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2011年3月8日 平成22年度第11回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会及び第2回子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会(合同開催) 議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成23年3月8日(火)18:00~20:00


○場所

中央合同庁舎第5号館専用第16会議室


○議題

平成22年度第11回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会及び第2回子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会(合同開催) (1)小児用肺炎球菌ワクチン及びヒブワクチンの安全性について

○議事

○事務局 定刻になりましたので、平成22年度「第11回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会及び第2回子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会」を合同開催させていただきます。本日の合同会議も公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、マスコミ関係者の方々におかれましてはよろしくお願いいたします。また傍聴者におかれましては、傍聴に際しての留意事項、例えば「静粛を旨とし、喧噪にわたる行為をしないこと。座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと」などの厳守をお願いいたします。
 本日ご出席の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして大変ありがとうございます。子宮頸がん等ワクチンの安全対策について検討するために、本日は薬事・食品衛生審議会安全対策調査会と、健康局長諮問会議である子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会を合同開催させていただきます。本日は2回目の合同開催となりますので、今回新たにおいでいただきました参考人の紹介のみをさせていただきます。
 本日の会議については、安全対策調査会の参考人として、国立感染症研究所細菌第二部室長の加藤先生においでいただいております。もうお一方は、国立感染症研究所細菌第一部室長の和田先生においでいただいております。
 本日の委員の出欠状況ですが、安全対策調査会の遠藤先生、大野先生と、予防接種後副反応検討会の鈴木先生におかれましてはご欠席です。これ以降議事に入らせていただきますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。以降の議事進行は松本先生にお願いいたします。
○松本座長 まず、事務局から審議参加に関する遵守事項について報告をお願いいたします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程について冒頭ご報告申し上げます。子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会の委員の方々には、薬食審のルールに準じた対応とさせていただきますことをご容赦ください。本日出席されました委員の方々の、過去3年度における関連企業からの寄附金、契約金等の受取状況の報告です。
 本日の議題については、ヒブワクチン及び小児用肺炎球菌ワクチンの関係になりますので、これらに関連する製造販売業者でありますサノフィパスツール株式会社、ファイザー株式会社、MSD株式会社から、過去3年度における寄附金等の受取りについて申告していただいております。なお競合品目、競合企業については事前に資料をお送りして確認をしていただいております。
 先生方からの申し出の状況から、今回審議への不参加の委員はおりませんでした。なお受取りの状況ですが、五十嵐先生がファイザー株式会社、MSD株式会社から50万円以下の受取りとの申告がありましたのでお知らせいたします。また参考人におきましては庵原先生がファイザー株式会社から50万円以下の受取り、岡田先生がサノフィパスツール株式会社、ファイザー株式会社、MSD株式会社から50万円以下の受取り、神田先生がファイザー株式会社から50万円超500万円以下の受取り、桃井先生がMSD株式会社から50万円超500万円以下の受取りとの申告がありましたのでお知らせいたします。また、多屋先生がサノフィパスツール株式会社、ファイザー株式会社から50万円以下の受取りとの申告がありましたのでお知らせいたします。以上です。
○松本座長 ただいま事務局から説明がありました、審議参加に関する遵守事項に関してはよろしいでしょうか。
(特に発言なし)
○松本座長 特にないようですので、競合品目、競合企業の妥当性を含めてご了解いただいたものとします。ありがとうございました。次に、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。
○事務局 資料の確認をさせていただきます。1枚目が「座席表」、2枚目が「議事次第」、3枚目が「委員名簿」、4枚目に「配付資料一覧」があります。(症例1)と(参考)、(症例2)と(参考)、(症例3)と(参考)、(症例4)と(参考)、(症例5)と(参考)という資料が一かたまりです。資料2-1と資料2-2が1枚紙であります。資料3-1と資料3-2があります。参考資料の1点目は、右肩に参考資料としております「平成21年人口動態調査 年齢・死因別死亡数」です。参考資料の2つ目は、参考文献としております今回の文献です。参考として資料2-3、資料2-2は、前回2月28日の本会議にご報告いたしました「小児用肺炎球菌ワクチン」と「ヒブワクチン」の副反応の報告状況資料です。その次の参考資料が、それぞれのワクチンの添付文書です。その次の参考資料は、乳幼児突然死症候群(SIDS)に関する関連資料を取りまとめたものです。最後の参考資料は、3月4日の小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンを含む同時接種後の死亡報告と接種の一時的見合わせに関するプレスリリース資料と、こちらにはQ&Aも含めております。
 それから委員の席上には、机上配付として資料2の関係で、資料2-1の参考と、資料2-2の参考を委員限りでご用意しております。資料は以上です。
○松本座長 議題1「小児用肺炎球菌ワクチン・ヒブワクチンの安全性について」を事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 症例の資料のご説明をさせていただきます前に、先ほど資料を確認させていただきましたいちばん最後にあります、プレスリリースの参考資料をご用意ください。既に先生方はご存じのことですけれども、3月4日付で、この表題にありますような「死亡報告と接種の一時的見合せ」について、今般の検討の対象となる、小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンに関して、同時接種後の死亡例として3月2日から3月4日までに4例報告されました。因果関係は、報告医によればいずれも評価不能・不明とされており、詳細な調査を実施している状況から、これらワクチンに関して接種を一時的に見合せることとしております。これら報告症例の詳細調査の結果を合同で開催する本会議で検討させていただくことになっております。この後さらに1例ありましたので、2頁目にありますのが、7日にもう1例を公表させていただいた分の資料になります。3頁にあります5例についてご検討をお願いするものです。
 資料の症例概要に移らせていただきます。それぞれの症例の経過についてご説明させていただきます。まず(症例1)の事例の概要ですが、□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。
