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2011年9月16日 第45回社会保障審議会医療保険部会議事録

○日時

平成23年9月16日(木)9:57~12:24


○場所

グランドアーク半蔵門「華の間」


○議題

1.次回の診療報酬改定に向けた検討について
2.社会保障・税一体改革成案における高額療養費の見直し等のセーフティネット機能の強化、給付の重点化について
3.その他

○議事

○遠藤部会長 それでは、まだ少し時間がございますけれども、既に委員の皆様が御着席されましたので、これより第45回「医療保険部会」を開催したいと思います。
 委員の皆様におかれましては、御多忙中の折、お集まりいただきましてありがとうございました。
 まず、本日の委員の出欠状況について御報告をいたします。本日は、大谷委員、岡崎委員、齊藤正憲委員、福田委員、和田委員より御欠席の連絡をいただいております。
 続きまして、欠席委員の代わりに出席される方についてお諮りしたいと思います。
 齊藤正憲委員の代理として藤原参考人、福田委員の代理として名越参考人の御出席につきまして、御承認をいただければと思います。よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 本日は藤田政務官に出席をいただいておりますので、ごあいさつをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○藤田大臣政務官 おはようございます。このたび政務官に就任をいたしました衆議院の藤田一枝でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日は御多忙の中、委員の先生方には「医療保険部会」に御出席をいただきまして、誠にありがとうございました。
 御承知のとおり「いつでも、どこでも、だれでも」が適切な医療を受けることを可能にしてきた我が国の国民皆保険制度でございますが、時代とともに取り巻く環境は大きく変化をしてまいりました。社会保障制度のこうしたさまざまな変化を受けて、本年6月には社会保障と税の一体改革成案がとりまとめられたところでございます。また、来年は診療報酬と介護報酬の同時改定という大きな節目のときを迎えるわけでございます。
 課題は山積をいたしておりますけれども、一体改革を前に進めていくためには関係者の皆様方の御理解と国民の皆様方の合意形成が不可欠でございます。委員の皆様方には、是非とも将来の安心をつくっていくために、そして、国民皆保険制度を堅持していくために忌憚のない御議論を重ねていただきますように心からお願いを申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。 
 どうぞよろしくお願いを申し上げます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 藤田政務官は御公務によりまして、10時30分ぐらいに退席の御予定と伺っております。
 次に、前回の「医療保険部会」以降、厚生労働省幹部に人事異動がございましたので、事務局より御紹介をお願いしたいと思います。
○木下総務課長 それでは、事務局の方から御紹介いたします。
 私は9月2日付で保険局の総務課長になりました、木下でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、国民健康保険課長の濱谷でございます。
 高齢者医療課長の横幕でございます。
 総務課保険システム高度化推進室長の北澤でございます。
 続きまして、総務課医療費適正化対策推進室長の鈴木でございます。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、冒頭のカメラ撮りはこのぐらいにしていただきまして、議事に入らせていただきたいと思います。
(報道関係者退室)
○遠藤部会長 初めは「次回の診療報酬改定に向けた検討について」を議題といたしたいと思います。事務局から資料が出されておりますので、説明をお願いしたいと思います。
○鈴木医療課長 医療課長でございます。
 私の方から議題1に関連して御説明を差し上げたいと思います。資料は資料1~6まで、若干確認を兼ねまして概要を御説明いたします。
 資料1は「次期診療報酬改定の基本方針の検討について」ということで「これまでの基本方針」が1、「次期に向けた背景及び論点等」が2という整理になっております。
 資料2、横表でございますけれども、これは18年からこちらの「社会保障審議会医療保険部会」「医療部会」で基本方針をお定めいただいて、中医協の方で具体的に検討するということになりましたけれども、その経緯、大きく下の方に4つの視点、上に重点課題というのが出ておりますが、その流れを書いてございます。
 資料3、これは前回、平成22年度改定の際に「医療部会」からいただいております基本方針の原文そのものでございます。
 資料4、これも横表の3段表になっておりますけれども、これは一番左の基本方針というところが先ほど資料3にありました実際に部会からいただいた基本方針。真ん中のところが中医協の方で答申をいただきました改定の主な対応です。
 一番右のところにそれに従いまして、どのような実施状況、算定回数でありますとか届出医療機関数がどうなっているかという検証をしております。それから、赤字で書いてございますけれども、これは中医協の下にあります検証部会の方で実際に行われた検証の結果が書いてございます。
 資料5-1、5-2は参考でございますので、説明の関係で必要に応じて参照したいと思います。
 資料6は、前回の議事録等になります。
 少し大部でございますので、ポイントを絞って説明をさせていただきます。
 まず、資料1にお戻りいただきまして「これまでの基本方針」。これは資料2と併せてごらんいただくとよろしいかと思います。
 基本的には4つの視点を18年改定なり20年改定、22年改定それぞれに方針として立てていただいておりまして、若干言葉は異なっておりますけれども、大筋では、1つ目が患者さんから見てわかりやすく納得できて、安心・安全で生活の質にも配慮した医療。
 2つ目が機能分化と連携、質が高い医療。
 3つ目が特に充実が求められる分野。
 4つ目が効率化の余地があると思われる分野。この4つの視点、これはほぼ18年、20年、22年共通でございます。
 ただし、その下の具体的な項目、ポツで書いてありますけれども、これについてはいろいろ入れ繰りがありましたので、後ほど、これについても次回の改定に向けて御議論いただきたいと思います。
 その上に重点課題というのが資料2にありますけれども、これは特に4つの視点の中の項目等について特に重要と思われるようなものについて特出しで1つなり2つなり挙げていただいているというのが従来の考え方でございます。
 資料1にお戻りいただきまして、そういうところが「ここまでの基本方針」というところに書いてございます。
 2ページの「2.次期改定に向けた背景及び論点等」、次回の改定に向けては、この4つのようなことを主に御検討いただいてはいかがだろうかと考えております。
 1つは、先ほど少し申し上げましたけれども、大きな4つの視点というものが言葉はいろいろ変わっておりますが、おおむね18年から継続して基本方針としていただいておりますので、これについて、これを基本的には継続するということでよろしいか、それとも何か変更が必要かどうかということが1つ。
 それから、その下にあるそれぞれの項目、これについて過去と比較とした場合にいろいろな入れ繰りが必要だと思われますけれども、どういった点が今回特に必要であろうかという点が1つ目の○でございます。
 2つ目の○、これは介護報酬の改定が3年に1度、診療報酬の改定が2年に1度ですので、6年に1度同時改定でございますけれども、今回平成24年の改定は平成18年に続き、介護との同時改定ということになりますから、特に機能分化なり連携という観点でどういったことが必要になるかという視点が2つ目であります。
 3つ目は、社会保障と税の一体改革というものが政府与党の検討本部で決定をされ、これに基づいて特に病院の機能分化、それから、在宅医療の充実ということがうたわれておりますので、これとの関連でどういった点が重要になるかということでございます。
 最後「さらに」と書いてありますけれども、今回3月に起こりました東日本大震災というものがございました。この被災した医療機関、もしくは災害に対する医療機関の脆弱性の克服という点で何か必要になるものが診療報酬として必要かどうかという、おおむねの考え方をどう考えたらいいか。
 この4つぐらいが大きな論点となり得るかと思います。
 引き続きまして、右側の3のところで今後の「視点」「方向」に関する例というのがあるんですけれども、その前に前回の改定の検証を若干御紹介したいと思います。
 資料で言いますと、4でございます。横長の表でございます。これは先ほど申し上げましたように一番左に基本方針の具体的な記述、真ん中が具体的な改定の項目、一番右がそれに伴う届出医療機関数の変化や実際の算定件数の変化ということになっております。
 一番右の数を御判断いただくときに御参考いただきたいのは、これは平成21年と22年の比較になっておりますけれども、診療実日数が22年の方が4%ぐらい少ないので、そこのところは若干ディスカウントをして考えていただくということでありますとか、21年には新型インフルエンザの騒動もありましたので、感染症に関する外来等が増えているというところもございます。若干、その辺を御考慮いただいて御参照いただければと思います。
 細かく御説明し出すとかなり時間がかかりますので、大枠だけ御説明をいたしますけれども、重点課題が2つございますが、そのうちの1つが救急、産科、小児、外科等の医療の再建ということで、実際に紹介をした場合、受入れた場合、地域で連携した場合、トリアージといいますけれども、院内で重症度を判定したような場合、さまざまな場合に加算をつくったり評価を増したりということをいたしました。
 右の方に届出医療機関数、算定状況等が書いてありますけれども、比較的順調に伸びていると評価をしております。また、赤い部分、検証部会の評価というのがありますけれども、ここにも書いてございますが、実際にハイリスクに関するようなもの、新生児の治療回復室等に関するようなものについては大きく算定件数が増加をしております。
 2つ目のポツ、実際に1施設当たりに従事する医師、看護師数でございますけれども、2ページ目をおめくりいただきまして、これは専従、専任。専従というのはそこに常に勤めておられる、専任というのはほかとも兼務するということですが、おおむね増加をしているということでございます。
 ただし、実際に医療機関に救急医療が充実できたかということをお聞きした場合に、充実できたとお答えになったのが2割程度ということでございますので、これはさらなる検討なり充実というのが一定程度必要ではないかと思われます。
 重点課題の2つ目、病院勤務医の負担の軽減でございますけれども、これはいわゆるサポートチーム、ケアチームということでチーム医療を推進するということが1つ。
 もう一つは、医師事務作業補助者体制加算に象徴されるような医療職ではないけれども、それを助けるような職種について新たに加算を加えたり評価を拡大するということで、これは一部調査を実施中でございます。また、退院の加算、後方病院の評価の充実ということもいたしております。
 次に、3ページ目の「4つの視点」。
 1つは、充実が求められる領域を適切に評価していくということで前回特に俎上に上りましたのは、がん、認知症、新型インフルエンザや結核等の感染症、肝炎、精神科、歯科といったところでございます。
 それぞれ真ん中に書いてございますような措置をしまして、一番右に書いてあるような充実が図られているというところでございます。
 特にこの件に関して検証をいたしましたのは、次のページをおめくりいただきますと、歯科技工加算ということで、院内で歯科技工を行える場合にそうでない場合と比べて対応がどうなっているかということでございますけれども、内部で歯科技工について修理をするということになると、9割は当日修理が完了するということで、患者にとっても非常に利便性が高いということにはなろうかと思います。
 そのほか精神、在宅歯科、障害者歯科等については、現在、検証中でございます。
 また、さまざまな医療技術、医薬品等についてイノベーションの評価ということもしております。
 2つ目、患者の方から見てわかりやすく納得でき、生活の質にも配慮した医療を実現ということで、1つは、明細書の発行義務化を拡大いたしました。また、医療安全対策加算というものの要件を緩和したり、透析についても管理料を引き上げるということをいたしております。
 次のページになりますけれども、赤い部分ですが、明細書の無料発行の義務化については着実に進んでいるという評価をいただいております。ただし、受け取る側の患者さんの方にアンケートをとりますと、毎回同じ内容である、また、わかりにくいということから希望しない患者さんもおられるということで、やはり患者さん側への一層の周知というのが必要だろうということになろうと思います。
 それから、外来管理加算の要件見直しということによって内容等を変更した例は少ないということ。
 地域治療貢献加算をとっていただいている場合には、24時間の電話対応等々について手厚い対応がされているということであろうと思います。
 3番目の機能分化と連携等については、急性期入院医療、回復期リハビリテーション等について評価を行いました。一部リハビリテーションについては、現在、検証部会で検証中でございます。
 それから、効率化の余地というところですと、例えば後発医薬品の使用促進ということとデジタルエックス線についてもアナログとの差別化を図ったということでございます。
 最後に、後期高齢者医療の診療報酬については、原則として廃止をするけれども、年齢を75歳以上に限らず拡大する場合には、いくつかのものについては広げて手当てをした。大体前回のときはこういうことになっております。
 次に、元に戻りまして資料1。恐縮ですか、参考としては資料5-1、5-2を併せて見ていただけるとよろしいかと思います。
 今回の視点の例、もしくはその下の方向性の項目の例ということですが、1つ目でありますと機能分化、患者の側から見て安心・安全ということですけれども、特に入院の機能分化ということですと、資料5-1のスライドの4番、ページでいいますと3ページにあたるかと思います。一般病床の中を非常に急性期なものとそれよりももう少し亜急性的なものを分けていって、数についても上が少し狭くなるような形で調整をしていってはどうかということになります。
 2つ目の慢性期入院医療の適正な評価、資料1で言いますと2番目になりますけれども、これについてはスライドでいいますと12番、ページでいうと7ページでございます。1つの課題になり得るのが一般病棟の中の13対1、15対1という看護基準に入っておられる方。これは基本的には急性期病棟という整理なんですけれども、90日を超えて入っておられる方が非常に数は少ないんですが、一部おられるということで、これと療養病床という長期病床の整理をどうするかということでございます。
 3つ目は、医療従事者の負担軽減に向けた評価の在り方ということで、先ほど申し上げたようなチーム医療、それから、さまざまな方との役割分担をどうするかということがございます。
 視点の2つ目、充実が求められる領域を適切に評価していくということでございますけれども、いくつか代表的なところだけ御紹介をいたしますと、まず、精神に関しましてはスライドでいいますと26番、14ページに当たります。
 いわゆる救急隊、119番をかけて救急隊を呼んだときに非常に受入れが困難だという例のかなり上の方には急性アルコール中毒、精神疾患、薬物中毒、認知症という精神科関係のものが多いということで、救急の場合の身体と精神の合併した状態についてどのような対応をしていくかというのが1つあろうかと思います。
