ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(科学技術部会)> 第65回厚生科学審議会科学技術部会議事録




2011年8月26日 第65回厚生科学審議会科学技術部会 議事録

厚生労働省大臣官房厚生科学課

○日時

平成23年8月26日(金)
10:00~12:00


○場所

厚生労働省 専用第23会議室(中央合同庁舎第5号館 19階)


○出席者

永井部会長
相澤委員 今井委員 金澤委員 川越委員
高杉委員 西島委員 野村委員 町野委員
宮田委員 宮村委員 森嶌委員

○議題

1 厚生労働省の平成24年度研究事業に関する評価(案)(概算要求前の評価)について
2 ヒト幹細胞臨床研究について
3 その他  

○配布資料

資料1-1平成24年度科学技術関係施策及びその重点事項の概要について
資料1-2平成24年度の厚生労働科学研究費補助金等研究事業に関する評価(概算要求前の評価)について
資料1-3厚生労働省の平成24年度研究事業に関する評価(案)(概算要求前の評価)
資料2ヒト幹細胞臨床研究実施計画に係る意見について
資料3総合科学技術会議の動向について
資料4遺伝子治療臨床研究に関する実施施設からの報告について
参考資料1厚生科学審議会科学技術部会委員名簿
参考資料2ヒト幹細胞を用いる臨床研究実施計画の申請に関する参考資料

