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2011年7月20日 第20回社会保障審議会医療部会議事録

医政局総務課

○日時

平成23年7月20日(水)10:00~12:30


○場所

厚生労働省省議室(中央合同庁舎第5号館9階)


○議題

1.医療提供体制のあり方について
2.次回の診療報酬改定に向けた検討について
3.その他

○議事

○医療政策企画官 ただいまから、第20回社会保障審議会医療部会を開会させていただきます。委員の先生方におかれましては、お足元の悪い中、またご多忙の中、ご出席賜りまして誠にありがとうございます。
 まず初めに、本日のご出欠についてご報告申し上げます。
 本日、代理の方にご出席をいただいておりますが、小島茂委員、山本信夫委員がご欠席です。また、上田清司委員、大西秀人委員からご欠席との連絡をいただいております。
 それでは議事に入ります前に、お手元の配布資料の確認をさせていただきます。
 お手元の資料は議事次第、座席表、委員名簿に続きまして、パワーポイント横置きの資料1、そして資料2-1から資料2-7までの資料です。資料3は補正予算の概要で、さらに委員提出資料として、中川委員、横倉委員からご提出のあった資料で、セットでお配りをしております。
 不足ございましたら事務局のほうにお知らせください。事務局からは資料確認等以上です。カメラ撮りはここまでということで、お願いいたします。
 それでは、以下の議事進行を部会長、よろしくお願いいたします。
○部会長 それでは、議事を続けます。
 まず慣例ですが、委員欠席の際に代わりに出席される方の扱いについてです。事前に事務局を通じて、部会長の了解を得ること及び当日の部会において承認を得ることにより、参考人として参加し発言をいただくことを認めることとしております。 
 本日の会議につきましては、小島茂委員の代理として、日本労働組合総連合会生活福祉局次長 伊藤彰久参考人、山本信夫委員の代理として、社団法人日本薬剤師会常務理事 森昌平参考人のご出席をお認めいただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
               (異議なし)
○部会長 はい、ありがとうございました。それでは議題に移ります。本日は、議題が2つあります。まず「医療提供体制のあり方について」、次に「診療報酬改定に向けた検討について」意見交換をしたいと思います。途中退席を予定されている委員におかれましては、この順序にかかわらず、ご発言いただいて構いませんが、その場合については、その旨を明示されてから、ご発言いただきますようお願いします。
 それでは、事務局から資料の説明をお願いします。
○医療政策企画官 それでは、事務局から資料の説明を申し上げます。今回、中身が2つに大きく分かれておりますので、まず冒頭に私のほうから資料1を中心にご説明申し上げ、以下、関係局のほうから資料2につきまして、ご説明申し上げたいと思います。
 まず、資料1をお開きください。2頁、今回は診療所関係と外来機能関係を中心に資料をおまとめいたしました。医療法上の「施設の定義」ということで、病院と診療所、助産所、薬局とそれぞれに定義があり、これは12月にも示した資料に含めているのですが、「病院と診療所の定義」といたしましては、量的なものとしては、患者の入院能力が20人以上か未満かという所が、1つの大きなメルクマールになっているというところです。
 次の3頁、これは「病床の区分」ということですが、診療所におかれる病床としては第4号と第5号で、「療養病床」と「一般病床」とされているということです。
 このように、施設そのものの大きな定義がございますが、こういったものについて、どういった役割、ないしは機能連携といった切り口で、どういうことを言及しているかということです。いろいろほかにも、個別の通知等々で出ているところがあるかもしれませんが、大きなものから拾ってきたものとして、医療計画の基本方針の中で、地域医療連携体制の中での役割ということで、その告示の要約です。医療連携体制の構築は、可能な限り早期に居宅等での生活に復帰する等々を考えながら、診療所については、有床診療所の特性など、それぞれの診療所が地域の中で担っている役割というものを考慮することであるとか。あるいは、かかりつけ医の機能を向上させていくということである。あるいは、業務連携等々を通じて、診療時間外の対応や対策の構築などを目指すべきではないのかということが提示されています。
 一方、病院と言いますのは、入院医療に対する24時間の対応ということで、適切な人員配置を通じた勤務環境の改善等々を取り組んでいただければということなどが、言及されているものです。
 5頁、精神医療をこの4疾病5事業の中に追加をするということで、先々週、ご議論いただいたわけですが、現時点の4疾病の5事業、医療計画の中で、個別の疾病ないしは救急をはじめとする各種事業について、地域の医療機関がどういう役割を担うのかということを定めていただくよう、4疾病5事業の中で、いろいろな機能というのが書いてあります。その中で、診療所にこういった機能が期待されるのではないのかということで、例示されているものをいくつか抜粋をしたものです。やはり、身近な地域の密着した医療機関として支え続ける医療行為であったりとか、あるいは初期の発見だとかを中心に、いろいろ書込みがされているところです。
 6頁からデータ編ということで、診療所の数自体は、これはかつて何回かご議論もいただきましたように、無床診療所が大きく伸びているという一方で、有床診療所の数は減り続けているという状況です。
 7頁の都道府県別の人口当たりの診療所数を、有床、無床、そして歯科診療所をそれぞれ棒グラフでお示しをしたものですが、東京都が非常に多い状態になっています。
 8頁は単位を細かくしまして、二次医療圏別の人口当たりにしてみたらどうだろうかです。それぞれ圏域名が370もありますから入りませんので、下に北海道・東北、関東というブロック名を書き入れさせていただきました。人口10万人当たりで見てみますと、全国平均では78.4カ所、それに対して、二次医療圏別で見ると東京の区の中央部圏域、こちらが300弱とかなり多くなっています。
 一方でいちばん少ない所は、根室の医療圏で32.9カ所ということで、人口10万人当たりで見てみると、それなりに差が出てくるのかなということです。
 次の9頁は、350近くの圏域を全部横に並べたものです。これを各都道府県単位でドットでお示ししたものです。それぞれ県の中で人口当たりの箇所数、特にそれなりに差がある所と、思ったほど差がなくある程度均霑している所もあり、地域性がいろいろあるという状況を見てとれるかと思われます。
 10頁が人口10万人当たり診療所の数に応じて、医療圏の数と分布を見たものが左側です。右側は病院、診療所の人口当たりの従事医師数の分布という形を見たものです。
 11頁ご覧いただきますと、ほかの要素とは何かということで、人口当たりの病院数と診療所の数ということで、これは相関がないということです。
 12頁からは同じように、歯科の診療所についてグラフ化してみたものです。人口10万人当たりで見ると、歯科の全国平均のが8.7カ所、二次医療圏別で見ますと、こちらも東京都の区の中央医療圏が200数十と、他の圏域に比べてかなり多くなっています。いちばん人口当たり少ない所は、福井県の嶺南医療圏で29.3になっているということです。
 13頁は一般診療所と同じように各都道府県単位で、二次医療圏ごとの施設をドットで示していることになります。
 14頁にここは開設者別の病院・診療所・病院病床それぞれの数ということが、これは以前ご覧いただいたのと同じです。
 15頁に診療科ごとに、どういう標榜をしていらっしゃるかグラフにしたものです。見てみますと、やはり数的には、内科、小児科、外科と横断的な診療科を掲げておられる所が多いことが、ある程度見てとれるのかなと思います。
 16、17頁は、有床診療所、無床診療所をそれぞれ分けてみたところですが、有床診療所の場合は、やはり外科とかが、入院設備を伴うということになるのでしょうが、そういう所がちょっと目立つということになります。無床診のほうは、やはり内科が非常に目立つ所だと思います。
 18頁は、参考までに病院のグラフです。
 19頁は、一般診療所の診療科目数は、どうなっているのかということで、平均すると2.いくつということで、そんなに時間的な変化もないということですが、それぐらいの規模であるということです。
 20頁は、医療機器の設置台数ということで、やはり、機器になると病院の設置のほうが、もともとの施設規模から類推していただくとおわかりになると思いますが、機器というのは病院に置かれているのが多いことが伺えるかとは思います。
 21頁からは「患者さんの動き」ということですが、全体の外来の患者さんの数でみますと、総数700万弱の外来患者数に対して、一般診療所での外来患者数は400万弱で、歯科診療所の数が130万、対する病院のほうが170万という数字になるということです。
 以下3頁ほど、傷病大分類なので大雑把な区切りになってしまいますが、大分類別にみた患者数、それぞれ実数としてどうなっているのかということです。24頁が、それぞれ診療所、病院での外来患者の中でのパーセンテージ、それぞれの疾患別にどうなっているのかということと、それと25頁、こちらは、それぞれの大分類別の外来患者さんについて、診療所のほうで診ておられる外来患者さんの割合というのは、どうなっているだろうか、推移を見たものです。疾病分野によって、ちょっとでこぼこで、新生物だと病院のほうのシェアが高くなるということにはなります。
 27頁をご覧いただければと思います。「外来患者の受入状況」ということで、患者延数とか、初診患者数でどうみるかということです。一方で、診療時間外の受診者延数というので、3つ並んでいる中のいちばん下をご覧いただきますと、診療所で時間外受診される方というのは、時間外受診者数全体の中の4割強ということで、それなりの数を時間外ということで、診療所でカバーしていることが伺えると思います。各県別のいくつか関連性のデータを2頁ほどお付けしています。
 30頁は「表示診療時間」ということで、18時以降表示しているところがどうなっているかというのを、30、31頁とお付けしていますので、この点、またご参照いただければと思います。
 32頁、在宅当番医制、先ほどの時間外の所で、診療所のシェアとして4割以上ということで、活動している状況がみれるということだったのですが、見てみますと在宅当番医制への参加状況、これは地域によって差があるということです。31頁は近畿は表示時間といいましょうか、診察時間は夜遅い時間帯までやっていらっしゃる所も多いからということで、相関もある程度あるのかもしれません。状況はかなりばらつきがあるところです。
 一方で一般診療所で、夜間救急の対応は可能かどうかということについて33頁ですが、それなりにばらつきはありますがザクッと申し上げれば、この赤丸をつけてる中のいわゆる地方と言われる所で、ちょっと高く実施可能ですと答えられる診療所が多いという傾向がみられるのかなと思います。
 それを相関をとってみたのが34頁です。「在宅当番医制」に参加する一般診療所の数と夜間救急対応可能だとお答えになっている診療所の割合の相関を取ってみると、これは統計上の緩やかな相関があることになります。
 一方で、人口10万人単位の二次救急に対応可能な病院の数と夜間救急対応の可能な診療所の数と見てみると、これは緩やかな逆相関です。これは地域によって、いろいろな状況があると思います。こういった状況に応じて、それぞれ体制を組んでいくしかないのかなというところですが、こういった相関がみられるということです。
 35頁からあとは「在宅医療」ということで、これは12月あるいは2月に在宅医療をご議論いただいた際にも、ご覧いただいたグラフとかなり重複いたしますので、説明は割愛させていただきます。37頁「往診・訪問診療の状況」などが緩やかですが、伸びていることなどが窺えるのではないのかと思います。ここで、在宅療養診療所、届出の数は増えておりますが、なかなか訪問診療あるいは看取りの取組みなど、実績にばらつきがあるところなども、12月あるいは2月にご議論いただいたところです。
 こういった診療とは別に、41頁、42頁、健診・保健指導の関係もデータをお付けしておきました。各県ごとの実施の割合といいましょうか、取組みの割合もお付けしております。
