければと思います。
 「参考資料集」をごらんいただければと思います。
 冒頭、目次もございますけれども、基礎資料編ということで、2ページ、3ページ、4ページに、年金の役割ということで、現在、年金がどのような役割を現実に果たしているのかということであります。年金は、高齢者世帯の収入の7割を占めている等々が出ております。
 3ページを見ていただきますと、現在、3,700万人の方が年金を受給して、どんどん増えてきているということ。
 4ページを見ていただきますと、年金総額は50兆円余り。地域によっては、相当大きな経済規模を占めているということを付けております。
 5ページが年金制度の仕組みの図でありますけれども、上の箱をごらんいただきますと、現役世代はすべて国民年金の被保険者となります。そして、高齢期となれば基礎年金の給付、1階部分になりますけれども、これを受けることになる。それに加えて、民間サラリーマンや公務員は、厚生年金や共済年金にも加入して、基礎年金の上乗せとして報酬比例型の年金の給付を受ける。2階部分という構図になっております。人数比は、ここに記載のとおりです。
 これはどういうことかと言いますと、6ページの年金財政の仕組みは細かい点を省略した図になります。上から見ていただきますと、年金受給者という箱があります。現在の受給者の中には、基礎年金だけをもらっている方もいれば、基礎年金に加えて、給与・報酬に比例する2階部分の厚生年金などの給付をもらっている方がいます。
 下の方の現役世代という点線の箱を見ますと、自営業などの第1号被保険者は、国民年金の保険料を納めます。それは、基礎年金勘定に入って基礎年金の給付に充てられます。
 次に、下の右側の被用者(サラリーマン)、国民年金の第2号被保険者ですけれども、この方々は、厚生年金や共済年金の保険料を納め、それは斜めに曲がって基礎年金の給付にも充てられますし、上の矢印で三角形の厚生年金などの給付にも充てられるという形になっているということです。このお金の流れとしては、世代ごとに順送りになりますけれども、この保険料を納めたという記録を根拠に、現役世代は将来、年金を受給できる仕組みになります。
 では、どういう形で年金額が決まるかということで、7ページであります。
 ?基礎年金ということがあります。満額を定額で設定ですけれども、真ん中辺り、?のちょっと上に大きな括弧で式が書いてあります。約6.6万円と書いてありますが、満額、100%の額を設定して、それを40年間すべて納めれば40分の40、25年だけ納めれば40分の25を掛ける形で、保険料を納めた期間に比例して年金額を計算する形になります。
 ここで言います保険料を納めた期間というのは、第1号の国民年金の保険料を納めた期間だけではなくて、第2号の厚生年金保険料を納めた期間も入りますし、また配偶者が加入する厚生年金や共済年金制度が拠出金を負担する第3号の期間も含まれる形になります。現在、満額が6万5,741円ということで、約6.6万円とこの式は表現しております。
 ?の2つ丸があって、※が4つあります。
 1つ目の※ですけれども、年金を受給するためには、保険料納付済期間、保険料免除期間、カラ期間の合計が25年以上必要。この論点のポイントとなりますけれども、納付済期間という先ほどの納めた期間のほかに、所得が低いということで免除を受けた期間もこれに入る。
 また、カラ期間というのは、括弧で書いてありますけれども、専業主婦や学生に加入義務がないために制度に加入していなかった期間ということで、入らなくてもよかった期間がアバウトに言うとカラ期間になりますけれども、そういうのを含めて合計25年以上が必要になります。逆に言いますと、この25年が期間としてカウントされないというのは、年金の加入対象者ではあるけれども、特段の手続をとらずに保険料を納めていただかなかった期間というのが、この25年には含まれない期間になるわけであります。
 年金の計算上は、免除を受けた期間というのは、年金額の計算は国庫負担分ということで、平成20年度以前は3分の1でしたし、平成21年度以降は2分の1の計算という形になります。カラ期間というのは、通称カラ期間と言われるとおりでありまして、年金の加入期間には計算に入れますけれども、年金額はカラということで額には入らないという形の期間であります。以上が年金額計算の基本形であります。
 あと、下半分の厚生年金の方ですけれども、月給だけをもとに算定するルールだった14年度までと、ボーナスも含めて算定するルールになった15年度以降とあるので、若干複雑ですけれども、左半分の平成14年度までのところを見ていただきますと、平均標準報酬月額という保険料を納めた時期の平均収入と、分数の横に期間の月数とありますけれども、納めた期間の月数を用いるということで、現役時代の収入と保険を納めた期間に比例して計算される。
 基礎年金の方は、単純に期間比例ですけれども、厚生年金の方は平均収入と期間に比例して計算することになります。この平均収入の方は、下の※の2個目にありますように、過去の収入というのは現在価値に置きかえて計算するという形であります。
 ここでの説明はこのぐらいにしまして、参考資料集は後ほどまた適宜参照していただきたいと思いますけれども、資料2の方で資格期間の短縮の論点について、概略を御説明したいと思います。
 まず1ページをおめくりいただきまして、年金を受けていない無年金者というのはどのぐらいいるのかということですけれども、これは平成19年の推計でありますが、無年金見込み者を含めた無年金者は、最大で118万人との推計があります。
 これは、もう既に年金を払う期間を終わってしまって無年金の方もあれば、今55歳とか60歳とか、これからの期間を全部納めても25年に到達できない、無年金見込みの人も計算できるので、無年金見込み者というのと、実際に既に無年金確定という方がいるということで年齢区分しておりますけれども、それを含めて最大で118万人の推計であります。そのうち65歳以上は42万人という推計を出しているということです。
 そういう意味では、60歳時点で20年しか納めていないということがありましても、60で終わりでは必ずしもなくて、60歳時点で期間が足りない場合に任意加入をして期間を増やす。65までないし70まで任意加入が可能なものですから、60歳時点で20年しか納めていないということであっても、それで無年金と決まるわけではなくて、60歳以降の任意加入をすることで25年を満たすことも可能ですから、その方はこの中には入らないということになります。
 65歳以上で無年金、25年を現行制度のもとでは満たせない方が42万人ということですけれども、25年に満たないんだけれども、今は何年納めているかというのをオンラインシステムの中から抽出しました。そうしますと、これまで納めた期間の分布を見ると2ページのようなことでありまして、20年以上25年未満が6%、15年から20年が15%ということで、10年より短いのが59%。10年から24年の範囲にいる者が約4割で、10年より短いのが約6割、59%という推計値が出ております。
 3ページは、最近の納付率で、国民年金保険料の平成22年度の納付率は、現年度は59.3%でした。これは、保険料はその年度に納めるのが基本ではありますけれども、2年後までは納められるということで、過去5年分ぐらい付けておりますけれども、翌々年度の2年間で4ポイントから5ポイントぐらい納めていただいておりますから、最終的に59.3%で終わるわけではないんですけれども、6割ちょっとであります。
 それが最近の状況ですが、平成1けたのころは8割以上であって、最近下がってきているということであります。
 4ページは、老齢基礎年金を受け始めた方について、納付期間が何年だったかという分布です。これを見ていただきますと、多くの方は40年納付しているんですけれども、真ん中の25年辺りを見ますと、25年のところはちょっと出て、過ぎたところでちょっと下がっている。25年を一つの目標として納めて、25年になったらこれでいいかと。ただ、納めた期間だけ年金が増えるのは間違いないので、それは多い方がいいということであります。
 これは年金をもらっている方です。24より下にある方々も、これで年金をもらえていないわけではなくて、年金をもらい始めた方の分布のグラフです。どういうことかと言いますと、例えば18〜19が延びていますけれども、21年度に年金をもらい始めた方は、昭和60年より前の期間が、年齢からしますと7年ぐらいある。
 そうすると、60年より前の期間が専業主婦の任意加入をしなくてカラ期間になっていると、そこが7年あれば、61年改正以降の納付済期間が18年でも25年になるわけです。ということがあるので、納付済期間は18〜19年だけれども、カラ期間の7年とか8年を足すことで年金をもらうことが可能になるものですから、そういった方もおられる。
 納付済期間が短いんですけれども、外国にいた期間が長いとか、学生はそんなに長くないかもしれませんけれども、カラ期間が長くて年金をもらっている方もいる形になります。ただ、18年だとすると、年金額は満額掛ける40分の18という計算になります。
 5ページは、何で25年と決められたかということです。2個目の丸が、国民年金制度の発足当時、どういう考え方だったかということで、参考文献「国民年金法の改正」という本の紹介、別冊の参考資料の39ページ、40ページにありますけれども、抜粋します。
 40年加入を原則とする国民年金において、25年というのは特別長いということではないだろう。厚生年金もそのころ20年ということでした。これは制度が分かれているころの話ですということと、所得が低ければ免除ということで、それが加入期間に入るわけだから、特に所得が低い人に不利にはならないだろう。あと、ある程度の期間納めて、年金を満たす形でないと、年金という名に値する額にならないんじゃないかといった水準論も含めて、25年というのが定められたということです。
 この25年の資格期間は、先ほど申しましたように、納付した期間だけじゃなくて、免除を受けた期間とか合算対象期間のことをカラ期間と通称しておりますけれども、合算対象期間などを幅広く算入していることと、60までで終わりではなくて、70歳までは任意加入をして期間を増やすことも可能になっているということです。
 具体的な例を挙げますと、6ページです。
 25年にはどういう期間が入るかというと、例1にありますように、1号で国民年金保険料を25年納める。これがシンプルな形として、いいわけですが、そのほかに、例2、保険料を納めたのは10年で、所得が低くて免除を受けたのが15年でもいいです。