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 症例2です。事例の概要としては、1歳代の女児で、基礎疾患は特になかった。3月1日に、小児用肺炎球菌ワクチンとDPTワクチンの同時接種を行いました。3月2日の午後1時ごろ、39℃の発熱を認め、接種翌朝、医療機関を受診され、体温38℃、軽度の咽頭扁桃発赤を認める。しかしながら全身状態は良好でしたが、感染を考慮してセフジニルが処方されました。その後帰宅し、午前11時ごろ就寝し、13時半ごろ自宅にて死亡が発見されて救急搬送されました。心マッサージによる心肺蘇生を実施したところ、ピンク色の泡沫痰が認められたものです。蘇生処置に反応なく、その後死亡確認がされました。
 CTの結果は、著明な脳浮腫及び著明な両肺浸潤影が認められているが、肺水腫によるものか、急速に進行した肺炎によるものかは不明です。こちらも解剖の結果、死因は不詳とされていて、死亡後にウイルス同定のための咽頭拭い液及び便採取がされています。
 接種までの治療等の状況としては、DPTワクチンは過去に3回接種しており、副反応は見られなかったとの記載があります。報告医等の意見については、接種から24時間以内の死亡事例のため因果関係は否定できないものの、死因が特定されていないことから評価不能となっています。
 こちらの症例も、3名の専門家の意見があります。A先生は、本例の司法解剖の結果より、SIDSの可能性も否定できず、ワクチンとの因果関係は否定も肯定もできないというコメントです。
 B先生は、「報告内容からは、死亡前に発熱と咽頭扁桃炎があり、感染症があったと推測される。死亡に至るだけの合併症の有無の情報が不可欠である。現時点では、接種後24時間以内の死亡であることから因果関係は否定できない。救急搬送時の状態などについては、救急隊到着時の口腔内泡沫状の血性痰と肺浮腫が直接の死因になった可能性は十分考えられる。ただし、20分前後の所見なので、やはり死因として考慮しておくべきと考えられる。」というコメントです。この肺浮腫がワクチンによって引き起こされたのか、感染症によるものかどうかはこの情報では判断できない。剖検組織で、肺組織に炎症があったかどうか、心機能低下による肺うっ血ではなかったかは重要な情報であるというコメントです。
 C先生は、時間的要素からは死亡とワクチンとの因果関係は、肯定も否定もできない。しかしながら、接種した当夜発熱があったことなどからは、ウイルス感染症に罹患していた可能性もあり、ウイルス感染症と突然死はあり得ると思う。
 その後にもコメントがありますけれども、最終的にはいちばん下の行で、ワクチンとの因果関係は否定も肯定もできないと考えると結ばれております。
 症例3です。□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□。□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□。□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□□、□□□□□□□、□□□□。□□□□□□□□□□□□。□□□、□□□□□□□□□□□□□。□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□。□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□。
 □□、□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。
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 □□□□、□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。
 症例4です。事例の概要は、6ヶ月以上1歳未満の女児です。右胸心、内臓逆位、単心室、肺動脈弁狭窄という診断があり、β-ブロッカーの治療が行われたものです。12月17日にBTシャント術を施行しておりますが、術後の経過は順調。記載のような医薬品が処方されておりますが、低酸素血症治療のため、在宅で酸素療法にて管理。コントロールはやや不安定で、就寝時は安定するものの、起きているときに酸素濃度の低下が見られていた。1月19日に小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチン、それからDPTワクチンの1回目の同時接種をしております。その後3月3日にも全身状態良好であったため、同様の3種類のワクチンを、2回目の同時接種を実施しております。心エコーにて特段異常所見は認められなかった。やや心臓の動きが悪い状態であったが、これまでと著変は認めなかった。4日の午前、熱はないが不機嫌でぐずったりしていた。13時35分、顔色異常、眼が上転、その後意識が消失したために救急要請したという症例です。搬送先医療機関にて採血した結果、カリウム値がやや高値であった。その後、蘇生処置に反応せず、搬送先にて死亡確認。解剖の結果、BTシャントは閉塞なく、脳及び肺に出血は認められなかった。肺水腫もなく、死因は不明とされている。
 報告医等の意見としては、「もともと基礎疾患があったため、ワクチンとの因果関係があるとは言いにくいというコメントがあります。搬送先の担当医からは、死亡前日の心エコーにて、やや心臓の動きが悪かったとの情報があることから、心不全があったかもしれないと考えている。ワクチンとの因果関係は不明。」とされております。
 専門家の意見として、A先生は心疾患の増悪による死亡も否定できない。ワクチン接種と死亡との間に前後関係はあるが、因果関係は否定も肯定もできない。
 B先生は、心疾患に基づく死亡の可能性は否定できない。ただシャントは開存しており、急死に至った心臓の原因が特定できない。一方、ワクチン接種翌日に不機嫌となり、状態悪化を来したことは、これまでの報告例と似た経過であり、ワクチンとの因果関係も否定できない。因果関係は否定できないという症例です。
 C先生は、時間的要素から、死亡とワクチンとの因果関係は否定も肯定もできない。本児は、右胸心等の内臓逆位、単心室、肺動脈弁狭窄を基礎疾患としてもっていること。普段から低酸素状態がみられていた様子であることなどから、これら基素疾患や状態による死亡とも考えられる。剖検では死因不明であり、前述のとおり、現段階では因果関係は否定も肯定もできないというコメントです。
 症例5です。事例の概要としては、6ヶ月未満の男児です。生後にチアノーゼがあり、心腫瘍の疑い。右心室肥大ありと言われたが、3ヶ月健診の時点では異常なしとされていた症例です。1月7日にDPTワクチンの2回目接種、1月28日に3回目接種、その後2月4日にヒブワクチンと、乾燥BCGワクチンの同時接種が行われ、2月6日午前7時に入眠していることを母親が確認しています。午前9時に、横に嘔吐した形跡があり、呼吸がなかったため救急を要請し、搬送先病院に到着するも、その時点で心肺停止状態であった。蘇生処置が行われたが反応なく死亡に至った症例です。本例は解剖が行われておらず、死因不明とされております。
 死亡後の心腔内採血結果では、血清カリウム値が高値であった。また死後CT検査では、上矢状洞の高吸収域がやや目立ち、循環停止後の変化の可能性があるとされております。また肺野にすりガラス影が認められているが、肺炎や循環停止後の変化の可能性が考えられる。肝内の門脈に認められたairも、循環停止後の変化と考えられている。
 本例の接種医及び搬送先の担当医の所見としては、死因も不明であり、ワクチン接種との因果関係も不明ということです。
 専門家の意見として、A先生は原病の詳細も不明なうえ、死亡時、死亡後の検査所見も情報不足。剖検もされていないことから、時間的な前後関係はあるが、因果関係は否定も肯定もできない。
 B先生は、以前に指摘された心臓腫瘍、右心室肥大は3ヶ月時点で消失していることから、基礎疾患のない乳児と判断してよいだろう。ワクチン接種2日後に嘔吐の痕跡を残し、死亡しているのが確認されたことから、誤嚥による窒息死の可能性が高い。蘇生時に、気道内に吐物があったかどうかの情報が必要と思われる。CTによる脳所見、肺所見は、死後の二次変化の可能性が高く、死因は特定できないということから、結論として、ワクチンとの因果関係を強く示唆する症例ではないが、死因が不明であり、完全に否定することはできない。
 C先生は、剖検が実施されておらず、臨床経過や死亡状況の様子からも死因を特定できていないため、現時点では、いわゆる分類不能の乳幼児突然死に該当するものと考える。
 本日の症例の概要は以上です。
○松本座長 続きまして、同一ロットの症例も含まれているようですので、検定結果についても国立感染症研究所の和田先生、加藤先生に、資料2について説明をお願いいたします。