 43頁、44頁は、医療費の面で見たらどうなるだろうかということですが、43頁をご覧いただきますと、医療費の中で入院といいますと大体4割ぐらいで、それ以外は入院外と言われるものです。その中で入院外と言われるものの中で、医科の入院外というのが、つまり病院、診療所の外来。それに当たるのが、平成21年度の35.3兆円の医療費のうち、36.1%の割合があったということです。これは、入院外の所について施設種類別の内訳で見たのが44頁ということになりますが、わずか5年の間ですのでそう大きな変動はないのですが、病院と診療所の中での医科の入院外というところのシェアを見てみると、大体4:6という割合で推移をしてきているということです。
 45頁が入院外の医療費を病院と診療所で見たものということになりますが、レセプト1枚当たり、つまり、1件当たりの点数、あるいは1日当たりの点数というので見てみますと、薄緑の診療所に対して病院のほうのは、若干高く出ている。これは診療内容とか、通ってこられる患者さんの状態像などから出てくる違いが、医療費になって差が現れてくるのかなというところが窺えるところです。
 続きまして、47頁からあと「有床診療所について」、診療所における入院機能の状態ということです。48頁は「年齢構成」ということで、見たとおりのままです。若干診療所の年齢構成を見ると75歳以上、緑の部分のシェアが大きくなっているということです。これは、やはり地域に根付いてお年寄りに至るまで、いろいろ診療活動をやっておられる1つの反映かと思いますが、こういうふうに年齢構成の違いが出ているということです。
 あと以下3頁分「傷病分類別に見てみたもの」です。51頁をご覧いただきますと、もともと病床数の中で見ると、病院のほうがかなり多いということと、それと有床診療所、先ほど最初のほうのグラフでご覧いただきました減少傾向にあるということなのです。平成20年のほうが若干シェアを落としている疾病が多いということです。そんな中でも、やはり、お産の関係といったところでは、かなりシェアとしては保っているかもしれない。かなりの事例を、出産例をとり扱ったというのが窺えるのかなというところです。
 52頁、地域的に見ますと、入院患者の中でも、特に九州、四国といった辺りでは、入院患者の中でそれなりのシェアを受け持っておられるのが、窺えるのかなというところです。
 53、54頁は、平均在院日数等々の関連するデータをおまとめします。55頁は施設数、ないしは病床数の動きというのを平成19年~平成21年と直近3回分の統計からとってみたものです。こういった特にベッドの数とか、ご覧いただければと思いますが、こういうふうに減っているほうが多いところが、全体としての診療所有床数の減少というところの内訳になるということです。
 56頁は、前回の医療法改正で、どういった改定が行われたかということです。平均在院日数の動向をとってみると、病院の一般病床等とあまり変わらないこともあって、48時間という原則、入院48時間と言っていた制限規定が撤廃されるということと合わせて、基準病床数制度の対象、医療計画上の病床数の対象になるというふうに変わったということです。
 58頁から、従事者の関係ですが、病院で170万人強、180万人ぐらいの方が従事しておられます。一方で診療所でも一般診療所で70万弱、歯科診療所で30万人の方が従事をしておられると、内訳は以下に示したとおりです。
 59頁は、人口10万人当たりの医師数を、いつも示している棒グラフですが、この中で、病院従事者を1としたときに、診療所で従事される医師は、どれぐらいの割合なのかというのが青色の折れ線グラフで示したものですが、病院の病床数が多いとよく言われる高知県を見てみると、やはり、病院で従事される医師の割合が高くて、診療所で従事される方は少ないということで、折れ線グラフでも下になっている。
 一方で、群馬県とか三重県とか、あと兵庫、和歌山。こういった所は、病院で従事される医師さんの数と比べてみると、診療所に従事していらっしゃる医師の数もそれなりにいらっしゃるということで、高めの割合に出ているのです。
 61頁の人員配置標準ですが、こうした体制というか医師配置の状況ですが、病院についてはご案内のとおり、入院、外来それぞれについて、医師、歯科医師、看護師、薬剤師等々、人員配置標準が定められています。
 一方で、今日議題とさせていただいている診療所の関係は、療養病床部分についてのみ、配置という標準が定められております。それを表にしたのが62頁です。以下、63頁以降、時代に応じてこういうふうな見直しが行われてきましたということでの変遷をお付けしております。65頁からあとは、こういった配置標準との関係で、医師の勤務環境との関係も出てきます。これは、昨年の11月にご議論いただいた際の資料をまた使いまして恐縮ですが、診療報酬との絡みで業務の負担あるいは負担軽減、負担感はどういう所に感じるのかというのをまとめたのを、再度お付けしています。ご参照いただければと思っております。
 どういった論点を考えているのかということの説明の前に、1点、ちょっとこういった人員配置の関係でご報告も兼ねまして、71頁に前回最後に口頭で途中経過といいましょうか、申し上げた歯科医師の配置標準に関する3月9日、医療部会での指摘事項に関する報告です。昭和31年以前は、72頁の下の条文にございますように、いまの医師配置と同じように、歯科医師につきましても、入院患者は16人に対して1人、外来患者は40人に対して1人と計算するような計算式になっておりますが、それが昭和31年に病院の実情に応じて必要と認められる数、外来の歯科患者さんに対しては、実情に応じて必要と認められる数と変わった経緯はどうなっていたのかというご指摘がございましたが、改定される前の条文自体は、このようにみつかったのですが、誠に申し訳ございません。50年経ちまして、もう一度、地下倉庫に再度行ってみたのですが、資料が見つかりませんので、詳細な経緯は不明です。やはり、当時の歯科関係の患者さんの受診の状態とかを見て、決められたのだとは思うのですが、ちょっと詳細なところは不明です。
 2点目、歯科を標榜する病院の場合の配置の現行条文の解釈の問題です。入院患者16人まで1人で、さらに外来患者について必要と認められる数、状況によって必要と認められる数となるので、そうすると条文の読み方上、入院と外来と両方に患者さんがいた場合には、入院部門に1人、外来患者でさらにもう1人と、最低でも2人要るというふうになるのか、そうではないのかというようなご指摘がございましたが、基本的に歯科の入院患者がいる場合には、最低1人と読む条文にはなっています。「入院患者に専ら専念してください。なお、外来が来たときには、そこはまた別途です。」というふうなことを要求するような趣旨ではございませんので、せめて入院患者への対応状況を見て、余裕があれば、当然お1人で外来患者の分を兼ねていただくということは、可能になってくるということです。
 最後の○が、歯科の患者さんが1人でも入院でいれば、歯科医師が必要になってしまうのかというところですが、現行の施行規則上は、入院患者の数が16人までは1となっていますので、入院患者さんが1人の場合であっても、計算上は1人配置をお願いをするということになります。その上で、どのように指導するのか、対応するのかということになってくると思います。以上、ご報告です。
最後の頁です。論点として掲げておりますものは、外来機能、外来診療のあり方につきまして、昨今の状況を踏まえて、今まで言われていないようなことで、何か新たに掲げるべきことなどがありましょうかということと、一口に外来機能と申しましても、病院、診療所、それぞれどういったものがあるのだろうか。
 2つ目の○として、地域に密着した小規模の入院設備を持っている有床診療所ということで、地域の支援としてみたときに、これからの地域の有様とか、あるいは、世帯の有様を見たときに、その特性を活かして、何か期待すべき事柄とか、あるいは機能強化の方向とか。何か考えられないのか。
 3点目として、医療アクセスとか、あるいは一部都市部で、過当競争になるような診療科もあるのではないかとご指摘もありますが、こういった地域の偏りの1つの見方としたときに、先ほどご覧いただきましたような診療所の地域ごとの状況というものをどのように捉えて考えていけばいいのか。
 4点目が時間外診療への対応、地域の救急医療体制の参画状況とか、いろいろ活動状況にばらつきがあります。あるいは、1回目、2回目のご議論の際には、いわゆるビル診療といった形で、9時~5時で閉じてしまうというご指摘もあったかと思いますが、いろいろな活動の状況がございますが、そういったことについて、地域の医療提供体制とのかかわり度合いというのをみたときに、位置づけとか機能とか、そういった面でどのような対応をしていけばいいのか、何か考えることがあるのか。
 5点目として、今後の外来機能があるべき姿といいましょうか、目指すべき方向性というものを考えたときに、外来機能における病院、診療所それぞれに役割分担であるとか、あるいは、医療が高度化しているという大きな傾向、こういったものを踏まえて、いまある人員配置、施設、設備等々の中身について、どのように考えていきましょうかという辺りを論点として、提示をさせていただいています。
 それともう1つ、医政局から資料3、縦置きの資料で、二次補正予算(案)ということで、まさに予算委員会で審議をいただいているところですが、東日本大震災復興に向けてのマスコミ等で1.5次と言われておりますが、第二段の補正予算ということで、二重債務問題への対応などいくつか項目を盛り込んでいるところです。世間で言われていますように、さらに本格的な復興に向けての第三次補正予算などというのも、話題に登っております。さらに、引続きどういった復興施策が必要か検討していきたいと思っています。二次補正予算については、こういう項目を盛り込んでいることのご報告です。
 それでは、引き続きまして、保険局のほうからご説明申し上げたいと思います。
○保険局総務課長 お手元の資料の2-1~2-5に沿ってご説明をさせていただきます。資料2-1をご覧ください。資料2-1は平成22年度の診療報酬改定のスケジュールと改定に至る流れをまとめたものです。診療報酬の改定につきましては、資料2-1にありますように、基本方針について社会保障審議会、本医療部会と明日開催予定の医療保険部会でそれぞれご議論をいただきまして、診療報酬改定の基本方針を策定していただきます。また、改定率につきましては、内閣のほうで予算編成過程において、診療報酬の改定率が決定をされるということで、この基本方針と改定率を受けて、中医協におきまして具体的な点数の設定に係る審議が行われ、点数が決定をされるという形になっております。今回はこれとは別に、社会保障・税一体改革の成案が取りまとめられておりますが、この中で診療報酬、介護報酬を体系的に見直していくということが盛り込まれています。こういう点も含めて診療報酬の改定に向けた議論が進められるべきものと考えています。本日は以上のようなことを踏まえまして、次回の改定に向けて、まずは医療部会で自由討議の形でご議論をお願いしたいという趣旨です。
 資料2-2をご覧ください。資料2-2は、平成21年の12月8日に社会保障審議会医療保険部会と医療部会の連名で取りまとめられた平成22年度の診療報酬改定の基本方針を、参考までに配付させていただきました。この基本方針は、1頁に「基本認識・重点課題」というところで、それぞれの部会において様々なご議論があったことを踏まえて、いただいたご意見を書いております。2頁は太字で下線が引いてあるところですが、議論を踏まえた上で平成22年度診療報酬改定においては、「救急、産科、小児、外科等の医療の再建」というのが1つの重点課題です。もう1つの重点課題が「病院勤務医の負担の軽減(医療従事者の増員に努める医療機関への支援)」、こういった2つの点が重点課題として取り組むべきというご提言になっております。
 それから、2頁の2の「改定の視点」につきましては、「充実が求められる領域を適切に評価していく視点」として、例えばがん対策、認知症対策ということが挙げられ、次の○で、「患者から見てわかりやすく納得できて、安心・安全で生活の質にも配慮した医療を実現する視点」が2つ目の視点です。3つ目は2頁の下になりますが、「医療と介護の機能分化と連携等を通じて、質が高く効率的な医療を実現する視点」です。3頁ですが、「効率化の余地があると思われる領域を適正化する視点」の4つが診療報酬改定の視点として位置づけられるべきというご提言をいただいたところでございます。