○議事

○尾崎研究企画官
 傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に当たっては、既にお配りしております注意事項をお守りくださるようお願いいたします。
 それでは定刻を過ぎましたので、ただいまから第65回厚生科学審議会科学技術部会を開催いたします。委員の皆様にはご多忙の折、お集まりをいただき御礼申し上げます。本日は11名の委員から欠席の連絡をいただいております。また現在3名の委員の方が遅れて来られる状況であるところです。その委員の先生方が到着した時点で過半数を超え、会議が成立することをご報告いたします。審議項事は過半数を超えてから始めさせていただき、本日は報告事項の2点から進めて参りたいと考えております。
 また、非常に恐縮ですが、後ろのほうで審議事項になる予定ですので、途中退席はされないようお願いします。
 続きまして本日の配付資料の確認をしたいと思います。資料1-1は、「平成24年度科学技術関係施策及びその重点事項の概要について」、資料1-2は、「平成24年度の厚生労働科学研究費補助金等研究事業に関する評価(概算要求前の評価)について」です。資料1-3は、「厚生労働省の平成24年度研究事業に関する評価(案)(概算要求前の評価)」です。
 次に水色の紙「厚生労働省の平成24年度研究事業に関する評価(案)概算要求前の評価についてに関する意見」が入っているかと思います。資料2では、「ヒト幹細胞臨床研究実施計画に係る意見について」、資料3は、「総合科学技術会議の動向について」、資料4は、「遺伝子治療臨床研究に関する実施施設からの報告について」です。参考資料1では、「厚生科学審議会科学技術部会委員名簿」、参考資料2は、「ヒト幹細胞を用いる臨床研究実施計画の申請に関する参考資料」です。また、資料1-3の関連資料をいちばん最後に付けています。この資料1-3の関連資料については、本日当日配布になります。資料の欠落等がございましたらお申し出ください。よろしいでしょうか。よろしければ永井部会長、議事の進行のほうお願いいたします。
○永井部会長
 それでは具体的な議事に入りたいと思いますが、報告事項からです。1つ目の報告は「総合科学技術会議の動向」について。事務局より説明をお願いいたします。
○尾崎研究企画官
 資料3をご覧ください。1枚目に目次として、「総合科学技術会議の動向について」ということで、3つのことについて報告いたします。この3つのところのうち1と2は、平成23年7月29日の第98回総合科学技術会議に提出され決定されたものです。3番目の第4期科学技術基本計画は、当初3月中に閣議決定される予定されるものが、東日本大震災の発生を受けて一部見直しされて今般、平成23年8月11日の第99回の総合科学技術会議が持ち回りで開催され了承されたもので、8月19日に閣議決定されたものです。
 まず1番の、科学技術重要施策アクションプランについての内容の報告をしたいと思います。「1.アクションプランのねらい」を見てください。アクションプランのねらいについては、「最も重要と考えられる施策方向性を概算要求前に示すことによって、政府全体の科学技術予算の重点化を誘導すること」です。平成23年度、本年度の予算について、昨年度に先行的に実施されたもので、平成24年度の予算編成においても、総合科学技術会議でアクションプランを最も重要な誘導施策、重要な政策誘導ツールの1つとして位置付けて、科学技術予算の最重点化を図るものです。
 3頁、「平成24年度のアクションプランの内容」をご覧ください。24年度のアクションプランの内容については、ここに書いてあるような4つの重点対象を設定しています。いちばん上は、東日本大震災を踏まえた新たな柱として、最重要と設定されている。「復興・再生並びに災害からの安全性向上」という項目です。また、次の「グリーンイノベーション」、「ライフイノベーション」については、これは第4期の科学技術基本計画とも関連するものですが、これについては引き続きアクションプランの内容に含め見直しつつ行うというところです。また新たに追加されたものとして、「基礎研究の振興及び人材育成の強化」で、この4つからなっています。それぞれのプランの内容については、4頁、「復興・再生並びに災害からの安全性向上」で、「めざすべき社会の姿」と「政策課題」の4つが示されています。「重点的取組」として、ここにあるような項目を考えるということです。
 次に5頁、「グリーンイノベーション」で「目指すべき社会の姿」、「政策課題」、「重点的取組」で整理されている内容です。6頁、「ライフイノベーション」で、ここは我々の部会、我々厚生労働省の関係が深いところですが、ライフイノベーションについては、このような内容になっているものです。「重点的取組」のところを見ていただきますと、昨年度23年度のアクションプランから継続されているものと、新規のものがこのようになっていることがわかるかと思います。7頁目、「基礎研究の振興及び人材育成の強化」も同様の構成になっている状況です。
 8頁目は検討スケジュールです。現在は8月の終わりというところですので、この表でいくとアクションプランとしては、7月29日の第98回の総合科学技術会議に提出され決定されている状況にあります。9頁目以降、40頁にかけては、その文書編です。
 次に41頁をお開きください。41頁は「科学技術に関する予算等の資源配分方針」です。この内容については、科学技術に関する予算等の資源配分の方針については、どういうふうにやっていくかというところを総合科学議術会議でまとめられているもので、43頁から文章になっております。43頁のローマ数字?、下から5行目辺りから平成24年度における予算等の資源配分方針というのを書いてまして、先ほど説明したアクションプラン対象施策への最重点化というところが、内容としては載っているというところをみておいていただければと思います。
 次に最後の第4期科学技術基本計画について説明します。第4期について47頁目以降です。科学技術基本計画については、科学技術基本法に基づいて科学技術の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、5年に1度策定されているものでして、今回は第4期ということで、本年度平成23年度から27年度を対象にしたものです。次に52、53頁です。第4期科学技術基本計画の概要がまとめられています。科学技術を取り巻くいろいろな周辺状況について1番でまとめられています。今回は特に東日本大震災が起こっておりますので、それを頭においた計画にしております。
 2番目の基本的な計画の位置付けは、先ほど申したとおりです。3番目は、第3期科学技術基本計画の実績評価をし、今ある課題について書いています。
 続いて、4の第4期科学技術基本計画の理念をご覧ください。理念としては、(1)に示された5つの目指す国の姿を示して、これを実現していくために、(2)の3つの基本方針で定めているものです。
 53頁です。基本方針の中の4.の(1)目指すべき5つの国の姿のうち最も重要なものは、52頁にもあります「震災から復興・再生を遂げ、将来にわたる持続的な成長と社会の発展を実現する国」と捉えておりまして、わが国の将来にわたる持続的な成長と社会の発展も実現するための柱として、53頁の2.から4.までの3つを位置付けるとしています。それを位置付けて科学技術イノベーション施策を戦略的に展開するとしています。
 それぞれ科学技術基本計画の文章自体は57頁目から最後にわたり書いてありますので、それを見ていただければと思います。震災からの復興・再生への実現は、頁数でいうと73頁目から書いてあります。53頁2.の3.グリーンイノベーションの推進については、75頁以降に書いてあります。ライフイノベーションについては、77頁以降です。53頁2.で掲げる課題は、最重要課題ですが、以外にもわが国で直面する深刻かつ多様な課題は山積しているということから、これへの対応に向けた取組について、53頁の右の3.で項目とか方針を挙げて、この中で示しています。
 その他の項目として、54頁の4.、5.がありまして、5.の右側(4)、科学技術イノベーション政策におけるPDCAAサイクルを確立しなければいけないこと、その下、4番目に研究開発投資の拡充ということで、官民合わせた研究開発投資の対GDP比4%以上、政府研究開発投資の対GDP比1%及び総額約25兆円についても、この5年間で達成していくと書いてあります。
 53頁目に戻りまして、先ほど重要な施策をやっていくためにどういう項目があるかを述べたわけですが、この2.の5番目の(1)の1を見てください。「科学技術イノベーション戦略協議会」の設置といった内容があるわけですが、国はこの科学技術基本計画の中で総合科学技術自体もしくは、「科学技術イノベーション戦略本部」の調整のもとに、「科学技術イノベーション戦略協議会」を創設して計画を推進していくという内容もこの中に含まれています。資料3については以上でございます。
○永井部会長
 ただいまの説明にご質問、ご意見等はございますでしょうか。私のほうから、資料1-1、1頁目の厚生労働科学研究についていろいろな疾患の患者数といいますか、いろいろな疾病の数が出てますが、これはどういう資料に基づくのですか。いろいろな研究の仕方、データの取り方によってはずいぶん違うとは思いますが。でも非常に重要な数字で、これをもとにいろいろな科学技術政策が組み立てられていると思いますが。これはどのように捉えたらよろしいですか。
○尾崎研究企画官 資料1-1の1頁目のところの先生のご指摘の部分ですが、データは「国民衛生の動向 2010年/2011年」のもの。障害者白書の平成22年度版また、平成20年患者調査と書いてありますが、この中から数字を出してきたというところです。
○永井部会長