 例3で、1号で国民年金保険料を納めたのが10年、その後民間企業に就職して2号になったのが5年、その後、結婚して専業主婦といいますか、配偶者になって3号になったのが5年。その後就職して厚生年金に入って5年、これで25年でもいいです。
 例4のような、任意加入しなかった専業主婦の期間があった方が、その後国民年金保険料を5年払い、その後また免除を受けて10年ということもあります。
 例5にありますように、60歳までは15年しかなかったけれども、それから10年間、70まで納める。この場合、もらえるのは65からではなくて70歳からですけれども、そういうさまざまなパターンがあるということです。
 7ページは、外国はどうなっているのかということです。
 日本の年金制度は、無業、無所属の人も含めて強制適用対象として、所得のない人は保険料免除を受けることが可能ということもあって、諸外国と比べて受給資格期間が長くなっています。日本は25年ですけれども、アメリカは10年。イギリスは、以前は男性11年、女性9.75年。下の**のところにありますけれども、最近は改正で、なくなりました。ドイツは5年です。
 ただ、諸外国の制度は、所得があるときは加入して、ないときは加入しない。加入した期間が10年とか5年という話ですが、日本の場合は所得があろうがなかろうが加入で、免除制度があります。そういうことをした上で、40年のうち25年納付ということで、若干仕組みが違いますけれども、それぞれの国に資格期間があるということです。
 この問題につきまして、平成20年11月の前身の年金部会の整理にはどういう記載があったかと言いますと、8ページです。
 受給資格期間というのは、一定の年金額にはしなければいけないのではないかということもあるんですけれども、納付した保険料はできる限り年金給付に結び付けられるようにすべきじゃないかということで、25年ではなくて、思い切って短縮を検討すべき。10年というのが考えられるんじゃないか。ただ、40年加入が義務、基本だということはちゃんと言わなければいけないだろうということが20年11月の整理でありました。
 集中検討会議では、下の表にありますけれども、日本商工会議所からの意見があったほか、報道機関からの提案には、すべて資格期間の短縮、10年程度というのが含まれていたところであります。
 そういった経緯がありまして、9ページ、一体改革の成案においては、25年というのは外国に比べても長いということで、ある程度納めた保険料に応じて給付を受けられるようにすべきだということで、短縮するということ。
 4つ目のポツにありますけれども、資格期間短縮による財政影響については、10年に短縮するとした場合は、42万人のうちの10年〜24年の間に4割いましたので、約17万人が受給できる。ただ、それは期間比例ですので、2万円とか、低い額になるわけですけれども、それを掛けますと、公費分ですから、基礎年金の国庫負担分、半分という計算で、約300億円の費用がかかるのではないかという試算を出しております。
 この論点については、10ページになりますけれども、こういった短縮が適当かどうか、何年にするのがいいか。それから、今、無年金の人も対象とするかどうか。これは、普通、制度改正を行うときは、制度改正以後に権利が発生するような方を対象にするんですけれども、既に無年金になった人も含めるかどうかということ。
 短縮すると低年金の方が出るということについて、どう考えるか。
 また、後半の論点になりますけれども、低所得者に加算するということとの関係で、この問題をどう考えるかということがあろうかと思っております。
 あと少しだけですけれども、11ページで、今申し上げた10ページの各論点について解説になりますけれども、資格期間の短縮は適当かどうか、何年かということで、1つ目のポツはその考え方です。外国に比べて長いんですけれども、仕組みも違う中で短くしていいかどうか。
 2個目のポツの下に※で書いてありますけれども、現在、25年というのは、40年間のうち15年以内であれば、滞納があっても年金受給可能ということですけれども、25年を短縮するというのは、滞納があってもいい期間を長くしてもいいということですけれども、いいかどうか。それでも納付した保険料が給付になることの方が大事と考えるかどうかということです。
 あと、資格期間を短くしますと低い年金が出てくるということで、事務コストとの関係でどうかということ等がありますけれども、諸外国の例なども参考に検討ということです。
 12ページは、現在、無年金になっている人。多くの方はルールに従って保険料を納めて年金を受給している。年金受給者が約3,700万人ということを申しました。そういったルールの中で、結果として25年に満たずに受給年齢に達して無年金になっている人についても、今後、事後的な立法による資格期間の短縮効果を及ぼすことが適当かということは、論点としてはあります。
 イギリスも、男性11年、女性9.75年というのを廃止しましたが、それは今後の人についてであって、既に支給開始年齢に達している人に対しては、改正の効果を及ぼさないという改正をしているということであります。
 ただ、そういう筋で言ってしまうと、現に無年金である人に対する資格短縮の効果が及びませんから、無年金者の救済にはならないので、どうかということがある。
 3つ目のポツは、現在の無年金者にも法改正の効果を及ぼすと整理する場合でも、法改正実施以後の月の分の年金が支給されるのであって、その方がさかのぼって65歳の分からまとめてお払いするということではないんじゃないかということを論点として挙げました。
 最後のポツは、ちょっと細かいんですけれども、厚生年金に脱退手当金という制度があって、制度が国民年金、厚生年金と分かれていたときに、厚生年金の加入期間が短いと年金にならない。厚生年金で20年なければということがあったものですから、脱退手当金という制度があった。
 その後、年金の通算制度ができたり、基礎年金になったりすると、そもそも厚生年金の期間が短くても、その後、国民年金の期間を合わせて25年になれば、厚生年金の期間比例で年金が出るわけですから、要らなくなっているんですけれども、経過的に残ってきたものがあります。
 これで、厚生年金の期間はあるけれども、全体で25年にならないので、厚生年金はもらえず、でも厚生年金で払った保険料に対応して、一時金という形で脱退手当金をもらった方がいるわけです。10何年か厚生年金を払ったけれども、退職後、国民年金を納めずに60を過ぎた。脱退手当金をもらった方がいるんですけれども、これは10年で年金が出るんだから、脱退手当金を返して年金を支給するということまでする必要があるのか。さかのぼりの話を考えるのかどうかということも、この議論の延長上にあると考えています。
 13ページは、資格期間を短縮して、特段何の措置も講じなければ低い年金額が出るということになります。下の表がありますけれども、40年間免除なしで全部納めますと、左上で6万5,741円ですけれども、納付期間が短ければ、25年納付だと4万1,000円余り、10年だったら1万6,000円の年金になる。納付していればこれですけれども、免除を受けて10年だと、月額8,200円の年金になります。
 こういうのをどう考えるかということですけれども、年金の水準論というのは満額を考えてやる話であって、低い額であっても、とにかく納めた期間に応じて給付が出るという方向でやる。低いのは低いでしようがないということだろうという整理でいいかどうかということです。ただ、この場合に、後半でやります加算のときに、こういうものをどう考えるか。低年金者に加算するというときに、こういうことで低年金だけれども、やむを得ない、支給すると決めた場合に、加算するかどうかという論点がある。
 下の14ページは、納付意欲への影響ということで、先ほどのグラフで25年のところに出っ張りがありましたけれども、25年に達したので、これでいいやといって納付終了があるらしい中で、10年にしますと、10年納めたからこれでいいという形で、10年でやめる人が出てしまうことがあるんじゃないかということが懸念される。
 ただ、この点については、あくまでも短縮というのは、納めた保険料ができるだけ給付に結び付くようにしようということなんですけれども、年金制度は世代間扶養の仕組みであり、基本は40年納めることとか、納めれば納めるだけ年金額が増えること、障害年金とか遺族といった保障もあるということで、納付意欲に悪い影響にならないようにしていくことは、資格期間の短縮措置を講じる場合は不可欠だろう。
 ただ、マイナスの影響だけではなくて、今だと50歳まで全然何も払わなかった方が、もうこれから納めてもしようがないと思っていたのが、これからでもいいかということで納める気になるというプラスの影響もあるという考え方もできるだろうということがあります。
 こういう論点に留意しつつ、資格期間の短縮ということについてどのように考えていくべきかということについて、御意見をいただければと思っております。よろしくお願いいたします。
○神野部会長 どうもありがとうございました。実態を含めて、特に資料2の方、受給資格期間の短縮について御説明いただきましたが、これにつきまして、今日、一巡目でございますので、委員の皆様方から忌憚のない御意見をちょうだいしたいと思います。どうぞ。
○森戸委員 私、途中で退席するものですから、済みません、最初にお話させていただきます。
 この25年の短縮の趣旨として、無年金者救済という政策目的が何度か出てきます。資料2の11ページとか、その後もあったと思います。他方で、9ページの社会保障と税の一体改革成案のときは、25年というのは諸外国と比べて長い。それから、納めた保険料に応じて給付が受けられるようにするという意見が出されているからと、ここには無年金者の救済ということは書いていなくて。
 それで、質問というか、思ったことは、25年を例えば10年にしたら、無年金者の救済に直接なるのかなという疑問がありまして。さっきのまとめにもありましたけれども、今、無年金の人を救うとか、もうすぐ無年金になってしまうかもしれない人を救済するというのは、違う手段もあるだろうし、それから生活保護との関係という議論もあるでしょうし。
 無年金者の救済という政策目的と、当然のように書いてあるんですけれども、その割に、その前の部分では、無年金者がこんなにいて、こんなに大変な人がいますとか出そうですという、無年金者の現状というのがありますけれども、数字だけで、無年金者の救済という意味が余り入ってこないんですけれども、もうちょっと説明をしていただけないかなと思いまして。趣旨がわかりましたか。
○神野部会長 この改革の目的というか、考える際に重視しなければならないのは、アプリオリに前提にされているように見える無年金者の救済なんですかということですか。