 これを踏まえまして、3頁以降、より具体的な基本方針をいただいておりまして、全部はご紹介できませんが、例えば1の重点課題(1)「救急、産科、小児、外科等の医療の再建」というところでは、2つ目の○ですが、地域連携による救急患者の受け入れの推進、小児や妊産婦を含めた救急患者を受け入れる医療機関に対する評価、新生児等の救急搬送を担う医師の活動の評価や、急性期後の受け皿としての有床診療所も含めた後方病床・在宅療養の機能強化、手術の適正評価などについて検討するべきであるというご指摘をいただきました。これを踏まえて、それぞれの点について、中医協でご議論をいただいたということになります。
 2つ目の重点課題は、本日の医政局からの資料にもありましたが、病院勤務医の負担の軽減といった指摘について、医療クラークの配置などについてのご提言が挙げられました。
 4つの視点につきましても、充実が求められる領域という1つ目の視点につきましては、がん、認知症に加えて感染症、肝炎対策、質の高い精神科入院医療の推進、歯科医療の充実といった点が書かれています。また、医療技術や医薬品についてのイノベーションの適切な評価という点でもご提言をいただいております。
 例えば2つ目の視点、3つ目の視点の医療介護の機能分化では、在宅医療や訪問看護、在宅歯科医療の推進といった点についてもご提言をいただいています。
 大きな?としましては、前回の平成22年改定に向けた基本方針の1つの特色でしたが、後期高齢者医療制度の施行後の初改定ということで、後期高齢者医療の診療報酬につきましては、75歳以上という年齢に着目した診療報酬体系については、後期高齢者医療制度本体の見直しに先行して廃止するというようなことが書かれています。こういった基本方針を受けて、中医協で定められた診療報酬改定の概要が、資料2-3です。これも全体を詳しくご説明する時間がありませんが、例えば先ほどご指摘をいただきました救急医療につきましては、資料のスライド番号2番目で救命救急センターの評価です。救命救急入院料の充実段階Aの加算を500点から1,000点へ引き上げる。こういった内容の救急の評価が行われ、産科・小児医療の評価につきましては、スライド番号3番目でそれぞれの点数の引き上げが行われております。また、病院勤務医の負担軽減ということにつきましては、資料の4頁で点数の改定が書かれています。
 このように、本部会、医療保険部会でまとめていただきました基本方針につきましては、改定率の中ということですので、財源には限りがありますが、その中で重点的な評価を行わせていただいたということです。
 先ほどの説明と関連するところで言いますと、例えば診療所の中で有床診療所の評価につきましては、スライド番号9番で入院基本料の再編成が行われましたし、医療介護連携ということでは、地域連携の評価ということで、急性期、回復期から在宅復帰後まで視野に入れた三段階の地域連携診療計画が初めて評価をされたことが、10頁に書かれています。
 それから、精神入院医療につきましては14頁で評価の充実について、また15頁から17頁に歯科医療の充実について書かれておりますし、在宅医療につきましては26頁、訪問看護については27頁以降に書かれています。また、調剤については30頁に書かれておりますし、後発医薬品の更なる使用促進については31頁に、前回の改定で行われた主な項目が記入されています。
 このような診療報酬改定が前回の改定でまとめられたわけですが、その際に、中医協の意見がまとめられています。これが資料2-4です。平成22年2月12日に中医協の会長名で答申書が出されており、答申書の別添として改定に当たっての中医協の意見がついています。これもすべてをご説明する時間はありませんが、例えば1のところで、「再診料や外来管理加算、入院基本料等の基本診療料の在り方についての検討を行うほか、財政影響も含め、見直しの影響を検証するとともに、結果を今後の診療報酬改定に反映させることなどを中医協として重点的に検証すべき」という項目につきましては、いくつか列挙されています。
 例えば2にありますように、慢性期入院医療の在り方を総合的に検討するためということで、一般病棟、療養病棟、障害者病棟を含めた横断的な実態調査を行って、改定に反映させることというような調査を行うべきというご指摘をいただいています。
 3番にありますように、先ほどご紹介をいただきました社会保障審議会の基本方針を受けて、重点課題として評価した事項につきましては、見直しにおける影響を検証するとともに、その結果を今後の診療報酬改定に反映させるというようなご提言をいただいたところでございます。
 その他、多数の項目にご意見をいただいておりますが、11番につきましては、診療報酬と介護報酬の同時改定に向けというようなことが出てきますが、従来のスケジュールでいきますと、平成24年の改定が診療報酬と介護報酬の同時改定になるということを踏まえて、同時改定に向けて医療・介護サービスが切れ目なく円滑に提供されるよう検討を行うことというご意見をいただきました。
 また、16番のところで、特に個別的に調査・検討を行う事項としまして、チーム医療の役割分担、以下(1)から(5)にわたる点につきまして、調査・検証を行うことというご意見をいただいています。これを踏まえて中医協のほうでは結果検証を行っていまして、資料2-5をご覧いただきたいと思います。診療報酬改定の結果検証ということで、検証作業が検証部会におきまして行われております。中医協の検証作業が行れている項目ですが?です。特に先ほどご紹介をしました基本方針の重点課題の2つ、それから4つの視点それぞれにつきまして、中医協で項目を立てまして、平成22年度、23年度両年にわたりまして調査が行われ、検証部会で検証の議論が行われているという状況です。資料の説明は以上です。
○大臣官房企画官 老健局企画官でございます。事務局からの資料説明が長くなって恐縮でございます。私のほうからは、資料2-6に沿いまして、介護保険法の改定についてご説明いたします。今回の法改正は本年6月に成立しておりまして、一部を除きまして来年4月からの施行となっております。
 1枚目の資料には今回の改正項目の一欄を掲げさせていただいています。この場におきましては、特に医療との関係が深い改正項目として、1枚目のスライドの下線のついている事項について説明をさせていただきます。
 2枚目のスライドをお願いします。今回の法改正の大きな主旨は地域包括ケアシステムを実現するということで、まず理念規定としまして、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが連携した包括的な支援を推進するということを、国と自治体の責務としまして、今回法律に明確に位置づけております。5つの視点ということで整理しておりまして、?医療との連携強化。要介護者においては重度化につれて医療ニーズも高まってくるという中で、医療との連携強化が地域包括ケアの中で重要だということで、継続的、入院、退院、在宅復帰を通じて切れ目のないサービス提供を実現していくということです。
 次のスライドです。介護保険事業計画ですが、この計画は介護保険給付の円滑な実施をするということを目的として、各市町村が3年ごとに見直し、策定するということになっています。次回の計画改定は第5期、平成24年度~26年度までの3カ年ということです。この計画を作る際には、日常生活圏域のニーズで実態把握をした上で、介護サービスの種類ごとの見込み、必要、利用定員等の見込みを計画に記載するということになっております。今回の改定では右下の水色で塗ってある部分につきまして、地域の実情を踏まえて、市町村が努力義務として記載する内容として新たに追加しております。2つ目に在宅医療の推進を記載しております。
 次のスライドです。新しいサービスを今回創設いたしました。地域包括ケアの1つの大きな柱ということで、今後サービスが拡大・発展していくのではないかと期待しています。これまで施設に入所されていたような重度の方につきましても、今回創設しました24時間対応の定期巡回・随時対応サービスによりまして、在宅の生活の限界点を高めていきたいということです。具体的なサービスは訪問介護と訪問看護が一体的あるいは密接に連携しながら、短時間の定期巡回型訪問を行うということです。下の※に書いてありますが、在宅医療ニーズへの対応も高まりますので、在宅療養支援診療所と地域の医療機関との連携も、いままで以上に重要となってくるということです。
 次のスライドは復合型サービスの創設で、現行の制度では小規模多機能型居宅介護と訪問看護というのは、別々の事業所から提供されなければいけない、契約も別々の契約が必要でした。今回の法改正の施行後は、同一の事業所から小規模多機能型居宅介護と訪門看護が一体的に提供が可能になります。これによりまして、医療ニーズの高い要介護者の方への支援を重視することが、可能になってくると期待しています。
 介護療養病床の取扱いです。介護療養病床につきましては、平成18年の法改正で平成24年3月31日までに介護施設等に転換し、介護療養病床という制度は廃止されることとなっておりましたが、平成18年時点で12万床あった介護療養病床が平成22年6月時点では約8.6万床残っており、転換が必ずしも進んでいない現状です。今回の法改正では、これまでの政策方針を維持しながら、現在存在するものにつきましては、6年間転換期限を延長することとしております。ただし、平成24年度以降、新設は認めないことといたしております。3つ目は追加的支援策ということで、今後、介護給付費分科会でも議論をしていただくことになっています。
 次にたんの吸引等の実施のための制度について、今回社会福祉士及び介護福祉士法を改正しております。この法改正によりまして、介護福祉士及び一定の研修を受けた介護職員等は、一定の条件の下にたんの吸引等の行為を実施できることとしております。具体的な行為につきましては省令で定めることとしておりますが、現在、想定されていますのはたんの吸引、経管栄養です。施行につきましては、平成24年4月1日ですが、介護福祉士につきましては養成カリキュラムの関係上、平成27年4月からの施行となっております。
 最後に、地域包括ケアの柱の1つである住まいについて、今回国交省との共管によりまして、高齢者住まい法を改正いたしました。これによりサービス付き高齢者住宅という新たな住まいの体系を作りまして、ここに住まわれている方に対して、左下の赤い枠で囲まれているような、介護保険あるいは医療保険、外部からのサービスを提供していく。それによって施設に入ることなく在宅での生活を可能にすることということで、地域包括ケアの1つの柱として、今回改正しました。介護保険法の改正、医療関係については以上でございます。
 次に、資料2-7をご覧ください。介護報酬の検討状況について簡単にご説明いたします。本年4月から夏ごろにかけまして、5回、各テーマに沿った関係団体をお呼びしましてフリートーキング、ヒアリングを行っております。5月30日には、医療と介護の連携についてということで、医療から介護への円滑な移行のあり方、医療ニーズの高い要介護者の方への対応の強化へのあり方などにつきまして、フリートーキングをいたしました。今後につきましては、秋頃、介護事業経営実態調査がまとまりますので、それを踏まえて12月中旬には基本的な考え方の整理・取りまとめ、1月には諮問・答申というように考えています。説明は以上です。
○部会長 ありがとうございました。それでは、以上の説明、資料を踏まえて、医療提供体制のあり方について、委員の皆様からご意見を伺いたいと思います。なお、委員間の活発な意見交換をお願いできればと思いますので、お1人当たりのご発言は、できる限り簡潔にお願いいたします。
○横倉委員 有床診療所について資料を出しておりますので、まずそのご説明をさせていただきます。実は有床診療所につきましては、昨年12月の医療部会でも資料を提出させていただきました。本日は資料?「医療提供体制の中での有床診療所の活用について~その2~」ということでの資料を出させていただきました。私ども日本医師会の中に、有床診療所に関する検討委員会を作っております。そこでいろいろご議論をいただいて、先般、中間答申がまとまりましたので、本日出させていただきました。本期のこの委員会に対する諮問は、「次期同時改定を見据え、有床診療所の安定経営と安心医療のより一層の充実のために、-次世代につなぐ有床診療所-」というテーマでございます。
 2枚目の下段に、有床診療所の5つの機能ということで、これについては12月のこの部会で報告をさせていただいたとおりで、地域で様々な役割を担っているというわけですが、なかなか診療報酬上の評価も十分ではない、また後継者問題等々で、減少の一途をたどっているというのが先ほど厚労省の資料の中にございました。