 2つ目は、スライドでいいますと31番、16ページの下の方でございます。認知症で最終的に大学病院等に鑑別診断を求めてくるもののうち、最終的に認知症だろうといわれる方が7割程度でございますので、逆にいうと3割程度は認知症でない、むしろ治療によってよくなる可能性もあるということですので、こういう鑑別診断が必要だということにもなろうかと思います。
 3つ目は緩和ケアについてですけれども、例えばスライドでいいますと39番、20ページに当たります。
 これはモルヒネという緩和ケア等々、痛みを抑えるような場合の麻薬の使用量ですけれども、非常に日本は諸外国に比べて少ないということで、緩和ケアの進み方をもう少し推進してもいいのではないかということもございます。これが2つ目の大きく充実を求められる領域。そのほかにもさまざまございます。
 3つ目の視点、効率化の余地がある領域を適正化する視点ということでいいますと、例えば後発医薬品の促進ということがございまして、スライドで言いますと59番、30ページの下ということになります。各国のジェネリックという後発医薬品、これの使用シェアを見ますと、日本の場合には必ずしも高くないということになっているということでございますので、この一層の促進を図るためにはどうしたらいいかということでございます。
 それから、今回新たに考慮すべき事項として、1つは、介護報酬との同時改定ということがございますので、例えば在宅医療等をどう強化をしたらいいかということが課題になろうと思います。いくつかありますけれども、簡単に御紹介をいたしますとスライドの70番、36ページでございます。
 これは在宅療養支援診療所という在宅を支えていただく診療所ですけれども、左の場合には1年間看取りの実績がない在宅療養支援診療所、右の場合には1名以上看取っている在宅療養支援診療所です。地域における在宅看取りとの関連を見ますと、右の方はありますけれども、左の方はないということで、やはり在宅療養支援診療所にしっかり看取っていただくということが地域で看取りを行ううえで重要な要素ではないかと思います。これをどのように推進していくかということが大事なのではないかと思います。
 あと2点ほど申し上げますと、1つは、訪問看護でございますけれども、これは介護の方にもございますし、医療の方にもございます。スライドでいいますと、86番、44ページでございます。
 これは24時間オンコールといいまして、働いておられる方が常に携帯電話をどこに行こうと持っていただいて、何かがあれば電話に応えて必要があれば駆け付けるということでございますけれども、非常に小さいところが多い。一番下の2.5人~3人という零細型について見ていただくと、青いところが1月当たりの1人のオンコール回数ですけれども、15.6日ということでほぼ2日に1日以上オンコールをしているということで、相当労働的にも厳しい状況にあるということになろうかと思います。
 最後にリハビリテーションについてですけれども、これも介護との関係で見てまいります。スライドで言いますと93番、47ページです。
 平成18年の同時改定以来、急性期や回復期のリハビリテーションについては基本的に医療で行って、生活に密着した維持期のリハについては介護でということになっていますけれども、なかなか介護への移行が順調に進まない場合があるということで、今回調査もしておりますが、これを一層連携を密にするためにはどうしたらよいかということがございます。
 少しはしょりながらで恐縮でしたけれども、最後に1点だけ、震災との関係で資料5-2でございます。特に3ページをごらんいただきたいんですけれども、横になっておりまして、これは実は中医協の方で被災3県を視察していただいて、その際に現地から寄せられた要望を項目的に整理したものでございます。
 一番左の要件緩和に関すること、これは既存の診療報酬項目の算定要件を緩和してほしいということで、これはもう既にかなり対応いたしました。特にこれから診療報酬の関係で議論が必要とされるのは、真ん中の加算に関することでございますけれども、診療報酬を被災地について特例的に加算をして欲しいというご要望がある半面、患者さんの窓口負担や国保組合での負担の重さを軽減して欲しいという両方の要望が寄せられております。なかなか補助金、補償金との役割分担をしっかり考えないと難しいのではないかという意見もございました。
 一番下にあるような、そもそも災害に強い医療機関、例えばカルテの二重保存でありますとか電源の対策をどうするか。こういうことについても最初の初期費用は補助金で埋めるにしても、定常的な運営費用をどう考えるかということがあろうかと思います。
 以上、説明が長くなりましたけれども、前回の基本方針までの大枠の項目、それから、今回に向けての検討項目の例、考え方を若干お示しさせていただきました。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 資料6等の御説明は特段ないということでよろしいわけですね。
○鈴木医療課長 資料6は議事録でございます。
○遠藤部会長 わかりました。
 ただいま御報告をいただきましたように、御案内のとおり平成17年に中医協改革が行われまして、18年以降の診療報酬の改定は「医療部会」と「医療保険部会」の合同で決めます基本方針の下で行うということになっておりまして、その4回目が今回改定に当たるわけであります。今まで御説明をお聞きした中で何か御意見、御質問ございますか。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 前回の改定にも関わらせていただきましたが、前回の場合、4つの視点というのは継続しつつも、その上に重点課題というのが2つ示されまして、前々回も共通するんですが、救急、産科、小児科、外科等の医療の再建、病院勤務医の負担軽減ということで予算の報酬の配分の枠も大体約10対1ということで事前に設定されたという条件の下での改定になり、そういった急性期の大病院を中心とした改定になったわけです。その結果は、メディアス等のデータを見ても明らかに大学病院を始めとして急性期の大病院に非常に手厚い改定となっておるところでございます。
 具体的に勤務医の待遇改善がどの程度なされたかというのは、今、検証中ということではございますが、一方、次回の改定に当たりまして、日本医師会としては、基本的に被災地の負担をなるべく増やさないということで、同時、全面改定ではなくて不合理な点を見直してほしいということを言っておりますが、それにしても介護保険の改定がございますので、介護保険の方では地域包括ケアの確立ということが言われておりますから、そういったものに対応した医療の部分での内容を盛り込む必要があるのかなと思います。
 具体的に言いますと、超高齢社会にこれから入っていくわけですが、そういった時代に向けた地域医療あるいは介護の体制の充実というのが大きなテーマになるのかなと思います。具体的には亜急性期医療、慢性期医療、在宅医療、そういったところをどう充実させるか。そして、それを介護とどう関連させていくか。それを担う地域の中小病院、診療所をどうやって評価し、そういった既存資源を活用して、中央負担で高機能な社会保障を目指すという方針もございますので、すべて在宅でということではなくて病院や施設も使いながら既存資源を活用して、できるだけコストをかけないで迫り来る高齢社会に向けた体制をどう構築していくかということが今回求められているのではないかなと考えております。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 この基本方針の中に書かれている内容と基本的には大きく違わないようなお話だったと思いますけれども、より具体的なことまで踏み込んだお話でした。
 ほかにございますか。
 横尾委員、どうぞ。
○横尾委員 横尾でございます。
 いただいた資料の資料4の最後のページ、あるいは資料3の5ページの下の方に書いてあることです。後期高齢者医療のことです。
 平成21年の議論のときには、確かに世論の反発とか理解のことがあって、それらのことも資料3の5ページ、下から2つ目の○のところにその経緯も書いてあるところなのですが、その後、実は結構落ち着いている部分もあります。しかしまあ、樋口委員などからは「そうでもないよ」とおっしゃっている意見もかねて聞いておりますけれども、そういった中、改革会議があり、改革の方向性は出たものの今国会にも法案はかかっていなかったということもございまして、関係者は非常に心配をされているところだと思います。
 もし現段階で、今はこういう状況だということがありましたら、かいつまんで御指導いただくとありがたいと思います。後段の方にあります「趣旨・目的にも配慮しつつ、具体的設定を検討する」というのはこれからだと思いますが、もしどういう状況に直近なっているかわかれば教えていただくとありがたいと思います。
○遠藤部会長 それでは、事務局よろしいですか。
○鈴木医療課長 御質問の趣旨は、後期高齢者の診療報酬についてという意味で、後期高齢者医療制度という意味ではないですね。
 資料の中にもございますけれども、原則的には年齢を限った診療報酬の項目というのは前回廃止をいたしまして、いくつかのものについては75歳以上だけに限られないだろうということで拡大したものもございます。
 今回年齢に着目したものを新たにつくるということはおそらくかなり可能性は低いと思いますけれども、基本的には前回もう既に対応しているということでございますので、今回新たにこれについて何かを大きく動かすということではなかろうと思います。診療報酬制度については。
○遠藤部会長 横尾委員、引き続きどうぞ。
○横尾委員 実は我々、全国の後期高齢者医療広域連合も診療報酬改定に伴うタイミングで保険料の改定等をしなければなりません。日程的には前回も非常に押しておりまして、多分こういう改定になるだろうという想定での2月前後の議会確定としているのですけど、これは社会保障審議会全体とも関わることですが、できるだけ前倒しでできる部分は明らかにしていただいて、その情報が的確に伝わっていくことを是非お願いしたいと思います。
○遠藤部会長 それでは、樋口委員、お待たせしました。
○樋口委員 恐れ入ります。少し問題からそれるかもしれませんけれども、せっかく名前を出していただきましたので、一言申し上げます。
 診療報酬及び制度について非常に御議論をさせていただきましたけれども、私が横尾委員が落ち着いているとおっしゃるのに対して落ち着いていないですよというのは、基本的に落ち着いていると思います。なぜ落ち着いているかと言ったら、制度の中に込められた高齢者にとって負担のある部分を前政権から全部それを廃止したり、繰り延べたりしているから高齢者の負担が上がっていないので、一見落ち着いているのであって、だったら、最初に提案された診療報酬に戻しますかというのが私の意見です。
 ついでですから言わせていただきます。私は後期高齢者医療制度の最初に出された在り方には大反対の1人でございまして、その流れで今、ここに発言の席に置いていただいているんだとは思いますけれども、ここでするべきか別に研究会を持っていらっしゃるようですが、あのとき一番思いましたのは、高齢者の75歳以上に特定しての末期の終末期の診断料の在り方。これは高齢者がとても反発するものでした。
 私はせっかくこの超高齢社会における老いと死の在り方というものの議論が熟してきているときに、ああいう出され方をするから日本人の成熟した議論が3年引き戻されたと思って、大変残念でございました。あの在り方には大反対でございます。
 しかし、命には限りがあり、そして、その命の終末が自然なものであり、安楽なものであるということは高齢者のみならず人間だれでも望むことであり、日本の今の、これは若干誤解があるかもしれませんけれども、特養などへ行ってみますと、本当に特養によりましては、そこの2~3割という人が胃ろうを付け、上を向いたままだけで寝ているということに、これは介護する人々の士気も阻喪しているという現状があることがあります。その意味では、高度の医療のツケを介護の側が回されてきたのではないかという思いすらいたします。言葉が過ぎるかもしれません。
 しかし、本当に高齢者の人権と高齢者の命の願い、そして、生ある者ならだれもが持っている寿命への一種のよい意味での定年と言いましょうか、それと受容。そのようなことの上に立って、特に高齢者と限るから問題なので、終末期の在り方について、治療の在り方についてこのような会でも、あるいは専門委員会でもいいですけれども、御検討いただく。御検討いただきましたら、その成果をできるだけ早く広く国民、特に高齢者に示していただきたいと今、お願いをしておきます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 少し整理をさせていただきますと、後期高齢者に限った形の新たな診療報酬制度というものをつくろうということで社会保障審議会の特別部会が設置されまして、私もそこの委員をやっておりましたけれども、そこでほぼ1年間議論された。それから、それを中医協に下ろして、そこで議論をした。
 しかし、さまざまな問題がありまして、一度中医協では答申を出したわけですけれども、大臣がいらっしゃいまして、理由説明をされ、現状ではなくなったということになっております。今の横尾委員のお話等々、あるいは樋口委員のお話をお聞きしますと、後期高齢者を単独でそういう報酬体系をつくるということはいろいろ問題もあるけれども、あのときに全部なくしたのですが、年齢の制限をなくしてやるということはもう一度議論してもいいのではないか。こんなふうに伺えたわけですので、ひとつ検討の余地はあるかなという感じはいたしますけれども、もしこれに関して何かお話、御関心があればどうぞ。
 高原委員、どうぞ。
○高原委員 在宅末期の患者さんをときどき診させていただく者です。
 現場では在宅末期となったときに大きな病院から我々のところに紹介をいただくんですけれども、当然ながら在宅に戻る際に医療機関で関係者、スタッフが全部集まってお話をします。そのことは大切なんですけれども、ときどき家族の方あるいは御本人は当然帰りたいんですが、家族の方が帰った後、在宅で看取ってあげたいという気持ちはわかりますし、私たちもバックアップをしようという気持ちは十分あります。
 家族の方がOK、本人がOKなら帰りましょうと言って帰るんですけれども、実際に帰ってみると、在宅が本当にいいんだという形でいろいろな宣伝がなされておりますが、よくやっておられるところはやられますけれども、十分な治療が本当はある程度できないというところも頭の中に入れていただいて、そして、そういう国民のみんなの一致した思いがないと、帰ってきたのはいいが、家族はとてもみ切れない。もう一回、施設に戻さないといけない。あるいはこんなはずではなかったという形のことがときどきございます。
 逆に言うと、こんなことをだったら、1日でも早く家に帰してよかったなということもありますけれども、長引けば長引くほど厳しいです。
 在宅でみている患者さんで在宅末期ですので、がんの場合はそれでいいです。限りがありますから。在宅でほかの慢性期疾患をみる場合は、患者さんの家族が耐えられなくなるということがございます。特に認知症などだと。
 終末末期の場合は、日本人の死に方の問題をいろいろなところでもう一回お話をしていただければと思います。
 今の関係ではこれで終わりでございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 在宅への推進ということでも、そのクオリティについての課題もあるし、場合によってはそもそも在宅では難しいという事柄もあるので、その辺のところもよく考慮しながら審議していくべきであろうと、こういった御意見だと思います。
 ほかにございますか。
 堀委員、どうぞ。
○堀委員 前回の改定で4つの視点の1つに歯科医療の充実が入っていましたが、結果として、目玉としては歯科技工士加算ということが出てきたということぐらいで、大きな趣旨からすると少し不十分だったかなという反省があります。次期の改定は同時改定ということですので、これまで介護と医療、特に在宅医療の推進、高齢者医療についてのいろいろな問題点を抜本的に見直すいいチャンスではないかと思っております。
