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2011年6月30日 第11回厚生科学審議会生活環境水道部会議事録

健康局水道課

○日時

平成23年6月30日(木)13:30~15:30


○場所

三田共用会議所 3階 A・B会議室


○出席者

相澤委員、秋葉委員、安藤委員、大垣委員、遠藤委員、大澤委員、岡崎委員、大住委員、小笠原委員、沖委員、佐野委員、瀬川委員(大崎代理人)、藤井委員、古米委員、御園委員(秋元代理人)

○議事

○松田水道水質管理室室長補佐
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第11回「厚生科学審議会生活環境水道部会」を開催いたします。
 本日は御多忙のところ御参集いただき、厚く御礼申し上げます。
 議事に先立ちまして、大塚厚生労働副大臣よりごあいさつを申し上げます。

○大塚厚生労働副大臣
 御紹介をいただきました、副大臣を拝命しております大塚耕平でございます。委員の皆様方には本日もお忙しいところお集まりいただきまして、本当にどうもありがとうございます。
 この生活環境水道部会の前回4月19日の会合におきまして、3月11日の東日本大震災に伴う原子力発電所の事故に対して、どのように対応するかということを検討するための放射性物質に関する専門部会を設置していただきました。その後、その専門部会で3回にわたる審議を経まして、中間的な取りまとめを行いましたので、本日はその御報告を中心に御審議をいただきたいと思っております。
放射性物質と今後長い間、我が国は向き合っていかざるを得ない状況でございますので、その問題に加えまして更には被災地での水道水等の公衆衛生上の配慮等、それぞれのお立場から忌憚のない御意見、御指導を賜りたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○松田水道水質管理室室長補佐
 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の資料につきまして議事次第がございますが、この議事次第の裏に配付資料一覧がございます。これにつきまして読み上げます。
 資料1「水道水における放射性物質対策中間取りまとめ」。
 資料2-1「今後の水道水中の放射性物質のモニタリング方針について(改定案)」の見消版。
 資料2-2「今後の水道水中の放射性物質のモニタリング方針について(改定案)」の反映版。
 資料3「東日本大震災に係る水道関係の最近の動きについて」。
 資料4「夏季の電力需給対策に係る特定建築物の維持管理について」。
 最後に「厚生科学審議会生活環境水道部会(第11回)資料概要」ということで、資料1の「水道水における放射性物質対策中間取りまとめ」に関するパワーポイント資料をお付けしております。
 以上、もし資料について不足等ございましたら、事務局の方にお申し付けいただければと思います。
 本日でございますが、現在のところ11名の委員に御出席いただいており、定足数に達していることを御報告させていただきます。
 また、本日は瀬川委員の代理で大崎代理人に出席いただいております。御園委員の代理で秋元代理人に出席いただいております。
 遠藤委員、大住委員におかれましては、後ほど出席される予定だということでございます。
 次に、マスコミの方におかれましては、カメラ撮りは恐縮ですが、会議の冒頭のみとさせていただいておりますので御協力お願いいたします。

(報道関係者退室)

○松田水道水質管理室室長補佐
 それでは、これ以降は大垣部会長に議事の進行をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○大垣部会長
 座ったままで失礼いたします。大変暑い中お集まりいただきありがとうございます。電力不足ばかりでなくて水不足が起きないことを希望したいと思いますが、それでは、議事に入ります。
最初の議題は水道水における放射性物質対策中間取りまとめについてです。4月に行った前回の生活環境水道部会において設置を了承しました、水道水における放射性物質対策検討会における検討結果の報告でございます。資料については事務局から説明をお願いします。

