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2011年7月1日 平成23年度第4回慢性期入院医療の包括評価調査分科会 議事録

○日時

平成23年7月1日(金)15:00~17:02


○場所

都道府県会館 101会議室(1F)


○出席者

【委員】
池上直己分科会長 高木安雄分科会長代理 猪口雄二委員 大塚宣夫委員
酒井郁子委員 佐柳進委員 椎名正樹委員 武久洋三委員 三上裕司委員
【事務局】
井内課長補佐 他

○議題

1 認知症患者の評価について
2 医療の質の検証について
3 その他

○議事

15:00開会

○池上分科会長
 それでは、ただいまより平成23年度第4回「診療報酬調査専門組織慢性期入院
医療の包括評価調査分科会」を開催させていただきます。
 本日の委員の出席状況につきましては、全員より御参加をいただいております。
 高木分科会長代理は少し遅れられるということでございますが、定刻となりまし
たので始めさせていただきます。
 それでは、本日の議事と資料の確認について、事務局からお願いいたします。

○坂上専門官
 事務局でございます。それでは、議事の説明と資料確認をさせていただきます。
 本日は、議事としましては2つ用意させていただいております。1つ目に「前回分科会
での指摘事項について」と、2つ目で「報告書の取りまとめについて」ということで、報告書の
とりまとめに向けた御議論をしていただきたいと思います。
 資料につきましては、議事次第の後ろに座席表、各委員の御一覧、その後に横で慢-1-
1「療養病床で提供されている医療の質に関する状況」。
 慢-1-2という縦紙で日常生活自立度の関連通知。
 慢-2-1「報告書のたたき台」。
 慢-2-2「報告書のたたき台(資料編)」ということで御準備させていただいております。
 不足等ありましたら、事務局まで御連絡ください。
 以上です。

○池上分科会長
 よろしいでしょうか。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 まず、前回分科会での指摘事項について、事務局より説明をお願いします。

○坂上専門官
 事務局でございます。前回御指摘いただいた事項について追加集計などをさせていただき
ましたので、御説明させていただきます。
 まず、慢-1-1「療養病床で提供されている医療の質に関する状況」をご覧いただけれ
ばと思います。
 「QIの算出」ということで提示させていただいておりますが、前回全病院について集計さ
せていただいたのですけれども、平成18年、20年、22年、3回の調査とも参加いただ
いた20病院についてのみデータを集計してみました。平均値のところをご覧いただければと
思いますが、前回の全病院につきましては改善傾向があったのですけれども、3回とも調査
に御参加いただいたところに限って分析してみましても、若干の数値の変動はありましたが、
改善傾向という点では同じような傾向が見られましたので、御報告させていただきます。
 続きまして、慢-1-2ですけれども、前回認知症高齢者の日常生活自立度はどういう判
定基準になっているのかという御指摘をいただきまして、調べさせていただきましたので御
報告させていただきます。
 慢-1-2が老健局の方から出されております「『認知症高齢者の日常生活自立度判定基
準』の活用について」という通知ですけれども、ここに判定基準の意義などが書いてあるの
ですが、2ページ目をご覧いただければと思います。
 簡単に概要を説明させていただきますと、この判定基準は介護の必要度を判定する目的と
して作成されたものであるということと、2番目の段落の後段をご覧いただければと思いま
すが「このランクは介護の必要度を示すものであり、認知症の程度の医学的判断とは必ずし
も一致するものではない」という見解を老健局からもいただいております。認知症の自立度
についてはこういう判断基準になっておりますので、改めて御報告させていただきます。
 前回御指摘いただいた事項は以上でしたので、報告させていただきました。
 以上です。

○池上分科会長
 ありがとうございました。
 ただいま説明いただいた内容は報告事項ですので、質疑については次の報告書の議論と併
せて行いたいと思います。
 次に「報告書の取りまとめについて」を事務局より説明をお願いします。

○坂上専門官
 事務局でございます。それでは、慢-2の方に入らせていただきますが、資料につきまし
ては漫-2-1をご覧いただければと思います。「報告書のたたき台」ということで事務局
として作成させていただきました。
 今まで御議論いただいた内容を踏まえて、事務局で主要なものについてまとめさせていた
だきましたので今から説明させていただきますが、これをもとにここは足りないですとか、
ここは追加すべきだと御指摘、御議論いただければと考えております。
 では、資料の説明をさせていただきます。
 まず、1ページ目をご覧ください。最初に「検討の経緯」ということで、分科会の検討の
経緯などを書かせていただいております。御存じかと思いますが、この分科会は平成15年に
調査専門組織の1つとして発足し、今般の分科会は昨年の中医協総会からの4つの付託事項
について検討を行ったということでございます。
 付託事項につきましては、平成22年改定で行いました改定の影響についての検証、医療区
分1の患者の実態についての検証、慢性期入院医療の在り方の総合的検討に資する検証、特
定入院基本料の在り方の検証を含むということでございます。最後に認知症患者の状態像に
応じた評価の在り方についての検証、この論点について中医協総会の付託を受けたというこ
とでございます。
 今回の御議論のもとになった横断調査の実施につきましては、療養病床の再編成ですとか、
今後予定されております医療・介護の同時改定の検討に資するためのデータ収集を目的とし
て昨年行われた、この横断調査をもとに御議論いただいたということでございます。更に今
回の検証に用いた調査ということで、今、御説明しました横断調査に加え、必要ということ
で御意見をいただきましたレセプト調査、コスト調査をもとに御議論いただいたということ
でございます。
 ここで1つ御報告ですけれども、コスト調査につきましては今回の分科会に向けて御提示
させていただく方向で準備していたのですが、集計が間に合わず、今回御提示することがで
きませんでした。大変申し訳ございません。これにつきましては今後準備でき次第、各委員
にお送りさせていただきたいと思いますので、御了承いただければと思います。
 続きまして「報告書の論点」ですけれども、論点につきましては先ほども御説明しました
が、中医協総会から付託を受けた4つの論点について報告書にまとめるということと併せま
して、(5)でこの分科会で御議論いただきました療養病床における医療の質の検証につい
ても、報告書にとりまとめることとしてはどうかということでまとめさせていただいており
ます。
 続きまして各論に入りますが、まずは論点の1つ目の22年改定の影響の検証ということで
「入院患者の状態像の変化について」をまとめさせていただいております。
 医療療養病棟の患者の状態像については、今回の横断調査と平成20年調査で比較したとこ
ろ、20対1病棟においては医療区分2と3の患者割合が増加し、医療区分1の患者割合は低
下していた。また、横断調査をもとに医療療養病棟と介護療養病棟を比較したところ、
介護療養病棟の医療区分2と3の割合は27.3%、医療区分1の患者割合は72.7%であり、医
療療養病棟の方が医療区分2と3の患者割合が高く、医療区分1の患者割合が低かった。こ
れは平成17年度調査の慢性期分科会で調査いただいた結果ですけれども、当時の結果では、
医療療養病棟と介護療養病棟の患者の医療区分の分布に大きな差はなかったことを踏まえる
と、両者の機能分化が進んでいると言えるのではないかと書かせていただいております。
 続きまして「レセプト調査・コスト調査における病院収支の動向について」ですが、今回
レセプト調査の結果が出ておりますので、レセプト調査の結果のみまとめさせていただいて
おります。
 レセプト調査の結果を基に、療養病床における患者1人当たりの診療報酬の請求額を算出
したところ、平成20年度調査に比べて20対1病棟では収入が増加しており、25対1では収入
が減少しているという結果が得られております。
 コスト調査の結果につきましては、また今後御報告という方向で進めさせていただきたい
と思います。
 続きまして、論点の2つ目で「医療区分1の実態と検証」ということです。
 まず、医療区分を導入した平成18年当時と比較すると、医療療養病棟における医療区分1
の患者割合が低下しているものの、医療区分1の患者は重症化しているという現場の御意見
をいただいております。しかしながら、重症化しているという実態を検証するためには、タ
イムスタディーによる検証が必要ではないかという意見もいただいております。
 なお、タイムスタディーを実施するに当たっては、患者の見守りの時間ですとか医学管理
の時間の取扱い、医療区分2の採用項目が重複する患者のケア時間の評価などについての課
題を整理した上で、今後実施すべきという意見があったかと思います。
 また、医療区分1でも認知症で手間のかかる患者については、評価すべきではないかとい
う意見をいただいております。
 次に「慢性期入院医療の実態と検証」でございます。
 まず、横断調査の分析についてまとめさせていただいております。在院日数を比較しまし
たところ、一般病棟の90日超え患者の割合は13対1病棟で14.1%、15対1病棟で24.0%、医
療療養病棟での20対1では78.6%、25対1病棟では74.9%という結果が得られております。
 病棟ごとに占める90日超え患者の割合を比較しましたところ、一般病棟では90日超え患者
の割合が高い病棟は少なく、医療療養病棟では90日超え患者の割合が高い病棟が多いという
結果が得られております。
 在院日数や年齢、疾患などの患者の状態を比較しましたところ、一般病棟と医療療養病棟
には状態の類似した患者が一定程度存在するという結果が得られております。
 一般病棟と医療療養病棟の検査の実施状況を比較しましたところ、病態の類似した患者に
対する検査の実施状況に一定の差があったという結果が得られております。
 今回一般病棟を有する病院の急性期機能についても分析を行いましたところ、13対1、15
対1の病棟を有する病院でも一定の救急対応が行われているという結果が得られております。
また、救急体制等についていろいろ解析をさせていただきましたが、地域における特徴など
は今回の分析では明確に認められなかったとまとめさせていただいております。
 以上のような分析結果が得られましたため、前回の慢性期分科会でもご意見をいただいて
おりますが、このような横断調査を慢性期入院医療の実態を把握するため、今後も実施して
いくべきではないかという意見をいただいております。
 次に「レセプト調査の分析」ですけれども、レセプト調査をもとに一般病棟における特定
除外患者の状況を分析しましたところ、在院日数90日超え患者のほとんどが特定除外患者に
該当しているという結果が得られております。
 また、患者1人1月当たりのレセプト請求金額を算出しましたところ、一般病棟の特定除
外患者では13対1で65.0万円、15対1で57.8万円、医療療養病棟の90日超え患者につきまし
ては20対1病棟で52.5万円、25対1病棟では42.5万円と一定の差が見られております。これ
は在院日数とか転帰などで類似した患者について比べてみましても、一定の差が認められる
という結果が得られております。
 続きまして「認知症患者の実態と検証」につきましてですが、まず「認知症患者の実態」
についてまとめさせていただいております。
 認知症、特にBPSD、周辺症状・問題行動を有する患者のケアにつきましては手間がかかる
ため、評価すべきだという意見をいただいております。
 また、横断調査をもとに医療療養病棟の患者の認知症高齢者の日常生活自立度を分析しま
したところ、ランクがIVとMの患者が20対1病棟では48.0%、25対1病棟では41.3%存在す
ることが認められております。
 日常生活自立度IVとMの患者については評価が低いという意見をいただいた一方で、ほと
んどのIVとMの患者につきましてはADL区分3に該当しておりまして、ADL区分で評価されて
いるのではないかという意見もいただいております。
 次に「BPSDへの対応」ということでまとめさせていただいております。認知症患者の専門
家からもヒアリングをさせていただきましたが、BPSDの対応につきましては、認知症疾患医
療センターなどに所属する専門医と、地域の医療機関が連携して診療を行うことにより、治
療効果が高まるという意見をいただいております。
 しかしながら、現在BPSDの状態の評価尺度につきましては関係者の間で合意がなされたも
のが存在せず、専門家のヒアリングにおいても開発中という意見をいただいております。
 したがいまして、医療療養病棟における認知症患者、BPSD患者を含みますが、その実態把
握の方法及び評価の在り方については、今後も引き続き検討していくべきでないかとまとめ
させていただいております。
 ここまでが中医協総会から付託をいただいた事項でありまして、次は分科会の中で御議論
いただきました「医療の質の検証」ということでまとめさせていただいております。
 まず「提供されている医療の質の状況」につきましてですが、医療療養病棟で提供されて
いる医療の質の状況を検証するために、先ほども御報告させていただきましたが、横断調査
をもとにクオリティー・インディケーター、QIについて算出させていただきましたところ、
身体拘束、留置カテーテル、尿路感染、褥瘡ともいずれも平成20年の調査と比較しまして改
善傾向が認められております。
 最後に「評価票の記載状況」につきまして、同一医療機関における横断調査の患者特性調
査票とレセプトに添付されております医療区分・ADL区分に係る評価票の医療区分の採用項
目の記載状況を比較しましたところ、前回調査と比べまして両者の乖離が今回の調査では縮
小していたという結果が見られております。これは評価票への記載が不十分であるという意
見がある一方で、平成22年度改定で評価票のレセプトへの添付が義務づけられましたので、
そのため記載状況が改善しているのではないかというような意見をいただいております。
 以上、今までの御議論を基に主要なものについて事務局でまとめさせていただきましたが、
過不足等あるかと思いますのでいろいろな御意見をいただければと思います。
 また、次の慢-2-2のカラー刷りの資料につきましては、今までの分科会で御提出させ
ていただきました資料をまとめさせていただいているものでございますので、参考資料とし
て適宜ご覧いただければと考えております。
 以上です。
 