○和田参考人 資料2-1では、安全性の試験として、エンドトキシンを検定として行っております。具体的な値は、回収扱いになっております資料2-1(参考)をご覧ください。いままでに検定合格となりました、23ロットの小分け製品及び現在出検中の3ロットの製品について具体的な値を書いております。
 「エンドトキシン国内自家試験検定及びエンドトキシン海外の試験」のカラムでおわかりになるように、いままでの製品すべてにおいて、エンドトキシンは検出限界以下で、具体的にはそこに書いている数字になります。
 次の頁です。今回死亡例が見られた小分けロット10E2が出検される前に出てきたバルクは2種類です。これは、すべて同じ原液から成り立っております。154万本の小分け製品がこれから作られていて、9ヶ月間の出荷実績があります。また、死亡例で見られた10G03、10H01で使われているバルクは□□□□□□です。上に書いた2つのバルクと違うのは9Vという血清型のものが違うだけになります。
 次の頁です。それぞれのバルクに含まれる原液の規格試験の結果を書いております。この製品は蛋白質でありますクリムと呼ばれるものと、あとはポリサッカライドを還元して結合させるためにシアンを使っております。シアンについては、生物学的製剤基準のほうでも使っていることを明記して、それの基準が書かれております。
 それぞれの原液中のシアンの量は右から3つ目のカラムを見てください。特段高い値はなく、また最終製品1ショットに含まれるシアンの量は1,000pgを切っていて、これは致死量の200万分の1の量で、今回の死亡例の問題となったとは考えられません。
 いちばん最後の頁は、キャリア蛋白としてクリムと呼ばれる遺伝子改変を起こさせたジフテリア毒素を使っております。そこの毒素活性はいちばん右の赤いカラムに書いたADPリボシルトランスフェラーゼ活性になります。どれも検出限界以下の非常に低い値になっております。現在まで出検されたもの、及び今回の死亡例と関連したもので、安全性に影響を与えるものはないと考えております。
○松本座長 ありがとうございました。加藤先生からお願いいたします。
○加藤参考人 今回の症例の中で、4症例においてヒブワクチンが接種されております。資料2-2の2枚目に、いままで検定をしたエンドトキシン値が表になっております。ハイライトして3例があって、5例目がE-0770でハイライトの一番上のさらに5例ぐらい上なのですが、エンドトキシン値は100EU/容器未満というのが規格値ですが、非常に低い値で管理されていることがわかりました。あとは、異常毒性否定試験を行っていますが、すべて合格しております。
 エンドトキシンの値の裏の資料になりますが、3症例でDPTを接種しております。その3症例に2ロットということで、こちらも検定結果について調べたところ、特段特記すべきことはないことを確認いたしました。
 資料はありませんが、5症例目はBCGを接種しておりますが、これもトレンドと比べて特段の特記すべきことがないことを確認いたしました。
○松本座長 ありがとうございました。お二人の説明から、今回死亡例に投与されたロットに関して、特に異常は認められなかったと理解してよろしいですか。
○和田参考人 はい。
○松本座長 ただいま、事務局並びに参考人のお二人からの説明に関して、委員の先生方からご質問、ご意見等がありましたらお願いいたします。
 今回は、死亡症例が5例報告されましたが、ワクチン接種と死亡との関係について評価をした限りでは、いずれもワクチン接種と直接的な明確な因果関係は認められないという評価になっているようですが、これについて岡部先生からコメントがありますか。
○岡部委員 感染研の岡部です。非常に痛ましい事故で、お家の方のご心配は大変なものだと、悲しみも大変なものだと思います。しかし、それぞれの例を医学的な目で見ると、必ずしもワクチンの直接の影響はないだろうと思います。それぞれ担当の先生方も、因果関係は不明であるとおっしゃっています。いずれも誤嚥であったり、SIDSであったり、あるいは原疾患の状況によっては当然ながらワクチンの接種対象になりますが、ハイリスクであることは変わらないと思います。
 新型インフルエンザの接種のときにも、たしか高齢者においても同様のことが起きています。この委員会でも同様のことが検討されたと思います。接種された高齢者で亡くなられた方があります。いずれも直接の因果関係はないという形でなっていると思います。
 ワクチン接種をやる場合、どうしても接種対象者が増えてくると、既存的にあるSIDSの方、あるいは誤嚥であるとか、その事故というのは残念ながら付きまとうもので、その因果関係を徹底的に検証するのはなかなか難しいわけです。一方でワクチンの接種というのは、それをしなかった場合に生ずる病気の本来の姿、例えばこの場合には、肺炎球菌による肺炎、あるいは髄膜炎、それからヒブによる髄膜炎、いずれも小児の細菌性髄膜炎のかなりの部分を占めるということで、このワクチンの導入になっています。
 実際に私たちの調査でも、ヒブワクチン導入後、例えばヒブ感染者、髄膜炎感染者が減少しているというデータも、傾向としては見えてきています。スタートしたばかりなので、まだ全容まではいきませんけれども、そういうのはメリットとデメリットのバランスを考えながら最終決定をしていく必要があるのだろうと思います。
○松本座長 ワクチンの有効性並びに有用性はあるということですね。
○岡部委員 はい。
○松本座長 ほかにご意見がありましたらお願いいたします。
○桃井参考人 いつも、こういうワクチンと突然死や重篤な病態との関連の議論のときに、ワクチンのメリットとデメリットの議論が出てきます。それと、この一つひとつの病態のワクチンと、突然の重篤な状態、あるいは突然死との関連性の議論は切り離して議論しないといけない問題であって、混同すると議論が成り立たないと思っています。
○松本座長 先生、病態に関して、この死亡例に関してのコメントはありますか。
○桃井参考人 こう言ってしまうと身も蓋もないのですが、これだけの情報で、一体何が最も確からしいかということを、小児科医として責任を持ってはどの症例も申せません。例えば、肺高血圧症の程度もここには書いてありませんし、てんかんの程度も十分には記載されていませんし、在宅酸素をしていた方の日々の状態も書いてありませんので、これで小児科専門医として責任を持って何か言うことは全くできません。
○松本座長 情報をもう少し完璧にすることが必要だということですね。
○桃井参考人 カルテを全部見たからといって、それが最も確からしい、あり得たかもしれない病態を言えるかどうかは不明ですが、少なくともいまいただいたこの情報で何かを言うことは専門医としてできないと思います。
○松本座長 この情報をもう少し完璧にすることは可能ですか。
○事務局 限られた時間の中で収集できる情報には当然限りがあるわけです。その中でどこまで評価ができるか、さらに必要な情報としてこういう事項があるということであれば、またそれについて収集するということはあるかと思います。
○松本座長 対応が急がれるわけですから、いまのこの状態である程度判断をするというのも必要ではないかと思います。桃井先生は、この情報だけではある程度の方針は打ち出せないということですか。
○桃井参考人 あくまで一小児科医としての意見ですが、バックグラウンドに何かある方に関しても、その重症度が全くわからないので、最もあり得た病態は何なのかを推定できないと申し上げているだけです。
○岡部委員 誤解があるといけないのですけれども、私もこれですべてを判断しようという意味で言ったのではなくて、それぞれ個別の症例については詳細な検討が要るだろうと。しかし、そのためには時間が要るので、ある限られた範囲内で決断するのならば、全体のバランスをとって考える必要があるのではないかと、そういう趣旨で申し上げました。
○五十嵐委員 お二人のご意見はもっともだと思います。もともと死因を解明するということは非常に難しいことだと思うのです。特に突然死の場合には非常に難しくて、剖検して、マクロの所見だけでは到底わかりませんので、当然ミクロの検索が必要だと思います。それから、臓器なども保存して、後でウイルス学的な検査をしなければいけないでしょうし、場合によっては遺伝子の検査なども必要になるのではないかと思うのです。
 そういう意味で、これらの症例をいまの時点で最終判断は当然できないわけですが、システムとして我が国にはチャイルド・デス・レビューをちゃんとやる体制がないのです。それが基本的に非常に重要なことで、この体制をちゃんと構築しない限り、病気の原因究明は全然進まないのではないかと思います。