○松本水道水質管理官
 それでは、事務局の方から水道における放射性物質対策の中間取りまとめの内容につきまして、御報告させていただきたいと思います。なるべくわかりやすいようにということで、パワーポイントの資料を用意させていただいております。主にこちらを見ながら御説明をさせていただきたいと思います。
(PP)
 この検討会につきましては、先ほど副大臣からも御説明申し上げましたが、去る4月19日に開催されました前回生活環境水道部会で、新たに水道水における放射性物質対策検討会を設置して、検討していただく必要があるということで設置されたものでございます。
会議は第1回を4月25日に開催いたしまして、ほぼ月1回のペースで3回ほど開催させていただきました。第1回ではそれまでの経緯につきまして、取組み状況について御説明した上で、水道水における放射性物質の影響のメカニズムについて御議論をいただいております。第2回に引き続いて、その影響のメカニズムということで検討いただきまして、水道水の放射能汚染についてどのようなことが起きたのかということについて、解析をお願いしたところでございます。
 第2回では、これに加えまして放射性物質の低減方策ということで、放射性ヨウ素、放射性セシウムの低減策について、専門家による実験結果等も踏まえながら御議論いただいたところでございます。また、それらを踏まえましてモニタリングの結果等から、モニタリングの今後の在り方について御検討いただきまして、第3回でその内容を取りまとめていただいたという状況でございます。
(PP)
 これが報告書の目次構成でございます。第1章といたしまして対策の実施状況ということで、まず物質の検査の状況ということでモニタリングの実施状況とその結果について、報告書に書き込まれております。その低減方策についても実施状況について第1章で書き込まれております。
 第2章では、その影響のメカニズムということで、事故発生直後になぜ水道で高濃度の汚染が生じたかということについて、書き込んでいただいております。(2)といたしまして、その後、減少していったわけでございまして、ほとんど出なくなったのはなぜかという観点から、状況について報告いただいております。
 第3章におきましては、今度は浄水場の低減方策につきまして放射性ヨウ素、放射性セシウムそれぞれについて報告いただいているところでございます。
 第4章といたしまして、全体の取りまとめとしまして今後の見通しと当面の低減方策、今後のモニタリング方針の在り方、検査方法につきましても正確に測る方策等について提言をいただいておりまして、最後に今後、万一再度大量の放射性物質が放出された場合の措置ということで、併せて報告書に記載していただいているところでございます。
(PP)
 それでは、早速第1章でございます。
(PP)
 これは第1章での放射性物質のモニタリングの実施状況でございます。実際に測定を行っておりますのは、福島県内につきましては政府の原子力災害現地対策本部が実施しておりまして、その結果を厚生労働省において公表する仕組みでモニタリングを行っているところでございます。また、これは福島県は除かれているんですが、すべての都道府県について1か所の水道水を測定いたしまして、その結果を文部科学省の方で公表している。
 各地方公共団体及び水道事業者におきまして、それぞれが水道水を測定しておりまして、その結果が各々公表されてございます。
 また、?、?の結果につきましてもすべて厚生労働省に情報が集約されるようになっておりまして、これを週1回厚生労働省の方から公表するということで、したがいまして、厚生労働省のホームページにおきまして、全国すべての水道水の測定結果を見ることができるという体制を整えているところでございます。
 4月4日に厚生労働省のモニタリング方針を出しまして、こういった福島県及び近隣10都県を重点地域としまして、モニタリングをしていただきたいということで方針を決定しているところでございます。
 回数につきましては1週間に1回以上を目途として行う。検査結果が指標値を超過した場合、あるいは超過しそうな場合には毎日検査をしていただくということでございます。
 地図を見ていただきまして右側に若干黄色の検査困難な地域がございます。下のところはいわゆる原発の避難地域になっているところでございまして、こちらの5町。上の宮城県内におけますところは南三陸町でございまして、こちらではまだ水道水の方がほとんど復旧が進んでいないということで、モニタリングが困難という状況にあるということでございます。
(PP)
 実際の水道水の摂取制限の状況でございます。3月19日と21日に私どもから通達の形で基本的な見解を示させていただいております。放射性ヨウ素については300Bq/kg、放射性セシウムについては200Bq/kg、放射性ヨウ素については乳児に対しましては100Bq/kgということで、摂取を控えていただきたいということで示しております。生活用水としての利用には問題はないこと、代替となる飲用水がない場合には、飲用しても差し支えないという方針を示させていただいているところでございます。
 実際の摂取制限及び広報の要請の状況でございますが、実際に300Bq/kgを超えた箇所につきましては、福島県飯舘村の簡易水道事業1か所で制限が必要になる状況になりました。現在は既に解除されているところでございます。
 放射性ヨウ素濃度で、いわゆる乳児のための制限の100Bq/kgを超過したところは全部で20事業ございまして、こちらについても摂取制限を要請したわけでございますが、現在ではすべて解除済みという状況になっております。
 もう一つの放射性セシウムにつきましては、水道水中において指標を超えたような事例はございません。
(PP)
 次に、実際に測定を現在に至るまで継続しておりまして、それらのデータにおけます値の状況でございます。グラフに青い部分と黄色い部分がございます。青い部分が10Bq/kg以上の値ということで、10Bq/kgというのはほぼ検出限界に近い値ということで、検出されるかされないかという部分でございます。それ以下の部分がすべて黄色ということで、ごらんいただいてわかりますように、これは放射性ヨウ素でございますが、福島県内では4月21日~30日ぐらいにかけて以降、それから、それ以外の10都県におきましては4月11日から20日にかけてぐらいまで出ておりましたが、それ以降は10Bq/kgを超えるような値は出ていないという状況にございます。
(PP)
 次は放射性セシウムでございます。放射性セシウムについては先ほど申し上げましたように、非常に値が低い状況にございまして、10Bq/kgという値を超えた事例もかなり少ない状況でございます。同様に4月中旬以降は福島県内及び福島県以外の都県におきましても、ほとんど出ていない状況になってございます。
(PP)
 実際のデータをごらんいただきたいと思います。これは文部科学省による検査結果でございます。上の表が放射性ヨウ素、下が放射性セシウムでございます。両方のグラフとも大体4月28日ぐらいまで若干低い値も含めまして観測されておりますが、それ以降はほとんどおさまっているという状況にございます。そして4月中旬以降になりますと、ほとんど検出されていない状況になっておるわけでございます。
 若干グラフの縦軸の目盛が、放射性セシウムの一番高いところで10Bq/kgという値でございますので大きく見えますが、実際に観測されている値は非常に小さい値になっているということでございます。
 下の放射性セシウムの方を見ていただきますと、栃木県宇都宮市の測定データが若干後を引いておりますが、これは大体出ている値は5Bq/kg程度ということで、非常に低いレベルだということでございます。
(PP)
 これは実際に摂取制限が行われた水道事業者における検査結果でございます。上の表が福島県の飯舘村でございます。下が東京都水道局の金町浄水場の数字でございます。上のグラフで申し上げますと、水色のグラフでございますが、一番高いところが飛び出てしまっているんですけれども、これが965Bq/kgという今回モニタリングの中で一番高い値が3月21日に検出された、放射性ヨウ素の値になっております。
 同じグラフで下のところにピンク色のグラフがございますが、これが放射性セシウムでございまして、放射性セシウムについてはごらんのようにかなり低いレベルで出たり出なかったりという状況が、初期に続いていた状況がわかるかと思います。
 下の東京都のグラフを見ていただきますと、同じ時期に放射性ヨウ素、水色のグラフが高いところから急速に下がってきているわけですが、それの直前に茶色のグラフが立ち上がっております。こちらが放射性物質の降下量のグラフでございまして、これですとか、棒グラフは雨の量でございます。こういったものがあったときに、初期のときにこれと放射性ヨウ素が高くなっているということがわかるかと思います。
 その後、いずれも急速に低下しておりまして、3月27日以降は検出限界未満となってございます。
(PP)
 次は水道事業者の放射性物質の低減に係る取組みの、実際に取り組んでいただいている状況でございます。水道水の供給に影響を及ぼさない範囲で取水停止や抑制をしていただく。あるいは放射性物質の濃度を低減するような活性炭の投入等の対策を実施していただくということで、3月26日に事務連絡をさせていただいております。
 実際の実行状況でございますが、これは比較的規模の大きな水道事業についてアンケートでお答えいただいておりまして、全体で69の事業者のうちお答えいただいた内容でございます。
 活性炭の投入についてはそのうち39か所、写真で見ていただいてわかるような覆蓋をしている事例が27となっております。降雨後の取水量を制限したような事例は25ということでございます。
(PP)
 続きまして、第2章にまいりたいと思います。こちらでは実際に水道水への影響がどのように生じたかというメカニズムについて、まとめさせてさせていただいています。この検討に当たりましては、検討会の専門家の先生方に放射性物質の大気からの地表への動き、あるいは本日御出席の古米先生にも超特急で作成いただきましたモデルを使いまして、地表から河川への動き、放射性物質の動きについてモデルを使ったシミュレーション等もお願いしております。そういったモデルでのシミュレーションの結果ですとか、あるいは先ほど見ていただいた測定結果、放射性ヨウ素や放射性セシウムの物理的な性質等を勘案いたしまして、これから御説明しますような考え方が妥当であるということで、おまとめいただいているところでございます。
(PP)
 まず事故直後になぜ水道水が高濃度で汚染されたかというメカニズムについてでございます。報告書の方には見ていただく方になるべくわかりやすいようにということで、イラストでの説明を付け加えておりますので、ここではそれを使って御説明させていただきたいと思います。
 これが最初に高濃度の現象が起きたときの状況でございまして、発電所で爆発等が起きた直後に、10日間程度の比較的短い期間に大量に放射性物質が放出された。
 ?で示させていただいていますように、これが風に乗りまして大気中を移流・拡散しました。それが福島県内や関東地方に飛来した。更にその段階で大気中の一部が実際に地表面に降下しまして、それが上にくっついていく、地面にくっついていくような状況になったということでございます。
(PP)
 これが今度、その直後に降りました雨によりまして、空気中にあった物質が地表に落ちて、更にそれらの物質や、もともと地表に乾性沈着でくっついていました物質が、雨水とともに大量に河川に流入していった。?のところですが、そういったものがこの図の説明でございます。
(PP)
 これらの物質についてはそのまま河川水が水道原水の取水口に流入いたしまして、浄水場で処理する手立てが基本的にとられていない状況の中で、蛇口から放射性物質が流出していったということでございます。
 なお、地表面に降下しました放射性セシウムについては、地下に容易には浸透しませんで、地表面に残留している状況であったということでございます。
(PP)
 続いて、なぜその後、水道水でほとんど検出されなくなったのかということのメカニズムについての御説明でございます。
(PP)
 これで見ていただきましてわかるように、放射性物質の放出量につきましては?で示させていただいていますように、原発自身から新しい放出については大幅に減少した状況で推移しているという状況でございます。したがいまして、全般に空間での線量や降下物については低減傾向にございます。福島県以外では空間線量につきましては、平常時の範囲まで低下してきている状況でございます。
 一方で放射性セシウムについては容易に地下には浸透せず、地表に残留している状況にあるということでございます。
(PP)
 大気中で放出されました放射性物質については、降雨により既に減少しておりまして、この段階での降雨ではほとんど影響を受けていない状況でございます。ただ、強い降雨の際には放射性セシウムが吸着した地面の土が、流出に伴って濁質成分として原水に流入する場合も考えられると推定されております。
(PP)
 したがいまして、その結果、河川水が原水の取水口に流入いたしましても、この場合には除去されるという状況にございます。放射性セシウムは土壌等に吸着した後、地下には相変わらず容易に浸透せず、地表面には残っている状態が引き続き続くという状況でございます。
(PP)
 以上が結果でございまして、次に、そうしたことを踏まえまして、今度は実際の放射性物質の浄水場での低減化方策について御検討いただいております。これにつきましても検討会の専門のメンバーの方に実際に実験をやっていただく等、短期間で出していただいた結果に基づくものとなっております。
(PP)
 まず放射性ヨウ素についてでございますが、若干ちょっと専門的な図になっておりますけれども、放射性ヨウ素の大気中での存在状態としまして、粒子状のヨウ素、ヨードメタンとして有機性のものとして存在している場合、あるいは気体そのものとして存在している場合がある。これらが環境水に取り込まれる際に、そのまま溶け込む場合あるいはそれがイオン化している場合が考えられる。それが浄水処理の工程でちりとかそういったものに付着している場合には、これは除去されるだろう。有機物とともに反応しているような状態であれば、一部は活性炭の吸着で取れるだろう。また、酸化することで一部こういった形態になりまして、順次吸着できるようになる。ただし、ヨウ素酸イオンという形で存在しているものについては、これはほとんど取れない状態で、そのまま水道水に出てしまうだろうという形でございます。
(PP)
 これが実際に実験をやっていただいた結果でございまして、いろいろな種類の活性炭を用いていただいていますが、一事例として上で赤い線で示させていただいていますように、活性炭注入だけですと大体除去率は38%程度。これに弱前塩素、通常水道で消毒に塩素を使っておりますが、塩素をそのタイミングではなく、一番最初の前の段階で若干の少量を加えるという方式でございます。これによって先ほど申しましたように有機化していくような形で変化させるということで、こういった措置を講じますと除去率が58%程度まで上がることが判明しております。
 これらの結果につきましては、実は東京都の水道局の方からも特別に御出席いただきまして、東京都で実施しました同様の実験結果について御報告をいただいているところでございます。
(PP)
 次に、放射性セシウムでございます。これはお手元の絵が若干違っております。パワーポイントの方を見ていただいて、放射性セシウムの大気中での存在状況としまして、ヨウ化セシウム、気体セシウムが混在しているような状態、あるいはそれがちり状の粒子状のセシウムとなっている状態が考えられるということでございます。これがちり及びセシウムイオンの形で環境水中に存在するようになりまして、これが浄水工程に入りますと、ちり状のものは懸濁質でございますので除去されるだろう。セシウムイオンにつきましても一部除去されて、これが出ていくという形になるんですが、実績としましてはたまに出る場合もあったわけですけれども、濃度は非常に低い状態だということで、実際にちり等の土壌への吸着が進みまして、出なくなっているということが想定されるということでございます。
 実はこういった吸着したような成分につきましては、浄水場施設がそれを取るという意味では非常に高い機能を持っているわけでございます。
(PP)
 これは浄水場の事例でございます。見ていただきまして、このシステムは通常よく用いられている急速濾過を用いたシステムでございますが、?~?辺りで水道水の中に入っている濁り成分を沈殿しやすく大きな粒子にするという機能を持っております。?が沈殿池でございまして、これを重力の力で沈降させる。更に?で砂濾過を行いまして、これによって水道水中に含まれています懸濁成分を除去するというのが浄水処理の仕組みでございます。放射性セシウムにつきましては、後ほど除去できるような形での存在形態で存在している可能性が高いということで、次のスライドをお願いします。
(PP)
 実際に科学院で実験をやっていただいた結果でございますが、2つのデータを事例として示させていただいております。いずれも既に原水である程度測定されておりますが、凝集沈殿という最初の段階で相当落ちているということでございます。その後、生物活性炭の処理、濾過を通じてこういったシステムで行えば、ほぼ完全に取れている状態が確保できるだろうという結論が出ているということでございます。
(PP)
 以上の結果をまとめますと、水道水中の放射性物質の低減方策といたしまして、放射性ヨウ素につきましては濃度が上昇した場合には、最初に申しましたようなあらかじめ弱い塩素を加える弱前塩素処理に加え、活性炭処理を行うことで、ある程度低減することができるというふうに提言いただいております。
一方で放射性ヨウ素についてはほとんど4月以降、検出されていない状況でございますので、こういった状態であれば活性炭を実際に使う必要は低いだろう、不要であろうといただいているわけでございます。
 放射性セシウムにつきましては濁質成分に付着して流入することが考えられますので、浄水過程での除去が可能であるということで、原則としては原水の濁度が高濃度になる場合の濁度管理をしっかりやるということで、十分コントロールが可能だといただいているものでございます。
 併せて他の技術につきましても検討はいただいておりますが、いずれも費用あるいは設備、効率の観点から、通常の浄水処理については適用が難しいのではないかといただいているところでございます。
(PP)
 次に、全体のまとめでございます。
(PP)
 まず、最初にこれまでの考察を踏まえまして、今後の見通しとして2点。
 1つは、現在は既に原発からの放射性物質の放出量が大幅に減少した状況で推移しておりまして、降雨後も放射性物質の降下量はわずかである。このため、水道水中の放射性物質がほとんど検出されない状況の中で、今後同じような大量放出がなければ、水道水の摂取制限が必要になるような事態が生じる蓋然性は低いといただいているところでございます。
 また、福島県内の地下水の調査結果あるいは最も土壌等の汚染の厳しい状況が考えられます原発から20~30km以内の地域での井戸水の検査の結果というものがございまして、これらの井戸での調査結果から、放射性物質が検出されていないという状況が併せて報告されておりまして、そういった結果から地下水に影響が表れる蓋然性も低いだろうと見通しを報告いただいているところでございます。
(PP)
 次に、低減方策としましては先ほど申し上げましたように、放射性ヨウ素につきましては今後濃度について上昇傾向が見られた場合に限定して、活性炭投入を実施することを検討することが適当であろうということでいただいております。
 放射性セシウムについては、浄水場の本来のシステムでございます凝集沈殿あるいは砂濾過というシステムによりまして、濁質とともに除去は可能であろう。濁度管理の徹底に努めることにより除去できるとされております。
 下側のところに説明書きを加えさせていただいております。放射性ストロンチウムがございまして、こちらにつきましては実は測定に相当の時間を要するという観点から、あらかじめ物理的性質の似ている放射性セシウムの基準の設定の際に、一定の割合で放射性ストロンチウムが含まれていることを想定して、放射性セシウム自体の値、現在の値で言いますと200Bq/kgという値ですが、こちらが設定されているところでございます。
 今回、文部科学省が発電所の周辺の土壌につきまして調査を行っておりまして、その中で放射性セシウムと比べまして放射性ストロンチウムの濃度が十分低いということが判明しております。そういった観点から、こちらについては影響を考慮する必要は低いだろう。また、放射性ウラン、放射性プルトニウムにつきましては、原発周辺でも微量の濃度で測定されているのみであるということから、同様に考慮する必要性は低いということで提言させていただいているところでございます。
(PP)
 次に、今後のモニタリング方針でございます。今後のモニタリングの考え方といたしまして、1つは同じ川から取水するのであれば、途中で新たに負荷が加わる蓋然性が低いということが考えられ、リスクは同じであろうということから、水道水のモニタリングについて合理的かつ効果的な検査体制に移行していくことを考えるべきだということでございます。
このため、2つ目の■でございますが、河川の流域単位で代表性のあるモニタリング箇所を選定いたしまして、水道の原水の放射性ヨウ素や放射性セシウムのモニタリングを実施して、その結果を共有することで水道水質管理に活用することができるのではないかと提言をいただいております。
その一方で、まだ現在の原子力緊急事態が依然として収束していないこと、現在もう既に入っておりますけれども、梅雨の時期あるいは台風襲来の時期を初めて迎えることを踏まえまして、今後当面の数か月間はモニタリング方針を一部合理的なものに見直した上で、水道事業者が実施していくことが適当であろう。そうすることによって水道利用者の水道水への不安感を払拭していくことが必要であるという基本方針を立てていただいているところでございます。
(PP)
 この方針の下で、具体的にはモニタリング箇所につきましては、基本的にはこれまでどおり市町村ごとに検査を実施していただく。ただし、先ほど提言いただいたように流域単位での原水のモニタリングが可能なところ、あるいは水道用水供給事業と申しまして、もともと水道水の卸売をしているような事業がございますが、そこから受けているそれぞれ小売店に当たります水道事業の方では、用水供給事業のデータを使って活用するという考え方ができるのではないかということでございます。
 モニタリングの頻度でございますが、基本はこれまでどおり1週間に1回実施する。ただし、表流水の影響を受けないような地下水につきましては、先ほど御説明しましたように放射性物質の影響を受けにくいことがわかっておりますので、1か月に1回程度として問題ないのではないかということでご提言いただいてございます。
(PP)
 次に、対象の試料でございます。従来は水道の蛇口から出る水を検査の基本としておりましたが、今回の検討で浄水場での低減方策が示されたということでございまして、今後は水質管理実施に役立たせるという観点からは、浄水場で採取した浄水を優先することがいいだろう。それにより蛇口での水道水についても十分に安全性を確保できるだろうと提言いただいているところでございます。
 下の摂取制限の要請や解除の考え方については、これは従来どおりの考え方でいこうということでございます。
(PP)
 検査方法でございますが、ゲルマニウム半導体検出器というもので基本的に測定いただいているわけでございます。これはヨウ素131ですとかセシウム134あるいはセシウム137といった、いわゆる核種と呼ばれる放射性物質ごとに正確な濃度分析が可能な機器でございます。ただし、その一方でなかなか施設の整備が大変であるということもございますし、ここに書いていますようにさまざまな検出下限値が混在するような状況になっておりまして、その品質管理が課題になってございます。
 一方で簡便な方法としてサーベイメータ、幾つかの方式があるんですが、そういったものについては正確な濃度分析は困難ですが、水道原水監視といった場面で、指標等を超過するレベルの前段階として利用することは有用ではないかということでございます。
 そのような点を踏まえまして、今後、検査方法のマニュアルを整備して、その中で適正な検査方法を構築していく必要があるだろうといただいているところでございます。
(PP)
 最後に、万一、大気中に大量に再度放出された場合にはどうするのかということでございます。この場合には厚生労働省におきましては直ちに必要な情報の収集を行う。放出されている状況あるいは空間線量、降下物質のモニタリングの情報、これらは文部科学省や原子力安全・保安院等で有しておりますので、こういった情報を入手する。更に影響が及ぶ可能性のある地域の風、降水等の気象情報を入手いたしまして、必要があればモニタリングの必要な地域の拡大の検討、あるいはそういったモニタリングが必要となりました地域に対するモニタリングの実施要請を行う。
 一方、地方公共団体の水道事業体では、浄水場の水の検査を毎日採取して検査を行っていただく。更に高濃度の放射性物質が入っている状況に至った場合には、すぐに取水制限あるいはこれまでの知見に基づきます措置をとっていただくということでございます。
 こうした迅速な対応が可能になるように、通常時からモニタリングのネットワークといつたものを構築していくことが必要でございまして、これにつきましては厚生労働省でもそういった測定値を共有するような研究機関等の紹介を行っていくことが必要だろうということでいただいております。
(PP)
 以上の結果でまとめでございます。今後、水道水への影響が表れる蓋然性は低いということ、特に放射性セシウム対策として濁度管理を徹底する等、適切な施設管理が必要であるということをいただいております。また、今後のモニタリングにつきましては国と関係都県における調整を通じて、流域単位での検査体制を整備していくことが必要だろうということでございます。また、検査の方法のマニュアルを整備していくことが必要である。大量の放射性物質が再度放出された場合には、迅速にモニタリングを実施しまして、国と地方公共団体で体制を構築していくことが必要であるということでございます。
(PP)
 最後に、今後の課題として4点ほど御指摘がございます。
 1つは今後の指標の考え方ということで、現在の指標は事故に伴う緊急時のものとして設定されております。水道水の指標については今後どうしていったらいいのかということを検討していく必要、進めていく必要はある。現在、食品安全委員会の方で、飲料水を含めた食品の暫定基準について審議している状況でございまして、そういった審議の状況を踏まえて許容可能なリスクを考慮して、検討を進めていく必要があるということでございます。
 ※印で示させていただいたのはWHOの推奨値として放射性ヨウ素、それぞれの放射性セシウムについて10Bq/Lという値がございます。これにつきましては平常時に適用するものであって、緊急時に適用するものではないということがこのガイドラインに示されているわけでございますが、今後はそのような知見も含めて検討を行っていくことが必要であると提言されております。
 次に、2つ目の■でございますが、今後は関係者間での情報の共有あるいはモデルでの解析といったものを組み合わせて、放射性物質の影響を予見できるような仕組みの構築が必要であろうということが2点目でございます。
 3点目といたしまして、事故に伴います粉末活性炭の投入といった事態が生じておりますが、こういった放射性物質対策については本来、水道料金で賄っております水道法の規定に基づく水質管理とは、異なるものとしての対処を考える必要があるだろうということでございます。
 最後の■といたしまして、放射性セシウムが検出されている浄水発生土についての処理方針を明確化していく必要があるだろう。これにつきましては最後の検討会が6月13日だったんですが、その後、6月16日に方針を明確化して追加調査させていただいているところでございます。こういったところで継続的に発生土のモニタリングを実施していくことが必要であるという提言をいただきました。
 以上が中間取りまとめの概要でございます。