 更にその元になっているデータというのは、どういうところの調査でしょうか。おおよそ間違いはないのだと思いますが、例えば病気の定義とか重症度の捉え方、範囲によっては数字はかなり変わるものだろうとは思いますが。
○矢島技術総括審議官
 例えば糖尿病患者237万人というこのデータは糖尿病患者の実態調査で、実際の患者さんというよりは、「ヘモグロビンA1c6.1以上で、投薬治療している人」という考え方で、患者さんを推計しております。
○相澤委員
 先生のご質問はこの計算の数値となったのが、例えば国民健康保険の記録などのデータに基づいてなされているものなのかということでないかと思います。集計の精度と今おっしゃられた基準と二つのご質問だったと思います。
○矢島技術総括審議官
 いまご指摘がありましたような実際の診療のレセプトのデータというのでしょうか、そういうところのデータではなくて例えば医療機関で実際に患者さんを治療されている、例えば患者調査ですとか、そういうふうなデータを元にして診断がついている患者さんのデータ等をまぜさせていただいているものもあります。
○永井部会長
 生活習慣病の合併症の研究が大事だということが謳われてますので、例えば網膜症であるとか、失明されている方がどのくらいなのかとか、そういう数字もこれから必要になってくるだろうと思います。何かご意見はございますか。よろしいでしょうか。それでは次の議事にまいります。その他の報告事項ですが、「遺伝子治療臨床研究に関する実施施設からの報告について」です。事務局より説明をお願いします。
○尾崎研究企画官 
 資料の4をご覧ください。遺伝子治療臨床研究に関する実施施設からの報告で、「遺伝子治療臨床研究の重大事態等報告書」です。今回報告させていただきますのは、1枚目にあります東京大学医学部附属病院からの報告です。次頁です。遺伝子治療の臨床研究の課題名としては、進行性の膠芽腫患者に対する増殖型遺伝子組換え単純ヘルペスウイルスG47△を用いた遺伝子治療ウイルス療法の臨床研究というものでして、東京大学の医学部附属病院のトランスレーショナルリサーチセンターの藤堂先生が総括責任者となって行われているものです。本件については、7月1日に6月23日付け報告書を、我々のところで受けました。
 次の2頁では、東大の審査委員会の意見といたしましては、今回のいちばん下の欄にありますが、「死亡については、遺伝子治療による直接の因果関係は認められないが、今後も安全性の確認と治療効果の把握に努められながら遺伝子治療を継続願いたい」であったとご報告いただいているものです。
 3頁目に重大事態の発生の概要が書いてあります。重大事態の発生時期は平成23年6月9日です。重大事態の内容については、被験者死亡です。経過が1~3に書いてあります。平成23年3月3日に遺伝子治療の関係の薬剤の1回目の投与が行われました。5日後の3月8日に2回目の投与がされ、3月24日に退院されました。しかし、3になりますが、3月31日に頭痛とか片麻痺が起こりまして再入院となりました。ここでMRIで腫瘍の急速な増大が観察されたためプロトコールは治療中止と判断されたところです。
 4にウイルス療法との関係が書いてありまして、登録時点でも左右の大脳半球にまたがって存在する大きな再発の膠芽腫病変であったこと、その経過から通常の膠芽腫の進行に伴うものとして矛盾しない等から、死亡は原疾患の進行によるものと推定されると結論されています。また、4頁目を見ていただきますと、実際に退院までの間にG47△のDNAは検出されなかったことが書いてあり、原病による進行だと評価されているものです。以上でございます。
○永井部会長
 ただいまの説明にご質問、ご意見はございますでしょうか。よろしければこの件については、報告を了解したということにしたいと思います。
 続きまして、まだ審議事項には入れませんか。
○矢島技術総括審議官
 はい。
○永井部会長
 委員が10時40分にご到着ということですので、10分間休憩ということでよろしいでしょうか。あるいは何か連絡事項等はございますでしょうか。
○矢島技術総括審議官
 一般論でも結構ですので、先生方から本日の資料に限らず何かご質問、ご指摘とかありましたら、なければ休憩でもいいのですが、せっかくの機会ですので、何か先生方のほうで私どものほうに確認というのでしょうか、ご質問とかそういうものがありましたらいただければありがたいと思いますが。
○永井部会長
 それでは先ほど資料1-1の1頁の絵のことで網膜症のことを話しましたが、やはり腎不全、透析患者数であるとか、そういう臓器障害の方々がどのくらいおられるのか。もちろんその後ウイルス肝炎の方もおられますが、肝硬変とか。
○矢島技術総括審議官
 肝疾患とか腎疾患のデータを、もう少し中にしっかり入れられないかという指摘ですね。
○永井部会長
 そういうことです。臓器の障害の方がどのくらいおられるのかという数字が大事だと思います。
○矢島技術総括審議官
 検討させていただきます。
○永井部会長
 そうしましたら、一般的なことで結構でございますので、委員の方々からご意見、ご提案等をいただければと思います。宮田委員いかがでしょうか。
○宮田委員
 資料4の遺伝子治療研究の話です。これはかなり野心的な計画なので、リスクも冒した研究なので、こういったリスク管理はすごく重要になると思います。1つだけ少し気になったことがあるのです。これは患者さんが東大から紹介元の病院に移されて死亡なさっていますが、そのときの病理解剖が実は脳だけ行われているのです。遺伝子治療というのは、局所に投与していますから、それだけでよろしいかと思うのですが、実験的な医療である場合、できれば病理解剖というのは、全身解剖していただいて、先ほど尿やそういった所にも変異型ウイルスはないとおっしゃっていましたが、本当にそうなのかという研究まで本来ならばやるべき。それが患者さんにとっても報いるべき行為だと私は思っています。雑談という形でお話をさせていただきました。
○永井部会長 
 委員の皆様がお揃いですので、続けて審議事項に入りたいと思います。議事の1.「厚生労働省の平成24年度研究事業に関する評価(案)(概算要求前の評価)について」です。科学技術部会として評価に関する報告を取りまとめたいと思いますので、ご審議をお願いします。では、事務局よりご説明をお願いいたします。
○尾崎研究企画官
 資料としましては、資料1-1、資料1-2、資料1-3と資料1-3関連資料をご覧ください。資料1-1は平成24年度科学技術関係施策及びその重点事項目の概要です。概算要求前の評価に資するために用意しているものです。内容としては3つありまして、厚生労働科学研を取り巻く基本的な状況などと、総合科学技術会議のアクションプランの概要、政府が取りまとめた社会保障・税一体改革案に含まれている医療イノベーションの推進についての概要です。
 1頁はいつも出させていただいている表です。厚生労働科学研究につきましては、図の半分より上にありますように、糖尿病患者数何万人など、いろいろな数字を出させていただきましたが、厚生労働省の施策に係る様々な数字を挙げています。厚生労働省が取り組むべき課題は多く、広範囲であることを示すために出しているものです。この数字につきましては、先ほど永井部会長からご指摘がありましたので、どのような背景かなどをまとめさせていただくことを考えています。この中の課題として疾病や障がい等の克服をしたり、国民の皆様の健康や安全に関する懸念の解消をしたり、疾病に関わるような多様なニーズがありますので、その辺を解決し、安全・安心で質の高い健康生活の実現が、厚生労働省の目標の1つであるという流れが書いてあります。この流れの中で、厚生労働科学研究につきましては、課題解決に科学的根拠を与えることで貢献するということです。この流れにつきましては、平成24年度の要求に向けても変化がないものとして出させていただいています。
 2頁です。1頁目の安全・安心で質の高い健康生活の実現に向けてという目標の中で、厚生労働科学研究はどうあるのかというところで、3つの柱にプラスアルファーで対応しているということです。1つ目は健康安心の推進、2つ目は、先端医療の実現として、このような内容になっています。3つ目は、健康安全の確保というところで、こうした内容が含まれています。また、平成23年度の現在の予算は科学技術関係予算といたしましては、1,501億円、うち厚生労働科学研究費補助金については438億円です。1,501億円の中にはナショナルセンターや国立の試験研究機関予算などが含まれています。
 3頁です。先ほど報告事項を説明いたしましたが、今年の総合科学技術会議の資源配分方針のポイントがまとめられている資料です。繰り返しになりますが、24年度における予算等の資源配分方針で、アクションプラン対象施策への最重点化ということで、4つの項目があります。
 そのうち特に厚生労働省に関係が深いと思われるアクションプランの項目について、少し細かいことを書いたものが4頁です。
 5頁は最初に申し上げましたが、政府がまとめた「社会保障・税一体改革成案」に含まれている医療イノベーションの推進について、厚生労働省で考えている内容を書いたものです。医療イノベーションの推進の目的は、日本の医薬品・医療機器産業の国際的競争力の強化を、副題として考えています。内容といたしましては、日本の臨床研究の質・量の向上を図る。あと、臨床研究の成果等を薬事法の治験、薬事承認につなげるための基盤整備等を強化するということ、医療上必要な医薬品・医療機器を患者に迅速に提供するということで、ここに書いてあるような対応をする。改革の具体策として、黒の〈〉に書いてあるような項目を考えています。これが資料1-1です。