○保坂委員 学者の桃井先生や五十嵐先生がおっしゃることは私も全く同意ですけれども、とはいうものの、そういうシステムを作ってからこのことが起きたわけではなくて、そういうシステムがない所で起きていることです。剖検した4症例の結果について検討するとということはもちろん必要ですし、この5例について本当にきちんと、慎重に、冷静に判断していくということは、これから先の日本の子どもにとって非常に重要なことなので、それはやらなければならないけれども、しかしながら岡部先生がおっしゃるように、なるべく早くこのことについて決める必要があります。
 それは、行政側が補正予算でやったのを、なんとか早くどうするか決めなければいけないということではなくて社会的なこと、それからワクチンの接種を待っている子どもたちのことも考える。それを一緒にするなって、桃井先生がおっしゃられるように確かにそうなのですが、一緒にしないで物事が判断できればいちばんいいわけですが、いまの状態からは数日、あるいは1ヶ月以内ほどに、このことについて結論を出してどうするかということを、私たちで決めていかなければならないのです。そのことが、私たちがいつも抱えている矛盾というか、辛いところですけれども、やはりそこのところをやっていかなければいけないのかと思います。
○桃井参考人 先ほどのを厳密に言うと、その関係が強く示唆されないということでよろしいでしょうか、という座長の問に対する答えであります。もう1つ別の視点からですが、いずれも複数の同時ワクチンの接種で、これは単数の1つのワクチンの接種で同様例があるかどうかに関しての情報は全くないといいますか、あったとしたらきちんと情報が出てくるだろうという状況なのでしょうか。
○松本座長 今回の死亡例は、同時接種の患者さんだけみたいなのですが、この点に関して事務局で説明する資料はありますか。
○事務局 今回は、昨年11月からワクチンの接種事業が開始されておりますが、この事業においては同時に接種する、単独で接種するというのはいずれでも可能ですので、単独で接種した場合にも、事例があれば同様の報告があるものと考えます。
○松本座長 資料3に関する説明は後でやられるのですか。
○事務局 それでは資料3の説明をさせていただきます。今回の事案に関しては、小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンを中心とした組合せによる同時接種における報告例です。製造販売業者それぞれ各1社ずつですので、各製造販売業者に、小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの同時接種における副作用、副反応の報告状況についてお尋ねしたものが資料3-1です。
 小児用肺炎球菌ワクチンは昨年2月に発売されておりますので、現在は製造販売後の調査を実施しております。資料3-1の1枚目にありますのは、プレベナーとヒブワクチン同時接種症例における副反応発現件数です。「特定使用成績調査」と書いてありますが、ワクチンそのものが小児にのみ接種されるものですので、小児を対象にしていることから「特定」と書いてありますが、ワクチン接種されている者全体を調査しているものとご理解ください。
 ヒブワクチンとの同時接種に関しては402例ありました。このうち有害事象の発現が81例、副反応は27例発生しているということです。下のほうにありますのが、副作用の内容の器官別分類、基本語別の報告件数です。この限りにおいては重篤なものは報告されていないということになっております。
 2頁は「ヒブワクチン同時もしくは併用接種症例」というところがちょっとわかりにくくなっていますが、同時に打たれているものと、それから前後して打たれている場合に「併用接種」、不活化ワクチンですので約1週間あけると接種ができることから、そういう前後する接種の症例も含まれています。その範囲においては、ここに記載がありますような副作用の発現が見られていて、非重篤なものがほとんどですが、重篤なものも一部見られている状況です。
 3頁は、DPTとの同時接種に関して、1枚目と同様の集計をしたもので、369例です。4頁は、DPTとの同時接種に関する、2頁目と同じ集計をした資料です。こちらに関しては、DPTとの同時接種と、さらにヒブワクチンと3種の同時接種もこの中には含まれていると考えておりますので、その辺りの詳細な内訳までは、まだここでお示しできるまで集計できておりませんので、このような形の資料となっております。
 資料3-2は、ヒブワクチンの事例です。平成20年に発売が開始されておりますけれども、現在製造販売後の調査を実施しております。表1として1頁、2頁、3頁にわたるものは、本剤の製造販売後の調査を実施している症例の集計結果です。こちらは「同時」「単独」にかかわらず集計したものです。4頁、5頁には、1頁にあります約500例から380例程度1回目、2回目、3回目の接種の数が集まっております。そのうちヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンの同時接種がされている症例のみを抽出した表になっております。
 こちらは、ヒブワクチン発売より、小児用肺炎球菌ワクチン発売のほうが時間的に後を追って出てきておりますので、1回目、2回目、3回目接種の回数を経るに従って同時接種の例数が多いという数字の見方になっております。いずれも20数例から39例ということです。この調査の中では数が少ないということと、先ほど申し上げましたようなDPTとの同時接種のデータなどを本日ご提示するには至っておりません。
○松本座長 ただいまの事務局の説明に関してご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。
○和田参考人 資料3-2の最後の頁の、接種例21例プレベナーで、ヒブワクチンとの同時接種で、心肺停止が3件、死亡が1件とありますが、これは今回の症例を含んでいるのでしょうか。
○事務局 含んでおります。
○和田参考人 プレベナーのほうで副反応の数が出ていますけれども、打たれたショットの数はわかりますか。
○事務局 プレベナーの、発売からの全体の使用数量については、前回お出しいたしました参考資料2-3をご覧いただくとわかりますように、昨年2月より発売が開始されていて、本年1月末までの集計として、接種回数延べ分としておよそ215万回が出荷されております。接種者数は月例年齢によって接種回数が異なりますので、現在推定される使用状況から、正味の接種者数を推計するとおよそ110万人です。
○庵原委員 統計的な話で申し訳ないのですけれども、去年よりも今年のほうが子どもの死亡者数、この年齢層の死亡者数が多いというデータはあるのですか。少なくともプレベナーが開始される、ヒブワクチンが開始されることによって、子どもの死亡者数が増えているというようなデータがありますか。時期的に見てまだ拾いきれていないと思いますが、人口統計的に、去年や一昨年と比べて、死亡者数が増えてるというようなデータは出ているのですか。
○事務局 今回は、死亡動態統計を参考資料としてお付けしておりますが、直近の今年2月のデータはまだ集計されておりません。
○保坂委員 もし死亡者数が増えていても、それが昨年の同時期と比べて増えていたとしても、決してワクチンのせいであるとは言えないです。逆に、乳幼児が亡くなるような状態が、ほかの原因であるということも絶対に考えられないわけではないので、死亡者数を調べることは必要だと思っております。死んだ子どもが増えたからといって、それは注射が始まったからということではないと思うのです。
 もう1つは、今回は3月に入っていますけれども、1月までの接種者数が発売から何人いたかということ。2月の1ヶ月、3月のこの辺までの接種者数が何人いたか、あるいは何回されたかということ、そのデータがきっちりなければいけません。それから同時接種をしている数がどのぐらいあったかということ。今回の問題は、同時接種が非常に注目されていると思いますので、同時接種の回数がどのぐらいで、この頻度がどうなってきたかということをきちんと見ておかなければいけないと思います。
 ただ、それが全部出てきてから判断するべきかどうかということになると、人口動態の死亡者の統計は後にならないとなかなか出ないという点もあります。これから先の作業として、そういうことは絶対に押さえておくべきだと。一つひとつの症例の病理の結果等もですけれども、そのように思います。
○松本座長 もう少し情報を充実させる必要はあると思うのですが、あまり時間がかかると対応に遅れが来るということで、この辺はジレンマです。