○大垣部会長
 ありがとうございました。
 資料1をスライドを使って説明していただきましたが、ただいまの説明の中間取りまとめの内容について、何か御質問あるいは御意見がございましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。佐野委員、どうぞ。

○佐野委員
 意見なんですけれども、水道水は消費者にとって非常に重要なものであるにもかかわらず、今日の報告書の中で消費者の対応方法等、何も出てきていないということはすごく気になります。事故が収束していない中で幾ら値が低いと言われても、やはり気を緩めてはいけない、依然として非常事態が続いているわけですから、その中で消費者が一番気になるのが安全性であり、それをどうやって対応しているのか、そしてコストの問題、その3点だと思うんです。
 今まで政府が言ってきた「直ちに健康には影響はない」とか、厚労省がお出しになったパンフレットの中でも、数値がないままに水道水は安全であるとか、そういうところから不信感が非常に生まれている中でどうしたらいいのか。消費者自体も私たちも非常に悩んでいるところなんです。
 是非お願いしたいのは、消費者が相談できる窓口の整備をきちんとしていただきたい。それは厚労省1つにまとめてしまうのか、自治体がそれぞれ対応してくださるのか、それはこれから考えるところではないかと思うんですが、これからますますいろいろ聞きたい、知りたいことが出てきたときの窓口を是非整備していただきたい。
 それから、安全イコール安心ではないわけで、どうやって消費者に安心感を与えるかというのは、情報をきちんと提供して、情報を共有化することだと思うんです。数字だけ出して安全ですよではなくて、きちんとそれがなぜなのか、丁寧な情報を提供していただきたい。
 もう一つ、コストの話なんですが、ここでは水道料金で賄うべき水道法の規定に基づく水質管理と異なると書いてあります。直接消費者の水道料金に上乗せしないんだということをきちんと謳ってっていただきたいし、同時にそれは一体どういうふうな形で対処していくのかという透明性をきちんと確保して、情報をきちんと提供していただきたいと思います。例えば、活性炭はどのぐらい使ったのか、その費用はいくらなのかということなどの情報を提供していただければと思います。そこまで踏み込んで、今後の対応の中に入れていただけたらありがたいなという意見です。

○大垣部会長
 何か今の件で。大塚副大臣、どうぞ。

○大塚厚生労働副大臣
 今、佐野委員から御意見をいただきましたが、御意見に対するコメントをさせていただく前に、私もこの対策検討部会に3回とも出席をさせていただきました。参加していただいた委員の先生方には本当に熱心に御議論いただきましたし、放射性物質の挙動データに基づいたさまざまなシミュレーションを、私も素人なりにいろいろ見せていただいて、なるほどなと思う点が多々ありましたし、大変安心をいたしました。安心をしたというのは、しっかり御検討いただいたという意味において安心をいたしました。そういうものであるということをまず御報告をさせていただきます。
 その上で、今の佐野委員に対する厚生労働省の担当としての感想を少し申し述べさせていただきますと、この中間取りまとめの中身をじっくりお読みいただきますと、あくまで現時点で得られているさまざまなデータを可能な限り駆使をして、分析した結果こうであるということで、極めて客観的にまとめていただいております。そういう意味では、まずどういうふうに受け止めていただくかということなんですが、これは3月11日以降、放射性物質の影響に対して大変断定的にいろんな発言をされる方々が当初多かったわけですが、だんだん皆さん少しある意味放射能リテラシーが高くなり、冷静に受け止めていただけるようになったんですが、私も当然素人でありますので「正しく恐れる」という言葉が随分普及をしてまいりましたけれども、そのことが最も大切だと思っております。
 私も素人なりに大分詳しくなったつもりなんですが、しかし、所詮素人でありますので、放射線の専門家あるいは放射線医学の専門家の皆様の科学的知見に基づいて考えると、安全というふうに断定するのもいかがなものかと思いますが、逆に危険と断定するのもいかがなものかというのが多分、いろんなこの間の事象を評価するに当たっての最も合理的な表現なんだろうと受け止めております。
したがって、今回のこの中間取りまとめは、放射性物質対策として科学的にこれからどういうふうに対応していけばいいのか。そのことに基づいて水道行政を担っている政策当局としてどのように対応していけばいいのかということについて、主にまとめさせていただいていることでありますので、まず1点申し上げたいのは、そういう観点からまとめているものであるということが1点でございます。
 2点目は、その上で先ほど厚生労働省のパンフレットの件もお触れいただいたんですが、大半の方は御存じだと思いますけれども、4~5月にかけて主に大変御不安に思っておられるお母様方を対象に、余りデータを使わずに、それはデータを使うことによる逆の誤解を招く面もありのますので、その時点で得られている科学的知見に基づいてお伝えすべきことを平易に表現したということであって、その後、大分皆さんお詳しくなっておられますので、やがて少し内容も変えていくべきものかとは思いますが、2点目としてはやはり正しく恐れるという意味において、そこは是非冷静に受け止めていただきたいというのが2点目であります。
 3点目は、最後に水道料金のお話等もありましたけれども、冒頭に申し上げましたように、残念ながら我が国は国民全体で、あるいは国全体でこれから長い間、放射性物質と向き合っていかざるを得ないわけでして、そういう中で向き合っていくということに関してもしコストがかかるということであれば、それをどういうふうに国全体、国民全体で賄っていくのかということは、これは極めて大きな問題だと私も思います。
したがって、そのことを残念ながらこの場で御議論いただくことは少しなじまない問題かもしれないなとも感じておりますので、その辺は少し御理解をいただきながら、勿論冒頭に申し上げましたように、1点目の一番重要な点は科学的に今後どう対処していくか、そしてそれに基づいて行政的にどう対処していくかという観点から、消費者の代表のお立場で御出席いただいておりますので、消費者目線でその内容がどうかということについて、是非いろいろと御意見を賜ればありがたいと思っております。