○森戸委員 そうです。それが短縮の最大の目的だということでいいんですかね。では、10年にしたら、素直に無年金者の救済にそんなになるのかなという。
○神野部会長 かつ、成案の方では、それほど無年金者の救済という趣旨がうたわれていないのではないかという御発言ですね。
○森戸委員 諸外国もそうだし、ちょっと長いのではないかみたいなことしか書いていないので。
○神野部会長 この改革を考えていく際の目的・課題というのを、もしもどこかからこうだということがあれば、事務局の方から説明を。
○梶尾年金課長 先ほど冒頭の方でもちょっと申し上げたつもりではありましたが、現在の年金制度の課題の中に、基礎年金に関して年金額が低い方、あるいは年金を受給していない方がいて、年金の最低保障としての役割が果たせていない面がある。そういうところを基礎年金について、ある程度の改善が必要だろう。そこの課題として、無年金の人がいる、そして年金額の低い人がいるというのが現状の課題の一つとしてあります。
 無年金者がいるということに対しては、どういう対応を考えているのか。そして、今後発生するかもしれない無年金者を発生しないようにするのにはどうすればいいかというのも勿論あるんですけれども、現状、無年金者がいるという課題にどういう解決の仕方があるのかということ。
 一つの話として、現在は25年以上納めたら年金が出る。25年に満たない場合は年金が出ないということなんですが、そうは言っても、20年は納めた、15年は納めたという方々が無年金になるので、そういった方々に年金が支給されるようになる改正をするならば、それは無年金である人を減らす形になるということを、現状の課題の一つである低年金者、無年金者、ここでは無年金者がいることへの対応策として資格期間を短縮するというのがあるんじゃないか。
 それは、現在いる無年金者に対して年金が少しでも支給されるようになるということと、今のままでは、将来無年金になるであろう人の無年金発生の防止ということも、資格期間短縮というのはそういった効果をもたらすであろうという趣旨でございます。
○森戸委員 今、仮に無年金で困っている方がいっぱいいたとして、その人が当然にこれで救われるという話でもないですね。
○神野部会長 というか、今の御説明の趣旨は、もともとこの年金改革の重要な課題として設定されているのが、最低保障機能を強化することであると。その一つの手段として、受給資格期間の短縮ということが手段足り得るのではないか。それに対して、それは足り得ないのじゃないかという御意見であれば、それを出していただければいいわけです。つまり、政策課題に対して、受給資格期間の短縮というのは整合的ではないのではないかということですか。
○森戸委員 一番の目的は、今の、もしくはこれからの無年金者を少なくすることだということでいいのかという、その確認です。
○神野部会長 無年金者というか、最低保障機能を強化するということが、先ほど御説明いただいたように、今回は非常に重要なテーマであると。現行制度のもとで、その機能を強化するということだとすれば、受給資格期間の短縮ということによって無年金者を救えるのではないかと。ただ、おっしゃったように、いや、それでは限界があるのではないかということであれば、それはそれとして意見を出していただければいいのではないか。
○森戸委員 とりあえずはわかりました。
○神野部会長 どうぞ。
○諸星委員 私は、今年4月まで年金も含めた社会保険に関わる全国からの不服申立の再審査請求をいたします、この省内に設置の社会保険審査会の委員を務めていたことから、国民の声を実際聞いたという経験と、社会保険労務士という現場実務を知る者として、今後、この審議会において質問及び意見を申し上げたいというのを冒頭申し上げます。
 それで、今ございました受給資格期間の短縮、今回、以前から議論されているように10年とする。今まで25年というものが10年となると、極端な話、半分以下の年数なんですね。そうだとすれば、そもそも10年という期間が出たのは、先ほどいろいろ御説明いただいたんですけれども、資料2の2ページ。ここに「65歳以上の者のうち、今後保険料を納付しても納付済期間が」ということで、10年未満が6割ということです。
 そうなりますと、ここで言う10年というのは、あくまでも保険料納付済期間のものであって、先ほどの合算対象期間、それから共済組合期間とか、あるいは年金額に反映する保険料免除期間を除いたものが、この10年という形になっているという考えでよろしいんでしょうか。
○神野部会長 どうぞ。
○梶尾年金課長 まず、この資料の説明だけいたしますと、19年ですから、社会保険庁のオンラインシステム上、納付済とか免除ということで期間として記録されているのが、これより短かった方ということですので、社会保険庁で把握していない合算対象期間とか共済組合期間の一部については入っていないです。
 したがって、この方々が全員無年金かというと、記録側では無年金に見えるけれども、御本人の経歴に照らせば、カラ期間を何年か足すことによって年金がもらえるであろう方も、実はこの中に入っています。そういうことで、最大と表現しております。
○諸星委員 そうすると、10年というのは、すべてそれを含めたものと考える。
○梶尾年金課長 すべてというのは、納付済と免除だけの話をしております。
○諸星委員 わかりました。
 それで、私、以前資料をいただいて読んでまいりましたので、ちょっと意見を申し上げます。
 まず、無年金者の救済を目的とした受給資格期間の短縮という趣旨に対しては、基本的に反対はありません。ただし、仮に10年としたときには、先ほど御説明があったように、資料の11ページ以降にあるような問題点が発生するのは事実なんですね。
 特に老齢基礎年金が20歳〜60歳という40年で満額年金が支給されるという前提があるにもかかわらず、現法律上は、保険料納付済期間と免除期間が年金額に反映されている限り、特に被用者保険、厚生年金とかの加入者の方々が40年真面目に納めていて基礎年金の満額をもらえる。そのものと、4分の1の期間でももらえるものがあれば、受給資格期間の短縮については、10年でという議論をするのであれば、かなり慎重にしなければいけないのではないかと思います。
 それと、以前、私が小・中学生向けに年金授業をしたときに、受給期間の25年という説明をしたときに、その後の子どもたちのアンケートは、20歳を超えて25年掛ければ、つまり45歳まで掛ければいいんですねということがわかったという回答を実際受けました。まさに、この資料2の13ページ、14ページに記載の影響が出ることは必至でありますから、十分に周知することもあり得るんですけれども、審査会の今までの不服の具体的内容からは、その機能が必ずしも果たされていないとすごく感じております。
 それと、先ほど14ページの50歳の時点からということをいろいろおっしゃっていたようですが、実際、さまざまな事情があって年金に加入していないということも勿論考えられるんですけれども、私の実体験から意見を述べさせていただくなら、若い、元気なときに、将来は年金なんて国に面倒を見てもらう気はないと言って加入していなかった人ほど、いざ60歳を過ぎるとどうしても年金をもらいたい、どうにかならないかということを言う方が一部でもいるんですね。
 それは事実であるということですので、先ほどから言っています短縮が無年金者の救済目的であったとしても、最低でも、先ほどの保険料納付済期間が10年は必要ですよとかいう検討もあり得るのではないかと思います。
 もう一点は、給付にもつながる保険料免除についてですけれども、資料1の4ページにありますように、共働きが増えている要因の一つにハーフインカムがある。つまり、昔は1人の収入で家庭が回っていたのが、2人働かなければ収入にならない。一人一人の年金をこれから個々として考えなければいけないはずなのに、年金給付は保険料免除については相変わらず世帯単位、それと夫婦単位で設計されているんですね。
 そのような実情があるにもかかわらず、収入の低い、例えば奥さんとか若い人たち、非正規雇用者の免除申請については、実際を見ますと、世帯主や配偶者の収入があると、それだけで認められていないという現実があります。ですので、結果的に保険料を未納したり滞納せざるを得ない問題があるということですので、これについても、もしこれを検討されるのであれば、本来検討すべき事案ではないかなということが私の意見です。
 以上です。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
 ほかに御意見ございますか。今のことについて何かありますか。一応、承っておくということでいいですよね。どうぞ。
○柿木委員 経団連の柿木です。
 資料2の4ページの老齢基礎年金の新規裁定者の分布を見ますと、どう見ても、25年で年金をもらえるところから異常に数が上がっています。受給資格期間を短縮した場合、例えば10年にすれば、10年のところに向けてグラフが左に大きく移るのではないでしょうか。
 納付率が低下し、保険料収入が減少する恐れがあることに加え、低所得者への加算によって給付が増えてしまうと、制度自体がもたなくなるのではないでしょうか。受給資格期間を短縮するのであればいかに納付率を守っていくか、納付率を上げていくか、こういう施策についても慎重に検討する必要があるのではないかと思いますが、どうでしょうか。
○神野部会長 今のは、実施するにしても、納付率などについて別途施策をかみ合わせるべきだという御提案でいいですね。
○柿木委員 はい。
○神野部会長 どうぞ。
○山口委員 公的年金の場合には、企業年金と異なりまして、年金の受給資格を満たさないということになりますと、企業年金だと一時金という形でもらえるんですけれども、公的年金は給付が全くないということになります。ですから、保険料が完全に掛け捨てになるということになります。ですから、現在の公的年金、25年受給資格を満たさない人は、自分が払った保険料に見合う給付がない状況になっているわけであります。
 企業年金との対比で言いますと、厚生年金基金というのがありますけれども、この場合には、加入1か月でも受給資格を与えることになっております。ただ、1つの企業に長く勤める人ばかりじゃなくて、短期で企業をやめるといった人がいますので、10年未満でやめたときは企業年金連合会というところに原資を移管して、企業年金連合会から年金給付を行う形で、加入1か月でも年金を払う仕組みになっているわけです。