 3頁の有床診療所の施設体系としての理念ですが、先ほどお話がありましたように、有床診療所の現行の医療法上の定義は、「19床以下の患者を入院させるための施設を有するもの」と定義されております。今後、有床診療所が地域においてその機能を十分に発揮して、また、世代間交代ができる、ある程度地域で永続的に役割を果たしていくためには、その理念、いわゆる有床診療所の理念を医療法に示すべき時期ではなかろうかということです。有床診療所の施設体系としての理念として、3つの理念を掲げさせていただきました。1.かかりつけ医が自ら外来・在宅と一連で入院医療を実践する医療施設ということ。2つ目に地域に密着して地域医療・地域ケアを支える患者主体の入院施設であるということ。また3番目には専門医療を提供するための小規模入院施設という役割も、特に先ほどの資料の中にもありましたように、産科、眼科等々の専門治療を担っている有床診療所がかなりあるということです。
 4頁です。有床診療所のあり方と法制上の位置づけです。上記に述べましたような、有床診療所の理念を実現して、国民に質の高い医療を提供していくためには、やはり次のように位置づける必要があろうかという委員会からの提言です。1つ目は「診療所病床」というのは、外来医療・在宅医療と一連で入院を実践する19床以下の小規模病床であります。いわゆるプライマリケアの実践において、外来医療及び在宅医療を補完するための病床という位置づけを明確化してはどうかということ。そして2つ目には、1人以上の医師と必要数の看護職員を配置することによって、国民の方に、安心して外来から継続する入院医療の提供が地域でできるのではないか。3番目には、現在は病床区分が一般病床と療養病床と2つに分けられています。療養病床は医療療養と介護療養というように保険適応も2つ区分の違うものがあるわけで、現行3種類に区分されています。19床しかない病床を細分割してということがなかなか難しいということで、その辺の運用についても少し考える必要があるのではないかということです。4つ目の小規模施設に相応しい独自の診療報酬体系を作ってほしい。5つ目の基準病床数の柔軟な運用と医療計画における役割の明確化も提案されているところです。それぞれの問題がいくつかあろうかと思いますが、有床診療所のあり方について、このように考えていただきたいと有床診療所を運営をしている地域の医師からの要望でございます。
 6頁ですが、今日は診療所の機能ということでの議論であろうかと思います。地域医療の中の診療所はどのような位置づけかといいますと、やはり地域の診療所は、それぞれの専門分野をベースに「かかりつけ医機能」を担っているのではないか。特にかかりつけ医機能ということは、どういうことかと言いますと、患者の身近で患者さんが持つ医療、保健、介護、福祉の諸問題に合わせて対応して、その患者にとって最良の解決策を十分な説明とともに継続的に提供すること。いわゆる近くの先生がいろいろな相談にのれる機能ということが、重要であろうと思っています。
 先ほど介護保険の高齢者からのお話がありましたように、地域包括ケアシステムの中で、地域密着の診療所がほかの医療機関や介護福祉施設、また行政との連携をさらに強化して、かかりつけ医機能を発揮していくことが望まれておりまして、ほかの周辺の施設の理解、住民の理解を得るとともに、私どもが行っております障害給付などを利用した、新しい知見の習得を継続していくものでございます。有床診療所については、先ほど述べましたように、「かかりつけ医機能」とともに、その病床を幅広く活用していくことが望まれるということで、身近な入院施設としての、高齢者社会の中で介護については施設体系が様々な位置づけにされております。そういう中で、有床診療所の医療及び介護の橋渡し役としての位置づけをお考えいただきたいと思います。以上です。
○部会長 ほかにいかがでしょうか。今日は診療所がテーマですが、医療提供体制について。
○渡辺委員 ちょっと違った角度から、有床、無床を問わず、診療所に求められる機能というのは、これまでも例えば時間外診療、あるいは在宅医療ということが極めて求められているということが言われてきて、私の経験でも、相当、10年、20年経っていると思うのですが、ただ、なかなか実行に移されない。そのためにはいろいろなサポートが当然必要になってきます。例えば診療報酬上の手当ても必要かもしれませんが、私が申し上げたいのは、行政、特にいちばん地域に身近な市町村行政の役割とサポートというのが診療所にとって極めて重要ではないかということです。全国でいろいろな現場を見てきて、市町村行政が大変熱心な所の診療所というのは、在宅、時間外も行っているという例もいくつもみられますので、そういった意味での市町村の協力、後押しが極めて必要ではないかと思っています。
 一例を挙げますと、神奈川県に海老名市、綾瀬市、座間市という3つの市があります。そこは小児医療が非常に危機的な状況だということで、住民の希望で、市議会に働きかけて、その3市が苦しい財政の中で2,000万円ずつ6,000万円出しまして、小児医療の確保に踏み切った。その結果、診療所でも小児科中心、あるいは内科も含め約25人がやりましょうと手を挙げて、午後11時までは診療所が責任を持つ。午後11時以降は近くの北里大学大学病院が責任を持つという格好で、住民に安心感を与えたという例があります。2,000万円という1つの市にとっては大変巨額なようですが、診療所のほうは患者数が大変増えたということで、いまでは1,000万円でいいというような状況になっております。つまりお金だけがすべてではないのですが、そういった行政が一生懸命診療所を支援、サポートしているというところが、これからも必要ではないかと私は思っています。特に市町村はいうまでもなく介護保険を持っているわけですので、医療との関わりが、これからますます必要になってくるという意味で、市町村行政の果たす役割に大変期待しています。
 ただ、もちろん市町村だけでやるというのは、なかなか財政上厳しいし、市町村といっても、1,800余りの中で格差もいろいろあるので難しいのですが、市町村に、そういったサポートができるような体制を国及び県が作っていただきたい。そうでなければ診療所の本来の機能が全国、北海道から九州、沖縄までの各地域において、なかなか発揮できないのではないかと私は思います。そういったことで、市町村だけではありませんが、そういった行政のサポートによって、診療所の役割が発揮できるようにしていただきたいと思います。
 もう1点だけ。いまお話があったように、やはり診療所の役割としては、総合的に「かかりつけ医機能」を発揮できるような体制。これも併せて整備していただきたいと思います。以上です。
○部会長 ありがとうございました。
○光山委員 診療所につきましては、いま渡辺先生、横倉先生がおっしゃったように、身近なかかりつけ医としての位置づけ、有床無床に私は関わらないと思いますが、医療機関として連携しながら、日常の疾病患者から、初期の救急対応まで、地域医療を支えていただくことが期待されているのが診療所だろうと思っております。
 特に高齢化が進む中では、従来の外来の機能に限らず、在宅療養の支援の強化に力点を置く必要があります。現在、在宅療養支援診療所の位置づけというのはすでにあるわけですが、先ほど横倉先生がおっしゃるように、診療所が一体どういう役割、理念、ポジショニングを持ってやっていくのかということを、診療報酬ではなく、医療法において明確にしてはいかがでしょうか。加えて、自治体の関与という話がありましたが、医療計画に具体的な整備目標、役割分担であるとか、診療の時間の問題であるとかも具体的に盛り込んでいくことも必要ではないでしょうか。
 その際、少し事務局からのお話もありましたが、病状の変化に応じた病床の確保のあり方、あるいは介護事業との連携といったところも含めて、医療計画にきちんと盛り込むというようなことが、バックボーンとして必要なのではないだろうかと思います。そういう意味では、今後診療報酬の話も出てくるのでしょうが、現状では医療計画と連動する診療報酬が一部あるものの、まだまだ連動性が高くない所もあると考えますので、いま申し上げたような理念、計画における位置づけの中で、診療報酬との連動性をもたせるという方向でやっていくべきではないかと考えています。
○近藤委員 診療所の機能やあり方について、我々歯科はご承知のように、90%近い歯科医療機関は診療所という立場をとっています。病院における歯科のあり方については、先々週の医療部会の中で発言させていただきました。大部分の一般的な歯科医療提供というのは、歯科診療所が担っているという状況の中で、現在我々はその機能を十分に果たしていると考えているわけですが、問題となりますのは、地域における歯科医療機関を含めたすべての医療の中での医療の連携のあり方だと考えています。
本日の資料の5頁にありますが、前回の医療部会の最後のところで、私からも医療計画の中に精神疾患を追加し、4疾病を5疾病にすべきという話をしました。その中で、従来から言われている、在宅歯科医療の推進を含めた在宅医療の推進のあり方については、今後の議論が必要ではないかという発言をさせていただきました。というのは、歯科を含めた医療連携のあり方というのは、非常に重要だということです。前からお話をしていますが、糖尿病と歯周病の関係、さらにいま日本歯科医師会では、国立がん研究センターとがん患者に対する医療連携も進めており、これを全国展開しようというところまで話が進みつつあります。そのほかの脳卒中、急性心筋梗塞等における歯科との関連もエビデンスが少しずつできてきています。
そういう中で前回、在宅医療の推進というのは、5事業にプラスできないかということをお話しました。先日の厚労省の「医療計画の見直し等に関する検討会」の中で、在宅医療の現状と課題について検討されたと聞いております。5頁にありますように、4疾病5事業は「疾病又は事業ごとの医療提供体制について」として厚労省医政局指導課長通知という形で位置づけられておりますが、在宅医療は医療法の医療計画の中で、すでに位置づけが大きく定まっているということから、私からはこの在宅医療を5事業にプラスすることについては、あえてこれ以上申し上げるつもりはありません。しかし、在宅医療の重要性というのは、この医療部会の中でもたびたび議論されており、どなたも異論のないところです。在宅医療が推進されるために、きちんと医療計画の中に記載していく必要があるだろうと考えています。
また、5事業の中でも、災害医療は、いま東日本大震災の関連で、大きな課題となっているわけですが、医療計画の中の災害医療の中に、歯科の位置づけが明記をされていない。そのために、口腔ケア等の歯科の初動対応が遅れたことを我々は反省点としてとらえております。医療計画の中の5疾病5事業に、歯科のあり方、歯科の位置づけを明確に入れていただく必要性を感じておりますので、是非、記載していただくような配慮を、お願い申し上げます。以上です。
○永井委員 前回、大学病院の外来の話が出ましたが、診療所にはその受け皿としての機能が当然求められるわけです。そうすると、標榜科は書いてありますが、専門医として、あるいは総合医としてどのくらい各診療所が機能を持っているかということをもっとわかりやすく表示すべきだと思います。資料1の11、12頁辺りには、非常に大ざっぱな診療科が書いてありますが、では心不全の患者を誰に任せたらよいのか。その辺の機能をもっと明らかにする資料がほしいと思います。
 それから、現状の診療で精一杯かもしれませんが、やはり臨床研究であるとか、レジストリーや治験にどのくらい診療所の先生方が参加しているかということの資料も必要です。
 また、病院で問題になっている臨床指標。1人何分診療されているのかといった指標についても診療所はもっと作っていくべきではないかなと思います。
○相澤委員 すみません。若干過激なことを言うので、横倉先生と中川先生に怒られないといいなと思いながら話します。医療の現場にいますと、有床診療所は2つのタイプがあるような気がするのです。専門の眼科なら眼科だけをやって、手術をやったら入院させてすぐに返して、それ以外の人は一切受けないという所と、非常に地域に密着して、町のお医者さんというか、そこの地域のコミュニティを本当にそのお医者さんがやっている。町会の集りなんかは、必ずお医者さんに相談しながらやっている。ですから、どんな患者さんも診て入院をさせてくれる、そういう有床診療と同じなのかなと。どちらの経営状況がいいというと、ご存じのとおり、先に言ったほうが非常に経営状況が良いわけです。私は医者の心情からいくと、何かこれはおかしいのではないのかなと思うので、そこのところをシステムとしてやっていくことによって、日本のコミュニティの崩壊も食い止められるのではないかなと思うのです。有床診療所の先生方というのは、そこの機能をどう支えてあげるのかというのが1つです。
