ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医療機器安全対策部会)> 薬事・食品衛生審議会医療機器安全対策部会議事録




2011年7月20日 薬事・食品衛生審議会医療機器安全対策部会議事録

○日時

平成23年7月20日(水)15:00~


○場所

厚生労働省専用第15・16会議室


○出席者

(委員:五十音順、敬省略)(20名)

○荒 井 保 明、 石 井 則 久、 井 部 俊 子、 小 野   稔、

◎笠 貫   宏、 川 原 信 隆、 釘 宮 豊 城、  佐 伯 晴 子、

 佐 藤 景 二、 杉 山   肇、 高 杉 敬 久、  高 谷 節 雄、

 那須野 修 一、 西 田 輝 夫、  配 島 由 二、  古 幡   博、

 松 岡 厚 子、 溝 渕 健 一、 横 井 英 人、  渡 邉 治 雄

 (注) ◎部会長  ○部会長代理

欠席委員(2名)五十音順、敬省略

 内 田 恵理子、 土 屋 文 人

(行政機関出席者)

 平 山 佳 伸 ( 大臣官房審議官)

 俵 木 登美子 ( 安全対策課長)

 佐 藤 大 作 ( 安全使用推進室長)

 森    和 彦 ( 独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

○議事

○事務局 定刻になりましたので、ただ今から「平成23年度第1回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医療機器安全対策部会」を開催いたします。
 本日の部会は、従前の取扱いと同様、公開で行うこととしております。なお、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいております。マスコミの関係者の方におかれましては、御理解と御協力のほど、よろしくお願いします。
 本日、御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は、定数22名の委員中、現在18名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。なお、内田委員、土屋委員からは御欠席、杉山委員、渡邉委員からは遅れるとの御連絡をいただいております。
 また、本年1月に薬事・食品衛生審議会の委員の改選が行われまして、この部会も新たに委員の先生方の任命が行われました。つきましては、お手元の会議資料にある、委員名簿を御参照いただきまして、事務局から委員の先生方を御紹介申し上げます。
 独立行政法人国立がん研究センター中央病院副院長、荒井保明委員です。国立感染症研究所ハンセン病研究センター長、石井則久委員です。聖路加看護大学長、井部俊子委員です。国立医薬品食品衛生研究所遺伝子細胞医薬部第一室長、内田恵理子委員は、本日御欠席です。東京大学大学院医学系研究科心臓外科教授、小野稔委員です。早稲田大学理工学術院教授、笠貫宏委員です。横浜市立大学大学院医学研究科脳神経外科学教授、川原信隆委員です。財団法人厚生年金事業振興団湯河原厚生年金病院院長、釘宮豊城委員です。東京SP研究会代表、佐伯晴子委員です。静岡市立静岡病院医療技術部臨床工学科長、佐藤景二委員です。神奈川リハビリテーション病院整形外科部長、杉山肇委員です。遅れるとの御連絡をいただいております。社団法人日本医師会常任理事、高杉敬久委員です。東京医科歯科大学生体材料工学研究所教授、高谷節雄委員です。国際医療福祉大学附属病院薬剤統括部長、土屋文人委員は、本日御欠席との連絡をいただいております。日本臨床工学技士会事務局長・副会長、那須野修一委員です。山口大学理事・副学長、西田輝夫委員です。国立医薬品食品衛生研究所医療機器部第一室長、配島由二委員です。東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター医用エンジニアリング研究室教授、古幡博委員です。国立医薬品食品衛生研究所医療機器部長、松岡厚子委員です。日本歯科医師会常任理事、溝渕健一委員です。国立大学法人香川大学医学部附属病院教授、横井英人委員です。国立感染症研究所長、渡邉治雄委員は本日遅れるとの御連絡をいただいております。
 次に部会長の御紹介ですが、本年1月24日に開催されました、薬事分科会におきまして、前回部会まで部会長をお願いしておりました、笠貫委員が選出されておりますので、笠貫委員に引き続き本部会の部会長をお願いいたします。また、部会長代理ですが、規定により、部会長から御指名いただくことになっておりまして、笠貫部会長から荒井委員にお願いしたい旨、御連絡をいただいております。荒井委員にお願いするということで、いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入らさせていただきますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。以後の議事の進行は、笠貫部会長にお願いいたします。
○笠貫部会長 議事に入らせていただきます前に、また、この医療機器安全対策部会の部会長を拝命つかまつりましたこと、その責任の重さを強く感じております。医薬品も、この安全対策については、欧米ともに非常に大きな節目を迎えていると思います。医療機器についても、当然、これから日本における安全対策を確立していくことが重要なことだと思います。皆さんの御協力をよろしくお願いいたします。
 それでは、初めに、事務局から資料の確認をお願いします。
○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日の資料として順に、座席表、委員名簿、議事次第、資料一覧を配付させていただいております。資料一覧に資料番号が振ってありまして、順に資料1-1「平成22年度の安全対策について(まとめ)」、資料1-2「プラズマガス滅菌器に係る製造販売後安全対策について」、資料1-3「皮下用ポート及びカテーテルに係る添付文書の改訂指示等について」、資料1-4「総務省取りまとめによる『各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響を防止するための指針』(平成23年5月版)の送付について」、資料1-5「冠動脈ステントの添付文書の見直しについて」、資料1-6「眼内レンズの添付文書の見直しについて」。資料2-1「医療機器の不具合等報告について(報告)」、資料2-2「医療機器不具合報告」、資料2-3「医療機器外国措置報告」、資料2-4「医療機器研究報告」。資料3-1「感染症定期報告感染症別文献一覧表」、資料3-2「感染症定期報告の報告状況」。資料4-1「医療機器の回収報告の状況」、資料4-2「平成22年度医療機器自主回収一覧」、資料4-3「『医薬品等の回収について』の一部改正について」。参考資料1「PMDA医療安全情報No.21【輸液ポンプの流量設定時の注意について】」、参考資料2「PMDA医療安全情報No.22【血液浄化回路の取扱い時の注意について】」、参考資料3「PMDA医療安全情報No.23【インスリン注射器の取扱い時の注意について】」、参考資料4「PMDA医療安全情報No.24【ニードルレスバルブ使用時の注意について】」。以上でございます。
○笠貫部会長 ありがとうございました。資料の過不足等がございましたら申し出ていただきたいと思いますが、御確認いただきましたでしょうか。
 それでは、本日は審議事項はないということですので、報告事項に入りたいと思います。議題(1)について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題(1)「医療機器の市販後安全対策について」、資料1-1~資料1-6に基づいて御説明いたします。
 資料1-1を御覧ください。「平成22年度の安全対策について(まとめ)」ですが、1.「副作用等の報告数の推移」です。医療機器は(2)の下のほうにありまして、平成22年度の不具合報告件数は、14,811件でした。前年度までと比べますと、大きく増加していますが、この主な理由は、後ほど御説明しますけれども、中心循環器型血管内超音波カテーテルという品目の不具合が非常に多く報告されたということによるものです。
 2ページです。2.「安全対策上の措置数の推移」ですが、医療機器で緊急FAXが1件ございます。これは、震災後の計画停電に関して、人工呼吸器を在宅で使用している方に対するフォローに関する医政局から発出された通知を送付したというものです。
 3ページ~4ページにかけてですが、「医薬品・医療機器等安全性情報」へ掲載した情報について、271号で電気手術器用バイポーラ電極の取扱い時の注意について、次のページの278号で、下大静脈フィルターに係る添付文書の改訂指示等についてというものが、医療機器関係で掲載した情報です。これらについては、いずれも昨年度の当部会において報告させていただいた内容になっています。資料1-1は以上です。