○岡田参考人 一例一例は本当に大切な一例一例ですから、きちんと評価をしないといけないと思います。どうしても一例一例の場合に、ワクチンの場合には前後関係はわかりますけれども、最終的に因果関係というのは、専門医の先生方が肯定も否定もできないというところになってくるのだと思います。
 参考資料にありますように、疫学的な年齢別の死因数で0歳が1年間で2,556人亡くなっています。この中でSIDSが145人いるというのが平成21年度のデータですね。そうすると、およそ2日に1人がSIDSで亡くなっている背景があります。先ほど五十嵐先生がご指摘されたように、乳児の死亡は全国でどのようになっているのか、きちんとバックグラウンドを押さえておかないとプレベナー、あるいはヒブワクチンが始まってから超過死亡が増えたところまではなかなか言えないと思います。是非とも疫学、あるいは統計の方々にこの辺はきちんと評価していただければと思います。
○松本座長 この辺は是非必要なことだろうと思います。
○桃井参考人 先ほど単一接種のことをご質問した理由は、当然のことながら単一接種している方にもいろいろなバックグラウンドがあって、特に重症心疾患の方はこのワクチンをよく打ちます。それで、単一接種で全くこのような例が挙がってきていないというのであれば、その2つの群で何か有意差が出るのかどうか。つまり、同時接種をこのままOKと出してもいいのかどうかという議論は必要なのではないかと思いました。
○松本座長 その辺も当然検討する必要があろうかと思います。もう1つは、今回は重度の基礎疾患を有する患者さんが3例おられます。こういう重度な基礎疾患を有する患者さんの場合、その病態によってはワクチン接種を考慮する必要があるかどうかということに関してコメントをいただければと思います。五十嵐先生、どちらかというと病態の悪い人に、感染にかからないようにワクチンを打つのは必要だと思うのですが、その病態によってワクチン接種を考慮する必要があるのではないかと思うのですが、その点に関してはいかがでしょうか。
○五十嵐委員 基本的には、コントロールが良い場合にはむしろ積極的に打つことによって、感染症によるリスクを減らすという点では必要だと思うのです。例えば、心不全で非常にICU的な治療が必要な状態な方に、あえて接種することはおそらくないと思います。ですから、ご自宅で管理できるような方の場合には、基本的には同時接種も含めて、こういう類の予防接種をするというのは基本的には正しいのではないかと思います。
○多屋委員 同時接種に関してと、基礎疾患を有する子どもたちへのワクチンについてです。同時接種については、ヒブワクチンが発売になった折に、今こちらに来て後ろに座っております大日先生と、富樫先生と一緒に、ヒブワクチン接種後の健康安全調査をさせていただきました。約1,800人ぐらいの子どもの接種後調査をさせていただき、そのうち3分の1が3種混合ワクチンと同時接種されていました。同時接種された場合と、単独接種をした場合で、健康状況調査に変化があるか、違いがあるかということについての検討では、同時接種をしたからといって副反応が増えることはないというのがその研究班の結果からは出ております。
 ほかの研究班で鹿児島大学の西先生らが1万人以上の規模で同時接種と、単独接種の有害事象の比較検討もされていますので、そういう情報を参考にされるのがよいのではないかと思います。
 もう1点は、基礎疾患を有する子どもたちへの接種ですが、私も大学におりましたころ、基礎疾患のある子どもたちに接種をしてきたのですが、むしろそういう子どもたちは、その病気にかかったときに原病に与える影響があまりにも大きいために、むしろワクチンを接種して、病気にかからないようにするのを基本方針としていました。ただ、接種するときの体調は良いということを確認しながらやっています。こういう子どもたちに接種がしにくくなることがないようにしてあげたいと思います。
 成育医療センターの齊藤先生が、基礎疾患を有する子どもたちへの同時接種の経験をお持ちなので、そういう情報なども教えていただくのがよろしいのではないかと思います。
○松本座長 重篤な基礎疾患をもっている子どもに、同時接種をすること自体はどうなのですか。
○多屋委員 それについて、当時は同時接種はそれほど行われておりませんで、単独のワクチン接種でした。現在は、これだけワクチンの数が増えていますので、同時接種をしなければ、おそらく子どもたちは毎週ワクチンを接種するために、医療機関に受診しなければならなくなってしまうことから、ほぼ現実的には不可能なことになってきます。実際にやっていらっしゃる先生も国内にはたくさんいらっしゃいますので、そういう先生方から、現在の状況などを教えていただくことが可能ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○岡部委員 私のこれからの発言は、小児科学会の予防接種感染症委員会の担当理事なものですから、その立場でお話をさせていただきます。小児科学会では、同時接種を行う場合の背景といった考え方をホームページ上に掲載しております。そのときに引用していますのは、ヒブもPCV-7、あるいは海外ではPCV-13のほうが多いのですが、あるいはDPT、HB、IPVといったような同時接種を普通の状態でやっています。その中での事故例として、紛れ込みのようなものは出てくるでしょうけれども、一応文献的には安全性は確保されているといったものの引用をしています。
 それから、いま多屋先生、あるいはほかの方もおっしゃったように、小児に対して早く免疫を付けてあげなくてはいけない、あるいは医療機関に通う手間とか、その他のことを総合的に考えた場合。それから国内の成績は研究班レベルですと、まだペーパーになっていないことがあるので、正式に引用はしてありませんけれども、そのような背景の中で、小児科の感染症、あるいは予防接種の専門家が集まって、同時接種というのは現在の日本においても妥当である。もちろん、それは患者さんと一つひとつの話の上での了解で、一遍に10も20もやってもいいということでもないし、決して同時にやるべきであるということではないですけれども、同時接種に対する安全性・効果については、小児科学会としては表明してあります。
○松本座長 実際に接種されている先生は、患者さんの状態を診て接種しておられると思いますので、その辺は安心できるかと思います。
○岡田参考人 同時接種に関していえば、プレベナーにしろヒブにしろ外国では基本的にほとんど同時接種でやられています。あるデータですと9対1、あるいは95%対5%ぐらいで圧倒的に同時接種がたくさんやられています。海外でのデータを見ると、接種本数と、例えばSIDSで亡くなった子どもたちの数は決して比例はしていません。そうすると、同時接種をたくさんやった所の乳児死亡が増えていることには全くなっていません。そうすると、同時接種をやったから死亡の数が増えるというデータにはならないのだろうと思います。
 国内でも予防接種週間の3月初めですと、多くの小児科医が予防接種で同時をやっていて、約8割近くが同時をやっているのではないかというデータもあります。そうすると桃井先生が言われるように、単独と同時を比べるのがいちばんいいわけですけれども、単独群の数は相当減ってきて、その中で死亡が出てくる可能性の数が相当少なくなってくるのではないかということは考えられると思います。
○松本座長 健康な人の場合は先ほどの話でよろしいと思うのですが、基礎疾患を有していて、条件の悪い人に関しては同じようなことを言ってよろしいでしょうか。先ほど多屋先生がおっしゃっていたのですけれども。
○庵原参考人 今回の5例を見ていますと、ファクターとしては同時接種をどうするかというファクターが1つと、あとは基礎疾患といっても、これは3例とも全部先天性心疾患です。それ以外の基礎疾患は出ていないですので、先天性心疾患に関してどう考えるか。この2つをどう判断するかだと思います。
 報告された先天性心疾患を見てみますと、チアノーゼ型と、非チアノーゼ型が混在しています。個々が別々の病態ですので、これを全部ひっくるめて話をしていいのかどうかと言われると頸をかしげます。この1例目はハイフロータイプのVSDだと思います。4番目は動脈管閉鎖でフローが落ちているタイプで大丈夫だったのではないかと思います。5番目はチアノーゼ型です。それぞれ病態が違いますので、たまたまと考えたほうがいいのではないかと思います。
 あえて言うならば、心疾患だけを取り上げて今後どうするかを検討すべきです。先天性心疾患をどうするかということと、同時接種をどうするかというこの2つのファクターをディスカッションすべきだと思います。