 もう1つは、私の地域で困っているのは後継者が残念ながらいません。息子さんや娘さんが医学部に入れない。そうすると、どんどん減っていくのです。ですから、これを何とか地域でサポート、支援するような仕組み作りをすることによって、日本の昔ながらのいいコミュニティを残していきたいなと思います。
 それともう1つ。無床診療所も2つのタイプがあると思うのです。いわゆるビル診というのが正式な言葉かどうかわかりませんが、ちょっと診て5時以降はいない。患者さんはどこに行っていいのか困るという人から、本当に親切に電話も聞いてあげて、それだったらこうしろという指示まで出してくださる。本当に心温まる、これこそ町のお医者さんだなという人と両極端があって、それが同じ中に詰め込まれているのは、何か私は釈然としないのです。それをもう一度整理をしつつ、評価をしないというのではないのですが、そういうところも要るし評価しなければいけないのですが、やはり違う評価の仕方をしつつ、汗水を垂らしてやっている先生が本当に報われるようなシステムを作ったら、日本自体はもっと良い国になるような気がします。
○横倉委員 何も怒るようなことではないのですが、先生のお考えと僕らは全く同じなのです。やはり地域の密着病棟というカテゴリーを考えるという厚労省のお話がこの前ありましたね。あれと一緒で、本当に地域に密着した診療所、そしてまた、眼科や耳鼻科とか産婦人科とか、特化した機能をお持ちの診療所の役割はそれぞれあると思います。ただ、いま有床診療所は一括りでありますし、無床診療所が一括りである。その中でその機能をどう地域でつないでいくかというのが、いちばんの課題だと思います。実は昭和50年ぐらいにこの議論をされましたでしょう。その都度、いろいろ理念的に進んでいく。それを後戻りするのは何かと思っていろいろ調べてもらいましたら、今日は保険局の人がお見えですが、診療報酬の己分が入ってしまうわけです。そうすると、そこで地域間の中での医療機関ごとの軋轢みたいなものができて、バックするというようなことが、いくつか今まであったように思います。ですから、そういうものをバックアップするような連携を育てるような、診療報酬のあり方をしっかり考えていただければなと思います。
○小島委員(伊藤参考人) 代理出席に発言をお許しいただき、ありがとうございます。代理出席の私としましても、地域で、身近にいつでも診てもらえる医療機関ということで、安心のより拠という意味で、診療所に非常に期待しているところです。今日の資料の中でも、平成19年の告示の基本方針でも、かかりつけ医機能、診療時間外での対応といったものが診療所に求められているとなっているわけです。さらに言えば、要介護認定の主治医の意見書というのは、まさにこういったかかりつけ医が継続的に診てくる中で、判断をしていくことが求められていると思っております。
 しかし、今日の資料で見ますと、夜間対応、在宅医療の対応にもかなりばらつきがある。いまもビル診の話がありましたが、そういった都市部のクリニックが、ある意味でコンビニ受診を助長しているような面もあるのではないかという問題意識も持っております。
 皆保険の中で、医療資源を適正に配分して有効に活用していくという観点は、やはり持たざるを得ないと思っておりまして、そういう意味では、たしか前回樋口先生がおっしゃったと思いますが、医療機関の開設に対する一定のルールというのは、診療所についてもあり得る議論だと私たちは思っております。
○高智委員 診療所の関係で、特に有床診療所に特化した形で意見を述べさせていただきます。資料1の6頁、20頁、48頁が中心です。6頁をご覧いただきたいと思います。先ほどご説明もありましたが、有床一般診療所の数が、四半世紀で半分以下に激減しております。また、この傾向がまだ止まっていないのではないかとも見られるわけです。
 そうした中、先ほど横倉委員から詳細なご説明がありましたが、この資料でもわかるのですが、有床診療所のほとんどの先生方が、いわゆる赤ひげ先生ではないかと感じられるところが多々あります。新たに参入する若い有床診療所の医者がいるのかどうか、また専門医がどこにどのように配置されているのか、もっと言いますと、有床診療所がどこにあるのかすら、一般の国民、患者にはわからないのが現状であろうかと思います。
 こういう情報化時代に到っても、本当に基礎的なところがわからない、これはこういう審議会の大きな責任にもなるものだと思っております。
 それから、重装備の医療機器の配置状況等も出ておりますが、20頁です。これは読み違えると大変なことになってしまうのですが、無床診療所のほうが重装備ではないかという意見に決め打ちしてしまうと、おかしなことになると感じております。母数がそもそも違うわけです。しかし、いま申し上げました赤ひげ先生たちが運営して、先ほど横倉委員がおっしゃいましたように、1人だけではなくて複数で診療しているところもある。それは同じ診療室で、セカンドオピニオンが同時間帯に同時にできると、患者にとって安心感を多々与える仕組み、空間だとも思っております。ですから、私どもはこれまでも申し上げてきましたが、専門医のことですが、各学会が認定基準の統一あるいは資格名の整理などを行うべきであると考えていまして、それと平行して、専門医の認定を将来的に第三者機関に一元化することはどうかということです。
 基本的なスタンスですが、医療機関はそれぞれの地域で果たしている、個別の機能に応じて評価されることが、利用者である患者にとってわかりやすいのではないか。また、先生方の横串のプレーもわかりやすくなるのではないかということです。それぞれの医療機関が、自ら担う機能を選択しまして、その実情を患者、住民に明示する、その必要性を改めて訴えたいと思います。
○山本委員(森参考人) 先ほど、近藤委員から在宅医療の話がありましたが、私は在宅医療を計画的に整備していくことは、非常に必要なことだと思っています。その中で、今日の資料1の35頁から、在宅関係の資料が取りまとめられています。往診の状況、訪問診療の状況、在宅療養支援診療所の届出、実績等が載っています。
 しかし、訪問薬剤管理指導を届け出ている薬局、またその実績というものが、資料の中で見当たりません。在宅医療を進める上で、高齢者が多い中で、医薬品が必要になってきます。必要な医薬品を在宅で療養している人に届けるためには、訪問薬剤管理指導を届け出る薬局、実施している薬局等もきちんと調査していただいて、計画的に整備をして、そして薬局薬剤師の位置づけもきちんと記載していただきたいと思います。
○山崎委員 本日の資料の61頁の「医療法における人員配置標準について」というところで、いちばん最初に「医療法における人員配置標準の考え方」ということで、「適正な医療を実施するためには、一定水準以上の人員を確保する必要があることから、医療法では、病院及び療養病床を有する診療所において有するべき人員の『標準』が示されている」と書いてあって、注)に「標準」であっても、標準数を満たさない(標欠)医療機関は医療法に反することになると書いてあります。標準なのに、どうして法律違反になるのか疑問です。これが最低基準であるならば、法律に違反することだとわかるのですが、標準というなら、医療法違反になるというのが理解できません。
 それともう1つ重大なことは、これが診療報酬と連動しています。今日は保険局の方が見えていますが、医療法基準を満たしていないと、例えば99.9%であっても医療法基準を満たしていないという条項に引っ掛かって、特定入院料の場合は返還させられます。しかも、その返還させられる額が、診療報酬のほぼ半分です。したがって、1日550点の点数まで下げられて返還させるという、標準という考え方と、診療報酬が連動しているのかがわかりません。
 また、医師の標準数は医療法施行規則第19条で決められているのですが、63頁ですが、外来患者数については、その計算数で計算すると、外来患者40人に1人というのは、昭和23年から60数年変わっていないので、新しい今日の医療提供体制に合った検討する場所をつくってほしいという提案を、この部会で何回かしたのですが、なかなか理解が頂戴できていません。
 一方で、頭の働く大病院は、病院の真ん前に診療所をつくっています。そうすると、門前の診療所とは診療所ですから、ドクターが1人でいいわけですから、そういう脱法行為というか、アンダーグランドみたいなことで、この法律をすり抜けている病院がいくつでもあるわけです。
 病院はそういうことをしたくはないのだけれども、このように法律で規定されていて、診療報酬と連動しているがために、そういうことを、あえてしなければいけないというのはおかしいと思います。したがって、どうしてこれが診療報酬と連動しているのか、保険局の人にお聞きしたいと思います。また、標準に違反した場合に、どうして医療法に反するという解釈になるのか。この2点についてお聞きしたいと思います。
○保険局総務課長 あくまでも一般的なお答えになりますが、1つは、私どもが診療報酬を決定する際に、医療法の標準的な医師、看護師、その他の人員配置を前提として、点数決定をいたしますので、そもそもその標準を満たしていないということであれば、医療法で期待されている医療の水準、一定のレベルといったものが、満たされていないのではないかという議論になると思いますし、かつ診療報酬では人員配置の数に応じて入院基本料が設定されていますので、当然決められた人員がいること、それによって発生するコストを前提として点数が設定されていることを考えれば、定められた標準的な人員を割り込んでいる場合については、前提となっているコストもかかっていない、そういういろいろな要素を踏まえた上で、中医協において決定されているものだと認識をしております。
○山崎委員 いま、入院基本料のお話があったのですが、入院基本料の場合は、医師数が3割標欠まで減額されません。ところが、包括入院の場合は、0.1%でも標欠したらアウトです。入院基本料と包括医療とのあり方に、片方は30%標欠までOKで、片方は0.1%でも標欠したらアウトだというのが、あまりにも違いすぎます。
 それと、ここに平成21年度のブロック別の適合率が書いてありますが、北海道・東北は77.8%、近畿は95.5%と、ものすごく開きがあります。どこの病院でも、5人、6人と医師が余っているのかというと、ほとんどの病院が1人プラス、1.5人プラスということで、クリアしています。そうすると、高齢者の先生が亡くなったとか、若い勤務医の先生が来月開業すると言われたときに、すぐに標欠になってしまっているのが現状です。そういう厳しい現場で、人員配置標準をクリアしているというのが現実であって、それでその診療報酬にすぐに連動されるというのは、病院を経営する者としては非常に困ります。どうして入院基本料は3割標欠までOKで、包括点数の場合は0.1%でも標欠したらアウトになるかを教えてください。
○保険局総務課長 これも中医協で決定をされているということで、中医協の考え方がそうなっているということになってしまうのですが、一般論として申し上げれば、医療法上の標準については、医療法で定められた、ある意味これを割ってはいけないという意味での標準人員配置であると考えております。それについては、いま大変医師の確保が困難であるというお話もありましたが、例えばへき地の場合については要件を緩めて、実際運用しているという、医療現場に対して配慮を加えた形の運用が行われております。
 さらに、特定入院料といった形で、包括点数を設定する際には、基本的にはより高いレベルの配置なり機能なりを評価する形になっておりますので、それはそこで想定をされている水準の人員配置レベルを満たせないということであれば、これは算定できないということで、より厳しい形の運用がなされているということではないかと思いますが、個々の点数の具体的な説明については、今日はお答えできませんが、一般的にはそのような考え方で運用されているものと承知しております。
○山崎委員 しつこくなりますが、この医療法施行令第19条というのが、時代に合っていないというのは共通認識だと思います。したがって、施行令を、どのような計算方式で考えればいいのかを検討する場を再度つくっていただきたいと思いまして、提案したいと思います。
○部会長 以前にも山崎委員からそのご提案があったのですが、伺っていますと、例えば40対1の標準では標欠のところが多いので見直してほしいというのは、もう少し緩めてほしいということだと思うのですが、昭和23年に40対1と決めたので、昭和23年といまを比べますと、医療が遥かに高度化しているし、医療安全に対しても、患者さん、社会の目は非常に厳しいですし、一人ひとりの患者さんに、外来でも説明時間は昔の何倍もかけるわけで、もしこれを見直したら、20対1になって当然だと思うのです。だから、どのような目的で見直しを求められるのかがよくわからないのです。