 資料1-2、プラズマガス滅菌器に係る製造販売後安全対策についてです。都道府県宛てに出した通知と、その後ろに事業者宛てに出した通知の写しが付いています。内容は、プラズマガス滅菌器というのは、過酸化水素から発生したプラズマガスで医療機器を滅菌する機器で、滅菌される機器の材質によっては、劣化とか、損傷を来す恐れがあるということで、従前から、製造販売業者でこの滅菌器の適正使用のための情報提供をしていたということです。その内容としては、滅菌できる材質の適合性を確認いたしまして、医療機関に情報を提供するというような対応をしていたところです。この度、同じ原理を用いた滅菌器が新たに承認されたということから、今後市販される製品も同様に医療機関へ情報提供をするということを求めたものです。
 2ページ、具体的な内容について記載してありますが、1)滅菌できる器材について試験等を行って、適合性を確認し、医療機関に情報提供すること。2)適合性の試験結果について、材質の情報だけではなく、製品名や滅菌回数、注意事項について具体的な情報提供することを求めております。資料1-2については以上です。
 資料1-3、皮下用ポート及びカテーテルに係る添付文書の改訂指示についてです。皮下用ポートというものは、皮下に植め込むポートと、血管内に挿入するカテーテルを接続した医療機器になります。中心静脈栄養や、輸液を繰り返し投与するために、一定期間皮下に留置することで用いるものです。この機器の不具合事例について、ポートとカテーテルの外れ、第一肋骨と鎖骨の間などで挾み込まれたことによるカテーテルの断裂が報告されていて、断裂したカテーテルが心臓や肺動脈に迷入したという事例もあるということです。断裂した事例については、留置時の手技であるとか、長期留置の影響で起こるということが考えられたことから、留置の必要性、患者の状態に応じて抜き去ることも検討することを添付文書の警告に記載するようにということで指示を出したものです。
 2ページに具体的な指示の内容を記載しています。1.1)では、留置時の手技の注意事項として、第一肋骨と鎖骨の間にカテーテルが挟まれないようにすること。2)として、長期留置に当たっては、医学的に必要がなくなって、安全に抜去できると判断される場合には、抜去することが望ましいこと。2.で、同様の品目で使用上の注意に本体破損の恐れがあるなどの情報の追加など、「不具合・有害事象」について、記載を整備するという内容を指示しています。資料1-3については以上です。
 資料1-4、総務省取りまとめによる「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響を防止するための指針」についてです。総務省では、電波を発射する機器の植込み型医療機器への影響を評価しておりまして、平成17年に指針を取りまとめています。その後も、各種電波利用機器の医療機器への影響について継続して調査を実施しておりまして、指針の見直しをその都度行っている状況です。昨年度実施された調査は、WiMAX方式無線端末に関するもので、この内容については指針に追加されています。9ページを御覧いただきますと、7でWiMAX方式の無線通信端末の影響についてです。このWiMAX端末からの電波による影響を受けた医療機器はなかったということで、密着することは避けるべきですけれども、日常生活で特に意識することはないということが追加されています。資料1-4は以上です。
 資料1-5、資料1-6ですが、これらは添付文書の見直しについて、この部会の調査会を本年6月22日に開催して、添付文書の見直しについて審議をしましたので、その内容を御報告するものです。対象とした医療機器は、冠動脈ステントと眼内レンズになっています。
 最初に、冠動脈ステントについて御説明申し上げます。資料1-5を御覧ください。1.「これまでの経緯」について書いてありますが、冠動脈ステントにはベアメタルステントと薬剤溶出ステントがありまして、現在23製品が販売されています。これらのステントについては、従来、急性心筋梗塞や左冠動脈主幹部等への使用は禁忌とされていたのですが、使用されている実態がありまして、このため厚生労働省から日本循環器学会に冠動脈ステントの適正な使用な範囲について御意見を伺っていたところです。回答を学会からいただきましたので、調査会を開催して冠動脈ステントの添付文書の記載について審議をしました。調査会の結果ですけれども、学会からいただいた回答を受け、PMDAで調査をした結果について検討しました。PMDAの調査では、学術論文、国内外の臨床成績、欧米のガイドライン、不具合報告、海外製品の取扱い説明書を精査したものとなっています。調査会の検討の結果、急性心筋梗塞については、【禁忌】から削除が妥当であることでしたが、薬剤溶出ステントについては、長期のデータが十分でないことから、当面警告にすることとされました。左冠動脈主幹部等への適用については、一部でバイパス手術との同等性が認められたことから、【警告】としたうえで、バイパス手術が高リスクであり、かつステント治療が低リスクと判断された場合に限り、慎重に適用すべきとされました。また、緊急時を除いて、循環器内科医と心臓外科医らが患者に対してどのような治療が望ましいかを検討して、決定することが重要とされました。また、糖尿病等の高リスク患者への適用についても、心臓外科医との連携を図りながら実施する必要がある旨も記載することとされました。これら添付文書の改訂内容については、循環器内科医と心臓外科医の連携の実行性が必要であることから、関連学会に対し、厚生労働省より協力の依頼をすることとされました。3ページに具体的な記載の変更内容が記載されています。資料1-5については以上です。
 資料1-6について、こちらは眼内レンズの添付文書の見直しについてのものです。眼内レンズは、白内症患者の水晶体除去後に、眼内に挿入して、視力回復をさせる医療機器です。材質はさまざまですが、現在57製品が承認されています。これらの製品の添付文書には、1ページに書いてある1.~8.まで、小児等が禁忌とされているところですが、これは約25年前に日本眼科学会の御意見によって統一的に記載されているというものです。しかしながら、現在は当時よりも手術手技の改善が図られていること、また良好な試験成績があるということから、禁忌事項の見直しについて、学会等から要望書が提出されていまして、検討したものです。
 冠動脈とステントの場合と同様にPMDAにて調査を行い、その結果について調査会で検討しました。PMDAの調査は、学会から提出された論文、不具合報告、海外の取扱い説明書等を含め、現時点での臨床の実態について精査をしたという内容になっています。調査会での検討の結果、昭和62年当時は技術的な制約から禁忌とされていた患者群でも、眼科専門医の適切な判断のもとで良好な治療成績が得られていることが確認されたということで、添付文書を改訂することが望ましい結論が得られました。
 具体的な記載内容の変更については、3ページと4ページに記載されているものです。これは冠動脈ステントと眼内レンズの審議結果、調査会での審議見解に基づいて、これらの医療機器の添付文書を改訂する指示に関し、製造業者に対して、本日付で通知を発出いたしました。資料1-6まで、以上です。
○笠貫部会長 ありがとうございます。資料1-1~資料1-6について、何か御質問はございますでしょうか。この資料1-5と1-6は、安全調査委員会で添付文書のかなり大きな見直しがされていると思いますが、何か御質問はございませんでしょうか。
 冠動脈ステントも市販後、医学の進歩、エビデンスの蓄積によって禁忌とされていた急性心筋梗塞が禁忌から外れ、それから、左冠動脈主幹部に対しては、先ほどお話がありましたように、心臓外科医と内科医との両者の十分なディスカッションを踏まえて、インフォームドコンセントを取るというハートチームのコンセプトが出てきたことも、安全対策として、新しいことではないかと考えています。
○小野委員 東大心臓外科の小野です。この冠動脈ステントの適正使用については、ヨーロッパで有名な大きなスタディがございまして、そこで結果を持ってヨーロッパの循環器の学会のほうで、適正使用についての臨床上のリコメンデーションというのが昨年出ました。そのようなことを受けて、この度見直しをやっていただけたのではないかと思っています。本来、このような循環器治療、特に一歩間違えれば生命に影響があるような循環器治療に対して、循環器内科と心臓外科が十分な協議を持った上で治療法を、特にリスクの高い治療症例に対して行うということは、非常に適切な判断であったと感じています。ただ、現実的に、多くの病院は循環器内科と心臓外科を有しておりまして、そこでは既にこのような形で、適切なやり取り、相談をしながら、患者にとって一番良い治療の選択というのは行われつつあります。また、こういうリコメンデーションが発せられることについて、さらにそれが強化されることは十分予測されるのですが、残念ながら、心臓外科のない施設においても、冠動脈インターベンションがされているという現実が一部ありまして、これに対してどのように取り組んだらいいかということは、学会の問題でもありますし、また、こういう医療安全上の問題としても、関係官庁としても何らかの形でのアクションがあってもいいかもしれないとは感じているのですが、これについてはいかがでしょうか。