○佐野委員
 ありがとうございます。
 私は報告書がおかしいとか、そういうことを申し上げているのではなくて、報告書はきちんとできていると思いますし、今もすごくわかりやすい説明をしていただいたので、それは理解しているんですが、でも困ったときに相談したいとき、どうしたらいいのか。
例えば私なんかは消費者団体におりますので、ある程度の情報は入って来ますし、それなりにみんなで勉強しながら来ておりますので、素人ながら大塚副大臣ほどではありませんが、少しずつおかげさまで情報というか知識は得てきたと思っています。
でも、一般的にはそうではないので怖い、どうしようというのがあります。基本的に私はわからないときには予防原則をきちんと取り入れるべきであると思っていて、グレーゾーンであるときは必ずこれはグレーゾーンでわからないから、予防してこうやりましょうと、科学的と言っても、今までいろいろな先生方の発言の報道等から見てきましたが、同じ科学者でも全然違うことを発言されるので、何を信じていいのかわかりません。それが要するにグレーゾーンであるんだったら、できるだけそれは悪い方に受け止めて、それを予防する形で1つ先の対応をしていただきたいと思います。
 私が言いたかったのは、この報告書にもう少し消費者が困ったときの相談先とか、何かしらこのまとめの最後に今後のところに触れていただきたい。報告書自体のそれまでの実態とかメカニズムについて、私はとやかく言うものではないんです。今後どうしたらいいのかというところのみお話したつもりです。

○大塚厚生労働副大臣
 大変重要なところなので、ありがとうございます。
 消費者の皆さんが生活用水、水道に関して御不安や何かお困りの際にどこに相談したらいいのか。これは極めて厚生労働省にとって重要な政策課題ですので、そこはしっかり受け止めさせていただいて、今でも相談窓口はありますけれども、よりわかりやすく広報させていただきます。
 その上で、もう一回だけ非常に重要な論点なので、その前にお触れになった点を今、私どものスタンスを申し上げさせていただきますと、3月11日以降、水に関しては今日ここにずらっと座っておりますメンバーと、食品に関してはまた別のラインと、本当に私たちなりに悩みながら全力を尽くしてまいりましたが、佐野さんがおっしゃるように科学者の皆さんでも意見が割れているということは、絶対にこれが客観的に正しいと言い切れる結論がない状態であります。
そういう中でグレーゾーンの事象に遭遇したときには、できる限り安全サイドに立って判断する。そのことは原理原則としてこれまでそうしてきております。ただ、そのときに1つ我々が常に悩んでいるのは、安全サイドに立って判断し、行動するときにも、それには社会的コストや国民の皆様個人個人にいろんな意味でのコストや、あるいは新たないろんな負担がかかるという面がありまして、それも加味しながら極力安全サイドに立って判断するというのを原理原則にしてここまで来ておりますので、是非その点は組織の皆様方にもお伝えいただきまして、国全体で冷静に対応していけるように御協力をいただきたいということだけお願い申し上げます。

○大垣部会長
 非常に重要な論点が最初から出てまいりましたけれども、例えば粉末活性炭のコストなんていうのはわかりやすくて、そう大きいコストではないと私は思っておりますが、それよりも後の泥の問題だとか、別の大きなコストがかかる部分があると思いますので、そういうバランスがきちんとわかるように、いろんな情報がわかりやすく出る必要があるかなと思います。岡崎委員、どうぞ。

○岡崎委員
 せっかく佐野委員さんの切り口からいい話に入っていますから、副大臣と佐野さんのやりとりをお聞きしていて、直接事業体、日常的に対応している側の立場から言いますと、お二人のやりとりが結局現場の苦悩でもあります。このことに審議会の性格からして具体的なノウハウですべて対応方針を出せるかどうかは別にして、しかし共通して今、我々にとって何が本質問題なのかと言ったら、お二人のやりとりに尽きていると思います。したがって、言い換えれば現場の側も、その苦悩とどういうふうにノウハウを含めてやっていくかということで苦労しているところです。
 その話に入ります前に、順序として検討委員会の皆さんにこの中間報告を取りまとめしていただいたことについて、まず敬意を表したいと思います。これは現場にとって大変ありがたい内容ですし、これを本当に直接実態的に生かしていく手立てにはしたいと思いますし、同時にモニタリング方針についても、現状で言えばおおよそこういうところなのかなとも思います。細部、財政から何からいろんな内容については補足し合っていくとしても、現状で三月経って、およそこの中間対応方針あるいはモニタリング方針を出されてきたことについて各委員の皆さんの御努力に敬意を表したいし、これを現場で生かしていきたいと思います。
 そのことを前提にして先ほどのお二人の論議とかみ合わせていきますと、要は対応方針で最後に出されていますけれども、再度放出された場合の措置ということで厚労省、地方公共団体のそれぞれの位置、任務、連携プレーというのが出ていますけれども、まさにこの対応を中間報告とモニタリング方針を含めて実態的に各事業体、各地方公共団体レベルで、いわゆる地域住民の皆さん、市民の皆さんの佐野さんのような御質問や御意見、疑問に対して全部応え切らなければいけなくなってしまっているわけです。現場の人々はそのことで、この三月苦しんできたんです。
当面の方針としてはこういうことになるんでしょうが、例えばもっと乱暴に言いますと地域住民の側からしたら国であろうと、公共団体であろうとそんなものは聞いていない。要は私たちの水について、だれが責任をとってくれるんだ、だれが安心・安定させてくれるんだ。ここが専らの問題意識ですから、このことに国だろうと公共団体だろう答えなければいけなくなってしまっているわけです。そのことをまず押さえていただきたい。
したがって、厚労省の立場は各地方公共団体、都県の立場、そして地域の拠点事業体の立場、その周辺の事業体、いわゆる行政組織の大小、水事業体の成熟、未成熟の度合いを含めて、非常時ですから、前段申し上げた地域住民の疑問と要望に応え切れる体制をとらなければいけないと思っているんです。その際はこの中間報告とモニタリング方針を既存の従来のルートで下して、「はい、こうですよ」ということでは済まないということを是非、お願いしたいと思います。
むしろ今、言いましたように県や拠点自治体、首長や水事業体の責任者、周辺の中小未成熟事業体、ノウハウもマンパワーもないところを、放置しておくのではなくて、しっかりかき集めて、マネジメントして、「不安を与えませんよ」、「安心・安定の構えを示しますよ」というところを、実態的に示していかないと、佐野さんの質問には本質的に答えられないということになるのではないかと思います。事業体の責任を含めて、我々は共有しなければいけないのではないかと思います。
日常的には、日本水道協会さんを中心に大変な努力をされているので、協会さんを前に発言したのは僭越ですけれども、せっかく大塚副大臣がいらっしゃるから、要は3.11以後、水業界は各方面の業界団体の皆さんが今日、傍聴の方にもいらっしゃるでしょうけれども、皆さん集まっていただいて、副大臣と石飛課長の下で対応してきましたね。あれはやはり水事業体の中で、いまだかつてないことですから、あの対応と苦労には是非とも自信と誇りを持っていただいて、引き続き反映させていっていただきたいなと思います。

○大垣部会長
 ありがとうございます。

○大塚厚生労働副大臣
 大変時間をとって恐縮なんですが、私も途中で中座を、3時過ぎには失礼をさせていただきます。
 まず岡崎委員におかれても、また、今日は日水協ほか水道事業関係者もいっぱいいらっしゃると思いますので、私からも今の御発言に関連して、本当に震災対応に御尽力いただいたことに、改めてこの席でもお礼を申し上げたいと思います。これはお世辞抜きで率直に、水道事業関係者の震災対応、放射性物質に対する対応も含めて、他の分野と比べても最も秀でた迅速な御対応をしていただいたというのが、政府部内での率直な評価になっております。本当にそれは皆さんのある意味職業的責任感の強さというのは目の当たりにさせていただいて、ある意味心強かったことを申し上げたいと思います。
 その上で、おっしゃるようにこのまま何事もなくだんだん平常な状態に近づいていければいいんですけれども、あえて誤解を恐れずにこの報告書にも再度放出があった場合のことも書かせていただいておりますし、大量の降雨があった場合等の原水の流域からの土砂の流入とか、いろんなことも含めてリスクファクターは全部書かせていただいております。
その上で、そういうことがあった場合も含めてどのような対応をするかという現時点のモニタリング方針や、対応方針をまとめさせていただいておりますので、結局消費者の皆さんが要は安全かどうかを聞きたいんだとおっしゃる気持ちはわかるんですが、是非この検討部会を中心に情報発信していただきたいのは、きちんと対応していますので行政や水道事業体が大丈夫でありますと表明をしている限りは、大丈夫だと信じていただくことが一番重要なポイントでありまして、そのときに信じていただくと同時に、ここは生活環境水道部会ですから、生活環境水道の周辺において混乱を生じさせないためには、先ほども申し上げました放射能に関する正しい情報も、我々もすべて提供しますけれども、消費者の皆さんの側にも是非それを受け止めていただいて、御協力をいただきたい面もあるので、それはそれで消費者団体の皆さん通じて是非広めていただきたいんです。
それはどういうことかと言うと、率直に申し上げて私も摂取制限をせざるを得なくなったあの局面で残念だったのは、お子さんに対しては摂取制限なので御協力くださいと言ったんですが、あっと言う間に大人の皆さんを中心にペットボトルの買占めが起きたわけであります。冒頭から2~3回申し上げましたが、好むと好まざるに関わらず、残念ながらこれから放射性物質と我が国は長い間向き合っていかなくてはならないので、政府や行政としてはデータはすべからくきっちりお示しをした上で、その時点で考えられる最も最適な対応は事業体や行政を含めてきちんといたしますので、その上で大丈夫だと言われている限りは大丈夫だというふうに、消費者の皆さんにもそこは受け止めていただくということがないと、これはきっとまた新たな混乱を生むだけでありますので、その点と、大丈夫だと言うときに一部乳幼児を中心に先に摂取制限がかかったときに、乳幼児のことを考えて成人の国民の皆さんには冷静に御協力いただきたいということも含めて、是非この部会を中心にじわじわそういう情報を発信していただくということが恐らく今、岡崎委員が御指摘いただいたこと、現場の皆さんの御苦労を少しでも緩和するための唯一の対応なのかなと思っております。
今日おいでの皆さんには緊張感を共有していただけていると思いますけれども、世間ではテレビの番組を見ていても、何となく少し緊張感が緩み始めているような雰囲気もあるような気がするんですが、現実に原子力発電所の事故はまだ終息していないわけでありますし、事と次第によってはまた水道に影響が出る場合がありますので、そうならないことを祈りつつも、そうなったときにも冷静に御対応をいただけるような方針をこの部会で是非まとめていただきたいと思っておりますので、長くなって恐縮ですが、重ねてお願いを申し上げたいと思います。