 今、お話があるようにただ長く生きるだけではなくて、いかに生き、いかに死ぬかという死生観のところに医療部会でも議論がされていると聞いておりますが、そういった意味で歯科の方については、そういった質の高い医療、昨日まで本当に元気で生きておいしいものを食べて死んだという、そういった質の高さを求めていくところで歯科医療が果たす役割は決して少なくないと、いろいろなエビデンスもお示ししております。
 そういった意味で次期改定では在宅医療推進、高齢者医療の充実の中で在宅歯科医療の推進を御提言していきたいと思いますので、そういった御審議をお願いしたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 在宅医療、歯科への評価というものをもう少し着目するべきだということですね。
 白川委員、どうぞ。
○白川委員 4つの視点につきましては一種の哲学みたいなものですから、基本的には変える必要はないと思っております。
 その中でいつも気になっておりますのは、4の効率化余地があるというところなんですけれども、大体後発医薬品の使用促進というのがすぐ上がって、むしろこれぐらいしか上がらないというのが私どもとしては非常に残念でございます。
 例えば医療分野はシステム化が遅れていると規制改革委員会等でも指摘をされたことがあるかと思いますけれども、たまたま今度、番号制度ということを政府の方でも早期に導入したいとお考えのようですから、そういう番号を活用したシステムと言いますか、タイミング的に次回の改定なのか、その次の改定になるかはいろいろな政治情勢も絡む話だと思いますが、今回やるかどうかは別にしてそういうシステム化、番号を使ったネットワーク化、こういったものについても是非考え方の中に入れておいていただきたいというお願いでございます。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 効率化についてもう少し幅広く検討して、しかも番号化されるという環境が変わるので、それを活用したもので検討を進めていくべきであるというお話だったと思います。
 小林委員、どうぞ。
○小林委員 私ども協会けんぽは、約160万の事業所の4分の3以上が従業員の規模10人未満の極めて中小零細企業であり、その従業員と御家族約3,500万人の加入者を対象としております。現在、巨額の累積赤字を抱えており、金融機関から借入れをしながら給付をしている状況にあり、構造的な財政問題を抱えております。
 従業員の給与総額が減少する一方で後期高齢者支援金の負担が増える中、保険料を更に引き上げることにつながるようなことは協会の財政状況から考えますと、到底できないことをまず御理解いただきたいと思います。
 次回の診療報酬改定に向けた検討については、診療報酬と介護報酬の同時改定を控え、医療と介護の連携については非常に重要な視点であります。その他、患者のQOLを高める医療を実現する視点、今後重点的に対応していくべきと思われる医療サービスの評価、そして、効率化の余地があると思われる医療サービスへの適正化という3つの視点も重要であり、おおむねここに書かれてある視点で具体的な方向性を示せるとよいのではないかと思います。
 なお、資料1の3ページ、今、白川委員からお話がありましたのと同じ観点から、「効率化余地がある領域を適正化する視点」、この方向の例としては2つだけ挙げられておりますが、他の視点と比較して方向の例が少ないと思われますので、患者負担を軽減するためにも効率化できるものを常に探して、項目を増やしていただきたいと思います。
 それから、「社会保障審議会医療保険部会」は、医療関係者だけではなく、多くの一般の方が注目しております。事務局にお願いしたいのですが、最終的にまとめる「次期診療報酬改定の基本方針」では、診療報酬改定を通じて患者さんにどのような影響があるのか、国民、患者目線に立ってわかりやすく伝える内容にしていくべきではないかと思いますが、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 ほかにございますか。
 逢見委員、どうぞ。
○逢見委員 次期診療報酬改定については、これまでの4つの基本的視点を踏まえつつ、今日的課題に対応していく、こういう基本姿勢はそのとおりであると思います。そうした観点から、特に今日的に次期診療報酬改定の検討の中に入れるべき視点を4点ほど申し上げておきたいと思います。
 1つは、被災地における診療、医療提供体制の再建でございます。被災地域での医療提供体制の再建は着実に急務の課題としてやってかなければいけないわけですが、再建に向けた財源については、公費と診療報酬の役割分担を踏まえて考える必要があると思います。施設などインフラに係る基盤整備や医療人材の確保については、公費で基本的にやるべきで、医療機関の経常的な経費については診療報酬で賄うべき。こういう基本に沿って次期改定に取り組むべきだと思います。
 第2点は、看護労働者の人材確保と処遇の配慮の点でございます。安全・良質な医療サービスの提供体制の充実に向けて、医師不足問題は勿論重要でございますけれども、もう一つ、看護師等の医療従事者の確保も重要であると思います。今後、在宅の看取り、あるいは長期の在宅療養に対する体制整備を図っていくためには、看護人材は不可欠ということでございますので、看護師等の医療従事者の離職に歯止めをかけるとともに定着を図るという視点で労働時間や仕事と生活の両立支援等、処遇に対する十分な配慮をしていく必要があると思います。
 3点目は、医療と介護の連携ということでございます。これからの重点的にやっていかなければいけない課題だと思いますが、診療報酬にそれを反映させるためには具体的に医療と報酬、介護の連携で何をしていくのかという議論が必要だと思いますので、ここはこれから少し時間をとって、こうした連携の具体化というものをこの部会でもしっかり審議して、それを診療報酬改定に反映させていくように要望すべきだと思います。
 特に高齢期の認知症の問題は、先ほどの資料にもございましたけれども、在宅ケアを推進していくためにもしっかりサポートすべき課題と思っております。
 4点目は、明細書の発行定着。そして、レセプト、IT化の推進ということでございます。平成22年度の改定基本方針の中で患者から見てわかりやく納得でき、安心・安全で生活の質にも配慮した医療を実現する視点というのが盛り込まれて、こうした観点から明細書が原則無償発行になったということについては高く評価をしております。
 この明細書の無償発行は、患者が当事者意識を持つということが重要でありまして、まだ発行が義務化されていない医療機関については着実にこれを実行していくべきだと思いますし、明細書の発行を更に定着していく必要があると思います。
 レセプトの電子化については、医療の効率化という視点から2014年末が期限となっておりますが、その進捗状況を把握しながら的確なサポート体制をお願いしたいと思います。IT化、電子化を進めることによって医療費動向に対するチェック機能が働くという点で医療費の抑制にも貢献できるものであると思いますので、こうした推進を図っていくことをお願いしたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 まとめさせていただきますと、小林委員につきましては、白川委員と同じように効率化の内容についてもう少し検討すべきだというお話が1つあった。もう一つの診療報酬改定の影響が患者さんにわかるようにということ。具体的にどういう方法をとるかというのはありますけれども、当部会でやるのか、あるいは中医協でするのかというところは議論があるかもしれませんが、患者さんへの影響ということがある程度わかるような形にしてほしいという御要望だったと思います。
 それから、逢見委員につきましては4点おっしゃられましたけれども、その中で特に看護労働、看護人材の確保ということにも今回改定も重視するべきであるということをおっしゃった。
 勿論、被災地の医療提供体制の再建の公費と診療報酬の考え方はどうするのか、その整理についてもお話をされたわけでありますけれども、もう一つ重要なのは、医療と介護の連携というときに聞くところによると中医協と「介護給付費分科会」とが合同でやるようなお話も聞いておりますが、そういうことから言うと、介護でどういう話がされているのかということも当部会でもある程度報告をいただかないと話が進まないということもあるので、そういう御指摘だったと思います。そういう対応も考えていただければと思います。
 それでは、お待たせいたしました。岩本委員、どうぞ。
○岩本委員 今回、新しく東日本大震災を踏まえた災害対応に関するものというのが柱に立っていますけれども、この項目の中で診療報酬改定でできることというのは非常に限られているのではないかなと私は、今、思っております。
 今日、お話に出た話なんですけれども、現在の被災地に対する支援なんですが、被災者にとっては医療費を安くする必要があり、更に被災された医療機関に関しては報酬を手厚くするということは、診療報酬改定では不可能なことであります。これは補助金の役目であって、補助金でしっかりやれば診療報酬改定を絡ませることは逆に複雑になるだけだろうという気がいたしております。
 もう一点、災害に強い医療をつくるということなんですけれども、この部分というのは日々の診療、医療サービスの方では見えにくい部分でありまして、それを診療報酬の中で評価するということが果たして適切かどうかということに関しては、私としてはかなり疑問だと思いますし、そういった意見もいろいろ出てくるのではないかと思います。
 今日、具体的にカルテの二重保存というお話が出てきましたけれども、カルテが二重保存されているかどうかというのは患者にとっては目に見えない部分でありますので、どこか別の形式要件で把握して、例えば加算ということをするというふうになった場合、非常に間接的と言いますか、そういった手段であると。こういったことをほかにもやるのかどうかということです。
 また、どこまでやるのかという問題が出てきます。そうすると、建物の耐震性まで面倒見るのかという話にもなってきますし、資本コストを診療報酬で見ているということ自体もそもそもいろいろと問題点もあるということまでつながってくると思いますので、これは別の手段で考えるということが適切ではないのかなと思います。
 カルテの二重保存に関して言っても、電子化していなければそもそも難しい話であると思いますので、そうすると電子化のコストの方が二重保存に比べればはるかに大きいものであって、そもそも二重保存をそれに付け加えるのにどれだけの追加のコストになって、それを診療報酬で見るほどのものになるのかどうかというところを少し考えただけでも、いろいろな課題があるかと思います。
 震災への対応、これからの災害対も非常に重要なことでありますので、医療行政としてもしっかり考えなければいけなくて、この部会でもいろいろと議論すべきことはあると思うんですけれども、政策手段としては向き不向きがあって、診療報酬というのは、私の感触ではこの課題に関しては不向きなものではないかと思います。
 そういった意味では、政策手段についてもしっかりと選択と集中周知をして、災害対応ということを考えていくのが重要であって、この診療報酬改定という部分についてはできることが少なければ1つの柱として立てていけば、いろいろなことを並べなければいけないということになりかねないので、柔軟に考えていくということも大事なのではないかなと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 そういう意味では、診療報酬でやるのに適しているものとそうではないものというがあり、その整理をきっちりするべきだという話だと思います。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 今回改定に当たって最大の課題は、被災地の復旧・復興だと思うんです。医療に関しても医療機関が立ち直らないと、そこに人が戻って来られない。私は中医協の委員として現地視察しましたけれども、仮の診療所は建っても、先生に聞くと患者さんが少ないんです、重度の人、入院するような人がいないんですと。まだそういう人たちは戻って来られないんです。岩手、宮城でも、福島はまさにまだ原発事故が現在進行中ですから、とても戻られるような状況ではない。
 そういう状況で現地の先生のお話も聞かせていただいた上で、加算という話もあったんですが、私は早く迅速に対応してほしいという意味でのことだと思うんです。
 1つは、算定要件の緩和ということが行われました。これはある意味では加算でもあるんです。すぐできるんです。それでかなり対応している部分があって、あとは迅速に、かつ十分に補助金や補償、これを多用して医療機関を再建する。加算という御意見も前回の中医協でもございますけれども、私どもはそれよりも算定要件の緩和と補助金、補償で速やかに医療施設を再建し、患者さんが戻って来て何か足りないことがあれば、そういう議論が必要になるかもしれませんが、来年の4月まではとても待てないような状況でございましたので、医療機関の運営、経営を見ますと、とにかく迅速にできるもので対応するというのが大事だろうと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、高原委員、どうぞ。
○高原委員 2年前からこの会に参加しております。前回の改正のときにおりましたけれども、視点や方向の例でいつも考えて、どうしても違和感があるのがございます。
 先ほど逢見委員がおっしゃった、あるいは樋口委員がおっしゃった患者から見てわかりやすく納得できるというところなんですけれども、それが本当にあの明細書でできているのかどうか。あれを見てわかる患者さんはなかなかいないのではないかと思います。うちで明細書はどれぐらい発行しているか、大体レセプト数が一月に1,200ぐらいでございますけれども、4割程度でございます。
 そのところで何を言いたいか言うと、明細書を発行するなとかそういうことではございません。その前に診療報酬は非常に複雑になっております。その複雑になっていることが全部あそこに出てきているわけです。そうすると読んでもわかりません。
 ということになると、わかりやすくというのは診療報酬の体系をもっとわかりやすくするというのが一番の目的で基本ではないかと思います。すぐにはできません。だけれども、もう少し加算とかそういうのではなくて、どんどん基礎的な部分でもう一回話し合いをして簡単な、それこそ国民にわかりやすい点数構成にしたらいいのではないかと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 お名前出ましたけれども、逢見委員、何かありますか。特段なければ。
○逢見委員 勿論、わかりやすいというのは必要だと思います。肝炎の問題とか、あるいは薬害エイズの問題があったときに、過去に自分がどういう治療を受けたのかという記録が患者自身も明細書を保存しておけばそういうときに使えるわけです。すぐ見てその患者がわかるということだけではなくて、後々に問題になったときにもしっかりした記録があるということは大事だと思っています。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 高原委員も明細書のページをなくすということをおっしゃっているわけではなくて、むしろ診療報酬体系をもう少し簡略化するべきだというお話であって、その議論は中医協などでも常に出ている議論なんですが、簡略化をしますと今度は実際にコストがかかっていたり、質が違うようなものについても同じ金額にするのかという意見がもう一方であるわけです。
 いつもそこのせめぎ合いということになるわけですので、永久の課題であろうと思いますけれども、簡略化ということは1つ重要な視点だと私は思っております。
 それと先ほど手を挙げられた順番で、山下委員、どうぞ。
○山下委員 商工会議所のスタンスについてお話をさせていただきます。