○笠貫部会長 事務局の方からお願いいたします。
○安全対策課長 先生の御指摘の点については、調査会でもいろいろ御議論がありました。今回、外科医と内科医が連携をして、適正に、適用な患者を選ぶということと、非常に慎重にしなければならない患者に対しては、実施に当たっても連携を取るといういうことで、添付文書の中にも記載させていただいたわけですが、それを現場でどうやって実行に移していくかということが、基本的に一番重要なのだということで御指摘がありました。そこについては今日付で学会に対しても、この外科医と内科医の連携については、学会としても御配慮いただきたい、実施に向けてお願いをしたいということで、文書も出させていただきました。今、学会では最終的にガイドラインを検討していただいておりまして、その中でヨーロッパでハートチームと言われるような外科医と内科医との連携を具体的にどうしていくのか、例えば、ヨーロッパですと、患者へのインフォームドコンセントを外科医と内科医、両者がサインアップするような形で、文書で御説明をするということもプラクティスとして決められているようですので、そのようなことも参考にして、学会において具体的に実地においてどう実現していくかについては、御検討を進めていただいているところで、私どもも、また、情報収集し、御協力していきたいと考えております。
○小野委員 ありがとうございました。
○笠貫部会長 私もこの会に出席していました。御回答にありましたように、今、日本循環器学会が、あるいは関連学会を含めて、ガイドラインを作成中だということです。それから、心臓血管外科医のいる病院と、いない病院というのは、これは地域格差の問題もあるので、一概に言えない複雑な問題がたくさん日本の医療の中にはあって、そのようなものを含めて、学会としてガイドラインを出されるというお話でした。外科医と内科医のサインの問題もそうですし、地域格差の問題も含めて、検討していただいた上で、添付文書の改訂があり得るということで、学会のガイドライン作りを積極的に進めていただくことをお願いしたという経緯がございます。そのような意味で、この医療機器の安全対策において、医療機関、特に学会の責任の位置付けもより大きくなっていくのではないかと強く感じたところです。
 他にはございませんでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、議題(2)のほうに移らせていただきます。事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題(2)「医療機器の不具合等報告について」御説明申し上げます。資料2-1~資料2-4に基づきまして御説明いたします。
 資料2-1「医療機器の不具合等報告について(報告)」です。表紙の裏ページに、不具合等報告の状況をまとめて報告するということで、薬事法の規定を記載しています。薬事法第77条の4の4の規定に基づきまして、当部会に対し報告することとなっております。
 次のページには、医療機器の不具合等報告につきまして、平成22年10月1日~平成23年3月31日までの6か月間、平成22年度の下半期に報告を受けた件数をまとめたものです。1)「不具合等報告」の件数ですが、全体で10,063件の報告を受けております。この報告につきましては、画像診断用機器など、八つの分類に分けていますが、3.の処置用・施設用機器等が6,827件で一番多くなっています。4.の生体機能補助・代行機器が2,824件で、この二つに分類される機器の報告件数が多い状況になっています。国内と海外の報告内訳です。国内が7,851件で、国内報告の割合が78%程度となっています。また、感染症報告はありませんでした。そのほか、外国措置報告として517件、研究報告として21件、感染症定期報告として29件の報告がありました。医療機関からの不具合等報告につきましては、162件が報告されています。資料2-1につきましては以上です。
 次に、資料2-2「医療機器不具合報告」を御覧ください。表紙の次のページに「~医療機器不具合等報告の集計結果についての注意事項~」として、この不具合報告リストの見方が記載されています。
 1)は、医療機器との因果関係が不明なものを含めまして製造販売業者等から報告されたものであります。
 2)として、報告に関する分類は(1)~(8)までの8分類に分類して記載しています。順番は、国内海外の別にしまして、一般名称を五十音順に記載しています。
 3)件数につきましては、提出された報告書の件数を示したものですので、同一の症例で複数の医療機器が関与している場合には、複数の企業からそれぞれ報告されることがあります。このような場合には、同一症例を重複してカウントすることになりますので、報告件数がそのまま症例数にならない場合があります。
 4)です。表の右端の欄に当たる「対応措置」の項目については、原則として、平成23年3月31日時点の措置の内容を簡単に記載したものになっています。「回収(改修)」と記載しておりますのは、製品を医療現場等から引き上げる回収、リコールの回収、又は修理や検査の実施等を行った改修、リペアの改修の措置を取ったことを意味します。「情報提供」と記載したものは、添付文書の改訂あるいは書面による注意喚起文書を医療機関等に配布したといった措置を取ったものです。この中には、既に添付文書等で関連する注意喚起の記述がなされている場合も含んでいます。「調査中」というものは、情報収集中であるものを示しています。また、「空欄」となっていますのは、情報が不足しているなどで調査が困難なものが該当しています。
 目次を記載した次のページから表の向きが横になります。下にページ番号を記載しています。1ページと記載された表からが個別の品目ごとのラインリストとなっています。時間の関係上、簡単にご紹介してまいります。
 1ページを御覧ください。分類(1):画像診断機器。これにつきましては20件報告されています。
 次に3ページです。分類(2)としまして、内視鏡や血液分析装置などの生体監視臨床検査機器等で、これが5ページまでありまして35件の報告となっています。
 6ページ~61ページまでが分類(3)です。こちらは、インスリンの注入器やカテーテルといった措置用・施設用機器等です。これらの報告件数は6,827件となっておりまして、全体の報告の約68%がこの報告になっています。この中で、今回の特徴といたしましては、中心循環系血管内超音波カテーテルの不具合が半分以上を占めているということで、24、25ページを御覧ください。今回、不具合報告が大きく増加していますのは、このカテーテルの「画像消失」の報告が増えたためであります。317番、322番、323番、327番、次のページの329番がそれに該当します。合計しますとおよそ5,300件ほどあります。中心循環系血管内超音波カテーテルといいますのは、超音波によりまして血管内の断面画像を得る機器で、経皮的な冠動脈疾患の治療の際に用いられるものです。今回報告しました不具合の大部分が画像消失に関するものでしたが、機器の特性上避けられない不具合として、製造販売業者はこれまで報告を要さないと考えていたということですが、当該事象が発生しますと、再度、別のカテーテルを挿入することが必要となってくるため、患者に負担をかけるものであることから、今回から報告を求めることにしたものです。従いまして、今回の報告件数は、報告時期は下半期ですが、過去に遡って事例を集積して報告させたものですので、件数としては平成22年度1年分の件数となっております。この分類(3)につきましては、ほかに様々なカテーテル類や輸液セットなど製品数も非常に多いため、例年、報告件数が多くなっている分類です。
 次に62ページ~154ページまで、分類(4)としまして、心臓ペースメーカーや人工呼吸器などの生体機能補助・代行機器について記載しております。こちらは2,824件となっていまして、全体の約28%です。先ほどの分類(3)とこの分類(4)で、全体の報告件数の約95%を占めている状況です。不具合報告で多いものとしましては、62ページの831番から64ページにかけての植込み型除細動器・ペースメーカーリードの断線に関するもの。それから、一般名称が違うために少し離れた所に記載してありますが、83ページからも、心内膜植込み型のペースメーカーリードに関する不具合が、1157番から記載されています。少し戻りまして、69ページの931番からは冠動脈ステントの報告がありまして、75ページまで記載されています。91ページの1283番からは大動脈用ステントグラフトの報告があります。分類(4)については、体内に留置するペースメーカーやステントグラフト、あるいは人工呼吸器などのリスクの高い医療機器が多く分類されているため報告件数が多くなっているということですが、こちらについては例年と同様の傾向であります。