 続きまして、資料1-3です。今回の審議事項の概算要求前の評価をまとめている資料です。1頁目です。1頁の2番に評価方法があり、経緯が書いてあります。概算要求前評価につきましては、当初は大型プロジェクトについて概算要求前の事業の概要を検討し、評価を行ってきたという流れから、平成15年度より毎年度この時期に概算要求前の各研究事業の関係の評価を行っています。
 2)は先ほど資料1-1で述べた評価に当たっての科学を巡る最近の動向について書いたところです。
 3)の評価対象ですが、厚生労働科学研究費補助金の各研究事業と、独立行政法人基盤研の運営費交付金のうちの基礎研究推進事業を対象として、この資料で評価をまとめています。この資料自体の評価方法につきましては、?各研究事業について、厚生労働省の各担当部局が、外部有識者等の意見を踏まえて評価原案を作成し、厚生労働科学審議会科学技術部会において、その内容を見ていただくという流れになっています。「なお」以下のところにありますが、本評価につきましては、「厚生労働省の科学研究開発評価に関する指針」に基づき行うものとして、政策評価とも一体として実施するため、厚生労働科学研究費補助金全体を評価する政策評価の観点である「必要性」、「効率性」、「有効性」等についても、総合的に評価するとなっています。?当該報告書については2頁から3頁の内容が関係しています。
 8頁以降が各研究事業の概算要求前の今回の評価となるものです。3を見ていただきますと、13の研究事業またはそれを細分化した研究のまとまりごとに評価をまとめています。記載の流れについて、政策科学評価研究を例にとってご説明します。まずはカギ括弧で行政政策研究分野や、3番の研究分野のローマ数字のところを書いていまして、そのうちの(1)で「行政政策研究」、その中の「政策科学総合研究」で、どういう階層にあるかを書いています。そのあとの表で、主管部局名などが書いてあります。1が、事業の概要で、昨年度から記載するようにしていますが、「公的研究としての意義、政策としての連動性」をまとめてあるのが次の段です。
 9頁の(2)に「推進分野の設定等」があります。各研究事業ごとにメリハリをつけることを目指しまして、重点的・集約的な費用配分を行う分野、研究についてまとめているものです。例えば政策科学総合研究におきましては、社会・経済構造の変化と社会保障に関する研究を設定するとしており、その必要性、推進により期待される効果についてまとめているものです。
 10頁です。(3)から(6)ですが、これは先ほど説明した最近の科学技術政策の動向のアクションプランなどの、主な施策との関連をまとめています。なお、アクションプランにつきましては、項目が決まっておりまして、我々が、今ここに書いてある研究項目は、アクションプランのパッケージの研究課題として認められるかどうかというのは、まだ総合科学技術会議の中で検討中ですので、ここに書いてあるからといって、アクションプランで認められるというものではない項目です。
 10頁の(7)は、「事業の内容」です。
 11頁の(8)は、昨年度の総合科学技術会議の評価を受けて、そこで指摘についてどのような回答をしているかということです。(9)では、そこまでの状況を踏まえて、「平成24年度における主たる変更点、見直した点」を書いています。いまの例示の研究においては、例えば真ん中のポツにありますように、東日本大震災における統計情報への影響を踏まえて、このような研究を実施することにしたということが書いてあります。
 (10)は「他府省や厚生労働省内での関連事業との役割分担」などを書いています。
 (11)が「予算額」で、平成24年の概算要求を含めた最近の5年分ぐらいの予算を書いています。概算要求は、まだ要求もしていませんので、すべての研究費で未定となっています。
 (12)に書かれているのは、「平成22年度に終了した研究課題で得られた成果」についてまとめています。
 12頁からは事業全体の評価について毎年まとめているものです。研究の必要性、効率性、有効性などについて各々まとめておりまして、13頁が「総合評価」になります。そのあとに参考としてそれぞれの研究についての概念図が示されています。
 特にこの内容でご確認いただきたいものは、事業概要の(2)の推進分野の内容、その方向性についてと、例えば12頁から13頁にありました評価結果の必要性、効率性、有効性、総合評価というところになるかと思います。この政策科学総合研究について例示をしましたが、これを含めて以下22の単位のまとめをしています。各項目についてそれぞれ説明すると非常に長くなってしまうので、本年度からは全体的な内容ということで、もちろん資料1-3についても見ていただくと同時に、まとめについても検討いただきたいということで、資料1-2を用意させていただきました。
 資料1-3関係資料もご覧ください。資料1-3の関係資料は、先ほどの説明で推進分野を設定しているということだったので、各事業の推進分野について書かれているものを抜粋したものです。また見ていただければと思います。
 資料1-2です。概算要求前の評価として、科学技術部会としてこのような取りまとめをしたらどうかということを書いています。そのまま関係のところを読んでいきますと、「平成24年度予算の概算要求に先立って、平成24年度の研究事業の方向性等の評価を行った」ということです。1番として科学技術施策関連の周辺動向です。(1)、「平成23年6月に、政府・与党社会保障改革検討本部により『社会保障・税一体改革成案』がまとめられ、その中で社会保障改革と経済成長との好循環を実現するために、『医療イノベーション、ライフイノベーションの推進』等により、利用者・国民の利便の向上と、新たな産業分野育成の観点から諸改革を進めるとされている」。これは資料1-1のいちばん最後のペーパーから抜粋していますが、「厚生労働省における『医療イノベーションの推進』の具体的な内容の1つとして、“日本初の革新的医薬品・医療機器の開発の実用化”があり、そのために日本初の革新的医薬品・医療機器の研究開発の推進と臨床研究の成果等を治験や承認につなげるための基盤整備を進めることとし、前者については、日本の臨床研究の質・量の向上、個別重点分野の研究開発支援を具体的に挙げている」と記載しています。
 (2)では「政府の科学技術の振興に関する基本的な計画である第4期科学技術基本計画が閣議決定をされ、内閣府総合科学技術会議においては、昨年度に引き続き、『24年度科学技術重要施策アクションプランを策定し、推進する柱として4つの『重点対象』、第一に『復興・再生並びに災害からの安全性の向上』、次に『グリーンイノベーション』と『ライフイノベーション』、さらに『基礎研究及び人材育成』を設定している。
 この中で『ライフイノベーション』の政策課題として、がん、生活習慣病の合併症等の革新的な診断・治療法の開発による治癒率の向上等、身体・臓器機能の代替補完・優れた医療技術の開発促進、介護・自立支援等を挙げている。また、東日本大震災を踏まえ、震災からの復興・再生を遂げ、より安全に豊かに暮らせる社会の実現を目指し、『災害から命・健康』を守るを含めた4つの政策課題を設定し、これらの政策課題を解決するために再優先で進める取り組みを併せて示している」と記載しています。
 2頁です。それを受けての主な研究の方向性の概要をまとめています。「厚生労働科学研究の平成24年度概算要求における、主な研究事業の研究分野、方向性は、次のとおりである。医療イノベーションの推進、平成24年度科学技術の重要施策アクションプランの『復興・再生並びに災害からの安全性向上』及び『ライフイノベーション』を考慮している」と記載しています。主なものということで、(1)厚生科学基盤研究分野で、「再生医療実用化研究」というところをまとめています。これにつきましては資料1-3の28頁になりますが、「『再生医療実用化研究』においては、関係省とも連携し、幹細胞を用いた臨床研究に重点化し推進することにより、再生医療技術の早期実用化を目指している」と記載しています。
(2)疾病・障害対策研究分野の?ですが、第3次対がん総合戦略研究です。これは資料1-3の56頁になります。「第3次対がん10か年総合戦略に沿い革新的な診断・治療法の開発等を推進分野として設定し、がん医療の質の向上を目指している」と記載しています。
 ?は生活習慣病・難治性疾患克服総合研究です。これは資料1-3の63頁になります。「糖尿病等の生活習慣病の合併症に特化した予防・診断治療に関する研究、難治性疾患の治療薬やシーズの発見及び治療法の開発が期待できる研究等を重点的に推進し、患者のQOLの向上、社会活動の継続を目指している」と記載しています。
 ?として、長寿・障害総合研究です。これは資料1-3の77頁になりますが、「先進的な機器を用いた介護予防プログラムの開発と人材育成、認知症の早期診断・治療薬の開発、障がい者の自立を促進する技術開発等の研究、災害時の精神保健活動の質を向上する研究等を推進し、高齢者の身体機能の維持・改善、介護の質の向上、障がい者の自立生活支援の向上を目指している」と記載しています。
 ?としまして、感染症対策総合研究です。これは資料1-3の90頁以降になりますが、「C型肝炎ウイルスに比べ十分でなかったB型肝炎ウイルスの感染複製機構の解明、関係レセプター等の探索・構造解析等の基礎的な研究を充実し、ウイルス性肝炎の効果的・効率的な対策の推進を目指している」と記載しています。
 (3)です。健康安全確保総合研究分野の中の?地域医療基盤開発推進研究です。資料1-3の101頁からになります。「大規模災害の医療の確保に関する研究を推進分野として設定し、今回の東日本大震災を踏まえた、大規模災害時に被災者に対してより迅速で適切な医療が提供される体制づくりを目指している。