○大垣部会長
 明快な御説明をありがとうございます。
 実は次の議題も、今後の水道水中の放射性物質のモニタリング方針についてでございますので関連するのですが、何か御意見はございますか。

○安藤委員
 11ページは厚労省がアンケートをとられたんだと思うんですけれども、ここで水道事業体の認識について私は違和感があったんです。無回答が16あることになっていまして、ということはこれはどこまで認識なさっているのかなという気がいたしておりまして、そこは徹底していただきたいというのが1つ。
 もう一つは26ページで、これからの低減化方策で急速濾過がいいとおっしゃっているんですが、福島のああいう界隈では緩速濾過が大部分で、急速濾過は少ないのではないかという気がするんですけれども、こままでいけば大丈夫なんでしょうが、ないところは急速濾過に変えていくこともねらっていると考えていいんでしょうか。

○大垣部会長
 どうぞ。

○松本水道水質管理官
 1点目につきましては、無回答という部分が意識の低さによるものなのか、対応に忙しくてそこまで手が回らなかったせいなのかという点はあるかと思いますので、その点は御了承ください。
 濾過システムにつきましては緩速濾過の部分もあるかと思うんですが、現在のところ実際に出てきておりますデータにつきまして、特に福島県につきましては現地対策本部が政府を挙げまして、大体1週間に1回や2回は必ず測定しているような形でデータをとっております。その中でもこれまでのところ、少なくとも4月の半ば以降はすべてNDというデータで出てきておりますので、結果としては満足しているという状況でございますので、そこら辺を踏まえまして今後の考え方については整理をしていきたいと考えております。

○大垣部会長
 よろしいですか。

○小笠原委員
 今の25ページの読み方ですが、これは原水から始まって濾過まで一連のシステムとして計測したら、こうなったということでしょうか。

○松本水道水質管理官
 これはあくまでも実験室での実験結果です。

○小笠原委員
 実験でいいのですが、例えば凝沈にかけた後、生物活性炭濾過を通して、更に濾過をしたといったデータとして読むのでしょうか。あるいは独立してやったのでしょうか。

○松田水道水質管理室室長補佐
 これは原水を凝集沈殿した後に生物活性炭をして、濾過をしたということなんですが、そのプロセスについて同時に試料を採水して測定したということですので、凝集沈殿に行った後に生物活性炭に行くわけですが、必ずしも同じ水を採水したわけではありませんので、そういう意味でこれは凝集沈殿と生物活性炭と濾過、濃度が上がっているように見えるんですが、水の媒体としては違う媒体になっている。ということで、これは生物活性炭と濾過の方が一部、若干濃度が高いのが見られたということでございます。

○小笠原委員
 上下ちょっと上がった上がらないというよりも、線で結んでいるわけですから、一連のシステムをつくってやったのかなと思ったのです。

○安藤委員
 分割か折れ線グラフかという、その意味は全然違うでしょう。

○松田水道水質管理室室長補佐
 折れ線よりは、そういう意味では棒グラフの方が適当かと思います。

○大垣部会長
 今の事務局の説明を混乱しないように防ぐためには、生物活性炭というところは凝沈プラス活性炭の値で、それで別々に実験系があったということですね。

○秋葉委員
 混乱を招いてしまって、申し訳ございません。これは実験系ではなくて、ある浄水場からそれぞれのプロセスの水を送ってもらい、その水の放射性物質を測定しています。浄水場から送られた水は、その日の水を採水してもらっていますが、滞留時間等を加味していません。ですから、浄水場の原水を送ってもらって、凝沈、生物活性炭、ろ過を行う室内実験を行った結果ではありません。

○小笠原委員
 先ほど御確認の生物活性炭をくぐっているんですね。同じ水でないにしても。

○秋葉委員
 生物活性炭処理後の水を送ってもらい測定してした結果です。滞留時間は加味していませんが。

○松田水道水質管理室室長補佐
 これは保健医療科学院の先生にやっていただいていますので、我々が聞いている部分については実験も行っているということですので、そういう意味でこれは我々は実験という意味で受け止めていた。それが浄水場での実験という意味合いだと。

○秋葉委員
 そのとおりです。実際の浄水場からそれぞれのプロセスの水を送ってもらって、測定した結果です。

○大垣部会長
 古米委員、どうぞ。

○古米委員
 一応検討会に出ておりましたので。
浄水場における放射性ヨウ素の挙動例ということで御報告いただいておりまして、先ほど秋葉委員から言われたように、実際に入った水が時間を追って処理プロセスを通っていきますが、そのタイミングを見計らって採水するということではなくて、現場で滞留時間は考慮しないで取っていますので、でこぼこが起きている。一応、原水から処理水までの流れで調査しているということだと思います。

○大垣部会長
 最後はそういうことでよろしいでしょうか。ほかになければ次へ進んでよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 それでは、議題2に移ります。次の議題は今後の水道水中の放射性物質のモニタリング方針についてであります。事務局から説明をお願いします。

○松田水道水質管理室室長補佐
 それでは、資料2-1に「今後の水道水中の放射性物質のモニタリング方針について(改定案)」ということで、見消版のものをお示ししております。なお、資料2-2は反映したものでございます。
 このモニタリング方針につきましては、4月4日に一度定めたもので、このモニタリング方針に従って地方公共団体、水道事業者等の方に水道水の水質検査をお願いしてきたところでございます。1ページ目の一番最後の方にもありますが、平成23年4月4日に今後のモニタリング方針、検査結果に基づく摂取制限の要否の判断、摂取制限の解除の考え方、これをこのモニタリング方針の中に盛り込んでございます。
 2ページ目、先ほど事務局から御説明をした水道水における放射性物質対策検討会が3回開催された。その中でモニタリング結果を踏まえた中長期的な取組みの検討を進めてきたということですので、この中間報告を踏まえまして本日の部会において、このモニタリング方針の改定案について御審議をお願いしたいということでございます。
 「2 基本的な考え方」ですが、こちらについては水道水の中間取りまとめを受けた形で大分加えていますので、読み上げます。
現状では、東電福島第一原発からの放出量が事故直後に比較して大幅に減少していること、降雨後においても放射性物質の降下量の上昇がわずかであること及び水道水中に検出される放射性物質の濃度が検出下限値未満または微量で推移している状況にとどまっていることから、今後、再び東電福島第一原発から大気中への放射性物質の大量放出がない限り、放射性物質の影響により水道水の摂取制限等の対応が必要となる蓋然性は低い。
また、表流水の影響を受けない地下水を用いる福島県内の水道事業の水道水から放射性物質が検出されていないこと、東電福島第一原発から20~30km圏内及びその周辺地域の井戸水から放射性物質が検出されていないこと、放射性ヨウ素の半減期が8日間と比較的短期間であること並びに放射性セシウムは土壌等に吸着されて地面表層に残留するため地下に容易には浸透しないことを踏まえると、水道水源となる地下水に対して放射性物質の影響が現れる蓋然性は低い。
更に、ゲルマニウム半導体検出器を保有する検査機関が限られているため、一部の水道事業者等においては水道水中の放射性物質の検査の実施に苦慮しており、短期間で十分な検査体制を確立することが困難な状況にある。
このため、今後は、放射性物質の検出リスクが同じ傾向にあると考えられる流域単位で水道水のモニタリングを実施する等、合理的かつ効果的な検査体制に移行すべきである。その際には、早期に検出リスクを把握すること、浄水処理による除去効果を確認すること等の観点から、関係都県ごとに、水源となる河川の流域単位で代表性のあるモニタリング箇所を選定し、水道原水の放射性物質のモニタリングを実施して、その結果を当該流域の水道事業者と共有することにより、水道事業者等の水道水質管理に活用することが望ましい。
一方で、我が国で初めての原子力緊急事態が依然として収束していないこと及び今後梅雨や台風等大雨が予想される時期に入ること等にかんがみ、当面の数か月間、水道水の検査を継続的かつ定期的に実施する必要がある。
こうした状況下、放射性物質の拡散による水道水への影響と安全性を確認するため、福島県及びその近隣都県において、検査体制を引き続き維持していく必要がある。また、放射性物質の拡散による水道水への影響が及ぶと考えられる地域において、広域的な検査を着実に実施する必要もある。
これらの検査結果等を踏まえ、摂取制限の要否の判断及び摂取制限の解除の考え方に基づき、水道水中の放射性物質の濃度が指標等を超過する場合には、水道事業者に対し水道水の摂取制限及び広報の要請を行うとともに、水道水中の放射性物質の濃度が指標等を下回る情報も含めて検査結果を公表することにより、水道利用者の水道水への不安感を払拭し、安心・安全な水道を持続させることが重要である。
「3 当面のモニタリングの方針」。
(1)調査方針でございますが、これについては4ページ目にいきまして、重点的にモニタリングを行う地域ということで、福島県と近隣10都県が入ったということでございますが、この中においても本州から地理的に離れ、水源が独立している島嶼部の水道事業を除くということで、中間取りまとめを受けた形で改定をしているということでございます。
その次にいきまして、検査の実施に当たってこれらの地域の地方公共団体に対して、地域内の市町村の水道水の定期的な検査を実施するよう要請する。その後、検査未実施地域の解消を目指すという部分が削除されているんですが、これについてはこのモニタリングを重点的に行う11都県において避難区域または被災地域の6町を除きすべての市区町村でモニタリングが実施されているという状況も踏まえて削除をしております。
重点区域に関しては4ページ目(1)の一番下の※印に、原子力発電所から大気中へ大量の放射性物質が再度放出された場合には、風向き等から重点的にモニタリングを実施すべき地方公共団体を追加することがあるということで、新たな局面になれば11都県以外にも場合によってはモニタリング地区を増やすということはあり得ることを、こちらの方に記載をしております。
(2)対象項目については、同じということでございます。
(3)検査対象試料でございます。採水場所は蛇口の水、浄水場の浄水ということでございますが、※印に関して従来は住民が直接摂取する蛇口の水を基本とするということだったんですけれども、今般、水道事業者等がこの水道事業において放射性物質の制御できる目途がついているということが中間まとめでも明らかになりましたので、水道事業者等が実施する検査においては、浄水場での放射性物質に対する水質管理の実施に役立たせるため、浄水を基本とするということで修正させていただいております。
5ページ目、下のところでございますが、流域単位で代表性のある箇所での水道原水のモニタリングが可能となった場合には、代表性のある箇所における原水水質が、その水源を利用するすべての水道事業者等の原水水質とみなしても差し支えないと考えられるため、水道水の水質検査についても、水道原水の検査を考慮して実施することとし、その水源を利用する水道事業者等が実施した水質検査結果をほかの水道事業者等が活用することができるものとする。水道用水供給事業者から受水している水道事業者は、当該水道水供給事業者の水質検査結果を活用することができるものとするということで、中間取りまとめの提言を受けた記載をしております。
(4)検査頻度でございますが、従前は地方公共団体、水道事業者の検査体制に応じて1週間に1回以上を目途に検査するということでございましたが、今般、中間取りまとめを受けまして、表流水及び表流水の影響を受ける地下水を利用する水道事業者等に関しては、1週間に1回以上を目途に検査することを示しております。表流水の影響を受けない地下水を利用する水道事業者等に関しては、今回の中間取りまとめで地下水に対する影響は蓋然性が低いということも示されましたので、1か月に1回以上を目途に検査をするということをお示ししております。
ただし書きのところでございますが、これは指標等を超過した場合、または指標等に近い値が測定されている場合は、原則として毎日測定するということが以前から書かれていたんですが、それに加えて東電福島第一原発から大気中へ大量の放射性物質が再度放出され、厚生労働省が地方公共団体に対して検査を要請した場合には、水道事業者等は、水道水や水道原水を毎日採水し、検査を実施することとする。これらの場合において、水道水の検査結果による数値が指標等と比較して低い数値となった段階で、検査頻度を通常のものに戻すこととするという文章を追加しております。
6ページ(5)検査体制の確保でございますが、基本的には同じでございます。※印の文章につきましては、先ほどの検査対象試料の中で流域単位でモニタリングの合理化の記載を追加しましたので、この点については削除しております。
(6)取りまとめ及び公表については、従前のとおりでございます。
「4 厚生労働省が行う摂取制限及び広報の要請の目安」でございますが、原則として直近3日分の放射性物質の検査結果の平均値を見て摂取制限及び広報の要請を実施する。この点については従前どおりです。ただし、1回の検査結果でも指標等が著しく上回った場合には、これについては摂取制限及び広報の要請を実施する。この点についても従前のとおりでございますが、今回、東電福島第一原発から大気中へ大量の放射性物質が再度放出された場合には、事故発生直後に測定した水道水中の1回の検査結果でも、放射性ヨウ素が指標等を上回った水道事業者に対し、摂取制限及び広報の要請を実施するということを新たに追加しております。
これに関しては※印、6~7ページにかけての文書ですが、再度放出された場合においては水道水源の広範囲にわたり放射性ヨウ素が流入し、高濃度の放射性ヨウ素を含む水道原水が数日間にわたって流入する場合がある。浄水処理工程で粉末活性炭を投入しても、一定濃度は水道水中に残留し続けることが考えられる。このため、放射性物質の大量放出以降に測定した浄水中の放射性ヨウ素が指標等を超過する場合は、その後の数日間においても指標等を超過する蓋然性が高いということで、1日分のデータで評価をすることとしていることを、こちらの方に記載をしております。
「5 水道事業者が行う摂取制限の解除の目安」については、従前のとおり3日分のデータと傾向を見て解除の目安とするということを変えておりません。
「6 その他」についても変更はございません。
「7 今後の取組」でございます。これについて最初の1つ目の○でございますが、流域単位でのモニタリング、原水監視を今後強化していこうということでございますので、この点について厚生労働省が地方公共団体と調整を行い、水道原水監視も含めた流域単位の具体的なモニタリグ実施体制を整備拡充していくというように修正をしております。これらの実施体制の整備状況等を踏まえて、改めてモニタリング方針の見直しを検討することをこちらの方に記載しております。
次に、測定時間に応じた検出下限値及び検査機器の使用方法等をまとめたモニタリングマニュアルを作成するということで、中間取りまとめの課題を受けたモニタリングマニュアルの部分について記載をしています。
一番最後の部分につきましては、中間取りまとめで水道水の摂取制限の要請解除に関する考え方を検討していただいて、その結果を今回の見直しに反映しておりますので、この点については削除をしております。
以上でございます。