○池上分科会長
 ありがとうございました。ただいま説明いただいた内容について、御質問、御意見等ござ
いますか。

○佐柳委員
 まとめの「5.慢性期入院医療の実態と検証」の(1)のポツの3つ目「在院日数や年齢、
疾患等の患者の状態を比較したところ、一般病棟と医療療養病棟には、状態の類似した患者
が一定程度存在するという結果が得られた」というところは、この資料のどの部分を指して
いるのか。
 それと関わっているのですけれども、5番の「(2)レセプト調査の分析」の最後のとこ
ろで「状態(在院日数と転帰)が類似している患者についても同様の比較を行ったが、一定
の差が認められた」ということですが、類似したと言っているところは多分同じところを指
しているのだと思います。この辺は資料のどの辺で読み取っているのかお聞かせください。

○坂上専門官
 事務局でございます。資料につきましては、今、御指摘いただきました点はスライドナン
バー10などを見ていただければと考えております。これは4月の分科会でも御提示させてい
ただきました資料になりますが、横軸に年齢、縦軸に在院日数をとってクロス集計をしてい
る箱ひげ図になります。青いところが療養病棟で、赤いところが一般病棟の13対1、15対1
になります。これの見方につきましては、上のひげのところが上位25%の患者分布になって
おりまして、真ん中の四角が中間50%の分布になっておりますが、一般病棟と療養病棟では
中間層の50%につきましては分かれているのですけれども、一般病棟でも在院日数が長いよ
うな上位25%の分布につきましては医療療養病棟と重なっているのではないかと、分析結果
を御提示させていただいたところです。
 また、スライドナンバー11では、医療区分でも病棟ごとに比較させていただきまして、90
日超え患者についても医療区分の分布を比較させていただいております。次の12のスライド
で患者の疾患別構成割合を比較させていただきましたところ、上の図は全患者で、下の方の
図が在院日数90日超え、かつ30日後の病状の見通しが不変の患者についてまとめさせていた
だいているのですけれども、転帰ですとか在院日数で患者の指標をそろえましたところ、一
般病棟と療養病棟でより疾患構成も似てきているのではないかと分析させていただいており
ます。
 レセプトの状況につきましては、スライドナンバーの20、21のところをご覧いただければ
と思っております。20につきましては、病棟ごとに、一般病棟につきましては病棟全体の患
者、特定除外患者、特定患者と比較させていただいておりますが、これでも療養病棟と一定
の差が見られているということに加えまして、21枚目のスライドをご覧いただきますと、こ
れは在院日数ですとか、かつ30日後の病状の見通しが不変ということで転帰でも揃えている
のですけれども、こういうふうにいくつかの指標をそろえても病棟ごとにある一定程度の差
は出てきているのではないかなという結果から、報告書のたたき台でこのような表現でまと
めさせていただいたところでございます。
 以上です。
 
○池上分科会長
 よろしいでしょうか。では、ほかに。
 三上委員、どうぞ。

○三上委員
 今の「5.慢性期入院医療の実態と検証」の(2)番のところで、先ほどのスライドの20、
21ですか、一般病床の90日超えと医療療養でかなり差があるというお話ですが、これは妥当
かどうかということです。
 それぞれ例えば15対1の57万8,000円と20対1の52万5,000円、5万3,000円の差があるわけ
ですけれども、確かに病床については4.3?対6.4?という形になりますが、人員配置につい
ては医師が48対1に対して一般が16対1、そして看護師の方が20対1ですから、同じように
言えば4対1です。4人に1人ということと、3対1ということになります。それを人件費
で見ますと、いわゆる退職金も考えてやりますと、ドクターの方が公務員で大体1,600万く
らいの年俸ですので、それを365日で割って48分の1と16分の1の差、すなわち24分の1と
しますと1日1床1人当たり大体1,900円。同じように看護師の方も大体600~650万の年俸
で、退職金を足しますと800万くらいということで、3分の1と4分の1の差を見ますと12
分の1で大体同じぐらいなので、当然1日に4,000円近い差があるのだろう。それに減価償
却、4.3?と6.4?で、2.1?を坪単価100万くらいといわゆる公立病院並みとしても平米当た
り30万ということになりますので、60万強となりますと、1日当たり80円くらいになるわけ
ですが、ほとんど影響がないわけです。
 そうすると1日4,000円近く差があると、1か月で12万円の差があっても普通ということ
になります。これは逆に言えば、見方によれば一般病床の方が低いのではないかと読めるの
ですけれど、書き方によっては一般病棟が非常に高くて無駄になっているのではないかとい
う見方ができるので、そのところは1つ指摘をしておきたいと思います。
 もう一つは、同じ特定除外患者ですが、これは昨日の慢性期学会のところで医療課長も少
し検討したいと言われたと伺っておりますけれども、特定除外患者が非常に多くて、項番が
書いていないものが6割近くあったということです。私の方でも調査しますと、今回の調査
でコメント欄、摘要欄に何か書いていないものについては項番不明となっていたということ
です。レセプトの記載要領の通知の中には簡潔に「特外」と摘要欄に書くとかあるのですが、
丸1~丸12号の中でほとんどは病名なり処置なりそういったものを書き込めばわかるよ
うになっているはずですけれども、項番不明は明らかにレセプト上でもわかるものであって
も、コメント欄に書いていなかったら項番不明にされたのかどうかということが1つ。
 それと支払基金の方でも全くチェックされていないというお話をされていたと思いますが、
基本的にはチェックされている、そして病名等あるいは処置といったもので確認ができてい
るということでいいのかどうかということを、少しお伺いしたいです。