 ?として、食品医薬品等リスク分析研究です。これは資料1-3の111頁からになります。「食品中の放射性物質に係る研究、実用化を見据えたレギュラトリーサイエンスの推進として革新的な医薬品・医療機器の安全性・有効性・品質管理の評価手法の研究、市販後安全総合戦略に関する研究を推進分野として設定し、食品のより適切なリスク管理の実施に資すること、医薬品・医療機器の安全性確保を第一にしての国民への迅速提供することを目指している」と記載しています。
?としまして、健康安全・危機管理総合研究です。「東日本大震災における被災者の健康状態に関する研究や、水道システムに係る災害時を含めた場合のリスクの低減対策等を行い、今後起こりうる健康危機に迅速かつ適切に対応し、国民の安全・安心と健康の確保を目指している」ということです。
 3番目の評価(案)につきましては、「厚生労働科学研究の平成24年度概算要求においては、最近の主な科学技術政策の動向に対応をした必要な事項、東日本大震災に係る事項も含め、研究課題を着実に推進しようとしていることは、全体的な方向として適当である」。
(2)「厚生労働科学研究について、資源が限られている状況下にあることから、各研究事業において、政策関係との連動をより明確にしつつ、『推進分野』により具体的な設定を行うなど、メリハリを付け取り組んでいくことは重要である」。
 (3)として、「他方、厚生労働科学研究は、厚生労働施策の幅広い課題に対応する要請を併せ持つことから、過度な選択や集中をしないように留意し、厚生労働政策の幅広い課題に対応できるよう工夫して進めることも肝要である」とさせていただいています。全体としてこのようにまとめたらどうかというようなところが資料1-2です。説明は以上です。
○永井部会長
 それでは、ただいまのご説明にご意見、ご提案等ございましたらよろしくお願いします。
○金澤委員
 最近まで総合科学技術会議のほうにいた者として伺いたいことがあります。それはアクションプラン以外のものは、かなり厳密と言いましょうか、かなり違うものと理解しているのですが、これを見ますと、ベタベタと言ってはいけませんが、差がよくわからないのです。どこかでそこをきちんと区別をされるフェーズがあるのですか。それを伺っておきたいのです。このままだとどれがアクションプランに相当するのかよくわからないのです。というのは、アクションプランに関しては、かなりプレミアムを付けていますから、非常にいいものができる可能性が高いと思います。例えば認知症や、うつなどを入れてもらったのですが、そういうのをどこで強調されているのかよくわかりません。
 それから、レギュラトリーサイエンスのこともそうで、非常に大事なものだと思って理解しています。例えば復興のことと、放射線のことで当然ながら、いまのレギュラトリーサイエンスをくっ付けることはできるわけです。そういうのが浮かび上がってきていないのでよくわからなかったのですが、教えてください。
○尾崎研究企画官
 アクションプランとの関係で、大きな項目自体としては、資料1-2の4頁でのアクションプランへの対応として、我々のほうで厚生科学研究費で実施しようとして考えている項目でいま組まれているのは、上のスライドにある右側の部分で赤で囲まれた所を対応しようと考えているところです。
○金澤委員
 そういうことではなくて、例えばここの評価という資料1-3がそのままどこへ行くのですか。章としての最後のまとめに行くわけですか。それを受けた上の方々が、アクションプランについて、かなり向こうとやり取りをするわけですね。私はキャッチボールと言っていたのですが、作っていくわけです。そういうところはよくわからないので教えてほしいのです。
○尾崎研究企画官
 この内容については、厚生労働審議会の科学技術部会として、この評価の内容でとりまとめていますので、この結果を踏まえて、例えば総合科学技術会議とのやり取りとか、その内容については、ここから言える話があればやり取りをさせていただくとか、そういう関係になります。資料1-2もそうですが、厚生科学技術部会として外向けに聞かれたりいろいろしたときには、このようなとりまとめをしたり、評価としてはしていますということをご報告するために、これを用意しています。
○永井部会長
 よろしいでしょうか。そのほか、いかがでしょうか。
○今井委員
 最初に言葉の問題ですが、復興・再生と使われているのですが、再生医療とか、要は厚労省的にいう再生と、復興・再生の再生というのは、当然意味が違うのですが、わかりにくいというか、これは宮田委員にお伺いしたほうがいいと思いますが、こういう場合には、普通は再建と言わないかなという気がするのです。
○宮田委員
 普通はそうでしょうが、ただ、このワーディングは、たぶん復興科技術会議のワーディングですよね。
○今井委員
 そうなのです。そのワーディングはわかっているのですが、あえて言わせていただくと、これを変えないと、一般人はわかりにくということが1つと、これはもしかすると金澤委員のお話とも関連するかもしれませんが、いわゆるアクションプランというのがそれなりにあるはずですが、いわゆるベタに見えてしまうというのは、内容に関しての書き方が非常にマスクされている気がして、例えば大震災、災害と書いていらっしゃいますよね。災害というのと、放射線の汚染とは分けていますか、一緒ですか。
○尾崎研究企画官
 誰が、我々がということですか。
○今井委員
 そういうことです。
○尾崎研究企画官
 普通に災害と言ったときには、厚生労働省としては普通に自然災害とか、例えば化学物質の工場が爆発したとか、そういう話を中心に考えていますので、基本的には現時点では今回の放射線の事故とは少し分けています。
○今井委員
 完全に分けていますよね。
○尾崎研究企画官
 はい、基本的には分けて整理をしています。
○今井委員
 実際に現場で起こっていることというのは、例えばいわゆる自然災害については、科学技術でも医療とはあまり関係のない所で進めていけば出来上がるものだと思います。ですが、人の心の問題や、もちろん怪我や感染症などもありましたが、体の病気よりも精神性疾患も含めると、放射線による汚染についてのほうが、例えば不安障害などが、後々かなり出てきてしまっていたり、そういうことはあると思います。災害のほうはこちらですが、そういう障害のほうは、それをフォローするという意味で、厚生労働省とは別な場所でやることがあるのですか。書かれている中に、そこまでが含まれていないと、自然災害だけのことにフォローしていけばいいと見えてしまうのです。
○塚原厚生科学課長
 いまのご指摘は非常によくわかります。ご指摘になった医療の再建の自然災害の部分は、厚労省もそれは司、司でやっているのですが、放射線災害のほうは政府の全体的な対策のスキームでいうと、原子力災害対策本部が原子力災害対策特別措置法に基づいて経産省の中に置かれて、全体的に事後対策医療の問題や健康の問題をされていますので、厚労省の直轄の仕事とスキームが違うものですから、ちょっとずれてきています。そこは書き分けているというのが、この内容の書き方になっています。
○今井委員
 そうすると、災害以後の安心、安全、心の問題みたいなところでは入っていないと考えたほうがいいのですね。
○矢島技術総括審議官
 そこのところは厳格にいまの段階で「入っていない」と言い切ることになるのか、まだこれは進行形ですので、たぶんこれからのいろいろな議論の中で、例えば、いまの放射性物質については、食品の安全については、厚生労働省が農林水産省と一緒になってやっていかなければいけないのですが、やっていたら、消費者庁も関係してくるということが、後から出てきて、これも一緒になって、みんなでやっているところもあります。いろいろな問題が整理されていく中で、いまご指摘のようなものも整理されてくるのかなというところはあるかと思います。少なくとも原子力の問題は縦割りではなくて、一括的にやるということで、原子力災害対策本部で一括していろいろな作業が進んでいる中で、我々も協力させていただいています。
○今井委員
 これを言ってもしょうがないと思いますが、現場では自然災害が問題だったのか、あとの問題も若いお母さんたちなどはパニック状態になっているわけですが、両方からきているものですから、特に精神性疾患などに関しては、これからいろいろ出てくると思います。
○矢島擬術総括審議官
 福島県の場合は、県が主体となって県民の健康調査を全県民に対してやるというスキームが動いております。その中でもご指摘のようなことも含めて、福島県民の健康をどのようにフォローしていくかという議論が、福島県の中でも進んでおり、厚生労働省や経済産業省も文部科学省も、いろいろな関係省庁も一緒に関わらせていただいております。
○高杉委員
 医師会の高杉です。先ほどの話とも関係があるのかもしれませんが、外部イノベーション、あるいは医療イノベーションという言葉の中にいろいろなことが入っていると思います。最近、経産省から出てくるいろいろな試み、あるいは文科省からのそういった科学研究、この辺の連動というか、連携はうまくいっているのかなと。どうもそれが1つも盛られていないという気がします。
 例えば私がこの前、経産省の方に聞いたのは、介護ロボットはいろいろな開発が日本で進んで、いいことはあるのですが、経産省はどのように育てていくのか。ここにも介護ロボットの話も出てくるだろう。各省庁にわたってのいろいろな取組みが、厚労科学研究の中に厚労省の思惑は入っているのですが、連携の言葉があまり入っていない。例えばいまの災害に対しても厚労省が重要な役割を果たしているのですが、厚労科学研究にとりあえず文言だけ入れておこうという感じがします。縦はわかるのですが、横の連携とか、国としてどうやって総合的に動かすのかということの盛り込みが感じられないような気がするのですが、どうでしょうか。
○塚原厚生科学課長
 イノベーションの話がいまありましたが、イノベーションのほうは大臣官房にイノベーション室ができており、既に政府レベル、局長級レベル、事務官レベルでそれぞれ3回ほど会合が開かれ、その中で連携は図られつつあります。そこをどの程度記載するかという、その状況を書かせていただくのかというところだと思います。その辺の連携の経緯、内容が不十分だということであれば、きちんと書くような形で対応できればと思います。