 しかも、もし人員配置を逆に緩めるほうに向えば、かえって配置基準が緩くなれば、保険点数が下がるかもしれないわけで、見直してもいいことは何もないと思うのです。
○山崎委員 緩める云々の話以前に、こういう実態があって、悪法だから門前診療所をみんながつくるわけです。したがって、門前診療所をつくらなくてもいいようなルールを作ってほしいということを言っているのです。
○部会長 したがって、それは門前診療所をなくするようなほうに考えてもらったほうがいいのではないでしょうか。
○横倉委員 いまのお話は山崎委員が前からずっと主張されているので、一遍よくお話を聞かせていただいて、よりよい方向にと思います。
 それと、今日の資料で66頁から、「医療機関の勤務医の勤務状況管理の体制」という調査を厚生労働省でしていただいて、その結果、前回の改定から勤務医の就労環境改善の施策が取られつつあると思います。
 本日、私は資料?で「日本医師会における勤務医の健康支援に関する取組み」というものを出しております。これは平成20年度に、日本医師会の中にこういうプロジェクト委員会を立ち上げました。これはその4年前に、勤務医の勤務状況や労働環境が想像を絶する状況であるし、健康を害した医師が多数見られたということです。また、医師の健康確保は患者安全につながるわけですし、医師の健康支援は医療再生に不可欠であるということで、日本医師会の勤務医の会員の先生は約7万5,000人おられますが、そのうちの1万人を無作為抽出しまして、アンケート調査をしました。回答率は40.6%です。
 大変勤務状況は厳しいという実態が、アンケートの調査結果概要(1)、調査結果概要(2)に出てきました。特に、自分が健康に問題があったときになかなか相談をしないとか、本人の問題もありますし、メンタル的にサポートが自分でも必要だと思っている人も多いということで、アンケートの中で、勤務医の健康支援のために必要と考えることはどういうことがあるかということで、6頁に「上位6つのアクション」ということで、答えていただきました。
 必要な休日(少なくとも週1日)と年次有給休暇が取れるようにするということがありました。医師が必要な休憩時間・仮眠時間を取れる体制を整えること。また、医療事故に関する訴えがあった際には組織的に対応する。そのほか、記録の診療補助者の問題、院内で発生する暴言・暴力の防止対策。また、女性医師が働き続けられるようにということでの、ワーク・ライフ・バランスの問題等です。こういうものが上位に6つありました。
 このアンケート調査を行いましてから、「医師が元気に働くための7カ条」「勤務医の健康を守る病院7カ条」というポスターを作って配付をしたところです。
 内容は次の頁で、元気に働くためには、睡眠時間を十分に確保しよう、週に1日は休日をとろう、頑張りすぎないようにしよう、「うつ」は他人事ではありません、体調が悪ければためらわず受診しよう、ストレスを健康的に発散しよう、自分、そして家族やパートナーを大切にしようということを呼び掛けています。
 また、勤務医の健康を守る病院の7カ条としては、医師の休息が、医師のためにも患者のためにも大事と考える病院であってほしい、挨拶や「ありがとう」などと笑顔で声をかけあえる病院であってほしい、暴力や不当なクレームを予防したり、組織として対応する病院であってほしい、そういうようなこと、7カ条を書いているわけです。
 その後、運動を全国的に展開しようということで、10頁ですが、医師の職場環境改善のワークショップ研修会を平成21年度は日本医師会で開催し、平成22年度、平成23年度と開催をしております。これは50人以上の医療機関は産業医を置かなければならないということで、多くはその医療機関の医師である場合が多いのですが、そういう産業医の先生に、産業保健の役割、医師のメンタルヘルス支援についての研修を行ってもらっております。
 この調査からさらなる研究が必要ということで、11頁にありますように、2010年にステップ1として、労働時間設計基準に関する知見の集約、ステップ2として、労働時間ガイドラインの現場適用作業、2011年にステップ3として、労働時間ガイドライン現場実証研究、ステップ4として、医師の労働時間の設計基準案作成ということで、いま、ある病院の、これは診療科によってものすごく勤務時間が違うので、そういうものを目安として、それに必要な医師の配置基準を作ってほしいという呼び掛けをしているところです。
 こういう取組みをしておりますが、結論としては、もっと勤務医の先生方の就業環境や生活習慣には改善の余地がありますし、医師自身の意識改革も必要ですが、医療機関としての組織的な取組みが求められるということですので、私ども医師会は、常にこういうこともしているということもご理解いただきたいと思います。
○部会長代理 診療所の機能について2つ申し上げます。1つは、先ほど来、有床診療所の大切さが出ていまして、私も賛成です。有床診療所が減っていることしかわからなくて、最近有床診療所はどう開設されているか、もともとある診療所で世代交代、新しい院長にどう変わっているかを見ないといけない。減っている話だけなので、どのように機能が変わっているかというデータがほしいと思います。
 もう1つは、診療所の機能の話で最後にまとめがありました。病院は機能が、急性期、亜急性期、回復期、超急性期とか、いろいろと分かれています。診療所は診療科目別にはあるけれども、特段に機能は、制度上は在宅支援診療所ぐらいですかね。そんなにたくさんに分ける必要はないと思うのですが、先ほど永井先生が言われたように、急性期の受け皿機能を持ったような診療所の話と、一方で、介護でいう地域包括ケアシステムの一員になる、中核になるような診療所は、やはり機能が違うと思うのです。
 地域包括ケアは人口1万人で、医師は平均すると8人いるのですが、8人全員が地域包括ケアシステムに加わらなくてもよくて、ある方々は急性期の患者が退院したらすぐに引き受けられるような専門医師資格を持ったようなタイプもあれば、地域包括ケアの医師は、心臓の専門医、がんの専門医などの話ではなくて、地域を支えられる。つまり、両極から考える必要がある点を、機能として重視したいと思います。
○齋藤(訓)委員 診療所の機能の中で、外来の状況について申し上げたいと思います。資料の42頁ですと、健診については非常に実施率が高いのです。健診については、非常に取組みが多いのですが、一方、保健指導については実施率が低くなっています。特定保健指導については、診断の付いていない、服薬をしていないという方々が対象になりますが、実際に一般診療所の外来では、循環器系統の疾患等、いわゆる生活習慣病と診断されて、そのあと服薬を継続的にやっていかないと病状が悪化するという方々が、非常に多いのだろうと思っております。
 そういった意味では、私は是非診療所の機能の1つに、いわゆる日常生活の療養指導を確実にやっていただく機能を求めていきたいと思っております。例えば特定機能病院にそのような機能を求めていくのは非常に厳しいと思いますが、一方200床未満の病院では、生活習慣病を改善するような診療報酬の評価等もあります。あるいは、病院の中で、非常にお忙しい先生たちに患者の日常生活まで細かく指導をやれというのは非常に厳しいと思いますので、看護がそこを担うことも考えられます。すでに全国の3割程度の病院には看護外来がありますので、外来を生活療養指導の場と考えて、先生たちの診察の前後にそのような看護外来に寄っていただいて、日常の服薬状況の問題、何か困ったことがないのか、食事上の問題、栄養の問題、そういったことを通院の中で定期的にご相談いただいて、長期的に悪くならないような関わりを進めていくという取組みがすでに始まっているところです。ですので、小さな病院あるいは診療所に、そのような機能を持たせていくということが、これから生活習慣病を悪くさせないような取組みとしては、非常に重要ではないかと考えているところです。
 それから、前回特定機能病院、地域医療支援病院の外来機能にも言及されましたが、そのような病院においてはある程度、紹介を前提とした形で外来診療を行うということは当然であろうとは思いますけれども、そうは言っても病院のナースたちに聞きますと、患者さんの心情としては、どこに行っていいかわからないと思っている方々もいますので、標榜の中に、いわゆる振分けの機能を行うといったことも載せていくというのも、1つの方法ではないかと考えました。
○部会長 そろそろこの議論を打ち切りたいと思いますが、いままで73頁にある論点で、ほぼ病院と診療所の役割分担、時間外診療、救急への対応、それぞれご意見が出たと思います。これをさらに整理して、事務局で外来機能における病院、診療所の役割分担の在り方、あるいは医療の高度化を踏まえてどうするかということを、さらに検討いただきたいと思います。
○水田委員 いまの齋藤委員の意見にも大変賛成ですが、いまの日本のやり方からしますと、かかりつけ医に対する登録制がないのではないか。皆さん、勝手にあちらこちらに行くと。それですから長続きしないのではないか。ですから、いまのような、外来できちんと患者さんの健康管理までするというときには、患者さんを登録制にして、各地域ごとにしてやっていくと、長い間で見ていかれると。
 それから、もしそこで亡くなられた医師がいても、後継者がいないからと潰れるのではなくて、ほかの若いどなたかが引き継いでいくと。息子や娘が引き継がなくてもいいのではないかと思います。その地域でのかかりつけ医制度、診療所の機能というものが、どんどんそれで広まっていくのではないかと思います。私は、イギリスのnational health service的な、かかりつけ医の登録制というのは非常に大事だと思いますので、是非それも考えていただきたいと思います。
 それから、先ほど近藤委員が歯のことを言われまして、私が出てくると必ず歯のことを言いたくなります。口腔ケアというものは、非常に大事なことなのです。いまいちばんやらなくてはいけないことではないかと思います。それをやることによって、いろいろな病気が予防できていくということで、大事なことだと思います。それを若い歯医者さんが勉強してほしいと思います。いまの考えで、口腔医学の創設ということをやっているのですが、開業していらっしゃる方がなかなか理解してくださらないのです。ですから、歯の医師会の方で是非それを進めていただきたいと思います。
 それから、いま地域医療再生のいろいろな委員会もできていますが、その計画の中でいくつかの自治体が、口腔ケアに対してものすごく力を入れて計画を出してきているのです。私はそういうのは絶対にいい点数を付けたいと思っているのですが、是非それを進めたいと思います。いまがチャンスですから、近藤委員、是非歯科医師会を挙げて、そういうことをidentityを求めてやっていただきたいと思います。
○横倉委員 水田先生は大先輩で、いつも指導いただいているのですが、登録制かかりつけ医については、いろいろな問題が別途出てくるのです。
それで、かかりつけ医というのは、患者さんが自ら選ぶというのを残しておかないと、登録で、あなたはここへ行きなさいというと、大変な混乱が起きてしまうのです。
○水田委員 選んで登録すればいいわけですよね。
○横倉委員 そして、途中で合う合わないという問題が出てきて、ここら辺は是非柔軟な対応をお願いいたします。
○樋口委員 次の課題のほうが、ここにおられる委員の方は発言したいという感じなのでしょうから、できるだけ短くしますが、2点あります。今日のお話でも、いろいろと教えていただきました。私は患者の1人ではあるけれども、医者ではないので。
 感じたことは2点ありまして、1つは山崎さんがおっしゃったように、61頁の人員配置標準が定められていて、これは何のためかというと、もちろん医療の質のためなのですが、ここにおられる方はお医者さんが多いので、例えば外科だったらメスを使うと。しかし、これは鉈なのです。結局、人員の配置みたいなもので医療の質をという話なのだけれども、それは本当の意味で医療の質を図っているのかというと、そんなことはないわけです。もっときめ細やかな医療の質。しかし、医療の質を図ることが本当に難しいから、こういう形式的基準で、とにかく法律というのはそういうものだということで諦めているのです。