○松本座長 焦点が絞れなかったのですが、先生がおっしゃるように、心疾患に絞るというのも1つの疫学調査としてはいいのではないかと思うのです。今回はこれの結果が出るのを待っていても間に合いませんので、それは今後検討してもらうことになろうかと思います。ほかにご意見がないようでしたら、これまでのご意見をまとめてお示ししますか。
○事務局 これ以降、特段先生方からご意見がなければ座長、座長代理と少しいまの議論のまとめというところかと思います。事務局から1点、先ほど感染研のほうからロットの関係のご議論をいただきました。今回、最初の1例目と2例目でプレベナーのほうで同じロットだったという状況があります。これについては、ロットとの関係について一言でもご議論いただいたほうがよいかと思いましたので、その点だけ聞いていただければと思います。
○松本座長 和田先生お願いいたします。
○和田参考人 ロットの情報に関しては先ほどご説明したとおりです。我々が手にできるデータで、以前のロット、ないしは海外の治験で使われたロットとの差はありません。もし必要でしたら、このロットが製造されたときの逸脱、つまり承認されたものからどういう逸脱があって、それに対してどういう処理をしたかというものの照会をかけて、内容の評価をしてこの会で報告するということはできるかと思います。
 バックグラウンドの情報を申し上げますと、我々は検定の機関ですので、出検されたものに関しては照会をかけて、より詳しい情報をいただくことはできるのですが、これは既に合格になっているものなので、立場上我々が勝手に照会をかけるわけにはいきません。例えば、この委員会から照会をかけることが適当であるというご判断をいただけましたら、そういう作業に移らせていただきます。
○松本座長 それは可能なのですか。
○事務局 いまのお話というのは、製造過程で何らかの品質のデータ上の逸脱があったかどうかというのを、改めて当該ロットについてメーカーのほうからデータを出していただいて、それをこの委員会の評価ということで参考人の先生方に見ていただくというようなご指摘かと思いますが、そういう理解でよろしいですか。
○和田参考人 はい、そういう作業になります。
○事務局 そういうことであれば、事務局のほうからメーカーのほうに、逸脱があったかどうかというところを含めてデータのほうを指示したいと思います。
○松本座長 よろしくお願いいたします。ほかにご意見がないようでしたら、これまでのご意見を取りまとめたものを文書で作成したいと思います。ここで10分ほど休憩させていただきます。
(休憩)
○事務局 いま、傍聴席のほうは配付中ですが、議場は配付は終了しましたので、事務局のほうから読み上げさせていただいてよろしいでしょうか。
○松本座長 そうですね。事務局のほうで読み上げてください。
○事務局 それでは、読み上げさせていただきます。小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンの安全性について(案)。平成23年3月8日、安全対策調査会。子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会。
1.報告された5例の症例評価について。平成23年3月2日以降、小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンを含むワクチン同時接種後の乳幼児において5例の死亡例が報告されており、これらについて評価を行った。
 (1)5例は0歳から2歳代の乳幼児で、基礎疾患を有するものが3例、基礎疾患が明確でないものが2例であった。
 (2)接種から死亡までの期間は、翌日死亡が3例、2日後死亡が1例、3日後死亡が1例であった。
 (3)現在得られている各症例の経過や所見に基づいて評価したところ、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□(症例1)。感染症による可能性があるもの(症例2)。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□(症例3)。基礎疾患の進行による可能性があるもの(症例4)。基礎疾患を有し、死因もワクチンとの関連も不明であるもの(症例5)であった。
 (4)報告された5例については、現段階の情報において、いずれもワクチン接種との直接的な明確な因果関係は認められないと考えられるが、さらに入手可能な情報を次回までに収集する。なお、例えば先天的な心疾患など重度の基礎疾患を有する患者は、その状態によっては、重篤な転帰につながる可能性があるので十分な注意が必要である。
 2.ワクチンの検定結果について。国立感染症研究所が実施したワクチンの検定においても、これらのワクチンの死亡報告のあった症例に投与されたロットに異常は認められていない。なお、宝塚例と西宮例で肺炎球菌ワクチンのロットが同一であったことについては、品質試験結果の逸脱等について確認する必要がある。
 その他、諸外国での状況や同時接種の安全性について、さらに情報を収集し、次回検討することとする。また、死亡例とワクチンの関連性の検証のためには、関係者の協力を得て、今後、積極的疫学調査を行う仕組みも検討すべきとの意見があった。以上でございます。
○松本座長 ありがとうございました。ただいま事務局が読み上げました、取りまとめ案に関しまして、ご意見、ご質問等ございますでしょうか。
○和田参考人 岡田先生がご指摘くださった疫学統計の専門家により、SIDSと死亡例の有意差があるかどうかを検討する必要があるというのは、いちばん最後に意見があったではなくて、かなり積極的に疫学の先生にお願いして、見ていただく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○松本座長 事務局、いかがですか。ご希望があるみたいですが。
○事務局 先ほどのご議論を取りまとめる過程で、ご指摘のあった積極的疫学調査について、これは当然あったほうがよい仕組みだということでは、皆さんの認識は同じということですが、ただ、それがなければこういう評価ができないかというと、そういうことではないだろうということで、今後、積極的疫学調査を行う仕組みも検討すべきというようなまとめにさせていただいております。
○松本座長 よろしいですか。
○和田参考人 委員の先生方がどうお考えになるかだと思うのですが、今後こういった事例があるときに、疫学的な基礎データがいつも流れていて、これは明らかに有意に死亡例が高いかどうかというのはほとんどリアルタイムで作っていく必要があるかと思うのですが、積極的に見ていくのではなくて、サーベイで見ていくシステムを早く構築する必要があると私は考えるのですが。それが仕組も検討すべきという言い方でいいかどうか、もう少し積極的な言い方が必要ではないかと私は思うのですが、委員の先生方のご意見はいかがでしょうか。
○松本座長 その点に関して何かご意見ございますか。
○岡部委員 できれば希望としては早急に行いたいのですが。例えば私どもに積極的疫学調査を、この症例の全調査を1週間以内でやりなさいというご意見をいただいた場合、実質上は非常に困難です。つまり人的にあるいは財源的に困難な状況なので、残念ながら直ちに行うべきであることは受け入れられる状況ではありません。そのためには、この仕組がないと同じような状況が起きたときにおそらくは同じような議論が繰り返されることになると思いますので、仕組はここで検討すべき意見とは書いてありますが、行う仕組を検討していただきたいというのは、感染症情報センター長としての意見です。
○保坂委員 検討すべきとの意見になったというのは、非常に消極的なこの中の誰かがそう言って、ほかの人がそう思っていないというような感じに取れるので、ちょっと書きぶりを変えていただいて、いま岡部先生が言ったように、1週間以内にすぐやれというようなことではなくて、こういった仕組を作るべきであるということを、会の結論として入れていただきたいと思います。
○松本座長 構築すべきであると。これはそのように変えてください。ほかにご意見ございますか。
○稲松委員 東京都健康長寿医療センターの稲松です。本来、私の専門は高齢者で、小児科の領域のことはよくわからないのですが、ただ患者さんのいろいろなことを見るときに、例えば小児科領域では月齢まで教えてもらわなければとか、体重はとか、発育状況はどうなのかとか、家庭環境がどうなのかとか、そういう情報がなくて判断しろというのは大変難しいのではないでしょうか。プライバシーの問題がありますからオープンにはできませんけれども、少なくとも因果関係を論ずるべき委員にはこれらの情報を判断材料として伝えるべきだと思います。努力すればそういう情報はかなり得られるので、そういうものを含めて因果関係を考えていきたいと思います。