○井内補佐
 まず、レセプト調査の分析のところで差があるということで表記させていただいているの
ですが、御指摘いただきましたとおり、資料のスライドの21で御指摘いただいた57万8,000
円、52万5,000円、42万5,000円を指して一定の差があると御指摘させていただいたものでご
ざいます。そういった議論があったということを踏まえてございます。今、三上委員の方か
らそれを踏まえた上での御指摘と御理解させていただきます。
 もう一点、項番不明の方ですが、御指摘がありましたようにレセプトの記載要領の中で、
摘要欄にいわゆる特定患者について「特」と記載して、該当しない場合は「特外」と記載す
るというようなことになっているということは事実としてございます。まず、その点につい
ては1つございます。
 更に今回の資料ではないのですが、前々回の資料にあると思いますが、そこで出たときの
項番不明につきましては、まさしく摘要欄のところに書いている書いていないということを
もって、摘要欄に書いていないものについては項番不明という分類をして集計させていただ
いております。それが事実関係の2つ目でございます。
 実際レセプトの記載要領の中で摘要欄に書くということで書いていただいていますが、あ
ともう一点は、レセプトはいわゆる審査に提出されたそのものではなくて、病院の方に御協
力をいただいた横断調査の中でのデータですので、レセプトとニアリーイコールと我々の方
は考えていますが、全くのイコールかどうかは施設によって異なるという理解でございます。
 項番不明のところについてはそういう形でまとめたものだということで、基金の方もチェ
ックされていないという話ではなかったと思います。どういうチェックがされているのかと
基金の方にも確認をいたしましたが、基金の方では適正な形でここについては審査をしてい
るというような御回答をいただいたというものでございます。
 事実関係については以上です。
 
○三上委員
 今、調べたのですけれども、丸1~丸12号までそれぞれ難病であれば摘要欄に「難入」
と書くとか、あるいは重症者等療養環境特別加算を算定するには他のところに「重境」とい
う形で書くということで、それぞれ丸1~丸12号までがコメント欄がなくてもわかるとい
うか、明らかになっているということなので、本来コメント欄はそれ以外のところでわかり
にくいものについてコメントを書くという認識で、書いているものもあるし、書いていない
ものもあるということですけれども、わかりにくいと判断すればコメント欄に書く。明らか
に病名や処置が書いてあって、例えば人工腎臓という処置があれば、当然それは特定除外さ
れるわけですからコメント欄には書かなかったということだろうと思いますので、その辺の
ところは少し誤解のないようにしておかないといけないかなと思ったので指摘させていただ
きました。

○井内補佐
 御指摘のとおりかと思いますが、我々の方から杓子定規に申し上げますと、ルールとして
は摘要欄に「特外」と記載するということになっているということではあります。

○武久委員
 今のお話とはちょっと違って、この報告書というのは委員会で質疑応答なり意見を言った
内容をまとめて書いてあるということと理解しております。だから各委員が言ったことがこ
こに必ず書かれていないといけないということは多分ないと思うのですけれども、ポイント
で私が言ったことで書けていないのは、3ページ「医療区分1の実態と検証」のところで「
今後タイムスタディー調査の実施が必要ではないかという意見があった」こういう意見もあ
りましたし、また「見守りや医学管理の時間の取扱い、こういうことを整理した上で実施す
べき」ということもあったのですけれども、私はタイムスタディーという手法が信頼できに
くい。いろいろな変数が多い部分というか、要するに不確実なものの上に立って行われたも
のは評価できないのではないかということをたしか言ったと思うのですが、ここに書かれて
いないのです。タイムスタディーという手法そのものに対する疑念を私は申し上げたと思い
ます。
 それと「6.認知症患者の実態と検証」のところ、IVとMの患者はADL区分3に該当して
おり、ADL区分で評価されているのではないかという意見も確かにあったと思うのですが、
これはADL3の区分同士で比べてみますと、おとなしく寝たきりの人と抵抗する人とでは明
らかに差があるわけですから、そこのところで猪口委員が出された全日病の調査結果でも、
もう一つの精神障害課の方が出されたデータでも、いずれも手がかかるということがありま
して、それに対してのコメントとして、いずれも手がかかるのだったらそれなりの評価をさ
れるべきだということを私は言いました。
 私が言ったことを意図的に削っていることではないとは思うのですけれども、確かに私は
こういうことを言っております。だから認知症というのは徘徊するなら徘徊するで非常に困
りますけれども、寝たきりになったら、もうそれで認知症は問題ないのだという極論ではな
いと思っています。
 4ページの今、三上委員のおっしゃったところですけれども、これは書いていないことで
すが、たしか私の記憶では20年4月に特定除外のうち脳卒中と認知症は外すという通達があ
って、9月30日まで経過期間があったと記憶しています。20年10月からはそういうふうにす
るということが、どこでどういう話になったか知らないけれども、経過措置として要するに
ペンディングになってきて、現在まで来ているということですので、20年のときにこれを結
局退院を前提として、退院させるような努力をしているかどうかという項目と、特定除外の
どの項目に当たるかと。
 もちろん病気でスモンと書いてあれば、スモンだからいいではないかというのではなく、
やはり医療区分ではきちんとスモンのところに毎日丸を入れておかないと医療区分は通らな
いわけで、保険病名と傷病名と医療区分なりこういう特定除外の項目に書きなさいというの
が、これはたしかあのとき聞いたと思うのですけれども、退院を前提としているということ
がわかるような書類を出すことと、特定除外のどれに該当するかを書くことは、入院基本料
の必要十分条件なのでしょうか。ちょっと知らないので教えていただけますでしょうか。
 
○池上分科会長
 まず、その点を事務局から。あるいは三上委員、何か御意見ございますでしょうか。

○三上委員
 退院支援状況報告書の届出が要るのは、いわゆる丸1~丸11号に準ずる場合に退院支援
状況報告書が要る、それで「退支」と表示をするということで、丸1~丸11号で明らかに
手術であるとか処置とかそういったものがされているものについては、そのまま特定除外さ
れるということになっていて、それに当たらない人たちや認知症あるいは脳卒中とかいった
人たちにおいては「退支」が要る。

○武久委員
 「退支」というのは丸だけ書いたらいいのですか、それともこういうふうに届出して、こ
の人にはこういうような退院をするように方向づけておりますという書類があるのか、「退
支」というところに丸を付けたらいいのか、よくわからないです。

○猪口委員
 すみません、私の方が答えるものかどうかわかりませんが、要するに届出は、厚生局の方
に退院支援計画書は出すのです。出したということをレセプト上は「退支」と丸を書いて出
ていますよということを。

○武久委員
 一人ひとりですか。

○猪口委員
 そうです。だから出す場所が違うのです。計画書を出すところとレセプトを出すところが。

○坂上専門官
 事務局でございます。今の御議論について、制度上の整理について申し上げさせていただ
きますが、まず特定除外項目につきましては資料編の18のスライドをご覧いただければと思
います。
 ここには特定除外項目について丸1~丸12項目まで記載せていただいておりまして、武
久先生がおっしゃった脳卒中の後遺症ですとか、認知症の患者につきましては丸3の下線部
についてですが、これは平成20年度に除外されたということでございます。今、ありました
退院支援の報告書につきましては、丸12番の「前各号に掲げる状態に準ずる状態にある患
者」ということで、これにつきましては退院支援状況報告書というものがございまして、そ
れを毎月所管する地方厚生局に提出することになっております。レセプト上につきましては
記載要領通知では、摘要欄に退院支援状況報告書を提出している旨を記載するというふうに
なってございます。
 以上です。

○武久委員
 そうすると毎月厚生局に出していなかったらどうなるのでしょうか。

○坂上専門官
 本来は出すことがルールになっておりますので、出さないと認められないというルールに
なっております。

○武久委員
 それに対する調べはしていない、特定除外のどれかに該当するというふうに丸を書かない
と、療養病床のこともですけれども、医療区分にはめちゃめちゃ細かく書くんですね。もう
本当に事務の手間が大変なくらい書くのですけれども、当然本来は退院すべき患者が入院し
続けるということの条件に、丸1~丸12のところのどれに当たるかということすら書かな
いのだったら、やはり医療療養より楽ですね。

○猪口委員
 今のは楽かどうかというか、今の規則がそうなっていますという話ですよ。
 私もこのことは何なのかなと思って調べてみたのですけれども、例のこの間項番不明とい
う話が、先ほど三上先生も言っておられましたけれども、実は書くのは何番と書くのではな
いのです。特定か特定除外かを書く。だからそれでは実は項番はわからないです。そのほか
に書くのが2~3項目あるだけで、何番ですと書くようにはなっていないので、ですから項
番は不明ですということになってしまったのかなという気もしました。