 先ほど協会けんぽの小林委員も言われたとおり、商工会議所会員のほとんどが中小企業であるという中で1点だけ今回の改定に向けて要望したいと思っています。景気低迷が続く中で度重なる保険料の引上げにもかかわらず、保険財政は大変厳しい状況であるというのは皆さんの共通認識だと思います。将来的にも医療費は経済成長率を上回る伸びが予想されておりますし、今後も保険料や患者負担の増加は避けられない見通しであると思います。
 診療報酬改定においては、救急、産科、小児科医療や地域医療の再生など機能強化と同時に効率化、重点化にも是非もっと取り組んでいただいて、全体として保険料や患者負担が増加しないように是非お願いしたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 ほかに。樋口委員、先ほど手が挙がっていましたね。
○樋口委員 今、わかりやすさということで一言追加させていただきますと、患者側と言いましょうか、利用者側の認識ということも考えていただきたいと思うんです。というのは、お医者様とか医療機構の方はいろいろ深化していくし、いろいろ知識をお持ちですけれども、患者側というのは患者学というか、もう少し国民としての社会保険利用学というか、何も「学」を付ける必要はないんですが、そういうことについて全くどこでも教わらないまま、どんどん社会保険も変わってきているわけです。
 私はこのごろ、人生後半のための第二の義務教育が必要だと思いまして、これは私どもだけではなくていろいろな方の御提案が出て、今、文科省の方で「超高齢社会における生涯学習」などということを取り上げていただいております。
 そういうときに厚労省が主たる担い手であるかどうかは別として、それこそわかりやすくという基礎の情報を、言ってみれば人生100年社会を国民として生きる基礎的な情報を厚労省の方からも的確に提供していただいて、患者としての、利用者としての資質を上げていただきたいと思っております。
○遠藤部会長 当部会での決定事項ではありませんけれども、極めて重要なお話だと思います。財政の負担の問題もありますし、保険制度も変わっておりますし、診療報酬も変わっているということなので、そういうことが患者さんにまず伝わらないことには話にならないということです。是非そういう方向で何かしかるべきセクションが御尽力いただければと思います。
 それでは、お待たせいたしました。横尾委員、どうぞ。
○横尾委員 先ほどは後期高齢者医療制度のことを少し言ったのですが、全体に関わることで幾つか申し述べたいと思います。
 1つ目は、よく考えてみますと大正とかの時代までさかのぼると、平均寿命が60歳前後から50歳台だったのが、今や100歳以上の人が4万人以上いらっしゃるわけです。そうすると、我々の体は50年ぐらい使っていた部品を100年使う時代になっていますので、当然いろいろなところに故障が出てくる、油も切れる、疲労もするというのがいろいろな疾病だと思います。
 そうやって考えていきますと、都市部では大きな病院もあって安心感は非常に高まると思いますが、全国の国土の約2分の1強は実は過疎地域です。新しい過疎法の前ですと単体の自治体として3,300あった時代の面積で言うと約半分ぐらいがそうなのです。そういったところの地域医療というのは非常に大きな問題だと思います。
 例えばいただいた資料に前回の重点課題が2つありますけれども、私ども首長として、あるいは公立病院を持っている首長さんたちともお話をして強く感じるのは、医師の確保、医療スタッフの確保が本当に大きな問題になってきています。そういったものへの配慮というのもどこかできないものだろうかということを強く感じます。
 そうしないと、診療報酬は立派にできたけれども、医師はいなくなってそこの人は住みにくくなるということでは困りますので、是非、医師確保に向けての再建ということを何か掲げていただく必要もあるのではないかと強く感じています。
 次に、日本人の疾病と死亡の原因を調べてみますと、非常に多くなってきているのは勿論、がんでございまして、2人の1人が罹患して、3人に1人の死因になっています。併せて心疾患、脳疾患がございますが、両方併せて、合算していいのではないかと個人的に思いました。と言いますのは、たまたま家族が腹部大動脈瘤で入院して、いろいろ心臓血管外科の先生の話を聞いていると、脳についても血管系にしてもいずれにしろ一種の血管の病なのです。
 ものの本によりますと、血管は最大の臓器でその面積も非常に大きいということですが、意外と一般人として私自身もそうでしたけれども、血管に関する細かいデータや情報も知らない。患者学としては未熟であった。
 そういったことも含めた健康づくりということを呼びかけていかないといけないと思います。そういった意味では、アメリカやヨーロッパ、そして、お隣の韓国でも既に6割を達成している、「がんの検診率」に関しても直接診療報酬とは関係ないのですけれども、私は首長の1人として何とかこれを5割か6割以上に早くできないものかと、国家の危機として早くやっていかないと検診が間に合わないということを強く感じました。
 検診を行うことによって事前にケアができれば、当然医療費の削減、抑制、あるいは適正化というものにも将来役立つでしょうし、何よりも一人ひとりの日本国民にとって自分の健康をわかって早く手を打てるということは、まさに安心だと思うのです。そういった配慮も必要ではないかということを1つ目に大きく感じています。
 2つ目は末期のことなのですけれども、看取りということが出てきますし、年配になって最期の瞬間をどうするかというときに、有床診療所、クリニッククラスのものでも非常に地域における存在は大きいのではないかということを具体的に感じたりしております。そういったことへの配慮もしていかないと、今後、長寿100年時代を生きる地域の医療の確保という意味からも必要ではないかと2点目に感じています。
 3つ目は、診療報酬全体のことでございまして、先ほども言いましたように健康というものと医療というものは、行政上は区分がありますけれども、人にとっては同じでございまして、健康管理して病気になったら病院に行く。そして、その後、体が弱ったら介護を受ける。健康、医療、介護は一体的なものとして1人の人間に関わっているわけですけれども、この辺をトータルで見ていった上で、財源の確保をどうするかがいつも付きまといますが、そういった意味でも健康を早めに保っていく、治療は軽いうちにできる、そういった体制を進めることを是非、考えるべきだろうと思っています。
 4点目は、それと関連しますけれども、実は政府で、税と社会保障会議の中で共通番号制度、いわゆる新しい番号制度の議論が今、進もうとしています。あと数年で方向性が固まって、数年後には実現という大枠の方向を内閣では出しておられますし、私も全国市長会でその検討会に入っていますけれども、そういったことがもう目の前にあるということを想定して、是非、厚生医療行政の中でも検討し、事務局の方で考えていただくとありがたいと思います。
 今回の被災の場合も、被災地で困ったケースとして、例えば相馬市の市長さんや病院の方に聞くと、南相馬市から救急隊が運んできた。患者を降ろして次に行かなければならないが、この患者はどんな病気で過去の履歴はどうなのか、何の薬を飲んでいるのか、そのデータがない。御本人に聞こうとしても認知症のため、なかなかわからない。そうすると、手の打ち方にすごく時間もかかって難しさがどんどん増していく。
 そのときに仮に新しい番号制度のようなものが既にあって、一人一人がカードを持っておけば、この人はこういうデータで医療的にはこうだとわかって対応もできたのではないかとか、いろいろなことが今後、改善として考えられると思っております。
 最後、5点目は、先ほど樋口委員もおっしゃいましたけれども、患者さんのことを考えると急に介護が必要になったときに、どこに行って、だれに聞いて、どのようにしたらいいのだろうというのは、多分みんな迷っていると思います。恐る恐る役場に行く、役所に行って、窓口を幾つか訪ねていって安心をする。
 しかし、大変難しい資料といろいろな説明を聞いてすぐにはわからない、また行きたい。そういったときに多分1つの方法として、現在、大きな病院にはソーシャルワーカーがおられて、ケアをされておりますけれども、そういった配慮とか常駐でなくてもそういったことをアシストして、うまく医療と介護をつないでいく。そして、高齢になったり、体が不自由になった方々の生活を支えていく、そういった配慮も是非、制度の中でできないかということを感じています。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 いろいろと重要な御指摘をされているわけですけれども、診療報酬で対応するような話と、そうでない、当部会で議論するようなテーマといろいろ混ざっておられたと思います。それぞれ重要な意味があると思いますので、また必要なときには御発言いただきたいと思います。
 それでは、鈴木委員、関連ですか。では、鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 今、横尾委員からがんの検診の話がありましたが、それは非常に重要なことではあるんですけれども、この間、中医協でも議論が出ましたが、我が国のがんの検診率は低いんですけれども、早期がんの発見率が高いんです。
 なぜかと言うと、それは診療所の質が高いので、診療所に気軽にかかれて、そこで症状が少しあればがん検診という形で事実上、検査を受けられてそこで発見されている方が多い。改めて日本型の専門家がプライマリーケアを行う診療所の重要性ということを認識していただけたと思います。
 日本型の質の高い医療を充実した設備で提供する診療所というのは、実は超高齢社会においては要するに、ヨーロッパのような軽装備の聴診器と血圧計だけみたいな診療所だとなかなか次にアクセスが悪いわけですけれども、だから、検診みたいなものが必要になるんでしょう。だけれども、日本の場合、そういった診療所で気軽に受けられるということで、超高齢社会においてはそういう気軽に身近なところで診断も検査も治療も受けられる日本型のミニ健康センター的な診療所がもう一回見直されるべきだと考えております。
○遠藤部会長 それでは、お待たせいたしました。
 藤原参考人、どうぞ。
○藤原参考人 我々は膨大なツケを将来世代にツケ回しながら、今、この医療提供体制の強化をしなければいけないという課題に取り組むわけですので、そのためにも先ほどから何回も意見が出ておりますように効率化、重点化という視点は非常に重要だと思っております。
 その観点から診療報酬改定をこれから議論するにあたり、やはり過去の診療報酬改定における目的とその達成度や効果がどうだったのかというのは十分に検証されるべきだと思っています。今日の資料でも、まだ検証途中との記述が結構出ていますけれども、検証結果については、しっかりと資料で出していただきたい。
 特に今回は診療報酬と介護報酬の同時改定ということで、医療と介護の連携ということを中心に議論されると思いますけれども、前回の改定でも連携を促進するための措置があったと思っておりますので、どのような措置で、どのような効果があったのかということをしっかり検証し提示していただきたい。その上で議論していかないと、屋上屋になってしまうような問題が出てくるのではないかということを非常に懸念しております。
 それから、これから人口が大きく減っていく、特に現役世代が減っていく中で医療提供体制を診療報酬改定だけで頑張って整備していくのはなかなか難しいのではないかと思っておりまして、以前も社会保障審議会医療部会の審議で申し上げたことがあるのですけれども、現在、各都道府県等で医療計画が策定されていますが、これと診療報酬との連動、連携というものをもっと真剣に考えていくべきなのではないかなと思っております。
 なかなか自治体から「ここに医療機関を置け」とか、そういう命令はなかなかできないのかもしれませんけれども、医療計画自体と診療報酬を連動させていって提供体制を効率化していく、機能強化していくという視点も大事ではないかなと思っております。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 まず、改定の効果についての検証ですけれども、これは中医協の検証部会というのができまして、18年改定からずっとやっているわけです。すべての改定項目を見ているわけではありませんけれども、重要なものについては一応検証している。
 また、検証の対象にならないものでありましても、算定の件数の変化のようなものはわかりますので、これは中医協などでは適宜、報告をされています。その資料をこちらにも提出していただければ、大体のところは把握できるのではないかと考えております。
 それでは、引き続き安部委員、どうぞ。
○安部委員 先ほどから患者学というか、国民の方が医療について十分に理解することが必要だという御意見がございました。私ども薬局、薬剤師の宿題であります後発医薬品の推進についても同じように言えると思うんです。
 先ほど鈴木課長の方から資料御説明のときに、中医協の評価として後発医薬品の調剤に余り積極的に取り組んでいない薬局がまだ2割ほどある。逆に言えば7割以上は積極的に取り組んでいるということが言えると思うんですが、やはり我々が後発品の品質と価格について患者さんに御説明をして、最終的にはそれを選択するかどうかは患者さんの方になっている。例えば価格差が余りない場合は、それだったら使い慣れた方がいいですねというようなことで後発品に切り替わらない場合もあるということであります。
 この資料にもございますが、21年9月で20.2%、現在は22~23%の間を推移していると思いますが、そういった意味で我々薬剤師としても国民の皆さんに十分な説明をして、より推進をしようというところもあるんですけれども、国民の皆さんの理解がないとなかなか進まないところもあるというところが現実ではないかと思います。
 それから、資料5-1でお示しいただいて、今回初めて31ページのところに後発医薬品のシェアの考え方についての細かい御説明をいただいております。これにつきましては、日本のジェネリック使用率が諸外国と比べて数字を見ると20%と60%という開きがあるんですけれども、実際には計算方法が違っておりまして、スライドで言うと60ページのところに書いてあります「その他の品目」とかジェネリックでもない、先発品でもない、そういったものの分母の在り方によっては非常に数字が大きく変わっていく。こういったことを御理解いただきながら、ジェネリックの推進について御議論いただきたいのと、我々もきちんとそれについては国民の皆さんに理解をするように推進をしていきたいと考えています。
 以上です。
○遠藤部会長 高原委員、どうぞ。
○高原委員 ジェネリックの問題は何度かこれまでも申し上げております。
 今のように、ジェネリックの使用量と数量、金額の統計の仕方に大病院の実費でいいですか、それら分の医薬品は入っていないということが1つ。
 もう一つは、後発品でも先発品と値段がひとつも変わらないというのがあるということ。それから、後発品を出しますといろいろな加算があるので、患者さんの自己負担は余り変わらないことがあるということです。
 これで一応実際の数字では今回、厚労省からある程度こういうのを出していただきましたけれども、保険者の方も必ず後発品と言われておりますが、実際にどれぐらい単価として安くなっているか。薬価は当然安くなります。だけれども、患者さん負担と保険者が払う全体の医療費としてはそれほど多くなっていない。これは厚労省も認めていただけますね。これを出しているのは、薬価だけですね。いろいろな加算を付けますから、結局、窓口では余り変わらないことがあるんです。
 だから、そういうところも含めてもう一度考え直して、後発品はいいんですけれども、根本的なことを言わせていただきますが、先発品をさっさと安くしたらいいではないかと。どうして後発品というのを出すのだという言い方になると思います。もし出すなら、しっかりともう少し安くする。あるいは先発品を10年経ったらがくっと安くすると、その方が医薬品は薬剤費のかかり方はかなり落ちてくる。工業会は非常に怒ると思いますけれども、そういうことも考えていただいて、全体の医療費を下げていくということも、小さな加算をごちゃごちゃするよりもそちらの方が大きな問題ではないかと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 高原委員の御発言は、前回おっしゃっていた内容と重なりますので。