○大垣部会長
 ありがとうございました。
検討会の中間取りまとめを受けて4月4日のものを改定する案であります。何か御意見ございますでしょうか。

○大崎代理人
 この見消しの5ページの赤線「東電福島第一原発から」という追加されたパラグラフなんですけれども「再度放出され、厚生労働省が地方公共団体に対して検査を要請した場合には」とありますが、こういう緊急時において厚生労働省が要請しなければだめだという形でなくて、緊急時においてこそ自立的に、自動的に水道業者の方でやるというようなシステムにしておけば混乱も避けられるだろうし、現場の方々もまだ要請はないからしないということではなくて、こういう緊急時であれば自動的に発動されるようにしないといけないのではないか。
私どもも現場対策マニュアルを持っていますけれども、緊急時こそ発動のレベルはどんどん下がっていく。最後は現場の方々の資質とか、普段の行動原則によってこういう計画というものはやっていくもので、ないから要請した場合ではなくて、こういうときには自動的に始めるんだというシステムにされた方が、緊急時のシステムとしては正しいのではないか。要請したからやります、要請されなかったからやりませんというのは、特に人の安全とか命を守っているシステムにおいては、ちょっと冗長過ぎるのではないかという気がいたします。

○松本水道水質管理官
 これは勿論、基本的には今お話のとおりでして、問題はその情報を、今、異常が生じているという情報をどこが一番早くキャッチできて、どこからそれが提供できるかといったところの観点でいいますと、もともとモニタリングを政府の中で文科省なりがやっている中で、厚生労働省としてそこはキャッチする仕組みをきちんと構築していきます。その中で実際に事業体の方に、その情報を素早く伝えることはできるだろうという観点から、こういう書き方をさせていただいておりまして、もしかしたらそれはよくあるパターンですけれども、報道の方か先にばっと出たりした場合には、当然水道事業者においてそういった事前に対応をとっていただくというのは、非常に重要なことだと認識しております。

○岡崎委員
 関連してよろしいですか。三月経てこれですから、私は先ほど申し上げたように、当面対応方針としてはこういうふうになるんだろうということで、基本精神を踏まえて了解をします。これを現場の方へ下ろしてしていただくと、なるほどこれが1つの指標、指針になると思います。問題は御指摘のように実態論としてこれを見まして、やはり東京で文書化される方針なのかなとは、率直なところ現場の人々は受け止めると思います。
 例えば、これは乱暴な言い方になりますけれども、再度の放射能流出となれば、そんなことするよりか逃げる方が先だろうと。こういう言い方は極めて失敬ですけれども、例えばあの3月の一番ひどいときに、どこからもその指示がなかったんです。これは現場の人々にしたら怨念になっているんです。だれの責任でもないんです。東電がやってしまったことですから。だったら東電を、「お取り潰し」に、「市中引き回しの刑」にするのかという話は、これから整理するにしても、その結果を上げて否応なく押しつけられている地域住民や水関係従事者たちは、今度あったらまずどうやって逃げるかという情報の方が欲しいとなるところです。
だけれども、それは職業人として矜持をもって仕事をしている以上は、地域住民を先に逃がして、若い職員を逃がして、年寄りは最後に逃げるかというふうには水事業界でもなっているわけです。だから御指摘にあるように、現場は既にこういうことを踏まえて対応せざるを得ないなとなっています。そこは捨てたものではなくて、各界の皆さんの大変な気構えと努力でなっていっているとは思います。そういうところは是非とも御承知おきを願いたいということを、あえてこういう場ですから申し上げましたが、当面のモニタリング方針としては理解できるし、この指針さえもなければ、個別自治体や地方公共団体の責任主体がはっきりしなくなってしまいますから、必要だろうとは思います。

○松本水道水質管理官
 今お話のあった点につきましては、これをまた通達を出させていただく際に、そういったお話のような趣旨も踏まえて検討させていただきたいと思います。

○大垣部会長
 ほかに御意見ございますか。安藤委員、どうぞ。

○安藤委員
 2つございます。1つは流域単位で云々というお話がございます。これは当然、状況からするとその方向が妥当なんだろうと思うんですが、最近のお話ではいわゆる処理汚泥の話、別に水道ばかりではなくて下水汚泥だとか、そういう処理汚泥の中に非常に高濃度になっているというお話が結構ございます。それに対する対応はどうするんだというお話になっている。
ということからいたしますと、流域で結局集まるところは1か所に集まる可能性が高い。1か所というのはピンポイント的に集まるところが多いのではないかという気がいたしまして、そういうところを探すという御努力もいただければありがたいなと思っております。
 もう一つは検査体制のお話ですが、検査体制は非常にいろいろな部門でやっておられるので大変なんでしょうけれども、結構今いろいろな検査機関が新しい機器を購入しているという状況もありますので、そういうことも踏まえてこれからもう少し広くできるのではないかということからすると、御検討いただければありがたいということでございます。
 以上です。

○大垣部会長
 ありがとうございます。

○松本水道水質管理官
 配慮させていただきます。

○大垣部会長
 ほかにございますか。大住委員、どうぞ。

○大住委員
 今日の議題そのものではないですけれども、モニタリング方針の改定がなされて文言がかなり修正され、追加されたことを受けてですが、これはあってほしくないことですけれども、ほかの原子力発電所の事故がまた起きたということになりましたら、恐らくは今回の東日本大震災のこれまでの対応と、今回のいろんな意味での政府からの方針が、事故に対する方針として1つの指針になるはずと思うのですが、そういうふうに考えてよろしいのでしょうか。これが1点です。
 もう一点は、これは先ほどの時間に御質問した方がよかったのかもしれませんけれども、水道に限らず、ほかの食品についても暫定基準値というものがございますが、それはあくまで恐らく消費者の側から見ますと、緊急時であるがゆえの基準値であるということには間違いないわけです。緊急時であるからこの水準である。少なくとも緊急時というのはそんなに長くは続かないから、この水準で安全という論理と私は理解しています。
であれば、今日いただいた中間取りまとめの最後にもございましたけれども、この基準値をいつまで維持するのか。少なくともこれが例えば10年続いたら異常なことでありますので、いつになればこの基準値を平常の水準に戻すのか。これは恐らくほかの食品も含めて、当部会の所管を超えますけれども、水の場合は恐らく議論の余地はないかもしれませんが、野菜等の食品につきましては、恐らく消費者の皆さんは相変わらず不安に思っていると思います。
要するに暫定基準値はどういう性格なのか。これを暫定基準値以下すれすれの食品あるいは水を10年とりつづけて本当に安全と言えるのか。こういう疑問に対して私は答えていく必要があると思うのです。
副大臣がいらっしゃるときに私はお伺いしたかったことですけれども、その点をきちんと説明した上で、少なくとも当面は安全だという説明をしていただきたいのです。水の場合は恐らくWHOの推奨基準値を下回っているので問題は現状ではないと思いますけれども、暫定基準値そのものの意味合いをきちんとお話していただかないと、我々消費者、一般の国民としてはその面で非常に不安を感じるのです。その点いかがですか。