 続いて、155ページからは分類(5)としまして、手術用の電気メスやドリルといった治療・鋼製機器等です。120件の報告となっています。
 163ページは分類(6)としまして、歯科用機器・材料で12件。
 次のページは分類(7)、眼科用機器で、ソフトコンタクトレンズなどの不具合が216件。
 最後のページに分類(8)としまして、衛生材料・家庭用機器等で9件の報告となっています。資料2-2については以上です。
 続いて、資料2-3と資料2-4についても御説明いたします。
 資料2-3を御覧ください。「医療機器外国措置報告」です。医療機器に関する外国措置報告につきましては、企業が海外でも同じ製品を製造販売している場合に、海外で取られた措置について、わが国の行政当局にも報告するとなっているものです。これも同じく、昨年10月~本年3月末までの分で平成22年度下半期分としまして517件あります。海外で措置を取った欠陥につきましては、概ね日本においても同様な対応を取っている状況となっています。ただ、若干違う部分がありまして、例えば、5ページの114番などの例になります。海外では「回収(Recall)」となっており、日本では「対応済み」となっています。これについては、日本では回収対象となったロットの販売実績がないため、国内の措置は外国措置報告の提出のみで終了しているというものもございます。
 時間の関係上、御説明は省略させていただきまして、死亡又は重篤な健康被害の恐れのある分類となっている「クラスI回収」を行ったものについて紹介させていただきますと、4ページの77番と84番がそれに該当します。77番は、IABPカテーテルというものが回収となっています。これは血管内にカテーテルを挿入するための器具内で、カテーテルが詰まって動かなくなる不具合があったということで、この状態で無理に動かすと動脈損傷を起こす恐れがあるため回収となったものです。84番につきましては、中心循環系血管内塞栓促進用補綴材というもので、これは製品の表面にコーティングされているポリマーが剥がれてしまう恐れがあり、これが塞栓を起こす恐れがあるため回収となったものです。資料2-3の御説明は以上です。
 次に、資料2-4です。「医療機器研究報告」です。大きく分けて3種類ありまして、一番最初のページ、取外し可能な皮膚ステープルですが、これは前回報告させていただいたものと同じですけれども、他社からも報告されましたので報告するものです。この報告は、手術後の皮膚閉鎖に縫合糸を用いた場合とステープラーを用いた場合の創傷感染リスクを比較した研究報告で、結果として、ステープラーを使用した場合に有意に感染リスクが高かったものです。これを受けまして、添付文書の使用上の注意のうち「不具合・有害事象欄」に創部の感染が追記されました。
 次のページは、人工股関節の報告についてです。これは人工股関節の留置時に使用するインプラントにつきまして、留置時にインプラントの間に異物が挟み込まれると適切に設置されなくなる恐れがあることを示した報告です。この機器は、人工股関節を再置換するときに、スリーブという部品があるのですが、これはそのままにしておいて、ステムという、骨に挿入する機器があるのですが、これをそのまま入れ替えることができる特徴を持ったインプラントです。この二つの、スリーブとステムの間に異物が入っておりますと固着してそれが離れなくなってしまうという報告であります。この報告を受けまして、添付文書の改訂がなされたものです。
 3ページです。血糖値を自己検査する機器に関する報告です。これは、果汁を扱った手を洗わずに指先から血液を採取しますと、指先に付着した果汁に含まれる糖分によって偽高値が出る可能性があるという報告です。これを防ぐためには手をよく洗うことが必要だということで、これに関しましては、関連する機器が測定器だけではなくランセットや多くの製品が関係するため、自己点検の通知を発出して添付文書で注意を促すようにしたいと考えています。資料2-4については以上です。
○笠貫部会長 ありがとうございました。ただ今の報告について御質問ございますでしょうか。膨大な報告の内容ですから、どの点からでも結構ですので、御質問ございましたらお願いいたします。
 先ほどの資料1で、今年度の不具合報告が平成21年度に比べて非常に増え、平成19年度~20年度が減ったのは、インスリンペン型注入器の不具合が改良されたためで、平成22年度は、血管内視鏡の画像が出ないという不具合が増えたというお話でした。これは下半期以外のものも含まれていたところがあると思いますが、ほとんどのものは健康被害・不具合はなかったという報告でよろしいでしょうか。
○事務局 健康被害の報告はされておりません。
○笠貫部会長 会社としては、どういう対策を立てるか、あるいは改良するかについては何かあるのでしょうか。
○事務局 最も不具合報告が多かったボストン・サイエンティフィック社によりますと、今、原因を究明しているところでありまして、いろいろと考えられる、製造工程であるとか、そういったところの見直しをして改良を続けているということです。ただ、一定程度の不具合はどうしても発生し得るものでありまして、今後も件数としては若干減る可能性はありますけれども、同じような不具合は報告されてくるものと思われます。
○笠貫部会長 それ以外にはございませんでしょうか。
○佐伯委員 資料2-2の110ページ、逆流というのが、1538番ぐらいから次のページの1554番まであるのですが、逆流という事態はどのように捉えたらいいのかということと、それから、モザイク生体弁というものに多く逆流という現象があるようですが、材料と起こった事態との関係のスタディのようなものがあれば、教えていただけるでしょうか。
○機構 PMDAの方からお答えさせていただきます。たぶん、小野委員の方が詳しいかと思いますけれども、ここに挙がってきている心臓弁の不具合に関しましては、患者へのインプラント後、約十数年経過して、弁尖が断裂したり石灰化し、大動脈弁の機能不全から逆流が起こってしまっているような事例です。取り出した弁を企業で解析していただいて、糖尿病や高脂血症などの患者背景から石灰化が進行し、弁の機能が不全していたという解析結果も出ておりますが、スタディ的なデータに関しては、今持ち合わせておりませんが、その辺り、もしよろしければ小野委員から補足願えればと思います。
○笠貫部会長 小野委員から付け加えていただくことはございますか。
○小野委員 正確な文献は記憶はしておりませんが、現在、わが国でよく使用されております、生体弁と呼ばれる動物由来の人工弁は、およそ2種類ありまして、先ほど御指摘のあったブタ心臓弁がモザイク生体弁で、もう一つは、ウシ心嚢膜の生体弁があります。先ほどPMDAからもお話がありましたが、生体弁の植込み後、遠隔期、5年ないし10年以上経ってからの生体由来の人工弁の劣化というか、あるいはその破損といいますか、この様式には主に二つあります。一つは、先ほど御指摘があったような形で、弁尖が破れる形です。破れれば当然、弁が十分閉鎖しなくなるわけでありますので、逆流という形態を取ります。ここにはどういうことか余り報告がありませんが、もう一方のウシ心嚢膜から作っている生体弁があります。カーペンターエドワーズ、これが2例ほど、カーペンターエドワーズの弁はむしろ弁尖が破れるというよりは、弁尖が徐々に石灰化・劣化をして固くなって弁尖が開かなくなる。つまり開かなくなるというのは狭窄ということですが、そういう形態で再手術に至ることが報告されています。弁尖が破れたものが不具合報告として主に報告されていまして、弁尖が固くなって開かなくなるという開放障害をしたものについては、こちらにはほとんど報告がありませんので、その関係で、逆流が目立っていると私は考えております。ただ、ブタ心臓弁のモザイク弁の植込み後、遠隔期に劣化あるいは機能が不全になる理由の比較的多い理由が弁尖の断裂であるのは欧米の文献で既に報告されているところであります。以上です。
○笠貫部会長 よろしいでしょうか。ほかにはございませんでしょうか。
○西田委員 164と165ページです。コンタクトレンズの中で、色付コンタクトレンズの割合が極めて高いように思いますが、実際、市場で出ているのは色付きは比較的少ないと思います。番号で申しますと2286番~2304番までが色付コンタクトレンズによる角膜潰瘍ですけれども、これは情報提供以外には何かされたのですか。あるいは、どういう情報提供をされたのでしょうか。
○機構 PMDAの方からお答えします。これは厳密に、カラー・コンタクトレンズといいますか、虹彩の部分に対し、円周上に色付けされているものでありまして、いわゆる度なしのおしゃれ用コンタクトレンズというわけではありません。この色付き、虹彩の部分を少し大きく見せるという点では色付きのコンタクトレンズという意味にはなりますが、この色付きのコンタクトレンズが色なしのレンズと比較して、こういった角膜潰瘍が有意に多いという傾向は、現時点では特にありません。一例一例精査していますと、やはり日々のケアが大きく影響しているという事例がほとんどでありまして、眼科学会からも企業からも、日々の除タンパクとか消毒といった適正な使用をするように情報提供を、今現在続けさせていただいている状況です。