 では、手短に。
○高原委員 申し訳ないです。アクションプログラムのことです。使わない、後発品を使うときに不安感の1つは、流通の問題。もう一つは、安全性の問題です。
 アクションプログラムというのは、スライドで61番ですので、31ページのところに書いてあります。この間、昨年度分のアクションプログラムを見せていただいたら、安全かどうかという検査をした薬は、特にカルシウム拮抗剤という薬で言うと、使用量としては非常に少ない方の薬でやっている。非常に多いのはアムロジピンという薬なんですが、これはされていない。末端の安全だけを見て、一番使われている薬の後発品の安全性はしていないのではないかと思いましたけれども、これはどうなんでしょうか。もしよかったら次のときでも結構ですので、よろしくお願いします。
○遠藤部会長 医療課長、どうぞ。
○鈴木医療課長 医療課長でございます。
 2点あったと思います。
 1点は、後発の処方をしてもさまざまな加算が付いているので、結果としては先発を処方したものと余り違わないのではないかという御指摘でございました。確かに前回の改定も含めて後発医薬品調剤加算で2点1剤に付いて、更に情報提供で10点が付きました。ですから、12点ということでした。
 個別にはいろいろあると思いますが、基本的に1回の処方箋で大体平均ですけれども、先発で800点、後発で200点ぐらい安いということでございますので、全体的にはやはりかなり安くなっているということではあろうかと思います。
○吉田薬剤管理官 薬剤管理官でございます。
 アクションプログラムの関係での試験品目でございますけれども、まず試験の対象となるのは品質再評価の品目という形になりますので、そういうものについてきちんと対応しているかどうかは、国あるいは県も絡んだ形でちゃんと確認しているということでございます。御指摘のようなアムロジピン、これは新しいものでございますので、基本的にはGMPと言いましょうか、製造段階で薬事承認に基づいてきちんとつくっている、検査もされているということでございます。先程の再評価を受ける古くからあるようなものについての品質は県も絡んで確認しているということでございます。あわせて、トータルで安全性、品質を確認しているということになるのではないかと思っております。
○遠藤部会長 前回、高原委員がおっしゃられた医療費に占める薬剤費の比率について、DPC対象病院の薬剤費を明らかにするべきだということですが、確かに医療費に占める薬剤費の割合がどのぐらいなのかということは、行政データとしても重要な意味を持つと思っております。
 薬剤費はレセプトデータから取っておるわけですので、包括されたときなかなか把握できないということがあります。確かに療養病床などは完全にわからないわけなんですけれども、DPCに関しては出来高ベースでも出しておりますので、ある程度努力をすればそれは明らかにすることができます。
 DPCは今、一般病床の半分ぐらいがDPC対象病院になっておりますから、そこら辺はどこかの段階でクリアーにすることは意味があるだろうと思います。前回は事務局、検討すると承りましたけれども、もし何かあれば。
 企画官、どうぞ。
○迫井医療企画官 今、部会長御指摘のとおりでございまして、今日、残念ながら間に合いませんでしたけれども、作業をさせていただいておりますので、関連する次回の議論までには必ず何らかの整理をして、お示しをしたいと思っております。
○遠藤部会長 よろしくお願いします。
 ほかにございますか。
 堀委員、どうぞ。
○堀委員 先ほど明細書に関してなかなかわかりにくい部分があるという一方で、どうしても保存というものが必要だという御意見があったんですが、1つだけ問題提起したいことがございます。当然、時代の流れで必要なことだとは思いますけれども、今回の検証部会調査で次からは必要がないという患者さんのアンケートで3~4割の方がそうおっしゃっている。
 特に歯科は6割近く方が次からは要らないという回答をされていまして、大変残念だなと思ってはいるんですけれども、1つにはやはりわかりにくいところがある。中身として、例えば月に1回しか処置行為をしても算定できないことがあったり、1回目と2回目で評価が違うということがあったりします。実際の医療行為と明細書に出てくるところに必ずしも精緻に合っていないところがあるということがあるので、本当に患者さんにおわかりいただくためのものであれば、少し形を工夫する必要があるかもしれません。
 先ほど樋口先生が患者学と言われましたけれども、そういった仕組みみたいなものを医療機関の負担で御説明するのは限界があるので、何らかの形でそういったことを御説明するような周知的な工夫が要るのかなということで、そういった意味で先ほど部会長も言われたような簡素化に向けての工夫も含めて、次の改定で検討をお願いしたいなという気がいたしております。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 まだ御発言されたい方もいらっしゃると思いますけれども、もう一つ、今日、重要な案件が残っておりますので、また、この改定の議論につきましては引き続き行いますので、本日はこの分野についてはこれぐらいにさせていただきたいと思います。
 では、引き続きまして「社会保障・税一体改革成案における高額療養費の見直し等のセーフティネットの機能の強化、給付の重点化について」を議題といたしたいと思います。
 事務局より資料が出されておりますので、説明をお願いします。
○木下総務課長 総務課長でございます。
 まず、私の方から全体の議論の検討項目につきましての今のところの整理をお話させていただきます。
 社会保障・税一体改革成案に盛り込まれました取組み、医療提供体制から診療報酬あるいは医療保険等さまざまございますけれども、今後、その具体化に向けた検討を進めていくことになりますが、特に医療保険制度関係のうち被用者保険の適用拡大につきましては「社会保障審議会短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会」というものを設置しておりまして、これは年金改革と併せました議論を今、進めているところでございます。
 また、市町村国保の財政基盤の強化につきましては「国民健康保険制度の基盤強化に関する国と地方の協議」という場におきまして、議論を行っております。これらにつきましては、この2つの部会あるいは協議の場におきまして議論を進めてその部会に、本部会にはその検討状況につきまして時間をとって御報告をさせていただき、御議論をいただければなと思っております。
 したがいまして、本日は特に成案の中のうち「高額療養費の見直し等のセーフティネット機能の強化、給付の重点化関係」という点につきまして御議論をいただきたいと思っております。
 では、資料の方は保険課長から。
○西辻保険課長 では、保険課長でございます。
 資料7でございます。「社会保障・税一体改革成案における高額療養費の見直し等のセーフティネットの機能の強化、給付の重点化関係」ということで、本日は高額療養費の見直しと受診時の定額負担、その規模に応じた定額負担の検討ということについて、こういう提案を行うに至った背景、あるいは考え方について資料を用意させていただいておりますので、ポイントを御説明させていただきます。
 まず、おめくりいただきまして1ページでございますが、これは成案の文言でございます。基本的考え方のところで必要な機能の充実あるいは徹底した給付の重点化を同時に行う。その文脈の延長線上で、医療、介護のところで高額療養費の見直しによる負担軽減とその規模に応じた受診時定額負担等の併せた検討。それから、併せて病院、診療所の役割分担を踏まえた外来受診の適正化も検討。ただし、定額負担については低所得者に配慮という文言が入っておるところでございます。
 2ページは、その高額療養費の見直しを考えるに当たっての基本的な状況についての資料でございます。まず、医療保険を取り巻く状況でございますが、先ほどから委員の皆様からの御意見にも出ておりましたけれども、経済状況が悪化する中で非常に支出だけは増えている。医療保険者の財政状況、これは各制度とも厳しい。
 加えて、今後、将来を見通して見ましても医療の高度化、あるいは高齢化、今回の一体改革の中で入りました医療提供体制の強化、こういったことによりまして、医療費はどんどん伸びていって、その伸びはGDPの伸びを大きく上回る。当然、それを賄うための公費あるいは保険料自己負担も増えていく。
 他方、セーフティネット機能を果たしている現行の高額療養費でございますが、これは今の7割の医療保険の給付の自己負担が非常に大きくなった場合に、その自己負担に歯止めをかけるという役割を果たしておりますので、結果的に実効給付率は70%ではなくて、今もアベレージで83%程度になっております。逆に言いますと、高額療養費の規模というのはどんどん年々大きくなっているということでございます。
 その高額療養費にも幾つかの課題がございまして、1つが高額な治療薬。新しいものがどんどん出てきておりますが、それを長期間にわたって服用しなければいけない患者さんが出てきております。その方々にとっては、今の高額療養費の負担でも大変負担感が重いというのが1点。
 それから、高額療養費の自己負担限度額は所得に応じて3区分に分かれておりますけれども、低所得者と上位所得者を除く真ん中の一般所得者の年収の幅が非常に広いということで、その中で相対的に所得の低い方の負担感が大きくなってきている。昨今、景気の悪化あるいは非正規雇用の増大等によって、その層の方々が増えているといったことがございます。そういったことで高額療養費の改善が必要ではないかというのが一方の提案でございます。
 他方、その高額療養費の改善を受診時の定額負担によって実施してはどうかというのがもう一方の提案でございますが、高額療養費の規模を考えますとその改善というのは財政的には非常に大きなインパクトがございます。一方で、保険料、公費、患者負担いずれも今後、自然増等を賄うためにどんどん増えていくという状況の中で、あくまでも患者負担全体の規模は増やさない。
 ただ、医療費の負担が少ない方にもう少しだけ負担をいただいて、逆に負担が重くて大変困っておられる方の給付を充実する、あくまでも患者負担全体の規模は変えないでやろうとすると、こういう方法があるのではないかということで今回、提案を申し上げたということでございます。
 おめくりいただきまして、次のページ以降に具体的な状況を書いてございます。
 まず、3ページは、医療保険の各保険者の財政状況でございます。御案内と思いますが、国保は毎年3,000億程度一般会計から赤字を補てんするという形で財政運営しているということ。
 協会けんぽは、22年度から3年間、財政再建措置を行っておりまして、22年度は単年度で黒字が出ましたが、まだ累積債務を返還するには至っていない。
 組合健保は、相対的には全体的に見ますと、協会けんぽよりも料率は低いんですが、20年度以降、毎年4,000~5,000億程度の赤字を出しておりまして、積立金を取り崩しながら運営をしている。この積立金もいずれは枯渇をするという状況かと思っております。
 4ページ目が被用者保険の状況でございますが、まずは医療費を支え、あるいは高齢者の医療も支えていく現役世代の人数というものが被用者保険で見ますと、年々どんどん低下しているというのが1点。
 報酬につきましても総額ベースで見ますと、20年9月のリーマン・ショック以降の下げの基調が止まっていないということでございます。
 (3)は被用者保険の支出に占める、いわゆる高齢者関係の拠出金、納付金でございますが、やはり高齢化の進展に伴いまして、傾向としてはどんどん上がっていっている。
 そういうことを踏まえて(4)でありますように、協会けんぽで言いますと平成17年と比べて23年度、非常に大きな保険料の伸びがございますし、24年度は更にこれが10%を超える水準になるだろうと考えられております。
 次の5ページが国民健康保険の状況でございますが、国保の場合は保険料の算定ベースが所得だけではなく資産や世帯員数等を組み合わせているわけでございますけれども、実際に所得に占める保険料の調定額、負担率で見ましたときに、経年変化を見ますとどんどん負担が重くなってきている。特に所得の低い軽減世帯の方ほど、この保険料の負担感が増してきている。
 それを反映するように厳しい経済状況とも相まって、下の方のグラフでございますが、収納率というのはどんどん低下していく。一方で、滞納世帯の数、割合というものが増加しているという状況でございます。
 6ページは医療費の費用の今後の見通しと財源構成、これは一体改革の中で使われた資料から作成しております。医療の費用、2011年度39.1兆円と書いてございます。
 これが2015年度、2025度どの程度になるのか。いろいろな前提の置き方とか医療提供体制をどの程度見込むのかによって若干その数字は違いますけれども、傾向としては大体同じでございまして、2015年度に大体45兆程度、2025年度には60兆程度ということになろうかと思います。
 財源として、保険料、公費、自己負担でこれを賄うわけですが、いずれも2015年、2025年と大きく伸びていく。2025年の金額の下に割合が書いてございます。これは2011年度と比較した伸び率でございますが、保険料が大体46%前後、公費が75%前後、患者負担が40%前後。伸び率からいくと、公費負担というのが非常に大きく伸びている。それは今後、規模が拡大していく、例えば後期高齢者等の制度にたくさん公費が入っているということによります。
 真ん中の表がその保険料を1人当たりに直したときの規模がどうなるのか。これは指数で表示しておりますが、2011年度の1人当たりの保険料の額、これを100としたときに各制度とも2015年度で115、2025年度ぐらいになると160前後ということで非常に大きく伸びていく。
 その下に賃金上昇率を書いておりますが、賃金も一定程度伸びていく。これがうまく保険料の規模の伸びを支えてくれると、非常に料率として伸びは小さくなるんですが、これがどうなるのかということです。
 7ページが高額療養費の説明でございますけれども、昭和48年に制度ができまして、先ほど申し上げましたように医療費の窓口での負担が高額になったとき、これに頭打ちをかけるということで設定されているものでございます。この高額療養費が効いていることによりまして、今、現役世代が3割負担、高齢者の方が1割負担になっているところ、実効の患者負担率というのは真ん中ぐらいに書いてございますけれども、医療保険全体で16.97%、約17%です。逆に言いますと、実効給付率が83%程度ということでございます。
 これだけ実効給付率を押し上げているということで、高額療養費の規模自体は年々増えておりまして、この10年程度で大体倍以上の規模になっている。直近で1兆7,000億程度ということです。
 伸びを見ましても国民医療費と高額医療費の伸び、これは大きく違っておりまして、高額療養費の方が非常に大きな伸びを示している。
 8ページは、その実効給付率の年次推移でございますけれども、一番右側の下、医療保険「計」のところの平成20年度をごらんいただきますと、83.03%。それから、70~74歳の患者負担割合は1割に凍結しており、それを含めると、括弧書きにございます83.59%というのが現在の実効給付率ということでございます。
 9ページは、高額療養費の現在の制度の自己負担限度額でございます。
 70歳未満と70歳以上で基準額が分かれておりまして、70歳未満ですと上位所得者と低所得者以外の方が一般所得となりますが、一般所得の方の年収の幅が非常に大きくて、夫婦プラス子ども1人の3人世帯の被用者世帯ですと大体年収200~800万円ぐらいの方がすべてこの層に入ってきて、同じ自己負担限度額が適用されるということになります。