○大垣部会長
 2つありましたが、1番目の他の原子力事故が起きたときについて。

○松本水道水質管理官
 その点につきましては、基本的には今回はあくまでも東電福島原発の事故を踏まえて、これまで検討を進めさせていただいている内容になっております。基本的には得られた知見というのは、仮にほかのところで起こった場合も十分役に立つものだと考えられますけれども、その点につきましては多分政府全体として今後、原発の在り方も含めてその中にはモニタリングの在り方も多分含められると思うんですが、そういった中で検討されていくものになっていくと思いますので、そういった一般化する過程の中で、これが将来知見としては生きていくだろうと考えております。
 2点目はまさに専門家の検討会で御指摘をいただいている点でございまして、事実関係の御説明から申し上げますと、現在、食品安全委員会の方で今後の食品衛生法に基づく飲料水を含めた基準値の在り方について今、検討がされているところでございます。その結果を含めまして食品全体の中で、飲料水についてどのようなリスク管理をしていくのかということが検討され、それが水道水の検討に下りてくるんだろうと考えております。
 実は聞いておりますところでは、食品安全委員会の方もかなり急いで検討を進めておりまして、7月中には何らかの方向性は出るのではないかと言われておりますので、そういった形で速やかに検討を進められ、時間を置かずに次のステージの検討ができるようにしてまいりたいと考えております。

○大住委員
 暫定基準値の位置づけが多分、一般の消費者の皆様方、国民の皆さんに届いていないと思うのです。暫定以下は安全だと言っているのですけれども、私は時限的な安全と理解しているのです。そういう意味合いの趣旨のことが私の見る範囲では何も出てこないので、ひょっとすると一般的には放射性物質は摂らない方が安心である。安全と安心は別だということになりますと、仮に政府は暫定基準値以下の水は問題ないにしても、野菜等の食品が流通していくときに、自分はともかく、少なくとも自分の子どもには食べさせたくない。孫には食べさせたくないという行動に出ても当然ではないかと思うのです。
 ですから情報を開示するときに、この情報はどういう意味を持つのかということまで含めてお示しいただかないと、それを受け取った消費者または国民の立場からすると、予防的な行動に走るのは当然です。ですから、そこまでセットにした上で、少なくとも今回ですと暫定基準値というのはこういう意味合いですという、安全だというのは多分条件つきの安全だと思いますので、そういうところをきちんと言っていただく必要が私はあるのではないかと思います。

○松田水道水質管理室室長補佐
 原子力安全委員会の方で、飲食物の摂取制限の指標を防災対策指針の中で定めているということなのですが、基本的には原発事故が起きたときの1回の爆発で放射性物質が拡散された。そのことを受けて1年間飲食物を摂取したときに許容できる実効線量等を考慮して、あとは食べ物の摂取量とか飲み水の摂取量等を考慮して、アロケーションをした上で決められたのが飲食物の摂取制限の指標だとここの中で記載をされてございます。
 そういう意味では放射性ヨウ素については半減期も考慮しなければいけないので、最初の数か月間というのが極めて大事である。放射性セシウムについては半減期が長いということですので、1年間の期間がターゲットということであれば、比較的長い期間をターゲットにしたままである。ただ、いずれにしてもそういった原子力発電所が爆発をしたときに拡散をするという緊急事態のときに適用されるもので定められているということでございますので、収束時や平常時に向かったものとしての数値という部分については、原子力安全委員会も食品衛生法の暫定規制値の見直しをすべきということも発言されているようですので、現在の食品安全委員会の審議状況を踏まえて、食品衛生法の暫定規制値の見直し、これは他部局になりますが、それと併せて我々の方の水道水の摂取制限の指標についても、見直しを検討していきたいと考えております。

○大垣部会長
 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員
 ちょっと別の話なんですが、今後モニタリングマニュアルを作成するということがありまして、今、モニタリングというのは原則流域1か所でそれぞれ週1回程度の計測で、当面従来のデータから見ると、確かに程度で今で言うモニタリングはいいと思うんですが、そもそもモニタリングとかこういう計測というのは、ほかの補助的な手段を要することによって、もっと頻繁な計測ができるような方法のマニュアル化を是非考えていただきたいと思います。
 例えば中間取りまとめで言うスクリーニング手法等がありますけれども、ああいうものを併用したモニタリング手法について、是非言及をするようなマニュアル化を図っていただきたいと思うので、よろしくお願いいたします。

○大垣部会長
 今の件はいかがですか。

○松田水道水質管理室室長補佐
 今後、検査方法のマニュアルを策定する際には、今、藤井先生からお話があったサーベイメータ、簡易な方法も含めてマニュアル化を進めていきたいと思いますので、今の点の御意見も踏まえて我々は取り組んでいきたいと思います。

○大垣部会長
 時間も大分過ぎておりますが、まだ御意見ありますか。と言いながら私がコメントをするのもあれなんですけれども、大住委員からの最初の方の質問の別の原子力発電所の事故が起きたときに、これが1つの手本になるかということは、私の理解では、これはあくまでもはっきり言うと日本国全体としては泥縄的に対応しているわけです。
 今回のことに対する対応の文書であって、今後のことに関して本格的な緊急時の対応というのは、私はもう原子力安全委員会等、国の組織全体を変えるというか、連絡網の中に水道が入ってこないときちんとしたことはできないのではないかと思っていまして、これがそのまま、明日起きればこれが役立つわけですけれども、将来起きるかもしれないというものの方針としては役立てるというか、そういうことは想定しないで、あくまでも現在の今の事故に対応するための方針であると理解していますが、よろしいでしょうか。そういう感じがいたします。どうもありがとうございました。
 それでは、このモニタリング方針についてお認めいただいたという取りまとめでいいですか。よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○大垣部会長
 どうもありがとうございました。
 少々時間が回っておりますが、議題3に移ります。東日本大震災に係る水道関係の最近の動きについてであります。事務局お願いします。

○石飛水道課長
 資料3をごらんください。時間が押しておりますので、かいつまんで御紹介します。
 まず3ページでございます。水道の断水と復旧状況でございますけれども、これは被災した水道事業体から都道府県を通じて、発災の当日から情報をいただいて、毎日発表してきたものでございます。
 最初のピーク、水色の折れ線グラフのところでございますけれども、約160万戸という数字が上がってきたわけでございます。これがだんだん下がってきて、現在は5.6万戸となっております。
 一方、赤い折れ線グラフは復旧戸数でありまして、これは先ほどのグラフと反対で急速に上がって、現在は224万戸が復旧したということでございます。これは4月7日、11日、12日に余震で再度断水したということもありますので、そこはダブルカウントもありますが、発災当初は224万戸プラス5.6万戸の合計230万戸ぐらいの断水戸数であったのではないかと推定されております。
 ほとんど最近は変動がございませんが、この5.6万戸のうち5.5万戸は、恐らく津波の甚大な被害を受けていたところであろうと思いますので、残り1,000戸は当面あと1か月ぐらいで改善すると思われますが、残りの5.5万戸は少し時間をかけて、じっくりとまちづくりからやり直していかなければいけない状況でございます。
 いずれにしましても、全国から水道事業体、工事業者、メーカーが入って懸命の復旧作業をしていただいた成果が、このグラフに表れてきていると思っております。
 4ページは東日本大震災を私どもなりに水道に関係の深いところで、特に特徴的なことを書かせていただいております。広域、甚大、複合というのが今回の3つの大きな特徴ではないかと思っております。
 ここに書いているようなことで、さまざまな我々としても大きな壁にぶち当たったこともあったわけでございますけれども、何とかここまで復旧して来ているということでございます。
 5ページは5月8日から11日まで、古米委員を団長にいたしまして私ども、日水協、科学院その他水道関係機関と一緒に、ここにありますような3県に現地調査に入りまして、現地の事業体や行政の方々とも意見交換をしながら、今後の復旧・復興に向けての状況把握をしてきたところでございます。
 6ページは今回の震災への対応と課題ということで、矢印に水色、青、黄色、ピンク色、緑という色で書いておりますが、これが地震・津波に対して。後で申し上げます電力制限、計画停電に対して。そして、この部会でも御審議いただきました放射性物質汚染に対して。こういう対応をとってきたということでございます。
 その中で今回、今までの経験を踏まえて懸命にやってきたわけでありますけれども、今回の地震の大きさや津波の深刻さに伴いまして、黄緑色の吹き出しで幾つか書いたようなところで応急給水・復旧作業、被災地以外でもさまざまな影響が出てきたということを書かせていただいているところでございます。これにつきましてはまたしっかりと我々としてレビューをいたしまして、今後の水道を含めたインフラ、ライフラインの災害対策に生かしていきたいと思っているところでございます。
 7ページは今年度の第1次補正予算で確保したものでございまして、水道関係で160億円の復旧費を計上しております。補助率を嵩上げいたしまして、通常2分の1程度でありますけれども、100分の80~100分の90、これは復旧のために要する事業費に応じてこの数字は変わりますが、かなりの高率にしているということで、現在既に災害査定等を行って復旧が進行しておりまして、この補助金の執行を急いでやっているところでございます。
 これから復旧から復興に向けてということで、引き続き私どもも最大限の財政的な、または技術的な支援をしていきたいと思っております。
 続きまして、電力制限でございます。これも報道等で皆様御存じと思いますけれども、9ページでございます。東北電力、東京電力の供給区域内で供給能力がダウンをしていることに伴いまして、特に夏の昼間の需要がピークを迎える段階での大規模停電を防ぐために、大口の契約者、具体的には500kW以上の事業所に対して基本的に15%削減。これは昨年の1時間当たりのそれぞれの事業所のピークに対して15%の削減ということを東北、東京電力管内の事業所に課すというものでございます。
 ちなみに、水道事業はここに書いておりませんけれども、東北、東京電力管内で57の事業体が対象になりまして、施設としましては浄水場とかポンプ場とかありますが、179施設が該当するということでございます。15%が原則ではありますけれども、水道の供給は需要に対しては確実にやらなければいけないという義務がありますので、10ページの上の四角のところに※印で、原則15%に対して水道については5%と、緩和された削減率が適用されております。
 9ページの下の四角でありますけれども、火事が起きた場合には消火栓による消火活動が水道にとっての使命でございます。また、ほかの水道事業体が事故で断水をしている場合に、応急的に給水をするというときには免除してもらうことが決まっています。各事業体もこれに備えて、実は明日からこれが適用されますので、既に5%削減するという体制で人的、施設的な対応をとっているということでございますので、水道事業体としては何とかしのいでいけるかなと考えております。
 11ページから、これは先ほど来、中間取りまとめでも触れられました浄水発生土における放射性物質対策でございます。これは申すまでもないですけれども、下水汚泥、工業用水汚泥、農業集落排水施設から出てくるものも原理的には全く同じでございますので、現在、原子力災害対策本部を中心にして、後で申し上げますような目安を出して、それぞれの汚泥、発生土については当面の保管、処分、再利用をするという方針が暫定的に示されているところでございます。
 その中で浄水発生土の検査結果が12ページ、13ページでございます。非常に小さい字でございますけれども、最初に判明したのが12ページの左上でありますが、東京都の金町浄水場で当時は放射性ヨウ素も高かったわけですけれども、放射性セシウムで1万4,650Bq/kgという非常に高い値が出てきたということで、我々も衝撃を受けたわけであります。
 原子力発電所に最も近いところとして、12ページの右側の欄の下から3分の1ぐらいのところにあります福島地方水道用水供給企業団、これは福島市内にある浄水場でありますが、ここで放射性セシウムがドライベースで約24万Bq/kgという非常に高い値が出てきておりまして、これらは当然のことながら今、場外に持ち出すことができないので、浄水場内で仮置きをしている状況であります。
 13ページでも新潟市の満願寺浄水場は、猪苗代湖や会津地方を源流とする阿賀野川の最下流にあるところで4万5,000Bq/kg。最新のデータでは6月22日で8,300 Bq/kgという値に下がってきておりますので、このまま下がってくれればとは思っています。
 宮城県の仙南・仙塩、宇都宮市の今市浄水場、群馬県の県央第一水道、ここで合計8万7,000Bq/kgということで、軒並み関東でも非常に高い値が出てきております。こういうことを踏まえて関係省庁と協力しながら、原子力災害対策本部で6月16日に出したのが14ページの当面の取扱いということでございます。
 最も高い10万Bq/kgを超えるもの、これは県内、できれば余り動かさないという意味では、可能であればその浄水場の仮置き場で保管をするということで、その後どうするかということについては今後の検討課題になっております。
 10万Bq/kg以下8,000Bq/kg超については、濃度ごとに敷地境界から一定の距離を置いて、管理型の処分場で仮置きをしてもよろしいということにしております。
 8,000Bq/kg以下のものについては、将来、処分が終わった後に人が住むような用途でないことを前提に、管理型処分場に埋立処分をしてよろしいということにしております。ちなみに、これにつきましては産業廃棄物処分場に限らず、一般廃棄物処分場でも一定の条件下で受入れをすることができることになっております。
 更にクリアランスレベルとありますが、これは1つの例としてコンクリート等では100Bq/kg、非常に小さい数字でありますけれども、これをクリアーしているものについては、最終的にコンクリートで100Bq/kg以下になるようなものであれば、セメント等に利用してもよろしいということになっております。
 こういう目安をとりあえず出しまして、できる限りの保管、仮置処分、再利用に回したいと思っているところでございますが、最終的な処分の在り方については方針を引き続き検討しているところでございます。また、仮置きをする場所、受け入れる処分場につきましても十分確保できているという状況ではありませんので、これは政府と地方公共団体とが協力して、できるだけ余り動かさない形で域内の処分場の確保、保管場所の確保に努力をしているところでございます。
 また、浄水発生土の場合には園芸用土としての再利用が結構多いわけでございます。これについては直接ユーザーが手に触れることもありますので、より細心の安全性の評価が必要だということで、現在これは放医研にお願いをして、安全性の評価をしていただいております。そこで一定の安全性が確保できる目安ができれば、これについてもクリアーしたものについては再び園芸用土としての利用を再開したいと思っておりますが、そこも安全を期してやっているところでございます。
 水道水につきましては一定の収束に向かっているわけでありますけれども、これにつきましては当面我々としてもしっかりと安全性を確保しながら、処分、処理、再利用の方針をしっかりと出して、適切に取扱いがなされるようにやっていきたいというところでございます。
 以上です。