○尾崎研究企画官
 追加ですが、例えば資料1-3の77頁以降で、長寿・障害総合研究というのがあります。78頁の辺りに基本的な研究で、介護ロボットとか、その関係もやっているかと思いますが、(10)で、「他府省及び厚生労働省内での関連事業との役割分担」ということで細かくは書いてありませんが、「文部科学省は基礎的研究を、経産省では基盤的な研究開発を行う一方、当該研究事業は臨床応用を前提とした研究を実施し、情報交換しながら重復がないように調整している」というところですので、ちょっと具体性に欠けるかもしれませんが、一応そのようなところでやっています。研究費だけの連携とも限らず、政策やほかのものとの連携もやっていますので、ロボットに関してはアクションプランのほうでも、総合技術会議のほうでもその辺を調整していただいていますし、そういった項目もあるということで、一応参考です。
○高杉委員
 ロボットのことだけを言っているわけではありません。いわゆる将来を見据えた日本の姿を見るときに、内閣府がいま言っていること、厚労省の言い分は非常に少ないのではないか。私はもっと強く発言してほしいし、いちばん国民の大切な部分を担っているのは厚労省だろうと思います。その厚労省の中でこの委員会は、たぶんセンター的なところを担っている。しかし、背景にはそういう問題がいっぱいある。その辺を周りの省庁とうまく連携したような動きはもちろん出さなければいけませんが、どうも母屋を取られて、厚労省の主張すべきことがどこかに消えてしまってという感じがします。
○塚原厚生科学課長
 ご指摘大変ありがとうございます。もう少しきちんと書いたほうがいいのかもしれませんが、イノベーションの中での、特に厚労省の役割は出口をきちんと見据えて、出口につなげる部分をきちんとやる。
 特に医療イノベーションでいえば、例えば新薬の開発というところがあるのですが、そこは厚労省は特に研究という切り口だけではなくて、医薬品の審査、医療保険の適用をどうするかという話も含めた出口に近い所の研究、開発、治験の辺りのつながりをどうしていくかというところが特に求められている部分だと思います。その辺はいろいろな意味で将来とも議論し、関係省庁とも調整をさせていただいておりますが、もう少しきちんと書いたほうがいいというご指摘と承りましたので、そこを少しきちんと書くようにしたいと思います。
○宮田委員
 総合科学技術会議のアクションプランが出てきたのですが、政府がいままでの統治形態を変えて、いままでの縦割りでは問題が解決できないので、第4期の科学技術計画になってもソリューションベースになったときに、省内のプロジェクトがそれにうまく対応できていないのではないかというのがこの評価を見て、わかりにくさというのはまさにそこにあるのではないかと思ったのです。
 この評価表をここで読むのは、私がサボっていたことを告白するようなものですが、バーッと調べて、対応しているのと、対応していないのをやった場合に、いろいろな読み替えをすると、すべて外部イノベーションの中で対応できてしまうような感じがあって、無理無理に分けて、関係ないと、あえて言っているようなところがあって、この辺が皆さんがわかりにくいというところに続いたのではないかと思っています。
 それはなぜかというと、外部イノベーションの推進ということで、アクションプランが何年度かに渡って出ていますが、それに対しても?~?は断固として変わっていないのです。この評価のわかりにくさというのは、結局そういうことなのです。それから、単にジャンルとして対応しているということを色づけて評価しているというだけでは、我々は不満だというのが、たぶんここの意見です。本当にアクションプランが目指しているものは、国民の健康と安心を実現することで、そういう面でこの評価が行われて、十分この研究をやる意味があるのだということが保証されているかどうかが評価だと思いますが、これは単に分類しているだけです。その辺はもう少し考えていただかなければいけないことと、たぶん?~?を今から変えろとすると、皆さんはパニックになるはずなので、そうではなくて、もう1章ぐらい、アクションプランに対してどのような評価を行って、ここで評価されているものに関しては、実現可能性が非常に高いものであるという章立てのことを考えたほうがいいと思います。つまり、縦と横の評価なのに無理矢理横の評価だけにまとめているために混乱を起こしているという気がします。
 先ほどおっしゃっていたように、役に立つための計画ということを、実はアクションプランに対応するということで、我々は担保しますということを、ここで評価していただければいいのではないかという結論を持っています。ただ、将来のことも考えると?~?を黙視することが本当にいいかどうかを、もっと深く考えていただきたいと思います。
○永井部会長
 ありがとうございます。いかがでしょうか。
○塚原厚生科学課長
 おっしゃるとおりです。?~?で予算要求などをしてきておりますので、考え方の整理として、もう1つ予算要求の章立てになる前に何か間のものが必要だというご指摘はそのとおりだと思います。これをいま全部変えるとなると厚生科学課が混乱するというよりも、各局で対応できるかどうかわかりませんので。ご指摘はよくわかりました。
○金澤委員
 宮田さんの意見にほとんど賛成です。ただ、1つだけ事務局の肩を持つというか、資料1-2の評価(案)(3)の「過度な選択や集中をしないように留意し」というところが、厚労省にとっても非常に大事なポイントだと思います。総合科学技術会議でいつも言っていたことでもあるのです。ですから、これは是非守っていただきたい。
 その上でアクションプランも欲張って獲得してもらいたいのです。そのための案としては、ちょっとベタベタッとしていて、よくわかりにくいのです。だから、アクションプランに対しては、自分たちはこういう提案をするのだということを、まずでなくてもいいのですが、とにかく語ってもらいたいと思ったのです。
○永井部会長
 よろしいですか
○野村委員
 中身そのもののことで、ちょっと細かくて恐縮ですが、96頁の評価結果にもありますが、エイズ対策研究事業の辺りを読んでいると、非常に不思議というか、疑問に思ったのです。15年ぐらい前、HIV感染が増えてきたときに、日本は先進国の中で同性愛者間の感染に違いないということで社会の関心が高まるのが非常に遅れてしまって、検診に行く人が少ないという事態で、先進国の中で恥ずかしいことに感染者数がどんどん増えているという事態を招いていると思って、私は取材をしてきたつもりです。
 いま、その後の影響でいきなりエイズになる中高年男性が増えたりということも問題視されていますし、相変わらず全国的に検診を受ける数は増えていない状況が、最近でもかなり問題視されている状況の中で、たしか7割を占めている男性同性愛者があるのかもしれませんが、ここでこれを強調して推進しすぎることで、またそういう病気なのだという偏見が社会に広まってしまうのを私は非常に危惧しています。
 特に地方などにいると、現場の人たちが拠点病院がどんどん減っていく中で、要は感染のときに見つければ発症しないで、慢性病になっていけるということが折角できているのだから、現場の人たちが検査を受けてほしいということをどれだけ頑張っていらっしゃるかということを思うと、この辺の心配がありました。
 あとは全体のことで素朴な疑問ですが、この分厚いのを一生懸命素人なりに読んで、気になったのは、高齢者、障害者、難病を抱えた方、慢性疾患の方たちが自立できるということが、そこら中に散りばめられています。あとは安全・安心と、健康、質の高い生活などに、そもそもそこに行くのです。自立という言葉の意味というか中身について、私たち一般の社会の中でもコンセンサスはまだできていないと思いますし、厚労省とか経産省など、ほかの省庁の方たちは、みんな統一された言葉の定義というか、自立する生活というのは一体何だろうということについての、社会のコンセンサスはできていないけれども、皆さんたちはどういう定義をされているのかということが、今回読んでいて疑問に思ったのです。その辺が患者さん当事者、家族、医療現場、施設現場、国、そのほかで違うということがいま、たぶん問題だと思いますし、それがどういう定義をするかによって、研究事業の評価も根本的に変わってくると感じました。
○永井部会長
 事務局いかがですか。
○矢島技術総括審議官
 いまのご指摘を踏まえて、ここは削除しても問題がなければ削除しますが、どうですか。
○事務局
 同性愛だけを強調したような書き方になっているのは、見直さなければいけないと思います。
○矢島技術総括審議官
 この3行を。
○事務局
 疾病対策課が今日は来られないので、感染症としてまとめてお答えします。事実として同性間の性的接触が多いことは事実ですが、当然おっしゃるとおり、それ以外の方々の感染もあるということですので、そこはバランスをとってやっていく必要があります。削除ということであればそれでも結構ですし、あるいは男性同性愛者間の性的接触以外にも読めるような、これを含めたとか、そういう形に直していただくということでも構わないと思います。
○野村委員
 要は教育、啓発に関しても、そこに特化せずに全員にすればそれで済む話ですね。全体について理解すれば、同性愛の方も異性愛の方も理解すればいいだけの話だと思います。
○永井部会長
 そこの書きぶりはもう少し工夫していただけますでしょうか。
○矢島技術総括審議官
 はい。ご指摘を踏まえて、むしろ一般的な予防が大事だという表現に検討させていただきたいと思います。
○相澤委員