○松本座長 ありがとうございました。ほかにご意見ございませんか。
○桃井参考人 1の(3)ですが、これだけが出ていますと、いかにもこの可能性がいちばん高いというように一般的には受け取られますので、議論でも詳細が不明であると。判断できないという、詳細不明というものは3番目も4番目もそうであったはずなので、特に4番目などはBTシャントをやっている症例ですので、基礎疾患が進行というのは医学的にもちょっとおかしいので、可能性があるものを1つだけここに書くというのは、詳細不明例に関して、情報の与え方としては不適切ではないかなと思います。不明は不明とすべきではないかなと思います。
○松本座長 そうすると全例不明ということになりますから、1行で終わってしまうのですが、これでも書きぶりとしてはいかがなのでしょうかね。やはり1つずつ例を取ればどのようになりますか。
○桃井参考人 1つだけ出しますと、いかにも感染症が最も可能性が高いというように見えてしまいます。非常に厳密な細かいことで申し訳ないのですが、外に出ますので、どういう受け取られ方をするか、どういう判断をここでしたのかということの文章の表現になりますから、例えば2番目などは、感染症の可能性もありますが、細かいのですが、11時に呼吸苦もなく寝て、2時間半後に死亡ですので、呼吸器感染症があったとはとても言えない状況があるわけです。ですから再三申し上げているように、その辺の判断をするには、あまりに情報が足りないと。情報が足りないのに感染症による可能性がこのケースではありますというような書きぶりは、やはりここでの議論の総括として間違えていると思います。
○松本座長 取り方によるとは思うのですが、いかがでしょうか。何かこれに関してご意見ございますか。具体的にこれでもかなり曖昧な表現に見えるのですが。
○岡部委員 やはり確定には至っていないというようなことでいかがでしょうか。実際のところは、よく健康被害に関する委員会のほうでも結局、因果関係を積極的に認めるものはないとか、否定できないという言い方が使われるわけですけれども。もう少し情報が必要であるというのは確かなことだと思います。
○庵原参考人 ですから「評価したところ、明確な因果関係は認められないが、これこれの可能性がある」というような形で、これだけ書いてしまうと、確かに桃井先生が言われたように、これしかないというような捉えられ方をします。各症例ともすべて明確な因果関係が否定も肯定もできないというものばかりですので、この書き方だと因果関係を肯定してしまっているという形に捉えられます。総論的には明確な因果関係は認められていませんので、直接な因果関係は認められないと思うけれどもとかいうのを頭に入れて、それぞれを並べるという形にされてはどうかと思います。
○松本座長 全部同じなので、1行目にそのような言葉を入れるのはどうですか。
○事務局 いまのポイントですが、(4)が「報告された5例については、現段階の情報において、いずれもワクチンの接種との直接的な明確な因果関係は認められないと考えられるが、さらに入手可能な情報を次回までに収集する」という言い方にしていまして、いま先生方がご指摘されたテキストは、おそらくこの文章だろうと思っております。
○庵原参考人 それでしたら、(4)を上に上げて(3)を下に下ろすというような形にしてはどうでしょう。順番を逆にされたら。例えば先天的な心疾患云々というのをもう1つ別の欄に設けるとか、その辺の技術的なことでカバーできないかなと思いますが。
○五十嵐委員 私も(3)は全部オミットしていただいて、(4)を(3)に上げていただくのがいいのではないかと思います。
○松本座長 そうですね。どうせ明確な因果関係がないと言っているわけだから、(3)を全部カットしてしまって。
○事務局 そうしましたら、(3)の頭書きのところ、「現在得られている各症例の経過や所見に基づき評価したところ、報告された5例については現段階の情報において、いずれもワクチン接種との直接的な因果関係は認められないと考えられるが」という、(3)の書き出しの部分と(4)のいまの頭の部分をつなげるような形にさせていただくことでいかがでしょうか。
○松本座長 よろしいですか。桃井先生、これでどうですか。
○桃井委員 はい。
○松本座長 庵原先生どうですか。
○事務局 ポツが5つありますが、これを全部削除しまして、(3)の書き出しの1行目の、「評価したところ、」のあとを、(4)の冒頭の「報告された5例については」というようにつなげるという、そういう修文案です。
○和田参考人 あと1点お願いします。2.のワクチンの検定結果についてのところなのですが、いちばん最後の品質試験結果に関しましては、先ほどご説明しましたように、全く問題ない結果が得られておりますので、書き方を「製造工程等の逸脱について確認する必要がある」に変えていただけますでしょうか。
○松本座長 それではそのようにお願いします。
○岡部委員 いまの段階で次に情報を収集するということですが、いつまでもだらだら長引いていると決定ができないと思うのです。例えば、積極的疫学調査あるいはさらなる病理のミクロの所見などを得ているとすると、数ヶ月以上にわたる可能性があると思うのです。ですから、ある限られた資料で判断をしなければいけないというのは、タイムラインとしてはやむを得ないことがあると思うのですが、例えば健康被害に関する認定部会でも必要な情報は得ますけれども、やはり限られたもので判断をしなければいけない。しかし、その限られたものの資料というのは、今日出ているよりはもっと詳しいものですから、日にちを限定していただいて、例えば1週間は無理かもしれないけれども、2週間ぐらいで今よりはさらに詳しいものが出るでしょうから、それに基づいて判断するようなことは、あらかじめ決めておかないと。あえて申し上げれば、かつてのポリオとか日本脳炎のように、いつまで経っても決断が出ないで、その度に次の資料、次の資料といっていると、結局予防接種の必要性の有無にかかわってくると思いますので、そこをできれば私たち委員側もおそらくはこの3月の忙しい中で、事務局も大変忙しい中だと思うのですが、しかし早急に決めていただいて、大体の見当を付けていただければと思います。
 1つは国内だけの問題ではなくて、おそらく海外においても広く使われているワクチンについて、日本が法律に基づいていないけれども、一次的にサスペンドしているというのは、ものすごいインパクトのあることで、私のところにも直接問合わせが来ていますし、おそらく事務局にも問い合わせはいっているだろうと思います。ですから、そのようなバランスも考えて判断をする必要があると思います。もちろん被害を広がらせてはいけないので、いまよりも資料は必要だと思いますが、是非、その点を考慮していただければと思います。
 ちょっと長くなりますけれども、私は先ほど小児科学会の担当理事であるということを申し上げたのですが、小児科学会も緊急に集まりまして、資料が不足であるので、十分な判断はできないけれども、繰り返しになりますけれども、判断に当たってはDisease Burden、病気の疾病負担ですね。その重要性と効果とのバランスで判断をしていただきたいというのが、小児科学会の予防接種委員会でのコンセンサスが得られているということもお伝えしたいと思います。
○松本座長 接種再開との関連での努力だと思いますが、保坂先生、どうぞ。
○保坂委員 (3)にすると言った(4)のところで、「基礎疾患を有する患者は、その状態によっては、重篤な転帰につながる可能性がある」としてしまうと、基礎疾患がある人の今回の死亡事例が予防接種のせいであるということを、ここではっきり言っているような文章になっているように感じられるので、これはいままでの議論とはちょっと違うかなと思いますので、「重篤な転帰に繋がる可能性があるので」というのを抜いてしまって、非常に簡単な文章になってしまって、座長には申し訳ないのですけれども、ただ、十分な注意が必要であるというようにまとめていただいたほうが無難であるかと思います。
○松本座長 先生のおっしゃるとおりの意向で変えたつもりだったのですが、そういう捉え方もあるわけで、その辺は工夫したほうがいいですね。両方取れるので。まさにそのとおりなのですが。
○事務局 そうしましたらご指摘のとおり、例えば、「なお、先天的な心疾患など重度の基礎疾患を有する患者は、その状態によっては、その直後に十分な注意が必要である」ということで、「重篤な転帰に繋がる可能性があるので」というのを削除する形でよろしいでしょうか。