 ただ、企業年金連合会でも実は問題がありまして、短期でおやめになった方の年金額は非常に少ないわけです。したがいまして、あなたは受給の手続をすれば年金がもらえますよということを、その人の居所に連絡して受給を促しても、実際には金額が小さいために受給手続をされない人が非常に多いということが実態だと聞いております。
 したがいまして、老後の生活保障といった観点で年金の役割を考えるときに、余り短い期間を受給資格要件にしてしまうと、金額が余りに小さくなり過ぎるという問題がありますので、掛け捨てになってしまうことで保険料納付意欲が下がることがないようにすることと、一方で、非常に短過ぎる期間で年金額が小さくなり過ぎるといった両方の要素を兼ね合わせて考える必要があるのではないかと思います。
 そういう意味では、私はアメリカ等でも実際に行われている10年程度をめどに短縮するという案が適当ではないかと考えております。
○神野部会長 ありがとうございます。
 では、花井委員。
○花井委員 受給資格期間の短縮につきましては、当然、現在の無年金者をどうするかということもあるかと思いますが、私たちが一番心配しているのは、これからの人たちがどうなるかということで。とりわけ就職氷河期のころに青年だった人たちが、もう既に40歳あるいは40歳を超えておりまして、今後無年金になる可能性が非常に高い。そして、その数も増えている状況があるかと思います。
 そういうことを考えたときに、無年金者を今後できるだけ出さないという方向からすれば、受給資格期間を短縮するということは、その方向性で検討すべきではないかと考えます。そして、その期間は諸外国の例を使ってしまうんですが、例からして10年程度かなと、まだ確定したものではないですけれども、10年程度がどうかなと考えております。
 そして、この場合、10年を超えると保険料を納めるインセンティブが減少するという指摘が至るところでされているんですが、例えば現行制度が25年ですけれども、それを超えると保険料を納めなくなっている人がそんなに増えているものかどうか。一定程度という言葉が出てまいりますが、どの程度なのか、そこを検証する必要があるのではないかと考えております。
 以上です。
○神野部会長 ありがとうございます。
 一巡目ですので、できるだけ多く意見をちょうだいしたいと思いますので、ございましたらどうぞ。はい。
○小室委員 意見と質問という形で2点になります。
 1つ目は、非常に額が小さくなってコストの方がかかってしまうのではないかという論点がありましたけれども、実際にコストは幾らなのかということを試算してみる必要があるかなと思います。少ない額を払うために、かえってコストの方がオーバーしたということでは何もならないのかなというところなんですが、実際幾らなのかということがわからないと、最低幾らから払うべきなのかという議論もできないのかなと思いました。
 2点目には、先ほど皆様からも出ていた、意欲が下がらないように慎重に議論しなければというときに、発想として考えられるのは、10年までで一応保障されるんだけれども、10年を超えたら、それ以降、更に払うとちょっと得になるではないですけれども、継続して払い続けたときには、10年までよりも上乗せになるのか、何かしらをすることによって、恐らく10年以降も払おうという意欲が上げられそうだなと、単純に考えると思うのですが。
 先ほどの資料2の7ページの他国の例の中に、そこまで諸外国でやっているかどうかがわからなかったので、他国においては、受給資格がない国が多いものですから、長く払うことに対する意欲を上げるような何かしらの仕組みはあるのかどうということを、これは質問として今後教えていただきたいなということの2点です。
○神野部会長 それは、すぐに。最初の費用、その他については、次回以降出せるような資料ですか。コストの話とか。
○梶尾年金課長 検討させていただければと思います。
○神野部会長 保険料の納付、その他については、各国とも、例えばスウェーデンのようにリンクさせたり、ないわけではないですね。
○梶尾年金課長 期間が延びたから、より高まるようなものがあるかどうかということだと思います。それも一応調査した上でと思います。
 あと、先ほどの低所得者の加算の話で、関係するものがこの後の議論でもあるかと思います。
○神野部会長 どうぞ。
○武田委員 他の委員の方々の御意見と重複する部分もございますが、一巡目は多くの意見をという部会長からのお言葉もございましたので、私の意見を2点申し上げます。
 1点目は皆様と同意見でございまして、いかに周知徹底するかということが重要になると思います。10年にする場合には、2つの問題を招く可能性があると思います。
 1つは、意図的に10年納めた後に未納を続ける方が増える問題です。要するに現在25年のところで発生している山が10年へとシフト可能性が考えられます。2つ目は、10年の保険料支払いで満額もらえるのではないかと勘違いをされる方もいらっしゃるのではないかとの懸念でございます。
 つまり、2つの観点から10年にすることを強調するよりは、原則として40年ということをきちんと説明し、いかに周知徹底をするかが重要ではないかと考えました。
 それから、2点目でございますけれども、資料の12ページにございました現在無年金の方を対象とすることが適当かどうかについては、非常に難しい論点であると思います。今回の改革では、年金の最低保障機能を高めることが一つの目標になっておりますが、一方で、これまで一生懸命、多少苦しい時期も乗り越えられて25年間保険料を納めてきた方もいらっしゃいます。現在の無年金者にも適用すれば、これまでのルールを覆すことになります。現時点で自分の答えが出ているわけではございませんが、現在のルールを守るということも一つの秩序のあり方ではないかと考えます。
○神野部会長 ありがとうございました。
 ちょっと待ってください。冒頭に御案内申し上げましたように、藤田政務官が御臨席いただきましたので、ごあいさつをいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○藤田政務官 会議の途中で失礼いたします。このたび厚生労働大臣政務官を拝命いたしました衆議院の藤田一枝でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 御承知のように、社会保障と税の一体改革、とりまとめが行われたわけでございますが、これからはその中身をしっかりと肉付けをして、そして新たな制度改革にきちっとつなげていかなければいけないという大事な時期を迎えるわけでございます。委員の先生方にはいろいろな御苦労もおかけするのではないかと思いますけれども、是非とも活発な御議論のもとにおまとめいただけたら大変ありがたい、このように思っております。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、米澤委員、どうぞ。
○米澤委員 私もいろいろ議論を聞かせていただきまして、払ったものに相当する額をもらう権利がある。公的年金って保険ですので本来はそういうものじゃないんですけれども、払って何ももらえない方が随分いらっしゃるという可能性に関して、それはどういうふうに説明したらいいのか、なかなか難しいものがあるかと思います。
 ただ、そのときにどうしても考えなければいけないのは、社会保障といえども年金財政を考えなければいけないと思いますので、その点どうなるのか。聞いているのは、払った分相当額だけもらうんだから、短くしたって、年金財政的にはほとんど影響がないんだよというのは、前に受けたレクチャーなんですけれども。
 今、25年未満の人はもらえなくて、そこにたまりがあるわけです。それを吐き出さなければいけない点もあるので、もしそれを10年に仮に短縮した場合には、どのぐらい支出が増えるのか。事務コストは別として、そこのところがどのぐらいになるか、後日でもいいんですけれども、情報があればお知らせいただきたいと思います。
 前の方に書いてありました試算された額というのは、9ページに書いてあるのは、これは10年にしたときの追加的な費用と理解してよろしいんでしょうか。そこのところをちょっと教えてください。最初に言ったのは、使われなかったお金があるので、それも今度使い出すと、純増としてどのぐらい必要なのかという点です。それが大したことでなければ、私としてはもらえるようにすべきだと思っております。
○神野部会長 どうぞ。
○梶尾年金課長 ごく簡単にしますと、資料の下に300億円と書いておりますのは、42万人の無年金者のうち、10年〜24年の範囲の方が40%だと約17万人になります。17万人に、この分布に従って納付した期間に応じた3万円とか2万円の年金額を支給するようにした場合、総額が基礎年金で言うと600億円弱の支給になる。そうすると、国庫が約300億円で、保険料財源が1年間300億円という計算で出しております。
 したがって、年金財政全体の中での300億円の給付、保険料財源でも300億円、国庫でも300億円になりますけれども、それを財政の中でどう見るかということですけれども、そう大きなものではない。基本的には、払った保険料に応じた形の給付ということで考えております。
○神野部会長 よろしいですか。
 それでは、まだ御意見があるかもしれませんが、進行予定の時間を大幅に過ぎておりまして、今日、できれば議論していただきたい議題がまだ残ってございます。ただいまの御議論を踏まえて、二巡目でまた御議論をちょうだいする機会があるかと思いますので、この辺で受給資格期間の短縮については切り上げさせていただいて、次いで、資料3と資料4について事務局の方から御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
○梶尾年金課長 それでは、お手元の資料3「低所得者等への加算について」ということです。
 1ページおめくりいただきまして、年金受給者の現状ということで、左側のグラフ、老齢基礎年金の受給権者、満額は6.6万円ですけれども、納付期間に応じて期間比例ですので、平均は5.4万円となっております。一番多いのは6万円台が4割強です。ただ、これは1階、2階、厚生年金ももらっているような方の基礎年金も含めてですけれども、基礎年金しかもらっていない方に限ってみますと右側のグラフになりまして、平均4.9万円ですし、一番多いのは3万円台というのが現状です。
 次のページには、右側に同じグラフが付けてありますけれども、この方々は、実は年金を繰り上げて減額して受給している方が結構いらっしゃるということで、右側にいる平均4.9万円の方々が繰り上げをしていなければ、どう分布しているかというと、やはり6万円台が4割ぐらい。65歳からもらうことにすれば6万円台なのを、60歳から繰り上げて減額してもらっている方がおられたりするので、一番多いのが3万円台の形になっている現状であります。