○武久委員
 この項番は丸1~丸12に当たるものが特定除外ですと書いてあるわけだから、丸1~丸
12に当たらなければ特定除外にはならないのではないですか。

○猪口委員
 だから丸1~丸12であるかないかということを書くだけで、そのうちの何番かというこ
とを書くのではないみたいです。

○坂上専門官
 事務局でございます。今回の横断調査でレセプト調査の集計の仕方について御説明させて
いただきますが、まず記載要領通知上は特定除外の「特外」と記載することと、特定除外に
なったその理由を摘要欄に書くというルールになっております。今回のレセプト調査につき
ましては摘要欄を見て確認しまして、そこに理由がないものを項番不明ということで集計さ
せております。ですので、ルール上は番号を書くのではなくて、理由を書くようになってい
るのですけれども、理由についての記載がなかったものについて、項番不明ということで集
計させていただいております。
 以上です。

○池上分科会長
 確認しますと、番号ではなく、理由が文書として書いてあるわけですか。

○坂上専門官
 ルール上は文章ですとか、例えば退院支援状況報告書であれば「退支」と書くとなってい
るのですけれども、そういう記載がないものについては不明ということで集計しております。

○池上分科会長
 つまり番号の有無で見ているのではなくて。

○坂上専門官
 番号の有無だけではなくて、理由の記載についても確認して、摘要欄に記載がないものを
項番不明というふうに集計しております。

○池上分科会長
 わかりました、ありがとうございます。

○武久委員
 私が言っているのは、この慢性期分科会を含めて、慢性期の例えば医療区分にしても患者
分類にしても非常に細かく手間が要る事務を行って、しかもそれに期間が限定されておりま
して、いろいろなもので現場は混乱しながらやっているのですけれども、一般病床の特定除
外はそういう手続的な事務的なことは非常に楽だなと思いました。
 いずれにしろ決まったことに対してきちんとやることが、入院のレセプトを出す必要十分
条件になっているのであれば、それをクリアーしていないと、医療区分においてもそれが間
違っていれば当然ペナルティーがあるわけですから、そういうことも考えられるのではない
かと思います。
 要するに私が言っているのは、なれ合いでずっと来ているから、あるときからこれを書き
なさいよと言ってもそのままずっと来ているというような感覚を持つのですけれども、一応
日本は法治国家だし、健康保険というのは法解釈に基づいてやっているのですから、それに
基づいてきちんとするということが入院のレセプトを出せる条件かなと思いますので、そこ
がはっきりしなければブラックボックスになってしまうなと思っただけのことです。

○池上分科会長
 この問題はよろしいでしょうか。

○武久委員
 先ほど私が言ったように、私が言ったことを書いていないのもある。別にそれは構わない
けれども、ここのレセプト調査の分析のところに今のようなことは重要だから書くべきでな
いかなとは思います。たくさんあるからそれ全部は書けないと、私の発言が多少削られるの
はどうということはないのですが、資料の分析というところではきちんと書かれた方がいい
かなと思っただけです。

○池上分科会長
 椎名委員、どうぞ。

○椎名委員
 今、武久委員から報告書の記載についてお話がありました。具体的に言うと、タイムスタ
ディーの手法そのものに対して疑念があると。確かにそういう発言はありまして、よく覚え
ています。しかしながら、一方でやはり現時点ではタイムスタディー調査に代わるべき手法
もなかなか見つからないという意見もあったと思います。

○池上分科会長
 ありがとうございました。これは意見の集約というより、報告書に何を書くべきかという
ことについての御発言と理解しておりますので、この分科会として合意するということでは
ないと認識しております。そういうことで事務局はよろしいですね。

○坂上専門官
 はい。

○三上委員
 今のタイムスタディーの話ですけれども、もう一つ大塚委員の方が、例えば医療区分2、
3が非常に増えてきた場合にはそちらの方に手がとられていくので、例えば医療区分1が重
症化していったとしても、以前の重症ではない医療区分1よりもタイムスタディー的には短
くなる可能性がある。そういったことについて意見を述べられていますが、それもここに書
かれていないと思います。

○池上分科会長
 これは項目が書いてあるので、今、先生がおっしゃったような発言をどのように報告書に
反映するべきかというのはまた別の問題で、これは項目ですので、先ほども確認しましたよ
うに、分科会としての合意事項を書くことが報告書ではないということを確認したまででご
ざいます。よろしいでしょうか。

○大塚委員
 ちょっと別の件ですが、この報告書のたたき台の2ページ「3.平成22年度改定の影響の
検証」の(1)のポツ1のところに書いてある「今回の横断調査と平成20年度慢性期調査を
比較したところ、20対1の病棟においては、『医療区分2と3』の患者割合が増加し、『医
療区分1』の患者割合は低下した」と書いてあります。どこかにデータがあるのだと思うの
ですが、25対1ではこれがどんなふうに変化したのか教えてください。
 といいますのは、医療区分2と3が80%以上でないと、たしか20対1の算定はできないで
す。ですからこの20対1で80%を超えているのは理解できるのですけれども、25対1ではど
のように変化したかというのを教えていただきたいということです。
 
○坂上専門官
 事務局でございます。今、御指摘の点につきましては資料編の方の6枚目のスライドをご
覧いただければと思います。
 ここに「医療区分の年次推移」という図を載せていただいておりますが、上の方が医療療
養病棟で下の方が介護療養病棟になります。医療療養の方を見ていただくと、上から平成17
年、18年、20年、22年の今回の横断調査となっておりまして、25対1につきましては22年の
(25:1)というところに今回の調査結果を記載させていただいておりまして、平成20年度
と比べますと若干の差はあるのですけれども、そこまで大きな変化はないのかなと考えてお
ります。

○大塚委員
 ということは、このことをむしろ同じように書いていただいた方がいいのではないかと思
います。

○池上分科会長
 どうぞ、三上委員。

○三上委員
 今の6番のスライドですけれども、棒グラフで三次元か何かのADLと医療区分のグラフが
あったと思うのですが、そこでは医療区分1のADL3が非常に多かったというように記憶し
ておりますけれども、そのことはどうなのですか。例えば介護療養ですと要介護は5に近づ
いている、4と5ばかりで5に近いところまで来ているということなので、ほとんどADL3
になっていると思います。医療区分1は増えているけれども、ほとんどがADL3であるかど
うかということについて、多分前のときに。

○猪口委員
 横断調査ですね。

○三上委員
 ですからそういったことは。

○坂上専門官
 事務局でございます。今、御指摘いただいた点ですけれども、今回は掲載していないので
すが、過去の資料に掲載しておりまして、第1回目の資料をご覧いただければと思います。
22年度12月21日の第1回資料の慢—2で「横断調査の概要」いうことで載せているのですけ
れども、その後ろの方に別添1と別添2が付いておりまして、別添2の「医療施設、介護施
設の利用者に関する横断調査の速報値」の3ページの下のところに医療区分とADL区分の分
布を記載させていただいております。ここで、今、三上先生から御指摘がありました医療区
分とADL区分の分布を三次元のグラフで記載させていただいております。

○池上分科会長
 私から1つそれに関連して質問をさせていただければ、この年次推移は、客体はそれぞれ
違うわけですね。そして調査指標はどうでしょうか。これはレセプトに基づいているわけで
はないですね。

○坂上専門官
 これは過去の調査と今回の調査ともレセプトに基づいているものはございませんで、患者
の特性調査票ということで、該当する項目について記載していただきまして、それを基に医
療区分の採用項目と照らし合わせて医療区分を分類しています。

○池上分科会長
 わかりました。今日の冒頭にも御提出いただいたように、治療ケアの内容の評価票、QIの
算出について、これも同じ20病院を介して見た場合に初めて質がどう変化したかということ
がわかるわけでございまして、このように違う病院を毎回トレンドで見ても、これはたまた
まその年に選ばれた病院における区分を反映している可能性は否定できないわけです。した
がって、これは同じ病院を治療ケアの内容の評価票のように見ることは難しいと思いますの
で、毎回別々に患者特性調査をした結果、このように変化しているというので、全体をそれ
ぞれが表しているかどうかというのは必ずしもわからないという点に御留意いただければと
思います。

○三上委員
 先ほど言ったように、医療区分1の患者さんが重症化しているということが言われている
わけですけれども、6枚目のパワーポイントだけでなくて、ADL区分の年次比較もわかれば
出していただけたらと思います。