 70歳以上は、また別な刻みで3段階あるんですけれども、同じぐらいの所得であれば、現役の方よりも低い自己負担額が設定されているということでございます。
 10ページは、中低所得者数の推移ということなんですけれども、70歳未満で見たときの人数を平成16年度と21年度で比較しますと、9,700万人から9,500万人と200万人ほど減っております。
 これを高額療養費の負担限度額の階層別に見ますと、上位所得者、低所得者、いずれも減っておりますが、一般所得の中の相対的に低い部分、つまり、年収300万以下のところは増えてきているということ。これは各制度いずれも少しずつ増えているという状況でございます。
 11ページは、高額療養費現行制度のもう一つの課題でございますけれども、月単位のレセプトで自己負担限度額が高額療養費の自己負担限度額に合致するのかどうなのかというところで、高額療養費の該当性を見ております。そこに2つ図を書いてございますが、例えば毎月の医療費の23万円の場合、3割負担ですと8万円に届きませんので、高額療養費の適用を受けずにずっと7万円の水準で負担をいただく。長く療養しなければならない疾病ですと、年間だと十二月で84万円の負担となります。
 他方、毎月の医療費が30万の方については、3割で9万で高額療養費に該当しますので、最初の3か月ですと8万100円、4か月目以降は多数該当ということで限度額も下がりますので、年間の負担を見ますと64万。医療費が高い方が実際の患者負担が低いというのが現状です。これは長期に高額な疾病で療養しなければならない方については、公平の観点から何らかの見直しが必要ではないかということでございます。
 12ページが高額な治療薬を長い期間服用しなければいけない疾病の例ということで、本当にたくさん患者団体の皆様から御要望いただいておりますけれども、比較的患者数の多いものにつきましてここは1か月当たりの薬剤の費用ということで掲載しております。
 慢性骨髄性白血病、グリベックという名前が昨年の「医療保険部会」でも何回か出ましたけれども、大体1か月で33万円。
 乳がんは治療法が幾つかありますけれども、化学療法ですと14万円。パーセプチンを使いますと20~25万円。
 関節リウマチはレミケード、生物学的製剤を使う場合、体重によって使用量が違ってきますけれども、大体薬剤費だけだと18万ぐらい。これに医療費が加わっても、恐らく高額療養費の基準まではいかない感じかなということで、前のページの毎月の医療費23万の辺りに大体とどまっているのではないかと思っております。
 13ページですが、昨年「医療保険部会」で4回ほど高額療養費について御議論をいただきました。そのときの議論の経過でございますが、患者団体からの要望書を御提示して議論をしていただきました。年収300万以下ぐらいの方々の負担限度額が非常に重いので、そこを何とかできないかということで試算を提示したんですが、改善のための財政規模が非常に大きい。逆に上位所得者からもっとたくさんとってはどうかということで改めて試算をお示ししたんですが、けたが違ってなかなかペイしないということが判明いたしました。
 結果的に自己負担限度額の改善は難しいということで、最終的には外来診療の場合に高額療養費を償還払いではなく現物給付化するということで昨年は議論をまとめていただいたと承知しております。
 昨年の部会での主な意見でございますが、高額療養費の見直しをやるということについては余り反対の御意見はなかったかと思いますけれども、ただ、実際に保険者の今の保険財政でそれが対応できるかというと、保険料を引き上げなければいけないということで非常にそれは厳しい。やはり財政中立になるような形で制度を仕組んでほしいという御意見。特に国保の場合は、この改善によってかなり財政影響が大きいので、上位所得者を引き上げるぐらいでは到底賄い切れないだろうという御意見もございました。
 もう一つ、高額療養費の中で高額長期疾病ということで自己負担限度額1万円に設定されている疾病が3つございます。透析、血友病、HIVの3つでございますが、特に負担の重い疾病については、これに追加すべきではないかという御意見がございました。
 一方では、個別疾病対策を医療保険制度の中でやることはどうなのか。全部救えればいいですけれども、なかなか線引きが難しい。結果的には所得に着目するしかないのではないかという御意見もあったところでございます。
 以上が背景とこれまでの経緯でございますが、今、申し上げたことを踏まえて14ページが今回、高額療養費の見直しについての提案でございます。改善の方向性として、そこに2つ書いてございます。
 1つが昨年も出ましたけれども、現在の所得ごとの限度額をもう少し細分化して、中低所得者の方々の自己負担限度額を緩和してはどうかということ。
 それから、高額療養費を月単位でやっておりますので、やはり長いスパンで見たときに、どうしても負担の公平、不公平が出てくるので、自己負担限度額に年間上限を設けてはどうかという、この2点でございます。
 もう一つ、議論をする際に留意いただいた方がいいのかなと思っておりますのが、昨年の「医療保険部会」の議論でもありましたとおり、日本の医療保険制度は地域単位、職域単位で分かれておりまして、それから、制度の財政力に応じて公費が入ったり入らなかったりと、いろいろな違いがございますので、改善を考えるに当たって、特に財政力の非常に厳しい保険者、市町村国保等においても制度別で財政中立になるような形の仕組みを考える必要があるのではないかということでございます。
 15ページが受診時の定額負担の仕組みでございますが、今回新しく提案する概念でございますけれども、どういう形で定額負担を徴収するのかということなんですが、今、3割の定率負担を取っておりますので、それに定額負担を加えるという仕組みなのかなと思っております。
 巷間、保険免責制とは違うのかということをよく言われておりますが、今回の提案自体は保険免責制とは異なるということで提案をしたいと考えております。
 下の方に絵が書いてございますけれども、左側が今回提案しようとしている受診時定額負担ですが、医療費5,000円で例えば定額を100円乗せる場合ですけれども、3割の患者負担ですと従来1,500円を窓口でお支払いいただいて、3,500円を医療機関が審査支払機関に請求するということだったんですが、仮に100円を乗せるとしますと1,600円を窓口で負担いただいて、逆に医療機関が請求する金額は3,500円から100円を減じた3,400円というのが今回の提案です。
 右側がいわゆる免責制というものになるかと思いますが、かかった医療費の全体からまず、免責分、例えば100円であれば100円を引いて、残りの4,900円を3と7に分けて、3の方に100円を乗せるということなんですけれども、医療保険がカバーする範囲を変えるということで今回、少なくともこういう提案をするわけではないということでございます。
 上の方に戻りまして、○の3つ目でございますが、今の医療保険制度の中で患者負担をどう位置づけているのかの考え方なんですけれども、窓口では基本的に3割をお支払いいたたくんですが、一方で医療費が高額になったときには、高額療養費、これがかなり効いてきて実効給付率を押し上げるという形になっております。
 つまり、定率負担と高額療養費で併せて患者の家計負担が過大にならないようにするという枠組みで医療保険制度の患者負担が考えられておりますので、仮に今回、定額負担を非常に医療費の軽い方について低額で広く負担いただくということにした場合、この考え方を大きく変更するというところまではいかないのではないかと考えております。
 一方で、なお書きのところに書いてございますが、平成14年の健保法の改正法の附則で医療に係る給付の割合については、将来にわたり100分の70を維持するという規定がございます。したがいまして、定額負担を考える上ではこの規定をどう考えるのかということも当然併せて考えなければいかぬことだろうと思っております。
 16ページが医療保険の外来の受診動向の数字でございますが、上の表の医療保険「計」の左側の一番下のところにあるとおり、各制度全体で1年間の外来の受診の日数が20.6億日ということでございます。
 それを制度ごとに見てみますと、下の方でございますが、一番下の欄で現役世代の方々は大体平均で2.1回、2.6回というところなんですけれども、後期高齢者の場合はそれが平均でも多くて3.7回。
 中程に患者さんごとの受診日数の分布がございますけれども、やはり後期高齢者の場合は5日以下という、ほかの制度で大要を占めている部分がそれほど多くなくて、ばらけてきております。特に1か月に26日以上受診されている方が4.9万人、約5万人近くおられるという状況でございます。
 17ページが受診時定額負担の低所得者への配慮でございますが、これも成案に書いてございますけれども、仮に月100円程度の負担とした場合にこの配慮をどう考えるのかというのが1つ論点としてあるのだろうと考えております。
 もう一つは、低所得者の範囲をどう考えるのかということでございます。これにつきましては、現在、高額療養費制度の自己負担限度額の区分の中で低所得者という枠組みがあって、これは市町村民税非課税の方を対象にしております。実際、高額療養費の中で低所得者の定義が2つ出てくるというのは説明もわかりにくいですし、保険者の事務的にも負担が大きいので、この市町村民税非課税という基準を低所得者の基準としてはいかがかと考えております。その市町村民税非課税の方が参考のところに書いてございますけれども、1,700万人、大体全体の15%程度おられまして、そのほとんどが国保と後期高齢者制度に集中しているという状況がございます。
 18ページは、もう一つ、成案に括弧書きで書かれておりました受診時定額負担と併せて病院、診療所の役割分担を踏まえた外来診療の適正化についても検討とされている部分でございます。
 おそらく趣旨は医療機関の機能に応じた役割分担を進めるという観点で、受診時の定額負担を広く徴収することに代えて、例えば大病院での外来受診時のみ定額負担を求めるということで、患者さんの受診行動を変えるとともに高額療養費の改善の財源に充てられないかという趣旨ではないかと思っております。
 現在、3つ目の○のところにありますけれども、似たような仕組みとして大病院で紹介状なしに受診された方に、通常の3割の負担に上乗せして患者さんから負担を徴収するという仕組みがございます。これは選定療養の仕組みでやっており、参考のところに書いてございますけれども、大体200床以上の医療機関が今、2,700ぐらいあるらしいんですが、その中の1,176の医療機関がこれをやっております。平均の徴収額が1,900円で、最高が8,400円、最低が105円ということでございます。
 ただ、この仕組みで徴収したお金は医療機関の収入になりますので、保険者の財政には還元されない。したがって、これを高額療養費の財源にするためには、医療機関の収入ではなくて保険者に還元する仕組みにしなければいけないということです。
 ただ、そうしますと医療機関の収入は当然減ってきますので、そこをどうするかという問題がありますし、それから、200床以上のすべての医療機関にこれをやっていただくということが必要になります。
 また、規模でございますけれども、先ほど20.6億日という数字がありましたが、そこでか仮に100円取るのと同程度の金額をこの200床以上の医療機関の、例えば初診だけでいただくというふうにしますと、200床以上の医療機関の初診の日数というのが0.35億日でございますので、割り戻すと大体7,000円。ただ、0.35億日の中には紹介状を持って来られている方もおられますので、そういった方からは取れないだろうとなると、1万円に近い水準の金額を3割負担とは別にいただくということになります。
 これを取ると、確かに患者さんの受診行動は変化するかもしれませんが、変化するということは逆に7,000円なり1万円が入ってこないということになりますので、そうなると確保できる財源の規模が減ってくることになります。こういう仕組みについてどう考えるのかという提案でございます。
 19ページは、今、申し上げた選定療養の仕組みでございますので、説明は省略させていただきます。
 20ページがそれ以外に一体改革の成案において、患者負担、受診時の定額負担とは直接関係ないんですが、言及されているものが2点ございます。
 1つが医薬品の患者負担の見直しということで、工程表の中では医薬品に対する患者負担を市販医薬品の価格水準も考慮して見直すと書かれております。昨年の部会でも一度議論されたかと思いますが、一般薬があるという理由で保険対象外にするということでより高い薬にシフトしたり、結果的に有効な成分を国民の皆様が使えないという影響もあるのではないかということで否定的な御意見があったかと思っております。
 もう一つが自己負担割合の見直し。これは高齢者医療制度の見直しの中での自己負担割合の見直しということで70~74歳の自己負担割合、凍結している措置をどうするかということでございます。
 21~22ページは、今の薬剤の負担に関する諸外国の制度及び70~74歳の自己負担割合の見直しに関する資料でございます。説明は省略させていただきます。
 大変駆け足の説明で申し訳ございませんでした。説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 資料の最後に2つのことが書いてありますが、本日は時間の制約もございますので、基本的には定額負担の議論のみをしたいと思います。前回のいろいろな御質問、御要望に応じて事務局がそろえたもの、あるいはこれまでの経緯をまとめたもの、こういったものが出されたわけでありますけれども、これを見た上でどんな御意見がございますか。
 山下委員、どうぞ。
○山下委員 国民の安心を保障する観点から、高額な医療費を支払う患者に対する経済的負担を軽減する制度、いわゆる高額療養費の問題は非常に大事だと考えています。
 一方で、商工会議所としては持続可能な医療保険制度という視点も忘れてはいけないと思います。医療費が増加し続ける中で将来、少子高齢化により現役世代の割合が減少していくことを考えると、機能強化と重点化、効率化はセットで検討していくべきだと考えております。例えば高額療養費制度を見直して機能強化をする場合、先ほど言われた受診時定額負担とか、そういった問題についは検討していくべきだと考えております。
 また、70~74歳の患者負担を法定の2割に引き上げるということも含めて重点化、効率化により財源を捻出する必要があると思います。
○遠藤部会長 定額負担について検討していくべきだということは、定額負担ということも視野の中に入れた議論をするべきだと、こういうお話ですね。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 この問題は前回もお話しさせていただいたんですが、高額療養費の在り方を見直して患者負担を軽減するということは賛成なんですけれども、財源は公的保険である以上、幅広く保険料や税財源に求めるべきだということで、患者負担をこれ以上増やすということには反対しております。当初は定額100円であっても幾らでも増やせるということで、外国の例を見てもそういうことは行われているということがございます。
 今回、高額療養費ということで、これが非常に医療費の伸びを大幅に上回って伸びているということは、1つこの対応というのは考えなければいけないと思うんですが、これをなぜ普通の外来の患者さんに負担を求めるのかというのが理解できないということです。この問題は保険料や税財源で対応すべきだし、例えばこれからの議論が何かあるとすれば費用と効果の見直しみたいな話もありますから、そういう中で高額な薬価を引下げることによってそういった財源を捻出するということは可能になる。
 そういったものには手を触れないで、弱い患者の方々に、あたかも先ほどの話だと後期高齢者の方は受診回数が多いということですから、その高齢者を中心に外来の負担を増やして抑制をさせた上で、それを高額療養費に回そうというのは、非常に国民皆保険制度の根幹を揺るがすような大きな問題だと思いますので、我々としては国民とともに反対していきたいと考えております。