 3ページですが、低年金の方が何で生じているかということですけれども、上の丸にありますのは、期間比例ですので、40分の40じゃないということですけれども、1つ目のポツはカラ期間ということで、先ほど40分の18ということがありますと申しました。あと、免除期間があれば、その期間は半分とか3分の1になったりする。あと、払っていない期間があれば、その分はゼロで計算されるということがある。
 あと、下の丸で、65歳からだったら6万円だけれども、繰り上げて60歳から3割低い額でもらっているという形があります。繰り上げに関して言えば、21年度でもらい始めた方で言うと、約2割が繰り上げている。ひところは8割ぐらいが繰り上げてもらっていた時期もありましたけれども、今はもらい始めるときの繰り上げは2割ぐらい。ただ、昔からそうやっている方もいるので、全体では4割ぐらいが繰り上げ減額をされている現状です。
 3ページまでは年金受給の状況ですけれども、4ページは高齢者のいる世帯の所得分布で、単身世帯ですと150万円以下が5割、左側の3つの棒になります。単身世帯以外、夫婦だったり子どもと暮らしていたりすると、いろいろな分布がありますけれども、350万円未満が3分の1ぐらいになっているということです。
 5ページは、この低年金者への見直しについては、何かする必要があるのではないかと、20年11月の前身の年金部会の整理では、何らかの対策が要るだろうけれども、いろいろ留意点があるということ。後半の方では、この留意点についてどう考えるかということを記載しております。
 集中検討会議では、各団体あるいは新聞、報道期間から、そういった加算を何か考えるべきではないかという趣旨の意見が出ております。具体的なものが書いてあったり、書いてなかったりであります。
 6ページは、一体改革の成案におきましては、最低保障機能の強化を図る観点から、低所得者への一定の加算を検討しようということで、4つ目のポツです。年収65万円未満の方に月額1.6万円を加算するという前提で試算しました。先ほど、老齢基礎年金の平均額が5.4万円と申しました。月額5.4万円ですと、12か月で約65万円。
 これだけしか年金をもらっていない層を対象にして、年金制度改革の方向性ということで、7万円を実現するとしたら、平均との差で1.6万円を加算する。所得65万円未満の方に加算するという仮定を置いた場合、約5,000億円、0.5兆円という試算を出しております。
 この場合、後ほど出てきますけれども、月収5万4,000円の人に1万6,000円加算するとして、月収5万5,000円の人には何もしないとすると逆転が起きてしまうものですから、5.5万円の人には1.5万円、6万円の人には1万円加算して7万円にするという逆転防止も含めた試算をしております。
 そうしますと、障害基礎年金は2級で6万6,000円ですから、4,000円加算して7万円にするという形で試算すると大体0.1兆円ということで、合わせて0.6兆円という費用見込みを一体改革成案で出しております。これは、税金でこれを負担するという前提での提案になっております。
 これを行う場合の論点ということで、7ページに年金制度の中にこの加算をどう位置づけるか、加算の内容をどうするか等を記載しております。
 下の箱に、制度設計に当たっての論点ということで、実際に制度設計する際には、こういった細かい技術的な論点もあり得るんですけれども、今日は上の箱の範囲で御意見をちょうだいしたいと思っております。
 上の箱の範囲での論点として、8ページですけれども、社会保険方式で行っております公的年金制度の中で、この低所得者への加算というのをどのように位置付けていくのか。これは、現在の年金制度でも、受給時の生活実態で配偶者がいるとか子どもがいるとかの加算が行われているということですので、家族がいることで生計費が余分にかかることに着目した保険料財源で給付を加算しています。
 こういうものもあるのを考えますと、今回、低所得者であるということに着目して税財源で加算するというのを、公的年金の中に位置付けることも可能と考えてよいかどうかということがあろうかと思います。
 給付と負担の関係の社会保険方式だから、所得に応じて税で加算するというのは余り望ましくないのではないかという議論もあり得るんですけれども、現に低年金・低所得の方がいることへの対応を何かしないといけないという観点で考えると、そういった対策が要るのではないか。
 ただ、一番下のポツで、その際、今日の前半の議論でもありましたけれども、いろいろ留意しなければならないことがあるんじゃないかということを記載しております。
 9ページは、現行制度にある加給とか加算の例です。
 10ページは、加算ですけれども、成案の試算は最低保障、7万円に近付くように、5.4万円との差額ということ。そうすると、定額で加算するとしたら、1.6万円加算ですし、定率だと3割増しにすればいいということになりますけれども、定額の方が年金所得が低い人にとっては有利なわけです。ただ、確信的な未納者で納付期間が短かった人にも同じように加算されることをどう見るか。
 一方、定率の方は、過去の年金額が少ない人は少ししか増えず、多い人は多いですから、それについては否定的なんですけれども、低年金者対策としての効果はやや小さいというのがあって、そこをどう考えるかということで、メリット、デメリットの表をつくっております。
 最低保障機能の強化という観点から考えると、定額というのがいいんじゃないかと思いますけれども、その際に、制度に適切に加入してきた人と、そうでない人との公平性の担保が要るんじゃないか。
 11ページに進みまして、特に短い期間での年金額だとしても、加算がされて、保険で納めなかった分を税で補てんしてもらえると思われたら、それは余りよくないということです。それは、保険料滞納で年金が減額される分を税金でカバーするということだったら、公平性の観点からも問題であろう。
 そういうことなので、定額加算をベースに考えるとしても、保険料納付実績に応じた区分を設けて、加算額の上限を設定することが1つ考えられるのではないか。そうすると、前半の議論で、受給資格期間短縮というのを行うことにした場合に、25年に満たない、10年とか15年の納付に応じた支給額が出るわけですけれども、そういった方に対する加算というのは、ずっと手続したり、納付してきた人の加算とは違わせるという形が1つ考えられるのではないかということです。
 例として、現在の仕組みで、20年納めて20年滞納した方と、40年間免除手続をやった方というのは、2分の1で計算した場合、年金額が同じなんですけれども、その2人が同じ額の加算でいいのかというと、そこはちょっと違うという考え方をとってもいいんじゃないかということで、例えば25年に満たない、今回は特例で期間短縮でもらえるようになる人には加算をやらないとか、あるいは加算するにしても半分にするといった工夫も、加算する際には考えられるのではないか。
 これは、先ほどの小室委員からの提案に若干答えられる話じゃないだろうかと思っております。
 12ページは、障害基礎年金の方で、下の箱にありますけれども、障害者制度改革の推進の関係で閣議決定されている内容においても、障害者の所得保障について、給付水準の負担のあり方も含めて、年金制度改革とあわせて検討していくという課題がある。
 そう考えますと、障害基礎年金についても保険料と税金で賄われているわけですので、そのバランスは要るわけですけれども、老齢基礎年金の方で一定の加算をするということであれば、同じような老齢基礎年金満額の方に4,000円加算するのてあれば、障害基礎年金についても同様な加算が考えられるのではないかということを成案の試算では提示しております。
 次に、資料4です。今のは低所得者、低年金者への加算ですけれども、あわせて検討されるべき高所得者の高齢者の年金額の調整の方です。
 1ページは、現状、年金受給者の収入分布で、老齢年金受給者の所得を見ますと、これは累積分布になりますけれども、右の方で、1,500万円以上の所得の方が0.2%、1,000万円以上が0.6%、600万円以上が2.4%という分布になっております。この1,000万円以上0.6%、1,500万円以上0.2%というのは、後ほどの試算に用います。
 2ページは、冒頭の方で使った資料と同じです。
 高所得者について一定の制限をすることについては、3ページになりますけれども、平成15年、年金部会、今回は3巡目になりますけれども、1回目のときの16年改正に関する年金制度改正の際の年金部会の意見でも、一定以上の高額所得者についての給付制限の議論はありました。ただ、これは同額の保険料を同期間拠出したのに、老後の所得や資産で給付制限というのはよくないんじゃないだろうかという議論が、その当時は強かったということです。
 ?の20年11月の整理では、それについてはクローバックという言葉を後ほど説明しますけれども、高所得者への年金給付の扱いについては、世代間・世代内の公平とか年金寄付の権利性、税との関係なども踏まえて、更に検討を進めるとなっております。
 集中検討会議では、団体等からそういったことを行うべきだという提案が出されているといったことであります。
 4ページは、クローバックという言葉が20年11月の年金部会や連合からの提案に書いてありますけれども、カナダの年金制度におきまして、1階部分のOASという税金で賄われている年金と、その上に保険料財源によるCPPという年金があるわけですけれども、税金で賄われている部分の年金について、一定額以上の所得の方については、その税金の分を返してもらうという意味合いでクローバックという減額がされている。こういった制度の導入を検討すべきじゃないかという提案がされているということです。
 5ページは、集中検討会議でさまざまなヒアリングを行いました団体あるいは報道機関からの提案もあったこともあり、あと低所得者への加算ということも行っていくこととの関係もあって、これを検討していく。公的年金等控除の縮減という税の話も含めて検討ということ。
 財政効果については、年収1,000万円以上の人について、基礎年金の国庫負担分半分についてですけれども、それを減額して、1,500万円以上の人については、基礎年金の税金部分を全部なしにした場合には、0.2%の人には一切なしで、0.6と0.2の間の方は少しずつ減らしていくとした場合、国庫負担が450億円程度減少することになるという試算を出しております。
 この問題についての論点は、15年の年金部会でもありましたように、同じ保険料負担だったのに、年金受給する段階になってから減額されるという仕組みが、社会保険方式の年金制度でいいのかどうかという論点があります。