○坂上専門官
 ADLの方も集計してみたいと思います。

○武久委員
 今のたたき台の5ページの7についてお話ししますけれども、これは「医療の質」と書い
てあるのですけれども、ここの慢-1-1を見る限りにおいては、これは単なるアンケート
ではないかと思います。すなわちその病棟にいる全患者さんのうちこういう人がどれだけい
るかというパーセンテージだと思います。
 これについて実は前回のときに、それまでは医療区分2、3に該当する項目のどれかに丸
を入れれば、要するに複数あっても酸素だけ丸を入れれば医療区分3だと。2でも、どれか
に入れれば。それに対して重複する病態像が非常に多いはずだから、重複する場合は手間が
かかるから評価してほしいということを言いましたけれども、それが以前のタイムスタディ
ーでほとんど差がなかったという結果が出たということもありましたが、そのときに全部書
く代わりに、いわゆるクオリティー・インディケーターと言われるような書類を書くのは、
現場でも非常に手間がかかるのでいいのではないですかということを前の22年度のとき私は
発言をさせていただいて、結局これがまた残った上に褥瘡が付いたのです。これが残った上
に褥瘡が付いたということは多分この分科会では、そういう討議が全くなされていないと思
います。
 この区分に相当するところにはすべて丸を付けるというのは、一応入院基本料すなわち療
養病棟入院基本料を出す条件になっているのではないかと思います。これもまたクオリティ
ー・インディケーターという、これはどちらかというと毎月書かないといけないというふう
には、私はこれを見てもわからないのですけれども、毎年1回くらい書けばいいと思います。
ただ、褥瘡でも持ち込みの褥瘡が増えれば悪くなるわけだし、また状態が悪い人がたくさん
来ると逆に悪くなるということもありまして、ある人がどんどんよくなっていったというこ
との検証であればある程度わからないことはないのですが。したがって、医療療養病床の現
場は各項目を全部書けという条件を出された。その上にこれをまた追加して書けと言われた。
分科会の中では項番を全部丸を入れるから、QIはこういう総論的な統計資料であるから外し
てもいいではないかというような、例えばアンケートを毎月出しているようなものですと。
この2つは、療養病棟入院基本料の必要十分条件なのかということをまずお聞きしたいと思
います。
 これが私は椎名委員がおっしゃったことの上に、まだ私はこういうことを言ったと思うん
です。慢性期分科会だけに課せられている足かせ手かせが非常に多い。このクオリティー・
インディケーターもそうですけれども、どうも慢性期の医療療養病床を余り信用していない
のではないかと我々としては思う。というのは、タイムスタディーをしなければ報酬体系も
変わらない。だけれど、一般各科の点数を上げたりいろいろするとき、タイムスタディーを
したということを私は聞かないのですけれども、これはひょっとしたらいろいろしているの
でしょうか。ただ、ここのところだけ非常にたくさん条件が入ってきて、しかもタイムスタ
ディー以外にほかの方法が見つからないからこれをしようと。では、ほかの科目とか回復期
とか急性期とかいろいろな臓器別の点数は一体どうして決められているのか。慢性期の病棟
だけ非常に大きな制約を受けているということ自身がおかしいのではないかと私は言ったわ
けです。
 今、いろいろ言いましたけれども、答えられる範囲があったら教えていただきたいと思い
ます。
 
○坂上専門官
 事務局でございます。まず、評価票の定義についてですけれども、診療報酬の算定ルール
上、療養病床につきましては医療区分、ADL区分の評価に係る評価票をレセプトに添付する
ことが義務づけられておりまして、この評価票につきましてはこれも算定ルール上、毎日評
価して記載するということが定められております。ルール上はそういうことになっておりま
す。

○井内補佐
 この慢性期のところが制約を受けているという御指摘ですけれども、我々といたしまして
は、基本的には診療報酬に関しましては中医協総会の中で決められていくという理解でおり
ます。ただ、この慢性期の部分に関しましては、この分科会でより詳しく調査をすることも
含めて検討をしていただくという位置づけになっていると思っております。そういった位置
づけですので、ここの分科会の中ではより詳細なデータや調査を歴代ずっと実施していただ
いた中で、それを中医協総会の議論に資するものとして上げていただいているという理解で
おります。中医協の中で御指摘がありましたように、例えばいろいろな連携を考えられたり
とか、医療技術に関しては例えばエビデンスを求めたり、それぞれ特性はあると思うのです
けれども、全体として中医協で考えられていく中でここの分科会としてはあくまでも詳細な
データに基づいた議論をしていただいて、その報告を中医協に上げていただくという位置づ
けだと思っておりますので、そういった形で進められてきているものだと認識しております。

○武久委員
 では、このQIのアンケート的な用紙についてはもう義務づけなのですか。これを出さない
と入院基本料の条件に違反するのでしょうか。

○坂上専門官
 事務局でございます。QIだけが別にあるというものではなくて、評価票の中の一部として
記載を義務づけられておりますので、それについても記載することが算定ルール上は義務づ
けられております。今回はその記載をもとに事務局でこういう形で全病院を集計させていた
だいております。

○武久委員
 そうすると療養病棟入院基本料のレセプトを出すときには、たくさんの事務的な業務が加
わっていると思ってもいいですね。そうするとほかの診療科でもそうですけれど、先ほど言
った一般の特定除外のところもこういうふうに決まっているのであれば、決まったとおりし
ていないということ自身はやはり問題だと思うので、我々は医療療養の方では決まっている
からこのQIについてもうちでもきちんと確かに書いていますよ。全項目に丸を入れるのは結
構面倒くさいです。毎日毎日ですから。酸素をやって、熱があって、気管切開をやって、熱
が治まって、胃瘻を落としてと全部チェックしないと、あれに丸を全部入れようと思ったら、
事実を言うと大変な仕事です。それとこれはどちらかというとアンケートであって、こうい
う患者さんがどれくらいいるかということでしかないと私は思っています。いろいろなこと
に負荷をかけられて、これはここの会でやっていますからといっても、やはり普遍的に診療
科なり診療のフェーズにおいても同じように平均的にするべきだと。そうすると慢性期だけ
ちょっと虐待されていると思いませんか。私自身は虐待されていると思っています。虐待さ
れていても決まったことはきちんとしていますよ。だけれど、これはきちんとしないといけ
ないのにしないでも済むということがほかの科でもしあったら大問題だと思います。虐待さ
れる側の理論ですけれども。

○椎名委員
 この分科会は、慢性期入院医療の包括評価に関する分科会という形で平成15年からスター
トしています。言い換えますと、それまで病棟単位の報酬体系だったものを、患者さんの特
性に応じてきちんとした分類をして評価していこうという形でやってきていると思うのです。
 一方、急性期医療に関してはDPC評価分科会というものがあって、DPCで分類をして、それ
に関して統計的なデータに基づいて包括部分の報酬額を決めていく。従来の点数、例えば入
院基本料を議論したことがコスト分科会などでありますけれども、武久委員がおっしゃるよ
うに、コストとかそういったものの考えでつくり上げた体系ではないのです。そういう中で
ある程度きちんとした体系づけをやっていこうということで、慢性期分科会では医療区分と
ADL区分で3×3のマトリックスで中医協に報告をしたわけです。同様なことは急性期医療
に関してDPC評価分科会でもやっているわけです。ですから手かせ足かせというお話もあり
ますけれども、少しずつ合理的な診療報酬体系に持っていこうという努力はなされているか
と私は思います。

○武久委員
 椎名委員のおっしゃるとおりだと思うのですけれども、DPCのいろいろな決まりに比べて、
医療療養の決まりの方が非常に複雑で大変だということを言っていることと、もう一つ、D
PCと医療区分との間の出来高の一般病床のところに対しては、先ほど言ったみたいに確かに
余り大きな縛りはないです。包括だからいろいろな縛りがあると思っていますけれども、そ
こで13対1、15対1の特定除外のところはこういうことを書きなさいという縛りがあるのに、
それをきちんと守っていないのだったら問題だということ。
 もう一つ、ここでいろいろなことを議論して、ではこうしなさいと言うことは簡単だけれ
ども、現場の苦労もちょっと考えてくださいよ。どれだけ大変か。毎日どの項目に当たるか
を全部チェックしないとレセプトを出したらいけないというのですから。それはもう本当に
大変で、監査にも来られていますけれども、非常に細かいところを突かれても、これに丸が
入っていない、これを書いていないではないかと言われたら、それはどれだけ手間がかかる
か。現場にいた人ならわかると思いますけれど、私は現場でそれを見ていますが、これは大
変だ。これは虐待と言ったら言い方は悪いけれど、よほど慢性期医療をやっている人は信用
されていないのだなと、すべて私の不徳といたすところでございます。

○池上分科会長
 事実関係を伺いたいのですけれども、評価票において、もちろんこれは歴月単位で請求す
る場合に、ある項目、例えば褥瘡が該当した場合、褥瘡をチェックすると、毎日チェックし
なければいけないのか、それとも1回チェックしたら歴月はそれが継続したとみなされるの
か。最初はそのようになっていたと思いましたけれども、途中変わったかどうかちょっと確
認したかったので伺います。

○坂上専門官 
 現在のルール上は毎日患者さんの状態を評価していただくということになっております。

○池上分科会長
 つまり毎日チェックするということですね。

○坂上専門官
 はい。

○池上分科会長
 何かありますでしょうか。

○三上委員
 5ページの一番上の「(2)BPSDへの対応」の文章の2つ目のポツですが、BPSDの状態の
評価尺度についての文章です。BPSDの状態の評価尺度という話はしていなくて、認知症の尺
度についてのものが開発中ということで、BPSDは実は周辺症状なので、慢-1-2にいわゆ
る日常生活自立度の表がありますが、そのところにも「大声を上げる」とか「奇声を上げる」
とかいろいろ症状を書いてございます。これは日常生活でいうとIII、IV、Mのところに入っ
ているわけですけれども、これについてBPSDの評価尺度などという話は出ていなかった。認
知症の尺度がまだまだ不十分で開発中であるという意見だったと記憶しておりますが、どう
でしょうか。