 保険料が高いとおっしゃいますけれども、私のところも協会けんぽですから非常に高いですが、でも、国民皆保険制度を守るために頑張って払っているわけです。すべての保険者が協会けんぽ並みに保険料を上げれば、前回も言いましたけれども、1.8兆円の財源があるという計算もあるわけでございます。高い、高いと大企業の健保組合とかおっしゃるけれども、ドイツでは労使折半ですが、15%。あるいはフランスでは事業者負担は12.8%です。それから比べたら我が国の企業の負担はまだまだ低いと思います。
 それから、共済。特に国家公務員共済組合とか私学共済、この辺は非常に低いですから、この辺を見直すということは社会保険制度である以上、まず考えられるべきであって、更に消費税といったものもありますが、そういったものを検討ということになると思います。自己負担というのは、日本は最高3割で既に世界一高いので、これを更に増やすということは我々としては認めることはできない。
 質問でございますが、先ほど説明にもありましたけれども、2006年の健保法の改正のときに、附帯決議に公的医療保険の給付範囲を100分の70、これを維持すると書いてあるということがあるわけですが、これを今回、受診時定額負担を導入するんだというときに、見直すとか検討するとおっしゃっていましたけれども、どのようにしたいと考えているんでしょうか。聞かせていただけますでしょうか。
○遠藤部会長 これは保険課長ですか。お願いします。
○西辻保険課長 資料の15ページの平成14年健保改正附則で将来にわたって7割の給付を維持するというこの附則の規定をどうするのかということでございますが、先ほど御説明申し上げましたように、実際には実効給付率は83%となっておるわけですけれども、ただ個々の患者さんについて見てきたときに、相対的に医療費の低い方ほど定額の負担が大きな意味を持ってまいります。
 例えば1,000円の医療費であれば、通常3割の300円のところに仮に100円だと400円になってくるということで、実際、将来にわたり100分の70を維持するという規定をどうするのかということについて、今、具体的なものを持っているわけではございませんが、併せて考えていかなければいけないと思っております。
○遠藤部会長 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 受診時定額負担を導入するということは、法改正が必要だということですね。
○遠藤部会長 保険課長、どうぞ。
○西辻保険課長 受診時定額負担を取るということは、国民の皆様に3割に加えて定額で負担をいただくということですので、この規定をどうするのかということとは別にそれ自体が当然法律改正が必要ということになると思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 ほかには。では、堀委員、どうぞ。
○堀委員 受診時定額負担の前に確認だけお願いしたいんです。今日、初めて拝見したんですが、大病院における選定療養の特別料金を上げていくという御提案というか資料がございました。これはあいまいでしたけれども、先ほど7,000円、1万円という話がありましたが、それは定額負担の導入に代わるものとして提案が出たと考えてよろしいんでしょうか。
○遠藤部会長 保険課長、どうぞ。
○西辻保険課長 1ページの成案の文言、1ページの一番下でございますけれども「受診時定額負担等の併せた検討」の後に「病院・診療所の役割分担を踏まえた外来受診の適正化も検討」という文言がございます。この文言を具体化するものとしてはどういうものが考えられるのかということで、現在の選定療養ではこういうことがありますという説明をさせていただいた上で、仮に200床以上の医療機関で取るという仕組みを新たにつくるとこれぐらいの額をとれば、いわゆる20.6億日で取るのと同じぐらいのものが取れますということを御説明させていただいて、これについても併せて御意見を承れればという趣旨でございます。
○遠藤部会長 堀委員、どうぞ。
○堀委員 そうしますと、仮に1万円程度のことが出てくれば、それがあれば高額療養費の方は賄えるので、受診時定額負担の導入はなくても可能かという、極論ですけれども、そういう考えでよろしいですか。
○遠藤部会長 保険課長、どうぞ。
○西辻保険課長 計算上は一応そういうことになるのではないのかと思っておりますが、ただ、18ページの一番下の○に書いてございますように、実際、3割の負担とは別に7,000円なり1万円なりを負担して、紹介状を持たない方は200床以上の医療機関で受診するということがフリーアクセスの観点からどうなのかということと、本当にそれだけ負担していくのかということです。
 いかなかったとすると、7,000円なり1万円なりは実際には費用として入ってこないわけですから、そうなると高額療養費の改善がどの程度できるのかというところも含めて全体構造が変わってくると考えております。
○遠藤部会長 それはそれで非常に大きな変更になるわけですね。従来の選定療養の考え方からすれば、金額まで決めるわけですから。
○堀委員 1つはそれで、今はまだ軽々にジャッジできません、そしゃくしていませんけれども、患者さんの側にとって選択肢があるということは、いわゆる定額負担導入よりは検討の価値があるのではないかなという気がいたします。
○遠藤部会長 横尾委員、どうぞ。
○横尾委員 先ほど鈴木委員の御指摘の中に、「仮に定額負担100円を一度導入してしまうと先々それが拡大していくことが非常に懸念される」というお気持ちを表明されたところでございますけれども、この案を検討される中では、それは青天井にどんどん膨らむことを想定されているのか。いや、これは財政をある程度よくするためにも100か200円程度でとどめ置くという範囲なのか。その辺はいかがなのでしょうか。
○遠藤部会長 保険課長、どうぞ。
○西辻保険課長 資料のいろいろな部分で100円が出てくるときに「仮に」とか「例えば」という表現が付いていますけれども、まだ正式に100円を提案したというつもりはございません。
 ただ、高額療養費の改善というのは財政規模からすると本当に大きなインパクトを医療保険財政に与えるということで、やはり自己負担限度額の基準を見直すときにはその時点での保険者への財政影響を緩和する必要があるだろうということでの定額負担の提案でございます。
 ただ、実際には高額療養費も保険給付費の一部でございますので、今後、高額療養費が伸びていくものを定額負担を上げることによって常にそれを賄っていくということではなくて、一旦、今回定額負担の枠組みを入れますが、今後の高額療養費の伸び等は通常の保険給付費を賄うのと同様、保険料あるいは一部の制度については公費、そういったものでファイナンスをしていただくというのが基本的な考え方でございます。
○横尾委員 そうすると、これは期間限定の少しの定額負担ということですか。
○遠藤部会長 保険課長、どうぞ。
○西辻保険課長 期間限定ではないんですが、仮に今回高額療養費の見直しを行いますと、その時点以降、保険者としてはかなり給付改善を行うことになります。
 これをどの時点からスタートするかわかりませんが、その時点で見たときに財政が中立となるような規模として、例えば100円をいただく。そして100円でそれ以降もずっとやっていただくということでございます。
○横尾委員 例えばそういうふうに期間も余り永遠ではない、額も青天井ではないという想定だとしたら、鈴木委員などはどう受け止められますか。
○鈴木委員 それだったらわざわざ回りくどい問題があることをやらないで、最初から保険料と税財源でやったらいいのではないですか。100円か200円でとどめるのだったら。詭弁というのはそういうことを言うのではないかなと思います。
○遠藤部会長 保険課長、どうぞ。
○西辻保険課長 済みません、私の説明がよくないのかもしれませんけれども、一旦どこかの段階から高額療養費の見直しと定率負担に併せて例えば100円をいただくという、その100円をどこかで打ち切るということではございません。100円はずっと取るということです。
 ただ、その後、高額療養費の増加により保険者財政が悪化したからといって200円とか300円に変えるということを想定しているわけではなくて、100円でいくということでございます。
○横尾委員 私がお尋ねをしたかった気持ちは何かと言いますと、医療財政を見ると今のままだと本当に大変だと思うのです。高齢者医療もそうですし、ほかの関係の医療を見ていても右肩上がりでどんどん上がっていくわけです。そうすると将来的にもたない訳です。
 ですから「高齢者医療制度改革会議」でも長妻大臣が来られた初回から私は、「タブー視しないで税財源の議論を早くしてください」と申し上げたのです。その気持ちからすると、仮に若干の100円をみんなが負担することによって改善できるのであれば、それはそれで1つの方策ではないかという気もするのです。
 その大前提としてあるのは、実はこれだけ医療費がかかっているということとか、あるいは多くの方々の支え合いが陰にあるということを多くの方に知っていただかないといけないのではないかと思います。
 かといって医療費を減らせという意味ではないのです。鈴木委員も心配されている必要な医療はちゃんとやっていかないと、高齢者であろうと例えば80歳以上の平均寿命を過ぎた方でも自分の命は大切にしたい、家族だったら守りたい、そういうニーズはあるわけですから、その財政をみんなで賄えるような何かそういったことが今後、必要だろうと思っています。
○遠藤部会長 そうすると、ある程度国民への周知ということをすれば、その定額負担ということも1つの方法であるという御意見のように今、受け止めたのですけれども、それでよろしいでしょうか。
○横尾委員 ですから、現状はそこら辺がきちんと伝わっていないのではないかという認識を持っているのです。例えば自分自身が病気になった場合、家族でも友達でもいいです。早く治したい、高額療養費があって助かったなということになるわけです。そうすると、そこにはどれだけ多くの財源が動いているか、普通分析をしないですよね。しかし、結局は全員が支え合っているものです。そして、医療財政が国家予算でどれぐらいなのかとか、国家予算自体が今、本当に収入を超えた国債によって賄われているわけですので、そういったことを知っていただきながらよりよい医療の確保をみんなの負担でどうやっていくかということを認識していただく。そういうことが必要だろうと感じています。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 先ほど手を挙げておられた岩本委員、申し訳ありません。
○岩本委員 お話の筋立てが高額療養費を見直すということで財源が必要であって、公費も充てられない、保険料も充てられないということで定額自己負担に求めるということなんですけれども、私が全く私的な立場から一生活者としてこの話を見た場合、高額療養費を使って生活が苦しくなる可能性もあるとして、その分負担が下がるということで恩恵を被るということであれば、なにがしかの負担を自分としてはしなければいけません。その場合だったら保険料を上げてくれるのが一番いいなと思います。そうすることによって、国民全体でその部分を分かち合うということで負担をするということになるわけです。
 定額の自己負担はどういうことかというと、医療機関にかかった人だけでその際負担する。たくさん通った人はたくさん負担するという形の負担になるわけなので、そういう形のやり方よりは、どれぐらいの医療費使うかわからないという段階で、そういった病気の度合いとかによらない形で負担が決まっている方がもっと負担がしやすいのではないかというのが個人的な意見です。経済学者としてもそういうふうに考える次第です。ですから、最初に保険料の負担ができないという前提で話が始まっているところはそうなのかなという気がいたします。
 この制度自体は免責制と違うんだとおっしゃっておりますけれども、その負担の金額から見れば事実上、免責制と同じ形をしておりまして、計算しますと約143円の免責制のような形になっています。最初の143円が保険給付の対象から外れて、それ以降3割負担という形と同じ金額を負担する形になるんだと思います。
 免責制の議論は昔からありまして、私も財政を研究している過程でいろいろそれについて研究していたんですけれども、これは医療費の財源調達する最後の手段であると認識しております。これは最初のところで受診抑制が働くということはありますので、軽々と使うべきものではないと思っております。
 保険料でみんなが払えるという状態であれば、その方が医療費の財源調達としては合理的な手段であると考えております。現状ではなかなか保険料も上がってきて苦しい状態ではありますけれども、まだこの程度の規模であれば国民に十分に理解を求めれば払える。保険料を上げて払うということで理解を得られるのではないかなと思っておりますので、現段階ではこういう形で高額療養費の見直し、財源を求めるのではなくて、きちんと説明をしていって保険料によって財源を調達するのがいいのではないかなというのが私の考えでございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 保険料の負担がそもそもできないという前提の議論ではないかということでしたので、事業者あるいは保険者からの御意見がもしあればお聞きしたいと思いますが、先ほど来、お手を挙げています山下委員も事業者と言ってよろしいのかと思います。
○山下委員 先ほどの発言について補足説明をさせていただきます。
 定額負担については検討の選択肢の中に入れているということに意味があるということを考えています。このような状況なので、あらゆる点を考えなくてはいけないということで、まず定額負担ありきではないということを誤解を招かないように申し上げておきます。そういったものも含めて検討してほしいということで御理解いただきたいと思います。
○遠藤部会長 わかりました。
 では、白川委員、お願いします。
○白川委員 岩本委員の御意見は、全体としてはそういうお考えもあるかと理解はできるのですが、2つ問題があります。
 1つは、個々の保険者によって高額医療の発生額が違う。一番いい例が国保の方に低所得者の方が多いですから、そちらへの保険料負担はかなり大きなものになるだろう。健康保険組合は、例えば300万円以下の層というのはそんなにおりませんので、負担は余り大きくない。そういった問題が1つあるということ。
 もう一つは、これは保険料の問題だけではなくて税財源も絡む話。当然のことながら、高額療養費の4分の1ぐらいの額は国あるいは公費で負担をしておりますので、それの問題もあると私は考えております。
 この件について、前回、昨年の10月、12月ぐらいに議論したときも保険者の方からは財政中立にしてくれという意見、私も含めて多くの保険者がそういう御意見だったと思います。これはいろいろな意味があるんですけれども、全体としての財政中立という話と各保険者グループといいますか、国保とか協会けんぽとか健保組合で個々に財政中立をしてくれという話と両方あるかと思います。
 なぜそういう言い方をするかといいますと、先ほど申し上げたとおり、もしも国保が財政負担が大きいので、被用者保険の方からその分は補てんしますかと、これは財政調整ということになるので、単に高額療養費のお金のやりとりで済まない。
 我々が保険料を上げるとか上げないとかいう議論の前に気にしておりますのは、当然のことながら、今、保険集団で徴収しております保険料のうちの半分近くを高額療養費に拠出をしている。高齢者に財政調整しているという現状で、更に高額療養について財政調整をまたやるのか。それは我々として事業主なり加入者の方になかなか説明がつかないということを懸念して、財政中立をしていただきたいというお願いをしているということです。
 若干、去年の議論の繰り返しになりますけれども、整理して私どもの考え方を御説明いたしました。