 ただ、これは現役世代が高齢世代を支えるという年金制度の仕組みからすると、高所得である受給者については遠慮いただくというのは、世代間の公平に資するのではないか。また、高齢世代内での公平ということも考える必要があるんじゃないか。
 特に、年金の給付費のうちで、基礎年金の半分の国庫負担の分については、減額というのも許容されるんじゃないか。だったら、税金を余計に払っていただくというやり方もあるんじゃないかということ。
 あと、先ほど資格期間の短縮のところでも提示いたしましたけれども、現在の受給者についても減額の対象にするのか、これからの受給者だけにするのかどうか。現在の受給者とした場合に、年金受給権というのは財産権であることの関係でどう考えるのか。
 あと、この制度を導入した場合に、将来、自分が減額されそうだと思うような所得が高い見込みの人が、国民年金の保険料を払う気をなくすことも懸念されるのではないかということがあります。
 下の箱は、今日は深くは入りませんけれども、制度設計に当たってはこういった論点があるということです。
 7ページ以降は、各論点についての解説になります。
 7ページに書いてありますのは、先ほど触れました、そもそもどう考えるかということで、世代間の公平、世代内の公平ということを考えつつ、ただ保険方式のもとでいいかどうかということを考えつつ、こういったものを導入するのがいいのかどうかということを書いております。
 8ページは、では税金部分だけだったらいいのかということについて、カナダのクローバックは税財源の分が対象です。現在、老齢福祉年金という全額税の年金というのは、所得制限が導入されていることもある。それと、基礎年金の2分の1は国庫負担、税金ですから、その分だったら許容されるという整理が可能かどうか。ただ、これも憲法上の財産権の問題は、後述していますけれども、あります。
 あと、課税強化による、高所得である年金受給者への負担を求めるというやり方も考えられるわけであります。年金額から減額する場合は、仕組みはわかりやすいんですけれども、財産権との関係でどうするか。課税の方の場合は、公的年金等控除をいじることにした場合は、それは年金についてしか着目していないので、所得との関係でうまくできるかということを考えないといけないということを書いております。
 9ページは、現在の受給者についても減額の対象にするのか。それは、既にもらっている人は、憲法上の財産権としての年金をもらっているのに、それを減らすのは可能か。ただ、これは憲法上の財産権ではあるんですけれども、公共の福祉のためには、財産権であっても減額が可能というのが、一般的な整理ではあるということで、何らかの制度設計をするのは可能ではないかということで、そういった設計がうまくできるかどうかということであります。
 参考までに10ページは、財産に関する考え方で、平成13年に農業者年金という制度が、これは税財源によって支給されている経営移譲年金について、農業者年金が大変厳しいということで、平均9.8%の引き下げを行ったわけですけれども、これについての法理論を整理した質問主意書と回答です。
 下にありますように、問1の答で、既裁定の年金受給権は、財産権である。
 問2の答で、財産権といえども、法律により制約を加えることが憲法上許されるときがあることは、判例等にもある。
 11ページに行きまして、問5、9.8%の削減というのはいいのかという問いに関しての答えで、財源が専ら国庫助成だということ。年金額の引き下げの水準はそんなに大きくなくて、生活水準が直ちに脅かされるものではないことから、財産権に対する合理的な制約として許容されるということを、農業者年金のときは整理している。
 そういったこともあり、12ページですけれども、2個目の丸の例1で、国会議員互助年金を廃止した際に、既裁定者について減額しましたけれども、そのときにも最大で10%の減額。農業者年金は9.8でありましたけれども、10%減額したとか。
 下の例2で、平成19年に提出して、これは成立しておりませんけれども、被用者年金一元化法案で、公務員の恩給期間の年金額を引き下げるするというのについても、減額幅は10%を上限としたということがあります。
 なお、例1の2個目の※で、国会議員や地方議会議員については、高額所得者に対する既裁定年金の支給停止の仕組みもあると書いてありますけれども、これは議員年金を諸般の事情で廃止する際に設けたのではなくて、もともと加入するときの約束ごととして、高額所得者については支給停止という仕組みがあったというものであります。
 最後の13ページは、将来、自らが減額の対象となる考える方にとっては、保険料の納付意欲を損なってしまうんじゃないかということで、下の箱は、以前出しました世代ごとの保険料負担額と年金給付額に関する試算で、現在の制度で、1990年生まれは国民年金の将来の保険料負担額と受給見込み額は1.5倍となっておりますけれども、これは満額をもらった場合に1.5倍ということですから、国庫負担分半分がなくなると給付が半分になる。この倍率が半分になることが起きるということ。
 将来、そうなりそうな人の納付意欲にどう影響するかということも意識する必要があるのではないか。将来のことはわからないからといって、割り切りで考えるかといったことも気にしなければならないことかなと思っております。
 資料の説明は以上です。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいま事務局の方から御説明いただきました2つの資料のうち、まず低所得者への加算等について御意見を委員の皆様方からちょうだいできればと思いますので、よろしくお願いいたします。
 諸星委員、どうぞ。
○諸星委員 ちょっと質問ですが、今回、低所得者である年金受給者というのは、いわゆる1号被保険者が受給する老齢基礎年金の受給権者のみに対してでしょうか。それとも、老齢厚生年金も含めた方なんでしょうか。
○梶尾年金課長 基本的には、現在の想定は年金を限定するということではなくて、年金額で考えたいと思っておりますけれども、本日提示しておりますのは基礎年金の統計だけになっておりますけれども、対象とするのは厚生年金もだと思っております。
○諸星委員 資料3の1ページに、先ほど最低7万円にするために、平均5.4万円ということで1.6万円の差額を出しますということで試算されているということですが、実際は低額の基礎年金をもらっている方というのは、老齢厚生年金をもらっている方ではなくて、老齢基礎年金だけをもらってい方。特に繰り上げの請求をしている方が非常に多いんですね。
 繰り上げをしてしまうと、その後、何か見つかっても、よほど特例に当たらない限りは、年金が支払えないという実態があるとすれば、平均4.9万円なり繰り上げをした、いわゆる低い金額の方々を基にした差額で試算するのが本来の形ではないかなということを私は疑問に思いました。
 以上です。
○神野部会長 何かコメントはありますか。
○梶尾年金課長 この1.6万円という設定につきましては、老齢基礎年金の全体の平均額ということで、それに満たない5.4万円に相当する人が7万円になるということの設定でやっている。この成案においても、この加算の幅を変えれば、また費用も変わってくるという形なんですけれども、提案においては、実際の平均額はこうだということで出しています。ただ、現状は、おっしゃるとおり、基礎年金しかない人の平均は低いわけです。
 もう一点、繰り上げて低くなっているところをベースに加算を考えるのか、もともとの額をベースに考えるのかというのは、今日は細かくなるので出していません。箱に書いているだけにしましたけれども、大きな論点だろうと思っております。
○諸星委員 私が基本的に言いたかったのは、5.4万円というのは、老齢厚生年金をもらっている方も含めた平均であるから、本来は違うだろうという意見です。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
 どうぞ。
○山口委員 今の低年金が発生する理由が、資料の3ページに書いてありますが、繰り上げ受給を行っているというのは、65歳から本来受けるべき年金を60歳から受けるときに、将来の年金のキャッシュフローの現在価値が同じになるように年金額を調整しているわけですね。だから、年金額が減っている。それは本人の選択によって行われているわけで、頑張って65歳まで待とうと苦しい中で待って人もいらっしゃるわけですね。だから、出来上がりベースで一生懸命待った人と待たないで先にもらった人が同じ年金額になる事態は、一般にはなかなか理解されにくい状況があるのではないかと思います。
 それから、低年金のもう一つの理由としてあげられている保険料納付済期間が短いという問題についても、一生懸命真面目に保険料を払った人と、いろいろな事情があったんでしょうけれども、結果的に払わなかった人が同じように差額補てんされて出来上がりで7万円になるといった形は、低年金者に焦点を当てた議論としてわからないでもないんですが、一方で、もう一つの視点、つまり真面目に一生懸命保険料をずっと納めてきて、そして支給開始も65まで何とか我慢して待った人たちの方が、むしろ多いんですね。
 そういう人たちが年金制度を支える主流で、そういう人たちの視点で納得感といいますか、公平性が維持されているといった観点がなければ、なかなか国民に支持されないと思います。この前の運用3号問題でもそうで、遡及して2年分払えば10年分払ったものとみなすなんていうのは、真面目に払ってきた人からすれば理解しがたい事態だったと思うんですね。そういう感覚が非常に大事で、制度の改革をする場合に、制度を支える一番中核になっている人たちに納得してもらえるような仕組みをつくるべきではないかと強く思います。
 そうだとすると、私は現在の社会保険方式の中で、払った保険料と給付が見合っているという仕組みがある程度大事にされないと、うまく回っていかないのではないかと思っています。したがって、この種の議論をやるとすれば、基礎年金2分の1が国庫負担なわけですから、保険料以外の国庫負担の部分について低年金の救済の議論をするというのは大いに結構だと思います。ただ、それだとどうしても給付の水準が低くなるわけですね。
 ですから、現行の社会保険方式の公的年金という枠組みの中で、低年金問題をすべてそこで解決するというのは、かなり難しい点があるのではないか。だから、他の政策とミックスして対処すべきで、年金の制度の枠内ですべてを解決するというのは、ちょっと限界があるように私は思います。
○神野部会長 ありがとうございます。
 小塩委員、どうぞ。