2つ目は、そうすると今日の問題の診療所でも、どうも話の流れは、診療所についてはほとんど規制がない、どこにも書いていない。ちゃんと書いて、規制をして、その代わり例えば有床診療所については点数を上げるなり何なりしてあげようと、そういうことらしいということだけがわかって、そのときにまた、結局同じような、鉈を使ったような規制だけというのだと本当は意味がなくて、相澤さんのところから始まって、永井先生もそうでしたが、有床診療所にもいろいろ期待できる、期待すべき、あるいはその期待に応えているところと、そうでないところがあるわけで、それを形式的な基準だけで。厚生労働省は規制官庁だから、規制をどんどん広げていくのは喜ぶかもしれないけれども、本当の意味で質を確保することまでを考えていかないと、どうなのだろうかということを感じました。
○部会長 次の診療報酬改定に向けた検討について、ご意見を伺います。
○中川委員 資料を出させていただきましたので、説明させていただきます。日本医師会は前回の診療報酬改定は本当に失望いたしました。これは医療界を挙げて、民主党政権になって大変期待しましたが、結果は非常に不満足なものだと思っております。そこで今回同時改定に向けて、日本医師会では2つのプロジェクト委員会を設けるなどし、精力的に議論を進めてきました。準備万端という体制できましたが、その上で、この資料の最後の別紙をご覧ください。
 5月19日に細川厚生労働大臣に申し入れた5項目です。1.同時改定を見送ること。4.不合理な診療報酬、介護報酬は見直しすること。5.必要な医療制度改革は別途行うこと。といったことです。1頁に戻っていただいて、なぜこのような提案を日本医師会がしたのか。実は医療界の皆さんもよく知っていただいていないことがわかりましたので、今日は改めて申し上げたいと思います。
 1頁です。日本医師会は5月19日に、厚生労働大臣に対して平成24年度の診療報酬・介護報酬同時改定の見送り、医療経済実態調査等の中止について申し入れを行いました。6月3日の中医協において、医療経済実態調査の問題点についても、鈴木委員から指摘を行ったところです。
 要請です。(1)ですが、平成24年度の診療報酬・介護報酬同時全面改定を見送ることという意味です。東日本大震災は未曾有の事態でありまして、福島第一原発の事故の問題もあり、災害はいまなお進行中です。国およびわれわれ医療関係者は、東日本大震災の復興支援に全身全霊を捧げるべきであります。東日本大震災のような国難の大混乱期において、国の制度の根幹を左右する同時全面改定を行うべきでないと考えています。ただし、不合理な部分は、例えば、前回の医療部会で横倉委員が説明したように、地域医療支援病院のように、当初の目的と実態が乖離しているものについては、早急に是正すると。
 次の頁です。過去に期中改定が行われた例もあります。3頁ですが、例えば再診料・外来診療料の月内逓減制は平成14年度の診療報酬改定で導入されました。しかし、患者からの苦情があったこともあり、中医協は「今回の見直しにおいては、改定の緊急性に関する十分な資料が得なれなかった」としつつも、「患者にとって問題があることは認められる」として、平成15年6月に撤廃されたという例もございます。
 4頁です。地域医療支援病院については、平成10年に創設されましたが、5頁にあるように、当初の紹介率80%を、2004年の見直しで紹介率60%、さらには40%で、逆紹介は60%と要件を緩和したことによって、6頁のように急増したという事態になっています。これは当初の目的と乖離しているという意味です。
 7頁です。特定機能病院、これも前回の医療部会で私が申し上げましたが、ここの問題点は運営費交付金、私立は私学助成金を削減したことが諸悪の根源だと申し上げましたが、図の2にあるように、運営費交付金、私学助成金の部分を、診療報酬財源で補填するような努力を大学病院側に迫ったというのは問題だと申し上げましたが、7月7日の文科省の医学部入学定員に関する検討会において、私はこのことを直接申し上げましたが、「是非本来の姿に戻していただきたい」といったところのお答えの中で、鈴木副大臣が運営費交付金の削減分を診療報酬で収入を上げられるように大学には配慮したのだ、きちんと手当てしたではないかというお答をいただいて、私は驚きました。これは根本的に大問題ですので、適切な運営費交付金、私学助成金を与えるべきだと医療部会でしっかりと意見をまとめていただきたいと思っております。
 8頁です。各種の調査を延期すべきと申し上げたことについて説明します。まず、被災地の調査は困難であるだけでなくて、医師、看護師等、医療従事者の移動や患者の移動が生じているためです。また、医薬品や材料の流通も、医薬品メーカーの製造工場の被災等により混乱しており、さらには被災地以外の医療機関や患者さんのご理解・ご協力の下で、処方期間も調整させていただくなど、通常の処方環境にはありません。
 次頁です。まず表の3ですが、これは支払基金が受け付けた3月診療分について見ると、受付件数の前年同月比は宮城県でマイナス25.7%、福島県でマイナス22.7%と激減しております。その下の4月診療分についても、前年同月比は宮城県でマイナス10.2%、福島県でマイナス8.5%として、依然として事態は深刻になっております。
 10頁です。東日本大震災の影響がいかに甚大であるかということを、阪神・淡路大震災と比較したものです。阪神・淡路大震災も大変な大震災でしたが、震災後3カ月で、一部負担金等の支払猶与措置が適用されていたレセプトは12万5,000件でしたが、今回の東日本大震災では、4、5月の震災後2カ月で17万5,000件に上っています。
 11頁です。東日本大震災は全国的にも波及しています。この表に示すように、支払基金のデータによると、一部負担金猶与の申請は、3月診療分だけで、宮城県1億4,000万円、福島県1億2,000万円、岩手県1億円に上っているほか、全国47都道府県から申請が上がっていまして、患者さんが移動、それに伴ってご家族も移動されていること、さらには医療従事者も移動しているというデータです。これは支払基金のデータのみで、国保のデータを含めれば、さらに事態は深刻だということがおわかりいただけるかと思います。
 12頁です。図の3をご覧いただきたいのですが、予定していた医療経済実態調査というのは、平成22年4月1日の改定を挟んだ、直近の2年間の年間データを取って、青いところのデータ、平成22年度の年間データが平成23年度のデータと近似しているという前提の下に、平成24年4月の診療報酬改定を行うということになっておりました。これが下に示すように、3月11日の大震災が起こったことによって、この青いところのデータが、平成23年度の1年間と近似しておらず、激変していることがわかります。
 そして、大震災の影響は医療機関の休止、診療縮小だけでなく、医療従事者の不足、偏在、患者受療行動の変化など、いわゆる大混乱しているわけで、こういうときに制度の根幹が乱れる診療報酬を触るべきではない、部分的に見直すべきだ、現行制度の弾力的運用で乗り切るべきだと申し上げているのであります。
 13頁です。一方で、「介護保険料の決定のために必要なことは行うこと」としましたが、介護保険料は介護保険法で3年を通じて財政均衡を保つこととされており、改定の年に見直されます。今回、診療報酬・介護報酬の全面同時改定については見送りを求めますが、不合理な介護報酬に加えて、介護保険料の決定のために必要なことは行うべきだとあります。
 厚生労働省は昨日の報道で、厚生労働省を挙げて復興に取り組むために市町村支援チームを編成したと報道されておりますが、例えば被災地のガレキの大半はそのままです。被災地にはハエが大発生しているという情報もございます。そして、民間の医療機関はほとんど復興していないという状況があります。震災から4カ月も過ぎて、ほとんど復興されていないのです。原発は進行中です。改定は改定、復興は復興で粛々とやるべきだという意見の中には、こういう状況も予想されたのではないでしょうか。是非厚生労働省においては、全省を挙げて、それこそ省内業務と併任で行うと報道されていますが、そのような生半可なことではなくて、全国に波及している大混乱ですから、しっかりと復旧には力を注いでいただきたいと思います。
○部会長 ほかにいかがでしょうか。
○日野委員 先ほどの話ですが、武田さんに教えていただきたいと思います。社会保障・税一体改革の話をされましたが、我々が報道で知る限りでは、6月末に一応最終案が出たのですが、どうなるのかわからないです。いま話題に出ている大震災の費用がどれだけ要るのかという話もないですし、税との一体改革に関しては、消費税が決まらないと、今後の見通しがどのようなものがあるのかわからなくて、資料2-1にある12月8日に、基本方針は決めていただけるのか。これが決まらないことには、今後どのように考えていったらいいかがわからないので、わかる範囲で結構ですので、教えていただけたらありがたいと思います。
○保険局総務課長 資料として出しましたのは、平成22年度の診療報酬改定スケジュールということで、前回のスケジュールです。今年の予算編成スケジュールも含めて、次回改定での扱いも含めてということになりますが、今後のスケジュールについては本日資料としてお出しするほど、状況が確定をしていないということで、前回のスケジュールを参考までにお出ししたということです。
 ただいま中川先生からのご意見もございましたし、一方で社会保障・税一体改革については、7月11日に集中検討会議が開かれまして、厚生労働大臣から、改革項目の着実な推進についてということで、診療報酬改定も含めて、粛々と改革に向けての議論なり作業を進めていくという方針も示されたところでして、そういう意味におきましては、やらなければいけないことについては、社会保障・税一体改革としては、やらなければいけない項目は示されています。それから、併せて医療部会、医療保険部会からの基本方針についてご議論して、然るべき時期にまとめていただきたい、それを前提として改定を行っていきたいというのが基本ではありますが、今後のスケジュールについては不確定要素も多く、また多くの関係者のご議論をいただきながら、私どもも政務三役または内閣として決めていかなければいけない部分がまだ残っていると認識をしております。
○中川委員 武田課長、先ほどの説明で非常に気になったのですが、社会保障・税一体改革の成案の内容が、社会保障審議会における改定の基本方針に反映されるというようなことをおっしゃいましたが、この成案は与党内の反対意見も根強く、閣議決定ではなく閣議報告という、閣議の取扱いの中ではいちばん低いレベルに留まっています。そういう状態のものを基本方針の中に反映させるという意味でおっしゃたのでしょうか。ご説明をお願いします。
○保険局総務課長 この社会保障・税一体改革の成案につきましては、いまお話のありましたように、閣議決定ではございませんが、関係閣僚、与党の幹部も入った、政府与党社会保障改革検討本部において、6月30日にまとめられたという形になっていまして、それを踏まえて厚生労働大臣としまして、着実な推進について、先般の改革検討本部において、着実な推進についてこの着実な遂行を図るという点につきまして、大臣から説明をしたということになっております。ただし、この成案の検討項目をそれぞれ検討の場で議論するということですので、医療部会、医療保険部会、中央社会保険医療協議会で、今後十分議論をしていただきたいということです。
○中川委員 成案の中身を見ると、「診療報酬・介護報酬の体系的見直しと基盤整備のための一括的な法整備を行う」と書いてありまして、具体的に診療報酬改定の議論の項目がずっと羅列されているのです。この成案をまとめる段階で、どのような議論があったのかも全く不透明ですし、いまの政権の手法ですが、審議会、検討会でやっている議論を頭越しに閣議決定に持ってきて、政治主導で決めてしまうという、その一環なのです。それを事務方が基本方針に反映させるような説明をしてもらっては、非常に問題が多いのではないかと思うので、意見を申し上げました。
○邉見委員 ここで発言していいのかわからないのですが、平成22年度改定の答申の前の中医協で、大臣が来るまで少し時間がありましたので、付帯意見として、そこで西沢委員がおっしゃったのか、安達委員がおっしゃったのかはっきり覚えてはいないのですが、次回は介護と医療の同時改定だから、介護給付費分科会と合同会議をしたらどうだろうかと。いつも別々で、お互いの顔も知らないと。訪問看護、リハビリとか、シームレスなところとダブッているところがある、ギャップのところとダブりのところがあるということで、一度合同会議を開いたらどうかと意見がありまして、議事録に残っていると思います。そういうことはお考えかどうか。これは中川先生の意見が通っても通らなくても、介護と医療を見直すという意味で必要だろうと思います。