○遠藤部会長 1つ質問ですが、そうしますと各保険グループ間で財政中立を維持するということは、高額療養費の上限基準が各保険グループによって異なってくるということを意味すると理解いたしますけれども、そういうことでよろしいんですか。
○白川委員 いえいえ。私が申し上げたのは、去年の財政中立の議論のときはそういう考え方の意見があったと申し上げているだけで、今回の制度について各制度ごとに定額負担の額を変えるなどということは全然言っているつもりはございません。
 申し上げたかったのは、例えば100円ということにして高額療養費の発生状況あるいは所得分布を見て、各制度ごとにバランスはとれるんだろうかという観点での検討はこれから必要ですねということを申し上げているだけでございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 小林委員、どうぞ。
○小林委員 岩本委員のお話について、先ほど申し上げましたように、私ども協会けんぽで申し上げますと、財政的に赤字構造と申し上げたのは、1人当たりの医療費は右肩上がりで上がっている一方、保険料のベースになる標準報酬月額は横ばいないしは減っており、常に赤字の構造にあるということであります。
 したがって、現在累積赤字を抱えていて、金融機関から借入れをしながら医療費を払っているという状況になっており、先ほど保険課長からお話がありましたように、資料7の4ページの通り、保険料率は21年度は8.2%、22年度は9.34%、23年度は9.5%と急激に上がっております。来年度、24年度は10%を超える懸念があります。高額療養費の見直しがなくても、保険料は上がっていく構造になっているわけです。
 制度の見直しの議論に当たっては、給付と負担の関係が常にセットで考えられなければいけないと思います。保険料収入だけではこれを負担し切れません。先ほど申し上げたように、私どもの加入者は中小零細企業であり、保険料は勿論、事業主と加入者が半分ずつ負担しますが、新たな負担は耐えられない状況にあります。制度の見直しを考えるときには負担とセットで考えていく必要があり、こういう考え方もあり得るのかなと思います。保険料率はこれ以上、上げる状況にないというのが私どもの意見でございます。
○岩本委員 負担とセットで私は考えていて、負担の仕方として並べた場合にどちらが適切かという判断で申し上げた次第です。その段階で保険料の方が私としては納得しやすいという意味です。
 勿論、苦しくて保険料がこれ以上払えないという人がいるかもしれませんが、けれども、その人にもこの制度では負担を求めるわけです。しかも、その求め方が病気になって医療機関に行ったときにお金を払ってもらいますという仕組みになっているわけですから、それよりは苦しくても何とか元気に働いているところでみんなで分かち合って、その場合の負担というのは、窓口で定額負担する分よりも少し安くなると思うんですけれども、それを負担するということに納得する人も出てくるのではないかなというのが私が申し上げたことです。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 時間も限られておりますが、できるだけ御発言はお聞きしたいと思います。初めての方を優先したいと思います。
 では、柴田委員、どうぞ。
○柴田委員 14ページで高額療養費の見直しについての説明がありましたけれども、実は冒頭に総務課長からも短時間労働者の話とか国保の基盤強化の話とか、ほかにもいろいろな話があるんだということでした。
 今日、具体的な話はなかなかできにくいのかもしれませんけれども、これらの改革というのはいつやることを前提に考えているのか。どういうふうに考えておけばいいのかということであります。
 それから、14ページの個別制度で財政中立をすると言っていますけれども、今、いろいろな御意見がありましたが、国保だけで単純に考えると定額負担、低所得者の分は軽減すると言っていますから、とても直観的に見ても高額療養費の引下げと定額負担とがバランスをとれるとは思えないんです。
 ですから、多分ほかのいろいろなことと併せて財政中立と言っているのではないかなと思うんですけれども、そういう理解でいいのか。今日でなくてもいいですけれども、また次回。恐らく財政試算もまた見せていただかないといけないと思いますので、そのときに併せて説明をいただければと思います。今日でなくても結構です。
○遠藤部会長 それでは、事務局。これは国保課長になるんでしょうか。では、お願いします。
○西辻保険課長 各保険者制度別で見たときに、財政中立とする必要があるとここで論点として書かせていただいておりますが、今日は冒頭申し上げましたように、高額療養費の見直しと受診時の定額負担を提案するに至った背景と考え方について資料を用意させていただきました。また次回以降、この議論を行うときに改めて、今、柴田委員から御指摘があった制度別の財政影響等も含めて、また御提示したいと思っております。
○遠藤部会長 よろしくお願いいたします。
 では、鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 いろいろな議論があったわけですけれども、医療費の増加の要因としては、高齢者が増えるからとよく言われるんですが、もう一つ、あるいはそれ以上に高度医療が増加しているということがあるということは従来から言われています。そちらの影響が大きいのではないかという学者もいるぐらいです。
 今回、高額療養ということが図らずも伸びが大きいということが明らかになったという感じですけれども、やはり患者さんにとっては非常に重要な問題ですから、これをもう一つの問題である高齢者の医療費の増加とひっくるめて一石二鳥で片付けようみたいなところも見えなくもないです。そういう姑息なことはやめて、高額療養費をどうするかという問題を正々堂々と保険料、税財源で考えるべきだと思います。
 先ほど歯科医師会の堀先生から、大病院の方は認めてもいいのではないかという話がありました。これはやはり保険料、税財源で対応するべきで、もともと医療機関に入っているものを取り返すみたいなのもせこいやり方だと思いますので、それはやめてほしいと思います。
 それから、横尾委員がおっしゃった100円、200円ぐらいならいいのではないかということなんですが、先生は政治家だからそれが政治決着なのかもしれません。でも、私は最近フランスの医療の動向の報告書をつくったんですが、それを見ますとフランスでも当初、1回1ユーロで入れるんです。その後、すぐ引き上げるんです。その後、かかりつけ医制度が入って、その後、どこかにちらちらと最後の方に書いてありますけれども、薬の償還率を変えるということを入れて、最後に保険免責制を入れるんです。必ずそういう方向に一旦入ったら、つながるんです。
 ですから、先生は甘いと思います。ここは最初のところで食い止めないといけないと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 では、手短にお願いいたします。
○横尾委員 言っておかないと誤解を招くので。
 先ほど積極的に100円、200円の方がいいと言った訳では必ずしもないのです。これだけの医療財政をみんなで支えていくという認識がまだまだ薄いので、高めるべきだと思うのです。
 例えばスウェーデンの方とお会いをしてお話をすると税率25%にみんな理解をしている方が多いのです。本当にそれで大丈夫なのかと聞くと、「学校だって無料だし、将来自分が医療が必要になり介護が必要になっても、すべて国が見てくれる。公の負担でできるようにこの制度でなっているんだ。だから25%を払う」とみんなが納得して負担をされているわけです。日本はそこまで至っていないわけです。
 ですから、それを含めて先ほど申し上げたのは、医療財政の課題とかを多く知ってもらうこと。そして、期間まで聞いたのはもう少し精緻なものを出していただいた方が議論になると思うのです。鈴木委員のお尋ねも多分そういった意味だったと思いますので、出すなら出すで、そういったことも出していただいて、議論をすることが必要ではないだろうかという意味で申し上げました。
 積極的に100円にしろとか200円にしろということではありません。データから見ても明らかに後期高齢者だけを考えていけば、受診回数だって月4回ぐらいでございますので、月100円ではなくて実は月400円の負担になりますので、負担感は2倍になります。
 収入は多分低いですから、負担感はもっと高くなるのです。そういう課題は当然、私自身も認識もしておりまして、いろいろな方策を事務局で検討されると思いますので、そういったことを踏まえてほしいという意味で申し上げたところです。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 岩村委員、どうぞ。
○岩村部会長代理 少しだけコメントさせていただきますと、受診時に今、例えばということで挙がっている100円を払っていただくというのは、ある意味では病気になってお医者さんにかかっている人に高額療養費のための別途の保険料を負担していただくという、実質はそういう意味を持つのかなと思います。
 そういう意味では将来、高額療養費を受ける可能性のあるリスクを持っている人が保険料を拠出するという、100円だけれども、そういう拠出をする。本来、多分社会保険の考え方からいうと、先ほど岩本さんがおっしゃった病気ではない人も含めて全部保険料を拠出するという方が社会保険の考え方にはどちらかというと忠実なのかなと思います。
 ただ、今日、この御説明にもありましたように、言わば全体の財政をどう構築するのかというのが非常に複雑な方程式で、地域保険と職域保険が分立している中で、更にそれぞれの保険者の財政状況が異なり、どこをいじるかによってかなり大きな影響が出てきてしまうというのが一方にあるということを考えてみる必要がある。
 それから、今日、事務局の御説明にはありませんでしたけれども、実効給付率もよく見てみると83%と言っても実は世代によって違うという問題があり、高額療養費を実際に一番必要としている世代が一体だれなのかということも考えてみる必要もある。幾つかのいろいろな要素が関係してくるので、社会保険の考え方で全部きれいに整理できればいいんですが、そうはなかなかできないところもいろいろな要因もあって、複雑になっているかなという気がしております。
 その辺をどう考えるかというのが今後の議論の焦点になるのかなと思います。
○遠藤部会長 同じ大学院に所属されている先生でも、経済学者と政治学者の基本的な考え方の違いみたいな。いや、法律学者ですか。
 では、逢見委員、どうぞ。
○逢見委員 高額療養費のセーフティネットとしての機能を強化しなければいけないという視点は昨年来、議論していることで、中低所得者の高額療養費負担を考える必要はあると思います。そのときに給付と負担をセットで考える必要というのも当然、考えなければいけない。
 次に、筋としては健康な人も含めて社会保険料でそれを広く、薄く負担するというのが考え方としては1番にあるんだろうと思います。しかし、それがさまざまな理由で医療保険として負担し切れないというのであれば、そこをまず納得できるかどうかという関門がある。そうだとしたら、受診時定額負担ということになるわけですけれども、そのときに患者同士で負担するという考え方の理屈というか根拠というのはどこに求めるのか。
 それから、患者同士で負担する中で低所得者に配慮するというのは、一体どういう手法が考えられるのか。
 幾つかのまだやらなければいけない議論があると思いますが、一つひとつ、きちんと納得と合意を積み重ねながらやっていかないと、また入り口の1の議論に戻るということがないように、この議論を頭から否定はしませんけれども、やはり手順を踏んで合意を積み重ねていく必要があると思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 川尻委員、ございますか。
○川尻委員 この問題について一番あってはならないなと思うのは、病院へ行かれている患者さんがこのことによって治療を受けられないような形になってはいけないのではないかという気が一番しております。
 100円という感じの中で、先ほど横尾委員がおっしゃったように、200円あるいは4回行けば400円ということが重なっていくと同時に、もともとはみんなで支えていくというのが基本ではないかなという気はしているんですけれども、高額療養費の問題から端を発し、こういう形で提案をされておりますが、やはり低所得者への配慮ということは、今、逢見委員からもございましたが、17ページの受診時定額負担の低所得者への配慮についてという、果たしてこれだけでいいのかどうかということも、もう一回整理をしていただきたいなという気がいたします。
 やはり高齢者が頼るところは通院できる人はまだしも、在宅で往診を受けなくてはいけないという方々も地域によっては多々あるわけでございますので、公平に受診ができる形の中でこの医療費の問題は考えていかなければいけないんだろうと思います。
 私も真っ先に心配しておりますのが100円という数字がひとり歩きして、それがいつの間にか年とともに200円、300円となっていくことについての心配は実はあるわけでございますので、その辺のところをしっかり今、課長の方からは当面100円ということを固定するようなお話もいただいたわけですけれども、そういったことを含めてこれからきっちり高齢者という立場においても議論に参画させていただきたいと思います。
○遠藤部会長 よろしくお願いいたします。
 それでは、堀委員。手短にお願いいたします。
○堀委員 誤解があった発言だったかもしれないので、一言だけ。
 先ほど鈴木委員から御指摘があった選定療養のことの案がいいと申し上げたのではありません。もともと定額負担については反対の発言を前回いたしました。そういった意味で高額療養費の負担の軽減は必要だと思いますが、その方法として受診時定額負担だけではなくて、いろいろな選択肢を御検討いただくのは結構なことだという発言ですので、立場上、一言。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、当初予定していた時間をかなりオーバーしてしまいました。司会の不手際でおわびしたいと思います。本日は新しい資料の下で御議論いただいたわけですが、まだまだ検討の余地があるということでありますので、引き続き次回以降も検討したいと思います。また、事務局としては、提出可能な資料があればひとつ準備をお願いしたいと思います。
 失礼しました。では、樋口委員、どうぞ。
○樋口委員 先ほど、どなたかからも出ていたんですけれども、高額医療費の世代別のデータがございましたら、是非お出しいただきたい。
○岩村部会長代理 もう出ていますね。今日の資料に入っています。実効給付率で今日、出ています。
○遠藤部会長 ほかに何か、最後の一言という方、いらっしゃいますか。よろしゅうございますか。
 それでは、紙屋委員、どうぞ。
○紙屋委員 最初の議論で言うべきでしたが、既に他の委員から同趣旨の御意見が出ましたので控えようとも思いましたが最後に一言、追加させていただきます。安全、安心、質の高い医療は従来の意味では、高度医療すなわち機械化の方向だったと思いますが、医療の安全、安心、質というのはやはり人が行うものだと思います。機械には患者を励まし、あるいは慰め、ねぎらいというものは期待できませんので、本当に国民がわかりやすく安全、安心な医療を推進するためには、今後の議論では是非、医師を含めた医療を支えている人材の確保と、それらの仕組みをつくるという議論をお願いしたいと思います。
○遠藤部会長 改定の基本方針の方でございますね。了解いたしました。ありがとうございます。
 それでは、この問題につきましては、引き続き次回以降、御議論いただくということで、本日はこれにて終了させていただきたいと思います。
 次回の開催につきましては、追って事務局より御連絡があると思いますので、よろしくお願いします。
 本日は御多忙の中、お集まりいだきまして、どうもありがとうございました。


(了)

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