 先ほどからのお話に共通点があると思います。日本語として、こなれていないのではないかという指摘ではないかと思います。金澤先生のアクションプランのご指摘でも、例えばこの報告書のアクションプランとの関連のところを見ると、文章になっているところと、そこだけ括弧書きで体言止めになっているところが混在しています。そうすると、そこのつながりが日本語になっていないので、アクションプランをどう評価しているのかというところが見えないというところにつながってくるのではないかと思います。
 あと、ご指摘のあった他省庁との関連、アクションプランとの関連、その関連の中で厚労省としていちばん出回るのが資料1-2だろうと思います。こちらがわかりやすいかというと、もうひとつわかりにくい。よくできた作文ではあるが、何を言いたいかという、もう少しスピリットが入ってもいいのではないかという印象を持ちました。
 もう1つ、レギュラトリーサイエンスのところで、イノベーションとの関連でいくと、イノベーションに対しては、ディレギュレーションというのが1つの重要な要素になると思います。そことの関連も、レギュラトリーサイエンスですから、触れていただきたいと要望しておきます。
○永井部会長
 いかがですか。
○尾崎研究企画官
 資料1-3のアクションプランの記載の仕方についてです。実はどの事業でもいいのですが、科学技術重要政策アクションプランとの関係というところで、該当部分のこの記載の仕方については、先生ご指摘の体言止めになっているのは、アクションプランでいま示されているどれに対応するかの項目だけを書いてくださいという指示を、我々のほうから出したものですので、その指示が重要政策と課題のどこに該当しているのかと書いてあるので、この内容は具体的にはどのようにしているのかとか、そういう記載がないと理解しています。我々は項目だけを挙げてくださいと。向こう側のどの項目に該当するかと。
 ただ、これの項目で該当していて、具体的にはこういったところでいまやっていますとか、こういう研究をこの関係でやりますという記載がないということだと理解しましたので、そこのところはアクションプランのほうで提案したりしていますが、各事業ごとではありますが、関係のものは取込み目標のあとにもう1つ欄を増やして、その中でこの事業ではこの研究で出しているとか、関係しているということを書く欄を増やして整理したいと考えています。
○永井部会長
 ほかにご意見ございますか。
○宮田委員
 いまのことで、それは重要なのですが、先ほど申し上げたのは、単なる分類になっているということです。金澤先生もご指摘になりましたが、厚労省がこれを本気でやるのだという意思表示がその中にないというところに、大きな問題があると考えているわけです。それ以外にそれに該当しない研究だと考えていらっしゃるか。
 部局の方でもこちらから見ればアクションプランのこれに入れることはできるのではないかということすら考えられるのです。そうすると、該当させない、あるいは該当させるということが厚労省の意思であるなら、これは重点を置いてやるのだという何らかのメッセージを評価項目の中に入れないと、単なるな分類だけでは駄目だろうということを申し上げたかったのです。ですから、それはもう少し適切な対応をなさったほうがいいだろうと思います。
○永井部会長
 よろしいですか。いろいろご意見はおありだと思いますが、このあと、委員の皆様方からご意見を事務局のほうにお出しください。お手元にファックスの意見提出書があります。このブルーの用紙にご記入いただいて、場合によってはやり取りをしていただきながら、細かい点を詰めていただきたいと思います。9月2日(金曜日)までにご意見提出をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 事務局でまとめていただきますが、最終的なところはどうしましょうか。もしよろしければ私にお任せいただければと思います。それでもいろいろ細かい点が気になる場合には、さらに事務局と詰めていただいて、最終的な案を作り、私のほうで取りまとめという形にさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
                   (了承)
○永井部会長
 では、そのように進めさせていただきますので、事務局でよくご意見をお聞きになって、取りまとめをお願いしたいと思います。
 では、議事2.の「ヒト幹細胞臨床研究について」です。国立大学法人高知大学医学部など、5機関の審査委員会における結果についての審議です。事務局よりご説明をお願いします。
○今井専門官
 ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会事務局からご説明します。資料2をご覧ください。「ヒト幹細胞臨床研究実施計画に係る意見について」、ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会永井委員長からのご報告です。まず1頁は、高知大学からの案件です。2頁に概要があり、ポンチ絵は41頁にありますので、併せてご参照ください。
 申請年月日は平成22年2月26日。「小児脳性麻痺に対する自己臍帯血幹細胞輸血による治療研究」です。新生児の治療研究の概要は、出産時に採取された自己臍帯血を治療に用いる。ステムセル社の細胞調整室にて、それを凍結保存するということです。その保存された自己臍帯血幹細胞を脳性麻痺患児に投与し、安全性及び障害の回復を図る臨床研究です。新規性は、自己臍帯血幹細胞を脳性麻痺患者の治療に応用するのは、我が国では新規の臨床研究ということになります。
 次頁に審議概要があります。第1回目の審議は、第11回ヒト幹細胞の審査委員会で行われました。主な疑義として、1.のプロトコールについてですが、このプロトコールで行うためには、高知大学及びその関連施設で出生する全員の臍帯血を保存することになってしまうというご指摘がありました。さらに、この疑義については第2回審議に続いており、1.のプロトコールについて「発症頻度が低いためすべての臍帯血保存症例を対象とするのではなく、脳性麻痺のハイリスク症例を対象とできないか」というご提案をいただいております。
 それについて5頁の3.に(研究計画書)とあります。回答として、「高知大学で産科的にハイリスク妊娠と診断される妊婦に対し、出生時に臍帯血を採取し、これを凍結保存して、出生後脳性麻痺と診断された児に解凍し自家投与する新しい臨床研究と変更いたします」ということでした。
 ほかの疑義として3頁に戻って、第1回審議でこの臍帯血を保存するというステムセル社の行為は、「業としての受託を行っているのではないか」というご指摘がありました。そのご指摘に対し、5頁では「本臨床研究は、高知大学のみが臨床研究機関となるため、ステムセル社との関連を外している」というご返答をいただいております。
 さらに4頁の第3回審議において、品質・安全性についての疑義がありました。臍帯血から単核球の分離を行うのですが、その行う方法について開放型で分離するためにはセルプロセシングセンターが必要ではないかということでした。さらにその疑義について、第4回の審議で続けてCPC(セルプロセシングセンター)が完備できないようですので、その分離の方法については、閉鎖型でするのではないかとご指摘いただき、その標準作業手順書などをしっかり用意してほしいというご指摘がありました。5頁のいちばん下に、そういったことで「基準書・手順書を作成し、また訂正、加筆しております」。という返答をいただいています。以上、プロトコールや品質安全性について疑義があり、5回の審議を経て、了承となっております。
 57頁は、鳥取大学からの案件です。58頁に概要があり、73頁にポンチ絵がありますので、併せてご参照ください。平成23年2月28日の申請で「自己皮下脂肪組織由来細胞移植による乳がん手術後の乳房再建法の検討」です。対象としては、術後1年以上経過した症例の乳房変形ということになります。この乳房温存術後の陥凹変形に対し、自己皮下脂肪組織由来細胞移植による乳房再建術を行うというもので、脂肪採取を行い、脂肪組織分離装置を用いて、脂肪組織由来の幹細胞を得る。そうして得られた細胞溶液と脂肪組織を混合し、注入用機器を用いて移植するというものでした。
 次の頁から審議概要があります。第1回の審議は今年の5月の第15回審査委員会で行われました。主な疑義として、1.プロトコールについて、「脂肪細胞と脂肪組織由来幹細胞をそれぞれ分離しながら、また混合して投与する意味が明確でない。この混合比率について説明いただけるでしょうか」という疑義がありました。次の頁の3.(研究計画書)に「吸引脂肪を半分に分け、半分から幹細胞を分離・採取し、残りの脂肪半分は洗浄するのみとしている。これらを混合し、脂肪組織に対して脂肪組織由来幹細胞が増えたものを移植する。また混合比率については、先行する計画があって、そちらを参考にしている」との返答を得ています。ほかにも疑義はありましたが、第16回の審査委員会を経て持回り審議となり、了承となっています。
 90頁は、東海大学からの申請です。91頁に概要があり、110頁にポンチ絵がありますので、併せてご参照ください。平成23年3月3日申請の「細胞シートによる関節治療を目指した臨床研究」です。対象疾患は、外傷または変性により生じた膝関節軟骨損傷です。概要は、「膝関節軟骨損傷患者を対象として、関節内組織より単離した細胞を、温度応答性培養皿を用いて培養し、細胞シートを作製し、移植する」というものです。新規性については、細胞シートによる関節軟骨再生医療であるということ。また骨膜を使用していないといった新規性が認められております。
 審議概要については次頁からあります。第1回の審議は第15回の審査委員会でありました。1.プロトコールについて、「変形性関節症を対象とした動物モデル実験は実施されているか」との疑義がありました。