○西田委員 今おっしゃった点は理解しているつもりですけれども、通常のコンタクトレンズは、多少の色は付いているにしても、何も色はないわけですから。これは虹彩のような形が周りに付いていたりとか、エッジをはっきりしているものですよね。それ以外に、一般の生活の、医療機器ではないコンタクトレンズで出回っている、コンタクトレンズというか、装飾品として出回っていますよね。これはここで議論するものではなかったと思うのです。これは承認を受けて出ているものですよね。でも、これも普通のコンタクトレンズに比べれは枚数的には非常に少ないのではないかなと思うのです、正確な数字は知りませんが。そうすると、ここでは、2284番と2285番が普通の視力矯正のコンタクトレンズとして挙がっていて、それ以外が色付コンタクトレンズなので、頻度的にはこちらの方が途方もなく高いように見えますが。
○安全対策課長 一つ目のカラー・コンタクトレンズ、いわゆる度数の補正のないものですが、これも新しく医療機器に取り込みまして、既に現在流通しているものは承認を取ったものになっているはずです。この色付コンタクトレンズでの報告が多いということですが、事務局で確認をしたいと思いますが、例えば、具体的に言って、2288番、2289番、2290番に2ウィークアキュビューがあります、ディファインとなっているのが、瞳の周りが色付きになっているものだと思いますが、2ウィークアキュビューはディファインのような色付きではないけれども、分類の関係上、一般的名称が色付コンタクトレンズに分類されている可能性がありますので、そこは事務局で確認をさせていただきたいと思います。特に色付きのものについて特段健康障害が多発しているという話は学会等からもお聞きしておりません。そこは注意して見てみたいと思いますが、恐らく分類の関係ではないかと思います。
 情報提供につきましては、コンタクトレンズについては製品そのものの不具合というよりも取扱い上の問題も大きくて、特に中学生・高校生から、最近は小学生からもコンタクトレンズを入れるため、小さな子どもさん向けにも情報の徹底をしようということで、学会、医会からも御協力いただいて、コンタクトレンズ協会とポスターや啓発用のリーフレットのようなものを作成し、配布をしたりしていただいているところです。
○西田委員 ありがとうございます。そういう分類上の違いだったらそれで結構なのですが、ここに並んでいる文字だけを見ると、商品名であれですけれど、いわゆるディファインの類の系列のものが多いように見えたので質問させていただきました。
○安全対策課長 確認をさせていただきます。
○笠貫部会長 それ以外にはございませんでしょうか。71、72ページで、冠動脈ステントのステント血栓症の中で、遅発性の、971番、972番、975番、次のページの976番、それぞれの数字を合わせた総件数が遅発性ステント血栓症が急性、亜急性に比べて多いという感じを受けます。遅発性ステント血栓症が、ドラックエルーティングステントが増え、長期に渡ってきたというので、増えてきているように思いますが、これが海外と比べて多いということはないのでしょうか。
○機構 薬剤溶出ステントの遅発性ステント血栓症は、かなり報告されてきておりますが、欧米の遅発性ステント血栓症の発生率に比べますと、日本の発生率はかなり低い率で推移しているというのが学会等でも報告されています。ただし、日本人であってもやはり、年率ですが、少しずつ遅発性のステント血栓症が増加している傾向もあるのは欧米同様だとも報告されていますので、その辺りは、今後もPMDAも十分確認していきたいと思っています。
○笠貫部会長 ありがとうございます。それ以外にはございませんでしょうか。
○佐藤委員 資料2-2の86ページです。1205番のベンチレータ840です。不具合の状況が換気停止になっておりまして、総件数で34件ということで、実際に人工呼吸器で管理されている場合に止まっているのですか。これについて健康被害等はなかったのでしょうか。
○機構 これは、コヴィディエンのベンチレータの840、換気停止34件となっておりますが、すべてアラームが鳴って対処されておりまして、健康被害はないことは確認しております。
○佐藤委員 アラームそのものは、どういったアラームになっていますか。
○機構 換気停止になった理由は様々ありまして、当然、部品の故障というアラームもありますし、あとは、生体をモニターしていますので、生体の過敏な反応によりアラームが鳴ったというものもあります。
○笠貫部会長 どうぞ。
○佐伯委員 今の、アラームに関してですが、一人暮らしをされている、例えば、ALSの患者などで、こういう不具合が起こったときに、24時間誰かが側にいるというわけではないと思うのです。アラームが鳴っても自分では動けないときに、アラームがそのまま、例えばメーカーだとかあるいは地域の主治医かどこかに連絡がいくとか、そんな工夫のようなものが実際これには付いているのでしょうか。
○機構 このベンチレータ840に関しては、そのようなシステムはございませんし、また、この840自体は医療用の病院向けでございまして、在宅で使用されるような人工呼吸器とはまた違うタイプです。
○笠貫部会長 よろしいでしょうか。ほかに御質問はございませんでしょうか。
○横井委員 資料2-4の研究報告ですが、分かれば教えてください。三つ目の、血糖が果物などで上がってしまうものは、非常に高いというのはどのぐらい上がりますか。もしお分かりだったら教えてください。
○機構 これは実際、国内の文献でありまして、血糖値500~600、中にはHighという表示になるケースもありますが、機種によっては500~600です。
○横井委員 ありがとうございます。
○笠貫部会長 よろしいでしょうか。ほかにはございませんでしょうか。
 続きまして、議題(3)に移りたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは議題(3)「医療機器と感染症定期報告について」です。資料3-1、資料3-2により、薬事法第68条の8に基づく医療機器の感染症定期報告の状況について御説明申し上げます。資料3-1が文献の一覧、資料3-2が各医療機器を原材料ごとにまとめた資料です。資料3-2は「感染症定期報告の状況」ということで、平成22年10月1日~本年3月31日までに、生物由来医療機器の製造販売業者等から報告された感染症定期報告を、報告登録順に表にして並べたものです。以前は資料3-2においても資料3-1と同様に、文献の概要まで記載しておりましたが、出典にて参照いただけることから、前回よりこの形で、資料3-2からは概要を省略しております。
 資料3-2は全部で8ページ、29番まであり、合計29件の報告があります。原材料については半年ごとに報告することになっております。本機器部会は半年ごとに開催しておりますので、ほぼ毎回、同様のものとなっております。ヘパリンで採取しているブタの小腸粘膜とか、ブタの心臓弁などが報告対象となっております。資料3-2に関しては報告のあった順に書いてありますが、右の方に感染症と出典を記載しており、感染症ごとに報告された文献を整理しているのが資料3-1ですので、報告されている内容については、資料3-1で簡単に御説明いたします。
 資料3-1は、全部で5ページの資料です。感染症を左から二つ目の列に記載して、文献の概要をそれぞれお示ししています。文献としては5ページにありますように、今回は52件ありますが、感染症の種類別に分けた場合は17種類のものを御報告しております。報告の多かった主要な感染症としては、インフルエンザ7件、口蹄疫7件、レンサ球菌感染症7件、その他E型肝炎6件というところが、比較的多く報告されておりました。ただインフルエンザに関しては、今回も一番多くありますけれども、従来の新型インフルエンザの流行当初に比べますと、相対的にはかなり減ってまいりました。これら、比較的報告の多かったものや少ないものも含めて、一部に国内の家畜での感染事例の報告なども含まれますが、主に海外の動物や家畜での感染の報告などで、内容に関しては今回も事前に感染症関係の御専門の、本部会の委員である石井委員、内田委員、渡邉委員に御検討をお願いしました。特に石井委員と渡邉委員が御所属の国立感染症研究所では、所内の各御専門の先生方にもコメントをお願いするなどして、措置を講ずる必要性を含めて御検討、御意見をいただいております。今回の52件の文献に関しては、医療機器の安全対策として新たな措置を講ずる等の必要のある文献は、特に見られなかったということです。御報告は以上です。
○笠貫部会長 石井委員、渡邉委員からコメントがありましたら、それぞれお伺いしたいと思いますが、何かありませんか。
○石井委員 はい。
○笠貫部会長 それでは全体を通して、ほかの委員の先生方から御意見はありますか。