○審議官 合同会議は非常に重要なご指摘だと思いますので、私どもも持ち帰りまして、検討させていただきたいと思います。これは中医協あるいは介護給付費分科会の会長ともご相談させていただいて、ご指摘のありましたように、訪問看護、リハビリのようなところは、継ぎ目のところが凸凹しているというご指摘もありますので、今後検討させていただきます。
 それから、診療報酬と介護報酬につきましては、いろいろなご意見がございまして、基本方針を検討するのはこれからですので、夏ですから、基本的にはやらないという形で準備をしておくと、やるときに大変ですので、私どもは、まずはやるという形で少し準備をさせていただいて、決まったわけではないのですが、年末までありますので、事務方としては体制は取って、準備はしておきたいと思っております。
○光山委員 診療報酬については、中川委員から最低限のところを除いて見送るべきではないかという話もありましたが、いま審議官から話がありましたように、これまでもいろいろな実態の検証を踏まえながら、診療報酬についてもいろいろと提言をしてきたことですし、誠意を持って取り組むという姿勢は必要だと思います。
 いずれにしても、あらかじめ診療報酬の全面改定をやらないだとか、どこまでやるのだという論議にはまだ入っていないわけですが、そういう結論ありきではなくて、確かに経済調査をするのは大変な作業だというのはありますが、実情を掴まないことには、震災があったから思考停止してしまうということがあってはならないと思っております。前回の改定の結果、掴めるところはきちんと掴むということも中医協ではやっておられますし、中川先生がおっしゃっていた、改定後の変化を的確に掴むべきだと思います。
 その上で、財源としては先ほどから出ていますが、社会保障・税一体改革もなかなかはっきりしませんし、大学の医療の話も、国の税金から出る話ですが、税金がとてもではないけれども、増額していくような状況にもないわけで、そういう意味では、税も社会保険も同じような土俵の中で、トータルで考えていかなければいけないのだろうと思います。まずは現実をよく見ていくという意味で、実情を掴むことは是非必要だと思いますし、その中で、どこまでの範囲でいろいろな見直しをするのかということはありますが、課題のあるところを目隠しするような思考が止まってしまうようなことがあってはいけないと思います。そういう意味では、財源と課題を両睨みで、ここの場では扱っていくということは進めるべきだという意見を申し上げます。
○中川委員 資料の中でも申し上げましたが、全面同時改定は見送るべきだということで、議論は尽くして、必要な改定を、本当に緊急なことはやるべきだと繰り返し申し上げているのです。そういう意味で、今日は資料を出して説明させていただきました。
○小島委員(伊藤参考人) ここでは診療報酬改定の話が中心になりますが、今後検討していくに当たっては、前回の平成22年の診療報酬改定の答申書が中医協から出ていて、別添資料ということで、今日も資料2-4で16項目の申し送りのようなものがありまして、提供体制に係ることが指摘されておりますので、是非この場で議論をしていただければと思っております。
 特に、先ほど来出ていますが、同時改定ということで、介護報酬のほうでは、定期巡回・随時サービスの点数をどう付けるかというのは非常に注目されているところですが、それの影響を受ける部分もあるでしょうし、訪問看護の充実といったところも必要になってくると思います。
 また、勤務医や看護師といった医療人材の負担軽減について、前回の答申書、別添資料では、両方項目を1つずつ立てて、課題として掲げているところでありますし、こういったところについても、十分に検討していく必要があると思っております。
 さらに、前回小島委員から申し上げているのですが、今回の震災対応で、被災地、特に福島での医療人材の流出に対して非常に問題意識を持っておりまして、もちろん提供体制、例えば医療機関の建て直しといったことについては、公費の投入というのは当然あるべきだと思っておりますが、人材が戻ってきて、定着して、安定的に医療提供が行われていくという体制を取っていくという意味では、報酬面での何らかの対応が考えられないのかといった点も、検討があり得るのではないかと考えております。
 是非そういった検討をこの場でしていただければと思っています。
○高智委員 いま中医協の1号側の団体のお二方から意見がありましたが、私どもも健保連より委員として参画しております。今回の診療報酬の改定の実施の有無については、もとより政府が判断すべきものと相変わらず考えております。大臣もすでに延期の考えがないことを明確にされている、これも再確認させていただきたいと思っております。したがって、本部会においても、医療保険部会、中医協と足並を揃え、平成24年度改定の審議スケジュールに沿った検討を行うことが極めて肝要であり、私どもの責務ではないかと考えております。
 いま中川委員から具体的なご提案がありましたが、まだお仲間の中ですら理解されているかどうかというご懸念も示された経緯があるくらいでして、私どもに、ご説明いただいても、非常に不鮮明なところが多々あるという状況です。
 健保連としましては、平成24年度の診療報酬改定は延期すべきではない、従来のスケジュール通りであるべきともう一度申し上げておきます。その理由の1つとしては、平成24年度が診療報酬と介護報酬の同時改定の年であることです。特に介護の報酬については、3年に1回の改定で、今回はまだ2回目を経験するに過ぎないのです。この改定を延ばすことはできない、高齢化が急速に進展する中で、医療・介護サービスの提供体制の基盤整備は、待ったなしの状況だということです。医療、介護の連携の視点に基づき、在宅医療の強化や介護との連携、いままでも議論のありました地域包括ケアシステムの確立を図るためにも、今回2回目となる6年に1回の同時改定による医療、介護の改革は必須と考えております。
 そして、さらに重要なことは、改定は単に点数の上げ下げの問題ではなく、限られた医療資源を効率的、また有効に活用するための配分の問題であると理解しております。これは極めて重要だという理解です。
 前回の改定においては、勤務医や救命救急、小児・産科に配慮した点数評価がされましたが、
○部会長 簡潔にお願いします。
○高智委員 必ずしもすべての課題に対応できたとは考えておりません。重点的配分や組換えなどを検討する余地と必要が、まだあると考えております。
 こうした背景を考慮すれば、改定があるという前提で議論を進めていくことが必要で、中医協においてはすでに関係者の合意を得て審議が進められております。事務局から前回改定のスケジュールの説明がありましたが、本部会としては中医協の議論に先行する形で基本方針を取りまとめる必要があり、まさに待ったなしの状況という意識です。
○西澤委員 先ほど中川委員から日本医師会の考え方が述べられましたが、全面改定はしないということでしたが、改定をすべきではないということではないということが明らかになりましたので、粛々と改定に向かって議論を進めていいと思います。ただし、日本医師会が言うように、今回の大震災で非常に影響を受けているので、そこには十分な配慮が必要です。これは例えば実調についても、薬価調査にしても、すべてそういうところに配慮をした調査をするということです。
 改定も、単に点数を変えるだけではなくて、今度の震災のような緊急時というか、起きたときでも、きちんとした医療提供体制があり、医療サービスを継続して行える診療報酬改定にするべきです。そして、そういう提供体制をこの医療部会で議論して、それがうまく機能する診療報酬になるような基本方針を出していただきたい、そういう議論を是非進めていただければと思います。
○海辺委員 資料2-5、資料2-2で、検証や特別調査を行うということが書いてあって、資料2-5の4つの視点についても、特別調査の対象になっているようなのですが、見ると○が3つありまして、それしか検証しないのかなと感じました。
 というのが、前回の報酬の改定のときの方針で、4つの視点の「充実が求められる領域を適切に評価していく視点」で、「がん医療の推進や認知症医療の推進、新型インフルエンザや結核等の感染症対策の推進や肝炎対策の推進」というように、そこから始まっているのに、これらの検証は全くされないのかなということだと、いま効率的な配分ということを見ていかなければいけないという話だったときに、前回厚くしたところが、そのお蔭でそこの部分の領域がよくなっているかどうかを検証しないと、効率的ないい配分をしていかれなくなると思うので、検証に関しては、もっと力を入れるべきではないかと感じました。
 あと、先ほどの診療所などのほうに話が戻ってしまうのですが、1点、すごく申し上げたかったのが、横倉先生のご発表の中の有床診療所の5つの機能というのは、どれも素晴らしくて、是非そちらは充実していただきたいと思うのですが、先ほど田中先生もおっしゃっていたように、今日の資料で見る限り、一般診療所は非常に増えたけれども、有床診療所はぐっと減っているという、そこに対して、ここでおっしゃっている5つの機能をこの状況で、どうやってやっていくのかがきちんと見えないと。横倉先生、これは日本医師会としての決意表明で、ここをぎっちりとやっていくのだという意思表明と受け止めてよろしいのでしょうか。
 あと、先ほどからかかりつけ医の話は出ていますが、かかりつけ医というのが、ちゃんとした総合医なのかというところが置き去りで、一般の診療所の先生方がどのようなレベルで、どのような内容のことをしているのかというのが全く見えない中で、病院には行ってはいけない、そこの診療所に行けと言われましても、そこの選択ができないところが出てくると思います。私が普段かかりつけの先生のところに伺うときには、その先生に対する信頼を私は持っていて、その先生は感染症をきっちりと治してくださいますし、慢性疾患やがんなどの進行性の病気の初期を、一応きちんと見落とさないようにするという努力が垣間見える瞬間がありまして、だからこそその先生を信頼するというところなのです。ところがそういうことがきちんとできる先生なのか、そうではないのかというのは指標が全くなくて、どんどん開業されている方がデータからもはっきりと見て取れるのに、そこの質が全然担保されなかったら、ますます医療が大変なことになるのは目に見えていると思いますので、是非そこら辺をきっちりとやっていただけるように、そういうのをどうやってやるのかがもう少し風通しよく見えるようになったらなと思いました。
○横倉委員 まず決意表明かという話については、当然であります。我々は医療提供を預かる医師の集団としては、当然、質の担保できる医療を地域で提供していく役割があるというのは、強く認識しております。
 患者さん方からその先生の能力がわからないという話ですが、多くの開業されている診療所の先生方はそれぞれ自分の得意分野があるのです。それは何によってわかるのかというと、学会の専門医等々という評価もあるでしょう。多くの都道府県では、医療マップというのを公開していると思います。私は福岡ですが、福岡では私が会長のときに作って、誰でも見られるようにしてあります。一応そういうもので見ていただくというのも1つの手ですが、その前に、かかりつけの医師というのは相性の問題があるということで、昔からこれはありまして、患者さんから見ても、この先生と相性が悪いという話があったりします。そういう相性のいい医師と手をつなげる環境を、お互いにつくっていこう。必要であれば、それから専門の先生をご紹介することも必要かと思っています。
 質の担保については、我々は常に生涯教育ということでやっておりますし、そういうことでちゃんとしたことをやっていきますということだけをお伝えいたします。
○部会長 今日議論で、診療所については、我々に最も身近で、歴史もいちばん古いという存在で、是非将来も有効に、医療提供体制の中で活用していくということです。診療報酬改定については、最初から全面改定を目指すのではないけれども、準備だけは粛々としておくということで、ほぼコンセンサスが得られたと思います。最後に事務局からお願いいたします。
○医療政策企画官 次回の医療部会ですが、先々週申し上げましたように、8月中は予定しておりません。9月以降に開催を予定しておりますが、また具体的にご日程等々をお伺いしました上で、決まり次第ご連絡を差し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
○部会長 これで終了といたします。委員の皆様、ありがとうございました。


(了)
<(照会先)>

医政局総務課

企画法令係: 2519

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