 次頁の3.の(研究計画書)に返答があります。変形性膝関節症の原因としては複数あるということです。これらすべてを統合して、変形性膝関節症を模倣できるような動物実験モデルは残念ながらない。ただ、自然修復が存在しない損傷モデルを使用して検討を行っているとのことです。また、これについては第2回審議が行われ、疑義が出た後、持回り審議となり、了承されております。
 127頁は、先端医療センターからの案件です。128頁に概要があり、140頁にポンチ絵があります。平成23年4月22日申請の「急性期心原性の脳塞栓症患者に対する自己骨髄単核球静脈内投与の臨床研究」です。概要は、「脳梗塞発症7~10日後の患者に対し、自己骨髄細胞を採取し、骨髄単核球分画を経静脈的に投与し神経機能回復効果と安全性を評価する」というものです。こちらは既にヒト幹を通っている国立循環器病研究センターとの共同研究を考えているとのことでした。
 次頁から審議概要があります。第1回審議は第15回の審査委員会でありました。主な疑義として、プロトコールについてですが、「今回の共同研究では先端医療センターは高用量投与の部分にだけ関わるように考えられると。そうすると安全性をみているところではあるのに、よりリスクの高い部分だけを他施設で行うことになるため、その部分について再検討をお願いします」。ポンチ絵に低用量群が骨髄液25mL、高用量群が骨髄液50mLとなっておりますが、その部分について、高用量部分だけを先端医療センターが行う形になるので、いかがかということだったのです。
 次頁の3.(研究計画書)ですが、国立循環器病研究センターでは既に低用量6症例の安全性に関する結論を報告書、サマリーを出しており、「研究継続に問題なし」と出ています。また、高用量にした場合に危険性が上昇する可能性としては、採取している骨髄液量から可能性は低いとのご返答をいただいています。以上のご返答をいただき、第16回のヒト幹審査委員会でも審査され、持回り審議となり、了承となっております。
 159頁は、徳島赤十字病院からの申請です。60頁に概要があり、179頁にポンチ絵があります。平成21年8月24日申請の「末梢動脈疾患患者に対するG-CSF動員自家末梢血単核球細胞移植治療のランダム化比較試験」です。この比較試験については、概要で札幌北楡病院等を中心とした計21施設による多施設共同研究ということで、この審査委員会に順次案件が上がってきており、そのうちの1つということになります。この研究の新規性としては、研究計画としてランダム化比較試験を用いている新規性を認めております。
 次頁は審議概要です。第9回のヒト幹の審査委員会にかかっておりました。倫理委員会の構成について、構成が不適当ではないかとの指摘がありました。それについては、第10回の審査委員会でもご指摘があり、回答としては、「ご指摘の点を考慮し、倫理委員会構成を改め、再審査を実施している」とのことです。第16回のヒト幹の審査委員で議論され、了承となっています。
 203頁は、先端医療センターからの申請です。204頁に概要があり、ポンチ絵が218~219頁にあります。平成23年6月28日申請の「慢性重症下肢虚血患者に対する自家末梢血CD34陽性細胞移植による下肢血管再生治療」です。対象疾患としては、慢性重症下肢虚血患者です。概要は、顆粒球コロニー刺激因子製剤を5日間皮下注射し、血漿分離にて静脈から単核球を取り出し、磁気細胞分離装置を用いてCD34陽性細胞を分離するというものです。取り出した細胞を血流の悪い下肢へ筋肉内注射にて移植します。
 次頁に審議概要があり、プロトコールについてですが、有効性の検証について、今回はヒストリカルな比較を検討しているということですが、それでいいのでしょうかということでした。さらに次頁に回答があり、3.の(研究計画書)に、本臨床試験は第?相後期に相当するものと位置付け、ヒストリカルな比較を行っています。さらに将来に第?相に相当する試験を行っていこうと考えているとのことでした。以上、6案件につきご報告しました。
○永井部会長
 ありがとうございました。ただいまのご説明について、ご質問、ご意見はありますか。
○宮田委員
 高知大の研究は、お子さんの障害を防ぐ可能性があるので、私も非常に注目しております。まず、もう少し明確にしていただきたいのは、保存する期間が問題になっていますよね。やり取りの中でステムセル・サイエンスというベンチャーが当初入っていて、それが除かれたのだと思いますが、その結果、この計画書を読んでも、採取するのは高知大学の小児科だということが明確にされています。保存方法は書いてあるのですが、保存するのは誰なのかというのは書いてないのです。たぶんそれは当然のことながら小児科だという暗黙の規定だと思うのですが、それをまず明確にしていただきたいというのが1点です。
 それから、48頁の研究に伴う補償という、患者さんに対するインフォームド・コンセントの説明の仕方が妥当かというのが、非常に悩ましいところです。「この研究に参加することで研究被害等の有害事象が生じる可能性はないため、研究に伴う特別な補償はありません。ただし、この研究に参加したことによって研究被害などの有害事象が生じた場合、医療費などについて特別な補償はありませんが、誠意をもって、早急かつ適切な治療を行います」というのは、日本語としてもひどいし、古くさい考え方です。臨床指針ができたあとの考え方の記述ではないと思うので、ここは是非とも無過失賠償責任が設定されているということを含めて、ここの説明の仕方は絶対直していただきたいと思います。
 それから、「全くリスクがない」と言い切っていいのかということも含めて、これは医学研究に対するこの研究者の姿勢として私は疑っております。
○今井専門官
 ご指摘ありがとうございます。まず1つ目の保存場所について明記されていないということについてですが、確認を取って明記できるようにしていきたいと思います。
 さらに48頁の補償についての記述ですが、現在のヒト幹の指針においても、臨床研究における指針に則り、そういった補償についての事項も定めております。まず、そういった臨床研究に関わる補償について確認を取った上で、それで補償が下りなかった場合に、こういった特別な補償がないという記述が許されることになっているかとは思います。ただ、この部分については、高知大学と再度検討をさせていただきたいと思います。
○宮田委員
 いまの説明をわかりやすく言うと、高知大学はひょっとして無過失賠償責任に入っていない可能性があると思うのですか。
○今井専門官
 臨床研究に関する補償は何社かされている様子ですが、そういった所に通したとして、その臨床研究が承認されない場合があるとのことです。そういう場合には通常の補償で対応する場合があるということです。
○宮田委員
 そうすると、「補償はありません」という記述は明らかに間違っていますね。
○今井専門官
 有害事象が生じた場合について、医療費等について特別に補償するのではありませんが、それ以降の治療については、大学のほうで。
○宮田委員
 いずれにせよ、そういった記述に至ったものを認めたワーキンググループの委員会が、どういう考えを持っていたかも含めて、高知医大だけではなくて、幹細胞の審査委員会は、このプロトコールを認めてしまったのでしょう。そういう委員会の見解も含めて教えていただきたいと思います。少し甘いのではありませんか。
○今井専門官
 この審査委員会においては、その研究の補償についても重大な事項と考えており、ご指摘のとおり、検討をさせていただいているところです。医療費について、特段プラスアルファに補償するということではありませんが、治療は誠意を持って行うという文言ではあったかと思います。
○宮田委員
 わかりました。いずれにしろ、委員会にもう一回差し戻していただいて、この文言を練っていただく。それは高知医大と一緒に少し文言をわかりやすくしていただく必要が私はあると思います。
○谷再生医療推進室長
 ご意見に基づいて委員会でもう一度確認し、無過失補償については高知医大に確認を取った上で、またこの会にご報告させていただきたいと思います。
○永井部会長
 わかりました。私は委員長ですが、この辺の議論は十分ではなかったと思います。ただ、これはほかの審査にもいろいろ関連がありますので、「特別な補償」という言葉の使い方、意味なども議論を深めて、もう一度こちらでお諮りしたいと思います。そういうことでよろしいでしょうか。
○相澤委員
 法的責任の問題ですので、法的な精査をしていただいたほうがよろしいのではないかと思います。
○永井部会長
 ほかにいかがでしょうか。もしご意見がありませんでしたら、ただいまの件については、もう一度審議をお願いするということで、次回お諮りすることにしたいと思います。そのほかの件については、もしご異議がありませんでしたら、このまま進めさせていただきたいと思います。
                   (了承)
○永井部会長
 以上、本日の予定された議事は終了いたしましたので、事務局から連絡事項等をお願いします。
○尾崎研究企画官
 次回の日程については、委員の皆様には改めて日程、開催場所についてご連絡申し上げますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
○永井部会長
 では、これで終了させていただきます。どうもありがとうございました。  


(了)
<【問い合わせ先】>

 厚生労働省大臣官房厚生科学課
 担当:情報企画係(内線3808)
 電話:(代表)03-5253-1111
     (直通)03-3595-2171

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(科学技術部会)> 第65回厚生科学審議会科学技術部会議事録

ページの先頭へ戻る