○坂上専門官
 事務局でございます。確かにここでは自立度ですとか認知症の評価尺度についても御議論
いただいていたのですけれども、4月の認知症のヒアリングで専門家の先生にヒアリングを
させていただいたときには、BPSDの評価尺度について研究とかの分野で開発中であるという
御意見をいただいたと事務局としては認識しております。

○池上分科会長
 報告書のたたき台で実際に次回少なくともこれを肉付けしたものを御提示しなければいけ
ないので、今は各委員からのそれぞれの発言を承っていましたけれども、そろそろ各節ごと
に確認をした方がよろしいのではないかと思いましたので、今、ちょうど高木分科会長代理
もいらして、残り時間が45分ですので、できましたら項目の節順に確認していきたいと思い
ますけれども、よろしいでしょうか。
 それでは、「検討の経緯」として1ページ目の上からまいっていきますと、「検討の経緯」
の「(1)検討の経緯」、これは事実関係ですので、特に御議論はないと思います。
 「横断調査の実施」も事実関係であります。
 「(3)今回の検証に用いた調査」についてはまだコスト調査の結果が出ておりませんの
で、次回の分科会までには出るということでございます。では、次回の分科会が開催される
前に各委員にこれが届けられて、この報告書の議論の中でもコスト調査についてそこで初め
て検討することになると存じます。
 「2.報告書の論点」としてこの4点が挙げられていますが、これは中医協からの付託事
項の4点と、「(5)医療療養病棟における医療の質の検証」については問題ないかと存じ
ます。
 ここまではよろしいでしょうか。
 では、「3.平成22年度改定の影響の検証」について、「(1)入院患者の状態像の変化
について」、この中でたしか1つの発言として、25対1についても御提示するようにという
ことがございました。それから、私からの発言として、毎回客体が変わっていますので、必
ずしもこれはそのまま実態の変化ということにはならないということを申し上げました。
(1)についてはそのように記憶していますけれども、何か。

○三上委員
 先ほどADLの分類も申し上げたのですけれども。

○池上分科会長 
 申し訳ありません。ADL区分の構成比の変化をこの調査で見るようにという。
 (1)はよろしいですか。
 「(2)レセプト調査・コスト調査による病院収支の動向について」、これはレセプト調
査の結果しかございませんが、これを事実としてそうなっている。
 3についてはよろしいですか。
 では、また戻ることがあってもよろしいかと存じますけれども、「医療区分1の実態と検
証」ということで、武久委員から幾つかの御意見を伺っていましたので、それは武久委員の
御意見としてここに盛り込むということでよろしいでしょうか。一委員からの意見としての
内容をここに反映させる。よろしいですか。

○武久委員
 必ずしも各委員が言ったことをすべてここに書くことはできませんので、私が言ったこと
がそのまま書かれる必要はなく、ニュアンスとして出れば別に私は文句を言いません。

○池上分科会長
 では、そのように御発言いただきましたので、それを踏まえてここの4のところをまとめ
させていただければと存じます。

○武久委員
 ただ、4の一番下の行で、「『医療区分1』でも認知症で手間の係る患者については」と
いう、これは医療区分1に限定した話ではなかったように思うのですけれども、ここはどう
でしたでしょうか。

○坂上専門官
 事務局でございます。これは前々回ですか、「医療区分1の実態について」という議題を
設けさせていただいて御議論いただいたところですけれども、その中で猪口先生から全日病
で実施された認知症のタイムスタディーの結果とかを御提出していただきました。事務局と
しては医療区分1の実態の中の御議論で御発言いただきましたので、そういうくくりでここ
に記載させていただいています。

○武久委員
 そのときにCPSがついた経過、また外れた経過についてここで議論があったと思うんです
けれども、1分間タイムスタディーで差があったからついた、次のときは1分間タイムスタ
ディーで差がなかったからやめた、その次また差があったからつけた、次なかったから下げ
ると、こんな決め方でいいのですか。CPSに関してそういうことを私は言ったと思うのです
けれども、そういうニュアンスのことが入っていないと思います。なくなったというのは、
結局CPSが非常に象徴的ですから、ここがたとえ5点でも、実質手がかかるというのはこの
間も、猪口先生のことでも出ております。猪口先生がとったのは医療区分1に限らず全体的
という話ですよね。

○猪口委員
 私がお話しさせていただいたのは、療養に限らず一般でも精神でも、認知症の人はそうで
ない人より手がかかっているというデータをお示しさせていただきました。

○武久委員 
 そこのところは入れていただけたらと思いますけれども、これは逆に言うと、担当課の権
限の範囲内と思いますので、それは私の意見を必ず書けなんて、そんなおこがましいことは
言いません。

○坂上専門官
 事務局としての補足ですけれども、一応そういうことで認知症も手間がかかるという御意
見をいただいておりますので、4ページ目の「6.認知症患者の実態と検証」の(1)の一
番上のポツのところについて、認知症は手間がかかるため評価すべきという意見があったと
いうことで、こちらの方に記載させていただいております。

○池上分科会長
 そういいますのは、これは中医協からの付託事項として医療区分1の実態と検証があった
ので、そのセクションの中での記載というふうに御理解いただければと存じます。
 ここのセクションはよろしいでしょうか。
 「5.慢性期入院医療の実態と検証」の「(1)横断調査の分析」でございますが、これ
についてはいろいろな議論がありました。ここでは事実だけが書いてありますけれども、こ
れについても何か、この数値をどう解釈するかということを含めて御意見がありましたら、
どうぞ。

○佐柳委員
 何となく、もやっとしていてすっきりしないところがあるのですけれども、書かれている
のはこういうことだと思うし、一般病棟と療養病床に同じような人たちが入っている、これ
も状況で見れば確かにそうですし、またデータも見通しはどうですかということを見れば、
大体似たようなものが出ているということです。
 ただ、ちょっと足りないというか、一般病棟に入院されている方の入院期間は極めて短い
ですね。療養病床に入っていると相当長いというのが結果になっているわけで、結局一般病
棟に入っている方々はいつまでもそこに入っていても、経営もなかなかできないということ
もあるのだと思います。検査も相当濃厚なものをして、そうするとその分だけ単価は高くな
っているのですが、退院に結び付いているのかもしれないというのは、私自身は多少違うの
ではないかと何となく感じられるのですけれど、そこのところはどうでしょうか。
 先ほど単価の話も出てきていますけれども、療養病床に入っているともちろん単価は低い
のですけれども、入院期間は極めて長いということなので、逆に言うと、いわゆるコストベ
ネフィットという形でものを見れば、療養病床の方には入院期間というコンセプトが非常に
薄いのではないか。だから結果として非常に全体のコストも高くなってくる。そういうよう
なことが働いているのではないかなという気もちょっとするのです。だからここに書く意図、
ここに整理していくということは、これからもちろん中医協で同じような枠組みにどうやっ
て入れていこうかという話になってくると思います。私は当然そういう流れだとは思うので
すが、実際に一般病棟でやったことを何で評価していくかということで、ここで医療の質が
出てきているのですけれども、ここでいう医療の質は基本的には状態像を表しているだけの
ものであって、医療効果がどうであったのかという効果を見ているわけでも何でもないと思
います。その辺のところがいまひとつ私もすっきりしないのです。これを同じだと言ってい
いのかどうか。先ほどの5の丸ポツの3つ目ですけれども、「在院日数」云々は一緒だ、存
在するという結果が得られた。これはそのとおりだけれども、それによってどちらも同じ効
果が期待できているのかどうか。同じように今、見通しは立たないと言っているかもしれな
いけれども、結果としてはある程度の期間を設けて一般医療では退院というところにつない
でいるのだろうと思います。
 
○武久委員
 佐柳先生は多分ご存じだと思うのですけれども、特定除外の人は平均在院日数の算定に入
れませんから。入っていないのです。だからそういう以外の人のターンオーバーは非常に早
いと思います。ところが90日以上で特定除外になった人だけをとって、その人が一体平均何
か月間いたかという調査が抜けているわけです。療養病床はそれが出ているわけです。平均
在院日数を入れますから。特定除外は入れないためにデータがないのです。そこを比べると、
一応基準としては現実には特定除外になれば平均在院日数に入れることなく永久に入院する
ことができるのです。だからそこ同士で比較したら、私は療養病床の方がひょっとしたら短
いかもわからないと思います。だからそこは先生がおっしゃるように、全部一緒くたにして
やるとそういうふうに見えるのです。確かに先生がおっしゃるように、私も言ったように、
医療の質とか診療の質はいろいろなところが出して、日慢協も慢性期医療の診療の質を厚労
省医政局で認定していただきましたけれども、めちゃくちゃ手間のかかる項目がたくさんあ
るのです。私はこれをぱっと見てアンケートだなと思います。ぜひ次回は、24年度改定のと
きは年に1回、例えば6月なら6月に出すようにと書いていただくと、現場の事務量はかな
り助かるのですけれども、これは担当部局の方にお願いしておくと。
 というのは、これはうがった見方ですけれども、池上先生はこの分科会に非常に力を入れ
ていらっしゃるのはよくわかるのです。ここがどういうふうな経過で育ってくるかというこ
とに対して、熱意を持って見守っていただいているのもわかるのですけれども、そのための
アンケート的な調査のために毎月毎月これを出すのは、この結果から見るとそれを必ず毎月
出さないといけないかというと、現場の方とするとそうでもないのではないかと思うので、
多分先生も同じようなことを考えていらっしゃると思います。