○小塩委員 まず、質問が1つありまして、今も議論が出ていたんですけれども、繰り上げ支給の人がかなり多いですね。これの理由なんですけれども、自由な意思決定で、60歳でもらうか、65歳でもらうか、どっちが得かなと考えた上での結果なのか、それともお金が全然足りないから減額覚悟でもらいますという、経済学的に言うと流動性制約が原因なのか、その辺の調査結果がもしあったら教えていただきたいと思います。それによって、低年金の問題は考え方が全然違ってくると思います。
 もう一つはコメントなんですけれども、山口先生がおっしゃったことに私、全く同感です。低年金、それから後で議論が出てくると思うんですけれども、年金の高い人の調整も、社会保険の枠組みの中ではなかなか完結した解は出てこないんじゃないかと思います。社会保険を前提とする限り、拠出に応じた給付という連動性が重要になるでしょうし。
 それから、これは後で議論になるかもしれませんけれども、高所得の人の年金を減らそうと思っても財産権の問題があることを考えますと、仮に高所得層の所得再分配を行う必要があるということであったら、年金だけじゃなくて、税と一体にして議論する必要があるだろうなと思います。低年金のところについては、その点だけ意見を申し上げます。
 もう一つだけ、先ほどちょっと低年金、無年金のことについて、私、申し上げられなかったので、付け加えますと、最近、いろいろな統計を見てわかったんですけれども、無年金にどういう人がなるかというと、転職を繰り返す人は多くなります。1、2回ぐらいだと、統計的に有意な形で無年金になる確率は高まらないんですけれども、3〜4回ぐらいになると無年金になる確率がぐんと高くなります。
 そういうことを考えると、給付段階で無年金の問題を解決するだけじゃなくて、拠出段階でも無年金の問題とか低年金の問題を考える必要があるんじゃないかと思います。
 以上です。
○神野部会長 最初の問題は、今、答えることが可能でしょうか。なければ次回。
○梶尾年金課長 そういった調査があったと思いますので、次回、準備できれば。
○神野部会長 では、それでお願いします。
 花井委員、どうぞ。
○花井委員 私は、現在の低所得者の方が大変高齢者に多いということが挙げられるかと思います。そして、今、146万世帯が生活保護受給者と言われておりますが、その4割以上が高齢者世帯で占められているという数字があるかと思います。高齢者世帯が生活保護を受給する要因の一つとしては、低年金あるいは無年金ということが挙げられております。
 そして、生活保護を受給すると、そこからなかなか抜け出せないということも、また一方で事実かと思います。そういう意味から言いますと、低年金とか無年金者に対しての加算というのは、生活保護に陥らせない役割というものが期待できるのではないかと考えます。
 それから、現役世代についてですが、免除制度があることを前提にすれば、今、受給資格期間が40年と言っていますが、40年間免除した場合は、基礎年金というのは、そのうちの国庫負担の2分の1となって、3.3万円となるかと思います。この人が高齢期において急に所得が増えるというのは余り考えられないとすれば、生活保護に陥る可能性が非常に強いのではないかと思います。現役中の免除はしておいて、高齢期になって生活保護に陥ってしまうというのはどうなのかということも考えておかなければいけないと思います。
 その意味で、年金外の収入とか、さまざまあるかと思いますが、そういうことを調査した上で低所得者への加算があっても、当然よいのではないかと考えます。
 もう一つ、これは要望なのですが、さまざまな年金の額が提示されておりますが、年金が低い層というのは、多くが高齢の女性ということになっておりますので、年金額を示されるときは、是非とも男女別の数字を示していただきたいということを強く要望したいと思います。
 以上です。
○神野部会長 今のことは可能ですか。資料要求で男女別に。OK。
○安部数理課長 はい。元データに戻ればございますので、また。
○神野部会長 そうですか。昔、女性だけの貧困と言われていた、高齢者の単身女性の貧困だけではなく、もっと深刻な問題として男性の貧困もありますので、一言。
 ほかにございましたら。どうぞ。
○小山委員 皆さんの意見と同じなんですけれども、低所得者への加算については公平性ということが大事ではないかと思います。公平ということは、一律に7万円にしようということではなく、40年払った人にはそれなりのもの。11ページの例に出ていますように、いろいろな計算の仕方も出てくるかと思いますので、そういうところもこれから計っていただきたいなと思います。
○神野部会長 ありがとうございます。
 ほか、よろしいでしょうか。それでは、低所得者の加算については、この程度で切り上げさせていただいて、高所得者の年金額の調整について御意見をちょうだいできればと思います。小塩先生、先ほどの他の制度と有機的に関連付けてということ以外に何かございましたら。
○小塩委員 先ほど議論がなかったんですけれども、公的年金等控除とか老年者控除とか、そういう現行の税制に対して、どこまでこの部会が踏み込めるのか、ちょっとお聞きしたいんです。あくまでも年金の話に限定するということなんでしょうか。
○神野部会長 ここでの議論ですか。どこまで含めるかというのはあれですけれども、接触する限りで、もしも強い意見がおありであれば、お述べいただいても構いません。そもそも年金をどうとらえるかということにも関わるような問題になってきますよね。
○小塩委員 私は、年金所得もほかの所得も同じように扱うべきだと思うんですよ。だから、年金だからといって、特に税制上の優遇措置は必要でないと思いますので、今、議論されているように、高齢者内の所得再分配をもっとしっかりしましょうということであれば、現行の税制についてもしっかりと改めるべきだと考えております。
○神野部会長 財政学の方では、そもそも租税は包括的所得概念で掛けますので、移転所得は全部所得の中に入れるわけですけれども、移転所得を入れたり、あるいは帰属所得を入れたりすると、家族内の無償労働についても課税しなければいけないような事態になるので、なかなか理論どおりにはいかないので。ただ、頭の中の参考基準として置くことは重要かと思います。
 あと、ほかに何か。諸星委員。
○諸星委員 本日、低所得者等の加算についての中で、障害基礎年金については議論がされないということでよろしいですね。
○神野部会長 いや、していただいて構いません。
○諸星委員 そうですか。そちらについて1つ質問なんですが、障害基礎年金の加算については、第1回の資料1−3で厚生労働省側が集中検討会議に提出した案に、障害基礎年金の加算案がなかったんですね。ところが、1−1にある税と一体改革案の具体案の工程表の中に初めて出てきております。私としては非常に唐突な気がいたしまして、資料の3ページにあるように、障害者の所得保障の観点から、一定の加算を行うべきという意見が出てきたということなんですが、そもそもそれはどこから出てきたものかを確認したいのが1つと。
 もう一つ、今回の対象となるのは、障害厚生年金受給者ではなく、あくまでも障害基礎年金を受給する者に対する加算という理解でいいのかどうかを確認したいと思います。
○神野部会長 2点、よろしいですか。
○梶尾年金課長 確かに5月23日に提示したものには、明確に障害基礎年金の加算というのを独立して書いていなかったんですけれども、意図としては、老齢基礎年金についての一定の加算というのを提案する際に、一方で障害者施策ということで、障害者の所得保障の議論があることを考えると、あと老齢基礎年金と障害基礎年金が同様に議論されてきたことを考えると、老齢基礎年金に加算することの議論には、あわせて障害基礎年金の加算というのも考える必要があるんじゃなかろうかということで、成案に至る過程で明記する形で、障害基礎年金の加算というのを成案の工程表の中には記載されたということです。
 それは、基礎年金の水準というのが、老齢基礎年金と障害基礎年金と同じということですので、基礎年金を念頭に加算を考える。
○諸星委員 そうすると、障害基礎年金ではなくて、基礎年金だけ。
○神野部会長 はい。
○諸星委員 では、それを踏まえてちょっと意見を申し上げさせていただきたいのですが、まず参考資料の32ページを見ていただくとわかると思うんですが、そもそも障害基礎年金を受給するためには、障害の対象になった傷病に関して、初めて医者等にかかった初診日がまずあること。それから、20歳前障害を除けば、保険料の納付要件が必要であること。もう一つは、障害認定基準に基づいた障害の程度が2級以上に該当して、初めて支給されているわけです。
 先ほど議論されているように、老齢基礎年金は40年掛けて初めて満額の基礎年金を受給するのに比べて、障害基礎年金は必ずしも40年掛けずに同額の基礎年金がもらえるという前提があるんですね。しかも、説明もあったように、一定のこれに対する加算もあるわけです。1級の場合の支給額は、ここにありますように1.25倍と、その額がなっているわけです。
 省が定めた障害認定基準というのは、平成14年に大幅に改定された後にさまざまな病症例が出たことや、最近多い精神疾患の増加によって、近年では、昨年11月、今年4月と立て続けに細かい部分で認定基準を見直しているんですね。ただし、審査会の不服の全体の約4割近くが、この障害基礎年金に関する不服の問題なんです。
 先ほどの要件の一つ一つに問題はあるんですけれども、障害認定基準に関する実態を見ると、2級以上とするという認定方法が地域によって必ずしも統一されていないんですね。つまり、北海道とか九州とか、要は所得が比較的低いとされる地域では意外と簡単に2級と認定されてしまっている。逆に、都心に近い地域については厳しく認定されている実態があるんです。
 また、傷病によっては、客観的なデータを根拠としない、具体的には身体の障害とか血液とか尿検査などよって程度が判定できるものはいいんですけれども、診断書が作成されたものに基づいて決定されるという実態があるので、そういう客観的なデータがない場合において、2級以上の支給がされることもあるので、逆に障害基礎年金2級以上を受けられる人と、そうでない人との間に更に不公平が広がっているんです。そうなると、そこで加算というものが果たしていいのかどうかというのは、私は疑問です。
 それと、法的には障害基礎年金の受給権が発生した時点のみ生活維持関係があった子への加算をしていまして、その後、今年4月に、生まれた子どもに対する加算は、いわゆる障害年金加算改善法というところでクリアーできているんですよ。また、そこでクリアーしているにもかかわらず、更に一定の加算をする必要があるのかというのがあるのと。