 それでは、3人の専門の委員の先生方からも特に御意見がないので、議題(4)に移ります。議題(4)について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 議題(4)は「医療機器の回収報告について」です。資料4-1~4-3に基づき御説明いたします。まず資料4-1の1ページです。回収は薬事法に基づいて、医薬品等医療機器の回収に着手したときは、その旨を厚生労働大臣に報告しなければならないという規定になっております。ここでは記載されておりませんが、これに基づき省令を定めており、どのような記載内容を報告するかが規定されております。さらに、その基である2段落目ですが、我々が「回収通知」と称している、回収に当たっての基本的な考え方やその対象の範囲、手続について明確化しているところです。さらに回収着手という報告がなされた場合は、すべての事例についてインターネット上で公開して注意喚起をしています。資料4-3ということで配付されている回収通知については本年3月、一部改正を行っておりますので、後ほど御説明できればと思っております。本件は薬事法第77条の4の4の規定に基づき、審議会への報告を行うものです。
 回収件数の年次推移です。最新の情報は平成22年度で、医薬品から化粧品まであって、総数644件の回収がありました。そのうち、医療機器が396件です。この年次推移を見ていただきますと、件数に特段の変化はないというように評価しています。
 2ページを御覧ください。医療機器の回収件数の内訳です。この回収に当たっては表の下の所にありますように、クラスI、クラスII、クラスIIIと記載しております。それぞれのリスクに応じてクラス分けをしており、それぞれ必要な対応を行っています。その製品の使用等が重篤な健康被害又は死亡の原因となり得る状況のものを、クラスIということで分類して、回収を行っていただいております。その反対側のクラスIIIを見ていただきますと、その製品の使用等が健康被害の原因となるとはまず考えられない状況のものです。クラスI、クラスIII、その真ん中がクラスIIということで分類しております。平成22年度のクラスIは7件、クラスIIは339件、クラスIIIは50件です。クラスIについて、平成22年度が特段多いという状況ではないことを御報告いたします。
 その中身は資料4-2にあります。件数が多いので、クラスIについて御説明したいと思います。クラスIの7件ですが、1番目はいわゆる除細動器で、「ハートスタートMRx」というものです。こちらはソフトウェアが正しくインストールされておらず、通信エラーを起こす可能性があります。このような状況でこの機器を使いますと、除細動ができなくなる恐れがあるということで、回収がなされたものです。健康被害はないという報告です。
 2番目は心臓・中心循環系用カテーテルガイドワイヤで、「シンクロ2ガイドワイヤー」と称するものです。こちらはコーティングの材料であるPTFEというもので、その中身であるポリテトラフルオロエチレンと称する物質をコーティングしていますが、そのコーティングの一部が、コアワイヤーから捲れ上がっている製品を確認したということです。これを使用した場合に、このコーティング材の薄片が剥離する可能性を完全に否定することはできないということで、自主的に回収ということになっております。こちらも国内外において、健康被害は確認されていないという報告が来ております。
 3件目は、高頻度人工呼吸器という分類の「ハミングX」と称するものです。こちらはモード変換ができるようですが、このモード変換を行った際に特定の条件下においては、意図する換気モードに切り換わらない場合があるというのが1点です。さらにソフトウェアのバブがあるということで、アラームが鳴らずに換気動作が停止する可能性があること、一定以上の高温になりますと、稀に換気動作が停止することが分かったということで、ソフトウェアの変更や放熱板の取付けといった対応をするための回収が行われております。これについては患者の心拍数が低下して、その後患者の状態が元に戻ったという事例が報告されました。
 4番目は中心循環系血管内塞栓促進用補綴材ということで、「Matrix2デタッチャブルコイル」と称する製品です。こちらも被膜材ですけれども、プラチナコイル上に被覆した合成吸収性材料が早期に分解したと思われる製品がありました。これを使用した際に、患者への健康被害の発生を否定できないということで、この不具合の可能性が疑われるロットについて自主回収が行われております。これについての健康被害は報告されておりません。
 5番目は新生児・小児用人工呼吸器ということで、「カリオペ」もしくは「カリオペアルファ」と称する製品です。こちらは換気動作中にノイズに起因すると考えられるリセットが行われて、換気が停止する場合があるということ、換気の停止時の警報音が正常時に作動してしまう場合があるということ、警報音が短時間で止まる場合があるということです。これについてもソフトウェアの変更が行われております。健康被害は報告されておりません。
 6番目はバルーンポンピング用カテーテルということで、「アローIABPカテーテル」と称するものです。こちらはこのセットの中に入っているワイヤ補強型のシースを使用した際に、カテーテルがシース内でスタックしてしまう事例が国内外で報告されて、回収が行われているものです。これについては国内において、当該不具合発生事例の2件の報告があり、1例が死亡の報告です。しかし当該不具合と死亡との因果関係は不明です。
 最後が半自動除細動器ということで、「半自動除細動器TEC-2500シリーズ カルジオライフS」と称するものです。こちらは電源投入直後に電源が切れる事象が発生したということで調査したところ、温度が低くなる、0℃付近もしくはそれ以下になった場合に、内部のトランジスターがショートしてヒューズが溶断する可能性があるということで、耐えられる温度範囲を改善するという形での自主改修が実施されております。こちらも使用時に1件不具合が生じて、心肺蘇生法を継続したものの、その後死亡に至ったとの報告事例があります。ただし、これについても因果関係は不明です。
 平成22年度においてクラスI回収については、このような7件が報告されているところです。クラスII、クラスIIIについては省略させていただければと思っております。御覧になって御質問等があればお受けしたいと思います。
 最後の資料4-3については、本年3月、回収通知と称するものについて一部改正をしております。その趣旨は1ページにありますように、平成20年に「ジャクソンリース回路」と称する医療機器の回収が行われていたわけですけれども、未回収品による重篤な健康被害が発生して、これを踏まえて必要な通知の改正を行ったものです。
 2ページを御覧ください。その中身ですけれども、主に3点改正しております。(2)にありますように、この回収に当たっては医療機関の協力が重要であるということで、医療機関等に対する回収への協力依頼をいたしました。薬務主管課と医務主管課の協力の下、医療機関等の関係者に対し、医政班から当該医療機関等に回収の依頼があった場合には、御協力いただきたい旨を周知するということをお願いしております。
 また、回収情報の周知に係る製販業者等への指示では、納入先の医療機関が特定されているケースがありますが、これ以外にも回収対象品があると考えられる場合には、納入先以外にも広く情報の周知・回収を行ってくださいということ、さらにクラスIの場合については、ここに記載されているような責任者等に情報の周知が行われているということを確認した上で、文書で回収品の有無の確認を行ってくださいということをお願いしております。
 (4)は当然ながら、回収終了後に未回収品が発見された場合の措置です。そういうものが分かった場合には迅速な対応を図ることを、製販業者に対して指示をお願いしたいという依頼をしているところです。回収通知の改正については以上です。
○笠貫部会長 ただ今の御報告に御質問はありますか。資料4-2の回収の7番が、自主改修ということでリペアの字になっていますけれども、これはリコールですね。
○事務局 はい、リコールです。これには二つの改修があります。こちらの改修については医療機器を物理的に他の場所に置き換えることなく、修理、改良、調整、廃棄又は監視を行う場合に、このような文字を使用しています。薬事法上は上に書いてある回収と同様に、改修というように定義しているところです。
○笠貫部会長 自主改修の場合には、リペアでもリコールという。
○事務局 薬事法上は同じ取扱いをしております。
○笠貫部会長 2番~7番はお聞きしたと思うのですけれども、1番の除細動器も、健康への被害はなかったということですか。
○事務局 こちらについては健康被害は報告されていないということで、回収報告がされております。
○笠貫部会長 いかがでしょうか。御質問はありませんか。