○池上分科会長
 どうぞ、事務局。

○坂上専門官
 事務局でございます。在院日数について補足をさせていただきますと、確かに一般病棟に
おいては診療報酬の算定ルール上は特定除外患者については在院日数の計算から除外してお
りますが、今回の調査につきましては特定除外患者も含めて在院日数について調査しており
ます。それの結果が資料編の8のスライドを見ていただくといいかと思うのですけれども、
これは特定除外患者ですとか、療養病床の長期患者も含めて在院日数を調査しておりまして、
例えば紫色は在院日数1年以上の患者さんの分布になっているのですが、一般病棟の13対1
では3.9%、15対1で8.4%、療養病床の20対1では51.1%、医療療養の25対1では46.2%在
院日数1年を超える患者がいらっしゃるという分布になっております。今回の調査につきま
してはすべての患者さんについて在院日数も調査をしております。
 以上です。

○武久委員
 この8ページのやつは全部の入院患者さんについて長い人がどれだけいるかということで
すから、結局最初のデータで出ているように、一般病棟では90日超えの人はそんなに5割も
6割もいない、25%とか10何%とかですから、その人たちを取り出して何日いたか平均を出
したら、多分こういう形ではなく出るのではないかと言っているだけのことです。

○大塚委員
 3ページの(1)の3つ目のポツのところですが、「一定程度存在するという結果が得ら
れた」という表現、また4ページの最初の行にも「一定の差があるという結果が得られた」。
この「一定の差」とか「一定程度存在」という、できればこの辺りに実際の数字を入れてい
ただいた方がよりわかりやすいのではないかと思います。

○池上分科会長
 ありがとうございます。ほかにこのところはよろしいでしょうか。
 続いて「(2)レセプト調査の分析」にも「一定の差」が出てきますので、ここも同じ具
体的な数値を挿入していただければと存じます。

○猪口委員
 具体的な数字というのですけれども、例えば同じルールで一般と療養とが同じ過程を通っ
て長期入院がいるならば、それは同じ尺度で見たらこれとこれは一緒でしたという言い方で
いいですけれども、一般病院というのは急性期も含めて最初から見ていて、やむなく長くな
った人たちです。その状態を果たして医療療養で15年からつくってきた尺度でここを見て似
ていますねという結果で、だから同じ患者なのだと言えるかどうかということが1つ、もう
ちょっと議論しないと私は言えないと思っています。
 というのは、現場にいても、どうやっても早く帰さないと、一般病床の場合平均在院日数
を守れなくなりますから、早く帰そうとするのです。それでも帰せない状況が本当に出てき
て、それでやむなく90日を超えてしまってというようなことがあるので、それイコール医療
療養にいる人たちと、確かにそれは病名からすれば同じかもしれないけれども、状態も同じ
ように見えるかもしれないけれども、経過からいうと違うということはやはり臨床上には結
構あるように私は思うので、「一定の」ぐらいでいいのではないかなと思います。これを同
じだと言うことの方が、今の調査からいうと少し無理があるのではないかという気がちょっ
といたしました。

○池上分科会長
 大塚委員。

○大塚委員
 もし同じ尺度で比較できないというのであれば、ここで意味しているのはむしろ「一定程
度存在する」というか、きっと同じような割合で存在するということですね。だったらその
表現そのものがおかしいという話になるのであって、もしここで「一定程度」というのがあ
る程度の数字に基づいて表現としてこうなっているのであれば、それを数字として表すこと
は問題ないのではないですか。もしその前段階がおかしいというのであれば、この文章ごと
外してしまうということではないでしょうか。

○猪口委員
 だから慢性期の調査の手法を用いた場合には何%ぐらいは同じような結果が得られている
という言い方が正しいのかもしれません。

○武久委員 
 今度の調査は13対1、15対1の病棟だけについて一般病棟は調べております。これは医療
療養病床に入ってくる患者さんはどこから入ってくるかというと、7対1、10対1の病院ま
た特養、在宅、外来から入ってきますけれども、現実問題として13対1、15対1からは余り
紹介がないです。我々もよくなれば帰したいわけです。帰したいのだけれど受入れができな
いために帰せない患者さんは、現状として一般にも療養にもいるのです。これはいわゆる社
会的入院と言われるかどうかは別として、帰れる状態でも帰るところがないためにいるのは、
医療療養だけにいて一般にいないというわけではありません。だから私が言っているのは、
特定除外のことに関してのみ言っているわけですから、逆に言うと、猪口先生がおっしゃっ
たように、一般病棟で治療すべきことは終わっているのだという解釈とすれば、それはそれ
でいいと思いますけれども、そういうふうに結果として一般病棟で治療することはない、た
だ帰るところがないからいるのだという状態と、医療療養で高度急性期から入ってきて、そ
のままずっといる、ある程度よくなったら帰そうと思っても帰せない。もちろん全く一致す
るわけではないけれども、オーバーラップする部分が非常に多いということを婉曲的に言っ
ているだけなので、私は今回の調査だけできちんとした数を言うよりは、このような表現の
方がお互いにいいのではないかなと思っています。

○池上分科会長
 確認ですけれど、「一定の差」の方がよろしいということですか。

○武久委員
 はい。

○池上分科会長
 上の(1)のところも「一定」のままがよろしいと。

○武久委員
 だから何回も言うようですけれども、1回1回調査するために少しずつ変わったりします
から、今回はこういうふうな傾向であったという大まかな表現の方が、多分担当課の方がそ
ういうことも含めてこれは書かれていると思うので、私は尊重したいと思います。

○池上分科会長
 いかがですか。これは何から見て一定の差があるかということを。
 どうぞ。

○坂上専門官
 事務局でございます。今、御指摘をいただいた点を踏まえまして、数値化できるところに
ついては数値を入れてみたいと思いますが、今、武久委員がおっしゃったとおり、数値化す
るところが難しいところもありますので。

○池上分科会長
 数値であれば何の数値かということがわかりますので、そのほかの点はまだ不明のままと
いうことでよろしいのではないかと思います。
 次に行ってよろしいでしょうか。
 「6.認知症患者の実態と検証」が2つに分かれていまして、「認知症患者の実態」と「
BPSDへの対応」より構成されて、今日配付いただいた資料も実はこの中で併せて検討すると
いうことでございますので、老健局から出された通達、慢-1-2というのがございまして、
その2ページにありますとおり、「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」の2のところ
の最後の行が私は重要だと思いまして、「このランクは介護の必要度を示すものであり、認
知症の程度の医学的判断とは必ずしも一致するものではない」という、そもそもこういう目
的で老健局としては提示された尺度と私は解釈していましたので、これもあって前回の議論
を私から提起した次第でございます。そのためにこれを資料として提示いただいた次第です。
 よろしいでしょうか。
 どうぞ。

○大塚委員
 今までの議論の中で、認知症の特にIVとMについて手間がかかるような議論があったと思
います。(1)のポツの3ですが、前の2つのポツについてはこういうものを評価すべきと
いう意見があった一方で、「ほとんどの『IVとM』の患者は『ADL区分3』に該当しており」
云々、ここから下に書いてあるのは、だけれどもこれは今の診療報酬の体系区分の中で十分
に評価されているのではないかということですね。ただ、この中身をよく見てみますと、医
療区分1、ADL区分3のところにIVとMの人がかなり多くいるのではないか。医療区分2と3
についてはその部分が併せて評価されたとしても、医療区分1でADL区分3に入るようなIV
とMの人は評価が低いのではないかと理解する方が正しいのではないかと思いますけれども、
いかがでしょうか。

○坂上専門官
 事務局でございます。今、御指摘いただいた点については、ADL区分という切り口では分析
してみたのですけれども、医療区分という切り口ではまだ分析ができておりませんので、
現時点ではどういう分布になっているかはわからない状況でございます。

○三上委員
 ADL区分が認知症を評価するものでないわけですから、ADL区分で評価されているというこ
と自体はかなり抵抗がございます。たまたまそのほかの合併症云々で高いところにいる、AD
L3のところにいるのかもしれないですけれども、本来認知症だけであればADL区分では評価
されないわけです。慢-2-2の4ページのところにADL区分が書いてありますが、これで
認知症が見守りとかそういった部分では評価されますが、それも2点ですから、最大すべて
いっても8点くらいなので、これで評価されるはずがないわけですけれども、たまたまとい
うことでありますので、「ADL区分で評価されているのではないか」ということではないと
私は感じます。