○大垣部会長
 ありがとうございます。
 よけいなコメントを言いますと、水道にしろ下水にしろ、汚泥に集まってきて高濃度に出るんですが、逆に言いますと社会システム全体がある意味放射能を除去する仕掛けがある程度働いているともとれなくもないんです。誤解を恐れず言うとそういう部分もございますが、ただ、高濃度のものが出てくると大変であります。作業員の方は特に安全性等が問題になります。
 何か御意見御質問ございますか。

○秋元代理人
 水道協会の秋元でございます。
 水道協会は既にこの基準について、例えば処分場、当局の方等と色々な意見交換をしています。ただし、実際には処分場で受入れを拒否されていると言いますか、話がつかないという例が徐々に増えてきまして、例えば先ほどの新潟市ですと、関係当局の方と議論をしたけれども、処分場の周辺の方の同意がなければ無理でしょうと言われているなど、状況が厳しいというところが出てきています。
 現在、私どもは時間がなくて詳細には調べていませんが、東京都水道局は埋め立てできるので問題ないですし、川崎市も何とかなりそうだと聞いています。また、横浜市は敷地内にたまる一方で、このままだと浄水処理ができなくなる状況に追い込まれかねないと言っておられました。水道協会もこれに対する対応を聞かれましたが、私どもも答えようがない状況です。
ある程度処分場で処分されるとか、埋め立てすることを伺っておりますが、拒否されることも想定されてきたと思うので、この辺のところについて何か考えがあったら教えていただきたいと思います。

○石飛水道課長
 我々もそういう話は直接事業体からも聞いておりますし、私ども以上に下水汚泥も大変厳しい状況になってきているということで、産廃処分業者がやはり拒絶反応が非常に強いということがありますので、先ほど申し上げましたように政府と地元の自治体とも協力しながら、一般廃棄物処分場で何とかできないかということ、それから、それぞれの市町村で処分場を探すことは非常に難しいので、やや広域的にそういう場所を当面確保しなければいけないということで、都道府県レベルでの対応も当然念頭において、繰り返しになりますが、政府と自治体で処分場の確保を懸命にこれから引き続きやっていかざるを得ないという状況であります。
 今、秋元さんからお話がありましたように、実は今日までに関係都県に対して今どういう保管状況で、どういう問題があるかということを集約しておりますので、それもまた集約し次第、政府の中で共有して、これ以上になると本当に浄水場をストップせざるを得ない状況になるんだという窮状も訴えて、何とか浄水場の運転が継続できるように、我々としても一生懸命やっていきたいと思います。

○大垣部会長
 ありがとうございます。
 ほかにないでしょうか。なければ次の議題に移りたいと思います。夏季の電力需給対策に係る特定建築物の維持管理についてであります。資料4を事務局から。

○生活衛生課
 生活衛生課でございます。資料4「夏季の電力需給対策に係る特定建築物の維持管理について」を御報告いたします。
 先ほどの資料3の中でも電力制限の話がございましたけれども、資料4につきまして特定建築物に関します電力の関係でございます。
 御存じのとおりということで東京電力、東北電力管内における電力の供給力が大幅に減少いたしましたことを受けまして、政府の電力需給緊急対策本部で5月13日に、夏季の電力需給対策についてというものが示されております。その中に別紙、電力需給対策に関する制度見直しについてということで、建築物衛生法に関するものをここに抜粋しております。オフィスビル等の室内温度と換気についての対応ということでお示ししております。
 室内温度につきましては、まず室温を28℃とすることにつきまして、改めて強く推奨して徹底を図ることを基本とする。ただ、自主的な行動といたしまして室温を29℃に引き上げることも考えられますので、その場合には熱中症の発症の危険性が高まらないように工夫を行うようなことを、十分に周知を図るというのが1つ。
 換気につきましても、建築物衛生法等の室内の二酸化炭素濃度の基準を周知いたしまして、過度な換気を抑えようということの対応を示してございます。
 現状、建築物衛生法の基準につきましては資料4の裏になりますけれども、規制の概要を示しております。建築物衛生法の規制の対象としては上の四角に書いております、いわゆる特定建築物と言われているものでございます。こちらにつきまして下の方の四角ですけれども、空気環境の維持管理に係る規制内容ということで、この四角に示すような表におおむね適合するように維持管理しなければならないと規定しておりまして、この表の上から3番目に二酸化炭素、その下に温度という基準を現在示しております。という状況でございますので、また表に戻っていただきまして、上の電力需給緊急対策本部から示されたものを踏まえまして、私ども厚生労働省生活衛生課の方で5月20日、もう1か月以上前ですけれども、特定建築物の維持管理の取扱いについて通知を発出しているところでございます。
 事務所につきましてということで、こちらは私どもではないのですが、労働基準局安全衛生部の方から同様の通知も発出しております。
 以上、簡単ではございますけれども、夏季の電力需給対策に係る特定建築物の維持管理についての御報告でございます。
 以上でございます。

○大垣部会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明に関しまして御質問、御意見ございますか。

○大崎代理人
 私どもオフィスビル業界といたしましては、非常に重要な問題だとしてとらえておりまして、電力供給対策本部からの要請につきまして最大限お応えするようにしていますが、裏の基準にもございますとおり、温度と湿度を除く項目についてはおおむねということで、温度と湿度についてはおおむねではないんです。ですから、これは28℃以下にしなければならないということはおおむねではなくて、お部屋を使っている方が29℃でも30℃でもするということについてはいいですよ。
私ども、このビルも多分そうだと思いますけれども、送る側からもう29℃、30℃という形ではできないと定められていると解釈しているんですが、ですから私どもとしては法律を守る以上は、送る側としては28℃にせざるを得ないことについて御理解をいただきたいと思います。テナントさんにお願いをして、では30℃にしてください。わかりました。そうしたら30℃でいいですけれども、うちはどうしても28℃というテナントさんがいらっしゃれば、28℃は守る範囲においてはしようがないと御理解いただきたいと思います。できるだけ28℃でいいよと言っていただけるように努力はしております。

○大垣部会長
 ほかにはよろしいですか。
 それでは、どうもありがとうございました。そのほか何か全体を通して御質問、御意見ございますでしょうか。

○大崎代理人
 すみません、中間取りまとめの35ページ、大気中へ再度放出された場合というのは、非常に政府としては踏み込まれた見解だと思いますが、ないと言われているわけですから、その中で体制を整えるべきということについて、冷温停止すれば来年1月まで安定する。それまでにということで考えられているということだと思うのですが、そういう解釈でよろしいのでしょうか。

○松本水道水質管理官
 基本的にはこれは専門家のお考えをまとめたもので、専門家としてはおっしゃったように冷温停止に至るまでの間でこういう現象が起きる場合がゼロではないですので、そういった場合にはこういうような迅速な対応をすることが適切であるということで、御提言いただいています。

○大崎代理人
 いつと決めるのは政府だという意味ではないということでしょうか。

○松本水道水質管理官
 御提言を踏まえて、なるべく対応可能な体制をとっておくという立場です。

○大垣部会長
 今後、問題になったSPEEDIのデータでどの地域が汚染されやすいか。国全体としてある種の緊急的な情報網がちゃんと流れて、それに応じて各事業体や水道関係者が対応するというのが本来の姿だと思うんですけれども、そういうふうになるまで少しまだ体制が整わないのではないかと思いますが、これ自体は検討会の御意見ということですね。
 ほかになければよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。途中で意見がありましたように、自治体や事業体あるいは国民の方々と十分コミュニケーションがとれるようにして、政策を進めていただきたいと思います。長時間どうもありがとうございました。

○松田水道水質管理室室長補佐
 議事録につきましては、また委員の皆さんに御確認をして、その上で公開したいと思います。よろしくお願いいたします。

○大垣部会長
 どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省健康局水道課

TEL: 03-5253-1111 (内線4025)

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