○佐藤委員 先ほどもお話を伺いましたが、資料4-2の中のクラスIの3番に、人工呼吸器というのがあります。同じように、5番にも人工呼吸器があります。これは両方とも換気停止になっております。先ほどのコヴィディエンの840はクラスIIとなっていますね。同じように改修(リペア)の方になっていますけれども、やはり換気停止でということで89番になっています。これとの違いはどのように考えたらよろしいのでしょうか。クラスIとクラスIIの違いです。先ほどのカテゴリーで見ますと、健康被害又は死亡の原因となるものがクラスIで、クラスIIではそういったことがないということで分けられていると思うのです。その辺の解釈について教えていただければと思います。
○事務局 このクラス分類については、資料4-1の2ページにクラスI、クラスII、クラスIIIという分類があります。最終的には都道府県が製造販売業者から当該回収事例の報告を受けたときに、その事例がどこに当たるのかという一義的な判断をしています。そこの違いが同じ都道府県で同じ事例について、同じ健康上の危害が生じる段階でのクラス分類の違いということであると、問題ではないかという判断になりますが、そこは現時点では一概に判断できません。この違いについては現段階で何が違うから、IとIIの違いになっているというのは、もう少し調べてから御連絡させていただければと思います。
○佐藤委員 分かりました。
○安全使用推進室長 分かりやすい所で御説明しますと、例えば3番のハミングXの部分については、(2)にありますように、ソフトウェアのバグにより、アラームが鳴らずに換気動作が停止するものです。ベンチレータの840とコヴィディエンの89番については、ちゃんとアラームが鳴っている状態での誤作動です。アラームが鳴らない状態で停止するというのは、やはり生命に重大な危機を及ぼす恐れがあるので判断が分かれている事例、というように御説明すると分かりやすいのではないかと思います。
○井部委員 資料4-3の「医薬品等の回収について」の一部改正を読むと、表題に「医薬品等」ではなくて、「医薬品と医療機器」という文言を出しただけなのです。このようにややこしい文章は、行政の文章なのでしょうか。
○事務局 こちらの当初の通知の文言は、「医薬品等の回収について」という通知が出ておりました。今回、改正に至った経緯がジャクソンリース回路という医療機器でしたので、この「等」について、医療機器も重要な対象品目であるということを明確化するために、「医薬品・医療機器等の回収について」という名称の改正もしたところです。
○笠貫部会長 これについてはこの会でも私は、「医薬品等」ではなくて「医薬品・医療機器等」にして、重要性を強調していただきたい旨をお話しておりましたので、改正いただいたのかと思っています。一部改正の中では私も、医療機器の協力依頼というのは当然のことだと思います。特に医療機器については、「御配慮をお願いしたい」というのを、もっと強くはできなかったのかと思います。医療機器の回収は特に企業の方が努力されても、最終的には医療機関から回収されない限りは終了にはならないので、今後さらに強い文章の御検討もいただけたらというお願いです。
○事務局 この通知を運用して、適切に回収がスムーズにいくように運用できればと考えております。そのような御意見も賜ったということで、今後の検討課題にさせていただければと思います。
○笠貫部会長 そのほかにはありませんか。
○井部委員 私が申し上げたかったのは、こういう通知は分かりやすく書く方がいいのではないかということです。例えば「改正の趣旨」の二つ目の段落で、「今般、当該通知を踏まえるとともに、業界団体において回収の徹底に向けた取組が行われていることも勘案し、製造販売業者等が行う医薬品・医療機器等の回収について、情報の周知及び回収の徹底が図られるよう」ということで続きます。もう少しすっきりとした文章が作れないものかというのが、個人的な感想です。なぜ、こんなに回りくどいのでしょうか。
○事務局 役所の文章でございまして、そこは大変申し訳ございません。分かりやすい文章を作るように心がけたいと思いますので、今後とも御指導いただければと思います。
○笠貫部会長 是非分かりやすいものということで、よろしくお願いします。ほかにはありませんか。
○佐伯委員 資料4-2にずっと表があるのですが、それぞれの製品が今、何個流通しているかという数量的なものを、どこかに出していただけないでしょうか。クラスI~クラスIIIまでで何件回収の件数が上がってきたかというのは、たぶん件数イコール数量だと思うのです。母数というか、元を知りたいと思いました。
○事務局 資料の作り方については、今後検討させていただきたいと思います。御指摘のとおり、回収対象になる品目は把握されております。現時点においては行政指導になりますけれども、回収対象については製造販売業者が回収に着手して終了した際には、都道府県知事宛に回収終了報告というものがなされます。今回の7件については、納入先がすべて把握されています。さらに回収対象も明確に規定されておりますので、基本的にはすべて管理下に置かれております。ただ、例えば100台の回収対象があって、ガイドワイヤーやカテーテルといったものについては、対象品が使用されてしまっている場合があります。そういったものも含めて回収対象品がどこにあるか、回収できるものについては製造販売業者が回収したという状況になった場合に、すべて回収終了報告が提出されています。回収対象の品目数や資料の出し方については、安全対策課と今後検討させていただければと思います。
○笠貫部会長 リスクはハザードと頻度で考えますので、できれば、回収の品目から頻度の方も、分かるような形でお示しいただくように、事務局にはよろしくお願いしたいと思います。
 資料4-2の6で気になったのが、バルーンポンピング用のカテーテルです。これは国内外で多数報告されたという記載があるのです。これでいきますと、国内の死亡例は因果関係が明らかでないということですが、この辺の時間軸で考えた場合も気になるのです。この「多数」というのは、どういう意味を持つのでしょうか。
○事務局 この製造販売業者であるテレフレックスメディカルジャパン(株)が、報道関係者に宛てた自主回収のプレスリリースの紙を見ております。経緯としては本年1月6日に出ておりますので、平成22年10月末です。「製造元からの連絡により、本品IABPカテーテルシース内のスタックと安全に関する注意喚起を、顧客に情報提供を実施しましたが、今回、製造元から更なるリスク排除のため回収する旨の連絡があったので、回収を実施することとしました」と。その更なるリスクというのは、先ほど御説明した特定のワイヤ補強型のシースを使用すると、カテーテルがシース内でスタックするというところです。「国内外で」という記載は確かにしていますが。
○笠貫部会長 海外での事例報告が、日本に速やかに入ってきたかどうかということが気になったものですから、そこの御確認をいただければと思います。
○安全使用推進室長 今の部会長の御指摘の部分は、海外の不具合報告がどれだけ適正に入ってきているかということだと思います。今、資料2-2を確認しても、すぐに出てこない状況ですので、事務局で報告状況を確認して、また御報告させていただこうと思います。
○笠貫部会長 すでに回収されているという意味では、安全は担保されていると思うのですが、海外での情報の時間的な問題も、今後も多少検討していただけたらと思います。
○事務局 時間がよく分かりませんが、「医療機器外国措置報告」ということで、資料2-3の4/21ページの77番に、本品と同じアローIABPカテーテルの米国での回収の状況が報告されています。
○笠貫部会長 ほかにないようでしたら、最後の議題(5)に移ります。事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 議題(5)の「その他」で、PMDA医療安全情報について御紹介いたします。PMDA医療安全情報というのはPMDAが配付しているもので、これらは財団法人日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業、薬事法に基づく副作用・不具合報告において収集された事例を、PMDAが専門家の意見を参考にして作成したものです。医薬品・医療機器の安全使用推進の観点から、医療関係者に分かりやすい形で情報提供を行っているものです。
 参考資料1の21、「輸液ポンプの流量設定時の注意について」です。こちらは輸液ポンプで流量設定をする際に、「流量」と「予定量」の表示を確認して、入力ミスがないかどうかを確認してくださいということを示したものです。また3ページの2.では、1滴の大きさを感知することがドロップセンサーではできないので、物によっては1滴の大きさが変わることがあり得るということで、輸液の特性によって流量が変わることを注意喚起しております。具体的には最後のページにありますように、例えば3mg用点滴静注用ですと、添加剤の界面活性剤の作用によって、1滴の大きさが小さくなることがあるので、こういう特性を考えながら使ってほしいということです。
 参考資料2は「血液浄化回路の取扱いについて」です。血液浄化回路については、接続部をルアーロックとすることをお願いします。従来のスリップ方式では接続が外れやすいので、ネジ留めによるルアーロックが事故防止に非常に有効だということです。本件は平成21年9月に、厚生労働省からも通知を発出しているものです。