○井内補佐
 今までの御議論の中での我々の理解といたしましては、まず医療区分2でせん妄、うつ状
態、暴行が入っているということで、医療区分1には入っていないということで、今、大塚
委員の方からも御指摘があったと思います。実際この3ページのところで医療区分1でも認
知症というので一応コメントが付いている。あと、ここの部分ですけれども、最初のポツ3
つ目の1行目のところに「『日常生活自立度IVとM』の患者については評価が低いという意
見がある一方」と書いていますので、評価が低いという本日いただいたような意見が全体と
してあるというのを前段として書いている。ただ、それに対して「一方」ということで、今
言っていただいているADL区分の中でもそういう状態を含めての評価も、もちろん三上委員
の方からもありましたようにADL区分イコールではないのですけれども、似たような状態に
ついてADL区分の中でも評価されているという意見があったということで、そういう両方の
意見があったという認識でこういう表記をさせていただいているものでございます。

○池上分科会長 
 わかりました。ありがとうございました。
 私が今日御提示いただいた資料で確認したかったことは、今回の発言の冒頭に申しました
とおり、日常生活自立度判定基準はそもそもどういう基準でつけることを想定しているかと
いうことに対する老健局としての見解であって、それは介護の必要度を示すものであると書
いてあるわけです。ですからそのためにBPSDへの対応ということは別の(2)として提示さ
れているわけです。
 どうぞ。

○武久委員
 ADLの評価票はみんな違うんですね。B評価というのですけれど、一般病棟のB評価、IC
UのB評価、要介護認定の介護のB評価、それからこの医療区分のADL評価です。みんなちょ
っとずつ違うのです。私はこれを表にして渡したこともありますけれども、ADLに関しては
できればどこかの学者さんか担当部局が、B評価については一緒でしょう。A評価は別とし
て。B評価でもちょこちょこ、これは縦割りの弊害と思うのですけれども、それぞれのこう
いう分科会、委員会みたいなものがあって、そこが決めて、それがそのままずっと行ってい
るのです。だからこれはそろそろADLに関しては認知症も含めたADLみたいなものをつくって
いただかないと、現場としてはこちらとあちらと全部違うわけで、実際戸惑っている状況で
す。医療区分のADLは認知症の区分はほとんど加味されておりませんので。

○池上分科会長
 この尺度の統一化は全体としての課題だと認識しております。
 時間が迫っておりますので、最後に「医療の質の検証」というところで「提供されている
医療の質の状況」と「評価票の記載状況」、これに対して武久委員からはアンケートであり、
大変な負担であるという御発言がありました。
 ほかに何かございませんか。
 なければ私の研究者としての立場で申しますと、アンケートというのは個人の意見に対す
る質問票と一般に解釈されますので、ここで言っている内容をアンケートというと非常に誤
解を招くと認識しております。この分科会は包括評価についての分科会であって、包括評価
に分類する上で必要な書類として評価票があって、その評価票につけることがないと包括評
価に分類できない。それに付随して出てくる副産物としてQIという質の評価があると認識し
ております。包括評価を行う場合には、出来高と比べて質を担保する書類が増えるのはある
程度やむを得ないと考えておりまして、DPCに対しては例えば分類そのものに関する資料は
少ないのですけれども、様式1というのはDPCを行う場合には膨大な資料があって、評価票
よりもはるかに複雑なものの提示が求められていると私は認識しております。

○武久委員
 慢性期の医療の現場できちんと治療しているかどうかをはかるのであれば医療の質だと思
うのですけれども、全患者のうち何人こういう人がいますというのは医療の質とはまた違う
のではないかと思うのです。どういう患者さんがいる割合が何%かというのだったらいいの
ですけれども、分母がしょっちゅう変わるわけです。分母が変わって分子も変わりますから、
結局前月と今月、去年と今年と比べたときに、例えば私が病気で褥瘡がいっぱいあって入院
して、半年後にきれいに治ったというのであれば、持ち込みの褥瘡の程度と治ったまでの期
間が短いとかよくなったとかいうことで診療の質ははかれると思うのですけれども、この方
法では医療の質ははかれないのではないか。したがって、どんな患者さんがどれくらいいる
かということしかわからないのであれば、医療の質の現実をとる検証にはならないのではな
いかと思います。先生はここで必要だと言うけれども、これのおかげで全国の4,000近くの
病院の現場は大変な思いをしている。しかも評価票に丸を1つつけたらいいだけなのに、全
部に丸をつける。そして喀痰吸引が7回までは書けているけれど、8回目が書けていないか
ら戻せ、こういう制度はどこにもないです。だから現場のことを少し考えていただくと、本
当に役立つものなら我々も協力しますけれども、そうでなしに患者さんの現在どれくらいこ
ういう人がいるかということの調査であれば、もう少し1年に一遍ぐらいにしていただける
と我々は大変ありがたいと言っているわけです。

○池上分科会長
 すみません、今、評価票を記載する手間と認識しておりまして、それであれば質の評価に
対する批判ではなく、評価票の記載に対する批判と私は受け取りました。この評価票の記載
は包括評価分類を行うための記載であって、その副産物としての質の評価が出てくると認識
しております。そしてこれは評価できないということであれば、今日御提示いただいた資料
の中で、例えば尿路感染については平成22年度の横断調査で平均値は22%ですけれども、最
大値40%の病院もあります。同じく身体抑制の平均は12.3%ですが、最大値は38%という病
院があります。これはもちろんいろいろな患者が入院されておられますので、その患者の属
性によって対応も変わってきますけれども、横断面で見ない限り、アウトカムという治癒率
を見るのが最も望ましいですけれども、なかなか個々の患者の属性が異なるのでそれが見ら
れないから、このような1つの値としてのものとしてこのQIが考案された次第です。
これは事実として申し上げています。

○武久委員
 この重要性もわかりますが、それであれば年に一遍、6月なら6月に出せというのでいい
のではないかということを私は意見として言っているだけのことです。

○池上分科会長
 そうしますと評価票も年に1回でよろしいのでしょうか。

○武久委員 
 評価票は区分が2か3になる非常に重要なポイントですから、例えば3だったら1万7,0
00円とか1万8,000円とかになりますが、1だったら1日ごとに1万円近く減るのです。こ
んな診療報酬体系は世界じゅうどこにもないですよ。こういうことで書けというから書い
ているわけですけれども、1つでもいいのに、3つも書いているということは、それだけ手
間なわけです。1つでいいほうが楽ですよ。しかも2週間とか1週間という期限があるもの
もあれば、ないものもあれば、今、事務局が言ったように、全部毎日評価しなさいというこ
とで、これは大変な量です。その上にこれが入ってくると、この結果から見ると年に一遍で
いいのではないですかということを言っているのであって、評価票とこれを私は一緒になっ
ているとは思いません。

○池上分科会長
 QIはどのようにして算定されているか教えていただけますか。

○坂上専門官
 今回算出しましたQIにつきましては評価票と患者特性調査に書かれております内容をもと
に算出しております。

○三上委員
 これは医療の質を見るのは、持ち込みのものと内部で新しく発生したもの、もともと尿路
感染があったものを治っていったと見るのか、あるいは新たに入院中に尿路感染や褥瘡を起
こさないということで質を見るのかということで、どちらかを基準にしなければ質ははかれ
ない。両方一緒になっているとなかなか難しいのではないかと思いますので、その時点の尿
路感染者あるいは褥瘡の患者さんの数だけではなかなか判断がしにくいのではないかなと私
は思います。

○池上分科会長
 わかりました。これは1つの目安として、私が申し上げたかったのは、尿路感染が0%の
病院と40%の病院とで質に全く差がないと言えるかどうかということを、それは更に検証す
るべきですけれども、1つのメルクマールと私は認識しております。
 あとほかにも御意見があると存じますが、時間が迫ってまいりました。これは事務局の方
に追加の意見をお送りすれば、報告書に反映ということでよろしいでしょうか。何か次の分
科会の日程との絡みで期限はございますでしょうか。いつまでに意見を述べるか。

○坂上専門官
 この会議終了後、2週間程度までにいただければ、次の会議に反映できるのかなと考えて
おります。

○池上分科会長
 それでは、いろいろな意見を伺いましたので、本日の議論を踏まえて事務局には報告書の
加筆修正をお願いし、またその際にこれから2週間の間に今日発言できなかった問題、ある
いは新たにお気づきになった課題について事務局にお知らせいただければと存じます。次回
は報告書のとりまとめを行いたいと思います。
 よろしいでしょうか。
 では、本日の分科会は以上としたいと思います。次回の予定について事務局からお願いし
ます。

○坂上専門官
 事務局でございます。次回は7月29日を予定しておりますので、詳細は追って御連絡させ
ていただきます。今、座長からありましたように、報告書に対する意見につきましては事務
局までお寄せいただければと思います。また、コスト調査の結果につきましては鋭意作成し
ておりますので、でき次第各委員に事前送付させていただきたいと思います。
 以上です。

○池上分科会長
 それでは、本日の分科会は終了させていただきます。本日はお忙しい中、ありがとうござ
いました。

17:02閉会




(了)

厚生労働省保険局医療課包括医療推進係

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