 もう一つは、母子家庭や遺児に支給される遺族基礎年金も同じように基礎年金と同額です。所得保障の観点ということであれば、障害基礎年金だけを一部加算するだけでなく、遺族基礎年金についても検討するべきではないかと私は思います。
 以上です。
○神野部会長 ありがとうございました。
 花井委員、手が挙がっていましたね。
○花井委員 高所得者でもいいですか。
○神野部会長 高所得者です。
○花井委員 済みません。連合は、これまでさまざまな場で基礎年金全額税方式ということを主張してきておりまして、そういう意味で、本部会というのは年金制度の抜本改革議論はしないというか、現行制度をまず見直していこうということでスタートしているかと思います。そういう意味で言うと、私たちの考え方が一貫して主張できないという制約があるかと思いますが、あくまでも現行制度を前提に意見を述べさせていただきたいと思います。
 高所得者に対して基礎年金の公費負担について低減するという、その方向性は基本的にはいいのではないかという意見を述べておきたいと思います。
 以上です。
○神野部会長 ここでは、現行制度を前提にして改善するということで最初にスタートしておりますが、将来こうあるべきだということを描いた上で。つまり、我々はいつも現状を否定するのに、部分的にしか否定できませんので、そういう観点から、それに近付けるために、今ここを改革すべきだということは言っていただいても別に構いません。
 あと、何か御意見あれば、どうぞ。
○佐藤参考人 山本委員の代理の日本商工会議所の佐藤と申します。高所得者の方の年金の見直しについて申し上げますけれども、若干その前の最低保障機能の強化のところにも触れさせていただくことを御了承いただければと思います。
 今日の最初の議題の資料説明でも御紹介いただきましたが、私どもは、最低保障の強化につきましては、受給資格期間の短縮について25年から10年にすることと、もう一つ、受給資格があれば、保険料の未納期間の部分についても、満額の2分の1を限度に基礎年金を支給するという御提案をさせていただいております。
 その上で、高所得者の年金給付の見直しについてですが、一体改革の成案では、今日のテーマの最低保障機能の強化の部分と違いまして、「見直しの検討」とされておりました。一体改革によって、お金が更にかかる部分と、お金を節約する部分の差し引きで、更に2.7兆円かかるという計算の中にも、この高所得者の年金給付の見直しは入っておりません。ですから高所得者の年金給付について、基礎年金を段階的に減額すべきだと考えており、それを是非実施していただきたいと思っております。
 また、成案の中で示された仮の条件設定として、年収が1,000万円以上の方から減額とされていますけれど、これまでの政府の社会保障に関する会議に出た試算の中には、年収600万円以上の方から減額する試算が出されたケースもございました。これでいけば約4,000億円、公費負担が減るという結果だったと思います。成案に出ているのは、あくまで一つの試算だと理解しておりますので、それ以外の試算も視野に入れて、年金減額の対象をどこまでにするかということも含めて、今後また議論できればと思っております。
 以上です。
○神野部会長 ありがとうございます。どうぞ。
○梶尾年金課長 済みません、今の御発言の中で事実関係で若干説明させていただければと思いますけれども、前回の資料の中で、一体改革の成案で工程表があって、充実の項目と効率化の項目がございました。あそこに最低保障機能の強化の関係で、資格期間の短縮とか加算で0.6兆円と書いてあって、それプラスというのがあって、右側に高所得者の減額の話を書いてございます。
 今日、御説明しましたとおり、加算のところで合わせて0.6兆円と書いてありますけれども、加算で0.5兆円と0.1兆円で0.6兆円に、資格期間短縮で300億円があるんですけれども、合計すると丸めて0.6兆円と表記しています。高額所得者の減額の検討の方で450億円減らすんですけれども、それが減っても6,000億円プラス300億円引く450億円で丸めるとやはり0.6ということで、あの中に入っているということで御理解いただきたいと思います。
 それも含めて0.6兆円というのがあり、それが合わせて全体の2.7兆円に入っているという設計になっているので、今ありましたように、高所得者の減額が入っていないというご指摘は、そうではないということを補足させていただければと思います。それが1点と。
 あと、後半の方で御発言がありました、以前は別な試算もあったんじゃないかということですけれども、参考資料の35ページに、平成20年に社会保障国民会議で、高所得者についての減額をやった場合の財政効果を見ています。36ページのグラフは、今日お見せしたものと同じものですので、分布は同じデータを使っておりますが、35ページにありますように、600万円から開始して1,000万円以上はなしということにすると、先ほどの2.4と0.6になるわけです。
 この場合に、今、御発言になりましたように、2015年で基礎年金給付費が29兆円になるうちの、クローバックの削減額が0.4兆円、これが4,000億円と御発言があったものですけれども、この前提は、基礎年金全額です。したがって、このうちの国庫負担分だと、この半分になりますし、基礎年金給付費自体も、こんなには大きくなっていないので、今、22兆円ぐらいです。ご指摘のあった4,000億円というのはこの前提での数字です。
 ただ、基礎年金給付費が1.3%削減という数字には変わりはないので、1,500億円という感じになるのではないかというおおよそのイメージです。4,000億円ということにはならないということを補足させていただきます。
○神野部会長 どうもありがとうございました。もう一つですね。
○佐藤参考人 申し上げたいことが一つございます。
 今日のテーマに限って言っても、最低保障機能の強化をするには、どうしても費用がかかります。高所得者の方の年金給付の見直しもテーマに上がってはいるものの、今もお話がございましたが、450億円と1,500億円でも一桁違います。給付の重点化ということをもっと視野に入れた議論が必要だと思っております。
 以上です。
○神野部会長 ほかに。どうぞ。
○小室委員 小さな点なんですが、低所得者の方に関しての意見を1つだけ。
 これは伝え方の問題だと思うのですけれども、平均が7万円で、それとの差が1.6万円なのでというのは、恐らく余り納得が得られないような気がます。そもそも7万円なら何に足りて、5.4万円だと何に足りないのか。低年金の人たちに何をするために低いと言われているのかということがわかりにくくて、恐らく不公平感の方が出るであろうなと思いました。
 もし何かしらの加算をするとして、説明の根拠を考えるのであれば、私が先ほど聞いた印象では、花井さんがおっしゃられていた、生活保護に関して掛かる費用との比較とか、結局ほかでかかってしまう費用の方が大きくなるのでというような説明の方が納得感があるかなと思いました。伝え方に関して、非常に慎重にやっていただきたいという点です。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
 ほかに御意見ございますか。どうぞ。
○植田部会長代理 ごく簡単に、話を伺っていて思ったことですが、既に複数の方がおっしゃったことですが、全体を通じての大きな問題が、保険という年金制度と所得再分配ということを保険の制度の中で両方やろうとしていることから来る問題であって。それによって、保険という制度のパフォーマンス自体も悪くなるというリスクを大幅に抱えているということだと思います。
 ですので、この会議でその点にどれくらい踏み込めるかということはかなり疑問なんですが、私個人としては再分配的な話はなるべく抑制ぎみに運営していただいたらと思いますし、あるいは一部の方の御意見がそうだったのかもしれませんが、例えば基礎年金のところをもっと再分配的に運用するのであれば、それはそれで、もうちょっと別の制度として、あるいは若干縮小しつつ考えるという方向でないと、もたないのかなという気がいたしました。
 あと、ちょっと小さいことですが、低所得者へのというところで、これの資料にあったポイントですが、高齢者を見る場合に、所得を見ても、その人の経済的な地位は余りわからないわけで、金融資産、実物資産を見ないと意味がないと思いますので、資料にもありました番号制の導入等の実施とうまくあわせて、資産額を把握しつつ、こういう再分配をやるのであれば、考えていくという方向かなとも思いました。
 以上です。
○神野部会長 ありがとうございます。そもそも年金とは何かというのがあって、ベヴァリッジ型の老後の防貧なのか、それとも大陸型で考えるかから始まっている。どうぞ。
○植田部会長代理 あと1つ。忘れたんですが、テクニカルな点ですが、納付率のデータがありましたけれども、あれはどのぐらいのものをお持ちかどうかわからないんですが、かなり細かいデータがあるのであれば、どういう問題が納付率を低めているのかということに関する、一般的に言われている以上のきちんとした分析ができると思うんですけれども、そういうものも制度設計では非常に参考になるような気がいたします。
○神野部会長 そもそも年金とは何かということは、世界的に揺れ動いていて、2つタイプで組み合わせているのが一般的ではないかと思いますが、今のような基本的な理念をも含めて、個々の論点を御議論していただければと思っております。
 そろそろ時間でございまして、まだまだ御意見を言い足りない点、その他が多いかと思いますが、この辺で打ち切らせていただいて、また何か特にございましたら、私なり事務局の方に1回目の、一順目の議論でございますので、お申し出いただければと思いますし、また今日御出席でない方々からも御意見をちょうだいすることも考えたいと思っております。
 それでは、これにて審議を終了したいと思いますが、次回の日程などについて連絡事項がございましたら事務局の方からお願いいたします。
○藤原総務課長 本日は、大変ありがとうございました。
 本部会の次回の開催日時でございますが、9月29日木曜日の18時からを予定してございます。詳細は、追って御連絡させていただきます。
○神野部会長 どうもありがとうございました。9月29日18時からでございますので、予定にお入れいただければと考えております。
 それでは、不手際でいろいろ失礼の段あったかと思いますが、お許しいただきまして、本日の審議はこれにて終了いたします。御多忙のところお集まりいただきましたことを重ねて感謝申し上げます。どうもありがとうございました。


(了)

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