 参考資料3は「インスリン注射器の取扱い時の注意について」です。1.がインスリンの取扱い時に、単位換算に注意してくださいという内容になっております。2.が、インスリン注射器には単位が付いているが、一方、汎用注射器にはそういった単位は入っていないので、これらを取り違えないようにしてインスリンを投与してくださいということです。3.では、インスリン注射器にはサイズも複数あるので、それらを確認して使用してくださいという注意を促しております。
 参考資料4は「ニードルレスバルブ使用時の注意について」です。ニードルレスバルブを使用して、プレフィルドシリンジを用いて薬液を注入する場合に、組合せによって内部が破損して薬液が注入できなくなることがあることを示したものです。次のページにその図があります。プレフィルドシリンジの先端の内径が小さい場合に、ニードルレスバルブ側が壊れてしまうことがあるということで、バルブ内部に管のないニードルレスバルブを使用するなどの対応で、こういった不具合が防止できるという情報提供がなされております。
○笠貫部会長 今の御報告、御説明に御質問はありませんか。これは非常に見やすく、分かりやすくできています。あとは本当にこれをよく見ていただけるだろうかというのが、いつも問題になるわけです。できるだけより多くの医療機関の方々、あるいは関係者に見ていただけるようにということだと思います。特に御質問はありませんか。
○井部委員 医療機関としては、安全対策が施された新しい製品を買い替えなければいけないわけですが、いつも問題になるのが価格の問題です。結局、看護師には我慢して、注意してやってくださいということになる。販売価格についての配慮というのは、何かなされているのでしょうか。
○安全対策課長 医薬食品局の指導の範囲だと、価格については指導しておりませんけれども、税制上の措置の対応をお願いしてやっているものが、ごく一部の医療機器にはあるということかと思います。
○井部委員 そうしますと、まずは医療安全情報が読まれているかどうかということと、このように物品を購入しなければならないことがどのくらい普及しているかということと、もし、あまり浸透していないとすると、なぜそれが現場に浸透しないのかというところでの調査をした方が良いのではないかと思います。多くの所はやはり値段が高くなるから、物品管理部などで躊躇するというように聞くことが多いのです。このようなルアーロックなどもいいと思いますけれども、それを一斉に買い替えられない事情があるのではないかと思います。
○安全使用推進室長 先生から御指摘いただいた安全情報というのは、PMDAからいろいろな形の情報が提供されております。こういうものが実際の医療現場の中でどれだけ浸透しているかといった調査も、今PMDAで進めてきているところです。ただ、具体的に医療安全情報についてどうかというところは、今後の課題として私どもでも検討させていただければと思っているところです。
○小野委員 今のことに関してです。実際にこういう改良型の部品が出たものがあり、価格側に反映されるものと、償還価格で値段の変わらないものと2種類ありますので、それを調べるのもなかなか難しいのです。
 井部委員からもう一つ御質問のあった、納入価格と償還価格の価格差を病院の収益につなげようと事務が頑張ろうとすると、事務は価格差の大きいものを選ぼうと思えば、改良型でない古い方が当然安くなります。それは病院の体質によるところもあります。安全を優先するのか、収益を優先するのかというところもありますので、調べづらいところがあると思うのです。どういう観点でこれを調べたらいいかというその観点も統一しないと、結局、病院の姿勢そのものにつながってきます。そういったスタンスを決めてから調査された方が良いだろうと思います。
○安全使用推進室長 先生の御指摘ですけれども、私どもは安全情報をPMDAから提供させていただいたり、いろいろなメディアを使わせていただいたりしております。そういうものの浸透状況についての調査を、まずは医薬食品局なりPMDAの所管としてやらせていただいているところです。しかし値段と実際の機能による医療機器の選択という部分になりますと、私どもの所掌と言うより、保険局の所掌する分野になってまいりますので、先生の御懸念については担当部局にもお伝えしたいと思っています。
○笠貫部会長 PMDAの努力で作っていただいた、安全情報をどう普及するか、その実態をどういう形で把握していくかということを、これから試みていただきたいと思います。安全に伴う改良型の機器の価格の問題についても、関連の局にもお伝えいただきたいと思います。そのような医療の現場の問題があるということを、御理解いただけたらと思います。ほかにありませんか。
○井部委員 医療機器の中には扱われていないように思いますが、医療用のベッドについてです。サイドレールを患者が操作して下げてベッドから転落するとか、サイドレールが上がったまま、トイレに行こうとして上から飛び降りるなど、ベッド柵が上がっているため、そこを乗り越えて転落するとか、前と後ろのサイドレールの間が少し空いていて、そこから落ちるとか首が挟まるといった、ベッドに関連した事故というのは古くて新しく、ずっと続いているのです。今の日本の医療ベッドは、かなりのシェアを1社が占めているわけです。ですから私の知っている看護士たちも、そこのメーカーとやり取りをしているのですが、なかなか適切で安全なベッドが完成できないという悩みがあります。私が伺いたいのは、医療用のベッドというのはどこが管轄しているのかということと、医療用ベッドに関してどんな調査研究が行われているのか、もし分かったら教えていただきたいと思います。
○安全使用推進室長 これはベッドですから、おそらく医療機器ではないと思われます。私ども厚生労働省の方でこういった業態を所管しているということではないと思いますので、経済産業省にも相談させていただくことかと思っております。医療事故の報告については医療機器でないということで、非常に縦割的なことを申し上げて申し訳ない部分はありますが、一応消費者庁が所管になります。先生の方でまたいろいろと問題があるようでしたら、私どもの方でもう少し消費者庁に連絡をして、相互に情報提供をさせていただければと思っております。
○井部委員 何とか医療機器に入れてもらえないでしょうか。
○安全使用推進室長 医療機器でないものという状況ですので、こちらの議題に載せられるものではないと思っております。
○笠貫部会長 大変大事な、患者にとって安全とは何かという中で、患者のベッドをどう捉えるかという問題を御指摘いただいたのと、ヒヤリ・ハットの問題も含めて、この部会で取り扱うことではありませんが、そこは関係の局によくお伝えいただいて、より患者の安全を確保できるように考えていただき、さらにこれも医療機器でできたら、という希望があったこともお伝えいただけたらということでよろしいでしょうか。
○井部委員 はい。
○高杉委員 日本医師会の医療安全担当の高杉と申します。先ほどの井部先生のお話は、まさに臨床の現場では大変な事柄なのです。ベッドの話は、やはり臨床の現場からベッドを作るメーカー、あるいはいろいろな所に当然アイデアを出していくべきでしょうし、それに応えたいろいろな機械が出てくるでしょう。消費者庁かどこかは知りませんけれども、よろしくお願いします。
 それから、PMDAは非常に視覚的ないいパンフを出してくれましたけれども、ニードルレスのシリンジにしても、ルアーロックにしても現場からの提案なのです。今、価格のことを言われました。私は腎不全が専門ですから、もうほとんどの現場はルアーロックで、ルアーロックに勝るものはないと思っています。このようなアイデアが次々と出ていく。ここの部会では不具合を見るだけではなく、やはりよかった点も評価しながら進めていかなければいけない。どうも粗探しばかりのような委員会ですので、「ちょっとよくなったね」という評価もあってほしいと思います。
○笠貫部会長 安全対策部会は、基本的には前向きの姿勢でこれからも進めていけたらと考えております。特にありませんでしたら、本日予定しておりました報告事項はすべて終了になります。事務局から何かありますか。
○事務局 次回の部会の日程については例年どおり、12月ごろの開催を予定しております。別途、部会での審議等が必要な議題が生じた場合には、開催予定が早まることもありますので、御承知願います。なお、日程調整については事務局より、先生方の御都合を伺って決めたいと考えております。
○笠貫部会長 それでは、これで平成23年度第1回医療機器安全対策部会を閉会といたします。長時間にわたりましての御協力、どうもありがとうございました。


(了)

備考
 本部会は、公開で開催された。

連絡先: 医薬食品局 安全対策課安全使用推進室 室長補佐 渕岡(内線2751)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医療機器安全対策部会)> 薬事・食品衛生審議会医療機器安全対策部会議事録

ページの先頭へ戻る