○松本座長 よろしいですか。ほかにご意見ございませんか。
○加藤参考人 ワクチンの検定結果についてのところなのですが、「異常は認められていない」という表現なのですが、異常が認められましたら、検定は不合格になりまして、ワクチンは市場に出ませんので、規格値以内であるけれども、その中で私たちは値が出るものに関してはトレンドを見ておりまして、変動の中であるかとか、特別、規格内であっても高くないかとか、低くないかなど、そういうことを見ておりまして、そういうものの中で変動内で留まり、特別特記すべきことではないというような表現にしていただくとありがたいです。異常という表現はあまり相応しくないと思います。
○松本座長 事務局、わかりましたか。
○事務局 確認させていただいてよろしいでしょうか。書きぶりですが、投与されたロットの。
○加藤参考人 変動域内に留まり、逸脱は認められなかったではどうでしょうか。
○事務局 ロットについては。
○加藤参考人 当概ロットに関しては、検定結果においてですけれども、試験結果はすべて変動域内に留まり、逸脱は認められなかった。
○事務局 復唱させていただきます。2行目ですが、「のあった症例に投与されたロットについての試験結果は、変動の範囲内であり、逸脱は認められなかった」でよろしゅうございますか。
○加藤参考人 変動域内。
○事務局 変動域内。
○松本座長 ほかにご意見ございますか。
○庵原参考人 (4)の「なお、例えば先天的な心疾患など重度の基礎疾患」と言われると、先天性の心疾患はすべて重度かという話になります。先天性心疾患には軽度から重度までバラエティに富んでいますから、重度を外していただいて、先天性の心疾患など、基礎疾患を有する患者は、その状態によってはというところで、重度、軽度という意味合が出てくると思いますから、重篤は外していただいたほうがいいと思います。
○松本座長 ありがとうございました。
○多屋委員 先ほどの議論の中で出てきたのですが、こういった調査の解析を評価するに当たって、分母情報というのはとても大事なところになってくると思います。積極的疫学調査というのがここにもかかると思いますが、接種者数の情報というのは、できる限り得く得ていく努力はしていく必要があるのではないかと思います。委員の先生からも、たしか意見も出ていたと思うので、それを盛り込んでいただければと思います。接種者数を把握していくなどです。難しいでしょうか。接種者数に基づく解析です。
○事務局 どこに入れればよろしいでしょうか。具体的に教えていただけますでしょうか。
○多屋委員 また、死亡例とワクチンの関連性の検証のためには、接種者数の情報等を含めという意味です。先ほども接種がどのぐらいあったのかという質問が出ていたと思うのですけれども、今回接種者数が一気に増えているのか、増えていないのかという情報はどうしてもこういう検討の場合重要です。
○保坂委員 いまの多屋先生のは、そこに入れるのではなくて「次回までに入手可能な情報」というところの部分で、次回までにある程度わかると思いますので、次回までにその情報をいただきたいということで、上のところに「接種者数を含めて入手可能な情報を次回までに収集する」というような書きぶりにしていただいたほうがよろしいかと思います。
○事務局 よろしいですか。そうしましたら、この1行上の「その他、」のところで「諸外国での状況や同時接種の安全性、接種者数の情報について、さらに情報を収集し、次回検討することとする」でいかがでございましょうか。
○松本座長 いままで岡部先生がおっしゃったように、2週間以内にするかどうかの期限を切るかどうかというのは、最後に残るわけですけれども。日にちを決めるか、限定できるかどうか。それでいいですか。
○保坂委員 16日までにやると事務局は思っているのだから、大丈夫でしょう。
○松本座長 それでいいですか。事務局。
○岡部委員 できるだけ早急に今日、明日はできないでしょうけれども、やはり早急に2週間以内というのがあればいちばんいいですけれども。
○事務局 そうしましたら、「さらに情報を収集し」のところを「早急に情報を収集し」ということで。
○松本座長 そうですね。そういうことでよろしいでしょうか。
○岡部委員 一度サスペンドしたものをいろいろなエビデンスに基づいてサスペンドを解くというのは実は非常に難しい作業であることがあるのです。ですから、そういうことも含めた総合的な判断を次回にやる必要があると思います。
○松本座長 ほかにご意見ございませんか。それでは、もう1回読み上げる必要はありますか。よろしいですか。これだけ議論が沸騰したわけですから、もう一度読み上げますか。
○事務局 では変更箇所以降について、もう一度読み上げさせていただきます。1.の(3)から修正が入ったかと存じます。「(3)現在得られている各症例の経過や所見に基づいて評価したところ」以下5つのポツと「であった」を削りまして、(3)の「評価したところ」以降に「報告された5例については、現段階の情報において、いずれもワクチン接種と直接的な明確な因果関係は認められないと考えるが、さらに入手可能な情報を次回までに収集する。」
 (4)としまして、「なお、例えば先天的な」を庵原先生のご指摘で「先天性の心疾患などの基礎疾患を有する患者は、その状態によっては十分な注意が必要である」につなげさせていただきます。
 2.ワクチンの検定結果についてですが、「国立感染症研究所が実施したワクチンの検定においても、これらのワクチンの死亡報告のあった症例に投与されたロットについての試験結果は、すべて変動域内に留まり、逸脱は認められなかった。」
 この「異常は認められていない」をいまの文章に置き変えまして、「なお、宝塚例と西宮例で肺炎球菌ワクチンのロットが同一であったことについては、製造工程との逸脱等について確認する必要がある。その他、諸外国での状況や、同時接種の安全性、接種者数等の情報について、早急に情報を収集し、次回検討することとする。また、死亡例とワクチンの関連性の検証のためには、関係者の協力を得て、今後積極的疫学調査を行う仕組みを構築すべきである」という意見に変えさせていただきます。以上でよろしいでしょうか。
○松本座長 ありがとうございました。以上でよろしいでしょうか。ただいま事務局から読み上げました案を、本日の取りまとめとさせていただきます。ありがとうございました。次回、さらに資料を追加して、できるだけ早く本会議を開催できるよう、事務局においてよろしくお願いいたします。なお、本日の会議終了後、座長及び座長代理のほうから記者向けのブリーフィングを行う予定になっておりますので、座長にご一任をお願いいたします。それでは、政務官、お話いただけますか。
○厚生労働大臣政務官 本日は急なお呼びかけにもかかわらず、委員の皆様、また参考人の皆様方、お集まりをいただきまして闊達なご議論をいただきましてありがとうございました。政務官の岡本でございます。3月に入りまして、急遽予防接種に起因するかどうかはまだ不明ではありますが、死亡例についての報告があったということで、様々なご議論はあろうかと思いますが、一旦いまサスペンドをしているという話をいただきましたが、ワクチン事業を少し留保しているところではありますが、また先生方のご議論を経て、今後厚生労働省としても今後の事業をどのようにしていくかということを、判断をしていきたいと思っておりますので、どうか次回も闊達なご意見を交していただき、そして、適切なご意見をいただきますようにお願いを申し上げ、簡単ではありますが、今日の皆様方に対する御礼のご挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○松本座長 本日の議論は終了しましたが、最後に事務局から何かありますか。
○事務局 本日用意した議題は以上でございますので特にはございません。次回、速やかに開催させていただけるよう、事務局としてもできるだけ努力をいたします。先生方には貴重なご意見を賜りまして、ありがとうございます。本日の会議資料につきましては、委員限りのテーブル上に配付しました資料は、規格値等企業秘密に属する部分がありますので、これを除きましては、厚労省のホームページに速やかに掲載したいと考えております。以上でございます。
○松本座長 それでは、本日の会議はこれで終了といたします。長い時間活達なご議論、ありがとうございました。


(了)
<照会先>

健康局結核感染症課
(電話・代表) 03-5253-1111
医薬食品局安全対策課
(電話・代表) 03-5253-1111

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